勇者「娘に過去がバレまして」娘「伝説のおちんちん!!」(975)

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勇者「娘に過去がバレまして」娘「伝説のおちんちん!」
勇者「娘に過去がバレまして」娘「伝説のおちんちん!」 - SSまとめ速報
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あらすじ:おちんちん

前スレ埋まったので新スレ建てました
誘導できず申し訳ない

書き終わったら>>1の書いたの教えて欲しい

魔法使い『ええ、まったくもって妙な話だけれど……』


魔法使い『処女である貴女が……勇者のセックスに一番詳しいの』クスッ


僧侶『……フフッ』


僧侶『……本当に妙な話です』


僧侶『焦がれるだけで……遠くから見つめるしか出来なかった私が……』


僧侶『こうして……』


僧侶『必要とされる時が来るなんて……』キュッ


魔法使い『……フフッ』

僧侶『……フフフッ』

魔法使い『…………』

魔法使い『貴女の血中にある『治癒因子』は今、錬金術士の薬によって勇者の血液に流れている』

僧侶『私の『治癒因子』が、勇者さんの中に……』キュッ

魔法使い『『治癒因子』は勇者のセックスのスタミナを支え、酷使され続けている陰茎の粘膜の再生にも一役買っているわ』

魔法使い『……だけど『治癒因子』は勇者が元々持っていた特性でも、自発的に体内に発生させた物質でもない』

魔法使い『ただ僧侶が生み出した『治癒因子』を単に預けているだけ』

魔法使い『ならこうも考えられる――貴女の体の器官のひとつが、勇者の体内にある――と』

僧侶『勇者さんの中に私が……』

魔法使い『その感覚を研ぎ澄ますことができれば……『治癒因子』を共振させ、勇者の動きに同調できれば――』


僧侶『――私の覗きの経験と合わせて、より正確な金玉の位置に精子を導ける』

魔法使い『……もうすべて分かっているようね』

僧侶『…………』コクッ

魔法使い『術式はあたしと九尾狐が組む』

九尾狐『まっかさーれよぅ、なのじゃ』ポインッ

魔法使い『……そこからのタイミングは……すべて貴女に預けるわ』


僧侶『…………はい』ググッ

魔法使い『……いい? 僧侶。チャンスは――――』


――
―――――
――


僧侶(――――1度きり……!)


―リィィ…ィィン


僧侶(…………)

僧侶(思えば……今日まで色々ありましたね……)

僧侶(女神様と再会して、血を吐いたり……)

僧侶(女神様の真実を知って、血を吐いたり……)

僧侶(女神様と娘さんが導く先を思って、血を吐いたり……)

僧侶(その後も、血を吐いて、血を吐きながら、血を吐いたり、血を吐いたりしましたね……)

僧侶(……やっと勇者さんに会えても、やっぱり血を吐いたり……)


僧侶(何だか、血を吐いてばっかりですね、私……フフッ……)クスクス

僧侶(…………)

僧侶(でも……)

僧侶(血を吐き倒したからこその『治癒因子』……)

僧侶(覗き癖があったが故の金玉予測……)

僧侶(1つでも欠けていたなら、勇者さんをアシストすることができなかった……)

僧侶(…………)

僧侶(え……?)

―チラッ

女神「……!」ニコッ


僧侶(まさか……! もしかして……!)

僧侶(どれもこれも……女神様が計算ずくで私達を導いた結果なのでしょうか……ッ!?)

僧侶(覗きの癖も……吐血もすべて仕組まれたことだったとしたら……ッ!?)―バッ

女神「……♪」ニコニコ

―スッ

僧侶(? 指で輪っかを……)

―ピタァッ

僧侶(人差し指をその輪っかへ……)

スコスコスコスコココココッ!

僧侶(…………)

女神「…………」

―グッ

女神「……♪」ニッコリ

僧侶(ニッコリと右手でサムズアップ……加えて左手は女握り……)

僧侶(…………)

僧侶(違いますね)

僧侶(女神様はセックスが大好きなだけです。計算ずくでなんてトンデモない、女神様の頭の中にあるのはおちんぽだけです)


僧侶(……ああ私、分かっちゃいました)

僧侶(女神様は『在る』だけで女神様なんですね、きっと)

僧侶(ヤりたいことを、ただヤりたいだけヤることで……世界を変えていってしまう……)

僧侶(因果、運命、固まり、淀んでいるものですらかき混ぜて……やがて醜くも美しく――そして神々しい『何か』を創り上げてしまう……)

僧侶(そういう性質があるだけなんですね……)

僧侶(私、ずっと女神様が『不純』で『不埒』だと勘違いしていましたけれど……それは女神を自分達の勝手なイメージを押し付けていただけで……)

僧侶(女神様は……それこそ会った時から、ずっと『純粋』だった……自らの役目を果たしていたんです……)


僧侶(まつろわず、あるがままの姿で、偽ることなく光へと導く……それこそが『女神』……)


僧侶(…………)

僧侶(……私はどうでしょう)

僧侶(はたして私は……『純粋』で『清廉潔白』な『聖職者』だったでしょうか?)


僧侶(……いいえ)


僧侶(私は……覗き、自慰を重ねたその指先で……勇者さんと仲間達に貞淑さを説くような……)

僧侶(聖職者の仮面と常識を纏っているだけの……卑怯者でした)


僧侶(挙句の果てに……)

僧侶(自らの本当の気持ちさえ……『聖職者』の所為にして……心の奥底に封印しました……)


僧侶(…………)

僧侶(……私は愚かです)

僧侶(種も蒔いていない土の前で、ひとりでに勇者さんとおちんぽが地面から生えてくることをただ望んでいたんです……)

僧侶(ありもしない、起こるはずもないことを……『ひょっとしたら』と言う妄想を胸に抱えて……)


僧侶(……勇者さんは知っていました)

僧侶(未熟な私の心の内も、癖も……すべて……)


僧侶(…………)

僧侶(認める……)

僧侶(自らの限界を……自ら引いた境界を認める……)

――――――――


女神『自身を縛る身分や障害を超える時――』


――――――――

僧侶(その上で……!)

僧侶(踏み出す……!)

僧侶(最初の一歩……ッ!)

――――――――


女神『隔たりや境界を踏み越える時が――』


――――――――

僧侶(~~ッ!)

僧侶(私は……)

僧侶(私は……!)

僧侶(私は……ッ……)


僧侶「勇者さんが……ッ――」


――――――――


女神『――最も気持ち良いからです』


――――――――


僧侶「――っっ好きですっ!」


ゾクゾクゾクゥッ――


僧侶「~~ッ――好き好きっ! 大好きですっ! ずっとずっと大好きでしたぁーーっ!」ワァァァッ!!

僧侶「聖剣を構えた時に見せる凛々しい瞳ッ! 普段の緩い雰囲気とのギャップがすごくて好きでしたっ!」

僧侶「ニッて音が聞こえそうな程眩しい笑顔で挨拶をしてくれる勇者さんが好きでしたっ!」

僧侶「夕陽に黄昏れつつ意味深にオカリナ吹いてる勇者さんが好きでしたっ!」

僧侶「びっくりする程自然にウィンクする勇者さんが好きでしたっ!」

僧侶「私の緊張を解す為にからかう勇者さんが好きでしたっ!」

僧侶「シーツ一枚で逃げまわる勇者さんが好きでしたっ!」

僧侶「歩く勇者さんが、座る勇者さんが、瞬きをする勇者さんが……」

僧侶「ただただ生きている勇者さんが……」

僧侶「とにかく勇者さんが……」

僧侶「……大っっ好きでしたぁぁっっ!」

ゾクゾクゾクゥッ――

僧侶「そして……」


僧侶「今も……私は……」


僧侶「勇者さんが……勇者さんのことが……」








僧侶「 大好きです 」






―ブルッ…


僧侶「ふっ、くふぅっ……! っはぁあぁぁ……!」ギュゥゥゥゥ…

僧侶「ハァー……ハァー……フゥー……」ハッ…ハッ…ハッ…

僧侶「フゥー…………」ヒッ…ヒッ…フゥー…

僧侶「…………」

僧侶(い、イッちゃった……ついにイッちゃいましたよ、私……!)ボボボッ

僧侶(でも……)

僧侶(自分に向き合えたお陰で、『素直』になったことで……)


―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン
―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン
―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン―リィィ…ィィン



僧侶(こんなにも……力を……束ねられるように……ッ!)


グンッ―


僧侶(これならっ! 私の力を100%――いえ120%使いきれますっ……!)

僧侶(皆さんの力を借りて、皆さんの力と一体となって……っ! 前代未聞の『復活』を……成功させてみせます……!)


僧侶(今の私なら…………イケますッ!)

グンッ―

僧侶(私は勇者さんが大好き)

スッ スゥッ―

僧侶(私はえっちなことが大好き)

クルクルッ―

僧侶(私はえっちな女神様が大嫌い)

クルゥンッ―

僧侶(女神様のえっちな発想は大好き)

……ピタァ

僧侶(総じて、私はえっちな女神様が大好き)


僧侶(――あるがままに)

僧侶(心が赴くままに)

僧侶(偽らず、己を認めたなら――)

パァァァ…!

僧侶(――私は更に踏み出せるっ!)

―リィィ…ィィン!

僧侶(未来へっ! 誰も汚していない処女膜を探すが如くっ!)

―リィィ…ィィン!

僧侶(力強くっ! 勇者さんの削岩ピストンの如くっ!)

―リィィ…ィィン!

僧侶「勇者さん……!」

僧侶「どうか受け取ってくださいっ……私のオリジナル神聖魔法を……!」

―リィィ…ィィンッッ!!!

僧侶「私の人生のすべてと、皆さんの生命力が織り込まれた……『回復』や『復活』に次ぐ新たな回復魔法を……!」


―リィィィィィン……――


僧侶「僧侶オリジナル神聖魔法――」


僧侶「 ――  『 大 復 活 』 ッ ! 」

――――――――
――――
――


ド ギ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ーー ン ッ ッ !


シュンッ―


――
――――
――


―ドッ…

勇者(……?)


―ドックン…

勇者(……何が)


――……  ド ッ ッ グ ン ッ ! !


――――――――

――――――――

魔王「わ、我は……イッてなど……」ゼヒ-ッ… ゼヒーッ…

勇者「…………」

―ピタァッ

魔王(んっ……ピ、ピストンが止んだ……?)

―ビキッ

魔王「ん゛お゛っ!?」

―ビキンッ!

魔王「お゛っふ――な、何ッ!? 我のな、膣内で勇者のチンポが……更に大きく……!?」


勇者「……力が……溢れる……」

勇者「聖なる力が……」

勇者「性なる力が……!」

勇者「金玉から駆け上がってくる……ッ!」ギラッ

―バキバッキーン!

魔王「ひんッ!?」ビクンッ

――――――――

ドサッ……

錬金術士「も、もう無理……こ、このまま寝る……寝……る……寝ムニャア」スヤァ

女戦士「まさか……た、立っていられないほど……生命力吸われるたぁ……な……ヘヘッ……」ゼッ ゼッ

九尾狐「こーん……こーん……のじゃぁ……のじゃぁ……」ピクピク

魔法使い「そ、僧侶……よく……やったわ……せ、精子が……寸分の狂いもなく……金玉へ……」ハァー ハァー


僧侶「――――」


魔法使い「僧、侶……?」


僧侶「――――」


女戦士「!? こ、こいつ……た、立ったまま……目の幅に涙を流しながら……気絶してやがる……!」

紅竜「この場にいる……全員の生命力だぞ……? 竜であるオレが……クソッ……!」グラッ

紅竜「ッハァ……まともに動けねぇんだ……死なねぇだけで十分バケモンだぜ……!」ポシュッ

魔法使い「いえ……これは……恐らく……」

僧侶「――――」

魔法使い「告白の反動――羞恥心による仁王立ち……」

女戦士「……は?」

魔法使い「恋に関してはノミの心臓並の彼女には……」

魔法使い「新神聖魔法よりもずっと負荷が大きかったんでしょうね……」フー

女戦士「……い、いやいや。まさか……好きって言うだけで気絶とか……ハー……流石に僧侶でも、うっ、ありえねぇだろ……」

僧侶「――――」///


女戦士「……マァジかよ」

魔法使い「……でも、そのおかげで」

魔法使い「際どいところ……裏筋一本で繋がった……」

魔法使い「白濁の未来へ……」

魔法使い「…………」ギュゥ

魔法使い「勇者。あたし達に出来るすべてを出し尽くした……もう潮の一雫さえ滴ることはないわ……」フラ…

魔法使い「後は……お願い……ね……」パタッ

――――――――

―ズリュッ

魔王「お゛っ!」ビクッ

勇者「……正直、万策尽きてた」グッチュ…

魔王「はっ、あ゛ぅっ!」ビクンッ

勇者「ミミズ千匹、数の子、タコ壷……予想より遥かに名器な上に」ヌリュゥゥゥゥッ

魔王「ぐひっ、ひいぃぃぃ……ッ!」ゾゾッ

勇者「薄い加護1枚隔てた向こう側は特濃の邪悪力でみっしり」ニュズ…ズズズ…

魔王「う……くっ、う……ふっ……くぅっ」プルプル

勇者「もちろん触れればチンコは即壊死。一瞬で全身に特濃の邪悪力が回ってポックリ」パンッ パンッ

勇者「そんな空間にチンコを突っ込みまくるってんだから、最早狂気の沙汰以外の何物でもない」パンッ パンッ

勇者「しかも加護が刻一刻と0.03ミリから0.02ミリ、0.01ミリと容赦なく薄くなってくるわ、質の悪さも加速するわで、破れるのも時間の問題だった」パンッ パンッ

勇者「諦めかけて、ヤケクソで激ピストン叩きこんで最後に一華上げようかと思った――」パンッ パンッ


勇者「――その時」パンッ…

勇者「……奇跡が……起こったんだ」パンッ…

魔王「あっ、あああぁ! わ、われはぁ、ま、だ……イッ――ひんッ♪」ビグビグンッ

勇者「魔法使いに注ぎ込んだはずの精子が……何故か今、ここにある」

―ズシィィィィィッ…!

魔王「ひっ……!? あんなに我にざーめんを注いだにも関わらず……何故そんな量が……ッ!? あ、ありえぬッ……!」

勇者「感じる……」

勇者「1人1人の生命の息吹を」

勇者「1人1人のイヤらしい性への衝動を」

勇者「伝わってくる……」

勇者「皆の未来への思いが」

勇者「俺へ想いが」ビキンッ


魔王「ひぐぅっ! なッ、まだ大きく硬くな――あ゛ッ!」ギクンッ


―リィィィィィン……――


勇者「……僧侶」

勇者「お前の想い、確かに受け取ったぜ」

ノヂュッ…

勇者「魔王、セックスは一見単純だ」ヌヂュッ…

魔王「うっ……ふーっ……! ふーっ……!」フルフル

勇者「感じるポイントを攻めれば、そりゃ誰だって絶頂する。そこに嘘はないからな」グププ…

魔王「我は……ッ! イッておらぬ……ッ! お前如き人間に……我は敗けぬのだ……ッ!」ハーッ… ハーッ…

勇者「だが――」

勇者「――それだけでは、単なる『技術』だけでは、『究極の快楽』へは程遠いんだ」

勇者「魔法や剣術も同じ――極めるには技術だけでは足りない」

勇者「……では何が必要なのか?」グリッ…

魔王「~~ッ……ッはーっ、はーっ……!」


勇者「――それは、『愛』だ」


魔王「アイ……だと……?」


勇者「相手が無機物であれ、人であれ、魔物であれ、己自身であれ……」

勇者「『愛』を理解しなければ――到達できない領域がある」

勇者「物には破壊出来る点と線がある。それはその物を知り、物になりきらなければ知ることは出来ない」

勇者「人には倒すことの出来る急所が存在する。それはその人を知り、相手になりきらなければ急所を突くことは不可能だ」

勇者「……相手のして欲しいことを理解すること。相手の立場に立つこと」

勇者「そしてそこに自分のしたいことを加える――そしてそれは『愛』になる」


魔王「愛……? 貴様……一体何を……ベラベラと……」フーッ… フーッ…


勇者「……魔王、お前は何故――」

勇者「――声を変える必要があった?」


魔王「――――」

魔王「何……?」ピタッ


勇者「生まれながらにして強者であるお前が……何故声を偽る必要がある?」

魔王「…………」

勇者「あの『瘴気の衣』にしてもそうだ」

勇者「あの過剰なエネルギーの発露や威圧は、果たしてお前に必要なものか?」

勇者「俺たちを下等種族と言い切るお前が、自らを魔を統べる王と名乗るお前が、真の強者であるお前が……」

勇者「何故、偽るのか」

魔王「貴様……」


勇者「何故――」



勇者「――男であろうとするのか」



――プツンッ!!

魔王「――貴様ァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!」

―バチュンッ!!
―レロォ
―クニュッ
―クリンッ

魔王「――ぁああああぁああぁあぁぁぁあああぁぁッッッ♪」ビクンッ


勇者「魔王、お前のして欲しいこと――即ち、『愛』は――」

勇者「『敗北』の中にこそ……そして、その更に向こうにある……!」

勇者「さぁ耳を澄ませて……」フー…

魔王「ううッ!」ピクンッ

勇者「そう、いい子だ。次は目を閉じて。俺の声に集中するんだ」

魔王「貴様のッ、言いなりに――」

―クニュッ
―モミュッ
―ニュグゥゥゥゥ

魔王「ふわぁぁぁぁぁ……!」ゾクゾクッ

勇者「いいね。そんな感じで力を抜いて……そう、目を閉じるんだ」


勇者「息を吸って、次は吐いて……」

勇者「そう。その調子だ。ただ呼吸するだけで気持ち良くなってくる……」


勇者「息を吸ってー……吐いてー……」

勇者「一呼吸ごとに貴女は少しづつ過去へ戻れる。本当だ。フリだけでもいい、そう思って呼吸をするんだ」


勇者「息を吸ってー……吐いてー……」

勇者「吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……」


『吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……』

『全身の力が抜けて、ゆるゆると貴女は過去へと漂う……』

『吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……』

『俺が誰か? いやいや、今重要なのは過去へ戻ることだ……俺は誰でもない……』

『吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……』

『ホラ、あそこにいるのは貴女だ。誰かとセックスをしているね。でもそれも重要ではない……さぁ深呼吸だ』

『深く吸ってー……深く吐いてー……深く吸ってー……深く吐いてー……』

『あれは『門』だ。今度は無限に続く闇……でもまだ足りない。もっと呼吸が必要だ。もっと過去へ更に深く深く……』

『吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……』

『奥へ奥へ……深く深く……貴女の体は過去へ過去へと沈んでいく……一呼吸ごとに過去へ過去へと……』

『吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……』

『さぁ……何も考えなくていい……見えるものがすべて……戻る戻る……回る回る……深く深く……』

『吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……』

『……見えてきた? さぁ、何が見える? 私に教えてくれないか? ……慌てないで、落ち着いて。そう、呼吸をすれば解決する……もっと鮮明にハッキリと……』

『吸ってー……吐いてー……吸ってー……吐いてー……』


《――父上が見える……》


『……そう。お父さんが見えるのか。お父さんは、どんな人なのかな?』

《――大きくて……強くて……とても偉い人だ……》

『お父さんのことは好きかな? それとも嫌いかな?』

《――好きだ。大好きだ……。でも……》

『……でも?』

《――きっと父上は、我のことを好きではない……》

『……本当に?』

《――我が弱いから……父上の子なのに……弱いから……》

『…………』


『……確かめるチャンスをあげよう』

《――……え?》

『鈴の音が一度だけ鳴るよ。よーく耳を澄ませて……』

『……小さい貴女と……大きい貴女が……綺麗に綺麗に別れて……見えないものが見えるようになるから……』

―リィィィィィン……――


《…………》

《…………》

《……?》

――――――――

『父上、なぜわれはぬいぐるみをだいてねてはいけないのだ?』

――――――――

《…………》

《……あれは、我ではないか。……ひどく小さいが》

――――――――

『……まおーらしくない。父上、ぬいぐるみをだいてねるとまおーらしくないのか?』

『……しかし、われはこのぬいぐるみが好きだ。われは、この子になまえをつけて――』

――――――――

《……!》

《……思い出したぞ》

《この後、我は、この子を……》

――――――――

『ち、父上。おこらないでくれ、われが悪かった。まおーらしくしないわれが悪かったのだ』

『われは父上の子だ。まおーの子。じきまおーになるべきしゅくめーをせおったこどもまおーなのだ』

『だからわれをおこらないでくれ。われを嫌いにならないでくれ、父上』

――――――――

『…………』

――――――――

『こ、この子をもやす!? わ、われがこの子を……!?』

『これが……よわさ? よわさを……ころす?』

『この子をもやすと……われは強くなれる?』

『…………』


『もやせば……父上は……われを嫌いならないでくれるのか?』

『…………』

『……わかった。父上、みていてくれ』

―ギュォォォォォン…

『…………』


―ゴバァァァァッ!!

メラメラ…

『…………』

『……父上、これでいいのか?』

『それでこそわが子? これで父上は我を好きになってくれるのか?』

『あたりまえ? そうか、そうだな、われはちょーしにのっていた。われが悪かった』

『……なみだ? ちがう、これは、ちがう、その、ほのおのまほーのちょーしが悪かったのだ』

『だからてをやけどしたのだ。だんじて、ぬいぐるみなどでなみだをながすものか、ふん』

『やけどをするなんじゃくもの……ちがう! 父上、これは、ちがうのだ父上……!』

『ちっ、父上っ! われは強い! いや強くなるのだ!』

『やけども、なみだもながさぬ、れーけつでとっても強い父上のようになる! だからわれを……!』

『われをおこらないでくれ……われを嫌いにならないでくれ……どうか……父上……父上……』

――――――――

―フッ

《……最初に成功した炎魔法だったな》

《…………》

《……? 何だ》

―フッ

――――――――

『父上、どうだ。われは強いだろう? タイジュチュのコーシをこてんぱんにしてやったのだ』

『……まだいきがある』

『そうだな。われが悪い。われのツメが甘かったのだ』

―ドシュッ

――――――――

《…………》

――――――――

『父上、われの魔法はなかなかのものだぞ。この大木1つを消炭にしてやったのだ』

―ゴォッ

『森1つ……!? 流石、父上だ! われは父上が魔王で嬉し――』

『……魔王であるなら、山1つは消せて当然……確かにその通りだ。われが悪かった。われが甘えていたのだ』

『…………』

『……山1つ消せたら、父上は我を……』

『いや、何でもない。われは山を消すまで城に帰らぬ』

『……当たり前? そうだな、魔王の子たるもの、出来て当然のことだ。われは魔王の子として相応しくない振る舞いを取った』

『われは魔王の子なのだ。できて当たり前のことが出来ぬわれは恥だ。父上の威光に傷がつく……肝に命じねば』

――――――――

《……これは我の……》

――――――――

『父上、我は初陣でこのような……いや、申し訳ない。我の思慮が足りないばかりに……』

――――――――

《何だこれは……我の過去が……次々と……》

――――――――

『……勇者、それが我が一族の仇敵。父上も、先代魔王も、先々代魔王も苦しめた始末すべき女神の懐刀……』

『父上、この勇者を我が討ち取ることができれば――』

――――――――

《……押し寄せてくる……ッ!》

――――――――

『父上、四天王の配下に加えて欲しき男がいます。非常に有能で、強力な戦力に――』

『父上、申し訳ございません。まだ実験が完成しきっておらずあのような――』

――――――――

《何だ……一体何なのだ……! この『我』は我だ……! しかし……》

――――――――

『父上、彼奴らの城を――』

『父上、勇者の誕生を――』

――――――――

《しかし……この『我』は、いや我は……『父上』、『父上』とばかりで……》

《これではまるで――》

――――――――

『父上――』

『ちちうえ――』

『チチウエ――』

『魔王さま――』


『先代魔王――』

――――――――

《ッ!?》

――――――――

『……先代魔王、此度の戦、またも魔王軍が勝利をおさめました』

『……ええ。当然です。我は無敵、我が軍も無敵……我は魔王故に、最強なのです』

『ハッ。勿論、先代魔王の血無くして、今の魔王はありえませぬ』

『次こそ、先代魔王の元へ必ず勇者の首をお持ち致します』


『……父上』

――――――――

《父上っ! 駄目だ! 元に戻れ『我』! 我は何をしているのだ! もう父上とは二度と……!》

―フッ

――――――――

ザァァァァァ…

『…………』

ピチョッ…

『先代魔王……』

『…………』

『……父上』

『父上……父上……』

『父上……我は……』

『父上を失って……我は……これから……』

――――――――

《……誰に認められ、好かれればいいと言うのか》
――――――――
『……誰に認められ、好かれればいいと言うのか』

――――――――

『…………』

『一族の、夢……』

『父上の夢……』

『父上の悲願……』

『勇者を倒し、ありとあらゆるものを混沌に陥れ、すべてを力が支配する世界へ変える……』

『父上の成し得なかった、夢……』

『……我が、それを成し遂げたなら……』

――――――――

《……我が父を超えることができたのなら》

――――――――


『父上は我を好いてくれるのだろうか……』

――――――――

《……我は魔王――》

――――――――

『――混沌の支配者。魔を統べる王也』

『……勇者』

『勇者よ、我が糧となれ……世界を喰らう前に……お前の血と肉を喰らい、父上に捧げよう』

『憎き女神も喰らい、やがては天界すべてを喰らい尽くしてくれる……それも父上の墓前に捧げるのだ』

『すべては一族の為……父上の為……』


『そして……――――――――――――』


――――――――

《…………》

《『そして――』……何だ?》

《『我』の為とでも、この『我』は言うつもりなのか?》

《……『お前』は――いや、『我』は……》



《 ど こ に も い な い の だ …… 》



《我はどこにもいない》


《父上の望む我と……》


《父上の望む世界……》


《父上、父上父上、父上父上父上、父上父上父上父上……すべては父上の為に、父上に好かれる為に》


《我は空っぽになった……》


《故に、我は空っぽであることを隠したかったのだ……》


《紅き瞳と、最強の衣、父上の声……どれも身に纒わねば……》


《我が空っぽであることが、皆にバレてしまう……》

《…………》

《我は、どこにもいない》

《世界中でひとりぼっちになってしまった》

《我は、どこにもいない》

《強くあらねば、我がひとりで生きていくには強くあらねば》

《我は、どこにもいない》

《我は魔王。我は魔王。先代魔王の娘》

《先代魔王の恥。先代魔王の傷。女。雌。――何故? ――何故?》


《――息子ではないのか》


《我は魔王。我は魔王。先代魔王の娘。父上の娘》

《男でなくとも、魔を統べられると証明せねば、我は生きることができない》

《我は、居場所が欲しい》

《我は、帰ってくる場所が欲しい》

《願わくは、父上の元へ……叶わぬのであれば魔が充つ大陸を》

《我は勝って手に入れなければならぬ》

《我は決して敗けてはならない》

《勝利を。魔王軍に勝利を。先代魔王に、父上に勝利を……》

《我は、どこにもいない》

《我は……どこにも……いない……》





―ピチョンッ…
―チョンッ…
―ョン…





『……おー。ここだったか』


《……誰だ?》


『やーっと見つけたぜ。……随分深くまで来たんだな』



《――誰だッ!!》



『…………』

『通りすがりの、白くて光の……』

『言うなればまぁ……』




『【精子】だ』




《…………》

《…………は?》

精子『二度も言わせるなよ。いいか?』

精子『【精子】だ。それ以上でも、それイカでもない。【精子】なんだ』

精子『そして俺は1匹であり、大勢であり』

精子『勇者の魂であり、仲間達すべての魂でもある。1でもあり全でもある。おまけに白くベタついているのさ』

精子『……で、あんたは魔王』


魔王《…………》


精子『そうだな、それで、と。いいか? 一度しか言わないから耳と子宮口かっぽじってよく聞けよ、魔王』


魔王《…………》

精子『お前は――』



―スッ



精子『――ここにいるよ』



―トンッ…



魔王《…………え……あ……?》



―キュ…


――キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ♪



魔王《~~~~~~~~ッッッ!?!?》

――――――――

――――――――


魔王(――……ハッ!?)

魔王(今の白いのは一体―)

―ッキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン♪

魔王(あぐッ――何だこの疼きは……!?)

魔王(全身を貫く甘い痺れが前にも増して強く……! 加えて腹の奥が異常な程に熱を帯びて――)

―ゾリュッ

魔王「ひあ゛ぅッ!?」ビクンッ


勇者「……聞いたな魔王。精子が卵子をノックする音を」

魔王「……ゆ、勇者!? ここはどこだッ!? 父上と白いのはどこへ消えた!?」

勇者「……聞いたぜ魔王。お前の抱える闇を」

―ズニュゥ…

魔王「ふあ゛ぁッ!? ……き、聞いた……?」


魔王「――ッ!? まさかヒプノックボイス……催眠術を我にかけただとッ!?」

魔王「バカなッ! 『闇紅の瞳』が灯っている限り我に幻術の類は――」


―ポワンッ


魔王「――なッ!? 何だこれは……! 我の目にハートのマークが煌々と灯っているではないかッ!?」

勇者「今更かよ。最初の絶頂から見えっぱなしだったぜ。本当にどっこまでもカワイイんだな魔王」

魔王「カワッ――貴様ァ! 我を侮辱する気か……! おのれ……この忌々しいハートマークが『闇紅の瞳』を打ち消して――」

魔王「――――」

魔王「貴様……」

魔王「……貴様……覗いたのか……!? 我の過去を――我の心を……ッ!」

勇者「……父親との確執にはまぁ……俺も人のこと言えない位こじれてるし、助言できることなんて何もねーけどな」

魔王「父上のことを侮辱してみろォ……ッ! 我が――」


勇者「――お前は、お前のままでいい」


魔王「――――」

魔王「――ッ」

魔王「……今……勇者……貴様……何と……」


勇者「うん。そのままでいいし」

勇者「女でいい。女の子でいい。男装が趣味ってんならそれまたそのままでいい」


魔王「――ッ」

魔王「……何だと……一体何を……貴様……」


勇者「俺は認めるぞ。お前は強い」

勇者「――そんでもってカワイくて、スタイル良くて、超乳で、想像を絶する名器だろ?」

勇者「おまけに正攻法じゃ倒せない……と、ホラ、サイキョーじゃんこれ」


魔王「何を……言っておるのだ……貴様は……」


勇者「もう一度言う」

勇者「お前は強い」

魔王「――ッ」

勇者「お前はここにいるぞ。だってホラこんなに締め付けてくる……」グチュッ…

魔王「あぐっ――やめろ」

勇者「お前は空っぽじゃない。だってホラこんなにキツくて狭い……」ズチュッ…

魔王「んあっ――やめろ……!」

勇者「……いや、言い続けるぞ俺は」ヌププッ

魔王「んぐゥ……貴様ァァァ……!」


―ポムッ


魔王「………………ふあっ?」


勇者「褒めて欲しいって顔、ずっとしてるからな」スィッ


魔王「――――」


勇者「そんなに恵まれてる力と権力があるのに……」

勇者「まるで生涯、一度も勝利を手にしたことがないような――」

勇者「――そんな雰囲気が、うなじから尾てい骨にかけて漂ってるからな」ペチッ

―ナデ

勇者「魔王はカワイイ。イイ女だ。誇りに思っていい」

魔王「……や……め……ろ……」


勇者「……だから――」


勇者「――敗けていい」

―ナデ…


魔王「……な……に……?」

勇者「今から俺は……」ドックン…

―ドックン… ドックン…

勇者「俺史上最大の量と、俺史上最大の濃度と、俺史上最大の聖《性》なる力に溢れた孕み汁――」

勇者「――【精子】を俺史上最大の速度で射精ち出す」


魔王「……ッ!」トクン…

勇者「それはきっと――何もかも白く噴き飛ばす黄ばんだ一撃」ビュンッ―

勇者「立場も、意識も、敵も味方も、攻受も、善も悪も、何かもが混じり合ってゼリー状になる究極の射精……」ビュンッ―


魔王「……ざぁめん」トクン…


―ビュンッ―

勇者「……イけよ、魔王」

勇者「敗けることは――イくことは恥じゃない」

―ビュンッ!―

勇者「イッていいんだ。誰もそれを禁じていない」

勇者「お前は、お前の思うようにイきていいんだ」

―ビュンッ!!―

勇者「お前のイき方を決められるのはお前だけだ」

―ビュンッ!!!―

勇者「お前のイき方を否定することは誰にもできない」

―ビュンッ!!!!―

勇者「例えそれが――」

―ビュンッ…―


勇者「――父親であってもだ」



ググググ…

勇者「……イくぞ」


ビュンッビュンッ―

ギュンッギュンッ―

ギリリリリリリリリッ―


―― グ オ ン ッ !





―バチュンッ!!
ンボリュゥッ!! ズグォオッ――

 ピッ―
 ビュヂッ―
 ドップッ―
 ボプルッ―
 ビュグゥ―
 ビューッ―
 ―
 ――
 ―――――  ド  ビ  ュ  ル  ッ  !

魔王「――ッ!?」パクパク

ビュルボコォ―

魔王「あがっ、ぎひっ、ひィィィィィ……!」ビグゥッ

ビュルルッボゴォォォォ―




(―トンッ…)

魔王「ひんっ!? ひまっ、じゅせぇらんにひぃ……あ゛っ、あお゛お゛っ……! お゛っほぉ♪」キュゥゥゥン♪

(―ツプッ)

(……プッチュン♪)


魔王「~~~~じゅしぇッッッ!?」ゾクゾクゾクゥッ…


―ッピィィィン…

魔王「んっ――」タラー…

魔王「んほぉおおおおおおぉおおおぉおぉおおぉぉおおおぉおぉっ♪♪♪」ガグガグンッ―グリンッ

―ブッ…シャァァァァァァ…!!!

魔王「イ゛グっ♪ イ゛ぐイ゛ぐイ゛っちゃぅろぉぉおぉぉっ♪」ギクッ ギクンッ

―ビューッ♪ ビューッ♪

魔王「んお゛っ!? お゛っほ♪」ギクッ ギクンッ

―ビュルルルルルルッ♪

魔王「おっほぉぉぉおぉおぉぉおぉぉおぉおおぉぉぉぉっ♪♪――」

― ド グ ン ッ ♪

魔王「ぎひッ!?」―ゾワッ

魔王「ん゛い゛っ……あっ……あへぇ……♪」ピクピクッ

―チョロロロロロ…

―カクンッ…

――――――――

エルフ妹「な、何と……」ハッ ハッ
エルフ姉「神々しい……」ハッ ハッ

氷の女王「…………綺麗」ハーッ ハーッ…

巫女「……私は生涯、この光景を忘れないことでしょう」フゥフゥ

女戦士「や、やったか!?」ハァハァ

魔王「……ひっ♪ ……んひっ♪……」ピクッ ピクンッ



―ピタッ…



魔王「――――」



― ガ バ ァ ッ ! !

勇者「――ッ」



― ガ ッ シ ッ ♪

魔王「えへへぇっ♪ んへぇ♪ えへぇ……勇者ぁ♪」ギュゥゥゥゥ

勇者「んー? どうした魔王」ナデナデ

魔王「勇者しゅきっ♪ このおちんぽもしゅきぃ♪ びゅるびゅるもっとしゅきぃぃっ♪」スリスリ


勇者「……そっか」ナデナデ

魔王「なでなでもしゅきっ、しゅきなのぉ♪ おちんぽぐりぐりしゃれにゃがらなでなでしゃれると……われはここがたまりゃないのぉ♪」グリグリ

勇者「そっかそっか……じゃぁさ」ニコニコ

―ヒソ

勇者「もっとすごいこと、したくない?」

魔王「もっろ、しゅごいころ……?」ポッ

勇者「そう。もっと気持ち良くて、もっと真っ白になれるヤツをさ」

魔王「しょれやるぅ! われ、もっろイく! もっろびゅるびゅるほしい! われイくのだいしゅき!」チュッ♪ チュッ♪

勇者「んー、そうだなー、子宮口グズグズになるまでほぐしてからー、子宮まで一気にチンコ突き入れて直に射精とかー」

魔王「んひぃっ♪」ジュクン♪

勇者「喉奥までチンコ頬張らせて酸欠にさせてー、息を吸った瞬間に強引に亀頭を食道まで押し込んで射精とかー」

魔王「はっ♪ はへぇっ♪」ジュワァァ…

勇者「……どーよ?」ニッ

魔王「ぜんぶっ♪ ぜんぶがいい勇者ぁ♪ きもひいいころ、われはぜんぶヤりたいっ♪ 勇者のおちんぽほしい♪ おちんぽ♪ おちんぽぉ♪」ハッ♪ ハッ♪

勇者「おーおー分かった分かった。ありったけの気持ちいいこと、フルコースでお見舞いしてやるよ」ナデナデ


勇者「ただ――」

勇者「――ちゃーんと報告ができたら、な?」ニコニコ

魔王「ほう……こ……く……?」

勇者「そそ。……よっと」

―グルリンッ

魔王「んふぁぁんっ♪」グヂュゥ

―ピタッ

勇者「やっぱいるでしょ。報告。魔王の大切な人に、自分の口でしっかり伝えないと。ね?」

魔王「われのたいせつなものは勇者とおちん――……」


魔王「……――ッ!?!?」ギシィッ

魔王「ち、ちちちちッッ!?――」

魔王「――父上ッッ!?」


ズォォォォォォォ―

先代魔王(肖像画)「…………」

― ッ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ー ン …


勇者「まぁ肖像画だけどさ。形だけでもホラ、ね?」

魔王「し、しかし我は……その、何と報告をすれば……」プイッ

ヒソッ―

勇者「――って言えばいいだけだよ。簡単でしょ?」

魔王「なッ――そ、そんなことを我が……父上に……!?」

勇者「何だったら台本耳元で囁いてあげてもいいしさ」フー…

魔王「ひぁんっ♪ で、でも……その……」モジッ

勇者「……できない?」

魔王「…………」コクッ

魔王「我には……無理だ……父上に……そんな言葉は……とても……」

勇者「…………」


勇者「そう」

勇者「じゃぁ残念。俺のチンコパラダイスはもうオシマイってことでー」ヌ… ズルッ… ズッ

魔王「んふぁっ♪ やっ――まっ、待ってくれ勇者っ!」

勇者「……じゃぁやる?」ニュ… プ… プッ

魔王「ひぅっ♪ うくっ……じ、時間を……我に……!」

勇者「待たなーい」ヌ… ズルッ… ズッ

魔王「はぁんっ♪ うぅ……我は……我は……」

勇者「ホラホラ、もう抜けそうだよー?」ニュ… ポ… ポッ


魔王「……――る」ボソッ

勇者「んー? 何? 聞こえなーい?」ニュ… ポ… ポッ

魔王「ちっ、父上に……ちゃんと……報告する……、から……」プルプル

勇者「……から?」

魔王「勇者のおちんぽを……我から、抜かないでくれ……頼む……」ウルッ

勇者「……うん。じゃぁさっき言った通りに……ね?」

魔王「う、うむ……」

勇者「…………」

魔王「…………」

勇者「…………」ニュ… ポ… ポッ

魔王「あふっ♪ い、今言う……! 今言うから……! 抜くのだけは……!」

勇者「…………」

魔王「ち、父上……――んぐぅっ!?」

―ズニュゥゥゥゥ…

魔王「ふっ……ふっ……ち、父上……」ヌチッ…

魔王「父上の夢を……我は果たすことが……出来ませんでした……んっ」ニュグッ…

魔王「何故なら……あぅっ!」グッチュ…

魔王「ふーっ……ふーっ……な、何故なら……我は勇者に敗け――」

―ヒソッ

魔王「――え? 違う? ……わ、分かった……ちゃんと言う……だから……」

魔王「わ、我は……」

魔王「――ッ」


魔王「我はぁ……勇者のおちんぽにぃ――敗けてしまいましたぁ……」キュッ

魔王「我はぁ……勇者のおちんぽにぃ……逆らえぬ体にされてしまいましたぁ……」ギュゥッ


魔王「お、お許し下さい父上ぇ……」グスッ…


魔王「お許し、ください、父――ぅんぎいぃいぃいいぃぃぃっ♪!?」ガクガクガクガクッ!!

―ズブズブズブッ…!

― ボ リ ュ ン ッ !!


魔王「は――あっ――かひっ……!?」ボッコシ

魔王(こ、これ……は、入ってる……!)

魔王(赤ちゃんのお部屋に……! 入ってはいけないころに……!)

魔王(ゆ、勇者の……)


魔王「勇者の……」

魔王「勇者のおちんぽが……!」

魔王「子宮の……赤ちゃんのお部屋に゛ひっ!?――あっ、あっ、あっ、あぁッ……!?」

―… ゴ リ ュ ン ッ

魔王「――――」


勇者「よしよし。ちゃんと言えたから……最初のごほうびだねー」ボキュッ… ボキュッ…

魔王「――ッ、――ッ」カクッ… カクンッ…

魔王「――――ッ、~~~~ッ!!」―ッピィィィィン!!

…プシッ―
―ブシュァッ!!
…チョロロロロロロロロロロ…

魔王「……ふはぁぁぁぁ♪」ダラァン…

魔王「…………」


―ヒクンッ

魔王「……うでも……いい……」


―ヒクンッ

魔王「どう…………いい……ひひっ」


―プルプル…

魔王「……えひっ」ダラァ

―グラッ グラァ…

魔王「えひひひひぃっ!」ツツーッ

―ヌボルッ

魔王「っっん゛ぅぅぅっ!」グンッ―

―ゴリュンッ

魔王「おほぉおおおぉおおおぉおぉぉっ♪」アヘェ

勇者「へぇ? 自分から嵌めこむとか随分気に入っ――」


魔王「――世界征服とかもうどうでもいいのほぉぉぉぉぉぉぉっ♪」

勇者「おっと?」

魔王「魔の時代とかっ、ん゛ッ――我は特に望んでないもんっ♪ 知らないッ――ん゛あ゛っ♪」ゴチュッ ゴチュッ

魔王「一番だとかっ……究極だとかっ♪ 最強だとかオ゛ホォッ♪」ゴチュッ ゴチュッ

魔王「ひぃ、あんっ♪ 我は、本当はどうでも良かったのっ♪」ゴチュッ ゴチュッ

魔王「我はっ、我はっ……ただ――ッひ、ふあぁっ♪」ゴチュッ ゴチュッ


魔王「――父上に認めて欲しかっただけなのにぃぃっ♪」ゴチュッ…

魔王「――父上の自慢になりたかっただけなのにぃぃっ♪」ゴチュッ…


魔王「……父上に、ただ褒められたかっただけなのにぃ……」グスッ…

魔王「我は、それだけで幸せだったのにぃ……」グスッ…


魔王「……でも」グスッ…


魔王「――でもぉっ♪」―ニヘェ

魔王「勇者と勇者おちんぽすごいからぁ♪」

魔王「もう過去なんてぇ……どうでもいいのっ♪」

魔王「勇者と勇者おちんぽさえあれば我はもう何もいらないのっっ♪」


魔王「父上ぇ……んっ、勇者はねぇ……はァッ、我の欲しかったものを全部くれたんだぁ♪」グリュッ

魔王「褒めるのも、なでなでも♪」ヌッコヌッコ

魔王「力を認めるのだって、カワイイって言ってくれるのだって♪」ゴヂュッ

魔王「全部ゼンブぜ~んぶ我にくれたのぉ♪」ズプププ…

魔王「そ・し・て・ぇ……」ハァァ♪

魔王「こぉんなに大きくてぇ、血管がびきばきでぇ、オリハルコンのように硬ぁ~いおちんぽを我にくれたのぉ♪」ハッ ハッ…

魔王「我のここにばちゅんばちゅんって、ごりゅんごりゅんって、激しく挿入れてくれたのぉ……ハァッ♪」グププ

魔王「ほらぁ見て見て父上ぇ。我の穴がこぉんなに拡がって勇者の咥え込んじゃってぇ……更にぃ……」ツツーッ…

魔王「我の奥の奥まで……勇者のカタチになっちゃっ――」ニュポポポ…グンッ―

―ッボリュンッ

魔王「――お゛っほ♪――ったぁ♪ ……えひひぃ♪」プシィッ!


魔王「父上ぇ……我は知らなかったのぉ……」

魔王「こんなに気持ちいいコトがこの世にあったなんてぇ……我は知らなかったのぉ……」

魔王「負けを認めるだけでこんなに自由になれるなんてぇ……我は知らなかったのぉ……♪」

魔王「ごめんねぇ父上……ごめんなさいぃ父上……だから我はぁ、こんなに浅ましくて下品な魔王になってしまいましたぁ♪」

魔王「心の内を勇者に覗かれてぇ犯されてぇ……魔王としての牙は全部折られてしまいましたぁ♪ あはァ♪」


魔王「我は父上がいらない子になっちゃったけど……」

魔王「我は幸せだから……我は勇者とおちんぽで超はっぴーだから……大丈夫っ♪」


魔王「――我、父上のいらない子でいいんだもんっ♪」


魔王「――ッン~~♪ 言っちゃったぁ……言っちゃったぁっ♪ 言ってやったぞ勇者ぁっ♪ 親不孝者になっちゃったぞ勇者ぁんっ♪」ヒシッ

勇者「台本とか最初からいらなかったなー。……で、どうだ魔王? 気分の程は?」

魔王「~~ッ♪ 最っ……高っ……だ勇者ァ……は、ぁンッ♪」ゾクンッ

勇者「だろうな。チンコぎゅーぎゅーに締め付けてるもんな」

ブツブツ…

魔王「我は父上にとっていらない子……ウフッ♪ そう……我はいらない子だから構わない……ククッ♪」

魔王「そうだっ! 我は、我の道を征く……んひっ♪」


魔王「だから……」

魔王「だから……我を……勇者のおちんぽ奴隷にして欲しい……♪」

勇者「……いいの?」

魔王「いいのだっ♪」

勇者「いつでも、どこでも、好き勝手に使っちゃうよ?」

魔王「むしろ我はそれを望んでいる……んッ♪」

勇者「へぇ。じゃぁ俺のそばを離れないってことか?」

魔王「我の穴ボコはもう勇者専用だから……勇者のおちんぽ無しでは生きられない躯になったから……離れようにも……ひンッ♪」

勇者「まだ魔王の帰りを待ってる人達もいると思うけどなー……」

魔王「我は勇者に敗れたのだ♪ 魔族はより強い者に従うもの――我はおちんぽに勝てなかったのだから、我は勇者に従わざるを得ない……っ♪」

勇者「なるほどなるほど。つまり、だ」

勇者「お前は父親を裏切り、従えていた魔王軍を裏切り、地位も責任もすべてを投げ出して――」

勇者「――俺のチンコを取る」

勇者「そう言ってるんだな?」ニッ

…ゾクンッ

魔王「は――」


魔王「は、い……」ポッ

勇者「ほうほう」ニコニコ

魔王「我は……我を初めて理解してくれた勇者と共にいたいのだ……」モジッ


魔王「そして……」

魔王「我は……」

魔王「この硬くて熱くて勇ましくて愛おしいこの勇者おちんぽが欲しくて堪らないのだっ……♪」ムワァッ♪

勇者「……そっか」


勇者「聞いてた女神?」

魔王「…………」

魔王「……女神?」


女神「はい。そりゃもうガッツリと」ヌッ

魔王「ひゃわぁッ!? 女神ッ!? い、いつの間にっ!?」

勇者「魔王が俺のチンコに夢中になってる間に」ゴチュッ

魔王「ンごぉっ♪」ビクンッ

勇者「それでさ、魔王」ヌッチュ…

魔王「ふぁ、ふぁひ……?」ヒクンッ

勇者「勇者にはさ。冒険の書ってのがあるのよ」ニュグゥ…

魔王「急に何の――おほォ♪」ビグッ

勇者「女神力によって勇者一行に起きた出来事を自動筆記で記録する日記? みたいなものなんだけど」ニヂュッ ニヂュッ

魔王「あ゛ッ♪ んあ゛ぅッ♪」ピクッ ピクンッ

勇者「……まともに旅を記録してくれる『表』本と、まともじゃない旅の部分を記録してくれる『裏』本があってね」パチュッ…

魔王「んっ……まとも……じゃない部分……?」

勇者「そうそう。主に――」



勇者「――勇者の性行為とか」



魔王「…………え?」ゾッ―


女神「うふふ♪」ニコニコ

女神「裏・冒険の書は勇者の性行為、もしくは勇者に関わる性的なアレソレを見境なく記録する、私の自慢の神器……」

女神「――で・す・がっ!! ここに来て女神力の最大解放っ! 加えて邪悪力を抑える必要も無くなった今っ!」バンッ!

女神「裏・冒険の書は新たな領域へ突入しますっ!」ババンッ!

女神「娘さんのスケッチからヒントを得て……先ほどの断面図にてテストプレイは完了済みっ!」ババァァンッ!

女神「お披露目しましょうっ! 女神術式フルパワー構築っ! 混じりっ気無しの煩悩マックス注入っ!」ギリギリギリギリィ…

―シュバッ ―ババッ!!

女神「――『真・裏・冒険の書』、起動っ!」

―ピッ

――――――――

『イ゛グっ♪ イ゛ぐイ゛ぐイ゛っちゃぅろぉぉおぉぉっ♪』ギクッ ギクンッ

―ビューッ♪ ビューッ♪

『んお゛っ!? お゛っほ♪』ギクッ ギクンッ

―ビュルルルルルルッ♪

『おっほぉぉぉおぉおぉぉおぉぉおぉおおぉぉぉぉっ♪♪』

――――――――

魔王「こ、これは……!」

魔王「ここに映っているのは……!」

魔王「我ではないか……!」ジュンッ


勇者「……驚いた。今度は映像で記録出来るようになったのか」

女神「しかも全方向からの記録ですっ! ほらっ! 同じ場面でも……」ピピッ

女神「こんな地面を這うような感じで近づいたり、離れたり、好きな角度からと――とにかく自由自在なんですっ!」ピッ ピッ

勇者「……とまぁこんな感じでさ」

勇者「俺とのセックスは全部記録されてるんだって、ねぇ?」

魔王「…………」プルプル

勇者「性奴隷志願のくだりだとかー、おちんぽと魔王のすべてを天秤にかけて迷わずおちんぽ取っちゃうところかも全部」

魔王「――――ッ」ハーッ!… ハーッ!…

勇者「冒険の書って燃えない――つか破壊出来ないらしいから、うん。未来永劫残っちゃうんだよ、この記録」

魔王「~~~~ッ」―ゾクンッ

勇者「魔王の痴態が、永久に消えずに、ずっと、ずーっと語り継がれ――見継がれていっちゃうんだ」

魔王「我の……勇者との……まぐわいが……永遠に……?」―ゾクゾクンッ

勇者「スゴイね。だってコレがある限り魔王は何一つ魔王らしいことできないんだから。一時の過ちって水に流すことすら許されないんだからな」

魔王「は……♪ あっ……♪ ひぃっ……♪」―ゾクゾクゥッ

勇者「魔王がこんな威厳もへったくれもない発情したデカ雌犬ってことがバレたら、みんな幻滅するよね。それどころか蔑んで唾とか吐きかけるかもしれないよ」

魔王「ひッ――♪ ひッ――♪」―ゾクゾクゾクンッ


勇者「さぁ魔王。こうして俺との秘事と思い込んでいたすべてが『真・裏・冒険の書』によって白日の下に晒されちまったわけだが……」

勇者「……それなのに、どうして。……お前はこんなにチンコを締め付けてくるんだ?」

―ギュッ ギュゥゥゥゥゥ♪


勇者「……顔をこっちへ見せろよ、魔王」

グイッ

魔王「はン♪ ひぅっ……ひゃふっ♪」トロォ…


勇者「…………」

勇者「アハハハッ! 顔トロットロじゃん! 凛々しいお顔も眉も見る影無いよ魔王!」ハハッ

魔王「んっ……想像したら……ううんっ……想像しただけでひっひゃっ――たぁ♪」トロォ…


勇者「……変態」ボソ

魔王「ひぃんっ!?」ビグンッ


勇者「変態っ」

魔王「んみゃぁぅっ!?」ビッグンッ

勇者「どこまでも堕ちるのが好きな変態には――」

―ビキビキッ バッキーン!

勇者「――こいつでしっっかり躾けないと」

魔王「躾けてぇ……♪ 浅ましくて下品で変態な我を……勇者おちんぽで躾けてくださいぃ……♪」

勇者「……おちんぽ奴隷のお前が、主人である俺に、指図――」

― グ ォ ン ッ

勇者「―― す る な 」

― ボ リ ュ ン ッ ッ ッ ! ! !

魔王「ひぎいぃいぃいいぃぃぃぃいぃぃぃいぃぃぃッ!?」グリンッ
―ブシューッ!! ブシャァッ!! プシャー! シャァァァ!
―シャァァァ…チョロッ チョロロロロロ…
カクッ…ビクッ…カクンッ…ビクンッ

勇者「さぁ。あと99回イくまで、続けるぜ魔王。――さん、はい」― グ ォ ン ッ

魔王「ふ……ひゃっひゅっ!? ひゃっへふふぁ――」ズリ…ズリ…

― ボ ゴ リ ュ ン ッ ッ ッ ! ! !


――――
――――――――

女神(処女)
僧侶(処女)
娘(処女)

>>152
修正
×勇者「さぁ魔王。こうして俺との秘事と思い込んでいたすべてが『真・裏・冒険の書』によって白日の下に晒されちまったわけだが……」
○勇者「あぁ悲惨。恐怖と力で君臨する魔族の王が、『真・裏・冒険の書』でチンコ負け暴露されて二度と立ち直れないとか惨めすぎて惨めすぎて……」

――――――――
――――

ゴチュッ…ゴリュッ…

魔王「かひゅー……かひゅー……」ギクンッ

―ビュヂッ

魔王「っひ……!」ピーンッ

―トプッ トプッ トププッ…

魔王「あ゛……う゛……んい゛っ……」ビクンッビクンッビクンッ

勇者「っし、これで99回目。そんで――」

グンッ―

―ボリュンッ!!

魔王「~~~~ッ!? ……かっ――ひっ、ひぃっ――」

魔王「あ……へ……ぇ……」グルンッ

勇者「――ひゃーく、と」グッ グリンッ…

グリッ…グリンッ…グッ…グリリッ……

ズルルルルルゥゥゥゥゥ…

魔王「――ッ、――ッ」クンッ クンッ―

キュゥゥゥゥゥゥゥゥ―

―ツポンッ

―… ブ ポ ッ

魔王「~~ッ!」

ゴ ポ ッ …
ドプドプドプドプッ…
ゴボッ ブッ ブリュゥッ ブビュッ…


― ブ ピ ッ !

魔王「――んぇっ♪」


勇者「おーすっごいすっごい。魔王が膣で射精するって凄まじい光景だなー……まぁいいだけ射精したの俺なんだけどさ」

魔王「しぇぇしぃ……しゅきぃ……♪」ジュルゥ…

魔王「おひんぽぉ……ゆーしゃぁ……だいしゅきぃ……♪」ピチャッ…チュルッ…

勇者「ほぼ意識トンでるのに精液すすっちゃうあたり……やっぱ真性だよなぁ魔王」ハハッ

勇者「……ふー」ブルンッ―ピッ ピッ

勇者「…………」


勇者「よいしょっ、と」―スタッ



…グラァァ


勇者「……あーっとっと……」―グラァァァ…

勇者「……まぁ、そらそうなるわな」―グワァァァ…


―ドシャァッ…

勇者「あ゛ー……」

勇者「……動けねぇ……すっからかんだ……」

勇者「命と世界がかかってるセックスとか……もう二度とヤりたくねぇ……」

―スゥッ

女神「――金玉とおちんぽはまだまだ元気に見えますが?」ホホゥ

勇者「体力の話だ……幾らスケベの才能あったって限度があるだろ……」

女神「と言うことは……」

女神「今、私が勇者を襲っても――」

女神「――抵抗できないってことですねっ♪」ゲヘヘ

勇者「…………」


勇者「その体で出来るならな」

女神「ふぬぅぅぅぅ……!」ガクガクガクガクガクガクガクガク

勇者「……まぁ魔王の邪悪力、半端じゃなかったからな」

女神「いえ、これは『真・裏・冒険の書』の反動です」ゲソッ…

勇者「えぇぇー……」

女神「限界まで性能アップしたせいでもうあっぷあっぷと言いますか……ホントにギリギリで……でもすっごい機能が山盛りで……あの、何か……」

女神「……容量足りなかったから『冒険の書』は消しました……」ボソッ

勇者「おい」

女神「魔王の精子噴水すごいですね」

勇者「おい女神。俺の目を見てもう一度言ってみろ」

ズリ…ズリ…

女戦士「勇者、ヤったな」

勇者「ああ、ヤったぜ」


勇者「……で、何でお前らは地べたを這いずってるんだ?」

ズリ…

紅竜「ぶん殴るぞテメェ……誰のおかげで精子復活できたと思ってるんだクソが……」

勇者「……あ、いや、まさかそんなになるまで生命力を注いでくれてたとは……そっか、ありがとう」

紅竜「……フンッ」ボボゥッ

勇者「僧侶にもお礼を――」


僧侶「――――」


勇者「――し、死んでる……!?」

ズリ…

魔法使い「生きてるわ」

勇者「魔法使い!?」

魔法使い「恥ずかしすぎて頭がボンッてなっただけ。気絶してるだけよ」

勇者「……そうか。天へ掲げた手と表情が意味深だったからてっきり……」


勇者「…………」

魔法使い「…………」


勇者「ただいま」ヘヘッ


魔法使い「……お帰り」フフッ


二角公女「何ですのっ!? この甘ったるいこの……この……何ですのぉ!?」ズリズリ
氷の王女「…………ラブい」ズリズリ
吸血鬼「勇ちゃんの貴重な照れ顔いただきましたー。いやぁおねーさん犬歯の疼いてしょうがないねぇー」ズリズリ


勇者「何とか魔王倒したぜ魔法使い」

勇者「……ま。おおよそ勇者らしさなんて欠片も無い方法で、だけどな」

魔法使い「…………」

魔法使い「あなたは復活した魔王を屈服させ、再び闇に覆われかけた世界を救った」

魔法使い「なら……これ以上勇者『らしい』勇者なんていない――」

魔法使い「――違うかしら?」

勇者「……そうかな」

魔法使い「それに勇者は魔王を倒したわけじゃない」

勇者「…………」

魔法使い「勇者は……魔王を救ったの」

勇者「…………」

魔法使い「闇の中を彷徨っていた魔王の心を……勇者なりのヤり方で――勇者の放つ光で導いた」

魔法使い「見なさい。あの魔王の顔を」ビッ


魔王「アヘェ……♪」ブピュッ


魔法使い「飢えも、妬みも怒りも感じない……舌がだらしなく垂れ、眼球が裏返り、頬は緩み紅潮する――そんな幸福に溢れた表情を」


魔法使い「……あたしには確信がある」

魔法使い「仮に魔王が回復し、正常な思考を取り戻したとしても……」

魔法使い「魔王は決して勇者を――世界を敵には回さない、って……そういう確信がね」サスリ…

勇者「…………」

勇者「チンコがあるから?」

魔法使い「『あなたの』、おちんぽがあるからよ」

勇者「…………」

勇者「俺のチンコがあるから世界は平和、ねぇ……」

勇者「…………」

勇者「……ハハッ」

勇者「ならマジで『さいきょーのおちんぽ』、だな」ニッ

魔法使い「名実共にね」フッ

魔法使い「だって魔王さえ救ってしまう勇者なんて……勇者史始まって以来の『さいきょー』の勇者じゃない?」

勇者「……チンコだけどな」

魔法使い「……おちんぽだけどね」

勇者「……プッ」ブフッ

魔法使い「……プフッ」クスッ


「「アーッハッハッハッハッハッハッハッ!」」 「――んもぉぉぉ甘過ぎですわぁぁ!」


ド ド ド ド ド ド ド ―


「 パ パ ー っ ! ! 」ビューン


ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ―


勇者「おお、来たな。愛しい我が家の元気爆発娘め」

娘「パパっ! パパぁっ! パパっ! パパーっ! パパパパパパぁぁぁーっ!!」ブンブン

勇者「どーどー、落ち着きなさい。パパはどこにも逃げたりしないから、ね?」

娘「ふー……はー……ふー……はー……落ち着いた! パパね! わたし見てたよ! わたす眠っちゃって途中からだけどちゃんと見てたよ!」フンフン

娘「それでねっ! それでねっ! わたしねっ! パパが大変だと思ってこの……何かこう、すごい回復のお薬取って来たの! パパが元気になると思ってわたし!」チャプチャプ

勇者「ありがとう。今指先1つ動かすのもうまくいかないからさ、すっごく助かるよ。一瓶振りかけるなり口に注いでもらえると――」


娘「…………」チャプチャプ


勇者「……娘? 」


娘「 ―― え っ へ へ ぇ っ ♪ 」ニッコリ

>>179
修正
×娘「ふー……はー……ふー……はー……落ち着いた! パパね! わたし見てたよ! わたす眠っちゃって途中からだけどちゃんと見てたよ!」フンフン
○娘「ふー……はー……ふー……はー……落ち着いた! パパね! わたし見てたよ! わたし眠っちゃって途中からだけどちゃんと見てたよ!」フンフン

―キュポッ

娘「――んっ!」グイッ―

―ゴッキュゴッキュゴッキュ!

勇者「お前が飲んじゃうの!?」

―ゴックン…

娘「っぷはー!」

娘「……お?」

娘「うわー! おなかがあっつい! これすっごいよパパ! 何だかお空飛べそうだよ!」ムフー!

勇者「なら何故パパにそれをくれないんだ……」

娘「え? パパを元気にするのはわたしだからだよ?」


勇者「…………」


勇者「……ん?」


娘「えへへ……♪」クイッ―

スゥゥッ―

勇者「……あの、娘さん? その裾をつまむポーズは我が娘ながら大変カワイイけれどね。そのまま上げるとね。その下着がね」

娘「わたしはまだみじゅくだから……」

スゥゥッ―

勇者「いやだからパンツがね! 見えるからね! 上げなくていいからね! はしたないからやめようね!」

娘「お薬の力を借りないとダメかなーって……」

スゥゥッ―

勇者「見えっ――コラッ! パパの言うことを聞きなさ……」


勇者「……ぃ……?」


―ツツゥーーッ…


勇者「は……」


―ピチョッ…


勇者「はいて……ない……?」

娘「見て見てパパ! パパのことを考えるだけでね、こんなにあいえきあふれてきちゃうんだよ♪」

勇者「われめ……」

娘「これっておちんぽ挿入る準備ができたよー、ってしるしだよね!」

勇者「ひとすじ……」

娘「ひみつとっくんの効果はバツグンだー! ひたすらたんれんあるのみ――パパの言ってたとおりだったよ!」

勇者「みつ……」


勇者「ひみつ……」


勇者「――ッハァ!?」

勇者「履いてな――じゃない! ツルッツル――でもねぇ! そうじゃなくて!」

勇者「秘密特訓ってなんだ!? そもそもそんな愛液溢れちゃうような鍛錬法教えたの誰なんだ一体ーっ!?」

娘「えっと、おまめさんをくにくにしたり、穴の入り口をつぽつぽするたんれんは淫魔お姉ちゃんでー」

勇者「淫魔ァ!」

淫魔「てへぺろ~♪ あ、でも膜は破らないヤり方教えたからだいじょーぶだいじょーぶ♪ ちゃぁんとガチ処女でーす♪」キャピルンッ♪

娘「痛いのとか気持ちいいのとかをむむむっ! ってできるこきゅーほーは武闘家お姉ちゃんに」

勇者「武闘家ァ……!」

武闘家「ち、ちがうね。武術の鍛錬よ。房中術なんてまったくこれっぽっちもカンケーないね。ホントね」ヘロリ

娘「じょせーほるもんとかふぇろもんがムンムンになる料理は料理人お姉ちゃんがいっぱい作ってくれてー」

娘「あ! おててとおくちの使い方は九尾お姉ちゃんがバナナを使って教えてくれたよ! 舌もバッチリ!」

娘「女騎士お姉ちゃんは痛いのが気持ち良くなっちゃうめかにずむ? のお勉強の先生になったくれたりー」

娘「後は……妖精姫お姉ちゃんは小さい体の使い方教えてくれたよ。お腹がボコォってなるのが最高なんだって!」

娘「後はねっ! 後はねーっ!」キラキラ

勇者「お前ら何してくれてんの!? 何で意気揚々と早すぎる性教育を人様の娘に叩きこんでるわけ!?」

エルフ妹「御主人様……あの、そ、それはその……」
エルフ姉「も、申し訳ないと思ってはいたのですが……」

メイド長「あのお嬢様の好奇心に輝く瞳を裏切るに裏切れず……。それに――」

「「「「「――もし自分の娘だったらと思うと色々止まらなくて……」」」」」

勇者「超分かるけども! 分かるけど駄目だろうが! 冒険を経てファザコン解消どころかこじらせたら元も子も――」

娘「んっ♪」ビクンッ

勇者「……む、娘?」

娘「パ、パパ……お薬……すっごい……お腹も頭も熱くて……ふわふわしてくる……♪」ハァー…ハァー…

勇者「……一体……お前は……何を飲んだんだ……?」

娘「お薬だよ……」イシシ…

娘「錬金術士お姉ちゃんのとっておきのお薬……」

娘「ふくさよーもこーいしょーもちゅーどくせーもない――とってもくりーんな回復のお薬だよ……」ドックン…

勇者「それ絶対ラベルがフェイクのヤバいヤツだろ! クリーンどころかドロッドロのグッツグツの欲望塗れの回復薬ですらない何かだろ!」


娘「……パパ」スッ―

―ニュチッ

勇者「くあぁっ!?」ビクゥ

シュッ―ニュッ―

娘「えへへ♪ どうパパ? そふとなたっちでしょ?」クニッ―ニュチッ―

勇者(子供特有の熱量の高くて小さい掌が俺精液と魔王愛液のカクテルを潤滑剤代わりに皮膜の表面を滑らかにスライドさせつつアットランダムな強弱のついた指輪っかの握りを――)

勇者「――だぁぁぁぁ! 駄目だ娘ェ! パパのチンコに触るんじゃぁない! つか手コキやめっ――指輪っかからスムーズにお祈りしごきに移行するなーっ!」

娘「…………」

―パッ

勇者「ハーッ……ハーッ……! そうだ……それでい――」

娘「んー♪」

スゥッ―

ペロッ

勇者「バッ――」

娘「~~ッ♪」ゾクゾクゥッ

娘「おいっしー! ほっぺた落ちそう! これがパパのせーしなんだ!」チュルッ

勇者「何てことを……!」

娘「……えっちぃ味がするよパパ……わたしのおなかぽかぽかしてきたよ……」フルルッ

勇者「俺の精液摂取しただけでも大問題なのに錬金術士の謎薬とオーバードーズとか洒落になってない……!」

娘「えっへへぇ♪」トローン…

娘「じゃぁ……」

娘「……しよっ。パパ」


勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「……えっ」


娘「わたしのここにぃ……」

クパァ…♪

娘「パパのおちんぽを……」

プチュッ―

娘「――いれたり♪」

ツポッ―

娘「――だしたり♪」


ツツーッ…

娘「しよーよっ♪」







― ゾ ク ッ





勇者(――――ッ)


勇者(な、何だ今の……直視に耐えない肉欲の宴が一瞬見えたが……)

…ドクンッ

勇者(……ッ。チンコが痛い程に勃起している……! が……!)

勇者(汗が冷たい……腹の底が冷えきってるのを感じる……体中の血液をチンコに奪われたようなこの感覚……)

勇者(……鳥肌が止まないのは単なる体温の喪失なのか……? クソッ……!)

勇者(まるで……まるで……尿道につららでも突っ込まれた気分だ……!)

娘「えっへへぇ♪」

勇者(……しかもつららがメリ込むにつれて太くなっている気もする……!)

勇者「だ……」

勇者「駄目だ……! 父娘だぞ……!?」

勇者「親と子は……セックスしないッ! 当たり前だッ! 当たり前なんだよそんなこと……!」

勇者「俺と娘はセックスしてはいけないんだッッ!」


娘「…………」


勇者「いいか娘よ……ッ! 俺はお前が世界中の誰とセックスしようが構わない……ッ!」

勇者「お前が選んだ男なんだ……ッ! 例えそれが失敗であろうと何だろうとお前の選択を尊重する……ッ!」

勇者「だけど『俺』は違う……ッ! 父親なんだ……ッ!」

勇者「心と体が成熟すればきっと理解するはずだ……ッ!」

勇者「お前がまだ幼いから――お前の世界が小さく狭いから……勘違いしてしまったと……ッ!」

勇者「お前の全身を満たしている衝動は……幼さ故に生まれた一時の迷いだったと……ッ!」

勇者「だから……今は……今だけは……パパの言うことをおとなしく聞いてくれ……」

勇者「さぁッ! そのくぱぁしている指をすぐに閉じるんだ……ッ! 早く……ッ! 手遅れになる前に……ッ!」


勇者「 娘 よ … … !」





娘「……『お前の思うようにイきていい』」




勇者「――――」




勇者「――……な゛……ッ!!」





娘「『お前のイき方を決められるのはお前だけだ』」


勇者「……あ……あ……」


娘「『お前のイき方を否定することは誰にもできない』」


勇者「あぁ……あぁ……!」


娘「『例えそれが――」


―ヒュォッ


娘「――父親であってもだ』」


―ッビシィ!


勇者「――ッゲハァッッ!!!」ゲホァ―ブシャァ―パタタッ!

娘「――だったよね♪ パーパ♪」

勇者「ぜ、全部……見て……いたのか……」ヒュー…ヒュー…

娘「……あのねパパ」

娘「わたしね。パパのおちんぽを取り戻す為に、世界中をまわって、色んなところを冒険したんだよ」

娘「それでね。いーーっぱい、たーーくさんの人に会ったの」

娘「パパのおちんぽをズボズボしたお姉ちゃん達もそうだけど」

娘「色んな男の人にも会ったし、見たり聞いたり話したりしたんだよ」

勇者「……だ、だからと言って……お前の世界が広くなったとは言い難――」

娘「――ぜーんぜん、きゅぅぅぅ――ってしなかったんだ」

勇者「きゅ、きゅぅぅぅ?」

娘「うん。あのね。パパのことを考えると……お胸のココと――」

―サスッ

娘「――お腹のココがきゅぅぅぅってなって、苦しくて、でもそれがとっても嬉しー! って感じるんだ」

娘「でもパパ以外の男の人だときゅぅぅぅってならないんだー」

娘「パパよりかっこよくておっきぃバキバキおちんぽだって一本もなかったし」

勇者「……おちんぽ?」

娘「うん。女神さまと『オトコユカクレンボゲェム』してたけど、がっかりおちんぽしか無かったよ?」

勇者「女神ィ……! 女神ァ……! 女神ェァァ……ッ!!」

娘「オークちんぽもしょぼかったし」

勇者「オッ!? オークちんぽッ!?」


娘「だからね。やっぱりね」モジッ


娘「わたしのしょじょをささげるのはー……」チラッ


娘「パパしかいないかなって……えへへ♪」


娘「……パパ」


娘「わたし、自分のイき方は自分で決めるよ」


娘「わたしは、パパと――」


娘「――セックスがしたい」


娘「――ズボズボしたい」


娘「――パパとひとつになりたいの」


娘「わたしは、もう、決めたから」


娘「……だから」


娘「――するね。パパ」


―ゴアッ…!



―ビリビリビリッ…!


勇者(何て目をしやがるんだうちの娘は……! 絶対にヤってやると言う意思『だけ』で……この場の空気を震わせている……!)

シャラン…

シャラン…

勇者(……鈴の音?)

シャラン…

巫女「……見えました」ズリズリ

勇者「巫女じゃないか……這いずり回る程でも、鈴を鳴らす余力はあるんだなお前……」

巫女「ありません。しかし未来を見通すには必要なシャンシャンなのです……」

勇者「……今忙しいから後にしてくれないか。貞操っつーか、あるべき父娘の絆が試されてるからな……!」

シャラン…

巫女「勇者様と娘様は結ばれます。……必ず」

勇者「いや結ばれちゃ駄目なんだよ! 縁結ぼうとするな本職! 次赤い糸がとか言ったら許さねぇぞコラ!」

女戦士「結ばれるな。こうズッポシと」ズリズリ

勇者「女戦士までこの……ッ!」

女戦士「いやいやいや、考えてもみろよ。これはスッゲェ話なんだぜ?」

女戦士「まず普通に考えて、だ」

女戦士「娘がお前にセックスしようとしてもまず通らねぇんだよ」

勇者「……何?」

女戦士「当然お前はしたくないから、全力で抵抗するだろう?」

女戦士「片やおちびさんは何もかも全てがお前と母親の下位互換。負けてないのはせいぜい心くらいだ」

女戦士「真っ向から立ち向かっても、搦め手を使おうとまず敵わない」

女戦士「それどころか勇者に病みマックスな母親まで隣にいる始末。鉄壁だ」

女戦士「小さい力は、より大きな力に勝つことはできない。シンプルで、残酷なこの世の基本原理だ」

女戦士「――だから娘はセックスできない」

女戦士「……普通なら、な」

勇者「…………」

女戦士「……娘は諦めなかった」

女戦士「さぞかし両親の教えが良かったんだろうな?」

女戦士「……一歩を踏み出せば、目標に近づけることを」

女戦士「歩みを止めなければ更に近づけることを」

女戦士「苦難と障害が幾千幾万あろうと、見据えるのは目標だけでいいことを」

女戦士「……娘は知識でなく、魂で理解していた」

勇者「ぐっ……むぅ……!」

女戦士「おちんぽの為に旅立ち、おちんぽの為に仲間を集め、おちんぽの為に門を開き」

女戦士「そのおちんぽが――勇者が世界を平和にすると信じて……」

女戦士「世界に平穏が訪れ、勇者のおちんぽが戻れば必ずおちんぽできると信じて……」

女戦士「娘は決して歩みを止めなかったんだ」


女戦士「……そしてその『機』は訪れた」

女戦士「魔王相手に全力を出しきり、動くことすら出来なくなったお前が目の前に現れたってわけだ」

勇者「…………」

勇者「……そ、それを……娘が……狙っていたとでも……言うのか……?」ツーッ…

女戦士「アッハッハッ! まさかまさかっ!」ハッハッハッ

女戦士「もちろん私が気絶させたのだって偶然だろうよ」

女戦士「結果として、『大復活』に娘は生命力を注がずに済んだってだけの話だ」

女戦士「…………」

女戦士「……だけどな。その『偶然』ってヤツが――『運』が娘に味方しているのは確かだ」


女戦士「――そう。始まりはあの地下室」

女戦士「勇者の歴史が刻まれた黒い冒険の書」

女戦士「そいつに娘が触れ、ページをめくった瞬間から――歯車は動き出していた」

女戦士「芽生えた娘の早過ぎる思春期の傍らで……運命の女神が微笑んでいたのさ」

女神「あらあら、ウフフ♪」カクカク

勇者「微笑んでんじゃねぞ女神ィィィィィッッ!! あとテメェは孕まセックスの女神だろうがァッ!!」

女戦士「だから諦めて受け入れろ。むしろ娘の執念に報いろ。もうアレは性欲どうこうの次元は超越してる」

勇者「駄目だ! 報いらない! 受け入れない! 俺は抗うぞ!」

女戦士「いやぁ魔王倒せたのだって元を正せば娘のおかげだろ? セックス位してやれよ」

勇者「どういう理屈――いや否めないけど駄目だ! 駄目なものはとにかく駄目ッ!」

勇者「クソッ……誰か……! 動ける奴はいないのか……!」

ズリ…

九尾狐「のじゃぁ……」プシュー…

勇者「九尾ーッ! 何か符術でこう、封印なアレしてくれッ! 頼むッ!」

九尾狐「勇者からお願いされるのはやぶさかではないがの……無理なのじゃ。すっからかーん、なのじゃ」

勇者「ぐぅぅぅぅ……!」

九尾狐「のう勇者。大人しくまぐわえばよかろう」

勇者「お前もかよーッッ!?」

九尾狐「あの娘は真剣も真剣。全身全霊の大真剣じゃ。なら応えてやらねばあの娘があんまりじゃ」

勇者「あんまりな事態に陥るのは応えるからなんだよなァァ!」

九尾狐「ほれ。据え膳お子様らんちと思うて、ぺろりといただくのが正解じゃろう」

勇者「いただかれるの俺なんだよ。そのお子様ランチに今まさに襲われてるんだよ」

ズリ…

淫魔「いーじゃんいーじゃん♪ 娘ちゃん120パー名器だよ♪ 淫魔の勘だけどー♪ しかもワタシと九尾っち仕込みだから絶対キモチいいってー♪」

勇者「お前話聞いてたか!? 気持よくなさそうだから拒否してるワケじゃねぇんだよ淫魔ァ!」

淫魔「じゃーなおさらじゃーん♪ 気持イイならヤるっきゃないって♪ 実の父娘で近親相姦とか背徳感ヤバ過ぎて淫紋疼いちゃーう♪」

淫魔「あ、娘ちゃんにも淫紋ついてるゾー♪」

勇者「いッ、淫魔ァァッ!!」

淫魔「あ、と言ってもファッション的なものだから安心してー♪ 性感コントロールするなんて野暮は初体験じゃタブーだしー♪」

淫魔「子宮に精液が注がれる度に徐々に浮き出てくるギミックでー♪ あ、モチ色はピンクなんだけどー♪ デザインとかアラクネっちにオーダーしちゃってゲロカワでさー♪――」

勇者「黙れェッ! 揃いも揃ってうちの娘の魔改造しやがってコノヤロウ!」

勇者「誰かッ! 誰か娘を止め――」

紅竜「……クッソ気骨のあるチビだ。受け止めてやれ勇者」ズリ…
女騎士「い、嫌だッ! 攻められる勇者なんて見たくないッ! でも見たいッ! いや見たくないッ! くぬぉぉぉ……!」ズリ…
盗賊王女「娘の心を盗んだのだ。返せと迫られても仕方あるまいよ」ズリ…
スライム娘「ス・エ・ゼ・ン……?」プニュー…
吸血鬼「おねーさん、血のストックもーないんだー。ごめんね勇ちゃん。まぁ見たいからあっても止めないんだけどさー」ズリ…

勇者「――ンガァァァァッ!」

勇者「僧侶ォォォォッ!!」

僧侶「――――」

勇者「気絶してるんだよなァーッッ!?」

勇者「……ハッ!?」

勇者「そうだ! 嫁! 奥さん! カミさん! 魔法使い!」

勇者「この状況で黙って見ているはずがないッ!」

勇者「きっと今この瞬間にも娘の淫行を止めるべく何らかの起死回生の一手を――」チラッ


魔法使い「……うん。……うん。……そう。……そうだよね……」ブツブツ


勇者「……あるぇ?」

勇者「も、もしもし……? 魔法使いさん……?」

魔法使い「だってあたしと勇者の娘ってことは……」

ブツブツ…

魔法使い「半分はあたしの血が混じっているってことで……」

グルグル…

魔法使い「それってもう五割はあたしって言い切っても問題ないって言うか……」

コクコク…

魔法使い「だとしたら……今これから娘ちゃんが勇者と致すとしても……」

ウンウン…

魔法使い「あたしが半分性交してる計算に落ち着くよね……」

ヘラヘラ…

魔法使い「赤の他人が勇者と合体するより……50%も性行為できるなんて……これってかなりあたし的に得するって言うか……」

ブツブツ…

勇者「まッ、まほッ、魔法使いッ!?」

魔法使い「してるしてないで言ったら50%ってほぼしてるわけだし……」ブツブツ

魔法使い「……それってもしかしてあたしがこれからセックスするって言っても過言じゃない……?」ハッ

勇者「いやいやいやいやいやいやいやいやッ!」

魔法使い「うん……それなら……」

魔法使い「勇者は娘ちゃんとセックスしても大丈夫だよ」ニ゛ッゴリ゛

勇者「魔法使いーッ!? 瞳が濁り切ってるッ! 正気を取り戻せーッ!」

魔法使い「あたしは正常だよ? さぁ勇者、あたしとセックスしよう」ヘラッ

魔法使い「勇者とあたしがセックスするところ、あたしがしっかり見ておくから」ニシシ

勇者「そんな……! 魔法使いが正常に壊れちまったってことは……ってことは……!」


娘「――パ~パッ♪」ニジリッ


勇者「ひッ!? 」

勇者「本当に……本当に誰もいないのか……!?」

勇者「この際誰でもいい……! 誰か……俺を助けてくれ……人外だろうが魔王だろうが何だろうが……誰だっていいから……!」

―パァァァ

勇者「…………」

勇者「……後光」

勇者「……女神?」


女神「……勇者」―パァァァ


勇者「まさか……女神……お前が俺を救ってくれるのか……?」

勇者「再降臨以降、評価を下げに下げ続けてきたお前が……!」

勇者「チンコに関わるもの以外すべてに対してクソの役にも立たなかったお前が……!」

勇者「最後の最後に……俺を救ってくれるとでも言うのか……?」


女神「……はい」―パァァァ


勇者「そッ、そうか! この状況を何とかしてくれたらもう今までの全部チャラだチャラッ!」

勇者「頼むッ! 女神に今初めて祈るぜッ!」ズリ…

勇者「助けてくれ女神様ッ! 俺と娘を救ってくれぇッ!」ズリズリ―

―パァァァッ!


―…ピカァァァッ!


勇者「な、何だこの光の球体……?」


女神「……受け取って……ください……勇者……」ハッ…ハッ…

女神「これは……私の最後の……力を……女神力すべてを……込めた……」


勇者「そうか……癒しの力を込めた回復球か何か――」

女神「――『真・裏・冒険の書』です……」


勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「……あ゛?」

女神「本来、『真・裏・冒険の書』は……私のフルパワー前提の神機……私無しでは満足に始動すらできません……」

女神「それを……ごくごく短時間に限ることによって……私無しでも稼動するよう……カスタマイズしました……」

勇者「おい……おい……」

女神「とは言え、幾つかの機能――とりわけアングルは制限されますが……大丈夫です。抜けるアングルの大部分は押さえてありますから……」

勇者「そうじゃねぇ……そうじゃねぇだろ……」

女神「分かっています……分かっていますとも勇者……」


女神「大事な大事な娘さんの『初めて』……親として記録せずにはいられないですからね……」

女神「ましてやそれが『処女喪失』で相手が勇者自身となれば……これはもう永久保存せずにはいられないですよね……ウフフ……」


勇者「め……がみ……」

女神「私を現世に再臨させ、肉体まで与えてくれた大切な信徒――仲間――親友である娘さんに……」

女神「多少なりともこれで恩返しが……あらっ……?」クラッ―

女神「私はどうやらここまでのようです……」


女神「……あ」

女神「勇者……今素晴らしい案を思いつきました……」

女神「私……今から意識を失って……深い眠りに入るのですが……」

女神「これってほぼ何されても起きない位ふっかぁい眠りなんです……多分……」

女神「だからですね……」


女神「私の処女喪失……睡眠姦ってどうでしょう……?」


女神「いや……処女喪失のライブ感がないのはかなりのマイナスポイントだとは私も思いますけど……」

女神「意識を取り戻した後……何か股が痛いな……と思ってふと視線をやると……」

女神「血と精液が入り混じった体液が秘裂からごぷっと出てきて……こう……」

女神「あぁ……犯されてしまったんだ……抵抗すら許されずに……とか……」

女神「強姦されるより……グッとくるって言うか……」

女神「しかもその後に……意識の無い犯されてる私の冒険の書を私に見せつけながら……」

女神「私的には初めての……勇者にとっては何度目か分からない挿入をですね……」

女神「初めて……なのに……寝てる間に……体が勝手に……開発されてて……」

女神「困惑しながらも……膣内……射精された……だけで……絶頂を……迎え……て……」

女神「とか……すご……興奮……」

女神「……あ……ぅ……」

女神「ゆ……勇者のおちんぽに……」

女神「祝福……」

女神「あ……れ……」

―パタン

女神「すやぁ……」スピー


勇者「…………」

勇者「女神……」

勇者「女神ィ……!」

勇者「救えよ……! 俺を救うってさっき言ったろうが……!」

勇者「起きろよ……! 起きて……女神力を……普通に使えよ……! なァおいッ!」

女神「とちゅうで……おきる……のは……」ムニャムニャ

女神「じゃ……どう……」ムニャン…

勇者「女神ィァァァァァァァァァァァァッッ!!」

娘「――パパ♪」

勇者「あ゛ああああああああッッ!?」ビクゥ

娘「服じゃまだから脱いじゃった。パパとお揃い~♪」クルクル

勇者「ぜんらぁぁあぁぁあぁぁああぁぁぁッッ!?」



娘「――初めてだから」


娘「うまくできないかもだけど」


娘「わたしがんばるね!」


スゥッ―

勇者「だ、駄目だ……娘……来るな……」ジクッ…ジクッ…

――――――――

『あぶぶ……きゃっきゃっ♪』

『おーよちよち……いい子だねー娘ちゃんは♪』

――――――――

勇者「やめろ……腰を……下ろすな……」ググ…グググ…

――――――――

『ぱぱ!』

『ッ!? 聞いたか魔法使い! 今パパって言ったぞパパって!』

『ぱーぱっ!』

『ホラまた! 何かアレンジもしてるよ! うちの娘は天才だな!』

――――――――

勇者「や……やめっ……! 駄目だ戻れ……! 今ならまだ間に合う……! やめろっ……!」ビキッ…ビキキッ…

――――――――

『ぱぱ! かぶとむし!』

『ひとりで捕まえたのか! すっごいぞ。そんなデッカイの捕まえられるのこの村でお前くらいだぞ』

『えっへへー! ほめていいよ!』

――――――――

勇者「それ以上は……! くっつく……! くっついてしまうから……! 触れたら……! もう……!」ビンッ…

――――――――

『パパ! 見て見て! そりゃりゃりゃー!』

『見事な剣裁きだ。こりゃぁパパもうかうかしてられないな?』

『もっともっと強くなって本気のパパと試合するもんねー!』

――『いってきまーす!』――『虫アミ……壊しちゃった……』――

――『パパご本読んでー』――『魚釣れたよ! ほらカゴにこーんないっぱい!』――

――『ただいまー!』――『おいしー! おかわりください!』――

――『パパー! 肩車してー!』――『まほうってむつかしいねー』――『パパ背中おおきいねぇ、ゴシゴシ大変だー』――

――『あぶぶ♪』


――『ぱぱ!』


――『パパ!』


――――――――



娘「――パパ♪」



勇者「娘……」






娘「……大好き♪」




娘「――愛してる♪」




―スッ




勇者「やめッ――」





勇者「――や゛め゛ろ゛ォオ゛オ゛ォオ゛オ゛ォオ゛オ゛ォオ゛オ゛オ゛オ゛ォオ゛ォオ゛ォオ゛オ゛ォォォオ゛オ゛オ゛ォオ゛ォォォオ゛ォォォォォッッッッッ!!!!」



――――

…プチュッ

ヌ…

ヌズッ…



―…プツッ

―プチッ…プツツッ

ズッ―

―プチブチブチプチィッ!!







…ヌ、ヌ…



コチュッ…




ヌズゥ…



―ニヂュッ



ヌズズッ…



―ニヂュゥッ!

――――

パチュッ…!

パチュッ…!


ヌプププププ―

―グッチ…グリッ…グチュゥゥゥ…


ニュポポポポポッ―

パヂュッ!
パヂュッ!
パヂュッ!
―バチュッ!

――――

ッパァンッ!
ッパァンッ!
ッパァンッ!



―ッッパァンッッ!



―ドプッ…

―ドビュルルルル…

―ビュッ…ビュッ…




…―グリッ

…―ヌプププ…

ニュッズ…ニッヂュ…

パチュッ!…パチュッ!

――――

ヌプッ…ヌプッ…

―ギュルンッ!


―ビュルルッ!
―ドクッ…ドクッ…ドクンッ…

――――

ズッ…! ズッ…! ズチッ…!
ズンッ…! ズンッ…!

―ブパァンッ!

―ドグンッ! ドピュルルッ!
―ビュッ…ビューッ…ビュブッ…ピュッ…

――――

タンッ…タンッ…タンッ…
パンッ…パブッ…パンッ…
ブヂュ! ヌヂュ! ボヂュ ! ボジュッ!!

―ビュクンッ…! ビュッ…ビュー…
―ドクッ…ドブッ…ビュチッ…ピュルッ…

――――

ドピュッ…

――――

ビュルッ…

――――

ビュチッ…

――――

ドクンッ…

――――

ビューッ…ビューッ…

――――

トプン…トプッ…トプッ…

――――



(―トンッ…)




(―ツプッ)




(…プチュン♪)




―キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ♪

――――

ズッ…ズブッ…

ヌッ…ヌチッ…

―コリュッ

ゴリュッ…ゴリュッ…

ゴチュンッ…! ゴチュンッ…!


―ゴボリュンッッ!!



―ブビュッ! ドビュルルルルルルッッ!!
―ドクッ ドクンッ ドクッ…ドクッ…
―ゴポッ…ゴプッ…ゴポポ…!


…ボリュン

ゴリュッ…ゴリュン…――

――――
―――
――


――
―――
――――





―ピッ
――――
魔王『くっほぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁっ♪ ひゃひぃっ♪』ビクビクッ

魔王『みれ……みて、見てゆーしゃ、ぴーしゅ、ぴーしゅ♪ ぴーしゅー♪』ヘヒッ…ヘヒッ…


勇者『へぇ、Wピースも大分板についてきたな。でも、これじゃまだまだ未完成だぞ――とっ』パァンッ!


魔王『お゛っほっ♪』グリンッ


勇者『そうそう。獣みたいな嬌声とアヘ顔が合わさって初めて完成だからな。エロくていいぞ魔王』パチュッ…パチュッ…


魔王『~~~~ッ♪』ブルブルッ


魔王『ひ、ひやわへぇ……♪ ゆーしゃ……♪ もっろ♪ もっろ♪ ふらはひ……♪』トロォ…
――――

―ピッ
――――

魔王『おぼぉっ♪ ぶほぉっ♪』

―ブッコ! ブッコ!

魔王『ぶっ――ぶっ――ん゜ん゛っ!? ごぉっ……ぷぇ゛っぷはぁ……♪』

―ブポッ♪ ブコッ♪ ズンッ―…プププッ…グポンッ♪

魔王『ん゛ん゛っ♪ ん゛お゛っ♪ お゛ごっ――ゴホォッ! ンゲホッゲホ――ぅごぇぇぇっ♪ えれぇ――え゛ぷっ♪』

―ゴッチュ! ブッチュッ! ブッッッッポン♪ ―ズゴッ! ジュゴムッッ!!

魔王『~~ッ……~~~~ッ…………ッ!……ッッ!!~~~~ッッ!?!?』

グリッ……グリッ……ピタァ…………ガシッ、ギュゥゥゥゥ………………――

―ドクンッ

魔王『ん゛ぷぅっ!?』

ドクッ…ドクッ…ドクッ…― ―…ゴクッ…ゴクッ…ゴクンッ…ゴクッ…

魔王『んっ……!? んっ……! ……ん…………んぅ…………』グリンッ


…ダラーン
――――

―ピッ

魔王「……以上だ」




「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」」



側近「………まッ」

側近「まッ、魔王様ッ。『以上だ』と申されましても……」オロオロ

側近「我々もその……何が何やら……」オロオロ


魔王「爺やの言うことも最もだ。が、すべてを再生していては日が暮れてしまう――いや数日、一週間、一月はかかるかもしれぬ」フゥ

魔王「故に……我のお気に入りのシーンを飛び飛びで流したのだ。許せ」―バサァ


側近「…………」

側近「……恐れながら申し上げます魔王様……」

側近「何故このようなメモリークリスタルを……」

側近「わざわざ魔王城跡の地下墳墓で……しかも先代魔王様の間で投影を……?」

魔王「……このクリスタル。皆で鑑賞するには余りに小さいのでな……投影する必要があった」キラン

魔王「クリスタルの像を大きく映すには、暗い場所で、且つ起伏の少ない壁に映すのが適当だ」

魔王「――そのすべての条件を地下墳墓は満たしている」

魔王「地下墳墓の中は夜の闇より更に暗く……父上の墓石は無駄に大きく、碑は刻まれておらず、加えて表面が丁寧に仕上げられている」コンコン

魔王「メモリークリスタル上映会を行うには最適な環境だ」


魔王「……同時に父上に報告も出来る」フンッ

魔王「合理的だろう? 爺や」―バサァ


側近「……は、はぁ」


側近「…………」


側近「この……魔王様を……その……いわゆる……その……」

側近「アレ……している……ように見える……男は……その……」

側近「爺やの目がまともに……ええ……その……機能しているのならば……」


側近「そのですな……勇者に……勇者に……見えるのですが……」

魔王「当然だ」

側近「…………」

側近「……は、はぁ」

側近「その……魔王様、爺やに事態を整理させる時間をいただけないでしょうか……」

魔王「構わん」

側近「……ありがとうございます魔王様」

側近「……コホン」

側近「魔王様が封印された後、生き残った我々魔王軍は身を隠しました」

側近「勇者と魔王様が争った余波で崩壊した魔王城の――」

側近「――地下奥深く、歴代魔王様が魂が納められている、この地下墳墓に」

…オォオォオオォォォ…

側近「我々は魔王様が必ず戻ってくると信じ、各地の魔王軍の生き残りと秘密裏に連絡を取り、来るべき日に備えてきました」

魔王「ふむ」

側近「……そしてその日がやってきました」


側近「今日ですっ。今朝ですっ。ついさっきですっ。爺やが新聞を近くの村からくすねようと寝間着で外に出たらば魔王様が地下墳墓の入り口に……」

魔王「ああ」

側近「……最初は幻覚かと。魔王様を待ち過ぎるあまり、爺やはついにボケてしまったのかと思いましたぞ」

魔王「はは。何を言う。壮健そのものではないか」

側近「あ、ありがとうございます魔王様……」

側近「……そして魔王様に命じられた通り召集を――集められるだけの魔王軍の長を地下墳墓に集めたわけですが……」

魔王「手間をかけさせた」

側近「い、いえ……手間と言う程のことは爺やはしておりませぬ……おりませぬが……」

魔王「?」

側近「魔王様が戻られたと言うことはやはり……魔王軍を再結成すると言うことでよろしいのでしょうか……?」

魔王「……そうだ。再結成――新生魔王軍を結成することには相違ない」

側近「な、なるほど……」

側近「このメモリークリスタルがいつ、どのように撮られたものか爺やにはわかりかねますが……」

側近「このように非道な振る舞いをした勇者を許してはいけないと」

側近「『勇者許すまじ!』と我々を奮起させる為に投影したと」

側近「新生魔王軍の士気を上げ、勇者を討滅するモチベーションを上げる――そのような趣旨の上映会であったと」

側近「……そういった解釈で、間違いないでしょうか。魔王様」




魔王「……? ……爺やはクリスタルのナニを見ていたのだ?」


魔王「我は勇者に敗れ、勇者に忠を尽くす身となったのだ」


魔王「我が勇者を滅する訳なかろう」















側近「………………………………………………えっ」



魔王「――今日をもって旧魔王軍を解散し」


魔王「新生魔王軍を『勇者様にありとあらゆる意味で尽くし隊』と名を改め……勇者勢力の傘下に入る――」


魔王「――我はそう命じる為に……今日ここへ来たのだ」


―バサァ!





側近「な……! な、な……ななッ……! なァァ……なァッ――」ガクガクガクガクガク…



側近「――何ですとォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッ!?」―シュゴォォォォォォ!



―ザワザワ…ドヨドヨ…ガヤガヤ…ヒソヒソ…! ドヨドヨ…ザワザワ…ヒソヒソ…ガヤガヤ…!
―ヒソヒソ…ガヤガヤ…ドヨドヨ…ザワザワ…! ザワザワ…ドヨドヨ…ガヤガヤ…ヒソヒソ…!
―ドヨドヨ…ザワザワ…ニチニチ…ガヤガヤ…! ヒソヒソ…ガヤガヤ…ドヨドヨ…ザワザワ…!
―ヒソヒソ…ガヤガヤ…ドヨドヨ…ザワザワ…! ドヨドヨ…ザワザワ…ヌメヌメ…ガヤガヤ…!
―ザワザワ…ドヨドヨ…ガヤガヤ…ヒソヒソ…! ザワザワ…ドヨドヨ…ガヤガヤ…ヒソヒソ…!

魔王「……力こそ正義。力こそ規範」

魔王「ならば我を下した勇者が正義であり、規範なのだ」

魔王「我は力の真理に従ったまで」バサァ


側近「魔王様……」


魔王「……それ以外にも、その、うむ。まぁ、理由は無くもないが」ポッ


側近「魔王様……? 魔王様?」


魔王「……まぁ、『それ以外』が占める割合が大きい――と言うより」

魔王「ほとんど『それ以外』である、と言うべきか」コホン


側近「魔王様……ッ!? 力は……力はどうなされたのですか魔王様……ッ!?」ヨロヨロ

竜剣聖「側近殿ッ! お気を確かにッ!」ギュオッ

魔王「……包み隠さず言うのならば」

魔王「我は勇者と婚ぐのはやぶさかではない」

魔王「……むしろ望むところであり……」

魔王「…………」

魔王「……その、うむ」


魔王「我は……勇者をあ、愛している……からな」ポポッ


側近「魔王様ァーーーッ!?」ガクガク

烏賊嬢「そそ側近様ーっ! しっかりするでゲソーッ!」ニュルニュル


魔王「…………」

魔王「慣れぬものだな。想いを口にするというのは」フフ


側近「魔ッ――」ブクブク

髑髏将「……失礼。……側近様、こちらのハンカチをお使いください」ガシャッ

ビシッ…ミキミキッ…

「……な、なぁ。気のせいか……? 先代魔王様の墓石にヒビが入ったように見えたんだが……」

「まさか。極大呪文で傷一つすらつかない超特注の墓にヒビが――入ってるな……い、いや、元からじゃねぇか?」


側近「――ハッ!? まッ、魔王様ッ! 爺やは驚きのあまり一瞬冥界の河にどっぷり肩まで浸かってしまいましたぞ!」フキフキ

側近「凄い形相の先代魔王様に会った気もしないでもないです! あんなに怒りとも悲しみともつかない壮絶な先代魔王様の表情を爺やは見たことがありません! 幻覚かもしれませぬが!」

側近「幻覚にしてみてもそりゃそうです! 勇者を愛する魔王など見たことも聞いたこともない! 爺やは……! 爺やは……ッ!」プルプル…


「――おうおうおうおう」ド ン ッ

「魔王が復活したからと呼び集められてみりゃ……一体こりゃどういうことだ」


髑髏将「……銀牙狼。魔王様の御膳である。態度を改めよ」

銀牙狼「あァ? 力の真理捨ておいて、男に溺れるような女のどこが魔王『様』なんだ骨野郎」

髑髏将「…………」ガシャッ

銀牙狼「お、殺るか? 力でねじ伏せる――そっちの方が分かりやすくていいぜオレ様はよ」ッハァッ

魔王「……見ぬ顔だな。爺や、何者だ」

側近「はっ。名を銀牙狼と申しまして。黒騎士の後任――新たな四天王でございます」

側近「……その、若干粗暴さが目立つと言いますか……血気盛んで揉め事が尽きぬ男ではあるのですが……」

魔王「……不遜を許されるだけの才はある、と」

側近「仰る通りでございます。多少のムラっ気はありますが……瞬間的な実力だけで見るならば、四天王随一かと」

魔王「……ふむ」


魔王「銀牙狼、と言ったか」

銀牙狼「おうよ。四天王で一番――いや、魔王軍で一番強ぇ奴とはこのオレ様のことよ」

銀牙狼「――魔王『様』?」

竜剣聖「…………」―チキッ

魔王「よい竜剣聖。刀を納めよ」

竜剣聖「……はッ」―カシンッ

魔王「銀牙狼よ。何やら不服があると見えるが?」

銀牙狼「たりめーだ。何が『勇者にありとあらゆる意味で尽くし隊』、だっ。冗談じゃねぇぞオイ」

魔王「違う。『勇者【様】にありとあらゆる意味で尽くし隊』、だ。あくまで勇者が上で、我らが下なのだ」

銀牙狼「様がつくとかどうでもいいんだそんな事はよォ! オレ様が腸煮えくり返ってるのはそこじゃねぇ……!」

銀牙狼「『魔王軍』が『勇者』に従う――つまりはよォ……」

銀牙狼「……ニンゲン共に従うってところでオレ様はキレてるんだぜェッ!」ガルルルッ

魔王「…………」

銀牙狼「……何もオレ様だけじゃねぇ。ここにいるほとんどの奴らがそう感じてるはずだぜ……だろうお前ら?」

ザワザワ…
 ザワザワ…

銀牙狼「……なぁ魔王様。先代魔王、先々代魔王、その前の前の魔王達はよォ……」

銀牙狼「一体何のために戦ってきた……? 何の為に己の身を砕いてきた……?」

銀牙狼「――この世を混沌に叩き込んで……『力』が支配する世界へ変える為だろうがよ……ッ!」クァッ

銀牙狼「寿命も力も魔力も無ぇ……」ミキキッ…

銀牙狼「そんな種族が――クソッタレなニンゲン共がクソッタレな女神の加護と勇者の手を借りてのうのうと暮らしてる世界を……!」

銀牙狼「ぶっ壊す為に血を流してきたんじゃねぇのかよ……!」


魔王「…………そうだ」

銀牙狼「だったら――」

魔王「――今までは、だ。銀牙狼。」

魔王「今は違う。これからはそうではない」

魔王「……我らは勇者たち――ニンゲン達と共に世界を築いてゆくのだ」


銀牙狼「…………」


銀牙狼「……ハンッ」


銀牙狼「…………だから」


銀牙狼「……これだから……」



銀牙狼「 ―― こ れ だ か ら 雌 っ て の は …… 女 は 嫌 な ん だ …… 」ペッ



側近「………………銀牙狼」

銀牙狼「オレ様は前から思ってたのよ……女に果たして魔王が務まるのかってなァ……」

烏賊嬢「銀牙狼ッ! それ以上魔王様の悪口言ったらウチが許さないでゲソよッ!」ニュルルゥー!

銀牙狼「許さねぇから……何だよ?」ギラッ

烏賊嬢「きゅっ!?」ニュルルゥ…

銀牙狼「オレ様に勝てもしない癖に出しゃばるなよタコ助が」

烏賊嬢「うちはイカでゲソッ! この粘液で光り輝く10本のテンタクルアームが見えないでゲソかッ!」ウネウネ


魔王「……なるほど。銀牙狼、つまりは――」

魔王「――封印されたあげく、勇者に倒され、勇者に与した我は……」

魔王「果たして魔族の王に相応しいと言えるのか。女のような軟弱な生き物に魔王は務まらないのではないのか」

魔王「力こそ魔族が従うべき唯一の法律ならば……弱い『魔王』に従う道理も無く――」

魔王「――また敬意も払う必要も無いと。そう言いたいのだな?」

銀牙狼「へぇ。流石におつむの方は優秀だな魔王様よ。上出来だぜ?」パチパチパチッ


竜剣聖「ッ銀牙狼ッ!」ビキビキッ


銀牙狼「だが生憎と肝心なとこが抜けてるぜ魔王様よ」トッ―

―シュタッ

銀牙狼「あんたを今ここでぶっ倒しちまえば――」

―ジャキンッ

銀牙狼「――オレ様が魔王になれるって部分がよォ!」―ビシィッ!


烏賊嬢「バッ、このガチムチ毛玉は一体何をトチ狂ってるんでゲソかッ!?」ヌミュォーッ!

竜剣聖「ななッ――何たる無礼かァ! ンもう我慢ならんッ! 銀牙狼ッ! 貴様は拙者が斬り捨てるッ!」シュラァァァ―

髑髏将「…………」ゴゴゴゴゴゴ…


魔王「よい」―サッ

竜剣聖「しッ、しかし魔王様ッ! この者は魔王様に対して大変な無礼を――」

魔王「構わん。むしろ銀牙狼は魔族として至極真っ当な事を言っているのだ」

魔王「我はその挑戦を受ける義務がある」

烏賊嬢「魔王様……そ、それにしたってあのワンコの口は悪すぎでゲソ……ウチは……」ニュルニル…

―サッ

烏賊嬢「……側近様?」

側近「魔王様が応じた以上、我らが口を出すべきことではない。下がるのだ皆の者」

髑髏将「…………」ガシャッ


魔王「銀牙狼。お前の挑戦を受けよう」

魔王「ルールはどちらかが戦闘不能になるまで。禁じ手は無し」

魔王「場所は……父上やご先祖様に多少迷惑がかかるが……頑丈は申し分ない、ここで良いな?」


銀牙狼「伝統的な魔族の決闘方式――話が早くて助かるぜ。あんたのこと少し見直したよ」キンッ…キンッ!

銀牙狼「で……戦闘不能ってのは当然ッ! 『死』も含んでるんだよなァ?」ッハァ


魔王「当然だ」

銀牙狼「……余裕だなァおい、えェ? オレ様に不死を料理する方法が無いとでも思ってんのか?」

魔王「ああ爺や。このマントは大切なもなのだ。だから預かっておいてくれ」―バサァッッ


銀牙狼「テメェッ! 無視するん……」


銀牙狼「……じゃ……ね…………ぇ……?」


烏賊嬢「ままマまマまママ魔王様ッ!? そッ、そのお腹……ッ」ニュルニュワーッ!


竜剣聖「マントで隠れていた下腹部が……ッ! ではではあのクリスタルはマヤカシでも何でも無く……ッ!?」グルグル


髑髏将「…………これは驚いた。本当に、『既に』終わっていた話だったのだな」ガシャッ



側近「――ま、魔王様」カタカタ…

側近「まさか……そ、そのお腹の膨らみは……ももっ、もしや……もしや……ッッ!」カタカタ…



― サ ス ッ … ナ デ ェ …


魔王「……あぁ。愛する勇者と……我の、愛の結晶――」


魔王「――愛しい愛しい愛しい――」ウフフフフ…♪


魔王「――我が子、だ」 ― ポ ッ コ リ ♪


―― ポ ッ コ リ ィ ィ ィ ィ ン ♪

>>311
修正
×魔王「場所は……父上やご先祖様に多少迷惑がかかるが……頑丈は申し分ない、ここで良いな?」
○魔王「場所は……父上やご先祖様に多少迷惑がかかるが……頑丈さは申し分ない、ここで良いな?」
×魔王「ああ爺や。このマントは大切なもなのだ。だから預かっておいてくれ」―バサァッッ
○魔王「ああ爺や。このマントは大切なものなのだ。だから預かっておいてくれ」―バサァッッ

短め投下

銀牙狼「……骨の髄まで勇者にイカれちまったらしいな魔王。さぞかし先代魔王様は冥界で嘆いていることだろうぜ」ッハ


ガタガタガタ…

「墓石揺れて……揺れてるよなアレ? 何か埃とか砂舞ってるし絶対アレ振動してるって、プルプルワナワナしてるよ墓石」

「ア、アレだよ……ま、魔王様の闘気と銀牙狼様の闘気がぶつかり合って……その余波か何かだろ……? それ以外ないってうん……アレは……」


魔王「ふん。父上が嘆こうが、嘆くまいが……我は我だ。関係あるまい」

魔王「……だがイカれているという表現は的を射ている。我は勇者にゾッコンだからな」ナデナデ


銀牙狼「……ッチ」ペッ

銀牙狼「…………」

銀牙狼「あァん……?」

銀牙狼「……ッテメェ、オイコラ魔王ッ!」

銀牙狼「まさか……その腹でオレ様と闘るつもりか?」

魔王「何だ? 妊婦相手に手はかけられぬとでも言うつもりか銀牙狼」

魔王「……存外、真面目なのだな、お前は」

銀牙狼「……そうじゃねぇ。そうじゃねェんだよ……」

銀牙狼「んなガキ詰めた腹でよォ……! 勝つつもりがあんのかってオレ様は聞いてるんだよ色ボケ魔王ッ!」ガルルルッ


魔王「……ある」ナデェ…


銀牙狼「……テんッ、めェ……ッ!」グルルルッ


カツンッ…カツンッ…カツンッ…

―カツッ

魔王「ついでに教えてやろう」キュッ…キュッ

魔王「ありとあらゆる状態異常を断ち切り、瞳術と超視力が備わった我の『闇紅の瞳』だが……」

魔王「今は発動していない」


銀牙狼「………………」

銀牙狼「………………あ?」


魔王「何しろ母体に負担がかかり過ぎるのでな。お腹の子の事を考えて、産むまでは我が勝手に封印した」ナデナデ


銀牙狼「………………あァ?」

魔王「次いで『不滅の躯』についてだが……」

魔王「子を産む準備――そして子自身の成長の為。我の栄養や魔力を集約させているが故に相当弱まっている」

魔王「ざっと再生力は普段の1/1000程度だ。不滅とも不死身とも呼べぬ力に成り下がったな。うむ」ナァデェ…


銀牙狼「………………おい」


魔王「そして究極万能の矛と盾、『瘴気の衣』だが……」

魔王「勇者が『グンバツのプロポーションとチョーカワイイ顔が見えなくなるからウルトラ却下』と言ったので」ナデリ…

魔王「クローゼットに防虫剤と一緒にしまうことにした」


魔王「……まぁ着ることももう無いだろうが」

魔王「ある意味我にとっては思い出の品だからな。流石に処分は出来なかった」フフ



銀牙狼「……………………ッ」


―ブチィッッ!!


銀牙狼「――――おイ」

ユラァ…

銀牙狼「ガキ宿してるどころか……」


銀牙狼「テメェの強ェトコロまでテメェで潰しておいてよォ……」


銀牙狼「まだオレ様に勝つつもりかァ……?」

ズ…!

銀牙狼「 な ァ …… ? 」


銀牙狼「 魔 王 サ マ よ ぅ …… ッ !」

コォォォ…!




魔王「無論だ」



―バッ
…プルン♪

オレっ娘の可能性もある

>>345

銀牙狼「 ―― こ れ だ か ら 雌 っ て の は …… 女 は 嫌 な ん だ …… 」ペッ

銀牙狼「オレ様は前から思ってたのよ……女に果たして魔王が務まるのかってなァ……」


すっげ重たい意味になるな

魔王「我はまだ勇者と式を挙げてもいない」スルッ―

魔王「それどころか籍すらまだ入れていない」パサッ―

魔王「当然。我が子の顔すら拝んでいない上に」ヌギッ―

魔王「我が子に乳を与えながら同時に勇者にも乳を与えることも……」パサッ―

魔王「勇者と我が我が子を挟んで手を繋ぎながら城下を散策することも……」パサッ―

魔王「我が子を寝かしつけた後に隣で我が声を我慢しながら勇者に二人目の種付けをしてもらうことも……」パサッ…

魔王「……まるで達成されていない」クイッ―

魔王「そうだ。我の『死ぬまでには絶対にヤッておきたいことToDoリスト』に書き入れた○は片手で数えられる程しかない。白紙も同然なのだ」―プルン♪

魔王「ならば死ぬ訳にはいくまい」キュ…

魔王「それに――」パサッ…

魔王「――我の躯は……もう我だけのものではないのだからな」―フルルンッ


銀牙狼「ッッ魔王ッ! テメェッ!」クァッ―


銀牙狼「な・ン・で服を脱ぎやがったァァァァァァァッ!?」ガルルルッ

魔王「……フフ♪」

― ド  ン  ッ!
   タ プ


銀牙狼「下着姿とか舐めてンのかおいッ! あァ!? 今から殺し合うっつってるだろうがよォッ!!」


魔王「否。これは下着ではない」

魔王「九尾狐が考案したものを淫魔が監修し、それを縫術において右に出る者無しと謳われるアラクネが織り縫い上げた至高の一品――」


魔王「――『まいくろびきに』なる水着よ」ニヤァ


銀牙狼「……まいくろ……びきに……」

銀牙狼「…………」

銀牙狼「なァるほどォ……そいつはつまり……」ッハァ

銀牙狼「超強ェ装備――ってことだな?」コロロロ…


魔王「超エロい水着だ」


銀牙狼「――――」

魔王「とくと見よ。最早隠れているのは局部のみ……だが何故か裸よりも情欲を掻き立てる魔性のデザインを」

銀牙狼「…………」ワナワナ…

魔王「この首のチョーカーと相まって更なる――ああこのチョーカーは勇者がつけてくれたものだ」

魔王「我は首輪を望んだのだが……フフ、勇者は普段使いできるものを、とわざわざコレを……」フフフ

銀牙狼「魔……王……」ギギギギ…


魔王「そうだ銀牙狼。我の孕み腹を見よ」ナデ…


銀牙狼「あァ……? 見て何が……」

銀牙狼「……おい……何だ……その紋様は……」


魔王「コレが何だか分かるか?」


銀牙狼「へェ……恐らく超体力強化の方陣……いや、あるいは超魔力強化の方陣ってところか……」ッハァ

銀牙狼「どちらにせよ……テメェを強くする為の方陣が刻んであるってワケだな……」コロロロ…


魔王「違う。これは淫紋だ」

銀牙狼「」

魔王「これは勇者が我に記した淫紋……」

魔王「我が勇者の所有物――性奴隷であることの証だ」サス…

魔王「もちろん勇者オリジナルの意匠だ……どうだ? 実に子宮にグッとクる紋だと思わないか?」サス…

魔王「我が孕んだせいで多少歪んでしまってはいるが……それはそれでまた『味』と言うものだ」フフフ



メラァ―

銀牙狼「…………」ゴォッ―

銀牙狼「戦いに一切関わりの無い……くッだらねェデザインってことがよォォォく分かったぜェ……」

ユラァ…

銀牙狼「だからよォ……学のねェオレ様に分かるように教えてくれるとありがたいんだよなァ……」

ズズズ…

銀牙狼「何故……」

銀牙狼「オレ様との決闘を前にして……」

銀牙狼「まいくろびきに姿になる必要があったのかってよォ……ッッ!!」ヒクヒク


魔王「……我は知っている」


魔王「防具は愚か、武器すら持たず……」


魔王「文字通り『全裸』で……完全武装の我に立ち向かった男がいることを……」


銀牙狼「……ッハ。どう考えても頭がイカれてるとしか思えねェ男だなえェ?」


魔王「……フフフ」クスクス


銀牙狼「…………」

銀牙狼「……ッ! まさかその全裸野郎ってのは……ッ!」


魔王「そのまさかだ」フフン

魔王「我を下したその男こそ勇者――我が伴侶であり、我が御主人様だ」


銀牙狼「あンのチャラい野郎が……全裸で……武器も無しに……真っ裸で……防具も無しに……フルチンで……テメェをぶッ倒しただと……?」

魔王「……なぁ銀牙狼。強さとは何だろうか」

魔王「究極の呪文を扱える者か。至高の装備を身に付けた者か。無上の膂力を内に秘めた者か」

魔王「我は考えうるすべての強さを備えたつもりだったが……最後の最後に敗れてしまった」


魔王「……何故か分かるか?」


銀牙狼「……テメェが勇者より弱かっただけだろうが」

銀牙狼「呪文も、装備も、力も……何もかも全部足りなかったから負けたんだよ」キンッ…

銀牙狼「……加えて言うならお前が女だってところだなァ」ハンッ

銀牙狼「だらしなく舌突き出してチン負けするような雌に産まれた時点で――勝ち目が無かったってことさ……!」ッハァ


魔王「……我は強さとは何かを知った」

魔王「勇者が命を賭して我に教えてくれたのだ」キュ…


魔王「故に――」

魔王「――我はマイクロビキニ一丁」―バンッ


魔王「これとチョーカーさえあれば……我は無敵よ」タユン♪

銀牙狼「…………」

銀牙狼「元々ペラペラ喋るのは性に合わねェんだ……」ペッ

トーンッ… トーンッ…

銀牙狼「テメェがその布切れで十分だってンならそれでいい……」キンッ…! キンッ…!

トーンッ… トーンッ…

銀牙狼「どれだけイカれようと……魔王軍のアタマはテメェなんだ……」…グルルルッ

トーンッ… トーンッ…

銀牙狼「倒しちまえばオレ様が頂点……その事実に違いはねェ……」


銀牙狼「だからよォ……」

銀牙狼「テメェだけじゃねぇ……その腹ン中にいるガキと勇者共々――」


銀牙狼「――仲良く冥界に送ってやるぜェ……ッッ!!」ッハハァァ!


銀牙狼「せいぜい先代魔王様に結婚の挨拶でもするんだなァァァァァァッッ!!」キンッ! キンッ! キンッ!


銀牙狼「 魔 王 サ マ よ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ ッ ! ! 」ズォォォォォ…!

魔王「……報告なら既に済んだ。それに――」


魔王「――……勇者を看取り、我が子を立派に育て上げるまで……我は冥府には行けぬ」


魔王「……その邪魔をすると言うならば――」



魔王「 ―― 我 は 決 し て 容 赦 せ ん 」



― ズ ッ …… !


魔王「かかってくるがいい、銀牙狼」


魔王「……我こそ魔王」


魔王「混沌たる魔を統べる王にして――」


魔王「――史上さいきょーの勇者の妻なり……!」スゥッ―


― バ ル ン ッ …… !

魔王「我はまだ勇者と式を挙げてもいない」
→うんうん

魔王「それどころか籍すらまだ入れていない」
→うんうん

魔王「当然。我が子の顔すら拝んでいない上に」
→うんうん

魔王「我が子に乳を与えながら同時に勇者にも乳を与えることも……」
→うんう……ん?

魔王「勇者と我が我が子を挟んで手を繋ぎながら城下を散策することも……」
→うんうん

魔王「我が子を寝かしつけた後に隣で我が声を我慢しながら勇者に二人目の種付けをしてもらうことも……」
→あ、だめだこの人

銀牙狼「…………」

トーンッ… トーンッ…


烏賊嬢(……あの毛玉……やっぱりつっかけないでゲソ)

烏賊嬢(あの見た目と性格からして信じられないでゲソが……戦闘スタイルは冷静かつ合理的なあたりがたちが悪いんでゲソ……)

烏賊嬢(しかもウチと戦り合った時と違って口元が笑ってないでゲソ……目付きも殺意が漲って――うゥ……ウチとってもトイレに行きたくなってきたでゲソ……)ブルルッ


竜剣聖(……腕をだらりと下げた構えに、その場で跳躍するステップ。滞空時、着地時、いずれも一見隙だらけに見えるが……そうではない)

竜剣聖(銀牙狼の極限まで鍛え上げた四肢は……『大気』でさえも足場とすることが可能なのだ……!)

竜剣聖(加えてその超腕力超脚力による、視認することが不可能な程の超加速が――より構えを完全に近づけている。……天才め!)ギリリッ


髑髏将(……宙空を足場とする立体的な機動を、両手両足の風晶石が埋め込まれたバングルが補助――)

髑髏将(――より精密な空中機動を助け、虚実織り交ぜた斬撃の幻惑効果を高め――)

髑髏将(――更に銀狼族の無尽蔵のスタミナを、風の働きによって確実なものとし……無限に続く剣爪の檻を完成させる。……強いはずだ)…ガシャッ


側近(……烏賊嬢。竜剣聖。髑髏将――四天王の内三人を退けた銀牙狼の力は、まだ爺やの眼ですら見きってはいません)

側近(全盛期の魔王様ならばともかく……子を身籠り、裸同然になったその姿では……! 如何に魔王様と言えど……ッ!)ツツーッ…

トーンッ… トーンッ…


銀牙狼(…………)

銀牙狼(――強さとは何か、だって?)

銀牙狼(知ってるぜ魔王サンよ)

銀牙狼(そりゃぁ大地を叩き割る筋肉でも……)

銀牙狼(相手を屠り去る呪文でもねぇ)


銀牙狼(――速さだ)


銀牙狼(どれだけ力が強かろうと当たらなければ意味がねぇ)

銀牙狼(どれだけ強力な呪文だろうと発動する前に倒しちまえばいい)

銀牙狼(要は当たらず、当てるヤツが勝者なんだ)


銀牙狼(それに速度と威力ってのは比例するンだぜ)

銀牙狼(オレ様が速さを極めれば極める程斬撃の威力は増し……)

銀牙狼(相手は回避ができなくなり、攻撃は当たらなくなるってスンポーよ)

銀牙狼(そしてオレ様の『速さ』は……あのチャラ勇者の『加速』を超えたんだぜ……!)


銀牙狼(つまりオレ様が世界で一番速ェんだ!)


銀牙狼(オレ様がッ! 一番ッ! 強ェんだよォッ!)


銀牙狼(…………)


銀牙狼(魔王……)


銀牙狼(オレ様はな……)


銀牙狼(テメェがフル装備でも……勝てる算段があったんだよ……)


銀牙狼(…………)

銀牙狼(……今のアンタには)


銀牙狼(かつてオレ様が怖れた強さが……微塵も感じられねェんだよ……)


銀牙狼(触れ難く、逆らい難く……ありとあらゆる者を跪かせるような……異形のバケモノ……)


銀牙狼(アンタには……先代魔王様すらも凌ぐ恐怖と力があった……)





銀牙狼(オレ様が……)

銀牙狼(オレ様が……目指した強さがあったんだ……)





銀牙狼(…………)





銀牙狼(……だがその魔王『様』は、死んだ)



銀牙狼(あのメモリークリスタルの中で、死んだ)



銀牙狼(オレ様に断りも無く、勇者の剣に貫かれて死にやがった)



銀牙狼(アンタは女に成り下がった)

銀牙狼(誰も望んでねェのに勝手にメス豚に堕ちやがった)


銀牙狼(……許さねェ)

銀牙狼(アンタは男らしくどころか……)

銀牙狼(アンタは『男』そのものだったじゃねェか)

銀牙狼(オレ様の……)

銀牙狼(憧れ……そのものだったじゃねェか……!)

銀牙狼(…………)

銀牙狼(……だから)


銀牙狼(だから……テメェはオレ様が殺す)


銀牙狼(テメェは死んだんだ)


銀牙狼(死んだヤツが生きてちゃいけねェんだ)


銀牙狼(だからオレ様が殺してやる)


銀牙狼(オレ様が全力でブッ殺してやる)

銀牙狼(テメェをブッ殺して……)

銀牙狼(オレ様がてっぺんだ……!)

銀牙狼(オレ様が魔王になって……テメェに出来なかったことを……!)

銀牙狼(テメェがやらなきゃならなかったことを……!)


銀牙狼(果たす……ッ!!)

銀牙狼(オレ様がやってやるンだ……ッッ!!)


銀牙狼(――速くッ! ――早くッ! ――疾くッ!)

銀牙狼(オレ様の想いを踏みにじるその姿と魂を……ッ!)

銀牙狼(オレ様の出せる史上最速全力全開限界極限マックス超スピードでェ……ッ!)

銀牙狼(バラバラに引き裂いてブッ殺してやるぜェ……ッ!)

銀牙狼(――魔王ッッ!!)


トーンッ…



―― ギ ャ ン ッ !

烏賊嬢(ぎ、銀牙狼の姿が掻き消えたでゲソッ!)

竜剣聖(以前よりも速いッ! 魔王様の左後方宙空――いや真上――追いきれぬッ!)

髑髏将(方向転換を重ねるごとに速度が増している。……我らと剣を交えた時の比ではないな)



シャッ!―

―シャガッ!!

―ズギャッ!!



側近(魔王様……ッ!)





―…キュドッ!!―









―― ッ ボ ッ ッ ――







――…… プ ニ ュ ン ッ ! ! !










銀牙狼「…………」





銀牙狼「……ンだよ……」ボソッ





銀牙狼「なンなンだよ……テメェは……」ギッ…ギシッ…





銀牙狼「こンのッ……」グッ…ググッ…グギッ…





銀牙狼「――ックソがァァァァァァァァッッッ!!!!」―アオーンッ!





―キュムッ…




―ピタァ…




魔王「……フフ♪」




―プルンッ♪



烏賊嬢「……あ」ブルブル…


烏賊嬢「あ、ア、ああ、ありえないでゲソ……」ガタガタ…


烏賊嬢「銀牙狼の……剣爪が……」


烏賊嬢「魔王様の――」



烏賊嬢「 ―― お っ ぱ い に 挟 ま れ て 止 ま っ て い る で ゲ ソ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ! ! 」―ヌルドバァァッ!!



―― バ ァ ァ ァ ァ ァ ン ッ ! ! !


竜剣聖「魔王様の途方も無く巨大な胸による―― 真 剣 白 刃 取 り …… ッ ! ?」ブワァッ…!


髑髏将「あの左右の剣爪の勢いを……一撃で挟み殺したのか……? あのように柔らかく脆弱な部位で……バカなッ!!」ガシャガシャガシャッ!


側近「こッ、これはッ!? メモリークリスタルの5番目の冒頭部分……ッ! 勇者の剣を左右から優しく抱きとめるシーンで見たズリの導入部では……ッ!?」

ミキミキミキ…!

銀牙狼「どうッ! なってッ! やがる……ッ!? ッだァァァッ!!」ミキィッ!!

魔王「動かせまい」キュムッ

銀牙狼「――ッあァァアァァァアァアアァァアァアァッッ!!」グギギギッ…!

魔王「乳圧は勇者の御墨付きだからな」キュムムッ

銀牙狼「――ッがアァアアァァアアァアアァアァァァァッッ!!」グンッ…! グンッ―!

魔王「……んっしょ、んっしょ、と」ムニムニ…

銀牙狼「――ッふぬアアァァアアァアァァアァァアァアァァッッ!?」ギシィッ…! ギ、ギギッ…!


魔王「……確かに、我は諸々の装備や能力は解いたが――」


魔王「―― 『弱くなった』 とは一言も言っておらぬ」―プニン♪


銀牙狼「ぜぇーッ……! ぜへーッ……! はー……ッ! はァー……ッ!」グッ…! クンッ…! クイッ…!

魔王「フム? ――何故皮膚が裂けないのか? ――何故剣爪をピクリとも動かせないのか?」

魔王「――……そもそも見えない斬撃をどう見切ったのか?」

魔王「疑問が尽きないと顔に出ているぞ、銀牙狼」フフフ


銀牙狼「魔ァ……王ォォ……ッッ!!」ギシィッ…!


魔王「この乳技の極意こそ、我にあってお前に無いもの……」ムギューッ…!

魔王「それこそが我とお前の如何ともし難い力の差の正体……」ムニンッ…ムニッ…

魔王「即ち――『愛』だ」キュムッ


銀牙狼「……アァ……イィ……?」ビキッ…ビキキッ…!


魔王「愛だ」コクリ

魔王「愛無くして、最後の扉は開かぬ……」

魔王「愛を知らない限り……愛を拒む限り……」


魔王「――その剣が我を傷つけることはない」

…ムチッ―プリリンッ♪

銀牙狼「~~~~~~~~ッ!!」グンッ―ミキミキミキィッ!!

銀牙狼「――ッはァ……! はァ……! はァ……!」ゼッ…ゼッ…

魔王「…………」

魔王「ほっ」―パッ

―ブルンッ♪

銀牙狼「なッ――」

――――――――

烏賊嬢「ひッ!? おっぱいロックがはずれてしまったでゲソォッ!!」

髑髏将「……いや違う。はずれたのではない……魔王様は、『はずした』のだ」

竜剣聖「しかし何故にッ! あれでは銀牙狼が再び自由の身ではないかッ! 解かれるやいなや――」

――――――――

銀牙狼「――……ッ!!」―ダンッ!

銀牙狼「――シャオラァァァァッッ!!」ギュオォッ!!

――――――――

側近「まッ――魔王様ァァーーッ!!」

――……




銀牙狼「……何故」



銀牙狼「何故……避けねェ」



―ピタァ…



銀牙狼「何故…………胸を使おうとしねェ」



魔王「……フフ」

魔王「そもそも、当てるつもりのない攻撃に」…コンコンッ

… ィ ィ ィ ィ ン …


魔王「回避や乳技は不要であろう?」

銀牙狼「…………」


銀牙狼「………………」


銀牙狼「……ッく」


…カキンッ

ゴトッ―ゴドンッ…


銀牙狼「ちッ……くしょう……」


ガクッ…


銀牙狼「……アンタは……完璧だったんだ……」


銀牙狼「……完璧だったアンタを目指して……オレ様は強くなったんだ……!」

―ガンッ!

銀牙狼「なのに……何で……不完全になったアンタに……!」

銀牙狼「オレ様は敵わねェんだ……ッ!」

―ガンッ!

銀牙狼「何で……届きさえしねェんだ……ッ!」

銀牙狼「どうして……ッッ!!」

―ガンッ!


銀牙狼「――アイって何なんだよォォォォォォォッッ!!」


――ガヅンッ!!


魔王「…………」

魔王「愛とは……」

魔王「……見返りを望まぬ心の衝動。相手を察すること。相手を思うこと。そして――」


魔王「――おちんぽだ」ニッ


銀牙狼「…………ッはァッ!?!?」ガバッ!

魔王「いや、言葉を欠いたな。我の心の先走りだ。飲み込め銀牙狼」

銀牙狼「……ッ」

魔王「許せ。我とて愛をすべて理解したわけではない。……あくまで我は愛を『知る』ことができただけだ」

魔王「すべてを言葉で言い表せる程に……愛はそう単純なものではない」

魔王「そう。真に愛とは何かを理解していたのならば……歴代の魔王達も――父上も、勇者の血統に敗れはしなかっただろう」

銀牙狼「なにィ……?」

魔王「……愛とは筋肉や魔力にも勝る――無限の力でもあるのだからな」

銀牙狼「む、無限だと……?」

魔王「良いか。……今、我はお腹の子を愛しいと感じている」ナデェ…


―ユラァ


銀牙狼「なッ……!?」

魔王「見えるか、我に立ち昇る闘気が」

魔王「我は愛しいと思うと同時に――『守りたい』、『生きねば』、『この子の為に』と、一瞬の内に様々なことへ思いを馳せた」


魔王「……ただそれだけで湧き上がってくるのだ。この『力』は」ユラァ…

魔王「これが、勇者への想いともなると――」


―― ド ゥ ッ !


銀牙狼「――ッぐゥッ!」

魔王「――このように比類無き力を発揮する」

魔王「……どうだ? 説明をつけられるか銀牙狼。この力、この現象に」

銀牙狼「……ッ」

魔王「不思議だろう? 愛とはエネルギーでありながら、心に真なる平穏をもたらし、時には手段ともなりうるのだ」


魔王「……だから、お前の剣爪を受け止めた時……我はお前のことを想った」

銀牙狼「えっ……」ドキッ

魔王「お前の一挙手一投足を見、瞳を見……」

魔王「我にどのような思いで挑むのか。どのような人生を送り、ここまで辿り着いたのか」

魔王「深く、深く想ったのだ」

銀牙狼「な……ン……だよ……ソレ……」ジワァ…

魔王「……すると見えてくる……いや、察すると言うべきか」

魔王「お前の次に取る行動が感じ取れるようになるのだ」

銀牙狼「…………」

魔王「相手を深く知り、相手の求めているものを察し、次の行為を決める――これはまさしく愛だ。愛の成せる技だ」

魔王「そこに愛による無限のパワーが加わったならば……我に最早敗北などありえぬ」

魔王「あるとするならば……」

魔王「お前が『愛』を理解し、愛のパワーを手に入れ、我の行動を察した時のみだ」

銀牙狼「……ぽ…………じゃねェかよ……」


魔王「……何?」

銀牙狼「お、お……ぽが……関係ねェじゃねぇかよ……!」

魔王「何ィ? 聞こえんなァ!」

銀牙狼「だ、だァからよォ!」

銀牙狼「おちんぽが関係ねぇって言ってるンだよオレ様はなァ……!!」

魔王「大有りだこの大馬鹿者が」

銀牙狼「バッ……!?」

魔王「……我の愛の始点は勇者のおちんぽだった」

魔王「それに嘘偽りは無い。我の心の闇を晴らしたのも、我が愛に覚醒めたのも、我が真の強さを手に入れたのも……」

魔王「――すべてはおちんぽだ」


魔王「故に、愛を語る上で必要不可欠」

魔王「ベッドの上で愛を語らう上でも必要不可欠」

魔王「おちんぽは……必須なのだ」


銀牙狼「……ッ」ギリッ…


魔王「……銀牙狼。お前にこそおちんぽが必要だろう?」


銀牙狼「…………あァ?」ビキッ


魔王「おちんぽには膣をほぐすだけでなく、心の茨を解きほぐす効果があるからな。……何、我で実証済みだ」

魔王「真に強くなりたいと願うならば、銀牙狼。お前はおちんぽを受け入れる必要があるだろう」


銀牙狼「――ッンふざけンなァッ! オレ様はなァッ――」





魔王「――自分を偽るな」




銀牙狼「――――――――――」




銀牙狼「…………」


銀牙狼「……い、一体……な……何の話だ……」


銀牙狼「……ああァ……?」



魔王「……まさか、バレていないとでも思っていたのか? 銀牙狼」


魔王「お前がどんなに呆れる程の筋肉の鎧を纏おうとも……」ツ…


魔王「何重にもサラシをきつく巻き、胸を潰そうとも……」クニッ…


魔王「お前が『女』であることに変わりはない」プニンッ…


銀牙狼「――ッ! ……ッ!」パクパク…


魔王「己を認めよ。銀牙狼」


魔王「己を塗り潰す行為の先に……未来はない」


魔王「弱さも、性別も、貫く意思も――」


魔王「――そうして自らを構成するすべてを認めて……漸く扉に到達できるのだからな」フ

烏賊嬢「……えぇ」

烏賊嬢「確かに中性的な顔立ちだとは思っていたでゲソが……ぎ、銀牙狼って女だったんでゲソか……」ニュミュルァァ…

竜剣聖「……ぬぅ」

竜剣聖「拙者はおなごに全力で斬りかかっていたと……! 知っていれば顔を狙うことも――いや勝負すら受けることも……うぬぅぅ……!」グギギ…

髑髏将「…………」

髑髏将「……数百年も前に失ったはずの心臓が……痛む……」…ガシャッ

側近「ぎッ……!」

側近「銀牙狼が男子トイレの個室を利用していた理由を……爺やはたった今理解しましたぞ……!」―ピシャーンッ!


銀牙狼「…………」

銀牙狼「アンタに……オレ様の何が分かるってんだ……」

銀牙狼「銀狼族に産まれちまったオレ様はな……」

銀牙狼「こうするしかなかった……」

銀牙狼「……違ェな」

銀牙狼「アンタの生き方が……生き様が……」グッ

銀牙狼「オレ様の生きる道を示してくれたんだ……」

ギュゥゥゥ…

銀牙狼「アンタが……オレ様の里を訪れたあの日……」

銀牙狼「木陰で瘴気の衣を脱いだアンタを……オレ様は偶然見ちまった……」

銀牙狼「死ぬほど驚いたさ……」

銀牙狼「あンだけクソ強ェ魔王様は……男なンかじゃなくて……」


銀牙狼「――女だった」


銀牙狼「……分かるか」

銀牙狼「アンタはオレ様の憧れになった」

銀牙狼「目標になった」

銀牙狼「アンタのようになりたくて」

銀牙狼「アンタに仕えられる……強ェヤツになりたくて……」

銀牙狼「オレ様は……」ギュゥゥゥゥ…

銀牙狼「…………」

銀牙狼「……ッ!」キッ

銀牙狼「なのに好き勝手言いやがって……!」

銀牙狼「女であることを幸せそうに語りやがって……!」


銀牙狼「じゃぁ何であの時……」

銀牙狼「あの時オレ様に……あの姿を……」

銀牙狼「あんな姿を見たばっかりに……オレ様は……」プルプル…

銀牙狼「オレ様に……夢を……見させやがって……」

銀牙狼「…………」

銀牙狼「だったら……最初から……」

銀牙狼「最初……から……」


銀牙狼「――……ッア゛ァァァァッ!!」


銀牙狼「アンタは同じだ……ッ!」

銀牙狼「オレ様の母親と……里の母親共と同じだ……ッ!」

銀牙狼「オレ様を理解するだァ?」

銀牙狼「察するゥ? 感じるゥ?」

銀牙狼「……分ッかるもんかよッ!」

銀牙狼「アンタに……オレ様の何が分かるってんだ……ッ!」

銀牙狼「分かるはずねェェだろうがよォォォォォォォッッ!!」

―ビリビリビリビリ…!



魔王「…………」




魔王「――分かるさ」ニコッ



― フ ワ ァ …



銀牙狼「……ッ?」

トクンッ…

魔王「我とお前は似ている」


銀牙狼「…………ッ」


魔王「――望まれなかった」



銀牙狼「――ッ!?」



魔王「……我らは、望まれていなかった」

魔王「だから。望まれる存在に産まれ変わりたかった」



銀牙狼「――――」



魔王「違うか、銀牙狼」







銀牙狼「…………」








銀牙狼「……う」







ポロッ…



銀牙狼「う……ぐッ……」ポロッ…



銀牙狼「ぐッ……ふぅッ……」ポロポロ…



銀牙狼「オ゛……オ゛レ゛様゛は……」



銀牙狼「ざい゛ぎょう゛に゛……な゛ん゛ばーづーに゛……」



銀牙狼「ぞう゛ずれ゛ば……ぜっだい゛に゛……」



銀牙狼「だれ゛に゛も゛……ッ!」ポロッ…



ポタッ……ポタタッ……

―スッ

魔王「……良いか、銀牙狼」


魔王「お前の世界は、里の中だけではない」


魔王「心無い、理解の無い者たちがひしめくところが、お前の世界ではない」


魔王「お前の世界はもっと大きい」


銀牙狼「……おお、きい」グスッ


魔王「魔王軍の領域だけでもまだ狭い。ニンゲン達が暮らす場所、妖精、エルフ――ありとあらゆる種族の領域を合わせてもまだまだ狭い」


魔王「……お前の目に映るこの世すべてが世界なのだからな」


魔王「そして……懸命に生きるお前を認めてくれる者は、この世のどこかに必ずいる」


魔王「そのままでいいと。お前はそこにいるのだと。そう言ってくれる者が必ずいるのだ」


銀牙狼「……オレ様を……認めて……くれる……」

銀牙狼「……そん、なの」


魔王「――まずは」

魔王「我が認めよう」ニッ


銀牙狼「…………」

銀牙狼「……え」


魔王「折角女に産まれたのだ」

魔王「女を活かせずに何とする、銀牙狼」フン


銀牙狼「……でも」



魔王「――『男』に『女』の役割は果たせんぞ?」



銀牙狼「――――」


銀牙狼「……魔王……さま……」

魔王「……まぁ、男に『なりたい』と心の底から思っているならば……我の余計なお世話だがな」チラッ

銀牙狼「…………」ボー…

魔王「そういう訳でも無いだろう。……銀牙狼?」


銀牙狼「…………」

銀牙狼「……ッ!?」―ハッ!

ズビーッ!!

―ブルブルブルブルブルッ!!

銀牙狼「……ぁ」

銀牙狼「…………」パクパク

銀牙狼「……ぅ」

銀牙狼「…………」パクパク

銀牙狼「ぁ……りが……」


銀牙狼「……フンッ!」


魔王「……フフフ」ナデェ…

銀牙狼「…………」

銀牙狼「少し……」


魔王「ん?」


銀牙狼「少しだけ……」

銀牙狼「アイが……」

銀牙狼「何だか分かった……」

銀牙狼「…………」

銀牙狼「気がする……ぜ」ポリポリ

魔王「……そうか」

銀牙狼「……ああ」


魔王「では本格的に愛を知るとしよう」


銀牙狼「……本格的に?」

魔王「フッフッフ」

―スチャッ

銀牙狼「!? そりゃぁさっきのメモリークリスタル……!?」

魔王「そう。我と女神がこだわりにこだわり抜いた珠玉の映像作品……」フフフフフ

魔王「先ほどは飛ばし飛ばしに見ていたが……じっくりと最初から鑑賞しようではないか」ジリジリ

銀牙狼「何でだよッ!? オレ様は別に――」

魔王「言ったはずだ。すべてはおちんぽだと。言うなれば我の助言はおちんぽの派生に過ぎないのだ」

魔王「これを見ればより深く愛を――おちんぽを理解できること間違い無しだ」

銀牙狼「い、嫌だッ! 魔王様の説得は勇者のおちんぽと関係ねェことにしねぇとオレ様は何か嫌だッ!」

魔王「嫌よ嫌よも……と言うか鑑賞会の時の鋭い眼光はお前だろう? 今更興味が無いとは言わせぬぞ」

銀牙狼「ち、違ェ! アレはどっちかと言うと勇者が憎くてしょうがなかったつーか……!」

魔王「性欲がある己を認めるのだ銀牙狼……」スゥゥゥ…

銀牙狼「そッ――」

銀牙狼「粗チンなんか見たく」
魔王「粗チンとは何か」ボグゥ

銀牙狼「お゛ごっ」ガハァッ…!

魔王「…………あ」

―ポテッ

銀牙狼「……くぅぅぅん」キュー…


魔王「…………」

魔王「しまった……つい頭に血が昇ってデコピンを……」


魔王「…………」

魔王「……銀牙狼の粗チン発言を、勇者が撤回させる……」フムゥ

魔王「……我の溜飲も下がる。……アリだな」ニヤリ

烏賊嬢「…………」ニュミューン

竜剣聖「…………」ヌーン…

側近「…………」ホゲー…



銀牙狼「きゅぅぅぅん……」グター…

魔王「クックックックック……!」ニヤァァ…



―― シ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ン ……



髑髏将「…………」

髑髏将「……勝負あり」


髑髏将「此度の決闘――」

―バッ!

髑髏将「――魔王様の、勝利」…ガシャッ

――――――――

―キュッ ギュッ
―ギッ…ギッ…ギリィ…

魔王「ふぅ。こんなものか」

側近「……あの、魔王様。銀牙狼に何をしているのでしょうか……?」

魔王「見て分からぬか? ふっ」

―ギチッ

魔王「緊縛だ」

側近「あ、いえ、それは見て分かるのですが……」

魔王「……あぁ、許せ。縛られるのは慣れているのだが……縛る方の知識は乏しくてな」ペチッ

銀牙狼「んむっ……」スヤスヤ

魔王「勇者に教わった『これ』しか我はまだ縛れんのだ」

側近「さ、左様でございますか……」

魔王「まだまだ勇者には遠く及ばぬが……どうだ爺や」

魔王「――我の亀甲縛り。なかなかのものだろう?」フフン

―シババーン!

銀牙狼「んん……」スゥスゥ

側近「は、はぁ……確かに柔肌に縄を食い込ませる趣と違い……盛り上がる筋肉に縄を強く埋め込むような縛りは別種の美しさがあると爺やは感じますが……」

魔王「何、心配はいらぬ。ダメージを与えるような縛りはしていない。勇者に何度も口酸っぱく注意されたからな」

側近「い、いえ、魔王様。緊縛の出来や種類は別に構わないのですが……」

側近「なにゆえ銀牙狼を縛っているのか、爺やはそこが知りたいのでして……」


魔王「――銀牙狼は勇者への手土産とする」

側近「…………手土産」

魔王「勇者の為のみならず、銀牙狼の為にもなることだ。勇者に会わせれば万事解決、銀牙狼も晴れてハート目というわけだ」フフフ

側近「…………ハート目」

魔王「だがまだ銀牙狼は素直にはなれないだろう。……我も自分の気持ちに素直になるにはかなり苦労した。……それこそ勇者を殺しかけるくらいにはな」

側近「…………素直」

魔王「だから縛った。これなら暴れられず、逃げることも不可能だ」

魔王「縄は錬金術師、魔法使い、淫魔、アラクネ合作の特別製――魔力を抑えつつ筋力を弛緩させる薬剤と方陣縫製を……まぁ要は頑丈な縄だ。まず千切れぬ」

銀牙狼「んっ……」ムニャ…

魔王「この分だと勇者の村まで起きそうもないが……まぁ念には念をだ。いちいち気絶させるのも手間だからな」

側近「な、なるほど……」


魔王「……さて、我はそろそろ我が家に帰るとしよう。……爺や、マントを」

側近「は、ははッ!」ササッ

スッ…

―バサァ

魔王「……フフ、やはり良い。勇者考案の『風も無いのにはためくマント』、まったくもって何の装備効果も無いが――」

魔王「――実に気分が良い!」

―バサバサバサ…!

魔王「…………」

魔王「我は皆にもう一度告げる」

魔王「……魔王軍は『勇者様にありとあらゆる意味で尽くし隊』と名を改め、今後は戦災復興や平和維持に努める組織となる」


ザワザワザワ…! ザワザワザワ…!

魔王「…………」

魔王「……しかし」


魔王「その決定に不満があるのならば……魔王軍を抜けても一向に構わん」


側近「ま、魔王様……!?」

ドヨドヨドヨドヨ…! ドヨドヨドヨドヨ…!
 ザワザワザワザワ…! ザワザワザワザワ…!
  ドヨドヨドヨドヨ…! ドヨドヨドヨドヨ…!

魔王「離反した者を滅するつもりもない。里や国に戻って新たな仕事に就くなり、新たな組織を立ち上げるなり、好きにするがいい」


烏賊嬢「……そ、そんな……急に自由って言われても困るでゲソォ……」ニュゥルゥ…


魔王「方針は変わった。……相容れなくて当然――従えなくて当然の話なのだ」


竜剣聖「魔王様……」グッ…


魔王「我についていきたいと思う者のみが『勇者様にありとあらゆる意味で尽くし隊』に残り……共に征けば良い」


髑髏将「…………」ガシャッ




魔王「……ただし」



魔王「もし、ニンゲン達――いや……」



魔王「勇者の『1000人の妻達』に類する種族に対して――」



魔王「何らかの害を与えようとしたならば――」









―― ズ  ッ …… !






烏賊嬢「」チョロロッ…

竜剣聖「ッぐぬぅ!?」―ビシンッ!

髑髏将「……ッ!」―ピシッ!

側近「ゴホッ!!」―パタタッ!





魔王「……勇者と」ユラァァ…

魔王「999人の妻と、その国――」メラァ…


―ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!


魔王「――そして我が相手になることを……」 ゴ ァ ァ ァ ァ ァ …!



…フワァッ

魔王「ゆめゆめ忘れるでないぞ♪」ニコッ


――  シ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ン  ……

魔王「以上だ」オホン

魔王「爺や」

側近「は、はッ!」スザッ

魔王「再編成の日取りや脱退希望の者達の手続き、その他諸々すべてを……爺やに任せても良いか?」


側近「…………」


側近「仰せのままに魔王様。爺やの命を賭けてでも、この大役を必ず果たしてみせましょう」

魔王「流石我の爺や。頼もしい限りだ」

側近「ははーッ!」


魔王「……では、さらば――」


烏賊嬢「――魔王様ッッ!」ゲソッ!


魔王「む?」

烏賊嬢「魔王様……ウチは……! ウチは……その……!」ニュル…ニュル…

魔王「…………」

魔王「!」ピーン

魔王「……ほう。……コレか? 烏賊嬢」―チラッ

―キラリ

烏賊嬢「あ、あぁッ……!」ニュルルルルッ!

魔王「そうか……ふむ……なるほど。……このメモリークリスタルが欲しいのか? 烏賊嬢よ」キラキラリ

烏賊嬢「え、えへへへ……でゲソォ」ミョジミョジ…

魔王「しかしこれは我の特別製。四天王のお前と言えど、おいそれと簡単に与えることは出来ぬ」

烏賊嬢「ゲ、ゲソよねー……えへへへ……へ」ニュルーーン…


魔王「……しかし」

―キラキラキラーン!

魔王「『お試しクリスタル』ならたくさんあるぞ……烏賊嬢」ドジャラァァンッ!


烏賊嬢「お、お試しクリスタルでゲソか……? ――って何だかちっちゃいクリスタルがたくさんあるでゲソ!」

魔王「フフ……存分に見るがいい」

…ジャラジャラァ

烏賊嬢「わぁ……! わぁー! んゥ? えぇっと……何やら文字が浮かび上がってるでゲソね……」ニュムニュム

烏賊嬢「……【喉奥超削岩挿入シリーズ~お高くとまった二角●女の喉をメッタ突き~】、【女騎● 鎧・縛】、【勇者の凄テクを我慢出来たら子宮姦♪~ミニマムロリ妖●編BEST8時間~】、【血よりも精☆子~吸●鬼なのにワタシ彼のミルクをごっくんするの大好きなんです~】――」

烏賊嬢「――【清純巫●地獄極楽堕とし】、【現役●神睡眠魔法レイプ「嘘……眠っている間に処女喪失なんて……!」】、【メ●ド長は、勇者の性処理便器。】、【ご奉仕お掃除フェラ→イラマチオ6 ~微乳の尽くす系魔法●い人妻・真正中出し+~】……」

烏賊嬢「…………」ゴクリ

烏賊嬢「ま、魔王様……これは一体……」

魔王「見ての通りだ。その題名の通りの映像がクリスタルに入っている」ニヤリ

烏賊嬢「マ、マジでゲソか魔王様……!」パァァァ

魔王「――ただし3分程だ」

烏賊嬢「さ、3分でゲソ……? 随分と少ないでゲソね……」ニュルーーン…

魔王「言っただろう。『お試し』だと」

魔王「……だが、見て気に入ったクリスタルがあるならば……フルバージョンを取り寄せることができる」

烏賊嬢「ふるばーじょんを……お取り寄せ……でゲソか……?」ニュルン?

魔王「ああ。そのお試しクリスタルの下部にある、《完全版は商人にお任せっ》の文字を魔力を込めてなぞれば……」

魔王「……半日以内に届くぞ」ニンマリ

烏賊嬢「は、半日っ! 早いでゲソねっ!」ヌリュンヌリュン♪

魔王「ただし有料だ。メモリークリスタルとてタダではない。ましてや手間暇のかかった作品ともなれば当然だな」

烏賊嬢「ふふんでゲソ。こう見えても四天王を伊達にはってないでゲソ。お金ならたんまりあるでゲソ♪」ニュルルン

魔王「フフ。ならば試しに幾つか頼んでみるといい。お試しクリスタルのカタログの取り寄せもできるぞ? 勿論それは無料だ」

烏賊嬢「おおー……! どれにしようか迷うでゲソね……」キラキラ


魔王「…………」

魔王「もし、メモリークリスタルに物足りなくなったならば……」

魔王「商品を届けに来た商人にこう告げよ。……『敗北が知りたい』、と」


烏賊嬢「ハイボクを……シりたい……でゲソか?」ニョトン?


魔王「……その様子ならそう遠い日では無さそうだがな」チラ

烏賊嬢「は、はぁ……でゲソ……」

魔王「……勇者のおちんぽに惹かれたのだろう?」

烏賊嬢「はいでゲソ。海の生物っぽくて親近感湧くデザインで……しかも魔王様が大変気持ち良さそうだったので……ゲソソォ……」ミョジミョジ

魔王「フフフ、なかなか見どころがあるな烏賊嬢」ナァデェ…

烏賊嬢「そ、それほどでもでゲソ……」ニュルンニュムニュム…


魔王「……さて」

―ヒョイッ

銀牙狼「んんっ……んむぅ」スピー…

魔王「……思った以上に時間を費やしてしまったな」

魔王「詳細は後日――爺や、話がまとまり次第我に報告せよ」

側近「はっ」



魔王「…………」ナデナデ…


魔王「……皆の者、ここでまた会おう」


魔王「――今度は、我らの新たな仲間としてな」ニッ

魔王「では――」


魔王「――さらばだ」バサァッ…


カツンッ… カツンッ…

カツーンッ… カツーンッ…

カンッ…

ンッ…


―フッ





竜剣聖「……行って……しまわれた……」

髑髏将「…………ああ」

側近「…………」



烏賊嬢「……にゅぅむ……この【不定形彼女~天然系スライムとのヌルヌル新性活~】っていうのが気になるでゲソね……」ウニューン…

――――――――

カツーンッ… カツーンッ…

カツッ…


魔王「…………」

魔王「メイド長、アサシン」

―シュッ

メイド長「はい。ここに居ります、魔王様」

―ジワァ

アサシン「…………」


魔王「我の用事は済んだ。……メイド長、騎竜の準備は出来ているか?」

メイド長「はい。ご要望通り……気性は大人しく、かつ疾い騎竜を調達致しました。行きよりも遥かに快適な乗り心地を提供できるかと」ペコリ

魔王「ご苦労だった。……しかし魔王領でよく見つけられたものだな」

メイド長「主人の望まれることを叶えてこそのメイドでございます」ペコリ

魔王「流石だな。……だがお前の主人は勇者であろう?」

メイド長「魔王様は旦那様の奥方となられる御方でございます。であれば旦那様のメイドである私が魔王様に仕えることに何ら不思議はないかと」

魔王「フフ、お前もその『旦那様』と結婚するのだ。ならば我とお前に身分の差はあるまい」

メイド長「……それは、その」

メイド長「…………」

メイド長「申し訳ございません。まだ、心の整理がついてないと申し上げれば良いのでしょうか……」

メイド長「私などは旦那様にほんの少しのご寵愛をいただけるだけで――むしろ仕えることだけで十二分に幸せですのに……」


メイド長「……勇者様の……お嫁さんになれるなんて……そんな……」モジッ

魔王「……ふむ?」クスクス

メイド長「――ッ!」ハッ

メイド長「……失礼致しました。どうか、旦那様にはご内密に……」

魔王「良い。……存分に幸福で苦悩するがよい」フフ

メイド長「…………」ペコリ


魔王「さて。時間が無いことは百も承知である。が……」

魔王「『転移』を使って移動するとなると……我が子に負担をかけてしまう可能性が高い」サス…

魔王「故に帰りも騎竜だ。……焦く気持ちも無いでは無いが……無理は最小限に留めたい」

魔王「――『お互い』に、な」ナデェ…


メイド長「……心遣い、感謝致します」―ポッコリ♪

アサシン「……………………」―ポッコリ♪


魔王「……アサシン、報告は?」


アサシン「……『千傑』達の調印は無事終了した」

アサシン「『過去の諍いはすべて赦し合い……勇者の剣と玉の元、新たな未来を築き上げよう』との最高議長九尾狐の提案に対し――」

アサシン「――各国の長を務める指導者達を含む勇者の婚約者全員が賛同し、女神謹製の生涯奴隷契約書に全員調印した」

魔王「狙い通り、世界で最も大きい連邦国家が誕生したのだな」フム

アサシン「血判と魔法による契約書は女神により碑文化され、不砕の石版として後宮に安置される予定だ」

魔王「殊の外スムーズではないか」


アサシン「…………」

魔王「どうした?」

アサシン「調印は10秒で終了したが……その後の議題は80時間を費やした」

魔王「……アレか」

アサシン「……察しの通り『性交計画書』だ。各国、それぞれの個人から提出された書類を受理するだけでも膨大な時間を要した」

アサシン「書類の様式を成していないもの、1万ページにも及ぶ計画書を提出した者、1枚の絵画を掲げた者、1番カワイイ奴が1番とのたまう者……挙げればキリがない」

魔王「予想しえた未来だ。恐らく魔王領より混沌が深い」

アサシン「当然、各陣営に寄ったもので公平性があるとは言い難く……議題は一旦凍結された」

魔王「国作りよりも……そこを早く固めねばならんな。既に新たな諍いを産んでいる」


アサシン「……それと、アラクネから伝言を預かっている」

魔王「……それこそ待っていた知らせだ」

アサシン「『999着のウェディングドレスの縫製が終了した。式にはギリギリ間に合うだろう』」

魔王「……素晴らしい」フルフルッ…!


アサシン「『……が、内997着については後からマタニティ仕様へ変更となった為に、多大な材料と時間と労力を失った』」

アサシン「『加えて、ドレスはそれぞれの要望をすべて取り入れた上に……中には希少な材を使用したものも少なくない』」

アサシン「『ついては……』」


アサシン「『――金品、物資【以外】での補償を望む』」


アサシン「……とのことだ」

魔王「…………」フゥ


魔王「どうやら。計画書の前部に記される名は……アラクネで決まりのようだ」

アサシン「……千傑も従わざるを得ないだろうな。……勿論私とお前も含めてだが」

魔王「ドレスが人質とあれば仕方あるまい。皆には我から話を通そう」

アサシン「……報告は以上だ」


魔王「ふむ。多少の波はあれど……ことは順調に運んでいるようで何よりだ」


魔王「――では我らも嫁入り支度を急ぐとしよう」ニッ


メイド長「はい、魔王様」ペコリ

アサシン「………………」コク

魔王「騎竜の手綱は我が取ろう」ザッ…!


魔王「……そして我らの手綱は勇者が握るのだ!」ナァデェ…


魔王「針路――結婚式場! 執行――婚前交渉! 執行――千嫁結婚! 執行――永久蜜月ッッ!!」バサァッ…!


魔王「さぁ……! 女神と我が祝福し、世界を犯す勇者が待つ史上最大の結婚式典へ――」


魔王「――参ろうではないか……!」ニタァ…!


魔王「クックック……」

魔王「フハハハハハッ!」

魔王「ハーッハッハッハッハッハッッ!!」


―バサバサバサバサ…!


―ポッコリ♪
―ポッコリ♪
―ポッコリ♪

――――――――

>>522
修正
×
―ポッコリ♪
―ポッコリ♪
―ポッコリ♪

―ポッコリ♪
―ポッコリ♪
―ポッコリ♪
―…クゥーン

――――――――

側近「…………」 竜剣聖「…………」 髑髏将「…………」 烏賊嬢「……にゅーん」


ザワザワ…

「……ど、どうするよ?」 「どうするって何がだよ」

「決まってんだろ! 今後のオレら下っ端の身の振り方の話だ!」

「…………」 「黙るなよ」 「いや黙るのも分かるぜ。突然こうなっちゃよ……」

「まぁ魔王軍がその、勇者何とか隊になるだけだろ? そのままでいいべ」

「バカ」 「アホ」 「クソ」 「なにかんがえてるの?」 「鼻クソ野郎」 「死ね」 「ぶっ飛ばすぞテメェ」

「ちょっ!? 言い過ぎじゃねぇ!?」

「たりめーだ。このままだとオレらはニンゲン側につくことになるんだよバカかおめー」

「いままでさんざんころしあってきたのに、こんどはにんげんのみかただよ?」

「っべー……言われてみればそうだよな」

「超バカ」 「超アホ」 「クソ&クソ」 「のうみそあるの?」 「耳クソ野郎」 「死ね」 「ぶっ飛ばした」

「痛ぇよ! 報告いらねぇよこのヤロー! あとやっぱり言い過ぎじゃねぇ!?」

「……あのさ」

「……ひとつだけ確かなことがある」

「たしかなこと?」

「……まぁ、勇者様にありとあらゆる意味で尽くし隊にわたし達が入るのに、色々あるとは思うよ?」

「あり過ぎだろ……確執パないぞ。魔族とニンゲン達+αでどれだけ揉めてきたと……」

「……うん。でもさ」

「……わたし達がそうやって、今までの立場でいようとするとさ」


「……あの魔王様を、敵に回すことになるんだよ?」


ゾッ…


「ッッべぇぇ……!」

「そ、それは、そうだけど……そうだけどよ……!」

「……前より強いよ魔王様。あれでフル装備だったらどうなると思う?」

「ッッべぇぇぇぇぇぇ……!」

「……しかも、隣には勇者がいるよ?」

「ッッベぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッグアアアアアアッ!?」

「うるせぇ」


「……オレ、勇者ナントカ隊に志願する」

「お前……!」

「……あのさ、千人の妻って魔王様言ってたろ」

「アレ意味わかんなかったんだよね」

「種族が何とかとか魔王様言ってたよな」

「……オレ、心当たりあってさ。今日の集まりで確信したっつーか」

「……なにか知ってるの?」

「風のウワサだけどさ、オレ、九尾狐様が勇者にホの字だって聞いたことがあって……」

「……は? あ、ありえなくね?」

「だよなぁ、ドSだろ九尾狐様。従わせる絵しか浮かばねぇんだけど」

「……来てない」

「あ?」

「……今日の集まり、残っている魔王軍すべてに召集かかってるはず」

「……将軍クラスから何から、エラい魔族もひっくるめて全部」


「……あ」

「確かに、九尾狐様いなかった」

「だからなんだよ」

「……分からないか? 千人の妻。召集に来ない九尾狐様。そして惚れてるって噂」


「……マ、マジかよ」

「……じゃねぇかな。あのメモリークリスタルで見た勇者のバケモノチンコで……きっと……」

「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「……おちんぽで」


「……待てよ。おい、ッベェぞ。それなら俺も心当たりあるぞおい!」

「うるせぇ」

「殴るなーッ! 最後まで話聞けよ! なぁ!」

「…………」

「オーケーオーケー。アレだ。千人だろ千人。その妻が千人だろ」

「ならよ、来てない女幹部他にもたっくさんいるって話よ」

「…………」

「お前、流石にそれはねェだろ」

「ないな。殴るぞ」

「待てよーッ! 殴んなよーッ! 俺聞いたんだよッ! 淫魔様がニンゲンにセックス負けしたって話をさーッ!」


「……何ィ?」

「いや俺もロジックだと思ったよ。そいつはありえねぇロジックだろって」

「ゴシックだバカ」

「そうそのゴシックだよ。……で、今日淫魔様とか来てなくねって話で」


「…………」

「……いやいやいやいや」

「そんなまさか……」


「……でも」

「あの勇者のバケモノおちんぽなら……もしかしたら……」

「…………」 「…………」 「…………」 「…………」


「え、じゃぁ……今日来てない女幹部が全員……」


「…………」 「…………」 「…………」 「…………」



「ぼく、じつは二角公女様がまえに」
「悪魔城を空け気味の吸血鬼様が」
「俺も実は九尾狐様が恋文を」
「噂だけど淫魔様が夜な夜な」
「エルフの国の双子姫が」
「凍てついた氷の女王のハートを」



「…………」 「…………」 「…………」 「…………」


「え、吸血鬼様が何」 「エルフ族ってちゅうりつじゃ」 「二角公女様が何だって?」 「氷の国って鎖国してるはずでは?」 「恋文って嘘だろ……」 「夜な夜な何だよ!?」


「…………」 「…………」 「…………」 「…………」

「……千人の妻ってもしかして」

「飛躍してないか流石に……」

「でも種族って言ってたんなら……その解釈はわりと……」



「…………」


「……じゃぁ何か」


「その千人の妻ってのは……」


「元魔王の女幹部、将軍クラスがぞろぞろいて……」


「魔王様も当然含まれていて……」


「魔王軍以外の有力種族もそうかもしれなくて……」


「更に勇者と……救世の徒フルメンバーがついてくるって……」


「そういう……話なのか……?」

「……かもしれない」

「よ、予測だから。たまたま腹下しただけとか、そういう偶然だって……」

「それは来てない偶然の話だろ。さっきの他種族は説明つかないんじゃ……」


「でも、もしそうなら」

「……だとすればよ」


「…………………………………………」












「……わたしは、生き残れる方につくわ」








「前から過去に囚われて争うのっつーの? それって何それ超ダサくねって思っててー」

「この拳は未来を創る為に振るおう」

「ぼく、魔王様についていくってぜんせからきめてたし」

「わりとニンゲンとかってわりといけるクチだから。わりと本気で。わりと真剣に」

「真摯な姿勢だったら誤解も早く解ける気がする。相手に謝罪を要求する前にまずこっちから謝罪が大人な対応じゃないかなって」

「隠してたけどオレ昔から友好派だったんだよな。ようやく時代が追いついた感じはする」





「お前ら……」







「俺も今それ言おうと思ってた」


ザワザワ…

側近「……静まれ、皆の者」

シーン…

側近「すべては魔王様が仰られた通り」

側近「……皆、自由の身となった」

側近「己が未来を、自らの手で選び取る許しを、魔王様は与えてくださったのだ」


側近「……近く、もう一度召集をかけ、それぞれの選択を――」



竜剣聖「――お待ちくだされッッ!!」バッ!


髑髏将「……竜剣聖」


竜剣聖「側近殿ッ! 拙者は納得がいきませぬッ! いえ拙者だけの問題ではありませぬッ! このままでは……魔族の歴史が……ッ!」ググググ…

竜剣聖「ッ側近殿ッ! 何卒ッッ! 何卒冷静なご判断をッッ!」ババッ!


側近「…………」

髑髏将「……竜剣聖」


竜剣聖「魔王様は一時の感情に流されておりますッ! 愛などという体のいい言葉で勇者は魔王様をかどわかしたのですッ!」

竜剣聖「あのめもりぃくりすたるの映像を見れば一目瞭然ッ! あの姦を強いる行為のどこに愛などがありましょうかッ!」

竜剣聖「都合のいい売女同然に扱われ……ッ! あまつさえその下卑た快楽と愛と教え込まれ、奴隷に堕とされる始末ッ!」

竜剣聖「我らが忠誠を誓いし王に……あのような非道な扱いをされて……」ブルブルブル…

竜剣聖「これに憤らずして何が四天王かッッ!! 拙者は断じて……断じて……ッ!!」グワァッ

髑髏将「……控えろ、竜剣聖」

竜剣聖「髑髏将殿ッ! 貴殿は悔しくはないのかッ! 我らの誇りを……我らの誉をあのように汚されて……貴殿は何とも思わぬのかッ!」

髑髏将「……控えろと言っているのだ」

竜剣聖「あの勇者と言うニンゲンの屑山の大将はッ! 我らの王に泥よりも汚いものを注ぎッ! 塗りたくったのだッ!」

髑髏将「……竜剣聖」

竜剣聖「髑髏将殿は――」


髑髏将「――控えろと言っているのが分からんのか貴様ァッ!」ガッ


竜剣聖「髑髏将殿……ッ!」

髑髏将「貴様には……ッ!」


髑髏将「……貴様には側近様のあの涙が見えぬのか……ッ!」



側近「…………」ル…



竜剣聖「――ッ!」


髑髏将「側近様は幼少の魔王様に教育係として就き……魔王様が王位を継承されてからは参謀として仕えてきた御方……」

髑髏将「多忙だった先代魔王様に代わり、ありとあらゆる学問や戦闘術を魔王様に教授し……己のすべてを犠牲にして魔王様を育てあげた御方……」

髑髏将「その絆は……我らでは決して推し量れぬ程に深く強いもの……」


髑髏将「ならば……」

髑髏将「ならば今この場において……ッ!」

髑髏将「最も心を痛めているのが側近様だとッ! 何故貴様は分からんのだッッッ!」


竜剣聖「――ッ!?」


側近「……その手を放すのだ、髑髏将」

髑髏将「…………」

―パッ

髑髏将「…………」ガシャッ


竜剣聖「……側近殿」

竜剣聖「この度の思慮が及ばぬ言……拙者、腹を召してお詫びを――」

側近「――良い」

側近「……良いのだ竜剣聖。……魔王様を思えばこその言葉に、罰を与える必要がどこにあると言うのか」

竜剣聖「側近殿……」


側近「……竜剣聖」

側近「何故我々魔族が長きに渡り、勇者の一族に敗れ続けてきたのか。……お前には分かるか?」


竜剣聖「……いえ」

側近「……魔王様にはそれが分かった」

側近「ニンゲン達は、愛の為に戦うからこそ強くなれたのだと魔王様は理解したのだ」

竜剣聖「……愛の為に」

側近「護るべきものがあるからこそ、強くなれるのだと……」

側近「……その愛の形は歪やもしれぬが……」

側近「裸同然で銀牙狼を倒せる力を示した以上、最早その愛の力を疑いようがあるまい」

竜剣聖「……」

側近「……弱肉強食。我らが信じ、我らが貫いてきた世の真理ではあるが」

側近「残ったのは強き者ではなく……」

側近「『変われる』者だったのだろう」

竜剣聖「変われる、者……?」

側近「……ニンゲンという種は、我らより短い寿命と、我らより脆弱な力を持つか弱き種族」

側近「だからこそ、危機に対して驚くべき変化を見せる種でもある」

側近「……その変化を最も効率よく行えるエネルギーこそ愛であり」

側近「愛を最もうまく扱える一族こそ……勇者達だったと……」

側近「……私は戦う魔王様を見て、そのように感じたのだ」

側近「以前よりも覇気と自信に満ちたお姿が……その何よりの証だろう」

竜剣聖「…………」


側近「……竜剣聖よ。我らも『変わる』時が来ているのやもしれぬ」

竜剣聖「――ッ!」

側近「我らは、今まさに一つの時代の終焉と……一つの時代の始まりに立っているのだ」

側近「…………」

側近「私は……」

側近「魔王様の進む愛の道こそ……覇道だと信ずる」

竜剣聖「側近殿……」

側近「だが」

側近「『私』の選択であることを忘れるな」

側近「魔王様は魔王軍――ひいてはすべての魔族に自由を与えてくださった」


側近「変わらず在り続けることも……竜剣聖、すべてはお前の自由なのだ」

竜剣聖「…………」



竜剣聖「…………」グッ

竜剣聖「……側近殿」

竜剣聖「拙者、今をもって……剣聖の名を返上致しまする」

側近「……なに?」

竜剣聖「……剣の強さ――強さとは何かが変わろうとしている今。拙者の極めた剣は既に過去のもの」

髑髏将「…………」ガシャッ

竜剣聖「武人とは。行住坐臥すべてを戦とし、己を無限に研ぎ澄まさねばなりませぬ」


竜剣聖「……いつの間にか。そのような基本――教えを……拙者は忘れ、なまくらに成り果てていたようです」

竜剣聖「新しき技、新しき力が生まれようとしているならば……」

竜剣聖「其れらが悪しきものであれ、良きものであれ、弱きものであれ、強きものであれ……」


竜剣聖「よく学び、『変わらなければ』」

髑髏将「竜剣聖……」

竜剣聖「……殺す為の剣ではなく、護る為の剣――」

竜剣聖「その一太刀が編み出せるその日まで」

竜剣聖「剣聖の名は返上し……拙者は単なる剣客として魔王様、側近殿に仕えたいのです」


側近「……よいのか?」


竜剣聖「……正直、新しき時代と新しき魔王様のお姿に……迷う心も無いとは言い切れまぬ」

竜剣聖「……ただ」

竜剣聖「自らが傷つきながらも、すべてを冷静に受け止め」

竜剣聖「頭の足りぬ部下に対して心を砕くことのできる御方に仕えることには……」


竜剣聖「――拙者、微塵の迷いもありませぬ」

側近「……竜剣聖」ル…


竜剣聖「まずは側近殿を護れるようにならなければなりませんな」ハッハッハッ!

髑髏将「……お前は自分の身を護れるようになるのが先だ。銀牙狼に負け越しているようでは話にならんだろう」

竜剣聖「これはなかなかに手厳しい! だが確かに髑髏将殿の仰る通りだ! 死んでしまっては守れぬからな!」ハッハッハッハッ!

側近「…………」

側近「……感謝する」

竜剣聖「ッ!? いやいやッ! お礼を述べなければならないのは拙者の方で側近殿がそのような――」

側近「お前たち四天王が、私の傍にいる。それだけで私は心強い」

髑髏将「…………」

側近「……皆、どうかこれからもよろしく……頼む」ペコリ

竜剣聖「ッッ!?!? ――ははぁっ!」バッ

髑髏将「……はっ!」ガシャッッッ

烏賊嬢「にゅむむ……やっぱり送料無料――はっ!? あ、はっ、はいでゲソっ! …………ゲソ?」ニュルペコココココーッ!


側近「…………」ル…


―…ポツッ

――――――――

――――――――

シィィィィィィィン…

…カッ

カッ

髑髏将「……命令通り、元魔王軍すべての兵士、将に休暇を取らせました」

側近「……ご苦労だった」

髑髏将「期日に再びここへ集まるよう、各自に誓約書を書かせましたがこちらは……」

側近「…………」

髑髏将「……側近様?」


側近「髑髏将。しばらく私を1人にして欲しい」


髑髏将「…………」

髑髏将「……はっ」

髑髏将「……御用があれば何なりとお申し付けください。……では」ガシャッ


キィィ…


ッバタァァァァァン…


側近「…………」


―キラッ

側近「…………」スッ

ジャラジャラァ…

カラッ コロコロッ…

―キラキラ

側近「……魔王様」

―キラキラ

――――――――

『じいや! いまのみたか! われのすっごいかっこいいわざを!』

『じいや。ちちうえにみとめてもらうためには、おべんきょーがひつよーなのだ。おしえてくださいじいや』

『じいやは……こんなできそこないのわれにもやさしくしてくれるのだな』

――――――――

(魔王様……)ル…

――――――――

『爺や! 見たか! あれぞ父上が自在に操る原初の魔法! 魔王呪文だ! 父上は最高だな!』

『爺や、今に見ておれ。我は学んで学んで学び倒して、父上の自慢の娘――いや息子になってみせるのだ!』

『爺やの淹れてくれた……ミルク多めの紅茶は素晴らしいな。……落ち込んでいた気分が和らぐ……』

――――――――

(魔王様……っ)ウルッ…

――――――――

『……爺や。父上――先代魔王亡き後は、この我が魔王となる。我に尽くすのだ、爺や――いや、側近よ』

『側近よ。世界を手に入れた後、我の隣に立つことを許すのはお前だけだ。……我は受けた恩を決して忘れないからな』

『なに、勇者とその取り巻きなど一捻りだ。心配はするな。最強の我が敗れるはずあるまい? ……では、いってくるぞ』

――――――――

(魔王……様……っ!)ツツーッ…

――――――――

『ひ、ひやわへぇ……♪ ゆーしゃ……♪ もっろ♪ もっろ♪ ふらはひ……♪』

『お゛っ♪ お゛ほっ♪ お゛っ♪ しょ、しょれらめぇ……われんほお゛っ!? おがっ! お゛がしくひぃっ!?』

『ゆーしゃ、ゆーしゃぁ♪ おちんぽみるく……おちんぽみるくちょうだいー♪ ほらぁおててでおさらつくっ――へあぷっ!? ……はぷっ、ぷくぅ……んじゅ、ずるるるるっ♪』

――――――――

(魔王様……ッッッ!!!!)ポタポタ…


(おのれ……)

(おのれ勇者め……)

(おのれェェ……ッ!)

(蝶よ花よと育てたい気持ちを押さえながら、魔王様が一人前の覇王に育つように……時に厳しく、時に厳しく甘く……私――爺やは身を粉にして働いてきたのだ……!)

(魔王様は立派に育った……人格のみならず、肉体も魔力も……スタイルさえもワガママを通り越した独裁者ボディに育ったのだ……!)

(それを……)

(それを……!)

(あのような……!)

(あのように下品で……とにかく下品で……凄まじく卑しくて……更に端正なお顔が醜く歪んだり、あの独裁者ボディを好き放題しおってからに……!)

(許せん……!)

(許せんぞ……!)

(絶対に許さんぞ……!!)

(けしからん……ッッッ!!)


―ビキッ





(――もっとやれィッッッッッッ!!!!)クワッ

―ビキビキッ

(とうに枯れ果てたと思っていた私のせがれが……まさかこのようにいきりたつとは……!)

(この気持ちは何なのだ! このせがれは一体何なのだ!)

(目に入れても痛くないと豪語できるほどに可愛くて大切な魔王様をあのように滅茶苦茶にされて……)

(怒りと絶望と無力感で心の中はもうボロボロだと言うのに……)

(何故私は昂ぶり! 興奮し! せがれが硬さを取り戻していると言うのか!)

(分からん……! まるで分からんが……!)

(凛々しい魔王様があのような扱いを受けることが最も『美しい』ということだけは……分かる……!)

(だがそれでは説明しきれぬ……! 心は萎えきりながらも、老いきったせがれが蘇る理由には……あまりに遠く、足りない……!)

(私は知りたい……!)

(この気持ちは……この興奮は何なのか……!)

(知りたい……! 知りたい……!)

(…………)

(魔王様……)

(勇者――いや、勇者様……)

(勇者様についていけば……)

(この気持ち――心――謎が解けるやもしれん……)

(得体の知れない新たな概念……)

(これもまた、ひとつの『愛』なのだろうか……)

(…………)

(私も変わらなければ……自由の名のもとに……愛の道を歩まねば……)


(ひとまず……)


(ひとまずはまず……)

―フォンッ


側近「……もしもし」

《はい。大変おまたせ致しました。聖愛のメモクリ魔通信魔販売センター、担当の商人です》

側近「あ、あのメモリークリスタルを幾つか注文したいと思って魔通信したのですが……」

《はい。ありがとうございます。お手数ですが会員ナンバーを読み上げていただけますでしょうか》

側近「いえまだ会員にはなっていなくてですね……」

《……あれ? 側近さんです?》


側近「…………」

《やーやー、前に商談まとめた時に声聞いてたもんで……あ、記憶力はいいんですよ、商人ですからね、へっへっへ》

側近「…………」

《あー! 魔通信切らないでくださいよー! 大丈夫! 顧客の情報漏らしたりなんかしませんってー! それでそれでどんなのがご入用なんです?》


側近「……魔王様の、とか」

《なぁるほどぉ! はぁい、たぁくさん取り揃えておりますよー! うちの看板商品ですからねー! ただですね、決まりで一度も注文してない方にメモクリ譲れないんですよー》
《一度サンプルなりカタログなり取り寄せてもらってクオリティを確認してからの流れになりますねー。こんなはずじゃなかったー、って売る方も買う方も不幸極まりないですからー》
《あ、勿論そちら送料無料ですからご心配なさらずにー。参考までにジャンルというか傾向とかあればそういうサンプル揃えてまとめて送りますけどどーです?》

側近「……純愛っぽいんじゃなくて、できれば最初抵抗してるとか、そんな感じのが……」

《お目が高い! よく分かっていらっしゃる! ハイかしこまりましたー! そこらへん分厚くカバーしてサンプルメモクリどっさり詰め込んでおきますね!》
《住所は把握してるんで問題無いですよー。カタログと一緒に会員の申し込み用紙も入れときますから。今回発生したポイントもばっちり入るんで安心してくださいー》
《今キャンペーン期間中ですからポイント5倍ですよ。そうそう5本以上で送料無料なのでそちらも利用してくださいねー。……えぇと着くのは……4時間後くらいが目安ですかね、少々お待ちくださいー》

《ではっ! またのご利用をお待ちしております~♪》

―フッ


側近「…………」


―スッ

側近「……指先が震える」フルフル


側近「ワクワク、とでも言えば良いのか……何百年も味わっていなかった感覚だな……」

側近「昂ぶる……」

チラ

側近「……あと3時間58分か」

側近「…………」

側近「楽しみだ……」

―キラキラ
側近「…………」

側近「……私は待つぞ」

―キラキラ
側近「……関係ないメモクリサンプルなどいらん」

―キラキラ
側近「……魔王様のメモクリサンプルは1個だけだったしな」

―キラキラ
側近「確か新婚生活でラブラブとか……私はそういうのでなくて……」

―キラキラ
側近「…………おちんぽが重要なら、視野を広く持つ必要はあるか」

―キラキラ
側近「……これも学ぶべき、変わるべき点なのかもしれない」


側近「まぁ見るだけ。見るだけなら暇つぶしだからな。見るだけ」

側近「――愛の覇道だから仕方ない。魔王様と勇者様への忠誠心だから仕方ない」ビキッ

―ピッ

――――
――

>>574
修正
×竜剣聖「……正直、新しき時代と新しき魔王様のお姿に……迷う心も無いとは言い切れまぬ」
○竜剣聖「……正直、新しき時代と新しき魔王様のお姿に……迷う心が無いとは言い切れませぬ」


――
――――

…カラーン

…カラーン

…リンゴーン

…リンゴーン

カランコロンカラーン…

カランコロンカラーン…

ゴォォォォォン…

ゴォォォォォン…

―ッボワァァァァァァァンッ!!
―ッボワァァァァァァァンッ!!

チャン!チャンチャンチャンチャンチャン…カカッ!
シャンシャンシャンシャンシャン…プィー…シャン…シャン…プィヨープイー
ガインッ ガギンッ ガキンガキングワッキーンッ!
ヴィーヨ…ヴィーヨ…ヴィーヴィーヴィーィヨォ…ヴインヴインヴインヴヴヴヴヴヴヴヴ!!


魔王「 …… う る さ い 」

女戦士「ん? おぉ魔王じゃねーか! 随分遅かったなぁおい!」クピッ

魔王「……おいあの鐘は何だ? 闘技場でも開くつもりか? 今日は何の日だか分かっているのか女戦士」

女戦士「何の日ってそりゃぁ勿論――」

女戦士「――結婚式に決まってんだろーが」ニカッ

魔王「こんなに鐘をバカスカ鳴らす結婚式があるか……」

女戦士「いやさ、それが色々あってな?」グビッ

魔王「……ほう?」

女戦士「まぁこうなったんだよ」グビッ

魔王「………………………………」

女戦士「おいおいおい花嫁がなんつー顔してんだ。そんな眉間に皺よってちゃ折角の花嫁衣装とおめかしが台無しだぜ」グビビッ

魔王「なら説明しろ。場合によっては鐘を含む騒音物を塵にして口に押し込む」

女戦士「ひとくちに結婚式ったって様式が色々あるだろ? 和式だの洋式だの悪魔式だの角式だの淫魔式だの……どれを選ぶかで揉めてさー」プハー

魔王「……呆れた解決方法だな」

女戦士「もう分かったろ? おう、そら全部混ぜたさ。各花嫁好きにしなさいってことでまぁるく治まったってわけだ」ゴキュッゴキュッ


魔王「…………人様の家庭に口を出す気はさらさらないがな、女戦士」

魔王「酒は少し控えろ。……我はそれ以上は言わんぞ」

女戦士「んぁ? あぁこいつは酒じゃねぇよ。料理人に作ってもらった酒っぽい味がする限りなく酒から遠い酒みたいなジュースだよジュース」ゲフー


女戦士「……もう私一人だけの体ってわけじゃねぇしな」ポリポリ

―ポッコリ♪

女戦士「ホントいつまで禁酒なんだろねぇ。早く出てこいよほんとにーこいつー」ナデナデ


魔王「…………」

女戦士「どした? 呆けた顔して」

魔王「いや、お前まったく飲んでいないのか?」

女戦士「飲んでねぇよ。なんてったって妊婦だし」

魔王「…………」

女戦士「だからその顔やめろって。そんなに驚くことかこれ?」

魔王「……ああ」

女戦士「失礼なやつだなー。大体驚いたのはこっちだっつの」

魔王「? 何がだ」

女戦士「ドレスだよドレス。てっきり黒でピッチリキメてくんのかと思いきや……」

―シャラフワァ♪

女戦士「白でふわっふわのウェディングドレスとか予想外過ぎるぜ魔王」


魔王「……そ、そんなに似合ってないか?」ソワッ

女戦士「いや、いつも黒――ってかほぼ黒じゃん。それもガン攻め系のヤツ」


魔王「……我の容姿と、我の産まれ、我の役目からすれば……闇の黒こそ最も体に馴染む色であると、我は十二分に承知している」

女戦士「ほん?」

魔王「…………」

魔王「だが……」

魔王「その……」ツンツン

魔王「似合う似合わないと……着たい服飾は同義では無いと言うか……」ツンツン

女戦士「ほんほん」

魔王「…………」

魔王「憧れ、だったのだ」

魔王「純白の、かわいくてフリフリでフワフワの……それでいて小さい花だとか、ところどころに控えめな宝石の装飾があるようなそういうのが……」ツンツン

女戦士「ほほーん」

魔王「……そんなドレスを、我はずっと着たかった」

女戦士「ほーん」

魔王「……だから、例え似合っていなくても、せめて結婚式くらいは我の我が儘を――」

女戦士「いやいや、似合ってるぜそれ」


魔王「…………」

魔王「……何?」

女戦士「ふつーに似合ってるって。勇者だったら『白は褐色の肌を引き立てる最大の~』とか言い始めるだろ、多分」クピッ

魔王「…………我をからかっているのか」

女戦士「んー、つかさ。憧れのドレス着てるせいか、結婚式のせいかしんないけどさ」

女戦士「そんな幸せな顔してたら何だっていいんじゃね? 服装とかどーでも」プハー

魔王「…………」

女戦士「……あー、だからドレスが似合わないってわけじゃなくて、着てるヤツがそーだと服とかもさ……」

女戦士「…………」バリバリ

女戦士「駄目だ! パス! うまく言えん。後で全部勇者がちゃんと言ってくれるから丸投げでいーだろ」

魔王「いや……」

魔王「伝わったぞ、女戦士」

魔王「……その」


魔王「礼を言う」ペコリ

女戦士「うげー! そういうのパスパスパス! 無しだ無し! 今確実に似合ってねぇのはその態度の方だ魔王! もっとエラそーにファハハとか言ってろよもー!」グビビィッ!

魔王「……フフフ」クスクス

女戦士「……慣れねぇぜ。角が取れて丸くなった魔王とか勘弁してくれよ。第一印象からどんだけ遠ざかるつもりだお前ー」ォェー…

魔王「一言一句違えずに覚えておこうではないか、女戦士」ファハハ

女戦士「……ちっくしょー……酒が欲しいぜ……」ナデナデ

―ゾロゾロ…

「ふむん? 魔王ではないのかぇ? おお、見違えたのじゃ。……じゃが儂には分かるぞ魔王。やはり! 身に纏うのは『白濁』ッ! でなければのぅ」カンラカンラ―ポッコリ♪
「これはこれは魔王さん、素敵なドレスですわね! 高貴なイラマ角ンドルと相まってなおお美しいですわ! ただワァタァクゥシ♪程ではございませんが! オーーッホホホホ!」オーッホッホッホ―ポッコリ♪
「分かるわー♪ 最初から誘ってるより、いっそ清楚な方が汚しがいってかー♪ 興奮度無限大っていうかっ♪ 魔王ちゃん分かってるねーサキュバスP高いよそーいうの♪ んじゃっスタンプ押しとくねー勝手にー♪ アハハ♪」ペタンコ―ポッコリ♪

女戦士「……おー。白無垢に、全長10メートルはありそうな対空能力バツグンなドレスに、白ボンテージのドレス風と……やっぱアラクネすげぇな」

九尾狐「儂らの無茶な要望をすべて取り入れた上で、それぞれの個性を惹き立てる工夫をいとも簡単にぶち込んでくるからのぅ。あやつはまごうことなき天才じゃ」

二角公女「角飾りに見せかけた『グリップ』が送られてきた時は本当に心が踊りましたわ! わたくしの嗜好を深く理解していない限りありえないアクセサリーですもの!」

淫魔「ワタシのドレスもほぼすべての箇所がワンタッチで着脱可能なんだよねっ♪ いつでもどこでもすぐヤれちゃうウェディングドレスとかもう最ッ高ー♪」

女戦士「三者三様……じゃなくて千者千様か。……いやー壮観だぜぇこいつぁ」キョロキョロ


九尾狐「時に魔王に女戦士――」キラーン

九尾狐「――ぬしらの『番号』はいくつじゃったかの?」ムフフフ…

女戦士「……その態度。さてはいいの引き当てやがったな」

九尾狐「さぁて……どうかのぅ?」クスクス

二角公女「わたくしは222番でしたわっ! この二本角に相応しい数字ッ! そして500番を切るそれなりの位置となかなかの引きでございますのっ!」オーッホッホッホ!

淫魔「ワタシは69番ー♪ これもう式場でヤるしかないよねっ♪ ってか絶対ヤるー♪ 誓いの言葉からの立ち69とかヤらざるを得ないー♪」

女戦士「げっ!?」

九尾狐「して女戦士は幾つなのじゃ?」

女戦士「……きゅ、96」

淫魔「やた♪ 勝ったったー♪ ってワタシと数字逆じゃーん♪ これはもう女戦士ちゃんもヤっちゃおーよ♪」

女戦士「いや二番煎じだし遠慮しとくぜ。……二桁だから結構いい方だと思ったんだけどなー。あっさり上いかれたなー……」

九尾狐「ふふふ……」ムフゥ

九尾狐「儂は――」


九尾狐「――9番目じゃっ」 ド ヤ ァ … !

女戦士「ひっ、一桁ァ!? マジかよ! すげぇくじ運してんなお前ぇー!」

二角公女「……シ、シングルナンバー……は……流石に……こたえますわね……」

淫魔「いいなー♪ 下手したら今日中に挙式じゃーん♪ ひょっとしてひょっとして夜中だからドレスそのままでベッドイン? とかとかー♪」

九尾狐「どうじゃどうじゃっ! 儂の数字を超えられる者はそうはおるまいてっ♪」ピコピコ



魔王「フッ」シャラフワァ…!



女戦士「な……に……」

二角公女「その余裕……まさか……」

淫魔「え♪ マジマジ? 魔王ちゃんも鬼引き系? だったりだったり♪」

九尾狐「わ、儂を超える数字所持者じゃとぉ……!?」

魔王「我の数字は――」



ゴクリ…!



魔王「――999番だ」



女戦士「…………」
九尾狐「…………」
二角公女「…………」
淫魔「…………」



魔王「フッフッフ……」



女戦士「おん前……!」

女戦士「ドン尻もドン尻じゃねぇかよ……ッ!」

九尾狐「無駄にドキドキして損したのじゃー!」

淫魔「あひゃひゃひゃひゃっ♪ ある意味鬼引きじゃーん♪ 超ウケルー♪」

魔王「皆、まるで分かってはおらぬな」

二角公女「……どういうことですの?」

魔王「安い番号。おおいに結構。だがな……」


魔王「それらはすべて前座に過ぎぬのだ……!」ニヤァ

九尾狐「ぜ、前座じゃとぉ!?」

魔王「『1番』が固定されている以上、それらの番号すべてに意味は無いのだ!」

魔王「いやさきといやはて――最先と最後。αとΩ。幾ら過程が重要であっても、始まりと終わりを超えることは決して無い!」

魔王「ならば一番印象に残る最後の挙式こそ……この結婚式の絶対の勝者! 覇王なのだ!」

淫魔「あー♪ それ言えてるかもー♪ なんだかんだで最後のイき方次第で印象ぜんぜん変わっちゃうもんねー♪」

魔王「さぁ! 幸せに喚け! 幸せに足掻け! 幸せに憎しみ合え! せいぜい我の糧となるがいい若番の花嫁ども!」ファハハハ!

二角公女「何てことですのォ……こんな中途半端な数字じゃ太刀打ちできませんの……!」ガックシ

魔王「ファハハハハハ――」


ポンポン


魔王「――ハ?」

女戦士「いや最後魔法使いだから」

魔王「――――」

魔王「え」

女戦士「最後の挙式、魔法使いだから」

魔王「あ、えと」フラ

魔王「待て。どういうことだ」フラ

女戦士「1000番目の結婚式。魔法使いだから」

魔王「いやもうそれは分かった! 我が求めている答えはそうではない!」

魔王「魔法使いは既に結婚しているだろう! 何故結婚式をもう一度やる必要があるのだ!」

女戦士「勇者がさ」

女戦士「どうせならやり直そうって」

魔王「」

女戦士「今回の戦いを通して、自分の気持ちを再確認した。これで本当の意味で君を愛せる的な」

魔王「嫌だー! 聞きたくなーい! 我が最後がいいんだー! 我がファイナルウェディングケーキブレードしたいんだー!」ブンブン

女戦士「魔法使いはそれはもうハート目の雌顔全開で『はい……』ってまるで初々しい恋人」

魔王「容易に想像がついてしまうー! それはそれと割り切っていても感情をコントロールしきれないー! 例え魔王と言えどー!」ブンブン

女戦士「…………」

女戦士「まぁ、前座同士で妊婦同士……仲良くやろうぜ魔王♪」ポンポン

魔王「ぐ……!」

九尾狐「そうじゃなぁ。儂らの数字は大差ないのだからのぅ」―ポッコリ♪

魔王「うぐぅ……!」

二角公女「せいぜい魔法使いさんの式の糧になれるよう頑張りましょうか、魔王さん」―ポッコリ♪

魔王「むぐぅ……!」

淫魔「てか一番前座感高いのって999番の魔王ちゃんじゃん♪ 魔法使いにたっぷり見せつけられそー♪」―ポッコリ♪

魔王「うごごご……!」プルプル


アサシン「…………ここまで切れ味鋭いブーメランは見たことがない」―ポッコリ♪

ポニテ侍「ワハハッ! ここのところ魔王殿のポンコツ化に拍車がかかっていますな!」―ポッコリ♪

武闘家「むしろ最初からポンコツだたとアタシ思うね。アレが魔王の素に違いないね」―ポッコリ♪

錬金術士「で、でも、ギャ、ギャップは武器になると……お、思うんだ……だ、だから私も、ウシュシュシュッ!」―ポッコリ♪

せっかく「シャラフワァ」したのに…
魔王様が不憫でならない(´・ω・`)

みんなポッコリドレスで結婚式なのに
僧侶だけはペターンドレスで結婚式
きっと僧侶は情熱的な真紅のドレスなんだろうな

…血涙で染まった

紅竜「こんなヤツにビビッて付き従ってたのかオレ……」―ポッコリ♪

氷の女王「…………分かる」―ポッコリ♪

吸血鬼「おねーさん的には魔王ちゃんのかわゆーい一面が知れてよかったかなーってぇ。ねぇー自動ちゃん?」―ポッコリ♪

自動人形「……インプット。次ヘ」―ポッコリ♪

妖精姫「うわー……大量の本が浮きながらくるくるくるくる……自動人形さん何読んでるの?」―ポッコリ♪

自動人形「……インプット。……出産と育児について学んでいまス」パラララ…

踊り子「わー! それ私も読みたいー! 後で貸して貸してー……あ、この妊婦のセックス指南本私予約ー☆」―ポッコリ♪

自動人形「……インプット。だけど、少し困っていまス」

吸血鬼「自動ちゃんでも困ることあるんだぁ。いつも最速最適ーって感じでぱぱぱーってやってるのにぃ」

自動人形「自動人形が出産、育児をするケースに対応した書籍がまったく見つからないのでス……」

錬金術士「あ、あー……そ、それは仕方ない……かも。オ、自動人形が、妊娠するケース、た、多分君が初だし……」

氷の女王「…………そもそも、妊娠するだけで、奇跡」

鳥人娘「子育てッスか! それならポンッと出た卵をウオオオオオって温めればピヨピーチクってなもんッスよ! 多分!」―ポッコリ♪

武闘家「ソレ卵産むヤツの話よ。自動人形は……アー、そもそも機械の子どもてどういう風に産まれるね?」

盗賊王女「それが分からないから自動人形は困っているのだろう。……すまんが、そういった内容の書物は私の宝物庫にもないな」―ポッコリ♪

医者「メスと薬で治せるなら協力は惜しまないがね。……どうやらお前さんはそういう問題でも無いらしいな」―ポッコリ♪

自動人形「……自動人形は不安でス。果たして機械の身で母親になどなれるのでしょうカ……」シュィィィン…

ミノ娘「ピカピカ、それ違う。鉄の体、関係ない」―ポッコリ♪

自動人形「……エ?」

ミノ娘「生きてる女。みんな、母親になるの不安。初めては、みんな不安。おんなじ」

ミノ娘「ピカピカもミノもおんなじ。胸のもやもや、倒せない。取れない。それとても強い。ずっとついてくる」

ミノ娘「……でもミノの母親、それと戦ってミノ育てた。ミノの母親の母親も、母親の母親の母親も、みんなそうやって育ててきた」

ミノ娘「ミノも戦う。ミノの子元気に育てる。ピカピカも戦う。ピカピカの子元気に育てる」

ミノ娘「だから、不安なのは、既に母親。ピカピカ、お前は立派に母親」

ミノ娘「……違うか?」

スライム娘「イッショ♪ ユーシャモ、ミンナモ、イッショー♪ ヒトリジャナーイ♪」―ポッコリ♪

自動人形「…………」キュィィィン…

自動人形「……ありがとうございまス。何だか自動人形、皆さんと一緒なら母親になれそうな気がしてきましタ」

―パァァァァ

「その通りです自動人形。あなたには頼れる多くの仲間と、頼りになる夫、そして――」

「――頼りになる神がいるではありませんか」

―キラキラキラ…

女神「私が存在する限り、絶対安産・絶対妊娠・絶対絶頂は約束されているのですから」―ポッコリ♪

自動人形「女神サマ……とても心強いお言葉でス」

女神「信じなさい信じなさい……信仰力が増えに増えまくった女神のパゥワァーを信じるのです……」パァァァ…ッ!

紅竜「……最近女神のノリが前より輪をかけてクソ鬱陶しいのは何でだ」

女戦士「例の計画で信仰力ドンドコ右肩上がりだから有頂天なんだろ。実際、その3つにかけては追随を許さないってかマジもん――お?」

女戦士「言ってるそばから来たぞ計画の首謀者。熱心で敬虔な信徒――ある意味愛の伝道師が」


パチパチッ

商人「やーやーどーもどーも皆さん。遅れてしまって申し訳ないですー」―ポッコリ♪

エルフ妹「物分かりの悪い商談相手で本当に疲れましたわ、ねぇお姉さま」―ポッコリ♪
エルフ姉「ええ。もし式に遅れでもしたなら……後で領土を焼き払っていたところだったわ妹」―ポッコリ♪

女戦士「ってことはうまくいったのか?」

商人「はいっ♪ クリスタルの鉱山を見事に購入成功ですですっ♪」

女神「よくやりました商人! では……?」ワクワク

商人「皆さんの治めている領土のクリスタル鉱脈からの産出が市場の5割、私のポケットマネーで1割、今回の購入で2割……」

商人「つまり市場の8割を押さえた今……メモクリの大量生産安定供給は盤石のものとなりましたー!」ブイッ!

女神「と言うことはっ。と言うことはっ……もうどういうことになっちゃうんですか商人?」ソワソワ

商人「それはですねっ♪ 需要に対して追いついていなかった今までのメモクリの増産! 更なる新作の開発!」ビシッ

商人「そしてそれらによる莫大な利益――つまりは光り輝くオ・カ・ネが我が連邦に入ってきてですねっ!」ブンブン

商人「更に更にそのキンキラキンのオ・カ・ネを我が連邦の誇る最強の専門職さん達に投資してできたモノを更に売りまくってですねっ!」ブンブン

商人「更に更に更に増えたオ・カ・ネをメモクリの布教活動と増産に回して……あれれー♪」

女神「おやおやー♪ 何やら最初に戻っちゃいましたね♪」

商人「ですねですね♪ 不思議ですね♪ これではまるで――」
女神「これではまるで――」

商人・女神「「――無限ループじゃぁないですかー♪」」

商人「当然それにつれて女神様の信仰力も爆上がりですよ! キャンペーンも大々的に打っちゃいますから今までの比じゃありませんよ! 女神様も潤っちゃうんですよ!」

女神「これ以上潤っちゃったら私の『真・裏・冒険の書』がパワーアップなんてことに……ハッ!」ハッ!

商人「うぷぷ」ウプププ…
女神「うふふ」ウフフフ…

商人「アハハッ♪ アハハハハッ♪」 女神「ウフフフッ♪ ウフフフフフフッ♪」
クルクルクルクル…♪

紅竜「……アルラウネ。あいつらの足元にお花畑創るのやめろ。輪をかけてクソウザくなる」ボッ

アルラウネ「あっ、ごめ。半ば反射でやっちゃってるからさ。アレやられるとやらなきゃって感じでさ」―ポッコリ♪

女戦士「まぁまぁ、式場の床に花が溢れるってのはそんなに悪くは……ん?」キョロキョロ

女戦士「商人さ。商談って勇者連れてったんだよな? あいつ今どこにいるんだ?」

ポニテ侍「お色直しではござらんか? 果たして殿はどのような礼装で式に臨むのか……拙者は楽しみでござる♪」

―ピタッ

商人「……その勇者さんなんですが」

商人「多少問題がありまして……少しだけ式に遅れそうなんですよ」


紅竜「……へぇ。で、遅らせたのはどこのクソ野郎だ」ボォッ
アサシン「……我が主に、何か……?」ジャキンッ
武闘家「……詳しく聞かせるね。そいつの関節全部曲がらない方に曲げるね」パキポキッ
ポニテ侍「……事と次第によっては、でござるな」チキッ


女戦士「こらこら落ち着け妊婦新婦共。まだ何も理由分かってないだろが」

女戦士「……で、何があったんだ商人」

商人「はい。女戦士さん、北の国をご存知ですか?」

女戦士「魔王領に面してる軍事国家で……武器の輸出、傭兵の斡旋で稼ぎに稼いでるとこだろ」

商人「流石にお詳しいですね!」

女戦士「まぁ金が無くなる度に出入りしてたからな……で、その北の国がどうしたよ?」

商人「それがですねー、最後の最後に伺ったんですけどねー、我々の提案をまっっったく飲んでいただけなかったんですよー」

商人「まぁ武器の生産輸出は構わないんですが……討伐と称したプチ戦争行為は流石にマズいじゃないですかー」

女戦士「……私たちが魔王軍と和平結んだ裏でこそこそやってたわけか」

商人「扇動や暴徒を鎮圧する、平和維持の為の新たな傭兵の会社を作ってはいかがでしょうか? と資料とプレゼンまでしたのにまったく耳を傾けてもらえず……」

女戦士「凝り固まった頭の連中に何を言っても無駄だって。あいつら脳みそと耳に鉄板でも仕込んであるんだきっと」

商人「まぁ私の商談がうまくいかなかったのはいいんですよ、単純に私の力不足もあるでしょうし、そもそも強制させる権限だってない訳ですしー」

女戦士「……いや、商人が力不足って言ったら誰が説得しても無理だろ……」


商人「……ただですね」

商人「『魔王軍が攻めてきた』と言う事件を捏造するのは、我々としても、勇者さんとしても女神様としても見過ごせないじゃないですか」


女戦士「! ……おー、話が一気にきな臭くなったな。……それもう決行されちまったのか?」

ヒョコッ

記者「いやまだスね。バレないように慎重に立ち回っているつもりらしいんスけど」―ポッコリ♪

記者「正直筒抜けス。バッチリネタ上がってるんスわ。正直先輩達がしこたま情報提供してくれるんで色々丸見えスね」バリバリ

商人「我々がようやく築き上げた共存の礎をですねー……」

商人「そんなことをされるとですねー、台無しになってしまうわけですよー」

商人「我々の利益、利潤、利沢、利得プラス平和調和を破壊しにきてるわけですよー……そうなると、これもう――」


商人「――我々に対する宣戦布告と受け取っても差し支えないじゃないですか」ニッコリ


女戦士「……誰を敵に回すか分かってて北の国はやってるのか?」

商人「どうでしょう? 正味、『魔族との共存などありえない』だとか『戦争が無くなって儲けが減るのが困る』だとか」

商人「……あとは『亞人魔族共の寄せ集め集団の音頭が簡単に取れるはずがない』と舐められてるのがあるんですかねー」

女戦士「……で、どうするつもりなのかな商人さん?」


商人「幸いにも、ですね」ニコニコ

商人「我が連邦は世界中の誰もが羨む人材の宝庫でして」ニコニコ

―スッ

詐欺師「既に手は入れてある。汚い連中だし加減はしない。尻の毛一本たりとも残さない」―ポッコリ♪
金貸し「で、弱った連中はきっちりケアしよう。まぁ利息に多少の難はあるが……今死ぬよりはずっといいだろう」―ポッコリ♪
怪盗「非合法な手段で捲き上げた金品は~! アタシと盗賊王女姉さんの非合法な手段で持ち主に返しましょ~!」―ポッコリ♪

工兵「仕掛けられた爆発物、魔法陣を気付かれずに解除して魔王領の無人地域に設置し直すとか……旦那も無茶言うよなぁ。まぁ出来るけどさ」―ポッコリ♪
狂戦士「ウ、ウゴ……殺サナイヨウニ殺ス。殺サナイヨウニ、殺ス」―ポッコリ♪
弓兵「超長遠距離スナイプならまっかせて。矢の数だけ色んなものを無力化しちゃうんだからっ」―ポッコリ♪


女戦士「なるほど。既に策ありと。勇者は何するんだ?」


商人「……北の国で実権を握っているのは北の王なのですが……彼は入婿なんですよ」

女戦士「……んー? 好き放題できてるってことは、何かと引き換えに政略結婚ってことか」

記者「当たりス。多額の国債を背負う代わりにって話なんですけど、そもそもこれ婿側が仕組んだことなんで……バリ性質悪いスね」バリバリ

商人「ですから勇者さんには、本来国を導くべき王女様に『勇気』を与える仕事をお願いしました」

女戦士「……へぇ、『勇気』、ね」

商人「なんでも王女様は引っ込み思案で自分に自信が無く、常にビクビクしながら夫に盲目的に従っているとか」チラ

記者「争いごとが苦手で、武器輸出や傭兵に関しても本当はよくは思ってないみたいスね。仕方ないって諦めてるみたいスけど」バリバリ

女戦士「あー……」

商人「こと女性に『勇気』を与えることに関しては、勇者さんの右に出る者はいません」ニコニコ

商人「きっと王女様は勇者さんの『説得』によって、国と民を正しく導く為に立ち上がってくれることでしょう。ついでに連邦にも入ってくれることでしょう」ニコニコ

女戦士「……理解したぜ」

女戦士「で、時間がかかる、と」

商人「ええ」ニコニコ

女戦士「結婚式の日に、『説得』で」

商人「はい」ニコニコ


女戦士「……プッ」

女戦士「アッハッハッハッハッハ!」

女戦士「私たちの旦那は節操が無ぇなホントに!」

商人「そうですねー。結婚式当日の朝からとか流石ですよねー」

女戦士「まっ、らしいけどな」

商人「最高に勇者さんらしいですね、ええ」

女戦士「モチロン間に合うんだろ?」

商人「予算を湯水の如く使って修復、改良をした飛空艇改を控えさせてます。船長さんならあっという間に勇者さんを届けてくれますよ」ビッ

女神「遅れて登場する勇者……ハァ、カッコ良いですね~……後光つけてシルエットのみ先見せとかズボりどころですよコレ」フンス

女戦士「お花畑から帰ってきたか女神。演出は構わないけどな、豪雨と雷光はやめろよ。九尾狐のお天気雨調整するだけでも大分苦労したんだからよ」

女神「なら立ち込める霧とかはどうですか! それをこう、纏い千切りながら勇者がゆっくりと大地を踏みしめてですね――」


―スッ

メイド長「失礼します。魔王様、お客様をお連れしました」ペコリ―ポッコリ♪

魔王「ふぬぅぅぅ――ん? 客?」

―スッ

烏賊嬢「魔王様ーッ! ええっと……ほ、本日はシ、シオマネキイカ抱きましてありがタイでゲソでゲソいます?」ゲソッ!

髑髏将「……お招きいただきまして、だ烏賊嬢。……晴れやかな席にお招きいただきまして、ありがとうございます魔王様」ガシャッ

竜剣客「魔王様! 結婚祝いに竜族の希酒を持ってきましたぞ! 我が家の家宝の五百年物でございます! お納めくだされっ!」ザンッ

側近「ご結婚おめでとうございます魔王様。勇者様と魔王様のお二人の門出に立ち会わせていただく幸福を、爺やは噛みしめております。年甲斐も無く興奮し、昨夜は一睡も出来ず、魔王様の幼少の頃を思い出しては爺やは滾り、悲しみ、憂い、迸り――」ペラペラ

魔王「…………」

―シャラフワァ♪

魔王「皆、良く来た。存分に食い、飲み、我と勇者を祝福していくが良いぞ」キリッ

メイド長「……女神様」ヒソ

女神「天に突き上げた剣を振り下ろすと光の道が――はい?」

メイド長「招待リストに無いお客様が1人、お越しになられています」

女神「……リストに無い、ですか」

メイド長「はい。お通しする訳にもいかず、会場への入場はお断り申し上げたのですが……」


メイド長「……一言。『姉だと言えば分かる』と仰いまして」

女神「!」


メイド長「……もしや、お心当たりが」

女神「……メイド長、そのお客様を会場へお通ししてください」

メイド長「……畏まりました」

―シュッ

女神「……ああ、今日は何てラブリーな日なんでしょう」

女神「こうしてまた会える日が来るとは思っていませんでした――」


女神「――姉さん」ウフフ

短め投下

――――

銀牙狼「おい糞ババァ! 返せッ! オレ様の服返せコラァァァァァッ!」ガルルルッ!

アラクネ「あらあらー。服ならちゃーんと着てるじゃない。私が一瞬で仕立てたオートクチュールが」―ポッコリ♪

銀牙狼「く、くちゅくちゅだぁ? こんな下がパッカリ開いた服着てられっかよ! 股がスースーして落ち着かないったらないぜ!」モジモジ

アラクネ「あらー? それは下がパッカリ開いた服じゃなくてワンピースって言うのよワンコちゃん」キチキチッ

銀牙狼「わ、わんぴーす? と、とにかくこんなの風吹いたらモロ見えちまうようなイカれた服着ねぇ! だぁらオレ様の服返せオラァァァァァッ!」ガルルルッ!

アラクネ「あらあら、だめよー。今日は結婚式なの。こんな返り血だの埃だのびっしりついた服場違いよ? あと美的センス皆無だし、後で繕い直しとくわネー」クルクル

銀牙狼「オレ様が結婚するわけじゃねぇんだから何着たっていいだろうが! 服は弄るんじゃねーッ!」

アラクネ「あらー。服飾を合わせるのもマナーなのよ? それにこんなボロ雑巾みたいな服見てると私の触肢が疼くのよ……キレイでカワイくしなさいってネ」チクチク

銀牙狼「るぁぁぁぁぁっ!? オレ様の服に何しやがるッ! オレ様が手ぇ出さねぇからって調子に乗りやがって……こうなったらこの爪で――」

チョンチョン

銀牙狼「ア゛ァッ!?」バッ

狼少女「銀姐、その服似合ってるよ。どうしてダメなの?」―ポッコリ♪

銀牙狼「…………いや」

銀牙狼「…………似合っては、ねぇよ」ポリポリ

狼少女「似合ってるよ! ご主人も絶対似合うって言うよ!」ワフッ!

銀牙狼「ハ、ハァッ!? そこで何でアイツが出てくるんだよッ!」

狼少女「? 違うの銀姐? だからヤダヤダしてたんじゃないの?」ワフ?

銀牙狼「ちッ、違ぇよ……そんなんじゃ……ねぇし……」

狼少女「ご主人はそーゆーお洋服だとね、こーやってふともものあたりから手をねーちょっとずつちょっとずつ……」ツツツツ…

銀牙狼「わひっ!?」ゾゾッ

狼少女「なでなでしてー、それでお股の――」

銀牙狼「やめッ――やめろこのッ! 別にアイツそんな事オレ様相手にしねぇしッ!」ババッ

狼少女「ワウ?」

アラクネ「あらー? ワンコちゃんその反応――」キチチッ


アラクネ「――ひょっとしてまだなのかしら?」ニマァ

銀牙狼「…………ま、まだとか……何のことだか、さっぱり、だな……」ヘロリ

ポンポン

女将軍「僧侶コースか。ご愁傷様だ」―ポッコリ♪

銀牙狼「はぁ!?」

女騎士「くっ……! これは間違いなく僧侶コース……ッ! 想像するだけで……感じてしまうッ!」―ポッコリ♪

銀牙狼「なんだよ僧侶コースっておい!」

聖騎士団長「……素直になることが解決への近道です。……とは言ってもあなたは僧侶さん以上に苦労しそうですが」―ポッコリ♪

銀牙狼「だからなんで僧侶が関係あんだよッ! おいテメーらまとめてその生暖かい薄ら笑いやめろやッ! かっ捌くぞ! アァッ!?」ガルルルッ

銀牙狼「アイツは何か文字の読み書きを教えてくれるとか抜かしやがったからよ!」

銀牙狼「オレ様はそれを利用してやってるだけだぜ! 奥技書を読み放題になったらボコボコにして魔王様を正気に戻してだな!」
アラクネ「読み書き教室楽しい?」

銀牙狼「楽しい」


――……


銀牙狼「――ッァ!? いや全然楽しくねー! これっぽっちも楽しくねー! 褒められたってゴミほども何も感じねー! あんなの1週間に7回でもごめんだぜ!」フシュッ!

女騎士「毎日か。……この欲しがりさんめ」プスス

銀牙狼「なッ!? 違ぇ間違えた! とにかくだな――」ブンブン

―ドンッ

銀牙狼「痛ッ――どこに目ぇつけてやがる! ブッ殺すぞ!」ガルルルッ!

「すまない。悪気は無かった」


銀牙狼「――――」ゾワァ…


「痛むようであればこれを使え」スッ

銀牙狼「――ァ――ゥ――」パクパク

「死人でさえ息を吹き返す霊薬だ。……使うのはごく少量でいい」

銀牙狼「……ッ……ッ」


「…………」ジッ

「強いな。だが、惜しい」


銀牙狼「……な、ん……?」

―シュッ

メイド長「……こちらへどうぞ。女神様がお待ちになっています」スッ

「ああ、今行く」

「……すまなかった。どうにも、まだ生身の体に慣れていなくてな」

「……ああ、そうだ」クルッ―

「さっき『殺す』と聞こえたが」

銀牙狼「……ッ!?」ビクンッ

「手合わせならいつでも歓迎するぞ」

―ザッ


銀牙狼「――――」

銀牙狼「――ハーッ……! ハーッ……!」ドッ―

狼少女「銀姐、すごい汗だよ。大丈夫?」ペロペロ


銀牙狼「何だ……今の……? デケェ……とてつもなく……デケェ何かが……」ブルルッ


狼少女「? ご主人のちんちんのお話?」ワウ?

アラクネ「あらあらー、今の創作意欲ビンビンに刺激する美人ちゃん誰かしらー? どなたかお知り合い?」キチッ

聖騎士団長「……物凄く見覚えがあると言えばあるのですが……無いと言えば無いような……うーむ……」

女騎士「そう言えば、女神様に似ている気もするな」

女将軍「……そうか? 一分の隙も無いあの身のこなし――私には別人に見えたがな」

――――

ザワザワ――ドヨドヨ…

 エェー――ヤダモー!――キャッキャッ…



―スッ

メイド長「女神様。お客様をお連れ致しました」ペコリ

女神「ご苦労様。下がっていいわメイド長」

メイド長「……はい。私は婚礼時特別奉仕任務に戻らせていただきます。……失礼します」シュッ―


「…………」


―サーーッ…

…ピーヒョロロロ…


「…………」

「……久しぶりだな」


女神「……本当にお久しぶりです――」


女神「――姉さん」



―ザァッ…!




紅竜「…………あァ? 今あの女神何つった?」

女戦士「……私の耳がイカれてなきゃ、姉さんって言ったような」

二角公女「女神様の、お姉様……? 凛々しくて、何と神々しいお姿……角が無いのが何とも惜しいですわね」

九尾狐「にょほほっ! これは驚いたのじゃ……まさか二柱目も降りてこられるとはのぅ」

魔王「……ほう。これはこれは……」


女神「……皆さん。紹介しますね」

女神「こちらは私の姉さん。そして戦を司る女神――」


女神「――戦女神、でもあるんですよ」パァァァ

戦女神「戦女神だ。よろしく頼む」シャキーンッ!!

女戦士「…………」

女戦士「戦女神……?」チラ

女神「はい♪」

女戦士「孕まセックスの女神……?」チラ

女神「はいっ♪」ビシッ

女戦士「…………」


「皆さーーん!!」

女戦士「あ、僧侶……」


僧侶「良かった! こちらに皆さん集まっていたんですね!」― ポ ッッッッッ コ リ ♪

女戦士「僧侶……あのな……」

僧侶「結婚式の新婦の風習すべてを調べ上げるのは骨が折れましたが……巫女さんと協力して何とか間に合いました!」

巫女「これで新婦が望む結婚式をすべて再現できます……思い出に残る最高にえくすたしぃな式……ああ見えます……無数の赤い糸を衣のように纏う勇者様がありありと……」―ポッコリ♪

女戦士「僧侶……聞いてくれ……」

女戦士「こちら、戦女神様だそうだ」

僧侶「…………はい?」

女戦士「戦・女神様なんだそうな」

僧侶「………………え?」

戦女神「戦女神だ。よろしく頼む」シャキーンッ!!


僧侶「……え、と……戦女神、様……?」

女戦士「…………」コクッ

僧侶「神槍にて悪しき者を貫き、私たち行く先を示し、導いてくださる……戦女神様……?」

戦女神「いかにも」コクリ

巫女「まぁ……」


僧侶「……うっ」パシッ

女戦士「あっと、血ぃ吐くか? タオルいるか? 医者呼ぶか? それとも錬金術士か?」

僧侶「い、いえっ! 大丈夫ですから! と言うかもう吐血しようが無い体になっちゃいましたし……」アハハ…

九尾狐「特殊体質――ひぃりんぐふぁくたぁ、じゃったかの? では今のもぉしょんは何じゃ?」

僧侶「あの……伝承や碑文で見聞きしていた戦女神様にやっと会えた、と言う感動とつわりがないまぜになって思わず……」テヘヘ…

女戦士「……驚いた」

僧侶「へ? 何がですか?」

女戦士「……いや、もっと色々ぶち撒けるかと思ってたからな」

僧侶「……ああ、まぁ、そうですね。少し前の私でしたらそうなっていたかもしれませんね」


僧侶「……でも、今は女神様に感謝していますから」

僧侶「世界を救えたのも、私が素直になれたことも……」

僧侶「すべては勇者さんと女神様のおかげなんです」


僧侶「……もちろん、この子を授かれたことだって――ふふふ」ナデナデ…


女戦士(女神だ……)
九尾狐(女神じゃ……女神がおる……)
巫女(女神様より女神らしいかもです……うっすら後光が……)
二角公女(もう女神でいい気がしてきましたわ……)
紅竜(クソ女神とは比べもんにならねぇ位女神……)
魔王(女神とはかくあるべきだな……)
女神(これは女神にしか見えない……)

戦女神「……結果こそ良かったものの」

戦女神「私が降臨できなかったのは、天界の不手際だ」

戦女神「天界のすべての者を代表して、私が謝罪する」

戦女神「すまなかった」スッ

僧侶「いえいえいえいえっ! そんな戦女神様が頭を下げる必要なんかありませんよ! か、顔を上げてください!」ワタワタ

女戦士「いや、正直気になるから聞きたいんだけどさ」

僧侶「女戦士さんっ!?」

女戦士「何でこいつが降臨りてきたんだ?」

女神「神々しい妊婦の舞~♪」クルクル

戦女神「…………」

戦女神「我々、姉妹にはそれぞれの役目がある」

戦女神「例えば末妹である女神は『豊穣』を司る」

紅竜「……へェェェェ。『豊穣』、『豊穣』……ねェ?」チラ

女神「産めよ! 増やせよ! 性交せよっ! 絶頂せよっ! 何は無くともセックスせよっ! 孕んでもなお互いを求めよっ!」ビッ

戦女神「私は『戦』、と言った具合にだ」

戦女神「……そして、降臨には力が必要だ」

戦女神「言わずもがなの信仰力。自然界に溢れるマナ……」

戦女神「それらを借りることによって、我々はようやく降臨が可能となる」


戦女神「……破壊し尽くされ、命が多く失われた世界であれば豊穣を司る女神を降ろし」

戦女神「世界を滅ぼしかねない力を……退ける必要があるのであれば私を降ろす」

戦女神「そうして幾千もの時と危機を、この世界は乗り越えてきたのだ」

女神「……本当に。エロ――色々ありましたよねぇ」ウンウン


戦女神「……そうだ。今回は私が降りるはずだった」

戦女神「今までに無く巨大で邪悪な狂気と覇気――新たな魔王はあまりに凶大だったからだ」

魔王「その上カワイクて胸も巨大なのだから始末に終えんな」タユンッ

戦女神「使用する信仰力もマナも、今までとはやはり桁違いの量。……私も神槍と神盾を万全に手入れし、臨もうとしたのだが……」

九尾狐「……じゃが?」

戦女神「……既に女神が先に降臨した後だったのだ」ゥヌゥ…

女戦士「…………ええっと、つまりだ。女神がありったけの信仰力とマナを勝手に背負って、先に地上へ行っちまったと」

戦女神「ああ、そうだ」

女戦士「…………」チラ

女神「……てへぺろ☆」バチコーン

紅竜「こンのクソ女神ィ……」イラァ…!

戦女神「私が降りて追いかけようにも、力が足りない。無理をしてねじ込めば世界そのものが枯渇してしまう」

戦女神「……結果。天界に残った我々は、ただ女神と世界を見届けるしか無くなってしまったのだ……」

女戦士「女神。お前どうして勝手に降りたんだよ……」

女神「……呼ばれてる気がしたんです。それで……いってきますとばかりに……勢いで……」

女神「今思えば、あれは――」


女神「――勇者おちんぽの呼び声だったのかもしれません……!」キラキラ…!

紅竜「マジかよコイツ……ッ!」ビキッ

僧侶「あながち間違ってないかもしれませんね」フフ

紅竜「マジかよお前……」ェェー…

戦女神「正直、世界の再生からやり直すことも覚悟していたが……」

戦女神「勇者達の力と、お前の消滅も厭わぬ覚悟が道を切り拓き、魔王を倒すことができた」

戦女神「更にお前は世界に調和を齎しただけでなく……女神二柱が留まれる程に世界を信仰で満たしたのだ」

戦女神「……よくやったな、女神」

女神「……いいえ姉さん。私はあくまで皆さんのお手伝いをしただけです」

女神「魔王さんを倒せたのは、固い絆で結ばれたたくさんの仲間たちと――」

女神「――勇者が力を尽くしたからこそです」ニッコリ

戦女神「……そうか」

戦女神「そうだな」フフ


九尾狐「間違ってはいないがのぅ……あの笑顔は問答無用でしっぽびんたしたくなるのぅ……」タシッ タシッ

紅竜「戦女神の姉御、クソ女神に甘くねぇか……? ノリで世界滅ぼしかけて単に謝罪で済むのか……? なぁ……?」ボッ

女戦士「結局無血ですべて事を収めたからなー、リスクを補って余りあるリターンって言い切れるんじゃねぇ? 戦女神だったらそーもいかんだろうしな」ホジホジ

魔王「せいぜい流れたのは――我の破瓜の血と言うわけだな、ファハハハ!」バサァ



戦女神「……それで――」








戦女神「――お前はいつ天界へ戻るのだ?」










シ―…―ン…





「「「「「「「…………え?」」」」」」」





―ザァァァッ…!


…ピーヒョロロロ…






女神「…………」


サァァァァ…

女戦士「女神……お前……」

二角公女「天界へ戻られてしまうのですか女神様……」

九尾狐「儂らにそんな重要なことを伏せおってからに……」

僧侶「め、女神様……? 冗談、ですよね……? そんな急にいなくなるだなんて……私……」



女神「いえ戻りませんよ?」



紅竜「ッン戻らないのかよッ! じゃぁさっきの意味深な間と表情は何なんだよ! ビックリして損したクソがふざけンなッ!」ボボーッ!


戦女神「…………」


戦女神「……戻らない? それはどういうことだ女神」

戦女神「この世界はお前の『豊穣』の力を振るう程には崩壊していない」

戦女神「更にお前は慣れない戦いを強いられたお陰で、女神としての器を消耗している」

戦女神「ならば今一度天界へ戻り、次なる降臨に備えて器を治し癒すことが最善だろう」

戦女神「……地上の守護はこの戦女神が引き受ける。お前は何も心配せずとも――」

女神「――姉さん」

戦女神「む?」

女神「私をよく見てください」

戦女神「……見る?」

女神「ええ。それこそ舐めまわすように、じっくりと」


戦女神「…………」ジッ―


戦女神「……バカな」

戦女神「器を消耗するどころか……」

戦女神「前よりも強く輝きを増している……」


女神「あ、いえそこはどうでもいいんです」

戦女神「……どうでもいい? 器そのものの強化は即ち女神力の出力に直結するのだぞ? そもそも神格の上昇自体が天界においての――」

女神「ココです。ココ」ピッ

戦女神「…………腹ではないか」

女神「ええ」

戦女神「それが何だと言うのだ」

女神「何か……以前の私と違いませんか?」

戦女神「…………」


戦女神「……幾分、太った気はするが」




「「「「「「「…………えっ」」」」」」」




女戦士「…………なぁなぁ戦女神」

戦女神「何だ?」

女戦士「私の腹、どう見えるよ?」

戦女神「どう見えるも何も、子を孕んでいるようにしか見えんな。……違うのか?」

九尾狐「……儂はどうじゃ?」

戦女神「同じだ。子を孕んでいるのだろう?」

女戦士「じゃぁ女神は?」

戦女神「太っている。食べ過ぎか、あるいは力の蓄え方を誤ったのか……」

魔王「……我はどう見えるのだ?」

戦女神「孕んでいる。それも随分と育っているな。もうすぐ産まれるのではないか?」

女戦士「…………」

女神「……姉さん」

女神「私のお腹にはですね」


女神「子供がいるんですよ♪」―ポッコリ♪


戦女神「…………」


女神「孕んでいるんです。いえ、勇者に孕まされたんです」―ポッコリ♪




戦女神「……………………」


女神「つまりですね勇者の特濃こくまろみるくを溢れんばかりに注がれて……女神卵子をつぷつぷ犯されちゃったんです♪」―ポッコリ♪





戦女神「………………………………」



女神「勇者の嗅ぐだけで妊娠しそうな苦くて頬が蕩けるくらい美味しいドロリ濃厚孕ませザーメン黄ばみるくエキスを私の――」―ポッコリ♪

女戦士「戦女神は分からないから黙ってるわけじゃないしどんどん分かりづらくなってるからなソレ」ポン



――ジャキィンッ!!

戦女神「……………………」

九尾狐「……神槍神盾神鎧がふるすたいるで展開されたのぅ」

二角公女「でも神槍は地面から先端がたけのこみたいに槍チラしてるだけですわ……神鎧は四方八方に飛び散ってますし……」

紅竜「神盾はぶっ飛んでって今地平線に消えたぞ……」

―…キラーン☆


戦女神「……な」ヨロ…

戦女神「……ん」ヨロ…

女神「あ、触ります? 機嫌が良ければケリケリしてくれますよ姉さん♪」ナデナデ

戦女神「……ほ」ヨロ…

戦女神「……ほぁ」ヨロ…

女神「はい、どーぞ♪」―ポッコリ♪

戦女神「……おぉ」

―ピト

戦女神「……う……生きて……」

(ドックン… ドックン…)

戦女神「……生きて、いる……」

女神「はい♪」


戦女神「……は」ヨロ…

戦女神「……あ、あ」ヨロ…



戦女神「ありえん……」ガクッ…

戦女神「神が……孕む……? どうやって……? なぜ……? 神体にそんな機能など無いはずなのに……? なぜ……」


戦女神「女神が……妊娠……妹が……膨張……ハート目……キャベツ……コウノトリ……合体……増殖……」ブツブツ…


女神「姉さん」

女神「……私はお腹の子の為にも、天界へ戻れません」



戦女神「――――」

戦女神「…………そう、か」



女神「――そして、この世界の為にも」

女神「私はここに留まる必要があるんです」ニッコリ



戦女神「……この世界の為に……お前が留まる……?」


女神「はいっ♪」コクリ

女神「姉さん、もし、の話です。仮の話です」

女神「もし――仮に、この世界に勇者が2人だったら……どうでしょう?」ニコニコ

戦女神「……仮にも何も、過去に兄妹で勇者、親子で勇者など幾らでもいただろう」

女神「やはり、1人の勇者と比べてどうでしたか? 戦力は上がりましたか?」

戦女神「当然だ。単純にすべてが2倍になる。戦力が下がるはずがない」


女神「ではもし仮に、勇者が10人であれば……どうでしょう?」ニコニコ

戦女神「…………何?」

女神「もし、仮に、です。姉さん」

戦女神「……戦力が桁違いに上がることは間違いない。だが――」

女神「――なら100人ならどうでしょう?」ニコニコ

戦女神「……女神?」
女神「更に1000人ならどうでしょう?」ニコニコ



女神「もし――仮に……勇者が 1 0 0 0 0 人 なら……一体どうなるんでしょうか、姉さん」―ニッコリ♪


戦女神「…………」

戦女神「……強くなるだろう。文字通り桁違いに」

戦女神「……だが」

戦女神「無理だ」フルフル

戦女神「長い歴史の中での総計でなく……同時期に勇者が10000人など不可能な話だ」

女神「果たしてそうでしょうか?」

戦女神「……どういう事だ?」

女神「ここには勇者の子を孕んでいる妻が――私も含めて――1000人います」

戦女神「………………英雄色を好むとは言うが……凄まじい人数だな」

女神「あの勇者のことですから……1人というのはありえません。それで2人の子供を授かったとしましょう」

戦女神「それでも2000人だ。しかも約半分は男で――」

女神「――いえ女です」

戦女神「……何?」

女神「偶然。タマタマ。奇跡的にも。女しか産まれないとします。そうなる気が何となくするので、いえ恐らくきっとそうなることでしょう」

戦女神「……偶然、な。……いや、それでも2000人だ」

女神「その2000人の娘たちが育ち、子を産める年頃になったのなら――」

女神「――そこで勇者が娘たちに種付けを行うわけです」

戦女神「……………………娘にか」

女神「はい♪ 自分の娘に、です♪」

戦女神「…………」

女神「当然勇者なのですから1人というのはありえません。2人の子供を授かるとしますね?」

戦女神「……まさか」

女神「やはりここでも何らかの事象への介入があったのかと疑うレベルで……産まれた子供すべてが女だったとします」

女神「実に4000人……しかしその間その母親たちと一切ナニもしないというのは不自然なので更に1000人授かったとして……」

女神「更に更にその娘たちは勇者に孕ませられて娘たちを授かり――」

戦女神「――いや待て。そんなに勇者が交われるかどうかは別にしても」

戦女神「その頃には生物としての生殖機能の衰えが……下手をすると老衰で死んでいるだろう」

女神「……フフフ♪」

戦女神「……ん?」

女神「普通の人間であれば、確かに姉さんの言う通りです」

女神「……ですが、勇者はあまりに『深く』、『私たち』と関わりすぎました」

戦女神「深く……関わりすぎた?」

魔王「フフッ、そうだな。確かに勇者とは関わりすぎた――いや、交わり過ぎたと言うべきか」クツクツ

女神「ええ。魔を統べる王に、絶頂を願う神に、亜人に魔物に物の怪の類、果ては機械に至るまで……実に多くの者たちと交わりました」

女神「対最終魔王決戦前の過剰な肉体的魔法的ドーピングに加えて、僧侶の治癒因子を定着させた躰で――」

女神「――多くの、勇者が非常に多くの女性と肉体的接触を繰り返した結果……」


女神「勇者は、ほんの少しだけ人間から『離れて』しまったのです」

戦女神「な……」

女神「なので寿命もほんの少しだけ人間より長くなりましたし、身体的な能力もほんの少しだけ人間より高くなりました」

女神「ですので諸々の問題については楽々クリアできてしまうんですね♪」

戦女神「……ッ」

女神「想像してください姉さん! これだけ優秀な女性たちと勇者との間に産まれる娘ちゃんたちのことを!」

女神「きっと強くたくましく女らしい素敵な女勇者へと育つに違いありませんよ!」

女神「しかも世代を経るごとに血は濃く反映されていくんです! もちろん私の加護つきで! 何ら障害を患うこともなく!」フスッ

女神「勇者が率いる幾千幾万もの愛に溢れた新たな勇者たち……」ハフゥ…

女神「私たちが力を行使することなく、彼女たちだけで自らを――世界を守り切るという完全なる自立……」アハァ…

女神「それどころから魔法使いの『門』の魔法が発展すれば――」

女神「――隣り合う世界すら救えることが出来るかもしれません♪」バチコーン♪

戦女神「……女神。お前は……そこまで……」


魔王「クックック……」フルフル…

魔王「フハハハハハッ!」

魔王「ハーッハッハッハッハッハッ!!」

魔王「女神! そのような狂ったシナリオを提示するお前は……ある種我よりも魔王然としている!」

魔王「子孫繁栄と世界を救う為の力の顕現――そして勇者への飽くなき執念! 驚嘆に値する!」

女神「いやいやそれほどでも~」エヘヘヘヘ


女戦士「……いいのか僧侶」

僧侶「はい? 何がですか?」

女戦士「いや何か女神がさらっと物騒な家族計画言ってたからさ」

僧侶「……物騒、ですかね」


女戦士「……………………へ?」


僧侶「産まれてくる子供たちは女神様の加護で万全でしょうし……」

僧侶「それに勇者さんは決して無理強いはしない人です。……相手が望まない限りは」

僧侶「世界を救うのに力を持つ人が多ければ多いほど安定するのも分かりますし……」

僧侶「女神様、戦女神様の力を借りずとも戦えるのであればそれに越したことはありませんし……」

僧侶「ここの世界だけでなく、他に困っている方をお救いできるかもなんて……とぉっても素敵な話じゃないですか」ニコニコ

女戦士「…………僧侶、何か……吹っ切れたっつーか……変わったな?」

僧侶「……そうですね」

僧侶「目覚めたんです、私」

僧侶「何かを律することで――何かを我慢することで得られるものなんて……」


僧侶「――たかが知れてるんだなって」クスクス


女戦士「……………………おぉー」

僧侶「私、素直になったんです……」

僧侶「そしたら魔法が成功して、勇者さんを助けられたんです」グッ

僧侶「私、勇者さんのことが大好きですし、勇者さんとのえっちも大好きなんです」キュッ

僧侶「それを口に出して勇者さんに伝えたら、大好きって言って貰えましたし、えっちもたくさんしてもらいました」テヒヒ

僧侶「……こんなになるまでたーくさん、です」―ポッッッッッコリ♪

僧侶「……だから、ですね。ええ、我慢はやっぱり駄目なんです。心を押し殺すのって駄目なんです本当に」

僧侶「……女神様が自分の思うようにひたすら突き進んでいるのを見ると……」

僧侶「『あぁ何て素直なんだろう、憧れちゃうな』って感じて……」

僧侶「自分はまだまだだなって、もっともっと素直にならなきゃってそう思うんです」キラキラ

女戦士「………………そっ……か……うん……そっか……」

僧侶「ですからむしろ私は大賛成です! 全力で女神様と勇者さんのサポートをしますよ!」

僧侶「境界を越えて! より自分に素直に、よりえっちに、よりらぶらぶにっ! 僧侶頑張っちゃいます!」―キュァラリィン♪

女戦士「…………あー……私も……協力するよ……うん」ポリポリ…

僧侶「わー! ありがとうございます! 女戦士さんが手伝ってくれれば百人――いえマン人力ですからね!」キラキラ

女戦士「…………うん……多少……? かなり……? まぁ……責任……感じてるしな……」ハハハ…

戦女神「……女神よ」

女神「はい、姉さん」


ツゥッ―


戦女神「私は感動した」ダバー


紅竜「おいィィ!? 今の会話のどこに感動するくだりがあったよ! なぁ!」

九尾狐「妹なら妹なら姉も姉じゃのぅ……」


戦女神「真に世界を思うのならば……護り、保つのではなく――変化を与え、成長を促すべき」

戦女神「神槍で貫くことしか能が無い私では……決して到達しえぬ結論――いや、他の姉妹とてその境地にはたどり着けまい」

戦女神「……私はお前を同じ女神として誇りに思う」スンッ

女神「姉さん……」


戦女神「そして……そのお腹の子供だ」ピッ

戦女神「本来、神は進化や成長をしない。既に完成された器として存在しているからだ」

戦女神「にも拘わらず、お前は子を孕んだ」

戦女神「神でも変化しうるという可能性を、お前はその身で示したのだ」


女戦士「やっぱ勇者の精子が神性を犯すレベルのヤバさだったのか……?」

二角公女「女神様の受け入れ態勢が神がかり過ぎて赤ちゃんの素がバッチコイだったのかもしれませんわ」


戦女神「……1人の力に頼るのではなく、10000人の力を集めて戦えばいい」

戦女神「兵法の基本だ。数の優位は確実に戦果へ影響する――それもそれぞれが優秀な兵であるなら尚更だ」

戦女神「素晴らしい……非の打ち所がないぞ女神よ」

女神「えっへへぇ☆」クネクネ


巫女「非の打ち所が……? 非……非って何でしたっけ……」

魔王「女神共はいい意味でも、悪い意味でも先鋭化しているのだ。『戦』女神としてはメリットしか目に映らんのだな。ククク……!」


戦女神「…………」

戦女神「お前が無事で、世界の調和を万全な物とすべく動いてゆくならば……我ら姉妹はそれを見守り、支えようではないか」


戦女神「……ふむ、そうだな。ならば私は……天界へ戻るとしよう」ザッ

女神「えぇっ!? もう帰ってしまうんですか姉さん!」クイクイ

戦女神「ああ。世界とお前の近況の報告を他の姉妹にもせねばならんからな」

女神「せめて今日の結婚式だけでも見て行ってくださいよぅ」

戦女神「……むぅ」

女神「勇者ともまだ会ってないわけですし……ねっ? ねっ?」

戦女神「しかしだな……」

女神「…………」ジーッ

戦女神「…………」

戦女神「その、だな」

戦女神「いまいち、このような空気に慣れなくてな……」

女神「へ?」

戦女神「戦場の空気ならば幾らでも気分が安らぐのだが……こう、穏やかで幸せな雰囲気だと落ち着かないのだ……」

女神「あー姉さん戦闘ジャンキーな節ありますもんね」

戦女神「そうだ。……それに私は戦以外知らぬ神だ。私と話したところで特に面白いわけでも無いだろう」

戦女神「だから私は天界へ帰――」

「――待ちなっ!」

戦女神「ん?」

料理人「せっかく生身の体手に入れたってのにさぁ! うまい料理食わねぇでどうすんのさ!」―ポッコリ♪

戦女神「……リョウ、リ?」

料理人「ああ! 天界へ戻るなら――せめてあたいの料理を喰らってからにしなっ!」

―ダンッ!

料理人「あんたには超ド級にシンプルな一品――『黄金玉子炒飯』さ! ささっ! 特と味わえ! あたいの料理をー!」

―カパッ

―ピキュィーンッ

シュゴァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!

紅竜「どわっ! クソ眩しいぞコラァ!」

僧侶「お皿から光の柱が……また一つ腕を上げたんですね料理人さん……!」

九尾狐「突風と熱気と冷気と地響きを感じるのじゃ……! 最早これを料理と呼んでいいものなのかのぅ……!」


戦女神「……これが……金玉チャーハン」―スッ

―ハグッ


戦女神「~~ッ!?」


戦女神(何だこれは……! 何だこの……この……何なのだこれは……! これはもう……何か……何だこれは……!)

―ガッ ガツガツガツガツガツッ!

女戦士「……すンげぇ勢いでたいらげてるぜ……」

料理人「んっふっふー! 当然さね! 女神の舌で神の舌の傾向はある程度掴めていたのさ!」

料理人「普段食いモンを食べて慣れてないってこたぁ、普通の料理じゃぁ味付けが濃すぎるっ!」

料理人「そこであたいは出汁のうまみをメインに据えた薄味に仕上げたってわけよ!」


―カチャンッ

戦女神「……初めて味わうこの感情……戦で味わう高揚感にも似たこれは……何と表現すべきなのか……」ケフッ


料理人「そいつはな『うまい』って言うんだぜ」


戦女神「ウマイ……」

料理人「口の中に広がる幸せ――そいつを『うまい』だとか『美味しい』って言うんだ」

料理人「そして――あたいはその『うまい』を言わせる為に魂をかけているっ!」

戦女神「魂を……」

料理人「そうさ! 謂わばこいつは客とあたいとの戦なのさ!」

戦女神「……!」

戦女神「なるほど。戦か。……合点がいった。私はお前との戦に敗れたと言うわけか」


戦女神「……『うまい』し、『美味しい』」

戦女神「未だかつて、こんな気分を私は味わったことがない。完敗だ。……だが、心地の良い敗北だ」ムフー

料理人「……カッ」

料理人「カカカカカカカカーッ! 見たか姉御たち! 天界の二柱めにもあたいはうまいと言わせたぞーっ!」

僧侶「おめでとうございます料理人さん!」

料理人「おうよ! さぁさぁ戦女神! もっともっともっとあたいの料理を味わってもらうぜ! あんたの舌へ食べる幸福ってやつを徹底的に叩き込んでやるっ!」クルクルクル―パシィッ!

戦女神「何? まだまだうまいものがあると言うのか?」―ジュルリ

女神「料理だけではありませんよ姉さん。錬金術師と淫魔が共同開発した美味しくてちょっと気持ち良くなるお酒だってあるんです」ウフフ

戦女神「美味しい……オサケ」―ゴクリ

女神「結婚式を終えた後は宴を開きます。美味しいお酒に、美味しい料理が……これでもかと振る舞われるんですよ?」

戦女神「これでもかと……」―チュルリ

女神「そこでゆっくりと勇者と語り合いながら、料理とお酒を好きなだけいただけるんです……どうです姉さん?」

戦女神「…………」

戦女神「……まぁ、そうだな」

戦女神「そこまで急く必要も無いか」コホン

戦女神「確かに、勇者と話したいとは私も思っていた。場を設けてもらえるならば有り難い申し出だ」

女神「やったー♪」

戦女神「魔王戦で見せた勇者のあの不可思議な体術……天界にいた時からずっと気になってはいたのだ」





「「「「「「……………………ん?」」」」」」





女神「……そぉうですか♪」フフフ
魔王「……ほほう?」ニマァ

女神「戦好きの姉さんとしては、やはり未知なる体術は気になりますものね♪」

戦女神「ああ。しかも徒手空拳。武器を持たずに魔王を圧倒するとなれば興味は尽きないな」ムン

女神「……恐らく、勇者さんなら頼めば『手合わせ』してくれると思いますよ♪」

戦女神「おお、それはいい。是非手合わせしたい……ああ、勿論加減はするがな」

女神「……どうでしょう? 果たして加減が必要なのかどうか……」クスクス

戦女神「それ程までに、か。……うむ、心が躍るな。料理もオサケも手合わせも楽しみだ」フスッ

魔王「クックック……一度味わえば虜になること請け合いだ戦女神よ。料理人の料理も酒も……勇者の体術も、な」クスクス



九尾狐「……怖や怖や。女神は国を傾けるどころか、天界を傾けるつもり満々じゃのぅ」

二角公女「……わたくし、アラクネさんにお話し通しておきますわね」

女戦士「…………僧侶これは……アリ、なのか?」

僧侶「アリアリですね。これも勇者さんが繋げた何かの縁なんですよきっと」キラキラ


女戦士「…………そうか」

僧侶「あっ! 私そろそろ準備に戻りますね! 他の皆さんに様式のことは伝えておいてくださいっ!」

九尾狐「ふむぅ? まだ勇者が来ておらんのだからそう焦ることもあるまいに」

僧侶「えっと私2番目なのでどうしてもバタバタしちゃうんです。法衣着て、脱いで、ドレスでまた法衣着なくてはならない関係で……」



九尾狐「…………」

九尾狐「むぇ……な……え……2番目?」

僧侶「はい?」

九尾狐「……2番目?」ギギギ…

巫女「……はい。2番目、ですね。僧侶さん」


魔王「…………2?」ギギギギ…

僧侶「? えと2番目、ですけど?」

淫魔「わぁお♪ 僧侶ちゃんやっるー♪」

二角公女「何と言いますか……これは納得出来る結果ですわね。妬みようも恨みようもありませんわ」

紅竜「だな。不服も無ぇ。やる事きっちりやってンだから報われてしかりだろ」


僧侶「…………」


僧侶「!」

僧侶「――……私、結婚式挙げるの2番目なんですよ」ドヤァ


九尾狐「ぎにゃあああああああああああああああっ!!」ゴォォォォォッ!!
魔王「があああああああああああああああああああっ!!」ゴォォォォォッ!!


僧侶「――私、結婚式挙げるの2番目なんですけど?」ドヤァァ


九尾狐「あ゛は゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」シュゴォォォォォッ!!
魔王「お゛ほ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」シュゴォォォォォッ!!


僧侶「――もう一度言います」

僧侶「私、勇者さんと結婚式挙げるの――」


僧侶「――2番目、なんですよね♪」ドヤァァァ


九尾狐「に゛ょ゛ほ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」ガクガクガクガクガクッ!!
魔王「ん゛ほ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」ガクガクガクガクガクッ!!


僧侶「ふふふ♪」ピース


女戦士「…………これもある意味、進化なのかもなぁ」


……――


僧侶「――――」

―バッ

僧侶「超高速で接近中……西南西……? 距離……凡そ1000km……」

僧侶「来る……」



―ピクッ

魔王「……ようやくか。何もかも焦らすのが、本当に好きな男よ」ククク

―パァァァ

女神「疼きを溜めるからこその解放のエクスタシーですよ♪ 即ズボは即ズボで趣がありますが……グズグズになったところを貫かれるのが一番キくのですから♪」フリフリ



僧侶「ッ皆さーんっ!」

僧侶「勇者さんが……! 勇者さんが帰ってきましたよーっ!」タッ―


――――

――――

勇者「……んあ」

船長「ああ、すまない。起こしてしまったかな」

勇者「……んー、違うな。気配を感じたって言うか……」

勇者「…………」

勇者「あ、悪い。完全に寝てた」

船長「どうして謝るんだい? そもそもボクのわがままでこうしてるわけだしね」スリッ

船長「ふふっ、勇者の膝と膝の間に座っての運転――ヘッドレストは勇者の逞しい胸板で、腰元は優しく勇者の腕でロック……いやはや、想像以上の快適さだったよ」…ポフッ

船長「正直、これからの航行はただの椅子で満足するのは難しそうだね」

勇者「気に入って貰えたならいいけど……」ポリポリ

勇者「そうだなー。正直船長の体があったかくて……大柄の猫を抱いてるみたいにぽかぽかで眠くなるって言うか……」キュッ

船長「ひゃんっ!? ゆ、勇者っ! 手っ、手がっ、胸にっ!」ワタワタ

勇者「うわっ! ごめんっ! わざとじゃないっ! しっかり乳首までこねてたけどわざとじゃないっ!」サッ

船長「……ボクとしてもやぶさかではないけど、この速度で操舵をミスすると洒落にならないからね」コホン

勇者「……悪化してるな。最近気付いたら手が勝手に誰かの股愛撫してたり、目力でうっかり催淫かけてたりとか多すぎる……」

船長「……ふーん。それで……悪化っていうのはどういうことかな」

勇者「んん? 悪化は悪化だろ。無意識でスケベ発動しまくってたらそりゃもぅ――」

船長「――誰かに迷惑をかけたのかい?」

勇者「え……」

船長「無意識にスケベを働いていて、誰かに迷惑をかけたのかい?」

勇者「そりゃぁ……」

勇者「……迷惑を……かけて……」

勇者「…………」

勇者「無いな……」

船長「だろう?」

船長「君が無意識でえっちなことをしてしまっても……それを迷惑に感じる人なんていないはずだよ」

勇者「言われてみればそうだな……あれ、いいのか……いい……んだよな?」

船長「いいんだよ。……ボクだって、こうして飛空艇を操ってなかったら……いつでも君と……」ポフッ

勇者「……そっか。そうだよな」ナデッ

船長「ふあっ……」ピクッ

勇者「皆が望んで……俺が望んだことだもんな」

船長「そうさ。そして君のその選択は世界を救うんだ」

勇者「……救ってるかな」

船長「魔王を手懐けてた時点で、立派に勇者としての役目は果たしてるとボクは思うけど」

勇者「…………バレてる?」

船長「答えはとっくに出てるのに、誰かの後押しがないと前に踏み出せない……勇者の意外に乙女チックなポイントの話?」

勇者「たははー……バレてら」

船長「ボクだけじゃない。と言うか周知の事実、かな?」

勇者「……魔法使いだけじゃなくてかー……」


船長「……まぁ得手不得手の話だよ。パン屋はパン屋を。花屋は花屋を。ボクは船を操ればいいだけの話さ」

勇者「……つまり?」

船長「君はえっちなことをすればいい。それが得意で、それで誰かを幸せにできるならね」

勇者「………………」

勇者「ありがとな、キャプテン」

船長「どういたしまして、勇者」

船長「……そろそろ直上だよ。くれぐれも、減速が終わってからだからね」

―スクッ

勇者「ん。分かってるって」

―プシッ…ウィーン

―パシュッ

勇者『じゃ、開けてくれ』

船長「うん。分かってるとは思うけど、今甲板は……」

勇者『寒くてすンごい風』

船長「……開けるよ」

ポチッ

…ビーッ ビーッ ビーッ

プシッ―


―ビュオォォォォォォォォォォッッ!!

勇者『――――』

船長「……ごめん、流石に聞き取れないよ」

勇者『(あ)』

勇者『(い)』

勇者『(し)』

勇者『(て)』

勇者『(る)』

勇者『(ぜ)』


勇者『――――』グッ


船長「…………」

船長「ボクだって」

船長「我慢の限界はあるんだからな……」

船長「……ばか」チュクッ…


勇者『――――』ニッ

――――

勇者(寒っ! 風強っ! マント邪魔っ!)バサバサバサバサ…!

勇者(……でもビクともしないあたり俺も強くなったよなぁ)

勇者(……どんどん人から離れてる気はするけど)

グリッ… グリッ… グンッ…グネッ…

勇者(ただまぁ)

勇者(この登場の仕方が一番喜ぶって分かってるから……)

勇者(やっちゃうんだよなぁ……親バカだよなぁ……)フフ

勇者(少し高いけど)

勇者(まぁ、イケるか。多分)

コキコキッ

勇者(……船の速度が落ちてきた――頃合いか)

―ストッ


勇者(……んー、欄干の上まで乗っといてアレだけど)

勇者(超高い。イケるのかなこれ。結構ヤバいんじゃないのこれ)

勇者(…………)



―…トーンッ



勇者(でもヤっちゃう)



フワァ…



勇者(パラシュート無し、命綱無し、レビテーション無しの――)


ヒュ――


勇者(――急降下≪ダイブ≫ッ!!)


バサバサバサバサ――

――――

>>767
修正
×船長「ああ、すまない。起こしてしまったかな」
○船長「ああ、すまない。起こしてしまったかな」―ポッコリ♪

――――

僧侶「えっ!?」バッ

女戦士「っと、どうした僧侶?」

僧侶「いや、気のせいで無ければ……今勇者さん生身で……」オロオロ

女戦士「え、見えんのか僧侶。さっき飛空艇が雲の隙間からチラッとは見えたけどよ」ジー

鳥人娘「うっはー! マジっすか先輩っ! 自分らの仲間入りッスか! 自分もお伴したいッスよー!」ジー

女戦士「ああ、お前は見えるだろうな。で、仲間入りって何の話だ?」

鳥人娘「先輩マジパないッスよ! 翼も無いのにどうするんスかね! 生えるんスかね! まぁ先輩ともなればそれくらいできそうッスよね!」ワクワク

女戦士「……はい?」

錬金術師「ヒ、ヒェッ!?」ビクー!

女戦士「……錬金術師。ちょっとその水晶見せろ」

錬金術師「う、うん。だ、大丈夫かな……勇者……」

――――

勇者『――――』バサバサバサバサ―

――――

女戦士「大丈夫じゃねぇよ!」

女戦士「これ完全に自由落下の真っ最中じゃねぇか! 何だ!? あいつ飛空艇から足滑らせたのか!?」

錬金術師「フ、フヒッ!? あ、あ、で、でも勇者レビテーションでブ、ブレーキとかかけられるんじゃないかな?」

女神「ああ! ククッとブレーキをかけて、ストッて感じで地面に降りて、マントがそれに従ってフワッと下りるアレですね! 分かります!」フンッ

女戦士「あ、あぁそうか。あいつもそんなに数は無いけど魔法使えるからな」

魔法使い「使えないわよ」―ポッコリ♪

女戦士「……何?」

魔法使い「そういう丁寧な制御が必要な魔法は勇者は使えないって言ってるの」

女戦士「は!? じゃぁヤバいじゃねぇか! 鳥人娘なりお前が飛ぶなりしてキャッチしねぇと……」

自動人形「……VOB展開のスペースと許可をくださイ、魔法使いサン」ヒィィィィィン…

魔法使い「必要ないわよ」


魔法使い「……笑ってるもの、勇者」

――――

勇者『――――』バサバサバサバサ―

――――

魔王「なるほど。良い笑顔だ。思わず濡れそ――濡れてしまった位に」ジュンッ…

女戦士「し、しかしそう言ったってな……」



「ちっちっち……」



女戦士「……ん?」

娘「みんなわかってないなぁ」―― ポ ッ コ リ ♪

娘「パパはねぇ」

娘「きっと世界一すっごくカッコいーポーズのために――」

娘「――飛空艇をとびおりたんだよ!」ニシシッ


女戦士「世界一……カッコいい、ポーズ?」

娘「うん!」

娘「こーやってね……左の手のひらは軽く開いてぇ……何かをつかむ感じで伸ばしてー」スッ

娘「右手のこぶしは固く握って地面へ立ててー」ガンッ

娘「左ひざは立てて、右ひざは地面につけてー」ザッ―ズザッ―

娘「それでねー顔は下に向けるの! そいで立つ時にゆっくり前を向くの!」ムフーッ!

女戦士「…………このポーズの為にあいつは飛空艇を飛び降りたって?」

娘「そう! これがすっごいカッコいー着地ポーズだから! 膝にはあまり良くないってパパ言ってたけど!」

女戦士「……膝どころか全身が砕けるかもしれなくてだな」

娘「わたし、ちっちゃい時からパパのすーぱーな着地が好きで好きで好きで」キラキラ

女戦士「いや話聞けよチビ妊婦」

娘「よくパパが木の上から、わたしのために何回も飛んでくれたんだよ……」ウットリ…

娘「だからね、きっとパパはわたしのために、結婚式の日にわざわざ――」

娘「――すーぱーで勇者な着地をばっちりキメに来たんだって……わたしはそう思うんだっ! ていうか絶対そうだよ!」ムフー

女戦士「だぁかぁらぁ! すーぱーな着地したら勇者が危ないって話をしてるんだよ私はぁ!」

―ポンポン

女戦士「今取り込み中だッ! 後にしろッ!」クワッ

九尾狐「後では間に合わんぞ」

女戦士「あ゛ン!?」


――――

―ヒュォォォォォッ…!

勇者「……!」

勇者「――♪」ヒラヒラ

――――

女戦士「あのバカッ! 手ェ振ってる場合じゃ――」ダッ―

女神「――大丈夫です、女戦士」

女戦士「女神っ!? 大丈夫な訳あるか! どけ――」

魔王「――問題ない、女戦士」

女戦士「魔王まで……ッ!」

女神「勇者はほんの少しだけ丈夫になりましたから」ウフフ

魔王「そうだ。勇者は前よりほんの少し頑丈になったからな」ククク

女戦士「あいつはお前らと違って人間で――」



女戦士「――ックソッ! 間に合わねぇ……ッ!」















――――  ズ  ン  ッ  ッ  !  !








―― ブ ワ ァ ッ … ! !






パラパラパラ……


パラ…



勇者「…………」






―ユラァッ…






勇者「おまたせー」







…――ッ


―オォオオオォォオォォォォォオォォォオオォォォォオォォーッ!!!!
―ワァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアァアアァーッ!!!!
―フォオオォオォォォオォオォォォォオォォオオォオォォォーッ!!!!
―ガァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアアアァーッ!!!!
―ホオ゙ォオォォオォォオオォォオオオォォォォオオオォオーッ!!!!
―オォオオオォォオォォンホォオォォォオオォォォォオォォーッ!!!!
―ワァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアァアアァーッ!!!!
―オォオオオォォオォォォォホオォォォオオォォォォオォォーッ!!!!
―ワァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアァアアァーッ!!!!
―オォオオオォォオォォォォォオォォォオオォォォォオォォーッ!!!!




女戦士「…………マジかよ」


娘「やったー! すーぱーな勇者着地だーっ! パパちょーカッコいーっ!!」ブンブンッ

女神「うぅっ……! 感動の涙のあまり下着がぐしょぐしょです……っ!」ツーッ…

魔王「溜めをたっぷり作ってからゆっくり立ち上がるあたり――分かっているな。流石勇者だ」グチュッグチチ…

――――

勇者父「……見たか母さん」

勇者母「ええ見ましたよ父さん」

勇者父「……強くなったな。我が息子は」

勇者母「強くなりましたねぇ。まるで人間じゃないみたいですよ」

勇者父「…………」

勇者父「……孫の」

勇者父「孫の結婚式が見られるな、母さん」

勇者母「ええ、生きていられる内にと言うか、大分巻きでこんなに早く見られるとは思っていませんでした」

勇者父「……ひ孫に……もうすぐ会えるな母さん」

勇者母「嬉しいですねぇ。まさか孫だけでなくてひ孫まで腕に抱ける日がくるなんてねぇ」

勇者父「……孫に、もうすぐ会えるな母さん」

勇者母「嬉しいですねぇ。2人目の孫ですよ、姉妹姉弟……母子……? ええとまぁ2人目の孫ですけど……早くこの腕に抱きたいですねぇ」

勇者父「…………」

勇者父「いやおかしい! やっぱりおかしいよ母さん!」

勇者母「はい? 何がですか?」

勇者父「何がもクソもあるか! 孫の結婚相手――元より孫を孕ませたのはうちの息子だぞ!」

勇者母「そうですねぇ。あの年でも立派に子供を産めるものなんですねぇ。人体の神秘ですねぇ」

勇者父「いやいや呑気に言ってる場合か! あの子がひ孫――孫を――つまり姉妹姉弟で母子だけれども――孫と同時にひ孫の子を――」

勇者父「ええいっ! とにかく近親相姦だぞ!? 正気の沙汰じゃない!」

勇者母「……確かに、正気かと言われればそうではないとは思いますけど……」

勇者父「そうだ! 何か誰も咎めないからいまいちぼーっと今日まで来てしまったがやっぱりおかしいだろう!?」

勇者母「でもねぇ父さん。原因は私たちにもあるんですよ?」

勇者父「んん? 私たち、だと?」

勇者母「ええ。考えてもみてください。あの子が物心つくころには父親は既に行方不明で」

勇者父「ぐっ」

勇者母「父親を学ぼうにも魔王討伐途中で消えてしまったあなたから学べるはずもなく」

勇者父「ぬぐっ」

勇者母「半分しか愛を与えられなかったあの子は愛に飢えるように生きるしかなかったんですよ?」

勇者父「おむぅ」

勇者母「極め付けに……魔王討伐どころか洗脳されて四天王入りしていたあなたが……」ギロ

勇者父「はうっ!?」

勇者母「今のあの子に何か言えることがありまして?」

勇者父「――っ、ぁ……」パクパク

勇者父「っで、でもだな。近親相姦は法律で禁じられていて……」

勇者母「あら? そんな法律ありませんよ父さん」

勇者父「え? しかし王都では――」

勇者母「ここは王都でなく、勇者連邦ですよ父さん」

勇者父「………………あっ」

勇者母「誰も禁じていないんですよ父さん」

勇者母「……ねぇ父さん。当人たちが幸せで、健康に生きられるならそれでいいじゃないですか」

勇者母「ここには女神の加護が溢れていますし、幸せを守る為の力もたくさんあるんです。……それで、いいじゃないですか」

勇者父「……母さん」



勇者母「……あの子は一体どこまで許容するんですかねぇ」ニコニコ


勇者父「……母さん? え、母さん……何で頬染め――母さん!? ちょっと!? 待って! 父さん謝るからそれだけは勘弁――」


――――


「っほーう! っへーぇ! あれが娘自慢の旦那様かー……いやーイケメンだねぇ、細身で筋肉あるねぇ、ありゃモテるよそりゃぁ」

魔法使い「……あんまりじろじろ見ないでよ」

「あー! そーいうこと言うのー!? ママさー、1回目の結婚式呼んでもらえなかったのまだ根にもってるんだからね!」

魔法使い「それはもう何度も謝ったじゃない、お母さん」

大魔導士「嫌だもーん。謝っても許してあげなーい。だってママまだちゃんと理由聞いてないもん」

魔法使い「……くだらないことだから、言うほどじゃないのよ」

大魔導士「くだらないことで大事な娘の結婚式ハブられたのママ!? ママ大ショック……ショック過ぎて娘の痛ラブレター竜巻呪文でまき散らしちゃう……」クルクル

魔法使い「な゛ッ――何でそんなもの持ってるの!? か、返してよっ!」ピョンピョン

大魔導士「そのくだらない理由教えてくれたら返してあげるよ。さぁママにどどんと話しちゃいなさーい♪」

魔法使い「ぐ……むぅ……!」プルプル

魔法使い「…………」

魔法使い「――が……――て、たから」ボソッ

大魔導士「え? 何? 全然聞こえないよー?」

魔法使い「――ッ!」キッ

魔法使い「マ、ママが勇者の言う初恋の人に似てたからよっ!」


大魔導士「…………」


魔法使い「……ハァ……だから言ったのに……くだらないって」ハァ…


大魔導士「…………」

大魔導士「……ぷっ」

大魔導士「な、何それーっ! 娘ちゃんかわゆいーっ! ママにとられちゃうからヤダー! ってことー? やだもーカワイイ♪」ヨシヨシヨシヨシヨシ!!

魔法使い「ちょ、ちょっと! 髪崩れるから触らな――やめてよもー!」

大魔導士「……あのねぇ、大事な大事な娘の旦那様を、ママが寝取るはずないでしょ?」

魔法使い「…………」

魔法使い「ママは大丈夫でも、勇者がママのところに行っちゃうかもって思ったら……」

魔法使い「あたし怖くて……」

大魔導士「…………」ヨシヨシ

魔法使い「…………」

魔法使い「長い間、勇者に会わせなくて……ごめんなさいママ」

大魔導士「いーよー♪ 許したげる♪」


大魔導士「……んでもさー、1つ疑問なんだけれど」

魔法使い「……何?」

大魔導士「何で今回はママを呼んでくれたの?」

魔法使い「…………」

魔法使い「……それはまぁ」

魔法使い「少しだけ……ほんの少しだけ……」


魔法使い「自分に自信が持てたから……」

魔法使い「……かな」

大魔導士「…………」


大魔導士「何だよもー! のろけかよー! 勇者のおかげかよー! いいなぁずるいなぁカワイイなぁ、ママもアツーい旦那様欲しいなぁー」ウリウリ

魔法使い「お母さんはもう十分謳歌したでしょ。無理しないで隠居してなよ」

大魔導士「むかーっ! いいもんいいもーん! ママがその初恋相手に似てるって言うなら、娘ちゃんの旦那とその話で盛り上がっちゃうもーん!」

魔法使い「……別にその位構わないけれど」

大魔導士「ぷくー。ナニそれー、娘ちゃん全然カワイクなーい……大人になっちゃってまぁ……うりうり」プニプニ

魔法使い「言ったでしょ。自信がついたって。頬つつかないで」

大魔導士「ちぇー。そだ。参考まで聞きたいんだけど、その初恋の相手ってどんな感じだったの娘ちゃん?」

魔法使い「……あたしも勇者から聞いたから又聞きになっちゃうけど」

大魔導士「うんうん」

魔法使い「小さい頃に王都へ遊びに来て、魔法具の露天商のお姉さんに一目惚れしちゃったらしいの」

大魔導士「いいね~ベッタベタだね~」コクコク

魔法使い「それでなけなしのお小遣いはたいて、お花を買って……」

大魔導士「ませてるー! それもお花なんて…………お花?」

魔法使い「お茶に誘ったんだって。……あたしの時と変わってないって言うか、もうその時に基本ができてたって言うか」

大魔導士「……お茶に……誘う……お花の後に……へ、へぇー……」

魔法使い「で、問題はここからなのよ。楽しくお茶して口説いたまではまぁマセガキで済む話なんだけど」

大魔導士「そ、そこで終わらないんだ……へぇー、終わらないの? その先あるの? そ、そうなんだー……」

魔法使い「勇者が口説いた相手が何て言うか……小さい男の子好きだったというか……」ポリポリ

大魔導士「へ、へぇ~~、まぁ、その、いるよね~そういう輩~? わりと世界中にたくさんね~」ダラダラ

魔法使い「まぁ結論から述べるなら……宿に連れ込まれて……勇者は恐ろしい低年齢で童貞を失ったっていう話でさ……」ハァ

大魔導士「……………………」ダラダラダラ

魔法使い「単なる初恋話ならあたしもそこまで警戒しないんだけど…………お母さん?」


大魔導士「……えっとぉ」ヘロリ

魔法使い「……お母さん?」


大魔導士「えっとねぇ……」モジ


大魔導士「うんとねぇ……娘ちゃんが勇者くんと出会う前は……」モジモジ


大魔導士「もちろんノーカンっ……だよね?」テヘッ

魔法使い「何それ。どういう意――」


魔法使い「――……」


魔法使い「お母さん……? まさか……まさかまさか……!」


大魔導士「あのっ! あのねっ! ママにも若気の至りってのがあってね! ちょっとヤンチャしてた時期はあってね!」

魔法使い「お゛母゛さ゛ん゛っ……!」ブワァ…ッ!

大魔導士「む、娘ちゃん顔コワーい……マ、ママ娘ちゃんにはいつも笑っていて欲しいかなって――」


大魔導士「 ―― あ っ ! 」


大魔導士「あのね! そうっ! そうだとするならママ長年の謎解けちゃったかも!」

魔法使い「誤魔化そうったってそうはいかないわよ……」ゴゴゴゴゴ…

大魔導士「違う違う! すっごく大事な話よ娘ちゃん! あなたの父親の話っ! ち・ち・お・やっ! ぱーぱっ!」

魔法使い「そんなの何度も聞いたわよっ! 男遊びが過ぎたせいで、あたしの父親が誰か分からないんでしょ? 別に今更気にしてもいないし……」ゴゴゴゴゴ…

大魔導士「だから分かっちゃったのっ! 娘ちゃんのパパがっ!」

魔法使い「それとこれと一体何の関係があるって言うのよ……!」ゴゴゴゴゴ…

大魔導士「だ、だから……ねっ?」チラ

魔法使い「…………?」

大魔導士「ほ、ほら……ねっ?」チラチラ

魔法使い「何で勇者をチラチラ見てるのよ」

大魔導士「だ、だから……」

大魔導士「パパ……」

魔法使い「……はぁ?」

大魔導士「娘ちゃんの……」

大魔導士「……パパ」


魔法使い「……………………………………………………」


大魔導士「その、チビ勇者くんと致しちゃった日ね。……わりと危ない日だった気がするのね」

大魔導士「で、初めてなのに吸収が早いって言うか……結構ママもつたないながらのテクでも子宮下りちゃってた感があって……」

大魔導士「外に出させる余裕もママもチビ勇者くんも無くて……」


魔法使い「……………………………………………………」

大魔導士「それで……ねぇ……娘ちゃんの話と、風の噂で聞く限り……」

大魔導士「勇者くんの精子って超強烈なんでしょ……?」ヒソ

大魔導士「だから……避妊もろくにせずに……思いっきり膣で射精されちゃったら……やっぱり……ねぇ……」アハハ…



魔法使い「……………………………………………………」



大魔導士「だから……多分――ううん、時期的に見てもまず間違いなく……」


大魔導士「あなたのパパなんじゃないかな、って……ママ思うんだけれど……あははは……」チラチラ



魔法使い「……………………………………………………」



魔法使い「………………ゆ、勇者が」


魔法使い「………………勇者が……」


魔法使い「………………あたしの……」












魔法使い「お父……さん……?」













―キュンッ…♪



――――

――――

勇者「うし。こんなもんか」

娘「パパー、ここリボンがへなぁってなってるから直してー」

勇者「はいはい」

娘「えっへへー……カワイイ? カワイイかな?」クルクル

勇者「おう。可愛いぞ。世界で2番目に可愛いな」コク

娘「本当は1番がいいけどなー……でもママだし仕方ないよねっ♪」

魔法使い「…………」

娘「ママが1番だって! やったねママ」クイクイ

魔法使い「……へ? え、な、何がかしら?」ハッ

娘「ママが世界で1番カワイイって話だよ! わたし2番目! 親子でわんつーふぃにっしゅ!」ブイッ!

魔法使い「こ、光栄だわ」

勇者「……どうした魔法使い」

魔法使い「ふぇ?」

勇者「どこか具合でも悪いのか?」

魔法使い「わ、悪くないわよ。全然ッ! これっぽっちも! む、むしろ絶好調って言うかその……」

勇者「……そう簡単に吹っ切れるものではないよな、やっぱり」ヒソ

魔法使い「へ?」

勇者「……娘と結婚式。一番複雑な気持ちなのは、魔法使いだもんな」

魔法使い「……ええと」

勇者「何つーかさ……俺はもう、股間の上に跨られて何もかも射精し尽くしたあの日に……誓ったんだ」


勇者「――幸せにするって」ポフッ―ナデナデ…

娘「わっ? ……えへへー」ギュー…

勇者「娘を俺自身を、俺に関わるすべての人たちを。とことん幸せにしてやるんだ、って」

勇者「百年経とうが千年経とうが……誰にも文句を言わせない史上最強の甲斐性を手に入れてやるってさ」グッ…

勇者「……だから魔法使い、もう一度約束する。君を蔑ろにしたり――」

魔法使い「それはいいのよ」


勇者「 え ぇ ー …… 」

魔法使い「信じてるし、娘ちゃんがあなたと婚ぐことだって別に構わない」

魔法使い「あなたは素敵だし、大体あたしと好みが似るのは母娘だもの、ありえ、る……し……」


魔法使い「……むしろ仕方がない……仕方がないのよ……」カクッ

勇者「し、仕方がない?」

魔法使い「運命――そう、血統、血の運命……」ブツブツ

勇者「魔法使い?」

娘「ママー?」


魔法使い「……娘ちゃん、パパと結婚嬉しい?」ナデナデ

娘「嬉しいよっ! だってわたしのちっちゃい頃からの夢だったものっ!」フンス!

魔法使い「……そう。あたしと娘ちゃん、求めてた人はずっと同じだったんだね」ナデナデ

娘「ママもおんなじー♪ パパ大好きだし愛してるもんねー♪」

魔法使い「……そうね、大好きで……愛してる……」

魔法使い「昔から……ずっと。会いたくて、でも会えなくて……」


魔法使い「……でも今日、やっと会えたんだ」ナデナデ

勇者「……今日?」
娘「……きょー?」


魔法使い「……いいの。別にその話は今日じゃなくていいわ」

―パッチンッ

魔法使い「今大切なのは……」

魔法使い「娘ちゃんの、大事なだーいじな結婚式を成功させることだものっ!」ビシッ

娘「おーっ!」


―…リンゴーン…リンゴーン…


娘「パパっ! ママっ! 鐘が歌ってるよ! ただれたにくよくのしんこんせーかつまでのカウントダウンだーっ!」ピョンピョンッ♪

―スッ

娘「おててつないでいこうよっ! わたしが真ん中でー、パパが右側でー、ママが左側ね♪」

勇者「……まぁ腕組めないから、それが一番自然なんだけども」スッ

魔法使い「ふふっ、これじゃぁピクニックへ行くのと変わりないわね」スッ

―…リンゴーン…リンゴーン…


娘「えっへへぇ♪ たのしいなー♪ うれしいなー♪ けっこんー♪ しょやー♪ あへがおー♪ あっさちゅんちゅーん♪」ブンブン


―…リンゴーン…リンゴーン…


魔法使い「……勇者」

勇者「ん?」


―…リンゴーン…リンゴーン…


魔法使い「これからも末永く、よろしくね」

勇者「…………」

勇者「おう。任せとけ」

―…リンゴーン…リンゴーン…

魔法使い「……パ、パパ」

勇者「んー?」


―…リンゴーン…リンゴーン…


魔法使い「こ、これからも末永く……よろしく、ね?」モジッ

勇者「おう。任せと――って何で2回も言うんだ?」


―ガッチャンッ……ギィィィィィッ……

娘「あっ! 扉が開くよ! ばーじんろーど走るんでしょ! わたし知ってるよ!」グイグイ

勇者「走らない走らない。おいっちに、おいっちにって歩くんだよ」

勇者「……さぁて、魔法使い。娘の晴れ姿、一番の特等席で見届けようかねぇ」ニッ

魔法使い「当人が何言ってるんだか」クスクス

魔法使い「……あの。あたしの時も、右側お願いね。……パパ」モジッ

勇者「ん? いいけど……魔法使い、お姫様抱っこ希望じゃなかったっけ?」

――――

――――
司会「ああっと現れました!勇者と娘新郎新婦の入場ですっ!魔法使いも隣に配しての堂々たる登場ですっ!」―ポッコリ♪
司会「さながら休日の散歩と言った体で!3人仲良く手を繋いでの入場であります!まるで仲睦まじい親子の様だ!いや親子ではありますがこれは紛れもなく結婚式だ!どうかお間違えの無いように!」
司会「ッあーっと勇者が高々と手を挙げました!聞こえますでしょうかこの大地も震えんばかりの大歓声!いや実際震えている!巨人族がまったく自重していなーいっ!」
司会「白歯の閃光乱舞で黄色い歓声を淫声に容易く変えてゆく勇者という男――彼の人生は実に苦難の連続でありました」
司会「彼の勇者の血を継ぎし者。救世の徒を導く光。周囲の期待を一身に受けてこの世に勇者が生を受けたその日に元勇院から下されたのは……『粗製』の二文字ッ!」
司会「筋力、魔力、剣力、聖力、女神力――数ある様々な力の才確認を行うも、いずれも人並みと判断された故の結果でありました!」
司会「勇者父と勇者。力を合わせて確実に魔王を討たせる算段をつけていた元勇院は急遽計画を変更――当時十二分に強者であった勇者父を単身魔王討伐へ向かわせたのです」
司会「がしかしッ!魔王城へ乗り込む旨の手紙を最後に勇者父からの連絡はぱっっったりと途絶えてしまったのです!」
司会「そして頼みの勇者父が使えないと分かるやいなや、丁度降臨した女神と合わせれば何とかなると元勇院は一度は不要とした勇者に白羽の矢を立てたのであります!」
司会「何という杜撰な元勇院!既に終わったことではありますが!説明をするだけで反吐が出る勢いだ!ああっと勇者父が今まさに嘔吐している!気持ちは分かります!分かりますとも!」
司会「更に修行と称した人体実験を行い勇者を非人道的に改造、幾つかの能力と引き換えに『加速』を習得させた元勇院!世界を救う為の致し方がない犠牲と笑みを浮かべる元勇院のクソ爺!早くくたばって欲しいところだ!」
司会「その『加速』も制限付きと歴代勇者並みとはいかない勇者!踏んだり蹴ったりであります!やはりクソ爺は許すまじ!クソ爺は致し方のない犠牲になって欲しい!」
司会「だがしかしッ!だがしかしでありますッ!勇者はめげてはいませんでしたッ!自分に出来ないならとッ!自分が出来損ないならばとッ!自分より優秀な仲間をたくさん集めればいいじゃないと逆に突き抜けましたッ!かぁっくいいーッ!」
司会「ついでにッ!あくまでおまけですがッ!世界を救うのが最優先ではありますが!趣味のナンパも捗る一石二鳥と勇者は親指を立てたと聞いていますッ!」
司会「がッ!その人たらし術は見事に炸裂ッ!ナンパは結果的にパーティーの人員増強へと繋がったのでありましたッ!」
司会「『超魔の破壊神』――魔法使いッッ!『金剛石の筋繊維』――女戦士ッッ!『拒死の聖母』――僧侶ッッ!言わずと知れた救世の徒初期面子だァッ!!」
司会「更に人だけに留まらずッ!『獄炎の赤竜』ッ!『傾国の金尾』ッ!『神森の双姫』ッ!『黒血の真祖』ッ!『極殺の古代兵器』ッ!――と他種族果ては無機物に至るまで仲間に引き入れる無差別勧誘ッッ!」
司会「―― 結 果 ッ ッ ! 魔 王 封 印 ッ ッ ! 落ちこぼれ成り損ない粗製劣性と罵られた勇者は見事魔王を封印したのですッッ!」
司会「しかしッ!勇者の活躍は止まらないッ!止められなァーいッ!会場にいる皆さんもご存じでしょうッ!私の隣に!無駄と豪華で!無駄と大きく!無駄に刺々しい純白の椅子に座る無駄に偉そうなこの女性ッッ!」
司会「そうッ!魔王でありますッッ!魔王その人でありますッッ!そうですッ!この魔王をッ!勇者は封印するどころか――」
司会「 ―― 魔 王 を お 嫁 さ ん に し て し ま っ た の で す ッ ッ ! 」
司会「史上誰も成しえなかった!誰も試みようとしなかった!巡り続ける死の環を断ち斬る超画期的な平和的解決方法を!」
司会「勇者は折れない心と男根で成し遂げたのでありますッッッ!」
司会「勇者に才はあったッ!無能などでは無かったッ!それは歴代の勇者のどの才とも異なる才ッ!言うなればチンポ力ッ!まさに勇者自身とも言うべきその聖剣は絆を育み、未来を切り開いたのでありますッッッ!!」
司会「ああ勇者父が滂沱の涙を流しながら勇者母にすがっている!感極まったのでしょう!勇者母が微笑みながら何事か囁いてる!実に感動的な光景だ!」
司会「おおッと勇者が娘を高々と掲げました!あえて親子をアピールするパフォーマンスに会場は沸いているぞ!まるで真紅のバージンロードが胎盤へと繋がる臍の緒だとでも言ゴバハァーンッ!?」ブーッ!!

紅竜「うるせぇ」

――――

僧侶「……――この結婚を女神の導きによるものだと受け取り」

僧侶「その性なる教えに従い――」

娘「――よくわかんないけどぜんぶ誓いますっ!」ハイッ!

僧侶「ま、まだ全部言ってないよ娘ちゃん……!」ヒソ

勇者「ハハッ、じゃぁ俺も全部誓います」スッ

僧侶「勇者さんまで……!」ヒソ

勇者「……ホラ、今日まで長かったから。いろいろと待ちきれないんだと思う」ヒソ

僧侶「……んもう」…コホン


僧侶「……それでは――」

僧侶「――誓いのキスを」


娘「待ってましたーっ!」ピョインッ

勇者「はい。じゃぁこっち向いて。ベール取るから」

娘「えへへー♪ お願いしますパパ、んーーっ」

スゥッ―

娘「わぁ……」

勇者「ん? どうした?」

娘「あのね、あのね」

娘「パパと本当にいよいよ結婚できるんだーって分かったらね」

娘「ここがきゅーっとして……お腹もきゅーんってしたの」

勇者「パパも嬉しいよ。何しろ、お前の全部、パパが独り占めだから」

娘「……あのね、パパ」

娘「わたし、まだちっちゃいでしょ?」

勇者「……まぁ、小さいかな。……かなり」


娘「だからね――わたしまだまだパパ好みのおんなになれるよ」ヒソ

勇者「――――」ゾクッ

娘「わたしのここもパパ専用のかたちにしてもらったし……」

娘「わたしの心も見た目もパパ専用のかたちにして欲しいかも♪」フフフ

勇者「…………」

勇者「そのままでいいよ」

娘「……?」

勇者「何もかも思い通りなんて、つまらない」

娘「…………」

勇者「俺をいつも驚かせてくれる、そのままの君でいて欲しい」

勇者「それと元気で、笑顔バッチリなら、なお言うことなし。……パパはあの日からもう娘にゾッコンですよ?」ナデ…


娘「……えへっ」

娘「 え っ へ へ ぇ ~ ♪ そうかーパパはわたしのこと大好きなんだー♪」

娘「そっかー♪ こまっちゃうなー♪ うれしいなー♪」


娘「…………」

娘「……あのね」

娘「わたしね、パパがすきだよ」

勇者「……うん」

娘「パパのこと、だいすきだよ」

娘「…………」

娘「……勇者のこと」

勇者「……!」

娘「……愛し――」






―― ド ッ ギ ュ ン ッ ! !






娘「あ……れ……?」

―カクンッ

勇者「ッ!? どうした娘ッ! おいしっかりしろッ!」ガシッ

フルフル…

娘「パ……パ……」ゼッ…! ゼッ…!



プルプル…


娘「う……」ハッ ハッ ハッ …


勇者「う? 何だ? どこが痛い? 安心しろ、ここには医者だって何だって――」


娘「――……れる」ハッ ハッ ハッ …


勇者「れる? ごめんパパうまく聞き取れなくて――」


娘「――う」

ハッ ハッ ハッ …


娘「う……うま……」

ハッ ハッ ハッ …


娘「う……」

ハッ ハッ ハッ ―












娘「うまれる……♪」












勇者「――――――――」





勇者「ッこの中にお医者様はいらっしゃいませんかァァァァァァァァァァッ!?」ゴォォォッッ!!

―ザッ

医者「いるとも。まずは君が落ち着くんだ。旦那がそれじゃぁおちおち産めやしないだろう」―カッ

医者「錬金術師、まずは分娩台を頼む」キュッ―

錬金術師「フ、フヒッ! りょ、了解、す、すぐ創るよ……!」―パンッ バヂバヂバヂッ!!

医者「不必要かもしれんが、空間ごと滅菌もお願いしたい」

妖精姫「ほいさー。菌たちにお願いして、しばらくどいて貰ったからおっけー」グッ

医者「お湯と清潔なタオ――」

メイド長「――ここにございます。他に足りないものが無ければ何なりとお申し付けを」―シュッ

医者「流石だ。……女神」

―パァァァァッ!

女神「はい、何でしょう」

医者「幾つか質問がある。重要な質問だ、答えて欲しい」

女神「……何でもお答えしましょう」

医者「当然、加護についてだ。単刀直入に言うならば……産まれてくる子供は健康か否か?」

女神「ばっちり健康です。……医者が気にしているのは血の濃さに起因する障害でしょうが、それも問題ありません」

医者「そうか。次だ。見て分かる話だが、娘くんの体はまだ未熟だ」

医者「――つまり、私がメスを振るう必要があるかどうか?」

女神「いいえ、切る必要はありません。勇者の拡張、私の加護の効果が合わさり……母体にダメージを与えることなく、赤子は産道を通り抜けることが可能です」

女神「――ですが」キュピーン

女神「娘さんの締まりはキープされます」ムフー

医者「……胎児が通り抜けるのにか?」

女神「はい。女神力なめんなって感じです」ムッフッフ

医者「……段々と掴めてきたぞ。セックス、もしくはその延長線上にあるものには女神力が働くんだな?」

女神「はい。私がそうと認識さえ出来れば、です」

医者「ふむ。では最後に」


医者「――痛みはどうだ?」


女神「陣痛は当然――」


女神「――そのままです」

医者「ほう。それは何故だ? 何故取り除かない? まさか女神力の適用外だとでも言うのか?」

女神「いえ、適用内です。ですが出産の痛みを消すこと、我が子を産む痛みを取り上げることは……」

医者「…………」

女神「――娘さんから『出産アクメ』を取り上げることにもなります」

医者「…………」

医者「なるほどな」

女神「……ええ」

医者「その権利を奪う資格は誰にも無い。それが例え……」


医者「神であっても」


医者「……そういうことだな、女神?」

女神「はいっ♪」

医者「……私の声が聞こえるか、娘くん」

娘「うんっ……! うんっ……!」ビクッ…ビクンッ

医者「何も心配はいらない。私と、孕まセックスの女神が君を無事に出産させてみせる」

医者「そしてここにいる皆が――勇者が君を見守っている」

娘「はひっ……! ひんっ……!」ピクッ

医者「……いよいよ、母親になれるんだ」


娘「あはっ……♪ す、素敵だね……わたしっ……うれしいっ……!」ヒッ ヒッ

娘「ぱっ、パパッ! ママッ!」フッ フッ


勇者「ああっ!」
魔法使い「む、娘ちゃん!」


娘「て、手ぇ、握ってて……お願い……っ!」ヒッ ヒッ


―ギュ
―キュ

勇者「しっかり握ってるぞ!」
魔法使い「がっちり握ったわ!」


娘「パパっ……ううん、お父さんっ……!」


娘「わ、わたしがママに――」



娘「 ―― お 母 さ ん に な る と こ ろ 、 見 て て …… ! 」ギュゥゥゥッ…!



勇者「うん……うん……! 見てるぞ……見てるから……!」


―パシャッ…

娘「う゛あ゛っ!? ぎっ、ぎだぁーーっ!」ギクンッ


錬金術師「フヒィッ!? は、破水……っ!」ウシュッ

ミノ娘「始まった! 母親になる、最後の試練、始まった!」ムフーン!

淫魔「試練ってかある意味ゴホービかもかも♪ 娘ちゃんふぁいっおー♪」ンーチュッ♪

女騎士「あんなの……絶対に痛くて……苦しくて……神経が焼き切れる位…………気持ちいいに決まってるーっ!!」グネグネグネグネ

―ブピッ

―ビチャビチャッ…!

娘「んあっ♪ ……ひっ、ひぃっ、んひっ♪」ガクガク


妖精姫「わぁ……すっごい、あんなに拡がって……わぁ……うわぁ……!」カァァァッ…!

エルフ妹「想像を絶する痛みでしょうに……あんなに笑顔を浮かべられるなんて……やはり御主人様の娘様ですわ……!」ゴクリ…

エルフ姉「いえ、違うわ妹。見なさい、あのハート目を。出産という究極の痛みを、自らの被虐性を高めることで快感へと変換しているのよ……!」ゴクリンコ…

自動人形「小さな熱源が……徐々に下りてきていマス……!」ピピピピ…


―グチュゥ…!

― グ パ ァ ァ ァ …!

娘「ひっ! ひっ! ふぅぅぅっ! ひんっ♪ い゛っ♪ ふぅうぅうぅぅっ♪」ガクガク


鳥人娘「ああっ! 頭見えてきたッスよ! ほらっ! ムリムリィって! ムリムリィって!」ヒャーッ!

狼少女「そこだー! やれー! いきめー! ワンツー! ワンツー! アオーン!」ワンツー♪ワンツー♪

スライム娘「ガンバレェ……♪ ガンバレェ……♪ アトチョットォ……アトチョットォ……!」プニュン…プチュニョェン♪

紅竜「うオっ……あんなに小せぇのに……おわぁ……た、卵の方が良かったんじゃねェか……なぁ……」…ボッ、ボボッ…

―パシャッ ビチャッ…パタタッ!

―プシッ!

娘「んふっ……お゛っ……んはっ……んぎっ!? お゛う゛っ♪」カクカク


ポニテ侍「いよっ! 流石娘殿っ! 苦しむどころかがっつり達するとは……拙者は感心しきりでござるよ!」ワハハハハ!

武闘家「一見出産アクメで失神寸前に見えるけれど、違うね。呼吸と筋肉の弛緩を自在に操って対応してるね」コォォォォ…フゥゥゥゥゥ…

女将軍「産道を通ってくる赤子に対する配慮すら垣間見えるほどだ……あのハート目は物事を俯瞰で捉えているのか。あるいは……」フム

聖騎士団長「あるいはすべてが天性によるもの――娘さんの天賦の才によるものなのかもしれません」コクッ


―…ブピュゥ…ブッ―ポッ

―ギチィ…ギチ…ギチュチュチュ…

娘「ん゛っ、んふぅ……はっ、あ゛ッ、がッ!? あ゛っ……ふぅ゛う゛ぅ゛ッ……ッ!」ギクンビクンッ!


盗賊王女「……完全に見えたな。……あれが世継ぎ。あれが血の絆。血、そのもの、か」ゴクリ

アサシン「命に従い、命を奪う。命が失われる様を……私は何度も、何度も嫌になるほど見てきたが………命が産まれる様とは、こうも……」フルフル…

巫女「美しいでしょう……? 尊いでしょう……? 下腹部がキュンッ、とするでしょう……?」シャラン…シャラン…

踊り子「腰がビクビク跳ねて踊り狂って……あぁ~ん、もう見てるだけで貰い出産しそう☆」キャハッ♪

医者「……頃合いだ。受けるのは女神が適任だろう、頼むぞ」

―スッ

女神「はいっ♪ お任せください♪」

―ブピィッ!! ブポポッ!!

娘「ふーっ! ふぅーっ! ふーっ! ふぅーーっ!」プルプル…

―…ヌルゥ

娘「ひんっ♪」ビクッ

― ゴ ポ ォ

女神「頭が完全に出てきましたね♪ もう少し、もう少しですよ……頑張りなさい……さぁ……♪」パァァァーッ!!

―ヌル ル ルゥ… ゴ ボ ォ …

娘「ん゛っ! あ゛っ!?」


メイド長「……っ! ……っ……っ」ソワソワ

料理人「カカカカカーッ! 無表情で器用に動揺すんないメイド長ッ! 娘は普段から一日五食腹いっぱい飯食ってるから大丈夫さね!」カカカーッ!

船長「……戻ってくるなり会場の巨大クリスタルに何が映ってるかと思えば……一応聞くけれど、出産を投影することは了承済みかな?」ンー…

商人「モッチのロンロンですよ! でないと遠くの方は何が起こっているかさっぱりですからねっ! しかしあわよくばとは思っていましたけど、このタイミングとはっ!」フンフンッ!

―ズッ ズルッ…!

娘「んぎっ、い゛ぃッ!」


氷の女王「…………出て、きた……!」ズイッ

二角公女「お顔が見えましたわーっ! 角はありませんけれど……! 何て素敵で愛らしいのでしょうか……!」ヤンヤンッ♪

吸血鬼「おねーさん、泣きそう……スンッ……ううん、もう泣いてるし……おめでとぉー娘ちゃん……ほんとにおめでとぉー……ズズッ」グスッ

九尾狐「……ふむぅ。儂も勇者と固く手を繋ぎながら産みた――……出産の痛みと同時に勇者と繋がる……? ……おお! これじゃっ!」ピコンッ


―ブジュッ…!

―ゴ パ ァ … !

娘「ん゛ーーーっ! ん゛ぅぅーーーっ!」ブルブル…!


竜剣客「あのように小さき躰で、新たな命を育めるとは……流石は勇者様のご息女でございますな」コクリ

髑髏将「……幾千万の赤子たちの先駆けとして実に相応しい器」コクリ

烏賊嬢「やっぱりウチも勇者様の子種をいただきたいでゲソねぇ」コクリ

側近「…………大いにアリですな」コクリ

銀牙狼「…………こづ、くり」…ゴクリ

― ジ ュ ポ ッ

―ブシュッ! ビタビタビチャァッ…!

娘「ん゛っ……! くっ……! ん゛あ゛っ……! あ゛ぁぁーーーっ!!!」ガクガクガクッ!!


女戦士「頭が抜けたからって気ぃ抜くなっ! 最後までひり出せっ! 出し尽くせーっ!」ブンブン


僧侶「娘さん……! あと少しで半分ですっ! あと少しで我が子を抱けるんですっ! イかずに耐えてくださいっ!」パァァァーッ!


魔王「ファハハハッ! 偉大なる赤子の時代……来たる……ッ!!」―バサァッ!!


魔法使い「……あたしにもできたんだから」

魔法使い「あなたに出来ない、なんてことはないわ」


―ギュッ


魔法使い「頑張りなさい、愛しい娘よ……」

魔法使い「……愛しい、愛しい……妹よ……」―ニコッ

――……

―― ヌ ル ゥ …

―― ゴ ポ ン ッ …… !

娘「あ゛っ♪ はっ♪ かっ♪ ……あはっ♪」ビクビクッ…ピクン…

―プシッ…ピュルッ…パタタッ…ポタッ…ポタッ…ブシィッ…ピュルッ…ッピュルルゥ…!

女神「……ようこそ」

―パァァァァ--ッ!

女神「愛に溢れ、勇者がいる……この世界へ……!」キュピーン

―ヴンッ―フワァァァァ…
―ピカァァァァァッ…!!


勇者「う……」


勇者「うま……」ル…


勇者「産まれた……っ!」ツツーッ…


―ピチョーン…

――…ョーン……ョーン……ョーン……ョーン………

「――――」

「――……」

「――……あ」


「――あ゛あぁああぁぁあぁッ! あ゛ああぁあぁぁぁぁあぁッ!」

「――おぎゃぁぁああぁあぁッ! おんぎゃああぁあぁぁあぁぁッ!」


…………………………………………………………………………………………

…… ッ ワ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ッ ――――― ! ! !

――…

オォオオオォォオォォォォォオォォォオオォォォォオォォーッ!!!! フヒオォオオオォォオォォォォォオォォォオオォォォォオォォーッ!!!!
ワァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアァアアァーッ!!!! ワァアアアァアアァァァアァアァアァアァァアァァアァアアァーッ!!!!
フォオオォオォォォオォオォォォォオォォオオォオォォォーッ!!!! ヒニャァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアァアアァーッ!!!!
ガァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアアアァーッ!!!! オォオオオォォオォォンホォオォォォオオォォオオォォオォォーッ!!!!
ホオ゙ォオォォオォォオオォォオオオォォォォオオオォオーッ!!!! クヒイィイイイイィィィイィィイィィイイイィィイイィイイィィッ!!!!
オォオオオォォオォォンホォオォォォオオォォォォオォォーッ!!!! ンミャァゥオオオォォオォォォォォオォォォオオォォォオォォーッ!!!!
ワァアアアァアアァァァアァァアァアァァァァアァアアァーッ!!!! ヒョオォオオオォォオォォォォホオォォォオオォォォォオォォーッ!!!!
オォオオオォォオォォォォホオォォォオオォォォォオォォーッ!!!! キエェエエェェエェェエェェェェェエエエェェエェェエェェェーッ!!!!

――…

よかった産まれた瞬間チンコと叫ぶ赤子じゃなくて

娘の娘「パパ」

勇者「聞いたか!初めてしゃべった言葉がパパだったぞ!」

娘の娘「……の、チンポ」

勇者「」

フワァァ…

女神「……おめでとうございます」

女神「大変元気な――」


女神「 ―― 女 の 子 で す よ ー っ ! 」

「あ゛ーーーーっ! っあ゛ーーーーっ!!」ジタバタ


女神「はいはーい、今お母さんのとこへちゅれていきまちゅからねー♪」フラフラ…

―スッ

「あ゛ーぅ……あっ、むぅー……」

娘「はーっ……はーっ……あはっ♪ えっへへー♪ お母さんですよー♪ よしよーし♪」

「う゛ーあむぅ……あっ、あっあ゛ーむー♪」キャッキャッ


女神「はぁ……♪ 眩暈がする程素晴らしい光景です……」クラクラ

僧侶「あ、あの……女神様大丈夫ですか? ひょっとして出産の度に女神力を大量に消費するとか……」

…ポンッ

僧侶「わっ、戦女神様?」

戦女神「女神がやたらとフラついているのはそれが原因ではない」

僧侶「えっと……」

戦女神「見えなかったのか? あの赤子が先ほど見事な蹴りを女神に入れたのを」

僧侶「……へ?」

戦女神「こう――右足刀で顎先に、皮一枚分の打撃を的確に一つな。相当脳を揺らされたに違いない」コクリ

僧侶「え、いや、あの、偶然、ですよね……? 産まれたばかりの赤ちゃんにそんなこと出来るはずが……」

戦女神「あの足技一つで分かる。産まれながらにして卓越した戦闘センスの持ち主だとな」

僧侶「……ま、まさか……! 血が濃くなることで……秘めたる『勇者』の力を引きずり出したのとか……!?」

戦女神「フフ、あの赤子はきっと素晴らしい戦士になることだろう。……早く稽古をつけてやりたいものだ」ウズウズ



女戦士「……すげぇな。魔法使い見たか今の足。これも女神力のおかげなんかな」

魔法使い「それもあるでしょうけど……一番は勇者の血の濃さじゃない? ……この子は特に」ボソ

女戦士「ん? ……いや、まぁそれにしても……」



……――(((((((((((((( 赤 ち ゃ ん 、 早 く 抱 き た い な ー …… ))))))))))))))――……

「あー……うー……」キョロキョロ

魔王「ほう? どうやらこの赤子、もう目が見えているようだぞ」

「……あーぅっ♪」―パァッ

「う゛ーっ! む゛ーっ! だぁーぅーっ!」モゾモゾ

娘「……あっ! へへー、ちょっと待っててね」

娘「お父さんっ♪ おとーさんっ♪ こっちこっち♪」


勇者「お、おお……」

「まーぁっ♪ だぁーうー♪」キャッキャッ

娘「はいはーい、あなたのお父さんですよー♪ お父さん、抱いてあげてー」―スッ

勇者「……ああ」―スッ


「……あーぅ、まーぅ……」ジー

勇者「……こんにちわ」

「…………」ジー

勇者「きみの……お父さんですよー」フフフ

「……あっ♪ あぅっ♪ だぁっだぁっ♪ あむぅ、ぶーっ♪」ピンッピンッ

娘「やっぱりね! もうお父さんのことお父さんだって、勇者だってわかってるんだよ!」

勇者「そうかぁ? お前の匂いがするから安心するとかじゃ……」

―クイッ

勇者「ん?」

「だーぁ、う゛むーあ゛ー……」クイッ

勇者「俺の手? 手をどうしたいんだ?」

―スッ

「ま゛ーっ♪ あ゛ー……むっ♪」パクッ

勇者「おわぁっ!?」

「ちぅー……ちぅー……」チウチウ

勇者「……指、吸ってる……」

「ちぅー、はぁ……ちぅちぅ……」チウチウ

勇者「……ははっ」

勇者「お母さんのミルクはそこからは出ないぞー」

魔王「ファハハハッ! そうだ赤子よ! 勇者のミルクはそこからは出んぞ!」


「ちぅーちぅちぅー…………ぷはっ」―チパッ


「…………ぁぅまぁぅ」ジー


勇者「……うん。産まれてきてくれて――」

勇者「――本当に、本当にありがとう……」ル…


「ぅあっ! むぁーむー! ぶぁーむぅ!」パクッ

「ちぅ……ちぅちぅーっ! ちぅぅぅぅぅーっ!」チウチウー!

勇者「わはは! く、くすぐったいぞ!」…グスッ

魔法使い「……ホント、指吸う癖まで娘ちゃんそっくりね」

勇者「そういやそうだったか……。親子ってやっぱり似るもんなんだな」ズズッ

勇者「アハハ……一生懸命吸っちゃってまぁ……」


勇者「…………」


魔法使い「……勇者?」


娘「お父さん?」


勇者「…………」


勇者「……うん」





勇者「――娘が母になりまして」ニッ







娘「……えっへへー♪」

娘「父が夫になりましてっ!」パァッ―!




魔法使い「……ここで産まれてきて一番の笑顔とか……もう、敵わないわね」クスッ

女戦士「アッハッハッハッ! いやー愛だな! 愛っ!」アッハッハッハッ!

僧侶「う゛ぅっ……よ゛がっだ……娘ぢゃんよがっだね゛……ひぐっ」ダバー

九尾狐「結局、最後の最後まで己を貫き通したのは……娘ただ一人じゃからのぅ。当然の幸福なのじゃ♪」カラカラ

紅竜「だなァ。クッソ妬けるが、まぁクソ納得のいく結果だぜ」ボボーゥ

エルフ妹「積み重ねた知識や経験より――」―ピト
エルフ姉「――時として、純粋で無垢なる想いがすべてを凌駕することがあるのですね」―ピト

魔王「フフフ……」

魔王「ファハハハハハッ!!」バサァッ!―シャラフワァ♪

魔王「素晴らしいッ! 何と今日は素晴らしく、ラブリーな日なのだろうかッ!」

魔王「いつか見た絵本よりも……幸せで光に溢れる結末があろうとはな……ッ!」ニィィィ…ッ!


女神「……結末? とんでもない」フルフル

女神「すべてはここからです。……私たちはようやく第一歩を踏み出したんです」




女神「私たちの物語は――」



女神「勇者の伝説は――」



女神「――今まさにっ! 始まったばかりなのですからっ……!」―パァァァァァァァーッ!


……――











「…………あーっ♪ だーぅっ♪」―キャッキャッ





―クイッ


勇者「……ん?」


「お……?」


「あー……おぉ……?」


勇者「……お?」


「お……とぉ……?」


勇者「…………」


勇者「……………………」


勇者「……あの」

魔法使い「ね、ねぇ、まさか……まさかだとは思うけれど……」

勇者「喋ろうとしてる……ように、俺は見えるん、だけども……」

女戦士「お父さん、って言おうとしてるんじゃねぇか?」

僧侶「あ、娘ちゃんがさっきたくさん言ってたからそれで……!?」

魔王「賢い子だ。産まれたばかりで言葉も操れるとは」


「う゛ー……お、とぉ……」


「とぉ……さぁ……?」


勇者「絶対喋ろうとしてるぅぅぅぅっ! しかもお父さんって言おうとしてないか!? お父さんって言おうとしてないか!?」

娘「…………んー?」


「だぁーぅー……お゛っ、お゛とー……」

「さぁー……ぁーうぅー……さぁー……」


勇者「そうだ……! あと少しだ……! 頑張れー……!」

「…………」

―カプッ

「ちうー……ちぅううううぅぅぅぅ……」チウチウ…


勇者「……あー、惜しかったねぇ。あとちょっとだったけどねぇ」フフフ


「ちうー……ちぅうううぅぅぅ……ちゅるっ」チュル…


勇者「ハハッ、くすぐった――……ん?」


「ぢゅるっ……ちぅぅぅ……」チパチパ…


勇者「……? 何だか、吸い方が少し――」


―トクンッ…


勇者「――い゛っ!?」

「ちゅぷっ……ちゅぷぷ……」チロチロ…


勇者「待て待て待て……これはどうい、う゛ッ!?」ビクンッ


「ちぅ……ちぅ……ちううううううううううううううッ!」チウチウー!


―ドクンッ…


勇者「……う、嘘……だろ……?」ツツ-ッ


―ドクンッ… ドクンッ…


勇者「いやっ、待っ……! 止まら……ねぇ……ッ!?」




―ムクムクムクムクッッ!!


―ボッッッッキーーーーーンッッ!!


勇者「…………」…ビキキッ


勇者「俺のチンコがフル勃起に――」ビキッ…ビキッ!


勇者「――させられ、た……?」ビクッ…ビンッッッ!



「……ぷはっ!」チュポンッ!

「お……」

「おぉ……」





「 お ち ん …… ち ん …… ? 」



勇者「おちん…………ちん…………?」

娘「えへへーっ♪ うん、やっぱりそうだよね! お母さんは分かってたよー」


「おちん、ちん……」ァーゥー…

娘「うん、おちんちん♪」

「おち、んちん……?」

娘「お父さんの――お・ち・ん・ち・ん♪」

「おぉ……ぁぅ……ぉぅ……お、ち、ん、ち、ん」

娘「そう♪ おちんちん!」


「…………」

「……おちんちん」

「おちんちん……」モゾ

勇者「……へ?」

「おちん、ちん……」モゾモゾ



― サ ワ ッ … !


勇者「 う ぐ っ …… ! ? 」

勇者「……そ、ソフトな……!?」

勇者「タッ、チ……!?」



「……おちんちん」ジー



「おちんちん……」


「……おちんちん」


「おちんちんっ」


「あーぅっ! おちんちんっ!」




「 お ち ん ち ん ! 」









―アムッッ



……――


ビュルッッ


――……





勇者「…………」トントントントン…

「……おぉ、ちん、ちん♪」キャッキャッ

勇者「…………」ユサユサ…トントントントン…

「お、ち、ん、ち……」


「――けぷっ」



 「 お ち ん ち ん っ ♪ 」


――…―パァァァァァァァーッ!

――…ポムンッ!!

――…ジワァァ…

――――――――

 ■■しゃ は ■おう を ふ■■んし■ 。

                   ■ わ ■

――――――――


――…ズ、ズズ…

――――――――

 ゆうしゃ は まおう を ふういんした 。

                   お わ り

――――――――


――…グヂュゥ…ッ

――――――――

 ゆうしゃ は     を     した

                   お

――――――――


――…ドッグンッ…!

――――――――

 ゆうしゃ は みんな を しあわせにした

                    お ち ん ち ん で 。

――――――――

おちんちん

終わり方の都合でお礼が言えませんでした
読んでくれた方もレスをくれた方も、本当にありがとうございました

>>12
半年以上も待たせてすみません
今更ですが載せておきます

妹「おほぅ…。やはり寒い冬はお兄ちゃんに限る…」 兄「………」
妹「おほぅ…。やはり寒い冬はお兄ちゃんに限る…」 兄「………」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/14562/1362153862/)
幼馴染「お前は…コブラッ!?」男「そう大声で呼ばれると照れるねぇ」
幼馴染「お前は…コブラッ!?」男「そう大声で呼ばれると照れるねぇ」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1366209880/)

完結済は2作のみです

酉無くてもバレてたので晒し
>>1の力不足です、色々申し訳ない

○スレ落ち・エタ
男「女体化…」友「うん?」
安価でカオスSS作る
男「やかんの魔人?」 褐色娘「ランプの魔人です!」

○休止中
勇者「結界魔法『カクゲー』」
幼馴染「あはァ……男の靴下美味しすぎるよぅ」男「…………」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月14日 (日) 22:32:14   ID: 5c4O_NWa

終わったら裏冒険の書書いて欲しい

2 :  SS好きの774さん   2016年02月21日 (日) 06:52:14   ID: 5WQOzMhV

まだー?

3 :  SS好きの774さん   2016年05月16日 (月) 19:29:57   ID: mXhS2vDX

期待

4 :  SS好きの774さん   2016年05月28日 (土) 12:57:24   ID: ScV6EFSV

結局女神睡姦されたのかwww

5 :  SS好きの774さん   2016年08月27日 (土) 18:00:58   ID: 450xXFE0

娘ちゃんキター!

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