モバP「また逢う日まで」 (82)

本田未央「うん……涙は見せないよ。泣くのはプロデューサーの元に帰ってきた時……嬉しい時にとっておくね」

モバP「おぅ!……さぁ、旅立ちの時だ。胸張って肩で風切って」

ヘレン「ヘーイ!!」ダァン!

モバP「んふんっ!」ビクン

未央「……びっくりしたぁ」

千川ちひろ「茶番を一瞬で吹き飛ばすヘレンさんの存在感、流石です」

モバP「それもですが……ヘレンさん、ドアはもう少しゆっくりと開けて欲し」

ヘレン「P!何を呆けているの?時は有限、グズグズしてたら世界のモードは起こせないわ!」

モバP「あ、はい」

未央「……世界のモード?」ボソ

ヘレン「未央っ!」

未央「ひゃ、ひゃいっ!」ビク

ヘレン「世界のモード、これが何を意味しているか分かる?答えてみなさい」

未央「えぇぇ……ワールドワイドな」

ヘレン「未央っ!何言ってるの、世界レベルよっ!つまり私!」

未央「え……え?」

ヘレン「世界レベルの私!そして同じく世界に通用する人材がこの事務所に集結してるわ!そうでしょう?」

未央「そ、そうです……ね?」

ヘレン「つまり、この事務所は今ひとつの世界レベルになってるの!」

未央「な、何の話かもう……」

ヘレン「未央っ!」

未央「はいっ!」ビク

ヘレン「ワールドワイドな事でしょう!?」

未央「……ンフフ。もうわかんない。助けて川島さん」

ヘレン「自覚が足りないようね。いいわ!あなたもレッスンに来なさい!世界レベルの指導をしてあげるわっ!」グッ

未央「え!?ちょ、待って、私明日からツアーが……わわっ、引っ張らないでっ!んな~ぁぁぁ……」ガタタ

モバP「…………置いてかれた」

川島瑞樹「さっき呼ばれた気がしたんだけど、どうしたの?」

ちひろ「あ、お疲れさまです。ヘレンさんが未央ちゃんの理解の範疇をぶち抜いて、拉致っちゃったんです」

瑞樹「……わからないわ。そうそう、P君。部長が話があるから会議室まで来てほしいって」

モバP「え?今日のレッスンは付き添うって新人達に言ってたんだけど……仕方ないか」

瑞樹「奏ちゃん達には私が付き添うわ。ここで待っていればいいの?」

モバP「ええ。では、すいません。よろしくお願いします」

瑞樹「私もアイドルデビューさせて貰えるって事だし、これも勉強のうちよ」

モバP「そう言ってもらえると助かります。ホント、指導力のある瑞樹さんとヘレンさんのおかげで、かなり融通が利くようになりました。あざっす!」

瑞樹「ふふ。プロデューサーに貸しを作っておくという意味もあるのよ?」

モバP「そりゃ怖い。瑞樹さんがデビューしたあかつきには全力でプロデュースさせて頂きますので、何卒お手柔らかに」

瑞樹「……当分はセルフプロデュースになりそうだけど」

モバP「え?なんですか?」

瑞樹「何でもないわ。それじゃあ、会議室までダッシュ!でも危ないから走っちゃダメよ」

モバP「…………わからないわ」

島村卯月「そんな時はスキップです!そう、フランダースの犬のオープニングの様にっ!」ニュ

モバP「うぉ!居たのか。……フランダースの犬のオープニングってスキップしてたっけ?」

卯月「してます!ほら、行きますよ!ららら~♪ららら~ん♪すぃんぐるしんぐぶれんふぃんぐす♪ららら~♪ららら~ん♪じんぐるふぃんぐすら~ら♪」スタターン スタターン

モバP「卯月は行かんでも……あ、菜々さん。お疲れっす」スタターン スタターン

安部菜々「……仕事から帰ってくるなり、アッパーなノリですね」

ちひろ「菜々さんお疲れさまです。あれはフランダースの犬ごっこと思ってもらえれば」

菜々「はぁ……フランダースの犬ですか。懐かしいですね」

ちひろ「菜々さんが懐かしがるアニメを、卯月ちゃんよく知ってましたね」

菜々「どういった意味ですかね~?ちひろさ~ん?」

ちひろ「ん~?特に意味はないですよ?」

菜々「……ちひろさんも、大概いい歳」

ちひろ「ストープ!菜々さん、私が悪かったです。ごめんなさい」

瑞樹「……不毛ね」



―――

城ヶ崎美嘉「それじゃ、初めての全国ツアー!頑張ってくるね……って、聞いてる?プロデューサー!」

モバP「…………え?あぁ、聞いてる聞いてる。うん……莉嘉は先輩がトイレに連れてったよ」

美嘉「もう!」

渋谷凛「……昨日から変だよ?どうしたの?なんかボーとしてるけど」

前川みく「Pチャンは元々変だから判断に困るところだけど」

モバP「おう、言ってくれるじゃねーか」グシグシ

みく「にゃにゃにゃっ!」ワタワタ

神谷奈緒「最近仲いいな。ちょっとばかしイラーっとくるから、あんまイチャつくなよー?」

みく「にゃふふ。Pチャンはみくの事が大好きだからにゃ~。すぐ構ってくるからみくも大変にゃ」

モバP「そりゃあ涙目でもっと構って欲しいにゃって縋ってきたらな~。すぐいじけるからPチャンも大変にゃ」

みく「縋ってはないにゃっ!!」

北条加蓮「構って欲しいとは言ったんだ……」

凛「言ったんだ……」

みく「にゃ!?目にハイライトがっ!そーゆーのは、まゆチャンの担当にゃ!!」

佐久間まゆ「うふふ……」

みく「あ、ごめんなさい」

三船美優「も、もっと……構って欲しいにゃ」ウルウル

和久井留美「構って欲しいにゃ」ウルウル

モバP「………………………………え?あ、ごめんなさい。なんですか?」

美優「ぁ、ぁぅ……」カァ

留美「ん゛ん!……何でもないわ」カァ

美嘉「……ねぇ、ホントに大丈夫?心ここに在らずっていうか。さっきから空元気じゃない?」

まゆ「そうですよぉ。まゆは心配で心配で……」

モバP「大丈夫大丈夫。ちょっと寝不足なだけだって」

奈緒「Pさん、前にもこんな感じになってたような……」ヒソ

凛「働く事務所を勘違いしてた時じゃないかな……」ヒソ

加蓮「だよね……なんか、本当に心配だな……」ヒソ

モバP「……お、先輩と莉嘉来たな」

城ヶ崎莉嘉「おっまたせ~☆Pくん、お見送りゴクロー!」

モバP「おぉ。その様子だと、いきなりでかいステージでも大丈夫そうだな」

莉嘉「もちろんっ!お姉ちゃんと一緒だしね☆ヨユーだよ!」

美嘉「こらっ!調子乗らない」

莉嘉「てへっ☆」

先輩P「さて、これで全員か……ん?卯月と未央は?」

モバP「先にバス乗ってます。昨日ヘレンさんにしごかれてグロッキーな未央を卯月が介抱してますよ」

先輩P「そっか。それじゃ私達も行くか。お前も新人達のお披露目イベント頑張れよ」

モバP「うす。みんな、体調には気を付けろよ!……元気でなっ!行ってらっしゃい!」

アイドル達「「「行ってきます!!」」


モバP「……行ってらっしゃい」



―――――――――

――――――

―――

モバP「……ん、オッケー。これで明後日のデビューイベントは完璧だな」

速水奏「ふぅ。どうかしら?これで、あなたの望んだアイドルになれそう?私なりにあなたの期待に応えたくて頑張ったつもりなんだけど」

モバP「……うん。元々、奏には惹かれてたから。望むも何もないよ」

奏「……あら、そう。ところでPさん。人は想いを言葉にするとき、何かしら感情が表れるわ。上辺だけの言葉で飾った、偽りの仮面であろうとね」

モバP「……あぁ、うん」

奏「今のPさんはただ反射で言葉を発しているだけ。おもちゃの人形と一緒。……ねぇ、ちゃんと私を見て。私の言葉に……想いに応えて」

モバP「……うん、そうな」

奏「……」

モバP「……」

奏「…………」

モバP「…………」

奏「キスしていい?」

モバP「うん……」

奏「ふふっ……ふふふ」スゥ

輿水幸子「はいっ!ストープっ!奏さん、ドサクサで何しようとしてるんですかっ」グイ

奏「あんっ。許可は得たのに……。Pさんは、私の言葉に……想いに応えてくれたじゃない」

幸子「うるさいですよ!そのセリフの直前に、『今のPさんはただ反射で言葉を発しているだけ』って自分で言っといて!」

奏「……やきもち?」

幸子「は、はあ!?」

宮本フレデリカ「大変だよプロデューサー!幸子ちゃんが嫉妬してるよ!幸子ちゃんにカワイイって言ったげてっ!」

幸子「ちょっ!?」

モバP「……ああ、カワイイカワイイ」

フレデリカ「とは言いつつも、一番カワイイのは?……フンフンフフーン♪フンフフー♪」

モバP「……フレデリカー」

フレデリカ「流石プロデューサー分かってる☆」

幸子「言わせただけでしょうがっ!ちょっとPさんっ」

姫川友紀「待って待って!幸子ちゃん待ってっ!!…………なんだかんだ言ってキャッツが?」

モバP「……ナンバーワンだ」

友紀「んふ~」

幸子「訳わかんないですよっ!もう!Pさん、いい加減シャンとしてください!!」

モバP「……え?おぉ、すまん。ちょっと考え事してた……あれ?芳乃は?」

友紀「ん?どこだろう……あ、あそこでうつ伏せで転がってる」

奏「すごくコミカルな光景ね……」

依田芳乃「ばばさまがー、わたくしは共に行ってはならぬと申されー……」

幸子「え!?もしかして明後日のイベントにですか!?」

芳乃「違うのでしてー。その日は感謝と共に踊りませー。みなの幸せを祈りつつー」

フレデリカ「そだねー。アタシなんか世界平和まで祈っちゃうからね!」

芳乃「世界……そなたー、そなたー」

友紀「ベースに届かなかったヘッドスライディングみたいになってる!すっごい涙目で両手を伸ばしてるよ、プロデューサー!」

モバP「はは……仕方ないな。よっと……ほら、ちゃんと立って」

芳乃「うぅ~、そなたー、そなたー」ギュウ

モバP「芳乃は知ってたか……そら、泣くな泣くな。ホントに幼女みたいだぞ」

奏「……知ってた?」

モバP「…………そう、よしのんは何でも知っている」

フレデリカ「例えそれが、幸子ちゃんのおパンティーの色でさえも」

幸子「何を馬鹿なことをっ」

芳乃「知っているのでしてー、うぅ~……白でしてー」

幸子「なぁ!?泣きながら何言ってるんですか!」

友紀「ちっちゃいピンクのりぼん付きだよね!」

モバP「漫画でよくあるパンツじゃん。あのりぼんってなんか意味あんの?」

幸子「セクハラですよっ!友紀さんもなんでボクの……う゛ん!その……知ってるんですか!!」

友紀「そりゃあ……ね?」

フレデリカ「着替えの時、みんなでガン見したからだよね~。バレないようにガン見するゲーム♪」

幸子「な、な、な……」

奏「私はしてないわよ」

幸子「うぅぅ、奏さんだけがまともな人ですよ~」ギュ

奏「はいはい、よしよし」ポンポン

モバP「ふはは。それじゃ、明日は朝から前乗りするから今日は早く寝ろよ?特に友紀。ビールは禁止」

友紀「あははっ」

モバP「……なんの笑いだよ、おい」

友紀「だいじょぶだいじょーぶ!プロデューサーは安心して京都に行ってきて。巴ちゃん達によろしく!」

モバP「はいよ。夜にはそっちに行けると思うから。リハしっかりな」

フレデリカ「オッケー☆任せといて!フレデリハ~♪なんて~♪」

モバP「お、おう。楓イズムだな……まあ、奏。色々と頼むな」

奏「ええ……」

奏(結局うやむやになっちゃったわね……それとも、うやむやにされたのかしら……)


―――――――――

――――――

―――

スタッフ「―――という事なので、別件になりますが、この後のポスター撮影も協力して頂けたらと」

モバP「わかりました。これは誰でも?」

スタッフ「依頼先も、急なお願いなんですべて任せるという事です。無理だったら無理で構わないとも」

モバP「いえいえ。有難く受けさせてもらいます。取り敢えず、今はこの京都散策ロケ頑張りましょう」

スタッフ「はい。それじゃあ宜しくお願いします」



村上巴「どうじゃ、P!うちも撮影に慣れたもんじゃろ?我ながら上手く回せたと思うんよ」

モバP「拓海、鈴帆、佐藤さん、楓さんのグループだもんな……。巴が居てくれて良かったよ……」

巴「ほーじゃろーが。よいよ、疲れたわ」

向井拓海「オイっ!アタシはまともだろーがっ!」

モバP「お前と鈴帆、太秦でテンション振り切ってたじゃん。侍の格好で鈴帆怪獣と立ち回りだした時はどうしようかと思ったぞ」

拓海「あれは、その……ウルセー!ばーかばーか!!」

上田鈴帆「まあまあ。周りの子供達も喜んどったけん、よかよか」

モバP「まあ、そうだな。勢いで佐藤さんにも切りかかったのは本気で面白かったし」

佐藤心「それはあれか?はぁとが怪獣扱いされたからか?ぶん殴るぞ、おい☆」

モバP「……髪おろして白無垢着た佐藤さん、綺麗だったなぁ」

心「取って付けたようなフォロー♪よいしょー☆」ドン

モバP「おふんっ!かったい拳っ!!痣出来ちゃう!」

高垣楓「え?じゃあ湯治?」

モバP「行きません。あなた撮影ギリギリまで入ってたでしょ!」

楓「ぶ~」

モバP「はいはい、ほらロケバス来ましたよ。みんなの事よろしくお願いしますね」

鈴帆「あれ?Pしゃんはホテルに帰らんと?」

モバP「俺はこのまま新人達のイベント会場に行くから。ホテルに川島さんがいると思うから、ちゃんと言う事聞くんだぞ」

巴「心配せんでも明日の応援には間に合うようにするわ。ほいじゃあ、Pも気をつけて行けぇの」

モバP「あいよ」

モバP「さて。俺もそろそろ……ん?」

塩見周子「あれ?Pさんだっ!どしたのどしたの?なんでここに……ははーん。さては、シューコちゃんが恋しくなったなー♪」

モバP「えっと……失礼ですがどちら様でしたっけ」

周子「シューコちゃんゆーてるでしょ!そーゆーの、冗談でも結構傷つくのにー」

モバP「ごめんごめん。好きな子に声かけられた時の照れ隠しだから」

周子「ふふっ。いつまでたっても思春期なんだね!」

モバP「そらそうよ。俺の思春期に終わりはないからな」

周子「♪」

モバP「………………………………えっと、周子さん?」

周子「なにー?」

モバP「一応言っとくけど、好きな子って言うのはあくまでも冗談で……」

周子「わかってるわかってるって。思春期真っ只中なPさん!」

モバP「うん。分かってない」

スタッフ「あの~……すいません、そろそろ撮影に入りたいと思います」

モバP「へ?」

スタッフ「あ、その子ですか?見かけない子ですが、新人さんです?」

周子「ん?」

モバP「あ……ああぁぁあああ!!そうだったぁ!!」

スタッフ「!?」ビク

モバP「じ、時間っ!!よ、余裕はありますかっ!?今からでも呼び戻してっ!!」

スタッフ「あ、あの。それが結構ギリギリで……え?この子がモデルじゃないんですか?」

モバP「こいつは和菓子屋の穀潰しです!」

周子「えー、ひどいなー。何をもってそんな事……んー、割と否定出来ないや」

モバP「そこは否定しとこうな!じゃなくてっ!すいません!完全に俺のミスです!アイドル達帰してしまって……申し訳ございません!」

スタッフ「あー……仕方ないです。元々こっちのミスでタレントを確保出来なかったのが原因なんですから。依頼先も後日でも構わないと言っているので、大丈夫ですよ」

モバP「でも、一回引き受けてる以上は……」

スタッフ「じゃあこの子を……なんて」

周子「んー、いいよ?暇だし♪その変わり、色々手続きがめんどくさそうだから、Pさんのお手伝いって事でね」

モバP「……マジで?」

周子「マジマジ」

スタッフ「冗談のつもりでしたが、この子ならポスターも映えると思うので、こちらとしても是非」

モバP「……じゃあ、すまん!周子、よろしく頼むっ!」

周子「オッケー。んじゃやっちゃいますかー」


―――

周子「いやー、アイドルって色んな仕事があるんだねー。なかなか面白かったよー」

モバP「ホント助かったよ。ありがとう、周子」

周子「いいっていいって。ミスすることなんて誰にでもあることだしねー」

モバP「そう言って貰えると救われるよ……。しかし、最近ボーとし過ぎて、細かいミスが多くてなぁ……いかんよ、これは」

周子「どしたん?何かあったん?悩みなら、吐き出せば楽になっちゃうよ?」

モバP「ほう……ぶちまけても受け止めてくれると?」

周子「華麗に避けるけどねー」

モバP「はは、じゃあ独り言。……俺、近々アメリカに行くことになったんだよ。プロデュース業の勉強にね」

周子「そうなん?どのくらい?」

モバP「一年くらい。状況によっては長くなるかも。どうなるかわからん」

周子「そっかー。一年以上も勉強はめんどくさいよねー」

モバP「……いや、そこじゃなくて。今プロデュースしてる子達と離ればなれになることにだな?」

周子「あー、なるほどねー。でも今の時代連絡なんてすぐつくじゃん。それにアメリカなんて飛行機で半日だよ?寂しがる事なんて無い無い」

モバP「!」

周子「あ!しばらく、その子達をプロデュース出来なくなるって事もあるかー。むしろそっちが本題?」

モバP「……うん、そうだな」

周子「そっかー。それは悩ましいね」

モバP「ごめん。そうじゃないんだ。いや、そうだと思い込んでた」

周子「?」

モバP「そこは、担当代えとかでプロデュース出来なくなる事もあるんだよ。この職に就いた以上割り切ってる事なんだ」

周子「へー。じゃあ……」

モバP「結局俺は寂しくなるのが嫌だったんだろうな~」

周子「ふふ、かわいいね。いや、女々しい?」

モバP「うるせーって、やべ!もうこんな時間か!すまん、もう行かにゃいけんわ。今回のお礼とギャラについてはまた後日な!」

周子「別にいいよー。あたしが勝手にやったことだし」

モバP「そういう訳にもいかんの。それじゃあ、今日は色々とありがとなっ!」

周子「んー。じゃあまた今度ねー。行ってらっしゃーい」

モバP「はいよっ!」


周子「…………アメリカかー。駄目元で言ってみようかなー」

―――――――――

――――――

―――



モバP「ん~!いい天気だ!これぞ快晴、日本晴れ!アイドルの神様がお前達のデビューを祝福してくれてるようだなっ!」

幸子「ボクとしては複雑なんですけど。スカイダイビング決行が確定された訳ですから」

モバP「練習で何回も飛んだから慣れたもんじゃん!ほらほら、そろそろ飛行場に行くぞ。乗った乗った!」

幸子「何回飛ぼうが、怖いものは怖いんですよ……ん?友紀さん?乗らないんですか?」

友紀「ここで残念なお知らせです」

モバP「今朝未明、友紀と共に飛んでたインストラクターさんから連絡がありました。『愛が溢れて止まらない……もう抑えられない。ごめんなさい、私は行きます。あの人と』と」

幸子「……は?」

友紀「つまり、駆け落ちという名のドタキャンをかまされたんだ!という事で、幸子ちゃんガンバっ!」

幸子「え!?替わりの人は!?」

モバP「練習してない替わりの人じゃ、演出関係でキビシイだろうってなってな」

幸子「じゃ、じゃあ!Pさんのインストラクターならっ!」

友紀「なぜかプロデューサーも練習してたもんね~。でもね、幸子ちゃん……駆け落ちの相手、その人なんだ」

幸子「んなっ!」

モバP「ついでに言うと、幸子のインストラクターと三角関係だったみたいなんだ」

幸子「ちょおっ!!それって精神的にマズイことになってるんじゃないんですか!?」

モバP「まあ、芳乃が大丈夫って言ってたし……。彼女もプロだ。仕事にプライベートを持ち込まんって」

幸子「おもっくそプライベートを持ち込まれた結果!結果っ!!これっ!こ~れっ!!この状況!!!」

友紀「あははっ、幸子ちゃん落ち着いて。ただあたしが飛ばなくなるだけ!やる事は一緒だよっ!」

幸子「インストラクターの心が壊れているかもしれないんですよ!?……あ!別にボクじゃなくて、友紀さんが飛んでもっ!」

モバP「っと、時間ないな。それじゃ、友紀。みんなと一緒に会場入りしてくれな。俺も幸子を送り次第すぐ行くから」

友紀「オッケー!じゃ、幸子ちゃんドア閉めるよ!」バタン

幸子「ちょ!ボクの話はまだ終わって……ま、まって」

モバP「いざ、でっぱつだ~!」

幸子「あぁ!もう!釈然としない~!あぁぁ……」

友紀「行ってらっしゃーいっ!」


―――

神崎蘭子「新たな堕天使達の行進を彩る為に、魔王自らこの漲る魔力を解き放ってこよう!(今日デビューする子達の成功を願って、精一杯盛り上げてきます!)」

モバP「ならば見せてみよ!その覇道を歩んできた己の力をっ!」

蘭子「……?」

モバP「あ、伝わらない。……うん。蘭子のアイドル力を魅せつけて、盛り上げてくれ!トップバッター頼むな!」

蘭子「くっくっく……下僕たちを跪かしてこよう……(任せてください!)」

財前時子「アラアラ、時子様の前でよくもまあ言えたものね?誰が何を跪かせるって?」

蘭子「ひぃ!わ、我が友よ!時が来たようなので、その……行ってきますっ!―――み、みなのもの~!や、闇に飲みゃ!っ……やみのま~!」


やみのま~!!


モバP「……時子さん、開演寸前に脅すの勘弁してくださいよ。蘭子パニクって、やみのま言うてますやん。盛り上がってるからいいけど」

時子「ふん、あんなもの脅しのうちに入らないわ。ただまあ、下僕たちを跪かせるのは私だとハッキリさせとくべきだわ」

モバP「あれはそういう意味じゃないッス。実際に跪かせるのは時子さんくらいッス。普通ありえないッス」

時子「アァン!?」

モバP「ッス。すいませんッス」

双葉杏「……なんか最近変な感じだったけど、いつも通りの変なプロデューサーに戻ってるね」

モバP「おう、杏か。新人達は?ていうか、今ディスった?」

杏「楽屋でソワソワしてるよ。出番はまだ先だしね」

モバP「幸子が降ってきた後だもんな。それより、ディスったよね?」

杏「時間にどうしてもズレが出るから、テンションのコントロールも難しいよね」

モバP「そうだよなぁ……ディスった?」

時子「しつこいっ!!」ピシッ

モバP「イッ!?イッテ!鞭イッテ!!」

杏「……ほんと元のプロデューサーだね。最近悩みでもあったの?」

モバP「軽くね。もう解決したけど」

杏「ふ~ん。それは聞いてもいいの?」

モバP「そうだな、すぐ知ることになるだろうし二人には言っとこうか。少しばかり会社から離れることになった」

杏「は?離れる?」

時子「……」

モバP「うん」

大沼くるみ「……え?」

森久保乃々「……え?」

モバP「おおう、いつの間に……」

くるみ「ぷ、ぷろでゅーしゃー……居なくなっちゃうのぉ?」

モバP「うん、まあ……留学することになってな。プロデュース業の」

くるみ「なんでぇ?なんでぇ?……ふぇぇ、くるみ達がアイドルを上手く出来てないからぁ?うぅ、ごめんなさいぃ……」

モバP「違う違う!くるみ達は本当によくやってくれてるよ。人気も順調に上がっているしな!」

乃々「じゃあなんで行くんですか?納得いかないんですけど……」

モバP「えっと……765プロの勢いが凄いだろ?あの躍進っぷり」

乃々「なんですか急に……765プロは元々凄かったと思うんですけど」

モバP「そうなんだけど、最近は特にな?それで、その秘密を部長が調べたんだよ。そしたら、765プロのプロデューサーが留学に行ってたらしくて」

杏「それなら、うちのプロデューサーも行かせてみようと?」

モバP「ご名答」

杏「え~、マネっこじゃん。プライドはないの~?」

モバP「おぉ~、あの杏からプライドの有無を責められるとは……成長したな!」

杏「うるさいなぁ。どうせ、会社にとってプラスになる事はドンドン吸収していくもんだとか、どーでもいい事言うんでしょ?はぁ~やだやだ。そーやって杏達を捨てるんだ。あ~あ、やる気無くしたな~」

モバP「会社が云々については企業として当たり前なの。あと、捨てるとか滅多なこと言うなって」

杏「だって行くんでしょ!?ふんっ」

モバP「拗ねんなよ。そんなんカワイイだけだって、な?乃々、くるみ?」

乃々「うぅ……うぅ!」

くるみ「ふぇぇ、んぐぅ……ふぇぇん!」

モバP「……カワイイだけだぞー?泣くな泣くな」

時子「……それで、期間は?」

モバP「一年くらいだとは聞いてます」

時子「あら、そんなものなの。ふん、そんな大袈裟に」

くるみ「い、一年!?や、やだぁ!そんなにぷろでゅーしゃーと離ればなれになるなんてぇ!」

時子「……いい度胸ね。私に被せてくるなんて」

くるみ「ひぃ!で、でもぉ、一年も居なくなるなんて聞いたらぁ……」

時子「たった一年でしょう。時間の感覚ですらその無駄な脂肪に吸収されてるようね」

モバP「まあまあ、若い頃は時間が長く感じるようになってますから、仕方ないと」

時子「アァ!?私がババアとでも言いたいの!?殺すわよ!!」

モバP「滅相もございません!お美しい時子様にそんな畏れ多い!」

時子「ふん!……まあいいわ。精々あっちで勉強して、この私に釣り合う男になってきなさい」

モバP「うす!頑張りますっ!」

時子「あなた達も、この業界に入って多少は強くなったでしょう。こんなしょっぱい男が、たかだか一年居なくなるくらい我慢なさい」

杏「……はぁ~。仕方ないか。プロデューサー、飴の作り置きは大量にしといてよ」

乃々「うぅ……。プロデューサーが居ないと、不安で逃げたいですけど逃げたら後悔しそうなので……頑張ってみます……」

くるみ「ぐしゅ、うん。ぷろでゅーしゃーに心配かけたくないから、くるみも頑張りゅ……」

モバP「お前ら、成長したなぁ……俺もお前らに負けないようレベルアップしないとなっ!…………時子さん、ありがとうございます」

時子「ほっといたらギャーギャー五月蠅いでしょう。もう私を煩わらせないよう、他の小娘達には貴方がよく言って聞かせておきなさい。今日中によ」

モバP「今日中ッスか……担当アイドルが珍しく揃ってますもんね。丁度いいか」

杏「さ~て、何人の女を泣かすのかな?すでにくるみと乃々を泣かせたジゴロさんは」

モバP「ヤな言い方すんなよ。大体留学の事を知らない人で、泣くようなタイプいないだろ」

杏「え~?そう?」

モバP「だって、拓海に巴、佐藤さんに鈴帆だろ?んで、楓さん、菜々さん、蘭子、新人達……え、濃ゆくない?」

杏「特に宮本フレデリカという未体験ゾーン……。うん、杏が悪かったよ。強いて言うなら、泣きそうなのは蘭子ちゃんくらいだ」

モバP「ですよねー……っと、その蘭子のステージが終わりそうだ。まだ、幸子班から連絡が無いな……。予定通り幸子が降ってくるまで、四人で場つなぎお願い」

時子「ふふ、本当の跪かせかたを見せてあげるわ。アーッハッハッハ!!」

モバP「……うい。ん?くるみ?」

くるみ「あのね……やっぱりまだ悲しいからぁ……ステージに上がる前に勇気がほしいぃ」

モバP「勇気?」

くるみ「初めてライブしたときみたいに、ギュってしてほしいぃ」

モバP「……みんな蘭子を見てるな。もし見られたとしてもスタッフだし、くるみのキャラなら変な誤解はせんだろ。よっしゃ、来い!」

くるみ「うんっ!」ギュー

モバP「そう言えば、前は最初で最後の特例とか言ってたな……」ギュ

くるみ「くるみばかだからぁ、忘れたのぉ……ありがと、ぷろでゅーしゃー。もう大丈夫」

モバP「よし!これで……ん?」

乃々「……ぎゅってしてくれれば勇気でるぅ」

モバP「はは、前と同じ流れか。その唐突なモノマネに敬意を」ギュ

乃々「う~……やっぱりちょっと恥ずかしい……」ギュー

モバP「さて……こうなると」

杏「……はいはい。たかいたかい、たかいたかい」

モバP「ん」ギュ

杏「っ!?……ん」ギュー

モバP「フェイント!そら、高いたか~い!!うえははは」グルグル

杏「んな!?ちょっ!!やっ……ばかっ!…………ふへへへ」

くるみ「……いいなぁ」

杏「またしても楽しんでしまった自分に腹立つ……」

モバP「そして……」

時子「あ?」

モバP「さ、さーて!みんな出番だぞ!盛り上げていこうっ!」

くるみ「うんっ!」

乃々「できるものなら……」

杏「ぼちぼちね」

時子「私の邪魔はしないように」


モバP「うおー!幸子がセットに引っかかったぁ!!」

杏『……今日デビューの輿水幸子によるサプライズ演出だよ。みんな拍手ー』

幸子『サプライズ演出……サプライズにもほどがあるでしょう!?インストラクターさん!泣いてないでなんとかして下さい!』

くるみ『ふぇぇ……幸子しゃん、そこで歌うのぉ?』

幸子『そんな訳ないでしょう!?ちょ、インストラクターさん!ボクは輿水幸子!あの逃げた男じゃないです!抱き付かないでっ!!』

乃々『斬新な自己紹介なんですけど……』

幸子『もうっ!何言ってるんですか!そんな事より早く誰か助けてっ!!』

時子『ほー?そうやって見下ろして悦に浸ってるのね……躾けられたいの?』

幸子『あ゛あ゛!!まともな奴を連れて来いやー!!』

モバP「……ふふ」

幸子『そこ笑うなぁ!!』

モバP「!?」ビク


―――――――――

――――――

―――

未央「お疲れさまっで~す」

奏「あら、どうしたの?ツアー中よね?」

未央「今日収録があるから、私だけ一時的に戻ってきたんだ。しぶりん達もちょいちょい戻ってくると思うよ」

奏「そうなの?大変そうね」

未央「そうそう、人気者のつらいところですなぁ~」

奏「ふふ。その人気にあやかりたいわね」

未央「うむうむ、くるしゅーない!なんてね!ところで、その写真デビューイベントの?」

奏「そうよ。Pさんが撮ってくれたの」

未央「おお……綺麗な衣装だ」

奏「綺麗な蒼でしょう?Pさんがこの日の為に用意してくれたのよ。デビューの記念にってプレゼントしてくれたわ。ふふ」

未央「蒼……プレゼント……。はやみん、それ……しぶりんには言っちゃダメだよ。七面倒くさい事になるから」

奏「そんな真顔で……。まあ、わかったわ」

未央「ん。それにしても、プレゼントは羨ましいな~。私もプロデューサーにおねだりしてみようかな……って、居ないね」

奏「京都に行ってるわ。お礼がどうとか言ってたわね」

未央「え~、会いたかったんだけどな~。収録終わったらすぐ戻らないといけないから、今日会えないと当分先になっちゃうなぁ」

奏「……」

未央「……どしたの?」

奏「ううん。なんでもない。いつか逢える日はくるわ」

未央「え……それって……って、小芝居してる場合じゃなかった。私そろそろ行くね!プロデューサーによろしくっ!」

奏「ええ。頑張ってね」

未央「おうよ!」タタ

奏「当分先、ね……。ふぅ、心の整理にまだ時間がかかるわね」


―――

モバP「ただいま戻りました。ん~……」

ちひろ「おかえりなさい。どしたんです?眉間にしわ寄せて」

モバP「ちょっとした案件が出来まして。また今度、部長と京都に行くことになったんですよ」

ちひろ「留学前に何かやらかすなんて……飲みに行きます?」

モバP「いやいや、そういう事じゃないですって。個人的には面白そうな事を提案されて……アイドル育成に可能性が広がるだろうし……でも、シェアハウスか……」ブツブツ

楓「たるき亭に予約入れときますね」ニュ

ちひろ「……プロデューサーさん、どうやら飲みは確定されたようです」

モバP「え?あぁ、了解しました。……ん?楓さん、いつからそこに?」

楓「芳乃ちゃんと一緒に机の下にいたら、飲みのお話が出たのでニュッと」

モバP「はぁ、ニュッと……え!?机の下!?」バッ

芳乃「わたくし登場ー」

モバP「全然気付かんかった……芳乃はともかく楓さんの気配まで感じんとは……ていうか、よく収納出来てたな」

楓「芳乃ちゃんを抱っこしたら、スッといけましたよ?」

モバP「ああ、なるほど。それで気配も」

ちひろ「納得しちゃうんだ」

モバP「芳乃ですから」

ちひろ「もう、それでいいです」

芳乃「ねーねーそなたー。わたくしもー、お供したくー」

モバP「ダーメ。子供は居酒屋に入ってはいけませーん」

芳乃「むー」

モバP「むくれんなって。そうだな……明日の昼、どっか上手いめし屋に連れてってやるから」

芳乃「約束でしてー。レッスンが終わり次第、速やかにー」

モバP「はいよ。………………もう、大丈夫そうだな」

芳乃「……みなのために祈り舞う、これもわたくしの喜びだと思いましてー。あのステージはわたくしを成長させてくれましたー」

モバP「そっか」

芳乃「でもー、そなたが旅立つその日がくるまではー、甘えるのでー、そこのところよしなにー」

モバP「了解。好きなだけ甘えな」

ちひろ「そなたが旅立つその日がくるまではー、飲み代甘えるのでー、そこのところよしなにー」

モバP「はは、うける」

ちひろ「……雑すぎでしょ」


楓「ふふ。旅立ちの時までたくさん飲み会……お話をしましょうね。プロデューサーが留守だと飲み会も減……プロデューサーとの絆の深め合いが出来なくなりますから。……寂しくなります」ホウ

モバP「酒目当てなの隠す気ないですね?それでも、その憂いの表情とセリフに嬉しく思ってしまうのが悲しい男の性」

ちひろ「アホですね」

モバP「そう、だから奢りたくなってしまう」

ちひろ「……私もプロデューサーさんと絆の深め合いが出来なくなるのは、寂しいです」

モバP「はは、うける」

ちひろ「ふふ」

モバP「……」

ちひろ「……」

モバP「絶対奢らん!」

ちひろ「絶対奢られる!」

楓「二人いつも仲良いですね~。ふふ」

芳乃「むー」


―――――――――

――――――

―――

モバP「さて、やり残したことはもう無いかな。主だったスタッフさん達に挨拶も済ませたし、荷物も送った。業務引継書も纏めたし……よし、終わり!」

ちひろ「お疲れさまです。出発は来週ですよね?もしかして、それまでお休みなんですか?」

モバP「その予定だったんですけど、今日からもう一仕事申し付けられて」

ちひろ「また、京都関係ですか?」

モバP「その件は、あれよあれよという間に決まりました。もう、なるようになれですよ」

ちひろ「まあ、それも勉強の一環なんでしょう。……アイドルの子達には言わないほうがいいと思いますが」

モバP「そりゃ言えないですって……。そうじゃなくて、留学のことを部長が言ったみたいなんですよ。ちび達に」

ちひろ「あー、ティンときました。予想より泣かれて、アメリカに行く前にフォローしてくれと?」

モバP「概ね正解です。でも泣かれてはないです。そもそも、低学年の子達はよく分かってないみたいですね」

ちひろ「泣かれてはないんですね……なんか、ごめんなさい」

モバP「そのマジトーンやめてもらえます?割とヘコむから。じゃなくて、高学年の子達が拗ねちゃったんですよ。それで部長が怯えちゃって」

ちひろ「怯えるって……」

モバP「晴とかみりあ、ありすなんかは解かりやすくブーブー言ってくるだけみたいですが。千枝が……」

ちひろ「部長を怯えさせてるんですか?あの千枝ちゃんが?」

モバP「そうなんですよ。態度こそ普通でいつも通りいい子なんですが、ふと気がつくと見つめられてると。睨むとか哀しそうな顔でとかじゃなく、まったくの無の表情で」

ちひろ「……無ですか」

モバP「無です」

ちひろ「……千枝ちゃんと部長を救えるのはプロデューサーさんだけです……ガンバっ!」

モバP「……他人事のように言ってますが、ツアーに影響をださないよう凛達には留学のこと伝えてないの忘れてませんか?」

ちひろ「……ツアーっていつまででしたっけ?」

モバP「再来週ですね」

ちひろ「プロデューサーさん!出発を再来週に延期しましょう!?」

モバP「トライアドプリムスとまゆと留美さんと美優さんと美嘉と莉嘉と……あとついでに未央と卯月とみくを救えるのはちひろさんだけです……ガンバっ!」

ちひろ「具体的っ!先輩Pの担当の娘全員っ!モテ自慢ですか!?」

モバP「凛達に関しては恋に恋しちゃう年頃だから俺もわきまえるけど、留美さんと美優さんについては自慢だね!なんでこんな俺を好きになってくれたんですかね!?どうしたらいいですかね!?」

ちひろ「知らないですよ!なに開き直ってるんですか!?そんなんどーでもいいから出発を再来週に延期せーやぁ!!」ガバ

モバP「ちょちょ!あぶっ!おわぁ!!」ガタン

ちひろ「ふ~ふ~、それで、返事は?」

モバP「いや、無理ですって。それより、このマウント状態は……」

結城晴「……何してんだ?」

モバちひ「「!?」」ビクッ

赤城みりあ「プロレス?」

佐城雪美「…………心……教えて…………」

心「セックス☆」

モバちひ「「馬鹿野郎っ!!」」

心「☆」テヘ



―――

モバP「それじゃ、佐藤さんに説教よろしくお願いしますね」

ちひろ「了解です」

心「やぁん☆はぁともガキんちょ達と遊びにいく~」

ちひろ「……佐藤さん」

心「サーセン」

モバP「よっしゃ!お前達どこ行きたい?出発の日までどこでも付き合うぞ!」

晴「分かりやすいご機嫌取りだな。部長に何か言われたな」

モバP「変に聡い子はお兄さん困っちゃうぞ☆で、どこ行く?」

みりあ「千葉にある遊園地!」

晴「オレもそこに一票」

雪美「……Pがいっしょなら…………どこでも…………」

モバP「決まりだなっ!」

みりあ「いいの!?やったぁ!!」

モバP「ただ大人はズルいぞぉ?それでもいいかぁ?」

みりあ「よくわかんないけど、負けないから大丈夫っ!」

モバP「いい根性だっ。じゃあ、行くぞ!車に乗り込め~」

みりあ「おー!ちひろさん、佐藤さん!行ってきま~す!」

雪美「……行ってきます…………」

晴「車で行く?……あー」

モバP「どした、晴?」

晴「んにゃ、なんでも。ちひろさん、ピンク。行ってくるな」

ちひろ「は~い。行ってらっしゃーい」

心「坊主コラ。待てやコラ」

晴「ははは、じゃーな!」



みりあ「もりのゆうえんち!」

晴「やっぱな……」

モバP「どうだ、みりあ。千葉の遊園地だぞ」

みりあ「もりのっゆうえんちー!」ワタワタ

雪美「みりあ……おもしろい…………動き……」

みりあ「もっりっのっ!ゆーえんちー!!」グイグイ

モバP「そんな引っ張らんでも、もりのゆうえんちは逃げんって。ははは」

みりあ「ちーがーうー!ここ、ネズミいない!パレードない!待ち時間ないっ!!ないないなーいっ!!」

モバP「待ち時間ないのは理想だよなっ!」

みりあ「もぉおお!!もりのゆうえんちぃぃいいい!!」タタ

雪美「……ダッシュ…………入場……」

モバP「入園無料だからこそだよな。門、開きっぱなし」

晴「お前なぁ……」

モバP「……いや、急に浦安は無理だって。お前達の知名度に対して、大人が俺一人じゃ危なっかしいだろ」

晴「ま、いいけど。案外こういう所も楽しいしな」

モバP「そうそう。こういうのは楽しんだもの勝ち」

雪美「P……観覧車…………乗りたい……」

モバP「おし、じゃあ俺達も行くか!みりあ~、ちょっと待てぇ」

みりあ「もりのゆうえんちぃ!!」

雪美「ふふ……みりあが…………壊れた……」


―――

モバP「さて、今日仕事が休みなちびっ子達はどこ行きたい?」

龍崎薫「もりのゆうえんち!」

遊佐こずえ「もりのゆうえんちー」

市原仁奈「もりのゆうえんちに行きてーです!」

モバP「お、おぉ……なんで?」

薫「みりあちゃんが凄く楽しかったって!かおるもせんせぇとサイクルモノレール乗るー!」

モバP「確かになんだかんだ言って楽しんでたな、みりあ。ふふ」

こずえ「こずえはぷろでゅーさーと……きしゃにのるのー……しゅっしゅー、ぽっぽー」

仁奈「動物たちの乗り物がいっぱいあるって聞いたです。仁奈も乗ってみてーです!」

モバP「そっかそっか。こりゃもう行くしかないな!」

薫「うん!はやくいこっ!!」

仁奈「P!早くしやがるですよ!」

こずえ「おててつないでー……いくのー」

モバP「はいよ!それじゃ、行ってきまーす!」

拓海「なんか過保護な親父みたいだな」

鈴帆「Pしゃんも暫く会えんようなる寂しさはあると思うけん、甘くなるのはしょうがなかばい」

巴「そうじゃのぉ。うちらも甘えてみよぉか?どっか連れてってくれるかもしれんよ?」

拓海「ははっそうだな。アメリカまでいっちょ頼んでみるか!」

鈴帆「……拓海しゃんもやっぱり寂しいんやね」

巴「いつまでもPと一緒がええんじゃのぉ……」

拓海「んな!?お、お前ら、変なノリすんじゃねぇ!寂しいとか……寂しいとかぁ!!」

鈴帆「……カワイかねぇ」

巴「乙女じゃのぉ……」

拓海「んなぁぁあ!!」


―――

モバP「今日は千枝とありすか。みんなから聞いてると思うけど、全力で遊びに付き合うぞ。どこか行きたい所とかあるか?」

佐々木千枝「その前にいいですか?あの……プロデューサーさんがもう少しで居なくなっちゃうから、千枝いっぱい考えました。どうしたら少しでも寂しくなくなるのかを」

モバP「え?う、うん。どした急に」

千枝「お願いを……わがままを聞いてもらいたくて……。ありすちゃんから聞きました。スカイプという映像つきの電話がパソコンにあるって」

モバP「ん~、間違ってはないか。千枝が持ってるスマホにもアプリ入ってると思うぞ」

千枝「……え?スマホ?アプリ?」

橘ありす「説明不足でしたね。スマホでビデオ通話は出来ないものもあるので……パソコンで説明しちゃいました」

モバP「俺もビデオ通話は主にパソコンでするから、気持ちはわかるよ」

千枝「ぁ……パソコンじゃなくてもいいんだ……」

モバP「なんだ、お願いってスカイプの事か。それくらいお安い御用だ!ただ、スマホだとバッテリー無くなるの早いから、もしもの時の為に外出先では禁止な」

ありす「タブレットではいいですか?携帯は別に持ってますから」

モバP「そ、そうだなぁ……節度をもってな?」

ありす「ふふ、はい」

千枝「ぁぅ……どうしよう……」

ありす「どうしたんです?」

千枝「千枝パソコン持ってないし、事務所にあるのもお仕事用で触っちゃいけないから……」

モバP「いけないから?」

千枝「その……部長さんにスカイプ用のパソコン買ってくださいって……」

モバP「スカイプ用のパソコン……なんて贅沢っ!」

千枝「だ、だって……スマホで出来るなんてしらなかったから……」

モバP「部長はなんて?」

千枝「いいよって……今日買ってきなさいって。領収書は貰ってきてねとも言ってました」

モバP「今日買ってこいって、どんだけ早く機嫌取りたいんだ……って、あれ?金は俺が立て替えるのか?ちゃんと経費で落ちるよな……」

千枝「千枝このお金返してきます。ちゃんと謝らないと……」

ありす「お金預かってたんですか!?」

モバP「あの人なに考えてんだ……いくら預かってたんだ?」

千枝「この封筒に……」

モバP「……50万はあるな。一瞬、自分の常識を疑ってしまうほどの非常識さだな……」

千枝「そんなにあったんですか!?プロデューサーさん、一緒に返しに行きましょう!?千枝、怖いです!」

ありす「……いや、待ってください。別に返す必要はないのでは?パソコンを買う事の許可は得てるわけですし」

千枝「で、でも……スマホでも出来るから……」

ありす「それはPさんのプライベートな番号ですよね?」

モバP「……あ、そうか。よし、千枝!遠慮なく買いに行くぞ!50万もあるんだから、あっちで設置する分も買っちゃおう!」

千枝「え?え?」

ありす「もしPさんとスカイプしてることが明るみになった時のことを考えると、事務所でみんなと共有したほうが揉めないでしょう?」

千枝「そ、そうなの?」

モバP「そうそう。……そうなると、ちゃんと時間とか決めとかないと際限なさそうだな」

ありす「……人気者アピール?モテる男はつらいとでも?実はそうでもないかもしれないのに」

モバP「んまぁ!やな子だよっ。自分から話フッといてその言い草!このこのこのっ!」フニフニフニ

ありす「恥ずかしさを誤魔化す為にほっぺたを突っつかないでください。顔赤いですよ?」

モバP「またそーゆーこと言う!あ、そうだ。ちょっと、ほっぺた膨らまして?」

ありす「?」プク

モバP「えいっ」フニ

ありす「ぶふぅ!……何がしたいんですか」

モバP「んははは!わかんない!ただ、ありすちゃんカワイイ!それだけ!!」

ありす「……馬鹿なんですから」

モバP「ふはは。……んで、話逸れたけど、やっぱりビデオ通話である以上事務所内に留めといたほうがいいよ。スキャンダル的な意味で揉めかねん」

千枝「そうですか……」

ありす「スキャンダルは流石に考えすぎですね。……本音は?」

モバP「凛達にバレた時が面倒です。あと、まゆが怖い」

ありす「結局そこなんじゃないですか……」

千枝「あの……で、でも……やっぱり寂しい時は、その……プライベートな番号にかけてもいいですか?」

モバP「……みんなには内緒だぞ?」

千枝「は、はい!」

モバP「あと、部長を無の表情で見つめるの止めてあげてな?」

千枝「そんなことしてたかな?でも、わかりました!」

モバP「……ミッションコンプリート」ボソ

ありす「ふふ、千枝さん元気になって良かった」ボソ

モバP「お?ありすはいい子だなぁ!よ~しよし、いいこいいこ!」

ありす「ひゃあ!もぅ……ふふ」

モバP「よし!と言う事で、今日は買い物でいいか?」

千枝「はいっ!」

ありす「問題ないです」

モバP「んじゃ、買い物デートにレッツゴー!」

千枝「ゴー!」

ありす「ゴ、ゴー!」


―――――――――

――――――

―――

ちひろ「いよいよ明日出発ですね」

モバP「この一週間早かったなぁ」

菜々「子供達とずっと遊んでましたもんねぇ」

ちひろ「ツアー組の子が一時的に帰ってきても、プロデューサーさんが毎回居ないので宥めるの大変でしたよ。留学のこと言えないし……」

モバP「お疲れさまですとしか言えねッス」

ちひろ「本当に疲れてたんでしょうね……凛ちゃんが帰ってきた時についポロっと言っちゃいました」

菜々「あちゃー……凛ちゃん動揺したんじゃないんですか?」

ちひろ「思慮深い、それはもういい顔してました」

菜々「え?いい顔?」

ちひろ「奏ちゃんのデビューイベントの写真を見せて、『この蒼い素敵な衣装、プロデューサーさんからのプレゼントなんですよー』って言ったら、そらもういい顔」

モバP「おうコラこのド畜生。留学のことじゃないんかい。しかも、わざわざ写真を見せてる時点でポロっともクソもねー!何言っちゃってんの!?」

ちひろ「だってプロデューサーさんずっと遊んでるから……ちひろ寂しかった!」

モバP「すげぇ……今びっくりするほどイラッとした」

ちひろ「そこはキュンとくるとこでしょーがっ!そんなんだから嫌がらせの一つや二つしたくなるんですよ!」

モバP「二つ!?」

ちひろ「さっきあげたスタドリ、実はエナドリですっ!」

モバP「しょーもなっ!プレゼントですって急にくれたから、ちょっとキュンときたのに!」

ちひろ「……え?」

モバP「あ……」

ちひろ「ふふ」

菜々「……ナナがイラッときたんですけど。なにイチャついてんですか」

モバP「う゛ん!とにかく凛にフォローしといてくださいよ?デビューした記念のプレゼントで、それ以上の意味はないって」

菜々「ナナも貰いましたからね。巻き込まれないよう、ナナからもお願いします!」

ちひろ「はーい。……蒼い衣装ってとこもポイントなんですがねぇ……」

モバP「え?なんですか?」

ちひろ「やだっ、この人ラブコメの鈍感主人公のよう!キュンキュンしちゃう!悪い意味でっ!」

モバP「……更にイラッとさせてくれたお礼に、良いことを教えてあげましょう。留学のこと、実は先輩も知らないんです」

ちひろ「……え?なんだって?」

モバP「やっぱ俺が居なくなる分、仕事がすんごい増えるみたいですねぇ。それ知ったらツアーぶん投げて帰ってきそうだから黙ってるんだって!きゃは☆」

菜々「あ!それナナの大事なやつ!きゃは☆」

ちひろ「きゃは☆じゃなくてっ!それって……」

モバP「千川君には緩衝材として大きく期待している、だそうですよ?」

ちひろ「んなっ!?」

菜々「それは大変そうですねぇ」

ちひろ「……プロデューサーさん、やっぱり出発するの来週にしません?」

モバP「ハハッ!無理っ!!」

ちひろ「いいから来週に延期せーやぁ!!」ガバ

モバP「ちょ!?またっ!?おわぁ!!」ガタン

菜々「だ、大丈夫ですか!?」

ちひろ「ふ~ふ~」

モバP「ちひろさん、落ち着いて。このパターンは……」

晴「お前ら、また……」

みりあ「あ!セックスしてるっ!」

菜々「!?」

雪美「P……また…………セックス?」

菜々「!!?」

薫「セックスっ!!って、なにー?菜々ちゃん」クイクイ

菜々「!?!??」

こずえ「なにー……?」クイクイ

菜々「!?!??」

仁奈「楓おねーさん、教えてほしいでごぜーます!」

楓「菜々ちゃんがよく知ってるみたいだから、聞いてみましょう」

菜々「!!??!?!?」


モバP「みんなタイミングよく来るなぁ……。晴、あとは頼んだ」

晴「無茶言うなよ……」


―――

モバP「さて、そろそろ出たほうがいいかな」

瑞樹「いいの?子供達まだ来てないけど」

モバP「昨日の壮行会で充分話せましたから。改めて見送られるのも、なんか照れちゃいますし」

ちひろ「そうだろうと思ってタクシー呼んどきましたよ」

瑞樹「流石P君の元カノ。わかってるわね」

ちひろ「誰に聞いたんですか……あれはフリをしてただけですよ。有能アシスタントと言ってください」

ヘレン「つまり世界のレベルに達しているという訳ね!エクセレンっ!!」

ちひろ「色々と飛躍しすぎですっ」

モバP「はははっ。……よしっ!じゃあ、行くとしますか!」

瑞樹「ふふ、頑張って……ん?」

美優「お疲れさまです……あ、Pさん!」カチャ

留美「あら、私達は会えたわね。ふふ、P君に会えないって凛ちゃん達愚痴ってたわよ」

モバP「わーお……」

留美「どうしたの?」

モバP「いえ……まいったな……」

美優「そのカバン……出張に行くんですか?」

モバP「え?あ、あぁ!そうなんです!急に地方で仕事が入っちゃって……はは」

美優「……嘘。Pさん、本当の事を言って下さい」

モバP「い、いや……嘘なんて……」

留美「P君。私達どれだけあなたの事見てると思ってるの?それで誤魔化せると思ってるの?私達の好意を甘くみすぎじゃない?」

モバP「え、あ、その……」


ちひろ「うわ、顔真っ赤」

ヘレン「情熱的ね。嫌いじゃない、嫌いじゃないわ!」

瑞樹「若いっていいわねぇ」

ちひろ「割りと同年代ですよ……」

美優「もしかして……この事務所を……」

モバP「や、辞めないです!そういう事じゃなくてっ!」

留美「どういう事?」

モバP「はぁ……仕方ないか。俺、アメリカに留学することになったんです」

美優「え!?な、なんで……」

モバP「プロデュースの勉強の為に」

留美「……期間は?」

モバP「予定では一年。もしかしたら延びるかもしれないです」

美優「そ、そんな……い、嫌です……行かないで…………」ギュ

モバP「すいません……もう決まった事なんで……」ス

美優「ぁ……いや……いや……」

留美「……」

瑞樹「なんかドラマチックになってきたわね」

ちひろ「ハラハラしますね」

ヘレン「見なさい!留美が仕掛けるわっ!」ガタ

ちひろ「ちょ、ヘレンさん……んふふ」


留美「P君、逃げないで聞いてくれる?」ギュ

モバP「……」

留美「これからP君がどこへ行こうと止めない。それがいつ帰ってこれるか分からないとしても、私は待ってる。いつまでも待ってる」

モバP「……」

留美「重い女だと思ってもいい。面倒な女だと思ってもいい。ただ、あなたが帰ってくるところはいつまでもあるから。それは忘れないで」

モバP「……」

留美「ふふ……これじゃ都合のいい女かしら」

モバP「留美さん……」

留美「でもね?それでもいいと思えるほど、あなたの事が好きなの……。愛してるわ、P君」

モバP「っ!」カァ

美優「……」

ちひろ「ほあぁ!愛してるって言葉!ドラマとか以外で初めて聞きましたっ!!」

瑞樹「見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうわね」

ヘレン「日本人はシャイ過ぎるわ!奥ゆかしさも時には欠点という事を、心に留めておきなさい!ちひろっ!」

ちひろ「え!?私っ!?」


留美「あ、でも一つ許せないことがあるわ。なんで留学のこと嘘ついたの?」

モバP「ツアーに影響ださないよう、部長からのお達しで……」

留美「ふ~ん……それなら仕方ないわね。軽い罰で許してあげる」

モバP「ば、罰?」

留美「行ってきますのキスよ。ん」ズイ

モバP「んな!?出来る訳ないでしょ!?」

留美「ん」ズズイ

モバP「ちょちょちょ!?留美さんっ!あなたアイドル!私プロデューサー!!」

瑞樹「私達以外誰も居ないんだから、ぶちゅっとやっちゃいなさい、ぶちゅっと」

モバP「何言ってんすか!?留美さん落ち着いてっ!」

ヘレン「P!そんな固い考えじゃ世界のトッププロデューサーにはなれないわ!キスなんて挨拶よっ」グイ

モバP「え?」

ヘレン「ん~ま!」ンチュッ

モバP「!?」

留美「隙あり。んー」チュ

モバP「!!?」

ちひろ「カオスですね……ぁ」

美優「……」グッ

モバP「おわっ!」ガタ

美優「は、むん……ん、んん」クチュピチュクチュ

モバP「」

瑞樹「これは……凄いわね……」

美優「んは……私だってPさんのこと愛してます。いつまでも待てます……んん」クチュ

モバP「」

留美「み、美優、先走った私が悪かったから……それ以上は……ね?」クイクイ

美優「はむ、んむ……んん」クチュクチュ

留美「美優~」クイクイ

モバP「」


―――――――――

――――――

―――

モバP『ハロハロー、ちゃんと映ってますかー?』

ちひろ「バッチシですよー。そっちはどうです?」

モバP『問題ないです。やれやれ、無事繋がりましたか』

ちひろ「お疲れさまです。しかし、こう見るとあんまり遠くに離れてる気がしませんねぇ」

モバP『ですね。いつも通り事務所にいる感じがしないこともない気がせんでもないこともないですね』

ちひろ「よく分からないうえに、うざいです。ん?誰か来ましたよ」

モバP『え?』

メアリー・コクラン『ダーリン!シューコが呼んでるワ!お客さんが来たそうヨ!』

モバP『メアリーか。客?誰だろ』

ちひろ「プロデューサーさん?その子は……」

モバP『実はアイドル候補生だったりします』

ちひろ「あぁ、そっか。プロデューサーさんの勉強と並行して、本場の歌とダンスでアイドルを育成するんでしたね」

モバP『その一人がこの……』

メアリー『ハァーイ! メアリーよ。あなたがチヒロね?Pからよく聞いてるワ!』

ちひろ「は、はぁーい?え、えと……ニホンゴー、ジョーズデスネー?」

モバP『テンパり過ぎですよ。ちょっと席外すんで、メアリーと話してて下さい』

ちひろ「え!?そんな、無茶ぶり……行っちゃった」

メアリー『大丈夫よ、チヒロ!アタシ、Pが来る前から日本のアイドルになる為に、いっぱい日本語勉強してたノ!もう完璧だから!』

ちひろ「そ、そう。本当に上手ですね。プロデューサーさんとはどこで?」

メアリー『近所に引っ越してくる人がプロデューサーと聞いて、自分を売り込みに行ったワ!』

ちひろ「バイタリティに溢れてますねぇ」

メアリー『しかも日本のアイドルプロデューサーっていうじゃナイ!?運命を感じたノ!同じ候補生は神の思し召しって言ってたワ!』

ちひろ「ふふっ、良かったですね」

メアリー『それに加えてP自身にも運命を感じたワ!もう、アタシのダーリンよ!!』

ちひろ「ある意味つり橋効果な感じはしますが、よくよくあの人も子供に好かれますねぇ……」

凛「お疲れさまです」カチャ

ちひろ「あら凛ちゃん。ツアー終わって暫くオフじゃなかった?」

凛「うん。昨日、一昨日はゆっくりしたけど、最近プロデューサーに会ってないから……」

ちひろ「あ……マジかぁ……」

奈緒「おつかれー」

ちひろ「わぁ……」

加蓮「ちひろさん久しぶりー」

ちひろ「ひゃぁ……」

凛「二人も来たんだ。考えることは一緒だね」

奈緒「みたいだな。そう言えば、ちひろさん。部長が呼んでたぞ?」

加蓮「なんか先輩Pが激昂化してるから、はよぅ!って、めっちゃダッシュしながら叫んでた」

ちひろ「ここに留まるのも、あっちに行くのも嫌なんですけど……。もう、帰りたいんですけど……」

加蓮「よくわかんないけど、早く行ったほうがいいんじゃない?部長必死だったよ?」

ちひろ「うぅ……行ってきます……」ヨロヨロ

凛「なんかあったのかな?……ん?」

メアリー『Wow……TriadPrimus……』

奈緒「え?スカイプか、これ。ちひろさんの知り合い?」

凛「かわいい子だね」

メアリー『ダーリンダーリン!!』ダダッ

加蓮「あ、逃げた?」

奈緒「人見知りするタイプなのか」

加蓮「え?自己紹介?」

奈緒「うるせぇよ!」

加蓮「ふふ、ごめんごめん。あ、帰ってきた」

メアリー『すごいヨ!見て見てっ!!』グイグイ

モバP『わかったわかった。ヘレンさん、まさか連れてくるとはって……げっ』

凛「プロデューサー!?」

奈緒「は?」

加蓮「え?」

モバP『oh……TriadPrimus……』

メアリー『本物!?やっぱり本物!?』

モバP『うん、そうな……』

メアリー『おーまいがっ!!』

周子『どしたん?メアリーちゃん発音がおかしいよ?あ、トライアドプリムスじゃん』ニュ

凛「……プロデューサー何をしてるの?そこどこ?そのかわいい子達は誰?」

モバP『……やっぱりまだ聞いてない?』

加蓮「え?……やだよ?なんか嫌な感じがするよ?ねぇ、気のせいだよね?Pさん……」

奈緒「おい、事と次第によっちゃ、あれだぞ?……泣くぞ?」

モバP『……っべー。仕方ない……メアリー、ちょっと皆を呼んで来てくれ』

メアリー『わかったワ!ちょっと待ってて!!』タタ

モバP『その間に説明しよう!留学の辞令が出た!一年くらい!!』

凛「は?……は!?」

周子『そして、あたしがお願いした!連れてってと!!あ、塩見周子ですよろしくー』

加蓮「え、え?」

モバP『周子の両親にも懇願され、て言うより半ば放り出すように預けられようとし、困惑したところ!!』

周子『海外でアイドル育ててみるのも面白くない?って、あたし提案!!にしても、うちの両親ひどいよねー』

奈緒「ちょっ、待って待って」

モバP『その両親、なんと大胆にも俺と周子でシェアハウスで暮らせばいいじゃないと、ついでに提案!!』

加蓮「っ!っっ!」

周子『なんかPさんのこと気に入ってたからねー。でも、ここでPさんが渋る!』

凛「当然でしょ!!」

モバP『だけど周子の提案は興味があって、部長に相談!部長ノリノリ!!何人か候補生を見つけて寮的なものにすればいいじゃない。でも候補生は現地で見つけろな?と、クソジジイ!!だから頑張ってスカウトする俺っ!』

奈緒「ちょっと待てって!!整理出来んだろっ!」

メアリー『ダーリン連れてきたヨ!!』

モバP『お!タイミングバッチシ!さあ、みんな!先輩達に自己紹介だっ!』

メアリー『メアリー・コクランよ!トップアイドルのあなた達とぜひ仲良くなりたいワ!』

奈緒「お、おう。じゃなくてっ!」

モバP『次はこの方っ!』

クラリス『クラリスと申します。教会を救うために、私の全てをP様に託しました。以後、お見知りおきを』

加蓮「日本語上手過ぎない?」

クラリス『兵庫出身です』

加蓮「……え?」

モバP『そして次だっ!』

キャシー・グラハム『ハァイ!キャシーデース!ミナサーン、ヨロシクー!』

奈緒「おぉ、外国人って感じだ……って!だから、何誤魔化すように次々と」

キャシー『ニューヨーク生まれ浅草育ちなんだけどね!英語喋れなーい!!』

奈緒「……ふふ。くそぅ、笑っちゃった……」

モバP『ちなみに、ここサンフランシスコな!そして、のわっ!!』

一ノ瀬志希『ハスハスハスハス』

モバP『や、やめ!』

トライアド「「「見た目すら日本人じゃん!!」」」

モバP『いや、こいつは観光してたらいつの間にか付いてきてたんだよ』

志希『にゃーっはっは!だってイイ匂いがするんだもん!クンカクンカ』

モバP『……こいつは一ノ瀬志希な。ヘンタイだ』

志希『違う違うヘンタイごっこ!なんて言いつつ、最後にー』

卯月『はいっ!島村卯月です!一生懸命頑張りますっ!!』

トライアド「「「……え!?」」」

モバP『俺と部長の話、聞かれてたみたい……なんかヘレンさんが連れてきちゃった』

卯月『ヘレンさんは頼りになりますっ!一人じゃとても来れませんでした!今日からプロデューサーさん家の子になりますっ!島村さん家の子でもありますっ!』

トライアド「「「……え?」」」

卯月『つまり結婚を視野に入れた同居生活が今ここにっ!』

トライアド「「「……え!?」」」

ヘレン『卯月!Pの様子も見たし、そろそろ帰るわっ!帰ってすぐ仕事よっ!!』

卯月『え!?』

ヘレン『そうそう、さっき先輩Pから連絡があったわ』

モバP『え?』

ヘレン『まゆがそっちに向かってる。何とかしろと』

モバP『え!?』


キンコーン


モバP『えっ!?』




                                         ハッピーエンド

暇なときちょいちょい書ければいいなぁという願望
仕事次第です

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月04日 (火) 06:04:25   ID: l8oG009s

続編待ってました!

2 :  SS好きの774さん   2015年09月02日 (水) 01:13:50   ID: qsszEJaq

瑞樹さんが傍観者で完全に大人なのはちょっと珍しい

3 :  SS好きの774さん   2015年10月12日 (月) 05:30:48   ID: Rm2sPmGV

続きめっちゃ楽しみ
大好きだわ

4 :  SS好きの774さん   2015年11月13日 (金) 10:18:25   ID: wyttgE93

最後のスピード感w

5 :  SS好きの774さん   2017年03月25日 (土) 04:10:27   ID: 9vYgXDge

不吉な終わり方w

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