ほむら「幸せに満ち足りた、世界」2(まど☆マギ×禁書) (97)

本作は

「魔法少女まどか☆マギカ」



「とある魔術の禁書目録」

及びその外伝のクロスオーバー作品
第二スレです。

前スレ
ほむら「幸せに満ち足りた、世界」(まど☆マギ×禁書)

ほむら「幸せに満ち足りた、世界」(まど☆マギ×禁書) - SSまとめ速報
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二次創作的アレンジ、と言う名の
ご都合主義、読解力不足

分野によっては考証を勘と気合で押し切る事態も散見される予感の下、
まあ、数学とかもアレな世界だしとか若干の言い訳をしたりしなかったり

今スレより本作第二部のスタートとなります。

それでは今回の投下、入ります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1435465986

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 ×     ×

上条恭介が思い浮かべた名は、古のエジプト女王のものだった。

がやがやと騒がしい放課後の廊下、只でさえ災害で時間を食われた今、
真っ直ぐ帰って支度をしようと歩き出していた上条恭介は、
当初の予定を変更して玄関とは別の方向に移動する。

恭介が住む見滝原全域を飲み込んだ、瞬発的に巨大台風が直撃した様な大嵐。
一時は見滝原丸ごと壊滅し兼ねない話題となり、
実際の被害も決して小さいものではなかった。
恭介自身も手痛いダメージを負ったのも確かだ。

それでも、被害規模は当初の予測、嵐自体の規模から見ると驚く程小さなものとなり、
避難中の事故で左足首を捻挫した事では随分難儀した恭介だっだか、
それも今では大きな支障もないぐらいに回復している。
恭介の足同様、街も、そして、今では学校生活も、
取り敢えず恭介の周辺では大体が今まで通りの状況だった。

恭介が進むに連れ、軽やかなジャズ・ピアノの旋律が彼を引き付ける。
せわしない程の動きに振り回されず、確かに捕まえている。
敢えて言うなら少しキンキンして聞こえるが、決して嫌な感じではない。

弾いているのは女の子かな?と、恭介は直感する。
何を手本に聴いたのかも何となく見当はつく。
この学校内で聞こえて来ている事を考えると、技量は高い。

独りでこんなものを聞きに来ていて、
最近は恭介の多忙を慮り女の子同士の付き合いを優先させている恋人に
ちょっと悪かったかな、とも思わないでもない。


 ×     ×

音楽室の前には、既に人だかりが出来ている。
恭介は、それをかき分ける様にして中に入って行く。
視界が開け、音楽室の中が伺える。
上条恭介は、こうして彼を誘ったピアノに視線を向ける。
そこで、上条恭介は把握する。

えらい美人がそこにいた。

軽やかにして力強くピアノを演奏しているのは、他校の制服を着た少女だった。
ネクタイ風の赤いタイを締めたセーラー服姿で、髪の長い品のいい美人。

恭介自身が裕福な坊ちゃん育ち、恭介の身近にも本物のお嬢様がいるが、
その彼から見ても彼女は間違いなく本物。
そして、一歳二歳が天と地の差を生み出す恭介達の年頃で、
恭介から見たら一見して女の子よりも一歩先んじた美しい女性。

そんな大人びた雰囲気が本物の育ちの良さと相まって、
優美な気品と言えるものすら感じさせる。
それは、今、恭介を魅了している旋律が存分に表現していた。

軽やかにして芯が強く、
情熱的でいて優雅な程に上品に。

三年や五年ではない。
年齢に近い年月の鍛錬を重ね、そしてたっぷりと本物を聴いた
性格と才能、そして経験だけがその道を許す。
王道を熟知するからこそ、存分に楽しげに飛び跳ねて遊んで見せる演奏。


「カミジョー、カミジョー君」

知り合いの声に、恭介がそちらを見る。
声を掛けた来た少女は、こちらは150センチも怪しいちんまりとした女の子だったが、
れっきとした恭介の先輩であり
見滝原中学校の誇る有名とも言えないギタリストであり見滝原中学校ジャズ同好会の会長である。

「前々から決まってた茜ヶ崎のジャズ同好会と対バンやってるんだけど、
予想以上って言うか斜め上の連れて来てさ、正直思い切り圧倒されてる」
「ですね」
「時間、ある?」
「多少なら」

先輩と言葉を交わした恭介が演奏を見ると、
ピアノの椅子から立ち上がり、
他のメンバーと共に一礼しているところだった。
正直時間は押せ押せだが、それでも、恭介は引き付けられていた。

 ×     ×

「上条?」
「上条君?」
「上条ってクラシックじゃ?」
「たまにこっちで弾いてるけど」

ジャズ同好会の面々と共に演奏に立った上条恭介は、
礼と合図を経て、早速にソロ・パートをスタートする。
それは、ギャラリーにも馴染のある、ポピュラーなアニメソングだった。

前奏からその先に進んでも、恭介は独り、
軽やかに、そして些か渋く艶やかに、その世界をヴァイオリンソロで紡いでいく。
再びの呼び掛け、御仏蘭西から日本に渡った三代目。
そこに当たる所で、他の楽器が一つ一つと流れ込む。
コールの最高潮で全ての演奏が溶け合い、そのまま曲が続いていく。

ジャズにどれだけ発揮できているかはとにかく、やはり恭介の技量は抜きん出ている。
ギターが、吹奏が、それに競い、時に譲り或いは一本道でぶちかまそうとしながらも、
溶け合いそうで角が残るばらけそうで繋がっている、
そうやってガキらしくでこぼこにそれでも同じ楽しみを追いながらゴールへと突っ走る。
最後の一音を弾き終えると、恭介は、先輩と互いに満足して小さく頷く。
そして、拍手の中一礼する。


 ×     ×

攻守交替。言葉として若干変かも知れないが気にしない。
エース同士がすれ違い、一礼する。
恭介は、余裕のある、優雅な美女の微笑みを見た。

「Attention please」

ピアノ席から聞こえた呟きに、茜ヶ崎中学校ジャズ同好会の他のメンバーは小さく頷く。
これは、本気だ。
今までも冗談ではないが、完全に火が付いた。
その頃、恭介は時計に視線を走らせていた。

「すいません、先輩」
「ううん、こっちこそ忙しい所ありがとう。
たまには又こっちにも弾きに来て」
「はい」

先程の恭介達の快活から又一転、
ピアノソロがしっとりと始まったジャズ・スタンダードのワルツに後ろ髪を引かれる思いをしながらも、
上条恭介は割と少なからぬ人が関わる一身上の理由によりここで戦線離脱を余儀なくされていた。

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今回はここまでです>>1-1000
続きは折を見て。

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