モバP「ニッケルオデオン」 (84)


最近連載の終わった「ニッケルオデオン」という短編漫画のいくつかの話を選び、

登場人物をデレマスのアイドルに置き換えただけのものです

クロスとかコラボじゃないっぽいです

キャラ崩壊、オリ設定、特殊性癖など一部閲覧注意です

あと別の話で出てくる同じアイドルは別人ということで


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413036401



そこは高層ビルの最上階近くの会議室らしき一室


ほとんど人の気配の部屋に、その三人はいた


正確には、その会議室を借りたのが三人だけだった


そしてさらに正確に言うなら





たった今、三人は四人になった







千川ちひろ「それでは契約に則り、貴方がたの願いを最大100まで叶えさせていただきます!」






その一室の床に描かれた怪しげな紋様と巨大な魔法陣


その上に突如現れた

否、”喚び出された”女性が言う




土屋亜子「......ちょ、ちょい、聞いたかい今の...100やって!?」


北条加蓮「こういうのっててっきり3つだと思ってたから考えて絞ってきたんだけど...必要なかったみたいね」



木場真奈美「.........いや待て」






真奈美「今、”最大”と言ったぞ」


ちひろ「これはお客様、察しがよろしいですね!」
















Scene1 契約














ちひろ「近頃は3つの願いではお客様の需要に応えづらくなりまして、わたくしどもはポイント制を導入したんです!」


「つまり、100ポイントから願いの大きさに応じて差し引かせて頂く形になっておりまして」


「もちろん、代償に魂をー、なんて悪徳な行為は一切!行っておりませんのでご安心を!」




亜子「っちゅーことは、一人頭33Pってことやな!」

加蓮「余った1Pはどうするのよ?」

真奈美「それは後でもいいだろう、今は33Pで何ができるか、だ...」


ちひろ「具体的に申しますと、ヒト一人の命を奪うとなりますと3P必要ですね」

亜子「じゃあ銭!金は?33Pでなんぼや?」

ちひろ「現金か物品かで若干レートがかわりますかね」

亜子「やったらモバコインカードやな、この貸会議室からできるだけ手ぶらで帰りたいし」



ちひろ「でしたら、およそ36億になりますね」



亜子「おっほ!聞いとったか加蓮!」

加蓮「お金には興味ないわよ......アタシは心臓に疾患があるんだけど何Pで治せるの?」

ちひろ「現代医療を超えた治療となりますので、25Pといったところですかね」

加蓮「結構かかるもんなのね...まぁ、仕方ないか」

亜子「8P余るやないか!ウチにちょーだいな!」

加蓮「あげないわよ、アタシも宝石に換えるわ」


そこで最後の一人が一枚の書類を取り出す

そこには誰かの姓名がずらりと並んでいた


真奈美「......私はこのリストの上から11人を処分して欲しい」

ちひろ「かしこまりました!」



加蓮「せっかくの願いをそんなことに使うの?」

真奈美「うるさい、私は私利私欲ではなくこの国のためにすべきことをするだけだ」






ちひろ「それではここまでの願いを履行しますよ!」




そういって女はパチンと一つ指を鳴らした


そして変化が起こる




亜子「おおっ!?」

一人の手には宙から降って湧いたカードの束が舞い込み




加蓮「ん...心なしか体調が良くなったかな...」

一人は治療不可能だったはずの病を克服し




________________


悪徳P1「うっ!?」


・・・


悪徳P10「ぐぐっ!?」


悪徳社長「ぐ...!?」


バンッ

________________





同時刻、とある場所で11人の人間が同時に死亡した








亜子「いやー、こりゃ祝杯でもあげてまいたい気分やなー!」


加蓮「確か1P残ってたでしょ?あれでドリンクでも出そっか」




ちひろ「あ!ちょっとよろしいですか!」


真奈美「...?」


ちひろ「残り時間が僅かなので、急がれたほうがよろしいかと」




真奈美「残り?......制限時間なんてものがあったのかい?」


ちひろ「いえいえ、わたしが言ってますのはこのビルの残り時間です!」








ちひろ「まもなくこのビルに、あんたん死刑主義者の廃課金Pが占拠した旅客機が自爆テロを行いますよ?」







加蓮「.........は?」



亜子「.........へ?」



真奈美「......!」





ちひろ「残り時間、64秒です」






真奈美「貴様、どうして今まで黙っていた?」

ちひろ「ご冗談を、未来予知は100P注ごうと足りませんよ!?さっきの発言はわたしのサービスですっ!」

加蓮「最後の1pで旅客機の軌道をそらせないの?」

ちひろ「かなりの質量ですから2P必要です」

亜子「ほんだら!カードは返すさかい、ポイント還元してくれんか!?」

ちひろ「クーリングオフは行っておりませんよ?残り40秒です」

真奈美「私たちをどこか別の場所、このビルの一階にでもいいから移動しろ!!」

ちひろ「瞬間移動ですと6Pです、残り25秒ですよー?」

加蓮「こうなったらテロリストに死んでもらうしか...!」

亜子「無理やって...3P必要やねんから」



ビルの窓越しに空を見る


そこには真正面からこっちに向かってくる旅客機が見えていた




亜子「もうあかん...1Pやとなんもできんのや...」



一人がその光景を見ながら絶望的な言葉を漏らす

だが別の一人は諦めなかった

女のもとに詰め寄る




真奈美「おい、いいか。よく聞け!......最後の願いだ」


ちひろ「はいっ」





そして最後の1Pに賭けた願いが言葉となる




真奈美「テロリストの 信仰心 を消せ!」


ちひろ「.........」






女の口角が釣り上がる

そして、にやりと笑った





_______

____

__




「おめでとうでございます」


「あなたがた三人の命は助かり、この世界からまた一人、神の信奉者が消えました」


加蓮「......ふ...ふぅ」

亜子「...た、たすかった...?」



「こちらはわたしからの心ばかりのサービスです」



コトン


旅客機の軌道はビルを外れ


女が消え、再び三人きりとなった室内


どこからか床に置かれた小瓶が音を立てた


それを拾い上げる



真奈美「......マイスタドリ...しかもハーフ......ケチな真似を...」






END


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広い宇宙を航行中の小さな宇宙船内で


船内に配備されたドロイドはプログラム通りに船内点検を行い


その作業中にそれは見つかった




高峯のあ「......」



的場梨沙「......げっ、見つかっちゃった」








のあ「密航者だなんて......馬鹿な真似を」


梨沙「ねぇ、見逃してくれない?アタシ一度宇宙に出てみたかったんだけど、航空チケットが手に入んなくてさ...」


梨沙「あっちの港についたら罰金ぐらい払えるからっ!ねっ?いいでしょ?」


のあ「............」














Scene2 積めない方程式













数分後



梨沙「え、なによコレ!?」



密航者の少女は普段着ではなく、宇宙服に身を包んだ姿で出口扉の前にいた


つまりいつでも宇宙船外へ彼女を放り出せるということだ



梨沙「ウッソでしょ...?」


のあ「...密航者は見つけ次第船外へ追放する......それが決まりよ」


彼女に宇宙服を着せた張本人(正確には人ではなくドロイドだが)は事務的にしか言葉を返さない



梨沙「ひとでなしーっ!!」

のあ「ヒトじゃないわ、ドロイドよ...それじゃあエアロックを開けるわ」

梨沙「やめてよこのポンコツ!鬼!悪魔!」

のあ「鬼じゃなくてドロイドよ、私を叩くのをやめなさい」

ドロイドに飛びかかり少女は小さな拳で殴りかかる


グキッ


その拳から嫌な音がした



数分後


梨沙「うぅ...いたた...」

のあ「安心しなさい折れてはいないわ、ひねっただけよ」



手首に包帯を厚く巻いた少女の元にドロイドが救急道具を運んできた


梨沙「これから殺す人間の手当をするなんて、やっぱアンタポンコツなんじゃないの?」

のあ「なにも殺す気はないわ......宇宙服を着せてあげたのがその証拠」




梨沙「それでも長生きなんてできないわよ」

のあ「.............」



少女の言葉にドロイドが沈黙する

そして数秒の間を置いて口を開いた



のあ「.........この貨物船には......私一人と積荷を運ぶ分の燃料しか積載されていないの」

梨沙「...!」




のあ「貴方というイレギュラーのせいで目的地までの航行は不可能になったわ...」



梨沙「つ、積荷を捨てるってのは!?...アタシはそんなに重くないからちょっと捨てるだけでも...!」

のあ「この船の積み荷はひとつだけ...そしてそれは私や貴方の命より優先される重要なものよ」



梨沙「............どうしよ」

のあ「......」

梨沙「こんな大変なことになるなんてアタシ思ってなかったわ.....」

のあ「代われるものなら私が船外に出る、というのも良かったのだけれど......この船は私がいないと運行できないのよ」


それはもしかしたらドロイドなりの慰めの言葉だったのかもしれない

梨沙「ううん、アリガト......アタシが悪いんだもの、しょうがないわ」


その言葉に少女は辛うじて笑って応えた



数分後




先の治療の際に脱いでいた宇宙服を着直した少女は今度こそ船外への排出室にいた

ドロイドが扉をロックし、船外への排出の準備を進める



梨沙「実はアタシ、一つ嘘ついてたの...」

のあ「?」

梨沙「本当は無一文なの。罰金ぐらい払えるってのはウソ」

のあ「.......そう」


扉に備え付けられたガラス越しに会話する


のあ「なら私も真実の話をしましょう」


「さっきの燃料の話......あれは嘘よ」


梨沙「え?」




のあ「この船はテロリストの偽装船」



「積荷の爆弾を目的地で作動させるのが私の役目。惑星一つを吹き飛ばせる兵器なの」




のあ「ヒトがヒトを殺すなんてバカげた話だけど、私はプログラムには逆らえないもの...」


梨沙「......」


のあ「せめて貴方だけでも救えたら」


「それが私のただ一つの抵抗になる」


梨沙「......」

のあ「スーツからは救難ビーコンが出ている......すぐに救助が来てくれるでしょう」




少女は黙ってドロイドの顔を見ていた

機械らしい無機質なその表情に変化はない






梨沙「......アタシ、的場梨沙」

のあ「......高峯のあよ」






梨沙「ありがとね、のあ」

のあ「こちらこそ」






ぱしゅん

と、あっけない音がして少女の体は船外へ

広い広い宇宙に無造作に放られた





「ばいばい、のあ」



エンジンの噴射口から吹き出る光が遠のいていく



残ったのは少女が密航してまで見ようとした景色__




「これが宇宙ねー...」




___全方位に無限に広がる宇宙





「なかなか広いじゃない!」





END


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2と7分の3



それが私が導きだした世界の解答



ホームセンターで6時間も探したピッタリの脚立

この脚立の上の高さがちょうど2階と7分の3

この高さからなら世界を損失せずに人生をやり直せる





そして私はその高さから飛び降りた
















Scene3 コロンバインで給食を














病室 テレビ 女性の後ろ姿 白い天井



これは、私の一番最初の記憶



病室のテレビで銃を乱射していたコロンバインの学生は、正午過ぎに自殺した



ママが言った



 「あなたはあの中の誰かの生まれ変わりなのかもね」



私は思った



どっちの?



被害者? それとも加害者?


______

____

__



地面に横たわったまま目を覚ます



「記憶が消えてない、失敗だわ...」



そして二階まで階段を上がり、


脚立に上り、


もう一度飛び降りた




ネクタイ スーツ メガネ 


これは亡くなったパパの記憶



「可愛いぞー、誰がなんと言おうとお前はパパの自慢の娘だ」



これが楽しかった最後の記憶



パパはこの後すぐ脳溢血で倒れた




____

___

_



まだ記憶が消えてない


二階に置いた脚立に乗り直し、


飛び降りた



業務終了後 事務所 二人きり


この記憶はごく最近


そう、昨日の事務所でのできごと



「あの、これ。バレンタインのチョコ」


PaP「えっ?.........オレに?」


「うん」


PaP「.................あのさ」


「?」




PaP「受け取れるわけねーじゃん。そんなもの」





PaP「マジ勘弁してくれよ。なぁずっと聞きたかったんだけどさ」


PaP「お前なんでそんな格好してるわけ?」





PaP「男のクセに」





____

__

_


おかしいわ、失恋のイヤな記憶が消えない



私の定理は完璧なはずなのに



脚立が高すぎたのかも



だったら私死ぬのかしら



ぎゅるるとお腹が鳴る




「お腹すいた...」




神様



やっぱり私は犯人の生まれ変わりで



だからこんな意地悪をなされるんですね



もし次生まれ変われるなら



普通の女の子に___















佐久間まゆ「......CuPさぁん......生きてますかぁ?」



地べたの冷たさを感じていたら急に声をかけられた



CuP「うん」



まゆ「よかったぁ...死んでいるのかと思いましたぁ......こんなところで寝てると風邪ひきますよぉ?」

まゆ「事務所にいないから探しに来ましたよぉ?......お昼休みが終わる前に戻りましょう?」


CuP「............」


とりあえず起き上がって、並んで歩き始める



まゆ「CuPさん、昼食はいつもお一人ですよねぇ」


CuP「......うん」



まゆ「まゆ達のところでご一緒しませんかぁ?」


CuP「............」


まゆ「智絵里ちゃんも、響子ちゃんも、ゆかりちゃんも...CuPさんなら歓迎するって言ってますし♪」



CuP「.........」




私の定理は証明されなかったけど



脚立の高さはやっぱりピッタリだった、



担当アイドルの楽しそうな声を聞きながら



私はそんなことを思った




END

一旦中断

あと3話だけ用意してます

明日の午前中に最終更新します

ここまでお読みいただきありがとうございました

更新します


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




人の立ち入らない森の奥の奥の奥



そこに迷い込んだ私は、山より巨きな女の子に出会った




諸星きらり「うっきゃーー☆!!ほたるちゃんかーわうぃーにぃー!!」



白菊ほたる「...え?」









きらり「きらり、ほたるちゃんのこと大好きになっちゃったにぃ!」




「食べちゃいたいくらいに☆」




私の身長より大きな指2本でつまみあげられて



私は落ちていった



彼女の食道をどこまでも
















Scene4 ミシュリーヌとその中の者たちの話













胃の中に落ちた私の目にまず飛び込んできたのは広い空間



そして民家らしき建物でした



彼女の胃の中、体内は何故か昼間のように明るいようです



原理はわかりませんが、落ちた先の内臓が真っ暗でなくてよかったです





双葉杏「んー?なんだ、久しぶりの新人じゃん。きらりんルームへようこそ」




胃の中らしからぬ風景に呆然としていると小さい女の子が近づいてきました


私以外の人がいたことにも驚きましたが、


気になるのはそのワードです




ほたる「きらりんルーム?」


杏「そーそー、ここはきらりの胃の中に作られた共同体ってやつ?」

「きらりに丸呑みされた可愛いものが集まって作られたんだよ」


ほたる「そうなんですか...丸呑みされたのは私だけじゃなかったんですね...」


杏「まぁねー、きらりは可愛いもの好きだけど、気が多い乙女だから」




杏「あぁそうだ、杏は双葉杏だよ」


ほたる「えっと、白菊ほたるです、よろしくお願いします」





ほたる「私もきらりんルームの仲間に入れてもらえますか?なんでもします」


杏「もちろん歓迎するよ。といっても、ここじゃあ何もせずにゴロゴロしてても何とかなるんだけどね~」


ほたる「...?」


杏「意外かもしれないけど、衣食住とかの心配もなーんにもいらないんだよ。一日中寝てても平気」


杏「ほーら、やってきた」

ほたる「...えっ?......あっ!」



ひゅるるる、という音がしてドシン、と

私たちが来たであろう胃の上の方から何かが落ちてきました


それは一頭の牛でした


杏「こうやってきらりがたまに牛や馬を丸呑みにしてくれるんだ、杏たちはこれで生活してるんだ」


ほたる「...そう...なんですか」





杏さんの言うとおり、


胃の中の村、きらりんルームの生活は存外快適なもので


私は自適な生活を送っていました






あの黒い月が村に昇るまでは






_______

____

__



松尾千鶴「......これは誰ですか?」


佐藤心「...幸子ちゃん、だね」



白坂小梅「胃酸の池が...あ、あふれだして...に...逃げ遅れたんだって...ほ、骨だけに...白骨遺体...」


森久保乃々「...お気の毒です......最近多いんですけど...胃酸の氾濫」


早坂美玲「食料も全然降ってこなくなったぞッ!」


星輝子「どうしたんだろ...トモダチの私たちのこと...き、キライになった、のか...?」





杏「うーん。外で何かあったのかなぁー」


ほたる「あっ、あれ見てください!」



胃酸に溶かされた村人を囲み

村の人たちが口々に相談する中


私は胃壁の上の方に陣取っていた黒い月を見上げました





ほたる「あれ、前より大きくなっています」



「あれは腫瘍です。きらりさんは癌なんです」






きらりんルームはより一層、荒廃していきました



食べるものがなくなり


私たちはきらりさんの胃壁をかじりました




胃酸の池に身を投げる人も続出しました



輝子さんも、小梅さんも、美玲さんも、心さんも、千鶴さんも



誰も、


きらりさんの弱っていく姿を見たくなんてなかったんでしょう





そしてある日


杏「.......んー?どしたのほたるちゃん、そんな荷物まとめて...村を出るの?」


ほたる「私の知り合いにこういう不幸を治せる人がいるんです」

「それに...私が外に出ればこの不幸からきらりさんを救えるかもしれませんし...」


杏「......そっか」


ほたる「杏さんも一緒に来ませんか?」


杏「いや、杏は残るよ」




杏「何も喉を通らなくなったきらりのさー、ちょっとした栄養にでもなってあげられたら、それで杏は幸せだよ」


「きらりのおかげで今まで楽に生きられたからね......」


「__それがきっとこのきらりんルームの意義だったんだと思うよ___」






そう言う杏さんの半身は既に胃酸に溶かされ、



片手と片足が根元からなくなっていました






杏「んじゃ杏は寝るから、もし外に出られたらきらりによろしくー」



ほたる「......はい、さようなら...」






十二指腸から小腸へ、



そして大腸に出た私は老廃物をかき分けながら出口を目指しました


しかし巨大な彼女は内臓も大きく



やがて___



ほたる「あぅ、指と手が......ダメです、これ以上は掘り進めません」


それは、先に進めなくなって立ち往生しているときのことでした



なんの前触れもなく地震が訪れたのです



内臓が振動しているのか、

それともきらりさんに何かがあったのかは分かりません


ほたる「っな、なに!?」





そしてあたりが真っ暗になりました


完全な闇、自分の手のひらも見えません



私はその場にがくりと膝をつきました


彼女の無邪気な笑顔が思い出され、


涙がこぼれました


ほたる「......死んでしまったんですね。きらりさん...」






きらりんルームで溶けていった杏さんはきっと幸せだったでしょう



外に出る理由を無くし

直腸で眠りにつく私も、多分幸せなんでしょう






END

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ある日の散歩の途中


お空に向けて両手をまっすぐ伸ばした女の子と出会いました




高森藍子「なにやってるの?」



依田芳乃「バイトでしてー」








藍子「バイト?」


芳乃「はいー、しばらくこのあたりの空をー、支えているよう頼まれましてー」






藍子「へえ.........誰に?」


芳乃「 カミサマでしてー 」















Scene5 カミサマレガシィ














他に何をするでもなく、毎日毎日決まった場所で両手を天に向け続けている



雨の日もレインコートを着てそのバイトというのを続けていました



本人曰く空を支えるバイトらしいです




藍子「はい、傘」


芳乃「これはこれはー、かたじけないー」


藍子「大変だね。バイトも」





雨に濡れながらも一度も腕は下ろす様子はありません


私もなんとなくそのまま傘を支え続けました




そんなあっさりとした付き合いが数日続きました



ある暑い日、私は次は飲み物でもあげようと

自販機で買ったドリンク片手に、いつもの場所に向かってました



藍子「...ふふ、陣中見舞い...」




するといつも彼女がいる広場がやや騒がしいのに気がつきました





「な、全然動かねーだろこいつ」

「はは、おもしれー」

「きめー」




どこから来たのか小学生くらいの男の子三人があの子に乱暴なちょっかいを出していました


軽くとはいえ小突かれても叩かれてもあの子があのポーズのまま何の抵抗もしないので、それが拍車をかけているようです





藍子「こら!君たち何してるの!?」



そういって私が駆け寄ろうとしたのと



芳乃「あっ」



男の子の一人があの子を乱暴に蹴っ飛ばして

地面に転ばせたのは、ほぼ同時でした






芳乃「伏せるのでして!」


藍子「__え?」




私に向けられた初めての大声

驚いて言われるままに頭を抱えるように地面に伏せ___










一瞬空が真っ暗闇に覆われ、背中になにか重いものがのしかかったような気がしました






_____

____

__




芳乃「____もう大丈夫でしてー」


藍子「...?あれ、今何か...」



目を開けると周りには何も起きていません

いつもどおりの暑い日です



芳乃「バイトの時間も終わりましてー、つまりー、どこかでお茶でもしませんかとー」



藍子「う、うん......ッ!?」



伏せていた地面から起き上がり、ぎょっとしました




さっきの男の子達三人がいません



代わりにそこにあったのは三つばかりのぺっちゃんこの何か


それはまるで、国道でトラックに轢かれたカエルのような___




藍子「.........」


芳乃「...どうかしましてー?」



でも、


それがかつて何だったのかをその子から聞くのはよしました







END

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Scene6 Grimm DEAD












涼宮星花(白雪姫)「..................」







星花「............ここは?」





星花「......ッ!?」


星花「げほ、げほっ!?」


ポロッ


星花「これは......りんご?」



星花「!...そうでしたわ、わたくしおばあさんからいただいたリンゴを食べて......」



星花「それから.........それから?」




星花「どうなったんでしたっけ?......小人さんたちはどこでしょうか」




星花「ああ、それにしてもお腹がすきましたわ...」




_____

___

_




ガサガサ


森の中を歩き回って


ようやく7人の小人さんたちを見つけました



星花「いましたわ!......おーーーい!みなさーーん」



わたくしは喜んで駆け寄ります


小人さんたちも驚いた表情で私を見ていました



あぁ、それにしても


安心したからかしら


わたくし とっても







 オ ナ カ ガ ス キ マ シ タ ワ






_____

___

__




ガツガツ



星花「なんてことでしょう...あんなに優しかった小人さんたちを食べてしまうなんて」



星花「ああでもおいしい」



ガツガツ





星花「とはいえ、やはり小人ではいささか量が足りませんわね...」



星花「あぁひもじい、ひもじいわ...」



_____

___

__




星花「...あら」



白坂小梅(赤ずきん)「............」






星花「.........」


小梅「.........」


星花「.........」






小梅「......これ...い、一緒に、食べる?」



星花「よろしいのですか?」






_____

___

__





小梅「お、おばあさんに...猟師、さんに、オオカミさん...」




小梅「み、みんな...優しかった、けど......お腹がすいて、我慢...できなかった」


星花「わかりますわ」



ガプ ばむ



小梅「......」


星花「......」





小梅「...お、おいしく...ないね?」



星花「冷えてしまうとダメですわね」






小梅「お、お姉さん...こ、これから...どう、する?」


星花「そうですわね、お城に行ってみようかと......あなたも一緒に来ますか?」


小梅「う、うん」



_______

____

__





渋谷凛(シンデレラ)「食べ物ならないよ」





小梅「......」


星花「......」


凛「みんな逃げ出すか、さもなきゃ私が食べちゃったから」






凛「あーもう、これひどいと思わない?」



凛「駆けずり回ってたらさ、ガラスの靴が砕けて足がズタズタだよ」





凛「......ちょっと美味しそうだよね」



小梅「......」




星花「......ところで」


星花「どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?」



凛「さぁね、魔法使い呪いってウワサもあったけど、その魔法使いもあらかた食べられていなくなったし」



小梅「...おなか...すいた」


星花「......」




凛「...ねぇ......お腹減ってるんならさ、みんなで行ってみない?」


凛「森の向こうにさ」




星花「ですが、あちらは765の領土...」


凛「そうだよ、そして食べ物の宝庫だよ」


星花「......」


小梅「...お姉さん...い、行って...みよ?」


星花「......」


凛「決まりだね」





_________

_____


___





「そういえばご存知ですか?マーメイドを食べると、永遠の命が手に入るそうですよ」



「そ、そうなんだ...!」



「もう必要ないでしょ」








END




おしまい

お目汚し失礼しました


最近書いたやつ

依田芳乃「一諾千金のー」柊志乃「しのしの」工藤忍「相談箱!」

依田芳乃「一諾千金のー」柊志乃「しのしの」工藤忍「相談箱!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1412729038/)



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