美波「焼き芋?」星花「ですわ!」 (17)

【お嬢様は箱入り娘?】

星花「実はわたくし、焼き芋というものを食べたことが無くて」


美波「本当に? 星花さん、お仕事とかでも食べたことがないの?」


星花「そうなんですの。だから、美波さんと一緒に食べたいんですわ!」


美波「で、でもどうして私に?」


星花「それはその…事務所にいる皆様は、その、年下でして…」


美波「ああー」





李衣菜『焼き芋? ロックだね!』


夏樹『おいおいだりー? それは焼き芋の蒸す石のことだろ?』


ライラ『焼き芋でございますか。おいしそうでございますですね』


芳乃『ほくほくでしてー』



美波「…確かに」


星花「ですので、美波さん! 一緒に買ってください♪」


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【あれはない】


美波「買うのはいいんですけど、どうやって買います?」


星花「どう…とは、どういうことですの?」


美波「最近はスーパーでも売ってたりしてるんですよ?」


星花「!?」


美波(あんまりスーパーとか行かないのかな?)


星花「あの大きい屋台が、スーパーの中に!?」


美波「違うよ!?」

【痛恨のミス?】

美波「焼き芋の作り方は知ってますか?」


星花「えっと、落ち葉をかき集めて、火をつけるんですわよね?」


美波「うん。でも、最近は電子レンジでも作れるの」


星花「そうなんですの? …目標が下がった気がしますわ」


美波「で、でも、やっぱり作ったほうがおいしいですよ!」


星花「でも、今回は買うんですわよね」


美波「あっ」

【他人の空似】

星花「そういえば、焼き芋屋さんはどこにあるんですの?」


美波「えっと…ラッパを吹いていたりして知らせて…」


<ぶおおおおおお


美波「い~しやき~いも~って言いながら走ってたり」


<いーしやーきいもーおいもーでしてー


星花「…………」


美波「…………」


「「ちがいます(わね)」」

【どこにいるのか】


<やきいもおいしいでございますですー


美波「ライラ…ちゃん?」


<アチッ! ちょっとなつきちーこの芋あついよー
<ふーふーしろっていっただろ?


星花「李衣菜さんと、夏樹さん?」


美波「でも…」



「「どこから声が…」」

【その頃こっちでは】


李衣菜「なつきちー。星花さんたち、喜んでくれるかなー?」


夏樹「あぁ。ってそんなこといってないで、だりーも手伝ってくれよ」


ライラ「こちらが美味しい焼き芋でこざいますー。500円からあずかりますです」


李衣菜「……がっつり販売してるね」


夏樹「普段頑張ってる星花達に買ってほしいんだけどな。……あ、こちらですか? 3本で750円になります」


夏樹「ほらだりー。焼き芋3本だ」


李衣菜「ま、まってってー」




芳乃「美味しい焼き芋になるのでしてー」ブオオオオオ

【思い通りにならず】


美波「と、とりあえず、あっちに行きましょ?」


星花「そうですわね…そうしましょうか♪」



星花「美波さん、最近沢山お仕事頑張ってますわね」


美波「そ、そうかな…来たお仕事に一生懸命なってやってるけど」


星花「わたくし、美波さんと同じ年齢ですが、美波さんみたいな色気は出せないと思いますの」


美波「えぇ!? そ、そんなこと…」


星花「だって、セクシーなお仕事ばかり」


美波「あれはプロデューサーさんがそういうお仕事ばかりとってくるからです!」


美波「もっと別の仕事もしたりしますよ?」


星花「……思い通りにはいかないんですわね」

【ぽろっと漏れる】


星花「……最近、アイドルとしての可能性を広げようと模索してますの」


美波「アイドルとしての可能性?」


星花「はい。沢山いるアイドルの中で輝くには、自分の色々な可能性を探して、成長していかないといけないと思いました」


美波「そういえば、この前別の事務所のネネさん達と一緒にレッスンしてましたね」


星花「はいですわ。あのときは、体力をつけようとネネさんと亜季さんと一緒にレッスンしていましたわ。…休憩しましょうと提案しても、あと5キロランニングランニングしましょうと言われたときは、驚きましたが…」


美波「ふふっ。なんだか、茜ちゃんみたいだね」


星花「はい。一日でもはやく、プロデューサー様の理想のアイドルに近づきたいんですの」

【そろそろ見えてきた】


美波「星花さん…。これからも、頑張ろう。一緒に!」


星花「美波さん…。…はいっですわ!」


<いーしやーきいもー
<おいもー


星花「あ、見えましたわ!」


美波「えっと、すいません。焼き芋二つください」


<あいよー。カワイイ姉ちゃんたちだね。おまけしておくよ


星花「まぁ。ありがとうございます♪」

【無意識】


星花「これが焼き芋…。できたてでホクホクですわね」


美波「星花さん、この皮をむいて…ほら。美味しそうな色でしょ?」


星花「…………」


美波「? どうしたの?」


星花「これが、色気ですわね」


美波「えっと、どうしたの?」


星花「いえ。勉強になりましたわ」


美波「?」

【実食】


星花「はむっ」


美波「……どう、かな」


星花「あ、甘くておいしいですわ! 出来立ての温かさもプラスされて、甘さがさらに感じられるようですわ」


美波「じゃ、じゃあ私も…」


星花「焼き芋…すばらしいですわね…。侮っていましたわ」


美波「ふふっ。よかった」


星花「今日は満足ですわ」


美波「あ、星花さん。口元に」


星花「あら……ふふっ。わたくしったら、子供ですわね」

【さっきの勉強の成果1】


モバP「おぉ、星花に美波」


「「プロデューサー(さん)(様)」」


モバP「…なんだか珍しいな。この組み合わせって」


星花「こう見えて、同じ年齢なんですよ」


モバP「そうだな。で、二人は何をしてたんだ?」


星花「甘くておいしいものを食べてましたわ」


美波「確かに…美味しかったですね」


モバP「甘くておいしい…なんだ?」


星花「なら、一口食べますか? …わたくしの、あまぁいのを」プチ…プチ…

【さっきの勉強の成果2】


星花が持っている焼き芋をこちらに差し出す。これだけならいいんだが、如何せん彼女の視線が少しおかしい。
こう、熱を帯びているような視線だ。

よく見てみると、彼女にしては珍しく胸元があいている。普段そういう服を着ない彼女からは想像できなかった、妖艶な一面。
いつもは見ることのできない星花の谷間が少しだが目に入り、思わず生唾を飲み込んでしまう。

いつも露出している子とは違う、踏み入れたことのない大地に踏み入れるような、積もり積もった新雪に初めて自分の足跡を付けるような、そんな感覚が襲ってくる。


モバP「せ、星花? どうしたんだ」


星花「……ふふっ。先ほど勉強したことをいかしましたの」


そういうと、彼女は普段より大胆になっている胸元のボタンを閉める。
やられた。わざと誘惑していたのか。


モバP「……勉強って?」


星花「秘密、ですわ♪」


【察しはつく】


モバP「まぁ、なんとなーくはわかるが」


美波「?」


星花「そういえばプロデューサー様。これからどうするんですの?」


モバP「俺か? 俺はこのままお仕事だ」


美波「なら、ここでお別れですね」


星花「お気をつけて」


モバP「あぁ。……美波」


美波「はい。なんですか?」


モバP「あんまり変なこと吹き込むなよ? 星花はお嬢様って感じがして、よけいにやらしく感じるから」


美波「?」

【歩いて行こう】


星花「……食べ終わりましたわ」


美波「2本も食べたんですね」


星花「お、美味しかったからつい…」


美波「もう、晩御飯食べられませんよ?」


星花「だ、大丈夫ですわ…それより、一緒に帰りませんか?」


美波「はい。……美波、帰ります!」


星花「ふふっ…それって、卯月さんの物まねですわね」


美波「星花さんが新しいことに挑戦するなら、私も挑戦しないと、ね?」


星花「なら、事務所に帰ってレッスンですわ!」


美波「うん!」



終わり

秋なので美波と星花のSS書きました。ほのぼのとした日常です。
焼き芋食べたいなーと思って書きました。
拙い文章ですが、読んでいただきありがとうございました

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