[安価]アルマエルマ「ふふっ…… もんむす・くえすと♪」偽勇者「……5」[コンマ有] (1000)


このスレは"もんむす・くえすと!"の二次創作やで。

ストーリーなぞって進めていく安価・コンマ系や。

初心者ゆえに、文才・口調・間違い等々たくさんあるんやで。

安価は基本的自由やけどな"何々"で下1・再安価にする場合があるから気ぃつけや。

コンマは1ほど悪くて 9ほど良くて 0は"10"なんや ゾロ目は良くも悪くもやな…


【安価】もんむす「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」 【コンマ有】
【安価】もんむす「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」 【コンマ有】 - SSまとめ速報
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【安価】ルカ/アリス「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」2【コンマ有】
【安価】ルカ/アリス「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」2【コンマ有】 - SSまとめ速報
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[安価]グランベリア「いざ、もんむす・くえすと!」クラリス「3だよ♪」[コンマ有]
[安価]グランベリア「いざ、もんむす・くえすと!」クラリス「3だよ♪」[コンマ有] - SSまとめ速報
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[安価]たまも「しかし、もんむす・くえすと! じゃぞ」偽勇者「4だ……」[コンマ有]
[安価]たまも「しかし、もんむす・くえすと! じゃぞ」偽勇者「4だ……」[コンマ有] - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1410173936


大阪|・ω・)<基本、ここでの安価は何でもありの自由ではなくて不自由な安価やで。

大阪|´-ω-)<時には、容赦なく切り捨てるさかいに、注意してや。

大阪|´・ω・)<それと、色々が色々と色々変わるんや―――ごめんな?


―――[ステータス]
名 前:クラリス      称 号:格闘竜

種 族:竜人族       性 別:女
HP:999/999        攻撃力:150/150
SP:10/10         防御力:28/28

―――[装備品]
☆:黄金のツメ       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:疾風のバンダナ    ☆:竜のお守り

☆:豪傑の腕輪       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
―――[その他]

大好物:お肉        大好き:あにさん
――――――――――――――――――――――――――――
―――[わざ]

体術:パンチ          0    体術:キック          1
体術:あびせ蹴り       3   体術:当て身投げ       2
体術:ドラゴンスクリュー   3   体術:ポカポカ        ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐    ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐
―――[モンスターわざ]

能力:百足蹂躙       ‐‐   能力:ねこだまし      ‐‐

能力:死の属性       ‐‐    能力:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐   ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【黄金のツメ:攻 55】
手甲がツタンカーメンのマスクのような形をしているツメ。

☆【疾風のバンダナ:防23】
風の魔力が込められ、虎のようないかしたデザインが格好いい。
頭に巻くと疾風のように素早く動けるようになる。

☆【竜のお守り:防5:オシャレ8】
炎や光の攻撃に強くなる。
武骨なお守りだが、クラリスの宝物。
理由は―――

☆【豪傑の腕輪:攻25】
攻撃力が上がる装飾品。

―――[持ち物:その他]
◆【木の棒】
そこら辺で拾った棒。
持ち手にはすべり止めの布が巻かれている。
人間程度が相手ならば護身用ぐらいにはなる。

◆【ボロ布】
ボロい布。

◆【チャドル】
頭から全身を覆うように着用する衣装。
布地はたっぷりと余裕をもたせているので、両目の部分以外は覆い隠されている。
腰の周りで結んで留めてある。

◆【種が入った袋】
数種類の果実の種が入った袋。
種だけでも美味しいらしい。


―――[ステータス]
名 前:偽勇者(偽名:シャニセ・ユウ)   称 号:勇者(未洗礼者)
種 族:人間(異形)              性 別:男
HP:131169/131169+炎
MP:1258/629+樹

攻撃力:1036/518+獣            ☆:ロトの剣     [呪]
守備力:982/491+音            ☆:トロの剣     [呪]
素早さ:982/491+水             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
賢さ:‐‐‐/‐‐‐+石              ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

宝玉の力:勇者の能力を得る        ☆:ロトの盾     [呪]
魔導書[DQ]:全呪文体系・特技を得る   ☆:ロトの兜     [呪]
魔導書[FF]:全魔法・特技を得る      ☆:ロトの鎧     [呪]
マナスティス:将魔の能力を得る      ☆:ロトの籠手    [呪]
黒色の宝玉:―――を得る         ☆:死神の首飾り [呪]

???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:呪いのベルト  [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:ブレスレット
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――
体術:最強打                体術:三龍旋
剣技:ロトの一撃              剣技:トロの一撃
剣技:ギガスラッシュ            雷術:エビルデイン
極意:まねまね                極意:ものまね
禁忌:DQ                   禁忌:FF

超術:超現象                 合成:合成術
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐              ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【ロトの剣 [呪]:攻158(+120)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる剣。
魔神の血の祝福によって―――
“皆殺しの剣”の攻撃力を得ている。

☆【トロの剣 [呪]:攻130(+110)】
外見はそのままロトの剣の色違いである。
常に物理・魔法攻撃を1.3倍にしてくれる究極性能の武器である。
しかし、長いこと物置に放置されていたので―――
“はかぶさの剣”の攻撃力を得ている。

☆【ロトの盾 [呪]:防39(+42)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる盾。
魔神の血の祝福によって―――
“嘆きの盾”の守備力を得ている。

☆【ロトの兜 [呪]:防42(+255)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる兜。
『幻惑』『麻痺』『即死』に耐性がある。
魔神の血の祝福によって―――
“般若の面”の守備力を得ている。

☆【ロトの鎧 [呪]:防82】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる鎧。
魔神の血の祝福によって―――

☆【ロトの籠手 [呪]:防25】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる籠手。
魔神の血の祝福によって―――

☆【呪いのベルト [呪]:???:】
太古の呪われたベルトで常に―――

☆【死神の首飾り [呪]:防6】
髑髏の付いた不気味な首飾りで―――

☆【ブレスレット】
クラリスからのプレゼントのウッドブレスレット。
少し優しい気持ちを感じる。


―――[持ち物:その他]
◆【焼きヒトデ】
味は薄味のウニミソ。
食べれる部分は、中の卵・胃袋・消化器官のみ。

◆【マデュライトの欠片】
見た目は赤紫色(厳密には中心部は紫で外周が赤みがかっている)をした結晶の欠片。
マ素(魔素ではなく)を多く含む鉱物である。

◆【生きた魔導具】
勾玉の形をしており、心音が聞こえてくる。
新たな魔導の力を得る可能性がある。

◆【女神の宝剣の欠片】
あらゆる魔物はひれ伏し、魔王さえ逃げ惑うという。
真の勇者が手にすべき剣「女神の宝剣」の欠片。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【キメラビーストの角】
プロメスティンの研究により生み出されたキメラモンスター。
一切の感情が伺えない無機質な悲しい生物の角である。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【母の形見の髪飾り】
リリィがいつも身に付けていた髪飾り。
母の思い出がいっぱい詰まった形見だ。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【覇竜の鎧の欠片】
グランベリアが装着している覇竜の鎧の欠片。
女王杯準決勝戦で、紛れ込んだ。

◆【たまもの毛】
たまも自慢の九つあるもふもふしっぽの四番目の毛の一部。
ヤマタイ村の洞で、紛れ込んだ。

◆【グリーンオーブ】
コロシアム女王杯で優勝した際にもらった、綺麗な宝玉。
これが無ければ、とある者を復活させることができない。

◆【土のクリスタル】
大地に恵みを与える力をもっている。
その力は凄まじく、砂漠と化した土地を一瞬に緑溢れる土地に変えてしまう。

◆【水のクリスタル】
世界中の水を綺麗にする力を持つ。
その力は凄まじく、生きとし生けるものの命を支える水を無限に出すことが出来る。

◆【死のオルゴール】
哀しいメロディーが流れる。
そして聴いた者の息の根を止める。

◆【危険な薬品や物質】
大量の『滅水銀』『ヒドゥン反応薬』『ネクロゾル』『黄泉の薔薇』『愚者の石』等々。
普通の術士クラスでは、とうてい扱えん危険物。

◆【―――リング】
鉱物か殻で出来ているか分からないリング。
恐ろしい力を持っている。

◆【復活の杖】
先端に創世の女神イリアスを象られた形状が特徴的な杖。
死者を蘇らせる力を持つ。


―――[宝玉の力]
○【金色の宝玉】:???
○【銀色の宝玉】:???
○【青色の宝玉】:魔法と炎のダメージを軽減し、ダメージ床・マホトーンを無効化し、歩くほどに体力が回復する(某DQ)

―――[黒色の宝玉]
○???

―――[魔導書]
○DQに存在する全呪文体系・特技を得る。
○FFに存在する全魔法・特技を得る。

―――[合成術]
武具を合成し、異なる魔法を合成する。

―――[マナスティス]
○水の将魔:膨大なる素早さと水のみ完全耐性(常に先手/水系完全無効)
○獣の将魔:膨大なる攻撃力(攻撃力2倍)
○音の将魔:膨大なる守備力と音のみ完全耐性(守備力2倍/音系完全無効)
○石の将魔:膨大なる耐性(全ステータス異常無効/全低下系無効)
○樹の将魔:膨大なる魔力(魔力2倍)
○炎の将魔:膨大なる生命力と炎のみ完全防御(万越え/炎系完全無効)

―――[全身の刺青]
○『この世全ての悪』を現す呪い。

―――[料理の腕]
○お金取れるぐらい美味い。

―――[ロト装備:カラーリンク]
黒と金色。

―――[偽勇者用:特別ルール]
○作中での「そのときふしぎな事が起こった」超現象(フェアリーをタイタニア化・クラリスの目の治療など)
○一部設定変更有
○一部設定だけ!
○00は100扱いである。
○超増えるかもしれん


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

理樹・佳奈多「「メル友?」」真人・葉留佳「「おう(うん)」」

理樹・佳奈多「「メル友?」」真人・葉留佳「「おう(うん)」」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410004413/)

理樹(バスの事故から3ヶ月、

もう雪が降る季節だ。

僕らは悪夢のような出来事から目を覚まし、

今をこうして悠々と過ごしている)

日常系リトバスSSです!

亀更新ですがよろしくお願いします。


大阪|・ω・)<さて、前スレの>>995 >>1000はどんなんやろ?

>>995「↑:偽勇者が呪い装備じゃなく真っ当な戦士として成長していたら」やね

>>1000「ピンクの尻尾」プリンプリンセスのレアやな

大阪|・ω・)ノ<OKや 外伝は、勝手な解釈で進めるで!


大阪|´-ω-)<じゃ、ボチボチやろか……

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

アルラ・プリエステス「初めまして、アルラ・プリエステスと申します」

           「魔王アリスフィーズ14世の御代より、この地を預かっております」

ルカ「は、はい……」


引き合わされたのは、意外に小柄なアルラウネだった。

しかし植物系モンスターのリーダーだけあり、内に秘めた魔力は強そうだ。


アルラ・プリエステス「この二人の危機を救って下さり、ありがとうございました」

           「また、昆虫族の三匹を撃退した腕前に感嘆しております」

           「これまでの熾烈な戦いにより、傷つき倒れる者が多くなりました」

           「今は一人でも多く、共に戦う仲間がほしいのです……」

ルカ「……だから、僕に剣を振るえと?」

   「魔物同士が傷つけ合うのに荷担しろと?」


そんなのは、真の勇者のやるべき事ではないはずだ。


アルラ・プリエステス「……この村は、十年ほど前までは平和でした」

           「我々植物族と昆虫族は、習性は違えど助け合いながら暮らしていたのです」

           「しかし…… 昆虫族の女王クィーン・ビーは、我々植物族を弾圧し始めた」

           「彼女達は極めて残忍であり、穏和な我々に暴虐の限りを尽くしたのです」

           「当初は、戦闘に長けた昆虫族が一方的に我々を虐殺……」

           「その力の前に、老若を問わず多くの血が流されました」

ルカ「そんな…… ひどい……」

アルラ・プリエステス「このまま滅ぶか、抵抗するかの選択を突き付けられ……」

           「……そして我々は、戦いの道を選びました」

           「カナン姉妹という異国の植物族傭兵にも力を借り、なんとか対等に戦えるまでになったのです」

アルラ・ルーティー「そういやプリエステス、カナン姉妹はどうしたんだ?」

アルラ・プリエステス「二日前の激戦以来、彼女達は体を休めておられますよ」

           「あの方達は戦闘に長け、戦いの腕前ならば私よりも上」

           「これからの戦いに備え、英気を養ってもらわなければなりません」


どうやらカナン姉妹という傭兵は、植物族における戦力の要らしい。


アルラ・プリエステス「さて、話を元に戻しましょう」

           「カナン姉妹の力もあり、我々は今のところ互角に戦えています」

           「しかし我々の誰一人として、戦いに喜びを感じている者はおりません」

           「昆虫族の暴虐がなければ、我々もただちに矛を収めるつもりでいるのです」

ルカ「そうなんですか……」

アルラ・プリエステス「どうか我々に味方し、共に戦っては頂けないでしょうか」

ルカ「……でも、戦い以外の方法はないんですか?」

   「もう一度、話し合いとか……」


アルラ・プリエステス「話し合いで済むのなら、事態はここにまで至っておりません」

           「穏健な手段で事が収まらなかったがゆえの戦争なのです」

ルカ「でも、僕が魔物同士の戦争の手助けなんて……」

アルラ・プリエステス「……我々は争いなど望んでおりません」

           「ただ、平和に暮らしたいだけなのです」

           「そのために戦う事が、いけないことなのでしょうか?」

           「そうしなければ、我々はただ昆虫族に駆逐されるだけなのです」

ルカ「……………」


……確かに、プリエステスの言う通りだ。

僕とて、理由はどうあれ魔物と戦ってきたではないか。

決して僕も、戦いを望んでいるわけではない。

しかし、時には剣を振るわなければいけない時もある―――


アルラ・プリエステス「お願いします、人間の勇者様」

           「実は現在、我々植物族は反攻作戦を行っている最中なのです」

           「どうかその作戦に参加し、悪の根源であるクィーン・ビーを討ち取っていただけないでしょうか……?」

アルラ・アルム「私からも、どうかお願い致します」

アルラ・ルーティー「頼むよ、一緒に戦おうぜ!」

ルカ「……………」

   「……分かった、僕も手助けさせてもらうよ」


僕は覚悟を決め、とうとう首を縦に振った。

正直、人間である僕が魔物の戦いに荷担するのは違う気がするが―――

真の勇者なら、ここで争いを終わらせるべきだと考えるはず。

クィーン・ビーとやらを倒せば戦いが終わるなら、僕も手助けしよう。


アルラ・プリエステス「ありがとうございます、人間の勇者様」

           「同胞全てを代表し、礼を言わせて頂きます」

アルラ・ルーティー「よし、これでオマエも仲間だな!」

アルラ・アルム「よろしくお願いします、これからは共に戦っていきましょう」

アルラ・プリエステス「それでは、現在進行中の作戦についてお話し致しましょう」

           「我々の拠点はこのプランの森ですが、昆虫族の拠点はセクトの森という地」

           「そこに、敵首魁であるクィーン・ビーの巣があるのです」

ルカ「なるほど……」

アルラ・プリエステス「現在、我々の軍勢はセクトの森を目指して一直線に進撃しています」

           「向こうからも昆虫族の軍勢が打って出て、真正面から激突」

           「村の中央付近では、現在も熾烈な戦いが繰り広げられているのです」

アルラ・アルム「私達二人はその戦いで傷付き、撤退途中を昆虫族の下っ端に襲われたのです」

アルラ・ルーティー「ケガしてなきゃ、あんな奴等には負けなかったぜ……!」


今この瞬間も、村の中央では軍勢同士が激突している最中というわけか。


ルカ「……じゃあ、そこに僕も参戦すればいいんですね?」


しかしプリエステスは、首を横に振った。


アルラ・プリエステス「いえ…… あなたにお願いしたい役割は違います」

           「実は、同胞のほとんどが参加している正面への進撃は囮なのです」

           「そこに敵の目を引きつけておいて、別働隊がクィーン・ビーを急襲する―――」

           「これが、作戦の骨子なのですよ」

ルカ「別働隊……?」

アルラ・プリエステス「クィーン・ビーを急襲する刺客は、植物族の中でも特に戦闘能力が高い者達」

           「彼女達は、それぞれ違ったルートでセクトの森に接近しているのです」

           「昆虫族の大部分が中央に出払っている今、クィーン・ビーの周囲は手薄」

           「誰か一人でも、セクトの森に辿り着いた者が敵女王を討つ―――そういう手はずなのです」

ルカ「なるほど、敵のボスを急襲するのが本命なんですね……」


ようやく、僕にも作戦が把握できた。

ほぼ全軍を囮にして、敵女王の元に少数の刺客を送る―――

非常に大胆な作戦のようだ。


アルラ・プリエステス「そしてあなたも、別働隊の一人として行動して頂きたいのです」

           「セクトの森に奇襲を掛け、クィーン・ビーを討つ刺客として―――」

ルカ「……なるほど、分かりました」


ややこしい戦いよりも、そっちの方が分かり易くて良い。

要は、そのセクトの森に出向いて女王を倒せばいいわけだ。


アルラ・プリエステス「遙か向こうに、大きな大木が見えるでしょう」

           「あれがセクトの森の中心であり、クィーン・ビーの巣があるのです」

ルカ「あれだと、道に迷うことはなさそうですね……」


森の中にいたとしても、あの大木は目立つ。

どこにいても、行き先が分からなくなることはないはずだ。


アルラ・プリエステス「すでに別働隊の精鋭達は、散開しながらセクトの森へと向かっています」

           「あなたも刺客の一人として、セクトの森へ」

           「そして、クィーン・ビーの討伐をお願いします……!」

アルラ・アルム「私達も傷が癒え次第、すぐに駆けつけましょう」

アルラ・ルーティー「植物族は、水さえあれば回復が早いんだ」

          「こんな怪我、一時間ほどで治してやるぜ!」

ルカ「分かりました。 では、行ってきますね―――!」


クィーン・ビーさえ倒せば、こんな愚かな戦いは終わるはずだ。

ならば、とっとと片づけてきてやる―――


アルラ・プリエステス「ご健闘をお祈りします」

           「どうか、我々に勝利を……」

ルカ「ええ、任せて下さい!」


こうして僕は、セクトの森へと向かったのである―――







アリス「……ドアホめ、うまく丸め込まれおって」


アルラウネ達の目がなくなってから、アリスはようやく姿を現した。


ルカ「……別に、丸め込まれはしていないさ」

   「自分の意志で、アルラウネ達に力を貸そうと決めたんだよ」

アリス「ドアホめ……」

ルカ「なぁ、アリス」

   「魔王の力で、こんな争いを止めさせられないのか?」

アリス「プランセクトは先々代の魔王により、プリエステスとクィーン・ビーに分割統治が任された地」

    「その領主達が共に戦いを選択している以上、要請がなければ魔王の出る余地はないのだ」

ルカ「そこを、魔王の権力で強引に調停するとか……」

アリス「魔王とは、決して専制君主であるべきではない」

    「要請もないのに調停を行うなど、立派な内政干渉だと余は考える」

    「そして、頭ごなしの仲裁など何の意味もない」

    「その時は魔王の顔色を伺って矛を収めても、すぐに元の木阿弥だ」

    「両者が心から戦いを終わらせようとしない限り、外部の仲裁など意味を持たんのだ」

ルカ「だからって、放っておくっていうのか……?」

   「同じ魔物が、無益に争ってるんだぞ……?」

アリス「……放っておくしかなかろう、両者が争いを望むのなら」

    「世の中には、無配慮な和平が平和を破滅させる例もあるのだ」

ルカ「そう言われてもなぁ……」


アリスも、色々と面倒な立場である事は僕にも理解できる。

だが、こんな争いを放置しておくのも―――


アリス「……問答はここまでだ」

    「そろそろセクトの森近く―――」

ルカ「……どうしたんだ?」


アリスが驚倒な顔して森の一点を見つめていた。

その一点は―――森の木々が荒らされ、植物族や昆虫族の魔物達があちこちに倒れているのであった。

倒れている魔物達をよく見ると、体の一部が凍り付いていたり、焦げ付いていたりしていた。

その光景に、ただ黙って立ち尽くすしかなかった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


ルカ「……………」


目の前の光景を、理性が受け入れようとしない―――

プリエステスからは、争いの話を聞いていたが、ここまでひどい状況だとは思わなかった。


ルカ「こ、こんな……」


魔物達は、あちこちに倒れているが多くは、あの大木に誘い込むように倒れている。


アリス「……気をつけろ」

    「この戦争には第三者が紛れ込んでいる」


アリスが氷漬けにされた昆虫族に触れながら答える。


ルカ「第三者って……」

   「植物族や昆虫族以外の誰がこんなことを……」

アリス「分からん」

    「分からんが、両者とも炎と氷を属する魔法類は使えんことだけだ」

ルカ「炎と氷……ッ!」


――――――――――――――――――――


―― 勇気と無謀の違いは理解できぬか…… ――


――――――――――――――――――――


僕は一瞬、体に痛みが走ったがすぐに持ち直した。


アリス「どうした、具合が悪いのか……?」

ルカ「……いや、何でもないよ」


アリスが珍しく心配してくれるのを他所に、遠方に見える大木のクィーン・ビーの巣へ、僕は少しばかり急ぐのであった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

昆虫族の一人が、ある者に襲い掛かるが炎に焼かれ―――

植物族の一人が、ある者に巻き付くが凍てつき砕けた―――

一人が必死に足止めをするが、その行動を嘲笑い腹に拳をねじ込んだ。

ねじ込まれた拳はそのまま、相手と共に勢いを乗せたまま他の敵を蹴散らす。


偽勇者「……どうした?」

    「人間一人に、どこまで手こずっているのだ?」

昆虫族A「くっ……」

昆虫族B「う、嘘付くなっ!」

     「き、貴様のどこが人間なんだっ!?」

偽勇者「目と耳が二つに、鼻と口が一つずつ―――両手足があり、そして男……」

    「人間だろ?」

植物族A「冗談もここまでくると、笑いの種にもならないわ」

偽勇者「……笑いの種?」


偽勇者は、己の身にピオラを唱え―――足に力を込め植物族Aがいる場所を瞬時に駆け抜けた。

植物族Aは、何が起こったのか理解できないのか答えを求めるように周りを見渡した。

そして、偽勇者を後方に確認すると構えるが既に時は遅し……



――― ド ン ッ ! ! ―――



駆け抜けた衝撃が、音と共に植物族Aを襲い宙に舞った。

そして、地面に激突しそのままピクピクと痙攣し動かなくなった。


植物族B「あわわわ……」

昆虫族A「化け物が……」


偽勇者は、他の魔物に視線を向け黒い靄に隠れた口元をニヤつかせた。


偽勇者「化け物はお前達だろ?」

    「そして、俺に挑んだのもお前達だ」

植物族B「……うう」

昆虫族B「いいっ!?」

昆虫族A「ひ、怯むなっ!」

     「全員で挑めばまだ―――」

偽勇者「やれやれ、戦争で気分が昂ったか……」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓ or 2 or 3


大阪|・ω・)<めっさ短いけど、今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

大阪|´-ω-)<忙しい時には、嫌なもんやな……


PS:安価内なら↓やで


これって偽は巻き添え食った形なんだっけ?

安価なら
「大人しく魔物同士でやりあってればいい物を。まあ、所詮は虫ケラと雑草か」

……浮かばれんな


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>36 >>38』やね


偽勇者「やれやれ、戦争で気分が昂ったか……」

    「……浮かばれんな」

    「全員まとめてかかってこい……」



――― 遊 ん で や る ―――



偽勇者の一言が、魔物としてのプライドか―――それとも怒りの沸点がただ低いだけなのか。

この場にいる魔物達全てが、怒りと共に襲い掛かるのに時間は掛からなかった。

偽勇者は、一匹の昆虫族の首を片手が掴むと上下を逆転させるように捻り折り、鳩尾に拳を叩き込む。

叩き込まれた昆虫族は、そのまま後方に吹き飛び数匹の魔物を巻き込んで土煙を上げる。

背中に跳び付いた植物族が、蔓を首に巻き付け締め上げる、しかし苦しそうな動作はせずそのまま他の魔物に駆けだした。

植物族は、喫驚しさらに蔓で締め上げるが効果は薄い。

回し蹴りで、魔物の上半身と下半身は蹴り伐り勢いを殺さず昆虫族の頭を殴り割った。

生命力が強い魔物は、瀕死状態でも偽勇者の左足にしがみ付くが、高く上げられた右足で胴体を踏み抜かれ血肉を四方八方に飛び散らす。

別の植物族が蔓で偽勇者の両腕を束縛し動きを封じるが、怪物を越えた力には無力。

力任せに、両植物族を蔓ごと引っ捕えるとそのまま抱き締める。

捕らえられた植物族達はマヌケな顔をしていたが、抱き締められている腰部分から耳障りな肉を締め上げる音を感じてから苦痛に変わる。

偽勇者の両腕が植物族の体を圧縮するために、徐々に締め上げていく。


植物族C「―――ッ!?」

植物族D「は、離せっぇええ!!」


その苦痛から逃れるために偽勇者に物理的な攻撃を繰り出すが、それでも両腕は植物族達を締めに締め上げて―――



――― ゴ リ ュ ! ―――



背骨が完全に折れ、締め上げられた肉体からは体液が溢れだす。

偽勇者の背中に跳び付いていた植物族はその光景を目の当たりにし、怯える。

そして、とある視線を感じその方向を―――


黒い靄に隠れていたはずの偽勇者の大きく見開けれたギョロ目が、その植物族を完全に捉えていた。



その植物族は、後悔したのか、それとも後悔する思考が保てなかったのか、そのまま偽勇者に顔面を掴まれてしまった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

偽勇者「大人しく魔物同士でやりあってれば苦しまずに済んだものを―――」

    「所詮は、虫けらと雑草か……」


偽勇者は、付着した体液をピッピッと払う。

その払われた体液は、魔物の屍を濡らす。

その場に生きている者は人間が一人―――

他の者は裂かれ、砕かれ、地獄が造り出されていた。


偽勇者「……しかし、クラリスめ」

    「何処で迷子になっている……」


偽勇者は、周囲を見渡しクラリスを探す。

ルカ達の後を追っている間に迷子にでもなったのか途中で偽勇者一人になっていた。

一人になった直後に、争っているはずの魔物が腹でも減ったのか襲い掛かり―――現状に至る。


偽勇者「まあ、クラリスも軟な鍛え方はしていない」

    「森での単独行動の修行として暫く放っておくか……」


クィーン・ビーの巣を目指しその脚で、魔物の頭蓋骨を踏み砕きながら、その場から姿を消した。

偽勇者がその場から消えた後、風が吹き抜け森がざわめく。

まるで、彼女達の死を悲しむように―――







―――『ルカ』

しばらく進み、かなりセクトの森へと近付いていた頃。

その途中で僕は、道端で奇妙なものを見付けた。


ルカ「これ、なんだろう……?」


どうやら、なにかの繭のようだが……

その大きさは、かなりのものだった。

人間一人、すっぽり包み込めるほどなのだ。


ルカ「中に、何か入ってるのか……?」


よく見ると微妙に蠢いていて、不気味なことこの上ない。

中から敵でも出てきたら厄介だ、あまり構わずに先へ進もう―――


ルカ「あ、まただ……」


少し進むと、また繭がある。

しかも今度は、三個も並んでいた。


ルカ「いや、ここにも…… あっちにもあるぞ……」


繭の数は、三個どころではなかった。

周囲の至るところに、無数の繭が転がっていたのだ。

なんとも不吉な予感を覚えたが―――

この付近には、怪しい気配が感じられない。

もし、セクトの森に向かっているはずの、植物族の精鋭達がこの繭にされたとしたら……


ルカ「……繭を解くにしろ、全部を助け出すのにも時間が掛かるな」


正面への進撃を行い、昆虫族の囮になっている植物族の別働隊にも限界はある。

あまり時間を掛けることはできないし、先ほどの光景をこれ以上広げないためにもクィーン・ビーの元へ急がなければならない。

僕は警戒を怠らず、先へと進むのだった―――







ルカ「ここが、セクトの森……」


周囲の風景は、これまでとあまり変わらない。

だが例の大木の根本には、話通り洞窟のような空洞が口を開けていた。

あれが、クィーン・ビーの巣なのだ―――


ルカ「周りに、敵はいないみたいだな……」


周囲に魔物の姿はいっさい見られない。

作戦が功を奏し、敵の大部分が囮の前線へ出払っているようだ。


ルカ「よし、今のうちだな……」


僕は警戒しながら、その巣穴に踏み込んだのだった―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<金曜日はお休みや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|-ω-)<……

大阪|・ω-)<土曜日は目覚めてはならない呪いでも掛かってるんかいな……

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

中は、まるで洞窟のようになっている。

その中を、まっすぐ突き進んでいると―――


スズメバチ娘が現れた!


スズメバチ娘「シンニュウシャ……」

       「ハイジョ、スル……」

ルカ「ハチの魔物…… クィーン・ビーの従者か」


しなやかで屈強な肢体に、頑丈そうな外骨格。

一目見ただけで分かるほど、戦闘に適した肉体。

これは、気が抜けそうにない―――

………………
…………
……

……
………
…………

スズメバチ娘「ジョオウサマ……」


スズメバチ娘「はスズメバチの姿になった!」


スズメバチ娘をやっつけた!


ルカ「こんな強敵が出てくるようだと、そろそろ女王も近いな……」


さっきのスズメバチ娘は、女王直属の戦士といったところか。

そうだとすると、クィーン・ビーは目前のはずだ―――







しばらく進むと、大きな広間に出た。

そして、その中央には一体の魔物が鎮座していたのだ。


ルカ「あんたが、女王蜂か……!?」

クィーン・ビー「いかにも…… 妾がクィーン・ビー」

        「何をしに現れた、人間よ……?」

ルカ「植物族との戦いをやめてほしいんだ」

   「聞いてくれなければ、あんたを倒すしかない!」


クィーン・ビー「……残念だが、戦いをやめるわけにはいかぬ」

        「妾は、この村の昆虫族を束ねる女王」

        「我が子達を守る責任があるのだ」

ルカ「なら、仕方ない…… 悪いけど、封印させてもらう!」


僕は剣を構え、女王蜂と相対した。

さすがはこの地の昆虫族を束ねるだけあり、かなり強そうだ。

それでも、この戦いを終わらせるためには退くことなどできない!


クィーン・ビー「あくまで妾を討つと申すか……」

        「ならば、気は進まぬが相手をしようぞ」

        「蜂の女王が力、しかとその身で味わうがよい!」

………………
…………
……

……
………
…………

クィーン・ビー「妾が敗れてしまえば、昆虫族の命運は……!」


クィーン・ビーは小さな女王蜂の姿になった!


クィーン・ビーをやっつけた!


ルカ「ふぅ…… やっと、終わったぁ……」


激戦の疲労で、僕はがっくりと膝をついた。

だが、これで無益な戦いもやてと終わるはずだ―――

そこへ、さっきのとは別のスズメバチ娘が駆けつけてきた。


スズメバチ娘「ニンゲン、女王様ヲドウシタ……!?」

ルカ「悪いけど、封印させてもらったよ」

   「死んじゃいないから、元の姿に戻ることもできるはずさ」

   「これでもう、無益な戦いは終わったんだよ……」


……とは言え、このスズメバチ娘が納得してくれるとは思えない。

やはり、一戦交えなければならないか―――


アルラ・ルーティー「そこまでだぜ、ムシケラども!」

アルラ・アルム「あなたの活躍で、敵の女王は討伐されたようですね……」

        「おかげで、もはや私達の勝利は揺るぎません」


その場に現れたのは、あの二体のアルラウネ。

彼女達も、別働隊の精鋭として駆けつけて来たのだ。


スズメバチ娘「ショ、植物ドモ……!」

アルラ・アルム「ふふふっ…… それでは、残党狩りといきましょうか」


アルラ・アルムは、童謡するスズメバチ娘に組み付いていた。

そのまま花弁と葉で相手の全身を覆い、包み込んでしまう。


アルラ・アルム「ほぉら、養分を吸い尽くしてしまいますね……」

スズメバチ娘「ウァァァァァ……!」

ルカ「ちょ、ちょっと待ってくれよ……!」

   「戦いも終わったのに、いったい何を……!!」


蜂の女王を封じ、戦いは終わったはずなのだ。

これ以上、無益な争いを続ける理由なんてないはずなのに―――


アルラ・ルーティー「何って…… あたし達、勝ったんだから」

          「ムシケラどもはみんな、私達の養分だぜ!」

アルラ・アルム「ふふっ…… ごちそうさまでした」


満足げな表情で、アルラ・アルムは花弁と葉の拘束を解くと―――

体液を吸われて干からびたスズメバチ娘が、地面へと倒れ伏した。


ルカ「こ、こんな……!」


僕は、愚かな戦いを終わらせるためにクィーン・ビーを倒したはず。

それなのに、こんな事が―――


イモムシ娘「……女王さま、どうしたの?」

      「あれ、なんで植物族が……?」

アルラ・ルーティー「おっ…… うまそうなムシ、はっけ~ん」

アルラ・アルム「ふふっ…… 美味しそうなおチビちゃん」

        「あの時の屈辱は、晴らさせて頂きましょうか……」

イモムシ娘「わ、わわわ……」


二体のアルラウネは、笑みを浮かべながらイモムシ娘へと迫る―――


ルカ「……やめろっ!」


僕はそこに飛び込み、二体のアルラウネの前に立ちはだかった。


ルカ「もう、植物族と昆虫族の戦いは終わったんだ!」

   「こんな事をする意味なんて、もう何もないだろ!」

アルラ・アルム「意味ですって……?」

        「これは、勝者として当然の権利のはず」

        「あなたも功労者なのですから、我々と戦利品を分かち合いましょう」

アルラ・ルーティー「ムシケラ連中、食べ放題なんだぜ!」

          「オマエも頑張ったんだから、腹一杯食えよ!」


ルカ「お前ら……!」


僕は、思わず剣を抜いていた。


アルラ・アルム「……どうやら、我らの行為が気に入らないようですね」

        「しょせんは人間、我々とは価値観が違うようです……」

アルラ・ルーティー「なんだよ、裏切るのかよ!」

          「オマエは、仲間と思ってたんだぞ!」

ルカ「裏切るとか、そういうのじゃないんだ!」

   「とにかく、戦意のない相手をいたぶるなんてやめてくれ!」

アルラ・アルム「やれやれ、同盟は決裂ですか……」

        「ここで刃を交える事になるとは、残念です」

アルラ・ルーティー「ムシケラ共は、あたし達の敵だ!」

          「ムシケラをかばうのなら、オマエも敵だ!」


敵とか、味方とか……

もう戦いは終わったはずなのに、こんな事が……


アルラ・アルム「私達とて、女王討伐の別働隊に選ばれるほどの精鋭」

        「その実力、侮らないように願いますね……」

アルラ・ルーティー「オマエに助けられたときは、戦い続きでボロボロだったんだ!」

          「でも今は、元気満開だぜ!」

………………
…………
……

……
………
…………

アルラ・ルーティー「うぁぁぁっ……!」

アルラ・アルム「なぜ、私達を裏切るのです……」


アルラ・ルーティーは切り株の姿になった!

アルラ・アルムはミズバショウの姿になった!


アルラウネ達をやっつけた!


ルカ「裏切り……か」

イモムシ娘「お兄ちゃん、なんで敵なのに助けてくれたの……?」

ルカ「敵とか味方とか……」

   「そんなの、うんざりだよ……」


なぜ、こんな事になってしまったのだろう。

僕は、本当に勇者として正しい事をしたのだろうか―――


――――――――――――――――――――


「……結局は勇者は命を奪う者なのだよ―――ルカ……」


――――――――――――――――――――


……あいつが、正しかったのだろうか。

あいつの言う通り、勇者は命を奪うだけの存在だったのか―――


イモムシ娘「あたし達、負けちゃったの……?」

      「みんな、植物に食べられちゃうの……?」

ルカ「お前達だって、自分達が勝ってたら同じ事をしてただろう……?」

イモムシ娘「やだよぉ、カナン姉妹に食べられたくないよぉ……」

      「あいつら、仲間達を百体以上も溶かして食べちゃったんだよぉ……」

      「お母さんも、お姉ちゃんも妹もみんな食べちゃったんだよぉ……」

      「カナン姉妹に食べられたくないから、がんばって戦ったんだよぉ……」

      「食べられたくないから、戦うのは悪い事なのぉ……?」

ルカ「……………」


いったい、この戦いはどうなっているのか。

どっちが悪くて、僕は何に味方するべきだったのか。

僕はただ、争いを止めさせたかっただけなのに―――


モスキート娘「まずいわよ、もうすぐここにも植物族の軍勢が―――!」

スズメバチ娘「籠城ダ! 最後ノ一体マデ戦イ抜クゾ!」


そこに駆け込んできたのは、数名の昆虫娘達。

いずれも怪我をしていて、その劣勢は明らかだ。


モスキート娘「人間……!? あ、あんたは―――!」

スズメバチ娘「……オマエモ敵カ!?」

ルカ「敵とか味方とか…… もう、うんざりだよ」


僕は剣を納めたまま立ち上がり、ゆっくりと歩を進めた。

昆虫娘達の横を素通りし、そして巣の出入り口へと向かう。


ルカ「……植物娘の軍勢はどの位の数だ? どこまで来てる?」

モスキート娘「三十は超えているわ」

       「もう、眼と鼻の先まで攻め込んでいるわよ」

スズメバチ娘「オマエ…… マサカ、味方ヲシテクレルノカ?」

ルカ「……言っただろう?」

   「敵とか味方とか、関係ないって……!」


僕はそのまま、巣の外へと歩み出る―――

そこでは、容赦ない敗残兵狩りが行われていた。

戦意を失い、逃げ惑う昆虫族の魔物達。

それを追い、捕らえ、優越混じりにいたぶる植物族の魔物達。

ツタを絡め、花びらで包んで養分を吸い取ったり、締め付けて弄んだり―――

様々な責めで、敗者達を弄んでいたのだ。


アルラ・パラソル「あら…… この戦いの功労者ではありませんか」

         「あなたのおかげで、我々は圧勝ですよ」

アルラ・ボア「あんたも、勝者の宴に加わりなさいよ」

       「犯すなり食べるなり、思いのままよ……?」

ルカ「……………」


どちらが正しいとか、どちらが間違っているとか……

もう、そんな言葉遊びなんてどうでもいい。

立場さえ違えば、昆虫族の方が植物族を虐げたりもする。

結局、そういう事なのかもしれない。

つまり、結局のところ―――

僕に出来るのは、目の前の蛮行をやめさせる事だけだ!


ルカ「やめろぉっ!!」

   「これ以上敗者をいたぶるなら、僕が相手だ!!」

アルラ・ボア「あらら……?」

       「あんた、私達の味方だったんじゃないの?」

アルラ・パラソル「昆虫側に寝返ったのですか?」

         「負けた側に寝返るとは、類を見ない裏切りですね……」

アルラ・プリズン「裏切り者は、おしおきしてあげる」

         「私の花弁に閉じ込めて、精液じゅるじゅる吸ってあげるわ……」

ルカ「裏切ったのは、お前達の方だ!」

   「戦いを望んでいないって言ったのに……!」

   「こんな風に、敗者を虐げるなんて……!!」


僕は剣を抜き、多勢のアルラウネに挑んでいた―――

………………
…………
……


飯・風呂タイムや!


……
………
…………

アルラ・ボア「こいつ……! こんなに強いなんて……!」

アルラ・パラソル「そんな、私まで……」

アルラ・プリズン「なんて力なの……!」


アルラ・ボアは植物の姿になった!

アルラ・パラソルはキノコの姿になった!

アルラ・プリズンは大きな花の姿になった!


アルラウネ達をやっつけた!


ルカ「くっ、まだ来るのか……!!」


最初の三体を倒してもなお、ひるまず襲い掛かってくるアルラウネ達―――

僕は剣を構え、一直線に駆け出した。


アルラウネA「観念しなさい、裏切り者!」

アルラウネB「いかにあなたが強いからといって、これだけの数に勝てるとお思いですか!?」

ルカ「どけぇっ!!」

アルラウネA「あうっ……!」


駆け抜けながら一閃。


アルラウネB「そんな―――」


そのまま刃を返し、横薙ぎで一閃。


アルラウネC「このぉ……! 後ろからなら!」

ルカ「……………」


手元で剣を回転させ、背後から飛びかかってきたアルラウネを両断する。


アルラウネD「おのれ、人間……!」

アルラウネE「よくも、同胞達を……!」

ルカ「どいてくれって、言ってるだろ!」


前方に立ちはだかる二体が、襲い掛かってくる―――

それを、僕はまとめて撫で斬っていた。


アルラウネF「そんな、これだけの数を相手に……!」

アルラウネG「あんた、本当に人間―――?」

ルカ「人間だから…… こんなの黙って見ていられないんだ!」


それでも立ちはだかってくる魔物達を、斬って斬って斬りまくり―――

そして―――瞬く間に、周囲は花畑のようになってしまった。

どれもこれも、全て封印された植物娘達。

その花畑の真ん中に、僕はたたずんでいた。


ルカ「……………」


彼女達は死んだわけではない、封印を解くのも難しくないだろう。

それでも、僕は後悔と自己嫌悪にさいなまれていた。


クラリス「……………」

ルカ「クラリス……?」

   「君が、どうしてここに……?」


呆然とした顔をしているとクラリスが僕に近付き―――涙を指で掬ったのだ。


クラリス「ルカさん、泣かないでください」

     「これ以上、自分自身を責めないでください」


クラリスが悲しそうな顔で、僕の頬に手を添えた。

その手は、少しひんやりしていたけど熱を持った僕には心地好い感触だった。


ルカ「でも、僕は……」

クラリス「ルカさんは、人間です―――生物です」

     「この世に完璧で完全な存在なんていません」

     「生きているからこそ、間違いはあるのです」

     「例え、この世の神でさえ間違いを起こしてしまうのです」

ルカ「……………」


僕はただ、黙ってクラリスの言葉を聞いている。

この世に完璧で完全な存在なんていない―――

生きているからこそ、間違いを起こす―――

例え、この世の神でさえ―――


クラリス「ルカさん……」

     「沢山、間違ってください……」

     「そして、気付いてください……」

     「本当の勇者も、変わらぬ生物であると……」


クラリスは、その場から立ち上がると森の奥へと歩を進めていく。


ルカ「ま、待ってくれ……!」

   「君に一つ――― 一つだけでもいいっ!」

   「教えてくれっ!」


クラリスはその場に、無言で立ち止まる。


ルカ「―――」


【ルカのセリフ】

↓3


大阪|;-ω-)<アカン、2と3を打ち間違えたで―――↓やで

何を聞けばいいかわからず、結局何も言えない

>>73』やね

ルカ「……………」


僕はクラリスを呼び止めるが、何を聞けばいいか分からない。

僕の上げられた手は虚しく、宙を掴むことしかできない。


クラリス「……ルカさん」

     「慌てないで―――ゆっくりでいいんです」

     「急がば回ってください……」


クラリスはそう言い残すと、今度こそ森の中へと姿を消した。


ルカ「……………」

アリス「……………」

ルカ「アリス…… 僕は、間違っていたのかな?」

アリス「貴様の過ちは、争いの言い分を一方からしか聞かなかったことだ」

    「自分は正義で敵は悪逆非道、こちらは被害者、戦いは望んでいない、守るための戦い―――戦争では、みんなそう言う」

    「嘘をついているわけではない、実際にそう信じているのだ」

    「自分達は正義の側で、敵から理不尽な暴力を受けているとな……」

ルカ「……………」


一方の話だけを聞いて、後先も考えずに剣を振るって―――

その挙げ句に、怒りに任せてアルラウネ達まで封印してしまった。

いったい、こんな僕のどこが勇者なのか―――


アリス「さて…… これから、どうする?」

ルカ「……もう、分からないよ」


このままプリエステスやカナン姉妹とも戦うのか、ここでプランセクトを去るのか―――


ルカ「真の勇者なら、どうすれば……」

   「僕は、これから何をすれば……」

アリス「貴様は、いつまで「真の勇者」とやらに縛られている?」

    「己の作った虚像に、剣を振る理由を委ねるな」

ルカ「でも、勇者として生きなきゃ……」

   「僕なんて、もう他に何も……」

アリス「クラリスが、貴様に教えた言葉を忘れたか?」

    「貴様がこの村で、戦おうとした理由は何だ?」

    「「真の勇者」なら、そうするからか?」

    「……違うだろう?」

    「心の奥底には、もっと別の思いがあったはずだ」

ルカ「別の思い……」


なぜ僕は、劣勢の植物族をかばって昆虫族と戦ったのか。

なぜ僕は、イモムシ娘をかばって植物族と剣を交えたのか―――


ルカ「弱い者が虐げられるのを、見ていられなかった……」

   「人間でも魔物でも、傷付け合うのが許せなかった……」


アリス「ならば、その心に従え」

    「それこそ、貴様が剣を振るう確かな理由であるはず」

    「「真の勇者」とかいう虚像ではない、貴様自身の戦う理由なのだ」

ルカ「……………」


僕自身の、戦う理由―――

勇者としてではなく、僕自身の―――


ルカ「なら、行かなくちゃいけないな…… プランの森まで」


このまま放置していては、昆虫族の連中が嫐り者にされる。

僕は、なんとしてもそれを止めたい。

真の勇者としてではなく…… 僕自身として。


アリス「どうすべきか、道を見い出したようだな」

    「忘れるな、戦いの理由は貴様自身のものなのだ―――」


次の瞬間には、もうアリスの姿は消えていた。


ルカ「僕自身の理由で……か」


真の勇者なら、こうする―――

本当の勇者なら、ああするべきだ―――

それに振り回され、結果的に僕は間違ってしまった。

結局、自分の作り上げた理想の勇者象に踊らされたに過ぎない。

だから、今からが僕としての戦いだ。

目の前にいる、虐げられた者を守る―――そのための。

こうして僕は、プランの森に向かったのだった。







アルラ・プリエステス「……まったく、随分と暴れたものですね」

           「いったい、何がお気に召さなかったのです?」

ルカ「ここで行われてること、全部だ」

   「無益な争いは、これで終わるんじゃなかったのか……?」

アルラ・プリエステス「……ええ、その通り」

           「昆虫族を一匹残らず撲滅してこそ、戦いは終わります」

           「昆虫族の脅威を完全に取り除かなければ、我々の生存権は守れないのですよ」

ルカ「カナン姉妹っていうのが、昆虫族にひどい事をしたっていうのは本当か?」

アルラ・プリエステス「生きながらに溶かして捕食しただけです……」

           「カナン姉妹は、食虫植物の魔物ですから」


アルラ・プリエステス「しかし…… それも、勝者として当然の権利のはずでしょう?」

ルカ「……そんな権利なんてないよ」

   「僕は平和主義じゃないから、世の中の全てが綺麗事で片付くと思わない」

   「でも…… これ以上は、戦いじゃなくて虐殺だ」

   「そんな非道、僕は見過ごしたくない!」

アルラ・プリエステス「……見解の相違は決定的のようですね」

           「それでは、この私が相手をさせて頂きましょう」

ルカ「これだけアルラウネがやられて、まだ戦うのか……?」

アルラ・プリエステス「当然です、折角の勝ち戦を捨てる馬鹿が何処にいるのでしょうか?」

           「それに、ここで白旗を上げてしまえば、無残に散っていった仲間達に申し訳が立ちません」


アルラ・プリエステスはまっすぐに見据え、僕は剣を構える。

やはり、こうなってしまうのか―――


アルラ・プリエステス「単純な戦闘能力ならば、あなたの方が上でしょうね」

           「しかし、私の与える快楽にあなたは抗いきれませんよ……」

ルカ「……………」

アルラ・プリエステス「私は高貴なアルラウネ」

           「あなたの生殖器など、直接触る気はしませんが―――」

           「それでも、オス一人よがり狂わせる事など簡単な事です」

           「さあ、この私が弄んで差し上げましょう……!」

………………
…………
……

……
………
…………

アルラ・プリエステス「なぜ、それだけの力がありながら……」


アルラ・プリエステスは花の姿になった!


アルラ・プリエステスをやっつけた!


ルカ「出て来い、カナン姉妹!」


プリエステスを封印し、僕は森へと呼び掛けた。

カナン姉妹を何とかしなければ、この戦いは終わらないのだ。


ラフィ・カナン「私を呼ぶのは、誰かしら……?」


森の奥から姿を現したのは―――

なんとも異様な食虫植物の妖魔だった。


ルカ「一人だけか?」

   「姉だか妹だかもいるんじゃないのか……?」

ラフィ・カナン「他は、お食事で忙しいのです」

        「おかげで私が、人間のオスっていう御馳走にありついたみたいですが…… ふふふっ」


ラフィ・カナンは餌を見る目で僕を眺め、くすくすと笑う。


ルカ「一つ聞きたいんだけど……」

   「お前は、人間や昆虫の魔物を食べないと生きていけないのか?」

ラフィ・カナン「いえいえ…… そんな下等肉食生物と一緒にされては困るわ」

        「私ほど高等な植物妖魔は、水と酸素だけでも生きられるのよ」

ルカ「なら、なんで他者を捕食するんだ……?」

ラフィ・カナン「人間だって好きなはずでしょう、敗者をいたぶるのが……」

        「もがく敗者を、じっくりと溶かすのは愉しいからよ……」

ルカ「……………」


生きていくために、他者を捕食するしかない―――

そんな魔物なら、僕もどうするべきか分からない。

だが、目の前のこいつは違う。

楽しみのためだけに、敗者を、弱者を弄ぶのだ。

そして、こんな愚かな争いを助長させた―――


ルカ「悪いけど、お前は封印させてもらう!」


僕は剣を構え、ラフィ・カナンと対峙した。

プランセクトに争いを呼び、悪逆非道を尽くす妖魔―――

こいつを封印しなければ、また残酷な蛮行が繰り返される。


ラフィ・カナン「ふふっ…… 人間のオスを食べるのは、久しぶりですね」

        「食虫植物に溶かされるのは、とっても気持ちいいのよ……」

        「あなたも、幸せねぇ……」

        「この私に、気持ちよく溶かしてもらえるなんて……」

………………
…………
……

……
………
…………

ラフィ・カナン「そんな……! この私が……!」


ラフィ・カナンはウツボカズラの姿になった!


ラフィ・カナンを封印したが、剣を納めるにはまだ早い。


ルカ「まだだ! カナン姉妹の姉とやらが、まだいるんだろ!?」


僕の呼びかけに応じ、森の奥から異様な気配が近づいてくる―――


ディーナ・カナン「私がカナン三姉妹の長女、ディーナ・カナン」

         「妹たちが、ずいぶんと世話になったようですね」

ルカ「妹たち……?」

   「お前以外にも、他にいるのか……」

   「姉だか妹だかが出て来ないだろうな?」

ディーナ・カナン「ご安心を、私達は三人姉妹ですので」

         「ドローシーは、何処で何をしているのか知れませんが……」

         「それに、あなたは私に溶かされ、食べられて終わりなのですよ」

         「私は正直、虫ケラを嫐る趣味などありませんが……」

         「私に挑んできた以上、残酷に溶かして差し上げましょう」

………………
…………
……

……
………
…………

ディーナ・カナン「私達を、こうも次々と……!」


ディーナ・カナンは食虫植物の姿になった!


カナン三姉妹をやっつけた!


ルカ「あと一人っ!」

   「出て来い、ドローシー、まだ隠れているんだろ!?」


僕の呼びかけが、聞こえないのか何の気配も感じない―――


ルカ「くっ……!」


幸い、シルフのおかげで風の声で居場所が大体分かる。

僕は、その場から駆け出すのだった―――







ドローシー・カナン「あら、美味しそうな子……」

クラリス「……………」


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<実は>>68はクラリスやなくて、偽勇者出す予定やってん。

大阪|・ω-)<けど、アレがアレで、アレもアレに―――な感じや。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソーリ|・ω・)<……


クラリス「……貴女は?」

ドローシー・カナン「私はカナン三姉妹の三女、ドローシー・カナン」

          「こんな戦争中の森でうろうろしていると、危ないわよ?」


ドローシーさんは餌を見る目でボクを眺め、くすくすと笑っています。

それに、先ほどの言葉が聞き間違いで無ければ―――


クラリス「……そうですか、ではボクは急いで森を出ますので」


ボクは歩を早めその場から離れようとすると、ドローシーさんに回り込まれました。


ドローシー・カナン「あらあら、そんなに急がなくても私が案内してあげるわよ」

          「とっても、安全で満足する場所よ…… ふふふっ」

クラリス「……………」

     「お一つ聞きたいことがあるのですが……」

ドローシー・カナン「あら、何かしら?」

クラリス「ドローシーさんは、人間や昆虫の魔物さん達を食べないと生きられないのですか……?」

ドローシー・カナン「いいえ…… そんな下等肉食生物と一緒にされては困るわ」

          「高等な植物妖魔は、水と酸素だけでも生きられるのよ」

クラリス「なら、どうして他者を捕食するんですか……?」

ドローシー・カナン「あら、貴女だって毎日パンと水だけじゃ飽きるでしょ?」

          「肉、肉、野菜、肉、野菜とバランスよく食べなきゃ大きく、強くなれないわ」


ドローシーさんは、一歩近づいて両腕の食虫植物の口を開き、溢れた粘液が地面にポタポタと落ちています。


ドローシー・カナン「それに、敗者をいたぶるのが大好きだから……」

          「もがく敗者を、じっくりと溶かすのは愉しいわよ……」

クラリス「……………」


敗者をいたぶるのが―――大好きだから……?

他者を捕食するのは種族的には仕方ないかもしれません……

しかし、この方は楽しみのためだけに、必要以上の命を、弱者を弄んでいるのですね。

そして、戦争を激化させる原因にもなった―――


クラリス「貴女は…… 貴女は間違っているっ!」

     「必要以上の捕食、命を弄ぶ行為っ!」

     「許せません……っ!」

ボクは、拳を構え、ドローシーさんと対峙しました。

愚かな争いを終わらせるのではなく、他者を弄ぶことしか頭にない、悪逆非道を尽くす妖魔―――

これ以上の残酷な蛮行を許すわけにはいきませんっ!!


ドローシー・カナン「ふふっ…… 活きがいい子ね」

          「嫌いじゃないわ、大好物よ」

          「貴女は特別に、とてもゆっくりと溶かしてあげるわ……」


【クラリスの戦闘】

○勝つ(圧倒的)

○苦戦(でも普通に勝つ)

↓2

『苦戦』やね

ドローシー・カナンは、クラリスに巨腕を叩き付ける。

クラリスは、その叩き付けてきた巨腕を受け止め、地に叩き付ける―――はずだったが。

投げる体制に入る前に、横からもう一本の巨腕がクラリスの脇腹を殴り飛ばしたのだ。

そのまま、大木に叩き付けられ一瞬、呼吸が出来なくなる。


ドローシー・カナン「今の、武術の当て身投げってやつでしょ?」

          「残念だけど、私も伊達に傭兵染みた生活してないのよ」

          「それぐらい―――見切るのは容易いわっ!」


ドローシー・カナンは、右腕の口を開きクラリスを挟み込もうと襲い掛かる。

クラリスは、呼吸を乱しながらも右腕をかわし、肘を狙いあびせ蹴りを繰り出す。

しかし、その右腕には肘の感触がなく蹴りつける衝撃が逃げてしまった。

そして隙を突かれ、巨大なモウセンゴケに絡まれてしまう。


クラリス「くっ……!」

ドローシー・カナン「関節を狙うのは、中々良い判断だったけど―――相手が悪かったわね」

クラリス「な、何故ですかっ!?」

     「何故、貴女には関節が―――」

ドローシー・カナン「勉強不足ね、確かに私だって一部が人の形をとってるからには骨や関節はあるわ」

          「でも、私は植物族―――基本的に骨となる骨格は持たないの」

          「だから、貴女が想像した関節の破壊―――いや、外そうとしたのかしら?」

          「貴女の思うような結果にはならなかったのよ」


クラリスは、眉間に皺を寄せ自分の失態にイラつきを覚える。

あにさんに、体術を教えてもらい鍛錬を行い熟してきたが知識的な勉強はあまり行っていない―――それが仇となった。

絡まれたモウセンゴケから抜け出そうとも、ネバネバの粘着液がくっつき放れない。

どうするか思考するも―――そのまま地に勢いよく叩き付けられる。

次は木に叩き付けられ、振り回され、また地に叩き付けられる。

ドローシー・カナンは、まるで新しい玩具で遊ぶようにクラリスを好き放題いたぶる。

何度も、何度も、叩きに叩き遂には叩き付けていた木が折れ、倒れてしまった。

その頃には、クラリスはボロボロとなり体中が傷だらけになってしまい、意識も朦朧としている。


ドローシー・カナン「ふふふっ…… これだけ叩けば、固いトカゲの肉も溶かしやすくなったわ……」

          「ほら、貴女はどんな風に溶かされたい?」

          「私のハエトリグサで挟み込んで溶かす?」

          「モウセンゴケの消化液で溶かす?」

          「それとも、お く ち ?」

クラリス「……………」


クラリスは、答えない。

只々、逆さまにぶら下げられるだけの餌と変わらない姿なのだ。


ドローシー・カナン「……じゃあ、お口で食べてあげるわ」

          「これ以上、弄ぶと肉の質が落ちるしね……」


――― ピクッ ―――


クラリスの指が僅かに動く。


ドローシー・カナン「ふふふっ…… いただきま~す♪」


クラリスは、ドローシー・カナンの口に運ばれる。

そして、頬に生暖かい感触を感じる。

味見なのか、それともその行為も己の愉しみの延長なのか。


―――ふざけるな。


ドローシー・カナンは、視界に舌を見た。

それは自分の舌だ―――自分の舌が飛んでいるのだ。

ドローシー・カナンは、不思議に思い視線を変えると自分の口が閉じていたのだ。


――― ク ラ リ ス の 拳 で 無 理 矢 理 閉 じ ら れ て い た の だ ―――


ドローシー・カナンは、口を閉じたことを意識した途端に激痛が走る。

両腕で口を押え、痛みに耐えるがクラリスが耐える間を許す訳もなく力が抜けたモウセンゴケを掴み、地に足を付け……

ジャイアントスイングで、折れた木に投げ飛ばし―――その鋭い先端がドローシー・カナンを突く。

突き刺されたドローシー・カナンは、悲鳴を上げようとしたが、クラリスのあびせ蹴りが顔面を蹴り上げ黙らせた。

休む暇もなく、クラリスは拳を叩き付ける。

殴って、殴って。

蹴って、蹴って。

そして、また殴る。

その行為は正しく、相手をいたぶり弄ぶ姿。


クラリス「……敗者をいたぶるのが大好き」

     「そう、言いましたよね?」


羅刹掌で、ドローシー・カナンの右頬を殴る。


クラリス「これがっ!」


爆砕鉄拳で、腹部と鳩尾を殴りつける。


クラリス「これがっ!」


短勁で、顔面を殴る。


クラリス「これが楽しいんですかっ!?」

     「貴女は弄ばれる側で、嬉しいんですかっ!?」

     「こんなものが……っ!!」











……――― こ ん な も の が 楽 し く あ っ て た ま る か っ ! ! ! ―――……










大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


ゲソッ|ヽ・ω・)。oO(そろそろ少しだけやろか……)




















クラリス「……………」


ボクの両腕はドローシーさんの体液でベットリです。

ドローシーさんは、既にボロボロで戦いを続けようとしても、もはや無理でしょう―――


クラリス「……う」


周囲は、折れた木々に荒れた土地―――そして、大量の返り血を浴びた魔物。

ここにあるのは、破壊された土地と破壊したボクがいる。


クラリス「……うぅぅ」


自分の身を守るためとはいえ、ここまでしてしまうなんて……

ボクはボク自身が―――



―――怖い。



偽勇者「……派手に暴れたな」

    「しかし、あまり嬉しそうではないな―――不服か?」

クラリス「……あにさん」

     「ボクは一体何者なんでしょうか……?」

偽勇者「ほう……?」

クラリス「ボクは、ボクが怖い―――ここまでの力を持った魔物が怖いですっ!」


偽勇者は周囲の状態をぐるりと観察した。

クラリスに技を教え、鍛錬させていたとしてもここまでの力は異常だと理解する。

見た目からしても、あの細い腕でここまでの破壊力を繰り出せるとは―――

しかし……


偽勇者「クラリス」

クラリス「……………」

偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2 or 3

俺が直々に教えてるから当たり前だ。  とかそんな感じで

力そのものに善悪は無いから恐れることは無い

>>104 >>105』やね


偽勇者「クラリス」

クラリス「……………」

偽勇者「俺が直々に教えてるからな……」

    「当たり前だ」

クラリス「……ボクはこの力で、誰かを守れるのでしょうか?」

偽勇者「……………」

クラリス「もし、この力で守らなきゃいけないモノを―――逆に壊してしまうんじゃないでしょうか?」

     「そして、いつかは力に溺れてしまい、誰かをいたぶるのが愉しみに―――」



――― パ ン ッ ―――



クラリスは一瞬、何が起こったのか分からなかった。

ゆっくりと視線を戻すと、あにさんに頬を叩かれたことを理解する。

頬は痛くはないが―――別の何かが痛かった。


クラリス「……あにさん」

偽勇者「落ち着け、クラリス。 ……いいか、よく聞け」

    「力そのものに、善悪は無い。 故に恐れることは無いんだ」

    「ただ、問題があるとすればその力をどう使うかだ……」

クラリス「……でも、力は戦いのために使っているじゃないですか」


クラリスは顔を俯けあにさんに問う。


偽勇者「戦うことは決して悪いことではない、元々「戦う」とは大昔に獲物を得るために使われた言葉だ」

    「しかし、世界は全体的に食料不足となり―――「戦う」は別の者から「奪う」を生んだ」

    「そして、次は己の利益のために「奪い」「裏切り」を増やした」


クラリスは、俯けた顔を上げ、あにさんの話を聞く。


偽勇者「「戦う」ことは、扱う者によって変化していく。 善にも悪にもだ」


偽勇者は、クラリスの肩に手をポンと置く。


偽勇者「俺は、クラリスが絶対に悪いほうに「戦う」ことはしないと信じている」

    「誰かを守るために、助けるために「戦う」と信じている……」

クラリス「……あ、あにさんっ」


クラリスは、涙を流―――さなかった。

流すまいと我慢していた。


クラリス「……ボクは、今はまだ泣きません。 泣き虫だと格好がつきませんから」

偽勇者「……ふん、好きにしろ」

クラリス「はい、好きにしますっ♪」


偽勇者はやれやれとした顔で、頭を掻く。

そして―――


偽勇者「……ベホマズン」


回復呪文を唱え、クラリスとついでにドローシー・カナンの傷を癒した。

クラリスは、黒い靄に隠れたあにさんの顔を見る。

魔物嫌いのあにさんが、お願いをしなくてもドローシー・カナンの傷を癒したのだ。


偽勇者「……勘違いするな」

    「お前には、他者の命を背負うのも奪うのも似合わん、故に呪文をついでに掛けたのだ」

クラリス「……はいっ、あにさん♪」


クラリスは、偽勇者の背中に跳び付き、落ちないようにしっかりとしがみ付く。

負んぶする形となったが、偽勇者は振り落とさずそのまま歩を進める。

その姿は、何も知らない第三者が見ると本当の兄妹の様に見えるのであった―――







カナン三姉妹は、三女を除き封印された。

三女のドローシー・カナンは何があったかは分からないが戦意を失っていた。

リーダーと中心戦力を失った以上、植物族も昆虫族同様い総崩れの状態だ。

これから戦いを続けようとしても、もはや不可能だろう―――


ルカ「……………」


周囲には、封印されたアルラウネ達の花畑が出来ている。

それだけではなく、激しい戦争で倒れていった魔物達の姿もあった。

多くの魔物が倒れ伏し、辺りはただ静まり返っていた―――


アリス「……今度こそ、終わったようだな」

    「だが、あまり晴れやかな気持ちではなかろう」

ルカ「僕はこの村に来てから、あまりに多くの魔物を傷付けたよ」

   「僕はただ、勇者として…… 正義を貫きたいと思っただけなのに……」

アリス「自分で作った勇者の虚像に、己の戦う理由を委託するな」

    「ましてそれを正義と呼べば、貴様はまた過ちを繰り返すぞ」

ルカ「正義……」

アリス「この村で戦っていた連中の多くは、自分を正義の側だと信じていた」

    「自らの敵を悪と断じて戦い、時には優勢に酔って暴虐さえ働いた」

    「この村だけではない、この世の争いのほとんどがそうだ」

    「自身を正義と信じた者こそ、凄まじい蛮行をやってのける」

    「自分が正義の側に立っていると信じているから、他者を傷つける事に疑問を持たないのだ」


風呂タイムや!


ルカ「自分を正義だと思うことが…… 悪なのかな?」

アリス「さあな…… もとより正義も悪も相対的な概念」

    「明確に定義できるものでもないはずだ」

    「結局のところ、言葉遊びに過ぎんのかもな」

ルカ「……………」

アリス「それでも、貴様は争いを終わらせるために戦おうとした」

    「正義だの、勇者だのといった虚飾をこそぎ落としてみれば……」

    「残った思いは、その一点だったのだ」

    「その点だけは、胸を張っていい」

    「結果的には、色々と間違えたがな……」

ルカ「間違えか……」



―――ルカさん……

―――沢山、間違ってください……

―――そして、気付いてください……

―――本当の勇者も、変わらぬ生物であると……



ルカ「そうだね…… 僕はもう、過ちを繰り返したくないよ」

   「自分が戦う理由も、正義とは呼ばない」

   「人や魔物が、そして人同士や魔物同士が争うところなんて見たくない―――」

   「それが、僕の戦う理由なんだ」

アリス「うむ、貴様はそれでいい」

    「ドアホはドアホなりに、自分の事をしっかり―――ん?」


近くの茂みが、ざわざわとわざめいた。

そして、おずおずと顔を見せたのは―――


アルラウネ「そ~っ……」


怯えた顔をした、妙な様子のアルラウネだった。

いや、彼女一人だけではない。

その後ろには、複数のアルラウネや昆虫族の魔物もあったのだ。


アルラウネ「えっと、あの……」

      「もしかして、戦いは終わったんですか?」

ルカ「そうだけど…… 君達は?」

アルラウネ「私達は、戦いを忌避したグループなのです」

      「仲間達が争っている中、どうしても暴力を振るう気にはなりませんでした」

      「そうした魔物が集い、森の奥で身を隠していたのです」

      「ですが、妙な気配を感じて来てみれば……」


タランチュラ娘「もう戦いは終わったの……?」

        「私達も、逃げ隠れしなくていいの……?」

ルカ「ああ…… もう、戦いは終わったんだよ」

   「クィーン・ビーもプリエステスもカナン姉妹も、もう何も出来ない」

アルラウネ「そうですか、やっと平和が……♪」

タランチュラ娘「みんな、聞いた?」

        「戦争は、もう終わったんだって……!」


木陰や茂みから、わいわいと植物娘や昆虫娘達が姿を見せた。

戦いを避け、森の奥に隠れていたという事だが―――

予想以上に、その数は多いようだ。


アルラウネ「それにしても、負傷者が多いですね」

      「なんとかしないと……」

タランチュラ娘「手分けして救護しましょう」

        「我々は、セクトの森の方をあたりますね」

アルラウネ「では、私達はプランの森の方の負傷者を助けます―――」


こうして彼女達は、手分けして救護活動を開始した。

その様子を、僕達は意外な面持ちで眺める。


ルカ「戦いを避けた魔物達も、こんなにいたんだな……」

アリス「これだけの魔物達が魔力を分け与えれば、貴様が封印した者達もそう時間が掛からず元に戻れるはずだ」

    「貴様の行動は目茶苦茶だったが……」

    「結果論で言えば、戦いの幕引きとしては悪くない」

    「クィーン・ビーやカナン三姉妹など、タチの悪い連中はみな静かになった」

    「双方に壊滅的な打撃を与えなければ、この戦いは終わらなかったのかもな」

ルカ「あくまで、結果論だけどね……」


後先考えずに動き、結果的に両陣営の主戦力を倒してしまった結果なのだ。

もしかしてアリスは、この結末を予想して……


アリス「プランセクト村の魔物達も、決して馬鹿ではない」

    「この一件で、争いの無益さを骨身に染みて分かっただろう」

ルカ「ああ、そう信じたいな……」


今のところ、タチの悪い奴等はドローシー・カナンを除いて封印状態にある。

彼女達の封印を解くのか解かないのかも含めて、ここから先は村に住む魔物達次第なのだろう。


アリス「ルカよ…… 貴様は、いくつも間違った」

    「それでも、まだ誰の命をも奪ってはいない」

    「だからこそ、取り返せる過ちなのだ……」

    「……余とは違ってな」

ルカ「え……? それ、どういう事なんだ……?」

アリス「……ふん、どうでもいい事だ」

    「それより、このままここにいても御馳走は期待できまい」

ルカ「あ、当たり前だろ……」


僕は呆れながらも、あちこちで動き回っている魔物達に目をやった。

植物族も昆虫族も関係なく、傷付き倒れた者達を救護しているのだ。


ルカ「……じゃあ、行こうか」

   「僕達がここにいても、出来ることは何もないよ」

アリス「うむ、旅を続けよう」

    「今度は、もっと美味しいモノがある場所がいいな……」


色々と苦い思いを重ねたプランセクト村。

ここで学んだ事は、非常に大きいはずだ。

そして、今度こそ植物族と昆虫族が共存していける事を信じて―――

僕達は、プランセクト村を後にしたのである。

さて、次の目的地は―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|-ω-)<まあ、戦争の件は人間と違って愚かではないでええんちゃう?


――――――
―――――
――――

ルカ「そうだ、念のために情報を収集しよう」


僕はプランセクト村を後にする前に、少し情報を収集することにした。

これからの旅は、今までより過酷になることは間違いない。


アリス「……御馳走が期待できぬのに、あまり残りたくはないのだが」

ルカ「おい……」


僕達は、プランセクト村で情報を集めるのだった―――







―――『プランセクト村』

――――――――――「アルラウネ」――――――――――

アルラウネ「ここは平和と共存の村、プランセクトです」

      「どんな魔物でも、人間でも大歓迎ですよ」

――――――――――「ドリアード」――――――――――

ドリアード「魔物同士で争うのは、正直なところ苦痛でした」

      「ようやく平和が訪れて、本当に嬉しいです」

――――――――――「アルラ・アルム」――――――――――

アルラ・アルム「戦いの終結に賛同した者から、順次封印が解かれています」

        「かく言う私も、平和の維持を誓ったので解放されました」

        「昆虫族とは、色々と感情的しこりが残っていますが……」

        「愚行を繰り返さぬよう、善処するつもりでいます」

――――――――――「アルラ・ルーティー」――――――――――

アルラ・ルーティー「もう、昆虫族の汁は吸わないって決めたぜ」

          「代わりに、人間のオスの精液でも吸いたいな……」

          「なぁオマエ、精液吸わせてくれよ!」

          「なぁなぁ、ちょっとでいいからさぁ……」

ルカ「その…… ごめん……」

――――――――――「アルラ・マッシュ」――――――――――

アルラ・マッシュ「カナン三姉妹の内、長女と次女は封印されたまま……」

         「平和を拒否してるから、解放してもらえない……」

         「三女のドローシー・カナンは、森の奥に引き籠ってる……」

――――――――――「タランチュラ娘」――――――――――

タランチュラ娘「戦いを嫌って、森に逃げて十年…… やっと堂々と表を歩けるわ」

        「戦争中は、どっちからも裏切り者扱いされてたのよ」


――――――――――「モス娘」――――――――――

モス娘「あら、あなたは……」

    「有無を言わさず封印された事、忘れてはいないですよ」

    「でも、あなたを恨んではいません」

    「あのカナン三姉妹を封印してくれたのですから」

    「あいつらだけは、ずっと封印しておいてほしいものです……」

――――――――――「モスキート娘」――――――――――

モスキート娘「まあ…… 確かに、平和な方がいいよね」

       「植物族の連中、ムカつく事もあるけど……」

       「分かってるわよ、わざわざ荒波を立てたりはしないから」

――――――――――「イモムシ娘」――――――――――

イモムシ娘「あっ、前の人間だ~!」

      「あの時は、助けてくれてありがとうね~♪」

――――――――――「カイコ娘」――――――――――

カイコ娘「しばらくは大人しく、機織りでもして過ごしましょう」

     「一度封印されて、さすがに懲りました……」

――――――――――「スズメバチ娘」――――――――――

スズメバチ娘「女王様、マダ封印サレタママ……」

       「戦イノ終結ヲ誓エバ、解放シテモラエル……」

       「私達、ミンナデ女王様ヲ説得シテル……」

――――――――――「アルラ・プリエステス」――――――――――

アルラ・プリエステス「あなたには、随分と恥ずかしい姿を見せてしまいましたね……」

           「確かに私達は、感情的になりすぎておりました」

           「このような平穏に身を委ね、初めて自分達の過ちに気付くものです」

ルカ「僕も、申し訳ありませんでした」

   「考えもなしに、暴れてしまって……」

アルラ・プリエステス「あなたが謝る必要はありません」

           「封じられた者は、我々の中でも特に好戦的な者ばかりでした」

           「いわば、因果応報と言えるでしょう」

           「ともかく、過ちは繰り返さずにしたいものです」

           「……おや? 何か、不思議な力を持つ道具を持っているようですね」


アルラ・プリエステスが見定めたのは、「妖精のどんぐり」と「ねこまたの鈴」だった。


アルラ・プリエステス「それらの道具を混ぜ合わせ、私の魔力で結晶化しましょうか?」

           「きっと美しい宝玉が出来上がるはずですよ」

ルカ「でも、友達の証としてもらったものですから……」

   「ただの素材にするのは、あんまり気が進まないです」

アルラ・プリエステス「それは大丈夫、きっとより深い友情を感じられる宝玉に仕上がるはずです」

ルカ「じゃあ、任せますね……」


僕は、アルラ・プリエステスに「妖精のどんぐり」と「ねこまたの鈴」を手渡した。


アルラ・プリエステス「器物に宿りし友誼の念、我が導きにより魂の輝きを称えよ―――」


アルラ・プリエステスが魔力を込めると―――

二つの道具が混ざり合い、美しい宝玉が誕生した!


「友情の宝玉」を手に入れた!


ルカ「こ、これは……」

アルラ・プリエステス「その宝玉を握り、深く念じてごらんなさい」

ルカ「こうかな……」


「友情の宝玉」とやらを握り、深く念じてみると―――

心の中に、不思議なヴィジョンが浮かんだ。


―――「精霊の森」


フェアリー「わぁ、おともだちのお兄ちゃんだぁ~♪」

      「遠くから、あたしの姿が見えるの?」


―――「猫神社」


ねこまた「うにゃっ!?」

     「……にゃ♪」


ルカ「すごいや…… みんなの姿が見えるよ」

アルラ・プリエステス「それは、心通わせた者達といつでも通じ合う事ができる宝玉」

           「あなたが、魔物達と友情を育んだ証なのです」







これ以上は情報が集まりそうもないな―――


ルカ「それじゃあ、ウンディーネの泉に行こうか」

アリス「ふむ、いよいよウンディーネの元に行くのだな」

    「この地域でやるべき事は、もう済ませたのか?」


大阪|・ω・)ノシ<風呂行ってくるわ

【やり残した事などない】

ルカ「よし、ウンディーネの泉に行くぞ!」


こうして僕達は、地元の人からは「禁忌の泉」と呼ばれている地―――

ウンディーネの泉へと向かったのだった。







偽勇者「……………」

クラリス「……臭っ」


プランセクト村での一件が済み、早々と立ち去ったのはいいが、途中で道を間違えてしまい見当違いな―――何やらドロドロに汚れ悪臭漂うデカい湖らしき所に辿り着いた。

どうやら、ゴミやら油、ヘドロが溜まっているようだ。

……これだから心無い人間は嫌いなんだ。


クラリス「あにさん、早く離れましょうよ……」

     「あまりこの場所にいたくないです……」


鼻を摘まみながら話しているので、クラリスの声が少しばかり面白いが―――

正直、俺もあまり長居はしたくない。

汚れた湖のせいか、周囲の木々は枯れており目ぼしい物もない。

俺達がその場から離れようとした時―――


プリンプリンセス「んしょ、んしょ……」


少し離れた所に、一匹の魔物を見つけた。

その魔物は見た限りでは上位のスライム族と思われる。

そんな、スライム族だが―――

どうやら、湖の汚れやゴミを取り除いているようだ。


―――たった一匹で。


クラリス「……なんであんなに頑張るのでしょうか?」

偽勇者「……スライム族は綺麗な水がある場所でしか生きられん」

    「但し、上位ならば綺麗な水が無くても生きられるが……」

    「……もしや、他の仲間のためか?」

プリンプリンセス「水、じょば~……」


……とりあえずは、話し掛けるしかあるまい。


偽勇者「おい、そこの魔物」

プリンプリンセス「お掃除、お掃除……」

偽勇者「……………」

    「―――」

【偽勇者のセリフ】
↓2 or 3

人や魔物ですらも嫌がる事を率先してやるとは徳が高いな・・・

自分に協力できることはないか?


大阪|´・ω・)<ひぃ、ふぅ、みぃ……

大阪|・ω・)<明日は早いから、今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>130 >>131】やね


偽勇者「……………」

    「人や魔物ですらも嫌がる事を率先してやるとは……」

    「徳が高いではないか……」


ここまで汚れきってしまった湖は、最早手遅れ。

しかし、湖をどんな理由で綺麗にしようとしてるのかは知らぬが、見上げた魔物だ。


プリンプリンセス「……にんげん?」


相手の魔物も、こちらに気付いたのか俺達を見据えてきた。


偽勇者「やあ、こんにちわ」

クラリス「こ、こんにちわっ」

プリンプリンセス「……………」

         「……こんにちわ」


少しばかり間が空いたが、挨拶を返してくれた。

そして、俺はその魔物の隣に腰を下ろし汚れた湖を眺める。

そんな俺に、興味を抱いたのかそれとも、ただ警戒してるだけなのか見据え続けてきたが―――

すぐに、掃除を再開したようだ。


プリンプリンセス「お掃除、お掃除……」

偽勇者「……………」


掃除方法は至って地味だ。

湖に沈んでいるゴミを熊手でかき集め、それをできる限り分別し個体類のゴミは袋に―――

液体類はバケツのような箱に入れている。


偽勇者「自分に協力できることはないか?」

プリンプリンセス「ない」


先ほどの間が空いた挨拶とは違い、しっかりと拒絶の意思を見せる。

ここまでしっかりと拒絶の意思を見せることは、やはりこの湖は心無い人間によって汚し尽くされたようだ。


プリンプリンセス「んしょ、んしょ……」

偽勇者「……………」


俺は、魔物嫌いだが―――まあ、この魔物の様子を観察するのも悪くないだろう。

少し離れた場所にテントを組み立て、体を休めることにするのだった―――







ルカ「これが泉……? 予想以上に大きいな……」


これでは、泉というよりも湖だ。

それに、この神秘的な雰囲気―――

シルフのいた精霊の森や、ノームのいたサファル砂漠に似ている。


ルカ「確かに、ここにはウンディーネがいそうだな」

アリス「この地は…… そうか、エルベティエの……」

    「なかなか厄介な事になりそうだな……」

ルカ「え……? どういう意味だ……?」

アリス「……………」


それ以上、アリスは黙して語らなかった。

こういう時は、無理に聞いても無駄なのだ。


ルカ「さて、どうしよう」

   「とりあえず、周囲を探してみるか―――」


泉の側に、一歩近付こうとした時だった。


???「近寄らないで……」

ルカ「ん……?」

???「人間は、この地に近寄らないで……」


泉の中から、女性の声がした!


ルカ「……もしかして、ウンディーネなのか……!?」


そう問い掛けたが、返答はない。

謎の声も、もう聞こえなくなってしまった。


ルカ「今のは、ウンディーネの声だったのかな……」

シルフ「ううん、違うよ」

    「感じは似てるけど、ウンディーネちゃんの声じゃないよ」

ノーム「……………」

ルカ「そうなのか? じゃあ、一体……」

シルフ「でも、ウンディーネちゃんの気配がするよ」

    「きっと、泉の中にいるよ」

    「ね~! ウンディーネちゃん、あそぼうよ~!」

ルカ「……………」


シルフの問い掛けにもかかわらず、ウンディーネからの返事はない。


シルフ「あれれ……? 聞こえてないのかな?」

    「ノームちゃんも、一緒に呼ぼうよ。 せ~の……」






――― バ シ ィ ! ―――





シルフ「うにゃっ!」

ルカ「……………」


さて、どうしたものか。


ルカ「でも、いるのは間違いないみたいだな」

   「確か、泉の地下はダンジョンになってるっていう話だけど……」


呼んで駄目なら、こっちから出向くしかあるまい。

泉の地下ダンジョンとやらに、足を踏み入れてみるとするか―――


ルカ「でも、どうやって行けばいいんだろう」

   「この辺に、地下への入り口があるのかな……?」

アリス「泉の水面が、そのまま入り口になっているようだな」

    「そこに飛び込めば、地下のダンジョンに行けるはずだ」

ルカ「なるほど、分かった!」

   「どうせ、アリスは行かないんだろ……?」

アリス「ジメジメしたところは嫌いだ。 ここで待っている」


面倒事にアリスがついてこないのは、いつもの事だ。


ルカ「じゃあ、行ってくるよ」

アリス「ウンディーネの力を手にして、無事に戻って来い」

    「くれぐれも、つまらんところで力尽きるなよ」

ルカ「ああ!」


僕はそのまま、泉の中へと飛び込んでいた。

すると、みるみる不思議な光に包まれ―――







プリンプリンセス「んしょ、んしょ……」

偽勇者「……………」

クラリス「……………」


テントの中から様子をうかがっているが、あれからも休まず湖の掃除を続けていた。

理由がどうあれ、尋常ではない根性―――いや、執念と言うべきか。


偽勇者「……まあ、拒絶するならば俺がすることはない」

クラリス「あにさん、そう言わず手伝ってあげましょうよ……」


俺がテントの中で、ゴロ寝の格好をしているとクラリスが俺の体を揺する。


偽勇者「……嫌だ」

    「俺は綺麗好きなんだよ……」


クラリス「……むぅ~」

     「いいです、分かりました」

     「ボク一人でも、手伝いに行きますっ!」


そう言うとクラリスはテントから出て行き、あの魔物の元へと向かった。


偽勇者「……やれやれ、どうなるやら」


俺は人間が犯したこの件をどうするか考えながら、クリスタルを弄るのであった―――







クラリス「もう、あにさんったら……」


ボクはゴロ寝するあにさんの元から離れ、汚れた湖を掃除してる魔物の方へ歩を進める。

そこには、大きくて液体が漏れそうな缶や悪影響がありそうな細かな魔道具の破片まで様々なゴミがリヤカーに積まれていた―――

そして、それをどこかに運ぶのか重そうな表情で引いているが……



――― ガタッ ―――



積み過ぎたのか、それともバランスが悪かったのか。

荷崩れを起こし、その一つがあの子の頭の上に落ちるではないか。


クラリス「危ないっ!!」

プリンプリンセス「えっ……?」


あの子が後ろを振り返ろうとするが、それでは間に合わない。

ボクは、足に力を込めに込め――― 一気に駆け出した!

荷物は地に落ちたショックで形が拉げ、中身の汚染物質らしき液体がリアカー共々湖に逆戻りし、新たに汚染するのであった。


クラリス「大丈夫……?」

プリンプリンセス「……………」

         「……ありがとう」

クラリス「どういたしまして……♪」


でも、この子は無事に救い出すことができた。







クラリス「ボクはクラリス―――君の名前は?」

プリンプリンセス「……―――」


その後、汚れた湖を眺めながらお互いに自己紹介を始めた。

何事も自己紹介からだね!


【プリンプリンセスの名前】

↓2

【クラリスがプリンプリンセスに質問】

↓3 ~ 4ぐらい(かも)


風呂行ってくるわ。

アルテミシア

ずっと一人で掃除してるの?

掃除する意味

>>146 >>147 >>148』やね

クラリス「ボクはクラリス―――君の名前は?」

プリンプリンセス「……アルテミシア」


その後、汚れた湖を眺めながらお互いに自己紹介を始めた。

何事も自己紹介からだね!


アルテミシア「……貴女、なんでわたしを助けたの?」

       「巻き込まれたら、タダでは済まなかったのに……」

クラリス「えっ……?」

     「と言われても―――」


―――助けるのに理由なんていらないじゃないですか。


アルテミシアちゃんは、半眼だった目元が見開いた状態になった。

……何か変なこと言ったかな?


アルテミシア「……ふぅ、まだ世の中に貴女みたいな生物がいたんだね」

       「世界って…… 広いですね……」

クラリス「……???」


ボクはアルテミシアちゃんが言ったことが、あまり理解できないのか―――

首を傾げることしかできませんでした……


クラリス「……ごほん」

     「少し、質問していいですか?」

アルテミシア「ぷはっ……」

       「いいよ……」


綺麗な水をこくこくと飲みながら、アルテミシアちゃんは質問に答えることを了承してくれました。

これで、色々と事情を訊くことができます。


クラリス「アルテミシアちゃんは、ずっと一人でこの湖を掃除してるの?」

アルテミシア「……………」

       「今は一人だけど、昔はもっと掃除する仲間がいたよ」

       「……もういないけど」


顔を俯かせ、手元の綺麗な水が入った瓶をぎゅっと握り答えてくれます。


アルテミシア「わたしは、まだスライム族で上位にいるからある程度は汚れた場所でも過ごせるけど―――」

       「仲間達は、汚れた場所では住めないから……」

クラリス「……じゃあ、掃除する意味はあるのですか?」

     「ボクが言うのは見当違いかもしれませんが」

     「もう……」


言葉を言い終わる前に、ボクの口元に指を当てて―――


アルテミシア「しーっ……」

       「言われなくても分かってる……」

       「でも、昔の様に仲間や友達と一緒に母なる湖で遊びたい、泳ぎたい、日差しがポカポカと暖かい場所で大の字で眠りたい―――」

       「例え、叶わなくても―――それだけの夢を抱いて掃除をしてるの……」

       「……変かな?」


アルテミシアちゃんは少し照れくさそうにしていた。


クラリス「……………」

     「ううん、全然変じゃないよ」

     「とっても、素敵な夢だと思うっ」


アルテミシアちゃんの話を―――夢を聞いていた。

欲望に塗れた願いではなく、自己中心的ではなく、文字通り優しい夢。

ボクはアルテミシアちゃんの手を握り―――



クラリス「……ボクも掃除を手伝うよっ!」



相手の目をしっかりと見て、手伝いたい気持ちを伝えるのだった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω-)<まだや

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






ルカ「こ、ここは……?」


気付けば、暗く湿った地下洞窟の中にいた。

ここが、ウンデォーネの泉の地下に広がるというダンジョンか―――


ルカ「いかにも、魔物が出そうな感じだな……」


神秘的な雰囲気ではあるが、ジメジメ感がなんとも不気味だ。

風の音も、湿度のようなもので鈍ってしまう。


ルカ「さあ、ウンディーネを探さないと……」


洞窟の奥へ、一歩踏み出そうとした時だった。

目の前の水たまりが、不意に人型を成した―――


ジェリー娘が現れた!


ジェリー娘「人間が、ここに何の用……?」

      「せっかくだから、精液を吸い取ってあげる……」


ジェリー娘は、ゆっくりと体を這いずりながら近寄ってくる。

僕が最初に戦ったモンスター、スライム娘と似ているが―――

その体を形作る粘体は密度が濃く、弾力も増している感じだ。


ルカ「僕はただ、ウンディーネに会いたいだけで―――」

ジェリー娘「あなたの体、じゅるじゅる包んであげる……」

      「精液、いっぱい搾り取ってあげるからね……」

ルカ「問答無用ってわけか……!」


迫ってくる粘体モンスターを前に、僕は剣を抜いた。

スライム娘の時は苦戦したが、今はあの時とは違うはずだ!

………………
…………
……

ルカ「よし、攻撃が通じるぞ……!」


スライム娘に苦戦した頃とは、腕力も技量も段違い。

相手が粘体であろうとも、両断することができたようだ。

……
…………
………………

ジェリー娘「なに、これ……?」


ジェリー娘は水たまりになった!


ジェリー娘をやっつけた!


ルカ「どこにいても、魔物は襲ってくるんだな……」


この地下洞窟でさえ、問答無用で襲ってくる魔物達。

人間と魔物が共存できる世界は、まだまだ遠そうだ―――


ルカ「ウンディーネは、どこにいるんだろう」

   「とりあえず、奥に行ってみるか……」


微かな風の声が、僕を奥に導こうとしている。

それに従い、僕は洞窟の奥へと足を進めたのだった―――







???「近寄らないで、と言ったのに……」

    「なぜ、ここまで来たの……」

ルカ「………!?」


上でも聞こえた、あの例の声だ。

ウンディーネとは違うという事だが、いったい―――

その声に問い掛けようとした瞬間、声の主とは別の魔物が姿を見せた!


ブロブ娘が現れた!


ブロブ娘「あははっ、美味しそうな人間だ~♪」

     「先月に続いて、これで二人目の御馳走だね♪」


目の前の敵も粘体型だが、スライム娘やジェリー娘とは毛色が違う。

そのボディも、まるで肉汁のような不気味な色をしていた。

液体というよりは、とろけたチーズのように粘っこい感じ―――

こいつはおそらく、肉食の粘体モンスターだ。


ブロブ娘「キミもじっくり包み込んで…… ドロドロに溶かして……」

     「お~いしく、食べてあげるね……♪」

ルカ「先月に続いて二人目、って……」

   「まさか、行方不明になった釣り人の事か……!」

ブロブ娘「多分その人だと思うよ、私に食べられちゃったのは」

     「釣り竿持ってたしね…… えへへっ」

     「精液いっぱい搾りながら、ドロドロに溶かしてあげちゃった~♪」

ルカ「くっ、許せない……!」


おそらく、釣り人は足を滑らせて泉に落ちてしまったのだろう。

そして、このブロブ娘の餌食になったのだ―――


ブロブ娘「ふふふっ…… キミも、同じ目に合うんだよ~♪」

     「ぐっちゅぐっちゅに溶かされて、食べられちゃうんだよ~♪」

     「あははっ、いただきま~す♪」


迫ってくるおぞましい粘液を見据え、僕は剣を抜いた!

………………
…………
……

……
…………
………………

ブロブ娘「なんで、私が人間なんかに負けちゃうのよ~!」


ブロブ娘は水たまりになった!


ブロブ娘をやっつけた!


ルカ「肉食の粘液系モンスターか……」

   「こんなに凶悪な奴まで、この洞窟に……」


どうやら、想像以上に危険な場所のようだ。

あまり、ここに長くとどまっているべきではない。


ルカ「早くウンディーネを探さないとな……」


幸い、洞窟はほとんど一本道。

僕は足早に、奥へと進むのだった―――







偽勇者「……ドアホが」


俺は、クラリスが勝手に掃除を手伝う約束をする光景を見ていた。

掃除する範囲を理解して約束したのか、それとも理解せずに感情的にしたのか―――まあ、クラリスのことだから、後半だと思うが……

汚れた湖から、リアカーを引っぱり出して汚れを落としてから再びゴミを積み掃除する。

固形物質を掬い上げ、缶に入れては延々と半分以上溜まるまで繰り返す。

クラリスも、アルテミシアっていう魔物も体中が汚れても掃除を行う手は止めない。

片方が落ちそうになれば、手に余ることがあれば手助けしお互いを支え合う―――


偽勇者「……ふん、魔物の癖に」

    「出会ってから、そう時間も経っていないのに仲良しになりおって……」


テントの中で寝転んでも眠れる苛立ちを持ちながらも、その様子を観察し続けるのであった―――







クラリス「……アルテミシアちゃん、こっち結んだよ」

アルテミシア「はい、では引っ張ります」


わたしとクラリスさんは、汚れた湖の掃除を行ってます。

現在は、リアカーに積んだゴミをロープで落とさないよう結び―――ゴミ捨て場に持って行く最中です。

……誰かと一緒に掃除をする。

本当にいつぶりでしょうか……

只々黙々と、この汚れた湖を昔のように綺麗な湖に戻したいがために一人でも続けてきました。

しかし、いくら掃除をしても心無い者が湖に平気でゴミを捨て汚していく―――どれだけ、涙を流したことか、歯を噛み締めたことか。

そして、ある日にんげんと一緒に旅をしているクラリスと名乗る魔物と出会いました。

信じ難い話ですが、クラリスさんは産まれ付き目に病気を抱えていて―――あのにんげんに治してもらったとか……

……にんげんが魔物のために?

正直、声を大にして―――



――――――「 嘘 だ ッ ! ! ! 」――――――



―――と、言いたいですが……

クラリスさんが嘘を言うような方とは思えません。

しかし―――どうしてもわたしには、にんげんを信じることが……


クラリス「どうしたの、アルテミシアちゃん?」

アルテミシア「……いいえ、何でもないよ」

       「早く、このゴミを捨てに行って―――食事でもしましょう」

クラリス「うん♪ そうだね♪」


……今は、この気持ちをしまいましょう。

後々、整理されるでしょうから―――





あの奇妙な声は、もう聞こえなくなった。

いったいなぜ、人間の立ち入りを拒むのだろうか―――

そう考えていると、またもや魔物が正面に立ち塞がった!


グリーンスライムが現れた!


グリーンスライム「あれ……? 人間が、こんな所で何してるの……?」

ルカ「力を借りるため、ウンディーネに会いに来たんだけど……」

グリーンスライム「……ウンディーネは、人間が嫌いなの」

         「だから、あんたなんかには会ってくれないわよ」

         「でも、あたしは人間が大好き」

         「いっぱいいじめてあげたら、すっごくいい声で悶えるんだもん……♪」

ルカ「くっ……!」


どうやら、このモンスターも敵のようだ。

しかし体は小柄で、たいして強そうには見えない―――


グリーンスライム「じゃあ、いっくよ~♪」


グリーンスライムの先制攻撃!



――――――――――『緑の浸食』――――――――――



グリーンスライムの粘液が、周囲に広がっていく!

あたりの床が緑に染まり、靴にねばねばと粘液が絡んでくる!

ルカは―――のダメージを受けた!

ルカの靴は、グリーンスライムの粘液にまとわりつかれた!


ルカ「な、なんて技だ……!」


たいして強くなさそうなんて、とんでもない思い違いだった。

この広い空間に、沼のように広がっていく粘液。

ここまで膨張できるなんて、こいつはかなり厄介な相手だ―――!


グリーンスライム「あははっ、私の中で溺れちゃえ……♪」

………………
…………
……

グリーンスライムの粘液が、周囲に広がっていく!

足下に広がっている粘液が水かさを増し、脛のあたりまで水位が達した!


グリーンスライム「このまま、どっぷりと私に浸かっちゃうんだよ」

         「とっても気持ちいいよー♪」

ルカ「ぐっ……!」


この粘液が下半身全体を包むほどになれば、もう抵抗できなくなる。

水位が腰に達する前に、なんとかしなければ―――

……
………
………
……

グリーンスライムの粘液が、周囲に広がっていく!

粘液が水かさを増し、膝のあたりまで水位が達した!


グリーンスライム「えへへっ…… どう?」

         「にゅるにゅるで、気持ちいいでしょう?」

ルカ「ぐっ……!」

グリーンスライム「あははっ…… 体中、可愛がっちゃうよ♪」

……
………
………
……

グリーンスライム「ほらほらほら……♪」


グリーンスライムの粘液が、周囲に広がっていく!

粘液が水かさを増し、太股のあたりまで水位が達した!


グリーンスライム「えへへっ…… そろそろ、おちんちんまで届いちゃうね」

         「そうなったら、もう抵抗できなくなるよ……?」

ルカ「ううっ……!」


このままじゃ、やられる……!

……
………
………
……

グリーンスライム「きゃっ……!!」


グリーンスライムにダメージを与え、緑の浸食を阻止した!


グリーンスライム「あんた、結構やるじゃない」

         「勇者なんて、口だけの連中だと思ってたけど」

         「仕方ないなぁ、助けを呼んじゃおうかな……」


グリーンスライムは仲間を呼んだ!

ブルースライムが現れた!


ルカ「そ、そんな……!」

   「一体でも厄介だったのに、二体同時なんて……!」

グリーンスライム「驚くのは、まだ早いんだから……!」


大阪|-ω-)<ちょい、休憩や……


グリーンスライムは仲間を呼んだ!

レッドスライムが現れた!


ルカ「うぇぇっ……!」


まさか、三体同時なんて―――


ブルースライムは仲間を呼んだ!

パープルスライムが現れた!


ルカ「くっ、集団相手か……!」


一体でも手こずったのに、これはキツ過ぎる。

何の考えもなく挑めば、返り討ちに遭うだろう―――


パープルスライム「確か…… ウンディーネに会いに来たという話でしたか?」

         「でも、残念でしたね」

         「あなたは、ここで私達の慰み者となってしまうのです……」

ブルースライム「人間を弄ぶの、久しぶり……」

        「いっぱい、いじめてあげる……」

レッドスライム「あははっ、覚悟しなさい♪」

        「じゅるじゅる、ぐちゅぐちゅの粘液地獄を味わわせちゃうから♪」

ルカ「悪いけど、僕はウンディーネに会わなくちゃいけないんだ」

   「こんなところで、負けるわけにいかない!」


見たところ、あのパープルスライムがリーダー格のようだ。

あいつを倒せば、この集団も乱れるに違いない!

……
…………
………………

パープルスライム「くっ……! なんという腕前……!」

レッドスライム「ど、どうするのよぉ……?」

        「この人間、私達の手に負えないんじゃない……?」


リーダーを追い詰め、スライム娘達に動揺が走る。

なんとか、この窮地を切り抜けられたか―――?


パープルスライム「……仕方ありません」

         「ここは、エルベティエ様にご助力を乞いましょう……!」


パープルスライムは仲間を呼んだ!


???「……警告したのに、ここまで来るなんて……」

    「さらに、私の同胞に手を出すなんて……」


不意に、異様な圧迫感が周囲に張り詰めた。

そして、何度も聞いたあの不思議な声―――


ルカ「くっ、何が来るんだ……!?」


この異様な重圧感は、普通ではない。

とんでもなくレベルの高い相手が、ここに近付いてくるようだ。


パープルスライム「さて、そういう事です」

         「エルベティエ様自らが、あなたを討伐なされるようで……」

グリーンスライム「もう、あんたも終わりなんだからね」

         「エルベティエ様に溶かされて、ドロドロになっちゃえ!」


スライム娘達は逃げ出した!


スライム娘達を追い払った!


ルカ「……………」


スライム娘達が去った後も、僕は固唾を呑んで立ち竦んでいた。

エルベティエという名前、どこかで聞き覚えがある―――

次の瞬間、地面からブルーの粘液がじんわりと染み出してきた。

それは徐々に、女の体を形作り―――

そして、一体の妖魔として僕の前に立った!






アルテミシア「……………」

偽勇者「……………」

クラリス「あわわ……」


ボクは、アルテミシアちゃんとより仲良くするためにあにさんの料理を御馳走したく誘ったのですが……


アルテミシア「……にんげんの料理ですか」

       「果たして、にんげんが料理した食べ物は食べ物と呼べるのですか……?」

偽勇者「あぁ?」

    「食いもしないで、寝言をほざいてんじゃねえよ」


あにさんとアルテミシアちゃんの間が、歪んで見えるのは気のせいでしょうか……?

もしや、ボクはとんでもない地雷を仕掛けたのではないでしょうかッ!?


偽勇者「……やれやれ」

    「おい、いちごジャム」

アルテミシア「……いちごジャムとはわたしのことですか?」

       「なら、やめてもらえますか不快で―――」



偽勇者「嫌いな食べ物あるか?」



アルテミシア「えっ……?」

偽勇者「嫌いな食べ物だ、嫌いな…… あるのか、ないのか?」


アルテミシアちゃんは、あにさんの意外な言葉に驚いたのか困惑した顔をしています。

助け船を出そうか考えましたが―――


アルテミシア「……ないです」

偽勇者「そうか……」


―――どうやら、殺伐した雰囲気にはならなかったようです。


アルテミシア「ねぇねぇ……」

クラリス「はい?」

アルテミシア「……あのにんげん」

       「いったい何なの? 勇者の癖に魔物に手料理作るとか……」

クラリス「ああ~……」


こういう時、どう答えましょうか―――


クラリス「―――」

【クラリスのセリフ】

↓ or 2ぐらい

優しいんですよ

出会った頃は…………そんな事絶対する人じゃなかったみたいですけど

>>170 >>171』やね

クラリス「あにさんは、優しいんですよ」

     「魔物嫌い、でも魔物にも優しくなれる危うい人なんです」

アルテミシア「魔物嫌いで、魔物にも優しくなれる……?」

       「……何それ、ふざけた問答してる訳じゃ―――」

クラリス「ふざけてません」

アルテミシア「……ッ!?」


クラリスは、気迫がこもった言葉でアルテミシアを黙らせた。


クラリス「……すみません」

     「でも、本当にふざけてはないんですよ?」

アルテミシア「……ううん、こちらこそごめんなさい」

       「でも―――」


アルテミシアは、調理している偽勇者の背中を見る。

その背中は、何だかとても寂しそうな感じがした。


クラリス「……アルテミシアちゃんが思っていることは分かります」

     「出会った頃は―――そんな事、絶対する人じゃなかったみたいですけど……」

     「こう…… 言葉にするのは難しいですが」

     「「真の勇者の呪縛」に囚われているんですよ、あにさんは」

アルテミシア「「真の勇者の呪縛」……?」


アルテミシアは、料理ができるまでクラリスの話を聞いていた。

偽勇者―――つまり、あにさんは勇者としての誇りを持ち、勇者を汚さず、勇者としての役目を果たすため。

そして、勇者であるからには「人間だけの人間のための人間による人間が支配する人間の楽園を実現するため」膨大なる力を得るために日夜頑張っているそうだ。

でも、あにさんが人間であるのには変わりない―――故に、その膨大なる力を得る手段として恐ろしい数の呪いを取り込んでいる。

取り込んだ呪いは、力を与える変わりにあにさんの何かを奪っている―――血から痛みまで様々で、今ではどんな感情が残っているのかも本人ですら分からないそうだ。

それも、全ては「真の勇者」として「人間のため」だけに―――


アルテミシア「何よそれ―――」

       「己を犠牲にしてまですることなの?」

クラリス「分かりません。 分からないからボクは、あにさんに付いて行くんです」

     「恩を返したいのは建前で―――あにさんに巣食う呪縛から助けたいのが本音かな……」

     「あ、このことはあにさんには内緒でお願いします」

     「たぶん、この話を聞いたらあにさん怒ると思うので……」

アルテミシア「……分かった」


正直、クラリスの話だけでは納得はできない。

……でも、偽勇者が調理した料理だけは―――不味くても食べきってやろうと思った―――





偽勇者「……俺も勇者として、ダメダメだな」


俺は、マグロの骨と頭を叩き潰し、胃袋は磨り砕く。

そして、野菜くずと共に練り上げて―――油で揚げる……

肉の脂身は、トロ~リ溶けるまで煮込み―――



――――――『味見中』――――――



偽勇者「……うむ」


貝殻でたっぷり出汁を取った特製ソースと絡める。


偽勇者「わた(胃袋)の苦味が食欲をそそり、濃厚な味が疲れた体に生気を吹き込む」

    「ならば、さっぱりとした和え物が必要だな」


牛蒡の皮、ジャガイモの皮には、中身以上の栄養素が詰まっている。

アルテミシアみたいな働き者には、理想的な栄養源だな。

ブロッコリーの芯は、柔らかく香りの良いドレッシングに……


偽勇者「さて、このドレッシングをかけてやれば―――」


―――完成だ。


後は、腹空かした二人に食わしてやるだけだ。


偽勇者「おい、完成だ」

    「並べるの手伝えや……」

クラリス「はいっ、あにさんッ!」

アルテミシア「……んっ」


某コックの真似だが、美味しく出来てる筈だ。

まあ、魔物の味覚は知らんがな―――







クラリス「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」

偽勇者「落ち着いて食えや、クラリス……」


美味しく食ってくれるのはいいが、マナーぐらいしっかりしてほしいものだ。


偽勇者「……で、そちらは口に合うかな? アルテミシア~?」

アルテミシア「―――」

【アルテミシアのセリフ】

↓2 or 3ぐらい


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

安価内なら↓やし、月曜日は休みにするかもしれん―――たぶんッ!

何これ、信じられない

命を粗末にしないと感じるぐらい丁寧に作ってる


大阪|´-ω-)<始めは、安価・コンマでかなり適当やったからな……

大阪|´・ω-)<いつの間にか、大きく変わったわ……

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>175 >>176』やね―――>>175は、勝手にこちらの想像でやらしてもらうわ。


偽勇者「……で、そちらは口に合うかな? アルテミシア~?」

アルテミシア「何これ、信じられない」

偽勇者「……………」


……その言葉はどのような意味を込められた言葉だ?

美味しい、不味い、両方の意味として考えられるのは困るのだが―――


偽勇者「……で、どっちなのだ?」

アルテミシア「ご想像にお任せします」

       「でも―――」

       「命を粗末にしないと感じるぐらい丁寧に作ってるのは分かります」

偽勇者「……………」

    「……そうかい」


意地悪な回答だな、本当に……

まあ、しっかり食べてるから「そっち」の回答として受け取るぜ。

俺は、座り込み食事をするのであった―――







エルベティエ「……………」

ルカ「ぐっ……!」


ぞわぞわと寒気が走り、手が微かに震え出す。

こいつは、今までこの洞窟で戦ってきた敵とは全く異質の存在。

相対しただけで、息苦しくなるほどの重圧感。

グランベリアやアルマエルマにさえ匹敵するプレッシャーだ―――


ルカ「そうだ、エルベティエって…… 確か……!」


僕は、以前アリスから聞いたその名に思い至った。

まだ僕が出会っていない、残る一人の四天王―――!


エルベティエ「あれだけ警告したのに、ここまで来てしまったのね……」

       「ここは、私の同胞達が静かに暮らしている聖域なの」

       「人間は水を汚し、スライム族の魔物の住処を奪っていった……」

       「そしてここが、私達が安息して生きていける最後の地」

       「そんな場所まで、人間は土足で踏み荒らそうと言うの……?」

ルカ「いや、違うんだ!」

   「僕は、魔物達に迷惑を掛けにきたんじゃない!」

   「ただ、ウンディーネに会いに―――」

エルベティエ「ウンディーネも、私と気持ちは変わらないわ」

       「人間などに会う気もなければ、興味もないの」

       「だから…… ここに踏み込んでしまった代償を受けなさい」

       「その体を、嫐って…… 溶かして…… 食べてあげる」

ルカ「待ってくれ、僕は……!」

エルベティエ「私達の住処を奪う者は……」

       「誰であろうと、溶かすわ……」

ルカ「ぐっ……!」


こいつは、今までの四天王とは全く違う感じだ。

殺し合いではなく、戦士としての手合わせを望むグランベリア―――

僕を見下し、手を抜いて戦っていたアルマエルマ―――

そもそも、最初から戦意があまりないたまも―――

だが、このエルベティエは違う。

全く容赦なく、相手を始末するという冷徹な意志がありありと感じ取れた。

こちらも本気で応戦しなければ、たちまちのうちにあの世行きだ―――

……
………
………
……

エルベティエ「……………」


エルベティエは、ルカをじっと見ている……


ルカ「な、なんなんだ……?」

エルベティエ「……私は、人間が嫌いなの」

       「なぜスライム族の魔物達が、ここで暮らしているか分かる……?」

       「人間達が水を汚し、生活環境を奪ったからなのよ……」

ルカ「そ、それは……」


人間と魔物の共存を理解とする僕にとって、避けては通れない問題だ。

ルカ「でも、人間は決して―――」

エルベティエ「黙って」

       「あなたと意見を交換するつもりはないの」

       「スライム達を地下に追いやり、その聖域まで汚そうとする―――」

       「その報い、受けてもらうわ」

ルカ「くっ……!」


僕は、エルベティエは微塵の容赦もしない事を見て取った。

グランベリアやアルマエルマの時と違い、本気で僕を倒す気だ。

このレベルの相手が本気で来たら、僕には勝ち目なんてない……!


エルベティエ「嫐り溶かしてあげるわ……」

       「惨めに溶かされながら、私達の怒りと悲しみを知りなさい……」


――――――――――『メルトシュトローム』――――――――――


エルベティエの粘液が、大海嘯となって押し寄せてくる!

ルカの体は粘液の渦に巻き込まれ、締め付けられ、揉みしだかれた!

ルカは大ダメージを受けた!


ルカ「あぅぅぅぅっ……!」


全身に粘液がじゅるじゅると粘り着く感触に、僕は大ダメージを受けた。

土の力を使用した上に守りを固め、それでもなおこれだけのダメージを受けるなんて……


エルベティエ「少しは精霊の力が使えるようね……」

       「なぜ精霊ともあろうものが、人間なんかに力を貸しているのか……」

       「一度なら耐えられても…… 二度目はないわ」

ルカ「まさか、連発だって……!?」


あれほどの攻撃を、タメもなく連発できるなんて……!

これが、四天王クラスの実力なのか……!?


――――――――――『メルトシュトローム』――――――――――


エルベティエの粘液が、大海嘯となって押し寄せてくる!


――――――――――『アクアペンタゴン』――――――――――


水の波動が魔法陣を描く!

水の壁に守られ、ルカはダメージを受けない!


ルカ「え……!?」

エルベティエ「まさか、人間がこれほどの魔術を……?」

       「いやー――」

       「あなたの仕業ね、ウンディーネ……」

       「なぜ、その人間をかばうような真似をするの……?」







偽勇者「……………」

アルテミシア「んしょ、んしょ……」

クラリス「ほい、ほい……」


食事が終えた後、アルテミシアとクラリスは汚れた湖の掃除を再開していた。

俺は、その二人の少し後ろにいた―――

そろそろこの場から発たねばならんからな。


偽勇者「クラリス」

クラリス「……………」


クラリスは、聞こえていないのか―――それとも、聞こえていない振りをしてるのか、その手を止めない。


偽勇者「……クラリス、もうやめろ」

クラリス「……やめたくないです」

偽勇者「いいや、やめろ」

    「どれだけ掃除をしようが―――」

クラリス「ッ!」

     「い、言わないで―――」


――― 手 遅 れ だ 。


アルテミシアの動きが止まった。


偽勇者「無駄なことはやめろ」

クラリス「無駄じゃありませんッ!」

     「掃除をすれば、少しでも綺麗に……」

偽勇者「ならねぇよ……」

    「汚染を舐めるな、一人二人が何年、何十年、何百年と掃除を続けようが―――」

    「絶対に綺麗にすることは不可能だ」

アルテミシア「不可能ではありません」


アルテミシアは、掃除用具を地に置きこちらに歩を進めた。

その表情は、怒りを含んでいるようだ。


アルテミシア「何故、人間である貴方がそこまで言い切れるのですか」

偽勇者「……人間であろうが、ド素人だろうが一目で分かるだろ」

    「この汚れに汚れた湖は最早手遅れだと」

アルテミシア「手遅れじゃないッ!!」

偽勇者「手遅れだ、現実を見ろ」

    「貴様が上級に位置するスライム族でも、これだけ長期間いれば死ぬぞ」


アルテミシア「構わないッ!!」

       「この地を見捨てるぐらいなら、死んだほうがマシだッ!!」


―――アルテミシアは両手を強く握る。


アルテミシア「わたしは、この地が好きだ」

       「産まれ育った、この地が好きだ」

       「ずっと仲間達を見守っていてくれた、この地が好きなんだッ!!」


―――口調が荒くなっていく。


アルテミシア「あんたが―――汚すしか能がない人間が偉そうなことを言うなッ!」

偽勇者「……………」


偽勇者は、ただ黙ってアルテミシアの言葉を受け止める。

アルテミシアの言うことは正しい―――この湖を平気で汚していったのは紛れもなく人間だ。

アルテミシアは、長年溜め込んでいた鬱憤を吐き出しているだけだ。


クラリス「あ、アルテミシアちゃん」

     「あにさんは、汚して―――」

アルテミシア「う る さ い ッ !」

クラリス「ッ!?」

アルテミシア「……うるさい」

       「……分かってるわよ、そんなこと」

       「この人間が何も関係ないことぐらい―――分かってるわよ……」


アルテミシアは、両手を地に付け涙を流す。

叶わぬ願い、溜め込んだ鬱憤、己の無力さを呪い―――


―――泣く。


偽勇者「……人間は我が儘だ」

    「そして、心無い者も多くいる」

    「それが、この結果だ―――認めよう」

クラリス「……あにさん」

アルテミシア「……なら、とっとと出て行ってよ」

       「……これ以上は、関係ないでしょう」

偽勇者「ああ、出て行く――出て行くが……」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓ or 2

その前に状況的に詰んでいる湖を多少マシにしてからでも遅くは無いだろ

人間の罪ならば、人間である俺が多少償っておかんとな

>>197 >>198』やね

偽勇者「ああ、出て行く――出て行くが……」

    「その前に状況的に詰んでいる湖を―――」

    「多少マシにしてからでも遅くは無いだろ……」

アルテミシア「ッ!?」

       「やめてッ! これ以上、湖を汚さないでッ!」


アルテミシアが、起き上がり俺に掴みかかろうとしたが。

クラリスに羽交い絞めにされた―――クラリスの方はどうやら、俺のすることが分かったようだな。


アルテミシア「いやッ! 離してッ!」

クラリス「落ち着いてください、大丈夫です。 安心してください」

アルテミシア「何が、安心よ……」

       「安心なんてできる訳ないじゃないッ!」


クラリスの拘束から逃れようと、ジタバタ暴れるが―――まあ、すぐに終わる。

俺は「水のクリスタル」を取り出した。


偽勇者「さあ、クリスタルよ」

    「今こそ、お前の力を使う時だ」

    「気合い入れろッ!!」


水のクリスタルは、偽勇者の掌の上で浮かび―――周囲を輝かせた。

そして、青い光が汚れた湖を包み込み浄化していく。

命を蝕む汚れ、精神を壊す汚れ、見るに堪えない汚れ―――全てを浄化する。


偽勇者「……お前も手伝うってことか?」

    「土のクリスタルよ……」


土のクリスタルは、水のクリスタルの隣に勝手に浮かび上がり連鎖反応を起こす。

汚れた湖によって枯れた木々や地が蘇っていく。







――― こ の 地 が 蘇 る ―――

――― 昔 の よ う に 豊 か な 光 景 で ―――






アルテミシア「……………」

       「へっ……?」


青々とした葉を付けた木々、その葉の間に実る木の実―――

荒れ果てた地は、ふかふかとした原っぱが広がり―――

そして、汚れに汚れていた湖が―――底が見えるぐらい透き通った綺麗な湖があった。


アルテミシア「……???」


クラリスが羽交い絞めを緩めると、アルテミシアはズリズリと尻もちを付いた。

その表情は、いったい何が起こったのか理解できていないようだ。


クラリス「……大丈夫ですか?」

アルテミシア「えっ……」

       「……うん、大丈夫」

       「でも、何が起こったの?」

       「夢……?」

偽勇者「夢じゃねえよ」

    「現実だ」


俺はアルテミシアの手を取り、立たせた。

そして、アルテミシアは何かに導かれるように湖の前まで歩を進め―――

湖の水を手で掬い飲んだ。


アルテミシア「……美味しい」

       「美味しいよ……」

       「ふぇぇん…… ふぇぇぇぇぇん……」


アルテミシアは、また泣いた。

しかし、その泣き声は悲しみに満ちた不快な泣き声ではなく―――嬉し泣きである。

クラリスがそっと、アルテミシアに寄り添う。

そして、クラリスの胸の中で泣き続けるアルテミシア。

その二人を眺める偽勇者は、近くの岩に腰掛ける。


偽勇者「……人間の罪ならば、人間である俺が多少―――」

    「償っておかんとな……」


湖に風が吹く―――その場にいる三人に祝福を送っているのか……

夜空、木々、原っぱ―――そして、湖がより美しくあった。







ウンディーネ「この人間は、私に会いに来たの」

       「あなたが勝手に始末するいわれはないわ……」

エルベティエ「あなたも、人間が嫌いだったはずでしょう……?」

       「……まあいいわ」

       「そうまで言うなら、あなたが始末しなさい……」


エルベティエの体がドロドロと溶け、地面に沈んでいく。

そして、エルベティエはこの場から去ってしまった―――


エルベティエを追い払った!


ウンディーネ「……………」

ルカ「た、助かったのか……」


エルベティエが去り、僕とウンディーネがこの場に残される。

僕の窮地を救ってくれたウンディーネ―――

にも関わらず、友好的な雰囲気は全く感じなかった。


ルカ「ウンディーネ…… どうして、僕を助けてくれたんだ?」

ウンディーネ「シルフとノームが従っている以上、会ってみる価値はあると判断したの」

       「そして、人間と魔物の融和を願っているのなら―――力を試す価値もあるわ」

ルカ「つまり、力を示せばいいわけだな……!」


ウンディーネの前で、僕は剣を抜いた。

彼女の力を使うに足りる者かどうか、それが今から試されるのだ。


ウンディーネ「でも、私はシルフやノームのように甘くはない」

       「もしあなたに資格がないと判断したら、容赦はしないわ……」

       「この体で包み込んで、身も心も取り込んであげる」

       「私に認められなければ最後、融かされる事になるわよ……」

ルカ「そうならないよう、意地でも認めてもらう!」


要は、シルフやノームの時と同じ。

僕がここまで学んできた事の全てを、ウンディーネにぶつければいいのだ―――

……
………
………
……

ウンディーネ「風と土の力を、同時に使ってみせて」

       「その程度の事さえできなければ、精霊の力を使いこなした事にはならない……」

ルカ「そ、それは…… まだ……」


アリスが言っていた。

今の僕の集中力では、二体の精霊を同時に呼び出すことはできないと―――


ウンディーネ「できなければ、あなたに力なんて貸せない」

       「資格のない人間は、このまま私の餌食にしてしまうわ……」

……
………
………
……

ルカ「で、出来た……!」


風と土の力を、僕は同時にこの身へと宿していた。

かなりの集中力を使うが、なんとか同時召喚が出来たのだ―――


ウンディーネ「……二人の精霊の力、同時に扱う事ができたようね」

       「これなら、私の力も使いこなせるようになるはず……」

ルカ「……って、ことは……」

ウンディーネ「合格よ……」

       「水の力、あなたに授けてあげる……」


ウンディーネをやっつけた!


ウンディーネ「あなたには、確かに私の力を使う資格があるようね……」

       「水の力は心に映す鏡」

       「明鏡止水の心に投影する、澄み渡った一筋の刃―――」

ルカ「え……? え……?」


正直なところ、何がなにやら分からない。

どうやら、とても扱いが難しそうだ―――


ウンディーネ「かつて、四精霊の力をその身に宿した剣士がいたわ」

       「彼は天賦の才を持っていたけれど、水の力を使いこなすまでには一年掛かったのよ」

       「果たしてあなたは、どれだけの時間が掛かるのかしら―――」


そう言いながら、ウンディーネは僕に向けて手をかざした。

その掌が、まばゆく光―――そして、ウンディーネの姿は消える。


ルカ「こ、これは……」


僕の中に根付く、新たな力。

水の流れのようなものが、自分の中にあるのを感じる。

いや、中だけではない。

その流れは外界にまで広がり、大きな潮流となるのが感じられる―――


ルカ「風や土の時と同じだな……」


シルフやノームの力を手に入れた時も、まず風や土が感じられた。

それから徐々に慣れ、その力に干渉して風や土が操れるようになったのだ。

この水の力も、まず流れの感覚に慣れる必要があるだろう―――


ルカ「よし、上に戻るか!」


目的を果たした僕は、意気揚々と洞窟を脱出したのだった。





飯+お風呂タイムや


クラリス「……ふにゃ~」

     「生き返る~……」


今、ボク達は温泉に入浴しています。

はい、何故いきなり温泉なのかと言うと―――あにさんです。

あの後、汚れた湖が浄化されとても綺麗な湖になったのはいいのですが……

どうやら、何か問題があったようで湖の4分の1が温泉になっていました。

理由をあにさんに訊いたのですが―――クリスタルの連鎖反応による効果で~~……

とにかく、その4分の1の範囲にクリスタルがあったのが原因だそうです。

アルテミシアちゃんも、初めはすごい顔してましたが色々と吹っ切れたようで―――


アルテミシア「……ほむっ」


温泉をそのまま満喫してるみたいです。

それにしても……


クラリス「いい湯加減だにゃ~……」

アルテミシア「クラリス、ねこまたみたいになってるわよ……」

クラリス「ありゃりゃ……」

アルテミシア「それにしても―――本当にあのにんげんは何者なの?」

       「にんげんとしての何かを超えてない?」

クラリス「……そうですね」


アルテミシアちゃんがここまで疑うのも無理ないかな。

一瞬で温泉宿を建てちゃいましたから……

あにさん曰く―――


――――――――――――――――――――


偽勇者「やっぱ温泉は宿がなきゃ駄目」


――――――――――――――――――――


だそうです。


アルテミシア「……まあいいけどね」

       「お礼を言っても、文句を言うことはないんだから……」

クラリス「ははは……」


理解してくれて、ボクも助かります。

で、肝心なあにさんですがとなりの区切られた温泉で入浴しています。

一人でゆっくり入りたいことですが―――


クラリス「……これは覗かなきゃ駄目でしょ」

アルテミシア「……クラリス、おっさんみたいよ」


クラリス「勘違いしないでください」

     「ボクはあにさんの顔を見たいのであって」

     「あにさんの体には興味ありませんッ!」

     「では、早速……」

アルテミシア「……………」

       「……クラリス、近い内に斬られるわよ」


そして、アルテミシアは肩まで温泉に浸かるのであった―――







偽勇者「っくは~~~……」

    「いい湯だな……」

    「それにしてもこんな所にクリスタルがあったとは、気付かなかった」


俺は温泉に入りながら「火のクリスタル」を掌で転がす。

どうやら、水と土の連鎖反応に反応して発動してしまったようだ。

まあ、おかげでいろんな成分が含まれた温泉が出来上がったから別にいいが―――


◆【火のクリスタル】
世界中の全ての火に活力を与える力をもつ。
その力は凄まじく、気候にも季節にも影響を及ぼす。


偽勇者「……たまには、温泉でゆっくりするのもいいな」


俺が温泉を満喫していると―――


偽勇者「……俺は誰かに覗かれるほど魅力的ではないんだが?」

    「そこで何をしている、クラリス……」


一つの岩に殺気をぶつけてやれば、慌ててクラリスが飛び出す。


偽勇者「俺は一人でゆっくり入りたいと言ったのだが……」

クラリス「ご、ごめんなさいあにさ―――」


【偽勇者の入浴スタイル】

○鎧を装着したまま

○顔にタオル

○素顔

○その他

↓2

素顔だけど後ろ向き

>>216』やね

クラリス「ご、ごめんなさいあにさ―――」

     「……あれ?」

偽勇者「……………」

    「どうした、クラリス」

    「何かあったか……?」

クラリス「い、いえ何もありません」

     「失礼しましたッ!」


俺は横目で、クラリスが出て行くのを確認した後に、湯で顔を洗う。

そして、湯に映る自分の素顔を見てため息を吐く。


偽勇者「……この素顔と体――― 一部を除いて、どう見ても……」







クラリス「ああ、びっくりした」

     「あにさん、気配に敏感すぎだよ……」


ボクは体を拭き、洗濯された服を着ながら先ほどの光景を思い出す。

あにさんの素顔―――後姿だったけど髪の色は確認できた。


クラリス「……あの髪の色、どっか見たような気がします」

     「う~ん…… はて?」


ボクは深く考え思い出そうとしましたが―――

思い出せませんでした。

なので、早々と旅支度を済ませることにした。

その後、あにさんに痛いげんこつをもらう羽目になりました……





アリス「ふむ、無事に水の力を手に入れたようだな」

ルカ「アリス…… お前、そんなにヒマだったのか?」


見れば、周囲の地面にはいっぱい落書きがされている。

なんだか変な顔まで描いてあるが―――


ルカ「ドアホニセ勇者って…… この顔、僕か!?」

アリス「ドアホめ、そんなのはどうでもいい」

    「それより、水の力はどのような感じだ……?」

ルカ「なんだか、流れのようなものを感じるよ」

   「僕の中にある流れが、じんわり広がって……」

   「なんだか、この世の流れと繋がっているのが分かる気がする」

   「何言ってるのか自分でも分からないけど、そういう感じなんだ」

アリス「ふむ、余も何を言っているのかさっぱり分からん」

    「まあ、そういう感じなのか……?」


分かったような顔をしながら、アリスもやっぱり分かっていないようだ。

そんな時、僕の心の中で変な連中が語りかけてきた。


シルフ「大丈夫だよ~♪」

    「世界には、火、風、土、水の四つの力が流れてるの」

    「この四つの流れは、ルカや他の人間の中にも流れてるんだよ」

    「その流れを、ルカは感じられるようになっただけ」

    「これも、ウンディーネちゃんのおかげだね♪」

ウンディーネ「……………」

シルフ「これで、ウンディーネちゃんと一緒に遊べるよね♪」

    「うわーい、やったー♪」



――― チョポン ―――



シルフ「ごぼごぼ、ごぼごぼ……」

ルカ「おいおい……」


ともかく、ウンディーネの力は使いこなすのが非常に難しいという。

僕が非常に苦手な、精神の修練も必須のようだ。


ルカ「でも、がんばるぞ!」


ウンディーネとの戦いにより、風と土の力を同時に使えるようになったのだ。

修練を重ねれば、水の力も使いこなせるようになるはず!


アリス「ところで…… エルベティエとも会ったようだな」

ルカ「ああ…… ひどく人間を拒んでいたよ」

アリス「低級なスライム族ほど、水の綺麗な土地でなければ生きられん」

    「しかし人間が生息域を広めるにつれ、スライム族の住処は狭まっていった」

    「自然が豊かなノア地方でさえ、この泉が最後の拠り所となっているようだな」

ルカ「……………」


人間が生活をすれば、否応もなく水を汚してしまう。

そうすれば、スライム族はその地域に住みにくくなる―――

そこには、人間と魔物の共存とは相反する問題があった。


アリス「ゆえにクィーンスライムのエルベティエは、人間を敵視している」

    「奴自身は極めて強力な妖魔、どこだろうが生きていけるだろう」

    「しかしスライム族は、決して上級の者達ばかりではない」

    「下級のスライム娘にとって、人間による水質環境の破壊は深刻なのだ」

ルカ「まさか、そこまで追い詰められていたなんて……」


スライム族は、体に含む水の量が極めて多いことが予想できる。

だからこそ、水質汚染の影響をもろに受けてしまうのだろう。


アリス「これまでエルベティエは先代魔王や余の方針に従い、人間とは争わなかった」

    「奴は元々、冷静で穏やかな性格なのだ」

    「しかし今は…… 貴様も、肌で感じただろう?」

    「自分達の生息域に立ち入る人間には、全く容赦しなくなっている」

    「人間への憎悪や怒りが、奴を冷静から冷酷に変えたのだ」

    「そんなエルベティエに、貴様はどんな答えを与えてやれる……?」

ルカ「えっと…… みんなが、水を汚さないようにするとか……」

アリス「愚鈍かつ短絡的かつ実現性のまるでない答えだな」

    「貴様は、水を汚さないよう訴えながら世界を回るつもりか?」

ルカ「それは無理だよね……」

   「たぶん、誰も耳を貸してはくれないだろうし……」

アリス「貴様は共存を唱えながら、具体的なヴィジョンにはまるで欠けているな」

    「とは言え…… この難問を、貴様個人に問い掛けるのも酷かもしれん」

    「答えを出すのは、「ヒト」という種族全体であるべきなのだからな……」


ルカ「アリスは、その答えが分かってるのか……?」

アリス「……余がその答えを探すのも、旅の目的の一つかもしれんな」

ルカ「僕も、なんとか答えを探してみるよ」


魔物を倒すだけじゃなくて、こういう事も考えなければいけない。

アリスに負けないよう、僕も自分なりの答えを見出さなければ―――


ルカ「とは言え、四天王を倒すのが第一の目的だよね」

   「これで、水の力も手に入れたから……」


風、土、水の力を手にし、残るは火の力のみ。

これで、四つの精霊の力が揃う事になるのだ。


ルカ「サラマンダーは、確か北のゴルド地方だったよね」


ゴルド地方は山地が多く、大きな火山も有名だ。

そして、セントラ大陸最北端の港町ゴルドポートもこの地方にある。

魔王城のあるヘルゴンド大陸へ渡る船が、かつてそこから出ていたのだ。

「レミナの虐殺」以来定期便はストップしたようだが、なんとか船を出してもらうとしよう―――


ルカ「じゃあ、次の目的地はグランゴルド城だ」

   「そこで情報を集めて、サラマンダーの居場所を調べよう」

アリス「くくく…… 今度はどんな御馳走が、余の前に待ち受けている事やら……」

ルカ「ゴルド地方は荒れ地が多いから、あんまり美味しいものはないと思うよ……」

アリス「な、なんと……!」


ショックを受けるアリスを引き連れ、北へと進む僕達。

向かう先はセントラ大陸最北の地、ゴルド地方だ―――







アルテミシア「どうも、ありがとうございました」

偽勇者「……礼を言われることはしていない」

    「それに、勇者である俺が魔物なんかに―――」

クラリス「あにさんッ!」

     「最後ぐらい素直になりましょうよ……」

偽勇者「……ふん」


アルテミシア「いえ、いいの。 この方の性格はだいたい分かってるつもりよ」


アルテミシアちゃんは、くすくすと笑っていました。

……うん、やっぱりアルテミシアちゃんは笑っている方が可愛いです。


偽勇者「……で、アルテミシアはこれからどうするんだ?」

アルテミシア「わたしは、貴方が建てた温泉宿で温泉を経営しながら仲間達の帰りを気長に待ちます」

偽勇者「……………」

アルテミシア「もちろん、仲間達には人間を襲わないようしっかりと言い聞かせます」

       「……どこかの怖い勇者に、斬られたくないので」

偽勇者「……そうか」

アルテミシア「それと、クラリス」

クラリス「はい?」

アルテミシア「これはほんの些細なお礼です、どうか受け取って……」


「ピンクのしっぽ」を手に入れた!


クラリス「これは……?」

アルテミシア「「ピンクのしっぽ」と言って、わたしの大事な宝物です」

       「とある方々と、交換すれば……」

クラリス「そ、そんな大事な物―――」

アルテミシア「いいえ、受け取ってください」

       「これがわたしのできる唯一のお礼なのです」


クラリスは、アルテミシアの真剣な表情からその気持ちを察したのか……

そのしっぽを受け取った。


クラリス「……はい、ありがとうございます」

アルテミシア「ありがとう……」

       「それと、一番の功労者である貴方にはコレを―――」

偽勇者「……ん?」


「エルベティエの粘液」を手に入れた!


偽勇者「なんだ、これは?」


アルテミシア「それは、わたし達スライム族の女王であるクィーンスライム」

       「エルベティエ様の粘液です」

       「お守りとして持っていた物ですが、貴方に差し上げます」

       「偽勇者様の旅が、無事でありますように―――と願掛けしました」

偽勇者「あ、ありがとう」


……悪意がない故に断りづらい―――これは受け取らなければならんな。


偽勇者「さて、そろそろ発つぞ」

クラリス「はいッ!」

アルテミシア「偽勇者様、クラリス―――」

       「本当にありがとうッ!」

       「もし、近くに来たら必ず寄って下さいねッ!」

クラリス「はい、必ず寄りますッ!」

アルテミシア「絶対ですよ~~ッ!!」


アルテミシアとクラリスはお互いの姿が見えなくなるまで手を振っていた。

全く―――本当に仲良しになりおって……

俺がしみじみしていると、クラリスが俺に抱き着いた。


偽勇者「……なんだ」

クラリス「あにさんも、ありがとうございます」

     「アルテミシアちゃんを助けてくれて……」

偽勇者「……………」

    「さっさと下りんか、まだまだ旅は長いんだからなッ!」

クラリス「あッ! 待ってくださいよ、あにさ~んッ!!」


俺は、少しばかり歩いた後に、後ろを振り向く。

綺麗な湖、木々、地、空、そこある全てがお礼を言っているように感じた。

普通なら有り得ない話だが―――


偽勇者「……どういたしまして」


しかし、そんな有り得ない話も偶にはあってもいいだろう……

俺は、次の目的地に向かうのだった―――



大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<みなはんの願はできるだけ叶えたいやけどね……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:たぶん、水、木曜日は休みや(いけたらやるわ)


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|-ω-)<少しだけやるで……







北へと向かう僕達の前に立ちはだかったのは、ノアの大森林。

ここを抜ければ、ゴルドの地だ。


ルカ「なあ、アリス」

   「魔王って、どうやって決めるんだ?」


木々の間を抜けながら、ふとした疑問をアリスに問い掛ける。


ルカ「アリスの母さんも魔王だったみたいだし、やっぱり世襲なのか?」

アリス「……先代魔王が死ねば、次代魔王選抜が行われるのだ」

    「次代魔王の第一候補者は、やはり先代魔王の娘」

    「しかし魔王とは、何よりも力が問われる存在だ」

    「単なる世襲では、力弱き者が魔王となってしまうという過ちもありえる」

ルカ「うん、確かにそうだよね」

アリス「そこで全妖魔の中からも、次代魔王となりたい者を募るのだ」

    「魔王の座を希望する者なのだから、当然ながら腕には自信があるはず」

    「そして先代魔王の娘と、我こそは次代魔王と自負する者の一騎打ちを行う」

    「その戦いに勝った者こそが、新たな魔王になるのだ」

ルカ「なんだか、面倒臭いんだな」

   「そんな戦いなんかじゃなく、平和的に決められないのか……?」

アリス「魔王とは、全ての魔物の中でも最強の力を持つ者でなければならんのだ」

    「ただでさえ、魔物というのは自由気ままでプライドが高い」

    「そんな連中を従えねばならんのだ、実力不足では話にならん」

    「その一騎打ちにより、新たに位に就いた魔王の力を広く天下に知らしめる事にもなるのだ」

ルカ「なるほど……」


非合理的に見える王座争奪戦だが、新魔王の力を知らしめるデモンストレーションも兼ねているわけか。


アリス「しかしこれまで、魔王の玉座に座ってきたのは初代様の時代よりアリスフィーズ一族のみ」

    「それが、なぜだか分かるか?」

ルカ「さあ……?」


その王座争奪戦に、何かイカサマがあるとか……

……なんて言ったら、怒られるだろうな。


アリス「我が祖先達も、母上も、みんな…… 初代様の血族であるという誇りを常に持っていた」

    「常に妖魔最強を志し、魔王の王座にあるべくひたすら研鑽してきたのだ」

    「それゆえに次期魔王を決める一騎打ちでも、他の妖魔に遅れを取ったことはない」

    「初代様、そして先代達に恥じぬ戦いを見せ、どの時代でも魔王の座に着いてきたのだ!」


えっへん! と胸を張って威張るアリス。


ルカ「じゃあ、つまり……」

   「お前も魔王になる時は、誰かに一騎打ちで勝ったのか?」

アリス「余の王位継承時…… 魔族の歴史に例を見ない変事が起きた」

    「次代魔王として手を挙げた挑戦者が、なんと四人も現れたのだ」

    「そして魔王の座は、その四人と余……」

    「総勢五人でのバトルロイヤルで争う事となった」

    「魔王の座に挑むほどの実力者が、ひとつの時代に四人も存在した……」

    「魔族の歴史上、類を見ない黄金期と言えるかもしれんな」

ルカ「もしかして、その四人の実力者って……」

アリス「ああ…… それが、現在の四天王なのだ」

    「若くして及ぶ者のない剣才、龍人の天才児であるグランベリア」

    「凄まじい魔力と卓越した体術を誇るサキュバスの女王、アルマエルマ」

    「何代も魔王の教育係を務め、全妖魔の中でも最強という噂さえあるたまも」

    「スライム族の突然変異、数万を超える意志を統率できる群体妖魔エルベティエ」

    「そして余を含めた五人での乱闘は、当然ながら熾烈を極めたのだ……」

ルカ「その面子でバトルロイヤルか……」

   「なんだか、とんでもないな」

アリス「まず最初に脱落したのは、アルマエルマだった」

    「ほんの僅かの攻防のみで、あっけなく降参を宣言したのだ」

ルカ「その面子の中では、アルマエルマが最も弱かったのか……?」

アリス「あの時のアルマエルマは、十分に余力を残していたように感じたがな」

    「あいつは気まぐれだから、余にもよく分からん」

    「次に、たまもとエルベティエが潰し合う形になって脱落した」

    「二人とも決してグランベリアに劣らないが、乱戦という形が災いしたのだ」

ルカ「つまり、四天王の実力はだいたい互角って事か」

アリス「戦いにおいて相性の差はあるが、その実力はほぼ互角といっていいだろうな」

    「ともかく戦いは進み、余とグランベリアの一騎打ちという形になったのだ」

    「グランベリアが繰り出した奥義には、さしもの余も一度は膝をついた―――」

    「―――と言いたいところだが、余に膝はない」

ルカ「そんなところにオチを付けなくていいから……」

アリス「別にオチを付けたわけではない……」

    「そして、同じ技で二度も膝をつく余でもない」

    「一度見たグランベリアの奥義を打ち破り、最後には余が勝利したのだ」

ルカ「それで、アリスがめでたく魔王になったってわけか」

アリス「その戦いで余の実力を認めた四人も、四天王として忠誠を誓ってくれた」

    「無益にも見える王位争奪戦は、そういう意図もあるのだ」

    「魔王の座を狙えるほどの実力者に、次期魔王の力を示して納得させる……」

    「力こそ全てである妖魔にとっては、最も遺恨の残らない方法だな」


ルカ「ふぅん、色々と考えてるんだな……」

アリス「初代アリスフィーズ様がお決めになった事なのだぞ」

    「海よりも深いお考えがあってのことなのだ!」

ルカ「わ、分かったよ……」


そんな会話を交わしながら、森を進んでいると―――

一体のモンスターが、僕の前に立ちはだかった!


カマキリ娘が現れた!


カマキリ娘「人間の男、珍しい……」

      「捕まえて、交尾…… する……」

ルカ「くっ、なかなか強そうな魔物だな……」


頑丈そうな外骨格、しなやかな筋肉が可能にする俊敏さ。

昆虫系モンスターの長所を、カマキリ娘の肉体は顕著に現していた。

正面から戦うと、かなり苦戦しそうだ―――


ルカ「ウンディーネの力、試してみるか……」

………………
…………
……

ルカ「ウンディーネ、僕に力を貸してくれ……!」


――――――――――『水の壁』――――――――――


ルカの周囲を薄い水の壁が取り巻いた!


ルカ「こ、これは……!」

   「水の壁で、敵の攻撃を防いでくれるのか……!?」

カマキリ娘「オスの子種…… 吐き出せ……」


――――――――――『マンティスパイズリ』――――――――――


カマキリ娘はペニスをふくよかな胸で挟み、激しく上下させてきた!

ルカは―――のダメージを受けた!


ルカ「あぅぅっ……!?」


なんと敵は、平然と水の壁を突き抜けて攻撃してきた。

ほんの僅かに、ダメージは軽減された気がするが……


ルカ「なんだよ、これ……!?」

   「ほとんど、役に立ってないじゃないか!」


ないよりはマシ程度…… SP消費を考えると、ない方がマシ。

土の力で防御力を高めた方が、遙かに有効じゃないか!

……
…………
………………

カマキリ娘「ギ…… ギギ……」


カマキリ娘はカマキリの姿になった!


カマキリ娘をやっつけた!


ルカ「……なんなんだ、水の力のガッカリ性能は……」

アリス「何を言うか、ドアホめ」

    「貴様は、根本的に水の力の使い方を誤っているのだ」

    「風の力や土の力とは違い、水の力は己の心に投影するもの」

    「水の流れを心に投影する―――すなわち、心に水を宿すという事なのだ」

    「その動きに風を宿し、その身に土を宿し、その心に水を宿し、その技に火を宿す―――」

    「何度も言っているように、この心持ちを極めるがいい」

ルカ「それが、勇者ハインリヒの教えなんだよね……」


勇者ハインリヒも、そうして強くなったのだという。

同じようにすれば、僕もハインリヒのように強くなれるはず!


アリス「貴様に欠けているのは、やはり精神の修養だな」

    「剣の腕だけではなく心も鍛えなければ、勇者とは言えんぞ」

ルカ「精神の修養か……」

   「苦手だけど、がんばるよ!」


勇者ハインリヒを目指して、ますます意気込む僕だった。

この森も、もうそろそろ抜ける頃だ―――







ルカ「ふぅ、やっとノアの大森林を抜けたね」


森を抜けると同時に、日も暮れようとしていた。

そろそろこの辺で、野営の準備でもするか―――

そう思った矢先、モンスターが襲い掛かってきた!


スキュラが現れた!


スキュラ「ふふっ…… 可愛い子が、こんな時間にいけないわね」

     「こわ~いお姉さんの触手に巻き付かれて、弄ばれてしまうわよ……?」

ルカ「くっ、スキュラか……」


魔物の中でも知名度が高く、そして強い魔物。

下半身の触手を用いた拘束攻撃が、かなり厄介そうだ―――


スキュラ「くすっ…… この触手で、たっぷりといじめてあげるわ……」

     「ぎゅうぎゅうと締め上げられたい?」

     「それとも、おちんちんを触手で嫐ってほしい……?」

………………
…………
……

……
…………
………………

スキュラ「そ、そんな……!」


スキュラはタコの姿になった!


スキュラをやっつけた!


ルカ「ふぅ、なかなか強い敵だったな」


話に聞いていた通り、北方の魔物は非常に強い。

精霊の力がなければ、太刀打ちするのは難しかっただろう―――


アリス「……余のおなかはぺこぺこだ」

    「そろそろ野営にするぞ」

ルカ「戻ってくるなり、それか……」


まあ、これもいつもの事。

さっそく僕は、野営の準備を始めたのだった。







偽勇者「……ふむ」

    「あれが、グランゴルド城か……」

クラリス「おっきいですね~……」


目的地であったグランゴルド城に辿り着き、少しホッとする。

辿り着くまでに、見当違いな道ばかり歩いていたのだ―――正直、己の方向オンチを自覚せざる得ない……


クラリス「……良かったですね、無事辿り着けて」

偽勇者「……うん」


さて、今回の目的地であるグランゴルド城だが、記憶が正しければ人間と魔物の理想的共存社会が築かれているという。

更には、あのグランドノア城以上に進んだ共存社会だ―――気に入らない。


偽勇者「……気に入らないが、何か引っかかるのは何故だ?」

    「ちっ、記憶が薄れていなければ分かり切った答えなのに……」

クラリス「何してるんですか、あにさん?」

     「早く入りましょうよ♪」


クラリスが俺の手を取りそのままグランゴルド城に向かうが……


偽勇者「……レムオル」

    「……ステルス」


偽勇者は「レムオル」と「ステルス」を唱えた。

偽勇者とクラリスの姿が透明になった。


クラリス「えっ……」

     「どうして、体を透明にするんですか?」

偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓~2

一応の保険だ

何か引っかかるから

>>239 >>240』やね

偽勇者「……………」

    「何か引っかかるからな」

    「一応の保険だ」

クラリス「そうですか、分かりました!」


クラリスが元気よく返事をする。

やれやれ、素直すぎるのも問題だな。

いつか悪い奴に騙されたりしないか心配だ。

俺達はある程度まで城壁に近寄ると―――


偽勇者「……よっ」

クラリス「わわっ!」


クラリスを抱えると、そのまま城壁を跳び越えた!


クラリス「あ、あにさんッ!」

     「なんで門から入らないんですか」

     「ていうか、これって不法侵入では―――」

偽勇者「……クラリス」

    「今回だけは仕方ないのだよ―――今回だけは」


俺はこれ以上、クラリスがお喋りする前にとっとと城下町の中に紛れ込むのであった―――







偽勇者「……ふむ」

クラリス「もう…… 兵士の皆さんに怒られても知りませんよ……」

偽勇者「大丈夫だ、その時は軽く潰す……」

クラリス「……………」

     「……はあ」


クラリスが何かため息を吐いているが気にはしない。

それよりも、このグランゴルド城での引っかかっていた原因が分かった。

それは、普通の市街―――に見えて、行き交う人の中に魔物が混じっている……

……のが原因ではなくこのアリの魔物である「アリ娘」達だ。


アリ娘「オ荷物ヲ、オ持チシマス……」

偽勇者「……結構だ。 元より誰かに預ける気など更々ない」


このアリ娘をシッシッと追い払い―――周囲を見れば町のあちこちにアリ娘共が忙しく働いている。


クラリス「アリ娘さん達、働き者ですね……」


偽勇者「ああ、働き者だ―――だが、気に入らねぇ……」


働いているのは、魔物共だけで肝心の人間達がいない。

いや、いないと言うよりは働いていないのが正しいか。


クラリス「……グランドノアと違って何か寂しいですね」

偽勇者「前に俺の故郷のことを話したな……」

クラリス「えっ、え~と……」


――――――――――――――――――――

「生物は楽を覚えると殆どが、楽に身を預けてしまう……」

「楽ばかりに浸かり過ぎると心が腐り駄目になってしまう……」

「更に腐った者は他の者も招き寄せ共倒れにするから恐ろしい……」

――――――――――――――――――――


クラリス「あッ!?」

偽勇者「思い出したようだな―――「便利」は心を腐らせる劇薬だ」

    「使用しすぎると確実に駄目になってしまう……」


俺の視線の先には、アリ娘が城壁用に積むレンガを荷車で運んでるに対して人間は暢気に欠伸をしている。

これでは、共存ではなく奴隷ではないか―――人間と魔物の理想的共存社会とはよく言ったもんだな。

それにしても……


偽勇者「……奴隷か」

    「俺の大嫌いな言葉だな……」

クラリス「……あにさん」

偽勇者「……………」


俺は悲しい顔をしているクラリスの頭を強めに撫でる。

そして、そのまま俺の手に擦り寄るクラリス。

どうやら、クラリスでもこの町は居心地が悪いようだな。


偽勇者「……情報収集は明日だ」

    「宿に行くぞ……」

クラリス「……はい」


いつも以上にベッタリなクラリスを連れて、宿に向かうのであった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<金曜日は休むかもしれんで……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<おはよう

大阪|-ω-)<そして、お休み―――土曜日はないで……


コソーリ|・ω・)<ダレモオラン…… ヤルノナライマノウチ……


大阪|;・ω-)<あれ、ちとおかしいな……






偽勇者「……どうしてこうなった」

青年「すげー、本物だよ」

女性「きゃーーッ! サイン下さいッ!」

老婆「ありがたや、ありがたや……」

クラリス「……なんか人気者ですね、あにさん」

偽勇者「……………」


一夜明け、グランゴルドの城下町で情報収集をしようと思った矢先に、住人の一人が騒ぎこの状態である。

どうやら、グランドノア城で行ったコロシアムの情報が各国に流れているらしく、ファンだという者達が囲んでいるのだ。


偽勇者「……ああ、すいませんが通してもらえないだろう?」

    「旅のために、色々と準備をしなければ―――」

青年「喋ったッ! 生声だよ、ラッキーッ!」

女性「意外と声変わりしてないのね……」

   「年下で強者なんて、なんか素敵……」

老婆「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」

クラリス「……聞こえてないみたいですね」

     「……どうします?」

偽勇者「……どうするか」


この住民達は悪意でやっているのではなく、純粋にファンとして集まっているからな。

乱暴なことはできんし、さてはてどうするか。

……と、悩んでいたら兵士達が住民の塊を掻き分け俺の前に現れた―――


兵士A「ええ、シャニセ・ユウ様ですね」

偽勇者「……そうだが」

兵士B「グランゴルド王が貴方様と謁見を望んでおられます」

    「もし、不都合でなければ一緒にご同行願います」

クラリス「……どうしますか、あにさ―――」

偽勇者「行く」

クラリス「即答ッ!?」

兵士A「ではこちらです、足下にご注意ください」


兵士に案内され、グランゴルド城下町の中を歩を進める。

こうして俺は、客人として城内に導かれたのだった。







グランゴルド王「なるほどぉ、キミがグランベリアを倒したっていう戦士か」

        「四天王の一人を試合形式だとはいえ倒すなんて、凄いんだなぁ」


第一印象は、なんか穏和であるが何かやる気が感じられないもやしっ子だ。

服装も見た目の頼りなさから、似合っていない気がする。

誰が王になろうが、文句は言わんが―――ちと、もう少し王としての風格を現してほしいものだ。


グランゴルド王「せっかくだから、グランベリアとの戦いをもっと聞かせてもらいたいなぁ」

        「今まで血湧き肉躍る冒険譚を聞いてきたけど、この話は今までで一番面白いよ」

        「それと、今までの冒険もついでに聞かせてほしいな」

偽勇者「グランゴルド王が望むならば、いくらでも―――」


クラリスが魔物であること、いくら何でも信じることができぬ眉唾物は伏せつつ、これまでの冒険を熱く語る俺。

聞き入っていたグランゴルド王も、グランベリア編になると手に汗握る勢いで、目を輝かせていた。

そして愉しい時間はあっという間に過ぎ―――


偽勇者「そして、俺は勝利を勝ち取ったのです―――」

    「如何でしたでしょうか、愉しんでいただけたでしょうか?」

グランゴルド王「いやあ、今までで最高のひと時だったよ」

        「……っと、もうこんな時間なのか」

        「愉しいとその日の一日が惜しく感じるが、暇な時は時間を持て余す…… はははっ」


そう言い、グランゴルド王は満足げに笑うのであった―――







偽勇者「ふむ……」

    「時間を持て余すか―――」

    「過去に過ぎた時間は、二度と戻らぬのにな……」

クラリス「……………」

偽勇者「どうした、クラリス……?」


グランゴルド王との謁見からずっと黙りっぱなしであるクラリス。

この町での居心地が悪いのも関係してるかもしれぬが―――


クラリス「……………」

     「―――」


【クラリスのセリフ】


↓~2ぐらい

あの王様は自分の国の現実に何も感じてないんでしょうか

王様が暇って良いことだとは思えません

>>261 >>262』やね

クラリス「……………」

     「あの王様は自分の国の現実に何も感じてないんでしょうか」

偽勇者「感じてないのではなく、感じることが出来なくなっているんだろうな……」

    「ここは人間の国だからな、もし国民が不満の一つでも言えば、改善されることもあるだろうが―――」

    「最悪なことにその不満は一つたりとも国民の口から吐かれていない」

    「つまり、己は最も正しいことをしており間違いを犯していないことになる」

クラリス「しかし、王様が暇って―――良いことだとは思えません」

偽勇者「俺もそう思う。 しかし、そのことを部外者である俺達が語る必要はない」

    「―――そう、語る必要はな……」

クラリス「……あにさん、もしかしてまた何か企んでいますか?」

偽勇者「……さあな」


俺はジト目で睨むクラリスを無視し、グランゴルド城下町で情報収集するのであった―――


――――――――――「青年」――――――――――

青年「面倒な事は、全部アリ娘がやってくれる」

   「ここは、本当に良い町だね……」

   「おかげで毎日ゴロゴロして、手足の動かし方も忘れるほどだよ」

――――――――――「女性」――――――――――

女性「掃除から炊事洗濯まで、全部アリ娘に任せてるからラクでいいわ」

   「主婦の仕事なんて、子作りだけ」

   「子育てだってアリ娘がやってくれるからね」

――――――――――「アリ娘」――――――――――

アリ娘「仕事ノ途中デス、オ話ハ後デ……」


通りを往来するアリ娘達は、とても忙しそうだな。

――――――――――「マッドゴーレム娘」――――――――――

マッドゴーレム娘「建設作業中デス」

         「危険デスノデ、近付カレナイヨウニ……」


マッドゴーレム娘は巨体を生かし、土木作業に勤しんでいる。


―――『グランゴルド城』

――――――――――「大臣A」――――――――――

大臣A「財務処理から書類整理まで、全てアリ娘達に任せています」

    「私達の出る幕など、ほとんどありませんよ」

    「これだけ何もしていないのに、給金はがっぽり……」

    「ふふふっ、笑いが止まりませんなぁ」

――――――――――「大臣B」――――――――――

大臣B「私は、しっかり仕事をしていますよ」

    「窓からぼんやり木の数を数えたり……」

    「部屋に舞い込んできた葉っぱを、フーフー吹いたり……」


――――――――――「アリ娘達」――――――――――

アリ娘A「北西地区ノ徴税効率ガ良クナイ……」

     「新規ニ徴税官ヲ派遣シナイト……」

アリ娘B「オレンジ農家達カラ陳情ガ来テル」

     「サバサノ商品ニ掛ケル、理想的ナ関税率ハ……」


魔物共が、色々と細かいことを協議している。

……徴税? ……陳情?

意味は理解出来んが、今の人間達よりしっかりと働いている。

――――――――――「衛兵アリ娘」――――――――――

衛兵アリ娘「侵入者、ヤッツケル」

偽勇者「ほう……」

クラリス「あわわ……」

     「ボク達は侵入者じゃありませんッ!」

衛兵アリ娘「ソレナラ、ヤッツケナイ」

偽勇者「……ちっ」

クラリス「あ、あにさん……」


王宮の警護まで、アリ娘任せ―――か……

――――――――――「グランゴルド王」――――――――――

グランゴルド王「おお、勇者ユウ君じゃないか」

        「また何か冒険譚を聞かせてほしいなぁ」

        「なにせ、毎日ヒマでヒマで死にそうなんだよ」

        「あまりにヒマだから、ちょっと政治でもしてみようかと思うくらいさ」

偽勇者「……………」


これでは如何な。

早々に準備を済ませ計画を実行に移さねば―――

――――――――――「衛兵」――――――――――

衛兵「アリ娘の兵士に、ゴーレム娘の門番……」

   「これほど心強い軍事力を備えた国家は皆無でしょう」

   「そして私達は、飾りのようなものです」

   「ここで茶でも飲んでいればいいのです……」


……過去に経験した苦労が水の泡になることほど哀れな者はないな。

―――『グランゴルド城下町』

【行く順番決めてん】

A:道具屋→教会→魔導研究所

B:教会→道具屋→魔導研究所


『B』やね

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/



  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/


   ∧∧

  (  ・ω・)<みなはん、おるー?
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


――――――――――「教会」――――――――――

アリ娘「アナタノタメニ、オ祈リ―――」

偽勇者「必要ない」

クラリス「神官までアリ娘さんにやらせてるんですね……」

偽勇者「ここの神官―――裁きが確実に下るだろうな……」

アリ娘「オ祈リ……」

クラリス「あにさん……」

     「お祈りぐらいしましょうよ―――ねっ?」

偽勇者「クラリス―――貴様、いつか詐欺でひどい目に遭うぞ……」


アリ娘と共にイリアス様に祈り、俺は教会を出たのだった。


――――――――――「道具屋」――――――――――

店に入ると、店主の変わりをしているアリ娘と誰かが商品の値切りをしているようだ。


アリ娘「ダメ、コレ以上値切レナイ」

ウラミ「それじゃこれでどうアルか?」

    「これなら、お互い笑顔ネッ!」

アリ娘「困ル……」

ウラミ「なら、更にこれでどうアル?」

    「これ以上は出せないよッ!」

アリ娘「下ガッテル……」

クラリス「すごいですね、あの人……」

     「10の位で値切ってますよ……」

偽勇者「……ウラミ」

ウラミ「ひょ?」

    「その声、その鎧―――偽勇者アルか、久しぶりネッ!」

    「元気していたアルか?」

偽勇者「おかげ様でな……」


アリ娘を相手に値切っていた張本人は、なんとウラミであった。


ウラミ「っと、少し待つよろしい」

    「今、買い物中ネッ」


ウラミは再び、アリ娘との値切り合戦を始めた。

奥で寝転んでいる店主も、この値切り合戦を眺めながらはらはらしているようだ。


ウラミ「よし、買ったネッ!」

クラリス「……初めに聞いた値段より安くなってる」

偽勇者「……………」

    「……はあ」


アリ娘が困り顔で、ソロバンを打つ姿を見つつ店を出るのであった―――


ウラミ「いやはや、それにしても本当に久しぶりネ」

    「イリアスポートぐらいか?」

偽勇者「たぶん、そのぐらいだ……」


全身を布やサポーターで隠している怪しいを体現した怪しい商人。

前の時より、荷物が減っているのか荷車などは見当たらない。


ウラミ「大分、見ない間に色々と変わったネ―――特に……」


ウラミはちらりと、クラリスの方を見る。

クラリスは、警戒しているのか俺のマントから出て来ない―――邪魔だ。


偽勇者「……俺も色々とあったんだよ」

    「本当に予想外だった……」

ウラミ「……………」

    「……人間ってここまで変われるものなのですね」

偽勇者「んっ? 何か言ったか」

ウラミ「まだ、何も言ってないネッ」

クラリス「……ぐるるっ~」


……まあ、いいか。

唸る、クラリスに綿アメを食わせつつどうするか考えるが―――


ウラミ「おや、どうやらとても変わった物を、たくさん手に入れたようネ」

    「ちょいと、見せてよッ」


俺はこのロトの鎧などの件もあってか、余り疑わずに手に入れたアイテムをウラミに見せるのであった―――







ウラミ「ほうほう……」

偽勇者「……どうだ?」

ウラミ「……偽勇者さん、貴方どんな旅してたねッ!?」

    「これもあれも、危険物扱いで手に入れられない物ばかりよッ!」

偽勇者「……そうか」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓~2

個人で全て手に入れたのならたいしたものよッ!
でも、まだまだね

危険物でも使い方次第でどうとでもなる

>>282 >>283』やね

偽勇者「……そうか」

    「しかし、個人で全てを手に入れたならば大したものだろ……?」

ウラミ「結果的にはそうでアルが―――」

偽勇者「それに、危険物でも使い方次第でどうとでもなる」


俺がそう言い切るとウラミは、ため息を吐きながら―――


ウラミ「……そう言えば、貴方もそれ以上に危険なモンなのすっかり忘れてたネ」

偽勇者「ほっとけ……」

    「俺は、俺でしっかりと制御出来ている」

    「心配無用だ」

ウラミ「ほほう……?」

    「なら、話はグルッ!っと変わるアルが、ちょいとこのアイテムを覚醒させてみないか?」

偽勇者「覚醒だと?」

    「そんなことができるのか」

ウラミ「このアイテムなら覚醒可能アルね―――まあ、任せるよろしい……」


俺はウラミに誘われるまま、後を付いて行くことにした。


――――――――――「魔導研究所」――――――――――

クラリス「わあ、広いですねぇ……」


クラリスが両手を広げ、くるくると回る。

確かに天井も高ければ、広大でもある研究工房だ。


魔導技師「あら、見学の方かしら……?」

ウラミ「失礼するね」

魔導技師「あッ!?」

     「貴女様はッ!!」


ここの責任者かどうか知らないが、ウラミの姿を見て大いに驚いているようだ。


偽勇者「……ここ、お前んち?」

ウラミ「いやいや、違うネ」

    「ちょいと、技術供与しているお方のサポートを少ししてただけネ」

偽勇者「……ふ~ん」


ウラミが技術供与ねぇ―――そんなに頭良いのか?


魔導技師「あのー…… どの様なご用件で―――」

ウラミ「あい、ちょいと一室借りるだけネ」

    「いいアルか?」

魔導技師「ど、どうぞ!」


魔導技師が、深々とお辞儀をするとそのまま一番奥の厳重そうな部屋に案内された―――

ウラミの素性は分からないが、こちらも声に出して言っていい存在ではない。

これは、藪蛇せずに黙って成り行きを見守るしかないか……







ウラミ「さあ、このアイテム類を使わせてもらうね」


俺はウラミが求めているアイテム類を黙って渡す。


偽勇者は【危険な薬品や物質】を渡した。

偽勇者は【―――リング】を渡した。

偽勇者は【焼きヒトデ】を渡した。

偽勇者は【マデュライトの欠片】を渡した。

偽勇者は【生きた魔導具】を渡した。


ウラミ「確かに―――では始めるとするネッ!!」


ウラミは、手前に置いてあった道具などを使用して加工を始めたようだ。

俺はその光景を、黙って見ているが―――

―――その作業は、一晩掛かるのだった……


クラリス「ねむいですっ……」

――――
―――――
――――――

様々な危険な薬品を微妙な数値で混ぜ、物質を溶かし込む。

怪しく泡立つその中に【―――リング】を落とし鉱物か殻か分からない部分を溶かすこと数時間。

その溶けた部分のしたから黄金の輝きが産声を上げる―――


「黄金の腕輪」を手に入れた!


――――
―――――
――――――

【焼きヒトデ】を大きめのフラスコに入れ、更に【生きた魔導具】を入れる。

生きた魔道具は焼きヒトデに寄生し、その死んだ細胞を変質させる。

そして、最後に【マデュライトの欠片】を取り込ませることにより、変質した細胞がマデュライトと化す―――


「マデュライト」を手に入れた!


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソーリ|・ω・)<……







夕食を終え、そしていつもの特訓の時間―――


アリス「水の力を体得するため、今日から貴様の緩みきった精神を鍛えるぞ」

ルカ「う、うん…… よろしく頼むよ」


少し尻込みしながらも、僕は頷くのみ。

苦手な修行ではあるが、やるしかない。


アリス「では、さっそく座禅を組め」

    「そして、心を無にするのだ」

ルカ「僕は悟りを開きたいんじゃなくて、強くなりたいんだけど……」


前にもやったが、こんな事で強くなれるとは思えない―――


アリス「ドアホめ、心を鍛えずして水の力を使いこなせるか!」

    「さもなければ貴様は、勇者ハインリヒの足元にも及ばんぞ!」

ルカ「そ、そう言われればやるしかないな……!」


なんだか、ハインリヒの名が上手く使われている気がするが―――

とにかく僕は、言われるがままに座禅を組んだ。


ルカ「心を無にする…… つまり、何も考えなきゃいいんだよな?」

アリス「厳密には違うが…… まあいい」

    「心を無にし、精神を水の流れに委ねるのだ」

ルカ「……………」


僕は、静かに目を閉じた。


ルカ「……………」


何も考えるな。

無だ……

無……

……………


アリス「ていっ!」


―――――――――― ビ シ ィ ! ――――――――――


ルカ「うわっ!」


突然、アリスは僕の頭を引っぱたいた!


ルカ「な、何するんだよ!」

アリス「なぜよけられん!」


……逆ギレされた。

いきなり頭を殴られて、よけろとキレられた……


アリス「すねるな、ドアホめ」

    「心を水の流れに委ねていれば、あの程度はたやすくかわせたはずだ」

ルカ「本当なのか、胡散臭いなぁ……」

アリス「ハインリヒの教えも信じないで、真の勇者になろうとは笑わせる……」

ルカ「くっ、分かったよ……!」

   「心を水の流れに近付ければいいんだよな」

アリス「ああ、その通りだ」

    「適当に殴るから、今度はちゃんとかわせ」

ルカ「なんだか、嫌な修行だなぁ……」


僕は座禅を組み直し、静かに目を閉じた。


ルカ「……………」


何も考えるな。

無だ……

無……

……………


アリス「……………」


今、僅かな乱れのようなものを感じた。

周囲の流れに、殺気のような乱れが混じる―――


アリス「ていっ!」


―――――――――― バ シ ィ ! ――――――――――


ルカ「ぐはっ!」


次の瞬間、僕は頭を張り飛ばされていた。

ルカ「う…… いたい!」

アリス「何をしている、ちゃんとかわせ!」

ルカ「いや、なんだか分かった気はしたんだよ!」

   「でも、体が反応できなかったんだよ……!」


風の流れを読むのとは、ちょっと違う感じ。

流れを察知するのではなく、僕自身が水となるイメージだ。

だんだん、分かってきたぞ―――!


ルカ「よし、ガンガン来い!」

アリス「急にやる気になったな」

    「それでは、遠慮せずガンガンいくぞ!」


……………


アリス「ていっ!」


―――――――――― ビ シ ィ ! ――――――――――


アリス「心と体は一体!」

    「それを感じずして、水の力は使いこなせん!」


……………


アリス「てりゃっ!」


―――――――――― バ シ ィ ! ――――――――――


アリス「己に心の中にある流れを感じ取れ!」

    「ウンディーネの水を、そこに投影するのだ!」


……………


アリス「ていっ!」


―――――――――― ゴ キ ィ ! ――――――――――


ルカ「あぅぅ……」

アリス「……そろそろ、やめにするぞ」

ルカ「いや、もうちょっとだけ……」

アリス「すでに、貴様の集中力は限界だ」

    「そんな状態でダラダラ続けても、効果はあるまい」

    「今日はこれで終わりだ」

ルカ「も、もうちょっとだけ……」

アリス「集中力が切れている状態で続けても、意味がないというに……」

    「仕方ない、代わりに新たな剣技を教えてやるとしよう」

ルカ「あ、新しい剣技!?」


思わず、僕は目を輝かせてしまった。

剣技を新たに教わるのも、久しぶりな気がするな。


アリス「貴様も戦いを重ね、シルフの力を随分と使いこなせるようになった」

    「今の貴様なら、風の力を剣技にも応用できるはずだ」

ルカ「風の力を、剣技に……?」

アリス「いいか、この技は……」

    「例のごとく、動きに風を宿しながら……」

ルカ「ふむふむ……」


僕は、食い入るようにアリスの説明を聞いたのだった―――







ルカ「なるほど、こうだな!」


技を放った瞬間、体が風になったかのような錯覚を受ける。

そして僕の突き出した剣は、木の幹を深々と刺し貫いていた。

技を放った僕自身でさえ知覚できないほどの、高速突進突き。

これまで使用してきた雷鳴突きの超強化版といったところか。


アリス「……ふむ、上出来だ」

    「一言で言えば、風の力を宿した「雷鳴突き」」

    「それこそが、「瞬剣・疾風迅雷」なのだ!」


「瞬剣・疾風迅雷」を習得した!


アリス「この技は、「雷鳴突き」のそのまま上位に位置している」

    「SPの消費量は同じながら、威力は飛躍的にアップ」

    「最初のターンで使用すれば、絶大な威力を発揮する点も変わらんぞ」

ルカ「つまり、「雷鳴突き」と同じように使っていけるんだな」

アリス「また風の力が発動しているときにこの技を使用すれば、威力が上昇する」

    「死神娘タナトスは、この技で数百人もの人間の生命を絶ったという話だ」

ルカ「うぇぇ…… また、そんな忌まわしい技なのか」


まあ、毒々しい逸話がセットなのはいつもの事。

こうして僕は、心強い新技を習得したのだった。







そして翌日、グランゴルド城への旅は続く。

いよいよ目的地も間近となり、なだらかな平野を進んでいると―――

眼前に、新たな妖魔が立ちはだかった!


メデューサが現れた!


ルカ「髪が蛇なのか、不気味なモンスターだな……」


ざわざわ蠢く無数の蛇の異様に、思わず失礼な事を口走ってしまう。


メデューサ「ひどい事言うじゃない……」

      「その蛇で、あんたのちんちんいたぶってやるんだから……」

ルカ「あっ、ごめん……」


人と魔物の共存を理想とする僕が、偏見を口にしてしまうなんて―――

とは言え、やはり無数の蛇が蠢いている様は気味が良くない。


メデューサ「今さら、誤ったって遅いわよ……」

      「あんたなんか、石にしてやるんだから……」

………………
…………
……

……
…………
………………

メデューサ「いやぁぁぁぁ……」


メデューサはヘビの姿になった!


メデューサをやっつけた!


ルカ「ふぅ、なんとか勝てたな……」


さすがに魔の大陸に近いところまで来ると、魔物も強力だ。

気を抜かないようにしながら、僕は先へと進むのだった―――







ルカ「あれが、グランゴルド城か……」


目的地を目前に控え、いよいよ胸が躍る。

聞いた話では、人間と魔物の理想的共存社会が築かれているという。


ルカ「グランドノア城でも、あれだけ魔物は普通に暮らしてたのになぁ」

   「あそこより進んだ共存社会なんて、ワクワクするよ」

アリス「ふむ、彼女達はいったいどんなものを食べているのだろうな」

    「余もワクワクしてきたぞ!」

ルカ「……………」


まあ、これもいつもの事だ。

呆れながらも、城へと近付く僕達だが―――

突然、巨大なモンスターが城の前に立ちはだかった!


ゴーレム娘が現れた!


ゴーレム娘「警告スル…… ココカラ先ハ通セナイ……」

      「立チ去ルガイイ……」

ルカ「で、でかい……!」

   「なんなんだ、こいつ!?」


僕の体など、その腕で一握りにできるぐらいの巨大さ。

こんな魔物が、こんなに城に近い場所に出現するなんて―――


アリス「ふむ…… こんな魔物、余は知らんな」

ルカ「魔王でも知らない魔物……?」

   「まさか、精霊の森で見た植物モンスターみたいな奴か……?」

アリス「いや、あの禍々しさとは全く質が違う」

    「こいつは、魔導の匂いがかなり濃いな」

ルカ「魔導……? 人造のモンスターってことか……?」

ゴーレム娘「立チ去ラナイナラバ、排除スル……」


悠長に、会話している場合ではなさそうだ。

こいつは、グランゴルド城に入るのを妨害しているらしい。

退く気もない以上、戦うしかない!

………………
…………
……

……
…………
………………

ゴーレム娘「動力炉破損、予備動力ニ切リ替エ……」

      「姿勢制御、困難……」


ゴーレム娘は地面に倒れ、動かなくなった!


ゴーレム娘をやっつけた!


ルカ「ふぅ……」


なんとかゴーレム娘を討ち倒し、ようやく一息吐いた。

その巨体は動きを停止し、眼前に横たわっている。

なぜか、この剣で倒したのに封印されないのだ―――


ルカ「この魔物、いったい何なんだ……?」


剣を納め、そう呟いた時だった。

城門が開き、大勢の兵士が飛び出してきたのだ。


ルカ「もう大丈夫ですよ、城の兵士さん達」

   「あの魔物は、勇者である僕が退治しました」

兵士達「……………」


しかし兵士達は物々しい様子で、僕に槍先を向けてくる。


ルカ「ご、ごめんなさい…… 本当はニセ勇者です……!」

兵士A「おのれ、魔物め…… よくも、ゴーレムを!」

兵士B「うかつに近付くな!」

    「こいつ、信じられないほどの怪力だぞ!」


兵士達は周囲を取り巻き、じりじりと囲んでくる。

どうやら、僕を魔物と勘違いしているようだ。


ルカ「あ、あの…… 僕は人間です! 魔物じゃないです!」

兵士A「馬鹿を言うな!」

    「生身でゴーレムを倒せる人間が、どこの世界にいるんだ!」

ルカ「いえ、あれは精霊の力を借りて……!」

隊長「ええい、引っ捕らえろ!」

ルカ「うわぁぁ……!」


誤解しているだけの兵士達に暴力を振るうことも出来ず、僕は捕らえられてしまったのだった―――







クラリス「……にゅ」


ボクは、不愉快な作動音を目覚まし代りに目を覚まします。

コシコシと目をこすり、ふわぁ~と大きく欠伸をした後、二度寝の誘惑に負けそうになった時に―――

自分がどこで寝ていたかを思い出しました。


クラリス「確か、魔導研究所であにさんと変な商人が……」

     「あれ、あにさんは―――」


ボクは周りを見渡し、あにさんを探す。

そして、部屋の角であにさんは何かゴソゴソと怪しい動きをしていた。


クラリス「あにさん、おはようございます」

偽勇者「……ああ、おはよう」

    「よく眠れたか……?」


あにさんは、その場から立ち上がりボクの正面を向いた。


クラリス「はい、目覚めは良くないですが―――」

     「―――ところで、あにさんはそんな部屋の角で何をしているので……?」


思っていた疑問をあにさんに尋ねたところ、あにさんは腕を組み不気味に―――でも、どこか無機質に笑っていた。


偽勇者「ハハハッ……」

    「クラリスは知らなくていい―――それより、明日あたりに大仕事があるからな……」

    「今の内に体をほぐしておけよ……」

クラリス「えっ……」

     「明日ですか?」

偽勇者「そうだ、明日だ……」

    「明日は本当に―――大仕事だ……」


あにさんはの笑い声が静かに魔導研究所にこだまするのであった―――


クラリス「そういえば、あの商人は……?」

偽勇者「ウラミなら―――」


――――――――――――――――――――

ウラミ「いいデータ取れたけど―――」

    「忙しいから帰るネッ!」

――――――――――――――――――――


クラリス「……………」

     「忙しいですか……」

偽勇者「そうだ、忙しいらしい……」


どうやら商人―――ウラミさんは忙しいらしく帰ったそうです。

どうも、怪しすぎて信用できないのですが……

……あにさんが、珍しく気さくに話す現在で唯一の方です。

だから、あまり疑いたくないのですが……


偽勇者「もうここに用はない、行くぞクラリス」

クラリス「あ、はいッ!」


ボクはあにさんの後を追い掛けます―――が……

少し先程まであにさんがゴソゴソしていた部屋の角を見ます。


クラリス「……気のせいですよね?」


野生の勘と言うのでしょうか……

とてもイヤな予感が―――


偽勇者「何をしている―――飯抜きにするぞ」

クラリス「今、行きますッ!!」


それよりも、今日のごはんです。

今日の朝ごはんは何かなッ♪







ウラミ「今回は予想外な収穫だたネ♪」


ウラミは空中に浮かんだマス目をリズム良く指で打つ。

先ほどまでかけていなかった眼鏡をクイッと中指で上げつつ、上機嫌でグランゴルド城を眺めていた。


ウラミ「フフッ……」

    「偽勇者…… まさか、これほどまでに進化するなんて思わなかったネ」

    「この短期間で、ここまで融合するとは……」

    「何か別の力が働いているのカ? それとも、得ているのカ―――計算以上且つ興味深い研究対象ネ……」


ウラミの指の速度が上がり、正面に"窓"が現れる。

その窓には、人型と鎧の図が浮かび上がり数値が上がり下がりしていた。


ウラミ「しかし、あの鎧は元々別空間から流れ込んできたガラクタだったはず……」

    「あの頑固な錆は、馬鹿でも取り除くことはできなかったが……」

    「まあ、いいよろしい―――最後に笑うのは……」






―――私 な の で す か ら ッ





大阪|・ω・)<今回はここまでや―――

大阪|´-ω-)<―――と、たぶんクィーンまで対して安価やコンマもないと思うから書き溜めしていいカ……?

大阪|´・ω-)<早くて、金曜日―――遅くて日曜日の何時まで長期お休みやけど―――ええカ?

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


   ∧,,,∧
  (´・ω・)
  /っ日o-_。_-.、  >>早くて、金曜日―――遅くて日曜日の何時まで
  (´   c(_ア )
  [i=======i]







   ∧,,,∧
  (´-ω-) フゥ...
  /っ日o-_。_-.、  記憶にございませんで……
  (´   c(_ア )
  [i=======i]







   ∧,,,∧
  (´・ω・) <取りあえず、飯やからその後で考えるわ……
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]



   ∧,,,∧
  (´-ω-) フゥ...
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]

   ∧,,,∧
  (´・ω・) <取りあえず、ルカきゅん祭りやで……
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]








隊長「いやはや、本当に失礼致しました……」

ルカ「……………」


イリアスヴィルに伝書鳩を飛ばし、僕の身元がようやく確認されたらしい。

それまでの時間、僕はずっと町外れの牢に閉じ込められていたのだ。


隊長「確かに、男の姿をした魔物など聞いた事もありませんでしたね」

   「この非礼、心よりお詫び致します」

ルカ「いえ、それはいいんですけど……」

   「あのゴーレムとかいう魔物は、いったい何なんですか?」

隊長「あれは、このグランゴルド城の門番」

   「魔導科学で生み出された、人造のモンスターなのです」

ルカ「魔導科学の、人造モンスター……」

   「そんなのが、城を守っていたのか……」


それを破壊すれば、魔物と勘違いされてもおかしくはない。


ルカ「でも、門番としては物騒すぎませんか……?」

   「旅の商人とか、ひどい事になるでしょう?」

隊長「あらかじめ身元が登録されている者は攻撃しません」

   「登録されていない者でも、普通はゴーレムを見て逃げますよ」

   「ゴーレムは、逃げる者は攻撃しないようプログラムされていますし」

   「真正面から叩き潰そうとしたのは、あなたが初めてです」

ルカ「……………」


普通、逃げるのか。

確かにそうだよな……


ルカ「とにかく、すみませんでした」

   「ゴーレムを壊してしまって……」

隊長「まあ、仕方ありません」

   「今は魔導技師達が総出で修理中ですが、数日で直りますよ」

   「ともかく、牢から出られて下さい」

ルカ「あ、はい……」


ようやく誤解も解け、晴れて牢から出されたのだった。







隊長「さて、せっかくですからグランゴルド王に謁見していかれませんか?」


ルカ「王様に、ですか……?」

   「まさか、王様じきじきにゴーレムを壊した事を怒られるとか……」

隊長「ははは、そんな事はありませんよ」

   「王はいつもお暇で、時間を持て余しておられるのです」

   「最近の楽しみは、旅人の話を好んで聞かれること」

   「あなたほどの強者ならば、さぞ面白い冒険譚をお聞かせできるでしょう」

ルカ「でも、僕も遊びに来たわけじゃありませんし……」

隊長「いえいえ、少しで構わないのですよ」

   「せめて、壊れてしまったゴーレムの修理が終わる間くらいは……」


隊長は、巧みにゴーレムを壊した事をちらつかせてくる。

これでは、断る事などできはしなかった。


ルカ「わ、分かりました……」


結局、僕はグランゴルド王に会う事になった。

しかし、王が暇というのはどういう事なのだろう……?


隊長「では、城まで案内致しましょう!」


隊長に案内され、僕はグランゴルド城下町の中を歩く。

そこは、普通の市街―――に見えて、行き交う人の中に魔物が混じっていた。

グランドノア城で見たような、雑多な種の魔物達ではない。

アリの魔物や土石系の魔物達が、忙しく働いているようなのだ。

そしてアリの魔物のうちの一人が、僕の側へと立った。


アリ娘「オ荷物ヲ、オ持チシマス……」

ルカ「え……?」


突然の申し出の前に、僕は困惑するのみだった。


ルカ「あの、彼女は……?」

隊長「このグランゴルドで、我々と共存しているアリ娘」

   「彼女達は魔術でコントロールされ、人間の役に立ってくれているのです」

   「荷物を預けても構いませんよ」

ルカ「じゃあ、どうぞ……」

アリ娘「オ受ケ取リシマス……」


僕が荷物を渡すと、アリ娘はそれをしっかりと抱えた。


ルカ「……どうも」


そして、再び歩き出す隊長と僕。

アリ娘は荷物を抱え、まるで使用人のように後へと着いてくる。

見れば町のあちこちにアリ娘の姿が見え、荷物を運んだり土木作業をしたりと忙しく働いているようだ。


ルカ「アリ娘は、働き者なんですね……」

隊長「ええ、その通りです」

   「この町では、人間はアリ娘達にほぼ全ての仕事を任せられるのですよ」

ルカ「へぇ……」


見れば、市内の水路で土木工事しているのも人間ではない。

泥でできた大型の魔物が、色々と作業をしているのだ。


ルカ「あれは……?」

隊長「マッドゴーレム娘、魔導科学で生み出された人造モンスターです」

   「アリ娘と共に、このグランゴルドでの労働を任せているのですよ」

ルカ「そうなんですか……」


感心するのと同時に、どこか腑に落ちない気分。

こうして僕は、客人として城内に導かれたのだった。







グランゴルド王「なるほどぉ、キミがゴーレムを倒したっていう旅人か」

        「あれを倒すなんて、凄いんだなぁ」


予想よりも、グランゴルド王は柔和で気さくな感じだった。

ただ、そのたたずまいは頼りなさを感じさせる。

サバサ王のような気迫や、グランドノア女王のような凛とした雰囲気―――

そういったものは、いっさい感じられなかった。


グランゴルド王「せっかくだから、冒険の話を聞かせてもらいたいなぁ」

        「血湧き肉躍る冒険譚を聞くのが、最近の楽しみなんだよ」

ルカ「この町の門番を壊してしまったので、そのお詫びとして―――」


アリスの存在は伏せつつ、これまでの冒険を軽く話す僕。

グランゴルド王は、それに聞き入っていたが―――


アリ娘「少シヨロシイデショウカ、王様……」


そこに、アリ娘が顔を出した。


グランゴルド王「……何か用なのかい?」

        「今は客人と話をしてるんだから、後にしてほしいんだけど……」

アリ娘「本年度ノ治水計画ニツイテ、ゴ報告ガアリマスガ―――」

グランゴルド王「……ああ、うん。 全部君達に任せるよ」

アリ娘「マタ、ノルド地区商業地域ヘノ物資搬入ガ滞ッテイル問題ニ関シテ―――」

グランゴルド王「……ああ、それも任せるよ」

        「君達で対策を立てて、実行してくれ」

アリ娘「……了解シマシタ。 デハ、失礼イタシマス」


こうして、アリ娘は王の間を後にした。


グランゴルド王「これは、恥ずかしいところを見せちゃったね」

        「実のところ、政治は全部アリ娘達に任せきりなんだよ」

        「おかげで、王としての仕事は暇でねぇ…… はははっ」

ルカ「そ、そうですか……」


……本当に、それでいいのか?

なんだか、他人事ながら不安になってしまう。


グランゴルド王「君も、見ただろう?」

        「このグランゴルドでの、人間と魔物の共存関係を……」

ルカ「……は、はい」

グランゴルド王「魔物達のおかげで、全ての国民は労働から解放されたんだ」

        「これこそ、グランゴルドは人と魔物が共存する町と呼ばれる所以なんだよ」


そう言って、グランゴルド王は満足げに笑ったのだった―――







ルカ「……まあ、そういうわけだよ」

アリス「ふむ……」


アリスは、気難しそうに腕組みをする。


ルカ「……こんなのは、共存社会じゃない」

   「人間のやりたがらない仕事を、全部魔物に押しつけてるだけだよ」


実際のところ、アリ娘達は奴隷扱いに過ぎないのだ。

こんなのは、僕が夢見ている理想の共存関係では決してない。


アリス「アリ娘は、群れでの行動を習性としている」

    「それを手玉にとって、こんな風に酷使するとはな……」


そのアリスの視線の先では、アリ娘が重そうな荷物を運んでいた。

住民はそれを脇目に、おしゃべりに興じている。

また向かい道では、泥で出来た大きなゴーレムがレンガを積んでいた。


アリス「それに、人造モンスターか……」

    「この町では魔導科学の技術が進んでいるようだが、使い方は感心できんな」

ルカ「何もかも、魔物に任せっきりだね」

   「それで人間は楽をしてるってのは…… どうなのかなぁ」


なんだか、期待が裏切られた気分だ。

ここに来るまでは、あれだけワクワクしていたというのに。


ルカ「とにかく、今はサラマンダーの事だね」

   「この町で、少し情報を集めてみるか……」


こうして僕は、アリ娘達がせわしなく働く町を歩き始めたのだった。

――――――――――「おじさん」――――――――――

おじさん「これだけ魔物が多いのに、イリアスクロイツは手を出せないよ」

     「外にはゴーレム、中には警備のアリ娘達がいるからね」

     「グランゴルドでは、テロの起こしようがないのさ」

ルカ「でも、魔物嫌いな人はこの町じゃ大変ですよね……」

おじさん「この町に、魔物嫌いな人は残ってないよ」

     「そういう連中は、みんな北の港町ゴルドポートに引っ越したんだ」

     「おかげであの町は、魔物嫌いの総本山みたいになってるのさ」

ルカ「ゴルドポートか……」


セントラ大陸最北の港町。

そして、イリアスクロイツの総本部がある場所―――


おじさん「魔物嫌い以外にも、ゴルドポートにはゴロツキやならず者が多いからね」

     「普通の人は、あんまり近寄らない方がいいよ」

ルカ「はい…… 忠告、ありがとうございます」


とは言え、いずれは行かなければならない。

魔の大陸に向かう船が、以前はゴルドポートから出ていたのだ。

今は不通になっているが、何とかして船を出してもらわなければ。

――――――――――「老婆」――――――――――

老婆「ここから西に少し行ったところに、「サキュバスの村」というのがある」

   「儂は、そこから来たのじゃ」

ルカ「ええっ!?」

   「じゃあ、おばあさん…… サキュバスなんですか?」

老婆「たわけ! 儂はまっとうな人間じゃ!」

ルカ「……そ、そうですよねぇ」


僕は、ほっと胸を撫で下ろしていた。

このお婆さんがサキュバスなんて、ロマンが壊れることこの上ない。


老婆「よく勘違いされるが、「サキュバスの村」にサキュバスなど住んでおらん」

   「住人は、みんな普通の人間なのじゃ」

ルカ「じゃあ、なんで「サキュバスの村」って名前なんですか?」

老婆「それは…… 百年に一度、サキュバスの群れが村を襲撃してくるからじゃ」

   「なぜか分からんが、奴等は周期的に襲来してきよる……」

ルカ「百年ごとに、サキュバス達が村を襲撃……?」

   「いったい、なんでそんな変な事を……?」

アリス「……それは、おそらく紫の月の影響だな」

    「紫の月の満ち欠けは、百年という長いサイクルで行われる」

    「そして満月になったとき、淫魔は強い魔力と生殖力を発揮するのだ」

    「「紫のサバト」と呼ばれるその夜は…… つまり、サキュバスの最大繁殖期」

    「連中は、その時期に合わせて活動を開始するのだろう」


老婆「なんと…… 娘さん、博識じゃのう」

   「住人の儂でさえ、そんな事は知らんかったぞ」

ルカ「もしかして、その「紫のサバト」は近いんじゃ……」

老婆「その通り、もう一週間近くまで迫っておる」

   「なので儂は、ここまで避難してきたというわけじゃ」

   「今も村に残る者達が、心配じゃわい……」

ルカ「残った村人達、サキュバス達に襲われるじゃないですか!」

   「そういう事情なら、僕も行った方が良さそうだな……」

アリス「ふむ、貴様もサキュバスに襲われに行くというわけか」

ルカ「違う、サキュバス達を倒しに行くんだよ!」

―――『グランゴルド城』

――――――――――「外交官」――――――――――

外交官「みんな、ほとんどの仕事をアリ娘に任せていますが……」

    「さすがにアリ娘を他国に派遣できませんので、外交は人間の仕事です」

    「昨日、大陸の外れにある「貴婦人の村」から戻ってきたばかりなのですよ」

ルカ「「貴婦人の村」……?」

外交官「その名の通り、美しい貴婦人達が住む小さな村です」

    「しかし、少々妙な噂がありましてね…… その真偽を確認に参ったのですよ」

ルカ「妙な噂ってのは、何ですか……?」

外交官「「貴婦人の村」に行った男の冒険者は、戻って来ないというものです」

    「女性ならば問題ないのですが、なぜだか男性だけが帰ってこない……」

    「そんな、いかにも不気味な噂です」

ルカ「なんだか、すごく怪しいな……」


その村で男だけが消えているあたり、いかにも魔物が絡んでいる感じがする。


外交官「実際に音信不通となった冒険者も存在するので、捨て置けなくなりました」

    「それで、外交官として私が向かったのですが……」

    「何のことはない、のどかで上品な村でしたよ」

    「女領主のカサンドラさんも、お美しい方でした」

アリス「カサンドラ…… だと?」


不意に、アリスは目を見開いた。


ルカ「どうしたんだ……?」

アリス「いや、別に……」


不意に口をつぐみ、目を伏せるアリス。

なにか、心当たりのある名前なのだろうか。


外交官「結局のところ、ただの噂に過ぎなかったようですね」

    「村の周囲には強い魔物が多いですから、その犠牲になったのでしょう」


ルカ「本当にそうなのかなぁ……?」

   「その村に行ってみて、詳しい話を―――」

アリス「……ならん。 その村には近付くな」


唐突に、そう断じるアリス。

その口調からして、単に面倒臭いという理由でもないようだ。


ルカ「……なんでだよ」

   「お前、何か知っているのか?」

アリス「いいから忠告を聞け」

    「その村には絶対に行くな」


なぜかは知らないが、取り付くシマもない。

ともかく、「貴婦人の村」の事は覚えておくか―――

―――『グランゴルド城下町』

――――――――――「教会に行く」――――――――――

アリ娘「アナタノタメニ、オ祈リシマス……」

ルカ「おいおい、神官までアリ娘にやらせてるのか!」


この教区の神官は、いったい何をしてるんだ……?

イリアス様がこんな光景を見たら、さぞ嘆かれるぞ。


アリ娘「オ祈リ……」

ルカ「あ、うん…… お祈りしようか……」


アリ娘と一緒にイリアス様に祈り、僕は教会を出たのだった。

――――――――――「情報屋」――――――――――

ルカ「情報屋って、もしかして……」

???「もちろん私よ……」


残念なラミアが現れた!


アミラ「私があなたの元に現れた理由…… それは愛」

    「愛♪ ○○○○愛♪ それは、○○○唄~♪」

ルカ「……やけに伏せ字が多い歌だな」

アミラ「伏せとかないと、色々と面倒でしょう」

ルカ「だったら、無理して歌うなよ……」

   「ともかく、以前にお願いした情報について聞きたいんだけど」

アミラ「新鮮な情報も、タダでお届けするわ」

    「サラマンダーの情報をお望みだったわね」

    「近くのメデューサに聞いたら、あっさり教えてくれたわ」

    「サラマンダーは、ここから南西にある「火精の火山」にいるそうよ」

ルカ「火山か……」


火の精霊には、とてもぴったりな場所。

そして、会いに行くのが厄介そうな場所でもある。


アミラ「場所が場所だけに、人間のサラマンダー目撃情報はないんだけど……」

    「魔物の間では、あそこにサラマンダーがいるのは有名だそうよ」

    「おかげで、情報集めがとても楽だったわ」

ルカ「有名? なんでだろうな……」


他の精霊達は、ひっそりと生きていた感じだった。

サラマンダーだけ、なぜ魔物達の間で居場所まで周知なのだろうか。


ルカ「ともかく…… ありがとう、アミラ」

   「とっても役に立つ情報だったよ」

アミラ「次は、何について調べればいいかしら……?」

ルカ「うん、もう別に必要な情報は―――」

アリス「オーブという秘宝のありかについて、調べてもらえないか?」

ルカ「アリス、オーブが欲しいのか……?」

アリス「ドアホめ、貴様の冒険のためだ!」

    「……いずれ、必要になる時のためにな」

アミラ「勇者様のためなら、ウェイーサッサ」

    「オーブのありかについて、情報を集めてみるわ」

ルカ「あ、うん…… お願いするよ」


なんだか分からないが、アリスが言うのなら仕方ない。


アミラ「じゃあ、そろそろ行くアミラ」

    「突然だけど、語尾に「アミラ」って付けて、安易なキャラ付けに走ろうと思うアミラ」

ルカ「そんな小細工しなくても、十分にインパクトあると思うよ……」

アミラ「じゃあ、さよならァミラ…… 言いにくっ!」

    「もう一度、さよなラミア……」

ルカ「……最後、ラミアって言ったな」

アリス「知らん、どうでもいい」


ともかく、サラマンダーの居場所は分かった。

火精の火山―――また、ずいぶんと厄介そうな場所だ。


――――――――――「道具屋」――――――――――

店に入ると、どうやら先客がいるようだ。

アリ娘「ダメ、ムリ……」

ウラミ「それなら、これでどうヨ?」

    「良心的、お値段ネ」

アリ娘「帰ッテ下サイ……」

ルカ「おいおい、店番までアリ娘に任せてるのか……」


店の奥を覗けば、店主がこちらの様子を伺っているようだ。

だらけないで、手伝えばいいのに……


ウラミ「じゃ、これも買うからこの値段じゃ駄目カ?」

アリ娘「……下ガッテル」


なんだか、気軽に買い物する気になれない。

そのまま、関わらず逃げるように店を出る僕だった。


ウラミ「よし、買ったネッ!」


アリ娘が顔を両手で覆っていた―――

――――――――――「魔導研究所」――――――――――

ルカ「うわぁ、広いなぁ……」


大広間で天井も高い、広大な研究工房。

あのゴーレム娘さえ、そのまま中に収納できそうだ。


魔導技師「あら、見学の方かしら……?」

     「あまり見せたくないものも多いから、歓迎はできないけれど」

ルカ「ここで、ゴーレム娘とかを造ったんですか?」

魔導技師「ええ、魔導科学の粋を集めてね」

     「この技術は、グランゴルドが世界で最も進んでいるのよ」

アリス「……ひとつ聞きたいのだが」

    「どのようにして、アリ娘達に命令を聞かせているのだ?」

魔導技師「国家機密だから、あまり細かくは話せないけれど……」

     「人間の命令を、女王アリの命令として認識させているのよ」

アリス「そんな事が出来るのか……?」

    「だいたい、アリ娘達の本当の主人であるクィーンアントはどこにいる?」

魔導技師「ふふっ、聞きたいかしら……?」

     「クィーンアントは、城の地下に封印されているのよ」

アリス「クィーンアントを封印だと……?」

    「人間の力で、そんな事が可能なのか……!?」

魔導技師「どうやったかは、それこそ国家機密」

     「それが出来たから、アリ娘を手足のごとく使えているのよ」


アリス「そんな馬鹿な……」

    「女王クラスの妖魔を、人間の力で封印など……」


そう呟いたきり、アリスは黙り込んでしまった。


魔導技師「それにしても、随分と知りたがるのね」

     「もしかして、他国のスパイか何かかしら……?」

     「そうだったとしても、他の国には真似なんてできないわよ」

     「全ては、最先端の魔導科学技術があってこそ可能なのだから」

ルカ「……………」


グランゴルドの魔導科学は、世界で最も進んでいるようだ。

アリスは、どうやら納得できない風だが……

――――――――――「宿屋」――――――――――

ルカ「じゃあ、宿に行くか……」


いつの間にか、すっかり夕暮れ時だ。

今日のところは、グランゴルドで一泊するとしよう―――


   ∧,,,∧
  (´・ω・)<今回はここまでや
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]




   ∧,,,∧
  (´-ω-) <次は火曜日あたりかいな―――たぶん……
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]




   ∧,,,∧
  (´・ω-) <嵐が直撃して、会社休みにならんかなぁ……
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]




   ∧∧

  (  ・ω・) <ほなな~
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



    ...zzZZ
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/


   ∧∧

  (  ・ω・)<おる?
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄







ルカ「それにしても、なんだか居心地の悪い町だなぁ……」


アリ娘達を酷使し、人間がだらけきっている町。

正直言って、良い気がするはずもない。


アリス「確かに、気に喰わんが……」

    「それより、クィーンアントをどうやって封じたというのだ?」

    「人間の兵士が束になったところで、敵う相手ではないはずだが……」


アリスがそう呟いた時、ドアがノックされた。


ルカ「……はい?」

オートマータ娘「失礼致します、サービスに参りました……」

ルカ「え……? サービスって……?」

オートマータ娘「私は、殿方の欲望を満たすために生み出された魔導人形です」

        「数々の性技プログラムや極上の人造性器により、お客様にご奉仕する事が出来ます」

        「どのようなサービスをお望みでしょうか……?」

ルカ「い、いや…… そんなの、いいよ!」


こんないかがわしい目的の魔導人形まで造られてるなんて―――


オートマータ娘「しかし、私の存在意義は……」

        「お客様に、ご奉仕を……」

ルカ「い、いらないよ……!」


何か言い掛けるオートマータ娘を渡るように、僕は強引にドアを閉めたのだった。


アリス「……人間め、ろくなモノを造らんな」

ルカ「まったくだよ」

   「これじゃ、イリアス様もさぞお嘆きになるだろうな……」

アリス「……まあ、人形の奉仕を断ったのは褒めてやろう」

    「その褒美として…… 余が、この口で快楽を与えてやろうぞ」

ルカ「え……? わ、わわっ……!!」


たちまちにして、アリスの蛇体が僕の体を巻き上げていく。

ズボンや下着は引き下ろされ、アリスの顔が僕の股間に近付いてきた。


アリス「くくっ…… 実に美味そうなペニスだ」

    「貴様のこれ、貪ってやりたいとずっと思っていたのだぞ」

    「この舌でベロベロに舐め回して、口の中でしゃぶり尽くして、アメ玉のように味わって……」

    「射精しても関係なく、口内で溶かすようにねぶってやりたいと思っていたのだ……」

ルカ「そ、そんなの……」


思わずアリスの言葉に反応し、ペニスはむくむくと大きくなってしまう。

アリスの目の前で、僕のモノは最大に怒張した姿をさらしてしまった。


アリス「くくっ…… どんな風にされるか想像したのか?」

    「だが、その想像より何十倍も気持ちがいいぞ……」


アリスの口から、唾液に濡れた舌が伸びた。

長い舌が、焦らすように肉棒に近付き―――

そして、れろり…… と亀頭を舐めてくる。


ルカ「あぅぅっ……!」


唾液がぬめっていて、そしてザラザラした舌粘膜の感触。

それが亀頭に触れ、思わず腰をびくんと浮かせてしまった。


アリス「くくっ…… とても美味いぞ、貴様のちんぽ」

    「ずっと、こうやって舐めてやりたかったのだ」

    「たっぷりと舐め回してやるから、覚悟するがいい……」


アリスの舌が伸び、にゅるにゅるとペニスに巻き付いてくる。

まるで蛇が獲物を捕らえるように、螺旋状に巻き上げてくるのだ。

……いや、僕のモノはまさに獲物。

それを、アリスの舌が捕らえてしまったのだ―――


ルカ「だ…… だめだよ、こんなの……」

   「イリアス様の五戒で、魔物との交わりは―――」

アリス「魔物との共存を唱える貴様が、なぜ魔物との交わりを禁忌とする?」

    「己の信念に従うなら、むしろ魔物と積極的に交わるべきであろう……?」


アリスが喋ると、ペニスに巻き付いた舌が不規則にうねってくる。

じゅるじゅると舌表面が波打ち、ところどころが締まり―――

それは、肉棒にとろけそうな刺激をもたらした。

その不規則な快楽に、僕は身悶えてしまう。


ルカ「あぅぅ…… しゃべらないでぇ……」

アリス「余が真面目に喋っているのに、何を悦んでいる……?」

    「情けない奴だな、貴様は……」

ルカ「あぅぅぅぅ……!」


舌をペニスで巻き取ったまま、アリスは容赦なく喋ってくる。

おそらく、僕を弄ぶためにわざとやっているのだ―――


アリス「どうした……? 喋っているだけなのに感じているのか……?」

    「まだ舌技を使っているわけでないぞ、くくくっ……」

ルカ「あぁぁぁぁぁ……!」


舌の表面の不規則な波打ち、じゅるじゅるとペニス全体を滑る舌粘膜。

その艶めかしい快楽刺激に、僕はただ翻弄されるしかなかった。

尿道口からは、先走り液がじんわりと滲み出してしまう―――


アリス「くくっ、もう雫が溢れ出したぞ」

    「貴様の垂らした雫、丹念に味わってやらねばな……」


アリスはゆっくりと口を開き―――

そして、亀頭をあむっと咥え込んできた!


ルカ「ああっ……!」


アリスの口内は、驚くほど温かかった。

ねっとりとした唾液が満ちた口内、カリを包むぽってりした唇。

口内粘膜や舌が、亀頭にぬめぬめと擦れる。

その快楽に、僕は思わず腰の力を抜いてしまった―――


ルカ「ふぁ…… あ、ぁぁ……」



――――――――――『射精』――――――――――



ほとんど暴発のように、精液が迸ってしまう。

恥ずかしい事に、口内に亀頭を咥えられた瞬間に射精してしまったのだ。


アリス「ん、むぐっ……!」

    「ごく、ごく、ごくん……」


突然の暴発にアリスは少し驚いたものの、そのまま溢れる精を飲み干していく。

アリスの口内で果て、漏らした精液を飲んでもらう―――

それは、腰が砕けそうなほどの快楽だった。


ルカ「ふぁぁぁぁ……」

アリス「んっ…… ごく、ごっくん…… ふぅ」

    「仕方のない奴だな、いきなり漏らしおって……」

    「だが、貴様の精はとても美味かったぞ」


アリスはペニスに舌を巻き付け、亀頭を咥えたまま淫らな笑みを浮かべる。

今も僕の肉棒は、アリスの支配下にあるのだ……


アリス「……しかし、まだ口技も舌技も使っておらんのに果てるとはな」

    「先端を咥えられるだけで漏らすとは、恥ずかしい奴だ……」

ルカ「あぅぅ…… しゃべらないでよぉ……」


アリスが喋るたびに、舌の不規則なうねりがペニスに甘い刺激をもたらす。

そして唇がカリを滑り、口内粘液が亀頭にぬらぬらと擦れた。

アリスにペニスを咥えられているだけでも、腰が溶けてしまいそうだ―――


アリス「では、少しばかり舌技を用いてやろう」

    「耐えられなければ、そのまま無様に垂れ流すがいい……」

    「んっ…… じゅるじゅる、じゅるり……」


肉棒に巻き付いていた舌が、にゅるにゅると蠢き始めた。

獲物を締め上げる蛇のように、サオやカリをぎゅっと締め付ける。

かと思えばペニス全体ににゅるにゅると這い回り、唾液を滴らせながら舐め回され―――

時には螺旋状に巻き付かれたまま、激しく上下に動いて扱きたてられ―――

自在に動く舌技に翻弄され、僕はあまりの快感に全身をわななかせた。


ルカ「あ……! あぅぅぅぅ……!!」

アリス「んん…… じゅるじゅる、じゅるじゅる……」

    「じゅるり…… れるれるれる、じゅぶっ……」


カリ首から下は、アリスの舌で嫐り尽くされていた。

そして亀頭は口内に咥え込まれ、そう激しくはない刺激を受けている。

温かい口の中でねっとりと唾液にまみれ、舌が優しく亀頭を這っているのだ。

カリから下の激しい舌陵辱と、亀頭に与えられるスローモーな口内刺激。

それが相まって、僕はたちまち快楽の世界に導かれた。


ルカ「ふぁ、あぁぁぁぁ……」

アリス「んっ、じゅるるっ…… くくっ、もう夢心地か」

    「それでは、そろそろ果ててもらおうか……」

    「じゅぶ…… じゅるじゅる、じゅるじゅるじゅる……」


サオに巻き付いた舌が、螺旋状に絡んだまま激しく上下運動を始めた。

柔らかな舌が締め付け、上下に扱かれている感覚―――

まるで、一気に精を搾り出そうとしているかのようだ。

そして亀頭は、口内で優しく艶めかしくしゃぶりたてられている。

アリスのおしゃぶりが段々とねちっこくなるにつれ、僕の頭は真っ白になった―――


ルカ「あ、あぁぁ……」


ぶるっと腰を震わせ―――

そして僕は、アリスの口内で降参してしまった。



――――――――――『射精』――――――――――



アリス「ん、じゅる、じゅるる…… ごく、ごく、ごくん……」


アリスはねっとりと精液を吸い上げ、そして飲み干していく。

精が搾り取られていくような吸引感に、僕は脱力しきっていた。

アリスの口で、精が吸い取られている―――

本来なら禁忌に近い行為が、驚くほど心地良い。






(´-ω-`)<カットや










――――――――――「魔導研究所」――――――――――


―――カチッ……


とある部屋の隅で、何かが動き出す。

その隅は、偽勇者が何かを細工した場所。

うなる作動音に紛れ、高度な技術にバグを組み入れるそれは―――

確実に、グランゴルド国を破滅に導くのである。


「制御不能、制御不能」

「封印術式のエネルギーラインが何者かに遮断されました」

「直ちに、エネルギーラインを修復に―――ブッ……」


警報が途切れ、誰にも気づかれることなくバグは広がっていく。

封印術式に封印されていたクィーンの思念や魔力が外に漏れ出し次々に事態が深刻になる。


偽勇者「……完璧ほど脆いモノはない良い見本だな」


その場に、一人の偽勇者が居た。

その者は、この事態を眺め愉しんでいた。


偽勇者「くくくっ…… さぁて、お仕置きの始まりだッ!」







そして、翌朝―――

宿を出て、通りを進む僕達。

相変わらず、アリ娘達は忙しそうに通りを往来している。


ルカ「本当に、アリ娘達は働き者なんだなぁ……」

アリス「女王の命令に絶対服従する習性があるだけだ」

    「しかし、それを人間の命令に置き換えて働かせるなど―――」



―――――――――― ド オ オ ォ ォ ン ! ――――――――――



ルカ「な、なんだ……!?」


次の瞬間、町全体を揺るがすような爆音が響いた。

まさか、またイリアスクロイツのテロか―――?

―――いや、違う!

ルカ「お、おい! アリ娘達が……!」

青年「え……? おい、何をするんだ……!!」

女性「ちょっと、やめてよ……! どこに連れてくのよ!」


さっきまで黙々と働いていたアリ娘達が、次々と住民達に襲い掛かっていた。

その腕力で人々を抱え上げ、どこかへと運んでいくのだ。

暴れているのは、アリ娘だけではない。

マッドゴーレム娘までもが、人々に襲い掛かっていた。

たちまち周囲はパニックになり、逃げ惑う人々の悲鳴がこだまする。


ルカ「まさか、反乱……? アリ娘や人造モンスター達が……?」

アリス「やれやれ、言わんことではない……」

    「魔物を奴隷扱いするからこうなるのだ」

アリ娘「……………」

男A「や、やめろ……! 離せぇ……!」


その怪力で人々を掴み上げ、どこかへさらっていくアリ娘達。


マッドゴーレム娘「精力…… 補給……」

男B「ひぃぃ…… 助けてぇ……!」


男の体を、その泥の肉体で覆い包んでしまうマッドゴーレム娘。


青年「ど、どうなってるんだ……!」

女性「た、助けてぇ……!!」


人々は悲鳴を上げて逃げ惑い、逃げ遅れた者からアリ娘に連れ去られていく。

悲鳴は、周囲一帯から―――グランゴルドのあちこちから響いてきた。

城下町全体で、この異常事態は発生しているようだ。


ルカ「まずい、何とかしないと……!」

アリス「……ふん、因果応報もいいところだな」

    「魔物達を奴隷扱いした、当然の報いだ」


逃げ惑う人々を尻目に、アリスはそう言い放つ。

その気持ちも、確かに分からないではないが―――


アリス「貴様も、あまりのんびりしてはいられない立場のはず」

    「余計な事に首など突っ込まず、この町を去るぞ」

ルカ「放っておけ、って言うのか……?」


こうしている間にも、グランゴルドの人々は反乱した魔物達に襲われている。

それを見捨てるなんて、あんまりだと思うが……


アリス「この町の人間が、魔物達を酷使していた事を忘れたのか?」

ルカ「そ、そうだけど……」



【この状況を前に、僕は―――】


○それでも放ってはおけない

○自業自得だ、放っておこう







朝日が昇り、その一筋の光がクラリスを目覚めさせる―――

宿のベッドで丸くなり、その光を拒むが渋々と起き上がる。


クラリス「……朝ですか」


クラリスは、寝ぼけたまま周囲を見回すが目的の人物がいないと分かると顔を洗い始める。

そして、さっぱりしたところで今日の予定を思い出しながら朝食をとるのであった。


クラリス「あにさん、今日は大仕事だからって一人夜遅くにどこかに出たまんま……」

     「ボクも一緒に行きたかったな……」


ぶつくさと文句を言いつつ、のんびりと朝食の後片付けをし―――

そして、宿の窓からぼんやりと空を眺めつつトレーニングを行う。


クラリス「……いつになったら、大仕事が始まるのかな」

     「暇だな……」


腹筋、腕立て、懸垂と一通りの基本的なトレーニングを終えるとそのまま床に横になる。


クラリス「早く体を思いっきり動かし―――」



―――――――――― ド オ オ ォ ォ ン ! ――――――――――



クラリス「ひゃっ……!?」


次の瞬間、町全体を揺るがすような爆音が響いた。

誰かが、ガスの元栓を閉め忘れたの―――?

そして、宿の窓から外の周囲を見据える。


クラリス「え、えぇぇぇ……ッ!?」

青年「え……? おい、何をするんだ……!!」

女性「ちょっと、やめてよ……! どこに連れてくのよ!」


黙々と働いていたアリ娘さん達が、次々と住民の皆さんに襲い掛かっていました。

アリ娘さん達は働いていて筋力が付いたのでしょうか、人間達を軽々と持ち上げ運んでいます。

それに、暴れているのはアリ娘さんだけでなく―――

マッドゴーレム娘さん達も暴走していました。

町の人間達が敵う訳もなく、逃げ惑い悲鳴が響き渡ります。


クラリス「……これがあにさんが言っていた大仕事ですか?」

     「でも、なぜこんな―――」

少年「うわぁぁぁん!」

アリ娘「発見、確保シマス」


一匹のアリ娘が、少年を確保するために近付き、その腕力で抱え上げようとする―――が……


――――――――――『ねこだまし』――――――――――


突然に現れた第三者の"ねこだまし"によって、目をつぶらされてしまい―――


――――――――――『空気投げ』――――――――――


天地をひっくり返され気絶させられてしまった。


クラリス「―――考えてる暇もないってことですかッ!!」


クラリスは、後ろを振り向くと少年の様子を見る。

涙目ではあるが、怪我などはしていないようだ。

ホッと安心し目線を少年に合わせると、にっこりと微笑む―――少年は頬を染めた。


クラリス「大丈夫ですか?」

     「どこか痛いとかありますか?」

少年「え…… ううん……」

クラリス「そっか……」

     「それは良かったです♪」

     「さあ、早く逃げてください」

少年「お、お姉ちゃんは……?」


駆けようとすれば、少年から呼び止められる。


クラリス「ボクは、まだ他の人を助けないといけません」

少年「そんな―――危ないよッ!」


少年が心配しているのか、また涙目になる。

クラリスは、困った顔して頬をポリポリと掻く。


クラリス「今、この町で何が起こっているか詳しくは分かりません」

     「でも、分からなくても誰かを助けることは―――」

     「―――できますッ!!」


――――――――――『鬼走り』――――――――――


少年の後ろに迫っていたアリ娘達を複数まとめて転ばせた。

頭から落ちた者、背中から落とされた者、いろんな形でまとめて落とされたために体が重なり合い思うように動けなくなってしまう。


クラリス「さあ、ここは危険です」

少年「……………」

   「うんッ!」


少年はクラリスに言われた通り、その場から走り去る。

クラリスはその後ろ姿を眺めつつ、見えなくなったところで駆け出す。

大仕事の意味とは、グランゴルド城を攻め落とすことなのか、それとも―――


クラリス「……………」

     「……あにさん、なんでこんなことを―――」


クラリスは、襲い掛かるアリ娘達を相手にしつつ城へと向かうのであった―――







『それでも放ってはおけない』

ルカ「確かに、自業自得かも知れないけど……」

   「だからといって、放っておけないよ!」

アリス「……まあ、そう言うだろうとは思っていたがな」

    「しかし、この数を相手にどうするつもりだ?」

    「アリ娘達は、グランゴルド全域で暴れているのだぞ……?」

ルカ「分かってる、やみくもに戦ったりはしないよ」


もちろん、僕もそこまで馬鹿じゃない…… いちおう。

敵一体を必死で倒している横で、十人も二十人も誘拐されていては話にならないのだ。


ルカ「アリ娘は、女王の命令に絶対遵守するって言ってたよね」

   「そして人間の命令を、女王の命令として認識させてるって」

アリス「ああ、今はこの有様だがな」

ルカ「そんなアリ娘が、人間の命令を聞かずに反乱を起こしたって事は……」

   「つまり、アリ娘達の女王がやらせているって事じゃないかな」

   「それなら、クィーンアントを押さえればアリ娘達も止まるはずだよ」


アリス「……ふむ、貴様の推論は当たりだ」

    「この反乱を指揮しているのは、クィーンアントで間違いない」

    「貴様は感じないだろうが、女王の命令音波が城下町一帯に行き渡っておるのだ」

    「これで働き蟻に命令を出すと同時に、人造モンスターの思考回路をも乱しているようだな」

ルカ「なるほど…… マッドゴーレム娘まで暴走してるのは、それが原因か」


クィーンアントは、確か城の地下に封印されているという話だ。

封印が解けてしまったのかどうなのかは分からないが―――

とにかく、行ってみるしかない!


ルカ「じゃあ僕は、グランゴルド城に行くよ」

アリス「やれやれ、相変わらず人助けが好きな奴だ」

    「いつもの事だが、余は手伝わんぞ……」


そう言い残して、アリスは姿を消した。

こちらとしても、魔王に手伝ってもらう気はない―――


ルカ「よし、行くぞ!」


グランゴルド城に向かい、僕は大通りを駆け出した。

群れ寄ってくるアリ娘を避けながら、一直線に通りを進む―――

すると、道を塞ぐ巨体に突き当たった。

暴走しているマッドゴーレム娘が、僕の前に立ちはだかったのだ。


マッドゴーレム娘「エラーコード412、精力の不足……」

         「眼前に男性を確認、精液の採取を開始……」

ルカ「完全に暴走してるみたいだな、こいつ……」


マッドゴーレム娘を見上げ、僕は剣を抜いた。

グランゴルド城に向かうには、この巨人を倒すしかないようだ。

……
………
………
……

マッドゴーレム娘「機能、停止……」


マッドゴーレム娘は泥の塊となって崩れた!


マッドゴーレム娘をやっつけた!


ルカ「はぁはぁ、急がないと……」


こんな魔物まで暴れている状況では、一刻の猶予もない。

僕は、城の方向へと駆け出していた。

そして、宿屋の前を通り掛かったとき―――

その入り口から、一体の人造モンスターが姿を見せた!


オートマータ娘が現れた!


オートマータ娘「いらっしゃいませ、お客様」

        「ご奉仕をお受けになられますか……?」

ルカ「いらっしゃいませ、って……」


自分で宿から出て、僕の前に立ち塞がっているのに―――


オートマータ娘「了解致しました、極上の快楽をお楽しみ下さい」

        「射精回数、300000回の設定となります」

        「それでは、ご奉仕を開始します……」


開け放たれた扉から、宿の中に目をやると―――

なんと、何人もの男達が倒れていた!

みんな下半身を露出し、衰弱しきっている様子。

おそらく、このオートマータ娘にやられたのだ。


オートマータ娘「ご奉仕を開始します……」

        「ご奉仕を開始します……」

        「ご奉仕を開始します……」

        「ご奉仕を……」

ルカ「……こいつも、暴走してるのか!」

……
………
………
……

オートマータ娘「ご主人様…… なぜ……」


オートマータ娘は動かなくなり、その場に倒れ伏した!


オートマータ娘をやっつけた!


ルカ「まずいぞ、急がないと……!」


この分では、人造モンスターもあちこちで暴走しているだろう。

早く事態を収拾しなければ、被害は広がるばかりだ。

僕は再び、城の方へと駆け出したのだった―――





グランゴルド城に向かい、駆け出していたクラリス。

しかし、土地勘がないためにどの道が城へと続く道なのか分からなかった。

一直線に進めば行き止まり、右を曲がればアリ娘の集団に突き当たる。

アリ娘も数がとてつもなく多くヘタに進めば追いかけてくる数も増えてくる。


アリ娘A「捕マエル」

アリ娘B「捕ラエル」

アリ娘C「捕縛スル」

クラリス「し、しつこいですよ」

     「いい加減にしてくださいッ!」


――――――――――『ぶちかまし』――――――――――


その脚力でアリ娘達の集団に強く体当たりする。

アリ娘達は、そのパワーに押し負けある者は壁に叩き付けられ、ある者は民家の窓を突き破り、ある者はゴミ箱を撒き散らす。


クラリス「はぁはぁ、どうですか!」

     「……げっ!?」


今の衝撃に気付いたのか、それとも元々姿を隠していたのかあちらこちらとアリ娘の集団がわさわさと出てきた。


アリ娘D「赤ガ好キ?」

アリ娘E「青ガ好キ?」

アリ娘F「ソレトモ白ガ好キ?」

クラリス「……きりがありませんね」

     「ここは、逃げるが勝ちです!」


クラリスは、城が見える方向を確認しつつアリ娘達を弾き飛ばし空いた道を駆け出した。





アリ娘α「タクサンノ捕虜、女王様ニ捧ゲル……」

アリ娘β「良質ノ遺伝子ノ主ハ、女王様ノ生殖相手……」

     「ソウデナイ者ハ―――」

偽勇者「そうでない者は―――何だ?」

アリ娘β「!?」

グランゴルド王「おお、勇者ユウ」


偽勇者は、グランゴルド王と震えている男性達に見据えた後にアリ娘達と対峙する。


偽勇者「さあ―――」

    「―――」

【偽勇者のセリフ】

↓~2


>>アリ娘達と対峙する× >>アリ娘達に対峙する○
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

        Λ_Λ . . . <あかん、素で間違えたわ……
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .:<どないしよ……
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)<うん、安価は無効にさせてもらうわ―――すまぬ、すまぬ……






大阪|・ω・`)<ほなな~

大阪|・ω...:.;::.. 大阪|・;::: .:.;: サラサラ..


偽勇者は、グランゴルド王と震えている男性達に見据えた後にアリ娘達の前に立ちはだかる。


偽勇者「さあ―――」

    「排泄は済ませたか? 女王に挨拶は? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK?」


アリ娘達は各々が構え―――


アリ娘γ「マズ、オ前ヲ捕マエル……」

アリ娘δ「ソレカラ、ミンナ女王様ニ献上スル……」

アリ娘ε「オ前モ…… 女王様ニ献上スル……」


――― 一斉に襲い掛かってきた。


グランゴルド王「危険だ、勇者ユウ!」

        「いくら君でもこの数では……ッ!」


天井から、床から、壁から、外から溢れ出るアリ娘達。

その数は、パッと見て30匹―――正に数の暴力。

しかし……


偽勇者「……お忘れか、グランゴルド王」


無表情のアリ娘達は、ただ伝えられた命令通りに動くのみ。


偽勇者「俺は、とある魔物と戦った勇者―――」


偽勇者はロトの剣を構え、ぐるっと下から上へと突き上げるように回転させた。



――――――――――『ショック』――――――――――


アリ娘達の足元に亀裂が入り、膨大なる闘気が城の一部と共にアリ娘達を一掃する。

魔物だからか、それとも手加減したのかアリ娘達の体は五体満足であった―――

しかし、その身には素人でも分かる程に大怪我を負っていた……


偽勇者「この程度、苦とも感じません……」

    「さあ、住民よ逃げなさい」

    「ここは、俺にお任せを……」

青年「え……? に、逃げる……?」

おじさん「お、おう……」

グランゴルド王「……皆の者、ここは勇者ユウに任せるのだ!」

        「さあ、私の後に続け!!」


そう王が叫ぶと、マントを翻して颯爽と城から飛び出していく。

ここまでは予定通り、後は王が男を見せる場面だが―――

思考しているとそれに続いて兵達、住民達も―――全て王に続き、一斉に逃げ始めた。



――――― 「化け物……!」 ―― 「可哀相……」 ―― 「あれが人間なのか……?」 ―――――



逃げる者の中にはそう呟く者も少数いたが―――


偽勇者「……………」

    「力を持たぬ弱者が……」


俺はそう呟き、己の姿を完全に隠すのだった―――


大阪|・ω・)<短いけど今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:明日は休みやで


        ゴガギーン
             ドッカン
         m    ドッカン
  =====) ))         ☆
      ∧_∧ | |         /          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (業務)| |_____    ∧_∧   <  おらっ!出てこい、仕事だぞ!
     「 ⌒ ̄ |   |    ||   (残業 )    \___________

     |   /  ̄   |    |/    「    \
     |   | |    |    ||    ||   /\\
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ゲソッ|ヽ・ω・)<みなはん、おるー?







ルカ「……アリ娘達も、行き先は同じなのか?」


グランゴルド城へと向かう途中、奇妙な事に気付いた。

人々を抱え上げたアリ娘達も、みな城へと向かっている様子なのだ。


ルカ「どうやら、グランゴルド城に人を集めてるみたいだな……」


アリ娘達の女王は、城の地下に封印されているという話だ。

おそらく、その女王の元に人間を集めているのだろう。

何を企んでいるのかは分からないが、とにかく急がないと―――


ルカ「よし、もう少しだ―――」



―――――――――― ド オ オ ォ ォ ン ! ――――――――――


ルカ「な、なんだ……!?」


大混乱に陥っている大通りを突っ切ろうとした瞬間、グランゴルド城から凄まじい力が噴き出した。

その力は城の一部を粉砕し、大混乱に陥っていた住民やアリ娘達はその光景を目撃し静粛する。


ルカ「一体、城では何が起きているんだ!」


僕はグランゴルド城へと突入するのだった。







クラリス「な、何なんですかっ!?」


ボクがアリ娘達の追撃を振り切るために屋根の上を移動していたら、グランゴルド城から膨大なる闘気を感じました。

あの反則な力は―――もしかしてあにさんが……


クラリス「もう!」

     「一体何が目的なんですか!!」


あにさんの目的が全く分からない自分にイラつきながら、グランゴルド城へと向かう。

そして―――


クラリス「―――あの方は……」

     「グランゴルド王……?」







開け放たれている城門を通り、城の中へと飛び込む。

城内の彼方此方は崩壊し、建物としての役割がほとんど機能していない。

そして何よりも、傷つき倒れたアリ娘が何十体も転がっている―――


ルカ「これは、酷い……」


僕はアリ娘に駆け寄りその容態を確かめる。


ルカ「もしもし、大丈夫か?」


肩をたたき、意識を確かめるが返事はない―――しかし、胸が上下に動いているから死んではない。

今すぐにでも、助けたいが―――


ルカ「先にクィーンアントをどうにかしないと」

   「このまま争い続けたら、人も魔物も被害が増すばかりだ」


倒れているアリ娘にマントを掛けてやり、地下への階段を探すも……

この広大な城で、地下への階段を探し歩く暇はない。

尋ねられるような者もいない今、どうしたものか―――


アリス「……こっちだ、ルカ」

    「クィーンアントの魔力が、こちらから漏れ出ている」

ルカ「……ア、アリス?」


唐突に現れたと思ったら、アリスは僕を城の奥へと導いてくる。

僕は慌てて、地下への階段へと踏み込むアリスの後を追ったのだった―――







ルカ「でもアリス、どういう風の吹き回しなんだ……?」

   「僕を助けないんじゃなかったのか……?」

アリス「そのつもりだったが、今回は少し引っ掛かるのだ」

    「人間の力で、クィーンを今までどう封印してきたのかがな……」


階段を降りながら、アリスは表情を曇らせる。


アリス「それに、ゴーレム製造などの技術……」

    「あのようなものを、人間が手にしているのも不可解だ」

    「魔王として、確かめておかねばならん―――」


アリスがそう呟いた時―――

心の中に、おかしな三人の姿が浮かび上がった。


シルフ「自由に空を 飛べるけど~♪」

    「からすの勘○郎じゃ ないよ~♪」

ルカ「どうしたんだ、シルフ……?」

   「なんだか、様子がおかしいぞ……?」

アリス「そうか? 普段からこんなものだと思うが……」

シルフ「スーがスーッと消えて パー○ンさ」

    「君のクラスの 一番うしろ 一番うしろぉぉぉ!!」

ウンディーネ「……強固な結界と残留した力の影響ね」

       「もともと空っぽだった頭に、変な智慧が入り込んだみたい……」

ルカ「そこまで強力な結界や力が―――」

シルフ「パパパパパーマ○は そこにいるぅぅぅ!!」

    「パパパパパーマ○はぁぁぁ そこにいるぅぅぅ!!!!」


――――――――――『ノームの平手打ち』――――――――――


シルフ「痛っ!」

    「パー子の正体は―――」

    「―――星野……」

ノーム「……………」


ノームは平手を構え―――


――――――――――『ノーム百裂平手拳』――――――――――


肉眼で捉えることができない無数の平手がシルフを叩き落とすっ!


ルカ「おいおい……」


ともかく、シルフが気の毒な事になるくらい強固な結界が展開されているのだという。

警戒しながら、僕とアリスは長い階段を降りていったのだった。

クィーンアントの封印されているという、最下層のフロアを目指して―――







ルカ「な…… なんだ、これ……!?」


グランゴルド城の地下は、まるで異世界のようだった。

うなるような作動音を上げる、意図の分からない機械装置。

壁や装置に備わった画面は明滅し、謎の文字や数式を映し出している。

今まで目にした事もないほど高度な技術が、この場所には惜しみなく使われていた―――


アリス「まさか、人間にこれほどの技術力が……!?」


さすがのアリスも、驚きを隠せないようだ。

ここまで高度なテクノロジーが、グランゴルドにあったなんて……


魔導技師「ど、どうなってるのよ……!?」

     「なんで、制御が効かないの……!?」


そこに、分厚いマニュアルみないなものを読みながら装置のようなものを必死で操作している魔導技師がいる。

僕は彼女の元に駆け寄り、問い質した。


ルカ「この設備は、いったい―――」

   「いや…… 今、何が起きているんだ!?」

魔導技師「わ、分からないのよ……!」

     「封印術式が破られ、制御できなくなったの!」

     「すでに思念や魔力が外に漏れてるし、このままじゃクィーン本体も……!」

アリス「おい貴様、少し聞きたい事がある」

    「ここの装置や設備は、本当に貴様達が開発したのか……?」

魔導技師「はぁ? 今は、そんな事を言っている場合じゃ―――」

アリス「答えよ! ここの設備は何だ!?」


――――――――――『魔眼』――――――――――


アリスの目が妖しい光を放ち―――

それを見た魔導技師は、その魔力に囚われてしまった。


魔導技師「……ここの技術は、私達が開発したものじゃないわ」

     「無償で技術供与を受けたものなの……」

アリス「無償で技術供与だと?」

    「いったい、何者からだ……?」

魔導技師「それは…… 私も知らないのよ」

アリス「嘘を言うな、知らない奴がタダでくれたとでも言うのか!」

    「いや…… その状態だと、嘘は言えんのだったな」

    「どういう事か、説明してもらおうか」

魔導技師「あれは、五年前の事よ―――」


――――――――――『魔導研究所:五年前』――――――――――

魔導技師「また失敗ね……」

     「フラスコの中で造られた人造生命は、数分しか存在を許されない……」

     「いったいどうすれば、その寿命を延ばせるのかしら……」

???「ホムンクルスの生成、随分と苦心しているようだな……」

ウラミ「ホムンクルスの生成は、理解するまでが難しいからネ」

魔導技師「……あなたは? ここは、関係者以外立ち入り禁止のはずよ」

???「人造生命の寿命が短いのは、魔素の濃縮が足りんからだ」

ウラミ「この程度の設備じゃ、魔素圧縮の維持など到底無理だネ……」

魔導技師「確かに、圧縮状態での維持で詰まっているのだけれど……」

     「ここの設備は、世界でも最新式なのよ」

???「では、その最新式とやらより進んだ技術を供出しよう」

    「ウラミ……」

ウラミ「はい、分かりました…… ヨ……」

    「小型の魔素濃縮炉だ、大事に使えヨ」

魔導技師「何言ってるの? 魔道具の売り込みのつもり?」

     「だいたい、あなた達は何者なのよ」

???「私の名はプロメスティン」

    「かつて、ヒトに「火」を与えた者―――」

ウラミ「私の名前は、ウラミですヨ」

    「ご機嫌よろしゅう頼むネッ!」


――――――――――――――――――――


アリス「何者だ? そのプロメスティンという女とふざけた格好の奴は……?」

ルカ「……………」


そのプロなんとかの特徴は、僕にも覚えがある。

北のお化け屋敷で見た謎の女性と同一人物のようだ。

それに、そのエセ関西弁を喋る人物も道具屋で見たような―――


魔導技師「最初は、在野の魔導師コンビが売り込みに来たのだと思ったわ」

     「でも…… 彼女達が供出した魔素濃縮炉は、とんでもないものだった」

     「ほとんど原理不明の、いわばオーバーテクノロジーの産物」

     「あまりに高度過ぎて、原理も分からないまま使わざるを得なかったわ」

     「それからも、プロメスティンからの技術提供とウラミのご教授は続いたの」

     「特殊磁場発生システム、空間位相転移技術、他にも色々……」

     「そうしてグランゴルドは、わずか数年で魔導科学立国への道を歩んだ」

     「それは我々の素晴らしい研究成果、王までがそう思い込んでいたの」

     「……その実、私達が生み出した技術は何もない」

     「借り物のテクノロジーを、原理不明のまま使っていただけなのよ」


アリス「どういう事だ……?」

    「そのプロメスティンとは、ウラミとは、いったい何者だ……?」

魔導技師「私達は、一方的に技術を供出してもらうだけの立場なの」

     「向こうのことを詮索しないというのも、技術供出の条件」

     「だから、我々はいっさい何も知らされなかった……」

アリス「しかし、なぜこれだけの技術を無償で提供した?」

    「いったい、何の目的があるというのだ……?」

魔導技師「技術提供の目的は、稼働テストのためだと聞いているわ」

     「クィーンアントの捕縛を指示され、そのためのデータを求められたの」

     「最終的には、最高クラスの魔力を持った存在―――」






―――「 魔 王 を 封 じ る た め と プ ロ メ ス テ ィ ン は 言 っ て い た わ 」―――





大阪|・ω・)<短いけど今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


     ∧ ∧ 。
  ゚  (*・ω・)っ゚<みなはん、おるー?
。   (っ Οノ
      `J´


アリス「なんだと……!?」

魔導技師「……あれ? なんでこんな時に、こんな話を……?」

     「ああっ、メインシステム制御不能……!?」

     「封印が解除された…… も、もう手に負えないわ!」


正気に戻った魔導技師は、脱兎のように逃げ出してしまう。

その背中が見えなくなるのと同時に、異様な圧迫感が周囲へと広がった。


ルカ「この気配は…… クィーンアントか」

   「どうやら、本当に封印が解けたらしいな……」

アリス「貴様にも、それが分かるようになったか」

    「ともかく、さっきの話は……」

ルカ「色々と気になる事はあるけど、今は目の前の危機の方が先だ!」


僕は剣を抜き、敵の襲来に備えた。

怒りと敵意に満ちた気配が、こちらに近付いてくるのだ―――


アリス「……そうだな」

    「この反乱劇も、魔王として放置はできんようだ」

    「……少しばかり、席を外すぞ」

    「この場は、貴様に任せる」


そう言って、アリスは姿を消してしまった。

放置できないと言った割には、いつものように高見の見物か……?


ルカ「そんな事を言ってる場合じゃないな、これは……」


どんどん近付いてくる、怒気をはらんだ気配。

僕は生唾を飲み、剣を構えた。

そして―――とうとう目の前に、気配の主が現れた!


クィーンアント「妾は、一万の蟻を束ねる女王……」

        「人間よ、妾の前に立ちはだかる汝は何者です?」

ルカ「……僕は、ただのニセ勇者だよ」

   「あんたが、この反乱を指示してるんだな?」

クィーンアント「……ええ、その通りです」

        「長い封印の間に妾の思念は強まり、外部にまで届くようになりました」

        「それを我が子達に伝え、人間と戦うよう指示したのです」

        「妾自身もようやく脱出が成り、後はあの人間を討伐すれば、もはや我が眷属を縛るものは何もありません」


あの人間を討伐……?

軍隊を送り込まなければならないほどの人間がこのグランゴルドに―――いや、今はそんなことを考えている時じゃない。


ルカ「このグランゴルドは、大変な騒ぎになってるんだ」

   「正直、あんたに文句を言う気は起きないけど……」


自分の子供達が、あんな使われ方をしていたのだ。

深い怒りを抱くのも無理はないが―――


ルカ「でも…… こんなひどい事はやめてほしいんだ」

   「どうか、この町の人間達を許してやってくれないか……?」

クィーンアント「……許せません」

        「機械装置の封印に閉じこめられ、娘達を奴隷のように酷使される―――」

        「―――その怒りが、汝に分かるのですか?」

        「人間ごときに、愛する娘達をひどい目に合わされた悲しみが!」

ルカ「……………」


軽々しく、分かるなんて言えない。

彼女の言う苦しみは、同じ目に合った者しか理解できないだろう。

それでも―――


ルカ「……頼むよ、こんな復讐なんてやめてくれ」

   「この町の人達も悪かったけど、これじゃあんまりだよ……」

クィーンアント「ふっ、戯れ言を…… この町は、もはや妾と子供達のもの」

        「これからは、人間が妾達の奴隷なのです」

        「そして若いオスは、妾や娘達の性奴隷」

        「イキの良さそうな汝も、妾の性奴隷にして差し上げましょう―――」

ルカ「……戦うしかないのか……」


予想はできていたが、女王の怒りは深い。

この場を、言葉で納める事はできないようだ―――


クィーンアント「ふふっ、戦うつもりなのですか……?」

        「蟻の女王に対し、たかだかヒト風情が……」

ルカ「僕は、あんたを悪党だとは思っていない」

   「あんたの怒りには、正当な理由がある……」

クィーンアント「ならば、なぜ妾に剣を向けるというのです……?」

ルカ「城を一つ丸ごと征服すれば、人間側だって黙っちゃいない」

   「各国から、このグランゴルドに解放軍が押し寄せてくるだろう……」

   「そうなれば、人間と魔物の大戦争が起きるよ」

   「そうやって、憎しみや報復は連鎖となって続くんだ……」

クィーンアント「……だから、妾の怒りは黙って呑み込めと?」

        「汝は加害者を哀れみ、被害者に寛容を説くのですか?」

ルカ「今日までは、確かにあんたが被害者だけど……」

   「ここまで暴れれば、それももう違うよ」

   「ここから先は、増悪と報復の泥仕合にしかならない」

   「そうなる前に、僕が止めてみせる!」


クィーンアント「ふふっ…… 勇ましい汝が、妾に抱かれて悶えているところ……」

        「ぜひとも、見せてもらいましょうか……」







―――許す、許さない。

―――被害者、加害者。

―――分かる、分からない。

―――なんて、愚かな問答なのだろうか。


俺は姿を隠し、小僧とクィーンアントの問答を見聞きするが―――程々呆れるわ。

戦いとは、許すや許さない程度のことなのか?

戦争での犠牲で、被害者? 加害者?―――関係あるかそんな理屈。

剣を、拳を、斧を、魔法を、棍棒を、包丁を、岩を、矢を、憎しみを、恨みを、怒りを、呪いを、憎悪などを振り上げ許されるのは、勝者のみ……

敗者は何も許されない、勝者の思うまま―――


偽勇者「「機械装置の封印に閉じこめられ、娘達を奴隷のように酷使される―――」だと……?」

    「「―――その怒りが、汝に分かるのですか?」だと……?」

    「俺ならばこう答えよう―――」

    「分からん、分かりたくもない―――敗者の最後など知りたくもない……」


そもそもクィーンアント共が、人間"ごとき"に負けたのが悪いのであろう?

それを、加害者、被害者なんちゃらこんちゃらと唱えおって―――

まあ、奴隷は俺もあまり好きではない―――高見の見物をさせてもらうとしよう。


偽勇者「くくくっ…… さて、どう動く?」







クラリス「―――あの方は……」

     「グランゴルド王……?」


グランゴルド城から走っている偉そうな服装をしたもやしっぽい王―――グランゴルド王。

どうやら、あの闘気はグランゴルド王を救うためにあにさんが放ったっと見て正しいようです。

……あにさんが、救ったのですからこのまま逃げるお手伝いをするのが正しい判断と思いますが―――


クラリス「……あの王には、言わなければボクの気が済みません!」


ボクは、屋根からグランゴルド王の目の前に降り立つ。

大きな音を立てながら着地したので、グランゴルド王はかなり仰天し尻餅をついたようです。


グランゴルド王「わわわ…… よ、妖魔……!」


―――むっ……


クラリス「妖魔とは失礼なっ!」

     「ボクにはクラリスという立派な名前がありますっ!」

グランゴルド王「えっ…… わ、分かった……」

        「クラリスだな―――」

クラリス「そうです、クラリスです」

     「っと、そんなこと言ってる場合ではありませんでした」

     「グランゴルド王、このアリ娘さん達の反乱を心配したほうがいいのでは?」


ハッとした表情で、頭を抱えた王は苦慮し絶望する。


グランゴルド王「ど、どうしてこんな事になったんだ……」

        「私達は、何も悪いことなんてしていないのに……」

クラリス「……………」

     「……本当に、何も悪いことなんてしていないと思ってますか?」

グランゴルド王「……えっ?」


ボクは溜め息を吐き、立ち上がり王から離れていきます。

無自覚がこれまでイラつかせるなんて―――勉強って大切なんですね……

そして、思い出したかの様に後ろを振り返り―――


クラリス「あっ、王達の前途はとても暗いですよ」

     「あにさんが戦っているから負けることはありませんが―――」

     「―――本当の答えは二度と手に入りません」

     「これから貴方は、絶対に手に入らない答えを探すために無駄なことを繰り返すでしょう」

     「……そして、恨み、憎しみなどの負の感情が貴方を殺すでしょう」


グランゴルド王「そ、そんな…… なんてひどい事を言うんだ……」

クラリス「……まったく」


ボクは、足下に落ちていた鏡を拾いグランゴルド王に突き付けその姿を映す。


グランゴルド王「な、何を……」

クラリス「……もう一度、今のセリフを言っていただけますか?」

グランゴルド王「何故……」

クラリス「―――」


【クラリスのセリフ】

↓~2


   ∧,,,∧
  (´・ω・) <今回はここまでや
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


   ∧,,,∧
  (´-ω・) <台風やから、気ぃつけや―――ほなな~
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


   ∧,,,∧
  (´-ω・) <みなはん、おるー?
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


クラリス「その鏡に映っている方は、なにが欠けていると思いますか?」

グランゴルド王「欠けて…… いる……?」

クラリス「魔物をいいように操る技術がどれだけのものかは知りません……」

     「けど、外部の魔物の手引きとかで暴走が起こる可能性も十分ありましたよね?」

     「アリ娘さん達が暴走した場合に備えての準備を全くしてこなかったから、今の惨劇が起きているんです」

     「民を護り、導いてこその王様です。 何もしない王様なんて、本当に王様ですか?」


グランゴルド王は顔を俯かせ、目を静かに閉じる。


グランゴルド王「私が…… 王として……」

クラリス「……まだ、何かをする時間は残ってますけど、どうしますか?」


グランゴルド王には、もう情けない姿はない。

自分の足で立ち上がり、逃げてきた城にまた駆け戻るのだった。

王として成すべきことを成すために―――


クラリス「……はあ、世話が掛かりますね」

     「それと……」

アリ娘A「捕マエル」

アリ娘B「捕ラエル」

アリ娘C「捕縛スル」


ゾロゾロと彼方此方から湧き出てくるアリ娘さん達、たぶん狙いはグランゴルド王でしょうが―――


クラリス「……邪魔する義理も義務もありませんが」

     「一人の者が、立派になる瞬間を邪魔するならば―――」


クラリスは力強く構え、アリ娘達に牙を向く。

その姿に、アリ娘達は危機を感じ一歩下がる。


クラリス「―――そう、動かないでください」

     「時期、戦いも終わりますので……」


龍人特有の力、本能、今ここにも成長する魔物がいたのだった―――







クィーンアント「ううっ…… なんという力……」


クィーンアントをやっつけた!


ルカ「……………」


僕は刃をクィーンアントの喉元に突き付け―――

そして、剣先を止めていた。


ルカ「……頼むから、もうこんな事はやめてくれ」

   「さもないと、あんたをまた封印しなきゃいけなくなるんだ」

クィーンアント「……命乞いをする気もないし、復讐をやめる気もありません」

        「この町を支配し、全ての人間を奴隷とするまで妾の気は晴れないのです」

ルカ「……………」


仕方ない、命まで奪うわけではないのだ。

しばらくの間、封印させてもらう―――

僕が剣でクィーンアントを斬ろうとした、その時だった。


アリス「待て!」


その場に飛び込んできたのは、アリスだった。

しかも、その背後にはグランゴルド王も立っていた。


クィーンアント「……何者です、汝は?」

        「妖魔が、こんなところに何の用件で―――」


クィーンアントはまじまじとアリスの顔を眺め―――

その顔が、驚きの表情で硬直した。


クィーンアント「まさか…… 貴女様は!?」

アリス「いかにも、貴様が悟った通りだ」

    「しかし余の素性など、今は関係がない」


そう言いながら、アリスはグランゴルド王を前に押し出した。


アリス「少しばかり、この男から話があるようだ」

    「クィーンアントよ、とりあえず聞くがいい」

クィーンアント「了解致しました…… 貴女様の命令ならば」


クィーンアントはうやうやしく頷いた後、一転して怒りの眼差しをグランゴルド王に向けた。


ちょい、風呂タイムや


クィーンアント「……話とは何なのです!?」

        「妾が最も虐げたい人間は、この国の王である汝なのですよ!」

グランゴルド王「……それなら、ちょうどいい」

        「この僕が、あなたの奴隷になるよ」


クィーンアントの前に立ち、おずおずと告げるグランゴルド王。

その様子は、さらに女王を激高させた。


クィーンアント「……ふざけているのですか?」

        「汝も王たる者なのでしょう、誇りはないのですか!?」

グランゴルド王「ふざけてなんかいない、本心だよ」

        「その代わり…… 町の他の者は許してやってくれないだろうか」

クィーンアント「……なるほど、交換条件というわけですか」

        「そんな虫の良い条件で、妾が首を縦に振るとでも?」

        「汝達人間が、我が子達にどれだけの労苦を強いたか知らないとは言わせませんよ!」

グランゴルド王「知ってるよ…… 知っていて、今までやらせてきたのだから」

        「今さら許せなんて、都合の良い話だと分かっている……」

クィーンアント「ならば、なぜ……!」

グランゴルド王「……私達は、気付かなかったんだ」

        「あなた達アリ娘を、感情のない無機物同然だと思っていた」

        「手足のように働いて当然の、人形のような存在だと思っていたんだよ」

        「そしてその女王は、まるで人間の感情の及ばない悪魔のような存在だと思っていた―――」

クィーンアント「違います! 妾達は―――!」

グランゴルド王「……だからこんな事になるまで、誰も思いを馳せたりもしなかった」

        「アリ娘達にも人間と同じような感情があり、今までの日々を苦痛に感じていたことを」

        「その女王たるあなたが、監禁され、子供達をこき使われる日々に苦しみ抜いていたことを」

        「魔物が人と同じような感情を持っていること自体に、私達は気付かなかったんだ……」


沈痛な面持ちで、重々しく語るグランゴルド王。

さらに、アリスはその言葉を継いだ。


アリス「クィーンアントよ、それは妖魔の側としても同じだと思わんか?」

    「ちっぽけな人間など、ゴミのような感情しか持っていないと―――」

    「お前ほど高位の妖魔ならば、ついそう思ってしまいがちだろう」

    「しかし、人が持ち合わせている感情は我々妖魔と同じなのだ」

    「人間とて喜び、哀しみ、苦しみ、互いに慈しみ合って暮らしている」

    「その存在は、決して軽くはないぞ」

クィーンアント「……………」

アリス「……人間「ごとき」にこき使われている、と貴様は言ったな」

    「人間を完全に卑下していなければ、出てこない言葉だとは思わんか?」

    「そのような感情を抱く限り、貴様も同じ過ちを繰り返すだろう」

    「貴様達とて十分に加害者たりえたし、今まさに加害者になろうとしている」


そう言った後、アリスは僕に視線をやった。


アリス「……さて、余は喋り飽きた」

    「後はルカ、貴様が語れ」

    「普段の青臭い信念、ここが見せ場だぞ」

ルカ「……ぼ、僕?」


いきなり話を振られ、困惑するも―――

僕は、たどたどしく口を開いた。


ルカ「人間も魔物も、互いに互いのことを理解しようとしていない……」

   「……僕はそう思うんだ」

   「心の根っこは、きっとそんなに違わないのに……」

   「互いに相容れない存在だと思い込んで、理解しようとしないで……」

   「もっと分かり合えたなら、色んな問題も解決するんだと思うんだよ」

アリス「……結局、そこのドアホの言う通りだ」

    「クィーンアント、貴様も人間に対する理解が足りない」

    「この報復劇は、少々ながら度が過ぎているぞ」


後は語れと言っておきながら、美味しいところは自分が引き継ぐアリスだった。


アリス「……いい加減、ここまでやれば気も済んだだろう」

    「貴様自信のためにも、そろそろ事の納め時だぞ」

クィーンアント「それが貴女様の命令ならば、妾は人と和解せざるを得ません……」

アリス「下らん意地を張るな、自分の意思で和解しろ」

    「元より貴様は邪悪でもなければ、暴虐に悦びを見出す妖魔でもないはずだ」

クィーンアント「……………」


クィーンアントはしばし黙った後、グランゴルド王に視線をやった。


クィーンアント「……妾の子達に労苦を強いたこと、心より謝罪しますか?」

グランゴルド王「……ああ、心より謝罪する」

        「あなたが望むなら、私を含めた国民全員に謝罪させよう」

        「きっと彼等も、今までの過ちを理解してくれるはずだ」

クィーンアント「今後、二度と同じような事はしないと誓いますか?」

グランゴルド王「……それは、もちろんだ」

        「あなた達にも、人間と同じ心があると知った」

        「そのような者達に、二度とあのような労苦など押しつけたりはしない」

クィーンアント「分かりました…… ならば、もう終わりとしましょう」

        「妾の報復も、少し行き過ぎていたようです」

ルカ「じゃあ、もう……」

クィーンアント「捕らえた人間達を解放し、これ以上の報復は行いません」

        「グランゴルド王、あなたの言葉を信じましょう―――」


こうして、無事に和解は成立した。

クィーンアントとグランゴルド王は手を取り合い、争いの終わりを誓ったのである―――





偽勇者「……ふん」


俺は地上への階段を上りつつ、小僧共の会話を思い出していた。


偽勇者「人間も魔物も、互いに互いのことを理解していないか……」

    「理解したからと言って相容れられるのか……?」

    「共存とは、そんな簡単な生易しい問題だったのか……?」

    『僕達はその共存に―――理解した上で裏切られたのに』……」

    「……痛っ!?」


俺はいきなり襲ってきた頭痛に苦しみ地に膝を付く。

今のは何なんだ? 声がまるで小僧の様―――

―――顔を上げれば、いつの間にか地上に出ていたみたいだ。

周囲を見れば、今にも死にそうなアリ娘達が転がっている。


偽勇者「……ちっ」

    「今回の目的は、アリ娘共の根絶じゃない―――自分の尻ぐらい拭かなきゃな……」


――――――――――『ベホマズン』――――――――――


アリ娘達の 傷が 回復した!


俺はそのまま、グランゴルド城を出て行ったのだった―――





クラリス「聞いてますか、あにさん!」

     「今回のこの騒動は何ですか!」

     「国を丸ごと巻き込んで―――それに……」

偽勇者「……あ~、うるせぇ、うるせぇ……」


グランゴルド城下町の大通りで、クラリスと合流したが―――合流したでクラリスが生意気にも説教してやがる。

まあ、その生意気な行動に付き合ってやる俺も俺だが……


偽勇者「まあ、今回の騒動は俺の我が儘みたいなもので―――」

クラリス「あにさんの我が儘? 我が儘って何ですか!」

     「我が儘だけじゃ、話が分からないんですよ!」

     「それに、今回どれだけボクがあにさんを心配したと思っているんですか」

     「―――っ!」

【クラリスのセリフ:心配=説教みたいな】

↓~2

あにさんが呪われるのが、その時傍に居れないのが、ボクには怖い
せめて隣には居させてください。お願いです……あにさん……

また独りになるのは嫌なので…突っ走る時は私も巻き込んでくださいよ…

>>406 >>407』やね

クラリス「あにさんが呪われるのが―――その時傍に居られないのが、ボクには怖いんです」

     「せめて隣には居させてください。 お願いです…… あにさん……」

偽勇者「……………」


俺は黙ってクラリスの言葉を聞く。


クラリス「また独りになるのは嫌なので……」

     「突っ走る時は私も巻き込んでくださいよ……」


……共存か。

これも一種の共存と言うべきか―――馬鹿らしい……

クラリスは俺の所有物でしかないのだ。


偽勇者「……分かった」

クラリス「あにさん!」

偽勇者「しかし、それならばクラリスはまだまだ修行不足だ」

    「確かに、一対一ならば負けることはないだろうが」

    「あくまで中級レベルの妖魔までだ」

    「それ以上になれば、例えカウンターを駆使しても生き残るのは難しい……」

    「故に目標は―――」

    「 魔 王 レ ベ ル だ … … 」

クラリス「ひゅい!?」


俺はクラリスの首根っこを掴み、歩を進める。

絶望した表情したクラリスを横目で確認しながら、あの時の頭痛について思考する。


偽勇者「……まだこの体には秘密が有りそうだ」

    「万が一のためにも、クラリスにはどんな相手でも自分の身ぐらい守れるようにならんとな……」


周囲を確認していると城のガレキが飛んできたのか―――

潰れた道具屋の前で四つん這いになり、顔を俯かせ絶望しているアリ娘を見つつ城門を通るのであった―――


   ∧,,,∧
  (´・ω・)<今回はここまでや
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


   ∧,,,∧
  ( ・ω・) <ほなな~
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


風呂敷を広げすぎたらエタるさかいに―――ゴメンな?
 ̄ ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  (´・ω・)
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


   ∧,,,∧
  (´-ω-) <クラリスの進展ねぇ……
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






グランゴルド王「本当に、君達には世話になったね」

        「この感謝、言葉では言い尽くせないよ」


ここは謁見の間ではなく、町の集会所。

グランゴルド城はボロボロなので、しばらくは入れないのだ。

なお城や町の修復作業には、クィーンアントやアリ娘達も協力してくれるらしい。


クィーンアント「妾も、大きな過ちをしでかしてしまうところでした」

        「妾が虐げようとしたこの町の住民達も、必ず誰かの子であり、誰かの父や母かもしれない存在」

        「妾が娘達を愛するのと同様に、人間達にも深い絆があるはず」

        「それに気付いた以上、妾の目にはもはや、人は下等な存在などと映らなくなりました」


クィーンアントの怒りは収まり、今は優しげなたたずまいをしている。

アリスの言った通り、元々彼女は穏やかな妖魔だったのだろう。


クィーンアント「妾達がひどく破壊してしまったこの町、妾達が復興に協力します」

        「その後は―――まあ、その後ですね」

        「我が娘達も、この町の暮らし自体は嫌いではないようです」

        「人間達が許すならば、この町にとどまることとしたいのですが」

グランゴルド王「このグランゴルドは、人と魔物の共存が最も成功した町と言われてきた―――」

        「―――でも今思えば、あんなものは共存とは呼べない」

        「これから真の共存を築いていくべく、尽力しようと思っているよ」

クィーンアント「それは、妾としても同じ事」

        「人との歩み、模索することも悪くはないでしょう……」


こうして、円満に事態は解決した。

結果的に人間と魔物の共存の橋渡しが出来て、僕も満足だ。

だが、これからこの町で人と魔物がどう関わっていくか―――

それは、両者次第といったところか。

それにしても、今回の件ではいくつかの謎が残っている。

城ごとアリ娘達を吹き飛ばした力、吹き飛ばされたアリ娘達の傷の手当て―――

そして、クィーンアントの封印術式の制御。

封印術式はオーバーテクノロジーの塊だから理解はできないけれど、もし誰かが細工できる者がいるとしたら……


グランゴルド王「ルカ君は、人間と魔物の共存のために旅をしているのだったね」

        「その想いが、このグランゴルドを救ってくれたんだよ」

ルカ「いえいえ、グランゴルド王も立派だと思います」

   「自分の過ちを認め、アリ娘達に謝罪する決断をするなんて……」


そんな選択、普通の人間にはなかなか出来ない事だろう。

よく、王がそのような決断をしたものだ。


グランゴルド王「僕の目を覚ませてくれたのは―――」

        「 ク ラ リ ス と い う 妖 魔 な ん だ よ 」

ルカ「えっ…… クラリス……?」


――― ズ キ ッ ! ! ―――


ルカ「ぐっ……!」


突如、僕の体に痛みが走った。

焼けつくような熱と、凍り付くような冷が同時に襲い掛かって来るような痛みで僕はその場に膝を付いた。


グランゴルド王「だ、大丈夫かい?」

        「もしや、どこか怪我でも―――」

ルカ「いえ、少し疲れが溜まってしまっただけで……」

   「それより、そのクラリスという妖魔について詳しく……」

グランゴルド王「あ、ああ……」


僕はグランゴルド王からクラリスの情報を訊くのであった―――





ルカ「そうですか……」


……間違いない、あいつの―――シャニセ・ユウと共に旅をしているクラリスだ。

これで、残された謎の一部が解決した気がする。

城ごとアリ娘達を吹き飛ばした力、吹き飛ばされたアリ娘達の傷の手当て―――

あいつなら全ての辻褄が合う―――最後に残されたクィーンアントの封印術式の制御以外は。


グランゴルド王「君達には感謝してもし足りないほどだ」

        「何か礼がしたいのだが、今は復興で手一杯でね……」

ルカ「あ、はい。 礼など結構ですよ…… なぁ、アリス」

アリス「うん…… 別に、礼など……」

    「……………」


思考を深めていたせいか、あまりグランゴルド王の会話が耳に入ってこなかった。

誤魔化すために、アリスに話を振ったが―――

いつも通りなのか、御馳走が出ないからなのか、なんだか悲しそうだ。


ルカ「と、ともかく…… 僕達は、そろそろ行きますね」

   「まだまだ、やらなければいけない事がありますから」

グランゴルド王「そうかい、名残惜しいね……」

        「旅の無事を祈っているよ」

クィーンアント「ありがとうございました、人間の勇者……」

        「そして……」

アリス「……余は、旅のグルメだ」


クィーンアント「……ありがとうございました、美食家の方」

        「このご恩は、決して忘れません」

ルカ「じゃあ、お元気で!」


こうして僕達は、集会所を後にしたのだった―――





通りでは、町の人々が崩れた路面を補修していた。

そして、それを手伝うアリ娘達や人造妖魔―――

ほんの僅かな期間に、この町は随分と変わったようにも見える。


ルカ「……今度こそ、人間と魔物の共存が上手くいけばいいね」

アリス「さて、どのようになるやら……」

    「少なくとも、アリ娘の恐怖が心に刻み込まれた人間も多いだろうな」

ルカ「そ、そんな事言うなよ……」

アリス「だが、グランゴルド王のように己の過ちを悔いる者もいるだろう」

    「この町がどのような道を歩むかは、住人次第というわけだ」

ルカ「今回の一件で思ったんだけど……」

   「……やっぱり、大切なのは相互に理解することだと思うんだ」

   「種族も習性も違う者同士、相手のことを理解すれば―――」

   「そうすれば、人と魔物の共存も可能だと思んだよ」

アリス「つまり…… 今は互いに、相手のことを理解していないと?」

    「人は魔物を理解していないし、また魔物も人を理解していない……」

ルカ「人間と魔物、色々と違う事は仕方ないよ…… 実際、違うんだから」

   「でも、自分と相手は違うって事まで含めて、互いに理解すればいいと思うんだ」

アリス「差異も含めて、人と魔物が互いを理解し合う……」

    「その上で、共存を模索していこうというわけか」

ルカ「そう、そういう事!」

   「分かってるじゃないか、アリス!」

アリス「ドアホな貴様の散発的な戯言をまとめただけだ」

    「……だが、貴様の考えにも少しは頷く点がある」

    「人も魔物も、互いのことを知らなさすぎだ」

    「余とて、実際に旅をするまでは人間など野蛮な存在だと思っていた」

ルカ「僕も…… 正直アリスと旅をするまでは、魔物に色々と偏見があったよ」

アリス「ふむ…… 確かに、互いに理解する事で偏見の壁は薄れるとも言える」

    「しかし、それはあくまで個人レベルでの話に過ぎん」

ルカ「みんなが同じ思いを持つことが重要だって言うんだろ?」

   「それくらいは、僕にだって分かるよ」

   「でも、人間と魔物の相互理解を深める上で障害になってる事があるんだ―――」


世界中で暴れる、四天王の存在。

それを何とかしないと、少なくとも人間の側は魔物との共存なんて考えないだろう。

ゆえに僕は、四天王を倒すため魔王城に向かうのである。


ルカ「それに…… プロメスティンっていう女と、ウラミっていう女は、いったい……」


城の地下にあった、高度な妖魔封印設備。

それらの技術を供出した、プロメスティンという人物―――

それらの技術の教授する、ウラミという人物―――

その素性も目的も、全くもって不明のままなのだ。


アリス「あれほどの技術、人の世のものとは思えんな……」

ルカ「……人じゃない?」

   「だとしたら、魔物なのか……?」

アリス「……さあな」


それっきり、アリスは黙して語らなかった。

人間とアリ娘の諍い、そして和解。

得体の知れないままの、プロメスティンとウラミという女―――

謎を残したまま、僕達はグランゴルドで情報収集を行うのであった。


ルカ「……シャニセ・ユウ」

   「お前は何を考えているんだ……」


僕は体に薄く残った傷跡を押さえ、個人的な目的だと分かりつつも、シャニセ・ユウを倒す日を想うのであった―――



――――――――――「青年」――――――――――

青年「これまで私達は、アリ娘をこき使っていました」

   「ひどい話ですが、アリ娘達は喜んで働いていると思っていたんです」

   「今後は、もうそんな事はしませんよ」

   「アリ娘達も、このグランゴルドの正当な住人ですからね」

――――――――――「女性」――――――――――

女性「掃除から炊事洗濯まで、全部アリ娘に任せてるからラクでいいわ」

   「主婦の仕事なんて、子作りだけ」

   「子育てもアリ娘がやってくれるからね……」

   「……なんて言ってたら、夫に言われたの」

   「「それじゃあアリ娘を嫁にして、お前はいらなくね?」って」

   「そういうわけで、夫を寝取られたわ……」

   「魔物なんて、大嫌いよ……!」


――――――――――「おじさん」――――――――――

おじさん「私は、近いうちにこの町を出て行くつもりだよ」

     「私達も、アリ娘にひどい事をしたのは分かっているが……」

     「あそこまで暴れた連中を、やっぱり信用はできないんだよ」

     「引っ越しの準備を整えて、ゴルドポートにでも移住するかね」

――――――――――「老婆」――――――――――

老婆「「サキュバスの村」から避難した先で、あんな騒ぎに巻き込まれるとはのう」

   「もう少しで、余生を奴隷として過ごすところじゃったわい」

   「なんにしても、丸く収まって良かったのう」

――――――――――「アリ娘」――――――――――

アリ娘「働クノハ、嫌イジャナイヨ……」


アリ娘達はせっせと働いている。

――――――――――「マッドゴーレム娘」――――――――――

マッドゴーレム娘「建設作業中デス」

         「危険デスノデ、近付カレナイヨウニ……」


マッドゴーレム娘も、今ではちゃんと動いているようだ。

彼女達にも、人間と同じような意志はあるんだろうか……?

――――――――――「教会」――――――――――

アリ娘「アナタノタメニ、オ祈リシマス……」

ルカ「おいおい、神官はまだサボってるのか……?」

老人「それがのう……」

   「ここのサボリ神官、いきなり雷に打たれたんじゃよ」

   「おそらく、イリアス様の罰が当たったんじゃ……」

ルカ「そ、そうなんですか……」


それで結局、このアリ娘に教会の仕事が任されているらしい。


アリ娘「オ祈リ……」

ルカ「あ、うん…… お祈りしようか……」


アリ娘と一緒にイリアス様に祈り、僕は教会を出たのだった。

――――――――――「グランゴルド城」――――――――――

ルカ「ここから先は、通行禁止か……」


城は、まだ補修工事中。

中に入る事はできないようだ。


――――――――――「集会所」――――――――――

グランゴルド王「やあ、調子はどうだい?」

        「私は、復興に向けての新都市計画を手掛けているよ」

        「以前と比べて忙しいが、とても充実した気分だ」

        「即位して初めて、王として働いている気分だね」

クィーンアント「新都市計画には、私も協力させて頂いております」

        「我が娘達も住む都市ですからね」

        「人間達と力を合わせ、築いていかねばなりません」

――――――――――「魔導研究所」――――――――――

魔導技師「今の私達の仕事は、人造モンスターのメンテナンス」

     「彼女達に意志はないから、酷使しても問題ないはずよ…… たぶん」

ルカ「本当に、意志はないんですよね……?」


今度は、意志に目覚めた人造モンスター達が反乱を起こしたりして……


魔導技師「それと…… プロメスティンからの連絡は途絶えたわ」

     「それに、ウラミもここには訪れなくなったわ」

     「私達にとっても、彼女の正体は謎のままなのよ……」

ルカ「そうですか……」


高度な技術力と、不明瞭な目的。

いったい、プロメスティンとは何者なのだろうか

――――――――――「道具屋?」――――――――――

瓦礫に潰された道具屋の前で、小さな丸眼鏡をかけ露店を開いているアリ娘がいた。

机代わりの木箱でソロバンを打つ姿は妙に似合っていた。


店番アリ娘「イラッシャイマセ……」

      「当店ハ、復興ニ向ケテ営業中……」


……逞しいアリ娘だ。

――――――――――「町を出る」――――――――――


/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|今回はここまでや

   ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  (´・ω・)
  /っ日o-_。_-.、
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  [i=======i]

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|ほなな~

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|みなはん、おるー?

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   ∧,,,∧
  (´・ω・)
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
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グランゴルド城を後にした俺達は、特に目的のない旅を続けている―――

いや、目的はあるにはあるが今ではない。

青い果実を毟るよりは成熟した方がいいからな。


クラリス「ねえ、あにさん」

     「次はどこに向かうんですか?」

偽勇者「……地図を見た限りでは、「ゴルドポート」か「サキュバスの村」が近いか」

    「はて、どうするか―――」


―――ゴルドポートでは今は特にイベントはないが、骨休めにはちょうどいいか。

―――それとも、サキュバスの村に行くか? ここも特に行く必要性はないが、感染者がなあ……


偽勇者「……よし、―――に行くか」


【どっちに先行くん?】

○ゴルドポート

○サキュバスの村



『サキュバスの村』やね―――エロめ。


偽勇者「……よし、サキュバスの村に行くか」

クラリス「……………」

     「あにさん、もしやと思いませんが―――」

     「変な期待なんかしてませんよね?」

偽勇者「……殴るぞ」


確かサキュバスの村は百年に一度、「紫のサバト」やらが始まる。

百年という長いサイクルで行われた紫の月の満ち欠けは、満月として姿を現した時、淫魔に強い魔力と生殖力を発揮させるらしい。

……つまり「紫のサバト」とは、サキュバス共の最大繁殖期だ。


偽勇者「……感染者と共に葬るにはちょうどいいか」

クラリス「……………」


クラリスの不満そうな顔を無視し、俺達はサキュバスの村に向かったのだった―――





偽勇者「……ふむ」

    「サキュバスの村と言う割には、綺麗な村ではないか」


行き交う住人の少なさを除けばだが……

サキュバスという言葉に釣られてもっと集まっていると思ったのに……

それにしても―――


偽勇者「……暇そうな奴等だな」


普通の一般人よりは、剣をぶら下げた戦士が僅かに多いが、どいつも屈強な戦士とは言い難い。

クラリスの稽古の相手にもならん。

さて、周囲を散歩でもするか。


――――――――――「青年」――――――――――

青年「僕は、村から逃げたりなんかしません」

   「生まれ故郷を守るため、サキュバスに立ち向かいます!」

   「い、いや…… 別に、いやらしい事は考えていませんよ……」

   「やだなぁ、もう…… ははははは……」

クラリス「……変態」

――――――――――「娼婦」――――――――――

娼婦「あら、ごめんなさい」

   「今日は「月経」だから、商売はやめとくわ」

偽勇者「興味はない」

    「少し話を伺いたいのだが……」

    「この村の住人が少ないようだが―――」

娼婦「少しでもお金を持ってる人は、みんなよその町や村に逃げたのよ」

   「ここに残ってるのは旅費さえない人やら、訳ありの人やら……」

偽勇者「ほう……」


村が閑散するとここまで活気がなくなるのか。

そしてこの娼婦は、逃げるあてがないと……


娼婦「去った人がほとんどだけど、わざわざこの時期にやってくる人もいるわ」

   「村を守るために駆けつけてくれた、義侠心のある戦士がほんのわずか」

   「残る大部分は、サキュバスの餌食になりたい変態さん」

偽勇者「義侠心ねえ……」

    「その義侠心の大きさがどこまで持つか見てみたいものだが―――」

娼婦「じゃあ、貴方はどっち?」

   「村を守るために駆けつけてくれた戦士?」

   「それとも、餌食になりにきた変態?」

偽勇者「……さあな」

クラリス「……変態?」

偽勇者「……殴るぞ」


― ― ― 『この娼婦は黒』 ― ― ―


偽勇者「ん?」


――――――――――「若い姉妹」――――――――――

若い娘「あなたも、この村を守りに来てくれたんですね」

    「どうか、頑張って下さい……」

少女「がんばってね、お兄ちゃん!」

偽勇者「……ああ、頑張らせてもらうよ」

    「それより、君達は逃げないのか?」

若い娘「お金に余裕がありませんし……」

    「牧場を失ったら、私達は路頭に迷うしかありませんから」

    「私達は、この土地から離れられないんですよ」

偽勇者「……そうか」


この若さでは、他の地で生きるには厳しすぎる。

ヘタをすれば、心ない人間に―――魔物の餌食か、心ない人間の所有物か。

はてさて、どちらの運命が幸せか。


偽勇者「君達に幸運があることをイリアス様に祈るよ」


俺ができることは、十字を切りイリアス様に若い姉妹に幸運があることを祈るだけである。


クラリス「……幸運」


― ― ― 『この若い姉妹は黒』 ― ― ―


偽勇者「……黒?」

少女「えっ、お姉ちゃんの下着の色が分かったの?」

若い娘「っ!?」


若い娘はスカートを押さえ、俺をジト目で睨んできた―――待て。


クラリス「……変態」

偽勇者「いや、うん…… 待て」

――――――――――「戦士A」――――――――――

戦士A「俺は、この村を守るためにやって来たんだ」

    「ここで果てても、悔いなどない!」

クラリス「……変態?」

――――――――――「戦士B」――――――――――

戦士B「俺は、サキュバスに犯されるためにやって来たんだ」

    「ここで果てても、むしろご褒美だ!」

偽勇者「……感染者か」


――――――――――「教会」――――――――――

偽勇者「……静かだ。 誰もいないのか?」


机の上に、書き置きがある……


『しばらく留守にします。 ゴルド西教区司教』


偽勇者「……ちっ」

――――――――――「道具屋」――――――――――

店主「てやんでぃ、ウチは曾祖父の代から続く道具屋よ」

   「サキュバスが来る程度で、店を畳めるか!」

   「それに、俺はブサメンっぷりに定評があるんだ!」

   「襲えるものなら、襲ってみやがれってんだバーロー!!」

   「お、おそって…… みやがれってんだ……」

   「う、ううっ…… うわーん!」

クラリス「……よしよし」


クラリスは店主を慰め、俺は自分の頭を押さえる。

何故、道具屋に入って話を伺った程度で泣かれなければならんのだ。

俺は、ため息を吐きチラリと視界に入ったある物を見据える。

……なんだ、あれは?


偽勇者「おい、店主―――少しいいか?」

店主「ぐすっ…… なんだよ……」


店主は、まだ泣いていたのかクラリスから渡されたハンカチでブビィーと鼻をかんでいた。

クラリスは、驚愕の表情をしている。


偽勇者「あれ、あの石はなんだ?」


自室なのだろうか、店の奥に薄緑色に輝く透明感ある石が飾られている。

クリスタルとは違うが、何やら妙な力を感じる。

店主「ああ、あの石か」

   「いいだろう、曾祖父が昔どこからか拾ってきた石なんだ」

   「家宝にしてるんだぜ」


なるほど―――あの石、気に入った。


偽勇者「店主、あの石を売ってくれないか?」

店主「えっ、普通に駄目だし……」

偽勇者「金なら出す、売ってくれ」

店主「だから、無理だって。 家宝にしてるって言ってるだろ……」

偽勇者「―――」

【偽勇者のセリフ+コンマがゾロ目なら購入成功】

↓~2

男は顔が全てではないと思うが売ってくれるならお前をイケメンにしてやる

あれを頂けるなら、お前の望みを一つだけ叶えてやろう

>>444(43) >>445(34)』やね

偽勇者「男は顔が全てではないと思うが―――」

    「売ってくれるならお前をイケメンにしてやる」


俺は店主にそう取引するが、逆に怒らせてしまった。

先に自分の顔のことで、ネガティブになっていたのが原因のようだ。

ならば―――


偽勇者「そうだ、お礼の範囲を広げようじゃないか」

    「あの石を頂けるなら、店主の望みを一つだけ叶えてやるぞ?」

店主「俺の望みを……?」

偽勇者「そうだ。 俺にはその望みを叶える力を持っている、どうだ?」


店主は思考を深めているのか、腕を組み始めた。

しかし、すぐに組まれた腕は解かれ俺に顔を向ける。


店主「……………」

偽勇者「……成立か?」

店主「いや、よく考えなくても胡散臭過ぎる」

   「ガキじゃあるまいに、そんなの信じられる訳ないだろう」

   「ほら、今日はもう店じまいだ。 出てった、出てった!」


俺は店主に店から追い出されてしまったのだった―――

――――――――――「酒場」――――――――――

ごろつき「どうした、ボウズ?」

     「ここは酒場、ガキの遊び場じゃねぇぜ」

戦士A「酒がまずくなる、とっとと出て行きな……」

戦士B「少年よ、すぐにこの村から逃げた方が良い」

    「明日には魔物達が襲撃してくるのだからな」

偽勇者「……失礼した」


サキュバス共が襲撃してくるのは明日か。

酒場は好きではないが、サキュバス襲撃日が知ることができたのは大きいか……

俺はそのまま、酒場を出るのだった。


見た目が強そうなだけで、弱すぎる。

正直言って―――役立たず以下だな。

サキュバス共の餌にならなければ良いのだが―――


【どちらから行くん?】

○村長の屋敷

○女占い師


『女占い師』やね


/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|今回はここまでや

   ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  (´・ω・)
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]

/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|ほなな~

   ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  (´-ω-) ...zzZZ
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


    少しだけやろか―――みなはん、おるん?
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/



――――――――――「女占い師」――――――――――

女占い師「そこのあなた達、ちょっと占っていかない?」

     「村もこんな状態だし、タダにしてあげるわよ」

クラリス「占いですか、あにさん占っていきます?」


クラリスは初めての占いのせいか、目を輝かせている。


偽勇者「なら、占ってもらおう―――」


― ― ― 『この占い師は黒』 ― ― ―


またか……


クラリス「あにさん?」

偽勇者「何でもない」

クラリス「そうですか? それじゃあ、お願いします」


女占い師「どれ……」


女占い師がポーズを取ると、どこからか音楽が流れてくる―――


女占い師「ホンダラ ヘンダラ ドガビガ フンダ♪」

     「ホンダラ ヘンダラ ドガビガ フン♪」


こ、これが占いなのか……

女占い師は、ぴょんぴょんと跳ねどこから取り出したか分からないステッキを左右に振る。


クラリス「これが占いなんですね、なんかすごいです!」

偽勇者「いや、絶対に違う」


女占い師はある程度踊ると、掛け声を上げた。

そして―――


女占い師「うん、あなたの占いの結果は……」

     「―――!」


【女占い師の結果】

↓2

あなたは世界の運命を左右する大きな決断を迫られます

>>459』やね

女占い師「あなたは世界の運命を左右する大きな決断を迫られます」

偽勇者「世界の運命を左右する?」

    「つまりどういうことだ?」

女占い師「さあ? でも、そんな運命を任せられたらあなたはどうする?」

     「立ち向かう? 逃げる? それとも―――」

偽勇者「……………」


世界の運命ねえ…… 大きな大役だこと。


女占い師「ところであなたも、「紫のサバト」目的でこの村に来たみたいだけど」

     「ここに攻めてくるっていうサキュバス達の目的は知ってる?」


偽勇者「サキュバス共の繁殖期らしいからな」

    「大方、仲間を増やすついでに腹を膨らませようとしてるのだろう」

女占い師「…残念、それは少し違うわ」

     「例年の「紫のサバト」は、確かにそうだったの」

     「でも、今回はもっと別の目的があるのよ」

     「仲間を増やすとか、腹を膨らませるとか…… それ以外の目的がね」

偽勇者「別の目的だと……?」


……思い出せん。

思い出そうとしても、記憶が断片的にあるのみで、この目的―――サキュバス共の本当の目的が思い出せん。

知ってるのに知らないこの矛盾、かなり気持ち悪い。


女占い師「ふふっ…… 明日の晩になれば、あなたにも分かるかもね……」

クラリス「そんな事を知っているなんて……」

     「……あなたは、とてもすごい占い師ですね!」

女占い師「あ、ありがと……」





クラリス「どうも、ありがとうございました」


クラリスは、女占い師に頭を下げ礼を言う。

女占い師も、悪い気はしないのか頬をポリポリ掻いて照れているようだ。

まあ、多少は暇が潰せたのは事実だが―――


偽勇者「さあ、後は村長の屋敷だけだ」

クラリス「はい!」


クラリスは、俺より先に歩を進め村長の屋敷に向かった。

……いつも元気だな、全く―――


偽勇者「ところで、あなたは避難しないのか?」

女占い師「あら、心配してくれるの?」

偽勇者「一様、勇者をやらせてもらっているのでね……」

    「まあ、基本的なマナーの一つだよ」

女占い師「あら残念……」

     「せっかくだけど、尻尾巻いて逃げるのは好きじゃないの」

     「サキュバスが攻めてくるなら、彼女達相手に商売してやるわよ」


女占い師はそう発言するとニッと笑った。


偽勇者「たくましいものだな」


俺は背を向け歩を進めようとしたが、女占い師に勇者らしい一言を残していくことにした。


偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2

もし、助けが要るなら言ってくれ
救助の手助けから介錯まで幅広くやってやるよ

>>463>>462』やね

偽勇者「もし、助けが要るなら言ってくれ」

    「救助の手助けから―――」

    「……介錯まで幅広くやってやるよ」

女占い師「……ええ、期待してるわ」


俺は女占い師と別れたのだった―――

――――――――――「村長の屋敷」――――――――――

村長「ようこそ、勇者さん」

   「私が、この村の村長よ」

偽勇者「初めてお目にかかります。私、シャニセ・ユウと申します」

    「どうぞよろしく、お願い申し上げます」


村長というからには、年を食っていると思っていたが―――

中々に若いではないか、イモいが。

それに、何やら俺を上から下までじろじろと眺め回しているようだ。


村長「あなたも知ってるわよねぇ……」

   「この村は百年に一度、サキュバス達の大襲撃を受けるの」

   「「紫のサバト」と呼ばれる宴は、いよいよ明日の晩に迫っているのよ」

偽勇者「はい、その噂を聞いてこの村に来ました」

    「魔物退治は、この俺―――私にお任せを」

クラリス「……あにさんが、私って何か変―――あわわ!」


俺は頭を下げると同時にクラリスの頭も下げさせる。

マナーは大事だといつも言っているだろ。


村長「ふふっ、それは助かるわ」

   「強いヒトは、どれだけいても足りないなんて事はないものねぇ……」

偽勇者「はい、おっしゃる通りです」

村長「期待しているわよ、可愛い勇者さん」

偽勇者「……任せてください」


……可愛い ……だと?


― ― ― 『……イモ村長は黒』 ― ― ―





――――――――――「宿屋」――――――――――

クラリス「宿屋の主人も、いませんね」

     「人間のみ、もぬけの殻です」

偽勇者「ならば明日の晩まで泊まらせてもらうのみ」


俺は勝手に部屋を使用し、椅子に座るのであった。


   ∧∧

  (  ・ω・)<今回はここまでや
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   ∧∧

  (  -ω-)<金曜は休み or できたらやるわ
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

    ほなな~ ...zzZZ
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/


大阪|-ω-)<普通に恋愛するんやったら、目くじら立てんのやけどな……

大阪|´・ω・)<もん娘や、そこが大好きな方々を理解するにはそこを解明せなアカンな。



/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ちょい、早いけど―――みなはん、おるー?

   ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  (´-ω-)
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]



クラリス「あにさん、明日の晩までどうしますか?」

     「この村の情報収集もほとんど終わりましたし……」


そう呟くクラリスは、ベッドの上でだらしなく寝転んでいる。

……まあ、今日は歩きっぱなしだったから良しとするか。


偽勇者「どうするも、こうするも、「紫のサバト」の件は明日の晩にならなければ、どうすることも出来ん」

    「それまでは、各々の修行でも趣味でもして時間を潰すしかあるまい―――」

    「―――そうだ、今は晩御飯の時間帯になるか」


俺は時間を確認する、そろそろクラリスの腹が減る時間だな。


クラリス「へっ? そうですね、もうすぐ晩御飯の時間です」

偽勇者「ならば、「肉じゃが」の作り方を教えてやろう」

クラリス「ほ、本当ですか!?」


クラリスは勢いよく、ベッドから体を起こし尻尾を力強く振っている。

前々から、「肉じゃが」の作り方を教える約束をしていたからな。

この宿屋は今や俺達以外に誰もいない。

調理場で本格的に料理を教えるのもまた一興―――

俺の背に跳び付いたクラリスを背負いながら、宿屋の調理場へと向かうのであった。


【クラリスの料理の結果】

○『ゾロ目:お金取れるぐらい美味い』

○『01~09:おふくろの味』

○『10~98:未熟』


『22:お金取れるぐらい美味い』やね





偽勇者「……とても美味いな」

クラリス「えっへん♪」


俺はクラリスに約束通り「肉じゃが」の作り方を教えた。

最初は、握ったことがない包丁を恐る恐ると使っていたクラリスだが、徐々になれてきたのかリズミカルに食材を切る。

その切り方も、指を切るか切らないかの調子だったのが嘘のようだ。

そんな摩訶不思議現象の中で出来たのが―――

「とても美味い肉じゃが」である、正直言ってお金を取れるレベルと言って過言ではない。


偽勇者「クラリス、お前は今回が初めての料理なんだな?」

クラリス「はい、そうですよ」

     「目が見えなかった頃は、刃物は危ないのでほとんど料理はしませんでした」

偽勇者「そうか……」


ならば、元々クラリスにはそれ程の才能があったと言う訳か。

争いが有ろうが無かろうが、どちらにしても生きていくには十分の才能が備わっていた―――が、目の病気が全てを無駄にしていたが……

俺は、美味そうに肉じゃがを頬張る幸せそうなクラリスを見据え、肉じゃがを残さず食べ尽くすのだった―――






食事を終え、後片付けも済んだ頃……

いつの間にか、すっかり真っ暗になっていた。

窓から眺める月も満月だ。 しかし、明日にはあの月が紫色に輝くと思うと少し信じられない。


クラリス「……………」


俺の後ろでは、夜更かししようと頑張っているのが約一名。

しかし、睡魔には敵わないのだろうかウトウトと船を漕いでいる―――

どうやら、明日の晩には最後まで起きれるように特訓しているのだと。


偽勇者「……クラリス、無理をするな」

    「夜更かしなんて実際はしてはいけないことなんだ」

クラリス「……………」


……聞こえているのか、聞こえてないのか相変わらずにウトウトしている。

俺はそんな姿に溜め息を吐きつつ、クラリスを寝かしつけるのだ。


偽勇者「今は眠っていろ、そしてまた明日に頑張ればいい」

クラリス「……うにゅ」

     「zzz......」

偽勇者「……寝たか」


クラリスが眠ったのを確認すると、俺は近くの椅子に座る。

そして一人、自分の体に起こっている現象を思考するのだ。


偽勇者「……グランゴルド城を出る時に感じたあの頭痛から不思議なことが起こっている」

    「それに何だ―――住民や村長の前に立った時に響くあの言葉は……」

    「黒だと? 意味が分からん……」


あいつが黒、こいつも黒。 それが何を意味するか分からないが……

もし、その黒が「紫のサバト」に関係することならば村長達は既に―――


偽勇者「……裏切り者、若しくは―――」






―――「 サ キ ュ バ ス で あ る 」―――









――――――――――「ゴルドポート」――――――――――

ルカ「ふう、ここがゴルドポートか」


セントラ大陸最北の港町。

グランゴルドで得た情報によると、ここは魔物嫌いの総本山になっているらしい。

あの町の、魔物嫌いの人達はみんなこのゴルドポートに移住してきたようだ。

魔物嫌い以外にも、ここにはゴロツキやならず者も多いけど―――まあ、大丈夫だろう。


アリス「さて、ここにはどんな料理があるか」

    「楽しみだな。 くくくっ……」

ルカ「……………」


食料や資金を補充しに寄っただけなのに―――心配になってきた。

――――――――――「青年」――――――――――

青年「旅の方、ゴルドポートへようこそ」

   「この町は、荒くれの巣窟とかいう悪評が立ってるけど……」

   「実際は、とっても懐の広い町なんだよ」

   「どんな人間も分け隔てなく受け入れるから、自然にごろつきや訳ありが多くなってしまったのさ」

   「この町が拒絶するのは、魔物くらいだね」

――――――――――「町娘」――――――――――

町娘「私はグランゴルドから移住してきたんです」

   「アリ娘とか、町中に沢山いるのに慣れなくて……」

   「魔物嫌いってほどじゃないですけど、やっぱり怖いですよね」

   「そばにいられると、なんだか落ち着きません……」

――――――――――「不思議な女性と話す」――――――――――

女性「あなた、随分と腕が立ちそうね」

   「少しばかり、頼み事をしてもいいかしら……?」

ルカ「はい、僕に出来る事なら……」

女性「……あら、今日は風向きが良くないわ」

   「また、別の機会にお願いしようかしら」

ルカ「は、はい……」


いったい、何だったのだろう。

なんだか、不思議な感じの女性だ―――


――――――――――「ごろつき」――――――――――

ごろつき「俺は元イリアスクロイツ団員だったが、去年くらいに抜けたんだ」

     「なんだか、ついていけなくてなぁ……」

     「前団長のマルケルスさんの時は、まさに魔物根絶のために戦う騎士団!って感じだったんだ」

     「現団長のラザロさんは、なんて言うか……」

     「常軌を逸してるっていうか…… ムチャクチャなんだよな」

     「普通の人間巻き込んで爆弾テロとか、正気じゃねぇよ」

     「俺みたいに、ついていけなくなって退団した奴は多いぜ」

――――――――――「あらくれ」――――――――――

あらくれ「こう見えても、俺は名高いトレジャーハンターよ」

     「このゴルドポートは、かつて女海賊キャプテン・セレーネの本拠地だった」

     「財宝を示す地図なり文献なりが隠されてないか、あちこち探ってるんだが……」

     「……さすがに、そう簡単には見つからないな」

     「キャプテン・セレーネの航海日誌なんてあったら、それ自体が財宝なんだが」

――――――――――「戦士」――――――――――

戦士「このあたりの魔物は、本当に強いな」

   「さすが、魔の大陸に最も近い町だ」

   「遭遇したら、逃げるだけで精一杯だよ」

――――――――――「兵士」――――――――――

兵士「私は、とある国家のゴルド駐在武官」

   「本国からの緊急命令で、人捜しをしています」

   「とある高貴な方の、婚約者なのですが……」

   「国家機密にあたるため、これ以上は話せないのです」

   「詳細を伏せた上で人捜しとは、非常に困難な任務ですね……」


――――――――――「武器屋」――――――――――

武器屋のおやじ「いらっしゃい!」

        「世界で最も魔の大陸に近い町の武器屋だ、品質も世界一だぜ!」

ルカ「……………」


しかし、ざっと見たところ武器も防具も欲しいものは特にない。

結局、装備を買い換えずにここまで来てしまった事になるのだ。

堕剣エンジェルハイロウの封印能力、エンリカの服の軽さと丈夫さ―――

どちらも、今の僕には手放せなくなってしまったようだ。

――――――――――「道具屋」――――――――――

店主「トレジャーハンターの多いこの町だから、財宝の買い取りもしているよ」

   「何か貴重な財宝があれば、ぜひ買い取らせてもらうぜ」

ルカ「特にないですね……」

店主「おや…… あんたの持ってるそのランプ、かなり良いモノだね」

   「それ、買い取らせてもらえないかな?」

ルカ「え……? これですか……?」


これは、ランプの魔女が封じられているランプ。

処理に困り、結局持ったままになっていた物だが―――


ルカ「これ、魔物が封じられているランプなんです」

   「だから、とっても危ない物なんですけど……」

店主「そういう物の扱いも、ちゃんと心得てるから大丈夫だよ」

   「ぜひ、うちで買い取らせてくれないかい?」

ルカ「分かりました、じゃあ……」


こうして僕は、店主に魔女のランプを売り払った。


店主「はいどうぞ、買い取り金の3500ゴールドだよ」

   「あと、福引き券もオマケで付けておくからね」

ルカ「あ、どうも……」


結構な額のお金と、福引き券をもらってしまった。


――――――――――「福引き所」――――――――――

福引き娘「福引き券をお持ちの方ー♪」

     「ここで、福引きができますよー♪」


福引き券…… 一枚持ってるな。

せっかくだし、やってみるか。


ルカ「じゃあ、一回やりますね」

福引き娘「はい、どうぞー!」


大して期待もせず、福引きのガラガラを回すと―――

金色の玉が、転がり出た。


福引き娘「わあっ、一等賞ですね!」

     「商品は、「幸運の宝玉」になります!」

ルカ「えっ……!?」


僕は、福引き娘から綺麗な宝玉を受け取った―――


「幸運の宝玉」を手に入れた!


ルカ「まさか、一等賞が当たるなんてね」

   「これ、どういうアイテムなんだろう……?」

アリス「以前は幸運の魔力がこもっていたようだが、今はすっかり消えているな」

    「特に使い道もない、役に立たんアイテムだ」

    「どうせなら、五等の「ヤマタイせんべいセット」を当てればいいものを……」

――――――――――「イリアスクロイツ本部」――――――――――

アリス「む、ここは教会か……?」

    「なにやら、嫌な匂いがするな……」

ルカ「ここが、あのイリアスクロイツの本部さ」


夢に破れた親父が、旅仲間のラザロと共に築いた組織―――

その拠点が、目の前にあるのだ。


アリス「ふむ、愉快な場所ではないな」

    「貴様、ここに何か用でもあるのか……?」

ルカ「いや、別に……」


正直、足さえ止めたくない場所だ。

僕は早々に立ち去るのだった―――


――――――――――「港」――――――――――

アリス「まだサラマンダーの力を手に入れていないのに、魔の大陸に渡る気か?」

    「間違いなく自殺行為だ、やめておけ」

ルカ「そ、そうだよね……」


魔の大陸に渡るのは、四精霊の力が揃ってからという事になっている。

僕は大人しく、港を後にしたのだった。

――――――――――「勇者のほこら」――――――――――

賢者A「ここは、勇者のほこらじゃ!」

賢者B「我等は、いわゆる三賢者じゃ!」

賢者C「ここを訪れし勇者よ、試練を受けるがよい!」

ルカ「こ、こんなところに勇者のほこらが……」


確かサン・イリア王は、三賢者に会えと言っていた。

三賢者に認めてもらい、勇者の証を持って来いとか―――

その三人が、こんなところで三人一セットになっていたなんて。

普通、もう少し住処がバラけているべきだろうに。


賢者A「さあ勇者よ、試練として勝利の宝玉を持って参れ!」

賢者B「じゃあ儂は、幸運の宝玉を持ってきてもらおう!」

賢者C「せっかくじゃから儂は、友情の宝玉にするぞ!」

三賢者「勇者よ、我等の元に宝玉を持ってくるのじゃ!」

ルカ「……………」


アリスが宝剣を破壊してくれなかったら、サン・イリア王の言葉を真に受けて、この連中の相手をしなければならなかったのだ。

あの一件に関しては、心からアリスに感謝だな……


飯+風呂タイムや






ルカ「さて、必要な食料も路銀も補充出来たしそろそろ出発するか」

アリス「もう、行くのか」

ルカ「ああ、もうゴルドポートで調べることは今の所ないからね」

   「それに―――」


魔の大陸に渡るには、どうしてもサラマンダーの力が必要なのだ。

一日でも早く人間と魔物の共存、そして四天王を倒すために僕は剣を振るうのだ。

情報収集もある程度は終わった僕達はゴルドポートを後にしたのである。

さて、次の目的地は―――


【次の目的地】

○サキュバスの村

○貴婦人の村

○ゴルド火山


『サキュバスの村』

ルカ「よし、サキュバスの村に行こう!」

アリス「……………」

    「……エロめ」

ルカ「そ、そんなんじゃない!」

   「魔物に襲撃されることが分かってる村を、放置なんてできないじゃないか!」

アリス「……………」

ルカ「……………」


アリスの不信の視線を受けながら、僕達はサキュバスの村に向かったのだった―――





偽勇者「朝か……」


俺は窓から差し込む光に照らされて、外を眺める。

相変わらずに活気がない村だが―――まあ、どうでもいいか。

まずは、ベッドに丸まっている誰かを起こさなければならん。


偽勇者「おい、クラリス……」

クラリス「zzz......」

偽勇者「起きろ、クラリス。 朝だぞ」

クラリス「……むふふ♪」


……駄目だ、起きん。

仕方ないので、今は俺一人で行動するしかない。

朝食も、白米・味噌汁・焼き魚とメジャーなメニューを用意しておけば文句なかろう。


偽勇者「……念のために宿屋の周りに破邪呪文を仕込んでおくか」


今思えば、俺はクラリスに甘い―――とても甘い気がする。


偽勇者「……ふん」

    「馬鹿馬鹿しい…… そんなこと考えるだけ無駄だ」

    「今は、今日の晩までにできるだけの仕掛けを用意するだけだ」

    「さて、まずはどうするか―――」


【サキュバスの村での行動("まだ"平和的におね)】

○その他(安価)

○光の魔法陣を地面に作っておく(最初に選ばれたら他安価は無効)

↓~2

『黒判定の出た奴らにもう一度会いに行く』やね

偽勇者「……あの黒判定の意味を確実性にするために、少しでもあの頭痛の謎を解明するために―――」

    「会いに行ってみるか……」


俺は、黒と出た者達に会うために宿屋を後にしたのである。

……もちろん、破邪呪文を仕込んでからな―――





――――――――――「娼婦」――――――――――

娼婦「あら、あなたまだ村にいたの?」

偽勇者「ああ、悪いか?」

娼婦「悪くはないけど―――」

   「―――やっぱり、餌食になりにきた変態?」

偽勇者「殴られたいか」


娼婦は口元を隠し、笑った。


娼婦「あはは…… ごめんごめん」

   「商売柄、誰かと普通に会話するなんて余りないからさ」

   「今までなら、私の体をいくらでヤらせてくれるか」

   「こんなプレイをしたい、あの子を紹介してくれー――」

   「そんな会話ばかりだもの……」

偽勇者「……………」


娼婦のことは意味としてなら知っているが、その環境や生き残るためにどれだけ大変か知らん。

故に俺は黙って娼婦の話を聞くことにしたのだ。


娼婦「……あ、ごめんなさい」

   「つい長話してしまったわ」

偽勇者「構わない、女性の話を聞くだけだからな」

娼婦「……女性か」

   「その言われたのも何年ぶりかしら……」


そう呟いた娼婦は空を眺めていた。


偽勇者「……安心しろ。 サキュバス共は俺が―――っ!?」


―――――「キミ、童貞よね……?」―――――

―――――「これから、私が筆下ろししてあげるわ……」―――――


なんだ、この映像は―――それにこいつは娼婦? しかし、この姿は……


―――――「ふふっ…… 私、お仕事で何十人も筆下ろししてるのよ」―――――

―――――「あなたの童貞も、食べてあげる…… このお口でね」―――――


何故、娼婦が―――魔物ニ……


―――――「お仕事なら、これで終わりなんだけど…… これは食事なの」―――――

―――――「キミが天国に逝っちゃうまで、精を吸い取ってあげるからね……」―――――


やめろっ! この映像を止めてくれっ!


娼婦「どうしたの?」

偽勇者「っ!?」


娼婦に話しかけられた俺は、周囲を確認する。

そこは酒場の中で衰弱しきった戦士共が転がった場所ではなく、サキュバスの村の大通り。

……今の映像はなんだったんだ?


娼婦「具合悪いなら、私の家に寄っていく?」

   「薬ぐらいなら常備してるから―――」

偽勇者「……いやいい、大丈夫だ」

娼婦「そう? ならいいけど……」


あんな映像を見た後では、娼婦と共に一緒にいる気はしない。

俺は次の黒に向かうのだった―――

――――――――――「若い姉妹」――――――――――

少女「あ、お兄ちゃんだ!」

   「お兄ちゃ~ん♪」


俺は次に若い姉妹の元へと訪れた。

そして出迎えてくれたのは、少女の方だ。


偽勇者「おはよう、お姉さんは何処かな?」

少女「お姉ちゃんは牧場で乳搾りしてるよ」

   「お兄ちゃんも―――乳搾りする?」

偽勇者「……いや、俺は―――」


―――――「れろれろれろ…… ほぉら、イっちゃえ♪」―――――


偽勇者「っ!?」

少女「どうしたの、お兄ちゃん?」

偽勇者「ああ、大丈夫」

    「少し寝不足なだけだ……」

少女「ダメだよ? 早寝早起きは三文の徳なんだよ?」


―――――「えへへっ…… おちんちんグルグル巻きだよ♪」―――――

―――――「お兄ちゃん、気持ちいい?」―――――


偽勇者「……そうだな」

    「夜更かしはダメ―――だよな?」

少女「うん、ダメだよ♪」


偽勇者「……………」

ここは若い姉妹の牧場だ。

村の路地裏ではない。

俺は少女の顔を見る。


少女「~♪」


そこにある笑顔は純粋で、汚れなき微笑みだった。

―――決して精に、ペニスにむしゃぶり付く淫魔などではない。


偽勇者「それじゃ俺はここで―――」

若い娘「あら、おはようございます」

偽勇者「……ああ、おはよう」


―――――「勇者さんは、もう絶対に私には勝てないんですよ♪」―――――

―――――「ほぉら…… よわ~い勇者さんのおちんちん、いじめられちゃいますよ……♪」―――――


偽勇者「……………」


俺はイラつきと殺意を押さえる。

こんな映像がなんだ―――ただの幻想だ。


若い娘「どうしました?」

    「御気分が悪いのでしたら、お薬がありますが」

偽勇者「いや、結構です」

    「俺は―――」

少女「お兄ちゃん、寝不足なんだって」

若い娘「……寝不足ですか?」

    「余計なお世話かもしれませんが、健康に気を使った方が良いと思いますよ?」

偽勇者「ああ、ありがとう」

    「気を付けるよ……」


若い姉妹が、たった一日会っただけの俺を心配してくれるとは……

やはり、あの映像はただの幻想だ。

余りに身構えているから余計なモノを見てしまうんだ。

この姉妹があんな―――


―――――「もう牧場暮らしなんて飽き飽きなんですから」―――――

―――――「このサキュバスの力があれば、どんな贅沢でもやり放題……」―――――


……あんな淫魔になるはずがない。

俺は若い姉妹と別れ、次の黒の元へと向かうのであった―――



―――――「あなたの精を吸い取って、力を奪っちゃいますね……」―――――


   ∧,,,∧
  (´・ω・)<今回はここまでや
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


   ∧,,,∧
  ( ・ω・) <ほなな~
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


大阪|-ω-)<……………

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






偽勇者「……………」


俺はとあるベンチに座り頭を抱えていた。

先ほどまで、彼女達が淫魔と成り男の精液をむしゃぶり付く映像が見えていた―――非常に気分が悪くなる。

そんな俺の隣に女占い師が座る。


女占い師「おはよう―――って気分じゃ無さそうね」

偽勇者「ああ、最悪な気分だ……」


俺は女占い師の方を見ない。


女占い師「まあ、今晩に「紫のサバト」が迫っているから仕方ないわね」

     「どうする?」

偽勇者「……どうするって何がだ?」


俺は少しイラついていた。


女占い師「戦う? それとも―――」


―――――「このまま、私の胎内であなたを吸収してあげる」―――――

―――――「身も心も、私と一つになりなさい……」―――――


偽勇者「 殺 す 」

女占い師「えっ?」

偽勇者「……何でもない」


俺はその場から立ち上がり、剣を地に突き刺す。


女占い師「ちょ、ちょっと!」

偽勇者「今から結界を張りますので気を付けてください」

女占い師「結界?」


俺は深呼吸をし―――そして前を見据える。






― ― ― 「 ぢ ぇ あ あ あ ぁ ぁ ぁ っ ! ! ! 」 ― ― ―





俺は脚に力を込め、サキュバスの村に陣を描く。

走ると言っても、その速さは軽く人間を超えているので数十分で終わる。


偽勇者「ぢぇあああぁぁぁっ!!!」

少女「あ、お兄ちゃんだ♪」

   「おー―――」


若い姉妹の牧場を過ぎる。


少女「―――あれ?」

若い娘「どうしたの?」

少女「今、お兄ちゃんが走ってきたような……」





偽勇者「ちょあああぁぁぁっ!!!」

娼婦「あら、そんなに慌ててどうし―――」


娼婦の前を過ぎる。


娼婦「―――たの…… あれ?」





偽勇者「きょおおおぉぉぉ!!!!」

戦士A「今日も元気だ、酒が美味い~♪」

ごろつき「……なんだありゃ?」

あらくれ「あぁ?」


酒を飲んでいる男達をストライクする。


戦士A「だぁぁぁ!」

ごろつき「ぎゃぁぁぁ!」

あらくれ「俺の高級酒がぁぁぁ!」

偽勇者「ごめんなさぁぁぁいぃぃぃ!!!」





数十分後、陣を描くことはできた―――

俺が起こした被害と共に……


偽勇者「……ふぅ」

女占い師「……たった数十分で村を数周するなんて―――」

     「小さな村でも、10000人は軽く住める村よ」


女占い師は呆れと共に言葉を吐く。

褒め言葉として受け取っておこう。


   ∧∧

  (  ・ω・)<ちょい、寝落ち酷いから今回はここまでや
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


   ほなな~...zzZZ
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/



女占い師「……で、どうするのよ」

     「村にこんな線を引いて―――村長に怒られても知らないわよ」


女占い師がそう言うが―――

普通なら心配してくれてるように聞こえるが、俺には警戒してるようにしか聞こえない。


偽勇者「……大丈夫」

    「「紫のサバト」が終わればキッチリ直すさ」

女占い師「……………」

偽勇者「……………」


束の間の無言―――先に口を開いたのは女占い師である。


女占い師「ところであなた、サキュバス達のことをどう思っているの?」

偽勇者「……淫魔のことをどう思っているかだと?」


そんなの決まっている。


偽勇者「人間の敵だ―――敵対者だ」

    「人間の生活圏に忍び込み、男を家畜化する―――共存なんて考えれない魔物だ」

女占い師「……そう」

     「それじゃ、サキュバス側にも事情があるとしたらどうする?」

偽勇者「……どういうことだ」


女占い師は先ほどからサキュバスの肩ばかり持つ言動が目立つ。

それに、少し詳しすぎないか?


女占い師「そうよ、私の占いの結果や調べた資料によると―――」

     「サキュバス達はかなり追い詰められているみたいなの」

偽勇者「……………」

女占い師「サキュバスは生態上、人間と共存しなければ生きていけない」

     「しかし、人間達はそんなサキュバス達を受け入れてくれない」

偽勇者「……だろうな」

    「唯でさえサキュバス以外の魔物でも手を焼いているんだ―――受け入れる訳がない」

女占い師「……話を続けるわよ?」

     「そんなサキュバス達が生活するには、正体を隠して町に潜むか―――」

     「町から町へ流浪の生活を続けながら食い繋ぐしかない」

偽勇者「……それで?」

女占い師「サキュバス達は、定住の地を求めているのよ」

     「飢えることなく、幸せに生きていける楽園を―――」

     「小さな村で、静かに生きていける……」

     「そんなささやかな夢を……」

偽勇者「……………」


話だけを聞けば、御涙頂戴なことで……

しかし、俺は同情しない。

同情することができない。

何故なら―――


―――――「せっかく上質な精の持ち主だし、実験台にでもしようかしら」―――――

―――――「まだまだ、研究したい淫魔術がたくさんあるしね…… ふふふっ」―――――


一人の少年の末路を、モルモットと決めたサキュバスがいる。

淫魔術の実験台、決して解放されない日々、それはささやかな夢を求める者の姿なのか?


偽勇者「……戯言だな」

    「それで? あなたはそんなサキュバスに同情し人間側を裏切ると……?」


俺は剣を―――今か、今かと抜く姿勢を取る。


女占い師「……違うわよ」

     「ただ、私が調べた結果を誰かに喋りたくなっただけ」

     「あるでしょ? 誰かに喋りたいと思う気持ちって……」

偽勇者「……まあ、内容によるが確かにあるな」


俺は剣から手を離し、姿勢も解く。

女占い師はホッと安心しているように見えるが……


偽勇者「……次からは、喋る内容には気を付けるんだな」

    「じゃないと―――大怪我では済まなくなるぞ」


女占い師「……ええ、次からは気を付けるわ」

     「……あなたも気を付けてね」


女占い師は、あどけない表情でウインクをし、微笑む。


偽勇者「……ありがとう」

    「……感謝する」


しかし、少し無理があるような―――とと、余計な思考は止めておこう。

俺は最後の黒である村長の元へと歩を進めたのだった。


女占い師「……………」

     「予定よりは早いと思いつつ魅惑の魔眼を掛けたけど……」

     「全く効果がなかったか―――」


私は地に引かれた線をチラッと確認する。

確か、結界とかと言っていたわね。


女占い師「今まで見たこともない紋様に文字―――いったいどんな結界なのかしら……」

     「少し興味があるけど―――そんな余裕はないわね」


私はその場から離れ、魔術部屋に通じた隠し通路へと向かうのであった。


   ∧,,,∧
  (´-ω-) フゥ...

  /っ日o-_。_-.、  
  (´   c(_ア )
  [i=======i]




   ∧,,,∧
  (´・ω・) 今回はここまでや

  /っ日o-_。_-.、  
  (´   c(_ア )
  [i=======i]



   ∧,,,∧
  (´-ω-) まあ―――言い訳せずに黙って去るのみやね……
  /っ日o-_。_-.、     その日が来たらやけど―――
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


   ∧,,,∧
  ( ・ω・) ほなな~

  /っ日o-_。_-.、  
  (´   c(_ア )
  [i=======i]



大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






俺は最後の黒である村長の元へと向かった―――

しかし、屋敷にノックをしても反応がない。


偽勇者「留守か……?」


俺の力ならば、扉の20枚や30枚、壊すのは容易いが本当に留守かどうか調べるためだけに行うのは気が引ける。

例え、一瞬で修復が可能だとしても気持ちが大事なのだ。

勇者とは、理由無しに物を壊してはならぬのだ。


偽勇者「仕方ない、宿屋に戻るか……」

    「しかし、村長はこんな時に何処へ行かれたのか……」


ぶつくさと小言を呟きながら宿屋へと歩を進めたのであった―――





偽勇者「今、戻った」

クラリス「おかえり、あにさん!」


俺が宿屋に戻るとクラリスが出迎えた。

ほっぺにご飯粒が付いているところ、食事はちゃんと食べたようだ。


偽勇者「……ふむ」

    「今の所、宿屋には何の異常もないようだ」

クラリス「あにさん、まだ何かするのですか?」


クラリスが上目遣いで訊ねてくる―――それより、口を拭け。


偽勇者「いや、結界の陣も作ったし今晩になるまで待つばかりだ」

    「まあ、それまで暇だがな……」


クラリスはチャンスとばかりに、元気良く手を挙げた。


クラリス「はい、はいっ!」

     「それじゃ、一緒に遊んで下さいよ、あにさん!」

偽勇者「遊ぶ…… だと……?」

クラリス「駄目ですか?」

偽勇者「いや、構わんが……」


確かに暇だが、遊ぶとは考えもしなかった。

そういえば、クラリスには修行や鍛錬、勉強ばかりさせてきた。

偶には、遊ぶのも良いかもしれん。


クラリス「それなら、それなら♪」

     「え~と……」

偽勇者「慌てるな、晩までまだまだ時間がある」

    「ゆっくり何をして遊ぶか考えようではないか」


遊び―――いざ考えると中々思いつかないものだ。

メジャー的にトランプでもするか?

それとも絵本でも読んであげるか―――


【晩まで―――】

○スキップするん

○スキップしないん

↓2


『スキップしない』やね





女占い師「で、なんで私がここにいるのよ」

偽勇者「トランプの人数合わせだ、気にするな」

クラリス「よろしくお願いします、占い師さん」

女占い師「……はあ」


女占い師は、ため息を吐きつつも参加してくれるようだ。

因みに、女占い師は路地裏の隠し扉らしき所から出てきた時に捕まえた。

それと―――


アミラ「私はアミラ、残念なラミア」

    「情報を集めていたら拉致されたラミア」

クラリス「ボクはクラリス、旅する竜人です」

     「よろしく、アミラさん」

アミラ「うぇい、魔物にもこんなに礼儀正しい子がいたなんて―――」

    「世の中って不思議に満ち溢れているわ」

女占い師「あなたが一番不思議だと思うけど……」

     「何なの、この生物―――」

偽勇者「魔物だろ」


女占い師はキッと睨んでくる。

おお、こわいこわい。


アミラ「だめっ! 私のために争うのはやめて!」

女占い師「ぐっ……!」


この残念なラミアは、そこらのゴミ箱で見つけた。

普通ならば斬り捨てる対象だが―――何となく斬る気がしない……

何故だ?


クラリス「では、トランプを配ります」

     「ババ抜きなので、ルール説明はいりませんよね?」

アミラ「大丈夫よ、問題ないわ」

女占い師「私も……」

偽勇者「いや、ルールを一つ追加する」


この宣言に、クラリス達の視線が俺に集中する。


偽勇者「せっかくこうやってメンバーが集まっているんだ」

    「ただのババ抜きでは面白くなかろう?」

    「そこで考えた新ルールだが、難しくないごく簡単なルールだ」

    「それは―――」






―――「 最 後 に 負 け た 奴 は 罰 ゲ ー ム な 」―――






/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 今回はここまでや

   ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  (´・ω・)
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]



/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 何か長くなってるけど、気にしたアカンで

   ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  (´・ω・)
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]



/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ほなな~

   ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ∧,,,∧
  ( ・ω・)
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]



ゲソッ|ヽ・ω・)<眠いっ

ゲソッ|ヽ-ω-)<やから、今日はお休みや―――報告遅くてゴメンやで……


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






言葉とは何だろうな。

「罰ゲーム」というルールが追加された途端に「遊び」ではなく「戦い」に変貌してしまった。

クラリスは目付きが鋭くなり相手の動作に目を光らせていた。

どうやら不正が無いかどうか伺っているのだろう―――

クラリスは真面目な分、不正を好ましく思っていないからな……


クラリス「ぐぬぬ……」


女占い師は表情こそ変わっていないが、明らかに空気が変わっている。

相手の手札の並びを分析してるのだろうか―――トンガリ帽子を深く被り視線を悟られないようにしている。


女占い師「……………」


で、この残念なラミアのアミラは―――

全く分からん。

上下を正しくひっくり返しているのはいいが、腕が無いので足で手札を持っているのだ。

分かるのはそこまで―――元々俺は蛇の表情を理解できる程できた人間ではないのだ。


アミラ「グッド! 楽しくなってきた」

    「じゃあ、私から取らせてもらうわね」

偽勇者「……ん」


俺は手札の一枚をアミラに取らせる。


クラリス「……………」

女占い師「……………」

アミラ「……………」

    「……揃った」


ハートのKとクラブのK―――確かに……


アミラの手札の数が減る、勝者に一歩近づいた。


偽勇者「……次は俺だな」

女占い師「……どうぞ」


俺は女占い師から一枚の手札を抜き取る―――ダイヤの6だ。


偽勇者「……ちっ」


俺の手札は減らない、勝者から一歩遠ざかった。


因みに何故「ババ抜き」でこれだけ真剣になっているかと言うと―――

「罰ゲーム」の内容が、敗者が最初に抜けた勝者の言うことを可能ならば一つ叶えなければならないからだ。


女占い師「次、私ね」

クラリス「はい」


女占い師はクラリスから一枚の手札を取る―――そしてそのまま自分の手札に加える。

どうやら、女占い師も揃った手札が無かったようだ……

クラリスは真面目だが、俺が変則的なことも教えているからな。

戦いとは、馬鹿正直に真っ直ぐに突き進むのではなく変化を加えて相手を翻弄することと……


クラリス「では、取らせていただきます」

アミラ「どうぞ」


クラリスがアミラから一枚取る。


クラリス「揃いました♪」


二枚のカードを机の中央に置くクラリス―――そのカードはダイヤのAとスペードのA。

今の所、カードを捨てることができたのはアミラとクラリスのみか―――

ババ抜きでマジになるなんて……

一言の言葉は恐ろしい効果だな。


偽勇者「……そういえば」

    「もし、勝者になれたら―――」

    「皆はどのようなお願いをする?」


今度は視線が集中することは無かった―――

しかし、その分このゲームに本気になっているという証拠にもなる。


クラリス「……お願いですか」

偽勇者「そそ、まあ気の変わりようによっては、お願いも変わると思うけど」

    「相手のお願いを知ってる分、更に本気になれるだろ?」

女占い師「……まあ、相手のお願いが、とんでもないお願いなら本気になれるわね」

     「でも、それって必ずしも言わないといけないの?」

偽勇者「そこは、強制しないさ」

    「言うも言わないも本人次第だ」

女占い師「……ふぅ~ん」


【偽勇者以外のお願いって何なん?(アミラ除く)】

○クラリス:↓2

○女占い師:↓3

負けたらブリッジしながらゲームに参加してください

一日キグルミを着て過ごす

>>542 >>543』やね


クラリス「う~ん……」

     「ならボクは負けた方に「ブリッジしながらゲームに参加」するように命令したいです」

偽勇者「……地味にキツいな、それ」

アミラ「ブリッジしながらだと、新たな敗北を呼び込みそうね―――まあ、私は逆さまになるのは為れてるから大丈夫だけど」

偽勇者「占い師は何を願うんだ?」

女占い師「……一日キグルミを着て過ごしてもらうわ」

クラリス「着ぐるみですか?」

アミラ「あら、中々可愛らしいお願いじゃない」

    「見た目と違って、中々乙女なのね」

女占い師「シャラップ! 見た目って言うなっ!」

偽勇者「……………」


着ぐるみを着て一日過ごすだと?

この発言から女占い師の視線が―――いや、熱視線が俺に集中しているような……


偽勇者「気のせいか?」

女占い師「……………」

     「……フッ」





一ババ抜き戦、勝者は―――クラリスだ。

ババ抜きでも勝てたのが嬉しいのか、元気にはしゃいでいる。

……で、敗者は―――


アミラ「私はアミラ、敗者のアミラ」

    「ブリッジは、ただ単に逆さまになるのではなくてUの逆字だから腰にくるわ……」

    「クラリス、なんて恐ろしい子」


しかも「ブリッジしながらゲームに参加」だから、例え勝利してもゲームが終えなければ解除されることもない……

更にはアミラは両手がない故に両足と頭のみでブリッジをするのだ。


アミラ「おおう―――頭に血が上ってきた……」

クラリス「頑張ってください、アミラさん♪」

女占い師「……意外にエグい子ね」

偽勇者「いや、ただ単に危険性を知らないだけと思うぞ?」

女占い師「なんでよ」

偽勇者「教えてないから」

女占い師「そこをしっかり教えておきなさい」


頭に血が上り圧力が掛かると、脳血管の壁が破裂する危険性があるからな。

良い子はマネしちゃ駄目だぞ!






楽しい時間は、過ぎるのがとても早いものだ。

いつの間にか、すっかり日が暮れている。


偽勇者「……そろそろ終わろうか」

    「もう少しで「紫のサバト」が訪れるからな」


俺は窓から差し込む夕日を眺めながら答える。


女占い師「……ええ、そうね」

     「非常に腹立たしいけどね……」


後ろを振り向けば、ナッツンスーツを着た女占い師がいた。


偽勇者「……おや、こんな所にナッツイーターが―――」

    「退治しなくちゃ……」

女占い師「あなたが、着せたんでしょうがっ!」


女占い師が、怒るとナッツを投げてきた―――が、避けた。

俺はババ抜き戦で何度か勝利し、敗者に過酷な命を下した。

その一つが「ナッツンスーツを着て参加すること」だ。

非常にもふもふしていて触り心地が最高な逸品だ。

しかし欠点が一つだけある、それは―――体のラインが出るのだ。

女占い師は着やせするタイプ、実は結構肉づきが良い方で「むちむち」していた。

しかし、彼女はそれを気にしていた様子で―――


女占い師「もういいでしょ脱がしてもらうわよ、この着ぐるみ!」

偽勇者「……自分で毛皮を剥ぐとは、なんてムゴイ」

女占い師「うっさい!」


ナッツンスーツが投げ渡された―――汗を吸ったのか少し湿ってる。


クラリス「あにさん、ボクもそろそろ……」

偽勇者「もうババ抜きも終わりだし……」

    「罰ゲームは解除だな、クラリス」

クラリス「はいっ……」


さて、クラリスも俺からの命れ―――お願いを聞いた一人だが……

そのお願い内容が―――だ。


【どんなお願いなん?】

↓2


風呂タイムや

ゲーム終了までビールマンポジション(フィギュアスケートの足を後ろに上げて両手でつかむやつ)



   ∧,,,∧
  (´-ω-) <風呂の中で死んでたわ―――おはようやで……
  /っ日o-_。_-.、
  (´   c(_ア )
  [i=======i]


>>547』やね

そのお願い内容が『ゲームが終わるまでビールマンポジションのポーズ』をすることだ。

このポーズはスケートで取るポーズだが詳しいことは電脳世界でググってくれ―――

ゴホン、ともかくクラリスには長時間このポーズを取っていてもらったのだ。


クラリス「……痛ぅ」


クラリスは腰に手を当てて痛がってるようだ。


偽勇者「クラリス、少しベッドの上で伏臥になれ」

    「シップを貼ってやる」

クラリス「お願いします、あにさん……」


ベッドの上でコロンと伏臥になり腰部分を露出するクラリス。

俺がペタペタとシップを貼っているとドアが開かれる音が聞こえた。


偽勇者「帰るのか?」

女占い師「……………」

     「ええ、帰るわ」

偽勇者「もうすぐで「紫のサバト」が始まる―――」

    「それでも帰るのか?」

女占い師「……だからこそよ」


俺は女占い師の姿は見ない、女占い師も俺を見ていないだろう。

バサッと何かが広げられる音と共に部屋の中に強い風の流れを感じた―――

そして、女占い師の気配は消えた。


クラリス「……あにさん」

偽勇者「……………」


クラリスが俺の顔を見上げてくるが返事はしない。


偽勇者「……ババ抜き戦―――楽しかったな……」


夕日の光が、立てかけていたロトの剣を照らしていた―――






偽勇者「……サキュバス共は外ではなく中にいたか」


俺はベッドの上に座り、ただ時が満ちるのを待っていた。

今回もクラリスは腰にダメージを負っているので光の結界を施した宿屋で留守番することになった。

クラリス本人は―――


クラリス「ボクもあにさんと一緒に行きま―――」


― ― ― 「 ク ラ リ ス の 腰 に 電 流 が 走 る っ ! 」 ― ― ―


クラリス「っ! っ!?」

偽勇者「すげー、髪の毛が逆立った……」

    「今回も留守番しておけ、腰が悪化したら問題だしな」

クラリス「そ、そんな~……」

     「あっ! あにさんの不思議な力ならこの腰も―――」

偽勇者「ああ、あれ故障中だ」

クラリス「……不思議な力って故障するものなのですか?」


俺はクラリスと下らん話をしつつ、真夜中になるまで待つのであった―――





偽勇者「……時が満ちた」


俺の膝を枕にしていたクラリスを起こさない様に静かに立ち上がり、異様な雰囲気が立ちこめていることを知る。


偽勇者「この雰囲気が「紫のサバト」か……」

    「宴にしては体に悪そうな空気だな……」


光の結界で遮断はしているが、それでもじわじわと浸食してくるかのような不気味さが肌に感じる。

これでは「大掃除」をしなくてはならない。

俺は部屋を出て、宿の外へと向かったのだった。






偽勇者「ふむ……」


村そのものには、変化はない。

だが、空気が確実に違う。

淫魔が好みそうな、余ったるく粘り着くような感触がする。

……何の変化もないのが、最大の変化か。


偽勇者「さて、何処から調べていくか」


俺は剣を抜き身のまま村をブラつくのだった。


【どこから調べるん?】


○道具屋

○教会

○酒場


『教会』やね

俺は気まぐれに選んだ教会の戸を蹴り破り侵入する。

そこには、教会に逃げ込んだのかそれとも宴会でもしていたのか酒瓶やつまみがゴロゴロ転がっていた。

まあ、この酒瓶の多さから見て後者の宴会が正しいか―――

そして、視界の隅に映る数人の男性が倒れていた。


偽勇者「よう、生きているか?」

青年「あひぃ…… も、もう出ないよぉぉ……」


全裸のまま、窶れつつ幸せそうな顔で呟く青年。

他の数人も、窶れているがどこか恍惚な表情だった。


偽勇者「ん~…… 表情だけで感染者と判断するのは―――」

    「些か早いか……?」


しかし、男性の全裸というのは何とも滑稽なことか。

肉棒は萎れているが、気にする部分ではないな。

それにしても―――


偽勇者「これはコンドーム―――ではないな」

    「靴下か? マイナーなプレイだな……」


その靴下の先端部には、大量の精液がタプタプと溜まっているようだが―――

かぶせられた本人は、嬉しそうに表情が緩んでいた。


偽勇者「とっとと、教会にいるサキュバスを殺すか」


俺はトロの剣を構え、教会の奥へと踏み込んだ―――


偽勇者「……これはこれは、見慣れた少女だな」


神官のプライベートルームなのか、ベッドの上で仰臥の状態でM字開脚している青年。

そして、そのM字青年の尻の穴に尻尾を挿入している少女―――


ミンキュバス「ねえどう? お尻の穴を掘られて気持ちいい……?」


パンパンと耳障りの音を奏でている少女は、一心不乱に青年の穴を掘る。

背に生えた羽と尻尾―――残念ながら少女は、サキュバス化したようだ。


青年「お、おほぉぉぉっ!」


青年はアヘ顔で、ぶるぶると身を震わせていた。

無駄に自分の胸に、ドピュと精を吐き出している。


ミンキュバス「あは♪ お尻を突かれて感じるなんて―――」

       「お兄さんって変態だね♪」

青年「はい、僕は変態です! もっと突いてくださいっ!」


※飯タイム+風呂や


大阪|´-ω-)<みなはん、ただいまー

大阪|´・ω-)<閉まっちゃうおじさん?


歓喜と変態が混じった悲鳴を上げながら、みるみるやつれていく青年。

そのまま最後に力強く突かれたと同時に精液を勢いよく射精し、がっくりとうなだれてしまう。

……人生最後の射精だな、こりゃ。


ミンキュバス「うふふっ……」

       「いい運動になったよ……♪」


青年の尻の穴からズポッと腸液塗れの尻尾を引き抜くと、いい汗掻いたと腕で額を拭う。

白濁塗れの青年の体を、小さな舌でぴちゃぴちゃと舐め取っていく。

舐め終わると、その目が俺の方に向く。


ミンキュバス「えへへっ、次はお兄ちゃんの番だよ」

       「お兄ちゃんのおちんちんに靴下をかぶせて―――」

       「お兄ちゃんの顔に私の脱いだパンツをかぶせて―――」

       「そして、お尻の穴をがんがんっと突いてあげる♪」

       「それとも、爪で乳首をカリカリしちゃう?」

偽勇者「……はあ、悲しいな」


俺はやれやれと呆れ、この少女との一時の会話を思い出していた。

人間が魔物になるとここまで変わるのか―――


ミンキュバス「どうしたのお兄ちゃん?」

       「突かれるより突くほうが良かったの?」


人間に戻すことは可能だ。

しかし、体は人間に戻っても意識は戻るのか?

俺はその後も、この魔物を少女と同一として思えるのか?

俺には分からない……

故に―――


ミンキュバス「それじゃ、お兄ちゃんのお顔に乗ってあげ―――」






― ― ― ト ス ッ ― ― ―





ミンキュバス「 ? ? ? 」


ミンキュバスは何が起こったのか分からない。

左右の視界が別々の方向を見ているのだ。

前を見ようと、顔に力を込めるが前を向けない。

体を動かそうとしても、体が動かない。

声を出そうとしてもヒューヒューと空気が抜ける音が聞こえるだけ。

一つの視界にお兄ちゃんを見つけるが、その光景は指先を自分に向け火を放つ瞬間である。

そして、少女―――ミンキュバスは……


ミンキュバス「私、死ぬんだ」

偽勇者「……メラ」


少女の体に火が放たれた。

その火はどんどん少女の体に燃え広がり教会にまで広がる。


ミンキュバス「お兄ちゃん」

偽勇者「なんだ?」

ミンキュバス「……呼んだだけ」

偽勇者「……そうか」


少女の上下していた胸は止まる、最後まで見届けた偽勇者はその場から立ち去ろうとするが―――


レンキュバス「ミンキュバスっ!」


教会に若い娘の声が―――レンキュバスの声が響いた。

そして、俺の足元に転がり燃えていくミンキュバスの姿を見たレンキュバスの表情は殺意に塗り潰されていく。


レンキュバス「……ミンキュバスを倒したのは―――」

       「私の妹を殺したのはあなたですか……?」

偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓~2

ああ

貴様らすでに被害を出したよな?
残念だが手遅れだ、成仏しろよ

あの世で妹が待ってる
早く行ってやれ

>>567 >>568』やね―――『>>569』もオマケや

偽勇者「……………」

    「ああ」


レンキュバスは、俺の答えを聞いた直後に襲い掛かってきた。

指先を鋭利な刃物ようにし、俺の心臓を狙ってきたが―――

オリハルコンで出来ている鎧が、貫ける訳も無く逆にレンキュバス自身の指を折る形となった。


レンキュバス「痛っ!」


レンキュバスが痛みで動きを止めた隙を逃さず―――正拳突きで腹を突き破る。

血を吐き、苦しみ、それでも殺意を宿した目は俺を見ていた。


レンキュバス「殺してやる、殺してやる、殺してやる」

偽勇者「貴様ら既に被害を出したよな?」

    「残念だが手遅れだ」

レンキュバス「殺してやる、殺してやる、殺してやるっ!」


折れた指と共に、俺の首を掴み絞める。

ギリギリと絞める音が聞こえているが、レンキュバスを突いた腕に力を込め―――


偽勇者「あの世で妹が待ってる」

    「早く行ってやれ」


紙を破るように、上半身と下半身を引き千切った。





レンキュバス「……………」

       「……ミンキュバス」


レンキュバスは、上半身のみとなった半身を引きずる。


レンキュバス「……ミンキュバス」


ミンキュバスは左腕以外を、炎に包まれ燃え盛る。


レンキュバス「……辛く苦しい時、二人で乗り越えたよね」

       「……せっかく―――せっかく贅沢できるチャンスが訪れたのに……」


レンキュバスの動きが鈍くなり、視界が霞んできた。


レンキュバス「……ミンキュバス、来世も姉妹になれるかな?」


レンキュバスは最後の力を振り絞り、右手をミンキュバスの左手に重ね―――






偽勇者「……教会が崩れたか」


俺は教会から少し離れた位置からその光景を眺めていた。

その燃え盛る炎は気持ちを落ち着かせてくれる。

人間が簡単に、欲望に負けることは周知の事実だ。

周知の事実だからこそ、遣る瀬無い―――


偽勇者「……魔物は殺す、感染者も殺す」


また適当にブラつき、獲物を探すのだった。


【どこから調べるん?】

○道具屋

○酒場


『道具屋』やね





偽勇者「ちぃーす、店主は感染者っすか?」


道具屋の窓から侵入し、道具屋の周囲を確認する。


店主「あうあうあうっ!」

サキュバスA「ねえ、ここ?」

       「ここがいいの?」

店主「いい! そこがいいっ!」

サキュバスB「もっと? もっと欲しいの、この卑しん坊!」

店主「欲しい! もっと欲しい!」


……元気なことで。

俺は剣を振りかぶろうとしたが―――先に店の奥に飾られている石に注目した。

そして、店主やサキュバス共を無視し俺は石を盗―――手に入れた。


◆【アルマエルマの魔石】
アルマエルマの強い魔力を秘めた(薄緑色に輝く透明感ある)石。
サキュバスの村で盗―――買った。


偽勇者「……この石を手に入れたからには、もう用はないな」


俺は店主達の様子を伺ったが―――夢中なのかそれとも無視しているのか、交わるのに忙しいようだ。

今すぐに始末するのは容易いが―――教会に近いこの道具屋は時期にここまで火の手が回る。


偽勇者「さて、一時の夢を見せるのもいいが―――やはり殺すか?」


【どっちなん?】

○殺す

○放っておく


『放置』やね


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|・ω・)<少しだけやるで~

……今は放っておくか。

どうせ、感染者は誰一人として逃さないからな。


店主「あひぃぃぃっ!」

サキュバスA「それそれ♪」

サキュバスB「ほらほら♪」

偽勇者「……………」

    「確実に殺す……」


俺はそう言い残すと、道具屋を出るのであった―――





俺は最も近場で妖気が強い酒場に向かった。

確かこの酒場は、あらくれ達が屯っていたはず―――

酒場の扉を開けると、アルコールと精液が混じった臭いが鼻に付く。

顔を歪め、周囲を確認すると―――


戦士「あ、あぅぅぅ……」

娼婦「ほらほら…… まだ出せるでしょ?」

   「天国に逝くまで搾ってあげるわ…… ほぉら、ほらほら……」


カウンターに背を預け、頬が痩けている男。

その上にまたがり、嫐るように腰を振っている女―――

女が男を襲う逆レイプの図をそのまま切り出したような形だな。

まあ、一部違うとしたら女が男の精を吸っているということか……


戦士「はっ……」

   「またイく…… イくぅぅぅ―――!!」

偽勇者「……喧しいやっちゃな」


男は体を反り、体を震わせるとそのまま気絶する。

男以外にもそこらに転がり、ぶら下がっているあらくれ達がいた。

衰弱はしているが、どいつも恍惚な表情をしていた。


娼婦「あは♪ 待たせたわね―――」


娼婦は女性器に挿入していた男性器をズルりと抜くと俺の方に視線をやった。


娼婦「次はあなたの番よ、勇者君」

   「相手にしなかった分たっぷり―――搾ってあげるわ」

   「じっくり、ねっとり、ずっぽりと……」

偽勇者「……はあ」

    「―――」

【偽勇者のセリフ】

↓~2

非常に残念だが人類の仇となる魔物は死んでもらう

今楽にしてやる

そいつらみたく搾られる趣味は無いし、お前にくれてやる精も一滴たりと無い
俺が欲しいのはお前の命だけだ

>>584 >>585 >>586』やね

偽勇者「……はあ」

    「非常に残念だが人類の仇となる魔物は死んでもらう」


俺は元娼婦に剣を向ける。


マキュバス「あら、あなたも私に剣を振るうの?」

      「止めた方がいいわよ? 時間の無駄だし―――」

      「どうせ、口だけでしょ……」


マキュバスは目を細め、舌で搾り取った精液を舐め取る。

体の至る所には、男達から搾り取った精液が塗れていた。


偽勇者「そいつらみたく搾られる趣味は無いし、お前にくれてやる義務も義理も無い」

    「俺が今欲しいのは―――」

    「―――貴様の命だけだ……」

マキュバス「うふふっ……」

      「あなたの精液も、搾り取ってカラカラにしてあげるわ」


マキュバスは羽を広げ、俺に飛びかかってきた。

そして、床に押し倒し余裕の笑みを見せた。


マキュバス「なんだ、やっぱり口だけじゃない」

      「さぁて、どうやって搾ってやろうかしら……」

偽勇者「……………」


俺はマキュバスの腰に手を回す。


マキュバス「あら、勇者君はオッパイが好きなのかしら♪」

      「それともお乳が飲みたいの?」


回した手に少しずつ力を込めていく―――


マキュバス「そんなに熱烈になって……」

      「大丈夫、たっぷり犯してあげるから―――痛っ!?」


マキュバスに回した手から、ギチギチと耳障りな音が聞こえてくる。


偽勇者「どうした?」

    「犯してくれるんじゃなかったのか?」

マキュバス「痛! ちょっと痛い!」


徐々に手がマキュバスの腰に食い込み―――そして、ミシッと背骨に罅が入る。

マキュバスは全力を込めて、俺からの拘束から逃げ出し脱兎の如く窓から飛び去ってしまった。


偽勇者「……今」

    「楽にしてやる……」





マキュバス「なんて馬鹿力なのよ、あいつ……」

      「もう少しで、背骨を折られるところだったわ」


私は勇者の拘束から逃れると同時に窓から逃げ出した。

サキュバスになってから、体から力が溢れてくるから正直油断した。

酒場にいた餌達も、旅をしていたからそこそこ強者だったが恐れるほどではなかった。

しかしあの勇者の力は別格だった。

人間以上に力が勝る私を―――魔物を逆に力のみで倒そうとした……


マキュバス「……このまま村を逃げ出すのが得策ね」

      「放浪することになるけど、このまま殺されるよりはマシだわ」


私は近場のグランゴルド城に向かうために高度を上げ―――



― ― ― ザ ク シ ュ ! ― ― ―



マキュバス「 !? 」


―――ようとした時、私の口から剣が生えた。

いや、生えたのでは無く刺された。

でも何故?

人間は空なんか飛べないはずなのに―――


体から力が抜け落下する。

羽ばたこうとしても、羽は動かず歯に剣の感触のみが鮮明に感じられる。

視界が逆さまになりつつ、酒場が視界が入った時に謎が解けた。

酒場の窓からあの勇者が剣を投擲したのだ―――

普通なら信じられないが、私自身が勇者の力で締め上げられたから分かる。


マキュバス「―――」


私はどんどん近付いてくる地面に到達するまで思考する。

人間のままが幸せなのか、それとも魔物が幸せなのか―――

もし誰か答えを知っているなら教えて頂戴な。

どっちが正しい生き方な―――





偽勇者「……ふん」


俺は潰れた魔物からロトの剣を拾う。

血濡れになった剣を一振りすると、魔物の血は一滴残らず飛び散る。

妖気はあちこちで広がり、サキュバスの数が多くなってきた。


偽勇者「……魔物を殲滅するのも楽じゃねえな……」

    「結局は、村の内だから光の結界も無駄になっちまうし……」

    「骨折り損の草臥れ儲けだ―――」


村の建物からぞろぞろとサキュバス達が湧き出てきた。

どうやら、血の匂いを嗅ぎ取って集まってきたようだ……


サキュバスA「何々、どうしたの?」

サキュバスB「ちょっと、なんで血の臭いがするのよ!」

サキュバスC「あの鎧の人、何なの?」

偽勇者「……………」


俺は剣を持ち、そしてサキュバス達に向かって歩を進めるのだった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


∑ ;・ω-)<あっ、大丈夫かいな?






女占い師「……………」

村長「どうしたの、ウィッチ」

   「浮かない顔をして、珍しいわね」

ウィッチ「……村長」


私は村長の屋敷で、紫の月を眺めていた。

百年に一度―――そして、サキュバスである私達の悲願が果たされる時。

この日を長年待ち続け、男達の精を捧げ続けたことで「伝説の淫魔」がもうすぐで復活する―――

しかし、私の胸には不安しか残っていなかった。


ウィッチ「村長、本当に私達の悲願は叶うのでしょうか」

村長「……それは、どういうことかしら?」

   「まさか、男達の精が足りなかったの?」

ウィッチ「いえ、あと七人分の精が必要ですが支障はありません」

村長「そう……」

   「びっくりさせないでよ……」


村長は安堵の胸を撫で下ろす。

そして、紅茶をいれ私に差し出す。


村長「もう少しで私達の―――サキュバス達の悲願が叶うの」

   「町から町へ、村から村へと放浪するのはもうお終い……」

   「淫魔リリスの元で、全ての人間達を搾精家畜にするのよ」


……そう。

何を迷うことがあるのか。

ただ私は伝説の淫魔を復活させるための儀式を完成させればいいだけ―――

例えあの人間が強かろうが、私達に適うはずがない。

しかし、何故だろうか。

恐怖がこちらに向かってきているような気がする。


村長「そうだウィッチ」

   「全ての人間達を搾精家畜にしたらまずは何をする?」

ウィッチ「えっ……」

     「ん~…… そうね……」

     「儀式や戦士達を村に集めるのに忙しい毎日だったから、考えたことはなかったわ」

村長「ふふふっ……」

   「やっぱりね。 働き過ぎでストレスが溜まってるのよ」

   「だから不安や浮かない顔をするのよ」

ウィッチ「……そうかな?」

村長「絶対にそうよ!」

   「ウィッチには、たくさん働いてくれたご褒美を用意しなくちゃね♪」


村長はルンルン気分で鼻歌を歌い始めた。

村長も他のサキュバスの食事のために毎日、畑仕事を頑張っていたのに―――

まあ、全てはイモだけど……

それでも、村長にも搾精家畜の一番搾りを浴びるほど味わってもらいたいものだ。


ウィッチ「……それじゃ、最後の仕上げをしてくる」

     「あと七人分の精で、リリスが復活―――っ!?」


私は紅茶の香りを楽しんで味わっていたが、その一時を邪魔する生臭いにおいがする。

このにおいは―――血……?


村長「……………」

   「どうやら招かれざる客が来たようね」

   「ウィッチは儀式の準備を進めておいて」

   「私が時間を稼ぐわ」

ウィッチ「しかし!」

村長「大丈夫よ」

   「私はこれでも位が高いほうよ?」

   「そこらの人間は疎か魔物にも負けないわ」

   「……だから―――ね♪」

ウィッチ「村長……」

     「分かりました、儀式の準備を進め必ず淫魔リリスを!」


私は村長の後ろ姿を眺め、そして扉の向こうへと消えていった。






村長「……はあ」

   「とは言うものの―――正直、不安だわ」


少しずつ血のにおいが濃くなり近づいてくる。

……相手と争う立地は最悪。

屋敷の中では、思うように飛べないし―――外で戦おうとも屋敷に侵入され儀式を邪魔されたら全てが水の泡……


村長「……本当に損な役回りだわ」


私は構え、相手を待つ―――

そして、扉が音を立てながら開いて行く。



――― 屋敷の前にいたのは、血塗られた怪物だった ―――



村長「……………」

   「冗談でしょう……」


鎧は血で真っ赤に染まり、剣には臓物と思われるものが付いていた。

そして、怪物はゆっくりと屋敷に近づいてくるのだった―――


偽勇者「……あはっ♪」



   ∧∧

  (  ・ω・)<今回はここまでや
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


    ...zzZZ
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/



大阪|-ω-)< .....zzz

大阪|-ω-)< .....おるー?


村長「……………」

   「……あなた」

   「本当に人間なの……?」

偽勇者「……………」


私の目の前にいるのは数日前に、この村に訪れ挨拶にやってきた勇者。

あの時は、酒場で屯っていた男達よりは強い生命力を感じていたけど……

でも、今は人間らしさを感じない―――邪悪な何かを感じる。

私は羽を広げ無駄と分かっていても威嚇する。

そして勇者がとった行動は―――


偽勇者「……邪魔をするな」


腕を一振り―――その場で腕を一振りしただけ。

私は頬に鈍痛を感ず、粉々に砕けた暖炉に横たわっていた。

視界に映った光景は、私が元々立っていた場所に勇者が―――

そして、私の自慢の角が床に転がっていた。


村長「……!」

   「ハ……!」

   「……!」


体を起こし態勢を整える。

激しい痛みが体中に走るが関係ない。

今、この勇者を倒さなければ永遠にサキュバス達の楽園を造ることは叶わない。

私は紫の月の恩恵と本来ある力で、勇者に襲い掛かる。

音速に最も近い速度で勇者の唯一、防具に守られていない顔を狙う。

油断と傲慢、そして余裕による失態……

このチャンスを逃さず、勇者の顔に腕が突き刺さる―――


村長「……手応えあり」


――― 勝った ―――


―――私は勝ったのだ、この怪物に……

―――さあ、もう安心だ……

――― 一休みしてウィッチの仕事を手伝うのだ……






――― ミチ…… ミチ…… ―――





村長「あああ―――!!」


腕に歯が突き立てられ、深々と侵入を許してしまう。

引き抜こうと力を込めようが、びくともせず―――

逆に叩き付けられる。

痛みに苦しむ暇は与えないのか、私をそのまま振り回す。


―――テーブルに、棚に、机に、台所に、冷蔵庫に、調理器具に、食糧庫に、紅茶に、熱湯に、記念品に、壁に、天井に、床に、階段に、手すりに、絵に、タンスに、キャンドルに、扉に、廊下に、額縁に、刃物に、衣装に、角に、平面に、膝に、肘に、廃品に―――





……どれだけの時間が過ぎたのだろうか?

あれからずっと叩き付けられていたが、紫の月の恩恵で体がいつも以上に丈夫だ。

それのおかげで、まだ死ねてない―――

噛まれていた腕は、吐き出されているが中途半端に千切れ筋内膜が露出している。

力を込めたくても込めることができず、只々寝転がっているしかできない。


偽勇者「……遊び足りない」


勇者が奥の扉へと向かう―――


村長「……どこに行くの、三下さん」


私の挑発に乗ったのか、それともまだ興味が残っていたのか歩を止めた。


偽勇者「へえ……」

    「まだ、口が利けたのか……」

    「本当に魔物ってしつこいんだね―――」

    「カッコイイ……♪」


―――何だろうか。

こいつの言葉を聞いていたら胸の奥が気持ち悪くなる。


村長「……ありがとう、吐き気がするわ」


勇者が笑った。


大阪|・ω・)<めちゃ、短いけど今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<……うん

大阪|・ω・)<金曜日に寝て、今起きたわ―――誰なん?

大阪|-ω-)<キンクリ使ったん誰なん? 怒らんから手を挙げや……

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?



○ルカ:魔物は殆ど不殺だけど「ベルゼバブ」などのごく一部では戦い方次第じゃ滅ぼしてる。

○マルケルス:ラザニア・マーリン・カレンと共に、アリスフィーズ15世以外は一匹も魔物を殺していない。
(但し、不殺主義ではなく力の差があり過ぎて殺せなかったから)

○ハインリヒは、天使を殺しまくっていたから魔物も殺しまくっていた可能性はある。






ウィッチ「……もうすぐで、伝説の淫魔リリスは復活する」

     「しかし―――」


リリス復活まで、あと七人分の精がどうしても集まらない。

どうして……?


ウィッチ「万の精を集めたものの、残り僅かでつまづくなんてっ!」


私は怒りのままに、帽子を床に叩き付けた。

今でも村長が、あの勇者の足止めをしているのに僅か七人分の精を用意できないなんて……


ウィッチ「……こうなれば、私の魔力をリリス様に捧げるしか―――」


私は自分の体を抱き締める。

自分自身の魔力を捧げるということは、死を意味するのだ。

死を意味することは―――


ウィッチ「……サキュバスの悲願」

     「……長年の夢」

     「私の命一つで叶うならば……!」


私が、魔力を解放しようと構えた時だった―――

後方のドアが開く音が聞こえた。


ウィッチ「……………」

     「……誰? ……村長なの?」


私の呼びかけに答える者はいなかった。

いつも通っている出入り口が、ここまで恐怖するとは夢にも思わなかった。

そして、その出入り口から返答の変わりに何かが投げ込まれてきた。


ウィッチ「そ、村長っ!?」


投げ込まれてきた者は、変わり果てた村長であった。

体中に打撲の跡に斬り傷、腕の欠損―――損傷が酷いと済まされる状態ではなかった。


ウィッチ「村長! 大丈夫ですか、返事をしてください!」

村長「……………」

   「……ごっほ―――ウィ……チ?」

ウィッチ「良かった、生きてる……」


村長の声は耳を澄まさなければ聞き取ることができないが、生きていることは確認できた。


ウィッチ「待っていてください、直ぐに傷の手当を―――」


偽勇者「……マホトーン」


偽勇者はマホトーンを唱えた!

ウィッチサキュバスは魔術を封じられてしまった!


ウィッチ「っ!?」


私は後ろを振り向くと、扉に寄り掛かった勇者がいた。

しかし、勇者の姿は血で真っ赤に染まっていた。


偽勇者「駄目じゃないか、魔物退治の邪魔をしちゃ」

    「魔物はしっかり息の根を止めないといけないんだぞ!」

ウィッチ「……シャニセ―――ユウ……」

偽勇者「久しぶり♪」


勇者が満面の笑みで答えるが、私には悪意ある笑みにしか見えなかった。


ウィッチ「……あなたが村長を」

偽勇者「うん」

ウィッチ「どうして―――」

偽勇者「うん?」

ウィッチ「どうして、こんな惨いことを……」

偽勇者「……………」

    「さあ―――何でだろう?」

ウィッチ「ふざけないでっ!」


私は憤怒を押し殺す。

今、怒りに任せて襲い掛かっても万が一にも勝ち目はない。


村長「……………」

   「ウィ…… チ……」

ウィッチ「村長っ!」

村長「私が…… 時間を稼ぐか…… リリス様を……」

ウィッチ「村長…… それが……」


私は村長に重大なことを伝えようとするが―――


偽勇者「あ、それ無理だよ」

    「全部、殺したから」


私と村長は、言葉を失った。


全部、殺した?


ウィッチ「今…… なんて……?」

偽勇者「聞こえなかった?」

    「全部、殺したって言ったんだ」


全部、殺した―――つまり、村にいる数百のサキュバスを全て殺したこと。

私の心を恐怖が支配する。


村長「……恐れ入るわ」

   「……おめでとう」

偽勇者「ん?」

村長「あなたは、見事にサキュバスの村のサキュバス達を皆殺しにしてこの村にいる男達を救うことができました」

   「でも―――女の人達は救うことは出来なかった」

   「勇者として片方しか救うことができなかった気分はどう? ……ゴポッ!」

ウィッチ「そ、村長っ!」


村長の口からは大量の血が吐き出される。

体の損傷も激しいが、内臓の損傷も相当酷い―――早くしなければ、このままでは死んでしまう。


ウィッチ「お願い、私達を見逃してっ!」

偽勇者「……………」

ウィッチ「もう、リリスを復活させるなんて考えないから―――死ぬまで一生放浪生活でも構わないから……」

     「だから……」

偽勇者「……………」


勇者は何も答えない。

ただ黙って突っ立っているだけだ。

魔術も封じられているから、回復の術で村長の傷を癒すことはできない。

いったい、どうすれば―――


偽勇者「あ~、片方しか救うことができなかった気分だよな?」

    「それ少し訂正してくれ」

    「―――」


【偽勇者のセリフ:感染者関連】

↓2

両方共救えていない
この街の男はサキュバスに骨抜きにされた
彼らはサキュバスを求め欲望を満たすために動く
サキュバスのいいなりになる者は今後のためにも放置することは出来ない

>>623』やね

偽勇者「あ~、片方しか救うことができなかった気分だよな?」

    「それ少し訂正してくれ」

    「俺は両方共救えていない」

    「この村の男達はサキュバスに骨抜きにされ、性欲を満たすために動く」

    「サキュバスのいいなりになる者は今後のためにも放置することは出来ない」

    「故に―――全部、殺した」

    「サキュバスも、感染者である男達も全てっ!」

    「ギャハハハハハハハッッッ!!」

村長「……最低ね」

   「あなたは勇者なんかじゃない―――化け物よ」

偽勇者「いんや、俺は勇者だよ」

    「勇者は世界を救うために沢山の命を奪うんだ」

    「魔物でも……」

    「人間でも……ね♪」

ウィッチ「……そう」


私は勇者の発言にどこかガッカリしている。

まだ心は恐怖に支配されているのに―――


ウィッチ「……村長」

村長「……何?」

ウィッチ「はい、実は―――」


私は村長に耳打ちをする。

これは勇者なんかに知られてはいけないことだ。

だから、無理を承知で提案する。


村長「……正気?」

   「そんなことをすればあなたは―――」

ウィッチ「例え、リリス様を復活させることが出来ても焼け石に水です」

     「ならば、私はサキュバス達の未来のために―――」

村長「……………」

   「……仕方ない子ね」


村長は息も絶え絶えで答えてくれる。

―――ありがとう。


偽勇者「もういいかい?」

    「もういいよ~♪」

    「―――そろそろ大掃除の大詰めだ」

    「命も、夢も、希望も―――諦めろ……」


勇者が一歩近づく。


私は勇者に跳び付きしがみついた。


偽勇者「……何のつもりだ?」

    「実力はどちらが上か分からない馬鹿じゃないだろう?」

ウィッチ「ええ、例え私の全魔力を使ったとしてもあなたを倒すことはできない」

偽勇者「なら―――」


村長が勇者にしがみついた。


偽勇者「むっ……」

村長「だから、紫の月の恩恵と私とウィッチの力を合わせることにより―――」

ウィッチ「確実にあなたを倒す術を唱えるのよ!」

偽勇者「アホかっ!」

    「何をするかと思えばそんな幼稚な思考に陥るとは、知恵熱で脳が煮えたか!」

    「お前は俺のマホトーンで術を封じられている!」

    「分かったか? 術を封じられているのだ!」

ウィッチ「分かっているわ」

     「それに生半可な力でも勝てる相手じゃないことも―――」

     「でもね……」

     「勝てない相手だからこそ……」

     「命をかける必要があるのよ」


私と村長―――そして勇者にバチバチと電流が迸る。


偽勇者「なんだ、電撃の術か?」

    「これが俺を倒す術とは―――本当に笑わせてくれる……」

    「封じられている身で、術を発動したのは褒めてやるけど―――ん?」

ウィッチ「この術は、ほとんど魔力を使わない……」

村長「そのかわりに、己の全生命エネルギーを爆発力と変えて敵を討つのよ……!」

偽勇者「……ま、まさかっ!」

    「相手を即死させる禁断の呪文っ!」


……最後にあなたの焦る顔を見れてラッキーだわ。

さあ、一緒にあの世に行きましょう―――あの世の案内人ぐらいはしてやるわ!


偽勇者「お、おのれぇぇぇ!」

ウィッチ「……あの世でまたババ抜きでもしましょ」


私はより力を込めて、勇者にしがみつく―――











― ― ―「 メ・ガ・ン・テ 」― ― ―










休憩タイムや


大阪|ω・)<みはなん、おるー? ワイは寝てたわ……






ルカ「くっ……」


ゴルドポートで旅に必要な食料・路銀・情報を集め、グランドノアで老婆から得たサキュバスの村で起こる「紫のサバト」を解決するために向かったのはいいのだが―――


フレイムA「カカカカカッ!」

ブリザードA「シャシャシャシャ~ッ!」


目の前に現れたのは、炎の塊と冷気の塊の異様な魔物だった。


フレイムA「カカカカカッ!」

      「人間だ、人間がいるぞ!」

フレイムB「燃やせっ! 燃やして灰にするんだっ!」

ブリザードA「シャシャシャシャ~ッ!」

       「魔物だ、魔物もいるぞ!」

ブリザードB「凍れ、魂も凍らせるんだっ!」


今までの魔物とは違い、明らかに僕とアリスに殺意を放っている。

炎の塊が一歩進めば、地や草を焦がし―――

冷気の塊が一歩進めば、空気や花を凍てつかせる―――


ルカ「おい、アリス…… なんなんだ、この魔物は……?」

アリス「知らん」


アリスは一言で答える。


ルカ「……また、知らない魔物か?」

アリス「ああ、精霊の森で見た植物系以上の異端―――」

    「いや、魔物であるかすら疑わしい」


真剣な面持ちで、アリスがそう呟いた時だった。


魔物の体を構成している炎や冷気―――

それらが一斉に、僕とアリスに襲い掛かってきたのだ!


―――――『高熱のガス』―――――

―――――『凍りつく息』―――――


ルカ「うわっ……!」


僕はとっさにシルフの力で、炎を防ぐ。

アリスも、魔力を放出し冷気を散らしてしまった。


飯タイムや


アリス「ふむ、余に対して攻撃してくるとは―――」

    「ルカ、あいつ等は普通の魔物ではない」

ルカ「……それはどういうことだよ」


僕は剣を構え、アリスの言葉を聞く。


アリス「今宵は「紫の月」が昇る日だ」

    「大方「紫の月」からの恩恵と魔素の影響で生まれた存在だろう」

    「だが―――」


―――――『オメガブレイズ』―――――


アリスは炎の嵐を巻き起こした!


ブリザード「「「「ウギャアアアア~~~ッ!!!」」」」


冷気の塊である魔物は、アリスの灼熱の渦で消滅した!


アリス「魔物にも害を及ぼすなら、魔王として貴様達を粛清しなければならん!」

ルカ「す、すごい……」

   「冷気の魔物達が一瞬で…… げっ!?」

フレイムO「カカカカカ~~~~ッ!!」

フレイムP「エネルギーだ! エネルギーだぞ!」

フレイムQ「仲間が増えるよ、やったねフレイム!」

フレイムR「カカカカカ~~~~ッ!!」


アリスの灼熱を吸収したのか炎の魔物達の数が一気に増えた!

冷気の魔物達を倒してもなお、ひるまず襲い掛かってきた―――


―――――『灼熱の炎』―――――


魔物達は先ほどよりも強力な炎を吐き出すが、シルフの力で炎を避ける。

避けた場所には、地面がドロドロに溶けた跡のみが残った―――

僕は剣を構え、一直線に駆け出した。


フレイムA「カカカカカ~~~ッ!!」

      「人間の小僧が向かってくるぞ!」

フレイムB「溶かせ! 焼け! 灰にするのだ!」

ルカ「どけぇっ!」

フレイムA「あっ……!?」


駆け抜けながら一閃。


フレイムB「ぎゃっ!」


そのまま刃を返し、横薙ぎで一閃。


フレイムC「小僧っ!」

      「調子に乗る―――」

ルカ「僕を、小僧って呼ぶなぁぁぁ!」


―――――『瞬剣・疾風迅雷』―――――


ルカの剣に風が宿り、疾風がフレイムを吹き消した!


アリス「ルカ、いたずらに封印するのではない!」

    「こいつらは元は炎の塊、封印すればこの場は火の海になるぞ!」

ルカ「熱っ……!」


封印された魔物達は、炎に戻り平原を燃やしていく。

そして、燃え盛る火を吸収しては更に増えていく。


フレイム「「「「「カカカカカカ~~~~ッ!!」」」」」

ルカ「これじゃキリがない……」


急がないとサキュバスの村がサキュバス達に襲撃されてしまう―――


フレイムS「覚悟しろ、人間!」

フレイムT「貴様で焼き肉をしてやるわ!」

      「カカカ―――」

アリス「カカカカ、カカカカ、喧しい!」

    「骨の髄まで凍えるがいい……!」


―――――『オズマフロスト』―――――


アリスの魔力で大気が凍結する!


フレイム「「「「アギャォオオオ~~~ッ!!」」」」


炎の魔物達は凍結し、その隙を狙い僕は一閃した。

魔物達は粉々に砕け、破片のみがその場に残るのであった―――


ルカ「はあ…… はあ……」

   「これは、封印されたのか……?」


平原に散らばる凍結した魔物の破片、紫の月に照らされキラキラと美しい光景が映る。


アリス「終わったか……」

    「しかし、今までに「紫の月」が昇った記録はあったがこの様な者共が生まれたことは一度も―――」

ルカ「アリス、そんなことよりもまずはサキュバスの村が先だ」


アリスは、周囲に散らばる破片をまじまじと眺めていたが、今はそんな暇はない。

この魔物達が、僕達に立ちはだかったおかげで大幅に遅れてしまったのだ。

このままでは、今夜中にサキュバスの村に辿り着けるかどうかも怪しい―――


僕達はサキュバスの村に向かったのだった―――





ウィッチ「……………」

     「う…… あ……?」

     「ここ…… は……?」


綺麗な夜空、紫に輝く月―――そうか、私は……

私は、起き上がろうとしたが下半身が瓦礫の山に押しつぶされている。

どうすれば這い出せるか思考するが、無駄だと分かり放棄する。


ウィッチ「村長―――無事かな……」


あの勇者を倒すことが出来たか分からない―――

しかし、可能性はとても高い。

全生命エネルギーを爆発力に変え、そして私の魔力で壁を作り爆発力を一点に集中する。

私は勇者に術を封じられていたが、魔力そのものが使えない訳ではない―――

それに、術の発動は村長に任せたのだ。

勇者は私がウィッチである故に勘違いしていたみたいだけど……

しかし―――


ウィッチ「……私、死ぬんだろうな」

     「一人で死ぬのは寂しいものね……」


一人、紫の月を見ながらぼやいていると―――

瓦礫の中央で何か音が聞こえた。


ウィッチ「……?」

     「……村長?」


瓦礫が下から盛り上がると―――



――――――「 か あ あ あ あ ー ッ ! ! 」――――――



勇者が現れた。


ウィッチ「シャニセ・ユウ―――生きていたのね……」

偽勇者「ク…… ク…… クククッ……」

    「残念だったね、相当なダメージを受けたけど生命力不足だったみたいだね……」

    「自己犠牲呪文が魔物側に伝わっていたなんて―――本当に驚きだ……」


勇者が力強く地を踏みしめこちらに向かってくる。

抵抗する力はもう残っておらずどうすることもできない。

精々、楽に死ねることを祈ろう。

そして、私は目を閉じた。

勇者の足音が隣まで近づいてきた―――が……


ウィッチ「……………」

     「……………」

     「……?」


私は何も起こらないことに疑問を持ち、片目を開け様子を見た。


ウィッチ「……どういうこと?」

偽勇者「……こういうことだな」


勇者は私の隣に座り込んでいた。


偽勇者「まあ、早かれ遅かれ死ぬんだ」

    「ゆっくり会話でもしよう」

    「これなら、寂しく死ぬことはないだろう」

ウィッチ「……意味、分かんないわよ」

     「意味、分かんないけど―――」

     「まあ、寂しくはないわね」


そして、私は勇者と死ぬまで会話を続けることにした―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:ダ○大の件は、まあノーコメで……


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|´・ω・)<少しだけやるで~






偽勇者「……………」


俺は隣の亡骸の瞼を下ろす。

このサキュバスの村での役目は終わり、俺は空に浮かぶ月を眺める。

その月は今でも紫色に輝き魔物達に恩恵を齎している。


偽勇者「……亡骸から何かを物色する趣味はないが―――」

    「この眼鏡は記念に貰っていく、いいだろう?」


魂の抜けた肉体は何も答えない、そんな当たり前なことなのに突然喋り出すんじゃないかと期待をしている。

このサキュバスとは僅かな時間だが共にゲームをしたりと楽しんだ仲なのだ。

馬鹿みたいに騒ぎ、友のようにふざけ合ったり、そして笑いあった―――


偽勇者「……ウィッチサキュバス」

    「もしも、違う形で出会っていたら―――」


そこで俺は口を閉じる。

結果論で何かを試行錯誤しても意味はないのだ。

俺は勇者、ウィッチは魔物、これが全てじゃないか。

だけど―――


偽勇者「……涙の一つぐらいは流したかったな」


俺は紫の月に向かって呟くのだった―――



◆【ウィッチの眼鏡】
ウィッチサキュバスのメガネ。
レンズが少し、ひび割れている。
何か、妙な力を持っている(たぶん)







クラリス「……………」

偽勇者「……………」


クラリスが、サキュバスの村に向かい手を合わせ祈っている。

俺が教えたとはいえ、滅ぼした本人の隣で祈るか、普通?


クラリス「……………」

偽勇者「クラリス、そろそろ旅立つぞ」

    「……祈るのもそこまでにしておけ」

クラリス「……もう少しだけ」

     「もう少しだけお願いします、あにさん……」

偽勇者「……………」

    「……分かった」


クラリスは祈ることを止めない。

俺はサキュバスの村を見据え、直ぐに目を伏せる。

村を墓と化した俺が、何を考えているんだか―――


偽勇者「クラリス、そういえば腰はもう大丈夫なのか?」

    「もし、まだ痛むようなら負ぶってやるが……」


クラリスが驚倒した表情で俺を見る―――


クラリス「あにさんが、自分からそんなことを言うなんて……」

     「明日は雪で確定ですね」

     「防寒対策しておかないと…… ボク、寒いのが苦手なんです」

偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2

人肌で温まるのは嫌いか?

>>654』やね

偽勇者「……………」

    「人肌で温まるのは嫌いか?」

クラリス「……へっ?」


俺の返答にクラリスはポカーンと呆気にとられたようだ。

頭をポリポリと掻いた俺は、クラリスの手を取り歩き出すのだった―――


クラリス「あにさん」

偽勇者「なんだ?」

クラリス「……呼んだだけです」

偽勇者「……そうか」



……―――――――――――――――……

ミンキュバス「お兄ちゃん」

偽勇者「なんだ?」

ミンキュバス「……呼んだだけ」

偽勇者「……そうか」

……―――――――――――――――……



偽勇者「……………」


俺はクラリスの手を少し強く握る。

クラリスは俺を見るが、あまり気にしなかったのか手を握り返してきた。

竜人特有の感触なのか、少し硬い鱗、小さい手、そして何よりも―――温かかった……


―――人間と魔物なら、人間を救おう。

―――魔物と感染者なら、両方殺そう。

―――人間とクラリスなら……


クラリス「あにさん!」

偽勇者「っ!?」

クラリス「次は、どこに行くのですか?」


クラリスが笑顔で目的地を訪ねてくる。


偽勇者「……そうだな、次は―――貴婦人の村だ」


俺達は次の目的地に向かったのだった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






ルカ「な、なんだ…… これは……」


建物の壁が赤く染まり、何かの肉片が散っている。

炎に焼かれたのか、朽ち果てている家屋―――

そして、村のあちこちには無惨な屍が転がっていた。

サキュバス達の斬殺された死体。

建物の影に隠れている男性の屍は、頭が潰されていた。


ルカ「……………」

アリス「……………」


あまりな光景に、僕は思考が停止した。

これを行った者の怒り、間に合わなかった嘆きよりも先に、夢であってほしいという気持ちが強かった―――


ルカ「こ、こんな…… こんなの……」

   「うっ……!!」


鼻に付く生臭い血のにおいに、僕は喉の奥から湧き出る物を感じその場に膝をつく。

目に焼き付いた人間と魔物の屍で実現された地獄絵図―――


ルカ「はぁ、はぁ……」


人間と魔物の共存を目指す僕にとって、絶対に拝みたくなかった光景だ。

視界がぐらつき、遂には両の手を地へとついた―――

アリスは険しい顔で、周囲を見渡していた。


アリス「―――」


【アリスのセリフ】

↓2

サキュバスの暴走、などとは考えられんな
恐らく人間ごとサキュバスを皆殺しにしたか

伏せている暇があれば生存者を探したらどうだ?
あまり期待はできんがな……

>>663』やね >>662はオマケや

アリス「伏せている暇があれば生存者を探したらどうだ―――」

    「あまり期待はできんがな……」

ルカ「アリス……」


呼吸の乱れは徐々に収まり、体を襲っていた虚無感も消えていく。

吐き気や目眩も、一時的なものだったようだ。

アリスの言葉に、僕は現実へと引き戻された。

心のどこかで直視を避けていたが―――

僕は、目の前の光景に目を向けた。

あちこちに死体が転がっているが、探せば生存者がいるかもしれない。

僕は目の前の地獄に足を踏み入れるのだった―――





―――――「酒場」―――――


ルカ「……………」


酒場には、壁、床、天井までも赤一色に染まっていた。

カウンターやテーブルなどには、男性達の惨殺死体が大量に転がっていた。

酒のにおい、血のにおい、そして精液のにおいが混じり異様な空気が流れていた。


ルカ「……これはサキュバス達が起こした事態なのか?」

アリス「サキュバスの暴走―――などとは考えられんな」


アリスが男性の死体を見据えながら話す。


アリス「そもそも貴様は、サキュバス達が外から襲撃してくると決めつけていた」

    「しかし「紫のサバト」の最も厄介な現象は、人間のサキュバス化なのだ」

ルカ「サキュバス化って…… 村の女性達が、サキュバスになるって事か?」

   「なら、この事態を起こしたのはサキュバス化した女性達―――」

アリス「ドアホめ」

    「貴様は、外で見た光景を忘れたのか」

    「恐らく人間ごとサキュバスを皆殺しにした何者かが村に潜伏していたのだ」

ルカ「人間ごとサキュバスを皆殺しって……」

アリス「サキュバスと人間の斬られた跡が同じであるからに―――」

    「同一犯の可能性が高い、それも一人でだ」

ルカ「そんな……」


いくらサキュバスと化したばかりとはいえ、魔物の強靭な肉体に傷をつけるのは並大抵の力では不可能だ。

例え傷付けるほどの怪力を持っていても、たった一人で大量のサキュバスを殺し尽くすなんて―――


アリス「結果を出すには、まだ早い」

    「他の場所も調べる必要がある」


そのまま僕達は、酒場を後にしたのだった。


ルカ「……………」


酒場に転がっている死体を見据え、十字を切り祈る。

墓を作ってやることはできないが祈ることはできる。


ルカ「……どうか安らかに」





―――――「教会」―――――


ルカ「ここは―――教会か?」


残骸をさらし、朽ち果てている教会―――

焼け焦げた残骸の中から薄汚れたイリアス様の像が覗いていた。


アリス「教会も燃えてしまえば、こんなものか……」

    「イリアスを崇めている割には呆気ないな」

ルカ「そりゃ、教会も建物なんだから当たり前だろ」


アリスの言葉に耳を傾けながら残骸を退けていると―――

二体の焼死体を見つけた。

羽や尻尾らしきものがあるからには、サキュバスの焼死体だろう。

一体は少女ぐらいの大きさで、もう一体は下半身がない。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


ルカ「……………」


兄妹だったのか、サキュバスの少女に手を伸ばすもう一体のサキュバス。

しかし、伸ばされた手は残骸に遮られ届くことはなかったようだ。


ルカ「アリス ……女性達がサキュバス化することがなければ、こんな惨劇は起こらなかったのかな?」

アリス「余は預言者ではない―――」

    「例え「紫のサバト」が起こらなかったとしても、いつかは惨劇がふりかかったかもしれん」

ルカ「……………」


僕がゴルドポートに寄り道をしなければ、このような出来事を回避できたかもしれない―――

彼女達は封印されているのではなく、殺されている。

魔素を取り込み、復活することはできない。

僕は後悔と自己嫌悪にさいなまれていた。


ルカ「……よし」


腕を捲り、遮っている残骸を退けるために両手に力を込めて押す。

残骸は重くて大きい―――

僕がどれだけ力を加えてもビクともしない。


ルカ「くっ、動け……!」

アリス「……何をしているのだ」

    「貴様のしようとしていることは、ただの自己満足でしかない」

    「そこの屍同士がどのような関係かも知らぬのに―――」

ルカ「……確かに、この二体のサキュバスの屍がどんな関係か知らないさ」

   「でも―――特別な関係だったからこそ、体が半分になっても最後まで手を伸ばしていたんだと思うんだ」

アリス「特別な関係―――か……」


アリスとの会話を打ち切ると、再び残骸に力を加えるが―――

今までビクともしなかった残骸が驚くほどに軽かった。


ルカ「アリス……」

アリス「とっとと終わらせて次に向かうぞ」

    「こんな生臭い所でのんびりなんかしたくないからな」

ルカ「うん、そうだね……」

   「早く終わらせよう」


僕達は残骸を退けた後、二体の焼死体を手厚く葬ったのだった―――





サキュバスの村を、探し回ったが残念ながら誰一人と生存者はいなかった。

できることなら、村中の屍を埋葬したかったが―――

アリス「ドアホめが!」

    「百人以上いる屍を、全て埋葬するとしたらどれだけの年数が掛かると思っているのだ」

ルカ「そうだけど、やっぱりできないか……」

アリス「いくら余が魔王だとしても、どうにもできんことぐらいある」


当然といったら当然だが、魔王も万能ではないようだ。

僕はまだ残骸に埋まり眠る屍達を埋葬してやることを断念するしかなかったのだった。


【サキュバスの村でやり残した事あるん?】

○その他

○ない

↓2

『ない』やね

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|;-ω-)<ルカきゅんらしい言動、思考はムズかしいな―――あとアリス……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

『ない』

もう、僕がサキュバスの村で行うことは残されていない。

口惜しい気持ちでいっぱいだが、いつまでもここに足止めを食う訳にはいかない。


ルカ「……ごめんね」


僕が、最後にできることは謝ることだけだった。


―――ありがとう……


ルカ「えっ……」


―――――『紫の月の恩恵』―――――


ルカの体に、恩恵の力が流れ込んでくる!


ルカ「……………」


一瞬、サキュバス達の姿が見えたと思ったが……

気のせいだったのかな……?

僕はサキュバスの村を見据え、後にするのだった―――


―――頑張ってね……





ルカ「……なぁ、アリス」

アリス「……なんだ」

ルカ「僕は、サキュバスの村の犯人を捕まえることができるだろうか?」

アリス「無理だろうな、今の貴様では絶対に勝つことはできん」


アリスは、真剣な面持ちで答える。

その表情から、アリスは元凶を知っているようだ。


大阪|-ω-)<ただいま、ええ湯やったわ……


アリス「今の貴様が挑んでも自殺行為でしかない」

ルカ「でも……っ!」

アリス「この元凶が、四天王以上の実力を持っているとしてもか?」

ルカ「っ!」


村一つを滅ぼすことができる時点で普通ではないと思ってはいたが―――


アリス「先を急ぐな、ルカ」

    「今はゆっくりと歩めばいい」

    「そうすれば、自ずと答えが見つかる」


答えが見つかる―――しかし、その答えが見つかるまでにどれだけの無辜の血が流れるのだろうか。

人間と魔物の共存のために、必ず犯人を倒すことを決意するのだった―――


【次の目的地】

○貴婦人の村

○ゴルド火山


『貴婦人の村』

ルカ「貴婦人の村っていうところ、やっぱり気になるな……」


男の冒険者ばかりが姿を消しているというのは、やはり普通ではない。

確かに強力な魔物がいる地域だが、原因は本当にそれだけだろうか。


アリス「その村には近付くなと言ったはずだが……」

    「余の忠告が聞けないのか?」

ルカ「アリスがそう言う以上、やっぱりその村には何かあるんだな」

   「きっと、人々を苦しめる妖魔か何かが……」

アリス「ふん、余計な知恵をつけおって……」

    「ともかく、貴様には関係あるまい」

    「わざわざ首を突っ込む理由もないはずだ」

ルカ「その村に危険な妖魔が潜んでいるとしたら、放置はできないよ」

   「これじゃ、犠牲者も増える一方じゃないか」

アリス「やれやれ…… 見知らぬ他人のため、死地に向かうというわけか」

    「貴様、いつか英雄願望で身を滅ぼすぞ」

ルカ「僕は英雄になりたいわけじゃないって」

   「さあ行くよ、アリス」

アリス「……………」


不服そうなアリスを連れ立ち、僕達は貴婦人の村へと向かったのだった。

いったい、その辺境の村で何が起きているというのだろう―――




大阪|-ω-)<あい、物語はここまでにして次は―――

大阪|・ω・)<安価の『偽勇者が呪い装備じゃなく真っ当な戦士として成長していたら』をやろか

大阪|・ω-)<やけども少し変更して『偽勇者が呪い装備なしで戦士として成長していたら』でええか?


【OK?】

↓~3ぐらい

もちろんOKや

でもその安価の真っ当って「装備が真っ当」って意味だと思うやで


大阪|´・ω・)<よっしゃ、分かったで。

大阪|´-ω-)<>>697 そこらハッキリせんから仕方ないんや―――さて……

大阪|・ω・)<ほな、始めよか~~






………――― 偽勇者が呪い装備なしで戦士として成長していたら ―――………




眩しい光が俺を照らし起こす、俺は二日酔い状態で目覚める。


偽勇者「ああ、頭いてぇ……」

    「酒屋で飲み比べするんじゃなかったぜ……」


いつものように、ボロい宿屋で起床し顔を洗う。

そして次に、服を着替える。

シャツ、Gパン、そしてバンダナを巻き、準備完了。

さて―――


偽勇者「迎え酒でも飲みに行くか……」


俺の一日は酒で始まり、酒で終わるのだ。





偽勇者「おう、親父」

    「酒を鍋に入れて出してくれ」

店主「シャニセさん、いい加減にしてくれよ」

   「家は朝から酒を出してないんだ―――」

偽勇者「いいじゃねぇか、かたい事は無しに酒を出してくれよ」


店主は、深いため息を吐き酒瓶を一本丸々出す。

俺は栓を抜き、そのままラッパ飲みで飲む。

ゴクッ、ゴクッと喉を鳴らし堪らずプハァー!と酒臭い息を吐き出すのだ。

おっと紹介が遅れた。

俺はシャニセ・ユウ―――ちょっとしたおっさんだ。

十年ぐらい前のまだ若かった俺は、とある世界からこのイリアス大陸に現れた。

どんな理由でこの世界に訪れることになったかは知らないが、何か意味があると思い剣の鍛錬を始めたのだった。

しかし、鍛錬など意味があるのか素振りをすれば剣技を覚え、座禅を組めば体術を得た―――

始めは喜びに舞い踊ったが、直ぐに俺は絶望を迎えた。

たった1年でありとあらゆる剣技や体術を身に着けてしまったのだ、何の苦労もなく。

苦労なく得た技は、俺に苦難を与えた。


―――他の剣士達の嫉妬。

―――俺の力に恐怖する者。

―――化け物だと排斥する村。


今までにそんな経験をしたことがない俺にとっちゃ、最大最凶な出来事だった。

故に俺は、一部の剣技や体術を自ら封印し酒に溺れる毎日を過ごしていた。


しかし、金は常に湧いて出てくる物ではなく、直ぐに懐が寒くなった。

俺は適当に、ボディーガードなどの体力を使う日払いのアルバイトで日々を過ごし転々と村や町を回ったのだ。

そして、今は―――


偽勇者「で、イリアスベルクでうまい話はないのかよ?」


空になった酒瓶を、卑しく覗き込み一滴の酒を舐め取る。


店主「はあ……」

   「俺は掲示板じゃねぇぞ、自分で調べろ、自分で!」


店主は冷たく俺を突き放す。


偽勇者「そうかい、そうかい」

    「それじゃ自分で調べるよ、バーロー」


俺はテーブルに料金を置くと酒場から出るのだった―――





偽勇者「うーん……」

    「まともな依頼がねぇな」


酒を飲みながら、掲示板に貼り出された依頼を見る。


―――『ベビーシッター』

―――『迷子の子猫』

―――『家庭教師』


どれも、俺向きの依頼じゃねえな。


偽勇者「仕方ねぇ、また町を転々とするか」


空になった酒瓶をゴミ箱に投げ入れ、俺はそのまま荷物をまとめイリアスベルクを出るのだ。

まあ、荷物なんて大した物なんてないがな……


偽勇者「そういや、まだイリアスヴィルには行っていなかったな」

    「ちと、酔ってみて―――いや、寄ってみるか」


自分のことが一杯で、主人公君のことをすっかり忘れていた。

もう、旅に出ていると思うから行っても意味ないと思うが―――

まあ、観光目的で行くか。

俺は適当な理由で、イリアスヴィルに向かうのだった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






偽勇者「あぁ、うめぇ!」


俺は森の中で酒を飲んでいる。

イリアスヴィルに向かったのはいいが、森の中で迷子になり夜を迎えてしまったのだ。

仕方なく、安物のテントで野営をすることにした。


偽勇者「しかし、大して大きくない森だと思っていたが―――」

    「遭難する時はするんだな……」

    「失敗、失敗!」


適当に反省しながら、酒瓶を傾け喉を鳴らす。

夜の森を楽しみつつ酒を飲んでいると―――


偽勇者「……この気配って魔物じゃねぇな、人間か?」

    「だが、どうして?」


酒臭い息を吐き、思考しつつ気配がする方向を見据える。

イリアスヴィル住民なら、森で野営なんてしないし―――

戦士達なら、勇者の洗礼時期じゃないから訪れないはず……


偽勇者「ん~、仕方ねぇな……」


重い腰を上げ、砂を掃うと酒を飲みながら様子を見に行くのであった―――






ルカ「いてて……」

   「足を挫いちゃったな、これ……」


修行と称して森でランニングしていたけど、狐の嫁入りで出来た泥濘に足を取られてしまってこのザマである。

イリアスヴィル近くの森だからいいけど―――


ルカ「……思ったより酷いな」

   「早く冷やすなり何なりしないと後々に響くぞ」


僕は立ち上がろうとするが、足に痛みが響き直ぐに座り込んでしまう。

手持ちの鞄を探るが、ちょうどタイミング悪く薬草を切らしているようだ。


ルカ「それにしても、夜の森って不気味だな……」


野営の準備もなく夜の森を過ごすのは初めての体験である。

飲まず食わずに、怪我をした状態で一晩を過ごすのは不安に駆られるものだ。

もしあの草陰から魔物でも出てきたらどんな目に合うか……


ルカ「……………」

   「あはは、まさかね……」


不安に駆られてるせいかどうもネガティブな考えが及んでしまう―――

と、目の前の草陰からガサガサと音が立つ。


ルカ「えっ!?」

   「ま、まさか本当に魔物がっ!」


僕は修行用の剣を構える、しかし足を挫いているためか立ち上げるのに時間が掛かってしまう。

音はお構い無しにどんどん近付いてきて、遂にその音の正体が姿を現した。


ルカ「くっ……!」


僕は目を閉じ、覚悟を決める。

旅に出る所か、勇者としての洗礼を受けることもなく終わってしまう―――


偽勇者「……何してんだ、小僧?」

ルカ「……………」

   「……えっ?」


しかし、男性の声が聞こえ目を開けてみると―――

酒臭いおっさんがいた……


偽勇者「……ひっく」






ルカ「どうもありがとうございます」

偽勇者「気にすんな」

    「困ったときはお互い様だ」


俺は何の因果か、主人公のルカきゅんに出会った。

俺がこのイリアス大陸に現れてから約十年―――とうに旅立っていると思っていたが……


ルカ「どうしましたか?」

偽勇者「いんや、何でもない……」


まあ、流れに任せて足を挫いたルカを背負い、この宿屋―――てかルカの家まで送り届けたってことだ。

結果的には、目的地であるイリアスヴィルに辿り着けたからいいがな。


ルカ「大したお礼は出来ませんが、どうかゆっくり休んでいってください」

偽勇者「あ、そう?」

    「じゃあ、今夜は泊まらせていただきます」


……とりあえず、今夜の寝床ゲット!





ルカ「……うるさい」


僕はベッドの上でそう呟く。

上の階には、僕を送り届けてくれたおじさんを泊めているんだけど―――

先ほどからいびきが下まで響いて眠れないのである。

幸い村の人達には響いてないようなので、迷惑は掛かっていないが……


ルカ「ああもう、なんだよ……」

   「これじゃ、眠れないじゃないか……」


ベッドから降り、水差しからコップ一杯の水を注ぎ飲む。

飲み干したコップをテーブルに置き、そのまま椅子に座るのであった。


ルカ「それにしても、あのおじさん」

   「イリアスヴィルに何の用で訪れたのかな?」

   「イリアス様の降誕日は、まだ先だし……」


僕は深く考えるも、あっさりやめた。

イリアスヴィルは小さな村ながら、世界に誇る大神殿がある。

イリアス様を奉った神殿、イリアス神殿だ。

それを観光目的で来る冒険者も珍しくはない―――が、あのおじさんの格好は冒険者というよりも酔っ払い其の者だ。


ルカ「……本当に意味が分からない」


いびきで眠れない僕は、五年以上も続けている、剣の特訓を始めることにした。

毎日、ひたすら研鑽を重ね剣技を磨くのだ!


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


ゲソッ|ヽ・ω・)<みなはん、おるー?

ゲソッ|ヽ-ω-)<少しだけやるでー






偽勇者「……何してんだ、あいつ?」


起床後、つまみの塩を舐めながら酒を飲みつつ宿屋の窓から小僧のダンスを見る。

剣を素振りしていた所までは分かったが、途中から不思議な舞いに変化したのだ。

しかし、リズミカルな舞踊とは違い小僧が舞っているのは「天手古舞」だがな―――

客もいないのに朝のはよから、元気なものだな……


偽勇者「おい、小僧!」

ルカ「あ、おじさん」

   「おはようございます!」

偽勇者「おう、おはよう―――って違う違う」

    「念のために訊きたいことがあるんだがよ!」

ルカ「何でしょうか?」


小僧は、舞いをやめて汗を拭う。

長い時間舞っていたのか、服は汗で湿り気持ち悪そうだ。


偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2

何してんだ?

>>718』やね


偽勇者「何してんだ?」

ルカ「何って、剣の特訓だよ」

   「僕は勇者になるために、毎日研鑽を重ねているんだ」

偽勇者「……………」

    「……ふぅん」


どうやら、小僧は剣のお稽古をしているようだ。

だが、その動きは残念ながら―――

無駄で始まり無駄が無駄を生み、結局は無駄で終わり無駄な時間を過ごす無駄な動きでしかなかった。

たぶん、ふらりとやってきた冒険者達に剣技を教わったのはいいが、調子に乗って自分流にミックスしつつ、アレンジしたのだろう。


偽勇者「悪いがな―――へっぽこを通り過ぎて馬鹿にしか見えないぞ」

ルカ「ば、馬鹿だって……?」


小僧はショックなのかガックリと肩を落とした。


ルカ「何もそこまで言わなくたって―――」

偽勇者「馬鹿野郎、勇者になりたい奴が間違った剣技を覚えてどうする」

    「そんなんじゃ、インプにも勝てねぇよ」

ルカ「インプって……」

   「おじさん、もしかして魔物と戦ったことがあるの?」

偽勇者「もちろんだ、じゃなきゃ酔っ払いがフラフラと町や村を移動できるか」

ルカ「……………」

   「本当かな~……」

偽勇者「あ、てめぇ信じてないな?」

ルカ「いや、そういう訳じゃないけどさ……」


小僧の視線は、疑いの色を持ち俺を見ている。

口元も少しばかり笑っているのも伺える―――


偽勇者「よぉし!」

    「そこまで疑うなら剣技の一つや二つ、見せてやろうじゃねぇか」

ルカ「えっ……」

   「そんな、無理しなくても―――」

偽勇者「うるせぇ、少し待ってろ」

    「すぐに向かうからな」


俺は小僧の制止を無視して宿屋の階段を駆け下りるのだった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






偽勇者「よし、準備はいいか小僧?」

    「目ん玉をしっかり見開いていろよ」

ルカ「はいはい……」


おじさんは、鉄の剣を肩に担ぐ。

僕に本当の剣技を見せるらしく張り切っているのだ。

しかし、何を考えているのか鞘から剣を抜かずにそのまま地面に立てたのだ。


偽勇者「ん~……」

ルカ「……………」

   「……あのおじさん?」

   「剣は鞘から抜かないと意味がないよ」

偽勇者「そんなの分かってる」

    「いいから、黙って見てろ」

ルカ「はぁ……」


僕は「時間の無駄だ」と、その場から離れようとした時―――


偽勇者「はぁ―――っ!!」


おじさんの気合いが入った声と共に、鞘から抜かれていない剣から十字状の光線が放たれたのだ。

その光線は、大岩にぶち当たり十字の亀裂を刻んだ。


ルカ「な、なんだ……」

   「何なんだ、今のはっ!?」

偽勇者「ふぅ……」

    「闘気を集中させたのさ」

ルカ「と、闘気?」


おじさんは、どこから取り出したのか酒を飲みつつ僕の疑問に答える。


偽勇者「まあ、小僧の頭でも分かるように言えば「生命エネルギー」―――つまり闘気!」

    「戦士は基本的に魔法は使えない……」

    「もし剣を封じられた、剣が手元にない、剣を握れない状態―――」

    「そんな様々な状態に陥ったら、最後に残された武器は生命そのものしかねぇ」

ルカ「でも、剣が無ければ別の武器を使えば―――」

偽勇者「なら、小僧は全種の武器を基本的に扱えるようになるにはどれぐらい掛かると思う?」

ルカ「うっ……」

偽勇者「そんな馬鹿みたいな考えは捨てろ」

    「人間、一芸に秀でていればいいんだ―――クァーーーハッハッハッ!」


そして、おじさんは笑いながら酒を飲み始める。


偽勇者「ぷはぁ!」

    「それじゃ、小僧やってみろ」

ルカ「いっ!?」


おじさんは、僕に剣を投げ返しつつ今からやれと無茶を言う。


偽勇者「勇者になりてぇんだろ?」

    「強くなりてぇんだろ?」

    「なら、取りあえずやれ!」

    「少しは希望があるかもしれんぞ―――」


ニタァ…… といやらしく笑い挑発してくる。

その笑みに少しカチンときたので、やけくそ気味で挑戦することにした。

先ほどのおじさんが構えたように、僕も地面に剣を立てる。


ルカ「ぬぬぬっ……」

偽勇者「眉根を寄せてどうする」

    「集中しろ、集中」

ルカ「ちゃんと集中してるじゃないか……」

偽勇者「……やれやれ」

    「集中を学ぶのに何日掛かるやら―――」

ルカ「……むう」


僕は、その日から厳しい修行を受けることになったのだった―――






ルカ「はぁ…… はぁ……」

   「し、死ぬ……」

偽勇者「おい、小僧」

    「生きてるか?」


俺が小僧をイリアスの降誕日まで鍛える流れになったのは暇つぶしできるから別に良かったが―――

―――初日から小僧が死にかけていた。


偽勇者「どうした小僧……」

    「只のランニングでくたばるなんて貧弱すぎるぞ!」

ルカ「ゼェ…… ゼェ……」

   「普通に人間は、岩を引き摺りながら数時間も走れないよ……っ!」

偽勇者「そか?」

    「俺は走れたがな……」

ルカ「……おじさん、実は魔物なんじゃないの?」


俺は小僧のジョークを聞きながら、塩を舐める。

恨めしい視線を無視して、次の修行を考えるため酒を飲みながら思考する。

特訓前の基礎体力作りの準備運動だったが―――


偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓~2ぐらい



風呂タイムや!

はっきり言うぞ、このままだと魔物の家畜にされてアヒるか死ぬかのどっちかがおまえを待ってるぞ

宿屋の主として生きていくのも悪くはあるまい

>>730 >>731』やね


偽勇者「ハッキリ言うぞ、小僧」

    「お前、このままだと魔物共の家畜にされてアヒるか情けなく死ぬかだぞ」

ルカ「ア、アヒる……?」

偽勇者「まあ、宿屋の主として生きていくのも悪くはあるまい―――」

    「―――勇者にはなれないがな」

ルカ「冗談じゃないっ!」


小僧が吠える。

先ほどまでぐったりとしていたのに、勇者になれないと聞いた瞬間に体を起こし俺に掴みかかる。


ルカ「僕は勇者にならないといけないんだ……!」

   「立派な勇者に……!」

   「母さんが―――」

   「母さんが、そう願ったんだから……!」

偽勇者「……大馬鹿野郎ッ!!」

ルカ「っ!?」


俺は小僧の体を片手で掴み上げ、そのまま地に叩き付ける。

体全体に衝撃を受けた小僧は、苦痛に顔を歪める。


偽勇者「母さん、母さん、母さん……」

    「てめぇが、勇者になりたいのはその母さんが願ったからか?」

    「お前の剣は、母さんが絡まなきゃ振るわないのか?」

    「違うだろうがッ!!」

ルカ「お前に―――お前に僕の気持ちが分かるもんか!」

偽勇者「分かるか、馬鹿野郎!」

    「俺は小僧じゃねぇんだ、他人が他人の気持ちを必ず理解できるなんて思うなっ!」

ルカ「くっ……!」


俺は地面にへばっている小僧を肩に担ぎ宿屋に戻る。


ルカ「……………」

偽勇者「小僧、俺はてめぇの過去になんか興味がねぇ」

    「だから、何がどうとか―――これがどうとかなんて、正直どうでもいいんだよ」

ルカ「僕は……!」

偽勇者「まぁ、落ち着いてもう一度考えろや」

    「お前はまだ若い……」

    「若いからこそ多くを学び、考えるんだ」

ルカ「……………」

偽勇者「さて、当面は基礎体力作りだな」


偽勇者「その程度の体力じゃ、俺の剣技を教える訳にはいかねぇからな」

    「頑張って俺を認めさせてみろよ」


俺が笑っていると、小僧が呟く。


ルカ「―――」

偽勇者「あん?」

ルカ「絶対に認めさせてやる」

   「絶対に―――ッ!」

偽勇者「……………」

    「……楽しみにしてるぜ」


正直、俺が小僧を認めることはずっと先の先だろう。

しかし、こいつなら―――


偽勇者「よし、宿屋に戻ったら薬塗ってやる」

    「俺様特性のな!」

ルカ「……別にいいよ」

偽勇者「遠慮するな、クァーーーハッハッハッ!」


―――辛いから楽をしたい。

―――しかし辛さを知らなければ、楽すらも知ることはできない。

―――世の中って、面倒だな少年……





偽勇者「おらぁ、大人しくしろ小僧!」

ルカ「いや、いいって言ってるでしょ!」

偽勇者「じゃかましい、逃げるな!」

    「薬を塗るだけだろうがッ!」


僕はおじさんから逃げている。

逃げている理由は薬のことなんだけど、別にその薬が怪しいとかそんなことはない。

むしろよく効き小さな傷から大きな傷、または疲れも取ってくれる。

もし、病すらも治すならば万能薬其の物だろう……

なら、逃げる必要性はないけれど―――

塗る範囲が「体全体」なのだ。

もう一度言う―――体全体だ。

そう僕は、おじさんから服どころか下着まで剥ぎ取られ裸なのだ。


ルカ「なんで体全体に塗らないと効果がないんだよ!」

   「それに、裸にならなくてもいいだろう!」

偽勇者「るせぇ、そんなの世界に文句を言えや!」

    「裸の件は、その方が一気に塗れて楽だろう」

ルカ「いや、それはおかしいだろう……!?」

偽勇者「はいはい、文句は後で聞いてやるから―――」

    「とっとと、塗られろ……」


僕が一歩下がると、相手は一歩近付きそれを繰り返していると僕の背に壁が当たる。

僕の顔から血の気が失せる音が聞こえる―――青白く気持ち悪い色になっているだろう……

そしておじさん―――いや、変態が笑みを浮かべ、どんどん距離を縮めてきた。

僕は死を覚悟した。


偽勇者「おいおい、涙目になるなよ―――」

    「別に取って食う訳じゃねぇんだから……」

    「体の隅々まで薬を塗るだけだからよぉ」

ルカ「やだ、来るな!」

   「お願いだから来ないで……」


薬壺からたっぷりと半透明な液を付けた刷毛を僕に―――

―――僕の体に触れたのだった……


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






偽勇者「今日はいい天気だな」


俺は窓を開け、雲一つない青空を眺める。

今日は絶好の修行日和になるに違いない!

なのに、宿屋の一角では今にも雨が降り出しそうなほど、どよんとした小僧が布団をかぶっている。


ルカ「……………」

偽勇者「どうした小僧?」

    「元気が無さそうだが大丈夫か?」

ルカ「……昨日のアレで、元気がある訳ないだろう」

   「母さんにも見せたことなかったのに―――」


小僧が何かブツブツ言っているが、関係はない。

今、問題なのは何故元気が無いかだ。

その原因を探るべく思考する……

もしや―――


偽勇者「薬を塗る範囲が足りなかったのかッ!?」

ルカ「原因はそれだよ、ばかッ!」


小僧は俺の顔に、枕を投げつけてきた。

でも、痛くない!


偽勇者「何故だ、あの薬壺内の薬は怪我以外にも疲労などにも効果をもたらすんだぞ」

ルカ「その薬を塗るのに、服を剥ぎ取ったことに不満があるんだ……」

   「薬を塗るぐらい僕一人でできるよ……」

偽勇者「ふむ、そうか……」


俺は適当に納得し、早速酒を開け飲む。

朝のこの一杯が美味い!


ルカ「……はぁ」

   「またお酒を飲んでるよ、この人は―――」

偽勇者「小僧も飲むか?」

ルカ「いらない……!」


小僧は基礎体力作りのランニングの準備をするのであった―――






ルカ「はぁ…… はぁ……」

   「基礎体力作りって、大変なんだな……」

   「はぁ…… はぁ……」


僕は新たな修行として基礎体力作りのランニングを終え休んでいた。

前の野山を駆け回るのとは違って、何倍も疲れてしまった。

少しは大人に負けないぐらいには、体力はあると思っていたんだけどな―――


偽勇者「うし、小僧」

    「次は、この岩を剣で割ってみろ」

ルカ「……この岩を剣で割るのか」


目の前には、おじさんがどこからか担いできた「大岩」が置かれている。

大体の大きさは、僕の家と同じぐらいかな―――


偽勇者「これぐらいクリアできないと、魔物と戦っていくのは無理だぞ」

ルカ「……………」

   「よし……!」


僕は剣を構え、大岩を見据える。

少し間を空け、大岩に目掛けて剣を振り下ろす!



― ― ― ガ キ ィ ィ ィ ン ― ― ―



しかし、大振りで振られた剣は弾かれ落としてしまう。

弾かれた衝撃が強かったのか、手は痺れ痛みが生じた。


ルカ「~~~っ!!」

偽勇者「うーん、まだまだ無駄な動きが多いな」

    「この課題は午後にまわすか」

    「じゃあ―――特訓を始めるか」


こうして―――

手の痺れや痛みに耐えつつ、剣の特訓を行う事になったのである。






特訓は基礎訓練に始まり―――


ルカ「てりゃぁぁぁ!」

   「ありっ?」

偽勇者「蹴りってのはな、木を一本軽々と揺らすぐらい強くなきゃ駄目だ」

    「よく見てろよ―――どりゃぁぁぁ!」



― ― ― ズ ン ッ ! ! ― ― ―



俺が繰り出した蹴りは、木を圧し折った。

その光景を見ていた小僧は、呆気にとられ口を大きく開いていた。


ルカ「す、すごい……」

   「木をあんなにも簡単に―――」

偽勇者「んじゃま、まずスクワット50回!」

    「もちろん、重りを付けてだ!」

ルカ「……………」

   「はいっ!」


その返事は、今日一番元気がある返事だった。





―――格闘技の指導。


ルカ「とりゃっ!」

   「せいっ!」

偽勇者「もっと腰を深く落とせ!」

    「それじゃ力が全然入らんぞ!」


―――昼食後は魔物の生態などについての猛勉強。


偽勇者「スライムは弱と強に最も幅があり、見た目が雑魚と同じでも再生機能を持っている固体もいる」

    「故にスライムはまだまだ謎が多い部分があるんだな、これが……」

    「だから、例え雑魚でも油断はねぇ―――んっ?」

ルカ「……zzz」

偽勇者「―――起きろっ!」

ルカ「痛っ!?」


―――そして、薬を塗り体力回復。


小僧は五日間、この特訓を繰り返したのである。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


みなはん、おるー?

          __,,,,,,___
        (⌒ヽ:::::::::::'''''-,,
      <´・\  ::::::::::::::::::ヽ
       l 3 ハ::::::::::::::::::::::ヽ,
   ∫  .<、・_ (         )
   旦 (⌒ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒)







……ここは、どこだろう。

周囲は柔らかな光に溢れ、荘厳な雰囲気が満ちている。

これは、夢だろうか―――?


???「ルカ…… 勇者ルカ……」


……どこからか、僕を呼ぶ声が聞こえる。

とても穏やかで、そして慈愛に満ちた声だ。

僕の前に現れたのは―――

なんと、創世の女神イリアス様のお姿だった!


イリアス「勇者ルカよ…… 私の声が聞こえますか?」


【私の声が聞こえますか?】

○聞こえます

○聞こえません

○答える理由はない


『聞こえます』

ルカ「聞こえています、イリアス様―――!」


イリアス様のお声を耳にし、僕は興奮に打ち震えていた。

この世界を創世し、全ての人間を深く愛して下さる創世の神。

そして、全ての冒険者を守護して下さる慈愛に満ちた女神。

そんな偉大なる存在を前にして、信心深い僕が心躍らせないわけがない―――

たとえ、これが夢であったとしても。


イリアス「……今から、何十億年も前」

     「あなた達人間の時間感覚では、計り知れないほど昔の事……」

     「私は、この世界を創世しました」

     「まず大地を、そして空を、海を、緑を、動物を、鳥を、虫を造り……」

     「そして最後に、あなた達「人間」を造り出したのです」

     「しかし―――私とて、全知全能ではありません」

     「人間を造り出す過程において、幾多もの失敗作を生んでしまいました」

     「それが、魔物―――醜く、そして忌まわしい存在です」

ルカ「……………」

イリアス「魔物とは、すなわち悪」

     「時には暴力で、時には淫らな手段であなた達人間を苦しめるのです」

     「私は、か弱き人間達を深く愛しています」

     「そして人間を苦しめる忌まわしい存在―――魔物を、深く憎んでいます」

     「ときにルカ…… あなたは、とうとう「旅立ちの年齢」となりますね」

ルカ「はい…… 幼いときからずっと、その日を待っていました!」


「旅立ちの年齢」とは、イリアス様の洗礼が受けられる年齢。

それはすなわち、勇者として認められるということでもある。

勇者を目指す僕は、「旅立ちの年齢」に達する日を待ち望んできたのだ。

村で平和な暮らしを送りつつも、剣技の修行に明け暮れながら―――

そして!

その「旅立ちの年齢」に達する日は、とうとう明日なのである!


イリアス「私はこれまで、何人もの少年に洗礼を施してきました」

     「勇者としての祝福と、女神の守護を幾多の若き戦士に与えてきたのです」

     「しかし―――彼等は未だ、現在の魔王を討ち滅ぼせずにいます」

     「今より五百年前、当時の魔王を滅ぼした勇者ハインリヒのような若者はまだ現れないのです」


勇者ハインリヒ―――

五百年前、悪逆非道を尽くした当時の魔王を滅ぼしたという伝説の勇者。

その剣技は大地を割り、強大な邪悪にも屈せず、正義を貫き通す―――

まさに、勇者の中の勇者だ。

真の勇者を目指す僕にとって、憧れの人物であることは言うまでもない。


イリアス「しかし、ルカ―――」

     「あなたこそが、魔王を討ち滅ぼす勇者となるのかもしれません」

ルカ「え……? ぼ、僕が……?」

イリアス「行きなさい、ルカ」

     「私は、いつでもあなたのことを見守っています―――」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



柔らかな朝の日差しを浴びながら、僕は目覚めの時を迎えていた。

さっきのあれは、夢だったのだろうか―――

―――いや、決してただの夢なんかではないはず!

夢を通じて、イリアス様が語りかけて下さったのだ!


ルカ「イリアス様、ありがとうございます」

   「どうか、この僕を見守っていて下さい―――」


いつものように、まずは起床後のお祈り。

そして次に、肌身離さず装着している形見の指輪へと語りかける。


ルカ「おはよう、母さん」

   「いよいよ今日、僕は勇者として旅立つよ……」


そして体を起こすと、僕は朝の支度を開始した。

天気も良く、いつも以上に清々しい朝だ―――


偽勇者「……あぁ、頭が痛い」

    「よぅ、小僧―――おはよう」

ルカ「……おはよう」


―――この酒臭さで台無しだけど……


偽勇者「今日だっけか?」

    「イリアス神殿で、勇者の洗礼を受ける日は?」

ルカ「そうだよ、午前中にイリアス神殿で勇者の洗礼を受けないといけないんだ」

偽勇者「……そうか、今日か」

    「長いようで、短い修行だったな……」


おじさんは朝から酒を飲みつつ、しみじみと語る。

この朝っぱらから酒を飲んでいる人物はシャニセ・ユウ―――

どんな因果なのか、とある狐の嫁入りで足を挫いた僕を結果的に助けてくれたおじさん。

始めは、ただの酔っ払いかと思っていたけど実はとんでもない戦士で―――


偽勇者「おい小僧、つまみの塩くれ塩!」

ルカ「……はいはい」


―――酒のことしか頭がないおじさんだけど、修行をつけてくれたこともあって僕は大幅に基礎体力が上がったのだ。

どれぐらい上がったかは、大きめの岩程度なら片手で持ち上げられるぐらいだ。

……おじさんに直接言ったら絶対に調子に乗りそうだから言わないが―――

―――心の中では多少尊敬しているのだ。


偽勇者「で、この宿屋には、しばらく戻ってこないのか」

ルカ「ああ、魔王を退治するまで、ここには帰るつもりはないよ」


この家には、しばらく戻ってこない―――

そう思うと、感慨もひとしおだ。


ルカ「そういえば、おじさんはこれからどうするの?」

   「……もしかして、このまま家に居付くつもりじゃないよね?」

偽勇者「俺か?」

    「俺は―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2

観光の再開とヒヨッコが一人前になるまでのお守りだな

>>756』やね

偽勇者「俺か?」

    「俺は観光の再開とヒヨッコが一人前になるまでのお守りだな」

ルカ「ふーん…… って、ヒヨッコって僕のことか……!?」

偽勇者「相違ない」

    「小僧の実力は、まだまだだが―――将来的には物になるからな」

    「ここまで来たらしっかりと鍛えるのも、師というものだ」

ルカ「……ふん」


褒めているのか貶しているのか分からない言葉を並べるおじさん。

でも、将来的には物になるそうだ―――少し嬉しい……かな?


偽勇者「それと、銘酒めぐりもして見つけたらたっぷりと飲ませてやるからな!」

    「クァーーーハッハッハッ!」

ルカ「いや、それはいいや」

偽勇者「なんと……!?」


おじさんは、ショックを受けた顔をするが僕は無視して朝食を食べるのであった。





朝食を終えた僕は、いそいそと掃除を始めた。

立つ鳥跡を濁さず、とはよく言ったものだ。


偽勇者「……面倒だな」

ルカ「ちょっと、掃き掃除はまだ早いよ」

偽勇者「ん? それは何故だ?」

ルカ「……はぁ」

   「あのね、掃除とは先に上―――つまり天井から掃除していくんだ」

   「先に床を掃除したら、上の掃除をした後にまたホコリが落ちるだろ」

偽勇者「……むぅ、小僧」

ルカ「何? まだ、掃除の仕方は終わってないよ」

偽勇者「お前は主婦―――いや、主夫のが似合うと思うぞ」

ルカ「るっさい……!」


おじさんに、はたきを投げ付けるが―――あっさりと受け止められてしまった。

そして、そのまま天井付近の掃除を始めたのだ。

脱力と共に、溜め息を吐きつつ僕も掃除を再開するのであったが―――


村人「た、た、大変だぁ!」

ルカ「……ん? なんだ?」


散らかった酒瓶を片づけていると、外から男の叫び声が聞こえてきた。

騒いでいるのは、木こりのハンスさんらしい。

こんな朝から、いったい何事なのか―――


偽勇者「池に斧を落として、金と銀の斧でも手に入れたんじゃね?」

ルカ「そんなまさか―――」

村人「近くの森に、魔物が出たぞぉ!」

ルカ「な…… なんだって!?」


この平和なイリアスヴィルの近くまで、魔物が―――!?

イリアスヴィルは小さな村ながら、世界に誇る大神殿がある。

イリアス様を奉った神殿、イリアス神殿だ。

その偉大な御力に守られ、村に魔物は近づきもしないはずなのだが―――


村人「みんな、家に隠れるんだ! 村に入ってくるかもしれないぞ!」

おばさん「あ、あわわわわ……!」

子供「お、お母さーん!!」


平和な村は、たちまちパニックに陥ってしまった。

よりにもよって旅立ちを控えた今日、村に魔物が襲ってくるなんて―――


ルカ「ど、どうしよう……!?」

偽勇者「行ってこい、小僧!」

ルカ「お、おじさん!」


僕の両肩に手を置き、力を入れる。

その置かれた手は、温かく優しく肩を揉んでくる。


偽勇者「お前は何のために、修行に耐えてきたんだ?」

    「やっと卵から雛になったんだ、思いっきり腕を試してこい!」

ルカ「……………」

   「よし、行くぞ!」


剣を片手に、僕は家を飛び出していた。

僕が生まれ育ったこの村を、僕自身の手で守るために!

そして―――

僕を信じてくれる―――の期待に応えるためにも!!

【ルカきゅんは、おじさんを心の中で何と呼んでいる?】

○師匠

○先生

○その他
↓3

『おじさん』やね


僕を信じてくれる おじさん の期待に応えるためにも!!





農夫「ひぃ、逃げろぉ……!」

青年「ひぇぇ……! こ、こんなの初めてだぜ……!」


村の中は、大混乱に陥っていた。

朝早くから農作業をしていた人達は、自分の家に飛び込んでいく。

そんな人の波に逆らうように、僕は村の入り口へと駆け出していった。

そんな僕を見とがめ、隣家のおばさんが声を張り上げる。


ベティおばさん「おやめよ、ルカ!」

        「ここは、イリアス神殿の兵隊さんに任せとくんだ!」

ルカ「大丈夫だよ、ベティおばさん! 僕は勇者なんだ!」

ベティおばさん「勇者って、あんた…… まだ洗礼を受けてないだろ!?」

        「こら、行くんじゃないよ!」


確かにまだ洗礼は受けていないから、正式には勇者じゃないけれど―――

それでも、ある程度のモンスターの対処方法は文字通りおじさんから叩き込まれたのだ。

油断しない限り負けたりするものか!

ベティおばさんの制止も振り切り、僕は村の通りを駆け抜ける。

そして、村の外へと飛び出した!


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


外に続く一本道をひた走り、森へと飛び込む。

そしてふと足を止め、僕は周囲を見回した。


ルカ「……………」

   「……魔物は、どこにいるんだ?」


ひっそりと静まりかえった森で、僕は周囲をきょろきょろと見回す。

あてもなく森に飛び込んだものの、敵はどこにいるのか―――

そう思った時だった。

不意に、脇道から一体のモンスターが姿を見せた!


スライム娘が現れた!


スライム娘「あはは、美味しそうな男の子~♪」


スライム娘は、呆気に取られる僕を前にしてくすくすと笑う。

その粘体状のボディを、ぷにぷにと揺らしながら―――


ルカ「こ、これが…… 魔物……」


おじさんから教えられたように、剣を構えるのを忘れない。

魔物をこの目で見るのは、生まれて初めてである。

思ったよりも迫力があり、意外に可愛くて…… そして、異様。

じゅるじゅるとうねり、波打つ体は、人間とは程遠かったが、勝てないことはない。

おじさんの地獄じみた特訓と比べたら、恐怖など感じなかった。


スライム娘「あれれ……?」

      「君、以外と強いね~?」

ルカ「……………」


答える義理も義務もない。

自分から自分の情報をバラすことは、馬鹿のすることだ。

まぁ、時には敢えてバラして油断させることも大事だったかな。


ルカ「……ここは、人間の村の近くなんだ」

   「だから、大人しく引き返してくれないかな?」


剣を構えたまま、僕はスライム娘に語り掛けていた。

相手が魔物といえども、無駄な戦いなどしたくはないのだ。

ちゃんと話せば、分かってくれるかもしれない―――


ルカ「村の人達は、みんな怖がってるんだ」

   「もし、君に悪気がないのなら―――」

スライム娘「あはは…… キミ、平和主義者ってやつ?」

      「そんなお願い聞けないよ~。 あたしだって、お腹がぺこぺこなんだから」

      「それとも…… キミが、あたしにセーエキごちそうしてくれるの?」

      「キミのセーエキなら、二度とこの村に近づかないことをやくそくしてもいいよ~♪」

ルカ「そ、それは…… できない……」


モンスターの多くは、人間の精液を餌とするらしい。

しかし人間にとって、モンスターに精液を与えるのは大いなるタブー。

魔物と交わり、射精する―――

それはイリアス五戒の一つ、魔姦の禁によりきつく戒められているのだ。


ルカ「……イリアス様の五戒律で、魔物との交わりは禁じられているんだ」

   「だから、精を与えることはできないんだよ……」

スライム娘「じゃあ…… ムリヤリ搾っちゃうもんね~♪」

      「強いって言っても、力なんてあたしの粘液で絡め取っちゃうもん~♪」

ルカ「くっ……!」


やはり、戦いは避けられないようだ。

僕が剣を構えたその時―――突然、目の前に別のビジョンが広がった。


イリアス「勇者ルカよ…… 私は、あなたの心の中に語りかけています」

     「この私が、戦いについて教えてあげましょう」


【この私が、戦いについて教えてあげましょう】

○お願いします

○すでに知っています


『すでに知っています』

ルカ「僕はもう、戦えます!」

イリアス「そうですか…… それは、心強いことですね」

     「しかし、これだけはお忘れなきよう」

     「あなたは、いつ―――」

ルカ「え……!?」


今、途中で切れたんじゃないか?

イリアス様、何かを言い掛けていたぞ……?


スライム娘「どしたの? ぼーっとして……」

ルカ「あ、いや……」


僕は我に返り、あらためてスライム娘と対峙した。

戦い方は分かっている以上、躊躇する必要はない。

よし、行くぞ―――!


スライム娘「えへへ…… ごはんは鮮度がいのち」

      「活きがいいうちにたべちゃおっと……♪」


スライム娘は、じゅるじゅると粘液を地面に広げてきた。

その粘液はルカの足に、絡み付こうとしたがルカはその場を跳んで避けた。

そして―――


ルカ「スピードで切り裂く「海の技」! 海破斬!!」



―――――『かいはざん』―――――



剣を鞘に納めた状態で、スピードに乗せた一撃をスライム娘の頭に叩き落とす!


― ― ― ず が ん っ !! ― ― ―


スライム娘「いっ……!?」


スライム娘の頭に叩き込まれたダメージは、大きなたんこぶとして現れていた。


ルカ「どうだ! まだ、やるか!」

スライム「……ふぇ~ん!」

     「もうやだ~!」


スライム娘は、泣きながらずるずるとその場から逃げていった。


スライム娘を追い払った!


ルカ「……ふぅ」


スライム娘がその場から逃げ去った後―――

僕は剣を杖代りにし、ゆっくりと地に尻をつけた。

特訓中におじさんから教えてもらった剣技の一つ「海破斬」―――

水や炎などの不定形な存在をスピードで切り裂く「海の技」。

スライムなどの水系には威力が更に増えるまさに奥義に相応しい剣技だ。

しかし、まだ僕が未熟のせいか海破斬の威力を十分に発揮させることができない。


ルカ「……魔物には勝ったけど、なんか喜べないな」


しかし満足いく戦い方でなかったにしろ、村を守ったことには違いないのだ。


ルカ「それに、相手を殺さずに済んでよかった……」


僕は、魔物が憎いわけじゃない。

むしろ、人と魔物は仲良くするべきだという信念を持っているのだ。

だからこそ僕は勇者になり、魔王を倒すことを決意したのである。


ルカ「……村に戻るか」

   「今日は、旅立ちの日なんだもんな……」


今日こそ、女神イリアスの洗礼が受けられる。

そして僕は、一人前の勇者として魔王退治に旅立つのだ!

旅立ちへの期待に心を躍らせながら、僕は村へと戻るのだった。






偽勇者「ぷはっ! ……そろそろ、魔物退治が終わる頃か」


俺は椅子に座り酒瓶片手に、小僧の帰りを待つ。

あの地獄じみた特訓を五日間もやり遂げたのだ。

例え、四天王だとしても―――いや、四天王だと無理か。

まぁ、そこらの魔物じゃ大丈夫か―――


偽勇者「……そういや、俺も小僧の旅に付いて行く形になったんだよな」

    「流石に丸腰じゃ閉まらねぇな……」


なので、俺は尻を掻きながら村で武器捜しの放浪をするのであった。





偽勇者「ん~…… 始めの村なせいかマシな武器が見つからないな……」


武器屋では鉄の剣、こんぼう、竹槍―――道具屋ではそこそこな回復アイテムがあるが、いい酒が置いてない。

地べたに座り、空を眺めながら酒を飲む―――月見酒ならず青空酒も乙なものだ。

いい具合に酔いが回ってきた俺に、誰かが近づいてくる。


偽勇者「……誰だい?」

    「俺のファンなら残念だけど、サインは無しだ」

    「また、いつかにしてくれ」

???「アイヤー! 気配を消して近付いたつもりだけどバレたアルか!」


俺はその声の人物に視線を向ければ―――口に含んでいた酒を噴き出していた。


???「ちょ! 汚いネ、やめるよろしい!」

偽勇者「……いや、うん」

    「すまねぇな……」


全身を布やサポーターで隠している怪しいを体現した怪しい人物。

そんなのが、目の前に現れたら噴いてしまうのは仕方ない。


???「次からは気をつけるヨ!」

    「さて、本題に入るけど大丈夫か?」

    「―――シャニセ・ユウ」

偽勇者「……俺はいつ、あんたに自己紹介したっけな?」

    「それとも、本当に俺のファンだったか?」

???「いやいや、私はあなたのファンでも敵でもないネ―――」

    「私は商人、商人のウラミだヨ」

偽勇者「そのウラミさんが俺に何の用だ?」

    「酒を飲んでる途中なんだがな……」


俺は酒を飲んでるアピールをする。

しかし、ウラミという商人を人差し指を立ててチッ、チッと左右に揺らした。


ウラミ「そう慌てることないアルよ、私はあなたに商品を届けに来ただけアルね」

偽勇者「……商品だと?」


そんなウラミの発言に顔を歪めるが、そんな顔など何処吹く風なのか商品とやらを取り出した。

その商品とは―――


ウラミ「どうね? かっこいいデザインしてるヨ」

    「この「鎧の魔剣」は―――」


一瞬だが、その鎧の魔剣とやらから力を感じ取った俺であった。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






ルカ「魔王退治、か……」


ふと足を止め、僕は空を見上げていた。

今よりそう遠くない昔、人間と魔物は共存していた。

魔物の一部は人間の町や村で暮らし、人間側もそれを受け入れていた。

種族が異なる以上、時には諍いも起きたが―――

それでも、決定的な対立には至っていなかったのである。

しかし、三十年前―――とある大事件が全てを変えた。

魔王城に最も近い町、レミナで発生した虐殺事件である。

魔物の群れが突然に町を襲撃、市内は惨劇の場となったのだという。

その結果、レミナは壊滅。 現在は廃墟を残すのみらしい。

一人の生存者さえ残さなかった惨劇―――

この「レミナの虐殺」以後、人間と魔物の関係は変化してしまった。

人間と共生していた多くの魔物は町や村を追い出され、そして野生の魔物は人を襲うようになった。

全ての魔物を統べる魔王は、人間との全面戦争を宣言。

人と魔物の関係は完全に決裂し、両者は憎み合うようになった―――

―――とは言え、地方によって温度差はあるらしい。

魔物の排斥が激しい地方もあれば、まだ共存している地方も少ないながら残っているという。

魔物全部を深く憎む人もいれば、魔物の全てが悪ではないと考える人もいるという事だ。

とは言え、人間と魔物がかつてないほど険悪な関係になってしまったのは疑いない事実である。


ルカ「だから、僕が……!」


魔物に悪いことをさせている魔王さえ倒せば、きっと全ては元通りになる。

昔のように、人間と魔物は仲良く暮らすことができるようになるはずだ。

そのために、僕は魔王を倒さなければならない―――

たとえ、この命を犠牲にしてでも。



― ― ― ― ― ド ォ ォ ォ ン !! ― ― ― ― ―



ルカ「わわっ…… なんだ!?」


不意に、凄まじい衝撃と轟音が辺りに響いた。

この付近で、まるで何かが爆発したかのようだ。


ルカ「かなり近いぞ…… 何があったんだ?」


僕は、音の方向に駆け出していた。




木々の間を抜けて、森の奥へと入る。

そこには―――綺麗な女性が、地面にめり込んで横たわっていた!


ルカ「いや、あれは……」


下半身は大蛇、そして肌の色―――

どう見ても、人間であるはずはない。

魔物…… しかも見たところ、かなり強そうな妖魔だ。

いったい何が起きたのか分からないが、妖魔が倒れているのである。


ルカ「あのモンスター、死んでるのかな……?」


奇妙なモンスターは横たわったまま、ぴくりとも動かない。

薙ぎ倒された木、へこんだ地面―――

状況を見るに、この妖魔は空から落ちてきたようだ。

いったい、何があったんだ……?


ルカ「ど、どうしよう……」

   「生きてるなら、助けないと……」


当然ながら、僕は魔物を敵視しているわけではない。

むしろ、人と魔物が共存できる世界を望んでいるのだ。

魔物とはいえ、放置してはおけないのだが―――

今の僕には、のんびりしていられない理由があった。


ルカ「どうしよう、そろそろ時間が……」


今日という日は、女神イリアスから洗礼を受けるという特別な日。

この勇者の洗礼を受けることができるのは、「旅立ちの年齢」になった日の正午なのである。

その時刻にイリアス神殿で儀式を行わなければ、もう二度と洗礼を受けることはできないのだ。

つまり、一生に一度きりのチャンスというわけである。

まだ正午までしばらく時間があるが―――

ゴタゴタに巻き込まれて、洗礼の時間を逃してしまう可能性もある。

目の前の状況を見るに、トラブルの匂いは濃厚。

ここは、関わらないのが一番なのかもしれないが―――


ルカ「うう…… どうしよう」

   「でも、放っておくわけにもいかないし……」


少しだけ悩んだ後、僕は―――


【少しだけ悩んだ後、僕は―――】

○助けよう

○見なかったことにしよう

『助けよう』

ルカ「いくらなんでも、ここで見捨てたら勇者失格だよな……」


僕は倒れている妖魔のところに駆け寄り、その顔を覗き込んだ。

とりあえず、生きているのか死んでいるのか確認しないと―――


妖魔「……………」

ルカ「え……?」


不意に、妖魔の目がぱっちりと開いた。

彼女はまじまじと僕の顔を見据え、そしてむっくりと体を起こす。


妖魔「……ここは?」


僕の顔をじっと睨みながら、妖魔は口を開いた。


ルカ「え……?」

妖魔「……ここはどこか、と訊いている」


無礼とも思える、突然の質問。

それに対し、僕は―――


『素直に答える』


ルカ「えっと…… イリアスヴィルの近くだけど……」


呆気に取られた僕は、そう答えるのが精一杯だった。


妖魔「そんなところまで飛ばされたか。 あの女、なんという馬鹿力だ……」

ルカ「女……?」

妖魔「……で、貴様は何者なのだ?」


僕の疑問は無視され、矢継ぎ早に質問が浴びせかけられる。

さて、どうしたものか―――


『素直に答える』


ルカ「勇者見習いのルカだけど……」

   「この近くの、イリアスヴィル出身の……」


僕は、素直に答えていた。


妖魔「勇者見習い…… ということは、洗礼を受けていない身か」

   「道理で、美味そうな匂いがぷんぷんするわけだ……」


じゅるり…… と、妖魔は舌なめずりをした。

なぜだか知らないが、ぞわぞわと悪寒が走る。

―――そうだ、こうしている場合ではない!


ルカ「そうだ、洗礼だ! そろそろ、村に戻らないと!」


この妖魔は、どこからどう見ても怪我などしていなさそうだ。

それならもう放っておいて、村に戻らなければならない。


ルカ「じゃあ、僕はこれで―――」

妖魔「……待て」


妖魔の下半身―――大蛇の尻尾が、しゅるりと僕の胴に巻き付く。

しかし、咄嗟に僕は跳躍することで尻尾の拘束から逃れることができた。


ルカ「な、何するんだよ!」

妖魔「むっ……」

   「余の先手をまぐれとはいえかわすとは―――」


何か妖魔が一人でぶつぶつと呟いているが、構っている時間はない。

僕はそのまま村まで駆け出した。


― ― ― ビ タ ン !! ― ― ―


ルカ「痛っ!?」

妖魔「……待てと言っている」


駆け出した拍子に尻尾で足に巻き付かれ転んでしまった。


妖魔「なるほど、事情は分かった」

   「今日はイリアスの降誕日、洗礼を受けようとしていたわけか」

ルカ「その通りだよ。 だから、離してくれないか……?」


勇者になると誓った幼い日から、この時を心待ちにしていたのだ。

あれだけ憧れた勇者になる、まさに今日がその日なのである。


妖魔「イリアスの洗礼など受けるな、くだらん」

ルカ「く、くだらん……!?」


くだらん―――僕の生き方を、一言で否定されてしまった。

腹が立つより先に、なんだかがっくりくる。

なぜ会ったばかりの妖魔が、僕の生き甲斐を堂々と否定するのか。


ルカ「……もう、なんだっていいよ」

   「とにかく、離してくれないかな?」

妖魔「……………」


しかし妖魔は、尻尾で僕の足を巻き付けたまま離そうとしない。


妖魔「……なぜ、気を失っていた余に止めを刺そうとしなかった?」

ルカ「え……? とどめ……?」

妖魔「人間が余を討つ、千載一遇の好機だったはず」

   「仮にも勇者を目指す者が、なぜそれをしなかったのだ?」


そんな事を言われても―――返答に困ってしまう。


ルカ「良い奴か悪い奴かも分からないのに、いきなりトドメ刺したりするわけないだろ……」

妖魔「……ほう」

   「人間にとって、魔物は敵であるはずではないのか……?」

ルカ「確かに、そういう考えの人もいるけど……」


だが、僕は違う。

魔物を、魔物だからという理由だけで憎むような人間ではない。


妖魔「まして貴様は、勇者志望なのだろう」

   「魔物を敵だと思っていない者が、いかなる理由で魔王を倒そうとする?」

   「それは英雄願望か? 功名心か? それとも―――」

ルカ「……僕は、英雄になりたいわけじゃない」

   「魔王だって、別に憎いわけじゃないんだ」

   「ただ、悪いことをやめさせたいんだよ」


魔物を率いて人間と戦うなんて、絶対に間違っている。

そんな事をしてるおかげで、人間も良い魔物も迷惑しているんだから―――


妖魔「……はぁ?」

ルカ「僕は、魔王や魔物を倒したいわけじゃない」

   「人間と魔物が手を取り合って暮らす世の中を築きたいんだ!」


その障害になるなら、魔王だって倒してみせる―――僕はそう誓ったのだ。


妖魔「……ドアホだろう、貴様」

ルカ「ぐ……!」


胸にグサリと来る、冷たい一言。


ルカ「なんでドアホなんだ……! 僕は、人間と魔物が―――」

妖魔「幼稚な善悪の二元論を土台に、歯が浮くようなお花畑の世迷い事―――」

   「ドアホと言わずに、何と言うか」

ルカ「う、ぐ……!」


何も言い返せない。


妖魔「世の中というものを知らん年齢でもあるまい」

   「人間と魔物が手を取り合って暮らす?」

   「人間は、いつから起きたまま寝言を言うようになったのだ?」


ルカ「……でも、僕は……!」

妖魔「なるほど、理解した」

   「未熟がゆえの幼稚な使命感、といったところか」

   「もう行っていいぞ…… 未熟者の坊や」

ルカ「ぐぬぬ……」


馬鹿にしきったような顔で、妖魔は僕の肩を軽く叩いた。

同時に、足に巻き付いていた尾が解かれ、服に付着していた砂はパタパタと払われた。


ルカ「お…… お前なんかに何が分かる……!」

   「このバーカ!!」


ダッシュでその場から離れながら、僕は叫んだのだった。

……これじゃあ子供じゃないか……





ルカ「ああもう、なんだよ……」


……だいたい、あいつは何なんだ。

なぜ助けようとしたのに、あそこまで馬鹿にされなきゃいけないんだ。


ルカ「……めちゃくちゃ強そうだったな、あいつ……」

   「おじさんと戦ったら、どっちが勝つだろう……」


ちょっと怖かったから、逃げながら罵声を浴びせたほどだ。

今の僕では、どう足掻いても傷一つつけられないだろう。

まさか、噂に名高い魔王軍四天王の一人とかじゃないだろうな……


ルカ「いや、忘れよう……」


あんな妖魔のことなんか忘れて、イリアス様のことだけを考えよう。

そうだ、今日はとっても素晴らしい日なんだ。

ずっと憧れてきた勇者に、とうとうなれるのだから―――


ルカ「ああ、イリアス様……!」

   「僕は…… ルカは、きっと魔王を倒してみせます……!」


一転して、足取りも軽やか。

こうして僕は、村へと戻ったのであった。

ルカ「…… ぁぁ…… ぉ…… ぅぅ……」


時刻は正午過ぎ。

僕は呻きながら、ふらふらとイリアス神殿を出る。

僕の顔面は蒼白で、ゾンビ状態だと疑われるほどだろう。

今日は一生に一度、洗礼が受けられる日―――

それなのに、結局僕は洗礼を受けられなかったのだ。

決して遅刻したわけではない。

ちゃんと正午前には、神殿へと出向いたのだ。

にも関わらず―――

なぜか分からないが、イリアス様は降臨されなかったのだ。

神官様が言うには、イリアス様が洗礼を与えて下さるようになって以来の大珍事らしい。


神官「お主は、イリアス様に見放されたのではないか」

   「イリアス様は、旅立ちを祝って下さるおつもりはないのだろう……」

ルカ「…… ぁぅ…… ぅ…… ぁぁ……」


神官様の言葉が、僕の胸にザクザクと突き刺さる。

こうして、僕は洗礼を受けることができなかった。

一生に一度のチャンスを逃したので、今後もう二度と洗礼は受けられない。

もはや僕は、勇者にはなれないのだ。

この事を、おじさんに何て報告しよう。

下手をすれば、あの地獄じみた特訓が大地獄として僕を苦しめるだろう―――


ルカ「…… ぁぅぅ…… ぉぁ…… ぅ……」

通りすがりのウラミ「おや、毒にでもあたったか?」

          「この万能ぐすりでも飲むよろしい」

ルカ「ぃぇ…… 結構です…… 毒ではなぃです……」


見知らぬ怪しい人にまで、心配されてしまう僕。

ふらつく体を引きずり、何とか家に帰り着いた―――





妖魔「……………」

偽勇者「……………」

ルカ「な、何が起こっているんだ……」


絶望している僕は、家にまで帰り着くことができたが―――

そこへ僕を迎えたのは、玉がキュンとなってしまうほど恐ろしく空気が重い空間だった。


偽勇者「―――」

妖魔「―――」

【偽勇者と妖魔(アリス)の口論】

↓2~3ぐらい

皮肉合戦しながら軽く攻撃し合ってる

世間知らずのお嬢さん、人の家に勝手に入り込んで人に魔眼を使おうとするのは感心できないぞ。


大阪|-ω-)< .....zzz

大阪|;・ω・)<あっ!

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー? 少しだけやるでー!

>>793 >>794』やな

偽勇者「妖魔様が空き巣とは……」

    「魔物社会でも、不景気なのか?」

妖魔「……ふん」

   「昼から酒とは貴様は身なりの割には景気が良いようだな……」

   「それなりに身分が良いのだろう―――羨ましい限りだ……」

偽勇者「いやいや、これでも毎日苦労しているんだぜ?」

    「酒を飲むために、その日を頑張る!」

    「働く者だけが味わえる一杯だ!」

妖魔「働くと言っても自宅警備程度じゃ、その一杯も高が知れてるがな」

   「おっと、今日もお勤めご苦労様。 棚の中のパトロールはいかがだった?」

偽勇者「……………」

妖魔「……………」

ルカ「あ、あわわ……!」


何だか分からないが、今直ぐ止めないと大変なことが起こる予感がする。

肉眼では確認できないが、乾いた音が所々で聞こえるのも気のせいではなかった。


偽勇者「……ん?」

    「おう、おかえり」

    「魔物の方はどうだった?」


先に僕に気付いたのはおじさんだった。

僕はすぐ近くにいる妖魔を気にしつつ、スライム娘との激闘を語った。


偽勇者「……馬鹿野郎」

ルカ「ば、ばか……!?」


いきなり馬鹿野郎呼ばわりされた。


ルカ「なんで馬鹿なんだ……! 僕は初めての戦闘で―――」

偽勇者「まあ、お前の人間と魔物の共存したい考えは否定しないがな」

    「それだと、その魔物を小突いて泣かして―――まるでいじめてるみたいじゃねぇか」

ルカ「う、ぐ……!」


確かに第三者から見たら相手を泣かすいじめっ子みたいだけどさ……


偽勇者「しかし、スライム娘に海破斬を選んだのは正解だ」

    「しっかりと特訓を学んでる証拠だ、偉いぞ!」

ルカ「ん、ぐぐ……」


褒められているのか、怒られているのかまったく分からない。

僕は何時もの事だと諦めて溜め息を吐くしかなかった。

さて、次は―――


――――――――――「お前は何者だ?」――――――――――

ルカ「お前は何者だ……?」

妖魔「まあ、旅の妖魔といったところか……」

ルカ「なんだそりゃ……」


見たところ、敵意のようなものは感じられない。

いや、おじさんだけには敵意を向けているようだ。

いったい、僕が家に帰ってくるまでの間に何があったのだ。

あと、まるで自分の家であるかのように偉そうだ。


――――――――――「なぜ僕の家が分かった?」――――――――――

ルカ「なんで、僕の家が分かったんだ……?」

妖魔「匂いだ。 貴様の初々しい匂いを辿れば、すぐに分かることだ」

   「……そこの酒臭い人間が交わり台無しだがな」

偽勇者「うるせぇ!」

ルカ「だいたい、どうやってお前みたいなモンスターが村に入り込んだんだ……?」


スライム娘のような雑魚一体でも、あれだけの騒ぎになったのだ。

こんな強そうな妖魔が現れたら、大騒ぎでは済みそうもない。


妖魔「人目を盗むことなど容易。 余を誰だと思っている……?」

偽勇者「ラミア系モンスターだろ」

妖魔「貴様には聞いておらん!」

ルカ「おいおい……」


とりあえず、この妖魔は鼻が利くらしい。


――――――――――「何しにここへ来た?」――――――――――

ルカ「何をしに、ここへ来たんだ……?」

妖魔「まあ…… 興味といったところか」

   「それに、少し確かめておきたいこともあってな」

ルカ「え……?」


なんだか、さっぱり分からない答えだ。


ルカ「……………」


結局、何一つ分からない。

なんだかガッカリうんざりしすぎて、逆に元気になってきた。


ルカ「それにしてもまずいなぁ」

   「魔物を家に上げたのが、ご近所にバレたら……」


イリアス神殿が鎮座するだけあり、このイリアスヴィルは魔物排斥の思想が非常に強い村である。

魔物がいるのがバレたら、かなり厄介な事になるだろう。

それに―――


偽勇者「……ぷはっ! ……ひっく」


おじさんも魔物排斥が強い可能性も十分にある。


ルカ「……ってか、いったい何をしに来たんだ?」

   「今の僕、洗礼が受けられなくて傷心なんだ」

   「からかうなら、また今度に―――」

妖魔「ふむ…… それを聞くのも、余がここに来た理由の一つなのだ」

   「そうか…… イリアスは、現れなかったか…… くくっ」


なぜか、妖魔は満足げな笑みを浮かべた。


妖魔「余がこれだけの手傷を負わされたのだ、相応のお返しだ」

   「「創世の女神」たる面目も丸潰れだろう…… くくく」

ルカ「え……? どういうことなんだ……?」

偽勇者「……………」

    「……ぷは」


イリアス様が降臨されなかったのは、こいつと何か関連があるのか?


ルカ「お前、いったい……」

偽勇者「おい、小僧」

    「洗礼を受けられなかったとは―――どういうことだ?」

ルカ「きゃ……っ!?」


おじさんが僕の背後からおどろおどろしい声で、語り掛けてきた。

その不気味な声で思わず黄色い声を上げてしまった。


ルカ「えっ…… と……」

偽勇者「ん~?」


僕は、ばつが悪い表情をし何とか誤魔化そうとするが―――


偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2


今回はここまでや
           ほなな~
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          __,,,,,,___
        (⌒ヽ:::::::::::'''''-,,
      <´・\  ::::::::::::::::::ヽ
       l 3 ハ::::::::::::::::::::::ヽ,
   ∫  .<、・_ (         )
   旦 (⌒ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒)

安価内なら↓や

洗礼を受けなくても旅はできる
強くなれないわけでもない
なんの問題がある?

おつ


大阪|・ω・)<みなはん、おるー? 少しだけやるでー!

>>804』やね

偽勇者「……………」

    「洗礼を受けなくても旅はできる」

    「強くなれないわけでもない」

    「何の問題がある?」

ルカ「……………」


おじさんは腕を組み、まるで親が子を叱るように説教を始めた。


偽勇者「しかし、嘘は駄目だ」

    「嘘は旅が出来ても信用を失う」

    「強い者を倒しても信じてもらえない」

    「問題だらけだ。 分かるだろ?」

ルカ「……大体、なんとなくだけど―――」

偽勇者「なんとなくでもいい」

    「理解するにも、学ぶにしても切っ掛けが大事だからな」

    「クァーーーハッハッハッ!」


…豪快に笑うと、グラスに入った酒を飲み切りテーブルに置く。


ルカ「……おじさん!」

偽勇者「ん、なんだ?」

ルカ「あのー――実はね……」


僕は固く閉ざしていた口を開くのであった―――





偽勇者「……やれやれ」


俺は、偉そうに食事を要求した妖魔にほしにくを与える小僧を見据える。

そして、その光景を肴に酒を飲む。

小僧の展開―――もとい運命は予想通りだったが、ここまでだと後が怖い。


偽勇者「まぁ、未来の事を今考えても仕方ないがな」

    「それに―――」


俺は傍に置いている「鎧の魔剣」を撫でる。


偽勇者「こいつも使ってみたいしな……」


酒をラッパ飲みし、ほしにくを噛んでいると妖魔がこちらを見ているのに気付く。


偽勇者「なんだ、俺のほしにくが欲しいのか?」

妖魔「違う」


妖魔を注意深く観察するが、鼻でくんかくんかとにおいを嗅いでいるのが分かる程度だ。

ちゃんと風呂には入っていたから、体臭がにおうことはないと思うが―――


偽勇者「どうした、何かにおうのか?」

妖魔「……なんでもない」


そういうと妖魔は大蛇の下半身を器用に動かし、小僧の元へと近付いていった。

自分勝手な魔物だな……


ルカ「それで…… 結局のところ、何が目的なんだ?」

   「勇者になれなかった僕を、からかいに来たのか?」

妖魔「ふ…… 先程は、少しばかり言い過ぎたと思ってな」

   「未熟がゆえの幼稚な使命感―――それは、未熟がゆえに仕方がない」

   「だからこそ、見識を広めるのは重要なのだ」

   「世界というものを旅し、様々なものを見、己の幼稚さを恥じる……」

   「……それで良いのだ」

ルカ「……………」

妖魔「……なんだ。 慰めてやっているのに、その辛気くさい顔は」

ルカ「え……? 慰めてたの……!?」


……小僧が幼稚なのは同意するが、妖魔もある意味では子供だな。

それは慰めているとは言わん。


妖魔「それで、貴様はこれよりどうする?」

   「まさか、旅立ちを諦めたとは言うまいな?」

ルカ「予定通り、魔王退治の旅に出るよ」

   「……おじさんが言った通り、イリアス様のご加護がない身でも旅はできるからね」

妖魔「くくく…… それでいい」

   「実は余は、少しばかり貴様に興味が湧いたのだ」

ルカ「興味……? 僕に……?」


小僧は首を傾げた。


妖魔「その通り。 貴様は興味深い」

   「人と魔物の共存などという世迷い事を、胸を張って口にするのだからな」

ルカ「世迷い事なんかじゃない。 僕は、そういう日が来るのを信じているよ」

   「必ず、そういう世の中にしてみせる―――!」

妖魔「くくく……」

   「いつまでそんな世迷い事が言っていられるか、さぞかし見物だな」

   「貴様の旅について行き、化けの皮が剥がれる瞬間を見てやろう」

ルカ「え……? 僕の旅に……?」


妖魔「余は、この世界を見て回るつもりでいたのだ」

   「どうせなら、貴様と世界の両方を見ようと思ってな……」

   「理に適っているだろう?」

ルカ「……勝手にしてくれよ」

   「どうせ、僕が嫌がったって無駄なんだろ?」

妖魔「ああ、無駄だな」

   「余を追い払うことの出来る実力などないだろう?」

ルカ「ぐっ……」


小僧が妖魔に図星を突かれたせいか、悔しそうだ。

ちと、哀れだったので小僧の背後に立ち頭の上に腕を置く。

腕を唐突に置いたせいか、小僧のバランスが少し揺らぐ。


偽勇者「はっ! 小僧はまだまだヒヨッコだがな」

    「俺が特訓をしてやるからには、いずれはお前を追い払うぐらいには実力を持たせるさ」

妖魔「ほう、大した自信だな」

偽勇者「おうよ! これでも俺はちょっとばかしは実力はある方なんだぜ」


俺は酒瓶を傾けながら、堂々と語る。

例え、俺が特訓をしなくても小僧は妖魔以上の存在にはなれるからな。


妖魔「……………」

   「言い忘れたが、貴様にも多少は興味はある」

偽勇者「クァーーーハッハッハッ―――はっ……?」

ルカ「冷たっ……!?」


俺は今、妖魔が語った言葉に反応して動きが止まった。

酒瓶は傾けたままなので、酒の少量が小僧の頭に零れ落ちた。


妖魔「貴様はどうも、謎が多い」

   「それに、先程から全く隙が無い」

   「余のとの口論でも、攻撃を受け止めたり、往なしたりただ者ではないのは明白」

   「貴様の正体も暴いてみせる」

偽勇者「……おお、怖い怖い」


俺と妖魔は互いに睨み合う。

どうやら何が原因とか関係なく俺も妖魔も互いに嫌っている部分があるようだ。


ルカ「はいはい! 喧嘩なんてしないの……!」

   「共に旅をする仲なんだから、まず自己紹介……!」


小僧の意外な一声で、俺と妖魔は鼻を鳴らしながらそっぽを向く。


ルカ「僕は勇者見習いのルカ」

   「もう二人は既に知ってると思うけどね」


小僧が胸を張って自己紹介をする。

小僧は小僧だろうに―――


妖魔「……アリスフィーズ・フェイタルベルン」

   「特別に、「アリス」と呼ぶことを許そう」

ルカ「アリス……? 似合わないなぁ……」

アリス「締め殺されたいのか、貴様……?」

ルカ「ひっ……!」


小僧を囲むかのように、しゅるしゅるととぐろを巻き始める尻尾。

仕方ねぇな、小僧は―――


偽勇者「小僧―――名前を悪く言ってはダメだ」

    「名前は個を現すからな。 名を侮辱する行為は恥じと知れ」

ルカ「ご、ごめんなさい……」

偽勇者「うむ、それでいい」

    「これで、いいだろうアリス?」


これから共に旅をするのだ。

互いに嫌う部分はあれど、今は仲良くするのが正解だろ。

これで、アリスも少しは機嫌が―――


アリス「貴様に許しを出した覚えはない」

    「「アリスフィーズ様」と呼べ」

偽勇者「黙れ、小娘」

アリス「貴様……!」


人間と魔物が馴れ合うのは、馬鹿げている。

うん、馬鹿げている。


ルカ「まぁまぁ、落ち着いてくれよアリス」

   「次、おじさんの番だよ」

偽勇者「……シャニセ・ユウ」

    「それ以上でも以下でもねぇよ」

アリス「シャニセ・ユウ―――ふん、なるほど……」

ルカ「それが、おじさんの名前だね」

   「改めてよろしく、おじさん」

偽勇者「おう、よろしくな」


俺と小僧はここで初めて握手をする。

小さい手だが、中々力強く握ってくれる。


……小娘の方は、何か感づいたような様子だが―――


ルカ「じゃあ、自己紹介も終わったしそろそろ行くか……!」

   「アリスは、裏口から出てくれないか?」

   「他の村人に姿を見られると、色々と面倒だからね」

   「村を出たところで合流しよう」

アリス「分かった、余も無駄な騒ぎは好まん」

    「村の外で待っているぞ」


そう言い残した小娘は、裏口から出て行った。

本当に村の外まで行けるのか?


ルカ「さて……」

   「おじさんも行くよ」

   「忘れ物はないよね? ハンカチとか持った?」

偽勇者「……お前はお母んか」

ルカ「はははっ……」


下らん雑談をしながら、俺と小僧は世話になった宿屋を後にする。

こうして俺達は、冒険の第一歩を踏み出したのだった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






ルカ「でも、なんで僕は洗礼を受けられなかったんだろう……」

偽勇者「あん……?」


イリアスヴィルから旅立ってから、夕暮れ時の道を歩いていると小僧が愚痴をこぼす。

まぁ、馬鹿みたいにイリアスに祈りを捧げていれば自然に出てくる疑問だわな。

俺は、酒を飲みながら―――


偽勇者「寝坊でもしたんじゃねぇの?」

ルカ「そんな、イリアス様が寝坊だなんて……」

偽勇者「いんや、かなり多忙な女神様だからな」

    「今回偶々、深い眠りについていても可笑しくもないだろう」

ルカ「そんな……」


小僧は、肩を落とし溜め息を吐く。

がっくりするのは勝手だが、実際に本当の理由を聞いたらどう思うかね?

俺はチラッと、小娘を見る。


アリス「~~♪」


小娘は暢気に、旅立つ前に食べていたほしにくの余りを齧っていた。

……俺も少しばかり残しておけばよかったな―――


ルカ「ああ、イリアス様…… 僕を見捨てられたのですか……?」

   「ずっとこの日を待っていたのに、洗礼を授けて下さらないなんて……」


小僧の嘆きを肴に、新しい酒瓶を開ける俺であった。





アリス「洗礼を受けた者は、その精が極めて不味くなるのだ」

    「だから、モンスターに襲われることは少なくなるのだろうな」

ルカ「え…… そうなの?」

アリス「……知らなかったのか?」

    「天使の肝臓みたいな味がして、とても食えたものではなくなるのだ」

偽勇者「天使の肝臓かぁ……」

    「食ってみたいな、それ……」

ルカ「えっ……!?」

   「食べるつもりなの……!?」

偽勇者「そりゃ、臓物系は意外に美味いんだぜ」

    「小娘の言葉から、小娘も食ったことあるんだろ?」


俺は、涎を拭きながら天使の肝臓の味を想像する。

きっとレバーみたいな食感で美味いんだろうな―――ゴマ油で食うか、塩で食うか、それとも……


アリス「ドアホが」

    「ものの例えに決まっているだろう」

偽勇者「……なんだよ、期待させやがって」

ルカ「てか、おじさん」

   「天使達を食べちゃダメだよ……」

   「イリアス様の天罰が落ちるよ」

偽勇者「はいはい……」


俺は少しだけガッカリして酒を飲むのであった。


アリス「少し話が脱線したが―――」

    「洗礼を受けていない貴様は、非常に美味そうだ……」

ルカ「ひぃ……!」


わざとらしく、じゅるり…… と舌なめずりをする小娘。

小僧の様子から、先に性的ではなく食的な意味での想像をしたのだろう。

鳥肌を立てて、我が身を抱きしめていた。


偽勇者「まぁ、小僧は時期的に食べ頃だろうな……」

ルカ「おじさん……!?」

偽勇者「冗談だ」

    「クァーーーハッハッハッ!」

ルカ「笑い事じゃないし、冗談に聞こえない!」


怯えたり、怒ったりする小僧の百面相を楽しみながら歩を進めていく。


アリス「ところで、目的地はどこだ? さっそく魔王城を襲撃するのか?」

ルカ「はぁ…… はぁ……」

   「まぁ…… 最終的には、魔王城に行くわけなんだけど―――」

偽勇者「小僧の今の実力じゃ、魔王どころか四天王の部下にすら敵わんだろうな」

    「特訓を繰り返しながら、のんびり進もうや……」

ルカ「……です」

   「と! とりあえず、イリアス大陸を出ないとね」

   「まず、イリアス大陸最大の町、イリアスベルクに向かおう」

   「この調子で歩けば、明日の今頃には着くよ」

アリス「……やれやれ」


まぁ、目的地はこまめに決めないとな―――酒も追加したいしな……


飯+風呂タイムや!


と、酒の事を考えていたら―――


ナメクジ娘が現れた!


ルカ「あれは……」

偽勇者「魔物だな、どう見ても……」


帽子にドレスに長手袋―――綺麗な貴婦人だが、下半身あたりがナメクジのような軟体だ。


ナメクジ娘「……旅人ね」

      「しかも洗礼を受けていない、美味しそうな少年……」

      「……お酒臭いオマケもついていますが―――」


この魔物は、ゆっくりと俺達の方に、にじり寄ってくる。

どうやら、俺達を今晩の餌食に決定したようだ。

小僧は、まだ魔物との戦闘になれていないのか剣を構えるのが遅れている。

小娘は、いつの間にかこの場から姿を消していた。

ふん、行動が早いこった……


偽勇者「落ち着け、小僧」

    「始めから、慌てて行動するんじゃねぇ―――常に冷静に構えろ」

ルカ「わかったよ、おじさん!」

   「いくぞ……!」

   「パワーで打ち砕く「地の技」! 大地斬!!」



―――――『だいちざん』―――――



鞘に納めたままの剣を大上段に構えナメクジ娘に一気に振り下ろした!


― ― ― ど が ん っ !! ― ― ―


しかし、外れてしまった。

外れた「だいちざん」は、地面に大きなクレーターを造るのであった。


ルカ「しまった……!?」


大地斬は威力は凄いが外してしまえば、大きな隙を作ってしまう。

普通ならここで魔物に拘束されるなり、快楽攻撃されるなりされるが―――


ナメクジ娘「あわわ……!」


どうやら先程の一撃を見て腰を抜かしてしまったようだ。

下半身は軟体のくせに、地面に尻餅をついていた。


ルカ「えっと……」

   「どうしよう……?」


拍子抜けでもしたのか、小僧が次の対応を迷っている。

ナメクジ娘も、小僧の一つ一つの動きに反応して怯えていた。

俺は頭を掻き、酒を飲みながらアドバイスでもしてやることにした。


偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2

殺したくないならさっさと追い払え
相手が離れるまで気を抜くなよ

>>824』やね

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|´-ω-)<そして金曜日は休みかもしれん。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


偽勇者「殺したくないならさっさと追い払え」

    「相手が離れるまで気を抜くなよ」

ルカ「うん、わかったよ」


小僧は剣を構えたまま、ナメクジ娘を逃がす。

ナメクジ娘の方も、涙目ながらに立ち上がり―――


ナメクジ娘「お、覚えておきなさい……!」

      「次に出会う時が、あなたの最後よ……!」


捨て台詞を残して、逃げ去っていった。


ルカ「なんか、可哀相なことをしたな……」

偽勇者「馬鹿野郎!」

    「相手が襲い掛かってきてんだ、あれぐらいでも優しすぎるもんだ……!」

ルカ「それはそうだけど……」

アリス「……中々の腕前だな」

ルカ「あれ…… アリス?」


小娘が、いつの間にか戻ってきたみたいだ。

……姿を消している間、こいつ何してんだろうか。


ルカ「今まで、どこに行ってたんだ?」

   「まさか、あのナメクジ娘に恐れをなして逃げたのか?」

アリス「なぜ、余が逃げねばならん!」

    「……立場上、あまり他の魔物とは顔を合わせたくないだけだ」

ルカ「……ふぅん、そうなのか」


酒を飲みつつ、二人の会話を聞く。

……上の立場も、色々と面倒なものだな。


アリス「さて ……もうすぐ夜だ、野営の準備もせねばならんな」

    「……ところで、夕食は何なのだ?」

偽勇者「あ、酒のツマミもよろしく!」

ルカ「……はぁ」


小僧のため息が、幸せと夕焼けと共にその場から消えていくのであった。






偽勇者「たらら~♪ たったら~♪」


俺は夜の散歩を楽しんでいた。

まぁ、夕食が出来上がる頃には戻るがな。

それにしても―――


偽勇者「小僧が放った大地斬…… 威力が大幅に削れているが大丈夫だろうか」

    「あのままだと、宝の持ち腐れになっちまうが……」


俺が小僧に教えている技は「地の技」「海の技」「空の技」の三つである。

どれも強力な技で、種族によっては威力が増すのだ。

しかし、小僧の信念は人間と魔物との共存―――どの技も殺傷能力が高い故に使用回数が減る危険性がある。

そうなると、教えているこちら側からして意味がないのだ。


偽勇者「使用させるにはどうするかな……」

    「ん……?」


と、思考していると何か弱々しい気配を感じた。

この気配の持ち主からして、かなりのダメージを負っているようだ。


偽勇者「……面倒な場面だな。 仕方ねぇ、行くか……」


俺はこれでも、ある程度の慈悲は持ち合わせている。

もし、弱っている奴がいれば助けてやるのが俺だ。

その行動が仇になろうがな……

気配の方向を確認しながら、歩を進めていくのであった―――






草を掻き分け、進んでいくと気配の持ち主を見つけた。

しかし、気配の持ち主は魔物であった。


魔物「……………」


魔物は、損傷が激しいのか意識はなくその場で眠る形になっていた。

俺は残り少ない酒を飲み、暫しの間どうするか考える。

傷の方は、見た目からしてそんなには酷くはないが打撲が目立つ。

外側ではなく、内側の損傷が激しい可能性がある。

それに肉体年齢も幼いか―――


偽勇者「……ん~~」

    「罠かもしれんが、このまま見捨てるのも目覚めが悪いな……」

    「まぁ、罠なら罠で殺せば済む話か―――」


俺は暢気な結果を出して魔物の側に近寄る。


魔物「……………」

偽勇者「……ひっく」


俺が近づいても何の動きも見せないところをみると、罠の可能性は減ったか。


偽勇者「後々が面倒だから、とっとと治療するか」

    「えっと、回復アイテム回復アイテムっと―――」


俺は戦士故に魔法は使えない。

だから、回復アイテム常に持ち歩いているのだ―――使わずに溜め込む形になっているがな……

数種の回復アイテムを取り出すと、治療を始めるのであった。


【どの魔物なん?】

○インプ

○バフォメット

○クラリス

○その他

↓2

『クラリス』やね





ボクはクラリス。 竜人族のクラリスです。

ボクはとある理由であてのない旅を続けています。

しかし、その旅は恐ろしく辛く悲しい旅でした。

―――同じ魔物からは暴力を受け、餌と見られ……

―――種族が違う人間からは排斥され、酷いときは刃物などで傷つけられたりしました。

そして、ボクは飢えを凌ぐために残飯などを荒らし、泥水を啜ったりしました。

冷たい風に冷たい雨、寒さに震える毎日を過ごすうちに孤独に蝕まれていき遂には倒れてしまいました。

ボクは死を覚悟しました。 そして世界を憎み恨みました。

こんな世界なんて滅んでしまえ、潰れてしまえ、心ない者に殺されてしまえ……ッ!

そう願いボクは、目を閉じました。

でも―――


???「よぉし、こんなもんだろ……」


だれ……?


???「魔物だからこのまま放置しても大丈夫だろうが……」


だれなんですか……?


???「肉体の損傷以上に栄養が足りないな―――何日も飲まず食わずだったのか……」


ボクは目を開き、その声の持ち主を把握しました。

その人物は―――


偽勇者「……おっ?」

クラリス「……………」

偽勇者「よっ! 大丈夫―――じゃねぇよな……」

クラリス「……………」


ボクは、武器を手探りで確認しますが持っていなかったことを思い出し―――そのまま相手に噛みつきました。






俺は医学の知識とかないため、今現在どの回復アイテムが有効なのか分からない。

なので、昔にボディーガードした屋敷からパクっ―――タダで譲ってもらったこの「超万能ぐすり」を使うことにした。

これは売れば数年は暮らしていけるほどの薬で、傷のみならずある程度の病も治すことができるアイテムなのだ!

もしものために、袋の中に取っておいたが―――仕方ないか……

薬のフタを開け、その魔物の口にゆっくりと滲みこませるように飲ませる。

意識がない者にいっきに飲ませると咽せるからな。


偽勇者「よぉし、こんなもんだろ……」

    「魔物だからこのまま放置しても大丈夫だろうが……」

    「肉体の損傷以上に栄養が足りないな―――何日も飲まず食わずだったのか……」


俺はこの後どうするか、迷っていたが―――

―――その魔物本人が目を覚ましたようだ。

さすが「超万能ぐすり」だ、効果は絶大だな。


偽勇者「……おっ?」

クラリス「……………」

偽勇者「よっ! 大丈夫―――じゃねぇよな……」

クラリス「……………」

偽勇者「どうした? 意識、ハッキリしてるか?」


魔物の目の前で、手をブラつかせ目の動きを確かめるが何の反応もない。

どうするか考え始めるが―――


― ― ― ― ― カプッ ― ― ― ― ―


偽勇者「……ああ?」

クラリス「……………」


魔物に噛まれた。

しかし、相当弱っているのか顎に力が入ってないし全然痛くない。

少し腕を動かすと、あっさりと放れてそのまま地面に倒れる。


クラリス「……どうしました」

     「殺すなら殺したらどうですか……?」

偽勇者「はぁ?」


その魔物が初めて口を利いたが、第一声が「殺すなら殺したらどうですか……?」だってよ。

かなり荒れてるな、こいつ……


クラリス「どうしました?」

     「何を迷うことがあるのですか……」

     「人間なら人間らしく魔物を殺したらいいじゃないですか―――例えばボクとかを……」

偽勇者「……………」

クラリス「何してるのですか、あなたは―――」

     「もしかして、どこに売買するかお考えで……?」

     「それは嫌ですね、これ以上生き地獄を味わうぐらいなら死んだほうがマシです」

偽勇者「……ん~」

クラリス「全くトロい人間ですね」

     「魔物一匹殺すことができないのですか、あなたは……」

     「まぁ、身なりから要領が良いとは思えま―――」


― ― ― ゴンッ! ― ― ―


クラリス「っ!?」

     「きゅぅぅぅ……」

偽勇者「うるせぇ、もういっぺん寝とけ」


鎧の魔剣で魔物の頭を小突いてやると、再び魔物は意識を失った。

俺は魔物を肩に担ぐとそのまま小僧の元へと戻っていったのだった。


ちょい休憩や。

もし寝てもうたらそこで終いや。






ルカ「ごちそうさま~!」

アリス「ふむ、貴様の料理はやはり美味いな」

    「更にあいつの顔が無い分余計に美味い♪」

ルカ「おいおい、そんなことを言うんじゃないよ……」


今日の夕食は、パン、卵焼き、野草サラダ。

アリスの素直な賛辞は、けっこう嬉しかったりする。

それにしてもおじさんは夜の散歩だと出掛けてから随分時間が立つ。

もしかして、魔物の集団に襲われているんじゃないだろうか。

そう思う僕は、不安にかられ立ち上がるが―――


アリス「どこへ行く?」

ルカ「おじさんの安否が気になってね」

   「少し探しに行ってくるよ」

アリス「放っておけ、貴様に心配されるほどあいつは弱者ではない」

    「それに今のお前が捜しに行ってもミイラ取りがミイラになるだけだ」

ルカ「……それどういうことだよ」

アリス「言葉通りだ。 二度も言わせるつもりか?」

ルカ「ぐっ……」


アリスの遠慮ない言葉に僕は言い返せなかった。

確かに、まだ未熟だと自分自身で思う部分はあるけど……


アリス「それよりも、貴様とアイツとはどんな関係なのだ」

    「父と子というオチではあるまい」

ルカ「はははっ……」

   「おじさんが親父だったら、どれだけ気が楽だったろうね」

アリス「ふむ……?」

    「それはどういう―――」

ルカ「僕とおじさんの関係だったね」

   「僕とおじさんは一言で言えば―――」


【ルカのセリフ】

↓2

>>840』やね

ルカ「僕とおじさんの関係だったね」

   「僕とおじさんは一言で言えば―――」

   「師弟…… かな?」

アリス「ほう、あの酔っ払いが師など務まるのか」

    「想像がつかんな」

ルカ「確かに、いつもお酒を飲んでる人だからそう思われても仕方ないけど」

   「でも、おじさんのおかげで僕は強くなることができるんだ」


僕はアリスに、おじさんとの出会いを話すのであった。





ルカ「こうして僕は数日だけでも基礎体力を身に付けることができたんだ」


長いようで短いおじさんとの特訓、その日々が地獄だったけど結果的には僕の力となっている。


アリス「なるほど、だから貴様のようなヒヨッコがあんな大それた剣技を」

ルカ「大それたって……」

   「そんなにすごい剣技だったの?」

アリス「ドアホが」

    「すごいというレベルではない。 奥義と言っても過言ではないくらいだ」

    「例えば、貴様がナメクジ娘に使用した「大地斬」という剣技」

    「これを極めし者はあらゆる「防」を打ち砕く「地の技」なのだ」

ルカ「でも、僕が放ったときはそこまでの威力は―――」

アリス「それは貴様が極めてないだけの話だ」

    「奥義をそうそう簡単に極めることができるわけがなかろう」


確かに、僕が放ったときはアリスが言うようなあらゆる「防」を打ち砕く感じではなかった。

ただ単に、力をそのまま相手に叩き付ける感じだった。


アリス「まぁ、基礎は出来ているようだから紛い物レベル程度には使えるようだが……」

    「戦闘で常にその剣技を使うわけにはいかんだろう」

ルカ「えっ……」

   「それはどうしてなんだ、アリス」


僕はアリスに純粋な疑問をぶつける。

この剣技ならば旅は比較的に楽になるだろうに―――


アリス「貴様が使用していた「大地斬」の他に「海破斬」「空裂斬」という剣技がある」

    「そこまでは知っているだろう」

ルカ「うん、僕が使えるのは「大地斬」と「海破斬」だけだけど」


おじさんから教わった剣技でどうしても「空裂斬」だけが習得できなかった。

おじさんが言うには恐ろしく難しい剣技で天才でも習得する確率は五分五分だそうだ。


アリス「ふむ、「海破斬」は水や炎などの不定形な存在を切る剣技」

    「これを極めし者はあらゆる「魔」を切り裂く「海の技」となる」

    「つまりどんな魔法でも切り裂くことにより無力化にすることができる魔導殺しの剣技だな」

ルカ「すごい! それなら、もうどんな魔法でも恐れることなんて無いじゃないか……!」


もしそれが本当であるならば、戦士と対を成す魔導師や魔法を得意とする魔物にも対抗することが―――


アリス「極めたらの話だ」

    「それに、「海破斬」は貴様が思うほどの万能性はない」

    「あくまで切り裂くのだ。 既に術の効果を受けている者や回復の術、補助術などに対しては意味がない」

ルカ「そ、そうなの?」


あらゆる魔法というから、どんな術に対しても有効だと思ったのに……


ルカ「それじゃ、「空裂斬」ってのはどんな剣技なのさ」

   「僕は唯一それだけ習得してないんだよ」

アリス「「空の技」の「空裂斬」―――」

    「心の眼で相手の弱点や本体と捉え、光の闘気を込めてこれを切り裂く剣技」

    「これを極めし者はあらゆる「攻」を崩すことができるという」

ルカ「あらゆる「攻」を崩すか―――凄そうだな……」


相手の攻撃を崩すことができれば隙が生まれる。

隙を狙うことができれば、まず負けることはないだろう。


アリス「しかし「空の技」は恐ろしく難しいために幻の剣技とも言われている」

    「故に「空裂斬」は生みの親であるアバン=デ=ジニュアール3世しか使えなかったと記されていた」

    「貴様の師であるあの酔っ払いには「空裂斬」を放つことはできたか?」

ルカ「いや、僕もおじさんが「空裂斬」を放った所は一度も見てないな」

   「説明も口頭のみだったし……」


おじさんが僕に剣技を教える時に、大地斬と海破斬は実演してくれたが空裂斬のみは見せてくれなかった。


アリス「……いいだろう、少しばかり余が稽古をつけてやる」

ルカ「いいよ、稽古なんて……」


僕はおじさんから特訓を受ける身だし、これ以上増えたら僕の体が持たない。


アリス「言っておくが、貴様はまだヒヨッコだ」

    「剣技も極めていないその身では、思うように繰り出すことはできんだろう」

ルカ「うっ……」


確かに、アリスの言う通りだ。

ナメクジ娘に大地斬を放ったのはいいが、狙いが大きくズレていた。

おじさんに、いつまでもおんぶに抱っこともいかないだろう。

それに人と魔物の共存を願うならば、魔族の剣を身に付けていても損は無いだろう。

なにより僕は、もっと強くなっておじさんに認めてもらいたいのだ!


ルカ「……じゃあ、お願いしようかな」

   「おじさんとの特訓もあるから、夕食後の数時間ぐらいだけど」

アリス「よし、いいだろう」

    「余は決して貴様の味方ではないが、簡単にモンスターの餌食になられても面白くない」

    「それに、何よりもあいつが師なのが気に喰わん」

ルカ「……………」

   「……アリスって本当におじさんのこと、嫌いなんだね……」

アリス「何を言う。 余を小娘呼ばわりする者など好きになれるか」

    「せいぜい、モノになるよう鍛え上げてやるぞ……」

ルカ「お、お願いします……」


こうして―――

おじさんの特訓以外にアリスの稽古も行う事になったのである。


大阪|・ω・)<眠いから今はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソッ|ω・)

ッパ|・ω・)つ【どこまで続けるん?】


【どこまで続けるん?】

○グランベリアとの戦闘まで

○イリナ山地まで

○ハピネス村まで

○その他(長期は堪忍やで)

↓2

『島から出るぐらいまで』やね

つまり、「海神の鈴」を入手してちょっとしたあたりまでやね

予想外やけど、頑張るしかないで……


大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|;・ω-)<ちょい、忙しい日が続くから27日の木曜までお休みにさせていただくで……

大阪|;-ω-)<ゴメンな―――終え次第やるで……

 


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|>ω<)ノ<ちょい、SCP-███を盗んだらな[削除済]されてん!

██|-ω-)<[編集済]って、ケチやね。






俺は来た道を戻り、小僧達がいる場所まで戻ってきたが―――

どうやら、お稽古中みたいだな。


アリス「そう…… そこで、足のバネを用いて斬り上げるのだ」

    「剣というものは、決して腕力のみで扱うものではない」

ルカ「こ、こうかな……?」

アリス「ふむ、なかなか形になっているようだな」


「魔剣・首刈り」を習得した!


アリス「魔剣・首刈り―――」

    「その技は、貴様のように小さな体格の剣士に最適な剣技だ」

    「小さい体格を逆に利点とし、敵の懐に潜り込んで喉元を掻き斬る秘技」

    「ダークエルフの妖剣士ザックスは、その技で人間百人の首を斬り落としたという話だ」

ルカ「いやいや…… もう少し勇者らしい技を教えてほしいんだけど……」

アリス「贅沢を抜かすな」

    「選り好みできる立場か、貴様は」

偽勇者「そうだぞ、小僧」

    「好き嫌いせずにしっかり吸収しろ」


小僧と小娘は、俺の方を見ると直ぐに肩に担がれたものに注目する。


ルカ「お帰りおじさん―――っで、その肩に担いでるのは……」

偽勇者「おいおい、少しは心配してくれてもいいだろ?」

アリス「いいから、その肩に担いでいる魔物は何か答えろ」

偽勇者「ちっ、冷てぇな……」

    「まぁいいか。 で、こいつだが―――」


【偽勇者のセリフ】

○晩飯だ

○そこで拾った

○その他

↓2

そこで拾った

>>859』やね

偽勇者「そこで拾った」

ルカ「拾ったって……」

   「そんな物じゃないんだから」

偽勇者「いや、本当に拾ったぞ」

    「誘拐でも何でもないからな」


俺は必死に否定するが小僧の視線が妙に冷たい。


アリス「……………」

    「おい、ペド野郎」

偽勇者「誰がペド野郎だ小―――」

アリス「黙れ、そんなことはどうでもいい」

    「……貴様、その魔物に何をした」

偽勇者「何をしたって―――応急処置程度ぐらいだ」

    「なんだ? 何か問題でもあるか?」


肩に担いでいた魔物をゆっくりと下ろすと、腰に下げていた酒を飲む。


アリス「その魔物が着用している衣類の傷付き具合と年数、血の跡からして綺麗すぎる」

    「いったい、何を使用したのだ?」


確かに、この魔物が着用している衣類からして少し綺麗すぎる―――が。

「超万能ぐすり」を飲ませる前は、かなりボロボロに傷付き汚かった―――あとにおいもな。

流石「超万能ぐすり」、数年は遊んで暮らせるだけはある。


偽勇者「まぁ、いいじゃねぇか」

    「こうして一つの命が無事ならよ」


酒を注ぎつつ、寝かせた魔物を見据えると小僧が毛布を掛けていた。


アリス「……ふん」


小娘は鼻を鳴らした後、それ以上の問答はなかった―――


飯タイムや






ルカ「アリス、寝袋は使わないのか……?」

アリス「余は、そんな窮屈なものなどいらん。 これでいい」


小娘は、側の木にぎちぎちと巻き付く。

あんな格好でよく眠れるな……


ルカ「おじさんは、寝袋は使わないの……?」


小僧は俺に寝袋の一つを手渡してくるが―――


偽勇者「いらんよ。 俺はこのままでいい」


断りを入れ、近くの木に背を預ける。

俺は今まで風邪を引いたことはないし、体調を崩したこともない。

これも、身体的に頑丈って証だな。

小僧は、「そう……」と一言呟いてあっさり引き下がり、大人しく寝袋に潜り込んだ。


アリス「ところで、貴様」

    「その指輪はどういう由来のものなのだ……?」

ルカ「アリス、これは食べちゃいけないよ」

アリス「貴様…… 余を何だと思っているのだ?」

ルカ「いや…… いつもお腹を空かせているとばかり……」

アリス「ドアホめ」


俺は小僧と小娘の会話を聞きつつ寝酒を行う。

肌寒いときは、酒に限る。


アリス「その指輪からは、微かな思念を感じるのだ」

ルカ「微かな思念?」

偽勇者「微かなは、「やっと感じ取れる」意味で―――思念とは、「思い考える」若しくは「常に心に深く思っている」意味で―――」

ルカ「いや、言葉の意味が分からないんじゃないよ……!?」


小僧が否定する姿に俺は笑い、その光景に呆れる小娘―――

―――面白い一時だ。


ルカ「たくっ…… この指輪は、母さんの形見だよ」

   「母さんは十年前、流行り病で死んだんだ……」

アリス「そうか…… それは辛かったな」

ルカ「え……? ああ、うん……」

アリス「何を意外そうな顔をしている……?」

    「親が死んだときの悲しみは、魔物も人間も違いなどあるまい」

ルカ「ああ、うん…… そうだね」


アリス「……それで、父親はどうしたのだ?」

    「まだ健在なのか?」

ルカ「いや…… 母さんより前に、死んだよ……」

アリス「ふっ、分かったぞ」

    「貴様の妙な使命感は、父親の背を追ってのものだ」

    「貴様の父親は勇者で、魔王討伐に旅立ち帰ってこなかった」

    「だから貴様は父の意志を継ぎ、勇者になろうとした―――」

    「おおかた、そんなところだろう?」

ルカ「……悪いけど、まるで見当外れだよ」

   「あいつは、自業自得の死に方をしたんだ……」

アリス「むう…… なにやら尋常ではないな」

    「お花畑のような頭の貴様にしては、随分な言い方ではないか」

ルカ「僕の事はいいよ…… それより、アリスはどうなんだ?」

   「そもそも、僕に付きまとっていったい何がしたいんだ?」


話の流れが、小僧から小娘に変わる。

俺は視線を小娘に切り替えた。


アリス「余は、その……」

    「魔族の中でも由緒正しいフェイタルベルン家の一人娘」

    「しかし、少々ながら世の中というものが見たくなってな」

    「つい先日、旅に出た次第だ」


ルカ「本当に……?」

アリス「まあ、大筋ではな……」

ルカ「まさかお前は魔王の腹心で、人間の町や村を下調べしてるとか……」

   「いずれ時が来れば、一気に攻め滅ぼすために……」

アリス「くくく…… そういう考え方も面白いな」

    「見よ、この書物を!」

    「これは、貴様たち人間の町や村、地理や環境を調べ尽くした禁断の書!」

    「われわれ魔族は、貴様等のことをここまで把握しているのだ!」


小娘はボロい本をどこからともなく取り出して広げて自慢する。

顔のドヤァァ……が、ムカつく。


ルカ「あ…… これ、旅行ギルド「ワールドトラベラー」の観光ガイドだ……」

   「しかも、ヨハネス暦867年版……!?」

   「今から五百年も前のものじゃないか……!」

アリス「む…… 少々、古かったかもしれんな」

偽勇者「少々じゃないと思うが―――よくそんなのがあったな」

ルカ「すごいな、これ…… 写本時代のものじゃないか」

   「古書屋に売ったら、どれだけの値が付くか……」


アリス「……売らんぞ、ドアホめ」

ルカ「ええ……」


残念がる小僧、しかし俺は小娘に賛成だな。

こういうのは売らずにコレクションにするか、いざのための切り札にするべきだ。

一ページ、一ページ捲りながら酒を飲みつつ読みながら思う俺だった―――

―――が、観光ガイドを小娘に取られてしまった。


アリス「何、余の書物で読みふけっているのだ」

    「貴様は、どうなのだ」

偽勇者「……俺か?」

アリス「そうだ、貴様だ」

    「アバン=デ=ジニュアール3世の剣技を身に付けているといい、魔物の手当を完璧にこなすといい―――」

    「貴様は何者なのだ。 答えよ」

ルカ「あ、僕もそのあたりに関して気になるな」

   「それに、「空裂斬」だけは見せてもらってないし……」


俺はグラスの酒を飲み干すと、どうするか考える。

ここで、アバン=デ=ジニュアール3世―――つまりアバン先生の名を聞くとは思わなかった。

まぁ、この世界自体がDQ要素が多いからな……

さて、俺が何者なのか―――か……


【偽勇者は何者なのか】

○答える(答える場合は、多少セリフを追加してや)

○答えない

↓2