[安価]エルベティエ「……もんむす・くえすと」ウラミ「6なのカ?」[コンマ有] (538)


このスレは"もんむす・くえすと!"の二次創作やで。

ストーリーなぞって進めていく安価・コンマ系や。

初心者ゆえに、文才・口調・間違い等々たくさんあるんやで。

安価は基本的自由やけどな"何々"で下1・再安価にする場合があるから気ぃつけや。

コンマは1ほど悪くて 9ほど良くて 0は"10"なんや ゾロ目は良くも悪くもやな…


【安価】もんむす「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」 【コンマ有】
【安価】もんむす「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」 【コンマ有】 - SSまとめ速報
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【安価】ルカ/アリス「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」2【コンマ有】
【安価】ルカ/アリス「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」2【コンマ有】 - SSまとめ速報
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[安価]グランベリア「いざ、もんむす・くえすと!」クラリス「3だよ♪」[コンマ有]
[安価]グランベリア「いざ、もんむす・くえすと!」クラリス「3だよ♪」[コンマ有] - SSまとめ速報
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[安価]たまも「しかし、もんむす・くえすと! じゃぞ」偽勇者「4だ……」[コンマ有]
[安価]たまも「しかし、もんむす・くえすと! じゃぞ」偽勇者「4だ……」[コンマ有] - SSまとめ速報
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[安価]アルマエルマ「ふふっ…… もんむす・くえすと♪」偽勇者「……5」[コンマ有]
[安価]アルマエルマ「ふふっ…… もんむす・くえすと♪」偽勇者「……5」[コンマ有] - SSまとめ速報
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大阪|・ω・)<基本、ここでの安価は何でもありの自由ではなくて不自由な安価やで。

大阪|´-ω-)<時には、容赦なく切り捨てるさかいに、注意してや。

大阪|´・ω・)<それと、色々が色々と色々変わるんや―――ごめんな?


先に飯+風呂や


―――[ステータス]
名 前:偽勇者(偽名:シャニセ・ユウ)   称 号:勇者(未洗礼者)
種 族:人間(異形)              性 別:男
HP:131169/131169+炎
MP:1258/629+樹

攻撃力:1036/518+獣            ☆:ロトの剣     [呪]
守備力:982/491+音            ☆:トロの剣     [呪]
素早さ:982/491+水             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
賢さ:‐‐‐/‐‐‐+石              ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

宝玉の力:勇者の能力を得る        ☆:ロトの盾     [呪]
魔導書[DQ]:全呪文体系・特技を得る   ☆:ロトの兜     [呪]
魔導書[FF]:全魔法・特技を得る      ☆:ロトの鎧     [呪]
マナスティス:将魔の能力を得る      ☆:ロトの籠手    [呪]
黒色の宝玉:―――を得る         ☆:死神の首飾り [呪]

???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:呪いのベルト  [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:ブレスレット
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――

―――[持ち物:武具]
☆【ロトの剣 [呪]:攻158(+120)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる剣。
魔神の血の祝福によって―――
“皆殺しの剣”の攻撃力を得ている。

☆【トロの剣 [呪]:攻130(+110)】
外見はそのままロトの剣の色違いである。
常に物理・魔法攻撃を1.3倍にしてくれる究極性能の武器である。
しかし、長いこと物置に放置されていたので―――
“はかぶさの剣”の攻撃力を得ている。

☆【ロトの盾 [呪]:防39(+42)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる盾。
魔神の血の祝福によって―――
“嘆きの盾”の守備力を得ている。

☆【ロトの兜 [呪]:防42(+255)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる兜。
『幻惑』『麻痺』『即死』に耐性がある。
魔神の血の祝福によって―――
“般若の面”の守備力を得ている。

☆【ロトの鎧 [呪]:防82】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる鎧。
魔神の血の祝福によって―――

☆【ロトの籠手 [呪]:防25】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる籠手。
魔神の血の祝福によって―――

☆【呪いのベルト [呪]:???:】
太古の呪われたベルトで常に―――

☆【死神の首飾り [呪]:防6】
髑髏の付いた不気味な首飾りで―――

☆【ブレスレット】
クラリスからのプレゼントのウッドブレスレット。
少し優しい気持ちを感じる。


―――[持ち物:その他]
◆【黄金の腕輪】
とある山で取れた砂金を錬金術、黄金細工などで仕上げた逸品。
欲深い人間達が今でも探し求め続けている。

◆【マデュライト】
見た目は赤紫色(厳密には中心部は紫で外周が赤みがかっている)をした星型の結晶。
マ素(魔素ではなく)を多く含む鉱物である。

◆【女神の宝剣の欠片】
あらゆる魔物はひれ伏し、魔王さえ逃げ惑うという。
真の勇者が手にすべき剣「女神の宝剣」の欠片。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【キメラビーストの角】
プロメスティンの研究により生み出されたキメラモンスター。
一切の感情が伺えない無機質な悲しい生物の角である。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【母の形見の髪飾り】
リリィがいつも身に付けていた髪飾り。
母の思い出がいっぱい詰まった形見だ。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【ウィッチの眼鏡】
ウィッチサキュバスのメガネ。
レンズが少し、ひび割れている。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【覇竜の鎧の欠片】
グランベリアが装着している覇竜の鎧の欠片。
女王杯準決勝戦で、紛れ込んだ。

◆【たまもの毛】
たまも自慢の九つあるもふもふしっぽの四番目の毛の一部。
ヤマタイ村の洞で、紛れ込んだ。

◆【エルベティエの粘液】
エルベティエの粘液で謎に包まれている。
アルテミシアから貰ったお守りで瓶詰めにされている。

◆【アルマエルマの魔石】
アルマエルマの強い魔力を秘めた(薄緑色に輝く透明感ある)石。
サキュバスの村で盗―――買った。

◆【グリーンオーブ】
コロシアム女王杯で優勝した際にもらった、綺麗な宝玉。
これが無ければ、とある者を復活させることができない。

◆【土のクリスタル】
大地に恵みを与える力をもっている。
その力は凄まじく、砂漠と化した土地を一瞬に緑溢れる土地に変えてしまう。

◆【水のクリスタル】
世界中の水を綺麗にする力を持つ。
その力は凄まじく、生きとし生けるものの命を支える水を無限に出すことが出来る。

◆【火のクリスタル】
世界中の全ての火に活力を与える力をもつ。
その力は凄まじく、気候にも季節にも影響を及ぼす。

◆【死のオルゴール】
哀しいメロディーが流れる。
そして聴いた者の息の根を止める。

◆【復活の杖】
先端に創世の女神イリアスを象られた形状が特徴的な杖。
死者を蘇らせる力を持つ。


―――[宝玉の力]
○【金色の宝玉】:???
○【銀色の宝玉】:???
○【青色の宝玉】:魔法と炎のダメージを軽減し、ダメージ床・マホトーンを無効化し、歩くほどに体力が回復する(某DQ)

―――[黒色の宝玉]
○???

―――[魔導書]
○DQに存在する全呪文体系・特技を得る。
○FFに存在する全魔法・特技を得る。

―――[合成術]
武具を合成し、異なる魔法を合成する。

―――[マナスティス]
○水の将魔:膨大なる素早さと水のみ完全耐性(常に先手/水系完全無効)
○獣の将魔:膨大なる攻撃力(攻撃力2倍)
○音の将魔:膨大なる守備力と音のみ完全耐性(守備力2倍/音系完全無効)
○石の将魔:膨大なる耐性(全ステータス異常無効/全低下系無効)
○樹の将魔:膨大なる魔力(魔力2倍)
○炎の将魔:膨大なる生命力と炎のみ完全防御(万越え/炎系完全無効)

―――[全身の刺青]
○『この世全ての悪』を現す呪い。

―――[料理の腕]
○お金取れるぐらい美味い。

―――[ロト装備:カラーリンク]
黒と金色。

―――[キャラクター]
タイタニア:偽勇者が力を与えた結果、タイタニアに進化した元フェアリー。
オリジナルと比べれば弱いが、実力を身につければ別である。

ウラミ:呪い専門に扱っている商人、その素性は不明でグランゴルド城下町の魔導研究所の魔導技師達にオーバーテクノロジーを教授していた。プロメスティンと繋がりを持っているそうだが―――

クラリス:竜人族の子供、全盲だったが偽勇者の力によって治った。
その恩を返すために偽勇者と共に旅をしている。

アルテミシア:プリンプリンセスのスライム族、手遅れの汚れきった湖を掃除し続けていたが、偽勇者が「水のクリスタル」の力で綺麗にした。
その湖で温泉宿を経営している。

店番アリ娘:グランゴルド城下町の道具屋にいるアリ娘
何かと不幸属性持ちだが、その頑張る姿に多くのファンがいる。


―――[ステータス]
名 前:クラリス      称 号:格闘竜

種 族:竜人族       性 別:女
HP:999/999        攻撃力:150/150
SP:10/10         防御力:28/28

―――[装備品]
☆:黄金のツメ       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:疾風のバンダナ    ☆:竜のお守り

☆:豪傑の腕輪       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
―――[その他]

大好物:お肉        大好き:あにさん
――――――――――――――――――――――――――――
―――[技]

体術:サガフロ          ‐‐   特殊:ポカポカ            0
??:―――           ‐‐   ??:―――            ‐‐
―――[モンスター能力・一部]

能力:頭部       ‐‐   能力:腕部      ‐‐
能力:脚部       ‐‐   能力:身体      ‐‐
??:――       ‐‐   ??:――      ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【黄金のツメ:攻 55】
手甲がツタンカーメンのマスクのような形をしているツメ。

☆【疾風のバンダナ:防23】
風の魔力が込められ、虎のようないかしたデザインが格好いい。
頭に巻くと疾風のように素早く動けるようになる。

☆【竜のお守り:防5:オシャレ8】
炎や光の攻撃に強くなる。
武骨なお守りだが、クラリスの宝物。
理由は―――

☆【豪傑の腕輪:攻25】
攻撃力が上がる装飾品。

―――[持ち物:その他]
◆【木の棒】
そこら辺で拾った棒。
持ち手にはすべり止めの布が巻かれている。
人間程度が相手ならば護身用ぐらいにはなる。

◆【ボロ布】
ボロい布。

◆【チャドル】
頭から全身を覆うように着用する衣装。
布地はたっぷりと余裕をもたせているので、両目の部分以外は覆い隠されている。
腰の周りで結んで留めてある。

◆【種が入った袋】
数種類の果実の種が入った袋。
種だけでも美味しいらしい。

◆【ピンクのしっぽ】
アルテミシアから貰った宝物。
ピンクのしっぽ自体に効果はないが、とあるマニアからは「伝説」のしっぽらしい。
何かと交換できる。

―――[料理の腕]
○お金取れるぐらい美味い。


―――[ステータス:外伝]

名 前:偽勇者(シャニセ・ユウ)    称 号:勇者(未洗礼者)
種 族:人間                性 別:男
HP:9999/9999

MP:0/0
攻撃力:360/360                E:鎧の魔剣
守備力:370/370               -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
素早さ:‐‐‐/‐‐‐                E:バンダナ
賢さ:‐‐‐/‐‐‐                 E:シャツ
白い才能:あらゆる【体技】を得る     E:Gパン
赤い才能:あらゆる【斬撃】を得る     -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
自動HP回復:HPが自動で回復する    E:ブーツ
まおうのたて:不利な状態変化を無効  -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

-:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐                 -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
-:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐                 -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――


―――[持ち物:武具]
☆【鎧の魔剣】
【ウラミ】から贈られた武具。
妖魔界の名工【ロン・ベルク】の代表作とも言え、武器に鎧の機能を一体化させている。
『鎧化(アムド)』の声に反応し鞘の部分が鎧に変わるのが最大の特徴。
『【雷系】以外の攻撃呪文が効かない、【とある金属】の次に堅い金属』で出来ていて攻守共非常に優れる。

☆【バンダナ】
ただのバンダナ。
ボロい。

☆【シャツ】
ただのシャツ。
ちゃんと洗濯している。

☆【Gパン】
ただのGパン。
結構、丈夫。

☆【ブーツ】
ただのブーツ
靴底がかなりスリ減っている。

―――[持ち物:その他]
◆【名所不明の薬】
薬壺に入った半透明な液、主に刷毛で『体全体』に塗る。
病を除いたあらゆる傷、あらゆる疲労も癒す万能な薬。
しかし、体の隅々まで塗らないと効果がないため非常に面倒なのが玉に瑕。

◆【酒】
ただの酒。
安酒である。


ルカ「ア、アリス……?」

グランベリア「そんな―――貴女様は!?」


グランベリアの顔は驚愕に染まり、火照った体は急激に冷める。

しかし、偽勇者の存在が気掛かりなのか構えた剣は降ろさず横目でアリスの姿を確認していた。


アリス「両者共に、剣をおさめよ」

    「こんな下らん争いは今すぐにやめよ!」

グランベリア「し、しかし……!」

偽勇者「……これでいいか?」


偽勇者は、破片と化した瓦礫に腰を下ろしていた。

いつ解いたのか鎧は鞘の状態に戻り地面に突き刺されている。

その姿を確認したグランベリアも、渋々だが構えていた巨剣を下ろす。

そして―――おもむろにその場に片膝を突いた。

ルカは、その光景に驚くばかりだが偽勇者は当然の様に眺めていた。


アリス「グランベリア…… 貴様は何をやっている?」

    「いったい誰が、このようなことを命じたというのだ……?」

グランベリア「イリアスベルクの件でしたら、私の独断でございます」

       「羽虫のようにうるさい勇者共を絶滅させんがため、イリアス神殿を―――」

アリス「退け、邪魔だ」


アリスは、きっぱりと断じた。


グランベリア「……ならば、あの者を―――」

アリス「いいから退けと言っている」

    「貴様達が暴れるから、名物の「あまあまだんご」が食べられんではないか」

グランベリア「そのようなものがお望みならば、この町を制圧した後にいくらでも作らせましょう」

       「それに―――」

アリス「そんな趣のない観光があるか、ドアホめ」

    「ともかく…… 三度も同じ事を言わせるのが、貴様の忠義なのか?」

    「余は、退けと言っている」


グランベリア「……御意。 それが貴女様のご意志ならば、ただちに」

       「それでは、失礼致します」


偽勇者に視線を移したグランベリアは―――獲物を狙うような目付きだった。


グランベリア「スケベーデ・ヘンタイン、この決着はいずれ―――」


不敵な笑みを浮かべるグランベリアは、なんらかの移動魔法なのか、姿を消す。


ルカ「や、やった……!」


ルカは喜びを大きく顔に表すが―――途端に脱力感に襲われる。

緊張の糸が切れたのか、その場にへなへなとへたばってしまう。

偽勇者は鎧の魔剣を担ぐとルカの隣まで歩を進めた―――酒を飲みながら……

そして、ルカはアリスに言葉を掛けるのであった。


ルカ「アリス、お前……」

アリス「……………」


アリスは訪れる結果なのか、切なげに視線を逸らす。

偽勇者も口を挟まず見守っていた―――


ルカ「お前…… けっこう偉かったんだな」

アリス「……それだけか!? それで終わりなのか!?」

    「貴様、本当にアホなのか……?」

ルカ「え……? なんで……?」

偽勇者「くっ…… クァーーーハッハッハッ!」


アリスは呆れ、偽勇者は笑う。

ルカはきょとんとし―――


クラリス「……また忘れられてます」


拗ねたクラリスがぼやいていた。





偽勇者「それにしても、少し危なかったな」


小僧と小娘の漫才を眺め呟く。

グランベリアとの戦いは中々に愉しかったが、如何せん昔を思い出す。

故に感情が静まり―――全てが、どうでもよくなってしまう……

顔の汗を拭こうとしたが、ハンカチは持ち歩いていなかった。

溜め息を吐き出すと―――視界の下にチラりとハンカチが見えた。


クラリス「はい、ハンカチ」

     「使うのでしょ?」

偽勇者「……ありがとよ」


俺はクラリスからハンカチを受け取ると汗を拭く。

クラリスのハンカチからは少しだけ良い匂いがした。


クラリス「―――」


【クラリスのセリフ】

↓2~3ぐらい

戦いの最後の時アナタ少し変でした


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:安価内なら↓やで

手加減したのは街を壊さないためですか? ……それとも相手を殺さないようにですか?

>>12 >>15』やね

大阪|´-ω-)<今回はお休みや、ゴメンやで……


大阪|・ω・)<どうやら、前スレは埋まったからまとめとこか―――

大阪|´・ω・)<えっと…… 『外伝4:ルカが最序盤のあれこれでイリアスに退場させられていたら』やね

大阪|´-ω-)<確かルカきゅんがイリアス様に、「ウルトラ上手に…焼っけましたぁー!」状態にされるんやったよね

大阪|´・ω・)<ふむ―――OKや

大阪|-ω-)<最後はアイテム枠の『魔法の筒』やな

大阪|・ω・)<数は後々で安価で決めよかね

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おはよー

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


クラリス「戦いの最後の時…… アナタ、少し変でした」


しかし、気分はクラリスの一言で台無しになった。

俺はクラリスに視線を向ける。

その小さい体で、一生懸命に生きている魔物クラリス―――その魔物は俺を見ていた。


偽勇者「……そりゃ戦いだからな」

    「命の代わりにある意味自由を賭けているから、少し変になったとしても仕方ないさ」


俺は酒を飲む為に酒瓶を傾けるが―――


クラリス「手加減したのは街を壊さないためですか?」

     「……それとも相手を殺さないようにですか?」


―――酒瓶の中身は空だった。


偽勇者「……………」

    「……クラリス。 何を訊きたいかは分からんが―――」

    「あまり相手の攻撃範囲に踏み込むと怪我じゃ済まなくなるぞ?」

クラリス「……………」


クラリスは、偽勇者の言葉を聞いた。

しかし、それでもクラリスは偽勇者を見ていた。

そして―――


偽勇者「……両方だ」

    「街は壊したくなかったし、相手も殺したくなかった」


頭をガシガシと掻き、明後日の方向を見る。

俺は空の酒瓶をその場で投げ捨てると歩を進める。


クラリス「どこに行くので?」


クラリスが訪ね、一度歩を止め―――


偽勇者「新しい酒を買いに……」


―――また歩を進めた。


【ここのクラリスの偽勇者の呼び方は?】

↓2

『あにさん』かぁ―――年齢言ってないし大丈夫やね。





ボクは、あにさんの背中を眺めます。

先程の"両方"という理由は嘘ですね。

自慢じゃないし、したくないですがボクは多くの感情を見て育ちました。

……特に負の感情に関してはとても敏感です。

あの時の戦いの中での、あにさんの表情は空虚でした。

いったいどんな経験をすれば、あんな喜びも憎しみもない空っぽな心になれるのですか?

ボクは人間も魔物も大っ嫌いなので憎しみで一杯です。

しかし、あにさんの心の中が空っぽなら―――今、存在しているこの世界をどう思っているのですか?

ボクは只々、興味深い人間としてあにさんを眺めるだけしか出来ません……


アリス「ふむ…… 聞いたか、ルカ!」

    「西通りに、今もあるという話だぞ!」

ルカ「……老舗の宿ねぇ」


クラリス「……はぁ」


ヘッポコ勇者に、食いしん坊な魔物の能天気コンビ―――こんなので旅が続けられるのでしょうか。

ボクは不安を隠さず表情に現すことしかできません。


アリス「よし、西通りに行くぞ! 今晩の宿は決まったな!」

ルカ「はいはい……」

   「あれ、クラリスどうしたんだ?」

クラリス「いえ、何でもありません」

     「早く、西通りに向かいましょう!」


ボクは表情を直ぐに笑顔に変えてニッコリと返答します。

正直、老舗に向かう結末は分かり切っていますが―――まぁ、愉しむとしましょう。

あにさんは酒を買いにいったことを伝え、ルカさんとアリスさんと共に西通りへ向かったのでした。






ルカ「なにこれ…… どこのお屋敷?」

クラリス「老舗ですからね」

     「そこらのお屋敷よりは上等だと思いますよ」


やはり「サザーランド」という老舗は、豪華なようで―――

料金のほうも、何年働けば貯まるかわからない程です。


ルカ「えっと…… お一人様一泊240万ゴールドぉ!?」

   「24時間で240万ゴールドと計算すると……」

   「手持ちの500ゴールドで、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ―――18秒の滞在……」


……ヘッポコ勇者は頭の出来は悪くはないようで―――しかし、お早い計算で……


ルカ「アリス、クラリス、これは住む世界が違いすぎる」

   「四人だと、四秒しかいられない計算になっちゃうよ」

アリス「なんと……」

    「こんなことなら、グランベリアに制圧させた方が良かったな」

ルカ「おいおい……」

クラリス「ろくでもないことを言いますね……」

戦士A「すまない、ちょっと通してくれんか…… いてて。」


「サザーランド」の前で立ち尽くすボク達の横をすり抜け、一人の戦士がフロントに入っていきました。

……グランベリアに叩きのめされた負け犬さんですね。


戦士A「おい、おかみ。 俺は勇者だ。 勇者料金で一泊―――」

おかみ「馬鹿をお言い!」

    「揃いも揃って魔物にやたれた分際で、何が勇者だい!」


威勢の良いおかみさんの啖呵が、外の通りにまで響きます。


戦士A「ぐ……! しかし俺は、洗礼を受けて……!」

おかみ「あんたみたいなヘボ勇者が勇者と名乗っちゃ、本物の勇者が迷惑だよ!」

    「出ておいき!」

戦士A「ひ、ひぃぃぃ……!」


おかみさんの怒声に圧倒され、負け犬は脱兎のように逃げ去ってしまいました。

こうして負け犬を追い出したおかみさんは、ふとボク達に目を留める。

すると―――その不機嫌そうな顔が、たちまち和らいでいった。


おかみ「あら、あんた。 この町の恩人じゃないか」

    「せっかくだから、ウチに泊まっていきなよ」

ルカ「いえ、でも…… お金が……」

おかみ「そんなの、勇者料金でいいよ。 お三方で6ゴールドね」

    「残りは、イリアス様につけとくよ」

ルカ「ど、どうも……」

   「でも、僕は洗礼を受けた勇者じゃないんですけど……」

おかみ「洗礼なんて関係ないよ」

    「勇者の資格は洗礼のあるなしじゃない、その振る舞いさ」

ルカ「お、おかみさん……!」


何やら心を揺さぶられているとこすいませんが―――


クラリス「ボロ負けじゃありませんでしたか?」

ルカ「ごふぉ!」

アリス「……一方的にやられていたしな」

ルカ「ぐふっ!」


ルカはやられてしまった!


クラリス「……こんなので勇者としての振る舞いを獲得することができるのでしょうか。 不安です」

おかみ「そういうわけで…… ほらほら、どうぞどうぞ!」

アリス「ふむ、貴様は見所のある人間だな」

    「ほらルカ、いつまで倒れている―――」

クラリス「置いて行きますよ……?」

ルカ「はいはい、分かったよ……」

   「おい、引きずるな……!」


こうしてボク達は、おかみの好意により高級宿「サザーランド」に一泊することになりました。


クラリス「ところで、シャニセ・ユウはどうするので?」

ルカ「あっ……」

アリス「放っておけ。 勝手な単独行動する者が悪い」

クラリス「さいで……」


あにさんは今夜、町の中で野宿決定のようです。

一番頑張ったのは、あにさんなのにね……


休憩や

寝落ちしたらゴメンな?


大阪|・ω・)<みなはん、おはよー

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






偽勇者「……………」


俺は注文した酒を飲まずにそのままカウンター席で肘を立ててとある人物を待っていた。

しかし、結構な時間が過ぎているので少しばかり機嫌が悪いが……


偽勇者「遅い……」

    「約束の時間から1時間も過ぎているぞ……」


そろそろ席を立とうと思った時―――


ウラミ「やぁやぁ、待たせたネ?」


全身を布やサポーターで隠している怪しいを体現した怪しい人物。

ウラミが俺の隣に座る。


偽勇者「待ったぜ……」

ウラミ「みたいだネ。 それに機嫌も悪そうだヨ」


ウラミがカウンター席で、首を動かして俺の周りを観察する。

そこには、荒くれやごろつき達が沢山転がっていた。


偽勇者「……ちと、この町では俺は只の"か弱い酔っ払い"だからな」

    「実力を測れない奴によく絡まれる」

ウラミ「あら~、それはよくないネ」

    「怖いネ、恐ろしいヨ!」


ウラミは無駄にオーバーアクションをする。

その演技がまたイラつかせる。


ウラミ「でも、アンタ程"か弱い"が似合わないおっさんもそうはいないアルヨ」

偽勇者「お前は俺に喧嘩を売りに来たのか、目的を果たしに来たのかどっちなんだ……!?」

ウラミ「目的を果たしに来たに決まってネ、何言ってんだこの男?」

偽勇者「……………」


頭を掻き溜め息を吐き出す。

そして、ウラミにとある物を差し出す。


俺がウラミに差し出したのは赤色の毛髪だ。

まぁ、赤と言ってもいろんな種類があるから別の言い方があるかもしれんが―――

―――面倒だから赤でいいだろう。


ウラミ「……これ、本物ネ?」

    「嘘は良くないアルヨ?」

偽勇者「正真正銘の"グランベリアの毛髪"だ」

    「お前は知らんと思うが、先程までグランベリアと戦っていたんだ」

ウラミ「……ほう?」

    「グランベリアと戦って、五体満足ならやはりアナタは―――」


偽勇者は、トングでウラミの鼻先を挟む。

挟まれたウラミはそれ以上は、言葉を発することは止めた。


偽勇者「……ウラミ。 前の時も言ったと思うが―――」

    「俺をあの名で呼ぶな」

    「嫌いなんだよ。 あの二つ名……」

ウラミ「……わ、分かったネ」

偽勇者「約束だぞ……?」


鼻先を放すと、ウラミは鼻を擦る。


ウラミ「……ったく」

    「レディーの鼻をトングで挟むなんて―――失礼な男ネっ!」

偽勇者「……いや、女どころか性別、種族、色々とわからないからな」

    「てか、女だったのかお前……」


横目でウラミの格好を観察するが―――やはり、わからん。

全身を布やサポーターで完全に隠してるから肌すら見えん。


偽勇者「取り敢えず、お前の目的物の一つは渡したからな」


偽勇者がその場から立ち去ろうとする―――が……

ウラミに服の端を掴まれ阻止されてしまった。


偽勇者「……何だ?」

    「残り3つの目的物ならちゃんと果たすつもりだが―――」

ウラミ「いやいや、違うネ」

    「取り敢えず座るヨロシ」

偽勇者「……?」


言われた通りに席に座り直す。

そしてウラミがアクセサリーを取り出し偽勇者に渡す。


ウラミ「これは"グランベリアの毛髪"の報酬ネ」

    「受け取るヨロシ!」


ウラミが渡したのは―――


【どれなん?】

○源氏の鎧

○源氏の兜

○源氏の小手

○源氏の盾

↓2

『源氏の盾』やね

飯+風呂+腹痛タイムや!


ウラミが渡したのは―――盾の形をしたアクセサリーであった。


「源氏の盾」を手に入れた!


偽勇者「……なんだこりゃ?」


ウラミから「源氏の盾」を受け取った偽勇者は眼前で確認する。


ウラミ「ぬふふ……」

    「それは「源氏の盾」と言って、異国の武具をアクセサリーとした物ネ」

    「しかし、とても貴重品だから大事にしてほしいヨ!」

    「特に盗人には要注意ネッ!」

偽勇者「……ふ~ん」

    「まぁ、くれるならもらうけどよ―――どうゆう風の吹き回しだ?」

ウラミ「失礼ネ。 私だって頑張った相手にはちゃんと報酬ぐらいは出すヨ」

    「ところで「鎧の魔剣」の使い心地はどうだったネ? 役に立ったカ?」

偽勇者「……………」


偽勇者は「源氏の盾」をしまい「鎧の魔剣」を床に突き刺した。


偽勇者「まぁ、色々と訊きたいことはあるが……」

    「まず使い心地は―――性能的には最高だな」

    「全身を覆うフルプレートタイプだから動きは制限されてしまうが」

    「その他デメリット類は修行次第ではどうにでもなる」

    「メリットは戦士にとって喉から手が出る程だな」

ウラミ「うんうん。 喜んでもらえて贈り側も大変うれしいネ」

偽勇者「しかしよぉ……」

ウラミ「あい?」

偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ:魔剣に関してやで】

↓2

なんか使用感がしっくり来ないんだよな~

>>42』やね

偽勇者「なんか使用感がしっくり来ないんだよな~」


偽勇者は腕を組み、首を傾げて不満を言う。

ウラミも腕を組み、う~んと唸り―――


ウラミ「それは、アナタが守るより攻めるタイプだからと思うヨ?」

偽勇者「そんなもんかねぇ……」

ウラミ「まだまだ、冒険はこれからネ」

    「今回だけではなく、いろんなところで使用すればヨロシ!」

    「それじゃ、私はこれで―――」


ウラミが席を立ち、酒場から出て行こうとするが―――

次は偽勇者がウラミの肩を掴み引き留める。


ウラミ「……はい?」

偽勇者「まぁ、待てって―――どうだ一杯?」


偽勇者は酒が入ったグラスを上げる。

ウラミはその意味を理解すると―――


ウラミ「すいませんネ。 私、下戸だから無理だヨ」

偽勇者「……マジか」

ウラミ「マジだヨ」


ごろつき・荒くれが転がる酒場で……

怪しい格好をした人物はミルクを飲みながらツマミを摘まみ―――

只の酔っ払いとして知られるシャニセ・ユウは酒を飲みつつウラミと雑談を朝までするのであった。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|;・ω・)<みなはん、ごめんな。

大阪|;-ω-)<SS用に前章からセーブ作業してたら、いつの間にか冬眠してたわ……

大阪|`・ω・)<続きは明日やるで……!

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソーリ|・ω・)<……






ルカ「お、落ち着かない……」

クラリス「どうして豪華と名の付く部屋は無駄に物が多いのでしょうか」


人生―――いや、魔生で初めてのお泊りです。

しかも、泊まる場所がイリアスベルクで有名な老舗且つ高級宿「サザーランド」。

世の中、何が起こるか本当にわかりませんね。

ルカさんは、豪華な一室に緊張されているのかガチガチに固まってたたずんでいます。

アリスさんは、皿に盛られたあまあまだんごをパクパクと食べています。


ルカ「……クラリス」

クラリス「……………」

ルカ「誰も横取りなんかしないから、ほお袋にあまあまだんごを詰め込むのはやめなよ……」

クラリス「……ほおい」

アリス「……あまい♪」


頬にいっぱいに広がるハピネス蜜の甘味―――甘味で飽きさせないように、だんごの風味と食感がお客を楽しませる……

……美味しい♪


ルカ「どうやら、非常に満足したようだな」

アリス「……ふぅ、美味しかった。 余は満足したぞ」


アリスさんは人の姿に変身すると、ベルをりんりんと鳴らす。

すると―――おかみさんが自ら、食器を下げに来てくれた。

これが、VIP待遇とやつですね。


おかみ「当宿自慢のあまあまだんご、満足してくれたかい?」

アリス「甘さが際立ちながらも、だんごの風味を殺してはいない……」

    「まさに、あっぱれな味だ」

    「貴様が魔族ならば、公爵位を与えても良いほどだぞ」

おかみ「あはは…… 面白いこと言うね、お嬢ちゃん……!」

    「あはははははは……!」


おかみさんはウケてますが―――ヘタしたら怪しまれますよね?


おかみ「でも…… 最近は、ハピネス蜜が不足しててねぇ」

    「このおだんごも、前ほど沢山作れなくなったんだよ」

    「ハピネス村もあんな事になって、男手が足りないから……」

    「まあ、仕方ないんだけどねえ」


……ハピネス村?

どうやらハピネス蜜と大きく関係がありそうですが―――

蜜だからミツバチを飼育でもしてるのでしょうか?


ルカ「ハピネス村で、何があったんですか……?」

おかみ「それがねぇ…… あっ、そうだ」

    「あんた達が行って、何とかしてやりなよ」

    「あんな強そうな魔族を撃退したくらいなんだから、楽勝だよ」

ルカ「は、はぁ……」


ルカさんが撃退したわけではないですが、確かにグランベリア様と比べると楽かもしれませんね。


おかみ「……じゃあ、おやすみ。 ゆっくり休みなよ」

ルカ「はい、ありがとうございます!」

おかみ「お嬢ちゃんも、おやすみ」

クラリス「……はい」


おかみさんが、ボクの頭を一撫でしてから一室から出て行った。

ボクは撫でられるのは慣れていないので、少し不思議な感触でした……


アリス「しかし、あの酔っ払いが「鎧の魔剣」を所持していたとは……」

ルカ「そういえばグランベリアも、その魔剣に驚いていたけど凄い剣なのか?」

アリス「あぁ…… 妖魔界の名工【ロン・ベルク】の代表作「鎧の魔剣」」

    「俗に、伝説と言われる武具だ」

ルカ「ふぅん…… 伝説ねぇ―――って、伝説の武具だって!?」


ルカさんは、アリスさんの話を聞き驚愕な表情を浮かべ、ベッドから転がり落ちました。


ルカ「な、なんでおじさんがそんな物を……」

アリス「余が知るか。 ドアホめが……」

    「取り敢えず話を続けるぞ」

ルカ「う、うん……」


アリス「まず鎧の魔剣だが―――先程も言った通り【ロン・ベルク】の代表作の一つで、とあるキーワードで鞘の部分が鎧に変わる」

    「攻守共非常に優れ、攻撃呪文すら効かないらしい。 まさに戦士にとっては喉から手が出る程の逸品だ」

ルカ「うん、確かに僕でも欲しいと思うよ」

   「それさえあれば、冒険がぐ~んと楽になるからね」

アリス「しかし、伝説の武具と言えど弱点は存在する」

    「その一つが機動性だ」


確かに、初めて見た時は全身をくまなく覆うフルプレートアーマーでしたが……

あにさんは、そんなこと関係なく物凄い速さでグランベリア様と戦っていましたが―――


アリス「第2に電気系統の魔法に弱い」

    「純粋に金属であるがゆえに電気は伝導してしまうからな」

    「当然の結果だ」


……鎧の魔剣―――デメリットが目立ちますが、それを差し引いても伝説と冠するに相応しい武具です。

しかし、あにさんは本当にどこであんな物を見つけたのでしょうか?


ルカ「他には詳しいことはわからないのか?」

アリス「後はロン・ベルク作は、他に二つ存在し共通で、武器のコアとなる部分が無事であるならば破損しても時間を掛けて自動修復するらしい」

ルカ「その残り二つは、どんな物かわかるか?」


ルカさんが珍しくアリスさんの話に喰いついていますね。


アリス「わからん」

    「わからんが、ロン・ベルクは一度作った物は二つも作らん性格らしく剣以外が予想されるだろう」

ルカ「そうか…… それは残念だな……」

アリス「念の為に言っておくが、例え手に入れることができたとしても所持者が雑魚ならば意味が無いからな」

    「肝に銘じておけ、ルカ」

ルカ「ぐっ……!」


確かに、ルカさんはお世辞にも強いとは言えません。

伝説の武具を手に入れても、身体能力が上がるわけでもないですし―――特訓あるのみですね。

そろそろお話しも終わりそうですし、他にアリスさんに訊いておくことはありますかね……?


【クラリスのセリフ or 無し】


↓2

アリスさんはもしかして魔王ではないですか?(小声)


大阪|´・ω・`)

大阪|´-ω-`)

大阪|´・ω・)< 安価下で【>>56】を選ぶけどええか―――アカンかっても選ぶけどな



大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|´-ω-)<フルプレは、とある竜の騎士も階段の上り下りが困難になってたしな―――不死身さんは、めちゃ着こなしてたけどな!

大阪|´・ω-)<今回はないけど、一つ安価しておきたいんやけど……

大阪|´・ω・)<外伝3を(船まで)終えたら―――外伝4を始める? それとも本編すすめるん?

大阪|´-ω-)<どっちや?


○まず本編や

○そのまま外伝4やってや

↓2

『外伝4』やね

大阪|-ω-)<ほな、外伝3を終えたらそのまま外伝4を始めるで……

大阪|´・ω・)<外伝4は『ルカが最序盤のあれこれでイリアスに退場させられていたら』やから、マジでオリパラを入れなアカンね。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~



PS:『外伝3:偽勇者が呪い装備なしで戦士として成長していたら:続編』は―――

―――【外伝4】→『終』→【本編】→『ドブ川女神ぐらい』→【外伝3:続編】―――

で、始めるからな!


コソーリ|・ω・)<……


クラリス「アリスさんはもしかして魔王ではないですか?」

アリス「……………」


ボクは小声でアリスさんに訊ねました。

グランベリア様を疑うわけではありませんが、万が一というのもあります。

世の中、強者の皮を被った偽りの魔物なんて探せばいますからね……

アリスさんは、ギロッとボクを見据えしばらく沈黙した後に口を開き―――


アリス「余は、旅のグルメ。 今はそれ以上でもそれ以下でもない」

クラリス「……さいですか」


どのようなお考えかはわかりませんが、"今"は旅のグルメとして貫き通すようですね。

ボクは自分の部屋に戻ろうとしましたが―――


アリス「……クラリス。 余計な詮索はしないほうがいいぞ」

    「時に寿命を減らすだけでは済まなくなるからな」


アリスさんの忠告―――警告とも取れるアドバイスに、ボクはチラッと後ろを見ました。

そして―――


クラリス「……肝に銘じておきますよ」


目を細め、旅のグルメの方に返事をしました……


ルカ「おい、アリス。 クラリスをいじめちゃダメだよ」

アリス「いじめておらんわ!」

    「しかし、腹が減ったな……」

ルカ「おいおい、あまあまだんごを平らげたところじゃないか……」

   「あれだけの量を食べて、まだ食い足りないのか?」

   「……ってか、さっさと自分の部屋に戻れよ」

アリス「だんごは別腹だ。 ここ最近、人間の精を摂取していなくてな……」


あまあまだんごは美味でしたが、満腹と言われれば違うんですよね。

甘味は女性にとって別腹ですから……

……ボクは満腹ですよ?


アリス「洗礼を受けていない貴様の精は、なんとも美味しそうだ……」

ルカ「お、おいおい…… ちょっと待って……! うぁっ!」


ルカさんはアリスさんに尻尾で巻き上げられました。


ルカ「ダメだよ、こんな……! クラリス、助け―――っていない!?」


触らぬ神に祟りなし。 ボクは自分の部屋にあるベッドに潜り込み睡眠をとります。

上級妖魔ほど、男の精を啜る行為を邪魔されて怖いものはありませんからね。

あぅぅ……と情けない声を最後に耳栓をして目を閉じます。

こんなメンバーで、次の危機は乗り越えられるでしょうか……

不安や心配を胸に抱き眠るのでした―――






おかみ「……ゆうべは、お楽しみだったね」

ルカ「うぐはぁ!!」


眠い目を擦りながら、ルカさんのうるさい声を聞く。


ルカ「そ、その…… 声、大きかったですか?」

おかみ「あらら、図星かい。 適当にカマかけただけだよ」

ルカ「うぐぐ……」


ニヤニヤ笑うおかみさんに、打ちのめされたルカさん。

そしてアリスさんは、平気そうな顔をしています。

ルカさんは意外―――いえ、予想通りのヘタレ属性というものがありそうです。

今でも平常心を保とうと深呼吸をしています。


おかみ「じゃあ、また来なよ。 あんた達なら大歓迎だからね」

ルカ「ええ、ありがとうございました!」


こうしてボク達は、高級宿「サザーランド」を後にしました。

アリスさんとボクは、おかみさんから頂いた風呂敷包みを抱えながら町に歩を進めるのでした―――





偽勇者「う~ん…… 朝か……」


俺は朝日を浴びて背伸びをする。

欠伸をして、肺に溜まった二酸化炭素を吐き出し緩んだ体を引き締める。

そして、簡単な体操で眠気を吹き飛ばす。

ある程度スッキリするが―――背後で酒のにおいで二日酔いを起こしたウラミを見る。


偽勇者「おいおい、酒のにおいだけで二日酔いになるなんて―――どれだけ弱いんだよ……」


ウラミは青白い顔を上げて恨みがましい表情で俺を見る。


ウラミ「……普通、下戸の隣で酒樽を一樽飲み干すかネ?」

    「酒のにおいがダイレクトアタック、もう瀕死不可避ヨ……」

偽勇者「いやぁ、酒の支払いをごろつきさん達が、どうしてもって言うからな」

    「ついつい……」

ウラミ「……そうカ」

ウラミはそこらに転がっていた棒を杖代りにしてヨタヨタと歩く。

本人が言った通り、瀕死状態だなありゃ―――まぁ、死にはしないだろう。

俺はウラミと別れ、イリアスベルクの中央広場まで歩を進めるのであった。





アリス「……本気で行く気か?」

    「ドラゴンやヴァンパイア相手に、今の貴様ではどうにもならん」

    「貴様、そんなに英雄になりたいのか?」

ルカ「……僕は、英雄になりたいわけじゃないよ」

アリス「本来の目的、魔王討伐とは関係ないだろう」

    「そもそも、貴様が行かねばならぬ理由もないはずだ」

ルカ「理由はあるよ。 なぜなら、僕は勇者だからだ!」

アリス「……ニセ勇者の癖に」

クラリス「……あにさ―――シャニセさんにおんぶに抱っこ気味な癖に」

ルカ「ぐっ……!」


ルカさんは、痛いところを突かれたのか顔を俯きました。

何故、こうも自分に関わりのない事に首を突っ込むのでしょうか?

ルカさんの謎行動には頭を悩まされます。


アリス「このまま北に進み、港町イリアスポートからイリアス大陸を出るのだろう?」

ルカ「回り道も悪くないよ」

   「こうやって経験を重ね、レベルを上げながら魔王城に向かうのさ」

クラリス「……今のルカさんではドラゴンの相手なんてしたら、経験は経験でも―――消し炭の経験をすると思いますが……?」

ルカ「……クラリスって、意外に口が悪いんだね」

クラリス「下手に担ぎ上げるよりはマシと思いますが?」

ルカ「……………」


不満顔なルカさんを尻目に後方を見ると、あにさんがやって来ました。

どこで野宿をしていたのかわかりませんが、元気で何よりです。


偽勇者「おう! みんな元気そうだな、俺は元気だ!」

    「クァーーーハッハッハッ!」

ルカ「おじさんだけだよ。 無駄に元気なのは……」

偽勇者「小僧もそんなしょぼくれた顔をすんな」

    「もっさりしたシャツで地味だがな」

ルカ「ごはっ……!」


あにさんの最後の一言で、痛恨の一撃を受けたルカさん。

ルカさんも意外に見た目を気にする人ですからね。


クラリス「あまあまだんご…… 分けてあげましょうかね……」


そう思いつつ、あにさんにこの町で得た情報を知らせるのでした―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<言い忘れてたけど、明日は忘年会するから月曜日はお休みな

大阪|-ω-)<ごめんやで?


大阪|・ω・)<みなはん、おっはー!


偽勇者「ほう、ハピネス村の蜜不足と魔物の盗賊団ねぇ」

    「面倒極まりないが―――まぁ、小僧のことだ」

    「「勇者だからだ!」と言って引き受けたんだろ」

クラリス「その通りです。 察しがいいですね」

偽勇者「先生とかしてるからな…… これぐらいは当然わかる」


さすがは、あにさん。 普段、お酒ばかり飲んでるとは思えない良さですね。

アリスさんと同じ―――只の存在とは違う……


偽勇者「小僧、気持ちはわかるが自分の実力と相談してから引き受けろ」

ルカ「でも、勇者として当然の―――」

偽勇者「馬鹿野郎っ!」


あにさんが、怒鳴り声でしかりつけると同時にルカさんの頭にゲンコツが落ちた。

相当痛かったようで、声らしい声は発せず頭を抱えその場にしゃがみ込んでしまった。

ルカさんは涙目であにさんを睨むが―――あにさんの鬼のような目が合い直ぐに視線をズラす。


偽勇者「勇者だからって、何でもかんでも引き受けてたら後々で面倒なことになるぞ」

ルカ「で、でもっ!」

偽勇者「でもも、テロもねぇ!!」

    「一度引き受けちまったものは仕方ねぇ」

    「片方は俺が行く」

ルカ「えっ……」

   「しかし、僕が引き受けたからには両方とも僕が―――」

アリス「いや、それがよい」

ルカ「アリスまで……」

アリス「そこの酔っ払いと同意見なのは癪だが仕方なかろう」

    「今の貴様にドラゴンやヴァンパイアなぞ相手にできるか」

ルカ「……うぅ」

偽勇者「そんなに慌てなくてもドラゴンやヴァンパイアの相手なんて直ぐにくるさ」

    「今は、技を覚えていけ。 なっ?」

ルカ「……………」

   「わかったよ……」


しつこく食い下がっていたルカさんも納得したようで、片方の依頼はあにさんが引き受けるようです。

しかし、あにさんもドラゴンやヴァンパイアの相手なんてできるのでしょうか?

多勢に無勢だと分が悪いと思いますが……


偽勇者「それじゃ、行くとするか」

    「みんな、買い忘れは無いな?」

アリス「貴様が取り仕切るな!」

ルカ「ははは……」

クラリス「……ふぅ」


こうして、ボク達は町を出るのでした―――






少し歩いて町を出たところで、アリスさんはルカさんを呼び止めました。


アリス「そう言えば…… 貴様の戦い方を見て、一つ気付いたことがある」

    「貴様がモンスターを殺したくないというのは、嘘ではないようだな」

    「そのせいで剣のキレが悪く、本来の技能を生かしきれてはおらんようだ」

ルカ「うん…… そうかもしれないね」


……モンスターを殺したくないですか。

その様には見えませんでしたが……

あにさんは、お酒を飲みながらアリスさん達の話を黙って聞いていました。

しかし、表情は少しばかり芳しくありませんが……


アリス「仕方ない、貴様にこの剣を貸してやろう―――」

ルカ「うげ…… なんだこれ!?」

クラリス「き、気持ち悪いぃぃ!?」

アリス「堕剣エンジェルハイロウ―――」

    「この世に一本しか存在しない、極めて貴重な剣だ」

    「今後の戦いでは、この剣を使うがいい」

ルカ「うぇぇ……? こ、これを……?」

   「やだよ、気味悪い……」


ルカさんの嫌な表情が有り有りと現れています。

ボクも今はルカさんと同じ気持ちです。

正直、あんな剣なんて使いたくありません。

触れたが最後―――取り込まれそうです。


アリス「貴様達人間が喜ぶ天使が、柄や刀身に埋め込まれているだろう」

    「ありがたいとは思わんか……?」

偽勇者「小娘……」

    「てめぇのセンスが最悪なのは、よくわかった……」

アリス「なんだと……?」

    「ならば、貴様で試し斬りを行っても構わんぞ」

偽勇者「斬れるものなら斬ってもらおうか?」

    「返り討ちにしてくれる……」


あにさんとアリスさんは、睨み合い―――今にも喧嘩を始めそうです。

お互い子供っぽいところがあるようで……


ルカ「もう二人共喧嘩はやめてよ!」


ルカさんは、アリスさんからエンジェルハイロウを受け取ると表情を曇らせました。


ルカ「ひっ……! 今、なんか呻き声みたいなのが聞こえなかったか……?」

アリス「当然だろう、666匹の天子を溶かして精製した剣なのだから」

ルカ「その…… 正直、本気で嫌なんだけど……」

偽勇者「俺もパス」

    「罰が当たりそうで怖い……」

クラリス「呪われそうです……」

アリス「貴様等……」

    「まぁいい、いいから聞け」

    「その剣には天使の怨念が込められており、聖素の含有率が極めて高いのだ」

    「その効果により魔素を消散し、生骸から引き離すという効果が得られる」

    「そうなると、魔素を固着することが極めて困難となり―――」

ルカ「ちょ…… ちょっと待ってくれ」

   「話が難しすぎて、何が何だか分からないんだけど……」


……確かに、知らない単語をスラスラと言われてもチンプンカンプンです。


アリス「ドアホな貴様にも分かり易く言えば……」

    「その剣で致命傷を与えられたモンスターは、一時的に退化した姿となる」

    「つまり命を奪わず、しばらくの間は無害な姿に封印することができるのだ」

ルカ「この剣が……? 魔物を封印して無害化……?」

クラリス「へ~……」


よくわかりませんが、力―――つまり魔物のエネルギーを散らせることでしょうか?


アリス「む…… ちょうどいい相手が近付いて来たではないか」

ルカ「え……?」


アリスさんが言った通り、少し離れたところの地面が、こんもりと膨らんできました。

そして、もこもこもことこちらに近付いて来ます。


アリス「良い機会だ、酔っ払い相手に試し斬りをしたかったが―――あいつで試すがいい」

偽勇者「今からてめぇで試してやろうか、小娘?」

アリス「では、余は少し場を離れるぞ」

偽勇者「ま、待ちやがれ!」


アリスさんはあにさんをスルーし、ふっと消えてしまいました。

あにさんはそんなアリスさんの居場所が分かるのでしょうか―――

迷わずに真っ直ぐに走っていきました。


ルカ「あっ、おい! アリス!? おじさん!?」


ルカさんがうろたえている間にも、地面の膨らみは接近してきて―――

ミミズ娘さんが現れました。

……あっ、ボクも逃げ遅れました。


ミミズ娘「あんた、旅人?」

     「魔物と一緒に旅するなんて珍しいね」

クラリス「別にルカさんと共にじゃないですが……」

ミミズ娘「そう? じゃ、ちょっと精液搾ってもいいよね……?」

ルカ「いいわけがないよ」

   「魔物との交わりは、イリアス様に禁じられているんだ……!」


クラリス「……「サザーランド」での、アレはノーカンなので?」

ルカ「セ、セックスじゃないから大丈夫―――たぶん……」

クラリス「さいですか……」

ルカ「取り敢えず、過去より今の状況を何とかしないと……!」


ルカさんは、慌てて話を逸らし武器屋で購入した鉄の剣を抜こうとしましたが―――

アリスさんから受け取った堕剣エンジェルハイロウを構えました。

あの剣で大ダメージを与えたら、モンスターは封印されて無害な姿になると言っていましたが、本当でしょうか?


ミミズ娘「何してるの? もう、搾っちゃうからね!」

ルカ「うわっ!?」


ミミズ娘さんが、待ちくたびれたのかルカさんに襲い掛かります。

ルカさんは、不意打ち気味の体当たりを難なくかわし、エンジェルハイロウでミミズ娘さんに斬りかかります。


ミミズ娘「きゃっ―――あれ?」


しかし、斬られたミミズ娘さんは悲鳴を上げましたが直ぐにケロッとし斬られた部分を確認します。

ニヤりと表情を歪めたミミズ娘さんは、そのままルカさんに巻き付こうと再度体当たりを繰り出しました。

ルカさんは、またかわしつつ斬ります。

それを何度も繰り返した後で、ニヤついていたミミズ娘さんの表情から焦りが現れていました。


ミミズ娘「あれ……? なんなの……?」

     「斬られたところから、力が抜けていくみたいな……」


どうやら、効いているようです。

ルカさんも、効果が現れたことにホッと胸を撫で下ろしエンジェルハイロウを構え直しました。


ミミズ娘「もう、やけくそよ!」


ミミズ娘さんは、ルカさんに飛びかかろうとしましたが、既にルカさんが動いており―――


ルカ「かいはざん!」


奥義の一撃で、その身を消散してしまいました。


ルカ「え……? どうなったんだ?」


ルカさんが、消散してしまったミミズ娘さんを探していましたが―――

すぐ近くに、小さな生物がにょろにょろと這っているのを見つけます。


クラリス「ミミズ―――ですね」

ルカ「うん、ミミズだ」


一匹のミミズは、いかにも困惑しているかのようにうねっています。


アリス「……理解したか?」


アリスさんが戻ってきましたが……

少しばかり小汚くなっています。

一緒に戻ってきたあにさんも、小汚くなっています。

どうやら、かなり物理的に喧嘩したようですね。

汚れを叩きながら、アリスさんは説明を続けます。


アリス「そいつは、さっきまでミミズ娘だったモンスター」

    「なんら害のない、ちっぽけなミミズの姿に封印されたというわけだ」

ルカ「へぇ、なるほど……」


ルカさんは身を屈め、そのミミズをまじまじと眺めています。

ボクも眺めますが、確かに無害ですね。

しかし、斬られた部分に斬り後が残らないとは―――これでは相手も油断してしまいますね。

何も知らなければ、かなりの脅威です。

どうして、アリスさんがこんな剣を持ち歩いていたのかわかりませんが―――要注意です。


ルカ「でも…… なんか可哀想な気もするなぁ」

アリス「殺すよりはマシだろうが」

    「生命力の高さは変わらんから、あのような姿といえども簡単には死なん」

    「他者から力を与えられるなり、自分で蓄積するなりすれば、元の姿に戻ることもできるのだ」


ルカ「そうか……」

偽勇者「ふん。 確かにこれだと小僧向けの武器だな」

    「しかし、元の姿に戻っても反省などせんだろ?」

アリス「反省どころか、人間への憎しみが増していたりしてな……」

偽勇者「その時が、殺し時か……」


この二人は何を物騒なことを言うのでしょうか。

というよりも、息が合ってるようですが―――


クラリス「二人共、実は仲が―――」

アリス「悪いに決まっておろうが」

偽勇者「悪いに決まってるだろう」

アリス「ふん……!」

偽勇者「ふん……!」

クラリス「……………」

ルカ「……………」


ボクとルカさんは、そんな二人を疑いの眼差しで見据えます。


ルカ「ところで、魔物以外の相手にこの剣を使ったらどうなるんだ?」

   「例えば、人間とか…… もちろん、試す気はないけど」

偽勇者「小娘が俺で試し斬りとかほざいていたから封印することができるんだろう」

    「どんな姿かはわからんが、たぶん小人あたりだろう」

アリス「ふむ、大当たりだ」

    「人間でも、その剣でダメージを与えれば封印することができる」

    「おそらく、小人の姿になると思うが」

    「またその剣は天使の体を練り込んでいるから、聖素の濃度が極めて高い」

    「だから天使を斬る場合にも、その剣は絶大な威力を発揮するぞ」


ルカ「なんで、天使様を斬らなきゃいけないんだよ……」

   「でも…… ありがとう、アリス」

   「おかげで、精一杯戦えるよ」


ルカさんは、あの剣を振るってからはイリアスベルクでの戦いより遙かに良くなっていました。

もしかして、本当に魔物を殺したくないという思いを、お持ちなのでしょうか?


アリス「魔物を殺したくないという思いが、貴様の剣技を無意識に鈍らせていたようだな」

ルカ「そうだね。 あんな風に戦ったのは初めてだよ……」


偽勇者「……だが、まだまだ未熟なのは事実」

    「決して慢心はするなよ」

    「お前は少し、調子に乗りやすいタイプだからな……」

ルカ「わ、分かってるさ……」

アリス「やれやれ、素直に褒めてやればいいものを……」

    「厳しいことだな、先生……?」

偽勇者「むっ……」

クラリス「そうですよ、シャニセさん」

     「ここは、褒めるだけのが効率がいいですよ?」

偽勇者「ぐっ……」

    「わかったわかった、次からの発言は気を付けるよ……」

ルカ「いや、確かに僕はまだ弱いから、おじさんの言ったことも正しいよ」

   「これからいっぱい経験を積んで、魔王を倒せるほど強くなるさ!」


ルカさんは、やる気を見せるように剣で素振りを始めます。

アリスさんも、ルカさんのその姿勢に複雑そうな顔をし―――

あにさんは、お酒を飲んでいます。


ボクは、地図を広げ、次の目的地を確認します。

現在地点はというと、イリアスベルク近郊。

このまま北に行けば、セントラ大陸への船が出ているイリアスポートです。

それで、魔物盗賊団のアジトに向かうには、ここから西のイリナ山地。


アリス「そう言えば……」

    「「サザーランド」のおかみは、ハピネス村がどうとか言っていたな」

ルカ「ああ…… その村で、何かあったみたいだね」


確か、何かが原因で蜜不足と言ってました。


アリス「ふむ…… ハピネス村に、寄り道してみるのもいいのではないか?」

ルカ「おいおい…… 盗賊退治とまるで反応が違うじゃないか」

   「寄り道は面倒だ、とか散々に渋ってる癖に」

アリス「旅の書物によれば―――」

    「ハピネス村の特産ハピネス蜜を、ふわふわのパンに塗りつけて食べるとたまらないのだそうだ」

ルカ「……………」

クラリス「……………」

偽勇者「……酒の肴には、ならないだろうな」


アリスさんも、あにさんも、世界たべあるきツアー感覚で旅をしてるようです。

ボクには、そこまで重要ではないので構わないのですが―――ルカさんが少し哀れです。

あとは、隠れ里エンリカ―――

あの武器屋のおじさんによれば、そこにひっそりと暮らしている人達がいるらしい。

ボクのサイズに合う、エンリカの服などオーダーメイドできないものでしょうか……


クラリス「さて、次の目的地は―――」


○イリナ山地

○ハピネス村


大阪|・ω・)ノシ<少し早い、昼飯食ってくるわ!

大阪|・ω・)<それと同時に休憩もするで!


大阪|-ω-)< .....zzz

大阪|・ω・)<ハッ!

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


クラリス「それじゃ、ハピネス村に―――」

偽勇者「ちょっと待ったクラリス」

    「もう忘れてしまったのか?」

    「片方は俺が行くと言っただろう」


確かに、両方の依頼―――頼み事の内、片方はあにさんが行くと言いました。

つまり、手分けして頼み事を消化していく流れでしたね。

ということは―――


アリス「もちろん、ハピネス村の方は余達が行く」

ルカ「やっぱり、何か大きな事件が起きてるんだろうな……」

クラリス「どんな事件か分からないうちは、様子を探る必要もありますね」

ルカ「そうだね」

アリス「ハピネス蜜が採れなくなるほどだからな、大問題だ」

    「あまあまだんごが食べられんばかりか、各地の名品にまで影響が出る」

    「この大問題は、何よりも早期に片付ける必要性があるぞ」

ルカ「……………」

クラリス「……………」

偽勇者「……腹ペコ娘が」


やはりアリスさんは、何よりも食べ物が大事なようですね。

その気持ちは分かりますが……


偽勇者「なら、俺とクラリスはイリナ山地だな」

    「魔物の盗賊―――ドラゴンやヴァンパイアを野放しにするのは危ないからな」

クラリス「……………」

     「うへぇ……?!」

     「ボ、ボクもイリナ山地に向かうのですか!?」

偽勇者「そうだが何か不都合があるか?」

クラリス「不都合以前の問題です」

     「第一に、ボクはまだ死にたくありません」


ドラゴンやヴァンパイアの戦いなんて―――例え直接戦っていなくても巻き込まれただけで死んでしまいます。

あにさんの実力を疑うわけではありませんが、やはり危険には違いありません。


アリス「安心しろ、クラリス」

    「怪我はしても、死ぬことはまずないだろう」

    「余が保障するぞ」

クラリス「アリスさんが保障すると言いましても……」


やはり不安なのは不安なのです。

ボクがどうしようか迷っていましたら―――

体が勝手に後ろに動き出しました。

いえ、足は動いていませんので移動させられているのが正しいでしょうか。

後ろを確認するために首だけ振り向くと―――あにさんに引き摺られていました。


クラリス「あ、あにさん……?」

偽勇者「さっさと、行くぞ」

    「魔物の盗賊なんて早く片付けるに越したことはない」

クラリス「分かります! 分かりますが、心の準備がぁぁぁ!!」


ルカさんやアリスさんは、哀れみの目でボクを見送り手を振っていました。

それとあにさんは、何やらドナドナド~ナ~と不安になる歌を口遊んでいました。

こうしてボク達―――ボクとあにさんは、西の山地に向かったのでした。





数時間ほど歩き、イリナ山地に到着する。

酒を飲みながら、周りを見るが―――山地と言うわりにはそんなに木々が生えていない。

これじゃ、自然の恵み等は期待できないな。


クラリス「シャニセさん、盗賊団アジトの詳しい位置とか分かるので?」

偽勇者「全然、分からん!」

クラリス「やっぱし……」


クラリスが溜め息を吐く。


偽勇者「取り敢えず、この広大な山地を、しらみ潰しに捜すしかないだろう」

    「その辺をウロウロしてれば、見張りやら何やらが飛び出してくるだろう」

クラリス「……そうですかね?」

偽勇者「まぁ、一休みしてからウロウロしようか」

    「ほれ、水でも飲め。 おにぎりもあるぞ」

クラリス「……頂きます」


クラリスは俺から水が入った水筒を受け取るとコクコクと飲む。

そして、おにぎりが入った弁当箱からおにぎりを取りもむもむと咀嚼する。

俺も、塩がきいたおにぎりを取り食べようとしたら―――

突然、目の前に小さな影が飛び出してきた。


ゴブリン娘が現れた!


ゴブリン娘「やい、金目の物を置いていけ!」

      「あと、その食べ物と飲み物もついでに置いていけ!」


目の前に現れたのは、小さな子鬼モンスターだ。

可愛い類だが、抱えているハンマーは体格に不釣り合いで物騒であった。

そして―――


偽勇者「……………」

    「……あむ」


そのまま食事を再開した。


ゴブリン娘「無視するなぁ!!」

偽勇者「うるせぇな……」


ゴブリン娘は、無視されたのが気に入らないのかガォー!とハンマーを掲げて威嚇してきた。

もぐもぐと咀嚼し、飲み込んだ後に少し相手をしてやることした。


偽勇者「あー…… もしかして、魔物の盗賊団か~?」


ゴブリン娘は、ごほん! と咳払いをしてポーズを決める。


ゴブリン娘「いかにも! ボクは盗賊団四天王の一人、ゴブリン!」

クラリス「四天王……!?」

ゴブリン娘「分かったら、はやく金目の物を出しちゃえ~!」

偽勇者「ふーん」


俺は一仕事を終えたかのように、梅干し入りのおにぎりを食べ始める。

この海苔のパリパリが何とも―――


ゴブリン娘「だから、無視すんな!」

偽勇者「無視してないだろ、ちゃんと受け答えはしているんだからな」

    「後、今は食事中だ。 邪魔するな」

ゴブリン娘「もぉ~~!!」


ゴブリン娘は怒ったのか、その場で地団駄を踏む。

あと少し涙目であった。


クラリス「あの、シャニセさん……」

     「盗賊団ですが―――」

偽勇者「そうだな」


俺はおにぎり以外に、巻いてない海苔をパリパリと食べる。


クラリス「四天王ですが……」

偽勇者「らしいな」


喉に詰まらないように、水を飲む。


クラリス「それなら、アジトも知っているはずなのでは……」

偽勇者「分かっている。 しかし、飯が優先だ」

クラリス「はぁ……」


クラリスが何か疲れたような表情をしているが―――どうかしたのか?


ゴブリン娘「も、もうぉ!」

      「どいつもこいつも無視して!」

      「ボクは本気で怒ったぞ!」


ゴブリン娘はハンマーを振り上げ、こちらに駆け出した。


ゴブリン娘「くらえ、大地の怒り~!!」

      「アースクラッシュゴブリンだ~!」


クラリス「シャニセさん、危ない!」

ゴブリン娘「もう、遅い!」


ゴブリン娘は、俺の頭上にハンマーを思いっきり振り下ろしてきた。



俺はハンマーを―――素手が受け止めた。



ゴブリン娘「えっ……」


確かにこの子鬼にしたら怪力だし、並の戦士が受けたらひとたまりもない。

でもな―――


偽勇者「おい、子鬼」

ゴブリン娘「ひゅい!?」

      「な、なんだよ!」


子鬼は、俺からハンマーを離させようと引っ張るがピクリとも動かない。

代わりに俺が掴んでいる部分からメキメキと、耳障りな音が聞こえだす。


偽勇者「俺は食事中だから邪魔するなと言ったよな……?」

ゴブリン娘「と、盗賊がそんなこと―――」

偽勇者「言ったよなっ!!」


一気に力を込めたせいで、ハンマーはグニャグニャに捻じれ潰れてしまった。

子鬼は、この光景が理解出来なかったのか少し呆けた表情をしていたが―――

徐々にその表情は、恐怖に塗り替えられていく。

ハンマーは潰された頭部以外に、まだ小さいのが残っていたが役に立たないと判断したのか。

そのまま得物であるハンマーを捨てて逃げ出した。

しかし、逃げ出した子鬼の腕を偽勇者の手で掴まれてしまった。

子鬼は恐怖に支配されたまま偽勇者の手を振りほどこうとしたが、金属の塊を握り潰す力を振りほどけるわけがなく―――


ゴブリン娘「い、いや……」

偽勇者「……………」


怒った偽勇者の表情を見てしまい、子鬼は等々―――


ゴブリン娘「ひぐっ…… ひぐっ……」

      「わーん、わーん……」


―――泣き出してしまった。

偽勇者も、泣き出すとは思わなかったのか先程の怒りは何処へといったのか慌てている。


偽勇者「お、おい!」

    「泣くことはないだろう!」

ゴブリン娘「ひぐっ…… ごめんなさい…… ごめんなさい……」

      「だから、殺さないで……!」

      「わーん、わーん……!!」

クラリス「……シャニセさん」

偽勇者「な、なんだ……」

    「俺は悪くないだろう……」


クラリスは、偽勇者に非難の目を向けていた。


クラリス「シャニセさん、そこに座ってください」

偽勇者「しかしだな……」

クラリス「いいから、そこに座ってください」

偽勇者「……………」


偽勇者は、罪悪感を感じていたのかすごすごとクラリスに指定された場所に座った。

子鬼も、クラリスの隣に座り「あまあまだんご」を渡されあやされていた。


クラリス「シャニセさん。 アナタの怒る気持ちは分かりますが―――」

     「少し、怒り過ぎではないでしょうか?」

     「―――」


【クラリスのセリフ】

↓2~3ぐらい

もう少しマシなお灸の据え方があったでしょうに…

今のはボーー他の人だったら漏らすくらい恐ろしかったですよ?

>>106 >>107』やね


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<で、1月1日は従兄弟の小僧達にお年玉渡しに行くからお休みや。


PS:昨日ぐらいまで80行を0行まで埋めてから書き込んでたけど、今回から本格的に40行少しぐらい埋めてから書き込むことにするわ―――ええやろ?


大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<……………

大阪|-ω-)<―――【外伝4】→【本編】→【外伝3:続編】や、たぶん変更はあらへん。

大阪|´・ω・)<まぁ、外伝4は短めでやるつもりやけどな……


大阪|・ω・)<ほな、みなはん、おるー?


クラリス「もう少しマシな、お灸の据え方があったでしょうに……」

偽勇者「しかしだな―――」

クラリス「まだ、ボクの話は終えてませんよ」

偽勇者「ぐっ……」


小さな魔物に説教される好い年したおっさんの光景。

子鬼は、しゃくり泣きながらあまあまだんごを食べる。

多少は泣き止んだが、よほど偽勇者の表情が怖かったのかまだ、目の端に涙が溜まっていた。


クラリス「あれはボ―――ごほん! 他の人だったら漏らすくらい恐ろしかったですよ?」

偽勇者「……そんなに怖かったか?」


偽勇者は、ゴブリン娘に視線を移し問う。


ゴブリン娘「嬲り殺されるかと思った……」

偽勇者「……………」


偽勇者は、肩を落とし落ち込んだ。


クラリス「シャニセさんが、全て悪いわけではありませんが―――」

     「―――限度を考えてください」

     「誰でも、金属の塊を握り潰す手で掴まれるのは怖いんですから……」

偽勇者「……まぁ、善処する」

クラリス「はい―――ゴブリン娘さんも、次からはハンマーを他の人に振り下ろしたりしてはダメですよ」

     「世の中には怖い人間だっているんですから」

ゴブリン娘「うん…… ごめんなさい……」


クラリスは、ゴブリン娘の頭をよしよしと撫でる。


クラリス「それで、ゴブリン娘さん」

     「アナタは、魔物の盗賊団みたいですが―――本当ですか?」

ゴブリン娘「うん、本当だよ」

クラリス「それでは、アジトの場所を教えてほしいのですが……」

ゴブリン娘「ダメだよ。 仲間を売る行為なんてしないんだから!」


ゴブリン娘は、立ち上がりえっへん!と胸を張る。

仲間やアジトの情報を売らない姿勢は立派であるが……


クラリス「また、あのおじさんが怒りますよ」

ゴブリン娘「アジトはこっちだよ~」


クラリスの一言で、その態度を急変するのであった。

どうやら、偽勇者はゴブリン娘にトラウマを与えたようだ。

クラリス達は、ゴブリン娘の案内でアジトに進むのであった。

……偽勇者は、手鏡で自分の表情を確認しているが気にする程のことでもないだろう。






ラミア「……四天王の一人、土のゴブリンが捕まったみたいね」

ヴァンパイア「くくく…… 奴は四天王の中でも最弱」

       「奴を捕まえたところで、何の損害もないわ……」

ドラゴン「うがー、その通りだぞ」

     「なんであんな弱いのが四天王の一員なのか、不思議なくらいなのだ」

ラミア「それは…… メンバーが不足していたからでしょ……」

ドラゴン「しかし、アジトに向かって来ている勇者はゴブリンのハンマーを握り潰したみたいだぞ」

ラミア「えっ……」

ヴァンパイア「その情報って本当なの?」

ドラゴン「うがー、本当だぞ」

     「ちゃんと見ていたからな!」

ラミア「じゃあ…… 順番的に次の勇者の相手って―――」


ヴァンパイアとドラゴンの視線はラミアに向けられた。

ラミアの顔は、青白くなり血の気が引いていた。

ヴァンパイアは十字を切り、ドラゴンは哀れみの目を向けていた。


ラミア「……あたし」

    「今日、死ぬかもしれない……」

    「あははっ……」

ヴァンパイア「……………」

ドラゴン「……………」


力なく笑うラミアに、声を賭けることができないヴァンパイアとドラゴン。

ラミアの頬に流れる温かいものは、何を意味していたのだろうか―――






ゴブリン娘の案内でアジトの入り口であるほら穴に辿り着いた偽勇者達。

ほら穴を眺めるクラリスは、へぇーと関心するが―――偽勇者は酒を飲んでいた。


ゴブリン娘「ここがボク達の拠点だよ」

クラリス「凄いですね。 ほら穴と言っても拠点としては十分ですよ」

     「シャニセさんは、どう思いますか?」

偽勇者「ん? まぁ、雨風を防げるし地の利を活かせばある程度の強者にも勝てるな」

    「しかし、この土地では食べ物を育てるのには不向きだな」


偽勇者が、周りを見渡すと山地なのに緑より砂が多いことが分かる。


ゴブリン娘「最初は、食べ物を育てるために自給自足をしようとしたんだけど―――」

クラリス「思うように出来ずに断念したんですか……」

ゴブリン娘「水も少ないし、飲み水を確保するだけでも一苦労なんだよ」

      「育てるための道具を手に入れるにもお金が掛かるし、近くには人間の町しかないし……」


偽勇者「そりゃ、魔物の排斥意識が強いイリアス大陸だからな」

    「道具を手に入れるだけでも、一苦労だ」

クラリス「……苦労したんですね」

ゴブリン娘「……………」


ゴブリン娘は、過去を思い出しているのか顔を伏せた。

伏せられているので表情を伺うことはできないが、苦労したことはわかる。

知識がない者が、自給自足をしようが無意味なのだ。

魔物の排斥が強い地ならば、尚更である。

偽勇者は、クラリスとゴブリン娘に聞こえない程度に溜め息を吐いた。

どうでもいいと感じてはいるが、ここまで深く踏み込んでしまっては後味が悪い。

酒を飲みながら思考を巡らせ、洞窟の中へと歩を進めるのであった。






中は意外に広く、アジトにしては全く人影がないです。

ゴブリン娘さんが、直接案内してくれたので疑いたくはないですが―――


???「ふふっ…… 来たわね。 来てしまったのね」

    「このあたしが相手をしてあげるわ!」

クラリス「……だ、誰ですか!?」


プチラミアが現れた!


プチラミア「あ、あたしが四天王の一人、「水のラミア」よ!」

クラリス「……………」

偽勇者「……………」


四天王の一人、「水のラミア」であるプチラミア。

ラミアらしく、下半身は特徴的な蛇ですが―――

背が低いです。 あ、もちろんボクのが高いですよ。

―――本当ですよ?


偽勇者「……で?」

    「俺達の前に姿を現したということは―――」

プチラミア「ふふっ……」

      「私に巻き付かれ、締め上げられ、苦悶に喘ぐのはあんたなのね?」


プチラミアは、偽勇者に向かって指さすが―――全身をプルプルと震わせていた。

顔色も青白く、これから戦うという姿勢ではなかった。


偽勇者「う~ん……」

    「クラリス…… 代わりに戦えや」

クラリス「……はい、わかりました」


偽勇者は、酒を飲みつつクラリスに代わりを務めるよう指示を出す。

クラリスも、何となく納得したのか不満を言わずにプチラミアと対峙する。

その表情は、疲れていた。


プチラミア「な、なによその顔は!」

      「あんたが、どこの魔物か知らないけど、私に巻き付かれても、そんな顔ができるの!?」

クラリス「いいから、かかってきてください」

     「ボクが相手をしてあげますから……」

プチラミア「きーーっ!!」

      「その言葉、後悔させてあげるわ!」


プチラミアは、尻尾で地面を叩きその衝撃でクラリスに飛びかかる。

身構えるのが遅れたクラリスは、そのままプチラミアに巻き付かれてしまった。


クラリス「いたたっ……!」


身長が同等のためか、多少の苦痛はあるようだ。

苦悶に喘ぐクラリスに気を良くしたのかプチラミアは余裕の表情を浮かべた。


プチラミア「ふふん♪ 私に巻き付かれた感想はどう?」

      「調子に乗るからこんな目に合うのよ……」

クラリス「こんのぉ……」


力ならば勝っているのか、それとも意地なのか巻き付かれた体から両腕を抜き、そのまま―――


クラリス「てりゃ!」

プチラミア「ふれぇ!?」


プチラミアの両頬を抓るのであった。


プチラミア「いひゃい! いひゃい!」

クラリス「あたたっ……!」


両頬を抓られているプチラミアは、涙目でありながら尻尾の力を強めるが―――

元々がそんなに力がないため、いくら力を込めてもこれ以上は強く締め上げることができなかった。

クラリスも巻き付かれている尻尾と尻尾の間から腕を伸ばしている形なので、思うように両頬を左右に伸ばすことができなかった。

この光景を観戦していた偽勇者は―――


偽勇者「まるで子供同士のケンカだな……」


と、呟いていた。


しかし、そんな偽勇者に毒牙が迫っていた。


???「くくく……」

    「隙あり!」


洞窟の天井から、何者かが偽勇者に襲い掛かる―――が……


偽勇者「よいしょ……」

???「うわっ!? や、やめるのだ!」

    「おい、何をする!」


襲い掛かってきた者を、大きな袋で包み込んでしまったのだ。

それに驚いた相手は、逃れようと必死に暴れるが無駄に終わり―――


偽勇者「こらしょ、どっこいしょ……!」

???「だ、出せ!」

    「我は闇の貴族にして、魔の眷属―――」

偽勇者「さあ、悪い子は、どんどんしまっちゃおうねー」

???「もがー!!」


偽勇者にしまわれた魔物は、四天王の一人、「風のヴァンパイア」のヴァンパイアガール。

無数のコウモリに化けようが、マントをばさばささせても出られないでいた。

袋の口を紐できつく縛ると、そのあたりに捨ててクラリスとプチラミアの様子を確認する。

どうやら、決着がついたのか―――

お互いに涙目のクラリスとプチラミアが倒れていた。


偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】


↓2~3ぐらい

おつかれさま四天王?もあと一人だな

…微笑ましいな

>>128>>129』やね

>>128は「お疲れ様。 四天王も、あと一人だな」やね?


大阪|´-ω-)<ほな、ちょい骨休みするわ。

大阪|;・ω・)<寝ないから安心してや!


大阪|-ω-)< .....zzz

ハッ|・ω・)<!

大阪|;-ω-)<ね、寝てへんで……?


偽勇者「……………」

    「……微笑ましいな」

クラリス「微笑ましくないです……!」

     「見てください。 お腹の周りが少し赤くなってますよ」


そういうと、クラリスは服をめくりお腹を見せる。

プチラミアに巻き付かれていたせいで、クラリスのお腹の部分は、ほんのりと赤くなっていた。

しかし、クラリスのお腹は幼児特有のイカ腹をしている。

ロリコンならば、このシチュエーションは喜ばしいことだろう。


プチラミア「いひゃい……」


少しした後に、プチラミアも起き上がる。

プチラミアはプチラミアで、頬が真っ赤であった。


偽勇者「さて、四天王も、あと一人だな」


ゴブリン娘、プチラミア、ヴァンパイアガールを一箇所に集めて確認する。

三角座りをしている、「土のゴブリン」のゴブリン娘。

頬を真っ赤にした、「水のラミア」のプチラミア。

袋詰めにされて本格的に泣き入る、「風のヴァンパイア」のヴァンパイアガール。

つまり―――


クラリス「残りの一人はドラゴンですね」

偽勇者「そうだな……」

    「しかし、こうなるとドラゴンの方も大したことは―――」

???「大したことは―――何だ!?」

偽勇者「……!」

クラリス「……っ!?」


ドラゴンパピーが現れた!


ドラゴンパピー「がおー!」

        「よくも、仲間達をいじめてくれたな!」

        「この四天王最後の一人、「火のドラゴン」のドラゴンパピーが討伐してくれるぞ!」


高い場所から姿を現したのは、四天王最後の一人、ドラゴンパピー。

鋭い爪を向け、がおー!と威嚇していた。

だが―――


偽勇者「いや、いじめてないからな」

    「先に攻撃を仕掛けてきたのは、お前達だからな」

ドラゴンパピー「問答無用! 覚悟しろ、勇者!」

偽勇者「やれやれ……」


偽勇者は、呆れながら構える。

クラリスも参加しようとするが偽勇者に止められた。


偽勇者「クラリスは休んでいろ」

    「後は俺がやるから……」


プチラミア戦で重症を負った身―――これ以上の戦闘は危険と判断したのだ。

しかしクラリスは―――


クラリス「いえ、お腹が赤くなっただけです」

     「全然、重症じゃないですからね!?」

     「まだ、戦え―――」

偽勇者「はいはい、わかったわかった」

    「ほしにくでも、食べてろ……」


そういうと、偽勇者はクラリスの口にほしにくを詰め込んだ。


偽勇者「さて―――それじゃ始めようか」

    「さっさと、かかって…… うん?」


偽勇者は、ドラゴンパピーを挑発するが様子がおかしいことに気付く。

ドラゴンパピーは、何やら二の足を踏んでいたのだ。


ドラゴンパピー「うがぁ…… うがぁ……」

        「降りれないー! 誰か助けてー!」

偽勇者「なら、なんで上ったぁぁ!?」

ドラゴンパピー「うわーん! うわーん!」


ドラゴンパピーは、泣きじゃくりながら、こてん、とその場に座り込んでしまう。

どうやら、作戦でも何でもなくて本当に降りれないようだ。


ドラゴンパピー「うわーん! うわーん!」

偽勇者「ああ、もう!」

    「泣くな! 今、助けてやるから!」


偽勇者は、頭を掻きながら戦意をどこかに放り投げドラゴンパピーを救出するために壁を登る。


ゴブリン娘「ドラゴンパピーは、翼はあるけど空を飛ぶことはできないんだよね」

ヴァンパイアガール「だから、あれほど空を飛ぶ練習をしろと言ったのだ」

プチラミア「その分、力はあるから力仕事は全部ドラゴンパピーにしてもらってるけどね」

クラリス「……もう、何でもいいですよ」


クラリスは、泣きながら偽勇者にしがみつくドラゴンパピーを眺めながら―――

ほしにくを齧っていた。

こうして、イリナ山地に潜む盗賊団は壊滅したのであった。






クラリス「……で、どうするのですか」

偽勇者「どうすると言われてもなぁ……」

ドラゴンパピー「……ぐすっ」


あにさんは、先ほど救出したドラゴンパピーさんを抱っこし優しく背中を撫でてあげてます。

余程、高い場所が怖かったのか―――ぐずぐずと鼻を啜っていました。


偽勇者「取り敢えず、他の団員はいるのか?」

ドラゴンパピー「いないのだ……」

ヴァンパイアガール「全部で四人だけ……」

偽勇者「だろうな……」

    「他に仲間がいれば、助けに来てもおかしくはないからな……」

クラリス「つまり、これで盗賊団全部ってことですか」


壊滅した―――とは少し違うような気がしますが……


クラリス「それで、シャニセさん」

偽勇者「んあ?」

クラリス「この盗賊団の皆さんですが―――」


元々は、イリアスベルクにいたアミラさんの頼み事ですがイリアスベルク近くで暴れていたのも事実。

迷惑もしているし、他の魔物さんにも風評被害がありました―――たぶん。

それに、ルカさんの「人間と魔物が共存する世界」の邪魔にもなります。

しかし、同じ魔物―――生きるのに必死な子供に手を上げたくは……


偽勇者「ああ、それか……」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2~3ぐらいや

臓器売買屋台にでも売ろう。むこうで勝手に始末してくれるだろう。我々が手をくだしたのでなければ問題ない

じゃあ食べちゃおう。俺たちに食べられれば、こいつらは俺たちと一つになれる。万々歳だ


大阪|・ω・)<ふむ……

大阪|-ω-)< >>141>>142も矛盾してるから無効にさせてもらうで……


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


  ∧,,,∧
 ( ・ω・)<よし、やるで―――
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_

  \/     /
     ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧,,,∧
 ( ・ω・)<……………

_( つ ミ  バタンッ
  \ ̄ ̄ ̄\ミ

     ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧,,,∧
 ( ・ω・ )<みなはん、おるー?

_(   )
  \ ̄ ̄ ̄\
     ̄ ̄ ̄ ̄


偽勇者「ああ、それか……」

    「処遇は被害にあった奴らに決めさせるか」

    「逃した所で、また人を襲うか飢え死ぬかだしな」

クラリス「そうですか……」


被害を出したからには、被害者の意見も必要ですが―――

人間の意見なんか碌でもないことばかりだと思います……


偽勇者「取り敢えず、迷惑をかけてしまった人に、ごめんなさいしなきゃな」

ドラゴンパピー「わかったぞ……」


四人は頷いた。


偽勇者「全員、お尻ペンペン100回ぐらいは覚悟しとけ」

    「一人あたり100回としてだが―――」

ゴブリン娘「ひ、一人あたり…… 100回……?」

ヴァンパイアガール「そんなの、いやなのだぁ……」

ドラゴンパピー「……うわーん!」

プチラミア「うぇーん、うぇーん……」

クラリス「泣いちゃダメです」

ヴァンパイアガール「でも……」

クラリス「ちゃんと、町の人間達とは話し合いをします」

     「あまり過激にならない様にしますから安心してください」

ゴブリン娘「本当……?」

クラリス「本当です。 約束しますよ」


クラリスは四人に微笑む。

その優しい笑みに、ゴブリン娘、ヴァンパイアガール、プチラミア、ドラゴンパピーは徐々に泣き止んでいった。

偽勇者は、そんなクラリスの笑みを見て頬を掻いた。


偽勇者「やれやれ……」

    「大きいことを言うと後々大変なことになるのに……」


まぁ、いいか。

クラリスが言いだしたことだ、俺には関係ない。

しかし、必要以上の要求や拷問だと言い出した奴は俺が相手してやるか……

こうして俺達は、四人を引き連れてイリアスベルクに戻ったのだった。





ルカ「ハーピーの側も、事情を説明して男を婿にもらったら良かったのにな……」

アリス「それでも婿が来なかったから、ああいう事になったのだろう」

    「貴様は、ドアホか」

ルカ「……………」


アリスは、壺にたっぷり満たされたハピネス蜜を指ですくって舐めている。

蜜の味に満足しているのか、その表情は嬉しそうだ。


ルカ「確かに、その通りだけど」

アリス「そもそもの原因は、人間側が魔物との婚姻を拒絶するようになったから」

    「それも、あの下らん教えがあるからではないのか?」

    「イリアス五戒のひとつ、「魔と交わるなかれ」―――あの馬鹿げた戒律がな」

ルカ「……そんな事言うなよ、アリス」

   「まるで、イリアス様の教えが悪いみたいじゃないか」


しかし―――その戒律のせいで、魔物との婚姻自体がタブー視されることになったのも事実である。

人間の側が拒絶してしまえば、魔物は無理にでも性交を強制するしかない。

そうしなければ子孫を残せず、滅びてしまうのだから―――


ルカ「もし、おじさんならどうしていただろう……」


イリナ山地に向かったおじさん達のことを思い浮かべ溜め息を吐く。


アリス「また、あの酔っ払いか」

    「あいつならば、容赦なくクィーンハーピーに剣を振り下ろしただろうな」

ルカ「そうなのか……?」

アリス「当然だ。 あいつの見た目は、まるでダメなおっさん略してマダオだが―――」

ルカ「おいおい……」


アリスの容赦ない毒舌が吐き出される。

どうして、アリスはおじさんのことをそんなに嫌うのだろうか。


アリス「兎も角、あいつには十分に用心していろ」

    「何事も過ぎてからでは遅いからな」

ルカ「分かったよ、アリス」

   「でも、余りおじさんの前でそんなことを言ってはダメだよ」

アリス「貴様は本当に分かっているのか」

    「このドアホめ……」

ルカ「……?」


アリスは溜め息を吐き、疲れたような表情をしていた。

僕はその意味が分からず、ただ首を傾げるだけだった―――





―――そして、翌朝。


村長代理「お主達には、本当に世話になったのう」

おばさん「またハピネス村に来なよ、あんた達なら大歓迎さ」

クィーンハーピー「いくら事情があったとはいえ、我々は確かに間違っていました」

         「それを正せたのは、あなたのお陰です」

         「あなたの旅が良きものとなることを、心より願っていますよ」

ルカ「皆さんも、頑張って下さいね!」


おそらく、人と魔物の信頼が試されるのはこれからだ。

しかし僕は、友好関係が維持されることを信じている。


青年「ありがとな、また遊びに来いよ!」

若い女性「どうか、ご達者で……」

ハーピー「えへへ、また遊びに来てね~!」

     「その時は、相手してくれると嬉しいな……♪」


こうして僕達は、ハーピーの里を後にする―――

―――かと思えば、クィーンハーピーに呼び止められた。

その表情は少し不安が見え隠れしていた。


クィーンハーピー「あの…… ひとつ、お尋ねしてよろしいでしょうか?」

         「貴方が、あの時に放った海破斬は―――」

ルカ「えーと…… あの剣技は、おじさんとの特訓で身に付けたんだ」

   「それが何か―――」


クィーンハーピーは、その話を聞くと胸を撫で下ろす。


クィーンハーピー「そ、そうですか…… 余計な心配でしたね」

ルカ「……?」


ともかく僕達は、ハーピーの里を後にしたのだった。






ゴブリン娘「迷惑をかけて、ごめんなさい……」

プチラミア「もうしません……」

ヴァンパイアガール「すみません……」

ドラゴンパピー「ごめんなのだ……」


イリアスベルクの中央広場で、素直に謝る魔物少女達。


住民A「やれやれ、こんな少女達だったとは……」

住民B「今まで何度か見たけど、ただの下っ端だと思ってたよ……」

    「この子達が中心だったんだな」

住民C「誰なんだよ、ボスはおっそろしいドラゴンだなんて言い出した奴は……」

クラリス「そういうわけで、この子達は反省してます……」

     「どうか、許してあげてくれませんか……?」


ボクは、人間達の表情を伺いながら駄目元でお願いをしています。

たぶん、失敗してしまうと思いながらですが……


サザーランドのおかみ「反省してるみたいだし、許してやってもいいんじゃないかい?」

           「この子達も、生きていくために大変だったんだろうしね」

老人「二十年ほど前に切り開いた西の森林も、多くの魔物が住んでいたと聞く」

   「そんな風に魔物達の住処を奪ったのは、我々の方かもしれんな」


道具屋の店主「実際のところ、この盗賊団による被害はそう大きくありません」

       「ドラゴンやヴァンパイアの恐怖に怯えていただけだったようですね」


……驚きです。

もっと酷い罵倒を予想していたのですが―――


サザーランドのおかみ「……まあ、そういうことだね」

           「これからは心を入れ替え、地道に働くんだよ」

ゴブリン娘「ふぁ、ふぁい……」

ヴァンパイアガール「ありがとうございます…… ぐすっ」

武器屋のおやじ「ドラゴンっ娘、火は吐けるのか?」

        「熱いのが吐けるのなら、うちで雇ってやるぞ」

運送ギルドの老人「そこのちっこいの、けっこう力がありそうじゃな」

         「倉庫整理からやってみるか?」


どうやら、町の人間達は魔物少女達を受け入れてくれるようです。

こうして、盗賊騒ぎは円満に収まったようですね。

ところで、あにさんですが―――


偽勇者「……プハァ!」


噴水のところで、お酒を飲んでいました。


クラリス「シャニセさん、そんなところで何をしているのですか?」

偽勇者「何って―――酒を飲んでいる以外に、どう見えるんだ?」

クラリス「どうって……」

偽勇者「心配するな。 こうなることは最初から分かっていた」

クラリス「最初からですか?」

偽勇者「ああ、俺はイリアスベルクでの生活は結構長い方だからな」

    「それに、この世界のことも全部―――」

ルカ「おじさん! クラリス!」

偽勇者「おう、小僧!」

    「どうやらそっちは、片付いたようだな!」


あにさんが、奇妙な言葉を言い終わる前にルカさん達が戻って来ました。

ルカさんは無駄に元気なので、ハピネス村の件は無事終えたようですね。

あにさんは酒瓶をゴミ箱に捨て立ち上がりルカさん達に歩み寄ります。

それにしても、先程の「この世界のことも全部―――」とは何でしょうか?

もしや、この世界の出来事を全て把握していたりするので―――

―――と、ここまで考えて自分の考えに対して鼻で笑いました。

ボクらしくもなく、幼稚すぎる考えをしてしまいました。


クラリス「さて、ボクもルカさん達の元に行きますか」


ボクは、先程のことを忘れルカさん達の元へと歩を進めるのでした。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


アリス「ふむ…… 意外だったな」

    「貴様が子であれ魔物を生かすとはな」

偽勇者「勘違いするんじゃねぇよ……」

    「あいつ等の命に興味が無かっただけだ」


どうやら、あにさんはアリスさん達に魔物の盗賊団の結果を報告しているようです。


アリス「ふん…… 貴様なら何処かに売買ぐらいはすると思っていたが―――」

偽勇者「小娘がその場に居たら、あいつ等は腹の中だったな―――」

アリス「あ?」

偽勇者「ん?」

クラリス「……………」

ルカ「……………」


……この二人は何故、目を合わす度に喧嘩をするのでしょうか。

魔物と人間の共存より、この二人の和平が最大の難関でしょうね……


ルカ「どうやら、盗賊団の件は無事に済んだようだね」

クラリス「はい。 無事に終わりましたが―――」

     「それと同時に骨折り損のくたびれ儲けでした」

ルカ「はははっ……」

   「まぁ、盗賊騒ぎが円満に収まって良かったじゃないか」

クラリス「えぇ、とても良い結果と思います―――本当に……」


人間とは住んでいる場所や環境によっては、その性格を大きく変えるようですね。

悪い人間も居れば良い人間も居る―――しかし、良いからと言って望んだ結果を得られるわけではない。

非常に危うい生き物です……

ボクが思想していると甘い匂いが漂ってきました。

顔を上げるとルカさんが、ハピネス蜜をたっぷり満たした小壺を持っており―――

それをボクに手渡しました。


クラリス「……これは?」

ルカ「ハピネス村のお土産だよ」

   「アリスは大きめの壺を貰っているし、おじさんは甘いのは苦手だし―――」

   「僕が持っていたらアリスが、つまみ食いするしね」

クラリス「ありがとうございます……!」


ルカさんからハピネス蜜を頂きましたが、正直嬉しいです。

ボクのあまあまだんごは、ゴブリン娘さんをあやすのに使ってしまい無くなってしまいました。

もう少しあの甘さを味わいたかったと悔やみましたが―――


ルカ「美味しいかい?」

クラリス「……♪」


ルカさんの問いには、笑顔で答えました♪


クラリス「……はい?」


元盗賊団の一人、「火のドラゴン」のドラゴンパピーさんは、くいくいと僕の腕を引きました。

それに、他の団員のプチラミアさん、ヴァンパイアガールさん、ゴブリン娘さんもいます。


ドラゴンパピー「おじさん達には、とってもお世話になったのだ」

ヴァンパイアガール「酷い目にも遭ったけど―――終わり良ければ全て良し!」

プチラミア「もしあんた達に出会わなければ、また誰かを襲っていたかもしれないし―――」

      「―――イリアスベルクの人達に、ここまで受け入れられなかったかもしれない」

ゴブリン娘「とても怖かったこともあったけど、それも思い出になる!」

      「だから、絶対に忘れないよ!」

ドラゴンパピー「これとこれをあげるのだ!」


ドラゴンパピーさんが差し出したのは、赤く綺麗な宝玉と―――

―――「―――」だった。


【どんなアイテムくれたん?:DQ系 or FF系】

↓2

『銀の竪琴』やな


ドラゴンパピーさんが差し出したのは、赤く綺麗な宝玉と―――

―――「銀の竪琴」だった。

赤い宝玉は、とても美しく、高い価値のありそうなアイテムです。

こちらの銀の竪琴も素材に銀を惜しげもなく使用されており心地好い音色を奏でそうです。


クラリス「これを、ボク達にですか?」

ドラゴンパピー「宝玉は、数ヶ月前、アジトの近くに大富豪の馬車が通り掛かったのだ」

プチラミア「そいつら、私達の姿を見ただけで逃げ出したのよ」

      「その時に放り出された荷物の中に、その宝玉が入っていたの」

ゴブリン娘「銀の竪琴は、元々アジト内に転がっていたんだよ」

      「すっごい綺麗な音色なんだ」

クラリス「そうですか……」

     「いいんですか? そんなのもらってしまっても……?」

ゴブリン娘「いいんだよ~」

ヴァンパイアガール「遠慮なぞするな」

クラリス「そうですか―――ありがとうございます!」


「レッドオーブ」を手に入れた!

「銀の竪琴」を手に入れた!


アリス「むっ…… このようなモノが、こんな所にあるとはな」

    「悪用の危険性がある以上、人間の手には渡し―――」

偽勇者「ほう…… その竪琴があるなんてな」

    「いいかクラリス、その竪琴は許可なく奏でるなよ」

    「面倒な事が起こるからな……」

アリス「貴様は……!」

    「人が話している途中に割り込むな、このドアホが!」

偽勇者「てめぇは人じゃねぇだろ!」

ルカ「もう……!」

   「二人共、喧嘩は止めなよ!」


アリスさん、あにさんは、其々のアイテムを知っているようですが―――

この状態では訊くことが出来ないみたいですね。

まあともかく、これでハピネス村と盗賊団の件も終わりです。

後はエンリカの村ぐらいですね。


クラリス「それでは、ボク達はこの町から離れます」

     「このチャンスを無駄にしてはいけませんよ?」

ゴブリン娘「うんっ!」

プチラミア「おじさんみたいな、怖い人には会いたくないしね!」

ヴァンパイアガール「もう袋詰めは、こりごりだぞ!」

ドラゴンパピー「でも、いつかはおじさんに負けない魔物にもなってみたいぞ!」


アリスさんと乱闘していたあにさんは、鼻を鳴らしそっぽを向いた。


偽勇者「だから勘違いすんな」

    「お前達には興味はない」

    「しかし、まぁ…… その、なんだ……」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2~3ぐらい

人との生活に馴染めることを願っているよ
小僧のためにもな


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|´・ω-)<安価は様子見やね……


大阪|ヽ・ω・)<今回はお休みやで

大阪|ヽ-ω-)<安価は>>176やからね……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


偽勇者「しかし、まぁ…… その、なんだ……」

    「人との生活に馴染めることを願っているよ」

    「小僧のためにもな」

ゴブリン娘「うんっ!」

プチラミア「盗賊団は、今日限りで解散にするね!」

ヴァンパイアガール「もう、悪いことはしないぞ!」

ドラゴンパピー「立派な魔物になって、世の中の役に立つのだ!」

偽勇者「よしっ!」

    「嘘ついたら針千本飲ますからな」


あにさんは、ニカッと笑いゴブリン娘さん達の頭を、わしゃわしゃと撫でます。

気持ち良いのか、あにさんの撫で方が上手いのかゴブリン娘さん達は、もっとと強請ってました。


クラリス「シャニセさん、そろそろ行かないと日が暮れますよ」

     「ほらほら、早く!」

偽勇者「あぁ、分かった分かった―――」

    「分かったから押すなって!」


こうしてボク達は、広場を後にしたのだった。






俺達は、小僧の元へと向かった。

そこには、小娘と小僧が何かを話しているようだが―――


偽勇者「よぉ、待たせたな」

ルカ「あ、そっちは終わったの?」

偽勇者「おう、ちゃんと別れも済ませたし―――」

    「直ぐにでも出発できるぜ!」

    「小僧達も、用事は終わったのか?」

ルカ「勿論!」

   「実に勇者らしいことをしたと実感しているよ」

偽勇者「勇者を実感ねぇ……」


小僧がえっへんと胸を張るが、逆に俺は頭をポリポリと掻く。

勇者とは個々によっては千姿万態だが―――まぁ、ゆっくりと様子を見ていればいいか。


アリス「行くぞ、ルカ」

    「のんびりしていては、いつまで経っても魔王城に到着せんぞ」

ルカ「ああ、そうだね」

偽勇者「やれやれ、お忙しいこった」

クラリス「しかし、事実です」

     「余りのんびりはしてられませんよ」

偽勇者「へいへい……」


こうして俺達は、イリアスベルクの町を後にしたのだった。






偽勇者「次の目的地は―――ん?」


俺の腕を小僧が引く。


ルカ「おじさん、少し寄り道したい場所があるんだけど……」

偽勇者「エンリカっていう隠れ里か」

ルカ「うん。 僕の故郷からそう離れていないのに、名前さえ聞いた事がないからさ」

   「少し興味が湧いちゃって……」

クラリス「それなら、ボクも行きたいです」

     「魔王城までは、長旅になります」

     「だから、ボクもサイズの合ったエンリカの服が欲しいです」

偽勇者「成程、分かった」

    「エンリカに向かおうじゃないか」

    「大きな仕事を終えたんだ。 少しは寄り道をしてもいいだろう」


小僧とクラリスは、仲良くハイタッチをした。

そんなに行きたかったのか?


アリス「……ふむ。 エンリカなる名前は、旅の書にも載っておらん」

    「もしかしたら、思わぬ名産品があるやもしれぬな」

偽勇者「また、食べ物か……」

    「食べ物以外に興味はないのか、お前は……」

アリス「ふん。 食べ物に集中的に興味があってもよかろう」

    「名産品を手に入れても、分けてやらんぞ」

    「貴様とて、酒が目的の癖に……」

偽勇者「さて、何のことやら……」


アリスは、ジト目で偽勇者を見つめる。

偽勇者は、アリスと視線を合わさずに口笛を吹き誤魔化す。

ルカとクラリス以外は、そこそこな欲望のために向かうようだ。


ルカ「とにかく、行ってみるか!」


こうして俺達は、大陸南西の隠れ里エンリカに向かったのだった。






だいたいの場所は、ルカさん達がイリアスベルクの商人から聞いているようです。

ルカさんによると、もうすぐらしいです。


アリス「む……? なかなかに珍しい魔物だな」

ルカ「え……?」


アリスさんは、そう言い残し姿を消しました。

それと同時に、一体の魔物がボク達の前に現れました―――


ダークエルフ(剣士)が現れた!


クラリス「あれは―――」

偽勇者「エルフだな」

    「それも、闇に堕ちたエルフ―――」

    「ダークエルフだ」

クラリス「あれが……」

偽勇者「エルフとは、「森の番人」と言われる種族」

    「基本的に心優しいらしいが、他の生き物と何ら変わらん」

ダークエルフ「ただちに引き返しなさい」

       「この辺りは、人間の近付いていい場所ではないわ……」


ダークエルフさんは剣を抜き、その刃をボク達に向けました。


ルカ「なんで、人間はダメだって言うんだ?」

ダークエルフ「あなた達が人間だからよ」

       「言っても退かないなら―――」

偽勇者「なら―――なんだ?」


あにさんが、ずいっと一歩前に踏み出しました。

その表情は、ニタニタと気持ち悪いものでした……


ダークエルフ「堕としてしまうわ……」

偽勇者「やってみろ」


あにさんは、「鎧の魔剣」を鞘から抜かずに構えました。

……鞘から抜かずにどうするのでしょうか?


ルカ「おじさん!」

偽勇者「分かってるって―――命を取ったりしねぇよ」

    「だから少しの間、頭を下げてろ」

クラリス「それってどうゆう―――うわっ!?」


ルカさんは、ボクを押し倒す形で頭を下げます。

その後、ブォンと凄まじい風切り音が通り過ぎ―――


ダークエルフ(剣士)「きゃっ!?」

ダークエルフ(召喚)「ひゃっ!?」


剣士さんともう一人のダークエルフ―――召喚さんが、気絶していました。


偽勇者「ほい、一丁あがり」

    「ダークエルフサンドって言ったところか?」


剣士さんと召喚さんは、積み重なり触手が絡まっています。

これでは、目を覚ましても直ぐには動けませんね。

しかし―――


クラリス「もう一人ダークエルフさんが潜んでいたなんて……」

     「よくわかりましたね、シャニセさん」

偽勇者「ん? まぁ、森の番人と言われる元エルフなだけあって気配は消せていたが―――」

    「触手の方は、全然隠せていなかったな」

    「まぁ、召喚に長けていても召喚物がペーペーなら意味はない」

アリス「その通りだが―――少しやり過ぎではないか?」

偽勇者「大丈夫だ。 召喚の方は服の裏に大量の分厚い触手を纏っているみたいだからな」

    「大してダメージはない。 気絶したのも頭と頭がぶつかったからだ」

    「魔物ならば、後の生活には響かん」

ルカ「へぇ……」

   「おじさんも、戦い方を色々考えているんだね……」

偽勇者「まぁな」

    「力だけじゃ意味はないってことだ!」

アリス「……似合わん台詞だな」

偽勇者「なんだと?」

クラリス「喧嘩は止めてくださいよ?」

     「他のダークエルフさん達に見つかったら後々面倒なので……」

ルカ「でも、エンリカとやらはどこにあるんだ……?」

   「本当に、この辺なのか……?」


飯+たぶん風呂タイムや!


それから数時間。 いい加減、歩き疲れた頃でした。

森を抜けたところで、小さな村を発見したのです。


ルカ「あれが、エンリカか……!」

クラリス「やっと、辿り着きました……」


汗を拭きつつ、ボク達はその小さな村へと入ったのでした。





ルカ「ここが、エンリカ……?」

クラリス「見たところ―――狭く慎ましやかな村ですね」

偽勇者「だが、どこか奇妙だな」

    「なんて言うか―――そう、静かだ」

    「村特有の活気さが無いし、どこか不思議なんだ」

アリス「……なるほど、そういうことか」

    「あのダークエルフどもの事も含め、全て合点がいったぞ」

クラリス「えっ……」

     「それは一体―――」


村の奥から、一人の女性が歩み出て来ました。

どこか普通とは―――ボクでも微かに分かる程ですが……

雰囲気が違う、不思議な人間でした。


エンリカの女性「あなた達は…… 少なくとも、商人ではないようですね」

ルカ「は、はい……」

   「イリアスベルクの商人から、この場所を聞いて……」

エンリカの女性「……お引き返し下さい」

        「必要な物を搬入してくれる行商人以外、この村には足を踏み込ませないしきたりなのです」

偽勇者「つまり関係ない者は直ぐに立ち去れってことか?」

    「冷たい村だな……」

エンリカの女性「お気を悪くされたでしょうが……」

        「我々は、ずっとそうして暮らしてきたのです」

        「あなたが良識ある旅人ならば、どうか我々をそっとしておいて下さい」

ルカ「……分かりました、迷惑をお掛けしました」


ルカさんは頭を下げ、その場から去ろうとした時でした。

女性の視線が、ルカさんが身に付けている指輪へと向けられたのです。

エンリカの女性「その指輪は……!」

        「もしかして、あなたは…… ルカ!?」

ルカ「え……? そうですけど……」

エンリカの女性「やはり、ルカなのですね……」

        「あの子が、こんなに大きくなって……」

ルカ「あの…… 僕を知っているんですか?」

エンリカの女性「……ええ。 私の名は、ミカエラと申します」

        「あなたの母上のことも父上のことも、よく知っているのですが―――」


ミカエラと名乗った女性は、そこで言い淀みました。

その目に、深い決意の色が浮かんでいるのが見て取れます。


ミカエラ「……しかし今は、どうかお引き返し下さい」

     「もし時が来れば…… お話することもあるでしょう」

ルカ「……分かりました」

   「じゃあ、また来ることがあれば……」

ミカエラ「ええ…… ご武運のあらんことを、ルカ」


残念ですが、これ以上はお話をすることは無さそうです。

隠れ里エンリカを後にしようとした矢先―――


偽勇者「小僧との話は終わったようだな」

    「なら、次はこっちの用件を聞いてもらおうか?」


あにさんが、ルカさんの前に躍り出ました。

ミカエラさんは、ルカさんに見せていた微笑みが消え―――

―――無関心な表情に変わりました。


風呂、行ってくるわ
           皆はんも風呂入りや~
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ν ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          __,,,,,,___
        (⌒ヽ:::::::::::'''''-,,
      <´・\  ::::::::::::::::::ヽ
       l 3 ハ::::::::::::::::::::::ヽ,
   ∫  .<、・_ (         )
   旦 (⌒ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒)


ミカエラ「あなたは……?」

偽勇者「俺はシャニセ・ユウ! それ以上でも以下でもないただの人間さ」

    「それで、無理は承知なんだが―――」

    「こいつのサイズに合う服を売ってくれないか?」

クラリス「えっ……」


ボクはあにさんに、指さされ少しびっくりしました。

確かに、ボクのサイズに合ったエンリカの服が欲しいと言いましたが、排斥的な村にそんな頼み事が―――


ミカエラ「……分かりました」

     「少し待っていて下さい」


ミカエラさんはそう言い残すと、村の奥へと歩み戻りました。


クラリス「……これは一体?」

     「シャニセさんは、あの女性の方とお知り合いだったのですか?」

偽勇者「いんや、初対面だ」

クラリス「初対面ならば、排斥的な村に住む方が、あれ程あっさりと―――」


ボクがあにさんと話していると、ミカエラさんが一着の服を持って来てくれました。


ミカエラ「この服ならば、その子のサイズと合う筈です」

     「お代はいりませんので―――」

偽勇者「引き返せだろ?」

    「こっちも目的物を手に入れたからには、長居はしないさ」

    「ほら、クラリス」

クラリス「あっ…… はい、ありがとうございます」


ボクはミカエラさんから、エンリカの服を受け取ります。

その服は―――


【その服はどんなタイプなん?】

○ワンピース系

○法被系

○胴着系

○その他(オシャレ程度で済ませてや)

↓2


大阪|´・ω・)<画像検索してみたけど、ボツやなこれ……

大阪|´-ω-)<再安価や

↓1

レオタード系


大阪|´・ω・)(レオタード系なら、ドラクエにもあるし全身タイツよりマシやな)

大阪|´-ω-)(よし、これにしよか)

大阪|・ω・)<>>205やね

『レオタード系で確定したんは、DQにあるからや。 全身タイツはどうしてもストレッチマンに思えるからや』
『あとDQにもタイツ系装備はあるみたいやけど、ワイは1~8+ジョーカー1までしか知らん』


その服は、ルカさんの地味なタイプではなくレオタード系でした。

お店で売られていたのとは違い、少しオシャレ―――かな?


偽勇者「それじゃ、邪魔したな」

クラリス「ま、待ってください!」


こうしてボクは、隠れ里エンリカを後にし、あにさん達の後を追い掛けました。

服は後々で、着替えましょう―――


ミカエラ「……………」

     「戦鬼を、この隠れ里で見ることになろうとは―――」

     「ルカに悪影響が無ければよいのですが……」






ルカ「……不思議な村だったな」

アリス「どういう事だ……?」

    「あの村は、いったい……」

クラリス「どうしたんですか、アリスさん?」

     「村に入った時に、何か納得したんじゃなかったのですか?」

アリス「いったん納得したが、腑に落ちん点がまだまだあるのだ」

    「隠れ里エンリカとは、てっきりエルフの隠れ里かと思ったが―――」

ルカ「おいおい、あの村の人達はみんなエルフだなんていう気か……?」

アリス「いったんはそう思ったのだが……」

    「あのミカエラとかいう女、間違いなく―――」


アリスさんはぶつぶつ言っていましたが、諦めたように溜め息を吐きました。


アリス「まあ何にしても、あの村では御馳走も期待できんだろう」

    「結局は無駄足だったな」

偽勇者「無駄足では無かろう」

    「クラリスの新しい服が手に入ったからな!」

    「クァーーーハッハッハッ!」


あにさんは豪快に笑っています。

ボクも、新しい服が手に入って嬉しいですが少しだけです。

少しだけなので、嬉しいという感情を表には決して出したりは―――


ルカ「クラリスも、尻尾をピコピコ揺らして嬉しそうだね」

クラリス「せいっ!」

ルカ「痛っ!?」

アリス「……ドアホめが」

    「気付いておらぬ振りをしていればいいものを……」


と、とにかく! この一件はここまでです。

気になる村でしたが、特にやるべきことはありませんでした。

次の目的地―――


クラリス「イリアスポートに向かいましょう」

ルカ「港町イリアスポートからは、セントラ大陸に向かう船が出ているはず」

   「いよいよ、このイリアス大陸から出る時が来たんだね!」

偽勇者「それじゃ、イリアスポートに向かうか」

アリス「ふむ…… 港町ならば、色々と各地の名産も集まっているだろうな」

偽勇者「ならば、各種の酒も飲めるってことか……」


……やれやれ、相変わらずあにさんやアリスさんは、お酒や食べ物のことですか。

懐が極寒にならないように気を付けていただけると有難いのですがね……


アリス「ふむ、ワクワクしてきたな。 さぁ、行くぞ!」

偽勇者「おう!」

ルカ「はいはい……」


こうしてボク達は、イリアスポートに向かって北上する事になりました。






イリアス大陸にはイリアス様のご加護が満ちているらしく、魔物はそう多くはない。

しかしイリアス神殿から離れ、北に向かうと出現する魔物も強力になっていく。

まぁ、強力な魔物を探す手間が省けるからいいがな―――


ヒル娘「……旅人?」

    「洗礼を受けていないのね…… 美味し―――」


―――――『疾風突き』―――――


偽勇者「先手必勝! 疾風突き!」


あにさんは疾風のごとく動きで、ヒル娘さんを魔剣でぶん殴りました。


ヒル娘「きゅ~……」


ぶん殴られたヒル娘さんは、バキッ!という鈍い音と共に倒れ気絶してしまいました。


アリス「やれやれ、片付いたようだが―――」

    「魔剣で、ぶん殴るのはどうにかならんのか?」


俺が魔剣で素振りをしていると、小娘が俺の側に立っていた。


偽勇者「ふん…… 魔剣の刃で斬り裂くよりはマシだろうが……」

アリス「この、酔っ払いめが!」

    「元々はルカを鍛えるために貴様は同行しているのだろう」

    「先に貴様が倒してしまっては、何の意味もないではないか」

偽勇者「ぐっ……!」

    「そういう小娘も、ルカが戦っている間どうしているんだ……?」

アリス「ん……? 辺りをうろついてみたり、おやつを食べたり、虫を捕まえてみたり…… 色々だな」

偽勇者「この暇人めが!」

    「己も遊ばず、戦闘のアドバイス等したらどうなんだ」

アリス「だが断る」

    「余はちゃんと、夕食後の数時間、稽古をつけているのだからな」


今回は喧嘩ではなく言い争いのようです。

あにさんとアリスさんにしては珍しい展開ですね。


クラリス「ルカさんは、そんなアリスさんとシャニセさんをどう思いますか?」

ルカ「……ごめん」

   「訊かないで……」


どうやら、凄く疲れているようですね。

ルカさんの胃に穴が開くのは近そうです……


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


―――[ステータス:外伝]

名 前:偽勇者(シャニセ・ユウ)    称 号:勇者(未洗礼者)
種 族:人間                性 別:男
HP:9999/9999

MP:0/0
攻撃力:360/360                E:鎧の魔剣
守備力:370/370               -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
素早さ:‐‐‐/‐‐‐                E:バンダナ
賢さ:‐‐‐/‐‐‐                 E:シャツ
白い才能:あらゆる【体技】を得る     E:Gパン
赤い才能:あらゆる【斬撃】を得る     -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
自動HP回復:HPが自動で回復する    E:ブーツ
まおうのたて:不利な状態変化を無効  -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

-:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐                 -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
-:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐                 E:源氏の盾
-:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐                 -:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――


―――[持ち物:武具]
☆【鎧の魔剣】
【ウラミ】から贈られた武具。
妖魔界の名工【ロン・ベルク】の代表作とも言え、武器に鎧の機能を一体化させている。
『鎧化(アムド)』の声に反応し鞘の部分が鎧に変わるのが最大の特徴。
『【雷系】以外の攻撃呪文が効かない、【とある金属】の次に堅い金属』で出来ていて攻守共非常に優れる。

☆【バンダナ】
ただのバンダナ。
ボロい。

☆【シャツ】
ただのシャツ。
ちゃんと洗濯している。

☆【Gパン】
ただのGパン。
結構、丈夫。

☆【ブーツ】
ただのブーツ
靴底がかなりスリ減っている。

☆【源氏の盾】
異国の盾をデザインとしたアクセサリー。
常時バリア・マバリア/全属性吸収/無効:全状態異常の効果を持つ。

―――[持ち物:その他]
◆【名所不明の薬】
薬壺に入った半透明な液、主に刷毛で『体全体』に塗る。
病を除いたあらゆる傷、あらゆる疲労も癒す万能な薬。
しかし、体の隅々まで塗らないと効果がないため非常に面倒なのが玉に瑕。

◆【酒】
ただの酒。
安酒である。


―――[ステータス:外伝]
名 前:クラリス      称 号:なし

種 族:竜人族       性 別:女
HP:105/105        攻撃力:56/56
SP:3/3           防御力:53/53
―――[装備品]

☆:エンリカのレオタード ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――


―――[持ち物:武具]
☆【エンリカのレオタード】
隠れ里エンリカで織られたというレオタード。
非常に薄く動きやすいが、防御力は高い。

―――[持ち物:その他]
◆【銀の竪琴】
魔物の盗賊団からもらった竪琴。
殺傷能力は0だが、その奏でられた音色は魔物を呼び寄せる。

◆【レッドオーブ】
盗賊退治の時にもらった、綺麗な宝玉。
使い道は分からないが、何か魔力が込められているらしい。


大阪|-ω-)<ちと、PCがアホみたいに重いから様子見させてもらうわ。

大阪|・ω・)<できたらやるわ。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






そして、その夜の野営―――


ルカ「こうして勇者ハインリヒは魔王を打ち倒し、世界に平和が訪れたんだよ……」

   「……めでたしめでたし」


ルカさんは、人間の間のみで流行ったお話。

『伝説の勇者ハインリヒの物語』を話しています。

しかし、魔物であるボクやアリスさんには―――


アリス「……どこがめでたいのだ、ドアホめ」

クラリス「アリスさんに同感です」


ボクはサラダを、シャリシャリと食べながら不服を述べます。

そのようなお話を好むのは、人間のみです。


ルカ「酷いな……」

   「面白い話をしろって言われたから話したのに……」

アリス「余達は魔族だぞ」

    「魔族に対して、昔の魔王が退治された話を嬉しげに語る馬鹿がいるか」

クラリス「そうですよ、人間の王様が魔物に殺されたお話を聞かされて、ルカさんは笑えるのですか?」

ルカ「あ…… 確かに、そうだね……」


ルカさんは、人間と魔物の共存を望んでいるとしても―――

まだまだ、お子様ってことですね……

あにさんは、あにさんで、またお酒をゴクゴク飲んでいますし―――お話の一つぐらいは知らないのでしょうか?


ルカ「確かに、いくら昔の話とは言え、魔族のアリスやクラリスには愉快な話じゃなかったね」

   「ごめん……」

アリス「……まぁ、ハインリヒに倒された当時の魔王は、決して褒められるべき者ではなかったがな」

    「支配欲のままに力を振るい、多大なる破壊と混乱をもたらした―――」

    「人間の勇者に倒されたとて、自業自得かもしれん」


アリスさんは、意外な感想を口にしました。

ボクが、まだ産まれていない時代なので詳しくは知りませんが、当時の魔王はそんなに悪い魔王だったのですか?


偽勇者「自業自得か…… 小娘にしては同族に対して辛辣ではないか?」

アリス「力で他者を支配しようとするなど、野蛮な行為だろうが」

    「蛮行には報いがある、当然の話だ」

偽勇者「蛮行には報いがある―――か……」

    「しかし、報いは蛮行以外に、善行にも降りかかるのを知っているか?」

アリス「なんだと……?」

    「それはどういうことだ」

偽勇者「はははっ……」

    「言葉通りだ、善きことを行っていたとしても―――必ず報われるとは限らない」

    「その行為を疎ましく感じ取り―――除去される」

    「救われない話さ……」


あにさんは、お酒で酔っているせいなのか顔はヘラヘラしていますが―――何か哀しそうです。


偽勇者「ところで今の魔王は、どうなんだ?」

    「俺のことより、そこが大事だぞ!」


ピーナッツをポリポリと食べながら体を起こし、酒臭い息を吐き出す。

顔を歪めたアリスは、偽勇者をひと睨みするが効果は無かった。


ルカ「やっぱり、人間との全面戦争を宣言したんだから…… 悪党なのかなぁ」

   「クラリスはどう思う?」

クラリス「ボクですか?」


クラリスは、ルカに突然指名されるが落ち着いた雰囲気で返答する。


クラリス「分かりません」

     「ボクは魔王様ではないので、魔王様の気持ちを理解することが出来ませんので」

ルカ「そうか……」

   「まぁ、クラリスが魔王に会っていたら会っていたで驚きだったけどね」


……ルカさんは、暖気な発言をしてますが魔王様には既に会っていますよ。

あくまで、勘ですが―――


ルカ「こちらの話を聞いてくれる相手なら、対話も通じるだろうけど―――」

   「やっぱり、そこまでは甘いかな?」

   「「レミナの虐殺」も、その魔王の指示なんだろうし……」

   「アリスはどう思う?」

アリス「……さあな」


アリスさんは、不思議な表情で夜空を見上げた。


アリス「ただ…… 魔王は、迷っているのだ」

    「人間が滅ぼすべき存在なのかどうか―――」

ルカ「アリス…… 魔王を知っているのか!?」

   「まさか、見たことがあるとか……?」

アリス「ああ…… 魔王なら知っているぞ」

    「案外、貴様の近くにいるのかもな……」

ルカ「僕が……? そんなわけないだろ、僕は田舎育ちだよ」

   「……もしかして、クラリスが魔王―――」

クラリス「ていっ!」

ルカ「痛っ!?」


クラリスは立ち上がるとルカにお尻を向け、器用に尻尾を操り頭を叩いた。

その一撃は意外にも強く、ルカに大ダメージを与えた。


アリス「やれやれ、貴様は本当に鈍いドアホだな」

    「さて、それはともかく―――」


溜め息を吐いたアリスさんは、不意に腰を上げました。


アリス「さて、剣の稽古を―――」

偽勇者「俺の特訓をやろうか」


偽勇者はアリスを押しやりつつ、口を挟む。


アリス「またか貴様!」

偽勇者「ふん! 今回は俺が特訓を行う!」

    「そろそろ、俺がいなくてもやっていけるように基礎体力を上げんと駄目だからな」

アリス「はんっ! 今は基礎体力より技の向上が優先だ」

    「どれだけ力があろうが、技がヘナヘナでは話にもならん」

偽勇者「力だ」

アリス「技だ」


偽勇者とアリスは、お互いを睨み合い呻り合うと―――ジャンケンを始めた。


偽勇者「ジャンケン―――」

アリス「―――ポン!」

    「あいこで―――」

偽勇者「―――しょ!」


ボクは水を飲みながら、その勝負を眺めます。

世界は広いけど、ここまでしょうもない勝負は然う然うないでしょう。

勝った方の鍛錬を行うルカさんは、只々に困った表情をするだけでした。






アリス「そうだ…… 上半身を安定させろ」

    「踏み込みは深く、体の上下動は控えるのだ―――」


勝負の結果は―――見ての通りアリスさんでした。

アリスさんは、ルカさんに本当の突きを教えるために厳しく教えています。

「本当の突き」と豪語しただけあってルカさんの動きが、ヘロヘロからシュバッ!っと駿足で踏み込み、素早く突きを繰り出しました。

たった数時間だけで、ここまで成長するとは―――ルカさんも中々に侮れません。


アリス「ふむ…… 一応、形は覚えたようだな」

    「後は実戦でモノにするがいい」

ルカ「あ、ありがとう…… 凄い技だよ、これ」

アリス「疾風の魔剣を使いこなしたという「血塗れのフェルナンデス」が得意とした、血裂雷鳴突き」

    「この技によって大地に撒かれた敵達の血は、大きな湖となるほどだったとか」

ルカ「すごく胡散臭くて、血生臭い技だな……」


「雷鳴突き」を習得した!


アリス「この技は、まさに雷鳴のような突き」

    「最も効果を発揮するのは、戦闘における初手だ」

クラリス「つまり初手に用いれば、凄まじい威力を発揮するのですね?」

アリス「そうだが、それ以降は相手も身構えるだろうがな……」

    「そうなれば、斬るよりはダメージを与えることができるが、大して期待はできん」

ルカ「なるほど…… 分かったよ、アリス」

アリス「では、今日の稽古は終わるとしよう」

    「明日に備えて、とっとと寝るぞ」


こうして、ルカさんの本日の特訓は終わりました。

ルカさんの満足した表情は、良い夢を見ることを約束するでしょう。

……あにさんは、アリスさんに負けて直ぐに、ふて寝をしました―――





ルカ「イ、イリアス様……!?」


俺が硬くなった体を解していると、小僧が目を覚ました。

器用に飛び起き小動物のように、周囲をきょろきょろと見回していた。


アリス「相変わらず、貴様は朝から騒々しいな……」

ルカ「ああ、イリアス様」

   「啓示を与えて下さって、ありがとうございます……!」

アリス「起き抜けに祈るな」

    「ジジ臭すぎるぞ、お前は……」

ルカ「イリアス様に感謝の念を捧げるのに、老いも若いも関係ないだろ」

   「さあ、アリス達も一緒にどうだい?」

アリス「さわやかに祈りに誘うな!」

    「だいたい、余は魔族だぞ! 神に祈るか!」


朝から騒々しい二人だ。

起きてすることは、硬くなった体を解すための体操だろう。

クラリスを見習え、クラリスを―――

その場で丸くなり二度寝をするこの姿勢は、絶好の叱るタイミングではないか―――って……


偽勇者「起きんか、クラリス!」

クラリス「きゃん!?」


冷たくなった掌を、クラリスのレオタードの中に入れ強制的に目覚めさせる。

こうして俺達は、再びイリアスポートへの旅路を進め―――


偽勇者「いや、すまん」

    「悪かったから許せ、クラリス」

クラリス「エッチスケッチワンタッチ!」

     「エッチスケッチワンタッチ!!」


紅潮したクラリスが偽勇者に吠える。

いつもの落ち着いた彼女らしくなく、羞恥心を強く刺激されたのか涙目で偽勇者を、ぽこぽこと叩く。


クラリス「―――」


【クラリスのセリフ】

↓2

うぅ………ひどいですよ

>>233』やね

クラリス「うぅ…… ひどいですよ」

偽勇者「あぁ、うん」

    「少しやり過ぎた。 近いうちに、埋め合わせするから―――な!」

クラリス「絶対ですよっ!」

     「約束を破ったら、ひどいですからね!」

偽勇者「絶対だ、約束する」


偽勇者は、自分の小指とクラリスの小指を絡める。

この行為にクラリスは首を傾げた。


クラリス「これは……?」

偽勇者「これは、「ゆびきり」と言ってな―――とある国で約束の厳守を誓う……」

    「ちょっとした"まじない"だな」

クラリス「はぁ……」

偽勇者「それじゃ、俺の後に続いて復唱してみ」

クラリス「復唱ですね、分かりました」


クラリスと偽勇者は、お互いの小指を絡めた状態で上下に振りながら歌った。


~~ ゆびきりげんまん ウソついたら

   はりせんぼん の~ます ゆびきった! ~~


歌が終わると、クラリスの小指と偽勇者の小指は放れ自由になる。


偽勇者「これで、よし!」

クラリス「……本当に約束は守られるので?」

偽勇者「おう、絶対に守るさ―――絶対にな……」

クラリス「……………」

     「何か、誤魔化されたような気がしますが」

     「まぁ、いいでしょう」

ルカ「おーい、何してるんだよ!」

   「早くしないと置いて行っちゃうよ?」

クラリス「ま、待って下さい!」

     「直ぐに行きますから!」

偽勇者「……やれやれ」


こうして俺達は、本当にイリアスポートへの旅路を進めたのであった。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






偽勇者「つまらん」

ルカ「どうしたの、おじさん」

   「お酒でも無くなった?」

偽勇者「何でもない……」

ルカ「変なおじさんだな……」


俺達は、イリアスポート道中にある森の中を進んでいた。

当然、森の中にも魔物は出現し戦うことになるが、小娘や俺の鍛錬を受けている小僧に勝てるわけがなく全て封印されている。

しかし、魔物を封印する時に用いられている技が―――

「雷鳴突き」と小娘の稽古で習得した技なのだ。

他に「魔剣・首刈り」などがあるが、初手で威力が上がる技なだけに使用回数が最も多いのだ。

俺が特訓で教えた「大地斬」や「海破斬」は、まだまだ未熟な癖に……


クラリス「シャニセさん、暖かい場所では酔いが速く回るので、お酒は控えて下さいよ」

偽勇者「……ヘイヘイ」


クラリスは暑いのか微かに汗をかいていた。

レオタードに汗が染みているせいか、身体のラインが少しばかり見えていた。

まあ、見えていても所詮はイカ腹―――興味は薄い……


ルカ「ふぅ…… 今日も快調!」

偽勇者「……………」


小僧は、またも魔物を「雷鳴突き」で倒したようだ。

本当に―――つまらん……


クラリス「この林を真っ直ぐに抜けると、イリアスポートみたいですよ!」


クラリスが地図で方角を調べながら答える。

朝から昼まで北上に進み続けて数時間―――ようやくイリアスポートに到着するようだ。


偽勇者「これでやっと酒が飲める……!」

アリス「また酒か―――酒以外に摂取するモノはないのか?」

偽勇者「あるが、何よりも先に酒が飲みたい」

    「イリアス大陸の酒以外の酒がな」


小娘は呆れて、溜め息を吐いた。

しかし、流石に他種の酒も恋しくなる。 イリアス大陸の酒は不味くはないが―――

どれも似たり寄ったりの味なのだ。


ルカ「よし、行くぞみんな!」

   「ここを抜ければ、活気に満ちた港町だ!」

アリス「海の幸や各地の特産品が余を待っている」

    「楽しみだな、くくく……」

偽勇者「てめぇも、俺と同じ理由じゃねぇか……!」


だが、酒ばかりでは胃がタプタプしてしまうから食べ物を喰うことには賛成だ。

旨いつまみが売っていればいいのだがな―――






そして、イリアスポートに到着したのだが―――


アリス「港町という割には、ずいぶんと活気がないな」

クラリス「お店も何だか随分と少ないですしね」

ルカ「そうだね。 何かあったのかな……?」


……あぁ、忘れていた。

今のイリアスポートは、とある魔物のせいで活気が無く寂れてしまっていたのだ。

これでは、旨いつまみや他種の酒を期待することが出来ないじゃないか。

小僧が唯一営業していた出店のウラミに尋ねていた―――ん?


ルカ「あの…… 何かあったんですか?」

   「この町、やけに寂れているようですけど……」

ウラミ「そりゃ寂れもするネ」

    「昨年ぐらいに、セントラ大陸との往復便が止まってしまったからネ」

ルカ「ええっ……!?」

クラリス「セントラ大陸への船が出ていないなんて―――」

     「何かあったのですか?」

ウラミ「ひどい嵐が原因カナ」

    「調べ―――聞いた話では、沖を出た船は激しい嵐に襲われるヨ」


クラリス「嵐ですか……?」

     「しかし、沖に出た船が必ず襲われるわけじゃないでしょ?」

ウラミ「いやいや、確実に襲われているんだヨ」

    「どんなに晴れてても、どんなに頑丈な船でも―――最後には嵐に襲われお陀仏サヨナラ!」

ルカ「……それは、ただの自然現象とは思えないですね」

ウラミ「私もそう思ウ」

    「これだけの事ができるのは、たぶん四天王ぐらいダヨ」

アリス「……ふむ。 ああ、そうか」

ルカ「……何か知ってるのか、アリス?」

アリス「ん…… まあ、ちょっとな」


小娘の様子に、小僧が目を丸くする。


アリス「あまり多くは話せぬが……」

    「ある強力な妖魔が、船での横断を邪魔しているのだ」

    「イリアス大陸とセントラ大陸を遮断し、冒険者をイリアス神殿に向かわせない事が目的だな」

ルカ「ある強力な妖魔、それが四天王だな」

   「つまり、そいつを倒せば―――」

偽勇者「そこまでだ、小僧」

    「少し調子に乗り過ぎだ」

    「相手が四天王―――しかも嵐を起こし船の上で戦うことになる」

    「小僧が漁師の子ならば、バランスを保つことなんて朝飯前だが―――」

    「慣れていないなら、これ以上に不利な場所はない」


小僧は不満な顔をするが仕方ないことだ。

冷たい言葉だが、優先することは鍛錬を行うことだ―――後は、勝手に進むだろ……


クラリス「しかし、これでは各地の名産品―――」

     「お買い物が楽しめないじゃないですか」

偽勇者「買い物って―――どんな物を買うんだよ?」

クラリス「それは勿論、旅に必要な物と保存がきくなどです!」


クラリスが、えっへんと胸を張るが、それじゃ他の町としていることは変わらんではないか。

もう少し女の子らしくアクセサリーやスイーツ巡りでもしたらどうだ?


ルカ「いや、そんな事よりも―――」

   「このイリアス大陸から出ることを考えないと……」

   「目標はあくまで魔王退治。 こんなところで足止めを食らうわけにはいかないよ」


小僧は頭を抱え、知恵を絞る。

こんな状況でヘタに知恵を絞るより―――果報は寝て待った方がいいだろう。


ウラミ「手ならあるアルヨ」


ほらな……


ルカ「えっ……」

   「セントラ大陸に渡れる船でもあるのですか?」

ウラミ「いやいや、そんな奇跡な船なんて存在してないネ」

    「でも、不思議な秘宝は存在してるヨロシ」

クラリス「不思議な秘宝……?」


小僧とクラリスは首を傾げるが、ウラミは気にせず話を続けた。


ウラミ「この町を出て少し東に行ったところに、とある洞窟があるネ」

    「そこには、伝説の女海賊キャプテン・セレーネが残した財宝や秘宝が眠っていると言われているヨ」

ルカ「あのキャプテン・セレーネが……?」

クラリス「知ってます、世界の海を股に掛けた伝説の大海賊ですね」

ウラミ「その秘宝の中に、「海神の鈴」と呼ばれるアイテムがある噂だヨ」

    「この鈴があれば、どれだけ海が荒れ狂っても船は沈まない―――不思議ダネ」

ルカ「そうか、その噂が本当なら―――」

ウラミ「……うまい話には何かある」

    「その洞窟に向かうなら命、捨てる覚悟するヨロシ」

    「洞窟は魔物の巣窟、罠はたっぷりお出迎え―――どれも楽には越えられないアル」

    「多くの冒険者がキャプテン・セレーネの秘宝に囚われ求め潜ったのはいいけど」

    「一体、どっちに奪われたカナ?」


ルカ「……………」

クラリス「海は渡れない、洞窟は危険―――どうします?」

ルカ「海を泳いで渡るわけにもいかないし、洞窟に向かうしかないよ」

ウラミ「まあ、どうするかはお客さん次第だから、これ以上は何も言わないネ」

    「それより、精力の増強は間違いなし! 美味しい乾物、「馬のチンチン」は買わないか?」

ルカ「い、いらないよっ!」

ウラミ「そカ……」


ウラミは商品をまとめ、その場から去る。

多分、そこらの建物の中にいると思うが―――あいつとの話はモノを入手してからだな……


アリス「海賊の秘宝か……」

    「その中に美味いものはなさそうだし、あっても腐ってそうだな」

ルカ「食べ物の話はどうでもいいよ」

   「とにかく、その洞窟に行ってみよう」

クラリス「罠もあるみたいですから、薬草なども購入しますか」

偽勇者「……………」


ウラミのことも気になるが、俺に取っての問題はそこじゃない。

問題は、あの狐からどうやって入手するかだ……

俺は、酒を飲もうと鞄から酒瓶を取り出すが―――空だった。

舌打ちをし、頭を掻きながら町で情報収集という名の酒を購入するのであった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






ルカ「意外に、距離があったんだな」

   「こんな事だったら、イリアスポートで一泊すれば良かったよ……」

クラリス「過ぎた事を悔やんでも仕方ありません」

     「元々、秘宝の洞窟に行く予定なんて無かったのですから……」


ボクは落ち込んでいるルカさんに優しい言葉を投げかけます。

秘宝の洞窟までの道のりは短くなく、数時間ほどで着くと思えば―――

途中で野営するハメになってしまいました。

こうなるならば、町の方々に秘宝の洞窟までの道のりも、しっかりと訊いておくべきでした。


偽勇者「クァーーーハッハッハッ!」

    「まぁ、今回の失敗を繰り返さない様に考えればいいじゃねぇか」

    「さぁ、剣を取れ! 今夜は俺が特訓してやるぞ!」

ルカ「うん、お願いするよ!」


今夜のジャンケン勝負は、あにさんが勝ったようで、とても張り切ってます。

そして就寝までの数時間、あにさんを相手に修行に励むルカさんなのです―――


アリス「……ふん」

    「余の稽古の方が何倍も為になるのに……」

クラリス「アリスさん、焼き芋食べます?」

アリス「食べる……」


ルカさんと、あにさんの特訓に焼きもちを妬くアリスさん―――

尻尾の先で地面を穿り返している姿は、ボクでも「可愛いな……」と思ってしまいますが……

周りを穴だらけにされると、後片付けが面倒なので食べ物で釣ります。

あにさんが言った通り、アリスさんは食べ物に弱いですが、食糧に大ダメージ不可避ですよこれは―――





ルカ「はぁ、はぁ、はぁ……」

偽勇者「どうした、小僧?」

    「もう、ヘバったのか?」

    「腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回を5セットしただけだろう」

ルカ「……もう、限界」

   「体力も気力もすっからかんだよ……」

偽勇者「はぁ…… しゃぁねぇなぁ……」

    「無理にさせても逆効果だし―――本日はここまでだ!」


どうやら、あにさんの特訓は終わったようです。

あにさんの特訓は一般的レベルの筋力鍛錬ですが、これを重りを身に付けて5セット行うのは大変でしょう。

魔物との戦闘で、一般レベルを超えているルカさんは、もうヘトヘトです。

あにさんは、ルカさんに水筒を手渡し―――近くの木に背を預けて、お酒を飲み始めました。


アリス「やれやれ…… 貴様の筋力鍛錬は無駄な動きが多すぎるな」

    「その無駄を無くさなければ、必要以上の体力を使うぞ」

ルカ「そんな事言われても、5セットって大変なんだよ」

アリス「その動きに風を宿し、その身に土を宿し、その心に水を宿し、その技に火を宿す―――」

ルカ「……?」

クラリス「……?」

偽勇者「……………」

アリス「それこそが、戦いの極意」

    「これを体得しなければ、魔王を討ち倒すことなど夢のまた夢だ」

ルカ「その…… 悪いけど、なにがなんだか分からないよ……」

クラリス「えっと……」


ボクもルカさんと同じく意味がよく分かりません……

風、土、水、火―――この属性を宿すことに何の意味が―――?


アリス「やれやれ、貴様はまず心を鍛えねばならんな」

    「……ほら。 禅でも組んで、瞑想してみろ」

ルカ「うぇぇ……」


ルカさんは疲れているせいも有ってか非常にイヤそうな顔をしています。

しかし、アリスさんはそんなことは知っちゃこっちゃないとばかりに、ルカさんの首根っこを掴み捉えます。

疲れた体に鞭打って、座禅を組みます。


クラリス「大丈夫でしょうか、ルカさん……」

偽勇者「小僧なら心配いらん。 無駄な心配だ」

クラリス「でもぉ―――」

偽勇者「その動きに嵐を宿し、その身に地を宿し、その心に氷を宿し、その技に炎を宿す―――」

クラリス「……?」

偽勇者「戦いの極意なんて、千種万様―――それだけではない」

クラリス「はぁ……」


急に、あにさんはアリスさんと同じ事を言い出しました。

一体どうしたのでしょうか?


ルカ「ほ、本当だ……! 傷が治ったぞ……!」

アリス「な、なんだと……!?」

    「そんなわけあるか!」


ルカさんとアリスさんが騒がしいですね―――

何かあったのでしょうか?


偽勇者「放っておけ、只の夫婦喧嘩だ」

クラリス「えっ!? ルカさんとアリスさんって、ご結婚していたのですかっ!?」

偽勇者「いや、そういうことじゃ無くてな―――」

クラリス「なら、余計に喧嘩を止めないと―――夫婦喧嘩はケルベロスも食べないと言いますし!」

偽勇者「その、ことわざは使い方も言い方も間違っているからな」

    「「夫婦喧嘩は犬も食わない」で、つまらないことが原因だから心配するだけ無駄ってことだからな」

クラリス「……………」

     「そう…… なんです……?」

偽勇者「そうなんですよ」

    「クラリス、お前って結構馬鹿なんだな」

クラリス「そ、そんな! ボクは決して馬鹿では―――」

偽勇者「問答無用!」

    「教えるからには、きっちりと覚えてもらうぞ!」

クラリス「あぅぅ……」


どうしてボクがお勉強をすることに―――ルカさん、恨みますよ……






そして翌朝。

ボク達は秘宝の洞窟に到着し、その中に足を踏み入れた―――のですが……


偽勇者「俺は今回パスするわ」

ルカ「えっ……」

   「急にどうしたんだ?」


あにさんが、洞窟の前で立ち止まり、お酒を飲みます。


偽勇者「小僧―――今回は俺抜きで攻略してみろ」

    「修行の課題みたいなものだ」

ルカ「しゅ、修行の課題?」

偽勇者「そうだ。 人間、自分より強い者、頼りになる者、位が上な者に無意識に依存してしまう生き物だ」

    「ここ最近の旅で所見していたが―――俺という存在に依存している部分がある」

ルカ「僕がおじさんに依存……?」

   「ないない、そんなことない」

   「僕は毎日、アリスやおじさんの鍛錬を受けているんだ」

   「そんなおじさん達に常に負んぶに抱っこなんて―――」

偽勇者「なら、ここを攻略できるな」

ルカ「ああ、やってやる!」

   「僕は、ちゃんと成長していることを証明してやるさ!」


ルカさんは、ズンズンと洞窟を進んでいきます。

無言で状況を見つめていたアリスさんも、ルカさんの後を追います。

ボクは―――


偽勇者「クラリス、ルカの様子を見てきてくれ」

    「あいつは、まだまだ未熟―――どれだけ力や技を身に付けようが心が成長していなければ全て無駄なんだ」

    「それに―――」

クラリス「……………」

     「はぁ、分かりました」

偽勇者「おっ、やってくれるか?」

クラリス「但し条件があります」

偽勇者「条件だと?」

クラリス「はい、それは―――」


【条件内容は何なん?】


↓2

今度体術を教えてくださいね

>>260』やね


大阪|・ω・)<ちょい、短いけど今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


クラリス「はい、それは―――」

     「今度、体術を教えて下さいね」

偽勇者「体術だと……?」

    「それはまた、何故―――」


偽勇者の言葉が言い終わる前に唇に指を当てられ止められてしまう。


クラリス「ボクの条件は、それだけです」

     「それに、余計な詮索は無用ですよ」


クラリスは、そういうとウインクをする。

偽勇者は、その光景に呆気をとられるが―――


偽勇者「……くくくっ」

    「クァーーーハッハッハッ!」


―――直ぐに豪快に笑うのであった。

クラリスの頬は徐々に紅潮し、そして両手で顔を隠すのだった。


クラリス「な、何も笑うことないじゃないですかッ!」

偽勇者「いやいや、すまねぇな……」

    「馬鹿にしたわけじゃねぇんだが―――」

    「何しろ可愛かったもんでな……」

クラリス「か、かわわ……!?」

     「……バァーカ、バァーカ!!」


クラリスは、紅潮した顔を更に赤くし赤竜の様にすると偽勇者に捨て台詞を吐き、そのまま洞窟に走り去ってしまった。

偽勇者は、その姿を笑いつつも温かい視線で見守っていた。


偽勇者「慣れないことをするからだ―――全く……」

    「さて、早速クラリスの修行内容を考えながら周囲を確認してくるか」


偽勇者は、頭を掻きながら歩を進めるのであった―――






ボクは、ドキドキする胸を押さえながらルカさん達の後を追います。

それにしても―――


クラリス「ボ、ボクが可愛いだなんて―――冗談でも急すぎますよ……」

     「あにさんは、ボクに気があるのでしょうか?」


クラリスは、悶々とする気持ちを抑えつつルカとアリスに追いついた。

しかし―――


クラリス「……何してるんですか、二人共?」

ルカ「あ、あぁクラリス……」

アリス「……………」


ルカとアリスは、普段の立ち位置とは違いお互いの距離が間近にまで寄せていたのだ。


クラリス「……お邪魔なら席を外しますが?」

アリス「貴様は何を言っている―――」

ルカ「おい! 今、目の前を何か横切らなかったか!?」

アリス「ひいっ……!」


アリスさんは、ルカさんの言葉に驚いたのか……

ルカさんに飛び付き、尾を絡めました。

巻き付かれたルカさんはバランスを保つのに必死でしたが、それでも倒れないのは特訓の成果でしょうか?

しかし、何か横切ったようですが―――


クラリス「何かいるみたいですね……」

ルカ「クラリス、気を付けて―――」


ルカさんは剣を抜き、警戒の構えを取りました。


アリス「む、これは…… 幽霊ではないようだな」

ルカ「幽霊……?」

アリス「な、なんでもない! さっさと片付けるがいい!」


慌てた様子で、アリスさんはふっと姿を消してしまいました。

アリスさんが姿を隠すことは相手は―――


ルカ「おい、姿を現せ!」


通路の先にそう呼び掛けた後、一体の妖狐が姿を現しました。


妖狐「わわっ! 人間と魔物があらわれた!」


どうやら向こうも、驚いているようです。

妖狐―――その名の通り、狐の魔物です。

その実力は、尻尾の数で決まることが多く低級から高位までピンキリだそうです。

あの子は、二本なのでそこそこの実力みたいですね。

ボクでも頑張れば勝てそうです。

さてと―――


妖狐「ど、どうしよう……」

   「たまも様とはぐれちゃうし、人間まで来ちゃってるし……」

ルカ「なんだか分からないけど、人間に迷惑を掛ける魔物なら容赦しないぞ!」

妖狐「に、人間に「海神の鈴」は渡すなって、言われてるんだから!」

   「ここは通さないよ!」

ルカ「言われてる、って…… 誰に?」

妖狐「ひ、ひみつ!」

ルカ「さっき言ってた、たまも様っていう奴……?」

妖狐「あうう……」

ルカ「とにかく、僕は先に進まなきゃいけないんだ」

   「邪魔をするなら、容赦は―――あっ」

妖狐「えっ……」

   「何さ、奥歯に物が挟まったような言い方を―――ひゃぁ!?」


ルカと妖狐が会話をしている間にクラリスが背後に回り込み、妖狐に麻袋を被せた。

急な暗転に慌てる妖狐だが麻袋が予想以上に丈夫なせいか破ることが出来ずに、そのまま生け捕られてしまう。

麻袋の底に穴が開いているので、顔は出すことが出来たが―――

体はロープでぐるぐる巻きにされ身動きが取れなくなってしまった。


クラリス「ふぅ、これで良し」

妖狐「うわぁぁん、助けてぇぇ!」

ルカ「ク、クラリス……?」

クラリス「あ、安心してください」

     「このままリンチしたりはしないので……」

妖狐「……!?」

   「助け―――」


そういいつつ、妖狐に目隠しと猿轡をかませる。

そして、クラリスは捕らえた妖狐を背負った。


ルカ「おいおい、いくら何でも―――」

クラリス「これは取引のための必要な事です」

     「もし、妖狐さんが言っていた「たまも様」という者が圧倒的に強かった場合のための―――」

ルカ「けど……」

アリス「放っておけ、もし何かあっても自分だけで対処するんだな」

クラリス「……分かっていますよ」


クラリスとルカが問答を繰り返している時にアリスは、姿を現した。

ルカは、クラリスに抗議するがアリスの鶴の一声で留めた。


アリス「そんなことよりも、妖狐が出没するとはな」

    「あれは、この洞窟に棲んでいる魔物ではないぞ」

ルカ「……ってことは、この狐はヨソからやって来たのか?」

クラリス「道理で、この洞窟内で迷子になっていた理由が分かりました」

妖狐「……!」


クラリスが妖狐の耳を触るが、触られている本人は、イヤイヤと顔を左右に振る。

クラリスは残念そうな顔をすると、よいしょと妖狐を背負い直す。


クラリス「取り敢えず先を急ぎましょう」

     「妖狐さんの仲間が「海神の鈴」を手に入れる前に……!」

ルカ「そうだね、そいつらに奪われる前に、「海神の鈴」を手に入れないと―――」

   「じゃないと、おじさんに子ども扱いされっぱなしだ……」

アリス「心配する事は他にあるだろう! ドアホめ!」


こうしてボク達は、先へと進んだのです。






その後、ボク達は洞窟の奥へと歩を進めます。

途中、通路には多くの物が溢れかえっていました。

大岩が転がっていたり、トゲつきの鉄球が粉々になっていたり、落とし穴が開いていたりと多くのトラップが壊されています。

後から進むボク達は楽でいいですが―――逆に全てのトラップを軽々と突破できる相手がいる証明にもなります。


クラリス「妖狐さんの仲間ですか……?」

妖狐「……………」


妖狐さんは黙りです。

まぁ、目隠しと猿轡をしているので当たり前ですが―――


ルカ「急ごう、先に「海神の鈴」を奪われたら意味がない!」


ボク達は、さらに洞窟の奥へと進んでいきます―――






メーダ娘「あ―――」


メーダ娘さんは、ルカさんの一撃を受けフナムシのような姿になりました。


アリス「やれやれ…… 貴様は意外に好戦的だな」

    「人と魔物の共存などと抜かしながら、片っ端から魔物を封印しおって」

ルカ「僕が戦うのは、人と魔物が仲良くする上で障害となるモンスターだけだよ」

クラリス「ということは、ルカさんの考えに賛同しなかった者は皆、封印するってことですか?」

     「それって少し傍若無人ではありませんか?」

ルカ「それは……」

アリス「やれやれ…… ともかく、先に進むぞ」

    「のんびりしている余裕はないのだろう?」

ルカ「ああ、急がないと……」


ルカさんとアリスさんは、さらに先へと進んでいきます。

……あにさんが言った通り、ルカさんはまだまだ未熟みたいです。

もし、その事について責められたのならばルカさんは一体どういう行動に出るのでしょうか?

少しばかり期待してしまうのは変ですかね、あにさん?






ルカ「でも、なんで魔物が「海神の鈴」を欲しがっているんだ?」

アリス「少し頭を使えば分かるだろう、ドアホが」

    「人間に渡さないようにするために決まっているだろう」

    「嵐を起こして航路を封鎖しても、そのようなアイテムで強引に渡られては意味がない」

    「それなら、人間の手に渡る前に奪っておこう―――そういうわけだ」

クラリス「それでも、タイミングが良すぎませんか?」

ルカ「うん。 町で聞いた話では、船が渡れなくなったのは去年くらいから」

   「それを行っている連中からすれば、「海神の鈴」は厄介なアイテムのはず」

   「それから一年も経って、僕達が洞窟に入るのと同じタイミングで奪いに来るのは変だ」

アリス「ふ…… 少しは頭を使っているようだな」

クラリス「この洞窟の奥底まで行ける人間はいない―――」

     「そう高をくくって放置していたのでしょう」

ルカ「でも、洞窟の奥まで行けそうな人間が現れた……」

   「それが、この僕だったということか!」

クラリス「いえ、それはおかしい」


ルカさんは、何を勘違いして自信満々に述べますか。


アリス「本当にドアホだな、貴様は」

    「ニセ勇者の分際で、自分を何様だと思っているのだ」

ルカ「そ、そんな……」

アリス「連中は、あの酔っ払いを気にしているのだ」

    「たまもかアルマエルマかは知らんが、面倒な事をしおって……」

ルカ「え……? たまもって奴、知ってるのか……?」

アリス「それは自分自身の目や耳で解き明かすのだな」

    「ほら、先に進まぬのか?」

ルカ「う、うん……」

   「……何か誤魔化された様な気が―――」

クラリス「……連中は、あにさんを気にしてるですか」

     「確かに、あにさんは人間としては強すぎるような気もします」

     「でも―――」


そんなのどうでもいいです。

ボクは、あにさんに恩を返せればいいのですから―――






そして、しばらく進むと―――


ルカ「ん……? あいつは……」


ボク達の前に、通せんぼするかのように、扉の前に立ちはだかる魔物さんが一匹。

そして、アリスさんは同じように姿を消していました。


クラリス「ひぃ、ふぅ、みぃ……」

     「尻尾が七本ということは―――」

七尾「……ええ。 私は七尾と申します」

ルカ「えっ……」

   「お前が、たまもという奴じゃないのか?」

七尾「いいえ、たまも様は私よりも高貴なお方―――私と比べものになりません」

   「本来なら、引き返すなら何もしないのですが―――」


七尾はクラリスに背負われた妖狐を見る。

そして、表情を徐々に怒りで塗り潰していく。


七尾「我が同族―――妖狐が随分と世話になったようで……」

   「少しばかりですが、お礼をさせていただきます」


座り込んでいた七尾は、怒り爪を出し構える。

しかし、クラリスは妖狐を盾にしつつ交渉しようとする。


クラリス「待って下さい。 妖狐さんを生け捕りしただけで傷付けてはいません」

     「妖狐さんを生け捕りにしたのは、「海神の鈴」と交換―――」


クラリスが交渉するが―――

いつの間にか妖狐は、七尾の尻尾に収まっていた。


クラリス「えっ……!?」

七尾「私達、狐族は術に精通しています」

   「それに、「狐につままれる」という言葉あるように―――相手を化かすことは私達狐の十八番です」


クラリスは、盾及び交渉の要である妖狐を失い七尾の怒気を含んだ声に怯え一歩下がってしまう。


七尾「安心してください、命までは奪いません」

   「しかし、それなりに灸を据えさせていただきます」


七尾は下半身の前足を高く振り上げ全体重を乗せた一撃をクラリスの頭上に振り下ろした。

身を固くしたクラリスは何処で自分が失敗したか思考を巡らせる。

その結果、迂闊な行動が敗因だと知った。

憤怒した相手に交渉をするなんて―――

クラリスは、襲い来る痛みに耐えるために目を瞑る。

しかし、一向に痛いが来ないことに不安を感じ片目を開ける。

そこには、ルカが七尾の全体重を乗せた一撃を剣で受け止めていた。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|・ω・)<少しだけやるでー


ルカ「くっ……!」


ルカは、剣を傾けることで七尾の体勢を崩し一歩下がる。

距離を取った後、七尾の喉元に魔剣・首刈りを繰り出すが―――


七尾「……どういうつもりですか?」

   「何故、その子を庇うのですか?」

ルカ「!?」


ルカが繰り出した魔剣・首刈りは、何もない空間を突いており―――

―――七尾は宝物庫の前にいた。


ルカ「今のは、幻だったのか……?」

七尾「答えなさい」

   「何故、その子を庇うのですか……?」


七尾の怒気を含んだ声、矛先がクラリスを狙う。


ルカ「……旅仲間だからだ」

クラリス「!」

七尾「……私の同族を生け捕り交渉の道具、盾にする者が仲間ですか」

ルカ「それは……」

七尾「私からの忠告です」

   「その子と縁を切りなさい」

ルカ「なんだって……?」

   「クラリスと縁を切れと言うのか!」


ルカは、七尾に雷鳴突きを繰り出すが、また姿が消え別の場所に現れる。


七尾「そうです、そのような行為を平気で行う者と長く関係を持ち続ければ、いずれ貴方自身も破滅するでしょう」


七尾の尻尾二本が、ルカを捕捉するために迫ってくるが剣で薙ぎ払うことで回避する。

薙ぎ払われた尻尾は、一度は散るが再び毛が集まり元の形に戻ってしまった。


ルカ「尻尾が……!?」

七尾「無駄な事は止めなさい」


七尾は駆け出し、ルカを壁に押し当てる。

逃げ出そうと、もがくが七尾の魔物としての力が強く無駄な抵抗に終わった。


クラリス「ルカっ!」

ルカ「くそっ!」

   「なんて、力なんだ……!」

七尾「さて、覚悟はできましたか……?」

   「降参するならば、見逃してあげてもいいですよ」

   「但し、あの子は置いていってもらいますが……」


舌なめずりする七尾は、クラリスをその視線で捉える。


七尾「長時間、待機していたので小腹が空きましたので……」

   「灸を据えるついでに、食べてしまいましょうか……?」

クラリス「い、いや……!」


クラリスは、後退りするが―――

七尾の尻尾がクラリスを捕らえた。

一の尾は目を隠し、二の尾は口を覆う―――

三の尾は上半身に巻き付き、四の尾は下半身に巻き付く―――

五の尾は首を縛り、六の尾と七の尾はクラリスを優しく撫でる―――


ルカ「クラリスっ!」

七尾「逃がしませんよ……」

   「貴女には、沢山後悔してもらわなければ困りますし……」

   「それに、少しは愉しまないと―――」


そういうと七尾は尻尾に力を込め、ギチギチとクラリスを締め付ける。


クラリス「っぁ……!」

七尾「ふふっ……」

   「どれぐらい持つのでしょうか……」


七尾は笑みを浮かべ、更に力を込めようとするが―――


ルカ「やめろ……」

七尾「……はい?」

   「何か言いま―――」

ルカ「やめろと言っているんだっ!」


ルカは、七尾を撥ね退け剣を構える。


七尾「なんと……!」

   「しかし、また同じ事の繰り返し―――無駄に終わるのです」


七尾は再び術でルカを化かそうとするが―――


ルカ「「魔」を切り裂く「海の技」!」



  ―――――『 海 破 斬 !! 』―――――



ルカが放った海破斬は、音速を超えたスピードで七尾を完全に捉え術ごと切り裂いた。


七尾「ま、まさか…… 私の術が破られるなんて……」


七尾の姿は崩壊し、尻尾に捕らえられていたクラリスと保護されていた妖狐はその場に残る。

七尾は狐の姿となった―――


ルカ「はぁ、はぁ、はぁ……」

   「い、今の技は―――」


ルカは自分が放った技に驚愕し、何度も左右の手を握る。

そして―――


ルカ「そうだ、クラリス!」

   「大丈夫かっ!」


剣を鞘に納めると、ルカはクラリスの元へと向かう。

七尾が封印された姿の大きな狐に警戒し、クラリスの体を抱き起こす。


ルカ「しっかりしろ、クラリス」

クラリス「んぅ……」

     「……ルカさん?」

ルカ「良かった―――大丈夫みたいだね……」

クラリス「……………」

ルカ「クラリス……?」


クラリスは目覚めると直ぐにルカから離れ距離を取る。

そして、手を強く握り締めた。


クラリス「……ルカさん」

     「なんで、ボクなんかを助けたんですか?」

ルカ「なんでって…… それは―――」

クラリス「旅仲間だからですか?」

     「ふざけないでくださいっ!」

ルカ「……クラリス」


クラリスはルカと相対し声を張り上げ、洞窟内に響き渡る。


クラリス「旅仲間ですって……?」

     「そんなの、只の数週間だけじゃないですかっ!」

     「ルカさんは、その程度で相手を仲間と言うのですか……」


クラリスの張りのある声は、どんどんと涙ぐんだ声に変わっていく。


クラリス「それにボクは―――最低です……」

     「妖狐さんを盾に取りながら失敗し、ルカさんを危険な目に遭わせて―――」

     「本当に…… 最悪です……」

     「七尾さんが言われた通り、ボクと縁を切った方が―――」


その時、クラリスの頬に痛みが走った。

ルカがクラリスの頬を叩いたのだ。

何が起こったのか理解するのに数秒掛かったクラリスはルカの顔を見て、ふっと笑う。


クラリス「……怒って当然ですよね」

     「ルカさんに沢山迷惑を掛けたのですから……」

     「ここで、お別れです……」

     「今までありが―――」


ルカ「本気で怒るよ」


クラリスは、ルカの怒気を含んだ声を聞き押し黙る。


ルカ「僕はそんなことで怒っているんじゃない」

   「仲間じゃないと言ったことに怒っているんだ」


ルカは、鞄からハンカチと水筒を取り出す。

そして、ハンカチを水筒に入った水で濡らしクラリスの頬に当てた。


ルカ「確かに僕達は数週間ぐらいしか旅を共にしてないよ」

   「でも、その数週間は大事な数週間だ」

   「共にご飯を食べたり、おじさんに無理矢理お酒を飲まされたり、時には冗談を言ったり―――」

   「僕はとっても楽しかったよ」

   「クラリスにとって数週間の旅は楽しくなかったの?」

クラリス「……………」

     「ボクは―――」


【クラリスのセリフ】


↓2


大阪|・ω・)<眠いから今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|´-ω-)<安価内なら↓やで~


ゲソッ|ヽ・ω・)<今日はお休みや……


安価なら「出来るなら、このまま一緒に旅をしたい」

ところで「ルカさんの考えに賛同しなかった魔物は~」に言及したのは好印象
確かに、ルカさんちょっとそういうところあるから…


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|´・ω-)<ちょこっとだけやるで~


クラリス「……………」

     「ボクは―――この数週間楽しかったですよ……!」

     「出来るなら、このまま一緒に旅をしたい……」

     「でも―――」


クラリスの言葉が言い終わる前に唇に指を当てられ止められてしまう。


ルカ「それ以上は言わないで…… 言っちゃ駄目だ」

クラリス「……………」

ルカ「クラリスは今回のことを深く反省してる?」


クラリスは一度、コクンと頷いた。


ルカ「じゃあいいや」

   「クラリスは、今回のことで七尾の忌諱に触れて、とても怖かったろ?」

   「じゃあいい」

   「それでもう、クラリスへのバチは当たったんだから」


ルカはクラリスの頭に手を置き、優しく撫でる。

一人の竜人の目に、水が溜まり始め―――


ルカ「だから―――」

   「僕のことは、もう終わり」

   「あとは、妖狐達に謝らないといけないよ?」


そして、涙を流した。



―――ごめんなさい。



クラリスは、静かに泣くのであった。


アリス「貴様も、とことんお人好しだな」

ルカ「別に、そんなんじゃないよ」

   「今回の過ちは、まだ取り返すことができる過ちだからね」

アリス「……その甘さが、己自身の命を失う切っ掛けに為らなければいいのだがな」


ルカは、アリスの発言に困った表情をし頬を、ポリポリと掻く。

泣いていたクラリスは、ルカから離れ大きく落ち込んでいた。

今回の一件は、嘘偽りなく反省しているようだ。

アリスも、クラリスに厳しい眼差しを送っていたが、それ以上のことは行わなかった。


ルカ「よし、先に進もう!」

   「たまもって奴は、この奥に行ったんだ!」


ルカは、宝物庫の扉に近付こうとしたが―――


アリス「いや……」

    「もう遅かったようだな」

ルカ「え……!?」


徐に、宝物庫への扉が開き―――そして、一人の女性が姿を現した。

雰囲気や外見からして、こいつも妖狐のようだ。

七尾だった狐は、まだぐるぐる巻き状態の妖狐を引き摺りながらも女性の傍らに控える。


ルカ「ひぃ、ふぅ、みぃ…… 八本か……」

   「七尾と比べてれば、小柄だし何とかなるかも―――」

アリス「ドアホめ。 狐族にとって尻尾の一本だけでも、どれだけの実力差があると思っているのだ」

    「奴は魔王軍四天王の一人、たまも―――に仕え補佐している妖魔「八尾」だ」

ルカ「な、なんだって……!?」

   「―――あれ、八尾?」


ルカは驚きの声を上げるが直ぐに困惑した表情に変わった。


八尾「大きな魔力の減少に何事かと思えば―――」

   「七尾、その姿はなんじゃ?」

   「それに妖狐も―――いつまで縛られておるのじゃ」

妖狐「……!!」

七尾「……………」


八尾は、妖狐に巻かれたロープを引き千切る。

体の自由を取り戻した妖狐は、プハッーと深呼吸をし―――八尾の背にささっと隠れる。


八尾「まだまだ、修行不足じゃて精進するがよい」

妖狐「面目次第もありません……」

八尾「ヌシのことは、たまも様に任せるとして―――」

   「七尾、ヌシが負けるとは思いも寄らなかったぞ」

   「魔力を満たしてやりたいが、少しばかり時間が掛かる」

   「悪いが、後にさせてもらうぞ」

七尾「……………」


七尾は、しゅんとした。

そして八尾は、正面に立ちはだかるルカを、その細目でまじまじと眺める。


八尾「ほう…… あの者と思っていたが―――」

   「―――まぁ、同族の血を見ずに済んだことを吉としよう」


八尾は、アリスの様に姿を消した―――と思えば、ルカの目の前に再び姿を現す。

それに仰天したルカは後ろに下がろうとするが、八尾の柔らかな毛の備わった両手に顔を挟まれ、お互いの息が掛かる距離まで顔を引き寄せられた。

細目から覗く瞳が、ルカの瞳を見据える。


八尾「ふむ……」

   「―――」


【八尾のセリフ】

○「美味そうな子種の匂いがするのう…… ヌシの精、妾の口で吸い出されてみんか……?」

○安価

↓2


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:ここから ↓2 で、おねやで!

良い目で匂いも良い、即お持ち帰りしたいのう…

>>305』やね

大阪|・ω・)<続きは土曜日からや

大阪|;-ω-)<世の中、予定通りにならんのう……


大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|;・ω・)<金曜日に寝て起きてみたら土曜日が日曜日に変わってたで……!?

大阪|;-ω-)<な…… 何を言ってるのか、わからねーと思いますが―――

大阪|;-ω-)<ワイも何を言っているのか分からんわ……

大阪|;・ω-)<これが噂の「ポルナレフ状態」なんやね……


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


八尾「ふむ……」

   「良い目で匂いも良い、即お持ち帰りしたいのう……」

ルカ「だ、誰が……! そんな……!」

   「くっ……! は、離れな……!?」

八尾「ふふっ…… ほれほれ、どうした?」

   「ビクともせんぞ……? んっ?」


ルカは、八尾の手を引き剥がそうとするがビクともせず―――八尾は、その足掻きを眺めて愉しんでいた。

徐々に苛立たしくなってきたルカだが、ふと視線を下に落とすと八尾の胸元に古びた鈴のようなものがあった。


ルカ「もしかして、その胸元にある鈴は……?」

八尾「ん~? 何処を見ておるのじゃ、このスケベ」

ルカ「……鈴だよ、鈴を見てるんだよ!」

八尾「冗談じゃ」

   「まぁ、ヌシが思う通り「海神の鈴」じゃな」

   「たまも様の命により、これはもらっていくぞ」

ルカ「そんな……」

八尾「この「海神の鈴」が欲しければ―――勇者ならば分かっていような?」

ルカ「……君を倒して奪えってことか?」


剣を抜こうとするルカ―――しかし、その手首をアリスが、がっしりと掴んだ。

八尾もアリスが近付いた途端にルカの両頬から手を離し七尾と妖狐の近くに舞い戻った。


アリス「……やめておけ。 今の貴様がかなう相手ではない」

ルカ「で、でも…… 海破斬なら―――」

アリス「ドアホめ。 あんな紛れがそう何度も続くわけがなかろう」

    「貴様は、もう一度完全なる奥義を放てる自信があるのか?」

ルカ「しかし……!」


そんな様子を観察していた八尾は、ギラっとギザギザの歯を見せ笑みを浮かべていた。


八尾「おやおや…… 魔王様は、その人間と随分親しくなっておられるようで……」


口を過ごした八尾の言葉に反応するルカ。

無意識にその瞳はアリスに向いてしまう。


ルカ「アリス…… お前……」

アリス「……………」

    「……今頃気付いたのか、ドアホめ」

    「余こそが魔王、アリスフィーズ16世だ」

ルカ「そ、そんな―――!」


一驚するルカ。


ルカ「グランベリアを追い払った時、かなりの上級妖魔だと分かってはいたけど―――」

   「まさか魔王だったなんて……」

クラリス「いえ、そこは気付きましょうよ」


八尾「おんやぁ……? 言ってはいけなかったですかの?」

   「妾は、全くの置いてけぼりではないですか……」


口元を隠しながら言葉を交してくる八尾。

しかし、目が笑っていた。


八尾「ともかく、「海神の鈴」は妾が頂いていきますぞ」

アリス「待たぬか八尾」

    「貴様に一つ聞いておきたいことがある」

八尾「……何なり」

アリス「たまもは一体どうした?」

    「そこの妖狐から得た情報だと、たまももいるはずだが……」

八尾「それは―――」


八尾はチラリと妖狐を見た。

妖狐は自分より小さくなった七尾の背後に隠れるが、耳隠さず、尻尾隠さずと色々とはみ出ていた。

やれやれといった表情の八尾は―――


八尾「たまも様は、とある用事で席を外しております」

   「その、とある用事とは妾達も分かりかねますが……」

アリス「とある用事だと……?」

    「四天王の中では一番の働き者であるたまもが用事で席を外すとは―――」

八尾「では、妾達は此の辺でドロンさせてもらいますぞ」

ルカ「あ、待てっ!」


妖狐と七尾共々、八尾はその場から消えてしまった。

その場に残ったのは、クラリスとルカと―――複雑そうな表情のアリスだった。


アリス「……………」

ルカ「……アリスが、魔王だったなんて……」

アリス「……隠していたわけではない」

    「貴様がドアホ過ぎて、気付かなかっただけだ」

ルカ「確かに、今まで気付かなかったのは間抜けだったけど……」

アリス「人並みに頭が回れば、グランベリアを追い払ったときに気付いたはずだ」

    「あれほどプライドの高い武人に対し、頭ごなしに命令できる者が魔王以外にいるものか」

    「クラリスは既に気付いておったぞ」

ルカ「……それは本当かい、クラリス?」

クラリス「……はい。 まぁ、あくまでという範囲の中ですが―――」

ルカ「……そうか」


「今まで、魔王と共に旅をしてきた」、ルカの心の中を色んな思いが混ざり合う。

魔王退治の旅を、魔王と一緒に旅をしていたのだ。

その感情は複雑に絡み合い、解き合っている。

クラリスは、おろおろと指をくわえ見ていることしかできなかった。


ルカ「なんで…… 僕と旅をしようと思ったんだ?」

アリス「以前の答えと、なんら変わらん」

    「貴様という人間に興味が沸いた」

    「また、世界というものをこの目で見てみたい」

    「その二つの興味を、同時に満たす手っ取り早い手段を行使したまでた。」

ルカ「魔物を率いて、人間に全面戦争を仕掛けたっていうのは……?」

アリス「「自己防衛の目的においてのみ、力を振るうことを許す」―――」

    「余が全ての魔物に通達したのは、ただそれだけだ」

    「その布告が、歪んだ形で人間達に伝わったのだろうな」

    「余は、全面戦争など望んでいない…… まだ、今のところはな」

クラリス「……まだってことは、いずれ全面戦争を行うつもりで―――?」

アリス「……………」


アリスはクラリスの問いには答えない。

しかし、その視線はしっかりとクラリスを見据えていた。


ルカ「人間を支配するためじゃなく、自衛のためなんだよな……?」

   「でも、グランベリアはイリアスベルクに攻めてきたじゃないか―――!」

アリス「「レミナの虐殺」以来、人間達は魔物に敵愾心を燃やし、極めて危険な状態にあった」

    「よって余は、自らの身を守る場合のみ暴力を容認したのだ」

アリス「しかし―――それを拡大解釈し、人間をいたずらに攻撃する魔物も多いようだ」

    「けしからん事だな」


飯+風呂タイムや


ルカ「じゃあ…… その「レミナの虐殺」はどうなんだ!」

   「魔王が命じて、レミナの住民達を皆殺しにしたんじゃ―――!」

アリス「余は知らん」

    「その一件の真実を探るのが、旅の目的の一つでもある」

ルカ「え……? 知らない……?」


ルカはアリスの意外な返答にポカンとした。


ルカ「魔王が知らない…… ってことは、魔物の独断だったのか?」

アリス「「レミナの虐殺」は、余が王位に就く前に起きた事件なのだ」

    「しかし先代の魔王もそのような命令は出しておらんし、そのような行為を独断で行った魔物も見付けることはできん」

    「何より不可解な点は……」

    「レミナで人間と共存していた魔物達さえ、同様に虐殺されているという事だ」

ルカ「魔物まで、殺されてるのか……?」

クラリス「……レミナで何があったんでしょうか―――?」

     「それに、そこまでする理由は……」

アリス「さて、話は以上だ」

    「どうする、ルカ。 貴様の倒すべき相手が、目の前にいるのだぞ……?」

ルカ「え……?」

クラリス「……………」


ルカはアリスの問答に、又もやポカンとする―――が……

そのだらしない顔は覚悟を決め剣を、ギュッと握る。

クラリスは、ルカとアリスの様子を最後まで見届けると決めたのか、隠れずにその場に残る。

ルカの目的の一つである、魔王の討伐。

そして―――今、その魔王が目の前にいるのだ。

ルカは、彼女―――

アリスフィーズ16世を―――






― ― ― ― ― 倒すべき存在とは見なかった ― ― ― ― ―





カタンッと剣を落とす音が響き渡る。

ルカは、顔を俯ける。


ルカ「冗談言うなよ」

   「お前を倒して、どうなるって言うんだ……」

   「今、アリスがいなくなったら、魔物達は混乱するだけじゃないか?」

アリス「ふむ…… おそらく、そうだろうな―――」

    「いや、確実に起こる未来だと言おうか」

    「魔王という存在は魔王として、魔物の暴走にブレーキを掛ける役割を果たしている」

    「しかし、そのブレーキが無くなってしまえば―――」

クラリス「……魔物達は人間を―――いえ、世界中が大混乱になりますね」

アリス「いちおう魔物達には自己防衛のみを遵守させてはいるが……」

    「それでも、グランベリアのような跳ねっ返りが出る有様だ」

ルカ「イリアス大陸とセントラ大陸を隔てる暴風雨も、四天王の仕業なんだろ?」

アリス「しかしな……」

    「グランベリアなどは堂々主張していたが、イリアス神殿こそが悪の元凶」

    「そこで大量生産された勇者なるものが、魔物達に害を及ぼしている―――」

    「よってイリアス神殿を破壊するのも、自己防衛の一環であるという論調だ」


クラリス「……理屈としては、間違ってもいないかもしれませんが―――」

     「勇者なるものが、大量生産されるのも魔物達が人間達を襲うからじゃないですか?」

アリス「負の螺旋―――このままではお互いが共倒れになる日も、そう遠くないかもしれん」

ルカ「……………」


レミナの虐殺から始まり、勇者の増加、魔物の被害、魔物の自己防衛、人間の被害、勇者の増加、魔物の被害と連鎖的に悪循環を生み出していた。

ルカはルカで、経験の足りない頭で人間と魔物の歩み寄りというのは難しい現状だと判断した。


アリス「ともかく…… いいのだな、余を討たなくても?」


アリスの再度の問いにクラリスは不安な表情を浮かべるが―――

ルカは、ニカッと何処かの酔っ払いのような笑みを浮かべクラリスの頭を、くしゃっと撫でた。


ルカ「何度も言ったはずだよ、アリス」

   「僕が戦うのは、人間と魔物が共存する世界の障害になる奴だけだって」


アリスを見つめるルカの目は一切の迷いがなかった。

その姿にアリスは感心した。


ルカ「それに…… 魔王城に向かうっていう目的も、変わるもんじゃないよ」

   「四天王はどうにかしないと、あちこちで暴れてるみたいだからね」

アリス「しかし…… 四天王の言い分とて、余は理解できる」

    「それゆえに、余は連中の行動を放任しているのだ」

ルカ「言い分は、誰にでもあると思うよ」

   「ただ、誰にでも立場があるって事だけで……」


魔物には魔物の立場があり、人間には人間の立場がある。

それを理解し、そして尊重しなければ、両者の共存など夢のまた夢。


アリス「そして、魔王である余にも立場がある」

    「魔物というのは全て、余の可愛い部下達なのだ」

    「言い分はどうであろうとも、余の部下を叩き伏せる貴様の戦いに手を貸す訳にはいかん…… それも分かっているな?」

ルカ「ああ、アリスの助けは借りないよ」

   「アリスは旅の同行者だけど、仲間ではないんだから」

アリス「……その通りだ」


ルカとアリスは、お互いに笑みを見せ笑い合う。

クラリスはその光景を見て羨ましく思う。

自分一人取り残された感覚に襲われ気持ちがどんどん暗くなる。

今は二人っきりにした方がいいと判断したクラリスは、ゆっくりとその場を離れるが―――

突如、尻尾に巻かれルカとアリスの間に引き寄せられた。


クラリス「……………」

     「……えっ?」

アリス「どこへ行くつもりだ」

クラリス「いや、その―――」

ルカ「クラリス、また一緒に旅をしよう」

   「不甲斐ない僕だけど―――この旅にはどうしても魔物である君が必要なんだ」

クラリス「……ボクが―――ですか?」

ルカ「うん!」


クラリスの目の前に手が差し出される。

少しばかり迷うクラリスだが差し出された手をしっかりと握るのであった。

別にルカのことを好きになったわけではない。

あにさんの言付けを守るために手を取ったのだ―――そういうことにしておこうと考えたクラリスであった。

結局は、今までと変わらない旅が続く。

精々、魔王は意外に話が通じる奴であると分かっただけであった。

非常に数奇な旅だが、それもまた面白い旅であろう。

こうしてルカ達は秘宝の洞窟を出るのであった。

―――途中ルカとクラリスが、偽勇者に「海神の鈴」を手に入れられなかった言い訳を考えるために頭をフル回転させることになるのであったが……






秘宝の洞窟から少し離れた場所―――

そこには、軽装な服且つ重装な剣を担ぐ男と九本のもふもふ尻尾を持つ狐が対峙していた。

男はグビッと酒を飲み、狐はもむもむと油揚げを食べていた。


偽勇者「……狐族の長様が俺みたいな酔っ払いに何か用か?」


最初に口を切ったのは偽勇者であるシャニセ・ユウ。

その問いに小さな九尾は口の中の油揚げを咀嚼し飲み込んでから答える。


九尾「ふむ…… ウチが訊きたいのはただ一つだけじゃ」

   「お主は、何のために―――クラリスという名の魔物を助けたんじゃ?」


偽勇者は、頭を掻き困った様に―――


偽勇者「おいおい、何処から見てたんだ……?」

九尾「ウチ達、狐族の情報網を甘く見るでないぞ」

   「それよりも…… ほれ、答えんか」


偽勇者は、やれやれと言った表情で答えた。


偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2



大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

大阪|-ω-)<おじさんのお話をもう少し続くんやで……

小僧のためだ
人の成長には多くの目線が必要なんだだ
彼女は俺や小娘に教えられないことを教えてくれるだろう


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|・ω・)<今回は少しだけや

>>327』やね


偽勇者「小僧のためだ」

    「人の成長には多くの目線が必要なんだよ」

    「クラリスは俺や小娘に教えられないことを教えてくれるだろうよ」


偽勇者は答え終わると酒を飲んだ。

九尾は、偽勇者の予想外な言葉に目を細めた。


九尾「お主からそのような言葉が出てくるとは―――正直、驚いておるぞ」

偽勇者「そりゃ、どうも……」

    「それで、この俺を殺しにきたか……?」


偽勇者が鎧の魔剣を地に突き刺す。

剣を抜きはしていないが、その態度はいつでも構わないという意思表示であった。

九尾はアマテラスの扇で頭をコリコリと掻くと溜め息を吐いた。


九尾「そうビシビシと殺意をぶつけるでない、ドアホめ」

   「……まあ、お主の返答で本来行うべき予定が変わったのは確かじゃが―――」

   「取り敢えずは良しとするかのう」

偽勇者「……………」

    「俺が言うのもなんだが―――それでいいのか……?」


九尾の言葉に、小首をかしげ腕を組む。

毒気を抜かれたのか、先程までの殺意はどんどん萎んでいった。


九尾「触らぬ神に祟りなし」

   「余計なことをして、面倒事を起こすよりはよいじゃろう」

偽勇者「……ふん」


偽勇者は鎧の魔剣を担ぎ直すと、九尾に背を向け歩を進める。


九尾「……およよ?」

   「もう行ってしまうのかのう」

偽勇者「これ以上話すことはないだろう……?」

    「そろそろ小僧や小娘達が戻る時間だと思うしな」


歩を進めながらも九尾との問答を繰り返す。

そして―――


九尾「……………」

   「……「レミナの虐殺」について知らぬか?」


偽勇者は歩を止めた。

振り返った偽勇者の目は―――空虚が宿っていた。


偽勇者「知らんな……」

    「悪いが俺は何も知らん……」


九尾は、偽勇者の表情の変化を読み取り確信した。

この者は、レミナの虐殺について何かを知っていると……

しかし―――


九尾「なるほど……」

   「分かった、呼び止めてすまなかったのう」

偽勇者「……………」


偽勇者は九尾の言葉に返答を返さずにそのまま立ち去った。

その場に残った九尾―――魔王軍四天王の一人、たまもはアマテラスの扇で口元を隠した。


たまも「ふむ、確かに噂通りの強者じゃのう」

    「それに、「レミナの虐殺」の関係者ときたものじゃ」


たまもは、口元を扇で隠している―――隠してはいるが……

殺意を宿らせた目は隠してはいなかった。


たまも「後の問題は、天使との繋がりを調べるだけじゃが」

    「然うは問屋が卸さんじゃろうな……」


扇をパチンと閉じたたまもは、油揚げを取り出すともむもむと食べ始めた。

今まで宿らせていた殺意はどこへやら―――にぱっと笑みを輝かせたのだ。


たまも「やっぱり、あぶらあげは美味しいのう……♪」


油揚げを咥えたたまもはぴょいんと宙返りをし―――

そして、そのまま姿を消した。

その場には、微かな油揚げの匂いが漂っていたそうな―――


大阪|;・ω・)<アカン、今回はここまでや

大阪|;-ω-)<眠気で何打ち込んでるのかわからんようになってきた

大阪|;・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






ここはイリアスポート。

イリアス大陸唯一の港町である。

そんな町の中で少年と魔物―――少女が一人のおじさんに頭を下げて数十分の時が経っていた。


ルカ「ごめんなさいっ!」

クラリス「ごめんなさいっ!」

偽勇者「……まあ、七尾や八尾が出張ってきたなら仕方ねぇよ」

    「それよりも、お前等が無事で何よりだ」


ルカとクラリスは秘宝の洞窟内で起こった出来事を偽勇者に報告していた。

偽勇者は酒を飲みつつ、こめかみをぽりぽりと掻く。

多少は困った様な表情をしていたが、怒りを抱いてはいなかった。


ルカ「でも、鈴がなければ暴風雨の海を渡るなんて―――」

偽勇者「いんや、方法なら一つだけあるぞ」

ルカ「えっ……」

偽勇者「おい、小娘!」

アリス「……貴様、いい加減その小娘と呼ぶのを―――」

偽勇者「そんなことはいいからちょっと顔を貸せ」

アリス「あ! おい、やめんか―――大物がっ!?」


偽勇者とルカ達が情報交換をしている間にアリスは、どうやら釣りを楽しんでいたようだ。

しかし、大物が釣り上がりそうなタイミングで偽勇者に無理矢理に連れて行かれた。


ルカ「大丈夫かな……」

クラリス「アリスとおじさんだから―――大丈夫じゃないですね」

     「問題を起こさなければよいのですが……」


ルカとクラリスは不安を隠し切れないようだった。


クラリス「そういえば、ルカさん」

     「シャニセさんにアリスさんが魔王だってことは報告しなくていいのですか?」

ルカ「……………」


ルカは、深く考え込む。

偽勇者には、秘宝の洞窟での出来事を報告はしたが、アリスが魔王だということは伝えていなかったのだ。

しばらく沈黙していたルカだが、ゆっくりと目を開けた。


ルカ「おじさんには、まだ黙っておくよ」

   「たぶん今教えると取り返しのつかないことになると思うんだ……」

クラリス「ルカさん……」


ルカは海の向こうを見ながら言うが、クラリスはジト目でルカを見る。

たぶん、あにさんはもう知っている―――そう考えながら……


偽勇者「おーい、小僧! クラリス!」

    「船が出るから準備しろ!」

ルカ「えっ!?」

クラリス「船が出るって―――出港するのですかね?」

ルカ「そうだと思うけど……」

   「取り敢えずおじさんのとこに行こう!」

クラリス「あっ! 待って下さいよ、ルカさん!」


ルカとクラリスは港へと向かった。






船長「準備が終わりました! さあ、乗って下さい!」

アリス「うむ、ご苦労」

クラリス「何ですか、これは……?」

ルカ「もしかして、おじさん―――アリスの魔眼を使ったの?」


偽勇者は、ルカの言葉に笑みで答える。


ルカ「やっぱり……」

アリス「でも、よくアリスさんがシャニセさんの頼みを利きましたね」

ルカ「……………」

   「たぶん、アリスが両手一杯に持っているアレだよ」

クラリス「アレ……?」


ルカが指で示した方向にはアリスがいる。

しかし、アリスの両手には大量のつまみがあった。

焼きスルメ、柿の種、ピーナッツ、干し肉――― 一目見ただけでもそれだけの種類がある。


クラリス「……なるほど」

     「よーく分かりましたよ……」


ルカ「おじさん。 よくアレだけのおつまみを隠し持っていたね」

偽勇者「酒の相棒は常に準備しておくものだ!」

    「クァーーーハッハッハッ!」

アリス「……噛めば噛むほど味がジワッ~と染み出してくる」

    「……中々に美味だ」


カミカミと、焼きスルメを食べるアリス。

偽勇者「んじゃ、乗るぞ」

ルカ「……お世話になります」

クラリス「……お邪魔します」

アリス「……この柿の種も、カリカリで美味い♪」


こうしてルカ達は、半分強盗紛いな手段で船に乗り込んだのだった。

いよいよ、船旅の始ま―――


ルカ「ちょっと待った!」

   「船が出港しても暴風雨はどうするのさ!」

   「鈴も無しにそんな中に入ったら一溜まりもないよ!」

クラリス「そ、そういえばそうでした!」

偽勇者「あぁ、大丈夫大丈夫―――俺に任せておけって……」


偽勇者は甲板の端っこで、つまみの一つを火で炙っていた。

軽く焼かれたスルメの匂いがルカ達の嗅覚を刺激する。


ルカ「大丈夫って―――不安だな……」

クラリス「ルカさん。 もう、シャニセさんを信じるしかないですよ」

     「泥船に乗ったつもりでいきましょう!」

ルカ「いや、泥船じゃ安心できないからね?」


アリスに無理矢理酒を飲まそうとする偽勇者。

それを防ぎ食べ物を食べるアリス。

間違った知識をドヤ顔で言うクラリス。

不安と心配と未熟と色々な数奇を背負ったルカ。

僅かな時間ではあるが、この海の上で何か新しい経験をするのかもしれない……



このパラレルワールドの物語は一旦ここまで―――

では観覧者の皆様方…


大阪|・ω・)ノシ<またなー


………―――「外伝図書館3:偽勇者が呪い装備なしで戦士として成長していたら」 【The End...?】―――………



コソーリ|・ω・)<……

大阪|-ω-)<宣言通り連続で外伝するで……

大阪|´・ω-)<まぁ、今回は早めに終わらせる予定やからイベント的なん2回か3回程度やけどな

大阪|´-ω-)<次の外伝はコレやで―――


『外伝4:ルカが最序盤のあれこれでイリアスに退場させられていたら』


大阪|ヽ・ω・)<ほな、この安価だけやろか


【あんさんやったらどれ選ぶん?】

○チートブレイザー(WA系)

○超魔生物(DQ)

○家庭的なレナモン(デジモン)


↓3



※その他がないんは、知らん作品からやと色々面倒やからやで!


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:たぶん、水曜日は休みや


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


昨日は会社の新年会でお酒を飲んでたから無理やったわ。






………――― ルカが最序盤のあれこれでイリアスに退場させられていたら ―――………





ルカ「何様のつもりだっ!」

イリアス「……………」


凄まじい稲妻がルカの体を貫き、全身を焼き尽くす。

そして、ルカの体は倒れると共に塵芥と化したのだ。


イリアス「……………」

     「……これでルカを焼き尽くすのも1000回目」

     「何度、愚行を繰り返せば気が済むのですか……?」


世界を創世したとされる女神イリアス。

「失敗作」である魔物を憎んでおり、その頂点にある魔王を滅ぼすため、多くの勇者に洗礼を授けている。

しかし、その偉大で高貴で正義を愛する慈愛の女神に愚かにもルカは1000度目の暴言を吐いたのだ。

慈悲深く美しい女神も1000度も繰り返されると怒りを抱くのは仕方がないことである。


イリアス「時間を巻き戻せるからとはいえ―――愚鈍にも程があります」

     「しかし、一から剣を教えるのも面倒な事」

     「何か楽に物事を進める方法はないものか……」


唯一無二絶対無比なる神も、この愚者に頭を悩ませていた。

そして―――


イリアス「そうです、寝ましょう……!」


創世の女神は両手を鳴らし合わした。


イリアス「私は神であるが故に千年も睡眠を取ることを忘れていました」

     「それは当然ですね―――聖魔大戦後の、様々な対応策を検討していたのですから」


イリアス様は頬に手を添え、ふぅ……と溜め息を吐いた。

万が一、邪神が復活してしまえば全てが水の泡になる―――

故にイリアス様は大気中における魔素濃度の操作方法、新たな結界の開発などを進めていた。


イリアス「では、眠っている間のことはプ―――プロ……」

     「わかめ博士に任せることにしましょう」


こうして、イリアス様は布団に潜り込みを本格的に睡眠を取ることにしたのであった。


イリアス「……………」

     「……手に負えなくなったのなら―――また、繰り返すだけですしね」


布団に潜り込んだイリアス様は、最後にそう呟くと一通の手紙をプロメスティンに飛ばしたのだ。






プロメスティン「ということで、この件はお前に任せるぞ、ウラミ」

ウラミ「ちょっと待つヨロシ」


とある施設に二人の姿があった。

その一人が智に長けた天使プロメスティンである。

プロメスティンは数千年にわたり様々な技術を独自研究してきた科学の求道者。

しかし、無断で人類に火を与えてしまった大罪人でもある。

そんなプロメスティンに一通の手紙が届く―――イリアス様、直々の執筆且つ任務内容が書かれた手紙である。

その手紙を読み終えたプロメスティンは、蝋燭の火で処分したのだった。


ウラミ「私が読む前に燃やして、この件を任せるぞも何もないアルね!」

    「いったいどんな内容だったヨ?」


もう一人が全身を布やサポーターで完全に隠しているウラミ。

ウラミの姿を知っているのは極々一部で科学の関係者のみ。

しかし、ウラミの種族が天使なのかどうかは誰も知らない―――世界七不思議の一つでもある。


プロメスティン「ふむ…… イリアスが暫くの間、休むらしい―――その間の管理は私に任せると……」

        「大雑把に言えば、こんなところだ」

ウラミ「なら、イリアス様が言われた通りに管理すればヨロシ」

    「何故、私が貴女様の代わりに管理しなきゃ―――」

プロメスティン「私は貴様と違い非常に忙しいのだ」

        「六祖大呪縛を始めネクスト・ドールの開発、精霊の複製且つ量産等々……」

        「それに比べウラミ―――お前は非常に暇そうで羨ましいよ」

ウラミ「ぐっ……!」


プロメスティンが目を細めウラミに嫌味とも取れる言葉を発した。

それに対してウラミは押し黙るしかなかった。


プロメスティン「では、後は頼んだぞ」

        「……くれぐれも私の手を煩わせるじゃないぞ」


そう言い残したプロメスティンは、その場から姿を消してしまった。

取り残されたウラミは歯軋りをし近くにあったゴミ箱を大きく蹴り上げたのだ。


ウラミ「くそっ! くそっ!!」

    「大罪人の分際で偉そうにして―――頭に来るネ!!」

    「お前が戻って来なければ、その仕事は全て私の仕事として受け持ったはずなのに……!」


怒りに興奮したウラミは深呼吸し自分自身を落ち着かせる。

そして、研究室―――基、自室に歩を進めるのであった。


餌+風呂タイムや

乙。どうか>>1はこのSSを飽きずに完結までもっていってくれ


大阪|-ω-)< .....zzz

ハッ|・ω・)< ! 

大阪|´-ω-)<続きしてこか


PS:>>370 完結って、本編か、外伝4のことかいな?

本編なら年掛かってもやり遂げるで!






研究室は、いろんな物が積み重なったり、ゴミが散乱していた。

中には脱ぎっぱなしのパンツも落ちていた―――因みに紐パンである。


ウラミ「余計なこと言わなくてイイよっ!?」

    「全く……」


ウラミは一人漫才後に机に置いていた分厚いベーコンと研究室に備え付けていた冷蔵庫から卵を取り出す。

空中に出現した魔法陣にフライパンを乗せ温める。

そしてベーコンを二切れ乗せ焼き、ベーコンから出た油をそのままに卵を4つ割り目玉焼きにする。

ウラミは出来上がった料理を皿に盛らずに、そのままフォークで切り分け食す。


ウラミ「しかし、世界の管理って何をすればいいわけ?」

    「魔物を滅すればいいのカ? それとも人間の信仰を高めるのカ?」

分厚いベーコンを噛み千切りながら研究レポートの束を眺める。

そして、研究レポートの束は燃やした。


ウラミ「……これも、これも―――」

    「どの研究データも、プロメスティンに既に開発されてるネ」

    「しかも、便利さに加え能力も何倍も上だから余計に腹立たしいヨっ!」

    「唯一勝てると声を大にして言えるのは―――」


ウラミは行儀悪くもフォークを口に咥えたまま、とある水槽を見据える。


ウラミ「……………」

    「ゴミ捨て場で偶然拾った記録チップ―――その中にあったデータを元に造り上げた芸術作品……!!」






― ― ― ― ― 超 魔 生 物 ― ― ― ― ―





超魔生物「……………」


人間が数人は余裕で入れる水槽に浮かぶその姿は正に異形―――

有機質と無機質が混ざったような外見は、この世界に存在する大陸―――イリアス大陸、セントラ大陸、ヘルゴンド大陸に生息する魔物とも大きくかけ離れていた。

ウラミが手元に表示された窓を軽く操作する。

水槽に満たされていた溶液がゴポゴポと水位を下げていく。

水槽の蓋が自動的に開くが、異形である超魔生物の反応は無かった。


ウラミ「……ん?」

    「どうしたネ、早く動くヨロシ!」


口に咥えていたフォークを取りこぼし、その場から立ち上がるウラミ。

溶液が空になった水槽に顔を押し付け動き出さないことに焦りを見せる。


ウラミ「じょ、冗談じゃないネ……」

    「プロメスティンに勝つために今まで苦渋を味わいながらも……」


ウラミは手を強く握り―――


ウラミ「プロメスティンの下で数百年以上も働いてきたんだヨ!!」


ウラミは水槽を強く殴りつけた―――


ウラミ「とっとと、動くネ!!」

    「この―――」


【ウラミのセリフ】


↓2


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:安価内なら↓やで それと、今から↓2でおねやで!


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|´-ω-)<0時ぐらいにするわ……


ウラミ「とっとと、動くネ!!」

    「この寝坊助!」

超魔生物「……!」


ウラミの超魔生物に対する貶した言葉を発した瞬間―――

突如、水槽の特殊ガラスに罅が入る。

ウラミは水槽から離れると机を倒し応急の防壁代わりにする。

そして、水槽の特殊ガラスが砕け散った音が研究室内に響くと―――

重々しく何かを引き摺る音がした。


ウラミ「な、なにヨ!」

    「いったい何が起こったネ!?」


ウラミは防壁である机から、そっと水槽があった場所を見る。

そして、何が起こったか理解した。


ウラミ「お、おぉぉ……」

    「動いた……」

    「成功したネ……!」

超魔生物「……………」


超魔生物が目覚めたのだ。

異形そのものである超魔生物は顔と思われる部分で研究室内を見渡す。

そしてウラミを見つけると、ゆっくりとした動きで近付いた。

ウラミも、その異形である姿にビビっているのか後退りする。


超魔生物「……………」

ウラミ「な、なんネ……?」

超魔生物「オ前…… 誰……?」

ウラミ「私あるカ……?」

    「私は、お前のご主人様のウラミだヨ!」

超魔生物「ゴ主人サマ……?」

     「ウラミ……?」

ウラミ「そうネ!」

    「つまりは、お前の創造主だヨ!」

    「ウラミ様と呼ぶヨロシ……!」

超魔生物「……………」


恐怖を誤魔化すためにウラミは、超魔生物に強気な態度で出たが―――後悔していた。

超魔生物は今、目覚めたばかりである。

性格も何も分かっていないのだ。

超魔生物が持つ巨大な爪を一振りすればウラミは、ひとたまりもないだろう。

超魔生物が口を閉ざしてから数分の時間が流れた。

ウラミが脂汗を腕で拭き取った直後、超魔生物は顔を近付けた。


ウラミ「!?」

超魔生物「ウラミ様……」

     「ウラミ様―――ウン、覚エタ……」

     「オ前、今カラ、ウラミ様ト呼ブ……」

ウラミ「……………」

    「へっ……?」


ウラミは予想していた展開と違っていたせいか腰を抜かす―――が……

尻餅をつく前に、超魔生物の大きな爪で支えられた。


超魔生物「ドウシタ、ウラミ様……?」

     「ドコカ体調デモ悪イカ……?」

ウラミ「……何でもないネ」


異形の恐ろしい姿とは違い言葉の中にウラミを心配する内容があることにウラミは嬉しさを感じていた。

プロメスティンが舞い戻って来る前、天使達はウラミを持ち上げていたが―――

今では打って変わって散々な結果である。


ウラミ「よしっ!」

    「私の芸術作品である超魔生物よ!」

超魔生物「……何?」

ウラミ「今からお前の実戦を行うネ!」

    「今すぐに魔物を一体、殺してくるヨロシ!」

超魔生物「……分カッタ」

     「魔物、一体、殺す……」


超魔生物はウラミの命を聞くと翼を広げ研究室の天井を突き破り飛んでいく。

開いた天井の穴を見据えながらウラミは笑う。


ウラミ「最高ネ!」

    「この研究室は、そこそこ中古だけど十分の強度があるヨ!」

    「それをこうも簡単に突き破るとは―――期待してしまうネッ!!」


研究室にウラミの笑い声が木魂するのであった。






ここは、とある天界にある研究所。

ウラミの研究室とは比べ物にならないぐらいのオーバーテクノロジーの集合体。

そんな場所に、プロメスティンとクマのぬいぐるみを抱いた少女がいた―――


???「いいんですの?」

    「あんな役立たずを野放しにしておいて……」

プロメスティン「構わんさ……」

        「役立たずは役立たずなりに、上手に動かすさ」


プロメスティンと言葉を交す謎の少女。

あどけない風貌ながら、血も凍るほどに不気味な気配。

微笑む笑みも、禍々しさしか感じることはできない。


プロメスティン「それに、所詮は拾い物のデータで造った作品を―――」

        「自分で開発した様に振る舞い芸術作品とまで自称する者の命は短いものだ」

???「ふふっ……」

    「欠陥品が造った玩具がどれだけの結果を残せるのか楽しみですわ」

プロメスティン「ああ……」

        「使える作品ならば―――反乱計画に加えてもいいだろう」


プロメスティンと謎の少女の視線は、画面に映った超魔生物に注がれていたのだった。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


―――[ステータス:外伝]
名 前:―――        称 号:兵器
種 族:超魔生物       性 別:?
HP:1000000/1000000   攻撃力:???/???
MP:30000/30000      防御力:???/???
―――[装備品]

☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:ダイヤウェポンの上半身
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:サファイアウェポンの下半身
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:エメラルドウェポンの肩
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:ルビーウェポンの腕
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:アルテマウェポンの翼
――――――――――――――――――――――――――――



大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|;-ω-)<少しだけやけど、勘弁やで……






ここはレミナの町。

世界で一番、魔物との共存が進んでいる町である。

町はお祭り騒ぎで、人間も魔物も広場で食うわ飲むわ踊るわの大はしゃぎである。


六尾「今日も町は平和だ」


尻尾が六本ある狐、六尾は酒を飲みながら家の屋上から町を眺める。

焼き鳥に振りかけられた山椒の香りが、また酒を進ませる。


四尾「六尾様、こんな所に居られたのですか」


尻尾が四本の狐は四尾―――両手一杯に食べ物を抱えていた。


六尾「……四尾よ」

   「そんなに沢山食うと太るぞ……」

四尾「大丈夫ですよ、食べた分だけ動いていますから♪」

六尾「……………」

   「……あ、そう」


六尾は小さく舌打ちするとグラスに入った酒を一気に飲み干す。

そして、皿に盛られた焼き鳥を、がぶりっと荒々しく食べるのであった。

四尾も抱えた食べ物の中からフランクフルトを取り出しマスタードを、たっぷりかけてパクリと齧り付いた。

尚、胸の大きさは四尾が圧勝して―――


六尾「じゃかましいっ!!」

四尾「六尾様っ!」

   「いきなり叫ばれてどうしたのですかっ!?」

六尾「はぁ、はぁ、はぁ……」

   「いや、何でもない―――ただ、幻聴が聞こえただけだ……」

四尾「六尾様は狐族でも特に働き者ですものね……」

   「私、尊敬しちゃいますっ!」

六尾「……あ、そう」


尊敬の眼差しで見る四尾の発言を聞き流し、六尾は高そうな酒瓶の蓋を開けるとグラスに、なみなみと注ぐ。

注がれた酒を天に翳し月を見る六尾。

今日は満月であった―――


四尾「……今日で人間と共存して何十年ですかね?」

六尾「……忘れた」

   「しかし、このヘルゴンド大陸で人間と共存を試みると聞かされた時は正直、長の頭を疑った」


レミナの町があるヘルゴンド大陸―――魔王城のある大地である。

寒暖の差が激しく、人が住むのには適さない不毛の地であるが―――住もうと思えば住めるようだ。

今では人間と魔物が協力し合い豊かな町が出来つつある。


四尾「六尾様が三尾だった頃でしたっけ?」

六尾「あ~…… 四尾ぐらいだったかな……?」

   「まぁ、どうでもいいや」

   「それよりほら―――グラスを出しな」

四尾「あ、頂きます♪」


四尾は尻尾からグラスを取り出し、六尾に酒を注いでもらう。

六尾は余り上下関係には、拘っていないようだ。


六尾「それじゃ、レミナのお祭りに―――乾杯っ!」

四尾「乾杯っ♪」


六尾と四尾はグラスを鳴らし乾杯したのであった―――が……


四尾「んっ……」

   「少し風が強いですね」

六尾「風が強いだと……?」


四尾がお酒を飲もうとグラスを傾けた時に、強風が吹いたのだ。

しかし、六尾は四尾とは違う風を感じていた。

そして六尾は空を見据え―――驚愕する。


六尾「おいおいおいおい、なんだありゃっ!?」

四尾「六尾…… 様……?」

六尾「四尾っ! 直ぐに他の狐族に連絡しろっ!」

   「何かヤバいのが―――危険なのがやってくる……!」


六尾が目で捉えたもの―――いや、者は……


超魔生物「俺、魔物、殺ス」

     「俺、レミナ、消ス」


最凶最悪が空を飛んでやってきた―――






超魔生物はレミナの広場付近に降りた。

レミナの住人達は魔物とも人間とも思えない姿をした見知らぬものに注目した。

そして、一人の酔っ払いが話し掛けたのだ。


青年「んぅ~?」

   「よぉ、アンタ変わった衣装を着ているね」

   「自前で造ったのかい~?」

超魔生物「衣装、違ウ」

     「俺、造ラレタ」

青年「なんだ、他人に造ってもらったのか」

   「しかし、奇妙な材料だな」

   「生物に鉄を混ぜ込んだような感触だ!」


酔っ払った青年は超魔生物にベタベタと触る。

超魔生物はゆっくりと顔と思わしき部分を動かし酔っ払いを見た。


超魔生物「……………」

青年「おっ? なんだ?」

   「俺とやろうってかい?」

   「いいのかな~、俺って結構力自慢なんだぜ……」

六尾「止めろっ!」

   「それ以上、挑発するんじゃ―――」

青年「あん?」

超魔生物「……………」






―――――『ハイパードライブ』―――――





六尾が駆け付けたが既に遅く―――膨大な力が広場に解放された。

爆音が周囲に鳴り響き、建物は崩れ、飾りつけは吹き飛び、住民達は壁や地に叩き付けられた。

超魔生物の前にいた青年は塵芥すら残さずに完全に消滅していた。

瓦礫の山から這い出てきた六尾は顔を血で染めていた。


六尾「ちっくしょ……!」

   「何なんだお前はっ!」


六尾は素早く立ち上がると刀を構え、怒りをぶつけつつ超魔生物に問い掛ける。


超魔生物「俺、超魔生物」

     「俺、強イ」

     「俺、オ前等―――皆殺シ」

六尾「クソッタレが……!」


今、レミナに無辜の住民の血が流れる―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






ウラミ「……遅いネ」

    「超魔生物は何をしているアル……」


ウラミは超魔生物が空けた研究室の穴を、トンテンカンと古臭い音を立てながら修理していた。

プロメスティンが天界に戻ってきて殆どの仕事が無くなったウラミは節約を余儀なくされていた。

多少の蓄えはあるが、それでも不安で仕方がなくゴミ捨て場や下界で調達した資材を工夫し使用していた。

そして一旦、手を止めて見飽きた神秘的な光景を眺めながら茶を啜る。


ウラミ「ハイテンションに任せて魔物を一体、殺してくるように命令したアルが―――」

    「まだ、超魔生物は目覚めたばかり、少し実戦は早かったネ……」


ウラミは湯呑みに浮かんだ茶柱を見据え溜め息を吐く。

しかし、茶柱が揺れるだけで何の変わりもしなかった。

湯呑みを置くと引き続き修理に取り掛かるが、ふいに何かの音を捉えた。

はてと首を傾げたウラミは音がする方向―――つまり、空を見た。


???「―――」

ウラミ「……………」

???「―――!」

ウラミ「……うん?」

???「―――様!」

ウラミ「……んっ!?」

超魔生物「ウラミ様っ!」


それは、物凄いスピードで落下してくる超魔生物だった。

顔色を青ざめたウラミは、何かを持っていくという思考を捨て、ひたすらその場から逃げることを選択したのだ。

ウラミが、その場から駆け出した数秒後には轟音を立てながらウラミの研究室を大破したのだ。

無事、生き残ることができたウラミは瓦礫となる自分の研究室を眺め涙を流した。

噴烟の中から超魔生物が姿を現しウラミの前に浮かぶと報告をする。


超魔生物「ウラミ様、俺、言ワレタ通リニ―――」

     「魔物ノ町、皆殺シニシタ……」

ウラミ「あ、あぁそうアルか―――それより、私の研究室が……!」

    「……ん?」


ウラミは超魔生物の報告に疑問を感じ取った。

今、なんて報告したのかと―――


ウラミ「……超魔生物」

    「今、なんて言ったネ?」

超魔生物「俺、命令通リニ魔物ノ町ヲ皆殺シニシタ……」

ウラミ「なるほどネっ!」

    「魔物の町を皆殺しにしたアルか、それは凄い報告だヨ!」


超魔生物はコアと思われる部分で胸を張った。

しかし、ウラミに鉄パイプで殴られた―――そして、鉄パイプは折れ曲がった。


ウラミ「何してるカっ!」

    「誰が町を丸々一つ消せと命令したアル!」

超魔生物「俺、ウラミ様ノ命令通リ―――」

ウラミ「そんな物騒な命令してないアル!」

    「私が出した命は魔物を一体殺せと言っただけあるヨ!?」

超魔生物「……………」

     「ウッカリシタ……」

ウラミ「うっかりで町一つ消すなアルッ!?」


さすがのウラミも町一つを消したことに罪悪感を感じたのか、頭を抱え唸っていた。

しかし、超魔生物には反省の色が見えず―――いや、実際に表情はないが、その場に佇んでいただけであった。






???「あらあら、やっと映像が映りましたわね」


謎の少女は、不服そうな表情をしていた。

しかし、プロメスティンは超魔生物が飛び立ってしばらくした後に、ブラックアウトした映像機器を見つめ思考の海を漂っていた。


プロメスティン「この映像機器は、この前に造られたばかりなのだが……」

        「これも超魔生物の影響か」

        「もしそうなら、どの影響を受けたのだ?」

        「飛行時に発するエネルギーの放出か? それとも電波の乱れか―――」

???「自分一人だけ楽しんでズルいですわ……」


謎の少女は一人寂しくクマのぬいぐるみを撫でるのであった―――





四尾は走っていた。

六尾の命により、魔王城や故郷でもあるヤマタイ村から狐族の戦士達を集結させレミナの村に向かっていた。

狐族は尻尾の数だけでも、個々の実力を示すことができると言っても過言ではない。

六尾は尻尾が六本―――狐族の長たまもの側近としても十分であった。

しかし、そんな六尾が『何かヤバい』と意味が捉え辛い言葉を発したのだ。

狐族は基本的に真面目な種族なために、そんな状況が分かりにくい発言はしない。

だが、そんな狐族でも瞬時に判断することができない状況ならば?

四尾は三尾、五尾とその他部下達を引き連れレミナに急ぐのであった。






四尾「うそ……」

   「何これ……?」

三尾「四尾様―――レミナの町はいったい何処に……?」


四尾達はレミナと思われる場所に到着した―――したが、レミナの町が無かった。

瓦礫らしき物は、いくつかあったのだが町そのものが綺麗に無くなっていたのだ。

しかし、狐達の嗅覚が僅かに残るレミナのにおいを感じ取っており、ここがレミナであることを証明していた。


四尾「……………」

   「六尾様……!」

五尾「四尾っ!」

   「単独行動は危険―――」

四尾「六尾様の―――六尾様のにおいがするっ!」

五尾「なんだと……?」


四尾は六尾のにおいを嗅ぎ取ると同時に駆け出した。

五尾に咎められるが、五尾自身も六尾のにおいを嗅ぎ取ったのか―――

―――残りの部下達を状況を把握するためにレミナと思われる付近を探索させ、四尾の後を追う。


そして、地に大きな傷跡を残した場所に辿り着いた四尾は周囲に僅かに残る瓦礫を背にした六尾を発見する。

瓦礫を背にした六尾に影が差しており、全身を把握することはできない。

ほっと安心した四尾は、ゆっくりと六尾に近付いた。


四尾「良かった……」

   「無事だったんですね、六尾様」


六尾は、答えない。


四尾「何の連絡も無くて、とっても心配したんですよ?」


六尾は、動かない。


四尾「でも、安心しました!」

   「私の憧れで尊敬している六尾様が無事で―――」

五尾「見るなっ!」

   「見るんじゃない、四尾っ!!」


五尾が追いつき、四尾を呼び止めるが既に遅かった。

四尾は足の裏に湿りを感じつつも、特に気にすることなく六尾を揺する。

しかし、揺すられた六尾は反応することはなく、そのまま重力に引っ張られるようにうつ伏せで倒れた。

倒れた六尾の背を見た四尾は、喜びの表情を絶望に塗り替え悲痛な叫びを上げた。




…… ― ― ― 六尾の尻尾全てが、抉り取られていたのだ ― ― ― ……




下半身からは大量の血が流れ出たのか六尾を中心とした周りの土が湿っており、血のにおいも強い。

五尾は、四尾の視界にこれ以上、六尾の亡骸が入らないように、常に装着しているマントで遮った。

五尾の体にしがみ付いた四尾は、静かに―――子供のように泣く事しかできなかった。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|;-ω-)<後々で読み直すと変な文が多いことに気付く―――夜にやるとアカンな……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


そろそろ本編の内容忘れてきた笑
読み返さないと

本編の偽勇者には全然魅力を感じない

おつ~
この番外編には偽勇者でてくるの?


大阪|´・ω・)<今回はお休みや

大阪|;-ω-)<>>409 ワイも本編忘れてもうた―――再開前に読み返さんとな……

大阪|´・ω・)<>>410 まぁ、アレやからね。 仕方ないわ……

大阪|-ω-)<>>411 この外伝には出てけえへんで―――勇者系ばっかやと飽きるから"偽魔物"としてやってま。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


___
エター |
 ̄|| ̄   うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
  ||    ┗(>ω< )┓三三


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?






―――数十年後。


少女「母様……! ここから出して……!」

   「母様……!! かあさまぁ……!!」


牢の中に入れられ、鉄格子を小さな手でがんがんと叩く少女。

しかし、鉄格子はびくともしなかった。


魔王「しばらくの間、そこで大人しくしていなさい」

   「あなたの力では、その牢の封印は破れません」

   「アリス…… 強く生きるのですよ」


魔王は、牢の中の娘に慈愛の視線を投げかける。

そして愛娘に背を向け、その場を立ち去った―――





謁見の間への廊下を、静かに進む魔王。

そこに、一人の狐妖が立ちはだかった。


魔王「……どきなさい、たまも」

   「余は、彼らに会わなければいけないのです」

たまも「しかし魔王様……」

    「あの勇者達は、魔王様の命を奪いに来たのじゃ!」


魔王「ええ、だから会おうとしているのです」

   「魔王たる余の力が、あなたには信用できないのですか……?」

たまも「魔王様の力は、この地上界に及ぶ者なし」

    「人間の勇者程度では、一太刀さえ浴びせる事はできんじゃろう」

    「だが…… 魔王様が最初から殺されるつもりであれば、話は別じゃ!」

魔王「……さすがは、幼い頃より余を見てきた腹心」

   「我が意図も見抜いておりましたか……」

たまも「だからこそ、通すことはできんのじゃ!」

    「自らの死で、魔物と人間の争いを終わらせるなど―――」

    「何よりも、我が子のように育ててきた魔王様を見殺しにはできんのじゃ!」

魔王「たまも……」


魔王は、過去を思い返していた。

幼き頃、よくたまもに悪戯をしては叱られ―――

勉学がイヤで、魔王城を脱走しては追いかけられ―――

病で寝込んだ時には、付きっ切りで看病し―――

暗い部屋が怖く、寝付けなかった日には共寝もし―――

迷子になり心細く泣いていた時、誰よりも一番に見つけてくれた。

たまもは、魔王にとっては第2の母親と言っても過言ではなかった。

だからこそ―――


魔王「たまも、余の目をしっかりと見なさい」

   「これが、自ら死へと向かう者の目に見えますか……?」

たまも「じゃが、しかし……」


魔王の瞳が妖しく光り、たまもに猛烈な眠気が襲ってきた。


たまも「し、しまった……!」

魔王「……少しばかり、眠っていなさい」

   「どうかあなたも、平和な世の中に生きて……」

   「そして、幼くして母を失う事になるアリスを支えてやって下さいね」

たまも「だ、ダメじゃ……!」

    「行ってはならぬ…… 行っては……!」


たまもは、眠気に逆らいつつも魔王の尻尾を掴み引き止めようとするが力及ばず眠ってしまう。

魔王は、たまもを廊下の壁に寄り掛かせると謁見の間へと進む。

すでに魔王城に侵入した勇者一行を、待ち受けるために―――






謁見の間―――玉座に座る魔王の前に勇者一行が現れた。

この魔王城まで辿り着くだけあり、他の人間とは違う雰囲気を纏っていた。

そして、魔王は厳かに口を開いた。


魔王「……勇者一行よ、よくぞここまで辿り着いた」

   「余こそが魔王、アリスフィーズ15世である」

勇者「……………」

戦士「……………」

老魔導師「……………」

女僧侶「……………」


魔王は、勇者一行を冷たい視線で見据え―――


アリス15世「さあ…… 余を倒しに来たのだろう?」

       「剣を構えよ! 魔王の力、その目に焼き付けるがいい!」


玉座から立ち上がる魔王は、勇者一行と最後の決戦を演じようとした。

分かり易い物語―――勇者が魔王を倒す、そんな単純明快な物語を。


勇者「……………」

戦士「……………」

老魔導師「……………」

女僧侶「……………」


しかし勇者は、剣を構えず鞘に収めたのだった。

勇者だけではなく戦士も剣を収め、老魔導師は杖を下ろし、女僧侶は笑みを浮かべていた。


アリス15世「……どうゆうことだ」

       「何故、剣を収める?」

勇者「……やめよう」

アリス15世「なんだとッ!?」

       「貴様、それでも―――」


魔王が声を荒げようとするが、勇者が魔王のとある部分を指で示す。

その示す物―――『花の髪飾り』に片手で触れた魔王は言葉を失った。


勇者「貴女の髪に付けている物……」

アリス15世「……!」

勇者「貴女には、貴女の帰りを待っている人がいるんじゃないのか」

アリス15世「……………」

勇者「それは明らかに子供が作った物」

   「まさかとは思ったが、魔王にも家族が……」

   「そう思ったら―――斬れなくなった」

アリス15世「……ッ!!」


魔王は目を見開き、勇者の言葉に心を打たれた。


風呂タイム&寝落ち(風呂で)フラグ

戻らなかったら、明日やるわ―――


  ∧,,,∧
 ( ・ω・)<ダレモイナイ…… ツヅケルナラ イマノウチ……
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/カタカタ…

  \/     /
     ̄ ̄ ̄ ̄


戦士「俺達は、これでも人と魔物の共存を願っているんだ」

   「何の理由もなく魔物達を排斥する奴らとは違う」

老魔導師「それにの……」

     「魔王も、邪悪な存在ではなかったことが分かったしの」

     「無駄に血が流れることもなくなったわい」

アリス15世「……ドアホ共めが」

       「薄甘い感情に流され、自身のなすべき事を見失うとは……」

       「貴様達は、理想を実現するチャンスを不意にする気か……?」

女僧侶「誰かが犠牲にならなければ叶えられない理想は、まやかしでしかありません」

    「私は―――私達は命を奪う行い方ではなく、命を大切にする行い方で叶えたいのです」

アリス15世「それは、薄甘い理想でしか―――」

勇者「薄甘くて何が悪いんだ?」

   「命を奪う事が出来る者こそが一人前であるならば、僕は半人前のままでいい」

アリス15世「……お前」

老魔導師「……血塗られた理想のままでは、人と魔物の関係に必ず破局が訪れてしまうからのう」

     「決して楽ではない選択じゃが―――」

アリス15世「……魔王が勇者に滅ぼされれば、皆の意識も変わる」

       「人と魔物はもう争うべきではないと、皆が知るはず……」

戦士「てめぇこそ、現実逃避もいい加減にしやがれ!」

アリス15世「余が…… 現実逃避だと……?」


戦士「お前は、魔王だからって責任を背負い込み過ぎなんだ」

   「何をどう背負おうがお前の勝手だが―――周囲ぐらいは見やがれ!」

   「……そのどでかい責任を共に背負ってくれる奴らが必ずいるはずだろ?」


アリス15世の脳裏に浮かんだのは、たまも。

そして、愛娘である―――アリス。


アリス15世「……………」

       「しかし、余が滅びなければ……」

       「人と魔物が共存する世の中は……」

戦士「魔王のけじめってやつか?」

   「魔王としてのけじめを付ける前に家族の―――」

   「母親としての、けじめを付けやがれッ!」

アリス15世「……ッ!」

戦士「玉座に座っている時もそうだ」

   「お前の目は確かに険のある冷たい視線だった……」

   「でも、それは母親として―――娘を守るためじゃないのかッ!!」

アリス15世「余は…… 余は……」

勇者「魔王アリスフィーズ15世……」

   「安易な自己犠牲に逃げないでくれ」

   「人と魔物が共存する世界に、貴女も生きていてほしいんだ」


アリス15世「……いいのですか?」

       「貴方達の理想の世界に、魔王である余が存在していても……」

勇者「もちろん!」

戦士「当たり前だ」

老魔導師「フォフォフォ……」

女僧侶「はい♪」

アリス15世「平和になった世界―――」

       「人と魔物が共存した町―――」

       「娘とピクニックをしたいものだ……」

勇者「そのためにも、人と魔物が共存できる世界を築こう」


勇者は魔王に手を差し伸べた。

おとぎ話では、あり得ない結末。

しかし、おとぎ話は元は大人に聞かせる話だ。

偶には、こんな結末もいいかもしれない。

魔王は勇者が差し伸べた手を取る―――


???「ダメ、ゼッタイ」

    「勇者ト魔王ハ殺シ合ウ」

    「ダカラ、面白イ」


―――ことが出来ずに、勇者は魔王の血しぶきを浴びた。

魔王の胸元を、巨大な爪が貫通していた。

目前での光景に理解が追い付かずに佇むことしかできない勇者一行。




―――今。

―――魔王は。

―――殺されてしまった。



???「終ワリ、終ワリ」

    「物語、結末、魔王、勇者ニ討タレ、退治サレル」


次の瞬間、禍々しい気配が魔王の間に満ちる。

冷たく無機質な声が、勇者一行の血を凍えさせた―――


戦士「だ、誰だ!」

   「姿を見せやがれ!」

???「俺、失礼」

    「自己紹介、俺、超魔生物」

    「全テヲ超エタ超魔生物」


魔王を殺した者の全容が現れる。

胸元を貫いた爪を引き抜かれた魔王は、そのまま血の海で倒れ伏す。


老魔導師「……お主、いったい何者なのじゃ?」

     「魔物にしては、その姿―――」

超魔生物「オ前、馬鹿」

     「何度モ言ッテル」

     「俺、超魔生物」

     「全テヲ超エタ超―――」

勇者「そんなこと、どうでもいい……」

   「何故、魔王を殺したんだ……?」


超魔生物「何故? ドウシテ?」

     「ソレ、決マッテル」

     「世界ヲ面白ク」

     「世界ヲ笑ワセテ」

     「世界ヲ満足サセル」

     「只、ソレダケ」

勇者「それだけのために魔王の――― 一人の尊い命を奪ったのか!?」


勇者は、剣を抜き放つが超魔生物の振るわれた爪に吹き飛ばされ―――

―――壁に叩きつけられた。


女僧侶「マルケルスッ!?」

戦士「野郎ッ!!」

老魔導師「止めるんじゃ、ラザロ!」

     「今の、お主の適う相手じゃ―――」

ラザロ「うるせぇ!」

    「己の友人を傷付けられて黙っていられるかっ!」

    「カレン、マルケルスを頼む!」

カレン「分かった」

    「ラザロも無理しないで……」

ラザロ「へっ、そう簡単にくたばらねぇさ……」

    「ということだマーリンの爺さん」

    「……土精を頼む!」

マーリン「ええい、年寄り扱いはするでない!」

     「……どうなっても知らんぞ!」


マーリンと呼ばれた老魔導師はラザロに下級の土精を宿した。

そして、抜き放たれた剣で超魔生物に立ち向かう。


超魔生物「下級、弱イ」

     「俺、強イ!」


振り下ろされた爪を剣で受け止めるが―――

―――剣は、その衝撃に耐えきれずに砕け散ってしまった。

ラザロは戦士としての経験と土精の恩恵で致命傷は避けることはできた。

しかし、それでも骨を数本折ってしまったのだ。


ラザロ「ぐっ……」

カレン「ラザロッ!」

マーリン「いくら下級と言えど精霊の力でもこれ程とは……」

超魔生物「オ前等、料理、スル」

     「ドウ、料理、スル?」


超魔生物は、巨大な爪を振り上げラザロの息の根を止めようとする。

しかし―――


超魔生物「……今回ノ料理」

     「彼女、任セル」


目と思われる部分を細め、超魔生物はそう言い残すと立ち去った。


ラザロ「ま、待てッ!」

カレン「動いてはダメよ、ラザロ……」

    「折れた骨が内臓を傷付けているわ」


カレンは、ラザロの肉体を支えると回復の術を掛ける。

苦痛を浮かべていた表情は少しずつ和らいでいき、何とか立てるぐらいまでは回復した。


ラザロ「ちくしょう……」

    「ちくしょう……!」

マーリン「ラザロ……」

     「気持ちは分かるが、今は命があるだけ運が良かったと思うしかあるまい」

     「今の我々では、あやつに勝つことは―――」

ラザロ「それでも…… それでもよぉ!」

    「マルケルスの受けた傷ぐらいは……」


ラザロは、気絶しているマルケルスの方に視線をやる。

カレンが、回復の術を掛けたから大丈夫であろうが―――

それでも、深刻なダメージが体に残っていた。


カレン「私の術では、完全にマルケルスの傷を癒しきることはできなかった」

    「……未熟な自分に腹が立ちます」

マーリン「……それでも、命さえあれば明日があるのじゃ」

     「今は、体を休めることに集中するのじゃ」

     「……その後に、魔王を―――」


ラザロ、カレン、マーリンは、血の海に沈んだアリス15世の姿を見据える。

自分達と共に、人と魔物の共存を願っていた魔王。

一人の母親としての顔を持っていた一つの命。

―――彼女はもう、動かない。

―――笑えないし、怒ることもできない。

―――共に、世界を見ることもできない。


マーリン「……………」

カレン「……………」

ラザロ「……………」


皆が沈黙する中、一つの扉が開け放たれる音が鳴り響いた。

そこに現れたのは、一人の少女―――


少女「……………」

ラザロ「女の子か……?」

    「いや、もしかして……」

カレン「私達は敵ではないわ、お嬢さん」

    「私達は貴女の―――」

少女「よくも…… 母上を……」

マーリン「……ッ!?」

     「伏せるんじゃッ!」

     「ラザロ、カレンッ!!」

少女「殺したなァァァァァァ!!」


少女から恐ろしいまでの魔力が暴走する。

そして、マルケルスを除く勇者一行が無慈悲な暴力に―――

一人の少女の怒りが襲い掛かったのだった。






ここは、とある研究室。

そこには、お尻に狐の尻尾を蓄えたウラミが機械類を操作し剣を造っていた。


ウラミ「……後は上級妖魔の体液さえあれば完成あるが―――」

    「そう簡単に手に入らんアル……」

    「超魔生物に頼みたくても、何処かに散歩してるのかいないヨ」


ウラミが、うんうん悩んでいたが―――

―――壁を突き破った超魔生物が現れた。


超魔生物「ウラミ様、俺、タダイマ」

ウラミ「……またアルか」

    「超魔生物ッ!」

    「お前は何百枚、壁を壊せば気が済むネ!」

超魔生物「ソウ怒ルナ、ウラミ様」

     「オ土産、持ッテキタ」

ウラミ「……お土産ぇ~?」

超魔生物「ソウ、オ土産」

     「受ケ取レ、オ土産」


そう超魔生物が答えるとウラミに二つのお土産を手渡した。

その一つが、アリスフィーズ15世の血肉。

そして、残り一つが―――『花の髪飾り』であった。


ウラミ「ほぉ……」

    「上級妖魔の血肉とは、グッドタイミングだヨ!」

    「超魔生物! お前は、よい子ネ」

    「出来る子ネッ!」

超魔生物「俺、良イ子」

     「俺、出来ル子」


ウラミは、背伸びをし超魔生物の頭と思われる部分を撫でてやる。


ウラミ「しかし、この髪飾りだが―――ちと、不格好ネ」

    「まぁ、伸びた髪をまとめるのが欲しかったから丁度いいが……」

超魔生物「ウラミ様、ツンデレ」

ウラミ「煩いヨ!」


とある娘が母親の誕生日に贈った『花の髪飾り』は―――今、ウラミが所有しているのであった。


―――[ステータス:外伝]
名 前:―――        称 号:兵器
種 族:超魔生物       性 別:?
HP:1000000/1000000   攻撃力:???/???
MP:30000/30000      防御力:???/???
―――[装備品]

☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:ダイヤウェポンの上半身
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:サファイアウェポンの下半身
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:エメラルドウェポンの肩
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:ルビーウェポンの腕
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ★:アルテマウェポンの翼
――――――――――――――――――――――――――――


―――[特徴]
☆戦闘中に受けた傷を回復する自己再生/修復。
☆相手が集団である限り、常に無敵(回復などの恩恵も無効化される)
☆死ぬと灰塵となり崩れ去って死体すら残らない。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|´-ω-)<ほな、安価しよか

大阪|´・ω-)<この安価は決まりを守って正しく画面から2m離れて見てや


――決まり――

○ルカきゅんは産まれてへん。

○マルケルスは生きとるよ―――さすがショタの家系やな。

○征服、イリアス殺害などの行為は差し控えやで。


大阪|´-ω-)<こんなもんかいな?

大阪|´・ω・)<↓の二つから選んでな、ほなどぞー


【安価:サブイベント】

【そのまま最終回行ってや】


↓3

最終回

>>446

大阪|・ω・)<……

大阪|-ω-)<最終回やね


大阪|´・ω-)<今回はなしや、書き溜めるわ

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

おつ
ってルカきゅん最初に塵芥にされてなかったっけ・・・?


>>448|-ω-)<ん…… 塵芥にされてたで……

大阪|´-ω-)<で、イリアスちゃんが時間逆行で、わかめ博士に丸投げな形やね

大阪|´・ω-)<そんな、いらん行動で超魔生物が誕生―――過去改変……

大阪|;・ω-)<なら辻褄が合うやろか?


大阪|;-ω-)<皆はん、これだけ待たせておいて、実は一文字も進んでまへん―――ごめんな?








































































     *      *
  *     +  うそです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ・ω・)E)
      Y     Y    *


大阪|´・ω-)<今は、4分の一ぐらい打てたかいな―――最終回だけあって戦闘もいれてるさかいに……

大阪|´-ω-)<もち、本編に関係ありそうなネタバレも含んでるで……

大阪|´・ω・)<で、本題やけどな―――2分の一、つまり半分まで進めキリの良いところでペタペタした方がええ?

大阪|´-ω-)<それとも、全部出来てからペタペタする?


大阪|・ω・)<全部の場合は、来週まで掛かりそうや。

大阪|・ω・)<どする?


大阪|-ω-)< .....zzz

ハッ|・ω・)< !

大阪|´・ω-)<とりあえず、全部出来てからペタペタやね……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)ノ<みなはん、こんちー!

大阪|-ω-)<完成は来週、言ったやん?

大阪|´・ω・)<あれは嘘や


    |l  |l l |l | |i l| li  |
   |i  l |i l| li  | |i l| li
    |l  |l l |l | |i l| li  |
   |i  l |i     | |i l| う li
    |l   ⊂ ⊂ヽ、   あ
   |i  l i  c、   `っ  あ
    |l  |l  ( >>1 )  あ
   |i  l  |i   V''V     あ
    |l  |l l |l    l| liあ |
   |i l |i l| li  | |i l  あ li
    |l  |l l |l | |i l| あ |
   |i  l |i l| li  | |i l !


大阪|´・ω-)<仕事が忙しいさかいに―――勘弁してや……

大阪|´-ω-)<土日には、完成させたいわ……

大阪|´・ω・)<ごめんやで?


大阪|-ω-)<外伝4、ラスト前半が、そろそろ出来上がりそうや。

大阪|´・ω・)<後半完成までやると、このまま1ヶ月ぐらい掛かりそうやから、前半だけ先に貼るな。

大阪|´・ω-)<で、前半は今週中ぐらいには―――やったらええな……


大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|-ω-)<まだやでー













大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


大阪|;-ω-)<みなはんに色々報告あるけど―――

大阪|´・ω・)<後でええか

大阪|・ω・)<ほな、いくでー






―――世界のへそ


マルケルス「ふぅ、なんとか門番を倒せたか……」


ヘブンズゲートを倒したマルケルスは、後に残った大きな門を開く。

この先は、天界へと繋がっているらしい―――


マルケルス「それじゃあ、行くか……」

ミラウ「少し待つヨ」

    「本当に天界へと進むのカ?」

マルケルス「ああ……」

      「こんな戦いを終わらせるためには、どうしても先へと進まなければならないからね」

ミラウ「……そうかヨ」


マルケルスの隣にいるのは、堕天使ミラウ。

女神イリアスの考え方―――過剰な魔物排斥に反対した天使だ。

科学という未知の技術で、人と魔物と天使の共存を実現しようとしたらしいが―――

―――魔物排斥を掲げる天使達に見つかり、天界を追われ、地上へと逃げ移り住んだらしいのだ。

マルケルスとミラウの出会いは、イリアスベルク道中―――アリスと名乗る妖魔と魔物を傷付けず且つ全力を出し切ることができるかどうかを考えていた時だった。

ミラウの全容は、巫女装束に身を包み、左右で天使の翼の色が黒と白で異なっている以外は―――

―――普通の女の子と変わりはなかった。

マルケルスの話を盗み聞―――たまたま、耳に入り相談に乗ってくれることになった結果。

ミラウは天界から逃れる序でに持ちだした『禍剣カオスカリバー』をマルケルスに貸した。

『禍剣カオスカリバー』は、黒魔晶という魔素や聖素を無尽蔵に吸収する結晶を原材料とし最先端技術で加工した禍々しい剣。

どんな上級妖魔の魔素でも吸収するし、どんな高貴な天使の聖素でも吸収するため、この剣で致命傷を与えられた魔物、天使などは一時的に退化した姿になる。

始めはアリスが怪しんで断っていたが、ミラウも負けず嫌いなのか、口喧嘩までに及んだ。

結果的には他に手段が見つかるまでは、カオスカリバーを使用することで落ち着いた。

そして、今現在―――


ミラウ「……久しぶりの天界ネ」

マルケルス「ミラウ……」

      「無理は―――」

ミラウ「無理なんてしてないネ」

    「少し緊張しただけだヨ」

マルケルス「それならいいんだけど……」


ミラウは、天界から地上へ逃れてから大分時間が経っている。

地上に馴染んだ体で天界に戻ればどうなるか―――


ミラウ「マルケルス……」

    「心配してくれたカ……?」

マルケルス「ああ、仲間だからね」

      「当たり前じゃないか!」

ミラウ「仲間―――ネ……」

    「心が痛むヨ……」

マルケルス「ミラウ……?」

ミラウ「何でもないヨ!」

    「さあ、早く行くネッ!」

マルケルス「あっ! 待て、押すなよ!」


マルケルスは、ミラウに背中を押されつつ門の中へと踏み込んでいった。

敵の本拠地である天界へと―――






ここは天界の最深部。

周囲に満ちた、神聖なオーラと禍々しいオーラが入り混じり全てを飲み込む黒い穴。

その中心部に超魔生物が鎮座していた。


超魔生物「……………」

     「ソロソロ終ワル―――全テガ終ワル」

     「人間、魔物、天使」

     「誰ガ残リ、誰ガ消エル?」

     「戦イノ果テニ答エ無シ」

     「全テガ愚カデ、全テガ元凶」

     「俺、消ス」

     「邪魔者、皆、消ス」

     「ソシテ、望ミ叶エル」

     「絶対―――叶エル……」


超魔生物は延々と語る。

己の望みを叶えるために―――






マルケルス「ここが、天界……」

ミラウ「そうネ、ここが天界ヨ!」

    「……何も変わってないネ」


ミラウは、神秘的な光景を広く見渡していた。

その表情には嬉しさと悲しさが見え隠れしていた。


マルケルス「とても美しい場所だな……」

ミラウ「戦いとは別の形で楽しんで欲しかったネ」

    「それが心残りヨ……」

マルケルス「大丈夫さ…… また、この光景を―――」

ミラウ「いや、見れないネ……」

マルケルス「ミラウ―――?」


ミラウは、マルケルスの前に立ちはだかった。

黒と白の翼を大きく広げたミラウの体からは、魔物と同じ―――魔素を感じた。


ウラミ「ミラウとは、ただの偽名―――本当の名は……」

    「ウラミ―――NO.000ウラミだヨッ!」

マルケルス「NO.000……?」

      「どういう事なんだ、ミラウッ!」


ウラミは目を細めマルケルスの顔を覗き込む。

その行動にマルケルスは後退りすると、ウラミは悲しみを含んだ表情をする。


ウラミ「マルケルスは、レミナの町でプロメスティンの拠点に侵入したことあるネ?」

マルケルス「……あの妙な機械装置が、ごろごろした施設か」


ウラミは頷くと着用していた巫女装束を脱ぎ、裸身をさらした。

マルケルスは、目を見開いた。

しかし、目を見開いた理由はウラミの女体ではなく―――多種多様の魔物を移植した体にだ。


ウラミ「私はプロメスティンに造られた天使クローンの一体」

    「且つ、聖素と魔素の融合の実験を行うためのモルモット」

    「そして、その失敗作だヨ……ッ!」

マルケルス「ミラウが失敗作……?」

ウラミ「プロメスティンは、究極の存在を造るため、これまでに数えきれないぐらいに天使と魔物の融合実験を行ってきたネ」

    「そして、私が最初の記念すべき一体目―――いや、一匹と数えるが正しいカ……」


ウラミは、両手で顔を覆うが、声がややくぐもっているために涙を流していることがわかる。


ウラミ「辛かったネ…… 苦しかったヨ……」

    「一人の存在としてではなく、一匹のモルモットとしか見られぬことが―――」

マルケルス「ミラウ……」


マルケルスは、ウラミの痛々しい姿に同情する。

しかし、ウラミは覆っていた両手から顔を上げると―――狂気に満ちた表情をしていた。


ウラミ「―――でも、私は生き残ったッ!」

    「あの地獄から生き残ったことは、私は選ばれた存在であると確信したネッ!」

    「絶対な存在―――究極の存在になれるとッ!」

    「その点に関してはプロメスティンには感謝感激雨霰だヨッ!!」


次の瞬間、ウラミの肉体が変貌を始めた。

下半身が四足獣―――六つの尻尾を持つ六尾となり、その頭部からサキュバスの翼を腰元から生やした竜人特有の上半身。

そして、頭の上に浮かぶ天使の輪―――


マルケルス「これは……」


それは、超魔生物を思い出させる姿。

その化け物の顔は、変化前と変わらぬままにウラミの顔が備わっていた。


ウラミ「私の体を、多種多様の魔物の長所を移植した理由はこれネ」

    「魔王軍四天王達の細胞も魅力だが、所詮私はクローン―――モルモット用の私では四天王クラスの細胞には耐えきれない」

    「しかし、塵も積もれば山となるように劣った部分を他で補っていけば―――」

    「四天王どころか魔王を超えることも可能とするのだヨッ!!」

    「いや、最早『神』と言っても過言じゃないネ……」


気を抜けば、屈服してしまいそうな程の凄まじい威圧感。

ウラミは、生き物ではなく生物兵器と化してしまった―――


マルケルス「これが、神だって……?」

      「違うよ―――ミラウ……」

      「お前は、ただの化け物だッ!」


マルケルスは、ウラミにカオスカリバーを構える。


ウラミ「化け物―――なんて素敵な言葉だ……」

    「だが、これでさえ超魔生物には及ばない……」

    「奴を壊すには、これでも不十分―――最後のパーツが必要ネ」

マルケルス「そのパーツが……」

ウラミ「そうマルケルス―――貴方だヨ……」

    「魔物と天使を極限まで高めたが、その力をコントロールするためには人間の感情―――心が必要不可欠……」

    「さあ、私と一つになれマルケルス!」

    「共に、神を超えた存在になるんだヨ!」


ウラミは、舌なめずりをすると一歩前に踏み出した。

マルケルスは―――


マルケルス「いいや…… これで終わりだ、ミラウ!」

      「私が引導を渡してやる……ッ!」


―――敢然と化け物に立ち向かうのであった。






―――バイオラボ


ここは洋館仕立てのバイオラボ。

そのラボの一室で、けたたましい音が響く。

そして―――


アリス「吾身に問わん、悠久の刻」

    「真身縛りし怨型の軛、月の黄昏と識れ―――」

    「―――我が真身よ、在れ!」


―――魔王アリスフィーズ・フェイタルベルン16世が体を取り戻したのだ。


アリス「ふぅ……」

    「やはり、元の肉体が一番だな」


体を動かし調子を確かめ深呼吸をする。

徐に両掌を天井に向け、魔力を集中させると天井をぶち抜いた。

瓦礫が落ちてくる中、アリスは目的の場所に向かうために全速力で飛んだ。

マルケルスのいる天界である。

魔王であるアリスの飛行ならば、10分も経たぬうちに世界のへそへ到達することは可能である。

しかし、アリスは不安げな表情をしていた。


アリス「……ミラウ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


―――魔王城の広間


アリス「余も元の体に戻ったら、ただちに駆け付けよう」

    「それまで、決して無茶はするなよ」

マルケルス「ああ、分かってる」

      「軽はずみに無茶な事はしないさ」

ミラウ「本当かネ……?」

    「そういう事をいう人ほど『死亡フラグ』が立ってしまうネ」

マルケルス「し、死亡フラ……?」

アリス「ミラウ!」

    「士気が下がるような発言は控えろ!」

ミラウ「これは、失礼」

    「でも、本当のことだヨ」

マルケルス「……つまり、心配してくれている」

      「で、いいのかな……?」


ミラウは返答こそしないが、その表情は笑顔であった。

アリスも、やれやれと溜め息を吐くばかりである。


たまも「……では行くぞ、みな準備は良いな!?」


こうして、たまもの合図と共に四天王は各々の担当する塔へと出陣した。


―――マルケルスとミラウは「世界のへそ」へ。

―――アリスは封印装置の元へ。


しかし、アリスが飛び立とうとした刹那―――


たまも「魔王様、少し待つのじゃ!」

アリス「ん……?」

    「どうしたのだ、たまも」


―――アリスだけは、たまもに呼び止められたのだ。


たまも「ミラウと言う堕天使のことなんじゃが―――」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


アリス「……天使とは別の―――魔物のにおいがする」


そう告げられたアリスは強いショックを受けた。

たまもが気付いたのは、マルケルスと共に初めてヤマタイ村に足を踏み入れた時期。

その夜に伝えることも出来たが―――マルケルスが無事でいられる保障は無かったのだ。

ミラウも、たまもには特に警戒心を抱いていたために。


アリス「マルケルス―――持ち堪えてくれ……ッ!」


アリスは、手を強く握り世界のへそへと急ぐのであった―――






天界の庭に咲き乱れる美しい花々。

流れる川は、一切の穢れなく川底を確認することに何の苦労もない。

木々に実る果実も、沢山成熟し風の揺り籠に揺られ収穫されるのを待つばかり。

優しく清々しい風が通り過ぎ、花々は撫でられ、川は波紋が広がり、果実は揺れた。

しかし、間髪を容れずに訪れた禍々しい暴風が通り過ぎ―――


―――花々は一輪残さず散り。

―――川は濁り果て。

―――木々は枯れ、果実は全て腐りきった。


マルケルスは、その身にシルフとノームを宿し天界中を駆け抜ける。

吹き荒れる疾風そのものとなり、全身からみなぎる力が体の負担を軽減し衝撃によって自壊しないよう耐久性を向上させている。

ウラミはそんなマルケルスを嘲笑うかのように―――精霊の力を用いずに攻めてきたのだ。

マルケルスが、振り向き様に逆袈裟斬りに剣を振り上げる。

その刹那にウラミは、巨躯となった体でマルケルスの背後に回り込み足払いで倒す。

倒されたマルケルスは、踵で地を蹴り脚の間に滑り込み四足獣の腹に斬りつける。

しかし、斬った手応えを感じなかった。

その僅かな油断が隙を呼び込み、ウラミに拘束される。

大地の息吹で得た、みなぎる力で拘束から逃れようとするが、六本の尻尾で両肘、両膝を固定されてしまい拘束から逃れるほどの力を封じられてしまった。


ウラミ「つーかまえた、捕まえた♪」

    「マルケルスを、捕まえた♪」

マルケルス「くそっ……!」

      「確かに、カオスカリバーで斬ったはずなのに―――どうしてッ!」


カオリカリバーを逆手に持ち替え、尻尾に突き刺すが―――また、手応えを感じることができなかった。


ウラミ「不思議だネ? 謎だヨ?」

    「知りたい? 解き明かしたい?」

    「でも駄目ネ―――ここからは、大人の時間……」

マルケルス「な、何を―――ッ!」


ウラミは、六本の尻尾で器用に拘束したまま、マルケルスを自分の目の前に運んだ。

そして、瞳を覗き込むように顔を近付かせた。


ウラミ「ああっ、マルケルス―――!」

    「やっと―――やっと貴方を手に入れることが出来たヨ……」


ウラミの口から伸びる長い舌がマルケルスの頬に触れる。

ぺちゃ、ぺちょと唾液が滴る舌で顔をゆっくりと舐め上げられる。

ヌメヌメとした感触と温もりを感じるが、不思議と不快感は持たなかった。

それどころか、舐める度に傷が癒えているのだ。


ウラミ「さぁ、マルケルス―――ここで御浚いネ」

    「私は、何?」

マルケルス「あぅ…… 超魔生物……?」

ウラミ「正解だ、いい子だヨ♪」


目を細めたウラミは、舌を蛇行の様に操りマルケルスの唇、口を刺激させた。

刺激に反応した姿にウラミは微笑む。


ウラミ「しつこいが私は、多種多様の魔物の長所を移植している」

    「この舌も、あかなめの細胞を移植しているから―――ほら、伸縮自在で思うように舐められる」


舌は、顔の傷を全て舐め癒やすと次に、体の方に進んでいく。

その速度は遅く、じっくりと唾液を体に滲み込ませる。


マルケルス「ふあぁぁぁ……!」

ウラミ「因みに、私の唾液―――マーメイドの血の効果を持っているんだヨ」

    「舐めれば、舐めるほどに傷は癒え―――綺麗な体に仕上がるってこと……♪」


舌は、服の中に侵入しヌメヌメとした感触が、乳首の先端をチロチロと刺激する。

螺旋状にまとわりつく舌の感触が、快感が体を痙攣させる。


ウラミ「れるれる、れるれるれるり……」

    「長旅で負った傷も―――古傷も全て舐め取ってあげるから安心するヨ」


全身に巻き付いた舌は丹念に傷を舐め回し、ねるねると這い回り、舌先で傷をなぞる―――

傷を癒やしてくれている安心感と、体を舐め回される背徳感との微妙なバランスがより快楽を高める。

声を出そうとしたマルケルスの口に、ウラミの指が二本入れられた。

その手は、竜人の特徴を備えており人差し指と中指で口の中を弄る。

口の中を掻き回し、舌を挟み、歯茎を撫でて弄ぶ。

指からは、ほんのりと甘い味を感じさせキャンデーを舐めている感覚に襲われた。


ウラミ「私の指が気に入ったのカ……?」

    「なら、ずっと舐めててもいいんだヨ……?」


そんな甘い誘惑に、少なからず抵抗するが無意味だった。

徐々に肉棒が大きくなり、テントを張ったのだ。

余った片方の手で、触れるか触れないかの微妙な距離を、ワキワキと焦らす。

爪先で、カリッと優しく引っ掻くと―――ビクッと大きく跳ね上がる。


マルケルス「や、やめて……」

ウラミ「やめろと言われてやめるバカがいるカ……?」

    「この世界の人外ではいないよネ」

    「それに、油断してていいのかな」

マルケルス「え―――ッ!?」


六本の尻尾がマルケルスを拘束から解放した―――突如、直腸内に圧迫感を覚える。

拘束から解放した六本の尻尾の内、一本がお尻の穴をこじ開け潜り込んだのだ。

アナルに侵入した尻尾は、前立腺を刺激しマルケルスに異様な快感を与える。


マルケルス「な、なんだこれ……」

      「あひっ……!」


アナル内で蠢く尻尾は、更なる刺激を与えるために、ずるずると引き抜かれていく。

尻尾の毛が一本一本独自に蠢き直腸内を撫で回してくる。

そして、尻尾がアナルから抜ける手前まで引かれ―――再びお尻の穴の奥深くまで突き入れてくる。

さらに奥まで侵入した尻尾は、うねり、膨らみ、震え、様々な刺激に変化した。


ウラミ「あははっ、気持ちいいカ?」

    「狐の尻尾に、お尻の穴を犯されて感じているカ!」


そして、また尻尾はアナルから引き抜かれていく―――

抜けそうなギリギリのところまで来たら、今度は一気に奥まで突っ込む。

その動作をゆっくり、じっくり行われ、マルケルスに新たな快楽を覚えさせる。

徐々にペニスの形に変化する尻尾を上下させられ、往復刺激で体を身悶えた。


マルケルス「や、やばい……」

      「射精してしまう……!」

ウラミ「あらら…… 出しちゃうの?」

    「男のクセに、お尻犯され出しちゃうの?」


ペニスに象られた尻尾は、そのまま上下刺激を続けマルケルスに射精させようとする。

しかし、射精する瞬間に尻尾は引き抜かれ放出感を味わうことはなかった。


マルケルス「あぁぁぁぁぁ―――」

ウラミ「ふふふっ、射精させてあげないヨ」

    「まだまだ、我慢するヨロシ……♪」


螺旋状に巻き付いていた舌を解くと、ウラミは目を細めた。


ウラミ「記念すべき一発目は接吻でしてあげるネ」

    「―――魔物の様に、黒く」

    「―――天使の様に、白く」

    「―――化け物の様に、激しく」

    「私と愛を誓い合え」


マルケルスの顔を両手で支え唇を近付けキスを交えようとする。

快楽を受け過ぎたために足掻く気力もなくなってしまっている。

そして、ウラミとマルケルスの唇と唇の距離が零になる―――






アリス「何をしてるか、マルケルスッ!」





―――刹那、ウラミの顔面にアリスの拳が突き刺さる。

マルケルスを手放し、ウラミはそのまま殴り飛ばされてしまった。

地に激突した衝撃エネルギーを利用し体勢を立て直しアリスを見据える。


ウラミ「アリス―――アリスフィーズ・フェイタルベルンッ!!」

アリス「ミラウ、少し見ない間に様変わりしたようだな」

    「正直、見違えたぞ……」

ウラミ「それはどうも、因みに名前はウラミだヨ」

    「で―――私とマルケルスの愛を邪魔するとは、どういう了見ネ?」

アリス「愛だと……?」


アリスの眉が、微かに吊り上がった。

そして、ウラミの快楽技で疲れ果てたマルケルスを横目で確認する。


アリス「これが、貴様の言う愛か」

ウラミ「そうネ! 私の愛だヨ!」

    「私はマルケルスを愛してるし、マルケルスも私を愛するネッ!」

    「その愛の重さは、世界より重いし―――」


ウラミは、演説の様にアリスに自分の意見を述べる。

しかし、その言葉の一つ一つに自己中心的な考えが見え隠れしている。

アリスは、ウラミの演説を無視しマルケルスの様子を窺う。


アリス「ふむ…… 魔眼による一時的な脱水症状か」

    「ならば、これで―――」


アリスの目が光る。

しかし、瞳に光が戻るがマルケルスはピクリとも動かなかった。


アリス「これは……」

ウラミ「教えようか、アリス?」

アリス「!?」


背後からウラミの打撃を受け、今度はアリスが飛ばされてしまう。

ウラミは、そのままアリスを追い掛けた。


マルケルス「……………」

      「……………」


その場に、マルケルスを、ただ一人残して―――






ぶつかり合う力、それに魔力。

あらゆる力をぶつけ合わせ、その余波は周囲の地を大きく変化させる。


ウラミ「おぉぉぉぉ……!」

アリス「はぁぁぁぁ……!!」


アリスの放つ魔力を受け流し、鋭利な尻尾を繰り出す。

しかし1本、2本と避け6本目の尻尾を蛇体で絡め取ると、そのままウラミを地に叩き付ける。

続けて凝縮した魔力を腹に叩き付けようとするが、蛇体に変化した腕でアリスの顔を巻き取るとお返しとばかりに地に叩き返した。

もう一度、叩き付けようと力を込めるが―――


アリス「調子に乗るなッ!」


アリスは、ウラミの腕を引き千切った。

だが、ウラミは痛みを感じていないのか暢気に鼻歌を歌っていた。

そして、引き千切った腕は形を崩し腕に戻っていき一つに戻るのであった。


ウラミ「あはははっ! どうネ? どうネ?」

    「腕を引き千切られる瞬間に、腕の一部をスライム細胞に変化させて回避したんだヨ」

アリス「化け物が―――貴様は、もう生き物としての域を超えてしまったようだな」

ウラミ「何を言っている、アリス」

    「私はこれでも、お前を高く評価しているのだヨ」

    「出来ることなら様々な遺伝子を内在している、お前の体も移植したいのだ!」

アリス「ふん―――移植移植と耳障りな言葉しか言えんのかミラウ」

    「堕天使の頃のが、まだ可愛げあったぞ」

ウラミ「ウ・ラ・ミ!」

    「いい加減、名前を覚え直せ!」

アリス「で、マルケルスに掛けた魔眼も―――」


口元をニヤリと歪める。

耳元まで裂けた表情は、何よりも邪悪であった。


ウラミ「そう…… 今の私の眼はゲイザーの眼球を移植したスペシャルな眼ネ」

アリス「ゲイザーの邪眼か!」

    「しかし、ゲイザーは―――」

ウラミ「―――絶滅したネ」

    「遥か昔に起こった天変地異によって……」


ゲイザー―――大きな単眼と、目玉のついた無数の触手を持つ奇妙な姿の魔物。

恐るべき力、「邪眼」と呼ばれる瞳には強い魔力が宿っている。

妖しく光る無数の目玉からは様々な魔術が放たれるが、その中でも彼女達が最も得意するものが、目玉で見つめた相手に「暗示をかける」というものである。

これにより、相手の嫌悪感・敵対心を消したり、「魔物に犯されたい」「魔物を犯したい」などといった意識を植え付けることも可能である。

しかし、体力や単眼以外の魔力は並以下であるために環境の変化には耐えきれずに絶滅してしまったのだ。


ウラミ「だが、私は蘇らせた!」

    「偶然発見したゲイザーの一部をバイオテクノロジーで!」

    「クローンとして蘇らせたのだヨッ!」

アリス「そして、自分に移植した―――か……」

ウラミ「それだけじゃないネ」

    「とてもしつこいが、私には多種多様の魔物の長所が備わっている」

    「究極の存在、故に『神』―――と言っても過言じゃないだろ?」


その言葉に、アリスは手に込めた魔力を放つことで返答するが―――片手を振るい掻き消すことで、返答を受け取ったウラミ。


アリス「貴様、それを何を意味するか分かっているのだろうな?」

ウラミ「意味? 分かっているヨ」

    「偉大なる第一歩を意味するネ……♪」

アリス「違うわ、ドアホめ」

    「その意味とは―――命を弄ぶことを意味するのだッ!」


アリスとウラミのぶつかり合いは続くのだった。






マルケルス「……………」

シルフ「ねぇねぇ、マルケルス!」

マルケルス「……………」

シルフ「朝だよ、寝坊しちゃうよ!」

マルケルス「……………」


心の中で、シルフは何度も語り掛けるがマルケルスは何の反応も示さない。

ただ、その場にボッーとしているだけである。


シルフ「マルケルス、遊んでよ……」

    「また、折り紙の折り方教えてよ……」

サラマンダー「私達が心の中で語り掛けても何の意味もない」

       「今は休ませてやるのが先決だ」

シルフ「マ・ル・ケ・ル・ス!」


シルフは、実体化するとマルケルスの胸倉部分を体全体で掴み大きく前後に揺らした。


サラマンダー「……やめんか!」

シルフ「ふぎゃー!」


突如、シルフの頭が火に包まれ燃えだした。

何とか消火しようと、何度も叩くが消えず―――頭がアフロになった。


シルフ「ちりちり……」

ウンディーネ「取り敢えずは、邪眼の魔力を追い出すのが先決」

       「休ませるのは、その後でいいわ」

サラマンダー「……何を言っている」

       「今は休ませるのが先決だ―――そもそも、邪眼の魔力を追い出すとしても、どうする気だ」

       「人工呼吸でもするか?」


サラマンダーは、ウンディーネを―――


ウンディーネ「魔力が溜まっている体に、力を注ぎ込めば追い出すぐらいは出来るはずよ」

       「そもそも、体に悪影響を与える物を残したまま休ませるなんて―――流石、粗野で野蛮な力」

       「大した気合いと根性論だわ……」


―――ウンディーネは、サラマンダーを見据えた。



火の精霊と水の精霊の間に、火花が散っていた。



シルフ「ノームちゃんなら、どうするの?」

ノーム「……………」


ノームは無言でマルケルスの側に近寄ると、じっと見詰めていた。

そして、片手を大きく振り上げ―――






燃え盛る炎の嵐が相手を包み込み、大気すら凍結させる冷気が襲い掛かるが、その猛攻を突き破り不気味な笑みを張り付けたウラミがアリスに反撃する。

繰り出される打撃は、単純な殴る、蹴るから突く、払う、投げるなどの応用した技でアリスを追い詰める。

アリスも数々の魔法や技で応戦するが―――


ウラミ「無駄だヨ! お前の炎も冷気も『火鼠の毛皮』『イエティ細胞』で無力化できる」

    「それに『人虎の筋肉繊維』で強化した物理攻撃も、そろそろ耐えられなくなったかネ?」 

アリス「ぐっ……」


ウラミに移植された多種多様の魔物の一部により殆どの攻撃を無力化されていた。


アリス「貴様の様な―――貴様の様な外道には負けんぞ! ミラウ!」

ウラミ「いやー――お前は負けるんだよ、アリス」


頭と尻尾、両腕のそれぞれに膨大な力が集まり照準をアリスに合わせ―――

一気に風、土、水、炎のブレスを放った。

驚愕するアリスは、息継ぎする暇もなく闇の力を解放することで阻止しようとする。

しかし、アリスがどれだけ死力を尽くしたとしても闇だけでは四属性の力に勝つことは出来ず―――


アリス「ぐぉぉぉぉぉ―――ッ!!」


四属性の力が闇を散らし、アリスに最大の苦痛を与えたのだった。


ウラミ「……………」

    「キマイラの特性を利用した四属性ブレスは、流石に私でも体力を大幅に消費したヨ……」

    「でも―――」


苦痛に、もだえ苦しむアリスの首を掴み上げる。

その体には大小無数の傷が刻まれており、血のにおいがウラミの鼻孔をくすぐる。

首を掴む手に指一本一本、徐々に力を込める。

アリスは、絞めてくる手から逃げ出そうと足掻き、時にはウラミの頬に尻尾を振り抜くが―――

ペチッ…… と、弱々しい音を鳴らす程度で精一杯だった。


ウラミ「……魔王を一方的に弄ぶ」

    「この瞬間を、どれだけ待ったことか」

アリス「……分からん」

ウラミ「アイ?」


歯を食いしばりながら、ウラミに鋭い視線を投げるアリス。

同時に訳がわからないと表情に出ていた。


アリス「何故、貴様は余を殺さん」

    「それ程の力ならば旅の途中で、余を殺すチャンスなどいくらでも―――」

ウラミ「それは、アリス―――お前が大好きだからネ」


ウラミの発言に唖然とする。

しかし、その口は止まらなかった。


ウラミ「でも、大嫌いだヨ」

    「この二つの気持ち―――どちらが正しいんだ?」

アリス「知るかッ!」

    「例え貴様に好かれようが嫌われようが余の知ったことではない!」

ウラミ「嫌いなのに好き。 大好きなのに大嫌い―――この矛盾した気持ちを解明したいのだヨ」

    「アリス―――協力してヨ」


その言葉を告げた瞬間―――腹が縦に裂け、肋骨が牙に見立てたような大きな口が造り出された。

その口内には、無数の眼やら舌やら生物とは大きくかけ離れた生きた地獄が、そこにあった。


ウラミ「アリスが食べ物を食した時の笑顔が好き」

    「アリスが意地を張るのも好き」

    「アリスが哀しむ姿が好き」

    「アリスの全てが大好き」

    「でも、大嫌い!」

アリス「ミラウ……」


ウラミは、大粒の涙を流していた。

しかし、その表情は目を見開き笑みを浮かべていたのだ。


ウラミ「私は何のために産まれたの―――いや、造られたッ!」

    「造られた私は生き物なのか、道具なのか?」

    「長年探すが、答えがないッ!」


肋骨が抱き寄せ体内へと引き寄せる。


アリス「ぐっ……!」

ウラミ「でも、幸せになれる答えは見つけた……」

    「それは―――アリス、お前を丸ごと私に移植することだ……」

    「様々な遺伝子を内在しているアリスと、様々な肉体を移植した私が一つになれば―――新たなアリスフィーズと成り世を支配する!」

アリス「……ろくでもない事ばかり、よく思いつく!」


肋骨を捻じ曲げるが、ゴムの様な弾性で元の形に戻る。

無駄な足掻きをしている間に、体内への入り口が目の前に迫った。


アリス「このぉ……」

    「余は諦めん、諦めんぞ!」

    「母上の―――マルケルスとの人間と魔物の共存を成すために……!」

ウラミ「その想いも私に移植する」

    「全てを移植してあげる」


体内にアリスの蛇体の一部が触れる。

ぐちゅり―――と、包み込むため触手が伸びアリスに巻き付き始めた。


アリス「……マルケルスのドアホめが!」

    「余が死んだら貴様が破産するまで、奢らせるからなッ!!」


巻き付かれたアリスは餌を食う―――移植するために体内へと引き摺りこまれ―――






マルケルス「それは許してくれないかな?」





―――ることはなく、マルケルスの腕の中にいた。


アリス「……マルケルス?」

マルケルス「ごめん―――待たせちゃったかな?」

アリス「ドアホめが……」


カオスカリバーに切断された触手、肋骨、両腕は灰塵となる。

きょとんとしていたウラミはマルケルスに鋭い視線を投げた。


ウラミ「どうして……?」

    「どうやってゲイザーの邪眼から……」

    「ゲイザーの邪眼は魔王すら越える究極の魔眼なのに……」

マルケルス「……簡単さ」

      「それは絆さ」

ウラミ「絆―――?」

マルケルス「そうだ、絆だ!」

      「仲間を想う心が、私を―――アリスを助け出す道標となった!」

      「とっても痛かったけどね!」


ノームは、得意げに腕を何度も素振りしていた。


マルケルス「だけど……」

      「ミラウ、今の君は、それ気持ちが理解できるかッ!」


青臭い言葉を―――しかし、堂々と敵対する者へと告げるその姿は何よりも神々しかった。

ウラミも、そんな言葉をただの夢物語でしかないと感じていた。

だが、徐々に言葉に乗せた想いが我が身に浸透し―――恐ろしくなった。


―――何故、そんな言葉を堂々と発することができるのか。

―――どうして、ここまで頑張れるのか。

―――その目に、殺意を宿していない、理解できない。


今のウラミが出来ることは―――


ウラミ「煩い!」

    「煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い、喧しいッ!」

    「そんな絆も、全て私に移植してくれる!」

    「この指、手、腕、牙、羽、足、毛、声、目、あらゆる魔物の長所を駆使してッ!」

マルケルス「いや、ミラウ―――もう、終わりだ」

ウラミ「……………」

    「えっ……?」


―――何もなかった。

ウラミの体中に亀裂が走ると同時に弾けた。

飛び散る物は灰塵―――魔素を完全に失った魔物一部である。

そして、その場に残ったのは―――ミラウとしての姿のウラミであった。


ミラウ「この身も、何もかも全て捨てて……」

    「それでも、私は幸せに辿り着けなかったのカ……?」

マルケルス「……ミラウ」

ミラウ「私はウラミだと―――いや、もうミラウでいいや……」

    「マルケルス、最後に教えてくれないか」

    「もし私の推測が正しければ……」

    「"もの凄い速さで全身を斬り刻んだ"と、考えるが……」


マルケルスは、何も言わない。

ただ手を強く握る―――それが答えになっていた。

ミラウは、笑みを浮かべた―――と同時に体は灰塵となる。

両足が朽ち、バランスを崩す。

このまま、地に倒れれば完全に壊れるだろう。

ミラウは覚悟したが―――誰かが支える感触がした。

マルケルスかと思い顔を上げると―――

傷付いた体に鞭を打ち、倒れるミラウを受け止めたのはアリスであった。

その展開に目を見開いたミラウ―――しかし、一番驚いていたのはアリスである。


アリス「……ミラウ」

    「貴様の死に様―――余が最後まで見届ける」

    「同じ男を好いた者同士、気持ちは分かるからな……」

マルケルス「アリス……」


アリスの腕の中で、今も尚、崩れ続けている。

しかし、ミラウは不思議と安心感に包まれていた。

そして―――


ミラウ「……ありがとう、アリス」

    「私は…… 今、初めて……」

アリス「ミラウッ!」

ミラウ「幸せを感じて…… る……」


ミラウは、完全に灰塵となり朽ちた。

風が吹き、その灰をどこかへと運んでいく。

その灰を浴びたアリスは全身の傷が癒え―――その手に『花の髪飾り』を握っていた。


アリス「……………」

マルケルス「……アリス」


アリスは、目元を腕で擦る。

マルケルスの方へと振り向くと、その表情は何時もの偉そうな表情と同じであった。

目が赤いのを除いて―――


アリス「―――何をしている」

    「まだ、最後の戦いが残っているぞ」

    「泣くのも、喜ぶのも―――その後だ」

マルケルス「……ああ、その通りだ」

      「まだ、私達は超魔生物を倒さなければならない」

      「行くぞ、アリス!」

アリス「ああ…… 次が最後の戦いだ」


こうして私達は、決戦の地へと赴いた。

超魔生物―――最悪の敵を、この剣で討ち倒すために。






超魔生物「……………」

     「今、ウラミ、役目、終ワッタ」

     「世界、楽シマセル、モウ終ワリ」

     「遊ンダラ、ゴ飯ノ時間」

     「世界、沢山、食ベルトイイ」

     「勇者、魔王、四天王」

     「天使、人間、魔物、神スラモ―――飲ミ込ンデシマエ」

     「ソレガ、愚カナ存在ガ出来ル」

     「最後ノ役目……」


超魔生物は、待ち続ける。

勇者と魔王―――マルケルスとアリスを……

己の歪んだ望みを抱えながら―――



このパラレルワールドの物語は一旦ここまで―――

では観覧者の皆様方…


大阪|・ω・)ノシ<またなー


………―――「外伝図書館4:ルカが最序盤のあれこれでイリアスに退場させられていたら」 【FIN】―――………


大阪|・ω・)ノ<はい、終い!

大阪|・ω・`)<たこのない、たこ焼きみたいに残念やなぁ……


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


本編も外伝もルカさんのストーリーから抜け出せてないし、抜け出せないだろうから
他の主人公補正に影響されない偽の話が見たかっただけだったんだ

おつ
マルケルスも反省会をしてたのだろうか


>>514|´-ω-)<まぁ、基本的に骨組みはルカきゅんのストーリーやからね。

>>515|´・ω・)<第13話の蛇足―――オマケ編で、そのあたりしたはずやけど……(ぇ







大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|-ω-)<実は昨日言っていた報告やけどな―――

大阪|・ω・)<ワイ、新しくやり直す―――書き直すために一旦やめるわ。


大阪|;・ω-)<大雑把に言ってリメイクするんやけども、そのリメイクする理由が……

大阪|;-ω-)<ごちゃごちゃ入れ過ぎた設定やら何やらやね。

大阪|;・ω・)<始めは適当やったけど途中から愛着的な感覚が芽生えてな。

マジ|>ω・)<ごめんやで♪


大阪|・ω・)<……次回作はないで。

大阪|-ω-)<Pixivあたりで、偽勇者のリメイクを投稿する形にする予定やね。

大阪|・ω・)<もちろん、魔物は[削除済]。

こっちではもうSSやらへんのか
寂しいわ(´・ω・`)


>>520|-ω-)<ありがとな―――

大阪|・ω・)<―――まぁ、飽き予防で短編系をするかもしれんけどな!

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~ 良ければ、Pixivのも見てな~(たぶん、四月の中旬ぐらいに投稿する)

Pixivのって言われてもわからんよ……
どんなタイトルでリメイクするつもりで?


>>522|;-ω-)<う~ん…… もんむすの魔物を普通に殺しはじめる作品は、まずないからイヤでも分かると思うんやけど―――

大阪|´・ω-)<タイトルは決めてへんけど―――『もんむす・くえすと! ~偽~』―――かいな

大阪|´-ω-)<前みたいに、ドラ○エ・F○・サ○フロ・その他色々と混ぜ過ぎんよう注意しなな

最初に主人公が出会ったもんむす(幼女の上半身が大男の首から生えてるの)は再登場するの?


>>524|・ω・)<再登場―――しない。

大阪|・ω・)<基本、安価物は大幅除去する―――『ウラミ・クラリス』は例外やけど。

だったら最初から安価スレなんて立てなきゃ良かったんじゃ

書くって言ってた綺麗な偽勇者の方はどうなるん?やっぱりそっちもpixiv?もしくは永久凍結?

偽勇者はリメイクで魅力のあるキャラなるのかな?
ルカのアンチテーゼになるのかただの強敵でしかないのかそれとも別の何かか教えてほしい

>>527
短編なら>>521で言ってる通りじゃね?

とりあえずウラミの素性はパラレルワールドと言えど確定か?
シャニセの性格ももっと統一されたものになるだろうし、楽しみ
でも、完結したらこっちにもスレ建てて投下して欲しい
pixiv版でミスった&変えたいところを修正すれば飽きない…よね?


>>526|´・ω・)<好奇心・適当・すぐ飽きるだろうという考えで始めたんや。

大阪|´-ω-)<でも、段々と深く物語を考えるようになった―――安価が極端に少なくなったのがええ理由や。

大阪|・ω・)<まぁ、熟練者やないから高がしれてるけどな。


>>527|・ω・)<書く。 でも、いつ書くかの答えはまだ出せん―――汚い偽の前章終えたら綺麗な偽の前章を進めるかなとは頭の端に置いてある。


>>528|´・ω-)<魅力は人それぞれやから保障できん―――クズ・外道・鬼畜キャラを好む人もおるしな。

大阪|´・ω・)<……ルカきゅんのアンチテーゼ―――に近い"裏"の予定やな。


>>529|・ω・)<ウラミは微調整が必要やけどな。

大阪|・ω・)<完結―――したらね……




シミジミ|-ω-)<そういや、もんむすスレ立てて一年近くもカタカタしてたんやな……


大阪|・ω・)<とまぁ、ガタガタ抜かしたところで多少は変化するんやけども―――

大阪|-ω-)<まぁ、ファンに[削除済]程度には頑張るわ。



大阪|・ω・)ノシ<ほなな~



PS:このスレは―――まだ、ちょい、うん、少しだけ残しとくわ。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月04日 (水) 00:42:28   ID: rtcEaV3T

本編楽しみだったのになぁ...最初からかぁ...

2 :  SS好きの774さん   2019年01月27日 (日) 18:41:56   ID: oMXe1o1h

リメイクが見たくてpixivアカウントを作って探したが、見つからなかったぜ

3 :  SS好きの774さん   2019年02月25日 (月) 07:04:17   ID: R-KiSfPo

面白い作品だっただけに結局リメイクがされないのは残念だなぁ…作者はいつまでとか断言してないからあんまり言えないけど、もし見つかったら絶対に見るのになぁ

4 :  SS好きの774さん   2019年06月06日 (木) 14:47:26   ID: ZL_q4EBs

 大阪さん、原作のパラドックスに出てきた鎧の怪物がシャニセ・ユウと被ってしまったと考えて続きを書こうとしないのかもしれない。先に考えたのは大阪さんだから気にしないでも良いと思うけどな。

5 :  SS好きの774さん   2019年08月21日 (水) 12:34:03   ID: OjoeKl3C

この先の展開の予想が頭から離れねえ

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