[安価]たまも「しかし、もんむす・くえすと! じゃぞ」偽勇者「4だ……」[コンマ有] (1000)


このスレは"もんむす・くえすと!"の二次創作やで。

ストーリーなぞって進めていく安価・コンマ系や。

初心者ゆえに、文才・口調・間違い等々たくさんあるんやで。

安価は基本的自由やけどな"何々"で下1・再安価にする場合があるから気ぃつけや。

コンマは1ほど悪くて 9ほど良くて 0は"10"なんや ゾロ目は良くも悪くもやな…


【安価】もんむす「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」 【コンマ有】
【安価】もんむす「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」 【コンマ有】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396867306/)

【安価】ルカ/アリス「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」2【コンマ有】
【安価】ルカ/アリス「もんむす・くえすと!」偽勇者「いやぁぁぁ!!」2【コンマ有】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398262942/)

[安価]グランベリア「いざ、もんむす・くえすと!」クラリス「3だよ♪」[コンマ有]
[安価]グランベリア「いざ、もんむす・くえすと!」クラリス「3だよ♪」[コンマ有] - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401011256/)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403868636


大阪|・ω・)<基本、ここでの安価は何でもありの自由ではなくて不自由な安価やで。

大阪|´-ω-)<時には、容赦なく切り捨てるさかいに、注意してや。

大阪|´・ω・)<それと、色々が色々と色々変わるんや―――ごめんな?

前スレ『>>990 >>991』やで

さてはて―――


偽勇者「の魔道書に関しては、ほぼノーリスクで調べられるが―――それ以外は、リスクがあるな……」


まあ、ノーリスクと言っても魔力がある分楽だが……

魔王共に知られるのは不味い。

それとイリアス側にもできる限り知られたくない。

この世界には、邪神や創造神すらも封じる強力な「六祖大縛呪」があるからな。

詳しくは知らないし、たまもを抜いた「六祖」達と「邪神様」にバッタリと出会ったら、シャレにならん。

最大で最高のリスクだ。


リリィ「可能なら、全てのデータが欲しいけど…… 無理にとは言わないわ」

    「その間に、村人達にまだまだお返ししなければならないし…… ね……」


リリィは、村人達と発言する瞬間に表情が黒くなった。


偽勇者「……そうだ、一つ確認したいことがある」

リリィ「何? シャニセは面白いから少しぐらいなら協力するわよ?」


照れることを言ってくれるが、それは必要ない。

自由に行動できるのは、そう長くないからな。


偽勇者「コレと黒い宝玉は近いか?」


俺はとある場所から「マデュライトの欠片」を取り出した。

これも「黒い宝玉」と同じで「魔素」ではなく「マ素」を含んだ鉱物だ。


リリィ「……………」

    「少し見せてくれる?」

偽勇者「どうぞ、どうぞ」


俺はリリィに「マデュライトの欠片」を手渡した。

リリィは、真剣にその欠片を眺めたり何かの道具で調べたりしている。

時間が掛かりそうだなと思っていたが―――どうやら終わったらしい。

その表情は困惑で染まっており、どうやらコレも分からなかったのだろう。


リリィ「貴方は本当に面白いわね……」

    「こんな鉱物をどこで見つけてきたの?」


俺は「マデュライトの欠片」を返してもらった。


偽勇者「見つけたより偶然拾ったのが正しいな」

    「リリィも屋敷ばかりに籠っていないで、外でリフレッシュでもしたらどうだ?」

    「新しい発見があるかもしれんぞ?」

リリィ「……………」

    「……考えておくわ」


リリィは一瞬、悲しそうな顔をしたが―――まあいいか。

ある程度は、手に入ったしそろそろ出て行くか。

村人達も、小僧が何とかすることだし……

俺は外で見張りをさせているクラリスと共に帰るか。


偽勇者「それでは、リリィ」

    「また何か縁があったら会おうではないか」

リリィ「……………」

    「……………」

    「……………」

    「―――」


【ゾロ目で―――】


『……12』やね

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|´・ω・)<えっと、前スレ『>>995:ロトもってるしやっぱエビルデイン覚えるべき』

大阪|´・ω・)<……えっ?

大阪|-ω-)<『>>1000:クラリスに豪傑の腕輪』やね


【どの外伝にするん?】

〇偽勇者とクラリスが結婚したら

〇サラが他の四天王に惚れてたら(一部変更予定)

〇ルカにクラリスが偽勇者にアリスが着いてきたら(一部変更予定)

↓5


大阪|-ω-)< .....zzz


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|-ω-)<『外伝:偽勇者とクラリスが結婚したら』で決定やね

大阪|´-ω-)<本編がある程度、進んだら外伝しよか

『……12』やったね

偽勇者「それでは、リリィ」

    「また何か縁があったら会おうではないか」

リリィ「……………」

    「……………」

    「……………」

    「……縁があればね……」


……やっぱり、リリィは―――人間は面白い。

脆いからこそ、弱いからこそ、どのような生き方をするのか気になるものだ。

今のリリィは、俺を帰してくれるみたいだが、もし一歩でも間違えれば上質素材として敵対したかもしれんな。

人間の生き方には間違いは無いのだ。

悪だろうが、クズだろうが―――正義だろうが、善人だろうが関係ない。

その姿が、そいつが選んだ未来の自分なのだからな。

俺は、リリィからもらった「勾玉」「DQ本」「黒い宝玉」の感触を楽しみながらその場から立ち去ったのだ。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――【偽勇者:村はずれ】

俺はクラリスの元に向かわず、少し魔女狩りの村のはずれである場所にいた。

やはり、リリィからもらったこの魔導具類が気になって仕方ない。

だから、実験的に誰もいない少し広めの村はずれに足を運んだのだ。

……一人なのも、無駄に怪我人を出さないためであって、クラリス自身を心配したからではない―――決してない!


偽勇者「……ドキドキ、ワクワク、どれから試そうか」


俺は結構迷ったが―――にしようか!


【どれから試すん?】

〇勾玉

〇本

― DQ大全集

〇その他

↓2

『ごめん、間違えた』

【どれから試すん?】

〇勾玉

〇本

― 黒い宝玉

〇その他

『勾玉』やね

俺は結構迷ったが「勾玉」にしようか!

この「勾玉」は、リリィ曰く生きた魔導具で耳を傾けると心音が聞こえてくるのだ。

……今はそれだけしか情報はないし、使い方も分からんがな。

とりあえず、掲げてみるか。


【偽勇者の考えた詠唱は―――】

〇スレ〇ヤーズ系

〇その他


『スレ○ヤーズ系』やね―――書きたかっただけ……やないで?

とりあえず、掲げてみるか。


偽勇者「……黄昏よりも暗き存在」

    「血の流れよりも赤き存在」

    「時間の流れに埋もれし」

    「偉大なる汝の名において」

    「我ここに闇に誓わん」

    「我らが前に立ち塞がりし」

    「全ての愚かなるものに」

    「我と汝が力もて」

    「等しく滅びを与えんことを」

    「目覚めよ、生きた魔導具よっ!」


――― し~んっ ―――


何も起こらん。

むしろ、自室で中二病を行いそれを親に見られた気分だ―――恥ずかしい……


偽勇者「……気を取り直して、次を試すか」

    「大丈夫、何とかなるっ!」

    「よし、これに決めた」


【どれん?】

〇本

〇黒い宝玉


『本』やね

次は、この「DQ大全集」を調べるか。

この本には、あらゆる呪文と特技が記されている。

故に究極の魔導書とも呼べるだろう―――しかし、記されている言葉は全てが「日本語」である。

この「もんむす・くえすと!」の世界では日本語と言う言葉がない。

例え「サン・イリア城」自慢の地下の大図書館で探し出すことも不可能だろう。

つまり、俺は究極の魔導書を手に入れたと同じなのだ。


偽勇者「さて、どの呪文を唱えてみようかな……?」


俺は、一ページずつ丁寧に捲りどれを唱えようか選んでみる。

読める―――読めるぞ!

全てが読める! 完璧だ!

早く唱え、実技したいぞっ!


【どんな呪文を唱える?】

↓2

『マジャスティス』やね

――― ペラッ ペラッ ペラッ…… トンッ ―――


偽勇者「よし、これを試しに唱えてみるか」


マジャスティス―――敵一体の魔法効果を全て消し去る呪文。

例え、あらゆる魔法を跳ね返す障壁があろうとも跳ね返されずその効果を表す呪文。


偽勇者「……マジャスティス」


偽勇者はマジャスティスを唱えた!


しかし、何も起こらなかった!


偽勇者「……だろうね」


マジャスティスは、敵一体の魔法効果を全て消し去る呪文である。

敵がいない時に唱えても、全く無意味でしかないのだ。

故に魔力の無駄遣いでしかない。


――― ドックン ―――


しかし、魔力が消費したと言うことはだ。

俺はこの魔導書を扱うことができた証明にもなる。


――― ドックン ―――


つまり、究極の力を手に入れたと同じことなのだ。


偽勇者「さて、残るは黒い宝玉だな」


俺は残る最後の魔道具である黒い宝玉を取り出す。

しかし、何かおかしい。


偽勇者「……体が―――いや、鎧が黒く染まっていくだと……?」


黒い宝玉を掴んだ腕―――魚腕が……

黒い宝玉を取り込んでいるのだ!

俺は直ぐに、放そうとしたが既に遅く完全に取り込んでしまったようだ。


偽勇者「な、なんてことだ」

    「どんな力なのかも分からんのに、愚かな行為を……っ!」


――― メキッメキッッ!! ―――


偽勇者「ぐおぉぉぉぉっ!?」


体全体に、痛みが走る。

痛みという問題でもないが、何か体に異変が……!


魚腕は「DQ大全集」を取り込んだ。

魚腕は「地獄の弓」を取り込んだ。

魚腕は「破滅の盾」を取り込んだ。

魚腕は「大悪魔の鞭」を取り込んだ。


魚腕は、次々に何かを取り込んでいく―――貪り食っていくっ!

そして、栄養を……

呪いを蓄えて満足したのか、その姿を大きく変えていく。


魚腕は―――


【何に進化したんやろね?】

〇魔眼(某地獄鴉)

〇刺青(某賢者の石)

↓2

『刺青』やね

魚腕は―――

俺の全身は這うかのように、焼いていく。

熱く苦しいが、炎ではない。

俺には、炎を完全に無効化する特性があるのだ―――なら、なんだ?

それに、鎧も紫色から黒色へと変色していく。

とても苦しいが、その代わりに新たな力を得ていることが分かるっ!

魚腕は―――いや、俺は進化しているのだ!

勇者として、より高みに昇っているのだっ!!


偽勇者「もっと、力を……」

    「その未知の力を、もっと寄越せぇぇぇっ!」


偽勇者は一部の呪文以外を全て忘れてしまった!

偽勇者は「ドラクエ・マスター」を得た。

偽勇者は一部の武具を失ってしまった!

偽勇者は―――


【……どれ?】

〇石

〇樹

〇音

〇水

↓2~3

※一つずつな!

『水』『石』やね

偽勇者は水の将魔の能力を得た。

トロの呪いを中和し、常に先手を取れるようになった!


偽勇者は石の将魔の能力を得た。

あらゆる状態異常に強くなった!


偽勇者は「エビルデイン」をマスターした。

ロトの鎧は紫色から完全に黒色に変色した!


偽勇者は………

偽勇者は………

偽勇者は………

偽勇者は………

偽勇者は………

偽勇者は………

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――【クラリス:魔女狩りの村】

クラリス「……遅いな、あにさん」


ボクは今、黒い噂が絶えない村―――「魔女狩りの村」にいます。

何故、そんな所にいるのかは……

あにさんが、行きたいと言ったからです。

旅をしてる最中に、寄り道をするとはあにさんとしては珍しいですが―――流石にこんな所には来たくなかったです。

そして、そんな所にボク一人を置いて領主の館に向かったあにさん。

少し、れでぃーの扱い方がなっていません!

まあ、あにさんの言うことは絶対という条件で旅に同行させてもらっている身ですが……

それでも殺生ですよ―――絶対、あにさんに何かをお願いしたいですが……

どんなお願いが良いでしょうかね―――


【クラリスはあにさんに、何を願うん?】

【採用型にさせてもらうで】

↓~3


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<なんか、安価っぽくないところが多かったけど【捨てータス】状態のモノを整理したかったからや。

大阪|´・ω・)<悪く思わんといてや?

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


安価内なら↓やで

今日は一緒に寝てもらう

↑+腕枕してもらう!

おやすみのちゅーをねだる


大阪|-ω-)< .....zzz

大阪|-ω-)<6/30は、お休みやからね……

―――[ステータス]
名 前:偽勇者(偽名:シャニセ・ユウ)   称 号:勇者(未洗礼者)
種 族:人間(?)                性 別:男
HP:47334/47334+炎            LP:200/200

WP:240/240                  JP:200/200
攻撃力:1036/518+獣            ☆:ロトの剣     [呪]
防御力:491/491               ☆:トロの剣     [呪]
金色の宝玉:???             ☆:ロトの盾     [呪]
銀色の宝玉:???             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

青色の宝玉:勇者の能力を得る      ☆:ロトの兜     [呪]
黒色の宝玉:未知の力を得る         ☆:ロトの鎧     [呪]
魔導書[DQ]:全呪文体系・特技を得る   ☆:ロトの籠手    [呪]
マナスティス:将魔の能力を得る      ☆:死神の首飾り [呪]

???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:呪いのベルト  [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――

体術:パンチ          ‐‐   剣技:ロトの一撃      10
剣技:トロの一撃       15   体術:最強打         00
剣技:大地斬         20   剣技:海波斬         20
剣技:空裂斬         20   雷術:エビルデイン     30
石術:エインシェントカース ??   星術:???         ??
治術:ベホマ          00   超術:超現象         ??
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐   ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【ロトの剣 [呪]:攻158(+120)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる剣。
魔神の血の祝福によって―――
“皆殺しの剣”の力と性能を得ている。

☆【トロの剣 [呪]:攻130(+110)】
外見はそのままロトの剣の色違いである。
常に物理・魔法攻撃を1.3倍にしてくれる究極性能の武器である。
しかし、長いこと物置に放置されていたので―――
“はかぶさの剣”の力と性能を得ている。

☆【ロトの盾 [呪]:防39(+42)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる盾。
魔神の血の祝福によって―――
“嘆きの盾”の力と性能を得ている。

☆【ロトの兜 [呪]:防42(+255)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる兜。
『幻惑』『麻痺』『即死』に耐性がある。
魔神の血の祝福によって―――
“般若の面”の力と性能を得ている。

☆【ロトの鎧 [呪]:防82】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる鎧。
魔神の血の祝福によって―――

☆【ロトの籠手 [呪]:防25】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる籠手。
魔神の血の祝福によって―――

☆【呪いのベルト [呪]:???:】
太古の呪われたベルトで常に―――

☆【死神の首飾り [呪]:防6】
髑髏の付いた不気味な首飾りで―――

―――[持ち物:その他]
◆【合成の壺】
呪い専門の商人:ウラミからもらった、見た目古びた壺。
武器は武器、防具は防具と同じ物を合成する壺。

◆【焼きヒトデ】
味は薄味のウニミソ。
食べれる部分は、中の卵・胃袋・消化器官のみ。

◆【マデュライトの欠片】
見た目は赤紫色(厳密には中心部は紫で外周が赤みがかっている)をした結晶の欠片。
マ素(魔素ではなく)を多く含む鉱物である。

◆【女神の宝剣の欠片】
あらゆる魔物はひれ伏し、魔王さえ逃げ惑うという。
真の勇者が手にすべき剣「女神の宝剣」の欠片。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【キメラビーストの角】
プロメスティンの研究により生み出されたキメラモンスター。
一切の感情が伺えない無機質な悲しい生物の角である。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【生きた魔導具】
勾玉の形をしており、心音が聞こえてくる。
新たな魔導の力を得る可能性がある。

◆【土のクリスタル】
大地に恵みを与える力をもっている。
その力は凄まじく、砂漠と化した土地を一瞬に緑溢れる土地に変えてしまう。

◆【死のオルゴール】
哀しいメロディーが流れる。
そして聴いた者の息の根を止める。

◆【―――リング】
鉱物か殻で出来ているか分からないリング。
恐ろしい力を持っている。

◆【―――の杖】
先端に創世の女神イリアスを象られた形状が特徴的な杖。
聖なる力を感じる。

―――[攻撃類](常に1.3倍/?=コンマ一行)
○【パンチ】
殴る系体術の基本技:単体:WP 0:元攻撃力×3

○【ロトの一撃】
ロトの剣で敵全体を攻撃:全体:WP 10:攻撃力×60÷1?(順に-200ずつ)

○【トロの一撃】
トロの剣での攻撃:単体:WP 15:元攻撃力×70÷1?
ダメージを2回与える。

―――[特技](ゾロ目有効/常に1.3倍/全連続選択不可/?=コンマ一行)
○【最強打:○○】
打属性:単体:WP 100:999×3×コンマ一行
反動が凄まじいため、1度の戦闘で2回までが限度(トロ効果無効)

○【大地斬】
強固な守備力を持つ敵を力で叩き斬る「地の技」
相手が植物系の場合は更に威力が増える。:WP 20:666×4×1.?
但し、反動で1ターン動けなくなる。

○【海波斬】
水や炎などの不定形な存在をスピードで切り裂く「海の技」
相手が水系の場合は更に威力が増える。:WP 20:666×4×1.?
但し、反動で1ターン動けなくなる。

○【空裂斬】
心の眼で敵の弱点や本体を捉え、これを切り裂く「空の技」
相手が鳥系の場合は更に威力が増える。:WP 20:666×4×1.?
但し、反動で1ターン動けなくなる。

―――[呪文類] (ゾロ目有効/常に1.3倍/全連続選択不可/?=コンマ一行)
『攻撃』
○【エビルデイン】
ロトの力と魔神の力の両方を持つ、黒い雷。
雷属性:単体:WP 50:50×80×1.?

『回復』
【ベホマ】
HPを全回復:単体:LP 100:――

『移動』
【アバカム】
全ての扉を開くことが出来る。

【リレミト】
ダンジョン内部から一瞬にして脱出する。

―――[キャラクター]
冒険者:偽勇者が初めに出会った人間、他の戦士達よりは実力を持っているが、グランベリアには敵わなかった。

サンタナ:イリアスベルクに住む住民A、働き口を探している。

ウラミ:呪い専門に扱っている商人、呪いの装備ならお任せあれ。

ゲヘレゲス:イリアスポートに住んでいる少年、内職を行う父さんの手伝いをしている。

???:闇店の店長、表には出せない商品を扱う。

タイタニア:偽勇者が力を与えた結果、タイタニアに進化した元フェアリー。
オリジナルと比べれば弱いが、実力を身につければ別である。

クラリス:竜人族の子供。全盲だったが偽勇者の力によって治った。
なんか偽勇者に懐いた。

―――[宝玉の力]
○【金色の宝玉】:???
○【銀色の宝玉】:???
○【青色の宝玉】:魔法と炎のダメージを軽減し、ダメージ床・マホトーンを無効化し、歩くほどに体力が回復する(某DQ)
○【黒色の宝玉】:無の力(某FF5)

―――[マナスティス]
○水の将魔:膨大なる素早さと水のみ完全耐性(常に先手/水系完全無効)
○獣の将魔:膨大なる攻撃力(攻撃力2倍)
○?の将魔:???
○石の将魔:膨大なる耐性(全ステータス異常無効/全低下系無効)
○?の将魔:???
○炎の将魔:膨大なる生命力と炎のみ完全防御(万越え/炎系完全無効)

―――[魔導書]
○DQに存在する全呪文体系・特技を得る。

―――[全身の刺青]
○『この世全ての悪』を現す呪い。

―――[ロト装備:カラーリンク]
黒と金色。

―――[武具:性能]
○皆殺しの剣:全体攻撃ができる。
○はかぶさの剣:2回攻撃ができる。
○嘆きの盾:ダメージを半減し反射する。
○般若の面:史上最強の守備力を誇る。

―――[偽勇者用:特別ルール]
○敵(一部除)のHP増+ダメージ超増(ない場合もあり)
○WP等の数値は、血の祝福効果でバトル終了後に全回復
○作中での「そのときふしぎな事が起こった」超現象(フェアリーをタイタニア化・クラリスの目の治療など)
○ご都合主義には弱い
○一部設定変更有
○一部設定だけ!
〇ステータス 00 は100扱いである。
○超増えるかもしれん


大阪|-ω-)<クラリスは微調整中や

大阪|・ω・)<後は『外伝2:偽勇者とクラリスが結婚したら』『クラリスに豪傑の腕輪』やな。

(´-ω-`)<もしよければ、抜けてるのあれば教えてな。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|´-ω-)<偽勇者には無くて……

大阪|・ω・)<ルカさんにはあるからっ!

大阪|・ω<)ノ<アリスの名前、ありすぎ!

大阪|´・ω・`)

大阪|´-ω-`)

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>39 >>40 >>41』やね

―――【クラリス】

どんなお願いが良いでしょうかね―――


クラリス「一緒に寝てくれるお願いなんてどうでしょうかね―――それと、腕枕もしてもらってっ!」

     「そ、そそそ、そして……」

     「おやすみのちゅーを―――だめだめだめっ!」

     「ボクはなんて破廉恥なことを考えてるんですか」

     「それに、寝てもらうにしても宿屋がないじゃないですか」


そうです、ボクとあにさんは領主の館に向かってると村人達の方々は思っているのです。

それなのに、暢気に何を考えているんですかボクはっ!

これだとあにさんに、叱られてしまいます!


クラリス「……はあ~」

     「それにしても、見張りって退屈ですね……」


目が見えるようになってから、やる事する事が皆楽しく感じますが―――ボクはどうやら体を動かすのが合っているようです。

木に、もたれ掛かって首からぶら下げた「竜のお守り」を片手で弄る。

ボクの宝物…… 金銀財宝よりも大事で思い出がたっぷり詰まる予定の大切なアクセサリ。


クラリス「ボクもいつかあにさんの隣に―――っ!?」


将来の想像をして暇をつぶしていた瞬間に、強い力を感じた。

あにさんが向かった領主の館から遠く離れた村はずれに位置するところに何かがいる。


ボクは木から跳び下りて、その場所に走り出す。

もし、相手がピラミッドで現れたボク達とは違うモノならば、ボクが食い止める!

あにさんの邪魔はさせない!

――――
―――――
――――――

――――――
―――――
――――

―――【村はずれ】

ボクは「村はずれ」に到着すると直ぐに構えた―――が、取り越し苦労だったようだ。

その場に居たのは、あにさんだった。


偽勇者「……………」

    「……………」

    「……クラリスか」

クラリス「はい、そうですよ」

偽勇者「見張りを頼んでいたはずだが―――」


姿形は変わっていないけど、強いて言うなら色が変わったぐらいかな?

紫と暗い赤色から、黒と金色に変わった程度だね。

あと兜から見える、あにさんの顔になんか凄い模様。


クラリス「何か、強い力を感じたから調べに来ただけだよ」

偽勇者「……クラリス」

クラリス「はう?」


……かんじゃった。


偽勇者「怖くないのか?」


その一言は、あにさんに取って知りたい答えなのだろうか?

だからボクは―――


【クラリスのセリフ:募集や】

↓~3

見た目が変わってもボクを助けてくれたあにさんはあにさんに変わりないでしょ?
だから怖くないよ

ボクは目が見えなかった期間が長かったから目に映らない物の方が大切なのをよく知ってます…

>>57 >>58』締切や!

だからボクは―――


クラリス「見た目が変わってもボクを助けてくれたあにさんはあにさんに変わりないでしょ?」

     「だから怖くないよ」


―――正直に答える。

うそ偽りが無い気持ちをあにさんに伝える。


――― とてっとてっ ―――


あにさんに隣に移動して、その手に擦り寄る。


クラリス「ボクは目が見えなかった期間が長かったから、目に映らない物の方が大切なのをよく知ってます……」


あにさんを見上げて、ボクは笑う。

もし、この世界の全てがあにさんの敵になっても―――ボクが傍にいます。

だから……


クラリス「……笑ってください、あにさん」


ボクが、今できる精一杯の笑顔を送ります。





あにさんの目に光る物が見えたのは気のせいですかね?





――――
―――――
――――――


飯+αや!


――――――
―――――
――――

―――【偽勇者】

……俺は力を得た。

……俺は多数の力を得た。

これだけでも、世界を救うことは容易いことであろう。

しかし、今の俺は何だ?

全てが全てを呪いによって構成された存在だ。

武具も、特性も、今では体されも呪いによって蝕まれている。

こんな存在が世界を救えるのか―――いや、世界を救ったとしても受け入れてくれるのか?

いや、受けいれてくれる!


…… 本当に? ……


俺は偽でも勇者なのだ!


…… だからどうした? ……


世界や人間のために頑張っているんだ!


…… そんなの当たり前 ……


怖くても立ち向かっているんだ!


…… 人間じゃないから ……


俺は人間だ!


…… 化け物だ ……


俺はっ!


…… ありがとう、とっとと死ね ……


おレハっ!






――― あにさん ―――





俺は目を覚ます。

どうやら一気に力を取り込んだために気絶していたようだ。

それにしても―――


偽勇者「……………」

    「……………」

    「……クラリスか」

クラリス「はい、そうですよ」

偽勇者「見張りを頼んでいたはずだが―――」


俺はクラリスに小僧が来るかどうか見張りを頼んでいたはずだ。

「魔女狩りの村」のイベントは大好きだ。

必ずも全てを救えない――― 一人では届かない。


クラリス「何か、強い力を感じたから調べに来ただけだよ」


……強い力か。

ならその結果を知った今は、どうなるか予想が付くな。


…… 化け物だ ……


結果は分かル……

結果は分かっテいるガ、それでも確認シたイ。


偽勇者「……クラリス」

クラリス「はう?」




偽勇者「怖くないのか?」



怖いだろう、恐ろしいだろう、拒絶するだろう?

正直に言え、今言え、直ぐ言え、さっさと聞かせろっ!

俺が化け物だと証明しろっ!


クラリス「見た目が変わってもボクを助けてくれたあにさんはあにさんに変わりないでしょ?」

     「だから怖くないよ」


……何?

うそを付くな、偽るな、そんなことが―――


――― とてっとてっ ―――


しかし、クラリスは一切の負の感情を持たずに俺の隣に移動して、擦り寄ってきた。


クラリス「ボクは目が見えなかった期間が長かったから、目に映らない物の方が大切なのをよく知ってます……」


何故、そこまで俺のために笑ってくれるのだ。

何故、そんなにも触れることができるのだ。


クラリス「……笑ってください、あにさん」


……それは、できない。

力を得たら、何かが無くなる。

笑顔を無くしてしまった俺を―――お前のために、笑えない俺を許してくれ。





俺は笑顔の大切さを知った。





――――
―――――
――――――


【何、食いたいん?】

○ほねつきにく

○しもふりにく

○超しもふり肉


『超しもふり肉』やね

――――――
―――――
――――

―――【クラリス】

ボクはじっと我慢している。

獲物を逃さないようにじっと待つ。


――― ジュッ ―――


ひっくり返るごとに、その身から肉汁が逃げ出すっ!

まだなの…… まだなのっ!?

あにさんが「トング」と言われる物で肉を挟み―――ボクのお皿に載せてくれる。


偽勇者「いい焼き加減だ、熱いうちに食え」


ボクは掌を合わせて、あにさんから教えてもらったある御呪いを唱える。


クラリス「いただきますっ!」


そして、ボクは「超しもふり肉」を口の中に招き入れて咀嚼する―――この日、生きていたことにとても感謝した。


偽勇者「……どうだ、美味いか?」


あにさんが、感想を求めている。

だけど、美味しすぎて言葉が出ない。

だから、ボクは上下に頭を動かすことしかできなかった。


偽勇者「そうか、美味いか」


あにさんも、嬉しそうでボクも嬉しい。

あ、おかわりお願いします。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――【偽勇者:テントの中】

あんな小さい体のどこに入るのか…… 大量の「超しもふり肉」を食べたクラリス。

少しお腹がポッコリしてるのがよく分かる。

……笑顔を送れない代わりに、俺からの細やかなお礼だ、幸せそうで良かった。

俺の力は、確実に強化されている。

ある程度の物なら、超現象を応用すれば創造できるみたいだ―――まあ、食べ物やテントぐらいならばだがな。

しかし、これはある意味で素晴らしいことだ。

飢えで苦しむ者がいたならば、救うことができるのだからな。

魔力がある程度消費されるが、血の祝福によって回復されるので問題もない。


偽勇者「……何でも使い方次第か」


俺の呪いも使い方次第で、強力な味方になるやもしれん。

これも、クラリスのおかげかもな…… 礼は口ではなく行動で示すがなっ!


――― クイックイッ ―――


偽勇者「……んっ?」

    「どうしたクラリス?」

クラリス「えっとね、んっとね……」

     「お願いがあるんだけどね……///」


クラリスにしては、珍しく言い淀むな。


偽勇者「……はっきり言え」

クラリス「それじゃあね >>39 >>40 >>41 してほしいな~って……」

偽勇者「……………」

クラリス「―――」


【クラリスのセリフ:募集】

↓~2

できたら、ですけど・・・

じょ、冗談です・・・

>>73 >>74』やね

偽勇者「……………」

クラリス「できたら、ですけど……」

偽勇者「……………」

クラリス「じょ、冗談です……」

偽勇者「……………」

    「……………」

    「……はあ」

    「……クラリス」

クラリス「は、はい?」


――― ガチャ…ガチャンッ… ―――


俺は右腕部分の武具を外す。

右腕にも「呪いの刺青」がビッシリと浮かび上がっているが関係ない―――影響があるのは俺だけだからな。


偽勇者「どうした、寝るのだろう?」

    「……ゆるりと休むがいい」

クラリス「 ! 」

     「はいっ!」


……クラリスは俺にくっついて、右腕を枕にしている。

少しばかり髪の毛がくすぐったいな。


クラリス「あ、あにさん///」

偽勇者「……なんだ?」

クラリス「……んっ///」


偽勇者「やはり、一人で眠るか?」


クラリス「ご、ごめんなさい―――にゅっ」


俺は残った左腕で、クラリスの頭を撫でる。


クラリス「……お休みなさい」

偽勇者「ああ、お休み」


まだ俺も睡眠欲は辛うじて残っていたようだ。

これが最後の睡眠となるのか、それとも……

そう考えながら、俺は睡魔に身を任せるのだった―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソーリ|・ω・)<オルー?


――――――
―――――
――――

―――【ルカ:サバサ城】

サラ「んっ……はい、終わり」

   「気持ちよかった……?」


口元を汚す精液を軽く手の甲で拭い、サラは笑顔を見せる。

しかしその顔からは、男を屈服させたという優越感が滲んでいた。


ルカ「あぅぅぅ…… 僕は、一国の王女様になんてことを……」


これで、責任を取らされて結婚させられたら―――

取り返しの付かない事態になってしまい、僕は呆然とするのだった。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

サバサ王「もうここを発つのか、名残惜しい事よ……」

サラ「本当にお世話になりました、勇者様」

   「その旅に、女神様の祝福があるよう祈っております」


猫かぶりモードのサラが、優しく微笑みながら告げる。

結局、あの時のアレはなかった事となった。

僕とは何もなかった、という事で押し通すつもりらしい。


サバサ王「今回は、娘のわがままでずいぶんと迷惑を掛けてしまったな」

     「つくづく、申し訳ない事をした」

ルカ「いえいえ、お気になさらず……」


確かに、色々と大変ではあったが……

まあ、もはやそれも言うまい。


サバサ王「また近くに来た際は、この城に立ち寄ってくれ」

     「では、お主の冒険に幸運のあらんことを」

     「その剣が、これからも多くの人を救うことを期待している」

ルカ「ありがとうございます。では……!」


こうして僕は、謁見の間を後にしたのである。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

サラ「……本当にありがとうね、ルカ」

   「あんたがいなかったら、試練を乗り越えられなかったわ」


城を出る際、サラがこっそりと声を掛けてきた。


ルカ「いやいや、サラも頑張ったよ」

サラ「これからまた、旅を続けるんでしょ?」

   「人間と魔物が共存できる世界のために……私も応援してるからね」

ルカ「ああ……サラも、うまくいくといいね」


片思いの相手は魔物で、かたや王女。

決して差別するわけじゃないが、問題は山積みのはずだ。

おまけに、相手は女だというところがどうしようもない。


サラ「今度サバサに来たときには、また寄ってね」

   「旅の話とか、聞きたいし」

ルカ「ああ……じゃあ、またね」

サラ「さよなら~!」


こうして、僕はサバサ城を後にしたのである。

――――
―――――
――――――

――――

アリス「ふむ…… どうやらあの王女と、随分と親しくなったようだな」

ルカ「親しくなったって…… 誤解を生む表現しないでくれよ」

   「互いに共感し合うことがあっただけさ」

アリス「ふむ……」


アリスの尻尾が僕の体に巻き付き、ぎゅうぎゅうと締め上げてきた!


ルカ「ちょ、ちょっと…… 何してるの……!?」

   「ぎゃぁぁぁぁぁ……!!」

アリス「別に……」


なぜだか分からないが、僕はひとしきり締め上げられたのだった。

いったい、なぜ僕がこんな目に……


ルカ「でも……結果的にサバサ王を騙す事になっちゃったな」

   「なんだか悪いや……」


おまけに、あの一件で僕はすっかり恩人扱いなのだ。

騙して恩を売ったみたいで、ちょっと罪悪感がある。


アリス「……気にするな、あの王はとうに気付いているさ」

ルカ「え……?」

アリス「別れ際、サバサ王が言ったではないか」

    「「娘のわがままで迷惑を掛けた―――」と」

ルカ「あ……! そうだ……!」


僕はあくまで、王女を救出した勇者であるはず。

わがままで迷惑を掛けたってのは、裏に気付いてなければ出ない言葉だ。


アリス「あの王は、決して凡庸な人間ではない」

    「事の全貌は知らないにしろ、この一件は狂言に近い事を察したのだろう」

    「サラのお転婆に貴様が付き合わされた事も、どこかで気付いたのだろうな」

    「その上で貴様を勇者としてもてなすとは、なかなか度量の広い男だ」

ルカ「本当の事に気付いていながら、僕をサラの婿に迎えようと思ったのか……」

アリス「やれやれ、貴様も随分と見込まれたものだな」

    「それも王の眼鏡違いか、あるいは―――」

ルカ「あるいは……?」

アリス「ふん、それはこれからの行動次第だ」

    「さあ、旅を続けるぞ!」

ルカ「そうだな……行くか!」


こうして僕達は、サバサを後にしたのだった。

本来の目的、ノームに会う事も決して忘れてはいけない。

さて、次の目的地はどこにしようか―――


【ルカの次の目的地は―――?】

○ピラミッド

○サバサ城(セリフ変化)

○魔女狩りの村

― サファル遺跡

↓2

『魔女狩りの村』やね、ラザ……ニアとのイベントは後回しやね。

ルカ「……魔女狩りの村に行こう」

   「そんな愚行、なんとしてもやめさせなきゃ……」

アリス「やれやれ、面倒な事に首を突っ込むのが好きな奴だ」

    「勇者の務めは、魔物と戦う事ではなかったのか?」

    「人間同士のいざこざなど、貴様には無関係だろうに」

ルカ「許せないんだよ……」

   「どんな理由があっても、人間が同じ人間を迫害するなんてのは……」

アリス「やれやれ……」


アリスは溜め息を吐き、心底呆れた表情を浮かべる。

しかし、どう言われようと決断を変える気はなかった。

次の目的地は、魔女狩りの村。

僕達は、僻地の村へと進路を向けたのだった―――

――――
―――――
――――――


……
………
…………

ルカ「お願いです、薬を売って下さい……!」

   「このままじゃ、母さんが……」

道具屋「ヨソ者の子に売る薬なんてねぇよ!」

    「とっとと村から消えちまいな!」

ルカ「お願いです、どうか薬を……」

道具屋「こ……こっちに来るんじゃねぇ、このガキ!」

    「俺にまで病気が感染るじゃねえか!」


――― ドガッ! ―――


ルカ「う、うう……」

   「薬を……母さんが……死んじゃう……」


道具屋「今度来やがったら、ぶっ殺すぞ!!」

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「神官様、どうか母さんを助けて下さい……」

神官「よいか、君は今すぐ家に戻るのじゃ」

   「そして、何があっても家から出てはならん」

ルカ「で、でも……母さんが……!」

神官「早く神殿から失せろと言っておる!」

   「神殿に顔を見せるな、ヨソ者め!」

ルカ「か、母さんを……お願いです、どうか……」

神官「いいか、絶対に家から出るな!」

   「村に病気が広がる前に、母子揃って死ね!」

   「そうイリアス様も仰せなのだ!!」

ルカ「そんな……母さん……」

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「ごめんね、母さん」

   「薬はもう売り切れたんだって……」

   「だから神殿に行って、イリアス様にお祈りしてきたよ」

母「……ルカ、辛い思いをさせてしまいましたね」

  「私は、もうイリアス様の元に行かなければいけません」

ルカ「そんなの、やだよ……母さん……」

母「……ルカ、あなたは勇者になりなさい」

  「村の人達を恨んではいけません」

  「父さんを恨んではいけません」

  「どうか、立派な勇者になりなさい……」

  「……………」

ルカ「母さん……?」

   「かあさーん……!!」

……
………
…………


――――――
―――――
――――

ルカ「……久々に、母さんが死んじゃった時の夢を見ちゃったな」

アリス「……奇遇だな、余も同じだ」

    「久々に、母上を亡くした時の夢を見た」

ルカ「そうなのか、何だか意外だな……」

   「アリスは、母さんに誓った事とかあるのかい?」

アリス「……………さあな」

ルカ「僕は、母さんに立派な勇者になれって言われたんだ」

   「でも、今の僕はニセ勇者だからなぁ……」

   「母さん、天国で悲しんでるかなぁ……」

アリス「知るか。余は死者の代弁者ではない」

ルカ「そうだね……アリスに聞いても仕方なかったか」


そんな会話を交わしながら準備を終え、旅を続ける僕達だった。

「魔女狩りの村」まで、もう少しだ。

――――――
―――――
――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|´-ω-)<ちょっとだけやるで~

――――――
―――――
――――

―――【ルカ:魔女狩りの村】

そして僕達は、「魔女狩りの村」と呼ばれる小さな村に到着していた。

どこか活気のない、どんよりした雰囲気の村。

なんだか、入り口に立っているだけで息が詰まりそうだ。


ルカ「ここが、魔女狩りの村か……」


ここの女領主は「魔女」として村人や旅人を捕らえ、拷問や処刑を行っているという。

おそらく普通の人間を、「魔女」として裁いているのだ。


ルカ「絶対に許せない……!」

アリス「……さて、どうするつもりなのだ?」

    「そもそも、貴様にこんな厄介そうな問題が解決できるのか?」

ルカ「とりあえず領主の館に乗り込んで、やめるように言うよ」

アリス「……お前はドアホか」

    「やめるように言って、やめると思うのか?」

ルカ「思うわけないだろ、それくらい分かってるよ」

   「どうせ聞きやしないから、力尽くでやめさせてやる!」

アリス「確信犯的行動ではないか、野蛮人め」

    「そう言えば貴様は、意外に暴力的なのだったな」


……なんとでも言うがいい。

魔女狩りなんて、絶対に間違ってる―――

そう息巻きながら、一歩を踏み出した時だった。


おばさん「あんた、旅の人かい……?」

     「この村に入っちゃいけないよ。すぐ引き返しな」


声を潜めて忠告してきたのは、農婦のおばさんだった。


おばさん「そこの銀髪の娘さんなんて、あっという間に捕まってしまうよ」

     「それに魔女容疑で捕まるのは、女ばかりじゃないんだ」

     「あんたみたいに若く元気そうな男が、真っ先に捕まってるんだよ……!」

ルカ「……ありがとう、おばさん」

   「でも、僕は―――」

そう言い掛けた時だった。

いかにもガラの悪そうな二人の兵士が、向こうから近付いてきたのだ。


兵士A「そこの旅人!」

    「そこから動くな、少しばかり調べさせてもらう!」

兵士B「おい、そこの農婦!」

    「旅人に何を吹き込んでいる!? 貴様も魔女か!?」


おばさん「み、道を聞かれただけですよ、兵隊さん……」


慌てた様子で、農婦は僕から離れていく。


おばさん「すぐ逃げるんだよ……」


小さな声でそっと忠告し、農婦は逃げ去ったのだった。


兵士A「ヨソ者が、この村に何をしに来た!?」

兵士B「そこの女、その髪の色は何だ!?」

    「貴様、魔女の疑いがあるな……!」


二人の兵士は、まずアリスに狙いをつけたようだ。

兵士の一人が、ナイフのようなモノを取り出す。


兵士A「魔女は、傷つけても血が出ないという」

    「よってナイフを軽く手の甲に刺し、魔女かどうかを判別するのだ」

    「当然のことながら、魔女でなければ血が出てくるはず……分かったな?」

アリス「……ああ、面白そうではないか」


意外にも、アリスは素直に手を差し出した。

兵士の一人がアリスの細い手を掴み、その手の甲にナイフを軽く刺す―――


アリス「痛……っ」


すると―――

刺された部分から、血がぽたぽたと滴り始めたのだ。


兵士A「え……!?」

兵士B「そんな……馬鹿な……!」


すると二人の兵士は、たちまち目を丸くした。


兵士A「こ、こんな馬鹿な事はない! このナイフは―――!!」

アリス「このナイフは……どうかしたか?」

    「ナイフそのものに、何か仕掛けがあるような言い方だな?」


手の甲の血を舐めながら、アリスは不適に微笑む。


アリス「さて、ちゃんと血が出たぞ」

    「これで余は、魔女ではないと実証された……違うか?」

兵士A「まさか……そんな……!」

兵士B「お前……あ、あいつと同じ……」


兵士二人は、わなわなと震え始め―――

そして、ナイフを放り出して逃げ去ってしまった。


ルカ「……このナイフ、やっぱり……!」


僕はナイフを拾い上げ、その刃の仕組みを理解した。

手の甲などに押し当てると、その刃が柄の中に引っ込む仕組み。

非常に簡単な仕掛けの、トリックナイフなのだ。

これで手の甲を刺しても、血など出るはずがない。

こうして、無実の人間を魔女に仕立て上げてきたのか―――


アリス「ふん……少し驚かしてやっただけで逃げおって」

    「兵士どもは、領主の権力を笠に着てやりたい放題のようだな」

ルカ「許せないな……」

   「こんな姑息な道具まで使って、無実の人を拷問して、殺して……」


怒りの炎が、めらめらと湧いてくる。

だが―――その前に、いちおう情報を集めなければ。

見張りの兵士を追い払った今なら、色々と話が聞けるに違いない。

最終的に領主の館に乗り込む事になるだろうが、まず下準備だ。


〇農夫と話す

〇女性と話す

〇おばさんと話す

〇老人と話す

〇密告屋と話す

〇少年と話す

〇道具屋に行く

〇教会に行く

―領主の館に乗り込む



『密告屋と話す』やね

密告屋「へへっ、俺は密告屋」

    「これまで、何十人もの魔女を密告して来たんだ」

    「俺に逆らうと、あんたも密告してやるぜ……へへっ」

    「まあ、一人は生意気にも説教臭い奴がいたが……」

    「おっと、密告し返しても無駄さ」

    「俺は、兵隊さんにゃ色々とツテがあるからな……」

ルカ「……………」


〇農夫と話す

〇女性と話す

〇おばさんと話す

〇老人と話す

〇少年と話す

〇道具屋に行く

〇教会に行く

〇領主の館に乗り込む


『領主の館に乗り込む』やね、一部ミスしたけどまあええか。


農夫「遠くから、様子を見させてもらいました」

   「領主の……リリィ様の館に乗り込まれるのですな?」

   「どうか、私の娘……メアリをお救い下さい」

おばさん「旅の方……私の娘、エリカもどうか……」

若者「俺の嫁セリアも、あの領主に捕まえられたんです……!」


次々に、助けを求めてすがってくる村人達。

余りにも多くの人間が、犠牲となっているようだ。


ルカ「……分かりました。僕が、必ず助けますから……!」


……すでに死んでさえいなければ、だが。

胸を焦がしそうなほどの怒りが、僕の中に渦巻くのだった。


ルカ「もう許さない……!」

   「領主の館ってのは、あそこだな……!?」


閑散とした村に建つ、ひときわ豪華な館。

そこが領主の住処だという事は、誰が見ても一目で分かる。

その館に向かい、僕は足早で歩き出した。


アリス「やれやれ、本当に乗り込む気か……?」


そんな僕の背中から、アリスは話し掛けてくる。


ルカ「ああ、アリスは無理に来なくていいよ」

   「これは、人間同士の問題だからね」

アリス「確かに、美味そうなものはなさそうだな」

    「だが……油断するなよ、ルカ」

    「あの屋敷、どうも普通ではないぞ」

ルカ「普通じゃない……?」


振り向いたとき、すでにアリスの姿は消えていた。

相変わらず、肝心なところは言おうとしない―――が、そんなものか。

勇者が魔王の助言を受けて行動するというのは、立場的にも問題がある。


ルカ「何があろうと、構うもんか……!」


僕は深い怒りを胸に秘め、領主リリィの屋敷へと向かったのである。

――――
―――――
――――――


アリス「……………」

    「……あの館だけで済めばよいが」

    「ルカよ、忠告はしたぞ」

    「人間同士のいざこざなどに、関わった貴様の責任だからな」

    「……………」

    「……負けることは許さんからな」


……
………
…………

―――【偽勇者】

偽勇者「……朝か」


俺は久しい睡眠から目覚めると、俺の右腕を枕にしているクラリスを見る。


【クラリスは―――】

○涙を流していた

○幸せそうな寝顔

○すでに起きていた

○その他

↓2


俺は久しい睡眠から目覚めると、俺の右腕を枕にしているクラリスを見る。

クラリスは、幸せそうな寝顔をしていた―――どんな夢を見ているんだ?

まあ、いいか…… あと少しぐらいは寝かしてやるさ。

俺は、朝飯のメニューを考えながら食材を創造するのだ。

――――――
―――――
――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|;-ω-)<ごめんな、今回はお休みやわ(始める前に寝落ちしてもた


コソコソ|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

門の前では、二人の兵士が立ち塞がっていた。


ルカ「あの……ここの領主に会いたいんだけど」

門番A「なんだ、貴様!?」

    「リリィ様はお前などにお会いにならん!」

門番B「貴様、怪しいな……」

    「もしかして魔女か? 調べさせてもらうぞ!」

ルカ「……………」


魔女だのなんだの、もううんざりだ。

こういう奴らが、人と魔物の絆を引き裂いた。

こんな連中のせいで、いくつもの悲劇が生まれるんだ―――!


ルカ「……シルフ!」


――― ビュゥゥゥ! ―――


僕はシルフの力を使い、周囲に風を呼んだ。

凄まじい突風に煽られ、衛兵の兜が地面に転がる。


門番A「な、なんだ……これ……!?」

門番B「またか……また、魔女なのか……!?」

ルカ「なんだ……本物は見た事があったのか?」

門番A「ま、魔女だ……! また、本物が来やがった……!!」

門番B「ひぃぃ、もういやだぁぁぁ!!」


門番二人は僕を捕らえるどころか、たちまち逃げ出してしまう。


ルカ「……………」


罪もない人々を魔女扱いして、本物の魔女相手だと逃げる―――

結局、連中は自覚していた。

自分が捕らえている者達が、本当は魔女ではないと分かっていたのだ。


ルカ「絶対に許せない……」

   「こんな事、早く終わらせないと……!」


こうして僕は、開け放たれた門をくぐって館の中へと踏み込んだのである。

――――
―――――
――――――

―――――
――――

ルカ「なんなんだ、ここ……?」


領主の館の中は―――まさに、魔女の館そのものだった。

あれだけ魔女狩りを行っておいて、これは何の冗談なのだろうか。


リリィ「ふふっ、驚いたようね……」

ルカ「お前は―――」

リリィ「私がこの村の領主、リリィ・メーストル」

    「森羅万象の理を追求し、さらなる高みを目指す求道の魔導師よ」

ルカ「まさか、領主が魔女だったなんてな……!」


本物の魔女が、罪のない人達を魔女の疑いで捕らえていたのだ。

こんな皮肉な話があるだろうか。


ルカ「色々と聞きたいことはあるけど……何よりも最初に聞きたい」

   「今まで捕らえてきた人を、どうしたんだ!?」

リリィ「女は、実験材料に使わせてもらったわ」

    「男は……種汁を搾れるだけ搾り取って、残りカスは破棄よ」

ルカ「お前……なんて事を……!」

   「なんで、こんなひどい事をしたんだ……!?」

リリィ「ここは、昔から「知識」や「魔導」を排斥してきた旧弊的な村なの」

    「でも……五年前に領主の座に就いた私は、魔導の力に魅せられていたわ」

    「だから魔女狩りを利用して、効率よく実験材料を集めることにしたのよ」

ルカ「実験材料……それだけで……!」

リリィ「見たところ、あなたも魔導の力を持っているみたいね」

    「ぜひ、私に見せてくれないかしら……お仲間さん」

ルカ「……僕は、お前なんかの仲間じゃない!」

リリィ「あらそう……じゃあ、捕まえてじっくり研究させてもらうわ」

    「まずは……あなたの子種を採取して、分析してみないと」

    「ふふっ、生殖実験も行いたいわねぇ……」

    「あなたのような上質素材はそう手に入らないから、壊れないようにしないと」

ルカ「ふざけるな!」

   「今捕らえられている人だけでも、解放させてもらうぞ!」

リリィ「ふふっ……こっちにいらっしゃい」

    「私の研究成果を見せてあげるわ……」


リリィはそう言い残し、扉から奥へと歩み去っていく。


ルカ「あっ、おい! 待てっ!」


僕はリリィの後を追って、奥への扉に飛び込んだのだった―――

――――
―――――


――――――
―――――
――――

ルカ「ここは……牢屋か?」


周囲は暗く、そして無数の檻が並んでいる。

もしかして、捕らえられた人達はここにいるのか……?


ルカ「あの、誰かいますか……?」


とりあえず、手前の牢を覗き込むと―――

そこで僕が目にしたのは、なんとも異常な光景だった!


若い男「あ、あぁぁぁ……あひぃぃ……」


両腕を吊り下げられている青年に、異様な生物が取り付いている。

それは、天井からぶら下がったイソギンチャクのような異生物だった。

まるで獲物を捕らえ、体液を啜っているかのようだ。

いやー――実際に、彼の男性器を包み込んで精を吸っているらしい。


若い男「ひぁぁぁぁぁ……」


青年は凄まじい快楽を味わっているらしく、すでに理性は失われていた。

口からはよだれを垂らし、目の焦点も合っていない。


ルカ「くっ、なんてひどい事を……!」

   「でも、この生物は何なんだ……? 魔物か……?」


しかし、こんな異様なモンスターは見たことも聞いたこともなかった。


ルカ「……こっちも、あっちでもか……」


さらに、向かい側の牢でも、隣の牢でも―――

捕らえられた男達は、この異様な生物に精を吸われていたのだ。

次の瞬間、後方に気配を感じた―――


ルカ「だ、誰だ……!」

少女「た、たすけて……」


そこに立っていたのは、涙目の少女だった。

おそらく、リリィに捕まった村娘の一人だろう―――


ルカ「僕は、君達を助けに来たんだ」

   「さあ、こっちへ―――」

リリィ「あらあら、いけないお嬢さんね」

    「そんな子は、オシオキしてあげるわ……」


廊下の先に、姿を現したリリィ―――

彼女は、指をぱちんと鳴らす。

すると、不意に少女の肉体に異変が起こった!


少女「あ、あぁぁぁぁ……」

ルカ「リリィ、この少女に何をした!」

リリィ「多少強引に、搾精生物に造り替えただけよ」

    「ふふっ、施術は失敗のようね……ほら」


僕の目の前で、少女は異形そのものの肉体となってしまう。

さっき男達を搾っていた、あの生物と同じ姿だ―――


リリィ「はい、失敗作の出来上がり……これも逃げようとした罰ね」

    「でも、こんな体でも男の精を搾る機能はちゃんと備わっているわ」

    「くすっ……あなたも、他の男達みたいに吸われてみたいでしょう?」

    「その子に精を搾られるのは、とっても気持ちいいわよ……」

ルカ「お前だけは、絶対に許さない……!!」


そのままリリィに駆け寄ろうとした瞬間、サックボアの触手が伸びてきた。

僕はとっさに身を翻し、なんとか攻撃を避ける。


リリィ「ふふふっ……せいぜい楽しみなさい」


そのままリリィは、姿を消してしまった。

どうやら、この生物を倒さなければ先に進めないようだ。


ルカ「やるしかないか……」


異形の搾精生物を前に、僕は剣を抜いた!

………………
…………
……

……
………
…………

サックボアの体は消散し、チリとなって消えてしまった!

そのチリの中から、気絶した少女の姿が現れる―――


サックボアをやっつけた!


ルカ「よかった、戻ったんだな……」


少女は意識を失っているものの、命に別状はないようだ。

魔素の影響が強い部分だけが封印され、人間の姿に戻れたのだろう。


ルカ「どうしよう……」

   「とりあえず、この人達を助けようか……?」


気を失ったまま、横たわっている少女。

牢の中で、サックボアに精を搾られている男達。

そして、その精を啜っている変異させられた女性―――

リリィを放置したまま、この全員を救出するのは難しいだろう。

男達はみんな恍惚の表情で、自力で動けそうな者など皆無。

これだけのサックボアを、みんな人間に戻すだけでも大変なのだ。


ルカ「後で必ず助けるから……リリィを倒すまで待っててくれ!」


まずは、リリィを押さえるのが先決だ。

僕はリリィを追って、廊下の奥へと進んだのだった。

――――
―――――
――――――


風呂タイムや!

一つ思ったんだけど

「魔物と人間の間を引き裂く~」って、正直今回魔物関係なくないか?
頭に血が昇りすぎてるだけ?


大阪|・ω・)ノシ<ただいや~

>>130|´-ω-)<魔物関係ないけど、お前等みたいな悪党が魔物と人間の絆を壊してるって言いたいやないの?

大阪|´・ω・)<みんな悪が原因で、僕ら善人は悪くないって偏見やないの?


――――――
―――――
――――

しばらく進むと、広い牢に突き当たる。

そこにいたのは、なんとも異様な女性達だった―――


村娘A「ふふっ……もっと吸わせて……」

男A「あぅぅぅぅ……ルシア、もうやめてくれぇ……」

村娘B「あなたの精、おいしい……」

男B「あひぃぃぃぃ……あ、あぁぁぁぁぁ……」


さっきの異生物の時のように、男一人につき一体の魔物が精を啜っている。

ただしそれは異生物ではなく、腕が触手と化した女性達だった。

その数、ざっと十人ほど。

彼女達の腕は異様な搾精触手と化し、男の股間を貪っているのだ。

おそらく彼女達も、リリィによって異形の姿に変えられた村娘だろう。

彼女達は獲物の精を啜るのに夢中で、僕には気付いていないようだ。


ルカ「くっ、どうする……?」

   「数も多いし、助けようにも……」


あまりの事態に、少しばかり戸惑った時だった。


村娘「あらぁ? こんなところに男のヒトが……」


手の空いていた女性が、僕を見付けてしまった!


ワームビレッジャが現れた!


ワームビレッジャ「くすっ……こんなところに、男の人はっけ~ん♪」

         「キミの精液、私が搾ってあげますね……」


その目を見るに、どうやら正気ではなさそうだ。

リリィに操られているのか、魔素の影響なのか―――


ルカ「正気を取り戻すんだ、こんな事しちゃいけない!」

ワームビレッジャ「あはっ……目なら醒めてますよぉ?」

         「喉はとっても渇いてますけど……」

         「だからぁ、キミの精液ゴクゴク飲みたいなぁ……」

ルカ「くっ、駄目か……!」


どうやら、戦うより他にないようだ。

この剣で、なんとか触手の部分だけを封印できるか……!?

………………
…………
……


……
………
…………

ワームビレッジャ「なに、これ……力が抜けて……」


ワームビレッジャの腕の触手は消え失せ―――

残された女性の体は、その場に倒れてしまった!


ワームビレッジャをやっつけた!


ルカ「ふぅ、なんとか封印できたな……」


消失したのは触手の腕だけで、その下からは本来の腕が現れた。

人間の姿を取り戻し、女性は意識を失っているようだ。

しかし、これだけ騒ぎになっては他の村娘達も―――


村娘A「もっと……もっと吸うの……」

男A「あぅぅぅぅぅ……」

ルカ「気付いてないのか……?」


彼女達は男の精を吸うのに夢中で、こちらに目もくれない。

どうやら、嫐っている男しか見えていないかのようだ。


ルカ「……これじゃあ、彼女達を助けるのも後回しだな」

   「今はとにかく、リリィをなんとかしないと……」


大勢の助けがなければ、これだけの数の人間を館からは運び出せない。

先程と同じように、リリィを放置したままの救出は不可能なのだ。


ルカ「リリィを倒した後、必ず助けるから……ん?」


少し離れたところの牢から、金属音が響いていく。

まるで、何かを金属の棒か何かで殴りつけているような音だ。


ルカ「僕の他にも、戦っている人がいるのか……!?」


すかさず、僕は音の方向に駆け出す。

すると―――牢屋に囚われた若い戦士が、奇妙な魔物と戦っていた!


ルカ「なんだ、あの魔物は……!?」


拷問器具のアイアンメイデンに酷似した、異様なモンスター。

それに対し、戦士は鉄格子の残骸と思われる棒を振るっていた。


戦士「くそっ、バケモノめ……!」

アイアンメイデン「……………」


しかし、圧倒的に分が悪そうだ。

じりじりと近付くアイアンメイデンに、戦士は追い詰められていく一方。


このままでは、彼の身が危ない―――


ルカ「僕も加勢します……!」


なんとか牢内に飛び込もうとしたものの、強固な鉄格子がそれを拒んだ。

すかさず剣を抜いて一撃するが、そう簡単には壊れそうにない。


戦士「やめろ、来るんじゃない……!」

   「俺も少しは名の売れた勇者だが、ここの領主には歯が立たなかった!」

   「お前も、捕まる前に逃げるんだ!」

ルカ「で、でも……!」


さらに僕は、剣で鉄格子を一撃する。

堅固な格子に少しは切れ込みが入ったが、とても間に合いそうにない!

その一方で、アイアンメイデンは戦士の攻撃をものともせず―――

その蓋が開き、異様な内部を見せ付けた!


戦士「や、やめ―――うぁぁぁぁぁぁ……!」


そして次の瞬間、アイアンメイデンは戦士を自らの中に閉じ込めてしまう。

まるで、魔獣が人間を一飲みにするかのようだ……!


戦士「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ~~!!」


アイアンメイデンの中から、戦士の悲痛な声が響いた。

同時に、じゅるじゅるという異様な音が漏れ聞こえてくる。


アイアンメイデン「……………」


アイアンメイデンが、不気味な笑みを見せた―――

それと同時に、その隙間から大量の白濁がどろどろと滴る。


ルカ「な、何をされてるんだ……?」

戦士「ぁぁ……ぁ……」


戦士の悲痛な絶叫は、みるみる掠れていく。

なんとか僕は、牢をぶち破ろうとした―――その時だった。

僕の真後ろから、どすんという重い音が響く。

後ろを振り向くと、そこには―――


アイアンメイデンが現れた!


ルカ「くっ、こっちにも……!」


牢内のアイアンメイデンとは、また別の奴だ。

こいつに捕まれば、あの戦士のように精を搾り取られてしまう―――

戦慄しながら、僕は剣を抜いた!


……
………
…………

アイアンメイデン「……………」


アイアンメイデンはチリとなって消散した!


アイアンメイデンをやっつけた!


ルカ「……………」


襲ってきたアイアンメイデンは、なんとか退治することができた。

しかし、牢内の戦士は―――


アイアンメイデン「……………」


不適に微笑むアイアンメイデンの足下には、精液が大量に垂れ落ちている。

この悪魔の搾精具の中で、精を搾られ尽くしたのだろう―――


ルカ「くそっ……許さないぞ、リリィ!!」


とうとう、僕の怒りは頂点に達してしまった。

風の流れからして、リリィの居場所は突き当りのドアの向こう。


ルカ「これ以上、無駄な犠牲は出させないぞ……!」


通路を突っ走り、突き当たりのドアを蹴り倒して中に飛び込む。

そこは、まるで研究室のような部屋だった。


リリィ「全く、野蛮な人間ねぇ」

    「ドアを開ける前に、ノックもできないのかしら……?」


この惨劇の張本人は、いかにも涼しげな顔を僕に見せた。

これだけの人間を不幸にしておいて、こいつは―――!


ルカ「お前だけは、絶対に許さないぞ!」

   「何人もの人間をオモチャにして、責め殺すなんて……!」

リリィ「あなたごときには分からないわ」

    「私が、どれだけ崇高で価値のある研究をしているか―――」

ルカ「命以上に価値のものが、この世にあるものか!」

リリィ「ふふっ……薄っぺらいわね、あんたの正義感は」

    「この世には、あんたの想像もつかないような歪んだ世界があるのよ」

    「旧弊的な村社会、歪みきった排他思想、ヨソ者の存在を許さない同質性……」

    「人間の最も醜悪なところを、この村の連中は私に見せてくれたわ」

    「この研究は……そんな村人共への、私からのお返しよ」

ルカ「……御託は結構だ」

   「今すぐこんな蛮行はやめて、捕らえている人たちを解放しろ」


ルカ「さもないと―――」

リリィ「さもないと……どうするのかしら?」

    「魔導の求道者リリィ・メーストルを、あなたごときがどうしようというの?」

    「随分と思い上がったものね……」

    「妙な魔術を少しばかり使える程度のあなたが、偉大な私に対して……!」


リリィの両腕が変容し、搾精触手と化した!


ルカ「村娘達と同じものを、お前も……」

リリィ「同じなわけがないでしょう……?」

    「アレはただの試作、これは完成品よ!」

    「搾精器官の培養は、この私の肉体で完成したの!」

    「私の研究成果、しかと思い知りなさい!」

ルカ「……こっちこそ、思い知らせてやる」

   「お前に苦しめられた人達の怒りと悲しみを!」

………………
…………
……

偽勇者「……さてはて、どうなるやら」

クラリス「……………」


大阪|・ω・)<休憩や

大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


―――【偽勇者】

俺は現在、超特等席で小僧とリリィの戦いを観戦している。

普通ならば小僧に見つかって俺との一戦が始まるかもしれんが―――あの呪文を唱えれば大丈夫だ。


そう『レムオル』と『ステルス』の呪文だ。


『レムオル』は人間には見えないが魔物には見えてしまうし、『ステルス』は人間には見えるが魔物には見えない。

この二つの呪文を重ねがけすれば、人間と魔物両方から身を隠せる訳だ。

ただし、身を隠すだけだから声は聞こえるし触れればバレてしまう……

万能ではないが、役には立つ組み合わせだ。

この呪文を俺とクラリスに唱え、現在に至ってるのだ。


ルカ「食らえっ! 死剣・乱れ星!」


ルカは、無数の斬撃を繰り出した!


リリィは―――のダメージを受けた!

リリィは―――のダメージを受けた!

リリィは―――のダメージを受けた!

リリィは―――のダメージを受けた!

リリィは―――のダメージを受けた!


やはり戦いってのはいいな、ぞくぞくするねっ!

いずれ、俺がこの小僧と戦うとなるとどのような呪文を唱えるか……

どのような特技を放つか楽しみだっ!


リリィ「へぇ……予想以上にやるようね」

    「あなたの力、全て見せてもらうわ!」


本当に―――小僧の力はどこから湧いてくるのだ?

俺のように、呪いに頼っている訳じゃあるまいに……


ルカ「てやぁっ!」


会心の一撃!

リリィは―――のタメージを受けた!


リリィ「まさか……私が押されているの?」

    「この私の研究成果が、そんな……」

    「まさか、私がここまで追い詰められるなんて……!」

ルカ「……大人しく、縄に着くんだ」

   「お前は、この村にひどい事をしたんだぞ!」

リリィ「ひどい事……? 私が、この村に……?」

    「逆よ! 私が、この村にひどい事をされたのよ!」


リリィは不意に戦いの手を止め、声を昴ぶらせた。

その声が、消え入りそうなほど小さくなっていく。


リリィ「……私の母は、サバサ生まれの踊り子だったの」

    「それを、この村の領主―――父に囲われて、私が生まれたのよ」

    「当然、私は邪魔な子供」

    「ヨソ者の娘、淫売の娘―――村人から、ずっとそう蔑まれたわ」

ルカ「そうなのか……」

リリィ「その挙げ句に、母は若くして病気で死んでしまった」

    「私を育てるために身を削って働き、そしてあっけなく死んだのよ」

クラリス「ッ!?」

リリィ「村八分にされ、嫌がらせを受け続けた心労だって大きかったわ」

    「でも……この村の教会は、葬式を出すことさえ拒否したの」


リリィは唇を噛み、視線を伏せる。


リリィ「それから私は、父の元へ引き取られたのだけど―――」

    「そこから先も、地獄の日々だったわ」

    「あんたでも分かるでしょう?」

    「囲い女の娘が、父の家でどんな目に合わされるか……!」

ルカ「ああ、分かるよ……」

リリィ「……私は、ずっと村の連中を見返したかったのよ!」

    「だから村の禁書にも手を出し、知識と魔導を身につけたの!」

    「その力で、父も兄も弟もみんな搾り殺してやったわ!」

    「領主の座を、私が乗っ取ってやったのよ!」

    「淫売の娘と蔑まれた、この私が!!」

ルカ「……………」

クラリス「……………」


……ふむ。


リリィ「私は、村の連中が許せなかったのよ……」

    「蔑まれ、嘲笑され、石を投げられ……」

    「母は、村の連中に殺されたも同然なのよ……」

    「私と母がどれだけ辛く惨めな思いをしたか、あなたに分かる……?」

ルカ「リリィ……不幸自慢は、それで終わりか!?」


リリィ…… 俺は貴様の気持ちは知らん―――リリィじゃないからな。


ルカの攻撃!

リリィは―――のダメージを受けた!


リリィ「あぐっ……!」

ルカ「迫害される苦しみを知ってるお前が、なぜそれを他人に振りまいた!」

   「お前自身が、その辛さを一番知ってたはずだろ!!」


故に、俺から送る言葉はない―――あるとしたら……


ルカの攻撃!

リリィは―――のダメージを受けた!


リリィ「そんな綺麗事を……!」

    「この村の連中なんて、報いを受けて当然よ!」

    「母を殺し、私にも苦痛を与え続けたのだから!」

    「全員モルモットにしてやらないと、私の気は済まないわ!」

    「あんたに分かる!? 私が味わってきた苦しみが!?」

ルカ「ああ、分かるさ……!」

   「分からないはずがないだろう……!!」


母さんも僕も、村で迫害されていた。

母さんが病で倒れたときも、村の人は助けようとしなかった。

村の連中にとって、僕達がヨソ者だったからだ―――


リリィ「ぬくぬく生きてきて、勇者なんかを気取るお前に分かるもんか!」

    「ヨソ者と蔑まれる辛さが! 家族からさえ迫害される苦しみが!!」


……母さんは、僕に言った。

立派な勇者になれ、と―――そう言い残して死んだ。


ルカ「お前はいいよなぁ……!」

   「恨むことも、報復することもできたんだから……!」

   「でも、僕は違ったんだ!」

   「村の連中を恨む事さえ許されなかったんだ……!」

   「僕は、立派な勇者にならなきゃいけなかったから……!」

   「母さんが、そう願ったんだから……!」


ルカの攻撃!

リリィは―――のダメージを受けた!


ルカ「……お前なんかに分かるもんか!」

   「勇者になるしかなかった僕の気持ちがぁッ!!」


ルカの攻撃!

リリィは―――のダメージを受けた!


リリィ「こ、こんな……」

    「私の力が……魔導の力が……」


報いを与えた者は、違う形で報いを受けることになる。

例え行いが、どれだけ正しくてもな……

リリィ…… 今がその報いを受け取る時だ。


リリィ「これがないと、私は……」


リリィの両腕が消散し、人間の腕に戻ってしまった!


リリィをやっつけた!


ルカ「……………」


これで、リリィはもう何も出来ない。

後は、村人達に引き渡すのみだ。

今の僕に出来る事は、正当な裁きがなされることを祈るのみだった―――

――――
―――――
――――――


―――【偽勇者:研究室】

小僧とリリィの戦いが終わり、この研究室は俺とクラリスのみになった。

俺の目的の一つである、危険な薬品や物質を盗む。

『滅水銀』『ヒドゥン反応薬』『ネクロゾル』等々―――俺に新しい力を与えてくれそうなものがゴロゴロと……

……しかし、先ほどからクラリスがその場に体育座りをしている。

それに、半泣きで何かを悩んでいるようだ。


偽勇者「……クラリス」

クラリス「……………」

偽勇者「どうした、クラリス?」

クラリス「……あにさん」

     「どっちが正しいんでしょうか……?」

偽勇者「……………」

クラリス「ボクは、リリィって人の気持ちが痛い程分かります」

     「母さんが病で死んでしまうのも、その身に受ける痛みも、蔑まされる苦しみも……っ!!」

     「なんで…… なんで、世界はこれ程にも残酷なのですか」


……残酷ね。

さて、どう慰めたものか―――


偽勇者「―――」


【偽勇者:セリフ:採用系】

↓~2 or 3

強い者が弱い者を虐げ、弱い者が強い立場になれば別の弱い奴を虐げるからさ

それを変えたいなら、力が要る。けれど、力が有る限り、人は繰り返す。
諦めたくなくても、諦めるしか無い。そういう物だ。けれど、それを変えられる奴が居たら。
そいつこそ、本物の勇者じゃないか?

世界なんて人それぞれ
だから変えることもできる

>>149 >>150 >>151』やね

偽勇者「強い者が弱い者を虐げ、弱い者が強い立場になれば別の弱い奴を虐げる」

クラリス「……………」

偽勇者「しかし、それを変えたいなら、力が要る」

    「けれど、力が有る限り、生物は繰り返す」

    「諦めたくなくても、諦めるしか無い。そういう物だ」

クラリス「……………」


クラリスの目から、大粒の涙がこぼれる―――のを、指で掬い取る。


クラリス「……あ」

偽勇者「けれども、それを変えられる奴が居たら―――そいつこそ、本物の勇者じゃないか?」

    「幸いに世界は広くデカい。人もそれぞれだ」

    「だから変えることもできるかもしれん」

    「望みは、直ぐに叶えることはできんが……」

    「立ち止まるよりはマシだろう」

クラリス「……あにさん」


涙をゴシゴシと腕で拭き、立ち上がるクラリス。


クラリス「ボク、前に進みます」

     「沢山の壁があっても、あにさんに教えてもらった技でみんな砕いて進みきってみせます!」


クラリスの瞳は、先ほどより―――いや、ずっと前より輝いている。

これは、将来なかなかの大物になるかもしれんな。

……もしかして、この世を変える勇者に―――ってな。


偽勇者「……頑張れ、俺も応援してやるさ」


少なくても、俺はそっち側には行けんからな。

俺の代わりに、将来を見てくれ。


そして俺は、己の掌を見つつ、クラリスと共に研究室から出て行くのだった―――


――――――
―――――
――――

―――【ルカ:魔女狩りの村】

領主の館に捕らえられていた者達は、みな解放された。

リリィの魔力が封じられてしまうと同時に、女性達も我に返ったのだ。


おじさん「おお、メアリ……! 無事だったか……!」

おばさん「エリカ……もう会えないと思っていたわ……!」


村内では、再会の光景をあちこちで見る事ができる。

しかし、その一方では―――


女性「姉さん……! ルシア姉さんは、いないの……!?」

おじさん「エ、エリィ……! いないのか、エリィ……!!」


戻って来ない者を呼ぶ声が、あちこちで悲痛に響く。

実験台として命を落としたり、吸い殺された犠牲者も多いのだ―――


ルカ「……………」

村人「勇者様には、どれだけ感謝してもし足りないくらいだよ」

   「歓迎の準備はできてるから、どうぞこちらに……」

ルカ「いえ……結構です」

   「どうかリリィに、正当かつ厳正な裁きを」


村人にそう告げ、僕は足早にその場を離れる。

正直なところ、宴に参加するような気分ではないのだ。

そして、村の外れまで来たとき―――

アリスが、僕の後ろに立った。


アリス「貴様にしては、ずいぶんとテンションが低いな」

ルカ「……犠牲の大きさを考えるとね」

   「もう戻って来ない人だって、何百人といるんだ」

   「目の前で、救えなかった人だっているくらいだし……」

   「こんなんじゃ、手放しじゃ喜べないよ」

アリス「……貴様が沈んでいるのは、それだけではあるまい」

    「ところで良かったのか? リリィの処遇を村人達に委ねても?」

ルカ「これ以上は、ヨソ者の僕が関わる話じゃないよ」

   「本来は、この村の人達で解決しなきゃいけない問題なんだ」

   「せめて幕引きぐらい、当事者の手で行うべきだと思うよ」

アリス「……しかし、これだけの犠牲を出した事件の主犯だ」

    「死をもってしか償えまい」

ルカ「死をもってさえ、償いきれないよ」

   「いったい、どれだけの人間が犠牲になったと思ってるんだ……?」


アリス「……それでも、貴様はよくやったさ」

    「ここの村人達は、みな貴様のおかげで救われたのだ」

    「なかなかの勇者ぶりではないか、ニセ勇者の癖に」

ルカ「勇者か……なんだか、昔の事を思い出しちゃったな」

   「母さんのこととか、イリアスヴィルの事とか……」

アリス「それは、辛い記憶か……?」

ルカ「……どうだろうね」

   「色々と辛かった事もあるけど、今はイリアスヴィルの村も好きだよ」

   「あの村だって、母さんが死んでからずいぶんと変わったんだ」

   「今は、僕もすっかり村の一員として馴染んでるしね」

アリス「ほう……そうなのか」

    「貴様の母を見殺しにした事を悔いて、みな心を入れ替えたのか?」

ルカ「ははは……アリス、夢見すぎだよ」

   「あれから村中に伝染病が蔓延して、村全体がひどい事になったのさ」

   「保守的な年寄りはまとめて死ぬし、村人もガンガン減ったし……」

   「働き手も商人も不足して、移民を頼るしかなくなったんだ」

   「そういうわけで、今のイリアスヴィル民の大半はここ十年以内の移住者さ」

   「ヨソ者だった僕も、今じゃすっかり古参の村民なんだよ」

アリス「……貴様、わりとブラックだな」

    「性根がねじれにねじれて、結果的にまっすぐを向いてしまった感じだぞ」

ルカ「それでも……」

   「一歩間違えれば、僕もリリィみたいになってたのかもしれないな」

アリス「……いいや、貴様はリリィとは違うさ」

    「人にも魔物にも、二種類の者が存在するのだ」

    「苦しみを受けたがゆえに、それを他人にも与えようとする者」

    「苦しみを受けたからこそ、決して他人にそれを与えまいとする者」

    「リリィは前者で、貴様は後者だ」

ルカ「そう、なのかな……?」

アリス「余は死者の代弁者ではないが……」

    「貴様の母は、今の貴様を誇りに思っているはずだ」

    「……余はそう思う」

ルカ「アリス……」

アリス「……だから、勇者になるしかなかったなどと悲しい事は言うな」

    「貴様の剣は、弱い者のために振るうと自分の意志で決めたのだろう?」

ルカ「……そうだね」

   「勇者という言葉に縛られて、剣を振るう理由まで見失っちゃってたよ」

   「……ありがとう、アリス」

アリス「ふ、ふん……」


そんなやり取りを交わしていると―――


村娘の一人が、こちらへと歩み寄ってきた。


村娘「あの……ありがとうございました、勇者様」

   「お陰様で、元の姿に戻ることができました」

ルカ「ああ、君は確か……」


リリィによって、魔物に変えられていた村娘の一人か。

腕の触手も失われ、すっかり正気を取り戻したようだ。


村娘「助けて頂いた者達一同、全員で感謝の言葉を述べたいのですが―――」

   「みな衰弱が激しく、私が代表する事になりました」

   「本当にありがとうございました、勇者様」

   「このご恩、決して忘れはしません」

ルカ「君達を助けられて良かったよ」

   「これからも色々と大変だと思うけど、頑張ってね」

村娘「……リリィがあそこまでの憎悪を振りまいた理由を、私達は知っています」

   「魔物と化したこの体に、深い憎しみが呪詛のように伝わってきたのです」

   「我々は、ただの被害者では済まされません」

   「二度と同じような悲劇を生み出さないよう、私達も努力していきます」

ルカ「そうだね……応援してるよ」

   「じゃあ僕は、旅を続けないと」

村娘「本当にありがとうございました、勇者様……」


村娘が、僕に手を振ろうとした時だった。

なんと、その右腕が触手状になってしまった!


村娘「あっ……し、失礼しました」

   「まだ、腕の形を保つのに慣れてなくて……」


その触手は、みるみる腕の形に戻っていく―――


ルカ「……な、治ってなかったんですか?」

   「もしかして、他の娘さん達も……?」


村娘は、おずおずと頷いた。


村娘「ええ……この肉体は、もはや私達の体の一部なのです」

   「おそらく、元に戻る事はないでしょう」

ルカ「そ、そんな……」

村娘「しかしリリィの魔力が失われた今、理性まで奪われる事はありません」

   「普通の腕の形にも変えられますので、問題はないと思います」

   「一応、ほとぼりが冷めるまでは隠しておくつもりですが……」

ルカ「そ、そうですか……」


村は、また新たな問題を抱えてしまったようにも思えるが……

本人が良いと言っているのだから、まあ良いとしよう。


ルカ「色々大変だと思いますが、がんばって下さい!」

   「それじゃあ!」

村娘「また来て下さいね、勇者様」

   「私達は、いつでもお待ちしております」


村娘の見送りを受けながら、僕達は村を後にしたのだった―――

――――
―――――
――――――

――――――
―――――
――――

アリス「たくましいものだな、人間というのは……」

ルカ「どんなに辛くても、苦しくても、生きていくしかないからね」

   「そうして精一杯やっていくのが、人間ってものなのさ」

アリス「ふむ、なるほど……」


とりあえず、魔女狩りの一件はこれで解決したのだ。

さて、次の目的地はどこにしようか―――

………………
…………
……






―――【偽勇者:村はずれの石塔:夜】





大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


―――【:村はずれの石塔】

薄暗い地下牢に監禁されている、一人の魔導士―――

いつのまにか、牢の外側に一人の異形が立っていた。


偽勇者「やあ、リリィ……」

    「数日見ない間に、部屋を変えたんだね」

リリィ「……誰かしら?」

偽勇者「おいおい、君はまだ若い方だと思っていたんだが……」

リリィ「……………」

    「……シャニセ?」

偽勇者「そう、シャニセ・ユウだ」

リリィ「驚いた、もう村を離れていると思っていたのに……」

偽勇者「まあ、君からもらった物の結果を教えると約束をしたからな」

    「で、その結果が今の姿だ……」


呪文で薄暗い地下牢を明るくし、俺の姿をリリィに見せる。

そして、リリィの無気力な顔は今の俺に興味を持ったのか少しばかり生気が戻ったようだ。


リリィ「……もう少し早く結果を教えてくれていたら、調べられたのに残念ね」

    「でも、魔力を失った私でも分かるわ―――役に立ったみたいね」

偽勇者「……ああ、俺は確実に強くなった―――いや、進化したと例えるのが正しいか?」


俺の体は……

尚、進化している。まだ、新たな力を得る可能性を持っているっ!

そして、その進化の切っ掛けをくれたリリィにお礼がしたいっ!


偽勇者「どうだ、リリィ…… 外に出たくないか?」


リリィ「……私は虜囚の身よ。死ぬまでここを出ることは許されない」

    「それに、この牢は魔導士を捕らえるための特別製よ」

    「どんな魔法でも壊せないし、唱えられない」

    「いくらあなたが強くなったからって―――」

偽勇者「魔法以外……」

リリィ「……えっ」

偽勇者「魔法以外ならば、壊せるということだな」


俺は牢の鉄格子を両手で掴み……


リリィ「それも不可能ね」

    「強固も館以上よ、そんな簡単に……」


――― ギキィィィ ―――


リリィ「……………」

    「嘘でしょ……」


俺は鉄格子を無理やりに捻じ曲げ牢の中に入り、リリィの手を掴みそして―――


偽勇者「外でリフレッシュでもしようか」


リリィ「……あなたには敵わないわ」


リリィは何かを諦めた顔してため息を吐く。

そして、偽勇者の手を握り立ち上がる。


リリィ「そうね……」

    「偶には、外で羽を伸ばすのもいいわね」


偽勇者とリリィは石塔から出て行った。

そして、次の朝に魔女狩りの村が大騒ぎするには十分だった―――

――――
―――――
――――――


風呂タイムや


―――『リリィ:???』

リリィ「……空気がおいしい」


私は「魔女狩りの村」から離れたとある場所にいた。

風が優しく私の髪を撫でていきそして、離れていく。

心がこんなにも軽いなんて初めてかもしれない。

……旧弊的な村社会で、母を失い、蔑まされ、石を投げられ、家族から迫害を受けてきた。

母を除いた全てが私の敵でありモルモットでしかなかった。

どれだけ村の連中を搾り殺しても、搾精生物に造り替えても心に溜まった憎しみは消えはしなかった。

しかし、とある者達が村に訪れ私の呪詛を討ち―――そして心に光をくれた。

私の地位や目的を壊してくれたルカ……

初めは邪魔してくれた怒りしかなかったが、今思えば彼が邪魔したから今の私があるのだろう。

そして、今の私を闇から救いだしてくれたのは「シャニセ・ユウ」……

切っ掛けは彼が見せてくれた優しい光だ。

あの光を見ていると、心にこびり付いたモノが無くなっていき―――母と一緒に遊んだり、踊りを教えてもらった思い出が蘇るようだ。


リリィ「……ねえ」

偽勇者「なんだ」

リリィ「私は間違っていたの……」

    「何が正しかったの……」

    「良ければ教えてくれない……?」


私はシャニセに問いたい……

私はどうすれば良かったのかを……

枯れたはずの涙を流し、ゆっくりと振り向く。


偽勇者「……………」

    「―――」

【偽勇者のセリフ:採用系】

↓~2 or 3

間違ってる間違ってないよりも自分が後悔するかしないかの方が大切だと思うぞ

この世界は何時だって勝ったものが正義だ…だが俺は
勝ったものが絶対的に正しいとは思わないし、負けたものが全て間違ってると思えない
リリィは今回あいつに勝てなかった だがもしリリィが自分のやってる事が正しいと思うなら何度でも立ち向かえばいい

良いか悪いかは人それぞれだろう
しかし世界には因果応報という法則がある

>>171 >>172 >>173』やね

偽勇者「……………」

    「間違ってる間違ってないよりも自分が後悔するかしないかの方が大切だと思うぞ」

リリィ「……まだ分からないわ」

    「後悔してるのか、後悔していないのか……」


数時間前の私ならば、後悔はしていないと言っていただろう。

でも、今は分からない…… このモヤモヤとした気持ちは長く続きそうだ……


偽勇者「この世界は何時だって勝った者が正義だ……」

    「だが俺は勝った者が絶対的に正しいとは思わないし、負けた者が全て間違ってるとも思えない」

    「リリィは、小僧に勝てなかった―――だが、もしリリィが己のやってる事が正しいと思うなら何度でも立ち向かえばいい」

    「良いか悪いかなんて人それぞれだろう」

    「しかし、世界には因果応報という法則がある」

リリィ「……悪い行いには悪い報いを受けるね」


因果応報―――今の私には似合いの言葉ね。

悪い行いには悪い報いが訪れる。

……これが答えかしら。


偽勇者「……しかし、因果応報って言葉は面白くてな」

    「ほとんどが悪い意味でしか使われていないが、実際は良い報いってのもあるんだ」


良い報い……?


偽勇者「つまり良い行いをすれば良い報いが訪れるってことだ」


……何それ。

リリィ「私の両手は血だらけなのよ」

    「もう二度と消えることはない罪の証―――こんな私に良い報いなんて……」


――― ガシィ! ―――


その時、私の両肩に力強くシャニセが掴む。


偽勇者「黙れ……」

    「森羅万象の理を追求し、さらなる高みを目指す求道の魔導師―――リリィ・メーストルは、もう死んでいる」

    「俺の目の前には、ただのリリィ・メーストルしかいない」


シャニセは、恥ずかしいセリフを吐いている。


偽勇者「掴んだチャンスは何であれ逃すな」


でも、そんなセリフが……


偽勇者「一歩進めっ!」

    「まずはそれからだ」


リリィ「……恥ずかしいセリフ」

    「……でも」


とても心地好い―――初めての気持ち。


リリィ「……ありがとう」

    「……シャニセ」


心から笑えたのはいつ以来だろうか。

私をしばらくあなたの胸で受け止めて―――僅かでも構わないから。

この僅かな時間がとても愛おしい―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

俺は、リリィが旅立つのを見送る。

一度、世界を回り己自身を見つめ直したいらしい。

リリィがそうしたいなら止めはしない、だが無一文且つ食料が無しで旅立つのは自殺と同じだ。

だから、俺の超現象で宝石と十分な食料類を用意してやった。

……まあ、すごく観察してたが大丈夫だろう。

リリィには、俺特性のアレをプレゼントした―――いや、交換が正しいか?

俺は「優しい光を封じた宝玉」を―――リリィは「母の形見の髪飾り」を……

もし、あの時のように「優しい光」がリリィの心を洗ってくれるなら強い味方になるだろう―――


◆【母の形見の髪飾り】
リリィがいつも身に付けていた髪飾り。
母の思い出がいっぱい詰まった形見だ。
何か、妙な力を持っている(たぶん)


―――さて、何かジト目で見ているトカゲがいるが。

どうしてそんな目をしているんだ?


クラリス「……………」

     「―――」


【クラリスのセリフ:採用系】

↓2 or 3


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|´-ω-)<リリィのことは―――まあ、好きなキャラやからな。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


安価内なら↓やで



安価なら「もしかして意外と女誑しだったり…します?」

…何でもないですよ

ボクだけじゃ不満なんですか...


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>179 >>180 >>181』やね

クラリス「……………」

     「もしかして意外と女誑しだったり…… します?」


いきなり何を言っているんだ、クラリスは……


偽勇者「馬鹿なことを言うんじゃない」

    「俺がそこまで、異性と付き合いがある訳なかろう……」

    「それよりもいきなり如何したんだ―――何かあったのか?」

クラリス「……何でもないですよ」


クラリスは拗ねたのか、そっぽを向いた。

いったい何がどうなってるんだ……


クラリス「……―――」

偽勇者「んっ?」

クラリス「ボクだけじゃ不満なんですか……」


……なるほど。


偽勇者「……不満がないか、あるかと問われれば―――不満はある」

クラリス「っ!」


クラリスは苦虫を噛み潰したような顔をしている。

しかし、それは君がじゃない。


偽勇者「俺が弱いからだ」

クラリス「……えっ」


クラリスは何を驚いたのかこちらに顔を見せてくれた。


クラリス「何を言っているんですか、あにさんは誰よりも強いじゃないですか」

     「そんな、あにさんが弱い訳が―――」

偽勇者「いや、弱い」

クラリス「……………」

偽勇者「確かに俺は強い」

    「しかし、強いからこそ弱いのだ」

    「俺の持っている力は、誰かを簡単に殺せるし誰かを救える力でもある」


俺は片手の掌を広げ、そして力強く握る。


――― ギリッ ギリッ ―――


不愉快な音が鳴る。


偽勇者「……もし、俺がこの力を下らん欲のみに使用したらどうなるか」

    「想像できるか……?」


下らん欲―――それは生物にとって様々だ。

クイーンになりたい、一番になりたい、犯したい、ハーレムを作りたい、全てを自分の物にしたい。

その下らん欲に、もし自分も考えるようになったら……?


偽勇者「……強いのに弱い」

    「強者の敵は、他者ではなく己自身なのだ」

クラリス「……あにさん」

偽勇者「そんな悲しそうな顔をするんじゃない……」


俺はクラリスの頭に手を乗せ、撫でてやる。

クラリスは、拒絶せずに受け入れてくれる。


偽勇者「……さあ、とっとと用事を済ませて旅に出るぞ!」

    「辛気臭いのは終わりだ!」

クラリス「……はいっ!」

     「ボクは必ず―――あにさんの隣にっ!」


俺とクラリスは、もう一度「魔女狩りの村」に戻るために歩を進めるのだ―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『魔女狩りの村』

俺の記憶が正しければ、表通りあたりに……


偽勇者「……ふむ、正にボロボロの状態だな」

クラリス「……気持ち悪い」


クラリスの目には毒なので、俺のマントで目隠ししてやる。

表通りには一体の死体が転がっており、見ただけで百箇所以上もの刺し傷などがあった。

まだ辛うじて人の形であるが、顔部分は「みそ」がはみ出ており「め」も両王とも潰れていた。


クラリス「……あにさん、この死体って―――」

偽勇者「ああ、あの密告屋の死体に間違いないな」

クラリス「……うう」

     「気分が悪くなって緑竜になるよう……」


吐くなら、遠くで吐けよ。

決してマントにトッピングするなよ。


クラリス「あ、あにさん……」

     「用事ってまさか……」

偽勇者「そうだ……」

    「この死体に用事があるんだ」


……そう、死体じゃなければ意味がないんだ。


飯+風呂α


俺は「―――の杖」をとある場所から取り出して一振り。


◆【―――の杖】
先端に創世の女神イリアスを象られた形状が特徴的な杖。
聖なる力を感じる。


クラリス「それは、ピラミッドで拾った棒じゃないですか」

     「そんな棒がこの死体と何の関係が……」

偽勇者「まあ、今から試すから見ていろ」


ピラミッドで拾った何かの力を感じる不思議な杖……

この何かの力は、俺の持つ無数の呪文の一つと完全に一致してるのだ。

もしそうであれば―――調べてみる価値はあるだろう。


偽勇者は―――の杖を構えた。


偽勇者「蘇るがいい、密告屋よ」

    「貴様は今、世界で一番運が良いぞっ!」


偽勇者は「復活の杖」を使用した!

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『クラリス』

ボクは今、夢でも見ているのだろうか。

あにさんが、ピラミッドで拾った棒を構え―――死体に振りかざすと……

蘇ったんだ。

何を言っているのか、分からないと思うけど……

ボクも何をしたのか、分からなかった。

分かっているとしたら、あにさんが死者を蘇らせた。

これだけです。


密告屋「……あ」

    「え、あれ……」

    「俺は確か、報復されて死んだはずじゃ……」

偽勇者「……やあ」

密告屋「ひっ!?」

偽勇者「そんなに驚くことはないじゃないか」

    「せっかく人生をもう一度送るチャンスをやったのに……」

密告屋「じ、人生をもう一度……?」


密告屋と言う人間は、どうやら頭が混乱してるらしい。

それもそうだ、こんなことをすぐに理解できるならばその理解した人がおかしいんだ。

ボクも決して長くはないけど、まだまだあにさんには未知な部分があるとしか分かってない。


密告屋「……………」

    「ま、まさかあんたは―――魔女……?」

偽勇者「……になるね」


あにさんが喋り終わると密告屋は、無我夢中で立ち上がり走り出した。

……お礼ぐらい言えばいいのに。

ボクは、あにさんの方を見るが―――


偽勇者「……ふむ、成功率は7割と高いぐらいだな」

    「この杖をカモフラージュにすれば、俺の呪文を少しでも隠せるか」


まったく気にした様子はないようだ。

それにしても死者を蘇らせるなんて……

やっぱり、あにさんは凄いなと一言に尽きる。

そして、ボクとあにさんは今度こそ「魔女狩りの村」を後にしたのだった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

偽勇者「……ふむ」

    「今回は色々と面白かったな……」

クラリス「いえ、面白いや面白くないの問題じゃないと思うんですが」

     「ボクにとって、摩訶不思議な出来事がまとめて体験した気分です」

偽勇者「気にするな、気にしていたらハゲるぞ」


クラリスは、額に八の字を寄せ、頭をペタペタと確認している。

俺が見たところ、ハゲることは無さそうだが―――別に教えなくてよいか。

とりあえず、魔女狩りのイベントはこれで終いか。

さて、次の目的地は残り―――というところで、こちらに近付く足音が聞こえてきた。

その足音の主は……


密告屋「はあ…… はあ……」

    「よお、さっきぶり……」

偽勇者「……なんだ、密告屋か」

    「で、何のようだ? 言っておくが共に旅はせんぞ」


密告屋は背中に大きな荷物やら何やらを持っている。

明らかに、村から夜逃げしますというスタイルだ。

もし、共に旅をしたいと言い出したらクラリスに挑戦させるかな。


密告屋「へへっ、冗談」

    「あんた達に着いて行ったら、命がいくつあっても足りないよ」

偽勇者「ふむ、よい心掛けだ―――なら、何のようだ?」


半目で密告屋を見つめていたら―――密告屋が何かをこちらに投げ渡してきた。

俺は、それを掴み取る。

この程度なら、例え眠っていても取る自信があるが……

さて、これはどういうことだ。


【密告屋が投げ渡してきた物は何や?】

○オリハルコンのツメ(偽用)

○豪傑の腕輪(クラ)

↓2

『豪傑の腕輪』やね

偽勇者「こんな高価そうな物を渡してきて何のつもりだ?」


密告屋は腕を組み、鼻を鳴らした。


密告屋「何のつもりも、何もお礼だ」

    「これで貸し借りは無しだかんな!」

    「俺はこれから身を隠す生活を送るつもりだからな」

    「今のうちに済ませないと探すのが面倒だからな……」

偽勇者「ほう……」


俺は豪傑の腕輪を、クラリスに装着させる。

クラリスはいきなり装着させられたせいか慌てたが……

直ぐに大人しくなった―――そして、豪傑の腕輪を翳したりしながら装飾品としてのデザインを楽しんでいるようだ。

クラリスも女の子ってところか。


偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ:密告屋に】

↓ or 2

助けたのは100%私的な理由からだったんだが…貰えるものは貰っておく
二度目の人生を楽しめよ

復讐されたくなければ、今生からはまともに生きるようにすべきだな。

これを機に生き方を改めるんだな

>>198 >>199 >>200』やね、なんとなくやけど。

偽勇者「助けたのは100%私的な理由からだったんだが……」

    「貰える物は貰っておくぞ……」

密告屋「それでもだ……」

    「その私的が無ければ俺は、死んだままだったからな」

偽勇者「……………」

    「これを機に生き方を改めるんだな、また報復されたくなければの話だが……」

密告屋「へへっ、違いねぇ……」

    「それじゃ、あばよっ!」


密告屋は、大きな荷物を背負い直し走り去ってしまった。

全く、何があるか分かったもんじゃねえな。


――― クイッ クイッ ―――


偽勇者「んっ?」


クラリスが俺のマントを引っ張る。

何か言いたいことがあるのか、俺の顔を見つめている。


クラリス「……………」

     「あにさんは、強いって少しだけでも証明できたね」

偽勇者「……………」

クラリス「あにさんは、あんな人間でも命を助けたんだよ?」

     「もっと自信を持ってもいいと思うんだけど……」

     「ボク、間違ってる?」


俺は頭をポリポリと掻く。

……また「超しもふり肉」でも出してやるか。


偽勇者「―――」


【偽勇者のセリフ:ご褒美的な】

↓ or 2


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|´-ω-)<何や僅かにも「もんむす系」のSSが出てきて嬉しいわ。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

PS|・ω・)<前章終了あたりで『外伝2:偽勇者とクラリスが結婚したら』をするわ、ええやろ?

もう一度|・ω・)ノシ<ほなな~


(´-ω-`)<安価内なら↓やからな

お前は本当に時々だが、悪くないことも言う
目をつむれ。これの匂いをかいでみろ。当てられたらお前にやる

助けていたつもりが、俺のほうが助けられていたとはな・・・。


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>203 >>204』やね


俺は頭をポリポリと掻く。

……また「超しもふり肉」でも出してやるか。


偽勇者「クラリス」

クラリス「はい?」


クラリスは、首を傾げ返事をする。

魔物のクセに……


偽勇者「お前は本当に時々だが、悪くないことも言う」

クラリス「時々は余計ですよ、ボクはいつもあにさんのためにですね―――ちょっと聞いてますか、あにさん!」


背が低いせいか、ピョンピョンと跳ねて俺に文句を言う。

本当に面白い奴だ。

数週間前に出会い、世話をする羽目になって……

何時の間にか助けていたつもりが、俺のほうが助けられていたとはな……

本当に―――


偽勇者「……クラリス」

クラリス「本当に、あにさんは れでぃー というものを……」

     「……はいっ?」

偽勇者「次の目的地は、サファル遺跡だ!」

    「忘れ物するなよっ!」

クラリス「忘れ物はありません!」

     「準備もOKですっ!」

偽勇者「よし、それじゃ……」


俺はクラリスを連れて―――


偽勇者「出発だっ!」


サファル遺跡へと向かったのだ。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

とりあえず、魔女狩りの一件はこれで解決したのだ。

さて、次の目的地はどこにしようか―――


【目的地は―――】

○サバサ城(ラザ ――― ニア)

○サファル遺跡(進行)

↓2

『目的地はサバサ城』やな

―――『ルカ:人魚パブ二号店』

マーメイド「いらっしゃいませ、マーメイドパブ二号店にようこそ!」


まだ明るい時刻だからか、客の入りはそう多くない。

そんな中、僕は思わぬ男の姿を見掛けてしまった。


ルカ「あいつは―――!」


ラザロ―――死んだ親父の親友で、魔物排斥組織イリアスクロイツの団長。

頻発する反魔物テロ事件の黒幕であり、魔物撲滅を唱える狂信者。

……それが、いったいどういうことだろう。

事もあろうに人魚パプで、大人しくスコッチを飲んでいるのだ。


ラザロ「ん……どうした、小僧?」

    「何か俺に用事か?」


ラザロは、立ち尽くす僕に淀んだ視線を向ける。

複雑な感情が、一瞬だけ僕の心に渦巻いたが―――

アリスの言葉が、乱れそうになる心を静めていた。

親父のことは、あくまで親父のこと。

僕が引きずる必要などないはずなのだ。


ルカ「……いや、別に」


心を落ち着かせ、そう答える。

するとラザロは、意外な言葉を僕に投げかけてきた。


ラザロ「ちょうどいい……小僧、ここに座れよ」

    「一人で飲む酒ぁ、不味いもんだ」

ルカ「え……?」


この手の男は、僕のような若輩者を酒場で見掛けたら嘲笑する―――

そんなありきたりの反応を、僕は予想していたのだ。


ルカ「……………」


僕はなるべく平静を装い、ラザロの前に座った。

ここで大人の態度を崩せば、なぜだかこいつに負けた事になると思えたのだ。


ラザロ「ねえちゃん、オレンジシュースを一つ追加だ」

マーメイド「はーい!」

ルカ「ふざけるな、僕は子供じゃ……」

ラザロ「こんな時間から酒を飲んでるようじゃ、ろくな大人にならんぜ」

ルカ「……………」


僕は押し黙り、運ばれてきたジュースに口を付けた。

しばらくの間、沈黙が支配する。

ラザロの飲んでいる酒は、スコッチ―――確か、親父が好きだった酒だ。


ルカ「なんで、お前がここにいるんだ?」

   「次は、この町でテロを起こすつもりか……?」


おもむろに、僕は話を切り出した。

いかに親父のことは関係ないとはいえ、こいつは卑劣な犯罪者。

何かを企んでいるなら、止めなければならない。


ラザロ「ほぅ……お前さん、俺を知ってたのか」

    「表の世界にゃ、そんなに顔を売っちゃいないと思ったがな……」


ラザロは、一瞬だけ目をしばたたかせた。

そして、酒混じりの大きな溜め息を吐く。


ラザロ「……ともかく、ここじゃ仕事をやるつもりはねぇよ」

    「砂漠ルートでゴルドポートの本部に戻る、その羽休めさ」

ルカ「……………」


イリアスクロイツ本部は、セントラ大陸最北端の港町ゴルドポートにある。

ナタリアポートからのルートだと、このサバサで砂漠を越えるか、もしくはノア地方を通るかの二通り。

砂漠ルートは過酷な道のりだが、あまり人目にはつかない。

それゆえに、ラザロはこちらのルートを選んだのだろう。


ルカ「……なんで、僕を同じテーブルに座らせた?」

   「いったい、何を企んでるんだ……?」

ラザロ「お前さん、何か企まれるほどの重要人物なのかい?」

    「カネや権力の匂いなんざ、全くしないがなぁ……?」

ルカ「じゃあ、なんでだ……?」

ラザロ「お前さんのその目が、そっくりだったんだよ」

    「俺のダチにな……」

ルカ「……ッ!」


思わず、僕はジュースをこぼしそうになる。


ラザロ「おいおい、どうしたぁ?」

    「お前さん、オレンジジュースでも酔っちまうのか?」

ルカ「いや……なんでも、ない」

   「それで、その友人は……?」

ラザロ「……だいぶ前にくたばっちまったよ」

    「あいつらしくねぇ、くだらねぇ死に方をしたもんさ」

ルカ「……悔しいけど、それは同感だ」


ラザロ「……………?」

    「なんだか知らんが、面白いヤツだな」

    「まあ呑めよ、これも何かの縁だ」


―――縁なんかあると思いたくない、こいつにだけは。


ラザロ「ところで、お前さんも冒険者だろ?」

    「見たところ、相当の腕のようだな」

ルカ「……誰にでもそういう事を言って、組織に勧誘するんだろう?」

ラザロ「俺もかつては、それなりに慣らした戦士だぜ」

    「相手の力量ぐらい、正確に分かるさ」

    「お前さんの剣技は、おそらく突き技が主体だな」

    「靴の磨り減り方から見て、踏み込みを多用してきただろう」

    「視線の置き方、足運び……お前さんは、どれも超一流だ」

    「それに反して、筋力や体のバネなんかはまだまだ未発達」

    「戦闘経験自体は短いが、かなり濃密……ってところか」

    「だが、少ない筋力の使い方を心得てる」

    「おおかた、師匠に恵まれたってとこか?」

ルカ「……………」

ラザロ「冒険者として、そこまで鍛えた目的はなんなんだ?」

    「金か? 名誉か? それとも、復讐か……?」

ルカ「どれも違う!」

   「僕は、弱い者のために戦ってるんだ!」

ラザロ「……そりゃ奇遇だな、俺も弱い者のために戦ってんだ」

ルカ「違う! 僕は、人間と魔物の共存のために戦ってるんだ!」

   「お前なんかと一緒にするな!」

ラザロ「共存か……無理なんだよ、そりゃ」


ラザロから返って来たのは、意外な返答だった。

もっと、激烈な反応が返ってくると思っていた。

自分の信念を否定された怒り、憤慨―――

しかし、そうした激しい感情は一切感じられない。

それが、余計に僕の心をざわめかせてしまう。


ルカ「なんで無理なんだ!」

   「お前に、何が分かる!?」

ラザロ「分かるんだよ……俺はな」

    「きっと、いつかはお前さんにも分かるさ」

ルカ「僕は、お前とは違う!」

ラザロ「……同じだよ、お前さんも」

    「人間と魔物の共存のため、剣を振るうんだろ?」

    「それはつまり、自分と意見の異なる者を、力でねじ伏せるって事さ」


ラザロ「俺のやってる事と、いったい何が違うんだ?」

ルカ「違う! 僕は理想のために戦ってるんだ……!」

ラザロ「その理想は、お前さんの理想だ」

    「間違えるんじゃねぇ、他の人間達の理想とイコールじゃねぇよ」

    「そこを履き違えると、ただの独善になっちまうぜ」

    「独善のなれの果てがどうなっちまうか、俺を見ていて分からねぇのか?」

ルカ「……お前だって、自覚してるのか?」

   「自分のやってる事が、独善だって……」

ラザロ「いくら独善だろうが、俺にとっちゃ立派な善だ」

    「お前さんだって、そうなんだろ?」

    「人間と魔物の共存とやら……」

    「いかにそれを望まない者がいても、それを押し付けるのが正義なんだろ?」


ラザロは、そう言いながら腰を上げた。

いつの間にか、そのグラスは空になっている。


ラザロ「正義に一番必要なのは、説得力なのさ……」

    「それを忘れちゃ、どんな善も独善と変わらねぇ」

ルカ「……そこまで分かってるなら、なんでお前は……!」

ラザロ「……今さら生き方を変えられねぇのさ」

    「魔物に殺された仲間や、ダチのためにもな……」


ラザロは席を立ち、カウンターにお金を置いた。


ラザロ「……ねえちゃん、勘定置くぜ」

    「俺のスコッチと、あの小僧の分だ」

ルカ「お前なんかの施しは受けない……!」

ラザロ「まあ、そう言うなって」

    「ダチに似た目をしたお前さんに、俺からのおごりさ……」


そう言いながら、ラザロは酒場から出て行こうとして―――

そして、ふと僕の方に視線をやった。


ラザロ「……そのジュース、飲み終えたらとっとと店を出るんだな」

    「お前のような小僧が、いつまでもこんな所にいるんじゃねぇ」

ルカ「ふざけるな、何を今さら……!!」


僕の声を背中で受けながら、ラザロは店を後にする。


ルカ「くそっ……」


僕は嫌な気分を味わいながらオレンジジュースを飲み干し―――

そして、その後すぐに酒場から出たのだった。

――――
―――――

―――――
――――

店外で合流したアリスは、嬉しそうにオレンジジュースを飲んでいた。


アリス「貴様も飲むか、オレンジジュース」

    「サバサ特産のオレンジを使っているだけあり、濃厚な味わいだぞ」

ルカ「……悪いけど、遠慮しとくよ」

   「今日から、オレンジジュースは嫌いな飲み物になっちゃったから」

アリス「……………?」

ルカ「それにしても、あいつ……」

   「いったい、何のつもりで人魚パブに……」


…… ―――――――――― ……

ラザロ「……そのジュース、飲み終えたらとっとと店を出るんだな」

    「お前のような小僧が、いつまでもこんな所にいるんじゃねぇ」

…… ―――――――――― ……


ルカ「ま、まさか……!!」


………………
…………
……

マーメイド「あら、椅子の下にカバンが……?」

      「さっきのお客さん、忘れ物を―――」




――― カッ! ―――








―――――   ドッカーーーーンッッ!!!   ―――――





ルカ「そ、そんな……!!」


地面を揺るがす爆発、炎上する人魚パブ―――

その惨状を前に、僕は立ち惚けてしまった。

なぜ、すぐに気付く事ができなかったのか。

目の前に犯人がいながら、なぜこの凶行を阻止できなかったのか―――

怒りと悔しさが僕の中に渦巻き、無念さが熱く身を焼く。


ルカ「……くそっ、ラザロォォッ!!」

アリス「落ち着け、死者が出た気配はない」

    「人魚も人間も、全員無事だ」


たちまち周囲は喧噪に包まれ、怪我人の救助が始まった。

アリスの言った通り、最悪の事態は避けられたようだが―――


ルカ「なぁ、アリス……」

   「僕のやってる事は、独善なのかな……?」

アリス「……さあな。善も悪も、相対的なものだ」

    「何をどう言おうが、結局は言葉遊びにしかならん」

ルカ「でも……相手が魔物だっていうだけで、こんな事をするなんて―――」

   「僕は、そんなの見過ごせないよ」

アリス「ああ、そうだな……」


魔物を攻撃し、蛮行を働く一部の人間。

意図はどうあれ、人間の町を襲撃して破壊する四天王。

たとえ偽善だろうが、独善だろうが、僕は断じて我慢できない。

そうした連中が、無軌道な暴力や迫害を振りまくことを―――


ルカ「行こう、アリス」

   「まだまだ、僕達にはやる事があるんだ!」


誓いを新たに、僕は己の道を進むのだった。

――――
―――――
――――――


飯+αや


――――――
―――――
――――

―――『ルカ:サファル遺跡』

ルカ「じゃあ、ノームに会いに行こう!」


謎の泥人形が目撃されたというサファル遺跡。

シルフが言うには、そこにノームはいるという。


アリス「ふむ、いよいよノームの元へ行くのか」

    「ノームの力を得れば、こんな暑い地域にとどまる理由はない」

    「その前に、やり残した事があったら済ませておけよ」


【やり残した事などない】

【まだ、やるべき事がある】


ルカ「よし、サファル遺跡へ行こう!」


いよいよ、この砂漠の地での最終目的に手を付ける時だ。

僕達は、北のサファル遺跡へと向かったのだった。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「ここが、サファル遺跡……なのか?」


見たところは、一面に広がる砂漠。

しかしよく見れば、あちこちの砂の間から柱の残骸が覗いていた。

石畳の跡などなど、なんらかの建築物が存在した痕跡が散見される。


アリス「……………」


アリスは柱の破片を拾い上げ、何を思ったかペロリと舐めた。


アリス「むっ……これは、約千年前の柱だな」

    「間違いない、精霊信仰があった頃の遺跡だ」


……なんなの、その特技?


ルカ「ともかく、ここがサファル遺跡に間違いないみたいだな」

   「確かに、シルフのいた精霊の森に雰囲気が似てるような……」


ここの風は、精霊の森に流れていた風とよく似ている。

どこか心が安らぐような、不思議な雰囲気だ。


ルカ「とはいえ……どこにノームがいるんだろ?」


見渡す限り、一面の砂。

ここから、少女一人を見つけ出すのは困難極まる。


アリス「ノームはやや臆病ではあるが、好奇心が強いと聞く」

    「自分を探している者がいれば、向こうから姿を現すだろう」

ルカ「じゃあ、とりあえず探してみるか……」


ここからは、足を使って探索するしかないか。


アリス「余は、そこら辺で休んでいるぞ」


やはり動く気はないらしく、アリスはどこぞに消えてしまった。

そして僕は、あてもなく周囲をうろつく事にしたのである。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「おーい、ノームー!」

   「いるんなら、出てきてくれよー!」


そう呼び掛けながら、周囲を練り歩いていると―――


――― カサカサッ! ―――


人形のようなものが、ちょこちょこと横切った気がした!


ルカ「今のは、まさか……!」


慌てて、一歩踏み出した時だった。


――― ズザザッ~ ―――


不意に足元で流砂が発生し、足を取られてしまったのだ!


ルカ「うわっ、なんだ……!?」


辺りの地面が円形に沈み込み、すり鉢状の渦となる。

流砂に呑まれ、じわじわと真ん中に引きずり込まれていく僕の体。

そして、その中央には―――!


アリジゴク娘が現れた!


アリジゴク娘「また一人、美味しそうなオスが引っ掛かったわね……」

       「さあ、私のところへいらっしゃい」

       「私と繋がって、気持ちいい思いをしたいでしょう……?」

       「オスのエキス、干涸らびるまで吸い取ってあげるわ……」

ルカ「ぐっ……! まずいな、これ……!!」


僕の体は、だんだんとすり鉢状のくぼみに落ち込んでいく。

このままアリジゴク娘のところまで引き込まれたら―――それで終わりだ!

………………
…………
……


ルカの攻撃!

アリジゴク娘は―――のダメージを受けた!


アリジゴク娘「ほぉら……こっちへいらっしゃい……」

       「体液を私に吸われるのは、とっても気持ちいいわよ……」


ルカの体は、流砂に引き込まれていく!


ルカ「ぐっ……!」


僕はじたばたともがき、なんとか流砂に呑まれまいとする。


アリジゴク娘「無駄なあがきね……私の罠から逃げた獲物はいないわ」


ルカの攻撃!

アリジゴク娘は―――のダメージを受けた!


アリジゴク娘「ふふっ……干からびるまで体液を吸ってあげるわ……」


ルカの体は、流砂に引き込まれていく!


ルカ「うぐぐっ……!」


抗おうとも、じわじわと流砂の中央が近づいてくる。

そこには、アリジゴク娘が待ち受けているのだ―――


アリジゴク娘「あがきなさい、もがきなさい……」

       「どうせ、私の餌食になるのよ……」


会心の一撃!

アリジゴク娘は―――のダメージを受けた!


アリジゴク娘「ほらほら……諦めて、私の餌になりなさい……」


ルカの体は、流砂に引き込まれていく!


ルカ「ぐぅぅっ……!」


僕の体はいよいよ底に近づいていた。

アリジゴク娘は、間近にまで迫っている―――!


アリジゴク娘「ほぉら、もうすぐよ……」

       「あなたの体液、一滴残さず搾ってもらえるのよ……」


会心の一撃!

アリジゴク娘は―――のダメージを受けた!


アリジゴク娘「くっ……獲物のくせに……!」


……
………
…………

アリジゴク娘は小さなアリジゴクの姿になった!

それと同時に、流砂も止まってしまう。


アリジゴク娘をやっつけた!


ルカ「ふぅ、びっくりした……ん?」


ほっと息を吐き、剣を納めたときだった。


――― カサカサッ! ―――


またしても、目の前を泥人形がちょこちょこと横切ったのだ。


ルカ「あっ……おい!」


その後を追って、駆け出す僕。

しかし逃げ足はかなりのもので、たちまち背中も見えなくなってしまった。


ルカ「参ったなぁ……」

   「せめて、話ぐらい聞いてくれても……」


――― ゴゴゴゴッ ―――


そうボヤいていると―――不意に、地面が揺れ始めた!


ルカ「なんだ……? またアリジゴクか……!?」


……いや、今度は違う!


目の前の砂が陥没し、地面にぽっかりと開く巨大な穴。

そこから、巨大なモンスターがぬっと姿を見せたのだ!


サンドワーム娘が現れた!


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|´-ω-)<少しだけやるで(徹夜しないとは言ってないで


ルカ「なんだ、このデカさ……」

   「こんなモンスター、初めてだ……」


見上げんばかりの巨大さに、思わず息を呑んでしまう。

僕の体など、一呑みにできるほどの大きさなのだ。


サンドワーム娘「人間だ……」

        「精液、吸わせて……」

ルカ「こんな奴と、まともに戦えるのか……?」


相手の動きは、ずいぶんと鈍そうだ。

そこにつけこみながら戦うしかないか―――

………………
…………
……

……
………
…………

サンドワーム娘「すごく……いたい……」


サンドワーム娘は小さな砂虫の姿になった!


サンドワーム娘をやっつけた!


ルカ「ふぅ、なんとか倒せたか」

   「砂漠って、とんでもないのがいるなぁ……ん?」


ふと横を見ると―――

あの泥人形が、物陰からじっとこっちをうかがっていた。


――― カサカサッ! ―――


ルカ「あ……逃げた……」


僕と目が合うと、泥人形はとてとてと逃げていく。


ルカ「ま、待ってくれ……!」


僕は、慌ててその後を追うと―――

泥人形が逃げた先には、変わった格好の少女の姿があった。


少女「……………」

ルカ「もしかして……君がノーム?」

少女「……………」


僕の言葉に反応し、少女はこくりと頷いた。

この少女が、土の精霊ノームなのか。


ルカ「あの……君の力を貸してほしいんだけど……」

シルフ「わーい、ノームちゃんだー!」


唐突に、僕の中にいるシルフが姿を現した。

同じ精霊同士、仲が良いのだろうか。


ノーム「……………」

シルフ「ねぇ、ノームちゃん」

    「この人間に取り憑いて、いっしょにあそぼうよー♪」

ノーム「……………」

シルフ「……そうなの」

    「そうだね、ノームちゃんはルカと会ったばっかりだもんね」

ルカ「あの……どういうことなんだ?」


さっきから、ノームの方は全く喋っていないが……


シルフ「力を貸してほしかったら、その前に力を示せだって」

    「つまり、ノームちゃんと戦って勝たなきゃいけないってこと」

ルカ「なるほど、そういう事なら仕方ないな……」


気が進まないながらも、僕は剣を抜いた。

悪い奴以外に剣を振るうのは嫌だが、力を示せと言われれば仕方がない!


ノーム「……………」


ノームの周りに、何体もの泥人形が現れる。

さすがは土の精霊、その魔力は相当のようだ。


ルカ「あんまり加減できる相手でもなさそうだな……!」


相手が少女だからといって、決して手は抜けない。

ノームの前で力を示し、その力を貸してもらわなければ―――!

………………
…………
……


……
………
…………

ルカの攻撃により、泥人形が全て崩れた!


ルカ「よし、あとはノーム本体だけだな……!」

ノーム「……………」


ノームは魔力を集中している!


ルカ「な、なんだ……!?」

シルフ「わぁ、なんだか危ないよぉ!」

    「あたしの風で助けてあげる!」

ノーム「……………」


『ノームの大地の怒り』


ノームは魔力を解き放った!

流砂が、津波のように押し寄せてくる!


ルカ「うわぁぁっ……!!」


ルカの周囲を突風が渦巻き、砂の津波から身を守った!


ノームは砂の津波に巻き込まれてしまった!

ノームは―――のダメージを受けた!


ルカ「……………」


……ノーム、思いっきり自分の攻撃に巻き込まれてたぞ。


ルカ「どこに行ったんだ……? あっ……!」


見れば、砂の中からノームの帽子が覗いている。

掘り出してみると―――ノームは、完全に目を回していた。


ルカ「……………」


ノームをやっつけた!


ルカ「だ、大丈夫か……?」

ノーム「……………」


ノームはぱっちりと目を開け、こくこくと頷いた。

そしてじっと僕の顔を見上げ、右手をすっと差し出す。


ルカ「え……?」

ノーム「……………」


僕の顔を見たまま、右手をわきわきと動かすノーム。

これは……握手してほしいのか?


ルカ「はい、あくしゅ」

ノーム「……………」


ノームの小さな手を、きゅっと握ると―――

その体が光に包まれ、そして消えてしまった。


ルカ「こ、これは……」


なんだか、体に力が流れ込んできた感じがする。

この体に、確かにノームが根付いているのだ。

不意に僕の心の中で、変な二人が形を成した―――


シルフ「わーい♪ ノームちゃんもいっしょー♪」

ノーム「……………」

ルカ「シルフとノームは、仲が良いのか……?」

シルフ「うん♪ あたし達、とってもなかよしなんだよー♪」


――― ドカッ! ―――


シルフ「ひゃぁ!」

ルカ「……………」


本当に仲が良いのか……?


アリス「ふむ、ノームの力を手に入れたようだな」

ルカ「あっ、アリス」

   「大変だったけど、なんとかなったよ」

アリス「土の精霊の力は、風よりもはるかに大味で使いづらい」

    「下手をすれば、自分まで巻き込まれてしまうこともあるぞ」

ルカ「……ああ、うん」

   「骨身に染みて分かってるよ……」


土の精霊であるノーム自身でさえ、自分の攻撃に巻き込まれていたのだ。

力を借りる僕も、気を付けなければならない。


ルカ「後の精霊は二体、ウンディーネとサラマンダーだな」

アリス「シルフもノームも、魔力こそ膨大だが戦闘には不慣れだった」

    「しかし、ウンディーネとサラマンダーはそうはいかんぞ」

    「ウンディーネはなかなかの手練れだし、サラマンダーに至っては―――」

ルカ「サラマンダーに至っては……?」

アリス「……まあ、黙っておくとしよう」

    「貴様が下手に萎縮しても困るしな」

ルカ「おいおい、気になるだろう……」


サラマンダーは、いったい何なのか。

そんなところで黙られては、気になって夜も眠れないじゃないか。


アリス「まあ気にするな、大した事はない」

    「ところで、ノームの力を手にしたことで変化はあるか……?」

ルカ「いや……ノームの息吹は感じるけどね」

   「具体的な事は、まだあんまり……」


シルフの時のように、風の流れが感じ取れたりといった変化はない―――

と思えば、僕の中から精霊達が語り掛けてきた。


ノーム「……………」

シルフ「ノームちゃんは、まだルカの中に入ったばかりなの」

    「少し落ち着けば、ノームちゃんの力も使えるようになるよ♪」

    「そうだよね、ノームちゃん♪」


――― バシィ! ―――


シルフ「ひゃん!」

ルカ「……………」


……ともかく、ノームが馴染むのには少し時間が掛かるようだ。


ルカ「さて、あとは水と火か……」


東のノア地方にはウンディーネ。

北のゴルド地方にはサラマンダー。

とりあえず東に向かい、ウンディーネに会いに行くのが最も近いか。

それから北上し、セントラ大陸最北のゴルド地方でサラマンダーに会おう。


ルカ「じゃあ……次はノア地方だな」

   「このまま、東に向かうとするか」


砂漠を抜ければ、あとは平野のみ。

このサフィーナ地方に来た時に比べれば、平穏な旅路のはずだ。


アリス「ノア地方は自然も多いゆえ、食文化も華やかだろう」

    「楽しみだな、くくくくく……」

ルカ「アリス、おいてくよ……」


こうして僕達は、東の方角へと進路を向けたのだった。

向かう先は、深い自然の根付くノアの大地。

そこで、何が僕達を待ち受けているのか―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:???』

偽勇者「……迷った」


俺は「魔女狩りの村」からサファル遺跡へと向かうために、歩を進めていた。

しかし、広大である砂漠で標識などがあるわけもなく迷子になってしまった。

幸いに俺の力で飢えや乾きには無縁だが、ここで行き止まる訳もいかん。

このまま、小僧に先々と進まれては何かと都合が悪い。

土の精霊であるノームの力を手に入れてくれるのは構わないが、その先の「力の使い方」を学べるイベントに参加できないのは痛い。

俺の力は主に『呪』や『言葉で説明するのが難しい力』ばかりだが、それでも何かの切っ掛けにはなるだろう。


偽勇者「しかし、同じような景色ばかりで全く分からん」

    「目印みたいのは無いものか……」

クラリス「うぅ~……」

     「もう砂漠は飽きましたよ、あにさん……」

偽勇者「……俺もだ」


お互いに不満を零しながら歩いて行くと―――


【何やろか】

○ウラミと出会う

○クリスタルを拾う

○その他

↓2

『クリスタルを拾う』やね

お互いに不満を零しながら歩いて行くと―――

何やら砂の海に光る物があるようだ。


クラリス「ああ、あにさん……」

     「あれが蜃気楼ってやつですか……」

     「何か光る物が見えますよ……」

偽勇者「……大丈夫か、クラリス」

クラリス「へっちゃらのちゃらですよ~……」

偽勇者「大丈夫じゃないな……」


俺はクラリスを背負い、光る物の正体を知るために走り出した。

――――
―――――
――――――


【……どれなん?】

○火

○水

○風



――――――
―――――
――――

俺は、只々光る方向へと歩いて行く。

時折、砂風が吹き光を見失うこともあったが光る力が強いおかげで再び目指すことができた。

そして―――


偽勇者「……これは、クリスタル?」


砂の海にちょこんと一部を覗かせていたのは、クリスタルであった。

俺はそれを拾い上げると、光は失われたが―――その内に秘められた力は健在であった。


偽勇者「……………」

    「……ふむ」

    「どんなクリスタルかは知らんが―――クラリスが先か」


先ほどからクラリスの体温が高いのが背負っていて分かる。

魔物故にそうそうと病気にはならんと思っていたが、そもそもクラリスは砂漠に住んでいたタイプでは無かった。

何とかその熱を冷ますために「超現象」を利用しようとしたが―――何故だか作れなかった。

この力はとてもうまい食べ物や物を創造できるが、創造出来ない物もいくつかある。

その一つが冷えた物だ。

これが限界なのか、それとも俺が未熟なのかは分からんが今は冷えた物がどうしても欲しかった。


クラリス「うぅ~……」

     「豚と鶏が手をつないでルンバを踊っています~……」


ヤバい―――クラリスが「ちぃぱっぱ」し始めた。


偽勇者「……何か手はないか。 ……ん?」


手段を考えていると、クリスタルを握っている手から液体の感触があった―――それに冷たい。


偽勇者「……これは、クリスタルの力か? まあいい、これでクラリスが助かる」


俺は水を、創造した桶の中に溜めて直ぐにクラリスの看病を行うのだ。

――――
―――――
――――――


◆【水のクリスタル】
世界中の水を綺麗にする力を持つ。
その力は凄まじく、生きとし生けるものの命を支える水を無限に出すことが出来る。


【どれや?】

○音にする

○樹にする

○それとも全部

↓2

ヒャド系ェ……


>>252|´・ω・)<ヒャド攻撃タイプやろ?

>>252|´-ω-)<水と液体窒素ぐらい違うんや……


大阪|・ω・)<風呂行ってくるわ、安価内なら↓やで。


PS: 3:05までに安価なしやったら、自動的に「全部」になるからな(同じ方は無しの方向や


コソーリ|・ω・)<まだおるー?

『全部』やね、ちと駆け足やわな。


偽勇者は音の将魔の能力を得た。

とても硬くなった!


偽勇者は樹の将魔の能力を得た、

魔力類が増えた!


――――――
―――――
――――

―――『クラリス』

クラリス「……んぅ」

     「ここは、テントの中……?」


ボクは目を覚ますと、テントの中にいた。

確か、あにさんと一緒に砂漠を歩いていたけど……

どうやら、気を失ったらしい。


クラリス「うぅ……」

     「最近、あにさんに迷惑ばかりかけてる気がする……」

     「そうだ、あにさんは何処に……?」


ボクは、テント内にあにさんが居ないことを確認するとテントの外を確認するために、顔を覗かせた。

そして―――


クラリス「……あにさん?」


夜の月明かりが眩しい時、あにさん達は砂漠の山の上にいた。


クラリス「……達?」


あにさん以外にも、姿は透き通っているが何かが居た。

そして、その何かはその場から消えてしまい―――あにさんはテントに戻ってきた。

ボクは慌てて布団に潜り込むと、寝たふりをする。

それと同時にあにさんがテント内に戻り、ボクの隣に腰を下ろした。


偽勇者「……………」

    「……………」

    「……………」

    「……足りない」


何が足りないのだろうか。

あにさんは強く、優しく、理解してくれる人だ。

これ以上にあにさんは何を求めているのだろうか?

―――かな?

それとも―――かな?


【何を求めてると予想したん?】

↓~2

『愛と愛』やね ……ん?

これ以上にあにさんは何を求めているのだろうか?

愛かな?

それとも、ボクの愛かな?

ボクはあにさんが良ければ、直ぐにでも……

……ごっほん!

まだ、キスもしたことがないのに何を考えてるんだ、ボクは!?

ダメダメ、こんなことじゃあにさんの隣をキープし続けることは夢のまた夢じゃないか。

それに、恩も返せてないのにまだ早い!

……はあ。

ボクは、今日も心の中で溜め息を吐くのだった。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

……どうやら、小僧は土の精霊を手に入れて東の方向へと進路を向けたようだ。

ならば、俺もサファル遺跡へと向かわずに東に進路を向けるべきだろう。

クラリスのデコに触れて熱を確かめるが、どうやら完全に下がったようだ。

一時的に熱を溜め込んだ結果なのか、それともクリスタルから湧き出た水の効力なのか……

そういえば、早い段階で新たな力を得たが体には何の変化も無かったな。

これ以上の進化は無いのか、それとも嵐の前触れか―――とにかく。

クラリスに被害が及ばないようにしないとな……

……勘違いはするなよ俺。

クラリスは―――だからだ……


【道具からどれだけアップしたん?】

↓2

『縺�∴』『荳翫〒』やね

(´-ω-`)<↓やね

『弟子のような』やね

……勘違いはするなよ俺。

クラリスは「弟子」のようなものだからだ……

それ以外に関係なぞない!


偽勇者「……朝になり次第、ノア地方に向かうか」


俺にはもっと力が必要だ―――でなければ、あの小僧には勝てぬ。

記憶が正しければ、最終的に宇宙での活動も可能になるらしいからな。

本当に、主人公とは恐ろしいものよ……


偽勇者「……待っているがいい小僧よ」

    「貴様が魔王と対峙する時―――それが貴様の最後なのだからな」


俺は己の存在理由を確かめながら、次に向かうノアの大地までの道順を考えるのだった。


……――― 『前章:完』 ―――……

―――[ステータス]
名 前:偽勇者(偽名:シャニセ・ユウ)   称 号:勇者(未洗礼者)

種 族:人間(?)                性 別:男
HP:131169 /131169+炎          LP:600/600
WP:1316/658+樹              JP:1258/629+樹
攻撃力:1036/518+獣            ☆:ロトの剣     [呪]
守備力:982/491+音            ☆:トロの剣     [呪]
すばやさ:982/491+水           ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

かしこさ:‐‐‐/‐‐‐+石            ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
宝玉の力:勇者の能力を得る        ☆:ロトの盾     [呪]
魔導書[DQ]:全呪文体系・特技を得る   ☆:ロトの兜     [呪]
マナスティス:将魔の能力を得る      ☆:ロトの鎧     [呪]
黒色の宝玉:――― を得る         ☆:ロトの籠手    [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:死神の首飾り [呪]

???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:呪いのベルト  [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――

体術:パンチ          ‐‐   剣技:ロトの一撃      10
剣技:トロの一撃       15   体術:最強打         00
剣技:大地斬         20   剣技:海波斬         20
剣技:空裂斬         20   雷術:エビルデイン     30
星術:コメットフォール    ??   星術:メガボルト       ??
治術:ベホマ          00   超術:超現象         ??
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐   ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【ロトの剣 [呪]:攻158(+120)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる剣。
魔神の血の祝福によって―――
“皆殺しの剣”の力と性能を得ている。

☆【トロの剣 [呪]:攻130(+110)】
外見はそのままロトの剣の色違いである。
常に物理・魔法攻撃を1.3倍にしてくれる究極性能の武器である。
しかし、長いこと物置に放置されていたので―――
“はかぶさの剣”の力と性能を得ている。

☆【ロトの盾 [呪]:防39(+42)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる盾。
魔神の血の祝福によって―――
“嘆きの盾”の力と性能を得ている。

☆【ロトの兜 [呪]:防42(+255)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる兜。
『幻惑』『麻痺』『即死』に耐性がある。
魔神の血の祝福によって―――
“般若の面”の力と性能を得ている。

☆【ロトの鎧 [呪]:防82】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる鎧。
魔神の血の祝福によって―――

☆【ロトの籠手 [呪]:防25】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる籠手。
魔神の血の祝福によって―――

☆【呪いのベルト [呪]:???:】
太古の呪われたベルトで常に―――

☆【死神の首飾り [呪]:防6】
髑髏の付いた不気味な首飾りで―――

―――[持ち物:その他]
◆【合成の壺】
呪い専門の商人:ウラミからもらった、見た目古びた壺。
武器は武器、防具は防具と同じ物を合成する壺。

◆【焼きヒトデ】
味は薄味のウニミソ。
食べれる部分は、中の卵・胃袋・消化器官のみ。

◆【マデュライトの欠片】
見た目は赤紫色(厳密には中心部は紫で外周が赤みがかっている)をした結晶の欠片。
マ素(魔素ではなく)を多く含む鉱物である。

◆【生きた魔導具】
勾玉の形をしており、心音が聞こえてくる。
新たな魔導の力を得る可能性がある。

◆【女神の宝剣の欠片】
あらゆる魔物はひれ伏し、魔王さえ逃げ惑うという。
真の勇者が手にすべき剣「女神の宝剣」の欠片。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【キメラビーストの角】
プロメスティンの研究により生み出されたキメラモンスター。
一切の感情が伺えない無機質な悲しい生物の角である。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【母の形見の髪飾り】
リリィがいつも身に付けていた髪飾り。
母の思い出がいっぱい詰まった形見だ。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【土のクリスタル】
大地に恵みを与える力をもっている。
その力は凄まじく、砂漠と化した土地を一瞬に緑溢れる土地に変えてしまう。

◆【水のクリスタル】
世界中の水を綺麗にする力を持つ。
その力は凄まじく、生きとし生けるものの命を支える水を無限に出すことが出来る。

◆【死のオルゴール】
哀しいメロディーが流れる。
そして聴いた者の息の根を止める。

◆【危険な薬品や物質】
大量の『滅水銀』『ヒドゥン反応薬』『ネクロゾル』『黄泉の薔薇』『愚者の石』等々。
普通の術士クラスでは、とうてい扱えん危険物。

◆【―――リング】
鉱物か殻で出来ているか分からないリング。
恐ろしい力を持っている。

◆【復活の杖】
先端に創世の女神イリアスを象られた形状が特徴的な杖。
死者を蘇らせる力を持つ。

―――[宝玉の力]
○【金色の宝玉】:???
○【銀色の宝玉】:???
○【青色の宝玉】:魔法と炎のダメージを軽減し、ダメージ床・マホトーンを無効化し、歩くほどに体力が回復する(某DQ)

―――[黒色の宝玉]
○???

―――[魔導書]
○DQに存在する全呪文体系・特技を得る。

―――[マナスティス]
○水の将魔:膨大なる素早さと水のみ完全耐性(常に先手/水系完全無効)
○獣の将魔:膨大なる攻撃力(攻撃力2倍)
○音の将魔:膨大なる守備力と音のみ完全耐性(守備力2倍/音系完全無効)
○石の将魔:膨大なる耐性(全ステータス異常無効/全低下系無効)
○樹の将魔:膨大なる魔力(魔力2倍)
○炎の将魔:膨大なる生命力と炎のみ完全防御(万越え/炎系完全無効)

―――[全身の刺青]
○『この世全ての悪』を現す呪い。

―――[ロト装備:カラーリンク]
黒と金色。

―――[武具:性能]
○皆殺しの剣:全体攻撃ができる。
○はかぶさの剣:2回攻撃ができる。
○嘆きの盾:ダメージを半減し反射する。
○般若の面:史上最強の守備力を誇る。

―――[偽勇者用:特別ルール]
○敵(一部除)のHP増+ダメージ超増(ない場合もあり)
○WP等の数値は、血の祝福効果でバトル終了後に全回復
○作中での「そのときふしぎな事が起こった」超現象(フェアリーをタイタニア化・クラリスの目の治療など)
○ご都合主義には弱い
○一部設定変更有
○一部設定だけ!
○ステータス 00 は100扱いである。
○戦闘系ないかもしれん(安価・コンマ系)
○超増えるかもしれん

―――[ステータス]
名 前:クラリス      称 号:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種 族:竜人族       性 別:女
HP:999/999        LP:5/5
WP:26/26         JP:0/0
STR:150/150       ☆:黄金のツメ
DEF:28/28        ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

CHA:8/8          ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
大好物:お肉        ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐   ☆:疾風のバンダナ

???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐   ☆:竜のお守り
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐   ☆:豪傑の腕輪
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐   ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――

体術:パンチ          0    体術:キック          1
体術:あびせ蹴り       3   体術:当て身投げ       2
体術:ドラゴンスクリュー   3   体術:ポカポカ          0
??:あにさん        ‐‐    ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐
能力:百足蹂躙        4   能力:ねこだまし        0
能力:死の属性       ‐‐    能力:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐   ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【黄金のツメ:攻 55】
手甲がツタンカーメンのマスクのような形をしているツメ。

☆【疾風のバンダナ:防23】
風の魔力が込められ、虎のようないかしたデザインが格好いい。
頭に巻くと疾風のように素早く動けるようになる。

☆【竜のお守り:防5:オシャレ8】
炎や光の攻撃に強くなる。
武骨なお守りだが、クラリスの宝物。
理由は―――

☆【豪傑の腕輪:攻25】
攻撃力が上がる装飾品。

―――[持ち物:その他]
◆【木の棒】
そこら辺で拾った棒。
持ち手にはすべり止めの布が巻かれている。
人間程度が相手ならば護身用ぐらいにはなる。

◆【ボロ布】
ボロい布。

◆【チャドル】
頭から全身を覆うように着用する衣装。
布地はたっぷりと余裕をもたせているので、両目の部分以外は覆い隠されている。
腰の周りで結んで留めてある。

◆【種が入った袋】
数種類の果実の種が入った袋。
種だけでも美味しいらしい。

―――[クラリス用:特別ルール]
○雑魚敵のみ弱体化+ダメージ増
○WP等の数値は、宿(一つのイベントが終了するか)で回復可能
○戦闘後、能力値アップ
○増えるかもしれん


大阪|´-ω-)<おつやで~、何とか「前章」の終わりまで進めれたわ。

大阪|´・ω・)<それと、大事な話あるんやけどな。

大阪|´・ω・)<あにさんの戦闘はないかもしれん(コンマでやる系)

大阪|;-ω-)<無駄に強くなったからな、クラリス以外は戦闘に参加せえへんかもしれん。

大阪|ω・`)<やっぱ、怒るん?


大阪|-ω-)<とりあえず、休憩するで~

大阪|ω-`)<ありがたや、ありがたや……

大阪|ω・`)<さて、前章終了したから『外伝2:偽勇者とクラリスが結婚したら』を行っていくで

キリッ|ω・´)<よろしいかっ!?


大阪|・ω・)<尚、パラレルワールドやから一部設定が大きく変わってるところがあるで。

大阪|´-ω-)<稀に安価 or コンマするからな。

大阪|・ω・)<ほな、やろか。






………――― 偽勇者とクラリスが結婚したら ―――………





―――『偽勇者:グランドノア』

俺は、現在グランドノアのとある所で生活を送っている。

何故、魔物を殺すことを思い、信条にしてきた俺がグランドノアで生活をしているかと言うと……


クラリス「アナタ~、昼食ができました!」

     「冷める前に、完食しましょう!」

偽勇者「ああ、分かった」

    「と、その前にお茶葉が切れてないか? 切れているならばついでに持っていくが……」

クラリス「あ、それじゃお願いしますね」

     「それと、紅茶葉もお願いします」

偽勇者「分かった」


……そうだ、あまり変わらないと思いだが一部変化している。

……クラリスが「あにさん」ではなく「アナタ」に変わっているのだ。

そうだ……

俺とクラリスは結婚したのだ。


何故、結婚したのか?

それは、俺が魔王城で小僧に負けてしまったからだ。

負けただけならば、五体満足でいるわけがないよな。

今まで魔物を殺してきた報いで永遠に地下牢などで精を搾り続けられても不思議ではない。

しかし、小僧がまだまだ未熟のおかげで「カドラプル・ギガ」を食らった俺は、魔王城から吹き飛ばされてゴルドポート近くの港まで流れ着いたのだ。

そこで、ゴルドポートに捨ててきたはずのクラリスに再会したのだ。

……捨てたはずなのにな。

……そのために、酷いことを言い、乱暴を行った。

……なのに、クラリスは―――そんな俺に復讐せずに必死に看病してくれた。

……この俺をだ。

だから俺は、魔物が暮らしやすいグランドノアに身を置きクラリスと共に暮らしている。

勿論、結婚してな……

俺には、魔物を殺す信条以上に大切なことができた。

それは、クラリスを幸せにすることだ。

クラリスを幸せにし、そして―――


クラリス「アナタ、ご飯が冷めますって!」

偽勇者「ああ、スマン」

    「今、行くぞ」


―――子を残すことも考えている。

――――
―――――
――――――


【偽勇者の仕事は何なん?】

↓2


飯+αや!

『大工』やね

――――――
―――――
――――

―――『クラリス』

ボクは今、とても幸せです。

何故なら、あにさんと結婚しとても幸せな日々を送っているからです。

あにさんのことを「アナタ」と呼べるなんて―――うふふ、うへへへ……

……はっ!?

えっと、あにさんと結婚する切っ掛けはゴルドポートで再開した時ですね。

あの時のあにさんは、全身が傷だらけで今にも死にかけていました。

確かに、あにさんはボクを捨てましたが―――だからどうしたのでしょうか?

ボクはあにさんを助けたい、これが理由ではいけませんか?

あにさんをボクが住んでいる掘立小屋に運び込み、直ぐに治療を始めました。

応急処置的なものですが……


しかし、応急処置さえできれば―――認めたくは無いですが、後は呪いが内臓などの治療を行ってくれます。

ボクはあにさんを苦しめる呪いが大嫌いですが、今はその呪いの治癒力に頼るしか他はありませんでした。

後、ボクが出来る事と言えばあにさんの食事を作ることぐらいで―――

っと、昔話はここまでにして……

あにさんのお弁当を届けないと……


クラリス「んふふ……」

     「今日は、あにさんが大好きな卵料理ですよ」

     「いつも綺麗に食べてくれて嬉しいな~♪」


今日も、一日が幸せでありますように……

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

俺は現在、仕事中だ。

家を修理したり、時には建てたり、さらにはリフォームしたりと……

そう「大工」の職に就いているのだ。

大体の材料は超現象で無限に作れるし、労力も四天王の一人のたまも以上の怪力で難無く進めることができる。

更には、リアル世界での知識―――つまりアイディアを持っているからかなり儲けさせてもらっている。

グランドノアは、大きな問題はないが文化の違いで細かい争いがあるからな。

その争いの火種が、他の家に被害として巻き込まれることは結構多いのだ。

故に、俺が修理してそこそこ微妙に高い値段で行わせてもらっている。


クラリス「アナタ~♪」

偽勇者「……クラリスか」

    「もう、そんな時間なのか」

クラリス「うふふ♪ それだけ真面目に働いているってことですよ♪」

偽勇者「……そうか」


仕事場から家が近いおかげか、いつもクラリスが弁当を持ってきてくれる。

もちろん、作り立てで温かい状態だ。

そして―――


――― もぐもぐっ ―――


偽勇者「……ふむ」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓~2 or 3

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

安価内なら↓やで

やはりいつ食っても美味い、感動だな

すっかり料理上手になったな。ここまで腕を上げるなんて、嬉しいもんだ

美味いな……ところでこのおかずは何を使っているんだ?


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>290 >>291 >>292』やね

偽勇者「……ふむ」

    「……いつ食べても美味いな」

クラリス「アナタのためですもん、頑張りますよ」

偽勇者「すっかり料理上手になったもんだ」

    「昔は、料理より武術の方が圧倒的だったのにな」


そう、今では可愛い俺の妻であるクラリスだが……

少し前までは、武術の才能を持ち―――コロシアムで闘技場の覇者とも言われた「キュバ」と互角に渡り合ったらしい……

らしいってのは、最初の頃は仕事が中々スムーズにいかない時期だったからな。

金は、コロシアムでクラリスがしばらく稼いでいたのだ。


クラリス「もう、腕は戦うためだけにあるんじゃないですよ」

     「持ち主次第で、何にでも変わります♪」

偽勇者「……そうだな」


……何にでも変わるか―――俺の腕も殺す以外に使うことが出来ている。

これが、幸福という感情なのか……

呪いで感情が無くなって久しいな……


偽勇者「ところで、このおかずは何を使っているんだ?」


この卵料理が中々に美味い。

味付けもそうだが、元が良いのかお気に入りなのだ。


クラリス「それは「ハーピーの卵」ですよ♪」

偽勇者「……………」


……鶏の卵には有精卵と無精卵があるが―――そのハーピーの卵はもちろん無精卵だろうな?


クラリス「ところで、仕事の進み具合はどうですか?」


お茶を飲んでいる時のクラリスの問い……

仕事の進み具合かあ……

今回の仕事は中々に大きい依頼だからな。

「―――」の依頼且つ進み具合は「コンマ」だな。


【大工としての依頼】

↓2


1.3.5.7.9:遅い

2.4.6.8.0:速い

↓3

風呂行ってきたで『噴水の改装』が『速い』でええな(大工って噴水の改装とかするん!?)


今回の仕事は中々に大きい依頼だからな。

「噴水の改装」の依頼且つ進み具合は「速い」方だな。


偽勇者「ああ、中々に速い方だよ」

    「最近は噴水の出が悪かったからな……」

クラリス「そうですね、ここの子供達も噴水でよく遊んで水浴びを楽しんでいましたからね」

偽勇者「クラリスも、初めて噴水を見た時はかなり燥いでいたがな」

    「それで滑って落ちてビチャビチャに―――」

クラリス「もう! 昔の話はいいじゃないですか!」

     「ボクは、もう立派な大人です!」

偽勇者「ほう……」


クラリスの仕事は―――まあ、基本的に家事になるかな。

しかし、毎日しっかりと家事をこなしているせいで暇が出来るらしい。

お昼の時間帯は俺と会話を楽しむが、俺も仕事に集中しなければならないので13時からはどうしても時間が余るのだ。

故に、クラリスは暇つぶしに―――


【クラリスの暇つぶしは何なん?】

↓2

『読書』やね

故に、クラリスは暇つぶしに読書を楽しんでいる。

読書と言っても、種類は色々だ。

おとぎ話、童話、聖書、ラノベ等を読み込み時間を潰している。

そよ風に吹かれ、日の光を浴びて楽しむ読書―――最近では「アミラ」という魔物が出版している『勇者ルカ物語』がお気に入りのようだ。

……あの小僧を中心とした話だがな。

もちろんその話には俺が載っている……

かなり、小僧の物語に関係してしまったからな―――特に最後の魔王城の部分。

この『勇者ルカ物語』での俺の立ち位置は―――


【偽勇者の立ち位置】

○ラスボス

○ライバル

○その他

↓2


『2ってことは、ライバルでええん?』

『ライバル』やね

この『勇者ルカ物語』での俺の立ち位置は―――「ライバル」だそうだ。

魔物と人間の共存を理想とするニセ勇者と人間のみの世界を実現する偽勇者。

その小僧の宿敵として書かれている。

……何故、クラリスがそれを気に入っているかと言うと―――俺とクラリスが共に行動していない。

つまり、空白を知ることが出来るからだ。 文字だから、想像も読者の自由にできるしな……

……………

……………

……ライバルか。

実際はそんな生温い関係ではなかったはずだが―――


……――― [過去:魔の大陸] ―――……


ベヒーモス娘「私より強い力だと……?」

       「しかも片腕で……!?」

偽勇者「……どうした?」

    「それでも最上級の魔獣か……?」

    「伝説化していると聞いて呆れるわ……」

ベヒーモス娘「くっ……」

       「あまり舐めるんじゃないよっ!」


ベヒーモス娘は、その巨体に力を込め俺を押しつぶそうとするが……

それでも、俺の足が少しばかり地に潜るだけで体の方はビクともしない。


ベヒーモス娘「なんて力だ……」

       「お前―――本当に人間か?」

偽勇者「……さあなっ!」


俺は片腕のみで、ベヒーモス娘をそのまま後ろに投げ飛ばす。

投げ飛ばされたベヒーモス娘は、岩に衝突し砕き土煙で隠れてしまう。

しかし、巨体が災いし体の一部で居場所が分かる。


偽勇者「……止めだ!」


己のスピードを加速し、そのまま単純なタックルで止めを刺す。

ただの加速でも、加速物が鉄より硬い物体ならば破壊力は上がる。


ベヒーモス娘「そ…… そんな馬鹿な……」


ベヒーモス娘は、岩石の一部のように埋まってしまい気絶した。


偽勇者「……温い」

    「生温いぞ、魔物共よ……」

    「もっと力を確かめさせろ、楽しませろっ!」

    「貴様達の平穏を壊す存在はここにいるぞっ!!」


俺は吠える。

もっと、力を試したい。

この身を呪いによって蝕ませて力を手に入れた意味を手に入れたい。

この程度では、苦しみや痛みを乗り越えて手に入れた意味がない。


偽勇者「……もっと強い魔物はいないのか?」

    「……俺を殺したいとは思わないのか?」


俺は右を見る。


ヴァンパイア「ひっ……!」


ヴァンパイアが身を隠す。

俺は左を見る。


巨竜娘「……っ!」


巨竜娘が下がる。


どいつもこいつも……っ!!


偽勇者「臆病者めがっ……」


俺は歩を進める。

魔王城に進むか、罪人の封牢に進むか考えながら―――


【どっちに進むん?】

○魔王城

○罪人の封牢

○その他

↓2

『罪人の封牢』やね

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

少しだけやるで~

『罪人の封牢』やね

そういえば、ここからなら魔王城より罪人の封牢の方が遥かに近いな……

それに―――英雄とやらを見物していくのも悪くない……


偽勇者「天子を殺しまくった裏切り者のハインリヒ……」

    「その面を見れるといいんだがな……」


俺は罪人の封牢に歩を進めるのだった―――


――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:罪人の封牢』

偽勇者「ここが、罪人の封牢か……」


ストーンサークルのような、奇妙なオブジェがあるのみ。

もう少し英雄らしい豪華な神殿をイメージしていたんだが―――想像とは違って静かで穏やかな雰囲気だな。

……今の俺には、物凄く気分が悪くなってしまいそうだ。

しかし……


偽勇者「……イリアスに反逆した愚か者の末路には似合いな場所か」

    「裏切らなければ魂をこんな所に封印されることなく穏やかに暮らせたものを……」

    「……所詮は―――」






――― ク ズ か ! ―――





俺は侮辱するだけ侮辱しその場を去る。

これ以上ここに居ても呪われた物がある訳もないし、ハインリヒの魂もイリアスの封印術で手出し出来ない。

やはり、見物だけの―――小僧だけのイベントか……


偽勇者「……長き幽閉にて、疲弊し続けるがいい」

    「永遠に、永遠に……」


俺は呪詛の如く呟きながら魔王城に歩を進めるのだ―――

――――
―――――
――――――


「……やれやれ酷い言われようだね」

「まあ、おかげで、なんとか姿を為すことができたけどね……」

「……ルカか」

「少しなら大丈夫……かな……?」


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:魔の大陸:野営』

偽勇者「……がっ!」

    「はあ……」


……――― ドックン ドックン ―――……


魔王城までにはまだ時間がある。

その日は野営で一日過ごすことにしたが―――先ほどから体に痛みが走りとても苦しい。

細胞の一つ一つが動き回ってるかのような……


偽勇者「……くっ!」

    「力が―――力が一つになろうとしてるのか?」

    「これ以上にどんな力が……っ!」


俺の力はどれも強力だが、逆に纏まりがない。

一つに特化してるのではなく、多彩な力を一つの体に詰め込んでいるようなものだ。

火・水・土・風・雷・氷に闇や光も―――呪に聖、封印から未知的な力まで……

小僧も、僅かだがその身に多彩な力を持っているが―――その力を管理する精霊がいる。

肉体も、ただの一般人物ではなく……

……だが纏まるなら文句はない。

多彩すぎる力の中にも一度すら使用していない力もあったのだ……


……――― ドックン ドックン ―――……


一々 ――― どれを使用しようか迷う必要も無くなる……


……――― ゴキッ メキッ ―――……


ああ ――― どんな力が生まれるのか……


……――― ギュル ギュル ―――……


楽しみだな……


偽勇者「本当ニ楽シミダ……」

――――
―――――
――――――











偽勇者は[無の紋章]の力を得た。


偽勇者は[進化の秘法]を宿した。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|;・ω・)<広げた風呂敷が包める内にどうにかせんと……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


そういえば、偽の事を溝…イリアス様や天界サイドはどう思ってるのかな(ネタバレになるようなら失礼)
一応、目論見通り魔物に敵対してるけど、その偽当人は魔物顔負けの禍々しさという有様

>>322 天子を殺しまくった
比那名居天子「私に何の恨みが・・・」
中国歴代皇帝「いや、儂らじゃね。だとしたら恐ろしい殺し屋じゃが」


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

少しだけやるで~

>>334 てんし=天子× てんし=天使◎

. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:魔王城』

偽勇者「……あれが魔王城」


中章の最後のステージである魔王城―――

記憶が正しければ、魔物が住むとは思えん程に立派な建物だ。

魔物ならば魔物らしく不気味で臓物が蠢く城にしろよ……


偽勇者「……さあ、最後のショータイムだ」

    「少しでも楽しませてくれよ……?」


魔王アリスと最高幹部の四天王……

その首をイリアスに捧げ、俺が人間達の英雄になるために―――

人の域を完全に超えた体で、俺は魔王城に踏み込むのだった。

――――――
―――――
――――


――――
―――――
――――――

偽勇者「……感じる」

    「……魔物の気配を感じるぞ」


今までに無かった新たな力の一部である「魔物の気配」を感じ取る力……

しかし、あくまで感じるだけであるから……

その気配の主がターゲットである可能性は低い……

迷う構造ではないが、広い分面倒である。


偽勇者「……ああ」

    「……残党を探すには役に立つか?」

    「なあ…… 雑魚よ……」


俺は後ろを振り返り―――「エルダーサキュバス」に問う。


エルダーサキュバスが現れた!


【訊き忘れやけど、小僧は偽勇者より先に魔王城に―――】

○おる

○おらん

↓2

『おらん』やね

エルダー「雑魚とは言ってくれるじゃない……」

     「まともに力を使いこなせてない人間の分際で、あまり大きな口を叩くと後悔するわよ……?」

偽勇者「……………」


余裕の表情で、警告染みたことを喋るサキュバス……

俺は魔物の中で一番「サキュバス」が嫌いなんだ……


偽勇者「……それでも、貴様程度ならこれで十分だろ?」

エルダー「ふふふっ……」

     「まあ、いいわ」

     「抵抗しないなら、ペットとして飼ってあげるわ……」

偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2

お前が人類から借りていったものを返してもらおうか、命だけでは払いきれないと思うがな

>>348』やね


偽勇者「……………」

    「……お前が人類から借りていったモノを返済してもらう」

    「命だけでは払い切れないと思うがな……」


俺は右拳を、エルダーサキュバスの前で静かに構える。


エルダー「あら、抵抗する気なのね……」

     「私は、サキュバスの中でも最上位のクラス」

     「この力で、剣すら持たぬ貴方に勝ち目がないことを知りなさい……」

偽勇者「……臭い息を吐くな」

    「それと、いくら最上位でも……」

    「弱ければ何の価値も無いぞ……」


俺は右手で中指を立てながら丁寧に教えてやる。

貴様に価値など無いぞ……ってな。


エルダー「……………」

     「いいわ……」

     「干物になるまで吸って、風化するまでベランダに晒し続け―――」


それともう一つ教えてやる。


偽勇者「……もう殺し合いは始まってるぞ」


俺はエルダーサキュバスの首を掴み―――そのまま壁を粉砕するように叩きつけた!


エルダー「―――っ!?」

     「―――っ!!」


エルダーサキュバスは、よっぽど苦しいのか―――首を掴んでいる俺の右腕を掴み返したり、蹴りを入れてくる。

だから、お返しに右腕の力を更に込めてあげたのだ。

俺の掌には、エルダーサキュバスの首の骨が悲鳴を上げてるのがダイレクトに伝わってくる。

呼吸も僅かしか吸えないのか コキュー コキュー と空気が漏れる音が聞こえる。

顔も涙やら唾液やらでベトベトだ。


偽勇者「どうしたんだ?」

    「最上位なんだろ?」

    「もっと足掻いて抵抗しないと、いくら回復力が高い魔物でも死んでしまうぞっ!」

エルダー「――っ……!」

     「―っ……」


エルダーサキュバスの抵抗はどんどん弱々しくなっていく。

手足も、力なくぶら下がっていき最後には呼吸音も聞こえなくなってきた。


偽勇者「……つまらん」


俺は首から手を外してやる。

エルダーサキュバスはそのまま、床に倒れ伏す。


エルダー「……っ!」

     「ゴオッ! ……ゲッホッ!!」


―――エルダーサキュバス。

サキュバスの中でも最上級種にあたる、極めて強力な淫魔―――のはずだが……


偽勇者「……つまらん」

    「つまらんぞ…… 最上位だろ?」

    「もっと、俺を楽しませろっ!」

エルダー「ひっ……!」

     「く、来るな…… 化け物っ!」

偽勇者「おいおい…… 俺は人間だぞ?」

    「先ほど、貴様も俺を人間だとほざいたではないか?」

エルダー「近づくなっ! 触れるなっ!」


エルダーサキュバスは、完全に怯えきってしまったようで、ズリズリと尻を床に擦りながら後ろに後退る。

さて―――


【皆はんは肉を焼く時はどっちが好き?】

○外側や

○内側や

↓2

『外側』か、美味いよね……

さて―――

俺はエルダーサキュバスに近付き……


エルダー「来ないで……」

     「い、いやぁぁぁぁぁ」


――― ガッ ―――


その顔を掴み上げ―――


――― ジュッ ―――


エルダー「きゃああああっ……!!」


……――― ボオオッ ―――……


その綺麗な顔を燃やしてあげたのだった―――


偽勇者「ヌハハハハハッ……!!」

    「いくらサキュバスでも、顔が焦げてしまえば何の魅力も無いなっ……!!」


じっくり焼いていると、次第にエルダーサキュバスの足は完全に止まってしまった。


偽勇者「……最後までつまらなかったな」

    「……もう要らん」


――― ポイ ―――


俺は壊れた玩具を後ろに放り投げて次の玩具を探そうと歩を進めるが―――






……――― トサッ ―――……





……何だ、この違和感は。

どれだけ体重が軽かろうが、成人ほどの大きさならば落ちた衝撃で、ここまで軽い音が出る訳が―――

俺は、確認するために後ろを振り向く。

そこには、しぶとく命を拾ったエルダーサキュバスと―――


エルダー「……………」

八尾「……安心せい」

   「ヌシの火傷は、治癒術を使えば直ぐに元通りに治るわ」


……狐族のたまもを抜きにすれば、最強であり―――

―――そこの不良品と違い、本当の実力を持っている……


八尾「妾がすぐに片付けるからの」

   「今は少し休むがよい……」


八尾はエルダーサキュバスを近くの柱に寝かせるとこちらを向いた。


八尾「……妾は八尾」

   「たまも様の右腕にして、妖狐族最強の戦士じゃ」

   「無論、たまも様を除いての事であるが……」


偽勇者「……尾を見れば分かる」


八尾「……ヌシは危険すぎる」

   「故にこの場で封じさせてもらうぞ……」

偽勇者「貴様も、尾が減らぬことを祈るがよい……」


狐族と妖狐族の中で、たまもを除いた最強の戦士:八尾……

俺は表情を「無くした」が、心の中で笑うのだ……

そして、両腕を構え戦いが始まるのを待つのだった―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

>>332

イリアス「化け物はしょせん化け物、しかし触らぬ神に祟りなしということわざがあるように……」

     「こちらから、攻めなければ害は無いでしょう」

     「では行きなさい、勇者ルカ」

     「化け物同士が潰し合えば、後は漁夫の利です」


大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

少しだけやるで~


八尾「……いくつか問いたい」


しかし、八尾は攻撃をするでも術を唱えるでもなく問いてきた。

今さら、何を問うと言うのか……


偽勇者「……何だ?」

八尾「―――?」


【八尾は偽勇者に何を問う?】

↓2 or 3

もんむすの中には共存を望む者もいる…そのような者も根絶やしにするつもりか?

例え魔物を滅ぼしても、人間が受け入れるのか?それ以上の化け物を

素顔を見せてくれんか?

人間と上手く折り合いをつけている魔物まで手に掛けるつもりか

>>361 >>362 >>363 >>364』やね、一つはオマケやで。

―――『八尾』

八尾「魔物の中には共存を望む者もおる……」

   「そのような者も根絶やしにするつもりか……?」

偽勇者「……………」


……目の前のヌシに問う。

妾は、たまも様の右腕にして、妖狐族最強の戦士じゃ。

しかし、正直に言えばこの邪悪なるヌシに勝てる見込みは無かろうの。

故に少しでも時間を稼ぎ、目的の「アレ」がこの場に到着すれば或いは―――


八尾「人間と上手く折り合いをつけている、魔物まで手に掛けるつもりかの……?」

偽勇者「……っ!」


……どうやら、この邪悪なるヌシにも心はまだ残っているようじゃ。

ならば「アレ」が来るまでには―――


偽勇者「……そうだ、それがいい」

八尾「……?」


邪悪なるヌシは、何か思いついたのかウンウンと頷いておる。

いったい何を……

そして、妾に視線を合わせこう言いおった。


偽勇者「共存を望む魔物、折り合いをつけている魔物」

    「全てを家畜か奴隷にすれば良いではないかっ!」


妾は気軽にとんでもない事を言い放つヌシに驚きを隠せん……


偽勇者「……何故驚く?」

    「サキュバス共あたりが普通に行っておることを、そっくりそのままマネしてるだけだろうに?」

八尾「……サキュバスは生態上、人間と共存しなければ生きていけない種族じゃ」

偽勇者「だから仕方ない、そうするしかない……」

    「そう言いたいのか……?」

    「まあいいさ……」

    「どっちみちに、家畜や奴隷などにならん魔物を皆殺しだ……」

八尾「……っ!」

   「例え魔物を滅ぼしたとしても、人間達が受け入れるのかのう……」

   「それ以上の化け物を―――」


邪悪なるヌシはピタリと動きを止めおった。


偽勇者「……受け入れるさ」

    「化け物ではなく「英雄」としてな……」


……これ以上は会話で時間を稼ぐには厳しいのう。

それに邪悪なるヌシから放たれる禍々しいオーラは、息苦しくなるわ。


八尾「……なら、最後に一つだけ問う」

偽勇者「……………」

    「……何だ?」

八尾「素顔を見せてくれんか?」


このような場でする問いではないが―――

少しでもこの雰囲気を穏和しなければ肉体的にも精神的にもツラいのじゃ。


偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者は―――】

○見せるで

○見せんで

○その他

↓2

見たきゃ見せてやるよと言わんばかりに見せる


大阪|・ω・)<眠いからここまでや。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

安価内なら↓や


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>368』やね

偽勇者「……………」

    「見たいのか……」

    「そんなに見たければ、見せてやろう……」


なんとっ!?

この場凌ぎの問いとは言え、その素顔を見れるというのか……?

ならば、拝もうではないか。

その闇に閉ざされた素顔を―――どのような凶悪な面をしているのかっ!!


八尾「……………」

偽勇者「……………」


ヌシが兜に触れ……


――― ガチャ ―――


その素顔を……


――― ズッ…… ―――


妾の前に表す……


……――― ガララン ―――……


八尾「っ!?」

   「そ、その素顔は……」


何度か、たまも様と七尾と共に水晶玉で様子を窺ったことがある。

しかし、その窺う対象はニセ勇者であってこのヌシではない……

なのに、何故―――


八尾「……何故、この場におるのじゃ」

偽勇者「……………」






……――― ルカ ―――……





八尾「……っ」

偽勇者「……………」


……いや。

ルカに似ておるが―――少し違う。

黒髪に、ギョロ目とギザ歯―――そして、特徴的な刺青……


八尾「それが、ヌシの素顔―――で良いのだな?」

偽勇者「……そうだ」

    「この素顔こそが俺の―――」

    「―――本当の素顔だ」


……その言葉を信じるならば、幾つか謎が残る。

この流れならば、情報を引き出すことが出来るかの……


八尾「なら―――」


――― ズン ―――


八尾「―――ッ!?」

   「……ガハッ!」

偽勇者「……もう問答は終わりだ」

    「この素顔を知ったことを後悔しながら散れ……」


み、見えんかった……

妖狐族最強とまで言われた妾の目をしても……


偽勇者「……そう言えば、八尾は妖狐族最強だったな」

八尾「っ!」

偽勇者「なら、選べ」

    「弱い攻撃でじわじわと嬲られて死ぬか」

    「最強の攻撃で何も残さず消えるか」

八尾「ど、どちらも御免蒙るの……」


間に合わんだか……






……――― ドオォォォンッ! ―――……





偽勇者「な、何だ……?」

八尾「……ようやく来たか」


轟音と共に壁をぶち抜き現れたのは、太古の魔大戦の時に造り出された合成魔獣。


―――" ギガントウェポン "―――


偽勇者「このタイミングで現れるとは―――」

    「―――まだ、完成に至っておらんというのに……」

    「もう面倒だっ! 今すぐにミンチにしてくれるっ!」


妾はヌシがギガントウェポンに気を取られている間にその場から離れる。

この戦いに巻き込まれた無事には済まんからの。

それにエルダーサキュバスに治癒術をかけてやらんと……

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『インプ』

あたしは、柱の陰からずっと様子を見ていたけど―――何これ?

偽勇者が攻め込んできたから、あたしは逃げる準備を整えて脱出しようとしたのに……


インプ「……何これ?」


何やら、途轍もない戦闘が始まってるけど……


ギガントウェポンは、感情のこもらない視線で偽勇者を捉え―――

―――偽勇者は、感情のこもらないギョロ目でギガントウェポンを捉える。


ギガント「目標を確認…… 破壊する……」

偽勇者「不良品が…… 叩き直してくれるわ……」


何が起こってるのか分かんないけど、たぶんこのフロアは壊れ尽くすんじゃないかな……?

あたしが、未来になるであろう想像図を頭の中で描いていると……


ギガント「ターゲット粉砕許可あり、全力での突進攻撃を開始」


ギガントウェポンが、その巨体とスピードを生かし偽勇者に突進をした。

しかし、ギガントウェポンと比べ小柄な偽勇者がその突進を受け止めた!


偽勇者「……っ!」

    「これは中々にキくぜぇ……っ!」

ギガント「ターゲットを粉砕します」


でも、受け止めはしたが偽勇者からの反撃は無し。

巨体のパワーと重量による押しつぶしを防ぐことで精一杯のようだけど……

ギガントの尻尾の薙ぎ払いで、脇腹を強く強打され吹っ飛ぶ。


吹っ飛ぶ偽勇者。

しかし、空中で態勢を整え着地し透かさず何かを唱えた。

ベホなんとか…… かな……?


偽勇者「……武器無しでは辛いか」

    「仕方ねぇか……」


偽勇者の発言からか、何か武器を取り出そうとしてるのかな?


偽勇者「……ぬんっ!」


――― ジャキッ ―――


……取り出すなんて生易しいモノじゃない!

あの偽勇者―――


偽勇者「オリハルコンと俺の骨が混ざった爪―――」

    「「地獄の爪」の試し斬りを行ってくれるわ……っ!」


両手の甲から4本の刃が突き出てきた!

いったいあの偽勇者の体はどうなってるのっ!?


ギガント「触手による攻撃を開始、獲物を捕捉……」


ギガントウェポンの尻尾触手が、偽勇者を捕まえようとするけど……


偽勇者「無駄だ……」


どれ程の切れ味があるのか、触手を斬り捨てたよ……


ギガント「……攻撃オプションK、火炎を放射」

偽勇者「それも無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

    「炎など、無意味だ!」


周囲が火炎の渦に包み込まれ文字通り「火の海」だ。

しかし、偽勇者はその「火の海」を突き進みギガントウェポンの巨体にその刃を突きたてた!

苦痛があるかどうか分からないけど、ギガントウェポンの表情が変化を見せた。

そして、その巨腕で偽勇者を捕捉し締め付ける。


偽勇者「捕らえるだけか?」

    「次は何処を斬られたい?」


だが、偽勇者も余裕があるのか対して慌ててはいない―――けど……


ギガント「……攻撃オプション、雷撃を放射」

偽勇者「……何っ!?」


ギガントウェポンの身に迸る雷が偽勇者の体を感電させる!

更に、甲から突き出た刃はギガントウェポンの巨体に突きたてているせいか、偽勇者の体内にも雷が流れ込んでいるみたい。


偽勇者「……っ!!」

ギガント「敵の体力低下……」

     「雷の出力を上げます……」


……更に凄まじい雷がギガントウェポンが流れ出て偽勇者を焦がしていく。


偽勇者「―――――――――っ!!!」


どうやらこれで戦闘は終わりそうね。


インプ「……でも、あのギガントウェポン」

    「どうやって制御するんだろ……?」


決着がついた―――そう思っていた時―――

――――
―――――
――――――


【どれが覚醒するん?】

○火

○水

○気

○地

↓~2

『水』『気』やね

――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

ああ、痛い―――激痛だ。

しかし、この激痛こそが栄光への道……

痛みを知らぬエロとは違う所を―――


偽勇者「―――見せてやる」


偽勇者の細胞が変化する。

偽勇者は進化した!


「水」が覚醒した!

「気」が覚醒した!


俺はギガントウェポンの巨腕の上から腕で押さえる。


ギガント「……?」

偽勇者「―――雷は貴様だけの特権ではないっ!」


偽勇者は―――


偽勇者「……エビルデイン!」


エビルデインを唱えた!


黒い稲妻が、偽勇者とギガントウェポンを包み込む。


―――『八尾』

妾は戦いをギガントウェポンに任せ、エルダーサキュバスの火傷の治癒を行っておった。

エルダーサキュバスの顔の火傷は完治した、後はしばらく体力の回復を優先すればいつものように動けるはずじゃ。

それに―――


八尾「……決着はつくか」


ギガントウェポンと偽勇者の戦いは、ギガントウェポンの勝利で終わるようじゃ。


八尾「あれ程の電撃を浴びるだけならば未だしも、体内に流し込まれては助かるまいて……」


周囲に青く輝く電撃の光―――が、黒く染まるまではそう思っておった。


八尾「な、なんじゃっ!?」


妾は細目を見開き驚愕する。

他者から造られた存在であるギガントウェポン―――故に無感情かつ無機質の雰囲気を纏い……

表情すら現さぬ生物が―――今、苦痛の表情を浮かべておる。

理解できるとすれば、邪悪なるヌシから離れようともがくが風の渦がそれを妨害しておること……


偽勇者「……痛いか? ……苦しいか?」

    「ならもっと味あわせてやるぞっ!」

    「ヌハハハハハッ……!!」

ギガント「……っ!」

     「雷撃、最大出力……っ!」


青い雷と黒い雷―――互いに焼き焦がし魔獣は苦痛を現すが……

偽勇者は―――


八尾「……何とも」

   「―――」


【八尾のセリフ】

↓~2 or 3


大阪|・ω・)<眠いからここまでや。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

安価内なら↓や

まるっきり痛みを感じとらんようじゃ

おぞましい。おぞましすぎる

(ルカとは)似ても似つかんな


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

>>395 >>398 >>399』やね

八尾「……何とも」

   「まるっきり痛みを感じとらんようじゃ……」


どんな生き物でも痛みから逃れることはできん。

それはギガントウェポンでも、苦痛を感じている時点で明白じゃ。

なら、何故あのヌシは―――


八尾「笑っていられるんじゃ……?」

   「悍ましい…… 悍ましすぎるぞ……」


妾はどうすれば良い……?

今のうちに攻撃を加えるか―――いや駄目じゃ、あの荒れ狂う稲妻の中でも笑っていられる者には焼け石に水じゃろ。

……似ても似つかんな、あの魔王様と共に世界を回っているニセ勇者とは。

寧ろ、支配欲のままに力を振るい、多大なる破壊と混乱をもたらした―――


ギガント「ダメージ高…… 危機レベルに突入……」

     「動力炉遮断…… 機能停止……」


巨体を誇るギガントウェポンが倒されてしまったようじゃ。


八尾「……っ!」

   「たまも様に……」

   「たまも様に急いで報告せねば……」


妾は気配を遮断したまも様の元へ駆け出すが―――






……――― ガシッ ―――……





妾は今、後悔しておる。


偽勇者「……何処に行く?」


妾は今、恐怖に支配されておる。


偽勇者「……妖狐族最強何だろ?」


何故、もっと早くにこの場から離れなかったのか。


偽勇者「……貴様も戦え」


このヌシは、正に―――


偽勇者「……ギガンテ」


偽勇者はギガンテを唱えた。


八尾「―――命知らずの化け物めが……っ!!」

………………
…………
……


……
………
…………

―――『偽勇者』

俺は地に落ちた兜を拾い被る。

そして、その素顔は黒い何かで覆い隠される。


偽勇者「……………」

    「……命知らずの化け物か」


俺の周りには、ギガントウェポン・エルダーサキュバス・小悪魔が転がっており―――

―――俺の手には八尾が掴まれてる。

流石は魔物だ、まだ息がある。


偽勇者「……違うな」

    「……俺は勇者だ」

    「……魔物を殺す者だ」


――――――――――――――――――――


……――― あにさんっ♪ ―――……


――――――――――――――――――――


偽勇者「……全てを捨てた」

    「……一人で旅をしてきた」


――――――――――――――――――――


……――― ボクはあにさんの味方です ―――……


――――――――――――――――――――


偽勇者「……人間だけの人間のための人間による」


人間、人間、人間―――人間がそこまで偉い者なのか……


偽勇者「……人間が支配する人間の楽園を」


人間のみが世界を支配したらどうなるか俺が一番知っているクセに……


偽勇者「……実現するために」


しかし、それが俺の役目だ……

強くなるために、呪いを受けいれるのだ……

最後の最後にどうなろうが―――"誰も"困らんからな……

――――
―――――
――――――


風呂いってきま!


コソーリ|・ω・)<……

コソーリ|-ω-)<また、風呂で寝てもうた……

コソーリ|;-ω-)<とりあえず、今はここまでや……

コソーリ|・ω・)ノシ<ほなな~


本日は休みやで~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

クラリス「アナタっ、アナタっ!」

偽勇者「……おおっ、どうしたクラリス?」

クラリス「いえ、急にボォ~として反応が無かったので……」

偽勇者「ああ、それは済まない」

    「心配をかけたな」


どうやら、昔のことを思い出している時間が長かったようでクラリスを心配させたようだ。

……やれやれ、これじゃ夫としてまだまだだな。


クラリス「アナタ……」

偽勇者「……ん?」






クラリス「……ボクは何時までもあにさんを愛してますよ♪」

偽勇者「……ああ、俺もクラリスを―――」





このパラレルワールドの観覧はここまで―――

では観覧者の皆様方…


大阪|・ω・)ノシ<またなー


………―――「外伝図書館2:クラリスが修行によって偽勇者より強くなってしまったら」 【FIN】―――………


大阪|´-ω-)<お疲れさん

大阪|´・ω-)<少ししたら中章タイムやで

そういやクラリスってルカと偽勇者の顔見てたっけ?

>>422

ルカはんとは会ってないけど、風の便りで噂ぐらいは知ってるで―――姿形は思い描くレベルやけどな。

偽はんの顔は、ハッキリとは見てないで…… あの黒い何かが邪魔してよく見えへんねん。

大阪|´・ω・)<寝てもうたけど、進めよか






………――― 【もんむす・くえすと! 中章】 ―――………





―――『ルカ』

砂漠の地サバサを後にしてから、もう一週間が過ぎている。

ここは深緑の自然と神秘が残る大地、ノア地方。

とりあえず当座の行き先は、グランドノア城。

女王ノア10世が治める、ノア地方最大の城都である―――


アリス「ふむ、ノア地方には色々と名物があるようだな」

    「グランドノア城のコロシアムは有名らしいが……」

    「まあ、余にとってはどうでもいい」

    「しかしコロシアムで売られている「パワーもりもり弁当」は、スタミナが溢れると評判のようだ」

ルカ「はいはい、食べ物の話だね……」


パワーもりもり弁当はどうでもいいが、コロシアムには大いに興味がある。

きっと、世界各地から腕自慢の戦士達が集まっているのだろう。

今の僕なら……どうだろうか?

シルフやノームの力もあるし、かなりのところまで勝ち抜けそうな気がする。

もしかしたら、優勝も夢ではないかも……


ルカ「うぇへへ……そうなったら、どうしよう……」

   「僕、もう有名人になっちゃうよ……えへへへっ……」

アリス「う、ウザっ……!」


そう言いながら、アリスは旅行ガイドに目を通している。


アリス「むむっ……遙か東方の辺境ヤマタイ村では、独特の食文化があるという」

    「スシ、テンプラ、オソバ、スキヤキ……」

    「これは、非常に楽しみだな……」

ルカ「東方の辺境、ヤマタイ村……?」

   「用事がないところには、わざわざ寄り道しないよ」

アリス「……………」


無言のまま、膨れたような顔を見せるアリス。

その尻尾が、しゅるしゅると足元にまとわりついてくる。


ルカ「や、やめてくれよ……」

アリス「……………」


尻尾は僕の足を巻き取り、腰の辺りまで這い上がってきた―――


ルカ「わ、分かった……分かったから……余裕があったらな!」

アリス「……………♪」


満足そうに、にぱっと笑うアリス。

……まったく、食いしん坊な奴だ。


ルカ「ん……? 何か、ひづめの音が聞こえないか?」


馬のひづめの音が、道の向こうから近付いてくる。

他の冒険者と顔を合わせるのは、何日ぶりだろうか―――


ルカ「おいアリス、早く人間の姿にならないと!」

アリス「……その必要はない」

    「しかし、ずいぶんと発情している奴だな……」

ルカ「え……?」


妙な事を言い残し、アリスは姿を消した。

そして、僕の前に現れたひづめの主は―――


ケンタウロス娘が現れた!


ケンタウロス娘「そ、そこの少年……頼みがあるのだが……」


ケンタウロス娘は、なにやら息を乱しているようだ。

もしかして、怪我か病気だろうか……?


ルカ「だ、大丈夫ですか……?」

ケンタウロス娘「は、発情期で……オマンコが疼いて疼いて仕方がない……」

        「お前のモノで中を掻き回して、種付けしてくれないか……?」

ルカ「そ、そんなのダメだよ!」

   「イリアス様は、魔姦を禁じているんだから―――」

ケンタウロス娘「その細身の体を押し倒して、無理矢理のしかかって……」

        「火照ったオマンコで、お前のモノを咥え込んで……」

        「目茶苦茶に腰を動かして、徹底的に犯して……」

        「泣き喚くお前から、子種を何度も何度も搾り取って……」


……駄目だ、まるで聞いていない。

どうやら、相手は普通の精神状態ではないようだ。

仕方ない、ここは戦うしかないか―――


ノーム「……………」

ルカ「ん……?」


僕の中で、ノームが何かを言いたげな様子だ。

もしかして、ここで力を使えという事なのか……?

………………
…………
……


……
………
…………

ケンタウロス娘「ぐっ……なんだ、これは……!?」


ケンタウロス娘は子馬の姿になった!


ケンタウロス娘をやっつけた!


ルカ「ふぅ……今のが、ノームの力なのか」


予想以上の剛力が、全身から湧き上がってきた。

それはまさに、大地の力そのもの。

あの力がなければ、ケンタウロス娘に抑え込まれた際に抵抗できなかっただろう―――


ルカ「ノームの力があれば、拘束を強引に振り解けるんだな」

   「それに、あの剛力を攻撃に生かすことができれば……」

アリス「だが、今の貴様では難しいはずだ」

    「大地の剛力に振り回され、敵に当てることさえできまい」

ルカ「うん……たぶん、そうだろうね」


初めての使用で不慣れだったこともあるが、やはり制御は難しい。

拘束を振り解くのなら、思いっきり暴れればいいだけだが……

その剛力を剣に乗せて命中させるとなると、かなりに慣れが必要なはずだ。


ルカ「これから、修練あるのみだね」

アリス「まあ、せいぜい努力するがいい」

    「ところで、そろそろ日も暮れるな」

    「今晩は、ここで野営するとしよう」

    「……ルカ、食事の準備だぞ」

ルカ「やれやれ……アリスは、食ってばかりだな」

アリス「……なんだと?」


アリスは、不意に眉を吊り上げた。


アリス「まるで余が、タダ飯食らいのような物言いだな」

    「……よかろう、今回の夕食は余が作ろうではないか」

ルカ「えっ……!? アリス、料理出来るのか……!?」

アリス「任せろ、魔王に不可能はない!」

ルカ「……………」


不安だ……


――――
―――――
――――――


飯+α!


――――――
―――――
――――

そして、アリスは食事の準備を始めたようだ。

なんだか、実に嫌な予感がする―――


ルカ「大丈夫なんだろうな、アリス……?」

アリス「当然だ、余を誰だと思っている」

ルカ「ほ、本当に大丈夫なんだろうな……?」

アリス「ええい、うるさい!」

    「料理が出来上がるまで、どこかに消えていろ!」


とうとう、調理場から追い払われてしまった。

……しかし、本当に大丈夫なのだろうか?

………………
…………
……

……
………
…………

アリス「ふん……余の実力を見るがいい!」


アリスの魔王の暴虐!


アリス「食らえ、余の魔力を!」


アリスは闇の力を解放した!

おなべは―――のダメージを受けた!

おなべは―――のダメージを受けた!

おなべは―――のダメージを受けた!

おなべは―――のダメージを受けた!


おなべは闇の波動に掻き消された……


アリス「……………」

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

アリス「……おなべをやっつけた」

ルカ「なんで、そんなに自信満々の顔なんだ……」


おかげで、今日の夕食はほしにく。

わびしいこと、この上ない。


アリス「……仕方ないではないか、料理など教わった事がないのだ」

    「余が学んだのは帝王学のみ、花嫁修行などしておらん」

ルカ「帝王学って……誰に教わったんだ?」

アリス「……たまもだ」

    「奴は、魔王である余の教育係だったのだ」

ルカ「……って事は、アリスの方がたまもより年下なのか?」

   「そもそも、アリスって年はいくつなんだ?」

   「魔王なんだから、三百歳くらい?」

アリス「ドアホめ! 余は今年で22だ!」

ルカ「ええっ!? そんなに若かったの!?」

アリス「貴様よりは年上だ、敬え」

ルカ「それにしても……たまもがアリスの教育係だったんだな」

   「たまもって、いったい年いくつなんだ?」

アリス「……知らん」

    「四天王で最年長なのは間違いない」

    「余の母上の教育係も務めたのだが、その頃からあの姿だったと聞いている」

    「噂では、五代連続で魔王の教育係を務めたとか……」

ルカ「……………」


なんだか、恐ろしい話を聞いてしまった気がする。


アリス「……さて、話はここまでだ」

    「今晩も戦闘の訓練を行うぞ」

    「シルフやノームの力、一刻も早く使いこなせるようにならねばな」

ルカ「よし、がんばるぞ!」


こうして、今夜もアリス相手の特訓が始まったのだった。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「はぁ、はぁ……」

アリス「相変わらず、シルフの力を全く使いこなせておらんな……」

    「その動きに風を宿し、疾風のように動けと言っているだろう」

ルカ「そ、そう言われても……」


そんな抽象的な事を言われても、実践は非常に難しいのだ。


アリス「それに、すでに気付いているかもしれんが……」

    「貴様はまだ、シルフとノームの力を同時に使えないようだ」

    「風の力を使えば、土の力が消えてしまうといった具合にな」

    「どちらか一方の精霊しか呼べんとは、不器用な奴め……」

ルカ「なるほど、そうなのか……戦闘じゃ気を付けないとな」


今のところ、シルフとノームを同時に呼び出すことは不可能らしい。

つまり、敵に応じてどちらを呼ぶか適切に判断しなければならないようだ。


ルカ「ウンディーネやサラマンダーの力を得ると、さらにややこしいな」

   「四体のうちから、相手によって適切な精霊を選ばなきゃいけないなんて……」

アリス「腕を上げれば、複数の精霊から同時に力を得ることもできるはずだ」

    「その動きに風を宿し、その身に土を宿し、その心に水を宿し、その技に火を宿す―――」

    「これができねば、精霊の力など宝の持ち腐れだぞ」

ルカ「それ、前にも聞いたけど……なんだか、胡散臭いんだよな」

   「そんな言葉、どこの誰が言い出したんだ?」

アリス「ドアホめ、そんな口を叩いていいのか?」

    「この口伝を残したのは、伝説の勇者ハインリヒなのだぞ」

ルカ「ええっ!!」


幼い頃より憧れ、尊敬してきた勇者ハインリヒ。

まさか、彼がそんな言葉を残していたなんて―――


ルカ「ほ、本当なのかそれ……?」

   「なんで、魔王のアリスがそんな事知ってるんだ……?」

アリス「むしろ、勇者を志す貴様がなぜ知らんのだ」

    「ハインリヒはこの心構えをマスターし、当時の魔王を討ち滅ぼしたのだぞ」

    「「黒のアリス」と呼ばれ畏怖された、暴君アリスフィーズ8世をな……」

    「それでも、貴様は胡散臭い口伝だと言うのか?」

ルカ「そ、そうなのか……それなら、話は別だ!」

   「よし、さっそく僕も実践するぞ!」

   「動きに風、そして土を……なんだっけ?」

アリス「まずは、その動きに風を宿すがいい」

    「単に素早く動くのではなく、その身を疾風と化すのだ」


ルカ「ウオオオオ!!」

   「僕は風になるぞ!!」

アリス「やれやれ……」


途端にやる気になった僕だったが、意気込み虚しく大した進歩はなかった……

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

そして、就寝前。

今夜も、イリアス様へのお祈りは欠かさない―――


ルカ「イリアス様、勇者としての僕を見守っていて下さい……」

   「どうか、人と魔物の共存の夢が叶いますように……」

アリス「……相変わらず、貴様は矛盾しているな」

    「イリアスが、人と魔物の共存を許容すると思うのか?」

ルカ「いや、それは思わないけど……」


いつものように、アリスは痛いところを突いてくる。


アリス「貴様の立場は、いくつもの矛盾を抱えている」

    「イリアスの導きに従って戦う勇者―――」

    「人間と魔物との共存という理想を抱えた旅人―――」

    「父の生き方に反発し、故郷を旅立った未熟な少年―――」

    「死に際の母の言葉により、勇者以外の選択肢を抹消した子供―――」

    「貴様の中の様々な思いは、どれも異なる方向を向いている」

    「その事に、貴様自身も気付いているはずだ」

ルカ「……………」

アリス「がむしゃらに剣を振るい、貴様は自身の矛盾から目を逸らす」

    「それゆえ、時に精神的な不安定ささえ見せる事がある……」

    「もうそろそろ、自分の矛盾を呑み込む事も限界に来ているのだろう」

    「自分が何者なのかさえ、貴様の中では曖昧のままだ」

ルカ「……そうなんだろうね」


自分の事なんて、僕にはまだまだ分からない。

だが、矛盾している事は自覚しているつもりだ。

イリアス様の教えと、僕の理想―――

それは、まるで違う方向を向いている事に。


ルカ「……でも、旅の中で答えを出していくつもりでいるよ」

   「まだまだ僕は、世界の事をもっと知らなくちゃいけないんだ」

アリス「……ああ、そうだな」

    「かのハインリヒでさえ、最初から伝説の勇者だった訳ではない」

    「幾多の戦いと苦難の旅の果てに、彼も英雄となったのだ」

    「旅の果てに貴様も、自身の「答え」に辿り着くがいい」

    「……まあ、途中で旅が終わらなければの話だがな」

ルカ「ぼ、僕は途中でリタイアなんてしないよ!」

   「魔王城まで辿り着き、四天王に打ち勝つんだ!」


四天王の蛮行こそが、人間と魔物の最大の障壁。

だからこそ、彼女達の行いを止めさせるしかないのだ。

今はそれが、不器用な僕が見出した目標なのである。

それに―――


――――――――――――――――――――

偽勇者「貴様は、必ず裏切られる!」

    「お前が、望んだ! 人と魔物の共存によって、身を滅ぼすのだ!」

――――――――――――――――――――


ルカ「……………」

アリス「くくっ……まあ、せいぜい頑張るがいい」

    「旅立ちの前に言ったはずだな、ルカよ」

    「貴様の化けの皮が剥がれるのを、側で見ていてやると……」

    「余に笑われたくなかったら、お花畑のような理想を実現させてみせるがいい」

ルカ「ああ……見ていろよ、アリス!」


アリスの前で、あらためて決意を新たにする僕だった。

こうして、僕は眠りに就いたのである。

就寝前のお祈りをしなかったのは、この夜が初めてだった―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:――』

深緑の自然と神秘が残ると言われている、ノア地方。

クラリスの体調も回復し、無事に砂漠を後にすることができた。

次の目的地は、グランドノア城である。

ノア地方では最大の城都と記憶している―――


クラリス「グランドノア城……」

     「コロシアムで有名な城都ですね……」

偽勇者「……知ってるのか、クラリス?」


確かクラリスは、俺が治癒するまでは眼が見えなかったはず―――知ってるとは驚きだ。


クラリス「えへへ…… 風の便りで噂はよく聞いたりしてるので、ある程度なら情報を得ることが出来るんですよ」

偽勇者「ほう……」


……なるほど、それならコロシアムが有名ぐらいなら知っていても可笑しくはないな。

だが、そのコロシアムが現在どんな形で行われてるかは知らないようだが―――


クラリス「確か、「パワーもりもり弁当」が美味しいとかっ!」

     「一度は食べてみたかったんですよっ!」

偽勇者「興味の対象は弁当か……」


まあ、コロシアムには参加する予定だったから別にいいが……

……参加する理由は、男共に喝を入れるためと―――


――― くぅ~~~ ―――


―――何だ?

俺はいきなり鳴り出した音の発生源に目を運ぶと……

顔が赤いクラリスが居た。

……ああ。


クラリス「……///」

偽勇者「……何が食べたい?」

    「スシ、テンプラ、オソバ、スキヤキ、ラーメン、チャーハン、キムチ……」

    「余程特別な料理以外ならば何でも……」

クラリス「……///」

     「―――///」


【クラリスのセリフ】

↓~2 or 3

あにさんが作ってくれた料理ならなんでも

あにさんが好きなものを食べたい

>>444 >>445』やね、夜のせいかお客が少ないな……

クラリス「……///」

     「あにさんが作ってくれた料理なら何でも……///」


俺が作った料理だと……?

……困ったな。

俺は料理がそんなに得意ではないのだ。

目玉焼きですら、焦がしてしまうのに―――いや、挑戦してみるのも悪くはない。

戦うばかりが力ではない、旅をするならば料理の腕も必要不可欠……


クラリス「そうだ、あにさんが好きな物を食べたいです」


……俺が好きな物か。

確か、即席ラーメンが好物だが―――即席ラーメンを料理に加えるのは違うか。

まあ、とりあえず―――


偽勇者「……分かった」

    「暫し待つがいい……」

クラリス「はいっ」


クラリスの元気が良い返事が今宵の結末を見守るのだった。

――――
―――――
――――――


【あにさんの料理の腕】

1.4.7:『戦闘:おなべコース』やな

2.5.8:『不味い:イリアスコース』やな

3.6.9:『美味い:普通コース』やな

0.ゾロ:『お店:金取れるコース』やな

↓コンマや!

『0:金取れるコース』やね、マジで?


【あにさんの好物・大好物】

↓2

【食べたクラリスの喜びのセリフ】

↓3~4

美味しいです。作り方教えてください

おかわりください!

あにさん、結婚して毎日私のために料理を作ってください!!

『肉じゃが』と『>>453 >>454』やね 『>>455』は追加しとくわ。


(´・ω・`)<短いけど、今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

―――『クラリス』

偽勇者「……肉じゃがを手に入れた」

クラリス「いえ、調理したのでは……?」


あにさんが、何や一言呟いたのが気になりますが―――それよりもボクの興味はこの夕食です。

「肉じゃが」と言う料理のようです。


偽勇者「……俺の故郷である煮込み料理だ、材料は創造した故に味の保障は出来ん」

    「そもそも、俺が他の者のために料理をするなど一度も経験がないのだ」

クラリス「……でも美味しそうな匂いです」


ボクはスプーンで「肉じゃが」を掬い上げて口に運ぶ。

そして、ゆっくりと味わい咀嚼する―――


クラリス「……美味しいです! あにさん、この「肉じゃが」とても美味しいですよ!」

偽勇者「……そうか?」

クラリス「はい! 本当に美味しいです、作り方を教えてください!」


本当に美味しい……

高級とか材料が良いとかそう言うものじゃなくて―――こう、心が温かくなるというのですか。

とにかく、あにさんの「肉じゃが」は美味しいってことです。


偽勇者「……………」

    「……それは良かった」

    「御代わりはいるか……?」

クラリス「おかわりください!」


ボクは空になったお椀をあにさんに渡す。

そして、そのお椀に肉じゃがを入れてくれるあにさん……

何となくあにさんの声が、いつもよりも優しく聞こえるのは気のせいじゃないでしょう。


偽勇者「……御代わりだ」

クラリス「ありがとうございます!」

     「あにさん、ボクと結婚して毎日ボクのために料理を作ってください!!」


――― スコン ―――


痛い……


偽勇者「……調子に乗るな、馬鹿者」


……調子に乗って告白してしまったけど、軽くあしらわれてしまったようです。

でも、ボクは諦めませんよ。


飯+風呂いってきたー+舌噛んだ~


偽勇者「……作り方」

クラリス「……え?」

偽勇者「近い内に教えてやる」

    「教えてほしいのだろう……?」

クラリス「……はいっ♪」

     「絶対に教えてくださいね? 約束ですよ?」

偽勇者「ああ、約束だ」

クラリス「わーいっ♪」


あにさんと約束―――肉じゃがの作り方以外にも色々教えてもらいましょう。

何時か、ボクの料理も御馳走してあにさんに気に入ってもらうんだ。


【クラリスからあにさんに質問】

↓2~3


※変な質問は駄目やで

そういえばあにさんの故郷ってどんなところなんですか?

あにさんの故郷って美味しいものがいっぱい何ですか?

>>465 >>466』やね、故郷の説明か……

今日も野営で、一晩過ごしますが……

この野営が日々の楽しみの一つになってます。

だってあにさんに修行をしてもらったり、ボクの知らないことを質問したり―――

―――とても楽しい毎日です。


クラリス「そう言えばあにさんの故郷ってどんな所なんですか?」


前々から気になっていたあにさんの故郷……

一度は言ってみたいです。


偽勇者「……………」

    「俺の故郷か……」


あにさんは、何を考えているのか。

夜空を眺めゆっくりと話す。


偽勇者「……とても便利な国さ」

    「便利で便利で―――心が腐るぐらいのな」

クラリス「……………」


便利で…… 心が腐る……?


偽勇者「生物は楽を覚えると殆どが、楽に身を預けてしまう……」

    「楽ばかりに浸かり過ぎると心が腐り駄目になってしまう……」

    「更に腐った者は他の者も招き寄せ共倒れにするから恐ろしい……」


あにさんの故郷は治安が悪いのかな―――


偽勇者「……まあ、全てが全て駄目ではない」

    「捨てるイリアス様あれば拾うイリアス様あり」

    「例え、見捨てられても助けてくれる者がいるものだ」

    「……日本」

    「我が故郷はそんな所なのさ……」


クラリス「……あにさんみたいな方々がたくさんいる素敵な所ですね♪」

偽勇者「……俺はそんな良い奴ではない」

    「寧ろ腐った方―――」


……また、あにさん。


クラリス「あーにーさーんーっ!!」

偽勇者「……っ!」

クラリス「―――っ!」


【クラリスのセリフ】

↓2

あにさんはボクを助けてくれたから少なくとも腐ってるとは言えないです

締切で『>>468』にするわ

クラリス「あーにーさーんーっ!!」

偽勇者「……っ!」

クラリス「あにさんはボクを助けてくれたから少なくとも腐ってるとは言えないですっ!」

偽勇者「……………」

    「……ふん」


……はあ、あにさんの悪いクセですね。

いつも自分を卑屈にする……


クラリス「……ごほん!」

     「そのあにさんの故郷って美味しいものがいっぱい何ですか?」

     「先ほどの「肉じゃが」も、故郷の煮込み料理だって言ってましたよね?」

偽勇者「……ああ、美味いものはたくさんある。 個人の好みもあるが……」

    「スシ、テンプラ、オソバ、スキヤキ、ラーメン、チャーハン、キムチ……」

    「俺ですら全てを把握していない程だ」


スシって何でしょう、テンプラって何でしょう、オソバって何でしょう……

食べてみたいです!


クラリス「全部、食べてみたいです!」

偽勇者「……………」

    「ふははははっ……!」

    「太るぞ」

クラリス「っ!?」

――――
―――――
――――――


【どする?】

○もう少し偽勇者とクラリス

○次に進める

↓2

『次に進める』やね


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

そして、さらに東へと向かう僕達。

あと数日ほどで、グランドノア城に到着するはずだ―――


ルカ「うわぁ、綺麗な川だなぁ……」


さすがは自然の美しいノア地方、心の安まる風景が広がっている。


アリス「安らいでいる場合か、ドアホめ」

    「今も魔物どもが、美味そうな貴様を虎視眈々と狙っているぞ……」

ルカ「え……?」


周囲を見回すと―――

川の中から、複数の魔物が姿を見せた!


カエル娘達が現れた!


カエル娘A「あはは、人間だ~♪」

カエル娘B「精子を搾り取って、餌にして差し上げますわ……」


ぬらぬらした肢体を見せ付けながら、二体の魔物が襲い掛かってくる。

いやー――相手は二体だけではない。

川の中では、さらに複数の仲間が控えて様子をうかがっているようだ。


ルカ「人を襲う魔物なら、僕が相手になる!」


カエル娘達を前に、僕は剣を抜いた!

………………
…………
……


……
………
…………

ルカの攻撃!

カエル娘Aは―――のタメージを受けた!


カエル娘A「きゃぁぁ……! 何よこれぇ……!」


カエル娘Aは、小さなアマガエルの姿になった!


カエル娘B「ひっ……! た、助けて……!」


カエル娘Bは逃げ出した!


カエル娘達をやっつけた!


ルカ「ふぅ……」

アリス「なんだ、やけに浮かない顔をしているな」

    「腹でも減ったのか……?」

ルカ「いつも腹が減ってるのはお前だろ」

   「なんだか、最近はSPの不足を感じるんだよ」

   「やりたい事がいっぱいあって、SPがすぐなくなっちゃうんだ……」

アリス「ふむ……手数が増えてきた分、SPのやりくりに苦慮するか」

    「まあ、それも力を得たがゆえの悩み。貴様は確かに進歩しているな」

ルカ「今日はやけに持ち上げるな……」

   「やっぱり、お腹が減ってるのか?」

アリス「ドアホめ、たまには余も褒めて伸ばすのだ!」

    「……それはともかく、少しおさらいしてみるか」

    「まず、シルフの力」

………………
…………
……


………――――【シルフの力】――――………


アリス「周囲に風を巻き起こし、敵の攻撃をたまに防いでくれる」

    「特に植物系の敵とは相性が良く、多くの攻撃を防いでくれるぞ」

ルカ「他にも、ステータス異常系の攻撃もかなり防いでくれるよね」

アリス「うむ、その通り」

    「状態異常技を使う敵にも、シルフは有効という事だ」

    「そして、得たばかりのノームの力」


………――――【ノームの力】――――………


アリス「大地の剛力を生み出し、敵の拘束を簡単に振り解くことができるのだ」

ルカ「拘束攻撃が強力そうな敵に、相性が良い感じだね」

   「敵によって、どちらを呼ぶか判断しないといけないわけか……」

アリス「どちらも呼ばず、SPを全て剣技に費やすという戦法もある」


………――――【物理の力】――――………


アリス「敵の厄介な攻撃を食らう前に、速攻でカタを付けるやり方だな」

    「かなり危なっかしいが、状況によってはやってみる価値もある」

ルカ「守りを捨て、ひたすら攻撃あるのみ……っていう戦い方だね」

アリス「あまり薦められんが、そういう手もあることを覚えておけ」

    「まあ、余からのアドバイスはこんなところだな」


……
………
…………

ルカ「よく分かったよ。 ありがとう、アリス」

アリス「ふん……」


アリスの助言により、あらためて戦法を再確認する僕だった。

そして、その足を再び東に向けたのである―――

――――
―――――
――――――

――――――
―――――
――――

ルカ「この分だと、今日中にグランドノア城に着くね」

   「今夜は柔らかいベッドで眠れるかな……」

アリス「コロシアムの「パワーもりもり弁当」とやら、楽しみだな……」


そんな会話を交わしながら、僕達はノア地方の平野を行く。

しかしどこに行っても、魔物は道を遮ってくるのだった。


アルラウネが現れた!


アルラウネ「あははっ、おいしそうな人間です♪」

      「精液、じゅるじゅる吸い取っちゃいますね……♪」

ルカ「そんな事、させるもんか!」


有無を言わさず襲ってくるアルラウネに対し、僕は剣を構えた!

………………
…………
……

……
………
…………

ルカは、無数の斬撃を繰り出した!

アルラウネは―――のダメージを受けた!

アルラウネは―――のダメージを受けた!

アルラウネは―――のダメージを受けた!

アルラウネは―――のダメージを受けた!

アルラウネは―――のダメージを受けた!


アルラウネ「ふわぁぁぁ……」


アルラウネの姿が消え、一輪の花となった!


アルラウネをやっつけた!


ルカ「ふぅ……僕も随分と腕を上げたもんだなぁ」

アリス「ドアホめ、何を抜かしておるか」

    「精霊の力もまだ満足に扱えん貴様など、未熟もいいところだ」

ルカ「わ、分かってるよ……」


アリスの言葉に反応し、僕の心の中で変な二人が形を成した。


シルフ「あたし達も、いっぱいがんばるよ!」

    「がんばろうね、ノームちゃん♪」


――― バシィ! ―――


シルフ「ひゃん!」


ルカ「おいおい、あんまりシルフをいじめるなよ……」


ともかく、まだまだ僕は未熟という事らしい。

力不足を痛感しながらも、僕はグランドノア城へと向かうのだった。

――――
―――――
――――――


飯+α!

キムチは日本料理じゃないでしょ今更だけど

>>488』気にしたら、キムチを食う刑や

――――――
―――――
――――

グランドノア城もいよいよ目前の平野。

整備された街道を進んでいると―――

おそらくグランドノアから来たであろう、一人のシスターに遭遇した。


シスター「あら、ずいぶんとお若い旅の方ですね」

     「少しばかり、今後の旅の安全をイリアス様に祈りましょうか?」

ルカ「ええ、ぜひ一緒に祈りを……」

アリス「……………」


おもむろに、アリスは僕を遮った。


アリス「そこの貴様、いったい何の真似なのだ?」

    「悪趣味な変装を解き、正体を現すがいい……」

シスター「あら、お分かりになりましたか……」


シスターはそう呟き、そして正体を現した!


シスターラミアが現れた!


ルカ「くっ、モンスターだったのか!」


正体を現した魔物を前に、僕は慌てて剣を抜いた―――


シスターラミア「……お待ち下さい、私は人間に敵対する者ではありません」

ルカ「え……?」


確かに、目の前の魔物に敵意はないようだ。

僕は自分のそそっかしさを恥じながら、静かに剣を納めた。


ルカ「ご、ごめんなさい……」

   「でも、なぜ魔物がシスターの格好を?」

シスターラミア「格好だけではありませんよ」

        「私は、身も心もイリアス様の忠実な信徒たるよう心掛けております」

ルカ「でも、イリアス様は魔物を……」

シスターラミア「ええ、確かにイリアス様は魔物をお嫌いになられます」

        「しかし私は魔物ながら、イリアス様の慈愛に満ちた教えに心惹かれました」

        「ごく少数ではありますが、そういう魔物もいるのですよ」

ルカ「そうだったんですか、知りませんでした……」


まさか魔物にもイリアス様の信徒がいるなど、思いもしなかった。

当のイリアス様が魔物をお嫌いになる以上、色々と辛い事もあるだろう。

でも、どんな苦難にも負けずにがんばってほしいものだ。


シスターラミア「そういうわけで、魔物の身ながら伝道活動を行っているのです」

        「今は南に向かうところだったので、人の姿を偽らなければなりませんでした」

ルカ「南に向かうから、人の姿に化けた……」

   「……って事は、この辺だと人の姿でなくてもいいんですか?」

シスターラミア「北方は初めてのようですね、旅の方」

        「グランドノアはもちろん、周囲の町や村にも多数の魔物が暮らしています」

        「多少の偏見こそあれ、人間に混じって暮らす魔物は珍しくありませんよ」

ルカ「そ、そうなんですか……」

   「ノア地方は、モンスターの排斥思想は薄いと聞いていたけど……」


自然を愛し、そして共生するノア地方の人々。

そのおおらかな心は、魔物をも受け入れているようだ。


シスターラミア「ですので、そこの女の方も……蛇の妖魔でしょう?」

        「このノア地方では、正体を隠す必要などありませんよ」

アリス「ふむ、そうなのか……」


町も近いので、アリスも人間の姿をしていたが―――

どうやら、ノア地方では無用な心配ということらしい。


シスターラミア「では私は、これにて失礼します」

        「お二方も、イリアス様のご加護のあらん事を……」


ルカ「ええ、そちらも」

アリス「イリアスの加護などいらんわ、ドアホめ」


こうして、信心深いラミアは去っていく。

僕は、目を細めながらその背中を見送ったのだった。


ルカ「ノア地方じゃあ、人と魔物の共存は上手くいってるんだね」

   「なんだかとっても嬉しくなってくるよ」


僕の理想は、人間と魔物の共存。

このノア地方では、それがかなり実現しているようだ。


アリス「しかし、イリアスを信仰する魔物までいたとはな……」

ルカ「やっぱり、いい気はしないかい?」

アリス「……別に。何を信じるかは個人の自由だ」

    「それはともかく、姿を偽らなくても済むのは面倒がなくて良いな」

ルカ「じゃあ、行こう!」


元の姿に戻ったアリスと共に、僕はグランドノア城への道を軽やかに進んだのだった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「うわぁ……」


僕が目にしたのは、これまで思いもしなかった光景だった。

普通の人間に混ざり、一見して魔物と分かる者が通りを行き交っている。

三分の一は男性、三分の一は女性、残る三分の一は魔物といったところか。

彼女達は、ごく当たり前のようにこの町で生活しているように見えた。


アリス「……なんと、こうまで魔物が馴染んでいるとはな」

    「話には聞いていたが、ここまで開放的だとは……」


かくいうアリスも魔物の姿をさらしているが、特に気にする人はいない。


ルカ「すごいね、ここまで人間と魔物が共同生活してるなんて……」


ナタリアポートでは人間と人魚が共存していたが、あくまで人魚のみ。

ここグランドノアでは、魔物の種族すら問題ではないようだ。

人間と魔物が共存する世界が、僕の理想。

このグランドノアは、まさに理想そのものであるのだ。


アリス「……どういう気分だ、ルカ?」

    「己が理想とする社会を目の前にして嬉しいか?」

    「それとも……」

    「自分の理想がすでに実現されているのを見て、拍子抜けしたか?」

ルカ「いいや、拍子抜けなんてするもんか」

   「こういう光景が、世界のどの町や村ででも見られるようにしないとね」


いつかは、そんな世界を築くと誓う僕だった。

さて、宿を探す前に情報収集でもするか―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<次はたぶん休みや……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|;-ω-)<やらんけどな……

大阪|;・ω-)<ここ数日出来んかった言い訳やけど―――冷蔵庫・テレビ・エアコン×2が壊れたからやけん。

大阪|;-ω-)<家電が一気に壊れるんは本当やった……

大阪|´・ω・)<やからいつ出来るかはワイにも分からんねん、ごめんな。

大阪|´・ω-)<でも、近い内にはやるわ。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:熱中症・脱水症状のコンボが怖かったわ。

神様、マジでワイをキルやな。

―――[ステータス]
名 前:偽勇者(偽名:シャニセ・ユウ)   称 号:勇者(未洗礼者)
種 族:人間(異形)              性 別:男
HP:131169 /131169+炎
MP:1258/629+樹

攻撃力:1036/518+獣            ☆:ロトの剣     [呪]
守備力:982/491+音            ☆:トロの剣     [呪]
素早さ:982/491+水             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
賢さ:‐‐‐/‐‐‐+石              ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

宝玉の力:勇者の能力を得る        ☆:ロトの盾     [呪]
魔導書[DQ]:全呪文体系・特技を得る   ☆:ロトの兜     [呪]
マナスティス:将魔の能力を得る      ☆:ロトの鎧     [呪]
黒色の宝玉:――― を得る         ☆:ロトの籠手    [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:死神の首飾り [呪]

???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:呪いのベルト  [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――
体術:最強打        ‐‐   体術:三龍旋      ‐‐
剣技:ロトの一撃      ‐‐   剣術:トロの一撃    ‐‐
剣技:大地斬        ‐‐   剣技:海波斬       ‐‐
剣技:空裂斬        ‐‐   雷術:エビルデイン   ‐‐

星術:コメットフォール   ‐‐   星術:メガボルト     ‐‐
禁術:DQ           ‐‐   超術:超現象       ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐   ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐    ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【ロトの剣 [呪]:攻158(+120)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる剣。
魔神の血の祝福によって―――
“皆殺しの剣”の力と性能を得ている。

☆【トロの剣 [呪]:攻130(+110)】
外見はそのままロトの剣の色違いである。
常に物理・魔法攻撃を1.3倍にしてくれる究極性能の武器である。
しかし、長いこと物置に放置されていたので―――
“はかぶさの剣”の力と性能を得ている。

☆【ロトの盾 [呪]:防39(+42)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる盾。
魔神の血の祝福によって―――
“嘆きの盾”の力と性能を得ている。

☆【ロトの兜 [呪]:防42(+255)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる兜。
『幻惑』『麻痺』『即死』に耐性がある。
魔神の血の祝福によって―――
“般若の面”の力と性能を得ている。

☆【ロトの鎧 [呪]:防82】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる鎧。
魔神の血の祝福によって―――

☆【ロトの籠手 [呪]:防25】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる籠手。
魔神の血の祝福によって―――

☆【呪いのベルト [呪]:???:】
太古の呪われたベルトで常に―――

☆【死神の首飾り [呪]:防6】
髑髏の付いた不気味な首飾りで―――

―――[持ち物:その他]
◆【合成の壺】
呪い専門の商人:ウラミからもらった、見た目古びた壺。
武器は武器、防具は防具と同じ物を合成する壺。

◆【焼きヒトデ】
味は薄味のウニミソ。
食べれる部分は、中の卵・胃袋・消化器官のみ。

◆【マデュライトの欠片】
見た目は赤紫色(厳密には中心部は紫で外周が赤みがかっている)をした結晶の欠片。
マ素(魔素ではなく)を多く含む鉱物である。


◆【生きた魔導具】
勾玉の形をしており、心音が聞こえてくる。
新たな魔導の力を得る可能性がある。

◆【女神の宝剣の欠片】
あらゆる魔物はひれ伏し、魔王さえ逃げ惑うという。
真の勇者が手にすべき剣「女神の宝剣」の欠片。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【キメラビーストの角】
プロメスティンの研究により生み出されたキメラモンスター。
一切の感情が伺えない無機質な悲しい生物の角である。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【母の形見の髪飾り】
リリィがいつも身に付けていた髪飾り。
母の思い出がいっぱい詰まった形見だ。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【土のクリスタル】
大地に恵みを与える力をもっている。
その力は凄まじく、砂漠と化した土地を一瞬に緑溢れる土地に変えてしまう。

◆【水のクリスタル】
世界中の水を綺麗にする力を持つ。
その力は凄まじく、生きとし生けるものの命を支える水を無限に出すことが出来る。

◆【死のオルゴール】
哀しいメロディーが流れる。
そして聴いた者の息の根を止める。

◆【危険な薬品や物質】
大量の『滅水銀』『ヒドゥン反応薬』『ネクロゾル』『黄泉の薔薇』『愚者の石』等々。
普通の術士クラスでは、とうてい扱えん危険物。

◆【―――リング】
鉱物か殻で出来ているか分からないリング。
恐ろしい力を持っている。

◆【復活の杖】
先端に創世の女神イリアスを象られた形状が特徴的な杖。
死者を蘇らせる力を持つ。

―――[宝玉の力]
○【金色の宝玉】:???
○【銀色の宝玉】:???
○【青色の宝玉】:魔法と炎のダメージを軽減し、ダメージ床・マホトーンを無効化し、歩くほどに体力が回復する(某DQ)

―――[黒色の宝玉]
○???

―――[魔導書]
○DQに存在する全呪文体系・特技を得る。

―――[マナスティス]
○水の将魔:膨大なる素早さと水のみ完全耐性(常に先手/水系完全無効)
○獣の将魔:膨大なる攻撃力(攻撃力2倍)
○音の将魔:膨大なる守備力と音のみ完全耐性(守備力2倍/音系完全無効)
○石の将魔:膨大なる耐性(全ステータス異常無効/全低下系無効)
○樹の将魔:膨大なる魔力(魔力2倍)
○炎の将魔:膨大なる生命力と炎のみ完全防御(万越え/炎系完全無効)

―――[全身の刺青]
○『この世全ての悪』を現す呪い。

―――[料理の腕]
○お金取れるぐらい美味い。

―――[ロト装備:カラーリンク]
黒と金色。

―――[武具:性能]
○皆殺しの剣:全体攻撃ができる。
○はかぶさの剣:2回攻撃ができる。
○嘆きの盾:ダメージを半減し反射する。
○般若の面:史上最強の守備力を誇る。

―――[ステータス]
名 前:クラリス      称 号:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種 族:竜人族       性 別:女
HP:999/999        攻撃力:150/150
SP:10/10         防御力:28/28

―――[装備品]
☆:黄金のツメ       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:疾風のバンダナ    ☆:竜のお守り

☆:豪傑の腕輪       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
―――[その他]

大好物:お肉        大好き:あにさん
――――――――――――――――――――――――――――
―――[わざ]

体術:パンチ          0    体術:キック          1
体術:あびせ蹴り       3   体術:当て身投げ       2
体術:ドラゴンスクリュー   3   体術:ポカポカ        ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐    ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐
―――[モンスターわざ]

能力:百足蹂躙       ‐‐   能力:ねこだまし      ‐‐

能力:死の属性       ‐‐    能力:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐   ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【黄金のツメ:攻 55】
手甲がツタンカーメンのマスクのような形をしているツメ。

☆【疾風のバンダナ:防23】
風の魔力が込められ、虎のようないかしたデザインが格好いい。
頭に巻くと疾風のように素早く動けるようになる。

☆【竜のお守り:防5:オシャレ8】
炎や光の攻撃に強くなる。
武骨なお守りだが、クラリスの宝物。
理由は―――

☆【豪傑の腕輪:攻25】
攻撃力が上がる装飾品。

―――[持ち物:その他]
◆【木の棒】
そこら辺で拾った棒。
持ち手にはすべり止めの布が巻かれている。
人間程度が相手ならば護身用ぐらいにはなる。

◆【ボロ布】
ボロい布。

◆【チャドル】
頭から全身を覆うように着用する衣装。
布地はたっぷりと余裕をもたせているので、両目の部分以外は覆い隠されている。
腰の周りで結んで留めてある。

◆【種が入った袋】
数種類の果実の種が入った袋。
種だけでも美味しいらしい。


―――[偽勇者用:特別ルール]
○作中での「そのときふしぎな事が起こった」超現象(フェアリーをタイタニア化・クラリスの目の治療など)
○一部設定変更有
○一部設定だけ!
○00は100扱いである。
○超増えるかもしれん

―――[クラリス用:特別ルール(仮)]
○雑魚敵のみ弱体化+ダメージ増
○WP等の数値は、宿(一つのイベントが終了するか)で回復可能
○戦闘後、能力値アップ
○増えるかもしれん


大阪|・ω・)<冷蔵庫を購入したわ。

大阪|-ω-)<一様、更新したステータス表でも貼っておくわな。

大阪|´・ω・)<あと、クラリスの戦闘系コンマ無くすかもしれん。

大阪|;-ω-)<コンマだけで、レス食うのもなんやしな。

大阪|´-ω-)<まあ、皆はんのお応え次第やけどな(技とかはその名残や)


(´・ω・`)<結局はワイの文次第ってことやね、ああ怖……


大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


(最初と比べてかなり違ってるんわ、創作物には付きもんや、許してや!)


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|・ω・)<少しだけやるで~


――――――
―――――
――――

―――『クラリス』


クラリス「うわぁ……」


ボクが目にしたのは、風の便り通りの光景だ。

魔物達の中で噂の種として広まっていた人間と魔物が共同生活している町グランドノア……

噂以上に人間と魔物達が同じ町で生活しており、あまりトラブルはないようだ。

正直、この目で見るまでは何処かの魔物が作ったデマと思っていた。


……――― ギリギリッ…… ―――……


ボクは試しにチャドルの頭部分を脱いでも、特に気にしている人間はいないようだ。

チャドルは姿を隠すのには丁度いいが、地域によっては暑くて仕方なかったりする。


クラリス「はぁ…… 風が涼しいです……」


……――― ギリリッ…… ―――……


あにさんと同じような、勇者を目指している人達もいますがあまり警戒はしていないようです。


戦士「コ、コロシアム……」

   「働いて…… お金貯めて……」


うんうん、とても働き者で強そうな戦士です―――あにさんが一番ですけどね!

……だから、あにさん。


クラリス「……怒りを鎮めてください、お願いします」

偽勇者「……………」


あにさんが何故、こんなにも怒りに震えているのか分かりません。

……少し怖いです。




クラリス「あ、あにさん!」

     「せっかく、グランドノアに来たのですから情報でも集めましょうよ!」

     「情報収集は、旅の基本でしょ……?」

偽勇者「……そうだな」


あにさんは、その場から歩を進め始めた。

怒りは少しだけ治まったようですが―――ひやひやしますよ……

さて、情報収集の時間です!


【クラリス視点からの情報収集】

○おじさんと話す

○青年と話す

○町娘と話す

○若い女性と話す

○貴族の女性と話す

○戦士Bと話す

○魔物と話す

○武器屋に行く

○道具屋に行く

○その他


『魔物』やね

魔物「……………」

   「……面白いことないかな?」

   「なぁ、ヒマならば遊ばないか?」

クラリス「いえ、ヒマではないです」

     「この町に辿り着いたばかりですから……」

魔物「……そか~」


【魔物に質問あるん?】

○ある(どんな質問なん?)

○ないで


『コロシアム』やね

クラリス「あの~……」

魔物「……ん?」

   「やっぱり遊ぶ……?」

クラリス「いえ、コロシアムのことでお聞きしたいことが……」

魔物「……コロシアムか~」

   「いいよね、コロシアム…… チケット高いけど」

クラリス「そのコロシアムの情報が欲しいのですが―――」

魔物「コロシアムって言っても、観客は若い娘や女性ばかり」

   「そして、選手は人間と魔物の戦士が多いね……」

   「真剣勝負は魔物同士なら盛り上がるけど~……」

   「人間と魔物となるとね~……」

   「まあ、観戦チケット購入して見たほうが10を理解できるよ」

クラリス「……はあ」


あまり多くの情報は手に入らなかったけど―――真剣勝負ですか。

ボクもコロシアムに出場してみたいです!


【クラリス視点からの情報収集】

○おじさんと話す

○青年と話す

○町娘と話す

○若い女性と話す

○貴族の女性と話す

○戦士Bと話す

○武器屋に行く

○道具屋に行く

○その他


(飯+αのため、まとめて募集するで)


↓2~4(質問も一緒にお願いするで)

道具屋

町娘

若い女性


大阪|・ω・)ノシ<ただいや~

>>519 >>520 >>521』やね、都合により順番と質問を再募集するで!

町娘「もうすぐ、楽しみにしていた試合があるの」

   「朝からコロシアムに行って、席をキープしないとね」

クラリス「へえー、戦いに興味あるんですね」

町娘「いいえ、戦いそのものは別に……」

   「でも……うふふふふっ」

   「あなたも可愛いし、コロシアムに出てみればどう?」

   「人気者になれるかもよ?」

クラリス「そ、そうですか……?」


【町娘に質問類】

○ある(質問内容は?)

○ないん


時間勿体ないから自動的に『ないん』やね


若い女性「魔物なんて、大嫌い!」

     「こんな町、とっとと出てってやるわ!」

クラリス「あまり穏やかじゃないようで……」

     「情報収集できるかな……」


【若い女性に質問―――】

○ある(どんな質問?)

○ない


何か嫌なことでもあったのですか?

>>528』やね

クラリス「何か嫌なことでもあったのですか?」

若い女性「嫌なことも何も―――君に八つ当たりしても仕方ないわね……」

     「いい? 貴女は絶対にお腹が空いたからって人の彼氏を襲っちゃ駄目よ?」

     「 い い わ ね ? 」

クラリス「は、はい……」


あにさんとは別の意味で怖い人だな……

『道具屋』やで~

エルフ「いらっしゃい、エルフの道具屋にようこそ」

クラリス「……わあ」


エルフの道具屋―――「森の守り主」と称される亜人系の魔物で各地の森に住んでいる。

特にエルフの作成したマジックアイテムや道具は他の道具とは比べ物にならないらしい。


クラリス「いっぱい並んでるな……」

エルフ「あら、お店に入るのは初めてかしら?」

クラリス「はい、エルフのお店は初めてです!」


エルフが経営するお店なんてそれこそ、エルフが住む森の何処かにしかないであろう。

町の中で購入できるなんて普通ではありえないことです。


エルフ「うふふ……」

    「元気が良い魔物ね、どの商品をお求めかな?」

クラリス「……えっと、そうですね」


ボクは―――


○あにさんのプレゼント

○その他

↓2

『プレゼント』やね

ボクは―――あにさんのプレゼントを購入することに決めました。

ボクには、あにさんから頂いた大事な宝物がありますもん……///

ですが、あにさんが欲しがりそうな物ってどのような物でしょうかね?


クラリス「どれがいいですか…… あれがいいですかね?」


ボクはエルフさんに頼んで指さした物を、取ってもらいます。

確か、あにさんはあんなのが好きなはず―――確認してから購入しますが……


エルフ「これかしら?」

クラリス「はい、それでお願いします」


エルフさんから取っていただいた品物をチェックします。

品物はチェックしてから購入しましょうね!


クラリス「えっと……」

     「FIN-- ---TASY……?」


……あにさんが、教えてくれた「にほんご」ってやつでしょうか。

あにさんは喜んでくれるでしょうかね……?


エルフ「以上でよろしいですか?」

クラリス「……あれもお願いします」


念のために、あれも購入しときましょう。


エルフ「毎度あり♪」


【クラリスが購入したのは謎の本と―――(普通のアクセサリーでおね)】

↓2


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

安価内なら↓やで


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|・ω・)<少しだけやるで~

『ブレスレット』やね

―――『クラリス』

ボクは「日本語」で書かれている本とブレスレットを購入する。

どちらも中々なお値段で、お財布が痩せてしまった―――でも、あにさんの喜ぶ顔を見れるなら安いものです♪

……そう言えば、ボクはあにさんの素顔をハッキリと見たことはありません。

今でも、変な黒いモヤがあにさんの素顔を隠していますので、あにさんの謎が広がります。


クラリス「……いつか見れるといいのですが―――ん?」


ボクはチラリと見た先は、魔物用のアクセサリー。

どうやら、尻尾に付けるタイプのリボンのようでとても可愛いです。


クラリス「……………」


今や痩せてしまった相棒を開いて覗きますが、リボンは中々に高価で逆立ちしても足らないです……


クラリス「……………」


あにさんのプレゼントを買えて嬉しさ半分、可愛いアクセサリーが買えなくて残念半分。

妙な気分でお店を後にしました―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

そろそろ日が暮れる―――あにさんが予約した宿屋に戻らないと―――

―――とその時……


――― ドンッ ―――


クラリス「あたっ」


空を眺めながら歩いていたせいで、如何やら他の方にぶつかってしまったようです。

尻もちを付いてしまいました……


ルカ「あっと、ごめん!」

   「大丈夫かい?」

クラリス「はい、大丈夫です!」


ボクは、男の子の手を取り立ち上がると砂埃を掃う。


クラリス「あ、こちらもぶつかってしまって申し訳ありません……」

ルカ「いや、僕は大丈夫だよ」


ぶつかった相手は……

少しショタっぽく背が低めな「おにいちゃん」と、怖そうなラミアタイプの魔物だ。

身に付けているマントや靴の磨り減り具合からすると、かなりの実力を持つ旅人のようだ。

隣にいる魔物も見た目が強そうで、気が強そうだ。


ルカ「えっと、少しいいかな?」

クラリス「はい?」

ルカ「この町のことで―――」

クラリス「すいません、ボクも先程に到着したばかりで……」

ルカ「そうなんだ」


この方は「ルカ」という人間で、人間と魔物の共存の理想のために旅をしていて隣の怖そうな「お姉さん」も、旅の途中で出会ったようだ。

……しかし、お姉さんはグルメ目的で旅をしているのでルカさんの理想に共感した訳ではなさそうだ。


ルカ「―――?」

クラリス「えっと……」


【ルカきゅんが、クラリスに訊いたことは?】

↓2

人間と魔物の統一王となる御子の所在について


>>544|´・ω・`)<えっと、よう意味が分からんのやけども……

|´・ω・`)<もう少し分かりやすくしてや

1:10過ぎたら再安価↓1

『クラリスの旅の話を訊いた』やね


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソーリ|・ω・)<……

『クラリスの旅の話を訊いた』やね

ルカ「クラリスの旅の話も訊かせてくれないかい?」

クラリス「えっと……」


ボクは、ルカさんと旅のお話をしました。

長い砂漠での旅、今まで体験しなかった当たり前の感覚など―――そのお話でルカさんが食いついたのは、あにさんがボクの目を治してくれた話です。

やはり、人間と魔物の共存を目指すだけあり人間が魔物の傷を治す話はとても驚きのようです。


ルカ「凄い…… それに、その人は素晴らしいと思うよ」

アリス「ノア地方ならあり得るかもしれんが……」

    「ナタリア地方とサフィーナ地方の中間での話なら、信じられぬが―――」


旅のグルメ―――アリスさんは、徐にボクの目を覗き込みました。

第一印象は、怖そうな魔物でしたが、ボクの目を覗き込む仕草はとても優しかったです。

……アリスさんも、心優しい方だと改めて思いました。


アリス「……ふむ、確かに何かによって治した力が感じられる」

    「……良かったな、クラリス」


アリスさんは、微笑みボクの頭を撫でてくれました―――あにさん以外の方に撫でられるのは初めてですが……

……意外に悪くなかったです。


ルカ「是非とも一度、その方に会ってみたいな」


あにさんに会ってみたいですか―――それは……


クラリス「難しいと思いますよ」

ルカ「え……?」


ルカさんはきょとんとした顔してますが、まあ会うだけなら何の問題は無いと思いますが……


クラリス「あにさんは、少し気分が悪いのでお互いイヤな気分になるかと……」

ルカ「そっか…… それなら仕方ないか……」

クラリス「すいません……」

ルカ「いや、クラリスが謝ることはないよ、また日を改めるよ」


……すいませんルカさん。

あにさんは、人間と魔物の共存を望んだ方では無いのです。

もし、お互いに出会うことになれば―――


クラリス「では、ルカさんとアリスさん」

     「短い間ですが、楽しいお話ができて良かったです」

ルカ「こちらこそ、楽しい時間をありがとう」

   「今度出会うことがあれば、そのあにさんと一緒に……」


……一緒にですか。


クラリス「ええ、叶うなら一緒にお茶でも……」

     「それか、あにさんの手料理もどうですか?」

     「あにさんの手料理は、とっっっっっっても美味しいんです!!」


アリス「……ほう」

    「ならば、ぜひとも味わなければならぬな……」

ルカ「……お前は」

クラリス「あはは……」


そして、ボクはルカさんと別れてあにさんが予約した宿屋に歩を進めます。

……あにさん、ボクのプレゼントを喜んでくれますかね?

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

僕は、クラリスの背を見送った。

人間と魔物のコンビ―――まさか、僕以外にもいたなんて……


ルカ「……「シャニセ・ユウ」さんか」

   「是非とも会ってみたかったな……」

アリス「……どういう気分だ、ルカ?」

    「己以外の者が、魔物と行動を共にする事実は?」

    「ガッカリしたか? それとも……」

ルカ「いいや、ガッカリなんかするもんか」

   「人間と魔物が共に行動する世界が、ノア地方以外でも見られるようになれば嬉しいさ」


いつかは、そんな世界が訪れる。

その世界が、僕かユウさんが築くかは分からないけれど必ず……

さて、日も沈むし何度か情報収集したら宿を探すか―――


【情報収集やね、どれから済ますん?】

○道具屋

○アルラウネの花屋

○情報屋


『アルラウネの花屋』やね

アルラウネの花屋「アルラウネのお花屋さんですよ~♪」

         「そこの旅人さん、お花はいかがですか~?」

ルカ「じゃあ、もらおうかな……」


「アルラウネの花」を手に入れた!


アリス「では、さっそく味見を……」

ルカ「おいおい、食べちゃだめだよ……」

アルラウネの花屋「新鮮なうちに召し上がって下さいね~♪」

ルカ「えっ!? 食べるものなの……!?」


【情報収集やね、どれから済ますん?】

○道具屋

○情報屋


『道具屋』やね

エルフ「いらっしゃい、エルフの道具屋にようこそ」

    「……あら? そんなに、魔物の店は珍しい?」

ルカ「は、はい……」

エルフ「南からの旅人は、みんな驚くみたいね」

    「たしかに南の方の町じゃ、人と魔物が共存してるところなんてないから」

ルカ「はい……でも、この町は素晴らしいと思います」

エルフ「ええ、私もこの町は好きよ」

    「野山で暮らすよりは、人里で商売するのが性に合ってるみたい」

    「でも、グランゴルド城ではさらに進んだ共存社会が確立されてるって噂よ」

    「そこでは、人と魔物の完全共生が行われてるんだとか」

ルカ「ここよりも、さらに進歩してるんですか……?」


人間と魔物の、さらなる共存社会。

いったい、それはどんな光景なんだろうか。

ゴルド地方も、サラマンダーに会いに行く際に訪れる地。

グランゴルド城に行くのが、今から非常に楽しみだ。


アリス「おい、ルカ…… あれ、ほしい……」


おもむろに、くいくいと袖を引くアリス。


ルカ「……ん? 今度は何が食べたいんだ……?」

アリス「……食べ物じゃない。ほら、あれ……」


アリスが指さした先は、魔物用のアクセサリー。

尻尾に付けるリボンに、眼を奪われている様子だ。


アリス「……………」

ルカ「……欲しいの?」

アリス「……………」


小さな子のように、こくりと頷くアリス。

……やれやれ、仕方ないなぁ。


アリス「………♪」


尻尾に小さなリボンを付け、ぴこぴこと振って満足そうなアリスだった。

意外に高価で、予想外の出費だったけど―――

喜んでいるみたいだし、まあいいか。

残り『情報屋』やね

情報屋「ふふっ、今日は良い情報があるわ……」

ルカ「いやいや…… 待て待て……」

   「お前、アミラだろ」


残念なラミアが現れた!


アミラ「良く見破ったわね…… さすが勇者様」

    「私は残念なラミア、アミラ」

ルカ「お前…… サバサ城の牢屋にいたんじゃないのか?」

アミラ「ムリヤリ追い出されたのよ」

    「しょせん私に、安息の地なんてない……」


勝手に居座って三食要求してたら、そりゃ追い出されるだろ。


ルカ「それで、良い情報ってのは?」

アミラ「以前、ウンディーネとサラマンダーの情報を依頼したでしょう?」

    「ウンディーネの情報は、色々と集まったわ」

    「ここから西の森に、「ウンディーネの泉」と呼ばれる小さな泉があるの」


ルカ「ウンディーネの泉……そのままの名前だな」

アミラ「このグランドノアの人達からは、「禁忌の泉」とも呼ばれているみたい」

    「古文書によれば、その泉でウンディーネの姿が見られたらしいわ」

    「でも、それは精霊信仰のあった五百年くらい前までのこと……」

    「今では、そんな目撃証言は私の耳にも聞こえてこないわ」

ルカ「なるほど、昔はその泉にウンディーネがいたらしいのか」

   「ノームと時と同じような感じだな」

アミラ「そのウンディーネの泉に関して、気になる情報があるんだけど……」

    「泉の地下は、ダンジョンになっているっていう噂があるのよ」

ルカ「ダンジョン……? 泉の地下が……?」

アミラ「あくまで真偽は不明、ただの噂話よ」

    「でも、ウンディーネの泉に行って帰って来なかった人は多いみたい」

    「先月も、禁を破ってウンディーネの泉に釣りに行った男性が戻って来なかったとか……」

ルカ「なるほど……」


確かに、ウンディーネの泉とやらには何かありそうだな。

アミラ「ウンディーネに関しての情報は、こんな感じかしら」

    「残るサラマンダーの情報は、ここではあまり集まらないの」

    「やっぱり、サラマンダー信仰の中心地だったゴルド地方に行かないとダメみたい」

    「そういうわけで、ゴルドに先回りしておくわ」

ルカ「本当にありがとう、アミラ」

   「色々と参考になったよ」


ルカ「それじゃあ、これまでの情報料を……」

アミラ「お金はいらないわ……」

    「その代わり、私のような魔物でも生きていける世界を築いて」

ルカ「アミラ……」

アミラ「私のような醜い魔物でも、ダラダラ生きていける世界を築いてほしい……」

    「私の望みはそれだけよ」

ルカ「「ダラダラ」って入ってるだけで、台無しだな……」

アミラ「それじゃあ私は、残念なラミアから普通の情報屋に戻るわね……」

ルカ「いや、どう見ても残念なラミアなんだけど……」

アミラ「では、グランゴルドでまた会いましょう」


そう言い残して、アミラは去ってしまった。


ルカ「アミラには、随分と世話になってるなぁ」

   「彼女のためにも、人と魔物が共存できる世界を作らないとね」

アリス「奴はもうすでに、この上なく人間に馴染んでいる気がするが……」


ルカ「それじゃあ、宿を探そうか」


野宿が長いこと続いたので、ふかふかのベッドで眠れるのがありがたい。

こうして僕達は、冒険者用の宿にチェックインしたのだった―――

――――
―――――
――――――

――――――
―――――
――――

―――『ルカ:冒険者用の宿』

ルカ「それにしても、ここはいい街だね」

アリス「……正直、余も驚いたぞ」

    「人間というものは、みな魔物を忌み嫌っているとばかり思っていたが……」

ルカ「このノア地方は豊穣な自然に包まれ、そして親しんできた大地だからね」

   「きっと人間と魔物も、古来から互いに親しんできたんだよ」

アリス「確かに、それもあるだろうが……」

    「北に行くにつれ、魔物が強くなっていくのも関係しているのだろうな」

    「人間が魔物を排斥しようにも、力関係の差ゆえに不可能という事情もあるのだろう」

ルカ「それにしては、魔物が力で人間を支配してるっていう雰囲気じゃないよ」

   「人間の側も、普通に魔物と親しんでいる感じだったじゃないか」

アリス「人間の町で暮らそうとする魔物など、そもそも変わり者揃い」

    「それなりに、人間の町が気に入っているのかもしれんな……」

ルカ「細かなトラブルはあっても、魔物との共存は成功してるじゃないか」

   「やっぱり、人間と魔物の共存は可能なんだよ」

アリス「ふむ、そうなのかもな」

    「これならば、あるいは―――」


アリスは腕を組み、珍しく僕に賛同するのだった。


ルカ「ところでアリス、全く関係ない事を聞いてもいいかな?」

アリス「……む? 何だ?」

ルカ「ずっと気になってたんだけど…… その髪の花、何なの?」

   「髪飾り? それとも、本物?」

アリス「これは、余の体の一部」

    「魔王たる余の肉体は、様々な生物の遺伝子を内包しているのだ」

    「しかしこの花、最近は養分をやっていないから元気がなくてな……」


アリスは僕の顔をまじまじと眺め―――

そして、にやりと不穏な笑みを浮かべた。


アリス「……この花にも、少し養分を与えてやるとするか」

    「もちろん、養分とは何か分かっているな……?」

ルカ「え……? うわっ……!」


おもむろにアリスの蛇体が僕の体に巻き付き、動きを封じてきた。

そのままズボンが下ろされ、股間にアリスの顔が近付いてくる―――


ルカ「な、何するんだ……!?」

アリス「言ったではないか……この花に、養分をやるとな」

    「たっぷりと貴様の精を吸わせて、元気にしてやらねば……」


アリスの髪が、まるで意志を持っているかのように動き出す。

その髪はしゅるしゅると僕のモノに巻き付き、絡め取ってきたのだ。


ルカ「あぅぅ……何だよ、それぇ……」


僕のモノが、サラサラした感覚に包まれていく。

くすぐったいような感覚が、僕のペニスを覆い包んでいくのだ。

そして髪のサラサラ感とは別の感覚が、じんわりと肉棒に与えられた。

まるでとろけてしまいそうな、甘い快感。

みるみる体の力が抜け、ペニスや腰が溶けてしまいそうだ―――


ルカ「な、なにこれ…… ふぁぁぁ……」

アリス「余の髪は、絡め取った者を恍惚に浸らせる効果があるのだ」

    「これを性器に巻き付けてやれば…… 男など、イチコロだな」

    「ほぉら…… 貴様のペニスが余の髪でぐるぐる巻きだぞ」

    「下半身が甘い快楽に包まれ、精液が漏れ出しそうだろう……?」

ルカ「ふぁぁぁぁぁ……」


ペニスが髪に巻き取られているだけで、とろけそうな快楽が与えられた。

肉棒の根本から先端まで、甘くふんわりした感覚に包まれているようだ。

アリスの髪にぐるぐる巻きにされているペニスを見ていると、このまま恍惚に身を委ねたくなる。

快楽に抗わず、脱力したまま精を漏らしたくなってしまう―――

しかし、僕の理性がそれをなんとか押しとどめていた。


ルカ「だ、ダメだよ…… こんな……」

アリス「くくっ…… 意地を張る気か?」

    「その我慢、いつまでもつか試してやるとしよう……」

ペニスを絡め取ったアリスの髪が、ざわざわと動き始めた。

先端から根本まで、肉棒を愛撫するように這い回ってくるのだ。

恍惚を伴うくすぐったさに、僕はびくんと体を震わせてしまった。


ルカ「あ、あぅぅぅ……!!」

   「や、やめてよぉ……!」

アリス「ほぉら、ほらほら……」

    「敏感な先端を、じっくりとくすぐってやろう……」

    「余の髪で亀頭を弄ばれて、それでも我慢できるのか……?」

    「無理だろう……? くくくっ……」

さらさらした感触が亀頭に巻き付き、じっくり這い回ってきた。

繊細なくすぐりと、亀頭表面をスローモーに擦りたてられる刺激。

少しでも力を抜けば、このまま精を漏らしてしまいそうになる―――


アリス「くくっ…… 次は、じんわりと締め付けてやろう」

    「ほらほらほら…… どうだ?」

    「もう、耐えられんだろう……?」


亀頭やカリ、サオを髪が巻き上げ、くいくいと締め付けてきた。

決してきつく締め上げるわけではなく、じんわりと優しく締められる感じ。

カリのくびれにも髪がじんわりと食い込み、細かく上下して溝をこするような快感さえ与えてくる。


ルカ「あぅぅぅぅ……」


肉棒がアリスの髪に巻かれ、徹底的に弄ばれ―――

とうとうその快楽刺激と、そして甘い恍惚に浸ってしまった。

僕は脱力し、無防備のままにその快楽を受け入れてしまう。


いっさいの抵抗をやめ、ペニスを嫐る髪の感触に身を委ねたのだ―――


アリス「ふふっ、もう降参か……」

    「貴様はそうやって、髪の快楽を味わっていれば良いのだ」

    「後は、余の髪に包まれたまま果てるだけだな」

    「さあ、たっぷりと髪に精液を吸ってもらうがいい……」

ルカ「あぅぅ…… きもちいいよぉ……」


すっかり髪の愛撫に身を委ね、肉棒に与えられる快楽を味わっていると―――

ペニスが甘い刺激に耐えかね、びくびくと脈動を始めた。


ルカ「あ…… 出ちゃう……!」

   「あぁぁぁぁぁぁぁぁ―――!」

――――
―――――
――――――






(´-ω-`)<カットや





大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


(´-ω-`)<冷蔵庫、終了。

大阪|´・ω-)<細かい所はまだまだやけど、まあ大方片付いたわ。

大阪|´・ω・)<月曜できるとええな。


コソーリ|・ω・)<……


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:高級宿屋』

クラリス「……もう、食べれません」


クラリスが、ふかふかベッドの中で何か食べる夢を見ているようだ。

食堂でも、沢山食べたのにな―――それにしても……


偽勇者「……クラリスが俺なんかにプレゼントとは」

    「……もっと己の好む物を買えば良かろうに」


クラリスからのプレゼントは、タイトルが「FIN-- ---TASY」と書かれた本と「ウッドブレスレット」だ。

この本は、間違いなく「DQ」と対極する「FF」の魔法や特技が書き記された本だろう。

……どこから見つけてきたかは知らんが、まあ在り難く頂こうではないか。


偽勇者は「FINAL FANTASY」を取り込んだ。

偽勇者は「合成の壺」を取り込んだ。


……ふむ、新たな力を得たが何の不具合もないな。

これで、より強くなった―――後は……


偽勇者「このブレスレットだが―――」


先程の本は、取り込むことによって力を得ることができたが、このブレスレットは正直に言えば何の力もないアクセサリーだ。

何の力も無ければ、意味がない。


偽勇者「……意味か」

    「意味ならばあるか……」


俺はベッドに眠るクラリスを見る。

暑苦しいチャドルで姿を隠す必要が無く自由に行動が出来たのが嬉しかったのか、魔物のクセに疲れていたようだ。

食事でも、「今日はとても楽しかった」やら「プレゼントがあります」やら―――

―――いつも以上に喜びおって……


偽勇者「……………」


偽勇者は「ブレスレット」を装備した。

少し優しい気持ちを感じた。


偽勇者「……クラリス」


……―――   ―――……


【偽勇者セリフ:寝てるクラリスに何言ったん?】

↓2

>>577』やね

偽勇者「……クラリス」


……――― おやすみなさい ―――……


眠っているクラリスの口元が笑みを浮かべた。


偽勇者「……はあ」


俺は頭をポリポリと掻き、窓から外を眺める。


偽勇者「……ん?」


外を眺めていたら、建物の裏あたりから何やら声が聞こえる。

……如何やら、何かありそうだな。

俺は、窓から飛び降りその声がする所に向かうことにする。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:路地裏』

しばらく進むと、月夜より暗い路地を見つける。

そこにいたのは、青年と数匹の魔物だった―――


魔物A「ふふっ……どう、気持ちいいでしょう……?」


――― クチュクチュ…… ―――


青年「あひぃぃぃ…… き、気持ちいいよ……」

魔物B「もっといっぱい精を出してね」

青年「あぅぅぅ…… さ、最高だ……」

   「普通の女の体じゃ、ここまで…… あぅぅぅ……」

魔物C「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃないの」

    「もっとサービスしてあ・げ・る♪」

青年「あふぅぅぅ……」


頭が痛くなる光景を目の当たりにし、頭を抱える。

このグランドノアは魔物と人間の共存が上手くいっているが、細かい争いがある。

その一つが魔物による逆レイプだ。

快楽に特化している魔物に人間の女が敵うわけがなく、人間の男は魔物の虜になってしまうのだ。

数匹の内の一匹が目ざとく俺を見つけた。


魔物B「あら、獲物発見」

    「どう、貴方も私達に精を出してもらえないかしら?」

魔物A「そうそう、人間の女より気持ちよくて最高よ♪」

    「もちろん、たっぷりとねっとりと楽しませてあげる……」

偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者セリフ】

↓2

止めておけ、こんな事をしているから争いが絶えないのだよ。

和姦か、それとも強姦か

>>581』やね

>>582 強姦→ギシギシアンアン→和姦


偽勇者「……………」

    「……止めておけ」

    「こんな事をしているから争いが絶えないのだぞ……」

魔物C「えー、男は気持ちよくなって私達は食事が出来る」

    「別に暴力を振るってるわけじゃないし、いいじゃ~ん」

魔物A「そうそう、捕食するわけじゃないし何がいけないんだか」

    「青年だって嬉しいよね?」

青年「ああ! 最高さ!」

   「好きなだけ犯されて、捕食される心配もないからね!」

偽勇者「……つまり、和姦で言いってことだな?」

魔物B「ええ…… 貴方も直ぐに犯してほしいって願うわ……」


魔物は青年から離れ、標的を俺に変えた。

ジリジリと、近寄っては襲い掛かるタイミングを計っている。


魔物B「ねえ、どう犯してほしい?」

    「基本的なフェラで? それともパイズリ?」

    「足コキかな? アナルに尻尾入れてあげようか?」

青年「あ、僕にもアナルお願いします」

魔物A「好きね~、この変態♪」


――― ズプッ ―――


青年「あふぅぅぅ……っ!」

魔物B「さあ、私達も楽しみましょうよ♪」


……本当に頭が痛くなるようだ。

殺意が溢れ、目の前の存在を消したくなる。


【???】

○死刑

○その他

↓2

魔法で眠らせて、適切な場所に突き出す

丸くなるのもいいけど徹底的に思想がルカと対立する偽勇者も見てみたい、、、あ、そっちが外伝か

>>586』やね

偽勇者「……………」

魔物B「あら、急に大人しくなったわね……」

魔物C「まあ、人間が魔物に敵うわけないしね~♪」

魔物A「ほら…… 朝は早いんだから……」

魔物B「さあ、私のキスで蕩けなさい……」


魔物Bが俺の兜に触れ―――

その瞬間……


偽勇者「……ラリホーマ」

魔物B「えっ……」


――― バタン ―――


魔物A「急に眠気が……」

魔物C「……zzz」

青年「あ、あひぃぃぃ…… zzz……」


――― バタバタン ―――


偽勇者「……殺しはせん」

    「せっかくのプレゼントが汚れてしまうからな……」


俺は乱暴に魔物と青年を一か所に集め重ねる。

さて、こいつらを突きだすところに突き出したいが―――

―――この世界にそんな場所があるのか?

青年ならば城の兵士に渡し牢屋程度で済むが……

問題はこいつ等が、和姦と成立していることだ。


偽勇者「……ちっ」


強姦と和姦……

相手が嫌がっていれば早く解決するが、同意してるならば悪は俺になる。

……本当に面倒だ。


【片づけ】

↓2


>>587 ちょい丸なってるけど、ほとんどがルカきゅんと対極にしとるで』

兵士に街中で眠っている奴がいることを伝えて去る

>>590』やね

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|-ω-)< .....zzz


……仕方ない、グランドノア城の衛兵に町中で眠っているアホがいると伝えて片づけてもらうとするか。

まったく、真面目に仕事を行う衛兵に申し訳ない気持ちでいっぱいになりそうだ。

俺は、このアホ達を発見しやすい所まで引き摺り、グランドノア城の衛兵に報告するのだった。

――――
―――――
――――――

――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:グランドノア城』

衛兵「申し訳ありませんが、許可のない者をお通しできません」

   「また、明日に謁見許可の申請紙に―――」

偽勇者「……違う、町中で眠っているアホ達がいることを伝えに来たのだ」

衛兵「……なるほど、分かりました」

   「すぐに兵士に連絡を入れて、保護します」


そういうと衛兵は、もう一人の衛兵に指示し数人の兵士でアホ達を保護しにいった。

……衛兵の話によると、町中で眠る者は人間と共に魔物に多く、酔っ払った相手が魔物だと後々が大変だそうだ。


衛兵「連絡、お疲れ様です!」

偽勇者「……そちらも、仕事を頑張ってください」

衛兵「はいっ、ありがとうございます!」


俺は伝えることは伝えたし、明日に備えてクラリスが眠る高級宿に戻る。

……暇つぶしに料理のレシピでも考えるかな。

――――
―――――
――――――

――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

???「ルカ…… 勇者ルカ……」

ルカ「う…… ん……」


どこからか、僕を呼ぶ声がする。

ここは―――


イリアス「迷ってはいけません、ルカ……」

     「あなたの剣には、世界の命運が掛かっているのですよ」

ルカ「で、でも……」

イリアス「魔王を討ちなさい、ルカ」

     「それこそが、真の勇者の使命なのです……」

ルカ「……………」


これは、イリアス様のお言葉なのだろうか。

それとも、僕の心が生み出した幻想なのだろうか。

何にしろ僕は、自分の信じた道を行く事しかできないのだ―――

………………
…………
……

……
………
…………

そして翌朝―――


ルカ「ねぇアリス、お願いがあるんだけど……」

アリス「なんだ、まだ搾ってほしいのか……?」

ルカ「ち、違うよ!」

   「この町を出る前に、コロシアムに寄ってみたいんだけど……」


戦士のはしくれとして、コロシアムには興味があるのだ。

さすがに出場までは望まないが、観戦くらいはしてみたい。


アリス「……これまで貴様は、他人のために働かされてきたからな」

    「たまには、自分のための時間を過ごすのも良いだろう」

ルカ「………?」


アリスは妙に物分かりが良く、なんだか不気味だ―――


アリス「「パワーもりもり弁当」、どんなものか楽しみだな……」


やっぱり食い物絡みだったか……

ともかく僕達は、コロシアムに向かったのだった。

――――
―――――
――――――


【クラリスの弁当】

○超パワーもりもり弁当(超しもふり肉使用)

○どら焼きセット(各種8個入り)

○その他

↓2

どら

>>603』やね、ドララララララ――――ッ


――――――
―――――
――――

―――『ルカ:コロシアム』

ルカ「観戦チケット、意外に高いんだな……」


大金を費やし、僕とアリスは指定の客席へと座った。

観客席を埋め尽くしているのは、屈強で粗野そうな男達―――ではなかった。

客席にいるのは、若い娘や女性ばかり。

不思議な事に、男の姿はほとんど見られないのだ。


ルカ「なんだか、イメージと違うなぁ……」

アリス「ふむ……美味い」

    「カロリーが高めで、パワーがもりもり溢れるかのようだ!」

ルカ「おいおい、もう食べてるのか……!?」


席に腰を下ろすと同時に、アリスは弁当をがっつき始めたようだ。


女貴族「……………」


隣の席に座っていた貴族の女性は、迷惑そうに眉をひそめている。


ルカ「す、すみません……」


保護者として、僕はすかさず頭を下げざるを得なかった。


――― あむ…… あむあむ…… ―――


ルカ「……ん?」


どうやら後ろの客席にいる人も、何かを食べ始めたらしい。


クラリス「うん、あにさんが作ってくれた「どら焼き」美味しい!」

     「濃厚バニラクリームと適度な甘さのカステラ生地で、口当たりがとても最高です」

     「こっちは、ココア風味の生地に、生キャラメルとキャラメルのダブルクリームで、やや苦味のある大人の味わい♪」

ルカ「ク、クラリスっ!?」

クラリス「あ、ルカさん」

     「また、お会いしましたね」


僕の後ろの客席にいたのは、なんとクラリスだった。

クラリスもアリスと同じく、何やら見慣れない物を食べていたようだ。


ルカ「クラリスも、コロシアムを観戦しに来たのかい?」

クラリス「はい、昨日の情報収集でコロシアムの話を聞きましたので少し……」


……良かった―――どうやらアリスのように食べ物絡みではないようだ。


アリス「……クラリス、それは何処に売っていたのだ」

    「全店チェックしていたが、そのような物なかったぞ」

クラリス「これ「どら焼き」と言って、あにさんがお弁当で作ってくれたんです♪」

     「いろんな味や感触が味わえて最高ですよ♪」


クラリスのあにさんは、どうやら料理を得意とした戦士なのだろう。

そのどら焼きという食べ物は、僕でも食べたくなってしまう程いい匂いで―――


アリス「……………」

ルカ「言っておくけど、勝手に食べちゃだめだよ」

アリス「そんなことするか!」

    「ただ見ているだけだ……」

ルカ「見てるだけって……」


人様の―――いや、魔物様のお弁当を見続けちゃだめだろう。


クラリス「……食べたいですか?」

アリス「……………」


小さな子のように、こくりと頷くアリス。

クラリスも、少し悩んでいるようだ。


【どら焼きは美味いで】

○いいよ

○その他

↓2

『いいよ』やね、ええ子やな……

クラリス「いいよ、お一つどうぞ」

アリス「本当か? 後で返せと言っても返さんぞ?」

クラリス「本当ですよ、でも全部種類が違うので後悔がないように……」

アリス「…………♪」


クラリスの差し出したどら焼きから一つを選ぶアリス。

そして、選んだどら焼きをかぷっと齧り付く。


アリス「むっ…… 粒餡の甘味を抑え、生地であるスポンジを楽しむ作りか」

    「しかし、唇に感じるスポンジの感触と口の中で感じる食感は食す者を飽きさせない工夫がされている」

    「それに、粒餡の中心にある栗が粒餡の甘味の無さを補っている……」

    「美味い……♪」

ルカ「良かったな、アリス」


クラリスも、見た目とは違いよくできた子だ―――いや、魔物だから見た目が年齢じゃないんだっけ?

お化け屋敷にいたクロムのように、実は長生きだったり―――


女貴族「……………」


隣の席に座っていた貴族の女性の無言の視線が突き刺さる。


ルカ「す、すみません……」


魔物は食いしん坊ばかりなのだろうか……

そんな事をしているうちに、とうとう試合が始まった!

入場口から現れたのは、巨大な斧を持ったミノタウロス娘。

それに対するは、俊敏そうなケンタウロス娘だ。

コロシアムに出場するだけあり、どちらもかなり鍛えられた戦士であるようだ。


ルカ「さあ、どっちが勝つかな……?」


ワクワクする僕の眼前で、いよいよ試合が始まる。

二体の魔物が、肉体をぶつけあって争う真剣勝負―――

しかし、一方の形勢はみるみる悪くなってきた。


ルカ「ミノタウロス娘、ケンタウロス娘のスピードについていけないみたいだね」


身軽なケンタウロス娘が、鈍重なミノタウロス娘を速度で翻弄する一方的な展開となりつつある。

縦横無尽に駆け回りつつ、ヒットアンドアウェイに徹するケンタウロス娘。

その速度についていけず、鈍重なミノタウロス娘は反撃さえ出来ないようだ。

これでは、もはや勝敗は決まったようなもの―――

―――のようには、僕の目には映らなかった。


ルカ「……誘ってるな、あれ」

アリス「うむ、貴様でも分かるようだな」

    「決定的なダメージは避けつつ、あえて防戦に専念しているようだ」

クラリス「……………」

女貴族「誘っている……?」


そんな僕達の会話が耳に入ったのか、隣の女貴族は目を瞬かせた。


女貴族「……失礼ですが、それはどういう事でしょうか?」

ルカ「一方的にやられてるように見えて、反撃のチャンスをうかがってるんですよ」

   「相手が素早いから、一発逆転のタイミングを見極めているんでしょう」

アリス「しかし、ケンタウロス娘の方はすっかり勝った気分だな」

    「優勢ムードに呑まれおって、間抜けな魔物だ……」

クラリス「……ふんふん」


どら焼きをもぐもぐ食べながら、アリスはため息を吐く。


女貴族「……そうなのですか?」

    「私には、ケンタウロスの圧勝にしか見えませんが―――」


女貴族の言葉は、次の瞬間の展開によって途切れた。

ミノタウロス娘の繰り出した痛恨の反撃が、ケンタウロス娘に直撃したのだ。

ケンタウロス娘は場外まで吹き飛ばされ、昏倒してしまった―――


クラリス「あちゃぁ…… 痛そうだな……」

ルカ「うわぁ…… 大丈夫かな、あれ?」

アリス「人間ならば即死だが、命に別状はなかろう」

    「まして、戦士として鍛えられた魔物なら問題ない」


命に別状はないとは言え―――今ので、勝負は決したようだ。

勝者のミノタウロス娘は斧を振り上げ、観客の声援に応えている。


女貴族「なんと……あなたの言った通りになりましたね」

    「ところで、あなた自身も腕に覚えはあるのですか?」

ルカ「まあ、それなりに……」


少し照れながらも、そう答えるしかなかった。

これまでの戦いで、僕もそれなりに成長しているはずだ。


女貴族「ふむ、なるほど―――」


顎に手をやり、軽く頷く女貴族。

一方の試合場では、次の試合が始まっていた。

騎士のようなデュラハンに対し、相手は人間の戦士。

大きな斧を手にした、いかにも屈強そうな男だ。


ルカ「おっ、今度は人間対魔物か……」

女貴族「……………」


しかし―――勝負は、あっという間に終わってしまった。

戦士はあっという間に敗北し、デュラハンの足元に這わされたのだ。

次の瞬間―――唐突に、会場がどっと白熱し始めた。

まるで、これからが本番だといった風に。


観客の女性A「よぉし、やっちゃえー!」

観客の女性B「犯せ! 犯せ!」

ルカ「え……? まさか……」

クラリス「…………?」


観客席から口々に上がる、意外な言葉。

まさか、これから行われるのは―――


女貴族「……これより先は、見るに堪えません」

    「それより、少しばかりあなたにお話があるのですが」


女貴族は席から腰を上げ、そう告げた。

まるで、これから行われる見世物など見たくもないといった風に。


ルカ「は、はい……」

アリス「ん……? もう行くのか……?」

ルカ「あ、クラリスはどうする?」


旅は道連れ世は情け、念の為にクラリスにも尋ねる事にした。


クラリス「……どうしようかな」


【クラリスはコロシアムに―――】

○残る

○残らない

○その他

↓2

『あにさんのとこへ帰ります』やね


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・`).;:…大阪|・ω...:.;::.. 大阪|・;::: .:.;: サラサラ..


クラリス「ボクはあにさんのとこへ帰ります」

ルカ「そっか」

アリス「……クラリス」


アリスが何やら真剣な顔をしている。


クラリス「はい……?」

アリス「あにさんとやらに伝えてくれ」

    「中々に美味であったと……」

クラリス「……………」

     「はいっ♪」


こうして僕達は、コロシアムを出る。


戦士「あひぃぃぃ……!!」


背後からは、快楽の悲鳴と女性達の歓声が響いていた―――

――――
―――――
――――――


女貴族が向かった先は、なんとグランドノア城。

まるで自分の家のように、入城の許可も求めずに城門へと進む。


ルカ「あの…… 勝手に入ると、怒られますよ……?」

衛兵「お帰りなさいませ、女王陛下!」

ルカ「えっ……!?」


城門の前に立っていた衛兵の言葉に、僕は目を丸くしてしまった。


女貴族「この方達は私の客人です。お通ししなさい」

衛兵「はっ! どうぞ、お通り下さい!」

……

……

ルカ「あの…… あなたは、まさか……」


城内をつかつかと進む女性の背に、僕はおずおずと問い掛ける。


グランドノア女王「私はノア10世、このグランドノア城の女王です」

ルカ「そ、そうでしたか……」


まさか、グランドノアの女王様だったとは。

こうして僕達は、謁見の間へと導かれたのだった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

グランドノア女王「……我が国の伝統であるコロシアムは、見ての通り嘆かわしい有様になってしまいました」


玉座に深く腰掛け、女王は嘆息して言った。


グランドノア女王「試合に出場するのも、勝利するのも魔物ばかり」

         「人間の戦士がまれに出場しても、ほとんど相手にもならず敗北するのです」

         「私が即位してからの十五年、人間が大会で優勝した事さえありません」

         「決して魔物を差別するわけではありませんが…… とても嘆かわしい限りです」

ルカ「確かに、そうですね……」


人間の戦士はまるで試合に勝てず、魔物ばかりが勝利する―――

同じ人間として、この状況は少々ながら寂しい。


グランドノア女王「今では、敗北した男性を魔物が陵辱するという嘆かわしい慣習さえ出来てしまう始末」

         「コロシアムに集まっていた客を見たでしょう?」

         「戦いが好きというよりも、男が嫐られるところが見たいという女性ばかり」

         「また出場する戦士も、被虐嗜好を持つ男性ばかりという惨状」

         「我が国の栄誉であったコロシアムは、いまや堕落しきっているのです」

ルカ「なるほど、そうなんですか……」


戦士の聖地であるコロシアムが、そんな事になっていたなんて……


グランドノア女王「しかし…… それも国民が求めるものならば、仕方ないのでしょう」

         「ただ私は、一度でいいから見てみたいのです」

         「四年に一度、コロシアムで行われる女王杯」

         「この大会で、人間の戦士が優勝するという光景を―――」

         「……さて、あなたをここに呼んだ理由は察しがついたでしょう?」

ルカ「女王杯に出場し、優勝せよ…… ということですか?」

グランドノア女王「ええ、その通り……」


グランドノア女王は、静かに頷いた。


グランドノア女王「今年の女王杯は即位十五周年記念大会にあたり、優勝者にはグランドノアに伝わる秘宝グリーンオーブが与えられます」

         「私はこれを、人間の戦士に授けたいのです」

         「この私の願い、聞き届けてもらえませんか?」

ルカ「……………」


さて、どうしようか―――




【快く承諾する】

【断る】



ルカ「……分かりました、やりましょう!」


女王のお願いに対し、僕は快く頷いていた。

正直なところ、賞品のグリーンオーブとやらはあまり興味がないが―――

一人の戦士として、ぜひコロシアムで戦ってみたかったのだ。

今の僕の実力が、どこまで通用するのか試したい―――

どうせなら、優勝したい―――そんな思いは抑えきれなかった。


グランドノア女王「おお、出場して下さるのですね」

         「そう言ってくれたのは、あなたで八人目です」

ルカ「は、八人目…… 意外に多いんですね」


つまり、同じように勧誘された戦士が他にも七人いるということか。

見所のありそうな戦士を何人も大会に出場させ、そのうちの誰かが優勝すれば良し―――そういうことらしい。

それはそれで、僕は別に構わなかった。

コロシアムに出場する以上、全力で戦い抜くのみだ!


グランドノア女王「女王杯まで、ほんの数日」

         「それまで、この町でゆるりと待つがいいでしょう」

ルカ「はい、分かりました!」


こうして僕は、コロシアムに出場することが決定した。

女王杯への日々は、瞬く間に過ぎていくのだった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

グランドノア女王に、コロシアムの七番目の戦士として選ばれた。

もちろん俺は、女王の願いを快く承諾した。

……せっかくの十五周年記念を、魔物如きに譲ってなるものか。

しかし、女王杯まで残り一日だが―――やることは余りない。

精々、クラリスにオヤツを作ってやる程度の時間しか今のところないのだからな。


偽勇者「……ふむ」

    「どうするかな……」


【偽勇者:行動】

↓2

あれ?>>622じゃないのか?

安価なら使える技の確認

>>627』やね


大阪|・ω・)<短いけど、今回はここまでや


大阪|´・ω・)<安価は基本『↓』が付いていたら有効やで。

大阪|´-ω-)<まあ、ルカきゅんでは、ほぼないと思ってくれてええで。


大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


::::..;;.;:;.:;...... ・`)...:;..:;ω・`) 大阪|´・ω・)

>>627』やね

―――『偽勇者:グランドノア・外』

偽勇者「……ふむ」

    「技を持ちすぎるのも問題か……」


度重なる呪いと呪具の吸収で、無数の魔法と特技を得たが全てを把握することが出来ない。

技を知識として知っていても、いざ唱えるとコントロールが難しいのだ。


偽勇者「……苦労を知らずに得た者の末路か」

    「しかし、それも時間の問題だな……」


俺を蝕む呪いが、いずれ全ての魔法と特技を完全なモノにしてくれる―――その瞬間こそ、超勇者に……

……さて、現在選択した技はこんな感じか―――


体術:最強打                体術:三龍旋
剣技:ロトの一撃              剣技:トロの一撃
剣技:ギガスラッシュ            雷術:エビルデイン
極意:まねまね                極意:ものまね
禁忌:DQ                   禁忌:FF

超術:超現象                 合成:合成術
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐              ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


合成の壺を吸収し得た力『合成術』は、魔法や武具を合成することができる。

故に、使用することが出来なかった技を使用できるようになる。

……メラ系とヒャド系を合成し放つ『メドローア』みたいにな。


偽勇者「しかし、この能力を得た代わりに失った力を多少あるようだが……」

    「それでも十分すぎる程だ……」


もし、マダンテとアルテマの究極同士が合成されたらどんな技になるか―――

―――いずれ魔物共のど真ん中で唱えてみたいものだ。


偽勇者「……さて、たまには娯楽の食事を他店でするのもいいだろう」

    「勇者は、時には休息も必要なり―――」


俺はグランドノア内に戻り、店で食事をすることに決めた。

食事は娯楽、感情の楽も堪能するために歩を進めるのであった―――

――――――
―――――
――――



――――――
―――――
――――

―――『偽勇者+ルカ:グランドノア』


ルカ「女王杯まで、あと一日」

   「緊張するなぁ……」


女王のお願いで、女王杯に参加することを快く承諾し数日が経った。

コロシアムに出場するとしても、大勢の観客の前で戦うとなれば情けない姿を見られないようにしないと―――

―――何度かアリスに鍛錬してもらったし、最後の日ぐらいはのんびりと町で過ごすのもいいだろう。

アリスは、店の食べ歩きを満喫しているが―――旅の資金が不安で仕方ない。

今までの入手品の売買の交渉も楽ではないのだ。


ルカ「……それにしても、色んなお店が並んでるな」


アルラウネの花屋からミノタウロス娘の肉屋まで―――どの店に入ろうか迷うのが今の気持ちだ。

そして、大通りの角を曲がると―――


ルカ「……喫茶店か」

   「値段もいい感じだし、ここにしよう」

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

魔物「いらっしゃいませ、ヘブンヘルにようこそ!」


客の入りはそう多くないが、ちらほらと人間と魔物が食事をしている姿が確認できる。

そんな中、一番奥の席に座る鎧に身を包んだ存在を見掛けてしまった。


ルカ「っ―――!」


鎧の怪物―――



……―――――――――――――――……

偽勇者「貴様は、必ず裏切られる!」

    「お前が、望んだ! 人と魔物の共存によって、身を滅ぼすのだ!」

偽勇者「ギャーハッハッハッハッ!」

……―――――――――――――――……







偽勇者「……………」





ルカ「ぐ……」

偽勇者「……………」


鎧の怪物―――人間でも魔物でもない存在で、人間だけの世界を理想とする者。

実力は未知数で、アリスの猛攻さえ耐えきった正真正銘の怪物。

……それが、いったいどういうことだろう。


偽勇者「!」

    「小僧か……」


鎧の怪物は、立ち尽くす僕に素顔が隠された黒い靄越しから視線を向ける。

闘争本能に突き動かされそうになったが―――

―――必死に抑え心を静める。


偽勇者「……成長したな、小僧」

    「前のお前なら、この場で剣を抜いていただろう」

    「剣も精霊も出さないのが得策だ―――俺はここでは客だからな……」

    「騒ぎを起こせば、周りの人達に迷惑が掛かり―――」

    「小僧の理想の形である人間と魔物の共存を実現したグランドノアに亀裂が入る……かも?」


……その通りだ。

今、騒ぎを起こせば悪人は僕であり、勇者としてもイリアス様にも顔向けできない。


偽勇者「まあ、俺の前の席が空いているから座れよ」

    「ゆっくりと、お話でもしようじゃないか……」

ルカ「……………」


僕はなるべく警戒を解かないように、鎧の怪物の前に座った。

今の僕が勝てるかは分からないが、逃げ出すよりはマシだ。


偽勇者「……さて」

    「小僧も飲み物なり、何なり注文しなよ……」

    「俺だけ飲食を行うのは、気まずいからな……」


……鎧の怪物の前に置かれているのは―――


【鎧の怪物は何、注文したん? 喫茶店にありそうなモンでおね】

↓2

『オムライス』やね

……鎧の怪物の前に置かれているのは―――

―――オムライスだ。

食事の途中だったのか、まだ半分以上残っている。


ルカ「……コーヒ―――」

偽勇者「ねえちゃん、オレンジジュースを一つ追加だ」

魔物「はーい!」

ルカ「なっ……!」

   「ふざけるな、勝手に注文を……」

魔物「オレンジジュース、お待ち如何様♪」

偽勇者「……落ち着けよ」

    「いやなら別に飲まなくてもいいさ……」

    「俺が飲むし、払いも俺持ちだ……」

ルカ「……っ!」


ここで怒りに身を任せたらこいつの、思う壺だ。

今は、大人の態度を崩さずに運ばれてきたオレンジジュースを飲む。


偽勇者「……さあ、まずは基本中の基本」

    「自己紹介から始めようか?」

ルカ「……………」


そういえば、僕はこいつの名前を知らない。


偽勇者「……俺の名は―――」


しかし、今さら名前を知っても何の意味が―――






偽勇者「……「シャニセ・ユウ」だ」

    「よろしく、小僧……」





大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄


―――[ステータス]
名 前:偽勇者(偽名:シャニセ・ユウ)   称 号:勇者(未洗礼者)
種 族:人間(異形)              性 別:男
HP:131169/131169+炎
MP:1258/629+樹

攻撃力:1036/518+獣            ☆:ロトの剣     [呪]
守備力:982/491+音            ☆:トロの剣     [呪]
素早さ:982/491+水             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
賢さ:‐‐‐/‐‐‐+石              ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

宝玉の力:勇者の能力を得る        ☆:ロトの盾     [呪]
魔導書[DQ]:全呪文体系・特技を得る   ☆:ロトの兜     [呪]
魔導書[FF]:全魔法・特技を得る      ☆:ロトの鎧     [呪]
マナスティス:将魔の能力を得る      ☆:ロトの籠手    [呪]
黒色の宝玉:―――を得る         ☆:死神の首飾り [呪]

???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:呪いのベルト  [呪]
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:ブレスレット
???:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐             ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
――――――――――――――――――――――――――――
体術:最強打                体術:三龍旋
剣技:ロトの一撃              剣技:トロの一撃
剣技:ギガスラッシュ            雷術:エビルデイン
極意:まねまね                極意:ものまね
禁忌:DQ                   禁忌:FF

超術:超現象                 合成:合成術
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐              ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【ロトの剣 [呪]:攻158(+120)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる剣。
魔神の血の祝福によって―――
“皆殺しの剣”の攻撃力を得ている。

☆【トロの剣 [呪]:攻130(+110)】
外見はそのままロトの剣の色違いである。
常に物理・魔法攻撃を1.3倍にしてくれる究極性能の武器である。
しかし、長いこと物置に放置されていたので―――
“はかぶさの剣”の攻撃力を得ている。

☆【ロトの盾 [呪]:防39(+42)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる盾。
魔神の血の祝福によって―――
“嘆きの盾”の守備力を得ている。

☆【ロトの兜 [呪]:防42(+255)】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる兜。
『幻惑』『麻痺』『即死』に耐性がある。
魔神の血の祝福によって―――
“般若の面”の守備力を得ている。

☆【ロトの鎧 [呪]:防82】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる鎧。
魔神の血の祝福によって―――

☆【ロトの籠手 [呪]:防25】
太古の昔、かの勇者ロトが使っていたといわれる籠手。
魔神の血の祝福によって―――

☆【呪いのベルト [呪]:???:】
太古の呪われたベルトで常に―――

☆【死神の首飾り [呪]:防6】
髑髏の付いた不気味な首飾りで―――

☆【ブレスレット】
クラリスからのプレゼントのウッドブレスレット。
少し優しい気持ちを感じる。

―――[持ち物:その他]
◆【焼きヒトデ】
味は薄味のウニミソ。
食べれる部分は、中の卵・胃袋・消化器官のみ。

◆【マデュライトの欠片】
見た目は赤紫色(厳密には中心部は紫で外周が赤みがかっている)をした結晶の欠片。
マ素(魔素ではなく)を多く含む鉱物である。

◆【生きた魔導具】
勾玉の形をしており、心音が聞こえてくる。
新たな魔導の力を得る可能性がある。

◆【女神の宝剣の欠片】
あらゆる魔物はひれ伏し、魔王さえ逃げ惑うという。
真の勇者が手にすべき剣「女神の宝剣」の欠片。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【キメラビーストの角】
プロメスティンの研究により生み出されたキメラモンスター。
一切の感情が伺えない無機質な悲しい生物の角である。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【母の形見の髪飾り】
リリィがいつも身に付けていた髪飾り。
母の思い出がいっぱい詰まった形見だ。
何か、妙な力を持っている(たぶん)

◆【土のクリスタル】
大地に恵みを与える力をもっている。
その力は凄まじく、砂漠と化した土地を一瞬に緑溢れる土地に変えてしまう。

◆【水のクリスタル】
世界中の水を綺麗にする力を持つ。
その力は凄まじく、生きとし生けるものの命を支える水を無限に出すことが出来る。

◆【死のオルゴール】
哀しいメロディーが流れる。
そして聴いた者の息の根を止める。

◆【危険な薬品や物質】
大量の『滅水銀』『ヒドゥン反応薬』『ネクロゾル』『黄泉の薔薇』『愚者の石』等々。
普通の術士クラスでは、とうてい扱えん危険物。

◆【―――リング】
鉱物か殻で出来ているか分からないリング。
恐ろしい力を持っている。

◆【復活の杖】
先端に創世の女神イリアスを象られた形状が特徴的な杖。
死者を蘇らせる力を持つ。

―――[宝玉の力]
○【金色の宝玉】:???
○【銀色の宝玉】:???
○【青色の宝玉】:魔法と炎のダメージを軽減し、ダメージ床・マホトーンを無効化し、歩くほどに体力が回復する(某DQ)

―――[黒色の宝玉]
○???
○???

―――[魔導書]
○DQに存在する全呪文体系・特技を得る。
○FFに存在する全魔法・特技を得る。

―――[合成術]
武具を合成し、異なる魔法を合成する。

―――[マナスティス]
○水の将魔:膨大なる素早さと水のみ完全耐性(常に先手/水系完全無効)
○獣の将魔:膨大なる攻撃力(攻撃力2倍)
○音の将魔:膨大なる守備力と音のみ完全耐性(守備力2倍/音系完全無効)
○石の将魔:膨大なる耐性(全ステータス異常無効/全低下系無効)
○樹の将魔:膨大なる魔力(魔力2倍)
○炎の将魔:膨大なる生命力と炎のみ完全防御(万越え/炎系完全無効)


―――[全身の刺青]
○『この世全ての悪』を現す呪い。

―――[料理の腕]
○お金取れるぐらい美味い。

―――[ロト装備:カラーリンク]
黒と金色。

―――[偽勇者用:特別ルール]
○作中での「そのときふしぎな事が起こった」超現象(フェアリーをタイタニア化・クラリスの目の治療など)
○一部設定変更有
○一部設定だけ!
○00は100扱いである。
○超増えるかもしれん


―――[ステータス]
名 前:クラリス      称 号:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

種 族:竜人族       性 別:女
HP:999/999        攻撃力:150/150
SP:10/10         防御力:28/28

―――[装備品]
☆:黄金のツメ       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:疾風のバンダナ    ☆:竜のお守り

☆:豪傑の腕輪       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐       ☆:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
―――[その他]

大好物:お肉        大好き:あにさん
――――――――――――――――――――――――――――
―――[わざ]

体術:パンチ          0    体術:キック          1
体術:あびせ蹴り       3   体術:当て身投げ       2
体術:ドラゴンスクリュー   3   体術:ポカポカ        ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐    ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐
―――[モンスターわざ]

能力:百足蹂躙       ‐‐   能力:ねこだまし      ‐‐

能力:死の属性       ‐‐    能力:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     ‐‐
??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐      ‐‐   ??:‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐     ‐‐

―――[持ち物:武具]
☆【黄金のツメ:攻 55】
手甲がツタンカーメンのマスクのような形をしているツメ。

☆【疾風のバンダナ:防23】
風の魔力が込められ、虎のようないかしたデザインが格好いい。
頭に巻くと疾風のように素早く動けるようになる。

☆【竜のお守り:防5:オシャレ8】
炎や光の攻撃に強くなる。
武骨なお守りだが、クラリスの宝物。
理由は―――

☆【豪傑の腕輪:攻25】
攻撃力が上がる装飾品。

―――[持ち物:その他]
◆【木の棒】
そこら辺で拾った棒。
持ち手にはすべり止めの布が巻かれている。
人間程度が相手ならば護身用ぐらいにはなる。

◆【ボロ布】
ボロい布。

◆【チャドル】
頭から全身を覆うように着用する衣装。
布地はたっぷりと余裕をもたせているので、両目の部分以外は覆い隠されている。
腰の周りで結んで留めてある。

◆【種が入った袋】
数種類の果実の種が入った袋。
種だけでも美味しいらしい。


大阪|´・ω・)<一部考え中やけど、今の所こんな感じや。

大阪|;-ω-)<月曜日はやるからな。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|;-ω-)<えろぅ、難題な話が……


ルカ「え……」


僕はこいつの口から出された名前を聞いたことがある。

確か、クラリスから聞いた名前に非常に似ている―――


……――――――――――……


クラリス「それか、あにさんの手料理もどうですか?」

     「あにさんの手料理は、とっっっっっっても美味しいんです!!」


……――――――――――……


―――きっと気のせいだ。

こんな奴とクラリスが供に歩めるはずがない。


偽勇者「……どうした?」

    「まさか、自己紹介の仕方が分からないんじゃないよな……?」

ルカ「……………」

   「勇者見習いのルカだ……」


僕の自己紹介が終わると、徐に笑みを浮かべた。


偽勇者「よしよし、お互い改めてキッチリと自己紹介が出来たな……」

    「これこそ、人間の生み出した素晴らしきマナー……」

ルカ「なんで、お前がここにいるんだ?」

   「次は、この町で殺戮を繰り返すつもりか……?」


僕は話を切り出した。

こいつは、魔物の命を何とも思っていない殺戮者だ。

もし、この町で暴れられたら……


偽勇者「おっとっと……」

    「今は血生臭いネタはやめてくれるか?」

    「オムライス、食べてるんだからさ」


片手に持ったスプーンの先で、残りのオムライスのケチャップを撫でる。

そして、掬い上げられたオムライスは黒い靄の中に消える。

咀嚼してるから、口はあるようだ。


偽勇者「今日、ルカ君の前に姿を現したのは戦いに来た訳じゃない」

    「平和的に、話し合いをしようと思ってね」

ルカ「……今までのお前を見て、その言葉を信じろっていうのか?」

偽勇者「じゃ、殺る?」

ルカ「ぐ……」


僕は何も出来ない。

グランドノアに住む、人間と魔物を人質に取られたのと同じだ。

今はこいつと話し合いをすることしか選択肢にはないだろう。


ルカ「……分かった」

   「その話し合いに付き合おうじゃないか」

偽勇者「……そう」

    「人間、素直が一番だよ……」



【偽勇者 or ルカきゅんのセリフ】

↓2

>>684

>>686』やね

偽勇者「で、言いだしっぺの俺が一番初めに喋らせてもらうよ」

ルカ「……………」


こいつとの話し合い―――いったいどんな話なんだ……?


偽勇者「……あのコロシアムの試合、ルカ君も見たかな?」

    「敗者を公衆の面前で嫐って良しだなんて、実に腹が煮えるとは思わないか?」

ルカ「……ああ、それは寂しいと感じた」

   「でも、それはグランドノアの国民が求めった結果でもあるんだ」

   「僕やお前が、とやかく言うことはない」

偽勇者「……本当に?」

    「本当にそうかな……?」

ルカ「……何が言いたい」

偽勇者「いやいや、別に否定はしないよ?」

    「ルカ君の言う通り、国民が求めているなら仕方ない!」

    「……でもさ、国民がそんな光景を求めるようになったのは魔物が原因だろ?」

ルカ「……………」

   「……そんなの分からないだろう」

   「原因は人間かもしれないし、お前の言う通り魔物かもしれない……」

偽勇者「……まあ、そうだな」

    「都合よく過去を見る力なんてありゃしない……」

    「何が始まりで、何が原因なんて―――今ではどうでもいいことだな……」

    「ふう…… おっと、ねえちゃん」

    「―――を一つ追加だ」

魔物「はーい!」


こいつは、片手を上げながら飲み物を注文した。

いつの間にか、その皿は空になっている。


【偽勇者の注文した飲み物】



【偽勇者 or ルカきゅんのセリフ】

↓2


『オレンジジュース』やね、セリフは↓や


この街はこの先も人間と魔物の街でいられると思うかな?

>>691』やね

こいつは、片手を上げながら『オレンジジュース』を注文した。

いつの間にか、その皿は空になっている。


偽勇者「……………」

    「……人間と魔物が共存するグランドノア」

    「素晴らしい、んぅー素晴らしい……」

ルカ「何?」

偽勇者「褒めてるんだよ、ルカ君が理想とする形が今この国にあるんだからね」


―――こいつにだけは、人間と魔物の共存を語って欲しくはない。

そして、まだ戯言は続くようだ。


偽勇者「楽しいだろうな、人間と魔物が手を取り合い共に暮らす明るい未来……っ!」

    「しかし本当に、この町はこの先も人間と魔物の町で存在すると思うかな?」


――― ピクッ ―――


ルカ「なんだって……?」

偽勇者「……人間と魔物が共に長続きするのかって言ったんだ」

ルカ「……出来るに決まっているだろ、お前は見ていないのか?」

   「今この町は、人間と魔物の共存を実現―――」

偽勇者「―――共存だからって、仲良し小好しで歩む訳ではない」

    「魔物の種族は少なからずとも、男性の精子を必要とする……」

    「しかも、魔物はテクも凄いらしいじゃないか―――人間の女を捨ててまで求めるぐらいに……」

ルカ「……………」

偽勇者「ルカ君、考えたことはあるかい?」

    「大切なパートナーが誰かに奪われることを…… 捨てられる思いを……」

    「人間の女は非力だ、だから魔物に男性を奪われても取り返す事はできないし、奇跡的に取り返すことが出来ても心は魔物にゾッコンだ」

    「これが、ルカ君が理想とした共存か……?」

ルカ「……だからって、魔物達の命を奪うのは間違っている」

偽勇者「勇者は魔物の命を奪い、人間達に希望を与えるのだ……」

ルカ「違う! お前がしていることは人間と魔物の仲を引き裂くことだ!」

   「それなら、人間の大切なパートナーとなった魔物も殺すのか!」

   「それが、希望なのか!」


僕は思い出す。

初めて、人間と魔物が共に家族として付き合い始めた――― 一歩、進んだハーピー村を……

まだまだ、問題が残っているけれど少しづつ共存の道を歩んでる。


偽勇者「……いや」

ルカ「だったら―――」

偽勇者「魔物を菌と例えたら、人間は感染者だ……」

    「故に―――」






偽勇者「 感 染 し た 人 間 も 殺 す 」





大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|´・ω・)<魔物は全種基本、女の子しか生まんけど稀に男が生まれる(ハーフやけど、何の力もないノーマルタイプやけど)


ルカ「なんだって……?」


一瞬、目の前が真っ暗になる。

こぼしそうになったジュースを支えている僕の目に映ったのは、黒い靄に包まれたこいつの顔だった。


ルカ「な、んで……」

偽勇者「……なんで?」

    「他の人間に感染しないようにするためだ……」

    「……魔物との交わりは正に不治の病と同じ」

    「感染者が他の人間を引き摺り込まないようにするためには、仕方ないことだ……」

ルカ「仕方がないだって……?」


次の瞬間―――僕は右手は剣を握り、左手は今にも剣を鞘から抜き放ちそうな右手を押さえていた。


ルカ「……それは本気で言っているのか?」

偽勇者「……………」


ルカ「本気で言っているのかと聞いているんだ!」

偽勇者「……本気も何も、世界の掃除も勇者の務め―――当たり前のことだろう?」

    「……どうやら、ルカ君は勇者としての何たるかを理解していないようで―――」

ルカ「……理解をしていないのは、お前だ!」

   「人間や魔物―――命を何だと思っているんだ!」

   「命は、お前みたいなのが弄んで良い物じゃないんだ!」

偽勇者「なら、魔物なら命を弄んで良いのか?」

    「魔物ほど、弄ぶのが上手い存在は知らんしな……」

ルカ「違う! 魔物と人間がお互いを理解すればそんなことは―――」

偽勇者「理解するまで、どれだけの命が玩具として遊ばれる」


僕とこいつの言い争いが段々と大きくなる。

周りのお客もチラチラとこちらの様子を伺い始めている。


魔物「あのー、喧嘩なら店の外でしていただけませんか……?」

偽勇者「いやー、スマンスマン」

    「お互いに胸と尻、どちらが素晴らしいか議論していたんだ」

ルカ「なっ……!?」

偽勇者「店員さんは、男の何が好みかな……?」

魔物「え…… えっと、そりゃナニが大きい年下が好み―――って、私のは関係ありません!」

偽勇者「アハハハハ、こりゃ済まない」


こいつは席を立ち、カウンターにお金を置いた。


偽勇者「んじゃ、勘定はここに置いておくぜ」

    「俺と小僧の分、間違いないな?」

ルカ「お前におごられる気はない……!」

偽勇者「残念、もう払った」


そう言いながら、こいつは喫茶店から出るために僕の横を通り―――


偽勇者「……俺は命を奪った分、後悔はしないし被害者面もしない」

    「覚悟とか生ぬるい言葉も使わないし、喜んで手を血で濡らそう」

    「……結局は勇者は命を奪う者なのだよ―――ルカ……」

ルカ「―――!!」


僕は通り過ぎたあいつに、振り向いたが―――既にその姿はなかった。


ルカ「……勇者は命を奪う者じゃない」

   「弱者を救う者だ……!」

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:グランドノア・裏道』

人間と魔物が理解し合えば共存は可能―――だが、それはどんな形でどんな結果なんだ。

そんなもん、例え神ですら分からないだろう。

それに、未来のことは子孫がなんちゃらと終わることもあるが―――それは子孫に丸投げしてるのではないのか?


魔物A「ほらほら、気持ちいいでしょう……?」

男「ああ、気持ちいいよう……」

魔物B「でも、いいの? 彼女のことは?」

男「大丈夫だよ、ちゃんと別れも済んだし思う存分君達とセックスできるんだ!」

  「それに、もうあっちのじゃ全然満足できないし―――」

魔物B「嬉しいわ♪ なら、たっぷりサービスしちゃう♪」

男「あひぃぃぃ…… 最高だよ……」


偽勇者「……………」


感染者は殺す―――そのセリフは誰のだ?


偽勇者「……デジョン」


偽勇者はデジョンを唱えた。


魔物A「~~♪ ……あれ?」

    「体が沈んで……」

魔物B「きゃっ! 何よこれ!」

男「な、なんだこれ!?」

  「ちょ、そこの戦士の方!」

  「助け―――」


魔物達と人間の男性は、不思議な穴に沈んでいった。

よりハッスルで、生気が溢れている世界へ―――


『ギエェェェェ―――!!』


偽勇者「……感染者は殺す」

    「俺のセリフだな……」


初めて人間の命を奪ったが、意外にも苦痛は感じなかった。

やはり、感染した者は人間として見ていないと言うことか―――

―――それとも、俺がイカれ始めただけか?

明日はコロシアム、優勝は目指してはいないが娯楽には丁度いい。

俺は高級宿屋に歩を進めるのであった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『ルカ:コロシアム』

とうとう女王杯当日。

第一試合を前に、僕はコロシアムの控え室にいた。

アリスは、観客席で僕の試合を見守ってくれている―――のかどうかは分からない。

たぶん、弁当を食べるのに夢中である事が予測される。


ルカ「……………」

   「……勇者は命を奪う者」


昨日のあいつとの会話が脳裏に蘇る。

僕は忘れようと、顔を洗いさっぱりする。

今は試合を控えているんだ―――余計なことは考えないでおこう。


ルカ「もう他の試合が始まってるんだような……」

   「ちょっと、見てみたいなぁ……」


闘技場の方がざわめくたび、僕はうずうずしてしまうが―――


係員「選手の方は、他の選手の試合を観戦できない規則です」

   「事前に対策を立てるのは、フェアではないという事ですので」

ルカ「はい…… 分かりました」


敵は初見で、どんな戦い方をしてくるのかは分からない。

ただし僕の対戦相手も、僕がどんな戦い方をするのか分からないのだ。

この条件は、有利にもなれば不利にもなる。

落ち着かない気分ながら、僕は控え室で大人しく待っているのだった。

そして―――いよいよ、僕の出番がやって来た!


係員「それではルカさん、闘技場にどうぞ」

   「ご健闘をお祈りしていますよ」

ルカ「……はい!」


意気揚々と、僕は闘場に向かったのだった。

どんな相手が現れても、決して負けてなるものか!

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<あんまり突っ込んだ展開にすると、説教になるわ……

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソーリ|・ω・)<……

大阪|-ω-)<魔物のセックスは、手加減など可能と『質問コーナー』にあったわ。

大阪|´-ω-)<けど、常に無快感で快感は、マジ好きな男以外変更せんらしい。

大阪|´・ω・)<更にハメ殺しや。


――――――
―――――
――――

闘技場に出ると、熱狂的な歓声がどっと押し寄せてきた。

客席から見るのとは、全く違う感じだ。


観客の女貴族A「あははっ、可愛い男の子……!」

観客の女貴族B「いいわぁ…… あの子、どんな風に犯されるのかしら……?」


観客の女性達は、にやにやと笑っているのが分かる。

この僕に、どういう役割を望んでいるのかは明白だ―――

そして、相手の選手も入場してきた!


デュラハンが現れた!


デュラハン「あら、ずいぶんと可愛い選手じゃない」

      「ふふっ…… 敗北後のショーも盛り上がりそうね」

ルカ「ぼ、僕は負けない!」


こんな舞台で戦うのは初めてだが―――

決して、負けてなるものか!


デュラハン「あら、勝てる気でいるのかしら……?」

      「観衆の面前で、辱めてあげるわ……」


………………
…………
……


……
………
…………

デュラハン「まさか、人間の戦士がここまでやるなんて……」

      「……降参よ、私の負けだわ」


デュラハンは深手を受け、戦意を失ったようだ―――


デュラハンをやっつけた!


デュラハン「人間なのに、大した腕前なのね」

      「私も腕を上げるよう、さらに修行しないと……」

      「その時は、また戦ってもらえるわよね?」

ルカ「ああ、いくらでも受けて立つよ!」


こうして僕は、第一試合を勝ち抜いたのだった!

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:コロシアム』

女王杯当日、中々に早い開始だ。

正直言って、眠くて堪らん―――寝ながら戦う魔法は無かったか。

クラリスは、観客席で観戦するが―――恥ずかしい声援をしなければいいが……

弁当を持たせたので、大人しいと思うが……


偽勇者「……不安しかねえ」


闘技場の歓声が、控え室まで聞こえてくる。

……下らん結果を見たさに集まる感染者の声がな。


係員「……………」


そういえば、そこの係員から聞いたが基本的に相手を殺害するのは禁止だそうだ―――面倒なルールだ……

っと―――そろそろ、俺の出番だ。


係員「それではユウさん、闘技場にどうぞ」

   「ご健闘をお祈りしていますよ」

偽勇者「……こちらも、貴方の将来をお祈りしてるぜ」

係員「……はあ?」


係員にとっては、意味不明な言葉を掛けた後に、俺は闘技場の扉を通るのだ。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

闘技場の門を出ると、喧しい歓声が全体に響いてくる。

女性が8割を占めているな―――この国に男性は住んでいるのか?


観客の女貴族A「あら、次は全身にプレートアーマーを装着した選手なのね」

        「どんな顔をしてるのかしら……?」

観客の女の子「うふふっ……」

       「中身は試合後のお楽しみ……!」

観客の女貴族B「早く見たいわね、犯される瞬間の顔を―――あら、涎が……」

偽勇者「……………」


顔、顔、顔―――そんなに俺の素顔に興味があるのかね……


クラリス「―――!!」



【クラリスの声援】

↓ or 2 or 3

頑張ってくださーい、あにさーん!


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


安価内なら↓やで

あにさんは誰にも負けないって事、みんなに見せつけてくださーい!

>>722 >>724』やね

クラリス「頑張ってくださーい、あにさーん!」

     「あにさんは、誰にも負けないって事、みんなに見せつけてくださーい!」

偽勇者「……………」


クラリスの声援が聞こえる―――俺は少し間を置いてどう答えるか考える。

手を振るのはみっともない、だからと言って無視するのも目覚めが悪いものだ。

故に、俺は片手を頭上に上げてグッっと親指を立てる。

……俺がクラリスに反応してやれるのはこれくらいか―――

―――ふと、クラリスの客席に視線を向けると……

クラリスも俺と同じように、頭上に片手を上げて親指を立てている。

如何やら伝わったようだ―――

そして、俺の相手が入場したようだ……


ケルベロス娘が現れた!


ケルベロス娘「ふふっ、如何やら鉄の包装がされているようだな……」

       「プレゼントで中身が見えないのは、わくわくさせるな……」

       「そして、嫐ってやろう…… 客達の前で、惨めな姿をさらすがいい……」


ケルベロス娘ねえ……

三つの首が、言葉を放つのはいいが味覚の好みとかどうなんだろうか……

やはり、甘党・辛党・渋党と違うのか?


偽勇者「犬が……」


にやにやと余裕顔がイラつきながらも、腕組みを解く。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『ケルベロス娘』

今日は十五周年記念大会の女王杯……

いつもの大会と違い優勝者にはグランドノアに伝わる秘宝『グリーンオーブ』が与えられる。

この日のために、鍛錬を行ってきたが―――まさかキュバが参加してるとは思いもよらなかった……

最近はコロシアムに姿を見せていなかったのに、残念で仕方ない……

更にはあの方まで参加しているとは―――今日は厄日だな。

しかし、その分は人間の男から搾らせてもらうことにしよう。

丁度、私の相手は鎧で包装された坊やだ……

ナニの大きさが気になるが、まあいい……

いつもと同じように、搾るだけだ。


ケルベロス娘「ふふっ、如何やら鉄の包装がされているようだな……」

       「プレゼントで中身が見えないのは、わくわくさせるな……」

       「そして、嫐ってやろう…… 客達の前で、惨めな姿をさらすがいい……」


偽勇者「犬が……」


その犬にお前は、搾られ―――客達の前で、惨めな姿をさらすがいい……



……――― 始めっ! ―――……



さあ、のしかかって速攻で犯してや―――


偽勇者「……何処を見ている?」

ケルベロス娘「えっ……」


は、はや―――


偽勇者「 お す わ り 」


私達、三つの首が最後に見たのは―――只々、拳を大きく振り上げて叩きつけてくる瞬間だけだった……

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

俺の目の前には、地面にハグしているケルベロス娘が一匹。

数発は耐えると思っていたが、まさか一発で気絶するとは―――手加減を間違えたか?


偽勇者「……つまらん」


こうして俺は、第一試合を余裕で勝ち抜いたのだ。


―――『数試合後』


そこから後の試合は酷いものだった。

続く試合では、魔物ほどの強敵には巡り会わず―――いや、人間の男が弱すぎたのだ。

相手が俺であると舌打ちをし、完全に舐めていたのだ。

そして結果は報告するまでもなく、虫を掃う如く気絶させていった。

男共の目的は、魔物に陵辱してもらい客達に見られること―――これだけだ。

王女様が選んだ戦士達も俺を含め僅かしかいない。

控え室で精神統一をしていると―――ドアがノックされた。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『ルカ:控え室』

そこから後の試合では、特に苦戦はしなかった。

続く試合では、デュラハンほどの強敵には巡り会わず―――

そして五つの試合を制し、あっという間に準決勝である。


ルカ「ふっ……」

   「思えば、僕は強くなりすぎたのかもしれないな……」


……などと調子に乗っていた時、控え室のドアがノックされた。


ルカ「はい、どうぞ」

グランドノア女王「調子はどうですか、ルカ……?」


控え室に顔を見せたのは、お忍びの様子のグランドノア女王だった。


グランドノア女王「あなたの活躍、しかと見せてもらいましたよ」

         「若さに見合わない、素晴らしい腕前でした」

         「それに比べて、他の戦士連中といったら……」


グランドノア女王は、深い溜め息を吐く。

そう言えば、僕以外にも女王の命を受けて出場している戦士がいるはずだ。


ルカ「他の戦士達は、どうなんですか?」

グランドノア女王「それが、なんとも不甲斐ない結果になりました……」

         「あなたと一人を除いて、全滅です」

ルカ「そ、そうですか……」


準決勝まで残ることができたのは、僕ともう一人の戦士だけのようだ。

女王の期待は、僕と一人の戦士にのしかかってしまったらしい。


グランドノア女王「そしてもう一つ、悪い報せがあるのです」

         「今回の女王杯には、コロシアム無敗の王者が出場してきたのですよ」

         「キュバと名乗る、恐ろしく腕の立つ妖魔―――」

         「凄まじい実力を誇り、出場すれば毎回のように圧勝」

         「最近はコロシアムに姿を見せなかったので、女王杯にも不参加だと思っていたのですが……」

         「今回ばかりは、あなたでも優勝は無理でしょうね……」

ルカ「……………」


あなたの実力では、キュバに勝てない―――

まるで、そう宣告されたかのようだった。


ルカ「……絶対に勝ってみせますよ、どんな相手でも」

グランドノア女王「……確かに、望みを捨てるには早過ぎますね」

         「では極秘裏に、キュバの戦法や特徴をお知らせしましょう―――」

ルカ「……いえ、それはフェアじゃないですよ」

   「向こうは、僕の事を知らないんですから」


相手は強者だからこそ、同じ条件で戦いたい。

事前に対戦相手の情報を仕入れるのは、明確なルール違反なのだ。


グランドノア女王「どうかキュバを倒し、優勝を掴んで下さい」

         「一生に一度のみで構いません、人間が大会に優勝する光景が見たいのです」

ルカ「ええ、任せて下さい!」

   「とりあえず、次の試合も勝ってみせます!」


女王の激励を受け、僕は気合いを入れ直すのだった。

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

大阪|-ω-)< .....zzz


  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/

   ∧∧

  (  ・ω・)<みなはん、おるー?
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


―――『偽勇者:控え室』

控え室で精神統一をしていると―――ドアがノックされた。


クラリス「失礼しまーす……」

偽勇者「……何用だ、クラリス」


俺の控え室に来るとはどの物好きかと思えば、クラリスであった。

そのソワソワした態度から、どの控え室が俺の控え室かちゃんと把握していなかった様子だ。

……たくっ。


クラリス「あにさん、凄いです!」

     「ここまで、一切無傷で試合を勝ち抜くなんて本当に凄いです!」


……まるで、犬のように尻尾をブンブンと振って目を輝かせている。

それだけのために控え室に来たのか―――まあ、悪い気はせん。


クラリス「次の相手も、あにさんなら絶対勝てます!」

     「ボク、信じてますから!」

偽勇者「ほう……」

    「で、次の相手の名前は何なんだ……?」


基本的に相手の情報を知るのは厳禁だが、名前ぐらいなら許されるだろう……


クラリス「えっと―――あにさんと同じく全試合を無傷で勝ち進んだ"グラン"って方ですね」

     「勿論、魔物ですよ……」


グラン……? 何やら、嫌な予感がするが―――

―――構わん。


偽勇者「あい、分かった……」

クラリス「……いいんですか?」

     「一様、相手の特徴や技を知ったほうが……」

偽勇者「……これは、試合であって殺し合いではない」

    「それに、この俺が負けるとでも……?」

クラリス「……いいえ、一度も思っていません」

偽勇者「なら、何も言うことはあるまい……」


俺はクラリスの頭を撫でながら、思考する。

グランか…… 俺の考えが正しければ―――

―――しかし、何故アイツがこのコロシアムに参加など……

まあ、いいか…… イリアスベルクでの言葉をそっくりそのまま返してくれる……

……で、クラリスは試合が開始されるまで俺に撫でられていた。

――――――
―――――
――――


――――――
―――――
――――

現在コロシアムは、熱狂に沸いていた。

……俺は全てのエロ展開を潰してきたからには、不人気だと思っていたが―――


観客A「おい、シャニセ・ユウだぞ!」

魔物A「おお! 人間のクセに全試合無傷で勝ち進んだ、シャニセ・ユウだ!」

観客B「ユウ! ユウ!」


―――客の心はよく分からん。

そして、俺の前に立った相手は―――


偽勇者「やはりお前か……」

グランベリア「……………」


全試合を無傷で勝ち進み、キュバ以外の名前ならば。

他の四天王以外に居らぬよな……?


グランベリア「……見違えたな、呪われし者」

       「以前に会った時は、それ程までの戦士とは違い愚かの極みだったはず」

       「お前に何が、そこまでの変化をもたらした?」

偽勇者「……教えるとでも思うか?」

    「それに、貴様がコロシアムに参加するとは夢にも思わなかったが―――」

    「―――その様子だと、男共を搾ってる訳ではなさそうだ」

グランベリア「……私がコロシアムに参加したのは、お前と戦いに来たからだ!」


巨剣を構え、凄まじい気迫を発するグランベリア。

その熱気と重圧だけが、俺を包む。


偽勇者「やれやれ、嬉しいやら迷惑やら……」

    「ならば、俺も勇者として貴様に答えなければ―――」

    「―――馬鹿だよな!」


いつの間にかコロシアム全体が静粛している。

全試合無傷で勝ち進んだ謎に包まれた人間の勇者と―――

―――人間の戦士でさえその名を知らぬ者はいない、最強の魔剣士であり魔王軍四天王の一人であるグランベリア。

誰もが試合の開始を待っているのだ。


グランベリア「……………」

偽勇者「……………」



……―――始めっ!―――……



先に動いたのは二人同時だった……!


偽勇者の一撃とグランベリアの一撃が衝突する―――凄まじい金属音が鳴り響く。

一振りの斬撃が止められると次に二振り目の斬撃がグランベリアに襲い掛かるが、一撃目を受け止めた巨剣を火の粉を飛ばしながらズラすことにより受け止める。

そのまま力任せに押しつぶす者に対してグランベリアは、片足で相手の片腕を蹴り上げることで力のバランスを崩し、もう一つの剣は刃元を流すことで回避する。

力のバランスを崩され、流されたことによって懐を大きく晒すことになった。 グランベリアがそんな大きな隙を見逃す訳もなく拳を叩き込むが―――逆に偽勇者はその拳に頭突きを噛ます。

グランベリアの拳は、偽勇者の頭突きによって相殺された!

偽勇者とグランベリアはお互いに距離を取り、相手の行動を伺うのだった。


グランベリア「……まさか、頭突きなどで防ぐとは」

偽勇者「そちらも、剣ばかりと思っていたが拳も中々効くじゃないか……」

グランベリア「ただひたすらに剣に生きていれば、自然と腕力にも力が身に付く」

       「さあ、お前の全てを、私に見せるがいい!」

偽勇者「ほざけっ! 日が暮れてしまうわっ!」

    「エビルデインっ!」


偽勇者の放つ黒き雷。

全てを呑み込む闇を纏う光がグランベリアに襲い掛かる。

巨剣から通じてグランベリアの身を焼くが、地に突き刺すことにより雷の逃げ道を作ることで火傷には至らなかった。


グランベリア「甘いっ!」

偽勇者「ぬぅぅぅっ!!」


グランベリアは、偽勇者に向かい駆け出すがそれを許す訳がなく無数の攻撃呪文を放つ。

その半数以上の攻撃呪文が空しく外れ土煙を上げる―――そう、逆に己の手で視界を悪くしてしまったのだ。


グランベリア「血裂雷鳴突き・疾風!」


雷鳴のように踏み込み、鋭い突きを繰り出した。 その鋭い突きを寸前でかわし……


グランベリア「……むっ!」

偽勇者「血裂雷鳴突き・疾風!」


偽勇者も同じく雷鳴のように踏み込み、鋭い突きを繰り出すがひらりとかわされてしまった。


偽勇者「当たらぬか……」

グランベリア「我が心、明鏡止水の境地にある」

       「故にもう貴様の攻撃は当たらぬ」

       「しかし、今の技は紛れもなく"血裂雷鳴突き・疾風"―――どこで身に付けた?」

偽勇者「只々、修行や研鑽するだけが実力ではない」

    「相手の極意を盗んでこその実力だっ!」

グランベリア「……面白い、ならば次の一手も盗んでみよ!」

偽勇者「喧しい! その余裕面を歪めてくれるわっ!」


グランベリアと偽勇者の戦いは、コロシアム全てを魅了させていた。

その一つ・一歩・一瞬を見逃すまいと静粛を保っている。

そして、魔王アリスも例外ではなかった。


グランベリア「屠龍撃!」

偽勇者「屠龍撃!」


同じ技がぶつかり合い、周りに衝撃を撒き散らす。

並の生き物ならばその衝撃だけでも致命的な傷に繋がるが、この場で戦う者達は並ではなかった。


グランベリア「屠龍撃をも盗んだか―――戦えば戦う程、成長する訳か」


グランベリアの顔は今、不敵な笑みを浮かべている。

……イラつくぜ、何もかも全てがイラつくぜ。

反則をも超えたこの呪文でもその不敵な笑みを続けられるか。


偽勇者「……そろそろ、小競り合いも止めようや」

    「短い戦いではあったが、そろそろ大技で決着を付けようぞ!」

    「互いに最強の奥義を繰り出し、立っていた方の勝利―――」

    「―――乗るか、乗らぬか?」

グランベリア「ほう、小競り合いか―――だが、まだ私に一撃も与えられていない貴様が大技とは……」

       「面白い、剣士としてその誘いに乗ってやろうっ!」

偽勇者「感謝するっ!」


距離はある、余力も十分―――しかし、俺がグランベリアに今一歩届かないのは、正に研鑽や修練を重ねた年数の違いだ。

力が有れば最強ならば、馬鹿でも最強になれるし筋トレでも行えばいいのだ。

だが、俺はその馬鹿に分類されるだろうな―――が、馬鹿で結構!

年数を重ねる程、この世界に余裕など無いし行う暇もないわ!


偽勇者「……我が限界を超えよ!」

    「スピオキルトっ!」


膨大なる力が今、限界を超えた!

っが、限界を超えることは耐えることである―――己の肉体が無理矢理に超えさせた力に耐えねば崩壊する。


グランベリア「……………」

       「今、貴様が何かを超えたのを感じたが」

       「何も言うまい……」


静かに剣を構え、そして―――


グランベリア「互いに、最後の一撃だ」

       「さあ、貴様の大技を見せてみろ!」


巨剣アレスに炎の力が集まりだしている……

ああ、本当にイラつくぜ、そんなに正々堂々されたら―――小僧みたいに魔物の共存を信じたくなってしまうだろうがっ!!

偽勇者は、トロの剣を地に刺しロトの剣を逆さに持ち光の闘気を込める。


グランベリア「光の力を、直接ぶつけるという技か……?」

偽勇者「……教える義理も義務もないが」


モグモグ|´-ω-)<めんご、飯行ってたわ。


偽勇者「嘘も偽りも―――ないっ!」


技は看破されたら意味がないのだ、それは恥ずべきこと……

故に最初の一手に意識を向かせる。


グランベリア「準備は整ったようだな……」

偽勇者「……………」


偽勇者の近くに誰かが居れば、その肉体から響く不快な音を聞くことになるだろう。

限界を超えることは、それだけ分厚い壁であり目が眩む程の高さなのだ。

今、気を抜けば何も為すことが出来ずに死を迎える―――それはイヤだ。

故に生命をかけるのだ!


偽勇者「行くぞ、グランベリア!」

グランベリア「来い、シャニセ・ユウ!」


偽勇者とグランベリアが、同時に奥義を放つ!


グランベリア「乱刃・気炎万丈っ!」

偽勇者「アバンストラッシュっ!」


無数の斬撃に放たれた衝撃波、しかしその衝撃波だけではグランベリアが放つ奥義に打ち勝つことはできない―――

―――その衝撃波だけならば……


偽勇者は地に刺したトロの剣を引き抜き逆さに構え、グランベリアに駆け出した。

先ほど放った光の衝撃波に追いつき暗黒の衝撃波を放つ。

決して交わることが無い力が重なることによって、増幅され威力が何倍にも膨れ上がる。

全てを斬る力が、グランベリアに叩きつけられたのだ!

空を舞うのは巨剣アレスとトロの剣のみ―――ロトの剣はグランベリアの首をとらえていた。


グランベリア「見事……!」


覇竜の鎧は傷だらけになり、肉体もボロボロだ。

偽勇者も限界を超えたせいで、無傷には程遠い……


偽勇者「……………」


黒い靄に隠れているが、血を吐き出していたりする―――


偽勇者「……まだまだ、強くなりたいな」


ロトの剣を鞘に戻し、トロの剣を担ぐ。

そして―――


偽勇者「……立てるか?」

グランベリア「……何のつもりだ?」

偽勇者「何のつもりに見える……?」


グランベリア「貴様と私は敵同士だと忘れていないか」

偽勇者「お前も、何か忘れていないか」

グランベリア「……何?」

偽勇者「この勝負は、試合で有り殺し合いでは無い」

    「故に俺は、お前を魔物では無く一人の魔剣士として認識している」


偽勇者はグランベリアの手を強引に掴み立たせ―――回復呪文をかける。


偽勇者「グランベリア―――お前のおかげで俺はまだまだ未熟だと実感できた」

    「いくら力が有ろうが、それを扱う技術が無ければ意味がないことを思い知ったし、心から理解した」

グランベリア「……私もまだまだ、我が剣の未熟さ―――大いに思い知った」

       「次に会う時には―――」

偽勇者「次に出会う時は――」



……――― 今 を 超 え て み せ る ! ―――……



コロシアムの観客は、この勝敗の結果に大いに沸いたのだ。

俺は喜びと共に、これからの己の課題を考えるために思考を巡らせるのだ。

――――
―――――
――――――

―――『グランベリア』

私は、アルマエルマに付き合わされグランドノアのコロシアムに参加している。

何故、私がアルマエルマの誘いに従っているかは誰にも教えることはできぬが……

正直に言えば、参加なんてしなければ良かったと内心思ってもいる。

戦士として鍛えている魔物も、人間もどれも未熟―――

―――魔物は男を搾ることを考え、男は観客の前で陵辱されるのを望んでいる。

これらを戦士と呼べるのかと言われれば、呼ぶのも痴がましいとしか言えん。

棄権を考えもしたが―――


アルマエルマ「面白いのが参加してるわよ」


……私の控え室に現れたキュバ―――アルマエルマがそういい残したのだ。

信じた訳ではないが、アルマエルマがそう言うならば確かめる必要がある。

そして―――


偽勇者「やはりお前か……」

グランベリア「……………」


―――呪われし者と出会うとは予想もしなかったぞ。


グランベリア「……見違えたな、呪われし者」

       「以前に会った時は、それ程までの戦士とは違い愚かの極みだったはず」

       「お前に何が、そこまでの変化をもたらした?」

偽勇者「……教えるとでも思うか?」

    「それに、貴様がコロシアムに参加するとは夢にも思わなかったが―――」

    「―――その様子だと、男共を搾ってる訳ではなさそうだ」

グランベリア「……私がコロシアムに参加したのは、お前と戦いに来たからだ!」


私は巨剣アレスを構える。


偽勇者「やれやれ、嬉しいやら迷惑やら……」

    「ならば、俺も勇者として貴様に答えなければ―――」

    「―――馬鹿だよな!」


いつの間にかコロシアム全体が静粛している。

全試合無傷で勝ち進んだ謎に包まれた人間の勇者と―――

―――人間の戦士でさえその名を知らぬ者はいない、最強の魔剣士であり魔王軍四天王の一人であるグランベリア。

誰もが試合の開始を待っているのだ。


グランベリア「……………」

偽勇者「……………」



……―――始めっ!―――……



先に動いたのは二人同時だった……!


――――――
―――――
――――

グランベリア「見事……!」


私は、呪われし者に負けた。

油断した訳ではないが、相手が起こした行動が予想外だった。

剣を逆さに持ち、放った光の衝撃波の後に更に物理的に暗黒の衝撃波を重ねることで元の威力を何倍にも増幅させたのだ。

普通ならば、一度放った衝撃波に追いつく等できないが―――それを可能にするために身体能力を限界以上に増幅したと思われる。

しかし、無理矢理に限界を超えることは、己の肉体の崩壊を意味するのだ―――それを……


偽勇者「……まだまだ、強くなりたいな」


……今以上に強くなることは可能だ。

私はそれを見ることも再び戦うこともできん。

命はここで終えるのだからな……

しかし―――


偽勇者「……立てるか?」

グランベリア「……何のつもりだ?」


私の目に映っているのは幻覚か……

呪われし者が、魔物である私に手を差し出しているのだ。


偽勇者「何のつもりに見える……?」

グランベリア「貴様と私は敵同士だと忘れていないか」

偽勇者「お前も、何か忘れていないか」

グランベリア「……何?」

偽勇者「この勝負は、試合で有り殺し合いでは無い」

    「故に俺は、お前を魔物では無く一人の魔剣士として認識している」


私は呪われし者に手を強引に掴まれ立たされて―――回復の術をかけられたのだ。


偽勇者「グランベリア―――お前のおかげで俺はまだまだ未熟だと実感できた」

    「いくら力が有ろうが、それを扱う技術が無ければ意味がないことを思い知ったし、心から理解した」


……………


グランベリア「……私もまだまだ、我が剣の未熟さ―――大いに思い知った」

       「次に会う時には―――」

偽勇者「次に出会う時は――」



……――― 今 を 超 え て み せ る ! ―――……



グランベリア「……………」

正直、呪われし者が何を考え、どう行動しているのかは全く分からん。

―――分からんが……


グランベリア「我が剣もまだまだ、研鑽が必要である」

       「次に会う時は、今を超える約束を果たす……」


そう言い残し、グランベリアの姿は消えてしまった。

だが、偽勇者がグランベリアに勝った事実は良くも悪くも―――この世界の物語を大きく変える切っ掛けになった。

それが正しいのか悪いのかは誰にも分からない。

只々、時は過ぎていくのだった―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

準決勝戦ということで、闘技場も熱狂に沸いている。

そして、僕の前に立った相手は―――


ルカ「お、お前は……!?」

アルマエルマ「……あらあら、ルカちゃんじゃない」

       「こんなところで会うなんて、奇遇ねぇ♪」


アルマエルマ―――

魔王軍四天王の一人、風使いのサキュバス。

そんな奴が、いったいなぜここに―――


ルカ「まさか…… お前が、キュバか!?」

   「なんでこんなところに…… いったい、何を企んでる!?」

アルマエルマ「あら…… 別に、何も企んではいないわよ」

       「実は私、格闘ショーが大好きなの♪」

       「ぶつかり合う技と技、絡み合う肉体と肉体……」

       「……ふふふっ、素敵じゃない」


キュバの正体は、仮名を使って出場していたアルマエルマだった―――


アルマエルマ「じゃあ、面倒事なんて忘れて試合を楽しみましょう」

       「今日は勇者とか四天王とか、野暮なことは言わないわ……♪」

ルカ「くっ……!」


以前は、尻尾のみで戦うアルマエルマにさえ大苦戦を喫した。

今の僕なら、どれだけ戦えるだろうか―――


シルフ「ルカ、すぐに私を呼んで!」

    「あのお姉ちゃんの風、とってもすごいよ!」

    「こっちも風で対抗しないと、やられちゃうよ!」

ルカ「え……? わ、分かった……」

アルマエルマ「あら…… シルフとお話ししているようね」

       「風の力とやら、ぜひ私に見せてもらえるかしら……?」



……―――始めっ!―――……



ルカ「シルフ、僕に力を貸してくれ……!」


―――風の守り―――


ルカの周囲に力強い風が吹き荒れた!


アルマエルマ「ほぉら、捕まえちゃうぞ……♪」


アルマエルマはルカの体を抱き締めるように掴みかかってきた!

しかし、突風がアルマエルマの接近を遮った!


アルマエルマ「へぇ、ルカちゃんは風の力をそいやって使うんだ……」

       「……でも、それじゃあダメね」

       「そんな使い方じゃ、せっかくの風が泣いてるわよ」

ルカ「ていっ! 雷鳴突き!」


ルカは雷鳴のように踏み込み、鋭い突きを繰り出した!

しかし、アルマエルマは疾風のようにかわした!


ルカ「なんだ、今の動きは……!?」


まるで瞬間移動のように、僕の攻撃は避けられてしまったのだ。


アルマエルマ「ほぉら…… 風の壁なんて、簡単にすり抜けられるのよ……」


アルマエルマは疾風のように、ルカを守る風の壁を抜けた!

そのまま、ルカの耳に軽く息を吹き込んでくる!

ルカは―――のダメージを受けた!


ルカ「そ、そんな…… 風の壁が……」

アルマエルマ「言ったでしょう……?」

       「そんなのは、私にとって涼風に過ぎないわ」

ルカ「ぐっ……!」


これでは、まるで勝負になっていない。

風を操る技において、僕とアルマエルマでは天と地ほどの差があるのだ―――


アルマエルマ「あはっ、まだまだね…… ルカちゃん♪」


アルマエルマはくすくす笑っている……


アルマエルマ「ふふっ…… そろそろ本気になっちゃおうかしら?」

ルカ「くっ……!」


やはり、アルマエルマの動きが全く捉えられない。

速過ぎて、残像さえ捉えられないのだ―――


アルマエルマ「ルカちゃんには、風の声が聞こえないのかしら……?」

       「もっと戯れたい、ルカちゃんと一緒に吹き荒れたい……」

       「さっきから、ずっとそう風が囁いているじゃない」

ルカ「え……?」


シルフの声ではなく、風そのものの声―――

そんなもの、僕には全く聞こえなかった。


アルマエルマ「風っていうのは、とっても自由で気まぐれなの」

       「風を道具として使おうとしたって、嫌がられるだけよ」

       「それより、風の誘いに乗ってみなさい」

       「自分も風になって、一緒に戯れるのよ……」

ルカ「風と…… 戯れる……?」


アルマエルマの疾風のような身のこなしも、風の力を用いたもの。

風を道具として使うのではなく、風と戯れる―――

アルマエルマの言葉の意味が、ほんの少しだけ見えてきた気がした。


アルマエルマ「ふふっ…… からかうのも飽きてきたわ」

       「そろそろ、この遊びも終わりにしちゃおうかしら……?」

ルカ「あぅぅ……!

アルマエルマ「ルカちゃんには、風が囁いてくるのが聞こえないのかしら……?」

       「シルフの力を通じて、さっきから語りかけてくるでしょう」

       「もっともっと吹き荒れたい、もっともっと戯れたい、って……」

ルカ「……………」


ひゅうひゅうと、周囲に漂う風。

その流れが、確かに語りかけてきた気がした。

僕自身も風になり、そしてシルフの力で自分を操る―――

そのイメージが、風の声を通じて確かに形作られたのだ。


ルカ「なんだか…… 分かってきたぞ……」


そろそろ、シルフの力が切れる頃だ。

次にシルフの力を使うときは、この新たなイメージを用いれば―――


風の力が収まった!


ルカ「この身を疾風と化して……!」


―――風の戯れ―――


ルカは、疾風のような身のこなしになった!


ルカ「こ、これは……!」


まるで、肉体そのものが風になったような感じ。

今の僕ならば、疾風のように動くことも出来るはずだ―――


アルマエルマ「ふふっ…… できるじゃない、ルカちゃん」

       「それが、風と戯れるということよ」


アルマエルマはルカの股間に手を伸ばしてきた!

しかし、ルカは疾風のようにかわした!


ルカ「……今、初めて分かったよ」

   「風は今までずっと、僕に語りかけてきたんだな……」


自分自身が疾風となり、その流れをシルフでコントロールするイメージ。

そして、これこそがアルマエルマが見せた高速移動の正体。

その動きに風を宿し、その身に……あとは忘れた。

ともかく、「動きに風を宿す」とはこういう事だったのだ。


アルマエルマ「あらあら…… ルカちゃん、一皮剥けちゃったようね」

       「風の扱い、とっても上手になっちゃったわ……」


ルカの攻撃!

しかし、アルマエルマは疾風のようにかわした!


アルマエルマ「でも、条件は同じよ……」

       「あなたの攻撃は、私には届かないわ……」


アルマエルマはルカの股間に顔をうずめてきた!

しかし、ルカは疾風のようにかわした!


アルマエルマ「あらあら……」

       「どっちの攻撃も当たらないんじゃ、勝負が付かないわね」

ルカ「そうみたいだな……」


互いの速度は同じで、攻防は全くの互角。

だとすると、どうやって相手に攻撃を当てるか―――

そんな事を考えていた僕に浴びせられたのは、意外な言葉だった。


アルマエルア「……それじゃあ、今回は私の負けでいいわ」

       「特別に、勝ちは譲ってあげる♪」

ルカ「な、なんだって……!?」


アルマエルマが、自分から敗北を認めた……?

しかし、まだまだ攻防は互角のはずなのだ。

あまりにも早い敗北宣言に、僕は呆然とするのみだった―――


アルマエルマ「……そういうわけで、私は降参するわ」

       「ルカちゃん、決勝進出おめでとう♪」


ルカ「いったい、どういうつもりなんだ……?」


勝負は、まだまだ拮抗していたはず。

こんなところで終わる局面ではなかったはずだ。


アルマエルマ「今日はもう、十分に楽しませてもらったわ♪」

       「ルカちゃんも、いっぱいがんばったしね―――」

ルカ「えっ……!?」


アルマエルマの姿が、唐突に風の中へと消えた。

その次の瞬間、僕の頬に柔らかな唇が押しつけられる―――


アルマエルマ「ちゅっ……♪」

       「それじゃあ、またね♪」


一瞬のキスの後、アルマエルマは闘技場から姿を消してしまった。

もはや、気配さえこの場には残されていない―――


ルカ「……………」


最後に見せた動きは、今までの高速移動の比ではなかった。

消失に気付いた次の瞬間、すでに僕の間近まで接近していたのだ。


ルカ「なにが、互角だ……」

   「どこが、拮抗した勝負なんだ……!」


ようやく同じ領域まで辿り着けたと思ったら、遙か先を見せられた。

結局アルマエルマは、最初から最後まで本気を出してはいなかったのだ。

これがコロシアムでの試合だったからか……

それとも、僕が本気を出すに足りる相手ではなかったからか……


ルカ「……………」


四天王とは、どれほど僕より遠くにいるのだろう。

僕は闘技場にたたずんだのだった―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~



大阪|;-ω-)<ここ最近、安価してへんやん……


ウーン|-ω-)。oO(もんむす終えたら次どうしよか……)

ウーン|´-ω-)。oO(また、東方に戻ろかな―――時間軸、気にせんかったら自由度高いしな……)

オッ?|´・ω-)。oO(……先代? ……せんだい ……センダイ)

Σ|・ω・)。oO(偽ン代!!)





これや…!!

  .(・ω・) ガタッ
  .r   ヾ
__|_| / ̄ ̄ ̄/_
  \/     /
     ̄ ̄ ̄




スマン|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|-ω-)<っと前に、ご飯タイムや


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者:控え室』

次はいよいよ決勝戦―――俺の知識が正しければ最後の相手は小僧になるが……

少しは戦えるように成長したのか?

コロシアムの最後を飾るに相応しい戦いが出来なければ意味がない。

試合とはそういうものである。


偽勇者「……体の異常はない」

    「逆により進化した感じだ……」


グランベリアとの戦いは完全に予想外であったが、まあいい……

俺の体はその戦いを経験したおかげでより質が高まった。

このまま、少しづつでも進化していけばスピオキルトを常に掛けていても―――いや、より多くの魔法で強化してもっ!!


偽勇者「……俺は強くなりたい」

    「人間のために―――世界のためにもっ!」

    「魔物を……」

    「裏切り者達を……」

    「殺したい……」

    「それが勇者なのだから……」


机に立て掛けていた剣を掴み通路を進む。

このコロシアムで勝つのは俺なのだから―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『ルカ:控え室』

次はいよいよ決勝戦。

控え室で心を落ち着けていると―――不意に、ドアがノックされた。


アリス「入るぞ……」

ルカ「……アリス?」


いったい何をしに、控え室まで来たのだろうか。

まさかこいつに限って、激励に来たというわけでもあるまい。


アリス「準決勝のキュバ―――アルマエルマとの試合」

    「貴様も、腕を上げたようだな」

ルカ「ああ……うん」


アリスらしくない言葉に、僕は目を丸くする。

いったい、何を企んでいるんだ……?


アリス「次は、決勝戦だが……率直に言う、棄権しろ」

ルカ「……なんだって!?」


僕は思わず、あんぐりと口を開けてしまった。

いきなり現れて、いったい何を言い出すのか。


ルカ「つまり……相手の試合を見たんだな」

   「僕に勝ち目はない、って言いたいのか……?」

アリス「余は、ずっと貴様の戦いを見てきたから分かるのだ」

    「次の相手は、今の貴様ではとうてい歯の立つ相手ではない」

    「ゆえに、わざわざ棄権するよう忠告に来てやったのだ」

ルカ「……………」

   「相手はアルマエルマ以上に恐ろしい相手なのか……?」

アリス「……………」


アリスがここまで言う以上、実際に恐ろしく強い相手なのだろう。

かと言って、大人しく棄権するべきなのか―――?



【棄権しない】

【棄権する】


【棄権しない】


ルカ「……いや、僕は棄権しないよ」


決勝戦まで来た以上、そんな事はしたくない。

どれだけ強い相手だとしても、逃げる事なんてできないのだ―――


アリス「……そうか」

    「まあ、貴様はそう言うと思っていたが」


アリスは深々と溜め息を吐く。

最初から、半ば説得は諦めていた様子だ。


ルカ「安心してくれよ、アリス」

   「勝てそうになかったら、降参するし……」


あくまでこれは、コロシアムの試合。

誰かを守る戦いや、勇者としての戦いとは違う。

いわば、戦士としての心身が試される、僕自身の戦いなのだ。


アリス「やれやれ…… まあ、健闘を祈る」

    「せいぜい、壊されないようにしろよ」


再び溜め息を吐き、アリスは去っていた。


ルカ「……………」


あのアリスが、ここまで言う相手―――

いったい、どんな奴なのだろうか。


係員「それではルカさん、決勝戦が始まります!」

   「闘技場の方にどうぞ!」

ルカ「は、はい……」


燃え立つような闘志と、体を強ばらせる緊張。

そして、未知の強者を前にする不安―――

色々な感情を胸に抱え、いよいよ僕は決勝戦へと臨んだのだった。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

決勝戦ということで、闘技場も始めと比べて物凄い熱狂だ。

そして、僕は目の前の扉から出てくる相手を視界に捉えて言葉を失った―――


偽勇者「……やあ、ルカ君」

    「決勝進出おめでとう―――では、試合を始めよう……」


黒い靄に隠れていた口元が薄くだが、見えていた。

ギザギザ状に並んだ歯が、獲物を前に疼いているように見える。

そして、その獲物は―――僕だ。


ルカ「……まさか、お前が闘技場の選手として参加していたなんて」

   「正直驚いているよ……」

偽勇者「んー? ルールを守るなんて簡単さ」

    「……生物を殺すより簡単だ」

ルカ「ぐっ……」

偽勇者「そんなことよりも、ルカ君は数時間見ない内に精霊の扱いが上手くなっているようだな」

    「しかし、俺もより進化してね……」


シャニセは、一呼吸すると―――


偽勇者「精霊の森みたく勝てると思うなよ…… 小僧よ……」


―――より低い声で、ルカに語りかけた。


ルカ「……お前も、いつまでも好き勝手出来ると思うなよ!」


ルカは鞘から剣を抜き構え、そして―――



……―――始めっ!―――……



―――運命の火蓋が切られた。

――――
―――――
――――――


ルカとシャニセ・ユウ。

この二人は対極の位置にいる。

片方は人間と魔物を共存を望み―――

―――もう片方は人間のみの世界を望む。

その思いは、決して交わることはない。


ルカはシルフの疾風を纏い、目にも留まらぬ速さで偽勇者の背後を取り一撃を加える―――が、偽勇者はその一撃を剣で受け止めてしまった。

直ぐに距離を取り再び死角からの攻撃を加えるが、また受け止められてしまう。


ルカ「そんな、僕の動きが見えているのか!」

偽勇者「見えているさ…… そして君の考えも筒抜けだっ!」


トロの剣を振り上げた偽勇者は、そのままルカに向かって振り下ろす。

その剛腕とは程遠い腕から生み出される威力は、並ではない―――過去の戦いでその恐ろしさを経験しているルカはまともに受け止めようとはせずに、後ろに跳ぶことでかわす。

コロシアム中に響く地が砕け割れる音。

たった一撃、たった一撃で地を裂いてしまったのだ。


ルカ「なんだ、この威力は……!」

偽勇者「……考えは甘いが、判断は良し」

    「休んでいる暇はないぞっ!」


偽勇者は己にピオラを掛け、瞬発力を上げルカに突進しロトの剣を突きだした。

その突きを剣で向きを僅かに変えることで直撃を防ぐが、その凄まじく速い一撃は直撃しなくてもルカの体を削った。

スピードと相手を貫き通す力があれば、直撃しなくても剣から発する衝撃で対象を裂くことは可能である。

偽勇者はその恐るべき一撃を、次は連続で繰り出す。

突く。

突く。

また、突く!

同じ威力を秘めた一撃一撃をかわし、逸らし、防ぐ。


偽勇者「ほほう、いつまでもつかな?」


偽勇者は止まらない―――いや、少しづつであるが速さが増してきている。

一方、ルカはその身に宿る疾風が衰え始めている。

シルフの風の力は確かに脅威だが、無限に続く訳ではない―――いずれはその身の疾風は効力を失い偽勇者の一撃を受けるだろう。


ルカ「くっ……!」


ルカはその最悪な結末を想像してしまった。

風の力を失い、その身に一撃を受ける自分の未来を……

そして―――


ルカの身に纏う疾風が止んだ。


偽勇者「―――これでお終いだ」

    「大地斬……っ!」


岩をも砕き粉々にする一撃が今、振り下ろされた!


決まった。


一部を除いた観客がそう確信したその時―――


ルカ「でぇぇぇええいっ!!」

偽勇者「何とっ!?」


ルカは振り下ろされた偽勇者の腕を取り、そのまま投げ飛ばしたのだ。

大地斬は大上段に剣を構えて一気に振り下ろす剣技である。

その威力は恐ろしいが、隙も大きく且つ前に力が傾く、パワーバランスを利用すればルカのような小柄なタイプでも投げ飛ばすことが可能だ。


投げ飛ばされた偽勇者は、意外な展開に驚きそのまま地に横たわる形になり、ルカの雷鳴突きが偽勇者に襲い掛かる。

しかし、鋭い突きは刀身の腹で防がれてしまう。

そして裏拳を繰り出すが、寸前でかわされてしまう。


偽勇者「……今のは焦ったぞ」

    「精霊に頼らなくても中々どうして……」

ルカ「はあ…… はあ……」

   「そりゃどうも……」

偽勇者「素直に喜べよ」

ルカ「……お前の言葉が嫌味にしか聞こえないんだよ」


そうルカは精霊の力の効力が切れた瞬間を狙った攻撃を防いだ―――防いだが……

偽勇者は初めから精霊の力を借りずに互角以上の力を発揮し且つ遊んでいるのだ。


偽勇者「今は決勝戦……」

    「多少は観客を喜ばせないといけないだろう……?」


偽勇者は両の剣を構える。


ルカ「僕にそんな余裕はないよ……」


ルカは剣を強く握る。


魔物が参加した女王杯―――

四天王を形的にはやぶった二名の人間―――

普通ではあり得ない展開に観客は何を思うのか―――

再び交戦が始まるのだ―――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|;・ω-)<そしてムズいわ―――ちゃんと打ててるか心配しかない!

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


偽勇者は、両の剣を構えルカに襲い掛かる。

ルカは、ノームの力を借り薙ぎ払うことで偽勇者の斬撃を妨げ―――そのまま威力を殺さずに体を回転させ偽勇者の脇に斬撃を繰り出す。

しかしその斬撃は肘打ちと膝蹴りで白刃を取られてしまう。


ルカ「肘と膝で剣を取るか普通……!」

偽勇者「それだけ余裕があるのだ……!」


取られてしまった白刃をノームの力で引き抜き、そのまま無数の斬撃を放った。

大剣に分類されるトロの剣とロトの盾を操り、至近距離からの斬撃を防ぐ。


―――またか!


ルカは心に焦りを感じていた。

数々の技や精霊の力が通じない。

しかも、相手は精霊の力を借りていないのに、自分以上の実力を持っている。

如何すれば―――


偽勇者「俺に勝てるか―――と考えているな?」

ルカ「っ!?」

偽勇者「言っただろ、考えが筒抜けだと……」

    「生憎、俺は力を手にするごとに代償を払っているのだ……」

    「小僧のように安くない代償をなっ!」


ロトの剣に炎が纏う―――


偽勇者「……そろそろお楽しみは終わり」

    「観客も随分楽しませた……」


トロの剣に氷が纏わり付く―――



ルカ「な、なんだその剣はっ!?」

偽勇者「……魔法剣」

    「剣に魔力を纏わせ、属性を持たせることで可能となる剣技っ!」


魔法―――それは厳しい鍛錬や修行を行うことで覚えることができる技術。

しかし、誰でも扱える訳でもなく扱えたとしてもその身は既に老体である―――それだけ魔法を覚えるのは辛く、苦しく、必ず報われることではない。

しかし才能があれば、リリィのように若い内に魔法を操ることはできる。

その魔法が良いことに使われるかはその者次第だが……


ルカは駆け出した。


偽勇者「……それでも向かってくるか」


剣を構え、相対する者の首を狙う。


偽勇者「しかし、勇気と無謀の違いは理解できぬか……」


鋭い突きが繰り出される。


偽勇者「しかし遅いっ!」


炎を纏った剣が、相手を焼き斬り―――氷が纏わり付く剣先が、相手を貫く―――


ルカは声を噛み殺した―――こいつにだけは負けたくない。

しかし、実力はどれだけ埋めようとも相手のが遥かに上である。

故にせめて―――せめて、悲鳴は…… 苦痛の声は上げたくない……

小さな小さな対抗である。

そして、小柄な体は地に落ちる。


……―――そこまでぇ!―――……


試合終了の合図がコロシアムに響いたのであった。


―――『ルカ』

僕は今、コロシアムの地に倒れている。

口の中に異物が感じられる―――これは土を舐めているのか。

しかし今はそんなことどうでもいい。

その視界は、偽勇者―――シャニセ・ユウを捉えている。

全力を持ってしても、倒せなかった相手。

勇者で有りながら、命を弄び、奪う者。

体を起こそうとしても腕に力が入らない―――頭もクラクラで吐き気を感じる。

痛みが全身に走り、焼き斬られた部分が、貫けれた傷が激しく痛む。

それでも、偽勇者に負けた事実が―――悔しさがそれらを上回った。


偽勇者「……………」


偽勇者は黙って、ルカの傷を癒した。

それは、憐れの気持ちなのか、それとも更なる追い討ちの意味で行ったかは分からない。

しかし、その行為はルカの心を抉るには十分な行いである。

偽勇者は、治療が終わるとその場を去る。


ルカ「ま…… て……」


ルカは、偽勇者に呼び掛ける。

しかし、その歩みは止まらない。

コロシアムの勝者を喜ぶ声がその言葉を消しているのか―――または無視しているのか。


ルカ「待て……っ!」


傷は癒えても、失った血は戻らない。

声を振り絞ろうとも、相手はもう扉を通り奥に消えていった。

それでもルカは視線を外さない。


ルカ「ちくしょう……クソっ! 畜生っ!!」


ルカは涙を流す、そして誓うのであった。


―――必ずお前に勝ってやるっ!


その思いは、何を糧にして成長するのか―――本人でも分からないだろう。

連れの魔物であるアリスが肩を貸すまで、ルカは土を握り締め続けていた―――


―――『偽勇者』

グランドノア女王「女王に即位して以来、ここまで感無量な事はありませんでした」

         「まさか、このような快挙を成し遂げる戦士が現れるなど……!」


ここは、謁見の間である。

興奮冷めやらない女王の前で、俺も内面興奮している。

女王にここまで褒めてもらうこと等、普通では在りえないからな―――外面はキリッと、内面はガッツポーズで決める俺である。


偽勇者「いえ、この私には勿体ないお言葉です、グランドノア女王様……」


深々と跪き、決まり文句を言う。


グランドノア女王「では、優勝者にグリーンオーブを授けましょう」

         「我が王宮の宝、受け取って下さい」

偽勇者「ははーーっ……」


女王から差し出された、美しい緑色の宝玉。

俺は、それを静かに受け取ったのだ。


「グリーンオーブ」を手に入れた!


謁見の間の壁際で、興奮を隠せないのか大いに喜んでいるクラリス。

……マナーを教えなければならぬか。


グランドノア女王「来訪の際には、またこの城にも立ち寄って下さい」

         「私の夢を叶えてくれた英雄、心を込めてもてなしましょう」

偽勇者「ははっ! 恐れ入りますっ!」


ビシッと決めて、クラリスを連れ退出する。

こうして俺は、優勝賞品であるグリーンオーブを手にし女王の間を辞したのだった。

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|-ω-)<有給取ったから、明日―――今日は気が向いたらやるわ。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

アリス「ひとまず、生還おめでとうと言っておく」

    「しかし貴様はまだまだ未熟、今回の結果が全てではないぞ……」

    「……などといった気分でもないようだな」

ルカ「うん…… こんなに悔しい気持ちは、初めてだよ」


あそこまで手を抜いて戦われ、力の差を実感するばかりだ。

あいつにとって、僕など全力を出すまでもない相手なのだ。

だから僕は―――


ルカ「……アリス、もっと強くなりたい」

   「いや、強くならなきゃいけないんだ……」


早かれ、遅かれ―――いずれは、あいつと決着を付けないといけない。

人間のためとか、魔物ためとかではなく―――上手く表現できないけど……

シャニセ・ユウに勝ちたいっ!


アリス「ああ、そのためには四精霊の力を全て手に入れることだ。

    「一つ一つでも強力だが、四つの力が合わさった相乗効果は凄まじい」

    「それを使いこなすことができれば、四天王レベルとも互角に戦えるだろう……」

    「……と思う」

ルカ「思う、って……」

アリス「全ては、貴様次第という事だ」

    「どんなに強い力を持とうと、使う者がヘボならば話にならん」

ルカ「そうだよな…… よし、がんばるぞ!」


敗北と不完全燃焼感を吹き飛ばし、あらためて気合いを入れ直す。

残る精霊は、ウンディーネとサラマンダー。

彼女達に会いに行って、力を借してもらわなければ始まらないのだ。

さて、次の目的地は―――

………………
…………
……


……
………
…………

ルカ「じゃあ、ヤマタイ村とやらに行ってみるか」

アリス「うむ、実に楽しみだな」

    「「おにぎり」や「おそば」など、ぜひ食べてみたいぞ」


……やっぱり、食い物のことか。

呆れながらも、僕達は東方のヤマタイ村へと向かったのだった。

―――――
――――――

――――――
―――――

ルカ「地図を見ると、ここで山越えだね」

アリス「余は過酷な環境でも平気だが、貴様は準備が必要なのではないか?」

ルカ「そうだね、登山の準備を整えるか……」


そこに通り掛かったのは、見慣れない服装の老人だった。


じいさん「お前さん達、ヤマタイ村に行くだか?」

ルカ「はい、山越えの準備をしようかと……」

じいさん「はっはっは、そんなのいらねぇだよ」

     「わしもちょうど、ヤマタイ村から野菜を売りに来たとこだべさ」

     「こんな爺ッコロでも、一日でサクッと越えられる山だべ」

ルカ「なるほど、そうなんですか……」


やはり、地元の人の助言は頼りになる。

もう少しで、大層な準備をして拍子抜けするところだった。

こうして僕達は、軽装で山越えを試みたのだった―――

――――
―――――
――――――


風呂タイムや


――――――
―――――
――――

ルカ「うひゃあぁぁ……!」


……どこが、大した事のない山なんだ?

もしかして、はめられた……!?

いや、あの老人の脚力が凄まじいのか……?


アリス「ふむ、雪か……」


一方のアリスはというと、雪を前にそわそわしている様子だ。


アリス「ふむ、雪か…… 雪だな……」

ルカ「アリス…… 雪、初めてなのか?」

アリス「……その通りだ」

    「しかし幼児ではないのだから、別に嬉しくも楽しくもない」

ルカ「……………」

アリス「……………」

ルカ「……少し、遊んできてもいいよ」

アリス「……♪」


アリスは両手を高く上げ、雪の中を走り出した―――いや、這い回りだした。

そして、あっという間に目の届かないところまで消えてしまう。


ルカ「やれやれ……」


あまりのはしゃぎように、僕は立ち尽くすのみだった―――


――― ゴオオォォォ…… ―――


ルカ「おいおいおいおい……」


アリスは帰って来ないし、日も暮れるし、吹雪き始めたし―――

……これは、まずい。

このまま、ここで待っているのはまずい。


ルカ「おい、アリス!!」


呼び掛けても、まるで返事はない。

風の音に、僕の声が掻き消されるだけだった。


ルカ「仕方ない、ここから動かないと……」


なにせ相手は魔王、はぐれたとしても向こうは大丈夫なはず。

むしろ、危ないのは僕の方だ。

この吹雪の中で悠長に待っていたら、間違いなく凍死してしまう―――


ルカ「まずい、どうしよう……」


とにかく下山しようとしたのだが、猛吹雪が視界を阻む。

やみくもに進んでいるうち、方向も何も分からなくなってしまった。

しかも追い打ちを掛けるように、魔物が襲ってきたのだった―――


雪女が現れた!


雪女「あら、遭難者のようね……」

   「私が、抱いてあげる……」

   「この胸で抱き締めて、温めてあげるわ……」

ルカ「くっ……!」


この誘いに乗ってはまずい事を、僕は本能的に察知した。

こいつは、旅人を襲うモンスターのようだ!

…………
……

……
………

雪女「私の力が…… 封じられる……」


雪女は小さな雪わらしの姿になった!


雪女をやっつけた!


ルカ「うぐぐ……」


なんとか敵を倒したのはいいものの、遭難しているという危機的状態に変わりはない。

僕はあてもなく歩き続け―――

そして、とうとう極寒の中で倒れてしまった。


ルカ「まずい…… 寝たら、死んじゃう……」


それが分かっていても、体が痺れて動かない。

そのまま僕は雪に突っ伏し、意識を失ってしまった―――

………………
…………
……


……
………
…………

ルカ「……ここは?」


気がつくと、僕は木陰で寝転んでいた。

周囲には、のどかな光景が広がっている―――


アリス「やれやれ、勇者が雪山で遭難するとはな」

    「なんと情けない勇者なのだ、貴様は……」

ルカ「アリス…… 助けてくれたのか……」


どうやら、ここは山を越えた場所らしい。

人里も近いようで、東方情緒溢れる光景が広がっている。


アリス「姿を消したと思ったら、雪に埋まっているとはな」

    「まったく、余に感謝しろよ」


はぐれたのは、アリスの方じゃないか……?

そう思いはしたが、とりあえず礼を言っておく。


ルカ「ともかく、ヤマタイ村も近そうだね」

   「さっそく行くとしようか!」

アリス「まあその前に、メシにしようではないか」

    「まだ、魚の干物が残っていただろう」

ルカ「確かに、お腹が減ったね……」


体力を消耗したせいか、確かにお腹がペコペコだ。

僕は道具袋から、ニシンの干物を取り出した―――


                             チラッ>


ルカ「ん……?」


なにかが、物陰からじっとこちらを見ている……


ルカ「な、なんだ……?」


ねこまた「にゃ♪」


草陰から姿を見せたのは、なんと猫の魔物だった。


ルカ「……ほしいのか?」

ねこまた「にゃあ♪」


どうやら、食べ物を欲しがっているらしい。

しかし、干物は僕とアリスの食べている分で全部なのだ。


ルカ「そう言えば、焼きイソギンチャクがあったな……」


ナタリアポートで人魚に買わされた、不味そうな食べ物。

これをねこまたにあげてみようか……


【あげる】

【あげない】


ルカ「ほら、これ食べるか……?」


僕は、焼きイソギンチャクをねこまたに差し出した。


ねこまた「にゃあ……♪」


ねこまたは目を細め、大喜びの様子だ。

そのままがじがじと焼きイソギンチャクをかじり、食べてしまった。


ねこまた「にゃあ……♪」


食べ終えた後、ねこまたは僕に何かを差し出してきた。

これは…… 鈴だろうか。


ルカ「くれるのか……?」

ねこまた「にゃっ!」


こうして僕は、ねこまたから鈴を受け取ったのだった。


「ねこまたの鈴」を手に入れた!


ルカ「これは……」


不思議な力が、鈴から流れ込んでくる……


ねこまた「……にゃ!」


そしてねこまたは、草陰へと消えてしまった。


ルカ「……変な魔物だなぁ」


人を襲う事もなく、餌だけをもらって消えてしまった。

あんな魔物は、初めてだ。

ともかく、先に進もう。

ヤマタイ村は、すぐ近くのはずだ―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

偽勇者「……寒いっ!」

クラリス「……僕は緑竜、氷竜じゃない」


クラリスが震えながら何かぶつぶつと呟いている。

俺とクラリスは、次の目的地である東方のヤマタイ村へと向かっている途中で猛吹雪に遭遇していた。

山に備えた物を準備していなかったので、吹雪に吹かれ放題でクラリスは俺のマントで身を守っていた。

では何故、山に備えた準備をしなかったのか?

それは、グランドノア城の城下町が殺意を溢れ出させるほどに魔姦の禁が無視されていたからだ。

思い出せばそれだけで、皆殺しにしたい気持ちで一杯になる。


――――――――――――――――――――

青年「ああ、ここはいい町だなぁ……」

   「昨日夜道を歩いていたら、ハーピー達に襲われちゃったよ」

   「今日は、どこをうろついてみようかな……?」

偽勇者「おい、貴様は分かって言っているのか……?」

青年「東地区の裏通りで、ラミアに巻き付いてもらおうかな……」

   「それとも、西地区路地裏でクモ娘の巣に掛かってみようかな……」

偽勇者「……貴様」





若い女性「彼氏が魔物に寝取られて、相手のエルフと派手に喧嘩したわ」

     「もちろん、魔物に勝てるはずなんてないわよ……」

     「ああ、とっても悔しい!」

偽勇者「それは―――憐れな……」





ミノタウロス娘の牛乳屋「ミノタウロス印の牛乳はどうだいっ!」

            「今回の女王杯で優勝した少年戦士も、この牛乳を飲んでいたんだぞ」

偽勇者「……ほほう」

ミノタウロス娘の牛乳屋「……あっ!?」

――――――――――――――――――――


故にさっさとグランドノア城を後にしたのだ。

……まあ、後半はあまり関係がないが―――

―――とりあえず、暖などを取るのが先か……

このままでは、クラリスがトカゲのアイスになってしまう。

さて、どうするか……


【どうするん?】

○ログハウス、温泉付

○その他


ログハウス

少年戦士、というとやっぱり番外編通り偽はルカさんと同じくらいの体格なのかな?
小僧って呼んでるから、青年くらいの背丈を想像してたけど

『かまくら』やね

>>850:ルカ君よりちょっと高いかもしれんし、小さいかもしれん、想像に任せるわ


偽勇者「……そうだ、かまくらを作って難を逃れよう」

    「幸いに、材料となる雪ならば、融かすほど有り余っているっ!」

クラリス「……かまくら」

偽勇者「後で説明してやる―――ぬぅんっ!」


俺は全身に力を込める、超現象の扱いはまだ慣れていないが―――気合いで何とかなるだろう。

力を込め始めて少しした後に、周りの雪に異変が起こり始めた。

大小と様々だが、雪が一カ所に纏まり始めたのだ。

しかし集まった量はまだまだ少ない―――故により強く力を込めるのだ。


偽勇者「~~~~っ!!」


雪はどんどん集まる、そして圧縮する。

かまくらは、ただ集めるだけでなく固めたりしなければ、あっという間に崩れてしまう。

そして、全体的に形が整えば―――炎の魔法で、中に空洞を作る。

熱で外側も少し融けてしまったが―――逆に吹雪の極寒で融けた水が凍りより丈夫になる。


偽勇者「……よし」


氷のテーブルに、氷の椅子、氷細工で色々とついでに作ってみた。

クラリスを抱え、かまくらの中に入りその冷えた体を焚き火で温めてやる―――

―――あとで、温かいスープも出してやるか。

俺とクラリスは、吹雪が止むまでかまくらで一晩過ごすのであった。

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

そして、ヤマタイ村に続くと思われる道を進んでいると―――

見慣れない装束の二人が、先への道を遮った。

村人か……?

いや、耳の形からしてエルフだ!


くのいちエルフとサムライエルフが現れた!


サムライエルフ「見かけない顔だな、よそ者か……!」

くのいちエルフ「これ以上、先に進むようなら消えてもらう……」

ルカ「ちょっと待ってくれよ」

   「僕はただ、ヤマタイ村に行きたいだけで……」

サムライエルフ「ヤマタイ村に行くだと……?」

        「それなら、なおさら通しはしまい!」


見慣れない装束のエルフ達は、有無を言わさず襲い掛かってきた!

………………
…………

………
…………

サムライエルフ「大した腕だ、見事……!」


サムライエルフは小人の姿になった!


くのいちエルフ「くっ、面妖な技を使う!」

        「こうなれば、我が全力で葬ってくれる!」

        「我が淫技、思う存分に味わうがいい……」

………………
…………

………
…………

くのいちエルフ「くっ、無念……!」


くのいちエルフは小人の姿になった!


くのいちエルフとサムライエルフをやっつけた!


ルカ「なんだか、変わった連中だったな……」


のどかな田園風景に似つかわしくないエルフの戦士。

有無を言わさず襲い掛かってきた以上、人間と共存しているとも思えない。

あんなのが生活圏をうろついていて、ヤマタイ村は大丈夫なのか?


ルカ「もしかしたら、あのエルフ達を退治するのが村長の依頼なのかもしれないな」

アリス「さて、そうかな……?」

    「あの連中…… というかこの辺の妖魔は、村人を襲わないようだ」

    「余が見たところ、よそ者だけを狙っている感じだな」

ルカ「……そう言えば、そんな事を言ってたかも」


ヨソ者を村に近付けまいとする、エルフの戦士達。

それに、他の地方では見られない独特の魔物―――

なんだか、おかしな事だらけだ。


ルカ「ともかく、村に行って話を聞こうか」


こうして僕達は、もう目前のヤマタイ村に向かったのだった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「ここが、ヤマタイ村……」


独特の農村風景は、他では見られない。

見た限りは非常にのどかで、トラブルの気配はどこにもなかった。


アリス「ふむ、何から食べるかな……」

ルカ「……って、おい!」

   「なんで、人間の姿に化けないんだよ!」


グランドノアのように、ここも人間と魔物が共存しているとは限らない。

まずは人間に化け、様子を見るべきなのだが―――


アリス「大丈夫だ、あれを見てみろ」


アリスが示した先には―――

見覚えのあるねこまたが、当たり前のように道を歩いていたのだ。


じいさん「おお、猫神さまじゃ!」


村の老人はねこまたに近付き、ぱんぱんと手を合わせる。


ばあさん「猫神さまじゃあ!」

     「これはありがたい、かつおぶしじゃあ!」

ねこまた「にゃあ……♪」


老婆が差し出したかつおぶしに、ねこまたは飛びつくのだった。


ルカ「……………」


変な村だな……


ルカ「……って、おい! アリス!」


いつしかアリスの周りにも、村人達が集まっていた!

まずい、大混乱になってしまうか―――!?


じいさん「おお、蛇神さまじゃ!」


爺さんはアリスに近付き、ぱんぱんと手を合わせて拝んでいた。


ばあさん「蛇神さまじゃあ!」

     「これはありがたい…… 蛇神様って、何を食べるのかのう?」

アリス「……まずは「おそば」だ」

ばあさん「おお、おそばじゃ! 待ってろ、蛇神様!」

じいさん「まずは、って言ったのう! まだまだ食べる気じゃぞ!」

ばあさん「がめつい神様じゃが、とりあえず拝んでおけ!」


飯タイムや


村人達はざわざわと集まり、アリスを囲んで拝み倒している。


ルカ「……………」

アリス「……………」


……本当に変な村だな。


ばあさん「蛇神様、おそばじゃ!」

アリス「ふむ、ありがたく頂くぞ」


アリスは側の石に腰を下ろし、ずるずるとおそばを啜り始める。

僕は、どうすればいいのやら―――そう思った時だった。


じいさん「おお、狐神さまじゃ!」

ばあさん「これはありがたい……」

     「待ってろ、あぶらあげを持ってくるからのう」

ルカ「ん…… 狐神さま?」


そこに現れた魔物は、なんと―――


たまも「……およよ? お主は……」

ルカ「お、お前は……!」


魔王軍四天王の一人、たまも―――

そんな奴が、いったいどうしてこんな辺境の村に?

まさか、この村を滅ぼそうとでも言うのか?


ルカ「な、何をしに来たんだ……!?」

   「悪い事をする気なら、この僕が相手になるぞ!」

たまも「むむっ…… なんだか分からんが、売られた喧嘩は買うのじゃ!」


たまもと相対し、僕は剣を抜いた。

まさか、こんなところで四天王と戦う羽目になるとは―――


じいさんA「おお、人傷沙汰じゃ!」

ばあさん「これはありがたくない……」

     「狐神様を傷つけると、たたりがあるぞよ」

じいさんB「ぬおお、怖い剣じゃあ!」

      「うちの死んだ婆さんを思い出すのう……」

ルカ「……………」


……なんだが、緊張感の欠片さえない。


ばあさん「狐神さま、あぶらあげじゃ!」

たまも「……うむ♪」


たまもはあぶらあげを口に咥え、満足そうに眼を細めた。

その周りを村人達が囲み、ぱんぱんと手を合わせて拝んでいる―――

……なんだか、やる気がなくなってしまった。


ルカ「たまも…… いったい、この村に何しに来たんだ?」

   「滅ぼしに来たんじゃないのか?」

たまも「この村は、ウチの故郷なのじゃ」

    「里帰りに来ただけなのに、なんで滅ぼさねばならん」

ルカ「……そ、そうだったのか……」


とりあえず、僕は剣を納めた。

今のたまもに、暴れる気はないらしい。

だとすれば、少なくとも今は戦う理由はないはずだ―――


アリス「……………」


アリスは僕達の様子をうかがいながらも、静かにそばを啜っている。

そんな微妙な雰囲気の場に、一人の老人が進み出てきた。


老人「おお、旅の勇者様! それに蛇神様、狐神様!」

   「ようこそヤマタイ村にいらっしゃいました!」

ルカ「あなたは……?」

老人「わしは、このヤマタイ村の村長です」

   「すでにお聞き及びかもしれませんが、この村には厄介な問題が持ち上がっておりまして……」


この老人が、腕の立つ冒険者を探しているという村長か。

厄介な魔物に迷惑しているという話だが―――


アリス「ふむ。 話を聞こうか……」


ずずず…… とおそばを汁まで飲んでから、アリスは腰を上げた。

珍しく、頼み事に乗り気のようだが―――

さては、食べ物をたかる気だな。


村長「ここではなんですから、どうぞこちらに―――」


村長に導かれ、僕達は村通りを進む。

その後ろに続く僕とアリス―――そして、たまも。


ルカ「……おい、なんでお前まで来るんだ?」

たまも「年長者に向かって、お前とはなんじゃ」

    「不心得者が、この村で悪さをしているという噂を聞いてのう」

    「放っておくわけにもいかんのじゃ」

ルカ「不心得者……?」


村長「その話ですが……」

   「ヤマタイ村は今、とある妖魔のせいで困り果てているのです」


のどかな村通りを行きながら、村長は物憂げに口にする。


ルカ「その噂は聞きましたが…… いったい、どういう魔物なんです?」

村長「その名はヤマタノオロチ」

   「近くの洞穴にに済んでいる、八つ首の妖魔です」

アリス「ヤマタノオロチか……」

    「確かに、人間ではどうしようもない相手だな」


アリスの口調からして、ヤマタノオロチとやらはかなり手強い魔物のようだ。


村長「ヤマタノオロチは、ヤマタイ村に生け贄を要求してきたのです」

   「一年に一人、若い男を差し出せと……」

   「もし生け贄を出さなかったら、村を滅ぼしてしまうと……」

   「……そう言ってきたのは、五年前のことです」

ルカ「五年前、ということは……」

村長「……我々はか弱い」

   「あのような妖魔に対し、戦う力などありません」

   「これまで五名の若者を、生け贄としてヤマタノオロチに差し出しました」

ルカ「な、なんてことを……!」

村長「ただ、誤解しないで下され」

   「ヤマタノオロチは、生け贄を殺さないとも言ったのです」

   「それを証明するように、新たな生け贄を出せば、前年の生け贄は戻ってきました」

ルカ「えっ? 生きて戻ってきたんですか?」

村長「ええ…… 衰弱し果てた姿ではありますが」

   「さあ、こちらに……」


村長は立派な建物の前で立ち止まり、そこの戸を開けた。


村長「ここは、村の若衆のための集会所ですが……」

   「こちらへおいで下さい」


村長は、僕達を室内へと導き入れる。


村長「ご覧下さい。 この者は、去年帰ってきた生け贄です」

ルカ「こ、これは……」


床に敷いた布団には、やつれた青年が寝かされていた。


青年「あぅぅ…… ヤマタノオロチさま……」

   「ヤマタノオロチさまは……?」

看護の村娘「もうヤマタノオロチはいないわ。 あなたは助かったのよ」

青年「そんな、いやだ…… ヤマタノオロチさまぁ……」


青年「もっともっと吸って下さい……」

   「もう、死んでもいいですからぁ……」

村長「見ての通り、すっかり廃人と成り果てております」

   「一年もすれば回復するのですが、貴重な村の働き手がこの有様では……」

   「そして、問題はそれだけではないのです……」


村長は、ふすまの向こうを見やった。

なにやらそちらからは、青年達が言い争う声が聞こえてくる。


村長「間もなく、新たな生け贄を差し出す時期」

   「若衆の会議で、その年の生け贄が選ばれるのですが……」

   「……会議は紛糾し、若衆の間でも険悪な空気が広がっているのです」

ルカ「それは、そうでしょうね……」


命まで奪われないとはいえ、生け贄に出されるのだ。

若者同士でその役割を押し付け合い、争いになっているのだろう―――


村長「では…… こちらへどうぞ」


村長はふすまを開け放ち、僕達を会議の間に導いた。

そこでは、複数の青年達が顔を揃えて論議している。


若衆A「みんな、安心してくれ。 俺が生け贄になる!」

若衆B「お前だけ格好付けるなよ。 生け贄になるのはこの俺だ!」

若衆C「いやいや…… ここは俺に任せて、お前達は村のために尽くしてくれ!」

若衆D「いや、ここは俺が……!」

    「村一番の怠け者の俺なら、いなくなっても迷惑は掛からん!」

ルカ「……………」


どういう事なんだ、これは……


若衆A「ふざけるな! 今年の生け贄は俺のはずだろ!?」

若衆B「お前は働き者だろうが、五助!」

    「おふくろを泣かすな、俺が代わりに生け贄になるから!」

若衆C「お前一人だけ、イイ思い……じゃなかった、辛い思いなんてさせないぜ!」

若衆D「俺が生け贄になるから、お前達は村を守るんだ!」

ルカ「……………」

アリス「……………」

たまも「……………」

村長「ご覧の通り……」

   「情けないことに、誰もが生け贄になりたがっているのです」

アリス「……ドアホどもめ」

    「いっそこの連中、全員まとめて生け贄に出したらどうだ?」


村長「村の貴重な働き手を、そんなにたくさん失うわけにはいきません……」


そう言って、村長は深々とため息を吐いた。


村長「わしも、あと六十年若ければ……」

ルカ「えっと…… 村長?」

村長「いやいや……」

   「六十年若ければ、わしがヤマタノオロチを退治したという事ですよ」

   「ははははは……」


村長は乾いた声で笑い、そして再び沈んだ表情を見せた。


村長「若衆の仲には亀裂が入り、誰も彼もが畑仕事に力を入れぬ有様」

   「最初の生け贄を、村で一番の怠け者にしたのが失敗でした」

   「怠けていれば生け贄に出して貰えると思ったのか、誰も彼も怠け始めるわ……」

   「この村は、非常に深刻な状態なのです」

ルカ「……………」


……深刻、なのか?


村長「では、こちらに……」


村長は僕達を、建物の隅までこそこそと導いた。


村長「そこでお願いです……」

   「……どうか、ヤマタノオロチを倒して頂けないでしょうか?」


周囲の様子を伺いながら声を潜め、村長は囁くように告げる。


ルカ「あの…… なんで、そんなにコソコソ話すんですか?」

村長「ほら…… 若衆に聞かれると、袋叩きにされそうだから……」

ルカ「ああ、なるほど……」


……なんだか、ろくでもない話だな。


ルカ「分かりました、退治しましょう!」

アリス「ふむ、報酬の御馳走は弾んでくれるのだろうな?」


アリスはというと、さっそくたかる気だ。


たまも「かような不心得者、放ってはおけんのう」

    「よし、ウチも一肌脱ぐのじゃ!」

ルカ「たまも、お前も協力してくれるのか……?」

たまも「ふむ、ひとつ策を考えたぞ」

    「今年の生け贄と称して、ルカをヤマタノオロチの元に送るのじゃ」

    「そうして、ルカに退治させるもよし」

    「もし負けてしまったら、ルカを本当に生け贄にしてしまうもよし」


ルカ「おいおい…… なんなんだ、その作戦……」


とは言え、勝てば問題ないわけだ。

これは、意外に良い作戦かもしれない。

正直、アリスやたまもが戦えば手っ取り早い気もするが―――

いやいや、ここは勇者の僕がやるべきなのだ!


村長「それでは、お任せしてよろしいですかな?」

   「決行するならば、今晩さっそくという事になりますが」

ルカ「ええ、作戦に異論はありません」

   「ヤマタノオロチは、僕が退治してみせますよ!」

村長「おお、なにとぞよろしくお願い致します」

   「ただし…… 若衆には、くれぐれもご内密に」

   「ヤマタノオロチを退治することが知られれば、彼らがどんな暴挙に及ぶか分かりませんので」

ルカ「は、はい……」

村長「今年の生け贄はあなたになった、ということで若衆を説得しましょう」

   「では、わしはこれで……」


そう言い残して、村長は会議の間へと去っていく。

僕達は、夜まで待つ事になったのだった―――

………………
…………
……

【狐神社に行く】

たまも「ここにいると、あぶらあげがもらえるのじゃ♪」

ルカ「……………」


こうして見ると、世界中で恐れられている四天王の一人には見えないな。

そんなたまもの周囲には、無数の狐がうろついていた。


アリス「きつね……」


アリスは狐を脅かしたり、尻尾を引っ張ったりといじめ始める。

こいつ、本当に狐が嫌いなんだな……


たまも「こりゃ、魔王様!」

    「狐をいじめるでない、ドアホめ!」

アリス「……………」


アリスはたまもを恨めしそうに見据え、そして姿を消してしまった。


たまも「まったく…… いつまで経っても子供のままじゃのう」

ルカ「なんで、アリスは狐が嫌いなんだ……?」

たまも「すでに聞いておるかもしれんが、魔王様の教育係を務めたのはウチなのじゃ」

    「その関係で、幼少時から狐族の者達が魔王様のお世話をしておってのう……」

    「魔王様からすれば、幼い頃から狐達に囲まれ、ガミガミ言われていたと感じておるんじゃろうな」

ルカ「なるほど、そうだったのか」

   「なんだか、子供みたいな理由なんだな……」

たまも「……ウチの育て方が悪かったのかのう」

    「魔王様には、人間を憎まぬように育て上げるのが精一杯だったのじゃ」

ルカ「え……」

たまも「一歩間違えれば、魔王様は人間を憎む復讐の権化になるところじゃった」

    「そうなれば、五百年前のアリスフィーズ8世以上に災厄を撒き散らしておったじゃろう」

    「よって魔王城からの外出を禁じ、箱入り状態で育てたのじゃが……」

    「色々と抜けた、世間知らずになってしもうたかもしれんのう」

ルカ「アリスに、何があったんだ?」

   「人間を憎んでいたかもしれないって、いったい……」

たまも「魔法様が幼い頃、心を痛める出来事があってのう……」


そう呟き、たまもは一瞬だけ表情を曇らせた。


たまも「……まあ、すでに過ぎたことじゃ」

    「今さら蒸し返す出来事でもあるまい」

    「ところで、こちらも少し知りたい事があるのじゃが」

    「お主の指輪を、少しばかり見せてはくれんか?」

ルカ「母さんとの約束があるから、指からは外さないけど……」

   「ほら、これでいい?」


僕は、指輪を付けている手を差し出した。

たまもは指輪をじろじろと眺め、くんくんと匂いを嗅ぐ。


ルカ「何の魔力も感じないって、アリスは言ってたよ」

   「どうして、そんなにこの指輪が気になるんだ……?」

たまも「確かに、何の魔力も感じぬが……」

    「魔王様も、まだまだ未熟じゃのう」

    「あまりに何の力も感じられない事に対して、逆に不自然さを抱かんとはな」

ルカ「逆に不自然って、どういう事なんだ……?」

たまも「鉱石というものには、どんなモノにも微妙な力がこもっておる」

    「何千年、何万年も存在し続けたものには、僅かにでも霊性が宿るものじゃ」

    「しかしこの指輪の宝石からは、何の霊性も全くもって感じられん」

    「むしろ、それは不自然な事なのじゃ」

ルカ「つまり…… 結局、どういう事なんだ?」

たまも「結局、ウチにも分からんのじゃ♪」

    「その指輪を、様々な術式で詳細に解析すれば何か分かるじゃろうが……」

    「お主は、それを望まんのじゃろう?」

ルカ「うん、そうだね」

   「そこまでして、調べてもらう気はないよ」

たまも「それに…… 魔王様が見逃している、奇妙な点がもう一つある」

    「お主は七尾と戦った時、意識を失って潜在能力が一時的に目覚めた」

    「そして、強力な魔王で七尾を討ち倒したのじゃが―――」

    「それにより、七尾は狐の姿に封印されたのじゃ」

    「堕剣エンジェルハイロウを用いない攻撃にも関わらず、封印効果が発動したということになるのう」

ルカ「あんまり覚えてないけど……」

   「そういえば、不思議だね」

たまも「不思議で済ますな、ドアホめ」

    「つまりは、お主の力の源泉は堕剣エンジェルハイロウと同質」

    「なぜかお主は、聖属性の力を潜在的に秘めているのじゃ」

ルカ「ど、どういう事なんだ……?」

たまも「いわば珍種じゃな、お主は」

    「今度、体を色々と調べさせてはくれんか?」

ルカ「や、やだよ……」


珍種扱いされるのも、あまり良い気分ではない。


たまも「ともかく…… その力、二度と使うでないぞ」

    「魔王様にも言っておかねばならぬのう」

ルカ「え……? なんで……?」

たまも「あれほどの力、人の身には負担が大きすぎる」

    「高濃度の聖素は、生身の肉体を蝕むのじゃぞ」


ルカ「聖素が肉体を蝕むって…… 病気みたいなもの?」

たまも「乱用すればするほど、生身の肉体が聖素に置き換わっていく」

    「最後には、お主は人間とは別のモノになってしまうじゃろうな」

    「ウチは、かつて聖属性の力を欲した男を知っておる」

    「奴は聖なる力を振るい続けた代償に、最後には聖素体と化しおった」

    「その剣で滅ぼした、無数の存在をも取り込んでな……」


たまもは言葉を切り、僕の荷物に一瞬だけ視線をやった。

なぜか、堕剣エンジェルハイロウを見据えた気がしたが―――


たまも「ともかく、お主は同じ道を歩むでないぞ」

    「その力は危険だと心得ておくのじゃ」

ルカ「……忠告ありがとう」

   「よく分からないけど、そんなに危ないなら使わずにおくよ」


どちらにしろ、あまり自分の力で戦った気はしないのだ。

肉体に激しい負担まで掛かるのなら、使わない方がいいだろう。


たまも「くれぐれも、魔王様をよろしく頼んだぞ」

    「まだ年若く、短慮なところが多いからのう」

ルカ「ああ、うん……」


正直、勇者の僕に魔王の世話など頼まれても困るが―――

たまもの真剣な面持ちに、素直に頷くしかなかった。

――――
―――――
――――――


大阪|;-ω-)=3

大阪|;・ω-)<ワイ頑張ってよね? もう寝てええ?

大阪|-ω-)<...グゥ


――――――
―――――
――――

―――『たまも』

たまもは、ルカを見送った後に一息をつくと―――

―――狐神社の鳥居にぴょんと一足で飛び乗るとヤマタイ村近くの雪が残る山を見据える。


たまも「温泉に一風呂入浴するつもりで里帰りしたのじゃが」

    「何故こうも、問題が次から次へと湧いてくるかのう……」

    「ウチのもふもふしっぽがまた、ハゲてしまうのじゃ……」


魔王城での主な仕事はたまもと狐達のみでやりくりをしており、その労働は決して楽ではない。

故に休暇なども稀で、今年だけで休暇を取った回数など片手のみで数えられる。

なのに、休暇の日に問題が舞い込んできた。

たまもは、少しばかり苛立ちを覚えたが―――直ぐにその感情を押し込める。


たまも「……邪悪なる者が何用で、ウチの故郷に訪れるかは分からぬが」

    「害を及ぼすならば、容赦はせぬぞ……」


たまもは、扇で口元を隠しつつ物騒な言葉を述べる。

魔物とて生きているのだ、その魔物の故郷に害を及ぼすならば殺気の一つも湧いてくるであろう。

しかし、たまもの憤怒は他の魔物とはケタが違う。

四天王だからか、それとも―――


たまも「それにしても、あの邪悪なる者が魔物を一匹連れて歩いておるとは」

    「ウチでも予想はできなかったのじゃ」

    「何の目的で連れているかは知らぬが―――まあ、よかろう」


そう呟くと、鳥居から跳び下りて一回転して着地する。

そのまま、神社の方に歩を進め―――先程までルカが居た場所を一瞬だけ視線をやった。


たまも「……ルカと邪悪なる者」

    「どんな結末が訪れるか―――これも楽しみではあるな♪」


たまもは、自動で開いた神社の戸を通り、そのまま奥へと消えてしまった。

戸も主が消えたのを察知したのか、ゆっくりとパタンと閉まる。

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

ヤマタイ村に続くと思われる道で激しい戦闘が行われていた。

その場には、くのいちエルフやサムライエルフに多種多様なエルフと一人の男と一匹の竜人が居た。

エルフ達は里を守るために、よそ者を排除しようとその圧倒的な数で襲い掛かり―――

――― 一方的に遣られていた。

サムライエルフが刀を振るえば、その腕を掴まれ地に叩きつけられ―――

くのいちエルフが死角から忍術を仕掛ければ、掴まれ樹に投げ飛ばされ―――

他のエルフ達も遠距離から攻撃を行えば、矢の雨の中を駆け出しカウンターで裏拳を叩き込まれる―――

そして、親玉と思われるエルフは―――首を掴み上げられ、樹に叩き付けられている。


親玉エルフ「……この怪物めが」

      「何用でこの村に立ち寄った……」

偽勇者「……別に」

    「一々、答える義務も義理もないから答えない」


親玉エルフの両手に持つ刀は、折り曲げられ刀としての役目を果たすことは出来なくなっている。


クラリス「あにさん、あまりやり過ぎないで下さいよ」

偽勇者「……クラリス」


そして、その側に一匹の竜人が―――クラリスが近づいてきた。


偽勇者「言っておくが、エルフの8割を死屍累々にしたのは、お前だぞ……」

クラリス「だ、だって、刃物を突き付けたら危ないじゃないですか!」

     「それに、少し強く技を掛けただけで死んでませんよ!」


親玉エルフは、意識が途切れそうな中、この二人の様子を伺っていた。

竜人と思われる魔物は、次々に技を回避し勢いを殺さずにそのまま地に叩き付け―――

―――男であるこの者は、腕を一振りするだけでエルフ達を宙に飛ばした。

そして、エルフ達の中で実力が一番勝っている筈の私は首を掴まれ、樹に叩き付けられている。

ついでに刀も捻じ曲げられ為す術も無くなってしまった。

死を覚悟したその時―――私は山として積み重なっている仲間達の方へと投げられた。

痛みが襲い掛かって来るが、耐えられないことはない。

男と竜人は、そのままヤマタイ村に歩を進めようとしていた。


親玉エルフ「ま、待て……」

偽勇者「……ああ?」

親玉エルフ「何故、私に止めを刺さぬ……」

      「まだ、私は生きているぞ……」


偽勇者「……そうだな」

    「生きているな……」

親玉エルフ「ならば……っ!」


親玉エルフは、近くに転がっていた槍を杖代りにし立ち上がる。

体はボロボロで、身を守る鎧は完全に砕けていた。

それでも、立ち上がり村を守ろうとする―――その行為が無駄だとしても……


偽勇者「何故、立ち上がる?」

    「そのまま寝ていれば、それ以上傷つくことはないのに……」


偽勇者は考えていた、どうしてこの魔物は立ち上がるのか。

―――餌である男を守るため?

―――餌場である村を守るため?

―――それともただのバカ?

―――分からない。


親玉エルフ「―――」


【親玉エルフのセリフ】

↓2 ~ 3

お前が何をするか分からんと言うのに野放しになどできるか

リーダーとしての責務
用意に折れてしまうようでは示しがつかない


ちょい飯タイム+αや

>>883 >>884』やね、まあしゃあない。


親玉エルフ「お前が何をするか分からんと言うのに野放しになどできるか」


親玉エルフは一歩前に進む。


親玉エルフ「それに―――リーダーとしての責務」

      「容易に折れてしまうようでは―――」


他の動けるエルフ達もそれぞれの得物を構える。


……――― 他の者に示しがつかぬわっ! ―――……


エルフA「そうだ…… ここで諦める訳にはいかない!」

エルフB「我々、武士道に反することはせぬ!」

エルフC「この身、首だけになろうと噛み付いてくれる!」


偽勇者はそのまま無言でエルフ達と対峙する。

そして、多少のイラつきを覚え脚に力を込める。


偽勇者「……魔物の分際で」

    「……だが」


偽勇者は、エルフ達の間を瞬時に駆け抜け―――


偽勇者「嫌いではない!」


―――エルフ達が倒れる。

元々、エルフ達は偽勇者と、まともに戦う体力は残っていなかった。

故に走り抜ける音速の衝撃のみで倒すことができたのだ。

親玉エルフも、今度こそ体力が尽きたのかピクリとも動かない。

その光景をぐるりと一回り見渡すと、そのままヤマタイ村に歩を進める。

クラリスも慌てて偽勇者に付いて歩くが……


クラリス「えぇと、あにさん……」

     「エルフ達は大丈夫ですかね……」

偽勇者「死にはしてない」

    「魔物だからな、多少は時間は掛かるが明日の朝日には体力が戻っている」

    「……たぶん」

クラリス「たぶんっ!?」


邪悪なる者は今、確実にヤマタイ村に足を踏み入れたのだ―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

ネムッ|-ω-)< .....zzz


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

そして、夜が訪れた。


ルカ「いよいよ、ヤマタノオロチとの戦いか……」


闘志を胸に秘め、村外れで村長達を待つ僕。

彼等が僕を輿に乗せ、生け贄と偽ってヤマタノオロチのところまで運んでくれるという手筈だった。

アリスとたまもの姿は見当たらないが、どこに行ったのだろう―――


ルカ「……ん? これは……?」


風の囁きが、妙な気配を伝えてくる。

この周囲を、敵意に満ちた者達が取り囲んでいるようだ……!


ルカ「まさか、ヤマタノオロチに計画がバレたのか……!!」

若衆A「てやぁ!」


不意に背後の草陰から飛び出し、棒を振り下ろしてくる青年。

しょせんは素人の攻撃、僕はそれを容易くかわした。


ルカ「な、何をするんだ!」

若衆A「旅の人…… 今年は、あんたが生け贄だって聞いたよ」

若衆B「無関係なあんたを、生け贄になんてできない!」

    「ここは俺達に任せてくれ!」

若衆C「生け贄は俺達の中から選ぶ。あんたに押し付けはしないぜ!」

若衆D「別に殺そうってわけじゃない。 しばらく気を失ってもらうだけだ……」

ルカ「……………」


こいつら…… 言ってることは格好良いのに、動機が不純すぎる。

若衆達は僕を取り囲み、じりじりと間合いを詰めてきた。


ルカ「ぐっ……!」


相手はただの人間である以上、力でねじ伏せるわけにもいかない……

……正直なところ、叩きのめしてもいいような気もするけど。


【説得する】

【軽く力に訴える】

【全力で叩きのめす】

【軽く力に訴える】


ルカ「仕方ないな、怪我をしない程度に……」

若衆A「うぉぉぉ……!」


振り下ろされた棒を、僕は剣で弾き飛ばす。

同時に軽く足を引っ掛け、地面に転ばせた。


若衆A「あうっ……!」

若衆B「おのれ、よくも……!」


さらに飛びかかってくる若衆の攻撃を避けつつ、そのまま投げ飛ばした。


若衆B「ぐあっ……!」

若衆C「おいおい、強いじゃないか……!」

若衆D「やっぱり、俺たちに敵う相手じゃないんだよ……!」


若衆達はひるみ、そして―――


若衆A「に、逃げろ~!」


そのまま、一目散に逃げ去ってしまったのである。


ルカ「まったく…… 闇討ちしてくるなんて、ムチャクチャだな」

アリス「ううむ、これも共存の一つの形かもしれんが……」

    「魔物に溺れすぎるのも、考え物だな」

ルカ「あっ、アリス……」


複雑そうな表情を浮かべ、アリスが姿を見せる。


ルカ「ところで、たまもは?」

アリス「……魔王城に帰ったぞ」

    「立場上、勇者に手を貸すのはまずいのだそうだ」

ルカ「え? そうなのか……?」

アリス「それで…… たまもから、預かり物がある」

    「このアイテムを貴様に渡せ、ということだ」

ルカ「アイテム……?」


アリスが渡してきたのは、掌サイズの奇妙な毛玉だった。

なんだか温かくて、モフモフしている……


ルカ「こ、これって……」


指先で、奇妙な毛玉を軽くつつくと―――


たまも「うひゃひゃ…… くすぐったいのじゃ……!」


毛玉は、もそもそと蠢いた。


ルカ「……………」

アリス「……………」


「たまも玉」を手に入れた!


アリス「確かに、渡したからな……」

ルカ「あ、ああ……」


僕は、たまも玉を道具袋にしまった。


アリス「いつものごとく、余はついていかんぞ」

    「せいぜい、本当に生け贄にされてしまわんようにな」

ルカ「ああ、任せてくれ!」


渡す物を渡し、いつものように姿を消してしまうアリス―――

それと入れ替わりに、村長一行が迎えに来た。


村長「お待たせ致しました」

   「おや……? 蛇神様と狐神さまは?」

ルカ「えっと、行くのは僕だけです」

村長「なるほど」

   「生け贄以外の者がいては、作戦が上手くいかないかもしれませんな」

   「では、この輿にお乗り下さい」


村人達数名で担いでいる、金銀細工の立派な輿。

毎年、これで生け贄をヤマタノオロチの元に運んでいるのだろう。

あまり良い気はしないが、僕はその輿の中に乗った。

これで僕も、立派な生け贄というわけだ。


村長「では、行きますよ」

   「洞まで一時間ほど、我慢して下され」

ルカ「あ…… はい……」


こうして僕は、輿で村の外にまで運ばれていく。

そして、ゆらゆらと輿に揺られること一時間―――

――――
―――――
――――――


大阪|・ω・)<死ぬほど眠いから、今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

とうとう、僕の乗った輿は洞の入り口まで運ばれた。


村長「私達が運ぶのは、ここまでです」

   「ここからは、ヤマタノオロチ様の力で中に運ばれますので」

   「それでは、私どもはこれで―――」


村長および担ぎ役の村人達は、そそくさとその場から去ってしまう。


ルカ「……………」


もし僕が勝てなかったら、そのまま生け贄にしてしまえ―――

そんな意図が、ありありと伺えるようだ。

僕が溜め息を付いた、次の瞬間―――

僕の乗った輿が、誰も触れていないのにふわりと浮き上がった。

そして、そのまま洞の奥へと引き込まれていくのだ。


ルカ「わ、わっ……!」


ヤマタノオロチの前に運ばれるまで、大人しくしていた方が良い。

しばらく輿に乗ったまま奥へ運ばれ、そして地面に下りたようだ。


ルカ「つ、着いたのか……?」

???「さあ、生け贄よ」

    「妾の前に姿を見せるがよい……」

ルカ「……………」


輿から降りると、目の前には―――

―――とんでもなく異様な魔獣が鎮座していた。


ヤマタノオロチ「おお…… 今年の生け贄は、また随分と可愛い少年よ」

        「さあ、近う寄れ」

        「怖がることはない、快楽の極みを味わわせてくれようぞ……」

        「村の者ではないようだな……」

        「まあ、美味そうな男なら気にはせんぞ」

ルカ「……………」


それぞれの首は、どうやら独立した意志を持っているらしい。

なんとも異様な、そして予想以上に強そうな妖魔だ。


ルカ「……悪いけど、僕は生け贄じゃない」

   「お前を退治しに来た勇者だ!」


僕は剣を抜き、ヤマタノオロチと対峙した。

その瞬間、気迫のような妖気が一気に濃くなる。


ヤマタノオロチ「なんと、妾を退治とは笑わせおるわ……」

        「これは面白い余興よ」

        「少しばかり、遊んでくれようぞ……」


このまま生け贄にされてしまうなんて、勘弁願いたい。

この戦い、なんとしても勝たなければ―――!

………………
…………
……

ルカ「ぐっ……!」

   「まさか、ここまで強いなんて……!」


熾烈な攻撃に、とんでもない生命力。

ここまでの戦いで、僕は力の差を悟ってしまった。

まずい、このままでは勝ち目がない―――


――――――――――――――――――――


……―――偽勇者「しかし、勇気と無謀の違いは理解できぬか……」―――……


――――――――――――――――――――


僕は奥歯を噛み締める。

ふと、脳裏にあいつが浮かんだ気がした。

―――力の差を悟る?

―――勝ち目がない?

そんなことで、あいつに勝てるか。

ここで躓くなんて、全ての者が許しても僕自身が許さない……!


ヤマタノオロチ「さて、そろそろ遊戯の時間は終わろうぞ……」

        「戯れた分の賃金はしっかりと体液で払うがよい」

ルカ「……さい」

ヤマタノオロチ「……はて、何か申したか?」

        「よく聞こえんかったのう……」

ルカ「うるさいって、言ったんだっ!」


ルカの声が洞に響き渡る。

剣を握る力も強くなり、ヤマタノオロチをしっかりと見据える。


ルカ「僕は、お前より強い奴を知っている」

   「あいつを倒すためには、こんな所で躓いていられないんだ……!」

   「お前程度で、立ち止まっていられないんだ……っ!」


ヤマタノオロチ「……………」

        「……戯言は、もう良いのか?」

        「一度吐いた唾液は、もう飲めんぞ……!」

        「お主の体を締め上げ、滴る血をねっとりと舐め尽してくれるわ……!」


ヤマタノオロチの妖気が、ルカの肌を刺す。

……これが、殺意―――あまりの恐ろしさに腰が引けてしまいそうだ。

でも、今ここで引いてしまったら―――

―――二度とあいつの前には立てない気がする。

だから、僕は敢えて一歩前に進み出る。


ヤマタノオロチ「ほう……」

        「それでも、進み出るか―――」

        「猛き男、妾の好みであったのに……」


ヤマタノオロチの首が、ルカの周りをジリジリと狭めてくる。


ルカ「……………」


ルカは剣を構え直し、次の熾烈に備えるが―――


たまも「そろそろ、ウチの出番じゃのう」

    「今のお主なら、土の力を引き出し使いこなせるかもしれん」


ルカ「え……?」


道具袋の中から、ひょっこりと飛び出すたまも玉。

それは、たちまちにしてたまもの姿になった!


ルカ「た、たまも……!?」

たまも「よいか、土の力とはすなわち大地の息吹」

    「その身に、大地を宿す事をイメージするのじゃ」

    「ほぉれ、こんな風にな……!」


――― 大地の息吹 ―――


たまもの体に大地の息吹が根付いた!


ヤマタノオロチ「……何用よ、小さき獣」

        「妾の愉しみを邪魔した報い、受けてもらおうぞ!」


ヤマタノオロチは、その身に詰まった筋肉の塊である尻尾で、たまもを薙ぎ払うが―――

たまもはその一撃を食らっても、涼しい顔をしていた。

逆にたまもを薙ぎ払おうとした尻尾が悲鳴を上げたのだ。


ヤマタノオロチ「な、なんだと……!?」

たまも「重ねて言うが、大切なのはイメージじゃ」

    「己の体を、力強き大地だとイメージするが良い」

    「ならば、これしきの攻撃など大地の力に阻まれるはずじゃ」

ルカ「自分の体に、大地をイメージ……?」


そんな事を言われても、簡単に出来そうにはないが―――


たまも「ほれ、とっととやってみよ」

    「ノームを従えておる以上、あとは心掛けの問題じゃぞ」

ルカ「わ、わかった……」


自信はないが、やってみるしかない!


ルカ「この身に、大地の息吹を……!」


――― 大地の息吹 ―――


ルカの体に大地の息吹が根付いた!


ルカ「こ、これは……!」


今までに、土の力を使った時とは全く違う感じ。

まるで自分の体が、力強い大地と化したかのようだ。

これならば、多少の攻撃ならものともしないはず―――


たまも「ふむ、できるではないか」

    「その身に土を宿せば、防御力を大幅に高められるのじゃ」

    「それでは、ウチも少し遊ぼうかの♪」


そう言い終わると同時にヤマタノオロチの腹に、拳を叩き付けた!

ヤマタノオロチは、突然の力に抵抗出来ず壁にその身を沈ませるのだった。

しかし、強大な妖魔であるために直ぐに沈んだ体を起こした。


ヤマタノオロチ「ば、馬鹿な……!」

        「妾というものがありながら、このような小さき獣に後れを取るとは……!」


ヤマタノオロチの顔は、驚きや焦り、戸惑いを宿していた。


ルカ「大地の力を拳に乗せて、敵にぶつけたのか……?」


土の力を有効に使えば、そんな事までできるのか―――

僕は溢れんばかりの力を、うまくコントロールしようとしたが難しい。

結局、攻撃面では普段と変わらないようだ。


たまも「う~む…… まだ力を持て余しおるか」

    「大地の力を攻撃に用いるのは、まだまだ難しいようじゃのう」


たまもは、しっぽを気軽にヤマタノオロチに振った―――そして、ヤマタノオロチから九つの重く鈍い音が奏でられた。


ヤマタノオロチ「ぬうっ……!」

        「うぬはいったい―――」

たまも「やれやれ……」

    「数百年も里帰りしておらんと、思い上がった小娘も現れおるか」


たまもは、溜め息を吐き頭を抱える。

その姿は、少しばかり草臥れたイメージが強い。


たまも「さぁて、そろそろ事を納めようかの」

    「せっかくだし、お主の流儀で幕を引くぞ」


たまもは、ルカの手から堕剣エンジェルハイロウをひったくった!


ルカ「あっ、おい……!」

たまも「これで終わりじゃ!」

    「壊斧・大山鳴動!」


たまもは剣を掲げ、高く跳躍した!

大地の力が込められた一撃を、ヤマタノオロチの急所に繰り出された!

巨体はその衝撃で地に沈み、八つの首はそれぞれ声にもならない悲鳴を上げる!

小さき獣が、巨大な魔獣に討ち勝った光景がルカの瞳に映る。


ルカ「これが四天王……」


ルカは、剣をひったくられた空いた手を力強く握る。


――― まだまだ、未熟だ…… ―――


その呟きは、大地に沈む魔獣の音が掻き消したのだった。


ヤマタノオロチ「妾の…… 力が……!」

        「こ、こんな……」


ヤマタノオロチは複数の頭を持った蛇の姿になった!


ヤマタノオロチをやっつけた!


たまも「ふむ、これでもう悪さはできまい」

    「万事解決じゃのう」

ルカ「なぁ、たまも……」

   「なんで、僕に土の力の使い方を教えてくれたんだ?」

たまも「ウチは長い間、モノを教える立場じゃったからのう」

    「今一歩な若者に、つい手ほどきしてしもうただけじゃ」

ルカ「そうか…… ありがとう」


この戦いで、僕はとても大切な事を教わったのだ。

ここは、素直にたまもに感謝するしかあるまい。


アリス「ふむ、終わったか……」


そして、全てが終わった後にようやく顔を出したアリスは―――

もむもむと、おにぎりを食べていた。


ルカ「なんで、もうメシ食ってるんだよ……」

アリス「ふん、別に手こずることもあるまい」

    「たまもがいる以上、こんな妖魔に遅れは取らんだろう」

たまも「そういうことじゃ!」


えっへん、と胸を張るたまも。


たまも「とは言え、あまりにルカが不甲斐ないならば放っておいたぞ」

    「ルカが生け贄代わりになっても、それはそれで解決じゃからのう」

ルカ「……………」


ともかく、これでヤマタノオロチは封印された。

こうして無事に依頼を終わらせ、僕達は洞を―――


たまも「ウチは、まだ用事があるからのう」

    「すまぬが、村には先に帰っていてくれぬか」

ルカ「えっ……」


たまもは、口元を扇で隠しながらそんなことを言った。

何やら、事情があるようだが―――


ルカ「うん、わかったよ」


まあ、心配することはないだろう。

僕とアリスは、洞を出たのだった―――

――――
―――――
――――――


   ∧∧

  (  ・ω・)<今回はここまでや。
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ほな、お休み~……
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/



――――――
―――――
――――

―――『―――』

たまも「……………」

    「いい加減、姿を現したらどうじゃ?」

    「邪悪なる者よ……?」


たまもが、そう呟くとその言葉に応じるように、洞の一部分から偽勇者が姿を現した。


偽勇者「……これは驚いた」

    「この呪文は相手が魔物であれば、どんな存在でも気付かれることはない筈だが―――」

たまも「そんなことはどうでもよかろう」

    「単刀直入に聞く―――何しにこの村に訪れたのじゃ」

    「返答次第では……」


たまもは、そこで言葉を切った。

これ以上の言葉は必要なかろうと、扇で口元を隠し―――

―――いつもの"のほほん"とした雰囲気を潜め、四天王としての殺気溢れる視線が偽勇者を迎えていた。

一方、偽勇者はそんな視線を受けつつもふざけた態度で返答する。


偽勇者「おいおい、落ち着けよ狐さんよ」

    「このヤマタイ村で、死者を出すつもりはないさ」

    「まあ、ここの村人達は何て言うかね―――」

    「―――殺り難いんだよ」

    「魔物と日常的に交わってる訳でも無し、精々拝んだり、食べ物を差し出す程度……」

    「これだけでは、殺す必要性が俺的には無いんだよ」

    「……まあ、アホの若衆共には仕置きしたがな」

たまも「ほう……」


いつの間にやら、偽勇者を迎えていた殺気は無くなりのほほんとした雰囲気のたまもに戻っていた―――

―――が、逆に偽勇者が殺気を放っていた。


偽勇者「まあ、それは村人と村に住む魔物達の話……」

    「たまも、貴様は十分に殺害対象に入っている……」

たまも「ふん……明けても暮れても戦うか」

    「貴様は、それしか能がないのか」

偽勇者「勇者とはそもそも、戦うだけの存在」

    「魔物と共存のために存在してる訳ではない」


偽勇者は、鞘から剣をゆっくりと抜いていく。

たまもは、その様子をまじまじと眺めていた。

そして―――


たまも「貴様が、戦うだけの存在と申すなら」

    「その背後に隠れておる魔物の子はどう説明するのじゃ?」

クラリス「ッ!?」

偽勇者「……………」


偽勇者の背後にある岩陰に隠れていたクラリスがひょっこりと顔を覗かせる。

たまもの魔力か、偽勇者のオーラの影響なのか体を抱き締め震えていた。


たまも「ウチは、貴様らが雪山でかまくらを作りその中で楽しそうに食事をしていた光景も見ておる……」

偽勇者「……………」

たまも「偽勇者―――いや、シャニセ・ユウ」

    「今一度聞く、その子は貴様にとってどんな存在なのじゃ?」

偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓ or 2


   ∧∧

  (  ・ω・)<今回はここまでや―――安価内なら↓やで。
  _| ⊃/(___
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ほな、お休み~……
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/

…ただの、弟子だ

……いつか滅すべき者の一つだ


ゲソッ|ヽ・ω・)<ほな、少しだけやろか……

>>923 >>924』やね

たまも「偽勇者―――いや、シャニセ・ユウ」

    「今一度聞く、その子は貴様にとってどんな存在なのじゃ?」

偽勇者「……………」

    「……只の、弟子だ」

    「しかし―――」


偽勇者はゆっくりと息を吸い、そして言葉と同時に吐き出した。





――― い つ か 滅 す べ き 者 の 一 つ だ ―――





クラリス「……………」

たまも「……………」


クラリスは何の反応もしない―――いや、したくてもどうすればよいか分からないのかもしれない。

そして、たまもは目を細め偽勇者を見据える。


たまも「……もし、それが冗談ならば酒の肴にもならんぞ」

偽勇者「冗談ではない」

    「クラリスとて魔物だ、何れは魔物としての本能が目覚めるだろ……」

    「その時は―――」


偽勇者が言い終わる前に、たまもが動いた。

その小さな手で繰り出された拳は、偽勇者の顔面を吹き飛ばす。

吹き飛ばされた者は、洞の壁を抉りながら土煙の中へと消えた。

クラリスはその一瞬の出来事に反応できずただその光景を見ているだけしかなかった。


たまも「……もう、二度と喋らなくてもよいぞ」

    「耳が腐るからの」


たまもは、土煙に沈む偽勇者に残酷な一言を言い放った。

壁が抉り、砕ける威力は、人間にとって即死と同等である―――

―――人間であれば……


たまも「むっ……」

偽勇者「……痛いな」

    「今のは痛かったぞ……」


土煙から出てきた偽勇者は無傷であった。


たまも「……多少は、本気で殴ったのじゃが」

    「どうゆうカラクリじゃ……?」

偽勇者「教えるとでも……?」

たまも「そうじゃの」


痛みを我慢している素振りも見せずけらけらと笑う邪悪なる者。

たまもは、額に汗を一つ流し一歩後ろへ下がる。

強力な一撃をまともに食らいながらも傷一つ負わず―――逆に楽しそうに笑っている存在に危機感を覚えたのだ。

過去に一度、この存在に一撃を与えた時には確実にダメージを刻み込んだ。

しかし、今ではかすり傷一つ見当たらない。

もし、この短い期間にここまで力を得たとすれば―――

たまもは、この邪悪なる者の危険度を改めて認知した。


偽勇者「……礼を」

たまも「むっ……!」

偽勇者「礼を言うぞ、たまも」

    「強力な一撃をありがとう―――」


その表情は見えぬが、声はとても嬉しそうに聞こえる。


偽勇者「―――俺は強くなっている」


偽勇者は、右の掌をたまもに向け力を解き放つ。


偽勇者「……サンダービーム」

たまも「のわ~~!」


圧縮された雷が、一点に集中し目標の隣を打ち抜く。

たまもは、そのエネルギーの余波を受け、地面を転がっていく。


偽勇者「……まだ、力のコントロールが上手くできないな」

    「まあ、鍛錬あるのみ―――クラリスっ!」

クラリス「は、はいっ!」


クラリスは、駆け足で偽勇者の隣に立つ。

それと同時に、偽勇者共々その場から姿を消したのだった。

先程の余波で転がされたたまもは―――焦げていた。


たまも「およよ……」

    「ウチのもふもふしっぽが……」


焦げた尻尾を魔力で元に戻そうとするが、こびり付いた邪悪なる力が邪魔をしているのか思うように形成することができない。

形成した尻尾の幾つかは太すぎたり、細すぎたりバラバラである。


たまも「あ、彼奴め……」

    「力を考えずに、ブチ放ちおってからに―――」

    「―――しかし、あの力は何処で得たのじゃろうか」


たまもは思考し、もふもふ尻尾に魔力を注ぎながら偽勇者のことを考える。


たまも「分からぬ、分からぬが……」

    「ルカに、良からぬことが起きぬと良いが……」


たまもはぴょいんと宙返りをし―――

そして、そのまま姿を消したのだった。

――――
―――――
――――――


大阪|ヽ・ω・)<今回はここまでや

大阪|ヽ-ω-)<何やろか、こう良い文が思いつかん―――その場打ちはムズいな……

大阪|ヽ・ω・)<つまり、オリ展は難しいってことやな。

大阪|ヽ・ω・)ノシ<ほなな~


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

村長「本当に、ありがとうございました」

   「これで、この村も救われます……」

   「ぜひ、勇者様にお礼がしたいのですが……」

   「そんなに豊かでもない村で、出来る事などはあまり……」

ルカ「いえいえ、お礼なんていりません」

   「勇者として当然の事をしたまでですよ」

   「ところで、若衆はどうなったんですか?」

   「ヤマタノオロチが封印されて、怒り狂ってるとか……」


そうだとしたら、また面倒事になるかもしれない。


村長「いえ、不思議な事に皆が気合いを入れ直し、今までサボっていた分しっかり働いています」

ルカ「へえ、それは喜ばしいことですね」


ろくでもない連中と思っていたけど、やっぱり一時のサボり癖はヤマタノオロチが原因だったのかな?


村長「理由を聞いてみたのですが―――」

   「「偽、怖い……」としか……」

ルカ「はあ……」


偽が怖いとはいったい……


アリス「おにぎり……♪」


アリスは、大好物をもらったらしい。

美味しそうにかじりながら、目を細めている。

これで一件落着、僕達はそろそろ冒険の旅に戻るとするか。


ルカ「それでは、僕達はこれで失礼します」

   「また困った事があったら、呼んで下さいね」

村長「本当にありがとうございました、勇者様」

   「その旅に、幸運のあらん事を……」


こうして僕達は、ヤマタイ村を後にしたのだった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「そういえば、たまもの奴はどうしたんだろう……」


ヤマタノオロチを退治した後に別れてから、たまもの姿を見かけない。

今回の一件で、僕は土の力を使いこなすことができたし―――

結果的には、たまもは人間達に力を貸した形になる。

一言でもお礼を言いたかったが……


アリス「まあ、心配する事もなかろう」

    「たまもは、余の―――歴代の魔王の教育係を務めていたのだ」

    「仮にたまもを、相手取るならば四天王の恐ろしさをその身に刻む―――」

ルカ「ん……?」

   「どうしたんだ、アリス」


アリス「……いや、なんでもない」


アリスはそう言うと、明後日の方向に視線をやる。

アリスが言い淀むとは、何か珍しいな。


ルカ「……四天王ってのも、各地で暴れてばっかりじゃないんだな」

アリス「そして、それはたまもだけではないぞ」

    「四天王の中に、好んで人間と敵対している者など一人もおらん」

    「みんな、飛び掛かる火の粉を払っているだけに過ぎんのだ」

    「……少々、好戦的過ぎる奴もいるがな」

ルカ「……………」


四天王は、あちこちの町や村で恐怖の対象となっている。

グランベリアがイリアスベルクを陥落させかけた一件も、今頃は全世界に伝わっているだろう。

なぜ彼女達がそんな行動を取るのか―――

それは、人と魔物が公に敵対関係にあるから。

少なくとも、四天王はただ人間が憎くて暴れているのではないらしい。

勇者達があちこちで魔物を襲うという事態が起きているから、仲間のために勇者退治をしている―――そうとも言える。

ならば四天王とて、本当に戦うべき相手なのだろうか。


ルカ「……でも、世界中で暴れ回るのはやめさせないとな」

   「このままじゃ、人間と魔物の間に溝が出来る一方だよ」

アリス「その理想、結局は剣をもって成すしかあるまい」

    「それが、貴様の戦いなのだろう……?」

ルカ「剣をもって成す……」






――――――――――――――――――――――――――――――



偽勇者「……結局は勇者は命を奪う者なのだよ―――ルカ……」



――――――――――――――――――――――――――――――





ルカ「……ああ、その通りだ」


ルカは右手を強く握り締め―――そして、開く。

四天王を倒すことに、決して迷いはない。

しかし、それは決して命を奪うような結果だけにはしてはならないのだ。

……絶対に。

誓いも新たに、僕達はヤマタイ地方を出たのだった。

さて、次の目的地は―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『偽勇者』

偽勇者「……………」

クラリス「……………」


俺の隣をとてとてと歩いているクラリス。

あの洞での一件以来、一言も言葉を交していないが俺とクラリスの距離が広まった気配がない。

―――何故だ?


偽勇者「……………」


クラリスに問い掛けたい―――問い掛けたいが、その一言が思いつかん。

どうすればよいか……


クラリス「……あにさん」

偽勇者「むっ……」


むんむんと悩んでいたら、クラリスから先に言葉を交されたようだ。


偽勇者「……なんだ」

クラリス「あにさんに、聞きたいことがあります」


クラリスは、俺の顔を見る。

その瞳には、迷いがあるようだ。


クラリス「―――」


【クラリスのセリフ】

↓ or 2

あにさんは私を[ピーーー]のですか?

……ボクは、いつまで貴方と一緒に居られますか?


大阪|-ω-)< .....zzz

ハッ|・ω-)<!

大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


コソーリ|・ω・)<……

メチャイテェ|´・ω-)<お風呂で体洗う時、力加減気を付けや

大阪|・ω・)<ほな、少しだけやろか~

>>952 >>953

―――『???』

クラリス「あにさんは、ボクを殺すのですか?」

偽勇者「……………」


偽勇者は、クラリスを見下ろし一言も喋らない。


クラリス「……やはり、ボクが魔物だからですか?」

偽勇者「……………」


偽勇者は、次の問いにも喋らない。

そして、クラリスの表情は少しずつ歪んでしまう。

心に押し込めていた感情が溢れ出し始めたのか、声も高く上がりはじめた。


クラリス「……ボクは、例えあにさんに殺されてしまっても構いません」

     「あにさんと初めて出会ったあの日以来、ボクは受けた恩を返すために、旅に付いて行くと決心しました」

     「だから、この命をあにさんに捧げることで恩を返せるなら―――どうぞ、この首を斬り落としてください……!」


首に巻いていたチャドルを脱ぎ、その細い首を偽勇者の前に晒し笑顔を作る。

魔物とはいえ、偽勇者の力ならば簡単に斬り落とせるだろう。


偽勇者「……クラリス」

クラリス「……!」


偽勇者は、クラリスの首に触れ声を掛ける。

クラリスは、死を覚悟したのか顔を俯かせる。

痛みなのか、苦しみなのか、何がクラリスを襲うのか―――少しだけでもそんな恐怖から逃げ出すために両手を血が滴るほど強く握る。


―――これで、恩を返せる。

―――あにさんが、満足するならば。

―――ボクの役目はこれで……


そして、クラリスは心の中であにさんに感謝するのだった。




――― ボクは、あにさんを愛しています ―――

――― 例え、世界の全てがあにさんの敵になっても、あの世で祈り続けます ―――

――― 短い間でしたが、こんなボクに楽しい思い出を―――光を与えてくれてありがとう ―――



――― ……さ よ う な ら…… ―――












偽勇者「……デコピンッ!」

クラリス「ふぎゃっ!?」


偽勇者は、中指に力を入れクラリスのデコに攻撃した。

そのデコピンは、クラリスのデコに当たると同時に凄まじい音が周りに響き渡った。

音の大きさは伊達ではないようで、その攻撃を受けた本人はその場で悶え苦しんでいた。


クラリス「あ、あにさん…… 痛い……」

偽勇者「……痛くしたのだから、そうだろうな」


偽勇者は、しれっとしている。


偽勇者「迷っているかと思えば―――クラリス、俺とお前が初めて出会った頃は覚えているか?」

クラリス「もちろん、覚えてます」

     「それと、このデコピンが何の関係が……」


クラリスは、恨めしそうな目で偽勇者を見据えるが、偽勇者は溜め息を吐いて頭をポリポリと掻いた。


偽勇者「……目を治した時も、お前は俺に望むなら斬られてもいいとほざいた」

クラリス「あっ……」

偽勇者「そして、柄にもなく魔物であるお前を説教―――てか、怒鳴りだな」


クラリスの前に歩み寄りその場に屈み―――偽勇者は、クラリスの頭を一撫でする。


偽勇者「また、ここで同じことを繰り返すか……?」


クラリスは過去を思い出しているのか、目を閉じ、口を紡ぐ。

そして、目の端に涙を溜まっていくのが分かる。


クラリス「……………」

     「……でも、あにさん」

     「あにさんは、いつか滅すべき者だと」

偽勇者「それは、魔物としての本能が目覚めた場合だ」

    「よく話を聞かぬか」

クラリス「……あにさんは、ボクを殺すのですか?」


それは先程と同じ問い―――いや、問答に変わった。


偽勇者「……魔物としての本能が目覚めない限り殺さぬ」

クラリス「……ボクは、いつまであにさんと一緒に居られますか?」

偽勇者「……分からない」

    「しかし、今は一緒に居られる……」


クラリスは二言程度、偽勇者に問い終えると倒れ込むように抱きついた。

抱きつかれた者も、片手で軽くだが相手を支える。

そして、その耳にとある声を聞く。


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~

大阪|´-ω-)<それと、木曜日はお休みするわ。

金:23:00|・ω・)<さあて、土曜日にそなえて寝ますか

大阪|-ω-)< .....zzz

日:18:00|´・ω・)<よお、寝たわ


日:18:00|・ω・`)<……あれ?


大阪|・ω・)<少しだけやろか


クラリス「……あにさん」

     「怖かったよぉぉ……」

偽勇者「……そうか」

クラリス「うぅぅ……」


クラリスは、偽勇者の肩で顔を隠し弱音を吐き―――そして、涙も流す。

偽勇者は只々、クラリスの背中を擦る。

クラリスの気が済むまでずっと―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

ルカ「よし、魔物達が共存する村とやらに行ってみよう!」


冒険の始まりの頃、ハーピーの集落に行ったことはある。

しかし、プランセクト村は単一種族の集落とは全く別物のようだ。

聞いた話では、多種の魔物達がひとつの村で暮らしているのだという。

種族も習俗も異なる者達が、いったいどんな共同生活を営んでいるのか―――

人と魔物の共存を模索する上でも、ぜひこの目で見ておきたい。


アリス「本当に行く気か……?」

    「やれやれ、よせばいいのに……」


呆れたような様子で、アリスはそう口にする。


ルカ「なんで、そんなに嫌がるんだ?」

   「何かまずいことでもあるのか……?」

アリス「それは、行って自分の目で確かめるがいい……」

ルカ「行けっていうことか? 行くなっていうことか?」

   「どっちなんだよ……」


なんだか煮え切らない態度のアリスに戸惑いつつも、僕達はプランセクト村に向かうのだった―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

ルカ「これが、プランセクト村の入り口かぁ……」


平野を通り、うっそうと茂った森を抜け―――

そして、とうとう僕達は目的地に辿り着いていた。


ルカ「建物らしきものは、特に見当たらないなぁ……」


村の入り口という事だが、ざっと見回しても普通の森そのもの。

魔物達は、自然にほとんど手を加えずに暮らしているのだろう。


ルカ「さあ、楽しみだなぁ……」


足取りも軽やかに、僕は村の中へと入っていく。

種族の壁も乗り越え、平和に暮らす魔物達の姿を思い描きながら―――


ルカ「あっ、魔物がいるぞ……!」


そこで僕が目にしたのは―――

植物系モンスター達と、昆虫系モンスター達が対峙する光景だった。


モス娘「ふふっ…… 植物族の力とは、そんなものですか?」

    「あなた達も、もうおしまいですね……」

モスキート娘「あははっ、あんた達の体液も吸い取ってやるよ」

イモムシ娘「えへへっ、あたし達の勝ち~♪」

アルラ・アルム「くっ…… まさか、ここまで追い詰められるとは……」

アルラ・ルーティー「ケガしてなきゃ、こんなムシケラごときに……!」


五体の魔物が、二つの陣営に分かれて対峙しているようだ。

その周囲には、傷つき倒れた魔物が何十体も転がっている―――


ルカ「な、なんだこりゃ……!?」


僕の夢見た平和的光景は、あっというまに崩れ去ってしまった。

全然、種族の壁を乗り越えていないじゃないか……!


モス娘「ほぉら、私の動きについて来られないでしょう!?」

モスキート娘「あははっ、カラカラになるまで樹液を吸ってあげる~♪」

アルラ・アルム「くっ……! 救援は来ないのですか……?」


一見した限り、植物系モンスターの二体の方が劣勢のようだ。

受けたダメージも大きいらしく、昆虫系の三体に追い詰められている―――


イモムシ娘「あたしもたたかうよ~♪」

      「ネバネバ糸、しゅるしゅるしゅる~!」


イモムシ娘は口を開け、ミズバショウのアルラウネ目掛けて糸を吐き掛ける。


アルラ・アルム「し、しまった!……」


その糸はアルラウネの体にしゅるしゅると絡まり、動きが封じられてしまった。


モスキート娘「あははっ、吸っちゃお~っと♪」


その隙を突いて、モスキート娘がアルラウネへと飛び掛かる―――


ルカ「……やめろ!」


次の瞬間、僕は思わずその場に飛び込んでいた。

そしてアルラウネ二人をかばうように、昆虫娘達の前に立ちはだかる。


イモムシ娘「あれあれ~? にんげん……?」

モスキート娘「へぇ…… 人間がこの村に来るなんて、珍しいじゃない」

       「でも、アルラウネどもをかばうってのはどういうわけ?」

モス娘「植物族の増援には見えませんし……」

    「これはまた、不思議な闖入者ですね」

ルカ「何だか分からないけど、こんな争いはやめてくれ!」

   「アルラウネ達は、もう戦意を無くしてるじゃないか!」


どちらが正しくてどちらが悪いのかなんて、僕には分からない。

だが、勇者は常に弱者の味方のはず。

こういう時は、やられそうな側につくべきだ!


モス娘「植物族に肩入れする以上、あなたも我々の敵とみなしましょう」

モスキート娘「あははっ、今日はごちそうね♪」

       「植物ジュースに加えて、人間のオスの精液まで搾れるんだから♪」

イモムシ娘「てき~♪ てき~♪ やっつけちゃうよ~♪」

ルカ「くっ…… 成り行きだけど、仕方ないか……!」


昆虫系モンスター三体の前で、僕は剣を抜いた。

手荒な真似は好きじゃないが、ここは封印するしかない。


ルカ「よし、行くぞ!」

モス娘「あの少年をイかせた者が、精を啜れるという事にしましょうか」

モスキート娘「早い者勝ちの、独り占めってわけね……♪」

       「あたしも、それでいいわよ♪」

イモムシ娘「えっへっへ~♪ 繭にしちゃうよ~♪」

………………
…………
……


―――『偽勇者』

偽勇者「ふんっ……」


ルカが三体の昆虫系モンスターを相手にしている光景を、樹の上からクラリスと共に高みの見物をしている。


クラリス「……あにさん、ルカさんを助けなくてもいいんですか?」

偽勇者「助けなくても構わん、小僧はあれでも勇者を目指している身―――それに、ここでリタイヤするような命でもない」

    「それよりも、クラリス……」

クラリス「……………」

     「……はい」


クラリスの、表情は歪み―――バツが悪そうだ。


偽勇者「……もう、肩は貸さんでいいのか?」

クラリス「うっ……///」


偽勇者の一言で、顔を赤くした―――どうやら、恥ずかしがっているようだ。


クラリス「わ、忘れてください!」

     「あの涙は忘れて~~っ!!」


魔物は人間と比べ、成長が早い。

人間の女性でも精神の成長が男性より4倍早いのだから、何とも恐ろしい……

クラリスも今は、成長期と成熟期の間ぐらいか―――


偽勇者「……忘れぬ―――と言ったら?」

クラリス「う、ううぅぅ……///」

     「―――」


【クラリスのセリフ】

↓2 or 3


大阪|・ω・)<今回はここまでや

大阪|´-ω-)<最近、偽勇者側はシリアス―――シリアルばっかやから、時にはコメディ系をいれんとな。

大阪|・ω・)ノシ<ほなな~


PS:安価内なら↓やで


大阪|・ω・)<みなはん、おるー?

大阪|´-ω-)<一様、作ったで~……

ホイッ|´・ω・)<↓

[安価]アルマエルマ「ふふっ…… もんむす・くえすと♪」偽勇者「……5」[コンマ有]
[安価]アルマエルマ「ふふっ…… もんむす・くえすと♪」偽勇者「……5」[コンマ有] - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410173936/)



偽勇者「……忘れぬ―――と言ったら?」

クラリス「う、ううぅぅ……///」

     「恥ずかしいですけど、あにさんとの思い出になるのならそれはそれで……」

偽勇者「……ふん」


偽勇者は、鼻を鳴らしそっぽを向いた。

その行動に少しだけむっと感じたが―――すぐに小さく笑う。

クラリスは、偽勇者の冷たい態度と照れ隠しの違いを理解している。

偽勇者は、勇者であるために冷たい態度はどうしても攻撃的になってしまう―――これも、魔物と交わりたいと思う人間や襲う魔物が多いからだろうか。

コホンっと、咳払いを一度し―――


クラリス「でも、あの時の言葉は本当ですから―――」

     「あにさんと、ずっと一緒にいられるようがんばります!」

偽勇者「……ああ」

    「まあ、頑張れ……」

クラリス「はいっ!」


クラリスは、にこにこと笑い―――偽勇者は、頭をポリポリと掻く。


モスキート娘「くっ! やるじゃない……!」

イモムシ娘「わわわわっ……!」


偽勇者「どうやら、終わったみたいだな」

クラリス「へぇ~、多数相手なのに凄いですね」

偽勇者「伊達に、魔王に鍛えられていないってことだな」

クラリス「魔王ですか……」

     「……えっ」


見開いた目で、偽勇者を見るがその見られている本人はルカ達の行動を観察している。


偽勇者「……小僧」

    「これから先の現実に、どう立ち向かう……?」


黒い靄に隠れた瞳が、ルカを見据え続けるのだった―――

……
………
…………


――――――
―――――
――――

―――『ルカ』

こうして、昆虫系の魔物三人は姿を消した。

その場には、きょとんとした顔のアルラウネ二体が残される。


アルラ・ルーティー「おかげで助かったぞ!」

          「でも、オマエ何者なんだ?」

アルラ・アルム「あなたは、人間なのでしょう?」

        「なぜ、私達を助けてくれるのですか……?」

ルカ「成り行き上、助けただけだよ」

   「それにしても、いったい何があったんだ……?」


あらためて見れば、この場所で激戦が行われたようだ。

見渡す限り、あちこちに魔物達が倒れているのである。


ルカ「聞いた話、この村じゃ多種の魔物が共存してるって事だけど……」

アルラ・アルム「……それは、もはや昔の話」

        「現在、このプランセクト村は二つの陣営に分かれて争っているのです」

アルラ・ルーティー「戦争だ!」

          「あたし達植物族と、昆虫族のヤツラとの戦争なんだ!」

ルカ「戦争、か……」


僕は、思わず大きな溜め息を吐いてしまった。

人間と魔物の争い、人間同士の戦争―――

それに加えて、魔物同士の戦争まであるのか。


アルラ・アルム「力強き人間の方、どうか私達を助けて下さい」

        「こんな愚かな戦争など、一刻も早く終わらせなければいけません」

        「私達植物族は、こんな戦いを望んでなどいないのです」

アルラ・ルーティー「悪いのは、昆虫の連中なんだ!」

          「あいつら、ムチャクチャ残酷なんだぜ!」

ルカ「助けろ、って……」

   「つまり、僕に味方しろってことですか?」

アルラ・アルム「ええ…… どうか、お力をお貸し下さい」

        「人間であるあなたが、魔物の戦争への荷担を躊躇される気持ちも分かります」

        「ですが…… せめて、話だけでも聞いて貰えないでしょうか」

アルラ・ルーティー「私達植物族のリーダーは、プリエステスっていうんだ」

          「せめて、プリエステスに会っていってくれよぉ!」

ルカ「うーん…… じゃあ、話を聞くくらいなら……」


こうまで頼まれれば、さすがに断りにくい。

それに、困っている者を見捨ててもおけないのだ。


アルラ・アルム「ありがとうございます!」

        「それでは、プリエステスの元まで案内しましょう」

アルラ・ルーティー「プリエステスの居場所はプランの森、すぐそこだよ」


こうして僕は、プランセクト村の植物モンスターを束ねる者の元に向かったのである―――





ルカと植物モンスター二人は、プランの森の奥まで進んだ後に……

偽勇者達が、樹から跳び下りてきた。


偽勇者「……戦争か」

    「戦争では、魔物も小さな命よのぉ……」


魔物、魔物、魔物―――死屍累累を形作ったような光景の中、偽勇者は立つ。

クラリスは、その光景を見たくないのかマントの中に隠れていた。


クラリス「……ボク、戦争なんて嫌いです」

偽勇者「……………」

    「―――」


【偽勇者のセリフ】

↓2

戦争は自体は殺し合いでしかない、好きな奴のほうが珍しい
奴らも目的が無ければしないだろうな

>>987』やね、風呂飯タイムやった


偽勇者「……………」

    「戦争は殺し合いでしかない、好きな奴のほうが珍しい」

    「奴らも目的が無ければしないだろうな……」

クラリス「……そうですか」

     「でも、戦争を行うだけの目的って何でしょうか?」

偽勇者「知らん!」


一言で切って捨て、ルカ達が消えた森の奥へと進みだす。


偽勇者「結局は、戦争というものは己こそが正しいと思い込む自己暗示のようなものだ」

    「始めから、正義も悪もない―――いや、負けた者を悪と呼ぶが正しいか……」


偽勇者は、森の奥へと消えていった。

クラリスも、周りの倒れている魔物達が気になっていたのか一足遅れてあにさんの後へと続いて行く。

戦争の傷跡に倒れる魔物は、味方も敵もある意味平等なのかもしれない―――

――――
―――――
――――――


――――――
―――――
――――

植物系モンスター二人に先導され、森の中を進む僕。

アリスの姿は、さっきから見受けられない。


ルカ「あの…… 二人とも、アルラウネなんだよね?」

アルラ・アルム「ええ。 アルラウネというのは、妖花族の総称」

        「一般に有名な基本種以外にも、様々な亜種がいるのです」

アルラ・ルーティー「あたしだって、アルラウネだぞ!」

          「ちょっとドリアードの血が混じってるけどな」

ルカ「へぇ、そうなんだ……」


人間にも色々な人種がいるように、一概にアルラウネと言っても多種に渡るらしい。


アルラ・アルム「他にもこの村には、多種のアルラウネがいますよ」

        「ツタのみで花を持たないタイプや、キノコ型のアルラウネもおります」

ルカ「へぇ、色々いるんだな……」


そんな会話を交わしながら、僕は植物族の本拠地であるプランの森に導かれ―――


ルカ「っ!?」

アルラ・アルム「どうかされました?」

ルカ「いや、何か気配を感じたような……」

アルラ・ルーティー「まさか、また昆虫共が現れたか!?」


僕は、気配を感じた茂みをじっと見つめている。

風の声でも、確認してみたけど―――

何もいないようだ……?


ルカ「……いえ、勘違いだったみたいだ」

アルラ・アルム「そうですか、それは良かった」

        「さすがに、力強き人間でも足手纏いでしかない私がいると……」

アルラ・ルーティー「ちくしょう……」

          「ケガさえなけりゃ、あんなムシケラに後れを取ることなんてないのに……」

アルラ・アルム「……昆虫族の偵察隊に、貴方が知られると面倒です」

        「少しばかり急ぎましょう」


ルカ「ああ、わかった」


僕達は会話をやめ、少しばかり足を速めてプランの森に急いだのだった―――

――――
―――――
――――――


コソーリ|・ω・)<……

カキカキ|・ω・)っφ

[安価]アルマエルマ「ふふっ…… もんむす・くえすと♪」偽勇者「……5」[コンマ有]
[安価]アルマエルマ「ふふっ…… もんむす・くえすと♪」偽勇者「……5」[コンマ有] - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410173936/)


大阪|´・ω-)<>>995で『外伝:募集』か『サブイベント:募集』や

大阪|´-ω-)<サブイベントは―――ほらアレや……

大阪|´・ω・)<クラリスが四天王との絡みでなんちゃらかんちゃらや―――分かるやろ?


大阪|・ω・)ノシ<それともうすぐで>>1000やからアイテム枠で募集するで

ポイポイ|・ω・)ノシ<ほな、どぞ!  三『>>995』 三『>>1000


ピンクのしっぽ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月13日 (水) 20:04:30   ID: r6Q-HWq0

気に入った 頑張りな

2 :  SS好きの774さん   2019年01月28日 (月) 11:38:02   ID: IursUkp-

安価のSSストーリーを考察すること自体野暮だがいまいち偽勇者の目的や行動原理が掴めん。

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom