京太郎「修羅場ラヴァーズ」一「キミと一緒に、抱き合って」 (1000)

狂ちゃんかー
色々パターンはあるけどどうしたものか

「あ、部長」

「すいません、俺なんかの見舞いの為に貴重な時間を……」

「はは……ありがとうございます、菫さん」


「この右目、ですか……」

「いえ、それは違います」

「そういうヤツらは、いなくなりましたから。菫さんたちのお陰で」

「はい、自分で。やりました」


「……菫さんたちの争いの原因は、俺にあるって、気付いたんです。やっと」

「だから最初は、俺さえいなければ――って思ったんですけど」


「……ごめんなさい」


「……最初は先輩たちが、俺のことを好きだって。信じられなくて」

「だけど、言葉で示されて、菫さんたちにあんなことをさせて――やっと、分かったんです」


「俺なんかを好きでいてくれる人に、どうやって答えるか、悩んで悩んで悩んで」



「――淡が、俺の目を好きだって言ってくれたのを思い出して」



「ああ! 勿論、他の先輩たちも、部長のことも考えてましたよ!」

「部長、俺の手を綺麗って言ってくれましたよね。こんな手を」

「ただ、目が一番楽そうだし。他のところを先にやると後が大変そうだなって思ったんです」



「だけど、中々難しくて――はい。最初にやってる時に、そのまま寝ちゃいました」


「すいません、ちょっと恥ずかしくて……」


「……菫さん?」


「顔色悪いですけど、ナースコールとかします?」


「あの……菫、さん?」




【恩返し】

りゅーとき修羅場の後に積極的に自分から料理を振る舞う京太郎とか
逆にモモしか見えなくなる京太郎とか
色々考えたけど寝落ちしそうなのでここまでで

次は先生編清澄パートから
ちなみに最後まで清澄が来なかったら清澄長野敗退でした

それでは、お付き合いありがとうございました!

須賀京太郎と池田華菜――もとい、須賀華菜は仲睦まじい夫婦である。

二人の出会いは高校の麻雀部。

当時のキャプテン、福路美穂子に一目惚れして入部してきた京太郎に対し、華菜が釘を刺してきたのが始まりだ。


「私の目が黒いうちはキャプテンに変なことはさせないし!」


一方的な言い掛かり。

最初は尊敬するキャプテンに色目を向けるヤツなど許さない、というような理由で京太郎を監視する華菜だったが。


「……なんか、意外といいヤツ?」


気が付けば、部内で最も京太郎と触れ合う機会が多くなっていた。

そうして互いに誤解と偏見が抜けてしまえば、根っ子は面倒見がいいもの同士、打ち解けるのも早い。


「京太郎! 一緒に帰るかー!!」


華菜の妹たちも京太郎のことを気に入った。

夫婦だなんだと、冷やかされることも増えた。

最初は照れ隠しに、互いに否定し合うこともあったが――


「俺……先輩のこと、名前で呼びたいです。本当の意味で」


――華菜が卒業する日に、ようやく二人は結ばれた。


華菜が卒業しても、互いの仲が冷えることはなく。

むしろ普段会えない分、休日は二人で多いに盛り上がり。

京太郎も華菜も社会人となって、生活が安定すると、晴れて結婚式を迎えることとなった。



「須゛賀゛ア゛ァ゛ッ!!」



結婚式では両親以上に号泣したかつてのコーチにちょっとだけ引いたりもしたけれど、多くの友人が祝福してくれた。


――ただ一人、かつてのキャプテンは、やって来なかったけれど。

子宝に恵まれ過ぎるという幸せな悩みを抱えた二人は、家政婦を雇うことに決めた。

三つ子どころか六つ子ともなれば、流石の二人でも厳しいものがある。




「今日から、よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げる女性に、京太郎は言葉を失った。


「小さい子の相手は得意なので、任せて下さいね」


左右の、異なる色の瞳が。


「他にも、精一杯頑張りますから」


真っ直ぐに、一切揺れることなく。


「末長く、よろしくお願いしますね」


京太郎を、見詰めていた。

「おかーさん」

「こーら、あなたたちのお母さんは華菜さんでしょう?」


指を咥えてトテトテと美穂子に歩み寄る子どもを、そっと窘める。


「それに、指をしゃぶっちゃ駄目よ? 病気になっちゃうから」

「う?」

「でも、おねーちゃん。おかーさんみたいに、おとーさんと――」


しっと、人差し指を子どもの口に添えて。

小さく微笑みながら、美穂子は子どもの口を塞いだ。


「ヒミツだから、ね?」

「ヒミツ――うん、わかったし!」

「ふふ、よくできました。後でおやつを作ってあげる」

「やった!!」


ジワジワと、蜜が染み出すように。

甘い匂いが、ゆっくりと家の中に広がった。

結構前に書いた小ネタの続きだったりする
キャプテンって家政婦さん似合いそう



というわけで先生編清澄パートやりますよー

久しぶりに感じる――と言っても時間的には大して経っていないのだが、故郷の空気を吸って京太郎は大きく背伸びをした。

東京・大阪・岩手と仕事をしてきて、全国大会の前の最後の仕事となる場所が母校の清澄。

やはり何かしらの縁があるのだろうか。


「ま、しっかりやりますか」


とは言え、仕事で来ている以上はいつまでも感慨に耽っているわけにはいかない。

仕事のため、後輩のため、そして当時に世話になった母校への恩返しのため。

京太郎は肩を回してリラックスすると、よく見知った道を歩き始めた。



キャラ安価下3でー

どさっ。

何か、荷物の入ったビニール袋を落としたような音。

京太郎が振り向くと、見覚えのある顔が驚いた表情を浮かべて立っていた。


「よっ」

「京、ちゃん?」

「おう、久しぶり。相変わらずちみっこいな」


宮永咲。

白糸台でよく自分を慕ってくれていた教え子の、妹だ。





「じゃあ、今度からは清澄で?」

「ああ。教えることになった」

「そっか。それで部長、あんなのだったんだ」

「部長?」

「うん。私も、麻雀部だから」


「……そうか」

「……白糸台にも、いたんだよね?」

「ああ……」


咲さん判定直下
1~30 ……頑張るから、私も
31~60 ……見ててね、京ちゃん
61~98 ……負けない、絶対
ゾロ目 ???

「負けない……」


幼い顔に、闘志を奮い立たせて前を見る咲。

負けない――その言葉の相手が誰なのかは、言うまでもない。

強い意思が伝わるが、京太郎は特定の誰かを贔屓するようなことはしない。

京太郎に出来ることは、彼女たちが全国大会という舞台で悔いを残さないようにすることだけだ。


「ん。まぁ、頑張れよー」

「わっ」


ポン、と頭に手を乗せてわしゃわしゃと撫でる。

アタフタと慌てる姿は、さっきまでの咲とはまるで別人のように思えた。





――白糸台。

――姫松。

――宮守。


あなたたちが京ちゃんの何を知ってるのかは知らないし、知る気もないけど。

この手は、私だけのものだって。

教えて、あげるから。

一方その頃。


久「……」(そわそわ


ガラッ


久「!!」(ビクッ

和「すいません、遅れました――何か、ありました?」

久「いえ……何でもないわ……」




久「まだかなぁ……」(そわそわ

まこ「あからさまじゃのう」

何気に姉妹でゾロ目が出ている
あとヒッサはわりとテンパりやすいタイプだと思う


キャラ安価下3でー

選択安価でゾロ目だしてもなぁ

すいません、ちょっと席を外します
18時過ぎくらいに戻ります

>>81
考慮します?

そいじゃコンマ判定は今まで通りで
再開しますん

子どものように、まだかまだかと待ちわびても――いざ目の前にすると、固まって頭が真っ白になってしまうのだと。

清澄の部長、竹井久はその身で知った。


「今日から皆さんの指導を受け持つことになりました、須賀京太郎です。よろしくな」


もう一度、清澄で全国に行きたくて。

この人に追い付きたくて、私は――


「ほれ、しゃきっとせい」


友人に肘で小突かれて我に帰る。

上手く体で隠れているので京太郎には見られていない。

心の中で友人に礼を言いながら頬を叩き、久は――


ヒッサ判定直下
1~30 頑張る部長
31~60 乙女な部長
61~98 どうあがいてもロッカー
ゾロ目 ???

――自分たちの意思の強さを示すように、強い眼差しで。


「はい。こちらこそ――」


この10年で、清澄の麻雀部は大分廃れてしまったけれど。

私なら、私たちなら。

そこに、この人の力が加われば。


「――よろしく、お願いしますね」


絶対に、優勝してみせる。

今この瞬間、久の想いは、誰よりも強かった。

その気持ちが全員へと伝わり、部内の空気が高まって行く。



「……ところで、誰なんだじぇ?」


……ただ、一人を除いて。

ゆーきがオチ要因として便利である
久保コーチはどうしようかな


とりあえずキャラ安価下3で
次もちょっと遅れます

ムロマホ出したところで全国には出さないので即フェードアウトである
再開しますん

「先生、少し教えてほしいのですが」


京太郎に問いかけるのは、デジタル打ち一筋の原村和。

全中王者の看板に偽りなく、その実力も京太郎が出会った少女たちの中では上から数えた方が速い位置にいる。

自分の実力を自負し、効率に従って麻雀を打つ和だからこそ、疑問に感じる点があった。


「……ここです。効率で言えば、明らかこの牌を切るのはおかしかった筈なのですが」

「ふむ……」


京太郎の打ち方も基本はデジタルだが、時折妙な牌の切り方をする。

元が付くとはいえ相手はトッププロであるし、その実力は疑ってはいないが――だからこそ、腑に落ちない。

そう顔に表して問いかけてくる和に対して、京太郎は少し考える素振りを見せた。


「まー……みんながみんな、原村さんみたいな打ち方をするわけじゃないからさ」

「……」

「この人はこういう打ち方を好む、この人はよくドラを抱える――だなんて考えて打ってたら、自然と非効率的な打ち方になることがあるんだよね」

「……そういう、ものですか?」


ぶっちゃけて言えば経験によるカン頼りなところも大きいのだが、それを伝えたところでこの原村和という少女は納得すまい。


「ただ……そうだな。原村さんの場合は、そのままの打ち方でいた方が良さそうだね」



のどっち判定直下
1~30 ……わかりました
31~60 ……覚えて、おきます
61~98 ……わかりません
ゾロ目 ???

「原村さんはデジタル重視の打ち方だし、基本は――」


頬が、熱い。


「……原村さん? 大丈夫?」


理由は、簡単。


「……和で」

「……え?」



「和と、呼んで下さい」


この人のせい――お陰、ですね。

彼の手をとり、指を撫でる。

この手が、この指が。


「ふふ……」

「は、原村さん?」


私をいいように操って――そして、これからも。


「和でいいと……言った筈ですよ?」


私を、マリオットみたいに導いてくれる。


あぁ、こんな気持ち、生まれて初めてなのに――きっと私は、この為に生まれてきたのだと。

さっきまでの私なら、そんなこと有り得ないだろうと否定するのでしょうが。

もう、私には――先生しか、見えません。


「先生の教え方は、とても分かりやすくて……丁寧で……」


だから、これからも。


「とても……ために、なりました」


一生――あなたに、ついていきます。

咲→京ちゃんは私だけのもの
和→私は先生だけのもの
久→私だってやってみせる!
ゆーき→???
まこ→???


キャラ安価下3でー

「先生は……」

「ん?」

「先生は、前から咲とは知り合いだったんですか?」

「あー……」


咲には、学校では先生と呼べと言ってあるのだが、よくそれを忘れられて「京ちゃん」と呼ばれることがある。

それが久には気になったのだろう。


「そうだな。知り合いというか……咲のご両親とは仲良くしてもらってたよ」

「へぇ……」

「前から宮永家とは家族ぐるみでの付き合いだったからさ」


懐かしいなー、と目を細める京太郎の姿は、久の知らない一面だ。

憧れの人のそんな様子を、久は――



ヒッサ判定直下
1~30 じゃ、咲の恥ずかしい過去とかも?
31~60 じゃ、咲の人には言えないようなことも?
61~98 じゃ、咲があんなに懐いているのも?
ゾロ目 ???

元プロがいる雀荘とか繁盛しそう
しかも地元雀士なら特に
ってことでまこも病まないかなぁ

通りで、あの人見知りの咲が、彼にはあんなに馴れ馴れしいものだと。

まるで、周囲に見せ付けるような態度は「そういうこと」かと、久には頷いた。


「じゃ、咲があんなに懐いているのも?」

「まぁ……そういうことだろうね」

「ふーん……じゃあ、咲のあーんなことやそーんなことも?」

「……知りたいか?」

「ええ、勿論」

「ふっ。それじゃあ――」


××才まで××してた、とか。

小さい頃は本当にベッタリで××だった、とか。

将来のお嫁さんに――みたいなベタなネタまで、心のメモ帳に書き留めながら。


――本当、人生って不公平よね。


どうして自分じゃなくて、咲なんだろう。

そんなことを妬んでも、ひっくり返しようがないというのに。


「なるほどなるほど……本当、先生って何でも知ってるのね」

「いやあ、それほどでも」



久は、笑顔の裏に泥の様な感情を押し留めた。

×久には頷いた
○久は頷いた

>>148
面白そうですね
久保コーチの出現条件もそれにしようかな


キャラ安価下3でー

雀壮、ルーフトップの経営は別に苦しいわけではない。

しかし今後も生き残っていくためには、また新たな戦略を打つ必要があるだろう。

そう考えて部員たちに意見を求めたまこだが、出て来たアイディアは実用化するには厳しいものばかりで。

こうなれば大人を頼ろうと、久が提案したのだが――


「……あぁ。これは、そういうことか」

「すみません……」

「てへっ」


生徒たちに来て欲しい場所がある、と言われてみれば、行先は『あの清澄のレジェンドに会える!』との垂れ幕がかかっている雀壮。


「……いやまぁ、言ってくれれば協力はするけど。無断でこういうことするのは病めてくれ」

「はい……すみません」

「……ごめんなさい」

「……まあでも折角だし、今日はここで――」


話の途中に、背後からドアの開く音。

メイド服を着たまこが、いらっしゃいませと顔を向けると――


「おや……これは、これは」


現役にしてルーフトップ常連のプロ雀士。

藤田靖子が、驚いた顔をして京太郎を見ていた。

「お久しぶりです」

「久しぶりですね」


軽く頭を下げてくる靖子に、京太郎も会釈を返す。

二人のやり取りを見て、久が目を丸くした。


「ヤスコ、知り合いなの?」

「昔に世話になったのさ……『色々と』な」


靖子が舌舐めずりを見せる。

実に久しぶりに見せるその動作に、京太郎はこの後の展開を予想した。


「どうです? ここで、一つ」


トンと、人差し指で雀卓を叩く。

その行為が意味することは、一つしかない。


「プロ二人の対局、これはいい宣伝になるわね」

「しかしのぅ……」


チラリと、まこが申し訳なさそうな目線を向けて来る。

京太郎は、苦笑して頷いた。


「……それじゃ、打とうか」



対局結果判定
直下判定 京太郎 コンマ+50
判定下二 靖子
判定下三 まこ -25
判定下四 久 -25

京太郎がトップで靖子が2位、久が3位でまこが4位。

プロが点数を高くとり、学生がそれに続くという、ある意味で順当な結果となった。

大差を着けて敗北したというのにも関わらず、靖子は嬉しそうにくつくつと喉を震わせた。


「相変わらず――お強い」

「……」


無表情で河を見つめる京太郎と、心底楽しそうに頬を吊り上げる靖子。

対して学生2人組みは、グッタリと椅子に体重を預けていた。


「けっこー自信あったのに……」

「思いっきりやられたのう」


眼鏡をズラして、近いイメージを探っても、すぐに別のモノに塗り替えられてしまう。

これがプロの戦いか――と、まこは世間の広さを知って溜息を吐いた。



「まぁ……でもコレで、良い宣伝になるんじゃない?」

「あっ」

「すっかり忘れとったの」

その日の夕方。

ルーフトップのブログを書きながら、まこは――


まこ判定直下
1~30 ……しかし、本当に疲れた
31~60 ……しかし、本当に面白かった
61~98 ……しかし、本当に――
ゾロ目 ???

眼鏡を外し、眉間の辺りをマッサージしながら、まこはどっと溜息を吐いた。

今日一日で大分疲れたような気がする。

時間で言えば大したことはないが、非常に精神を削られる試合だった。


「ふぅ……」


しかし、本当に面白かった。

まるで良いところの見せられない対局だったが……それでも、多くのことを教えられた。

靖子も今回のことをブログに書いてくれるというし、これは良い宣伝になっただろう――



久保コーチ判定直下
いくのん判定下二

「……」


靖子のブログにアップされている写真。

真剣な表情をして卓に向かうその姿は非常に見覚えがあり――そして、それは貴子が世界で一番に愛していた男の顔だ。


「……」


この雀壮の名前は知っている。

靖子の口からもよく聞く名前だ。


「……あぁ」


行こうと思えば、車で直ぐに。

だというのに――貴子は今一歩、決心が付かずにいた。

「そっかぁ……京ちゃん、今はそんなとこにおるんかぁ」


カチカチとマウスを操作する郁乃は、画面の中の京太郎の顔を食い入るように見詰める。

久しく見ていなかった彼の雀士としての表情に、吐息が零れる。



「長野……ちょっと、遠いかぁ……京ちゃんにも待ってて言われとるし……」


「でも、やっぱり……」


「京ちゃん、かっこええなぁ……♪」



やがて、部屋の明かりが消えるが――声が途切れたのは、そのずっと後からだった。

何故か書いてたら自分の中で久保コーチにヘタレのイメージがついてしまった


キャラ安価下3でー

「それで、どうだった?」

「ええ、確かにそれなりに効果はありました」


後日、京太郎が宣伝効果を尋ねると、その言葉の通りにある程度は有効だったようだ。

悩んでいた表情も、いくらか軽いものになっている。


「それでまぁ……お礼というには少し、足りないかもしれませんが」


まこがカバンから弁当箱を差し出してきた。

いつも出来合いのもので昼食を済ませている京太郎には有難かった。

料理もそこそこには出来るが、忙しいと面倒になってつい手抜きをしてしまいのだ。


「ありがとう。いただくよ」


頬を緩ませて、弁当箱を開けるとバランスの良い彩の品が並んでいる。

特にこの玉子焼きが美味しそうだ――と、京太郎は箸を伸ばした。


まこ判定直下
1~60 あまりの美味しさに口が勝手に……!
61~98 あまりの美味しさに、口が、勝…手……に……
ゾロ目 ???

「それで、次はいつの日に行こうか? 日付とか決めといた方が宣伝もしやすいだろ」


考えるよりも先に、口が答えていた。

まこ特製玉子焼き。

久も保証するその味は、まさに絶品。

こんなものを食べさせられては、次も協力せざるを得ない。


「いいんです?」

「勿論。俺も楽しかったからな」



――あまりの美味しさに口が勝手に……!


後に、京太郎はこの時のことを、そう語った。

咲日和からネタを拝借していくスタイル


キャラ安価下3でー

「須賀先生は……いないか」


京太郎への用事があって部室を訪れた久だが、タイミング悪く入れ違いになったようだ。

机には京太郎のものらしきカバンが置いてあり、椅子には男物の上着がかかっているが、肝心の姿は見当たらない。

そして、まだ他の部員たちは来ていないようだった。


「……」


何となく、キョロキョロと辺りを見渡してみる。

周りには当然ながら誰もいない。


「……ゴクリ」


久は、椅子にかかった上着へと、手を伸ばした。


ヒッサ判定直下
1~30 手に取る
31~60 嗅ぐ
61~98 着てみる
ゾロ目 ???

「他意はない……他意は、ないから……」


誰も聞いていないのに言い訳をする時点で、後ろめたさを感じているのは分かる。

だがそれ以上に、今の久は好奇心が強かった。

椅子にかけられた京太郎の上着を、久は手に取って――思いっきり、顔を埋めた。



――あー、ヤバイ……コレ、ヤバイ……



のーみそとろける。

実のところ、匂いなど詳しくは分からないが……このシチュエーション自体に、久は酔いしれていた。

もっと匂いを、もっと深く匂いを。


「……ん?」


そして、上着をひっくり返してみたら。

ぽとりと、ポケットから何かが落ちた。

何だろうと、身を屈むと――


「……だれの?」


――女性もののイヤリングが、落ちていた。

清澄パートも次で終わるかしら


いくのんや雅枝さんも書いてて好きになったキャラですが、
千里山や姫松は現在進行中の高校を終わらせてからですね

現在でEDが近いのは白糸台と宮守です



というので今回はここで区切ります

お付き合いありがとうございました!

おつ

結局どのコンマでもイヤリングだったのか……
コンマとはいったい……うごご

「透華や国広くんの様子がおかしい?」

「うし、ちょっと話してくるわ」

「大丈夫だって、心配すんな」

「まぁ、そう焦るなよ」

「ここでゆっくりしてけって。な?」


「そう、それでいい」


「お前は、そこにいろ」

純くんにはねっとり病んでほしい


今日あたりに更新、したい

優希は、タコスを口いっぱいに頬張りながら悩んでいた。

友達二人の様子がなんだかおかしい、と。


「うーん……?」


咲には焦りのようなものが見受けられる。

「絶対に勝たなければならない」という、焦燥感のようなもの。

外部から来たコーチの前だから――部長曰く咲の小さい時の初恋の人らしいが――良いところを見せたいのかもしれないが、それにしてもおかしい。

咲とは、それ程付き合いの長くない優希にも感じ取れるほど、最近の咲の麻雀には鬼気迫るものがある。


「それに……」


チラ、と隣にいる中学からの親友――和に視線を向ける。

頬が赤く、どこか上の空な様子。

最初は「珍しいな」とその程度にしか感じなかったが、その様子が数日ずっと続けば――流石に、おかしいと気付く。


「なんなんだじぇ……」


たまに、二人してどこかにいってしまうこともあるし。

何となく置いてけぼりにされたような気がして、胸がモヤモヤする。


「……むぅ」


タコスの味は、いつも通り、美味かった。

「おーい」

「はっ!?」


ポン、と肩に手を置いて声を掛けると、飛び上がらんばかりの勢いで驚く久。

やれやれだと、まこは肩を竦めた。


「そんなんで大丈夫か?」

「え、えぇ……大丈夫、問題ないわ」


剣呑な表情でブツブツと何やら呟いている姿は、後輩には見せられない。

それに、恐らくは無意識なんだろうが――


「爪、大丈夫か?」

「爪?……あ」


歪に欠けた親指の爪。

久が自ら噛んで削った痕が痛ましい。


「……悩みがあるなら」

「いや、大丈夫。大丈夫だから……」


――本当に、大丈夫なのか?

じっと自分の爪を見詰める久の瞳からは、何も読み取ることが出来なかった。

ヒッサは爪噛むの似合いそう

キャラ安価下3でー



>>252
低コンマなら口紅
高コンマなら指輪
ゾロ目なら写真
でした

すいません、野暮用でせきをはずしてました
すぐに再開します

「なんでこんな日に……!」


降りしきる土砂降りの中、カバンを傘代わりにして帰路を急ぐ。

傘を忘れるなんて――と、嘆いても雨の勢いは留まることを知らず、それどころか更に勢いを増していく。


「そうだ……!」


――京ちゃんの家で、雨宿りさせてもらおう。

宮永家までは距離があるが、須賀家までなら近い。

意中の金髪の彼。

最近は、彼にまとわりつく余計な人たちが多いけれど――まるで灯りに誘われた、鱗粉をばら撒く蛾みたいに。

それでも、咲の中では誰よりも大事な人。


そして漸く、彼の家が見えてきて――


「……え?」


咲判定直下
1~30 彼と、長髪の女性が話している
31~60 彼と、長髪の女性が抱き合っている
61~98 彼が、長髪の女性に口付けをされている
ゾロ目 ???

――彼と、長髪の女性が話している。

咲にとっては知らない女だが――京太郎には、そうではないようだ。


「あ……」


俯いて、何やら家の中に入るのを躊躇うようにしている女を、京太郎が手を引いて誘う。

ほんの一瞬だけ、咲と女の目線が交わったが、直ぐに須賀家の扉は閉じてしまった。


「……」


手から、カバンが滑り落ちる。

雨水が跳ねて、靴下にかかった。


「そっか……」


――京ちゃんは、大人だもんね。

原村さんや部長だけじゃないよね。

京ちゃんに惹かれる、毒虫は。


「どうしようかな……」


雨に濡れて、身体は冷え切っていくけれど。

不思議と――体の奥底から、熱が沸き上がってきた。

大体予想してるあの人


キャラ安価下3でー

「先生、体調は大丈夫ですか? この前の雨は……」

「ん? 大丈夫だよ、少し濡れたけど」


唐突に教え子に心配された京太郎は、少し戸惑いながらも答えを返す。

酷く心配しているようだが、何故だろうか。


「少し? 全身がずぶ濡れになってたようでしたが……」

「いや、でも直ぐに温まったし――ん?」


あの日、自分は家にいて。

和とは、会わなかった筈だが。


「それに、この手も――」


和が、京太郎の手を取り――



原村さん判定直下
1~30 あの人に、触れてしまいましたからね
31~60 あの人に、抱き締められてましたからね
61~98 あの女に、穢されてしまいましたからね
ゾロ目 ???

「あの人に、触れてしまいましたからね」

「っ!」



和を振り払うように後退する。

肘が、机にぶつかった。


「な、何を……」

「知っていますから。先生のことを、全部」



「だって、知っていなきゃいけないし……私は、先生のものですから」


「……ああ、でも。一つ、分からないことが」



「あの長髪の女性は」


「誰、ですか?」


心臓が、跳ねる音がした。

「この唇も」


そっと、和が歩み寄る。


「あの女性に、触れられてしまったのですね」


静かに、両手を伸ばして。


「ああ――なんて、こと」


京太郎の、頬へと――



「……和」



京太郎選択肢 下3
1 ……少し、おかしいぞ
2 ……そういう悪ふざけは、やめてくれないか
3 あの人とは、そういう関係じゃ、ない
4 自由台詞

「……少し、おかしいぞ」

「……おかしい? どこがですか?」


小さく首を傾げる。

その仕草は可愛らしいが、京太郎の背筋には冷たいものが走った。


「だって。当然じゃないですか」


「私は、先生のものですから。先生のことは隅々まで知っていないといけないのに……」


「……ああ、そっか」


「相手のことを知りたいなら」


「まず、私のことを知ってもらわないといけませんね」


うっかりしていました。

クスリと、小さく笑う。


「どうぞ、ご覧になって下さい。私の全てを――」


和が、制服のリボンに手をかけた。


コンマ判定直下
1~30 のどちゃん……と、先生?
31~60 原村さん、京ちゃんに何を?
61~98 和、先生から離れて
ゾロ目 ???

「のどちゃん……と、先生?」


和の行為を制止するようにかけられた戸惑いの声は、たった今部室に入って来た優希のもの。


「何をしてるんだ?」

「……」


和は、優希に背を向けたまま、リボンを結び直す。

目線はじっと、京太郎を捉えたまま。


「――少し、分からないことがあったので。先生に、教えてもらってました」

「そ、そうなのかー……のどちゃんは、マジメだな」



――続きは、また今度にしましょう?

振り向きざまの和の口が、そう告げた。

1→今の通り。コンマ次第で修羅場
2→悪ふざけなものですか……といきなり脱ぐ。問答無用で咲ちゃんか部長かあの人が乱入
3→あの人とはそういう関係じゃない……お前ともな


な、選択肢でした


今回はここまでー

そろそろコーチを出すかもしれない。出さないかもしれない
ただ次で清澄パートラスト也
清澄パートが終われば一旦区切りで実に最初のスレぶりの松実京太郎で


それでは、お付き合いありがとうございました!

「ごめんなさい……俺、小瀬川先輩とは付き合えません」


――シロの遺体が屋上で見つかったのは、それから一週間後のことだった。

また、酷い夢を見た。

酷い吐き気と倦怠感。

もう二日はベッドから降りていない。


「……あぁ」



何十件と溜まったメールと留守電。

自分を心配する先輩たちからのメッセージ。

特に多いのは、『彼女』からのもの。

今も携帯の画面は電話の着信を告げるものに切り替わっているが――どうしても、出る気にはなれなかった。


――夢、だったら良かったのに。



「……起きなきゃ」


体も心も、そのまま眠りたいと感じているけれど。

このままずっと眠り続ければ、きっと二度と目覚めることはない。


京太郎は、ダルい体を引きずるようにして、やおら起き上がった。

枕元には、白い髪が一本、落ちていた。

「……え?」


眠り続けている間に弱まって、丸みを帯びた体。

真っ白に染まった髪。

そして何よりも、この気怠げな瞳は――




渡さないから。誰にも。




――洗面台の鏡に映る唇が、言葉を紡いで。

忘れられないあの声が、確かに聞こえた。

京ちゃんとシロって似てるよなと思い付いた小ネタ
夏だからホラーっぽいものが書きたかったけど難しぃ


清澄ラストパートはまた後でー


あと読者同士の修羅場はNG
傷付くのは京太郎だけで十分なのよー

((;゚ω゚))マッシロ

じっくりねっとり変化の描写も書けばよかったかもしれない
けれどそれやるとTSがメインになりそうで別スレになりそうな予感


というわけで清澄ラストパートいきます
長野だし最後だしあの人出しちゃいます

――私は、こんなに女々しいヤツだったか?


貴子は、パソコンの画面の前で自嘲の笑みを浮かべた。

ディスプレイに映し出されているのは、先日の靖子のブログ記事。


「はは……」


プロになって忙しくなっても、無理をして自分との時間を作ってくれた彼。

あの人の重しになるからと、自ら『振った』立場にありながら。

あの人が長野に戻ってきていると知った途端――会いたいと、思ってしまうのだから。



『京太郎先輩』



アドレス帳から消そうと思っても消せなかった名前。

幾度となく押した番号。最後の発信ボタンがどうしても押せない番号。

迷いに迷って、煮え切らない。

生徒たちの前ではとても見せられない姿。



私は――


貴子選択肢 直下
結果は変わらないが後の判定で変化あり

1 あの人に、会いたい
2 ……今更、情けない

……今更、情けない。

静かに腕を降ろし、携帯を畳む。


「……先輩」


あの人は、元気でやっているようだ。

それで……それで、いいじゃないか。

それこそ、私が望んだことなのだから。


「本当に、情けねぇ……」


椅子にもたれ掛かり、窓の外を眺める。

薄暗い空には、暗雲が垂れ込めている。

長い雨が、降りそうな気配がした。

本当に土壇場でヘタレるコーチである


清澄編、最後のキャラ安価下3でー

長野、県大会。

全国へと進むのであれば、龍門渕や風越といった強豪を相手に勝ち進まなければならない。

今の清澄高校の麻雀部は零細部。

経験も部の規模も他校には劣るが、それでも久は負ける気がしなかった。

何故なら、今の自分たちには、頼もしい味方が――


「あれ……先生は?」

「ちょっと知り合いに挨拶とか言ってたじぇ」

「そう……」

「……部長?」


「ちょっと、私も色々と挨拶してくる」


「へ?」

「大丈夫――すぐ、戻るから」


強いて言うならば女の勘。

さざめきのような胸騒ぎに従って、久は控え室を後にした。

――カリ。

「どこに、いるのかしら」


――カリ、カリ。

「先生」


――カリ、カリ、カリ、カリ。

「私たちを」


――カリ、カリ、カリ、カリ、カリ。

「私を」


――ガリッ

「置いて」



何処からか聞こえてくる耳障りな音に、眉を顰めて。

久が、廊下の角を曲がると――



判定直下
1~30 先生に、長髪の女が話かけている
31~70 先生に、長髪の女が寄りかかっている
71~98 先生に、長髪の女が抱き付いている
ゾロ目 ???

――先生に、長髪の女が抱き付いている。


ガリ


「ごめんなさい……先輩」



ガリ、ガリ



「あなたと私は、もう、そういう関係じゃない。それは分かっています」



ガリ、ガリ、ガリ



「……ただ、どうしても。抑えられないんです……あなたを、前にすると」



ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ



「だから、今だけは――」



ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ



「……ありがとう、ございます」



ぶち

「あ。帰ってきた……じぇ?」

「まったく、どこをほっつき歩い……て……」

「部長!? その指は……」

「すぐに絆創膏を……いや、医務室に――」


「大丈夫」


「いや、大丈夫ってソレ」


「大丈夫、だから」





「心配しないで」

清澄高校は、団体戦で全国に出た事は一度しかない。

それも、10年以上も昔のことだ。



『決勝を制したのは――』



だから、今年も龍門渕が県大会を制すだろうと、大方が予想したが――



『今大会、まさかのダークホースの――』





――まるで、私たちを見ていなかった。

――誰か、遠くにいる誰かを見ているみたいだった。



『――清澄高校です!』



中堅戦、副将戦、大将戦で大きく他校を引き離して。

清澄高校が、全国への切符をもぎ取った。

あ、キャップ全国に出すか出さないか多数決で決めちゃいます
ちなみに貴子ちゃん病みレベル2の【1/3】くらい

下5までで

「つ、疲れたじぇ……」

「みんな、少し休憩した方が……」

「いえ、それには及びません」

「うん。全国まで、時間はないし……」



「それに」



「今度は、絶対に」

「個人戦でも、負けられませんから」

「ええ。先生の教え子だもの」



「絶対に。絶対に――潰す、から」



【清澄編 了】

――それは、突然のこと。


「先生」



彼女の冷たい両手が、頬へと伸びる。



「私は、先生のことが、ずっと好きでした」


甘い匂い。


「先生は、どうですか?」


甘い味。



「ふふ……振り向かせて、みせますよ」



柔らかいものが、触れ合った。




【プロローグ 了】

先生編、長かったプロローグ終了ー
次は松実京太郎、遠征へ行くの巻ー


ちなみに時系列的には>>365の後に>>296です


ちなみに本編で書く機会があるか微妙な京太郎といくのんとコーチの関係は


京ちゃんと貴子ちゃん、先輩後輩の仲から一歩踏み出して恋仲! やったね!


京太郎、男子プロになってかなり忙しくなる!


それでも愛する彼女の為、頑張るけど徐々に追い詰められる


――別れましょう。先輩……応援、してますから


その後はがむしゃらに戦い、数々の功績を残すも、すこやんに折られる


支えもなく、失意のどん底の京太郎――そんなとこで寝てると、風邪ひいてまうよー?


いくのんと互いに爛れた依存。一時期ダメ男のようになるが、ゆっくり休んで徐々に自信と力を取り戻していく


行かなきゃ、俺を応援してくれてる人の為にも――そっか。行っちゃうのね


すこやんに一矢報いる


その後もまた色々と功績を残すが、燃え尽き症候群


一線を退いて先生へ


みたいな流れでした

またもやラスボス扱い
アラフォーに幸せの時は一体いつ訪れるんだろう…

ということで今夜はここで
明日ちょっと早いのと今始めると中途半端になりそうなので

松実京太郎遠征編はりゅーもんとか三箇牧とか行く予定ー


それでは、今夜もお付き合いありがとうございました!



>>447
プロ編コンティニューしてすこやん安価取ったら幸せなお嫁さん直行じゃないかな

雑用を頑張る京太郎に次第にひかれていくヒッサ
しかし、京太郎の感情の方向は和へと向いていて――


みたいな短編が読みたい



あとすこやんのイメージはハイパーゼットン

では松実編始めますよーう

――でも

――赤ちゃんは、産めるよ?


「……ろ! 京太郎!」

「……あ」


気が付けば、顧問の晴絵の顔が真ん前にあって。

京太郎は、ポカンと間抜けな口を開けてた。

ゴホン、と晴絵が咳払いをする。


「聞いてた? 今の話」

「え? えーっと……」

「ハァ……遠征をするの。これから毎週」

「……遠征」

「そ。具体的には――」



あれから。

京太郎は、親にも、友達にも、先生にも、そして――憧にも言えない秘密を胸に抱えたまま、日々を過ごしていた。

三代目日産・キューブ。

晴絵の運転する愛車で、他県へと遠征することになった阿知賀学院のメンバー。

時折、揺れる車内で京太郎の隣に座るのは――



キャラ安価下1と下2
なお下のコンマが70以上のゾロ目の場合は強制的にレジェンド

右隣に憧、左隣に宥。

京太郎を真ん中にして、その二人が京太郎の両隣に座ることになった。


「寒い……」

「ね、姉さん……」


ひしっと抱き付いてくる姉に、眉をハの字にする京太郎。

車内であることと、先日のことが頭の隅をチラついて、強く拒む事も出来ない。

困った京太郎がふと視線を横に向けると、憧が気怠げな表情を浮かべて窓の外を眺めていた。


「……」

「憧? 大丈夫か? 顔色、悪いけど」

「……うん。昨日、少し眠れなくて」

「遠征で緊張とか?」

「それもあるけれど――色々、考えることがあって」


浮かない幼馴染の顔。

出来れば、晴らしてやりたい。


「憧――」



京太郎台詞・行動安価下3
あんまりにあんまりなものはその直下

「最近、ずっとそんな感じだろ?」

「え……」


憧が振り向く。

少し驚いた顔をして、京太郎を見詰める。


「俺じゃ頼りないかもしれないけど、力になれることもあるかもしれない」

「……」

「何かあるなら話してくれないか?」

「……そっか」


憧が目を閉じて、京太郎の肩にもたれかかる。

小さな口を開いて、京太郎にだけに聞こえるような声でポツリと


「……京太郎は、優しいね」

「……」


「……うん。ごめん。少し寝るから、肩貸してくれる?」

「……分かった」


少し後に、小さな寝息が聞こえてくる。

結局、悩みは話してくれなかったけど――こうして、寄り添って眠るのは小さい頃を思い出させて。

少しだけ、京太郎は嬉しくなった。



だけど。


「……憧ちゃん」

「……」


空いた片手を姉に握られて。

きっと、昔みたいには戻れないと、思った。

京太郎を挟んで、ほんの一種だけ交わった目線。

見上げる憧と、見下ろす宥。



――渡さないから、京ちゃんは


――聞いて、ないから。



京太郎は、気付けない。

三人の仲睦まじい様子。

真ん中の京太郎に寄り添うようにして目を閉じる憧と宥の姿は、少し羨ましい。

――が。


「仲良いなー。やっぱり」

「……」

「……玄さん?」


京太郎の姉であり、宥の妹である玄は。

何も言わず、じっと目を細めていた。


「……何で?」

「……え?」

「何で、私はあそこにいないんだろ」


穏乃には玄の言わんとすることが分からず、また玄もそれ以上は言葉を繋げなかったので、会話は続かなかった。

静かな空気が車内を包み、晴絵の運転するキューブは、順調に目的地へと向かって行った。

少ないですが今夜はここまでで
次はもんぶちスタートかな
なんか書いてたら松実京太郎には鬱々しいイメージが出来てしまった


それでは、お付き合いありがとうございました

「これは、どういうことでしょうか」

「……」


京太郎は、みさきによって目の前に突き出された写真に、沈黙した。

それは、自分の彼女にずっと隠していたことが写されているモノ。

恒子と京太郎が、口付けを交わしている写真。


「彼女――針生アナが見たら、何と言うでしょうか」


口を噤むことしかできない京太郎に対して、淡々と問いかけるみさき。

その声音は京太郎の不義理を責めるものではなく、かと言って好奇心が込められているわけでもない。

みさきの意図が掴めず、京太郎は困惑する。


「……ええ、語らずとも、わかります。あなたが、福与アナと浮気などと――不誠実なことを、する筈がない」

「……その、写真は」

「彼女が、強引に迫ったのでしょう? お酒の勢いに任せて」


……当たっている。

まるで、その場で見ていたかのように。


「私は、この写真を針生アナに見せたいわけではありませんし、福与アナを責めたいわけでもありません」

「……」


では、何が言いたいのか。

みさきが、京太郎に突き付ける要求は――


「――私にも、同じことをしてください。彼女たちと、同じことを」



京太郎は、何も答えることができなかった。

えりちゃんはガチギレしてビンタしてくるタイプ

松実はもうちょっと後でー

23時くらいに始めたい所存……

書きたいものがアレやコレやと増え過ぎてどうしようもない

次のレスから始めますん

「お待ちしておりましたわ!」


胸を貼って堂々と阿知賀の面子を迎える彼女が龍門渕の部長、龍門渕透華。

言葉遣いといい、立ち振る舞いといい、『いかにも』な雰囲気が漂っている。


「こいつらが奈良代表?」


ハンバーガーを頬張りながら怪訝な視線を飛ばしてくるのが先鋒の井上純。


「こいつらとか失礼だよ、純くん」


その彼女を宥めるのは中堅を務める国広一。

ほっぺたの星はシールだろうか。


「よろしく……」


眼鏡の彼女が沢村智紀。

無関心なのかマイペースなのかはよく分からないが、他の龍門渕の部員たちに比べて随分と落ち着いているように、京太郎は見えた。


そして――



「遠路、大義!」


ある意味で、最も強い存在感を放つ、最も小さな彼女。

龍門渕の大将、天江衣。



阿知賀の面子に引けを取らない濃い部員たちが、京太郎たちを迎えた。



「ふーん……?」


そして、阿知賀勢を、同じように見渡す龍門渕の部員たち。

京太郎に特に目を付けた彼女は――


キャラ安価下3でー

「あら、あなたは……?」


龍門渕副将の、透華が京太郎に目を向けた。

その視線の意味は何故男子がここに、ということだろうか。


「ああ、俺はマネージャーみたいなもんですよ」

「マネージャー……個人戦には?」

「出たけど、負けちゃいました……準決勝までは行けたんですけどね」

「ふむ……」


じーっと、見つめてくる透華の視線が居心地悪い。

同じ金髪同士、何か思うところがあるのだろうか――なんて。


「あなた――」


透華が続けた言葉は、


とーか判定直下
1~30 名前は?
31~60 あなたも、打ちません?
61~98 うちに、きません?
ゾロ目 ???

「名前は?」


じっと考え込んでいたものだから何かと思えば、飛び出してきたのは至って普通の言葉。

京太郎は少し拍子抜けしながらも、返答するべく口を開く。


「あ、はい。松実京太郎です」

「そういえば、自己紹介まだだったね」


と、一が仕切り、軽く名乗り合う。

全員の簡単な自己紹介を終えると、純が目を丸くして玄と宥と、京太郎の顔を見比べる。


「へぇ、姉弟なのかアンタら」

「……えぇ、まあ」

「姉と妹はすぐに分かったけど、弟のほうは――って、悪い。別に悪く言うつもりは無いんだが」


京太郎が微かに顔を曇らせたのを見て、慌てて訂正する純。


「まぁ……なんつーか、雰囲気がアレだったから。てっきり彼氏彼女の関係かと」

「ええ、とっても仲良しだって。よく言われますから!」


ボリボリと頭をかきながら純が気まずそうに感想を零すと、松実姉妹は顔を綻ばせる。

寒そうに身を震わせていた宥の頬も紅潮した。




「……」


ぎゅっと、憧は手の平に爪を食い込ませた。

そうして、一部で妙な雰囲気を抱えたまま阿知賀と龍門渕の対局が始まり――


「また衣の勝ちだー!!」


――阿知賀の面子が誰一人として大将の衣に土をつけられないまま、日が暮れた。



「強いなぁ、本当に」

「アレでも本来の衣とは程遠いのですが」

「あ、龍門渕さん」

「透華、で結構ですわ」


穏乃が挑んで負けて挑んで負けて挑んで負けて――を、何度も繰り返している光景に、ポツリと漏らした言葉に透華が答える。

いつの間に隣にいたのだろうか。


「……あれでもまだ、本気ではないと」

「ええ。月も出ていませんし」


その言葉の意味するところは分からないが、恐らくは二人の姉のように衣にも彼女固有の事情があるのだろう。

京太郎がそう納得して頷くと、透華が卓を指差した。


「あなたは、打ちませんの?」

「俺は、マネージャーみたいな立場ですから」


こういった外部の、それも準優勝高校と対局できる機会は非常に貴重だ。

故に、全国大会に出ない京太郎よりも女子部員たちが優先されるべきなのである。

そう伝えると、透華は複雑な表情を見せた。


「あなたにも資質はありそうなのですが……」

「資質?」


透華が知る京太郎の麻雀の腕前は奈良個人戦準決勝敗退の事実のみ。

それで、どうやって資質だのなんだのを知るのかと聞くと、


「カン、ですわ! 」


身も蓋もない答えが返ってきた。

「京ちゃんも……打とう?」


透華と話し込んでいると、宥が袖をクイクイと引っ張ってきた。

その目は、京太郎だけを映している。


「……私と、交代する? そろそろ休憩したい……」


そこに、灼が手を上げた。

額が汗ばんでおり、本人の言うとおり疲労感が伝わってくる。


「分かりました。それじゃあ……」

「いくらでもかかってこい!」


灼と交代するような席に座ると、衣が幼い顔立ちにそぐわない獰猛な笑みを浮かべて迎える。

押しつぶされそうな感覚に、息を飲んだ。



「――よろしく、お願いします」




判定直下
1~60 全然、勝てない
61~98 全然、勝てない……が。
ゾロ目 勝った

――全然、勝てない。


「また衣の勝ち!」

「久しぶりに飛んだ……」


グッタリ、卓に突っ伏しそうになるのをなんとか堪える。

恐ろしい程に強い。長野ではこれが代表になれないレベルなのか。


「……見込み違いかしら?」

「まぁ、衣が相手だしね」


「京太郎、大丈夫?」

「んや、心配しなくていい。ありがとな」


心配そうに駆け寄ってきた憧にヒラヒラと手を振り、姿勢を正して衣に向き合う。

対局中のような重苦しい雰囲気は、消えていた。


「ありがとう、ございました……楽しかったです」

「楽しかった……?」

「はい、色々と考えましたよ……全部、駄目だったけど」

「そうか、楽しい……か」


くく、と衣が喉を鳴らす。


「……うむ。精進すべし!」



また打とう、とは言われかったけれど。

衣の嬉しそうな笑顔が、印象に残った。

太陽が沈み、夜空に欠けた月が浮かぶ頃。

京太郎たち、阿知賀学院麻雀部は龍門渕の屋敷に泊まることになった。


「すっげぇなぁ……」


漫画やアニメで見るような西洋風の屋敷は、旅館で育った京太郎には斬新だった。

先程の対局の後だったこともあり、今の京太郎は、少し気分が高揚していた。

明日も早いのであまり遅くまでは起きていられないが、探索気分で広い廊下を進む。



キャラ安価下3でー

「お?」


廊下を探索気分で――と言っても、向かう先は自分が今夜泊まる部屋だが――歩いていると、廊下の曲がり角からひょこっと覗く小さな影。

続けて姿を現す小学生と見間違えそうな年上の先輩、天江衣。

京太郎と目が合うと、とてとてと駆け寄ってきた。


「京太郎か。一人か?」


龍門渕の制服ではなく、可愛らしい寝巻きに身を包んだ彼女が自分を子供じゃないと主張しても、誰も信じないだろう。

などと、実に失礼なことを考えながら。


「はい。後はもう、寝るだけなので」

「一緒に寝たりしないのか? 兄弟とは、そういうものだと聞いたぞ」

「……」


――あったかく、なろ?


「……まぁ、流石に。もう高校生なので」

「そうか……」



ころたん判定直下
1~30 なんだ、そういうものなのか
31~60 じゃあ、少し衣と話をしよう!
61~98 じゃあ、衣と一緒に寝よう!
ゾロ目 ???

「じゃあ、衣と一緒に寝よう!」

「……はい?」


何を言い出すのかと思えば。

出会ってから半日の男に言う台詞ではない。

彼女の様子と前後の会話の流れから、添寝程度の意味合いで、それ以上のことではないのだろうけれど。


「姉と弟がどのようなものか、家族とは何か。興味があるのだ。だから、今夜は衣が京太郎のお姉さんになってやろう」

「いや、でも……」

「……ダメ、か?」


見上げる丸い瞳。

対局中とは違い、無垢で可愛らしい輝き。

そして一瞬、寂しさのような震えが垣間見えて。

京太郎が折れて首を縦に振るのも、時間の問題だった。


「……分かりましたよ。今夜だけですからね」

「うむ!」

「……あと、少し聞きたいことがあるんです。麻雀のことで」

「何でも聞くがいい! 弟を導くのも姉の役目だ!」


一晩限りの自分よりずっと背の低い姉に手を引かれ、京太郎は寝室へと向かう。

彼女が寝たら、こっそり部屋を出ようだなんて考えていたけれど。

結局、朝まで衣と一緒にいることになるのは、まだ京太郎は知らない。

「大きな手だ。衣より、ずっと」


「家族とは。弟とは。このようなものなのか?」


「……麻雀を教えるのも、悪くはなかった」


「……京太郎」


「もし、本当に弟だったら」


「いや」


「戯言、だな」




「……おやすみ」

ちなみにプロ編京太郎ならワンチャンで衣に勝てたり
先生編京太郎はわりと勝てたり


龍門渕パートは次回で終わる予定
いつかやるかもしれない龍門渕編とは無関係です、多分


今夜はここで終わります
それでは、ありがとうございました!

総合スレが修羅場祭りと聞いていくのんのSSを待ちわびています


それはそうとして、明日には更新したいなぁ、と考えてます
あと新しく高校始めるのは今進めてる高校のどれかでED迎えてからの方がいいかなー、とか色々考えてます


ご意見とかネタ出しとかあればお願いしますー

衣が

すいません、書き始めで寝落ちしました
始めます

モモ人気だなぁ

衣が目を覚ました時、隣に京太郎はいなかった。

シーツを触ると仄かに温かさを感じるが、それだけだ。


「……」


当然といえば当然である。

衣が京太郎の姉だったのは昨夜だけの話で、そもそも二人は出会ったばかりだ。


「……楽しかった」


……そう。

出会ったばかりであるのに、衣は京太郎に対して好意を抱いていた。

麻雀で叩き潰しても楽しそうで、自分を年上として敬ってくれた。

もし本当に、自分に弟がいれば――



「……夢だな、所詮」



小さな指は、シーツを離さなかった。

「天江さん?」


ビク、と反射的に小さく跳ねる。

振り向くと、ドアから京太郎が入って来たところだった。

ドアが開く音にも気付けないほど、自分は惚けていたらしい。


「京太郎?」

「はい、ちょっと物音がしたので……どうしました?」

「いや……」



ころたんの台詞は 直下判定
1~30 ……何でもない
31~60 夢を、見ていた
61~98 ……一つ、頼みがある
ゾロ目 ???

「……何でもない」

「そうですか?」


――そうだ。

京太郎には宥と玄という二人の姉がいる。

そこに、本来なら家族でも何でもない自分が割り込める筈もないのだ。



……例え。


「じゃ、俺は俺の部屋に戻りますね」

「……うむ。楽しかったぞ、京太郎」



あの二人が、いなかったとしても。

緊張していたからか、普段よりも早い時間に目が覚めたのもあって、まだ阿知賀の面子は起きていないようだった。

衣の部屋と京太郎が泊まる予定だった本来の部屋はそこそこの距離がある。

やましいことはしていないつもりだが、昨夜に衣の部屋に泊まったことが知れ渡れば面倒ごとは避けられないだろう、

京太郎は忍び足で、自分に割り当てられた部屋へと向かった。




キャラ安価下3でー

「あら、あなた……」


ドキリ。

背中にかけられた声に心臓が跳ねる。

恐る恐る振り向くと、龍門渕麻雀部部長の透華が立っていた。


「お、おはようございます」

「おはようございます……どうしましたの? こんな朝早くに」

「ええっと……少し、お手洗いを」

「ふうん?」


ここに来るまでの間にトイレを済ませたので、全くの嘘でもない。

おかしなことは言っていない筈だが、透華は――


とーか判定直下
1~30 そうでしたの……なら、仕方ありませんわね
31~60 ……それにしては、あなたの部屋からは遠いような?
61~98 ――なら。その、肩の髪の毛は?
ゾロ目 ???

「そうでしたの……なら、仕方ありませんわね」

「ええ……じゃあ、また後で」


何とか誤魔化せたようだと、ホッとして透華の横をすり抜けようとして――


「……お待ちになって」

「ぐぇっ」


――襟首を、透華に引っ掴まれた。

何なんだと涙目で抗議の目線を送るが、透華の真剣な表情に何も言えなくなってしまう。


「……衣のことで、話があります。私の部屋に、来てくださりますか?」

「両親を……?」

「ええ」


衣は、両親を事故で亡くしている。

透華に衣が龍門渕に引き取られるようにまで至った経緯を告げられて、京太郎は閉口した。


「……本来であれば、出会ったばかりのあなたにお話するようなことではないでしょう」

「……」

「……しかし。衣は、あなたのことを好いています。それに、私もあなたのことは信頼できる人だと、思っています」


――家族とは何か。興味があるのだ


昨夜の彼女の言葉を思い出す。

彼女は、温もりを求めているのだろうか。

執事以外に身近で触れ合う男性が今までにいなかったのであれば、衣の態度も納得がいくかもしれない。


「私からのお願いは、一つです」

「……」

「ここにいる間だけでも構いません――衣に、あなたの姉として、接してあげてくれませんか?」


実の両親を亡くしている衣。

本当の両親を知らない京太郎。

もしかしたら、ある意味で似たもの同士かもしれない――と、それは流石に飛び過ぎだろうか。


「……そういうことでしたら。喜んで」

「……ありがとう、ございます」

――ぞくり。

急に部屋の温度が下がったような気がして、京太郎は身震いした。

テーブルに置いてあるエアコンのリモコンに目を向けたが、室温は標準を示している。


「あなたが衣の弟で……家族で……」

「透華さん?」


急に、雰囲気が変わった透華を前に戸惑う。


「……ああ。だとしたら、いらないですわね」

「え?」


「――今の、あなたの家族は」



判定直下
1~10 ???
11~30 お嬢様、朝食の時間です
31~50 透華? 起きてるー?
51~70 ……このお部屋、寒い
71~00 京太郎……いる?

「……このお部屋、寒い」


微かに空いていた部屋のドアの隙間から入って来た声。


「……姉さん?」

「京ちゃん、ここにいたの?」


返事をすると、ドアが開いて、京太郎の本当の姉である宥が部屋に入って来た。

京太郎を見ると顔を綻ばせたが、部屋に一歩踏み入るとより一層寒そうに体を震わせる。


「さむい……」

「姉さん、大丈夫?」

「……姉さん?」


――と。

ここで漸く、透華が宥に気が付いたようだった。


「……龍門渕さん? 京ちゃんと、なにしてたの?」

「それを、あなたに言う必要がありまして?」



互いに、敵意の篭った目で睨み合う。

間に挟まれた京太郎は、心の底から凍えそうな感覚を味わった。

「京ちゃんは、私たちの、だから」


宥に抱き寄せられる。

防寒着で身を包まれた身体は、柔らかくて冷たかった。


「……しかし、彼は。京太郎は、衣の弟になると――そう、言ってくれましたが」

「……京ちゃん?」


宥の身体の震えが強くなった。

京太郎は答えられない。

何と言えば良いのか、分からなかった。


「……血の繋がりなど、所詮はその程度ですわね」

「……違う」

「……姉さん」



「だって、私たちは――」

……朝食の時間になっても、透華と京太郎がやって来ない。

このままでは今後のスケジュールに支障をきたすため、京太郎の姉である宥が彼らを呼びに行くことになった。

だが、今度は宥も行ったきりで戻って来ない。


「……私も、行ってくる」


――胸がざわざわする。

気持ちの悪い感覚に突き動かされるように、憧は席を立って返事も待たずに駆け出した。



3人の居場所はすぐに分かった。

ドアが開いていて、中から声が聞こえてくる部屋。

声音から剣呑な雰囲気を感じた憧は、更に足を速めて――





「だって、私たちは――赤ちゃん、埋めるから」



×埋める
○産める


メゲるわ……

「絆とか、そんなのじゃなくて」


「もっと、もっと、あったかいの」


「いーっぱい、京ちゃんに貰ったらから……ね? 京ちゃん?」


「えへへ……」



「だから、ね」




「最初から、あなたたちは、入れないの」

「京太郎、衣がソースをかけてやろう!」

「あ、ありがとう……衣、姉さん」



「なんつーか。随分と衣に懐かれたな、あいつ」

「あいつとか失礼だよ純くん……でもまぁ、確かに」



「なんか、姉弟みたい」

「ふふ……あったかーい」


「ね?」


「憧、ちゃん?」




【松実京太郎、遠征に行くの巻 了】

憧ちゃんをいじめたい


全国大会行ってすらないのにENDはどうかなぁと思ってゾロ目でしたがEND踏む確立は低めに
修羅場も軽めに


次に書くのは

1 白糸台全国大会パート
2 臨海安価パート
3 プロ勢編、コンティニューする?
4 永水日常編
5 宮守全国大会後
6 松実京太郎、都会へ行くの巻
8 京ちゃん先生 全国へ
9 その他

EDが見えているのは白糸台、プロ、宮守、先生ですかね
とりあえず新しい高校やるのはこの辺のどれか終わらせてからでしょうか

コンマ判定直下で

1~33 プロ
34~66 宮守
67~99 先生
00 お好きにどうぞ

では次は先生でー

わりと判定多めになります
色々出してもらった小ネタもいくつかは拾いたい所存


では、今夜はここで
お付き合いありがとうございました!

一人目は、小学生の頃。

クラスで隣の女の子に告白された次の日。

その子が、足の骨を折って入院した。



二人目は、中学生の頃。

ちょっといいなと、軽い一目惚れをした名前も知らない子。

酷い虐めにあったとかで、一月後には転校してしまった。



三人目は、高校に入る直前に。

その子とは幼馴染で、友達以上恋人未満な関係をずっと続けていた。

別々の高校に通うことが決まって、離れ離れになる前に、告白しようと決心した日。

その子は、京太郎の目の前で、トラックに――

「……あ」


バクバクと、胸を内側から叩き付けられるような痛みで目が覚めた。

汗でシャツが張り付いて不快だ。


「あ、ぁ……」


――京、ちゃん?


「……ああああああぁぁぁっ!!」


助けられなかった。

目の前で、足が、頭が、変な方向に向いて。

黒くて赤くて、よく分からない何かの色でベットリ染まった幼馴染の姿が、ずっと瞼の裏側に焼き付いて離れない。


「クソ、クソ、クソ……!!」


何度も、壁に拳を叩き付ける。

手の平の中に残る、指の感触を振り払うように。

痛みで、痛みを誤魔化すために。



「京さんっ!!」

「……あ」



――だけど。

隣から全身を包む甘い匂いが、その行為を中断させた。

「モモ……?」

「はい……ここに、いるっす」


皮が破れて、血が出た拳に添えられる白い指。

確かに、彼女が、ここにいる。


「……っ!」


離さないと、苦痛すら感じさせる力で桃子を抱き締める。

桃子は優しく微笑んで、京太郎の頭をそっと撫でつけた。


「……大丈夫っすよ」


いなくなって、いなくなって、いなくなって。

いつしか誰も、京太郎の隣に立っていなくて。

誰も見えなくなった世界に――ただ一人だけ、色を持った少女。


「離れないでくれ……」


桃子がいなくなったら、本当に京太郎は一人ぼっちだ。

桃子も、そのことは分かっている。


「……一生、一緒っすよ」


ずっと、後ろ姿を見ていたから。


京太郎にしか見てもらえない桃子。

桃子しか見ることのできない京太郎。


二人の世界は、それだけで、閉じていた。

見てもらえないなら見えるものを私だけにすればいいじゃないー
キャップ小ネタ書いてたら普通のラブコメになったので手直ししてまた今度

小ネタが書きたい気分なので小ネタ安価下3辺りでー

――妹が、妬ましい。


宥は、マフラーの下で唇を噛み締めた。

理由は単純。

彼の側にいられる時間が、自分よりもずっと長い。


「……寒い」


分かっている。

妹も彼も、根っこは真面目な性格だから。

一緒に麻雀くらぶの教室の掃除を続けていたから、仲も良くなる。


「……ずるい」


それでも、妬む心を抑えることが出来ない。

冷たくて、寒くて、彼の隣に立てない自分には。


「玄ちゃん……」


こうして、震えていることしか出来ないのだから。

――姉が、妬ましい。


玄は、奥歯を噛み締めた。

理由は単純。

何の努力もしていないのに、彼に気にかけてもらえている。


「……でも」


分かっている。

彼が優しくて面倒見がいいから、姉の体質を放っておけないってことぐらい。

だから、二人っきりでいる時にも、姉の名前が口から出ることは。


「……ずるい」


それでも、妬む心を抑えることが出来ない。

可愛くもないし、姉のように守ってあげたいと、彼に想ってもらえない自分には。


「おねーちゃん……」


こうして、一方的に想い続けることしか、出来ないのだから。

「おねーちゃんは、ズルいよね」

「玄ちゃんは、勝手だよね」



「また、京太郎くんに迷惑かけてるんでしょ? 断れないからって」

「また、京太郎くんを居残らせてお掃除させたんでしょ? 無理矢理に」


「そんな、怠け者のおねーちゃんに」

「そんな、身勝手な玄ちゃんに」



「京太郎くんは」

「京ちゃんは」



――渡さない、から。

一方京太郎は憧と付き合っていた

小ネタ安価下3で

「あ、これもお願い」


ひょい、と手渡される紙袋。

中身はお洒落な服やら下着やら。

デートの時の荷物持ちは、古今東西彼氏の役目である。


「あ、憧……」


――とは言え。

そろそろ、紙袋の数が両手で持てるキャパシティを超えそうだ。

中学までは幼馴染と一緒に野山を駆け巡っていたので体力や腕力には自信があるが。

流石に、重い。


「……なに?」


そう思って、懇願の目線を憧に送った京太郎だが。

帰って来たのは、冷たいジト目だった。


「いや、そろそろ、買い過ぎじゃないかなって……」

「……昨日。松実館に、泊まったでしょ」

「……うっ」


痛いところを突かれて固まる。

彼女に黙って他所の女の家で一泊。

当然、許されることではない。


「……私だって、不安になるんだよ?」

「……ごめん」


言い返せず、俯いて謝ることしか出来ない。

確かに、彼女には不義理なことを――



「――なんて、ね」

「……はい?」

「どーせ京太郎のことだから、アレコレ頼まれて断れなくなっちゃって、そのまま遅くなってズルズルと引きずっちゃったんでしょ?」


見事に当たっている。


「それで遅刻とかしたら、私も怒るけど――うん。無駄に早く着いてたもんね、アンタ」

「はは……」


――待った?

――ううん、今きたところ。

使い古されたシチュエーションも、この二の間では通じなかった。


「けど」


鼻先に、ピシッと指先を突き付けられる。


「流石に、連絡がないのは見逃せないわ」

「うっ……反省してます」


急な仕事で忙しくて、すっかりその事を失念していた。

仕方なかった、なんて不義理な台詞は吐けないが。

それでも憧は、許してくれた。


「だから、もっと、お願いね?」

「……ハイ」


この両手にぶら下がる重さも、彼女の為なら頑張るしかあるまい。

京太郎が溜息を漏らすと、憧がクスりと微笑んで、


「ふふ――後で、頑張ったらご褒美あげよっか?」

「え?」


妙に、色っぽく見えた。

「……でも、いいのかなぁ」

「ん? 何が?」

「いやさ――みんなに、言わなくて。俺たちの関係」

「ああ、なんだ」


そんなこと、ね。


「いいのよ。大会に向けて、みんなの気が散っちゃったらイヤでしょ?」

「まぁ、そうだけど……」



「それに、その方が……」


見てて、面白いし。


「ん?」

「ううん、何でもない」


本当に、馬鹿みたいよね。

あの二人、ああやって、互いに遠慮して。

終いには、仲違いしてるんだもん。


「……ところで、さ」


どうして私は、だなんて。

もう、そんなことは言わない。


「今日、さ」


今夜、私は。


「私の家」


全てを捧げて。


「誰も、いないんだ」


全てを、貰う。

色々吹っ切れた憧ちゃん

小ネタ安価下3でー

――お前は、遥か高みにいるのに。

「咲、優勝……おめでとう!」


――俺は、何をしているんだろうな?

「ありがとう、京ちゃん」


――俺には、何もない。



東場での爆発力も、経験も、悪待ちも。

牌が見えるなんて――それこそ、オカルトで。


――なのに。

「京ちゃん……」


――咲。

「ずっと、言えなかったことがあるの……」



――お前は、

「……私と。私と、付き合って!」


――なに、を

「咲、今日もレディースランチ、頼むぜ」

「あ、京ちゃん……そのこと、なんだけど」


カバンから取り出す、小さな弁当箱。

2段重ねになっていて、中身は様々な具材が家庭的な彩りを演出していた。


「作ってみたんだ。京ちゃんの好みに、合わせたつもりなんだけど……」

「おぉ、マジか……!」


頭を下げて、早速箸を伸ばす。

その言葉通り、味付けも具材も京太郎の好みに合わせられていて、尚且つ栄養バランスも完璧。

非の付けようがなかった。


「うめぇ!」

「えへへ……」


「またか、あのバカップル」

「ほんと、嫁さんって感じだよなぁ」


呆れたように笑う周りの生徒たち。

幸せそうに微笑む咲。


「ありがとな!」


京太郎も、笑う。

心の奥の劣等感と、嫉妬の想いに蓋をして。

自分に、咲を拒む権利はない。

清澄に泥を塗った自分が、咲を傷付けて。

もしそれで、次の大会で清澄が負けたら。


「……ごちそうさま。これから毎日、頼みたいぐらいだ」

「もー、京ちゃんったら……」


何もない自分には、これぐらいしか、できる事が無いのだから。

京太郎は、笑い続ける。

笑顔の裏に、何もかもを隠して。

「京ちゃん」


どうしてお前は、そんなに強い?


「京ちゃん」


どうしてお前は、そんなに麻雀を楽しめる?


「京ちゃん」


どうしてお前は、そんなに笑えるんだ?


「京ちゃん」


どうして


「京ちゃん」


どうして


「京ちゃん」


どうして

どうして

どうして

どうして、俺は――



「京ちゃん? どうしたの?」

「ああ、すまん。ちょっと、考えごとしてた」


京太郎は、笑い続けた。

京太郎の病みを考えるとどうしてもコンプレックススタートになるなぁ
「他の男になんか咲を渡さねぇ!」みたいなタイプの病み方は筆が乗らないってのもあるけど

まだ続くけどNTR要素が入ってきそうなので一旦ここで切ります
まとめに載せるかこっちで書くかは未定

どちらにせよ次の更新の時に先生編全国パートに入りたい


それでは、今夜はここで

お付き合いありがとうございました!

「智紀ッ!」


室内に響き渡る怒号。

全力で振るわれた拳に、眼鏡が弾き飛ばされる。

鋭い痛みと、鉄の味。

咳をするように口を開くと、真っ赤な唾液と一緒に、欠けた奥歯が零れ出た。


「お前っ! お前、何したか分かってんのか!?」


鬼のような形相というのは、きっと今の純のことを言うんだろう。

彼女がここまで激怒しているから、自分は冷静に、客観的でいられるのだと、智紀は痛む頬を手の平で押さえた。


「辛そう、だったから」

「あぁっ!?」

「……彼と、衣では、セックスが、出来ない。体格が違い過ぎる」

「そうだよ! でも、アイツは、京太郎は、他の女に手を出さなかった!! 衣が、大好きだったからな! それを、お前は――」

「薬を、盛った」

「ッ!」


返事の代わりに振るわれた拳によろめくと、胸倉を強く掴まれる。

眼鏡を通さない曖昧な視界でも、純の想いは強く感じ取れた。


「アイツが! アイツが、オレのところに来て、何て言ったか分かるか!?」

「……」

「殺してくださいって、そう言ったんだぞ! 死にそうな、顔で!!」


想像するのは、難しくない。

衣への不義理になるからと、そういった行為を極力抑えてきた彼が。

薬に後押しされたとはいえ、衝動に身を任せて、この肢体を貪り食らったのだから。


しかし。


「……何で」


開かれた口から出た言葉は、


「何で、そんなに怒るの?」


純が期待したものとは、全く別のもの。

「お前、まだ――!」

「衣のため……では、ないでしょう?」

「ッ!?」


胸倉から感じる力が弱まった。

畳み掛けるように、言葉を続ける。


「あなたの怒りは……彼を、汚されたから」

「違う! オレは!」


「初めてを……私に、取られたからでしょう?」


「……違うッ!」


壁に押し付けられ、肺の中の空気が絞り出される。

喉の奥から、咳だか何だか、よくわからないものが漏れ出た。


「……許さねぇ」


吐き捨てるようにそう言い置くと、純は乱暴に扉を閉めて出て行った。

智紀は服の埃を払うように軽く腕を振るうと、屈んで足元の眼鏡を拾う。

左のレンズに、大きな罅が入っていた。

母乳の日のSSの筈がこんなものになってしまった
モンブチーズでは一ちゃんが一番好きです

出来たら今夜に先生編全国いきます

色々なこと重なったので安価更新は無しで

「嘘だろう……京太郎?」


震える声は、問いかけではなく、そうであって欲しいという願い。

だが、後悔と自責の念に塗り潰された彼の表情は、それが事実であることを告げている。


「お前と――お前と、照が――」


怒り、嫉妬、憎しみ、悲しみ、恨み。

様々な負の感情が、胸の底から湧き上がり、混ざり合う。


「……お前!」


やがて、その感情は眼差しへ。

戸惑う瞳に明確な敵意が宿り、彼を汚した女へと向けられる。


「……俺がっ! 俺が、悪いんです! 」

「……そん、な」


その目線を遮るように、一歩前に出た彼。

何で、その女を庇うのか。

何で、彼を憎めないのか。


「何で、なんだ……!」


――何で、こんなことになってしまったのか。

問い詰めていたのは自分の筈だ。

だが、今の彼女は、この場の誰よりも、追い詰められていた。

うごごごご 時間取れない うごごごご


諸々の事情で夜の人がいる時間帯に書けないので日曜日までは更新あっても小ネタとかその辺です
先生編全国パートはもうちょっと待って下さい



自分を本当の姉のように親のように育ててくれた人に「彼女が出来ました」と見せにいく京太郎が見たい

「なー、なんでいつもそないなとこで寝とるん?」

「あんたのオカンは……っていない?」

「あーもー、なくなや! 男やろ?」

「もー……しゃーないなぁ」



「ただいまー」

「おかえりー。こないな時間までどこほっつき……その子、どこの子や?」

「おねーちゃん、カレシ?」

「なんかなー、こうえんで寝とったからなー。きいたら、オトンとオカンがいないって」

「ふーむ?……なぁ君、名前は?」


「そっか、きょうたろう君か……カッコ良い名前やね」

「まー、折角や! 今日はウチでご馳走したる!!」


「やった!」

「オカンのからあげはぜっぴんやでー!」


「……何で、ウチから逃げるん?」

「だって、最近ウチやおねーちゃん見るとコソコソしとるし……」

「ウチらのこと……嫌いになった?」


「……じゃあ、何でや」

「……はぁ? 恥ずかしい? なんや、ソレ」

「大体、ちょっと前に一緒にお風呂とか入ったのに何を今更――」

「え? それを男子にネタにされる?」


「ん! よし、わかった!!」

「だったらウチ、男の子に負けないくらい強くなったる!!」


「どうやってって――あ、そうだ」

「今、ワールドカップとかでサッカーが人気なんやろ?」

「それで、男の子を思いっきり負かしたらええねんな!」



【小学生】

「いたた……ごめんなぁ、京太郎」

「ウチ、重いやろ?」

「ん、そっかぁ……」

「んじゃ、少し甘えさせてもらうわ」


「……なぁ、京太郎?」

「ちょっと、聞きたいことあるんやけど」


「この前、自転車の後ろに乗せてた人」

「あれ」



「誰や?」

「ん、どうや、京太郎――イメチェン、してみたんやけど」

「髪切って髪型変えて、メガネからカラコンにして」

「髪の色も、変えてみた」



「似合う? ありがとな」

「で、も一つ聞きたいことあるんや」


「あの人とウチ」


「どっちの方が、可愛い?」

×メガネからカラコン
○メガネからコンタクト

「はー……」

「ウチらももう中3かぁ……」

「なーんかしみじみするなぁ」


「ホラ、受験って人生の節目、みたいな?」

「まぁ、何にしても」

「これからも、ずっと一緒や」


「ウチは勿論、姫松が第一志望やし……え?」



「京太郎」


「千里山、受けるんか?」

「なんやなんや、騒々しい」

「え?……願書、失くした?」


「はー、しゃーないなぁ」

「一緒に探したるわ。おねーちゃんも呼んで」

「なんだったらおかーさんも呼ぶ?」


「ええねん、気にしなくて」

「今までと同じや」

「こうやって助けあって」


「それに、何なら姫松に来ればいいし」


「あはっ」

「ずっと」

「ずーっと、一緒やで?」


「なぁ」

「京太郎?」

願書をダストシュートする絹ちゃんがパッと出てきたので書いてみた小ネタ
最初はお姉ちゃんネタだったのにドンドンズレてしまった
初めは某スレの女子力すこやんが素敵だったので色々考えてたんですが


予定が変わったので安価更新できそうです
22時前後から先生編全国パート始めようかと思ってます

始めますん

Aブロックからは白糸台と宮守。

Bブロックからは清澄と姫松。


以上の4校が、インターハイという舞台の決勝戦で、鎬を削ることになった。



「なんつーか……」


タブレットに映るニュース。

京太郎が直前に担当した4校の激突。

正直、どこを応援したら良いのやら――と、京太郎は苦笑を零した。


「……まぁ、俺は俺の仕事を頑張らないとな」


向かう先はインターハイ会場。

その先で、どのような結果が待っているのかは、まだ誰も知らない。



キャラ安価下3でー
複数、他校キャラ同士でもあり

インターハイの会場という場は、それだけで特別な空気を持つ。

全国の強者が集まる舞台に、ピリピリした感覚を肌に感じる。

そして今年は、自分の後輩たちがこの舞台に立ち、もしかしたら優勝してしまうかもしれない。

京太郎は感慨深いものを感じて、目を瞑り――


「あっ! アレは!?」

「ん、どうした?」

「やっぱり!!」

「お、おい、淡!?」


……何やら、空気に浸っていた自分をぶち壊すような、聞き覚えのある喧しい声。

呆れながら、京太郎が振り向くと――



あわあわ判定直下
1~30 ……やっぱり、お前か
31~60 バックアタックだ!!
61~98 やっぱり、おま――!?
ゾロ目 ???

迫り来る足音は、明らかに京太郎を目指している。

この勢い任せの行動力に、先程聞こえた声からして、この足音の主は――


「とう!」

「おわっ!?」


京太郎が振り向くと同時に、両腕を広げて飛び掛かる小さな影。

突然のことに反射的な行動しか取れず、京太郎はその影を抱きかかえるようにしっかりと受け止めることになった。


「えへへ――バックアタックだ!!」

「お前なぁ……」


花も恥らう、などという言葉とは無縁な高校100年生。

大星淡が、満面の笑みを浮かべ、コアラのように京太郎に抱き付いた。

「やた! ついにせんせーから一本とった!」


確かに、白糸台を担当していた時は、似たような淡のイタズラを悉く回避していたが。


「お前なぁ……」


漏れる溜息と苦笑は、彼女のまるで変わらない様子に対して。

自分が初めてこの会場を訪れた時は大いに緊張したものだが、この高校100年生は決勝戦を前にしてもそういったプレッシャーとは無縁らしい。


「えー、ここは感動の再会と弟子の成長に涙するとこでしょー?」

「何言ってんだお前」


画面を通さない現実での接触は久しぶりだが、ネット麻雀では何度も対局したし、チャットもした。

それに、久しいと言ってもたかだか数カ月前の話である。


「それより、離れろ……よ」

「うー……」


幸い、今はマスコミなどはいないが、この場面を他の誰かに見られたら面倒なことになるだろう。

京太郎は淡を引き離そうとするが、彼女も全力で対抗してくる。

大人と子供の力の差もあり、すぐに淡を離せるだろうが――



キャラ安価下3でー

――クスッ


小さく笑う声は、ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人にも不思議と聞き取れて。

力が抜けた淡がストンと京太郎から降りて、二人一緒に、ポカンとした表情で振り向く。


「……お久しぶりです」


麻雀を齧ったことのある者なら誰もが名前を知る、超大物。

京太郎が強くなり、また現役から退くきっかけを作った女性。

小鍛治健夜が、口元に手を当てて、微笑んでいた。


すこやん判定直下
1~60 現役からは退いたと、聞きましたが……
61~80 待っていますから。今でも
81~98 あなたは、いつも……
ゾロ目 ???

「現役からは退いたと、聞きましたが……」


チラリと、健夜の目線が隣にいる淡へと向けられる。

知らない女が、先生と親しげに話している。


――気に入らない。


淡は敵意の篭った目線で、健夜を睨み返した。


「誰? おばさ――あいっ!?」


そんな淡の額に拳骨が落とされる。


「こら、失礼だろ……すいません、小鍛治プロ」

「いえ、大丈夫ですよ」

「むー……」


涙目で額を押さえ、二人を交互に見る淡。

何だか蚊帳の外に置かれたような気分で、面白くない。


「……コホン。まぁ、今は教師のようなことをしていまして」

「成る程、それで――」


再度、淡へと向けられる健夜の目線。

淡は、その意味がわからずに小首を傾げた。

「ふふっ……あなたが、須賀プロの教え子だって聞いたら……色々と納得がいったから」

「えっと……?」

「あなたの打ち方が――誰かを、意識してると思って」


言葉を付けたされても、まるで理解出来ない様子の淡に健夜は苦笑して。

目線を京太郎に戻すと、バッグから携帯を取り出した。


「今度、皆と合うんですけれど……良かったら、須賀プロもご一緒しませんか?」

「え?」

「瑞原プロや、野依プロも来ますよ」

「それは……」


「ふふ……気が向いたら、この番号に連絡して下さいね」


最後まで淡を置いてけぼりにしたまま、健夜は軽く手を振って去って行った。

敬語すこやんを書いたのは初めてかもしれない

キャラ安価下3でー

「それじゃ、またな」

「はい、宜しくお願いします!」


淡をチーム虎姫へと送り届けた京太郎は、会場内の散歩を再会する。

先程は淡の乱入があったが、今度こそ感慨深い気持ちに浸りたい。

そうして、少女たちが競うことになる舞台の前で、京太郎は目を閉じた――


「……あぁっ!?」

「あっ」


――が。

ニュースにも示されていた通り、決勝でぶつかり合う4校は全て京太郎の担当した高校。

当然ながら、ここでその少女たちに再会する可能性は高い。

そして。


「先生っ」

「先生」


――お久しぶりです。


その機会が偶然被ってしまうこともまた、起こり得る。


久洋榎 判定直下
1~33 互いに、互いを無視している
34~66 先生は今、うちと話しとるんや
67~00 あなたこそ、部外者は引っ込んでてくれる?

「あ、あぁ……久しぶりだな、二人とも」


……とは言うものの、洋榎は淡と同じようにパソコン越しに。

久はついこの間まで特別講師として指導をしていたので、時間的には大して久しい訳ではないが。


「先生……もし良かったら、この後に私たちの宿に来てくれませんか? また、教えてほしいことが――」

「センセ、今夜もよろしくお願いします!」


久の言葉に上から被せるように、洋榎が勢い良く頭を下げる。

台詞を遮られた久は、小さく舌打ちをした。


「先生は今、ウチと話しとるんや。引っ込んでろ」

「あなたこそ、部外者は引っ込んでてくれる?」


自分こそは、先生の教え子であり、後輩である。

そう言葉に滲ませて、洋榎に言い返す。


「……は」


その言葉を受けて、洋榎は鼻で笑い、


「誰が部外者だって? 先生のネト麻のIDも知らんクセに」


優越感を持って、言い返した。

「ハ?」

「それだけやない。先生、家に来たこともあるんやで?」

「ッ!」


言い返せず、洋榎を睨み付ける久。

くぐもった歯軋りの音が聞こえてくる。

その音に、洋榎は得意気な笑みを浮かべる。

いつもの自信満々なものとは違い、卑しい笑み。


「――やめてくれないか、二人とも」


久と洋榎の、憎しみの籠められた視線が交差する。

一触即発の空気を裂いたのは、二人に挟まれた京太郎の声だ。


「……どっちが特別だとか、そういう話じゃないだろう」


既に対局を中継同士であり、次の決勝戦では今度こそ雌雄を決する二人。

だからこそ、互いに高い対抗意識を持つのは分かる。

けれど、京太郎が二人を止めたのは、それよりも――


「……あまり問題を起こすようなら、指導も何もしないぞ」

「……はい」

「すいません……」


――二人の瞳に。

かつて、郁乃の瞳に見たことがある、とある感情の色が、宿っているからだった。

寝落ちしたので今夜はここまでで

いくのんの出番は確実にあります
はやりんやその他プロの出番は選択次第


それでは、お付き合いありがとうございました!

「キミってズルいよね」

「衣には言えない。だけど隠し通せるほど図太くも無い」

「だから、純くんに打ち明けたんでしょ?」


「悪いことをしたと思ってる。死にたいと思ってる」

「でも、自分から死ぬ勇気はない」


「フフ、いいよ。それでも」


「衣や透華たちがキミを見放しても」

「ボクだけは――ずっと、キミの側にいてあげる」


「だからさ」

「今までに溜め込んだモノ、ぜーんぶ」


「吐き出しちゃいなよ、ボクに」

一ちゃんはご奉仕系ヤンデレー


もうちょっとあとで安価始めたいです

始めますん

「ふー……」


ホテルのチェックインを済ませ、ベッドの上に荷物を放る。

決して広くはないが窮屈もしない大きさの部屋。

仕事の都合上、大会期間中はここで過ごすことになる。


「全国、か……」


備え付けのソファに身を預ける。

目を閉じて頭に浮かべるのは、学生時代の自分の姿と――昼に再会した、久と洋榎。

彼女たちの目付きには見覚えがあった。

記憶の中にある郁乃や貴子と、似たような目付きだ。


「……そんな筈、ないよな」


自分と彼女たちでは年の差が有り過ぎる。

恋愛だとか、そういったものは成り立たない筈だ。

それに、仮に郁乃や貴子と同じ気持ちを彼女たちが抱いていたとしても――その気持ちに応えることは、出来ない。


「……ん?」


一息吐いたところにドアをノックする音。

京太郎が返事をして、ドアを開けると――



キャラ安価下3でー
今までに出会ったキャラ限定

――自分よりも背の高い、教え子がいた。


「……え?」

「あれ?」


京太郎はホテルのスタッフだと思って。

豊音は部屋を間違えて。

ドアの向こう側に立っている相手がそれぞれが想像した相手と違ったものだから、見事にお互いに固まった。


「え? あれ? なんで? 夢?」

「なんでってまぁ……ここ、俺の部屋だし」


未だに混乱している豊音に、先に我に帰った京太郎が冷静に突っ込む。

背丈の高い彼女だが、オロオロと慌てる仕草はよく似合っていると、何処か他人事のようにそう思った。


「……まぁ、ちょっと落ち着こうか」


少なくとも、これは夢でも何でもなく現実である。

他のホテルの利用客に見られたい光景ではない。

京太郎は心の中で溜息を吐くと、豊音を落ち着かせるべく、腕を伸ばしてその肩に手を乗せた。




豊音判定直下
1~30 また会えるなんて! ちょーうれしいよー!!
31~60 ……あれ? 先生、コレ……
61~98 ……もう、離したくないなぁ
ゾロ目 ???


――かくかくしかじか。

何とか落ち着いた豊音から聞いた話によると、どうやら宮守も京太郎と同じ、このホテルに滞在しているらしい。

そして豊音はうっかり部屋を間違えて、京太郎の泊まる部屋のドアをノックしてしまったようだ。


「また会えるなんて! ちょーうれしいよー!!」

「はは……」


無邪気に笑う豊音の姿を見ると、沈んでいた心も少しだけ軽くなった気がした。

きっと彼女は、純粋にプロとしての自分や先生としての自分を慕ってくれているだろうから。


「……それで、時間は大丈夫か?」

「時間?……あ!」


時計の針が指し示す時間は、一般的な女子高生なら眠りにつく時間。

部屋を間違えて来たというのなら、今ごろ宮守の他の部員たちが心配しているかもしれない。


「ああ、大変! もういかなきゃ! 」

「やれやれ……」


相変わらずな子だと、京太郎は苦笑した。



京太郎選択
1 送って行こうか?
2 それじゃあ、気を付けてな

豊音は階を間違えてしまっていたらしい。

ホテルの中なので女子高生が一人でこの時間に出歩いていても、問題がないだろう。

しかし念の為に、京太郎は宮守の泊まる部屋まで豊音を送り届けることにした。


「すいません……」

「いや、いいって。みんなの顔も見たいしさ」

「そっかー……」


エレベーターの閉じた扉の前で、豊音がぎゅっと拳を握る。

無意識の行動で、京太郎は勿論、豊音自身も気に留めることは無かった。


「お……来たか」


エレベーターが段々と登ってくる。

やがて、京太郎たちのいる階で止まると、ゆっくりと扉が開いた。



コンマ判定直下
1~50 中には、誰もいない。
51~00 ……先、輩?

本っ当に申し訳ない
思いっきり寝落ちしてました

始めます

エレベーターの中には誰もおらず、豊音と二人きりでホテルを登っていく。

途中で何か問題が起きることもなく、宮守の泊まる部屋へと辿り着いた。


「すまないねぇ」

「いえ、俺も久しぶりにみんなと会えて嬉しかったですし」


京太郎たちを出迎えたのは、顧問のトシだった。

豊音も含めた宮守麻雀部の部員たちは、寝室で明日に備えて眠っている。


「そう言ってくれると有り難いよ……さて」


トシの目が細められる。

ここから先は、世間話だけではない。


「あの子たちも、ついに決勝だ。勿論勝たせてやりたいけど、厳しい戦いになるだろう」

「……はい」

「そこで、決勝前の調整をお願いしたいんだけど――頼めるかい?」



選択肢直下
1 任せて下さい
2 申し訳ありませんが……

「任せて下さい」

「ありがとう。あの子たちも心強いだろう」


京太郎の返事を聞いて、トシは表情を綻ばせた。

最初で最後のインターハイであり、決勝戦。

全員多かれ少なかれ緊張していたようであるが、京太郎が力を貸してくれるのなら、決勝で無様に負けることはないだろう。


「それじゃあ、明日のこの時間は――」

「――分かりました。それではよろしくお願いしますね」


互いのスケジュール帳に予定が書かれていく。

お互いに確認すると、トシは小さく息を吐いた。


「悪いねぇ、忙しくて。他の高校にも行くんだろう?」

「……知ってました?」

「赤阪郁乃の顔の広さは有名だからね。それに、この時期にあんたがこの場所にいるってことは、そういうことだろう?」


お見通しか、と京太郎は苦笑した。


「今度、落ち着いたら一緒に食事でも行くかい?」

「そうですね。楽しみです」


スケジュール帳を閉じて、和やかに会話をする京太郎とトシ。

そんな二人の会話を、扉の隙間から、赤い瞳が覗いていた。

次スレが立ちました
京太郎「修羅場ラヴァーズ」小蒔「あなたしか見えなくなって」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407668440/)

先生編の続きは次スレでー
何か小ネタとかあったらどうぞ

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