京太郎「修羅場ラヴァーズ」明華「夢でも、あなたの横顔を」 (1000)

あー、前スレURL貼り間違えてしまった

次のレスから永水短編始めていきますー

――朝、目が覚めると、自分の胸板を枕代わりにして眠る小蒔の顔が目の前にあった。


「んん……」


まただ。

見慣れた光景ではあるが、いつまで経っても愛おしい。

初めこそ飛び起きる勢いで驚き、恥じらいを覚えたシチュエーションだったが。

今では落ち着いて、彼女のさらさらとした髪に指を通して、その感触を楽しめる。

……けれど、いつまでもこの感触を楽しんでいるわけにはいかない。

障子の間から零れる朝の日差しは、今が起床時間であることを告げている。

名残惜しいが、起こさなければならない。


「ほら、起きて下さいよ」

「んぁ……ん、あと五分……」

「起きる時間に五分もなにもありませんってば」


肩に手をかけて少し強めに揺さぶる。

遠慮はしない。生半可なことでは彼女は起きないし、早く彼女を起こさないと――



「あらあら、まったくもう。二人とも」



――どうやら、間に合わなかったらしい。

石戸霞。

普段はおっとりした雰囲気の女性で、ある特定部位の大きさから母性すら感じさせる。

いつもは冗談混じりで「母さん」なんて呼んだりして、彼女も乗って返してくれるのだけれど。

こういう時に、彼女が来ると。


「昨夜は……いえ、さっきまでもお楽しみでしたね?」

「えっと……」

「ん?……むぅ……京太郎さま、もっと……」

「あら」


そして、タイミングの悪い小蒔の寝言。

霞は障子を閉じると、一歩足を踏み出した。


「ふふふ……姫様の望みとあらば、私もお手伝いしなきゃね?」

「い、いや――」


するりと、衣擦れの音がする。


「それじゃあ、いただいちゃおうかしら」


舌舐めずりをして迫る霞の顔に今後の展開を予想して、京太郎は身を震わせた。

「ぐ……」


途中から『目覚めた』小蒔の相手もどうにか済ませ、散々に搾り取られながらもヨロヨロと朝の食卓へ向かう途中。

京太郎の経験から、この次に会う相手が何となく予想できた。


「おはよう、はっちゃん」

「はい、おはようですよー」


背後に感じた気配に振り向くと、京太郎の予想した通りに彼女が立っていた。

彼女の名前は薄墨初美。京太郎がこの屋敷に来た時から、色々と面倒を見てくれた先輩である。

そして――


「大分、大きくなりましたね」


――京太郎の、始めての相手でもある。


「ふふ……きっと、京太郎に似て元気に育ちますよー」

「いやー、はっちゃんにそっくりな可愛らしい子になると思うな」


初美のお腹に手を当てる。

何となく、命の鼓動のようなものが感じ取れた気がした。


「にしても、発覚した時はただただビックリしたけど……こうしてみると、本当に愛おしいですね」

「ふふ……お母さんの気持ちが、分かってきましたよー」


和やかな朝の光景。

この屋敷に住む者なら、見慣れた光景。

であるならば、この後に起こることも勿論、


「ぺろっ」

「ひゃっ!?」


誰もが、想像できる。

ほのぼのしていた京太郎の首筋を文字通り「舐めた」彼女の名前は、滝見春。

ここでは唯一の京太郎と同じ年で、同じクラスだったということもあって一番一緒にいる時間が長い。

無愛想で無口だが意外と優しいところがあり、しかし考えが読み取りにくい。

そんな少女なのだが。


「はっちゃん、借りてくから」

「どうぞですよー」


元々体力を消耗していた京太郎は、今の春の一撃で腰が抜けてしまい。

べたりと座り込んだところを、ズルズルと春の部屋へと引きずられていった。


「お、お手柔らかには……」

「じゅるり」

「……無理、か」


この後の展開は、京太郎にも容易に想像できた。

春との行為を終えて、風呂場で身を清める行為を手伝う彼女の名前は狩宿巴。

汗や様々なもので汚れた京太郎の体を、後ろから丁寧に洗い流す。


「……ごめんなさい。私のせいで」


彼女の指が、そっと背中のある箇所に触れる。

大きな傷跡。

彼女が京太郎に刻み付けた、消えない跡。


「私が……」


震える巴の体を、そっと抱き寄せる。

安心させる為に背中をぽんぽんと、軽く叩いてやる。

きっと彼女には、言葉で言うよりも、こうして抱き寄せた方が分かってもらえるから。

残された傷は、薄くなっても、きっといつまでも消えることはない。

女が流した涙を見た。

男が流した血を見た。

今でも夜に、傷跡が痛むこともある。

それでも。


「俺も、あなたも。ここにいる」


小蒔がいて、霞がいて、初美がいて、春がいて、巴がいて。

そして来年には、もっと笑顔が増えて。


「やったことは消せないけど、これから作っていくことは出来るから」


体も心も痛んでも。

こうして、前を向いて生きていける。

これから辛いことがあるかもしれない。

些細なことに傷付くかもしれない。

それでも。


「あなたが、あなたたちが、いてくれるから」


きっと、いつまでも。

歩いて、進んで行ける。


「――あなたが、側にいてくれるのならば」





【IFEND 傷んだ過去と、今と、あなたと】

本編でこのEDに行けるかは自由安価での頑張り次第

小ネタ安価下3で

「お母さんも、自分に正直に生きて良いと思う」


自分の娘に、思わぬ言葉を掛けられて。

愛宕雅枝は、言葉を失った。


「……気付いとったんか」

「何年オカンの娘やっとると思ってんねん」

「お父さんが亡くなってから大分経つけど……うちも、お姉ちゃんも。もう、大丈夫だから。お母さんも、頑張って?」

「アンタたち……」


雅枝は眼鏡を取ると、滲んだ視界を拭い。

二人の娘を、強く抱き締めた。


「……ごめんなぁ、駄目なお母ちゃんで」

「そんなことない!」

「せや! オカンは宇宙一のオカンやで!」


母の温もりを感じながら。

洋榎と絹恵は、雅枝の体が意外と小さいことに、少しだけ驚いた。





そして後日。



「……で。この人が――あんたらの、新しいお父ちゃんの」


二人は、あんぐりと開いた口が閉じなかった。

無理もない。

なんせ――


「京太郎です。よろしくお願いしますね」


「オカンの連れて来た新しいオトンが……年下やった……」

「……イケメンさんやん……」

「そっちか!?」


……それぞれ抱いた感想はあれど、驚きの感情が胸を締めていたことに、違いはなかった。

須賀京太郎改め、愛宕京太郎。

二人の出会いは麻雀を通してのものだったそうだが、京太郎の実力は全然大したことがないようで。

京太郎は雅枝の、人としての強いところに惹かれて。

雅恵は、京太郎の人としての優しさに惹かれて。

互いに互いを意識していたけれど、二人の娘の存在から、更なる一歩を踏み出すことはなかったけれど。

しかし、娘に背中を押された雅枝からアプローチを仕掛けたことにより――こうして、結ばれることになったのだと言う。


「むー……」


だけどやっぱり、娘の洋榎としては心配になるもので。


「オカン、騙されてたりせんかな……?」

「んー、お母さんのことだから心配はいらんと思うけど……」

「せやかてなぁ」


……もし、ロクな男じゃなかったらウチが叩き出したる!

最初はそんな気持ちで、洋榎は京太郎を愛宕家に迎え入れた。





結論から言えば、洋榎の不安は杞憂に終わった。

二人で出掛けた時は道の車道側を歩いたり、エスカレーターに乗った時は自然と下に乗ったり。

そういった気遣いだけではなく、母の言う京太郎の『人としての優しさ』も、一緒に暮らしていく中で感じ取れた。


「はぁ……」


だが、洋榎の口から零れる溜息は止まらない。

京太郎への不安が取り除かれた今、何が悩みの種となっているのかと言うと――

「お義父さん、うちの眼鏡知らんー?」

「ああ、それならテーブルに――ぶっ!?」


下着姿で家の中を徘徊する絹恵に、京太郎が吹き出す。

目が悪い絹恵には分かっているのかいないのか、フラフラと覚束ない足取りで、際どいところが見えそうになっている。


「ほ、ほら……コレだよ」


しかしこのまま放って置く訳にもいかず、京太郎は極力絹恵から視線を逸らしながら、テーブルの上の眼鏡を取って絹恵に握らせた。


「あー、これでよう見える! ありがとなお義父さん!」

「んなっ!?」


視界が戻った瞬間にピョンと京太郎に飛び付いて抱き着く絹恵。

勿論、下着姿の彼女が力一杯抱きつけばその感触がダイレクトに伝わるわけで――非常に、京太郎の理性に悪い。


「えへへ、お礼に――好きにしてええよ? 私のこと」

「な、何言って……」

「最近、ご無沙汰なんやろ? お母さん、忙しいみたいやし」


耳にそっと、囁くように。


「だから、ええよ? 私の体を、好きにしても」


その声音は、娘が義父に向けるものとは、到底思えなかった。

肩を押さえ付けるように、雅枝が京太郎を布団に押し倒す。

大きな音を立てて、二人の体が沈む。


「ま、雅枝さん? 明日も早いんじゃ――」


口を口で塞がれて、台詞が遮られる。

たっぷりと、京太郎を味わい尽くすように時間をかけて、やがて雅枝の方から離れていく。


「……だからこそ、や」

「え?」

「だからこそ。京太郎を感じてから、行きたいんや」

「雅枝さん……」


部屋の灯りが消えて、二人の肌が重なる。

やがて室内の様子を探ることが出来るのは、暗闇の中に響く声だけになるが――


「……」


部屋のドアに僅かな隙間が出来ていたことに、京太郎は気が付かなかった。

「お母さん、今日から出張なんやて?」

「ああ、ちと一週間ほど家を開けるわ」

「そっか――まぁ、『安心して』行ってきてな? 私らにはお義父さんがいるし」

「ああ、私もちゃーんと京太郎に毎朝のモーニングコール頼んどるからな。『心配ご無用』やで?」


そう言って腕を絡ませてくる雅枝に、照れ臭そうに頬をかく京太郎。

二人を微笑ましく見つめる絹恵。

どこからどう見ても順風満帆な新しい家族の光景。


「頼むでホンマ……」


だというのに――洋榎は、口から零れる溜息を、止めることが出来なかった。





【新・愛宕家の日常】

修羅場って近いところで見てる人が一番辛いよねっていうアレ
徐々に構成されていく修羅場に胃と心を痛めながらも何も出来なくて最終的に自分も病んでいく洋榎が見たい


さて、次は

1 白糸台日常編
2 臨海出会い編
3 プロ勢編、コンティニューする? その場合はどこから?
4 永水日常編
5 宮守全国大会後
6 松実京太郎、遠征するの巻
7 モンブチーズ出会い編
8 京ちゃん先生宮守編
9 千里山
10 その他 何か希望があれば


のいずれかになるかと

それでは、長らくお付き合いありがとうございました!

126から決めまっしょい

直下のコンマで
1~33 白糸台
34~66 臨海
67~99 松実
00 お好きにどうぞ

では次は臨海出会い編で

それではまた後ほどー

絶体絶滅都市みたいな状況下に置かれた京太郎だが、その場で出会った女の子たちと協力して辛うじて生還
しかしその子達がとんでもねぇヤンデレだったでござる、みたいな話が読みたい


それはそうと、次も出会い編なので基本的に速攻でENDまで持っていかれることはないです
書いてる時のノリとか気分とかで色々変わりますけど

悲しみなんかーない世界♪ 愛をあきらーめたくなーい♪
どーんなーなーみーだーもー 必ずかーわくー♪


絶体絶滅都市、意外と出来るんじゃないかとふと思う
龍門渕グループとかそれっぽいのあるし選択肢のカオスっぷりも安価向けと言えなくもない


というわけで臨海出会い編、のんびりやっていきまっしょい

京太郎は、タコスの売店という普段中々目にしない物の珍しさに引かれて。

ネリーは、お腹が空いたので何を食べようかと迷いながらぶらぶらと道を歩いて。


「ん?」

「お?」


そうして、たまたま道ですれ違っただけ。

互いに名前も知らない、普通なら通り過ぎて終わるだけの、出会いとすら呼べないもの。

ただ、この二人にとっては。


「んー?」

「むー?」


お互い、何か。

感じるものが、あったようだ。


ネリー判定直下
1~30 どこかであった気がする?
31~60 何だろ、胸のあたりが……
61~98 ……これって、まさか?
ゾロ目 ???

前世(フェイタライザー)の記憶?

「じゃ、キョータローは引っ越してきたんだ?」

「そうだな。親の仕事の都合で、家族で纏めてこっちに来たんだ」

「ふーん……」


小さな口でタコスを一生懸命に頬張るネリーを横目で見ながら、京太郎は既視感のようなモノを覚えていた。

この少女――ネリー・ヴィルサラーゼと自分は勿論、初対面である。

だというのに、何処かでネリーに会ったような気がするのだ。

ネリーもこれが初対面だと言っているし、そんなことは有り得ないのだが――例えるならば、前世からの因縁のようなものを感じる。

……こんなことを言ったら電波扱いされるので、口に出すことは絶対に出来ないが。



「むぐむぐ」


そして、京太郎にタコスを奢ってもらったネリーも、似たような感覚を小さな胸に抱いた。


――何だろ、胸のあたりが……。


デジャヴュとでも呼ぶべきか、自分はこの男に昔に出会ったことがあるような。

何となく、ザワザワする。


「あぐあぐ」


だけど、このざわめきは、それほど嫌なものではない。

このタコスも中々に美味しいし。むしろ良い。


「じゃ、またね」

「おう。またな」


一緒のタイミングでタコスを食べ終えて、ベンチから立ち上がる。

約束をした訳じゃないし、メールアドレスも互いに知らない。

それでも、きっと、また会える。

そんな確信めいた予感を、互いに抱いた。

ネリーの口いっぱいにチーかまを突っ込みたい


次、ハオさん行きます

――参りました。まさか、こんなに降ってくるなんて……。


降りしきる雨の中、傘も差さずに帰路を急ぐ少女。

郝慧宇。中国からの留学生である。


「天気予報、見とけばよかった……」


後悔しても、雨脚は弱くなるどころか時間が経つにつれて段々と勢いを増していく。

走っているうちに、人がいないバス停を見付けて、ハオは一先ずそこで雨宿りをすることにした。





小さいが屋根の付いたバス停。次のバスが来るまでにはまだ時間がかかる。

気休め程度ではあるが、このままズブ濡れで走って帰るよりはここでバスを待った方がいいだろう。


「ふ……くしゅっ」


冷えているせいか、くしゃみが出た。

ぶるりと身が震える。帰ったらしっかり温まらないと。

ポタポタと髪から垂れる雫を鬱陶しく感じて髪を払うが、水気を拭い去ることはできい。


「あの……これ、使いますか?」


そして、不快感に眉を寄せながらバスを待っていたら。

いつの間にいたのかは分からないが、見知らぬ金髪の少年が、バックからタオルを取り出して差し出してきた。


ハオ判定直下
1~30 あ、どうも
31~60 ありがとう、ございます
61~98 良い匂いがしますね……
ゾロ目 ???

見知らぬ相手だが、この状況ではその好意が素直に有り難い。

礼を言ってタオルを受け取り、顔を埋める。ふわりとした柔らかい感触が心地良い。

「良い匂いがしますね……」

「そ、そう?」

続けて髪を拭き、垂れてくる雫を払う。

さっきまでバックに仕舞われていたのだろう。この雨の中でありながら程良く乾いていたタオルは、水気を十分に吸い取った。

「ありがとうございます。この礼はいつか必ず」

「いや、そんな大したことは」

「いえ。かなり、助かりましたから」

中国美人。顔の整っているハオの今の状態は、まさしく文字通りに『水も滴る良い女』というものである。

そんな美少女にまっすぐ見詰められて、金髪の少年は頬を少し赤く染めて。

その様子を見たハオは、もしかして風邪を引いてしまったのだろうかと、少し心配に思った。



「あの、ハオさん?」

「呼び捨てで構いませんよ。同じ年齢のようですから」


帰りのバスの中。

バスを待っていた二人は、短い時間の間にすっかり打ち解けていた。

そして時間帯に加えて、このような雨の中では客も少ないのか、バスの乗客は京太郎とハオの二人しかいなかった。

「あ、あぁ……それじゃ、ハオ」

「はい?」

「その……近く、ないか?」

「そうですか?」

だと言うのに、吊革を掴んで立って並ぶ二人の距離は、肩と肩が触れ合いそうな程に近い。

京太郎がそっと一歩だけ横にズレると、無意識にハオも同じ分だけ横にズレる。

そんな事が何度か繰り返されて、いよいよ少し恥ずかしくなった京太郎が声をかけたのだが、ハオは特に気にしていないようだった。

「あぁ…すいません、濡れてしまいますね」

「あ、そういうわけじゃないんだけど。もうそんな水気はないし」

「……では、このままで」

どうやら、目的地に着くまではずっとこの距離感のようである。

悪くはない、むしろ京太郎にとっては喜ばしい状況だが、何処となく恥ずかしい。

妙に良い匂いがするのは、すぐ隣にいるハオのせいだろうか。

京太郎は、なるべくハオの顔を見ないようにしながら、帰りのバスの中で揺られていった。

「……」

そして、ハオも。

京太郎と同じようなことを、考えていた。

さっきのタオルも良い匂いがしたが、彼の「匂い」もどこか安心する。

このまま離れるのが勿体無い。

ハオは、京太郎から受け取ったタオルを、ぎゅっと握り締めた。

ハオは何となくクンカーっぽい


次はダヴァンさん行きますねー

そういや他校(転校)京太郎って
・ハンドやってたけど肩壊した
・咲ちゃんとは幼なじみ(仲の良い友人)

までは共通なのかな?宮守、永水では両親離婚もつくけど

「……眠れん」


京太郎は深夜に、目を覚ました。

布団を被り直し、目を閉じて眠りに着こうとしても――


『良い匂いがしますね』


はっきりと鮮明に覚えている微笑みが、眠気を覚ましてしまう。

オマケに布団で悶々としていると空腹感まで出て来た。

再び寝付けるようになるまでは、かなりの時間がかかるだろう。


「……よし」


京太郎は布団から出ると、ジャケットを羽織り、財布を掴んでこっそりと家を抜け出した。





手軽なものでも食べて気を紛らわせようと訪れた近所のコンビニ。

ちょうど、棚の上で最後の一つとなっていたカップラーメンを手に取った京太郎だが、


「オゥ……マイガッ……」


すぐ後ろから聞こえた声に振り向くと、自分と同じように手を伸ばしていた外国人の女性と目が合った。

しかもまるで、この世の終わりのような顔を浮かべている。


「あの……」

「……ハイ?」


「コレ、いりますか?」


ダヴァンさん判定直下
1~30 サンキューベリマッチ!
31~60 ロンオブモチ!
61~98 ナイスアイディア!!
ゾロ目 ???

――なんで、こんなことに?


「これが同じカマのメシを――というヤツでスカ」

「いや、違います。絶対」


この女性が突然、「ナイスアイディア!」と叫び出したから、一体何かと思えば。

コンビニの隅の食事コーナーで、一つのカップラーメンを二人で食べるという状況。

恥ずかしい、というよりわけが分からない。


「限定品とか何トカ。やはり、二人で食べた方が美味しいでスネ」


しかし、このキラキラ光る目をを前にしては、席を立つという選択も選びにくい。


「~♪」


余程カップラーメンが楽しみなのか、目の前の女性は鼻歌まで口遊んでいる。

これがカルチャーギャップってやつか?

京太郎は少しズレた思考を浮かべて、割り箸を割った。





――美味しそうでスネ、本当ニ。

このスレ女が混ざってねーか?

すいません、軽く寝落ちしました


明華さん行きますね

――♪


何もない休日に京太郎が散歩をしていると、ほんの一瞬だけ強い風を感じた。

不自然な強い風に煽られ、立ち止まって乱れた髪を手で整えていると、微かに歌声のようなものが耳に届いた。


「……何だろう?」


疑問符が頭上に浮かぶ。

どうせ用事もないのだし――ということで、京太郎は声の聞こえてくる方向に向かって歩き出す。





声のする方へ歩いていくと、小さな公園の真ん中で一人、雨も降っていないのに傘を広げている女の子がいた。

傘をクルクルと回して、大きく口を開けて歌を歌っている。

遠目から見ても可愛らしい容姿をしていて、ほんの一瞬見惚れたが――


――Ah! ça ira, ça ira, ça ira!

――les aristocrates à la lanterne!

――Ah! ça ira, ça ira, ça ira!

――les aristocrates on les pendra!



「……見た目によらず、随分と……」


聞き慣れない音から察するに英語ですらないようで、歌詞の意味は分からない。

が、可愛らしい容姿に反して、非常に勇ましく歌い上げている。


「――!」


京太郎が呆気にとられていると、女の子がクルリと振り向いて。

京太郎と、目が合った。


明華判定直下
1~30 その時、そよ風が吹いた
31~60 その時、強風が吹いた
61~98 その時、突風が吹いた
ゾロ目 ???

――その時、突風が吹いた。


「うわっ!?」


砂埃が巻き上げられて視界が封じられる。

強烈な風を全身て感じて、立っていられずに体勢を崩す。

そのまま受身も取れずに地面に叩きつけられそうになって、


「大丈夫ですか?」

「……え?」


さっきまで歌っていた女の子に、支えられた。


「怪我はないみたいですが……」

「あ……あ、うん」


背中からじっと、顔を覗き込まれている。

……冷静に考えれば、京太郎と女の子の位置関係からして、この状況は不可解なものがあるのだが。

突然のことで頭が上手く回らなかった京太郎には、目をパチクリさせることしか出来なかった。


「ご、ごめん。すぐに――あれ?」

「まぁ」


腰が抜けてしまったようで、力が入らず立ち上がれない。

それどころか、女の子に自分から寄り掛かるような体勢になってしまった。


「ほ、本当にごめん! わざとじゃないんだ!」

「……ふふ」

「腰が抜けちゃったみたいで、悪いんだけどそこのベンチまで――」


ぎゅっと、母親が子供を抱きかかえるように。

両腕を回されて、胸に抱きかかえられる。


「……へ?」

「――Ah! ça ira, ça ira, ça ira!」

「えぇ!?」


身動きの取れない京太郎を抱きかかえて。

そのまま、それが当然であるかのように、女の子は再び歌い始めた。

私の歌。

この人の声。


――Ah! ça ira, ça ira, ça ira!


風の音。

この人の心臓の音。


――les aristocrates à la lanterne!


風の涼しさ。

この人の温かさ。


――Ah! ça ira, ça ira, ça ira!


それでいい。

それだけでいい。


――les aristocrates on les pendra!


今は、他には。

何も、いらない。


一目、見た瞬間から。


きっと、この気持ちが。

母が、亡き父の話をする時の――

京太郎が特等席でたっぷりと歌を聞き終えた頃には、日もすっかり暮れて。


「――ふふ。ごめんなさい、熱くなっちゃっちゃいました」

「あ、いや……」


どうせ用事もなかったのだから、と言いたくても、呆気に取られたままの京太郎は上手く言葉にできない。


「今度は、あなたも一緒に歌いませんか?」

「へ? ええ!?」


そう言われても、自分はこの少女の名前すら知らないのだが。

目を輝かせて迫るどこまでもマイペースな少女に、京太郎は圧倒されっぱなしだった。

ちなみに今更ですがスレタイは毎度思い付きなので特に意味はないです
次はサトハ先生行きますね


>>148
どういう意味です?

お年寄りに道を聞かれたので、付き添って案内してあげた。

途中でお年寄りが苦しそうに胸を押さえて蹲ったので、急いで救急車を呼んだ。

後日、我が家を訪れたそのお年寄りがどうしてもお礼がしたいと言ってきたので、着いて行ったら――


「帰りてぇ……」


広い和風の屋敷に連れて来られて、案内された先はだだっ広い和室。

廊下ですれ違ったグラサンスキンヘッドのお兄さんや、服の隙間から刺青が見えているおじさんたち。

京太郎の想像が正しければ、あのお年寄りの正体は、間違いなく。

ついイメージしてしまったビジョンに、ぶるりと背筋を震わせる。


「……む? そうか、君が祖父が言っていた」

「え?」


がらりと、背後で襖の開く音。

振り向くと、そこには――


サトハ先生判定直下
1~30 成る程、確かに
31~60 ふむ、中々に男前だな
61~98 ふむ、成る程――
ゾロ目 ???

「ふむ、中々に男前だな」

「え?」


凛とした雰囲気の、対面するだけで背筋がピンと伸びてしまうような少女。

何となく、長ドスとか持たせたら似合いそうだ。


「ん、ああ。すまない、私は辻垣内智葉という。先日は、祖父が世話になったようだな」

「祖父? ……ってことは――」

「そう、ここの一人娘だよ。年が近いもの同士、話もし易いだろうとのことでな」


……いや、一人娘ってことは、智葉さんはこの家の跡取りってことで。

もし仮に、この場で智葉さんに何かあったら――


「ふふっ」

「……え?」

「いや失礼。君は随分と分かりやすいな」

「分かりやすいって……」

「何も、取って食おうというわけじゃないんだ。そんなに緊張しないでくれ」

「はぁ……」





本当に分かりやすい男子だ、というのが智葉の京太郎に対する印象だった。

『お前のイイ人を連れてきたぞ』なんて、祖父に言われた時には心底驚いたものだが。

こうして彼と対面してみて、智葉はそれが祖父の冗談だということにようやく気付いた。

確かに彼の見てくれは悪くはない、むしろ好みの方だ。

幾つか話をしてみて、性格も好感が持てる。

だが、明らかに一般人の彼が、自分の連れ合いになれるとは思えない。

まぁ、もしも、彼の方から――


「いや……何を考えているんだ、私は」

「?」


失礼、と智葉は咳払いを一つして。


「まだ時間はある。何か暇潰しでもしようか」

「えっと、それじゃあ――」




「――どうも、ありがとうございました。食事、美味かったっす」

「そう頭を下げないでくれ。礼をしたのはこちら側だからな――だが、君の気が向いたらいつでも来てくれて構わない。歓迎するよ」

「はは……」


リムジンで家の近くまで届けられた京太郎は、智葉に頭を下げてその場を後にする。


「三代目とか……冗談でも勘弁してほしいなぁ」


智葉の言うとおり、見た目は怖い人たちだらけだったが、話してみればなんて事はない、気さくな人が多かった。

ジョークのセンスが少しズレているのは気になったが。


「……にしても、麻雀かぁ」


暇潰しとしてお互いの趣味やら何やらを話している最中に出て来たキーワード。

智葉が最も得意とするもの、らしい。

二人しかいないので実際に打つことはなかったが、智葉の口振りからするに、かなり自信があるようだった。


「……俺も、始めてみるか?……なんてなぁ」


背伸びをしながら夜道を歩く。

見上げた月は、少しだけ欠けていた。

「――へぇ。君が、ネリーの言っていた」

「……へ?」


後日。

京太郎が学食でうどんを啜っていたら、テーブルの真向かいにスレンダーな女性が座って声をかけてきた。

服装から察するに明らかに生徒ではない。


「成る程、成る程」


指を組んで、京太郎をじっと見詰めてくる。

次に、女性の口から出て来た言葉は――



アレクサンドラ監督直下判定
1~33 麻雀に興味はないかい?
34~66 いいな、君
67~99 欲しいな、君
00 ???

「欲しいな、君」

「ぐっ!?」


予想していなかった言葉に、うどんの具を喉に詰まらせる。

慌てて水を飲み込み、ゲホゲホと咳き込む。


「な、なんすか一体……」

「いや、ネリーが妙に気にしている男子がいるからね。私も気になって」

「ネリーが……? ってことは――」


「そう。私はこの臨海高校麻雀部監督のアレクサンドラ・ヴィントハイム」

「監督……」

「ねえ、君」


その口調は、問いかけるものだけど。


「部活やってないようだけど――麻雀部に、来てみる気はない?」


その視線は、絶対に逃がさないと、告げていた。




【臨海出会い編 了】

というわけで臨海出会い編終了
臨海編も次当たりから修羅場っぽくなってくるかなと

プロローグでアレクサンドラ監督も出したから判定したけど千里山編やるとしたら雅枝さんも出した方がいいのかな


あと最近あんま修羅場っぽいの書いてないのでリク等あればどうぞー

――しゃーない、京ちゃんも男の子やからなぁ。けど、部長にはナイショやで?



「京くん、大丈夫? 顔色悪いよ?」

「ああ……いえ、そんなことは」

「嘘ついたらあかんよ。うちじゃなくても気付くわ」

「いえ……いや、確かに。そうかもしれません」

「せや、正直が一番!」


彼女が、自分の膝をぽんぽんと叩く。

恋人にしてあげる膝枕のサイン。

どんな時でもこうしてあげると、彼は喜ぶのだが――


「……すいません。少し、早退します」

「むぅ……そうか、無理はせんといてな?」

「はい……」


部室から出て、フラフラとした足取りで男子トイレへ向かう。

喉の奥から込み上げてきたものを押し留められず、便器へと吐き出す。


「あぁ……っ」


喉がヒリヒリする。胸が気持ち悪い。

吐き出したい。何もかもを。


「ごめん、なさい……」


その謝罪は、誰に対するものか。

床にへたり込む自分にさえ、分からなかった。




【もし彼が打ち明けられなかったら】

昔書いた京竜怜小ネタの更にIF
秘密の共有って大変ですよね
ちなみに耐えられずにバラすとハンバーグEND

――もし、この吊橋を渡っている途中に、大きな揺れが来なければ。


その場に蹲って顔を伏せる透華に、京太郎は掛ける言葉が見つからなかった。

無理もない。自分の家族とも言い換えられる親友が、目の前で吊橋から落ちてしまったのだから。

出会って間もない京太郎ですら直ぐに仲良くなれた彼女。

長い付き合いの透華にとって、彼女を失った痛みは相当のものだろう。

京太郎にしてみれば、咲や両親が目の前で死んでしまうようなものだ。


「透華さん……」


だが、いつまでもここにいる訳にはいかない。

また先程のように大きな地震が来れば、今度はこの吊橋自体が耐え切れない可能性がある。

そうなれば、次は自分たちが奈落の底に転落することになる。


「そうですね……行きましょう」


透華は、慰めの言葉など無くとも、自らの足で立ち上がった。

その瞳は真っ直ぐに前を、京太郎を見詰めている。


「ここも、もうすぐ崩れるかもしれません。急がなければ」

「……はい」


悲しむのは、立ち止まるのは、全てが終わってからだ。

絶体絶命の状況にいながらも、彼女は強かった。

こんな状況でありながら――いや、こんな状況だからこそ。

京太郎は、彼女に惹かれる自分を自覚した。





【吊橋効果】

絶体絶命都市からの生還後の修羅場を書こうとしたら前のレスの吊橋効果と混ざって変なものが出来てしまった
リクと全然違うものになって申し訳ない。また今度書き直します


でもあのゲーム、ほんとぽんぽん死にますよね


「俺が、照さんを追って麻雀部に入らなければ」




――京ちゃんに、触らないで。

――彼は、私のものだ。

――人の獲物に、手を出さないで下さいよ。

――須賀くんは、あなたたちのことが、嫌いだから。

――あそぼーよ、きょーたろー。



「俺が、俺さえ。いなければ」


――大丈夫。京ちゃんを泣かせるヤツは、もういないから。

――お前は、私だけの言うことを聞いていればいい。

――逃がす気はないんだ。悪いね。

――少し、間引くから。

――バッカみたい、だね。



「俺がいなかったら」

「きっとみんな仲良くやっていたんだろうな」

「俺が」

「俺が」


「俺が、いるから」



――何かが、落ちた音がした。



【全員ゾロ目 白糸台】

すいません、松実姉妹の修羅場書いてる途中で力尽きて寝落ちしました
昨夜お付き合いしていただいた方たちはありがとうございました!


次に書くのは

1 白糸台日常編
2 臨海安価パート
3 プロ勢編、コンティニューする? その場合はどこから?
4 永水日常編
5 宮守全国大会後
6 松実京太郎、遠征するの巻
7 モンブチーズ出会い編
8 京ちゃん先生宮守編
9 千里山 最初から安価パート
10 その他 何か希望があれば

のいずれかになります


今回貰ったリクはまた後で消化します

それでは、また後ほどー

ここの1の話は面白いし、どの題材でも期待できるけど、
あれもこれもと並行しすぎて過去の話がなかなか思い出せなくて辛い

というわけで前回同様の臨海に集中したいので2

直下のコンマで決めますね

1~33 白糸台
34~66 臨海
67~99 松実
00 お好きにどうぞ

清澄はどうだろな。どうしようかな

では次は白糸台で


>>233
一理あり
そろそろまとめwiki的なもの考えた方がいいのかなー、と思ったり思わなかったり
@wikiがいいんですかね、作るとしたら

まとめ的なもの作るのでオススメのwikiとかあったら教えてくださいー

    ∧∧
  (  ・ω・)
  _| ⊃/(___    http://www62.atwiki.jp/kyoshura/
/ └-(____/

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/

宮守編では、5分の2は既に…

>>284
お疲れ様です。

臨海編プロローグですが、途中(2スレ目の>>595)が抜けているようですが、
意図的ものなのでしょうか?

まとめwiki作りました

>>293
指摘ありがとうございました



それじゃ、白糸台やりますかー

あ、ちなみに白糸台日常編はゆっくりと好感度とギスギス度を高めて行くパートになります
それじゃ、次のレスから始めますね

朝の通学路。

大勢の生徒たちに混ざって京太郎も登校していると、何処からか視線を感じる。


京太郎「……ん?」


軽く辺りを見渡すが、知り合いの顔は見当たらない。

気のせいか、と結論付けた京太郎が曲がり角で出会ったのは――



キャラ安価下3でー

「あっ」

「おっ」


朝の通学路で遭遇したのは、チーム虎姫大将の大星淡。

京太郎が照に気にかけてもらっていることが不思議なのか、よく突っかかってくる同学年の女子。

と言っても嫌味なものではなく、子どもっぽい振る舞いなので京太郎も淡のことを悪いようには思っていない。


「ふっふー。今日こそ私が真の金髪だってことを思い知らせてあげるからね」

「互いに地毛だし真も偽もないだろ」

「いーの、そういうものなんだから」

「そうかぁ……?」


京太郎には今一理解出来ない、というか理解出来てはいけないような気がする淡の思考回路。

下らない会話をしながら一緒に歩く通学路。

登校中の生徒たちに混ざって、お揃いの金髪頭が二つ並んだ。


淡判定直下
1~30 普通に登校した
31~60 きょーたろーってさー
61~98 ……なぁ、淡?
ゾロ目 ???

「きょーたろーってさー」

「ん?」

「こーしてよく見ると、イケメンさんだね!」

「お、おう……」


真っ直ぐに見詰めながらの台詞に戸惑いながら、少し照れる。

麻雀の際にはナチュラルに相手を見下すことも多い淡だが、日常生活ではこういった素直な面が目立つ。

この台詞にも特に深い意味はなく、恐らくは思ったことをそのまま口にしただけなのだろう。


「で!」

「ん、ん?」

「きょーたろーはどう思う? 私のことー」

「えっ」


そして、こう続くことも予想していなかった。

このまま、淡と同じように正直な感想を述べなければならないのか。


「……」

「わくわく」


……正直、可愛いと思う。

少しアホっぽいが、間違いなく淡は美少女である。

だが、それをそのまま口に出すのは恥ずかしい。


「えっと……」


キラキラした目で次の言葉を待つ、淡に対して京太郎は――


京太郎の台詞安価 下3

「なんつーか……目が離せない?」

「どゆこと?」

「あー、あれだ……手のかかる妹的な」

「ふーん?」


実感がないと言うか、今一理解出来ないのか小首を傾げる淡。

しかし不満はないようで、淡に深く追求されることはなかったが――


「あ、じゃあ」

「なんだ?」

「きょーたろーはお兄ちゃんだね!」

「……は?」


ピン!と頭上に豆電球を浮かべた淡がこれまた変なことを言ってきた。

お兄ちゃん、きょーたろーお兄ちゃん、アニキ、にーちゃん、と考え込むように顎に指を当ててブツブツ呟いている。

やがてしっくりきた答えが見つかったのか、ポンと手を叩く。


「うん、いいかもコレ。同じ金髪だし。しっくりきたかも」

「いや、ちょっと待て」

「なに? お兄ちゃん」

「さすがにそれは、ちょっと」

「えー? 変なお兄ちゃん」


……こうして、淡が飽きるまでの間。

一人の手間のかかる妹が出来上がったのだった。

まだね。これからね

というわけでキャラ安価下3でー

――どうして俺は、麻雀部で美味しいお茶の淹れ方を真面目に研究しているんだろう。

そんなことを考えたのも今は昔。

ドキドキしながら淹れたお茶を先輩に差し出す。


「不味い」

「はー……駄目、ですか」

「うん。少しぬる過ぎたかも」

「成る程……」


メモを一生懸命に取る京太郎と、駄目出しした緑茶を啜る尭深。

この光景だけを見れば、誰もここが強豪校白糸台の部室とは思わないだろう。


「……でも」


緑茶を啜りながら、尭深は――


たかみー判定直下
1~30 悪くない、かな
31~60 ある意味、花丸かな
61~98 ……ずるい、なぁ
ゾロ目 ???

「……嫌いじゃない、味かも」

「え?」

「お茶の淹れ方は、相手への気遣いが大事なの」

「はぁ」


ズズッと、さらに一口京太郎の緑茶を啜る。

不味い。さっきも言った通りぬる過ぎる。


「……だから、須賀くんのお茶はある意味正解。宮永先輩、猫舌だから」

「……あ」



不味いが、嫌いじゃない味。

その味の理由は、京太郎がお茶にハマり始めた理由でもある。


「まぁ、それにしても、やり過ぎだけど」

「はい……」


湯呑のお茶を飲み干した尭深は、一息吐いた。


「……いいなぁ」


京太郎に聞こえないように、小さく呟く。

お茶が好きだけど、こうして覚えた知識を誰かに教える機会は中々ない。

だから、こうやって一生懸命に自分の言うことを聞いてくれる後輩は彼ぐらいのもので。

最初は、何となく教え始めたことだったのに。

いつしか尭深自身、京太郎にお茶の淹れ方を教えるのが楽しみの一つになっていた。


「……それなのに」


京太郎が見ているのは、目の前の自分ではない。

そのことが、小さな棘のように、チクリと尭深の胸の奥を突つく。


「……もしも」


私が、須賀くんの一番の好みで。

他に、須賀くんの好きな人がいなかったら。


「……」


尭深はじっと、急須に残った茶葉を見詰めた。

――なぁ、須賀てさ。


――いつも、先輩につるんでない?



――ちょっと、生意気っていうか


――調子乗ってるよね

お茶はおもてなしの心で

キャラ安価下3でー
複数指定でもありですのよー

――女子会をしよう!


突発的な淡の提案と、何をするにしてもお菓子が無ければ始まらないという照の言葉で。

京太郎と淡と照の3人で、一つ先のコンビニまで買い出しをすることになった。


「……にしても、女子会だと俺はいない方がいいんじゃ?」

「いーじゃん、お兄ちゃん女子力高いし」

「女子力って、お前――」


と、淡が京太郎の言葉を遮ってその背中にぺとりと張り付く。

両手がお菓子の袋で塞がった京太郎には淡をどかすことは出来ない。


「あつい!」

「なら離れろ」

「それは勿体無い!」

「意味わからん」



「……淡」


テルー判定直下
1~30 ここ、外だから
31~60 うるさい
61~68 京ちゃんから、離れて
ゾロ目 ???

ゾロ目の上の可能性

「京ちゃんから、離れて」

「……テルー?」


怒るわけでも飽きれるわけでもなく、ただ淡々とした照の声音。


「それに、お兄ちゃんってなに?」

「なにって――」

「京ちゃんに、妹はいない」


反論を許さない強い言い方。

淡も京太郎も、こんな照の様子は始めて見る。

睨まれたような気分になって、淡はゆっくりと京太郎から離れた。


「京ちゃん」

「は、はい!」

「ちゃんと、強く言わないと駄目。淡はすぐに調子に乗るから」

「いえ、でも」

「駄目、だから」

「……はい」


京太郎を真ん中にして、三人で歩く帰り道。

照も京太郎も、そして淡も。

部室に戻るまで、口を開くことはなかった。


単純に範囲設定を書き間違えただけなのよー
61~98の判定なのよー
少しずつ打点を上げるのよー

キャラ安価下3なのよー

複数ありって5人全員とかでもいいのかな

>>391
おう即死はやめろや

「むむーっ」

「どうした?」

「テルーにお兄ちゃん禁止令出されちゃったから、次は何て呼ぼうかと思って」

「あぁ……」


机に突っ伏して唸っているから何を悩んでいるのかと思えば、それはとても下らないことで。

万が一にもと、ほんの一瞬だけ深刻な事態を想像した京太郎はホッとした。


「これは重大なピンチだからね。きょーたろーがお兄ちゃんじゃなくなっちゃったもん」

「んなこと言ってもなぁ」


そもそも淡は京太郎の妹ではないし、京太郎にも妹はいないし、それに。

――京ちゃんに、妹はいない。

あの時の照は、少し様子がおかしかった。


「……もしかしたら」

「きょーたろー?」


――妹。


「おーい」


咲のことが、なにか――



「きょーたろー!」

「うわっ!?」


思考に沈みかけた京太郎を、淡が揺さぶって引っ張り出す。


「ちゃんと考えてよー。新しいきょーたろーの呼び方ー」

「えぇ……?」

「ほら、きょーたろーは何て呼ばれたい?」


京太郎の台詞安価、下3でー

――京ちゃん。


「……京ちゃん」

「え?」


照や照のことを考えたせいか、ぽろりと口から零れた言葉。


「あ、いや。やっぱり今のナシで」


だけどそれは、あの二人以外が呼ぶには余りしっくり来ないような気がして。

慌てて取り消そうとする京太郎だが、


「京ちゃん……きょーちゃん……うん!」

「あー……」


何度も口の中で反復する淡を見て、手遅れだと悟った。


「京ちゃん! 何だか幼馴染みたい!」

「まー、そうだなぁ……」


それに、目を輝かせる淡に否定の言葉をかけるのも忍びない。

こうなったらまた、淡が飽きるまでトコトン付き合ってやるしかないだろう。

京太郎は、小さく苦笑した。



――幼馴染みたい、との理由で淡が朝に起こしに来るのは、また別の話である。

――知ってる? 須賀ってさ――


――え? まじ? それキモくね?


――他にもこんな話があるんだけど――







――京、ちゃん?

>>407
×照や照
○照や咲


キャラ安価下3でー

「京ちゃん、ここで切るべき牌はそっちじゃなくて――」

「照、少し話がある」

「あ、部長」


部活動の指導中。

照が京太郎の手を取った時、菫が割り込んで話かけてきた。


「……菫?」

「すまない、須賀くん。また後で埋め合わせしよう」

「いえ、気にしないで下さい」






「……京ちゃん、が?」

「ああ、悪い噂が流れているようだが……知らなかったようだな、その様子だと」


情けない、と菫は溜息を吐いた。


「彼のことを見ていないから、そうなるんだ」

「ちがう、私は」

「なら、暫くは彼から離れるべきだな」

「……」

「お前はここのエースなんだ。少なくとも噂が晴れるまでは、部活中は彼から離れろ」


テルー判定直下
1~30 嫌……
31~60 ……菫は、どうするの?
61~98 許さない……
ゾロ目 ???

「嫌……」

「照……それで、彼を苦しめたいのか?」

「……」


駄々をこねる子供に言い聞かせるような呆れた口調で、菫は照に問いかける。

照は、何も答えられない。


「……私は、噂の出処を探す。その方が、彼の為になるからな」

「……」

「何をするのが彼の為になるのか、彼が何を見ているのか。よく考えろ」


話は以上だ、と菫は照に背中を向ける。

残された照はただ一人、廊下の隅で立ち尽くす。


「……京ちゃん」


縋るように呟きに、答えは返ってこなかった。

すみません、寝落ちでした

今夜はここで区切ります
白糸台パートはまだ続きます
次は亦野さん辺りを出すかもしれません

それでは、お付き合いありがとうございました!

「知ってる? 一年の真屋ってヤツ、カラダ売ってるって話」

「え、ウソ」

「いやホント。先輩がその手のサイトで見たらしいんだけど――」


特に深いことは考えず、ただ知ったことを垂れ流す二人。

話の中心人物となっている『真屋』という少女についても、彼らは知らない。

ただ、何となく知ったことでその場が盛り上がれば、それでいいのだ。


「……おい、お前ら」







「いてて……」

「もう、バカなことして。取っ組み合いの大げんかだなんて、真っ青になっちゃいましたよ」


絆創膏の貼られた頬を摩る京太郎を、由暉子は頬を膨らませながらも心配そうに見詰める。

京太郎の頬に貼られている絆創膏も、知らせを聞いて真っ先に駆け付けた由暉子によるものである。


「だってよ。アイツらユキのこと――」

「どうでもいいんです。そんなことは」


由暉子が京太郎の手を握り、上目遣いで怪我の残る痛ましい顔を見詰める。

細くひんやりとした由暉子の指先と、少しゴツゴツした京太郎の指先が絡み合う。


「誰が何て言ったって。京太郎くんが私の隣にいてくれたら、それで……」

「ユキ……」


夕日の沈む帰り道。

大きな影が、小さな影に目線を合わせるように屈んで。

そっと、二つの影が、重なった。

「お熱いねぇ」

「先輩」


京太郎と別れた由暉子に声をかけたは、有珠山高校2年の岩館揺杏。

先程までの一部始終を見ていたのだろう、ニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべている。


「大変だったんだってね、京太郎も」

「ええ……ありがとうございます、先輩」

「……ん?」

「先輩のお陰で、より愛されてるって。実感できましたから」


二人の間の空気が、ほんの一瞬だけ凍り付く。

由暉子も揺杏も表情が消える。



「……ま、よくわかんないけどさ。上手くいったなら良かったんじゃない?」


沈黙を破ったのは、揺杏からだった。

怪訝な表情で頭をかいている。


「ええ。ですから、心配ご無用ですよ? 先輩は、何もしなくてもいいですから」


対して由暉子は小首を傾げながら、満面の笑みで答える。

可愛いらしい童顔にその仕草は良く似合っており、健全な男子高校生なら直ぐに骨抜きにされてしまうだろう。


「……ハ。そうやって誘惑したんだ、京太郎のことも」

「京太郎くんも好きですから、こういうの。仕方ないですね」



「……ビッチ」

「何もないよりは。ずっと良いですよね」



七夕の夕方が、曇り空に覆われていく。

ポツリと、小さな雫が、二人の頬に当たった。

揺杏ってアレコレと画策しても何も上手くいかなさそうなイメージ

白糸台パートはもうちょっと後でー

「見てて、くれますか……?」


――何を、と問いかける前に。

成香はそっと、自分の手の平にカッターナイフを走らせた。

血が滲み、白い手首を伝う。


「っ!」


相当な痛みがあるのだろう。涙目になり、震えている。

だというのに、成香の手は止まることなく、カッターナイフを更に深く手の平に食い込ませる。

赤い雫が、ポタポタと廊下に垂れる。


「す、すてき……です!」


痛みに声を震わせながら、視界を涙で滲ませながら。

成香は京太郎の手を取って、心から微笑んだ。


「こうすれば……京太郎くんが……見てくれるって……!」


「お洒落しても、お料理を頑張っても駄目だったけど……」


「は、初めて……上手くいきました……!」



想い人の温かさを直ぐ側で感じる。

誰よりも何よりも、自分のことを見てくれている。

この瞬間、成香は世界で一番、幸せだった。

成香ちゃんは排除よりも先に自虐に回りそうなイメージ
揺杏は画策するけど上手くいかなくてぐぬぬなイメージ
爽さんは漢前っぽく既成事実作ってNTRそうなイメージ


というわけで白糸台パート次のレスからやりまっしょい

「見事に降られちゃったなー」

「そっすねぇ」


誠子の提案で二人でボウリングに行くことになった日。

滝のような雨が降りしきる外。

とてもではないが、遊びに行ける天気ではない。


「さっきまでこんなんじゃなかったのに」

「あっという間でしたね、ホント」


二人並んで溜息を吐いても雨が上がる気配はない。

運良くボウリング場に向かう途中の喫茶店で雨宿り出来たのは良いが、後どれだけ待てば降り止むのだろうか。


「まー……しょーがないか」


やれやれと肩を竦めてメニューを広げる誠子に習って、京太郎もメニューを覗き込む。

窓ガラスを強く叩く雨音が、耳に残った。


直下判定
1~30 喫茶店デート完遂
31~00 誰か来た

降り止むどころか、時間が経つに連れて強くなる雨音。

遠くで鳴り響いた雷の音と共に、ドアのベルを鳴らして喫茶店に入ってきたのは――


キャラ安価下3でー

「あーもービッショビショー!」


飛び込むように入店してきたのは、淡だった。

店中に響き渡る大きな声に多くの客が振り向く。

勿論、その中には京太郎と誠子も含まれていて、


「あっ!」


淡とバッチリ目が合った。







店員が持ってきたタオルに包まり、京太郎の隣に座る淡。


「ずずーっ……ほっ」


温かいカフェラテを啜り、ホッと一息吐く。

先程の水を払う仕草は犬のようであったが、こうして温まって目を細める姿は猫のようである。


「災難だったなぁ、淡も」

「ホントだよー。映画見る予定だったのに」

「まぁ、時期的にはしょうがないっすよね」

「きょーちゃん! 今すぐ晴れ乞いだ!」

「何だそれ」


こんな雨模様でも変わらない淡の様子に、誠子が小さく笑う。


「そーいや先輩はなんで? デート?」

「あー……」


亦野さん判定直下
1~30 そんなんじゃないさ
31~60 ま、似たようなものかな
61~98 よく分かったな
ゾロ目 ???

「よく分かったな」

「え……?」


驚いたのは淡だけではなく、その隣の京太郎も同じである。

確かに二人で出かける訳だから、デートと呼べないこともないが――


「どういうこと? きょーちゃん浮気者?」

「いや、違うから」


真顔で聞いてくる淡にさらっと答える京太郎。

そもそも京太郎と淡は恋人でも何でもない。


「浮気じゃなかったら何なのさ!」

「まず浮気自体が成立しないからな」


その様子を見て、誠子はくつくつと笑った。


「大変だなぁ、幼馴染も」

「あーもう、分かってたならからかうの止めて下さいよ」

「え? え?」


京太郎は未だ理解していない様子の淡の頭にポンと手を置き、わしゃわしゃと撫でる。


「わっ、わわっ」

「冗談ってことだよ。先輩の」


気安い二人のやり取りは、学校でも良く見られる光景だ。

誠子は目を細めて、京太郎と淡のじゃれ合いを見詰めた。







「……チッ」

淡人気高いなぁ、京淡書いてて楽しいけれど

キャラ安価下3でー

コンマ判定じゃないから(震え声)

――京ちゃん。

その呼び方は、私だけものだったのに。


「あーそーべー!!」

「いや、これから部活だからな!?」


どうして、淡が隣にいるの?



――お前は、ここのエースなんだ。

私は、ガマンしているのに。


「だってつまんないんだもんー」

「ほんとーにお前ってヤツは……」


どうして淡は京ちゃんにベタベタしているの?



どうして?

どうして、京ちゃんはソイツに笑いかけてるの?

どうして、淡は、京ちゃんと一緒にいるの?


どうして、どうして?


「どう、して……?」




判定直下
1~30 あの、照さん?
31~60 京ちゃん、デートしよっか!
61~98 ……ああ、そっか
ゾロ目 ???

「……ああ、そっか」


京ちゃんは、優しいから。

私を追って白糸台まで来てくれたけど、優しいから。

迫ってくる淡や菫を、拒めないんだね。


だから、京ちゃんは、悪くない。


「わかったよ、京ちゃん……」



悪いのは――


安全(自分は)

――須賀のやつ、今度は亦野先輩に媚び売ってたってさ


――宮永先輩や部長も弱み握られてるって



――大星のヤツも、何か――



――え?


――宮永、先輩?

――今日はとても機嫌が良さそうですね


「ええ。とても、良いことがあったので」


――何があったのか、お聞かせ願っても?


「はい、勿論。聞かれずとも、そのつもりでした」


――おお、それはとても期待出来そうですね!


「それでは、話しますね。彼は、数少ない男子部員で、頑張ってくれるマネージャーでもあるんですけど――」



花開くような微笑みで、記者のインタビューに応える照。

後日、雑誌のメイン記事として取り上げられたタイトルの名前は――





【白糸台 日常編 了】

麻雀をやりに来ているガチ勢(部員)の反応は
・男に感けないで練習してくださいよ
・麻雀弱い癖に調子に乗っているよねアイツ(今回、粛清)
・アレ(麻雀が強いと結婚、恋人が出来ないジンクス)で今の内に男をキープか
・須賀君って結婚相手には申し分ないけど、恋人には物足りないのよね

そしてプロローグへと続くー

次から白糸台全国大会パートですが、そろそろEDが見えて来ましたね


次に書くのは

1 白糸台全国大会パート EDが見える
2 臨海安価パート
3 プロ勢編、コンティニューする? その場合はどこから?
4 永水日常編
5 宮守全国大会後
6 松実京太郎、遠征するの巻
7 モンブチーズ出会い編
8 京ちゃん先生宮守編
9 千里山 最初から安価パート
10 その他 何か希望があれば

のいずれかになりますー

ではコンマ直下判定で

1~33 永水
35~66 松実
67~98 先生

でいきますよーぅ

では次は京ちゃん先生宮守編で

先生編で、宮守とラストの高校行ったら
その次は松実京太郎でいきましょうかー

――舌を入れてキスされている。

突然のことにフリーズした京太郎が状況に気付いたのは、顔を離した爽との間に透明な橋がかかってからだった。

ペロリと舌で唇を拭う爽に、京太郎は間抜けに空いた口が塞がらない。


「……先輩、どういうつもりですか?」


代わりに、静かな怒りを含ませる声で由暉子が爽に問い掛ける。

京太郎の彼女である由暉子には、例え冗談でも目の前で行われた行為を見逃すことはできなかった。


「んー。どうっていうか、ちょっと京太郎を寝取ろうと思って」

「……はぁ?」


「その様子だとヤッてないんでしょ? まだ」

「だから、私が先に。ちょっと既成事実作っちゃおうかなって」


口調こそ軽いものだが、決して冗談ではない。

彼女と似たような目をした女を、由暉子は後3人ほど知っている。


「……なるほど」


つまり、この女も――


「許しません、絶対に」

「いいよ、別に」


――敵、だ。

私は弱い時にこそ強い!

コレってつまりNTRが強いってことですよね


というわけで先生編宮守パート、次のレスからやっていきまっしょい

……誰かに、見られている?


駅から出てから、目的地へと向かう途中。

正確には電車から降りた瞬間から、背中に視線を感じる。


「……誰だ?」


この地、宮守での知り合いは自分を招いた熊倉トシだけの筈。

そして彼女なら、じっと尾けてくるような真似はせずに話しかけてくるだろう。


「……」

気のせいなら、それに越したことはないが。

意を決して、京太郎が振り向くと――


コンマ判定直下
1~20 白い髪の少女と、目があった
21~40 外国人の少女と、目があった
41~60 小さな女の子と、目があった
61~80 赤い髪の少女と、目があった
81~00 背が高い少女と、目があった

――白い髪の少女と、目があった。


「……」

「……」


互いに見詰め合って固まる。

普通なら会釈なりなんなりして片方が立ち去るものだが、妙にタイミングがズレてしまった。

京太郎がどう声をかけようか迷っていると、白い髪の少女の方からゆっくりと近付いてくる。


「……あの」


白い子判定直下
1~30 コレ、落としましたよ
31~60 コレ、落としましたよ
61~98 コレ、落としましたよ
ゾロ目 ???

「コレ、落としましたよ」

「へ?」


白い髪の少女が差し出してきたのは愛用の名刺入れ。

恐らく駅のホームの辺りで落としてしまったのだろう。

そして、彼女はそれを届ける為に追いかけてきてくれたようだ。


「あ、あぁ……ありがとう」

「……」


名刺入れを受け取ると、白い髪の子はぺこりと頭を下げて立ち去っていった。

親切心で送り届けてくれたのに、変に疑心暗鬼になってしまったと、京太郎は自分を恥じた。






「……須賀、京太郎」


見覚えのある男性を見かけたと、感じた疑念は彼の落し物から確信に変わった。

彼の名刺。須賀京太郎。たまにテレビ越しに見かけたプロ雀士。

トッププロの一人だったが、最近はめっきり見かけなくなった人。

その程度の認識だった。


「……ダル」


今、この時までは。


「ダル……ダル……」


初めて、胸の中に生まれた感覚。

ざわざわする。落ち着かない。

思わず口癖を連呼してしまう。

だけど、この感覚は。


「……」


悪くは、なかった。

そう言えば天使って生死ぬ間際のお迎えだっけ。

「よく来てくれたねぇ」


トシに先導されて校内を歩く。

ヒソヒソと話す声があちこちから聞こえた。


「色々とお世話になりましたからね、あなたには。しっかりやらせてもらいますよ」

「それじゃあ、期待してみようかね。トッププロの手腕ってやつを」

「元、ですけどね」


昔を懐かしむように、目を細めて会話をする二人。

やがて通りがかった3年生の教室の戸が、ガラリと開いて――



キャラ安価下3でー

宮守だとバックに「はないちもんめ」が流れる。

「熊倉先生、少し話が――」

「えっ?」


教室から出てきた長髪の少女に驚いて、思わず一歩後退る。

自慢ではないが自分の身長はそれなりに高い方だと京太郎は自覚している。

だが、今出て来た少女は更に背が高い。下手すると2mはあるのではないか。


「……えっ?」


その少女は京太郎を見るなり、目を見開いて固まる。

ぺちぺちと自分の頬を叩き、瞬きを繰り返して、何やらブツブツと呟き始めた。


「……夢? 夢だよねー?」

「夢なものかい。この人はね、今日からあんたたちの指導を受け持つ――」

「須賀京太郎です。よろしくな」


「え」



豊音ちゃん判定直下
1~30 サ、サインしてください!
31~60 い、一緒に写真お願いします!
61~98 け、ケッコンして下さいっ!!
ゾロ目 ???

目を見開いて震える名前も知らない少女の姿には、激しく見覚えがある。

そう。ちょうど大阪で出会った時の洋榎が、このような表情を浮かべていた。

だとすれば、この後の展開も、容易に想像が――


「け、ケッコンして下さいっ!」


――付かなかった。



「ひっ」


思わず情けない声が零れたが、無理もない。

目をグルグル回す、自分よりも背の高い少女に強い力で肩を掴まれて。

力にはそれなりの自信がある京太郎でもビクともしない状態で、段々と少女の顔が迫ってきているのだから。


「お家は白い屋根で! いっぱい人が来れるように広い庭が――」

「はいない、そこまでだよ」


暴走する少女を、トシが間に入って制止する。

少し辺りを見渡せば、騒ぎを聞いた生徒たちが何事かと、チラチラとこちらを覗き見ていた。


「ちょっと場所を変えよう。豊音も来ておくれ」

「あ、はい!」


別に聞かれて不味い話をするわけではないが、このままでは落ち着かない。

京太郎は豊音と呼ばれた少女と並んで、トシに案内されて宮守麻雀部の部室へと歩いて行った。



「……あの時の」


その後姿を、白い少女が見送った。

だが、永水で一回(以上)刺されて死に掛けた。

あと、ストレスで胃壁を溶かす覚悟があればね。

「ご、ごめんなさい……」


先程とは打って変わり、しょげ返った様子を見せる少女――姉帯豊音。

身長で言えば182cmの自分が見上げる程に大きな子だが、こうしてしょんぼりする姿は小動物のようだ。


「ま、まぁ。確かに驚いたけどさ」


話によれば、豊音も現役時代の自分の大ファンらしい。

デビュー当時のビデオも持っているとか何とか。

そして、ついに画面越しではなく、『本物』を真近で見たものだから、ついテンパってああなってしまったそうな。


「……そうだ。サインとか、いる?」

「えっ!?」


豊音とは出会ったばかりであるが、この少女には放っておけない雰囲気というか、オーラがある。

その顔を曇らせたままにしておくのは、何となく忍びない。


「い、いんですかっ!?」

「まぁ、現役ではないし……うん、多分問題はないよ」

「そ、それじゃあ……」


おずおずと、豊音が財布から差し出してきたのは、一昔前のプロ雀士カード。

誰のカードなのかは、最早言うまでもない。


「はい、それじゃ……」

「わあぁ……っ!!」


それにサインをして返してあげると、豊音は大事そうにカードを持って、文字通り小躍りし始めた。

一目見た時の印象とは全く違って、可愛らしい仕草がよく似合う。

その様子を見守っていたトシは、年長者らしい穏やかな微笑みを浮かべた。


「まぁ……仲良くやってるようで良かったよ。これから先生になるわけだからね、豊音の」

「……え?」

「何だい、聞いてなかったのかい?」


「えぇーっ!?」


本日二度めの大きな声が、校舎中に響き渡った。

宮守じゃなくて?豊音の先生?

>>646
まぁどっちにしろそんな意味は変わらんので


キャラ安価下3でー

――いる、よなぁ。


宮守のメンバーへの紹介も終わり、概ね好意的に迎えられた日の帰り道。

ちらっと後ろを振り向くと、ささっと電柱に隠れる大きな黒い影。

隠れ切れずにトレードマークの帽子がはみ出しているのはご愛嬌。


「あー、姉帯さん?」

「っ!」


ビクリと影が震えて、こちらの様子を伺うように電柱の影から姿を現した。

想像した通り、豊音は恥ずかしそうな表情を浮かべている。


「どうしたの?」

「えーっと……」


豊音判定直下
1~30 わ、私の家もこっちなので……
31~60 は、恥ずかしくて……
61~98 わ、私なんかがそんな……
ゾロ目 ???

「は、恥ずかしくて……」


帽子を胸に抱え、ツバで口元を隠す豊音。

もじもじと視線が泳いでいる。


「恥ずかしい?」

「その、須賀プロの隣に私なんかがーって……」

「お、おう……」


短い中でも自分の大ファンであることはこれまでのことで伝わってきたが。

ここまでのレベルだと、京太郎も少し照れる。

だが。


「いやまぁ、ホラ。これから指導とかやってくわけだし。少しはその、慣れて? 貰わないと」

「うう……」





「……ダルい、なぁ」

くしゃみが止まらない



キャラ安価下3でー

放課後に京太郎が部室の戸を開けて真っ先に目に着いたのは、ソファでダラけているシロの姿だった。

見渡す限りでは他の部員の姿は見えず、どうやらシロが一番乗りだったようだ。

うつ伏せでソファのクッションに顔を埋めていたシロは、ちらりと京太郎を一瞥した。


「こんにちは」

「おう、こんにちは――制服、シワになるぞ」

「ダルい……」


ダラけて他の部員を待っているのかと思えば、室内をよく見ると卓の準備やPCの起動は既に済ませてあり、いつでも部活が始められるようになっている。

京太郎が感心して息を漏らすと、シロがすくっと立ち上がった。


「指導。お願いします」

「うん、よろしくな」


意外にも、やる気を見せるシロ。

ダルいダルいと言いながら、肝心な所はしっかりしている少女。

それが、京太郎の小瀬川白望――シロに対する、印象だった。


シロ判定直下
1~30 ダル……
31~60 ダル……?
61~98 ダル……く、ない
ゾロ目 ???

「ダル……く、ない」


いつもなら口癖のように出て来る言葉が。

今は、違う形になって出て来る。

どうしてなのかは分からない。


「……」


さっき、先生が入って来た時。

恐らくは無意識なのだろうが、うつ伏せになっている私の胸に一瞬だけ目線が止まった。

普段なら、何とも思わないのに。


「……」


どうしてなのかは分からない。

胸がざわざわする。この前、先生を駅で見てからずっとだ。

生まれて初めての感覚に、迷うけれど。


「……あぁ」


この感覚は、悪くない。

先生が、私の手牌を後ろから覗き込んで――



「センセイ、チョット、イイデスカ?」

「お、了解。なんだ?」

「コレ、ナンデスケド――」





――ダルい、なぁ。

おっぱい! 無意識ならしょうがない

そいや京太郎は英語喋れるのかな?
先生篇の最初、誰かの家庭教師をしてた時に、プロになったら海外行くからってことで英語を勉強している言ってたし
照に英語を教えていたわけで

ざわざわする


キャラ安価下3でー

――本当に、熊倉先生には頭が上がらない。


京太郎の指導を受けながら、麻雀部部長の塞はそんな感想を抱いた。

今まで3人しかいなかった宮守の麻雀部に豊音を連れて来てくれて。

その時にエイスリンも一緒に入部して、やっとスタートに立った宮守麻雀部。


「お疲れ様です」

「お疲れ様」


実力で言えば自信はあるが、部としては無名の宮守の麻雀部。

そこに、今は一線から退いているとはいえ、トップレベルのプロを連れて来てくれたのだから。


「ほい、お茶淹れたよ」

「あ! すいません、本当ならこっちが……」

「気にしないで。俺も好きでやってるから」


京太郎に頭を下げて、塞はカップに口を付けた。




塞さん判定直下
1~30 ……ん?
31~60 何か……デジャヴ?
61~98 先生……前にも……?
ゾロ目 ???

「……ん?」

「あれ、もしかして苦手な味?」

「いえ、そんなことはなくて……むしろ、美味しいんですけど……」


京太郎と二人で飲むお茶。

何故だろう、既視感がある。

どう考えても、あり得ないことなのだけど。


「先生……」

「ん?」


――前にも、どこかでお会いしましたか?


「……いえ。何でも、ないです」

「そっか。なら、いいけど」


その言葉ごと、飲み込むように。

塞は、カップのお茶を一気に飲み干した。




「……あつっ」

「ああ、そんなに急ぐから……」

おや? 塞さんの様子が……


キャラ安価下3でー


>>678
現地で困らない程度にはって感じでしょうか
エイスリンとは訛りありそうなので微妙ですが

非常に手堅い守備を見せるプレイングが特徴的な中堅。

聴牌気配の分かりにくさも強みの一つでもある。

日常生活では、ちょっと毒舌気味なところが目立つ少女。

それが、京太郎の鹿倉胡桃に対する印象だったが――


「んー……っ!!」


必死に棚の上の本に手を伸ばす姿は、どう見ても小学生にしか見えない。

シロ曰く、身長130cm。京太郎とは実に52cmの差である。


「よっと」

「あっ!」


すっと、胡桃の目当ての本を手に取って差し出す。


「これだろ?」



胡桃判定直下
1~30 あ、ありがとう……ございます
31~60 ……ありがとうございます
61~98 あ、ああ……
ゾロ目 ???

「あ、ああ……」


――ぼふっ。

そんな効果音が聞こえてきそうなぐらい、一瞬で胡桃のほっぺたが茹で上がる。


「ありがとう、ございます……」


力無く本を受け取る。

続けて、ヘロヘロと空気が抜けた風船のように、テーブルに頭を抱えて突っ伏した。


「見られたぁ……」

「え、えーっと……」


これもある意味で、善意が裏目った形になるのだろうか。

彼女にとって、今の光景を京太郎に見られることは、非常に恥ずかしいことだったようだ。


「油断したぁ……うぅ……」


気にするな、とは言い難い。

それに、京太郎が言ったところで、身長の差から嫌味のようにしか聞こえないかもしれない。




「こんにちはー……どしたの、胡桃」

「見られた……私の恥ずかしいとこ……」

「……先生?」

「誤解だ、間違いなく」



「……ダルい。ダルい」



シロ→ほぼ一目惚れ。ダルかったりダルくなかったり
豊音→大ファン、からの……?
塞→どことなくデジャヴ
胡桃→気になる人。恥ずかしいとこ見られた人
エイスリン→???


今のところこんな感じですね
最初の高コンマ連続は宮守プロローグを思い出しましたが、そんなことはなかった

今夜はここで中断します

それでは、お付き合いありがとうございました!

何で悲しいことばかり起こる地球になったんだ♪
愛をも一度信じたい♪


というわけでちょっとだけwiki更新しました
宮守編は次のレスから再開します

















後天的にTSした京ちゃんが孕村さんにレズレイプされる電波とか飛んできたけど流石にニッチってレベルじゃねえな

む、何故かログインメンバーにしか見れない状態になってますね
他のもそうなってるし、なんでだろ
少々お待ちください

編集してきました
これで見れるかと思いますが、どうでしょう

それじゃ、今度こそ始めます

「ん、これは」


放課後、部活を終えて生徒たちが帰るのを見送った後。

一人部室に残っていた京太郎は、椅子の下に薄い板のようなものが落ちているのを見付けた。


「ああ、あの子の」


よく見ると、小さな画板であることが分かる。

そして、宮守麻雀部のメンバーで画板を持ち歩いている子と言えば、一人しか思い当たらない。

恐らくは帰る時に落としてしまったのだろう。

きちんと明日に返してあげようと、京太郎が画板を拾い上げると――


コンマ判定直下
1~30 宮守のメンバーの集合イラストが描かれていた
31~60 宮守のメンバーと、京太郎のイラストが描かれていた
61~98 京太郎のイラストが描かれていた
ゾロ目 ???

画板には、宮守のメンバーの集合イラストが描かれていた。

可愛らしくデフォルメされたイラストだ。

全員が強気な表情で描かれており、背景には燃え上がる炎のようなものがある。

全国大会に向けた彼女なりの意気込みを強く感じる。


「……よし!」


こんなものを見せられては、短期の指導員とはいえ京太郎にも気合が入る。

京太郎の立場だと、全国大会という場においては宮守高校だけを強く応援することはできない。

しかし、彼女たちにとっては初めての全国大会を、悔いの残らないものにしてあげることはできる。


「俺も、もっと頑張らないとな」


京太郎は頬を緩ませて、そっと画板についた埃を払った。

エイちゃん好き


キャラ安価下3でー

エイスリン・ウィッシュアート、麻雀歴半年未満。

塞たちや豊音と違い、この部の中では一番麻雀の経験が薄い。

彼女自身の特性は非常に強力なものだが、その経験のなさを突かれると途端に脆くなることもある。

故に、京太郎の指導も彼女に集中することが多い。


「♪」


そして、彼女とよく接していて気付いたことなのだが。

このエイスリンという少女、小動物的で可愛らしいだけではなく、中々に『いい性格』をしている。

やや毒がある、とでも言えばいいのか。


「? ナニカ、ツイテマスカ?」

「いや、何でもないよ。練習を再開しようか」

「ハイ!」


だが、こちらの教えたことは素直に受け入れてくれるし、不満も言わない。

そして先日の画板に描かれたイラストは、嘘偽りない彼女の心を描いたもの。

教える立場としても、力が入る。




エイちゃん判定直下ー
1~30 ツヨク、ナリマシタカ?
31~60 アリガトウゴザイマシタ!
61~98 I'll save my life only for you.
ゾロ目 ???

「アリガトウゴザイマシタ!」


徐々にだが、自分の実力が上がっていることを実感しているのだろう。

キリっとした眉と力強い眼差しからは、強い満足感が伝わってくる。

そして差し出された画板には、ムン!と力こぶを作って他校の生徒をやっつけているデフォルメされた彼女のイラストが描かれていた。


「はは、でもこれで満足しないようにな」

「ハイ!」


勢いよく頷く彼女が可愛くて、ついポンポンと頭を撫でてしまう。


「ア……」

「あ……ごめん!」

「イエ……チョット、オドロキ、デシタ」


慌てて手を離すが、ふるふると首を振るエイスリン。

目を閉じて、自分から頭を差し出してきた。


「オネガイ、シマス……」

「お、おう……?」


妙な空気になるが、京太郎とエイスリンは10以上も年齢が離れている。

『そういうこと』ではない筈だと京太郎は自分を納得させて、今度は出来るだけ優しくエイスリンの頭を撫でた。

――いいなぁ。私じゃ、駄目だよね。こんな大きいんだもん。





――少し、面倒だな。




――う、羨ましくなんか、ないし。あんな子供っぽいの!




――あれ、何だろう。この感じ……。

頭撫で撫ではラブコメお約束シチュエーション
撫でポ、ではないけど厳密には

ここにいくのんがいた場合はとんでもねえことになってました
いくのんがいたら流石にこんなことはしませんが


キャラ安価下3でー

チラチラと、こちらを見てくる豊音の視線に気が付かない京太郎ではない。

何か言いたいことがあるけれど、引っかかるものがあって言い出せない。

分かりやすく、そんな顔をしている。


「姉帯さん、何かある?」

「え!? いや、その……」


両手で口元を隠して、目が左右に泳ぐ豊音。

やがてゴクリと息を飲むと、そっと口を開いた。


「わ、私も、その……羨ましくて、エイスリンさんが」


直後、両手で真っ赤っかになった顔を両手で隠して伏せる。

『きゃーっ!! 言っちゃったよーっ!!』という声が聞こえた気がした。


「えっと……コレで、いいか?」

「あー……」


ちょうどいい具合に頭の位置が下がっていたので、エイスリンと同じようにポンポンと頭を撫でてやる。

蕩けたような、心地良さげな声が耳に響いた。


「私、もう頭洗えないよー……」

「いや、それは汚ぇよ」


冷静に、京太郎は突っ込んだ。



豊音判定直下
1~30 じゃあ、先生に洗ってもらおうかなー……
31~60 もう、私の頭は先生専用だよー
61~98 ……しちゃおうかなぁ
ゾロ目 ???

「ふあー……」


テレビで見た憧れの人は、直接出会って話しても、その印象が変わることはなくて。

こうして頭を撫でて貰えると、夢のようにうっとりした心地になれる。

人生で初めての経験に、豊音の心は蕩けそうになっていた。

そして。


――でも、これって。

――エイスリンさんも、同じだったんだよね?


生まれて初めて、『独り占めをしたい』という気持ちが、胸の中に浮かび上がった。


――私は、京太郎さんのことはずっと前に知っていたのに。

――どうして、エイスリンさんも、同じことをしてもらえたの?


「あぁ……」


――私だから?

――私も、エイスリンさんみたいに可愛かったら、良かったの?

――もしも、エイスリンさんがいなかったら?


「……しちゃおうかなぁ」


声に出した言葉は、京太郎にも、エイスリンにも、そして豊音自身の耳にも届かず、形にならずに消えていった。

――だるい、なぁ。


こんなに胸がざわざわするのに。

こんなに指が迷うのに。

いつもと変わらない筈なのに。

どうすればいいのか、わからなくて。



「……ダルい」



きっと、原因を取り除かない限りは、この胸のざわめきも消えないだろう。

けど、その理由がわからないし、何よりも――


「本当に……面倒くさい」

子供っぽい独占欲ー


キャラ安価下3でー

「最近、みんなの様子がおかしいような……」


豊音は言うまでもない。

エイスリンは初めての全国大会に向けてソワソワしている、ように見えてどこかがおかしい。

胡桃はよく頭を抱えてゴロゴロしている。

そして、シロはいつも通り――ではない。

ダルいダルいと連呼する様は一見すると普段通りに思えるが、長い付き合いの塞には、瞳の奥に何かを抱えていることが分かる。


「でも、なぁ……」


全て、京太郎が来てからのこと。

しかし、あの人は悪い人ではない。それどころか好感が持てる人だ。

宮守という無名校が相手であるにも関わらず真摯に一生懸命に、塞たちに向かってくれる。


もし彼が、私よりも年下だったら――


「……って、そうじゃないでしょ」


一人、自分の思考にツッコミを入れる。

最近、もしも京太郎が自分の後輩だったら――と、考えることがある。

あり得ない。塞と京太郎が出会ったのは最近のことで、昔からの付き合いがあるわけでもないのに。


「はぁ……」


おかしいのは皆だけではなく、塞自身もだと自覚しているからこそ、モヤモヤは大きい。



「どうかした?」

「あ、先生」


塞さん判定直下
1~30 ……やっぱり、そんなことはないよね
31~60 ……そう、だよねぇ
61~98 ……逆、だよね
ゾロ目 ???

――あなた、私たちに何かしましたか?


「いや、ちょっと最近寝不足で……」


何てことは、勿論言える筈もなく。

本当のことではないが、嘘でもない答えを返す。

勉強であったり大会に向けての緊張であったり、皆のことであったり――様々な要因が重なって、少し睡眠が足りていないのも事実だ。


「そうか、気をつけてな。肌にも悪いし」

「はい」


……やっぱり、そんなことはないよね。

こうして話してみても、彼が何か悪いことをするようには感じない。



「なのに……」


胸のモヤモヤは、また少しだけ、大きくなった。

モノクル越しに見る別の世界線の風景ってスゴイ中二っぽい


キャラ安価下3でー

――これくらい、私にだって出来るんだから!

「この本だろ?」


――そりゃ去年の服だって着れるけど、流行りとかあるんだから!

「鹿倉さん、結構お洒落なんだな」


――これならきっと、安手で抑えられる筈

「手堅いプレイングだね。好きだよ、そういうの」


――好きだよ、そういうの

――好きだよ

――好き



「うあー……」


何をしても、より深みにハマっていく。


バカみたい。

だって、こんなの。

こんなの、自分には無縁だと思っていたのに。


「おかしいでしょ、こんなの……」


この感情の名前は察しが付く。

否定したいけれど、そういうわけにもいかない。

だってホラ、ちょっと先生の方を見ると――



胡桃判定直下
1~30 センセイ、アノ……
31~60 ダルい……
61~98 な、名前で呼んで欲しいなー……なんて
ゾロ目 ???

「な、名前で呼んで欲しいなーて……なんて」


――豊音が、先生に向かって。

鏡で見る自分と同じような表情をして、話しかけている。


「……」


すっと、頬の熱が覚めていくのを感じる。

同時に、ささくれ立つ自分の心も。


「……公平じゃないよ、こんなの」


自分よりずっと、先生と近い目線で話している。

だと言うのに、豊音はそれが不満らしい。


「……卑怯」


口にしても、どうしようもない。

誰にも変えられないバカみたいなこと。

理屈でそう割り切れたら――きっと、こんなに、悩まないのに。


胡桃は無意識に、手の平に爪を食い込ませた。



シロ→ダルい。ダルいダルいダルいダルいダルい
豊音→先生が、もっと私を見てくれたらなー……なんて
塞→皆の様子がおかしい……うん、私もだけど
胡桃→みんなずるい
エイスリン→ミンナト……センセイモ、イッショニ、ガンバル!


宮守の子はただ可愛いだけじゃなくて微妙に黒いというか、毒舌風味みたいなところがあるのも好きです

今回はここで中断しますー
宮守パートも次でラストかな?

それでは、お付き合いありがとうございました!

「一月後に龍門渕グループのパーティーがあるのですが――是非とも京太郎くんを御招待したいと、透華お嬢様が仰っています」


京太郎が夏休みの企画を練っている時に訪れて来たハギヨシ曰く、龍門渕グループ主催のパーティーに招待して貰えることになったらしい。

この夏に何か特別な体験をしてみたいと思っていた京太郎にとってはまさに渡りに船であり、頷く意外の選択肢はない。


「それでは――参加なさるということで、よろしいですね?」


やけに強く念を押してくるハギヨシに怪訝に思いながらも、京太郎は再び頷いた。


「……わかりました。それではまず、こちらを」


直後、ドサリと目の前に置かれる分厚い本の数々。

京太郎は呆気に取られて言葉がでない。

あんぐりと口を開けたままの京太郎に、ハギヨシはさも当然と言わんばかりに。


「客人の立場とは言え、格式ある場所ですから。最低限のマナーは、身に付けていただきます」

「ご心配無く――私が、誠心誠意ご指導致しますので」



地獄の一月が、始まった。

そして、パーティー当日。

シャンデリア、ワイングラス、テーブルクロス、壁に掛けられた絵画。

どれ一つとっても煌めいており、そして会場内で見かける他の参加者たちも、誰もが一度は見たことのある著名人ばかり。

一般人なら間違いなく萎縮する光景。


「本日は、ようこそおいでくださいました」

「こちらこそ、本日はお招きいただきまして、ありがとうございます」


だが、オーダーメイドの礼服に身を包んだ京太郎は、気品すら漂わせて透華に返礼する。

ハギヨシの指導はそのままの意味でのスパルタ指導。

一般的なマナーは当然。立ち振る舞いについても徹底的に叩き込まれた。

しかし、経営学や帝王学、挙げ句の果てには格闘術まで学ばされるのはいくらなんでもおかしいと抗議した京太郎だが――


「京太郎様は、透華様に恥をかかせるおつもりですか?」


ハギヨシの感情のない眼差しを前にしては、何も言うことはできなかった。

とにかく、こうして京太郎は外側からも内側からもこの場に相応しい人間として作り変えられた。

元の素材が良かったこともあり、今では貴族と名乗っても通じる風格を身に付けている。


「ほう、君が透華の言っていた」

「お父様」


透華と話をしていると、有名人が集まる会場の中で一際目立つオーラを放つ人物が声を掛けて来た。

お父様と呼ばれたその男性は、京太郎を見ると、まるで品定めをするように目を細める。


「幾つか、君に聞きたいことがある」


そのまま、幾つか質問をされる。

龍門渕についてどう見るか、この先の日本経済についてはどうか、透華についてはどう思っているのか。

個人的なことも含めて様々な分野の質問を繰り出されるが、ハギヨシの特訓の成果により、全て淀みなく答えることが出来た。

やがて問答を終えると、透華の父は満足したように腕を組んで頷いた。


「どうやら、私の娘の目に狂いはなかったようだな」

「それでは!」

「ああ、認めよう――お前と、京太郎くんの婚約を」


どういうことか問いかける前に、透華に唇を奪われる。

心は酷く動転していたが、身体は当然のように、透華を強く抱き締めていた。


「……」


その様子を、ハギヨシは穏やかな微笑みを浮かべて見守っていた。




【注文の多いレストラン】

病みとーかの筈が病みハギヨシになっていた不思議
上の流れを読んでたらふと思い付いたので


次のレスから宮守パートちょっとだけやりまっしょい

ライブ感でやりますー


というわけでキャラ安価下3でー

もう少しだけ、彼のことを知れば。

この胸のざわめきも、面倒くさいという思いもなくなるかもしれない。

そう思い立ち、最も彼に詳しいであろう友人に京太郎のことを尋ねたシロだが――


「うん! 京太郎さんはね! すっごい人なんだよー!! 昔は無名校の清澄ってとこから全国までいってね! 」

「あの小鍛治プロとも――」

「現役時代の健康の秘訣は――」

「ペットはなんと珍しいカピバラで――」


――聞いてない。誰もそこまで聞いてない。

このままでは日が暮れるどころか、朝日が登っても無限ループで話を聞かされることかになるだろう。





要領を得ないと感じたシロは、彼女から彼に感する資料を幾つか貸してもらうことにした。

雑誌の切り抜きや高校時代のインタビュー、プロ雀士カードの余りなど。

少しでいいと言ったのに、目の前に置かれているのは膨大な量の彼に関する資料。


「ダル……」

「お、なんか懐かしいのがあるな」


どれから手を付けたものかと迷っていると、ちょうど当の本人が姿を現した。


「これ、豊音のだから」

「分かってるよ。こんなに色々集めてるのはあの子くらいだろう」

「……」


何となく、コレを自分の私物だと思われるのは恥ずかしいと感じたシロだが。

さらっと返された答えも、面白くないものだった。



シロ判定直下
1~30 ……知りたいから。私も
31~60 ……他には、ありますか
61~98 ……私の方が
ゾロ目 ???

「……知りたいから。私も」

「え?」


この場にいない豊音に対して対抗心を燃やしても仕方が無い。それは分かっている。

意味のないこと、迷うまでもないこと。

十分に理解しているのに、口から出たのは正反対の言葉。


「……何でも、ないです」


ガサガサと資料を掻き集めて、席を立つ。

自分らしくもないと分かってはいたが、止められなかった。


「……少し、お小水に」

「もうちょっと恥じらい持ってくれ。頼むから」


頬に若干の熱を感じるが、京太郎には気付かれていないようだ。

シロはその言葉通り、部室を出てトイレへと向かった。







空いた窓からの微風が、少し古びた雑誌のページを捲る。

――熱■■覚!? 相■はあの、■■■■――

ズタズタに引き裂かれ、小さな穴が虫食いのように広がっているそのページは、誰の目にも止まることはなかった。

これが俺のファンサービスだ!(現役復帰からのいくのんとの結婚記者会見の場に立ちながら)
な未来もありえるかな


キャラ安価下3でー

「ア」


ある日の休日。

京太郎が気分転換にデパートを歩いていると、教え子の1人とばったり鉢合わせした。


「コンニチハ!」

「こんにちは。今日は一人で?」

「ミンナデ、ナツフクヲ!」

「成る程」


どうやらエイスリンの他にも、麻雀部の部員がこのデパートに来ているらしい。

軽く辺りを見渡すと――部員の姿は見つからなかったが、良いものが目に入った。


「エイスリンさん」

「?」


ちょいちょいと手招きしてやると、小首を傾げながら歩いて来る。

トコトコと無警戒に歩いてきたので、手に持ったものをスッポリと彼女の頭に被せることができた。


「うん、やっぱりよく似合う」

「コレ……」


麦藁帽子。夏の風物詩の一つ。

素朴なデザインが、エイスリンによく似合いそうだと感じたのだが、それは正しかったようだ。

店内に設置してある鏡の前に立ち、ツバの両端を手で抑えて被り心地を確認するエイスリン。


「オニアイ?」

「うん、お似合い。よく似合ってる」

「ジャア――」


エイスリン判定直下
1~30 センセイ二、コレ!
31~60 コレデ、オソロイ!
61~98 マタ、センセイノイロ二、ナリマシタ!
ゾロ目 ???

「マタ、センセイイロニ、ナリマシタ!」

「うん。その言い方はちょっと間違ってるからな」

「?」

「いや、首傾げないでくれな」


確かに指導や日常を通して様々な知識を与えてはいるが、エイスリンの言い方では語弊が生まれる。

エイスリンの真っ直ぐな瞳の眩しさに、どことなく居心地が悪くなる京太郎であった。


「ドンドン、センセイガ、ハイッテキマス!」

「いや、もっと駄目だからそれ」


これは近いうち、特別日本語講座でも開く必要があるかもしれない。


「ワタシノナカ、センセイガイッパイ!」

「もうわざとだろ!?」


京太郎は周囲の一目がないことに、ほっと一息ついた。

真っ白な画面に、インクを垂らすみたいに。

最初はほんの一滴だったものが、どんどん色の種類も増えていって。


「センセイイロニ、ナリマシタ!」




多彩な色が、私の心の中に先生を描く。

麻雀を教えてくれる先生。

頭を撫でてくれる先生。


「ドンドン、センセイガ、ハイッテキマス!」



私の見た先生。私の見たい先生。私を見て欲しい先生。

でも、足りない。まだまだ余白はたくさんある。

だから、もっと。


「ワタシノナカ、センセイガイッパイ!」


私の中を、先生で満たしてほしい。

誤爆してしまった……



シロ→余計、わからなくなってきた……ダルい
エイスリン→モット、センセイヲオシエテクダサイ!


ちなみに雑誌の熱■■覚のページは昔のゴシップ記事的なアレなので信憑性は微妙です
真実は当人たちのみが知ります


少ないですが、今回はここで
次こそ宮守パートラスト、かなぁ
全てはコンマ次第ですが


それでは、お付き合いありがとうございました!

京智って書くとワハハなのかサトハ先生なのかともきーなのか


宮守パートやっていきまっしょい



シロ→ザワザワする。他のみんなが先生と話していると、特に
エイスリン→モット、センセイヲオシエテクダサイ!
胡桃→みんなずるい
塞→悪い人じゃないけど……前に、どっかで会った?
豊音→先生が、もっと私を見てくれたらなー……なんて
トシさん→???


それじゃ、キャラ安価下3でー

エイスリンと別れてデパートの中をぶらぶらしていると、店内の広告をじっと眺めている豊音を見付けた。

画面に映されているのは、サラサラの金髪を自慢気に見せ付ける白人の女優が出演しているシャンプーのCM。

食い入るように画面を見詰めている豊音はちっともこちらに気付きそうにない。


「私も……」

「髪、染めたいのか?」

「わっ!?」


京太郎から話しかけると、文字通り飛び上がって驚く豊音。

長い髪がばさりと広がり、いい匂いがした。


「先生……」

「さっき、エイスリンにも会ったよ」

「エイスリンさんに……」


豊音が顔を伏せる。

長い髪が垂れ下がり、影となって表情が隠れる。


「……先生は」

「ん?」



「先生は、エイスリンさんみたいな子の方が、好きなの?」



京太郎台詞安価下3で

「誰と比べて好きなのかはわからないけど、目の前の魅力的な女の子の前で他の娘のことを語るつもりはないよ」


キリッ

歯の浮くような台詞を、毅然とした態度で堂々と告げてみせる。

彼女には彼女なりの魅力があり、何やら悩んでいるようだったので、豊音はそのままでいいという意味での言葉なのだが。


「魅力的……私が……?」


当の本人は目をパチパチと瞬き、呆気にとられた表情を浮かべている。

ツッコミを期待していた京太郎は少し恥ずかしくなり、咳払いをする。


「ん、ゴホン……まぁ、豊音は豊音の魅力があるし。エイスリンさんにはエイスリンさんの魅力があるから、どっちの方がってことはないよ」

「……」

「それに――豊音は金髪より黒い方が似合うと思う。折角、そんなに綺麗なんだし」

「……ホント?」

「ホント。俺はその女優さんより豊音の髪の方が好きだな」

「そ、そっかー……」


俯いて顔を伏せる豊音だが、今度はその表情がハッキリと分かった。


「そ、それじゃあ。またな」

「は、はい……」


京太郎は豊音とも別れて、デパートの美容コーナーを後にした。







「誰と比べて好きなのかはわからないけど、目の前の魅力的な女の子の前で他の娘のことを語るつもりはないよ」

「……」

「誰と比べて好きなのかはわからないけど、目の前の魅力的な女の子の前で他の娘のことを語るつもりはないよ」

「……」

「誰と比べて好きなのかはわからないけど――」


「堪忍してつかぁさい……」

安価先があんまりにアレな場合は自動でその直下のものになります
久保コーチの時みたいにねー


というわけで宮守パートラスト、キャラ安価下5でー

「ダルい……」


その言葉のままなら、いつもの彼女となんら変わりない。

シロと付き合いの短い京太郎でも、彼女の口からこの単語を聞いた回数は数え切れない。

ただいつもと違うのは、シロが京太郎に寄り掛かっていること。

恋人に、甘えるように。


「小瀬川さん?」

「シロでいい……」


迷いもなく、京太郎を見上げる瞳。

その奥にある感情は――


「シロ、先生に何してんの」


呆然とした様子で部室に入ってきたのは部長の塞。

一見すると甘える恋人のように見える二人だが、シロと京太郎がそういった関係でないことは理解している。

そして京太郎の人柄もある程度は理解しているので、アプローチを仕掛けたのがシロであることも。


「……」


だが、シロは塞の問いには答えず。

無表情に塞を一瞥すると直ぐに京太郎に視線を戻し、静かに手を――



シロ判定直下
1~30 ……やっぱ、わかんないか
31~60 悪く、ない
61~98 そうか。そういうこと
ゾロ目 ???


塞さん判定直下
1~50 え、ちょっと!?
51~98 ふざけないでよ!
ゾロ目 ???

頬へと伸ばされた手を止めたのは、京太郎ではなく塞だった。


「何してるの」


その問いかけは、シロに対するものか。

それとも、自分に対するものか。

塞自身、突発的に湧き上がる衝動によって突き動かされたので、よく分からない。


「……」


その塞の顔を見て。

シロはようやく、今までの胸のざわめきの正体を、理解した。


「そうか。そういうこと」


……いや。

本当は、ずっと前から――それこそ、京太郎と出会った日から。

理解していたのだ。この気持ちの理由も、名前も。


「……ダルいか、そりゃ」


たが、こうして今までの自分のように、理由も分からずに自ら苦しめられている塞の姿は――


「羨ましい?」

「ふざけないで!」



――何とも、滑稽だった。

「先生?」

――先輩?


「京太郎さん」

――京ちゃん



彼女たちの眼差しは見覚えがある。

彼女たちの声音は聞き覚えがある。


「……だけど」


そんな筈は、ない。

もしそうだとしても、今の自分には答えられない。


――待っとったんよ、ずっと


彼女たちより先に、答えを返さなきゃいけない人がいるから。

「落ち着いたら、また私のところにこないかい?」


「現役復帰をする気があるならその面倒も見てあげるよ、色々とね」


「……まぁ、今すぐに答える必要はないさ」



「……さて」

「短い間だったけど、あの子たちにも良い経験になっただろう」

「お疲れ様」


「次は、どこに行くんだっけか?」


次の高校指定、下10まで
一番コンマの高かった数字の高校になります

では次は清澄で
何気にメインの舞台になるのは始めてかもしれない
同じ長野だしコーチの出番もあるかもしれない

「最初は……本当に許さないって、思ったの」

「私にとって京ちゃんは、とても大切な人で――なのに、玄ちゃんは、私から京ちゃんを取ってっちゃったから」



「だけど……やっぱり駄目」

「だって……京ちゃんも、玄ちゃんも」

「大好きなんだもん。二人とも」


「だからね、良いこと思い付いたの」

「ずっとずっと、あったかくなれる方法」

「また他の誰かに、京ちゃんを取られなくなる方法」


「ここで」

「三人で」


――いっしょに、あったまろ?

――許さない、絶対に


玄は、姉が誰かを本気で憎む表情を、生まれて初めて見た。

目を逸らしても、怯えて涙を流しても、その表情が変わることはない。

そして――その対象が、自分であることも。





「京ちゃん」



「あたためて、ほしいな」


「大丈夫だよ」


「玄ちゃんは、いないから」


「だから、もっと」




「こっちにきて、私に触れて?」

的な憎悪修羅場ネタの短編もあったけどこの姉妹は仲良しさんの方がいいよね

というわけで次スレです
京太郎「修羅場ラヴァーズ」一「キミと一緒に、抱き合って」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405089598/)


何かリク等あればどうぞー
とりあえず>>1000のはあんまりなネタじゃなければ拾いますー

1000なら京ちゃんが狂ちゃんになる

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