京太郎「修羅場ラヴァーズ」 健夜「幸せな、お嫁さん」 (1000)

・京太郎スレ
・短編集的な感じです
・安価もあるかもしれない
・ヤンデレとかあるかもしれない
・話によって京太郎が宮守にいたり臨界にいたりするのは仕様です
・現在はプロ編を進行中


前スレ
京太郎「修羅場ラヴァーズ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400743823/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1401090438

立て乙
修羅場ってる時点でお嫁さんになっても幸せなのか微妙な気がするが、まあ勝ち取ったって事は幸せなんだろうな…

とりあえず、このスレでは
竜怜修羅場→プロ編出会い編続き→ヤンデレかおりん小ネタ
の順番で書いてこうかと

>>8
タイトルになっているにも関わらずまるで活躍できなかったガンダムがいまして
つまるところ、そういうことです

まぁ、全てはコンマ次第なんですけどね

ちゃんと体重あるんだな、先輩――いや、当然だけど。

今日の「怜係」の役目として、怜をおんぶして廊下を歩く京太郎は、そんな感想を抱いた。




「いーつもすまんなぁ」

「それは言わない約束でしょう、ばーさんや」

「誰がばーさんや、誰が」

「いて」


ぺしり、と頭を叩かれる。

軽いツッコミ程度のもので痛みはちっとも感じないが、それでもいい音を響かせるのは関西人としての才能か。


「確かに、ウチ病弱やけど……」

「ほーら、またそういうアピール。部長に怒られますよ」

「あー、確かに竜華にどやされるのは勘弁やわ。どこのオカンやって感じだし……」

「だーれがおかんや、だれが」


噂をすれば影。

廊下の曲り角から、千里山麻雀部部長の清水谷竜華が姿を現した。


「げっ」

「露骨にイヤそうな顔すんのやめい……須賀くんも、あんま怜を甘やかさんといてな?」

「え、でも怜係ってそういうものだと先輩が……」

「……とーきー?」

「ひゅーっ」

「下手な口笛で誤魔化せると……?」

「京ちゃんあとヨロシク!」

「あっ!」

「待てやーっ!」

ハリウッドよろしく京太郎から飛び降りる怜。

そのまま先程の気だるげな様子をまるで感じないスピードで階段を降りて行く。

それを、鬼もかくやといった顔で怜を追いかける竜華。



「ぜんっぜん元気じゃねえか……」


尚、この後案の定すぐに息を切らした怜が竜華に捕まり。

ついでに、京太郎も一緒に説教を受けることになるが、それはまた別の話だ。



【1~30】

「京ちゃんと付き合うことになったんだっけか――おめでと、りゅーか」

「あは、ありがとな」



下校時刻となり、活動を終えた麻雀部。

夕日も沈み、すっかり暗くなった部室に、竜華と怜の二人だけが残っていた。



「で、話はそれだけ? 京くん待たせてるし、早く帰りたいんやけど」

「いや、京ちゃんのこと誘惑したのかと思ってな? そのやらしいりゅーかボディで」

「あは、なんやそれ」


怜の台詞に、思わず吹き出す竜華。


「それに、『京くん』か。随分露骨になったもんやな」

「やめーや、そういうの――いくら京くんにアプローチしかけて、尽くスルーされとったからって。そんな身体張ったギャグはいらんよ?」

「っ!」

「『ウチもみんなに置いていかれていたから、京ちゃんの気持ちがよくわかる』――だなんて、よー言えたなぁ。京くんとは違ってズルしてるクセに」

「……そんなこと、ない! ウチはちゃんと、京ちゃんのことを思って」

「どーだか、京くんはちゃんと人のこと見てるからな。私を選んだのがその答えや」

「……!」


ぎりっ。

苦虫を噛み潰したような表情で、怜は歯軋りした。




「きょーちゃん」

「何すか――おわ、急に乗っからないでくださいよ」

「ええやん別に。減るもんでもないし」

「ま、まぁ……そうですが」





「仲ええなぁ、二人とも。ホント」




【31~60】

「怜ぃっ!!」

「なんや、やかましい。ウチ、病弱なんでそういうのは勘弁な」

「茶化すなやっ!! 一体どういうつもり!? 京くんは、ウチの彼氏なのに――」

「あー、バラしてもうたのか、京ちゃん。部長にはナイショって言ったのに。マジメやなぁ」


パタン。

竜華の怒りもまるで意に介さず、怜は呑気に読んでいた本を閉じた。


「言っとくけど、先に手を出してきたのは京ちゃんやで。まぁ、ウチも努力はしたけどな?」

「……ウソ」

「嘘のようなホントの話っちゅーヤツや。可哀想になあ、京ちゃん。かなり溜まっとった」

「ウソや、そんな話。聞きとうない」

「先に突っ込んできたのはどっちやねん。それに、竜華にも問題はあるんよ?」

「……」

「大方、高校生のうちはプラトニックな関係を――だなんて、考えてたんやろうけどな。京ちゃんも健全な高校生だったっちゅーことで」


「怜ぃ……っ!!」




激昂しながらも、図星を突かれた竜華は反論することが出来なかった。

以前の怜の発言に悔しさを感じ、そういった行為を『お預け』にしてきたのは事実だったからた。



「『京くんはちゃんと人のこと見てる』……だっけか? まぁ、確かにその通りやね。自分ばっかの竜華よりも、ウチは京ちゃんのこと考えとる。だから京ちゃんもウチに甘えてくれたんやろうね」

「誘惑しといてぬけぬけと……!」

「私よりもずっと立派なもん持っときながら活かさなかったのは誰? そんな身体張ったギャグはいらんよ」

「このっ!!」



乾いた音が室内に響く。

頬を痛々しい赤色に染め、唇の端から血を流しながらも、怜は余裕の表情を崩さなかった。



「大体、なんやねん。付き合っときながらキスの一つもなしって」

「怜が! アンタさえいなければ!!」

「もう後の祭りやね。うち、絶対竜華に負けないもん貰ったもん」


怜の白い手が、そっと下腹部を撫でた。


「……ウソ、やろ?」



絶句する竜華に、怜は何も答えず。

ただ、優しく微笑んだ。




【61~98】

「ほら、そんな顔しないできちんと食べないと。お腹の子も保たんよ?」


「いーっぱい食べないとなぁ……。幸せやろ、怜の大好きなもの使ったからなぁ。うちもさっき摘み食いしたし」


「ああ吐くなんて勿体ない! なに考えとんねん!!」


「……ああそっか、産気づくと吐気が辛くなるんだっけ? ごめんなぁ怜、ほっぺ痛かったやろ?」


「あは、ありがとな。怜のそういうとこ、大好きやで」


「勿論、京くんの次に――やけど」


「……にしてもいいなぁ、赤ちゃん。私も頑張ってもらわないと」


「男の子なら竜太郎、女の子なら京華がいいかな?」


「なぁ、怜――どう、思う?」





【ゾロ目】

というわけで京竜怜でした
軽めと、ちょい重めと、直接的な描写はありませんが殺傷沙汰も入れました
わりと王道なお話だったので大体皆さんの想像通りで正しいかと

コンマ判定はキャラとシチュによっては、31~60も危ういところがあるかもしれません

次からプロ編に戻ります
久保コーチが頑張ったので、出会い編の間はこちらもわりと王道なお話です

すいません、こんな時間ですが急用入ってまた出かけることになったので今日はここで締めます
お付き合いありがとうございました!

夢の国を探す君の名をー


今回の小ネタはあくまで小ネタですが、要望があれば千里山編にも影響あるかもしれません。
コンマとキャラ選択次第でときりゅーハンバーグ教室開催


といっても千里山とか姫松とか新道寺は方言がネックだし遅筆なんでいつになるかわかりませんが……
関西陣は書いてて「やん?」「やろ」とか使い過ぎじゃね? とか思っちゃうし
新道寺はもうわけわかめです


今日は安価進行はないです

ハンバーガーが食べたいな

>>74
ハンバーガー……そういうのもあるのか!

新道寺は一応短編のプロットみたいなのありますけど形にできるのはいつになるやら


プロ編再開します
登場キャラ見直したので思ってたより判定少なくなりました

「ふんふん……なーるほどねぇ」

「なにか珍しいものでも?」



全国大会一回戦に出場する選手たちのプロフィール。

丁寧にファイリングされたその資料を読み込み、一人頷く女性。

着物に扇子、そして小柄な体躯は一見すると童女にしか見えないが――いざ卓へ着くと、圧倒的な火力で他家を飛ばすプロ雀士。

三尋木咏が、その手に持つ扇子の先である少年の顔写真を示す。


「いやさ、この子なんだけど――」



咏さん判定直下
1~30 わっかんねーんだな、コレが
31~60 いやぁ、中々に面白いと思ってねぃ
61~98 えりちゃん、運命って信じるタイプ?
ゾロ目 ???

えりちゃん判定直下
1~30 この少年は……?
31~60 清澄の彼ですよね?
61~98 うそ……これって……
ゾロ目 ???

>>91-92 平和!




「わっかんねーんだな、コレが」

「清澄の彼ですよね? 確か、1年の」

「そそ。どうにも腑に落ちないんだよ」

「はぁ……それは、どういうことですか?」


どうせいつもの事だと聞き流そうとしたえりだが、このプロ雀士は打ち合わせの時は真面目であると思い出し、聞き直す。

須賀京太郎。龍門渕を倒したダークホースとして名を上げた清澄高校……の、一年生男子。


「いやさ、なんつーか……打たされてる……って言うのかな。妙なんだよ、チグハグしてる」

「確か彼は今年の春に初めて麻雀を触れたとのことでしたが……彼もまた、何かジンクスを抱えているのでは?」


スポーツにおいて、自分の中に「独自ルール」を掲げて試合に挑む選手は多い。

それは麻雀においても同じで、特に今年のインターハイではそれが多く見られる。

一種のオカルトとも言い換えられる。

そういったプレイスタイルは一見すると非効率な面もあり、他者からは理解されにくい。


「んー? そういうヤツらって変な才能みたいなの持ってるんだけど……むしろ、この子は逆だねえ」

「そうですか? 麻雀を初めて数ヶ月で長野男子個人戦一位ですよ? これを天才と呼ばずに何を天才と呼ぶんですか」

「そこなんだよなぁ」

自分の額を扇子で小突きながら首を傾げる咏。


「ほら、ここ。和了を見逃したり、変なとこで細かいミスがある」

「ふむ……」

「なんだけど、次の試合からは劇的にミスが減ってる。悪いのは引き運くらいだ。この短い時間にしてはおかしいくらいに」

「指導者が優秀だったのでは?」

「清澄なんて無名高に? 顧問もいるみたいだけど、資料を見るにとても麻雀の指導が出来るとは思えないなぁ」

「そこは……やはり、彼が自力で修正したのでは? それとも、最初は緊張で実力が発揮できなかった」

「うーん……」


自分でも、何故ここまでこの少年に拘るのかは理解できない。

しかし、咏の直感は何かがおかしいと告げている。


「よし、決めた」

「はい?」

「ちょいと、彼に会ってくるよん」

「はぁ!?」


じゃ、後よろしく。

そう言い残して、咏は控室を後にした。




直下のコンマを下二と下三のコンマ平均が上回ればえりちゃん同行

「まさか、俺がここになぁ……」



照明とカメラに囲まれた雀卓を見上げ、京太郎は溜息を吐いた。

自分のプレイが全国に中継されるという実感は、未だに湧かない。


「これも藤田さんと……貴子さんのおかげかなぁ」


メガカツ丼特盛一杯の縁がここまで自分を導くとは、まさかバイトを勧めてくれた先輩ですら予想できまい。

そんな風に苦笑する京太郎の背に、声がかけられる。


「へーい、そこの色男」

「へ?」

「そうそう、君だよ、君」

「はぁ?」


あまりにも場違いな声のトーンに、困惑した京太郎が振り向くと――


咏さん判定直下
1~30 ふーん? 成る程ねぇ
31~60 ほー……君、おもしれーなー
61~98 婿養子って興味あるかい?
ゾロ目 ???

写真と実物との違いということで判定二回やりましたが
判定範囲は見直した方が良かったですかね?

ではこのままいきますー
ちなみにこの場にえりちゃんがいたらまたコンマ範囲は変わってました



三尋木咏という女性は博識であり、それは麻雀に関する範囲だけには留まらない。

日本各地に伝わる「昔話」にも詳しい彼女は、多くの異類婚姻譚も見聞きしてきた。

そうした知識の深さも彼女の強さを支える要因の一つとなっている。

そして。

異類婚姻譚には、「一目惚れ」から始まる話も存在する。

初めてその話を聞いた時、「ありえねー」と笑い飛ばした彼女だが――





「婿養子って興味あるかい?」





いざ、自分が体験する立場になって。


相手の都合も恋愛の駆け引きも、何もかもを置き去りにしてでも手に入れたいものがあるということを、彼女は知った。

「え? はぁ!?」


予期せぬ言葉に、思わず後退る京太郎。

先程の色男発言といい、この着物の女性はそれが目的で話しかけてきたのだろうか。

いや確かによく見れば美人であるし、京太郎の好みから外れる身体つきではあるが育ちの良さそうな雰囲気で、いやしかし美人局というやつかも――じゃなくて。

頭をブンブンと振って逸れかけた思考を正す。

自分はインターハイの選手としてここに来たのだ。

応援してくれたみんなのためにも、問題は起こすわけにはいかない。



「あのですね、何ですかあなたは?」



場合によっては警察沙汰になるかもしれない。

覚悟を決めて表情を引き締める京太郎だが――



「ふふふ……」



その表情がまた、咏の心を掻き乱すことを、京太郎は知らない。

広げた扇子で口元を隠し、妖しく笑う童女のような出で立ちの女性。

その様子が京太郎に物語の中の妖怪を連想させ、警戒心を強くさせる。


――が。



「おお怖い怖い。そんなに睨まないでよ、ちょいとした冗談ってやつだからさ」

「へ?」


パタンと扇子が閉じられる音と共に、雰囲気が一変する。


「噂のダークホースがどんなもんなのか気になってねぇ、職業柄ってやつでさ」

「職業柄って……あっ!!」


先程までの妖しげな雰囲気のせいで気付かなかったが。

この格好にこの身長、そしてインターハイ会場にいる麻雀関係者と言えば――



「ご存知のようだね」

「は、はい! 日本代表チーム先鋒の!」

「そう、三尋木咏とは私のことだ――ってね。よろしく、きょーちゃん♪」



何故だか、最近やたらと有名人に遭遇する。

差し出された名刺を財布にしまいながら、京太郎はそんな感想を抱いた。

――君の麻雀を、私に見せてくれないかい?



咏に連れられて来た雀荘で、見知らぬ三人と卓に着く京太郎。

これが知らない大人が相手だったならば先程の警戒心もあり断っただろうが、相手は日本選抜チームの三尋木咏。

社会的な立場もある彼女ならおかしなことにはならないだろうし、全国大会を前にして高いレベルのアドバイスが貰えるなら受け入れる以外の選択肢はない。

勿論緊張はあるが――相変わらず耳に響く怒号が、京太郎の腕を動かしていた。



「成る程ねぇ……これがカラクリってわけか」



その様子を背後から見守っていた咏は、自分が抱いた京太郎への違和感の正体に気付いた。

彼に覆い被さるように焼き付いている女の影。

さながらマリオネットの糸の如く、京太郎のプレイングを支配している。



「ふーん……」



手に持つ扇子から軋む音がする。

深く刻み込まれた影を今すぐ取り除くことは難しい。

自分の獲物が掻っ攫われた気分だ。

気に入らない。

私のものに、傷を付けた輩は誰だ。

絶対に潰す。



「ほうほう、なーるほど成る程」




内に秘めた感情をおくびにも出さず、咏は京太郎の闘牌を瞳に焼き付けた。

えっ?
なに、コーチスタンドになってんの?

>>142
枕神怜ちゃんみたいなもんです。可愛らしいですね
高コンマ連続で出したので貴子ちゃんパワーが発動されてます




対局が終わり、次は料亭に連れて来られた京太郎。

実家がそれなりに裕福であることを自覚してはいるが、このように格式高い「いかにも」な場所に来るのは初めてだった。


「あの……すいません、こんなご馳走を」

「いいって、君を連れ回してるのはこっちなんだから。それに味なんかわかんないっしょ? 高いだけだもん、ここ」

「はは……」



すぐ近くに包丁を握った料理人がいるにも関わらず堂々とこんな発言が出来る彼女は、間違いなく大物なのだろう。


――ま、他のヤツがいないってのがココの唯一のいいところだけど。



「……で、君のプレイングだけど」

「ハイ!」


背筋を真っ直ぐに正す。

貴重な機会だ、彼女の一字一句逃がさず耳に刻み込もう。


「うん。よっぽど良い指導者に巡り会えたんだろうね、悪くないよ」

「そうですか!」

「ただ――ちょいと、正直過ぎるかなぁ」

「正直、ですか?」

「うん。男子のレベルは女子に比べると……まぁ、言っちゃ悪いけど低いからねぇ。今まではそれで十分だったろうけど」

「……」

「ここは、全国だから。今でも悪くはないけど上を目指すなら、もっと駆け引きが必要になってくるよ」

「なるほど……」

「だから、これ」

「これ?」


幾つかのIDらしき英数字の羅列と、電話番号が書かれた紙を手渡される。


「それ、私のネト麻やらSkypeやらのIDね。宿泊先にPCぐらいあるっしょ? 色々教えてあげるよ」

「マジっすか!?」

「まじまじ。これも何かの縁だ、大事にしよう」

「おぉ……」


現役ベテランアイドルに日本代表先鋒。

全国大会に来てから、驚きの出会いの連続だ。

マジで御利益あるんじゃないか、メガカツ丼特盛。


「……」


浮かれる京太郎は、目の前の咏が瞬き一つもせずに自分を見詰め続けていることに気が付かなかった。

その後はプレイ中の問題点をいくつか指摘される。

大火力が売りの彼女だが、それを使いこなすことが出来るのは相当に研鑽された技術によるもの。

彼女の指導を必死にモノにしようと集中する京太郎には、繊細な料亭の味はわからなかった。


「ふぅ……今日は、ありがとうございました!」

「え? なに言ってんの?」

「え? だってもう、日も暮れてますし……」

「理論の後は実践あるのみ! まだまだ打つよ」

「いや、でもそろそろ帰らないと」

「心配ご無用。そっちにはもう連絡入れてあるから」

「い、いつの間に……」

「今夜は寝かさないぞ♪」

「お手柔らかに……」



――このあと滅茶苦茶麻雀した。

「一回戦で一位通過か……面白いやつだとは思ったけど、ここまでやるとはなぁ」


海老で鯛を釣るというか、釣り上げたハゼが鯛に突然変異したというか。

最初に京太郎に目を付けた靖子だが、それだけに彼がここまでの奮闘を見せるとは予想できなかった。


「……」

「……どうしました?」

「……いえ」


そして、同じように隣で京太郎の闘牌を見守っていた貴子の様子がおかしいことに気付く。

自分以上に京太郎に入れ込んでいた彼女だからこそ、何かしらの反応はある筈だが。


「……」


眉一つ動かさないその表情からは、何も読み取ることができなかった。

自分が丹精込めて完成させたミルクパズル。

例えばそれに、赤色の絵の具を数滴でも垂らされたとしたら。

そして、カメラにほんの一瞬だけ映された、うなじの赤い斑点。

それがもし、虫刺されでないとしたら。



「そうですね、後で焼肉でも奢ってやりましょう」

「はは、それはまだ気が早いのでは?」

「そうですね」


貴子は、自分の握り拳に力が入っていくのを感じた。

というわけで咏さんパート終了
最初は憩ちゃんとかもことか出す予定だったけど流石にプロ編なので見直しました

次いきます
判定多いです

熱を持った頬を、夜風が冷ます。

道路を通る車の音も、今の京太郎には心地良く聞こえた。


「ふぅー……勝ったんだよなぁ、俺」



控室に戻ったら「祝! 一回戦突破!」だなんてくす玉が用意されていた。

正直、打っている間はまるで白昼夢でも見ているような気分だったけど。

ドアを開けた瞬間に響いた軽い音と振って来た紙で、これが現実なのだと思い知らされた。

いつもは振り回されているけど、こういう時は部長の粋な計らいが素直に嬉しい。



「……にしてもスゲぇな東京、夜なのにめっちゃ明るい」



布団を被って目を閉じても、興奮で高鳴る心臓の音が五月蝿くて眠れない。

気分転換と明日の朝食を買いに行こうとコンビニに出かけた京太郎だが、今まで暮らしていた長野とはまるで違う景色に驚かされる。

この景色を実力で掴み取ったのだという実感に、京太郎は頬を緩ませた。


「!! そこの男子!!」

「はい!?」


しかし、そんな京太郎の思いを吹き飛ばすような声が、背後からかけられた。


判定直下
1~30 迷子! 助けて!
31~60 イケメン!!
61~98 結婚!!!
ゾロ目 ???

むひょ!

>>185 んん! やるねぇっ!!
しかしキャラが出揃うまでは基本即死はないです





バチッ


声に反応して振り向くよりも、速く。


そんな音が聞こえて。


京太郎は、意識を失った。

「――ん? んん?」

「起きた!」



目が覚めると、見知らぬ女性の顔が目の前に。

そして、後頭部に感じる妙に柔らかい感触。

はっきりしない思考ながらも、京太郎は自分がこの女性に膝枕をされているのだと理解した。


「……すい、ません」


だが、全身に妙な気だるさを感じる京太郎は、起き上がることができなかった。


「君! 倒れてた!」

「は、はぁ……」

「拾った!」

「ど、どうも……?」

「うん! でも重かった!」

「……すんません」

この女性――野依理沙の話を纏めると。

どうやら自分は道端に倒れていたらしく、理沙が引っ張って公園のベンチまで連れて来てくれたらしい。


いやそれなら救急車呼んでくれ、と言いたくなったけど


「~♪」


一応は助けてもらったわけだし、ニッコニッコと満面の笑みで頬を撫でてくる理沙を前に、そんなことは言えなかった。




「……つつっ」

「大丈夫! 私が守る!」

「……どうも」


自分の膝下で、苦痛に顔を歪める京太郎。

その表情が、その金髪が、その鼻頭が、その眉毛が、その唇が、その瞳が、その毛穴ですら、何もかもが――愛おしい。

彼が欲しい。

振り向いた横顔を見た時から、溢れる想いが止まらない。

この時が永遠に続けばいい。

理沙は、ポケットの中にそっと手を忍ばせて――




「ストップ。なにやってんですか、あなたたち」


戒能さん判定直下
1~30 ……ソーリー、少し失礼
31~60 ウェイト、ウェイトウェイトウェイト
61~98 ……ああ、そういうことですか
ゾロ目 ???

うむむっ

すいません、遅れました

>>218 SAN値チェックのお時間です





久しぶりに皆で会わないか、というはやりの提案。

いつまで経っても集合場所に来ない理沙。

はやりのメールは慣れるまで難解であるし、一緒に来る筈の健夜が用事で欠席するとなれば迷うのも無理はない。

だが、それでも一切の連絡を寄越さないのは流石におかしい。




「……ああ、そういうことですか」


良子は、理解した。

理解、してしまった。

理沙の表情の意味も。

彼に纏わり付く影の正体も。

だが、急速に胸の中を埋め尽くすこの感情に抗う術を。

良子は、知らなかった。

「……なに?」

「何、じゃないですよ。みんな待ってます。ウェイクアップ」

「無理! 介抱!」

「彼を、ですか? であるならば、もっと相応しい場所がある筈」

「うっ……」


激情に完全に身を任せている理沙とは違い、自分はある程度は冷静だ。

加えて、普段から口下手な彼女を言い負かすことは容易い。


「失礼」

「あっ……」

「あなたは……?」


京太郎の頬に手を添える。

大丈夫。まだ、手遅れにはならない。


「眠りなさい。疲れているでしょう?」

「……っ」


何故だか。

名前も知らない女性の言葉に、まるで催眠をかけられたように。

京太郎の瞼は、降りていった。

君って朝帰りする度にプロとコネ作ってない?




翌朝、良子に連れられて清澄の控室に帰ってきた京太郎は、部長にそんな皮肉を言われた。

悔しいことに事実なので言い返すことができない。

インターハイに来た筈なのに、日を跨ぐ度にアドレス帳に女性の名前が増えている。

いや、その女性がプロ雀士なんだから麻雀部員としてはある意味正しい姿なのではないか?

そんな京太郎の言い訳を聞くものは、残念ながらいなかった。

「くっ……」



冷水のシャワーを全身に浴びながらも、冷めることのない頬の熱。

原因は分かっている。

怒りと情欲。

京太郎に纏わり付く女の影。

許せない。

彼を穢す輩が。

だから、私が守らなければならない。

穢れを祓い、私が守らなければ。

私以外の。

誰も、手の届かない場所に。




「……」


額を浴室の鏡に打ち付ける。

まだだ。

まだ、それは速い。

彼の夢、インターハイで彼が優勝するまでは。


「……利用させて、あげましょう」


未だ京太郎の熱を感じる指先をそっと齧り、彼女は小さく微笑んだ。

本当はシノハユ0話にすこやんの代わりに京太郎INなお話だったけど、ゾロ目だったからね。仕方ないね
ちなみにその場合はのよりん判定の後に、はやり、晴絵、良子の3人の同時判定でした


清澄に判定がないのはぶっちゃけネタがないからです

というかもうコレ晴絵の登場フラグが完全にへし折れてしまったと気づくも後の祭り
代わりにコーチいるしいいかな……?

雅枝さんは出てくるのかな?

よし、晴絵はナシで
次の人で今夜は閉めます


>>271
雅枝さん、アレクサンドラ監督、代行さん、トシさんはこの後のキャラ安価指定パートでのみ追加ですね

「二回戦も頑張りなさい!!」

「うすっ!!」



メンバーに励まされ、控室を後にする。

来たばかりの頃は緊張で早鐘を打っていた胸の鼓動。

しかし今はその緊張ですら、楽しいと感じることができる。

色んな人に出会った。

一杯のカツ丼から、藤田プロと。

藤田プロから、久保コーチや福与アナ。

東京に来てからは瑞原プロ、三尋木プロ、野依プロ、戒能プロ。

錚々たる面子。

皆の応援を背負って、トッププロたちの指導も受けた自分が。

こんなところで、負ける筈がない――



「……ん?」


廊下の先に、俯いて立っている一人の女性。

ゆっくりと、その顔が上がる。


健夜直下判定
1~30 京太郎くん、だよね
31~60 やっぱり、そうなんだ
61~98 久しぶり、だね
ゾロ目 ???

※判定値+20

その顔は、京太郎もよく知っている。

国内無敗。元世界ランキング2位。

とんでもない経歴の持ち主だけど、相方の福与恒子には毎度の如く弄られている。

強者なんだけど、今一格好のつかないところがある人。

それが、小鍛治健夜という女性――だった、筈だ。


「えへへ……会いたかったぁ……♪」


焦点の合わない、それでも京太郎を見逃さない瞳。

知らない。

須賀京太郎と、小鍛治健夜はこれが初対面で。

京太郎は、彼女のこんな顔は知らない。


なのに。



「あっ……♪」


まるで、そうすることが自然なように。

彼女を、腕の中に抱きしめていた。

何で、どうして。

疑問の言葉は口に出ない。


「ん……♪」


迫る彼女の唇を拒めない。

今までの積み重ねが、培って来た経験が、背負った筈の皆の思いが、何もかも。

健夜に上書きされていく。

自分の中から、受け取ったバトンが消えていく。



「あは……いらないもんね、こんなの♪」



何かが自分の中に入って来る。


壁が崩れる。扉が腐る。


これまでの努力を否定する感覚を。


京太郎は、拒めなかった。

「すこやん! 何してたの!?」

「ちょっと、ね」

「ギリギリ間に合ったけど……話してた愛しの彼の対局だよ? 気にならないの?」

「んー……ある意味では、そうかも」

「はぁ?」

「だって、決まってるもん」

「なに言ってるの? いくら京太郎くんでも……」

「わかるよ」

「へ?」

「見てれば、わかるよ」




「えへへ」

須賀京太郎。

長野個人戦では荒削りながらも決して他家に振り込まず、堅実な闘牌で個人戦一位を勝ち取った一年生。

インターハイ一回戦目ではあえて当たり牌を見逃し、狙い打ちで点数を稼ぐ等のプレイングを見せ、二回戦へと通過した。

着実に成長し、期待の一年生として注目を集めている雀士。

彼と関わりを持たない者にとって、須賀京太郎とはその程度の存在だった。



『に、二回戦……終、了……』


今、この瞬間まで。


「ありがとうございました」


あれ、これで終わりだっけか。

危うげなく1位で二回戦を終え、対局相手に頭を下げながら、京太郎はそんな感想を抱いた。


「また、機会があればよろしくお願いします」



まぁ、いいか。

今は、それよりも勝利を皆に伝えよう。

きっと、喜んでいる筈だ。


帰りの廊下を歩く京太郎に、一回戦通過の時のような胸の高鳴りはない。

けれど、それを疑問に思うことはなかった。

――けれど。

それを見ていた者がどう思うかまでは、わからない。

こうして、京太郎は三回戦へと歩みを進めることになった。

その先に、何が待つのか。

それを知るものは、まだ。

誰も、いなかった。






【プロローグ 了】

「こ、コイツ……僅か数分の間に、何があった!」

「愛、かな」


高コンマ2連続vsゾロ目2連続(片方補正有り)
うむ

ちなみにゾロ目連チャンで前世補正が京太郎にも入りました
強くてニューゲーム。まさに主人公ですね

しっかしここホントコンマ凄いよな
神常駐でもしてんのかね

次はヤンデレかおりんですが

その次は

1 白糸台安価パート
2 臨海非安価パート
3 プロ勢編マストダイ。死人が出るかもしれない
というか即終了の未来が見える
4 永水安価パート
5 宮守安価パート。時系列的にはプロローグ後
つまり塞さん大勝利とは限らない
6 松実京太郎、遠征するの巻
7 京咲哩姫NTR短編
8 その他 何か希望があれば


のいずれかになります


>>344
61以上ってわりと判定緩めっていうのもあるかと

個人的にはプロ編の砂糖たっぷり仕様がみたいな~っと
もしくはプロ達の修羅場(ギャグ風味)って事です

プロ編で安価判定やる場合


・特定コンマですこやん乱入
・特定コンマでのよりん乱入
・すこやん登場時特定コンマでこーこちゃん乱入
・コーチと二人っきりで強制イベント
・咏さんと二人っきりで強制イベント
・のよりんと二人っきりで強制イベント
・はやりんと二人っきりで強制イベント
・かいのーさんと二人っきりで強制イベント
・すこやんと二人っきりで強制イベント
・カツ丼サンクチュアリ
・監督勢が京太郎に興味を持ったようです

あれこれもう個別ED全員分書いた方が速くね……?
もしくは今までとは違うタイプのシステム採用かなぁ

8
京太郎が高校の先生で麻雀部の顧問になる→部の女の子達とフラグを立てる→何も言わずに転勤→経験を買われまた転勤先の学校でも麻雀部の顧問になる

すいません、寝落ちしました
昨夜お付き合いいただいた方々はありがとうございました!




穏乃「今の京太郎には、私の言葉は届かない……だったら! 力付くでも! 心の闇から引きずり出してあげる!! 京太郎の友達として!!」

憧「力には二種類あるんだって。誰もが望む力と、誰も望まない力」


阿知賀勢にフラグ立ってたらこんな覇王展開があったかもしれない
別に麻雀で負けても死なないけど

とりあえず今夜は更新ないです

「あ、あの……センセ、これ……」


震える手で差し出された可愛らしい包み。

見上げる瞳は期待と不安に揺れている。

自惚れでないのであれば、これは、きっと。


「い、いつもご飯コンビニって聞いてて、その……良かったら」

「……それじゃ、頂こうかな」

「っ! ありがとうございますっ!」

「立場が逆だろ。でも、ありがとな」


だけど、その気持ちには気付かないフリをする。

一度、拒んでしまえば。

きっと、この少女は立ち直るまでに時間がかかる。

それが分かっているから、この子を放って置くことはできない。

大人になりきれない自分の甘さと、いつか来る別れに目を背けて、京太郎はそっと包みを解いた。




>>367
何となく書いてみたら全く違うものが出来ました
多分裏で代行が煽ってます
このまま何も言わずに転勤だと京太郎がぐう畜になるんで、ちゃんと書く機会があればまたシチュは変わるかと

――ああ、まただ。


京太郎は、全身の自由が失われていく感覚に目を閉じた。


首を絞める鋼鉄の輪。

手足を縛る冷たい枷。

自分にしか見えない無機質な鎖。



「京ちゃん、お腹痛いの?」

「いや……何でもない」

「何でもない……って」


幼少時から続くこの感覚は、誰にも共有する事は出来ない。

不安気に顔を覗き込む幼馴染にも理解はされないだろう。


「本当に、大丈夫だから。ちょっと考え事してただけだ」

「ん……なら、いいけど」


この繋がれた鎖の先に、何があるのか。

それを知る日は、来るのだろうか。



この後アレがああなってこうなって咲ちゃんが曇ります
京哩姫で百合要素は無いといったら嘘になるけど咲のレズ寝取りはないです

「ややっ! 絶対堕しとうない!!」

「なに言っとんねん! 頭おかしくなったんか!?」

「だって、この子はウチと京ちゃんの繋がりやもん! お姉ちゃんにも主将にもないもんや!」

「何が繋がりや! 無理矢理襲ったクセして、こんな時に下らないこと抜かすな!」

「ややっ!」

「絹っ!」

「絶対! 絶対産む!! ウチと京ちゃんの赤ちゃんやもん!!」




「――絶対、幸せにする!!」





いつぞやの愛宕京太郎、こいつら絶対やかましい
お蔵入りしそうなものをどさくさに紛れて放流するプレイング
ヤンデレかおりんはもうちょい待って下さい……

あー。なるほど、確かに。関西弁難しい
同じ関西でも千里山より姫松の方が「大阪!」って感じがします

清澄は書いていると全力でヒッサを贔屓してしまうので難しい……

陶磁器のような肌に、息を飲む。

幼馴染に借りた本にそんな表現が載っていたけれど。

いざ目の前にしてみると、何も考える事が出来なくなってしまうのだと、京太郎は知った。



「見て欲しいの。京太郎には、私の全部を」


一糸纏わぬ美穂子の姿。

いつもは閉じられている右目も見開かれている。

左右の異なる色の瞳に射抜かれた京太郎は、美穂子の肢体から目を離すことが出来なかった。



「だから、京太郎も――私に、見せて?」



例えるならば、淫らな娼婦。

艶やかな吐息に耳を擽られる。

男には耐え難い誘惑。


――京太郎! 一緒に帰るかー!!


「っ!」


だけど。

耳に響いた、あのやかましい声が。

京太郎の理性を、押し留めた。


「……すいません、福路さん」

「……え?」



肩に乗せられた彼女の手を拒む。

それ以上の言葉はない。

京太郎は一度も振り返ることなく、その場を後にした。

ただ一人、美穂子を残して。



「……」



美穂子は何も言わず、京太郎が消えた後も、ただ無表情で闇の中を見つめ続けていた。

松実京太郎プロローグも最後の判定に京太郎が耐えたらこんな感じで一線を超えることはありませんでした

「ついに、俺が……」



3年目のインターハイ。今回は雑用係ではない。

咲や和の付き添いではなく、自らの手で掴み取った個人戦選手という立場。

緊張で足が震える。今ならあの時の部長の気持がわかる。


「そんな京太郎くんにコレ☆」

「はやっ!?」


いつからいたのか、隣から掛けられた声に心臓が跳ねる。

牌のおねえさんにも仕事があり、こんなところで京太郎に構っている余裕はない筈だが。

差し出された手の平に乗せられた白い粒に、京太郎は怪訝な表情をはやりに見せる。


「これは?」

「勝てるようになるお薬だよ☆」

「え? なにそれこわい」


真顔でドン引きした京太郎だが、冷静に考えるとそんな変なモノを彼女が所持しているわけがない。

恐る恐る彼女の手の平から白い粒を摘み、口に含むと――甘い。


「砂糖?」

「あはっ」


きっと、彼女なりに京太郎の緊張を解そうとしたジョークなのだろう。

思わず苦笑が零れるが、脚の震えは止まっている。


「ありがとうございます。じゃ、行ってきますね」

「頑張ってね! 1番応援してるから☆」



その後、京太郎はギリギリのところで一回戦を通過した。

ほっと一息吐くと同時に、はやりのあのジョークが無ければ勝てなかっただろうと思い返す。

あとでお礼を言いに行こうと決めて――また、あの砂糖を舐めたくなった。

>>360
プロ編の砂糖たっぷり仕様ってこういうことでよろしいですか?

書いた後でこれまんまアイマスの某SSだと思い出す

とりあえずネタ尽きたので今日はここまででー
次はヤンデレかおりんで
この程度の1レス小ネタで良ければまた何かあれば拾うかもしれません

あ、哩姫のやつは気にしている人がいたのでさらっと導入部分書きましたけど
アレで終わりではないですよ

夏風邪ひいたので今日も投下できないです。すいません

ヤンデレかおりんは考えていると何故か普通のラブコメになってしまう……

ゆっくりとヤンデレかおりん行きますー

滝のような雨。

ガラスを通して見上げた空には雲の切れ間がまるで見えず、太陽の姿を拝むのは当分先になるだろう。


「はぁー……」


他の生徒は既に全員帰宅していて、昇降口に残っているのは自分一人。

気分が優れずに放課後まで保健室で眠っていたらこの有様である。

どうしてこんな日に限って傘忘れちゃったんだろう――溜息を吐いても空が晴れることはない。

携帯も電池切れで、完全に詰みの状況。

待っていても状況は良くならず、かと言ってこの雨の中を突っ切って帰る度胸はない。

困り果てて昇降口の周りをウロウロしていると、背後から声をかけられた。


「あの、先輩?」

「え?」


聞き覚えのない声に戸惑いつつ振り向くと、そこに立っていたのはやっぱり知らない男子生徒。

金髪で背の高い、スポーツ系の部活に所属していそうな雰囲気。

ネクタイの色から1年生であることは分かったが、佳織とは面識のない顔だ。


「あの、良かったら俺の傘使いますか?」

「え、でも……」

「俺はこの後センセイに用事で呼ばれてますし、予報だとあと3時間くらいで雨も止むみたいなんで」

「うーん……」


好意は有難いけど、知らない人にそこまで甘えるのも気が引ける。

けれど断ってもこの雨の中、優れない体調のまま帰るのは辛い。


「まあ、俺もいざとなったら先生に送ってもらいますし。そこの傘立てに刺しとくんで、良かったらどうぞ」

「あっ……」


宣言通り、傘立てに自分の黒い傘を置いて早足に去って行く男子生徒。

お礼を言う間もなく遠ざかる背中につい手を伸ばしてしまったけれど、指先は虚しく空を掴む。


「……ありがとね?」


握った傘の取っ手は、まだ少し温かった。


【レベル1】

「わ、私の家にこない!?」

「……はい?」




――君、名前は?

――この前はありがとう

――ごめんなさい! 急いでたからあの傘忘れちゃったの……



先日の雨が嘘のように照り付ける日差し。

すっかり体調も良くなって登校した日の昇降口で、ばったり再会したあの男子。

言うべき言葉が多過ぎて、何と言ったら良いのかわからず、グルグル回る頭の中から飛び出た言葉。

勢い余って彼の手を取ってしまったけれど、そんなことを気にする余裕は今の佳織には無かった。


「え、今のって……」

「もしかして、あの二人……?」


――そしてここは、朝の昇降口。

当然ながら、周りには他の生徒が大勢いて。

一生懸命に京太郎の手を握る佳織の姿は、見ようによっては――


「なーにしてるっスか」

「ひゃっ」

「おわっ!?」


二人の間に急に『現れた』少女。

東横桃子。京太郎の同級生。

普段から影が非常に薄い彼女は、意識しても探すことが難しい。


「行きますよ京ちゃんさん。このままだと遅刻っす」

「いや、でも――」


問答無用。

急に姿を現した少女は、有無を言わさずに京太郎を佳織から引き離して去って行く。


「……」

「あっ……」


ほんの一瞬だけ目が合っても。

彼女は、佳織の事など全く意識していないようだった。


「……何だったんだろ」


彼の温もりが残った手のひらを無意識に胸元へ。

胸の燻りには、まだ気が付かなかった。




【レベル2】

「あの、先輩……」

「いいよ、気にしないで。ジャンケンの結果だもん」



お腹減ったなー!!との部長の声が響き渡るお昼の12時。

「あ、じゃあ買いに行きますよ、一年だし」と腰を上げた京太郎と桃子だが、「それは不公平だ」と待ったをかけたのが鶴賀麻雀部大将の加治木ゆみ。

「学年が下だからといって雑用を押し付けるのは忍びない」と言うのが彼女の主張。
零細麻雀部である鶴賀だからこそ、一人一人を大事にするべきだという考えだ。

そこで公平にジャンケンで今回の買い出し係を決めよう!となった。

……いや、それは本当に公平なのか?と首を傾げる者も複数いたが。


「……でも、やっぱりコレは……」

「もう、須賀くんは何でもかんでも頑張り過ぎだよ?」

「うぅ……」


一つの袋を、二人片手ずつで持つ。

一人で十分だと言う京太郎と、せっかく二人一緒に来たんだから!と譲らない佳織の折衷案。

以前の昇降口での出来事もあって、佳織のことを意識してしまう京太郎だが、


「~♪」


当の本人は楽しそうに鼻歌を口遊んでいる。

嬉しいような恥ずかしいような複雑な気持ちの京太郎に対して、佳織の胸の中は言いようの無い幸福感で満たされていた。

いつもの見慣れた道なのに、いつもよりずっと楽しい。

この感情の名前には、まだ気が付かない。




【レベル3】

「それは……もしかして、恋……とか?」



――須賀くんを見てると、胸が苦しいんです。

――でも嫌な気持ちじゃなくて、幸せでパンクしそうなんです。

――対局中もわかってるのに須賀くんから目が離せなくて、何をしても須賀くんが真ん中にいるんです。


初めての体験。どうしたらいいのか分からずに、部活の先輩に相談したら帰って来た言葉。


「恋……」

「他に何か、思い当たる節は?」


貸してくれた傘。あの温もりはまだ覚えている。

あの朝の昇降口での出来事。あの胸のモヤモヤは、もしかして。

二人で行った買い出しの帰り道。いつもの道が、あんなにも楽しかったのは。



「……そっかぁ。これが、そうなんだ」




【レ■ル4】

「京ちゃんさん」


ネト麻に勤しんでいる京太郎の肩に顎を乗せる桃子。

当然ながら密着する姿勢となり、背中に当たる感触に心を惑わされる。

集中を乱された京太郎はあっさりと他家に振り込み、飛ばされた。

溜息を吐き、ネト麻のアカウントからログアウトする。


「前から思ってたけど何だよソレ」

「京ちゃんさんは京ちゃんさんっすよ」


京太郎にとっては、桃子もその心の内が読み辛い。

ゆみにベッタリかと思えば、このように京太郎に悪戯を仕掛けて来ることもある。


「わけがわからん……というかモモ、近い」


極めて平静を装って桃子を退けようとした京太郎だが、そのような薄い壁はステルスモモには通じない。

ニヤニヤと維持の悪い笑みを浮かべて、桃子はより一層京太郎に身を寄せる。

「お、おまっ」

「んー? もしかして照れてたりー? ウリウリ」

「ば、やめっ」




【レ■■5】

「携帯忘れちゃった……!」


薄暗い廊下を急ぎ足で渡る。

今にも泣き出しそうな曇空は、彼女の不安をより強く駆り立てる。

急に崩れ始めた天気の影響で今日の部活動は中止となったが、携帯電話を部室の椅子に置きっ放しにしていたことを昇降口で思い出した。

明日に取りに来てもいいのだが、虫の知らせのような感覚が彼女の心を急き立てた。


「けほっ……」


息を切らし、咳き込む。

湿気と汗でワイシャツが肌に張り付く。

肩で息をしながら、ドアの隙間から部室を覗き込むと――



「モモ……」

「ん……」




【レ■■■】

「良かった……みんな、無事だって」




ある病院の個室。

佳織は、花瓶の水を入れ替えながら微笑んだ。


「ああ、まだ動いちゃダメだよ! お医者さんに怒られちゃう!」



部長の運転する車でドライブに出掛けた日に遭遇した事故。

信号を無視して突っ込んで来たトラック。

『幸運にも』この事故による死者はなく、京太郎も重症ながら『幸いにして』一命を取り留めた。


「京太郎くん……私のせいで」


そして、偶然にも京太郎に庇われる形となった佳織は打撲程度の怪我で済んだ。

他の部員の意識はまだ戻っていない。


「みんなが戻るまで、私が京太郎くんのお世話をしてあげるから」



「京太郎くんが嫌でも、絶対やるから。尿瓶だって何だって」



「望むなら……これだって」



「それでも嫌って言うなら、私……」



「えへへ、そうだよ。こんな時くらい、先輩を頼ってほしいな」


「今日からよろしくね、京太郎くん」



――ずっと、こんな日々が続けば良いのに。

心の声に、彼女が気が付く日は来ない。




【■■■■】

「知ってる? こういうことすると、来世では兄妹として生まれてくるんだって」


「でも、そうしたら」


「今度こそ、ずっと二人きりだね」


「あはは。みんな、羨ましがるかな」


「私、ずっと京太郎くんのこと好きだったんだよ?」


「ええ!? それなら、もっと早く……」


「……まあ、そうだけど」


「……何だか、眠くなってきちゃった」


「……今度こそ、もっと上手くいくよね?」


「うん。大好きだよ、京太郎くん」




――おやすみなさい。



■■■■■■

というわけでヤンデレかおりんによる京太郎独占でした
かおりんは無自覚系ヤンデレ

>>1が病み上がりなので色々忘れてます
そのうち書き直すかも
次は何になるかなぁ

新道寺短編はそのままプロローグになるかもしれない……でもやっぱり方言がネック
「ばい」って語尾に付けるとどうしてもダンドーが頭をチラついてしまう。読んでる時は全然大丈夫なんですが

書いてない高校だと実はかなり多かったり
全国編以前の高校は基本的にまだ書いてなかったり
あと方言勢は小ネタとキャラ安価以外ではまだ出番なかったり

とりあえず今日はここで締めます、お付き合いありがとうございましたー
また何か小ネタ要望等あればどうぞ

とりあえずアンケとりますかー


次は

1 白糸台安価パート
2 臨海非安価パート
3 プロ勢編マストダイ。死人が出るかもしれない
というか即終了の未来が見える
4 永水安価パート
5 宮守安価パート。時系列的にはプロローグ後
つまり塞さん大勝利とは限らない
6 松実京太郎、遠征するの巻
7 京咲哩姫NTR短編
8 その他 何か希望があれば

のいずれかになります

では236のどれかで
直下のコンマで決めます

1~33 臨界
34~66 プロ
67~99 松実
00 お好きにどうぞ

では次は臨海でー
投下はまた後で

すいません、諸事情で今夜は投下ナシで

のんびり臨海行きますよー

――たまたま、道ですれ違っただけ。



「ん?」

「お?」


普通なら、お互いの名前を知ろうとすら思わない。

だけど、この二人――須賀京太郎と、ネリー・ヴィルサラーゼは。

例えるならば――そう、前世からの因縁めいたモノを、お互いに感じとった。

顔を見たこともなく、名前すら知らないのに、ずっと昔に出会ったことのあるような。

デジャヴとも違う、不思議な感覚を覚えた。



「……ねぇ。それ、ナニ?」

「いや、まぁ……タコスだけど、食うか?」

「ちょーだい!」



それが京太郎と彼女たちの出会いの始まり。

劇的なものではないけれど、それなりに長い付き合いになりそうだ。

小さな口でタコスを頬張るネリーの横顔を見ながら、京太郎はそう思った。

「キョウタローはパスポート持ってまスカ?」



それは、全国大会に向けてチームで調整中でのこと。

京太郎がいつも通りにマネージャーとしての雑用に勤しんでいると、チームメイトの1人、ダヴァンからそのようなことを言われた。


「パスポートは……昔、家族で海外旅行に行った時に取ったきりっすね。多分有効期限とか切れてます」

「オー、それはよくないネ。今すぐ取りに行くベキ!」

「なんでまたそんな急に」



全員分のカップを用意し、お茶の準備をする。

初めはあまり上手く出来なかった作業も、マネージャーとして彼女たちに付き合っているうちに上達していった。

彼女たちに仕込まれ、またインターネットで知り合った友人にレシピを教わったお陰で、今では日米中仏のお茶の間に通用する腕を振るうことができる。


「ナンデって、それはモチロン……」


チーム全員分と、監督の分。

6人分のカップをトレーに載せる。




「私のファミリーに、ダーリンを紹介するためデス! 次のバケーションにネ!」



カップに載せた紅茶の表面に、波紋が走った。

「……え?」

「エアメールは何度か送ってるケド。一度会ってみたいとダディも言ってまシタ!」



まるで予想していなかった言葉に思考が止まる。

それでも配膳を止めないのは中学から叩き込まれた雑用精神故か。

固まっている京太郎を置いてけぼりに、ダヴァンの勢いは止まらない。


「それに、いつか向こうで暮らすことになるかもしれないから色々見なイト――」

「そこまで、です。ジョークとはいえ京太郎も困っているでしょう」


そこに待ったをかけたのは京太郎と同じ1年生で、中国からの留学生のハオ。

京太郎からカップを受け取り、紅茶を一口啜ると満足気に頷く。


「ムゥ、ジョークではないのでスガ……」

「ですが、パスポートを取るのはいいかもしれないですね。私も家族に紹介したい」

「あ、あぁ……」


京太郎の瞳を見つめながら微笑むハオ。

中国美人。よく整った顔立ちのハオに正面から見詰められると、つい照れてしまう。


「確かに。私も」


そんな京太郎の手に添えられる白い指。

少しゴツゴツした京太郎の指とは対象的な、白魚のような指。


「初めての男性の友達ですから。母に紹介したいです」



気が付けば、明華が鼻先が触れ合いそうな程に身を寄せていた。

「ちょっ」

「ふふ……」


後退る京太郎を引き止めるように、頬に指が添えられる。

香水かシャンプーかは知らないが、いい匂いが鼻腔を擽る。

『友達』を相手にするには些か近過ぎる距離だが、京太郎にその事を気にする余裕はない。

目線を逸らすことも出来ない。

そして、段々と明華の顔が近付いて――



「キョータローお腹すいた!」



固まる京太郎に、迫る明華。

二人の間を割く様に、ネリーが飛び込んで来た。



「おわっ」

「ねーねー、ご飯作ってよー」


今の空気を吹き飛ばすように、ネリーの小さな体が勢い良く跳ねる。


「~♪」


チラりと明華に視線を向ければ、マイペースに紅茶を啜っていた。

この少女たちには振り回されてばかりだと、溜息を吐く。

「……お前、なぁ」


だが、正直助かった。

ネリーが飛び込んで来なければ、あのまま明華に何をされていたか。

意識すると心臓がバクバクする。


「たった今お茶淹れたばっかだろうが」

「こんなんじゃお腹膨れないよ?」

「なんちゅーヤツだ」


どうしても明華の指の感触と、匂いを思い出してしまう。

そんな自分を誤魔化すように、ネリーの頭を乱暴に撫でる。


「わっ!? なにすんのさっ!」

「うるさい、ワガママ言う奴にはこれで十分だ」


こういった気安さは他の部員にはない。

ダヴァンは年上で自分より背が高く、ハオは美人で一緒にいると照れ臭く、明華は隙あらば先程のように迫って来る。

口では悪く言っても、京太郎はネリーに有難さを感じていた。

「ネリーも京太郎もそこまでにしておけ」



決して大きくはないが、室内によく響く鋭い声。


「一応、今はまだ部活中だ。あまり緩み過ぎないように」


辻垣内智葉。このチームの先鋒であり、日本で二番目に強い女子高生。

凛とした出で立ちの少女で、『長ドスを持たせたら似合いそう』というのが京太郎の彼女に対する第一印象だった。

……その印象はあながち間違いではなく、幸か不幸か智葉の家族に気に入られた京太郎は最低でも週に一回は彼女の家を訪れている。


「……それに、京太郎も急に言われても困るだろう。パスポートにしろ何にしろ」

「しかし、先のことは考えておいた方が」

「今は、目の前のことに集中するべきだ」


智葉が空のティーカップをトレーに置く。

乾いた音が休憩の終わりを知らせる合図となり、室内の雰囲気が研ぎ澄まされていく。


「……ありがとう京太郎、また腕を上げたな」

「あ、いえ」

「ネリーも、次の対局が終わるまで我慢してくれ。これが終わったら皆で何か食べに行こう」

「んー、わかった」


自分から離れて卓に向かうネリーを見て、京太郎もカップを片付け始める。

彼女たちの麻雀はまるで自分には理解できないが、それでも皆のサポートをする事はできる。

この場に自分がいる事を場違いに感じながらも、京太郎はいつも通りに雑用を再開した。

三番目って書いたつもりが二番目って書いてた、てへぺろ

×日本で二番目に強い女子高生
○日本で三番目に強い女子高生

で、各自脳内修正お願いします

――自分なんかが、こんな場所にいていいんだろうか。



背後から聞こえる自動卓の音を耳にしながら、京太郎はそう思った。

全国大会の日付けが近付くにつれて強くなる疑問の念。

ネリーとの縁で麻雀部に所属しているとはいえ、腕前で言えば自分は部内の誰よりも劣る。

全国3位の辻垣内智葉に、U-15アジア大会銀メダリストのハオ。

風神の異名を持つ明華。

ダヴァンとネリーについては詳しくは知らないが、このチームに所属している時点でかなりの強者の筈。

……マネージャーという立場で思い上がるつもりはないが、その中に平凡な男子高校生に過ぎない自分が混ざっているというこの状況は、やはり違和感がある。


「飢えなきゃ勝てないってもなぁ……」


このチームの監督は実力よりも気概を評価することがある。

確かに、上に行きたいという意欲は京太郎にもある。

しかし、それは麻雀を続けていれば誰もが抱く程度の漠然とした想いだ。

監督やお偉いさん方の琴線に触れる何かがあるとは、とても思えなかった。

「不思議かい?」

「わっ!?」


不意打ち気味に隣から掛けられた声に心臓が跳ねる。

この部活には自分を驚かさなければならないという決まりでもあるのだろうかと振り向けば、ちょうど今さっき思い浮かべていた監督の顔。


「か、監督……」

「キョウタローは嘘付けないからね。顔に書いてある」


ネリーに連れられて来た京太郎をそのまま強引に入部させた張本人。

アレクサンドラ・ヴィンドハイム監督。

すらりと背の高い、クールな印象を与える大人の女性だが、その体型は残念ながら京太郎の好みとは大幅に――


「そういうところもな」

「あいたっ」


頬を抓られる。

恐るべき洞察力だった。


「……まぁ、君が疑問に感じるのもわかるけどね」

「はい」

「でも、君はそのまま君であればいい。私たちが望んでいるのはそういうことだ」

「はぁ……」


まるで理解が及ばないけれど、監督には監督なりの考えがあるのだろう。

京太郎は無理矢理自分を納得させて、牌譜の整理を始めた。

「ラーメンを食べに行きまショウ!」



練習を終えて開口一番にダヴァンが放った台詞。

特に反対することもなかったので全員で近所のラーメン屋に行くことになった。

……が。



「あ、あの……?」


混み始める時間帯だし、さっさと席についた方が良いと判断した京太郎だが、隣に誰も座らない。

自分が何か粗相をしたかと先輩方を見上げれば、何やら睨み合っている。


「お腹空いたー!」

「……おいおい」


どう声をかけたものか迷っていると、ネリーが京太郎の膝の上に座る。

余りにも自然な動作だったので止められなかったが、ラーメンを食べるのにこの体勢は頂けない。

両脇に手を突っ込んでネリーを右隣に退ける。


「ぶーぶー」

「流石に勘弁してくれよ」

「そうね。外では控えた方がいい」


続けて、左隣にアレクサンドラが座る。

その様子を見て、流れるように空いた席に腰を下ろす残りのメンバーたち。

先程の睨み合いは何だったのかが気がかりであるが、食事の空気をわざわざ悪くする必要もない。

隣のネリーにも見やすいように、京太郎はメニューを広げた。




【プロローグ 了】

というわけで臨海プロローグ終了


京太郎視点だと修羅場度合いは

プロ編>臨海>白糸台>永水>阿知賀>宮守

の順に平和です



さて次は

1 白糸台安価パート
2 臨海安価パート
3 プロ勢編マストダイ。死人が出るかもしれない
というか即終了の未来が見える
4 永水安価パート
5 宮守安価パート。時系列的にはプロローグ後
つまり塞さん大勝利とは限らない
6 松実京太郎、遠征するの巻
7 京咲哩姫NTR短編
8 その他 何か希望があれば

のいずれかとなります

じゃあ、次は3でいきますかー
全員の病み度を一段階下げてコンティニューとかも考えてますが、そういうのはとりあえず死んでから考えましょう


今回の安価判定は

・特定コンマですこやん乱入
・特定コンマでのよりん乱入
・すこやん登場時特定コンマでこーこちゃん乱入
・コーチと二人っきりで強制イベント
・咏さんと二人っきりで強制イベント
・のよりんと二人っきりで強制イベント
・はやりんと二人っきりで強制イベント
・かいのーさんと二人っきりで強制イベント
・すこやんと二人っきりで強制イベント
・カツ丼サンクチュアリ
・監督勢が京太郎に興味を持ったようです
・学生組には基本判定ナシ

が適用されます


では次のレスから始めますよー

「ただいまー。やりましたよ、1位っす」

「あれ、反応薄くない……?」

「何であんなって、そりゃ……俺にだって引きが良い時ぐらいあるよ」

「なぁ、和にだってそういう時はあるだろ?」

「歯切れ悪いなぁ、なんか……ま、いいや」

「とりあえず、他のみんなにも勝利報告してきますね」






「さて、誰に連絡しよう?」


キャラ安価下3 学生組は病み判定ナシ
「誰に連絡を~」と京太郎は言っていますが別に面識のないキャラでもOK

靖子との対局から始まり、貴子や咏など様々なプロに出会って指導を受けたけれど。

何だかんだ言って自分がこの舞台まで上がって来れたのは「あの人」の功績によるものが一番大きい。

……であるならば、勝利報告もあの人に一番最初にするのが筋というものだろう。


「貴子さんに、電話で……」

「おめでとう、須賀」

「……へ?」


携帯のアドレス帳を開いてスクロールしているところに、耳にタコが出来るほど聞いた声が響く。

続いて肩に置かれた手。間違いなくこれは幻聴じゃない。


「ちょっと気が早いが二回戦突破の祝いだ。飯奢ってやるよ」


自分の恩師の一人、久保貴子がすぐ後ろに立っていた。



直下のコンマを下2のコンマが上回った場合に健夜乱入
直下のコンマを下3のコンマが上回った場合に理沙乱入

祝勝会といってもまだ二回戦突破の段階。

そう大層なものではなく、ファミレスでランチセットを奢って貰う程度の細やかなものだが、京太郎にはコーチの気遣いが嬉しかった。

夕食時という時間も相まって店内は混み入っていたが、禁煙席に二人で座ることは出来た。


「まずは二回戦一位突破、おめでとう」

「ありがとうございます! これも貴子さんのお蔭っすよ」

「はは、私のお陰、か――そうか、そうか……」

「貴子さん……?」


貴子が笑ったかと思えば、急に無表情になって顔を伏せる。

京太郎にはその意図が掴めない。

彼女の教えは守り続けてきたし、今回こうして1位突破という成績を勝ち取ったのは貴子にとっても誇らしい結果の筈だ。


「――お客様、相席でもよろしいでしょうか?」

「あ、はい」


悩んでいるところに店員から掛けられた声。

本来ならば断るべきなのだが、つい頷いてしまった。

程なくして、一人の女性が店員に連れられてやって来る。


「また、会ったね」

「あっ」

「貴女は……!」


二回戦の直前に京太郎が出会った女性。

小鍛治健夜が、微笑みながら京太郎の隣に座った。

「まさか、あの試合は貴女が……!」

「そんなに大層なことはしてないですよ。ただ、私は彼を応援しただけです」


敵意を隠そうともせず健夜を睨み付ける貴子と、余裕の表情で受け止める健夜。

二人の恩師が何故こんなにも険悪なムードなのか理解できず、京太郎は眉根を寄せる。


「彼の、須賀の打ち方はあんなものじゃなかった筈です。あんな、相手を否定するような」

「ですが、選んだのは彼です。えーっと……押し付けるのは、エゴ……ではないでしょうか」

「あなたがそれを言うのかっ!」


叩き付けられた拳にテーブル揺れる。

その様子を見ても尚、健夜は微笑みを崩さない。


「……」


何と言うべきなのか、京太郎にはわからない。

ただ、貴子が一方的に健夜に敵意をぶつけていることは感じ取れた。


「あの、貴子さん。ファミレスですし……その、あまり騒ぐのは」

「っ! そうか、そうなんだな……」

「……」

「……ええ、すみませんでした。少し、冷静さに欠けていました」

「いえ、お気になさらず」


そのまま沈黙する二人。

何処と無く居心地が悪い。

料理が運ばれて来ても会話がなく、三人で食事をしているにも関わらず、テーブルの上に響くのは食器の音だけだった。

食事を終えて、ファミレスを後にした三人。

宿泊先の都合上、健夜は先に二人と別れることになった。


「それでは、また」

「ええ……とても楽しかったです。また一緒に食事をしましょう」


二人のプロが握手を交わす。

振り向き際に健夜が京太郎に微笑みかける。

テレビ用に作ろうとしたぎこちないものではなく、一人の女性として自然に作られた魅力的な笑顔だった。



「……今度、また指導してやるよ」

「おお、よろしくお願いします! 俺、大分強くなったんすよ!」

「ああ、知ってるよ。だから、今度は私も本気でやる」

「……え?」

「本気で、お前と打ってやるよ」


指導時の怒鳴り顔とも、褒めてくれる時の優しい顔とも違う、能面のような無表情。

初めて見る貴子の表情に言葉を失くす。

そのまま別れるまで会話もなく、夜の道を二人で歩いた。

※【貴子ちゃんのLESSON5】イベントが解禁されました!


恒子ちゃんの登場判定するの忘れてしまった。けどコレはコレでイベントとして纏まったからいいか
キャラ安価判定下3でー

別れ際の貴子の表情は、京太郎にはまるで理解できなかった。

けれど、原因が今日の試合にあることは間違いない。


「なんでかなぁ……」

「いよう色男。一丁前に悩み事かい?」


ひょこっと突然現れた着物の女性。

猫のような気紛れさだ。

ニヤニヤ歪められた口元も何処と無く猫っぽい。


「咏さん」

「ふふん、その悩み。私が解消してあげようか?」

「いいんですか?」

「弟子の世話を焼くのも師匠の務めってね」




直下判定を下2のコンマが上回った場合に理沙乱入

咏に連れられて来た雀荘。

ここで麻雀を打つことで、京太郎の今日の問題点を教えてくれるとのことだが。


「……」

「……」

「ひっ……」


空気が、重い。

偶然その場に居合わせた理沙と鉢合わせて、そのままこの雀荘の常連と合わせて4人で打つことになったのだが。

先程の健夜と貴子のような険悪なムードが二人の間に漂っている。


「今までの京ちゃんの打ち筋に関しちゃ、私の方が詳しいんですけど?」

「私も! 彼のことはよくわかる!」


……いや、これならまだ先程の方がマシだ。

なんせさっきとは違って、今度は互いの感情のベクトルが正面からぶつかっているのだから。

刺々しい感情の余波が肌に刺さり、居心地が悪い。

巻き込まれたこの雀荘の常連客の顔には「早く帰りたい」と書いてある。


「あ、それロンです」

「ぬう」

「むっ」


まぁ、それとは別に麻雀は打たせてもらう訳であるが。

三人からサンドバッグにされた常連客の飛び終了で対局は幕を閉じた。

いい年して涙目になって帰る彼には悪いことをしたかもしれない。


「コホン! で、京ちゃんの今日の打ち方だけど」

「別人!」

「……」


咏の台詞を被せるように、理沙が横から口を出す。

咏が眉を顰める。こうも露骨に嫌な表情を浮かべるのは初めてみたかもしれない。


「……別人ってのは?」

「それは!」

「まぁ、そのまんまだねぃ。打ち方だけ見たらガワだけ同じで中身は別人って言われても信じるよ、私は」

「……」


今度は理沙の台詞を咏が遮る。

なんだかんだ言って良いコンビネーションではないかと、京太郎は半ば現実逃避気味にそう思った。


「そんなこと言われても……確かに咲にも似たようなこと言われたけど」

「ん、まぁそれ自体は問題じゃないんだ。私が気に入らないのは――」

「何があったか!」

「……」


何があったか。

京太郎は、目の前で睨み合う二人を無視して考え込む。

「大会前日の夜は私が調整したからねえ、ネト麻で。明らかにおかしいんだよ、引きが良いにしても」

「……」

「それは……」


試合前に、廊下で健夜と話しただけだ。


「……わかりません」

「はぁ?」

「そう言われても、やっぱり偶々引きが良かっただけとしか言えないですよ」

「ふぅむ……」


じっと、瞳を覗き込まれる。

嘘は言っていない。京太郎には、何がそこまで彼女たちを悩ませるのか理解できない。


「……ま、いいか。それなら私に出来るのは」

「とにかく打つことだけ!」

「……そういうこと、だね。おーいさっきの兄ちゃんやい、まだ帰らないでくれよ」




――この後滅茶苦茶徹夜麻雀した。

直下判定
1~85 また朝帰りなんだね、君は
86~00 ???

……また朝帰りなんだね、君は。



部長の飽きれた顔を見るのはこれで二回目だ。

とは言え問題を起こしているわけではないし、実力を付けているのだから大目に見て欲しい。

そう言い訳をすると、咲が不安そうな表情を見せた。

安心させるようにその頭を撫でて、シャワーを浴びてベッドに向かう。

今はとにかく、眠らせて欲しい。



――その首筋の赤い斑点が一つから二つに増えていることは、誰も気が付かなかった。

ゾロ目を出したことで京太郎の首の皮が厚くなっている不思議


キャラ安価下5でー

「二回戦突破、おめでとう」

「あ、ありがとうございます……」


特盛りカツ丼メガVer

靖子にメールで呼び出された先で、京太郎を待ち構えていた聳え立つ肉の山。

どうしてこんな物が東京にもあるのだろうと、京太郎は絶望しながらも箸を手に取った。


「……で、二回戦の内容だけど。凄いじゃないか、これ。まるで宮永照だな」

「は、はぁ……流石に、そこまでは。偶々引きが良かっただけですし」

「いや、誇っていいよ。運と言っても実力の内だ」


あの試合の後、こうも褒められたのは初めてかもしれない。

照れる京太郎だが、一口噛んだカツから滲み出る肉汁にこれでもかと言う程の現実を押し付けられた。


「……」


その様子を隣で眺める靖子。

横目で見る京太郎の印象は――




直下判定

00~30 中々、やるようになった
31~70 しかし、どうにも腑に落ちない
71~99 じゅるり

「中々、やるようになった」



彼に可能性を感じて拾った靖子だが、二回戦を一位突破で迎えるとは予想していなかった。

気紛れで拾い上げた石ころは何かの原石だったらしい。今では一番注目されている雀士と言ってもいい。

こうなったら最後まで付き合ってやろうじゃないか。

隣で懸命にカツ丼を口に放り込む京太郎を見つめながら、靖子はそう思った。



――無意識にした舌舐めずりの意味は、まだ誰にもわからない。

※京太郎にバッドステータス【胸焼け】が付与されました。特に意味はない
※靖子の京太郎への興味が高まったようです

カツ丼サンクチュアリは守られたようです
ところでロックマンエグゼのサンクチュアリって割とあっさり破壊されますよね
いや、特に意味はないですけど


キャラ安価下5でー
複数もあり、学生組も有りですが学生組には基本判定無いです

胸焼けを抱えながら宿泊先に帰った翌日。

京太郎は貴子に呼び出され、とある雀士に向かった。


「こんにちは」

「おう、来たか」


卓にはまだ貴子しか座っていない。

今回は他に客もいないので、いつものように常連を巻き込むことも出来ない。


「あの、あとの面子は……?」

「少し待て。あとちょっとで来る」



キャラ安価
直下と下二
プロ勢限定、健夜は不可能

「おーっす、お待たせー」

「ソーリー、遅れました」

「あ、あなたたちは……!」


三尋木咏と戒能良子。

どちらも京太郎が東京に出会ってから来たプロ雀士で、特に咏にはネットや雀荘を通じてよく指導を受けている。

良子とは数回顔を合わせた程度だが、それでも今回わざわざ来てくれたということは、気にかけてくれているのだろう。


「いえ、こちらこそ。急な申し出にも関わらず、有難うございます」


立ち上がり、頭を下げる貴子。

一目見るだけで、咏と良子は京太郎と彼女の関係を理解した。

次ちょっと遅れます

>>771
○東京に来てから出会った
×東京に出会ってから来た

慌てるとロクなことがない……

戻りました
次、判定多いです

――なーるほど、コイツがあの……。


広げた扇子の下で唇を噛む。

どういう伝手から自分の連絡先を手にいれたのかは知らないが、京太郎のためとあれば、それは何よりも優先される。

貴子の三白眼と目が合う。

互いに感じたことは、同じ筈だ。




――ふむ、理解しました。


京太郎を塗り潰すように覆い隠す女の影。

その正体は言うまでも無い。

しかし、その影の下で蠢く複数の糸。

その中でも、特に太いもの。それが、貴子と繋がっている。



三人とも、それぞれ違う思惑を抱えながらも目的は同じ。

そんな三人の内心などまるで知らずに、京太郎は卓に向かった。


対局結果判定
直下判定 京太郎 コンマ+20
判定下二 貴子 コンマ+30
判定下三 咏 コンマ+30
判定下四 良子 コンマ+30

100を超える場合はそのまま
良子の判定で00が出た場合は130として扱う

「なぁ、須賀」

「……はい?」


対局の途中。

貴子が、対面に座る京太郎に声をかけた。


「お前の打ち方はもう、どうでもいいんだ。勝っているわけだしな、それで」

「はぁ……」


トラッシュトーク、というわけではない。

貴子は安い挑発をするような性格じゃないし、そんなことが出来る程器用じゃない。

これは、指導者として教え子に向ける言葉だ。


「ただ――お前、麻雀を楽しめてるか?」

「……」

「二回戦の相手に敬意はあるか? 健闘した自分に対する誇りは?」

「……」

「いくら強くなっても――それじゃ、駄目だ」


――ツモ。4000・8000

最後の最後に、貴子が、トップを走る京太郎を上回った。

「……そうか。そう、だったんですね」


二回戦が終わってからの、不完全燃焼感は。

それは周りのせいではなく、自分の。

京太郎は目を閉じて、椅子に体重を預けた。


「……にしても、疲れたよ。本当に」


同じように貴子も、全身の力を抜いて天井を仰ぎ見る。

予想外なまでに教え子は強くなっていた。

正直、心が折れかけたが――どうにか、なったようだ。

二人のプロのどちらか片方でも欠けていれば――結果は、また違っていた。


「……」


その様子を、咏と良子は無言で見守る。

覆い被さる影を内側から突き破るように現れた爪。

どうしてそれが、自分のものじゃない。

机の下で握り締めた拳から血が滴り、床に染みを作る。


「めでたしめでたしってねぇ」


しかし、それを表に出す事はない。

咏は言葉の通り、口角を吊り上げた。



「……」


一方で、良子は何も言わない。

口を開けば叫びたくなってしまうから。

目の前で他の女に京太郎が穢された事実は彼女には耐え難い。

だから、良子は口の中を強く噛み締める。

頬肉に犬歯が食い込み、溢れる血を飲み込む。

良子は、必死に自分の感情を押さえ込んだ。

その後も何度か対局を繰り返し、すっかり日も暮れて。

雀荘の入口で、京太郎は万感の思いを込めて二人のプロに頭を下げた。


「今日は、ありがとうございました!」

「いや、いいよ。京ちゃんの為なら何時だってね」

「……ええ。それでは、また」


二人と別れて、貴子と共に宿泊先のホテルに帰る。


「……なぁ、須賀」

「はい?」


貴子判定直下
1~50 いや……何でもない
51~00 この後、私の部屋に来てくれないか?

「いや……何でもない」

「そうですか……?」


妙に歯切れの悪い貴子の様子に首を傾げる。

貴子がこのような態度を見せるのは珍しいが、きっと疲れているからだと京太郎は判断した。




「うす、ただいまー」

「いや、流石に毎日朝帰りするわけじゃないっすよ」

「へ? 何かあったかって?」

「まぁ……色々あるんだよ、男の子には」




「あ、はやりさんからメールだ」

「明日、会えない?……か」

|: : : : : : ヽ

.          |: : : : : : : :ヽ ‐- .,
.          |,: : : : : : : : : : : : :``ヽ.
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : i

       / ○: : : : : : : : : : : : : ,'´`ヽi,
       i .: : : : : : : : : : : : : : : io⌒ i`' ,
       | , '´o`ヽ: : : : : : : : /、;;::ノ ``'.,.;     ワクワクを思い出すんだ!
       i i 弋;;ソヽ、,. -‐‐ -     ',i

       | ',    /        イ  / 
       ', ,'            /   /
        ヽ、 ー=ニ::.....--‐ ´::/  /i
          ヽ .,__  ` ー―´  / ヽ:ヽ、
           ヽ:个 、_    イ    ヽ:ヽ.,..,,,
            ヽ:i l     /     \: : : :`' -
            .∧i ',    /       ヽ、: : : : :
           /: : /  '   /     ,. -―<ー-‐
         /: : : : /      ,. - ' ´
  ,. - ―- _'´____∠_  ,.- '´
/: : : : :.,.-―  '´     `
: : : : :./´

: : : : :i



今回の話を一言で纏めるとこんな感じです
……あれ、久保コーチが何かヒロインやってるぞ? あれれ?


はやりんからのメールですが、無視することも可能です
その場合は無視した、ということではなく別のキャラと予定が先に入っていたということで処理されます

というわけでキャラ安価下5-

そういえば
俺的にはレジェンドねじ込みたいけど安価とれば可能なの?

残念ながら、明日は良子との約束が先に入っている。

帰り際に、会うことを約束したのだ。


「申し訳ないですが、明日は予定が入っていまして……っと」


メールの返信を済ませ、携帯の電源を落とす。

今日は、よく眠れそうだ――




「……」

>>827
レジェンド、トシさん、アレクサンドラ監督、代行、愛宕監督といった大人勢はキャラ安価をとれば登場します
しかし、扱い的には宮守編のキャラのように一歩遅れた感じになりますね。ゾロ目で即死の可能性もありますが

良子に招かれた先はあるホテルの一室――というか、良子の泊まっている部屋だった。

大人の女性の住む部屋に一人で訪れるのは始めての体験だった。

妙にドキドキする。


「粗茶ですが、どうぞ」

「あ、ども」

「そして、君を呼んだ理由だけど――少し、準備が必要だから。待っていて? OK?」

「あ、了解っす」


カップの紅茶を京太郎の前に置いて良子は部屋の置くに。

一口啜っても、今一味はわからなかった。


「さて……待ってて、と言われたけど」



選択肢
1 大人しく待つ
2 ちょっと探索してみよう


地雷地帯でタップダンス

大人しく待ってて、と言われたらウズウズするのが人の性。

何だか良い匂いがするし、色々探索してみたい気もする。

……けれど。


「流石に、失礼だよな」


いくら何でもそこまで親しくない相手の部屋を物色するのは失礼極まりない。

言われた通り、京太郎は良子を待つことにした。



「お待たせしました」

「いえ、別に……へぁ!?」


部屋の奥から現れた良子は、永水女子のような巫女服を着ていた。

それも、恐らくはノーブラで。

大きくも形の良い母性の象徴がクッキリと浮き出ている。

あ、書き忘れたけど選択肢判定は基本直下です

まさに、立派なおもち。

ゴクリと喉が鳴る。視線が釘付けになってしまう。


「……じー」

「は!? いえ、大変失礼しました!?」


慌てて目線を逸らし、頭を下げる。

ついうっかり自分の立場を忘れてしまった。


「ふふ……触ってみる?」

「え……え?」


直下選択肢
1 い、いいんですか?
2 いや、流石にそれは……?

3、 いいや、吸う!

非常に魅力的な提案。

健全な男子生徒には耐え難い誘惑である。


「いや、流石にそれは……?」


しかし、自分は個人戦選手として東京に来ているのであって。

決して、女性の胸を触る為に来たのではないのだという意識が、京太郎の手を押し留めた。

視線は相変わらず良子の胸に固定されたままだが。



「そう、残念……まぁ、それで。君を呼んだ理由だけど」

「はい」

「お祓いをするよ」

「……はい?」

「お祓いを、するよ」

「いや、聞こえなかったわけではなく」


良子の格好を見た時からある程度は予想できたことだけれど。

面と向かって言われると、どうしてもフリーズしてしまう。


「まぁ、これからの景気付けみたいなものだから。リラックスしてればいいよ」

「は、はぁ……わかりました」


直下判定
1~80 何だか気分がスッキリ
81~00 ???

うっ……ふぅ……

先端に紙が括り付けられた棒やら、読めない文字が書かれた扇子やら。

京太郎には名前も知らない道具が用いられ、お祓いが開始される。


「……」


奇妙な道具を振りながら、ぶつぶつと聞き取りにくい言葉を呟く良子。

最初は胡散臭い雰囲気に身構えていた京太郎も、段々と眠くなって来る。

ウトウトと、瞼が降りてきて――


――須賀ァッ!!


「っ!?」


久しぶりに聞こえた幻聴に姿勢を正す。

そうだ、これは自分のために行われていることなんだ。いくら胡散臭くても居眠りは失礼だ。

頭を振って眠気を飛ばす。


「……ッ」


良子の言葉の中に舌打ちのような何かが混ざっていた気がするけれど、きっと気のせいだろう。

『お祓い』が終わった頃には、京太郎の気分も普段よりスッキリしていた。

肩が軽い。

きっとこれなら、三回戦でもいつも以上の力が発揮できる。

ホテルのフロントで良子に頭を下げて、京太郎は自分のホテルに帰っていった。



「……次は、もっと強いものを」


その背中を見送る良子の呟きは、誰にも聞かれなかった。

というわけで戒能さんイベントでした
部屋の物色をしたりπタッチしてたら???の範囲が広がってました

あ、キャラ安価下3で

幾つかの照明とカメラに囲まれた雀卓。

全国大会の舞台。

例え用事が無くても、ここには何度も足を運んでしまう。


「……明後日かぁ」


三回戦。

これまでのように行くかはわからない。

けれど、どんな結果になっても。

麻雀を楽しむ気持ちがあれば、悔いは残らない――


「あ、君は……」


レジェンド判定直下
1~30 君が噂のダークホースの
31~60 須賀京太郎くん、だよね?
61~98 おいしそう
ゾロ目 ???

じゅるり……

「須賀京太郎くん、だよね?」

「あなたは?」


変な前髪の人。

それが、須賀京太郎の赤土晴絵に対する第一印象だった。


「あ、ゴメンゴメン。私は赤土晴絵、阿知賀女学院の麻雀部監督やってます」


差し出された名刺を受け取る。

名前は始めて知ったが、どうやらこの人も麻雀関係者らしかった。


「前から君に興味があったんだ。小鍛治健夜、または宮永照の再来――とか言われてる、君に」

「いえ、そんな大したもんじゃ」

「はは、もっと堂々としてた方が良いよ。力に振り回されちゃうから」

「はぁ……」


それでさ、と咳払いをする晴絵。


「君に、お願いがあるんだけど。ちょっとうちの麻雀部に来てくれない?」


直下選択肢
1 行く
2 行かない

「ふむ……」


受け取った名刺を片手に考え込む。

これまでの経験上、ここで誘いに乗ることは悪いことにはならないと思うが――


「すいません、ちょっと今日は用事が」

「ありゃ、残念」


違う部の相手と打てるのは京太郎にとっても良い経験となる筈だが、今日はこの後に外せない用事が控えている。

晴絵の誘いには乗れなかった。


「それじゃあ、気が向いたらそこの連絡先に電話を下さい。基本的にインハイ中ならいつでも出れると思うので」

「はい、わかりました」


晴絵の名刺を財布にしまい、会場を後にする。



「ちゃんとした名刺入れを買おう……」

悪い事にはならない……、意外だけどそうっちゃそうか
この後無茶苦茶麻雀したは有益だし
さて、用事は意味があるものなのか、ただの話の都合なのか

※【レジェンドの連絡先】を入手しました!
これで自分から晴絵に連絡を取る事ができます


>>896
ぶっちゃけ話の都合です
はやりんねじ込んでも良いんですけどね

今夜は次の人でラストかな、と思いつつキャラ安価下5でー

ぬるま湯より、煮えたぎる油風呂に行きたい
ってことだよ、スルーしてるのは

晴絵と別れて向かった先は、咏が待つ雀荘。

三回戦に向けてみっちり調整してくれると言うのだから、これに乗らない手はない。


「あの、咏さん?」

「……」


だと言うのに、京太郎を呼び出した当の本人は。

窓の外の景色を眺めて、しきりに何かを呟いている。

京太郎が呼び掛けても返事がない。


「あのー、来ましたよ?」

「……ん? ああ、悪い悪い。ちょっと考えててねぃ」


肩を軽く揺さぶって、ようやく反応があった。


「それじゃ、始めようかい」


――そして、指導が始まる。

「基本はとっくの当に出来てるし、今の君のレベルなら男子の部くらいなら優勝狙えるんじゃないかな。割とマジで」

「まじっすか」


みっちり咏に扱かれた後、以前訪れた料亭にて。

咏の話を耳にしながら口にした刺身は、スーパーのパックが食べられなくなりそうな程に美味い。


「おー、良い食べっぷり。そいじゃ、こっちもいっとくかい?」

「え、それは……」

「大人の味ってヤツさ。ま、お酒だねぃ。舐める程度なら問題ないっしょ」



直下選択肢
1 ……それじゃ、一口
2 いやいや流石に、未成年なんで……

「いやいや流石に、未成年なんで……」

「ちぇー、お硬いねぇ」


渋々と自分のグラスに酒を注ぐ咏。

そう言われても、京太郎としては万が一にでも問題に繋がることは避けたい。

なんせ、ここでスキャンダルでもあろうものなら今までの全てが消えてしまう。


「ま、そういうところも好きなんだけど」

「え?」

「ふふ、本気にした?」

「……あ、なんだ。また、冗談で――」

「私は、いつでも本気だけどね」

「――え?」


さて、と席を立つ咏。


「場所を変えようか。ここは、育ち盛りの男子にはちと物足りないだろ」



直下判定
1~74 まぁ、三尋木プロに会いに行く時点で分かってたけどさ
75~00 ???

――京太郎は、窓から差し込む日の光で目を覚ました。


「……っ、あれ?」


体中が軋む。

確か、自分は咏に連れられて、料亭からタクシーで――


「おそようさん」

「わっ」


すぐ隣から聞えて来た声に飛び起きて、しかし思うように体が動かず体勢を崩す。

全身の気怠さに加えて、両足に違和感がある。


「……何、これ」


視線を足元に下げると、足枷が嵌められている。

片方は壁に鎖が繋がれていて、もう片方は――


「ふふ……」


――咏の足首に、繋がれている。

これは夢なのかと、京太郎は思った。

しかし鎖の冷たい感触と、体勢を崩した時の痛みは否が応でも現実だと思い知らせる。

言葉が出ない。一体、何がどうなっているのか。


「ここは……」

「いやー、私の実家は割と古い家でさ、座敷牢くらいはあるんだよね」

「そんな……」


相変わらず体の気怠さは抜けないが、思考は鮮明になってきた。

つまり、自分は。

咏と共に。

監禁、されている。


「どうして、こんな……」

「どうして? 好きだからさ、君のことが。愛していると言ってもいい」


分からない。

目の前で、自分から一切目を離さず、瞬きの一つもなく、見詰め続けて来る女性は。

本当に、三尋木咏という人なのだろうか。


「駄目なんだよね。私は、もう」

「……」

「我慢出来なくなったんだ。耐えられない」

「異類婚姻譚って知ってる?」

「魔物に惚れて、魔物に嫁いだ娘っ子が、魔物になっちゃう話があってね」

「……魔物がどっちなのかは、この際どうでもいい」

「重要なのは――」


咏が、京太郎のシャツのボタンを一つずつ外す。

程なくして露出した京太郎の胸に、爪を立てる。

血が滲み、痛みに顔を歪める京太郎にも構うことなく、咏は傷の上に舌を這わせる。


「もう君は、私のものってことさ」

「ふふ、勝てば官軍ってね。知ってるかい? 君、結構競争率高いんだぜー」

「……ま、何も知らないだろうね、その顔は」

「まぁいいよ、それはそれで」

「教えがいがあるってものさ」

「ああ、楽しみだ――」


……そして迎えた三回戦の日。

大方の予想通り――京太郎は、一位を勝ち取った。

勝利に喜び、相手を敬う心は勿論忘れていないけど。

試合の後に、京太郎が帰る先は。



「ああ、良い子だ。きっちりと教えを守ったね」

「ふふふ……それじゃあ、今夜も色々教えてあげる」

「今夜も寝かさないぞ♪ってね」

「……んん、ああ。そうだ」

「一つ言っておかないと」

「……ねえ、君」




「――婿養子って、興味あるかい?」



【ED まものよめ】

というわけで咏さんエンディングでした
この後コンティニューするとしたらどこ辺りからにしましょ
このEDを無かったことにして三回戦前日から再開してもいいですが

まぁ、コンティニューするにしても、他の話を進めるにしても今夜はここで締めますけどね


それでは、おやすみなさい
長くお付き合いありがとうございました!


おやすみー
コンティニューの場合は自分は、ED分岐前の三回戦前日がいいですね

しかし結婚式の時、新婦咏の友人や、新郎京太郎の恩師で誰が呼ばれるんだろう

>>943
ひっそりと書類だけだすというのもある

とりあえずこのスレは小ネタで埋めようかと思います
次スレは>>980超えたあたりで

というわけで小ネタ安価下3

――俺は、何をしているんだろう。

「京ちゃんも、来年は一緒に頑張ろう?」


――みんな、頑張ってるのに。

「ま、タコスの恩は返すじぇ」


――俺は、こんなところで。

「……私も、協力しますから。今までのお礼を」


――みんなに、手間を。

「安心せい。時間はあるからな、とことんやろう」


――俺は。

「……今までは、何もできなかったから。せめて、これぐらいはやらせて?」


――俺は。

「あの、先輩?」




――駄目、だ。

「須賀くん」


手を握られている。温かい。

聞き覚えのある声だけど、誰かは思い出せない。

目を開いて確認するのも億劫だ。


「ごめんね。私の、せいだよね」


謝れている。わからない。

思い出せない。誰だろう。

この人は、何で悲しそうなんだろう。


「……私は、側にいるから。何も出来ないかもしれないけど」


口を開くことも出来ない。


「だけど、せめて……私は、私たちは」


頬に何かが伝う。


「ずっと、側で」


それが何かは、やっぱりわからないけれど。


「待っているから。あなたのことを」


ほのかに、あたたかいと、おもった。




【病んだ京ちゃんと彼女たちと】

あっ他界?(錯乱)

病みました(井口ボイス)
そのうちもっと分量増やして書き直すかも

小ネタ安価下2でー

病んだ京太郎(風邪的な意味で)と看病する清澄メンバーみたいです

【宮守篇 プロローグにて】


「ふふ、眠いでしょ? 一杯頑張ったからね。少し眠る?」

「いえ、そんな……」

「大丈夫、ちゃんと起こして上げるから」

「……」

「無理しないで休みなって、ホラ」

「……あれ?」

「ん?」

「……なんだか、むしろ! 元気がモリモリ湧いて来ました!」

「ええ!?」

「こーんな風に! 塞さんをお姫様だっことかしちゃいますよ!!」ガッ

「はぁ!? ちょっと、ここ電車なんだけど!!」

「次の駅で降りましょう! エネルギーがスッゲー勢いで燃えてくる!!」

「ち、ちょっと待って!?」

「命ばくはーつ!!」ダダダダダダダダダダダダダッ

「こ、こんな筈じゃなかったのにぃいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ…………」ダダダダダダダダダダダダダタッ……



【色々間違えた塞さん】

この京太郎なら逞しく生き残れそうだww

「ふふふ……これで、ずっと一緒だね。京ちゃん」

「よっこらせ」ガラッ

「あ! そんな!?」

「詰めが甘いっつーか、ほんと麻雀以外は駄目駄目だよな。お前」

「うぅ……」

「ま、だから俺が見てやらないと駄目なんだけどさ」なでなで

「えへへ……」

【ポンコツといえばやっぱり】



「うふふ……今日も、こっそり京太郎くんと一緒に寝ちゃいます! 既成事実ってこういうことですよね!」

「こんな真夜中に出歩いて。何してるんすか」

「あ、京太郎くん!? どうして!?」

「まぁ、ちょっと雉打ちに……で、早く戻らないと霞さんに怒られますよ」

「うぅ……」

「……ふぅ。あ、そうだ。ちょっと最近寝不足なんですけど」

「……え?」

「良かったら、抱き枕が欲しいなー。なんて」

「……!」パアァッ

【きっと霞さんもポンコツ】

雉撃ちって……野糞かよぉ!

いや、用を足す意味だから小の可能性もあるか……?

「異類婚姻譚って知ってる?」

「あ、鎖取れた」

「うそっ!?」

「あーもう、痣になってるじゃないですか。カメラに映らないからいいけど」

「そんな……」

「さて、咏さん」

「……」


「お友達から、始めませんか?」

「……それは、どういうことだい?」

「正直、まだ咏さんがどうしてこんな事したのかは分かりません」

「……」

「……けど、咏さんが俺のことを好きだってのは、わかりました」

「……」

「いきなり、結婚とか言われても困っちゃうけど……でも、俺がここまで来れたのも咏さんのお陰ってのは、わかります」

「……京ちゃん」

「だから、その……話が上手く纏まらないけど……咏さん」




「――お友達から、始めませんか?」




【きよくただしいおつきあいを】

次スレ立てましたー

京太郎「修羅場ラヴァーズ」照「ずっとずっと、愛してる」
京太郎「修羅場ラヴァーズ」照「ずっとずっと、愛してる」 - SSまとめ速報
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1000なら浮気されても捨てられても死んでも京太郎が幸せなら構わないと笑いかけて尽くしてくる愛の重い聖人系ヤンデレ煌

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