男「女さん、これホワイトデーのプレゼント」 (30)


女「あ、さすがぁ。こういうとこちゃんとしてるよね、男君」

男「まあ貰ったお返しはキチンとしたいしね。何倍返しにもなってはないけど」

女「いいんだよ、ありがとうね!」



「………」ジーーッ





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男「後輩ー」

後輩「あっ、男先輩」


男「これ、ホワイトデーだから」

後輩「うわー、すみません。義理チョコしかあげてないのに」

男「でも手作りだったじゃん、美味しかったよ。俺のもそんな他意は無いから、ご心配なく」

後輩「あはっ、先輩なら他意があってもいいんですよー? なーんて」

男「おいおい、変な期待させんなよー」



「………」ジーーッ





男「生徒会長っ」

会長「あら、男君」


男「これ、バレンタインのお返しっす」

会長「あらあら……何だか悪いわね」

男「ぜんぜん、言うほど大したもんじゃないんで」

会長「じゃあありがたく頂くわ。でも何も出ないわよ?」

男「解ってますって。生徒会長、彼氏いるじゃないすか」

会長「世の中には別腹って言葉もあるけど…ね?」

男「ちょ! 生徒会長、からかわないで下さいよー!」



「………」ジーーッ





男「おう、妹。お前も今帰りか?」

妹「……外で話しかけないでって言ってるじゃん、キモッ」


男「ちぇっ、昔は可愛かったのに。まあいーや、ほら……これホワイトデーだから」

妹「!! ……バッカじゃない! キモッ! キモッ!」アタフタ

男「うっせ。渡したかんな、何も貰ってないって言うなよ」

妹「……キッモ…」ニヘラ



「………」ジーーッ





男「ただいまー」

姉「ああ、おかえりなさい」


男「姉ちゃん、これ」

姉「あら、ホワイトデーの? ふっふーん、可愛い弟め! キスしちゃろう!」

男「ばーか、変態姉かよ」ケタケタ

姉「よいではないかよいではないか!」

男「うわー、何をするー!」

姉「あはは……ま、ありがとうね!」

男「どーいたしまして」


……ピコッ


男(ん? 携帯…メッセージ、幼馴染か)





…男の部屋


男(メッセージ『帰ってる?』だけだった)

男(どうしたんだろ、いつもみたく勝手に入ってくりゃいいのに)

男(………)

男(…俺が、行きゃいいのか)


男(……部屋の電気は…点いてんな、いるのか)

男(よし、ベランダ越しに──)





(ロープ…ある、睡眠薬…ある)


(手錠も、ナイフも…大丈夫)


(そうそう…猿ぐつわできるように、タオルなんかも用意しとかなきゃ)


(……これで、万全かな)




…コン、コン


男「お邪魔ー」


カラカラ…


幼馴染「!!」

男「よ、なんかメッセージ貰ったんだけど」

幼馴染「……き、来てくれたんだ」

男「おう、どしたのかなと思って」




幼馴染「よかった、呼ぼうと思ってたの」

男「そっか、用は何だった?」

幼馴染「うん…まあ、ゆっくり話すよ」


………



幼馴染「……紅茶でよかった?」

男「うん、サンキュ」


幼馴染「……飲まないの?」

男「熱いのあんまり得意じゃないって知ってるだろ? もう少ししたら飲むよ」

幼馴染「………」チッ




男「俺がこっちの部屋に来るの、ちょっと久しぶりだな」

幼馴染「そうだね」

男「昔はかわりばんこ位でお互いの部屋を行き来してたけど」

幼馴染「…そう…だったね」

男「女の子らしい部屋になったよなー」


幼馴染「男…今日、何の日か知ってる?」

男「え?」

幼馴染「知ってるよね、みんなに愛想振り撒いてたもんね」

男「へ? …ああ、ホワイトデーの事か」




幼馴染「良かったよね、バレンタインはたくさん貰えて。お返しも大変だったでしょ」

男「大変なんて事は無いよ、まあクッキー焼くなんて慣れなかったけどな」

幼馴染「へえ…あれ、手作りなんだ」

男「ああ、お前のもあるぞ? …はい」ヒョイ

幼馴染「!! ……ありがと、でも……」

男「まあ、食ってみろよ。味の保証はできかねるけど」

幼馴染「その他大勢と一緒……か…」ボソッ




…パクッ、モソモソ


男「どう?」

幼馴染「…ん、美味しい。紅茶に合うね」

男「良かった、俺も紅茶貰お」


…ゴクンッ


幼馴染「………」ニヤッ

男「うん、苦味がきいてる。ダージリン?」

幼馴染「うん……特別製の」

男「ふーん…?」




幼馴染「ねえ、バレンタイン…私のチョコ、どうだった?」

男「え? 美味しかったよ?」

幼馴染「そうだよね、すっごく頑張ったもん」ニッコリ

男「そうなのか、ありがとうな」

幼馴染「男はたくさんチョコ貰って、そんなにありがたみは無かったのかもしれないけど」ニコニコ


男「そんな事ないよ」

幼馴染「あるよ」イラッ

男「……え?」




幼馴染「だってお返し、みんなと同じクッキーでしょ? 私のチョコは特別製……男にしかあげてないのに」

男「何を言って…」

幼馴染「いいの、だから私……ホワイトデーのプレゼントは自分で貰う物を決める事にしたの。そして──」

男「幼馴染、何を言ってんだ? 俺は…」


幼馴染「──それはもう、目の前にあるの……」クスッ





チャラッ…ガチャッ、ジャキンッ





男「幼馴染……誰がお前へのプレゼント、そのクッキーだけだって言った?」


幼馴染「え……?」ジャラッ


男「俺からの本当のプレゼントは、コレだよ」ジャキッ

幼馴染「手錠……何で、お互いの片手を繋いで…」

男「逃げられないだろ? やるよ、特別製のプレゼントをさ。大丈夫、ベランダにはナイフもロープも猿ぐつわの道具も置いてあるから」

幼馴染「お、おと…こ…?」




男「それにさっきのクッキーだって、お前の分だけは特別製だったんだぜ?」

幼馴染「……!?」グラッ…

男「睡眠薬入りだったんだよ、美味かったか?」


幼馴染「…くっ……」

男「俺はずっとお前が好きだったよ……いつかどうにかしてやりたいと思ってた」

幼馴染「………」

男「知ってんだ、先週自分で言ってたもんな? この週末、親はいないんだろ? 今年のホワイトデー、金曜日で良かったよ」




幼馴染「…ふふっ」

男「……? 何がおかしい?」

幼馴染「睡眠薬…? 偶然ね、これも気が合うって事の表れかしら」


男「何を…」グラッ…


幼馴染「あの紅茶も同じ隠し味入りよ、苦味が効いてたでしょ?」

男「…なっ…!?」

幼馴染「もっと奇遇な事に、後ろのベッドの下にはロープや手錠、ナイフなんかもあるわ……ベランダに行く手間が省けたでしょ?」

男「幼馴染…お前っ!」

幼馴染「私だけへの特別なプレゼント…それは男、貴方自身でいいの。ずっとずっと…大好き…だったわ……」




男「……くそっ…意識が…」

幼馴染「…私…も……」

男「とりあえず……寝るか…」

幼馴染「そうね…いい夢がみられそう…」


男「これから……よろしく…な…」

幼馴染「こち…ら…こそ……」


…ドサドサッ


【おしまい】


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