男「下級魔族の奴隷にされてしまった…」(92)

男「もう未来が見えない…」

#

商人「では、お品物をご確認ください」

「ん」グイッ

男「ひっ…」

「………うむ、確かに」

男(こ、こいつが俺を買ったのか…?)

男(凄い鎧着てるけど……女、だよな…)

鎧の女「金は後日送る。こいつはもう連れ帰っていいのだろ?」

商人「はい。どうぞお好きになさってください」

男(………なにされるんだろ、俺)

#

鎧「―――ここがお前がこれから働く家だ」

男「…はぁ」

男(なんていうか、結構大きなお屋敷だな…)

男(下級魔族って聞いてたけど、意外と金持ちなのかな)

鎧「そうだ、お前の仕事を伝えていなかったな」

鎧「とりあえず中へ入ろう。仕事はいくつかあるから、実際に現場を見てもらった方が説明も早い」

男(仕事と現場か…。とすると、どうやらすぐに殺されたりとかはしないらしい。よかった…)

#

鎧「おい、入るぞ」

『え、姐さん?ちょ、ちょっと待って!』ガサゴソ

鎧「………今更片付けようもないだろうに。入るからな」

『えっ、ちょ、まっ―――』

ガチャッ…………ズザザザザ

「あああーーー!!」

鎧「………」

男(…本やら紙切れやら衣服やらが雪崩になって出てきた)

「うう…待ってって言ったのに…」

鎧「普段から片付けをしないお前が悪い」

鎧「で、何度言っても片付けられないお前に呆れて、奴隷に掃除をさせる事にした」

「奴隷?」

男「……はい」

鎧「男、まず一つ目の仕事だ」

鎧「お前にはこれから、日常的にこのオーガの部屋の片付けをしてもらう」

オーガ「あー…よろしくね?」

男「よ、よろしく…」

男(オーガって…もっとガタイがよくて、女でも戦場を荒らし回るイメージだったけど…)

男(この子はなんだか………ちっちゃいな)

#

鎧「とりあえず、片付けは明日からでいい。今日は他の仕事場所を教える」

鎧「といっても、後は風呂やトイレ、台所なんかの共有スペースの清掃が主だな」

男「はい」

男(なんだか、思ったより普通だな…)

鎧「それと、そうだ」

鎧「男、お前、性欲は強い方か?」

男「…………え?」

#

鎧「入るぞ」ガチャ

インプ「あ、お姉様」

鎧「どうだ?研究は順調か?」

インプ「えぇ、まぁ。日進月歩というには程遠いですが…」

鎧「そうか…」

鎧「ところでインプ。お前、前に人間の男の精子が欲しいといってたな」

インプ「はい。でも、市場では高くて手が出せなくて…」

鎧「なら、タダで手に入れればいいな」

インプ「え?」

男「………」

インプ「あ」

鎧「今日からこの家の奴隷になる男だ」

鎧「必要になったら、こいつから取るといい」

###

鎧「だいたいこんな物か。全て明日からとりかかってくれればいいぞ」

鎧「夕飯の支度も、今日は注文してある。明日からはお前に作って貰うがな」

男「あの、俺、魔族の料理とかわからなくて…」

鎧「ああ、それなら気にしないでいい」

男「え?」

鎧「ここに住んでいるのは、皆魔族と人間のハーフなんだ。だから、人間の料理だって食べられる」

鎧「そういう屋敷なんだ、ここは」

男「………」

#ってなんだよ

###

男(その日の晩餐は、俺だけ一段低いテーブルではあったが、皆で一緒に食べた)

男(魔族の料理は、見た目こそ人間のそれと違っていたが、味付けに大きな違いは感じられなかった)

男(オーガとインプはチラチラと俺の方を見てきたが、話し掛けられる事はなく、鎧の女性――食事中も鎧姿だった――が気を使って、いろいろと質問や話をしてくれた)

男(そして、ややぎくしゃくした晩餐を終え、皆が就寝する段になり、ようやく俺は気付いた)

男(俺の寝所はどこか、と)

男(奴隷にはそんな物用意されていないのかも知れなかったが、俺は恐る恐る鎧の女性に聞いてみた)

>>22
自分の中での区切り、場面転換、時間経過、etc...

#

鎧「寝所?」

男「は、はい…」

鎧「………」

男「あの、なければないで俺は別に…」

鎧「………いや、ある」

男「え、本当に?」

鎧「あるが、その前に、一つ仕事をして貰う」

男「はぁ…」

男(自分で掃除して使え、とかかな…)

鎧「私の湯浴みを手伝え」

男「はい、わかり………」

男「……………え?」

##

男(結論から言って、俺は本当に彼女の身体を洗わされている)

男(湯を沸かす薪をくべろ、とか、そういう可能性も考えていたのだが、魔族の風呂は魔力による自動湯沸かしなんだとか)

男(俺は今、鎧を脱いだ裸の女、エルフの女の身体を、同じく裸で洗っていた)

男(それにしても、この身体…)

エルフ「………醜いか?」

男「え?」

エルフ「私の身体だ」

エルフ「傷だらけだろう?」

男「………はい」

男(今洗っている背中だけでも、相当な数の傷跡が見て取れる)

男(戦場とは、こんなにも傷がつくものなのだろうか…)

エルフ「この傷は、人間につけられたものだ」

エルフ「だが、戦場ではない」

男「?」

エルフ「何人もの男に嬲られ、痛みつけられていた時…」スクッ

クルッ

エルフ「私が奴隷だった時に、人間の男共に付けられた傷だ」

男「あ…」

振り向いたエルフの女陰の上には、赤黒く腫れ上がった焼き印があった。

それは間違いなく、人間が自分達の奴隷につける物だった。

男がその印を理解したと見るや、エルフは男に抱き着き、その背中に爪を立てた。

エルフ「私の父は人間の商人で、母はその奴隷だった」

男の首筋に食らいつくように口元を寄せ、エルフは話し出した。

エルフ「二人の間に産まれた私は、7つになるまで手を出される事なく、しかし将来父の慰み物になるよう育てられた」

エルフ「しかしある時、多額の金が必要になった父は、私か母を奴隷商人に売らなければならなくなり…」

エルフ「私はあっさりと売られてしまい、このありさまだ」

背中に突き立てられた爪に一層の力がこめられる。

##

男(ややあってエルフの寝室に招かれた…)

男(さっきの話を聞く限り、このエルフ、人間の男の事恨んでるよな…)

男「……」ガクブル

エルフ「男」

男「は、はい…」

エルフ「お前の寝所だが、部屋を用意してある」

男「じゃ、じゃあそっちに…」

エルフ「だが、私がいる日は、私と一緒に寝て貰う」

男「え…」

エルフ「男、何故私がお前を買ったのか、まだ言ってなかったな」

男「……」

エルフ「お前は、私の父に似ているんだ」

男「あの…お父さんの事、恨んでたんじゃ…」

エルフ「ああ、恨んでいた」

エルフ「私に一生の愛を誓わせ、あの人の為だけに育てられ、当時の私にはあの人が全てだった」

エルフ「その信望にも似た感情をあの人は裏切った」

エルフ「でも、私の心の根底には、まだあの人がいるんだ」

エルフ「………なぁ男、これが1番大事な仕事だ」

エルフ「―――あの人の代わりになってくれ」

               , -─── 、
              /##二二__ヽ、       置     こ     よ
                /##/    、 ヽ ヽ
             ,'## / /_/」_ハ `、 `、    い     こ     く
               |ヘ、#_lノ ;≠、'ノ 刈 l  l!
               { (( ッ'ト-リ ゙   ,、リソハ |'     と     に    分
               ヽヽ o゚ ´   /ソ}'ノ ノノ
               Y ° - ' `゚イイ´      き     テ     か
               /⌒ ( Y)` ;‐‐ ' ゚( i )
            |:::::::::::〉i/^^ゝ-、 (y )       ま     ィ     り
             l++::::(/\ ,ミ}::ハ:ヽ〉i(
            l+┘ /::::::::::ソ:::::}:( y)       す    ッ     ま
                l::::::/:::::::::::/::::::/::::)i〈
             l:::::;++、::/:::::::::!::::{l|ll}       ね    シ    せ
             ハ(___ ノ:::::;++:|l::::::::ハ
            / ̄キ:::::::::メ メ::|ヽ、:::::::::ゝ、           ュ    ん
           ,'+++':::::::::::++'::::::\ヽ、::::::キ ヽ

            l::::::::::::::::::::::::_rァ⌒`ヽ、:::└++ヽ_____          が
           l:::::::::::::::_/ヽノ     ヽ::::::::/_っー’   _,,..i'"':,

           ノ_へ∧/    `、__    \        |\`、: i'、
            (_    \        `、  `丶、   `;       .\\`_',..-i
           `‐‐--\      `、      ノ        .\|_,..-┘
     , '⌒ヽ._____\     `、─---‐'
    /             ̄`ヽ    ;


バンバンバンバンバンバンバンバン バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン

バンバンバン /      \   はよせえ言うとるんじゃボケェ!
 ミ ミ ミ /  \    /\バンバン ミ ミ ミ バンバンバンバンバンバンバンバン
/⌒)⌒)⌒    (●)  (●) \   /⌒)⌒)⌒) バンバンバンバンバンバンバンバン
| / / /      (__人__)    | (⌒)/ / / //バンバンバンバンバンバンバンバン
| :::::::::::(⌒)    ` ⌒´   /|^| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|バンバンバンバンバンバン

|     ノ            \| | バンバンバンバンバン |バンバンバンバンバンバン
ヽ    /              | | バンバンバンバンバン |バンバンバンバンバンバン
 |    |   l||l 从人 l||l    | | バンバンバンバンバン |バンバンバンバンバンバン
 ヽ    ---一ー_~、⌒)、⌒)^), |_| バンバンバンバンバン |バンバンバンバンバンバン
  ヽ _____,ノ|____|_|____________|バンバンバンバンバンバン


         ____、′     、 ’、  ′ 
       /      \     . ’      ’、 
      /  ─    ─\ 、′・” ”;  ”  ’、
    /    (○)  (○) \  ’、′・  ’、.・”;  ”  ’、 
    |       (__人__)  ’、′  ’、  (;;ノ;; (′‘ ・. ’、′”;
     \      ` ⌒´ ’、′・  ( (´;^`⌒)∴⌒`.・   ” ;  ’、′
    ノ          、 ’、 ’・ 、´⌒,;y' ;:;;) ;;;;;ノ、"'人      ヽ
   /           〃  、(⌒ ;;;:;´'从 ;'   ;:;;) ;⌒ ;; :) )、   ヽ
  (    ヽ、     ,.γ ー( ´;`ヾ,;⌒)´  从⌒ ;) `⌒ )⌒:`.・ ヽ
   |   ヽ     γ⌒ヽ)ニ`:::、 ノ  ...;:;_)  ...::ノ  ソ ...::ノ

小悪魔「へぇ、あんたが新しい奴隷なの。来るのが遅いっ」ゲシッ

男「あうっ」

小悪魔「前の奴隷は根性無しだから、すぐ骨抜きになっちゃったけど……あんたは大丈夫よねぇ?」

男「俺を…どうする気だよ…子供のくせして…」

小悪魔「う、うるさいっ!そうね、まずは……私の肩を揉みなさいよ」

なんちゃって!

忍びがたりない

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom