男「もう未来が見えない…」
#
商人「では、お品物をご確認ください」
「ん」グイッ
男「ひっ…」
「………うむ、確かに」
男(こ、こいつが俺を買ったのか…?)
男(凄い鎧着てるけど……女、だよな…)
鎧の女「金は後日送る。こいつはもう連れ帰っていいのだろ?」
商人「はい。どうぞお好きになさってください」
男(………なにされるんだろ、俺)
#
鎧「―――ここがお前がこれから働く家だ」
男「…はぁ」
男(なんていうか、結構大きなお屋敷だな…)
男(下級魔族って聞いてたけど、意外と金持ちなのかな)
鎧「そうだ、お前の仕事を伝えていなかったな」
鎧「とりあえず中へ入ろう。仕事はいくつかあるから、実際に現場を見てもらった方が説明も早い」
男(仕事と現場か…。とすると、どうやらすぐに殺されたりとかはしないらしい。よかった…)
#
鎧「おい、入るぞ」
『え、姐さん?ちょ、ちょっと待って!』ガサゴソ
鎧「………今更片付けようもないだろうに。入るからな」
『えっ、ちょ、まっ―――』
ガチャッ…………ズザザザザ
「あああーーー!!」
鎧「………」
男(…本やら紙切れやら衣服やらが雪崩になって出てきた)
「うう…待ってって言ったのに…」
鎧「普段から片付けをしないお前が悪い」
鎧「で、何度言っても片付けられないお前に呆れて、奴隷に掃除をさせる事にした」
「奴隷?」
男「……はい」
鎧「男、まず一つ目の仕事だ」
鎧「お前にはこれから、日常的にこのオーガの部屋の片付けをしてもらう」
オーガ「あー…よろしくね?」
男「よ、よろしく…」
男(オーガって…もっとガタイがよくて、女でも戦場を荒らし回るイメージだったけど…)
男(この子はなんだか………ちっちゃいな)
#
鎧「とりあえず、片付けは明日からでいい。今日は他の仕事場所を教える」
鎧「といっても、後は風呂やトイレ、台所なんかの共有スペースの清掃が主だな」
男「はい」
男(なんだか、思ったより普通だな…)
鎧「それと、そうだ」
鎧「男、お前、性欲は強い方か?」
男「…………え?」
#
鎧「入るぞ」ガチャ
インプ「あ、お姉様」
鎧「どうだ?研究は順調か?」
インプ「えぇ、まぁ。日進月歩というには程遠いですが…」
鎧「そうか…」
鎧「ところでインプ。お前、前に人間の男の精子が欲しいといってたな」
インプ「はい。でも、市場では高くて手が出せなくて…」
鎧「なら、タダで手に入れればいいな」
インプ「え?」
男「………」
インプ「あ」
鎧「今日からこの家の奴隷になる男だ」
鎧「必要になったら、こいつから取るといい」
###
鎧「だいたいこんな物か。全て明日からとりかかってくれればいいぞ」
鎧「夕飯の支度も、今日は注文してある。明日からはお前に作って貰うがな」
男「あの、俺、魔族の料理とかわからなくて…」
鎧「ああ、それなら気にしないでいい」
男「え?」
鎧「ここに住んでいるのは、皆魔族と人間のハーフなんだ。だから、人間の料理だって食べられる」
鎧「そういう屋敷なんだ、ここは」
男「………」
#ってなんだよ
###
男(その日の晩餐は、俺だけ一段低いテーブルではあったが、皆で一緒に食べた)
男(魔族の料理は、見た目こそ人間のそれと違っていたが、味付けに大きな違いは感じられなかった)
男(オーガとインプはチラチラと俺の方を見てきたが、話し掛けられる事はなく、鎧の女性――食事中も鎧姿だった――が気を使って、いろいろと質問や話をしてくれた)
男(そして、ややぎくしゃくした晩餐を終え、皆が就寝する段になり、ようやく俺は気付いた)
男(俺の寝所はどこか、と)
男(奴隷にはそんな物用意されていないのかも知れなかったが、俺は恐る恐る鎧の女性に聞いてみた)
>>22
自分の中での区切り、場面転換、時間経過、etc...
#
鎧「寝所?」
男「は、はい…」
鎧「………」
男「あの、なければないで俺は別に…」
鎧「………いや、ある」
男「え、本当に?」
鎧「あるが、その前に、一つ仕事をして貰う」
男「はぁ…」
男(自分で掃除して使え、とかかな…)
鎧「私の湯浴みを手伝え」
男「はい、わかり………」
男「……………え?」
##
男(結論から言って、俺は本当に彼女の身体を洗わされている)
男(湯を沸かす薪をくべろ、とか、そういう可能性も考えていたのだが、魔族の風呂は魔力による自動湯沸かしなんだとか)
男(俺は今、鎧を脱いだ裸の女、エルフの女の身体を、同じく裸で洗っていた)
男(それにしても、この身体…)
エルフ「………醜いか?」
男「え?」
エルフ「私の身体だ」
エルフ「傷だらけだろう?」
男「………はい」
男(今洗っている背中だけでも、相当な数の傷跡が見て取れる)
男(戦場とは、こんなにも傷がつくものなのだろうか…)
エルフ「この傷は、人間につけられたものだ」
エルフ「だが、戦場ではない」
男「?」
エルフ「何人もの男に嬲られ、痛みつけられていた時…」スクッ
クルッ
エルフ「私が奴隷だった時に、人間の男共に付けられた傷だ」
男「あ…」
振り向いたエルフの女陰の上には、赤黒く腫れ上がった焼き印があった。
それは間違いなく、人間が自分達の奴隷につける物だった。
男がその印を理解したと見るや、エルフは男に抱き着き、その背中に爪を立てた。
エルフ「私の父は人間の商人で、母はその奴隷だった」
男の首筋に食らいつくように口元を寄せ、エルフは話し出した。
エルフ「二人の間に産まれた私は、7つになるまで手を出される事なく、しかし将来父の慰み物になるよう育てられた」
エルフ「しかしある時、多額の金が必要になった父は、私か母を奴隷商人に売らなければならなくなり…」
エルフ「私はあっさりと売られてしまい、このありさまだ」
背中に突き立てられた爪に一層の力がこめられる。
##
男(ややあってエルフの寝室に招かれた…)
男(さっきの話を聞く限り、このエルフ、人間の男の事恨んでるよな…)
男「……」ガクブル
エルフ「男」
男「は、はい…」
エルフ「お前の寝所だが、部屋を用意してある」
男「じゃ、じゃあそっちに…」
エルフ「だが、私がいる日は、私と一緒に寝て貰う」
男「え…」
エルフ「男、何故私がお前を買ったのか、まだ言ってなかったな」
男「……」
エルフ「お前は、私の父に似ているんだ」
男「あの…お父さんの事、恨んでたんじゃ…」
エルフ「ああ、恨んでいた」
エルフ「私に一生の愛を誓わせ、あの人の為だけに育てられ、当時の私にはあの人が全てだった」
エルフ「その信望にも似た感情をあの人は裏切った」
エルフ「でも、私の心の根底には、まだあの人がいるんだ」
エルフ「………なぁ男、これが1番大事な仕事だ」
エルフ「―――あの人の代わりになってくれ」
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バンバンバン / \ はよせえ言うとるんじゃボケェ!
ミ ミ ミ / \ /\バンバン ミ ミ ミ バンバンバンバンバンバンバンバン
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ヽ ---一ー_~、⌒)、⌒)^), |_| バンバンバンバンバン |バンバンバンバンバンバン
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( ヽ、 ,.γ ー( ´;`ヾ,;⌒)´ 从⌒ ;) `⌒ )⌒:`.・ ヽ
| ヽ γ⌒ヽ)ニ`:::、 ノ ...;:;_) ...::ノ ソ ...::ノ
小悪魔「へぇ、あんたが新しい奴隷なの。来るのが遅いっ」ゲシッ
男「あうっ」
小悪魔「前の奴隷は根性無しだから、すぐ骨抜きになっちゃったけど……あんたは大丈夫よねぇ?」
男「俺を…どうする気だよ…子供のくせして…」
小悪魔「う、うるさいっ!そうね、まずは……私の肩を揉みなさいよ」
なんちゃって!
忍びがたりない
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