幼馴染「す、好きでしたっ!」(211)


男「え?」

幼「(しまったぁーーーーー!!! 間違えたーーーーーー!!!)」


男「大事な話しがあるからって、いきなりそれかよ……」

幼「え、えっと! 今のは」

男「……俺もさ、幼が好きだったんだけどな」

幼「へ?」

男「まさか告白する前にフられるなんて、はは」

幼「えとえと!」

男「なぁ、俺のどこが駄目だったんだ!?」

幼「う、ぐ」タジ

男「そうか、言えないくらい俺は酷いのか」

幼「(勘違いしとるぞこいつ!?)」


幼「ちょーーーと待って!!」

男「なんだ?」

幼「あ、あのね? 好きだったっていうのは、アレのことなの!!」

男「……あーーーーー!!! アレかぁ!!!」

幼「そうそう、それそれ!!」

男「アレなら仕方ないか!」

幼「うんうん!!」

男「……アレってなんだよ、俺はそんなことも解らずにお前を解ってたつもりだったのかよ」

幼「(私だってアレって何を指し示してるのかわかんないってのっ!!!)」


男「それしても、なんだ。勘違いでお前に好きって言っちまった」

幼「あ、……うん」////

男「こんな奴から告白されても迷惑だったよな」

幼「はい?」

男「あのさ、明日からも学校で会ってもいつも通りに接してくれな!」

幼「あのぉ、おいおい?」

男「じゃあな!!」ダダダ

幼「ちょ、おまっ!!」




幼「あれ、なんだこれ」

次の日
学校


幼「あ、友! おはよう!」

友「おはよう。ところで、君は昨日の夕方、男くんをフったらしいな」

幼「え、なにそれ?」

友「男くんから電話がきてな」

幼「(やな予感しかしない)」

友「告白する前にフられたと自嘲気味に笑ってたんだ」

幼「」


友「実は、以前から男くんには相談を受けていた」

幼「うん?」

友「幼と付き合いたいんだが、どうしたら”いい男”になれるかと」

幼「(……だから、最近すっごくかっこよくなってたんだ)」

友「それと、君との話題づくりも私が提供したりしていた」

幼「(そういえば、男との会話すっごく楽しかったなぁ)」

友「それも全て、君に迷惑を掛けてしまっていたみたいだね」

幼「おいおい」


友「なぁ、私からこう言うのもなんだが、男くんは本当に君を思っていたんだ」

幼「」////

友「そうか、俯いて震えてしまうほど嫌悪感が沸いてしまうのか……」

幼「はいぃ!?」

友「……君は優しい人間だ、配慮のできる女性だ」

友「そんな君がそうなるなんて……、本当に男くんが嫌いなんだね」

幼「ちょちょちょっ!?」

友「……これだけはお願いなのだが、男くんと友達関係だけは続けてくれ!」

幼「あ、頭を上げてください!」

友「いやいや、私のお願いを聞いてくれるまでは」

幼「聞きます、聞きますからーーーー!!!!!」


友「そうか!!! では、私は男くんにそのことを伝えてくるよ!!」ダダ

幼「ちょ、ちょっとその前に誤解をぉ……いっちった」



モブA「ねえねえ、あの友さんが頭を下げてたわよ」
モブB「実は幼さんって凄いヒトかも」



幼「くぬぅ、あらぬ誤解ばかりが」

幼「こうなったら男の誤解を解こう、それしかない!!!」


幼「そもそも、そもそもだよ!?」

幼「私は男に……あの、あれだ……あ、愛の告白って奴をだ……」

幼「それなのに、それだったのに!!」

幼「主語は忘れるわ、過去形になるわで……」

幼「おお神よ、この麗しき乙女になんという試練を与えるのだろうか」

幼「……でも、男に好きっていってもらえた~」フニャア

幼「えへへ~」////





一方で


友「友達なら続けてくれるみたいだ」

男「親友からもランク落ちかよ……」

友「男……」


友「そうだ!! 私が自ら幼さんの好きな異性のタイプを聞いてきてやろう!」

男「んなことしなくていいよ、もう……」

友「……」

男「俺なんてさ、……あはは」

友「このばかちんが!!!!」バチン

男「なっ!? いてぇなこの野郎!!!!」

友「野郎ではない!!! しかしなんだその腑抜けは!? それで本気だったのか、笑わせる!!」

男「ほ、本気で好きに決まってんだろうが!!! 今だって、今だってっ!!!」

友「ならば足掻け諦めるな燃え尽きるまで突っ走れ!!! それでも君は私の親友か!?」

友「あのかっこいい男くんはどこに行ったというんだ!!!??」

友「私の知る君は、どんな逆境でも乗り越える強さを持っていた!!!」

男「……友、おらぁ目が覚めたよ!!! ああ、諦めねぇ、最後まで戦いきってやる!!!」


友「そ、そのなんだ……女の私から見ても君はその、あれだ、魅力的なのだから……き、きっと上手くいくさっ!!」

男「ありがとう!!! ところで友よ!」

友「な、なんだ?」

男「最後まで戦いきるって、最後はいつになるんだ?」

友「えっと、学園を卒業するまでかな?」

男「おおう、それならなんとかなりそうだ!!」

友「ああ、そうだなっ!!」






幼「へっくち」

幼「誰か私の噂でもしてるのかなぁ」グズグズ


幼「はぁ、あのときの告白が上手くいっていればなぁ」

幼「とりあえず、授業始まっちゃう」

幼「……男と友、まだ教室に入ってない」

幼「どうしちゃったんだろう」

幼「ま、まさかっ!?」






友「男くん、つらかろうに」

男「友……俺はどうしたら」

友「君のその寂しさを埋めてやろうじゃないか」

男「……と、友……いきなり脱ぐなっ」

友「どうだろうか……そりゃあまぁ、幼さんには劣るかもしれないが」

男「そんなことはないけど……でも……」

友「……寂しさを紛らわすだけもでいいじゃないか、私は君にならこの体を……――」


幼「だ、だめだよ二人とも、そんなの早いよぉ……」

幼「これって寝取られになるのかな、かな?」

幼「……うぇっへっへ」ジュル

男「おい、よだれ出てんぞ」

幼「おお、男! しっぽりしてきたのか!?」

男「はぁ?」

幼「おおおおおお、男ぉおおおお!?」

男「おい、んで驚いてんだよ」

幼「いやいや、なんでもない!!」

幼「(そりゃ昨日のあれの後だし、普通に声を掛けられたら驚くってーのっ!!)」

友「なんとか間に合ったな」

幼「あ、友! えっと」

友「今日のお昼もいっしょに構わないかな?」

幼「う、うん!!」

お昼休憩


友「単刀直入に聞こうと思う」

幼「なぁに?」モグモグ

友「君の好きな異性のタイプはなんだ?」

幼「ひぇえあ!?」ブブブ

友「……この際だ、君の口から飛んできたグリーンピースが何故か私の鼻先にちょこんと綺麗に乗ったことは見逃してやろう」

幼「ご、ごめ~んちゃいっ!」

友「見逃してやると言ったな、あれは嘘だ」

幼「すみませんでしたぁ!!」ザザー

友「許してやろうではないか、ふふん」


友「話しを戻すが、どうなのだ?」

幼「え、えっとねぇー……。かっこよくて、話でおもしろくて、私を一番に想ってくれる人が好き……かも……」////

友「ふむ、そうだったのか」

友「かっこいいとは、どんなのだろうか」

幼「えっと、あう……(男みたいな人、なんて恥ずかしくて言えるかぁっ!)」

友「男くんなんてどうだろうか?」

幼「ちょああああ!?」

友「そ、そこまで嫌と言うのか!?」

幼「あ、その、そうじゃなくってぇ!!!」

>>43
幼「え、えっとねぇー……。かっこよくて、話でおもしろくて、私を一番に想ってくれる人が好き……かも……」////

幼「え、えっとねぇー……。かっこよくて、話がおもしろくて、私を一番に想ってくれる人が好き……かも……」////


友「あれだ、次だ次!! 話しがおもしろいってどんな話しだろうか?」

幼「うううう……。あのね、女の子の話にもしっかりとついていける人で」

幼「しかもね、男性目線からの意見もユーモアに富んだことを言えるひと!」

幼「(ここまで男を意識して発言したんだから気付いてね?)」

友「そうか……、私は女性だからな……だからぁ、あんなアドバイスするんじゃなかった……」

幼「友? おーい。おーい友さんやーい?」

友「す、すまないが私はちょっと用事を思い出したのでなっ!! さらばだ!!!」

幼「……え?」





幼「……一人ぼっちのご飯でも美味しいもん、くすん」


友「おーとーこぉーーーー!!!!」

男「ぐはぁっ!! い、いきなり腹にたっくるしてくる奴があるかぁ!!!」

友「私は重大なミスをしてしまっていた」

男「……え?」

友「実は……――」







友「――……とうことだ。つまり、君が少女漫画がエロいという意見のまま、幼と話しをすべきだったのだ」

男「そうだったのかあ」

友「……すまない、私はなんと謝罪すれば……」

男「……友」

>>48
友「――……とうことだ。つまり、君が少女漫画がエロいという意見のまま、幼と話しをすべきだったのだ」

友「――……とうことだ。つまり、君の少女漫画がエロいという意見のまま、幼と話しをすべきだったのだ」


男「おいおい、勘違いするなよ」

友「お、男くん?」

男「お前がいなかったら、俺はずっと何も変われなかったんだからさ」

友「でも、それが悪い方向に変わって」

男「今回はたまたま悪い方向だったのかもしれねぇ」

男「でもな、友はいつだって俺のために必死だったじゃねぇか!」

男「それが悪かっただなんて、俺は思わない」

男「それに、今だって俺に協力してくれてるじゃねぇか!!」

男「だからさお前はそのままでいいんだよ」

友「……お、男」

男「たはは、俺は一体なにを言ってんだろうな。伝えたいことが伝えられないや」

友「ううん、君の気持ちは確かに伝わった。文章力と表現力には乏しいがな」

男「おいおい、それは言わない約束だろーが……にひひ!」

友「くっくっく」


男「とりあえず、幼にはエロい話しをそのまましておいいってことなんだよな!!」

友「何故だろう、君の瞳がすごくキラキラしているように見える」

男「き、気のせいだろっ」

友「とにかく、今日の放課後でも試してみてはどうだろうか」

男「……あ、あのさ。こう言ったら笑われるかもしれないけど、友もいっしょにいてくれないか?」

友「なるほど、確かにそうだな。君が一人で暴走するのを止める必要があるかもしれない」

男「おおう! 皆まで言わずに分かってくれたか!!」

友「ああ、君のことはだいたい分かるさ」

男「なんだよそれ、照れるじゃねぇか」

友「照れないでくれ、こっちまでその……照れる」



一方で

幼「んあー」

女「なんだか凄く疲れてるね」

幼「まぁーねぇー」

放課後


男「いっしょに帰らないか?」

幼「あ、えと……うん」////

友「済まないが、私もいっしょなのだ」

幼「ふぇ?」





男「そういえば、この前借りた漫画あったろ?」

幼「うん! あれ、おもしろいよね!」

男「あのヒロインにち○ぽをぶっこみたいと思ったよ!」

幼「……え?」

友「そそそ、そうだな!! ち、ちちち……ぽ……だな」////

幼「(なにこれなにこれ、どういう状況!!?)」

幼「(確かに私もそう思ったけどさぁ!!!!)」


男「それにさ、あのモブのあの娘の手でしごいてもらえたらと思うと」

幼「……」

男「え?」

幼「……」

男「ちょ、ちょっとタンマ!!」

幼「あ、うん?」



男「友、なんだか反応がすげぇ悪いと思うんだが」ヒソヒソ

友「そ、そんなはずはない。そうか、もっと過激ではければならないのだ」ヒソヒソ

男「ほ、本当なのか?」ヒソヒソ

友「大丈夫だ、私を信じろ」ヒソヒソ



幼「(しまった、妄想に夢中になりすぎて話しを聞いてなかった)」


男「いやぁっはっはっは!!!」

友「ふーーーはっはっは!!!」

幼「ひぃ!?」ビクゥッ!!!

男「ほ、本音を言えばだな!?[ピーー]を[ピーー]で[ピーー]とか最高じゃないかと思ってたんだ!!」

友「き、奇遇だな!!! わ、私も[ピーー]で[ピーー][ピーー]が[ピーー]だったらと……ああああああ……」////

男「おおお!! そ、それよりも[ピーー][ピーー][ピーー][ピーー]」

友「いやいや、[ピーー][ピーー][ピーー]」

男「[ピーー][ピーー][ピーー]」

友「[ピーー][ピーー][ピーー]」

幼「ふぅ……。通報するよ?」

男「」

友「」


幼「あのね? 流石にちょっとだめだと思うの」

幼「世界は清く正しい愛で包まれているの」

幼「それはただの性欲ではない」

幼「特に友は女の子なんだから、卑猥な言葉を言っちゃだめなのよ」

幼「そこのところ、わかって?」

友「ぐぬぅ」////

男「大きな声であんなこと言ったもんな」

友「言うな、言うな、言うなぁあああ!!!!」

幼「男もそう。男性は紳士であるべきだと思うのでございまするのよ?」

男「おい、口調が」

幼「わかって?」ゴゴゴゴゴ

男「……はい」


幼「じゃあ、ごきげんよう」ツヤツヤ

男「お、おお」ゲッソリ

友「さ、さよなら」ゲッソリ



男「今日のは違うと思う」

友「ああ、私もそう思っていたところだ」







一方で

幼「あわわ、あわわわーーー!!」////

幼「男があんなこと言うなんて、これはもう今日のオカズにするっきゃないね☆」

友の家

友「反省会を開こうか」

男「そうだな」

友「まず、エロいことすなわち男性らしいという訳ではない」

男「了解」

友「それと、ターゲットAにとってのかっこいいとは何だと思うか」

男「すなわち、一般的な女性にとってもかっこいいと同義かと」

友「そうだな。君はまぁ、そのあれだ……私にとっては十分かっこよく見えるぞ……」

友「しかし幼にとってはそうだとは限らない」

男「ああそうだ」

友「すなわち、明日からは爽やかではなくワイルドを目指してみてはどうだろうか!」

男「なるほど!!」

友「タンプトップに短パン、どうだ!」

男「なるほど!! 冬にも入りかけのこの時期、そんな姿はワイルドだ!!」


―――……罪深い夜はふけていった

次の日


ピーンポーン

幼母「男くんが迎えに来たわよぉ」

幼「はぁい」

幼「(これで本当にいつもの日常に戻っちゃったなぁ……)」







男「おおう、幼! 今日も朝からおはようだ!!」

幼「(いつも以上に変なのがいるぅううう!?)」


幼「そ、それ」

男「今日から、男らしさを目指そうと思ってな!」

幼「……すごく寒そうだね」

男「そ、そんなことたぁない!!」

幼「……とりあえずちゃんとした服を着て」

男「なん……だと……」

男「タイム!!!」

幼「はぁ?」





prrrrrrr

男「やばいぞ、幼はこの服装が嫌いみたいだ!!!」

友『なんと!?』


友『と、とりあえずこの作戦は中止だ!』

男「とりあえず家に帰って普段の服を着てくる!」

友『そうした方がいい!!』

ピ



男「す、すまんすまん! ちょっくら家に帰って」

幼「まったく……ちょっとこっち来て」

男「な、何をする!?」


幼「いいからいいから!!」

男「うぉい!?」




幼の部屋

幼「……ん!」

男「なんだこれ?」

幼「こ、これを着ればいいでしょ!」

男「はい?」

幼「いいからいいから、さぁさぁ着やしゃんせ!」

男「ちょ、ちょ!?」

幼「じゃあ私はドアの前で待ってるからね!」バタン


幼「あわわ、あわわ!」

幼「(お、男と付き合えたら着てもらおうと思ってた服、渡しちゃった)」

幼「(勢いだけでやっちゃったぜ! てへぺろっ!)」

幼「まだかなぁ、まーだかなぁ」




ガチャ




男「こ、これでいいか?」

幼「さいっこうですっ!!!」

男「お、おおう……」


幼「じゃあ行こっか!」

男「そ、そうだな」

幼「うん! うちの学園は私服も大丈夫だから問題ないもんね!」

男「そうだな!!」

幼「か、かっこいいぞ」////

男「お、おう」////



物陰

友「なんだあれは、いいじゃないか……」ジュルリ

学校
お昼休憩


幼「らめぇ、そこはらめなのぉ」

女「変な声を出すんじゃないわよ」

幼「らってぇ、なんちゃって!」

女「んで、あんたはどうしたの?」

幼「えっとね、いっしょにご飯を食べてくらさい」

女「”ら”をちゃんと”だ”に変えて発言するならばよし」

幼「女ちゃんだーいすき!!」




一方で


友「その格好はなんだ?」

男「幼から借りたんだ……」


男「あのな、これ着てるとかっこいいってさ」ニコ

友「!?」

男「友?」

友「そうか、それはよかったではないかっ!」

男「おおう!」

友「……わ、私は用事があるので」

男「そうなのか? また後でな!」

友「ああ、また後で」





友「(あんな笑顔を向けられたら、困るじゃないか)」

とりあえず「話し」→「話」な
これ間違えるとバカに思われるから気をつけろ

>>117
名詞としての「はなし」は「話」で
動詞としての「はなし」は「話し」でいいんだよな?

ただいま
保守ありがとっす


友「それにしても、私はなんともまぁ損な性格だろうか」

友「まったく、自己犠牲も甚だしく、ただの偽善者だ」

友「寝取る度胸も無ければ、そもそも気持ちを伝える度胸すらない」

友「男くん……」





男「帰ろうぜ幼」

幼「うん!」


幼「そ、その服どうかな? 私としてはその、かっこいいと思うんだぞ!」

男「お、おう! 流石は幼だな、センスがいいって言うかさ」

幼「あ、あ、あのね? それ、気に入ったなら上げるひょ!?」

男「ひょ?」

幼「あわあ、あわあ」

男「あっはっは! ありがと、でもいいや」

幼「へ?」

男「そんなの悪いっていうか、服にまで気を使われたら友達としてなんというか……」

幼「なっ!?」

男「俺ら、友達だろ?」

幼「……」プルプル


幼「もぉーーーーむかつくなぁ!!!」

男「うおう!? いきなりどうした!?」

幼「あのね、確かに私だってあのときは悪かったよ!?」

男「(あの時? 何が悪かったんだ?)」

幼「だからってさ、いちいち”友達””友達”って強調するかなっ!?」

男「……幼」

幼「もう知らないっ! ばか、まぬけ、あほ、おたんこなす、エロ、鈍感!!!」ダダダ

男「……」





男「友達すら許されないっていうのかよ、くっそぉっ!!」

友の家


男「……」ズーン

友「お、おおう。どうした?」

男「だめだ、俺、もうだめだ」

友「何がだ、言ってみろ」

男「完全に幼に嫌われた、友達すら嫌って言われた」

友「そんなばかなっ! 一体なぜ……」

男「実は今日の帰りに……――」




男「――……ということがあって」

友「……私が言うのもなんだが、流石に幼さんが酷いと思う……」


一方で
女家



幼「うわーーーん!! うぇーん!!」シクシク

女「おお、よしよしどうしたどうした?」

幼「あ゛の゛ね゛? ぎいでよぉ……ひっく、ぐす……――」




幼「どうじよぉ、あれじゃあもうきらわれちゃっだよぉ……グス……」

女「あんたねぇ……その、主語を言わない癖っていうか、ただのバカっていうか……」

幼「……ばかだもん」

女「はいはい。でも、今回は流石にあんたが悪いわ」

幼「……うん…反省してる……」

そのあれだ
受容が無さ過ぎて不快なだけなら止めるが


幼「でもどうしよ」

女「そうだねぇ……あれだ!」

幼「どれ?」

女「もういっかい告白すんのよ!」

幼「……恥ずかしいかも」

女「でももう取り返しが付かないじゃない」

幼「……うん」

女「明日にでもさ、やっちゃいなよ!」

幼「か、考えとく!」


次の日



幼「……ありゃ、男は流石に迎えにこないか」

幼「だよねぇ、昨日あんなこと言っちゃったんだもん」

幼「……あーあ」






幼「あ、おはよう友!」

友「……少し話しがあるのだが、今日の放課後いいかな?」

幼「うん、別にいいよ? ところで男は?」

友「今日は休みみたいだ」

幼「え?」


放課後


幼「あ、待ったかな? ホームルームが長引いちゃって」

友「いいや構わないさ。さっそくだが、話しというのは男くんのことについてだ」

幼「……うん」

友「昨日、こっぴどく男くんに嫌いと言ったと聞いたが」

幼「え!? そんなこと言ってない!!」

友「だがしかし、罵倒を浴びせるだけ浴びせて、そのまま帰ったとか」

幼「た、確かにそうだけどさぁ」

友「……男くんはすごく落ち込んでいたよ」

幼「……ごめん」


友「これ以上、男くんが落ち込んでいる姿は見たくないんだ」

幼「……」

友「正直に言おう、私は男くんが好きだ」

幼「……うそ?」

友「本当だ。だがもう遠慮はしないつもりだ。私が彼を幸せにしてみせる」

幼「……」

友「さし当たって、今日の夜にでも告白しようと思っている」

幼「そ、そっか」

友「ああ」

幼「うん」

友「話しはそれだけ。貴重な時間を使わせてしまって、すまなかった」

幼「だ、だいじょうぶだよ? うん、頑張ってね」

友「ああ」


幼「……どうしよう」

幼「す、好きなのに。本当は大好きなのに」

幼「……うええ」

幼「やだよぉ、男が取られちゃうよぉ……」

幼「……やだぁ」




友「……私は最低だな」

友「傷心の男に言い寄るだけでなく、幼にまで喧嘩を売るような発言をして」

友「……だが、私は男くんが笑顔になれるなら」


女の家



女「――……なるほどね、そんなことがあったんだ」

幼「もう取り返しがつかないよぉ」

女「だぁーめんどくさい!! もういいから、友って娘に告白されるまえに、あんたが先に告れ!!」

幼「えええええ!?」

女「女は度胸よ!! 本当に彼が大好きなら、諦めるんじゃないわよ!」

幼「で、でも!」

女「これは命令よ!? わかった!?」

幼「そんなぁ」


女「まったく、いきなり電話してきて家に来たいっていうから何事かと思ったのに」

幼「だってだって、相談できる人は女ちゃんくらいしかいないんだもん」

女「とりあえず、告白、OK?」

幼「えー」

女「じゃないと、あんたの恥ずかしい出来事や写真集を男って奴に送りつけるわよ!?」

幼「この鬼畜女ぁ……」

女「はいはい。っていうか、もうすぐ日没になるって! さっさと行きなさいよね、このばか!」

幼「うええ、わかったよぉ……」



女「ったく、疲れるったらありゃしないわよ」


prrrrrrr

男「もしもし?」

男「ああ、なんか用か……」

男「え、今から公園に来て欲しい?」

男「ああ」


男「おっす」

友「ああ、おっすだ」

男「んで、話しってなんだ?」

友「こんなときに言うのもあれなのだが」

男「おう?」

友「まどろっこしいのは嫌いだから、単刀直入に言おうと思う」

男「なんだ?」

友「私は君が好きだ、愛している」

男「なっ!?」

友「もちろん異性として、男性として好き」

友「どうだろうか、私と恋仲になっては貰えないだろうか?」


友「どうだろうか、返答を聞かせて欲しい」

男「俺は……」




物陰

幼「(わたしゃなんつー場面に出くわしてしまっとるんだ)」

幼「……でもさ。そうだよね、うん……諦めよっか」

幼「だけど、気持ちだけは伝えたいなぁ」

幼「なぁにをいじいじしとるか私は!! 気持ちくらいぱぱっと伝えてすっぱり諦めてやろうじゃんか!!」






幼「その告白まったぁーーーーー!!!!」

男「え?」

友「な!?」


男「お、幼馴染!?」

友「き、君は何をしにきたんだ!?」

幼「一言だけ言わせてもらうためにきた!!」

幼「いい? 耳をかっぽじて聞きなさいよ! 私は男が大好きです!!!」

男「うぇ?」

友「な!?」

幼「でも、今は違います!! 好きでした、大好きでした!!!」


男「幼?」

幼「男、あんてって本当に鈍感だよね!? 本当はあのとき、あんたに好きって言いたかった」

幼「でも間違えて過去形になっちゃった!」

幼「そんでそんで、事あるごとにネガティブ方向に受け取られて」

幼「気付けばこんな状況よ! ここまできたら開き直るしかないよね!?」

友「お、おい幼さん?」

幼「あの服だって男のためだけに買った奴だったし」

幼「誤解を解こうにも、私、ばかだったから余計に誤解を生んじゃったし」

幼「……その、ごめん」

男「……幼」

友「な、ならば私がしてきたことというのは……」


幼「でもさ、男は私みたいなばかと付き合うよりも、友みたいに可愛くて気遣いのできて、男を第1に想える女の子といっしょの方がいいよ!」

男「お、おい幼!!」

幼「だから諦める! だからね、この気持ちは過去形にするの!!」

幼「す、好きでしたっ!」

男「で、でも俺は今でもお前が」

幼「違うもん! 男は友を好きなんだもん!!」

友「……(私は、私はどうすれば)」

男「そんなこと今更言われても!」

幼「だから祝福したいの、とにかく2人は付き合ってよばかぁ!!」グス


男「いいから聞け幼!!」

幼「やだ、やだ!!!」

友「……わ、私は……私は」

幼「友だって、男が好きならそう言えばいいじゃない!」

幼「なんで私との仲を取り次ごうとしたの?」

友「私はただ、男くんが幸せで笑顔なら……」

幼「他人に好きな人の幸せを任せるつもりだったの?」

友「け、決してそういう訳では!」

友「そ、それにそういう君も君だ!! 今更になって好きでしただと? はっ、笑わせる!!」

幼「なななな!?」

友「それこそただの諦めじゃないか? なんだ、そんな程度だったのか、君の”気持ち”とやらは、くくく」

幼「むっかぁー!! へたれに言われたくない、このむっつりすけべ!」

友「なんだと!?」

男「お、おい2人とも」

幼・友「「男(くん)は黙ってて!!」」


幼「とにかく、あんたが男と付き合え!!」

友「だが断る!! どう見ても男くんは君が好きだからな!!」

幼「いいや断る!! 男、あんたは今も私が好きか!?」

男「……え、えと……正直、わからなくなってる」

友「男くん!?」

幼「そぉれみろ! これはあれだよね、略奪愛って奴だよね!」

友「嬉しそうにするなこのばか!」

幼「ばかって言った、ばかって言った!!!」

友「さっき自分でも認めていたじゃないか!」

幼「ぐぬぬ」

友「ぐぬぬ」


幼「……わかった」

友「……そうだな、これでは話しが進まない」

男「おう?」

幼「友がそこまで言うなら仕方ないよね」

友「君がそんなになるまで言うとは、つくづく諦めなければならにようだ」

幼・友「「私が男(くん)と付き合おう」」

幼・友「「え?」」

男「え?」


幼「と、友!?」

友「諦めたんじゃなかったのか!?」

幼「……」

友「……」

幼「NTRって萌えるよね」

友「寝取りというのをしたみたいと思っていたのだよ」

男「え?」

幼「これは宣戦布告だからね、友?」

友「いいだろう、男をかけて戦争をしようではないか」

幼「ふふふ」

友「うふふ」

男「……えと」


幼「明日から、新しい恋として男は私が狙うから」

友「ほほう。奇遇だな、私も男くんを狙っているんだ」

幼「ふーん」

友「ほー」

幼「……ありがと」

友「い、いきなりなんだ?」

幼「なんでもない! 今日はこれくらいにしといてやる、じゃあね!」ダダダ

友「……そうだな。男くん、私も帰ることにするよ」

男「え?」

友「明日からは忙しいぞ。なんたって、君をめぐってライバルが出現したのだからな」

男「お、おい!」

友「でわな」スタスタ


次の日
登校中


男「あ、あのぉ離れてくれませんかね?」

幼「右腕の幼馴染」

友「左腕の親愛なる友」

友「ちなみに私のほうが胸は大きい」

幼「な!?」

友「幼のスリーサイズは」

幼「最近、友って太ったんだよねぇー?」

友「ななな、何故それを!?」

男「とにかく、周囲の目線が非常に恐ろしいから離れろ!!!」

幼「にっしっし」

友「ふふふ」


幼「男ぉー」

男「な、なんだ?」

幼「好きだぞ!」

男「ぶっ」

友「な、な、な!? わ、私だってその……す、好き、好きだからなっ!?」

男「ええい黙れ2人とも!!」



 
――その後、男がどういう選択をしたかはまた別のお話し。
  今回はここまで! 終わり――




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