ほむら「杏子、どうしてまどかマギカにはキスシーンが無いの!?」(188)

ほむら「まことに遺憾だわ!」

杏子「いや、あたしに言われてもな……」

ほむら「劇場版こそは私とまどかのキスシーンを入れるべきよ!」

杏子「それ一般視聴者は引くだろ」

ほむら「どうして私とまどかのキスで引くの?」

杏子「そりゃ、同性同士でキスとか常識で考えておかしいじゃん」

ほむら「……?」キョトン

杏子「へっ!? おかしいもんじゃないの、そういうキスって!?」

ほむら「全然おかしくなんかないわよ」

杏子「そうなの!?」

ほむら「私の持っている漫画には大抵そういうシーンがあったわ」

杏子「マジかよ!」

ほむら「DVDもそう。ゲームだって」

杏子「へえー」

ほむら「むしろ男女でキスをしているものの方が稀よ」

杏子「いつの間にか日本も変わったんだな……」

ほむら「貴女は少し浮世離れした生活をおくっていたものね」

杏子「じゃあさ」

ほむら「ほむ?」

杏子「例えばあたしとあんたがキスをするのも、今の日本では自然なことなの?」

ほむら「……意外と大胆なのね」

杏子「ばっ、違うから! 実際にキスしたいとか今すぐしようとかそういう意味じゃなくてさ!」

杏子「ただ、漠然とそういう行為は普通のことだって言われても、実感がわかないし……」

杏子「それで手近な具体例を出して確認をだな……」

ほむら「……」モジモジ

杏子「赤面してもじもじすんな! ていうか、人の話を聞けよ!」

杏子「うーん。でもなあ」

ほむら「怪訝そうな顔をしてどうしたのよ」

杏子「いやさ、たった数年でそんなに日本の空気が様変わりすることってあるのかなーって」

ほむら「まあそうなってしまったものは仕方が無いわ」

杏子「といっても、さやかだってあのボウヤに好意を持ってたようだしさあ」

杏子「やっぱどう考えてもマイノリティだろ、女同士は」

ほむら「そんなことないわ」

杏子「嘘くさい」

ほむら「だったら試してみる?」

杏子「へ?」

杏子「試すって、何を……?」

ほむら「私と貴女でキスをするのよ」

杏子「はああぁぁ!!?」

ほむら「もしそれでドキドキするようなら―――」

ほむら「そういう関係がある程度普遍的なものだということが、身に沁みて分かるでしょう?」

杏子「いやいやいや! きき、キスってあれだぞ!? チューだぞ!?」

ほむら「あら。すれたようなふりして案外うぶなのかしら、貴女って」

杏子「なっ!? ばっ、馬鹿にすんな! キスぐらいな、あたしだって!」

杏子「えーっと、小さい頃に確か親父と……」

ほむら「プークスクス」

杏子「だから馬鹿にすんなー!! わかった、やってやろうじゃんか!!」

杏子「それじゃあいくぞ!」

ほむら「ええ」

杏子「……」

ほむら「……」ドキドキ

杏子(ちょっと、なんで黙って目を閉じちゃうんだよ!?)

杏子(これはあれ? あたしから口を近づけないといけないの?)

ほむら「……」ドキドキ

杏子(しかもさっきまで憎まれ口叩いてた癖に、どうしてまた顔を赤らめてるんだよー!)

杏子(こんなマジっぽい反応されたら、余計に緊張するじゃんか!)

ほむら「んー……」

杏子(ああもうやけだっ)

杏子「んんっ」

ほむら「……」

杏子「ぷふうっ……」



杏子「さあどうだ! やってやったぞ!」

ほむら「……」モジモジ

杏子(だから……、なんでそんなに赤面するんだよ!?)

杏子(そういう態度取られたら嫌でも意識されてくるというか……)

ほむら「杏子、顔が真っ赤」ボソッ

杏子「へっ!?」

杏子(あ……。本当だ、ほっぺが熱い……)

ほむら「ね。これで分かったでしょう……?」

杏子「そっ、そうかも……な」ドキドキドキ

ほむら「やっぱり女の子同士って普通のことなのよ」

杏子「……いやいや待てよ!」

ほむら「えっ?」

杏子「昔聞いたことがある! 思春期ってのは、えーと、精神が不安定で!」

杏子「本当はそうでもないことを恋のどきどきだと勘違いしてしまうことがある、とかなんとか!」

ほむら「……」

杏子「だからだな―――」

ほむら「慌てふためきながらそんな言い訳をするということは……」

ほむら「つまり貴女は、私とのキスで恋のどきどきに似た感覚を得たのかしら?」

杏子「なっ!?」

ほむら「私はどきどきしたわよ」

杏子「……」

ほむら「嘘じゃないわ、本当よ。とてもどきどきした」

ほむら「貴女は……、違った?」

杏子「あたしは……」

杏子「だっ、大体鹿目まどかがいるのにこんなことしてて良いのかよ!?」

杏子「アンタはアイツのことが好きなんじゃなかったのか!?」

ほむら「ええ、まどかは大切な存在よ。最高のお友達」

杏子「だろ!? キスしたいとか言ってたじゃんか!」

ほむら「あれは親愛のキスという意味で言った言葉に過ぎないわ」

ほむら「例えば……。そうね。貴女、お父様とキスをした覚えがあるのよね?」

杏子「……まあ、小さい頃に」

ほむら「少なくともその時の貴女にとって、彼は大切な存在だったのでしょうね」

ほむら「でもその大切って、恋とは少し違わないかしら?」

ほむら「私のまどかに対するそれと気持ちも似たようなベクトルのものよ」

杏子「なんとなく分かったような、そうでもないような……」

ほむら「大体私だって、キスしようだなんて提案は誰にでもするわけないわよ」ボソッ

杏子「えっ?」

ほむら「何でもないわ……。ただ、ちょっと鈍感さに悲しくなっただけ」

杏子「なあほむら」

ほむら「何かしら? もしかしてもっと踏み込んだことをしてみたくなった?」

杏子「じゃなくて! アンタにとってのあたしっていったい何なんだ!?」

ほむら「……」

杏子「おーい、ほむら?」

ほむら「……」ゲシッ

杏子「いたっ!? なんで脛なんか蹴るんだよ!!」

ほむら(キスしようなんて提案を遠回しにした時点で少しは気付きなさいよ……)

ほむら(おまけに顔まで赤くなっちゃったのに、それでも気がつかないなんて……)

ほむら「杏子の馬鹿。小卒」

杏子「小卒関係ないだろ!!」

ほむら(私だっていっぱいいっぱいなんだから、少しは察してくれてもいいじゃない……)

ほむら「でもどうして急にそんな質問を?」

杏子「んー、あたしとアンタはさ……」

杏子「ま、親愛のキスを交わしましょうってほど親しい仲でもないじゃん」

ほむら「……そうね」

杏子「かといって険悪ムードってほど仲が悪いわけでもない」

杏子「早い話、中途半端なんだよな」

ほむら「……」

杏子「じゃあさ。ほむらにとってさっきのキスはどういう意味があったのかなって、気になって」

ほむら「親愛のキスじゃないなら、残りの可能性は自ずと限られてくるじゃない」

杏子「えっ!?」

ほむら「……」

杏子「それってつまり!? いやでもそんなまさか、ほむらに限ってそんな……」

ほむら「そんなに変かしら」

杏子「へ?」

ほむら「私が貴女のことを好きだったら、そんなに変かしら……?」

杏子「あー、その……」

ほむら「……ごめんなさい、何でもないわ。今の言葉は忘れてちょうだい」

杏子「変じゃない」

ほむら「杏子?」

杏子「全然これっぽっちも変じゃない!」

ほむら「……」

ほむら「本当に……? だって私、貴女に対しては愛想なく接してきたし……」

杏子「そんなの全然関係ないだろ!」

ほむら「……」

杏子「ごめんな、鈍くって」

ほむら「いえ、そんなこと……」

杏子「考えてみれば、ほむらはさっきからずっと自分の気持ちをアピールしてくれてたよな」

杏子「キスしようって言ったり、どきどきしたことを伝えてくれたり」

杏子「それなのにあたしは自分の気持ちに蓋をするような真似までして……、悪かった」

ほむら「謝らないでいいのよ。私は自分の気持ちが伝わればそれで十分」

杏子「それだけでいいの?」

ほむら「ほむっ!?」

杏子「キスしてどきどきしたのは、あたしだって一緒なんだよ?」

杏子「だったらあたしだってほむらのことが好きなんだろう」

杏子「両想いなら、気持ちを伝えあった地点でストップする必要はないじゃん」

ほむら「……じゃあ」

杏子「うん」

ほむら「杏子は私の気持ちを受け入れて……、くれるの?」

杏子「ああ」

ほむら「でも……、いいの? だって女同士って、普通じゃないし……」

杏子「ちょっとおい!? さっきと言ってることが違うぞ!!」

ほむら「あんなの嘘よ」

ほむら「貴女と……、えっと……」

ほむら「キスする流れをつくるための……、その場任せの嘘……」モジモジ

ほむら「貴女の方からそういうことを言いやすい流れにしてくれたことだけは、想定外だったけど……」

杏子「マジかよ!」

ほむら「ごめんなさい……」

ほむら「本当はキスした時点で、そんなの嘘だってことは伝えるつもりだったの」

ほむら「でも、杏子とのキスで頭がのぼせあがっちゃって」

ほむら「つい欲が出ちゃったみたい……」

ほむら「自分の気持ちを知って欲しい、なんて、馬鹿なことを考えちゃった」

ほむら「それで……」

杏子「……ま、いいや」

杏子「本当のこと白状してくれたんだし、今更気にしないよ」

ほむら「杏子……」

杏子「ああ」

ほむら「貴女って馬鹿?」

杏子「はあ!?」

杏子「なんでそんなこと言われなくちゃならないんだよ!?」

ほむら「だって大変よ? 女の子同士のそういう関係って、周りからは白い目で見られるのよ?」

杏子「あたしがそんなこと気にするタマに思える?」

ほむら「それに、私って暗いし、不器用だし、そもそもこれっぽっちの魅力も……」

ほむら「それなのに私なんかの気持ちに応えるなんて、杏子が不幸せになってしまうんじゃ……」

杏子「あああっ、もう! ほむらは難しく考えすぎ!」ギュッ

ほむら「あっ」

ほむら(抱きしめられて……、あったかい……)

杏子「あたしが好きだってんだからそれでいいんだよ!」

ほむら「……本当に?」

杏子「くどい」

ほむら「杏子……、ありがとう杏子」ギュッ

杏子「まったく。あたしも人のこと言えた義理じゃないけど、本当に不器用だなアンタって」

ほむら「うん……。ごめんね」

杏子「いや、いいさ。そういうところは嫌いじゃないし」

ほむら「ねえ杏子。どうして私が貴女を好きになったか、聞いてくれる?」

杏子「うん。聞かせて欲しい」

ほむら「私ね……、馬鹿だから、何かを言葉にするのが苦手で……」

杏子「……」

ほむら「そのせいで色々なトラブルを起こして、本当は対立したくない相手と何度も対立してきた」

杏子「ははっ、容易にその場の想像がつくのが怖いな」

ほむら「ひどい言い様ね」

杏子「……それで?」

ほむら「でもね。杏子は誰よりも私の言うことを信じてくれたの」

ほむら「もちろんいざこざが一度もなかったとは言わないわ」

ほむら「だけど貴女は、常に一番客観的な位置から私の味方でいてくれた」

ほむら「例え利害関係で繋がっていただけだとしても……」

ほむら「荒んだ私の心には、それが凄く嬉しかった」

ほむら「だから……、好きになったの」

杏子「……」

ほむら「私ね、いつの間にか貴女を頼るようになっていたんだよ?」

ほむら「一人で戦うって決めた筈なのに、無意識の内に貴女のことだけは特別扱いしていた」

ほむら「それだけ、貴女のこと……」

杏子「……」

ほむら「杏子……? どうしたの?」

杏子「いや、悪い。少し意外だったからちょっと思考が停止しちまって」

ほむら「意外って?」

杏子「まどかまどかって目的に向けてクールに戦っていたアンタでも、弱気な部分はあったんだなー、って」

ほむら「むっ。そんなの当たり前よ。私にだって感情はあるわ」

杏子「あー、悪かった悪かった! そうむくれるなって!」

ほむら「じゃあ……、失礼なこと言ったおわびが欲しいわ」

杏子「だから悪かったって」

ほむら「そうじゃなくて! ……ほら」チョイチョイ

杏子(なんだ? 唇を指差して)

杏子(ああー、ああ。そういう……)

杏子「まったくもう、世話が焼けるんだから」

ほむら「んっ……、んん……」

ほむら「ふふっ。見て、私の心臓ったら凄い音をたてているわ」

杏子「……そんなのあたしも一緒だって」

ほむら「私なんかでも貴女をどきどきさせられるのね。嬉しいわ」

杏子「あのさー、ほむらはそう自分を卑下するなよ」

ほむら「え?」

杏子「あたしは……、別に善人じゃないし、まして無償の愛なんて持ち合わせてない」

杏子「そのあたしが! あんたを好きだって言うんだ!」

杏子「魅力が無いなんて、んなことないんだって」

ほむら「本当に?」

杏子「嘘ついてどうすんだよ」

ほむら「じゃあ、例えばどんなところが私の魅力なの?」

杏子「ええっ!?」

杏子「それはだな……」

ほむら「……」ワクワク

杏子「……」

ほむら「……」ワクワク

杏子「……あれ? どこだ?」

ほむら「ちょっとぉ!?」

杏子「なーんて冗談冗談!」

ほむら「もうっ」

まどか「」

さやか「」

マミ「」

ほむっ

よかったら続き書いてみるが、どうか


杏子「……可愛いとことか、かな」

ほむら「…えらく抽象的ね」

杏子「しょうがないだろー、私こういうの苦手なんだからさ」

ほむら「ふふっ確かにそうね。でも気持ちは伝わってきたわ、ありがとう杏子」

杏子「う…前言撤回だ。意地悪だよアンタ」カァァ

ほむら「ふふっ」


杏子「でもさ」

ほむら「?」

杏子「意外って言ったのはそれだけじゃないんだよ」

ほむら「というと?」

杏子「あれだけまどかまどかって必死になってたアン…ほむらはさ。まどかの事が好きなんだろうなって思ってた」

ほむら「……さっきも言ったはずよ、まどかは最高の」

杏子「その言葉も」

杏子「ほむらが自分に言い聞かせてる言葉だと思った」

ほむら「…」


ほむら「……貴女って鋭いわ」

杏子「まあ、勘には自信あるんでね」

ほむら「でも一つ思い違いしてる」

杏子「?」

ほむら「別に私は貴女を騙した訳じゃないわ、さっきのキスだって告白だって、私の中の本当の気持ち」

杏子「……」

ほむら「まどかの事は、もう終わった事なのよ」


ほむら「私が何度も時間をやり直してまどかを救うために試行錯誤してきたことはもう話したわよね?」

杏子「あぁ」

ほむら「私の中で鹿目まどかっていう存在はね。最初はヒーローそのものだった」

ほむら「私がまだ魔法少女になってない頃、魔女の使い魔に襲われたことがあってね」

ほむら「それを助けてくれたのが巴マミと…まどかだったわ」

ほむら「それまで何の取り柄もなくて、使い魔に襲われる前も自分を卑下していたような私にとって、その二人の姿はどこまでも眩しかったわ」


ほむら「そして私はまどかと仲良くなっていって、同時に強く惹かれるようになって」

ほむら「気が付けば、憧れ以上の強い気持ちすら私は抱いていた」

ほむら「ええ、杏子。貴女が言うように私はまどかの事が好きだったんでしょうね…友達以上に」

ほむら「でも強く想う程に私は怖くなっていった」


杏子「…ほむら」ギュッ

ほむら「え…杏子?」ドキッ

杏子「話終わるまでこうしていてやる。今のほむら、泣きそうだ」

ほむら「…ありがとう。杏子」ギュ

杏子「気にすんなよ」



ほむら「…同性愛」

杏子「ん?」

ほむら「同性愛。さっき話したわよね、女の子同士がそういう関係になれば、世間の目も厳しくなってくるって」

杏子「…さっきも言ったろ?私はそんなの」

ほむら「でも私は気にしてしまったのよ。そんなくだらない事を」

杏子「…」

ほむら「私って、本当馬鹿」


杏子「どっかの馬鹿みたいな台詞だな、それ」

ほむら「意識したもの、似るのは当然でしょ?」

杏子「そりゃ確かに」

ほむら「…」

杏子「…」

杏子「なあ」

ほむら「何かしら?」

杏子「今は、どうなんだ?」


ほむら「え?」

杏子「だから今だよ、今。ほむらの過去はわかったけど、私はまだ今のほむらの気持ちを聞いてない」

ほむら「それは…」

杏子「さっき私の事を好きって言ってくれたほむらの言葉、私にも信じさせてくれ」

ほむら「…!そうね、ごめんなさい」

杏子「気にすんなよ」ニカッ


ほむら「今は大丈夫よ、結局まどかには想いを伝えることもなかったけど、今はそれでもよかったかなって思えるし」

ほむら「それに…今は貴女がいるから///」

杏子「……///」カァァ

ほむら「だから…ね?」スッ

杏子「!…んん、ぷは」

ほむら「私は平気。後悔なんてしてないわ」

杏子「……」

杏子「ぷ、はは。そっか。安心したよほむら、ありがとな」ナデナデ

ほむら「……///」




杏子「さーて、すっかり日も落ちたな」

ほむら「早いものね…貴女がここに来たときはまだ昼時だったのに…」

杏子「まあ楽しい時間ほど早く過ぎるっていうしな。それじゃ私はこれで……ってほむら?」

ほむら「………」ガシッ

杏子「両足掴まれると動けやしないんだが」

ほむら「………ええ、そのまま動かなくていいわ」

杏子「は?」


杏子「は?」

ほむら「何故二回言ったのかしら杏子」

杏子「いやそんだけ驚いて…じゃなく!動かなくていいわってのはどういう事だい」

ほむら「文字通りよ、貴女はずっとここにいればいいの。差し当たっては今日1日はずっと」

杏子「………それは、ここに泊まっていけと?」

ほむら「………」コクン



杏子「いやいやいやいやいや」

ほむら「いやいやいやいやいや」

杏子「真似すんな!微妙にアクセント違う!いやいやいきなりそんな事言われても心の準備とか……そうだほらあの着替えとかないだろ!?」

ほむら「そもそも貴女は着替え持ってるのかしら、随分薄汚れた服を着ているけれど」

杏子「流石に持ってるっつーの!いやここ2日程着替えてはないけど…」

ほむら「なら尚更泊まっていくべきね、私の家はシャワーくらいあるわ。着替えは私のを着ればいいし」

杏子「ぐっ…」


杏子「それにほら、ワルプルギスの夜が居なくなってもまだ魔女はいるし…今日も巡回に出なくちゃならないんだよ」

ほむら「それにも及ばないわ。今日はクジで魔女退治には巴マミと美樹さやかがいくことになってるから」

杏子「うそつけ!いつ決まったそんなもん!」

ほむら「ついこないだよ、インキュベーター監修の元決まったわ。貴女は住所不定だから呼べる筈もなくやむを得ず3人と一匹で決めたの」

杏子「さりげに住所不定とか気にしてること言いやがって…」

ほむら「あら、気になるんならいっそ私の家に住む?」

杏子「なっ……!」カァァ

ほむら「貴女なら大歓迎よ」

杏子「それはその…なんというか…もうちょい順序を弁えてだな…///」

ほむら「(キスの時もそうだったけど、変なとこで恥じらい持つわよねこの子)」

杏子「……今、さりげなく馬鹿にしたろ?」

ほむら「ご想像にお任せするわ」


―――――――――


ほむら「それで同居の件はともかく、とりあえず今日は泊まることになった訳だけれども」

杏子「クソッ…こんな筈じゃ…!いつからこんな丸くなったんだ私…」

ほむら「とりあえず、夕食どうするか考えなきゃね」

杏子「無視かよ!…まあいいけど。それで普段ほむらはどうしてるんだ?自炊か?」

ほむら「自炊も以前はしてたけど…時間逆行繰り返してる内に面倒になってきて、コンビニ弁当で済ませてたわね」

杏子「人の事言えたアレじゃないが不健康極まりないな」

ほむら「本当に人の事言えないわね…。でもそうね、今日は折角杏子がいるんだもの、何か作りましょうか」

杏子「いやっほう!楽しみだな!」



杏子「……」

ほむら「はい、召し上がれ」ファサ

杏子「なあ…ほむら?一つ聞いてもいいか?」

ほむら「何かしら」

杏子「なにこれ」

ほむら「オムライスよ。……いえ、この場合は」

杏子「いやいい、何となく台詞が読めるからいい」

ほむら「そう?」

杏子「私が言いたいのはこのケチャップで掛かれた謎の相合傘の事なんだが」


杏子「なんだよこの大きく書かれたほむほむ(ハート
あんあん(ハート
は」

ほむら「あら、いけなかったかしら?私と杏子の折角の記念日だもの、せめて何か工夫をしようと思って」

杏子「記念日?出会って数ヶ月の私達に記念日なんて…」

ほむら「あるわ。……今日は私と杏子が結ばれた、大切な日よ」

杏子「………んな!?」///

ほむら「愛してるわ、杏子」

杏子「お、おう。わ、…も…」

ほむら「よく聞こえなかったわね?」ニヤニヤ

杏子「あーもうウゼえ超ウゼえ!もういい食う!」

ほむら「ふふったくさん食べてね、杏子」

ごめん、朝飯の理に呼ばれた



杏子「はぁー食った食った。ごちそーさん!」

ほむら「ふふ、お粗末様」カチャカチャ

杏子「なんだよほむら、飯作るの上手いじゃねーか!コンビニ弁当なんて勿体ないって!これから自炊したらどうだ?」

ほむら「そうね。貴女がここで同居してくれるなら毎日作ることを約束するわ」

杏子「ぐ…そこ突くか、卑怯だぞ」

ほむら「だって本当にそうなって欲しいんだもの」

杏子「……ま、それも悪くないかもなあ。毎日帰ったらほむらの作った飯があるってのも」

杏子「さしずめ私が夫でほむらが奥さんってとこか?」ニヤッ

ほむら「!!…そ、そうね。その配役が正しいわ」///

杏子「顔真っ赤だぜ?お・ま・え」

ほむら「………ほむ」///


杏子「さてたらふく飯も食ったし」

ほむら「お風呂でも入りましょうか」

杏子「寝るか」

ほむら「ちょっと」

杏子「いいだろー風呂なんて、面倒だ」

ほむら「そうもいかないわよ、貴女ちょっと臭うわ」

杏子「……それになーんかほむらがよからぬ事を企んでる気がしてならないんだよね」

ほむら「何の事かしら早速お湯入れてくるわね」

タッタッタ

杏子「逃げやがった…こりゃいよいよ怪しいぞ…」

杏子「……」

杏子「……」クンクン

杏子「……」

杏子「しょうがない、ほむらの策略にはまってやるか…」


カポーン

ほむら「いいお湯ね…ちょっと狭いけど」

杏子「結局こうなるんだよな。うんわかってた」

ほむら「仕方ないじゃない、湯が勿体ないわ」

杏子「ったく強引に連れ込んだ癖にどの口が…あーでもいいもんだなー生き返った気分だ」

ほむら「そうね…。ところで貴女、こうして見ると結構スタイルいいわね」ホム

杏子「あ、あぁ!?馬鹿ほむら、まじまじと見んなよな!は…恥ずかしいだろ…」

ほむら「いいじゃない女の子同士だもの」

杏子「その割には目線がいやらしいけどな…」

ほむら「……」ジロジロ


杏子「そういうほむらは…なんというかその…」チラチラ

ほむら「……」

杏子「す、スレンダーだよな!羨ましいぜ?その綺麗な肌とか」

ほむら「……いいのよ、無理しなくて。どうせ私は無乳よ」

杏子「あ、えーと……」

ほむら「ふんだ…… !ねえ杏子、少し提案があるんだけれど」

杏子「な、なんだ?洗いっことかならまかせ――」

ほむら「私の胸、揉んでくれるかしら?」

杏子「」


ほむら「ちょっ、ちょっと杏子どこにいくのよ裸のままよ!?」グイグイ

杏子「うるせええこっぱずかしくていられるかこんな所!私は部屋に戻るからなァ!」ジタバタ

ほむら「それ微妙に死亡フラグ、じゃなくて私の話を少しは聞きなさい!」グイッ

杏子「ぜえ…ぜえ…話?胸揉むのに話も糞も…」

ほむら「いいから。――いい?昔からこんな言い伝えがあるわ。胸は揉まれれば揉まれるほど大きくなると」

杏子「はあ…」



ほむら「貴女は私の胸を見て発言に困った。それすなわち私の胸が見るに耐えないものだということに等しい」

杏子「いやそれはおかしい」

ほむら「私だってそんな事はわかってる。杏子のみならず美樹さやかやまどかにだって負けていることくらい」

杏子「おい聞け」

ほむら「でも私はそれでも胸を大きくしたい!そんな悩みの末たどり着いた結論が―――!」

杏子「私に揉んでもらって、大きくしたい!と」

ほむら「そういうことよ」

ほむら「……」

ほむら「(どうでもいいけど物凄い虚しいかつ恥ずかしい発言よねこれ)」


ほむら「というわけで、さあ!」ズイ

ほむら「(こうなりゃヤケよ)」

杏子「いやさあ!って言われてもお前なあ!」

ほむら「さあ!」ズイズイ

杏子「そんなこと出来るわけ…!」

ほむら「さあさあ!」ズイズイズイ

杏子「だからあ!」

ほむら「……」ピタッ

杏子「?どうした、諦めてくれt…」

ほむら「……それとも、私の胸なんか触りたくない…?」ウルッ

杏子「な…!?」



ほむら「……」グス

杏子「おい、ほむら…」

ほむら「いいのよ…。私が悪かったわ…」

杏子「ちょっお前泣いて…」

ほむら「早く身体洗って出ないと風邪を引いてしまうわ、急ぎましy…」

杏子「ああもう分かった!揉むから!揉むから勘弁してくれ!」

ほむら「本当…?」

杏子「ちょっとだけだからな…」

ほむら「なら、お願いしようかしら」ニコッ

杏子「(こいつはめやがった)」


ほむら「……」ドキドキ

杏子「………」ドキドキドキドキドキドキドキドキ

ほむら「……ねえ、寒い早く」

杏子「わわわわかってる!ちょっと待ってな!」アタフタ

杏子「(どうすんだよこの状況!一体どう切り抜けたら…)」

杏子「(と、とりあえず触らないと…)」スッ

ほむら「……んっ」杏子「わああああああああ」ドンガラガッシャン

ほむら「ど、どうしたの杏子?」

杏子「へ、へへ変な声出すなよな!集中できないだろバーカバーカ!」

ほむら「ご、ごめんなさい。気を付けるわ」

杏子「た、頼むぜ本当…」


杏子「……」フニッフニッ

ほむら「……っ」ビクッビクッ

杏子「そ、そんな反応しなくても…」

ほむら「ご、めんなさい…どうも敏感みたいでっ…ぁ!」

杏子「ぐ、くっそ頑張れ私。めげるな…!」

ほむら「んぅ…!あ、はぁ…。ち、乳首が擦れて…!」

杏子「わ、わ悪い当たっちまってた…」

ほむら「ん…いいよ。きもちいい…ひゃう!」

杏子「………」

ほむら「だ、駄目声が出て…」

杏子「……やっぱ無理だああああああああああああ」

ごめんちょっと保守お願い
もうちょっとで終わらせるから



ほむら「さっぱりしたわね」ツヤツヤ

杏子「……」ボロ

ほむら「ほらしっかりしてよ、私が悪かったわ」

杏子「……だ」

ほむら「え?」

杏子「ほむらなんて嫌いだあああああああああああああ」ウワアアアン

ほむら「(可愛い)」


ほむら「というわけで明日も学校あるし、そろそろ寝るわよ」

杏子「うぅ…変な声…胸……」グズグズ

ほむら「悪かったってば。ほら、杏子も布団敷くの手伝って」

杏子「このやろう私をなんだと思って…」

ほむら「大事な恋人よ、そらこれそっち持ってって…」

杏子「はいはい」


ほむら「よし布団完成」ホムッ

杏子「なあほむら、寝るときはちゃんと別々にするんだな」

ほむら「……あら、一組がよかっt」

杏子「今までのお前の蛮行を見てるとそうじゃないのが不思議なくらいだよ」

ほむら「ね、根に持ってるわね…」



杏子「ふんだ。あー久しぶりのベッドだー」ドサッ

ほむら「そういえば貴女、普段はどこで寝泊まりをしていたのかしら」

杏子「んーホテルの空部屋だったりダンボールの中かなー。冬はちとキツかったけど…」

ほむら「物凄いハードな生活ね…」

杏子「もう慣れたさ。それに今は、こうして泊めてくれる人もいるしさ」

ほむら「貴女さえよければ毎日だって」

杏子「はいはいまたその話かよ。さっさと寝るぞ」

ほむら「ほむぅ…」

杏子「(まあでも)」

杏子「(それも悪くないかもな…)」


ほむら「じゃあ電気消すわよ」

杏子「おう」

パチ

ほむら「……」

杏子「……」

ほむら「…………」

杏子「…………」

ほむ杏子「「ねえ(なあ)」

ほむら「!い、いいわよ先言って」

杏子「い、いやお前こそ先どうだ」

ほむら「…」

杏子「…」

ほむら「ふふ」

杏子「はは」


杏子「じゃあ先に言うぞ」

ほむら「ええ」

杏子「…ありがとな」

ほむら「え?」

杏子「今日1日さ、すっげー楽しかった。最初とんでもない事言われた時は驚いたけど」

杏子「それでもあんt「ほむら」……ほむらと付き合えることになって、泊まらせてもらって、すっげー感謝してる」

ほむら「……」

杏子「お礼言いたかったんだ。どうしても。ありがとなほむら」


ほむら「……こっちこそ、お礼言いたいくらいだよ」

杏子「え?」

ほむら「今日1日、私は私の都合でずっと杏子を振り回した」

ほむら「でも杏子は嫌な顔一つせずに、ずっと私に付き合ってくれた」

ほむら「私貴女のそういう所が好きで、それが、凄く嬉しい…」

杏子「……」


杏子「…実際。嫌でも無かったからな」ボソ

ほむら「?」

杏子「いや、何でもないんだ。私もほむらのそういう所、好きだぜ」ニカ

ほむら「!ば、馬鹿…馬鹿杏子」

杏子「はいはい。……あーでもさ」

ほむら「?」

杏子「案外悪くないよな」

ほむら「何が?」

杏子「お前とこれからも、こうしてここで一緒に過ごしていくのも」

ほむら「!そ、それって…」

杏子「ああ」



杏子「ほむらさえよかったら、これから一緒に住ませてくれ」


―――――――――


杏子「ん……ねむ……」

ほむら「ほら、早く起きなさい杏子。遅刻するわよ」

杏子「相変わらずうるさい奴だな…」

ほむら「うるさくて結構、ほら朝御飯も作ったんだから急いで着替えて」

杏子「へいへい…」


杏子「今日も美味いな、ほむらの作る飯は」ガツガツ

ほむら「ありがとう杏子。貴女がいつも美味しそうに食べるものだからついはりきっちゃうだけよ」

杏子「そんなもんかぁ。…おかわりっ」

ほむら「朝からよく食べるわね本当…」

杏子「成長期だからな」

ほむら「貴女いつまで成長期やってるつもりよ…」


ほむら「それにしても本当に制服姿の貴女、見慣れないわね」

杏子「こっちだって未だに着なれないよ。制服なんて生まれてこのかた着たこともないしな」

ほむら「流石小卒ね」

杏子「今じゃただの中学生だけどな」

ほむら「そうね。それよりそろそろ行きましょうか。まどか達をこのままじゃ待たせてしまうわ」

杏子「おお、そうだな」


杏子「――っと。そうだ。その前にほむら」

ほむら「なにかしらっ――んっ」チュ

杏子「――ぷはあ、行ってきますのちゅー。忘れてるぞ」

ほむら「もう…馬鹿」

杏子「好きだぜ、ほむら」

ほむら「私もよ、杏子」チュッ




お わ り

終わり。この後延々と魔法少女5人でダラダラ日常書いてこうと思ったけどキリがないからやめとこうと思う

思い付きで書いてたから色々至らない部分もあったけどそこはまあ乗っ取り補正ってことでね!
保守してくれた人達サンクス、あと>>1も乙面白かった

乙。途中で消えてすまんかった
繋げてくれてありがとな

分岐として書いてくれてもいいのよ?

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