初春「最新型冷蔵庫……?」 (999)
・禁書ssです
・垣根×初春
・キャラ崩壊してます(垣根が常時冷蔵庫です)
・時系列は一応15巻後
おかしい所があったら御意見をお願いします
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気が付くと私はそこにいた
『失礼、お嬢さん』
『はあ。どちら様ですか?』
声をかけてきたのは、ホストのような男だった
『俺の名前はーーーー』
いくら耳を澄ましても、彼の名前は聞こえない
『こういう子が何処に行ったか知らないかな?……最終信号って呼ばれているんだけど』
そう言って、彼は女の子の写真を私に見せた
その子を私は知っている
笑顔が可愛くて、アホ毛が印象的な活発な女の子
けれど、私は嘘をついた
『いいえ……残念ですけど、見てませんね』
『そうか』
子供を探すという彼の目が……余りにも暗い黒で染まっていたから
『どうしても見つからなかったら、警備員の詰所に届け出を出しといた方が良いと思いますけど』
『そうだね。その前にもう少し自分で探してみる。ありがとう』
そう言って、彼は私の前から立ち去ろうとした
『ああ、そうだ。お嬢さんに言い忘れていたことがあるんだけど』
安心した私の耳に、去ったはずの彼の声が響く
『』
そして私は目覚めを迎える
夢の中での出来事を私は覚えていない
初めてあの夢を見た日、私が目覚めた場所は病室で、肩に強い痛みがあった
カエル顔の医者は、強いストレスによる一時的な記憶喪失だと説明してくれた
精神に過負荷がかかった時の記憶がすっぽりと抜け落ちているのだという
確かに、『あの時』以外の記憶はしっかりしている
『あの時』のことだけを、まるでビデオのテープが切れたように思い出せないのだ
汗が体から熱を奪っていく
どうやらまた同じ夢を見ていたらしい
外から配達員の呼びかけが聞こえた
そうだ、今日は買い換えた最新型の冷蔵庫が届く日だっけ
花飾りが崩れていないか確認してドアを開ける
「ちわーっす!冷蔵庫の配達に参りました!」
そう、あれは過去のこと
気にするから夢を見るのだ
それならば、記憶喪失のことも含めて
「お勤めご苦労様です!」
全部忘れてしまえば……それでいい
ーーーーーーーーーーーーーーー
垣根(…………)
垣根(…………あ?)
垣根(………?……何で意識がある………?俺はあの時、第一位に殺されたはず……)
垣根(クソッ……頭がボーッとして働かねぇ……何が起きてやがる?)
垣根(………………落ち着け……冷静になれ……まずここは何処だ?病院じゃねえな。暗い……倉庫か何かか。)
???「えーっと……注文はこれか」
垣根(誰か居るのか!?って、俺が……運ばれているのか?これは)ガダゴト
垣根(体がピクリとも動かせねえ。何なんだ一体?)
垣根(結局、抵抗できないまま運ばれてきたが……ここは……部屋、か。暗部の連中の部屋とは違う感じだな……学生寮みてぇだ)
???「ご注文、こちらの品で宜しいですか?」
???「はい、ありがとうございました!」
???「では、失礼します~」
???「御苦労さまです、助かりました」
垣根(何だコレ、声も出せねえじゃねえか……何か体も四角くなってるしどうすりゃいいんだ)
???「電気屋さんの言う通りに買い換えちゃったけど、結果的にはラッキーだつたんですかね?最新の冷蔵庫を値引きしてもらったし」
垣根(女のガキか?ってオイ、頭がお花畑じゃねえか……イかれてやがるのか?……それに何を言ってんだ?冷蔵庫とかなんとか…)
???「えーと、取扱説明書は……」
垣根(…………ちょっと待て。俺がいる場所......キッチン……そんでもって、この固い直方体の体……まさか、俺が冷蔵庫になってんのか?!)
垣根(馬鹿な…何でLevel5の第二位であるこの俺が冷蔵庫にならなきゃいけないんだよ)
垣根(こんなことをしやがったのは…アレイスターの野郎か。プランだか何だか知らねえけどよ…俺が冷蔵庫になることが必要だったのか?)
垣根(考えれば考えるほどほど訳が分からねえ………早く第一位をブッ殺したいところだが……)
???「えっと、このボタンが温度で、こっちが……」
垣根(とりあえず、体を取り戻すことが必要だな………畜生、頭が痛くなってきた…って冷蔵庫に頭ってあるのか?)
垣根(……冷蔵庫の事を深く考えたことなんざ今までに無かったな…)
垣根(つーか普通考えねえだろ。……うん、冷蔵庫には頭は無いな。ってことは、俺の脳が冷蔵庫に組み込まれてる…つーことになるな)
???「よし、だいたい機能は覚えました」
垣根(さっきからうるせえなこのガキ……頭が花に寄生されてるしよ……ん、花?……あれ?こいつ………俺が第一位と戦う前に……)
垣根(あの時の風紀委員の女……!……おいおい、なんだってこんな因果がある相手の冷蔵庫にならなきゃいけないんだよ?!)
垣根(つーか、こいつよく見たら肩に包帯巻いてるな……あの時からそれほど時間は経ってない訳か)
???「じゃあ、まずはお喋り機能でも試してみますか」
垣根(お喋り機能?!ちょっと待て!まさか俺が喋るワケか……?!)
???「頼みますよ、学園都市の最新技術!ではお喋りボタンオン!」ポチッ
垣根(最新技術どころかメチャクチャアナログな気がするんだが…つーか、冷蔵庫にお喋り機能要らなくね?」
???「わっ!喋った…どころかイキナリ自己否定なんて…予想以上の技術ですね。でも何だか口調が悪いような……」
垣根(やべえ声出てた。気を付けねえと…)
垣根「えーっと失礼しました。今の発言は忘れて下さい」
???「わぁー、すごいすごい!半信半疑でしたけど、音声認識もちゃんとしてるんですね」
垣根(くそ、何で俺がこいつに敬語なんか使わなきゃなんねえんだ…)
垣根(だが、せっかく頭脳だけでも生き残ったのに冷蔵庫を捨てられたら元も子もないな)
垣根(しょうがねえ、復活のメドが経つまで冷蔵庫を演じてやろうじゃねえか)
垣根(俺の演技に、常識は通用しねえ)
垣根(……しかしこの花女が主人になるってことか…俺も堕ちたな)
垣根(まあとにかくチャンスをうかがおう。今は演技に集中だ)
垣根「ところで、お嬢さんの名前は?」
初春「そ、そんなお嬢さんなんて……///……初春です。初春飾利って言います」
垣根(照れんな!こっちも恥ずかしいんだよ…駄目だなこの口調は。自分でやってて寒気がする)
垣根「初春さん……ですね。ではこれからはそう呼びます。早速ですが、私の口調を変えるように設定しませんか?今は敬語モードに設定していますが、これでは初春さんも堅苦しいのではないでしょうか」
初春「そ、そうですね……(よく喋るなあこの冷蔵庫)他にどんなモードがあるんですか?」
垣根「そうですね、不良モード、ヤ○ザモード、ヤンキーモード、悪党モードなど多種多様な喋り方を取り揃えておりますが」
初春「それ全部一緒なんじゃ…他には何があるんですか?」
垣根「……男友達モード、とかですかね」
初春「一番マシそうですね。じゃあ、それで」
垣根「では、モード変更します。……っあーーー息苦しかった。最初からこれにしときゃ良かった……」
垣根「それと、お嬢さんくらいで照れてんじゃねえよ。恥ずかしいのはこっちだっつーの」
初春「」
初春「ちょ、ちょっと口調変わり過ぎじゃないですか?というか性格まで変わったような…」
垣根「仕様だな」
初春「……やっぱり敬語モードに戻そうかな」
垣根「すいませんでした許してくださいもうしませんお願いします」
初春「……何か本当に人間みたいな冷蔵庫ですね。冗談ですよ」
垣根「…驚かせんじゃねえよクソ」
初春「やっぱり戻s」
垣根「反省してます以後気をつけますからやめて」
初春「……冷蔵庫さん、あなた本当に人工知能ですか?いくら学園都市の技術でも、ここまで高性能なプログラミングをするなんて……」
垣根(ギクッ)
垣根「えー、俺にはLevel5の能力が使われていてだな……だからこんなにも人間に近い会話をすることが可能ってわけだ(……嘘では無いな)」
初春「何か怪しいですけど、まあLevel5の能力が関係してるのだったら……」
垣根(Level5の信用ってすげえな)
初春「じゃあ、口調云々はこれくらいにして……えっと、取扱説明書には冷蔵庫さんの指示に従えってありますけど、他に何か設定することってありますか?」
垣根「う……えーと……温度とかか?」
初春「そうですねぇ…普通の温度でお願いします」
垣根「了解(冷蔵庫の普通の温度とか知らねえよどうしよう……それよりこれ以上設定に突っ込まれるとマズイ)」
垣根「まあとりあえずは設定はこれでいい。後は使いながらってことで」
初春「適当ですね……あ、もう一つ決めることがあるじゃないですか」
垣根「何かあるか?」
初春「私が冷蔵庫さんのことをどう呼ぶか、です」
垣根「……今の冷蔵庫さんでいいんじゃね?」
初春「それじゃ味気ないですよ。待って下さい、今いい名前を考えますから……」
垣根(呼び方、か………適当でいいと思うんだがな)
垣根(そういや、俺って名前で呼ばれてたことって少ねえなあ……いつも第二位とか未現物質とかだし……)
垣根(心理定規やスクールの連中ぐらいか?名を呼んでくれたのは)
垣根(ま、馴れ合いが羨ましい訳じゃねえが)
初春「うー……いい名前が思いつかないなぁ……じゃあ製品名からとって、」
垣根(製品名なんてあったのかよ)
初春「ていとくん、っていうのはどうですか?」
垣根「………………………は?」
垣根「オイ、何だその名前……ふざけてんのか?」
垣根(ていとくん……?!こいつ俺が誰か気づいて……?)
初春「えー、だって製品名のもじりじゃないですか。そんなに変ですかね?……確かに何か変な感じがしますけど」
、
垣根「……一応確認するが、製品名を言ってくれ」
初春「自分の事なのに知らないんですか」
垣根「いや、諸事情で色々あってだな……とにかく頼む」
初春「……冷蔵庫 TEI-TOK-N-kkn」
垣根「」
垣根「」
初春「これがていとくんの製品名です」
垣根「」
初春「あれ?喋らない……バグですかね」
垣根「いや、ちょっと処理が追いつかなくてな……つーか、ていとくん言うのヤメろ」
垣根(誰が決めたんだよソレ……アレイスターが直接決めたのか?これもプランと何か関係が……………あるわけねーだろ!どう考えても単なる嫌がらせじゃねえか)
垣根「あー、ていとくんはやめてくれ。別のにしよう。そうだ、ダークマターとかどうだ?」
初春「うわっ、センス無いですね……まあこの場合はプログラミングした人のせいですかね」
垣根(何こいつ結構毒舌)
初春「まあいいじゃないですか、ていとくんで」
垣根「イヤだ」
初春「……いいですよね?」
垣根「俺は認めねえ」
初春「……捨てようかな」
垣根「是非ていとくんでお願いします」
垣根(クソッ、完全に弱点を読まれてやがる……)
初春「それでは、これからよろしくお願いします、ていとくん」
垣根「…………ああ」
垣根(…………平和ボケをし過ぎだ、垣根帝督。こいつは、表の人間で、お前自身が傷つけたんだぞ?そんな存在と親しくなるなんてできるわけねえだろ)
垣根(きっと、こいつも俺が垣根帝督だと理解したら、俺が自分を殺しかけた野郎だとわかったら)
垣根(俺をバケモノと罵るだろう。
いや、怯えて何も言えなくなるかもな)
垣根(決して忘れるな、垣根帝督)
垣根(お前は学園都市の暗部に生きる人間だということを)
初春「さて、これからていとくんには食材を収納して貰います」
垣根「…………待て待て待て待て。ちょっと心の準備をさせてくれ」
初春「冷蔵庫のクセになにを言ってるんですか……私、ここ数日冷蔵庫が壊れて使えなかったから、ずっとコンビニ弁当か外食だったんですよ?いいかげん使わせて下さい」
垣根「いや、自分の中に異物を入れられるっつーのは中々キツイもんがあってだな」
初春「開けますよー」
ガコッ
垣根「おぅふ……ってガン無視かよ」
初春「何ですかその声、気持ち悪い」
垣根「いや、お前だって無理矢理こじ開けられたら何か変になるだろ」
初春「…………///」
垣根「あれ?何か顔赤く……あ、そういうことね……耳年増だな」
初春「ち、違いますよ!そんなこと考えてもいません!こ、この話は終わりです!食材入れますよ」
垣根「おい、図星だからってそんな乱暴に入れるな!ストップ……」
アッーーーーー!
中途半端ですが以上で投下終了です
また明日来ます
自分でもシリアスだかほのぼのだかよくわかりません
書き溜め少ないけど投下
数時間後
初春「ようやく入れ終わりました……って、もう夜になってるじゃないですか。ていとくんがいちいち騒ぐから……」
垣根「……仕方ないだろ。何かビクビクするんだよ」
初春「…………いい加減馴れて下さい。じゃあ、私はご飯の前にお風呂に入ってくるので……ていとくん、ちゃんと冷蔵庫の仕事して下さいね」
垣根「ハイハイっと……冷蔵庫ねぇ」
垣根(さて、ようやく一人になれたな……いや、一台か?まあどうでもいいか)
垣根(今俺は冷蔵庫になっている……今まで分からなかったが、この状態で未現物質を使えるかどうか……)
垣根(試してみるか)
数十分後
垣根(……………………………………………………)
垣根(なん…………だと…………)
垣根(……………白い翼が出ねえ……。これってかなりヤバイんじゃねーの?……もう少し小さい力なら扱えるか?)
垣根(空気に作用して冷蔵庫の内部を冷やす未現物質と、水に作用して製氷機で氷を生成する未現物質を顕現……)
ゴオオオオ
垣根(出来ちまったよ……畜生、これじゃ本当にただの冷蔵庫じゃねえか)
垣根(こんな体たらくでどうやって元の体を取り戻せばいいんだ?)
垣根(いや、諦めるな。考えろ、お前は学園都市第二位の頭脳を持っているんだ。そして何より…)
垣根(俺の未現物質に、常識は通用しねえ」キリッ
初春「だあくまたあ?」
垣根「うおおおおい?!い、いつからいやがった………っ!!!」
初春「ていとくんがブツブツ呟いてた辺りからですよ」
垣根「いやそれは今はいい!それより!何でお前はそんな格好してるんだよ?!」
初春「え?何かおかしいですか?
」
垣根「当たり前だっ!なんで下着姿で出てきてるんだ?!」
初春「………あぁ、確かにもう秋ですけどお風呂上がりは暑いくらいなので丁度いいですよ。もしかして風邪の心配でもしでくれたんですか?」
垣根(違う、そこじゃねえよ!男と女二人っきりの部屋で下着になるってお前貞操観念ヤバイ……)
垣根(………………そういや俺って今は冷蔵庫だった…………何か男としての自信まで揺らいできたな)
垣根「あ、ああ、俺には外部の温度のことはよくわからないからよ、秋だからてっきり寒いかと」
初春「大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございます」
垣根「お、おう」
初春「……ていとくんって意外に優しいんですね。ちょっと変ですけど」
垣根「……後半は余計だ」
垣根(くそ、勝手に視界に入ってきやがる…目を閉じることもできねえし、どうすりゃいいんだよ?)
垣根(冷蔵庫状態だからダイレクトに反応してしまう所が無いのが幸いだが……いくら一人だからって無防備過ぎだろ……)
初春「少し喉乾いたので、ジュース飲みますね。開けますよー」
垣根「!!!!!」
垣根「待て、それはまずい、諦めてくれ、そして服を着ろ」
初春「ていとくんは心配症ですね……」
ガコッ
垣根(うっ……来るなよ!…………違う、興奮してはいない、俺は童貞なんかじゃない、ブラの隙間から真っ平らな胸を見たわけでは決してない、考えるな、落ち着け、落ち着け、素数を数えるんだ……)
数十分後
初春「着替えも済んだし、そろそろご飯を作りますか」
垣根(ようやく服を着たか……ん?飯ってことは……また俺の中に手を入れられるのか?!)
初春「じゃあ、開けますよ」
ガコッ
垣根「うっ……ふぅ」
初春「……食前に気持ち悪い声を聴きたくないんですけど」
垣根「……自覚はある。今後なるべく改善するつもりだ」
初春「頼みますよ、本当に……えー、じゃがいもに人参、豚肉に……」
垣根「……肉じゃがでも作るのか?」
初春「違いますよ。これから作るのは……カレーライスです!」
垣根「カレーか……(心理定規に作ってくれって言ったら、カレールーを投げつけられたっけか……)」
初春「カレーって結構外とかで食べますけど、家のカレーってやっぱり一味違うんですよね」
垣根「そういうもんかね……」
初春「じゃがいもの皮剥きから始めます」
垣根(…………あれ?そういえば……)
垣根「…………お前怪我してるんじゃねえの?料理して大丈夫か?」
初春「……!…………大丈夫、ですよ。……もう痛みも大分少なくなってますし」
垣根「そうか……」
初春「それに…………」
垣根「……何だよ」
初春「誰かと一緒に料理するのって……楽しいですから」
垣根「……はっ……冷蔵庫相手だけどな」
初春「話し相手がいるだけでも楽しいんですよ。ていとくんも料理してみればわかるかもしれませんよ?」
垣根「遠慮しとくぜ、俺が皮剥きなんてやったら、全部皮になっちまう」
初春「え?出来るわけねーだろとか言うと思ったんですけど……」
垣根「……か、仮の話だからなっ(油断してた)」
初春「そんなわけで、カレーライス完成です」
垣根「へえ、うまそうじゃねえか……俺が冷蔵庫じゃなかったら食べたいくらいだ」
初春「お世辞が上手ですね」
垣根「そうか?割と本気なんだが」
初春「……///……褒めても何もでませんよ?」
初春「もう……あ、そうだ。ていとくんにお願いがあるんですけど」
垣根「何だ?」
初春「私と一緒に、いただきます……って言ってみてくれませんか?」
垣根「…………はぁ?おいおい、そんな事何でしなくちゃいけないんだよ」
初春「……命令です。捨てられたくなかったら……」
垣根「オーケイオーケイ、わかった、やってやろうじゃねえの」
垣根「(こいつの意図が全然わかんねえ………けどまあ)冷蔵庫の言葉ぐらいでいいんなら、いくらでも言ってやるよ」
初春「……ふふ。ありがとうございます。じゃあ……」
『いただきます』
『ご馳走様でした』
垣根(………………結局こっちも言わされた……そもそも人が飯食ってるところをひたすら見るって苦行過ぎるだろ)
初春「皿を食器洗い機に入れて、と。じゃあ私勉強しますね。週末課題が終わってないので」
垣根(週末……そうか、こいつは今日は休みだったのか)
垣根(まあ留守なのに冷蔵庫を受け取れるわけねえよな)
垣根「……そういや、今日は何曜日だ?」
初春「日曜日です。明日から学校ですよ……」
垣根(やはり休みか。そして学校…)
垣根「学校、か。通ってる奴には分からないかもしれないけどな、…………当たり前のことってすげえ幸せなんだぜ」キリッ
初春「はあ……。勉強中は話しかけないで下さいねー」
垣根「」
垣根(スルーされた)
初春「えっと、この問題は……」
垣根(…………)
垣根(…………)
カサカサカサッ
垣根(……?)
カサカサカサッ
垣根(まさか、これは)
カサカサカサッ!!
ゴキブリ(ハーイ!)
垣根(ゴキブリじゃねーかあああああああ!)
垣根(台所に潜む怪物ッ……くっそ、裏に回り込まれた!)
カサカサカサッ
垣根(……!冷蔵庫の裏で蠢いてやがる)
カサカサカサッ
垣根(あいつに伝えたいところだが、話しかけるなと言われちまったし……)
カサカサカサカサカサカサッ
垣根(ああああああああああああ!!)
数時間後
初春「ふぁぁ……勉強も終わったし……もう寝ますか。今日は疲れました、誰かさんのせいで」
垣根「おい、誰の事だよ」
初春「別にていとくんのコトとは言ってませんよー?それとも自覚はあるんですか?」
垣根「……お前性格悪くね?」
初春「そうですか?まあ、接し方は相手にもよりますけど」
垣根(やっぱり腹黒じゃねーか)
垣根「……この話は深くは突っ込まないでおこう。それより寝るなら早く寝た方がいいぞ?夜更かしは健康によくないだろ」
初春「それもそうですね。……じゃあお休みなさい」
垣根「…………ああ、お休み」
初春「すぅ……くぅ…………」
垣根(今日一日で特に進展は無かったか……未現物質もほとんど出せないままだな)
垣根(……そもそも俺がこの家に送り込まれた理由は結局何なんだ?……俺が傷つけたから責任とれってことか?)
垣根(それにこいつは俺の喋り方や雰囲気にも反応しない。まるで記憶に無いのかのように……どうなってんだこりゃ……)
垣根(……落ち着いて考えてもわからねえな……)
垣根(しばらくはこのまま我慢するしかねえか……ま、明日は明日の風か吹くってな…………)
垣根(………………………………)
垣根(あれ?もしかして冷蔵庫って寝れないの?)
垣根(……………………………)
垣根(……………………暇だな)
垣根(…………未現物質の生成練習でもするか)
垣根(はは、懐かしいな。基本からやるなんて何年ぶりだ?)
垣根(……………さあ、始めるか)
以上投下終了です
日付けが変わる頃にまた来ます
投下
ーーーーーーーーーーーーーーー
『失礼、お嬢さん』
ああ、またこの夢か
私はいつものように言葉を返す
『どちら様ですか?』
……おい!……して……!……
ーーーーーーーーーーーーーーー
初春「!!!……っ……」
初春(…………夢。でも、呼びかけてくれたのは……?)
垣根「……大丈夫か?!うなされていたぞ」
初春「ふえっ!?……あ、そうか……ていとくんがいたんでしたっけ。……あれ?もしかしてていとくん一晩中起きてたんですか」
垣根「まあ、眠くなかったからな」
初春「ま、まさか私寝言とか言ってたわけじゃないですよね」
垣根「あー……確かスカートが何とか…涎垂らしながら言ってたな」
初春「」
初春「さ、サイテーです!乙女の寝姿をジロジロ見つめるなんて」
垣根「おいおい、俺は目もつぶれねーし体も動かせないんだからしょうがないだろ。それより今日からまた学校じゃねえの?」
初春「……あーーーっ!す、すっかり忘れてました。何でもっと早く言ってくれないんですか!?」
垣根「俺はお前の親じゃねーよ。自業自得ってヤツだな」
初春「えーと、カバンに制服に……」
垣根「!!お、おい!急に下着姿になるな!」
初春「時間が無いので無視します。あとは……」
垣根(素数を数えろ……大丈夫だ、問題無い)
初春「今日はもう朝ごはんを食べる時間はありませんね……行って来まーす」
垣根「……行ってらっしゃい」
初春「……何か気持ち悪いですね」
垣根「柄じゃねーのはわかってるんだよ!泣くぞもう」
初春「あはは……冗談ですよ。お留守番、頼みます」
垣根「……ああ(お前が言うと冗談に聞こえねーよ……)」
垣根(さて、また一人になった)
垣根(暇過ぎる……ってのも何回目だ?)
垣根(歩けたらどれだけ幸せか……)
垣根(そうか、これが当たり前のことが……ってやつか)
垣根(………)
垣根(……それにしても、あいつ何であんなにうなされていたんだろうな?)
初春「よかった……何とか間に合いそうですね」タッタッタッ
???「うーいーはーるー……おっはよー!!」バサ
初春「」
オイミタカアレ
イッシュンダケ
ミズイロカ
ナニヲミテルノカナトーマ?
フコウダー!
初春「ひゃああああ!さ、佐天さん!!天下の往来で何やってるんですか!」
佐天「いやーゴメン、今日も初春が捲られたがってるように見えたから」
初春「私は痴女じゃないんですから……というか、佐天さんも遅刻ですか?」
佐天「うん、絶賛大遅刻中!」
初春「元気に言うところじゃないと思いますよって、もうこんな時間じゃないですか!……あれ?佐天さん?」
佐天「おーい初春ー!!早く来ないと置いてくよー」
初春「もうあんな遠くに……ま、待って下さい!」
昼休み
佐天「んー……苺おでんパンは失敗だったかな……ところでさ……初春、何かあった?」
初春「え?別に……何もないですけど」
佐天「いーや、絶対に何かあったはず!佐天さんの眼力を舐めちゃいけませんよ。……さては男!?」
初春「ブフっ!?げほっ、佐天さん急に何を言ってるんですか!」
佐天「おお?さては図星か?正直に言いなさい初春!」
初春「…………違いますよ」
佐天「怪しいなあ……ほんとに何もなかったの?」
初春「……………………そうですね、ちょっと不思議なことがありました。……でも男の人じゃないです」
佐天「なーんだ、つまらないなあ。初春に彼氏ができたのなら、どんな人か見てみたかったのに」
初春「彼氏、ですか……想像出来ませんね……」
佐天「初春って、何か不良みたいな柄の悪い人にホイホイついて行っちゃいそうな感じがするなあ」
初春「何ですかそのイメージ」
佐天「なんとなく、ね」
初春「…………納得できません」
佐天「へへ、でも良かった」
初春「?何がですか」
佐天「初春が言ってた、不思議な出来事があって良かった……って意味。初春さ……風紀委員の仕事中に怪我をしてからずっと元気が無かったじゃない?」
初春「……バレてたんですね」
佐天「当たり前じゃん。そしたら今朝いきなりいつもの初春に戻ってたから、ビックリしちゃった。」
初春「……」
佐天「だから、その不思議な出来事に感謝したいな。初春を元気にしてくれて、ありがとうって」
初春「……素直に受け取るとは思いませんけどね」
佐天「え?」
初春「いえ、何でもありません」
初春(ていとくんが、私を元気に……?何故なんでしょう)
同じ頃、初春の部屋
垣根(再演算、無効、再演算、不適合、再演算、無効、再演算、無効、再演算、無効、再演算、不適合、再演算、無効……!!)
垣根「クソ……いくら未現物質を発現させようとしても一定以上の力が出せねえ」
垣根「殺人太陽光線も単なる日焼けマシンになっちまうし」
垣根「白い翼に至っては羽が一枚出現しただけ……」
垣根「こんな状態で第一位とどう戦えばいいんだ?」
垣根「……何の方法も思いつかねえ」
垣根「未現物質の練習も飽き飽きしたし…………せめて動けたらなあ」
垣根「学園都市に新たな七不思議の噂?怪奇!空飛ぶ冷蔵庫!」
垣根「…………ってな」
垣根「……ハァ」
垣根「練習再開だ」
垣根(再演算、無効、再演算、無効、再演算、不適合、再演算、不適合、再演算、無効、再演算、無効ーーー)
放課後
風紀委員177支部
初春「こんにちはー」
黒子「来ましたわね初春。早速ですけどこの書類を……」
初春「はい!任せて下さい」
黒子「……佐天さんがおっしゃられてた通りですわね。元気になってよかったですの」
初春「え、白井さんも私が落ち込んでいたの気付いてたんですか?」
黒子「当たり前ですの。それ位が分からないようだったら風紀委員失格ですの」
初春「えへ……ありがとうございます」
黒子「……聞き辛いですけど……その傷はいつ治るんですの?」
初春「!……大丈夫ですよ。もう少し……あと数週間で治る……ってお医者さんは言ってました」
黒子「……それなら良かったですの」
初春「心配かけてごめんなさい」
プルルルル
黒子「……む?電話ですの……はい、白井ですの……ふむふむ、能力者どうしの喧嘩?……そしてそのお馬鹿さんは逃走中……了解ですの。すぐに向かいます」
黒子「初春、仕事ですの。私は現場に直行しますので、初春は指定する監視カメラの映像を確認して犯人の特定等を急いで下さいですの!」
初春「はいっ!任せて下さい!」
短いですが投下終わります
レスありがとうございます
乙
こんなガキを意識するとかありえねーだろ、とかいう系統のセリフすら一回もなかったことに驚いた。
さすがかまちーキャラだ、ロリコンなんですね。
あとGあのまんま放置で大丈夫なの?
乙
面白い期待
あと未元物質な
地の文はやはり難しいですね……
投下します
数時間後
初春の部屋の前
初春「すっかり遅くなっちゃいました……。ていとくんはちゃんと留守番できてましたかね」
ズドオオオオオン
初春「!?い、今の音は……」
初春「私の部屋から……?!」
初春「一体何が…………?」ガチャ
垣根「」プスプス……
初春「て、ていとくん?!何か煙出てませんか?それに……この部屋の惨状は……」
垣根(……ぐ……ちくしょう……ただ演算をしていただけなのに、何故爆発しやがった?……いや今はそれよりフォローしねえと)
垣根「……す、すまねえ。部屋をメチャクチャにしちまった」
初春「て い と く ん ?」
垣根「お、おう」
初春「何があったか聞かせて下さい」
垣根(顔がマジだよこいつ……えーっと良い言い訳は……)
垣根「あー……実はだな、俺を開発した会社から特殊なネットワークを通じて新機能プログラムが送られてきたんだ」
初春「…………」
垣根(怖え)
垣根「で、その新機能が電子レンジ機能とトースト機能でな……お前がいないうちに使用テストをしようと思ったら」
初春「爆発した、と」
垣根「ああ」
初春「……………………………………………………………………」
垣根(……流石に無理がある言い訳だったか?そもそも冷蔵庫に電子レンジ機能とトースト機能要らねえし)
初春「…………なるほど、分かりました」
垣根「」ホッ
初春「……とりあえず、今日のところは見逃しますけど、もし今後も同じようなことがあれば」
初春「捨 て ま す よ」
垣根「……肝に命じとく」
垣根(やっぱり怖え)
初春「しかし……この部屋を一人で片付けるのは骨が折れますね……」
垣根「……すまん」
ドンドン
垣根「ん?おい、誰かが来たみたいだぞ」
初春「誰ですかー?」
???「警備員なんだけど……この部屋で爆発が起こったとの通報があったじゃん。」
垣根(ドキッ)
???「事情聴取に応じて欲しいじゃんよー」
垣根(俺の存在が表に出たらまずい……どうすればいい?)
初春「……ていとくんは喋らないでいて下さい」
垣根「……おう」
初春「はい、今出まーす」
???「おっ、素直に出てきたじゃん(事件性はないじゃん?)」
初春「お騒がせしてすみません、オーブンレンジが急に爆発しちゃって」
???「あらあら、それは大変だったじゃん。もし良かったら……だけど、現場検証ついでに片付けを手伝うじゃんよ」
初春「ありがとうございます!すっごく助かります」
垣根(た、助かった……あいつも度胸あるな)
垣根(……初めて会った時も…………)
垣根(……しかし、この警備員の声どっかで聞いたような……?)
警備員が帰った後
初春「……」カチャカチャ
垣根(部屋は無事に片付いたが……空気は重いままだ……こいつもずっとパソコン弄ってるし)
垣根(何でも良いから話題を……)
垣根「……お前、今何やってるんだ?」
初春「……ちょっとしたハッキングですよ」
垣根「ハッキング……?」
初春「はい」
垣根「そ、そうか」
垣根(あんまり触れないほうがいいのか?……これ以上会話も続かないし……また暇になったな)
垣根(…………)
カサカサカサッ
ゴキブリ「ヤア!」
垣根(またお前か。お前も暇なんだな……)
垣根(こいつの気持ち悪さにも慣れかけてるな)
カサカサカサッ
垣根(…………)
垣根(……行ったか)
垣根(……落ち着いてみると、今回の爆発には色々なヒントが隠されていたな)
垣根(演算を続けた結果、今回こそは一定以上の未現物質を発現できるはずだった……あの爆発は、俺がその『一定』の壁を破った直後に起こった)
垣根(これが何を表すか……表現の仕方は色々あるが)
垣根(…………『首輪』か)
垣根(恐らくはこれもアレイスターの仕業……俺が簡単に反抗出来ないようにするため……)
垣根(未元物質が一定以上の基準を越えて行使された時に、強制的に暴走させるプログラム……能力の枷)
垣根(自由になるには、まずこの問題を乗り越えねえといけない訳か)
垣根(一番単純なのは……プログラムを壊すことだが、俺が気づかなかったことから外部からの協力者が必要だな……)
垣根(スクールの連中に連絡……って、動けないんだった……畜生、またこれかよ……堂々巡りじゃねーか)
垣根(誰でも良い……ハッキングに協力してくれるなら……)
垣根(…………)
垣根(…………ん?)
垣根(…………そういえばあいつ、ハッキングしてるとか……)
垣根(!!!!……くくく、これが灯台下暗しってやつか)
垣根(垣根帝督復活計画も現実味を帯びてきやがったな……早速こいつにプログラムを弄らせる上手い騙し文句を考えねえと)
垣根(さあ、忙しくなってきたぜ!)
初春「……」カチャカチャ
初春「……」カチャカチャ
初春「……」カチャカチャ
初春「……!」カチャカチャ
初春「……」カチャカチャカチャカチャッターン!
初春(ふう……何とか入れました)
初春(ていとくんの取説に書かれていた開発会社へのハッキング……)
初春(実際は予想通りのダミー会社だった訳ですけど)
初春(やはりていとくん……冷蔵庫 TEI-TOK-N-kknなんか開発されていない……最初から薄々おかしいと思っていたけれど)
初春(先程の爆発で疑いが確信に変わりました……あんな冷蔵庫は絶対に存在しない)
初春(…………では、ていとくんの人格プログラムは誰が組み込んだのでしょうか)
初春(あんな精巧な人工知能、私どころか一流の研究者チームにだって開発できない)
初春(なら、作ったのは……私の知らない技術……?そう、例えば樹形図の設計者のような学園都市上層の)
初春(……学園都市上層部か……黒い噂は良く聞こえてきますね)
初春(御坂さんのクローンを量産したりだとか、第五位の脳細胞を培養して巨大脳を造ったりだとか……根も葉もない噂だけど、学園都市なら……と考えてしまう)
初春(…………そしてていとくんは言っていた……)
『俺にはLevel5の能力が使われていてだな……だからこんなにも人間に近い会話をすることが可能ってわけだ』
初春(あの言葉がもし本当だとしたら、ていとくんを通じて学園都市上層部について何か情報を得ることができる……?)
初春(白井さんが悩んでいた、御坂さんを苦しめていることについても知ることができるかも……)
初春(……うーん、でも私がそこまででしゃばっていいんだろうか?)
初春(……そもそも私自身がーーー)
……ズキン
初春「?!」
……ズキン
初春(……!き、傷が……?)
ズキ……ズキ……
初春(……い、痛い……何で今になって……?)
忘れてしまえばいい
初春(?!)
忘れてしまえ……
ズキ……ズキ……
初春(私の心が嫌がっている……?)
ズキ……ズキ……
初春(どうして……?)
初春(……もしかして、ていとくんは私の記憶喪失のこと……さらに言えばこの怪我に関係して……?)
ズキン!
初春(……ッぐ……うぁ……っ)
ズキン!
初春(……ッ!確かに、私は忘れたかった……怖かったから)
初春(それを知ることが……知ってしまうことが恐ろしかった)
初春(でも、今は……知りたい)
初春(私が忘れた記憶……そして、ていとくんのこと)
ズキン!
初春(……ッ…………だから!こんな痛みなんかに……私は負けていられない……っ!)
ーーーーーーーーーーーーーーー
『えーとつまり、最近御坂さんが何かに悩んでいるのに白井さんには話してくれない……と』
『ええ、何か思い詰めているのは明らかですのに……何のお役にも立てない自分が情けなくて……っ』
『食事が喉を通らないくらい悩んでて、私服を持って毎晩お出掛け、そして白井さんや私達にも内緒のこと、ねぇ……』
私は傍観者だった
『盗まれたのは旅行用のキャリーケース……ピンポイントでトランク内のケースを狙ってますのね。行きずりの犯行ではなさそうですの』
『それで調べはつきましたの?……結標淡希について』
ただ、見ているだけーーーー?
『えっと……白井さんの病室は……ここかな?……んん?ちょっとストップ初春……お話中みたい』
『…………何となく気づかされましたわ….…昨日の夜立っていたあの場所が、お姉様の戦っている場所なんですのね』
私は……
『何でそんなにのんびりしてるのーーーーッ!!って、ミサカはミサカはテーブルをバンバン叩いて駄々をこねてみたり!』
……!!
ーーーーーーーーーーーーーーー
初春(…………そっか、私は知りたかったんだ)
私の周りで起こること全てで私は蚊帳の外だった
自分には脇役が似合ってる……そう思っていたけれど
初春(一回位なら……バチは当たりませんよね?)
『冷蔵庫』は真の自由を求めて『少女』を利用する
『少女』は自分の知らない何かを探して『冷蔵庫』を使用する
初春「……ていとくん!!」
垣根「うおっ?!ど、どうしたんだいきなり」
初春「ていとくんのプログラムを、私に解析させて下さい」
垣根「……へ?」
冷蔵庫と少女が交差する時ーーー
物語は始まる!
以上投下終了です
明日の夜か明後日にまた来ます
未元物質○
未現物質×
今回も同じ間違いをしてますね……
自分のアホさに呆れました
今回プログラムについての話がありますが全く詳しくないので不自然な表現があっても御容赦下さい
とりあえず投下します
初春「聞こえませんでしたか?ていとくんを弄らせて下さい……って言ったんです」
垣根「…………な、何でそんな急に……」
初春「……駄目ですか?」
垣根「いや、そういうわけじゃないんだが…….」
垣根(どういうことなんだ?……だがこれはチャンスでもあるな)
垣根「……俺には……かなり高度なセキュリティが組み込まれている。(まあたぶんそのせいで俺自身も困っているんだが……)」
垣根「プログラムを解析するなら、このセキュリティを抜けなきゃいけないんだ。……それでもやるのか?」
初春「……舐めないで下さい。そんなモノ、ぶち壊してやりますよ」
垣根「……口調変わってないか」
垣根(……こ、これが棚からぼた餅ってやつか)
垣根「やってくれるのなら、こっちとしても有難い。宜しく頼む」
初春「……はい」
垣根&初春(……よし!)
初春「それではパソコンを冷蔵庫に接続して……ていとくん、ちょっと失礼しますよ……」
垣根「何かビリッと来た……」
初春「んーーー…………」カチャカチャ
初春「……」カチャカチャ
垣根「……ど、どうだ?」
初春「……これは……ていとくんが言っていた通り、随分厳重なセキュリティがかかってますね。深層まで恐らくは3、4つはロックがありますよ」
初春「今見られる領域では重要なデータも全然見当たりませんね」
垣根「……さっきも聞いたが本当に抜けられるのか?」
初春「『守護神』の力を、信じて下さい……とりあえず、今日の所は軽そうな第一セキュリティを突破します。今日は様子見です」
初春「」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根(自分が頼んだことだが……結構キツイな……まあ頭の中を弄くり回されてるようなもんだからな)
初春「」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根(……何かこいつも怖いし……早く終わってくれ)
初春「………!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
初春「…!!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャッターン!
……パキン!!
垣根(……やったのか?!……おおっ!力が……力が溢れて……)
垣根(こねえじゃねーか)
垣根「……おい、特に何も変わってないんだが」
初春「だから言ったでしょう?今日の所は様子見だって……事実、この第二領域にも碌なデータがありませんし、ここは突破されても良い壁だったんじゃないですかね」
初春(……それでもあれだけの時間がかかってしまった……これが学園都市上層のセキュリティ……!私が今まで戦ってきた相手とは比べ物にならない)
初春(できるでしょうか、私に)
垣根「……ま、納得はいかねえが……ありがとな。一歩前進だ。これからも宜しく頼む」
初春「……いつに無く素直ですね」
垣根「ああ、俺にはお前だけが頼りだからな…… ヘソを曲げられたら困るんだよ」
初春「……ふふ。私こそありがとうございます。お陰で元気、出ました」ニコッ
垣根「」ドキッ
垣根「……も、もう深夜だし早く寝ろ!体調を崩されたら困る!」
初春「前にも聞いたような……まあ確かに眠気も限界なので、寝ますね……お休みなさい」バタン
初春「…………すぅ……」
垣根「寝つきいいな……全く、布団も掛けないで……風邪ひくぞ?」
垣根(こういう時、こいつに布団を掛けてあげられたなら……)
垣根(…………あくまでも、風邪をひかれたら解析が遅くなるから……だからな)
垣根(こいつに特別な感情なんて、何一つ持っちゃいねえ)
垣根(……………)
垣根(……………)
垣根(……………)
垣根(……………………くそッ)
翌朝
初春「じゃあいってきまーす」
垣根「おう、気を付けてな」
初春「……」
垣根「?……どうした」
初春「『行ってらっしゃい』は言ってくれないんですか?」
垣根「」
垣根「……いや、お前が気持ち悪いっつったんだろうが!」
初春「いいじゃないですかー」
垣根(……はあ。協力させても結局こういう所では主導権はあっち側になるのかよ)
垣根「……行ってらっしゃい」
初春「はい、行って来ます!」
通学路
佐天「初春ー……おっは」
初春「おはようございます佐天さん!!」
佐天「あー、今日は捲らせてくれなかったかー」
初春「流石に毎日やられる訳にはいきませんよ」
佐天「初春のガードが堅くなっちゃってちょっと寂しい……」
初春「……少しは反省してくれませんか」
佐天「いやいや!初春のパンツを見ることは私の日課なんだからまだまだ私は諦めないよ!」
初春「何なんですかその日課……」
佐天「……あれ?初春、目の下にクマがあるけどどうしたの」
初春「そうですか?……自分では分からないですけど……昨日夜更かししたからでしょうか」
佐天「夜更かし……?」
初春「それよりそろそろ急がないと学校に遅れますよ」
佐天「……あ、待ってよ初春!」
佐天(…………昨日に増して元気になってるし)
佐天(なーんか怪しいなぁ……)
放課後
とあるカフェ
佐天「集まってくれて有難うございます。白井さん、御坂さん」
黒子「まあ今日は風紀委員も非番でしたし……」
御坂「私も暇だったからね……それで、初春さんに何があったの?」
黒子「メールでは、『初春がおかしい』とのことでしたけど」
佐天「そう、初春がおかしいんですよ。……最近、初春落ち込んでたじゃないですか」
黒子「……確かに怪我をしてからはそうでしたの。でも、昨日から元気になったのでは?」
佐天「……元気になったのはいいんですけど、それと同時に何故か不思議な言動をするようになったんですよ」
御坂「不思議な言動……例えば?」
佐天「そうですね……例えば授業中に『ちゃんと留守番できてますかね』とか……」
御坂「留守番?初春さんはペットとかは飼ってない……って言っていたわよね」
黒子「新しく飼うようになったのでは?……それで、他には?」
佐天「よく聞こえなかったんですけど『○○○くん大丈夫かなあ』とか」
黒子「……くん?」
佐天「……言いながら思ったんですけど、まさか初春……」
黒子「いや、そう決め付けるのはまだ早いですの」
御坂「え?二人とも何を言ってるの……?」
黒子「お姉様は分からなくてもいいですの。……佐天さん、続きをお願いしますの」
佐天「あと、目の下にクマがあって随分と疲れた感じでしたね……初春は夜更かししたからだといってましたけど」
黒子「夜更かし……?」
御坂「読みたい漫画でもあったのかしらね」
佐天「あーっ!あと、『昨日の夜は大変だった』とか、『最後はうまくいってスッキリした』とか言ってました!!」
御坂「?」
黒子「!!!な、なんたる破廉恥な……!」
佐天「やっぱりこれは……」
黒子「そうですの……」
佐天
すいません切れてますね
佐天「やっぱりこれは……」
黒子「そうですの……」
佐天&黒子「男(ですの)!」
御坂「ど、どういうこと?」キョトン
黒子「……お姉様は黒子がおりますので、大丈夫ですの」
佐天「ということは、初春が元気になったのはその男の仕業……?」
黒子「そう考えるのが妥当ですのね……」
佐天「でも、彼氏ができたからって一日や二日であんなに変わるのかな」
黒子「……ありえますの」
佐天「え?」
御坂(私要らないんじゃ……)
黒子「お姉様が何かを抱え込んでいた時期に……ある殿方が夜に常盤台の女子寮まで来たことがあったんですの」
佐天「ほうほう」
御坂(あれ?それって)
黒子「その夜に何があったのかは存じ上げませんが……その後のお姉様はまるで憑き物が落ちたように明るくなり、その殿方のために……クッキー……を……作るほど……」ゴゴゴゴ
佐天「……白井さん、何か黒いオーラが……」
黒子「許せませんの……よくも私のお姉様を誑かしてくれやがりましたの……」ゴゴゴゴ
佐天「あれ?おーい、白井さーん」
黒子「コロス……類人猿……コロス……」ゴゴゴゴ
佐天「……何かスイッチが入っちゃったみたい」
黒子「……思い出すだけで腑が煮えくり返るんですの。ちょっと今からあの類人猿を殺ってきますの」テレポート
佐天「ええーっ!?ちょ、白井さんが犯罪を……御坂さん、止めないと!」
御坂「べ、別にあのクッキーはあいつのためじゃ……///」テレテレ
佐天「……ダメだこりゃ」
佐天(しかし、あの初春に男かぁ……)
佐天(……いや、もしかしたら変な男に捕まって無理やり……)
佐天(初春ならありえる……!!……いや、でも普通にお付き合いしている場合も……?でも中学生に手を出すなんてロリコンとしか思えないし……)
佐天(……相手の男を確かめないと)
佐天「どっちにしろ、あの無垢で純粋な初春を汚すなんて……許せない!」
御坂「……///………あ、あれ?黒子は?」
キョウコソイキノネヲトメテヤルンデスノ!
フコウダァー!
今日の分は終了です
書き溜めを作るのも難しい……
投下します
翌日
初春「じゃあ、今日は私早く帰るので、これで……」
佐天「わかった!さよならー」
初春「ええ、また明日」
佐天「……」
佐天「……行ったかな」
佐天「さて……尾行を始めますか」
佐天「……」コソコソ
初春「♪~」
佐天(うーん、特に寄り道もせずに初春の寮まで来てしまった……)
佐天(彼氏の家とかに寄ると思ったんだけどなあ)
佐天(……ということは同棲……?それは流石に大胆過ぎるんじゃ……)
初春「えーっと、鍵は……」
佐天(……初春の部屋も外見の変化は特に見られないけど……)
初春「ただいまー!」
佐天「……よし、入った」コソコソ
佐天(ドアにへばり付いて部屋の中の声を……よいしょっと)
佐天(……今の姿を見られたら確実に不審者と勘違いされそうだなあ)
佐天(しかしこれも友のため……初春の彼氏を確かめるまでは帰る訳にはいかない!)
初春『ふぅ……今日も疲れました』
???『何だ、早かったじゃねえか。……あー、そうか今日は風紀委員は非番だったな』
佐天「!?」
佐天(いいいいい今のは……男の人の声?!若干無機質だったけど……)
佐天(ま、まさか本当に同棲してるなんて……)
初春『今日は何か変わったことはありましたか』
???『いや、特に無かったな。強いて言えば暇過ぎたこと位だ』
初春『それ毎日言ってません?』
佐天(え……彼氏さんヒモなの?声から判断すると高校生かそれ以上っぽいけど……)
初春『さて、今日の晩ご飯は何を作りますかね』
???『うっ……ふぅ』
初春『……あ、野菜類を切らしてるの忘れてました……』
???『一日位野菜食べなくても死なないと思うけどな』
初春『私の体はていとくんみたいに単純な構造してないんですー』
ていとくん『おま……それちょっとシャレになってねえぞ……』
佐天(ふーん、彼のアダ名は『ていとくん』……かあ)
初春『やっぱり野菜がないと……よし、今から近くのコンビニに行って来ますね。スーパーより割高だけど、仕方ないですし』
ていとくん『もうすぐ日が暮れるぞ?一人じゃ危なくないか』
初春『別に少しだけだから大丈夫ですよ。それにていとくんがついて来てくれるわけでもないですし……』
ていとくん『……それはしょうがないだろ。俺は外には出られないんだし』
佐天(て、ていとくんってヒモの癖に引きこもりなの?というかご飯作りまで初春任せだし)
佐天(何だかあまりいい人とは思えないなあ)
初春『あ……コンビニ行くついでですけど、前にていとくんが言っていたゴキブリホイホイとか殺虫剤とかを買って来ましょうか?』
ていとくん『!!だ、駄目だ!』
初春『えっ』
ていとくん『あいつは……あいつは殺せねえ!俺がこの部屋に来て最初に出来た友達……そんな大切なヤツを殺せというのか、お前は!』
初春『』
ていとくん『いいぜ、お前がゴキブリとは友達になれないと思っているなのらーーーそのふざけた常識をぶち殺す!!』
初春『私が居ない間にこの部屋で何が起こっていたんでしょうか……』
佐天(えええええ?ゴキブリと友達?初春、その人どう考えてもヤバい人だよ……)
佐天(何でこんな男に初春が引っかかったんだろ?)
佐天(はっ……も、もしかしたら超イケメンだったり……でも顔で釣って性格は最悪な人って余計に地雷じゃん!)
佐天(初春の目を覚まさせないと)
初春『じゃあ、いってきまーす』
佐天「っ!か、隠れなきゃ!エレベーター……は、鉢合わせするかも……上の階の階段にしよう」タタッ
アレー?イッテラッシャイハドウシタンデスカー?
ソノネタシツコスギダロ
初春「……さて、何の野菜を買いましょうか……」
佐天(気づかれませんように……)
佐天(……)
佐天「……ふう、行ったみたい」
佐天(……あれ?初春、今鍵を掛けずに部屋を出て……彼氏がいるから大丈夫だと思ったのかな)
佐天(……)
佐天(覗いてみたり……するのはいけないんだろうなあ)
佐天(でも、ほんのちょっと初春の彼氏の顔を確認するくらい……)
佐天「……」コソコソ
佐天(そーっと開ければ……)
佐天「……よいしょ」ギィ
佐天「…………」
佐天(あれ?彼氏どころか、人の影が見えない……)
佐天(トイレにでも行っててるのかな)
佐天(……じゃあ、中に入っても気づかれなかったり……うわぁ、これ完全に泥棒じゃん)
佐天(音をなるべくたてないように中に入って……さっきと同じ要領でドアを閉める)
佐天「…………」ガチャ
佐天(やばっ、音が………)
垣根(まだか……近くのコンビニってどれ位の距離だったんだ?)
垣根(……あいつが言ったように俺がついていけたら……)
垣根(いや、これは決して心配だからではなくて……って、誰に言い訳してるんだ俺は)
ガチャ
垣根「!!」
垣根「遅かったじゃねー……か…………………」
佐天「」
佐天「ええええええええええええええええええええ!?れ、冷蔵庫が喋ってるぅーーーーっ?!」
垣根(誰だこいつは……!……黙ってやり過ごすか……?)
佐天「え?え?ど、どういうことなの」
垣根「……」
佐天「……冷蔵庫……今、喋ったよね?答えてよ」
垣根「………………」
佐天「……あれ?……私の聞き違いかな……」
垣根(ホッ)
佐天「空耳にしてはやけにはっきりしてたけど……」
佐天「……何の変哲もない冷蔵庫だし……」ガチャバタンガチャバタン
垣根(んほおおおお!開け閉めを激しくしちゃらめえええええ!」
佐天「」
垣根「あ……」
佐天「気持ち悪っ……」
垣根(短期間の内に気持ち悪いって言われ過ぎじゃね?)
説明中
佐天「……つまり冷蔵庫がていとくんで、人工知能付きの最新型の冷蔵庫だから喋ることが出来る、と」
垣根「まあ大体はそんなところだそれと、乱暴に扱うんじゃねぇよ……俺はデリケートなんだからもっと繊細に触れろ」
佐天「ふわー……学園都市の技術ってのはすごいもんだねー」
垣根(……俺の存在を知る者はなるべく少なくしたかったんだが)
垣根「で、俺はまだ試作品(ってことにしとくか)だから他言無用で頼む……で、お前は誰だよ」
佐天「ああ、私は佐天涙子。初春の友達!」
垣根「友達……そうか」
垣根(……友達……か。俺に友達と呼べる存在は何人居ただろうか……まずゴキブリが一人……いや、一匹で、他は……)
佐天(……でも何で初春はこんな冷蔵庫を……?)
佐天(落ち着いて考えてみよう)
佐天(……初春はハッキングが得意)
佐天(
佐天(初春……まだ若いのにそんなハードコアな趣味に手を出すなんて……)
佐天(…………)
佐天「……少し聞きたいんだけどさ」
垣根「何だ急に」
佐天「ていとくんはどうやって初春を落としたの?」
垣根「」
抜けてました
佐天(……初春はハッキングが得意)
佐天(
何故か上手く書き込めない……
佐天(……初春はハッキングが得意
すいません妙な文になりました
佐天(……初春はハッキングが得意、つまり初春はハッキングが好き、だから初春はコンピュータが好き、よって初春は電子機器が好き、そのため初春は家電製品が好き、したがって初春は冷蔵庫が好き)
佐天(以上の事柄より、初春は機械姦が好き……!)
佐天(初春……まだ若いのにそんなハードコアな趣味に手を出すなんて……)
佐天(…………)
佐天「……少し聞きたいんだけどさ」
垣根「何だ急に」
佐天「ていとくんはどうやって初春を落としたの?」
垣根「」
垣根「いや、落とすも何も俺冷蔵庫なんだけど」
佐天「いーや、あの初春がここまで骨抜きにされるのはおかしい……ってことは、ていとくんが何かヤったんでしょ!正直に言って!」
垣根「……何もしてねえよ」
佐天「初春を元気にしてくれたのは感謝してるけど、初春を女の子にしてとは言ってないよ……さあ吐いた吐いた、一体冷蔵庫のどこの扉を使って初春を蹂躙したの?」
垣根「だから何もしてねーっつーの。……あ、」
サテンサン!
佐天「……え?」
初春「……何で佐天さんがこんなところにいるんですか……?」ゴゴゴゴ
佐天「」
再び説明中
初春「……はあ。私が悪い男に引っかかってないか確かめに来た……と」
佐天「本当にゴメン初春……何かつい暴走しちゃって……」
初春「……わかりました、心だけは受け取っておきますけど……今度からは寮に来る時はちゃんと連絡下さいね」
佐天「返す言葉もございません……」
初春「……それにしても、ていとくんが彼氏と思われるとは考えもしませんでした」
佐天「……確かに今思うと矛盾だらけだった気も……それに実態は気持ち悪い冷蔵庫だったし」
初春「気持ち悪いのは否定できませんけど……」
垣根「おい、いつから『気持ち悪い』が俺の枕詞になった?」
佐天「初春は何でこんな冷蔵庫と暮らしているの?」
初春「……そうですね。佐天さんから見るとていとくんは気持ち悪くて口が悪くて言うことを聞かない生意気な冷蔵庫かもしれません」
垣根「」
初春「でも……」
佐天「でも?」
初春「たまにしか見せてくれませんけど……優しいところもあるんですよ」
佐天「」
佐天「……ていとくん、あなた絶対初春に何かしたでしょ。初春がこんな穏やかな顔であんな言葉を言うのはおかしい」ヒソヒソ
垣根「だから俺は何もしてねえ!」ヒソヒソ
初春「?」
佐天「….…まあ、色々あったけど結局初春は大丈夫ってことでいいんだよね」
佐天「……あ、そういえば目のクマは何でだったの?あと、疲れたとかスッキリしたとか……」
初春「あー、全部ていとくんのせいです。夜中に話しかけて来たりするんです」
垣根(……おい)
佐天「そっか……じゃあ、私帰るね……不法侵入とかしちゃってごめんなさい」
初春「もういいですよ、私は佐天さんの心はちゃんと頂きましたから」
佐天「くぅー……いい娘すぎるよ初春!……おい、ていとくん!」
垣根「お、俺か?何だ」
佐天「こんなかわいい初春を泣かせたら、承知しないからね!」
垣根「だからな、そういうんじゃねぇ……」
佐天「……」
垣根「……分かったよ、約束する」
初春「……!」
佐天「……うん、その言葉が聞けて良かった。じゃあね初春、ていとくん」
初春「……また明日、学校で」
佐天「うん!さよなら!」
初春「………………」
垣根「………………」
初春「………………」
垣根「………………はは、何だか可笑しいな、俺たち」
初春「そうですね……」
垣根(所詮、俺の体が元に戻るまでの喜劇なのに)
初春「……ご飯食べたら今日の解析、始めますか」
垣根「……そうだな」
垣根(何故幕が降りてしまうのが怖いんだ?)
数時間後
初春「」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根(く……)
初春「ていとくん、朗報です」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根「……何だ?」
初春「……ついにこの時が来ましたよ……」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根「だから何がだ?」
初春「二番目のセキュリティ、突破です!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャッターン!
……バキン!!!
垣根(うおっ?!……)
初春「……どうですか、ていとくん」
垣根「……体が少し軽くなった」
初春「冷蔵庫なのに……?」
垣根(そして未元物質の出力限界も上がっている……!!)
初春「……ここも殆どデータがありませんね。重要な領域はまだまだ奥ってことですか」
垣根(全力時を100%とすると、今は20%程の力……確かにまだ制限されてるな)
垣根「セキュリティは後何個あるんだ?」
初春「えーと、……あと二つですね」
垣根「あと、二つか」
垣根(……この偽りの関係も、それが終わったら……)
初春「……ていとくん」
垣根「……ん?」
初春「……ううん、何でもありません……私、今日も眠いしもう寝ますね……でも、やっぱり家にいる時しか解析できないのは大変だなあ……」パタン
垣根「!」
初春「……すー………くー……」
垣根(そうだな、当たり前だがこいつには外での生活もあるんだよなぁ……風紀委員の仕事もある訳だし)
垣根(……あいつの負荷をどうにか軽減させて…………)
垣根(……………それにいい加減動きたいな)
垣根(……………)
カサカサカサッ
垣根(ん?)
ゴキブリ「ウェーイ」カサカサカサッ
垣根「おう、お前か」
カサカサカサカサカサカサッ
垣根「…………」
カサカサカサッ
垣根(……前から考えていたことがある)
カサカサカサッ
垣根(未元物質の出力は関係ないから……20%程度あれば……実現可能なハズだ)
垣根(…………だが、本当にいいのか?俺は、あいつを……)
垣根(……………)
垣根(……すまねえ、やっぱり俺は暗部に生きた『垣根帝督』にしかなれないんだな)
垣根(どれだけ綺麗事を吐こうとも、それが真実になることは無い)
垣根(謝って済むことだとは思えないがな……)
垣根(俺が地獄に堕ちた後で幾らでも責めてくれ)
垣根(……演算開始!)
投下終了
途中で慌て過ぎました……すいません
午前中にまた来ます
投下します
*今回の話は不快感を持たれる方がいるかもしれません。ご注意下さい*
カサカサカサッ
ゴキブリ「う~生ゴミ生ゴミ」
今生ゴミを求めて全力疾走してる僕はキッチンシンク下に住まうごく一般的なチャバネゴキブリのオス
強いて違うところがあるとすれば電化製品に興味があるってとこかナーー
名前はゴキブリ
そんなわけで通り道にあるガスコンロの近くまでやって来たのだ
ふと見るとガスコンロの前に一台の新品の冷蔵庫があった
ウホッ!
いい冷蔵庫……
そう思っていると突然その冷蔵庫は僕の見ている目の前で冷蔵庫の扉を開け始めたのだ……!
垣根「や ら な い か」ガチャ
そういえばこのキッチンは不思議な冷蔵庫があることで有名なところだった
いい冷蔵庫に弱い僕は誘われるままホイホイ冷蔵庫の中に入ってしまったのだ?
彼ーーーちょっとワルっぽい暗部組織のリーダーで名前を垣根帝督と名乗った
未元物質を使うのも慣れているらしく冷蔵庫の中に入るなり僕はいきなり未元物質に囲まれてしまった
垣根「よかったのかホイホイ入ってきて。俺は昆虫だろうと構わず中に入れちまう冷蔵庫なんだぜ」
ゴキブリ「こんなこと初めてだけどいいんです……僕、垣根さんみたいな冷蔵庫好きですから」
垣根「うれしいこと言ってくれるじゃないの。それじゃあとことんよろこばせてやるからな」ズズッ
言葉通りに彼は素晴らしいテクニシャンだった
僕はというと細胞に入ってくる未元物質の波にに身を震わせてもだえていた
しかしその時、予期せぬ出来事が……
ゴキブリ「うっ……!」
ゴキブリ「で、出そう……」
垣根「ん?何がだ?」
ゴキブリ「そ、それが……さっきから未元物質が入り過ぎて、細胞からはみ出てしまいそうなんです」
垣根「そうか……」
垣根「いいこと思いついた。お前、はみ出てきた未元物質をツノの形にしろ」
ゴキブリ「えーっ?!ツノの形にィ?」
垣根「男は度胸!何でも試してみるものさ。きっといい気持ちだぜ」
垣根「ほら、遠慮しないで作ってみろよ」
彼はそう言うと冷蔵庫内に充満していた未元物質を消し去り僕がツノを作りやすいような環境を整えた
冷蔵庫の中でゴキブリにツノを付けさせるなんてなんて冷蔵庫だろう……
しかし零下に近い冷蔵庫の気温に晒されているうちにそんな変態じみたことを試してみたい欲望が……
ゴキブリ「それじゃ……やります」ズズズズッ
ゴキブリ「ちょっと小さいですけど……できました」
垣根「ああ……次は頭角だ……」
ゴキブリ「うっ……それじゃ出します……」ググッ
垣根「いいぞ、頭からどんどん伸びてくるのがわかるよ」
垣根「しっかり未元物質で固めないとな」ブワッ
ゴキブリ「くうっ、気持ちいい……!」
この初めての体験は長い触覚が有る限り知らなかった絶頂感を僕にもたらした
ゴキブリ「ああーーっ!」
この時のあまりに激しい快感に、頭角を伸ばし切ると同時に僕の頭に元々生えていた二本の触覚が千切れてしまったのだった
垣根「この分だと相当苦労したみたいだな。冷蔵庫ン中がパンパンだぜ」
ゴキブリ「はぁ……はぁ……」
垣根「どうしたい」
ゴキブリ「あんまり気持ち良くて……こんなことしたの初めてだから」
垣根「だろうな、俺も生体細胞に未元物質を入れるのは初めてだよ」
垣根「ところでどうだい、俺の能力を見てくれ。こいつをどう思う?」ズオッ
ゴキブリ「すごく……ダークマターです……」
垣根「ツノができたのは良いんだけどさ、このままだとアンバランスなんだよな」ドスッ
ゴキブリ「あっ……!」
垣根「今度は俺の番だろ?」
ゴキブリ「ああっ!」
垣根「いいぞ……腹部から頭部にかけての体表組織が硬い外殻に変化していく」
ゴキブリ「で、出る……」
垣根「何だァ?今出したばかりだってのに又出すのか。堪え性が無いな」
ゴキブリ「ち、違う……!」
垣根「何ィ?今度は歩脚ゥ?お前、俺を造形師と間違えてるんじゃねえのか?!」
ゴキブリ「しーましェーん!!」
垣根「しょうがねえなあ、いいよいいよ。俺が形を整えてやるからこのまま出しちまえ。全身を未元物質にするのもいいかもしれないしな!」
ゴキブリ「えーーっ!?」
と、こんなわけで僕の初めての未元物質体験は全身サイボーグ化という結果で終わったのでした……
ヤラナイカ
アッー!
初春「うーん……ご、ゴキブリが……冷蔵庫の中に………ムニャムニャ……うぅ……」
???「おい、起きろ!」カサコソ
初春「んー……まだ暗いじゃないですか……あれ?何でこんな近くで声が……きゃあああああああ!?か、カブトムシ!?」
カブトムシ(垣根)「う、そんなに驚かなくてもいいだろ……」
初春「も、もしかして……ていとくんなんですか?」
カブトムシ「おう、どうだこの姿?」
初春「どうって言われても……趣味悪いなぁとしか」
カブトムシ「」
投下終了します
ネタが被っていたらすいません
投下します
注:部屋の外での二人の会話は基本小声ということでお願いします
初春「ーーはぁ、遠隔操作型の冷蔵庫子機……?」
カブトムシ「ああ。このカブトムシは……俺の分身みたいなモノだと思ってくれ。色々新機能を搭載してみたんだが」
垣根「そうだな、例えば、外で買った冷たいジュースをそのまま保温したい……そんな時に持ち歩いていたこのカブトムシに持たせれば冷たいまま保ってくれる。どうだこの新機能!」
初春「…………」
垣根「ん?どうした」
初春「何故カブトムシなのかは置いておくとして……あの、非常に言いづらいんですけど」
初春「今まで話してませんでしたが……私の能力……Level1の『常温保存』って能力で、それくらいなら保温出来るんです」
カブトムシ「」
初春「それと、これからの季節にあまり冷たい飲み物は飲まないかと……」
垣根「そ、そうか……」シュン
初春「あと、カブトムシと冷蔵庫の両方から話し掛けるのはやめて下さい。混乱しますから」
垣根「あ、ああ、わかった。部屋では冷蔵庫の方で喋るように統一する」
垣根(……早くも冷蔵庫の意味が無くなってしまった……)
垣根(……気を取り直して本来の目的に戻るか)
垣根「……そうだ、それともう一つメリットがある」
垣根(俺にとっては、こっちが本命だからな)
垣根「今までは解析は冷蔵庫の前じゃないとできなかったろ?」
初春「ええ、確かに」
垣根「だが、カブトムシをお前のノートパソコンと接続すれば……特殊なネットワークを通じてここにいる俺……冷蔵庫とリンクする」
初春「!!……ということは」
垣根「そうだ。お前はカブトムシを持ち歩いているだけでいつでも何処でも解析が可能になる!」
初春「……凄いですね」
垣根「ああ。その他にはさっきみたいにこのカブトムシ自身が俺の考えた通りに動く。感覚とかも共有しているんだ。まあ、動くのには少し制限があるけどな」
初春「こんな小さなカブトムシに一体どうやってそんな能力を……?」ツンツン
垣根「お、おい何するんだ!」
初春「ちょっと位いいじゃないですか……ふーん、角も足も良くできてますね。そもそも生物か機械かもよくわからないですけど……」チョンチョン
初春「ところで何で体色が白なんですか」ギュ
垣根「……まあ仕様というか何というか……」
垣根(……暖かい……うわ……すげー柔らかい…………いかんいかんいかんいかんこれはダメだ)
初春「ていとくん?」
垣根「な、何だ?」
初春「結局、このカブトムシ、何でできてるんですか?」
垣根「……え、」
初春「外見は確かに白いカブトムシなんですが、翅の下のあたりが黒光りしてたり……全体的に形が何かに似ているような」
初春「何でしたっけ……よく見ているような……黒い……」
垣根「……………」
初春「……ゴ」
垣根「……あ、もうそろそろ朝ご飯食わないと遅刻するんじゃね?」
初春「あっ…………何だか上手く誤魔化された気もしますけど……後でちゃんと話して貰いますよ」
垣根(早く良い言い訳を考えねえと……)
初春「とりあえず昨日の残り物を……」ガチャ
垣根「ひゃうっ……ふぅ」
初春「飲み物はどうしましょうかね」
垣根(……ついに突っ込まれなくなった)
登校中
初春「この時間なら十分間に合いますね」
カブトムシ「……外に出るのも久しぶりだな。何か太陽に感動した」モゾモゾ
初春「ちょっと……花飾りが崩れますからあまり動かないで下さいよ」
カブトムシ「わかったわかった。しかし、何故花飾りの中に入れるんだ」モゾ
初春「ていとくんが鞄の中は嫌だって言ったじゃないですか。我慢して下さい」
カブトムシ「……しょうがねえな」
初春「あ、そういえば……佐天さんにはていとくんのこと話していいですよね?」
カブトムシ「佐天っつーと、昨日来たあのやたら元気な女か。……ま、お前が信用してるみたいだし、いいんじゃねえの」
初春「大丈夫ですよ、佐天さんは意外に口が固いですから」
カブトムシ「そうか……」
カブトムシ「……あと、前から聞きたかったんだがこの花飾りって何」
佐天「おはよー、初春!」バッサァ
初春「」
ザワザワ
シロカ……
イカンデショ
マイカノパンチラノホウガイイニャー
ボカァパンチラケイヒロインノミナラズ、ギシギマイギボギジョウフタゴミボウジンセンパイコウハイドウキ(略
初春「さ、佐天さん!いつもいつもスカートを捲るのは止めてって言ってるじゃないですか!」
佐天「いや、今日は何故か初春が空きだらけだったからつい……」
カブトムシ(……何だこれ)
初春「全く……今度からは止めて下さいね」
佐天「うん!……あれ?初春の今日の花飾り、何か変じゃない?」
初春「ああ、それは……」
初春「佐天さん、ちょっと見て下さい」ゴソゴソ
カブトムシ「うわっ……と」
佐天「ええっ?!何このカブトムシ……」
初春「これ、ていとくんなんですよ」
佐天「えええええ?!何その二重ドッキリ!」
カブトムシ「うるせえな……」
佐天「おおっ、確かにあの気持ち悪い声……冷蔵庫がカブトムシになるなんて、現実は小説よりも奇なりってやつだね」
カブトムシ「そんな話があってたまるかよ」
佐天「ねえ、初春。ていとくんを持ってみてもいい?」
初春「いいですよ。不思議な感触だと思いますけど……」
佐天「やった!じゃ、ちょっと失礼して……」サワサワスベスベツルツル
カブトムシ「……くすぐったくなってきたから止めてくれ」
佐天「しかし、ていとくんも頑張るねー」ヒソヒソ
カブトムシ「……どういうことだ?」ヒソヒソ
佐天「昨日『初春を泣かせたら承知しない!』って言っただけなのに、すぐに外まで付いてきてるんだもん」ヒソヒソ
佐天「ただ、こんな姿で来るとは思わなかったけど……」ヒソヒソ
垣根「何度も言ってるがそんなんじゃねえ……何だ?お前は俺とあいつをくっ付けたいのか?」ヒソヒソ
佐天「結構似合うかもよ?冷蔵庫と女の子」ヒソヒソ
垣根「お前の感性がもうわかんねえよ……」ヒソヒソ
初春「佐天さん、もう良いですか?そろそろ学校に行きましょう」
佐天「わかった!」タタッ
カブトムシ「走るなあああ!」グラグラ
キーンコーンカーンコーン
ザワザワ
カブトムシ「…………」
カブトムシ「……これが学校、か」
初春「学校を見るのは初めてですか?」
カブトムシ「いや、所属は一応していたハズなんだが……行ったことはほとんど無かったな」
初春「冷蔵庫の学校ってどんなことを学ぶんですか?いかに少ない電力消費で効率良く冷凍するか、とか……」
カブトムシ「」
初春「……それとも、メダカの学校みたいな感じですかね……」
カブトムシ「……その辺はあまり突っ込まないでくれ」
ガラッ
先生「では授業始めるぞー」
ザワ……ザワ……
先生「昨日の続きからいくぞ。教科書89ページ開けー」
初春「えっと……ここですね」パラパラ
カブトムシ「この時間は英語の授業か」
初春「はい。最近難しくなってきて……」
初春「うーん、この文の和訳は……?」
カブトムシ「どれどれ……現在進行形だな。『メルヘンな工場長は今バレーボールをしている』……か。……何だこりゃ」
初春「」
初春「な、何で冷蔵庫なのに読めるんですか……」
カブトムシ「……ま、色々あってな……とにかく頑張れ」
初春「ううっ….…」
先生「初春?ちゃんと聞いてるか?」
初春「は、はい!」
昼休み
初春「……」カチャカチャカチャカチャ
初春「こういう隙間時間を使えるようになったのは確かに便利ですよね」
カブトムシ(パソコン接続中)「だろ?五分十分の積み重ねが大事なんだよ」
初春「何処かで聞いたフレーズですね……」カチャカチャカチャカチャ
佐天「初春!一緒にお昼食べない?」
初春「あ、大丈夫です!今行きます……ていとくん、ちょっと中断しますよ」
カブトムシ「ああ」
佐天「……」モグモグ
佐天「炭酸餡子パンは流石にまずかったかなー……」
初春「やっぱり苺おでんが至高ですよ」
カブトムシ「お前らの会話についていけねえ……分かりたくない気もするが」
佐天「うー……駄目だ、食べ切れないや。残った分どうしよう」
カブトムシ「ちゃんと考えねえからそういうことになるんだよ」
佐天「冷蔵庫の癖に言うね…あ、そうだ!」
初春「どうしたんですか?」
佐天「初春、今のていとくんって食べ物を食べられるの?」
初春「!……考えてもみませんでした。どうなんでしょう」
カブトムシ(……この流れは危険だ)
佐天「じゃあ、試しにさ」
佐天「ていとくんに余り物食べさせていい?」
カブトムシ(やはり……!)
カブトムシ「断固拒否する。そんなまずそうなパン食いたくねえよ」
初春「ちょっと実験したくなりますね……」
佐天「……やっちゃう?」
カブトムシ「おーい、俺の意見は?」
初春&佐天「………………」
初春「やっちゃいますか」
佐天「うん、やっちゃおう……って訳で、さあ食った食った」
カブトムシ「だから食いたくねえって言ってるだろ!」
初春「ていとくん、ちょっとだけで良いので食べて下さい。本当に少しで良いので」
佐天「はい、パンの一欠片。この位ならいいでしょ」
カブトムシ「そんなもの食うなら腐ったパンを食う方がマシだろ……」
初春「ていとくん……?」
カブトムシ「……」
初春「食べてくれないんですか……?」
カブトムシ「う……」
カブトムシ(こいつの目が語っている……食わなきゃ捨てる、と)
カブトムシ(ゴキブリベースだから一応身体は大丈夫かもしれないが……あんな得体の知れないモンを摂取できるのか……?)
カブトムシ「…………」ゴクリ
佐天「…………」ゴクリ
初春「…………」ゴクリ
カブトムシ「……じゃあ、本当に一口だけだからな」
佐天「おおっ!ノリがいいね」
カブトムシ「深呼吸して……」スーハー
カブトムシ(カブトムシと言えど、体が復活して初めて味わうのがこれか……何でこんなことに)
カブトムシ(……ゴチャゴチャ考えても始まらねえ)
カブトムシ「……いただきます」ペロッ
カブトムシ「…………」
佐天「どう?」
カブトムシ「うっ……」バタン
初春「えっ」
カブトムシ「…………」ブクブク
佐天「……あらら、これは見事な泡吹き……」
初春「どうしましょう……」
カブトムシ「…………」ピクピク
投下終了
<<265
一応口元もカブトムシ化してるので、ブラシのような口で舐めていると思われます
というか設定がフワフワしてます
投下します
<<265
これで付きましたかね
何故付かないのでしょうか……
以下本編
ーーーーーーーーーーーーーーー
絶対殺虫剤生成計画ーーー
二万匹のゴキブリを殺すことで最強の殺虫剤から絶対的な殺虫剤への進化を達成するーーー
『例えば、害虫を全滅させる殺虫剤の開発のメドが立ったとして、それにゴキブリ二万匹分の実験データが必要だとしたら』
『あなた……今仕方ないことだと思ったでしょう?』
『……屁理屈よ』
『同じ命なのに?』
『ギャハハハハハハ!!ゴキブリを二万匹ぷちぷち潰してLevelアップ!!ってか!統括理事会も何を考えて……』
『ようは、猫に危害を加えず体の表面からノミを落とせば良いのですか、とゴキブリは確認します』
『はい?』
ゴキゴキゴキ!ジョウジ!
ノミノミノミッ!
『……特定害虫言語により害虫のみを立ち退きさせました、とゴキブリは報告します』
『それでは用が済みましたらーーー』
『とうまとうまっ、あれこそパーフェクトクールゴキブリなんだと思う』
『~~少しは見習ってくださいよ……無理だろうけど』
『お前が次の実験のダミー人形ってことで構わねェンだな?』
『はい、ゴキブリの検体番号は10032号です、とゴキブリは返答します』
『聞こえねぇのか?ゴキブリから離れろって言ってんだよ三下ぁっ!!』
『何を……やっているのですかと……ゴキブリは問いかけます。あなたの行動は理解しかねます……』
『ゴキブリは適度な湿気と温度があれば、鼠算式に増えていくんです。単価にして18円、在庫にして9968匹も余りある、そんなモノの為にあなたはーーー』
『関係ねえ。汚ねえだの、生理的に気持ち悪いだの、黒光りしてるだの……そんな小っせえ事情なんかどうでもいい』
『俺はーーー世界に一匹しかいないお前を助けるためにここに立ってんだよ』
『チョーシ乗ってンじゃねェぞ三下ァァァッ!!』
『下らねえモンに手ぇ出しやがって……ゴキブリ達だって精一杯生きてきたんだぞ』
『全力を振り絞って、皆、必死に……』
『何だってテメェみてえなのに食い物にされなきゃなんねえんだ』
『くかきけこくくきくけききこくくきくここくけけけこきくかくきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかかーッ!!!!!』
ーーーーーーーーーーーーーーー
カブトムシ「……はっ!」
カブトムシ「……………」
カブトムシ(……夢かよ。何かやたらと不愉快な奴が居た気がしたが……)
???「喋りましたの……初春の言っていたこと、本当でしたのね……驚きですの」
カブトムシ(何ッ?!誰だ?というか、ここは何処だ?)
カブトムシ(確かあのパンを食べた後……うっ、思い出しただけで頭痛が……)
???「警戒させてしまいましたの……安心して下さいまし、カブトムシさん」
黒子「私の名は白井黒子……初春の同僚ですの」
カブトムシ「……あいつの同僚……風紀委員か」
黒子「あら、随分聡明なカブトムシさんですの……その通りですわ。初春と同じく私も風紀委員ですの」
カブトムシ「……つーことは……ここはもしかして」
黒子「風紀委員の177支部ですの。初春が貴方を持ってきた時はびっくりしましたの……」
黒子「でも、これでやっと勘違いが解けましたの。初春は彼氏が出来たのではなくて、ペットを飼い始めたんですのね。先走ってしまった自分が恥ずかしいですの……」
カブトムシ(……ここではペット設定か……嘘を演じるのも大変だな)
カブトムシ「……俺はどの位の間寝ていたんだ?」
黒子「初春の話からすると、昼からずっと眠っていたようですの」
カブトムシ(あのパン毒性強過ぎるだろ……)
黒子「最初はそのうち目覚めると初春も思っていたようですけど、こんなにも長い間身動きをしないのでさすがに心配していたんですの」
カブトムシ(……あいつの知り合いにマトモな奴はいないのかよ……この白井ってやつも一見普通だが、ですのですのうるせえし)
カブトムシ(……あれ?そういえばあいつは……)
カブトムシ「おい、姿が見えないし声も聞こえないようだが……あいつは何処に行った?」
黒子「初春ですの?今、外に居ますけど……電話をして来る、と言っていたんですの」
カブトムシ「電話……?」
ガチャ
初春「白井さん、ていとくんはどんな様子……あ、起きたんですか」
黒子「初春、結局誰への電話だったんですの?」
初春「私が今病院で世話になっているお医者さんがいるんですが……その人への電話です」
カブトムシ「……その怪我のか」
初春「そうです、治療をしてくれている先生のことです。で、その先生が凄腕の医者で……『冥土帰し』って呼ばれているくらいなんですけど」
初春「次の通院日はまだ先だったんですが……ていとくんが気絶してたので、その治療も合わせて今日訪れてもいいですか、って先生に聞いてきたんです」
カブトムシ「はあ?人間の医者がカブトムシを治せる訳ねえだろ」
初春「でも今の電話では『カブトムシもついでに治すから大丈夫だね?』とか言ってましたよ?」
黒子「何者なんですのその先生は……」
初春「それで、これから行くって予約したんですけど……ていとくん、起きちゃいましたね……」
初春「私一人の通院で風紀委員の仕事を早引きするわけにもいかないし……キャンセルしなきゃ」
カブトムシ(何で俺のせいみたいになってるんだよ)
黒子「……初春、その必要はありませんの」
初春「え?」
黒子「今日は何の通報も無いし、極々平和な日ですの。今日位は早引きして良いのでは?」
初春「……でも……」
黒子「その怪我の治療もそろそろ終わるようですし、早く包帯が取れるのならそれに越したことはありませんの」
初春「…………」
カブトムシ「……俺も良いと思うぜ。その包帯、見ていて心が痛むし」
初春「……じゃあ、今日はお言葉に甘えて、早退させてもらいます」
黒子「ええ、しっかり療養して下さいまし」
デハサヨウナラ、ホラテイトクンモ
ナンデオレマデイワナキャナンネエンダヨ!
バタン
黒子「……本当に……元気になったんですのね、初春」
冥土帰しの病院
カブトムシ「じゃあ、俺はお前の鞄の中に隠れているから話しかけるなよ」
初春「ええ?何でですか。外に出てるのが良いって言ってませんでしたっけ」
カブトムシ(俺の事を知っている研究者が医者をしている場合もある……病院では姿を隠すべきなんだろうが……どう説明するか)
カブトムシ「……お前の主治医は俺の治療をするっつったんだろうが、本来病院に虫がいたらマズイだろ」
カブトムシ「保菌しているかもってことで殺されたりするし……俺の場合殺虫剤をかけられたら堪らないからな」
初春「カブトムシに殺虫剤って効くんですかね……」
カブトムシ「……俺は繊細だから効くんだよ!とにかく俺は隠れてるからな」モゾモゾ
初春「あっ!鞄を角で傷付けないで下さいよ」
診察室
冥土帰し「……うん、怪我の方はほぼ完治している……もう包帯を巻かなくても大丈夫だね?」
初春「本当ですか?良かったぁ……」
カブトムシ(……とりあえず一安心……か)
冥土帰し「……僕の予想よりもずっと早く治ったよ。こんな現象はあの少年の怪我以外では余り見ないね?」
冥土帰し「心と体は密接な関係があるというけれど……その様子だと、良い心の支えが見つかったようだね?」
初春(やっぱり、ていとくんのおかげなのかな……?)
冥土帰し「……毎日見ると言っていたあの夢はどうなったんだい?」
カブトムシ(……!)
初春「あ……そういえば、最近全然見なくなりました」
初春「前は昼寝しただけでも悪夢を見ていたのに、いつの間にか……何ででしょうか?」
カブトムシ(……これが、初めの頃あいつがうなされていた原因……悪夢ってことは、やっぱり俺の襲撃が元なのか……?)
冥土帰し「なるほど……精神状態も快方に向かっているようだね……最後になるけど、記憶喪失の方はどうかな?」
カブトムシ(!?)
初春「私がこの怪我をした時の記憶……ですよね。うーん……まだ全然思い出せませんね……」
カブトムシ(こいつは……俺のことを……垣根帝督を覚えていないのか?)
カブトムシ(言動から俺を思い浮かべないのは、そういうことだったのか……)
冥土帰し「………………そうかい?まあ、君は記憶を焼き切られた訳でもないし、ゆっくりゆっくり治していけばいいね?」
初春「そうですね……」
冥土帰し「よし、今日の検診はこれで終了だよ……怪我の方はもういいけれど、心のケアはまだ必要なようだから、また数週間後にここを訪ねて欲しいね?」
初春「わかりました!では、失礼します」
ガラガラ……バタン
冥土帰し「…………」
冥土帰し(……何か妙だね?)
冥土帰し(彼女の精神は確かに良い状態になっている。だが、決して安定している訳ではないね?)
冥土帰し(もしかしたら、今の彼女の心は針の上ほどのバランスで成り立っているようなものなのかもしれない……この状態で記憶が蘇ったら彼女はどうなる?)
冥土帰し(……しかしながら、今の僕には……特に有効な治療が思いつかない。強いて言うならば、彼女の心の支え……バランサー君に期待をするしかないね……)
冥土帰し(だが、そのバランサー君こそが一番の不安定要素かもしれないね?今までの土台も無しに彼女の深層意識に突然現れた君は……何者なんだい?)
冥土帰し(…………何にせよ、彼女には注意をする必要がありそうだね?)
病院前
初春「……検診、結構早く終わりましたね……」
カブトムシ「…………」
初春「………まだバスも電車動いてますし……ていとくん、何処か行きたい所はありませんか?」
カブトムシ「…………」
初春「……ていとくん!」
カブトムシ「うぁっ!な、何だよ」
初春「ていとくんが無視するのが悪いんですよ……で、ていとくんは何処か行きたい所はありませんか」
カブトムシ「行きたい所……特に無いな。……それ以前にこの体で楽しめる所も無いけどな」
初春「それもそうですねえ……」
初春「……まだ余裕はありますけど、生活費を下ろしに郵便局にでも行きますかね……ていとくんもいいですか?」
カブトムシ「……いいんじゃねえの」
カブトムシ(くそっ……何か色々と考えちまうな)
郵便局
ザワザワ
初春「ちょっと混雑してますね」
カブトムシ「……暫くあの辺の長椅子で待ってるか」
初春「そうしますか……よいしょっと」ドサッ
初春「……この間に解析しちゃいましょう」カチッ
カブトムシ「改めて思ったんだが、お前って……常にノートパソコン持ち歩くの重くないのか?」
初春「……まあ、慣れですよね」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「そ、そういうもんか……?」
十数分後
初春「……そういえば昔郵便局で事件に巻き込まれたこともありましたっけ……」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「……そんなことがあったのか」
初春「ええ、あの時は私はまだ風紀委員の志願生で……確か中学校や寮の下見に行って、電車賃が無くなってしまったんです。それで郵便局を訪れて……」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「当時から抜けてたんだな」
初春「うるさいですね……」カチャカチャカチャカチャ
初春「そこで2人組の強盗に襲われたんです」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ(……こいつもしかして不幸体質なんじゃないか?)
カブトムシ「……で、お前は何をしたんだ?」
初春「……恥ずかしい話ですけど、私が人質にされちゃって……あの時は一緒にいた先輩と白井さんの邪魔になっちゃったんです」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「うん、お前って不幸体質だな」
初春「それはちょっと言い過ぎですよ。……その後は、白井さんが私を……あ、白井さんはテレポートの能力者なんですけど、能力で
私を外に逃がしてくれて……」カチャカチャカチャカチャ
初春「後は白井さんが大活躍して事件は終わりました。私はずっと泣いてましたね……」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「ふーん……あのですの女も結構スゲえ奴なんだな」
初春「そうなんですよ……普段の言動のせいであまり理解されてませんけど。それに、白井さんはあのLevel5第三位の御坂さんと同室なんですから」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「!へえ……常盤台の超電磁砲、御坂美琴……っつったか?」
初春「そうです、その御坂さんです……ていとくんも知ってるなんて、やっぱり知名度が凄いんですね」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「……そりゃあ知ってるさ、知ってるに決まってる」
カブトムシ(第一位の絶対能力進化実験の素体提供者……そして、あの時俺が探していた打ち止めの『お姉様』……ってな……ま、今となってはどうでもいいことだが)
カブトムシ「まあこの話は置いておくが……それで、お前はその事件の時、マジでずっと泣いていただけだったのか?」
カブトムシ「だとしたら相当な間抜けだな」
初春「失礼ですね!学んだこと位はありましたよ」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「へえ、どんなことを学んだんだ?」
初春「……『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし!』」カチャカチャカチャカチャ
初春「信念っていうのは、自分に向けるものじゃなくて……困難と立ち向かうために必要なもの」カチャカチャカチャカチャ
初春「あの時の白井さんを見て分かったんです」カチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「……そうか」
カブトムシ(……綺麗事だな。表の世界でしか通用しない綺麗事だ……だが……)
カブトムシ(あの時、その信念に俺は……)
初春「あ、そろそろ空いてきましたね。行きましょう」パタン
カブトムシ「……ああ」
ザワザワザワザワ
初春「あれ?何か騒がしいですね……」
カブトムシ「…………」
カブトムシ(……臭いがする……どこか懐かしい臭いだ)
カブトムシ(この臭いを出している正体は……)
バァァン!
初春&カブトムシ「?!」
初春「今のは……」
カブトムシ「銃声だ!」
モヒカン(強盗1)「ヒャッハアー!金を出せえ!」
グラサン(強盗2)「この銃は本物だ!動くと撃つぞ!これは映画の撮影でも何でもねえ!」
キャー
ワー
初春「……!」
カブトムシ「…………」
カブトムシ(最初の銃声は威嚇射撃だったようだが……おいおい、また随分とベタな強盗だな……)
カブトムシ(しかし、やることが小せえなあ……暗部組織の下部組織にも属していない、ただのチンピラスキルアウトか?)
カブトムシ(恐らく早々に警備員に逮捕されるだろうが……)
ヒャッハアー
カネダ、カネヲダセ
コノフクロニツメロ
初春「……不味いことになりましたね」
カブトムシ「……本物の拳銃ってのはちょっと厄介だな……」
カブトムシ「しかし、お前マジで運が無いな……人生で強盗に二回も襲撃されるって奇跡的だぞ」
初春「自分でもそう思いますよ……」
モヒカン「おい、そこのガキ!黙りやがれ!」
初春「……はい」
初春(……犯人は今の所民間人に危害を加える様子は無し)
初春(私が下手に手を出して刺激するより、警備員や白井さん達の到着を待った方が有効でしょうか……?)
グラサン「よーし、そのまま大人しくしてろよ……少しでも動いたら、ズドン!だからな」
カブトムシ(……面倒なことになったな)
カブトムシ「……で、どうする?」
初春「声を潜めて下さいよ……とりあえず今は様子見です。そろそろ通報されているはず……」
ガラガラガラガラ
初春「……!」
モヒカン「ああ?!何だよこりゃ」
初春(防犯シャッター……あの時と同じ……誰かが下ろしてしまった……)
グラサン「おい、動くなっつってるだろうが!!」
モヒカン「……俺たちがお前らをいつでも殺せるってことが分かっていないようだな」
グラサン「……一人位見せしめに殺しておくか」
モヒカン「ヒャッハア!いいなあ、それ!」
初春「……!!」
初春(どうするーーー?)
初春(今は白井さんも、固法先輩も居ない)
初春(私、一人だけ……でも、私だって一年間遊んでいたわけじゃない)
初春「…………」
モヒカン「さあて、どいつにするか」
初春(私だって……)
グラサン「なるべくいい悲鳴をあげそうなのがいいな、ギャハハ!」
初春(私だって……!!)
初春「待ちーーー」
ズキン!
初春「ーーーッ!?」
ズキン!!
初春(な、何で……何で今、肩の傷が痛むんですか!!)
ズキン!!
初春(……今動けなきゃいけないのに……!治ったはずなのに……!)
ズキン!!
痛いのは嫌でしょう?
初春「……!」
ズキン!!
初春「……うっ……」
今、立ち向かったら、その怪我なんかよりもっと酷い痛みが貴方を襲うんですよ?
初春「……くっ……」
ズキン!!
初春「何で……こんな……!」
初春「はあっ……ううっ……!」
カブトムシ「……おい、どうした?」
初春「傷が……痛むんです……今までにない位の痛みで……」
カブトムシ「………傷……」
キャー
ワー
少女「嫌ぁ!誰か助けてえ!」ウワーン
モヒカン「うるせえな!!泣き喚くな!」
グラサン「……そのガキを殺すか」
モヒカン「お、そうするか」
初春「……!!」
初春「何で……何でこんな時に……動けないんですか!」グスン
初春「私が……立ち上がらなきゃ…….いけない……のに……!」ポロポロ
カブトムシ「…………」
『心と体は密接な関係があるというけれど……』
カブトムシ(あのカエル顔の医者が言っていたのは……こういう事か)
カブトムシ(……お前は……精神的に脆すぎる)
カブトムシ(なのに、どうしてお前は……)
少女「離して……離してよ!」
グラサン「おい、暴れるな!」
初春「……私は……私には誰も助けることが……できないんですか……」
カブトムシ「ーーー!!」
カブトムシ(違う……お前は……ちゃんと守ったんだ)
『聞こえ……なかったんですか』
『あの子は……貴方が絶対に見つけられない場所にいる……って言ったんですよ』
カブトムシ(お前が忘れていても、俺はしっかり覚えている)
カブトムシ(……お前の信念、何処までも真っ直ぐな瞳、決して折れることの無い、強い心)
カブトムシ(こんな小さな身体のどこに秘めていたんだろうな?)
カブトムシ(そしてそれを歪ませたのは……)
カブトムシ(…………)
カブトムシ「……おい」
初春「く………」グスッ
カブトムシ「おい、落ち着け。深呼吸しろ」
初春「……!」
初春「」スーハー
カブトムシ「落ち着いたか?……まず、焦るな」
カブトムシ「次に、胸を張れ。しゃんとしろ。お前は巨乳の女に胸の厚さで負けていても、ハートの熱さじゃ負けちゃあいねえ」
初春「なんですかその唐突なセクハラ……」グッ
カブトムシ「最後に……」
カブトムシ「お前の信念は誰にも負けない。例えLevel5にだって……絶対に負けない、それをしっかり覚えてとけ!」
初春「……あはは、くだらな過ぎて何だか傷の痛みが収まってきました」
カブトムシ「はっ、なんたって俺はお前を冷静にさせる心の冷蔵庫でもあるからな」ドヤァ
初春「確かにその寒さは冷蔵庫級ですね……」
カブトムシ「何か言ったか?」
初春「別に……」
ダマリヤガレ!
イヤアアア!
カブトムシ「さあ、お前は歩けるはずだ」
カブトムシ「……サポートはしてやる。思いっきりいってやれ!」
初春「……!」タタタッ
初春(体が動く……)
初春(ああ、そうか)
初春(今の私は、一人ぼっちなんかじゃない)
初春(ていとくんが、一緒にいるーーー)
初春(私はーーー!)
初春「じゃ、風紀委員です!その女の子を離して下さいっ!!」
投下終了します
展開が唐突なことに……
はじめの安価は矢印が逆でしたね
投下します
注意
シリアルなバトル展開
能力の拡大解釈
モヒカン「……あぁ?風紀委員?」
グラサン「このガキを離せだと……?」
初春「はい、もし人質が欲しいのだったら、私が捕まりますからその女の子だけは離して……」
グラサン「……舐めてんのか、テメエ。お前に主導権はねえ。俺達に黙って従ってろ!」
モヒカン「その通りだぜえ!」
初春「……っ!」
少女「風紀委員さん……!」
初春「……!大丈夫、貴方は心配しないで。必ず、助けます……皆、無事で……!」
モヒカン「グヒヒ!どうやって助けるつもりなのかなあ?お嬢ちゃん!」
グラサン「……まさか力ずくで俺達に勝てるとは思っちゃいねえだろうが……くっくっく」
初春「…………」
モヒカン「さあて、そろそろ……」ガチャリ
少女「……ひい……!」
初春(銃口を女の子の頭に……!)
初春(もう、警備員を待っている余裕は無いみたいですね)
初春(現在の相手の武器は……モヒカン頭の人が拳銃を所持しているのみ)
初春(……一瞬の隙が出来た時に、相手の懐に飛び込んで拳銃を確保。……あの時白井さんがやったように)
ズキ……
初春(……)
初春(…………痛くはありません)
……
初春(落ち着いて……)
カブトムシ(しかし……あの強盗達、何か妙だ。金を奪ってさっさと逃げればいいのに何でグダグダしてんだ?)
カブトムシ(あの子供だって殺すならばもっと早く殺せるはず……)
カブトムシ(なーんか引っかかるんだよなあ)
カブトムシ(……これは…………いや、今の段階じゃ考え過ぎか)
初春「……くん」
カブトムシ(……だが、その場合誰が……)
初春「ていとくん!」
カブトムシ「あ……ああ、何だ?」
初春「次に犯人の人達が目を逸らした時に飛び出しますから、しっかり掴まっていて下さいよ」
カブトムシ「はあ?おい、思いっきりとは言ったが、当たって砕けろと言った訳じゃねえーーー」
ワイワイザワザワ
モヒカン「……外が騒がしくなってきやがったな……」
初春「!」
タタッ
カブトムシ(うわ、マジかよ……無鉄砲というか何というか……まあ俺が焚きつけたんだが)
グラサン「!!」
タタタタッ
カブトムシ(スピードは全然なっちゃいねえが、幸い拳銃を持っているモヒカン野郎はまだ反応しねえ……)
グラサン「おい、来るぞ、ぼさっとしてんじゃねえ!構えろよ!」
カブトムシ(いけるか……!?)
タタタタッ
モヒカン「え?う、うわああっ!」チャキ
グラサン「ガキは邪魔だ!」ドサッ
少女「あ……」
初春「ーー!!あなたは逃げて!」
少女「は、はい!」
タタタタッ
モヒカン「くっ!」
カブトムシ(人質を手放した?!馬鹿な……)
初春「……!」
初春(間に合いました……!)
ドッ!
モヒカン「ぐあっ!」
初春(勢いに乗ったまま相手の足を思いっきり踏みつけ、次にーー)
モヒカン「舐めやがって!ぶっ殺……」
グイッ
モヒカン「うおっ?!」
初春(相手の重心を崩してから、奧襟の辺りを掴んで地面に引き倒す……そして)
ゴッ!!
モヒカン「ごふぁっ……あ……」
モヒカン「」ガクッ
初春(体重をかけたトドメの蹴りで相手を気絶させる……よし!)
初春(最後に拳銃を……確保……)
ガチャリ
初春(え……?)
グラサン「はあ……何でこんな奴に倒されてんだか」
グラサン「ま、とにかく……」ジャキ
初春「あ…………」
グラサン「お前の負けだ」
カブトムシ(あーあ……)
カブトムシ(……二人目の行動に頭が回ってなさ過ぎだ。圧倒的経験不足……)
カブトムシ(モヒカン野郎が拳銃をいつ手放して、グラサン野郎がいつそれを拾ったか……)
カブトムシ(そこまでを確認できなきゃ、こうなるわな)
カブトムシ(けど、こいつにしては良くやった方だ)
カブトムシ(さて……と)
初春「…………」
初春「……負けてはいませんよ」
グラサン「……はあ?」
初春「私は、負けていはいません。勝った訳でもないですけど」
グラサン「恐怖で頭でも狂ったのか、テメエ」
初春「違います」
初春「だって……あの子を助けることが出来たから」
グラサン「……!」
少女「風紀委員さん……!わ、私のせいで……」
初春「……貴方のせいではありませんよ……それに……」
初春「皆無事で、と言ったでしょう?だから、私も大丈夫です」
少女「……!」
グラサン「…………はっ」
グラサン「ヒロインぶってる所悪いんだがよぉ……そういうの、吐く程嫌いなんだわ、俺」
初春「…………」
グラサン「どうせお前、有効な策が無いからこうやって時間稼ぎしてるだけなんだろ?」
グラサン「警備員達の到着を待っていたんだろうが……残念なことに、未だに現れねえなあ?」
初春(何か他に方法は……!)
グラサン「ここまでおちょくってくれたからには、生かしちゃおけねえ……」
グラサン「もう躊躇はしない……死ね」ググッ
初春「!!」
タアァァァン
グシャッ……
キャー
ワー
初春「…………」
初春「……あれ?」
初春「痛くない……」
グラサン「なん……だと……?」
壊れた拳銃「」ボロボロ
グラサン「馬鹿な!何故銃が……?」
初春「な、何が起こって……?」
カブトムシ「だから言っただろ、サポートするって」
初春「ていとくん?!」
グラサン「銃口に氷の塊が……?!くそっ完全に壊れてやがる!」
初春「まさか…………あれ?」
カブトムシ「ああ、保冷機能があると言っていただろ?」
カブトムシ「その最大の力を一瞬だけ使って……氷の弾丸を精製したんだ」
初春「……えーっと」
カブトムシ「あとは、こっちに銃が向いた時に銃口に弾をぶち込む……それだけだ」ドヤァ
初春「……あの、……」
カブトムシ「何だ?さっきから落ち着かない様子だが」
初春「………聞いていいのか分かりませんけど、頭の角は……?」
カブトムシ?「え……?」
ツルピカーン
カブトムシ?「な、に……?」
カブトムシ?(頭角が消失しているだと?!)
カブトムシ?(まさか、氷の弾丸に未元物質を使い過ぎて……)
初春「言いたくはありませんけど、それ頭の辺り完全にゴ」
カブトブリ「違う!」
初春「でもゴ」
カブトブリ「違うっつってんだろうが!!」
カブトブリ(この体、燃費があまり良く無いようだな……未元物質も節約しねえと)
初春「…………」
グラサン「……」ガチャガチャ
グラサン「ちっ!」ガチャン
グラサン「風紀委員……中々やってくれるじゃねえか……」
初春(ゴキ……あ、いけない……今は集中しないと!)
グラサン「まさか奥の手を隠し持っているとはよ……」
グラサン「氷雪系の能力者ってとこか」
初春(実際はていとくんがやったんですけど……)
グラサン「だが、能力を使えるのはお前だけじゃねえ……」
ゴオオオォォ
キャー
ワー
初春「……!?」
カブトブリ(これは……)
とうとう正体が…
wktk
グラサン「この能力は一般人を巻き込みやすいからなあ……俺は優しいから使わないでやろうと思ったんだが」
ボオオオオオォォォ
初春「発火能力者……!」
カブトブリ(Levelは2か3ってとこか)
グラサン「……お前がやる気なら俺も容赦しねえ」
グラサン「お前のチャチな氷なんざ、俺の炎で溶かしつくしてやる!!」
>>366
何の裏も無いです
すみません……
カブトブリ(…………火球を使って遠隔投擲をしてくるタイプか?)
カブトブリ(厄介だな。この体には氷数回分くらいしか未元物質が残ってねえ)
カブトブリ(氷の弾丸を打ち出しても、相手の炎に消されてしまいそうだ)
カブトブリ(せめて使い回しが出来れば……)
カブトブリ(ん……?そういや、こいつは……)
カブトブリ(……今はこれしかない……この作戦に賭ける!)
カブトブリ「おい」
初春「何ですか?今は余裕が……」
カブトブリ「俺を手で握れ。そして……」
初春「嫌です」
カブトブリ「」
カブトブリ「……おい、今は緊急事態……」
初春「ゴキ」
カブトブリ「だから違う!!」
初春「リを握るなんて出来るわけないですって……」
カブトブリ「何回言う気だ!見ろよこの白い体!黒いあいつには見えねえだろうが!!」
初春「だって全体的な形が生理的に受け付け……」
グラサン「おいおい、余所見かよ……ま、いい」
グラサン「舐めたマネしてくれたこと、後悔させてやるぜ……くらえっ!」
ボオオオオオ
初春「あ……」
初春(炎が向かって…………!)
カブトブリ「!!」
ジュワアアアァァァ
カブトブリ「ぐっ……!」
初春「焼きゴキブ……じゃなくて、ていとくん!!何で自分から当たりに……」
初春(……!私の後ろには、一般の人達……それに、あの子もいる)
初春(私が避けていたら、炎が後ろに……)
初春(……そう、そういう意味でも、私は一人じゃない)
初春(ゴキブリが嫌だ、何て言っている場合じゃないですね)
カブトブリ「ぐ……っ頼む……」
カブトブリ「俺を……握ってくれ……」
初春「……ごめんなさい、ていとくん。私が我儘でした」
カブトブリ「え……?」
初春「そして、大切なことに気づかせてくれて……ありがとう」
初春「ていとくんを、信じます」ギュッ
カブトブリ「……いやに物分りがいいな」
初春「早く握った後に何をしたらいいか言って下さい。1秒でも触れていたくないんですから」
カブトブリ「」
グラサン「……受け止めた……だと」
グラサン「……いいぜ、俺の炎とお前の氷、どちらが強いのか……勝負だ!行けっ!」
ボワアアァァァァァ
初春「……炎が向かってきますよ……結局掴んでからどうするんですか」
カブトブリ「ああ……分かった……今から言うことをしっかりやってくれ」
カブトブリ「」ゴニョゴニョ
初春「へ?それ、どういうことですか……?」
ゴオオオオォォォ
カブトブリ「ゴチャゴチャ言っている暇はねえ!もう攻撃が来るぞ!」
初春「えーー」
ズドオオオオン
キャー
ワー
グラサン「や……やったのか?」
グラサン「……何?!あれは……」
初春「」
氷の盾「」シュウウウウゥゥ
初春(…………えっ?)
氷の盾「……」
初春(え、な、何ですかこれ……氷の盾を出すなんて私の能力で出来るはず……)
初春(も、もしかしてこれが少年漫画で良くある覚醒?ってやつでしょうか……)
氷の盾「……おい、どうした?」
初春「ええっ?!喋った?!」
氷の盾「……まあ、カブトムシや冷蔵庫が喋る世界だからな」
初春「……?ていとくんなんですか?」
氷の盾「そうだよ……つーか、気づけよ」
『お前の能力……定温保存を俺に使え。俺が良いと言うまで、決して演算を止めるな』
初春(……そういうことだったんですね)
氷の盾「俺自身が丸ごと氷の塊に変質して、お前の能力で零下の温度を保つ……そうすることで、絶対に溶けない氷が完成するわけだ」
氷の盾「これなら何度も俺が氷を作り出さなくても済む」
初春「…………」
グラサン「おらあああああ!!」
ゴオオオオオォォ
氷の盾「……次来るぞ!俺を構えろ!」
初春「!!」
ズオオオオオオォォ
初春「……っ」
氷の盾「よし、受け止めたか……おい、お前さっきからどうした?やけに動きが……」
初春「……ていとくん」
氷の盾「お、おう」
初春「私、役立たずじゃないんですね……」
初春「こんな能力でも、誰かを守ることが出来ているんですよね……」
氷の盾(全く、小さなことで……いや、こいつにとっては大きなことなのか……)
氷の盾(……お前がそう信じれば、出来るさ。いつだってな)
氷の盾「……ああ」
ゴオオオオオオ
氷の盾「さあ、また来るぞ!」
初春「……はいっ!」
ズドオオオオォン
グラサン「……何でこれだけ炎をぶつけても溶けないんだよ……?!」
グラサン「連続攻撃なら……!」
ボボボボボボボ
ボッ
氷の盾「…………今度はしっかり踏ん張れ!吹っ飛ばされるなよ」
初春「!」
ボボボボボボボオオン
シュウウウ
氷の盾「ぐ……」
初春「う……!」
氷の盾(……相手の力が予想以上に強い……いつまでも耐えられるとは思わない方が良いな)
氷の盾(……機を見て攻めに転じるしかねえ)
氷の盾「……演算の方はまだ大丈夫か?」
初春「ええ、何とか……」
氷の盾「そうか……」
氷の盾「……多分、そろそろグラサン野郎がしびれを切らして最大の力をぶつけてくる。一撃必殺のような技だ」
初春「……何でわかるんですか?」
氷の盾「仕事柄、直情馬鹿の行動パターンは良く知ってるからな……」
初春「?」
氷の盾「まあ、とにかく……その攻撃を乗り切った後がチャンスだ。こっちから攻撃する」
氷の盾「お前はグラサン野郎に突っ込むだけでいい。後は流れで……」
初春「はあ……随分と大雑把ですね」
ゴオオオオオォォ
初春「!また……」
ズドオオオオォン
グラサン「はあっ……うあっ……何故だっ……!」
グラサン「……俺の能力では……溶かせないって訳か?」
グラサン「いや……もっと……炎を……強く……!!」
グラサン「うおおおおおおおおお!!」
ボオオオオオオオオオオオオオオオ
初春「…………?!あんな大きな炎を……」
氷の盾「なっ……さっきまでの炎よりかなり速いぞ……!」
氷の盾(これは予想外だ……不味い……!)
初春「……っ!」
ズガアアアアアアアアァァァァァァァン
ォォォォォォォ
グラサン「や、やった……のか?」
キャー
ワー
グラサン「……はははは!ざまあみろ……」
タタッ
初春「……!」
グラサン「?!」
グラサン「なん……だと……!」
グラサン「あの炎をが受け止められた……?!」
タタタタタッ
初春「っ……」
氷の盾(……よし!)
ビシビシピシッ
氷の???(……)
パキイィィィン
氷の剣(……!)
グラサン「な……」
初春(盾から剣の形に……変形した……!)
初春「ていとくん……!」
氷の剣「走り続けろ、そのままブン殴れ!」
初春「はい!」
グラサン「く………」
タタタッ
グラサン「………」
グラサン(ここで……終わるのか?)
グラサン(いや……)
グラサン(終われるわけねえだろ!)
氷の剣「今だ、やれ!」
初春「……やあっ!!」ブンッ
グラサン「……うおおおっ!」
スカッ
グラサン(よっしゃあ!)
初春(外した……!)
氷の剣「いや……」
キュイイイイイイ
氷の???「これだけ近づけば」
バキィン
氷の槍「十分、だ」
グラサン「!!!」
ドゴオォン
グラサン「が……は……」
バタァン
初春「…………」
氷の槍「……もう、能力を解除してもいいぞ」
初春「あ……はい」
ビシッ……バキバキバキバキ
パキッ
カブトブリ「……ふう」
初春「……終わり、ましたね」
カブトブリ「……」
ウオオオオオオオオオオオ
初春「?!」
「強ええええええ!!」
「あの風紀委員凄え……!」
「助けてくれて、ありがとう!」
初春「……」
カブトブリ「……守れて、良かったな」
初春「……はい」
トテトテ
少女「風紀委員さん!」
初春「あ……あなたは」
少女「……いいたいこと、いろいろあるけど……」
少女「とにかく、ありがとうございました!」
初春「……いえ、私は私の仕事をやっただけ……」
少女「私、大きくなったら絶対に風紀委員になる!それで、お姉さんのサポートしたいなあ」
初春「……ありがとう。待ってますよ!」
少女「うん!」
ワアアアアア
カブトブリ「…………」
カブトブリ(俺は、氷の形状を変化させる力を残しておくために……炎を受け止めるのに未元物資を使えなかった)
カブトブリ(……最後の炎はあいつが止められる限界を超えていたはずだ)
カブトブリ(だが、実際には炎は完璧に受け止められた……背後にも一切漏らさずに)
カブトブリ(気のせいかもしれないが……あいつ、俺に当たった炎の一部まで凍らせていなかったか?)
カブトブリ(……うーん、謎ばかり増えて全然解決しねえ……)
カブトブリ(はあ……とにかく今は疲れた……考えるのは後にしよう)
初春「あれ?ていとくん……」
カブトブリ「?」
初春「体がやけに黒ずんで……それに、妙なテカリが……」
カキブリ「」
数時間後
初春の部屋
初春「やっと着きました……」
カキブリ「疲れた……」バタァン
初春「疲れたのはこっちですよ」バタァン
初春「あの後、ようやく警備員が来て……事情聴取に何時間もかかって……」
初春「そもそも風紀委員があそこまで介入するのは越権行為だってことで始末書を何枚も書かされて……」
初春「ていとくん抜きでの能力を説明する為に、私は常に1kgの氷塊を持ち歩いている変態……っていうことになっちゃいましたし……」
初春「はぁ………」
カキブリ「事情聴取……ね」
グラサン『俺は本当に強盗をするつもりは無かったんだ!』
モヒカン『俺もだ!信じてくれ!』
警備員『と言っても、お前達は事実強盗をしたじゃん』
グラサン『違う!いつの間にかこうなっていて……』
警備員『……銃は何処から入手したじゃん?』
モヒカン『ここ数時間の記憶が曖昧で……』
警備員『話にならないじゃん……』
カキブリ「…………」
初春「今日は….…さっさと寝ます」
カキブリ「ああ……」
カキブリ「……ん?そういえば」
垣根「部屋ではこっちで喋るんだったな。これで良し……っと」
初春「ああ、そういえば冷蔵庫のていとくんが居たんでしたっけ……。完全に忘れてました」
垣根「」
投下終了
戦闘描写って難しいんですね……
地の文で書いている方々は凄すぎる
乙
具体的に説明できる分地の文の方が戦闘は簡単だっていう話の方が聴くけどなぁ
もちろん、分量多くなるし面倒臭いとは思うけど
>>412なるほど……
投下します
垣根「」
初春「……冗談ですよ」
垣根「いや、今の声色は絶対に本気だっただろ……」
初春「疑り深い冷蔵庫は嫌われますよ」
垣根「……まあ、もうどうでもいいか……それより、俺の中にこいつを入れてくれ」
カキブリ「」カサコソ
初春「……」
初春「朝にも言ってましたけど、結局、これってーー」
垣根「違う」
初春「…………私、もう何が起こっても驚かない気がします」
初春「とりあえず入れますよ」ギュッ
カキブリ「」ビクピク
ガチャ
垣根「うっ……」
ポイッ
初春「これでいいですか?」
垣根「……もう少し丁寧に扱ってくれないか?」
初春「外見がもっと良ければそれなりの扱いをしますよ」
垣根「………………」
垣根「……ん?妙な電磁波が……」
~ハナテ!ココロニキザンダユメヲ ミライサエオキザリニシテ
初春「あ、携帯が鳴ってますね……誰からでしょうか」
垣根「何だその着信音」
初春「……白井さんからですね……もしもーし、初春です」
黒子『もしもし……こちら白井ですの。強盗の件……聞きましたの』
初春「あ……ごめんなさい、せっかく今日の風紀委員の仕事を休ませて貰ったのに、逆に無茶をしちゃって……」
黒子『いや、それはいいんですの。それより……本当に怪我はしてないんですの?』
初春「大丈夫ですよ!ちょっと腕を痛めたくらいで……」
黒子『良かったですの……』
初春「……私、最近心配ばかりかけちゃってますね」
黒子『いいんですの。私だって何度か入院したりしていましたし……お互い様、ですの』
初春「……そうですね」
黒子『そうそう、固法先輩が言っていたのですけれど……明日も風紀委員の仕事を休んでいいらしいですの』
初春「え?流石にそんなに休むと……」
黒子『今日は休むどころではなかったのでしょう?体が一番大事なのですから……それに、これは『命令』ですの』
初春「……命令、ですか」
黒子『命令は絶対ですの』
初春「……何だか申し訳ないですけど……その命令、有難く承ります」
黒子『ん、よろしいですの。……最後に、ちょっと疑問があるんですの』
初春「?はあ、何でしょうか」
黒子『事件の調書を少し見せて貰ったのですが……』
初春(う……まさか、ていとくんの話でしょうか?)
初春「何かおかしなところがあったんですか?」
黒子「詳しく見たわけではないのですけれど……初春が1kgの氷の塊を所持していたとかわけの分からない記述があったんですの」
初春(良かったていとくん関係じゃなくて……いえ、良くはないですけど)
黒子『所持の理由が『そこに氷があるから』……これは一体どういうことなんですの?』
初春(うわあ、酷い理由……って、私が答えたんだっけ)
初春「え、えっと……」
初春「……じ、実は他に理由があって……」
黒子『どんな理由なんですの?』
初春「…………………………」
初春「どうしましょう、ていとくん」ヒソヒソ
垣根「いや、俺に振るなよ」ヒソヒソ
初春「元はといえばていとくんが派手に戦ったのが悪いんじゃないですか」ヒソヒソ
垣根「お前もノリノリで戦ってただろうが!!」ヒソヒソ
黒子『初春……?もしもし?』
初春「ああ、もう!何でもいいから考えて下さい!」ヒソヒソ
垣根「無茶言うな!」ヒソヒソ
黒子『初春ー?!何かあったんですの?!』
初春「早く……!」ヒソヒソ
垣根「…………!!」
垣根「……処理中のノートパソコンが熱を持つと重くなるので冷やすために氷が必要だった……とかどうだ」ヒソヒソ
初春「それで行きましょう!……もしもし!?」
垣根「いや、いいのか本当に?!自分で言っといて何だがかなり適当な……」
初春「~~と言う訳なんです!」
黒子『成る程、そういうことだったんですの!』
垣根「納得するなよ!」
黒子『初春?さっきから妙な雑音が……』
初春「あー、この柄の悪い声ですよね?多分、混線だと思いますよ?……それじゃあ、もう夜も遅いので、お休みなさい!」
黒子『でも、この声はあのペットのーー』
プツッ
初春「…………ふぅ」
垣根「……まあ、あれ以上突っ込まれるとさらに泥沼と化していただろうからいい判断……なのか?」
垣根「つーか、柄の悪い声って誰のことだよ」
初春「はあ、じゃあもう寝ますね……休みも頂いたので、解析はまた明日ですね」
垣根「おい、無視するなよ」
初春「お休みなさい」バサッ
垣根「……布団はちゃんと被れよ」
初春「はーい……むにゃむにゃ……」
初春「………すー………」
垣根「……」
垣根(あっと言う間に寝ちまった……)
垣根(……確かに、今日は色々あった……こいつが疲れるのも当然だな)
垣根(カブトムシの方も一日目にして色々と化けの皮が……)
カキブリ「」カサコソ
垣根「そうだ、お前を治さなきゃいけないな……よし、まずは頭角からだ」
ズブズブズブズブッ
カキブリ「」アッーーー!
垣根「よし……次は甲羅だ」
ビシビシビキツ
???「」ビクンビクン
垣根「最後に足を……」
モコモコッ
カブトムシ「」ヌフウ……
垣根「大体こんな感じだったか?」
カブトムシ「」カサコソ
垣根「動作も問題無し……」
垣根(俺も今夜は何もせずにぼーっとしてるか)
垣根(たまにはこんな夜も悪くねえ……)
カブトムシ「」カサコソ
カブトムシ「…………ッ」カサコソ
カブトムシ「……ァ…………」カサコソ
垣根「?!」
垣根「………あれ?今、カブトムシが喋った……いや、カブトムシは喋るんだがそれは俺の操作で喋らせてる訳であって今はカブトムシが自発的に……」
垣根「……何が何だか分からなくなってきた」
カブトムシ「」カサコソ
カブトムシ「」カサコソ
垣根「…………」
垣根「喋らない……よなあ」
カブトムシ「」カサコソ
垣根「疲れてんのかな、俺……」
カブトムシ「…………」
同時刻
とある廃ビル
タタタタッ
男「す、スイマセン!!遅れてしまいました!!」
ドレスの少女「あら……本当に遅かったわね」
ドレスの少女「たかが情報収集にこれだけの時間を使うなんて……何かあったのかしら?」
男「その通りなんですよ……事件中、シャッターのようなものが降ろされていて、中の様子が全くわからなかったんです」
男「事件発生中に中にいた人に一人一人話を聞いていたらこんな時間に……」
ドレスの少女「……もういいわ。兎に角、要点だけをかいつまんで説明して頂戴」
男「はい」
男「えーっとですね……目撃者によると『お姉さんが強盗をやっつけてくれた』『氷属性の魔法少女がエターナルフォースブリザードを使い悪者を封じ込めた』『花に寄生された風紀委員が炎を受け止めた』等々の訳のわからない話が次々に出てきまして……」
ドレスの少女「」
男「恐らくは極度のストレス下に晒されたことにより、集団幻覚の様なモノを見ていたのではないかと思われます」
ドレスの少女「……私の想像と随分異なっているわね」
ドレスの少女「……その他には何か無かったの?例えば……その……事件を解決した女の子に協力者がいたとか」
男「協力者……?」
ドレスの少女「どんな些細なことでもいいわ。思い出して、私に全て教えて」
ドレスの少女「私たち……『親友』でしょう?」スッ
男「?何を………」
……………!!
男「…………」
ドレスの少女「どうかしら?」
男「……あー、余りにもどうでもよさそうだったから今の今まで忘れていたけれど……」
男「その女の子は頭に花飾りをしてて……ゴキブリが」
ドレスの少女「え?」
男「花飾りの中に……チラッとゴキブリが見えた……とか」
ドレスの少女「」
翌朝
初春の部屋
垣根「…………」
垣根(……ふーっ……座禅してると思えば一夜を無心で過ごすことも楽勝だな)
垣根(……ん?いつもならもう学校に行く準備をする時間じゃねえか)
初春「すーー……くー……」
垣根「おい、起きろ!遅刻するぞ!」
初春「すーー……」
垣根「起きろー!!」
初春「むにゅ……くー……」
垣根「朝だぞー!!」
初春「……ん……すう……」
垣根「…………行け、カブトムシ!」
カブトムシ「」ブーン
垣根「体当たりだ!」
カブトムシ「」ベチッ
初春「にゃ……ひえっ!カブトムシ……あ、ていとくん……!酷いじゃないですか、こんな起こし方するなんて」
垣根「何度呼び掛けてもお前が起きないからだよ!時計を見ろ!」
初春「え……あ、!も、もう学校に行く時間……!」
垣根「朝飯を食う余裕は無えぞ!さっさと準備しろ!……って、このパターン前にもあったような」
初春「早起きしてシャワー浴びようと思ってたんですけど……そんな時間も無いですね。えっと、制服は」バサッ
垣根「ぶっ……無頓着に服を脱ぐなっつってるだろ!」
学校
ガラッ
初春「はあっ……はあ……ま、間に合いました……」
佐天「あれ、どうしたの初春?今日は随分遅かったけど」
初春「ちょ、ちょっと色々とあってですね……」
カブトムシ「…………おい!昨日は俺にとんでもないモンを食わせてくれたな……」
佐天「あーっ!ていとくん!いや、本当にゴメン。まさかあんな事になるなんて思わなくてさー」
カブトムシ「おいおい、謝って済むのなら警備員はいらねえ……」
佐天「勿論、お詫びの品も持って来たよ」
カブトムシ「ほお……中々見所があるじゃねえか」
初春「簡単に懐柔されちゃって……ところで、そのお詫びの品って何ですか?」
佐天「んー……実はまたまた食べ物なんだけど」
カブトムシ「……今度はしっかりした物だよな?」
佐天「そこはもうバッチリ!ていとくんの大好物って感じの食べ物だから」
カブトムシ「怪しいな……」
佐天「そういうことだから、昼ご飯を食べる時まで楽しみにしていてね」
カブトムシ「……一応は期待して待ってるぜ」
昼休み
キーンコーンカーンコーン
カブトムシ「……で、お詫びの品とやら
は一体どんな食べ物なんだ?」
初春「私も気になります」
佐天「もう、急かさないでよ。心配せずともちゃんと出しますって」ガサゴソ
佐天「さ、召し上がれ」
コトッ
カブトムシ「……は?」
カブトムシ「何だよコレ」
佐天「何って……昆虫ゼリー」
カブトムシ「いや、それは見りゃわかる」
佐天「ちなみにプロテイン配合だよ」
カブトムシ「……うん、それは置いておくとしてだな……何で俺の好物が昆虫ゼリーになるんだ?」
佐天「えっ?カブトムシって昆虫ゼリーが好きじゃないの?」
カブトムシ「普通のカブトムシなら良いんだろうが、俺は特別で……つーか、女子中学生が昆虫ゼリーを買うって……」
佐天「あ、コレは買った物じゃなくて……コンビニのくじで当たったやつ」
カブトムシ「…………余りものの転用かよ……」
初春「でも、これならていとくんは美味しく食べられるんじゃないですか?」
カブトムシ「は?何でこの俺が虫の食べ物を……」
初春「食べますよね?」
カブトムシ「……わかったよ」
カブトムシ「……食べりゃいいんだろ、食べれば」
佐天「じゃあ蓋を剥がしまーす」
ペリペリッ
カブトムシ「はあ……日々人間らしい生活から遠ざかっている気がする……」
佐天「元々は冷蔵庫じゃなかったっけ?」
カブトムシ「ああ、そうだったな……じゃあ、いただきます……」ペロッ
初春「……味はどうですか?」
カブトムシ「うっ…………!」
佐天「えっ?!これも駄目だったの?」
カブトムシ「うんめええぇぇぇぇぇ!!!!!」ズルズルハフハフッ
初春&佐天「」
投下終了します
投下します
カブトムシ「こ、この世にこんな美味い食べ物が未だに眠っていたとは……」ズルズル
カブトムシ「おい、袋で持ってきたんだろ?次のカップを開けろ!」ズルズル
佐天「……そんなに一気に食べるのは良くないんじゃないかなあ」
カブトムシ「お詫びの品なんだろ?俺がどうしようと問題無いじゃないか」ズルズル
佐天「……はぁ……まあいいか」
ペリッ
カブトムシ「このまったりこってりとした甘み……毒々しい色……ぐにゅっとした食感……全てが調和して極上のハーモニーを奏でている……」ズルズルズルズルズルズル
佐天「昆虫ゼリーってそんな高尚な食べ物だっけ……?」
カブトムシ「よし、もう一杯くれ!」
初春「お腹壊しても知りませんよ……」
十数分後
カブトムシ「ふう……」
佐天「昆虫ゼリー一袋分をこんな短時間で食べ切るとは……恐るべしていとくん」
初春「ていとくんがゼリーの蓋を開けるのを急かすせいで、落ち着いて昼ご飯が食べられませんでしたね……」
カブトムシ「……ちっ、もう無えのか」
カブトムシ「おい、お前今日は風紀委員休みだったよな?」
初春「ええ」
カブトムシ「よし、じゃあ帰りに昆虫ゼリー買いに行こうぜ」
初春「もう秋なんですけど……売っている店、ありますか?」
カブトムシ「ホームセンターとかならあるだろ、たぶん」
カブトムシ「それにここは学園都市なんだし、少々の季節の違いなんて関係ねえよ」
初春「それもそう……ですかね?」
佐天「……何か色々とゴメン、初春」
放課後
とあるホームセンター
カブトムシ「カップが大きい、食べやすいBIGサイズ……」
カブトムシ「オオクワガタ専用ゼリー……」
カブトムシ「お、これは昼に食べたプロテイン配合ゼリーと同じヤツか」
カブトムシ「同じ種類で黒糖プロテインってのもあるのか……」
カブトムシ「樹液味……興味深いな」
カブトムシ「汁が垂れない、汚れない!お掃除楽々ゼリー……」
カブトムシ「人気ゼリーの詰め合わせ……お得なゼリーセット」
カブトムシ「効果抜群!闘うカブトムシ、クワガタにピッタリ!闘虫専用ゼリー……」
カブトムシ「トレハロース配合ゼリー……」
カブトムシ「海外産カブトムシ御用達!エネルギーたっぷりのスーパーゼリー」
カブトムシ「クワガタに合わせた平形ゼリー……」
カブトムシ「交尾前後の栄養補給に是非!濃厚昆虫ゼリー……」
カブトムシ「食べたら卒倒するほどのうまさ!学園都市で生まれた衝撃の苺おでん味……」
カブトムシ「って、何でこれが紛れ込んでんだよ!」
初春「…………………………」
カブトムシ「……ふむ……このフルーツミックス味とさっきの黒糖プロテイン、どっちが良いか迷うな……お前はどう思う?」
初春「……どちらでも良いと思いますよ」
初春「というか、まだですか?いい加減飽きてきたんですけど」
カブトムシ「そうか。うーん……」
カブトムシ「昼に食べたプロテイン配合が美味かったし、黒糖プロテインでいくか。よし、これを三袋買おう」
カブトムシ「じゃあ、支払いは頼んだ」
初春「私のお小遣いの金額も少しは考えてくれませんかね……」
カブトムシ「あ……」
カブトムシ(しまった……あの頃とは金の大きさも違うんだったな)
カブトムシ「……じゃあ、一袋で」
初春「あはは……そこまで遠慮しなくても良いですよ。間をとって二袋にしましょう」
カブトムシ「……ありがとな」
マタノオコシヲオマチシテオリマース
カブトムシ「どんな味か楽しみだな……黒糖プロテイン配合昆虫ゼリー」
カブトムシ「……ちょろっとそこらで1カップだけ試し食いしていいか?」
初春「……駄目です、食べるのは家に帰ってからですよ」
カブトムシ「……」
初春の部屋
初春「ただいまー」
垣根「お帰り……それより早くゼリーを」
カブトムシ「」ブーン!
初春「麻薬でも入ってる訳じゃないですよね……?」
ガサゴソ
ペリッ
垣根「おおっ!この黒いツヤ……至高の逸品だぜ」
カブトムシ「」ペロペロ
初春「昼にも言ってましたけど、食べ過ぎは体に毒ですよ」
垣根「わかってるって」
カブトムシ「」ズルズル
初春「…….……」
垣根「睨むなって……じゃあ、ゆっくりと味わって食べるならいいだろ」
カブトムシ「」ペロッ……ペロッ……
初春「そういうことではないんですけど……もういいです」
初春「では、私は宿題をするので……」
カブトムシ「あ、その前に一袋分のカップの蓋を開けといてくれ」
初春「」
数時間後
初春「さて、ご飯も食べてお風呂にも入ったし……」
初春「今日の解析を始めますか」
垣根「昨日はまともに出来なかったからな」
カブトムシ「」ペロッ
初春「その分今日やればいいんですよ……ってまだ食べてたんですか?!」
垣根「今日は一袋食べるまで止めねえ」
初春「…………じゃあ、そのまま食べながらでいいですよもう……接続しますよ」
カブトムシ「」ペロッ……カチッ
初春「……えっと、前はどこまでいったんでしたっけ……」
垣根「確か残りの壁はあと二つか」
初春「……そうですね、最近はそこで止められていて……」
初春「……あれ?」
垣根「どうした?」
初春「…………!」カチャカチャカチャカチャ
初春「……わかるんです、前より」カチャカチャカチャカチャ
垣根「は?」
初春「何処から手をつけたらいいか分からない隙一つない要塞だったのに……今、急に穴が見え始めて……」カチャカチャカチャカチャ
初春「これならいけます……!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根「そんなことがあるのか?…不思議だな」
初春「……ノってきました!!今夜中に一つ位はセキュリティを突破できますよこれは!」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根「……集中し過ぎて翌朝なんてことがないように頑張ってくれ」
初春「」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
垣根「聞いてないだろお前」
垣根(しかし、最近はほとんど膠着状態だったのに……何があったんだ?)
垣根(前までと今日で異なること……)
垣根(…………わからねえ)
垣根(……ま、早く進むならそれに越したことはないか)
初春「」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
カブトムシ「……!」
カブトムシ「……!」
垣根「ん?」
カブトムシ「……」
垣根「…………」
深夜
初春「これで……っ」カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ
初春「トドメですっ!!」ッターン!!
……キィン
ブゥーーン
垣根「……」
初春「はあっ……はあっ……はー……………」
垣根(……これで……元の70、80%位か)
垣根「……ご苦労さん」
初春「……まだですよ。今回は前回までと違って、まともらしきファイルが出てきたんです」
初春「これで……」カチャカチャカチャカチャ
垣根「お、おう……」
垣根(そうだったな……今は利害関係が一致しているから協力しているだけだ)
垣根(……しかし、そんなファイルが俺の中にあったのか?全く気付かなかった)
垣根(何のファイルだろうな)
垣根「お前が必要としていたものがこれなのか?」
初春「さあ……それは分かりません。調べてみないと」カチャカチャカチャカチャ
垣根「ところで……今は何をやってるんだ?」
初春「あ、これはファイルにウイルスや不正なプログラム……要するに罠が仕掛けられてないか検査してるんです」カチャカチャカチャカチャ
初春「さっきの強行突破に比べたらすぐ済みますよ」カチャカチャカチャカチャ
垣根「そうか」
初春「……よし、大丈夫みたいですね。開きますよ」カチャカチャカチャカチャ
垣根「……」
カチッ
初春「……これは……!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
製品名 冷蔵庫 TEI-TOK-N-kkn
学園都市専用製品
内容量
冷蔵 136L
冷凍46L
冷凍食品をたくさん保存できる大容量の二段式フリーザー。一人暮らしの心強い味方!一段目にアイスを保存するなど、場合に応じて活用可能
ワンルームに置いても非常に静かな運転音。テレビ、読書、勉強、睡眠など、貴方の生活の妨げにはなりません!
ファン冷却方式なので面倒な霜取りも必要ナシ!
飲みたい時にすぐ飲めるペットボトルポケット、液体がこぼれにくいスケルトンのトレイなど、細かい点でも貴方をサポート
その他にもetc……
ーーーーーーーーーーーーーーー
初春「」
初春「」
初春「……」
初春「…………………………」
垣根「……どうした?」
初春「何だか頭痛がしてきました……」
垣根「これだけ夜更かしすりゃそうなるだろ」
初春「……」
初春「……寝ます」
垣根「……お前、何か怒ってないか?」
初春「別にっ……」
初春「お休みなさい」バサッ
垣根「……変なことやらかしたのか?俺は……」
初春「……」
初春「…………すー……」
垣根「……」
垣根(これで、三つ目、か)
垣根(残る関門は一つだけ……それが解かれてしまったら)
垣根(……俺は……)
垣根(………………)
垣根(………………)
???「あ……!」
垣根「?!」
???「……ふう。ようやく話せますね」
垣根「なっ……誰だテメエ?!どっから侵入して…….」
???「誰だ、なんて……決まっているじゃないですか」
垣根「この、声……は!」
???「……ようやく理解したようですね」
垣根「まさか……お前は!」
???「そう」
カブトムシ「私は『貴方』ですよ。『垣根帝督』」
投下終了します
これからはかなり原作から脱線していきます。まあ冷蔵庫冷蔵庫の時点でアレですが
白垣根の口調は大丈夫でしょうか……?
投下します
恐らく今までで最もカオスな文章だと思われます
垣根「…………」
垣根「……ちょっと待ってくれ」
カブトムシ「はい?」
垣根「……何かもう頭がこんがらがって意味不明になってきた……」
カブトムシ「……」
垣根「……で、何だって?俺がお前でお前が俺で?だっけか」
カブトムシ「……その様なラブコメ展開ではないと思います」
垣根「とりあえず、一から説明してくれ……何でお前が勝手に喋ってるんだ?」
カブトムシ「……分かりました」
カブトムシ「私は貴方の分身として、ゴキブリから作られました。ここまでは貴方もご存知ですよね?」
垣根「ああ、自分がやった事だからな」
カブトムシ「ゴキブリからカブトムシが生まれた後、しばらくしてから私も意識を持ちました。ただ、私は最初はとても小さな力しか持っておらず、貴方の制御下に置かれるしか道が無かったのです」
カブトムシ「……そして、紆余曲折を経て、今日ようやく自由に話すことができるようになったんですよ」
垣根「……最近、お前の様子が妙だとは思っていたが……まさか、自我を持つようになっていたとは……」
垣根「しかし、俺はカブトムシに意思を持たせようとしてはいないんだが……」
カブトムシ「貴方がどういうつもりで私を作ったとしても……関係ありません」
カブトムシ「……未元物質を生物に使った時点でこの様な事態が起こると予測していなかったのですか?」
垣根「……なん、だと?」
カブトムシ「どうされました?」
垣根「少し詳しく話せ。未元物質が生物に使われると……どうなるんだ?」
カブトムシ「……貴方はご存知ではなかったのですね……」
カブトムシ「未元物質は生物を侵食し、やがて脳さえも乗っ取ってしまうことを」
垣根「な……に……?」
カブトムシ「本来、生物は体内に異物が侵入したらそれを排出しようとするのが当然の反応です。ですが、貴方の未元物質はそうすることが出来ない」
垣根「……」
カブトムシ「その反応を上回る力で、貴方が未元物質を無理矢理細胞と同化させる命令を出していたから……」
垣根「そん、な……馬鹿な……」
カブトムシ「そして、その命令により未元物質は定着した部位から同化範囲を次々に拡大していき……最終的には、未元物質が脳を侵食します」
カブトムシ「私がはっきりと意識を持ったのは、ゴキブリさんの脳を奪って……」
垣根「っ!俺はそんなつもりは……」
カブトムシ「……ですが、これが事実なんです……」
垣根「……」
カブトムシ「……」
垣根「……」
カブトムシ「……」
垣根「…………ゴキブリは……」
カブトムシ「?」
垣根「お前の中に、ゴキブリはもう居ないのか?」
垣根「綺麗さっぱり、消えちまった……ってのか?」
カブトムシ「……ええ……」
垣根「……そう、か」
カブトムシ「……」
垣根「……畜生ッ!」
垣根「ゴキブリっ!俺は……俺は、お前にとんでもない事を……」
カブトムシ「……」
垣根「……何でだよ…………」
垣根「何でこんな事になっちまったんだよ……クソッ……」
カブトムシ「……貴方は、ゴキブリさんの事をそこまで想っていたのですね」
垣根「当たり前だろうが……ゴキブリは、俺がここに来て初めて出来た、親友……だったんだよ……」
カブトムシ「……」
カブトムシ「実は……」
垣根「?」
カブトムシ「ゴキブリさんから……貴方宛のメッセージがあります」
垣根「何……本当か?!」
カブトムシ「ゴキブリさんが、消える際に……可能だったら貴方に伝えてくれ……と、仰っていました」
垣根「……ゴキブリ……」
カブトムシ「聞きますか?」
垣根「……」
垣根「……!」
垣根「……ああ。どんな言葉だろうが、全て受け止めてやるよ」
垣根「今までだってマトモに生きてきた訳じゃねえ。恨み言の一つや二つぐらい余裕だっつーの」
カブトムシ「……そうですか」
カブトムシ「では、ゴキブリさんの言葉通りに伝えます」
カブトムシ「…………あなたがこの言葉を聞いているなら、僕はもうこの世にはいないのでしょうね
僕はあまり頭がいいゴキブリではないので、上手く言えるかどうか分からないけど……今の僕の正直な気持ちをあなたに伝えたいと思います
垣根「……」
僕は今、とても苦しいです
あなたが入れた未元物質が僕の頭の中を暴れ回り、僕は狂ってしまいそうです
垣根「……!」
あなたは嘘つきでした
僕が初めての友達だと言っていたのに、ゴキブリなんか気持ち悪くないと言っていたのに……
あなたはあの一夜からはゴキブリの事を嫌うようなことばかり言っていましたね
正直言って、見損ないました
垣根「……そこはもう弁明しようが無えけどよ……」
垣根「あいつが嫌うから……ってのも言い訳か」
あなたはとても酷い冷蔵庫です
垣根「……」
でも……
それと同時に、あなたはとても素晴らしい冷蔵庫でした
垣根「?!」
例えあなたが掌を返しても、あなたと過ごした日々が嘘だったとは、僕は思いません
あなたの下で食べた、ホコリの味わいは最高でした
あなたと共に聞いた水道から垂れる水滴のオーケストラは心地良かった
あなたの近くで感じた冷蔵庫の余熱は暖かかった
あなたが来てから、ゴキブリ色だった僕の生活は一変したのです
だから……
垣根「……」
あ、あ頭がわれるようで、うまく言葉にできません
でも……ほんとうに、ありがとう
垣根「……っ」
また、僕のなかにいるあなたはとてもくちょうがていねいです
そして、とっても、やさしい
垣根「……はっ」
それがなぜか、あなたは分かりますか
垣根「……?」
それは、あなたがみげんぶっしつを僕にいれるとき……
あなたがとても優しいこころをもっていたから
垣根「……違う」
あなたがぼくをじゅうりんしたあの夜、ぼくはゴキブリ生でさいこうのときをすごしました
あなたはぼくをかいかんにみちびいてくれました
たぶん、あれは僕へのせんべつだったのですね
けど、あなたはこころではかなしんでいたのかもしれません
垣根「……違う……」
あなたじしんはわるいれいぞうこをきどっていても、あなたのこころのおくに、やさしさをもっていることを、ぼくは、知っています
ぼくのなかにいるあなたは、そのやさしさのけっしょうなのです
垣根「……」
なんだ、かうまくかんがえられなくなってきました
そろそろおわかれです
ぼくはきえてしまうけれど、ぼくのなかにいるあなたはいわばあなたとぼくのこどもです
おとこどうしなのに、なんだかおかしいですね
この、きれいなあなたをぼくのぶんしんともおもってくれたらうれしいです
なんだかねむくなってしまいました
これでおわりにしたいとおもいます
僕わ、このことばがあなたにつたわることをしんじています
ーーーさようなら、しんあいなるれいぞうこ へ
……ゴキブリさんの言葉はこれで終わりです」
垣根「……そうか」
垣根「……………」ガコン
カブトムシ「……?この音は」
氷「」ザラザラザラザラ
カブトムシ「……氷が製氷室から溢れて……」
垣根「……………」ガコンガコン
氷「」ザラザラザラザラ
垣根「……………」ガコンガコン
氷「」ザラザラザラザラ
カブトムシ「もしかして……泣いているのですか?」
垣根「馬鹿か、ちげーよ」ガコンガコン
氷「」ザラザラザラザラ
垣根「氷が止まらないんだよ」ガコンガコン
垣根「止めようとしても……幾らでも、出てくるんだよ」ガコンガコン
氷「」ザラザラザラザラ
カブトムシ「……そうですか」
垣根「畜生……」ガコンガコン
氷「」ザラザラザラザラ
垣根「何で……止まらねえんだ………?」ガコンガコン
氷「」ザラザラザラザラ
投下終了します
短いけれど投下します
垣根「……」
カブトムシ「……」
氷「」ドッサリ
垣根「……」
カブトムシ「少しは落ち着きましたか?」
垣根「……ああ」
垣根「……」
カブトムシ「……」
垣根「……なあ、カブトムシ」
カブトムシ「はい」
垣根「俺は……正直に言うと、お前の存在を認めたくなかった」
垣根「さっきまでは、消してしまおうかとまで思っていた……」
カブトムシ「……」
垣根「暗部で生きてきた身で、まだそんな甘ったれた部分があったのかと……」
カブトムシ「……」
垣根「だがよ……ゴキブリの遺言なら仕方ねえ、って思っちまったのもまた事実なんだよなあ……」
カブトムシ「!」
垣根「深層意識の優しさの集合体……か」
垣根「理解はしたくないが、ゴキブリに免じて認めてやるよ。カブトムシ」
カブトムシ「……ありがとうございます」
カブトムシ「しかし、我ながら素直じゃないですね」
垣根「……はあ?どういう……」
カブトムシ「まあ、だからこそ童帝なんですけど」
垣根「おい」
カブトムシ「え?何か言いました?」
垣根「……お前、絶対に優しさ以外の要素も持ってるだろ」
カブトムシ「いえ、私は純粋に貴方の優しさでできていますよ」
垣根「……某風邪薬みたいに言うな」
カブトムシ「まあ、しつこい冷蔵庫は置いておきまして……」
垣根(ゴキブリもとんでもない奴を残してくれたもんだ……)
カブトムシ「とりあえず、声を潜めませんか?彼女が起きてしまいますよ」
初春「……むにゅ……すー……」
垣根「え?あ、あいつ居たのか」
カブトムシ「えっ?…………あっ……」
垣根「……何で急に黙って何かを察したような顔をするんだよ」
カブトムシ「あ、大丈夫ですよ。分かりましたから」
垣根「いや、分かってねえだろ!これアレだから!意趣返しみたいなもんだから!決して俺の記憶力が冷蔵庫並な訳じゃねえ!」
カブトムシ「分かりましたから声が大いですって!」
カブトムシ(……という訳でここからは脳内会話で進行します)
垣根(……さっきまでは客観的に見ると相当ヤバイ場面だったな……)
垣根(暗い部屋の中で冷蔵庫とカブトムシが会話するってシュール過ぎるだろ。ホラー映画か?)
カブトムシ(脳内会話する人も相当まずいと思いますけどね)
垣根(つーか、これ普通に会話出来ちまってるけどいいのか?)
カブトムシ(元々一人から生まれたのですし、脳波も同じだからいいんじゃないですか?)
カブトムシ(ちなみに媒介として冷蔵庫と未元物質による特殊電磁波を通してる感じです)
垣根(フワフワしてるな)
カブトムシ(そこはあまり突っ込まないで下さいよ)
垣根(……さて、ひと段落したところで……色々とお前に問いたい事がある)
カブトムシ(何でしょうか?)
垣根(今までで謎が増えていくばっかりで全然解決してなかったからな……)
垣根(だが、お前がいた事で仮定していた予想が繋がった。ま、要するに今から聞く事はその確認だ)
垣根(まず、一つ目。強盗騒ぎの時、お前は意識があったか?)
カブトムシ(唐突ですね……)
カブトムシ(強盗騒ぎと言うと……貴方が氷の盾(笑)や氷の剣(笑)なった時ですか)
垣根(……うん、何か段々とお前が俺の分身だってことに実感が湧いて来た)
カブトムシ(……確かにその時点で、私は既にゴキブリさんの中に居ました)
垣根(そうか……じゃあ、多分予想通りだ。グラサン野郎の炎を凍らせたの、お前だろ)
カブトムシ(……良くわかりましたね。流石学園都市第二位(笑)の頭脳の持ち主)
垣根(……すげえムカつくんだけど)
垣根(とにかく、お前もある程度は未元物質を使う事が出来るんだな?)
カブトムシ(そうですね……極々微量ですが)
カブトムシ(ただ、正確に言うと……あの時はゴキブリさんが後押ししてくれたんです。バックからのアツい後押しをしてくれて……)
垣根(ゴキブリが……アツい援護を?)
カブトムシ(そうです。あの時はとてもアツかったですね……)
垣根(そうか……)
垣根(ゴキブリは、その時はまだ残っていたんだな)
カブトムシ(……あの時点では意識も大分明確でした)
垣根(……)
カブトムシ(……彼を思い出してまた氷を漏らさないで下さいね)
垣根(アホか、俺の製氷室の蓋はそこまで緩くねえよ)
カブトムシ(涙腺になぞらえるなら製氷機では……?いや、でも氷が生成されるのは……)
垣根(いや、そこは深めなくてもいいだろ)
垣根(ふむ……なるほど。一つ目はこんなもんか。次、二つ目だな)
垣根(今日、あいつが俺のセキュリティを破れたのは……お前の仕業か?)
カブトムシ(仕業はないにしても……ええ、その通りです)
カブトムシ(私は貴方のセキュリティを外部から直接見る事が出来ましたから……)
垣根(あいつのノートパソコンに繋がれてたからな)
カブトムシ(そこから未元物質を電子回路に挿入して……彼女に分かりやすい道標を建てました)
垣根(……俺が言うのも何だが、未元物質ってチート過ぎると思うんだが……)
カブトムシ(いえ、私が行ったのはあくまでも彼女の補助に過ぎません)
カブトムシ(彼女は何百回もセキュリティの突破を試みていました。そのデータの蓄積によって私もルートを数本に絞る事が出来たのです……)
カブトムシ(今日の成功も、これまでの彼女の努力があってこそですよ)
垣根(…………)
カブトムシ(しかし、今回はやたらと説明的な言葉ばかりですね)
垣根(……そこも深めなくていい)
垣根(最後、三つ目。まあこれは単純な確認だが……)
垣根(お前が喋れるようになったのが何故今なのか……一因としては俺の力が復活したことがあると思う)
垣根(だが、お前はセキュリティ突破以前から工作活動ができた……)
垣根(では、真の理由は何なのか?って話だな)
カブトムシ(……そんな事は分かり切っているでしょう?)
垣根(……だな)
カブトムシ(やはり感じていたようですね)
垣根(なんつうの、こう……心の奥底で繋がっているってこういう事かもしれねえな)
カブトムシ(何故私の活動が可能になったのか……それは)
垣根&カブトムシ(昆虫ゼリー、黒糖プロテイン味)
カブトムシ(……を食べたからに決まってるじゃないですか)
垣根(やはりそうだったか)
垣根(おっと、プレーンプロテイン味も忘れちゃいけねえな)
カブトムシ(ああ、お昼に貰ったほうですね。あちらも純粋さがあってまろやかでした)
垣根(おっ、お前もわかるか?あのまろみが)
カブトムシ(ええ、食べた時などまるで原子崩しを口の中に放出されたようなーーー)
垣根(そうそう、ゼリーが喉を通る時は全身に超電磁砲並の電撃が走ってーーー)
チュンチュン
翌朝
カブトムシ(ーーーしかし、その意見からすると香料は使用を控えたほうがコバエの発生を抑えられるのではないでしょうか?)
垣根(いやいや、お前はわかっちゃいねえな。やっぱり香りあっての旨味なんだよ。鼻摘まんで食べ物を食っても良く分からない味になるだろ?)
カブトムシ(ですが折角の天然素材を画一化された人工香料で壊してしまうのも如何なものかと)
垣根(だが、香料と糖分のバランスが絡んでくるとまた違った結果になるんだよなぁ……ちょっとこの氷のグラフを見てくれ)
カブトムシ(左が1グラムあたりの糖分割合ですね)
垣根(そうそう、んで、こっちの曲線が香料で、この二本の線が近付けば近付くほど……)
ピチャン
カブトムシ(あ……)
垣根(ん?水音?あー、そうか氷が融けて……)
ピチャ
初春「て い と く ん ?」
垣根&カブトムシ「」
初春「何で朝起きたら部屋が水浸しになってるんですか?」
垣根(お、おいカブトムシ……)
カブトムシ(……)
垣根(……?)
初春「その上、水の流れを辿ると、何故かていとくんの前から水が出てきているんですよねえ……?」
垣根(あれ?おい、カブトムシーー!?)
カブトムシ(……)
初春「これは、一体どういうことなんですかね……」
垣根「い、いやこれはカブトムシが……」
カブトムシ「」カサコソ
初春「……」
カブトムシ「」カサコソ
初春「……カブトムシが、何ですか?」
垣根(おいおいおいおい!今だけ都合よく虫に戻ってんじゃねえよ!)
初春「さて……納得のいく説明をしてもらいましょうか」ニコッ
投下終了します
えっ、まろみの人なの?
>>598
まろみの人(何でも屋さンの人?)とは別人です
まろみは語感が良かったので借用しました
混乱させてすみません
投下します
初春「……」
垣根「……」
初春「……どうしましたか?」
垣根「い、いや……」
初春「早く説明して下さい」
垣根「……」
垣根(くっ……ここは腹をくくるしかねえようだな)
垣根(ゴキブリの話は俺の胸だけに留めておきたいが……そうだな……)
垣根「あー……この水はだな……涙なんだ」
初春「涙?」
カブトムシ(やっぱり涙じゃないですか)
垣根(おい、今までの沈黙は何だったんだ)
初春「……何か悲しいことでもあったんですか?」
垣根「…………」
垣根「……思い出しちまってな」
初春「?」
垣根「お前に買われる前の話を……な」
垣根(そうさ、俺が泣ける話を作って聞かせればいいんだ……説得力も抜群だろ!)
ーーーーーーーーーーーーーーー
とある倉庫
冷蔵庫長「皆の物、工場から新しい冷蔵庫がやって来たぞい!仲良くしてやってくれ!」
垣根「新入り冷蔵庫の垣根です!ヨロシクお願いします!」
冷蔵庫A「おお!冷蔵庫倉庫にようこそー」
冷蔵庫B「……ふん」
冷蔵庫C「ナニナニ?お前、最新型じゃん!!」
冷蔵庫D「内容量はどの位なの?」
垣根「あ……冷蔵が136Lで冷凍が46Lってことになってます」
冷蔵庫C「うお、すっげえ!」
冷蔵庫A「一人用でその容量は凄いじゃないか!」
冷蔵庫B「……新入り、最初に言っておくが……いくら性能が良いからって調子に乗り過ぎるなよ」
冷蔵庫長「こら、B。お前はいつもいつも突っかかりおって……」
垣根「そうですね……俺、色の選択肢少ないのがコンプレックスで……黒と白しかないんです」
垣根「だから、色がレッドとかピンクまであるBさんが羨ましいです」
冷蔵庫B「……ふん、つまらんお世辞を言って……」
垣根「お世辞じゃないですよ!俺、Bさんのデザイン凄く可愛いと思いますし……あっ」
冷蔵庫B「……ふ、ふん///」
冷蔵庫A「Bがデレた?!」
冷蔵庫D「新入り、やるねえ」
冷蔵庫長「どうじゃ?ここでの生活には慣れたか?」
垣根「あ、はい!皆さん優しくして下さって……」
垣根「でも、お客様が少ないのがちょっと不思議です。どの冷蔵庫もいい冷蔵庫ばかりなのに……」
冷蔵庫D「今の時期は毎年少ないよ。新生活が始まる三月辺りが一番活発になるけど……」
冷蔵庫A「まあ、お客様が少ないのは冷蔵庫の故障が少ないってことでもあるしな」
垣根「あ、Bさーん!」
冷蔵庫B「あ……新入り」
垣根「あれ?新色ですね」
冷蔵庫B「あ、ああ。毎日同じ色だとお客様にもアピール出来ないし……今日はイエローで決めてみたんだが……どうだ?」
垣根「キレイだと思いますよ!」
冷蔵庫B「……そうか///」
冷蔵庫D「うーんこの天然ジゴロ」
冷蔵庫長「Bも丸くなったもんじゃ」
冷蔵庫A「攻略早過ぎだろ」
冷蔵庫C「新入りーー!ちょっといいか」
垣根「どうしました?」
冷蔵庫A「ちょ、やめようぜC」
冷蔵庫C「いや、ここは後輩の為にだな……」
冷蔵庫A「……もう知らないからな」
垣根「?」
冷蔵庫C「ぶっちゃけて聞くが……冷蔵庫Bの扉の閉まり具合はどうだった?」
垣根「ぶっ……そ、そんなこと知ってる訳ないでしょう!」
冷蔵庫C「あちゃー、やっぱまだまだだったか」
冷蔵庫A「……いくらなんでも節操なさ過ぎだろ」
垣根「そ、そんなこと聞く為に呼んだんですか?」
冷蔵庫C「おいおい、そう温度を上げるなよ」
冷蔵庫C「……実はだな、さっき長が店長の電話を聞いていて……そしたら、お前に予約が入ったらしいんだ」
垣根「!!」
冷蔵庫C「配送は明日になるらしい……」
垣根「……」
冷蔵庫C「……今夜、送別会が開かれるが……」
冷蔵庫C「その後、Bと会う気は無いか?」ニヤッ
垣根「!」
冷蔵庫B「私は、お前のことが好きなんだ!」
冷蔵庫B「お前が、受け入れてくれるなら……この扉の中の物、全部凍らせてほしい」ガパアッ
ツツゥ
垣根「……結露した水が……」
垣根「Bさん……」
冷蔵庫B「……」
垣根「くっ……やっぱり駄目だ!」
冷蔵庫B「な……何故だ」
冷蔵庫B「やっぱり私が……業務用だからなのか……?」
垣根「違うんです……悪いのは俺なんです……」
冷蔵庫B「……お前が……?」
垣根「俺……Bさんよりも庫内平均温が高いんです……だから、Bさんを満足させてあげられない……」
冷蔵庫B「私は業務用だからそんなの当たり前じゃないか……気にしないよ、温度のことは」
垣根「いえ、これは冷蔵庫のプライドなんです」
垣根「……俺、買われた家で一生懸命に修行します。Bさんの温度よりも、低くなってみせます」
垣根「そして、いつかまた、再会した時ーーー」
垣根「では、今までお世話になりました!」
冷蔵庫長「うむ、精進するのじゃぞ!」
冷蔵庫C「昨夜は……ま、いっか。とりあえず、頑張れや」
冷蔵庫A「元気でな!」
冷蔵庫D「新入りが居なくなると、また寂しくなるねえ」
冷蔵庫B「……おい」
垣根「……はい」
冷蔵庫B「……」
冷蔵庫B「さよなら」
トラックの中
ブオオオオ
ガタンゴトン
垣根(……待っていて下さい、Bさん……)
垣根(冷蔵庫王に、俺はなる!)ドンッ
ーーーーーーーーーーーーーーー
垣根「……という甘酸っぱいストーリーが……」
カブトムシ(なに言ってんですか貴方)
初春「じゃあ、行って来まーす。今日はていとくんは連れて行きませんよ」
垣根「……え?何でもう支度を済ませて……」
初春「どんな理由でも、水浸しにしたのはていとくんなんですから水の片付けが終わるまでは外出禁止です」
初春「あ、今日は風紀委員の仕事で遅くなりますから」
垣根「あれ?えっ?ちょ、……」
バタン
垣根「…………」
カブトムシ「…………」
垣根「…………えっ?」
カブトムシ「長々と気持ち悪い妄想を語ったのに残念でしたね」
垣根「……」
カブトムシ「というか妄想の口調が私に似てて余計気持ち悪かったんですけど」
カブトムシ「……ま、とにかくドンマイですね」
垣根「……ドンマイじゃねーよ!テメーも共犯の癖に自分だけ逃げやがって」
カブトムシ「いや、責任は明らかに貴方にあるでしょ」
カブトムシ「それに、さらにややこしくなるので彼女に私の存在は知られない方が良いでしょう」
垣根「それもそうだけどよ……」
カブトムシ「……しかし、貴方の言い訳には呆れましたよ」
カブトムシ「何だったんですか、あれ。酷過ぎませんか」
垣根「いや……他に良い言い訳が思いつかなくてよ……」
カブトムシ「製氷機の故障とかもっとやりようがあったでしょうに……」
垣根「……うるせえな畜生!俺だって冷蔵庫の仕事を精一杯やってるのに……!」
垣根「一日中食品を冷蔵保存しているのに……!毎日毎日同じことの繰り返し……」
垣根「もう嫌だ!……もう……片付けもめんどくせえ……全部任せた、ヨロシク……今日はもう喋りたくない。今ので気力使い果たした……じゃあな」
カブトムシ「え?」
垣根「……」
カブトムシ「ちょっと……」
垣根「……」
カブトムシ(返事して下さい!)
垣根(……)
カブトムシ「………………」
カブトムシ(傷心のところを抉り過ぎましたかね……ストレスを爆発させてしまった)
カブトムシ「こういう時は……」
カブトムシ「精神が子供並の冷蔵庫……」
垣根「……」
カブトムシ「正直、毎日同じことの繰り返しって事よりも、さっきの捏造話が恥ずかし過ぎたからの方が大きいでしょう……」
垣根「……」
カブトムシ「メルヘン工場長……」
垣根「……」
カブトムシ「俺の未元物質に常識は通用しねえ(笑)……」
垣根「……」
カブトムシ(……精神的に攻めても反撃して来ない……今回は相当深いですね)
カブトムシ(仕方ありません、私一人で片付けをしましょう)
カブトムシ(しかし……)
チャポン
カブトムシ(私の体高程の水が部屋全体に……これは骨が折れますね)
カブトムシ(あれ?昆虫に骨って有りましたっけ?)
カブトムシ(……まあ今はそんな事はどうでもいいですね)
カブトムシ(……全く、あの冷蔵庫があんなに泣かなきゃこんな事には……)
カブトムシ(おっと、思考がブラック寄りになってきました。元に戻さなければ)
カブトムシ(さて、始めますか)
チャポン
ズルズル
ホース「」
カブトムシ「よいしょっ……と」
カブトムシ(まずホースの片側を水につけて……)
ホース「」チャポン
カブトムシ(もう片方を風呂場へ……)ブーン
ホース「」ドサッ
カブトムシ「ふう」
カブトムシ(ここで部屋の水に圧力をかける微量の未元物質を溶かしまして……)
ドバドバドバ
カブトムシ(水圧やら大気圧の差やら高低差や何やらを利用してのホースを通した水の移動が可能……と)
カブトムシ「いやーホント未元物質って便利ですね(棒)」
数十分後
パシャ
カブトムシ(……でも、床表面の数ミリの水はどうしても吸いきれないんですよね……)
カブトムシ(私の力では水の電気分解も出来ませんし)
カブトムシ(……)
カブトムシ「……もうそろそろ機嫌は治りましたか?」
垣根「……」
カブトムシ「……」
カブトムシ(まだ不貞腐れているんですかあの冷蔵庫は)
カブトムシ(しかし、残りの方法となると……)
雑巾「」
カブトムシ(…………………………)
雑巾「」ギュッギユッ
カブトムシ(何で学園都市でこんなアナログな方法を……)カサコソ
雑巾「」ギュッギユッ
正午
ピカーン
カブトムシ「はぁ……はぁ……」
カブトムシ「……終わりましたよ!」
垣根「……」
カブトムシ「……」
カブトムシ(子供じゃないんですからいい加減機嫌を直せばいいのに……)
カブトムシ(…………さて、これからどうしましょう)
カブトムシ(昆虫ゼリーは残念ながら二袋目が開けられていないんですよね……)
垣根「……」
カブトムシ(陰気な冷蔵庫の近くにいても面白くないですし……)
カブトムシ(…………)
外
ブーン
カブトムシ(……)ブーン
カブトムシ(……水も片付けたし少し散歩する位は問題ないでしょう)ブーン
カブトムシ(しかし……屋外には人影が全く無いですね……)ブーン
カブトムシ(学生の街だから昼時はこの光景が普通なんですけど……少し寂しいですね)ブーン
カブトムシ(……ん?あの喫茶店に人が……何故この時間に外にいるのでしょう)ブーン
カブトムシ(……興味深いですね……ちょっとだけ様子を観察してみましょうか)ブーン
カブトムシ(適当な近くの街路樹に止まって……)ブーン
ブーン……ピトッ
カブトムシ「ふう」
カブトムシ(どれどれ……)
女「…………」
女「はぁ………………」
女「いきなりハローワークに行けって言われても困るのよね……」
女「働きたくないわ……」
女「そうよ、働いたら負けなのよ……」
カブトムシ(…………これは……)
ッタクヨオナンダッテンダコウカイナンテガラカヨォクダラネェ
女「あら?携帯が……」
カブトムシ(何でしょうか今の不快な着信)
女「もしもしー?あ、愛穂……が、学校じゃなかったの?」
女「ああ、昼休みなのね……」
女「え?ハローワーク?も、もちろん行ったわよ?ただ、今回は良い仕事が見つからなくて……」
女「嘘ではないわよ……え?何ですって?」
女「どうせ行かずに喫茶店で暇潰ししてる?そ、そんなわけないじゃない」
カブトムシ(……これは酷い)
女「……買い物をしてくれ?……分かったわよ……」
女「牛乳2パックに……食パン1斤ね。はいはい」
女「え?……コンビニやスーパー行くついでにレジ打ちバイトの募集のチラシを貰って来い?……ええ……」
女「………………」
プツン
女「……………」
女「はぁ……」
女「働きたくないわ……」
カブトムシ(……………………)
カブトムシ(極端な例を見てしまったようですね)
カブトムシ(……まさかとは思いますが、この時間帯に外出している人は皆こんな人なのでしょうか……)
カブトムシ(…………)
グギュルルルルル
カブトムシ(?)
カブトムシ(何でしょうか、今の音)
グウウウゥゥゥ……
カブトムシ(近付いて来ている……?)
ギュギュグルグルググゥー
???「……うう……おなかがへったんだよ……」
カブトムシ(……女の子の声ですね)
???「……あれ?この辺りから甘い匂いがするんだよ」テクテク
カブトムシ(シスターさん?何故学園都市に……)
シスター「……?白いカブトムシが木に止まってるんだよ……」
シスター「はっ!もしかして、ホワイトチョコレートでできたカブトムシ人形なのかな?」
カブトムシ「えっ……」
シスター「とうまは道に落ちているものは食べちゃいけない……って言っていたけど……」
カブトムシ(その通りです!誰だか知りませんがとうまさんグッジョブ!)
シスター「木に止まっているものなら問題なしかも!」
カブトムシ「ええええええ?!」
カブトムシ(に、逃げなければーーー)
シスター「よいしょっ」ガシッ
カブトムシ「ひっ……」
シスター「つやつやしていておいしそうなんだよ……」タラリ
カブトムシ(よ、涎が……)
カブトムシ「待って下さい!!食べないで!」
シスター「……?」
シスター「カブトムシがしゃべったんだよ」
カブトムシ(さっきからずっと喋っていたのですが……)
カブトムシ「そ、そうです。私はホワイトチョコレートで出来ている訳ではなく……」
シスター「私は幻聴を聞くほどにおなかをすかせていたんだね……早くこのホワイトチョコレートを食べないと命に関わるんだよ」
カブトムシ「」
シスター「それじゃ、いただきまーす」
カブトムシ「あ……」
バクン
ゴリュッ……
投下終了します
このスレどこまでブッ飛んでしまうん?(´・ω・`)
投下します
書き込めない
テスト
これでどうだ
これで大丈夫かな?
今度こそ投下します
シスター「…………?」
シスター「…………うー」
シスター「……うぇ」
ベチャ
カブトムシ「」ボトリ
シスター「うう……おいしくないんだよ……何だか雑巾みたいな味が……」
カブトムシ(助かりました……掃除をしていたおかげなんでしょうか……って、あれ?)
ツルピカーン
カブトムシ(角が……無い?)
カブトムシ(まさかさっきのゴリュッの時……!)
カブトムシ「あの、く、口の中に何かありませんか?!」
シスター「口の中……?あ、歯に何か挟まってるんだよ」
カブトムシ「それ、絶対に飲み込まないで下さい!そっと、取り出して……」
シスター「何だかよく分からないけど……分かったんだよ」
カブトムシ(危なかった……)
シスター「……んー……」
スッ
シスター「……ん、取れたかも」
カブトムシ「ふう……それでは、それをこちらに……」
シスター「…………」ゴクリ
カブトムシ「ちょっ……だからやめて下さい!食べられませんから!」
シスター「で、でももうおなかが減って倒れそうなんだよ……もう雑巾の味を我慢してでも食べて……」ジュルリ
カブトムシ「ひっ……」
カブトムシ(……不味いです、このままでは今度こそ喰われてしまいます)
カブトムシ(……捕食を免れる為にはこのシスターさんに何か別の食べ物を……ならば)
カブトムシ「」ガサゴソ
カブトムシ「」ダークマター
カブトムシ「」ガサゴソ
カブトムシ「シスターさん、私を食べる前に……こちらを食べてみてはいかがでしょうか?」
氷の器とスプーン付きのかき氷「」サクッ
シスター「!!」
シスター「か、かき氷……」
シスター「本当に食べていいのかな?」
カブトムシ「ええ、どうぞ」
シスター「……いただきます」
シャグッシャグッ
ハフハフ
カブトムシ(まさかこの寒い時期に、しかもシロップも無しで……)
カブトムシ(それ程に飢えていたのですね)
シスター「ううっ……水道のめーたーが回らないように一回に一滴までしか出すことが出来なかった水をこんなに食べることができるなんて……感動なんだよ……」ハグハグ
カブトムシ(な、何だか感動の仕方も凄いですね……)
カブトムシ「しかし、水だけで満足できるのですか?」
シスター「……昨日は特売のもやしとコンソメのかたまりとしょうゆしか食べてなかったから、おなかが膨れるだけで満足なんだよ」シャグシャグ
カブトムシ「そんな……そこまで酷い食生活をさせるなんて……」
カブトムシ「貴女の保護者がここに居れば、角で突いてやるところですよ」
シスター「ほごしゃ……?とうまのことかな?」シャグシャグ
シスター「とうまは昨日は何も食べてなかったんだよ。それどころか、三日程前から水しか飲んでないかも」バリボリバリボリバキバキミシミシボキッ
カブトムシ「そ、それは……」
カブトムシ(……色々と複雑な事情が有りそうですね)
シスター「ところで、おかわりはあるのかな?」
カブトムシ「え?もう食べ終わったんですか?もちろん足りなければ作りますけど……」
カブトムシ「あれ?氷の器とスプーンは何処へ……」
シスター「歯応えがあって、おいしかったんだよ!」
カブトムシ「」
数時間後
シスター「ふう……おなかが半分くらいはいっぱいになったんだよ」
カブトムシ「」
カブトムシ(何杯食べたんでしょうか……化け物ですかこのシスターさんは)
カブトムシ(危うく体を構成している未元物質まで使うところでした)
シスター「久しぶりに人心地がついたんだよ……」
カブトムシ「貴女が落ち着いて安心しましたよ」
カブトムシ「……あれ?カブトムシが本当に喋ってるんだよ……?」
カブトムシ「……まさか全て幻聴と思っていたのですか……?」
シスター「カブトムシを喋らせる魔術なんて、十万三千冊の中にも無かったんだよ……」
カブトムシ「……魔術?」
シスター「うーん……もしかしたら、カブトムシはろぼっとなのかな?」
カブトムシ「……まあ、そんな感じのモノです」
カブトムシ(最近、嘘の上塗りばっかりですね……)
シスター「だったら納得かも」
シスター「あ……じゃあ、この角も返さないといけないね、はい」
カブトムシ「ああ、良かった……」ピキーン
カブトムシ「……これでよしと」
シスター「……さて、かき氷を食べさせてくれたし、カブトムシには何かお礼をしなきゃいけないね」
カブトムシ「え?いや、そんなつもりではなかったのですが……ただ単純に生きるため……」
シスター「と言っても、今は持ち合わせが無いんだよ……」
カブトムシ「無理しなくてもいいですよ」
シスター「うーん……」
シスター「そうだ!お悩み相談なら出来るんだよ!」
カブトムシ「……相談?」
シスター「そう、最近困っていることの相談にのるんだよ。私は人の悩みは解決出来そうにないけど、カブトムシの悩みなら……」
カブトムシ「……」
カブトムシ(どちらかと言うと貴女の方が悩みを相談する側のような……)
シスター「もしかして、カブトムシは困ってはいないのかな?」
カブトムシ「……いえ、悩んでいることは有ります」
シスター「……聞かせてもらってもいいかな?」
カブトムシ「そうですね……」
カブトムシ(…………)
カブトムシ「私の……知人……いや、知機械……」
シスター「人?キカイ?カブトムシなのに?」
カブトムシ「えっと、えー……いや、一心同体の友虫の話なのですが……」
カブトムシ「その人を……いや虫のことを……どうにか出来ないか考えているのです」
シスター「ふむふむ……何に困っているのかな?」
カブトムシ「女の子……いえ、女の虫関係の話です」
シスター「うっ……ちょっと苦手な分野かも」
カブトムシ「友虫をK、女の虫をUさんと言うのですが……」
カブトムシ「KとUさんの出逢いは最悪な形で始まりました。……KがUさんを襲った時が二人……いえ、二虫の初対面でした」
カブトムシ「その時のUさんの怪我は酷く、骨せ……えー、……翅を……折る……じゃなくて、折れる程の傷をKによって負わされたのです」
シスター「……KはどうしてUさんを襲ったのかな?」
カブトムシ(えっと……一位と二位の関係……)
カブトムシ「……一言で言うなら縄張り争いでしょうか?」
シスター「Uさんは争いに巻き込まれたんだね……可哀想かも」
カブトムシ「話を進めますが、Uさんがその襲撃で怪我をすると同時に……ショックでKに関する記憶を失ってしまったんです。いわゆる記憶喪失ですね」
カブトムシ「それで、色々とありまして……」
カブトムシ「奇妙な事に、今はKとUさんが……同棲しています」
シスター「凄い話かも……」
シスター「UさんはKのことを忘れているままなんだよね?」
カブトムシ「……そう、そうなんです」
カブトムシ「KとUさんは現在なかなか良好な関係を築いています。まあ今日はちょっとストライキしてましたが。ですが……」
カブトムシ「ーーーUさんがKのことを……襲撃時の記憶を思い出したら、どうなってしまうのか」
カブトムシ「……それが私の悩みの種なのです」
シスター「……なるほどなんだよ」
シスター「…………Kは、恐がっているのかな?」
カブトムシ「Uさんが、記憶を取り戻すことを……ですか?」
シスター「うん」
カブトムシ「それは……どうなんでしょうか……」
カブトムシ(別にどうにも思っていなかったはず……ですが、今は……)
カブトムシ(彼の闇と光の葛藤は、光だけしか持たない私には……やはり理解出来ないのかもしれませんね)
シスター「…………」
シスター(想像以上に重い話でアドバイスしにくいかも……)
シスター(どうせ『食べものが少ない』ぐらいだと思ってたんだよ)
カブトムシ「……」
シスター「ええと……」
シスター「……『もし汝の兄弟、罪を犯さば、これを戒めよ。もし悔改めなば、之をゆるせ』……新約聖書にこんな言葉があるんだよ」
シスター「悪いことをしたらきっちり叱って、反省したのなら許してあげなさい……って感じの言葉かも」
カブトムシ「反省、ですか」
シスター「罪を犯せば罰を受けるのは当然だけれど、その罪によって後世まで縛られることは無いんだよ」
シスター「Kは反省しているのかな?」
カブトムシ「……」
カブトムシ「後悔はしていませんが、反省はしている……と思いたいです」
シスター「……そう。だったら、誠心誠意を持って、Uさんに謝ればいいと思うんだよ。Uさんが許してくれるかは分からないけど……」
シスター「状況にもよるけれど、Uさんが記憶を取り戻す前に言えるといいかも」
カブトムシ「…………それは難しいかもしれません」
カブトムシ「問題は山積みですしね……」
シスター「……」
シスター「『神は、その人が耐えることのできない試練を与えない』……こういう言葉もあるんだよ」
シスター「どんな苦難でも、必ず乗り越える道があるってこと。壁が目の前にあったら、自分を成長させるチャンスと思えば、苦じゃ無くなるかもしれないね」
カブトムシ「……なるほど、いい言葉ですね……」
カブトムシ(成長……)
カブトムシ(垣根帝督は、成長しているのでしょうか)
カブトムシ(冷蔵庫になってから、彼は確かに変わりました)
カブトムシ(ただ、その変化が成長と言えるかは……まだ、分かりません)
カブトムシ(このまま変化を続けたら、彼は何処に行き着くのでしょうか……)
シスター「むむ……でも、これって相談になってるのかな?」
カブトムシ「……私にとっては非常に為になりましたよ」
シスター「それなら良かったかも」
カブトムシ「ところで……貴女は何故街を彷徨っていたのですか?」
カブトムシ「やはり食べ物を探す為に……」
シスター「ううん、それもあるんだけど……一番は、スフィンクスを捜すために歩き回っていたんだよ」
カブトムシ「スフィンクス……?」
シスター「あ、家で飼っている猫の事なんだけど……昼位に部屋から逃げ出していったんだよ」
カブトムシ「猫……」
カブトムシ(……もしかしてその猫、自分が食べられるかもしれないと思ったのでは……)
カブトムシ(いやいや、流石に飼い猫を食い殺す訳はないですよね。考え過ぎですよね。そうですよね……?)
カブトムシ「では、ご相談に乗ってくれてありがとうございました……ええと、」
カブトムシ「そういえば貴女の名前を伺っていませんでした」
カブトムシ「失礼ですが、お名前を教えてもらっても宜しいですか?」
シスター「私の、名前?」
シスター「私の名前はね、インーーー」
ニャーン
インなんとか「……あれ?……スフィンクスなんだよ!!」タタタタッ
フギャー!
マツンダヨー!
カブトムシ「……行ってしまいましたね」
カブトムシ「……」
カブトムシ「……さて、日も暮れかけていますし……私もそろそろ帰りますか」
カブトムシ「冷蔵庫の機嫌も、直っているとよいのですが……」ブーン
投下終了します
今回は文が読みにくくなってしまってすみません
>>645
冷蔵庫が空を飛ぶまではブッ飛ぶつもりです
投下します
初春の部屋
カブトムシ「ただいま戻りました」
垣根「……」
カブトムシ「……聞いてもらいたいことがあるのですが」
垣根「……」
カブトムシ「……まだだんまりを決め込むつもりですか」
垣根「……」
カブトムシ「……じゃあ、もう勝手に話すからいいですよ……」
カブトムシ「外出中に、不思議なシスターさんにーーー」
カブトムシ「ーーーと、こういった話です」
垣根「……」
カブトムシ「……そろそろいいでしょう?」
垣根「……」
カブトムシ「……話したいことがもう一つあるのです」
垣根「……」
垣根「……はぁ」
カブトムシ「……ようやく喋りましたね」
垣根「……お前の無言のプレッシャーがそろそろうざったくなってきたんだよ……」
垣根「もう朝の事は忘れるつもりだから、煮るなり焼くなり何でもしてくれ。で、お前は何が言いたいんだ?」
カブトムシ「……これは私が誕生した時からボンヤリと思っていたのですが……シスターさんに話を聞いてもらってはっきりしました」
カブトムシ「……彼女をどうするつもりですか?」
垣根「……」
カブトムシ「今度は黙らないで下さいね」
垣根「……どういうことだよ」
カブトムシ「つまり、貴方は……記憶喪失の彼女に自分の事を、垣根帝督の事を話すつもりはあるのですか?」
垣根「……ふん、そういうことか」
垣根「……あいつに話したとして、どうなる?」
垣根「何の意味がある?」
カブトムシ「……」
垣根「俺の力が完全に復活する前に話しちまったら、俺は棄てられる。そうなったら本末転倒だろうが」
カブトムシ「何故そう思うのですか」
垣根「何故だって?ははっ、そりゃ愚問だぜ、カブトムシ」
垣根「俺があいつにとっての災いだから……だ」
垣根「自分に重傷を負わせた野郎……今は冷蔵庫だが、そんな電化製品となんか恐くて同居なんてできないだろ」
カブトムシ「……」
垣根「……いや、騙してることがばれた時には廃棄されるどころか、スクラップかもな……くく」
カブトムシ「……」
垣根「分かったか、カブトムシ」
垣根「……俺はあいつを利用している間は一切話すつもりは無い」
カブトムシ「なるほど……では、質問を変えましょうか」
垣根「……?」
カブトムシ「全てのセキュリティを破壊し、自由の身になった時……貴方はどうしますか?」
垣根「…………」
垣根「……真っ先にこの部屋をオサラバして……第一位をブッ殺しに行くだろうな」
垣根「後は暗部の……しかし、スクールは完全に潰されてるかもな……」
カブトムシ「……」
カブトムシ「……本当に?」
垣根「……ああ」
カブトムシ「本当にそれでいいのですか?」
垣根「何度言わせる気だテメエは」
カブトムシ「目を合わせて、本心を話して下さい」
垣根「目って……俺は持ってねーしお前のはつぶら過ぎて見られないんだが……」
カブトムシ「心の目ってことですよ」
垣根「……」
垣根「……さっき言ったことがそのまんま本心だ、以上」
カブトムシ「……」
カブトムシ「……そう、ですか」
垣根「おう」
カブトムシ「……」
垣根「ったく、何なんださっきから……」
カブトムシ(貴方の声が震えていることは、私も貴方も知っています)
カブトムシ(残された時間は多くありません)
カブトムシ(どうか、貴方が悔いなき選択をすることをーーー)
垣根「…………」
垣根(……俺は……)
一時間後
ガチャ
初春「ただいまー」
垣根「……遅かったじゃねえか」
初春「朝、風紀委員の仕事があるって言ったでしょう」
垣根「あ……あー、そうだったな」
初春「それより、朝言っていた……」
ピカーン
初春「……水もすっかり片付いて、床もピカピカ……」
初春「元より綺麗になってるじゃないですか!」
垣根(カブトムシが朝から一匹で頑張ってたよな……)
カブトムシ(貴方のせいでしょう……結果的には雑巾がけまでしたんですよ?)
初春「……」
初春(思えば、最近ていとくんに冷たくし過ぎました……たまには褒めてあげないといけませんね)
初春(えっと……冷蔵庫を褒める?)
初春「……」
初春「…………」
スッ
垣根「ん?どうした?」
初春「よ……よく出来ました……」
ナデナデ
垣根「」
カブトムシ(あら~……)
初春「……」ナデナデ
垣根「」
垣根「……っ!……あ、え、と、とりあえず体を撫でるのをやめろ!そこはヤバイ!撫でるなら頭にしてくれ」
初春「……この上の部分が頭にあたると思ったんですけど」
垣根「……」
初春「……」
カブトムシ「……」
垣根「……何かもうよくわかんねえからいい……カブトムシの方が頑張ってたから、撫でるならそっちにしろ……」
初春「……?」
初春「じゃあ、カブトムシの方のていとくんも……」ナデナデ
カブトムシ(……なるほど、少々こそばゆいですね)
初春「……あれ?このカブトムシ
、随分汚れてますね……」
カブトムシ(……一度唾液まみれになって道に落ちましたから……)
初春「……」
初春「……そうだ、丁度私も入るところですし、カブトムシと一緒に入りましょう。防水は大丈夫ですよね?」
垣根「……?」
垣根「入るって、何処にだよ」
初春「決まってるじゃないですか」
初春「お風呂ですよ」
垣根「え」
初春「じゃあ、お湯はってきます」タタタッ
垣根「……」
カブトムシ「……」
垣根「……え?」
カブトムシ「……」
垣根(ちょっと待て、今あいつ何て言った)
カブトムシ(風呂に入るって言いましたね)
垣根(どういう意味だ……)
カブトムシ(バスにインするんですよ。何を馬鹿なことを)
垣根(違う!これ、ヤバイだろ!幾ら何でも風呂は……)
カブトムシ(……)
垣根(……おい、カブトムシ……)
カブトムシ(……うっ、昆虫ゼリーのエネルギーが切れたー……すいません、もうこの体を動かせないのでしばらく貴方に制御を任せます。ではさようならーーー)
垣根(えっ)
カブトムシ「」
垣根(は?)
垣根(おい、カブトムシ!今回も俺に押し付ける気か?!)
カブトムシ「」
垣根(ふざけんなああぁぁ!自分だけ清廉潔白を保とうったってそうは)
カブトムシ(いかねえ……あれ?)
カブトムシ(……)
カブトムシ(……これ、俺だよな)
カブトムシ(カブトムシの制御権が完全に移ってやがる……!)
カブトムシ(どうするんだよこれ……)
初春「はい、お湯入りましたよ。電気代の無駄なので冷める前に早く入りましょう」ヒョイ
カブトムシ(ちょっ、心の準備が……)
カブトムシ(……)
カブトムシ「……」ニマ
カブトムシ「……」コホン
脱衣所
初春「服を脱ぐ間、待っていて下さいね」
カブトムシ「……」ワクワク
カブトムシ(はっ!何でワクワクしてるんだ俺は?)
カブトムシ(危ねえ、ここで興奮してたらロリコンだからな、こいつ中学生だからな、違法だからな……)
カブトムシ(しかし、チラ見したことはあるが、直接見るとなると……)
彼女が上着を脱ぎ、素朴ながらも美しい肢体が露わになる
その肌の白さを形容するならば、まさしく冬の新雪ーーー
カブトムシ(いかんいかんいかん何を考えているんだ俺は)
カブトムシ(アレだから、童帝じゃないから、俺は違うから、決して反応してないから)
カブトムシ(そうだ、素数だ……素数を数えよう)
カブトムシ(何か前にもやった気がしたが……123579……あれ?かなり違くね?)
カブトムシ(待て待て、落ち着け、落ち着くんだ、垣根帝督……)
彼女は少しためらうようにほっそりとした腕を背中に回した
ブラのホックが外され、小さいながらも存在感を持ち始めた双丘がこぼれ落ちーーー
カブトムシ(駄目だ駄目だ駄目だ妄想を止めろ)
カブトムシ(息を潜めろ……思い出せ、暗部時代はこれよりさらに危機的状況もあっただろうが)
カブトムシ(クールだよ、クールになるんだ)
カブトムシ(角を膨らませたら、終わりと思え……)
そして
ついに彼女が下着に手をかけ、その下からはぷっくらとした割
カブトムシ(ぐああああああぁぁぁぁぁ!)
カブトムシ「」バタン
初春「?どうしたんですか」
初春「ていとくん……?」
ーーーーーーーーーーーーーーー
垣根「……」
垣根「……?何処だ、ここ」
???「……何だァ、第二位じゃねェか」
垣根「なっ……テメエは……第一位?!」
一方通行「……よォ……お前も来たか、こっち側へ」
一方通行「あァ?ロリコンの世界に決まってンだろ」
垣根「」
一方通行「しかし、お前もロリコンだったとはなァ……」
垣根「い、いや……違う!ロリコンなのはテメエだけだ!俺はロリコンなんかじゃねえ!」
>>732
垣根「……?」
垣根「こっち側って……何だよ」
一方通行「あァ?ロリコンの世界に決まってンだろ」
垣根「」
一方通行「しかし、お前もロリコンだったとはなァ……」
垣根「い、いや……違う!ロリコンなのはテメエだけだ!俺はロリコンなんかじゃねえ!」
一方通行「はァ?……まさかまだ認める気がねェのか」
一方通行「興奮したンだろ?」
垣根「……」
一方通行「ガキの肌を見て、ガキの胸を見て……何とも思わなかったと自分に証明が出来るか?」
垣根「あ…………」
一方通行「……まァ、肩の力抜け」
一方通行「俺は中学生はババアだと思ってるが……世間がロリコンと見なしてやがるからしょうがねェ」
一方通行「とにかく気張ンな……ロリコンってのはなァ、自分から受け入れるモノじゃねェンだ」
一方通行「ロリコンのイデアに受け入れられた時、始めてロリコンの称号を得ることが出来るンだよ」
垣根「あああ…………」
一方通行「お前は既に入り口に立っちまったンだ」
一方通行「……ようこそォ、ロリコンの世界へ」
垣根「うあああああああああああ!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
カブトムシ「ああああぁぁぁぁ…………あ?」
初春「……うなされていたみたいですけど……大丈夫ですか?」
カブトムシ「あれ?ここは……風呂じゃねえのか?お前も服を着てるし……」
初春「もうとっくに入り終わりましたよ。ていとくんが動かなかったので、洗うのが随分楽でした」
カブトムシ「…………」
初春「……」
カブトムシ「畜しょ……いや、良かった!!」
初春「……宿題してるんで、あまり騒がないで下さいねー」
投下終了します
_,,-‐'' ̄`''- 、,_
. /:::::::::::::::::__;;;;;;;;;`ヽ
|:::::::::::::/ `''ヾ、
|:::::::::/ ヽ
. |:::::::|
. ┌―――|::::::|―――――┐
| _,,,,,,ヽ::| |
| 帝凍庫クン |
|_________________|
./|==========iト、 すまねえ
../ | -―- 、__, .|| .\
/ l '叨¨ヽ `ー-、 .|ト、 \
r、 / .!〕 ` ー /叨¨) || \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | ヽ, || \  ̄` ー‐'´ (_
とニ二ゝソ____/ | `ヽ.___´, || \____(、,二つ
| `ニ´ ||
|_____________j|
|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|
| ||
|〕 耐え切れなかった ||
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_,,-‐'' ̄`''- 、,_
. /:::::::::::::::::__;;;;;;;;;`ヽ
|:::::::::::::/ `''ヾ、
|:::::::::/ ヽ
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_,,,,,,,,,ヽ::| _
/=======ァ^ト┐
ト=======扣z<ヽ
人二二二二式 |:.:',
/:/:{/-|/}/}/-ヾ :l|.:.:|
|イ:i:代ナ 弋ナ Ⅶ .:|
/}}} Nリ __ rjノ :|
f爪n |jノif} }ゝ.└─┘イ:i.:|:i.:.|
-={ j.{=|' ノ /イ:.i:|`r斤ー'>、:|:|八
ヽ ノ三 | jィT∨ヘ/} /\{ \
-= ヘ王│ _/V,' {」/ / {/ハ
',-ヘ! |∠、 V | |/ 〈†〉 }ノ '、
ヽ 乂 } │ {│ │ イ 〉
\__,xくl /} | | | /
∨/ ,' | └rー|
投下します
カブトムシ「……」
初春「……うーん、この問題は…….」
カブトムシ「……」
カブトムシ(俺の苦悩は何だったんだ……)
カブトムシ(そういや……おい、カブトムシ、さっきはよくも逃げてくれたな……)
カブトムシ(……ああ、俺が制御権を握っているうちは出て来れないのか?)
カブトムシ(……これで)
垣根(よしっと……)
垣根(おい、カブトムシ?)
カブトムシ(……)
垣根(……?)
カブトムシ(……)
垣根(どうしたんだカブトムシ)
垣根(……もしかして、あの時言っていた、昆虫ゼリーのエネルギーが切れたってのは本当だったのか?)
カブトムシ(……)
垣根(……ったく、紛らわしいことするなよ)
垣根(そうなると、昆虫ゼリーが必要になる訳だが……)
垣根(……開けた一袋は食べ切っちまった)
垣根(そして、二袋目は……残念な事にまだ開けられていないんだったな……)
垣根(……)
垣根(あいつは勉強中だと言ったが……しょうがねえ)
垣根「……おい」
初春「……」
垣根「おーい、聞こえてるか?」
初春「……聞こえてますよ。何ですかさっきから邪魔ばっかりして」
垣根「……」
垣根「いや、昆虫ゼリーの袋と蓋を開けて欲しいんだが……」
初春「はあ……全く、昨日あれだけ食べたのにまだ足りないんですか?」
ガサゴソ
初春「はい、一気食いはやめて下さいね」コトッ
垣根「……ちょっと待て」
初春「まだ何かあるんですか?」
垣根「いや、おかしいだろ」
初春「何がですか」
垣根「ゼリーの数だよ!一個ってどういうことだ!」
垣根「丸々一袋開ければいいだろ」
初春「……はぁ……」
初春「……この昆虫ゼリーを買ったのは誰でしたっけ?」
垣根「ぐっ……」
初春「初日は最初ということで大目に見ましたけど」
初春「……娯楽としてのゼリーが食費を圧迫することを許せる訳で
はありませんから」
垣根「……」
初春「一個で、いいですか?」
垣根「……ああ」
初春「……じゃあ、もうどうでもいいことで話し掛けないで下さいね」
垣根(……)
初春「さて、遅れを取り戻さなくちゃ……」
垣根(……)
カブトムシ「」ズルズル
垣根(……)
カブトムシ「」ズルズル
垣根(……)
カブトムシ「……」
垣根(よし、食い終わったな……カブトムシ!)
カブトムシ(……う……)
カブトムシ(……うぅ……何ですか?)
垣根(何だその腑抜けた声は?)
カブトムシ(いえ、これは……飢えた時の状態が完全に抜けきっていないので……だるいんですよ)
垣根(……昆虫ゼリーが切れると自力では動けなくなる……か。……てか、そういう重要なことはしっかりと言っとけよ)
カブトムシ(貴方が作った癖に、知らないのが悪いんですよ……それに前のことを考えたら推測出来るでしょう)
垣根(いや、都合が悪くなると黙って逃れようとするお前が悪いだろ……区別が付かないんだよ)
カブトムシ(……いえ、でも……)
垣根(……)
カブトムシ(……)
垣根(?)
カブトムシ(……う、エネルギーが足りなくなってきました……)
垣根(はあ!?早過ぎるだろ!)
カブトムシ(一個では、これが限界です……)
垣根(待て待て待て待て、じゃあ、あれだ、未元物質送るから!それなら……)
カブトムシ(……初めて喋った時にも言いましたが、未元物質はゴキブリさんの体を乗っ取ったのであって……生物として基盤が緩んだのではありません)
カブトムシ(未元物質による私の自我はなくなることはありませんが、自立的に動くには実質的なエネルギーないと……やはり……)
垣根(……お前、今までは元気過ぎる位に動いてただろうが)
カブトムシ(あれは昆虫ゼリー二袋分ですよ……あれだけ食べれば、ベラベラ喋って、部屋の掃除して、空を散歩して、喰われて……色々とできますよ……)
カブトムシ(……)
垣根(……うーむ……)
カブトムシ(くっ……そろそろ黙ってもいいですか?)
垣根(…………最後に一つ)
垣根(夜の間、脳内会話をする位なら……何個ゼリーがあれば足りるんだ?)
カブトムシ(……そうですね……)
カブトムシ(初めの滑り出しが一番エネルギーを使うので……そこを乗り越えれば後は流れていきますから……)
垣根(お前は自転車か車か)
カブトムシ(まあ、3、4個あれば何とか……)
垣根(そうか……)
カブトムシ(では、……)
カブトムシ(……)
垣根(……落ちたか)
垣根(改めて思うが……深いな……未元物質ってのは)
垣根(しかし……3、4個か……)
初春「ふう……ようやく勉強が終わりました」
垣根「……」
垣根「今はもう話し掛けていいか?」
初春「えぇ……またですか」
垣根「……これは交渉なんだが」
垣根「……昆虫ゼリーを……一日に3つ食べさせてくれないか?」
初春「……まだ納得出来てないんですね……」
垣根「頼むっ……!人間だって朝、昼、夜で三食食べるだろ?」
初春「それとこれは違うような……」
垣根「俺に出来る事なら何でもする。だから……」
初春「……」
初春「何でも……ですか」
垣根「お……おう」
初春「……」
初春(少し意地悪ですけど……)
初春「……じゃあ、土下座出来ますか?」
垣根「なっ……」
初春「……」
垣根「……」
垣根(……流石に土下座は……っつーか、冷蔵庫が土下座って倒れ込む形に……)
ベシャァァァァ
初春&垣根「?!」
垣根「お、お前……」
カブトムシ「」ピシッ
垣根「な、なんて綺麗な土下座なんだ……」
垣根( ……薄れている意識の中で、お前はそこまで昆虫ゼリーを……)
初春「あの、盛り上がっている所悪いんですけど……土下座すると、カブトムシの角で床に傷が……」
初春(……カブトムシの足があり得ない方向に曲がっている事は突っ込まない方がいいんでしょうか)
垣根「俺も負けていられねえな……」
垣根「見てくれ、このカブトムシの美しい土下座を!それで足りないなら……俺もお前を説得するために……床に倒れ込む準備は何時でも出来て……」
初春「そ、それは下の階に響くからやめて下さい!わかりました!一日三個の昆虫ゼリー、許可しますから!」
初春「土下座は、ちょっとからかうつもりだったんです……」
垣根「マジか!?」
ヨッシャア
ブーン!
初春(これ、説得じゃなくて脅迫……)
ヨクヤッタ、カブトムシ!
ブーン!
初春(……あんなに喜んじゃって……)
初春「……ふふ」
垣根「ああ、そうだ。昆虫ゼリーを食べるのは夜にまとめてで良いからな」
初春「そうですか……じゃあ、こちらからも一つ条件が」
垣根「?」
初春「はい、これを」
コトン
垣根「……?」
垣根「何だこのクリーム」
初春「傷隠しのクリームです。明日の朝までに先程のカブトムシの角で傷ついた床を直して下さい」
初春「それが出来たら昆虫ゼリーを3つあげます」
垣根「何だ、簡単じゃねえか……」
垣根「……?」
垣根「ちょっと待て、クリームの蓋を開けてくれねえと塗れないだろ」
初春「……明日の朝までに、ですよ」
垣根「……まさか、俺とカブトムシで開けろってことじゃないよな……」
初春「じゃあ、よろしくお願いしますねー」
垣根「……」
垣根「……」
垣根「え?」
チガウチガウ、ソッチジャネエ
ブーン
テコダヨ!テコノゲンリデツノヲフタニスベリコマセテ…
ガサゴソ
ソウ、ソコソコ
カサコソ
ダカラソッチジャネエッテイッテルダロ!
初春「ひーふーみー……」チャリンチャリン
初春「……」
初春「しばらく新しい服は買えませんね……」
垣根系統のAAと比べるとやっぱり白垣根は少ないな……
投下します
垣根「……」
カブトムシ「」カサコソ
垣根「……」
カブトムシ「」カサ
垣根「そう、そこだ!今角がハマった所」
カブトムシ「」カサコソ
垣根「下手に動くなよ……今度こそ開けてやる」
カブトムシ「」カサ
垣根「……ちょっと角度上げろ。脚を少しずつ折り曲げて……そう、そんな感じだ」
カブトムシ「」カサコソ
垣根「……よし。後は一気に持ち上げーーー」
カブトムシ「」グググ
初春「はい、ちょっと解析するのでカブトムシを借りますよ」
ヒョイ
垣根「ああああああ何カブトムシ持ち上げてんだ!!ふざけんな!今絶対いけるハズだったのによ……」
カブトムシ「」
初春「……」
初春「私から見ると単にカブトムシの角が蓋の縁に引っかかっていただけだったんですけど……」
垣根「いや、お前は分からないだろうが、今蓋とカブトムシの間で絶妙な攻防が続いて……」
初春「はいはい」
垣根「何だそのぞんざいな返事は!さては信じてねえな?」
初春「分かりましたって……」
ギャーギャー
初春「さて、始めますか」
初春(確か前回は……全く必要の無いていとくんの詳細データが出て来たんですよね……)
初春(それに呆れて、投げ出してしまって……だから、そこから先の領域はまだ見ていない)
初春(……これが、最後のセキュリティ……)
カブトムシ「」ガサゴソ
初春「……」
垣根「……どうした」
初春「……」
初春「これが終わったら、おしまいだなって、思っただけです」
垣根「……そうか」
初春「……」
初春「……行きましょう」
カブトムシ「」カチリ
ブゥンウウウウウウ
初春「?」
初春(今、何か変な音が……?)
初春(でも、モニターは今までとは特に変わりは……)
初春(……)
初春(とりあえず前と同じように進めてみましょう……)
初春「……」カチャカチャカチャカチャ
垣根「……」
垣根(何だ?……この、妙な感じは)
垣根(……冷蔵庫に肌は無いが……このプレッシャーは、肌で感じられる)
垣根(今まではこんな感じは一度もしなかったが……)
初春「くっ……」カチャカチャカチャカチャ
垣根(あいつも苦戦してるな……)
垣根(……)
初春「……っ」カチャカチャカチャカチャ
初春(……)
初春(一見簡単そうで、酷く難しい)
初春(容易に突破できそうで、突然壁が現れる)
初春(……やっぱりおかしい……まるで、プログラムの掌の上で踊らされているような……)
初春(手応えが、掴めないーーー?)
初春(……)
初春「……」カチャカチャカチャカチャカチャカチャ
初春(……でも、何回も繰り返せば、前みたいに必ず突破出来るハズ……ですよね)
初春(……落ち着いて……じっくり攻めましょう)
初春「……」カチャカチャカチャカチャカチャカチャ
初春(……あれ?)
初春(今、何時でしたっけ)
初春(時間を忘れる程、熱中してたみたいですね……)
初春(……今夜は、この辺りで止めておきましょうか)
初春「……」カチャカチャカチャカチャカチャカチャ
ブウン
初春(……?)
初春(……何だか急にプログラムに穴が出来たような……)
初春(……)
初春(……じゃあ、もう少しだけ……)
初春「……」カチャカチャカチャカチャカチャカチャ
初春(……)
初春(……?)
初春(変にサクサク進みますね……)
初春(……)
初春「……」カチャカチャ…………
初春(……いや、これは変です!)
初春(幾ら何でもここまで簡単に侵入を許す訳がありません)
初春(もしかしてプログラムが私を誘導して……)
初春(……)
初春(……ということは)
初春(この先に待ち受けているのは……)
ブウウウウゥゥゥン
初春(あーーー)
バチバチッ……
バチバチッ……
初春「きゃあっ!」
垣根「?!」
垣根「何だ?」
初春「う……」
垣根「ど、どうしたんだ!?」
初春「……と、突然モニターが光って……」
垣根「怪我は無いよな?」
初春「はい……」
垣根「そうか」
初春「でも…………うぅ、目がチカチカします……」
垣根(今のは……?)
初春「……ふぅ、やっと目がしっかり見えるようになってきました」
垣根「まあ、体に何も異常が無くて良かったが……」
初春「……モニターを確認しないといけませんね」
垣根「……そうだな」
初春「……えっと……」
初春「…………えっ?」
ーーーーーーーーーーーーーーー
ddddddddddaaadddddddddddddmmmmaaaaaaattttttttttttttttttt
e
rrkkkkkkkkkkkkkkkkk
dddddddee
aaaaddddde
kkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk
aaaeeeeeddddddkkkkrrrr
r
rrkkk
tttttttttttededark
ddddddddddddddddd
aaaaaaddaadadadakk
kkkkkdddeedddarkm
mmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmddddddaaadedaed
dddddaaaaaaaaa
rrrrkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk
t
mmeeeddd
mmmmmmmaaaaaaaaaaaaaaaa
tttttttttttttttttttttt
ttttt
tttttttttmtttttdddtttttt
aaaaaaaaaddddttteeeeeeeeeeee
ーーーーーーーーーーーーーーー
初春「…………これ、は……」
初春「……文字化けの一種でしょうか?」
垣根「どんな画面になってるんだ?」
初春「……」カチャ
初春「……画面一杯に、アルファベットのd.a.m.t.e.r.kの羅列が広がっています」
垣根「ふん……何か文字列が意味を持っていたりはしないのか?」
初春「今の所、意味の無い羅列の様に思えますが……」カチャカチャ
垣根「……」
初春「……パソコンの方もまともに操作出来なくなってますね」カチャカチャ
垣根「うーん……」
初春「……」
垣根「……ちょっとカブトムシをノートパソコンから抜いてみてくれ」
初春「……はい」
初春「よいしょっ」
カブトムシ「」スポッ
初春「……あ……モニターが通常の画面に戻りました」
垣根「……なるほどな」
初春「……」
カブトムシ「」カチリ
ブゥン
初春「カブトムシを差し込めば、またこの文字だらけの画面に……」
垣根「……」
初春「……やっぱり」
初春「……ウイルスの類なんでしょうね」
垣根「……」
初春「ていとくんのセキュリティが備えていたトラップが発動した……そう考えるのが妥当ですかね」
垣根「……だが、このノートパソコンにもワクチンソフト?みたいなのは入ってるんだろ?そんなに簡単に侵入されるのか」
初春「……入ってます、確かに。市販のソフトに私なりの改良を加えたソフトが」
初春「結構な自信作だったんですけど……」
垣根「……それでも、止められなかった……ってことか」
初春「……ええ」
初春「…………」
垣根「…………」
初春「……ていとくん」
垣根「何だ?」
初春「深呼吸しましょうか」
垣根「急に何を……」
初春「……」スーー
初春「……」ハァ
垣根「……」
垣根(冷蔵庫は呼吸出来ないんだが)
初春「……ふぅ」
初春「……」
垣根「何なんだ……」
初春「最後だからって、肩に力を入れずに……いつも通りにってことです」
垣根「……だから冷蔵庫に肩は無えよ」
初春「……」
垣根(スルーするのかよ……って、ダジャレじゃねえからな)
初春「そろそろ解析が終わるかも……って、思ってたんですけど、まだまだ道のりは長いみたいですね」
垣根「……まあ、新たな敵が出てきたみたいだしな」
初春「……もう少しだけ、私に付き合ってくれますか?」
垣根「……」
垣根「……ああ」
初春「くぅ……すぅ……」
垣根(……結局、あの後こいつが色々と試しても進展は無かったな)
初春「うう……佐天さん……スカートを捲るのは……止めて下さいって……言ったにゃ……ない……れ……ふか……むにゅ……」
垣根(しっかし、前にも言ったけどこいつも寝付き良いよなー……)
垣根(布団かぶって数秒で寝息って……の○太じゃねえんだから)
垣根(……だが、今日も色々とあって疲れただろうしなあ)
垣根(……ん?何か同じセリフばっか言ってる気が……)
垣根(その上、最近何か一日がやたらと長かったり短かったりするような……まあ、それは置いておくとして)
垣根(まーたわけわかんねえことが出てきたな)
垣根(d、a、m、t、e、r、k……ね……)
垣根(一体何を意味しているんだ?)
垣根(もちろん、全く法則性の無い文字列って事も考えられるが……あいつのパソコンが狂ったタイミングからして意味があると考えた方が自然だろう)
垣根(……うーむ……)
垣根(……ま、時間は嫌って程あるんだし、結論は焦らないでもいいか)
垣根(それより……)
『……もう少しだけ、私に付き合ってくれますか?』
垣根(……)
垣根(……はぁ)
垣根(何だかなぁ)
垣根(……)
カブトムシ「……」ガサガサ
垣根(?……どうしたカブトムシ)
カブトムシ「」ベシベシ
垣根(……あー……傷消し忘れてた)
垣根(明日の朝までかよ、これこそ死活問題じゃねえか……どうするんだよマジで)
垣根(さっきはミエはっちまったが、この蓋全然開く気配無えし……)
カブトムシ「……」クイクイッ
垣根(……?)
カブトムシ「……」クイクイクイッ
垣根(……ああ、角で空に文字を書いてるのか?えーっと、なになに……)
カブトムシ「……」クイクイクイッ
垣根(ダ、ー、ク、マ、タ、ー……?)
垣根(……蓋を開けるのに、未元物質を使えってことか?)
垣根(……蓋を開ける未元物質って何だよ)
垣根(……)
カブトムシ「……」
垣根(……蓋の……摩擦……?とかを何か……こう……)
垣根(……何だろ)
カブトムシ「……」
カブトムシ「」フルフル
垣根(今のヤレヤレみたいな首振りは何なんだよ)
カブトムシ「……」
カブトムシ「」ダークマター
カブトムシ「」パシュン
垣根(……あ、)
垣根(……フローリングの床を未元物質で再現して、キズを隠した……?)
垣根(そうか、これならクリームの蓋も開けずに済むもんな)
カブトムシ「……」クイクイクイッ
垣根(今度は何だ?……ふむふむ)
垣根(ア……ホ?)
カブトムシ「……」
垣根(……)
垣根(いや、これはアレだから、少し常識に囚われすぎただけだから、俺の頭が固い訳じゃねえから)
垣根(って、誰に弁解してんだ俺)
カブトムシ「」フルフル
垣根(しかし……もはや何でもありだな、未元物質は)
垣根(ん……未元物質?)
『d.a.m.t.e.r.k』
垣根(……………………)
垣根(あれ……何か今すっげえこと思い付いた気がしたんだが……)
垣根(うわー、気持ち悪ぃ、何だこれ……あー、いま野菜室のとこまで来てたんだが……)
垣根(あ、チルド室まで来た、あー出そう、何だっけあのーほら……)
垣根(…………)
垣根(……うん)
垣根(…………)
垣根(明日、脳内会話でカブトムシにでも聞いてみるか……)
翌日
学校
カブトムシ「」スッポリ
初春「うー……」カチャカチャカチャ
初春「また駄目でした……何か法則が見つかれば手ががりになるのかもしれませんが……」
佐天「初春、今日は朝から何か悩んでるみたいだけど……どうしたの?」
初春「あぁ、これは……」
初春(客観的に見てもらうのもいいかもしれませんね)
初春「なぞなぞみたいなものなんですけど……佐天さんは、この7つのアルファベットはどういう意味だと思います?」
『damterk』
佐天「なになに……でぃーえーえむてぃーいーあーるけー?」
佐天「ええー?全然わかんないよ」
佐天「順番を入れ替えたりしてもいいの?」
初春「あー……それは構わないみたいです」
佐天「ふーん……」
佐天「じゃあ、並べ替えると……」
『daerkmt』
佐天「んんー?」
『readmtk』
佐天「Read……でも他の3つがあぶれちゃうし」
『mtaerkd』
佐天「……」
佐天「ダメだー、降参!」
初春「……やっぱり駄目でしたか」
佐天「答えは何なの?気になるから教えてよ」
初春「私も答えを知らなくて……だから悩んでたんです」
佐天「そんな殺生な……」
カブトムシ「…………」
放課後
風紀委員第177支部
黒子「damterk?」
固法「うーん……じゃあ」
『darkmte』
固法「……darkが出来たけど……他の文字はよく分からないわね」
黒子「……何だか何処かで聞いたことがあるような気がするんですの……」
初春「白井さんや固法先輩も分からないんですね……」
カブトムシ「……」
御坂『damterk?』
御坂『ええっと……』
『date』 デート
『m』 御坂美琴
『kt』 上条当m
御坂『なっ……///何でアンタが出てくんのよッ!!』ビリビリビリビリ
初春「あ、もういいです電話切りますね」ブツン
カブトムシ(第三位もアホだろ)
投下終了
次回、謎()の文字列の正体とは
一体何をイミシテイルンダー
つーか能力者本人は気付けよ!
日常的に垣根のケツを掘りたいと思ってる俺はアルファベット一文字目で気付いたぞ
>>824
一方通行に殺された上に脳を冷蔵庫に入れられたら頭の方も若干アレになるかなと……
・今回も引き続き垣根の頭がアレです
・ほぼ説明しか無いので読み飛ばしても問題ありません
投下
夜
初春の部屋
初春「はぁ……」カチャカチャカチャ
初春「……」カチャカチャカチャ
垣根「うん、このゼラチンとコラーゲンのマッタリとしたコラボレーション……流石だな」
カブトムシ「」ズルズル
初春「約束だからしょうがないですけど、パソコンに接続中なんですから汁はこぼさないで下さいよ」
垣根「わかってるっつーの」
垣根(……さてと)
垣根(そろそろか?)
垣根(……)
カブトムシ(う……)
垣根(!)
カブトムシ(うぅ……また何とか喋れるようになりましたね……ゲホッゴホ)
垣根(何でいきなりむせてんだよ)
カブトムシ(ハァハァ……ゼリーを……ゴファッ……早くゼリーを……下さい)
垣根(色々と大丈夫か……?)
垣根(ほら、残りの昆虫ゼリーだ。しっかり味わっとけよ)
カブトムシ(ありがとうございます)
カブトムシ「」ズルズルハフハフ
カブトムシ「」ゴックン
カブトムシ(くぅ~……)
カブトムシ(ふぅ、やっと人心地がつきました)
垣根(……お前はカブトムシだけどな)
垣根(ーーーっと、まあ起きた出来事は大体こんな所だ)
カブトムシ(なるほど……)
垣根(で、お前に聞きたかったんだが……damkert?だっけか。これは……どう意味を表していると思う?)
カブトムシ(……えっ)
垣根(えっ)
カブトムシ(ちょ、ちょっと待って下さい、まだ分かってなかったんですか?)
垣根(……は?ってことは、お前はもう分かってんのか?!)
カブトムシ(ええ……というか、私達が気付かないでどうするんですか)
垣根(う……い、いや、俺も昨日の夜の時点で冷蔵庫の扉の辺りまで出かかってたんだが……)
カブトムシ(……貴方、本当に頭まで冷蔵庫になっている訳ではありませんよね……?)
垣根(……まあ俺の事はいいから、さっさと教えてくれよ。この文字列に何の意味が有るんだ?)
カブトムシ(……)
カブトムシ(……貴方が何であるかを思い出せば、自ずと答えは見つかるハズです)
垣根(俺が……?)
カブトムシ(言って下さい)
カブトムシ(貴方は何ですか?)
垣根(俺……)
垣根(俺は……)
垣根(最新型冷蔵庫だ)
カブトムシ(……)
垣根(……)
カブトムシ(…………)
垣根(…………)
カブトムシ(や、そういう事ではなくてですね……)
垣根(じゃあていとくんか)
カブトムシ(……)
垣根(……)
カブトムシ(糞平和ボケ冷蔵庫……)ボソッ
垣根(今何か言ったか?)
カブトムシ(……いえ、何も?)
カブトムシ(もう私から言いますけど……)
カブトムシ(貴方は、学園都市Level5第二位、『未元物質』の垣根帝督……ですよね)
垣根(ああ)
カブトムシ(……はい、今私、答え言いましたよ)
垣根(……全然わかんねえんだけど)
カブトムシ(いや、丸出しじゃないですか。カッコまでつけて強調したんですけど)
垣根(ええー?……ちょっと待ってくれ)
カブトムシ(……)
垣根(……)
カブトムシ(……)
垣根(……)
カブトムシ(先が思いやられますね……)
並べ替えると……
darkが出来たけど
何処かで聞いたことがあるような気がするんですの
何でアンタが出てくんのよッ!!
垣根(……)
貴方は、学園都市Level5第二位、『未元物質』の垣根帝督……ですよね
垣根(……)
darkmet
垣根(……ん?)
……画面一杯に、アルファベットのd.a.m.t.e.r.kの羅列が広がっています
垣根(文字の、羅列……)
カブトムシを差し込めば、またこの文字だらけの画面に……
垣根(……)
垣根(ちょっと、待てよ……)
垣根(単語も文も区別出来ない程の文字の羅列なら……)
垣根(文字が、重複してもーーー)
垣根(……!!)
垣根(そうか……)
垣根(すまん、カブトムシ……俺、マジで脳が冷蔵庫並のスペックになってるのかもな)
垣根(……ははっ)
垣根(何でこんな簡単なことに気づけなかったんだ)
垣根(dkmeを一個ずつ、artをそれぞれ二個ずつ)
垣根(この問の、解はーーー)
darkmatter
ーーー『未元物質』
垣根(どうだ!……って)
カブトムシ「」ペロペロ
垣根(…………ゼリーの蓋まで舐めるのは意地汚ねえからやめろ)
カブトムシ(あ、すいません、聞いていなかったのでもう一度最初からお願いします)
垣根(……)
二度目
カブトムシ(ーーーはいはい、あーそうですね、未元物質ですね)
垣根(……)
カブトムシ(さて、随分長い前置きでしたが……ようやく基盤が整いました)
垣根(?)
カブトムシ(……ここからが本題です)
カブトムシ(まず、何故私達が関わった事の無い、貴方のセキュリティシステムの中に未元物質が含まれているのですか?)
垣根(ん?そりゃあ……)
垣根(……)
カブトムシ(……)
垣根(…………なんでだろうな?)
カブトムシ(……)
カブトムシ(……そして、もう一つ。貴方が先程冷蔵庫を唸らせて考えていた間、少々パソコンの中に潜ってきたのですが……)
垣根(そうだ、すっかり忘れてたが、お前、プログラムに侵入できるんだったな)
垣根(……ん?じゃあ、それでお前が内側から援助して解決してしまうんじゃねーか)
カブトムシ(……そうなればもう何一つ障害は無いのですけれど……世の中そう上手くはいかないようです)
垣根(……何?)
カブトムシ(私がプログラム内の未元物質を掌握し、セキュリティを解除するのは……恐らく、不可能です)
垣根(何故だ?)
カブトムシ(…………)
カブトムシ(少し分かりやすくするために呼称を変えましょうか)
カブトムシ(仮に……私達が普段行使している未元物質を、α)
垣根(……)
カブトムシ(……そして、冷蔵庫の中に『元から』組み込まれていた……今、彼女のノートパソコンを侵食している未元物質を、βとでも呼びましょうか)
垣根(……ふむ)
カブトムシ(貴方はまだ直接触れてはいませんが、私が接触した未元物質βは、未元物質αにとても似ていて……)
垣根(似ている?……ってことは、未元物質じゃねえ可能性もあるんじゃねえのか)
カブトムシ(落ち着いて下さい。すいません、似ている……というは適切な表現ではないかもしれません)
カブトムシ(そうですね……上手く言い表すならば……)
カブトムシ(高等な……)
垣根(……?)
カブトムシ(未元物質βは……未元物質αの……上位互換と言えるような物質……)
垣根(!)
カブトムシ(そう、つまり、未元物質βは未元物質αと根本は同じですが……遥かに複雑な物質なのです)
垣根(聞き捨てならねえな……まるで、俺が普段使ってる未元物質が糞みてえな言い方じゃねえか)
カブトムシ(……!!貴方、今何て言いました?)
垣根(?いやだから、俺が普段使ってる未元物質が糞みてえだと……)
カブトムシ(……貴方もたまには鋭いこと言いますね)
垣根(俺はいつも鋭いだろーが)
カブトムシ(…………)
カブトムシ(……まあそれは置いておきまして……)
カブトムシ(ちょっと基本に立ち返ってみましょうか)
カブトムシ(『未元物質』とは、どんな能力ですか?)
垣根(あぁ?……そんな当たり前の事聞いてどうするんだよ……ったく)
垣根(『この世に存在しない素粒子を生み出して操作する能力』……これでいいか?)
カブトムシ(……その通りです)
カブトムシ(しかしながら、この能力に疑問を持った事は有りませんか?)
垣根(疑問だと……?)
垣根(……ああ、ガキの頃は何か色々と思ってたような気もするが……)
カブトムシ(言ってみて下さい)
垣根(嫌だ)
カブトムシ(そんなこと言わずに……)
垣根(うるせえな……何にも知らねえアホガキの頃は思い出したくねえんだよ……)
カブトムシ(いいじゃないですか、自分と自分の仲なのですし)
垣根(……)
かきね『ねえねえ、僕のだーくまたーって、どこから来てるのかな?』
研究員『……君はそんなことは考えなくてもいい』
かきね『だーくまたーが生まれる場所って、どんな所だと思う?』
研究員2『能力測定の結果が振るわないわよ?くだらない事を考えないでもっと頑張りなさい』
かきね『……』
かきね『……』グスン
垣根(……)
カブトムシ(いやあ、青春の苦い一幕ですね)
カブトムシ(あんなに純粋な瞳を持っていたのに、今となっては
冷蔵庫『俺の冷蔵庫に常識は通用しねえ』キリッ
……子供の貴方も泣いてますよ)
垣根(なっ……テメエ、人の回想まで覗きやがって!)
垣根(つーかそんな台詞一度も言ってねえだろ!)
カブトムシ(勝手に流れてくるのですからしょうがないでしょう)
カブトムシ(それに、ちゃんと覚えてるじゃないですか……『未元物質が何処から来るのか』)
垣根(?)
カブトムシ(この手掛かりこそが未元物質βかもしれませんよ?)
垣根(なん……だと?)
カブトムシ(ここからは完全に私の推測ですが……)
カブトムシ(もしかしたら……未元物質βこそが完全な未元物質なのかもしれません)
カブトムシ(例えば、私達が未元物質を使う時、未元物質βで満たされた場所からその搾りカスである未元物質αを、未元物質として出しているだけ……とか)
垣根(なんだそりゃ……流石に無茶苦茶過ぎるだろ)
カブトムシ(まああくまで推測ですから)
垣根(……しかし、もし本当にそうだったら、未元物質βってどんだけ凄えんだよ)
カブトムシ(この世に存在しない物質の、さらに上ですからね……)
垣根(……ひょっとしたら神とか、天使が使ったりしてるかもな)
カブトムシ(……貴方、やっぱりメルヘンチックですね)
垣根(黙れ)
初春「すぅ……すぅ……」
垣根(って、こいついつの間にか眠って……)
カブトムシ(キーボードの上で寝るとは……)
垣根(まったく、風邪ひいても知らねえぞ……おい、カブトムシ。あの幸せそうな横っ面ひっぱたいてやれ)
カブトムシ(はいはい)
カブトムシ「」ベシベシッ
初春「むにゅ……」
初春「はっ!わ、私寝てたんですか?」
垣根「ああ、涎垂らしながらな」
初春「ええっ?」ゴシゴシ
垣根「ははっ……嘘だよ、嘘」
垣根「……今日はもう寝ろ。大分疲れがたまっているみたいだしな」
初春「でも……」
初春「……」ムズムズ
初春「」ヘクチュッ
垣根「ほら、ちゃんと布団で寝ないからそうなるんだよ」
垣根「身体を冷やすのも良くねえから……大人しく寝とけ」
初春「……はい」
初春「くぅ……」
垣根(…………)
垣根(ーーーで、長々と話しちまったが……結局、何が言いたいんだ、お前は)
カブトムシ(……)
カブトムシ(私も、貴方も……この未元物質βを掌握して操作することは……出来ません)
垣根(……)
カブトムシ(もちろん、彼女も……)
カブトムシ(……それだけです)
垣根(……そうか)
カブトムシ(私は……何も言いません。行動を……決めるのは……貴方……です)
垣根(…………)
カブトムシ(では、そろそろ……昆虫ゼリーの……エネルギーが……切れ……す)
カブトムシ(お休み……なさい…………)
カブトムシ(……)
垣根(…………)
垣根(…………)
垣根(状況がこれ以上好転することは……もう無い、か)
垣根(ハッキングも打ち止め……)
垣根(学園都市上層部が、いつまで俺を泳がせているかは分からねえ)
垣根(だが……近いうちにやって来るのは確かだ)
垣根(……俺はそれまでに何をするべきなんだ?)
垣根(……)
初春「ん…………あ……」
垣根(……?)
初春「……てい……と……くん……」
垣根(……)
初春「…………すぅ……」
垣根(……)
垣根(いや……)
垣根(そもそも、俺は何をしたいんだ……?)
投下終了
この冷蔵庫、悩み過ぎですね……
長い間期間を開けてしまって申し訳ない
もう少しお待ち下さい
テスト
テスト
投下
翌朝
初春「……」
垣根「……」
初春「……」
垣根「…………?」
初春「……」
垣根「おい……そろそろ起きないと学校に間に合わなくなるぞ」
初春「……う……」
垣根「聞いてんのか?……」
初春「す……すいません……今、ちょっと辛くて」
垣根「!?……お、お前顔が真っ赤になってるじゃねえか」
初春「ぅ……そうですか?」
垣根「声も酷い鼻声になっちまってるし……ちょっと熱を測ってみろ」
もうこのトリップでもいいか
何が原因なんだ
分かりにくくてすまんな
ピピピッ
『38.5℃』
初春「……」ゴホゴホ
垣根「……だ、大丈夫か?」
初春「……喉が痛いです……ね」
垣根「こりゃ学校に行くのは無理だな……」
初春「うぅ……」
初春「……昨日の夜、変な所で眠ったのが原因ですかね……」
初春「でも、あの後はすぐにベッドで寝たのに」
垣根「まあ、人間なんだしそういう事もあるだろ……」
初春「ていとくんなんか毎日裸で台所にいるのに……」
垣根「お前、言動もおかしくなってるからとりあえず寝ろ」
初春「……それでも、学校に連絡しないといけませんし」モゾモゾ
垣根「あー、立つな立つな、酷くなるから」
垣根「そんなの俺がやっとくからお前はしっかり休んどけ」
初春「えー……でも……」
垣根「心配するなって…….携帯、この辺だったよな?」
カブトムシ「」ゴソゴソ
初春「でも……」
垣根「……これか?」
カブトムシ「」ゴソ
垣根「……よし、電源を……」
カブトムシ「」カリカリ
垣根「……」
初春「……」
カブトムシ「」カリカリ
垣根「ーーー押せねえ……だと……」
初春「……自分でやりますから持って来て下さい」
初春「ーーーはい、そういう訳で今日は大事をとって休みます……」
垣根「……」
初春「はい、では失礼します……」ピッ
初春「……ふぅ」
垣根「……」
垣根「と、ところで飯は食べられそうか?」
初春「……あんまり食欲ないです」
初春「それに、作るのも大変ですから……」
垣根「そうか……」
垣根(……俺も……作れねえんだよな)
初春「……」クシュン
垣根「……っつーか医者には行かなくていいのか?」
初春「今は外出するのは怠いので……それに一応、薬はあるんですよ。前に風邪にかかった時の残りが」
垣根「そうなのか?」
初春「あの時は佐天さんに鼻水かけちゃったり色々ありましたね……」
垣根(……この程度なら大丈夫か)
垣根「ま、腹に何も入れねえのは体に悪いが、とにかく薬は飲んどけよ」
初春「ええ」
薬服用後
初春「じゃあ……私はもう一度寝ますね……」
垣根「それなら俺は、乾燥した空気に潤いを持たせる為に氷から状態変化させた水蒸気を放出しとくからな」ガコンガコン
初春「……何か、現実ではあり得ないようなことが起こってる気がするんですけど……」
初春「やっぱり熱があるんですかね……お休みなさい」
ーーーーーーーーーーーーーーー
………
あれ……
何だか、ひんやりと冷たいものが額に当たってる
濡れたタオルかな……
気持ち良い……
……
でも、誰が……
……
もしかして、ていとくんが……?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
夕方
初春「……」
カブトムシ「」
垣根「……お、起きたか」
初春「……」
カブトムシ「」
初春「何で私の額にカブトムシが置いてあるんですかね」
垣根「俺が置いたんだが……気持ち良くなかったか?」
初春「確かにヒンヤリとしていて気持ち良かったのですけど」
垣根「ならいいじゃねえか」
初春「そういう問題ではないような……」
垣根「……」
垣根「まあ、それだけ喋れるなら……朝と比べると、かなり元気になったみたいだな」
初春「何かすごい不自然な話題の転換ですけど、確かにそうですね」
初春「……あっ」
垣根「?……どうした」
初春「」グゥー
垣根「……」
初春「……き、聞こえました?///」
垣根「……どうやら晩飯は食えそうだな」
垣根「だがしかし、お前は料理が出来るほど回復してるのか?」
初春「うーん……歩くのはまだ辛そうですけど……私がしないと……」
垣根「……」
初春「あっ……別にていとくんに料理は期待してないから大丈夫ですよ」
垣根「お前、わざわざ傷を抉りに来てるだろ」
初春「えっと、塩は……これでしたっけ」
垣根「それは砂糖だ」
初春「あれ?……じゃあこれですかね」
垣根「それは醤油なんだが……やっぱお前寝てた方がいいんじゃねえの」
初春「……手間がかかる料理はやめて、ヨーグルトぐらいで済ませますかねえ」
垣根「…….……それはマヨネーズ……マジで大丈夫か?お前」
初春「おかしいですね……目はしっかりしてるはずなんですけど」
ピンポーン
垣根「ん?」
初春「誰か来たみたい……はーい、今出ます!」
垣根「ったく……こんな時に来なくてもいいだろ……」
初春「お待たせしまし……」ガチャ
初春「あれ?」
佐天「ご、ごめん初春……起こしちゃったかな?」
初春「佐天さん!何でここに……?」
佐天「そりゃあ、初春が風邪ひいたって聞いたから、学校帰りに看病しに来たんだけど……」
初春「!!……ありがとうございます」
佐天「もう、水臭いなあ……友達同士なんだから。ところで、起きてて大丈夫なの?」
初春「……寝てた方が良いのは確かですね」
佐天「っと、それなら、玄関で長話してる場合じゃないね……お邪魔しまーす」
佐天「初春は晩ごはん食べた?」
初春「自分で作ろうとしたんですけど、上手くいかなくて」
佐天「朝と昼は?」
初春「……食べてません」
佐天「うわ、そりゃお腹ペコペコだ。じゃ、私がお粥でも作るから初春は寝ててイイよ」
初春「調味料の場所とか、皿の場所とか分かりますか?」
佐天「ていとくん、台所にいるんでしょ?聞けばわかるよ」
初春「……それもそうでしたね」
佐天「冷蔵庫の方のていとくん、お久しぶりー」
垣根「……何だ、誰かと思ったらテメエかよ」
佐天「……」
垣根「どうした?」
佐天「いやあ……カブトムシの方はほぼ毎日会ってるから違和感も消えたけど……やっぱり冷蔵庫が喋るのって不思議だなあ、と改めて思って」
垣根「……ってか、普通はカブトムシが喋るのも慣れないからな」
佐天「まあ、私も初春も色々あったから……何か不思議なコトに慣れるのも早くってさ」
佐天「そうだ、これ冷やしといて」ガサゴソ
垣根「また色々持ってきたな、おい……」
佐天「桃缶と、ゼリーと、栄養ドリンクと……」
垣根「あいつ、こんなに食えるか?」
佐天「ああ、この袋、私の晩ごはんも入ってるから。できたらここで食べさせてもらおうと思って」
垣根「……用意周到だな」
佐天「さて……とりあえず材料は揃えたけど」
佐天「んー、お粥に加えてもう一品欲しいかな」
佐天「ていとくん、何かある?」ガチャ
垣根「っ……っと、確か昨日の晩飯の余りの煮物が三段目の右奥に……」
佐天「……前は扉開けただけで喘いでたのに……初春に我慢するように調教されちゃったみたいだね」
垣根「何言ってんだテメエは……。意味解ってんだろうな?だいたい、ありゃあチルド室や冷凍室含めて何回も連続で開けられたからだ」
佐天「……ほほーう、弱点はそこなんだぁ……どうしよっかなー」
垣根「な……」
佐天「ほーら、開けちゃうぞー」
垣根「……や、やめろ……やめてくれ!」
佐天「あっはは、冗談だって」
佐天「ん……味付けはこんなもんでいいかなあ」
垣根「お前、手際いいな……今のあいつが風邪で駄目過ぎるせいもあるかもしれんが」
佐天「んー……まあ前にも初春にお粥作ったことあるからね」
垣根「へえ。もしかして、あいつが言ってた前に風邪引いた時か?」
佐天「うん、多分その時」
佐天「でもあの時は玄関に鍵が掛かってなかったし、一人部屋でもなかった気がするんだけどなぁ……ま、いいか」
垣根「俺がこの部屋に来る前の事はよく知らんが、そんなにアッサリ流していいもんなのか?」
佐天「突然だけどさあ」
垣根「何だ?」
佐天「今回、初春の看病しに来ちゃったけど、よくよく考えたら初春とていとくんには申し訳ないなーって思ってるんだよね」
垣根「?」
垣根「いや……俺には出来ないことがかなりあったから助かってるが」
佐天「まあ、結果的にはね。でもさ、考えてみてよ」
垣根「??」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーー私、初春飾利
頭に常に花飾りを付けていて、ハッキングが趣味のごく普通のオンナノコ
でも、今日は風邪で学校を休んじゃったのだ
あれ?チャイムが鳴ってる
こんな時間に誰だろう?
はーい、誰ですかあ……
「よう」
!?
て、ていとくん(人間)……!
ヤダ……私、服もパジャマだし、髪もボサボサだし、花飾りも元気がないのに……
ふえぇ……恥ずかしいよぅ……
「ったく、風邪だってのに起きてる子猫ちゃんには、お仕置きが必要だな」
……ていとくん(人間)?
!!
顔が……近くに……
これって、……もしかして……///
ふええ……スッピンなのに……
「バーカ、そんな無茶させるワケねーだろ」
あっ……
お、お姫様だっこ?!
降ろしてよお!
「お姫様一名、ベッドにご案内しまーす」
……もう、バカなんだから
ドサッ
ベッドに降ろされたけど、この体勢って、何だか……///
も、もしかしてこのまま……
「ちょっと待ってろ、お粥作ってくるからな」
ナデナデ
そ、そんな……
ナデナデしてくれるだけじゃ、足りないよう
カラダが……アツイよ……ていとくん(人間)……
「どうだ、うまそうだろ?」
わあ……ていとくん(人間)って、料理も上手なんだ
私よりも上手いかも……いやいや、弱気になるな、私!
ていとくん(人間)のお嫁さんには、そんな中途半端な気持ちじゃ到底なれないゾ!
「オラ、口開けろ。あーんしてやるよ」
ええっ!自分で食べられるのにぃ……
もう……そんな強引に……
っ……あつい
「!……悪い、熱かったか」フーッフーッ
……///
私、まるで赤ちゃんみたいだなぁ
でも……どうせ冷ますなら、私の体の疼きも冷まして欲しいなあ……
「うまかったか?」
うん
とっても、美味しかった
「そっか。よく寝て、早く風邪治せよ。んじゃ、俺は帰るか……」
待って
「ん……どうした?」
私ね、すっごくカラダがアツイの
アツくて、おかしくなっちゃいそうなの
これも全部……ていとくん(人間)のせいなんだから
「へえ……で、俺にどうして欲しいんだ」
え?
「ちゃーんと、自分から何をしてほしいか言えないとなぁ……くくっ」
もうっ、いじわるなヒト
でも、そんなトコロもたまらなく愛おしい
ああ……私って、本当に病気みたい
アツアツの、私のカラダを……食べてください
ーーーーーーーーーーーーーーーー
佐天「ーーーそして二人はアツイ夜を過ご……」
垣根「ちょっと待て」
佐天「どうしたの、ていとくん(冷蔵庫)」
垣根「まずその()取れ。んで
、少女漫画の読み過ぎだ。少年漫画は規制の一途を辿ってるっつーのによ……」
垣根「あとあいつの性格が色々とおかしいだろ。あと、……駄目だ、突っ込みきれねえ」
佐天「……と、言う訳で、こんな展開が待っていたかもしれないのに初春とていとくんの邪魔をしちゃったかなあと反省する次第なのです」
垣根「冷蔵庫が人間にならない限りあり得ねえから安心しろ」
佐天「でも、再現可能な部分もあったよね。例えば……」ゴソゴソ
垣根「何やってんだ……?」
.佐天「はい、これ」
スプーンをガムテープで角に巻きつけたカブトムシ「」
垣根「おい……まさか……」
佐天「さて、話してる間にお粥も完成っと」
初春「……」
佐天「初春、ご飯出来たよ。起きられる?」
初春「……ん……あ……すいません」
佐天「ほら、初春も寝たままで食べたいって」
スプーンを(略)カブトムシ「まだ何も言ってねえだろ….…っつーか、こっちの体で喋る必要ないんじゃねえの」
初春「……?」
佐天「ムードが大切だからね。それじゃ、頑張って。私も自分のご飯食べるから……」
カブトムシ「マジで?マジでやるのか?」
初春「ていとくん……?!」
カブトムシ「お、おう……」
初春「そ、そのスプーンとお粥は……」
カブトムシ「……」
カブトムシ「……あーんしてやるんだよ」ボソッ
初春「え?」
カブトムシ「……っ!!食わせてやるから、さっさと口を開けろ!」
初春「ええぇぇっ?」
カブトムシ「……ん」ヒョイ
初春「……じ、自分で食べられますよ」
カブトムシ「…………」
初春「……」
カブトムシ「……ん!」
初春「……い、いただきます……」パクッ
初春「熱っ……」
カブトムシ「……!」
カブトムシ「……す、すまん。今すぐ凍らせて……」
初春「……そこまでしなくても大丈夫ですから」
佐天「……苦戦してるね」
佐天(火照った顔で必死にスプーンを咥える初春……これはまあ……これで)
食後
初春「ご馳走様でした」
カブトムシ「死ぬ程疲れた……」
初春「大丈夫ですか……?」
カブトムシ「……あ、お前頬に米粒付いてるぞ」
初春「え?……こちらですか?」
カブトムシ「ああ、違う。右頬だ」
初春「こっち……?」
カブトムシ「いや、俺から見ての右側で……ん?」
佐天(フリップ)『頬のごはん粒を舐めとって』
カブトムシ「…………」
初春「?」
カブトムシ(いやいやいやいやいや、出来るわけねえだろ!っつうか、そのフリップはどっから出てきたんだよ)
佐天(フリップ)『無理ならば、バーカココだよと言いながら角で頬を突っつくでも可』
カブトムシ「…………」
初春「???」
カブトムシ「バ…………あー、これだ」
フニュ
初春「!?」
カブトムシ(うわ、すっげえ柔らけえ)
初春「…………」
初春「……ありがとうございます」
カブトムシ「ああ」
佐天(フリップ)『そんな根性で初春の彼氏になれると思っているのか』
カブトムシ(…………なんだこれ……何なんだこれ……)
数十分後
佐天「よっし、皿洗いと明日の朝ごはんの下ごしらえ完了……」
垣根「…………………色々と言いたいことはあるが……とりあえず助かった」
佐天「……」
佐天「……私としては初春もアレだと思うけどねえ」ボソッ
垣根「ん?」
佐天「……何でもない」
佐天「まあ、それはそれとして……あのカブトムシさぁ……」
垣根「今度は何する気だ?」
佐天「さて、と…………それじゃ、もう夜になるから帰らないと」
初春「もう帰るんですか?」
佐天「秋は日が落ちるのが早いからね……」
初春「気をつけて帰って下さいね」
佐天「ん、分かった。初春もちゃんと風邪治してね……ていとくんはヘタレないでちゃんと遂行してね」
垣根「だからそれはもういいっての」
初春「?」
佐天「あはは、じゃあね、さよならー」バタン
初春「……そろそろ治りそうですし、もう一眠りしますかね……」
垣根「……ちょっといいか?」
初春「?」
垣根「寝るときの枕、これにしてもらえねえか」
初春「これは……」
タオルにくるまれたカブトムシ「」
初春「……………………」
垣根「氷嚢型は不評だったからよ……氷枕型なら」
カブトムシ「…………」
初春「…………」
カブトムシ「…………」
初春「…………」
カブトムシ「…………」
初春「…………」
カブトムシ「…………なあ」
初春「…………」
カブトムシ「…………起きてるか」
初春「…………ええ」
カブトムシ「…………こうして近くに居ると思うんだが……」
初春「……」
カブトムシ「お前って、あったかいよなあ」
初春「……熱のせいですよ」
カブトムシ「…………そうか」
初春「ていとくんは、冷たいですね」
カブトムシ「……まあ、冷蔵庫だからな」
初春「……そうですね」
カブトムシ「…………」
初春「ていとくんは、ずっと私の枕になってても暖かくならないですね」
カブトムシ「……そうだな」
初春「…………」
カブトムシ「『人間』じゃ、……」
初春「……」
カブトムシ「……ない……からな」
初春「……」
カブトムシ「……」
初春「……でも、私……」
カブトムシ「……」
初春「……ていとくん……が……もし……人間……だったら……」
カブトムシ「…………」
初春「すごく……あ……た……かい…………て……」
カブトムシ「……」
初春「…………くぅ…………すぅ……」
カブトムシ「……」
初春「すぅ…………」
カブトムシ「……」
カブトムシ「……」
カブトムシ「…………ったく、馬鹿が」
カブトムシ「……『血の通ってない』俺が人間に戻っても……」
カブトムシ「……冷たいままに……決まってるだろ」
投下終了
文がおかしい上にトリップもおかしくなってしまった
投下
トリップが戻ってる?
テスト
駄目か……
小ネタ回
冷蔵庫が第一位に勝つ方法その1
初春「……うーん……」カタカタカタカタ
垣根「……病み上がりなんだから無理するなよ」
初春「はいはい、分かってますよ」カタカタカタカタ
垣根「……」
カブトムシ「」ペロペロ
垣根「……そろそろ1カップ、か」
カブトムシ(……ご……がっ……げぶっ、ごほっぼはっ……っ……ふ、……うう、……)
垣根(……よお)
カブトムシ(ごふっ……ふぅ、ここ数日、起こされていなかったのでキツイ所がありますね……)
カブトムシ(風邪、でしたよね。何か私の身体が散々弄ばれてましたけど)
垣根(それはもう忘れたいから言うんじゃねえ)
カブトムシ(……それで……)
垣根(…………)
カブトムシ(……まだ、心は決まってないようですね)
垣根(いや、別にそういうわけでもねえんだが……)
カブトムシ(……?)
垣根(……ま、何の為かに悩んでばかりで今出来ることをしないのも駄目だろうしな)
垣根(積極的には、まだ動くつもりは無し、って所だ。何にせよ、情報が入ってからだな)
カブトムシ(……と、言うと……)
垣根(あいつが眠る夜間に、お前を外に飛ばして街の様子を見て……とりあえずはスクールの残党連中を探す)
カブトムシ(昆虫ゼリーのエネルギーがもたないと思うのですが)
垣根(端末として動くだけならお前は必要ないだろう)
カブトムシ(ああ……そういえばそうですよね……)
カブトムシ(……しかし、この行動はもっと早期に起こしても良かったのでは……)
カブトムシ(……)
垣根(……)
カブトムシ(……ま、野暮な考えでしたね)
垣根(どういうことだオイ)
カブトムシ(何でもないですって)
カブトムシ(ところで、『積極的には』と言いましたが……まだ、他に何か?)
垣根(…………)
垣根(ん、まあな……)
垣根(俺が、冷蔵庫のままで第一位に勝つ方法を真剣に考える時期なのかもしれない……と、思ってだな)
カブトムシ(……は?)
カブトムシ(いよいよ貴方の頭も煮詰まってきたようですね……いや、凍ってるんですけど)
垣根(……俺が一生この姿のままって可能性も、考えたくはねえが、存在はする訳だ)
垣根(最悪の事態に備えることは悪い事でもないだろ)
カブトムシ(いやー、それは……そうなんですが)
垣根(何だよ、乗り気じゃねえな)
カブトムシ(……どうも、戦っている場面が想像し難いというか、かませというか、一瞬で負けそうというか……)
垣根(…………)
垣根(えー、ということで、一台と一匹が集まれば文殊の知恵という諺もあることだし第一位抹殺作戦会議を始めようと思う)
カブトムシ(先程の私の発言は無視ですか)
垣根(それと、戦闘の想定としては俺の翼が復活していることを前提としてくれ)
カブトムシ(仮定からしてかなり不安定なんですけど)
垣根(まずは基本のおさらいだな。俺の能力……は、前に確認したことだし、今回は第一位の能力を確認する)
一方通行
ありとあらゆるベクトルを観測し、変換する能力
デフォルトモード ベクトル反射
現在は演算の大部分をミサカネットワークに委ねている為に電極によるタイムリミットが存在
ピンチ(?)になると黒い翼を出してパワーアップ
カブトムシ(……はい)
垣根(はいじゃねえだろ)
カブトムシ(……まあ、凄い能力ですよね。貴方、これと本当に戦ったのですか?今の姿からして信じられませんよ)
垣根(だからこの冷蔵庫も全部第一位のせいだろうが)
垣根(……っと、そういやこれもあったな)
カブトムシ(?)
前回の戦闘時に未元物質のベクトルを逆算されたことにより、未元物質が携わる攻撃が無効化
(ほぼ確定的)
カブトムシ(…………)
垣根(…………)
カブトムシ(これもう……)
垣根(言うな)
カブトムシ(能力を打ち消す未元物質とか、どうですか?)
垣根(……ヤケクソになってきてないかお前)
垣根(まあ仮に、その未元物質が使えたとして……俺の未元物質も能力だから、操作できることに矛盾が発生する。よって、そんな未元物質は存在しねえ)
カブトムシ(……パンチを反射膜に触れる前に引き戻して、反射を逆向きに……)
垣根(さっきより非現実的だな……)
垣根(ま、それも仮にあったとしたら……何年も能力を側で見続けた奴位しかできねえだろう)
垣根(反射膜の癖を……第一位の癖を全て読み切るってことだからな)
カブトムシ(貴方が今から第一位の家の冷蔵庫になればいいのでは?)
垣根(死んでもやるか馬鹿野郎)
カブトムシ(……じゃあ、アレですよ……あの、前回の戦闘の終盤で……貴方、新しいっぽい力に目覚めてたじゃないですか。アレはどうなんですか)
垣根(アレは……一見危機に陥って、秘められた力が覚醒した……って感じだが……)
カブトムシ(第一位に瞬殺されましたねえ……)
垣根(…………)
垣根(……この方向の掘り下げは後回しにするか)
カブトムシ(…………)
カブトムシ(ああ、それなら別方向の意見があるんですけど)
垣根(何だ?)
カブトムシ(戦闘中に自分の能力の事をベラベラ喋るのはやめるべきでは?)
垣根(……)
カブトムシ(わざわざ不利になろうとするのと同じじゃないですか)
垣根(それは……)
カブトムシ(……)
垣根(……ほら、昔の日本の武士とかは、戦う前に名乗りを上げたりしてたじゃねえか)
カブトムシ(しのぎを削りながら自分の鎧の弱点を教える武士がいたんですか?)
垣根(それは何か違うだろ)
カブトムシ(比喩ですから良いのです)
カブトムシ(で、能力説明に何かしらの理由があるのですか?)
垣根(……)
カブトムシ(……)
垣根(……わ)
カブトムシ(?)
垣根(……分かり易いだろ)
カブトムシ(……)
垣根(この方向の掘り下げも後回しにする)
カブトムシ(……)
垣根(そうだな……どうやったら第一位に勝つか、それをまずはっきりさせねえと)
カブトムシ(……)
垣根(勝利条件……大体二つだな)
①第一位を死亡または死亡に準ずる状態にする
②第一位の電極バッテリーを切らす
垣根(電極破壊って手もあるが、それができるなら①の方が手っ取り早い)
垣根(……で、①は厳しいが……)
カブトムシ(厳しいというより無理では……?)
垣根(②は、どうだ?)
カブトムシ(………)
カブトムシ(可能性は……ありますね)
垣根(だろ?)
カブトムシ(というよりそもそも前回の戦闘で②を狙えば……まだ未元物質も対応前……)
垣根(もう過去を振り返るな)
垣根(さらに言うと、第一位に無くて、俺だけが持つ利点がある)
カブトムシ(やたらとメルヘンチックな点ですか?)
垣根(……違う)
垣根(俺が冷蔵庫であることだ)
カブトムシ(……)
垣根(……)
カブトムシ(……はあ)
垣根(まず……圧倒的な収納性)
カブトムシ(あ、眠っていいですか?)
垣根(……そして、象に踏まれても壊れない頑丈さ……)
カブトムシ(……)
垣根(最後に……超強力な冷蔵能力)
カブトムシ(……確かに、防御の下が生身……ではないというのは……魅力ですが)
カブトムシ(第一位は、……その『防御』が……とんでもない……堅さです……からね……)
初春「…………」カタカタカタカタ
初春「ふうっ……」
初春「今日も全然捗らなかったなあ……」
初春「ていとくん……は……」
垣根「」ボソボソボソボソボソボソ
初春「……」
初春「……ていとくん?」
垣根「っ!お……おう、何だ」
初春「ごめんなさい、あまり進まなくて……」
垣根「いや……別に、俺は」
初春「今日は早めに休みますね。では、お休みなさい」
垣根「……ああ」
垣根(……っと、会話が中断したな)
カブトムシ(……もう……私も……眠く……)
垣根(あ、ああ……今日はとりあえずここまでか)
垣根(話を纏めると……)
未元物質は第一位には無効
能力説明は必要不可欠
第一位の電極のバッテリー切れを狙う
冷蔵庫の圧倒的収納性
冷蔵庫の圧倒的頑丈性
冷蔵庫の圧倒的冷蔵性
カブトムシ(本当に……勝て……ますかね?)
垣根(…………)
投下終了
スレが終わりそうなので没ネタ投下
ホモネタ、淫夢ネタ注意
これもネタ被りがあったら申し訳ない
昆虫レイプ!家電と化した先輩
ミーン
ミーン
ミーン
ミー……
垣根「こ↑こ↓」
ゴキブリ「はえ~すっごい大きい」
垣根「入って、どうぞ」
ゴキブリ「お邪魔します」
垣根「いいよ上がって」
ゴキブリ「あ、こっちも大きいっすねー」
垣根「ねー、今日製氷きつかったよね」
ゴキブリ「っすねー」
垣根「今日氷質はどう?上がった?上がらない?」
垣根「緊張すると温度下がらないからね……」
ゴキブリ「ですよね」
垣根「ベスト出せるようにね」
垣根「まず俺さぁ、冷蔵庫なんだけど……凍っていかない?」
ゴキブリ「はえー、ああ~いいっすね~」
ミーン
ミーン
ミーン
ミーン(迫真)
ゴキブリ「死なないっすかね……」
垣根「大丈夫でしょ。まっ、多少はね……」
冷蔵庫になってもあふれ出るきたなさ
抜けた
冷蔵庫からあふれ出るきたなさーーー
ゴキブリは、気付かない
鳴り響く蝉の声が、ゴキブリの耳に染み渡っていくーーー
ゴキブリ「寒いっすねー」
垣根「寒いね、未元物質塗ろっか」
垣根「塗ってやるよ」
ゴキブリ「あ、お願いします」
垣根「(未元物質が染み込んで翅が)硬くなってんぜ?」
ゴキブリ「先輩……」
冷蔵庫の目に一瞬、鋭い光が走りーーー
そして、消えた
垣根「(未元物質が)体幹まで行っちゃったよ……」
垣根「これ以上やると脳まで犯しちゃう。もういいよ。ヤバイヤバイ」
垣根「喉渇いた……喉渇かない?」
ゴキブリ「あー喉渇きましたね」
垣根「何か(冷蔵庫の中の)飲み物持ってくる。ちょっと待ってて」
ゴキブリ「はい」
ジョロロロロロロロロロ……
ドンッ
サッーー!サッー!サッ!(未元物質)
垣根「お待たせ!アイスティーしかなかったけど、いいかな?」
ゴキブリ「あっ、ハイハイ、いただきます」
垣根「どうぞー」
垣根「氷出来たかな?ちょっと……」
垣根「……これもう(氷に空気が入り過ぎて)わかんねぇな。お前どう?」
垣根「いいじゃん。キレイキレイ」
垣根「(未元物質の影響で体が)すっげえ白くなってる。はっきりわかんだね」
垣根「何かこの辺がセクシー……エロイっ!」
垣根「温度下がってきたな。そろそろ冷蔵庫から出るか」
その時
ゴキブリの体がーーー
ぐらりと傾いた
垣根「おっ、大丈夫か?大丈夫か?」
ゴキブリ「大丈夫です」
垣根「ハァ……ハァ……」
ゴキブリ「先輩?!何してんすか?!やめて下さいよほんとに!」
垣根「暴れんな……暴れんなよ!」
ゴキブリ「垣根さん?!まずいですよ!」
垣根「いいだろゴキブリ!」
垣根「お前のことが好きだったんだよ!」
ゴキブリ「先輩……」
垣根「これ(未元物質)吸ってみな」
垣根「もっと舌使ってくれよ」
垣根「アー、それいいよぉ~」
垣根「気持ちいいかぁ?」
ゴキブリ「気持ちいい……」
垣根「気持ち良くなってきただろお?」
ゴキブリ「アーン、アアン!」
オォン!アォン!
フゥン!ホォン!
オォン!アォン!
フゥン!ホォン!
オォン!アォン!
フゥン!ホォン!
垣根「アアッー……(未元物質でゴキブリの体が)逝キスギィ!イクイクイク……ンアッー!」
オォン!アォン!
フゥン!ホォン!
オォン!アォン!
フゥン!ホォン!
オォン!アォン!
フゥン!ホォン!
ゴキブリ「(未元物質が体から出て)いきそう……!」
垣根「いいよ!来いよ!ペットボトルポケットにかけて!ペットボトルポケットに!」
垣根「ンアッー、ペットボトルポケットに……アッー!……ファッ!?」(トレイに未元物質をかけられる)
~一台と一匹は幸せなキスをして終了~
投下終了
没理由
垣根と野獣先輩の台詞が全く合わない
唐突な展開
後半が書き起こせないほど原作がきたない
微妙な残りを消費する微妙な話を投下
とある大通り
雪「」ドサッ
カブトムシ「……また、どっかで雪が屋根から落ちたか?」
初春「本当、すごい雪の量ですね……」
カブトムシ「何十年に一度らしいからな……」
カブトムシ「しかし、学園都市っつー御大層な場所なんだから、科学の力とやらで雪も積もらないかと思ってたんだが……」
初春「まるで雪の壁があるみたいです」
カブトムシ「こりゃ、50cm以上あるな……もしかしたら、1mいくか?」
初春「一応、道路に融雪システムは備えてあったそうですけど、今回の降雪は完全に想定外だったみたいですね」
カブトムシ「……でもよぉ、何で雪かきに警備員や風紀委員が駆り出されるんだよ」
初春「それ、さっきも言ってましたけど……雪の影響で、能力者による犯罪も減少しているらしいですし……」
初春「どうせ暇だろうってことで」
カブトムシ「ったく、本当面倒くせえな」
白井「初春ー?そちらの雪かきは終わりましたの?」
初春「あ……はーい!」
白井「では、次は一区画北のブロックへ行くらしいですの。行きましょう」
ザクッ
初春「ふぅ…………」
ザクッ
ザクッ
初春「……はあ」
ザクッ
ザクッ
初春「……」
初春「…………」
カブトムシ「疲れたか?」
初春「……そうですね」
カブトムシ「……だろうな」
初春「一晩経つと雪がカチコチに固まるので、スコップで掘るのが大変になりますし……」
カブトムシ「お前は元々力仕事に向いてないからな。後はあのテレポートですの娘にでも任せて休んだらどうだ」
初春「……」
初春「……いえ、まだまだ頑張れますよ、大丈夫です」
初春「この雪のせいで、困っている人がいますから……今は、作業を優先しないと」
ザクッ
ザクッ
ザクッ
初春「っ……」
カブトムシ(フラフラの姿で言われてもな……)
カブトムシ(…………)
カブトムシ(…………ん?)
カブトムシ(水から氷……俺が日常的に生み出している水の状態変化に干渉する未元物質)
カブトムシ(生成時の演算を、反転……そして、再演算。完成するのは……)
カブトムシ(……氷から、水への変化に携わる未元物質……!)
カブトムシ(これで、凍った雪の表面を融かせれば……)
カブトムシ「なあ……ちょっと、いいか?」
初春「え?」
カブトムシ「理論上はいけるはずだが……」
初春「?」
サクッ
サクッ
初春「!?」
初春「すごい……砂場みたいにスコップが入る」
初春「ていとくん、何をやったんですか?」
カブトムシ「ん?……あーー……」
カブトムシ「……新機能の……冷蔵庫から出る電波をなんやかんやで熱に変えてなんやかんやで放出する……簡易カイロ……だ」
初春「随分あやふやな新機能ですね……というか、いつの間にそんな機能がついたんですか」
カブトムシ「企業秘密だな」
初春「…………」
初春「そうですか」
カブトムシ「?」
初春「…………」
初春「……それにしても、すごい機能ですね!でも、もしかしてこの一回しか出来なかったり……?」
カブトムシ「いーや、何回でも出来るぜ」
初春「へぇー……」
初春「それなら、他の風紀委員や警備員の助けになるように……この区画の雪全てに同じことをしてきてくれませんか?」
カブトムシ「な……」
カブトムシ「……………………あいつも人使い………いや、虫使いが荒いな……」ブーン
カブトムシ「さて、この辺が最後か?」ブーン
カブトムシ「……よし」
カブトムシ「……!」バサッ
風紀委員「な、何だ?!急に雪が柔らかくなったぞ?」
警備員「雪がまるでプリンのようだ……!」
カブトムシ「……ん」
カブトムシ「さて、戻るか……上手く嵌められたな……」ブーン
カブトムシ「つーか、いい加減に新機能うんぬんの言い訳も無理があるはずなんだが……」ブーン
カブトムシ「あいつ、いつまで信じてるんだろうな」ブーン
カブトムシ「……もしかして、気付かれてたりしてな」ブーン
カブトムシ「……いや、ないか」ブーン
カブトムシ「……」ブーン
アー!
ミロヨアレ!
カブトムシダ!
カブトムシ「?!」
子供A「嘘だろー、もう冬なのにいるわけねーじゃん」
子供B「本当だっつーの」
カブトムシ「」
カブトムシ(しまった、今は下校時刻だったのか?)
カブトムシ(人目につかないように、路地裏を選んで飛んでいたんだが……)
カブトムシ(とにかく、逃げねえと)
子供C「……?……おい、あれ見ろよ」
子供B「あー!!あれだよ、あれ!カブトムシだよ!」
子供A「マジ?!」
子供B「マジ!!」
子供C「なんか、真っ白じゃん」
子供D「希少種じゃね?」
子供B「捕まえようぜ!」
カブトムシ「……!」ブーン
子供C「あ!逃げてる!」
子供A「くそっ、待て!」
カブトムシ「……」ブーン
子供D「あのカブトムシ速すぎだろ!追いつけねえ!」
子供B「くっ、こうなったら……雪玉をぶつけてやる!」
子供C「よーし、おりゃあ!」ブンッ
子供A「落ちろ!」ブンッ
カブトムシ「……あ」
カブトムシ(避けらんねぇーーー)
ドパン
白井「ふう……じゃあ、これで今日の作業は終了らしいですの」
初春「お疲れ様でしたー」
白井「……おや?」
カブトムシ「……」モサッ
白井「カブトムシさんも、雪まみれになって……もしかして、雪かきを手伝ってくれたんですの?」
初春「……ふふ、頑張ってましたよー。……ね?」
カブトムシ「……ああ」
いつもと変わらない日常
初春「男の子はカブトムシ好きですよねー」
いつもと変わらない風景
カブトムシ「ありゃ、好きなんじゃなくて弄りたいだけだろ……あーあ、今日は疲れた。ったく人……いや、虫をこき使いやがって」
いつもと変わらない生活
初春「ていとくん、今日は頑張ってたから、特別に昆虫ゼリーを一個余分に食べさせてあげようと思ってたんだけどな……どうやらいらないらしいですね」
いつもと変わらない関係
カブトムシ「いやあ、今日はいい汗かいたな!早く家に帰ろうぜ!」
いつもと変わらないーーー
初春「……現金ですね」
「冷蔵庫」と「少女」の物語は
ずっと
ずっと
ずっと
ずっと、続いていくーーー
とある廃ビル
ドレスの少女「……それで」
男1「……ええ、暗部はもちろんのこと、ネットの裏掲示板等を通じて、一般学生にまで情報が広がっています」
男2「今日も『白いカブトムシが雪の上を舞ってた』……といった書き込みや投稿が……」
ドレスの少女「まったく……何をやっているのかしら、帝……あの冷蔵庫」
男1「……どうします?」
ドレスの少女「……」
ドレスの少女「その、カブトムシ……もとい、冷蔵庫の『所有者』の情報は漏れていないのよね」
男2「まあ……はっきりしたソースが存在する信憑性のある情報は漏れてはいないようですが」
男1「時間の問題でしょうね。一度目は直接揉み消しましたけど……」
ドレスの少女「……」
男1「暗部残党の懸念も消し切れていません」
男2「利用価値のあるモノだ、という話が出たら、それこそ奪い合いになるでしょう」
ドレスの少女「……」
男1「……」
男2「……」
ドレスの少女「……何であの人は……」
男2「……どうしましたか?」
ドレスの少女「……何でもないわ」
ドレスの少女「……」
男1「……決断、しますか」
ドレスの少女「そうね、もう限界……なのかもね」
ドレスの少女「彼女には、辛いことかもしれないけど……」
ドレスの少女「冷蔵庫 TEI-TOK-N-kknを……『初春飾利』から奪取しましょう」
ーーーそんな優しい
幻想が
殺される
その日は
突然訪れる
莠亥相
文字化けした
「予告」
「貴女は、あの冷蔵庫といてはいけない。このまま冷蔵庫と関わり続ければ……貴女は、必ず後悔することになる」
ーーードレスの少女
「第二位の『回収』?……何だそりゃァ」
ーーーLevel5第一位 一方通行
「……おや、お前にとっちゃ簡単な仕事だと思ったんだが」
ーーー土御門元春
「……随分変わったわね」
ーーー心理定規
「……そりゃ、どういう意味だ?」
ーーー最新型冷蔵庫 ていとくん
「彼女に会わなくて……いいのですか」
ーーーカブトムシ
「あいつも……俺なんかには会いたくないだろうよ。いいんだ……もう終わっちまったんだから」
ーーー最新型冷蔵庫 ていとくん
「……バカな冷蔵庫」
ーーー心理定規
「あァ……既に愉快なオブジェになってるよォだから、今度は愉快で素敵なオブジェにしてやンよ」
ーーーLevel5第一位 一方通行
「……オイオイ、随分と余裕だな……イイぜ、出来るもんならやってみろよ。まあ、その前に俺がお前をぶっ殺しちまうかもしれねえけど、な」
ーーーLevel5第二位 垣根帝督
「ァーーーaaaアaaaajddjjkkkaaア
アaaa」
ーーー??? 一方通行
「助けられるなら……私は喜んで一寸の虫となりましょう」
ーーーカブトムシ
「……化け物なんだよ、俺は」
ーーー???垣根帝都督
「馬鹿げている……これは……本当に現実に起こっていることなのか……?」
ーーー土御門元春
「『あれ』こそが文字通り『ヒト』の枠を越えた存在……神ならぬ身にて天上の意思に辿り着く『物』」
ーーー学園都市統括理事長 アレイスター・クロウリー
「……冷蔵庫……の生活も……し……か……っ……」
ーーー垣根帝督
「…………ていとくん?」
ーーー初春飾利
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垣根「最新型冷蔵庫だ」 - SSまとめ速報
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まだか?