キノ「ゆっくりしていってね!」 (16)

大陸の一番近い海岸から辛うじて見える位置、海の上の大きな島にその国はあった。
島は所々にある山以外は緑がほとんどなく、島全体がその国の文明に支配されているのが窺える。
その国に向かう舟の上で一台のモトラド(注?二輪車。 空を飛ばないものだけを指す)と何人かの人間が波に揺られていた。
その人間のうちのひとりにモトラドが話しかける。


エルメス「キノ、港が見えてきたよ」


キノと呼ばれた人間は白いシャツに身を包み、腰を太いベルトで締めていた。 
ベルトにはポーチがいくつかついており、後ろにはハンド?パースエイダー(注?パースエイダーは銃器。 この場合は拳銃)のホルスターを下げている。


キノ「そうだね、そろそろ降りる準備をしないと」


キノは慣れた手付きでエルメスを舟に固定していたベルトを外し始める。
他の乗客たちも降りる準備をしていた。
そんなとき、近くにいた二人組の会話が耳に入ってきた。

「ゆっくりとかいう不思議饅頭が生息してるんだってさ。面白そうだな」
「ああ、俺のところではよく聞くよ。あまりいい噂ではなかったけど…」

国によって特徴があるのはいつものこと、なので気にも留めなかった。
到着までもう少しだ。

女性「3日間の滞在でよろしいですね?」

キノ「はい、おねがいします」

女性「では、こちらが入国許可証になります。お帰りの際に必用になりますので無くさないよう気をつけて下さい」

許可証を受け取るとき、キノは女性の後ろの方でバスケットボールほどの大きさの丸い生物(?)が遊んでいるのに気がついた。
それだけなら許容範囲内なのだが、それは人語を流暢に話ていたためにキノの気を惹いた。

キノ「ところであれは…」

女性「ああ、今説明しようかと。 れいむ、こっちへ来てご挨拶しなさい」

ゆっくりりかいしたよ!と返事をして丸い生物がこちらへ跳ねてきた。
近くで見てみると、大きな目が前についていたり髪が生えていてリボンで結んであったりとまるでデフォルメされた人間の顔のようだ。手だと思っていたのは髪のおさげだった。

れいむ「ゆっくりしていってね!」

キノ「うん、ありがとう」

れいむ「ゆゆ、ちがうよ!ゆっくりしていってねっていったらゆっくりしていってねっておへんじするんだよ!」

キノ「そうなんだ、ゆっくりしていってね」

れいむ「ゆっくりしていってね!!」

挨拶を終えると女性が話し始めた。

女性「これはこの島に生息している<ゆっくり>といいます。一応、生物ということになっていますが中身は餡子でできていてまんじゅうのような構造になっております。そして説明しようと思っていたのが…」

女性はれいむを持ち上げてリボンの端についている銀色のバッチを示した。

女性「れいむ種ならこの辺に、他の種でも目立つところにこのようなバッチがついています。これは人間の管理下にある印です。
  ですが滞在されているうちにバッジの無い個体、つまり野良を見かけることがあると思います。そのときは積極的に駆除していただきたいのです」

キノ「駆除といいますと?」

女性「近くに回収箱があればそこに入れて、見当たらなければ踏み潰してください。片付けは地域の清掃団体がやるのでそのままにしてもらって結構です」

キノ「踏み潰すのですか…」

女性「まあ、気持ちのいいことではありませんが…この国では野良ゆっくりの被害が深刻なのです。少しでも数を減らさなければなりませんので」

キノ「そうですか、分かりました。見かけたら駆除します」

入国審査を終えた後、キノたちは宿を探して島の中心へ向かっていた。


エルメス「最後のはドメスティックなお願いだったね」

キノ「バイオレンスのことかな。まあ、野良には会わないことを願うよ」

そんなことを話しながら道を曲がると、なにやら男が道の端にしゃがんでいるのを見かけた。
男の前には二匹のゆっくりがいる。
一匹は先ほどみたれいむ種のようだが、もう一匹は見たことがない黒帽子のゆっくりだ。

エルメス「噂をすれば、あれってバッチが付いてないから野良じゃない?」

キノ「うん?」

書きためはここまで
全部書きためて後日再投下する

保留しても意味ないぞ

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