悟空「おめーも魔法少女か!」(521)

見滝原某所
ワルプルギスの夜との戦い
ほむらは多量に出血


ほむら(体が動かない・・・私1人じゃ勝てないっていうの? こんなに繰り返しても
    何度繰り返しても運命を変えられないの?)

まどか(ほむらちゃんはこの1ヶ月を何度も何度もやり直して、ずっと1人で戦って来たんだよね
    たった1人で・・・重たいもの沢山背負って)

まどか「ねぇキュゥべぇ。あなたと契約したら、どんなお願いも叶うの?」

QB「ああ。君ほどの潜在能力があれば、どんな途方も無い願いだって叶えられるさ
   それこそ宇宙に元々ある概念そのものを変えることだって可能だろうね」

まどか「わかった・・・」

QB「どうやらその気になったようだね」

まどか「うん。私、魔法少女になる」

ほむら(まどか、あいつと何を話しているの・・・?)

QB「それじゃあ願いを聞こうじゃないか。特大のケーキかい? 世界平和かい?」

まどか「もう、ほむらちゃんが大変な思いをしなくてもいいように・・・」

ほむら(まさか・・・!)

まどか「ほむらちゃんが次に向かう世界で、素敵なヒーローが現れますように」

QB「まどかは暁美ほむらがもう一度時間を戻すことを望んでいるのかい?
   それが君の本当の願いなら、別に駄目とは言わないけれど」

ほむら(耳を貸しては駄目・・・!)

QB「オーケイ。その祈りは叶えられる。行くよ」

ほむら「駄目ーーーーーーーー!!」

ズギューン

まどか「うぅ・・・!」

ほむら(ここで時を戻したら、まどかの因果は更に大きくなってしまう・・・
    でも、それでも私は・・・)

カチッ
ギリギリギリ

ほむら(あの時まどかと約束した。死に際のまどかの表情を、私は忘れない)

時は戻る――

―――――――――――

清水市某所、小学校にて

まる子「はぁ、あたしが魔法使いなら体操服の1つや2つ、わざわざお母さんに怒られながら
    持って来てもらうこともないのにな。トホホ・・・」

たまえ「まるちゃん、漫画の見すぎだよ・・・」

まる子「あはは、わかってるよ。魔法なんて信じるほどあたしゃ子供じゃないですよ」

たまえ「そ、そうだよね(よほどこっぴどく叱られたんだね・・・)」

QB「ところがだ!」

まるたま「ひっ!」

QB「魔法はあるんだ。君達も、僕と契約して魔法少女になってよ」

まる子「何あんた!」

たまえ「うさぎさんかなぁ」

QB「僕はキュゥべぇ。魔法の使いとでも思ってくれればいいかな」

まる子「喋ってるよ! このぬいぐるみ!」

たまえ「うん、喋ってるね!」

QB「僕はぬいぐるみじゃない。宇宙生命体さ。まぁ、難しい話は抜きにしよう」

まる子「ひょえ~~~。すごいねぇ。なんか可愛いなあ!」

たまえ「そうだねぇ。どこから来たの?」

QB(話がちっとも噛み合わないよ)


これから自分に悲劇が降りかかるとは知る由もない、まる子であった
後半へ続く

―――――――――――

見滝原の病院前、魔女結界の中
マミがほむらを拘束する

ほむら「ば、馬鹿・・・こんなことやってる場合じゃ・・・!」

マミ「もちろん怪我させるつもりはないけど、あんまり暴れたら保証しかねるわ」

ほむら「今度の魔女はこれまでの奴らとは訳が違う・・・!」

マミ「おとなしくしていれば、帰りにちゃんと解放してあげる。行きましょう、鹿目さん」

ほむら「待って!」

ほむら(くっ・・・私の能力は時を操作すること『だけ』
    マミのリボンを断ち切る力は、私にはない・・・)

数分後、マミとシャルロッテの戦い

シャルロッテ「ヨチヨチ」

ズドン ズドン

マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」

ズドンズドン
ボト

シャルロッテ「プキュー」

さやか「やった!」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

ドカーン

シャルロッテ「ところがどっこい! 死んでいません! 無事なんです! これが現実!」
肥大化した魔女がマミに食らいかかる

マミ「え・・・?(消滅していない・・・!?)」

まどかさやか「あ・・・」

マミ「・・・!(しまったわ、銃を撃ち尽くした所を狙って――!)」

まどか(マミさんが食べられちゃう!)

シャルロッテ「いただきまー!!!」


謎の男「やべっ!」

誰かがマミを抱えてシャルロッテの脇に回り込む

男「波ッ!!」

ドヒューーーーン

まどかさやか「!!」

パラパラ・・・

マミ「う・・・?」

シャルロッテは消滅した

男「ふぃー! あっぶねあぶねー」


ほむら(今の音は・・・? マミの大砲ではないわ・・・魔女? 違う・・・)


マミ「だ、誰・・・?」

男「おっす! オラ孫悟空だ!」

まどか「孫・・・悟空?」

さやか「あれも魔法少女・・・?」

まどか「には見えないけど・・・」

マミ「私、助かったの・・・?」

悟空「ああ、もう大丈夫だ! さっきの風船みたいな奴ならオラがやっつけた」

マミ「結界が消えた・・・」

QB「ふぅ。遅くなってしまったね。どうやら終わった後のようだけど」

まどか「キュゥべぇ」

QB「ちょっと用事があって遠くに行っていたんだ。ところでその人間は誰だい?」

まどか「あ、うん! 孫悟空さんっていうらしいの。たった今、マミさんを助けてくれたんだよ」

QB「へぇ。この男がね。魔法少女ではないようだけれど、確かに強い魔力のようなものを感じる」

悟空「おろ? おめー誰と話してんだ?」

まどか「え? あ、あぁ(そっか、普通の人には見えないんだっけ)えーと、その・・・」

QB「大丈夫。今、この人間にも僕の姿が見えるようにするよ」

キュピーン

QB「やあ。僕はキュゥべえ。マミを助けてくれたみたいで、僕からもお礼を言うよ」

悟空「おお! こいつと喋ってたんか! はは、あんくれぇの怪物なら大したことねぇって」

QB「ところで、君は地球の人間じゃないね」

悟空「ああ、オラは地球育ちのサイヤ人だ。界王様に頼まれて、ここへやって来たんだ」

QB「なるほど、界王の知り合いか。それにサイヤ人というと、生まれは惑星べジータだね?」

悟空「知ってんのか! ひょえ~~。でも、オラは向こうにいた頃の記憶はねぇし、
   地球がオラの故郷だと思ってる」

QB「それで、界王はなぜ君をここへ派遣したんだい?」

悟空「それがよぅ、界王様の親戚か何かが、得意先の契約の関係でどうだとか・・・
   んーとにかく魔法少女っちゅー奴を助けてくれっていうんだ」

QB「どうも腑に落ちないな。疑う訳ではないけれど、その得意先というのに心当たりが無い」

まどか「何の話してるの?」

QB「宇宙全体の話さ。まどかは知る必要もないことだよ」

まどか「うぅ・・・そっか」

さやか「まぁまぁ、どうせ聞いたって小難しくてよくわかんないことっぽいしさ」

QB(界王が魔法少女の名を出すということは、誰かが契約の時にした願いが関係しているんだろう
   けれどそれらしい情報は思い当たらない・・・それになぜサイヤ人なんだろう)

悟空「おめーの乳でっけぇなぁ! オラの嫁さんもそれで肩が凝るって言ってさー」

さやか「マミさんにセクハラすんなよ!」

悟空「セクハラって何だ? 戦いのことか? オラいつでも準備いいぞ」

QB(惑星べジータの少女は先代が偉く気に入っていた。フリーザに破壊されてからは
   地球の感情エネルギーへの依存度がますます――)

悟空「ん? オラの顔になんかついてっか?」

QB「君について調べたいんだ。言い換えるなら、興味があるっていうのかな」

悟空「ああ、オラは孫悟空だ。ガキん頃に亀仙流を習って、そんでもって――」

まどか「あ!」

一同「?」

マミ「どうしたの、急に大声を出して」

まどか「ほむらちゃん、マミさんの魔法で縛ったままだよ・・・約束通り解いてあげないと
    でもどこに行っちゃったんだろう」

マミ「あら、いけないわ。色々なことが起こったおかげで忘れてたみたいね。私ったら」

さやか「あぁ、いいっていいって。しばらくそのままにしとこうよ
    マミさんの恐ろしさを知ればあいつも少しはおとなしくなるだろうし」

マミ「美樹さん? 誰が恐ろしいの?」

さやか「あ、そうじゃなくって、その・・・ごめんなさい!」

ギャーギャー

まどか(願い事、考えてなかったな・・・でも、いいのかな・・・ケーキで
    あの人が来なかったら今頃マミさんは・・・)

病院の中庭で簀巻き状態のほむら

ほむら(結界が解けた・・・なぜ? お菓子の魔女にマミの戦術は通用しないはず・・・
    一体どうやって倒したというの?)

悟空「おーい!」

ほむら「!?」

悟空「あはは、おめぇも魔法少女か?」

ほむら「・・・」

悟空「待ってろ、今助けてやっからな」

シュパシュパ

ほむら「うぅ・・・」

悟空「大丈夫か?」

ほむら「魔女は?」

悟空「ほえ?」

ほむら「巴マミが魔女と戦っていたはず」

悟空「魔女って・・・もしかすっとさっきの風船のことか?」

ほむら「見ていたのね。巴マミは? まどかは? 大丈夫なの?」

悟空「イチチ、放せって。大丈夫だ、みーんなオラがなんとかした」

ほむら「あなたが?」

悟空「おう!」

ほむら(おう! じゃないわよ・・・)

悟空「ところでおめー、魔法少女なのか? なんだか大した気は感じねぇけど・・・」

ほむら「・・・そうよ。それが何か?」

悟空「そんなら、おめーもオラが守る! オラ孫悟空だ。よろしくな!」

ほむら「(守る?)必要性を感じないわね」

悟空「変な奴だなー。言っちゃ悪ぃけど、おめーよりあの風船のがよっぽど強かったような・・・
   あ、わかった。さてはおめー、気を消してんだな? 本当はすんげぇ強ぇんだろー!」

ほむら「(何者なのかしら)・・・まどか達は無事なの?」

悟空「ああ、もちろんだ。乳のでけー奴がおめーのこと悪ぃ奴だって言って
   みんなでほったらかしにして帰っちまったけど」

ほむら(む・・・)

悟空「おめーは界王様と知り合いか?」





―――――――――

数日後
見滝原某所、病室にて
取り乱す恭介をさやかがなだめる

上条「もう治らないんだよ! 現代の医学じゃ・・・奇跡や魔法でも無い限り!」

さやか「あるよ」

上条「えっ・・・?」

さやか「奇跡も魔法も・・・あるんだよ」

上条「・・・」

ベランダにキュゥべぇのシルエット

QB(そんなことだろうと思ったよ)

さやか(キュゥべぇ・・・)


病室前の廊下

初老の男(この病室じゃな)

病室から出て行くさやかとすれ違う

初老の男「・・・ふむ」

ガチャ

初老の男「失礼するぞ」

上条「・・・誰?」

初老の男「うむ、やはりここじゃ。わしはジョセフ・ジョースター」

上条「・・・僕に何の用?」

ジョセフ「単刀直入に尋ねるが、お前さんはスタンド使いかね?」

上条「何だって?」

ジョセフ「むぅ、違うようじゃな。失敬失敬。オカルトまがいな話になるが――」

要約:
数日前にジョセフのスタンドがイタリアで見滝原の景色を複数念写
   ↓
巨大なスタンドらしきものが大量に写り込む
   ↓
この病室に人魚の姿をしたスタンドが写っていた

ジョセフ「という訳なんじゃ。お前さんには何か心当たりがあるかね」

上条「知らないよ、馬鹿馬鹿しい・・・お爺さんは来る部屋を間違えたんだ
   だって僕はあなたを知らない」

ジョセフ「真面目に聞いてくれんか、重要なことなんじゃ
     例えばお前さんの命を狙ってる奴がいるかもしれん」

上条「その気になればボディーガードを雇うことは可能だよ
   今の僕なんか・・・死んだ方がマシだけど」

ジョセフ「ふむ・・・困ったものじゃ」

上条「・・・僕を殺しに来る人じゃなくて、悩ませに来る人ならいるね」

ジョセフ「何じゃとッ!? このジョセフ・ジョースター、大方察しがついたわい!
     そいつがスタンド使いじゃ! 名前は何というんじゃ!?」

上条「・・・美樹・・・さy」

ジョセフ「ミキちゃんじゃとッ!? そいつは女なのかッ・・・!」

上条「美樹は苗字だよ・・・確かに女だけど」

ジョセフ「あ・・・まさかさっきの女の子か! oh my god! こうしちゃおれん
     今すぐあの子を追わなければ!」
ダダダッ

上条「ちょっと、さやかに何する気? ねえ!」

見滝原某所のカフェ

承太郎「それで? 居所の見当はついたのか、スタンド使いの」

ジョセフ「これがまだなんじゃ。廊下ですれ違ったきゃわゆい女の子が
     本当にスタンド使いなのかどうかすら、まだ確証は得られておらんのじゃ」

承太郎「原因不明の集団自殺や動機不明の殺人も、スタンドの仕業だと?」

ジョセフ「120%そうじゃとは言わん。ただ、わしの鼻は『どうも臭う』と言っている
     イギーが背後で息を潜めていたら匂いでわかるように、この町にスタンド使いの匂いを感じると」

承太郎「不可解な事故や事件なんてジジイが知らねーだけで昔からいくらでもあるんじゃあねーのか」

ジョセフ「では承太郎よ、お前はこの写真をどう見る?」

承太郎「・・・見るからに、ってとこか」

ジョセフ「うむ」

承太郎「それで、病院の少女というのはどんな見た目をしていたんだ?」

ほむら(さやかの契約はやっぱり止められなかった・・・)
まどか達を遠巻きに見守るほむら


ジョセフ「そうじゃな、中学生くらいじゃったか
     夕焼けでわかりづらかったが、髪の色は青っぽかったのぅ」

カランカラン
まどか達3人が入って来る

マミ「とても褒められた話じゃないわね」

さやか「・・・ごめんなさい」


承太郎「・・・ちょうど、あんな感じか? ジジイ」

ジョセフ「む? ああ、そうじゃそうじゃ。ちょうど・・・ハッ!
     承太郎! あの子じゃ! わしが病院で見かけたのは!」

承太郎「やれやれだぜ」

スタッ

マミ「でも、戦友が増えたことは正直嬉しいかな。そこは素直にお礼を言います。ありがとう」

さやか「うっ、うっ・・・」

まどか「さやかちゃん、泣かないで」

さやか「マミさぁーん・・・」

マミ「よしよし」

ジョセフ「ちょっといいかね。そちらのべっぴんさんに話がある」

ほむら(あの男達は何者・・・?)

承太郎(・・・ん? 外に誰かいるのか)

ほむら(こっちを見た・・・時を止めるわ)カチッ
時は止まる

承太郎「スタンドッ――!?」
ブゥン

承太郎「スタープラチナ!!」

ほむら(嘘、動いてる・・・!?)

ガシャーン
窓を破壊して飛び出す承太郎


ほむら(追って来る――まずいわ!)
バン、バン

承太郎「拳銃だと・・・?」
パシパシッ

ほむら(かすりもしない・・・どうして!?)

承太郎(長い、間もなく5秒が過ぎる・・・くッ――!)

ほむら(止まったわね。何者か知らないけれど、捕まってはまずい・・・!)

承太郎(逃げられたか・・・そして、時は動き出すッ――!)
スゥー・・・

店内「キャー! 窓が割れた! 何だ!?」

まどマミさや「!?」

ジョセフ「な、何じゃ!? スタンド攻撃かッ!!」

マミ「あなたは?」

ジョセフ「話は後じゃ! ここは危ない、とにかく避難するんじゃ!」

承太郎「・・・」


ジョセフが立ち止まるまで付き合わされるまどか達と承太郎


ジョセフ「はぁ、はぁ、追っ手はどうじゃ? まいたか!?」

承太郎「余計な汗をかかせるんじゃあねぇ、ジジイ」

ジョセフ「承太郎、お前は気が付いたら店の外にいたな! つまりスタープラチナの
     時止め能力を使ったということじゃ! スタンド使いが現れたんじゃな!?」

承太郎「・・・結論から言うとそうなるな。時を止めたのは俺じゃねーが」

マミ「何ですか、スタンド使いって」

ジョセフ「ああ、そうじゃった。そのことでその子に話を聞きたかったんじゃ」

さやか「あたしに?」

承太郎(ピンと来てるようには見えないな。ジジイの単なる記憶違いなんじゃあないか?)

ジョセフ「うむ。君はスタンドというものを知っている、あるいは持っているのではないか?」

さやか「えーっと・・・そりゃあ、大抵の家にはスタンドぐらいあると思いますが・・・」

ジョセフ「おとぼけはそこまでじゃ。夜中に家族を起こさないように受験勉強をするのに使う
     電気スタンドのことを言ってるんじゃあない」

さやか「は、はあ・・・」

承太郎「ぼけてんのはてめぇの方じゃあねーのか、ジジイ」

ジョセフ「ん? それはどういう意味じゃ、承太郎」

承太郎「ジジイが病院で見たスタンド使いってぇのは、本当は黒髪のロングじゃあなかったか?」

ジョセフ「うむ、言われてみればそうだったような気もするし、そうでない気もする」

承太郎「チッ・・・」

まどか「ねぇ・・・私達、何かしちゃったかな・・・?」

さやか「さ、さぁ」

マミ「話が飲み込めないのですが。はっきりおっしゃってください」

ジョセフ「うーむ。では、こいつを見せるとしよう」

ハーミットパープル!!

ジョセフ「どうじゃ、このいばらが見えるじゃろう? ということは、やはりスタンド使いじゃ」

さやか「何も見えないですけど・・・」


キング・クリムゾン! 話が進展する所まで時は消し飛ぶ!!


マミまどさや「これは・・・」

ジョセフ「この写真に写っている奇怪なヴィジョンに何か心当たりがあるのじゃな?」

マミ「ええ、それは魔女です」

承太郎「魔女?」

マミ「はい。人々を傷つけ、絶望に追いやる危険な存在です」

ジョセフ「うむ、やはりいたか」

承太郎「つまり、こいつらの間ではスタンドの事を魔女って呼んでいる訳か」

マミ「私は・・・いいえ、私達は、町の平和を守る為に、日夜魔女と戦ってるんです」

ジョセフ「なるほど。それでは、この町には魔女がウジャウジャいるという訳じゃな?」

マミ「ええ。実際には、魔女は世界中にいるんですけどね」

承太郎「ついさっき俺が出くわしたのも、あんたらの言う魔女なのか?」

マミ「ソウルジェムの反応は無かったわ・・・それは、どんな姿でしたか?」

承太郎「見た目は普通の人間か――長い黒髪をしていて、左腕に盾のようなものをつけていた」

まどか(それって・・・ほむらちゃん?)

まどか「ち、違います!」

マミ「鹿目さん?」

まどか「それは多分、私の友達で・・・いつもちょっと冷たいけど、本当は優しくて・・・」


ジョセフ「皆まで言うな。わかる、わかるぞ。親しき間柄で争わねばならないその切なさ、
     わしもダテに歴戦を戦い抜いてはおらんからな。くう、泣けるのう」

承太郎(スタープラチナよりも長い間、時を止めていられる能力・・・
    しかし、奴はスタンドを出さずに本物の銃で攻撃して来た
    近距離パワー型か、あるいは能力が優れている分パワーが無いのか)

ジョセフ「おっ!? どうして3人とも暗い顔をしてるんじゃ!? わし悪いこと言ったぁ?」

承太郎(俺達を監視していたようだが・・・)

ジョセフ「いないいないばあ! お、笑った! そのほうがキュートじゃぞ!」

承太郎「・・・やれやれだぜ」

――――――――――

QB「久しぶりだね、杏子」
杏子はたこ焼きを食べている

杏子「キュゥべぇか。あたしに何の用だい?」

QB「忠告とまでは行かないが、君に念の為知らせておきたいことがあるんだ」

杏子「へぇ。危ない魔女が現れたとか?」

QB「近いけど、魔女ではないね。ただ、敵に回したら恐らく魔女よりも厄介な存在だ」

杏子「どんな奴よ」

QB「君はサイヤ人を知ってるかい」

杏子「いや?」

QB「物理的な意味で多大なエネルギーを生み出す宇宙生命体さ
   戦闘民族というやつだね」

杏子「そのサイヤ人がこの近くに来てるのか?」

QB「ああそうさ。巴マミという魔法少女と繋がってるみたいだ
   実際に会うことがあるかどうかはわからないが、迂闊な接触は避けたいところだね」

杏子「仮にそいつが敵だってんなら、ぶっ潰してやりゃいいじゃん」

QB「君はサイヤ人を甘く見てる。確かに魔女ほど狡猾な攻撃はして来ないが
   もし本気で事を構えたら、君は確実に大量の魔力を消耗するだろうね
   それではグリーフシードの無駄遣いだ。割に合わないよ」

杏子「あたしさ、正直退屈してたんだよねー。魔女なんて、魔力さえ出し惜しみしなけりゃ
   どうせ大したもんじゃないし」
立ち上がる杏子

QB「どこへ行くんだい?」

杏子「決まってんじゃん。そのサイヤ人って奴をぶちのめしに行くんだ
   楽しませてもらおうじゃねーか」

QB「君も強情だね。せっかくの助言を無駄にしないでくれよ」




――――――――――
桜新町某所

タラヲ「アハンハンハァーン!(泣」

カツオ「どうしたんだいタラちゃん!」

タラヲ「ワカメお姉ちゃんが変な格好してるですー!」

カツオ「ワカメのパンチラならいつものことじゃないか」

タラヲ「違うですー!」


ワカメ「磯野ハリケーン☆」

カツオ「ワ、ワカメ!?」

ワカメ「あ、お兄ちゃん! 見て見てー、私魔法少女になったのー!」

カツオ「冗談は髪型だけにしてよもう」

ワカメ「えー、いいでしょー? ついでにお願いを1つ叶えてもらったのよ」

カツオ「叶えてもらったって、何を?」

<帰ったぞー

カツオ「あ、父さんだ! おかえりなさーい!」

ダッダッダッダ
玄関にはオールバックの男

カツオ「・・・おじさん、誰?」

おじさん「馬鹿モン! 父親の顔を忘れるとは何たることだ!」

カツオ「そ、その声は!」

ワカメ「お父さんの髪の毛フサフサにしてもらったのー!」

カツオ「ええー!?」



―――――――――――――

見滝原、とある路地裏


悟空「か・・・め・・・は・・・め・・・」

魔女「ウィウィーン」

悟空「波ーーーーー!!!」

チュドーン
パラパラ・・・

悟空「へへん、オラの勝ちみてぇだな!」

杏子「へぇ、お前魔法少女でもないのに結構強いじゃん」
大判焼きを食べている

悟空「おろ? おめー誰だ?」

杏子「あたしは佐倉杏子。お前がキュゥべぇの言ってたサイヤ人か?」

悟空「キュゥべぇって確か、あの人形みてぇな奴だよな。オラに何か用か?」

杏子「ちょっと遊んで欲しくってさ。魔女を殺して回ってるようだし
   あんまり獲物取られちゃ困るんだよね。特にお前みたいな部外者にはさー」

槍を身構える杏子

悟空「獲物? そうか、おめー魔法少女だな?」

杏子「そうさ。さっきの魔女のグリーフシードはあたしがいただくよ」

悟空「ん? ・・・かなりの気だな。おめー、オラと戦いてーんか?」

杏子「少し違うね。お前みたいなハイエナ野郎は一度思い知らせてやらなきゃ駄目だからさ」

悟空「?」

杏子「ぶっ潰す!」
ダッ

悟空(速いっ――!)

ガキン!

杏子「チッ。丸腰だからって容赦しないつもりではいたけどね。頑丈な腕してやがるわ」

悟空「・・・へへっ、そいつぁどうも。おめーもすげぇ速さだな。オラワクワクすっぞ」

杏子「さあ、いつまでそうやって笑っていられるかな」

バキン キン キン チーン

杏子「おらよ!」

悟空「よっと。よっ」

杏子の激しい攻撃
悟空は紙一重で受け流す

杏子「はぁ、はぁ、結構しぶてーじゃん、お前」

悟空「ひっひーんだ。ダテに鍛えてないもんねー」

杏子「てめぇ・・・おら!」

ズゴッ

悟空「がはっ――!?(しまった!)」

杏子「油断してんじゃねーよボンクラ!」ブン

ドキャッ

悟空「ぐぉっ・・・か・・・」

多節棍で悟空を縛り上げる杏子

杏子「終わりだよ!」

ドグシャアアアアアア

悟空「ぶえ!」
悟空は地面にめり込んだ

杏子「おいおい、死んじまったか?」

ムクリ
ガラガラ・・・

悟空「ひょえ~~~。こいつぁ驚いた。ちっと本気でやんねぇと勝てねぇかもな」

杏子「チッ・・・頑丈さだけは認めてやるよ。でもまだやるつもりだってんなら
   今度は手加減しねーぞ」

悟空「へへ・・・オラもそのつもりだ
   オラはじっちゃんに『女の子を殴っちゃいけねぇ』って教わったけど、
   今回ばっかりはしょうがねぇ。第2ラウンドはこっちで行かしてもらうぜ・・・はあ!」

変身――スーパーサイヤ人

杏子「なっ・・・!?」

悟空「相手がおめーならこれくらいでちょうどいいだろう・・・なぁ? 杏子とやらよ・・・」

杏子「どうなってんだ、おい・・・!」

悟空「さあ、始めよう。『戦い』をよ
   どっからでもかかって来るがいい。オレぁ強いぜ・・・?」

杏子「くっ・・・!」

杏子(何かやばいぞ・・・さっきまでとは目の色が違う。まるで別人だ
   これがサイヤ人ってやつの本当の姿なのか?)

悟空「どうした。かかって来いよ」


界王(やめるんじゃ、悟空~)

悟空(か、界王様!?)

界王(何をやっとるんじゃー悟空~)

悟空(杏子って奴と戦ってんだ。すんげぇ強ぇんだぞ)

界王(いやそんなことはわかっておるわい
   悟空よ、杏子ちゃんは魔法少女でしょうが、まったくもう)

悟空(ああ、そうみてぇだな)

界王(わしはお前さんに『魔法少女を助けてくれ』って頼んだんじゃ
   戦う為に行かせたんじゃないぞい)

悟空(おっと・・・そうだった。悪ぃな! 戦いたくてウズウズしちまってよー)

界王(杏子ちゃんにもしものことがあったら例えドラゴンボールで蘇らせても
   わしが怒られるんだから、オイタはほどほどにするんじゃぞ~)

悟空(わかったよ、界王様)

シュゥン
悟空は変身を解いた

杏子「・・・あ? なんで何もしないで元の姿に戻るのさ」

悟空「やめだ」

杏子「やめ・・・?」

悟空「ああ。おめーが強ぇのはよくわかったし、オラもう満足だ」

杏子「て、てめぇ。それでもあんたが邪魔なのには変わりないんだよ」

悟空「どうしてだ? オラ悪い魔女やっつけてるだけだぞ」

杏子「お前何にも知らねーんだな。あたし達魔法少女はな
   魔女が落とすグリーフシードがないと生きていけないんだよ」

悟空「ああ、グリーフシードが欲しいんか。1個ぐらい別にいいよ。ほい」

パシッ
杏子「あっさり渡すなんてな・・・お前の目的は何なんだ?」

悟空「オラ、界王様に『魔法少女を助けてくれ』って言われてここへ来たんだ」

杏子「界王? 誰だいそりゃ」

悟空「神様よりもっと偉い奴だ。オラは昔、界王様の所へ修行に行って界王拳と元気玉を覚えた
   おめーも強くなりてぇんなら界王様んとこ行ってみるといいぞ」

杏子「何を言ってるのかさっぱりわかんねーよ、お前!」

悟空「なに怒ってんだ? 参ったなぁ・・・」



キュゥべぇを肩に乗せたマミが駆けつける

マミ「悟空さん、何をしているの?」

悟空「おろ? マミじゃねぇか。今こいつと戦ってたんだ」

QB「やっぱりね」

マミ「悟空さん、その子は魔法少女ではないの? なぜ魔法少女と戦うの?」

悟空「オラがここにいた魔女と戦ってたら、こいつがグリーフシードを横取りされたと
   思って仕掛けて来たんだ。はは、悪かったなー、杏子!」

杏子「あんたは何さ?」

QB「彼女が巴マミだよ。この辺りは彼女のテリトリーなんだ」

マミ「どうぞよろしくね」

杏子「このおっさんとどういう関係だい?」

マミ「悟空さんは私の命の恩人といったところね。それ以外のことは私にもわからないの」

杏子「わからねぇ? キュゥべぇはあんたと知り合いだって言ってたぞ」

マミ「私も知り合ったのは最近なのよ」

杏子「へぇ。ま、あたしの邪魔さえしなけりゃどーだっていいけど」

マミ「あなた、見ない顔ね」

杏子「ああ、魔女狩りに飽きて退屈してたから遊びに来たのさ」
杏子はカールを食べ始めた

杏子「食うかい?」

マミ「ありがとう。でも今は遠慮しておくわ。あなた、相当な使い手のようね」

悟空「ああ、杏子はスピードもパワーもオラと互角かそれ以上だ。オラびっくりしたぞ」

杏子(お互い本気じゃなかったけどね。マジでやり合ったら殺されてただろうな・・・)

マミ「どう? せっかく来たのなら、私達と力を合わせて戦わない?」

杏子「はぁ? それがあたしにとって何の得になるってのさ」

マミ「1人より大勢のほうが心強いでしょう? 強いて損得で言うならそれくらいかしら」

杏子「魔女と戦うのに他人の面倒まで見ることねーだろ
   あたしはあたしの為だけに魔力を使うって決めたんだ」

マミ「それは寂しいんじゃないかしら」

杏子「てめぇにあたしの何がわかんだよ」

マミ「これから理解し合っていけばいいじゃない」

杏子「馬鹿か? 仲間になんかならねーって言ってんだよ」

マミ「本当言うとね、私が寂しいだけなのよ」

杏子「・・・?」

マミ「少し自分の話をしてもいいかしら」

杏子「・・・まぁ、聞く分にはタダだしな。面白い話なら聞いてやってもいいぜ。食うかい?」

マミ「うん、遠慮しとくわ。2度言わせないでね」

QB「悟空、君は僕に付き合ってもらってもいいかい?」

悟空「お? 戦いか! 望むところだ!」

QB「違うよ」


キュゥべぇと悟空はマミ達から遠ざかった

QB「君はもしかして、僕らとは別のインキュベーターなのかい?」

悟空「バーベキューなら大好物だぞ」

QB(嘘をつく理由があるとすれば1つだけだな)

QB「君はマミ達とは無関係に、独立して魔女を倒している
   今までに集めたグリーフシードはどこに隠してるんだい?」

悟空「ああ、今日はまだ3個だけだ。ここで手に入れたのはさっき杏子にやっちまったからな」
腰巾着をぷらぷらさせる悟空

QB「おかしいな。君なら累計で100個以上貯め込んでいてもおかしくないのに」

悟空「どっひぇ~~! 無理言うなよ。結界の中の気は外からじゃなかなかわからねぇんだからさ」

QB「僕らに隠し事をする理由は何だい?」

悟空「オラ何も隠してねぇぞ」

QB(誰かの陰謀だとしても、界王は恐らく首謀者ではない。界王神以上の権力者か、
   あるいは僕の知らない第三勢力か)

QB「わかったよ。今回はこれ以上詮索しないでおく。君を信じるよ
   その代わり、君が宇宙にとって邪魔な存在だとわかったら
   それなりの措置を取らなくちゃいけないから、そのつもりでいてね」

悟空「なんだかよくわかんねーけど、悪いようにはしねぇ。約束する」




―――――――――――――

清水市某所
魔女結界

まる子「まる子スペシャルクローバーアターック!」ピカー

魔女「ほげえー」
シュワー

まる子「イヤッターイ! 魔女をやっつけた! あたしゃヒーローだよ!」

たまえ「やったね、まるちゃん」

まる子「たまちゃん、あんたの身の安全はあたしが保証するよ」

たまえ「ごめんね・・・まるちゃんにばっかり危ないことさせちゃって」

まる子「いいってことよー! あたしらの友情が続くならこのくらいカッパの屁だよ」

たまえ結界

たまえ「――まるちゃん、あなたはその笑顔の奥にどれだけの苦悩を隠しているの?
    タミーの不甲斐なさの為に沢山傷ついて・・・
    ああ、タミーは自分の弱さを呪わずにはいられないわ」

山田「あはははははwwww」

まるたま「ゲッ・・・」

山田「さくらが魔法少女のコスプレをしているじょーwwwww」

まる子「山田、これはコスプレじゃないんだよ・・・」

山田「あははははwwwwオイラも魔法少女になりたいじょーwwwww」

たまえ「山田君、君は男の子だから魔法少女にはなれないよ・・・」

山田「どーしてだじょー!!」

その名の通りである
後半へ続く

―――――――――――

見滝原某所
ほむらハウス前

ジョセフ「ここが時を止めるというスタンド使いの隠れ家じゃな?」

承太郎「・・・」コクリ

ジョセフ「うむ、この家構え。凄まじいまでの権力とカリスマ性を感じる」

承太郎「誰かさんを思い出すな」

ジョセフ「まったくじゃ。さっきから嫌な予感が止まらんわい」

承太郎「中の様子は見えるのか?」

ジョセフ「明かりはついているんじゃが、目隠しが下がっている
     スピードワゴン財団から借りた熱感知センサーで探りを入れてみるとしよう」

承太郎「・・・」

ジョセフ「これはッ・・・!」

承太郎「何かわかったのか」

ジョセフ「中に2人いるぞッ・・・! 何かを話し合っているようじゃ!」

承太郎「どんな奴だ?」

ジョセフ「はっきりとはわからんが、1人は体格からして男じゃな。家族という風でもない」

承太郎「ジジイ、てめぇのことだから盗聴器のようなものも用意しているんじゃあないか?」

ジョセフ「あるにはあるんじゃが、設置は無理じゃな
     相手の情報が何もわからないのにこれ以上近付くことは
     それこそまな板を抱えて首を差し出しに行くようなものじゃ」

承太郎「・・・」



ほむらハウス内

悟空「こんな広い家、1人で住んでるんか?」

ほむら「そうよ」

悟空「ほえ~~~。それで、飯はまだか?」

ほむら「食事は後よ。真面目に聞いて」

悟空「わかった」

ほむら「あなたの実力を認めた上で相談させてもらうわね
    もうすぐこの町にワルプルギスの夜という超弩級の巨大魔女が現れる」

悟空「本当かぁ! でもなんでそんなことわかるんだ?」

ほむら「それは秘密」

悟空「あ、わかった! おめー未来から来たんだろう!」

ほむら「!?(見抜かれたというの・・・?)」

悟空「あはは、やーっぱそうだぁ! すんげーなぁ!」

ほむら「・・・タダ者ではないようね。なぜわかったの?」

悟空「あはは、オラの仲間にもそういう奴がいたんだ。未来からタイムマシンに乗って来て
   とんでもなくおっかねぇ敵が現れるって教えてくれた!」

ほむら(本当なのか冗談なのかわからない・・・)

悟空「そんで、そのプルプルなんとかっちゅーんはどのくらい強ぇんだ?」

ほむら「桁外れよ」

悟空「そうかぁ。オラワクワクしてきたぞ!」

ほむら「遊びではないの。ワルプルギスの夜は並大抵のことでは到底倒せない」

悟空「本当かぁ! よっしゃ、そんなら今日から目一杯修行して、そのプルプル何とかをぶっ倒す!」

スチャ
ほむら、悟空に銃を向ける

ほむら「考えが甘すぎるわよ」

悟空「へ?」

ほむら「ワルプルギスの夜が具現すれば、それだけでスーパーセルが起き、
    数千人規模の死者が出る。そういう魔女と戦うのよ」

悟空「なっ・・・セルが蘇るんか・・・!」

ほむら(さすがに動揺しているわね)

悟空(セル・・・もし地獄で修行してあん時よりも強くなってたら
   今のオラじゃスーパーサイヤ人になっても勝ち目はねぇ・・・
   でも、やるっきゃねぇな)

悟空「・・・安心しろ。死んじまった人達は、オラがドラゴンボールで生き返らせてやる」

ほむら「くっ・・・!」
思わず指に力が入る

悟空「・・・どうした」

ほむら「・・・今度ふざけたら引き金を引くから」

悟空「オラは真剣だ、ほむら」

ほむら「・・・!(何、この気迫)」

悟空「おめー達を守るように界王様に言われてここへ来た。プルプルなんとかにも、セルにも
   ぜってー負けねぇ。死んだ人達はちゃんと生き返らせる」

ほむら「・・・嘘をついたら許さない」

悟空「オラは嘘なんかついたことねぇ。ただの一度もな。それにオラ、滅法タフだぜ
   試しにその鉄砲で撃ってみるか?」

ほむら「・・・それはしない。嘘にしろ本当にしろ、無駄だから」

悟空「・・・」

ほむら「・・・」

悟空「腹減ったなぁ!」

ほむら(ドテーン)





ジョセフ「それにしても不気味じゃのう」

承太郎「?」

ジョセフ「奴はわしらを監視していた。その上承太郎が気付いた途端、銃撃じゃ」

承太郎「ああ」

ジョセフ「わしが見るに、スタンドのパワー如何はともかく、本体は相当頭の切れる奴じゃ
     今こうして、わしらが逆に偵察に来たということに、本当に気付いていないと思うか?」

承太郎「罠――という見方も出来るな」

ジョセフ「スタンドを見せずわしらの隙を突く為にあえて拳銃なぞ使った可能性もあるな」

承太郎「・・・バレているのなら隠れる必要もねぇ。そうでなきゃただの愚図
    ちょいと刺激してみるとするか」

スタープラチナ!!





悟空「はっ!?」

ほむら「何?」

悟空「ほむら、隠れろ! ものすげぇ気だ!」

ほむら「何の話?」

悟空「何かわかんねぇけどやべぇ奴がいる! かめはめ波ー!!」

ほむら「!?」

ドガッシャーン
窓全壊

承太郎「何ッ!!」

時よ止まれッ――!

承太郎「ジジイを閃光の起動から逸らし・・・一気に敵との距離を詰めるッ――!」

ドヒュー




ほむら「時が止まった・・・!?」

承太郎「オラァ!」

ほむら「ッ!!(この間の男・・・! こいつ、時を操れるの?)」バンバンバンバンバン

パシッピシッ
承太郎(くっ・・・! 銃弾で間合いを稼いだか・・・!
    ということは、やはりスタンドは近距離パワー型ではないな)

ほむら(前に会った時は5秒程度しかついて来なかったわ
    時を操る力は私の方が上かもしれない・・・ならば、『私の力で時を止める』)
カチッ

承太郎(あの盾が奴のスタンドか)

ほむら(銃弾が途中で逸れるなんて、どうなっているの!?)

承太郎(そっちの男もスタンド使いか。閃光を放っているのはこいつのようだな
    いや、この波動そのものがスタンドなのか?)

ほむら(まだ動いている・・・弾を込め直す時間を稼がないと
    小さい銃では心許ないわ)

承太郎(少女の方は時止め能力に特化したスタンド
    男は精密性を犠牲にして射程距離とパワーを極めたスタンド
    この2人は厄介なコンビということだぜ・・・!)

ほむら(くっ、あと1発しかない・・・お願いだから止まって!)
スチャ

承太郎(銃口を向けてきた――! デザートイーグルの弾は最大であと2発残ってることになるな
    時間がない・・・落とせるのはせいぜい1発だけだ。ここで本体を叩くしか無いな)
ダッ!

ほむら(当たれ・・・!)ドン

承太郎(く、届かない・・・! 限界だ、こいつを防ぐのがやっとかッ・・・!)

スタンドを防御の姿勢に変え、承太郎の時は止まるッ――!

ビスッ
弾丸はスタープラチナの腕に防がれた

承太郎(入っていた弾は1発だけのようだな。俺が動けるようになるまでどれくらいだ・・・?)

ほむら(銃弾が空中で止まった・・・時が止まっているせい?
    違う、この銃なら初速だけで20メートル地点近くまで飛ぶはず
    この男、動けなくなった状態でも銃は効かないの?)

承太郎(何を驚いているんだ? スタンドに実弾が通用するとでも思っていたのか?)

ほむら(銃弾を装填し――全て撃ち込む!)

承太郎(まずい・・・!)

バンバンバンバン――

ビスッビスッドス

ほむら(男の前に『見えない壁』がある・・・!?)

承太郎(馬鹿みたいにスタンドに全弾投入しやがった・・・こいつ、本当にスタンド使いか?)

そして時は動き出すッ――!

ほむら「うっ・・・!」

悟空「はっ! 瞬間移動か! ほむら、あぶねぇ!」
ガシッ
承太郎を羽交い絞めにする悟空

承太郎「何・・・!」

悟空「へへへ、悪ぃな。こっちもスピードにゃ自信があんだ」

承太郎「本体と一体化するタイプのスタンドか。確かにスピードはスタープラチナと互角だ」

悟空「ほむら、今だー! 撃てー!」

ほむら(別の銃を・・・! だけど、何発撃っても銃は効かないのよ!)
チャ

承太郎「おつむの方がもう少しばかり丈夫なら、てめぇにも勝機はあったかもな」

悟空「あっ・・・がっ・・・な、何だ・・・」

ほむら「・・・どういうこと?」

宙に浮いて承太郎とほむらの間に入る悟空

悟空「あ、が、・・・ど、どうなってんだ・・・頭が、い、痛ぇぞ・・・!」

承太郎(スタープラチナが見えないのか? すると、『2人ともスタンド使いではない』のか)

ジョセフが駆けつける

ジョセフ「助太刀するぞ承太郎! 無事か!」

承太郎「やれやれだ・・・勝負はもうついてるぜ、ジジイ」

ジョセフ「ん? こ、これは!」

――スタープラチナが男の頭を掴んで持ち上げているッ!

ほむら(いけない。もう一度時を止めて――)

承太郎「時を止めても無駄だぜ、お嬢さん」

ほむら「えっ・・・」

承太郎「とっくにスタープラチナの射程距離内だ。次に時を止めた瞬間
    お前は中学校を卒業する前にこの世を中退することになるぜ」

ほむら「くっ・・・」ガクッ

悟空「がっ・・・あぐっ・・・」

承太郎「さて――お前の目的を聞くとしよう」

ほむら「目的・・・?」

ジョセフ「うむ。あの日わしらを監視していたからには、何か目的があるはずじゃ」

ほむら「何のこと?」

承太郎「・・・ややこしい事になりそうだな」


キング・クリムゾーーン

ほむらはジョセフ達ではなくまどか達を見ていた
  ↓
承太郎と目が合った時、時間を止めて無難に隠れようとした
  ↓
時が止まったことで危険を感じた承太郎が追いかける
  ↓
時の止まった世界で追いかけられたことに驚いたほむらは危険を感じて発砲
  ↓
「写真」に写ったヴィジョンの正体を襲撃者(ほむら)と睨んだジョセフ達が偵察に来る
  ↓
スタープラチナの気を感じ取った悟空が先制攻撃
  ↓
双方の誤解が解けてめでたしめでたし ←今ここ


ジョセフ「うむ、どうやらわしらはとんでもない思い違いをしていたようじゃな、承太郎」

承太郎「初対面で銃を撃たれたんじゃ、警戒するなという方が無理な話だがな」

ほむら「あの時はごめんなさい」

ジョセフ「なに、気にするな! 承太郎は君のような日本人的な子が好みなんじゃよ」

承太郎(中学生に興味はねぇぞ、ジジイ)

承太郎「ところで聞きたいんだが、お前は鹿目まどかとはどういう関係だ?」

ほむら「・・・なぜ?」

承太郎「俺とジジイは今の今までお前を『魔女』って奴と繋がりがあると踏んでいた
    まどかにそのことを尋ねたら、やや興奮気味に否定していたんだ
    それで俺は、まどかはお前を無理に庇っているんじゃあないかと考えた」

ほむら「クラスメイト。それだけよ」

承太郎「・・・そうか」

悟空「ところでよー、おめーすんげぇ強ぇなぁ! オラこんな強ぇ奴と戦ったの久々だぞ!」

承太郎「・・・(ただ捕まえただけだ)」

悟空「ほむらが言ってたんだけどさ、今度プリプリなんとかっちゅー化けモンが
   この町に現れるらしい。その時にセルって奴が復活しちまう
   そいつらを倒すにはオラ達だけじゃなく、他にも強ぇ仲間が必要なんだ」

承太郎「・・・ほう」


ジョセフ「近頃の中学生は発育がいいからのう! なぁほむらちゃん」

ほむら「撃たれたいの?」

ジョセフ「そうではないんじゃ! もちろんわしは断然貧乳の女の子が好きじゃよ!」


悟空「だからおめーも一緒に戦ってくんねーかなぁ」

承太郎「・・・」


ジョセフ「や、やめるんじゃほむらちゃん! そこは駄目じゃ!」


悟空「他の魔法少女達も集めておくよ」

承太郎(やれやれだ)



――――――――――――――

見滝原、マミハウスにて

まどか「は・・・初めまして」

さやか「どうも・・・」

マミ「そんなにかしこまらなくてもいいわ」

杏子「ちーっす」
リンゴをかじっている

マミ「これから一緒に魔女退治をしてくれる佐倉杏子さんよ」

杏子「あたしはそんなこと言ってねーだろ!」

マミ「まあまあ」

さやか「うわ、態度悪ぅ・・・」

まどか「鹿目まどかです。私は魔法少女じゃないけど・・・よろしくね」

杏子「魔法少女じゃないだって? おいおい、それどーすんのさ」

マミ「まどかは直接戦わないけれど、ちゃんと私達を支えてくれる大切な友達よ」

まどか「なんか、ごめんね・・・」

さやか「そうそう。魔法少女は楽じゃないんだから、うちらが強要することじゃないしさ」

杏子「あんたは魔法少女の苦しさがわかるのかよ」

さやか「ああ・・・?」

マミ「もう、会って早々喧嘩しないの、2人とも」

さやか「・・・はーい」

杏子「ケッ。名前は何てーのさ」

さやか「むっかー! 私は美樹さやかだ! 覚えとけ!」

杏子「へいへい。お前、どーせ新米だろ? 怪我して泣くんじゃねーぞ」

さやか「くー・・・! マミさん、この子何なの!?」

マミ「こういう子なのよ。でも戦友としてこんなに頼もしい人はいないわ
   佐倉さんは、あの悟空さんに負けを認めさせたんだから」

さやかまどか「ええええええ!?」

杏子(あれはあいつが謙遜してただけなんだけど・・・)

まどか「悟空さんって、よくグリーフシード持って来るよね・・・
    それってすごく強いってことだよね・・・」

さやか「あれ以上だなんて、完璧化け物じゃん・・・」

杏子「ま、まあ、そういう訳だから、せいぜい足引っ張らないように頑張れよ」

さやか「でもムカつく・・・」

マミ「それじゃあ、作戦会議などなどはまたの機会にして、今日は気楽に話しましょう
   ケーキを焼いてあるの」

まどか「さすがマミさん!」

杏子「マジ!? あ・・・」

マミ「ええ、マジよ」

さやか「リンゴ食べてたくせにお腹空いてるんだー」

杏子「う、うるさいな!」

まどか「マミさんの手作りケーキ、すっごく美味しいんだよ」

その頃、ジョセフ・ジョースターは

ジョセフ「思い切ってケーキを焼いて来たぞ、承太郎」

承太郎「ほう、今日は誰かの誕生日だったか? それはそうと、味見はしたんだろうな」

ジョセフ「無論しておらん」

承太郎「・・・それで? そのケーキを俺に食えと言いたいのか? てめぇは」

ジョセフ「せっかく焼いたんじゃ。食べてくれる人がいるほうがいいに決まっとるわい」

箱を開けるジョセフ

承太郎「・・・ジジイ。てめぇはさっきケーキを焼いて来たと言った」

ジョセフ「うむ」

承太郎「だが箱の中に入っていたのはケーキじゃあなかった」

ジョセフ「なんじゃと!?」

承太郎「てめぇの目にはこいつがケーキに見えるってーのか、ジジイ!」

ジョセフ「見える見えないじゃあなく、立派なケーキじゃ!」

承太郎「ジジイは俺に『逆上するな』と言っていた 
    『逆上すれば相手の思う壺だ』と・・・だがな
    こんなことを見せられて、頭に来ねぇ奴はいねぇ・・・!」






―――――――――――

清水市某所

山田「あはははははwwwwオイラ魔法少女になったじょーwwww」

ブー太郎「山田が魔法少女だなんて納得行かないブー」

はまじ「そもそも山田は男だぜ? 少女じゃないじゃんかよー」

永沢「フン。どうせお母さんにドンキホーテで買ってもらったコスプレグッズだろう」

山田「そうだじょーwwwwかっこいいじょーwwww山田ボンバーだじょーwwww」

ポケーン

ある日、見滝原の病院

ジョセフ「なに! 完治したじゃと!?」

受付「え、ええ・・・前にあなたがいらしてから間もなくのことです」

ジョセフ「恭介の手は治らんはずじゃなかったのか!?」

受付「先生はそうおっしゃってたんですが、不思議なこともあるんですねぇ」

ジョセフ「間違いないぞ、恭介はスタンド能力を発現したんじゃ! これは何かある!」
ダダッ

病室
バーン

ジョセフ「はっ! 恭介がいない! しまった、脱走した後じゃったか!」

看護婦「あのー、院内では静かにしてくださいね」

ジョセフ「これはすまなかった! だが緊急事態なんじゃ! ここに入院していた
     上条恭介という少年が逃げ出してしまった!」

看護婦「上条君ならリハビリ室にいますけど」

ジョセフ「コホン。この廊下から見える夕日は綺麗ですな
     看護婦さんも夕日に負けず劣らず綺麗ですぞ」

看護婦「それはどうもありがとうございます(こっちは日は当たってないけど・・・)」

ジョセフ「リハビリ室はどちらですかな?」


リハビリ室にて

上条(まるで自分の手じゃないみたいだったのに、感覚がこんなにはっきりしてる
   夢じゃないんだよね。本当に治ったんだよね)

バーン
ジョセフ「ヒーロー参上じゃ!」

上条「ん? あなたはこの前の」

ジョセフ「1人きりでリハビリをしているじゃとッ! それも大真面目にじゃ!」

上条「は、はい。あれから急に手が動くようになって、寝てる意味ももうなくなりましたから
   ・・・先日は初対面なのに失礼な態度を取ってしまってすいません」

ジョセフ「(油断禁物、ここは先に仕掛けるぞい)ハーミットパープル!」

上条「え?」

ジョセフ(どうした、早くスタンドで身を守れ。さあ!)

上条「えっと・・・」

ジョセフ(恭介の前ギリギリまでスタンドを伸ばしてもまばたき1つしないじゃと!?
     わしにはわかる。100%じゃ! この少年、スタンドが見えていない!)
ジョセフはスタンドを引っ込めた

ジョセフ「ははは、手が治った記念に歌をプレゼントしに来たんじゃ
     これがまさにハーミットパープルという歌なのじゃよ!
     フンフンフーンラララールルル」

上条「はは、そうでしたか。わざわざすいません。素敵な歌ですね」

ジョセフ「そうじゃろう? ランランラー」

上条「あなたは、どうして僕のことを気遣ってくれるんですか?」

ジョセフ「そうじゃった。前に話した調べ事の続きでな
     君の手が治ったことと何か関係があるんじゃあないかと思ったんじゃ」

さる来た。基準わからん

上条「僕にもさっぱりわからないんです。あなたと会って何日も経たない頃
   朝目が覚めたら感覚があるのに気付いて・・・」

ジョセフ「ふむ。何かきっかけのようなものがなかったかね?
     どんな些細なことでもいいんじゃ」

上条「強いて言うなら、あなたと会ったことです
   他に珍しいことなんて何一つなかったし」

ジョセフ「うーむ、わしは何もしておらんし、奇跡が起きたと言うしかないのかのう」

上条「奇跡・・・そっか。結局さやかの言ってた通りになったんだなぁ」

ジョセフ「む? さやかちゃんがどうかしたかね」

上条「いえ、別に。さやかはバイオリンが弾けなくなった僕に
   よくクラシックのCDを聴かせたりして励ましに来てくれて・・・
   でも、ある日ちょっと滅入ってしまって、さやかにひどいことを言ってしまった」

ジョセフ「・・・」

上条「その時、彼女は言ったんです。『奇跡も魔法もあるんだ』って
   今思えば、妙に確信めいた言い方で。ははは、さやかのおかげなのかもしれませんね」

ジョセフ(やはりどうも引っかかるのう。さやかちゃんがここによく来ていたのは事実だし
     しつこいようじゃが、もう一度あの子に会ってみるかのう)





――――――――――
翌日、夕方

まどか「今日の先生、ほんっとおかしかったねー
    そうだ、さやかちゃんもマミさんの家行く?」

さやか「あー、今日はちょっと」

まどか「何か用事でもあるの?」

さやか「あのエロジジイに呼び出されてんだ」

まどか「それってジョースターさんのこと?」

さやか「そうそう。どうしても話したいとか言ってさー」

まどか「うーん、悪い人じゃなさそうなんだけど、2人っきりで会うのはね・・・」

さやか「あぁ、大丈夫大丈夫! もし手出して来たら魔法で撃退してやるから」

まどか「あはは、駄目だよ、それはちょっとひどいよ」


その後、町内のカフェ

さやか「こんにちは、エロジジイことジョースターさん」

ジョセフ「お、来てくれたか。急に呼び出したりしてすまんのう」

さやか「本当だよ。言っとくけどあたし結構ガード堅いから」

ジョセフ「ほう、それは残念じゃ」

さやか「それじゃー、その話はなかったということで」

ジョセフ「違うんじゃ。わしは君に愛の告白をする為に呼び出したんじゃあないんじゃ」

さやか「何よ」

ジョセフ「上条恭介君のことなんじゃ」

さやか「・・・恭介がどうかした?」

ジョセフ「(疑惑が確信に変わったわい)君は恭介の手が治ったことについて
     何か関わっているんじゃあないかね?」

さやか(い、いきなり核心!? しかも当たり・・・どうしよう
    うーん、ばらしても特に怖いことはないと思うけど・・・
    でもこの人のことだからまた何か変な勘違いして暴れ出しそうだしなぁ・・・)

さやか「さ、さぁー? 何のことでしょう(っていうかどこまで知ってるのよ・・・)」

ジョセフ「(百戦錬磨のジョセフ・ジョースター、隠し事には敏感じゃぞ)
     男の性というやつでのう、隠されると無性に見たくなってしまうということがある
     見えそうで見えないというのが一番行動力を掻き立てるんじゃ
     そう、例えばそこのウエイトレスさんが床のゴミを拾おうとして
     オッパイが見えそうになったら、ちょっと腰を浮かして覗き込んでしまうじゃろう」

さやか「うわ・・・」

ジョセフ「ところが、わしが今見ようとしているのはオッパイじゃあない
     ひょっとしたら怖いお化けかもしれん
     放っておくと後ろから噛み付いてくるような危険なお化けじゃ
     だからそれを引きずり出して倒す為には手段は選ばんつもりじゃぞ」

さやか「(なんかやばいな・・・)そ、それであたしに何の用かしらー」

ジョセフ「さっき言った通りじゃ。わしは恭介の手をどうやって治したのか聞かなきゃならん」

さやか「うぅ・・・バレバレみたいだね」

ジョセフ「はっはっは、なに、安心しなさい。君が味方であるという確証が欲しいだけじゃよ」

さやか「あはは、そっか・・・ふぅ。じゃあ白状しますとも・・・信じられないと思うけど」


さやかはキュゥべぇとの契約の話をした

さやか「――まぁ、普通の人からしたら馬鹿みたいな話だよね」

ジョセフ「そうじゃな、普通の人が聞いたら夢か幻かというところじゃろう」

さやか「普通じゃないんだったね・・・」

ジョセフ「そこで、問題のスタンド――もとい、魔女というやつじゃ」
病室に写った人魚の写真を見せるジョセフ

さやか「これって・・・」

ジョセフ「そう、恭介の病室じゃ。このまがまがしい人魚は何だと思う?」

さやか「そりゃあどう見ても魔女だけど・・・あそこに魔女の気配なんかなかったはず」

ジョセフ「ひょっとすると、病室にいる『何か』の潜在的な一面が
     拡大されて写ってしまったのかもしれん
     君はアンデルセン童話の『人魚姫』を知っているかね?」

さやか「あの人魚姫なら、そりゃあ知ってるけど?」

ジョセフ「人魚姫は、ある二枚目な男と仲良くなりたい一心で、魔女と契約して人間になるんじゃ
     声と引き換えにな。ところが肝心の二枚目は別の女と結婚しおった
     人魚姫は男を殺めるよう魔女に唆されるが、最後は思いとどまって自殺してしまう」

さやか「・・・」

ジョセフ「この哀れな姫と途中までよく似ている人物が身近にいるはずじゃ
     わしには目星がついているがな」

さやか「・・・あたしか」

ジョセフは指を鳴らした

ジョセフ「恭介のことが好きなんじゃろう」

さやか「ば・・・。あいつはただ昔から知ってるだけで、腐れ縁みたいな関係だから」

ジョセフ「さやかちゃんは人魚姫にならんようにな
     幸い、君は声を失ってはいないじゃろう。誰かに取られんうちに
     思い切って告白するんじゃ!」

さやか「はーあ、恭介なんて別に好きっていうか、そんなんじゃないっての」

ジョセフ「まぁいいわい。わしが聞きたかったのはそれだけじゃ
     魔女退治で困ったことがあったら出来るだけ協力するぞ」

さやか「そりゃどーも」

さやか(告白ねぇ・・・)

   (マミ『あなたは彼に夢を叶えてもらいたいの? 
       それとも、彼の夢を叶えた恩人になりたいの?』)

さやか(マミさん。あたしは、あたしのことなんか、どうでもいいんだよ
    恭介さえ幸せになってくれれば、それでいいんだ)





桜新町、磯野家

タラヲ「アハンハンハンハーン!(泣」

カツオ「今度はどうしたんだいタラちゃん!?」

タラヲ「イクラちゃんが僕のオモチャ壊しちゃったです!」

カツオ「ええー!?」
ダッダッダ

イクラ「バブー何だこらこのクソオモチャはよーバブー!
    こんな簡単に壊れるなんて聞いてねぇぞバブー!」

カツオ「イクラちゃん、乱暴に扱ったら駄目だよ」

イクラ「バブーうっせーんだよハゲがバブー!
    説教垂れる暇あったらちっとマシなオモチャでも持ってくるか
    こいつを直すかしろバブー! てめぇ大人だろうがバブー!」

カツオ「どれどれ、見せてごらん。あーこれは駄目だなぁ
    きちんと直すにはお店に修理に出さないと」

イクラ「バブーナメたこと抜かしてんじゃねーぞこらバブー!」

ガラッ
ワカメ「それには及ばないわ」

カツオ「ワ、ワカメ! 変身して入ってくるなんてどういうつもりだい?」

ワカメ「イクラちゃん、そのオモチャは私が直してあげる」

イクラ「ばーぶばーぶ!」

ワカメ「貸して」

イクラ「ハーイー」

ワカメは手に取ったオモチャにソウルジェムを近付けた
ピカーン

カツオ「ソウルジェムが輝いてる!」

ワカメ「ほら、直ったわ」
オモチャは新品同然になった

イクラ「ハーイ!」

カツオ「ええー!? 本当だ・・・オモチャが本当に直ってる!」

ワカメ「私ね、お父さんの失われた髪を元に戻す願いで魔法少女になったでしょ?
    だから、壊れてしまった物を再生・復活させる能力を手に入れたの」

カツオ「そうなんだ。なるほどねぇ・・・お、待てよ? うーん、これは使えるぞ」





――――――――――
見滝原の某飲食店

仁美「本当にそれだけ?」

さやか「・・・」

仁美「私、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって。あなたはどうですか?
   さやかさん、あなた自身は本当の気持ちと向き合えますか?」

さやか「え、何の話をしてるのさ・・・」

仁美「あなたは私の大切なお友達ですわ
   だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんです」

さやか「・・・」

仁美「上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ
   だから、あなたには私の先を越す権利があるべきです」

さやか「仁美・・・?」

仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。丸一日だけお待ちしますわ
   さやかさんは後悔なさらないよう決めてください
   上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」

さやか「あ、あたしは・・・」

席を立つ仁美

さやか(どうしよう・・・エロジジイの言ってた通りになっちゃった
    恭介が誰かと結婚するなんて遠い将来のことだと思って
    あたしはまだ何も考えることないと思ってた)



その頃、ジョセフ・ジョースター

ジョセフ「何じゃと承太郎! 魔女とスタンドは根本的に別物じゃと言うのか!?」

承太郎「それに連中が使っているのはスタンドじゃあないぜ」

ジョセフ「スタンドでなければ何だというんじゃ? 承太郎」

承太郎「言い回しとして適切かどうかは知らねぇが、『魔法』ってやつなんだろう」

ジョセフ「なるほど、スタンド使い同士が引かれ合うのに対し、
     わしらが一向に魔女を捕まえられずにいたのはそういうことだったのか!」

承太郎「そこら辺は奴らに任せた方が利口かもな」

ジョセフ「うむ・・・だがしかし、ワルプルギスの夜という奴はどうするんじゃ?
     放っておいて、わしらが巻き込まれたら笑い話にもならんぞ」

承太郎「いずれぶつかることにはなるかもな」

ジョセフ「そうじゃ。その時になって『どうしていいかわからない』では
     運がよくても逃げる一方、最悪死ぬことになるじゃろう
     備えあれば憂いなしじゃ。美少女隊と結託し、魔女の情報を引き出そう」

承太郎「・・・やれやれだぜ」

その夜
マミハウス

マミ「あら、空条さんにジョースターさん」

承太郎「すまんな、夜に突然」

ジョセフ「わしらは魔女についてもっと詳しく知りたいんじゃ
     魔女退治に関してはマミちゃんが一番教えてくれそうだからのう
     こうして話を聞きに来たんじゃ」

マミ「それならちょうどよかったわ。たった今パトロールに向かうところだったの
   少し遠くからになるけど、戦いを見学してもいいわよ」

ジョセフ「ほう、それはありがたい」

マミ「ただ・・・」

ジョ・承「?」

マミ「あなた達が本気で魔女と向かい合うつもりだという前提で言わせてもらうわね
   基本的には2人を最優先に守るけど、もしもの時は――覚悟してね。それだけよ」

ジョセフ「なめてもらっては困るのう。逆にマミちゃんが危なくなったら
     わしらが全力で援護するぞ」

マミ「甘く見られたものね。私も魔女も」

承太郎「・・・」

見滝原某所、魔女結界の前

ブーン
マミ「これが結界。この向こうに魔女がいるわ」

ジョセフ「うーむ、恐ろしく奇怪な外形じゃのう」

承太郎「・・・」

マミ「あら? 中に誰かいるわ。魔法少女よ」

ジョセフ「何ッ! それなら、急いで助けに行くべきじゃ!」

マミ「それがそうとも限らないのよ。魔法少女はソウルジェムの穢れを浄化する為に
   グリーフシードを手に入れなければならない
   これを巡って魔法少女同士で争いになることもしばしばあるの
   だから、中で戦っている子が私達の味方とは限らないのよ」

承太郎「魔女と魔法少女・・・敵が合計2人いるとしても、こっちは3人だぜ」

マミ「いいえ、いざとなっても私1人で戦うわ。いずれにしろ、入ってみないことには
   状況はわからない。行きましょう」

結界内部

マミ「あれは・・・美樹さんだわ」

承太郎「さやかだったのか」

ジョセフ「ん? もう1人、誰かいるぞ?」


さやか「ったああああ!!」
闇雲に突っ込んでいくさやか

まどか「さやかちゃん・・・」


マミ「あそこにいるのは鹿目さんね」

承太郎「まどかは魔法少女じゃないんだろう?」

マミ「ええ、今はまだ。それよりも、美樹さん、苦戦してるようね。離れてて!」

飛び込んでいくマミ

さやか「はぁ、はぁ・・・くそ! うああああああ!!」

マミ「無茶をしてはいけないわよ、美樹さん」

さやか「! マミさん・・・?」

ズドドドドドドン

マミは大量のマスケット銃で使い魔達を蹴散らした

まどか「マミさん・・・来てくれたんだ」

マミ「美樹さん、傷だらけじゃない。駄目よ、あなたはまだ慣れてないんだから」

さやか「・・・大丈夫、あたし痛くないから」
さやかの傷が消えていく

マミ「傷を癒すのにも魔力を消耗するでしょう
   そんな戦い方ではグリーフシードが余計に必要になるわ」

さやか「くっ・・・」

マミ「あなたは何をそんなに苛立ってるの?」

さやか「・・・別に。何でもない」

ジョセフ(昼間に何かあったんじゃな)

マミ「まぁいいわ。今回は私がやるから、あなたはそこで休んでて」

さやか「嫌だ・・・この程度の魔女から逃げてたら、あたしはずっと何も出来ない」

まどか「マミさんの言う通りだよ・・・こんなに傷つきながら戦う為に
    さやかちゃんは魔法少女になったんじゃないって・・・思う」

さやか「うるさいよ・・・あたしは自分の為に魔法少女になった訳じゃない
    だからあたしなんかどうなったっていい・・・強くなってやる!」
2人を振り切って飛び出すさやか

まどか「さやかちゃん!」
魔女の沢山の手がさやかに伸びる

マミ「いけない! 援護射撃を・・・間に合わない・・・!!」

ジョセフ「ハーミットパープル!!」
スタンドでさやかを捕まえるジョセフ

さやか「!?」

ジョセフ「さあこっちへ来るんじゃ」

さやか「何、どうなってるの? くっ・・・放せ!!」
ジョセフの前へ引き寄せられる

まどか「ジョースター・・・さん・・・?」

マミ「ありがとう。これで遠慮なく撃てるわ。あなたも魔法少女だったのね」

まどか「マミさん、それ違うと思う・・・」

承太郎「・・・」

マミ「さあ、可愛い後輩をいじめてくれたお礼よ!」
ズドンズドン ベチーン


さやか「・・・」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「何で止めるのさ・・・」

ジョセフ「君にはまだ早いんじゃあないのか?」

さやか「何だと・・・!」

ジョセフ「ジョースター家には代々戦って勝つ為の重要な戦術が伝わっている
     それは逃げることじゃ」

さやか「逃げてどうなる? 魔法少女が逃げ出したら誰が魔女からみんなを守るの!?」

ジョセフ「わしは昔から作戦上敵から逃げたことは何度となくあるが、
     戦いそのものを放棄したことは一度もない。そして最後には必ず勝って来た
     自分より強い敵と戦うには第一に身を守らなければならないんじゃ」

さやか「あんたには関係ないでしょう・・・あたしはあたしのやり方で戦い抜いてみせる」

ジョセフ「ふむ・・・一体何があったんじゃ? 何をそんなに荒れてるんじゃ」

さやか「別に・・・あたしは冷静だよ」

ジョセフ「恭介じゃな?」

さやか「っ・・・!」

ジョセフ「振られてしまったのかのう? ははは、それはしょうがないのう」

さやか「違う!」

剣をジョセフの喉元に向けるさやか

まどか「あ、駄目!」

ジョセフ「・・・?」

承太郎「・・・」

さやか「そんなんじゃねーよ・・・そんなんじゃ・・・!」

ジョセフ「・・・当たらずも遠からず」

さやか「くっ・・・」

ジョセフ「じゃな?」


マミ「ティロ・フィナーレ!」
ドカーン

魔女は消滅した
結界が消える

さやか「・・・笑いたいんでしょ。笑えば? 恭介の為に魔法少女になって
    恭介は親友に取られて・・・あたしは何も言えずウジウジしてる訳よ・・・
    ね、おかしいでしょ? はは、おかしいよね!」

承太郎「おかしいのはてめぇの頭だ、愚図」

さやか「はっ・・・!?」

承太郎「テメェでテメェのこと追い詰めといて、人に同情してもらおうってのは
    ちょっと無理があるんじゃあねーか」

さやか「あんたに何がわかるのさ! 魔法少女はあんた達と違って
    もう普通の暮らしは出来ないんだよ! 普通の恋なんて出来ないんだよ!」

マミの所へ歩き出す承太郎

マミ「・・・美樹さん・・・」

承太郎「マミ、そいつは何だ?」

マミ「これ? ええ、これがグリーフシード。ちょっと待ってて」
マミは手に入れたグリーフシードでさやかのソウルジェムを浄化した

承太郎「用が済んだなら、そいつをしばらく俺達に貸してくれないか」

マミ「何ですって?」

承太郎「魔女が持っていたものだろう。成分を詳しく分析したい」

マミ「でも・・・」

さやか「おいシカトかよてめぇ・・・そっちから喧嘩売っといて何なんだよ!」

承太郎「うるせー、うっおとしいぜ。てめぇが今やるべきことは
    失恋したショックの泣き言を俺に言うことか?」

さやか「この野郎・・・!」

承太郎「てめぇは魔女と戦うより先に家に帰ってココアでも飲みながら
    自分の気持ちの整理をするんだな。俺は魔女の特徴や弱点を調べる」

さやか「くそ・・・」

マミ「空条さん、これは魔女の卵。危険なものなのよ。一般人に貸すことは出来ないわ」

スタープラチナ! 時が止まる!

承太郎「ジジイ、こいつをスピードワゴン財団に解析してもらうぞ」

ジョセフ「そうじゃな」

マミ「はっ・・・! いつの間にグリーフシードを・・・!?」

去っていく承太郎達

マミ「待ちなさい! あっ・・・」

さやか「うっ・・・うぅ・・・」

マミ「美樹さん・・・」





――――――――

悟空「結構貯まったなー」

QB「まずいよ悟空。グリーフシードは放っておくと孵化して魔女を生み出してしまうんだ」

悟空「へ!? そうだったのけ!?」

QB「君はそんなことも知らずに集めていたのかい?
   それより、いくつかはもう孵化寸前だ! 早くそのグリーフシードを僕に!」

悟空「わかった! 受け取れ!」

カパ
ボトボトボトボトボト

QB「そんなに入り切らないよ! 孵化しそうなやつを選んで入れてくれ!」

悟空「ど、どれだ!? どれがあぶねーんだ!?」

QB「えっと、これと、これと、あーこれもだ。もう、これじゃ埒が明かない」

悟空「キュゥべぇ、すまねぇー!」

大量のグリーフシードをキュゥべぇの背中に押し込む悟空

QB「何てことをするんだ悟空! 体がパンクしてしまう!」

悟空「はああああああ!!」




翌日の夕方

上条「でもさ、志筑さんって帰る方角はこっちなんだっけ
   今まで帰り道で見かけたことってないような」

仁美「ええ、本当は全然逆方向ですわ」

上条「え・・・じゃあ、今日はどうして?」

仁美「上条君に・・・お話ししたいことがありますの」



さやかハウス前

まどか「え? 帰ってないんですか。昨日から・・・そんな
    はい・・・わかりました。はい・・・失礼します」

まどか(さやかちゃん・・・探さなきゃ)

さやかの乗った電車の中

ホスト「いやー本当。女は人間扱いしちゃ駄目っすね。犬か何かだと思ってしつけないとね」

ショウ「あいつもそれで喜んでる訳だし?」

ホスト「顔殴るぞって脅せばまず大抵は黙りますもんね」

ショウ「ちょっと油断すると、すぐつけ上がって籍入れたいとか言い出すからさ
    甘やかすの禁物よ。ったく、てめぇみてーなキャバ嬢が10年後も同じ額
    稼げるかっての。身の程わきまえろってんだよ」

ホスト「ええ、捨てる時もさー本当うざいっすよね。その辺ショウさん上手いから
    羨ましいっすよ。俺も見習わないと」

さやか「ねぇ、その人のこと聞かせてよ」

ホスト「はい?」

さやか「今あんた達が話してた女の人のこと、もっとよく聞かせてよ」

ショウ「お嬢ちゃん中学生? 夜遊びはよくないぞ」

さやか「その人、あんたのことが大事で、喜ばせたくて頑張ってたんでしょう?
    あんたにもそれがわかってたんでしょう? なのに犬と同じなの
    ありがとうって言わないの? 役に立たなきゃ捨てちゃうの?」

ショウ「何こいつ・・・知り合い?」

ホスト「いや・・・」

さやか「ねぇ、この世界って守る価値あるの? あたし何の為に戦ってたの? 教えてよ
    今すぐあんたが教えてよ。でないとあたし・・・」
変身するさやか

ショウ「え・・・えっ・・・!?」

グチュ


翌日、マミハウス

まどか「さやかちゃん、今日学校来なかった・・・」

マミ「相当落ち込んでるみたいね」

まどか「はい・・・どうしよう、あの時追いかけなきゃ駄目だったのに・・・」

マミ「恋に悩む年頃なのはわかるけど、魔法少女としては致命的ね」

まどか「・・・」

マミ「あれから家にも帰ってないみたいだし、さすがに心配だわ」

まどか「はい・・・私、もう一度さやかちゃんを探しに行ってみます」

マミ「キュゥべぇ、あなたのテレパシーで美樹さんの居場所がわからない?」

QB「残念だけど、さやかのソウルジェムがここ2日くらいで急激に穢れを溜めてしまった
   そのせいで魔力のパターンが大幅に変わってしまっているんだ
   だからさやか1人を特定して探し出すのは極めて難しいよ」

マミ「そう・・・鹿目さん、私も行くわ。佐倉さんや悟空さんにもお願いしてみるわね」

まどか「ありがとうございます」

まどかは家を飛び出して行った

QB(まどかについて行くべきだろうか・・・いや、違うな
   今ならさやかを見つけ出したい一心で契約してくれるかもしれないが
   そこを突くのはさやかが完全に魔女化してからだ
   変わり果てたさやかを見れば、まどかは魔法少女になったその日に
   絶望のあまり一気に魔女になってくれるだろう
   今は待った方がいい。その方が返って早い)




清水区(旧清水市)某所

魔女「ぎいああああああ」
結界が壊れる

まる子「はぁ・・・はぁ・・・あたしのソウルジェムはもう真っ黒だよ・・・トホホ」
ガクッ

たまえ「まる・・・ちゃん」
瀕死のたまえ

まる子「たまちゃん! ぬぅー・・・待っててねぇ、今そっち行くよ・・・」
這っていくまる子

たまえ「眼鏡がくもっちゃった・・・まるちゃん、そこにいるの?」

まる子「ええ、あたしゃここにいるよたまちゃん」

たまえ「空・・・綺麗だね」

まる子「えっ・・・」

曇り空である

まる子「たまちゃん、あんた目が・・・」

たまえ「あはは・・・そっか。私もう駄目なんだ」

まる子「駄目って何がよ!? 何言ってんの!」

たまえ「ごめんね・・・私死んじゃうみたい」

まる子「嘘だよ! たまちゃんが死ぬ訳ないじゃないよ!」

たまえ「ごめんね・・・」

まる子「だって、あたしゃあの時キュゥべぇと契約したんだよ!」

たまえ「私、もっと早く魔法少女になるべきだったんだよね
    あの時、まるちゃんにばっかりみんな任せて
    ずっとまるちゃんの陰に隠れてたから、罰が当たったんだよね」

まる子「馬鹿言っちゃいけないよ! 罰なもんか!
    たまちゃんは、たまちゃんは・・・あたしの親友なんだよ!?」

たまえ「小学校のこと、覚えてる・・・?
    まるちゃんが魔法少女になってから、色んなことがあったよね」

まる子「何さ・・・思い出話なんか帰ってからすりゃいいでしょうが!
    何これで最後みたいな雰囲気出してんのさ!」

たまえ「私達・・・人間じゃなくなってたんだね
    みんなが大人になっていく中、私達だけ子供の姿のままだった」

まる子「・・・!」

たまえ「体はもう・・・成長をやめてた・・・死体も同然だったんだね」

まる子「たまちゃん・・・!」

たまえ「私は先に本当の姿に戻るよ・・・最後のグリーフシードはまるちゃんが使って」

まる子「嫌だ嫌だ嫌だ! たまちゃん・・・あたしゃあんたのことを死なせたりしないよ!」
たまえの懐からグリーフシードを引ったくる

まる子「さあ、あたしの愛を食らいなたまちゃん!」

たまえ「まるちゃん。私の願い、叶ったよ・・・」
たまえの変身が解ける

まる子「そんな・・・ソウルジェムが・・・」

割れていた

まる子「冗談じゃないよ・・・たまちゃん!!」

たまえ「・・・」

まる子「たまちゃんが・・・死んじゃった・・・」

雨が降り出す

まる子「・・・そんな」

まる子のソウルジェムの穢れが蠢き始める

まる子「っキュゥべぇーーーーーーーー!!」

背後に現れるキュゥべぇ

QB「呼んだかい?」

まる子「どういうことさ・・・! あんたあたしを騙したね!?」

QB「おかしいなぁ。2人の願いはちゃんと叶ったはずだし、魔法少女にもなれたじゃないか」

まる子「あたしゃ『世界中の魔法少女が幸せになるように』ってお願いしたはずだよ!?

しえn

    これのどこが幸せだってのさ! 親友が目の前で死んだんだよ!?」

QB「それは難しい注文だなぁ。想定外だ。だって君はこれまでたまえと一緒に過ごした日々を
   幸せだと確かに感じていたはずだ。それを今になって不幸だったと言い直すのかい?」

まる子「そんな屁理屈で『はいそうですか』って納得すると思うのあんた!?」

QB「してくれないと困る。例えば『プロのスポーツ選手になりたい』という願い事を
   した魔法少女がいたとする。彼女の祈りは聞き届けられ、晴れて
   スポーツ選手になったとするだろう? それが、10年、20年と過ぎていって
   規則だとか事故だとか、何らかの理由で引退することになった時に
   『約束が違う』なんて言い出す子がいるかなぁ?」

まる子「そういう話じゃないでしょうが!」

QB「どうしても納得してくれないみたいだね。しょうがないか
   君ら人類は、僕らインキュベーターとはかけ離れた価値観を持っている」

まる子「もういい・・・あんたを殺してやる・・・!」

QB「それで気が済むのなら、それがいいんだけど
   君1人がグリーフシードに変化するより、君の力でこれからも
   多くのグリーフシードを集めてくれた方が、僕としても助かるからね」

まる子は四つ葉をあしらった魔法の杖をかざした
ドヒューン

キュゥべぇは真っ二つになった

まる子「はぁ、はぁ・・・」

QB「気は済んだかい?」

まる子「はっ!?」

旧キュゥべぇを食べる新キュゥべぇ

QB「キュップイ」

まる子「あんた・・・悪魔だ・・・」

QB「ソウルジェムはますます濁ったみたいだね。今すぐ浄化しないと手遅れだ」

まる子「ん・・・ぐっ・・・!」

QB「ちなみにたまえの願い事は、ついさっき成就したよ
   このことについても説明したほうがいいかい?」

まる子「はぁ、胸が苦しい・・・息が出来ないよ・・・!」
ドクン

QB「『まるちゃんと一生友達でいられますように』だ。たまえの一生は終わった訳で
   それまで、しっかりまる子と友達でいた。まさに願い通りじゃないか」

まる子「う、うう・・・くはあっ!!」
ドクン

QB「ここに新しい魔女の誕生だ」

まる子「・・・わああああああああああ!!」
ピキッ

男「さくら! 受け取れだじょ!」
誰かがまる子にグリーフシードを投げつけた

キン――
ソウルジェムが浄化される

まる子「がっ・・・」

男「危ないとこだったじょ・・・」

あおのけに倒れるまる子

まる子「あんたは・・・」

QB「止まったようだね。間一髪だ」

男「オイラだじょ。山田だじょ」

まる子「山田・・・その格好は・・・」

山田「オイラ本当に魔法少女になったんだじょ」

まる子「・・・?」

山田「母ちゃんがオイラをキュゥべぇと契約させる為に性転換手術を受けさせてくれたんだじょ」

まる子「え、えぇー!?」

とんだ母親である

QB「僕はそろそろ行かないと。またグリーフシードを手に入れたら呼んでよ」
消えて行くキュゥべぇ

山田「おかげでオイラ、頭がよくなったんだじょ」

まる子「山田・・・うぅ・・・たまちゃんが、たまちゃんが・・・!」

山田「穂波・・・?」
たまえに駆け寄る

山田「・・・死んでるじょ・・・!」

まる子「どうしてだい・・・どうしてあたしを助けたりしたんだいあんたは・・・
    たまちゃんのいない世界に幸せなんてある訳ないのに・・・!」

山田「知らなかったんだじょ・・・」

まる子「だったらあんたが殺してよ・・・あたしを・・・」

山田「ごめんよさくら・・・それは出来ないじょ」

まる子「くぅ・・・」

山田「さくら・・・穂波のことは残念だったじょ・・・
   だけど、オイラ達には向かうべき場所がきっとあるはずだじょ」

まる子「今更どこへ行けってのさ。何をしろってのさ」

山田「穂波が望んでることだじょ! 穂波の犠牲を無駄にするのはさくらのエゴだじょ!」

まる子「たまちゃん・・・!」




夜の出来事

見滝原、某公園の噴水前

杏子「あ、まどか! おい、見付けたか!?」

まどか「はぁ、はぁ、ううん、駄目・・・」

杏子「くっそー、弱いくせに何1人で勝手なことしてんだよさやかの奴!」

まどか「このままさやかちゃんが見つからなかったらどうしよう・・・
    さやかちゃんどうなっちゃうんだろう・・・私のせいだよ・・・」

杏子「馬ー鹿! 自分に責任押し付けてる場合かよ!」

まどか「でも・・・私・・・」

杏子「誰のせいとかどーでもいいからとにかくさやかを探すんだ!」

まどか「ねぇ、杏子ちゃん・・・」

杏子「あ? まだ何かあんのかよ?」

まどか「私がキュゥべぇと契約したら、さやかちゃんを助けられるかな・・・」

杏子「はぁ?」

まどか「さやかちゃんが戻って来るようにキュゥべぇにお願いすれば・・・」

杏子「それはてめぇにとって最後の切り札だろ
   他人の為に魔法少女になんかなったらどういうことになるか
   お前まだわかってねーのか?」

まどか「うぅ・・・」

ほむら「その通りよ」
どこからか現れるほむら

杏子「あ・・・?」

まどか「ほむら・・・ちゃん」

ほむら「美樹さやかのことは予め警告したはず。あなたにも、彼女にも
    けれど美樹さやかは自分の意思で契約することを選んだ。仕方のないことだわ」

杏子「お前は誰だ?」

ほむら「ここで会うのは初めてだったかしらね。佐倉杏子」

おぉ書き溜めなのね支援

杏子「(なんで名前知ってんだ?)・・・まどかの知り合いか?」

まどか「う、うん・・・」

ほむら「まどか。あなたに伝えなくてはいけないことがあるの」

まどか「何・・・?」

ほむら「ソウルジェムの――最後の秘密」

杏子「ソウルジェムの秘密だって・・・?」

まどか「・・・?」

ほむら「あなたも知りたい? 佐倉杏子」

杏子「くだらねーことじゃねぇだろうな」


別の場所

QB(まずい。ほむらがまどかと会っている
   何を吹き込むつもりかわからないが、契約の邪魔をしようとしてることは明白だ)

QB「マミ、大変だ! 暁美ほむらがまどかを攻撃してるよ!」

マミ「何ですって! こんな時に・・・場所は?」

公園

ほむらは魔法少女と魔女の関係について説明した

まどか「そんな・・・嘘よね・・・」

杏子「魔女の正体が魔法少女だぁ・・・?」

ほむら「ええ。このままだと、早ければ今夜にも美樹さやかは魔女として生まれ変わる」

杏子「冗談じゃねぇ! あたしは信じないぞ! そんな嘘ついてどうする気だ!?」

ほむら「問題はここからよ。インキュベーター・・・いいえ、キュゥべぇは恐らく
    本当は美樹さやかの居所を知っている」

まどか「キュゥべぇが・・・?」

ほむら「あいつは美樹さやかが魔女になったところを見計らって、まどか――
    あなたに契約を迫るつもりよ」

まどか「そんな・・・どうして」

ほむら「魔女となったさやかの姿を見せ付けて、あなたを一瞬のうちに魔女に変える為」

まどか「・・・」

杏子「気にすることねぇ。信じるな。いいや、関係ねーよ、そんなこと!」

まどか「キュゥべぇに会わないと・・・」

ほむら「駄目よ。私の言ってることがわからない?」

まどか「ほむらちゃんのこと・・・信じるよ
    だから、キュゥべぇがさやかちゃんの居場所知ってるなら・・・
    聞いてみないと・・・」

ほむら「あいつが馬鹿正直に答えると思う?」

まどか「わからないよ・・・!」


駆けつけるマミ

QB「あそこだ!」

マミ「ありがとうキュゥべぇ。そこまでよ、転校生」

まどか「マミさん・・・キュゥべぇ!」

マミさんはいつも豆腐メンタルじゃないか

杏子「・・・!」

ほむら(インキュベーター・・・! では、さやかはもう・・・?)

ほむら「何の用?」

マミ「私との実力の差を知って、私を避けて鹿目さんを狙ったのね
   賢いやり方だわ。あなたらしくて素敵よ」

ほむら「今度はあの時のようには行かない」

マミ「私が本気で相手をしたとでも思って?」

ほむら「・・・」

まどか「やめて、マミさん・・・違うの。ほむらちゃんは・・・」

マミ「こっちに来なさい、鹿目さん。佐倉さんも」

杏子「お、おい! どういういきさつがあったか知らないけど言い争ってる場合じゃねーだろ!」

マミ「ご心配なく。手短に済ませるわ」

ほむら(ちっ、なるべく避けたかったけれど・・・)
カチッ

時は止まる――

ほむら「変身を解いて」

マミ「っ・・・!?」

後ろからマミの頭に銃を突きつけるほむら

まどか「マミさん!」

杏子「マミ!」

マミ「こんな・・・嘘よ・・・」

ほむら「あなたを殺したくはない。・・・殊にまどかの前では。お願いだから抵抗しないで」

QB「お手上げだね。今は彼女の言葉を信じるしかない」

マミ「・・・わかったわ」
マミは変身を解いた

杏子「てめぇ・・・汚ぇぞ!」

ほむら「キュゥべぇ」

QB「何だい?」

ほむら「美樹さやかはどこ?」

QB「知らないよ」

ほむら「どこにいるの!!」

QB「大声を出したって知らないものは知らない」

まどか「ほむらちゃん・・・」

ほむら「美樹さやかは・・・無事なの?」

QB「さあね。仮に現時点でどういう状況か知っていたとしても
   見つけた時もその状態が続いているとは限らないから
   その質問は意味がないんじゃないかなぁ」

ほむら「く・・・」

まどか「キュゥべぇ・・・本当に知らないの?
    ほむらちゃんから聞いたの・・・本当は知ってるんでしょう?」

QB「さっきも説明した通り、僕にはさやかの居所を知る手段はないんだよ」

マミ「あなた、鹿目さんに何を教えたの?」

ほむら「・・・」

   (マミ『ソウルジェムが魔女を生むなら・・・
       みんな死ぬしかないじゃない!! あなたも、私も・・・!』)

ほむら「『現実』よ。あなたは知らない方がいいわ」

マミ「鹿目さんについた嘘を理路整然と否定されるのが怖いのね」

まどか「マミさん・・・!」

ほむら「そう思いたければそれでも構わない。いずれわかるでしょうから」

ほむら(既に魔女化しているのなら、私に出来ることはもう・・・)

カチッ

再び時を止める

ほむら「まどか。キュゥべぇに何を言われても、絶対に契約しては駄目」
まどかの背後に現れるほむら

まどか「!」

ほむら「私はいつでもあなたを見てる。再三の忠告を無視するようなら
    私もあなたを助けられない。いいわね」

QB「マミ、今だ!」

マミ「ええ」
変身――

ほむらは高速で去って行った

杏子「大丈夫か、まどか!」

マミ「怪我はない?」

まどか「さやかちゃん・・・早く探さないと」

QB「まどか、さやかを救う為にも君の力が必要だ」

まどか「でも・・・」

QB「わかってる。契約するかどうかは君の自由だ。けれど、手遅れになってから
   後悔しないように慎重に考えてくれよ。さあ、行こう、マミ」

マミ「鹿目さんは私と来なさい。1人では危険だわ」

杏子(やすやすと背後取られてたじゃねーかよお前は)

まどか「あ、はい・・・」

   (ほむら『私はいつでもあなたを見てる』)

まどか「・・・へ、平気です! それより、みんなで手分けして探さないと・・・
    ほ、ほむらちゃんだって、きっと、今日はもう何もして来ないと思う・・・」

まどか(さやかちゃん、きっとまだ魔女になってないよね。まだ大丈夫だよね)

マミ「・・・そうね。でも何かあった時の為に、あまり離れすぎないようにしましょう
   QBにテレパシーを中継してもらうわ」

まどか「は、はい。ありがとうございます」




巨大モール、立体駐車場の屋上階

魔女「あんまりだァァァァ」
シュワ

さやか「はぁ・・・はぁ・・・」
グリーフシードをソウルジェムに近づける

さやか「何これ・・・全然綺麗にならないじゃん・・・
    ・・・そっか。あたしもう要らないんだ」

さやか(何してんだか・・・あたしは人殺しなんだよ
    魔女を食い物にする資格だって、みんなを守る資格だって
    あたしなんかにはもうないんだよ)

ジョセフ「月が綺麗じゃな」

さやか「!?」

ジョセフ「こんな所にいたのか、さやかちゃん」

さやか「エロジジイか・・・」

ジョセフ「エロジジイとは何じゃ。わしはジョセフ・ジョースターじゃよ」

さやか「・・・それで、そのジョセフ・ジョースターさんが
    閉店後のモールに何のご用ですか?」

ジョセフ「非売品の宝石を捜し求めて冒険していたんじゃ
     ダイヤよりも尊い、青く純粋な宝石じゃ」

さやか「ごめん、付き合い切れる気分じゃないんだ」

ジョセフ(むぅ、人殺しの目じゃ。マミちゃん達を呼ぶのは少し落ち着いてからがいいかのう)

ジョセフ「では、今回は冗談は抜きにして秘密の話をしよう」

さやか「・・・何よ」

ジョセフ「君は何かとてつもない後悔を背負っている。それも極最近のことでじゃ」

さやか「何かと思えば・・・。別に? 魔法少女になったのも、あんたのアドバイスを
    無視したのも、あたしが決めたことだし。後悔なんてしてない
    それに、なんかもう吹っ切れた・・・全部どうでもいいやって思えて」

ジョセフ「隠さなくてもいい。君のことだから何か事情があったんじゃろう」

さやか「だから何も隠してねーって言ってんだろ!」

ジョセフ「人を殺してしまったとか」

さやか「っ・・・!!」

ジョセフ「・・・」

さやか「そうだよ?」
手をついて泣き始めるさやか

さやか「あたしは多分、夢見てたんだ・・・マミさんが自殺しようとしてる女の人を助けたり
    かっこよく魔女と戦ったり、敵の魔法少女を追っ払ったりする所を見て・・・
    きっと憧れてたんだと思う。恭介に幸せになって欲しくて、
    みんなのことも守りたくて、でもどっかで見返りを欲しがってる自分がいて
    それが認めたくなくて――」

ジョセフ(ハーミットパープルでポッケの中の携帯を操作してマミちゃんにメールじゃ
     堂々といじってたら怒られるだけじゃ済みそうにないわい)

送信メール:
さやかちゃん発見 心身ともに激しく衰弱
場所はモールの立駐
説教等は後日されたし
尚、承太郎は来るな

さやか「だから自分を目いっぱい傷つけて戦った・・・
    自分の為だけに魔法を使ったりしないって心に誓った・・・
    だけどさ・・・気付いちゃったんだ。世界なんて、こうまでして守る価値ないって
    当たり前みたいに自分の恋人を騙して、要らなくなったら物みたいに
    簡単に捨てて! そういう奴がそこら中にいるんだって知っちゃった・・・」

ジョセフ(ぐ・・・耳が痛いわい。わしも浮気してたことバレたら殺されちゃうな)

さやか「もう・・・疲れちゃった」
さやかは顔を上げた

ジョセフ(こ、この目は大事なものを思い切って捨ててしまおうとする目じゃ!
     しかも取り返しのつかないことになると本当はわかっているという感じの!)

ジョセフ「やめるんじゃ! まどかちゃん達のことを思い出せ!」

さやかが立ち上がる
さやか「今更どんな顔して会えばいいのよ・・・
    もう・・・終わりだよ・・・」

ジョセフ「飛び降りるつもりじゃろう! そんなことしてもわしがあの時みたいに
     ハーミットパープルで捕まえるだけじゃぞ!」

ジョセフに剣を投げつけて走り出すさやか

ジョセフ「ぐあっ! ハーミットパープル!!」
スタンドでかろうじて剣を防ぐ

さやかは何か言いたげにジョセフを見ながら外に向かって飛び降りた

ジョセフ「oh my god! た、大変じゃ・・・!!」



まどか「あ! 見て!」

悟空「さやか!」
まどかを抱えて空を飛んでいる悟空

まどか「さやかちゃん!!」

悟空「気は確かか!? やべぇ! まどか、しっかり掴まってろ!」

まどか「は、はい!」

悟空「うおおおおおおいやああああああ!!」
急加速

ガシッ

さやか「うっ・・・!」

まどか「やった!」

悟空「ほえー・・・危機一髪だったなぁ」

さやか「うぅ・・・まどか・・・?」

まどか「さやかちゃん・・・やっと見つけた・・・」

さやか「・・・」


ジョセフ「オーノー! なんということじゃ! さやかちゃんが死んでしまったッ!!
     わしは・・・! わしは・・・!! なぜ救えなかったッ!
     わしが余裕ぶっこいてダンディーな雰囲気で励まそうなどと思ったばっかりに!
     もっと早くマミちゃんを呼ぶべきだったッ! 
     ジョセフ・ジョースター、一生の後悔じゃあ!」

悟空「よう! ジョースターのじっちゃん!」

ジョセフ「くぅ、何も言うな、何も言わないでくれ・・・!
     わしはたった今、1人の少女を見殺しにしてしまったんじゃ!
     老い先短いわしの命では死んでも償い切れんわい! うぅ~!」

悟空「さっきからおめー何泣いてんだぁ?」

ジョセフ「さやかちゃんが死んでしまったんじゃあ! 悲しいなんてもんじゃあない!
     残酷すぎるぅ! うぅ~!」

悟空「さやかなら生きてっぞ」

まどか「ジョースターさん」

ジョセフ「ん?」
チラッ

さやか「・・・」

ジョセフ「oh my god! さやかちゃんはたった今わしの目の前で飛び降りたはずじゃ!」

まどか「悟空さんが助けてくれたの・・・」

ジョセフ「それは本当か、悟空!」

悟空「おう。ギリギリだったけどな」

ジョセフ「このジョセフ・ジョースター、心から礼を言うぞ!
     悟空、お前はヒーローじゃ! お前がナンバーワンじゃ!」

まどか「さやかちゃん・・・」

さやか「・・・」

まどか「ねぇ、さやかちゃん・・・聞こえる? 私だよ。まどかだよ?」

さやか「聞こえてる・・・」

まどか「よかった・・・」


ジョセフ「ここは親友のまどかちゃんに任せようではないか、悟空よ」

悟空「え? 置いて帰るんか?」

ジョセフ「そうじゃあない! ちょっと隠れて暇を潰すだけじゃ!」

悟空「ふーん? まぁ、別にいいけど」


まどか「ジョースターさんが教えてくれたんだよ・・・さやかちゃんがここにいるって
    もうすぐマミさんと杏子ちゃんも来てくれるよ・・・」

さやか「・・・」

まどか「会いたかった・・・」

   (さやか『まどかはあたしの嫁になるのだー!』)

まどか「さやかちゃん・・・」
泣き出してさやかに抱き付く

さやか「・・・!」

まどか「ごめんね・・・こんなんで」

さやか「まどか?」

まどか「ごめんね・・・」

さやか(悪いのはあたしなのに)

さやか「まどか、あたしね」

まどか「何・・・?」

さやか「・・・もう生きる資格ないんだ」

まどか「・・・え?」

マミ達が到着

マミ「捕まえたわよ、美樹さん」

杏子「馬鹿野郎! 1人で消えやがって!」

さやか「・・・」

マミ「ソウルジェムを見せて」

さやか「・・・やだ」

マミ「あなたのソウルジェムは相当穢れが溜まっているはずよ
   顔を見ただけでわかるくらいに」

さやか「あたしは・・・あたしは」

杏子「いいから出せっつーの!」
さやかのソウルジェムを奪い取る

マミ「これはひどい状態だわ・・・すぐに浄化しないと」

さやか「・・・」

マミがグリーフシードを近付ける

マミ「おかしいわね、穢れが移らない・・・」

杏子「貸せ」
杏子も挑戦する

杏子「何だこりゃ・・・」

マミ「キュゥべぇ、これは一体?」

QB「わからない・・・こんな現象、今まで見たことがないよ」

さやか「・・・いいよ、これで。あたしはこのままでいい」

マミ「そうは行かないのよ」

さやか「しょうがないじゃん。効かないんだから」

まどか「さやかちゃん・・・」

さやか「色々とごめん、まどか。帰ってちょっと休む」

まどか「うん・・・私、送るよ」

マミ「美樹さんはソウルジェムが回復するまで戦いは禁止よ。いいわね」

さやか「・・・」コク

まどか(マミさんに・・・伝えなきゃ。このままじゃ、さやかちゃんが魔女になっちゃうって)

まどか「あの・・・」

さやか「・・・」

まどか(うっ・・・駄目。今のさやかちゃんがこんな酷いこと知ったら、きっと壊れちゃう・・・)

マミ「何? 鹿目さん」

まどか「えと・・・お、おやすみなさい」





ワルプルギスの夜、出現前夜
見滝原、ほむらハウスにて

ほむら「ワルプルギスの夜の出現予測地点は、この辺よ」

悟空「未来の世界ではそこに現れたんか?」

ほむら「(知ってるんだったわね)・・・そうよ」

悟空「そっかぁ。楽しみだな!」

ほむら「何度も言うようだけど、遊びに行くのとは訳が違うのよ
    あなたは能天気すぎる」

悟空「大丈夫だって。ちゃんとその日に備えて毎日みっちり修行して来たんだ
   それに、マミ達や承太郎にも声かけてある
   みんなで力合わせれば、きっと勝てる!」

ほむら「キッ・・・!」

悟空「どうした、下向いて。気分でも悪いのか?」

ほむら(『声かけた』だなんて簡単に言うけど、何て伝えたのよ?
    未来の話なんて誰が信じてくれるの?)

ほむら「何でもないわ」

悟空「ところでさ、1つ聞きたかったんだけどよ」

ほむら「何?」

悟空「その未来の世界にはよ、オラはいたのか?」

ほむら「・・・いなかったわ。あなたも、空条承太郎も、ジョセフ・ジョースターも
    この世界に来て初めて出会った」

悟空「そうかぁ・・・」

ほむら「どうして?」

悟空「前に話した『未来から来た奴』のことなんだけど、そいつはトランクスっていってさ
   トランクスが過去へ来たことで未来が変わっちまったんだ。本人のわからねぇ所でな
   だからこれから先、おめーの知らねぇことが起こってもおかしくねーと思ってさ」

ほむら「1つ言い忘れてたわ」

悟空「ほえ?」

ほむら「私が過去へ遡ったのはこれが初めてじゃない
    強い運命を変える為に、この約1ヶ月を何度も何度も繰り返して来たわ」

悟空「・・・」

ほむら「だからこれからのことはだいたい想定出来る」

悟空「んでも、オラと会ったのは初めてなんだろ? それじゃあ、今回だけは
   何かが変わっちまったってことになんねーか?」

ほむら「些細なことよ。あなたがワルプルギスの夜を倒せるとしたら話は別だけど」

悟空「おう、任しとけ!」

ほむら(孫悟空は強力なエネルギー波を放つことが出来る
    ワルプルギスの夜に致命傷を与えるとしたら、それが決め手でしょうね)

悟空「そうだ、ほむら。何度も過去へ戻ってるって言ってたけど
   そんだけやってもプルプル野郎には勝てなかったのか?」

ほむら「・・・何回かはあれが消滅する所を見てるわ。大きすぎる犠牲と引き換えに」

悟空「そうだったんか・・・でも、もう大丈夫だ
   オラの知り合いに頼めばあっという間にドラゴンボール集めてくれっから
   それでみんな生き返らせてやる」

ほむら「前にも言ってたわね。本当のとこ、私はその話を信じてないわ
    あなたが嘘をついてるとは思わないけど、
    あなた自身が誰かに騙されてるような気がしてならない」

悟空「どうしてだ!」

ほむら「あなたは死んだ人間が生き返る瞬間を、その目で見たことがある?」

悟空「もちろんさ」

ほむら「・・・」

悟空「ドラゴンボールを7つ集めて、神龍に願い事をすれば何でも叶えて貰えるんだ」

ほむら(それって・・・インキュベーター?)
ほむら「あなたは奇跡の代価として知らず知らずのうちに大切なものを失ってるはず
    あるいは――それを誰かに強要してる」

悟空「何のことだ?」

ほむら「この世のエネルギーはプラスとマイナスで
    差し引きゼロになるようバランスが保たれている
    人一人が蘇る希望は、人一人を終わらせる絶望を生むものなの
    あなたのやろうとしてることは、根本的な解決にはならない」

悟空「ほ、本当か!? オラそんなこと全然知らなかった・・・!」

ほむら「・・・」

悟空「おめーには考えがあるのか?」

ほむら「・・・鹿目まどかの契約を阻止し、ワルプルギスの夜を倒す。たったそれだけ」

悟空「ま、まどか・・・?」

ほむら「私が言った犠牲というのは彼女のことよ。まどかが魔法少女にさえならなければ
    私の目的は終わり。契約を止めることが私のゴール」

   (まどか『キュゥべぇに騙される前の、馬鹿な私を助けてあげてくれないかな・・・』)

ほむら「未来でまどかと約束したの」

   (まどか『もう1つ、頼んでいい? ・・・私、魔女にはなりたくない・・・』)

ほむら「私はまどかの絶望の運命を変える」
声が震えた

ほむら(だけど私は一方で、まどかを魔女の運命に縛り付けてる・・・)
涙が滲む

悟空「ほむら・・・」

ほむら「・・・」

悟空(オラ、魔法少女のことはよくわかんねーけど・・・おめーの気持ちはよーくわかった
   まどか1人を助ける為に、嫌んなるほど同じ道を繰り返し歩いて来たんだ・・・
   そんなら、もう安心しろ。オラがこれで最後にしてやる)






さやかハウス

さやか「はぁ・・・はぁ・・・変だな・・・収まらないや・・・
    あたしどうなるんだろ・・・このまま・・・死ぬのかな・・・」
ソウルジェムの穢れが蠢く

さやか「うっ・・・く、うぅ・・・ああ・・・!」




同じ頃、マミハウス

杏子「あいつの言うことが本当なら、ワルプルギスの夜が現れるのは明日だな」
メロンパンを食べている

マミ「そうね。でも悟空さんのことだから、転校生に騙されてる可能性もあるわ
   魔女の名前を覚えられず『プルプルなんとか』なんて呼んでたくらいだし」

まどか「ほむらちゃんはきっと・・・本当はワルプルギスの夜が来ることを知ってたから
    ・・・一緒に戦う友達が欲しかったんだよ。きっと・・・」

杏子「それならそうと直接言うだろ普通。第一、だったらなんでまどかの契約を
   わざわざ邪魔しに来たんだ? しかもあれが初めてじゃねーんだろ?
   どう考えてもうちらを混乱させる為の罠だよ。特にあんたをさ」

まどか「そっかな・・・やっぱり」

マミ「ん、そういえば鹿目さん? あの時、転校生に何を吹き込まれたの?」

まどか「あっ・・・そ、そだ。マミさんに聞こうと思ってたんだった」

杏子「・・・あれか」

まどか「マミさん、あの・・・魔法少女は、ソウルジェムが浄化しきれなくなると
    魔女になっちゃうって、ほむらちゃんが・・・」

マミ「・・・?」

まどか「う、嘘ですよね? 私、なんかあの時ちょっと動転してて
    このままじゃ、さやかちゃんが魔女になっちゃうって思って・・・」

マミ「・・・」

杏子「な、なぁ。本当のところ、どうなんだ?」

マミ「やっぱりそんな幼稚な嘘を言っていたのね、あの子は
   私に言えなくて当然だわ。恥ずかしいものね」

まどか「そ、そうなんですか・・・?」

マミ「魔法少女が魔女になるだなんて、そんな訳ないじゃない
   キュゥべぇもそんなこと言ってなかったわ」

まどか「そっか・・・よかった」

杏子「なーんだ。あたしは最初からこれっぽっちも信じてなかったけどね!」

まどか「じゃあ、明日ワルプルギスの夜が来るっていうのも・・・」

  ,'.:       〃 ,:1  ,  __/  // /         } ,     ',
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_彡'厶イ./iヽ,′   |:::∧ {Ⅵ//             ア:::抃、 |    /
       / i|:::{:     `(( .Ⅵ .))       ‘     弋匕Zっ    /
     /  ∨:、     }}_口_{{     ,_-‐- 、      / //
.    i.|   ∨:\ .γ´,...-‐-ミメ、 └‐―-、、、    .辷´五ニ=一、
.    ヾ、   \,:´,´./ ,.-‐-、.刈ハ.     `~    /          \
-‐…‐-'_ヾ   / l l. {::::::::::::} l l≧:.. ___.... -‐=¬=-、― _....___〉

  /¨,-‐… 7 . 八圦 `‐-‐' ,' 厂`Y   /        `ヾ´/////

. /  {    /.Y¨Y .ゞ.,`=‐-‐ 彡.1辷7―‐-/               ∨―‐- 、
. !   ',     /  !:::::::::`¨ニ¨´::::::|// `ヽ/                 ∨   .〉
. | >'´`ヽ:. /.i⌒i:::::::::::::::::::::::::::::::|/⌒) (  , -―-         j   ./

\! .Уヽ   (./ ./:::::::::::::◯:::::::::::::!  / ∧/ , -‐-、. \        〈‐‐-、 j
. /   ヾ .〈  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::! 入 _〈_/    \ \       ∨_)'

まどか「じゃあ、明日ワルプルギスの夜が来るっていうのも・・・」

マミ「嘘、かしらね。でも、わざわざ明日って教えて来たからにはこれも罠の可能性大ね
   明日は何を仕掛けられてもいいように充分注意しておきましょう」

まどか「私、さやかちゃん見て来ます」






――――――――――――
さやかハウス前

承太郎「・・・」

ジョセフ「うーむ」

まどかがやって来る
まどか「あ、承太郎さん、ジョースターさん」

承太郎「?」

ジョセフ「おお、まどかちゃんか。今夜も可愛いのう」

まどか「こんな時間にさやかちゃんの家の前で何してるんですか?」

承太郎「スピードワゴン財団に作らせた『簡易魔女探知機』を試運転してるんだ
    ほとんど即席も同然の代物だから役に立つかどうか」

まどか「へぇー。どうですか?」

承太郎「ああ、ちょうど反応があった所なんだ。しかし安定しないな
    これじゃあ魔女がいるんだかいねーんだかわからねぇ」

家の中から金切り声
さやか「うあああああああああああ!!」


承太郎「――!!」

ジョセフ「この声はッ!」

まどか「さやかちゃん!?」

承太郎「何だと・・・急に反応が大きくなっていくぞ・・・!」

景色が変わる
3人は魔女結界に飲み込まれた

承太郎「これは・・・!」

コンサートホールのような結界
中央に人魚の姿をした魔女

まどか「魔女・・・さやかちゃんはどこ!?」

ジョ・承「人魚の魔女――!!」

承太郎「チッ、ここは俺らがやるしかないようだな。まどかはマミに知らせに行け」

まどか「で、でも! さやかちゃん助けないと!」

承太郎「姿が見当たらない限り、保護することは出来ねぇ。見付け次第どうにかするぜ
    まずは魔女本体にスタープラチナを叩き込む!」

ジョセフ「待つんじゃ、承太郎!」

承太郎「何だ、ジジイ」

ジョセフ「この人魚はさやかちゃんじゃ! そうに違いない! わしにはわかるんじゃ!」

承太郎「チッ、夜だからって起きてるのに寝言言ってんじゃあねぇ」

魔女「ギャース」
運命の車輪が無数に飛んでくる

承太郎「スタープラチナ!!」

バカーン バキーン

まどか「魔女がさやかちゃんって・・・どういうこと?」

ジョセフ「つまりこの人魚はさやかちゃんなんじゃ!」

まどか「答えになってないよ・・・」

ジョセフ「これという根拠はない! だが勘でわかるんじゃ! それもはっきりとな!」

ガン ガン ガン

承太郎「一対一ならともかく、ガキとジジイのお守りまでするとなると面倒だぜ」

ジョセフ「そうじゃ、まどかちゃんはとにかく逃げなさい!」

まどか「でも、でも! 結界の出口わかんないよ!」

承太郎「やれやれだ・・・時を止めて一気にケリをつけるしかないか・・・!」

ほむら「離れて」
どこからか現れて手榴弾を魔女に投げつけるほむら

承太郎「!」

まどか「ほむらちゃん・・・どうしてここに?」

ほむら「掴まって」カチッ

時が止まる――

ほむら「空条承太郎。あの魔女は、ジョセフ・ジョースターの言う通り
    かつて美樹さやかだったものよ」

まどか「えっ・・・!?」

承太郎「何だとッ・・・!?」

ほむら「私はまどかを連れて結界を抜けるわ。あなた達を抱えていたら
    結界が閉じるまでに魔力が尽きてしまう」

承太郎「言われるまでもねぇ。俺はこいつの相手を――」

承太郎の時が止まった

タッタッタッタ
駆けていくほむらとまどか

まどか「ほむらちゃん、これは・・・!?」

ほむら「私が時を止めた。手を放せばあなたの時間も止まってしまうわ。絶対に放さないで」

まどか「ねぇ、あれ本当だったの? あの魔女は、さやかちゃんなの!?」

ほむら「悲しいけれど。美樹さやかは希望を見出すことを完全に諦めてしまった
    だからこうなるのは時間の問題だった」

まどか「そんな・・・嫌だよ・・・ほむらちゃん! 引き返そうよ! 助けないと!」

ほむら「一度魔女になった魂は、もう元には戻らない。今行っても無駄よ
    それよりあなたの身の安全を確保する方が先決」

まどか「嫌だよ! 置いて行けないよ!」

ほむら「あなたを死なせる訳には行かないの」

まどか「待ってよ! さやかちゃんはどうなっちゃうの!?」

ほむら「・・・どうにもならない。結界に入ってしまったあの2人を殺し
    魔女として、誰かを祟りながら生きていくだけよ」

まどか「そんなの・・・嘘だよ! 嫌だよ! さやかちゃん!!」





時は動き出す
魔女の激しい攻撃
野郎2人はどうにか避けながら会話する

承太郎「ジジイ、この魔女を攻撃するのがそんなに気に食わねーのか」

ジョセフ「うぅ、本当言うと、これがさやかちゃんだという根拠はいくつかあるんじゃ」

承太郎「ほう、時間があればじっくり聞きたいもんだ
    そうだとしてもあいにく俺はこいつをおとなしくさせる方法は1つしか知らねぇが」

ジョセフ「どうしたら元の姿に戻るのかのう・・・」

ギュイーン

ドゴッ
承太郎「ぐはっ――!」

ジョセフ「承太郎!」

承太郎「どうやら・・・考えてる暇はないようだぜ。やらなきゃ俺達がやられる」

ジョセフ「くっそー、なぜなんじゃ! さやかちゃんよ!!」

承太郎「スタープラチナ!!」

ジョセフ「さやかちゃん、わしを見るんじゃ! 紳士なエロジジイじゃぞ!」

承太郎「時よ、止まれ! スタンドの力で飛び上がって空中の車輪を手当たり次第跳ね返し――」

時は動き出すッ!!

バキバキドカバキ

無数の車輪が魔女に当たる
間髪入れず――

承太郎「オラオラオラオラオラオラオラ!!」
スタープラチナのラッシュ

魔女「ギャース」

ジョセフ「さやかちゃんの苦悩、痛いほどわかる! だが、まだ手遅れということはない!
     こんな姿になることはないじゃろう!」

魔女が承太郎を剣で狙う

承太郎「スタープラチナ!」

パキィーン
刃をスタンドで受け止め、へし折り――

承太郎「オラァ!!」
投げつけた

魔女「ブシュゥー」

ジョセフ「目を覚ますんじゃ、さやかーーーーー!!」



ヾ(・ω・)ノ ギャース
 / /
ノω>
∥∥

マミハウス、玄関前

まどか「マミさん・・・!」

ほむら「・・・」

マミ「鹿目さん? あっ、あなたは・・・!」

まどか「マミさん、さやかちゃんが、さやかちゃんが・・・」

マミ「あなたが一緒にいるということは――」

ほむら「あなたは来てはいけない。巴マミ。あなたには荷が重過ぎるから」

マミ「鹿目さんに何をしたの?」

ほむら「対立してる場合じゃない。佐倉杏子を呼んで」

マミ「何のつもり?」

ほむら(最悪だわ)

まどか「さやかちゃんが大変なの・・・!」

マミ「何ですって! 何があったの?」

まどか「さや――」

ほむら「教えられない」

マミ「くっ・・・!」

ほむら「これは私からのお願い。あなたには見て欲しくない。知って欲しくない」

マミ「美樹さんを人質に取ったのね・・・もう我慢ならないわ! この――」

まどか「違うの!!」



さやかハウス前
マミ達4人が駆けつけた

承太郎「・・・」

ジョセフ「・・・」

野郎2人の前に、さやかの死体とグリーフシード

杏子「・・・どういうことだよ、てめぇら・・・」

まどかは死体に縋って泣き叫ぶ

杏子「てめーら! さやかに何しやがった!」
泣きながら槍を構える

杏子「さやかに何をしたんだてめーら! 言え!!」

承太郎「・・・」

ジョセフ「・・・」

ほむら「魔女となった美樹さやかの魂を、永遠に眠らせた。彼らがしたことはそれだけよ」

杏子「ふざけんじゃねーよ! てめー見てたんだろ!?
   さやかを見殺しにしやがったんだろ!!」
矛先を変える杏子

まどか「杏子ちゃん、違うよ・・・!」

杏子「絶対許さねぇー!!」

マミ「嫌ああああああああ!」

まどか・杏子「!?」

泣きじゃくりながらマスケット銃を杏子に向けるマミ

マミ「ソウルジェムが魔女を生むなら、みんな死ぬしかないじゃない!
   あなたも・・・私も!」

まどか「やめてー!!」

ズドン

マミ「・・・!」

杏子は倒れなかった

マミ「なぜ死なないの・・・?」

杏子「・・・?」

説明しようッ! それは承太郎のスタンド『スター・プラチナ』が
寸前のところで銃弾を止めたからだッ――!!

承太郎「・・・もうよせ」

マミ「勝手なこと言わないで・・・」

承太郎「・・・」

ほむら「だからあなたは来ないでって言ったの。巴マミ」

マミ「うぅ・・・」

ほむら「明日、ワルプルギスの夜がこの町を襲う。戦う気力があれば協力して欲しい」
背を向けるほむら

杏子「くっ・・・おい!」

ほむら「何かしら?」

杏子「お前・・・何か企んでるだろ」

ほむら「何もないと言えば嘘になる。でも大丈夫よ。私はあなた達を死なせたくないだけ」

杏子「さやかは、死んだんだぞ・・・!」

ほむら「・・・彼女の運命は変えられなかった。むしろ長く持った方だわ」

杏子「何言ってやがる・・・」



ドラゴンボール出て来そうな展開だな

見滝原、鉄塔の上の方

QB(まどかの契約は失敗か。あの空条承太郎という男が持っていた機械は
   偶然にもさやかの魂がグリーフシードに変わる瞬間を捉えたみたいだ
   僕の見立てでは、美樹さやかはもっと早くに魔女化するはずだったんだけど
   どうも打線が噛み合わないな
   残る希望はワルプルギスの夜だけど、まどかは逃げ切ってしまいそうだな)

界王(キュゥべぇ~)

QB(界王? 君からコンタクトを取って来るとは珍しいね)

界王(プルルル、プルルル、もしもし? おや誰も『でんわ』)

QB(聞こえないのかい? おかしいな、こちら側にはテレパシーが届いてるのに)

界王(んもう、相変わらず冗談の通じん奴じゃ。だから出世できんのじゃよお前は)

QB(なんだ、聞こえてるじゃないか。今日は僕に何の用だい?)

界王(ちょっと事情があってここんとこ見張ってたんじゃが、営業の仕方がえげつないぞい)

QB(それは褒めてくれてるのかな? エネルギーの回収は何よりも効率が第一だからね
   プロセスの組み立てには憶測の要素も含まれて来るから
   今回みたいなずれはどうしても生じてしまうけれど)

界王(褒めとらんしぃ。いやね、界王神様から警告のファックスがあったんじゃ)

QB(それは僕にも関係することかい?)

界王(関係も何もお前さんが犯人じゃ)

QB(聞こうじゃないか)

界王(まずお前さんはある魔法少女の契約に『違反』とまでは行かないが
   矛盾する行動を取っておる)

QB(どの契約かな)

界王(惑星地球・西暦かくかく年ほにゃ月らら日の
   『暁美ほむらに代わる素敵なヒーローの登場』というやつじゃ
   ちゃんと受理サインがしてあるのにお前さんはほむらちゃんの意思に
   相反する言動ばっかりじゃないのよ)

QB(奇妙だなぁ。そんな契約は取った覚えはないし、まずその日付は明日じゃないか)

界王(あら、本当? なんでじゃろうなぁ)

QB(それにしても『暁美ほむら』か・・・契約主は誰だい?)

界王(うむ。『鹿目まどか』じゃな)

QB(鹿目まどか・・・)

界王(あれぇ? まどかちゃんって魔法少女だったっけ?)

QB(やっぱりか。なるほどね。たった今、僕の中で情報がまとまった
   うん、確かにこう考えれば辻褄が合う)

界王(どういうことなんじゃ?)

QB(それは、今僕がいる時間軸で交わされた契約じゃないよ
   詳しいことは大界王神に聞くといい。彼なら全て把握してるだろうから)

界王(あ、そう。でも最近機嫌が悪いから教えてくれるかどうか・・・)

QB(僕はこれからもう一仕事しなきゃいけないから。それじゃあね)




ほむらハウス

ピンポーン

ほむら「・・・」

まどか「・・・入っていいかな」

ほむら「・・・」コクリ
ほむらはまどかを通した

まどか「ほむらちゃんの言ってたこと・・・悟空さんが伝えに来たことも
    全部、本当なんだよね・・・?」
泣きっぱなしのまどか

ほむら「そうよ」

まどか「さやかちゃんを助ける方法って、本当になかったのかな・・・」

ほむら「・・・」

まどか「私、ほむらちゃんのこと信じたいし、悪い子じゃないってわかってる・・・
    だけど、マミさんも杏子ちゃんも、何でもほむらちゃんのせいにしてて
    2人の言ってることも理解できて、さやかちゃんもこんなことになっちゃって・・・」

ほむら「・・・」

まどか「わからないんだよ・・・ほむらちゃんが何を考えてるのか・・・
    ほむらちゃんが本当は私をどうしたいのかわからない・・・」

ほむら「・・・!」

まどか「あなたはやっぱり私達の敵なの・・・?」

ほむら「・・・違うわ」

まどか「どうしてみんな仲良く出来ないのかなって・・・
    ほむらちゃんだって、こんな結末望んでなかったんだよね・・・?
    なのにどうしてこうなっちゃったんだろう・・・
    そう考えると・・・ほむらちゃんのこと、怖くて・・・」

ほむら「・・・誰も信じてくれない。誰もわかってくれない」

まどか「え・・・?」

ほむら「本当は誰も死なせたくなかった。特にあなたを悲しませたくなかった
    だって私その為に戦って来たんだもの」

まどか「ほむら・・・ちゃん・・・?」

ほむら「わからないわよね・・・わかる訳ないわ。だって私、この時間の人間じゃないんだもの」
背を向けて泣き崩れるほむら

まどか「この時間・・・って・・・?」

ほむら「未来から来たの・・・初めにあなたと会った時、あなたは魔法少女だった
    あなたに命を救われて、ずっとあなたに守られて・・・そして――」

まどか「・・・?」

ほむら「未来の世界の明日の日、あなたはワルプルギスの夜と戦って死んだ!」

まどか「!」

ほむら「まどかは私のたった1人の大切な友達だったの・・・!
    あなたの死体を見下ろしながら死ぬほど泣いて、泣いて・・・
    そこへインキュベーターが現れて、私に契約を迫った・・・」

まどか「それって・・・」

ほむら「私が願ったのは『あなたとの出会いをやり直す』こと・・・
    こうして私は時間操作の能力を手に入れた
    けれど何度やっても、何度時間を戻しても、あなたの未来を変えられなかった・・・
    やり直す度に、あなたが死ぬところを見て来た・・・!」

まどか「・・・ほむらちゃん」

ほむら(声が出ない・・・)

まどかがしゃがみ込んで肩に手を置く

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「・・・私、未来で・・・あ、あなたと約束したんだよ」

まどか「・・・」

ほむら「『あなたを守る』って・・・『あなたを魔法少女にさせない』って・・・
    だから・・・ずっと・・・!」

まどか「・・・」

ほむら「ごめんね・・・信じられないよね。こんな話・・・
    でも、これは真実なの・・・これが、私の、正体なの・・・」

まどか「・・・そっか」

ほむら「うん・・・」

まどか「ありがとう」

ほむら(笑ってる・・・)

まどか「ずっと守ってくれてたんだね」

ほむら「・・・うん」

まどか「ずっと1人で、私なんかの為に戦ってくれてたんだね」

ほむら「・・・」

まどかはほむらを抱き締めた

まどか「気付けなくてごめんね・・・私、ほむらちゃんが未来で過ごして来たこと
    見て来たもの、何も知らなくて、ほむらちゃんのこと覚えてなくて・・・
    だけどほむらちゃんは、この世界でも、私の大切な友達だよ」

ほむら(まどか・・・!)

まどか「ごめんね・・・」

声が出ずに首を振るほむら

まどか「ごめんね・・・」

ほむら(あなたを死なせはしない・・・今度こそ、絶対に守ってみせる)

翌日
スーパーセルの前兆。見滝原に避難勧告が発令
住民は避難所に収容された

ゴゴゴゴゴ・・・

避難所

まどか(ほむらちゃん達・・・ワルプルギスの夜と戦うんだよね・・・
    みんな、死んじゃうかもしれないのに・・・見守ることもできないなんて・・・)

QB「やあ、まどか」

まどか「キュゥべぇ・・・」

QB「魔法少女達が心配かい?」

まどか「当たり前だよ・・・」

QB「君が僕と契約すれば、誰も死なずに済む。それどころか、この気象災害だって
   一人の怪我人も出さずに鎮めることができるよ」

まどか「・・・あなたは本当にそれしかないんだね」

QB「それが僕達インキュベーターだからね。君の気持ちはどうだい?」

まどか「・・・私ね。本当は、ずっと迷ってたの
    さやかちゃんがあんな風になっちゃったのも、
    私が逃げてばかりで、決心しなかったせいだって思ってたの・・・」

QB「確かにそれは事実だね」

まどか「でもね・・・ごめん、キュゥべぇ。あなたとは契約できない」

QB「どうしてだい?」

まどか「・・・ほむらちゃんと約束したから」

QB「どうしても、魔法少女になる気はないのかい?」

まどか「うん・・・」

QB「どうやら全てを聞いたみたいだね。暁美ほむら本人の口から」

まどか「・・・」

QB「そのことについては、実は僕もはっきりとは知らない
   有力な仮説が1つあるに過ぎないんだ」

まどか「・・・だから、ごめん」

はぁ

QB「謝ることないよ。君ほどの素質を持つ少女を手放すのは惜しいけど
   それが君の選択なら、僕は強要したりできないんだ
   ただ、これから何が起こり、魔法少女達や君自身がどんな結末を迎えようが、
   僕を恨んだりするのは間違いだ。そのことは覚えておいて欲しい」

まどか「・・・」

QB「さやかのこともね」

まどか「・・・!」

QB「それじゃあね」

まどか「あっ・・・待って」

QB「どうしたんだい?」

まどか「願い事って・・・1つだけなんだよね・・・?」

QB「そうさ。僕が叶えてあげられる願いは1人につき1つだけだ
   『その祈りの大きさに関係なく』、ね」

まどか「だったら・・・その・・・」

QB「何だい?」

まどか「えーと・・・死んじゃった人を生き返らせたいって願ったら・・・」

QB「さやかのことかい?」

まどか「・・・」

QB「もちろん可能だね」

まどか「じゃあ・・・他の人は・・・?」

QB「君の素質を省みれば、その程度の贅沢はむしろ小さすぎるくらいだ
   例えばワルプルギスの夜との戦いで、魔法少女全員が戦死したとする
   それを君が蘇らせる為に僕と契約するなら、こう祈ればいい
   『全ての魔法少女を復活させたい』とね」

まどか「・・・!」

QB(魔女になった魔法少女がみんな元の姿に戻れば
   もう一度グリーフシードを回収できる。リサイクルだ。時代はエコ)

まどか「・・・」

QB「今すぐにとは言わない。君には時間がたっぷりあるじゃないか
   君に限っては何事も『手遅れ』ということは存在しないと考えていいんじゃないかな
   出てしまった『結果』をも覆すほどの力が、君には備わってるんだから」

まどか「・・・ありがとう」

―――――――――

ほむら(来たわね)

暗雲の中に舞台装置の魔女が現れた



別の場所。悟空

悟空「とてつもねぇ、でっけぇ気だ・・・あれがプルプル魔女か・・・」

界王(悟空~!)

悟空「界王様か? どうした」

界王(お前をここへ送るように言われたのはこの時の為じゃ!
   最初から手加減なしでワルプルギスの夜を倒してくれぇ~!)

悟空「ああ、界王様。初めっから120%の力でやらしてもらう。はあっ!!」
変身――スーパーサイヤ人2!!

ビリビリッ バチッ

悟空「こん時の為に修行して来たんだ。負けらんねぇ! か・・・め・・・」

また別の場所。承太郎とジョセフ

承太郎「結界に隠れる必要もねぇって訳か」

ジョセフ「なんというでかさじゃ・・・それにただならぬ殺気」

承太郎「スピードワゴン財団は間に合うのか?」

ジョセフ「まもなく本土に到着するらしい。だが、対魔女兵器が動くかどうかはわからんぞ」

承太郎「やれやれだぜ」

スタープラチナ!!

さるよけ

更に別の場所。マミと杏子

杏子「マジかよ・・・本当に来やがった・・・!」

マミ「うっ・・・うっ・・・」

杏子「ハチャメチャが押し寄せてくる。泣いてる場合じゃない」

マミ「わかってるわよ・・・例えいつか魔女になってしまうとしても
   私、正義の味方だもの!」
泣きながらの変身

杏子「その時はその時考えりゃいい。今はあいつをぶっ潰すことだけに集中しな」
杏子は祈りのポーズで大量の槍を召還した

マミ「こうなったらやってやるわよ!」
一面にマスケット銃を召還


ほむら(今度こそ、決着をつける)
付近一帯にミサイルランチャーを召還


ワルプルギスの夜周辺に使い魔達が出現

悟空「は・・・め・・・」


承太郎「本体の弱点を探り出す」
飛び込んでいく承太郎



カチッ
ほむらは時を止めた

ほむら(バズーカの一斉射撃)
全てのランチャーを魔女に向けて発砲
大量の弾薬が空中に固定される





承太郎「あいつの時止めを少しばかり利用させてもらうとするか」

魔女本体、歯車の上に飛び乗る

承太郎「これを止めれば心臓を握れるかもな」
――オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!

承太郎「そして、時は動き出す」



悟空「波ーーーーーーーッ!!」


杏子「食らいな!!」

マミ「ナメんじゃないわよーーーー!!」


ドドドドヒューン

ほむら(何人か集まったわね。これなら勝てる)
迫撃砲、対空ミサイル、タンクローリー突撃、時限爆弾、
1000列クレイモアを次々と発動していく


魔女「オッホホホホホホ」

承太郎「スタープラチナの拳をも寄せつけねぇ硬さだぜ・・・
    それより本体に直接乗り込んだのは失敗だったか」
ほむらの攻撃に巻き込まれる承太郎

承太郎「遠くから見た時、こいつは巨大な人形の形をしていたな
    爆発から逃れるついでに、服の下にゼンマイがあるのかどうか確かめてやる」
魔女の内部へ入って行く

使い魔「ギャーピ! ギャーピ!」
沢山の使い魔が中で歯車を回している

承太郎「こいつが原動力か。スタープラチナ!!」



――マミ達
杏子「びくともしないなんてな。奴に近付いて直接叩いてやろうかね」

マミ「ひぃ、ひぃ」

杏子「お前大丈夫か?」

マミ「負けてなるもんですか!!」

杏子「・・・心配ねーな。行くぜ!」

マミ「うおおおおおおお」

マミと杏子は使い魔達を撃退しながら間合いを詰めた

――悟空
悟空「ちっとも効いてねぇっちゅーんか・・・!」

使い魔「ふふふ、そんな攻撃でワールプルギスのよーるを・・・倒せると思ったか」

悟空「お前は・・・!」

使い魔「私だよ。先日はよく、やってくれたねぇ。息子はどうした?
    少しは骨のあるあーいてと・・・戦いたいのだが・・・?」

悟空「悟飯は学者んなる為に学校行ってんだ!
   オラじゃ物足りねーって思うかもしれねぇけど、相手してもらうぜ!」

使い魔「なーるほどー・・・では、復活記念にちょいと塵になってもらうとするか・・・」

悟空「へへん、オラおめーが復活するってほむらから聞いて
   必死んなって修行したんだ。前みてぇにはやられねぇぞ!」

使い魔「そーれは、どーうかな? かめはめ波!!」

悟空「やばいっ!」
瞬間移動で避ける悟空

使い魔「まだまだ、あーいさつ代わりだ。地球を破壊するのはまだ、待ってやろう」

悟空「へへ・・・そいつぁありがてぇ(こいつが油断してるうちに片付けるしかねぇな・・・)」

使い魔「行くぞっ!」

悟空「だあああああああ!」

使い魔と悟空の激しいラッシュ

使い魔「そらそらそらそら!!」

悟空「うりゃああああああ!!」

ドゴバシビシドコバキ

使い魔「遅い!」

悟空「なっ・・・!」

悟空を蹴り飛ばす使い魔

使い魔「砕け散れーい!!」

悟空(今だ!)

悟空は使い魔の死角に瞬間移動した

使い魔「なんだとぅ!?」

悟空は使い魔の足を掴んで魔女に向けて投げつけた

悟空「かめはめ波ーー!」

使い魔「おのれ!」
使い魔が紙一重でかわす
その向こうにはワルプルギスの夜の顔面

ドーーーーン

魔女「オッホホホホホホ」

使い魔「・・・魔ー女の方を・・・直接攻撃したと、言ーう訳だ・・・」

悟空「へへん、悪ぃな。実力はオラよりおめーの方が確かに上だ
   オラのパワーが持つうちに終わらせねぇと」

使い魔「ふふふ、なかなか面白いではないか。ワルプルギスの夜が消えれば
    この私も地獄へ、ぎゃーく戻り、だ・・・」

悟空「そういうこった」

使い魔「・・・ん? あれは何だ」

空中から地上を見下ろす使い魔

視線の先
杏子「はぁ、はぁ、着いたぞ!」

マミ「WRYYYYYYYY!!」

悟空「しまった・・・! マミ! 杏子! こいつには近寄るなー!」

杏子「あん? あ! あれは悟空じゃねぇか!」

マミ「それは頼もしい限りじゃない!」

使い魔「なるほど、あのキュートなレディー達が・・・お前のなーかまだと、いうことか」

悟空「や、やめろ!」

使い魔「まーだ何にもしてないで、しょーうが。ふふふ、楽しみ甲斐がありそうだ」

悟空「いりゃああ!」
顔面に蹴り

バキッ

使い魔「少ーしだけ、寝ててもらおうか」

悟空「まっ・・・全く効いてねぇ・・・!」

ドゴォ
使い魔のボディーブロー

悟空「うごあっ!! ・・・かっ・・・!」
変身が解け、落ちていく

杏子「ご、悟空!」

ドサッ

杏子「お、おい悟空! しっかりしろ!」

降り立つ使い魔
使い魔「諸君! 私は長らく地獄という退屈な場所にいてねぇ」

杏子「こ、こいつ喋った! 言葉を話せる使い魔がいるのか!」

マミ「そのようね。人並みに知能があれば話し合いが出来るのだけれど」

使い魔「孫悟空は後の楽しみに取っておくとしよう・・・それまーでは
    レディー達で、ねーずみ狩りと洒落込もうじゃーないか」

杏子「くう! おらあ!」

杏子の攻撃をあっさり弾き返す使い魔

杏子「なに・・・!」

使い魔「あーいてを間ー違えちゃったかなこれは」

杏子「ふざけんな!」

マミ「こっちからも行くわよ!」

2人がかりでの攻撃

使い魔は黙って腕を組んでいる

ドンドンドンドーン

使い魔「・・・ふん」

杏子「ど・・・どうなってやがる」

マミ「ひぃ・・・」

杏子「馬鹿にしやがって・・・!」
祈りのポーズを取る杏子

杏子「はぁぁあ・・・!」

ビリッバチバチ

使い魔「ん・・・? これは・・・」

杏子「だあ!!」
槍の柄で打ち上げる

使い魔「んぶぉ!!」

杏子「ぶちのめす!」
ズバズバズバズバ――

使い魔「ぶわあああああ!」

マミ「ナイスアシストよ、佐倉さん!」
横から勝手に銃を乱射するマミ

使い魔「ま、まさか! この地球人にこれほどのパーウワーが!?」

杏子は槍を多節棍に変形させて拘束

杏子「ほら、行くぜ!」

地面に叩きつけ、投げ飛ばす

使い魔「ぶるああああああああ!!」

杏子「今だよ、マミ!」

マミ「ええ、わかってるわ!」
大砲を召還

マミ「ティロ・フィナーレ!」

ドカーーン
パラパラ・・・

使い魔の上半身が消し飛んだ

マミ「ふぅ、やったわね」

杏子「ああ・・・さっさとワルプル――」

ズキューン
杏子の胸に風穴があいた

マミ「え・・・?」

杏子「な・・・何だ、これ・・・」
後ろ向きに倒れる杏子

マミ「佐倉さん!」
ダダッ

マミ「佐倉さん! 佐倉さん!?」

使い魔「少ーしばかり、驚いたぞ」

マミ「!?」

死んだはずの使い魔が立っている

マミ「あなたは・・・私が倒したはず・・・」

使い魔「ハンデとして教えておいた方がよかったか・・・?
    私の体は核の部分が残ってさえいれば、そこから再生することがでーきるのだよ」

マミ「こ、こんなのって・・・」

使い魔「遊びは終わりだ!」

マミ「まずい!!」

マミが銃を構えるより早く接近する使い魔

使い魔「遅い!」

マミ「!」

ボコォ

マミ「うっ・・・!」
殴り飛ばされる

使い魔「どうした! そら、最後のあがきを見せてみろ!」

マミ「まだ勝負は終わってない・・・!」
スチャ

使い魔「無駄だ!」
指先からビーム
マミの手が焼けた

マミ「くっ・・・!」

使い魔「おのれ地球人! この私をおちょくりおって!
    最後はこの技でくたばるがいい! か・・・め・・・」

マミは目を瞑った

使い魔「は・・・め・・・!」

――ガシッ

使い魔「ぬぉ・・・!? 何だ貴様・・・生きていたのか」

マミ「・・・?」

杏子が使い魔を後ろから槍で抱えている

マミ「佐倉さん!」

杏子「魔法少女をなめんじゃねーよ・・・体は壊れてもそう簡単にはくたばらねぇ
   その為のソウルジェムなんだ・・・戦う為に魂を差し出したんだ・・・!」

使い魔「く、おのれ・・・放せ!」

杏子「マミ・・・あたしはここでリタイヤだ。ワルプルギスの夜の奴を
   ぶっ潰してやりたかったけどよ・・・あたしの力じゃこいつを消し去るのが精一杯だ」

マミ「何を言ってるの佐倉さん?」

使い魔「ぬぅ、こうなりゃ力尽くだアホンダラー!」
体から爆発波を放出

ドーーーーーーーン

マミ「うっ・・・強い・・・!」
かろうじて爆風を魔力で相殺して持ち堪えるマミ

杏子「はぁ・・・はぁ・・・」

使い魔「かっ・・・な・・・!?」

杏子「放さねぇ・・・あんたとあたしが、粉々になるまでな」

使い魔「・・・!!」

杏子のソウルジェムが輝き出す

マミ「佐倉さん、自爆する気!?」

杏子「さやかに謝んねーとな・・・最期に、会いに行かなかったこと・・・」

使い魔「やめろーーーーーー!!」

杏子「さよならだ」

マミ「佐倉さん――!!」

ピカーーーーーン


マミ「まぶしいっ・・・!!」

パラパラ・・・

マミの目が次第に慣れる
使い魔の姿は見えない

マミ「佐倉さん・・・なんてこと・・・」

バタバタバタ
遠くからヘリコプターの音

杏子「・・・」
杏子がうつ伏せに倒れている

駆け寄るマミ

マミ「・・・駄目・・・やっぱり死んでるわね・・・」

杏子「死んでねーよ・・・」

マミ「え? ・・・あなた、さっき自爆したはずじゃ・・・?」

杏子「いや・・・直前にあいつが消えたんだよ・・・だからやめた」

バタバタバタ

マミ「どうして・・・?」

杏子「知るか」

バタバタバタ

ヘリの方角からスピーカー音声

音声「君達は魔法少女か!」

マミ「・・・?」
見上げると5機のヘリが巨大な機械を吊って飛んでいる

悟空「うぅ・・・はっ! やべぇ、オラ気絶しちまってたのか!」

餃子ァ!

別の場所。ジョセフ・ジョースター

ジョセフ「おお! もう到着したのか!」

とぅるるるるる

ジョセフ「おお、スピードワゴン財団からの無線通信じゃ!」
ピッ

ジョセフ「よく来たぞ! 早かったのう!」

SPW「ええ、お達しの通り質より量よりスピードを重視しましたから」

ジョセフ「今さっきレーザーのようなものが見えたが、あれは君達の仕業かね?」

SPW「そうです。耐久性はありませんが人体には無害で、
    魔女や使い魔に有効なことがテスト済みです」

ジョセフ「ほう! たった1つのグリーフシードから、よくこの短期間でやってくれた!」

SPW「たまたま腕のいいアドバイザーが見つかったものですから
    彼女達がいなければとても無理でしたね」

ジョセフ「達? というと、複数人なのかね?」

SPW「2人の魔法少女です。曰く、『自分達は特異な存在』だそうで」

ジョセフ「そうか。後日、わしからも直に礼を言いたいので名前と連絡先を教えてくれんか」

SPW「その必要はありません。3号機に同上してますから。今、繋ぎます」

ガチャ ピピッピー

SPW「どうぞ」

まる子「誰?」

ジョセフ「おお、あんたがスピードワゴン財団戦術兵器研究部のアドバイザーか!」

まる子「あたしゃ自分に出来ることをやっただけさ。ほれ、あんたも喋りな」

ワカメ「うふふ・・・」

ジョセフ「ビューティホー!! サンキューじゃ! よく協力してくれた、2人とも!」

SPW「まもなく本体を攻撃します。それにしてもでかい」

スピードワゴン財団の対魔女兵器がワルプルギスの夜を攻撃する
ジジジーー

人形のスカートの部分が少し焦げた
魔女「オーッホホホホホホホ」

ジョセフ「なにぃ!? あれだけか! どうなってるんじゃ!」

SPW「相手が強すぎたみたいです!」

ジョセフ「oh my god! つ、使い魔だけでも何とかしてやってくれ! わしも今から戦う!」

SPW「そ、それが・・・」

ジョセフ「何じゃ、悪いニュースか! 言え!」

SPW「エネルギー切れです・・・! チャージにもかなり時間がかかります・・・!」

ジョセフ「何じゃと・・・!」



ワルプルギスの夜 内部

承太郎「オラオラオラオラオラオラ!!」

使い魔「オピョー」
シュゥ・・・

使い魔「ギャーピ! ギャーピ!」

承太郎「チッ・・・倒しても倒してもどこからか涌いて来やがる・・・キリがねぇぜ」

キリキリキリ
一定の速度で回る無数の歯車

承太郎「オラァ!」

ガキーン
キリキリキリ

承太郎「かすり傷一つ付きやしねぇ・・・」

使い魔「キャッハハハハハ」

承太郎「くっ!」
襲い掛かる使い魔を叩き落としていく

承太郎「歯車ってーのは1つ欠けただけで全て動かなくなるもんだ――」

使い魔「ウホホホホホ」

承太郎「どんな小さな歯車も『壊す』ことは出来なかった・・・
    だが、壊せないなら、1つだけ『止める』」

承太郎は学ランの上着を脱いで歯車に噛ませた

ギギギ・・・ガコッ
パキーン

承太郎「噛み合わなくなった途端、テメェの動力で壊れたか」




魔女「キャアアアアアアアアア」

ほむら「ワルプルギスの夜が悲鳴を上げた・・・」

地上に落ちて倒れる魔女

ほむら「行ける――」

カチッ

時は止まらない――

ほむら「くっ、魔力が・・・!」

魔女の放ったエネルギーがほむらに襲い掛かる

ドキャッ

ほむら「うっ・・・!」
ほむらは吹き飛んで倒れた

ほむら(しまったわ、肋骨が折れてる・・・)

魔女「オーッホホホホホホホ」

ほむら(ただ落ちただけで、大したダメージは受けてないというの・・・?
    こんなにやっても・・・?
    みんなで戦ってるのに、それでも勝てないというの・・・!?)

ピシッ
空中の瓦礫の一つがほむらの顔に当たった

ほむら「・・・」
血が垂れる

魔女「オーッホホホホホ」

ほむら「私はこれ以上戦えない・・・うぅ!」
思わず盾に手を伸ばす

ほむら(待って・・・マミも杏子もいるのよ。それに新しい助っ人も・・・
    さやかは助けられなかったけれど、今までと比べて遥かに大きく進展してる・・・)

魔女「オハハハハハハハ」

ほむら(これ以上上手く行くことなんて、もう二度と・・・
    それじゃあ、つまりどの道まどかしかあいつを倒せないんじゃない・・・!)

魔女の攻撃が再び届く
バシッ

ほむら「うぅ・・・」

ほむら(これが『運命』なの・・・? 『まどかがワルプルギスの夜を倒す』ことが
    それが全ての終着地点だというの・・・!?)

ほむらのソウルジェムが急激に濁り始める

ほむら「あ・・・!」





別の場所。戦線復帰した悟空
スーパーサイヤ人

悟空「ぐあっ!」

使い魔「キャキャキャ」

悟空「はぁ、はぁ、こんな強ぇなんて、き、聞いてねぇぞ・・・」

使い魔「キィィィィィィ」
ジュババ

悟空「っ・・・!」

界王(悟空の奴、戦線復帰したはいいが相当苦戦してるようじゃな・・・)

悟空「うぇあ!」

界王(スーパーサイヤ人の状態を維持するのがやっとのはずじゃ・・・)

悟空「ち、ちきしょー! か・・・め・・・は・・・め・・・」

界王(何より恐ろしいのは、ワルプルギスの夜が生み出すおびただしい数の
   『使い魔』でさえ、今の悟空の戦闘力を上回っていることじゃ・・・)

悟空「波ーーーーーー!」

使い魔「ギャアアアアアアア」

パラパラ・・・

悟空「何匹やっつけても・・・」

使い魔「ヒョヒョヒョヒョヒョ」

悟空「無限に沸いて来やがる・・・!」

界王(奴らは、魔法少女と異なる異質な『気』に引かれて悟空に群がって来る・・・)

悟空「も、もう勘弁してくれよ・・・!」
ドグォ
ズブッ

界王(せめて切り札『元気玉』を作る時間さえ与えてくれれば・・・)

悟空「ぐえああ!」
悟空の変身が解ける

界王(ほむらちゃんや承太郎の『時の止まった世界』では元気を集めることもできない・・・)

崩壊したビルの上に落ちる悟空
容赦なく飛び掛かる使い魔達

界王(万事、休すなのか・・・)





ジョセフがマミ達の元へ

ひたすら銃撃を続けるマミ

マミ「あ、ジョースターさん」

ジョセフ「はっ! 杏子ちゃんが倒れているッ!」

マミ「大丈夫、気を失ってるだけよ」

杏子「・・・失ってねーよ」

ジョセフ「大丈夫か! 怪我はないか!」

杏子「・・・おあいにく様」

ジョセフ「こ、これはひどい傷じゃ・・・すぐに手当てを――」

杏子「おっさんわかんねーのか・・・? 即死は免れたけどよ・・・
   致命傷だぜ、これ・・・」

ジョセフ「わしも過去に全身の血を抜かれて死んだことがあるが奇跡的に助かった
     まだ諦めるんじゃあないッ!」

杏子「うるせー・・・」

ジョセフ「すぐにスピードワゴン財団の医療班を呼ぶからな!
     その前に生命エネルギーを注入じゃ!」

オーバードライブ!!

杏子「っ・・・てーな、何しやがった」

ジョセフ「今のは波紋と呼ばれるエネルギーじゃ! 死ぬんじゃあないぞッ!
     わしはもう行かなくては!」
走り出すジョセフ

杏子「ったくよ・・・楽には逝けねーよな、魔法少女ってもんはさ・・・」
杏子のソウルジェムが濁り始めた





ワルプルギスの夜、スカート前

ジョセフ「はぁ、はぁ、承太郎!」

承太郎「・・・ジジイ?」
血まみれで出てくる承太郎

ジョセフ「無事だったかッ!」

承太郎「・・・」

ジョセフ「ま、まさかお前も致命傷なのか!? オーバードライブ!!」

承太郎「テメェは自分の孫をテメェの手で殺したいのか?」

ジョセフ「コホン。それより奴の弱点はわかったか!?」

承太郎「わかったのは、奴はスタンドと違って『クセ』がねーってことだ
    言い換えれば、『弱点は存在しない』
    魔女ってーのは魔法少女の恨みが具現したもの・・・呪いのカタマリだ
    動きを抑制することはできたが、
    完全に息の根を止めるには丸ごと消滅させるしかねーようだな」

ピッ
ジョセフ「こちらジョースター! 兵器のエネルギーはどうじゃ!?」

SPW「射出はまもなく可能になります。しかし本体に与えるダメージはさっきよりも――」

ジョセフ「わ、わかった! とにかくやるんじゃ!」

SPW「はい、では使い魔を減らします」

ジョセフ「いいや、イチかバチかで本体を狙うんじゃ!」

SPW「・・・わかりました」
ピッ

ジョセフ「承太郎! スピードワゴン財団のレーザーは人体には無害らしいが
     ちょっと怖いから一応ここから離れるぞ!
     一時撤退じゃ! 攻撃が終わったらまた戦いに戻って来る!」

承太郎「俺はその前にやりたいことがある」

ジョセフ「ん?」

承太郎「俺の学ランに傷をつけた――ワルプルギスの夜の顔面に一発お見舞いしてやる」






―――――――――

ゴロッ・・・ドサッ
瓦礫の陰に落ちる悟空
肩で這って壁に寄りかかる

悟空「はぁ・・・はぁ・・・」

ポタ ポタ

悟空「こりゃ・・・半端じゃねぇや・・・」
ポタ ポタ

悟空「うがあああああああああああああああ!!」
先のなくなった左腕を強く押さえる

悟空「ち、ちきしょー・・・よ、よりによって・・・腕ぇ切られっちまった・・・!」



ほむら「グリーフシードはもう・・・」
ピシッ
ソウルジェムにひびが入る
ほむら「うぅ・・・!」

杏子「うっ・・・く、うああ・・・!!」

マミ「佐倉さん!?」

杏子「マ、マミ・・・! あたしから離れろ・・・今すぐだ・・・!」

マミ「・・・嘘でしょ・・・」
杏子とマミのソウルジェムが黒く蠢き出す





悟空「か、界王様・・・」

界王(何じゃ)

悟空「き、聞いて・・・くれ・・・」

界王(聞いとるぞ、悟空!)

悟空「た、頼みが・・・あんだ・・・」

界王(うむ・・・期待に添えられるかわからんが、言ってみるんじゃ)

悟空「オラに・・・悪の力を・・・!」

界王(何を言っとるんじゃ悟空~!)

悟空「こんな攻撃にさらされたまんまじゃ・・・元気玉は作れねぇ・・・
   もう、使い魔からパワーを奪ってあいつにぶつけるしか、奴を倒す方法はねぇ・・・!」

界王(『呪い玉』じゃと!? そ、それはまずいぞ悟空よ・・・!
   悪の力をお前さん1人の体に集めたら、悟空の魂は木っ端微塵じゃ!)

悟空「やるっきゃねぇんだー! 早くしてくれえー!」

界王(仮に力を制御できたとしてもワルプルギスの夜にぶつけた途端
   奴はますます強大になってしまうんじゃー!)

使い魔「ギャピー!」

悟空「見つかった・・・界王様ー! オラに考えがあるんだ! 信じてくれぇー!!」

界王(うぬぅ・・・わかった! 後は任せるぞ悟空~~!)

ズギュゥン
悟空の目つきが悪くなった

悟空「うぅぎゃあああああああああああ!!」
最後の力で上空高く飛び上がる悟空

使い魔「オホホホホホ」

悟空「さあ、入って来い・・・おめーの黒い部分・・・オラが全部受け止めてやらぁ・・・」
右手をかざす
ビリッ バチッ

使い魔「アンギャアアアア」

悟空「ううぐ・・・!!」

右手に吸い込まれる大量の使い魔
ついでにほむらと杏子とマミのソウルジェムの穢れも吸い込まれた

悟空「はぁ、はぁ・・・何て強さだ・・・これがこいつの・・・
   ワルプルギスの夜の抱えていた呪いの力か・・・!」

魔女「オーッホッホッホッホ」




ほむら「・・・? ソウルジェムが・・・」

ほむらの元へキュゥべぇを抱えたまどかが現れる

まどか「・・・」

ほむら「まどか・・・!?」

まどか「ほむらちゃん。今まで本当にお疲れ様」

ほむら「・・・?」

まどか「この戦いの終わりを、大好きな友達と一緒に見守ることにしたの」

ほむら「・・・!」

まどか「もう、大丈夫だよ」

ほむら「どういうこと・・・?」

QB「・・・」

ほむら「ま、まさかあなた・・・!」

QB「契約主、鹿目まどか。魔法少女となった日付は今日だ」

ほむら「まどか・・・そんな・・・!」

まどか「大丈夫。契約したのは未来の私だよ」

ほむら「・・・え・・・!?」

QB「暁美ほむら。君がこの時間軸に来る前にまどかがどんな願い事をしたか知ってるかい?」

ほむら「・・・」

QB「君が新しい時間軸で苦しまないように、救世主が現れること
   こっちの調べで裏づけの取れたことだ。かなり異例なケースなんだけれど」

まどか「だから、ほむらちゃんはもう戦わなくていいんだよ
    1人ぼっちの旅は、もう、おしまい」

ほむら「まどか・・・」

血の滴るほむらの頭を抱き寄せるまどか

まどか「願いは叶ったんだって・・・
    時間が戻っても、私の願いはちゃんと残ったんだよ・・・」

ほむら「・・・!」

まどか「これからは一緒に未来に行けるんだよ・・・ずっとほむらちゃんのそばにいるよ」

ほむら「うっ・・・」

まどか「だから、安心して」


杏子「・・・ぐっ・・・っはぁ! はぁ、はぁ・・・」

マミ「穢れが消えた・・・?」

杏子(悟空・・・?)

杏子「おい、マミ・・・手貸せ」

マミ「何をする気?」

杏子「少し休んだから、もう一発、やれるよ・・・」

マミ「駄目よ、今無理をしたら今度こそあなた――」

杏子「今やらずにいつやるんだ・・・?」

マミ「・・・」

杏子「2人でぶちかまそうぜ・・・さやかの分までよ・・・」

マミ「・・・ええ」

杏子「準備はいいか・・・」


承太郎「狂気に満ちた顔だ・・・だが、俺が今からテメェの顔面を
    原型がなくなるほどぶん殴ってイカレヅラから泣き顔に戻してやる
    覚悟はいいか――」


使い魔「ギャーハハハハ」
悟空に斬りかかる使い魔達

悟空は切り裂かれながらも平然
悟空「ワルプルギスの夜よ・・・おめーは今まで戦った敵の中で
   誰よりも恐ろしく・・・強大で・・・邪悪だった」

使い魔「シシシシシシシ」

悟空「あの世では幸せに暮らせよ。魔女じゃなく・・・魔法少女でもなく・・・
   ありふれた、無邪気な少女として・・・」

使い魔「アパー」

悟空「またな」

ギラッ

悟空「界王拳ーーーーーー!!!」

呪い玉を投げつけることはせず
拳の中に閉じ込めてワルプルギスの夜に向かって急降下する悟空

スピードワゴン財団のヘリが攻撃を開始する

スタープラチナ!!
承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

杏子「貫けーーーーー!!」

マミ「ティロ・ファイナルブレット!!」


悟空「あありゃああああああああああああ!!」



チュミーーーーーン


パラ・・・パラ・・・


悟空「・・・」

―――――――――――
界王(奇しくも、戦士達の渾身の一撃は同時に放たれた
   こうして、史上最大の魔女、ワルプルギスの夜は消え去ったのだった
   まるで、布団のように、吹っ飛んだ。なんちゃってー!)


数日後

ブルマ「ほーら、ちゃんと7個揃ってるわよ」

悟空「おう、ありがとな! ブルマ!」

ブルマ「それじゃあ、あたしはもう少し見滝原を観光してくわ」

悟空「じゃなー!」

ブイーン

ジョセフ「なかなかのボインちゃんじゃったのう」

承太郎「いい加減にしないとスージーお婆ちゃんに洗いざらい吐いちまうぜ」

ジョセフ「じょ、冗談じゃよ!」

杏子「本当に願いなんか叶うのかよ?」

悟空「ああ、もちろんだ」

ほむら「その代償に、私達は何を支払うのかしら」

界王「それなら大丈夫じゃよ」

悟空「か、界王様!?」

ほむら「何・・・?」

界王「ドラゴンボールはかつての神が人間の為に作った『最後の切り札』なんじゃ
   どうしても困った時、人間の力ではどうにもならない時
   希望を持ってドラゴンボールを7個探し出した者に、特別に神龍が力を貸してくれる
   だから代償なんて支払う必要はないんじゃ。だいしょうぶ。なんちゃってー!」

ほむら「・・・今のは?」

悟空「今のが界王様の声だ」

ほむら「・・・変わってるのね」

QB「ドラゴンボールを持って来られたら、僕の立場は丸潰れだ。乱用は控えて欲しいな」

悟空「悪ぃな。どうしてもさやかを生き返らせなきゃなんねぇんだ」

QB「とにかくこれで、まどかの願いは1つ叶うことだろう
   そうなれば僕と契約する理由はないだろうね。今度こそ本当にお別れだ」

まどか「行っちゃうの・・・?」

QB「代わりを見つけなきゃならないからね。大物に投資した時間を取り戻さなきゃ」

まどか「そっか」

ほむら「とっとと消えなさい」

QB「相変わらずだね、ほむらは」
影の中に消えて行くキュゥべぇ

悟空「さあ、願い事は3つまでだ。ワルプルギスに殺された人達を生き返らせて、
   さやかを元に戻して・・・あと1つはどうすんだ?
   早く願い事決めちまえよ。神龍呼んじまうぞ?」

まどか「で、でも・・・私なんかが決めていいのかな・・・」

悟空「そりゃあそうとも。一応、仮にもおめーが主役なんだからな!」

まどか「えー、そんなことないよ」

杏子「おう、さっさと決めようぜ。早くさやかに謝りたいし」

マミ(素敵な彼氏が欲しいなぁ)

まどか「・・・わかった。決まったよ」

悟空「お! 何だ?」

まどか「えへへ・・・。魔法少女みんなが、魔女にならずに済みますようにって」

悟空「なーるほどなぁ!」

ほむら「名案ね。叶うかどうかわからないけれど」

悟空「叶うさぁ! 神龍は何だってできっからな!」

ワイワイ




ワカメ「うふふ、よかったわね。あの子達」

まる子「あたしの願いは反故にされてなかったみたいだよ・・・」

ワカメ「まる子ちゃんは何を願ったの?」

まる子「魔法少女が幸せになるようにってさ」

ワカメ「へぇー。素敵な願いだわ」

まる子「さ、昭和の人間は帰りましょうや。ああいうのは若い子に似合いだ」
    魔女との戦いを次の世代にバトンタッチしちゃあいけないよ」

ワカメ「・・・そうね」

コンビ名:永久機関

ワカメの能力:壊れた物を直す
修行によって生物の怪我も治せるようになった。ただし、死んだものは生き返らない

まる子の能力:希望の光
ソウルジェムの穢れを魔力によって浄化できる

2人は互いに肉体の傷とソウルジェムの傷を魔法によって癒し合うことができるので
どちらかが一撃で死なない限り、事実上不滅である


終わり

終盤のつまんなさはマジでごめん
書いてて気付かなかった

              .,-'''''~~~ ̄ ̄~~''' - 、
 \      ,へ.人ゝ __,,.--──--.、_/              _,,..-一" ̄
   \  £. CO/ ̄            \       _,,..-" ̄   __,,,...--
      ∫  /         ,、.,、       |,,-¬ ̄   _...-¬ ̄
 乙   イ /    /   ._//ノ \丿    ..|__,,..-¬ ̄     __,.-一
      .人 | / ../-" ̄   ||   | 丿 /  ).  _,,..-─" ̄   ._,,,
 マ    .ゝ∨ / ||        " 丿/ノ--冖 ̄ __,,,,....-─¬ ̄
        ( \∨| "  t-¬,,...-一" ̄ __--¬ ̄
 ミ  ⊂-)\_)` -一二 ̄,,..=¬厂~~ (_,,/")

     .⊂--一'''''""|=|( 干. |=| |_      (/
   /  ( /      ∪.冫 干∪ 人 ` 、    `
 /      )         ノ '`--一`ヽ  冫
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