練習
カキーンカキーン
パワプロ「ふぅ…じゃあ皆!バッティングは終了!休憩だー!」
矢部「わーいでやんすー!」
あおい「ふぅっボクもちょっと休もうかな」ドサ
パワプロ「あおいちゃん、隣座っていいかな」
あおい「うん、いいよー」
パワプロ「あおいちゃん、調子はどう?」
あおい「バッチリだよ!最近変化球のキレがいいんだ!」
パワプロ「そうか!じゃあ後で俺がピッチング受けるよ」
あおい「え?でもパワプロくん、次の練習は」
パワプロ「ロングTバッティングは俺も楽しみにしてたけど、あおいちゃんの球受けるほうが楽しいよ」
あおい「え?あ、う…なんだか照れるなぁ」
パワプロ「正捕手は俺なんだから、遠慮しなくてもいいさ」
あおい「う、うん!」
矢部「パワプロくーん!ロングTバッティングはどうするでやんすかー!」
パワプロ「俺はあおいちゃんのピッチング受けるから、矢部くんが仕切ってくれー!」
矢部「合点でやんすー!」
パワプロ「あおいちゃん!さ、ピッチング練習しよう!」
あおい「うん!やろうやろう!」
パワプロ「おぉ!確かにキレがすごいぞ」
あおい「エッヘン!ってね。パワプロくん、でもキレはよくなったけど、その分球が上ずっちゃうんだ」
パワプロ「そうみたいだね。でもきっとなんとかできるよ!俺があおいちゃんをサポートするんだから」
あおい「えへへ、頼むよパワプロくん」
パワプロ「俺が女房役であおいちゃんが夫!夫婦なんだから当たり前じゃないか」
あおい「ふ、ふう…ふ…?」
パワプロ「うん!じゃ、続けようか!」
あおい「う、うん!」
練習後
矢部「ぷひぃ~、今日は疲れたでやんす」
矢部「パワプロくん、後でラーメン食べに行くでやんす」
パワプロ「あぁ!行こう行こう。お腹すいちゃったよ」
矢部「パワプロくんの奢りでやんすよ」
パワプロ「なんでだよっ!」
パワプロ「あおいちゃんもどう?来る?」
あおい「ボ、ボクは今日はいいよ!なんか、落ち着かないんだ」
パワプロ「残念だな、あおいちゃん可愛いのに」
あおい「な、なー!」
矢部「照れてるでやんす!照れてるでやんす!」
あおい「矢部くん怒るよ」
矢部「ごめんなさいでやんす」
矢部「パワプロくん」ズズ
パワプロ「なんだい矢部くん」ズズ
矢部「今日はパワプロ君大胆発言だったでやんす。正直驚いたでやんす」
パワプロ「何が?」
矢部「あおいちゃんのこと可愛いって言ったでやんす。オイラ告白かと思ったでやんす」
パワプロ「はは。でも矢部くんも茶化してたじゃないか」
矢部「あれは妨害でやんす」
パワプロ「こいつー!」
あおい「今日のパワプロ君、なんか変だったな」スタスタ
あおい「可愛いとか言って。ボ、ボクを女の子扱いしないで欲しいっていったのに」
あおい「ふ…夫婦とか…なんとかいっちゃってさ。ま、まぁあれは夫と女房役逆だからいいけどさぁ…」
みずき「あおいせんぱーい、さっきから何ブツブツ言ってるんですかぁ?」
あおい「あ、は、なんでもないよ」
翌日
校舎
パワプロ「あおいちゃん!偶然だね」
あおい「パ、パワプロくん!」
みずき「パワプロくん、こんなところでなにしてんの?」
パワプロ「なにしてんのって、ここは俺たちの学年の棟だよみずきちゃん」
みずき「う…それはあおい先輩と一緒にいたくて」
パワプロ「はは」
パワプロ「あおいちゃん、ちょうど昼休みだから食堂いかない?」
あおい「そうだね!いこう!」
パワプロ「それじゃ行こうか」
あおい「うん」
みずき「ちょ、ちょっとおいていかないでよー!」
食堂
聖「おや」
みずき「おっす聖ー」
聖「みずき、それにあおい先輩とパワプロ先輩じゃないか」
パワプロ「聖ちゃんも購買の列に並んでるの?」
聖「あぁ、きんつばを買いにな」
パワプロ「売ってるんだ…きんつば」
聖「パワプロ先輩とあおい先輩が並んで来るとはな。仲むつまじいことだ」
あおい「な、仲むつまじいって!そ、そういう関係じゃ…」
聖「私達もバッテリーとして見習わないとな」
みずき「まぁ、私と聖ならもうバッチリなコンビだけどね!エッヘン」
あおい「あ、あぁそういう意味だったんだ」
パワプロ「俺とあおいちゃんならバッチリ仲むつまじいよ!」
あおい「なー!」
練習
パワプロ「あおいちゃん!ピッチング練習しようよ」
あおい「もう!パワプロ君!昼休みみたいにヘンなこともう言っちゃダメだよ!」
パワプロ「ヘンなこと?俺とあおいちゃんは以心伝心じゃないか!最高のバッテリーだよ!」
あおい「ば…バッテリーとしてなら、いいんだけど」
パワプロ「うん!だから俺はあおいちゃんじゃないとダメなんだ」
あおい「!」ドキッ
あおい「ボ、ボクじゃないと?」
パワプロ「みずきちゃんには聖ちゃんがしっかりついてるしね、これで俺はあおいちゃんに専念できるよ」
あおい「あ、う…」カァァァ
パワプロ「どうしたの?ピッチングやらないのかい?」
あおい「や、やる!やるよ!パワプロ君も早く構えて!」
パワプロ「はいはい」
練習後
あおい「…はぁ…」
みずき「どうしたんですか?あおい先輩」
聖「悩み事だろうか?」
あおい「うぅん、なんでもないよ」
あおい(パワプロ君、ボクじゃないとダメって…)
あおい(い、いや!パワプロだってバッテリーとしてだって、あの時ちゃんと言ってたじゃないか!)
あおい(ボクに専念とか…以心伝心とか、仲むつまじいとか…)
あおい(い、いやパワプロ君はチームメイトなんだ!そんな目で見るのはよくないよ!)ブンブンッ
聖「?」
みずき「?」
翌日
みずき「あおい先輩!おはようござ…てすごいクマ!どうしたんですか!?」
あおい「うん…なんか、眠れなくて…」
不眠症になってしまった
聖「あおい先輩、その体調では無理しない方がいい」
あおい「ボクなら大丈夫。試合近いし、皆頑張ってるしね」
あおい「不眠症なんかで休んでられないよ!」
聖「しかし…」
あおい「大丈夫だって!ボクなら大丈夫だよ!」
みずき「あおい先輩…やっぱり何か悩み事が…」
練習
あおい「パワプロ君、ピッチングやろうよ!」
パワプロ「みずきちゃんから聞いたよ。あおいちゃん寝てないんだって?無理しちゃダメだ」
あおい「無理なんかしてないよ!チームの皆が頑張ってる中ボクが休むわけにはいかないよ」
パワプロ「…」
パワプロ「もう、気分がわるくなったら言うんだぞ?」ギュッ
あおい「!?」
あおい(手、手が!握って…!)
パワプロ「じゃ、ピッチングやろうか!」
あおい「う…う、ん…」シュウウゥゥ…
パシッ
パワプロ「あおいちゃん、いつもより球が走ってないよ?やっぱり休んだほうが…」ヒュッ
あおい「何回も言わせないでよ、ボクなら大丈夫だから」パシ
あおい「じゃ、パワプロ君!次はシ ン か ぁ…」ドサ
パワプロ「あおいちゃん!?」
・
・
・
保健室
あおい「う~…ん」パチ
パワプロ「よ、よかった…目が覚めて」
あおい「パワプロ君…?」
練習後
あおい「はぁ…今日はまともに練習できなかったなぁ」
あおい「ん?誰かの声がする」
ヒソヒソ
雑魚プロA「おい、最近のパワプロなんかおかしくないか?」
雑魚プロB「おかしいってわけじゃないけど、なんか様子が違うよな」
雑魚プロA「そうそう、俺、あおいちゃんのことだと思うんだ」
雑魚プロB「やっぱり?今日もあおいちゃんが倒れてから着きっきりで保健室にいたらしいじゃないか」
雑魚プロA「まぁバッテリーだからってのもあるかもしれないけどな」
ヒソヒソ
あおい「…え?」
あおい「パワプロ君が、着きっきりでボクに…?」
あおい「そんな、ボクの自業自得なのになんでパワプロ君が…」
あおい「もしかして…いや、違う!何を考えているんだボクは!!」
あおい「と、とにかく今日はもう帰ろうかな…」
パワプロ「あ、あおいちゃん!」
あおい「パワプロ君!?」
パワプロ「みずきちゃんと聖ちゃんはもう帰っちゃったんだ。みずきちゃんはあおいちゃんと帰るってダダこねたけど、もうこんな時間だし…」
あおい「そっか…。ごめんねパワプロ君、ボクのせいで」
パワプロ「そ、そんなことないよ!あおいちゃんは頑張りすぎなんだよ!」
あおい「で、でも!」
抱きッ
あおい「!?」
パワプロ「あおいちゃんが倒れたのも俺が止めなかったせいなんだ。本当にごめんよ」
あおい「!?あっえっ!パ、パパパワプロ君…!?」
パワプロ「あおいちゃんはチームにとって大切な存在なんだ!だから俺だってあおいちゃんが大事なんだよ!」
あおい「~~~~~っ!?」ボンッ
パワプロ「だから、無理はしないで欲しいんだ」
あおい「…ぁ…う…」シュウゥゥウウ…
寮
あおい「………パワプロくん……」
あおい「パワプロくんは、ボクのことどう思ってるのかな…」
あおい「やっぱり、聞いた通り、ボクのことを、ス…ス…」
あおい「だ!ダメだ!これ以上言えない!!」
あおい「明後日、試合かぁ……」
あおい「試合で勝ったら、その………聞いて、みよう…かな…」
あおい「さり気なくだよ!あくまでさり気なくなんだから!」
試合
パワプロ「さぁ頑張るぞ皆!今まで頑張って来たんだ!」
「オウ!!」
あおい(さぁ頑張るぞ!ボクにはパワプロ君と皆がついてるんだ!!絶対に負けないぞ!)
パワプロ「あおいちゃん!!今日の調子はどうだい?」
あおい「まかせてよ!ベストコンディションだよ!」
パワプロ「よし、じゃあ頑張ろう!そして勝つぞー!」
あおい「おー!」
試合後
矢部「快勝でやんす!やったでやんすー!!」
パワプロ「やったー!勝ったぞー!」
みずき「すごい!あおい先輩、完投しちゃった!」
聖「今日は並々ならぬ気迫だったな、先輩は」
みずき「せっかく私も調子よかったのに~」
矢部「パワプロ君!快勝祝いに焼き肉行くでやんす!パワプロ君のおごりでやんす」
パワプロ「だからなんでだよ!!」
トントン
あおい「パ、パワプロくん、」
あおい「えっと、聞きたいことがあるんだ。ちょっとついてきて…」
球場裏
パワプロ「なんだい?」
あおい「き、今日はお疲れ様!」
パワプロ「何言ってるんだ!あおいちゃんだって凄かったよ!今までにないピッチングだったじゃないか」
あおい「それはパワプロ君のおかげだよ~!」
あおい「…」
あおい「それでね、パワプロ君…」
パワプロ「ん?」
あおい「パワプロ君は…その…その…」
パワプロ「え?なんだい」
あおい「…ボク、パワプロ君が好きなんだ…」
あおい「!?」
あおい(な、何を言ってるんだボクは!!)
これは生理的に無理の匂い・・・!!!1
あおい「ボク!パワプロ君が好きで好きで仕方ないんだ!!」
あおい(な…なにを…)
あおい「パワプロ君がいたから頑張れたんだ!ボクを支えてくれたから…!」
あおい(口が勝手に…ボクは…ボクは…)
あおい「…バッテリーとして、だけじゃないよ…。一人の男の子として、ボクはパワプロ君のことが…」
あおい(そっか…これがボクの…)
あおい「好き…だよ」
あおい(本当の気持ちなんだね…)
パワプロ「…」
パワプロ「あおいちゃん、悪いけど、ごめん」
あおい「…え?」
あおい「…え?」
パワプロ「あおいちゃんは野球一筋だって、そう思ってたけど…。まぁ仕方ないよね」
パワプロ「でも、俺はあおいちゃんをそんな目で見たことはないんだ」
あおい「…え?…」
あおい「…え?」
あおい「だ…だって…パワプロ君は…」
あおい「ボクを着きっきりで看病してくれたり…励ましてくれたり…」
あおい「ボクを大事に思って…くれ、たり…」
あおい「…え?パワプロ君?…な、なんで…?」
パワプロ「確かに俺はあおいちゃんをここ最近全力でサポートしてきたんだけど、それは、女の子としてじゃなくて、チームメイトの一人として大切にしてきたんだ」
あおい「…そ、そんな…」
パワプロ「だってあおいちゃん言ってたじゃないか!女の子扱いしないでって」
あおい「…あ…あぁぁぁ……」
もっと、こう
パワプロ「っていうか勘違い超受けるんですけどwwwwwww」
パワプロ「注目ーーー!みんな注目ーーーーー!!ここに勘違いさんいまーすwwwwwwwww」
矢部君「なんかたのしそうでやんすね。何騒いでやんすか?」
みたいなのかと
あおい「で、でもボクはパワプロ君が好きになっちゃったんだ!」
パワプロ「悪いこと聞くけど、好きだったら何だっていうんだ。付き合うのかい?」
あおい「え…そ、そういうつもりで言ったんじゃ…」
パワプロ「じゃあどういうつもりで言ったの?」
あおい「………。で、でも」
パワプロ「あおいちゃん、俺はあおいちゃんのこと、そんな風には見られないよ」
あおい「う…うえぇ…そんな…そんなぁっ…だって、パワプロ君はボクのこと…」
パワプロ「チームメイトは皆好きだ。一人一人が俺の、俺達の宝物だよ」
パワプロ「勘違いさせちゃってゴメンね。それじゃ」
あおい「…え、ぁ…ぁぁ…待って…待ってよぉぉ……」
>>93
あおいちゃんなら俺の横で寝てるけど
>>95
おいお前のとなりのあおいちゃん空気漏れてるぞ
ラーメン屋
矢部「遅かったでやんすね、何してたでやんす?」
パワプロ「ちょっとね…はぁ…」
矢部「?どうしたんでやんすか?」
パワプロ「男女の友情ってやっぱり成立しないのかなぁ…矢部くん…」
矢部「…わけわかんないこと言ってる暇があったらラーメン頼むでやんす!あと一杯でガンダーロボが貰えるでやんす!」
パワプロ「はは、わかったよ。醤油一杯ください」
矢部「これでガンダーロボはオイラのものでやんす!グフフ」
パワプロ「矢部くん最初からこれが狙いだったんだろー!」
矢部「知らないでやんすー!」
ワイワイガヤガヤ
翌週の試合
みずき「はぁ…あおい先輩どうしちゃったのかな…もう一週間練習も今日の試合にも来てないし」
聖「あぁ。なんだか、先週の試合とは別人だったな」
みずき「そうそう、心配だから電話したら、『ボクはもう純粋に野球ができない。おしまいだよ』って…」
聖「私も昨日同じように電話をかけたが、電話には出なかった」
みずき「はぁ…まぁあおい先輩のことだから、すぐに立ち直るといいんだけどなぁ」
パワプロ「…よし!みずきちゃん!次の回からリリーフよろしく!あと聖ちゃんも俺と交代だ!君たちは相性バツグンだからね」
聖「パワプロ先輩、まかせてくれ」
みずき「よっしゃああ!行くわよ聖ぃ!!」
おわり
つぎはみずきちゃんのばんですね
パワプロ「…」
パワプロ「…もしかしたら、まだ男女の友情は成立するのかもしれない」ズズ
パワプロ「あおいちゃんは気の毒だったけど、男勝りなみずきちゃんならあるいは…」ズズ
パワプロ「男女の友情がうま゛…ゴホッゲホッ」
矢部「食べながら話すからそうなるでやんす。あと3杯でやんす頑張るでやんす…うっぷ」
パワプロ「もういいじゃないか矢部くん、フィギュアなんて…」
翌日 朝
パワプロ「みずきちゃん、朝から早いね」
みずき「はぁっはぁっ…パワプロ先輩…。当たり前でしょ!あのタイムリーさえなかったら……ああもう!!」ビシュッ
パワプロ「かと言ってシャドウピッチングだけじゃなぁ…聖ちゃんは?」
みずき「聖をこんな朝に呼ぶなんて申し訳ないに決まってるでしょ!?私の失投で打たれたんだから」
パワプロ「…まぁまぁ落ち着きなよ」
みずき「うるさーい!はぁっはぁっ!パワプロ先輩こそなにしに来たってのよ!」ビシュッ
パワプロ「俺はほとんど毎日朝練やってるんだ」
みずき「私も、そうしようかな…」ゼェゼェ
パワプロ「無理しなくていいさ、ピッチング、受けてあげるよ」
みずき「え?本当に?」
パワプロ「ほら、バンバン投げていいよ」
みずき「ふぅん、パワプロ先輩ごときに私の変化球が取れるかしら」
パワプロ「ごときって…」
みずき「まずいっちょう!」ビッ
ククッ
パワプロ「わっ!」バシッ
パワプロ「たしかに凄い変化球だね」
みずき「ふっふ~ん、まだまだ序の口よ?この程度の変化球なんて」
パワプロ(本当にすごい自信だなぁ)
みずき「はぁっ…はぁっ…やるわね…パワプロ先輩のくせに」
パワプロ「ぜぇっぜぇっ…みずきちゃんもそろそろスタミナ切れてきたじゃないか!もう時間だし切り上げよう。遅刻しちゃうよ」
みずき「むぅ…仕方ないわね。この辺で勘弁してあげるわ」
パワプロ「はは…」
みずき「じゃあまた放課後ね、パワプロ先輩」
パワプロ「まだだよみずきちゃん。ちゃんとクールダウンしないと肩と肘痛めちゃうよ」
みずき「いいわよ、そのくらい一人でやるし」
パワプロ「ダメダメ!ピッチャーに最後まで付き合うのがキャッチャーなんだから!」
みずき「ふん、たくっ…しかたないわねー」
昼休み
食堂
矢部「オイラ胃袋おっきくなっちゃったでやんす。パンだけじゃ足りないでやんす」
パワプロ「そりゃあれだけラーメン食べたらそうなるよ」
聖「ん、パワプロ先輩と矢部先輩」
みずき「あら、偶然」
パワプロ「また放課後、じゃなくて昼休みに会っちゃったね」
みずき「そうねー!」
聖「ん?何かあったのか?」
パワプロ「みずきちゃん、朝練してたから俺が付き合ってあげたんだよ」
聖「そうなのか。私も行くべきだったな。すまない」
みずき「『付き合ってあげた』って!!むしろ私が付き合ってあげたんだから!」
矢部「二人とも付き合ってるんでやんすか?大ニュースでやんす!」
みずき「そ、そういう意味じゃないわよダメガネ!」
聖「明日からは私も参加しよう」
パワプロ「そうだ、みずきちゃん。プリン買ってあげるよ」
みずき「え?」
パワプロ「朝練してくれてたからご褒美に」
みずき「ご褒美…ねぇ。なんかフクザツー」
パワプロ「いらないの?」
みずき「まぁもらえる物ならもらうわよ」
矢部「欲望に忠実でやんすー」
みずき「なんか言った?」
矢部「気のせいでやんす」
聖「みずき、今日だけだぞ。先輩が困ってしまう」
みずき「わかってるわよー♪プリンー♪」
矢部「欲望に忠実でやんすー」
みずき「んー♪」パクッ
パワプロ「みずきちゃん、俺にも一口だけくれないかな」
みずき「しかたないわねー、まぁパワプロ先輩が買ってくれたもんだし…」
パワプロ「あ、おいしい」パク
みずき「でしょー♪」パク
矢部「あ!間接キスでやんすー!」
みずき「はっはぁ!?馬鹿なこと言わないでよ!」バキッ
聖「矢部先輩、小学生みたいだな」
矢部「……っんす…」ボロッ
練習
みずき「聖ー!ピッチング受けてー!」
聖「あぁ待っててくれ。今ちょうど私のバッティングの番が回ってきたんだが、すぐに済ませる」
パワプロ「聖ちゃんがいない間は俺が受けるから、聖ちゃんは遠慮なくバッティングしていてくれよ」
聖「パワプロ先輩、恩に着る」
みずき「えーっ?パワプロ先輩がー?」
パワプロ「えーっ?じゃない!」
翌朝
パワプロ「さぁ、今日も朝練だ」ザッ
パワプロ「ん?あれはみずきちゃんと聖ちゃんじゃないか」
みずき「―――!!」
聖「―――。――。」
みずき「―――!!」
聖「――!」
パワプロ「ふ、二人が喧嘩してるなんて珍しいな。なにがあったんだ」
みずき「―――!!」バンッ
みずき「…」ドシドシ
パワプロ「あ、グローブ叩きつけて行っちゃった…」
パワプロ「な、なんだか今日は怖いな…。朝練は控えよう…」
休み時間
みずき「…ふんっ…」
パワプロ「み、みずきちゃん…やぁ」
みずき「あぁ!?…なんだパワプロ先輩かぁ」
パワプロ(怖っ)
パワプロ「今日、聖ちゃんと喧嘩してたみたいだけど…」
みずき「アンタには関係ないわよッ!!!」
パワプロ(ひぃ!?)
パワプロ「…」グッ
パワプロ「関係あるよ!二人が喧嘩なんて一大事だ!キャプテンとして、話は聞かせてもらうぞ!」
みずき「……はぁっ…ったく、パワプロ先輩なら仕方ないわね…」
みずき「私が相談するんだから心して聞くよーに」
パワプロ「は、はい…」
みずき「聖のせいじゃないから、朝練には無理してこなくていいって言ったのに、ああいうとこだけ頑固なんだから!!」
パワプロ「え?」
みずき「ずっと『私の責任でもある』って、言い張るのよ?ああもう!」
パワプロ「へ、へぇ…そうなんだ」
みずき「なによ!」
パワプロ「一大事だね」
みずき「…もう…」
パワプロ「…なるほど、みずきちゃんは、自分のせいだって思ってるのかな」
みずき「だ、だって…私があそこで打たれたりしなかったら…。…私のせいだもん…」シュン
パワプロ「そのとおりだね」
みずき「…うん…」ションボリ
パワプロ「でもみずきちゃんだけのせいじゃないさ。誰のせいでもないとも言えるけど、チーム全員のせいだってことも言えるんだよ」
みずき「え?」
パワプロ「打線援護できなかったり、エラーしちゃったり、リードミスしたり。誰にだって落ち度はあったんだ。もちろんみずきちゃんにも聖ちゃんにも、俺にだって!」
みずき「…!」
パワプロ「きっと聖ちゃんはそのことを言いたかったんじゃないのかな?『みずきだけのせいじゃない』ってさ」
みずき「…」
パワプロ「聖ちゃんのところに行こう。俺も一緒に行くからさ」
みずき「…うん…」
練習
パワプロ「よかったね、仲直りできて」
みずき「うんっ」
パワプロ「みずきちゃんは怒る顔よりやっぱり笑顔の方が可愛いよ」
みずき「んなっ…!ば、バッカじゃないの!?」
パワプロ「はは」
みずき「…ふんっばか…」
パワプロ「みずきちゃんのことだもん。ションボリされても逆に心配になっちゃうよ」
矢部「何があったでやんす?」
パワプロ「いや、俺みずきちゃんが心配で心配でしかたなかったんだ」
みずき「っ…馬鹿っ…やめなさいよ、
」
練習後
みずき「…うーん…」
聖「どうしたみずき、まだ引きずってるのか」
みずき「ううん、そのことじゃなくてさぁー…」
みずき「はぁ…」
聖「どうしたんだ」
みずき「パワプロ先輩がさー…あ、いや、やっぱりなんでもないわ」
みずき(私のことが心配とか…ったく何言ってんだかっ…)
聖「?」
みずき(パワプロ先輩、もしかして私のこと…)
みずき(うふふ、いいわ!私がたっぷり遊んであげるんだから!)
みずき「なんてったって私は小悪魔なんだから!ふふふっ」
聖「みずきっ!?一体どうしたというのだ!」
みずき「なんでもないわよぉ」
みずき(パワプロ先輩をたっぷり転がしてやるんだからっ!)
ラーメン屋
パワプロ「矢部くん」ズズ
矢部「なんでやんす?」
パワプロ「勘違いから始まる恋ってあるのかな」
矢部「はぁ?でやんす」
パワプロ「相手を弄んでおきながら、次第にその相手を好きになっていくというか」
矢部「パワプロくんはロマンチストでやんす。そんなものあるわけないでやんす」
パワプロ「なかったらいいんだけどねぇ」ズズ
翌日
パワプロ「おはよう二人とも」
聖「おはようパワプロ先輩」
みずき「おはよっ」ニコッ
パワプロ「わぁっみずきちゃんどうしたのさ!?そんなにニッコリして!」
みずき「なんのこと?」ニコニコ
みずき(動揺してる、動揺してるわ!パワプロ先輩はやくもイチコロね)
聖「みずき、もう投げないのか?」
みずき「ああ!ゴメンゴメン!」
休み時間
みずき「パワプロ先輩、今朝はイチコロだったわね」
みずき「よっし!もっと誘惑して、告白させてやるんだから!」
みずき「そんでもって告白されたら…!」
みずき「…ど、どうしよ…かな…」
パワプロ「~♪」スタスタ
みずき「!」
みずき「パワプロせんぱーい」
パワプロ「みずきちゃんじゃないか、どうしたんだ?」
みずき「ピッチングのことで質問があるの」
パワプロ「わかった!なんでも聞いてくれよ」
・
・
・
みずき「ありがとっ」
パワプロ「このくらいなんでもないよ」
みずき(よしっ…きてるっ!)
練習中
みずき「あれ?聖どっか行くの?」
聖「あおい先輩の部屋に行ってみる。最近も来ないからな」
みずき「そっか…私も行こうかな」
聖「みずきはピッチングをしていた方がいい。覚えたての変化球を体に染み着かせるんだ」
みずき「りょーかい」
パワプロ「じゃ、俺が受けるよ」
みずき「受けたい?」
パワプロ「え?」
みずき「『みずき様の球が受けたいです』って言ってみてよ」
パワプロ「は、はぁ…みずき様の球が受けたいです」
みずき「よくできました♪じゃ、行くわよパワプロ先輩」
翌日
朝練後
みずき「はぁ、朝から汗かくのもまた難儀なものゆね」
みずき「制汗スプレーっと…」シュー…
みずき「パワプロ先輩?私の制汗スプレー貸してあげよっか?」
パワプロ「いいの?いやぁ悪いなぁ」
みずき「ただし、『みずき様』ってこれから呼んでね」
パワプロ「え!?」
聖「おいみずき」
みずき「いーじゃん!先っぽだけ先っぽだけ」
聖「使い方を盛大に間違えてるぞ」
パワプロ「じゃ、じゃあみずき様、制汗スプレー貸してください」
みずき「あら♪いいわよ♪」
聖「パワプロ先輩まで言うんじゃない」
みずき(そろそろ告白してくるんじゃないかしら)
みずき(そしたらどーしよっかなー♪)
みずき(まぁ…パワプロ先輩なら…)
みずき(付き合ってあげないこともない…けどさ…)
みずき(明日ね、明日には告白してくるわ)
放課後
練習後
みずき(そろそろ先輩がなんらかのアクションを起こしてくる筈ね)
みずき「できるだけアクションを起こしやすいように一人っきりになったりしちゃってー」
みずき「あっ!」
パワプロ「…スタスタ」
みずき「~♪」チラ
パワプロ「矢部くーん!お好み焼き屋に行かないかー?」
矢部「行くでやんすー!」
みずき「~♪…」
みずき「まっ、今日は流石に早すぎるわね」
翌日
放課後
パワプロ「みずきちゃん」
みずき(来た!)
パワプロ「今日のピッチングよかったよ!最近朝練頑張ってるからかな」
みずき(なんだ、違うのか…期待させんじゃないわよ)
パワプロ「偉い偉い」ナデナデ
みずき「なっ何すんのよっ」バッ
みずき(…~っ!!)
みずき(じれったいわねっ…)
みずき(さっさと行動起こすなら起こせばいいのにぃ!)
みずき(つっ付き合ってやらないこともないしさー…)
みずき(ったく仕方ないわねー、ウブなパワプロ先輩のために明日は一肌脱いであげるんだから)
みずき「うふふっ」
翌日
放課後
パワプロ「…」スタスタ
みずき「パワプロ先輩、ちょっと話があるの」
パワプロ「え?なんだい?」
みずき(うわっ!すごい満面の笑み!…ふふっ)
・
・
・
みずき「パ、パワプロ先輩…、私と付き合う?」
パワプロ「…へ?」
みずき「あーもぉ、ムードを大切にしなさいよ!」
みずき「だから、その…なんというか、付き合ってあげないこともないっていうか…」モジモジ
みずき(あれ?なんで私モジモジしてんの?なんでドキドキしてるの?)
パワプロ「え、えっと…」
みずき「も、もぉぉ、こういうこと私に言わせないでよぉぉ!」
みずき「だからっその…あのっ…私と付き合ってって、言ってるの!」
みずき(…あれ?)
パワプロ「あの…」
みずき「パワプロ先輩、もうみずき様とか呼ばなくていいから、だから、そのっ!」
みずき(なんで私が下手に回ってんの!?)
パワプロ「あー、うん…ごめん」
みずき「よしっ成立!もうパワプロ先輩は私の彼氏!」
パワプロ「いやだからごめんなさい」
みずき「だから!…ふぇ?」
みずき「え?パワプロ先輩は私のこと…」
パワプロ「え?」
みずき「え?…パワプロ先輩は絶対、私のこと…」
パワプロ「ごめんよみずきちゃん、この前も勘違いされちゃったんだ…誰にとは言わないけど」
みずき「ちっ…違うわよ…私が勘違いなんて…そんなの!ないっないっ!違うのーー!!」
みずき「パワプロ先輩は私のこと好きなのよ!そうでしょ!?そうなんでしょ!?勘違いなんかじゃ……っ」
みずき「…ひっ…パワプロ先輩…なんでよぉ……!違うもん!ひっく…私は勘違いじゃないもん!」
パワプロ「勘違いなんだ、みずきちゃん」
パワプロ「俺は前もいったけどチームの仲間は全員平等に接するって決めてるんだよ」
パワプロ「みずきちゃんは可愛い後輩だし、時々キツイけど、それでもチームメイトとしては大好きさ」
パワプロ「でもね、恋愛感情は持てなかったな。だって『みずき様の球を受けたい』なんて言葉要求するときなんか、俺はちょっとカチンときたよ」
みずき「…っ…!!」
パワプロ「まぁそういうところがみずきちゃんの色だし、魅力って感じる人もいるけどね。矢部くんとか」
パワプロ「でも俺は嫌だったなぁ」
みずき「…なさい…」
パワプロ「?」
みずき「ごめん…なさい…!ごめんなさい!!謝るからっ!ひっく…謝るからぁあっ…!」
パワプロ「えっと…謝られてもなぁ」
パワプロ「で、でもさ、自信っていうのは凄い武器なんだよみずきちゃん」
みずき「うぅっ…ひっく…やだぁっ…やだやだやだぁっ…」
パワプロ「ただ、みずきちゃんはちょっと我が強いかな?聖ちゃんが上手くセーブしてくれてるんだけどね」
みずき「パワプロ先輩…好きなのっ…!だからっ…だからぁっ…!」
パワプロ「ありがと。でも俺なんかじゃ応えられないよ…」
みずき「嘘つきっ…パワプロ先輩の嘘つきぃっ!!」
パワプロ「う、嘘じゃないよ!勘違いだって言ってるじゃないか」
みずき「ひっく…やだぁ…そんなのやだよぉ…」
聖「…みずき、そこにいるのか?」
聖「…!?」
聖「パワプロ先輩…!みずきに何をしたんだ!」
みずき「ひっく…ひ、じり…!わぁあああああ!!聖ー!!」ガバッ
聖「み、みずき…どうしたんだ…」
聖「…」キッ
パワプロ「聖ちゃん!俺はただみずきちゃんに呼ばれただけだよ」
聖「呼ばれただけでこんなにもみずきが泣くとは思えんが」
パワプロ「じゃ、今までの経緯を説明するよ」
・
・
・
パワプロ「…というわけなんだ」
聖「…本当なのか?みずき」
みずき「…ぐすっ…」コク
聖「しかし、パワプロ先輩がみずきを勘違いさせる行動をとっていたという可能性も私は否定できないが」
みずき「聖…もう…いいの…。私が馬鹿だったの…こんなわがまま女…パワプロ先輩が好きになってくれる訳ないわよね…っ」
聖「み、みずき!そんなことはない!お前は…お前は…」
聖「そんな事を言うなんてお前ら、しくな、いぞ…」ポロッ
みずき「いいの、もういいのよ…疲れちゃった…」
聖「みずきぃ…ひっ…」
パワプロ「…」
数日後
矢部「パワプロくん…」
パワプロ「うん、気づいてるよ」
矢部「みずきちゃん…ここ最近ずっとついてきてるでやんす…目が虚ろでやんす、怖いでやんす」
パワプロ「聖ちゃんもみずきちゃんを止めようとしてくれてるんだけど、今みたいにフラフラついてくるんだ」
矢部「聖ちゃんとは和解したでやんすか?」
パワプロ「うーん、それが…」
矢部「はぁ…でやんす」
聖「……みずき、あおい先輩。ご飯ができたぞ」
聖「……」
聖「……みずき、お前の好きなプリンもあるぞ」
聖「あおい先輩…」
聖「……どこへいくんだ、みずき」
みずき「だって、パワプロ先輩が…私のこと…好きだって…だって」
聖「諦めたんだろう?ならもういいじゃないか!」
みずき「いやぁあっ…離して聖ぃ…パワプロ先輩のところに行かないと、先輩寂しいでしょぉ?」
聖「みずき…!もういいんだ!もう苦しまないでくれぇ…ひっく…えぐっ…みずきぃ…」
寮
ピンポーン
パワプロ「はーい」ガチャ
みずき「パワプロ先輩…」
パワプロ「み、みずきちゃん…」
みずき「私…やだ…パワプロ先輩と一緒じゃないと…やだ…やだぁあ…」
パワプロ「み、みずきちゃんっ…聖ちゃんは?」
みずき「聖?だれ?それ…パワプロ先輩、好き…」
聖「みずき!もういいだろう!」ガバッ
みずき「やだぁあっパワプロ先輩と一緒にいたいのよぉぉ!!」
みずき「誰よ…アンタ」
聖「…み、ずき…!?」
聖「みずき!私だ!しっかりしてくれ!」ギュッ
みずき「もうやらぁあ…パワプロ先輩…パワプロ先輩…」
聖「みずき…頼む…」
・
・
・
矢部「てことになるでやんす!」
パワプロ「矢部くん!その発想はこわいよ!」
みずき「バッカじゃないの!?だいたい私がそんなベタベタになるわけないし壊れもしないし」
あおい「ボク、矢部くんの中でそんな位置どりだったんだ…」
聖「何故私のバージョンがないんだ」
矢部「で、パワプロ君、この3人の中で一番一緒にいたいのは誰でやんすか?」
みずき「はぁ!?」
あおい「ええ!?」
聖「!?」
みずき「ふんっ…馬鹿らしいったらありゃしないわ!」
パワプロ「えっと…そうだな…聖ちゃんかな?」
聖「なっ…!?///」
聖「わっ私は…その…。野球、に支障がない程度なら、その…」
聖「もちろん先輩がよかったらの話だが…あっあるいは…」
パワプロ「だって同じキャッチャーだから、一緒に練習したら色々学べそうだしね」
聖「」
おわり
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