P「向井拓海の親愛度が振り切れたら…」 (44)
拓海「ほら、とっとと起きろよP」
P「え?あ、うん……」
拓海「起きたら顔洗って、食卓につけ……朝食ならすでに作っといたから」
P「………」
拓海「……なにしてるんだって、早く起きろ!布団が干せねぇだろ?」
P「……なぁ、拓海」
拓海「ああ?どうした?」
P「俺、昨日反省会が終わったら家に帰れって言ったよな?」
拓海「……帰れるわけないだろ、こんなひでぇ状態のPの部屋なんかみたら」
P「……自分で言うのもなんだがそこまで汚くしてるつもりはないんだが…」
拓海「まぁ、ぱっと見は片付いていることは認める……けどなぁ」
拓海「テレビ、パソコンの画面には薄く埃がついてるし、床だって雑巾がけしてねぇだろ?すぐ雑巾が黒くなったしな」
拓海「まぁ、そんなわけで気づいたら居座っちまった」
P「………」
P(……全知全能の神様…)
P(気づいたらいつの間にか向井拓海は五十嵐響子並……いや、それ以上の押し掛け女房系アイドルになってしまいました……)
P(一体なぜなのか……教えて下さい…………)
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モバマスss
向井拓海の話
コレジャナイ感、口調がおかしいのはゴメン、許して
書き溜め分を小出ししていきます
……………
………
…
P(さて、事務所にも着いたし予定の確認を、と)
P「……今日は付き添いが必要そうなのは…まず、年少組は念のためとして…」
P「拓海が子供向け教育番組に出演、か……」
P(いくらあんな風になったからといってこういう番組への出演に難色を示しそうだしなぁ…)
P「一応拓海の説得と出演させた責任として着いていくか」
拓海「アタシがなんだって?」
P「うおっ!?び、びっくりした……おどかすなよ」
拓海「おどかすつもりはなかったんだけどな……たまたまPの後ろを通りかかった時にアタシの名前を呟いてから」
拓海「……んっ?アタシの今日の予定って…」
P「あ、ああ……子供向けの教育番組に出演する話だったんだが、行ってくれるか?」
拓海「ああ、かまわないけど」
P「あれっ!?そんなにあっさり!?」
拓海「はぁ?与えられた仕事やるのは当たり前だろ……それともアタシにその仕事断ってほしかったのか?」
P「いや、そんなことはないが……前までこういう番組出るのは嫌だったみたいだしな」
拓海「昔のことはどうでもいいだろ?今は今だ」
P「そ、そうか……」
拓海の収録時間……
P「といっても心配になるのは仕方ないことだよな、うん」
P(今日他にやるべき仕事は終わらせたし、年少組も全員しっかり家に帰したから来てしまったが)
P「どんな具合かな?」
拓海「さて、次はみんなで工作の時間だぞ~、良い子のみんなは並んで折り紙を拓海お姉さんからもらおうなー」
ちびっ子たち「はーい!」
P「」
P(…え?なにあの子どもたちを相手に自然な笑顔が顔に滲み出てる拓海は……)
P(前のイベントの時はガッチガチの無理矢理顔を緩ませてた感じだったのに……)
拓海「じゃあ、みんなでまずはここを折り折りするぞー、はい折り折り~」
ちびっ子たち「はーい!おりおりー!」
P(あんなセリフだって指示されなきゃとても言えなかったのに……ど、どうしたんだ拓海は…)
拓海「ここをこうしてこういう風に折って……最後にこの端っこをここに入れて完成だ!」
ちびっ子たち「できましたー!」
拓海「よくできました!では来週も良い子のみんなはテレビの前で待っててね!」
< ハイ、カットー
P「お、お疲れ拓海……」
拓海「ん?なんだP、来てたのか」
P「ああ…仕事も全部終わらせたし、来てみたんだが……」
拓海「そうか、んでどうだったよ?プロデューサーから見ての今日の仕事ぶりは」
P「完璧だったと思うぞ…進行の仕方も子どもたちの状況を見ながらできてたし、言うことなしだ」
拓海「そうか!へへっ、なら帰りに飲み物でも奢っていけよ?」
P「それくらいなら送っていく予定だったし、お安い御用だが……」
拓海「そうか!なら、とっとと着替えてくるか……ん?」クイッ
ちびっ子「…たくみおねーさん!」
拓海「ん?どうしたのかな?」
ちびっ子「これ、あげる!」
拓海「これは今日は作った折り紙……本当にいいのかな?」
ちびっ子「うん!」
拓海「そうか、ありがとうな!」ナデナデ
ちびっ子「えへへー、またね!」
拓海「おう!またな!」
P「………」
P(……本当になんでここまで拓海は変わったんだ?)
……………
………
…
拓海「…なぁ、本当に明日の朝食とか作らなくても平気なのか?」
P「大丈夫だって……そもそもアイドルが男の部屋に出入りするとこなんて撮られたら大問題なんだからな?」
拓海「それもそうだけどな……けど、明日もしっかりした朝食は摂れよ?」
P「今までも一人暮らしはしてきたし、そこらへんはぬかりないさ」
拓海「ていってもインスタントとか出来合いの惣菜とかに頼ってたんじゃあ説得力ないけどな」
P「そ、それは言われると辛いが……どっちにしろもうお前の家の前に着くから」
拓海「おう、ありがとな」
P「まぁ、けど明日は拓海の美味しい朝食が食べられないのは残念だけどな」
拓海「!……な、なら明日は事務所で朝食作ってきてやったほうがいいか……?」
P「なにもそこまでしてもらわなくても大丈夫だぞ……」
拓海「いいじゃねぇか、人の好意くらい素直に受け取ってけよ」
P「でもな……拓海から朝からご飯作ってもらうなんて…」
P「贅沢すぎるだろ?ハハ…」ポリポリ…
拓海「ッ!こ、ここまでいいから降ろしてくれ」ボッ
P「え?もう拓海の家あと少しだけど……」
拓海「いいから!送ってくれてありがとよ!また明日な!」
ガチャ、バタン!
P「……どうしたんだ?」
拓海の部屋……
拓海「はぁ……」
拓海(あんなことでいちいち反応するなんて……アタシらしくもねぇ…)
拓海(……いや、認めるしかねぇ…前の自分が見たら今のアタシは本当にアタシらしくないんだ…)
拓海(そもそもアイツがアタシをこんなにするからだ……そのくせアイツはアタシの好意にはこれっぽっちも気づいちゃいねぇ…)
拓海(あ~、なんか腹立ってきた…明日出会い頭に小突いてやろうか)
拓海「………いやいや」
拓海(……そ、そんなことしたら嫌われちまうかもしれねぇ…やめよう)
拓海(第一にアイツには世話になりすぎた……どんな小さいことでもいい、アイツには恩を返さねぇとな…)
拓海「ふぁぁ……眠ぃ…」
拓海(最近、アイツに朝食とか作ってるからか……朝早く起きてるせいで眠くなるのが早くなっちまったなぁ)
拓海(夕食食べてねぇ……けど、眠ぃし、別に……いっ…か…)
拓海「スー…スー……」
……………
………
…
P『……み…君!…そこの君!』
拓海(んっ……?)
拓海『あ?アタシか?』
P『そう!君だよ!』
拓海(これは……夢?)
拓海『なんだ?こんないかにも族っぽいアタシに声かけて……怖かねぇのか?』
P『まぁ、少しは怖いけど……それ以上に君に話しかけなきゃいけない使命感みたいなのを感じたからね!』
拓海(そうだ……これはアイツと初めて会った時だ)
拓海『なんだそりゃ?……もしかして口説いてんのか、アタシを?』
P『ん~…口説いてる、に近いかもしれないけど、完全にそうとは言えないなぁ』
拓海『はぁ?どういうことだよ?』
P『まぁ、まどろっこしいのは抜きにして……とりあえずこれを受けとってくれないかな?』
拓海『名刺……?……ってこれ芸能事務所の…』
P『そう、俺は◯◯芸能事務所のプロデューサーのPという者です』
拓海『ん?◯◯芸能事務所っていうと最近、なんだっけ…あの…そうだ、ニュージェネレーションのとこか?』
P『おっ!ニュージェネレーションも有名になってきたか……嬉しい限りだな』
拓海『ふーん……プロデューサーってのも嘘じゃなさそうだな…』
拓海『んで?そんな芸能事務所のプロデューサーさんがアタシに一体どんな用で?』
P『そうだなぁ……単刀直入に言うなら君をスカウトしたいってところかな』
拓海『……はっ?スカウトって……アタシを?アイドルに?』
P『察しが良くて助かるね!そう、君をアイドルにしたいってこと』
拓海『………ハッ!笑わせんじゃねぇよ!』
拓海『アタシは天上天下、喧嘩上等、特攻隊長向井拓海だぞ!アイドルとかチャラチャラしたもの……って!』ガシッ
P『いいからいいから!とりあえず事務所に来てくれるかな!これだけの逸材はそうはいないしね!』
拓海『お、おい!掴むな!引っ張るなって!人の話を聞けぇ!』ズルズル…
拓海(懐かしい……あの頃の夢を見るなんてな…)
拓海(あん時は本当にアイツ、アタシの言うことに聞く耳持たなかったっけ……)
拓海(後から話を聞いたらアイツ、目の前にあれだけの磨けばすごいアイドルになれる原石がいたから、とにかく事務所に連れて行きたかった、なんて言ってたっけな……)
ワァァァァァァ…
未央『みんなー!今日はありがとー!』
卯月『それじゃあ、ラスト一曲!はりきっていくよー!』
凛『お願い!シンデレラ!!いくよ!』
ワァァァァァァ????
拓海『………』
P『…初めて見たかな?これがアイドルのライブだよ』
拓海『………』
P『ニュージェネレーションは今でこそ期待の新人ユニットなんて言われてるけど、ここまでくるのには尋常じゃない努力を重ねてきた』
P『それでも、まだまだトップアイドルになるには道は険しい……それがアイドルの世界なんだよ』
拓海『……一つだけ前に言ってたことを撤回する』
拓海『アイドルをチャラチャラしてるような奴らだって言ったな………あれを撤回させてくれ』
拓海『そうしなきゃ、今ステージの上で全力でアイドルやってるあの三人に申し訳が立たねぇ』
P『そこまで言ってくれるなら、担当プロデューサーとしては嬉しいな』
拓海『だからこそ、聞いておく……アタシみたいな奴があの三人と同じような土俵に立っていいのか?』
P『…答えはもう君に声をかけた時から決まってたんだ……一緒にトップアイドルを目指してくれないか?』
拓海『…わかった、やってやるよ!その代わりお前もアタシを全力で上へ押し上げてくれよ?』
P『ああ!よろしく頼むぞ、拓海!』
拓海(これも懐かしい……アタシがアイドルになるって決心した時だ)
拓海(明晰夢っていうんだったか……こういう風に自分で夢だってわかる夢のこと)
拓海『……それで?いざ仕事やってみようとか思ったらこの格好ってどういうことだよ…?』
P『え?気に入らなかったか、その衣装…』
拓海『あ、当たり前だろ!なんだこのヒラヒラした格好!こんなの着るとか聞いてねぇぞ!』
P『いや、アイドルなんだしそういう格好は仕方ないだろ……それに似合っててかわいいぞ?』
拓海『は、はぁ!?なに言ってんだ、お前はぁ!』バシッ
P『いって!!な、なんで怒ってるんだよ、拓海!』
拓海『怒ってなんかねぇよ!……まったく…』
P『いてて……じゃあ、今回の仕事は断ったほうがいいか?』
拓海『……いや、格好が気にいらねぇからって仕事をすっぽかすわけにはいかないだろ…やってやるよ』
P『…そうか……ありがとうな、拓海!』ニコッ
拓海『!……か、代わりに帰りに飯でも奢れよ…』プイッ
P『まぁ、それくらいで済むなら安いものかな…』
拓海(…つくづくアタシも安い女だな……言われ慣れてないからってかわいいとか言われてアイツを意識しだすなんて)
拓海(なんだかこうやって今までの自分を思い出すのって恥ずかしいもんだな…)
拓海『おい!しっかりしろよ!』
拓海(え……?)
P『うぐぁ……なんで戻ってきた…拓海…』
拓海『いきなり明るい所まで走れなんて言われたら心配になるだろが!』
拓海(これは……あの時の…)
P『ははっ…それもそうだな……ぐうッ…!』
拓海『クソッ!アタシの肩に掴まれるか!?』
P『は、はは……そんなことしたらお前の服が血で汚れちゃうだろ…?』
拓海『そんなこと言ってる場合か!!とにかくすぐ救急車呼ぶぞ!』
P『…すまん……世話を…かけ……る…』ガクッ
拓海『!?……お、おい!しっかりしろよ!おい!!』
拓海(……アタシがアイドルとして上手くいきはじめて、それで…)
拓海(族やってた頃に敵対してた集団が、今のアイドルなんかやってるようなアタシにだったら報復できると踏んで、アタシとPの帰り道を狙って……)
拓海(けど異常に気づいたアイツがアタシを先に逃がして、それで囮になった)
拓海(結果としてアタシはどうにもならずに済んだが……Pは口も額も切って、何箇所も殴られて、肋骨も骨折して……)
拓海(……あの時ほど過去の自分を責めたことはなかった)
拓海『すまねぇ、P!』ボロボロ
P『泣くなよ、拓海……それに拓海の所為でもないんだ』
拓海『いいや!アタシの所為だ!アタシが族なんかからアイドルをやったから、Pをこんな目に合わせちまったんだ!』ボロボロ
拓海『こんなボロボロにさせて……事務所の仲間にも顔合わせできる自信なんてねぇよ!』ボロボロ
拓海『アタシ、これ以上Pに迷惑をかけるくらいならアイドル続ける意味なんてねぇよ!やっぱりアタシみたいな奴なんか…』ボロボロ
P『……拓海』ポンッ
拓海『…えっ?お、おい…手なんか上げたらケガに響…』
P『いいから…こんな時くらい男にカッコつけさせろよ……』ナデナデ
拓海『P……』
P『……アイドルを辞めるなんて言わないでくれよ』ナデナデ
拓海『…で、でも』
P『いいか?俺は拓海を含めて、事務所のみんなをトップアイドルに導くまで俺は絶対に死なない……いや、死ぬわけがないんだ』
拓海『……』
P『…そして何より事務所のみんなのファン第一号として、頂点のステージで輝く姿を見るまで死ぬわけにはいかないんだよ』
P『だから、アイドルを辞めるなんて言わないでくれ……俺の夢を奪わないでくれ…』
拓海『…くっ……何かと思えばお前のただの願望じゃねぇか…』ボロボロ
P『ハハハ……まったくもってその通りだな…』
拓海『……けど、ファン第一号の願いも聞き届けられないで何がアイドルだよ…』
拓海『…いいぜ、やってやるよ……アタシがPの願いくらい叶えてやるよ!』
P『…それでこそ……俺の見込んだアイドルだ…よ……』トサッ
拓海『えっ!?…大丈夫か、P!』
P『スー……スー……』
拓海『な、なんだ……寝ただけかよ……』
拓海『………』
拓海『結局、お見舞いするつもりがアタシの方が励まされちまったなぁ…』
P『スー……スー……』
拓海『へっ……ムカつくくらい気持ちよさそうに寝てるな…』
拓海『……なぁ、P…』
拓海『ありがとよ……そしてごめん…』
拓海『こんな時にしか勇気が出せないアタシを……許してくれ…』
拓海『んっ……』チュッ
……………
………
…
チュンチュン……
拓海「……」ボーー
拓海「…朝か」
拓海(早くアイツのために朝食作ってやらねぇとな…)
拓海(……思えばこうしてアイツのために朝食の用意やアイツの部屋の掃除をするようになったのもあれ以来だな)
拓海(早くアイツに恩返しがしたくて…何よりアイツに好きになってもらいたくて…)
拓海(それでアイツがよく言ってるアタシのアイドルとしての武器を自分なりに分析した)
拓海(アイツはいつもアタシの笑顔がかわいい、スタイルが良い、とかとにかくアタシの女らしいところを推してた)
拓海(アイツがそこを気に入ってるからこそアタシの武器にしたんだろうから…)
拓海(単純な考え方だが、だからアタシは家事や子どものあやし方を必死で覚えた)
拓海(最初は何度もこんなバカバカしいこと、とか思って止めようとしたが、今ではこれが趣味っていっても過言じゃねぇレベルだと思ってる)
拓海(……まぁ、最近ちょっと押しつけがましくしすぎたりしてるな、とは感じてるが)
拓海(恩返しの分だし、少しくらい押しつけたって大丈夫だろ…)
拓海「…って、これ完全に自分に対しての言い訳じゃねぇか……」
拓海「まぁ、いい……早く朝食の用意するか」
……………
………
…
ガチャ
P「おはようございます」
ちひろ「おはようございます、Pさん……ん?」
P「?……どうしましたか、ちひろさん?」
ちひろ「……Pさん、また朝食食べませんでしたね?」
P「えっ……どうしてわかるんですか?」
ちひろ「そりゃあ、顔色見ればわかりますよ……頬っぺたから赤みが抜けてます」
P「そ、そうでしたか…」
ちひろ「今からでも遅くはありませんし、何か買ってきたらどうですか?」
P「いや、早めに仕事に取りかかりたいですし……朝食くらい抜いても…
響子「ダメですよ、そんなこと!不健康です!!」
P「うわっ!?き、響子?今どこから…」
響子「細かいことはいいんです!ささっ、私の作ってきた朝食をどうぞ!」コトッ
P「え?いやぁ、なんか悪い気がす…
まゆ「ふふふ、響子ちゃん……それには及びませんよ」
P「おわぁっ!!ま、まゆも一体どこから……」
まゆ「Pさん、あまり細かいことを気にしてしまうと倒れちゃいますよぉ……それより、私も朝食を作ってきましたよ」コトッ
P「えっ…!?」
響子「むむっ!……しかしPさん、私の朝食はしっかり栄養バランスを考えたメニューになっています!是非こちらを!!」
まゆ「…たしかに栄養バランスという面ではまゆの朝食は響子ちゃんに劣ってしまうかもしれませんが、まゆの朝食はPさん好みの味付けにしておきましたよぉ…?」
響子「むむむむ……!」
まゆ「ふふふふ……!」
P「えっ…ど、どうすりゃいいの、これ…」
ちひろ(触らぬ神に祟りなし、と……)
ガチャ
拓海「おはようございます、っと……ん?」
響子「むー……」バチバチ
まゆ「ふふふ……」バチバチ
P「……」ビクビク
拓海(な、なんだこの状況…)
ちひろ「あら、おはよう拓海ちゃん」
拓海「おう、ちひろさん……つか、なんだあの睨み合いは…」
ちひろ「まぁ、そこまで珍しくもない話だけど……響子ちゃんとまゆちゃんがご飯作ってきて、今の状況って感じね」
拓海「そ、そうか……」
拓海(…これは誤算だったな……よく考えたらアタシ以外にもこういうアピールをしてる仲間がいるのはわかっていたはずなのに…)
拓海(けど……ここで引くわけにはいかねぇ!)
拓海「………」ツカツカ
P「た、拓海来てたのか?よかったらこの二人を説得し……」
拓海「ほらよ、朝食だ」コトッ
P「……えっ?」
響子「んっ?」
まゆ「あらぁ?」
ちひろ(……修羅場が更に泥沼化しそう…)
響子「こ、これは……」
まゆ「拓海さん、急にどうしたんですかぁ…?」
拓海「ま、まぁ普段の恩返しってところだよ……」
拓海「二人に比べたらアタシはまだまだ料理が上手い自信なんてこれっぽっちもねぇ……けど…」
拓海「精一杯作った!……だから、よかったら食ってくれ……」ポリポリ
響子、まゆ「!!!!」
P「い、いやぁ……さっきから二人にも言ってるけどそれは悪いんじゃ……
響子、まゆ「「いいえ、拓海さんのを食べてください!」」
拓海「……えっ?」
P「ふ、二人とも?」
響子「一生懸命に作った……それがありありと滲み出てる拓海さんの朝食を食べないなんて、男として風上にも置けないですよ!」
まゆ「悔しいですけど……女の子として今回は拓海さんに軍配を上げるしかありませんね……」
拓海「え?…えっ?二人とも……?」
響子「けど、勝ちを譲るのは今回だけですよ?」
まゆ「次は必ず勝ってみせますよぉ」
ちひろ(え?……ど、どういうこと?)
響子「…というわけで先にレッスンに行ってきます」
まゆ「では、また後で…」
ガチャ、バタン
P「……な、なんだったんだ?」
拓海「……」
P「……拓海?」
拓海「…あの二人には借りができたかな……」
P「えっ?」
拓海「なんでもねぇよ、P!ほら、いいから朝食食べろよ!」
P「あ、ああ……それじゃあ本当にいただいていいんだな?」
拓海「男ならとっととがっつけよ!それに朝食抜きなんて健康にも悪いしな!」
P「お、おう……じゃあいただきます」
P「!……美味い!」モグモグ
拓海「本当か?」
P「ああ、本当に美味しいぞ!前より更に美味くなってる!」
拓海「そうかそうか……へへっ、まだまだあるからどんどん食えよ!」
ちひろ(……修羅場が去ったのはいいけどこの空気もあんまり好ましくないですね…)
……………
………
…
P「あのなぁ……拓海…」
拓海「ん?どうした?」
P「いくら俺が今日作ってくれた朝食を美味そうに食ってたからって、夕食まで作りに来るっていうのはアイドルとして大問題なんだぞ!」
拓海「まぁ、変装もしたし心配はねぇよ」
P「もしものことを考えろよ!それ以前に女子高生が成人の男の部屋に入ること自体大問題なんだけどな!」
拓海「細かいことはいいだろ?それにPだって飯くらい美味い物を食いたいだろ?」
P「それは否定しないけど、かといって……
ぐーー……
P「………」
拓海「……ぷっ…どうやら腹の方はもう我慢は限界みたいだぞ」
P「くそぅ……こんな体の仕組みが恨めしい…」
拓海「じゃあ、今日は夕食作って食ったらとっとと帰る……これでいいか?」
P「……今回だけだぞ?」
拓海「そうこなくっちゃな!なら材料買いに行くぞ!」
P「こ、こら!走るな!変装か崩れたらどうするんだ!」
拓海「そん時はそん時だ!ほら、早く行くぞ!」
Pの部屋……
P、拓海「ごちそうさまでした」
P「ふぅ…食った食った……美味かったぞ」
拓海「おう、お粗末様……んじゃ、片づけるぞー」
P「え?…いや、さすがに皿洗いくらいは自分でやるぞ」
拓海「Pにはまかせておけねぇよ……前に皿洗いしてるときにPの洗い方見えたが、あれじゃあ水代と洗剤の無駄だ」
P「だけど、何から何までお世話になりっぱなしじゃあな…」
拓海「たまにはいいじゃんかよ……恩返しだと思って受け取っておけ」
P「………」
拓海「じゃ、よいしょっと……」
ジャーー……
拓海「早めに終わらせるから待ってろよ」カチャカチャ
P「……なぁ、拓海」
拓海「んー?」
P「あの時の俺のケガのことをまだ気にしているのか……?」
拓海「……」カチャカチャ
P「だとしたら……その恩返しだとしたら、もう気にしないでくれ…」
P「最近、拓海が料理や洗濯、さらには子ども向け番組にも積極的になってるのがその恩返しの形なら…」
P「そんな形で拓海の行動を縛りたくなんかないんだ……これはプロデューサーとしてのお願いだ」
拓海「………はぁ……前から思ってたけど、Pって本っ当に抜けてるとこあるよな」カチャカチャ
P「……えっ?ど、どこがだ?」
拓海「そんなお願いをしてきた辺りだよ……壊滅的なくらい抜けてる」
P「……じゃあなんでここまで拓海は変わったんだ…?なにが原因なんだ…?」
拓海「……Pには遠回しに言ったってわからねぇだろうからはっきりいうぞ…」カチャカチャ
P「あ、ああ…」
拓海「……Pが………Pのことが好きだからにこんなことするんだよ…」カチャ…
P「……えっ?」
拓海「…二度は言わないからな」カチャカチャ
P「……」
拓海「……答えも…今は聞かないからな…」カチャカチャ
拓海「……洗い物も終わったし、そろそろ帰るぞ…」
P「……拓海」
拓海「じゃ、またあし…
P「待ってくれ!拓海!」
拓海「なんだよ……早めに帰れって言ったのPの方だろ?」
P「……答えは聞かないって言ってたけど、ここまでされたら…さすがに俺にだって一言は言わせてくれ」
P「俺は……拓海の告白を聞けて嬉しかった…」
拓海「ッ!?」
P「……拓海のこと、アイドルにしといてこんなこと言うなんてプロデューサーとして失格なんてことは自分でもわかってる…」
P「拓海のことを助けたのだって……本当は拓海が好きだったから、体を張ってまで助けたんだ…」
拓海「………」
P「下心があったから拓海の恩返しを素直に受け取れなかったんだ……」
P「最低だよな、俺……」
拓海「………」
P「そんな俺が……拓海から好意受け取るなんて…そんなこと……」
拓海「………」トスッ
P「えっ!?うわぁ!!」ドサッ
P「いてて……た、拓海?一体これは…って!」
拓海「………」ノソッ
P(マウントポジションをとられた……う、動けない…)
P(……まぁ、ここから殴られようが何されようが俺は抵抗なんてする権利はない)
P(一途に俺を想ってくれた拓海への行為が全部下心ありきのものだったなんて知らされれば……復讐されたって文句は言えない…!)ギュッ
拓海「P……目、瞑ってないで…アタシを見てくれよ…」
P「……えっ?」パチッ
拓海「んっ……」チュッ
P「むっ!?んっ…!」
拓海「むぅ……ふぁ、ん……くぅん…」チュルッ…チュッ…チゥ…
P「くっ……えぅ……ふぅ…」チュプ…チュ…プチュ
拓海「んぅ……ぷはぁ…はあっ…」
P「ふはぁ……はぁっ…」
P(あ、頭が……蕩ける…)
拓海「Pが……Pが悪いんだからな…アタシをここまで本気にさせて……」
拓海「それで……アタシが一番欲しかった言葉をかけた………Pが悪い…」
P「た、くみ……」
拓海「だから……今は…今だけは……アタシ以外、目に入れるなよ…アタシ以外のことを、考えるなよ……」
拓海「アタシを……いっぱいに…してくれよ……んっ…」
P(……拓海…)
……………
………
…
チュンチュン…
拓海「…ら……ほら!起きろよ、P!」
P「…んぅ?………拓海?」
拓海「やっと起きたか……朝食作ったから、早く食べて事務所行くぞ」
P「………」
拓海「どうした、P?」
P「………顔が赤いぞ」
拓海「う、うるせぇよ!」カァァァァァ
P「…あれは夢じゃないんだな?」
拓海「………夢にしてたまるかよ…ようやくPと…あ、あんなことできたってのに…」
P「そうか……なら…」ギュッ
拓海「うわぁっ!?な、なんだよ急に!!」
P「…拓海はまだアイドルで、俺はまだプロデューサーだ……この部屋から出たらこの気持ちを隠しておかないといけないんだ」
拓海「……そうだな」
P「だからこの部屋を出るまではこの気持ちを……隠さないで、素直にぶつけたいんだ…」
拓海「……」
P「けど……いつかこの気持ちを隠す必要がなくなった時は…」
P「ずっと、こうして抱きしめられる距離にいてくれないか?」
拓海「……その答えをアタシが言う必要があるのかよ?」
P「聞いておきたいんだ…拓海の口から」
拓海「今さら愚問だってのによ……」
拓海「アタシの方こそ離してなんかやらねぇよ、バカ!」ギュッ
短いですがこんな感じで終わりです
こんな時間だから見てる人も少なかっただろうけど、見てくれた人いたらありがとう
また書き溜めたら他のアイドルも書く予定だから、そっちもよろしくね
あ、それと
エロという程でもないが、それが濃くなるようなら最初に注意書きした方がいいよ
>>34
やっぱ書いたほうがよかったか……
レスありがとう
このSSまとめへのコメント
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