時子「ごきげんよう」
拓海「こんばんわー☆」キャピッ
時子「番組第一回目のディナーは、豚のしょうが焼きよ」
拓海「わぁい☆」キャピッ
時子「これから豚料理の何たるかを、この時子様が直々に教えてあげるわ。感謝なさい」
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時子「まず用意するのは、言うまでも無いけれど豚肉3枚」
拓海「スーパーでもしょうが焼き用の豚肉が売ってありますね☆」キャピッ
時子「えぇ、そうね」
拓海「それじゃあ筋に切り込みを入れて、肉に小麦粉を……」
時子「あら、あら、あら」
拓海「?」
時子「この豚肉、そのまま小麦粉付けて焼くつもり?」
拓海「それが何か?」
時子「はぁ……貴女、全然分かってないのね」
拓海「は?」
時子「いい?豚肉はね、焼く前に程良く叩いて伸ばしておくの」
時子「そうすれば、焼いた時に肉が硬くならずに柔らかくなるから」
時子「……貴女、こんな事も知らずにしょうが焼きを作るつもりだったの?」
拓海「それって、小麦粉付けてからでも」
時子「はぁ?それじゃ折角まぶした小麦粉の意味がなくなるじゃない」
拓海「……あ、そっかー☆たくみん、うっかり☆」テヘペロ
時子「分かったならさっさと豚肉を仕込みなさいよ。ホント愚図ね」
拓海「……すみませーん☆」キャピッ
時子「ったく、脳にいく栄養が胸にいってる子はこれだから……」
拓海「………」
時子「さて、豚肉を仕込んでる間にタレを作ろうかしら」
時子「材料は酒、砂糖、醤油、みりん、そしてしょうがの……」
時子「あら?」
時子「ねぇ、ちょっと」
拓海「はい?」
時子「すりおろしておいてって言ったわよね?しょうが」
拓海「そ、それはスタッフの仕事じゃ」
時子「ミスに対する口答えと言い訳を許可した覚えは無いのだけれど」
拓海「………」
時子「お子様向けのスイーツを作る貴女の持ち番組って、25時半からだったの?」
拓海「……違、います」
時子「なら、今は誰の番組?」
拓海「……時子……様、です」プルプル
時子「私がやれと言ったら、貴女がやるの。私の番組では常識でしょう?」
拓海「す、すいませんでしたー☆今からすりおろしまーす☆」キャピッ
時子「もういいわ、私がやるから。貴女はさっさと肉を仕込み終えなさい」
拓海「………」
時子「ったく、こんな下らない事に時間を使わせないでくれる?本当に使えない子ね」ショリショリ
拓海「……………」
時子「はい、すりおろしたしょうがも混ぜて……タレの完成よ」
拓海「おいしくなぁれッ☆」ドスッ
時子「次は玉ねぎを切るわ。まぁ私には造作も無……」
拓海「おいしくなぁれッ☆」ドムッ
時子「………」
拓海「お・い・し・く・な・ぁ・れッ☆」ドゴォ
時子「煩いわね……静かに料理できないわけ?」
拓海「すみませーん☆」キャピッ
時子「仕込み終わったなら、さっさと小麦粉をまぶしてちょうだい」
拓海「はぁい☆」
時子「……ちょっと。何やってるの?」
拓海「?」ベタベタ
時子「肉が粉で真っ白じゃない。貴女一体何を作ってるつもり?」
拓海「……何って、しょうが焼きに決まって」
時子「これが?」
拓海「………」
時子「いい?小麦粉は薄くまぶす程度でいいの。パン粉じゃないのよ?」
時子「お子様向けのスイーツは作れる癖に、しょうが焼き一つまともに作れないわけ?流石に冗談よね?」
拓海「………」
時子「豚肉だってタダじゃないの。貴女のおままごとで無駄に消費できる豚肉なんて、ここには一枚も……」
拓海「チッ、うっせーよ」ボソッ
時子「あ?」
拓海「反省してまーす☆」
ジュージュー
時子「油を引いたら、先に玉ねぎを強火でサッと炒め……」ガタガタ
時子「いったん器に取り出すの」ガチャン
拓海「………」
時子「次に豚肉を並べて、このまま焼くわ」ジュージュー
時子「はぁ……いいわ、すごくいい」ジュージュー
時子「焼いた豚肉って、いつ嗅いでもたまらないわ……♪」ジュージュー
拓海「………」
時子「……表面が少し茶色になってきたみたいね。そろそろタレを」
拓海「そぉいっ!」ドバァ
時子「」
ジュウウウウウ…
時子「あ、ああ、あ……ああ貴女、な、何してくれてんのよ!?」
拓海「へっ……これが拓海流、ぶっかけダレって奴だ!」
時子「あ、あぁ……私の、豚肉……タレに沈んで……!」
拓海「んな小せぇこと気にすんなよ。アタシは濃い味の方が好きだぜ?」
時子「誰がいつ貴女の好みなんて聞いたのよ!これじゃ肉の味がタレに殺されちゃうじゃない!!」
拓海「はぁ?」
時子「じっくりといたぶるから美味しくなるんであって、死んでしまっては元も子もないでしょ!?」
拓海「……肉は肉だろ。腹に入れば一緒だろうが」
時子「」ブチッ
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時子「………」ボロッ
拓海「………」ボロッ
時子「……盛り付け、終わり。豚のしょうが焼き、完成よ」コトッ
拓海「わー☆とってもおいしそー☆」
時子「……来週はパイナップルを入れない酢豚を作るわ」
拓海「たくみんスマイル☆……また見てねー☆」フリフリ
P「………」
P「普通に夜食テロ目的の深夜番組を企画したはずだったのに……」
P「どうしてああなった……」
P「つーか毎週作り方で揉めて放送事故起こしてるのに、10%台っておかしいだろ……深夜だぞ……」
P「局は継続させたがってるし、二人とも意地になって辞めたがらないし……一体どうすりゃいいんだ……」
拓海「ほらよプロデューサー、今週作ったポークソテーだ!」ゴトッ
P「あぁ……」
拓海「先週あいつが作ったとんかつよりは、絶対にうめーから!」
P「そ、そうか」
時子「……ポークソテーは、もう死んだのよ」
拓海「一々うるせーな、肉ならもう死んでるだろバーカ」
P「な、なぁ、二人とも……もう少し、仲良く作ってみないか?その方がきっと……」
時子「この牝牛と仲良くですって?正気?」
拓海「あ?誰が牝牛だコラ」
時子「と言うか貴女、早く辞めてくれない?私の番組なんだけど。初回だけの助手だったはずでしょ?」
拓海「ハッ!辞めたきゃテメェが辞めやがれ。教科書通りのつまんねー料理見てる奴なんかいねーからよ!」
時子「あ゙ぁ?」
P「やめて!お願いだから喧嘩しないで!頼むから!」
拓海「………」
時子「……ふん」
P「そ、それじゃあ……ポークソテー、いただきます」
P「………」パクパク
時子「貴方の脳味噌と舌が狂ってなければ、おいしく感じる訳無いわよね?そうでしょ?」
P「………」モグモグ
拓海「アタシのポークソテーが、マズい訳無いよな?……な?」
P「……………」パクパクモグモグ
~翌日~
ちひろ「最近うちのアイドルの料理番組、評判上がってますね~」
P「そうですね」
ちひろ「あれって、作った料理どうしてるんですか?」
P「俺が食べてます」
ちひろ「そうなんですか、羨ましいですね~♪」
P「……あの、ちひろさん」
ちひろ「はい?」
P「胃薬売ってません?」
おわり
時子様はかけるタレを分けてじっくり絡める方法
拓海はタレを一気にぶっかける方法を想定してた
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