由比ヶ浜「ヒッキー……この手錠外してよ……」 (175)

八幡「誰のせいでこうなってんだよ……」

由比ヶ浜「あ、あたしのせいじゃないし!」

八幡「絶対に触るなと言った気がするんだが……」

由比ヶ浜「それはそうだけど……でもほら、触るな!って言われると触りたくなるじゃん?」

八幡「その結果、俺とお前の手首が手錠で繋がってるわけだが……」

由比ヶ浜「あはは……ヒッキーごめん」

八幡「別に俺は構わんが……お前が困るだろ」

由比ヶ浜「なんで?あたし嫌じゃないよ?」

八幡「そう笑顔で言われてもな……実際困るものは困るだろ」

由比ヶ浜「え?……た、たとえば?」キョトン

八幡「飯風呂睡眠、登下校に授業…おまけにトイレも……一緒だ」 

由比ヶ浜「なっ……!?ヒッキーの変態!まじキモい!」

八幡「何とでも言え……だが事実だ」

由比ヶ浜「か、鍵は?」

八幡「もともと拾いもんなんだよ、これ。もちろん鍵は落ちてなかった」

由比ヶ浜「な、ならほら!ちぇーんかったー?みたいので切れるんじゃない?」

八幡「……この手錠、どう見てもおもちゃじゃない」

八幡「そこらで手に入るカッターじゃまず切れないだろうな」

由比ヶ浜「じゃあ……鍵を見つけるか、切れるカッター手に入れるまで……このまま?」

八幡「……そうなるな」

由比ヶ浜「そ、それ困るよ!いろんな意味で!」

八幡「……だから最初に言っただろ、困るって」

由比ヶ浜「……どうしてあたしこんなのはめちゃったんだろ」

八幡「……アホだからだろ」

由比ヶ浜「ちょ!ヒッキー!言い過ぎ……ってわけでもないよね」

八幡「いや……こんな状況なのに流石に言い過ぎた。悪い」

由比ヶ浜「ちなみにね……?」

由比ヶ浜「部室にポツンと置いてあったでしょ、この手錠?」

八幡「拾った後そこに置いたからな……」

由比ヶ浜「なんか見てたら手を通したくなって……」

由比ヶ浜「もしものときもあたし手が細いから大丈夫かなーと思ってたんだ」

八幡「それだと世の犯罪者の半分は逃げ放題だろ……前言撤回」

由比ヶ浜「ひどっ!?」

八幡「しかも焦ったお前のせいで外そうとした俺まで巻き添えだ、確実にお前が悪い」

由比ヶ浜「わ、悪かったとは思ってるし……」

八幡「そんでどーすんの?手でも引き千切るの?」

由比ヶ浜「そっか……ヒッキーの手……切っちゃえば……ふふ」

八幡「……おいやめろ、そういう猟奇的展開は遠慮してくれ」

由比ヶ浜「いや冗談だし!本気にしないで!」

由比ヶ浜「それにほら……あたしがヒッキーの手、切れるわけ無いじゃん……絶対」

八幡「お、おう……そうか」

由比ヶ浜「…………うん」

八幡「…………」

八幡「………そんで、今度こそ本気でどーすんの」

由比ヶ浜「…………決めた」

八幡「…………」

由比ヶ浜「…………あたしヒッキーと暮らす!」

八幡「…………本気?いや、正気か?」

由比ヶ浜「じ、自分で言っといてその言い方なんだし!」

八幡「いや……もっと泣き叫んで抵抗するものかと」

由比ヶ浜「だってこれあたしのせいだし……そんなに嫌じゃないし」

八幡「……そうか」

由比ヶ浜「……あたし頑張ってみるから……」

八幡「…………何をだよ」

由比ヶ浜「…………秘密」

八幡「…………わけ分からん」

由比ヶ浜「…………いいの!それで!」

10分後

八幡「さて……そろそろ雪ノ下が来る」

由比ヶ浜「ホントだ…もうこんな時間」

八幡「……由比ヶ浜、落ち着いて聞いてくれ」

由比ヶ浜「うん……なに?」

八幡「俺とお前の手首には手錠がある」

由比ヶ浜「うん」

八幡「そして手錠の存在は気づかれるわけにはいかない」

由比ヶ浜「……なんで?ゆきのんに相談しよーよ!」

八幡「冷静に考えてみろ、この状況」

由比ヶ浜「??」

八幡「人気の無い部室、二人きり、俺、そして手錠」

八幡「ほぼ間違いなく」

雪ノ下『…あなた由比ヶ浜さんに何をしているの?』

雪ノ下『拘束してから襲うなんて……筋金入りの変態ね、通報したわ』

雪ノ下『人生のエンディングおめでとう、比企谷くん』

八幡「となる」

由比ヶ浜「……ゆきのんもっと優しいと思うけど」

八幡「それはお前にだけだ。俺には海の底のように冷たい」

由比ヶ浜「でもゆきのんはともかく……他の人に見つかったらヤバイよね」

八幡「だから俺はこの件に対する対策を考えた」

由比ヶ浜「さすがヒッキー!」

八幡(やめろよ…そんなに褒められたら惚れちゃうだろうが)

由比ヶ浜「それで、対策って?」

八幡「……つまりだ……その……密着すれば良い」

由比ヶ浜「なるほどー……ってそれどういうこと!?」

八幡「密着していれば手錠には気づかれない……完璧だろ」

由比ヶ浜「でもそれ……あたしがヒッキーに…ひっつくってことでしょ」

八幡「……別に変に意識すんなよ、ただの作戦だから」

由比ヶ浜「そ、そんな簡単に割り切れないの!女の子は!」

八幡「……でも他に方法なんて」

由比ヶ浜「だ、だから!」

八幡「だから何だよ」

由比ヶ浜「あ、あたしの要望も聞いて…欲しいな……」

八幡「密着してるときは息止めろ、呼吸すんな。だろ?」

由比ヶ浜「違うし!ヒッキー捻くれ過ぎ!」

由比ヶ浜「あたしの要望は……その……」

由比ヶ浜「ひっついてる間……いやずっとでも良いんだけど……」

八幡「はっきり言えよ……雪ノ下来ちまうぞ」

虎徹「そんでお前どんな能力なの?」

もこっち「えっと…消えます」

虎徹「どういうこと?」

マーベリック「まぁ見ればわかる、黒木くんやって見せてくれ」

もこっち「あ、はい…はぁぁあ!」

虎徹「おお、本当に消えた!けどこれ役に立つのかよ?」

バーナビー「なに言ってるんですか!すごいですよこの能力!」

虎徹「そうか?でもこいつ戦えなさそうじゃん…」

バーナビー「戦わなくても諜報活動に最適ですし斉藤さんのスーツがあれば犯罪者の確保も可能です」

もこっち(バ、バーナビーに褒められた!でへへ…)

折紙(これはまずい…拙者の立場がやばいでござる)

由比ヶ浜「あぁーもう!」

由比ヶ浜「あ、あたしを彼女扱いすること!これが条件!」

八幡「いや……それは……色々マズイだろ」

由比ヶ浜「彼女扱いしてくれないならひっつかないよ?」

由比ヶ浜「そしたらヒッキーは女の子に手錠をかけてる変態だけど」

八幡「おい、それ脅迫じゃねーか」

由比ヶ浜「だからほら!あたしを彼女するだけ!それで解決!」

八幡「……密着してる間……だけだからな」

由比ヶ浜「とりあえずはそれでいいかな……」

雪ノ下「ごめんなさい、少し遅れたわ」

由比ヶ浜「や、やっはろー」

八幡「おっす………」

雪ノ下「」

由比ヶ浜「どしたのゆきのん?」

雪ノ下「……どうして由比ヶ浜さんがその男の膝の上にいるのかしら」

雪ノ下「強姦?洗脳?それとも人質?」

八幡「さらっと人を外道鬼畜主人公にすんな」

雪ノ下「だって……それ以外考えられないわ」

由比ヶ浜「じ、実はさーヒッキーと付き合うことになったんだー」

八幡(……棒になってるぞおい)

雪ノ下「ごめんなさい……聞き間違いかもしれないからもう一度きくわね」

雪ノ下「……そこの男に脅されている、間違い無いかしら?」

八幡「だからどうしてそうなる……」

雪ノ下「いかがわしい映像でも盗撮されたのね……可哀想に」

由比ヶ浜「ち、違うし!本当に付き合うことになったの!」

由比ヶ浜(ほらヒッキー!はやく!)

八幡「……結衣、あ、愛してる」

由比ヶ浜「あたしもヒッキー大好き!」ギュッ

雪ノ下「」

雪ノ下「……そう」

由比ヶ浜「……ゆきのん?」

雪ノ下「……何かしら?忙しいから話しかけないでもらえる?」

八幡「……お前怒ってる?」

雪ノ下「……何に対して怒るというの?」

雪ノ下「私には由比ヶ浜さんと産業廃棄物がどうなろうと知ったことではないわ」

八幡(本が逆さまなんだが)

由比ヶ浜「ゆきのん……あたし幸せになるね……」

八幡(こいつ、無意識のうちに火に油を……)

由比ヶ浜「あと、ゆきのんのことも大好きだから……」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「……今日は先に帰るね?……また明日」

八幡「……」

由比ヶ浜「ほら行こ!」

ガラッ

雪ノ下「失って初めてその大切さに気づくのね……」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……」

八幡「おい由比ヶ浜、腕組むな、当たるだろ」

由比ヶ浜「ひっついてるときは結衣!」

八幡「……結衣、少し離れろ」

由比ヶ浜「………やだ」

八幡「……じゃあ勝手にしろ」

由比ヶ浜「うん、勝手にする」ギュッ


八幡「……俺はこれから家に帰るけど」

由比ヶ浜「あ、大丈夫だよ!家族には彼氏……じゃなくて友達の家に泊まるって言ってあるから!」

八幡「……そうか。んじゃ帰るか」



八幡「ただいま」

小町「お兄ちゃんお帰りー……あれ?」

由比ヶ浜「やっはろー」

小町「結衣さん!やっはろーです!」

小町「でもどうして家に……はっ!」

由比ヶ浜「……そ、それは」

小町「大丈夫です、全て理解しました」

由比ヶ浜「え?」

小町「……小町的には少し寂しいですが結衣さんなら安心です」

小町「というわけでお兄ちゃん、小町今日は家族で出かけるから。朝まで」

八幡「……俺も家族なんですが……だよね?」

小町「というわけで結衣さん!今日は家に誰もいません!」

由比ヶ浜「そ、それはさすがに……」

小町「煮るなり焼くなり押し倒すなりご自由にどうぞ!」

八幡「……まあ確かにその方が助かるな」

由比ヶ浜「えっ、それって……そういうこと?」

八幡(手錠で女の子ひっつかせてるとかマジ通報レベル、家族内で居場所がなくなる)

八幡(回避するため、この提案に乗るべきだろう……)

由比ヶ浜「や、やっぱりそういうこと……するのかな……」

小町「あぁ……すれ違ってる気がするー」

小町「まっいいや。じゃあお兄ちゃん、しっかりやるんだよ!」

小町「小町はいつでも見守ってるからね!…今の小町的にポイント高い」

八幡「……うるせぇ、さっさと行け。気をつけてな」

小町「はーい」



八幡「……カップラーメンで悪かったな」

由比ヶ浜「いや、仕方ないよ。片手しか使えないし……」

由比ヶ浜「それにヒッキーと一緒なら別になんでも……」

八幡「…………」

八幡「じゃ、じゃあ風呂入るか!いいぞ風呂!」

由比ヶ浜「……お風呂どうするの?あたしと入るの?」

八幡「…………」

八幡「な、ならもう寝るか!」

由比ヶ浜「同じ布団で……?あたしまだ汗臭いんだけど……」

八幡「…………」

八幡(……どうすんだよこれ)

由比ヶ浜「てか、できればあたしお風呂入りたいんだけど……」

八幡「……ならそうするか」

由比ヶ浜「……ヒッキーは目隠しね」

八幡「……お前は?」

由比ヶ浜「……あたしはいいや」

八幡「いや…まずいだろ」

由比ヶ浜「だって目隠ししたら洗えないし……」

八幡「俺も洗えないんだけど……」

由比ヶ浜「ヒッキーはあたしが洗ってあげるから!」

八幡「頭と背中な。前は自分でやるから」

由比ヶ浜「!?と、とーぜんでしょ!」

由比ヶ浜「ヒッキーはあたしにどこ洗わせようとしてんの!この変態!マジキモい!」

八幡「いや……一応な」

由比ヶ浜「……洗って欲しいの?」

八幡「やめろ………それやったら取り返しがつかなくなるだろ……嫌じゃないが」

由比ヶ浜「そっか……嫌じゃないんだ……」

風呂

由比ヶ浜「それじゃあ背中洗うね」

八幡「おう……」

由比ヶ浜「よいしょ、よいしょ」プニッ

八幡(こいつ……体柔らかい……)

由比ヶ浜「よいしょ、よいしょ」ゴシゴシ

八幡(……時々感じるひときわ柔らかなこの感触……)プニプニ

由比ヶ浜(胸当たったかも……気づいてないよね……)

八幡(落ち着け……落ち着け……)

ベッド

八幡「……」

由比ヶ浜「……いいお湯だったね」

八幡(……シャンプーの香りが)

由比ヶ浜「じゃあ……寝よっか」

八幡「……電気は?」

八幡(たまにいるからな。電気つけて寝るやつ)

由比ヶ浜「は、恥ずかしいから……消してほしいかな……」

八幡「……恥ずかしいのか」

由比ヶ浜「そりゃ……見られると緊張するし……」

八幡(確かに好きでもない男に寝顔を見せるのなんてごめんだわな)

八幡「悪い、気が利かなくて」

由比ヶ浜「いいよ、別に……気が利くヒッキーとかヒッキーじゃないし」

八幡「酷い言われようだな……」

由比ヶ浜「そんなことよりほら!早く一緒に寝よ?」

由比ヶ浜(……あたし頑張る!)

八幡「おう……」

八幡(耳栓して寝るか……変な気を起こすわけにはいかんしな)

由比ヶ浜(……まだ?)

由比ヶ浜(だんだん眠く……)

由比ヶ浜(……ふぁ)

由比ヶ浜(ひ…っ……きー)





由比ヶ浜「……あれ?」

八幡「……」グーグー

由比ヶ浜「……何もしてないよね、昨日」

由比ヶ浜「……ヒッキーのヘタレ!この馬鹿!マジあり得ないし!」

由比ヶ浜「…………」

チュッ

120分後

八幡「……おはよう由比ヶ浜」

由比ヶ浜「……起きるの遅いよ!あと結衣!」

八幡「……いや、この時間で間に合うだろ……結衣」

由比ヶ浜「女の子の朝はいろいろ大変なの!」

八幡「……悪かったよ、あとほら」

由比ヶ浜「なんで毛布なんか……」

八幡「その……見えてる」

由比ヶ浜「……っ」

八幡「チラッとしか見てないから安心しろ」

由比ヶ浜「ひ、ヒッキーの馬鹿!誰のためにこんな薄いパジャマ……ぱじゃま……」

八幡「?」

由比ヶ浜「も、もういい!ほらそれより起きないと遅刻!急いでよ!」

八幡「あいよ……」

校門

おいあれ……
由比ヶ浜と……誰だ……
由比ヶ浜ちゃん……彼氏いんのかよ……
雪乃ちゃんは……また選ばれなかったんだね
俺狙ってたのにー
俺も俺もー
てかあの男誰……
目が死んでるーきもー

八幡(まぁこうなるわな)

八幡「……なんかいろいろ言われてるが……いいのか?」

由比ヶ浜「あたしは気にしてないよ……むしろ嬉しい」

八幡「そうか……」

八幡「あとゆいが……結衣、腕が重い」

由比ヶ浜「またそういうこと言ってるし……」

八幡「実際ここまで密着しなくても良いだろ」

由比ヶ浜「ヒッキーは彼氏なんだから当然でしょ」

八幡「そんなもんなのか……」

由比ヶ浜「そんなもんだよ」

由比ヶ浜「……嫌なの?」

八幡「別に……そうは言ってない」

由比ヶ浜「ならもっとくっつくね!」ギュッ

教室

平塚「比企谷……なんだそれは」

八幡「いや……これは……」

由比ヶ浜「……えへへ」スリスリ

平塚「授業中に女といちゃつくとは……」

八幡「これは……深い事情がですね」

平塚「深い情事の間違いじゃないのか?」

八幡「まあ大したことないんで……気にせず授業を」

平塚「膝の上に女子を乗せて頬ずりさせている男子生徒を見逃せるとでも?」

八幡「……由比ヶ浜、頬ずりはやめろ」

由比ヶ浜「…………」スリスリ

八幡「……結衣、頬ずりはやめろ」

由比ヶ浜「……しょうがないなぁ」

ドンッ

机「ひぎぃ!」

平塚「お前ら仲良く廊下に立ってろ、見てて腹が立つ」

八幡「先生の台詞とは思えないっすね」

平塚「君の行動も生徒のそれとは思えん」

平塚「……彼女ができて嬉しいのは分かる。だが少し節度というものを持ちたまえ」

八幡(彼女じゃない。断じて……いや多分)

保守

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

昼休み

由比ヶ浜「ヒッキー…お昼食べようよ!」

八幡「……購買行くか」


由比ヶ浜「うん」


10分後

八幡「このコッペパン片手じゃ食べにくいな」

由比ヶ浜「じゃあさ……こうしようよ」

パクッ

由比ヶ浜「あたしがこっち側くわえてるから…ヒッキーはそっちから食べて」

八幡「それになんの意味があんだよ……」

由比ヶ浜「言う事きかないとバラしちゃうよ?」

八幡「はいはい……了解」

放課後 部室



由比ヶ浜「ゆきのん来ないね……」

八幡「昨日の今日だしな……」

由比ヶ浜「ねぇヒッキー」

由比ヶ浜「……もうちょっと強く抱きしめてよ」

八幡「もう手錠関係ないだろ……おい」

由比ヶ浜「……バラ」

八幡「分かったよ……ほら」ギュッ

由比ヶ浜「……うん、満足」

八幡(由比ヶ浜……なんでこんな必要以上に密着してくんの?)

八幡(上級ぼっちの俺じゃなきゃ既に惚れてるレベル)

ガラッ

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「や、やっはろー……」

雪ノ下「遅れてごめんなさい」

雪ノ下「……奉仕部に依頼よ」

由比ヶ浜「そう……」

雪ノ下「……変な気を使わないで頂戴。昨日のことはもう気にしてないわ」

由比ヶ浜「で、でも!」

八幡「本人が別に良いって言ってんだ。ほっとけ」

八幡「そんで依頼内容は?」

雪ノ下「校内に落としたある物品を探して欲しいらしいわ」

由比ヶ浜「…………」

八幡「ある物品ってまさか……」

雪ノ下「……何か心当たりがあるの?」

八幡「いや……別に」

雪ノ下「そう……あと、その物品に関する鍵を預かってきたわ」

由比ヶ浜「!?」

八幡「……早速探しに行くか」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「ええ。私は教室棟を見てくるから」

八幡「んじゃ俺とゆいが……結衣はこっちを探すわ」

雪ノ下「見つけたら連絡を。由比ヶ浜さん、いいかしら?」

由比ヶ浜「うん……」

雪ノ下「それじゃ……私は行くわ」

ガラッ

八幡「……さて、さっさと外しちまおうぜ」

由比ヶ浜「…………」

八幡「どうした……結衣」

由比ヶ浜「……嫌だよ、手錠外すの」

八幡「……は?」

由比ヶ浜「あたしまだヒッキーと離れたくない!」

八幡「別に永遠の別れじゃないだろ」

由比ヶ浜「でももうヒッキーにくっつけなくなるし……」

八幡「……そもそも彼氏彼女でもないのに密着してる方がおかしい」

八幡「だからいいんだよ、これで」

由比ヶ浜「あたし……ヒッキーの彼女だって言ったよね……?」

八幡「……あくまでフリだろ。終わればもとの関係に戻るだけだ」

由比ヶ浜「あ、あたしは!本気でヒッキーが!」

八幡「もういい。とにかく外すぞ……結衣」

由比ヶ浜「ヒッキー!やめ」

ガチャン

由比ヶ浜「あっ……」

八幡「…………」

八幡「……これでおしまいだ。由比ヶ浜」

由比ヶ浜「……………ヒッキーの馬鹿!」

タッタッタッ

八幡「…………いいんだよ、これで」

八幡「さて……コーヒーでも飲んで帰るか」

雪ノ下「…………酷いことするのね。この変態犯罪者さん」

八幡「……なんでここにいんだよ」

雪ノ下「……最初からいたもの。別におかしくないわ」

八幡「……なら見てたのか?あれを」

雪ノ下「あなたが由比ヶ浜さんを無理やり手錠で従わせようとしていた所かしら?」

八幡「事実の歪曲もいい加減にしてくれ……そもそもなんでここに残った?」

雪ノ下「昨日のあの一件……不自然だったもの」

雪ノ下「由比ヶ浜さんはあなたに脅されている……そう思った」

八幡「……」

雪ノ下「だから徹夜で全生徒と職員の昨日の行動を調べたわ……手がかりを探すために」

八幡「そんで手錠のことを知ったと……」

雪ノ下「ええ。奉仕部近くの廊下で手錠を落とした人がいたから」

八幡「誰だよそいつ……」

雪ノ下「ざい……ざいなんとかね」

雪ノ下「作品作りの資料と言っていたわ」

八幡「材木座……お前……」

雪ノ下「あとの推理は簡単だったわ」

八幡「……そんで?なら今回の依頼は……?」

雪ノ下「私の自作自演……罠みたいなものね」

八幡「えらい執念だな……目的は由比ヶ浜か?」

雪ノ下「あなたにしては察しが良いじゃない……少し見直したわ」

八幡「そりゃどーも」

雪ノ下「……今回の件は条件を飲めば黙っていてあげる」

八幡「……飲まなかったら?」

雪ノ下「凶悪レイパーとしてあなたを通報するわ」

八幡「俺にはまだ輝かしい専業主夫の未来があんだよ。やめてくれ」

雪ノ下「なら条件を飲むしかないわね」

雪ノ下「……今後一切由比ヶ浜さんに近寄らないで頂戴」

八幡「……分かったよ」

雪ノ下「……賢明ね。自己保身に長けているだけはあるわ」

八幡「……しょせんぼっちだからな。自分の身は自分で守るんだよ」

次の日
由比ヶ浜「ヒッキーやっはろー!」

八幡「…………」

由比ヶ浜「ヒッキー?」

八幡「…………」

スルー

由比ヶ浜(……せっかくまた一から頑張ろうと思ったのに)

由比ヶ浜(欲張ったばかりに嫌われるなんて……あんまりだよ……)

由比ヶ浜(………そうだ!)

八幡(確かに俺の専業主夫の未来も大切だ)

八幡(だが由比ヶ浜にとっても俺と噂になるなんて良いことはない)

八幡(距離をおいて気まずい空気を維持する……ぼっちの妙技)

八幡(正直つらい……だがこれでリセットできる)

八幡(ぼっちとトップカースト、この差は手錠ごときでは繋げないんだよ)

八幡(……MAXコーヒーでも買ってくか)

ガシャン

八幡「!?……由比ヶ浜?これ……」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「えへへ……もう一回チャレンジ……いいよね?」

八幡「……………」

八幡(俺から近づいたわけじゃない。雪ノ下セーフ)

八幡「……また外れるまでだからな」

由比ヶ浜「今はそれでいいよ……嫌われてないなら十分だし」

由比ヶ浜(外れるたびにまたかけなおせばいいもんね)

由比ヶ浜(そうやって手錠でヒッキーを繋ぎ止めておいて)

由比ヶ浜(いつの日か本気で好きになってもらうの。それまであたし頑張る!)

八幡「じゃあほら……行くか……ゆ、結衣……」

由比ヶ浜(でも案外ゴールは…………近いかも)

END

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月11日 (日) 18:49:57   ID: lxy-oxxr

ゆきのん腹黒いよー

2 :  SS好きの774さん   2015年07月14日 (火) 17:55:59   ID: 6jMe8qvE

由比ヶ浜可愛い!

由比ヶ浜好きだからSSもっと増えてほしいけど
SSだと結構ウザイとか言われてて悲しい…

3 :  SS好きの774さん   2016年04月14日 (木) 09:54:25   ID: iwXt5QTI

いやいや、このガハマはクズですやん。
全てこいつの思惑通りに事が進んで
ますやん。
雪乃が可愛いそう。

4 :  SS好きの774さん   2016年08月04日 (木) 22:01:28   ID: RKj5p1M2

とりあえずどうやって服脱いだのかが疑問

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