女の子「あの時、あれだけ好きって…言ってくれたじゃないですか…」
俺「あの時はよくお前の事が分かっていなかったんだ。付き合っていくうちに、どんどん嫌なところが見え隠れしてきて」
女の子「私達、両思いだったじゃないですか…なのに…どうし…て…」
そこまで言うと、女の子はガクッと崩れ落ちてしまった。
きっと、立っている気力もなくなったのだろう。
俺「ほら…制服汚れちまうぞ。手貸してやるから」
そう言って差しだした俺の手を女の子は払いのけた。
その行為に胸が傷んだ。
「優しく、しないで、ください」
その言葉にも傷ついた。自ら別れを切り出したと言うのに。なんだこの気持ち。
ぐちゃぐちゃでズキズキと痛む心は。
俺「いいから。ほら…」
女の子「なんで優しくするんですか?私をからかっているんですか?」
女の子は涙声になっていたが、どこか怒気を含んだ声に俺は戸惑う。
女の子「振っておいて、優しくして、どこまで私をバカにするんですかぁ…!!」
そう言って女の子は走って部室から出ていった。
俺「お、おい!」
俺「じゃあな」
指「えっちだってしたのに!」
俺「市川っ!」
そう叫んだ俺の声は届く筈もなく、静まった廊下に響きわたるだった。
追いかける気力もなくなり、俺は椅子へと力無く座り込む。
俺「クッソ。俺はなにやってんだよ」
力任せに長テーブルを叩いた。
その弾みで乗っていた物が落ちる。
俺「あっ…これ…」
落ちた物は。ピンク色の手袋。依然に俺が市川に誕生日プレゼントとして渡した物だ。
俺「まだ、使ってくれてたのか…バカ野郎。もう春になるっていうのに」
再び心が鈍く痛みを走らせる
痛みに耐えようと俺は胸付近を抑える。
その付近にはペンダントがぶら下がっていた。
俺はペンダントをつまみ、虚ろな目でそれを見つめる。
俺「クリスマスにあいつがくれた大切な物だし捨てる訳にもいかないよな」
こんなにも互いに思っていたのに、どうしてこうなってしまったんだろうか。
いや理由は分かっていた。俺と市川の相性は元々最悪なんだ。先輩として今まで許せていた事が彼氏になり、許せなくなっていた。
「本当に脆いもんだよな。恋って…」
ぼく「まあいいか」
後輩「ほーん」
暫く、ペンダントを眺めていると、なにやら廊下から騒がしい足音が聞こえてきた。
俺は淡い期待を込めて扉の方を向く。
俺「帰ってきてくれたのか…?」
そして、扉を壊さんばかりに開けてきたのは、市川の親友だった。
「先輩!なにやらかしたんですか!」
金髪ポニーテールで普段、俺達の仲を弄くっていた女の子が俺に怒りの表情を向けていた。
女の子の歩みは止まらず俺の目の前まで詰め寄って、胸ぐらを掴んできた。
「さっき、マナが泣いてる所を目撃しました。何があったんスか…?」
俺「どうもしねーよ。ただ俺が振っただけだ」
ポニー「はあ!?何で振ったんですか!この前まであんなに上手くいってたじゃないですか」
俺「この前はこの前。今は今だ」
女の子は捕んでいる手に力を入れているのが分かった。そろそろ制服が引きちぎれそうだから勘弁してほしい。
「ぶっ飛ばしますよ!?相手の気持ちも考えずに、ただ一方的に振ったんですか…?」
そろそろ別れに至った理由を答えた方がいいのだろう。俺は掴まれていた腕を掴み離した。
「もともと俺とあいつは折り合えない仲なんだよ。ずっと誤魔化してやってこれたけどさ、もう耐えられないんだ」
あいつの非常識さに、身勝手さに、嫌気が差した。
ポニ「それも含めてマナの事が好きになったんじゃないんすか!」
俺「好きだったさ。でも、嫌いになることだってあるだろ」
実際に身勝手さも自分勝手さも含めて市川を好きなんだと思っていた。だけど気づいた。
俺「俺は気持ちから目を反らしていただけなんだよ。市川に嫌いな所があるなんて思いたくなかっただけだった」
そう言っても女の子は怒りの表情を崩さない。むしろ顔が蒸気しだしていた。
ポニ「好きな相手の嫌なとこなんて一つや二つ誰だってあるでしょ!皆そうやって上手くやってきてるんですよ!」
そういったあと、しばらく意識が遠のいていた
俺「こ・・・、これは・・ッ?」
部室が真っ赤に染まっていた。ポニーの四肢は無残にもぎ取られ
目を見開いたポニーの頭部が俺のロッカーに押し込まれいまだ尚、大動脈から血を噴き出している
俺「い、・・・一体なにが」
「せんぱーーーーい」
市川がこっちにくる
俺「どうすればいいんだ、市川がきてしまう。それより、これは俺がやったのか?」
真っ赤な部室は、夕日の沈みとともにさらに真っ赤に染まっていた
ガチャ
市川「キャァーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
次の瞬間には、おれの手が市川の口をふさぎそのまま市川の首の骨をへし折っていた。
市川の死体を床にほうり投げる。
俺「この力は・・・ 一体・・・」
?「フハハ、ようやく力に目覚めたか 」
俺「皆って…皆って誰だよ…!」
女の子の言葉に俺の頭に血が上った。
俺「俺だって考えたんだ。寝ずに三日間もちゃんと考えた!そのうえであいつを振ったんだ!このままなあなあにすれば俺は市川自体を嫌いになる!それが嫌なんだよ」
俺が叫び終わった直後、教室内にパチンという音が響き渡った。
女の子に引っ張たかれたのだ。女の子は叩いた手を痛そうに擦って
ポニー「先輩は…何も思わなかったんですか…?マナを振ってなにも思わなかったんですか?」
その言葉に俺は動揺した。
ポニ「なにか思ってたんですよね…じゃなきゃ、そんな悲しい顔しないですもん」
市川を振った瞬間の胸の痛み、そして拒絶された時の痛み
これが意味するのは。
ポニ「私、今まで失恋した人達をいっぱい見てきました。先輩もその人達と同じ顔をしてます。未練がある、そんな顔を」
俺は女の子から目を反らして反射的にペンダントを掴んだ。
ポニ「なにも思っていないなら、もう私から言うことはないです。ただもし何か思っているのなら追いかけてあげてください」
お互い未練を残したくないでしょう。という女の子の発言がトリガーになった。
俺は部室から飛び出し、廊下を走り抜ける。
今まで色んな事があった。廃部寸前の読書部に入部した女の子。それが市川だった。
ただ市川は部活なんて全く行わないで、ある妙な事を始めた。
『これから、ある事を始めたいのですが』
そう言って半ば強引に活動したのは不幸撲滅隊とかいうヘンテコなものだった。
『世の中には不幸な人達が沢山います。もしかしたら、手を差し伸べている方達がいるかもしれません』
俺はもちろん最初は反論した。だけど、時が立つにつれて傍観者からワトソン君ポジになっていたのだ。
最初は気になっていただけだった。どういう活動をするのか。どういった内容なのか。
気づけば市川に手伝わせてくれと頼み込んでいた。そんな部長失格の俺を市川は暖かく招き入れた。
ほとんど俺は役立たずに近かったけれど、市川のやりたい事がだんだんと分かるようになってきた
ワトソン「力が・・・ほしいか?」
俺はすでに2人殺している。返答はこうだ
俺「貴様がだれかなんてのはもう気にしない。力をくれ。」
ワトソン「ホホホ、ホームズ」
俺の正体がわかった・・・、ははは 俺はバケモノだったんだ・・・
俺の中のナニカが 壊れていく と同時に 何かが 生まれた
ゴゴゴゴゴゴ・・・
俺「行こうぜ、ワトソン」
バケモノと化した俺は、まず手始めにその能力で部室ごと消滅させた。
第1の能力 (消失)
そして、つぎの能力の使い方もすでに知っていたかのように発動させる
俺「俺は、飛べるんだな」
空へと飛んだ俺
初めてじゃなかった
空を飛んだ味は 3度めだった_____________
おわり
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