赤城「お昼のあとには甘いデザートが食べたいわ~。冷蔵庫になにかあるかしら」ガチャ
赤城「わぁ…す、すごい!大きくて綺麗なケーキ…!誰かの誕生日ケーキかしら」
赤城「『ていとく おたんじょうび おめでとネー』…金剛さんがつくったのかしら」パクパク
赤城「あっいけない!ついつまみ食いを…でもすごくおいしいわ。もう少しだけなら…いちごももらっちゃえ…スポンジふわふわね…」パクパク
モグモグパクパク…
赤城「どうしよう、おいしすぎてぜんぶ食べちゃった……」
赤城「謝れば許してもらえるかしら…」
島風「あ、いた。赤城、もうすぐ出撃だって」
赤城「島風ちゃん…わかりました。ところで、今日が提督の誕生日だって知ってた?」
島風「もちろん!金剛がおっきなケーキ作るの私も手伝ったんだよ。上手にできたんだ~」
赤城(言いづらい…)
島風「でもね、まだ提督には内緒なの。サプライズにするんだって!楽しみ~♪」
赤城「あ、あのね島風ちゃん……ごめんなさい、ケーキ私がぜんぶ食べちゃったの」
島風「え…?」
島風「ええっ!?食べちゃったの!?」ガチャ
島風「あーっ!ほんとだ…」
がばっ
赤城「島風ちゃん、しーっ!」
島風「もごもご、隠すつもりならなんで私に言ったの?」
赤城「もちろんごまかすのを手伝ってもらうためよ」
島風「えー!?」
島風「すなおに金剛に謝ってみれば?許してくれるかもしれないよ」
赤城「いいえ、気が変わりました。金剛さんは提督のことになると目付きが変わります。もし誕生日会を台無しにされたとわかれば…」
島風「…ただじゃ済まないよね」ブルッ
島風「でもごまかすなんて…無理だよ、お店で買ったケーキじゃなくて金剛さんオリジナルなんだもん」
赤城「大丈夫、すでに計画は出来ています。今から言うので覚えてください」
島風「いつのまにか私、協力者にされてる…」
~~~~~
島風「えっと、金剛の部屋は……ここだね」コンコン
シーン…
島風「やっぱり部屋にいないんだ。いいなぁ金剛、提督の秘書艦なんて。金剛が来るまでは私が秘書艦だったのに」プンプン
島風「でも今はとにかく、赤城の作戦を手伝わなきゃ。私だって提督の誕生日ちゃんと祝ってあげたいし」
島風「おじゃましまーす」ガチャ
パタン…カチャッ
赤城『いいですか、まずは誕生日ケーキのレシピを手に入れるんです。金剛さんの部屋にあるはずです』
島風「どこにあるんだろ。急がなきゃ」ガサゴソ
島風「誰かに見つかったら怪しまれちゃうし…部屋の中、紅茶の匂いがする…あ、あった!」
島風「机の上にポンと置いてあるなんて…わ、材料にさりげなく愛って書いてある」ペラペラ
島風「とにかく、島風、最初の任務達成しました!」テレレレーテーレーテッテテー
赤城「ありがとう島風ちゃん。よくやってくれました、これで作戦その1はクリアです。ところで提督の誕生日パーティーは何時からですか?」
島風「えっとね、夜の7時にはじめるって言ってたよ。…あと6時間だね」
赤城「6時間ですか…このあとの作戦も島風ちゃんに手伝ってもらえないと、きついですね」
島風「うん。私は最後まで協力するから…それで、次の任務はなに?」
赤城「作戦その2は、みんなと出撃することです」
~~~~~
ドガァン!ズドーン…
長門「ビッグ7の力、あなどるなよ!」ドンッ
ボガァアン!!
電「勝利なのです!」
島風(中破)「赤城…そろそろいいかな?」ヒソヒソ
赤城「そうですね…今なら…」ヒソヒソ
長門「よし、みんなよくやったな。ボス撃破だ、鎮守府に帰投するぞ」
島風「長門、ちょっとお腹いたいから先に帰ってて」
長門「用足したいのか?この辺りの海は一人じゃ危ない。ここで待ってるから行ってきていいぞ」
島風「えーっと、一人じゃないと落ち着かないから…そうだ!赤城と一緒なら大丈夫だよ!ね、赤城」
赤城「しょうがないですねぇ。長門さん、どうぞ先に帰投してください。私が島風ちゃんについてますから」
長門「そうか…じゃあ先に行くぞ。ちゃんと日が落ちる前に帰ってくるんだぞ。夜の海は危険だからな」
・・・
島風「うまくいったね」
赤城「ええ。それじゃ作戦その3に移りましょうか」
~~~~~
ドッカァン!
赤城「さぁ、沈められたくないならおとなしく言うことをききなさい」
輸送ワ級「…」ガクガク
赤城「いい、島風ちゃん。もう一度言いますが、ここから真っ直ぐ西へ200キロ行くと、陸地に着きます」
島風「その海岸線にあるケーキ屋さんが、間宮さんの実家なんだよね?」
赤城「そう。私もよく鎮守府を抜け出してケーキを食べに行くんですが…あそこのケーキの絶妙な甘さ加減と」
島風「そんなこと言ってる場合じゃないよ!急がなきゃ日が暮れちゃって、みんなに私がいないってバレちゃうんだよ?」
赤城「そ、そうでした…」
島風「間宮さんの実家のケーキ屋さんにレシピを渡して、金剛のオリジナルのケーキをつくってもらう。赤城のこと言えばやってもらえるんだね」
赤城「お得意様ですから…あなたは島風ちゃんについていってケーキを無事に運んでください」
ワ級「!?」ガクガク
赤城「ケーキが少しでも壊れたりしたら海に沈めますからね?島風ちゃんは速いですから死ぬ気でついていってくださいね」
島風「じゃ、行ってくるよ!日が落ちる前に戻るから!」バシュウッ
ワ級「…!!」ババババ
赤城「あとは、鎮守府に戻って待つだけね…うまくいくかしら」
金剛「ヘーイ赤城ー!」シュパー
赤城「え!?金剛さん!?」ドキッ
金剛「どうも遅いから様子を見に来たネー。長門が心配してるヨー?」
赤城「わ、わざわざどうも…」
金剛「島風ちゃんは?まだお腹ピーのままデスか?」
赤城「あ、え、いえ、島風ちゃんはもう鎮守府に帰ってる途中のはずですよ。私はちょっと、その…ひなたぼっこしてましたから」
金剛「オーウ、そうでしたカー。長門の心配してたことが杞憂でよかったネー」
赤城「長門さんが?何をですか?」
金剛「いままで見たこともない強力な深海棲艦が出現してるみたいデース。あっちの海にネ」スッ
金剛「一人じゃ倒せない敵艦らしいので、長門はそいつに出くわすことを警戒してたんデス」
赤城「あっちは…嘘っ!島風ちゃんが…!い、行かなきゃ!」ザザァッ
金剛「ホワット!?急にどーしたんデスか赤城?島風は帰ってるんでショ?」シュパパ
赤城「くっ…お願い…無事でいてよ…!」ザザァァッ
~~~~~
ドドドドォオン…!
島風(大破)「わぁっ!痛たっ…なんなのアイツ…あんなの見たことない…」
装甲空母鬼「フフフ」
島風「連装砲ちゃんがほとんど通用しない…!うぅ…この私がやられるなんて…!」
装甲空母鬼「トドメダ!」ドンッ!
島風「あぁ…赤城、ごめんね…」
赤城「させませんっ!!」バッ!
ドゴォン!
赤城(小破)「くうっ…」
島風「あ、赤城!」
赤城「島風ちゃん!よかった、間に合って…」
金剛「撃ちます!ファイアー!!」ドォン!
ボガァン!![クリティカル!]
装甲空母鬼「クッ…」
島風「金剛まで…助けに来てくれたの?」
金剛「んーふふ、私を騙そうなんて考えちゃノー!なんだからネー?」ニコッ
島風「え…それじゃあ…」
赤城「島風ちゃん、ぜんぶバレちゃいました…」
ドガァアァン!!
装甲空母鬼「グハァ…!」ザブーン
島風「やった!すごいよ二人とも!やっぱり私よりずっと強いんだね!」
金剛「フフフ…褒めたって乗せられませんヨー?」
島風「おぅ…」シュン
赤城「島風ちゃん!」ギュッ
島風「おぅ!」ビクッ
赤城「よかった、よかった轟沈しなくて…!ごめんなさい島風ちゃん、こんな危険な海域だって知らずに行かせちゃって…」ギュウウ
島風「べ、別に…二人が来なくても私があいつ倒してたから、平気だよ…」
金剛「島風ちゃんがこんな目にあってるのは誰が元なんでしょうネー?赤城…」
赤城「……はい…。金剛さんのケーキを勝手に食べ尽くしたのは私です。ごめんなさい」
島風「おお、海の上で完璧な土下座してる」
金剛「赤城、顔上げてくださいネ。もう無いものは言っても仕方がないヨ」
赤城「本当にごめんなさい。ごまかそうとしたりして…」
島風「…私もごめんね」ペコリ
金剛「二人とも、謝るのはいいデス。悪気があったわけじゃないデスし…それよりも」
金剛「もう時間がないネ!はやくケーキをつくってもらいに行かないとパーティーに間に合わないヨー!!行きますヨ!!」パバシュー
~~~~~
ザパッ
島風「はーはー」
金剛「フーフー、なんとかパーティーに間に合ったネ…」
赤城「はぁ…はぁ…」ゲッソリ
長門「遅いじゃないかお前たち!どこで道草食ってたんだ」
島風「えへへ、いままでで一番強い敵艦倒してきたんだよ」
長門「お前…いや、いい。とにかく無事みたいだからな…。だが入渠してこい。あちこち見えてるぞ」
島風「うん、でもパーティーのあとでね。今日は提督の誕生日だよ!」
長門「ん?あぁ、そうなのか?あいつの誕生日なのか。知らなかったな」
~~~~~
ぱんぱかぱーん!
金剛「提督ゥ、誕生日おめでとネー!!」
「「「おめでとーございまーす!」」」
提督「はっはっは、いやいやありがとな!こんな盛大に祝ってくれるなんて思って、なかっ…た…グスッ…」
瑞鳳「てっ提督、泣いてるの?」
提督「いやぁ、感極まっちゃって、ついな…ところでプレゼントもあったりするのか?瑞鳳の格納庫まさぐり権とか」
バキィ!
提督(大破)「」ガクリ
島風「バカ……」
電「その大きな箱はなにが入っているのです?」
金剛「これデスか?やっぱり気になりマスか~。じゃあそろそろ開けましょうネーみんな注目デース!」
がやがや
金剛「実は提督のためにオリジナルのケーキを用意しました!世界に二つとないケーキデース」
おぉぉー
瑞鳳「提督、聞いてる?」ユサユサ
提督(大破)「う…うぅ…」
金剛「では開けますよォ!!」
響「…どうかしたのかい?すごい汗かいてるよ」
赤城「……」ダラダラ
金剛「そぉい!どうデスか~!」カパッ
金剛「……あれ?」
ざわざわ…
「あれってケーキじゃ…ないよね…?」「深海棲艦の、残骸…かな?」
金剛「え!?みなさんナニを…ノォー!提督の誕生日ケーキがなくなってマース!」
ざわざわざわ
金剛「ど、ど、どうしてないのデスか?なんで鉄クズがこんなに入ってるの?ちゃんとケーキ屋さんで完成したケーキを渡されたのに」
くいくいっ
響「金剛、赤城がなにか知ってるみたいだよ」
赤城「……」ダラダラ
金剛「赤城ィー…?」
赤城「はいっ!?」ビクゥ
金剛「誕生日ケーキが消えたことについて何か知っていマスか?」
赤城「は、はい。実は、運ぶのに使った敵輸送艦が……いつのまにか中身をぜんぶ食べ尽くしてまして」
金剛「ワ級…」
赤城「はい、気がついたときにはもう…帰る途中、ワ級を壊してお腹の中を覗いたのですが、ケーキの原型はなく…ごめんなさい」
金剛「オゥ……なんてこと…これじゃパーティーが盛り上がらないし、提督に私の気持ちが伝えられないネー…」ヘナヘナ
提督(大破)「うぐ…ぅ…」ピクピク
金剛「どうしましょう…」
ちょいちょい
響「みんなもう勝手に盛り上がってるよ」
金剛「えっ…あ、そういえばお菓子にジュースもありましたネ。夕食後デスし、ティータイムな雰囲気ネー…」
わいわいがやがや
赤城「金剛さん、あの…」
金剛「?」
赤城「結局みなさん提督抜きでもケーキ無くても楽しくやってるみたいですし…今なら金剛さんが提督を、その…一人占めしてもいいんじゃないかって」
金剛「……!ベリーナァーイスなアイディアネー!」
赤城「気絶してる提督を運ぶの、手伝いますよ」
~~~~~
金剛「提督…」
提督「う…ん…」
金剛「提督、起きてくださいネー…」ユサユサ
提督「ん…ん?金剛…いてて、どこだここは…」
金剛「マイルーム、ネ。今は提督と二人きりデス。ハイ、どうぞ」カチャ
提督「二人きりって…まぁ、紅茶いただくよ」ゴク…
提督「やっぱりうまいな、金剛の淹れた紅茶」
金剛「エヘヘ~…」
金剛「…今日は提督の誕生日デしたから、私がケーキをつくったんデスが…落っことして食べられなくなってしまいマシた」
提督「はは、ドジだな金剛。ありがとな、気持ちはもらっておくよ」ゴクゴク
金剛「だから、代わりと言ってはなんデスが……ケーキが無くなってしまいマシたし…」スル…
提督「お、おい、どうした?服脱ぐ気か?」
金剛「ええ…。ふぅー……てっ提督っ、わ、私を、たっ、食べてみませんっ、か…?」パサ…
提督「!!!」ブバァッ
バタッ
金剛「ええぇ!?ちょっと提督、なんでアナタが鼻血出してまた気絶するんデスか!鼻血出るくらい恥ずかしいのは私の方デスよ!?」
提督(大破)「あぅ、あゎ…金剛…おっぱい…」ガクガク
金剛「……もぅ。普段変態なコトばかり言ってる割に弱すぎデース。これじゃなにも出来ないネー」
金剛「でも、私は必ず提督のハートを私だけをラヴにしてみせるネ!提督ゥ、覚悟しててくださいネー!」ビシッ
終
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ケーキなくなったのに結局怒らなかった金剛
天使かな?
金剛良い子