男「・・・いや、行こうよ」
障女「性欲の有り余った高校生は何でもしよるって、母さんに釘刺されてるから」
男「あのさ・・・、しません」
障女「いや、分からないよ」
男「何を疑っておられる?」
障女「わたしが車イスで体の自由が利かないのをいいことに」
男「しない!!!」
障女「するな」
男「なんでじゃあ、一緒に帰るのは良いんだよ」
障女「助けを呼べば人が来る」
男「お前なー・・・」
障女「車イスの少女に優しくない人間はいません」
男「・・・・・・」
障女「ほら、押してくれるんだろー?」
男「ったく」キコキコキコ
高校生だったのか
障女「あ、なあなあ、そこの本屋に入って」
男「え? これ?」
障女「うん」
ガン
男「車イスがでかくて入らん」
障女「バカ野郎、左の入り口はスロープあるわ広めにとってるわで完全にわたし向けだろ。どうして狭い方を行くんだ、バカ」
男「はいはい、左ね」
ガン
障女「あうっ。わ、わざとぶつけるなよ」
>>5
五年前は
男「はい。入った。さあ出よう」
障女「お前ロボットか? 奥の写真集のところ!」
男「奥ぅ~!?」ゲンナリ
障女「そー、奥!!」
男「すんません、すんません・・・」キコキコキコ
障女「ふんっ」
ドン
男「あ、すんませ・・・」
客「ったくなんだ・・・・・・ガイジかよ」ボソ
男「!」
障女「いいよ。そうなんだから」
客「・・・・・・っぜぇな」
男「す、すいません・・・」
障女「いちいち謝るなって」
男「いや、俺がぶつけたんだからさ」
障女「あいつの体積じゃ普通の人が通ってもぶつかってるよ」
男「聞こえる!」
障女「篠原紀信の欄」
男「奥だ・・・」
障女「どうどう」
男「・・・・・・はぁ」キコキコキコ
障女「はい、福山雅治の写真集!」
男「はい」ヒョイ
障女「どーも」
障女「やっぱかーっこいーっ」
男「けっ」
障女「嫉妬か」ペラ
男「ふんっ」
障女「福山雅治に敵う男はいないさ」ペラペラ
男(手首だけで器用に捲るなあ)
障女「戻して」ヒョイ
男「はいよ」
――駅
駅員「えっと、次の電車でスロープ用意しますんで6号車列でお待ちくださいね」
障女「ありがとござます」ペコリ
男「・・・・・・」ペコリ
障女「行くよ、押して」
男「お、おお・・・」
障女「なあ、さっきの遊びがどうとかさ」
男「え? うん、なに?」
――『二番乗り場電車が参ります、白線の内側まで』――
ゴーーーーーーーーーーーーーー
ガタンゴトンガタンゴトン
障女「・・・・・・けど」
男「え? ほんっとになんっにも聞こえませんでした!」
障女「行ってもいいよ!!」
男「あ、ほんと?」
障女「母さんに内緒で行くから」
男「いいねえ」
障女「・・・・・・絶対えろはなしだからな!」
男「ったりまえだ、バカ野郎」
――翌週、街中にて
男「あれは・・・ベビーカー」
男「あれも・・・ベビーカー」
男「くそ。紛らわしいな、赤ん坊みんな死ね」
キコキコキコキコ
男「この音は!」
ドン!
男「ぎゃあ!」
障女「すまん、車イスで跳ねた」
男「いったたた・・・」サスサス
障女「す、すまん」
男「い、行こうか・・・」サスサス
障女「ほんとに、だ、大丈夫か。誰か呼ぼうか」
男「いや・・・いい」サスサス
障女「あわわ・・・」キョロキョロ
男「はい行くぞ~」スタスタ
障女「・・・・・・!!」イラッ
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