妹「兄さん? すいません失明しました」(516)


兄「なんだ」

妹「兄さん? あの、電気ついてます?」

兄「はぁ? まだ昼間だぞい」

妹「あの、その、なんていうか」

兄「なんだ、休日だからって昼までずっと寝てた奴がどうした」

妹「すいません失明したみたいです」

兄「ん?」

妹「失明したっぽいです」

兄「…え?」


妹「おぉ、本当に何も見えないんですね」

兄「なに、冗談? ジョーク? アメリカンジョークなの?」

妹「アメリカンもイタリアンもわからない私にそんなことできませんよ」

兄「本当に見えないの?」

妹「はい、残念ながら」

兄「えー…」

妹「嗚呼、こんなことならもっと兄さんの顔を見ておけばよかったと後悔しますね」

兄「そんなのん気なこと言ってる場合なのか」

妹「一寸先は闇、とはよくいったものです」

兄「いやいやいやいや」


妹「兄さん、そこにいるんですか?」

兄「あ、あぁ、ちゃんとここにいるから安心しろ」

妹「すいません、音声情報しかないのは少し不安なもので…」

兄「いや、いきなり失明してそんな落ち着いていられるのもすごいと思う」

妹「そうですか?
妹「…近くに兄さんがいるから落ち着いていられるんですよ」フフッ

兄「ばーろー」


妹「ふむ、これから少し大変になりそうですね」

兄「少しって… どうするんだ、学校とか」

妹「んー… まぁ、なるようになりますよ」

兄「てきとーだな」

妹「そんなことより、本当にもっと兄さんの顔をみておきたかったです…」

兄「妹…」

妹「これからの兄さんの頑張る姿や兄さんの子ども… 色々見たかったと思うと、すこし残念ですね」

兄「…」

その昔「ONE」というエロゲがあってだな
あと「ゆきうた」というエロゲがあってだな


妹「これからどうやって兄さんの夜這いにいけばいいんですか全く」

兄「ちょっと待て」

妹「これじゃバレないように下着を盗むのも一苦労じゃないですか…」ハァ

兄「待て待て」

妹「なんですか、人が傷心してるっていうのに」

兄「あぁ、それはすまないが、ちょっと待て」

妹「はい」

兄「夜這いやら下着やらってなんだ」

妹「冗談ですよ」

兄「…」ビキビキ

妹「…半分は」ニヤ

兄「!?」


兄「っく… 一体何が本当なんだ…」

妹「ふふふ、兄さんは一生おびえていればいいんです」

兄「…しかし、本当に大丈夫なのか?」

妹「大丈夫ではないですけど、別に、いしたこと無いですよ」
妹「ただちょっと何も見えなくなっただけですから」

兄「それが“ちょっと”じゃないと思うんだが」

妹「うふ、兄さんはかわいい妹が心配で心配で仕方が無いんですね?嬉しいです」

兄「そりゃ心配だってのばか」

妹「…嬉しいです」

兄「あー、とりあえず病院…か?」

妹「ん、まぁそうですね、気持ちの整理がついてから行きますよ」

妹「大丈夫ではないですけど、別に、いしたこと無いですよ」 ×

妹「大丈夫ではないですけど、別に、大したこと無いですよ」 ○


修正。


兄「病院先行ったほうがいいんじゃないか」

妹「後でちゃんと行きますよ」

兄「急いだほうが…」

妹「あ、そうだ、兄さん!」

兄「おい」

妹「いいから、ちょっと、こっちきてくれますか?」

兄「…」
兄「ん…」スタスタ

妹「えーと… あ、いた」サワサワ ギュッ

兄「…」

妹「へへ、これは… 兄さんの手、ですね?」ニギニギ

兄「…ん、俺の手」


妹「あは、兄さんの手…こんなにゴツゴツしてたっけ…」ギュゥ...

兄「俺も一応男だしな」

妹「…目が見えなくなったおかげかわかりませんが、なんかこう、感覚が鋭くなった気がします」ニギニギ

兄「本当かー?」

妹「あー、疑ってますね」
妹「わかりますもん、前握ったときとは全然違う感触がします…」ニギニギ

兄「前ってのは、いつ俺の手を握ったんだ?」

妹「ぁ…」

兄「おい」

妹「えーっと、コレが腕ですねー」ススー...

兄「おい」


妹「あ… 意外と筋肉あるんですね…」ギュ

兄「筋トレたまにしてるしな」

妹「うふふ、頼りになるボディーガードでよかったです」

兄「誰がボディーガードじゃ」

妹「あーら、失明した妹は一体誰が守ってくれるんですかー」

兄「…彼氏?」

妹「いませんー、ばーか」

兄「いないのかお前」

妹「ふん、好きな人いますからねー」ニギニギ

兄「へー…」


妹「肩幅ありますねー…」サワサワ

兄「筋トレの賜物よ」

妹「あ、首筋キレイ…」サワサワ

兄「くすぐったい」

妹「……でこれが、兄さんの、顔…」ペタペタ

兄「んっ…」

妹「兄さん… 感覚が鋭くなってるせいか、触るだけで大体の顔がわかりますよ」ペタペタ

兄「そう、なのか」

妹「…色は、つきませんけどね…」ペタペタ

兄「…」

妹「……兄さん…兄さん…うっ…ひくっ……兄さん…」ペタペタ

兄「妹…」


妹「…っとと、いけないいけない」バッ

兄「ん」

妹「えへへ、変なとこはあまり見せられないな」グシグシ

兄「変なとこって… 普通に泣けばいいだろう」

妹「いやですー、女の涙はこんなとこでは使わないのです」

兄「…変なやつ」

妹「ベーだ」ベッ

 妹のあっかんべは若干俺とは違う方向を指していた。
 本当に見えていないのだと再度認識させられた。

兄「…ばか」ペチッ

妹「いたっ! ひ、ひきょーですよ! 目の見えない女の子に手を出すなんて!」

兄「はいはい」ハハ

妹「むー」

 膨れた妹の姿はいつもより可愛くみえた。

妹「えへへ、変なとこはあまり見せられないな」グシグシ ×

妹「えへへ、変なとこはあまり見せられませんね」グシグシ ○


どっちでもいいけど、一応修正。


兄「…じゃ、なにより一回病院にいくか」

妹「…はい」

兄「じゃ、いくか」

妹「っと、待ってください!」

兄「ん」

妹「わ、私今、寝巻きのハズですよね!?」

兄「あ、そうか」

妹「着替えくらいさせて下さいー」

兄「すまんすまん」


妹「とりあえず一度自室に戻りますね」スタスタ...

兄「あ、おい!」

妹「いでっ」ガンッ
妹「あだっ」ゴンッ

兄「何も見えないんだから無茶するなよ…」ガシ

妹「あはは… いけると思ったんですけどね…」

兄「ほら、こっちだ」クイッ

妹「面目ないです…」ヨロヨロ

兄「いいから、気にすんなって。俺はお前の兄なんだから」クイクイ

妹「…はい」

兄「あ、そこ足元気をつけて」

妹「は、はい」ヨロヨロ


 ―妹部屋前

兄「ふぅー…」

妹「はひぃ…」

兄「大丈夫か? 怪我ないか?」

妹「痛いところは…ないです大丈夫です」

兄「そうか、よかった」

妹「…ありがとうございます、兄さん」

兄「いいって、お礼とかホントいらない。当たり前のことだし」
兄「キリッ なんつって」ハハ

妹「兄さん…」
妹「…一人で自室にも戻れないとは…悲しいです」

兄「しゃーないしゃーない」ナデナデ

妹「うぅ…」


妹「えっと…ここか…こっちですかね…」スカッスカッ

兄「ん」ギュッ
兄「こっちこっち」クイ

 兄は妹の手をつかみ、ドアノブへと導く。

妹「あ、ありがとうござい」

兄「いーらーんて」

妹「はひ…」

兄「で、その、大丈夫なのか」

妹「はい?」

兄「あの、着替え…とか」

妹「あー…」


妹「大丈夫ですよ、きっと」

兄「大丈夫、なのか?」

妹「…なんですか、私を着替えさせたいんですか?生着替えを見たいんですか?」

兄「ばーろー! そんなんじゃないよ」

妹「うふふ、ご心配ありがとうございます」
妹「けど大丈夫ですよ」

兄「そうか?」

妹「…長年慣れ親しんだ自室ですし、着替えなんてもう毎日の作業ですから」

兄「…そうか、怪我すんなよ」

妹「はいはい」

兄「なんかあったらすぐ言えよ」

妹「はいわかりましたー」


兄「早めにな」

妹「女の子は準備に時間がかかるんですー」

兄「そうかい、じゃいつもどおりしてくれや」

妹「はい。 では、また」

兄「おう、気をつけろよ」

 ガチャ パタン...


兄「…」
兄「…んー」
兄「…」ソワソワ
兄「大丈夫かな…」ソワソワ


 『いたっ!』バカッ
 『うっ!』ドコッ


兄「…心配だ」


 ―妹部屋

妹「いったー…」ジンジン

妹「うぅ、こんなときのためにしっかりと部屋を片付けておけばよかったです…」

妹「足で床に危険物がないか確かめながら…」サスサス

妹「手探りで定位置まで…」サワサワ

妹「…このあたり、ですかね…」

妹「…」

妹「…着替えますか…」


 ~

妹「んしょんしょ…」ヌギヌギ

妹「目が見えないというのはここまで不便なものだったんです…ねっ」ヌギヌギ

妹「失って初めてその価値に気づけるものですね、本当…」

妹「……」

妹「…」

妹「…」ボー...


妹「…はっ、傷心に浸ってる時間はないのでした」

妹「パンツ一丁でボーっとしてるなんて、なんともシュールな絵ではないでしょうか」

妹「…はやく着ましょう、風邪を引いてしまいます」


妹「着替えは…」

妹「はっ、しまった」

妹「下に置いてしまいました」

妹「定位置に置いておかないとわからないというのに」

妹「むぅ、手探りで探すしかないようですね」

妹「んっ…んぅ…」サワサワガサガサ

妹「これか…」サワサワ

妹「んー…」

妹「こっちのか」スタスタ

妹「な」グォリ!!

 鈍い音と共に、足の裏から激痛が走る。
 出張った形をしたコンセントを思い切り踏んでしまったようだ。


妹「」


 ―妹部屋前

兄「…」

兄「おそいな」

兄「…心配だ」ソワソワ

兄「うぅん」ソワソワ

兄「しっかり着替えられるのだろうか」


 『うぎゅああああああああああぁぁぁああぁああああぁぁぁぁあ!!!!』


 突如妹の悲鳴があがる。

兄「!?」

兄「い、妹!?」バンッ!!

 なにかあったのかと思いドアを押し退ける勢いで開け、中に入る。

兄「妹! 大丈夫か!?」


 そこにあったのは、パンツ一丁の妹の姿だった。


兄「えぉうっ?」

 言葉にならない言葉をあげ、固まる。

妹「あぅぅ…?」キョロキョロ

 妹はなにが起こったかわからないという顔と苦痛の顔を混ぜた顔をしていた。
 そしてドアの開いた音のした方向をきょろきょろと見る。

兄「えっ、あっ、えと」

妹「…にっ、兄さん…?」

 妹の肌は白く綺麗で、どことなく幼さが見て取れる体系だった。
 服を少し手にしていたので、肝心(?)なところは隠されていた。


寝ます。
残っていたら続き書きます。落ちていたらまた立てて続きを書くかもわかりません。
おやすみなさい。

支援感謝。


申し訳ない、再開は夜になりかもです。

【保守中】
       , ノ)          , ノ)
       ノ)ノ,(ノi         ノ)ノ,(ノi
 ___ (    (ノし ___ (    (ノし ___
/ || ̄ ̄||) ∧,∧  ノ/ || ̄ ̄||) ∧,∧  ノ/ || ̄ ̄||  ∧∧
|  ||__||( ( ....:::::::) ( |  ||__||( ( ....:::::::) ( |  ||__|| (´・ω・`)
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄7 )| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄7 )| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄7
|      | ( /   /ノ |      | ( /   /ノ |      | ( /   /
|___| U ̄工´.  |___| U ̄工´.  |___| U ̄工´

               ∧,,∧
              (´・ω・)           シュッ!!   ∧,,∧
              ( っ(⌒)   ◯三二≡=─  ⊂(・ω・`)、

               `u-u'                  ヽ  と)
                                    `u-u'

  /⌒ヽ
 く/・〝 ⌒ヽ   ほしゅ
  | 3 (∪ ̄]
 く、・〟 (∩ ̄]

ttp://up2.pandoravote.net/img/pan2ji00019225.jpg
こんなことになっちゃうんだろうな

>>157
おいやめろ

>>ガッ


申し訳ありません、遅くなりました。
保守してくださった方々感謝です。
少ししたら書き始めます。


兄「…」

妹「…に、兄さん…?」

兄「…」

 言葉が出ず、そのまま動けない。

妹「そこに…いる、んですか…?」

兄「…い」


兄「……い、いないょ…」


妹「…ぁ、あほー! いるじゃないですか! 変態! あほ兄ぃー!」

 妹の顔がみるみるあかくなっていく。


妹「でてけ! ばか!」ブンブン

 今の状況を理解すると、手の届く範囲のものを拾っては投げ拾っては投げた。
 そしてそれは見当違いの方向へ飛ぶ。そしてたまにあたる。

兄「うわっ、あぶないって、あぶないあぶない!」

妹「早く出ていけー!」ブンブン

兄「でるよ! でるから!」バタンッ!

妹「ううぅ…」

兄『…その、ごめんなさい』

妹「…なんで、なんでこんなタイミングなんですか…」
妹「兄さんとは、もっとちゃんとしたタイミングがよかったのに…」ボソッ

兄『え、え? なに?』

 妹が何か言っている様だが、ドア越しのせいかよく聞き取れない。

妹「なんでもないですこの変態兄!」

兄『うぐ…』


兄『聞いてくれ妹』

妹「何ですか変態」

兄『うっ… お、俺は変態じゃない』

妹「へー、妹が目の見えないことをいいことにして着替え中に覗きに入り、妹の裸を見る兄を…」
妹「変態と呼ばずしてなんと呼ぶんですか!」

兄『…大分脚色されてる気がする』

妹「事実です」

兄『ウソだ! 事実じゃない!』
兄『目の見えないことをいいことになんてしてないし、覗いてなんかいない!』

妹「けっ、けど、私の裸は、見たんですよね」

兄『うっ』

妹「…見たんですか」


兄『不可抗力だ』

妹「ふん、便利ないいわけですね」

兄『…あのなぁ、妹』
兄『俺はお前が悲鳴をあげたから何かと思って部屋に入ったんだ』

妹「…」

兄『俺はお前を心配して』

妹「もういいです」

兄『俺がよくない、妹聞いてくれー』

妹「…わかってますから、本当に私を心配してくれたんですよね」

兄『…妹』

妹「兄さんはそういう人じゃないってことは、私が一番わかってますから」


妹「…ふふ」

兄『どうした?』

妹「いえ、目が見えなくってもこういうやり取りはできるんだな、って…」
妹「そう思うと、まだまだ希望はありますね」

兄『…そうだな、目が見えようがなんだろうが、妹は妹だしな』

妹「兄さんは兄さんですし」

兄『はは、だな』

妹「ふふ、ですね」


妹「兄さん、私が失明してから私に随分と優しくしてくれましたよね」

兄『まぁ、一応お前の兄だしな…』

妹「…けど、普段からこうだったら私嬉しかったですよー」

兄『普段て… 失明する前か?』

妹「はい」

兄『それはお前… 普通にモノが見える人にここまで優しくする必要はないだろう』

妹「それはそうですけど…」
妹「…兄さん、普段はぶっきら棒で冷たかったじゃないですか…」

兄『…そうか?』

妹「そうですよ… 兄さんって、優しいところはあるんですけど、普段はツンデレのツンばっかりなんですよ」

兄『ツンデレって…』


兄『俺は全然そんなつもりはないハズなんだがな…』

妹「ふん、私がどれだけアプローチしても、てきとーにあしらってたクセに…」ボソッ

兄『え、ごめんきこえないぞ』

妹「…兄さん」

兄『なんだー』

妹「私、おかしいと思われるかもしれませんが失明して、いいな って思うこともあるんですよね」

兄『…はぁ? どういうこと?』


妹「さっき、失明してから兄さんは優しくしてくれた って言いましたよね」

兄『あぁ』

妹「そういうことです」

兄『…どういうことです?』

妹「…物分りが悪い兄さんですね」

兄『ほっとけ』

妹「兄さんに優しくされるようになって、嬉しいってことです」

兄『え…?』

妹「妹の口からこんなこと言わせないでください恥ずかしい」

兄『あ…あぁ…?』


兄『なぁ、俺そんなか?』

妹「そんなです」

兄『そんなに冷たい?』

妹「はい」

兄『マジか…』

妹「マジです」

兄『…ダメだ、心当たりが無い』
兄『教えてくれ、俺が冷たくしたときのこと』

妹「そうですね、アレは忘れもしない暑い日のことでした…」

 ―…


 ミーンミーン

妹『暑い…暑いです…』スタスタ

兄『暑いな…』スタスタ

妹『暑いです兄さん…」ギュゥゥ

兄『うっわ、暑いのにくっついてくんじゃねぇ!』グイ

妹『うげ、もう歩けませんよー…』

兄『自分の足があるだろう、自分で歩け』

妹『うぅ…』スタスタ

 …―


妹「あぁ、今思い出しても古傷が…」

兄『…俺今のでなにか冷たくしたことあった?』

妹「何言ってるんですか、何もかも冷たいじゃないですか」

兄『至極当然のことをいってるだけじゃないか俺』

妹「まず私が兄さんにくっついてアピールしているのに、それを拒否」

兄『暑いのにくっついてくるからだろ』

妹「歩けないといってるのに、おんぶもせず自分で歩かせる」
妹「冷たすぎます」

兄『人前ではさすがに… それにあの時お前元気だったろ』

妹「はぁ、今となってはこんなに優しいからいいですけどね」

兄『うぅむ…』


妹「それに覚えてます? 兄さんあのあともっと冷たかったんですよ」

兄『まだ何か…』


 …―

妹『兄さん! 自動販売機で飲み物を買ってきました!』

兄『あぁそうか』

 カシュッ

妹『早速いただきますね、んっ…ん…」ゴク...ゴク...

兄『あっちーなー』

妹『ぷはーっ』
妹『(ここでわざと口から少し垂らして、エロティックな雰囲気をかもし出すのです!)』
妹『ん…』タラー...


兄『あちー』


妹『(気づけ!ばか!)』
妹『んぅ…』ツー...


兄『暑くねーかマジで』


妹『…』ツー...

兄『あ』

妹『! (きました!)』

兄『お前きったねーなー、口から垂れてんぞー』ハハッ

妹『…』

兄『ほらこれ使え』スッ

妹『えっ』


兄『ほら、ハンカチ。もってるのか?』

妹『い、いえ、ありがとうございます…』

兄『礼はいいって』

妹『は、はい』フキフキ

 …―


妹「ということです」

兄『俺めっちゃ気つかえてるじゃん』

妹「どこがですか!?」

兄『ハンカチハンカチ』

妹「あ、あぁ、まぁアレは、あの、普通に嬉しかったですけど…」

兄『ならいいじゃん』

妹「…そういえばそうですね」

兄『あほかお前は』


兄『…ていうかお前、着替えは?』

妹「あ」

兄『…』

妹「…なんかもうめんどくさくなりました」

兄『おい』

妹「病院は明日行きましょうよ」

兄『…いいのか?』

妹「いいですよ、一日くらい大して変わりませんよきっと」

兄『…そうか』

妹「…今日はちょっと、疲れました」

兄『…』


自分も少し妹のキャラクターを見失いがちのようです。
自分の場合、時間が開くとこうなってしまうようです、申し訳ない。


兄『…明日行くんだな?』

妹「すいませんがそうさせてください…」

兄『いや、今日は色々すまんかった』

妹「いえいえ、楽しかったですよ」

兄『俺は自室に戻ろうと思うが、大丈夫か?』

妹「はい、大丈夫です。 オナニーは目が見えなくてもできますから」

兄『…そうか、その様子じゃ色々と大丈夫そうだな』


妹「まぁ、困るといったら兄さんの写真を見ながらできないことですかね」

兄『どこまで本当なんだ…?』

妹「やだなぁ、冗談ですよ」

兄『…』

妹「半分は」

兄『部屋戻ります…』

妹「私で抜くんですか?」

兄『抜かん!』


妹「兄さん兄さん」

兄『なんだ』

妹「今兄さんはドア越しで私と話してますよね」

兄『あぁ』

妹「…相手が見えないという点では、私達一緒ですね」

兄『…どういうこと?』

妹「わかりません」

兄『え?』

妹「ただ一緒だなーと思っただけです」

兄『そうか…』


兄『それじゃ、俺部屋戻るけど、何かあったらすぐ呼べよ」

妹「あっ、に、兄さん」

兄『なんだ?』

妹「あの、その…」

兄『なんかあるのか?』

妹「なんか、といいますか…その」

兄『?』

妹「…一人は、その、寂しい、というか…。 …寂しいです」

兄『!』

妹「…寂しいんですごめんなさいごめんなさい」

兄『…なんで謝るんだよ』


兄『…そうだよな、なにも見えないのに置き去りにされたら寂しいよなぁ』

妹「だからあの、もし迷惑じゃなければ」

兄『おしゃべりしてようぜ」

妹「!」

兄『いや、別に妹がしたいしたくない関係なく俺がお前と話したいだけだからな』

妹「兄さん…」

兄『だから… 俺に謝らないでくれ、気を遣わないでくれ」

妹「…ありがとうございます」

兄『あと礼もいうな』

妹「うっ」


兄『というわけで』
兄「おじゃましまーす」ガチャ

妹「え?」

兄「え?」

 完全に忘れていた。

妹「あの…」

兄「えと…」

 妹はまだ着替えていなかったことを。

妹「なぜ…?」

兄「さぁ…?」

 自分でもわからないぜ。

 そして投げられたティッシュ箱の角が頭にクリーンヒットし、退散。
 …目見えてるんじゃないかこいつ。



兄『なんでまだ着替えてなかったんだよ!』

妹「ずっと話してたじゃないですか!」

兄『見てないぞ! 断じて見てないからな!』

妹「ウソです! 私は感じましたよ、兄さんの突き刺さるような熱い視線を!」

兄『そんなには見てねーよ!』

妹「そんなには?」

兄『あ』

妹「…変態」

兄『…』


 ~

妹「いいですよ、入って」

兄「お邪魔します…」ガチャ

妹「目見えないからって、変なことしないでくださいね」

兄「するか!」

妹「え?」

兄「ん?」

妹「しないんですか?」

兄「えっ」

妹「えっ」


妹「目の見えない女性と密室で二人きり…」
妹「この状況、どういうことかわかります?」

兄「今の状態だろ?」

妹「はい」

兄「え、なにが?」

妹「…完全に犯すフラグじゃないんですか?」

兄「ばっ、何を言い出すんだ君は」

妹「おかしいですね…」
妹「この状況はどう見てもヤルはずなんですが」

兄「もうやだこの妹」


妹「仕方ないですね、ここからいい雰囲気にもっていくしかないようです」

兄「もっていけねぇよ」

妹「いい雰囲気になった二人の人間というものは自然と交ぐあうものと聞きました」

兄「確かにそれもあるが」

妹「そしてそれは同姓同士だろうが、兄妹であろうが、とのことです」

兄「へー」

妹「それはつまり… そういうことですよ」ニタ

兄「ひっ」


兄「それはそうと妹」

妹「話を逸らすつもりですね、なんですか」

兄「それはファッションか?」

妹「え?」

兄「酷なことを言うようだが、服が逆になっとるぞ」

妹「…やん」カァ

兄「見えないなら仕方ないよな」

妹「そうですよ、今ここで兄さんが裸になっていても兄さんが興奮するだけで私はしませんしね」

兄「うん、訳がわからないよな」


妹「兄さんは今裸ですか?」

兄「普通に服着てるけど」

妹「…ふむ。 おかしいですね、何故服を着てるんですか?」

兄「え?」

妹「今裸になっても妹に気づかれないんですよ?」

兄「それはそうだが、そうする意味があるのか」

妹「裸で妹と普通に会話だなんて、興奮しません?」

兄「…しないけど」

妹「そうですか、私はすごく興奮します」
妹「しかも妹は裸のことに気づかないんですよ、いいシチュです」

兄「…」


妹「私と兄さんが逆の立場ならバレないように脱いで会話します」

兄「うわぁ」

妹「あっ… いけませんね、少し興奮してきてしまいました」ゴクリ

兄「うわぁぁ」

妹「あわゆくばバレないようにオナニーもすると思います」

兄「うわぁぁぁ」

妹「…んっ… ダメダメ、今はダメです」モゾモゾ

 なにが? とは訊かない俺だった。


妹「…兄さん」

兄「なんだ」

妹「実は今、裸じゃないですか…?」ゴクリ

兄「服着てるって」

妹「証拠を見せてください」

兄「なんだそれは、皮肉か」

妹「…あ、上手いこといいましたね私」

兄「なにも上手くないけどな」


妹「兄さんは… こっちの方向であってますよね」キョロキョロ

兄「あぁ、けどもう少し右だな」

妹「こっちですか」

兄「お、そうそう。 視線もう少し上あげてくれるか」

妹「このくらいですかね」

兄「そうそう、…今、妹と目あってるぞー」

妹「!」

兄「…しかし整った顔立ちしてんなーお前」

妹「知ってます、かわいいですよね私」

兄「…やっぱかわいくない」


妹「今も、目合ってますか?」

兄「おう、バッチリ」

妹「…へへ」

兄「こっちはちょっと恥ずかしくなってくるけどな」

妹「私もそう思うと、少し恥ずかしいような気もしますね」

兄「…」

妹「兄さんのかっこいい顔、目に焼き付けておけばよかったです」

兄「はは、かっこよくないから、そのまま脳内補正しておいてくれ」


 それから俺と妹は暫く話しこんだ。
 今までのこと、これからのこと、くだらないこと…。


兄「…あ」

妹「なんですか?」

兄「もうこんな時間か…」

 妹は反射的に時計のある方向に顔を向ける。

妹「あっ…」

 そして妹は顔を向けても、目には映らないことを思い出す。

妹「…」

兄「…7時半だよ、妹」

妹「へへ… 兄さん時計、いいですね…」

兄「ばーろー…」


兄「…じゃ、俺は晩飯作ってくるな」

妹「はい、私は…なにも手伝えませんね」

兄「気にするなって、いつものことだろ」

妹「うー、たまに手伝ってたじゃないですかー」

兄「アレは手伝いだったのか?」

妹「そうですよ!」

兄「なんだてっきり邪魔をしてるだけかと…」

妹「な、なんだってー!」

兄「だって皿わったり、焦がしたり、皿わったりと…」

妹「そ、それは、ドジっこってやつですよ…はは」

兄「…」


妹「じゃ、私のために晩ごはん作ってきてくださいな」

兄「なにその上から目線」

妹「ふふふ、我は目の見えなき哀れなる可憐な美少女なり」

兄「ははー」

妹「さっさと供物を作るがよい、下民よ」

兄「はっ、ただいま」

妹「でゅふふ」

兄「ってばか」ベシ


妹「ふぁぁ…」

兄「おーおー、大きいあくびだこと」

妹「ん…」グシグシ

兄「眠いのか?」

妹「そうですね… そういえば眠いです」

兄「じゃ、晩飯できたら起こすから、それまで寝てろ」

妹「ふぁぁい…」

兄「おやすみ、妹」

妹「おやすみなさい、兄さん…」


夜食食べてきます。

正夢だ

  /⌒ヽ

 く/・〝 ⌒ヽ   
  | 3 (∪ ̄]
 く、・〟 (∩ ̄]

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