妹にとって、お兄ちゃんというのは特別な存在だと聞いた
曰く、親や恋人が死んだ時よりショックだったとか
恋人や友人にも話せないことを話す、だとか
生まれ変わったこの世界では、“私”は妹になっていた
前世での記憶はいまいちはっきりしない
これは不完全な生まれ変わりかも知れない
しかし、妹でないことはぼんやり覚えている
目覚めた当初に、そんな事をぐるぐると考えていると
「いもーと?どうしたの?」と、呼びかける声が聞こえた
そう言えば、兄がいたのだったか
誰の記憶だか分からないが、ふと思い出した
何の反応もなく床を見つめる妹を心配に思ったのか
「ねぇねぇ、どうしたの?どこか痛いの?」
と、先程より幾ばか不安の色を強めた声音が耳に届いた
「大丈夫ですよ」
そう答えようと、振り返ると――
さらさらで柔らかい髪、透き通るのかと思うくらいの白い肌
こちらをまっすぐに見つめる、光を閉じ込めた瞳
――綺麗だなあ、と思った
「よかったぁ。きゅうにぼーっとするから」
ふにゃっとした笑顔になると、こちらを引き寄せ頭を撫で始める
「いもーとは身体が弱いんだから、だいじにしなくちゃ、だめだぞー」
小さい手から伝わる体温は暖かくて
そういえば、人に触られるのなんて久しぶりだなあ、と感じていた
「いもーとのことは、ぼくが守るからねっ」
この熱と生きていけるなら、少しはいい人生が送れるだろうか
暖かさにまどろみながら、そんな事を思っていた
私の記憶はここから
兄との出会いが、この世界のはじまり
――この世界で妹として生きていくことになった日だった
――幼少期
妹「しかし、どうしたものでしょうか」
妹「これからまた人生をやり直すと考えると、流石に億劫ですねぇ……」
チラッ
兄「いもうとー?どうしたのー?」
妹「前世では、兄は居ませんでしたっけ」
妹「あんまり、記憶がはっきりとしないのですが」
兄「いーもーうーと?」ユサユサ
妹「……はいはい、なんですか――」
妹「――お兄ちゃん」
兄「さっきから、どうしたの?どこか、いたいの?」ジィッ
妹「いいえ、痛くありません。どこも平気です」
兄「そっかぁ、よかった」ニパッ
ナデナデ…
妹「(こうして撫でられるのも、随分と久しぶりな気もしますね……)」
今日はここまで
続きを書くかは分からないです
多分、書かないと思いますが
今朝みた夢から、時系列的にかなり遡って始めてみたのがこれです
ここから、夢の内容にどう繋げるのか、よく分かりません
気分が乗ったら、また書きます
地の文←→SS
という形で進めて行こうと思います
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