まどか「ど、どうしよう! ベットリついちゃってるよぉ」
QB「あーあー。こんな時はコレを使いなよ」ヒョイ
まどか「ティッシュ? ありがとうQB!」グイグイ
QB「…………」
まどか「うわぁ。ページ全体に広がっちゃった!」
QB「馬鹿だなぁまどかは。こういうときは、押し付けずに、掬い取るようにしないと」
まどか「だったら最初っからそう言ってよぉー…」
QB「だって、聞かれなかったんだもの」
まどか「どうしよ…! きっと怒られちゃうよ」オロオロ
QB「いい方法があるよ。僕と契約してそのチョコ消しちゃおうよ」
QB「驚きの白さで、ツルッツルになるよ」
まどか「えー。そんなつまらない事の為に契約したくないよぉ」
QB「じゃあ、どうするってのさ?」
まどか「マミさんに謝るに決まってるじゃない! 当然だよ」
QB「ふーん。僕は別にいいけどね」
つぎのひ
まどか「あ、マミさん大事なお話があるんですけど」
マミ「どうしたの鹿目さん」
まどか「この間借りたマンガなんですけどぉ…」
マミ「あ、あれね! どうだった? とっても面白かったでしょ!」
まどか「え、えぇ…。それでですねぇ、あの実は…」
マミ「私のお気に入りコレクションの一つなのよ!」
まどか「へー。そーなんですかぁ…すごいなぁー」ダラダラ
QB「どうしたんだいまどか。この世の終わりみたいな顔をして」
まどか「言えなかった…。あんなにほほを染まらせて、流暢に話すマミさんを前にしたら言えなかったよ…」
QB『マミさんに謝るに決まってるじゃない! 当然だよ』
まどか「……なんの真似かなQB?」
QB「キミの真似だよ」
まどか「もー。そんなことして嬉しいの!?」
QB「じゃあさ、僕と契約してマンガのチョコを取り除こうよ」
まどか「だから嫌だよぉ。それにまだ手はあるんだよ!」
BOOK・OFF
まどか「本をうーるならブックオフー♪」
QB「随分ご機嫌だね。さっきまで半べそかいてたのにさ」
まどか「かいてないよぉ! そんな事いってられるのも今のうちだけだよ」
QB「ここがキミの言う手ってやつかい?」
まどか「そーだよ。中古本チェーンの最大手ブックオフ! ここならどんなマンガだって揃ってるんだから」
QB「中古で買うのかい? けちんぼだね、まどかは」
まどか「違うよー。だって新品で買ったらマミさんが変に思うじゃない」
QB「なるほど…。案外考えてるんだね」
まどか「それじゃ早速探してこよっと」
QB「じゃあ僕も立ち読みしてくるよ」
まどか「駄目だよ、買わないのに立ち読みするのはいけないことなんだから!」
QB「その考えは間違ってるよ。立ち読みも経費の内に入っているのさ」
まどか「経費?」
QB「立ち読みをするお客の何割かは、ついでに何か買って帰るだろ? それに、深夜だと防犯対策にもなるのさ」
まどか「……でもブックオフは本しか売ってないし、十一時になったら閉まっちゃうよ?」
QB「………それじゃあまた後でね」シュン
まどか「あ、逃げないでよQB!」
まどか「えーっと…、魔法少女だから『ま』の欄だよねぇ。ブックオフは沢山品揃えがあるから目移りしちゃうよ」キョロキョロ
QB「まどか! 大変だよ、まどか!」
まどか「ん? どうしたのQB、まさかまた魔女が!」
QB「僕の立ち読みしてた金田一少年の事件簿が一冊抜けてるんだよ!」
まどか「そんな事? 仕方ないよ、いくらブックオフでも神さまじゃないんだから」
QB「ダメだよ。どうして校長が殺されたのか気になって夜も眠れなくなるよ!」
まどか「あー、その話なら校長は単に七不思議の数合わせで殺されただけだから」
QB「えー……。ネタバレは良くないよまどか……」
まどか「さーて。これでもう何も怖くないよ」バッ
QB「マミに借りた本も売り切れなら良かったのに」
まどか「そんなイジワルな事言わないでよー」
QB「さっきのお返しだよ」
まどか「ゴメンゴメンってば。機嫌直してよ。ほら、一緒に続き読もうよ」ペラッ
QB「…し、仕方ないなぁまどかは」トコトコ
まどか「えーっとたしか、ここの必殺の技のシーンだねチョコケーキ付いたのは……」ペラッ
QB「ティロ・フィナーレだって。恥ずかしい必殺技だね」
まどか「そう? かっこいいじゃない」
QB「僕には、人間の感性は理解できないよ」
つぎのひ
ピンポーン
まどか「あれー。マミさん居ないのかな。友達と遊びにいってるのかな」
QB「それは無いと思うと。彼女は、何時もマンガを読んでるかゲームをしているかだもん」
まどか「じゃあ何で出ないんだろ。もう寝てるのかな」
QB「まだ八時だよ。寝るにしては……。は!」
まどか「どうしたのQB!」
QB「おいでまどか。こっちだよ」トテトテ
けっかい
まどか「あ、いたいた。マミさーん」
マミ「あら、ちょっと待ってね。今魔女を撃ち抜くから」サッ
まどか「はーい、了解です!」
マミ「フィロ・フィナーレ!」
チュドーン!!
まどか「いやーカッコいいですね。それ借りたマンガの必殺技の名前だったんですね」
マミ「あら、バレた? みんなには内緒よ」
QB「…うん? あれまどか。なにかおかしくない?」
まどか「……なにが? あ…そだ」ポン
マミ「どうしたの?」
まどか「その必殺技。『フィロ・フィナーレ』じゃなくて、『ティロ・フィナーレ』じゃなかったでした?」
マミ「あらあら。嬉しいわ! 鹿目さん、そんな事もしってるの!?」ギュ
まどか「え?あれ…。何でそんなにテンション上がってるんですか…?」
QB「そうだよマミ。キミがいい歳をして、恥ずかしい台詞を間違えただけじゃないか?」
マミ「何を言ってるの。フィロ・フィナーレは私が貸した初版のマンガの技名なのよ!」
まどか「しょ…はん…?」ピク
マミ「そう! 実はね、実はね! あのマンガ、三版以降はあの台詞を『ティロ・フィナーレ』に差し替えられているよ!」
まどか「へ…へぇー。そ、そーだったんですかぁ…」ダラダラダラ
マミ「鹿目さん、一体どこで知ったのかしら!? ネット? それともお友達から!」
まどか「えーっと、そ、それはですねぇー…」
QB「どもっちゃダメだよ。適当にさやかとか言っときなよ…」ボソボソ
まどか「ダメだよぉ、さやかちゃん、セブンティーンとかピチレモンとかしか読まないもん…」ボソボソ
マミ「ねぇ! 教えて! 鹿目さぁんイジワルしないで教えて!」クネクネ
QB「ほら…、なんだかバカみたいに浮かれてるよ…ヤバイよまどか…」ボソボソ
まどか「えと…、そう! ほむらちゃんに教えてもらったんですよ!」クルッ
マミ「ほむらちゃん…? あぁ、貴方と同じクラスの暁美ほむらさんね!」
まどか「え…。はい。そうですけど…」
マミ「あの子もいつも一人で教室の隅で本を読んでいるものね。そうかぁ…あの子かぁ」ソワソワ
まどか「ちょ、ちょっとQB。なんでマミさんが私のクラスの子知ってるの?」ボソボソ
QB「僕が知りたいよ…。そんな事よりどうするのさ…」ボソボソ
マミ「ねぇ。鹿目さん! ぜひそのお友達紹介してもらえないかしら! きっと私達お友達に…!!」
まどか「ま、待ってください! じ、実はほむらちゃん人見知りで。だからちょっとまだ早いかなぁって」
マミ「え………そうなの………?」
まどか「(うわぁ…、マミさん、なんか急にテンション落ちた…)」
マミ「…………………」ブツブツ
魔女「……グギギ」ピクプク
まどか「あ、危ないマミさん後ろから魔女が! はやくティロ・フィナーレを!」
マミ「………………!」ブン
ベギャン!
まどか「…あ、あれ? 素手で魔女を…」
メキャ! ズビャン!
マミ「……だったら…死ぬしかないじゃない…」ブツブツ
QB「…うわぁ」
まどか「えー…っと。ほら、叫ばないのかな~。私聞きたいなぁ、ティロ・フィナーレって叫ぶカッコいいマミさんの勇士…!」
マミ「…………ーレ」クルッ
まどか「……え?」
マミ「『ティロ・フィナーレ』じゃなくて…」
魔女「……ギュギュ…」ピクピク
マミ「『フィロ・フィナーレ』……!」ブン
ドグッチャーン!!
まどか「…ですよねー…」ダラダラ
魔女「………………」
QB「どうするのさまどか。僕と契約してチョコを落とさないと、キミが命を落としちゃうよ…」ボソボソ
まどか「そ、そんな事言われてもぉ…」ボソボソ
マミ「何をボソボソ言っているの。…で、鹿目さん。用って?」ブチッ
まどか「うんと…。そだ、紹介するのはまだ早いんですけどぉ」
マミ「……で?」クチャクチャ
QB「(うわぁ…、倒した魔女の腕食べてる…。うわぁ…)」
まどか「この間、貸して頂いた本を、ほむらちゃんに貸してあげていいですかねぇ?」
QB「ちょ、何を言い出すのさ。まどか!?」
まどか「ほむらちゃんも初版見たがってたし、マミさんから借りたのーって言ったら彼女の警戒も解けるかも…なんて!」
QB「(上手い。コレならばマミの怒りを緩和しつつ、チョコケーキの件も誤魔化せるよ!)」
まどか「…だ、ダメですかぁ…?」ダラダラ
マミ「そっかぁ~! そうよね! いきなり踏み込んだらそういうタイプの子はダメよね!」
まどか「です!…です! じゃあ…いいですか?」
マミ「もちのロンよ! あ、ほらコレ私のプリクラ写真! 一緒に渡しておいてくれないかしら!」サッ
まどか「え…。はい、了解です!」ビッ
/|:: ┌──────┐ ::|
/. |:: | | ::|
|.... |:: | | ::|
|.... |:: | | ::| , -─-、
|.... |:: └──────┘ ::| ,マミ-─x'
\_| ┌────┐ .| * ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ξゝ__ノξ 私が友達を作らない事で
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 ̄(_, )
/ \ `、
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|ー´
| .( ( | |\
| ) ) ) | | .|
|__ ,-─-、___(__| .\| 私の代わりに誰かさんの、
/― * ヽ ――-\≒ 友達との時間を守ってあげられる
/ ξゝ ノξ \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
, -─-、
,マミ-─-'、
ν*(ノノ`ヽ) 私はそういう事に幸せを感じるの
ξゝ ゚ ヮ゚ノξ
_| ⊃/(___
/ └-(____/
x--、
( _/ヽ-、___
/ξ_/____/
じたく
QB「ふぅ…。どうにか首の皮一枚つながったってところだね…」
まどか「危なかったよ。…もうちょっとで私がマスケット銃でティロ・フィナーレされるところだったかも…」
QB「「ティロ・フィナーレじゃなくて…フィロ・フィナーレ」
まどか「うぅ…。そんなのどっちでもいいよぉ」
QB「で。ほむらには何て言うの? マミの話は」
まどか「言えるわけないよー。ほむらちゃんとは、あんまり話した事ないし」
QB「ほむらからティロ・フィナーレの話を聞いたってのも、まどかのデッチアゲだもんね」
まどか「そいうこと…。よーし、こうなったらもう一度ブックオフで!」
QB「それしかないよね」
つぎのひ
まどか「ほーんを売るなら……」
QB「どうしたのさ、そんなテンションじゃお客さんが来てくれないよ」
まどか「むしろブックオフの方が来てほしいくらいだよ…。これで何軒目なの…」フラフラ
QB「5軒目かな? 次は…隣町の方まで行かないとダメだね」カチカチ
まどか「となりまちぃ…」
QB「ほらほら、早くしないと門限が過ぎるよ。…本を売るなら?」
まどか「ぶーっくおふぅ…」フラフラ
SS見ろよksども
支援
ぶっくおふ となりまちてん
まどか「おっかしーなぁ。ここも初版どころか一冊も置いてないよ…」
QB「ちょっと、ちょっとまどか! また金田一少年の事件簿の続きが抜けてるよ! どうして山荘の主人が殺されたのか」
まどか「…あぁ、主人ならタロットカードの数あわせで殺されただけだよ…」
QB「えー……。だから、ネタバレは良くないよまどか……」
まどか「主人よりも私の心配をしてよ! 現実には金田一少年はいないんだよ」
QB「おやおや。その様子じゃまた置いていなかったみたいだね」
まどか「こんな偶然ってあるのかな…。魔女の仕業じゃないかな」
QB「うーん……どれどれ」カチカチ
まどか「うん? ケータイで何してるの」ヒョイ
QB「ググってるんだよ。なんでもそうやって魔女のせいにするのは良くないよ」
まどか「だって、それ以外に説明のしようがないんだもん!」
QB「…ふむ。どうやら、そのマンガは最近アニメ化されたばかりみたいだね」
まどか「だから、どこのブックオフでも売り切れなの?」
QB「しかも悪いことに、かなりの人気作品みたいだよ」
まどか「うー…。これじゃあ一軒ずつ回ってたら日が暮れちゃうよ…」
QB「いい加減あきらめて、僕と契約しようよ。チョコのついたページカピカピになっちゃうよ?」
まどか「……そだ!」サッ
QB「あ、ちょっと。僕のiPhone返してよ!」
まどか「こういう時は、ググっちゃえばいいんだよ。なんでもそうやって魔女のせいにするのは良くないよ」
QB「別にしてないよ…。あんまり指紋つけないでよね」
まどか「えーっと…、初版…フィロ・フィナーレっと…」カチカチ
QB「どうだい、見つかったかい?」
まどか「うーんと…、待ってね。ネットオークションなら手に入るかもって書いてる!」カチカチ
QB「へー。僕の予想以上に品薄のようだね」
まどか「ちょ、QB! コレ見てよこれ!」バッ
QB「止めてよまどか! 液晶に唾を飛ばさないでよ」
まどか「フィロ・フィナーレ版、三万五千円って書いてるよ!」
QB「…うわ。まだ、残り時間もあるし。これはまだまだ値上がりするよ」
まどか「ど、どうしようQB…。こんな大金逆立ちしても出てこないよ!」グイ
QB「僕だってそんなの持ってるわけないじゃない。…まどかのマンガ全部ブックオフで売ればいいじゃない」
まどか「そ、そっか! その手があったね! もう背に腹は変えられないよ」
じたく
QB「このマンガももう読まないよね?」ヒョイ
まどか「えー待ってよぉ。このシリーズはたまに読み返したくなるんだよ」グイ
QB「さっきもそんな事言ってたじゃないか」
まどか「だって、本当だもん。どれも私の大事なマンガなんだから」
QB「そういってキミが読み返してる所を見たことがないよ…。だから部屋が一向に片付かないんじゃない」
まどか「うるさいなぁQBは。今はそんな事いってる場合じゃないよ!」
QB「もー…。それじゃあ早く行くよ僕も半分持ってあげるから」
まどか「うん、合点承知だよ!」
ぶっくおふ
上条「えーっと…、合計で二百三十円の買取となりますが、よろしいですか?」
まどか「……え? 二百…?」
上条「二百三十円になります。どうなさいますか?」
まどか「……二万三十円じゃなくて?」
上条「…二百三十円になります」
まどか「………………え?」
上条「あのぉ…。大丈夫ですかお客様? 何か目が虚ろですよ」
QB「どうだったまどか……って。なんでマンガの入ったリュック背負ったままなのさ」
まどか「二百三十…これが何の数字か分かる?」プルプル
QB「え? なにさいきなり。分からないけど…」
まどか「私のマンガの値段よっ! QBの血は何色なの!!」ブン
ベチン!
QB「痛っ! なんで、僕に怒るのさ。そんなの逆ギレだよ!」
まどか「なら私の怒りはどこにぶつければいいの!」
QB「自分で処理してよ!? 金田一少年の犯人のほうがまだ理性的だよ!」
QB「仕方ない。こうなったらまどかのマンガ全部処分しようよ。そうしたら…」
まどか「それも、もう聞いたよ…」
QB「ふぇ?」
まどか「買取値段詳しく聞いたんだけどさ、部屋のマンガ全部あわせても千円いくか、いかないかだもん…」ガクッ
QB「うわー…。随分と低いんだね。酷い契約だよ」
まどか「何が、『本を売るなーらブックオフ♪』よ! 私の大事なマンガを何だと思ってるの!」
QB「仕方ないよ、向こうも商売だもん。安く買って高く売るのはアキンドの基本さ」
まどか「どうしようQB! 私まだ、ティロ・フィナーレされたくないよ」ギュ!
QB「うーん…。まだ手が無いことはないけど…」カチカチ
まどか「本当!? この際何だっていいよ! 教えてQB」
QB「僕と契約してチョコケーキの」
まどか「あぁ、それ以外で」
QB「…………………………」
まどか「………………………」
QB「………えっとね」
まどか「うん!」
QB「まどかもネットオークションを利用すればいいのさ」
まどか「私が…? でも、オークションに出すようなもの持ってないよ」
QB「持ってるじゃないか。…その背中のマンガ本だよ」
まどか「これ? 無理だよー、全部で二百三十円なんだよ」
QB「それはブックオフでの話でしょ?」
まどか「どういうこと?」
QB「じゃあ一つ質問するけど、もしまどかがフィロ・フィナーレの本を持っていたら、わざわざネットオークションに出品するかな?」
まどか「えー。そんな面倒なことしないよ。近くのブックオフまで持っていくに決まってるじゃない」
QB「だよね? だったら何故どの店舗にも置いていないのかな」
まどか「…そ、そっか!」
QB「そう。売ってお金にするならブックオフよりも、ネットオークションが断然利益率が高いんだよ」
まどか「じゃあ、私のこのマンガも、もっと高く売れるのかな?」
QB「フィロ・フィナーレ本とまではいかないけど…。全巻セットで品質も良好なものも多い。大分いい線いくんじゃないかな」
まどか「やった…。やったねQB! 人が悪いなぁ、最初に言ってくれればいいのに!」
QB「ただ、コレには一つ欠点があるんだよね」
まどか「欠点って?」
QB「まどかもさっき見たと思うけど、オークションには『残り時間』っていうのがある」
まどか「そっか。オークションが終わるまでお金は振り込まれないってことだね」
QB「即決っていう手もあるけど…、足元をみられるからね。より多くの利益を得るには競うだけ競ってもらったほうがいいんだよ」
まどか「じゃあ、じゃんじゃん出品しようよ! これで私も億万長者だね。欠点なんかないじゃない!」
QB「あのねぇ……。キミは何のためにお金を工面してるか分かってるのかい?」
まどか「何って…そりゃ…。あ…!」
QB「オークションが終わる前に、マミにフィロられるよ」
まどか「ダ、ダメじゃんQB!? いくら億万長者になっても天国にまでお金は持っていけないよ!」
QB「落ち着くんだまどか。クイーンを仕留めるにはまずボーンからだよ」
まどか「ボーン…?」
QB「オークションが終わってお金が口座に振り込まれるまで、ほむらに協力してもらうんだよ」
まどか「ほむらちゃんに…。そっか、マミさんと友達の振りをしてもらうんだね!」
QB「その間、ほむらにはマミから初版本を借りていることにして…」
まどか「そして、私達が初版を手に入れる事が出来たら、それをほむらちゃんの手から渡してもらうんだね!」
つぎのひ
QB「分かってるかい? この作戦は、ほむらが協力をしてくれるという前提でなりたってるんだよ」
まどか「大丈夫だよ。なんとしても上手くやってみせる…」ドキドキ
スタスタ
ほむら「…………………」ペラペラ
まどか「ほ、…ほむらちゅあんー。な、何読んでるのかなぁ」スッ
ほむら「…………っ!?」バッ
QB「(ば、ばかまどか!…そんな急に馴れ馴れしく近づいて。完全に引いてるじゃないか)」
まどか「え…えーっと…。後ろに隠さなくていいよぉー。私にも見せてよぉ」サッ
ほむら「……んー!」プルプル
さやか「あれ、まどか何ー。面白そうなことやってんじゃん!」ヒョイ
ほむら「……ひっ!」ビクッ
まどか「あ、さやかちゃん。いま、ほむらちゃんと…」
QB「(ダメだまどか!! さやかはダメだ!)」
まどか「(…え? 何が。さやかちゃんも一緒に仲良くなれば)」
QB「(あの二人は、圧倒的に相性が悪いんだよ! ポーンとビショップの様なものさ)」
グイッ!
さやか「うわっー。なにコレ! 萌え~ってやつ?」バッ
ほむら「…か、かえし……て!」
_... -─- ._
//:::::::::::::::::::::::::::\ヾ
/:::::::/ニニ'''<::u:::',
,'u::://::/::/|::〕ヽ|::::::::| ,'´ ̄ ̄`',
c .|:::: ≠ミ/|/ .|ィハ:::|::::::::| ,! ほ ほ !
c .ノ::::::|.r';;;ソ {ux:=ミ:::::::::| っ l. む む l
'/^ '<::::::ノ|'' ' r';;;ソ|:::::|::| っ∠ ほ っ j
,. -─< ヽ } rx‐‐っ===( 。 ''/|:::::|( (( ヽ む /
(( |. 「「 ̄|_ノ ニ{ ノ `rーr‐<'^|:::::|ハ ` ̄ ̄
\____,|l| .|__ノ二 、))^冂\ノ゚ハ::::|. ヾ
└‐ァ':::::|ヽ_ミと>>‐7/ .{ }ノ .〉 ))
jヽjvi、人ノl__ /:::::::::| ° (7(⌒)). | ヾイ\
) ほ 7:::::::::/:::::::} |^| ̄|^| .ハ V::::ヾ
) む て::/::::::::ハ V.ハ.V ./:::ハ. |:::::::::\
7 っ ( ::::::::::/ )) ∨ ノ'{__,イ⌒\ |::::::ト、::::) )) )
!!. ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }三__\ }}_/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
^⌒~^⌒^~⌒^' `⌒´ `⌒´
DQN「おい、何描いてんだ、そのノート貸せよ」
キモヲタ「返せよ勝手に見るなよ・・・」
DQN「フェイトじゃねーか、おい皆これ見ろよ」
女子「何これキモい、何なのこれ?こいつオタクなの?」
DQN「フェイト・テスタロッサ、魔法少女リリカルなのはのキャラだな」
女子「何それ魔法少女ってこいつヤバいよロリコン?」
DQN「まぁな見てるのはロリコンだけのクソアニメだ」
キモヲタ「くそぉぉぅちくしょぅう・・・・」
さやか「皆にも見てもらいなさいよー。ほら、ファンロードだってー」
まどか「(そ、そんな。こんなのおかしいよQB!)」
QB「(ダメなんだよまどか。…セブンティーンとファンロードじゃ水と油なんだ)」
ほむら「…や、やめて!」バッ
さやか「ほら、仁美、パース!」ヒョイ
仁美「……え? 何ですの?」
まどか「くっ! ゴメンよQB! 踏み台にさせて」グインッ
QB「べばぶんっ!」
バシンッ!
まどか「よっと! ナイスパスだよさやかちゃん!」スタッ
さやか「え? どうしてまどかが。私は仁美に…」
まどか「ダメだよー、さやかちゃん。この雑誌は私のなんだから。勝手に仁美ちゃんに貸したら」
ほむら「………え?」
さやか「うっそー? まどかこんな雑誌読んでるの?」
まどか「おかしいかな? 結構面白いんだよ」ニコ
仁美「ふふ…。さぁ、さやかさん帰りましょうか」チラッ
さやか「え? でも、まだまどかが」
仁美「ほらほら、早くいきましょう」チラッ
まどか「(ありがとう、助かったよ!仁美ちゃん)」チラッ
QB「(まったく、危なっかしい…。もう少しで計画がおじゃんになるところだったよ)」
まどか「ゴメンね、ほむらちゃん。さやかちゃんも本当はいい子なんだよ。ほら、ファンロード」サッ
ほむら「……なの?」
まどか「え? 何がかな」
ほむら「本当なの?」
まどか「当たり前だよ! だってさやかちゃんは私の友達だも」
ほむら「じゃなくて!!」
まどか「おふぅ!」ビクッ
ほむら「ファンロード、読んでるって…。面白いって!」キラキラ
まどか「……え?…えぇ!?」
緑嫌いだが青はもっと嫌い
この展開で緑はいい方向に、青は悪い方向にかなり動いた
QB「(気をつけるんだまどか! 今のこの状況、完全にフラグがたっているよ!)」
まどか「(ふ、…ふらぐぅ…?)」
QB「(選択肢を間違わなければ、確実にキミと暁美ほむらは仲良くなれる)」
まどか「(もし間違えたら…?)」
QB「(フィロ・フィナーレ)」
まどか「好きだよっ! すっごく!」ビッ
ほむら「わぁ! わ、…私ねシュミ特のカラーイラスト載ったことあるの!」グイッ
まどか「しゅ、…しゅみとく…?」
問題のフィロ・フィナーレ
http://convini.ddo.jp/imguploader/src/up9315.jpg
ほむら「あ、あとあと、マイキャラのカラーじゃなくて、競争率の高い白黒にわざと投稿して、それも載ったのッ!!」グイッ
まどか「ほ…、ほむらちゃん。もっとゆっくり喋って大丈夫だよ…。顔近いよ…」
ほむら「あ、ごめんなさい! 私ばっかり喋っちゃって!」
まどか「う…うん。あの、ファンロードってなに…」
ほむら「ながいけん? 常連投稿者から漫画家になったんでしょ! 私もあこがれてるの!」
まどか「あぁ…うん凄いヨネー…。(QB…これは選択肢間違ったのかな…)」
QB「(とんでもない。大確変だよ。いまキミへの高感度はうなぎのぼりに上がっているはずさ)」
まどか「(そうなの…かなぁ…)」
ほむら「鹿目さんのお話も聞きたいな! いまどんなマンガにハマッってるの!」
まどか「え、えっとねー…、この間読んだのは…」
>>199
ちけえ!
QB「(待ってまどか! キミは何て答えるつもりだい!)」
まどか「(何って、この間ママに見せてもらった、グラップラー刃牙だけど?)」
QB「(ダメに決まってるじゃぁないか!)」
まどか「(えー。そんな事無いよ! 凄く面白かったし、ママもそういってたもん)」
QB「(じゃなくて、これも相性の問題だよ。この子の趣味に刃牙が合うわけないよ!)」
ほむら「え…えっと…。どうしたのかな鹿目さん…。も、もしかして引いちゃった…」ビクビク
まどか「(ぶー…。それじゃあ、なんて応えればいいの?)」
QB「(金田一少年の事件)」
まどか「『魔法少女MAMI☆MAGIKA』だよー。最近アニメ化したんだよね」
ほむら「……!?」ピクッ
QB「(ちょっと、何言ってるのさ!金田一少年の事件簿なら…)」
まどか「(どう考えても金田一より、こっちのほうがマシだよ。面白かったじゃない)」
QB「(確かにそうだけど、こういうコアな子は一位より二位を好むんだよ。あんまりメジャーだとにわかだと思われるよ)」
ほむら「ほ、ほんと!? 私も大好きなの! 私達の相性凄いね!」ガバッ
まどか「(ほらー。ばっちり食いついたよ!)」
QB「(えー…そんなのおかしいよ。じっちゃんの名に懸けておかしいよ…)」
まどか「主人公の必殺技がカッコいいんだよねー。ほらこうやって」バッ
ほむら「うんうん! こうやって、『フィロ・フィナーレェェッ!』って!」ズバッ!
まどか「………え?」ピク
まさかの展開
まどか「そ、…その『フィロ・フィナーレ』って…」
ほむら「え…?あ、ゴメンゴメン! あのねあのね、主人公MAMIの必殺技は、アニメとかじゃティロ・フィナーレなんだけど
実は原作本の初版から三版にかけては、フィロ・フィナーレって表記がされてたの。それで、ついフィロ・フィナーレ!って…。決してにわかなんかじゃ」
まどか「そ、その本もってるの! ほむらちゃん」
ほむら「…え? その本って、MAGIKAの原作本?」
まどか「うん…。さらに、その初版のフィロ・フィナーレ版!」
ほむら「うん! 凄いでしょ、私実は連載初期からのファンだから! あ、どのくらい凄いかっていうとね、いまだとネットオークションで三万円以上するレアな…」
QB「……っし!」パン
まどか「……っし!」パン
ほむら「…あれ? なんで鹿目さん空中にハイタッチしてるの?」
まどか「な、なんでもないよぉ。それより見せてほしいなぁ…、その初版本…」チラッ
ほむら「も、…もちのロンだよ!」
ほむらのいえ
ほむら「…はっ…はっ…はっ……!」ガチャガチャ
まどか「ど、…どうしたのほむらちゃん? 自分の家なのに、ものすごく手が震えてるよ…」
ほむら「え…な、なんでもないよ! な、なかなか鍵が入らないの」ギャギャ
QB「(あーあー。完全に舞い上がってるね彼女)」
まどか「(え? 何で、私がほむらちゃんのウチに来ただけじゃない)」
QB「(その鈍感さは武器でもあり、弱点でもあるよ…)」
まどか「(なんのことかな?)」
QB「(別にキミは余計なことを考えなくていいよ。折角いい感じで来てるんだから)」
まどか「わー、やっぱりほむらちゃんの部屋は、たくさん本があるねー。あ、プレイステーションまである!」ガチャガチャ
ほむら「うん! 面白いラノベも結構あるんだけど、鹿目さんが普段活字読まないんなら、こっちの棚のマンガを読んで! ゲームもドリームキャストからセガ・マークⅢまであるから!」
まどか「凄いねー! こんなおウチなら一日中居たいよー」
ほむら「ほんと! 私も鹿目さんなら大歓迎だよっ! いつでも来てね」
まどか「うん! 今度は、さやかちゃんと仁美ちゃんも連れてくるね!」
ほむら「…………………え?」
まどか「(あれ…? ほむらちゃん、なんか急にテンション落ちた…)」
まどか「ど、…どうしたのほむらちゃん? あ、やっぱりそんなずっと居られたら迷惑だよね」アセアセ
ほむら「………ううん違うの。鹿目さんはいいんだけど…。美樹…さんとかは…」
QB「(ちょっと! 何わざわざ自分から地雷踏んでるのさ! 折角高感度キープしてたのに!)」
まどか「(そんなこといわれても…! 私なにか悪いこといった!?)」
QB「(いいから、何か喜びそうな事言って! あの子の喜びそうな事!)」
まどか「え…えっと! あ、ほら。ほむらちゃんって、髪の毛綺麗だよねぇ!」
ほむら「…え? そう…、かな」
まどか「どこの美容室行ってるの? 私にも教えてよ!」
ほむら「…えと…、お母さんに切って…もらってるから」
まどか「そっかぁー、お母さんかぁー! いいなぁ、仲が良くって!」
ほむら「…………うん」
まどか「(どうQB?もう、高感度うなぎあがりだよね?)」
QB「(さらに地雷が連鎖爆発してるよ! こういう二次成長期の女の子は、母親と一緒にスーパーで買い物してるのを見られるのとか嫌がるんだよ!)」
まどか「(なんで!? 私だったら嬉しいよ! ママかっこいいもん)」
QB「(それはキミのママだからだよ! いいから僕の言うとおりにして…)」
ほむら「……………んん」モジモジ
まどか「えっと…、あの机のイラストって。ほむらちゃんが書いたの!?」ビッ
ほむら「…え?」
まどか「わぁー、凄いなぁ~。まるでプロが書いたのかと思ったよ!」ペラペラ
ほむら「そ、そんな事ないよぉ! プロっていうのはそんなに甘いもんじゃないんだよ! だって、私背景とか車とかのメカも描けないし…」モジモジ
まどか「またまたー。ちょっと顎が尖ってるけど、全然カッコいいよぉ! こんなの書けるなんて羨ましいよ!」ペラッ
QB「(そういうアゴとか余計なことはいいよ! 少女漫画っていうのはそういう絵柄なんだよ。あと書くじゃなくて描くだよ)」
まどか「(うぅー。ほめるって難しいなぁ…)」
ほむら「あ、それと最近、ラノベの電撃大賞に投稿しようと思ってテキスト書き溜めてるんだ!」バッ
まどか「(うわぁ…字ばっかりだよ…?頭痛くなってきたかも…)」
QB「(まどか…、キミそんなんじゃ金田一少年のノベルス版も読めないよ?)」
ほむら「それと、それと!」ゴソゴソ
まどか「あ、うん。ねぇ、ほむらちゃん、ちょっといいかな?」
ほむら「なぁに。まだ鹿目さんにいっぱい見てもらいたいものあるんだけど。この痛セキュリティートークンとか…」ゴソゴソ
まどか「うーん。それもすっごく見たいんだけど、私門限あるんだよねぇー…」
ほむら「え?…鹿目さん帰っちゃうの?」ピクッ
まどか「あぁ、うん! まだ余裕はあるんだけど、ほむらちゃん家居心地いいから、すぐ時間過ぎると思うんだよねぇ…」
ほむら「そっかなぁー。えへへ…居心地いいかな?」
まどか「だから、早く初版のフィロ・フィナーレ見たいなぁ…って」
ほむら「あ! ごめんねすっかり忘れてたよ!」ガバッ
-、ー- 、
_. -─-ゝ Y ⌒,.Z.._
,.> <`
∠.._ , ヽ
. / , ,ィ ,ハ ト、 l
/イ / /l/‐K ゝlへトi | 顎がとがってる・・・こんな感じか!
.ni 7 レ'レf Y| ノ・\ ノ・\ |f^!l
. l^l | | l ,/) !6|| `⌒ "||` ⌒´ ||6|! .n
', U ! レ' / ゙yl、 、|レ |y' l^l.| | /)
/ 〈 _,,ハ.ト.`エ ̄フ´ ,イ/\_ | U レ'//)
ヽっ :::;':::::゙! \.  ̄ / |'::::::::|::: ̄ ノ /
/´ ̄ ̄:::::::::l:::::::::l \/ !::::::::::|::::::rニ |
::::::::l:/ヽ:ヽ__ __/:/\:|:::::::: ヽ l
まどか「いいよ、いいよ。別に急かしてるわけじゃぁないからー」アセアセ
ほむら「いつも寝る前に読んでるから、ベットにあるの! 取ってくるね」バタン
タッタッタッ…
QB「…ふぅ。どうにか進展したようだね」スタッ
まどか「あ、QB。ほむらちゃん行っちゃったよ?」
QB「うん? 初版本を取りにいったんだろうね」
まどか「でも、まどかちゃんのベットここにあるよ?」
QB「もーキミは鈍いなぁ。ほむらが居たらまた高感度下がっちゃうよ?」
まどか「え? なんで。どういうことなの」
QB「こんな謎も全て解けないのかい?」
まどか「イジワルしないで教えてよー」
QB「…お母さんと…、一緒に寝てるんだよ」
まどか「あぁ、そっか」ポン
三┏(心)┛
三 ┛┓
目覚めた心は走りだした
未来をを描くため
QB「でも、ここからが正念場だよ。まどかがフィロられない為には…」
まどか「ほむらちゃんの初版本を譲ってもらうしかない…?」ゴクリ…
QB「そう。一筋縄じゃいかないと思うよ。なんたって、三万円はくだらないお宝なんだから」
まどか「気が遠くなる金額だよね…。でも、私がフィロられない為には」
QB「やるしかない…。それじゃあ、作戦はどうしようか」
まどか「いいよQB。作戦なんか要らない」
QB「な、何を言ってるの!? キミに任していたらさっきみたいに失敗するに決まってるよ!」ビクッ
まどか「……それでもさ」
QB「……え?」
まどか「それでも私は、騙すような真似はしたくない…。ここまで来て、奇麗事だってのは百も承知だよ」
QB「したくないって…。それじゃあどうするのさ!」
まどか「全て、ほむらちゃんに話すよ。私がマミさんのマンガにチョコケーキをベッチョリ付けちゃったこと…」
QB「で、でも…、それでほむらがキミに初版本を譲らなかったらどうするのさ!」
まどか「その時は、フィロるでもティロるでも何だって、罪を受けるよ…」グッ
QB「まどか…。キミはバカだよ…」
まどか「ごめんねQB。でもこれしかないから…。契約はなんとなく、したくないから…」
QB「……………うん。それはなんとなく分かってる」
QB「分かったよ…。ここまでこれたのはまどか自身の力なんだ」
まどか「きゅ…QB。それじゃ!」
QB「その鈍感さは武器でもあり、弱点でもある…。だから僕は信じてみるよ。その力が最大の武器になると信じて」
まどか「うん、任しといてよ! きっと分かってくれるよ、だってほむらちゃんと私は友達なんだから!」
QB「あぁ。キミがその言葉を、なんの考えも無しに口から出てきたのなら、キミはきっと」
バタン
ほむら「あ、鹿目さん! お母さんが珈琲入れてくれるんだけど、砂糖何個いるかな?」ヒョイ
QB「………………………」ピタッ
ほむら「あれ…?こんなぬいぐるみウチにあったかな…」
まどか「あぁ、うん! 私二つでいいよー。あとあったらクリープをスプーン一杯!」
ほむら「砂糖二つにクリープだね! 合点承知の助だよ!!」バタン
まどか「ふぅ…危ない危ない。…で、『キミはきっと』、なぁにQB?」
QB「え? うんと…キミはきっと……。あぁ…、もういいや。ドリームキャストしようよ」ヒョイ
まどか「えー。なんか気になるよぉ。教えてよー」
QB「いいの。言い直すのなんか恥ずかしいからいいの。…ほら、ケーブルさしてよ」
まどか「ちぇー。QBのけちんぼー」ゴソゴソ
QB「世の中には謎のままにしておいたほうもいいのさ」
まどか「そんな探偵みたいな事言ってぇ」
QB「あ! バーチャロンオラトリオタングラムだ。あの子も意外と分かってるね」
まどか「えーっと…。あれ? おっかしいなぁ」ゴソゴソ
QB「まどかーまだー? 早くバーチャロンやろうよー」
まどか「待ってね。見つからないんだよ」
QB「見つからないって何が? もうテレビに接続も終わって、起動してるじゃないか」
まどか「うーん。全部なのかなコレ…。どういうことなの」
QB「はやくー。僕のテムジンがフィールドをキュィィーンって走り回りたくてウズウズしてるよ」
まどか「なにその効果音? それよりQBも探すの手伝ってよー」
QB「さっきから何を探してるんだい? キミは」
バッタン
ほむら「おっまちどうさまー! …っとおっと」フラフラ
QB「……!?」ピタッ
まどか「うわっ!? ほ、ほむらちゃん、沢山持ちすぎだよー! 貸して、半分持つから!」ヒョイ
ほむら「ありがとう鹿目さん! じゃあこのお盆とってくれるかな」サッ
まどか「え? あ、うん! わぁ、ケーキまで用意してくれたんだね! さっすがだよーほむらちゃん!」
ほむら「え、え…え? あ、うん! いいよいいよ! これくらいいいよー! お母さんが持っていけって言っただけだもん」ソワソワ
まどか「ちょ、落ち着いてほむらちゃん! 零れるよ! 珈琲こぼれちゃうから」
ほむら「あ、ショートケーキとチョコケーキがあるんだけど、どっちがいいかな?」
まどか「もっちろんチョ……。じゃなくて、ショートケーキがいいな…」サッ
ほむら「そうなんだ? 鹿目さんならチョコケーキ好きかなぁーってなんとなく思ったんだけど」
まどか「あははー…。仰るとおりなんだけど、なんとなく嫌な思い出が蘇ってきて」
ほむら「嫌な思い出?」
まどか「な、なんでもないよー。こっちのことだよぉー!」パクパク
QB「…………」ポンポン
ほむら「ふふ、変な鹿目さん。そだ、これ初版本だよ、ほらこのページ見てみて!」バッ
MAMI『フィロ…フィナーレッ!!!』
まどか「あっ! ほんとだ、フィロフィナーレになってる! 初版本だね!」
QB「……………」ポンポン
まどか「(ちょっと! さっきから尻尾でポンポン叩かないでよぉ…)」
QB「(バーチャロンはどうしたのさ? こんなの生殺しだよ!)」ポンポン
まどか「(待ってよ。いま大事なところなんだからぁ。バーチャロンなら後で…)」
ほむら「鹿目さんどうしたの?」
まどか「な、なんでもないよぉ。そうそう、ほむらちゃんこの初版本の事でお願いがあるんだよ…」ジッ
ほむら「え…? 何かな、急に怖い顔して…」オドオド
まどか「あのね…、私実はほむらちゃんが思っているほど。いい子じゃないと思うんだ」
ほむら「な、何を言ってるの! 鹿目さんはとっても優しいよ。美樹さんにからかわれてた私を助けて」
まどか「それも…。実はほむらちゃんと仲良くなりたかったから…」
ほむら「う、…嬉しい! 私もだよ、私も鹿目さんと仲良くなりたかった、…ううんもっと仲良くなりたいの!」
まどか「……………っ!」グッ
ほむら「し、…鹿目さん…どうしたの? 迷惑だったの…?」
まどか「…迷惑なんてとんでもないよ…。私はほむらちゃんに、そんな言葉をかけてもらう資格すらないの…!」
ほむら「資格って…、仲良くなるのに資格なんて…」
まどか「違うの…! ほむらちゃんと仲良くなりたかったのも全て自分の為…。私は自分のエゴでほむらちゃんの気持ちを弄んだんだよ!」
ほむら「な、…何をいってるの鹿目さん!? は、…話が理解できないわ…。だって鹿目さんは私に…」
まどか「聞いて、ほむらちゃん。私の罪を…、贖罪しなければならないその全てを…」
ほむら「鹿目さんの…罪…」ゴク
しまったぁ、やってしもうた!…脳内変換でなんとか
ほむら「それじゃぁ、か、鹿目さんは。その巴さんって人の初版本にチョコケーキを…」
まどか「うん…。それだけじゃぁない、ほむらちゃんをダシに使って、嘘をついたんだよ…。世紀の極悪人だよね…私は」
ほむら「そうだよ、鹿目さんは極悪人だよ…」
まどか「……ごめんね。傷ついたよねほむらちゃん」
ほむら「じゃあ、鹿目さんの滅ぼしに、私の言う事を一つだけ聞いてくれないかな?」
まどか「ひ、一つじゃなくてもいくらでも聞くよ! 私はそれだけの事をしちゃったんだもん! ほむらちゃんの事を利用してまで」
ほむら「それじゃあ……。鹿目さんの事、まどかちゃんって呼んでいいかな?」
まどか「え…、そんな事でいいの!?」
ほむら「そんな事じゃぁないよ…。さっきからずっと言えなかったんだよ。ずっと心臓がバクバクいってたんだから」
まどか「み、…水臭いよぉほむらちゃん!」バッ
まどかを滅ぼす気か!?
ほむら「それと…、この初版本。これもまどかちゃんに上げるね」サッ
まどか「え…!? なんで、これすっごくレアなんじゃ」
QB「(もーまどかぁー! まどかぁってばぁー!)」ペチペチ
ほむら「だって、私はこんな本よりもずっと大事なものを今日手に入れたんだもの」
まどか「大事なものって…?」
ほむら「ま…、まどかちゃんっていう大事な友達だよ!」
まどか「うぅ…ほむらちゃん…ありがとうぅ…。でも、本当にいいのかなぁ…」
ほむら「いいんだよ。実はね…」
QB「(もーまどかぁー! まどかぁってばぁー!)」ペチペチ
まどか「ペチペチ煩いよぉ! だから、どの機種も『コントローラーが一つしか無い』んだってば!!」クルッ
ほむら「………………………」ポロ
ベチャァー………
QB「…………あぁ。ごめんほむら……」
まどか「あ、コラ! 喋ったらほむらちゃんがビックリするじゃ」
ほむら「どうしよう………。初版本にチョコケーキベットリついちゃってるよ……」ネチャァ
まどか「あーあーっ!? ほむらちゃん、こんな時はコレを使いなよ!」ヒョイ
ほむら「ティッシュ……? ありがとうまどかちゃん………」グイグイ
まどか「…………はっ!?」ピクッ
ほむら「うわぁ………。ページ全体に広がっちゃった……」ベトベト
まどか「いやぁぁ!!? 押し付けずに、掬い取るようにしないと!!」
まどか「こんなのって…、こんなのってないよぉ! ほむらちゅぁぁん!」ガクッ
ほむら「…………めん」グスッ
QB「そもそもキミが酷いことを言うからなんだよ! …元気だしてよほむら、今度ウチからバーチャスティックもってくるから」サスサス
まどか「なんで酷いのぉ! ただ、疑問を口にしただけもんー!」
QB「それが分からないから、鈍感なんだよキミは!」
ほむら「…………うぅぅ」グスッ
まどか「えー、違うよねーほむらちゃん! QBの方が酷いよね、ペチペチ邪魔ばっかりするんだもん!」
ほむら「お、おがぁぁぁーさぁぁぁぁあああんッ!!!」ガバッ
ダッタッダッタッダダッタ
まどか・QB「…………………………………」
まどかのじたく
まどか「あぁ…おしまいだよぉ。絶対マミさんブチ切れるよぉ…。ブチフィロられるよぉ…」ガクガク
QB「やんわりと、ほむらのお母さんにも帰ってくれって言われるし。…キミはどれだけ不器用なんだい」カチャカチャ
まどか「うぅ…ほむらちゃんにも絶対、嫌われたし。結局あれだけ走り回って状況悪化しかしかなったよぉ」ガクガク
QB「こうなったら仕方ないよ。もう布団から出ておいでよ」カチャカチャ
まどか「なにか秘策でもあるの!?」ヒョイ
QB「あるわけないじゃないか。残り少ない余生、バーチャロンで対戦するのも悪くないんじゃないかな」カチャカチャ
まどか「いやだよぉー! そんなので余生を過ごす二次成長期の女の子なんてぇ…」
QB「もう…。人間ってワガママだなぁ」
『…どかー! まどかー!!』
QB「あれ? まどかのお母さん呼んでるよ」
まどか「もう。QBがテレビのボリューム大きいから怒ってるんじゃないの?」ヒョイ
QB「いいじゃない。これからもっと怒られるんだから、お小言の一つや二つ」
まどか「そういう問題じゃないよぉ」フラフラ
ガチャリ
まどか「…どうしたのママ? 何か用かな」
詢子「おう、まどか。アンタにコイツを進呈しよう」サッ
まどか「マンガ本…?今日はいいよ、グラップラー刃牙は…。しばらくはマンガとチョコケーキは見たくないんだよぉ」
詢子「なーに訳わかんないこと言ってんだ。ほれ、ちゃんと良く見てみろって」グイッ
まどか「えーっと…。魔法少女…、MAGI☆MAGIKA?」ピクッ
詢子「ほれ、嬉しいだろ? ママはお前のことなんだって分かってるんだぜ」
まどか「あはは…。どこで聞いたのか知らないけど。気持ちだけ受け取っておくよ」
詢子「なんだ? 随分しけた面だねー。あぁ…、そうだ。奥付を見てみなって言ってたな」
まどか「奥付…? 奥付って一番最後のページだよね」ペリペリ
QB「(え…?もしかして初版本とか…!)」
まどか「(はぁ……バカだなぁ、夢を見すぎだよQBは。ママが買ってきた新品の本なんだよ、初版な訳がな)」
『魔法少女MAMI☆MAGIKA 初版』
まどか「…………………………………え?」
QB「(しょ、初版じゃぁないか!? どうなってるんだい。偽者とか!)」
まどか「(ち、違うよ! 間違ってマギマドカとか言っちゃったけど、これは本当に初版だよ! チョコケーキでビッチョリになったマミ・マドカ初版だよ!)」ガバッ
詢子「おーおー。やっとマシな面になったね。ほむらちゃんって子にお礼言っときなよ」
まどか「え…ほむらちゃん? なんでほむらちゃんの名前がママから出てくるの」
詢子「いやぁさっきさ、その子の親御さんがウチに来てさ、色々話してくださったのさ。迷惑かけてすいませんってさ」
まどか「ほむらちゃんのお母さんが? でも迷惑って…、違うよ。迷惑かけたのは私で」
詢子「まーなんとなくぁ予想は付くけどね。その子も友達をウチに呼ぶのが初めててで、色んなことが一遍に沢山起こってさ…。それで、どうしていいか分からなくなったんだってさ」
QB「(そりゃぁいきなり友達が大声で切れたらビックリするよね)」ジッ
まどか「(そりゃぁいきなりヌイグルミが喋りだしたらビックリするよね)」ジッ
まどか「…で、でもそれが何でココに新品の初版『MAMI☆MAGIKA』があることになるの?」
詢子「えー…たぁな…。なーんだったかなぁ…。ふきょー用と、ほぞんよー…とかなんとか」
まどか「布教用と保存用…?」
QB「(そっか!コアなファンなら当然だよ。読んだら汚れるから保存用。友達に進めて作品を布教したいから布教用。どっちも名前の通りだね)」
まどか「(そ、それじゃあ。コレってほむらちゃんの布教用…?)」
QB「(そういうことだね)」
詢子「んで、お詫びにコイツをまどかにプレゼントしてくれってさ。ホントいい友達をもったねアンタ」
まどか「(よ…良かったぁ…。じゃあほむらちゃんも怒ってないし、マミさんにフォロられることもないってこと…!?)」
QB「(もちのロンだよ!)」
まどか「や、やったぁ!! ママありがと!ありがとうママ!」ガバッ
詢子「おーう、アタシもだぜー。まどか!」グイッ!
ギリギリギリ……
まどか「ママ……。ママ?」
詢子「んー? なんだぁい」グイグイ
まどか「ちょ、ちょっと苦しいかなぁ…。そろそろ離してくれないかな」
詢子「あー、それなぁ。ここまでがお前にとって良いニュースなんだよ」
まどか「……え? 良いニュース? …じゃぁひとつは何なの」ピクッ
詢子「そりゃぁ、自分の胸によーく手をあてて考えりゃぁ分かるんじゃねーかぁ」グイッ
まどか「…………………え。訳が分からないよママ…」
詢子「だからなぁ、言っただろ。『親御さんがウチに来てさ、色々話してくださったのさ』ってなぁ…」
まどか「……え? ま、まさか」ダラダラ
詢子「そう、アンタが何でそのマンガでそこまで嬉しがって、そのマンガを欲しがったのか。ぜーんぶねぇ」
まどか「ちょ、ちょっと待ってよ! ほむらちゅぁん、いくら何でもお母さんにありのまま言い過ぎだよぉ!」
詢子「さーて、覚悟は出来てるかい? アタシは、いけしゃあしゃあと嘘を付く子が大っ嫌いなのさ!」グイ
ギリギリ!
まどか「うっぷ…! ちょっとママ! タイムだよ、話せば分かるよママ!」
詢子「安心しなまどか。ちょいとアンタでグラップラー刃牙の名シーンを再現するだけだからさ」
まどか「きゅ、QB! 助けてQB、なんとかしてよぉ!」ジタバタ
QB「(ごめんね、まどか。名探偵は圧倒的な暴力の前には無力なんだよ)」
詢子「ほーらぁいくよぉ、まどかぁぁああ!!!」
まどか「嫌ァァああ!! 助けてフィロ・フィナーレッ!!!」
えんでぃんぐ
まどか「……ほ、ほむらちゃん。オハヨ…」フラフラ
ほむら「あ! し、し、し、し、鹿目さんっ! オハ、オハヨウ!」ビシッ
まどか「そんなにビックリしないでよぉ。それにシカメじゃなくてカナメだよー」
ほむら「ご、ゴメンなさい……」
まどか「止めてよ、謝るのは私の方なんだから。それに、苗字じゃなくて名前で呼んでよ。…私たち友達なんだからさ!」ニコッ
ほむら「う…うん! そうだねまどかちゃん!」ニコッ
まどか「あ、そうだ。これほむらちゃんにやっぱり返すよ」サッ
ほむら「え!? どうして。いいのよ、これは布教用っていって…」
まどか「分かってるよ。でもいいの。やっぱりほむらちゃんにもマミさんにも嘘はつきたくないし…」
ほむら「で、でも…それじゃあ巴さんって人にフィロられるんじゃ…」
QB「(まどかにはフィロられるより、刃牙られるほうが怖いんだもんね)」
まどか「(う、うるさいなぁQB! 黙っててよ!)」
MAMIのへや
ほむら「し、し、し、失礼しま…すっ!」フラフラッ
まどか「ほむらちゃん、ドモりすぎだよー。まるでマフィアのアジトに乗り込むみたいだよ」
ほむら「ご、ごめんねまどかちゃん。でも、ほかの人のオウチに上がるの初めてで」
マミ「あらあら、そんなに緊張しないでちょうだい。人のウチに上がるくらいでぇ…」ガタガタガタ
ベチャベチャ
まどか「ちょっと! 紅茶零れてます! 手震えすぎですよ!」
QB「マミもほむらに負けず劣らずの逸材だからね」カチャカチャ
ほむら「………あれ。昨日のぬいぐるみが…、バーチャロンオラトリオタングラムやってる…」
まどか「すぅ…はぁ……。すぅ…はぁ…」
マミ「ど、どうしたの? そんなに私の部屋臭うかしら?」
ガバッーツ!!
まどか「すいまっせんでしたーマミさぁぁん!」ズガンッ!
ほむら「…ひっ!」ビクッ
マミ「ちょ、ちょっと。どうしたの鹿目さん? 急に土下座されてもびっくりするわよ」
QB「キュィィーン! キュィィーンン! テムジンダッシュ、キュィィーンン!」カチャカチャ
まどか「私は、私は…、マミさんにフィロられても仕方の無いことをして…」
ほむら「……あ。あんまりダッシュすると硬直狙われるよ」
QB「大丈夫だよ、テムジンには相手の攻撃をかき消すボムが搭載されているからね」カチカチャ
まどか「………………………………」プルプル
マミ「ど、どうしたの…。本当に大丈夫?…いけない、魔女による混沌の闇によって心が侵食されているんじゃ」
まどか「だからカチャカチャ、キュィン、キュィィーンン!じゃないの! これからどうやって、このマミさんのマンガにチョコケーキーを付けた事を謝まろうかと…」
マミ「……………………え?」
まどか「…………………あ」
マミ「チョコケーキ…? その私の、初版本『魔法少女マミ・マドカ』に…?」ピクッ
まどか「……はっ!?」クルッ
ほむら「……あ、あの。あんまり怒ってあげないで下さい! まどかちゃんはすっごく良い子なんです!」バッ
まどか「うぅ、ほむらちゃん! ありがとう、ほむらちゃんは私の最高の友達だよ!」
マミ「…………ねぇ、鹿目さん」
まどか「…は、はい…」
マミ「……あれって…チョコケーキじゃなくて、チーズケーキじゃなかったかしら?」
まどか「………へ?」
QB「違うよーマミ。僕ちゃんと見てたもん、『フィロ・フィナーレェェッ!』っていうシーンにチョコレートケーキがべっとりーっ。ティッシュでグイグイーって」
まどか「もー、いちいち詳細に言わなくていいよぉ。それQBも悪いんだからね」
マミ「…………………」ペラペラ
まどか「…で、マミさぁん…。ど、どうですかねぇ。ここは一つティロらない方向でぇ」ビクビク
マミ「あ、ほら! やっぱりチーズケーキよ。この見開きのページ」バッ
まどか「…え? だから見開きじゃなくて、その前のフィロ…。あれ?」
ベチャァ…………
ほむら「……たしかに、チーズケーキかな…? ベチャベチャになってるね…」
まどか「キュ…、キュゥべえ!? これは一体どういう事なの!」ガバッ
QB「そんないきなりフルネームで呼ばないでよ! 僕もわけが分からないよ!」ガバッ
マミ「いやねぇ恥ずかしいわ。私っていつも紅茶でケーキを食べながらマンガを読むのよ」
ほむら「あ、私もそうですよ!」
マミ「それで、よくこうやってマンガにベチャッってやっちゃうのよねぇ。皆にはナイショよ」
まどか「………へ? へぇ…」
マミ「あ、ここもシュークリームのクリーム部分が垂れてるわね…。ここもココアの染みが…」ペラペラ
まどか「あ、あのですね…。私マミさんのマンガの『フィロ・フィナーレェェッ!』ってシーンにチョコレートケーキをべっとり…」
マミ「やーねぇ。別にいいわよそれくらい!」ポン
まどか「………ふぇ!?」ガタッ
QB「ちょうど汚れているのは全て『フィロ・フィナーレェェッ!』の後のシーンだから気づかなかったんだね…。まさか名探偵の僕がこんなことに気づかないなんて…。ごめんねじっちゃん…」
まどか「で、でも! 初版って凄く貴重だし! マミさんも大事なコレクションだって…!」
マミ「そりゃぁ大事だけれども、マンガって読む為にあるものじゃない。すこしくらい汚れたって構わないわよ」
まどか「か…構わないンデスカ…」フラッ
マミ「それに、一度読んだら大体は本を見ずとも妄想で呼び出せるもの。大事なのは形じゃなくてその作品に対する想いだと、私は思うのよ」ニコッ
まどか「な…なんだか良く分からないけど私、フィロられなくて済むのかな…」ボソボソ
QB「うん…。なんだか分からないけど…。マミがコアな読者で助かったみたいだよ」ボソボソ
ほむら「…………と、と、と、巴さん!」ガダッ
マミ「な、なにかしら。暁美…さん?」ビクッ
ほむら「わ、私巴さんのマミマギカ愛…! いいえ、マンガ愛に感服しました! 私の濁った魂は、混沌の闇から、今ココに解放されました!!」グイッ
マミ「……え? ど、どうもありがとう」
ほむら「大事なのは、『形じゃなくてその作品に対する想い』それなのに、私って…、布教用とか、保存用とか…・。形にばかりこだわって…!」グイグイ
マミ「あ…、暁美さん。もっとゆっくり喋って大丈夫よ…。顔近いわよ…」
ほむら「これは……QB」ゴクリ
QB「…うん。また、ほむらの変なスイッチが入ったみたいだね」ゴクリ
ほむら「これからは、マミさん…。いえ、マミ師匠と呼ばせてくださいっ!!」ペコリ
マミ「マ…マ、マミししょー…?」ズッキューン!
ヌッチャァ…
まどか「ちょっと! マミさん、視点の焦点あってないし、口から零れ続けてるチーズケーキが初版本に!!」フキフキ
まどか「あ、あのそれで私のチョコケーキの件はママには…」
マミ「何言ってるの鹿目さん! むしろ私の方がお礼を言いたいくらいよ!」
まどか「え? お礼って…」
マミ「やはり私の目に狂いは無かったわ。…魔法使いは、魔法使いに惹かれ合うのよ…」
QB「いや、キミは魔法少女だし、ほむらは一般じ…」
ほむら「あ、マミ師匠、まかせてください! 私の聖なる加護を受けたハンカチで」サッ
マミ「う、うぅふっ!! い、……いつも妄想していたけど…リ、リアルで師匠って。マミ師匠って…。やばいわ…破壊力ヤバイわ…」ガクガク
QB「…人間ってのぁは良く分からないよ…」
まどか「待ってよ! 私だって良く分からないよ!?」ビクッ
ピンポーン!
マミ・ほむら「……………!?」ビクッ
まどか「あ。さやかちゃん来たみたいですね」
マミ「え…?あぁ、美樹さんね。随分遅かったわね」スタッ
QB「ほむらはいいとして…、なんで家主のキミが驚いてるのさ」
マミ「べ、…別にいいでしょう。めったに鳴らないからビックリしたのよ」
ほむら「あっははは! それありますね!」
マミ「でしょう! ねぇ鹿目さん!」
まどか「………すっごいあるあるな感じで振られたけど、どうしようQB」
QB「………笑えばいいと思うよ」
さやか「お邪魔しまーす。マミさんのウチ来るの久しぶりですねー」トタトタ
マミ「ほら、遠慮せず上がって上がって。遠慮せず上がって上がって」グイ
さやか「いや…。二回言わなくても分かってますよ。そんなに押さないで…」
ほむら「……………!」ピクッ
QB(「…ちょっと。なんでさやかを呼ぶのさ。折角良いムードだったのにまたピリピリしてきたよ)」
まどか「(だって、マミさんがいけるなら。絶対さやかちゃんだっていけるって…!)」
QB「(キミは鈍感だから分かってないんだよ! セブンティーンにファンロードの気持ちなんか分かりっこない! その逆もまたしかりなんだよ…!)」
さやか「……………」チラッ
ほむら「……………」チラッ
さやか・ほむら「あ、あの………!」クルッ
さやか「……な、なに?」
ほむら「……美樹さんからどうぞ…」
さやか・ほむら「………………………」
QB「(ほら、どうするのさ! お通夜状態じゃないさ!)」
まどか「(大丈夫だよ、水だって、油だって、同じ液体…。性質はちがっても本質は同じだもん!)」
マミ「…ひぃ…ふぅ…みぃ…。あ…あぁ。私の部屋に…人が沢山…」ウットリ
さやか「ほ、ほらコレ! アンタにあげるわよ」サッ
ほむら「……なにこれ。で、でも私美樹さんに物を貰うほど仲良くないし…」
さやか「仲良くなくても、アンタには貰う権利があるの! いいから開けないって…」
ほむら「……こ、これは…」ペリペリ
ほむら「ファンロード四月号…? これって…」
さやか「そうよ。私がこの間アンタの持っているのを取り上げた雑誌よ」
ほむら「…でも、このファンロードあの時の折り目がない…」
さやか「そりゃ、私が用意したヤツだからね」
ほむら「え? でももうファンロードは春休み特大号…。この四月号はどこに行っても手に入らないんじゃ…」
まどか「それが、あるんだよ、ほむらちゃん」ポン
ほむら「ど、どこにあるの! 教えてよまどかちゃん!」
さやか「だからさ…。ブックオフに決まってるじゃん」
ほむら「BOOK……OFF…」
まどか「ファンロードもセブンティーンもあるんだよ。ブックオフならさ」ニコッ
ほむら「それじゃぁ美樹さんはわざわざ私の為にブックオフで、このファンロード四月号を…!」
さやか「私じゃないって…。あそこでバイトしてる恭介…、私の友達にとっておいてもらったのよ」
QB「…そ、そんなありえないよ。あのさやかがほむらの為にファンロードなんて…」ガクガク
まどか「言ったでしょ、水だって、油だって、同じ性質は違っても…。私の大事な友達だもの」
マミ「鹿目さん…、しばらく見ないうちに、随分と立派になったのね…」
ほむら「……でも、私はこれ受け取れないよ、美樹さん。ううん、もう必要ないの」
さやか「はぁ? ちょっと、待ってよ、なんでここまで来て強情はるの!」
ほむら「だって、大事な物は形じゃなくて想いだって。そう教わったから」
さやか「形じゃなくて想い…」
ほむら「お互い、不器用だけど…。でも美樹さんの想いは伝わったから…」
さやか「あ、…アンタ。暗いメガネっ子だと思ったら…。私、ちょっと誤解してたのかもしれないね…」
ほむら「ううん。この間までその通りだったもの。でも、変わることができそうなの。マミ師匠や、まどかちゃんのおかげで!」グッ
まどか「うんっ!」グッ
マミ「そ、そふほっ、あへひはんっ!」ダラダラダラ…
まどか「ちょっと、マミさん!? 鼻血が! 鼻血がまた初版本に!」フキフキ
ほむら「だから美樹さんが読んで。そのファンロード四月号」ニコッ
さやか「き、気が向いたらな…。なんであたしがこんな雑誌」チラチラ
ほむら「うん! 気が向いたらでいいから」
マミ「ふふ…。まさかプリクラ一枚でこんな事になるなんて…、ほんと風が吹けば桶がなんとやらね…」
ほむら「プリクラ…? なんですかそれ?」
まどか「…あ。 そういえば…!」ピクッ
マミ「あれ? いやだわ、暁美さんに渡しておいてって、鹿目さんに…」
まどか「きゅ、QBどこいったっけ…! あのプリクラ」ゴソゴソ
QB「えっと…、確かあの後すぐブックオフ行くことになったから…適当にカバンの奥に…」ゴソゴソ
マミ「…………え? 渡してないの……」カチャ
ほむら「あ、それフィロフィナーレの構えですよね! うっわーすっごいなぁ…完璧に瓜二つだ…、私ももっと練習しないと…」
マミ「……………フィロ…」スッツ
まどか「QBぇぇえええっ! 私、契約するよ! 契約する!だからマミさんのプリクラを…!」
QB「ちょっと、耳元でうるさいよ。黙ってよ!」ゴソゴソゴソ…
マミ「………フィナー…」シュバッ
まどか「だって、最後の最後で死にたくな」
QB「…あった、コレだよコレ! マミのプリクラ!」サッ
さやか・まどか「……………え?」
マミ「…うん? どうしたのかしら、何故驚いた顔をしているの」
さやか「……え? だってコレ…プリクラですよね」ダラダラ
マミ「そうよ? 最近はペンで落書きとか出来て楽しいのよ。鹿目さん達やったことないの?」
まどか「…で、でも。プリクラって…」ダラダラ
マミ「なに? 何かおかしいところあるかしら」ヒョイ
QB「こんなのって絶対おかしいよ! なんで全部一人で写ってるのさ!」
ほむら「……えっ?」ピク…
マミ「別に普通じゃない。楽しいわよ、色々落書きするのって。ほら、このヒゲさんの私かわいいでしょ」
QB「可愛いじゃなくて可哀想だよ! 一人で、ペンをカキカキしてる姿を想像したら可哀想だよ!」
さやか「あぁー…。暁美さん。引かないでよ。あんたの尊敬するマミさんって結構そういうところが」
ほむら「や、やっぱり師匠は流石ですよぉ!」ガバッ
マミ「だから普通だってば。皆私が先輩だからって持ち上げすぎよぉ。いくら褒めてもフィロ・フィナーレ以外でないわよ」クネクネクネ
まどか「い、いいんだよぉほむらちゃぁん…。いくら師匠と弟子でも、思ったことはハッキリ言わないと…」アセアセ
ほむら「み、見てくださいマミ師匠! これを!」バッ
マミ「あら、貴方のプリクラ手帳?随分可愛いらしいのね」ペラッ
さやか「……こ、これは…」ゴクッ
まどか「……大量にある、プリクラ…全て」ゴクリ
QB「……ほむら一人…!」
ほむら「私、ずっとプリクラ一人で集めてて…、でも恥ずかしくて…ずっと隠してたんです…」
マミ「何で恥ずかしがることがあるの…? 免許証の証明写真を二人で撮る愚か者がいますか…?」ニコッ
ほむら「…いません! 一人で撮るものです!」ニコッ
マミ「でもね…そうやって自分に言い聞かせても。どうしても寂しい時はあると思うの。そういう時は、こうやって…」チョキ
ほむら「師匠…。自分のプリクラを半分に斬ってどうするんですか…?」
マミ「こうやって、暁美さんの空いた半分の空間にこうやって…」ペタッ
ほむら「う…うわぁ。ツーショットだ…。私とマミさんの…ツーショットだ…」キラキラ
マミ「ほかにもね、こうやってアニメージュに張ればルルーシュ様とツーショットよ」ペタッ
ほむら「…凄く…、素敵です…」
まどか「いいんだよっ! マミさん、ほむらちゅぁん! 行こう、今すぐ私たちで最寄のSEGAワールドに行こう!!」ガシッ
ほむら「何で泣いているの、まどかちゃん…。もう何も恐くないよ」ポン
まどか「そんな悟ったような顔は止めてぇ!」グイ
さやか「ねぇ…、QBどうしよう…。私さっきまで暁美と友達になれる自信があったのに…なんだから擦れて見えてきたよ」
QB「………笑えばいいと思うよ」
ふぃろ・ふぃなーれ
詢子「ほら、まどか。オヤツ買ってきたぞ」スッ
まどか「やったね! それじゃママ私、自分の部屋で食べるよ」ヒョイ
タッタッタッタ
詢子「コラ! そんなに走ったら転ぶよ、まったく…」
ガチャリ!
まどか「きゅーべー。オヤツだよぉ! ケーキだよ、ケーキ♪」ヒョイ
QB「ちょ、ちょっと待ってね! いま、ほむらと通信チャロってる所だから!」カチャカチャ
まどか「へー。QBがバーチャロンで苦戦するなんて珍しいね」ムシャムシャ
QB「恐ろしい子だよ…ほむら。十回に一回は僕に勝てるんだもの」ピョン
まどか「ふーん。それ自慢のつもり?」ペラペラ
QB「事実を述べたまでだよ。それで僕のおやつはどこかな?」
まどか「机の上だよ。やっぱりシャトレーゼのチョコケーキはおいしいねぇ」ムシャムシャ
QB「そうやって、寝転がって食べてたら、またマンガの上にチョコケーキ落としちゃうよ? それもまたマミのマンガなんでしょ」
まどか「大丈夫だよー気をつけるし。もし、こぼしてもマミさんなら許してくれるもーん」ムシャムシャ
QB「本当にキミというヤツは…。喉元過ぎれば熱さ忘れるというか…」ヒョイ
まどか「そういうQBだって、一緒じゃん」
QB「僕はキミと違っておっちょこちょいじゃないからいいんだよ。ほら早くページ捲ってよ」グイ
まどか「押さないでってばぁ。チョコケーキが…」
QB「大丈夫だよ、こうやってちゃんと固定してるもん」
まどか「…そうだよね」
QB「ほら、早く早く」
まどか「…あ、そだ。この間の、皆でとったプリクラどこだっけ?」
QB「うん? 机の引き出しだけど…どうしたの急に」
まどか「えっと…引き出し引き出しー」ゴロゴロ
QB「こら、そんな横着せずに立ち上がりなよー。固定してるからチョコケーキは大丈夫だけど」
まどか「うん…そうだよね…?」ガララ…
QB「あ、これだね。あーあー、マミとほむらはガッチガチに固まってるじゃないか」
まどか「一人のヤツは自然なのにねぇー」
QB「そのうち慣れるよ。また遊びに行こう皆で」
まどか「そーだねぇ…また行こうねぇー…」ゴロゴロ
QB「……なにさまどか。やけに落ち着き無いじゃない」
まどか「……いやぁ実はさぁ」クルッ
QB「なにさ………?」
まどか「いざ、チョコケーキで汚していいって思っても、中々汚れないもんだなぁってさ! QBも思わない?」
QB「何一つ思わないよっ!! もう、キミは一回フィロられてきなよッ!!!」
=おしまい=
おわりんー。さっくり終わらすつもりが色々まとめてたら、全然終わらなかった…
限界なんで寝ますわー ほんとうにありがとうございました
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