まどか「魔法少女の日」 (34)



[Prologue]


ある日、一匹の“獣”が舞い降りた。

それは、現実には存在しない獣だった。

獣は、宇宙(そら)を駆け、虹を振り撒き、去って行く。

やがて、虹の光は宇宙を包み込み、この世界で人知れず戦う少女たちに力を与えた。

その光は、人の善意、或いは人の心の光とでも言うべきか――。

希望と絶望、憎しみと悲しみばかりを繰り返す、この救いようのない世界。

そんな世界で、一本の角を生やした獣は、一人の少女に白い姿で近寄り、彼女の中に存在し続けた。



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[Part 1]



            ※


直径1.5メートル程度の球体であるコクピットの内壁、周囲360度を取り巻くオールビュー・モニターの映像が流れ、星の光の奔流がマミの網膜を刺激する。

傍から見れば、その光景はマミの座るパイロット・シートが忽然と星の海に浮かび、自在に宇宙を翔けているようだが、周囲に投影された宇宙は実際のそれではなかった。

魔法少女の敵――魔女が魅せる、閉ざされた幻の空間――結界の中の宇宙だ。


マミ「目標捕捉。使い魔にしては脚が速いわね。特務仕様かもしれない」

キュゥべえ「魔女は近くにいないみたいだ。まだ隠れているかもしれない。気をつけるんだよ!」

マミ「わかってるわよ」


モノアイ式の光学センサーを光らせた全長20メートルに達する人型の本体に、それと匹敵する大きさのバインダーを四枚、肩口から翼のごとく生やした濃緑色のマシーンは、巨人と呼ぶには異形でありすぎ、他の形容をするには人型の生々しさを持ちすぎていた。

魔法少女の力の象徴――モビルスーツの中にあって、なお異形と呼ぶに相応しい形状を持つ機体。その腹部には、しかし多くのマシーンがそうであるように操縦席があり、何重もの装甲に覆われた球形のコクピットの中で、魔法の衣装に身を包んだパイロットが操縦桿を握る姿があった。


マミ「行きなさい、ファンネル」


バインダーの内側で複数のスラスターが火を噴き、全長二メートル程度の小振りな物体が八機、四枚のバインダーから二機ずつ射出される。

《クシャトリヤ》の周囲に滞空したそれは、すぐに自らのスラスターを焚いて動き始め、あたかもミサイルのごとく目標に猪突していった。
 
漏斗状の物体が群れを作り、分散して、こちらへ向かって来る魔女の手下――使い魔たちに襲いかかる。

姿勢制御バーニアを噴かし、小刻みに移動するファンネルが使い魔にまとわりつき、その筒先からビームを迸《ほとばし》らせ、じわじわと目標を追い詰める。

一つ、二つ、また三つと、爆発の光輪が彼方に咲いた。


マミ「……まだ来るの? 懲りないわね」


目標の排除を確認したマミは、残る特務仕様の使い魔に意識を凝らした。

味方が消滅しても減速の気配を見せず、まっすぐ相対距離を詰めてくる。

新たにファンネルを出す必要もないと判断したマミは、《クシャトリヤ》を前進させた。









四枚のバインダーを巧みに動かし、複雑な軌道を描いて使い魔に近接する。

機体から発するバーニアの光が瞬いては消え、マミは敵との距離を一息に詰めた。


マミ「悪いけど、速攻で終わらせるわよ」


すれ違いざま、マミは火器管制をビームサーベルに切り替え、照準のレティクルを目標の腹部に重ね合わせた。

《クシャトリヤ》の手首からビームサーベルのグリップがスライドし、五本の指を持つマニピュレーターがそれを保持する。

グリップから粒子ビームが発振され、十数メートルに及ぶ刀状の放射束を形成すると、文字通りサーベルとなったビームの束が使い魔の腹部に打ち込まれた。

使い魔もヒートサーベルを引き抜こうとしたようだが、いかんせん遅すぎる反応だった。

一秒未満で切断する光の剣が、使い魔の腹部を溶断し、黙らせる。


キュゥべえ「お疲れ様、マミ」

マミ「今日はハズレね。次は本体を必ず見つけ出すわ」


視界を埋め尽くす巨万の星空が、ぐにゃりと歪む。

魔女の結界が解かれ、マミの《クシャトリヤ》も消滅する。

今度は、本物の星空が、狭いコックピットから解放されたマミの視界を埋め尽くした。


マミ「さ、帰りましょう。キュゥべえ」


そう言って、巴マミは静寂を取り戻した夜の公園を後にした。








            ※


街が、炎に包まれている。

暴虐の限りを尽くす、最凶最悪の魔女――『ワルプルギスの夜』。

その周りを、濃灰色の戦闘機が飛び回り、巨大な魔女へ向けて青白いビームを吐く。


まどか「あれに……人が乗ってるの?」

キュゥべえ「そうさ。けど、彼女一人では荷が重すぎたようだ。あの機体だけで、良くやっている方だよ」

まどか「…………女の子なの?」

キュゥべえ「そうだよ。ちょうど君と同じ年頃の、どこにでもいるような子さ」

まどか「そんな……!!」


信じられない、と思った。

ああいうものには大抵、男の人が乗っているというイメージがあるし、何よりもまず驚いたのは、たった一人の少女が誰の助けも無しに、この広大な見滝原の街を焼く怪物相手に戦っていることだった。





ドン、と爆発に似た衝撃が背後で発し、スラスターに押し出された機体が加速を開始する。

敵の予想侵攻路をモニターに読み取ったほむらは、操縦桿を前に倒して急俯角を取りつつ、ウェイブライダー形態の《デルタプラス》にトランスフォームを促した。

横ロールした戦闘機が瞬時に形を崩し、人型のフォルムを形成する。


ほむら「やらせはしない、これ以上……!」


幾つもの火線をかいくぐりながら、右手のロングメガバスターの照準を『ワルプルギスの夜』の頭にあたる部分に定め、トリガーを引く。

しかし、


ほむら「ぐうっ!」


使い魔から放たれた一筋のビームが、背部バインダーを貫き、爆発の衝撃で自機の姿勢が大きく崩れる。

左マニピュレーターに握られたビームサーベルで使い魔の攻撃をいなしてはいたが、全てを受けきることはできないようだ。


ほむら「ちっ!」


《デルタプラス》目掛けて、ヒートホークを携えた数体の使い魔が四方から殺到する。

流石に一機で同時に相手はできないと判断し、ウェイブライダーで離脱を試みる。

だが、飛行制御を担うバインダーが損傷したためか、思うように加速がかけられない。

その瞬間を、敵が見逃すはずもなく、


ほむら「しまった……!」


『ワルプルギスの夜』の口から吐き出された極太の粒子ビームが、ウェイブライダー形態の《デルタプラス》の両脚を掠めた。






ほむら「きゃああッ!」


焼けただれた脚部のスラスターがその機能を失い、機動力の欠片も無い機体が重力に引っ張られて落下していく。

その様子を、まどかは炎の中から見守っていた。


まどか「ひどい……!」

キュゥべえ「仕方ないよ。どう考えたって、単機では無理がある相手だ。彼女も覚悟の上だろう」

まどか「そんな……あんまりだよ! こんなのってないよ!」


《デルタプラス》に取り付けられた集音マイクから音声を聞き取り、ほむらは思わず叫んだ。


ほむら「まどか! そいつの言葉に耳を貸しちゃ駄目!」


ほむらの肉声はスピーカーを通して外界にも伝わるはずだが、『ワルプルギスの夜』の咆哮と怒涛の攻撃に掻き消され、まどかの耳に届くことはない。


キュゥべえ「諦めたら、それまでだ。でも、君なら運命を変えられる」

まどか「……本当なの?」

キュゥべえ「避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。それだけの力が、君には備わってはいるんだから」


モニター越しに見えるまどかに気を取られている間にも、墜落する機体はそのスピードを緩めることは無く、燃え盛る大地へと突っ込んでいく。


ほむら「騙されないで! そいつの思う壺よ!」


使い魔による集中砲火を浴び、機体のあちこちが削り取られ、コックピットから発する放電熱に頬を傷つけられて血を流す。

それでも、ほむらは必死に叫び続けていた。




ほむら「きゃああッ!」


焼けただれた脚部のスラスターがその機能を失い、機動力の欠片も無い機体が重力に引っ張られて落下していく。

その様子を、まどかは炎の中から見守っていた。


まどか「ひどい……!」

キュゥべえ「仕方ないよ。どう考えたって、単機では無理がある相手だ。彼女も覚悟の上だろう」

まどか「そんな……あんまりだよ! こんなのってないよ!」


《デルタプラス》に取り付けられた集音マイクから音声を聞き取り、ほむらは思わず叫んだ。


ほむら「まどか! そいつの言葉に耳を貸しちゃ駄目!」


ほむらの肉声はスピーカーを通して外界にも伝わるはずだが、『ワルプルギスの夜』の咆哮と怒涛の攻撃に掻き消され、まどかの耳に届くことはない。


キュゥべえ「諦めたら、それまでだ。でも、君なら運命を変えられる」

まどか「……本当なの?」

キュゥべえ「避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。それだけの力が、君には備わってはいるんだから」


モニター越しに見えるまどかに気を取られている間にも、墜落する機体はそのスピードを緩めることは無く、燃え盛る大地へと突っ込んでいく。


ほむら「騙されないで! そいつの思う壺よ!」


使い魔による集中砲火を浴び、機体のあちこちが削り取られ、コックピットから発する放電熱に頬を傷つけられて血を流す。

それでも、ほむらは必死に叫び続けていた。




ほむら「きゃああッ!」


焼けただれた脚部のスラスターがその機能を失い、機動力の欠片も無い機体が重力に引っ張られて落下していく。

その様子を、まどかは炎の中から見守っていた。


まどか「ひどい……!」

キュゥべえ「仕方ないよ。どう考えたって、単機では無理がある相手だ。彼女も覚悟の上だろう」

まどか「そんな……あんまりだよ! こんなのってないよ!」


《デルタプラス》に取り付けられた集音マイクから音声を聞き取り、ほむらは思わず叫んだ。


ほむら「まどか! そいつの言葉に耳を貸しちゃ駄目!」


ほむらの肉声はスピーカーを通して外界にも伝わるはずだが、『ワルプルギスの夜』の咆哮と怒涛の攻撃に掻き消され、まどかの耳に届くことはない。


キュゥべえ「諦めたら、それまでだ。でも、君なら運命を変えられる」

まどか「……本当なの?」

キュゥべえ「避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。それだけの力が、君には備わってはいるんだから」


モニター越しに見えるまどかに気を取られている間にも、墜落する機体はそのスピードを緩めることは無く、燃え盛る大地へと突っ込んでいく。


ほむら「騙されないで! そいつの思う壺よ!」


使い魔による集中砲火を浴び、機体のあちこちが削り取られ、コックピットから発する放電熱に頬を傷つけられて血を流す。

それでも、ほむらは必死に叫び続けていた。



>>12 13

連投エラーです。無視して下さい



正しくは

>>12
>>13

がエラーです。

何度もすみません。




まどか「私なんかでも、本当に何かできるの? こんな結末を変えられるの?」

キュゥべえ「もちろんさ。だから、僕と契約して、魔法少女になってよ!」


その決定的な言葉を聞いた瞬間、ほむらは絶叫した。


ほむら「駄目ぇぇぇッ!!」


同時に、真っ白な光が、ほむらの視界を埋め尽くす。

それが、攻撃に耐えきれなくなった自機の大破による爆発なのか、それともまどかの契約による光なのか、判別はできなかった。

しかし、その時確かに見えたのは、光の中に佇む白いモビルスーツ――“ガンダム”が、緑色に光る双眸を輝かせ飛翔していく姿だった。




            ※


目覚まし時計のアラームがけたたましく鳴り響き、はっとして目が覚める。

カーテンの隙間から射す日光を浴びながら、見慣れた自分の部屋の中を、まどかはぼんやりと見渡していた。


まどか「……夢、だったの……?」


夢の中とは言え、あの光景は余りにも現実じみていて、それでいて自身の胸に何か迫るものを感じてしまっていたのも事実だった。

そして、何よりも気になるのが、炎に呑まれながら墜落していった戦闘機のことである。

あの奇妙な生き物の話を思い出す限り、あの戦闘機に乗っていたのは同い年の女の子だということしかわからない。


まどか「(……あれ、どんな子が乗ってたんだろ……。死んじゃった、のかな……)」


自分と同じ年頃の子供、しかも女の子があれに乗って戦っていたということは、何かしらの理由があるに違いない――。

そんなことを考えながら、まどかは自分の名前を呼ぶ父の声を聞き、部屋を出て階段を降りていった。



            ※


食卓で朝食を囲む鹿目家一同。

まどかは見滝原中学の制服に着替え、知久はYシャツ姿で、慣れぬフォークとスプーンに悪戦苦闘するタツヤの食事を補助する。


知久「今日、学校は早く帰って来れるかい?」

まどか「……うん。お母さんのお墓参りでしょ?」

知久「そうだよ。僕も今日、仕事を早めに切り上げるから」


タツヤを幼稚園の制服に着替えさせながら、知久も『AE(アナハイム・エルクトロニクス)』のロゴマークが刺繍されたジャケットを羽織り、仕事の支度を始めていた。


知久「さ、まどかも急がないと」

まどか「……は、はぁい!」


まだ食べかけのトーストを、慌てて頬張る。

考えことをしていたせいで、すっかり登校時刻のことなど忘れていた。



>>20の修正


            ※


食卓で朝食を囲む鹿目家一同。

まどかは見滝原中学の制服に着替え、知久はYシャツ姿で、慣れぬフォークとスプーンに悪戦苦闘するタツヤの食事を補助する。


知久「今日、学校は早く帰って来れるかい?」

まどか「……うん。お母さんのお墓参りでしょ?」

知久「そうだよ。僕も今日、仕事を早めに切り上げるから」


タツヤを幼稚園の制服に着替えさせながら、知久も『AE(アナハイム・エレクトロニクス)』のロゴマークが刺繍されたジャケットを羽織り、仕事の支度を始めていた。


知久「さ、まどかも急がないと」

まどか「……は、はぁい!」


まだ食べかけのトーストを、慌てて頬張る。

考えことをしていたせいで、すっかり登校時刻のことなど忘れていた。





トーストの最後の一口を飲み込んで、玄関の戸口に立つ。

急いで出発しようとしたちょうどその時、後ろの廊下から聞こえた父の声に呼び止められ、ドアノブから手を離した。


知久「まどか、これを持って行って」

まどか「……? 何これ……」


知久がまどかに手渡したのは、Tの字に象られた金属製のペンダントだった。


知久「お守りだよ。きっと、まどかの力になってくれるさ」

まどか「お、お守り……?」


父親からの以外な贈り物に、まどかは暫し困惑した。

しかし、愛すべき父親が自分にくれると言うのだから、素直に喜ぶ以外にどんなことができるだろうか。


まどか「ありがとう、パパ。大切にするね」


女の子が身につけるにはちょっと変なお守りだな、と思いつつも口には出さず、まどかは足早に玄関を飛び出して行った。



            ※


先に立って足早に廊下を歩くほむらの後を、まどかはおっかなびっくりな様子でついてくる。

まだ見慣れぬ転校生の美貌は確かに目を見張るものがあるが、教室での自己紹介を終えてから今に至るまでのほむらの言動や態度に気圧されているまどかとしては、見た目よりも性格や人柄の方が気になって仕方がない。


まどか「あ、暁美……さん?」

ほむら「ほむらでいいわ」


転校初日でいつの間に自分が保健係だと聞いたのか、どうして保健室の場所を知っているのか、色々と聞いてはみたが、どれもその返答は冷たいもので、時には無視されることもあった。

しかし、何も話さないという沈黙に耐えられないまどかは、何とかして話題を探しては話しかけてみようと試みる。


まどか「ほむら……ちゃん?」

ほむら「……何?」

まどか「あ、うぅ、えっと、その……」


もはやどう話題を繋げればいいのかわからなくなり、半ばヤケになって、


まどか「か、変わった名前だよねっ。あ、あの、もちろん変な意味じゃ無いよ。その……かっこいいなぁなんて思ったりして」


ほむらの足が止まった。

僅かに唇を噛みながら、振り向いて真正面に見えるまどかを見据える。

ちょうどその場所は別の棟に繋がる渡り廊下であり、周囲に他の人の姿はいない。

完全に、二人の少女がお互いに相見える構図となっていた。



ほむら「鹿目まどか。あなたは、自分の人生が尊いと思う? 家族や友達を大切にしてる?」

まどか「え……」


余りにも唐突すぎる質問に、まどかは思わず面を食らってしまった。

だが、ほむらの表情は真剣そのもので、何となく、この質問には真摯に答えねばならないと、本能で感じ取る。

そして何より、自分の言うべき答えは、既に決まっていた。


まどか「大切だよ。家族も、友達のみんなも、大好きで、とっても大事な人たちだよ」

ほむら「本当に?」

まどか「う……嘘じゃないよ! 本当だもん!!」


まどかは、自分でも信じられない程の大声で叫んでいた。

それもそのはず、今日はまどかの母――鹿目絢子の命日である。

まどかにしてみれば、今のほむらの質問は自分の心の内に響くようなものがあり、声を荒げてしまうのも無理はないと言える。

しかし、それを知らないほむらは無表情のまま頷くだけであった。


ほむら「そう。……もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。さもなければ、あなたは全てを失うことになる」

まどか「……え?」


その言葉が何を意味するのか、ほむらの言わんとしていることが、まどかには理解できない。

だが、全てを失うということだけは、絶対にあってはならないし、まどかの望む所ではない。


まどか「い、いやだよ、そんなの……!」

ほむら「だったら、あなたは鹿目まどかのままでいればいい。今まで通りに、これからも……」


ほむらの言葉の意味を測りかねて、まどかは立ち尽くす。

気付けば、無意識の内に父から貰ったお守りを強く握り締めていた。

しかし、この時それが仄かな光を帯びていたということは、知らなかった。



            ※

親友からの誘いを丁寧に断った後、まどかは一人夕暮れの路道を歩いていた。

早く帰って来るとは言ったものの、今日の授業が6時間目まであることをすっかり忘れていて、結局日が暮れる時間になってしまった。

が、幸いなことに父の知久も仕事の詰め合わせに忙殺されていたらしく、霊園に着くのはまどかより後になると連絡を寄越してきたので、待たせることは無さそうだった。


まどか「……」


転校生――暁美ほむらの言葉を思い返す。

よりにもよって母の命日に、あんな唐突にあの様な言葉を投げかけられては、気が気でならないのが今のまどかの心情である。

しかし、あの時のほむらの目つきや言動にただならぬ何かを感じていたのもまた事実であり、加えて、胸の奥が熱くなるような奇妙な感覚が、まどかの心に生じていた。


まどか「……早く行かなきゃ」


余計な雑念を振り払い、歩を早く進める。

息を荒げながら、まるで何かに急かされるようかのように、走っていた。

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