苗木「どうして僕は一人なのかなぁ」
モノクマ「うぷぷ、それはね? 僕が殺し合い生活に飽きちゃって皆処刑しちゃったからさ」
苗木「そっかぁ……なら、どうして僕は処刑されないのかなぁ」
モノクマ「うーん、超高校級の幸運だから処刑されなかっちゃんじゃない?」
苗木「そうなんだ……」
苗木「……僕……これからどうすればいいのかなぁ……」
モノクマ「一生ここで生活してみる? うぷぷ」
モノクマ「それとも僕を捕まえに来てみる? 特別大サービスでどこでも通れるようにしちゃうよ?」
苗木「そうだね……気が向いたらそうしてみるよ……」
モノクマ「うぷぷぷ」
苗木「……」モグモグ
モノクマ「やっほー! 苗木君! 一人でとる食事はどう? うぷぷ」
苗木「……そこそこかな……モノクマも食べる?」
モノクマ「もうー!! 苗木君! 僕を壊すつもり!? 機械に食べ物なんて駄目に決まってるじゃないか!」
苗木「あはは、そういえばそうだったね……」
モノクマ「あれあれー? 苗木君、随分とテンションが低いんだね」
苗木「……僕は……低血圧だから……」
モノクマ「うぷぷぷ。それは随分と絶望的だね!」
苗木「……そうだね……絶望的」
苗木「……」
モノクマ「うわっ! 苗木君ってば一人で泳いでるよー」
モノクマ「あっ、そういえば苗木君しか居ないんだったねー。うぷぷ」
苗木「……朝比奈さんは泳ぐのが速かったんだ。僕なんかでは足元にも及ばないくらいに」
モノクマ「仮にも超高校級のスイマーだからねー」
苗木「大神さんも朝比奈さんに負けないくらい速かったんだよ」
モノクマ「へぇ、そんな凄い二人はどうして居なくなっちゃたんだろうね~。うぷぷ」
苗木「……どうしてだろうね」
モノクマ「苗木くーん。そろそろ絶望してきたー? 絶望しないとお仕置きしちゃうんだぞー」
苗木「あはは。それなら絶対に絶望しないでおこうかな」
モノクマ「えー、つまんないのー」
苗木「モノクマは飽きないの? 僕なんかを見てて。退屈じゃない?」
モノクマ「飽きないよー。だって僕、苗木君の事が大好きだからね!」
苗木「そっか……」
モノクマ「あれれー? 照れちゃった? ねぇ、照れちゃったの?」
苗木「て、照れるわけないだろ!!」
苗木「って、以前の僕なら言ってただろうね」
モノクマ「なんだー。つまんないの」
苗木「霧切さんが教えてくれたんだよ。2階のトイレに隠し部屋があるって」
苗木「そこは監視カメラも無かったし、ネット回線も繋がってた。それに、あの書籍」
苗木「あれには学園の秘密が書いてあったのかな?」
モノクマ「さぁ、どうだろうねぇ。苗木君はあそこで気を失っちゃったしね。うぷぷ」
苗木「……まぁ、今となっては大した意味もないんだけどね」
モノクマ「うぷぷ。知りたいのなら教えてあげようか?」
苗木「本当?」
モノクマ「いいよ。僕の所へ来てくれたら、だけどね」
苗木「うーん……ならいいや」
モノクマ「それは絶望的だなぁ」
モノクマ「苗木くーん!! 暇だよー!!!」
苗木「そうだねー」
モノクマ「いい加減何かしようよ! いつまで堕落してるつもりさ!」
苗木「そうだねー」
モノクマ「うぅ……苗木君がぐれた……」
苗木「静かだねぇ……
苗木「読書って面白いんだね」
モノクマ「へぇー」
苗木「昔はマンガばっかりだったからさ。あんまりこういった物は読んだ事がなかったんだ」
モノクマ「ごくごく一般的な男子中学生だったんだね。ある意味健全じゃないか」
苗木「うん。勉強が楽しいって言ってる人の気持ちが今なら分かるよ」
モノクマ「こういった他愛無い会話は面白いのかい?」
苗木「……一人で喋るよりは面白いかな」
モノクマ「それなら……僕が居なくなったらどうなるのかな?」
苗木「そうだね……その時は……外にでも出てみようかな」
モノクマ「うぷぷ。それも面白そうだね」
モノクマ「どうしたの苗木君。最近、やけに精力的じゃないか」
モノクマ「運動、勉強、描画から培養まで。色んな事に手を出してるね」
苗木「うん。時間は有り余ってるからね。ただ、無目的に過ごすだけじゃ勿体ないかなって」
モノクマ「うぷぷ。それで、今までと何が変わったのかな? 目的って何?」
苗木「それはまだ秘密だよ。そうだね……君と会った時に話そうかな」
モノクマ「ちぇー。苗木君のくせに生意気だなぁ」
モノクマ「あっ、ちなみに今のは霧切さんを意識してみましたー。うぷぷぷ」
苗木「えー、霧切さんはもっとそっけない感じだったよー」
モノクマ「うーん、本当に生意気……お仕置きしちゃおうかな?」
苗木「あはは、それも面白いかもしれないね」
モノクマ「どうでしょう? そろそろ私様と会ってみませんか?」
苗木「あれ? 口調が変わった?」
モノクマ「だって飽きちゃったんだもーん! で、どう? 苗木君。僕と会ってみない?」
苗木「また変わった」
苗木「というか会って何するのさ」
モノクマ「会うだけだよ。何も変わらない。苗木君が望むなら殺人ゲームを始めてもいいけどね」
苗木「僕が襲いに行くかもしれないのに?」
モノクマ「大好きな苗木君に襲われるなんて絶望的……」
モノクマ「まぁ、本音を言うといい加減変化がほしいんだよね」
苗木「うーん……」
コンコン
苗木「もしもし?」
「どうぞー。うぷぷ」
ガチャ
江ノ島「よっす、苗木。久しぶりだねー」
苗木「…………江ノ島さん」
江ノ島「驚いた?」
苗木「……君が黒幕なの?」
江ノ島「まっ、色々違うところはあるけど。事の元凶は私様なんだよねー。うぷぷ」
苗木「……そう」
江ノ島「どう? 絶望した?」
苗木「……」
江ノ島「私の事、殺したい?」
苗木「……そんな事……するわけないじゃないか」
江ノ島「何で? 自分の手を汚すのが嫌なの? それならお仕置き受けに行こうか?」
江ノ島「苗木が一声かけてくれたら行ってあげるよ?」
苗木「しないってば。意味無いよ」
江ノ島「そう? 苗木の溜飲は下がるんじゃない?」
苗木「それは違うよ」
苗木「溜飲も下がらないし、そもそも江ノ島さんにそんな感情抱いてないからね」
江ノ島「ふーん……。まっ、別にいいけどね」
苗木「話は終わり? そろそろ戻ろうと思ってるんだけど」
江ノ島「うぷぷ。苗木君は変わったのかなー? それとも無理しているだけなのかなー?」
苗木「……どっちもかな」
バタン
江ノ島「なっえぎー!! 一緒に寝よー!!」
苗木「えー……何で態々……せっかく自分の部屋があるのに」
江ノ島「そんなの大好きな苗木の温もりを感じたかったからに決まってるじゃん」
苗木「もう。仕方無いなぁ……」
江ノ島「やっほぃ。苗木ー、愛してるぜー」
苗木「あっ! 抱きついてこないでよ!」
江ノ島「いいじゃん、私様の生身なんてそうそう触れるもんじゃないんだし」
苗木「暑いよ江ノ島さん……」
江ノ島「うぷぷ。苗木君は純情だねぇ」
苗木「江ノ島さんは何でもできるんだね」
江ノ島「私は天才だからね。そういう苗木はどうなの? って、聞かなくても分かるか。うぷぷ」
苗木「あはは、僕なんか凡人の中の凡人だよ。何一つ突出した所なんか無いさ」
江ノ島「うぷぷぷ。そんな苗木君が生き残ったところがまた皮肉に思えるねぇ」
江ノ島「結局、才能があったところで終わるときは終わるんだから」
苗木「それは違うよ」
苗木「こんな結末に導けたのも、江ノ島さんの『超高校級』の才能があったからだよ」
苗木「仮に、僕と江ノ島さんの立場が逆だったら段取りの段階で終わってただろうしね」
苗木「本当……僕と君の立場が逆だったら良かったのに……」
江ノ島「人生ってそんな物だよ。苗木君」
江ノ島「うぷぷぷぷ」
モノクマ「苗木君。こんな所で何してるの?」
モノクマ「武道場なんて、苗木君に一番縁がない場所じゃないか」
苗木「あれ、今日はモノクマなんだね。珍しい」
モノクマ「ずっと同じじゃ飽きるんだよねー。何でもさ」
苗木「まぁ、そんな性格なんだから仕方ないよねぇ」
モノクマ「そうそう。偉い人もセレスさんも言ってたでしょ? 変化に対応できる者だけが生き残れるって」
モノクマ「どっちももういないけど。うぷぷぷっておっと。話がずれたね」
モノクマ「もう一度聞くけど、苗木君はこんな所で何してるのさ」
苗木「うん。武道を始めようかなと思ってさ」
モノクマ「え~、こんな苗木君が? がっりがりのもやし君なのに」
苗木「大神さんにちょっとだけ教えてもらった事があったんだ」
苗木「と言っても構えだけだけどどね」
モノクマ「ふーん。僕も教えてあげようか? こうみえても結構強いんだよ?」
苗木「有難う。でも、大神さんと君は違うし、またの機会にお願いしようかな」
モノクマ「うぷぷぷ。嫉妬しちゃうなぁ」
苗木「江ノ島さんって飽き症なんでしょ?」
江ノ島「そっりゃあもう絶望的なくらいにねー」
苗木「そろそろ僕に飽きちゃわない? もう結構一緒に居るよね?」
江ノ島「そうだねー。苗木の事は好きだけど、飽きちゃったらお仕置きしちゃうかもねー」
江ノ島「でも、まだ飽きてないから安心しなよ! うぷぷぷ~」
苗木「江ノ島さんは僕の事が好きなの?」
江ノ島「もっちろん。超高校級に愛してるぞ~」
苗木「なら、僕が外に出て行く時も一緒に来てくれる?」
江ノ島「うぷぷ。どうだろうねー」
苗木「最近夢を見るんだ」
苗木「皆で楽しく学園生活する夢」
苗木「皆と僕、勿論江ノ島さんも……そしてあと一人」
苗木「その子は顔がぼやけてて、あんまりよく分からないんだけど」
江ノ島「あらら、残念だね~。うぷぷぷ」
苗木「でも、僕はその子の事をよく知ってる気がするんだ」
苗木「あの子は誰だったのかなぁ……」
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