苗木「霧切さん、去年分のお友達料金まだ?」 (106)

霧切「え?お友達料金?何のことかしら」


苗木「とぼけないでよ・・・この1年間友達でいてあげたでしょ?はい、だから早く払って」


霧切「え?ちょっと思考が追い付けないのだけれど・・・どういうことかしら」


苗木「はぁ・・・いや、本当は君みたいなのと絡むのは嫌なんだけどね・・・石丸くんがうるさいし」ボソッ


苗木「とにかくさぁ・・・お金貰わなきゃやってられないんだよね、君と友達なんて」

霧切「え、えっと・・・つまり、交友と金銭には密接な関わり合いがある、ということ?知らなかったわ・・・」


苗木「まぁ、そういうことでいいや」


苗木「で、払ってくれるの?」


霧切「そ、そういうことなら・・・それで、いくら払えばいいのかしら?」


苗木「んー、1年だしね・・・1月当り2万円ってことで、24万・・・まぁ、20万円でいいよ」


霧切「に、にじゅうまんえん!?そんなお金払えな「じゃあ、2度と話しかけないでね」


霧切「え?」


苗木「たとえ話しかけてきても無視するから」

霧切「ちょ、ちょっと待ちなさい!正直いきなりすぎて何が何だか・・・」


苗木「・・・」


霧切「な、苗木くん・・・?」


苗木「・・・」


霧切「あの・・・」


苗木「・・・」スタスタ


霧切「ま、待って!払う、払うから!」

苗木「そっか、じゃあ明日持ってきてくれる?」

霧切「で、でも・・・あの・・その・・・」

苗木「はっきりしないなぁ、霧切さんらしくない

苗木「というかさ、探偵やってるんだからお金たくさんあるでしょ?」


霧切「い、いや・・・去年は苗木くんと遊んでばっかりで仕事なんてしてなかったし・・・貯金もなくなっちゃって・・・」

霧切「だから、明日になんて無理よ・・・だから」

苗木「そっか、じゃあさよならだね」


霧切「ま、待って!」

霧切「10日・・・10日で必ず用意するわ!だからそれまで・・・」

苗木「分かったよ、じゃあ10日後までは赤の他人ってことでよろしく」
霧切「そ、そんな!10日後には必ず払うからそれまで「なに言ってるの?」

苗木「そんな都合のいい話があるわけないでしょ?それじゃあね」

霧切「あっ・・・苗木くん、待って・・・」

苗木「おっ、舞園さーん!おはよー!」スタスタ

霧切「あ・・・」

霧切(唐突にお友達料金といわれても、何がなんだかわからないわ・・・)

霧切(苗木くんは・・・あの1年間の苗木くんのあれは演技だったってことなの?)


霧切(いや、そんなはずないわ・・・)

霧切(友達になるのにお金が必要なんて事を知らなかった私が悪いのよ・・・そうよ)

霧切(苗木くんは初めての友達だし・・・絶交なんていやだわ)


霧切(とりあえず、お金を貯める方法を考えないと・・・)



霧切(苗木くん・・・)

―1限目―


霧切(1限目は英語ね・・・余裕だわ)

霧切(さて、授業なんて聞いてられないわ・・・お金の事を考えましょう)


霧切(アルバイトは無理ね・・・10日で20万円なんて無理よ)

霧切(父・・・いえ、霧切家に借りる・・・というのは論外ね・・・そんな情けないまねはしたくないわ)


霧切(いや、何を考えているのよ私は・・・)

霧切(私は超高校級の探偵じゃない!探偵の仕事をすればいいのよ!)

霧切(20万なんて3日で稼いで見せるわ!)

霧切(ふふっ・・・余裕ね!)


教師「よーし、じゃあ隣の奴と英語で対話してくれ!テーマはさっき言った通りだ」


霧切「!?」

霧切(対話?テーマ?なんで今日に限ってこんな・・・いや、それよりも)

苗木「・・・」

霧切(と、隣が苗木くんというのが一番の問題ね・・・)

霧切(・・・いや、これは普通に苗木くんと話せるいいチャンスじゃない!)
霧切(先生の指示であるなら話さない訳にはいかないものね・・・よし!)


霧切「え、えっと・・・ちょっと考え事をしていて話を聞いていなかったんだけど・・・テーマは何なのかしら?」

苗木「・・・」

霧切「あの、苗木くん・・・?」

苗木「・・・」

霧切(うぅ・・・いえ、ここで退くわけにはいかないわ)

霧切「苗木くん、今は授業中・・・しかも先生の指示な「すみません!ちょっと体調悪いので保健室に行ってきます!」


霧切「えっ?」

教師「大丈夫か?まぁ了解した、行ってこい」

苗木「すみません・・・では失礼します」


霧切(そ、そんな・・・ここまで徹底してるなんて・・・)

霧切(い、一刻も早くお金を稼がないと!こんなの耐えられないわ!)


教師「お、霧切はペアがいなくなっちまったか・・・じゃあ前の奴らに混ぜてもらえ」

霧切「え!?」


桑田「お、おい・・・マジかよ」ボソボソ

山田「霧切響子殿は正直苦手なのですが・・・」ボソボソ


霧切「あの・・・」


桑田「よし、じゃあやるか!」


山田「むふふ!僕の華麗なプロナウンスに酔いしれるがいいですぞ!」


霧切「・・・」

桑田「~~~~~!」

山田「~~~~~?」


霧切(うう・・・なんでこうなるのよ)

霧切(思えば、苗木くん以外と会話したことなんて・・・ほとんど無かったじゃない・・・)

霧切(私、苗木くんと二人きりのときしか話さなかったものね・・・)

霧切(我ながら情けなさすぎるわ・・・はぁ)

山田「まぁ、こんな所ですかな!」

桑田「しっかしよぉ、テーマが友達についてとか漠然としすぎだろ!なに話したらいいかわかんねーよ!」

山田「そうですなあ・・・まぁ何にせよ、ぼっちにはつらいテーマですな!」

桑田「だな。でもよ、ぼっちってどうやったらなれんだ?友達とか勝手にできんだろ」

山田「まぁ、ぼっちなんて2次元にしかいないでしょうな!普通に生活していれば友達なんてできますし」

霧切(えっ、普通に生活していれば出来るって・・・みんなそんな頻繁にお金のやりとりをしているの?)

霧切(というか・・・ひとりぼっちなのは私だけなのかもしれないわね)

霧切(今までは何ともなかったのに・・・ひとりぼっちがこんなに寂しいものだとは思わなかったわ・・・)

霧切(早く苗木くんと話したい・・・)

昼時間


霧切(もうお昼ね・・・今日は何だか時間が経つのが早く感じるわ)

霧切(さて、苗木くんと食堂にでも・・・)


舞園「苗木くん!一緒に食堂にいきませんか?」

苗木「うん、いいよ」

桑田「お、俺も行く!」

セレス「わたくしもご一緒してよろしいでしょうか?」

山田「安広多恵子殿キタアアアアアアアア!これで勝つる!僕もお共しますぞ!」

セレス「その名で呼ぶんじゃねえええええ!クソ豚がああああああ!!!」



霧切 ポツン

霧切(私は何を考えてるのよ・・・無視されてるのに一緒に食事なんてできるわけないじゃない・・・)


霧切(あれ・・・いつの間にか私一人になってしまってるわね)


霧切(苗木くんが居ないと・・・本当に一人ぼっちなのね、私って)


霧切「・・・」


霧切(今日は購買で済ましょう・・・)トボトボ

霧切(さてと・・・)


霧切「なっ!?」

霧切(パンもおにぎりも売り切れじゃない・・・どうすれば・・・)


霧切(これじゃあ何も食べれな・・・あっ)

霧切(カップ麺があるわね・・・これにしましょう)


霧切「これお願いします」

店員(BBA)「はいよ!」


霧切(あれ、お湯はどうすれば・・・)

霧切「すみません、お湯は何処で入れられますか?」

BBA「お湯なら食堂で入れられるはずだよ!はい、どうぞ!」

霧切「ありがとうございます・・・」


霧切(し、食堂・・・)

食堂


霧切(ただお湯を入れるだけよ・・・お湯を入れるだけ)

ウワ、アノコカップメンモッテルヨ
ベツニイイダロソンナノ
デモ、カップメンタベルヤツナンテハジメテミタワ


霧切(うう・・・なんとなく視線が痛いような・・・自意識過剰かしら)


霧切(あっ・・・苗木くん)

苗木 チラ

霧切「!!!」


霧切(い、今こっち見たわね!)

霧切(ひ、ひょっとしたら苗木くんも実は寂しいのかしら・・・)

霧切(ええ、きっとそうよ!早くお金を集めないと・・・)

教室


霧切(それにしても・・・教室でカップ麺っていうのも悪くないわね)ズズッ


霧切「あっ、おいしい・・・」

霧切(カップ麺なんて久しぶりに食べたけど・・・やっぱりたまに食べるのはいいわね)ズズッ



キーンコーンカーンコーン



霧切「え!?」

霧切(も、もう昼時間終わりなの!?後10分で授業が始まってしまうわ・・・)

霧切(い、急いで食べないと!)ズズズズズズズッ

ガラッ!

霧切(み、皆戻ってきた!?どうしよう・・・)


苗木「ははは・・・やっぱり桑田くんは面白いなあ・・・あ」

桑田「ん?どうした・・・?ってくっさ!!!教室くせえぞ!」

山田「教室でカップ麺ですか・・・」

葉隠「周りの迷惑も考えてほしいべ!」


霧切(あっ・・・閉め切ったままにしていたわ・・・)

舞園「別にいいじゃないですか!換気すればいい話ですし」

セレス「そうですわね」

霧切「えっと・・・ごめんなさい」

舞園「気にしなくていいですよ!はいっ、これでこの件は終わりです!」ガラッ

桑田「ヒュー!やっぱ舞園ちゃんは最高だぜ!」

山田「寛容すぎる・・・あれが天使か」

葉隠「くせえべ!味噌ラーメンとか勘弁してほしいべ!」

苗木「・・・」

霧切(舞園さん・・・苗木くんに執拗に絡んできて鬱陶しい人だと思っていたけれど・・・)

霧切(認識を改めた方がいいのかも・・・)

霧切「その・・・ありがとう」

舞園「だから気にしなくていいですって!ただ、次回からはしっかり換気してくださいね?」ボソボソ

霧切「え、ええ・・・気を付けるわ」


大和田「げっ、次の授業保健じゃねーか!あんな知識必要ねえだろ!」

不二咲「か、かなり大切だと思うけど・・・」

石丸「そうだぞ兄弟!君のような考えの輩が昨今の問題を生んでいるのだぞ!」

桑田「ったく、童貞は素直に授業聞いてろっての!」

大和田「んだとゴラァ!!!」

ガヤガヤ


霧切(なんとかなったみたいね・・・良かった)

霧切(お金が貯まるまで・・・まぁ、3日くらいでしょうけど・・・こんな思い
をしなければならないなんてね)

霧切「はぁ・・・」


苗木「・・・くっさ」ボソ


霧切「え・・・」

霧切(い、今臭いって言われた・・・?)

霧切(き、気のせいよね気のせい・・・苗木くんはそういう事言う人じゃないし)


霧切(それにしても・・・早く放課後にならないかしら・・・すぐにでも動きたいわ)ハァ


苗木「・・・・・・くっさ」ボソッ

すまん、舟漕いでた・・・ねみぃ


放課後


霧切(よし!さっそく動くわよ!)

苗木「江ノ島さん、約束通りゲーセン行こう!」

江ノ島「うぷぷ、約束?約束って何かな?そんなものしたつもりはないんですが?」

苗木「そっか、ならいいや」

江ノ島「ちょっ!もっとなんかこう・・・あるでしょ!予想を裏切られて絶望的なんですけど!」

苗木「ははっ、じゃあ行こうか」


霧切(・・・くっ!)

霧切(は、早くこんな惨めな思いから解放されないと!)

霧切(さぁ、仕事よ仕事・・・って)

霧切(どこで依頼を受ければいいのかしら・・・)

霧切(思えば自分の事務所を構えている訳でもないし・・・)


霧切(・・・)


霧切(そ、そうだわ!確かこの学園に入る前に制作していたHPがあったわね・・・)

霧切(探偵らしくないかもしれないけど・・・状況が状況だもの、仕方ないわ・・・これをフルに活用しましょう)


―――
――

あぁ、霧切さんの小説まだ読んでないから探偵の頃の話は何も知らないんだ
その辺は了承してくれ



霧切(よし・・・これでいいわね)

霧切(後は依頼を待つだけね・・・)

霧切(まぁ、霧切家の名前と超高校級の探偵という肩書きがあるし・・・すぐ殺到するでしょうね)


―3時間後―


霧切「なっ!?0件!?」


霧切(・・・考えてみれば当たり前じゃない・・・第一、探偵に依頼を必要とする人の数自体が極僅かだものね)


霧切(こ、これは3日は厳しいかも・・・)

ピロン♪

霧切「き、きた!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月24日 (木) 14:11:26   ID: Mot44kBf

ははっ!

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