アリス「眠る前に」 (76)

きんいろモザイクの連作短編SSです

とはいっても眠る前のシーンから始まること以外共通してませんが


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379940814

<月>


忍「アリス、見てください」

アリス「シノ、どうしたの?」

アリス「わあ、月がでてるね」

忍「月が綺麗ですねー」

アリス「そういえば中秋の名月も過ぎちゃったね、私、お月見したかった・・・って、」

アリス「今なんて?」

忍「はい?月が綺麗ですね、って言っただけですが・・・」

アリス(聞いたことある・・・確か、夏目漱石が”I love you”をこう訳したと)

アリス(てことは・・・まさか!?)

アリス「シっシノ!私も大好きだよ!」

忍「」スヤスヤ

アリス「もう寝てる!?」

アリス(でもそんな、シノがそんな風に思ってくれていたなんて・・・)

アリス(嬉しいな・・・)

アリス(・・・そういえば)

アリス(『月が綺麗ですね』ともう一つ、あった気がする)

アリス(えーと、確か、二葉亭四迷だったっけ?『私、死んでもいいわ』って)

アリス(今日は気が動転して、普通に好きって言っちゃったけど)

アリス(こんなことじゃ日本人としてダメだよね!)

アリス(明日の朝、ちゃんとシノに返事しなくっちゃ!)




アリス「シノっ!朝だよ!!」

忍「うーん・・・」

アリス「ちゃんと起きて!」

忍「アリス・・・?もうそんな時間ですか?」

アリス「シノっ!私、死んでもいいよっ!!」

忍「!!」

忍「アリスが・・・死ぬ!?」

忍「そんな・・・どうしましょう」

忍「アリスが死ぬとなれば剥製にして永久保存しなくてはなりません」

忍「でもきっと生きているアリスの方が可愛いです!」

忍「生きてくださいアリス!きっといいことがあります!」

忍「そうだ!私が通訳者になったらイギリスで一緒に住みましょう!」

アリス「それって・・・」

忍「そして金髪少女に囲まれた生活を送るんです!!」

アリス「」

忍「素晴らしいです・・・!」

忍「イギリスに行けばアリスやカレンだけじゃなく、それはもう金髪パラダイスです」

アリス「やっぱり、シノが好きなのは金髪なの?」

忍「・・・確かに金髪は好きですが」

忍「でも、今のアリスといる生活の方が好きですよ」

アリス「シノー!」ギュ

忍「もう、アリスは甘えんぼさんですね」ナデナデ

アリス(日本に来て、シノと再会して、いっしょに暮して)

アリス(それだけで十分幸せだと思ってたのに)

アリス(シノに素敵な告白をしてもらって、こんな関係になれるなんて・・・!)

忍(それにしても、なんで今日のアリスはこんなに嬉しそうなんでしょう?)

同じ夜

綾「あら?メールだわ」

綾「陽子から・・・」

『外見てみろよ、すげー月が綺麗だぞ』

綾「これって・・・」

綾「///」



陽子「あ、綾から返信来たか」

 『私、死んでもいいわ』

陽子「・・・何言ってんだ?」

<挨拶のキス>


~~~~~~~~~~~~~~~~
アリスが日本に来て間もない頃


アリス「あ、もうこんな時間だ」

忍「そうですね、そろそろ寝ましょうか」

アリス「うん、おやすみ、シノ」チュ

忍(はぁ・・・金髪少女からのおやすみのキス、たまらないです)

忍(そして朝起きるとおはようのキスが待ってるだなんて・・・)

忍(楽しみ過ぎて今夜も眠れませんね、8時間くらいしか)

~~~~~~~~~~~~~~~~



忍(というような感じだったのですが)

忍(アリスが日本に来て半年以上経った今)

忍(どんどん日本に感化されていったアリスはもうキスしてくれません)

アリス「?」

アリス「どうしたの?もう電気消すよ?」

忍「はい・・・」

アリス「おやすみ、シノ」

パチ

忍(せっかくの私の金髪ライフが・・・)



アリス「シノー、早く起きないと、イサミも待ってるよ?」

忍「はい・・・」

忍(金髪少女のキスが無いと起きる気がしません)

忍「アリス、おはようのキスは・・・」

アリス「もぉー何言ってるの、早くご飯食べちゃわないと遅刻するよ?」

アリス「アヤとヨーコとカレンも待たせちゃうし・・・」

忍(カレン・・・)

忍「!!」ガバッ

アリス「ようやく目が覚めたね♪」

通学路

忍(そうです、なんでこんな簡単なことに気付かなかったのでしょう)

忍(私にはまだカレンがいるじゃないですか)

忍(さすがにおやすみのキスは望めませんが)

忍(朝と帰りにキスしてもらえれば本望です)

アリス「シノ、考え事?」

忍「はい、とっても良いことを思いついたんです」

アリス「へえー!何?聞かせて?」

忍「それはまだ秘密ですけど、もうすぐ分かりますよ」

綾「あ、来たわね」

カレン「オハヨーゴジャイマース!」

忍「カレン、キスしてくれませんか?」

アリス「!?」

綾「!?」

陽子「いや、いきなり何言ってんだ・・・?」

カレン「Oh!シノはキスしたいデース?」

忍「はい」

カレン「お安い御用デース!」チュ

陽子「なあ綾、なんか展開が速すぎてついていけないんだが」

綾「キキキキスってそそそ、そんな、ががが外国ではそれくらい・・・」

陽子「とりあえず落ち着け」

アリス「シノ!カレン!」

カレン「アリスもキスしたかったデスカ?」

アリス「そうじゃなくって、ダメだよ!人前でキスなんかしちゃ!」

カレン「イギリスではアリスだって普通にしてたデース」

アリス「ここは日本なんだから、ね?」

カレン「えーそうデスカ?」

忍「ふふふ、金髪少女のくちびる・・・」ハァハァ

陽子「確かにシノが人前に出せないくらいにはおかしくなってるが」

アリス「ほら、ヨーコもこう言ってるんだから」

カレン「別にこれくらいどうってことないデス」

カレン「アヤヤもそう思うデスネ?」

綾「キス・・・陽子と・・・でも、そんな・・・///」

陽子「?」

カレン「アーヤヤ!」ギュム

綾「きゃ!陽子、そんな・・・って、あら、カレン?」

カレン「キスくらい問題ないデスヨネ?」

カレン「あとヨーコがどうかしマシタカ?」

綾「いやっその・・・今のは忘れて!」



アリス「シノ、帰りのときもカレンにキスしてもらってたね」

忍「はい、私はなんて幸せなのでしょう」

アリス「・・・シノは、なんでそんなにキスしてもらいたいの?」

忍「だって、挨拶にキスなんて外国っぽくて素敵じゃないですか」

アリス「それだけ?」

忍「はい?」

アリス「そっか・・・」

忍「アリスはどうしてキスしてくれなくなっちゃったんですか?」

アリス「えっと、それは・・・」

忍「無理に、とは言いませんが」

忍「また前みたいに、おやすみのキス、してくれたら嬉しいです」

忍「ダメですか?」

アリス「だって、恥ずかしいんだもん・・・」

アリス(日本に来て、シノの家で暮らすようになって)

アリス(最初は挨拶だったキスが違うものに思えてきた)

アリス(シノのほっぺたの柔らかさとか、シノの髪の匂いとか)

アリス(シノに近づくと、ドキドキしちゃうようになった)

アリス(これって、やっぱりヘンなのかな?)

忍「やっぱり、おやすみのキスはダメなんですね・・・」

忍「じゃあ、こういうのはどうですか?」

アリス「へ?」

アリス「って、どうしたのシノ!?近い近い!」

アリス(どうしよう、私、ドキドキしてる・・・)

忍「恋人同士のキスだったら、してくれますか?」




挨拶のキス おわり

<イギリスにて>


夜 カータレット宅

カレン「いよいよ明日出発デスネ」

アリス「うん」

カレン「緊張してるデス?」

アリス「ちょっとだけ・・・」

アリス「でも、すっごく楽しみなんだ!」

カレン「ずっと帰ってこないんデスヨネ?」

アリス「うーん、Christmasとかには帰ってくるかもだけど・・・」

アリス「でも、高校卒業までは、だいたい日本にいるつもりだよ」

アリス「日本の、シノブのいる高校に留学するのは、私の夢だったから」

カレン「シノブって、どんな子デスカ?」

アリス「机に飾ってある写真、見たでしょ?」

カレン「それは知ってマスケド、そうじゃなくって・・・」

アリス「シノブが来たときは、私も日本語全然喋れなかったから、お話はできなかったけど」

アリス「でもすっごく優しくて、周りにいる人を自然と笑顔にしちゃうような」

アリス「そんな子だよ」

カレン「私も会ってみたかったデース」

アリス「それじゃ、会いに来ればいいよ、お休みの時とかにさ」

カレン「・・・うん、絶対行きマス!」

カレン「日本に行ったら、シノブのお友達とも会えるデスネ」

アリス「うん」

カレン「どんな人だと思いマスカ?」

アリス「そうだなあ・・・」

アリス「シノブの友達だもん、きっと優しいいい人たちだよ」

カレン「・・・そうだといいデスネ」

アリス「そうだね」

アリス「それよりカレン、帰らなくていいの?もう外、結構暗いよ?」

カレン「今日はアリスのうちに泊まってくデス!」

アリス「えっ?そんなつもりだったの?」

カレン「今決めマシタ」

アリス「もう、カレンったら」

カレン「アリスがドキドキで眠れなかったら心配デス!」

アリス「大丈夫なのに・・・」

カレン「アリス?」

アリス「」スゥースゥー

カレン「もう寝たデスカ」

カレン「・・・ねえアリス、本当に行っちゃうデスカ?」

カレン「アリスが居なくなちゃったら、きっと私は凄く寂しいデス」

カレン「私、アリスと離ればなれなんて嫌デス」

カレン「でも、アリスは平気なんデスネ・・・」

カレン「もう身長はアリスを追い越しマシタガ」

カレン「やっぱりアリスには敵いマセン」

カレン「アリスは、私のお姉ちゃんデスヨ・・・」



イギリスにて おわり

<明日は何の日>


忍「そうだ、明日は30日ですね」

アリス「うん」

忍「それじゃ、おやすみなさい」

アリス「う、うん、おやすみ、シノ」

アリス(・・・30日って、なにかあったっけ?)

アリス(明日は平日だし、特になにもないような気がするけど・・・)

アリス(ヨーコ達と約束があるって覚えもないし)

アリス(でも、シノ記念日を覚えてなかったあのシノが意識するってことは)

アリス(もしかして、すっごく重要な日?)

アリス(30日・・・30日・・・)

アリス(全然思い出せない・・・)

翌朝

忍「おはようござます、アリス」

アリス「うん、おはよう・・・」

忍「なんだか元気がないですね」

忍「私のドレスコレクションを着て元気出しましょう!」

忍「それともイギリスの石を触りますか?」

アリス「それで元気出るのはシノだけだよ・・・」

アリス(今日が何の日か考えてたら眠れなかった・・・)

陽子「あ、やっと来た」

カレン「遅刻ギリギリになっちゃいマシタネ」

忍「おはようございます、アリスがちょっと元気なくて」

綾「そうなの?調子悪いようなら学校休んだ方が・・・」

アリス「大丈夫だよ」

アリス(・・・アヤとヨーコなら分かるかなぁ?)

アリス「ねえ、アヤ、ヨーコ、ちょっといい?」

陽子「へ?」

アリス「今日って何の日かわかる?」

綾「月曜日ね」

アリス「そういうことじゃなくて、その、記念日的な」

陽子「記念日?」

アリス「シノにいいことがあったりした日じゃない?」

綾「うーん、ちょっと心当たりないわね」

アリス「そっかー・・・」

放課後 帰り道

アリス(一日考えても分からなかったよ・・・)

忍「やっぱり、今日のアリスは元気がないです」

アリス「そ、そうかな・・・」

忍「本当に調子悪いわけじゃないんですか?」

忍「アリスが元気にちっちゃくないと、私も寂しいです」

アリス「うん、でも大丈夫だから、心配しないで?」

忍「そうですか・・・」

アリス「・・・・・・」

忍「?」

忍「アリスっ!」ギュム

アリス「シノ!?」

忍「はあ~、アリスの金髪はさらさらで本当に綺麗です」

アリス「ちょ、ちょっと!?」

アリス「ここ外だよ?なんでそんないきなり抱きついてきたりとか・・・」

忍「アリスが元気じゃないと私も元気が出ないのでアリスから元気を貰ってるんですよ」

アリス「あはは、なにそれ・・・」


忍「どんなイギリスコレクションより、アリスが一番いい匂いですから」

アリス「ねえ、シノ」

忍「何ですか?」

アリス「シノにとって、今日は大切な日なの?」

忍「はい、大切な日ですよ」

アリス(やっぱり・・・)

忍「アリスが来てから、毎日が大切な日です」

忍「大好きなアリスといれば、いつだって大切な日です」

アリス「シノぉ・・・」ウルッ

アリス「うん、私も、シノといれて毎日楽しいよ」

忍「アリス、もう泣き止みましたか?」

アリス「えっ?そんな、泣いてないよー」

忍「そうですか?」

アリス「・・・ねえ、今日、っていうか・・・9月30日は、シノにとって記念日なの?」

忍「はい?今日ですか?」

忍「ただの平日じゃないんですか?」



明日は何の日 おわり

<宿題>


陽子「ふぁー・・・」

陽子「眠い」

陽子「ちょっと早いけど、もう寝ようかな」

陽子「別に、特にやることもな・・・ん?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



アリス「ヨーコ、明日までの数学の宿題やった?」

陽子「へ?やってないよ?」

忍「やっぱり陽子ちゃんもやってなかったですか」

アリス「あれ、やらないと大変なんだよ?」

綾「明日の朝までに出せば赤点取り消してくれるのよ」

陽子「何ソレお得じゃん!」

綾「陽子、こないだの中間赤点だったんだから、ちゃんとやっておきなさいよ」

陽子「綾はもうやった?」

綾「私は赤点とってないし・・・」

陽子「でも結構量あるよな」

忍「そうなんですよ、私もアリスに手伝ってもらってようやく半分くらいできたんですけど」

アリス(ほとんど私がやったんだけどね・・・)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

陽子(私の成績を考えると、赤点取り消しの救済措置は何としても欲しいところ)

陽子(しかし、帰ってきてすぐ、条件反射で空太たちとゲームをやってしまった)

陽子(かくなるうえは・・・)

ヴヴヴヴヴ

綾「あら?電話・・・陽子から?」

綾(何の用かしら・・・ちょっと緊張するわ)///

綾(ふぅー、よし、3つ数えたら出るわよ)

陽子(・・・遅いな)

ピッ

綾「みょ、も、もしもし陽子?」

綾(噛んじゃった・・・)

陽子「綾」

綾「な、何?」

陽子「真剣な話があるんだ」

綾「えっ・・・?」ドキッ

陽子「・・・・・・宿題、手伝って」

小路宅

綾「ほんとに来たのね・・・」

陽子「だってもう綾しか頼れる人はいないんだよ!」

綾「な”っ」///

陽子「それじゃお邪魔しまーす」

綾「もっもう!勝手なんだから・・・」///

綾の部屋

綾「じゃ、じゃあ、何か飲み物とってくるわね」

陽子「おっサンキュー」

バタン

陽子(しっかしさすが綾だなー)

陽子(いきなり押しかけたのに部屋片付いてるし)

陽子(あ、これ数学のノートかな?)

○月×日

今日は帰り、陽子とふたりっきり。

ちょっと寄り道したら制服デートみたい!?と思ったけど、いつもみたいにまっすぐ帰ってきちゃった。

でも、今日も陽子は格好良かった☆いつか、本当のデートができたらいいな・・・


○月△日

夢に大好きな人がでてきたの♪

陽子は私の手を取ると、じっと私の目を見つめて、そして、熱い口づけを・・・!

正夢になるといいなぁ。


陽子「」

陽子(何これ、日記か?見ちゃマズいやつだったみたい・・・)

陽子(しかも何このキャラ・・・)

陽子(ていうか私のことしか書いてないんだけど)

陽子(もう1ページ・・・もう1ページだけ見てみようか・・・)


パタパタ

陽子「!」

ガチャ

陽子「あ、お帰り綾」

綾「?」

綾「今、何か隠した?」

陽子「う、ううん!?何も?」

綾「そう?ならいいんだけど・・・」

陽子(・・・っぶねー)

綾「紅茶で良かったかしら?」

陽子「あ、うん、ありがと」

陽子(でもあの日記に書いてあることが綾の本心なら)

陽子(綾は私のこと・・・?)

陽子(って、何で綾相手に意識してんだよ私!)

綾「じゃあ早速始めましょっか」

陽子「え、始めるって、あ、ああ、そうだな」

綾「?」

綾「・・・それで、ここを因数分解するじゃない?」

陽子(綾が髪下ろしてるのってなんか新鮮だな・・・)

綾「そうすると、xが2以下のとき・・・」

陽子(綾の髪、長くて綺麗だよな)

綾「陽子?」

陽子(こうしてみると綾って可愛い・・・)

綾「陽子!」

陽子「は、はいっ?」


綾「聞いてたかしら?」

陽子「・・・すみませんでした」

陽子(何だろ・・・綾のことが気になって集中できないや)

AM3:30

陽子「お、あと2ページだ」

陽子「絶対終わんないと思ったけど、やればできるもんだなー」

陽子「まあ、何もかも綾のおかげ、って・・・あ」

綾「」スゥースゥー

陽子「寝てる・・・」

パサッ

陽子「何も掛けずに寝たら風邪ひくぞ」

陽子「・・・ありがと、綾」ナデナデ

陽子(宿題見てくれたとか、そんなんじゃなくて)

陽子(私のこと、想っていてくれて・・・)

陽子「ふう、私も寝るかな」

陽子「・・・・・・」

陽子「おやすみ、綾」

チュ

陽子「次は綾が起きてる時に・・・な!」



宿題 おわり

<眠る前に>




忍「明日から私たち、2年生ですね」

アリス「そうだね、月日が経つのは早いよ」

忍「そうですねえ」

忍「アリスはまだこんなに小さいのに、もう2年生ですから」

アリス「それは関係ないよ!」

忍「それじゃ、おやすみなさい」

アリス「おやすみ、シノ」

アリス(日本に来てから1年近くが経った)

アリス(2年生になっても、シノと同じクラスになれたらいいな)

アリス(3年生になっても・・・は、気が早いか)

アリス(でも・・・)

アリス(じゃあ、そのあとは?)

アリス(シノはきっと日本の大学に行くよね)

アリス(私は・・・)

アリス(分からない)

アリス(シノと同じ大学に、っていうのは憧れるけど)

アリス(でもパパとママに帰ってこい、って言われちゃうかもしれない)

アリス(そしたらシノにも一緒にイギリスに来てもらえないかな、なんて・・・)

アリス(でも、)

アリス(いつかは別れなきゃならないときが来るのかな・・・)

アリス(ずっと一緒に、なんて言うのは簡単だけど)

アリス(それこそ結婚でもしないと、そうはいかないもんね)

アリス(シノと結婚、かあ・・・)

アリス(・・・えへへ)

アリス(絶対に一緒にいられるって言えるのは)

アリス(高校卒業までの、あと700日ちょっと)

アリス(700日・・・)

アリス(長いのか短いのか分かんないよ・・・)

アリス「卒業、したくないなぁ・・・」

忍「アリス、まだ起きてました?」

アリス「ごめんシノ、起こしちゃった?」

忍「いいえ、あ、もしかしてトイレですか?」

アリス「ううん、ちょっと寝付けなかっただけで」

アリス「・・・ねえ、シノ」

アリス「そっち、行っていいかな」

忍「はい♪」

忍「考え事ですか?」

アリス「うん・・・」

アリス「シノと、今は毎日こうやって一緒にいられるけど」

アリス「明日から、同じクラスかどうかも分からないし」

アリス「その後は・・・」

アリス「高校卒業したら、一緒にいられるか分からないし」

アリス「いつまで一緒にいられるかなんて分からないから・・・」

アリス「だから、寂しいの」

忍「私にはわかりますよ」

アリス「えっ?」

忍「いつまで一緒にいられるか・・・」

忍「私とアリスは、ずっと一緒です」

アリス「手、つないでいい?」

忍「いいですよ」ギュ

アリス「これから毎日、こうやって手つないで寝よう?」

忍「はい」

アリス「約束だからね?」

忍「はい」

アリス「絶対だよ?」

忍「はい」

忍「それで、毎日いっぱいお喋りしましょう」

アリス「うん」

忍「今日は私も、アリスが眠るまでずっと起きてますよ」

アリス「ねえ、シノ」

忍「何ですか?」

アリス「聞いてほしいことがあるんだ・・・」

アリス「大事な話だから、ちゃんと聞いてね?」

忍「はい」

アリス「私、大好きな人がいるんだ」

アリス「その人のことを考えるだけで、胸がドキドキして」

アリス「その人と一緒にいるだけですっごく幸せなの」

アリス「これって・・・やっぱり恋だよね?」

忍「そうかもしれません」

アリス「シノも、そういう風になったことある?」

忍「・・・はい、ありますよ」

忍「今だって・・・」

アリス「そっか・・・」

アリス(シノにも、好きな人が・・・)

忍「アリス、そんなに悲しそうな声を出さないでください」

忍「アリスが元気がないと、私だって悲しいです」

アリス「ごめんね、シノ」

忍「だって・・・・・・」

忍「だって、私は、アリスのことが大好きなんですから

アリス「し、シノ、それって・・・」

忍「私は、アリスのことが大好きです」

忍「アリスが、私のことを想ってくれているように」

アリス「え、何でそれを・・・」

忍「ちゃんと気づいてましたよ」

忍「アリスのことは何だってわかります」

アリス「・・・シノはずるいよ」

忍「えっ?」

アリス「私はシノといるとドキドキして何も考えられなくなっちゃうのに」

アリス「私のこと、何でもお見通しなんて、ずるいよ」

アリス「ずるいシノにはお仕置きだよ!」

忍「アリス、何を、って、あ・・・」


「んっ・・・・・・」

忍「アリス・・・」

アリス「・・・シノ、何回でも言うよ」

アリス「シノのことが大好き」

忍「私もですよ、アリス」

アリス「だから、今日は、朝までお喋りしよう?」

忍「はい♪」

アリス(今なら、この小さな幸せがいつまでも続くと信じられる)

アリス(一緒に手をつないで、未来に向かっていけると思えるんだ)

アリス(だから)

アリス(大切な話も、取り留めもない話も)

アリス(シノと、毎日、たくさんしていこう)

アリス(この、世界で一番大切な時間に)

アリス(眠る前に)



眠る前に おわり

これでこの連作短編SSは完結です。
読んでくださった方、ありがとうございました。

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