松本人志「観客は僕の映画をコメディと勘違いしているんじゃないか」 (50)

新作映画『R100』(10月5日)の公開がいよいよ迫った松本人志監督。
ORICON STYLEでは松本監督にインタビューを敢行、本作について松本は「一番監督らしいことはしたかなって思うんです」と、確かな手ごたえとともに
「(作品が)良いのか悪いのか自分でも分からなくなる」と、制作過程で生じた“迷い”も吐露した。

これまでに、『大日本人』(07年)、『しんぼる』(09年)、『さや侍』(11年)と、3本の長編映画を手掛けてきた松本監督。
今回の『R100』に関しては原点に立ち返るつもりで、もう一度“映画の構造”をぶち壊す作業に着手した。
「『さや侍』でストレスを感じていたワケでは無いんですけど、反動という部分は当然ありましたね。スタッフやキャストには「基本、笑いはないつもりで」って言ってたんですよ。
まぁ本がおかしいから、どこかで“こぼれる笑い”はあるのかもしれないですけど、作り手の姿勢としては変に笑いを取らないで行こうという考えでしたね」と振り返る。

確かに意図的な“笑い”は組み込んでいないかも知れないが、松本監督がこれまでに“笑い”というフィールド
(『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)や『頭頭(とうず)』、『HITOSI MATUMOTO VISUALBUM』シリーズなど)で提示してきた“狂気”は集大成的に組み込まれていると言っても過言ではない。
「笑いを閉じ込めるような作り方なんですけど、圧力釜みたいなもんでどこかで蒸気が漏れるんですよね。漏れたところで笑ってくれる人もいると思うんですけど、漏れたことに気付かない人もいるんでね(笑)」(松本)。

■僕の映画はコメディではない
映画監督としての松本人志は常にジレンマを感じている。観客は、ダウンタウン・松本人志が作った映画なのだから、どれだけ笑わせてくれるんだろう? という期待感を常に持っているからだ。
松本監督は言葉を選びながらこう語る。
「僕が一貫していっているのは、僕の映画はコメディや喜劇ではないんですよ。言い方は難しいんですけど、コメディ映画を撮るべき人とそうでない人……やっぱり役割があると思うんですよ。
例えば、三谷(幸喜)さんなんかは前に出る人ではないので、徹底的にコメディ映画を作っていい人だと思うんです。
でも、僕が徹底的にそこ(コメディ)を推し進めても上手くいかないと思う」。

観客が望むモノはコメディ映画なのか? 監督が目指す表現と乖離している可能性があれば当然、迷いも生じる。
「結局、監督やって、脚本も作って編集もやってとなると、よく分からなくなってくるんですよ、良いのか悪いのか(笑)」。
芸人として頂点を極めた男が垣間見せた、ほんの少しの“迷い”がそこにあった。

だが、お笑いという“表現方法”はテレビというフィールドで散々やってきたこと。映画という異なるフィールドで自己を表現するなら、あえて別の表現で勝負したい……これはある意味、北野武監督とも共通する考えだとも言えるだろう。
「4作目を撮り終えて、今回はホントに勉強になったんですよ。やっぱり、今までは自分が主役であったり、素人のおっちゃん使ってやったりして、
それはそれで良かったんですけど、今回は色々な役者さんを演出したりとか……メチャクチャなんですけど、一番監督らしいことはしたかなって思うんです。
(監督としての)自分の進むべき道が見えたんですよね」(松本)。

http://news.nicovideo.jp/watch/nw774579?news_ref=top_topics_soft

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