お嬢様「わ、私が一緒に帰ってあげてもよろしくてよ!?」(252)

はずれ

5めん

6スカ大佐だ!

>>6
さすがにこれは酷い

男「はい?」

嬢「だ、だから・・・私が一緒に帰ってあげてもよろしいって言っていますの!」

男「い、いやだから――」

嬢「それとも・・・わ、私じゃ不満ですの・・・?」

男「そういう訳じゃないけど・・・」

嬢「胸ですか!?こんな貧相な胸をしているから相手にされないですの!?」

嬢「身長も周りの子達より頭一つ小さいのも原因かしら!?」

男「あ、いや。そうじゃなくてもっと根本的な事だよ」

嬢「なんですの!」

男「君、誰?」

嬢「」

嬢「え、あ・・・ぅ?」

男「君みたいな子と知り合った記憶は無いんだけど」

嬢「・・・男?」

男「そもそも、君みたいに可愛い子と知り合ったら忘れないと思う」

嬢「・・・男」

男「それとも、何か新手の詐欺か何かですか?」

嬢「・・・・・・」

男「じゃあ、僕はこの辺d」

嬢「何すっとぼけてるのよアンタはああああああああああああ!!!!!!」

ゴシャッ!

男「ギャアアアアアアア!!?!?」

嬢「久々に会ってみたら陰気臭くなってるどころか友達の一人も居ない!おまけに私にも気付かないってどういう神経してんのオラアアア!!」

ゲシッゲシッ!

男「いぎゃぁあ!痛い痛い痛い!!いくらスニーカーでも踵で踏むのは痛いって!!」

メイド「ハイハイお嬢様落ち着いて下さい」

嬢「はぁ・・・はぁ・・・」←後ろからメイドに羽交い絞めにされている

メイド「まったく、相も変わらず男さんの前になるとすぐに感情的になされるんですから。そんな事では嫌われてしまいますよ?」

嬢「・・・私は悪くないわ。こいつが全ての元凶ですの」

メイド「かと言って気絶するまで手をや・・・足を休めないのはどうかと」

嬢「・・・・・・」チラッ

嬢「フ、フンッ。これで思い出したら万々歳ですわ」

メイド(感情的の癖に素直じゃないんだから・・・)

嬢「まあいいわ。黒川!」

黒川「はっ!」

ヒョイッスタスタスタ・・・バタン。ブロロロロロロ・・・

嬢「さ、メイド。私達も帰りましょう」

メイド「はい、畏まりました。・・・一応聞いておきますが、男さんはどちらに?」

嬢「あら、私の部屋に決まってるじゃない」

メイド(あらあらまあまあ)

男「う、うーん・・・っ!?どこだここ!!?」

嬢「あら、やっと起きたのね」

男「・・・君は、校門で会った女のk」

ヒュッ――カァンッ!!

嬢「まだ思い出さないのかしら?」

男「少なくとも・・・僕の知ってる人に銀ナイフを投げてくるような女の子はいません・・・」

嬢「そうね。昔はカッターだったかしら?」

男「カッター?ってまさかお前!」

嬢「やっと思い出したのね。そうよ私g」

男「やっぱ誰?」

キャリィ!カカカカカカカァン!

男「見事な投げナイフですね・・・てかどこから出したこれ!」

嬢「袖から」

嬢「・・・はぁ。ここまでしても思い出さないのね男は。怒りを通り越して呆れるわ」

男「・・・?」

メイド「はいはい。もう終わりにしてお茶でもどう?」

嬢「メイド・・・部屋に入る時くらいはノックをしなさいよ」

メイド「しましたわ。心の中で」

嬢「現実でしなさい!」

男(あれ・・・)

メイド「あら、あたしとお嬢様の仲じゃないですか」

嬢「人としての礼儀くらいは弁えなさいよ!」

男「まさか、メイドねーさん?」

メイド「ええ。お久しぶり男くん」

男「って事は・・・お前、嬢なのか!?」

嬢「おいこらなんで私だと気付かないのにメイドだと気付くのよ。いっぺんその五体をズタズタに引き裂いてやろうか?」

男「ひぃ!?」

メイド「ほらほら脅かさないの。怖がってるでしょ?」

お嬢「こら!さり気なく男を抱き締めるな!!胸を押し付けるな!!」

男(正に天国と地獄の空間だなこれ・・・)

男「さて・・・なんで嬢は日本に居るんだ?イギリスの研究機関か何かで勉強するとか言ってなかったか?」

お嬢「ああそれh――」

メイド「お嬢様が『男と一緒に過ごすの!こんな面白くもなんともない所で青春を満喫できるかぁ!!』と館主様に直訴したのよ」

お嬢「」

男「また無茶を・・・って、え?」

お嬢「忘れろ。今すぐ忘れろ即座に忘れろとにかく忘れろそして二度と思い出すな」

男「わかった!!わかったからそのナイフ仕舞ってお願いだから!!!」

お嬢「よろしい。・・・まあ、そういう事よ。あんな所に居ても何も楽しくないもの」

男(気になるけど、深く追求したらナイフが飛んでくるんだろうなぁ・・・)

メイド「男くんは紅茶と紅いお茶とハーブの香りがするお茶のどれがいいかしら?」

男「それって全部同じじゃないですか?」

メイド「細かい事を気にすると女の子に嫌われるわよ?」

お嬢「だれが女の『子』よ・・・もう二十歳になったくs――」

メイド「お嬢様。頭が汚い花火になるのと御自身の身体がミクロになるまで分裂するのとどちらがお好みですか?」

お嬢「ごめんなさい」

メイド「まあ、男くんがあたし達の事を思い出したから良しとしましょう」

男「」

お嬢「・・・そういう事は手に持った獲物を仕舞ってから言いなさい」

メイド「メイド服に刀は似合いませんか?」

お嬢「そういう問題じゃないの!!・・・はぁ、黒川」

黒川「はっ!」

メイド「あら?あらららららら?」

ガチャ・・・パタン

お嬢「さて、これで邪魔は居なくなったわね」

男(メイドさんに日本刀・・・美しい・・・!)

お嬢「・・・男?」

男「え、ああ何?」

お嬢「いえ・・・なんでもないわ・・・」

男「?」

お嬢「色々とゴタゴタしちゃったけど、改めて『ただいま』」

男「ん、おかえり嬢」

お嬢「・・・ねえ、本当に私の事思い出したの?」

男「ああもちろん。カッターやボールペンを投げただけでコンクリートの壁に突き刺してた事とかメイドねーさんと一緒にかくれんぼした事とか思い出したよ」

お嬢「・・・前半はなんか怨念めいた発言に聞こえた気がするけど、確かにメイドと一緒にかくれんぼはよくやったわね」

男「・・・毎回毎回メイドさんが後ろから肩に手を置いてきたよね」

お嬢「ええ・・・あれはかくれんぼというより魔王から隠れて逃げる村人って感覚だったわ・・・」

男「時々、メイドねーさんが人間か否か疑ったよ」

お嬢「それで・・・あの事も思い出したの?」

男「あの事?」

お嬢「そう。あの日あの場所での事」

男(・・・なんだろう?)

お嬢(まあ・・・憶えていないわよね・・・)

お嬢「いいわ。忘れて。それより、明日から私も男の学校に通う事になったからよろしくね?」

お嬢(・・・・・・・・・・・・)

お嬢「そろそろ暗くなる頃ね」

男「ああ、じゃあ僕は帰るよ」

お嬢「・・・泊まってもよろしいのよ?」

男「っ・・・。少し考えていいか?」

お嬢「ええ、どうぞ」

五秒後・・・

男「帰るわ」

お嬢「私のトキメキを返してくださる!?期待しちゃったじゃないの!!」

男「家に一つ下の妹が居るんだ。一人残して泊まるなんてできないよ」

お嬢「・・・妹?一人?」

男「義理の妹だよ。父さんが再婚したんだ。それで、結婚旅行と称して世界一周の旅に出かけちゃった」

お嬢「親としてどうなのかしらそれ・・・」

男「まあ、いいと思うよ。記念とかそういうものってやっぱり嬉しいんじゃないのかな」

お嬢「男ってそういうのを忘れそうよね」

男「・・・それは言わないでくれると嬉しい」

お嬢「黒川」

黒川「はっ!」

お嬢「それじゃあ男、また明日ね」

男「うん、じゃあね」

・・・・・・・・・・・・

男「黒川さん、ありがとう御座いました」

黒川「・・・・・・」

男「それでは、気をつけて帰ってくださいね」

黒川「・・・・・・」

パタン・・・ブロロロロロロロロ・・・

男「さて、ちょっと遅くなったけど妹怒ってないかな・・・」

男「ただいまー」

妹「おかえり。にーさん♪」

男「うおっと、いきなり抱きつかれると倒れるって何度言ったら分かるんだ?」

妹「えへへー」

妹「兄さん、今日は遅かったですね?」

男「ちょっと拉致されてた」

妹「はい?」

男「ちょっと拉致されてた」

妹「・・・詳しくお願いしても良いですか?」

男「そうだなー・・・。この辺りにお金持ちのお嬢様が居る家を知ってる?」

妹「ええ、ちょっと高台の方にあるお屋敷のですよね」

男「そこのお嬢様の嬢って子に拉致されてた」

妹「出かけてきます。三時間もしたら帰ってきますので」

男「はい落ち着いて!手に持った小振りのナイフを仕舞って!!」

妹「止めないで下さい兄さん。ちょっと解体してくるだけですよ」

男「何を解体するのか想像したくないけどとにかく落ち着こう!!」

妹「・・・・・・わかりました」

男(どうして僕の周りの女性は刃物を危ない方面で使おうとするんだろう・・・)

夕食後・・・

男「食器も片付け終わったし、お風呂入ってくるよ」

妹「じゃあ、私も一緒に入って良いですか?」

男(・・・・・・)

男「いいよ」

妹「ほ、本当ですか!!?さ、早速『用意』してきます!!」

男「ごめん待って・・・本気にされるとは思わなかったんだ・・・てか『用意』って何する気!?」

妹「?湯船に浮かべるアヒルさんですけど」

妹「それに、兄さんが私と一緒にお風呂の時間を共にする程の勇気があるとは思ってなかったので、嘘だって思っていましたよ」

男「・・・・・・。もし、本当だったらどうするつもりだったの?」

妹「その時はそのまま流されるだけです。だって、兄さんと一緒に入りたかったというのは本当の事ですから」

男「えっと・・・ごめん」

妹「謝るくらいなら一緒に入ってくれる方が嬉しいです」

男「それは勘弁してくれ!いくら妹でももう十五歳だろ!?」

妹「くすくす。ええ、それも分かってて言ってますよ」

男「心臓に悪い・・・変な汗掻いたよ」

妹「それでは兄さん、お先にお風呂どうぞ」

男「ああ、ありがとう妹」

妹「気が向いたらアヒルさんを持って乱入しますね」

男「やれるものなr・・・いや、やらなくていい。頼むからやらないでくれ」

妹「そこまで拒絶されると、嫌われてるようにすら感じますね・・・」

男「僕だって男だよ・・・。裸の女の子を直視できないって・・・」

妹「でも、『妹』ですよ?家族の交流という事にしてしまえば何も問題ありません」

男「残念だけど、僕はそんなに器用じゃないの!」

妹「くすくす。ええ、分かってますよ」

男「まったく・・・意地悪な妹を持ったものだ」

妹「いじめてるんじゃないんですよ。いぢめてるんです」

男「違いが分からないんだけど・・・」

妹「『いじめる』は悪意を持っています。それに対して『いぢめる』は好意を持っていないとできませんよ」

男「好意って・・・」

妹「・・・兄さんは本当に朴念仁ですね」

妹「この際なのではっきり言っておきますが、私は兄さんの事が好きですよ」

男「僕だってそれは同じだよ」

妹「いいえ、兄さんの『好き』と私の『好き』は違います。兄さんのはlikeでしょうけど、私はloveの方なんです」

妹「あと数ヶ月は兄さんと二人で居られますが、その後はお父さんもお母さんも帰ってきています。私にとって、これは数少ない、大きなチャンスなんです」

男「・・・妹?」

妹「・・・妄言はここまでです。兄さん、湯が冷めちゃいますので早く入っちゃって下さい」

妹「あと、私に対する返事は要りません。お気遣い無く」

男「でも・・・」

妹「これ以上話を長引かせるのであれば、実力行使で一緒に入らせて頂きますよ?」

男「ぐ・・・いってきます・・・」

妹「はい、いってらっしゃい」

妹(やっぱりダメですねー・・・)

てめぇ俺の素晴らしいはずれスレで何してやがる

たて逃げではない

趣味だ!

男の人なんて、皆同じだと思っていました。
どれだけ記憶を掘り起こしても出てくるのは実の父親の暴力行為とクラスメイトの殴り合いの喧嘩。
父親の暴力はお母さんだけに留まらず、私にも被害が及んだ。その傷痕が、背中にある大きな切り傷。
普段は隠れてくれる箇所にあるのにも関わらず、いつの間にかクラスの皆にバレてていつの間にか変な噂が一人歩きしていた。
ヤクザと関わっているとか、不良と殺り合ったとか、根も葉もない噂。
それを聞いて避ける皆。
興味本位や心の弱い所を突いてこようとする下心丸見えの男子が大勢居た。
『可愛い顔をしている』
その言葉を何度聞いた事か。
どの男子もその言葉を口にした。爽やかな笑顔を表面に出して、化けの皮を剥げば卑しい本心を曝け出す人達。
だから、お母さんが再婚するって聞いた時は耳を疑った。そして、向こうには私の一つ年上の男の人が居ると知った時はもう諦めた。
『もうどうなってもいい』
その気持ちが私の心を凍り付かせ、他人と距離を置くような敬語を使い出した。いや、使う事で心を凍らせ続けれた。
なのに、会って話してみて驚いた。
捻じ曲がった私の心でも感じれる屈託の無い笑顔とか、ちょっといじわるな物言いをすると馬鹿正直に反応する姿。
少しずつ、自分の中の氷が溶けていく。
そんな自分が嫌になった。だから自分から壊しにかかった。背中の傷を見せた。
嘘で塗り固められた優しさを露わにするか、素直に避けるか、はたまた何かを勘違いするのか。そのどれかだと思った。
けど、兄さんは泣いてた。そして布団を私に被せて傷を隠した。それが私には理解できなかった。今までされた事が無い行動だった。
「痛かったよな。怖かったよな」
そう言いながらボロボロとだらしなく泣く姿を見て、私は壊れてしまったのだろう。それを『優しさ』と感じた。
他の人にはどう感じるのか分からない。ただ、私にとっては『優しさ』と思えた。
その後の事は良く憶えていない。
気付けば兄さんだけを見ていた。
気付けば笑顔になっていた。
気付けば恋をしていた。
気付けば男の人が怖くなくなっていた。
全部兄さんのおかげとは言えないけど、その要因を作ってくれたのは間違いなく兄さんだ。
だからだろう。男子からの初々しい気持ちを全て断っているのは。
だからだろう。兄さんの傍が、一番安心できるのは。

よぅし!
じゃあこれだけは言わせてくれ!











産業で

>>62

妹が
兄を思う
気持ち

男「妹ー、お風呂から上がったぁ・・・って・・・寝てる」

男「・・・タオルケットでも掛けとくか」

妹「ん・・・兄さん?」

男「ああ、起こしちゃった?」

妹「いいえ、むしろ起こしてくれてありがとうです。少し、懐かしい夢を見た気がします」

男「ほうほう、どんな?」

妹「・・・内緒ですっ」

男「ケチ。まあ、可愛い寝顔が見れたから良しとしようか」

妹「可愛い・・・?」

男「うん」

妹(兄さんに言われるのは、物凄く嬉しいですね)

妹「えへ♪」

男「じゃあ、お風呂いってらっしゃい」

妹「はい!アヒルさんといってきます!」

妹(ありがとうです・・・兄さん・・・)

嬢「男、学校に行きますわよ」

男「それはいいんだけど・・・」

嬢「何か問題でも?」

妹(ぽかーん)

男「な ん で リ ム ジ ン ?」

嬢「・・・どこかおかしかったかしら?」

男「俗世間では自転車か徒歩で登校すると思います」

嬢「なんて面倒臭い・・・」

男「それが世の中なの」

嬢「・・・ダメですの?」

男「上目遣いでうるうるしてもダメです」

嬢「男の頑固者!良いじゃないですの!」

メイド「あらあら、何か騒がしいわね」

嬢(ビクゥン!)

男「メイドねーさん、おはようございます」

メイド「おはようございます男くん妹さん。今日も良い天気ですね」

妹「えーっと・・・おはようございます・・・?」

メイド「はい、おはようございます。そして初めまして。あたしはお嬢様の専属メイドのメイドです」

妹「あ、初めまして。妹と申し・・・あれ?」

メイド「失礼ながら男くんの身の回りの事はお嬢様に関係致しますので調べさせて頂きました。けれど、悪いようにはしませんのでご安心下さい」

妹「は、はぁ・・・」

メイド「それで、お嬢様」

嬢「ひゃいっ!!」

メイド「ここは日本です。郷に入るならば郷に従いましょう?」

嬢(コクコクコクコク!)

男(ああ・・・自分が悪いって思ってるからやっぱりメイドねーさんには頭が上がらないんだなぁ・・・)

メイド「はい、よろしいです。では男くん、妹さん、お嬢様を頼みますね?」

男「了解しました」

妹(・・・?あの人・・・もしかして・・・)

ぽんぽんいてぇ
ちょい疲れた
ちょっと休もう
落ちるなら落ちるぅううううう!
しぶとく生きるならいきりゅぅぅうううぅ!!

早く落とせよ
次のはずれスレ立てにくいだろがよ

>>70
うひぃあ!!!?
ぃ・・・ぃい、いいいいいい1さぁぁぁああぁあん!!!?!
ご、ごぉごごめんなさぁいいいいいいい!!!!!

>>71は女で、妹が71の分身?

>>73女かどうかは秘密。分身かどうかも秘密!!

妹(じーっ・・・)

メイド(?)

メイド「妹さん、何かしら?」

妹「あ、いえ・・・」

男「妹ー、行くぞー」

妹「あ、わかりましたー」

メイド「いってらっしゃいませ皆様」

・・・・・・

嬢「あなたが妹さんですね。初めまして、嬢と申しますわ」

妹「あ、ご丁寧にどうも。妹です」

嬢・妹「・・・・・・・・・・・・」

男「?」

嬢・妹「・・・他人の気がしない」

男「そうかな?性格は大違いだと思うけど」

嬢「それってどういう意味でs――!?」

ヒュッ!ギャリィッ!

妹「兄さんに何をするつもりでした?」

嬢「くっ!?」

嬢(ナイフを出す前に止められた・・・!?この子何者よ!!)

男「い、妹?」

妹「次は無いですよ」

嬢「・・・わかったわ」

男(だからなんでこう・・・刃物を危なく使うかな・・・)

妹(・・・この人も?どうして皆が皆・・・)

嬢「・・・では、学校に行きましょうか?」

妹・男「はーい」

昼休憩時間・・・

ザワザワゲラゲラゴハーンキャッキャッウフフギシギシギャァァァアグエルゥギョリャリィウ

嬢「さあおとk」

妹「兄さん、一緒にご飯を食べませんか?」

嬢・妹「・・・・・・・・・・・・」

嬢「戦りますの?」

妹「ええ、殺りましょう」

ザワザ・・・シーン・・・

嬢「ルールはどうなさいますの?」

ヒソヒソ

妹「周りの目が冷たくなってきましたので、兄さんに決めて貰うというのはどうでしょうか?」

嬢「いいですわね。合理的かつ平和的かつ一番納得できる方法ですわ」

嬢「では――」

妹「兄さん――」

嬢・妹「どっちですkって居ない!?どこに行った(のですの)んですか!!?」

メイド「ルンルン♪」

男「あのー・・・」

メイド「はい、何でしょうか男さん?」

男「なんでメイドねーさんが学校に?というかこの雑木林にこんなテーブルがあったんですか」

メイド「ええ。創立した時からあるそうですよ」

男「・・・なぜその事を?」

メイド「女の子の秘密です」

男「は、はあ・・・」

メイド(それに、できればあの二人に渡したくないですからねー)

メイド「フフッ・・・。じゃあ、お昼にしましょうか。お弁当はあたしの手作りですよ」

男「あ、ありがとうございます!」

メイド「実は、館主様からの命令で男性に手料理って禁止されてるんですよね」

男「・・・はっ!?じゃ、じゃあダメなんじゃないですかこれ!?」

メイド「条件付ならいいんですよ。男さん♪」

男(条件・・・?)

男「条件って何ですか?」

メイド「くす・・・」

男「えーと・・・メイドねーさ――むぐっ」

メイド「秘密です。鈍感な男さんには自分で気付いて貰います」

男「ムグムグ・・・?」

ヒョイッモクモク

男(同じ箸・・・それって間接キスじゃ・・・)

メイド「モクモク」

男(気にしてないみたいだし・・・僕って男性として認識されてないのかなぁ・・・)

メイド(えへへ♪)

男「ふぅー・・・ご馳走様でした」

メイド「お粗末さまでした。美味しかったですか?」

男「ええとっても!僕や妹は料理が作れませんから、こういうのはすごく好きですよ」

メイド「あら。妹さんは今朝会った時は作れそうなイメージでしたのに、できないんですか?」

男「以前目玉焼きを作ろうとしたら、僕はイカ墨みたいになっちゃって、妹は紫色の煙になったんです・・・」

メイド(それ、本当に鶏の卵を使ってるのかしら・・・?)

男「なので、今日は本当にありがとうございます」

メイド「いえいえ私が勝手にした事ですもの。あ――なら、一つお願いしてもいいですか?」

男「はい、なんですか?」

メイド「膝枕をさせて下さい」

男「え、そんな事でいいんですか?」

メイド「はい。どうぞ来てください」ポムポム

男「なら・・・はい」

メイド「ふふっ・・・」

男(・・・思った以上に太腿って柔らかいんだなぁ。それに気持ち良い・・・このまま寝てしまいそうだ・・・。なんか・・・良い匂・・・い・・・)

なでなで

男「スー・・・スー・・・」

メイド「ホント、可愛いですね男くん・・・」

なでなで・・・

メイド「私の傍――どころか、私に触れられているのによく眠れますよね」

なで・・・

メイド「・・・男くん以外誰も、私の傍では眠った事なんて無いのに」

・・・・・・

メイド「・・・『私』?」

くすくす

メイド「ほーんと、不思議な人ですよね男くんって」

男「うにゅ・・・」

メイド「どうしてこうも壊されちゃいますかねー・・・」

『No.I-ce』
昔はそう呼ばれていた。
造られた存在の私に親なんて居る訳がなく、また親の代わりになる人も居なかった。
一番古い記憶で支配をしているのは鮮やかに散っていく紅い紅い血。それが何処かの町の路地裏の一角に広がっている光景。
手に持っていたのは一振りの刀。名前は、たぶん無い。
そして、私にも名前は無い。『No.I-ce』という振り分け番号で呼ばれていた。
Homunculus Research Laboratoriesという名称の非公式研究機関。世界を大混乱に陥れようと集まった狂人達の玩具箱。
そこの薄汚い部屋のカプセルの中で私は生まれたらしい。
限りなく成功に近い失敗。見た目が十にも満たさない体躯が原因だった。
理論値によると身体能力は常人の五~八倍。思考能力は二~九倍。他にも色々あったが、私はどれも良い値を出していたようだ。
だから育成した。教育した。叩き込んだ。知識を与えた。武器を与えた。
命令されれば必ず遂行する人形。人を殺すのも壊すのも躊躇う事なんて無かった。それが『イケナイ事』だなんて考えた事すら無かった。
最初の実験台は一般人。そして次が町のギャング。次の目標は小さな会社の社長。次に警視総監。マフィアの幹部。次々とミッションを成功に収めた。
そして、研究機関は足を掴まれ壊滅した。壊滅したのは館主様達。研究員とサンプルは全員殺され、まだ年端もいかない私だけが生き残った。
そこから世間の言う『普通の教育』をして下さった。『メイド』という名前も下さった。
死の概念。善悪。道徳。慈愛。精神面の色々な授業を受けた。
人形だった私が、人間に成れたのは館主様のおかげだ。
そして、お嬢様の身の回りのお世話を任された。
何でもこなせた。ほぼ完璧にお嬢様をお世話できた。
けれど、たった一つだけ出来なかった事がある。私の傍では、お嬢様は――いや、館主様も含めて全員が眠る事が出来なかった。
恐らく、私が血に染まっているから本能的に睡眠を拒否しているのだろう。原因が分からなかったのでそれで納得する事にした。
ある日、お嬢様と男くんが私を遊びに誘ってきた。勿論、私はそれに応えた。
そこから狂ったのだろう。遊びつかれた二人は木陰で休息を取った。そして、あろう事か男くんは私の隣で眠りだした。
これには流石に驚いた。一番心を許しているであろうお嬢様ですら私の傍で眠る事なんて出来ないのに、数回会った程度の少年はそれを成した。
嬉しいと感じた。けれど、何か違っていた。身体に何も異常なんて無いのに、心臓と肋骨の中間から痛みが走り出した。
最初はそれが何なのかが理解できなかったけれど、次第に気付く。
『これが、恋心なんだ』
そこからは一気に壊れた。
『人形』から『人間』に成れた私は、恋する『少女』へと変わった。
たとえお嬢様であっても男くんを誰かに取られるなんて、嫌だもの。

メイド「懐かしい・・・」

あの時の初々しい気持ちは未だに変わっていない。いや、むしろさらにのめり込んでしまっている。

メイド「私をこんなにしてしまった責任は、ちゃんと取ってもらうんですからね?」

男「んー・・・んぅ?」

メイド「くす・・・」

男「くー・・・くー・・・」

なでなで

メイド「・・・・・・」

男「くー・・・」

なでり・・・なでり・・・

メイド「・・・」

男「ー・・・くー・・・」

・・・・・・

メイド「・・・」

メイド「・・・すぅ・・・すぅ・・・」

その頃二人は・・・

嬢「妹さん、見つかりましたの!?」

妹「いいえ、こっちも見つかりません!」

嬢「まったく・・・男ったらどこへ行ったのですの・・・。黒川も見つけれないって言っていますし・・・」

MOB1「はあ?この学校にメイドが居た?」

MOB2「マジだって!この学校の男子と一緒に雑木林の方に歩いていってたんだって!」

MOB1「お前なぁ・・・妄想とエロゲと現実を混合するなよ・・・」

MOB2「本っ当っだっちゅーっのっ!!」

MOB1「ハイハイヨカッタデスネー」

MOB2「てめぇ!」

妹「聞きましたか・・・嬢先輩」クスクス

嬢「ええ・・・勿論」ウフフフ

MOBERS(何あの二人怖い)

雑木林・・・

嬢「ああもう草が鬱陶しいですわね・・・焼き払いましょうか」

妹「・・・やめておいた方がいいと思いますよ」

嬢「あらどうしてですの?焼き払えば格段に歩きやすくなりますわ」

妹「つまり、嬢先輩は兄さんを業火で焼くのも厭わないんですね?」

嬢「さあ妹さん!早く行きますわよ!徒歩で!!」

妹(・・・?扱い易いのか否かよく分からない人ですね。てっきり『そんな心配は要りませんわ!なぜなら~』と否定してくるかと思っていました)

ピタッ

嬢「む」

妹「ほぇ?」

嬢「・・・メイドを見つけましたわ。男と一緒に」

妹「・・・!」

嬢「ああなんて事ですの!メイドが男に膝枕をしているだなんて!!しかも二人とも寝ていますわ!!あんな甘い空気――ぶち壊してさしあげます!!!」

妹「・・・ダメ」

嬢「どうしてですの!?悔しくないのですかあなたは!!」

妹「兄さんが悲しむ姿を見たくないんです」

嬢「・・・・・・?どういう事ですの?」

妹「今二人を起こしたら、兄さんは間違いなく不満に思います。私は兄さんが嫌がる事をしたくないです」

嬢「む・・・」

妹「私はここで帰らせて頂きます。嬢先輩がどうするかは勝手です。けど、もし兄さんが嫌悪感を示す行為を働いたら――」

嬢「――――っ!?」

妹「私はあなたをいじめます」

嬢「・・・・・・はい?」

妹「いじめます」

嬢「・・・いじめ?」

妹「はい」

嬢「・・・・・・・・・・・・」

妹「いじめを馬鹿にしてはいけませんよ。悪意のあるいじめは時として対象を自殺に追いやります」

嬢「・・・は、はぁ」

妹「信じていませんね?」

嬢「そりゃぁ・・・実感も何も沸きませんもの・・・」

妹「そうですか・・・では」

妹「まず四肢を砕いて身体の自由を奪った後お腹を掻っ捌き内臓という内蔵の隅々まで焼けた鉄の塊を押し込み、苦痛にもがき苦しむ口を五寸釘で縫いつけ電流を流します。そして爪を縦に割って片方ずつ指の肉と共に引き千切りつつ露わになった骨をペンチで強引に抜いて――」

嬢「ごめんなさい身体のあちこちが嫌な意味で疼いてきましたからもうやめて下さらないかしら・・・」

妹「はい。では、私にいじめられないよう利口にしていて下さいね?」

嬢「ぅー・・・」

妹「ほら、帰りましょう嬢先輩?」

嬢「・・・分かりましたわ」

妹(やっぱり、私じゃ無理なんでしょうね・・・)

妹(兄さんが誰かの傍で寝るなんて、とてもじゃないですけど想像できません)

嬢(そういえば、なんでメイドはこの学校にきたのかしら?)

妹(なぜか兄さんは就寝する際は一人じゃないと眠れない。なのに、なぜ?)

嬢(あの状況下じゃあ私に何か用事があって来たって訳じゃなさそうだし・・・まさか男が目当て?)

妹(エーテルとかの睡眠薬を使ったのならあんなに幸せそうな顔をしませんし・・・)

嬢(まさかねー。メイドは常識をちゃんと弁えてる人だもの。そんな事はありえないわ)

妹(例え兄さんが自ら眠ったとしても、それの原因が分かりませんし・・・)

嬢(でも、恋は人を狂わせるとか言われてるし、有り得なくもないのかしら・・・。メイドって男の事好きみたいだし)

妹(まさか兄さんはメイドさんが好きなのでしょうか?もしそうなら納得もいきます・・・ね・・・)

嬢(まあ、誰であろうと男を私から奪おうとする輩は全力で叩き潰してやるんだから!)

妹(その時は、きっぱり諦めましょうかね・・・。私は義理とはいえ、『妹』なのですから・・・)

嬢(これはウカウカしていられないわね。一刻も早く男が好きな女の子にならなきゃ。・・・性格は無理だけどね)

妹(今夜辺りにでも聞いてみましょう。それで今後の行動も自重しなければならない部分もありますし)



とぉとこくぉくぉこくぉろで、みみみぃんんなは誰がす好き、なのかなぁあぁぁあ!?!!?
ここ今後のってんててんかいにぃぁ左右されななんあなあいけどどどど!!き、きいてみたいなあっぁぁぁぁああああああ!!!!

お前のPCにはみさくらコンバータでもインスコしてあんのかよ

>>139
原文:
ところで、みんなはだれがすきなのかな?
こんごのてんかいにはさゆうされないんだけどきいてみたいなあ


みさくら語コンバータ変換:
ところれ、みんにゃはられがちゅきにゃのぉおおかにゃ?
こんごのぉおおてんかいぃにはしゃゆうしゃれにゃいぃんらけどきいぃてみたいぃにゃぁあああ あぉ


私変換:
とぉとこくぉくぉこくぉろで、みみみぃんんなは誰がす好き、なのかなぁあぁぁあ!?!!?
ここ今後のってんててんかいにぃぁ左右されななんあなあいけどどどど!!き、きいてみたいなあっぁぁぁぁああああああ!!!!

その夜・・・

嬢「黒川」

黒川「はっ!」

嬢「ご苦労。ふむふむ・・・好きな食べ物は卵焼きと唐揚げと肉じゃがね・・・。好きな女性のタイプは・・・あら、細かく書いてr」

ビキィッ!

嬢「なんですって・・・?」

文面:
腰ぐらいまでの長い黒髪で、優しくて落ち着いた女性。
好みの年齢は無いように思われるが、自身の前後五歳くらいまでが強い好意を表す傾向。
胸の大きさは普通~大きめが好み。
身長は自身(165cm)と同じくらい。

嬢スペック:
腰くらいまでの長い金髪で、感情的になりやすい活発な少女。
同年齢。
バストは限りなくBに近いA。
身長145cm

嬢「ふ、ふふふふふふふふふふふ・・・・・・」

ダンッ!!

嬢(これって・・・まるっきりメイドの事じゃないの・・・)

妹「兄さん」

男「んー、何?」

妹「兄さんってメイドさんの事が好きなんですか?」

男「・・・いきなりなんで?」

妹「今日、お昼でメイドさんと一緒に眠っているのを見かけました。誰かが隣に居ると眠れない兄さんが、どうして眠れていたのかが私にはわからないんです」

男「あー・・・たしかに、なんで寝れたんだろうな。特に寝不足って訳でもないのに」

妹「私の勝手な推測ですけれど、兄さんはメイドさんの事が好きなんじゃないかと思っています」

男「それは無いよ。・・・たぶん」

妹「たぶんですか?」

男「正直、僕は今誰かを恋愛的な意味で好きになっていないんだ。確かに妹も嬢もメイドさんも好きなんだけど、それは人として好きなだけで、恋愛方面で考えた事も今が初めてだよ」

妹「・・・では、単刀直入に聞きます。もしかしたら私も恋愛対象になる可能性もあるんですね?」

男「ちょっと複雑な気持ちだけど・・・うん、もしかしたらなるかもしれない」

妹「そうですか・・・♪」

男「うわっと?だから、いきなり抱きつくなって」

妹「えへへ・・・。そう言いつつ抱き返してくれる兄さんが私は大好きです♪」

妹「ねえ兄さん。どうして私を拒否しないんですか」

妹「ねえ兄さん、どうして私を拒絶しないんですか?」

男「なんで拒絶する必要があるのかな」

妹「だって、私は妹ですよ?恋愛感情で好きだって言われてるのにいいんですか?」

男「それは僕が決めることじゃないよ。誰が誰を好きになるかなんて自由だ」

妹「兄さん・・・」

男「それに、僕達は厳密には兄妹じゃないから生物学的?にも問題は無いはずだよ」

妹「・・・・・・・・・・・・」

妹「本気で奪っちゃうかもしれませんよ?」

男「妹の言葉を借りると『その時はその時で流される』だよ」

妹「ばか兄さん・・・」

嬢「・・・メイド」

メイド「はい、何でしょうか」

嬢「あなた、男の事をどう思ってるの?」

メイド「?好きですけれど」

嬢「どのくらい?」

メイド「どのくらいでしょうかね・・・あたしにも分かりません」

嬢「・・・男、あなたの傍で眠っていたわよね」

メイド「はい。昔と変わらず健やかに眠っておられました」

嬢「ねえメイド・・・」

メイド「男さんを諦めろという命令は聞きませんよ?」

嬢「ぅ・・・」

メイド「どうしても欲しいものは奪い取る覚悟で手に入れるようにって教えましたよね?」

嬢「だって・・・あなたに叶う訳がないじゃない!!」

メイド「どうしてそんな事が言えるのでしょうか」

嬢「私があなたより優れているところなんて無いじゃない!!」

メイド「・・・・・・・・・・・・」

嬢「あなたみたいに料理も出来ない!裁縫も出来ない!頭も回らない!素直にすらなれない!それだけじゃないわ!!男の考える理想像も!あんなのメイドがそのまま当てはま――」

ヒュッ――ガズッ!

嬢「ひっ・・・!」

メイド「言いたい事はそれだけでしょうか、お嬢様?」

嬢「っ・・・!そ、そうよ。あれだけよ!」

メイド「そうですか。では、ここからはあたしの言い分です」

メイド「料理や裁縫が出来るから人に好かれるのでしょうか?頭が回るから全ての事をうまく運べるのでしょうか?素直になれば何事も良い方向に進むのでしょうか?」

嬢「そ、そうじゃない!事実メイドがそうでしょ!?」

メイド「あくまで可能性が高くなるだけです。何でもこなせたら他人なんて必要ないんですよ?邪魔なだけです」

メイド「それに、お嬢様には有ってあたしには無いものもあります。わかりますか?」

嬢「そんなの・・・悪い方向のしかないわよ・・・」

メイド「たしかに悪い意味でも捉えれますが、私が欲しかったモノなんです」

メイド「それは、情熱です」

嬢「情熱・・・?」

メイド「そうです。情熱は時として人を焼き殺してしまいますが、うまくコントロールできればこの上なく美しいモノになります」

メイド「あたしは・・・周りからは冷静な人と思われているでしょう。あたし自身そう思っています。ですけど、本当はお嬢様みたいな元気溢れる行動をしてみたかったんです」

嬢「こんなの・・・そんなに良いモノじゃないわ・・・」

メイド「それはお嬢様がそう思っているだけです。他人は他人でまた別の価値観があります。少なくとも、私は好きな人の手を引いて振り回せる勇気と行動力と決断力が欲しいです」

嬢「私だってメイドみたいな冷静な心が欲しいわよ!!」

メイド「そう言うと思っていました。ですが、結局あたし達は無いものねだりをしているだけなんです」

メイド「一度固まってしまった性格を自分で改変するのは非常に難しい事です。だから他人を羨むんです。そして、自分のその性格を磨こうとしない。ただの愚者です」

嬢「・・・・・・・・・・・・」

メイド「あたしは自分を優柔不断だと思っています。本当に大事な物事を決める際、いつも迷ってしまうんです。しかし、お嬢様は自身の考えがいつも固まっていて、迷う事なく行動できています」

メイド「その情熱・・・あたしは持ち得ていません」

嬢「で、でも!男の考える理想像はどう足掻いても私じゃなくてメイドじゃない!!」

メイド「そんな小さな事で劣等感を味わっていたんですか?」

嬢「小さな事・・・っ!?」

メイド「ええ、小さな事です」

嬢「ふざけないで!!」

メイド「ふざけていません。では、お嬢様の考える男性の理想像はなんですか?」

嬢「それとこれと今何の関係が――・・・・・・あ・・・れ・・・?」

メイド「身長が高くてかっこよくて何でも出来る完璧な、少し天然で可愛い所もある男性。お世辞を言っても男さんとは掛け離れています。なのに、どうしてお嬢様は男さんがすきなのですか?」

嬢「それは・・・。・・・・・・・・・・・・。」

メイド「『好きだから』その一言が全てじゃないでしょうか?」

嬢「・・・・・・・・・・・・うん」

メイド「理想は理想。現実は現実です。誰が誰を好きになるかなんてわかりません」

嬢「・・・そうね」

メイド「分かって頂けましたか?」

嬢「ええ・・・。ありがとうメイド」

メイド「礼には及びません。あたしが勝手にした事です故」

嬢「ふふっ・・・まったくあなたらしいわ。・・・・・・それより、この壁に突き刺さった刀をどうにかしてくれるかしら?」

メイド「あらあら、忘れていました・・・」

昼の休憩時間雑木林にて・・・

男「・・・で、どうしてこうなったの?」

妹(ぎゅ~)

嬢「妹さん離れなさい!それをしていいのは私だけですわ!!」

メイド「モテモテですねぇ男くん」

男「助けてくれませんかメイドねーさん・・・」

メイド「助けたいのは山々ですけれど、血を見る事になるわよ?」

男「やっぱりいいです・・・」

妹(兄さんあったかぁい・・・)

嬢「いい加減離れなさぁぁぁあああいい!!!!」

メイド(いいなぁ・・・)

男(一夜の間に何があったんだろう・・・)

本日の出来事・・・


嬢「男、放課後は街で共に時間を過ごすのはどうかしら?拒否権は半分しかありませんわ」

嬢「このまま・・・私の家で泊まっていってもよろしくてよ?」


妹「兄さん、一緒にお風呂に入りませんか?」

妹「兄さん・・・一緒に寝てください・・・」


男「一体何があったんだろう・・・メイドねーさんはいつも通りだったけど、二人が前よりも積極的になったような・・・」

男「成り行きで嬢と買い物・・・宿泊の誘い・・・。妹の入浴は勘弁してもらったけど、隣で眠ってるし・・・」

男(こんな僕のどこが良いんだろう・・・?)

昔の記憶がほとんど無い事に疑問を抱いたのはいつの頃だっただろう。
中学の時代はある。それ以前の記憶が問題だ。
なぜか、紙芝居みたいにほんの一部しか思い出せない。
誰と会っていたのかも。
誰が居たのかも。
何をしていたのかも。
何があったのかも。
何も思い出せない。そこだけポッカリと抜けてしまっている感じだ。
強く頭をぶつけたのか、それとも何かあったのか。はたまた何か他の原因でもあったのか。
僕には何も分からない。
それに拍車を掛けるように好いてくれる嬢と妹とメイドねーさん。
一体僕の何が良いのか、どう考えても分からない。
特別何か良い所がある訳でもない。顔も平均的。性格も暗い方。交友関係も無いに等しい。
なのに嬢は無条件で好いてくる。妹は慕い、甘えてきてくれる。メイドねーさんは僕の前にだけ『私』という一人称を使って自分を曝け出してくれる。
何がそうやって駆り立ててるのか。何も無い僕に一体何があるのか。
僕は、どうしたいのか。
それすら分からなかった。
眠れない夜は続く。眠ったと言っても意識はずっとある。
まともに眠ったのはいつの事だったか。最近ではメイドねーさんの膝上だけの気がする。
一人でも眠れなくなってきたのに眠れたのはなぜだろうか。
何も分からない。
それが、僕の心を支配している。

ブゥーン!ブゥーン!

男(あれ、こんな時間に電話?誰からだろう・・・)

ごそごそ

男(知らない番号・・・本当に誰?)

ブゥーン!ブゥーン!

男(悪戯電話ならすぐに切れるだろうし・・・)

ブゥーン!ブゥーン!

男(・・・間違い電話?ちょっと出てみるか。妹を起こさないように部屋の外に出よう)

コソコソ・・・・・・ピッ

男「はいもしもし?」

メイド「夜遅くにこんばんわ、男くん」

男「メ、メイドねーさん!?」

メイド「はい。そうですよー」

男「こんな時間にどうしたんですか?」

ああ・・・ぁぁぁぁあああぁぁぁああ!!!!!やゃぁぁやややゃゃややっぱりぃぃぃぃいいいぃぃいいID変わってるよおおぉぉおおぉぉぉぉおお!!!!
さ、ささささきっっきききっききルゥウウタァアアのでで電源んぐぁハズ・・・外れたせいだあぁぁぁぁああぁぁあぁっぁぁあ!!!!!
ままままたた外れたとっとときの為に、むむ、むかかししむかしのぉトルィをぉをを付けるよよよおおおおぉぉおぉぉおおおぉ!!!!!!!!!!

メイド「んー・・・愛する男くんの声が聞きたくなりまして♪」

男「・・・切りますよ?」

メイド「男くんは女の子からの電話を即座に切れますか?」

男「う・・・できないです・・・」

メイド「くすくす・・・はい、イタズラ心はここまでにしておきます」

メイド「それで本題ですが、えっとですね・・・」

男「?はい」

メイド「お恥ずかしい事なのですけれど・・・直感と言いますかね?電話をした方が良いと思ったんです」

男「・・・それはまたなぜ?」

メイド「な、なんとなくなんです!それ以外無いんですよ!気付いたら、電話番号を教えていないのにいきなり掛けちゃってました・・・」

男「・・・」

メイド「それで男さん。何かありました?なんかこう・・・苦痛?みたいな事とか・・・」

男「――ええ・・・ちょっと・・・」

・・・・・・・・・・・・

ハジメテノオトとかが好きなの?

>>191
おいまてSS中断して言わせて貰うがなぜそれを知っている。

メイド「そうですか・・・」

男「何なんでしょうかね、これって・・・」

メイド「・・・男くん」

男「はい」

メイド「できれば、私は思い出して欲しくないです」

男「・・・え?」

メイド「思い出すと、男くんは壊れてしまいます。なので、できれば思い出さないで下さい」

男「・・・それはどういう意味ですか?」

メイド「そのままの意味ですが・・・どうしても知りたいですか?」

男「・・・その前に、どうして思い出さない方がいいのかの詳しい説明をお願いします」

メイド「・・・・・・世の中には知らない方が良い事もあるんです。例えば口飲みしたペットボトルを一日置いておくと何十億ものの細菌が発生してしまうとか」

男「え・・・」

メイド「他にもカビキラーと言われている市販のカビ落としですが、あれはカビの色を抜いているだけで――」

男「ごめんなさいもうやめて下さい・・・」

メイド「はい。素直なのは良い事ですよ」

メイド「そうそうこれは聞きたい事なんですが、私の膝枕で寝ていたのは嘘ですか?本当ですか?」

男「あ・・・えっと・・・本当で・・・す・・・」

メイド「くす・・・可愛らしいですね」

男「か、からかうのはやめて下さい!」

メイド「いいえ、からかってなんていませんよ。本心です」

メイド「それと、これは提案なのですが・・・お昼の休憩時間の際、あの雑木林に来てくださったら膝をお貸ししますよ?」

男「・・・・・・か、考えさせて頂きます」

メイド「はい♪」

・・・・・・・・・・・・

メイド「それでは、おやすみなさい男くん」

男「はい。メイドねーさんもおやすみなさい」

メイド「くす・・・ありがとうです。そうそうそれと――」

メイド「『愛する男くん』というのは、本当の事ですよ」

プツッ――ツーツーツー・・・

男「・・・ぇえ?」

お昼の休憩時間・・・

嬢「男!」

妹「兄さん!」

ザワザシーン・・・

嬢・妹「いない・・・」

・・・・・・・・・・・・

タタタタタタタタッ

嬢「ほぼ間違いなくメイドの所ですわ!」

妹「ええ!急ぎましょう!」

嬢「居た!――ああっ!?また膝枕なんかして!!?」

妹「!」

嬢「ふ・・・ふふふ・・・いいですわぁ・・・ならば私の家に勤めているドクター伊藤改心の作品『キャッ!あなたの光で何も見えないの!!ぽちち落とし閃光爆弾』で粉々に粉砕――」

妹「いじめますよ?」

嬢「ビクッ」

妹「ニコニコ」

嬢「ぅ・・・わかりましたわ・・・」

妹「兄さんは不眠症なんです。だから、ああやって眠っていられるのでしたら――」

嬢「待ってください。不眠症って今言いました?」

妹「ええ・・・私の事を調べれたように、嬢先輩も知っていたと思いますが」

嬢「・・・そう」

嬢(あの報告書の中には不眠症なんて書かれていなかったわ・・・調査員が調べれなかった?いいえ、そんなヘマなんてしないはず・・・ならどうして?)

妹「・・・今後、お昼休みは兄さんと一緒に過ごすのはやめといた方が良いかもしれませんね」

嬢「なっ・・・どうしてですの!?」

妹「兄さんの貴重な睡眠時間を削りたくないからです」

嬢「む・・・確かにそうですけれど・・・」

妹「ならば答えは出ている筈です」

嬢「仕方が・・・ないですわね・・・」

妹「そうです・・・仕方がないんです・・・」

妹(昨日の夜、兄さんは寝た振りをしていました・・・つまり、メイドさんの近くじゃないと兄さんは眠れないんです・・・)

保守時間目安表 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                  
02:00-04:00 90分以内       
04:00-09:00 180分以内       
09:00-16:00 80分以内        
16:00-19:00 60分以内      
19:00-00:00 30分以内      

保守時間の目安 (平日用) 
00:00-02:00 60分以内    
02:00-04:00 120分以内    
04:00-09:00 210分以内    
09:00-16:00 120分以内     
16:00-19:00 60分以内    
19:00-00:00 30分以内

妹「それにしても、さっきのなんとか落とし爆弾って何なんですか?」

嬢「キャッ!あなたの光で何も見えないの!!ぽちち落とし閃光爆弾の事ですの?」

妹「・・・・・・それで、それってなんですか?」

嬢「所謂ただの閃光爆弾ですわ」

妹「なぜそんな面倒な名前にしてるんですか!?」

嬢「カッコイイじゃないですの!」

妹「・・・え?」

嬢「だから、カッコイイじゃないですの!!」

妹「・・・もういいです」

嬢「むー・・・」

妹「あ、面白い事を考えたんですけど」

嬢「あらなんですの?」

妹「ゴニョゴニョ」

嬢「――ニヤァ」

嬢・妹・メイド「ホシュリーナ」

男「えっ 何が?」

ぽぽぽんんぽんんいだいたたいいぃいいぃたいよよょよよょおおぉおおぉおおぉお!!
ちょちょちっとぉお花畑ぇにい、逝くぞおぉぉお!!
ちょ・・・ひぃいひひぃぃぃい!?!い、痛いよおおぉおおおおぉおぉぉぉお!?!
落ちるぅぅぅうう?!私のぃぃいしきがぉおちるぅぅぅううぅうぅぅう!?!!?
ととととにかかっくぉおぉ花畑ににににい、逝く・・・逝くのおおおおぉぉおおぉ!!!!
し、しししんじゃうううっぅううのおおおお、ぉぉぉぉおおおぉおお!!!!!!!!

カーン――!カーン――!

男(さて、授業も終わったし帰るか)

ザワザワザワザワ・・・・・・

男(・・・あれ、嬢と妹が来ない?珍しいな)

校門・・・

妹「兄さーん!」

嬢「男ー!」

男「あ、二人とも遅かったね?」

嬢「少々用事があったんですわ」

男「用事?」

妹「はい。女の子の秘密です」

男(嫌な予感しかしないのはなぜだろう・・・?)

妹「兄さん。本日は私達で嬢先輩のお家に泊まるのはどうでしょうか?」

男「え、勝手にそんな事――」

嬢「いいえ、構いませんわ。むしろ私が妹さんに持ちかけた話なんですよ」

妹「ダメですか、兄さん?」

嬢(ぢー)

男「ダメって訳じゃあないけど・・・」

妹「なら決まりですね」

嬢「ふふっ。楽しみですわ」

男(・・・・・・・・・・・・?)

妹「どうしましたか兄さん?」

男「あ、いや何でもないよ」

嬢「変な男ですわね」

妹「兄さんが変なのはいつもの事です」

嬢「まあ、それもそうですわね」

男(か、軽く傷つくぞそれ!?)

メイド「お帰りなさいませお嬢様」

嬢「ご苦労様メイド」

メイド「・・・・・・あら?」

嬢「・・・どうかしたかしら?」

メイド「・・・・・・いえ、お嬢様が男くん以外の方を御招待するのが珍しかったもので」

嬢「ふふっ。ちょっとした事がありましてね」

男・妹「お邪魔します」

メイド「いえいえ、どうぞお上がりになって下さい。――皆様、お部屋へご案内しますわ」

嬢部屋・・・

メイド「では、お茶を持って参りますので、どうぞ御寛ぎ下さいませ」

パタン

メイド「くすくす・・・楽しい事をしていらっしゃいますね」

妹「あ、少しお手洗いに行ってきます」

嬢「はい、どうぞいってらっしゃい」

パタン

嬢「・・・男」

男「ん?」

嬢「男は妹さんの事、どう思っています?」

男「大事な妹だよ」

嬢「あら、それだけ?」

男「どういう意味?」

嬢「女の子としてどう見ているかですわ」

男「・・・・・・そりゃあ可愛いさ。料理とかは毒物を作るような腕前だけど、物凄く優しいし僕を信頼してくれる。掛け替えのない存在だよ。率直に言えば好きかな?」

嬢「くす・・・」

ガチャ

妹「ただいまです」

嬢「おかえりなさい。じゃあ、私も催してきますわ」

妹「兄さん」

男「な、なに?」

妹「嬢先輩の事についてなのですけど、構いません?」

男(本当に三人ともどうしたんだろ・・・)

妹「正直、どのように思っていますか?」

男(やっぱりそうなるか・・・)

男「昔からの幼馴染かな。女の子としてならばちょっと我が道を行き過ぎてる素直じゃない子。だけど、そういう所も可愛らしさの一つだと僕は思うかな」

男「それで、好きか否かって言われたら好きって答えれる」

妹「!」

妹「ふふっそうですか」

男「?なんだか嬉しそうだね?」

妹「きっと気のせいですよ」

ガチャ

嬢「ただいまですわ」

男・妹「おかえりー」

メイド「お茶が入りましたよー」

男「うわっ!一体いつ入って来たんですか!?」

メイド「くすくす、秘密です」

メイド「ああ、お嬢様と妹さん、ちょっとついてきて貰えますか?」

嬢・妹「?」

ガチャ・・・パタン・・・

メイド「そろそろお二人とも戻られてはどうですか?」

嬢・妹「ビクッ」

妹?「いつから気付いていましたの?」

メイド「あら最初からよ。髪の長さも少し違いますし、何より喋り方が違うじゃない」

嬢?「何者ですかあなたは・・・」

メイド「くすくす・・・ただのお嬢様専属メイドです」

メイド「それより、男くんが待っていますので早く着替えて行きましょう?」

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