川島瑞樹「ローカルマドンナ」 (28)



モバマスのお姉さん達が主役のSSです。

前回

高垣楓「くせもの」




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夏美「おっはよーございまーす!」ガチャ

ちひろ「おはようございます夏美さん。今日も元気ですね」

夏美「元気と笑顔が一番ですから♪ あれ?ちひろさん、それ履歴書ですか?」ジロ

ちひろ「はい。明日からウチの事務所所属になる人なんですけど、でも彼女の履歴書に
    ちょっと問題がありまして……」ウーン




夏美「問題?どれどれ…… あ—————っ!! 」ギョッ

ちひろ「ど、どうしたんですか!? もしかしてこの人の事を知ってるんですか?」ビクッ



夏美「『世界のヘレン』じゃないですか!? どうして日本に!? てかアイドルに!? 」





—夜・都内居酒屋—



夏美「CA時代に空港でトラブって、入管に連行されていく彼女を見た事がありました。
   何でも入国の手続きが適当だったとかで。聞けば彼女、日本以外でもあちこちで
   似たようなトラブルを起こしていた常習犯らしいんですよ」

美優「密入国とか、怖い人なんでしょうか……」ビクビク




夏美「いえ、そういう子じゃないんですけど。ただ彼女全く悪びれない様子で、やたら
   態度がデカくて入管職員も手を焼いたそうです。それで『世界のヘレン』という
   通り名がついたんですよ」

瑞樹「3の倍数だけアホになるのかしら?クールみたいだし試してみましょう」ワクワク

夏美「瑞樹さんって妙な所で関西人ですよね。私も京都人ですけど……」




美優「変な事して怒らせちゃったら国際問題になりますよ……」オドオド

瑞樹「大丈夫よ、私に任せなさいっ!世界だかナベ○ツだか知らないけど、日本は私の
   テリトリーよ。元地方局のマドンナの実力見せてあげるわっ!」フフン♪

夏美(川島さんってパッションでも通用しそうな人よね。クールにしては熱いというか、
   アクティブで早苗さんに通じる所があるかも……)

瑞樹「さぁっ!仕事の話はこれくらいにして飲みましょう!夏美ちゃんも美優ちゃんも
   今日は帰さないわよ!」カンパイ!

美優「大丈夫かなあ……」





***



— 翌日・事務所にて —



ヘレン「ヘレンよ。知ってると思うけど。歌でもダンスでも、私は世界レベルじゃないと
    意味がないと思ってる。そして私にはその素質がある。見たいならいつでも証明
    してあげるわ」フフン



夏美「相変わらずねあんたは。元CAアイドルの相馬夏美よ。ここでは空港みたいな
   ふてぶてしい態度は許さないからね」ギロ




瑞樹「瑞樹よ。海外には旅行でしか行った事がないからよく分からないけど、国内じゃ
   敵なしよ。特に関西は私の支配下だから。疑うなら証明してあげるから、しっかり
   その目で確かめなさい」フフン

夏美「瑞樹さんも変な張り合い方しなくていいですよ。何ですか関西は支配下って。
   ローカルすぎて悲しくなりますよ……」




P「では自己紹介も終わったし、仕事の話に入りましょうか。今回は瑞樹さんと夏美さんの
 グルメリポートに、ヘレンさんが見学について行くという形になります」

夏美「ロケ地が関西なのね。だから私と瑞樹さんが選ばれたと」

瑞樹「前の職場の上司にお願いして、プロデューサーとずっと調整していたの。ちょうど
   イカナゴが美味しい季節だし、夏美ちゃんもどうかなって思って♪」ニコ

夏美「私の地元じゃあまり食べませんけどね。でも関西でお仕事ってだけでテンションが
   上がります。今からワクワクしますよ♪」ワクワク




P「それは良かったです。では詳しいスケジュールはこちらの用紙に……」



ヘレン「ちょっと待って。どうして私がリポーターの見学なんてしなくちゃいけないの?」



瑞樹「うん?」

夏美「ちょ、あんた……!! 」




ヘレン「だってそうじゃない?私は歌とダンスをする為に日本に来たのに、どうして全く
    関係のないグルメリポートに行く必要があるのよ。これは重大な契約違反よ」

夏美「黙って聞いていれば……!! 」P「まあまあ抑えて下さい夏美さん。ヘレンさんの
   疑問もごもっともです。ご説明しましょう」

ヘレン「いいわ、聞かせて頂戴」




P「はい。今回のお仕事はヘレンさんに日本を知って戴こうという趣旨も含まれています。
  名目は仕事の見学と勉強ですが、観光のつもりで楽しんで下さい。当事務所は貴女と
  末永くお仕事をしたいと思っていますので、まずは日本を好きになって下さい」

ヘレン「わざわざ嫌いな国に来ないわよ。日本に来たのも初めてじゃないし。でも納得
    したから、無駄だと思うけどやってあげる。じゃあ瑞樹、夏美、後はよろしく。
    私はレッスンを見学してくるわ」スクッ





 スタスタスタ……バタン



夏美「今すぐ国外追放したいんですけど!とにかく日本からゲラウトヒア!」バンッ!!

P「まあまあ落ち着いて下さい。いや〜、外国の人ははっきり意見を言われますね」ニコニコ

夏美「余裕ですね!? 本当に大丈夫ですか!? 私はこの仕事、早くも失敗の二文字が頭の中に
   浮かんでいるんですけど!? 」クワッ




瑞樹「大丈夫大丈夫。町工場の頑固職人や偏屈な編集局長に比べたら、外国人の小娘
   なんて可愛いものよ」ケラケラ

P「瑞樹さんなら俺も社長も安心してお願い出来ます。ヘレンさんの事頼みますね。
  向こうのテレビ局にもよろしくお伝え下さい」ペコリ



夏美(そういえば私、瑞樹さんの事あまり知らないのよね。元アナウンサーってのは
   知ってるけど。でもプロデューサーも美優さん達も絶大な信頼を寄せてるから、
   きっと只者じゃないんだろうな—————)





***



—レッスン場・初級コース—



 <ハイサイショカライキマスヨ—、ラーラーラーラー…… <ラーラーラーラー……



ヘレン(ふ〜ん、小さい子も結構いるのね。良い環境だわ……)ジー




ベテトレ「ん?見かけない顔だな。新人か?」スタスタ

ヘレン「ヘレンよ。よろしくね。今日は見学に来たの」

ベテトレ「ベテラントレーナーだ。上級コースを担当している。今君が見ていのは
     初級コースだが、私のレッスンも見学していくか?」




ヘレン「あら、あなたがそうなの。私上級コースを受ける予定なのよ。マスターコースを
    希望したんだけど、上級コースのクリアが条件だって言われちゃって」

ベテトレ「ほう、なかなか豪気だな。だが上級コースも楽ではないぞ。新人だからと
     言って甘くしないから覚悟しとけよ」ニヤリ

ヘレン「それは楽しみね。それじゃあ早速案内して……」






 ガチャ ぱたぱたぱた…… ぎゅっ



ヘレン「ん?何か腰の辺りやわらかいものが……」チラ



雪美「たすけて……」ウルウル




ルキトレ「こ〜ら雪美ちゃん、しっかりレッスンしなくちゃダメよ?」ガチャ

雪美「いや……」フルフル

ベテトレ「ほう、珍しいな。人見知りの雪美がPと美優以外に抱きつくなんて」




ルキトレ「すみません、すぐに連れて帰りますから……」ペコペコ

雪美「いや……」ジワ

ヘレン「今日はもういいんじゃない?さっきから見てたけど、この子調子悪そうだし。
    これ以上無理させても逆効果でしょ」

ルキトレ「え…… そうなの雪美ちゃん?」ギョッ

雪美「のど…… ちょっといたい……」ケホッ




ベテトレ「ほう、見ていただけで気付いたとは大したものだな。おい、お前はもっとよく
     注意しろ。何も言わない雪美も悪いが、お前が気付かないでどうする?」ギロ

ルキトレ「すみません…… ごめんね雪美ちゃん、じゃあ今日は終わりにしよっか。でも
     次はちゃんと言ってね?私に言い辛かったら他の子に言ってもいいから」

雪美 コクコク

ヘレン「一件落着ね。じゃあ私はこれで……」





 ぎゅっ



ヘレン「……離してくれないかしら?」

雪美 フルフル

ベテトレ「はっはっはっ、すっかり懐かれてしまったなようだな。そうなると雪美は
     なかなか離れないぞ。いつも美優も苦労してるんだ」ニヤニヤ

ルキトレ「すみません、少しの間でいいのでその子の様子見ててもらえないでしょうか?
     後でのど薬をお渡ししますから……」ペコペコ




ヘレン「別に構わないけど…… でも遊んであげないわよ?」

ベテトレ「それでいいさ。その子は気まぐれな猫みたいなものだ。必要以上に干渉される
     のも好きじゃないみたいだし、適当に頭でも撫でてやれ」

ヘレン「猫って…… まあいいわ。おいで雪美、こっちらしいわよ」スタスタ

雪美「♪」テクテク





—レッスン場・上級コース—



ベテトレ「はいステップ、ステップ、ステップアンドターン!」パンパン



真奈美「おい、誰だあの怪しい外国人は。そして何故雪美が懐いているんだ?」キュッ、キュッ

留美「知らないわよ。でも雪美を盗られた気がして軽くショックだわ。私が猫じゃらしを
   振っても見向きもしなかったのに……」タン、タタン

千秋「アナタは何をしているのよ。あの子は猫っぽいけど本物の猫じゃないでしょ。
   でも私に全く近づかない雪美が、他人にくっついてるなんて珍しいわね」トン、トン




ベテトレ「そこ!余計な事しゃべってないでレッスンに集中しろ!」パンパン

ヘレン「平和ねこの国は。ここならあの子達も……」ボソッ

雪美「……ヘレン?」ピク

ヘレン「雪美も頑張りなさい。あなたも世界を目指すのよ」ナデナデ

雪美「うん……?」ゴロゴロ




急用が入ったので少し抜けます。再開は未定ですが一応今日中に終わりますので
どうかご容赦を。では。


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