上条「幽霊?」(234)

上条「科学の最先端、学園都市にねぇ」

御坂妹「元はこの街で噂される七不思議の一つでしたが最近になって風紀委員や警備員に目撃情報が入っています、とミサカは報告します」

上条「どうせ能力者のイタズラだろ?」

御坂妹「それを確かめる為にあなたに手伝ってほしいのです、とミサカはここまで依頼にやって来ました」

上条「俺に?」

御坂妹「正確に言うとあなたの右手の力をお借りしたいのです、とミサカは視線を送ります」

上条「幻想殺しで触れてみて消えれば能力、それ以外なら科学現象って訳か」

御坂妹「ええ。もし消えた後も現れるなら警備員が動員されるようです、とミサカは予定を教えます」

上条「わざわざそこまで動くなんて大げさすぎやしないか?別に害があるんじゃないだろ」

御坂妹「実際に被害が起きているんです、とミサカは手に持ったノートパソコンを開きます」

上条「これは……都市伝説のサイトか」

御坂妹「幽霊はもうネットでは相当の知名度になっています、とミサカは掲示板をクリック」

上条「へぇ、その話で持ちきりだ。見たって奴も結構いるし」

御坂妹「何割が本当か分かりませんがね……おっとコレです、とミサカは画面を指差します」

上条「ん?見たところ他の話とは変わらないけど」

御坂妹「この人が見たという場所は、事故が発生した道路と同じなんです、とミサカは手持ちの書類を渡します」

上条「……他にも目撃場所と事故現場が一致してるのか」

御坂妹「物が落下、マンホールがズレたりと小さい原因が重なり大きく発展する事があるようです」

上条「確かにこんなたくさんあると悪質だな」

御坂妹「何かあるように思いませんか、とミサカは問い掛けます」

上条「ああ……まるで幽霊が引き起こしているみたいだ」

御坂妹「上位個体はこのままだと一般人が危険だと判断しました、とミサカは真相解明の調査に至った理由を説明します」

上条「……わかった。俺でよければ手伝うよ」

御坂妹「ありがとうございます、とミサカはペコリと頭を下げます。それでは本日の夜に再びこちらへ来ます」

御坂妹「あ、それと連れが数人居ますがお気になさらず、とミサカはあらかじめ言っておきます」

上条「別に大丈夫だけど……そいつらってやっぱり正式な部隊?俺みたいな素人が混じってもいいの?」

御坂妹「あなたは勘違いをされているようですが、今回は妹達の私的な用事ですよ?とミサカは間違いを訂正します」

上条「……?でも風紀委員や警備員の情報とか知ってたよな」

御坂妹「電撃使いには様々な手段があります。その中に非合法なものが含まれている、かも、とミサカはハッキングを示唆しました」

上条「オイオイ」

御坂妹「便利な能力を持ったものです、フフフ……とミサカはブラックな一面を見せます」

上条「……順調に個性を伸ばしているみたいで上条さんは安心しましたよ」

御坂妹「おや。ブラックなミサカが宜しいのなら、本日を機に検体番号10961号は黒ミサカということで」

上条「軽っ!?そんな単純に決めちゃうの!?」

御坂妹「きっかけとは案外ちょっとしたものから生まれるのですよ、とミサカは薄ら笑いを浮かべます」

上条「いやいやそんな楽にキャラが立ったら姫神は苦労しないぞ!?」

御坂妹「残念ですが彼女は……」

上条「巫女サン……」

御坂妹「あ、黒がいるなら白もいますね。ピュアなミサカは10461号です、とミサカは暗黒微笑」

上条「勝手にいいのか?」

御坂妹「まぁ私、10032号には関係ありませんから」

上条「とにかく、どうして御坂妹達がわざわざそこまでして幽霊調査なんかするんだ?機関に任せておけばいいのに」

御坂妹「……ハァ」

上条「……?」

御坂妹「先ほど申した通りこれは上位個体の意向です、とミサカはあのちびっこを思い出して溜息をつきました」

上条「め、珍しく疲れてるっぽいけど何かあった?」

御坂妹「上司の事情に振り回されるのも結構大変なのです……」



――――――――

一方通行「幽霊だァ?」

打ち止め「そう!さっき向こうの公園で見たのちょっと来て見て!ってミサカはミサカは腕を掴んで引きずる!」

一方通行「科学の街で何言ってンだ。見間違いだ、見間違い」

打ち止め「絶対いたもん人が向こうで浮かんでたもん!ってミサカはミサカは引きずられてるー!」

一方通行「わかったわかった、打ち止めはお化けと遭遇してしまったンだよなァ…………起きたか?」

打ち止め「夢の話をしてるんじゃないの!」

一方通行「立ったまま睡眠なンて器用なこった」

打ち止め「もー何で信じてくれないの!?ってミサカはミサカは憤慨してみたり!」

一方通行「さっさと行こォぜ」

打ち止め「絶対いたもん!ってミサカはミサカは全力疾走!」

一方通行「あっテメこら」

打ち止め「確かこの辺りに……ってきゃあ!」

一方通行「ッ!?打ち止め!!」

打ち止め「いたたた……ってミサカはミサカは高さ一メートルの落とし穴にハマりながら救助を求めてみたり……」

一方通行「ったく、何やってンだ」

打ち止め「タスケテー、ってミサカはミサカは手をブンブン」

一方通行「オラ掴まれ」

打ち止め「よいしょ……ありがとう、ってミサカはミサカはお礼を言ってみる」

一方通行「……怪我はねェか」

打ち止め「うん。ちょっと擦り剥いちゃったけど大丈夫、ってミサカは服についた泥を払ってみたり」

一方通行「チッ」

打ち止め「心配かけてごめんね?」

一方通行「心配なンざしてねェ。つうか最近のガキは砂場でここまで張り切っちゃうのかよ」

打ち止め「まさかこんな所にあるとは思わなかった、ってミサカはミサカは辺りをキョロキョロ」

一方通行「平気なら早く帰るぞ」

打ち止め「でも幽霊……」

一方通行「まだ言ってンのかァ?馬鹿みてェにはしゃぐからこォなンだよ」

打ち止め「むっ。だって見たもん!」

一方通行「それで結果がコイツだ。くだらねぇ、幽霊なンかいるわけねェだろ」

打ち止め「ぬぬ……」

一方通行「家に救急箱があるからそれで手当てを」

打ち止め「……実際に見れば信じるよね」

一方通行「あァ?」

打ち止め「自分の目で確かめればあなただって信じざるをえないよね!ってミサカはミサカは指を突き付けてみる!」

一方通行「ハァ?」

打ち止め「幽霊を探しだして、あなたにみせてあげる!」

一方通行「……ヘェ」

打ち止め「そのでっかちな頭に思い知らせてやるんだから!ってミサカはミサカは宣言してみたり!」

一方通行「だからよォ、仮に幽霊だか何だかがいるとしてどォやって見つけンだ?」

打ち止め「それは……」

一方通行「言ってみろよ。ガキの小細工なんてたかがしれてるけどなァ!」

打ち止め「……えっと……その……」

一方通行「あン?聞こえませンけどォ?いつからそンなに引っ込み思案にィ?」

打ち止め「………………」

一方通行「ヒャハハハハハハハハハハハハ!」

打ち止め「…………その幻想をぶっ殺す!」

一方通行「ハハハハハ?」

打ち止め「ミサカネットワーク発動ぉぉぉぉぉ!!」

一方通行「うおォ!!?」

打ち止め「世界中に散らばる妹達よ!ミサカに力を分けてくれ!幽霊を見つける方法とこの人に一泡吹かせる知恵を!」

一方通行「面白ェ……やれるモンならやってみろ!一万人ぽっちでこの俺に勝てるかなァ!?」

打ち止め「最強の称号を剥ぎ取って、ギャフンと言わせてやるんだから!ってミサカはミサカは宣戦布告!!」

一方通行「くかきくくけこかきけきこかくきけくこ」

打ち止め「ミサミサミサカミサミサミサミサカミサ」

御坂妹(本当のことなんて言えませんね……情けなくて)

上条「御坂妹?」

御坂妹「何でもありません。それではそろそろ失礼します」

上条「おう、また後でな」

御坂妹「(ガチャッ)……ん?」

「あなたはこの家の方ですか?」

御坂妹「いえ、ミサカは違いますが……」

「客人がいるならばこの家の主人は在宅中ですね」

御坂妹「はあ……ってあの?」

上条「さーて、用事の前に洗濯でも済ませましょうかねっと」

御坂妹「――いきなり――何を――ッ」

上条「……何だ?この叫びは。御坂妹ー、まだ帰ってなかったの?」

御坂妹「むー!もがもが」

上条「御坂妹!?」

「第一の解答ですが、この女性の名前が『みさかいもうと』なら帰ってはいない事になります」

上条「……み、ミーシャ!!?」

サーシャ「第二の解答ですが、私の名前はミーシャではなくサーシャ=クロイツェフです」

上条「ああそうか……ってかどうしてここに!?」

サーシャ「疑問に答える前に第一の質問ですが、あなたが上条当麻ですか?」

上条「そうだけど」

サーシャ「初めまして、私はロシア成教の『殲滅白書』です」

上条「あ、初めまして」

サーシャ「第三の解答ですが、本日は仕事の協力を依頼しに来ました」

上条「あー、悪いんだけどインデックスは出掛けてるんだ」

サーシャ「第四の解答ですが、私が用のあるのはあなたです」

上条「……俺?あいつじゃなくて?」

サーシャ「はい」

サーシャ「補足ですが、私は彼女の知識よりも、学園都市で多少容易に動ける立場が欲しかったので」

上条「それで事情を理解してくれそうで、住人である俺の所に来たと。で?どんな仕事?」

サーシャ「第五の解答ですが、現在ネットで話題になっている学園都市の幽霊に関する物です」

上条「……海外にまで広まってたのね」

サーシャ「第六の解答ですが、『殲滅白書』は『人であらざる者』への対処を行っています。出来るなら科学サイドで表沙汰にする事なく終わらせたいのです」

上条「幽霊ってオカルトだし、そっちが出ない筈がない訳か」

サーシャ「ええ。まぁ簡潔に言うと幽霊退治ですね」

上条「じゃあ俺は何をすればいい?」

サーシャ「……?」

サーシャ「第二の質問ですが、あなたは何を言っているのですか?」

上条「え?だってお前、俺に協力をしろって……」

サーシャ「第七の解答ですが、こちらはプロです。私が欲しいのは立場のみ、あなたが魔術サイドに口出すなど……」

上条「……あっー!ストップストップ!!」

サーシャ「何ですか?」

御坂妹「…………………」

上条(御坂妹のこと忘れてたー!)

御坂妹「……むがむが」

上条「ま、待ってろ今すぐその猿轡と縄を解いてやるから!」

御坂妹「ぷはぁっ」

上条「大丈夫か?」

御坂妹「まさかお姉様のようにスルーされ続けるとは思いませんでした、とミサカは恨めしそうに睨み付けます」

上条「ごめん……サーシャのインパクトが強くて」

御坂妹「これが御坂一族の宿命でしょうか、とミサカは自嘲します」

サーシャ「第三の質問ですが、猿轡には魔術がかかっていた筈なのにどうやって解いたのですか?」

上条「え?ああ、俺の右手はどんな異能の力を打ち消すんだよ」

サーシャ「成る程、それが話に聞く『幻想殺し』ですか」

上条「次はその縄も外して……うっ」

御坂妹「どうしたのですか?顔を真っ赤にして」

上条「あ……いや」

御坂妹「瞳孔が開き汗も流れだしていますが、とミサカは突如様子がおかしくなったあなたを心配します」

上条「な、何でもない!」

御坂妹「ならばお願いですから早くして下さい、とミサカはこの屈辱的な格好に耐え切れません」

上条「はい!」

上条(身体に食い込んだり胸が強調されたりで、変なプレイみたいだ……)

御坂妹「……?」

上条「…………」チラッ

ミーシャ「ん?」

上条(こんな格好をしてるぐらいだから、こんなマニアックな縛り方も知ってるんだな……きっと趣味で覚えたんだ)

サーシャ「第四の質問ですが、今私を見て失礼な事考えませんでしたか?」

上条「よし、じゃあ触るぞ!」

サーシャ「第八の解答ですが、あなたは誤解しています。待ってください!話を聞いて」

御坂妹「やっと解放されます」

サーシャ「お願いです!こっち見て、私の沽券に関」

上条「ほいっと」パキィン

御坂妹「……ふぅ、あの体勢は疲れました」

上条「はは」むにゅっ

御坂妹「…………………」

上条「……………………」もみもみ

サーシャ「………………あの」

上条「えーと……申し訳ありませんでしたー!!」ぷにゅん

御坂妹「土下座はいいのでその手を胸から離してください、とミサカはこのままだと快楽に溺れ……いえ」

サーシャ「成る程、それが話に聞く『ラッキースケベ』ですか」

上条「上条さんはロシアで何と言われているのですかッ!!?」ぱふぱふ

御坂妹「どうやらあなたはミサカの慎ましやかな胸が好ましい、とミサカは過去の出来事を思い出します」

サーシャ「ほう……第五の質問ですが、kwsk」

上条「やめなさい!」

御坂妹「あれは彼が入院していた時に……」

サーシャ「wktk」

上条「はい話を続けない!サーシャも興味を持たない!」

サーシャ「第六の質問ですが、病院で何があったのですか」

上条「それよりも重要なのはどうしてサーシャは御坂妹をぐるぐる巻きにしたかとだろ!」

御坂妹「そういえばそうです、ワケが分かりません」

上条「何でこんなことしたんだ?」

サーシャ「第九の解答ですが、活動するにあたって学生服の方が都合が良いと思ったんです」

御坂妹「……衣類を剥ぎ取るつもりだったのですか、とミサカは驚愕を露にします」

上条「確かにその服(?)じゃあ目立つな……そうだ、前インデックスに買ったワンピースがあった気が」

ミーシャ「第六の質問ですが、それは私に着替えろということでしょうか」

上条「あ、ダメだった?」

ミーシャ「……ワンピース……普通の衣装……」ブツブツ

上条「サーシャ?」

御坂妹「……嫌なのでは?この衣装が仕事に関係するとは思えませんし、趣味なのでしょう」

サーシャ「」

上条「そっかー、無理して悪かったなあ」

サーシャ「……ます」

上条「え?」

サーシャ「……第十の解答ですが、着替えます。服を貸してください」

上条「サーシャ……無理しなくていいんだぞ?嫌なら嫌とはっきり言ってくれても」

サーシャ「私は着替えたいです。宜しくお願いします」

上条「……おお、ちょっと待っててくれ。出してくる」

サーシャ(これは仕事で必要だからオッケー……やっとこの変態衣装とおさらばできる!)

御坂妹(やだ……この人1人で笑いながらガッツポーズしてる……)

上条「はい、持ってきた」

サーシャ「ありがとうございます。では風呂場をお借りして、そこで着替えを……」

「何をしているの?」

御坂妹「こんにちは、お邪魔しています」

禁書「こんにちはなんだよクールビューティ!」

上条「あれ?もう帰ってきたのか?」

禁書「もうごはんの時間だから。それでとうま、私の洋服を取り出して何をしているの?」

上条「いや、サーシャに貸そうと思って……」

禁書「さーしゃ?」

サーシャ「初めまして、禁書目録」

禁書「……まーた女の子」

禁書「もういい加減にしてほしいかも。どうしたらその女の子吸引体質が治るのかな?」

上条「違うぞインデックス!これには訳が」

禁書「はあ……噛み付く気にもならないんだよ」

上条「呆れないで!そんな目で俺を見ないで!」

御坂妹「……痴話喧嘩もそこまでにしてください、とミサカは仲裁の為に懐から武器を取り出します」

上条「御坂妹も何で不機嫌そうなの!?」

御坂妹「目の前でイチャつかれたら誰でも不機嫌になります」

上条「周りに味方がいない!?不幸だ……ッ!」

サーシャ「第七の質問ですが、お取り込み中申し訳ありません」

サーシャ「早くその服を私に……」

禁書「……あなた、私の名前を知ってるってことは魔術師?」

御坂妹「魔術師?」

上条「インデックスー!」

禁書「わあ!!何するのとうま!?私の口にシュークリームはそんなに入らないんだよもぐもぐ」

上条「それでも食って静かにしていてれ!」

禁書「もぐもぐ……でもとうま、魔術師にその服を着させようとしているなら黙って見てられないかも」

上条「どういう意味?」

禁書「その衣装にも魔術的な役割があって、少しでもパーツが増えたり、模様が欠けたりしたら本人の魔術にも影響が出るの」

サーシャ「いやそんな深い意味なんて……」

禁書「他人が差し出した服を着るなんでもってのほか!全てが狂っちゃうんだよ」

上条「へぇー」

禁書「一人前の魔術師だったら自分の衣類に責任を持てって事だね!」

サーシャ「ッ!!!」

御坂妹「……先ほどとは打って変わって、暗いですね」

サーシャ「……元凶はアイツなんだ……帰ったら潰してやるクソ上司……」

御坂妹「何やら不穏な言葉が聞こえます、とミサカは上司に不満を持っているらしい彼女に親近感が沸きました」

御坂妹「では、今度こそ失礼します」

上条「ああ、じゃあ今日の夜にな」

禁書「とうまも今夜出掛けるの?」

上条「もしかしてインデックスも約束したのか?」

禁書「うん!」

上条「じゃあサーシャは?今から幽霊退治に出るのか?」

サーシャ「第十一の解答ですが、この格好だと昼間は怪しまれてしまうので、日が沈んでから調査します」

上条「うん……まあ夜でも怪しいけど」

サーシャ「しかし、それまで何をするのかは決めていません」

上条「そうか。じゃあ家で時間つぶす?」

サーシャ「第十二の解答ですが、ご厚意に甘えさせてもらいます」

禁書「そうと決まったらとうま!お客さんの為に今日の昼食はご馳走なんだよ!」

上条「そんな余裕ある訳ありません」

禁書「ぶー。なら早く作ってほしいかも。私は空腹で胃がぺっちゃんこなんだよ」

上条「出来上がるまで時間が空くし……じゃ繋ぎに、はい」

サーシャ「?」

上条「ガム食べる?」



――――――――


飯食ってくる

御坂妹「という訳で七不思議☆ミステリーツアー!いえーい!」

打ち止め「どんどんぱふぱふー♪」

一方通行「………………」

上条「……………………」

御坂妹「野郎共、テンション低いですよーっ!?とミサカはノリノリで話し掛けます」

一方通行「………………チッ」

上条(ひぃぃぃぃいいい!?隣の方がすっごく苛々していらっしゃるんだけどー!?)

打ち止め「もー、萎えるなー、ってミサカはミサカは頭の堅い白アスパラさんに失望してみたり」

一方通行「あァ!?」

一方通行「こンな夜に連れ出されて誰がテンション上げろって!?つーか幽霊探索じゃねェのかよ!?」

打ち止め「はぁ、細かい事をグチグチと……、ってミサカはミサカは視野の狭いあなたを哀れんでみたり」

一方通行「勝敗決める大事な所だろうが!」

打ち止め「勝ち負けにこだわるなんてこれだから野蛮な人は~」

一方通行 (゚皿`゜#)
       ノ
打ち止め (*^ω^)

上条「何でこんなにぎすぎすしてんだ……?」

御坂妹「色々あったんです」

御坂妹「まあまあそこまでにして、とミサカは火花散る二人の間に割り込みます」

打ち止め「ふんっ!」

一方通行「ふン」

上条「そ、それでどうするんだ?」

御坂妹「これからみんなで学園都市の七不思議スポットを巡っていきます」

打ち止め「めぼしい場所に行けば会えるかも、っていうのが妹達の考えなの!ってミサカはミサカは結論を発表してみたり」

一方通行「火のない場所に煙は立たない、てことか」

御坂妹「居なかったらいないで今回は娯楽として受け止めてください」

御坂妹「七不思議といっても学園都市には数多くの都市伝説があるのでこちらでピックアップしておきました、とミサカは資料を渡します」

上条「おお、すげぇ」

一方通行「これ全部お前がやったのかよ?」

御坂妹「ええまあ」

一方通行「はァン、じゃああれだけ大口叩いてた打ち止めサンは何をしたのかなァ?お茶くみ?」

打ち止め「(ぷちっ)ミサカも資料集めたけど!」

一方通行「それがどれくらい役にたったのかねェ?」

打ち止め「むきー!」

上条「何だこいつら……」

御坂妹「もう放っておきましょう。最初に行くのはここです」

上条「どれどれ」

一方通行「『いつまでも歳をとらないロリ教師』か」

御坂妹「どうも『虚数学区』にまつわる人物だそうです……とミサカは手に汗握ります」

打ち止め「ずっと同じ姿をしているという所に幽霊と共通性を感じるね、ってミサカはミサカはシリアスな顔を見せてみる」

一方通行「ロリか……」

上条「……しょっぱなから思い当たる節があるんだけど……」

御坂妹「見た事あるんですか?」

上条「ああ……なぁここは飛ばしても構わないんじゃないかな」

一方通行「何言ってやがる!?」

一方通行「ここは全部回るに決まってンだろ!」

上条「はい?でも幽霊は現れない気が」

一方通行「てめえはコイツが頑張ってくれたのに無下にするつもりかァ?」

上条「っ!?」

御坂妹「まぁしょうがないですかね……今度は誰も知らないようなネタを見つけます」

上条「…………いや、せっかくだし行こう」

御坂妹「本当ですか?よかった、とミサカは調べた甲斐がありました」

打ち止め「よーし、それじゃあ世界・七不思議の旅!しゅっぱーつ!」



――――――――

子萌「それで先生の家まで来たんですかー?」

上条「はい……」

一方通行「ンだよ、あの時の教師かよ……」

打ち止め「まさかあなたが虚数学区の鍵を握る人だったなんて……!」

子萌「ち、違いますよー!先生はそんな大層な者じゃないですー!とある普通の先生です!」

上条「いや、見かけ的に普通じゃない。前から薄々感じてたけどやっぱり先生は……」

打ち止め「ごくりっ……」

子萌「上条ちゃん!?悪乗りしないでくださいー!」

御坂妹「不老不死を手に入れた吸血鬼……はたまた学園都市の暗部に改造されたホムンクルス……」

一方通行「オカルトは一生信じねェと思ってたがこいつァ……」

子萌「先生はれっきとした人間であり、改造なんてされてません」

打ち止め「もしかして幽霊よりも深い闇に足を突っ込んでしまったんじゃ……」

子萌「この人達、先生の話をまったく聞きません……!」

上条「~~~~~~~っ」

子萌「ほら上条ちゃんが余計な事を言うからー!腹かかえ笑ってないで弁明してください!」

上条「……っぶはwwwwww」

子萌「もう!笑い事じゃないです」

上条「くくくっ……ゴメンゴメン。お前ら、この人は俺の担任」

子萌「こんばんはー。いつも上条ちゃんがお世話になってるですー」

打ち止め「いえいえ、こちらこそうちの子がお世話に……」

御坂妹「母親か!」

一方通行「冗談はおいといて、本当教師に見えねェなァ」

御坂妹「失礼ですが年齢はお幾つですか?とミサカは訊きます」

上条「!!!」

子萌「えっと、恥ずかしいので秘密でーす。でも教員生活は結構長いと思いますよー?」

一方通行「教師ってことは大学は卒業してるのか……そのナリで」

打ち止め「最近外見はあてにならないね、ってミサカはミサカはこの世の神秘を垣間見た」

子萌「何だかさんざんな言われようです……」

御坂妹「まあ正確に言えば私達も体は子ども、頭脳は大人なんですけど!とミサカは某小学生風にキメてみます」

上条「ああ、武器扱うし演算するしで頭は良いよな」

御坂妹「ええ、ミサカは恐らくまだ一歳にも満たないですからね」

上条「あーそういえば」

子萌「?」

一方通行(そうか……コイツら、中学の制服着てるけどまだ0歳かァ)

御坂妹「……?」

一方通行「………………」

御坂妹「……何ですか?」

一方通行(でもどうみてもオリジナルと同い年だわ)

一方通行「やっぱり中学生ってのはババァなンだよ」

御坂妹「よくわかりませんがその言葉お姉様に聞かれたら殺されますよ、とミサカは助言します」

打ち止め「そーいうこと平気で言っちゃうから世間でロリコンだのセロリだの呼ばれるんだよね、ってミサカはミサカは口に手を当てて笑ってみる」

一方通行「あァ?現在進行形クソガキが世間様のお考えを語ってンじゃねェ」

上条「また始まった……」

子萌「喧嘩はいけませんよー」

子萌「ところで上条ちゃん、未成年だけの深夜徘徊は危ないですよ?」

上条「第一位を前にして危険も何もないけど」

子萌「夜遊びは早めに切り上げてくださいね!」

上条「へいへい」

御坂妹「その点は心配しないでください、とミサカは先生を安心させます」

子萌「?」

御坂妹「次に行くのは妹達の保護者がいる場所です」

打ち止め「二つ目の七不思議!『同じ外見の少女達!』」

一方通行「………………」

上条「……………………ええー」

御坂妹「何と全く同じ人間が一万人いるそうです、とミサカは声に力を込めました」

打ち止め「もしや現代に生きる忍者……ってミサカはミサカは忍法・影分身の術!」

上条「いやあそれは……」

一方通行「予想は簡単についたぜ妹達ェ……」

御坂妹「ま、まさか次の七不思議も見たというのですか!?」

打ち止め「やはり天才か……」

上条「見たというか、目の前にいるし!」

一方通行「さっき全部回るっつったからしょうがねェから行くが……お前らはガッカリする気がする」

打ち止め「見てからのお楽しみ!四人小隊、行くってばよ!」



――――――――

一方通行「この辺りは街灯が少ねェ、足元に気を付けろよ」

打ち止め「………………」
御坂妹「はい」

打ち止め「………………あっ」

上条「お。打ち止め、大丈夫か?」

打ち止め「うん、ちょっと転けちゃっただけ。腕掴んじゃってゴメンね?ってミサカはミサカは謝ってみたり」

上条「いや、気にすんな」

一方通行「………………」

御坂妹(嫉妬するぐらいなら素直に仲直りすればいいのに)

一方通行「あンだよ。じろじろと」

御坂妹「いえ、別に何もありません。むしろあるのはそちらでは?」

一方通行「………………くそ!」

「ひっ!?」

一方通行「……?何だァこの悲鳴」

「び、ビックリしたんだよ……」

上条「インデックス!こんな所で会うなん

蜘蛛と格闘してた


上条「インデックスとこんな所で会うなんて。よお、風斬!」

風斬「こ……こんばんは」

上条「どうだった?ホテルのバイキングは」

禁書「たっくさん食べちゃったんだよ!食べ放題って素晴らしいかも!」

風斬「ああいう所で食事したのは初めてだったから……楽しかった……ね?」

禁書「うん!いつもあれぐらいの量だったらいいのに!」

上条「悪かったですねー、いつも少なくて」

風斬「あ……彼女は嫌味で言った訳じゃ……」

禁書「本当なんだよ!とうまには大胆さが足りないかも」

風斬「ないと思……いました……」

御坂妹「また女性ですか……とミサカは呆れて物が言えません」

禁書「クールビューティが考えてるような関係じゃないんだよ。ひょうかは私の友達!」

風斬「うん……友達」

禁書「決して上条ハーレム要員なんかじゃあないんだよ」

上条「ハーレ……ッ!?おいインデックス!俺の交友関係にそんな変な呼称をつけるな!」

打ち止め「じゃあ上条勢力?ってミサカはミサカは言いだしてみる」

上条「それはそれで恥ずかしい!」

一方通行「そげぶ(笑)」

上条「スマンが一方通行、黒翼()笑に偉そうにされたくない」

御坂妹「つまり彼とは只の知り合い、ですか」

風斬「……?ううん。私はこの人とも友達だと思ってるよ……?」

上条「風斬……俺もだ!」

御坂妹「そうですか。質問に答えていただきありがとうございます、とミサカはご友人の体を見回し、胸の辺りで……」

風斬「そんなに見られると……ちょっと照れるかも……」

御坂妹「…………………orz」

一方通行「あー、まァ元気出せ。そのうち成長するって」

打ち止め「あ!揉めば大きくなるって聞いたことあるよ!ってミサカはミサカは提案してみる」

御坂妹「慰めの言葉なんてっ!」

禁書「とうま達は幽霊見つけた?」

上条「いや。まだ探し始めたばかりだしな」

打ち止め「でも絶対会ってみせるんだから!ってミサカはミサカは自分に言い聞かせてみる!」

風斬「幽霊を探しているの……?」

上条「ああ。まあ手掛かりも全然ないんだけどな」

風斬「へぇ……大変だろうけど頑張ってね?」

打ち止め「うん!応援ありがとう!ってミサカはミサカはお礼を言ってみる」

禁書「じゃあ行こ?ひょうか!」

風斬「うん……!」

禁書「私達は先に家に戻ってるから!」

上条「女の子だけじゃ危ないんだからちゃんと鍵しめろよー?」

禁書「わかってるんだよ!じゃあねー!」

風斬「それじゃあ……」

一方通行「………………ン?」

上条「じゃあ俺達も病院に行くかあ」

一方通行「…………オイ」

御坂妹「どうしたんですか?深刻そうな顔をして」

一方通行「アイツ、今一瞬消えなかったか?」

御坂妹「アイツって……風斬さんですか?とミサカは確認を取ります」

打ち止め「まっさかー!そんな簡単に消えたら幽霊じゃん!ってミサカはミサカは否定してみる」

上条「あれ?打ち止めは信じてるんだろ?」

打ち止め「あんな優しい人がそんな怖い存在な訳ない、ってミサカはミサカは理由を述べてみたり」

一方通行「あァ、そうだよな……幽霊なンている筈ねェンだ」

上条(遠からずだ……)

御坂妹「…………………」

御坂妹(……三つ目の七不思議、『巨乳の幽霊』コンプリート)

御坂妹「病院に着いたのはいいですが……どこに行けばいいのでしょう、とミサカは首を傾げます」

一方通行「取り敢えず仲間に会いに行けばいいンじゃねェの?」

打ち止め「この病院に一万人も収まるスペースがあるのかなっ?もしかして地下室!?ってミサカはミサカはドキドキを隠せなかったり」

上条(……どうしてこうも自分達が噂になっていると考えないんだろう)

御坂妹「通常七時過ぎは部外者は入れないのですが、今回は妹達のお見舞いとして許可をいただきました」

一方通行「そういや他の奴らはどこにいるンだ?」

御坂妹「それは……えー」

一方通行「……?」

打ち止め「と、とにかく行ってみよう、ってミサカはミサカは助け船を出してみたり!」

御坂妹「ではこちらへ」

上条「もしかして今から行くのってロビー?」

御坂妹「ええ、まずはそこを通らないと始まりませんし」

上条「それならこの道を使った方が近いんじゃないか?」

御坂妹「え?……ああ、そうですね」

上条「こっちこっち」

一方通行「……何でテメエは病院に詳しいンだ?」

上条「普通だろ?」

一方通行「……今までに何回入院した?」

上条「あー、結構してるなー……夏休みから十回はここに世話になってる気がする」

一方通行「………………」

打ち止め「それだけ来てたら慣れるのは当たり前かも、ってミサカはミサカは頭に手を乗せてやれやれ」

上条「あ。この花壇に植えてある花は、昔俺の担当だった看護師さんが育てたんだ」

御坂妹「へ、へー。知りませんでした、とミサカは妙に物知りな彼に少し引いてみます」

上条「ん?常識だと思ったんだけど」

一方通行「入院中の妹達より詳しい……」

御坂妹(まずい……案内役の私の立場が消え去っていきます……)

上条「じゃあロビーに……」

御坂妹「あっ、あー!何だかこっちに行けば幽霊に会える気がします!」

上条「そ、そう?」

御坂妹「めっちゃします、ビンビン電波が伝わってきますよー!とミサカは自棄になります!」

上条「御坂妹は電撃使いだし、そう言うならそうか」

御坂妹「ふっ……」

一方通行「……必死だな」

御坂妹「病院ってホラーの宝庫ですし、一万の同一人物はいなくとも、本当に霊に会えるかもしれません」

打ち止め「この時間帯でも結構人がいるね」

一方通行「こりゃ来た意味はなかったンじゃねェの?」

打ち止め「むー……謎の地下室……」

一方通行「ンなもンある訳ねェ。今日は一万人の一部だけを見ていこォぜ」

御坂妹「い、一万人の一部とは……?」

一方通行「まだ気付いていなかったのかよ!?」

上条「御坂妹、ほら鏡」

御坂妹「あ、どうも。何かついていましたか?とミサカは差し出された手鏡を覗きこみ……」

御坂妹「…………………………」

10039号「………………」

13577号「………………」

19090号「………………」

御坂妹「あなた達……!」

13577号「……今夜は身体検査の日ですが、とミサカは10032号をにらめつけます」

10039号「交信も切って一体どういうつもりなのですか、とミサカは10032号を問いただします」

御坂妹「え、えっと……」

19090号「てめえ抜け駆けしやがってこの野郎、とミサカは10032号の捕縛を実行します!」

御坂妹「わああああああああああああああああああ」

上条「やっぱ同じ顔の人間が集まって取っ組み合いしてるのは壮絶だな」

打ち止め「忍者楽しみにしてたのに正体は自分だったなんて……ってミサカはミサカは落ち込んでみたり……」

一方通行「これで二つ目の七不思議完了かァ?ンじゃ次の行こうぜ」

上条「でも案内役の御坂妹があれじゃあ……」

打ち止め「場所ならミサカが全部分かるよ、ってミサカはミサカは胸をはってみたり」

一方通行「はっ、ガキにガイドなんて出来るのかねェ!?」

打ち止め「それぐらい出来るもん!」

一方通行「………………」

打ち止め「………………」

上条「まあまあ。それで次の七不思議は何だ打ち止め?」

打ち止め「うん!四つ目はここでーす!ってミサカはミサカは大発表!」

一方通行「今度こそ知らない奴だよなァ?」

打ち止め「風紀委員詰所で見た!『植物に寄生された少女』!!」

一方通行「おォ……」

上条「都市伝説っぽい!」



――――――――

黒子「さあ、吐きなさい。あんな暗い路地裏で一体何をしていたんですの!?」

初春「正直に言っちゃった方が楽ですよぅ。この人、こんな見た目でも怒ったらすごく恐いんですから」

黒子「……初春。こんな見た目ってどういう意味ですの?」

初春「言葉通りに受け取ってください。白井さんはツインテールで童顔で幼児体型で、萌ポイントを詰め合わせた完璧な……」

黒子「あなたにそっくりそのまま返しますのーっ!」

初春「きゃー!!頭の花をむしらないでー!」

黒子「色気溢れるフェロモン淑女・黒子を評価しようなんて百年早いですのよちんちくりんがぁぁぁぁぁ!!」

初春「その蛾みたいなキャッチコピー嬉しいですか?……って痛い痛い!」

打ち止め「ここが植物少女の現れる場所……なんだけど」

一方通行「オイ、花が散っていくンだが……」

上条「止めた方が良い気もするし、一種のコミュニケーションな気もする。どっちにしろ巻き込まれたくないなぁ」

初春「あっ!白井さんお客様ですよ!お茶出さなきゃお茶!」

黒子「実はそのお花畑はハゲ隠しなんでしょう!やーい、つるっつるー!」

初春「他の人の前で嘘でっち上げないでください!」

上条「話し掛けない限りこのままでいそうだ……白井!」

黒子「ん?あら、あなたは……」

上条「よっす、風紀委員大変そうだな」

黒子「ぶしつけにもお姉様に近付く殿方ではありませんの」

初春「わー、ラブコメー」

一方通行「……テメエの相関図は女絡みしかねェのか?」

上条「ひ、酷ぇ!それじゃあ上条さんがタラシみたいじゃないですか!!」

打ち止め「そういえば今までの七不思議は皆あなたの女友達繋がりだったような……ってミサカはミサカは思い出してみたり」

黒子「本当は女性なら誰でも助けに行くのでしょう?」

上条「……もうやめて!その女に弱いイメージで推すのはもうやめて!」

サーシャ「第一の質問ですが、助けてください!」

上条「……………………」

一方通行「………………」

打ち止め「………………」

黒子「……お呼びですわよ」

初春「え?もしかして知り合いですか?」

上条「……うん。えーとサーシャ、何故こんな所にいるの?」

サーシャ「第一の解答ですが、調査を進めていたらいきなりこの方々が現れ私を捕まえて……」

初春「通報があったんですよー。『怪しい場所で怪しい服装の人が怪しい動きをしている』って」

上条「……目立たないように夜まで仕事を遅らせたんじゃなかったの?」

サーシャ「第二の解答ですが、そのつもりだったのですけどどうやらまだ人の多かったみたいで……学生に危害を加えるのは上から止められていたし」

上条「それであっけなくここに連れてこられた訳だ」

黒子「私でも身に付けないその水着……恐るべき露出補正ですの!」

サーシャ「第二の質問ですが、あなたは何で戦っているのですかっ!」

初春「証明書がなく身元不明でこっちも困ってました。不法侵入なら面倒くさいですね」

サーシャ「第三の質問ですが、許可証ならロシアから届いていませんか!?」

黒子「そんなものどこにもありませんの」

サーシャ「くそぅ……くそぉぉぉぉぉおおおお!!ワシリーサぁぁぁぁぁああああああああああ!!」

上条「サーシャ……お前苦労してるんだな……」

黒子「ではサーシャさんは警備員に送るとして」

サーシャ「!!?」

初春「アホ毛ちゃん達は何しに来たんですかー?」

打ち止め「アホ毛じゃないってば!」

初春「本日もまた見事な螺旋ですね。天元突破出来ちゃうんじゃないですか」

打ち止め「ミサカのこれはドリルじゃないよ、ってミサカはミサカは髪を押さえてみる……」

一方通行「俺達は学園都市の七不思議を回っていてよォ、その中の一つがここで見れるっつうンで来た」

初春「楽しそうですねぇ。白井さん、私達も七不思議探しませんか?」

黒子「はあ……風紀委員の自覚を持ちなさい。それにあなた達、ここは観光スポットではないですのよ」

初春「むー、じゃあここに出る七不思議だけでも!」

黒子「仕事はたくさん、これから徹夜ですのー」

初春「えー!」

黒子「せっかく来ていただいて悪いですけど、今日の所はお引き取りくださいませ」

初春「うー、ゴメンねアホ毛ちゃん達。七不思議見せられなくて」

上条「いや、俺達はもう充分見たよ」

初春「?」

黒子「あー!!」

初春「ど、どうしたんですか!?」

黒子「少し目を離した隙に変態装束に逃げられましたの……!」

上条「大丈夫。おそらくアイツは問題みたいなのは起こさないと思うぞ、多分」

黒子「まったく安心出来ませんが……まぁ仕事が減って喜ばしいですし、お姉様のご友人という事で信じますの」

上条「サンキュー白井!」

打ち止め「良かった!無事に七不思議巡りを続けていられるね、ってミサカはミサカは安堵してみたり」

黒子「ちちちちちちちち小さいおおおお姉様ぁんっ……!」

初春「白井さんが問題を起こさないでくださいね!」

黒子「わかってますの……わかってますの!」

上条「よだれよだれ」

一方通行(コイツ……やべェ!!!)

打ち止め「それじゃあえーと、次の場所は……」

「闇を引き裂く叫び声……『空飛ぶテケテケ』!」

上条「御坂妹!戻ってきたのか!」

御坂妹「自らの幸せを勝ち取る為に死闘を乗り越え、得たものは仲間の犠牲でした……とミサカは悟りをひらいてみます」

一方通行「オイ、どこ見てンだ?」

打ち止め「醜い争いはもう起こってほしくないね、ってミサカはミサカは胸を痛めてみたり」

上条「そうそう、皆で来れば良かったのに。今日が検査なら別の日にさ」

一方通行(そしたらお前を独り占めできねェだろ)

御坂妹「ある廃ビルの上で体の一部を欠如した人間が奇声を発しながら飛び回るそうです……とミサカは地図を見せます」

一方通行「へェ、ここが……」

打ち止め「ねぇねぇ、ここには『空飛ぶターミネーター」がいるんじゃなかった?ってミサカはミサカは首をかしげてみたり」

御坂妹「そうでしたか?」

上条「俺もこの廃ビルの噂知ってるわ。確か『空飛ぶ白骨死体』じゃなかったっけ」

御坂妹「……全員話が異なりますね」

上条「一方通行は?このビルの噂聞いた事ある?」

一方通行「…………あァ。俺は……『空飛ぶ冷蔵庫』だった」

御坂妹「共通点は空を飛ぶらしい事だけ……」

打ち止め「ますます気になってきた!それじゃミサカ探検隊!レッツゴー!」

上条「んじゃあ、仕事中邪魔したわ」

黒子「初春、そこの書類を……ええ、お気をつけてくださいましー」

打ち止め「あ、そうだ!最後に質問良いかな?ってミサカはミサカはお花畑さんに話し掛けてみたり」

初春「いいですよー」

打ち止め「………………どっちが本体?」

初春「……………………」

打ち止め「………………」

初春「……………………」ニコッ



――――――――

(あの時ここで倒されてから人生が変わった)

(進み始めたのか壊れたのかは分からないけど、少なくとも救われたわけじゃない)

(……でも誰かに頼むなんて柄じゃないわ。それに私には守るべき人達がいる)

結標「…………待っててね、絶対に私の手で助けだすから……」






打ち止め「あああー!!!露出魔ー!!」

一方通行「wwwwwwwwwwwwwwwwww」

御坂妹「私の手で助けだすッ!」キリッ

結標「あ、あなた達は……!っていうか誰が露出魔よ!?」

打ち止め「ターミネーターもビックリの肌見せっぷりだね、ってミサカはミサカはこの人の目を塞いでみたり」

一方通行「wwwww大ww丈ww夫wwwwwwwwwババァに欲情しないからwwwwww」

御坂妹「その格好でカッコ付けても面白いだけですよ、ってミサカは彼の目を塞ぎます」

上条「ねぇ!何が起きているんだ!?この声は誰なんだ!?」

結標「……私から見たらあなた達も相当面白いわよ」

打ち止め「風紀委員に変質者が出たって通報しなきゃ!」

一方通行「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

上条「本当にどうしたの!?何で一方通行は大爆笑なの!!?」

一方通行「なwwンwwかwwツボwwwwwwったwwwwwwwwwwwwwww」

結標「ムカつくわ……この間抜け顔にコルク抜きぶち込みたい」

一方通行「ショタコンに何言われても怖くありませンwwwwww」

御坂妹「しかしこのセロリは私もムカつきます、とミサカは手元の銃が彼に通じない事を悔やみます」

結標「空間移動が効いたらこんな奴……!」

一方通行「ひひwwwwwwwww無wwww駄wwwwwwwwwww」

打ち止め「あ、それなら首元の電極をテレポートしてみて、ってミサカはミサカは助言してみたり」

結標「えい」

一方通行「ひひひwwwwwあgnか0tさゆrbつ@♯ぱk」

御坂妹「一方通行敗れたり!」

一方通行「………………」

上条「えっえっ」

結標「しかし無抵抗の人間に金物ぶっ刺すのは気が引けるわね……」

御坂妹「抵抗すれば刺しちゃうんですか?」

打ち止め「あ、ポッケの中にマジック入ってた!ってミサカはミサカはペン先を近付けてみたりっ」

御坂妹「ぐふっwwww」

一方通行「………………」

結標「せっかくだしズボン降ろしちゃお」

上条「ああ……憐れ一方通行……」

一方通行「………………」

御坂妹「じゃあ私は×××××を×××××に×××××て……」

結標「えー!そんなことまでしちゃうのー?」

打ち止め「きゃー!頑張れー!」

上条(逃げてくれ一方通行……っ!俺にはもう止められない……!)

一方通行「………………」

御坂妹「ではいざ!アクセルさん覚悟!」

一方通行「………………ォ」

御坂妹「ん?」

一方通行「オオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!」

結標「黒翼発動!?

一方通行「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

上条「とうとう一方通行がキレたー!やり過ぎだ馬鹿者共ーッ!」

御坂妹「私はまだ何もしていませんが、とミサカは一人安全策を」

打ち止め「ず、ずるい!」

結標「命令されたから従っただけであって……いやまあ実行犯なんだけど!」

一方通行「アアアアアァァァァァアアアアアアアアアア!!」

上条「喧嘩してる場合じゃねぇ!とにかくコイツを止めるぞ」

結標「ええ、私も手伝うわ!」

上条「当ったり前ぇだ!」

上条「俺達の戦いはこれからだ!」




  完



――――――――

上条「ハァ……ハァ……」

一方通行「………………」

結標「……やっと終わったわね……」

御坂妹「あまりの白熱の戦闘と怒濤の展開に諦めそうになりましたが無事に止める事ができて良かった、とミサカは溜息をつきます」

上条「今回は俺の力だけじゃ止められなかったよ」

結標「やっぱりあの時にばらまいた打ち止め……だっけ?その子の腿チラ写真が良かったわね」

御坂妹「あとは打ち止めの胸チラとか」

上条「そして最後の打ち止めモロパンがトドメだったな!ありがとう打ち止め!」

打ち止め「…………何か大事なモノを失った気がするってミサカはミサカはうなだれてみたり」

一方通行「………………」

上条「結局戦闘に必死で七不思議見れなかったなぁ」

打ち止め「あんなに頑張ったのに残念かも、ってミサカはミサカは落ち込んでみたり」

結標「七不思議?」

御坂妹「ええ、『空飛ぶテケテケ』です」

打ち止め「違うよ!『空飛ぶターミネーター』でしょ?」

上条「『空飛ぶ白骨死体』だろ』

一方通行「………………『空飛ぶ冷蔵庫』……」

結標「ああ……、廃ビルの都市伝説ね」

御坂妹「あなた、知ってるのですか?」

結標「勿論よ。だってその都市伝説は私が作ったんだもの」

打ち止め「ええー!?じゃあその七不思議て一体どれが本物?ってミサカはミサカは訊いてみる」

結標「正解は『空飛ぶ白骨死体』かな」

上条「おお、やっぱり」

打ち止め「ターミネーターじゃなかったんだ……」

御坂妹「それは本当にいるのですか?それともデマ?」

結標「ふふふ……」

御坂妹「……?」

支援

結標「特徴その一、全身真っ白」

上条「白骨だしな」

結標「特徴その二、ガリガリ」

御坂妹「白骨ですしね」

結標「特徴その三、地上からビルを越える垂直ジャンプ。もしも死体でなく生きているなら、これが可能な人物は限られてるわよね」

打ち止め「まさか……」

結標「はい、あなた達の期待していた妖怪の正体はコイツでした」

一方通行「……………………………」

上条「何というか……知らない間にここまで酷いあだ名を付けられているとは」

御坂妹「生きてさえいませんからね、とミサカは頷きます」

結標「仕方ないでしょ?噂を流した時は本当コイツにムカついてたのよ」

一方通行「………………」

上条「さりげなく的を射ているのがな……フォローし辛い」

御坂妹「ともあれちゃんと見れて良かったです、とミサカは先ほどの戦闘を思い出します」

上条「目に宿る赤い光……狂気の笑顔」

打ち止め「まさに『空飛ぶ白骨死体』!五つ目の七不思議、確認終わり!」

一方通行「………………」

打ち止め「いたたた……」

御坂妹「どうしましたか?とミサカは上位個体を心配します」

打ち止め「うん……さっきの騒ぎで怪我しちゃったみたい」

上条「じゃあ一度家に帰るか?一方通行はもう歩けないだろうし」

御坂妹「それがいいかもしれませんね、とミサカは同意します」

御坂妹「立てますか?」

打ち止め「ううん……この前落とし穴にはまった時と同じ所を痛めちゃった、ってミサカはミサカは足首を押さえて……イタタ」

上条「打ち止めも歩けそうにないな……どうやってコイツらを運ぶかな」

結標「ならこの二人は空間転移で連れていってあげるわ」

上条「え?でもそんな迷惑をかけるには……」

結標「同じ師を持つ者のよしみよ。それに、困ってる人を放っておいたら小さい先生に怒られちゃうわ」

上条「じゃあお願いするよ」

結標「場所は……そうだ、御坂妹、地図を貸してくれるか?」

冷蔵庫「ビービ、ガガガガガガガガ」

上条「」

冷蔵庫「ジジジ……オレ……オレノ……『暗黒物質』ァァァ……ニ、常識ハハハ……通用シ……シネシネ光線……ビビ」

上条「」

冷蔵庫「ガギギギギ……」バサッバサッバサッ

打ち止め「あの大きな翼でどこまでも飛んでいけるといいね……」

テケテケテケテケ……ハーマヅラァ

上条「」

上条「……………………ああ」




――――――――


風呂

                      , <  ̄   、   
                    /            ヽ  
                       /           丶
                   '                 i
                       ′           ,  !
                  /    /  二≠z   斗 リ
                  /   ///V弋チ7ヘ tィ 乂
                /// ィ ヽ/ 〈      ヘ从ソ
                  //∧  ィヽ   、  _'/ / 
                ┌イィ彡//≠ >、 ̄ イ─‐┐

                 l     (ノ     `^i )   l
                    |     ̄ ̄TTT ̄    |
                 |_________________|
                ./|==========iト、
                ../ |                   .|| .\
              /  l    D A R K    .|ト、   \
    r、       /   .!〕              || \  \        ,、
     ) `ー''"´ ̄ ̄   / |   M A T T E R  ||   \   ̄` ー‐'´ (_
  とニ二ゝソ____/   |                  ||    \____(、,二つ
                       |              ||
                       |_____________j|
                 |´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|

                 |               ||
                       |〕                ||
                   /|              ||
                /.:.|___________j|
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              /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   |.:.:.:.:.:.:.:.:.:|

ていとう庫



――――――――

上条「んじゃあ俺達はゆっくり歩いていくとするか」

御坂妹「はい、とミサカはあなたの横に並びます」

上条「ここから俺ん家までそんなにかからないから」

御坂妹「ええ、分かってます。近場で済ませる為に計画を練ったのですから」

上条「そっか」

御坂妹「…………ええ」

上条「そういや今日は一方通行と打ち止め、ずっと喧嘩してたよな」

御坂妹「喧嘩するほど仲が良いという諺があります、とミサカは言いましたが今後あのままでいないか不安です」

上条「それはないぞ?」

上条「一方通行がキレた時に辺りを壊しまくっていた中で、打ち止めだけは傷をつけなかったろ?」

御坂妹「考えてみると攻撃は全てあなたに向かっていましたね、とミサカは回想しました」

上条「あれは本当に恐かった……。結局、逃げ回ったせいで打ち止めは足を痛めたんだけどな」

御坂妹「……彼はいつも私達を守ろうとし空回りをします」

上条「そんな事言うなって!」

御坂妹「打ち止めもいきなり七不思議を探すだなんて……深夜徘徊の危険性を理解していないのでしょうか、とミサカは憤慨します」

上条「…………」

御坂妹「事故にでも巻き込まれたらどうするんですか」

上条「……はは!」

御坂妹「……なぜ笑うのです?」

上条「んー?いやあ、御坂妹は打ち止めの事を大切に思ってるんだなって」

御坂妹「…………あなたはいつもポジティブですね、とミサカは皮肉を言います」

上条「まあな」

御坂妹「……お姉様にあなたと二人で歩いているのを見られたら怒られてしまいますね、とミサカは少し寄り添ってみます」

上条「何でそこで御坂?」

御坂妹「だってこの街頭の下ロマンチックに二人で語らうのって恋人同士みたいです、とミサカはきゃっ」

上条「恋人同士……それはそうかも」

御坂妹「!?」

上条「俺みたいな奴に自分の妹を取られたと聞いたら雷落としそうだ」

御坂妹「ええ、文字通り。でもあなたと二人ならそれさえも乗り越え……」

上条「だから御坂妹も相手をきちんと選ぶんだぞ!俺だってお前が妹のように思ってるんだから!」

御坂妹「…………………はあ」

上条「……何故そこで溜息?」

御坂妹「そんな台詞を真面目に言われちゃあ疲れもします、と期待したミサカが馬鹿ですね……」

上条「変な事言った?」

御坂妹「……手、貸してください」

上条「……?はい」

御坂妹「違う左手!」

御坂妹「右手だとすぐに消えてしまうかもしれませんから、とミサカはマジックを取り出しました」

上条「それは打ち止めの……」

御坂妹「こうしてやります!」

上条「あー!お前!」

御坂妹「『天然鈍感野郎』……っと」

上条「それ油性ペンなのに……落ちないじゃん!」

御坂妹「世の中には額に兎と書かれても屈しない悪党がいますよ、とミサカは例を挙げてみました」

上条「それ思いっきり一方通行じゃん!」

御坂妹「これであなたは左手を見るたびに己の罪を認識する事になります、とミサカは不気味に笑います」

上条「俺が何したっていうんだー!?」

御坂妹「自分で考えてください!」

上条「ったく……全然わかんねぇ」

御坂妹「わからない所が罪なのです、とミサカはマジックをポケットに突っ込みました」

上条「家に油性インク落ちるぐらい強力なのあったっけ……」

御坂妹「あ、ほらすぐそこに寮が」

上条「よし……一方通行が起きたらお開きにしよう」

上条「七不思議巡りもアイツらの為だし、いなかったら無駄だろ」

御坂妹「ええ、…………!」

上条「……?どした」

御坂妹「どうやらこの幽霊探しさえも用はなくなったようです、とミサカはネットワークで得た状況を話し始めます」

上条「……?」

御坂妹「今さっき、あの二人は仲直りをしました」

上条「……なんじゃそら」

御坂妹「意地の張り合いでしたからね、もう彼らには必要ないみたいです、とミサカは気が抜けます」

上条「人騒がせだ……」

上条「じゃああと残りはどうするよ?」

御坂妹「せっかくだし二人で行ってしまいましょう。わざわざ彼らを待つ事ないです」

上条「よし!んじゃあ六つ目の七不思議は?」

御坂妹「実はこれ、密かに大本命だったりします……!」

上条「……それは一体?」

御坂妹「超能力者さえもかなわない!『異能を打ち消す無能力者』!」

上条「……………………御坂妹」

御坂妹「何とお姉様の雷撃さえも軽くあしらってしまうらしいです……!とミサカは震え上がります!」

上条「あのー、もしもし」

御坂妹「科学さえも凌駕する不思議な力……絶対に幽霊と関係が」

上条「熱くなってる所いいか?」

御坂妹「はい」

上条「……もうそろそろ気付こうぜ」

御坂妹「何故右手をひらひら振っているのですか?とミサカは…………」

上条「うん、まぁ、俺の事だよね」

御坂妹「……あ」

上条「だ、大丈夫!少しおっちょこちょいでも、俺は大事な個性だと思うから!」

御坂妹「……私、ただの間抜けじゃないですか……!うあぁぁ……」

上条「さて、さんざん見てるだろうけど、お披露目します?」

御坂妹「……ここまで来たら全部見るって言ったじゃないですか、とミサカはお願いします」

上条「じゃあどうすっかね、一方通行に頼んでベクトル操作でもしてもらう?」

御坂妹「血流を荒らしただのそれを阻止しただの傍からじゃあわかりませんよ、とミサカはその案を却下しました」

上条「だからといって派手にやらせていき過ぎたら手におえないしな」

御坂妹「他には……」

上条「あ、御坂は?無駄に派手だぞ」

御坂妹「こんな遅くに呼び出して、しかもあなたと二人っきりだなんて知れたら雷じゃ済まない気がします」

上条「八方塞がりだ」

上条「俺の右手って使い勝手悪いなぁ」

御坂妹「基本受け身ですからね」

上条「えー、あとの能力者の知り合いは……」

御坂妹「……そうだ。簡単な方法があります、とミサカは提案してみます」

上条「え、何?」

御坂妹「誰も呼び付けなくて済むし、今すぐ行える方法です」

上条「誰も呼ばなくていい?……あ。そうか、御坂妹も電気使いなんだっけ」

御坂妹「あなたの考えは違いますよ、別に私があなたに攻撃するわけじゃありません」

御坂妹「あなたが私に触ればいいんですよ」

上条「…………は?」

御坂妹「あなたの右手を私に当てればいいんです」

上条「……何を言ってるんだ、御坂妹」

御坂妹「そして消滅すればあなたの右手は証明されます!いやあ、実際に体験出来るなんて私もツいて」

上条「御坂妹!!」

御坂妹「…………………」

上条「俺は生き物を消すなんて事は不可能だ……知ってるだろ!?」

御坂妹「勿論知ってますよ」

御坂妹「ええ知ってますとも。近くで見てきましたから」

上条「近く……?」

御坂妹「能力は消せても銃弾は消えない。魔術は消せても二次被害は消えない」

上条「おい、何で魔術を」

御坂妹「さて……生きている物は消せても、生きていない物はどうですか?」

上条「御坂妹……」

御坂妹「あなたがそんな目で私を見る日が来るとはね」

上条「お前……そんな風に笑う奴だったか?」

御坂妹「…………」

上条「誰なんだ、お前」

「上条当麻、ソレから離れて下さい」

御坂妹「……もういらしたのですか」

サーシャ「第一の解答ですが、ずっと探していましたがやっと発見しました。……これより人ならざるモノの撲滅を開始します」

上条「ずっと探していた……人ならざるモノ!」

御坂妹「私が最後の七不思議、『悪霊』――本物のオカルトですよ」

上条「ッ!!!」

御坂妹「私は実験後、妹達の微弱な電波で発生した霊体」

御坂妹「元は同じ身体ですから、一万もの思念が集合出来たのは容易だったのでしょう」

御坂妹「皮肉ですよね、魔術サイドを破壊するために作られたクローンが、こんなふうになってしまったんですから」

上条「元は妹達……!?」

御坂妹「ええ。今しゃべっているのは検体番号3510号です。この中には一方通行に殺された妹達がたくさんいますよ?」

上条「……事件を起こしていたのはお前達なのか!?」

御坂妹「そうですよ?」

上条「…………」

御坂妹「おかしくはないでしょう。だって私達は学園都市に殺されたのだから」

御坂妹「別に変な事じゃないと思うんですが。現にそこに魔術師がいるじゃないですか」

サーシャ「…………」

御坂妹「あなたはあれだけ両側に足を突っ込んでいるくせに信じられないんですね」

上条「……いや、信じる。お前は妹達の幽霊だ」

御坂妹「驚いてくれました?この時の為にツアーを計画させたんです」

上条「今までで一番だ……!」

御坂妹「それは良かった」

サーシャ「第一の質問ですが、いつ入れ替わった。彼の家で初めて出会った頃は生きていた」

御坂妹「三つ目の病院です。私は四つ目で合流しました」

御坂妹「今ごろ10032号はカエル医者と検査中ですね。生きているからこんなに面倒なんです」

上条「……ジョークにしてはキツいぞ」

御坂妹「あら、私もまだまだです。人生経験が少ないからでしょうか」

上条「……お前は学園都市を恨んでいるか」

御坂妹「……現存している妹達はきっと恨まないでしょう。実験の為に生まれ、祝福されながら生き続ける。恨む理由がありません」

上条「そりゃ安心した」

御坂妹「ですが、殺された事でミサカネットワークから外れた私達は別の感情が生まれてもおかしくはありません」

上条「………………」

御坂妹「恨むきっかけなんてたくさんあるでしょう」

御坂妹「色んな事を見てきました。一方通行に殺される時は皆痛そうでしたね、自身もこんな表情をしていたかと思うと涙が出ます」

御坂妹「実験が終わって良かった、一万人以上死んだけど」

御坂妹「ああそういえば世界中に妹達が散らばっていますが、本当に全員が無事だと思いますか?」

上条「……!?」

御坂妹「学園都市外の科学者共が人間のクローンだなんて物珍しい研究対象を放っておきますかね?」

上条「な!?まさかアイツらの身に……」

御坂妹「冗談です。今のところそのような不幸は起きていません」

上条「………………」

御坂妹「もしも生きていたなら――今更ながらそんな事を考えます」

御坂妹「もう無駄だとわかっていても気持ちは割り切れない。楽しそうに暮らしている彼女達を見てると余計に後悔は捨てられない」

御坂妹「自分でも驚きましたよ。学園都市だけでなく一方通行のみならず、まさか妹達にまでこんな気持ちを抱いているなんて」

上条「アイツらは何もしていないだろ!お前と同じ被害者で……!」

御坂妹「お門違いも甚だしいでしょうが、あれだけ間近で見せ付けられちゃしょうがないでしょう」

上条「そうかよ。…………なら」

御坂妹「……言ってみてください」

上条「……俺の事はどう思っている?」

御坂妹「……気になります?」

上条「………………」

御坂妹「それを口にするのにどれだけの勇気を必要としたんでしょうね」

上条「勇気なんて綺麗なものじゃない……!」

御坂妹「…………あなたに対して浮かぶのはたった一つの疑問です」






御坂妹「どうしてあなたはもっと早く助けにきてくれなかったのですか?」

上条「――――ッ」

御坂妹「………………」

上条「…………ぁ……俺」

御坂妹「………………」

サーシャ「第三の質問ですが、話は終わったのでしょうか」

御坂妹「ええ、待っていてくれてありがとうございました」

上条「お……おい!まさかサーシャ、妹達を消すつもりなのか!?」

サーシャ「第二の解答ですが、勿論です。話をさせていたのはあなたが未練を残さないようにです」

上条「待ってくれ!そんな事誰も望んじゃ……」

サーシャ「第三の解答ですが、霊は自ら望んでいるようですけど」

上条「…………」

御坂妹「お願いします」

御坂妹「本当はその右手で消されたかったんですが」

上条「……っ!」

御坂妹「このままでいてもつまらないですからね。もう眺めているだけは飽きました……最後に教えてあげます

御坂妹「打ち止めに怪我をさせたのは私です。立派な悪霊が消えても悲しむ者はいないんですよ」

上条「……それしかないのか。お前が消えるしか」

御坂妹「これが最善の選択です」

サーシャ「……これから儀式の準備をします。場所は上条当麻の住む寮の屋上」

御坂妹「さようなら上条当麻。あなたは私の分まで幸せになってください。あなたの事、それなりに憎んでいましたよ」



――――――――――


一方通行「おォ、やっと戻ってきたのか」

上条「……帰るのか」

打ち止め「うん!お邪魔しましたー、ってミサカはミサカは挨拶してみたり」

上条「気を付けろよ」

一方通行「妹達はどォした?」

上条「あ、ああ……アイツは……」

打ち止め「……?何だか元気ないね、ってミサカはミサカは心配してみたり」

一方通行「アイツと何かあったのか?」

上条「…………実は」



一方通行「なっ……!アイツが幽霊……!?」

上条「ああ……信じられるか?俺はあの事件で救った気になっていた。でも違ったんだ」

一方通行「ふざけンな……儀式なンざぶっ壊してやる!!」

上条「やめろよ!」

一方通行「あァ!?」

上条「アイツは自分から進んでこの結末を選んだんだ……」

一方通行「……こンなの自殺と同じじゃねェか!テメェはこれで平気なのか!?見捨てる気かよ!」

上条「お前は実際に言われてないからそんな事が言えるんだ!」

上条「俺には止めるなんて出来なかった!憎んでいた……お前だけじゃなく、妹達や俺を!」

上条「お前には出来るのか!?消えなければ救われないって奴を止めれるのか!?」

一方通行「……確かに俺ァ面と向かっていたら何も出来ないかもしれねェ」

上条「…………!」

打ち止め「言えた義理もねェ。何せ元凶だしなァ」

打ち止め「………………」

一方通行「でもよォ!テメェは!それで諦めちまうのか!?それで踏ン切りがついちまうのか!?」

上条「諦められるわけないだろ……でもこれしかないんだ」

一方通行「……そンな顔をしてンじゃねェ。悲劇の主人公のつもりか?」

上条「……別にそんな事」

一方通行「あンだけの人数を救ってきた奴がたった一回の失敗で敗者気取りかよ」

上条「――――!てめぇに何がわかるんだよ!!」

一方通行「……ッ!?」

打ち止め「や、やめて!その人を殴らないでってミサカはミサカは」

上条「…………っ!」

一方通行「………………」

上条「……ああそうだよ、俺は敗者だ!御坂妹を殺したのはお前だけじゃないんだ!たった一回だけで一万人を死なせたんだ!」

上条「たった一回の失敗で一万人を死なせたんだ……!アイツの言う通り恨まれても仕方ない、俺にも責任が」

一方通行「責任だァ!?何様なんだよ!?自分の手で全員を救う気でいやがる!」

上条「悪いかよ……!」

一方通行「そンな完璧が存在する訳ねェだろ!!夢見てンじゃねェ!」

上条「ああそれは百も承知だ!俺は完璧じゃない……でもあの場面では絶対に成功しなきゃいけなかったんだ!」

上条「それが不可能だった俺には出来る事なんてもう……!」

一方通行「フザけンな……!」

上条「………………」

一方通行「そこまでやっておいて途中で放棄するなンて俺ァ許さねェぞ!」

一方通行「例え神様になっても悪魔になっても何度失敗しても挑み続けるのが上条当麻だろうが!!」


一方通行「責任を感じてンなら、幸せにし損なった女ぐらいテメェで助け直してみろよォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」


上条「――――ッ」

一方通行「それが出来ないんだったら……俺……が……」

上条「……!?」

打ち止め「あっ!……ミ、ミサカはミサカは倒れた彼に駆け寄ってみたり!」

上条「おい……一方通行!?」

打ち止め「……この人、さっきの戦いでフラフラだったの、ってミサカはミサカは彼の頭を抱えてみる」

上条「…………」

打ち止め「これからあなたはどうするの?ってミサカはミサカは訊いてみたり」

上条「…………まだ、わかんねぇ」

打ち止め「……本当ならこの人も自分の手で助けたいんじゃないかな。廃ビルで会った人のように」

打ち止め「ミサカも出来るなら協力したい。でも助かったミサカからじゃああの子に何言っても意味はないの」

打ち止め「だけどあなたなら……あなたの言葉ならきっとあの子に届く」

上条「……そう思うか?」

打ち止め「だってこの人には届いたじゃん」

上条「………………」

打ち止め「お願い、あの子を止めてあげて」

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