雪ノ下「ねこすきいいいいいいいいいいいいいい」 (103)
帰り道 雨
ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
雪ノ下「…」
捨て犬「クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「…」
捨て犬「クゥーン…」
雪ノ下「…」
捨て犬「クゥーン…クゥーン…クゥーン…クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「…」
捨て犬「クゥーン…」
雪ノ下「…」
雪ノ下「…」ザッ スタスタ スルー
ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
捨て犬「 ゥ ワ ァ ン ! ! 」
雪ノ下「!!」ビクッ
雪ノ下「…」クルリ
捨て犬「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…」
雪ノ下「」スタスタ
雪ノ下「…」ジロ
捨て犬「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…」
雪ノ下「…」ジー
捨て犬「…」ジー
雪ノ下「…」キョロキョロ
雪ノ下「…」
雪ノ下「…」
雪ノ下「はぁ…仕方ないわね…」犬を抱きかかえる
雪ノ下の部屋
ドアガチャ
捨て犬「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…」
雪ノ下「待って! まだ入っちゃだめよ。玄関で身体拭かなくちゃ…」
雪ノ下「タオル…タオル…」
雪ノ下「」拭き拭き
捨て犬「ハッ…ハッ…ハッ…」
雪ノ下「暖房付けてっ…と」ピッ
雪ノ下「ミルクでいいかしら…? コンロで温めて…」カチッ
雪ノ下「はい…ミルク」コトッ
捨て犬「ハッ! ハッ! ハッ!」ペロペロ
捨て犬「クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「ん? 何…? お腹空いてるのかしら…? えっと…」
雪ノ下「確かパッケージに惹かれて買った猫缶が…」コトッ
捨て犬「ハグッハグッ」パクパク
雪ノ下「気に入ったみたいね」
雪ノ下「けどずっと飼う訳にはいかないわよ…」
捨て犬「クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「私、本当は犬は苦手なんだから…」
雪ノ下「どこか里親を見つけるまでだからね…」
捨て犬「クゥーン…」
雪ノ下(というかこの犬、本当に捨て犬なのかしら…? ただの迷子という可能性も…)
雪ノ下(いずれにせよ何か手を打たなくちゃね…)
犬「ハッ、ハッ、ハッ」
雪ノ下(それにこの犬…茶色で…脚が短い…どこかで見たことあるような…)
雪ノ下(いえ、きっと気のせいね…。私、犬は大体皆同じに見えるから)
犬「クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「どうしたの…?」
犬「クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「まだお腹空いてるのかしら…? はい猫缶」コトッ
犬「クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「何なのよ…水もあげたし…抱っこかしら…?」ダキッ
犬「クゥーン…クゥーン…クゥーン…クゥーン…」イヤイヤ
雪ノ下「頭撫でて欲しい…?」ナデナデ
犬「クゥーン…」イヤイヤ
雪ノ下「ブラッシング…?」ブラシブラシ
犬「クゥーン…クゥーン…」イヤイヤ
雪ノ下「参ったわね…」
犬「クゥーン…クゥーン…クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「…そういえば以前比企谷君が犬の翻訳アプリがあるとか言ってたわね…」
雪ノ下「…」カチャカチャ ダウンロード&インストール
雪ノ下「出来たわ…」カチッ
犬「クゥーン…」【欲しいよ、欲しいよ】
雪ノ下「いや、だから何が欲しいのよ…?」
犬「クゥーン…クゥーン…」【欲しいよ、欲しいよ】
雪ノ下「流石比企谷君に教わったアプリ。使えないわね…」
雪ノ下「うん? そういえば…」
~~~~~~回想~~~~~~
陽乃「雪乃ちゃん、雪乃ちゃん。これ知ってる?」
陽乃「地を這う庶民共には決して入れないセレブ専用アプリサイトだよ。
平民共が使ってるカスアプリとは比べ物にならない高性能アプリがたくさんあるんだー」
陽乃「雪乃ちゃんの携帯も会員登録しておくからねー」
~~~~~~~~~~~~~~~
雪ノ下「…」カチャカチャ
雪ノ下「あったわ…セレブ専用犬語翻訳アプリ…」
雪ノ下「凄いわ…音声再生だけでなくこちらの言葉も翻訳してくれるみたいね…」
雪ノ下「月額使用料520万円…」
雪ノ下「…」カチッ ダウンロード&インストール
雪ノ下「できたわ」カチャ
犬「クゥーン…」【欲しいワン、欲しいワン。おっぱいの抱っこをして欲しいワン!!】
雪ノ下「」ガシッ 犬の首輪を掴む
雪ノ下「」スタスタ ドアガチャ 犬ポイッ
犬「ヒャンッ…!?」ドテッ
バタン カチッ
雪ノ下「…」スタスタ
雪ノ下「ふぁー…そろそろ寝ないと…」
ドア向こう「ギャンギャン、キャンキャン、ワンッワンッ」
雪ノ下「…」
ドア向こう「ワンッ! ワンッ!」
雪ノ下「…」
ドア向こう「クゥーン…クゥーン…」
雪ノ下「…」
ドア向こう「キャン! キャン!」
雪ノ下「…」
ドア向こう「クゥーン…クゥーン…」
ドアガチャ
雪ノ下&翻訳機「抱っこならしないわよ…?」
犬「クゥーン…」【我慢するワン…】
翌日 教室
比企谷(ふぅ…やっと授業終わりか…)
由比ヶ浜「ヒッキー、ヒッキー」
比企谷「ん? どした…?」
由比ヶ浜「ちょっと今日は部活行けないかも…」ズーン
比企谷(何か凄く落ち込んでるように見えるな…)
由比ヶ浜「ちょっと急用ができちゃって…その…ゆきのんに伝えておいてくれないかな…?」
比企谷「いいけど…何か悩みならあいつに相談したら?」
由比ヶ浜「うん…ちょっとサブレのことなんだけど…。
いいや…もう少し自分で頑張ってからにするよ…。
いつもいつもゆきのんやヒッキーに頼ってばかりじゃなんだしね…。
特にサブレのことならもう何度も迷惑かけちゃってるし…」
比企谷「…? あいつならそんなこと気にしないと思うけど…」
由比ヶ浜「ヒッキーもね。ありがとう。駄目だったら相談するよ…」スタスタ
比企谷「…」クルリ
比企谷「…ん?」
沙希「…」ジロ
沙希「…」
比企谷「え? …何?」
紗希「ふぅ…いや、一応言っとこうと思うんだけど…私またバイトすることにしたから…」
比企谷「…! …ふーん」
沙希「つっても勘違いしないでよね。成績は順調に上がってるからだし、
少し小金がいるからちょっとだけよ」
比企谷「小金がいる…って?」
紗希「大志の誕生日…って、それはいいでしょ。
とにかく伝えたから、また前みたいにバイト先に押し掛けるようなことは無いようにね」
比企谷「…ハイハイ」スタスタ
材木座「よぉ、八幡!! 奇遇だな! どうだ? 今日あたりゲーセンでも…」ザッ
比企谷「…んだよ。悪いけどパス。これでも強制部活動で忙しいんだよ」
材木座「フン…つれない奴だ。仕方ない。我は家に帰って撮り溜めていたアニメの視聴でもするか」
比企谷「そうしてくれ…」スタスタ
部室
雪ノ下(ふぅ…昨日は疲れたわ…)グッタリ
比企谷「うーす」ガラッ
雪ノ下「…あら?」
比企谷「うん?」
雪ノ下「由比ヶ浜さんは…? あなたより遅いなんて珍しいわね」
比企谷「ああ…、何か急用が出来たとかでしばらく来れないってさ」
雪ノ下「そう。何かあったのかしら…?」
比企谷「さぁな、詳しくは聞かなかったけど」
雪ノ下「薄情ね…由比ヶ浜さんに伝えて頂戴、相談事なら聞くからって」
比企谷「分かったよ」
比企谷(つか何…? 由比ヶ浜も落ち込んでたけど。雪ノ下も見るからに疲れてるな…)
雪ノ下の部屋
犬「」Zzz…
雪ノ下「すっかりくつろいでるわね…」
雪ノ下「ん? これは…今まで気づかなかったけどお腹のところに何かついてる…?」
雪ノ下「これは…ガムの塊かしら…。取っちゃった方がいいわね…。
毛についちゃってるからハサミで毛ごと切り取らないと…」
犬「」パチリ
雪ノ下「ん? 調度目が覚めたみたいね…」ハサミシャキーン
犬「!! ギャン!?」【怖っ、何するつもりワン?】
雪ノ下「お腹のガムを取るだけよ…」
犬「ヒャン!」【嫌ワン、怖いワン】バタバタ
雪ノ下「ちょ、暴れないでってば…」
犬「ワンッ! ワンッ!」【絶対嫌ワン!】ドタドタバタバタ
数時間後
雪ノ下「はぁ…はぁ…やっと取れたわ」グッタリ
犬「ハフゥ…」【怖かったワン…】
雪ノ下(本当に疲れたわ…それに全身犬の毛だらけ…早くお風呂入って寝ないと…)ボロボロ
脱衣所
雪ノ下「ふぅ…」ガチャ 風呂から出てくる
雪ノ下「しまったわ。着替えを用意して無かった…着替えは寝室ね…」バスタオル巻き スタスタ
リビング
雪ノ下「」
部屋中にボロ布の切れ端が散乱
雪ノ下「…これは…まさか…」
犬「ハッ、ハッ、ハッ…ムフゥ…」【上がったワン、ゆきのん?】
雪ノ下「私の…下着…」
犬「ムフゥ…ハッ、ハッ、ハッ…フムフゥ」
【これが一番噛み千切り心地が良かったワン。引き出し開けるのに苦労した甲斐があったってものワン】
雪ノ下「何で…こんな…」
犬「ワフゥ…ワフゥ…ハガァ…フゥ…」
【犬は噛んで遊ぶのが好きワン。だからそういうおもちゃを用意しとくのは犬を飼うなら常識ワン】
犬「ワハフゥ…」【お風呂の所にあったのも使わせてもらったワン】
雪ノ下「」ダッ
脱衣所確認
雪ノ下「…そんな」くたっ
雪ノ下「着けられる下着が…無い…」
材木座宅
材木座「ふすぅ…それでは取り溜めていたアニメを観るとするかぁ」カチャ
材木座「ふむぅ…」アニメ視聴中
材木座「むむむ…」アニメ視聴中
材木座「…う~む」視聴終了
材木座「ふ~む、中々面白かったな! マリーナたその声はいつ聴いてもすばらしい…。
ただこれや夜空たそのような黒髪ロングより
金髪ワガママリア充女などを演じさせてみればドハマりだと拙者は思うのだが…」
材木座「どれ、次はネットの評判でもチェックしてみるかぁ。
え~と、『いぬとはさみはつか…』」カタカタ
材木座「…!! むぅ! こっ、これはぁ!!」
雪ノ下の部屋
深夜2:30
雪ノ下「」Zzz
犬「キャン! キャン!」
雪ノ下「う…うーん…」パチッ
犬「キャン! キャン! ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…」
雪ノ下「何よもう…大人しく寝て頂戴…」ムクリ
犬「キャン!」
雪ノ下「…」翻訳機カチッ
犬「ハッ、ハッ、ハッ、ワフゥ…」【ねぇねぇゆきのん、ゆきのんは彼氏とかいるワン?】
雪ノ下「…チッ」カチッ バタリ
犬「キャン! キャン!」
雪ノ下「もう! 寝てってば…!!」イライラ
部室
比企谷「う~す」
雪ノ下「」グッタリ…
比企谷(うわぁ…昨日にも増して疲れてる…)
比企谷「あの…何かあったのか…?」
雪ノ下「…」ジロ
雪ノ下「…」無視
比企谷(うわぁ…)
比企谷(それに何だ…いつもと格好が違うぞ…)ジロジロ
雪ノ下「…何よ? そんなに人をジロジロ見て…」グッタリ
比企谷「いや…珍しいな、お前がスカートの下にジャージはくなんて…。
まるで(別に見たこと無いけど)相模辺りがしそうな…」
比企谷(それに制服のシャツの下から透けて見えるが、黒い長袖シャツを着てるのが分かる。
この季節だというのに不自然だ…)
雪ノ下「…!!!!」
雪ノ下「比企谷君、あなたは女子のことを見るなりスカートの下の足を確認するのかしら?
前から思ってたけど本当の本当に気持ちが悪いわ! クズ!! 最低!!」
比企谷(了解。過去最高に機嫌が悪い…。これは今日は触れない方が身のためだな…)
ガラッ
材木座「うぉぉぉぉぉ!! はちまーん!!」
比企谷「げっ、材木座…」
材木座「糞!糞!糞!糞!糞!糞!糞!糞杉ワロタでござるよぉぉぉぉ!!」
比企谷(こんな時に…)チラッ
雪ノ下「」無視
比企谷(すげぇ…眉ひとつ動かさない…。材木座を完全に“いないもの”として認識していない…)
比企谷「落ち着け、材木座。今度は何だ…?」
材木座「これが落ち着いていられようかぁぁぁぁぁ!
糞!糞!糞!とんでもない糞なのだぁぁぁ!!」
比企谷「だから落ち着けって、糞って何がだ…?」
材木座「決まっていよう!!
貧乳クール系&ドS気取りの黒髪ロングバカ女(貧乳)が
茶色くて足の短い可愛い犬氏をハサミで虐待しているのだ!!貧乳のクセに!!」
雪ノ下「…」ピク
材木座「大体今時、貧乳クール系黒髪ロングなんてほむほむともっ先でお腹いっぱい!!
こちとら見飽きてしまって視界に入れるだけで不快だというのに!
一体、何番煎じでござるか!?」
雪ノ下「…」
材木座「それにドS気取りでハサミ虐待とか!
それ戦場ヶ原さんのパクリではないのか!?マネっこか!?
影響を受けてるのではないのかぁぁぁぁ!!」
雪ノ下「…」
材木座「助けて~動物愛護団体~!」
比企谷「落ち着けって…な? 分かったから…」
比企谷(単純にうるさい…。
それに気のせいか雪ノ下さんが凄い目でこちらを見ておられる気がする…)
雪ノ下「比企谷君…」
比企谷「…!」ビクッ
雪ノ下「ちょっと部室から出ていて貰えるかしら?」
比企谷「えっと…わ、分かった…」スタスタ
材木座「へ…? へ…? コホン、それでは拙者も…」スッ
雪ノ下「待って」
材木座「!?」
雪ノ下「お話があるの…」ニッコリ
数分後 廊下
比企谷「…」
ガラッ
比企谷(おっ、出て来たな…)
材木座「…」グスッ グスッ
比企谷(うわぁ…マジ泣きしてるよ…)
比企谷「材木座…? 大丈夫か?」
材木座「ぐ…うぐっ…比企谷さん。すいません…生まれてきて…すいません…」グスッ グスッ
比企谷「太宰かよ…」
材木座「うぐっ…うぐぅ…」スタスタ
比企谷(大丈夫か…? 自殺とかしないよな…?)
ガラッ
部室
比企谷「雪ノ下、材木座に何言ったんだよ…?」
雪ノ下「ふぅ…」グッタリ 無視
雪ノ下(疲れたわ…本当に…)
雪ノ下の部屋
ガチャ
雪ノ下「…ただいま」フラフラ
雪ノ下(下着買いによってたらすっかり遅くなっちゃった…)グッタリ
犬「ハッ、ハッ、ハッ…」【お帰りワン、ゆきのん】シッポフリフリ
雪ノ下「ちゃんと大人しくしてたでしょうね…?」
犬「ハフゥ…」【大丈夫ワン。噛んで遊ぶのは貰った雑巾で我慢したワン】
雪ノ下「…そう。もうしちゃ駄目よ…」
犬「フハァ、ガフゥ」【昨日は悪かったワン】
雪ノ下「もういいわよ…」
犬「ガハッ」【噛み千切ったこともだけど、気付かなかったワン】
雪ノ下「何が…?」
犬「グゥ、ハァ、ハグゥ」【彼氏いるのか聞いても返事しなかったワン。ゆきのんって、喪女だったワン】
雪ノ下「」イラッ
雪ノ下「別に…そんなのいなくても気にしてないわ…」
犬「グフゥ、ガフゥ」【そうだねワン。別に彼氏がいないくらい珍しいことではないワン】
雪ノ下「そうね…」
犬「グッハァ」【でも男友達くらいはいるワンよね?】
雪ノ下「」ピク
犬「ワフゥ…、ガハァ」
【え? まさか男友達すらいないワン…? それはちょっと考えた方がいいと思うワン…】
雪ノ下「」イラッ
雪ノ下「誰もいないとは言って無いわ…」
雪ノ下「そうね…まずは友達というものを定義して貰わなくちゃ…。
定義によってはまったくいないとも言い切れないわ…」
犬「ハグァ、ワフ、ヒャン」【いないんだワン! 悲しいワン! ぼっちワン!】
雪ノ下「…いるわよ。定義によっては…」
犬「キャハン、ガフゥ…」【嘘くさいワン! なら名前を言ってみるワン】
雪ノ下「…チッ」イライラ
雪ノ下「…」
~~~~~回想~~~~~
???「なんなら俺が友達に…」
雪ノ下「ごめんなさい、それは無理」キリッ
~~~~~~~~~~~~
雪ノ下「…」
~~~~~回想~~~~~
???「やっぱり皆で仲良くできる方法を考えないと…」
雪ノ下「そんなことは不可能よ。ひとかけらの可能性もないわ」キリリッ
~~~~~~~~~~~~
雪ノ下「…」
犬「ハッガァッ」【言えないワン! やっぱり嘘ワン!】
雪ノ下「ひきがやはちまんはやまはやと」ボソッ
犬「ギャフッ」【…!! 本当だったワン! 疑ってごめんワン!】
翌日 部室
由比ヶ浜「ふえーん」ポロポロ
雪ノ下「何があったの…?」
由比ヶ浜「飼ってる…犬が…ぐすっ…いなくなっちゃったんだよ…」ポロポロ
雪ノ下「犬…?」
由比ヶ浜「ぐすっ…散歩中に…リードが外れて…」
比企谷(またかよ…)
由比ヶ浜「走って…そのまま…」ポロポロ
比企谷(首輪よりリードあげた方が良かったな…)
雪ノ下「どんな犬なの…?」
由比ヶ浜「茶色くて…脚が短くて…」グスッグスッ
雪ノ下(…! それってまさか…)ガタッ
由比ヶ浜「優しくて…大人しくて…とってもお利口さんで…」
雪ノ下(なんだ。なら違うわね…)スタッ
由比ヶ浜「どうしようゆきのん、ヒッキー…?」
由比ヶ浜「私心配で心配で…」グスッグスッ
比企谷「まぁそういうなら探すしかねーんじゃねーの?」
雪ノ下「そうね…警察や保健所へは電話した?」
由比ヶ浜「それくらいなら昨日の内に…」
雪ノ下「そう…。まさか変な人に連れて行かれた訳じゃないでしょうね…?」
由比ヶ浜「そんな…?」ビクッ
雪ノ下「…! ごめんなさい。無神経なことを言ってしまったわね…」
雪ノ下「警察や保健所が知らないとなると事故の線は無いと思うわ。
写真付きでポスターを作って探すのがいいと思うわ」
由比ヶ浜「うん…!」
比企谷「ポスターなら俺が作るよ…以前家で預かった時小町が写真撮りまくってたはずだから…」
由比ヶ浜「ありがとう…ヒッキー…。ごめんね、結局二人に頼ることになっちゃった…」
雪ノ下「出来たら教えて頂戴、私も手伝うわ」
雪ノ下(見つかるといいわね…本当に…)
雪ノ下の部屋
犬「…」シッポフリフリ
雪ノ下(そういえば、私も世話するのに忙しくてこの子の引き取り先のこと何もできていなかったわ…)グッタリ
雪ノ下「ねぇ所であなた…今更だけど何であんなところにいたの…? やっぱり捨てられてたの?」
犬「ハグゥ、ハッ、ハッ」
【え? いや捨てられた訳ではないと思うワン。いつの間にか知らない所にいたワン】
雪ノ下「そうなの? 元いた住所とか分かる?」
犬「ハフゥ…」【さぁ…。犬だからそういうことは分からないワン】
雪ノ下「…そう」
犬「ガファ、ワフゥ」【でもぼくの名前はサブレだワン】
雪ノ下「えっ? サブレ…? サブレですって…?」
~~~~~~回想~~~~~~
由比ヶ浜「優しくて…大人しくて…とってもお利口さんで…」
~~~~~~~~~~~~~~
雪ノ下(由比ヶ浜…? サブレ…?)
サブレ「フゥ…」【…? どうしたワン、ゆきのん?】
雪ノ下「…」
雪ノ下「…いえ記憶違いだったわ。私去年の夏ごろ神奈川の由比ヶ浜近くで乗馬をしていたの。
その時の馬の名前だったわ、サブレは」
翌日 休日 朝
雪ノ下「」Zzz
サブレ「ガハッ、キャン! キャン!」【ゆきのーん! 起きて! 朝だよ!!】
雪ノ下「うーん、もうちょっと寝かせて頂戴…」グッタリ
サブレ「ワン! キャン! キャン!」
【雑巾がもう駄目ワン! バラバラワン! 他のもので代用したけど、それももう無いワン!!】
雪ノ下「…?」
雪ノ下「…」
雪ノ下「…!!」ガバッ ダッ
雪ノ下「これは…」
部屋中に散らかる襤褸切れ
雪ノ下「また下着が…何で…? 噛んじゃ駄目って言ったのに…」へたり
サブレ「ワン! キャン! キャン!」
【だってもう雑巾が駄目だったから…。それに夜中にゆきのんを起こそうとしたワン。
ゆきのんは起きてくれなかったワン】
雪ノ下「…」
雪ノ下「…」着替え着替え チャキッ
雪ノ下「…どうやら本格的な躾が必要なようね…」ハサミシャキーン
サブレ「ワフゥ…!? ガハァ…」【ゆきのん!? 怒ってるワン…あ、もしかして…】
サブレ「…」クンクン
サブレ「ワフゥ…」【別にあの日では無いようワン…】
雪ノ下「」プツン
雪ノ下「フフフ…」
雪ノ下「ウフフウフフ…」
雪ノ下「…もういや」
サブレ「ハッ、ハッ、ハッ」【ゆきのん…?】
雪ノ下「猫が見たい…」
サブレ「ハ…」【えっ…?】
雪ノ下「動物に癒されたい…」
サブレ「ハフゥ…」【え? いやサブレがいるワン…?】
雪ノ下「ね、ねこぉ…」ダッ
ドアガチャ
雪ノ下「」ダッダッダッ
ドアバタン
サブレ「ワン! ワン!」【ちょ、ゆきのん!? ゆきのーん!!】
雪ノ下(ねこっ! ネコッ! 猫ぉ…!!)ダッダッダッ
駐車場
雪ノ下(ねこ…ねこ…)ダッダッ
空き地
雪ノ下(ねこねこねこ…)ダッ
商店街
雪ノ下(猫…猫…猫…)スタスタ
駅前
雪ノ下(ネコッ…ネコッ…)ダッダッダッ
繁華街
雪ノ下(ネコネコネコネコネコネコ…)ダッダッ
比企谷「ん? 雪ノ下…? 調度良かった。ポスター出来たぞ。
今、由比ヶ浜や葉山達と一緒に張って回ってるんだ。手伝ってくれ」
雪ノ下(ねこっ、ねこっ、ねこっ、ねこっ!)無視 タッタッタッ
比企谷「…って、おい雪ノ下…?」
雪ノ下(ねこねこねこねこ…)無視 タッタッタッ
比企谷(行っちまった…)
公園
雪ノ下(猫猫猫…なんでどこにもいないのよ…)スタスタ
ビル屋上
雪ノ下(ネコネコネコネコ…)
ペットショップ 本日休業
雪ノ下(ッ~~~~)
路地裏
雪ノ下(猫っ…猫っ…猫っ…猫っ…猫っ…猫っ…!)
メイドカフェえんじぇる
ガチャ
雪ノ下「」
ネコミミメイド紗希「おかえりなさいませ! ご主人様! にゃんにゃっ…ふぉぉぉぉぉん!?」
雪ノ下「…」
ネコミミメイド紗希「ゆ…き…の…し…」
雪ノ下「…」タッ
雪ノ下「…」サッ
ネコミミメイド紗希「え…? え…?」
雪ノ下「」サッ 抱き締め
ネコミミメイド紗希「…!?」
雪ノ下「ふぅ…」抱き締め
ネコミミメイド紗希「なんだこれ…?」
雪ノ下の部屋
紗希「…ここあんたの家じゃないの? 本当にいいバイトなんてあるんだろうね?」
雪ノ下「本当よ…」
紗希「頼むよ…。バイト先には無理言って辞めさせて貰ったんだから」
雪ノ下「この犬の世話をして頂戴」
サブレ「ハフゥ! ハウワウワッ」【…!! やったぁ! おっぱいワン!!】
紗希「(何この音声…?)あんたの犬…? どっか旅行でもするの?」
雪ノ下「そうじゃないけど、もう…無理なのよ…」
雪ノ下「それから、これの着用も義務付けるわ」ネコミミメイド衣装
紗希「あんたそれ持ってきたの!?」
雪ノ下「心配しないで…ちゃんとお金を払って貰って来たから…。
あと泊まり込みね。今日一日だけでも…」
紗希「泊まり込み…? 聞いて無いよ。それはちょっと…」
雪ノ下「これくらい出すわ」電卓カチャカチャ
紗希「…! …引き受けた」ゴクリ…
深夜 寝室 ベッドの上
雪ノ下「」Zzz 抱きしめ
ネコミミメイド紗希「…」
サブレ「」Zzz 抱きしめ
ネコミミメイド紗希「…」
雪ノ下「ふぅ…ねこちゃん…」Zzz
ネコミミメイド紗希「…」
サブレ「フゥ…」Zzz【おっぱいワン…】
ネコミミメイド紗希「…」
ネコミミメイド紗希(なんだこれ…)
翌日 夕方 繁華街
葉山「だいぶ探したな…。そっちはどうだった?」ハァハァ
比企谷「駄目だ…見つからない…」ハァハァ
由比ヶ浜「…」
三浦「ポスターは?」
海老名「もう全部貼り終えたよ…」
戸部「もう連絡待った方がいいじゃね?」
由比ヶ浜「…」
三浦「ちょっと、そういうこと言うなって…!」
由比ヶ浜「…みんな今日はもういいよ。ありがとね。
明日から学校だし、もう休んで大丈夫だから」
三浦「結衣はどうすんの…?」
由比ヶ浜「もうちょっと頑張ってみるよ…。
このままだと心配で休めそうにないから…」
比企谷「…」
三浦「いやこれから暗くなるし一人じゃあぶなくない?」
葉山「なら俺ももうちょっと探してみるよ」
由比ヶ浜「葉山君…」
三浦「まぁ、結衣一人をほっとけないしね」
戸部「っしゃ! もうひと踏ん張りしますか!」
海老名「結衣、私たち大丈夫だから…」
由比ヶ浜「みんな…」
葉山「比企谷は…?」
比企谷「別に…ぼっちは基本暇なんだ…」
由比ヶ浜「ヒッキー…」
比企谷「行くぞ…」
由比ヶ浜「うん…うん…ありがとみんな…」ポロポロ
葉山「さぶれーっ!!」スタスタ
戸部「おーい!! さぶれーっ!!」スタスタ
由比ヶ浜「さぶれーぇぇぇぇぇ!!」スタスタ
同時刻 雪ノ下の部屋
紗希「ほらバカ犬、犬缶買ってきてやったぞ」コトッ
サブレ「フガッ」【イエーイ! 猫缶には飽き飽きしてたところワン!】ハグハグ
雪ノ下「川崎さん、ネコミミ…」
紗希「ハイハイ…」スチャ
サブレ「ハグゥ…ハッ、ハッ、ハッ…」【おっぱいの抱っこもお願いするワン】
ネコミミメイド紗希「何でこの犬、ナチュラルにセクハラしてくるんだ…?」ダキッ
サブレ「ハフゥ…」【極楽ワン…! でもちょっと物足りないワン…】
サブレ「…」
サブレ「ワグゥ…、キャン…」【ゆきのん、ゆきのん、ちょっとお話があるワン】
雪ノ下「…ん? 何よ…」
サブレ「ゴハァ、ヒャン…」【ご飯とか御馳走様だワン。お腹いっぱいだワン】
雪ノ下「そう…。よかったわね…」
サブレ「ハッフ、ヒャン…」【おっぱいも堪能したワン。ゆきのんには無かったから嬉しかったワン】
雪ノ下「」イラッ
ネコミミメイド紗希「…どういたしまして」
サブレ「ハグゥ、ハッ、ハッ、ハッ…」
【だからそろそろ旅行は終わりにしてサブレはお家に帰ろうと思うワン】
雪ノ下「…」
ネコミミメイド紗希「…」
雪ノ下「…」
雪ノ下「…は?」
ネコミミメイド紗希「何…? 家わからないんじゃないの?」
雪ノ下「じゅ、住所は分からないって…」
サブレ「ハガァ、グハァ、ガゥ」
【住所とかは分からないワン。けど心配いらないワン。サブレには帰巣本能があるから平気ワン】
雪ノ下「…」フラァ バタリ
ネコミミメイド紗希「ちょ…雪ノ下さん!? 大丈夫!?」
サブレ「ワッフ、フガァ」【おっぱなんとかさん、ドアを開けて欲しいワン】
ネコミミメイド紗希「(おっぱなんとか…?)え? あ、ハイ…」ドアガチャ
サブレ「ワン! ワン! ワーン!」ダッダッダッダッ
翻訳機【さようなら! そしてありがとうワン、ゆきのん! またいつか必ず遊びに来るワーン!】
ネコミミメイド紗希「行っちゃった…」
雪ノ下「」真っ白
数時間後
葉山「さぶれーぇぇぇぇ」
海老名「さぶれぇぇぇ」
戸部「ふぅ…疲れた…」ハァハァ
三浦「流石にもう休んだ方がいいんじゃない…?」
海老名「そうだね…もう暗くなってきてるし…」
比企谷「…」ハァハァ
葉山「そうだな…けど…」ハァハァ
由比ヶ浜「さぶれぇぇぇぇぇぇぇ!!」ポロポロ
由比ヶ浜「さぶれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」ポロポロ
葉山「結衣…」
比企谷(流石にこれ以上は限界か…)
比企谷「おい、由比ヶ浜…」
???「キャン! キャン!」
由比ヶ浜「!!」
由比ヶ浜「サブレ…?」
サブレ「ワンッ! ワンッ! ワンッ!」タッタッタッ
由比ヶ浜「サブレ!!」ダッ
サブレ「ワンッ! ワンッ!」タッタッタッ
由比ヶ浜「サブレ! サブレ!」ダッダッダッ
サブレ「ワンッ!」
由比ヶ浜「サブレッ!!」ガシッ
由比ヶ浜「よかった…。怪我して無い? お腹空いて無い?」ポロポロ
海老名「よかったね…」グスッ
葉山「ああ…本当に…」
三浦「…」グスッ グスッ
戸部「うん…うん…」グスッ
比企谷「…」フゥ
由比ヶ浜「サブレ…! サブレ…!」抱き締め
サブレ「ワフゥ…」(やっぱりヶ浜のおっぱいが一番ワン!)
翌日 奉仕部
雪ノ下「そう…由比ヶ浜さんの飼い犬見つかったの…」
由比ヶ浜「うん! おかげ様で。本当にありがとねヒッキー! ゆきのんにも心配掛けちゃったね」
雪ノ下「そんな…今回私は何もしてないし…。ポスターが出来たなら声を掛けてくれればよかったのに…」
比企谷「いや、俺声掛けたよね…? 思いっきり無視したよね…?」
雪ノ下「何のこと…? あなたの記憶違いじゃないの?」
比企谷「…」
比企谷「…それはいいけど、それより」チラッ
ネコミミメイド紗希「ほらお茶ついだよ」ガチャ
由比ヶ浜「わぁ、いただきまーす」
比企谷「何でなんとかさんがいるの?」
雪ノ下「しばらく雇ったメイドよ」
比企谷「変なカッコしてるし…」
ネコミミメイド紗希「文句あるの…?」
比企谷「…」目逸らし
ガラッ
材木座「八幡! 今日こそゲーセンだぁ!!」
材木座「ん? もはぁ!! ネコミミメイドさんがおるではないかぁ!」
材木座「ははーん、さては戦場ヶ原さんに羽川さんのコスでござるなぁ!」
紗希「締めようか雪乃…」ギロ
雪ノ下「そうね…」ギロ
材木座「ヒィ…! よく考えたら用事があったので、今日のところはさらばだ八幡!!」サッ
比企谷「あいつもこりねぇな…」
比企谷(つか、雪ノ下と川崎、距離縮んでね? 気のせい?)
比企谷「」ピロピロ
比企谷「ん? 携帯が…」ガタッ ポチッ
比企谷「…小町か? どした…? 何…カマクラが…」スタスタ ガラッ
部室を出て行く八幡
雪ノ下「…?」
由比ヶ浜「そうだ、ゆきのん! 今度一緒にお買いもの行かない? 新しいリードが欲しくてさぁ。
見つかった犬も連れてくから」
雪ノ下「…犬は苦手なのだけれど」
雪ノ下(ここ最近のせいで本当に…)
由比ヶ浜「え? いや前も言ったけど家の犬はよい子だよ、大人しいし、お利口さんだしっ」
雪ノ下「そうね…由比ヶ浜さん家の犬ならあんなことにはならなそうね…」
由比ヶ浜「…?」
雪ノ下「そうだ…なんなら先に家に遊びに来れば…? 事情があって犬缶が余ってるのよ」
由比ヶ浜「うん! きっと一緒に遊びに行くよ!!」
完
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません