八幡「なあ、雪ノ下。俺と……」雪ノ下「それは無理よ」 (421)

八幡「まだ何も言ってねえぞ」

雪ノ下「前にも言わなかったかしら? あなたと私が友達になるなんて……」

八幡「断られたか……由比ヶ浜、やっぱ駄目だったわ。約束通り、お前と付き合うよ」

雪ノ下「えっ……?」

由比ヶ浜「あはは……そっか。なんかヒッキーが降られて悲しいのか嬉しいのか複雑な気分だけど、これからはよろしくね、ヒッキー!」

八幡「悪いな。せっかくお前から告白してきたのに、素直に返事できなくて。だが自分の想いにケリは着けたかったんだ。雪ノ下への想いを」

雪ノ下「えっ、えっ?」

由比ヶ浜「ううん、あたしは気にしてないよ。ヒッキーが、これならはあたしを見てくれるなら、それでいい」

八幡「……ありがとう、由比ヶ浜。それに雪ノ下も」

雪ノ下「えっ? あの……」

八幡「お前なら、はっきりとした返事をしてくれると思っていた。これでお前への想いも諦められる。ありがとう、好きだったよ雪ノ下」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「ねえ、ヒッキー」ズイ

八幡「なんだ? つーか近くね?」

由比ヶ浜「も~いいじゃん! ヒッキーのか、か、彼女、なんだし」ギュッ

八幡「……ま、まあ、そう、だが」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「今日はどこか寄り道していかない?」

八幡「早速、放課後デートかよ……別に構わねえけど」

由比ヶ浜「やった! えへへ、どこいこっか?」

八幡「ならこの前、約束したハニトー食いにいくとか」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「ヒッキー、あの約束覚えててくれたんだ!」

八幡「そりゃそうだろ。ぼっちの会話の記憶力舐めんな。人と余りにも会話しなさすぎて半年前くらいの会話でも思い出せるつーの」

由比ヶ浜「えっ? じゃ、じゃあ、ヒッキー、あたしが奉仕部入ってから話した事、全部覚えてるの?」

八幡「……ま、まあ」

由比ヶ浜「えへへ、そっか~あたし、ヒッキーにそんなに覚えてもらえてたんだ~えへへ」

八幡「に、ニヤケすぎだ、バカ」

由比ヶ浜「あっ、照れてる」

八幡「んなんじゃねーよ……」

雪ノ下「……」

八幡「……つーかさ、その」

由比ヶ浜「なあに?」ギュッ

八幡「い、一々腕組むなよ……さっきの聞いたら普通引くだろ。会話全部覚えてるなんて」

由比ヶ浜「えっ? なんで?」

八幡「なんでって……」

由比ヶ浜「大好きな人に覚えてもらえてるんだから、嬉しいに決まってるじゃん」

八幡「ぐっ……」

由比ヶ浜「うわっ、ヒッキー顔真っ赤。りんごみたい」

八幡「うっせ。お前も人のこと言えねえくらい赤いぞ」

由比ヶ浜「だ、だって、恥ずかしかったし……」

八幡「なら、言うなよ……こっちも恥ずかしいだろうが」

由比ヶ浜「えへへ」

雪ノ下「……」

由比ヶ浜「あっ、もうこんな時間……」

八幡「今日は依頼も来なかったし、終わりでいいだろ。なあ雪ノ下?」

雪ノ下「えっ? ええ……」

由比ヶ浜「それじゃ行こっか、ヒッキー!」ギュッ

八幡「だから腕組むなって……」

由比ヶ浜「い、嫌なの?」
八幡「嫌じゃねえけど……その、あ、当たるだろ」

由比ヶ浜「へ? あっ……ひ、ヒッキーのエッチ!」ギュッ

八幡「そう言うならなんで腕離さねえんだよ!」

由比ヶ浜「もう、こうなったらヒッキーが馴れるまでこうするから! そしたら気にしないでしょ!?」ギュッ

八幡「お、お前意識しないとか無理だろ……」
由比ヶ浜「ふえ?」

八幡「ああ、もう!きりがねえな! 行くぞ、由比ヶ浜!」ギュッ

由比ヶ浜「待ってよヒッキー!あっ、ゆきのん、またね~」
八幡「またな、雪ノ下」バタン

雪ノ下「……」

雪ノ下「……とりあえず、状況を、整理しましょうか」

雪ノ下「比企谷君が友達申請にきたと思ったら実は告白で、気付けば彼は由比ヶ浜さんと付き合っていた」

雪ノ下「何を言っているのか分からないわ……」

雪ノ下「比企谷君は……私のことが好きだったのね」

雪ノ下「分かっていたわ。それくらい。だって彼、時々あの腐った目で私を凝視してたから」

雪ノ下「私は、可愛いから……仕方ないわね」

雪ノ下「……両、想い、だったのね」

雪ノ下「……なんで」

雪ノ下「私、は……」

雪ノ下「たった、二文字……す、き、と言えなかったの?」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……どうして? どうして彼なの?」

雪ノ下「あなたにはたくさん友達がいるじゃない。理解してくれる人がいるじゃない……どうして、比企谷君を盗るの?」

雪ノ下「私には、彼しか、いないのに……」

雪ノ下「やっと、見つけたと、思ったのに……」

雪ノ下「私を理解して、くれる人……私を、本当に見てくれる人……私を愛して、くれる人」

雪ノ下「比企谷君……どうして……? どうして、告白なんてしたの?」

雪ノ下「必要ないじゃない、私たちに……」

雪ノ下「互いを理解しているのだから、言葉なんて曖昧な手段を使わなくとも、私たちは疎通できた……」

雪ノ下「あなたは私が好きで、私もあなたが好き……そんなの、分かっていたじゃない、互いに」

雪ノ下「……言葉なんて、必要ないのに、想いだけで、十分なのに」


雪ノ下「あなたと私はそれだけで伝わるはずなのに……」

つか、あれ?ヒッキーおかしくね?
雪ノ下は
『あなたと私が友達になるなんて』
って口に出してるんだし、聞こえているはず
それなら雪ノ下が勘違いしている事に気付くんじゃ……

翌日 奉仕部

ガチャ

八幡「うっす」

雪ノ下「こんにちは、比企谷君。由比ヶ浜さんは?」

八幡「結衣なら……ごほん、由比ヶ浜なら今日は三浦達とカラオケだそうだ」

雪ノ下「……名前呼びなんて、一度もされた事ないのに」ボソッ

八幡「なんか言ったか?」

雪ノ下「いいえ。それより付き合って翌日に彼氏を放置して友達と遊ぶなんて……まさか一日で振られたの?」

八幡「んな訳あるか。恋人できたからって今までの関係疎かにするような奴じゃねーよ」

雪ノ下「………そう」

>>65
八幡→雪乃に告白しようとする

雪乃「あなたと友達になるなんて」

八幡→友達以下だと思われていた、ショック

八幡→「もういいや、由比ヶ浜で」






って勝手に解釈してる

八幡「なんで落胆してんだよ……俺が振られんの期待してんのか?」

雪ノ下「ええ」

八幡「ひでえ」

雪ノ下「あなた達では余りにも釣り合わないから」

八幡「……んなの、分かってる。だけどあいつは俺を好きだと言ってくれたんだ。釣り合わないなんて、他人がどう評価するかなんて知るかよ」

雪ノ下「………他人?」

八幡「あ? どうかしかた?」

雪ノ下「比企谷君、あなたと私は他人だと言うの?」

八幡「別にお前の事を指した訳じゃねえが……まあ、友達でもなんでもないし、ただの知り合いだろ」

雪ノ下「ただの、ね……」

八幡「んだよ。不服そうだな。知り合いすら嫌か?」

雪ノ下「……」

八幡「雪ノ下?」

雪ノ下「ねえ、比企谷君。一つ尋ねてもいいかしら?」

八幡「なんだよ、急に……」

雪ノ下「由比ヶ浜さんは、どういう関係?」

八幡「は? んだよ、それ。お前も知ってるだろ」

雪ノ下「いいから答えなさい」

八幡「あいつとは恋人同士だ」

雪ノ下「……そう」

八幡「それがどうかしたかよ」

雪ノ下「もう一つ尋ねてもいいかしら」

八幡「今日は随分と質問が多いな。なんだよ」

雪ノ下「その恋人という関係は、互いに言葉なしに意思の疎通ができるの?」

八幡「は?」

雪ノ下「聞こえなかったかしら」

八幡「ちげえよ。質問がぶっとび過ぎて理解出来なかっただけだ」

雪ノ下「……意味が分からない? あなた本当に国語の成績はいいの?」

八幡「だから、質問の意図が分からないって言ってんだよ」

雪ノ下「そのままの意味よ」

八幡「んなの、出来るわけねえだろ。空気読むのに長けてる結衣……ごほん、由比ヶ浜でも無理だな」

雪ノ下「あなたは……?」

八幡「スーパーぼっちを舐めるなよ。ぼっちは相手の言葉の裏を読む事ができる……が、言葉なしに相手の事なんて分かるかよ」

雪ノ下「そう……ふふ、そうよね」

雪ノ下(そう……結局、恋人同士という関係になっても、比企谷君と由比ヶ浜さんは互いを本当に理解しあえてない)

雪ノ下(なら、慌てる必要はないわ……昨日は少し、動揺してしまったわね)

八幡「なんの意味があんだよ、この質問」

雪ノ下「教える必要はないわ」

八幡「は?」

雪ノ下「だって、あなたなら分かる筈だもの」

なんでまだあるのん

八幡「分かるわけねえだろ……質問は終わりか?」

雪ノ下「ええ、十分よ」

八幡「ったく、何考えてるんだか……」

雪ノ下(本当は分かっている癖に、口ではそう言うのね。私には分かるわ)

雪ノ下「本当に捻くれてるのね」

八幡「急になんだよ」

雪ノ下「別に。事実を言ったまでよ」

八幡「……まっ、捻くれてるのは否定しないが」

―――
――

雪ノ下「さて、今日はこれで終わりにしましょうか」

八幡「結局、今日も依頼なしだな。まっ、その方が楽で助かるがな。じゃあな、雪ノ下」

雪ノ下「待ちなさい」

八幡「……んだよ。もう部活は終わったんじゃねえの?」

雪ノ下「ええ、今日の奉仕部の活動は終わり。今からは私個人の用事よ」

八幡「なら、わざわざ付き合う必要はないな。また今度だ」

雪ノ下「今日は由比ヶ浜さんと会わないのでしょ?」

八幡「それがどうかしたかよ」

雪ノ下「なら、暇な筈よ」

八幡「勝手に決めつけんなよ……まあ、確かに暇だが」

雪ノ下「だったら、いいんじゃない」

八幡「一応、彼女いるんだが……」

雪ノ下「あら、あなたと私がそんな過ちを犯すと思っているの?」

八幡「思っちゃいねえよ。断言できる」

雪ノ下(……そうよね。あなたと私が『過ち』なんて犯す筈がない。だって、私たちの関係は本物で、全てが正しいのだから)

八幡「だが、あいつに見られて勘違いされるような真似はしない」

雪ノ下(やはり、比企谷君と由比ヶ浜さんの関係は本物ではない。私とあなたなら、そんな不要な気遣いなどなくても、互いを信頼し合えるのだから)

雪ノ下「彼女は昨日、あの場に居て私の返事を聞いていたのよ? 勘違いされる要素がないわ 」

八幡「まあ、そうだが」

雪ノ下「嫌、かしら……なら、断ってくれても構わないわ。無理を言ってごめんなさ」

八幡「……別に、嫌とは言ってないだろ」

雪ノ下「じゃあ……」

八幡「少しだけだからな。小町が飯作って待ってるんだ」

雪ノ下「ええ、ありがとう」

雪ノ下(確信した。私とあなたは本物の関係で結ばれている。あなたは私の望む答えを察し、それを実行してくれる……ふふ)

ショッピングモール

雪ノ下「比企谷君、次はあっちよ」

八幡「……なあ、雪ノ下」

雪ノ下「なにかしら。まさかもう帰りたいなんて言わないでしょうね?」

八幡「ちげえよ。部室の備品を買うの手伝うのは構わないが、明らかに私物も混じってないか?」

雪ノ下「言った筈よ。私個人の用事だと。むしろ、部室の備品はついでよ」

八幡「そうかよ。なら結衣……ヶ浜を誘った方が良かったんじゃねえのか? 別に荷物持ちとして俺を呼んだ訳じゃなさそうだし」

雪ノ下「あら、あなたを誘ってはいけない理解なんてあるの?」

八幡「お前が俺を誘う理解が分からねえんだよ」

雪ノ下「……本当に分からない?」

八幡「……」

>>226
みす。理解じゃなくて理由

八幡「ああ、分からねえよ。なんで今更こんな真似をするんだ……止めろよ、勘違いしちまうだろ」

雪ノ下「勘違い? 何をどう勘違いすると言うの?」

八幡「それはお前が俺を……」

雪ノ下「……」

八幡「……悪い、今の言葉は取り消すわ。勘違いなんてあり得ないな」

雪ノ下「そうよ、あり得ないわ」

八幡(昨日、俺は雪ノ下に振られた。それは紛れもなく事実で、今日こいつが俺にどんな行動をしてきても俺に気はないと昨日証明されたじゃねえか)

八幡(だから、勘違いなんてあり得ない……考えすぎだな。ぼっち特有の難点だ)

雪ノ下(勘違いなんてあり得ないわ。だってあなたの考えてる事は全て私にも分かるもの。そこに意思の齟齬は生まれない。だから、勘違いなんてあり得ない)

―――
――

雪ノ下「今日は助かったわ。ありがとう、付き合ってくれて」

八幡「助かったって……俺別に何もしてなくね?。荷物持ちって言っても大した量じゃねえし、おまけにマグカップまで買って貰ったし」

雪ノ下「物を買う際に異性の意見を一度参考にしてみたかったのよ。だから今日は助かったわ。マグカップは今日の礼よ。それに、あなただけいつまでも紙コップだとみっともないでしょ」

八幡「……まあ、ありがたく使わせてもらう。んじゃ、そろそろ帰るわ。またな」

雪ノ下「あっ、待って」

八幡「まだなんかあるのか? 流石にもう帰らないと小町が……」

チュ

八幡「……えっ」

雪ノ下「んっ……ええ、またね。比企谷君。愛してるわ」

自宅

雪ノ下「ふ、ふふ、……比企谷君、驚いてた。彼の唇……今でも鮮明に思い出せる」

雪ノ下「……」

雪ノ下「んっ……本当は、キス、以上の事をしても、あっ、、良かったけど……」

雪ノ下「そういう、大事なことは、んんっ、あっ、……とって、おかないと……あんっ、あっ」

雪ノ下「ふぅ……」

雪ノ下「キスだけで、体がこんなにも火照るなんて……はしたないわね」

雪ノ下「……でも、あなたなら、こんなはしたない女を受け入れてくれるのでしょ? 比企谷君……」

雪ノ下「愛している……」

翌日 奉仕部

ガチャ

由比ヶ浜「やっはろー! ゆきのん」

雪ノ下「こんにちは、由比ヶ浜さん。比企谷君はまた平塚先生に呼び出しでもされているのかしら」

由比ヶ浜「ううん、ヒッキーなら今日は欠席だよ」

雪ノ下「欠席? 目があまりに腐り過ぎてついに全身腐ってしまったの?」

由比ヶ浜「ち、違うよ~なんか気分悪いから休むって」

雪ノ下「風邪でも引いたのかしら」

由比ヶ浜「う~ん、心配だなあ……今日お見舞いに行こっかな」

雪ノ下「止めておきなさい」

由比ヶ浜「ええっ、なんで!? ヒッキーの事、心配だよ……」

雪ノ下「もし風邪だとして、それがあなたに伝染ったらどうするの? 彼もそんな事は望んでいないわ」

由比ヶ浜「そう、かな……でも、ヒッキーきっと寂しいだろうし、メールで元気つけてあげよ!」

雪ノ下「ふふ、あなたらしいわね」

由比ヶ浜「ゆきのんは、ヒッキーの事、心配じゃないの?」

雪ノ下「……そんな事ないわ。そうね、私も、私なりの方法で比企谷君を元気つかせるわ」

由比ヶ浜「えへへ、ありがとうゆきのん」

雪ノ下「……? なぜ私に礼を言うの?」

由比ヶ浜「だって、ヒッキーが元気に
なってくれるなら、あたしも嬉しいし」

雪ノ下「そう。恋人同士ですものね、あなたたちは」

由比ヶ浜「う、うんっ……」

雪ノ下「……忌々しい」ボソッ

比企谷家

八幡(……学校サボったの、久しぶりだな)

八幡(サボって、一日中考えたが……結局、雪ノ下の行動が理解出来なかった)

八幡(あいつは、俺に気がなかったんじゃないのか? だから振ったんだろ? 勘違いはあり得ないって言ってたじゃねえか……)

八幡(なんで、キスしたんだよ……)

コンコン

小町「お兄ちゃん、起きてる?」

八幡「ああ……」

小町「お兄ちゃんにお客さん来てるんだけど……どうする?」

八幡(客? 雪ノ下……はないか。あいつは俺の家どころかケータイの番号もメアドも知らねえし……なら結衣か? わざわざ来なくていいのに……心配かけたか)

八幡「……入ってくれ」

ガチャ

八幡「……悪いな、結衣。心配かけ、……て……えっ」

雪ノ下「あら、以外と元気そうじゃない。比企谷君」

雪ノ下「ありがとう、小町さん。あと、彼と二人きりで話がしたいのだけど……」

小町「ふ、二人きりですか!? 分かりました!それじゃあお兄ちゃん。小町、部屋に戻るね!」

八幡「ま、待て小町!」

バタン

八幡「……何しに来た」

雪ノ下「随分な言い方ね、せっかくお見舞いに来たのに……」

八幡「いらねえよ。帰れ」

雪ノ下「なぜ?」

八幡「……今はお前の顔を見たくない」

雪ノ下「なぜ? 私はあなたの顔が見たいわ」

八幡「なあ、雪ノ下。なんで、昨日あんな事をした?」

雪ノ下「なんの事かしら」

八幡「とぼけるなよ。お前が俺に……」

雪ノ下「ああ、そういう事……」

チュ

八幡「……んむ!?」

雪ノ下「んっ、あむ……ぷは……ふぅ。あんな事、とはこれの事かしら?」

八幡「お、お前……!?」

八幡「なんのつもりだ? なぜこんな事をした!?」

八幡「お前は……こんな事をするような奴じゃないだろ 」

雪ノ下「……比企谷君」ギュ

八幡「止めろよ……俺とお前はこんな事をしていい関係じゃない」

雪ノ下「それは違うわ、比企谷君」

八幡「何が違う。どう違う? お前は俺の友達でも恋人でもない」

雪ノ下「ええ。私はあなたの友達でも恋人でもない」

雪ノ下「そんな曖昧な関係じゃない。もっと、もっと、深い関係よ」

八幡「なんだよ、それ……んじゃなにか? お前は俺の家族にでもなったのか?」

雪ノ下「家族? 馬鹿な事を言わないで!」

八幡「……っ」

雪ノ下「あなたが、私の母や姉のような関係な訳がない、あなたが、あの人たちなんかと同じ筈がない!」

八幡「なら、なんなんだよ……」

雪ノ下「どんな関係なんて聞かれてら……そうね」

八幡「家族以上か?」

雪ノ下「……それも少し違う」

雪ノ下「絆、という言葉がふさわしいわ」

戸塚「は、はちまん、ぼくと・・・」
八幡「わかった。結婚しよう。新婚旅行はグアムにしようか。それとも国内でのんびりしようか」
戸塚「え?え?」
八幡「式は身内だけでやりたいな」
戸塚「ちょ、ちょっとまってよ!まちまんっ!」

八幡「そんな関係、友達ですらないお前と結んだ記憶はねえよ」

雪ノ下「結ぶ結ばないのモノじゃないわ。最初からあったのよ。あなたと私には。言葉もいらず、互いに理解し、壊れる事のない絆が」

八幡「どういう理屈だよ。そんなモノはお伽噺だけだ。あり得ない」

雪ノ下「でも、あなたも、そんなあり得ない関係を求めていた筈よ。裏切られ続け、人の言葉や行動の裏を読み、誰からも傷つけられたくない、臆病なあなたは」

八幡「……」

雪ノ下「私には、あなたが理解できる。言葉なしであなたの意思が分かる……あなたは私と同じなの」

八幡「同じだと? 好き勝手に言いやがって。同じ人間なんていない。確かにお前と俺は似ているかも知れない。だが、違う。前々違うんだよ」

八幡「お前はただ、俺の中にある自分との類似点だけを見て勝手なイメージを俺に押し付け、虚構の俺を幻視しているだけだ。そしていつかは虚構は崩れ、身勝手な失望と怒りを向ける……俺には分かる」

八幡「雪ノ下、俺に自分を無理に重ねるなよ。俺に勝手に期待すんなよ。最後は必ずお前は俺に……」

ギュ

雪ノ下「失望なんかしないわ」

八幡「……なんで、言い切れるんだよ」

雪ノ下「言わなくとも、分かるでしょ?」

八幡「お前が俺を理解しているからか? 違う。理解した気になってるだけだ。言葉を使っても理解されないのに、言葉なしで理解なんて……」

雪ノ下「できるわ」

雪ノ下「比企谷君、あなたは私と違うと言った。確かに細部を見れば違うところもある……でも根の部分は同じよ」

雪ノ下「誰かに理解されたい。この想いは、同じでしょ?」

八幡「……」

雪ノ下「なら一緒よ。あなたも、私も……」

八幡「俺は……お前を理解していない」

雪ノ下「なら、理解すればいい。私たちは互いを簡単に理解できる。時間はたくさんあるのだから」

八幡「俺には、結衣がいる……」

雪ノ下「別に私はあなたと恋人関係になりたい訳じゃない。そんな曖昧な関係は望んでいない」

八幡「俺は……」

雪ノ下「比企谷君……」

ギュ

八幡「雪ノ、下……」

翌日 奉仕部

由比ヶ浜「ほんと、ヒッキーが一日で元気になって良かったよ!」

八幡「まあ、その、なんだ……心配かけて悪かった」

由比ヶ浜「ううん。気にしないでよ。それに、まだ具合悪そうだし今日は無理しないでよ」

八幡「……具合悪そうに見えるか?」

由比ヶ浜「うん。なんかすっごく疲れてる感じ。歩き方も変だし」

八幡「一日中ベッドで寝てたからな、腰を痛めたかもしれんな」

由比ヶ浜「ええ~それは大丈夫なの?」

八幡「一時期なもんだし、すぐに治るだろ」

由比ヶ浜「あっ、そう言えばゆきのん」

雪ノ下「なにかしら?」

由比ヶ浜「ゆきのんもヒッキーを元気つかせるって言ってたけど、なにしたの?」

雪ノ下「別に大した事ではないわ。ちょっと大事なものを捧げただけよ」

由比ヶ浜「捧げたって……元気になる儀式?」

雪ノ下「そんなところかしら」

由比ヶ浜「へぇ~でもゆきのんがそういうのするなんてなんか意外」

雪ノ下「そう? 私だって、目に見えるものだけを信じている訳ではないわ」

由比ヶ浜「あっ、やっぱり神様とか? 幽霊とか? あたしもいると思うな~」

雪ノ下「神様は……どうかしら。でも確実にあると信じているものはあるわ」

由比ヶ浜「なになに?」

雪ノ下「絆よ」

支援保守ありがとうございました

読み返したら胸糞悪くなってきた
次はガハマとひたすらいちゃつかす

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月06日 (土) 06:04:03   ID: J0pT8QHx

ガハマさんは恋人、雪乃は絆、それぞれ違う関係だから浮気にはならないな!

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