上条「付き合ってください!」フィアンマ「……え?」 (184)




・フィアンマさんに一目惚れした上条さん

・18巻後半から

・ホモスレ

・エロが少しあるかもしれない

・地の文あったりなかったり

・ある程度キャラ崩壊


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イギリス。
バッキンガム宮殿から禁書目録の遠隔制御霊装を盗み出したフィアンマは、悠々としていた。
第二王女キャーリサを見下ろし、見下し、彼はうっすらと笑う。

「っ…お前は、…誰だし、…」
「…右方のフィアンマ、と言えば分かってくれるかな?」
「っ!?」
「ここまで言ってもわからないようなら、一度諜報部門を解体して組み直すのが賢明だ」

くすくすくす。

嘲笑が聞こえる。
キャーリサは無言のまま、ギリギリと歯軋りをする。
地面へ手をつき、即座に起き上がった。
彼は呆れた様子で彼女を見つめる。

「『神の右席』、…右方のフィアンマ」
「いかにも」
「……何の為に、」
「んん? ああ、イギリスへ来た理由か?」

これだよ、と彼は笑って、懐から遠隔制御霊装を取り出す。
目を細め、あくまで嘲りの意図を抜く事なく、ゆっくりと言う。

「まあ、お前は優秀だったよ。フランスとガチで戦争をさせた後の焼け野原から回収しても良かったんだが…、お前のくだらんママゴトの御蔭で、イギリスは陵辱と暴力の海へ成り果てる事はなかったのだから」
「貴、様っ…!」

キャーリサは胸元からナイフを取り出し、カバーを払って捨てる。
倒せるとは思わない。それでも、一撃でも食らわせようと、地面を蹴った。
彼はつまらなそうに右手を一度振る。

激しい閃光。
キャーリサの体へ走る激痛と衝撃。
彼女の細い体が、十メートル程ノーバウンドで吹っ飛ばされる。
そんな彼女を、誰かが受け止める。




一人の、少年だった。

*


彼は、上条当麻という名前だった。
彼は、東洋人の少年だった。
彼は、無能力者だった。
彼は、クーデターを止めた中心人物だった。
彼は、特別な右手を持っていた。
彼は、ローマ正教の敵だった。
彼は、禁書目録の管理者だった。
彼は、右手にだけ特別な力を宿していた。

彼は。








彼は、右方のフィアンマが求めて止まない右手を持っていた。

*


「くっ、はは!」

だから、思わず彼は笑いを抑えられなかった。
欲しいと思っているものは三つ。

ひとつは知識の宝庫、禁書目録。
これは手に入れた。

ひとつは大天使を下ろす素体、サーシャ=クロイツェフ。
これはロシアにある。

最後のひとつ。
幻想殺しを押さえ込むに耐えうる右手。
世界にたった一つしかない、特別な右手。

「今日はラッキーデイだな。もう少し骨が折れると思ったんだが、まさかこんなに簡単に目的のものが二つも手に入るとは」
「………」
「なんだ今日は?」
「………」
「本日のラッキーな星座のアナタはピンポイントで俺様でしたってオチか!? はは、お前は最後の仕上げだと思っていたのに、まさか

こんな所でダブルで手に入るとはなぁ…!!」
「………」

彼の軽口に、上条は応えない。
少年は、真っ直ぐに赤き青年を見据えている。
フィアンマはそんな彼の眼光から、敵意を感じ取った。
遠隔制御霊装を軽く振って、首を傾げて笑いかける。

*


「これは、禁書目録の遠隔制御霊装。…まだ使用していないが、…すごいぞ。見るか?」
「………」

少年は、何も言わなかった。
上条は、黙っていた。
ただ、キャーリサの身体を、よろよろと駆けてきた騎士団長へ任せる。
そして、右拳を強く握った。

走り出す。

自分の方へ向かってきた上条に、フィアンマは笑みを浮かべたまま、右手を振った。

再度、激しい閃光。
ゴキン、という音。
『幻想殺し』と『第三の腕』がぶつかり合う。

上条の腕が酷く痺れた。
と、『第三の腕』が空中分解を起こす。
フィアンマはエンジンのかかりが悪い車に乗っているかのように、一度舌打ちをする。

「チッ、やはり空中分解か。我ながら厄介なじゃじゃ馬を抱えているものだな」
「………」

遠隔制御霊装を使ってしまおうか。
それとも、通常の術式で迎撃しようか。
考えて、フィアンマは右手を突き出す。


その右手には、遠隔制御霊装が握られていた。
しかし、上条はそんなものは見ていなかった。
正直に言って、フィアンマの言葉もロクに聞いていなかった。
彼が考えていたことは、たった一つだった。
クーデターを止めようと走り回り、彼の体は疲弊していた。
脚はだるく、右腕は未だビリビリと痺れている。
上条は両手を出した。
拳は握っていない。







そして。

*





上条当麻は、右方のフィアンマの右手を、両手で握った。



「……何? ッ、」

霊装の端が、僅かに上条の右手のひらへ当たってしまう。
当然の事ながら、パキパキ、という音を立てて、壊れてしまった。
上条の両腕の動きが、フィアンマの目では視認出来なかったのだ。
右手を上条の両手に包まれたまま、フィアンマは動揺する。
何故彼は動かないのか。敵意や殺意が無いのか。
混乱の中、自分が失敗したということはわかった。
あまりにも欲張り過ぎたのかもしれない、と反省する。

右手は使えない。
左手が、掴まれた。

両手で両手を握られる。
上条の瞳は、不可解な煌きを宿していた。
何をするつもりなのか、と、青年は後ずさる。
凶器を隠し持っているようには見えない。
右手に触れられたままでは、うまく術式を行使出来ない。
仕方なしに脚を使って蹴りを入れようとしたところで。


上条当麻は、唐突に告白した。



「す、すすす好きです!! 付き合ってください!」
「……え?」


IDも酉も違ったのにどうして皆分かってしまうん…? 
初心者のフリしようと思ったのn

今回はここまで。

>>21
同意

フィアンマスレが◆2/3UkhVg4u1Dである証拠みたいなもん


>>22
その理屈はおかしい(震え声)

そうか、スレタイミングがいけなかったのか……

今回は上条さんがキチデレ(予定)です。
行動力のある男性って素敵ですよね。







投下。


フィアンマ「す、…何だって?」

上条「…何と言えば良いのか、一目惚れだと思うんですけど」

フィアンマ「……」

上条「俺のタイプなんです。その、友達からでも良いんで!!」

フィアンマ「……」

上条「……」チラ

フィアンマ「」

フィアンマ(……何を考えているのかさっぱり分からん。だが、これだけは理解出来る。
      コイツは何かがおかしい。狂っている。何をどうすればこうなるというのか)

上条「…あの?」

フィアンマ「………、」

フィアンマ(怖い)

上条「お名前お聞きしても良いですか!」キュッ

フィアンマ「っ、手を離せ! ……う、…右方のフィアンマだ」

上条「フィアンマさん…良い名前じゃないですね」キラキラ

フィアンマ(正確には本名ではないのだが)


そうこうしている間に、人が集まってくる。
クーデターを阻止した人員達、即ち精鋭の魔術師達が。
どれだけの人数を相手にしようが、フィアンマの敵ではない。
しかし、今はタイミングが悪い。
『聖なる右』は空中分解してしまっている。
何より、上条に触れられているとうまく術式を扱えない。

「…離せ」
「嫌です」
「何故だ」
「そりゃ、もっと触れていたいからです」
「……離せと言っている」
「…照れてるんですか?」
「違う、……日本語が通じんのかお前は」
「通じてますよ。あ、日本語お上手ですね」
「馬鹿にしているのか」
「する訳ないじゃないですか。…俺は、その…」
「口ごもるな顔を赤らめるな見つめてくるな」

無理やり手を払う。
追いすがるような視線を受け、思わず逃げ出した。


上条「………」ズーン

インデックス「とうま!」タタタッ

上条「ああ、インデックス。大丈夫か? 無事だよな?」

インデックス「うん、大丈夫だよ。とうまは…ちょっと怪我してるね」

上条「そうだな…」

インデックス「何だか心ここにあらずって感じだけど、大丈夫なの?」

上条「もうダメかもしれねえな」

インデックス「!? ど、どこか大怪我したの!?」

上条「胸が痛い。苦しい」

インデックス「し、心臓? それとも肺? 打ったの…?」ジワッ

上条「どっちかっていうと心が痛いけど」

インデックス「心…? 精神攻撃でも受けたのかな?」

上条「そうかもしれない」

インデックス「かも、って」

上条「フィアンマさんに心を奪われたってやつだな…」キュン

インデックス「」


右方のフィアンマは、ロシアへやって来ていた。
恐怖と緊張による心拍数の上昇が、今更になって訪れる。
彼は少し考えた結果、ロシア成教の司教の下へ身を寄せた。

ニコライ=トルストイ。
常に漁夫の利を狙う、小物である。

打算と利害に裏打ちされた関係である為、彼はフィアンマを受け入れた。

「何か失敗があったのか?」
「俺様が失敗をするとでも?」

ひとまず暫くの居場所は確保出来た。
フィアンマはぼんやりと思いつつ、ロシアンティーを啜る。
甘ったるいブルーベリージャムが舌を甘く染め上げた。
スプーンでジャムを掬って口に含む。
先程の緊張が、徐々に解れていった。


失敗した。

となると、次善の策を用いる他無い。
諦めるという選択肢は、初めから用意されていないのだから。

(問題は、"知識"をどうするか、だ)

禁書目録を使わずとも構わない。
元より、あれだけを頼りにしてはいなかったのだ。
安易に代替出来るものでもないが、代替手段が無い訳ではない。
ローマ正教の地下書庫へ篭って考えてみるのも、決して悪くはない。

「……ん」

糖分を摂取したことで、多少なりとも考えが纏まってきた。
ふぅ、と息を吐き出す。白い息だった。
ニコライはというと、書類を片付けている。
なので、フィアンマはマイペースに紅茶を啜った。
別に、彼が拒絶するようなら殺すぞと脅しても良かったのだ。


段々と眠くなってくる。
生命力の消費が疲労という形で出てきたのかもしれない。
少しだけ眠ってしまおうか。
何にせよ、『聖なる右』の自動防御は働いている。
油断も何も、攻撃を受けることはないのだから。

「………」

無言で、目を閉じる。
数度深呼吸をして、ソファーへ身体を預けた。
ふかふかとした高級のソファーは、ベッドに近しい。

(…精神的にも疲労したことだしな)

付き合ってください。
タイプです。

思い返し、ふる、と小さく震える。
予想だにしない状況に怯える他無かった。
この自分が、無力な子供か何かのように。


フィアンマ「……」スゥ

ニコライ(…眠る姿は普通の青年、か。しかし化物には変わりあるまい)

フィアンマ「……」スヤ

ニコライ「……」

ニコライ(…よく見れば女のような顔をしている)

フィアンマ「…ん」スー

ニコライ(しかし滅多な事をすれば殺害は目に見えているな)

ニコライ「……」スッ

フィアンマ「…ん、……ぅ」スヤスヤ

ニコライ「………」


フィアンマは、一日眠り続けている。
その寝顔は愛らしく、或いは作り物のように美しく。

ほんの小さな出来心から。
ニコライ=トルストイは、右方のフィアンマへ顔を近づける。

ふと、彼は視線を感じた。
この部屋は本当に限られた者しか知らない筈なのに。
思いながら、ニコライは横を向いた。

そこに居たのは。




窓ガラスにべたりと張り付き。


こちらを無表情でじっと、静かに見つめる





黒いツンツン頭の、少年。


今回はここまで。
ニコフィア書こうとしたら上条さんが来ていた…。

ま た お 前 か


                                    ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                                      |∧  
                                  /  /

                              (^o^)/ てめえが何でも
                             /(  )    思い通りに出来るってなら
                    (^o^) 三  / / >

              \     (\\ 三
              (/o^)  < \ 三 
              ( /

              / く  まずはそのふざけた
                    幻想をぶち[ピーーー]




>>48
俺です…

>>51
ワロタ


明日来られないと思うので更新しておきます…。
ホラーじゃないです。殺伐も無いです。
斬新な上フィア(今回はフィア上)を考えたらスレタイになった訳で。





投下。


ニコライは、思わず口を噤む。
殺意のような何かを感じていた。
しかし、誰かに助けを求めようとは出来ない。

例えば、空腹の獣と共に密室に閉じ込められたら、人はどうするか。
武器も何も無く、あったにせよ、到底立ち向かえない武器なら。
まずは黙って、息を殺し、存在を感づかれまいとするのではないだろうか。

だって、気づかれたら殺されてしまうのだから。
だって、気づかれたら食われてしまうのだから。
だって、気づかれたら喉笛を食いちぎられるのだ。

だからこそ、ニコライは黙ったまま、固まったままでいる。
もはや存在を感知されてしまった以上、どうしようもない。
叫んでも泣いても喚いても、きっと殺される。

その恐怖から逃れるための手段はただ一つ。
誰か他の他人<だいたいひん>を提示すること。
自分以外を餌にすれば、助かる可能性が残されている。
そしてニコライは、決してヒーローと呼ばれる人間ではなかった。
誰かのために犠牲を払う位なら、誰かを犠牲にして生き延びる類の人間だった。



故に、彼の行動はシンプルで陳腐だった。


「…け、…警護の魔術師、は…」
「………」

獣は、パクパクとゆっくり口を動かす。
状況のわかっていない幼児に厳重注意するかのように。

一、般、魔、術、師、程、度、で、俺、を、止、め、ら、れ、る、と、で、も、?

ニコライは、そうして初めて、自分の身体が震えている事に気がついた。
絶え間無い恐怖を感じている事を、しっかりと自覚した。
相手は少年だ、何の変哲も無い東洋人の少年なのだ。
そう何度も自分に言い聞かせてみても、気味の悪い緊張感が部屋を支配している。
調度、右方のフィアンマと初めて対面した時と似ていた。
その体内に内包している力や気迫から、見目に似合わぬ威圧感を覚えるのだ。
ニコライは数歩、右方のフィアンマから離れ、後ずさる。
B級ホラー映画の脇役になった気分だった。簡単に壊されてしまう的と同じ。

少年との距離は、メートルにして3。
しかし、これ以上詰め寄られれば、立ち上がる事すらままならなくなってしまっただろう。

「っ、何が狙いだ…!」

何、って、わ、か、る、だ、ろ。

少年は、ぎょろりと目を動かす。
彼の視線の先には、未だ眠る赤き青年の姿。
ニコライは無言のまま、小物らしく、こくこくと頷いた。

猛獣を前にした人間は、その脅威が過ぎ去るときを待つしかない。


やがて、ドアの開く音が聞こえた。
恐怖と緊張に、ニコライは目を閉じる。
ドアの開く音が聞こえた。
運動靴と思われる足音も聞こえた。
その音はフィアンマへ近寄り。
ギシ、グッ、という音と共に去っていく。

哀れな人間は、震えつつ目を開ける。

もはやそこに脅威は無く。
と、同様に、右方のフィアンマも居なかった。
何も無く、誰も居なかったかのように、閑散とスペースだけが広がっていた。


右方のフィアンマは、のろのろと目を覚ました。
ロシアの雪原を、ざくざく、と歩き、雪を踏む音。
しかし、自分は横たわったままに、誰かに運ばれている。

目を開けてみた。

白に近い水色の空。
雲の切れ間から差し込む光はどこか神秘的で。
しかしながら、やはり世界の歪みは変わらず。

「………」

ふと、黒いものが目に入った。
空の色に真っ黒など無い筈だ。
のろのろと視線を移す。

昨日会った顔があった。
思わず、言葉を失う。


フィアンマ「」

上条「あ、目ぇ覚めました?」

フィアンマ「……」

上条「あ、寒かったらすみません。俺今何も手持ち無くて…」

フィアンマ「……」

上条「…はー、寒…」フゥ

フィアンマ「……」

上条「…俺の顔に何かついてます?」

フィアンマ「…何故お前が此処にいる」

上条「フィアンマさんがいるからですよ」

フィアンマ「どこぞの登山家のような台詞を吐くな」

上条「と、言われても…」

フィアンマ「どうやって来た」

上条「知り合いの魔術師に頼みました」

フィアンマ「……」


上条「…あ、ロマンが欲しいんであれば『愛の力』ってことで」

フィアンマ「……」

上条「……」ザクザク

フィアンマ「どこへ向かっている」

上条「何処って、日本ですけど」

フィアンマ「徒歩で向かうつもりか」

上条「いやいや、友達と待ち合わせてますよ。ちょっと特殊な飛行機乗るので」

フィアンマ「……」

上条「……」

フィアンマ「…待て、日本だと?」

上条「はい。学園都市ですけど」

フィアンマ「」

ま た お 前 か


上条「はー、ついたー」

フィアンマ「……」

上条「狭いですけどどうぞ」

フィアンマ「…禁書目録はどうした」

上条「体の方の調整で、ちょっと」

上条(『首輪』修復、…また妙な機能が付けられないよう、ステイルが見張ってる筈だ)

フィアンマ「……」

上条「……」

フィアンマ「……お前の予想外の動きのせいで計画がご破産だ」

上条「う、…何かわかりませんがごめんなさい」

フィアンマ「……」

上条「…俺が守りますから!」

フィアンマ「要らん」


上条「あ、何か食べます?」

フィアンマ「……」

フィアンマ(さて、どう逃げたものか)

上条(やっぱ強引だったか…?)

フィアンマ「…上条当麻」

上条「は、はい?」

上条(何で俺の名前…まさか両思い、)

フィアンマ「……あー、……いや、何でもない。
      …リクエストが許されるのならば洋食が良いのだが」

上条「じゃあとりあえずスパ茹でてきますね」テクテク

フィアンマ「……」

フィアンマ(……どう逃げたものか)ズーン


今回はここまで。
のんびり軟禁生活で行こうと思います。

>>66
ファッ!? 俺です…


フィア上デートは何処が良いんだろうか。やはりプラネタリウムでしょうか。
感想雑談質問お気軽にどうぞ。

まてよこの流れだとどう見てもフィア上じゃなくて上フィアじゃないか
それとも後からフィアンマが攻めに転じるのか!?

やっぱりお前だったか





好きです


書いてる内にデートじゃなくなっていた。
後、フィアンマさんが大天使系男子であることに間違いは無いと思います。


>>72
突っ込む♂方が表記上左に来るのでフィア上の予定です

>>74
俺です。ありがとうございます。








投下。


上条「どうぞ」コトン

フィアンマ「…量が多くないか?」

上条「…あ。……インデックスが一杯食うモンだからつい…」

フィアンマ「…半分で良い」

上条「はい」イソイソ

フィアンマ「……」パク

上条「……」ソワ

上条(口に合いますように)

フィアンマ(俺様の知ってるトマトソースと違う……)モグモグ

フィアンマ「……不味くはないのだが、…初めて食べた味がする」

上条「ああ、ナポリタンって日本でしか作りませんしね」ウン

フィアンマ「……なぽりたん?」

上条(首傾げてる。かわいい)


フィアンマ(……逃げた所で居場所は無いしな)モグモグ

上条(食べ方がちまちましてて可愛い)モグモグ

フィアンマ(いや、作ろうと思えばさほど難しくはないが…)モグモグ

上条(考え事してる顔が理知的で綺麗だな)モグモグ

フィアンマ(ひとまずは此処に身を置くか…?
      少なくともコイツの発言が全て真実なら、有事には盾となるはずだ)モグモグ

上条(そういえばインデックスの服じゃ共有出来ないから新しく買う必要があるのか)モグモグ

フィアンマ(恐怖と緊張さえやり過ごせば何とかなる)モグモグ

上条(歯ブラシとかは未使用のがあったような…?)モグモグ

フィアンマ("機を見てやり直す"が先決か。準備は粗方済んでいる訳だし)モグモグ

上条(服一式と…金…いや、何とか捻り出す。それが甲斐性ってやつだろ、多分)モグモグ

フィアンマ(共同生活していれば、隙を見て右腕を奪取することも難くはない。
      ……この計画で…と、すれば……)

上条「一緒に暮らしませんか?」ニコ

フィアンマ「一緒に暮らさないか?」ニコ

上条「!」

フィアンマ(……まさかそちらから言うとはな。予想はしていたが)

上条(全く同じタイミングで同じ事を…やっぱり俺とフィアンマさんは両思いなのか…?)キラキラ

上条「じゃあ生活用品買いに行きましょう」

フィアンマ「……そうだな」ニコニコ

フィアンマ(……やり過ごす。…やり過ごす…)


上条「んー、と…服とかは買いましたし、食料品行きましょうか」

フィアンマ「ああ」

上条「……♪」テクテク

フィアンマ(…何だってコイツはこんなに上機嫌なんだ……?)



上条「お、今日の売り出しは…」

フィアンマ(煮付け…いや、佃煮の類か)チラ

上条「イナゴか…」

フィアンマ「」

上条「…イナゴの佃煮食べます?」

フィアンマ「…」ブンブン

フィアンマ(何だあれは、何故ソイソースの色をしたコオロギがパックに詰められている!?
      食料品売り場にあるということはつまり食べられるということか。
      何故コオロギを煮詰めて主食に合わせるなどという発想が産まれるんだ…)

上条(ゲテモノはダメなんだろうか。まあ、俺も食べた事ないけど…)

上条「ナマコは一匹二百円かー。新鮮っぽいな」ウーン

フィアンマ「」

フィアンマ(もう日本人も日本も嫌だ怖い俺様バチカン帰る)フルフル


上条「晩飯作るんで寝てて良いですよ」

フィアンマ「…なら、その言葉に甘えるが」

上条「はいはい」

フィアンマ「お前は俺様を憎んでいないのか」

上条「え? 何を?」

フィアンマ「前方のヴェント、左方のテッラ、後方のアックア。
      この三者に命令を下したのは他ならぬ俺様だ。
      つまり、お前の右腕や命を狙ったのも俺様だという訳だ。
      そんな相手を許せるのか? 幾ら一目惚れだといっても」

フィアンマ(一目惚れということ事態が信じ難いがね。
      ……今のままでは色々とやり辛い。
      素直になって敵意を見せてみろ。人間とはそんな生き物だ。
      自分を傷つけた相手を許せない。それがたとえ、直接手を下した者でなくとも。
      切欠さえあれば幾らでも人間はその心の奥底に秘められた悪意を露呈することが出来る。
      そんな汚い生き物だ。お前もそうだ。何も変わらない、誰も変わらない。
      性悪説、この一言で片付けられる程に人は醜———)

上条「ああ、もう済んだ事ですし、学園都市もだいぶ復興進んでるので大丈夫です」

フィアンマ「」

上条「別に俺個人に対しては良いですよ。不幸とか理不尽には慣れてるつもりです。
   フィアンマさんが何をしようとしたのかはよくわかりませんけど……。
   だからつまり、フィアンマさんも俺が欲しかった訳ですよね!!」ニコニコ

フィアンマ「……え?」

フィアンマ(こんなにも日本語を理解したくないと思ったのは初めてだ。
      単に聖人君子を気取っているのかと思ったら、狂っているのか。
      ……イレギュラーだっただけだ。動揺することはない。
      現在は落ち着いた状態だから綺麗事を口に出来るだけであって、本質は他人と変わらん。
      …、……そうでなければ、…困る)

上条「オムライスって食べ付けませんか?」

フィアンマ「……いや、問題無い」

上条「じゃあ作りますねー」ヨイショ

上条(とりあえずチキンライス作っとこ)

フィアンマ(何を考えているのかさっぱり分からん。
      わかったら何かが終わる気もするが)


フィアンマ「……」ウトウト

フィアンマ「……」ウツラウツラ

フィアンマ「……」ノビー

フィアンマ「……」クァア

フィアンマ「……」グシグシ

フィアンマ「……」スン

フィアンマ「……」ウーン

フィアンマ「……」スヤ


上条(卵は食べる前に焼けば良いか。先に皿洗いしとこうかな)


上条「はー、終わったー…」

フィアンマ「……」ムニャ

上条「………」

上条(寝顔可愛い)

上条「……」

フィアンマ「……」スゥ

上条(い、今ならバレないよな…?)ゴソゴソ

上条「…起きないでくださいよー……」カチカチ

フィアンマ「ん……」スヤ

上条「………」カシャッ

上条(よし、撮れた…!?)

上条「写真画像が赤いもやで覆われて見えな…あの腕か。
   くそう、自前モザイクめ……ッ!!!」

フィアンマ「…騒がしい」グシ

上条「!」バッ

フィアンマ「…何だ」

上条「いや、何でもないですのことよ?」ニコニコ

上条(ぐぬぬ……)


フィアンマ「…流石に入浴すると寒いな」ポツリ

上条「カーディガン着ます?」

フィアンマ(霊装は破壊される恐れが高い。つまり、服は通常の物しか着用出来ない)

フィアンマ「………」

上条「カーディガン着ましょう」キュッ

フィアンマ「手を握るな目を輝かせるな何だそのカーディガン推しは」

上条「これ、学生用のカーディガンなんですよ」

フィアンマ「通常の物とさほど変わらんのだが」

上条「ワンサイズ大きめが主流なんですよ」

フィアンマ「まあ、ゆとりは無いよりはあった方が良いからな」

上条「フィアンマさんの萌え袖が見たいんで着てください」

フィアンマ「も…えそで、とは何だ」

上条「手の甲の八割三分程が隠されて幼く見えるスタイルです」コク

フィアンマ「……」

フィアンマ(…ファッション知識の一部、……なのか…?)


上条『……』スー

フィアンマ「……」

フィアンマ(よく風呂場で眠れるものだ)

上条『んん…』

フィアンマ「……」ジー

上条『イン、…ックス…だめ、だぞ…ちゃんと……塩…』

フィアンマ「…俺様と、お前のやり方に差異はない。お前だって、多くの人間の人生を奪ってきた。
      誰かを幸せにするために、誰かを不幸にしてきた。そのはずだ。そして悔いていないだろう。
      だから、……俺様と、お前の違いは………」

上条『………』パチ

フィアンマ「……誰にも手を差し伸べられない人生を選んだのは、俺様自身だ。それでも良い。
      そうだ。だから、…俺様は間違ってなどいない。常に正しいのは、俺様だけだ」

上条『………』

上条(…フィアンマさんは、何をしようとしてたんだろう?)ウトウト




「結局、その程度の人間止まりということだろう。つまらん結果だったな」
ローマ正教『神の右席』最後の一人———右方のフィアンマ



「こ、これは、違うんです。違うんです…」
何の変哲も無いキチデレ———上条当麻



「っ、私は、認めない!!」
学園都市第三位の『超電磁砲』———御坂美琴



今回はここまで。
修羅場書くのは苦手(大嘘)なので、ちょっとした喧嘩で終わります。
箱入り娘ならぬ『奥』入り息子のフィアンマさん。初ナマコ。

>>97についてKWSK。

乙。何か>>1のフィアンマスレ見すぎてかなのかこの上条さんが上条という名の>>1に見えてきたよww

むしろ>>1様以外のフィアンマスレを私は認めない……


おかしい。フィアンマスレならもっとハイクオなものがあるのに…俺のスレじゃなく。


>>98
SSまとめ速報さんの方に二作とも載ってました。
甘い物まとめありがとうございました。無意識でしたがすごい量だ…。
上条さんは上条さんだから(震え声)
余談ですが書いてて多分一番自己投影してたのは左方右方のテッラさんです…。

>>100
>>1としては>>1以外にもフィアンマスレを立ててくださる人を待つばかりです…。






投下。


上条(休日、補習無し、暇。金はまあまあ残ってる。
   この事から導き出される結論は一つ)

上条「フィアンマさん」

フィアンマ「何だ」

上条「デートしましょう」

フィアンマ「……」

フィアンマ(デート……?)

上条「……」ソワ

フィアンマ「日付がどうかしたのか」

上条「」ズコーッ

フィアンマ「?」

上条「日本だとデートは逢引という意味がありまして」

フィアンマ「会っているじゃないか、現在進行形で。
      そもそも人目を忍ぶ理由もあるまい」

上条「魔術師って皆天然さんなのか…?」

フィアンマ「そんな訳があるか。俺様をその辺りの常識知らずと一緒にするな」

上条「……」


フィアンマ「…なるほど、なるほど。デートはつまり、恋愛関係にある。
      若しくは恋愛関係に進みつつある二人が、連れだって外出する。
      或いは、一定の時間行動を共にすること。
      別の言葉では逢引、およびランデヴーとも言う。
      ……という理解で良いな?」

上条「そうです」コク

上条(まさかデートって言葉がわからない人がいるとは思わなかった…。
   インデックスでさえ意味は分かってたのに。
   ……つまり純粋ってことか。なるほど?)ウン

フィアンマ「で、何処へ行くつもりだ」

上条「水族館なんてどうですかね」

フィアンマ「ああ、魚介類が水槽に閉じ込められてい「その言い方やめてください何かエグいんですけど!?」」

上条「ついでに外で昼飯も兼ねようかと思って」

フィアンマ「……好きにしろ」

フィアンマ(俺様に被害の及ばない範囲で)


フィアンマ「……?」

上条「学園都市の電車と『外』の電車ってそんなに変わらないと思うんですけど…」

フィアンマ「いや、そもそも電車に乗った事が無くてな」

上条「なるほど…え、不便じゃなかったんですか?」

フィアンマ「人を呼びつけて車を運転させた方が早いからな。
      特別日常生活で不便だと感じた事は無い」

フィアンマ(交通機関を用いるまでもなく『聖なる右』を用いれば国と国レベルで自由に行き来出来るしな)

上条「まあ俺もあんまり乗らないんですけどね。高いし」ハイ

フィアンマ「…切符か」

上条「そんなに物珍しそうに見なくても」

フィアンマ「実際に物珍しいんだ、仕方あるまい」

上条(何かギャルゲのお嬢様相手にしてるみたいだ)ウン


上条「何か興味深い生き物居ました?」テクテク

フィアンマ「ダイオウイカだが」テクテク

上条「デカかったですしね」

フィアンマ「食べるにはいただけないな」

上条「大味っていって、ああいうのは美味しくないそうですよ」

フィアンマ「調理人の腕次第じゃないか?」

上条「それでも材料ってのは味の大幅を占めますから…」ウーン



上条「何食べます?」

フィアンマ「……お前に任せる」

上条「じゃあ好みとか」

フィアンマ「極端に味が強くなければ良い」

上条「甘すぎるとか辛すぎるとかですか?」

フィアンマ「そうだな」コク

上条「じゃあ……」ウーン


上条が自分の食べるメニューを選んでいる間。
フィアンマは、ぼんやりと上条の背後を見つめていた。
兄と思われる高校生と、弟と思われる幼稚園児程度の少年。

「おにいちゃん、おこさまらんちたべていい?」
「それで足りるのか?」
「うん!」

少年はメニューを眺め、きらきらと目を輝かせる。
お子様ランチは、幼い子供の贅沢だ。
単価がかかるものが多いために少々価格設定が高く。
量はないけれど、その代わりに子供が好むような料理が少しずつプレートに乗せられている。
フィアンマもかつて、そういった子供向けのメニューに憧れた幼い日々があった。
その要望を叶えてくれるような大人は、どこにも、誰一人居なかったけれど。

(だが、自分が特別不幸だと感じた事はない)

相対的に見て、自分は幸福だ。
フィアンマはいつでもそう認識して、自分を奮い立たせてきた。
周りには悪意を隠して善意を振りまく大人ばかりが居た。
皆が皆、出世したいが為に"他の皆は死ね"と思いつつ、笑っていて。
そんな歪んだ人間と歪んだ善意を、悪意を眺め、フィアンマは育った。
だから、彼の人格性は歪んでいる。それこそ、世界以上に。
誰かから純粋な善意から手を差し伸べられた事がないから、手を差し伸べるという発想も無い。
それで良いと、彼は自分に言い聞かせている。言い聞かせているということは、事実は真逆だというのに。

「フィアンマさん」
「んー?」
「楽しくなかったら何かしら努力するので言ってください」
「………心配せずとも、楽しいよ」

それなりには、と付け足す。
根本的な歪みとは別の部分で、彼は善意に戸惑う人間なのだった。

だからつまり即ちツンツンデレ属性である。


上条「……」ヒョイ

フィアンマ「…食わんのか」

上条「水族館行った後にエビフライの尻尾は、何か…」

フィアンマ「先程泳いでいた者とは別物だろう」

上条「頭ではわかってるんですけどね」

フィアンマ「……」スッ

上条「!!?」

フィアンマ「…食べろ」

上条「あ、いや、えっと、でもですね?」

上条(おおおうおお!? あーんされてる!?)

フィアンマ「でも、も何もあるものか。アレルギーでもない癖に残すな」

上条「……」モグ

フィアンマ「……」フー


上条「…フィアンマさん」

フィアンマ「何だ。…というより、そろそろさん付けでなくとも構わん」

上条「! …様付けの方が良かったとかそういう、」

フィアンマ「呼び捨てで良い」

上条「じゃあこれからはフィアンマで。それで、手を繋ぎたいんですけど」

フィアンマ「手など握り合ってどうする」

上条「う」

フィアンマ「必要性がまるで見えんのだが。片方が幼子でもあるまいし」

上条「こ、この世の中には不必要そうに見えて必要な事もあるんです!!」

フィアンマ「…そ、……そうか」

上条「……」モゴ

フィアンマ「……なら」

上条「…はい?」

フィアンマ「…左手なら、繋いでやっても良い」

上条「左手…っていうと、俺の?」

フィアンマ「…そうだ」

上条「………」

フィアンマ「…何をにやけているんだ」

上条「そりゃこんな顔にもなりますよ」ヘヘヘ


そうして、二人で歩いていると。
一人の女子中学生に会った。
上条は、端的にフィアンマのことを話す。
シンプルな言葉だった。
少し照れつつ、『俺が好きな人なんだ』と言っただけ。
たったそれだけで、少女の殺意や敵意が爆発的に膨らんだ。
きっと上条当麻を愛しているのだろう、とフィアンマは推測する。

「ッッ、、御坂!?」
「っ、私は、認めない!!」

彼女は懐から取り出したゲームセンターのコインを構える。
上条は条件反射的にフィアンマの前へ飛び出た。
対して、フィアンマは上条の首根っこを掴み、自分の後ろへ放る。

「まだお前に死なれると困る」

呟いた声が、電撃でかき消される。
フィアンマはコインの弾道を見やり、つまらなそうに立っていた。
直撃する直前、『第三の腕』が防ぐ。コインは無慈悲にも、道路へ叩き落とされた。

「非常に面倒臭さを感じたのだが殺しても良いのか? これは」
「ダメに決まってるじゃないですか、俺が話付けるんでフィアンマは下がっててくださ、」

そうこうしている内に、美琴は再びコインを取り出した。
震える指でフィアンマを狙おうとする彼女に、青年は下らないとばかりに吐き捨てた。

「お前に俺様は殺せん」

それは、力量以前の問題。
幾ら激情を抱えていようが、苛立とうが。
『自分だけの現実』を滅茶苦茶に揺さぶられ、混乱していようが。
人一人を殺害出来る程の覚悟が、彼女には足りない。
たとえ世界を滅ぼせる程の力を持っていても、美琴はフィアンマを殺せない。
いいや、フィアンマに限らず、誰に対しても、凶器は向けられても殺害など出来ないのだ。

妹が死んだ時の悲しみを、知っているから。
そしてその哀しみを、痛みとして抱えているから。
誰かに死んで欲しくないと純粋に願える少女なのだから。

「私は、」
「恋愛感情を告げない内から無碍にされて怒り心頭だというのは分かるがね。殺せんよ」
「ッ、」
「何度撃っても、何度向けても、何度殺そうと思っても。お前には出来ない」

距離は一切詰めていない。フィアンマは一歩たりとも進んではいない。
だが、美琴は飢えた獣の前に放り出されたような緊張を感じていた。
脚が震える。段々と冷静になってきた。自分は、人を殺そうとしたのだ。
認識してしまえば、震えは止まらなくなる。自分が怖くなってくる。

「ぁ……」
「怒りに任せても、どこかで自分にセーブをかける」
「……っ、」
「結局、その程度の人間止まりということだろう。つまらん結果だったな」

話を付けておけ。

告げて、フィアンマは二人に背を向ける。
上条から家の鍵を奪い取り、その場から一歩踏み出した。

一秒後、彼の姿は何処にも無かった。


そして、上条は帰宅して。
フィアンマに謝り、話が付いたことを語った。
それならそれで良い、とフィアンマは何の感情もなく相槌を打つ。
何もかもどうでも良かった。どうせならあの少女とくっついてやれば良かったのに、とさえ思う。

「…シャワーを浴びてくる」

フィアンマは端的に告げて、風呂場へ消えた。
上条は気まずさに視線を彷徨わせる。
美琴の好意に気がつけなかったのは、自分の責任だ。
彼にも迷惑をかけてしまったし、美琴を泣かせてしまった。

「……はぁ」

自分を責めながら、上条は洗濯しようと脱衣所へ入る。
色物は分けて洗うべきだろうな、と選別すべく彼の衣服を手に取り。

つい。

つい、出来心で顔を埋めた。

「………」

すんすん。

子犬か何かのように匂いを嗅いでみる。

赤葡萄のような、香水のような匂い。
それから、普通に、人間らしい汗の匂い。
後は、彼本人の体臭。

上条はついつい、自分のズボンへ手を伸ばす。
そうして、股間部を撫でた。触る。
一種、陶酔していた。酔っ払いのようなものだ。
外界の音は遠く、考えや意識が全てという、酩酊。

ガチャリ

風呂場のドアが開いた。
フィアンマの服へ顔を埋めたままの上条は、はっとする。
バッ、と遅れながら股間から手を引いた。
服を手放して脱衣かごに戻し、焦りながら言う。

「………、」
「こ、これは、違うんです。違うんです…」
「…………」

右方のフィアンマは、思う。





やっぱり、コイツはおかしい。


今回はここまで。
フィア上と上フィアってどっちの方が需要高いんでしょうか。
フィア上がポピュラーのようですが…。

上フィアうみねこパロもフィア上安価で世界征服物語も良いなと思います。
思うだけで書く予定は立ってません。
段々ネタが尽きてきました。

>>122
私はフィアンマさんが受けのが好きですね、女体化でもBLでも
けど上嬢さんとか好きなので別にフィアンマさんが攻めでも……
つーかぶっちゃけ>>1様のストーリーならどちらも好きですし?



>>やっぱり、コイツはおかしい。
おかしいと思わない俺は正常


この二人がいちゃいちゃする日は来るのか。


>>123
ありがとうございます…じゃあ今回はやはりフィア上で。

>>125
普通フィアンマさんの服があったら匂い嗅ぎますからね。







投下。


フィアンマ(…あ、…ぶない。コイツは、危ない)ブルブル

上条「……あのー」

フィアンマ「……」

上条「フィアンマー」

フィアンマ「……」チラ

上条「さっきはすいませんでした…いや、あのですね、別にオナっちゃおうとか考えてた訳ではなく。
   その、色柄物と白シャツを一緒に洗ったら色落ちしちまうよなあ、とか思った結果があれであって」

フィアンマ(……おな…る? 動詞か…?)

上条「だからその、フィアンマが思ってるようなことはしてないです」

上条(まだ。ギリセーフだったし)

フィアンマ「…なら良いが」

フィアンマ(今は話をあわせておくか)


インデックス『もしもし、とーま?』

上条「おお、インデックス。電話充電出来たんだな」

インデックス『うん。…フィアンマっていう人は、とうまの近くに居る?』

上条「フィアンマ、か? …居るよ。一緒に住んでる」

インデックス『…そっか。……その人が居る間は、戻れないと思うんだよ』

上条「……、」

インデックス『…ごめんね、とうま』

上条「…えーっと、…」

インデックス『でも、私、イギリスにもちゃんと居場所はあるから、大丈夫かも。
       かおりもステイルも居るし、寂しくはないんだよ』

上条(無理、してるよな。多分、インデックスが戻れないのはフィアンマによる悪用の危険性だ)

上条「ごめん…でも、俺は」

インデックス『私は。…私は、とうまの味方だからね。応援してるかも。だから、大丈夫だよ』

上条「……ありがとな、インデックス」


フィアンマ「…魔道書図書館は戻らんのか」

上条「戻れないみたいです」

フィアンマ「そうか」

上条「……、」

上条(俺は、インデックスを騙してる。騙してた。だから、このままの方が———)

フィアンマ「良いのか」

上条「…何がですか?」

フィアンマ「最後に、自分はお前の知る上条当麻ではないと、告げなくて」

上条「ッ、何でそれを」

フィアンマ「どうしてだと思う?」

上条「………」

フィアンマ「……俺様ではなく、あの女を選んだ方が良かったんじゃないか?」

上条「…いいんです。俺は、嘘つきですし。……フィアンマが好きですから」

フィアンマ「…そうか」


野良猫「にゃーん」

上条「ん、くすぐったいな」ヨシヨシ

フィアンマ「……」ジー

上条「…猫好きなんですか?」

フィアンマ「そういう訳でもないのだがね」

上条「よいせ」ダッコ

野良猫「みゃー」ゴロゴロ

フィアンマ「…何だ」

上条「撫でるかなと思いまして」

フィアンマ「……」モゴモゴ

上条「……」ジー

フィアンマ「…、」ナデ

野良猫「にゃあ」

フィアンマ「……」フ

上条(……おお)キュン


上条「はー、寒…」

フィアンマ「……」

上条「…んー…ホカロン使います?」ピリ

フィアンマ「何だそれは」

上条「ホッカイロです。揉むと化学反応を起こして温まるんですよ」

フィアンマ「……」ジー

上条「……」スッ

フィアンマ「……」ムニグシ

上条(何かぷちぷちする梱包材もらった子供みたいだ)

フィアンマ「……」グシグシ

上条「……」

フィアンマ「…確かに温まってくるな」ウン


上条「フィアンマ」

フィアンマ「ん?」

上条「一緒に寝ても良いですか」

フィアンマ「」

上条「いかがわしいことはしません」

フィアンマ「…そのいかがわしいの意味はよく分からんが」

上条「……」

フィアンマ「…距離を空けろ」

上条「…はい」シュン


上条(こ、拳一つ分距離は空いてるけど…)ドキドキ

フィアンマ(…寝づらい)モゴ

上条(近い。すげえ近い)ドキドキ

フィアンマ(…最後に人と寝たのは…六歳以来、か?)

上条(……やっぱ良い匂いするな)スン

フィアンマ(………)ペタ

上条「!!!」

上条(み、右手、にぎ、握られ、っ)

フィアンマ(……何故俺様はこんな場所で日常を謳歌して…。
      いや、こんなものを日常と認めてたまるか)


今回はここまで。
…フィアンマスレを卒業しようと思っていたのに安価スレすみませんでした…。

乙。今AKBメンバーが全員「アイドルやめます」って言うくらいあり得ない文が>>1から発せられたような…

もう>>1はフィアンマスレ書かなくなるかもしれないというのか…


いや、リアルの方で時間がなくなるので仕方なく、という形ですけどね…
SS板から消えても、支部の方にはいますので…。

>>143の例えワロタ








投下。


フィアンマ「…まだ、起きているだろう」

上条「…はい」

フィアンマ「……お前は、」

上条「はい?」

フィアンマ「俺様の、何処が良いんだ」

上条「一目惚れだったんで何とも言えないんですけど…」

フィアンマ「…見目だけか」

上条「いや、そういう訳じゃないです。きっかけがそれだっただけで!」

フィアンマ(……別に見目だけで良いのだが)

上条「仕草が可愛いところとか、常識に疎いところとかも好きです」

フィアンマ「常識に疎いだと?」

上条「電車の乗り方とか」

フィアンマ「……」ムゥ

上条(可愛い)


上条「そういえば、」

フィアンマ「ん?」

上条「魔術サイドだと、フィアンマは行方不明者扱いみたいですね」

フィアンマ「…そうか」

上条「……フィアンマ」

フィアンマ「ん?」

上条「フィアンマが何をしようとしてたのか、聞きたいんですけど」

フィアンマ「別に何も、」

上条「ならイギリスのあの場所には居ないでしょう」

フィアンマ「…、」

上条「魔術師には何かしら、やりたいことがあるはずです」

フィアンマ「…聞いてどうする?」

上条「内容によっては手伝います」

フィアンマ「……」


フィアンマは、上条に背を向けたまま、自分が何をしようとしたのかを話した。
未だに諦めてはいない。だけれども、立てていた予定はこなせない。
だからこそ、故に、全て話した。

「俺様は、世界を救いたい」
「誰にも褒められた事のない人生だった」
「誰にも愛された事のない人生だった」
「自分で認めなければ、何の価値も無い人生だった」
「だから、自己肯定を繰り返して生きてきた」
「その中で、自分が持っている力の正体に気がついた」
「世界を救うための力だった」
「そんな、特別な右手を持っていた」
「俺様は世界を救わなくてはならない」
「誰を踏み台にしても、何を犠牲にしても」
「俺様は少しずつ、準備を施してきた」
「自分の手で材料を集め、階段を作り、天に届くまで」
「欲しかったのは知識と、環境を整える道具、お前の右腕」
「戦争を起こし、戦争の為に必要だからという理由で物資や人員を集め」
「そうして、一度にして世界を清浄に、正常にしたかった」
「誰も不幸にならない、幸福な世界を作りたかった」
「笑顔の裏に悪意が透けて見える光景を消し去りたかった」
「充分な物資と、充分な統制と、」
「後は、悪人を罰すれば良い。どんなに強い力を持った悪人でも、一撃にして殺せば良い」
「誰かが苦しんだり、悲しんだり、泣いたり、困ったりしない、あるべきままの世界に」
「世界に、したかった」

資源の残量も、民族の対立も、宗教の差異も。
食料の不足も、国家の闘争も、環境の破壊も。

すべてが複雑に絡み合って、世界は歪んでしまっている。
誰かの涙がなければ、誰かが笑う事の出来ない世の中になっている。

「……俺様は、あるべきものをあるべきままに正したいだけだった」



でも。

誰も認めてくれない。
誰も応援してくれない。
誰も信じてくれない。
誰も手を差し出してくれない。

だからもう、それでいいと思った。


もし、人生でたった一回だけでも。
彼を本気で愛し、信じ、認め、褒める人間が居たのなら。
誰も傷つかなくて済んだのかもしれない。


「俺様は、間違っていない」
「俺様が一番正しい」
「世界の方が間違っているだけで、」
「必要悪という言葉に皆惑わされているだけで、甘えているだけで」
「俺様が創る世界の方が、素晴らしいはずだ」
「あるべきままの姿の世界の方が、良いはずだ」
「誰も泣かなくて良い世界を創りたいだけなんだ」
「皆が笑って皆が幸せな世界が出来ればそれで良いのに」
「それだけで良いのに」
「誰も、」

だれも、ほめてくれない。


途中から声が震えていたことに、フィアンマは気がついただろうか。
途中から声が涙で濡れていたことに。
途中から、声が不安げで、過去形に限定されていったことに。

彼自身、彼が泣いている事にすら気づいていないだろう。
話している内に、自分に言い聞かせている内容が薄れたのかもしれない。

誰にも認められなくていい。
誰にも褒められなくていい。
誰にも応援されなくていい。

正しいのだから、咎められても響かない。

そんな自己暗示に等しい言葉が、薄れる。

「俺様は、間違ってなどいない」


「俺も、フィアンマは間違ってないと思うよ」


たった一人。
たった一度。
たった一言。

上条はそう、彼を認めて、左腕を伸ばした。
背中を向けている彼の身体を抱きしめる。

「たとえ特別な右手や力があっても、そうしたいと思うのはすごいことだと思う」
「他人の幸せを願えるのってさ、やっぱり簡単な事じゃないし」
「必要悪でさえも消したいっていう考えは、良いと思う」
「方法は酷いものだったとしても、俺は、フィアンマを認めるよ」

上条の右手を握ったまま。
フィアンマは、薄く笑みを浮かべた。
何か、考えあってのものではなく。







幼い頃に一度だけ浮かべたきりの、『嬉しい』安堵に基づく、計算ゼロの微笑を。





「…あ、…あり…、…う…」
正統派ツンデレ魔術師———右方のフィアンマ




「上条さんの下条さんがご迷惑をおかけしました…」
正統派キチデレ不幸少年———上条当麻



今回はここまで。
戦争を回避したいならフィアンマさんが彼を止められる且つ認めてくれる誰かとくっつくしかない。
自然と魔神のなり損ないや魔道書図書館や上条さんとなる訳です。
皆さんが好きな右方○○は何でしょう。

乙。フェードアウトしてく日とか、今後復活する可能性、ちょっとだけこられそうな日てかはないのだろうか…クッ


…そういえば>>1のオティヌスちゃんとかサローニャとくっついたフィアンマさんの安価、もしくは非安価スレが見てみたいなぁ?チラッ

つーかマジで>>1の野郎SS板からいなくなんのかよ……
やべぇよやべぇよ、17才子持ちバツイチ女子高生の拠り所がまたへっちまうよ

あっちなみにやっぱりフィアンマさん受けの上条右方とか、自分設定ですが中高生くらいのフィアンマさんの引き受け人として一緒に生活してどんどん好き合っちゃう後方右方とか好きです


>>170
具体的には四月には居なくなります。復活の可能性は…垣根君並です。
オティヌスちゃん良いな…良いな…でもそれならオティヌスたんとオッレルスさんの取り合い安価スレ…だめだ需要がぐぬぬ


>>171
ご回答ありがとうございます!
中高生ンマさんと保護者ックアさんの後方右方…!!!
支部に上げるかもしれません。




次回、最終回。



投下。


そうして疲れて眠った翌朝。
フィアンマは腰辺りをぐいぐいと押し上げる硬いナニかに首を傾げ、目を覚ました。
後ろには上条が居て、自分を抱きしめたまま眠っている。
段々眠りが浅くなってきているのか、「んん、」などといった声が聞こえる。

(……コレは何だ)

居心地の悪さに身動く。
その度に上条の吐息が耳にかかる。
一体上条は何をしているのだ、とフィアンマは不愉快に思う。

「っ…う、」
「……、…」

振り返ろうともぞついたところで。
上条は一際大げさに身体をびくつかせ、熱い吐息を漏らしながら目を覚ました。
下半身が濡れている。半分夢精であり、半分自慰の結果でもある。
上条は冷や汗がだらだらと自分の額と背中を伝っていったことを認識する。

「…上条当麻。……目が覚めたのか」
「こ、」
「こ?」
「この度は、上条さんの下条さんがご迷惑をおかけしました…」
「……何を言っているのかわからんのだが」
「すみません、ちょっとあの、風呂場行ってきます」

すすす、と上条はフィアンマから離れ、逃げ出すように風呂場の方へ突入する。
フィアンマは首を傾げ、台所へ移動することにした。


上条はシャワーで下半身を洗い、着替え、台所へとやって来た。
気まずそうにする上条に対し、何も分かっていないフィアンマは至って普通の態度でいる。

「体調不良か何かか」
「…まあそんな感じです」
「そうか。…昨日は、」
「昨日は…?」
「…あ、…あり…、…う…」

言いかけ、言葉を飲み込む。
お礼を言うのは慣れていない。
フィアンマは決して寡黙なタイプではないが、思惑を隠して話すのが得意なだけ。
交渉に長けて人を操れることと、他者と簡単に仲良くなれることとはイコールではない。
上条は不思議そうにフィアンマを見つめる。

「……?」
「…何でもない」
「? そうですか」
「……今日は休日か」
「まあ補習入ったらいきますけどね」

残念そうにぼやき、上条はいそいそと朝食の準備を始める。
休日の朝食なので、メニュー的には簡単で軽いものだ。


フィアンマ「……」モグモグ

上条「……」モグモグ

フィアンマ「……」モキュ

上条「……」

上条(フィアンマと何回か何処かで会った気がするんだよな…)ウーン

フィアンマ「……?」モグモグ

上条「…俺達会った事ないですか?」

フィアンマ「記憶に無いな」

上条「そうですか…」ウーン

上条(何回か見た事あるような…いや、でも一目惚れだし、矛盾してるよな…)

フィアンマ(デジャヴというやつか)


上条「………」

フィアンマ「…魔道書図書館が居なくて寂しいか」

上条「いや、別にそんなこと、」

フィアンマ「嘘をつくな。…記憶喪失は即ち、生まれ直すことに近しい。
      となれば、記憶を失ってから最も長く過ごした人物が恋しいのは当然だ」

上条「……、」

フィアンマ「お前に話し、認証され、…吹っ切れた部分がある。だから、もう良い。
      俺様と離れて、あの女を迎えてやれ」

上条「嫌です」

フィアンマ「…何故だ」

上条「インデックスの事は大切な家族だと思ってます。それ以上にフィアンマが好きだから、嫌です。
   どちらかを選ばなければならないなら、フィアンマを選びます。何度でも」

フィアンマ「……後悔する羽目になるぞ」

上条「もうしてますよ。それでも、選び直したくはないって、そう思うんです」


夕方頃。
上条は、デジャヴが何に基づくのか、思い出した。
夢で何度も、フィアンマを見た事がある、と。
夢で幾度も出会っていたんだ、と思い返す。

「一番最初は、一目惚れした時と同じ出会い方の夢」
「次が、フィアンマを路地裏で助ける夢」
「次が、帰ってきたらフィアンマが家に居て、ベッドに座っていた夢」
「次が、教会で友人に頼まれ事をして代わりに番をしてたら、出会った夢」
「次が、フィアンマが女の子で、監禁から始まる恋の夢で」
「次が、フィアンマが、いじめにあった俺の怪我を治して、お腹いっぱいお菓子を食べさせてくれた夢」
「次が、イタリアで、両方幼い頃に、フィアンマと公園で出会った夢」
「次が、女の子のフィアンマが、ベランダに引っかかっていたのを助けた夢」
「次が、姫神を助けた時、フィアンマと出会った夢」
「次が、いじめられて泣いてたら、フィアンマが頭を撫でてくれて、義弟として慕う夢」
「次が、俺が女の子で、フィアンマと一緒に仕事をする夢。相談所か何かだったかな」
「他にも、フィアンマと一緒に死ぬ夢とかも見ましたけどね」

言って、上条は空を見る。

「所詮夢だろう」
「夢だけど、全部が夢じゃないのかな、って」
「どういう意味だ」
「噂というか、科学的に証明はされてませんけど…夢で見る内容は、別世界の自分の生活って説があるそうです」
「……そうか」
「だから、もしかすると一目惚れじゃないのかもしれませんね」

上条は恐る恐る、フィアンマの左手を握る。
握り返される事はなかったが、払われることも無かった。

「……俺様も、何度もお前に救済を邪魔された気がするよ。これまで、何度も」

そしてその度に何度も、自分は救われた。
フィアンマは、ぽつりとだけ、そう付け足した。


今回はここまで。

思いっきりメタネタでした。
次回あんまりエロくないエロ書いて終わります。
毎回お付き合いいただき、ありがとうございます……した。

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