ユミル「初デートから」エレン「初エッチまで」(295)

進撃の巨人SS

エレユミ前提

エロあり

エレン「デートしようぜ!」

ユミル「あ? デート?」

エレン「ああ、次の休日は何もなさそうだし、二人で街に出かけよう」

ユミル「そういや今までは用事があったり雨が降ったりして、外に出る機会はなかったか」

エレン「そのおかげでせっかく恋人同士になったのに一度もできてなかっただろ? どうだ?」

ユミル「悪くないな。これまで恋人らしいことと言えば、こうして夕食後から消灯までの自由時間に二人で話してるくらいだったし」

エレン「よっしゃ決まりだ!」

ユミル「嬉しそうだな」

エレン「そりゃそうだ。恋人とのデートだぞ、楽しみに決まってる。ユミルは違うのかよ?」

ユミル「……私も、楽しみだよ」

エレン「そっか良かった。今から休日が待ち遠しいな」

ユミル「まだ三日後だろ。浮かれて訓練で怪我とかするなよ」

エレン「大丈夫だって。訓練の時は訓練のことしか考えるつもりはない。でもそれ以外ではデートのことを考えることにする」

ユミル「なら期待してるぜ、エレンのエスコート」

エレン「お、おう」

ユミル「どうした?」

エレン「いや、デートなんて初めてだからそう期待されると不安がな……ユミルも初めてだろ?」

ユミル「……いいや?」

エレン「えっ」

ユミル「初めてじゃねぇよ。何回だってしてる」

エレン「な、何回も?」

ユミル「ああ、今でも時々してるぞ。相手はお前も知ってる奴だが」

エレン「今でも!? オレが知ってる奴と!?」

エレン「誰なんだそいつは!? もしかしてお前オレ以外に付き合ってる奴がいるのか!?」

ユミル「あー、落ち着けって」

エレン「落ち着いてられるか! そいつが誰か教えてくれ!」

ユミル「分かった分かった。そう興奮するな。今言うから」

エレン「お、おう……」

ユミル「その相手はな――クリスタだよ」

エレン「――は?」

ユミル「聞こえなかったか? クリスタだ。たまの休日に二人で街をぶらぶらとな。大抵はあいつの買い物に私が付き添ってる形だが」

ユミル「他にも飯食ったり観光したり……ほら、どっからどう見てもデートだろ?」

エレン「……」

申し訳ありません
エレン「ホワイトデー?」の続きです

エレン「はぁぁ……何だよそれ……」

ユミル「……ぷっ、はははっ。見事なまでの慌てっぷりだったな」

エレン「笑い事じゃないって。性質悪いぞこの冗談。てっきり他に好きな男がいるのかと……」

ユミル「ごめんごめん。少し調子に乗りすぎた、許せ」

エレン「ったく、勘弁してくれ」

ユミル「それに、安心しろよ」

エレン「ん?」

ユミル「私が好きなのは、エレンだけだ」

エレン「……う。そ、そっか」

ユミル「なーに照れてんだ」

エレン「いや、こう改まって面と向かって言われると、まだ照れくさいもんが」

ユミル「まだ付き合って一月経ってないもんな……それでエレン、お前は?」

エレン「……ああ、オレも、ユミルだけが大好きだ」

ユミル「ん、嬉しい」

エレン「ユミル……」

ユミル「エレン……キス」

エレン「ああ……ん……」

ユミル「ぅん……ふ……あぁ……んっ」

エレン「ん……んぅ……はっ」

ユミル「はぁっ……はあ、はあ……今日は、少し長かったな」

エレン「お前が冗談でもあんなこと言うからだ。少しでも長くユミルを感じていたかったんだ」

ユミル「そっか……じゃあ、もう一回するか?」

エレン「え? でもキスは一日一回までって決めただろ。制限なくすと止まらなくなりそうだからって」

ユミル「今日は特別だ」

エレン「どう特別なんだ?」

ユミル「……エレンがデートに誘ってくれて、嬉しかったから」

エレン「……ははっ」

ユミル「な、なに笑ってんだ」

エレン「ああ、それくらいのことでキスをねだってくるところが、可愛いなって」

ユミル「……くぅ」

エレン「なんだ、お前だって照れてるじゃないか。ユミルもなんだかんだで好きとか可愛いとかのストレートな言葉に弱いよな」

ユミル「う、うっせ……ほら、さっさとしろよ」

エレン「はいよ。今度はさっきよりも長く、な」

ユミル「うん……ぁん……」

ユミル(完全に嵌っちゃってるよなぁ、私)

ユミル(でもキス気持ちいいし、幸せだから、いっか)

エレン(ユミルの奴、首に両腕回してきてやがる。これは最長記録いくかも)

エレン(ま、望むところだけど)

女子寮

クリスタ「え? デート?」

ユミル「ああ、さっきエレンの奴に誘われてさ。次の休日に街に行こうって」

クリスタ「良かったじゃない。初デートだよね」

ユミル「そう。それで……いろいろと、どうすればいいか聞きたいんだが」

クリスタ「いろいろって、例えば?」

ユミル「そ、そうだな。例えば……服、とか」

ユミル「ほら、普段の私服はやぼったいシャツとズボンだろ? せっかくのデートだし、違う感じのを着ていくべきかな?」

クリスタ「それが良いと思う。特別な日には特別な姿を見せてあげないとね」

ユミル「だよな。けど特別って言っても……大した服持ってないんだよな」

ユミル「似通ったやつばっかりで、デート当日までに買いに行くなんてできないし」

クリスタ「あるじゃない、特別な服」

ユミル「え? そんなのあったか?」

クリスタ「もう、忘れてるでしょ。だいぶ前に二人で出かけた時に買ったやつ」

ユミル「……あ、あークリスタに無理矢理買わされたあれか」

クリスタ「む、無理矢理じゃないよ、ちょっと勧めただけで。まさか捨ててないよね?」

ユミル「捨ててはないが……いや、けどあれは私の印象とかけ離れてるだろ」

クリスタ「そのギャップが良いんじゃない。お店で試着した時は似合ってたよ、可愛かった」

ユミル「試着も強引だったけどな……それに、あれは特に胸が……」

クリスタ「いいじゃない。デートなんだし、見られるのはエレンだけだし」

クリスタ「エレンに喜んで貰いたいでしょ?」

ユミル「……喜んで、くれるかな」

クリスタ「もちろん! 私が保証する!」

ユミル「その自信はどこから来るんだか……でも他に特別な服は持ってないし、あれにするか」

クリスタ「うんうん。あー、エレンの喜ぶ姿が目に浮かぶなぁ」

ユミル「引かれる可能性もある気がするが……」

クリスタ「それはない! 可愛かったもん! さ、次いこう!」

ユミル「やる気満々だな。えーと、他には何を気をつけるべきだ?」

クリスタ「うーんと……さすがに化粧道具はないし、他に外見といえば……髪型?」

ユミル「い、いやそれはいい。髪型まで変えるとか、慣れないことを重ね過ぎるのはさすがに」

クリスタ「それもそうだね。それで緊張しちゃったら元も子もないし」

クリスタ「じゃあ外見面は服装だけにして、次は内面……?」

ユミル「それも意識し過ぎるとぎこちなくなるだけのような気が」

クリスタ「だよね……あ、だったらいつも以上に甘えてみるっていうのは?」

ユミル「あ?」

クリスタ「二人が付き合ってることは皆に公表してないから、エレンに甘えられる機会が少ないでしょ?」

ユミル「ま、まぁ……」

クリスタ「あ、逆にエレンを甘えさせてあげるのもいいかも。エレンだってもっとユミルに甘えたいって思ってるはずだし」

ユミル「そ、そうかな?」

クリスタ「絶対そう! やっぱり自由時間にちょっとお話しするだけじゃ物足りないところもあると思うの」

クリスタ「だからデートの時ぐらいお互いに目一杯甘えて、甘えさせてあげるの」

クリスタ「つまり、イチャイチャしてこい! ってこと」

ユミル「イチャイチャって……だ、大丈夫だよ。さっきだってあいつに散々甘えて……あっ」

クリスタ「え? さっき?」

ユミル「し、しまった……」

クリスタ「なになに? さっき甘えてきたから必要ないってこと? 何してきたの!?」

ユミル「言うかぁー!」

ユミル「……はあ、はあ。ったく、クリスタはこういう話になると性格が変わるのが玉に瑕だ」

クリスタ「あはは、ごめん。エレンとのことあまり教えてくれないから、気になっちゃって」

ユミル「べらべら話すことでもないだろ……それでエレンとのデートについて相談するってのは、少し虫が良いかもしれないが」

クリスタ「ううん、無理に追求することじゃないしね。ほら、次行こ次」

ユミル「そうだな。えーと後は……どういう所に行くか、とか?」

クリスタ「あー、それはあまり協力できないかも。私も男の人とデートしたことないし」

ユミル「だよな。まああいつと一緒ならどこでも楽しくはあるだろうが、どうせならいい感じのところに行きたいよな」

クリスタ「あれ? 今自然と惚気られた?」

ユミル「クリスタ?」

クリスタ「なんでもないよ。そういう相談なら、デート経験の多いハンナにしてみたら?」

ユミル「やっぱそうなるか……でも相手が誰か聞かれるよな」

クリスタ「多分ね。でもハンナって口が軽そうにはみえないし、大丈夫じゃない?」

ユミル「うーん……今日はやめておく。相談するにしても明日以降だ」

クリスタ「あ、うん。そろそろ消灯だもんね」

ユミル「ありがとなクリスタ。助かった」

クリスタ「ううん、気にしないで」

男子寮

アルミン「え? デート?」

エレン「ああ、さっきユミルをデートに誘ってきた」

アルミン「へぇ、良かったじゃないか」

エレン「けどその時にエスコートを期待してるって言われてさ、どうしたもんかと」

アルミン「なるほどね。でもその手の相談なら僕よりフランツの方が適任じゃない?」

エレン「そうなんだが、フランツはまだオレたちの関係を知らないからな。ユミルに黙って明かすのはちょっと……」

アルミン「だったら誰が相手かは伏せておけば? フランツならそこまで気にしないだろう」

エレン「うーん……」

アルミン「……分かったよ。今日は僕が手を貸そう。力になれるか少し不安だけど」

エレン「悪い、助かる」

エレン「それでエスコートなんだけど、具体的にどうすればいいんだろうな?」

アルミン「うーんと、多分そこまで深く考える必要はないと思う」

アルミン「女性に気を遣ってあげる、っていうのを心がければいいんじゃないかな」

アルミン「具体例を挙げれば、身なりをちゃんと褒めてあげるとか、初デートで緊張してるなら解してあげるとか、かな?」

エレン「ほうほう、さすがアルミン」

アルミン「本に載ってた知識ばかりだから、実際に上手くいくとは限らないよ」

アルミン「あとは……どうだろう。逆にそのことにばかり気を取られてデートを楽しめないようじゃ本末転倒だ」

エレン「それはそうだよな。せっかくのデートなんだし、お互い楽しんでこそってのは分かる」

アルミン「そう、結局それが一番大事だと思う」

アルミン「エレンが楽しそうにしていれば、自然とユミルも楽しんでくれるはずさ」

エレン「だよな。つまりデートを楽しみつつ、適度に気を遣ってあげればいいんだな!」

アルミン「うん。他には……エレン自身の問題かな」

エレン「オレ自身?」

アルミン「そう、特に服装。まさかいつもの使い古した服を着ていくつもりじゃないだろうね?」

エレン「えっ……やっぱダメか?」

アルミン「当たり前だろ。きっとユミルも身なりを整えてくる。そんな彼女とデートするならそれなりの格好でいかないと」

エレン「でもオレ、そんないい服なんて持ってないぞ」

アルミン「今持ってる一番新しい服はどれ?」

エレン「ちょっと待ってくれ……えーと、これ、かな?」

アルミン「いつものエレンって感じの服だね」

エレン「わ、悪いかよ。むしろ気張らずにいつも通りの方がいいんじゃないか?」

アルミン「それは確かに一理ある。背伸びした服を着る必要はない……まあ、これだったら大丈夫かな。色褪せもしてないし、皺も少ない」

エレン「ほっ。次に買い物に行く機会があったら、いいの買っておこう」

アルミン「そうしなよ」

エレン「んで……あーあれだ。どこに行くかも決めておくべきだよな」

アルミン「そうだね。ある程度は計画を立てておかないと、途中でこれからどうしようっていう風になりかねない」

エレン「だな。まあユミルとならどこでだって楽しめる自信はあるが」

アルミン「あれ? 今自然と惚気られた?」

エレン「アルミン?」

アルミン「ああいや、続けて続けて」

エレン「大まかに買い物とか食事とかするってのは決められるけど、恋人同士でいきそうな場所って検討つかねぇんだよな」

アルミン「初めてだしそれは仕方ないね。やっぱりその辺はフランツに聞くしかないと思うけど」

エレン「だよなぁ……ま、聞くにしてもユミルと確認してからだな」

アルミン「そっか。じゃあエレン、もう消灯だしこの辺で」

エレン「ああ、ありがとな」

翌晩

エレン「……それでさ、明後日のデートのことなんだけど」

ユミル「なんだ?」

エレン「何時に行くとか、待ち合わせの場所とか決めてなかったなって」

ユミル「ああ、そういや失念していたな。お互いに気付かないほど浮かれてたってか?」

エレン「はは、かもな。それでどうする? 朝食はここで食べるか?」

ユミル「そうだな、そんな早くから街に出ても開いてない店とかあるだろうし」

エレン「朝食の終わる時間が8時だから、それから準備とかも含めると……」

ユミル「8時30分にここの門前で待ち合わせるか」

エレン「いいな。ここから街までそこそこあるし、歩いて行くならちょうどいい時間になりそうだ」

ユミル「他に決めておくことってあったか?」

エレン「あー、えっと、昨日から一日考えてアルミンにも相談したんだけど」

エレン「恋人同士で行くようなデートスポットって言うのかな、そういう場所をほとんど知らないなって」

ユミル「……お前もか」

エレン「ん?」

ユミル「いや、私も同じこと考えてたよ。クリスタにも聞いたが経験がないからなかなか、な」

エレン「なんだ、そっちも同じ状況なのか。それで、思い付かないから経験が豊富そうなフランツに聞こうかと思ってるんだが」

エレン「でもそうなるとオレたちの関係を明かすことになりそうだから、一度ユミルに聞いてみようと思ってさ」

ユミル「それも同じだ。私もハンナに相談するか悩んでいた」

エレン「はは、じゃあもういっか。変に吹聴する奴らじゃないし。そもそも何で隠してるんだっけ?」

ユミル「いや、それはほら、わざわざ広めることでもないだろうよ」

エレン「でもフランツとハンナは堂々としたもんだぞ。なんだかんだ言って、恥ずかしいんだろ?」

ユミル「うるせぇって。あいつらみたいに公然とバカ夫婦呼ばわりされてたまるか」

エレン「あそこまでするつもりはないけど……ユミルがそう言うならいいか」

エレン「しばらくは可愛いユミルを一人占めできるわけだし。悪くないな」

ユミル「……お前さ、よくそんなこと言えるよな。感心するぜ」

エレン「あれ、照れないのか?」

ユミル「毎回毎回恥ずかしがると思うなよ。こう何度も言われてたら耐性の一つや二つ……」

エレン「可愛い」

ユミル「……ぬ」

エレン「すごく可愛い。最高」

ユミル「……や、やめろよ」

エレン「めちゃくちゃ可愛い。大好き」

ユミル「やーめーろー!」

エレン「ははっ、どこが平気なんだよ。そういうところも可愛いぞ」

ユミル「いい加減しろー!」

エレン「お前が素直にならないからだ。正直に嬉しいって言えばいいのに」

ユミル「……嬉しくないなんて、言ってないだろうが」

エレン「じゃあオレに可愛いって言われて、嬉しいか?」

ユミル「ああ嬉しいよ! 言われる度にドキドキしてるっての! 耐性なんてつくかバカ!」

エレン「二人きりの時くらい素直でいてくれるとオレも嬉しいぞ」

ユミル「ちっ……ああもう、話が完全に脱線してる。つまりハンナとフランツの二人には関係を明かしてもいいってことだな」

エレン「向こうが聞いてきたらな。言い触らすことはないと思うけど、一応口止めもしておくか」

ユミル「ああ、じゃあそろそろ寮に戻ろう」

エレン「待てよ」

ユミル「あ?」

エレン「キス、今日はまだしてなかっただろ?」

ユミル「……そんなにしたいのか?」

エレン「もちろんだ」

ユミル「欲求に忠実な奴め」

エレン「そりゃあな……で、素直なユミルさんはどうなんだ?」

ユミル「ふん……したいに決まってるだろ」

今日はここまで

ホワイトデー前日 夜

エレン(ついに明日ユミルとの初デートだ。楽しみすぎて眠れないぞ)

エレン(眠れるまでデートの予定をもう一度思い出そう。まあ大した予定でもないけど)

エレン(昨日の夜にフランツにお勧めの場所を聞いたはいいが、ユミル行ってくれるかなぁ?)

エレン(話を聞く限りだと入るのに勇気いりそうなんだよな……そんな店があったことにも驚きだが)

エレン(でもせっかく教えてくれたんだし、アルミンの助言も参考に、明日はしっかり楽しもう)

エレン(楽しみだなぁ……眠れない……)

ユミル(デートの約束から二日……たった二日間をこれほど長く感じたことはない)

ユミル(それだけ楽しみにしてるってことか)

ユミル(恋人同士で行く場所をハンナに相談してみたが、下らない勘違いしやがって)

ユミル(初デートだって言ってるだろう。なんだってあんな場所を一番に言うかな)

ユミル(ま、まあ……いずれ役には立つ、のか?)

ユミル(いやいやいや、気が早すぎるだろ)

ユミル(もう忘れろ忘れろ。忘れてさっさと寝よう)

デート当日 朝食時 食堂

エレン「よし! ごちそうさま!」

ミカサ「今日のエレンはいつもにも増して元気。何をそんなに張り切っているの?」

エレン「ああ、ミカサには言ってなかったか。この後ユミルと街に出かけるんだ。それが楽しみでさ」

ミカサ「つまりそれは、デートということ?」

エレン「そうなるな」

ミカサ「そう……初めてでしょう? 言ってくれれば手を貸したのに」

エレン「さすがに女にこういうことは聞き辛くてな。アルミンには助言して貰ったから、な?」

アルミン「うん。実践に基づかないものばかりだけど」

ミカサ「アルミンが言うなら問題ない。でもエレンは鈍感なところがあるから、心ない言葉を言ってしまわないか心配」

エレン「……強く否定できない」

アルミン「だ、大丈夫だよ。エレンだって徐々に気配りのスキルが成長している……はず」

エレン「そこは断言してくれよ」

アルミン「ごめんごめん」

エレン「見てろよ、絶対にユミルに楽しかったって言わせてみせるからな」

ミカサ「その意気。がんばって」

クリスタ「エレン、行ったね」

ユミル「よし、じゃあ私も準備始めるか」

クリスタ「ふふ、楽しそうだね」

ユミル「もしかして顔に出てるか?」

クリスタ「普通に見てる分には気付かないと思う。私みたいに近くで見てれば別だけど」

ユミル「そうか。まあ今日は特別だしな、少しくらいいいだろ」

クリスタ「うんうん。あ、着替え終わったら私にも見せて」

ユミル「……クリスタにならいいか。一度見られてるし」

クリスタ「エレンに褒めて貰えるといいね」

ユミル「どうかな、あいつそういうところまで気が回りそうにないし」

クリスタ「そう? エレンなら思ったことを口に出すだろうから、似合っていればそう言ってくれると思うけどなぁ」

ユミル「似合っていれば、な」

クリスタ「だいじょーぶ。一度見た私が保証してるんだから。もっと前向きにいかないと」

ユミル「はいはい」

クリスタ「それと門限は午後6時だから。楽しくて時間を忘れちゃったとかなしだよ」

ユミル「分かってるって」

クリスタ「じゃあ寮に戻って着替えてきて! ほら早く早く!」

ユミル「お前が一番楽しそうじゃないか」

門前

エレン「8時15分……ちょっと早かったか?」

エレン「まあオレの準備なんて着替えて歯磨いて財布持つくらいだし、時間かからなくて当たり前だ」

エレン「逆に女は準備時間が30分じゃ足りないのか? 何に時間をかけてるのか分からんが」

エレン「でも男は女より先に待ち合わせ場所に到着しているのが当たり前だって、フランツの奴言ってたよな」

エレン「だったらこれくらいでちょうどいいのかも。15分なんてユミルのこと考えてりゃすぐだ」

エレン「……」

エレン「どんな格好で来るんだろうな……」

エレン「いつも通りな感じか? それともやっぱアルミンが言ったように洒落た服着てくるのか?」

エレン「フランツもデートの時のハンナは着飾ってくるって言ってたしな」

エレン「でもユミルがどう着飾ってくるかなんて想像もつかない……」

エレン「その分楽しみが増えるからいいんだけど」

ユミル「おい、何をぶつぶつ言ってるんだ」

エレン「お、来たかユミ――」

ユミル「待ったか?」

エレン「……ああいや、大丈夫、です」

エレン(ユミルが着てきたのは、白色のワンピースドレスだった)

エレン(無地かつ余計な装飾のないシンプルなもので、袖はなく丈は膝まで。そして見るからに涼しげな薄い生地)

エレン(普段の私服とは真逆の女性らしい衣装をまとったユミルが、そこにいた)

エレン(また、めったに拝むことのできない肩や二の腕、膝から下の肌を露出させており、否が応にも目がいってしまう)

エレン(しかし中でも、最も目が惹きつけられる場所といえば――)

ユミル「……何とか言えよ」

エレン「……胸元、すごく開いてるな」

ユミル「一言目がそれか! 見るんじゃねぇよバカ!」

エレン「い、いや悪い。いろいろ考えたんだが、そこが一番衝撃的で思わず……」

ユミル「ちっ、本当に思ったことを口にしやがって。躊躇ってもんがないのか」

ユミル「あーあ、そんなエロい目で見られるんなら着てこなければよかったかな」

エレン「そ、そんなこと言うなよ! 確かに感想の一言目が最悪だったのは謝る! すまん!」

エレン「けどオレはすごく良いと思うし、魅力的で似合ってる! 本当だぞ! 大好きだ!」

エレン「だからその素敵な姿のままでオレとデートしてください! お願いします!」

ユミル「……」

エレン「お願いします!」

ユミル「……ふん、次のデートではちゃんと褒めろよ」

エレン「じ、じゃあ……」

ユミル「このままで行くよ。今から着替え直すとか、ただ時間を浪費するだけだ」

ユミル「……それに今の言葉は、嬉しかったし」

エレン「ありがとうユミル! 大好きだ!」

ユミル「分かった分かった。分かったから朝から好き好き連呼するな。恥ずかしい奴め」

エレン「いやだって、もしかしたらこのままデート取り止めにされるんじゃないかと……」

ユミル「そんなわけないだろ。私だって楽しみにしてたんだ。多少の失言くらい許してやる」

ユミル「だがミスしたことに変わりはない。これからそのミスを帳消しにできるようせいぜい頑張ってくれよ」

エレン「ああ、がんばる」

エレン「でも驚いた、そんな服持ってたんだな」

ユミル「前にクリスタと服屋に行った時、絶対似合ってるからと強引に買わされたんだ、あいつに」

エレン「ナイスだクリスタ。ありがとう」

ユミル「何でお前が感謝してるんだか。まあデートに着ていけそうな服はこれしかなかったから、そういう意味では良かったんだろうが」

エレン「ああ、すごくいい! 綺麗だ!」

ユミル「あ、ありがと……って、お前また胸見たろ!」

エレン「み、見てないって! 今はお前の顔を見てたんだよ!」

ユミル「本当だろうな? まだ着慣れてないから意識し過ぎているだけか……?」

エレン「そ、それにやっぱりだな、そんな風に晒された肌に目を向けるなっていうのはその、難しいんだ」

ユミル「なるべく見ないように努めろ」

エレン「無茶言うなよ。お前を見たら自然と目に入るんだ。男なら意識してしまうのはむしろ当然だろ」

ユミル「……まぁ、そっか。これだけ露出しておいて彼氏が無反応だった時の方が悲しいかもな」

エレン「だからその辺は大目に見てくれ。オレも見過ぎないようにするから」

ユミル「……分かった」

ユミル「にしても私がこれだけ恥ずかしいのを我慢して着てきたっていうのに、お前はなんだ? ほぼいつも通りじゃないか」

エレン「……そんないい服持ってなかったんだよ。これでも一番新しいやつなんだが、その、悪い」

ユミル「ふーん……よし、街に出たら服屋に寄って格好いいのを買おう。私が見繕ってやる」

エレン「いいのか?」

ユミル「任せておけ」

エレン「じゃあ頼む。お、いつの間にか30分過ぎてる。そろそろ行くか」

ユミル「ああ。今日は一日、よろしく頼む」

エレン「こちらこそ、よろしく」

エレン「……手、繋ぐか」

ユミル「……いや、こうだな」

エレン「わっ! い、いきなり腕組むとか、だ、大胆ですねユミルさん」

ユミル「何で敬語なんだよ……ダメか?」

エレン「いや、急だったから驚いただけだ」

ユミル「クリスタに今日は目一杯甘えてこいと言われてな。早速実践してみたわけだ」

エレン「再びナイスだクリスタ。よし、今日はどれだけでも甘えてくれていいぞ」

ユミル「言ったな? 覚悟しておけ」

ユミル「ああそうだ、逆にエレンを甘えさせてやれとも言われたな。だからお前もしたいことがあったら遠慮なく言ってくれ」

エレン「そうか? じゃあ早速……」

ユミル「え? ……んっ」

エレン「ん……」

ユミル「は……不意打ちかよ」

エレン「ユミルの腕組みだって不意打ちだっただろ。これでおあいこだ」

エレン「それに今日は特別な日だし、一日一回の制限は解禁でいいだろ?」

ユミル「ああ、今日は何回だってありだ」

エレン「よっしゃ。じゃ、今度こそ出発するか」

ユミル「ああ」

エレン「それにしても晴れて良かった。程よく風も吹いてるし、絶好のデート日和だな」

ユミル「そんな気候の中を二人で歩くって言うのも、新鮮で悪くない」

エレン「こうやって散歩してるだけでも満たされる」

ユミル「でも今日は散歩だけじゃなくいろいろするんだろ? 街に着いたらどうするんだ?」

エレン「フランツに教えて貰った食べ物屋があってさ、昼食まではそのあたりの店を回ろうかと思ってる」

エレン「近くには商店街があって、そこで商品を買うと福引の券が貰えるらしい。何が当たるのかは知らないけど、やってみようかなって」

ユミル「へぇ、しっかり考えてるじゃないか」

エレン「そりゃあな。ほとんどがフランツ情報だけど」

ユミル「ふうん、フランツから聞けるだけ聞いたって感じか? ま、ちゃんと有効活用していこう」

エレン「そのつもりだ。そっちはハンナから何か聞けたか?」

ユミル「えっ……あー、聞けはしたんだが、今日その情報を使うことはないと思う」

エレン「なんで?」

ユミル「えっとだな、私たちにはまだまだ先の話だからだ、それは」

エレン「よく分かんねぇけど、ユミルがそう言うならいいか」

ユミル「ああ、だいぶ先の話だから気にしなくていい。それよりその商店街でエレンの服を買おう。ちゃんと試着して似合うかどうか見るからな」

エレン「変なの選ぶなよ。明らかに笑いものにする気のやつ選んでも着ないぞ」

ユミル「大丈夫だって。信用ねぇな」

ユミル「……しかし、実際にやってみると少し歩きづらいな、腕組むのって」

エレン「多少は仕方ないだろ。それともやめるか?」

ユミル「……えいっ」

エレン「うわっ、何でさらに力込めて寄りかかってくるんだよ」

ユミル「お前がいじわる言うからだ。やめたいなんて一言も言ってない」

エレン「いじわるって……それより本当に歩きづらいんだが。斜めになってるぞ、オレたち」

エレン「それから……いろいろ当たっててだな、少し困る」

ユミル「……あ」

エレン「わ、わざとじゃなかったのかよ」

ユミル「……やっぱり手を繋ぐだけにしよう。歩きづらいし」

エレン「いーや、今日は一日腕組んだままでいく。言い出しっぺが逃げるのはなしだ」

ユミル「……くそ」

ユミル(さっきまで平気だったのに、ちょっと気付かされただけでこんなに……)

ユミル(ここにきて薄い生地の服を選んだことを後悔する羽目になるとは)

エレン(なるべく体を当てまいと遠慮がちに腕を組んでくるところ、いいなぁ)

今日はここまで



エレン「ここだここ。この辺の店を見て回ろう」

ユミル「まだ早い時間なのにそこそこ賑わってるな。どこから行く?」

エレン「ユミルは見たい店とかあるか?」

ユミル「そうだな……あそこの雑貨屋に入ろう。結構大きな店だし、服屋は後でいい」

エレン「よし、決まりだ」

エレン「本当に広いな。目に付いた所から見ていくか」

ユミル「ここは動物の置物コーナーだな」

エレン「人、蛙、猿、馬、豚……すごい数だ。こういうの集めるの趣味の人いるよな。収集家っていうのかな」

ユミル「悪くないがよく見ると大して可愛くないよな、どれもこれも」

エレン「そんなこと言うなよ。これだけあるんだ、一つくらいは気に入るやつがあるかもしれないぞ?」

ユミル「エレンはどうなんだ? どれがいい?」

エレン「そうだなぁ……この小さい猫とかいいんじゃないか。この微妙に太ってるところが可愛いと思う」

エレン「買うかって聞かれたら買わないけど」

ユミル「なんだ、実はお前もそんなに興味ないだろ。違う所行こうぜ……お?」

エレン「いいのあったか?」

ユミル「この人形……坊主頭でちょっとコニーっぽい」

エレン「ぶはっ! 笑わすなよ、坊主ってだけじゃねぇか。そこまで似てるわけでも……ぎゃははっ!」

ユミル「くく、どれ値段は……高っ」

エレン「本当だ高ぇ! ははは!」

ユミル「いつまで笑ってんだ。くくくっ」

エレン「お前だって堪えられてないじゃないか」

エレン「はは、いやーいいもの見た」

ユミル「あれだけでここに来た甲斐あったな」

エレン「じゃあ次のコーナーに行くか」

ユミル「ああ……こっちはだいぶ雰囲気が変わって、ファッション系の雑貨売り場だな」

エレン「広いな。鞄、財布、小物入れ、メガネまである」

ユミル「こっちは装飾品だ。髪留め、ブローチ、ブレスレッドや首飾りにイヤリング」

エレン「この辺は値が張りそうだな。手が出せないんじゃ」

ユミル「いや、大した素材を使ってないんだろう。大抵の物が手頃な価格で収まってる」

エレン「へぇ、普段こういうの身に付けないけど、いろいろ試してみるか」

エレン「メガネってファッション用の伊達メガネだよな。なあユミル、これとかどうだ?」

ユミル「……似合わねぇ」

エレン「なに!? ならこれは?」

ユミル「格好つけようとして失敗してるバカみたい」

エレン「えらい言われようだな。次はこれだ!」

ユミル「一番ひどい。変態のようだ」

エレン「変態!?」

ユミル「奇抜なやつばっかり選んでるからだ。シンプルな方がお前には似合うんじゃないか?」

エレン「そうか? じゃあこれ、とか?」

ユミル「……お」

エレン「ん?」

ユミル(わ、悪くない。普段の鋭い目つきがメガネをかけることで緩和されて、いい感じだ)

ユミル(ちょっと格好いいかも……て、完全に惚れてる奴の文句だな。こんなの普通だ普通)

エレン「ユミル? どうなんだ?」

ユミル「あ、ああ。今までの中では一番ましだな」

エレン「ましって程度か。オレにはメガネ自体が似合わないのかな」

ユミル(あ、外した……少し残念)

エレン「次はユミルがかけてくれよ。女性向けの可愛らしいのもたくさんあるぞ」

ユミル「私もそんなに似合うとは思えないが」

エレン「やってみないとわからないだろ。ほら、これとかどうだ?」

ユミル「よし、変なのは選ばなかったな……どう?」

エレン「あ、いいかも」

ユミル「本当か?」

エレン「本当本当。知的な感じが加わって格好よく見える」

ユミル「ほ、ほおー、知的ね……」

エレン(あ、嬉しそう)

エレン「気に入ったなら買うか?」

ユミル「え、いや、気に入ったというか、お前が気に入ってくれたなら……」

エレン「オレは気に入った! だから買ってやるよ」

ユミル「いやいいって。これくらい自分で」

エレン「いやいや、オレに買わせてくれ。デート記念のプレゼントだ」

ユミル「余裕ないくせに見栄張って……でも、ありがとう。その言葉に甘えさせて貰おうかな」

エレン「ああ。じゃあ次は装飾品だけど、ユミルはこういうの興味あるか?」

ユミル「ないわけじゃないが、普段は全く付けないし、そもそも持ってない」

エレン「ならこの機会に見てみようぜ。きっと似合うからさ」

ユミル「……ちょっとだけだぞ」

エレン「オレも全然付けないからな、どういうのが良いのか……あ、おいユミル」

ユミル「ん?」

エレン「このイヤリング、お揃いだってさ。恋人同士で買うと安くして貰えるらしい」

ユミル「お揃い、か」

エレン「あ、こういうの嫌いか? だったら悪い」

ユミル「いや、いいと思う。恋人同士だし、お揃いくらい持っていても不思議じゃないだろ」

エレン「そ、そうだよな! じゃあ……」

ユミル「でも今気付いたが、こういう装飾品っていつもは身に付けていられないよな。訓練中とか特に」

エレン「確かに怪我の原因になりそうだよな。それこそデートの時くらいにしか機会がなさそうだ」

ユミル「それも悪くないが、私としては日常的に使えてお揃いであることを常に意識できるやつが良いな」

エレン「じゃあどうしようか。日常的に使えるものっていうと……何だ?」

ユミル「うーん……あ、向こうにテーブルウェアの商品が並んでる。あそこならいいんじゃないか?」

エレン「なるほど、それなら食事の度に使えるな。問題はお揃いのがあるかだけど」

ユミル「あるだろ、探してみようぜ」

エレン「……お、あったぞ。男女でお揃いのコップだ」

ユミル「男が青で女が赤か。定番だけど使いやすそうだし、いいな」

エレン「そういや訓練兵団のコップは質素なやつばかりだけど、その中でオレたちが自前でお揃いのコップ使ってたら目立つよな」

ユミル「……あ」

エレン「食事の時に使ってるとこ見られたら確実に俺たちの関係がばれる気が」

ユミル「……」

エレン「……どうする?」

ユミル「……寮の洗面所に共用のコップがあるだろ。その代わりにこれを使う」

エレン「おお、確かにそれなら見られるのは男か女どっちかだけだし、変には思われないな」

ユミル「もしばれることがあってもその時はその時だ。恥ずかしい思いはするが、互いに変な虫が寄り付かなくなるメリットもある」

エレン「変な虫って、そりゃフランツたちほど公にしてたら寄り付きたくてもできないだろうが、ユミルはともかくオレはないだろ」

ユミル「バーカ、逆だ逆。お前に寄ることはあっても私にはないよ」

エレン「えぇ? 何でそう思うんだよ」

ユミル「お前は成績上位だからな、いかに悪人面の死に急ぎでも擦り寄ろうと考える輩くらいいるだろ」

エレン「そういうもんか。あとさらっと悪口言うのやめてくれるか?」

ユミル「事実だ諦めろ。それと私にはないってのは分かるだろ。そもそもほとんどの男が私を女として見てないからな」

エレン「ユミルに寄って来る男がいないのは喜ばしいけど、女として見られてないってのはなんか嫌だな」

ユミル「私は構わないよ。女と思ってくれているのも、その私に魅力を感じてくれているのもエレン一人いれば十分だ」

エレン「……そ、そうか。じ、じゃあもうこのコップに決めるか? それとももう少し探すか、どうする?」

ユミル「これにしよう。気に入った」

エレン「了解。これもオレが金を」

ユミル「いや、これは折半にしよう。せっかくのお揃いだ、お互い対等に金を出し合おう」

エレン「……分かった、そうしようか」

ユミル「ああ。そろそろ次のコーナーに行くぞ」

一旦ここまで

ユミル「結局一時間ほどあの雑貨屋にいたわけか」

エレン「本当だ、気になったところを見てただけだったのに早いな」

ユミル「それで買ったのがメガネとコップだけというのもあれだが」

エレン「その伊達メガネ、今はかけないのか?」

ユミル「ああ、今日はこのままで行く」

エレン「そっか……そういや貰えた福引券は一枚か。福引に行くのはある程度見て回って、昼食前になってからでいいよな?」

ユミル「ああ、じゃあ次は服屋に行こうか。エレンの試着を楽しむ時間だ」

エレン「目的変わってるぞ。やっぱりそれが狙いかよ」

ユミル「別に奇天烈な服を着せるとは言ってないだろ。似合う服を選ぶのに試着は必須だと思うが?」

エレン「ぬぬ」

ユミル「ここにしよう。男性向けばかり扱っているようだし、種類も豊富そうだ」

エレン「ふーん、今まで真剣に服を選んだことがないからな、よく分からん」

ユミル「そのための私だ。いくつか見繕ってくるから、適当に店の中ぶらついてろ」

エレン「お、おう。任せる」

ユミル「もちろん自分でいいと思ったやつがあったら持っておけよ」

エレン「はいよ」

エレン「あれから15分。結構時間かかってるな」

ユミル「エレン、お待たせ」

エレン「お帰り――なんだよその量!? 何着持ってきたんだ!?」

ユミル「上下合わせて二十くらいかな。昼までまだ時間あるんだし、大丈夫だと思うが?」

エレン「時間の問題ではなくてだな……それ、全部着るのか?」

ユミル「当たり前だろ。お前もいいの見つかったか?」

エレン「あ、ああ、これとこれかな」

ユミル「それだけか? まあいいか、早速試着室行くぞ」

エレン「待ってくれ。さすがに多すぎる気が。もう少し減らしても」

ユミル「せっかく私が似合うと思って持ってきたのに、その好意を無下にするのか? ん?」

エレン「うっ……それはありがたいが、どう考えてもお前が楽しむつもりの物がちらほらと」

ユミル「男がうじうじ言ってんじゃねぇ。ほら来い!」

エレン「うあー」

エレン「ど、どうでしょうか?」

ユミル「ふむ、悪くないけどちょっと地味だな。次いこう」

エレン「これはどうでしょうか?」

ユミル「今度は派手すぎる。次だ」

エレン「今度こそどうでしょうか?」

ユミル「お、いいな。候補に入れとく。よし次」

エレン「どうでしょうか?」

ユミル「似合ってるが少しサイズが小さめだな。はい次」

エレン「どうでしょうか?」

ユミル「思った以上に似合ってない。次」

エレン「……はあっ、はあっ……お、終わった……」

ユミル「試着くらいで訓練兵がへばってどうする」

エレン「そ、そうは言ってもだな、こう何度も脱いで着てを繰り返してりゃこうなるよ」

ユミル「情けない。で、二十着のうち買うのはこの四着だな」

エレン「たった四着か……」

ユミル「何十も買う金ないだろ。このくらいでちょうどいい。上下が合うように選んだから、なるべくこの組み合わせでな」

エレン「分かった……でも、なんだかユミルの着せ替え人形にされてる気分だったよ」

ユミル「着せ替え人形ねぇ……それが本当なら私がお前の着替えをすることになるわけだが?」

ユミル「つまりエレンは私に着替えさせられる妄想をしながら試着していたと」

エレン「そんなこと言ってないだろ! ただオレが色んな服を着ることを楽しまれてるように感じるだけで」

ユミル「事実だな、楽しかった。次は本当に私がやってやろうか、着せ替えエレンちゃん?」

エレン「遠慮します……まあこんなことで喜んで貰えるなら、試着も悪くなかったけど」

エレン「そうだ、ユミルの服はいいのか? 女性向けの服屋もあるだろうし寄って行くか?」

ユミル「んー、いいや。私は一人かもしくはクリスタと改めて来る」

エレン「どうして?」

ユミル「そりゃあ初見のインパクトが大事だからだ。お前と一緒に買い物したらどんな服にしたのかばれるだろ」

ユミル「今後のデート用の服を買うんだから、な」

エレン「な、なるほど……じゃあオレは次のデートを楽しみにしていればいいわけだ」

ユミル「そういうこと。だから服屋はこれで終わりだ。次の店はどうする?」

エレン「ここ来る前に素通りしたんだけど、ちょっと寄ってみたい所があって……」

ユミル「もうそろそろ昼だな」

エレン「なかなか楽しかったし、いい買い物もできて良かった」

ユミル「荷物全部持って貰って悪いな」

エレン「気にするな。こういうのは男の役割だし、それほど重くないぞ」

ユミル「そうか? ああそれでさ、福引券は何枚貰えたんだっけ?」

エレン「えーと、全部で六枚かな」

ユミル「三枚で一回だからちょうど二回分か。一人一回ずつだな」

エレン「よし、じゃあ早速しに行こう。確か福引所は……」

エレン「すいません、福引二回分お願いします」

店員「どうもありがとうございます。二回分ですね、こちらの福引器のハンドルを回してください」

ユミル「どんな景品が当たるんですか?」

店員「一等はこの商店街で使える商品券です。二等以下と対応する玉の色はこちらをご覧ください」

エレン「一等は金色か。よし、じゃあオレから」

ユミル「がんばれよ」

エレン「がんばれと言われても運だろ、こういうのって。だから、気合いだな」

エレン「よっ。おお、中でガラガラ鳴って……おっ、出てきた」

ユミル「色は……白」

エレン「白ってことは……」

店員「残念賞です。こちらのアメ玉を差し上げます」

エレン「はは、アメ一つか……まあ福引なんてこんなもんだよな」

ユミル「気合いが足りなかったんじゃないのか? どれ、次は私だ」

エレン「せめて残念賞は回避したいな。気合い入れてがんばれ」

ユミル「ああ。ガラガラガラーっと……出たぞ」

エレン「色は……青!」

ユミル「青って何等だった!?」

店員「おめでとうございます! 青色の玉は四等です! 景品はこの商店街で一番人気の餡子入り饅頭六個詰めとなります!」

エレン「おおーっ! 美味そうだな!」

ユミル「ふふん。どうだ、お前とは気合いが違うだろ」

エレン「さすがユミル様。素晴らしい」

店員「ありがとうございました。またお越しくださいませ」

エレン「どうもです」

エレン「まさか二回引いただけで四等が当たるとは思わなかった」

ユミル「饅頭だろ。間食にちょうどいい。二時か三時頃に休憩がてら食べよう」

エレン「ああ」

エレン「さて、福引もしたし、ちょうど昼食の時間だし、フランツの言ってた所に行ってみよう」

ユミル「その食べ物屋はどういう店なんだ?」

エレン「えーと、フランツによるとメニュー自体は普通なんだが、それとは別に売りにしているものがあるんだそうだ」

エレン「それが、なんていうか、その……」

ユミル「なんだ? 言いにくいことなのか?」

エレン「……なんでも恋人同士向けの店で、特に恋人成り立ての若者を対象にしてるらしい」

ユミル「恋人同士向け?」

エレン「初めてのデートだって言ったらそこを勧められたんだ。フランツとハンナも初デートで行ったんだと」

エレン「恋人のための店らしいから、もしかしたら入るのに勇気がいるかも」

ユミル「ふーん、とにかく行ってみよう。近いんだろ?」

エレン「ああ、この商店街から歩きで十分かからないって」

エレン「……ここだ」

ユミル「……なんか、すごいな。きらきらの装飾と濃い桃色を基調にした色使いがごてごてしてて、ここだけ明らかに浮いてる」

エレン「店の名前は……恋人のための空間“いちゃいちゃ”」

ユミル「なんてど直球な……確かにここに入るのは相当の勇気がいる」

エレン「ここまでとは予想してなかった。フランツたちよく入ったな」

ユミル「あの二人ならむしろ喜んで入りそうではあるが」

エレン「……どうする? 外観でこれじゃあ中がどうなってるのか想像つかん。やめとくか?」

エレン「教えてくれたフランツには悪いが、昼食をここで食べる必要はないし……」

ユミル「……いいや、入る」

エレン「本気か!?」

ユミル「恋人同士のための店なんだろ? 私たちは紛れもなく恋人同士だ。何も臆することはない」

ユミル「これは私たちの思いの強さが試されているんだ。ここを避けるようじゃこの先やっていけないとな」

エレン「そんなことはないと思うが……むきになってないか」

ユミル「うるさい、入るったら入るんだよ。ほら行くぞ! お前も覚悟を決めろ!」

エレン「わ、分かった! 行こう!」

今日はここまで

店員「いらっしゃいませ! 恋人のための空間“いちゃいちゃ”へようこそ!」

店員「お客様、当店のご利用は初めてでしょうか?」

エレン「は、はい。初めてです」

ユミル「中は結構普通……?」

店員「それでは当店のご説明をさせていただきます。当店はその名の通り、恋人たちがイチャイチャするためのお店です」

店員「特に恋人同士に成り立てでなかなかスキンシップを取ることができないお客様のために、様々なお手伝いをさせていただいております」

店員「お客様が楽しくイチャイチャできる空間を提供し、満足していただくことが、我々の望みであり使命です」

店員「どうぞ心行くまでお楽しみください」

エレン「は、はあ。なるほど」

ユミル「なにがなるほどだ。ちょっと怖いぞ」

店員「では初めにお食事を摂っていただく場所ですが……個室と大部屋どちらになさいますか?」

エレン「え、えーと……? どっちがいいのかな?」

店員「そうですね、個室は二人きりで甘い雰囲気を楽しみたい方向けです」

店員「逆に大部屋では他のお客さまもいらっしゃるので、自分たちのイチャイチャっぷりを見せつけたいという方にピッタリとなって」

ユミル「個室で」

エレン「個室でお願いします」

店員「かしこまりました。それではご案内します。こちらへどうぞ」

ユミル「他人に見せつけるとか冗談じゃない」

エレン「フランツとハンナは大部屋でも平気そうだよな」

ユミル「むしろあいつらがバカ夫婦なのはこの店の影響とか?」

エレン「はは、まさか」

店員「こちらになります。どうぞ」

エレン「……狭っ!」

ユミル「厠の個室じゃねぇんだぞ。テーブルも椅子もぎりぎり二人分あるかってところか」

エレン「しかも明かりが薄い桃色の間接照明で、なんか怪しい雰囲気だし」

店員「個室は確実にスキンシップが取れる作りとなっております。この小さい椅子に二人並んで腰かけるには、体を密着させるほかありませんから」

店員「しかし個室を選んだお客様の中には照れてしまって、結局これ以上のイチャイチャができない方もいらっしゃいますのでお気を付けください」

店員「その点大部屋ですと、周りのお客様につられて、ほぼ全ての方がイチャイチャされるのですが」

ユミル「なんつー強引さだ。それでも大部屋よりはましか」

店員「それではすぐにメニューとお冷を持って参りますので、少々お待ちください」

店員「あ、お荷物は壁に備え付けてある棚にお願いいたします」

エレン「は、はい……」

ユミル「わかりました……」

エレン「……座るか」

ユミル「……ああ」

エレン「オレが奥に行く。扉側なら少しはスペース取れるだろ」

ユミル「悪い」

エレン「……」

ユミル「……」

エレン「……狭いな」

ユミル「……ああ、ここに二人で座って体がくっつかないのは子供くらいのものだろうな」

エレン「だな……」

ユミル「……」

エレン(き、気まずい。まさかこんな店だとは……)

エレン(こんな狭くて怪しい密室で密着しているなんて、意識しない方が無理ってもんだ)

エレン(腕を組むのとはわけが違う。肩や腿がくっついたままじっとしていなければいけないし)

エレン(そんな状態で少しでも身じろぎすれば、すぐ相手に伝わって……)

ユミル「んっ……」

エレン(ちょっ、頼むからそういう声出さないでくれ)

エレン(それに横を向けば照明で桃色に染まったユミルの顔が近くにあって)

ユミル「……な、なに見てんだよ」

エレン「い、いやっ、何でもないっ」

エレン(あれ? ユミルの顔を染めてるのは照明の色だけじゃないような……)

エレン(やっぱ恥ずかしいよな。オレだって絶対赤くなってる)

店員「お待たせしました。メニューとお冷、水差しをどうぞ」

エレン「どうも……て、お冷一つだけですか? 二人なんですけど」

店員「はい、一つでございます。そのお冷はお二人共用となっておりますので」

エレン「は?」

店員「そしてお水を飲む際にはこちらのストローをお使いいただくと尚良いでしょう。意味はお分かりですか?」

ユミル「まさか……間接、ですか」

店員「その通りでございます。使う使わないはお客様の自由ですが、より恋人としての仲を深めるためにおすすめしております」

店員「それではご注文が決まりましたらお呼びください」

エレン「……ストロー、どうする?」

ユミル「どうしよう……」

エレン「……そうだ。さっき買ったお揃いのコップ使うか? 水差しもあるしそれなら」

ユミル「い、いや。ストロー、使おう」

エレン「いいのか? 無理しなくても」

ユミル「使う」

エレン「そ、そうか。どっちから飲む?」

ユミル「……じゃあ私から」

ユミル(どっちが先でも結局恥ずかしいんだよな、これって)

ユミル(でもこれだけ露骨にお膳立てされたら、そこから逃げるのはダメな気がする)

ユミル(直接のキスだって何回もしてるのに、こんなことで緊張するなんて)

ユミル(この緊張エレンに伝わってないよな? いやこれだけ密着しているんだし、伝わっていてもおかしくないぞ)

ユミル「……はい、次はエレンだ」

エレン「ありがと」

ユミル(あ……ストローとエレンの口から目が離せない)

ユミル(ちょ、ダメダメ。早く飲み終わってくれ。そんな吸うなってばぁ)

エレン「ぷはっ……水飲んだはずなのに喉が潤った気がしない」

ユミル「私も」

一旦ここまで

エレン「……えーと、何食べるか決めるか」


ユミル「ああ……確かにメニューは普通だな。変なもの出されるかと思ったが」

エレン「じゃあオレは……このランチセットでいいか。肉料理にしては安いし、パンとスープとサラダが付いてる」

ユミル「手頃だな。私もそれにする」

エレン「分かった。すみませーん!」

店員「お待たせいたしました。ランチセットお二つです」

エレン「ありがとうございます」

店員「スプーン、フォーク、ナイフはこちらです」

ユミル「……もしかしてそれも」

店員「はい。もちろん一つずつしかございません。どうぞ仲良くご使用ください」

ユミル「やっぱりか」

店員「それと恋人らしくあーんと食べさせてあげるのが基本です。お客様の中にはあーんだけで料理を食べ切った方もいらっしゃいますよ」

ユミル「食べにくいし時間かかるわ! そんなことしてるうちに冷めるだろ」

店員「ご心配には及びません。そのためにお肉とスープはあっつあつとなっておりますので」

店員「そのままですと熱すぎますから、食べさせる前にふーっと息を吹きかけてあげてくださいね」

エレン「徹底してるな。逆に感心する」

ユミル「どこがお手伝いなんだ。ほぼ強制じゃないか」

店員「あ、もし本当に無理だとおっしゃるのなら、もうワンセット用意することも可能ですので、その時はまたお申し付けください」

店員「それではごゆっくり」

エレン「……すごいな、この店」

ユミル「……ああ」

エレン「さすがにこれはもうワンセット持って来て貰おう。コップだけならまだしもスプーンやフォークまでってのは」

ユミル「いや待て。このまま食べるぞ」

エレン「マジか!?」

ユミル「……入店する前に、私たちの思いの強さが試されていると言ったろう」

ユミル「恋人同士ならば、この程度のことは臆さずにやってのけろと、この店はそう言っているんだ」

エレン「考えすぎだって。全ての恋人が一つの食器を共有してるなんてことはないはずだし、むしろそんな奴少ないだろ」

エレン「オレたちにはオレたちなりの形があるはずだ。無理矢理この店のやり方に合わせる必要はない」

エレン「そういう人たちもいるってことを店側も分かっているから、店員だってもうワンセット用意できるって言ったんだろうし」

エレン「たぶんコップだってもう一つ欲しいと言えば用意してくれると思うぞ」

ユミル「……で、でもさ」

エレン「うん?」

ユミル「せっかくの初デートで、せっかくお前がデートの予定を立ててくれて、せっかくこの店で食べようと言ってくれたんだ」

ユミル「ちゃんとこの店のやり方に沿いたいじゃないか」

エレン「ユミル……」

ユミル「そりゃ確かにここまでやる店だとは思ってなかったけどさ、恋人のための空間ってのは間違ってない」

ユミル「特に私たちはこの関係を皆に隠してるから、二人きりで食事をしたり、こんなに体をくっつけるなんてめったにできない」

ユミル「そういう意味では私たちに打ってつけの店だよ、ここは」

エレン「た、確かにこういうことができる機会なんて、そうないよな」

ユミル「だろ? 少し恥ずかしいけど、初デートで実現した特別な時間なんだ」

ユミル「だから、もしエレンが嫌でなければ、このまま続けよう?」

エレン「……嫌なわけがない。恥ずかしいのも、びっくりしたのも本当だけど、この状況が嫌なわけないだろ」

エレン「それにデートの最初にどれだけでも甘えていいって言ったしな。ユミルの望みなら喜んで引き受けてやるよ」

ユミル「うん。ありがと、エレン」

エレン「ああ、今からはしっかり楽しもうぜ」

ユミル「よし、じゃあまず肉を切ろう。ナイフとフォークで」

エレン「オレがやるよ……ぬ、ちょっと切りにくいな。高級な肉でもないし仕方ないんだろうけど……よっ」

ユミル「んっ……え、エレン、肘が当たってる」

エレン「あっ、わ、悪い。けど切るにはどうしても肘を横に張っちまうし……立ちながら切れば張らなくて済むかも」

ユミル「い、いや、大丈夫だから、続けてくれ。多分これもこの店の言うスキンシップってやつだ」

エレン「で、でもだな……」

エレン(やばいやばい。右側にユミルがいるから、ナイフを動かすごとに当たってしまう)

ユミル「んぅ……」

エレン(頼むからそういう声出さないでくれー!)

エレン(せめて左側にいてくれたらこんなことには……あっ、なんか今の感触、すごく柔らかかったような)

エレン(ま、まさか……)

ユミル「えと……私は、気にしないから」

エレン(オレが気にするんだよ! くそ、無心だ無心! 無の心で肉を切ることにだけ集中しろ!)

ユミル「……おい、どれだけ細かくする気だ。もういいだろ」

エレン「――はっ。しまった、無になり過ぎて気付かなかった」

ユミル「なんだそれ。それとまだもう一人分あるからな、肉は」

エレン「……」

エレン(そうだった、全く同じものを頼んだんだったな。また今のを繰り返すのか?)

エレン(それはさすがにまずい。こうなったら……)

エレン「……ユミル、お前が切ってくれるか」

ユミル「最初からそうすべきだったな……」

ユミル「よし、切り終えた。ようやく食べられるな」

エレン「それでやっぱり食べ方って……」

ユミル「互いに食べさせ合うぞ。まずは私が食べさせてやる」

エレン「お、おう」

ユミル(身構え過ぎだろ……でも実際にやるとなると恥ずかしいよな)

ユミル(ハンナはよく食堂でやれるもんだと常々思っていたが、少し羨ましく感じていたのも事実)

ユミル(これが私たちにとっての初あーんとなるわけか……)

ユミル「ふー、ふー」

エレン「う……」

ユミル「ふー……よし、いくぞエレン」

エレン「い、いつでもいいぞ」

ユミル「……はい、あーん」

エレン「あ、あーん……んぐ」

ユミル「どうだ? 美味しいか?」

エレン「んぐんぐ……美味しい、です」

ユミル「本当か? 微妙な表情だが」

エレン「いやいやっ、本当だ。次はオレの番だな……フォーク貸してくれ」

ユミル「ああ、ほら」

エレン「よし……ふーっ、ふーっ」

ユミル(うわぁ……エレンの息がかかった肉を食べるのか。これは食べさせて貰う方が数倍恥ずかしいな)

エレン「いくぞ。あ、あーん」

ユミル「あーん……んむ」

エレン「お味のほどはいかがですか?」

ユミル(……恥ずかしくて味わうどころじゃない。いや、味が普通すぎて恥ずかしさが上回っている感じか)

ユミル(さっきのエレンの微妙な表情はこういうことか)

ユミル「あー美味しいよ、うん」

エレン「そ、そうか。そりゃよかった」

ユミル「……よし、次はスープだ。ほら、あーん」

エレン「お、おう……」

エレン「これが最後の一口だ。はいユミル、口開けて」

ユミル「あーん……んぐんぐ……ふう、ごちそうさん」

エレン「同じくごちそうさま」

ユミル「結局、全部食べさせ合ってしまったな」

エレン「ああ。途中からはだいぶ慣れたけど」

ユミル「そのおかげでこの平凡な味が分かってしまったわけだが。まあこういう店ならこんなもんか」

エレン「値段も安いし十分だろ。どうする、もう出るか?」

ユミル「だな、結構長居したし」

エレン「よし、行くか」

店員「ありがとうございました。お楽しみいただけましたか?」

エレン「そうですね。最初は緊張したけど、結果的には良かったと思います。な?」

ユミル「ま、たまにはこういうのもありかな」

店員「そう言っていただけるなら幸いです。また今度いらした時は大部屋も試してみてはいかがでしょう?」

エレン「はは、考えておきます」

ユミル(大部屋は絶対無理だ)

エレン「じゃ、ごちそうさまでした」

ユミル「ごちそうさま」

店員「ありがとうございましたー!」

今日はここまで

エレン「……ふうっ、外に出ると解放感がすごいな」

ユミル「ずっと窮屈な状態だったからな。それと緊張と恥ずかしさでかなり体力が奪われた気がする」

エレン「オレも。ちょっとどこかで休憩したい気分だ」

ユミル「昼食が休憩にならないというのもおかしな話だが、それには同感だ」

エレン「じゃあどこかで休もうか。ここらにちょうどいい場所あったっけ」

ユミル「……街から離れるが、少し歩いた所に公園があったはずだ。そこにしよう」

エレン「了解……ユミル、腕」

ユミル「うん」

ユミル「ここだ、この公園」

エレン「人いないな……お、あそこのベンチに座ろう」

ユミル「……よっと」

エレン「ふう……のどかだ」

ユミル「ああ、風が気持ちいい。街をぶらつくだけじゃなくて、こういうのもいいな」

エレン「午後へ向けての一休みって感じだな」

ユミル「午後からはどうするんだ?」

エレン「えーと……んん、ふああー」

ユミル「なんだ、欠伸して。眠いのか?」

エレン「悪い、ちょっと気が緩んだ。昨日の夜なかなか寝付けなくてさ」

ユミル「少し寝るか? 今ここで」

エレン「いやそれはダメだ。デートなのにユミルを放っておいて寝るなんて」

ユミル「ふーん、なら恋人らしいことをしながら寝れば問題ないわけだ」

エレン「どういう意味だ?」

ユミル「ほら、ここに頭乗っけな」

エレン「えっ、そこって……」

ユミル「膝の上だ。恋人は膝枕するだろ? この状態なら恋人らしいこともできて、エレンも寝ることができる」

エレン「い、いやっ、さすがにそれは」

ユミル「恥ずかしいか?」

エレン「あ、ああ」

ユミル「そうだよな。なら……私からのお願いだ」

ユミル「――私の膝で寝て、エレン」

エレン「うっ……そう言われると断れないんだが」

ユミル「甘えていいって言ったからな。それに私に甘えてくれとも言ったぞ」

ユミル「本音を言えよ、私に膝枕して欲しいだろ?」

エレン「……して欲しいです」

ユミル「よし。遠慮なく使ってくれ」

エレン「じ、じゃあ失礼して……」

ユミル「……どうだ?」

エレン「あ、ああ……良い、と思う」

エレン(これは眠れる気がしない。服越しとはいえ顔にユミルの太ももが当たってるとか、今日一番の刺激だ)

ユミル「ん……動かれると少しくすぐったいな、エレンの髪が」

エレン「わ、悪い」

エレン(少し頭をずらしただけでそんなこと言われたら、全く動けないじゃないか)

ユミル「いいよ、好きな体勢で寝てくれて」

エレン(もしかして見抜かれた?)

エレン(……でもユミルだって鍛えてるはずなのに、すごく柔らかく感じる)

エレン(これは……良い)

ユミル「気に入ったみたいだな」

エレン「また見抜かれてしまった……あうっ。おい、何で頭を撫でるんだよ」

ユミル「もっと気に入ってくれるかと思って。ダメか?」

エレン「……いや、続けて欲しい」

ユミル「素直でよろしい」

エレン(優しい手つき……こうやってユミルに撫でられていると、すごく落ち着いて、安心する)

エレン(気持ちいい……やば、本当に寝そうだ……)

エレン(まだ今日は長いし……少しくらい……いい、かな……)

エレン「……」

ユミル「……寝ちゃったか。お休み、エレン」

20分後

ユミル(……そういえば、エレンのこんな無防備な表情って初めて見るな)

ユミル(寝顔も初めてだけど……これは私に心を許してくれているってことなのかな)

ユミル(恋人同士ではあるが、こういった何気ないことから確認できるのが、すごく嬉しい)

ユミル(……いつまででもこうしていたいけど、今後の予定も立ててくれているだろうし、そろそろ起こさないと)

ユミル(でもどうやって起こすか。この寝顔を見ると躊躇ってしまう)

ユミル(お? 寝返りで顔が横から上向きに……)

エレン「んん……」

ユミル(あ……キス、したい)

ユミル(いやダメだろ! いくら恋人とはいえ寝ている相手の唇を奪うだなんて……)

ユミル(で、でも、これはそういうやましい気持ちじゃなくて、エレンを起こすために必要なことで、だから別におかしなことじゃない)

ユミル(もしキスしたことがばれてもエレンなら許してくれるだろうし……)

ユミル(……なに言い訳してるんだろ。普通に起こせばいいし、エレンの気持ちを免罪符にするなんて最低だぞ)

ユミル(……けど、したいな)

ユミル(う……唇じゃなくて、頬にだったら、いいかな)

ユミル(ごめん、エレン……)

ユミル「――ん」

ユミル「……」

ユミル(うわ恥ずかしいっ。やっぱり慣れないことはするもんじゃない)

エレン「口にしてくれてもよかったんだぞ」

ユミル「え、エレン!? お、おまっ、起きてたのか!?」

エレン「ついさっきな。顔の近くで気配が寄ったり離れたりしてたからさ」

ユミル「ううぅ……わ、悪い」

エレン「なに謝ってるんだよ。オレは嬉しかったぞ。欲を言えば口にして欲しかったけど」

ユミル「そ、そっか」

エレン「だからさ、今からしてくれるか? 膝枕したままで。甘えさせてくれるんだろ?」

エレン「それに考えてみればユミルからキスしてくれることって少ないし、頼む」

ユミル「……分かった」

ユミル「……ん」

エレン「ん……ふ……悪くないな、こういうのって」

ユミル「……うん」

エレン「よし、そろそろ起きるか。膝枕、すごく心地よかった。ありがとう」

ユミル「またして欲しくなったら言ってくれ。いつでもしてやるよ」

エレン「ああ、その時はよろしくな」

エレン「さて、睡眠もとったし、午後からの予定を再開しよう」

ユミル「どこへ行くんだ?」

エレン「ああ、ここからそう遠くない場所に――あれ? なんか今、空から」

ユミル「……あ、確かに。これって」

エレン「雨!?」

ユミル「おいおい。結構降ってきたぞ」

エレン「うわ濡れる濡れる! くそ、どうなってんだ。さっきまで晴れてたじゃないか」

ユミル「知るかよ。それよりどこかで雨宿りしないと」

エレン「でもこの辺り民家しかないぞ。商店街の方に戻るのも、それまでにずぶ濡れになりそうだし」

ユミル「ああもうっ、そこの木の下に行くぞ! にわか雨だろうから長くても数十分でやむはずだ」

エレン「仕方ないか……」

ユミル「あーあー、結構濡れたぞ」

エレン「買った服は……大丈夫そうだ。袋に入ってて良かった」

ユミル「急にこんなに降ってくるなんてな」

エレン「せっかく今まで順調だったのに、こんなところで足踏みか。ついてないな」

ユミル「天気ばかりはどうしようもない。それより木の下にいてもそこそこ雨が当たるのがうっとうしい」

エレン「ユミル、オレが使ったので良ければタオルあるぞ」

ユミル「助かる。用意がいいな。私はハンカチしか持ってなかった」

エレン「そりゃちょうどよかっ、た……な……」

ユミル「ん? どうした?」

エレン「え、っと……雨に濡れた服が透けて、その」

ユミル「――なっ!?」

エレン「いろいろ……見えちゃってます」

ユミル「ば、バカっ! なにをガン見してるんだ! 気付いたんなら上着とか寄こせよ!」

エレン「す、すまんっ。えーと……オレが着てるのも濡れてるから、服屋で買ったこれを……」

ユミル「くそぅ……朝、見過ぎないようにするって言ったろ」

エレン「……わ、悪い」

ユミル(絶対下着見られた。それに肌まで……恥ずかしい)

ユミル(白くて生地も薄かったから簡単に透けたんだな……何でこんな時に雨降るんだよ)

ユミル(う……くそ……)

エレン(……少し涙目になってる。不謹慎だけど、可愛い)

エレン(でもオレ、ユミルの下着見ちゃったんだよなぁ……それに濡れたワンピースが肌に張り付いていて……)

エレン(その姿が……すごく……)

エレン「……なぁ、ユミル」

ユミル「な、なんだよ――んぅっ!?」

ユミル(えっ、ここでキス!?)

ユミル「ん、んんっ……ちょ、待……んぅっ」

エレン「……」

ユミル「ぅん……ぁあ、ん……く……あふっ……んんっ」

ユミル(す、すごく長い……エレンの奴、急にどうしたんだ? なんか強引で、いつもの優しさが感じられない)

ユミル(……ま、まだするのか? 少し苦しい)

エレン「ん……」

エレン(……あれ? オレ何してんだろ。おかしいぞ。なんか、止まらない)

エレン(これはダメなんじゃないのか? ユミルも苦しそうだし、そろそろやめないと……)

ユミル「ん……ふ……」

エレン(――でも、もっとキスしたい。もっと感じたい。もっと……もっとユミルが欲しい)

ユミル「え、エレ……んむっ……ぁん」

ユミル(全然放してくれない。もう一分以上してるんじゃないか? 一体いつまで……)

ユミル「ん……んん――んぐっ!?」

ユミル(なっ――ちょ、舌を……唇に当ててきてる!?)

ユミル(もしかしてこいつ、興奮してるのか!? 私の下着を見たから!?)

ユミル(まずい、こっちの口をこじ開けようとしてる)

ユミル(さすがにこれは……でもしっかり押さえられて顔を逸らせない。逃げられないっ)

エレン(口開けないな。くそ、さっさと舌入れさせてくれ。お前が欲しいんだ)

エレン(なら……)

ユミル「ん、むぅぅ……んん!?」

ユミル(お、おいおいっ、今度は手が胸に……や、やめろエレン!)

エレン「……」

エレン(これがユミルの胸か。服越しだから分かりにくいが、それでも形と柔らかさが伝わってくるな)

ユミル「んーっ! んんーっ!」

エレン(片手を顔から放したから抵抗が強くなったか。でも体ごと体重をかけて押さえ付ければ問題ない)

エレン(それに、抵抗しようとして口のガードが甘くなってる)

ユミル「んぐっ……んむぅ……」

ユミル(しまった、唇の間に舌を入れられた……本当にまずいぞ)

ユミル(このままだと、私……)

エレン(手に力を込めると一瞬だけ抵抗が弱くなるな。これを繰り返せば口の中に到達できる)

エレン(もう少しで、ユミルをオレのものに……)

ユミル(……やだ……こんなのいやだよ、エレン)

ユミル(でもこのままだとエレンは止まらない。こいつを止めるには……)

ユミル「――んっ!」

エレン「――ぐおっ!?」

ユミル「ぷはっ! はあっ、はあっ……」

エレン「うっ、ぐうぅぅ……」

ユミル「はぁはぁはぁ……い、いい加減にしろよ、ばかエレン」

ユミル(全力で股間を蹴り上げてやったが、やりすぎたか? うずくまって呻いてるぞ)

ユミル(いや、こうでもしないとエレンは止まらなかったに違いない。これが最善策だ)

エレン「ぐっ、うぅ」

ユミル「き、急に暴走しやがって。私の下着を見て発情したのか知らないが、あんな無理矢理なやり方、最低だ」

エレン「……う」

ユミル「……悪いが、このままデートを続けられる気分じゃない。お前もそうだろ?」

ユミル「残念だけど、ここで終わりにしよう」

エレン「――ま、待ってくれ!」

ユミル「……なんだよ」

エレン「頼むっ、帰る前に謝らせてくれ!」

エレン「ユミルに蹴られて目が覚めた! さっきのオレは本当にどうかしていた!」

エレン「いや、言い訳するつもりはない。欲に流されて、ユミルの気持ちも考えずに傷つけたオレは最低最悪の糞野郎だ」

エレン「許してくれとも言わない。好きなだけ殴ってくれていいし、好きなだけ罵ってくれていい。オレはそれだけのことをやったんだから」

エレン「好きな人を守るどころか、自分で穢してしまうなんて、もう恋人でいる資格なんてないのは分かっている」

エレン「だからこれが最後だ。口も利きたくないかもしれないけど、最後に謝らせて欲しい」

エレン「本当にごめんなさい!」

ユミル「……」

ユミル(……さっきの暴走は、おそらく自分自身ではどうしようもなかったんだろう)

ユミル(こいつも男だ。女の、それも恋人の下着を見て興奮するのは当たり前と言える)

ユミル(その性的興奮を理性で止められなかったのは……今までのデートが原因か)

ユミル(朝から薄着の状態で腕を組み続け、昼には“いちゃいちゃ”で過剰なスキンシップ、そして数分前まで膝枕)

ユミル(さらにキスの制限解禁……普段は一日一回と決めている私たちにとって、刺激的すぎる状況が続いた)

ユミル(そんな中、こいつはそれを意識しないようになんとか抑え込んで、私を楽しませようとしてくれていたんだと思う)

ユミル(けれどもう限界だったんだろう。抑え続けていた欲求が、下着を見たことで溢れ出してしまった)

ユミル(エレン一人のせいじゃない。羽目を外し過ぎた私にも責任がある)

ユミル(……それに私だって、エレンが寝ている隙にキスをした。程度は違えど、我慢できなかったのは同じだ)

ユミル(……私は、エレンが好き。こんなことになっても、どんな状況でも、好き合っていたい)

ユミル(そしてエレンも、私と同じ気持ちでいてくれると信じている)

ユミル(……なら、もう迷う必要はないんじゃないか)

ユミル(恥ずかしいなんて理由で、私たちの関係を周囲に隠してきた)

ユミル(恋人らしいことができるのは訓練の合間のわずかな時間だけで、少し話してキスするだけの毎日)

ユミル(クリスタが言っていたように、互いに物足りなさを感じていたんだ)

ユミル(にわか雨という予期できないことがあったものの、エレンの暴走は普段の欲求不満から来ているはず)

ユミル(今日のデートを終えても、今まで通りの日常を過ごすなら、また同じようなことが起こるかもしれない)

ユミル(そんなのは嫌だ。互いに傷つき合うだけの状況になんて、二度と陥りたくない)

ユミル(だったら――)

ユミル「……おい、顔を上げろ」

エレン「いや、この程度の謝罪じゃ許されない」

ユミル(……ったく、本当にこいつは)

ユミル「……今、何時だ?」

エレン「……は?」

ユミル「なに呆けてんだ。今は何時だと聞いてるんだが?」

エレン「あ、ああ……えっと、午後2時10分だけど」

ユミル「門限は午後6時……雨も止んできたし、間に合いそうだな」

エレン「あの、ユミル?」

ユミル「お前、ちょっとついてこい」

エレン「へ? お、おい……」

ユミル「いいから黙ってついてこい。話は目的地に着いてからだ」

エレン「わ、分かった……」

エレン(……どこに行く気だ? 訓練兵団とは方向が違うし、帰るんじゃなかったのか?)

今日はここまで

ユミル「えーと……確かこの辺りのはず」

エレン「なあユミル、一体どこへ向かってるんだ?」

ユミル「着けば分かるから、今は何も言うな……そうそう、この変な建物が目印だと言ってたっけ」

エレン(公園を離れてからだいぶ歩いて、とうに雨はやんだ。けどユミルの奴、ずっとこの調子なんだよな)

エレン(明確な目的地があるはずなのに少し迷いながらというか、自分で行ったことがないみたいな感じで)

エレン(言われるままについて来てしまったが、なんかどんどん怪しい雰囲気になってきてるぞ)

エレン(賑やかな街から少しはずれた場所の裏通り……人気も少なく、道や建物もあまり綺麗じゃない)

エレン(普通ならこんな所は通ろうともしないよな……どこに行くつもりなんだよ)

エレン(それにユミル……会話こそほとんどないけど、あまり怒っているように見えない)

エレン(なんでだ? あれだけのことをされたんだぞ)

エレン(あの程度の謝罪で許してくれたのか? 本当はユミルの気が済むまで土下座してるつもりだったんだが)

エレン(デートを終わりにしようと言って帰るかと思いきや、こんなとこまで連れてくるし)

エレン(ダメだ、ユミルの意図が全く分からない)

ユミル「――ここだ。着いたぞ、エレン」

エレン「……は? ここ?」

ユミル「ああ、ここだ」

エレン「……場所間違えてないよな? それともオレの目がおかしくなってるのか?」

ユミル「お前の目はどうか知らないが、場所は間違えてないよ」

エレン(もしオレの目に異常がないなら、ここはどう見ても……)

エレン「……連れ込み宿、だよな」

ユミル「その通りだ。目はおかしくなってないぞ、よかったな」

エレン「いやそうじゃなくて。何だってこんな場所に」

ユミル「ハンナに教えて貰ったのさ。デートの相談をした時にな」

ユミル「ほら、朝に言ったろう? ハンナから情報は聞けたが、それを使うのはまだまだ先の話だと」

ユミル「まさか初デートで利用することになるとは思わなかったが、結果的に教えて貰って正解だったわけだ」

エレン「……いや、誰からの情報かなんてどうでもよくて」

エレン「オレには全く意味が分からない。一体どういうつもりだ?」

ユミル「どういうつもりって、恋人同士が連れ込み宿に来てすることなんて、一つしかないだろう」

ユミル「分からないとは言わないよな?」

エレン「分からないのは利用目的なんかじゃない。オレが聞きたいのは、どうしてここに連れてきたかってことだ」

エレン「あんなことをしてしまって、当然もう恋人ではいられないし、嫌われるどころじゃなく、これからずっと縁を断たれるとまで思っていたのに」

エレン「それがどうして連れ込み宿に来ることに繋がるんだ?」

ユミル「……私は、お前を嫌いになんかなってない」

エレン「え……?」

ユミル「もちろん恋人関係も続けたいし、縁を断つだなんてもっての外だ。どうして好きな人とそうなる必要がある?」

エレン「で、でも! オレはあんな最低なことを……」

ユミル「お前は許されないことをしたと思っているようだが、私はとっくに許してるよ」

エレン「な……本当か?」

ユミル「確かにちょいと暴走気味で強引だったが、恋人の体を欲しいと感じるのはおかしなことじゃない」

ユミル「もちろん私以外の女にしたのなら、股間を蹴り上げるくらいじゃ済まさないが」

エレン「それは絶対にない! オレがああなるのはお前だけだ!」

エレン「……けど、だからこそオレは許せない。好きな人の気持ちを無視して無理矢理にだなんて」

ユミル「そうだな、いくら恋人同士でも一方的なのはダメだ」

ユミル「……だから今からは、お互い同意の上でしようと、そう言っているんだ」

エレン「いや、でも」

ユミル「……やっぱりさ、普段の生活でそういう気持ちを極力抑え続けてきたのがいけなかったんだと思う」

エレン「え?」

ユミル「キスは一日一回。二人きりの時間は就寝前のわずかな自由時間のみ」

ユミル「こんな毎日じゃあ、ちょっとしたことで暴走しても仕方ないよな。いろいろ溜まってたんだろ?」

エレン「それは……」

ユミル「それが原因なんだ、お前が情欲を溜めてしまって、暴走してしまったのは」

ユミル「そんな不満が続く中でも、恥ずかしさでなかなか踏み出せない私を、いつもお前は受け止めてくれたよな」

ユミル「私にも責任がある」

エレン「……」

ユミル「それに私だって、本当は物足りなく感じていた。人目を気にせずエレンと一緒にいたかった」

ユミル「今までは恥ずかしさを盾にしてきたが、それじゃダメだ」

ユミル「もうこんなことを起こさないためにも、そしてもっと分かり合うためにも、私たちは思う存分触れ合うべきだ」

ユミル「キスして、抱き合って、好きだと囁き合って」

ユミル「そして……」

ユミル「……だから、今から私を全力で愛して欲しい」

ユミル「そして私も、エレンを全力で愛する」

エレン「ユミル……」

ユミル「エレンはどう? 私と、愛し合ってくれるか?」

エレン「――ああ、もちろんだ。オレもユミルと、もっと触れ合いたい。愛し合いたい」

エレン「今度こそ無理矢理じゃなく、お互いに求め合った上で」

ユミル「――ありがとう、エレン。愛してる」

エレン「ああ。オレも、愛してる」

ユミル「うん……じゃあ、行こうか」

エレン「手を繋いで、一緒に入ろう」

ユミル「……うんっ」

エレン「……初めて入ったけど、こんな感じなんだな、連れ込み宿って」

ユミル「ああ。それにまだこんな時間だからか、他の客も少ないようだ。部屋ががら空きだ」

エレン「まだ3時前だしな……値段はどうなんだ? 相場が分からないんだが」

ユミル「ハンナ曰く安いらしい。確かに訓練兵の身分でもそれほど財布が痛まない額だ」

ユミル「さらに三十分単位で利用できるから使いやすいんだと。どうやら何度も来ているようだな、あいつら」

エレン「なるほど。じゃあオレたちは最大で5時までの二時間か。帰るまでに一時間弱かかるだろうし」

ユミル「二時間が長いのか短いのかも分からないが……ここだな、私たちの部屋は」

エレン「き、緊張するな……さっきから心臓がしんどいんだが」

ユミル「私もだ。最初はそんなものだろ……入るぞ」

エレン「ああ」

エレン「……おお、そこそこ広い、のか?」

ユミル「分からん。値段が安いし狭いんじゃないか? それでも“いちゃいちゃ”の個室とは比較にならないけど」

エレン「はは……あるのはでかいベッドと、椅子二つに小さい棚だけか」

ユミル「あとは厠と浴室……浴室で使える湯の量は決まってるらしい。増やしたかったら追加料金だと」

ユミル「どうする? 時間は減るが、雨にも濡れたし先に体を洗うか?」

エレン「そ、そうだな。服はそこそこ乾いたけど、まあ、その……初めてだし」

ユミル「ならエレンから入れ。私は後でいい」

エレン「いいのか?」

ユミル「ああ、なるべく早くな」

エレン「り、了解です」

エレン(湯に浸かってる時間はないよな。ぱぱっと洗っちまおう)

エレン(……にしても、まさかこんなことになるとは)

エレン(初デートで初連れ込み宿とか。午後からの予定の変わりようがすごい)

エレン(……今から、その、するんだよな)

エレン(どうしたらいいのか……まずはあれか? 前戯ってやつをするんだよな)

エレン(どれくらいしたらいいんだ? どこまでやっていいんだ? 人によってバラバラか?)

エレン(前戯が終わったらいよいよ本番で……女性の初めては痛いって聞く。血が出ることもあるとか)

エレン(もしすごく痛がったらちゃんと対応できるのか? できる気がしない……)

エレン(そういや本番の時間ってどれくらいなんだろ。何分? 何十分? 短いとやっぱ早漏って思われるのかな)

エレン(うわあ……全く分からん。ただでさえ緊張してるってのに)

エレン(いやいや、緊張しているのはユミルも同じだ。男のオレがこんなことでどうする)

エレン(初めてで勝手が分からないのは当然だ。ぐだぐだ考えるより、思い切って向き合おう)

エレン(アルミンも言ってたじゃないか。気を遣いすぎるようじゃ本末転倒。自分もしっかり楽しむことで、相手も喜んでくれるって)

エレン(そうだ。ユミルを愛する、そのことだけを考えよう)

エレン(よし!)

エレン「ユミル、出たぞ」

ユミル「本当に早かったな……て、服着たのか?」

エレン「え? あ、ああ、ダメだったか? 裸で出てくるのっておかしくないか?」

ユミル「……いや、人それぞれだよな。体冷やすかもしれないし」

ユミル「じゃあ私も入ってくる。待っててくれ」

エレン「お、おう。待ってます」

ユミル(……エレンの奴、見るからに緊張していたな。まあ私もだが)

ユミル(いきなり連れ込み宿だしな……断られたらどうしようかと思ったが、良かった)

ユミル(風呂が終われば、私の初めてを、エレンに……)

ユミル(恥ずかしいな。多分隅から隅まで見られてしまうんだろう。触られてしまうんだろう)

ユミル(……やっぱり初めては痛いのかな。痛いんだろうな)

ユミル(普段の訓練で痛みにはそれなりに慣れているつもりだが、そういうのとはまた別だろうし)

ユミル(どんな感じなのか想像もつかない……)

ユミル(エレンのことも全部見ることになる。知識としては知っているが、興奮した男性のって……)

ユミル(ダメダメダメ! どうせ見ることになるんだし、今考えるのはなし!)

ユミル(……そういえば、普段は気にしないけどエレンより私の方が年上だったよな)

ユミル(なら私が主導すべきなのか? それとも男のエレンに任せるべきなのか?)

ユミル(お互いに初めてで、知識については大差ないだろうし、どうするか)

ユミル(……やはり、そんなこと気にせずその時の流れに身を任せるべきなのかな)

ユミル(そうだな、重要なのは手順よりも、愛し合うという事実)

ユミル(エレンと私なら、きっと大丈夫だ)

ユミル(よし!)

今日はここまで

ユミル「え、エレン……お待たせ」

エレン「お、おう。全然待ってない、ぞ……!?」

ユミル「……な、なんだよ」

エレン「お、おまっ……ば、バスタオル巻き付けてくるだけとか、何て格好で……」

ユミル「は、裸で出てくるのはおかしいんだろう? だからこうしたまでだ」

ユミル「それにこれなら……もっと興奮してくれるかと思って」

エレン「し、します。めちゃくちゃします」

ユミル「正直だな。でもそれでいい。今からは何も我慢せず、何も包み隠さないで欲しい」

ユミル「私も、そうするから」

エレン「……分かった。ユミルにだけは、オレの全てをさらけ出すよ」

ユミル「うん」

エレン「ほら、いつまでも突っ立ってないで、こっち来て隣に座れよ」

ユミル「ああ……」

エレン「結構柔らかいだろ、このベッド」

ユミル「そ、そうだな」

エレン「……」

ユミル「……」

エレン「……手、握るぞ」

ユミル「うん」

エレン「……あのさユミル。オレ、すごく緊張してる」

エレン「初めてだし、勝手も手順も分からない。もしかしたらど下手かもしれない」

ユミル「……うん」

エレン「でもその代わり、全身全霊でお前を愛する」

エレン「だから、二人で一緒に頑張ろう」

ユミル「……そう言ってくれて嬉しいよ、エレン。私も同じ気持ちだ」

ユミル「私を、たくさん愛して」

エレン「ああ」

エレン「じゃあまず……キスから」

ユミル「ああ」

エレン「……ん」

ユミル「ん、ふ……」

エレン(なんだろ、唇を合わせるだけのキスなのに、すごくドキドキする)

エレン(まるで初めてキスした時みたいだ)

ユミル「ん……はぁ……キスでこんなに興奮したの、久しぶりだ」

エレン「オレも今同じこと考えてた……もう一回、いいか?」

ユミル「もちろんだ。いくらでもして欲しい」

エレン「んぅ……ん、んく」

ユミル「はむっ……んん、ぅん、ふ……」

エレン「ん、んむ……は」

ユミル「……はぁ、はぁ」

エレン「ただのキスでここまで……舌入れたらどうなっちまうんだろうな?」

ユミル「……じゃあ、やってみようか」

エレン「今度はちゃんと優しくするから、口開けてくれるか?」

ユミル「うん、お願い……んうっ」

エレン「ちゅっ、んん……ぅん、っちゅ」

ユミル「んちゅ……んっ、ちゅ……はぁん、ちゅぁ」

ユミル(なんだこれ、エレンの舌が私の口の中をかき回して……すごい)

ユミル(他人の舌の感触ってこんな感じなのか……)

ユミル(それに舌と唾液が絡まる音が、余計興奮する)

ユミル「ふぅん……ちゅぱ、ちゅぅ……んんっ!?」

ユミル(舌が、歯をなぞり始めた……こんなことまでするのか)

ユミル(丁寧に、丹念に……人にされるのって、なんかいい)

ユミル(今口動かすとエレンの舌噛んじまいそうだし、任せよう……)

エレン「はむっ、ちゅむ……ふぅ……んっ」

ユミル(上の次は下の歯に……全部舐めまわす気なんだな)

ユミル(ああ……私の口が全て、エレンのものにされてしまう)

エレン「んっ、ちゅぱっ……ちゅ、っあふ……はっ!」

ユミル「ぁはあ……はっ、はっ……はぁぁ」

エレン「はぁ、はぁ……ユミル、どうだった?」

ユミル「あぁ……えれぇん……」

エレン「顔、蕩け切ってるぞ。夢中でしてたんだけど、もしかして良かったのか?」

ユミル「ぅん……すごかった」

エレン「オレもだ。こんなに気持ちいいものだなんて思わなかったよ」

ユミル「……私も」

エレン「あ……口の周りべちゃべちゃだな、悪い」

ユミル「いいよ……次は私の番だ」

エレン「え?」

ユミル「攻められっぱなしじゃいられないからな。いくぞ?」

エレン「お、おう……んっ!」

ユミル「んぅ、ちゅ……ちゅぅっ、んむっ」

エレン(……うわ、舌入れるのもすごかったけど、逆にされるがままってのもすごいな)

ユミル「んっ、んんっ……あむ、ちゅぱっ……ちゅっ」

エレン「ふぅ……んちゅぅ……」

エレン(やば……これはユミルが蕩けるのも分かる)

エレン(続ければ続けるほど、頭がぼうっとして、熱くなっていく)

エレン(このままだと変になっちまいそうだ。ユミルには悪いが、ここは……)

ユミル「はむぅ……んちゅ、ちゅ……んぅっ!?」

エレン「んっ、はむっ……っちゅう」

ユミル「ちょ、エレ……んんっ! い、今は私が……」

エレン「はぁっ……悪いけど、今からはオレも攻めさせて貰う」

ユミル「そ、そんな急に……んふぅっ、ちゅぷ」

エレン「ちゅっ、んんっ……」

ユミル(くそ、エレンの奴勝手に……負けるか)

ユミル「ぅんんっ! はむ、ちゅうぅっ……」

エレン(……これはすごい。こうやって互いに絡めるのが、一番興奮するかも)

エレン(唇を押し付け合って、舌をねぶり合って、唾液を出し合って……)

エレン(もうどこからどこまでが自分の口なのか曖昧になるほど、どろどろに蕩けてる)

エレン(……でもそれだけじゃなくて、オレに負けまいと首に腕を回して押し付けてくるユミルが、可愛い)

エレン(オレも負けてられないな)

エレン「んんっ、ふぁ……ちゅく」

ユミル「はっ……んむぅ、ちゅっちゅ」

エレン「んく……ぢゅうっ……ぅん――んぐっ!?」

ユミル「――痛っ」

エレン「く、っつぅ……いてて、歯が当たったのか。大丈夫かユミル?」

ユミル「あ、ああ……ちょっとびっくりしたけど、平気」

エレン「オレはそこそこ痛い」

ユミル「……はは。失敗、だな」

エレン「ああ、夢中になり過ぎたか」

ユミル「お互いがむしゃらだったしな。エレンが勝負を仕掛けてきたせいで」

エレン「オレだけのせいか? ユミルだって積極的だったじゃないか」

ユミル「……まあ、そうだけど」

エレン「はは……よし、気を取り直して続きしようか。キスはもういいか?」

ユミル「だな。いつまででもしていられるけど、そろそろ先に進もう」

一旦ここまで

エレン「じゃあ……バスタオル、脱いでくれるか?」

ユミル「う……」

エレン「今のままでも結構興奮するんだが……やっぱり見たいんだ」

ユミル「……分かった。ちょっと向こう向いてろ」

エレン「お、おう? いいけど、タオル取るなんてすぐだろ?」

ユミル「すぐだろうが脱ぐところを見られるのは嫌なんだよ、察しろ」

ユミル「……それに、心の準備もあるから」

エレン「そっか。準備ができたら呼んでくれ」

ユミル「ああ」

エレン「……」

ユミル「……」

エレン「……」

ユミル「……も、もういいぞ。こっち向いても」

エレン「ああ……おぉ」

ユミル「……あまり、まじまじ見るな」

エレン「それは無理だ。恋人が裸で目の前に立ってるんだぞ。目が離せない……感動だ」

ユミル「お、大げさなんだよ」

エレン「大げさじゃない。すごく魅力的だ」

ユミル「あぅ……」

エレン「でもさ、できれば手で隠してる胸と秘部も見せて欲しいんだが」

ユミル「う……それは」

エレン「恥ずかしいのは分かるけどさ。オレは見たいんだ、ユミルの全てを」

エレン「だから、見せてくれないか?」

ユミル「……ふ、不公平だ」

エレン「え?」

ユミル「私は服も下着も全部脱いでるのに、お前は着たままじゃないか」

ユミル「そりゃ私だってエレンに見て貰いたいけど……その、私だけ裸っていうのが、思った以上に恥ずかしいんだ」

ユミル「だから……私の全てを見たければお前も脱げ!」

エレン「……そうだな、確かにユミルの言う通りだ。ちょっと待ってくれ」

ユミル「へ……?」

エレン「んしょ……よっ」

ユミル「……な、ん」

エレン「ふぅ……全部脱いだぞ」

ユミル「な、なんで全く躊躇わないんだ! 少しは恥ずかしがれよ!」

エレン「いや、早くユミルを見たくてそんなの気にならないっていうか」

ユミル「く、くそ……そ、それにお前、なんでもうそんなに……」

エレン「ん?」

ユミル「まだキスしかしてないじゃないか。それなのに、もう……」

エレン「あっ……だ、だってキスだけって言ってもあれだけすごかったんだしさ」

エレン「それにユミルの裸を見てるんだぞ。興奮するに決まってるだろ」

ユミル「……そ、そうだよな」

エレン「ユミル、オレは脱いだぞ。これで公平だ。次はお前が見せてくれる番だよな」

ユミル「くぅ……」

エレン「両手を一度に放さなくてもいい。順番に、片手ずつでいいからさ」

エレン「まずは……胸を見せてくれないか」

ユミル「……あぁ……こ、これでいいか」

エレン「お……再び感動」

ユミル「はあ、はあ……」

エレン「……オレは好きだぞ、ユミルの胸。良い形だと思うし、大きさも、その、ちょうどいい」

ユミル「はぅ……」

エレン「それに、やっぱりユミルだって興奮してるんだな」

エレン「まだ触れてもいないのに、すでに乳首が……」

ユミル「言うなってばぁ……恥ずかしくておかしくなりそうなんだぞ」

エレン「いや、言わせてくれ。何も包み隠さず、正直でいるんだろ、オレたち」

ユミル「そ、そうだったな」

エレン「これで最後だ……もう片方の手も放してくれ」

ユミル「はぁ、はぁ……んっ」

エレン「……ようやく見せてくれたな、全てを」

エレン「ユミル、すごく綺麗だ」

ユミル「……うん、ありがと」

エレン「今、オレたちを遮るものは何もない。抱き締めるぞ」

ユミル「あ……あうっ、んん……」

エレン「ん……ユミルの体、すごく熱い」

ユミル「……エレンの体だって、熱くて火傷しそうだ」

ユミル「特に、その、あれが……」

エレン「あー……それは許して欲しい。どうしようもないんです」

ユミル「分かってる。私で、こんなに興奮してくれているんだろ? すごく嬉しい」

エレン「……ユミルも、だろ?」

ユミル「うん……エレン、好き」

エレン「オレも好きだ、ユミル」

今日はここまで

エレン「じゃ、そろそろベッドに行こうか」

ユミル「え……ひゃっ!」

エレン「ひゃって、どうした?」

ユミル「お前が急に押し倒すからだ。びっくりするだろうが」

エレン「悪い。でもユミルの可愛らしい声が聞けたから反省はしない」

ユミル「ば、ばか」

エレン「怒ってるか?」

ユミル「怒ってる」

エレン「……じゃあこれで機嫌直してくれ」

ユミル「へ……ひぅっ! ちょ、エレン、手が」

エレン「優しく触ってるつもりなんだが、痛くないよな?」

ユミル「痛くはないけど……んっ。く、くすぐったい……やんっ」

エレン「もし痛かったり強過ぎたりしたらちゃんと言えよ」

ユミル「うん……ふぅん、んはっ……はぁ」

エレン(……さっきからユミルの反応が可愛過ぎてやばい)

エレン(まだ腹とか腿とかしか触れてないのに……刺激に弱いのか、責められるのに弱いのか)

ユミル「んや……やぁっ、んくぅ……」

エレン(やばいやばい。もういろいろすっ飛ばして、胸やあそこをぐちゃぐちゃにしてしまいたい)

エレン(でもそれじゃ公園の時と同じだ。オレだけが楽しむんじゃなく、ちゃんとユミルも喜ばせてやらないと)

エレン(焦らず、ゆっくりといかないとな)

ユミル「……はんっ、あぁ……んあっ」

エレン「……ユミル。オレばかりじゃなくて、ユミルも触ってくれていいんだぞ、オレのこと」

エレン「互いに愛撫し合ってもいいと思うんだが」

ユミル「で、でも、触られながらなんて……ふあぁっ……い、今は無理だ」

エレン「そっか。じゃあ今はオレが責める時間だな。キスするぞ」

ユミル「んうっ! んっ、ぢゅぁ……ふぅん……あむっ」

エレン「ちゅっ……んん……」

ユミル(ああ……舌絡めるだけでもたまらないのに、同時に全身を愛撫されるだなんて)

ユミル(私ってこんなに敏感だったのか。軽いタッチ程度でも、簡単に反応してしまう)

エレン「ちゅあっ……はぁ。ちゅっ、ちゅっ、んっ」

ユミル「やっ、やあっ。ちょ、エレン……」

エレン「唇だけじゃなくて、いろんなところにキスしてやるからな」

ユミル「う、うぅん……」

エレン「頬とか」

ユミル「んっ」

エレン「瞼とか」

ユミル「ぅんっ」

エレン「耳とか」

ユミル「ふあっ! み、耳は……」

エレン「お、耳がいいのか?」

ユミル「ち、ちが……んやっ!」

エレン「いいみたいだな。それなら……ぺろ」

ユミル「ああっ……舐めちゃ、だめぇ」

エレン「れろ、ぺろっ、ちゅ……本当にダメか? とてもそうは見えないけど」

ユミル「それは……んんっ、はぅ」

エレン「すごく反応してるし、やめないぞ……ちゅう、れろっ……ふぅー」

ユミル「あぁぁ……息、ぞくぞくする」

エレン「ちゅむ、ちゅ……ん、耳はこのくらいにしておくか」

ユミル「はぁん、んぅ……やり過ぎだ。耳がすごく熱い……良かった、けど」

エレン「へへ。じゃあ次は、首にだ」

ユミル「はっ、あぁ……んっ」

エレン「ちゅっ、ちゅ……んん、れろぉ……」

エレン(舌を顔の輪郭に沿って耳から顎へ、そして首に到達。時々吸ってやると可愛らしく反応するのが堪らない)

ユミル「ふぁぁ、あっ! ぅんっ、はあ……」

エレン(首を全体的に舐め回した後は、さらに舌を下げて鎖骨を責める)

ユミル「ん、くぅっ……は、やぅ」

エレン(鎖骨を責め終えてもまだ胸には触れず、対象を両肩に移して交互にキスを落とす)

ユミル「はっ……んぅ、はぁう」

エレン「……はあっ。ふぅ……口と舌動かし過ぎて、ちょっと疲れてきた」

ユミル「はぁん……」

エレン「でもユミルって本当に敏感なんだな。ほとんどの場所で感じてたんじゃないか?」

ユミル「はぁ、はぁ……ああ。耳とか肩とか、初めての感覚だった」

エレン「……なら胸を責めたらどうなるんだろうな。そういえば手が疎かになってたし、そろそろ触るぞ?」

ユミル「ああ、優しく頼む」

エレン「分かってる。たっぷり愛してやるからな」

ユミル「うん……ああっ!」

エレン「うわっ、やわらかい……すげぇ、指が食いこんでる。三度感動」

ユミル「んふっ……あっ、あっ、ああん……ふああっ」

エレン「これは癖になるな。いつまででも揉んでられそうだ……ちょっと強くするぞ」

ユミル「ああっ! んあぁっ! んん……くはぅっ!」

エレン(すご、さっきまでと反応がまるで違う。声もほとんど抑えられてないし、やっぱり胸は気持ちいいんだな)

エレン「なあ、どういう触り方がいい? 弱めに撫でるのと、強めに揉むの」

ユミル「あふっ、あぁ……どっちも、いい。もっとして」

エレン「……よっしゃ」

ユミル「……ひゃうん! んっ、くあぁ……それ、いい」

エレン「ん? 胸の形に沿って下から上に揉むのがか?」

ユミル「そ、そう……あうっ……はあん、んんっ」

エレン「他にも気に入ったのがあれば言ってくれ。いくらでもしてやるからな」

ユミル「うん……はぁう、やんっ……あんっ」

エレン(こんなに乱れるとは……胸に触れていることも嬉しいけど、それ以上にユミルが感じてくれるのがすごく嬉しい)

エレン(もっともっと、気持ちよくなって欲しい)

エレン(そのためには、そろそろ……)

エレン「ユミル、乳首触るぞ」

ユミル「あ、うん……」

エレン(乳房より敏感だろうから、初めは指の腹で軽く押し潰して……)

ユミル「……んんんっ!」

エレン(……次は親指と人差し指でつまむ)

ユミル「ああんっ! やっ、そんなにしちゃ……うああんっ!」

エレン(こりこりしてる。乳房とはまた違った感触で気持ちいいな)

エレン(それにいい喘ぎ声……今度は爪で引っ掻いてやる)

ユミル「ひゃうっ! んっ、んっ、んあっ」

エレン(とどめに、指で弾く!)

ユミル「はあんっ!」

エレン「……可愛い」

ユミル「はぁ……はぁ……おもちゃにするな、ばか」

エレン「ユミルの反応がいいから、ついいろいろ試したくなるんだ」

ユミル「ったく。それにちょっと強かったぞ」

エレン「あ、それはすまん。思ってた以上に敏感だったか」

エレン「ならこれはどうだ?」

ユミル「え?」

エレン「あむ」

ユミル「んあぁ……口に、咥えて……」

エレン「んん……これなら強くないだろ?」

ユミル「そ、それはそうだが」

エレン「あぁん」

ユミル「んんっ……またぁ」

エレン「んむ、ん……はむっ」

ユミル(指でされるより刺激自体は弱いけど、あったかくて気持ちいい)

ユミル(それになんだか、変な感覚が……?)

エレン「あむっ、ふぅむ……れろっ、ぺちゅ」

ユミル「ああっ、んんっ……口にしたまま舐めるのは……ん、はんっ」

ユミル(やっ、エレンの奴舌で弾いてる)

エレン「ぺろっ、んぐ……れろれろ」

ユミル「ふぅん……ああぁ、それぇ」

ユミル(今度は舌先でこりこり転がされて……またおもちゃにしてるな、こいつ。変態め)

ユミル(……変態だけど、エレンにされるのは気持ちいいし、もっとして欲しい。たくさんいじって欲しい)

ユミル(次は、何をされるんだろう)

エレン「ふうー……あむっ、ん……ちゅうぅぅっ」

ユミル「んああ! そんな吸っちゃ……くふぅん!」

エレン「んっ。やっぱり舐めるだけじゃ物足りなくてさ。ちゅっ、ちゅう……ぢゅるっ」

ユミル「うあっ、あんっ! んん、そんな熱心に……ガキじゃねぇんだぞ」

エレン「確かにオレはガキじゃないけど、それでも吸い付きたくなるんだよ。んちゅ、ちゅぽっ」

ユミル(これじゃ本当に母乳を吸う赤ん坊だ。まあ赤ん坊はこんなに執拗じゃないだろうが)

ユミル(……でも、さっきから口で乳首を刺激される度に感じる、この感覚はなんなのか)

ユミル(乳首に一心に吸い付くエレンが、なんだか可愛らしく思える)

エレン「んっ、んんっ……ちゅむ、ちゅうぅ」

ユミル(もしかしてこれは……母性ってやつなのか)

ユミル(母乳は出ないけど、息子に授乳する母親の気持ちって、こういうものなのかもしれない)

エレン「ん……? なんだよ、頭撫でて」

ユミル「無性に撫でたくなったんだ、お前の頭を。いいだろ?」

エレン「ああ、とても心地いい。続けれくれ。オレも続けるから……ちゅっ」

ユミル「ふふ、好きなだけ吸わせてやるよ」

エレン(ユミル、急に雰囲気変わったな。声も手つきも繊細で優しい……何でだ?)

エレン(よく分からないけど、こうして撫でられてると安心する)

エレン(なんだろ、この懐かしい感じ。ずっと前に感じたことがあるような……)

ユミル「ん……どうした、ただ吸ってるだけになってるぞ? もっと舐めたり、いろいろしていいんだぞ?」

エレン「あ……そ、そうだな。この雰囲気に少し浸ってた」

ユミル「……実は私もだ」

エレン「そ、そっか……でもこういうのもいいけど、今はオレが責める時間だからだな。仕切り直しだ」

ユミル「まだ、乳首をいじるのか?」

エレン「ああ、ちょっと強いかもしれないけど……んっ」

ユミル「――んあっああぁっ!」

エレン「ユミル!? やっぱ噛むのは痛かったか? できるだけ優しくしたつもりなんだが」

ユミル「……はぁ、あぁぁ……いや、大丈夫」

エレン「本当か?」

ユミル「ああ……今まで優しかったのに急に強くなったから、すごく感じた」

ユミル「少しジンジンするけど」

エレン「じゃあそれを舌で癒してやるよ……ぺろ、んちゅっ……れろ」

ユミル「はあぁ……はぅ、うぅん……」

エレン「ちゅっ、うむぅ……ちゅぷ、ぺろぉ」

ユミル「あぁん……あったかぁい……ふはぁ」

エレン(また顔が蕩けてきたな。こうやって油断した所で……もう一度噛むっ)

ユミル「くああぁっ!? ま、また噛んで……」

エレン「んっ、その反応で分かるぞ。噛まれるの結構好きだろ」

ユミル「そ、そんなこと、ない……あんんっ! やあっ、細かく歯を立てないでぇ!」

エレン「嘘吐こうとするやつにはお仕置きだ」

ユミル「嘘だなんて……ひぃんっ、ふああっ!」

エレン「……今日は正直に、だったよな?」

ユミル「ああん! ごめん嘘だ! 噛まれるの好きぃ!」

エレン「よし、白状したな」

ユミル「くぅん……」

エレン「じゃあその気持ちいいやつをもう片方にもしてやろう」

ユミル「なっ、もう片方も?」

エレン「ちゃんと全部味わわないとな」

ユミル「ちょ、分かったからその前に少し休ませて……んああっ!」

今日はここまで

エレン「ふう……」

ユミル「はぁ……はぁ……はぁ……もうだめ」

エレン「胸だけでぐったりだな。あ、胸が全体的にちょっと赤くなってる」

ユミル「はぁ、はぁ……あれだけ執拗にされたんだ、充血したんじゃないのか」

エレン「そうかも」

ユミル「はぁ……初めてのくせにぐいぐい責めてきやがって。ベッドヤクザか」

エレン「ベッドヤクザって……それを言うならユミルだってすごい乱れようだったぞ。普段からは想像できないくらい」

ユミル「私だってこんなになるとは思ってなかったよ」

エレン「はは……じゃ、胸は十分堪能したし、そろそろ次に」

ユミル「いや待て。このままお前ばかりが責めるのは不公平だ。次は私の番だろ」

エレン「ユミルが?」

ユミル「そうだ。ほら、いつまでも覆い被さってないで、ベッドに腰下ろして足を開け」

エレン「わ、分かった」

ユミル「よし」

エレン(おお、ユミルが床に跪いてオレの股間に顔を近づけてくる……これはこれで興奮するかも)

ユミル「……これが、勃起した男性器か」

エレン「えーと……ご感想は?」

ユミル「……きもい」

エレン「ひどっ!」

ユミル「お前ら男は常にぶら下げてるから慣れてるんだろうが、これを初めて見た時の感想なんてそんなもんだろ」

ユミル「本当にきもいなこれ。きもいきもい」

エレン「そう連呼されると少しは傷つくんだぞ、オレだって」

ユミル「でも」

エレン「でも?」

ユミル「エレンのだったら大丈夫そうかな。触るぞ?」

エレン「お、おう」

ユミル「……うわ、こんな感触なのか。ますますきもい」

エレン「もうきもい言うの禁止だ。オレは悲しい」

ユミル「感想を正直に述べているだけだが? それに悲しいと言いつつこっちはすごいことになってるぞ」

エレン「そりゃユミルのあんなに乱れた姿を見たんだ、我慢できるかよ」

ユミル「ふん、なら今度はお前に晒して貰う……どうすればいい?」

エレン「そうだな、最初は任せる。好きなようにしてみてくれ」

ユミル「そうか? まあ手で上下に扱けばいいんだろう? こうやって……」

エレン「んっ……く」

ユミル(お、少し感じてる? 強くすると痛いだろうし、このペースで……)

エレン「う、ぅん……」

ユミル「声我慢しなくていいんだぞ、な?」

エレン「あ、ああ……ん」

ユミル(にしても男性器ってこんなになるものなのか。硬くて熱くて、大きい)

ユミル(それに先の方は変な形してて……この先にある口から尿と、精液が出るんだよな)

ユミル(すぐに出させてやる。私をいじめた仕返しだ)

エレン「ん、ふ……はぁ……」

ユミル「どうだエレン? 気持ちいいか?」

エレン「……ああ、まあな」

ユミル「なんだその気のない返事は。もしかして良くないのか?」

エレン「いや、悪くはないんだが。敏感なところだし、ユミルの手も柔らかいし」

ユミル「なにが悪い? 男が自慰する時は男性器を手でいじるんだろ?」

エレン「なんていうか……手つきが優し過ぎなのかな」

ユミル「じゃあもっと強く……」

エレン「あでっ! こ、今度は強過ぎだ」

ユミル「わ、悪い。難しいんだな……これくらいでどうだ?」

エレン「ううっ……い、いいかも」

ユミル「この強さだな。これで気持ちよくなってくれ」

エレン「んっ、あ……うぅ」

ユミル「そろそろ出るか?」

エレン「んん……いや、してくれてるのに悪いんだが、この調子で果てることができるかと言えば、できないと思う」

ユミル「なんでだよ。強さはこのくらいでいいんだろ?」

エレン「そうなんだが、手の動きが単調で刺激に慣れちまうというか」

ユミル「上下に擦るだけじゃダメってことか? でも他にどうすれば……」

エレン「……その、もし嫌でなければ、口でしてくれないか?」

ユミル「く、口!?」

エレン「ああ、その方が色んな刺激があってより興奮すると思うんだ」

ユミル「そ、そうか……でもこれを口に……」

エレン「嫌なら無理しなくていいぞ。手でしてくるだけでもオレは嬉しいんだ」

ユミル「……」

ユミル(確かにこれに口で触れるのは抵抗がある。ちゃんと洗ってはいるだろうが、それでも汚い部位だという意識は拭えないし)

ユミル(……でもそれよりも、私はエレンに気持ちよくなって欲しい)

ユミル(エレンは私にたくさん触れて、愛してくれたんだ。このまま何も返せないようじゃ彼女失格だ)

ユミル「……やる」

エレン「ほ、本当か?」

ユミル「ああ。それでエレンが気持ちよくなってくれるなら」

エレン「ありがとな、すごく嬉しいぞ」

ユミル「いくぞ……ちゅっ」

エレン「んっ」

エレン(いきなり亀頭にキスとか、意識してやったわけじゃないだろうが、これは最高だ)

ユミル「ちゅ、ちゅ……ん、ちゅぅ」

エレン「うぁっ、こ、今度は竿にも……んん」

エレン(ユミルの唇、柔らかいな。キスの時とはまた違う感触が……)

ユミル「ちゅっ、んちゅ……はあ。次は舐めるぞ……れろ」

エレン「おぉっ、舌もいい」

ユミル「ちゅぅっ……ぺろ、んん……じゃあこんなのはどうだ? れろぉー……」

エレン「うあぁ……根元から先まで続けて……んんっ」

ユミル「いいみたいだな。手の時よりもずっといい声と表情だ。ふふ、もっとしてやる」

ユミル「ちゅ、れろ……んちゅっ、ぺろぉ……れろ」

エレン「くあっ、くうぅ……はうっ」

エレン(ユミルの奴、ノリノリじゃないか。最初は躊躇してたのに、色んな責め方を試してくる)

ユミル(やっぱちゃんと感じてくれるとやる気が出るな。もっとしてあげたい)

ユミル(いつの間にか男性器に口を付けることへの抵抗がなくなってる)

ユミル(それどころか責める度にびくびくと反応するのが、ちょっと可愛らしい)

ユミル「んっ、ちゅあぁ、ぺろ……んん?」

エレン「はぁぅ……ど、どうした?」

ユミル「なんか先端から出てるぞ。透明な液体が……精液って白いんだよな?」

エレン「ああそれか。オレもよく知らないけど射精とはまた別で、男が興奮すると自然に出てくるんだ」

エレン「つまりユミルの愛撫がオレを気持ちよくしてる証拠、かな」

ユミル「ふうん、なんか粘ついてるな……ま、だったらもっと気持ちよくさせてやる」

ユミル「……はむっ」

エレン「うぐっ! んっ……ユミルの口の中、あったけぇ」

ユミル「あむぅ、ちゅっ……んん、はぁっ……んぐっ」

エレン「ぅんっ、あぁ……は、初めてなのになんでそんなに……うあぁ」

ユミル「唾液を絡めるとやりやすいな……んむぅ、ちゅぱっ、じゅぷ……ぢゅう」

ユミル(透明なのがどんどん溢れてくる。それに男性器の熱さも硬さも増してるし、本当に感じてるんだな)

ユミル(でもまだ射精には届かないのか……どうすれば)

エレン「はっ、んあっ……ゆ、ユミル、手も一緒にしてくれ!」

ユミル(そうか、口に集中し過ぎて忘れてた。手で擦りつつ口でしてやれば……)

ユミル「んっ、じゅむぅ、ぢゅっ……はぐっ、ちゅうぅ!」

エレン「ああっ、くぅ、ぐっんん……んっ」

ユミル(……出せ!)

エレン「ぐっ……も、もう無理だ! ユミル、顔どけ……ああぁっ!」

ユミル「――うわっ!?」

エレン「あっ、く、んんっ……は、あぁ、はぁぁ……」

ユミル「ん、ぅんん……」

エレン「……はっ、はっ……すご、こんなに出したの初めてかも……」

ユミル「うぅ……本当にすごい量だな。それにこんな勢いで出るものなのか」

エレン「あっ、すまんユミル、顔にかけちまったか!?」

ユミル「あ、ああ、最初の少しだけな。あとは手で守ったけど体にもついてしまったな、胸とか」

エレン「悪い……どいてくれって言うのが遅かった」

ユミル「気にするな、それだけ良かったってことだろ? 私の責めが」

エレン「た、確かに、とても良かった、です」

ユミル「ふふ。にしてもこれが精液か……どろっとしてて、やっぱりきもいな」

エレン「だからきもい禁止だって。ほら、棚にあったティッシュだ、これで拭ってくれ」

ユミル「悪いな」

エレン「……でもありがとな。ここまでしてくれるなんて、嬉しかった」

ユミル「まあな。言ったろう? エレンにも気持ちよくなって欲しいって」

エレン「ああ」

ユミル「あ、そういえば男って一度射精したらそれで終わりなんじゃ……」

エレン「いや、全く問題ない。ほら」

ユミル「ほ、本当だ……」

エレン「思春期の男子の性欲舐めるなよ。これからすること考えたら、一回程度で収まりつくわけない」

ユミル「そ、そうなのか。確かに全然萎えてない」

エレン「だろ? じゃあここで攻守交代だ。もう一回ベッドの上に寝てくれ」

ユミル「あ、ああ……んしょ」

エレン「足開いてくれるか? ユミルの一番大事なところを見せてくれ」

ユミル「うん……あぁ、恥ずかしい……」

エレン「おぉ、こんな感じなのか。もっと開いて見たいから、触るぞ」

ユミル「や、優しくな……う、うぅん」

エレン「……一体オレは一日に何度感動するのか」

ユミル「あまりじっくり見ないでくれ。そんないいもんでもないだろ」

エレン「なに言ってるんだ。いいもんでなきゃ感動なんてするか。もっと見せてくれ」

ユミル「うぅ……」

エレン「結構複雑だな、男のものよりも……それに、もう濡れてる」

ユミル「そ、それは」

エレン「ユミルが興奮してる証拠、だよな」

ユミル「……そうだよ。お前の透明な汁や精液と同じだ。いちいち指摘するな」

エレン「はは……よし、たっぷり見たし、責めさせて貰う」

エレン「ここが一番敏感だろうから、胸以上に慎重にいかないとな……舐めるぞ」

ユミル「いきなり舐めるのか?」

エレン「濡れてるとはいえ、指だと痛くなるかもしれない。だから舌でやろうかと思うんだが」

ユミル「そ、そうか。なら任せるけど、お前は抵抗ないのか」

エレン「ないな。オレはユミルの全てを味わいたい。たとえどこであろうと大好きだ」

ユミル「あ、ありがと」

エレン「じゃあまずは優しく……んっ」

ユミル「……ああっ、んんっ……ふあっ!」

エレン「んっ、ちゅっ、ぁむ……れろ」

ユミル「んんっ、くあっ! やあ……し、舌の感触が」

エレン「性器に触れられるとすごいだろ? オレの時もそうだった……ぺろっ、んちゅ」

ユミル「あっ、くんっ、うあぁっ」

エレン「れろっ、ぢゅぷっ、じゅずずっ」

ユミル「んああっ! す、吸ってる、のか……あぁんっ、はうぅ!」

エレン「ちゅぽっ、じゅぷっ……ん、なんだろこれ。あむ、もっと変な味だと思ってたが、じゅるっ、悪くないな」

ユミル「味の感想なんて……はぁんっ、んんっ……そ、それに、しながら喋るなぁ」

エレン「れろ、んむっ、ちゅっ……断る。分かってるんだぞ、ユミルは言葉でも感じてるって……ちゅあ、んぐっ」

ユミル「だからってぇ……ふああっ、んやあっ」

エレン「んっ……こら、足閉じようとするな。やりにくいだろ」

ユミル「そ、そんなつもりは……刺激がすごくて勝手に……ああっ、あん!」

エレン「ならオレが押さえてるから、ユミルは感じることに集中してくれ」

ユミル「んんあ! くっ、うんっ……うあんん……」

エレン(膣口の周りのひだを責めるだけでこの感じよう……やっぱり胸以上に敏感なんだな)

エレン(でもそろそろこの穴の中も責めてやりたいな)

エレン「じゅずっ……ぷはっ……ユミル、今からは足を自分の手で押さえてくれないか」

ユミル「はう……な、なんで?」

エレン「もっと責めるために指を使うからだ。それに、自分の手で開くとより興奮するかもしれないぞ?」

ユミル「なんだよそれ、私を変態のように言いやがって」

エレン「そうは言ってないけど、初めの頃より確実にいやらしくなってるよ、ユミルは」

ユミル「いやらしくって……ばか、お前が私をこんなにしたんだろうが」

ユミル「どうせまだまだ私を乱れさせるつもりなんだろ……いいよ、自分で開くからちゃんと気持ちよくしてくれ」

エレン「責められてる時も積極的になってきたな……んん」

ユミル「ぅんっ」

エレン「……んっ、ぢゅぷっ……じゅずずっ」

ユミル「ひぁああっ! し、舌が中に……はあぁんっ!」

エレン(すご、膣の中ってめちゃくちゃあったかいんだな。愛液でとろとろだし、いくらでも飲めそうだ)

エレン「ちゅぱっ、んちゅっ、じゅるるっ」

ユミル「くはぁあっ……んんんっ! あっ、ああん! うああっ」

エレン(舌を小刻みに抜き差しされるのがいいのか。今度は上の方を擦ってやろう)

ユミル「ああ! くっ、はうっ! んひゃっ……ひゃうっ!」

エレン「んじゅう、じゅぷ……はっ。すごいな、中からどんどん溢れてくる」

ユミル「はっ、はっ……じ、自分の唾液だろ」

エレン「そんな間違いするわけないだろ。まだ素直になり切れてないようだな」

エレン「なら言葉も出ないくらい感じさせてやる……あむっ……れろれろ、ちゅうっ、んちゅっ」

ユミル「はっああん! そ、それぇ……んああっ! くふぅん、ああっ!」

エレン「ぺろっ、じゅちゅっ! ちゅぽ、ぢゅぽっ」

ユミル「んっ、んっ! はうぅっ、ひゃああ! あぁ……えれぇん、きもちいい!」

エレン(その調子その調子)

エレン「じゅるぅ、れろっ……あむあむ、ちゅうっ」

ユミル「んあっ、いい! くうっ、ん! ふああっ」

エレン(これは本当にオレの体力が続く限りやっていられそうだ。でも……)

ユミル「はあぁっ! うあっ……んん、も、もうわたしぃ……ああん!」

エレン(……ユミルが限界かもな)

エレン(そろそろ果てさせてやりたい。最高にいやらしい姿を見せて欲しい)

エレン(そのためには……外陰部で最も敏感であろうここを……)

エレン「ちゅうっ」

ユミル「――ひっ!? んああぁぁんっ!」

エレン「おぉ!?」

ユミル「んっ、んんっ……はっ、あ、あ、うぁ……」

エレン「……今日一番の反応だ。本当に痙攣するんだな、すげぇ」

ユミル「……はっ……はぁ、はぁ……ん……な、なにしたんだ……?」

エレン「ユミルの陰核を吸っちゃいました。かなり気持ちいい部分なんだろ?」

ユミル「ど、道理で……本当にすごかった……んん」

エレン「ユミルがいったところ、しっかり目に焼き付けておいたから」

ユミル「もう……」

エレン「でも本音を言えば、こんなに上手くいくとは思ってなかった。初めてだったのに」

ユミル「そうだな。私が敏感だったというのもあるんだろうけど、やっぱり……」

エレン「やっぱり?」

ユミル「エレンがちゃんと愛してくれたから、かな」

エレン「そっか、がんばった甲斐があったな」

ユミル「ああ、すごくよかった」

今日はここまで

エレン「……じゃあユミル、そろそろいいか」

ユミル「……そう、だな。もう我慢できないんだろう?」

エレン「ああ、限界だ。早くユミルと繋がりたい」

ユミル「私も、エレンと一つになりたい。私がエレンのものだってことをこの体に刻んで欲しい」

エレン「オレだって、オレの全てをユミルに貰って欲しい。体も、心も」

ユミル「嬉しい」

エレン「……でも男のオレは大丈夫だけど、ユミルは痛いよな。初めてだし」

ユミル「だろうな。けど破瓜の痛みはどうしようもない。お前が気にすることじゃない」

エレン「でも」

ユミル「今までしっかり優しくしてくれたし、その気持ちだけで十分だよ」

ユミル「たとえ痛くとも、それはお前に初めてを捧げることができた証になる。大丈夫だ」

エレン「ユミル……」

ユミル「それに破瓜の痛みにも個人差があるんだ。もしかしたら全然痛くないかもしれないだろ」

ユミル「……それでもやっぱり怖いから、入れる時は手を繋いでいてくれるか」

エレン「もちろんだ。痛かったら抱きついてもいいからな。受け止めてやる」

ユミル「うん、ありがと」

エレン「ユミル、大好きだ」

ユミル「私も、好き」

エレン「……ちゅ」

ユミル「ん……」

エレン「は……いくぞ」

ユミル「……きて」

エレン「んっ……くっ、せま……ふっ」

ユミル「う、あっ……ぐっう……づっ、あぁ……んんっ!」

エレン「ぐっ……や、やっぱ痛いよな」

ユミル「はぅっ……つぁっ、くはっ……あぁっ!」

エレン「お、おい大丈夫か……はあっ、いったん、止めるか……?」

ユミル「ぐぅっ……だ、大丈夫だから。エレンと一緒なら、へいき、だからっ……そのまま」

エレン「……けど狭くて、なかなか入っていかないんだ……くぅっ、しっかり濡れてるはずなのに」

ユミル「はっ、あっ……それは、お前がまだ遠慮してるからだ……うあっ!」

ユミル「本当に、大丈夫だから……一気に奥まで、入れてくれっ……私を、あなたのものにしてっ」

エレン「……分かった。声とか、我慢するなよ。聞いてるのはオレだけだから」

ユミル「うん……」

エレン「じゃあ、いくぞ……んっ!」

ユミル「くっんっ……うっ、ああぁぁっっ!」

エレン「んんっ……ぐっ、はぁ……は、入ったぞ、ユミル」

ユミル「うっ、ぐぅんん……あ、あぅ……はっ……はっ……」

エレン「はっ、ふぅ……分かるか? 全部、入ってるの」

ユミル「う、うん……分かるよ、はあっ、はあっ……ようやく、だな」

エレン「ああ。ようやく、一つになれた」

ユミル「ん、んんっ、あぁ……嬉しい。嬉しいよ、エレン」

エレン「今日一番の感動で、この気持ちをなんて表現したらいいのか……んんっ」

ユミル「……幸せ、だろ」

エレン「ユミル……そうだな。オレたちは今、幸せなんだ」

ユミル「世界一、な」

エレン「ああ、世界一だ」

ユミル「……ふふっ」

エレン「……ユミル、泣いてるのか? そんなに痛かったか?」

ユミル「ばか。嬉し涙に決まってるだろ」

ユミル「……それに、エレンだって」

エレン「え……? あ、本当だ。気付かなかった」

ユミル「それも、嬉し涙だと思っていいのか?」

エレン「今まで嬉しくて泣いたことはないけど……きっと、これがそうなんだと思う」

エレン「だって、こんなに幸せを感じたことは、今までになかったから」

ユミル「そっか、ありがとう」

エレン「こっちこそありがとな。涙、拭ってやるよ……ちゅっ」

ユミル「んん、やん……ふふ」

エレン「は……にしてもユミルの中、溶けちまうんじゃないかってくらいだ。んぐっ……それに、すごく締め付けてきて」

ユミル「エレンのも、あつくて、あつくて……すごい」

エレン「んっぐ……さっき一度出してなかったら、すぐにいっちまってたかも」

ユミル「そんなに、か……ううっ、くあっ……動か、ないのか?」

エレン「いやでも、まだ痛いんじゃないのか? 今動いたら……」

ユミル「確かにまだじんじんしてるけど、そのままだとエレンも辛いだろ?」

ユミル「それに動いてるうちに良くなってくるだろうし……頼む、動いてくれ」

エレン「……分かった。初めはゆっくりと……んん、く」

ユミル「ん、うあっ……くぅんっ、ああ!」

エレン「ぅんっ……はぁ、んんっ」

ユミル「っあ! う、ふっ……はあっ、くはっ」

エレン「はっ、はっ……一回引いて入れるだけで、こんなに気持ちいいのか」

ユミル「ゆっくりだと、エレンの感触が分かって……あっ、うぅん!」

エレン「もう一回、いくぞ……ふ、あ、ううっ」

ユミル「ふああっ、んぐぅ……はうっ……んっ!」

エレン「引いてっ……押し、込んでっ……うっ、くっ」

ユミル「はあっ! あぅ……すごい……エレンが動く度に、中がぐちゃぐちゃに」

エレン「ふうぅ……引いてっ」

ユミル「んんん!」

エレン「……突いてっ」

ユミル「くはっ!」

エレン「もっかい引いて……」

ユミル「はあぁぁ……」

エレン「……突くっ」

ユミル「ふあぁんっ!」

エレン「ふっ、はっ……んん、ユミル、痛みはどうだ?」

ユミル「うぅん……少しはましになってきたけど、まだっ……あぁっ」

エレン「だよな。オレだけ気持ちよくなって、悪い」

ユミル「だから、気にするなって……と言っても難しいか。なら、一緒に胸も責めてくれないか?」

エレン「胸?」

ユミル「それなら痛みも紛れると思うから。たくさん揉んで、乳首もいじって」

エレン「分かった。腰動かしながらって難しそうだけど、ユミルが気持ちよくなれるよう頑張るからな」

ユミル「ああ、頼む……んあっ! んんっ、はあん!」

エレン「やっぱユミルの胸、柔らかくていいな。く……んっ、乳首も硬くなってこりこりだ」

ユミル「ああうっ、はんっ! ち、乳首好き……もっといじめて」

エレン「本当に弱いんだな。じゃあ爪を立ててぐりっと……」

ユミル「んあああっ! それぇ、ちょっと痛くて、気持ちいいっ……んんっ!」

エレン「うあっ、中の締め付けが、強くっ……くうっ、お、う……んっ!」

ユミル「はあっ! やっ、突くの、すごい……んあっ、ああっ」

エレン「腰の動きも、少しずつ強くしていくから……んぐっ、ゆっくり慣れていこう」

ユミル「う、うんっ……あふっ、んふ……胸も、もっと強くしていいから……うああっ!」

エレン「はっ、くっ……苦しいかもしれないけど、キスするぞっ」

ユミル「んっ、してぇ……んむぅっ」

エレン「ちゅっ、ちゅぷ……んむ……ふぅん」

ユミル「あぁ……ちゅあっ、ちゅう……んんっ!」

エレン「……ぷはっ……はあっ、はあっ」

ユミル「はっ、はあんっ……口も、胸も、あそこも……あんっ、全部ぐちゃぐちゃで、すごい」

エレン「オレもだ……んぐっ、それにユミルの中、ぎゅうって締めてきてるぞ。まるで、オレのを離したくないみたいに」

ユミル「んっ……だ、だって……ああっ! ぅん、だんだん痛みが薄れてきて……」

エレン「ようやく良くなってきたか? キスと胸への責めが効いたみたいだな……ならもう少し強く、速くいくぞっ」

ユミル「あっ! ふあっ! んんあ、くはあっ!」

エレン「はっ……んっ、くあぁっ……ぐうっ」

ユミル「ひっ、はあっ! あっ、ああん! あん!」

エレン「ふっ、ふっ……オレ、少し余裕できてきたから……ちょっと角度変えるぞ」

ユミル「え……んああっ! ぐあっ、んはっ!」

エレン「うあっ、やば……ふぅ、上の方擦ってみたんだけど、はあっ、どうだった……?」

ユミル「はっ、はっ……んん……なんか、すごかった……」

エレン「いい所に当たったのかな。いろいろしてみるから、気持ちよかったらそう言ってくれ」

ユミル「うん……ああっ、ふあぁ……わ、私は、動かなくていいのか?」

エレン「まだきついだろ? 無理しないで今はオレに任せてくれ……ん、ふっ!」

ユミル「はあんっ、はっ……あぁうっ……ひゃあん!」

エレン「ぐ、ぐう……はあっ……いろいろしてるとっ……んっ、オレの方もやばい」

ユミル「うあっ! あん! んくっ……そ、そこぉ」

エレン「ん? ここ、か……?」

ユミル「んああっ! そ、そうっ……はああっ! ああん!」

エレン「ここだな……もっとしてやる……ふうっ、ぐく……ぅん!」

ユミル「ああっ! ふぅんっ……も、もう、体中熱くて、頭がぼうっとして……おかしくなりそうだ」

エレン「くっ……いいんだぞ、おかしくなっても。もっと乱れろ!」

ユミル「くああっ、うああん! うんっ、うんっ! もっと乱れさせてくれ! おかしくして!」

ユミル「めちゃくちゃにしてぇっ!」

エレン「ぐうっ……そんなこと言いやがって、歯止め利かなくなっても知らないぞ!」

ユミル「うわっ!?」

エレン「体勢変えるぞ。オレの膝の上に跨って、もたれかかってこい」

ユミル「んはぁ……対面座位ってやつか……?」

エレン「これならキスとか胸への責めがやりやすいだろ。ほら、首に手回して抱きついて」

ユミル「う、うん……あぁん、これ、さっきまでと違う……」

エレン「だろ? うぅっ……だいぶ良くなってきたみたいだし、ここからはユミルも動いてくれるか?」

ユミル「わ、分かった……がんばるから、エレンも良くなって」

エレン「もちろんだ……んんっ! んっ!」

ユミル「うあっ! はんん……んやあっ! はあ……これも、すごいっ」

エレン「うっ、ぐうっ……お互い動いてるから、より摩擦と刺激が……んぐうっ!」

ユミル「んあっ、んあんっ! お、奥にっ……当たってぇ……うああっ!」

エレン「はっ、はあうっ……打ち付ける度に、ユミルの奥の感触が……」

ユミル「私もっ……エレンの、感じてしまう! ああっ……エレンっ、キスしてっ」

エレン「ああっ……ぢゅうっ、んん、あふっ!」

ユミル「ちゅっ、ちゅっ……んちゅう……もっとエレンの唾液飲ませてっ」

エレン「ユミルももっと舌出せ! ぢゅぷっ、んむっ……」

ユミル「ふぅん……はむっ、ちゅぱっ! ……ああっ、抱きついてるから、動く度に胸が……」

エレン「んん、オレの胸板に当たってるな。こりこりした乳首の感触が気持ちいいぞ」

ユミル「ああん……私も擦れて気持ちいい! んあっ!」

ユミル「それに……エレンの体、逞しくて、好き」

エレン「オレだって、ユミルの綺麗でいやらしい体が大好きだぞ」

ユミル「うあっ、んああっ! 嬉しいっ! もっともっとエレン好みのいやらしい体にしてぇ!」

エレン「だからっ、そういうこと言われると……歯止めが利かなくなるんだよ!」

ユミル「あぁぁっ! もういいから! いくらでも強くしていいから!」

エレン「うぐぅ……ならユミルももっと激しく動け! 全力でだ!」

ユミル「うんっ……はうっ、ああんっ! くああっ!」

エレン「はあっ、ぐおっ……うんん! はむ……ちゅうっ、じゅずっ」

ユミル「ちゅぷっ、ちゅっ、ぺろ……あっ、あっ……んむぅっ」

エレン「はっ、ふっ、はあ……ん、ぐあっ……おぉっ!」

ユミル「あんっ、うああんっ……はあっ、くあっ!」

エレン「ぐっ……んんっ、ああっ」

ユミル「あんっ、あんっ、ああんっ……ああっ!」

エレン「はっ、はあっ、んっ……ユミル、オレ、そろそろ本当に……やばい」

ユミル「あっ、ああっ……わ、私もっ……もうっ」

エレン「じゃあ……ぐっうぅ、あぅっ……一緒に、いこう!」

ユミル「うんっ、うんっ……エレンと一緒にいきたい……んあっ!」

エレン「ふっ、ああっ、ぐっんん……ユミル! いくぞユミル!」

ユミル「えれんっ、えれぇんっ……きてっ、きてぇっ!」

エレン「ぐっ――うっああぁぁっ!」

ユミル「――ああぁぁああっ!」

今日はここまで

エレン「……はっ、はっ……はあっ……はあっ……はあっ」

ユミル「……うぅ……あ、あぁ……ん、んん……」

エレン「はっ、ふっ……ふぅ……ん」

ユミル「ぅん……は、は……」

エレン「……ん」

ユミル「……」

エレン「……ユミル、いったか?」

ユミル「……ああ、すごかった」

エレン「オレもだ」

ユミル「分かるよ。エレンの熱い精が、奥で弾けた衝撃でいったんだから」

エレン「じゃあ、本当にほぼ同時にいったわけだ、オレたち」

ユミル「うん……最後の方は気持ちよさで何がなんだか分からなかったけど」

エレン「はは、お互い無我夢中で腰振ってたよな」

ユミル「なりふり構わず快楽だけを求めたら、人間ってああなるんだな。まるで獣だ」

エレン「いいじゃないか。こういう時くらい、本能剥き出しになってもさ」

ユミル「それもそうか。私たちが全力で求め合った結果だものな」

ユミル「……なあ、エレン。私たち、ちゃんとできてたよな」

エレン「もちろん。ちゃんと愛し合えてたよ」

ユミル「嬉しい……エレン」

エレン「ユミル……ん」

ユミル「ん……」

エレン「……は……キス、気持ちいいな」

ユミル「うん」

エレン「……じゃあ、そろそろ抜こうか?」

ユミル「あ……待って。もう少しこのままでいたい」

エレン「確かに心地いいけど、疲れちまったからさ、繋がったまま横になってもいいか?」

ユミル「ああ、対面座位って男はつらい体勢だよな」

エレン「ユミルも大変だったろ? ほら、寝ようぜ」

ユミル「……うぅん、動くとエレンの感触が」

エレン「そ、それはしょうがないだろ」

ユミル「んん、ちゃんと抱きしめていてくれよ」

エレン「分かってる」

ユミル「はあ……横になると疲れがどっと来るな」

エレン「かなり激しい動きだったし、それに普段あまり使わない筋肉使いそうだし」

ユミル「明日は筋肉痛かな」

エレン「最近は訓練で筋肉痛になることも少なくなってきたのに、まさかこんな形でなるとは」

ユミル「ふ……じゃあそうならないように、これからも鍛えないとな。夜の訓練」

エレン「ユミルがやる気になってくれるなら、オレはいつでも大丈夫だぞ」

ユミル「いつでもって、休日くらいしか時間取れないだろ。いつどこでする気なんだ?」

エレン「えーと、消灯前の自由時間に、倉庫の裏とかで?」

ユミル「変態。まだ一度しか経験してないのに次から外でとか、何段飛ばしだよ」

エレン「じゃあ何度か経験してからなら外でもいいってことか。楽しみだなぁ」

ユミル「……えっち」

エレン「……う」

ユミル「あっ……バカ、なに大きくしてんだ」

エレン「わ、悪い……今の言い方が可愛かったから」

エレン「このままだとやばくなりそうだし、もう抜くぞ」

ユミル「……分かった。体力的にも時間的にも、もう一回なんて無理だし」

エレン「……んっ」

ユミル「……ぅんっ」

エレン「はぁぁ……」

ユミル「……どろどろだ」

エレン「オレのものよりユミルの中の方がどろどろだろ」

ユミル「ま、まあそうか……ほらティッシュ」

エレン「悪い」

エレン「そういや時間的にって言ったけど、今何時だっけ?」

ユミル「4時20分。休憩して風呂入って後処理したら終わりだな」

エレン「そっか。じゃあもう少し横になってようか」

ユミル「うん、布団かけてくれ。それからもう一度抱きしめて」

エレン「ああ」

ユミル「ん……エレンの体、温かい」

エレン「ユミルの体もな……心地よくて寝ちまいそうだ」

ユミル「ダメだぞ。もし寝過したら追加料金取られる上に、門限破って罰則だ」

エレン「分かってるよ……」

ユミル「……」

エレン「……」

ユミル「……なあエレン」

エレン「ん?」

ユミル「訓練兵団に帰ったら、皆に私たちの関係を晒していこうと思う」

エレン「それは……」

ユミル「もちろん皆の前で発表するとかじゃないぞ」

ユミル「消灯前の時間だけじゃなく、普段から恋人同士として堂々としていようってことだ」

ユミル「付き合っているのかと聞かれたら肯定しよう、冷やかされても甘んじて受けよう」

ユミル「恥ずかしさは続くだろうけど……もう、隠していたくないんだ」

エレン「……いいよ。ユミルがそう言ってくれるなら、オレは何も隠さない」

ユミル「ごめんな、私のわがままでエレンにたくさん我慢させてきた」

エレン「気にしなくていい。物足りなさを感じていたのは二人ともなんだから」

エレン「これでお互い、欲求不満にならなくていいわけだ……キスの制限はどうする?」

ユミル「それも終わりだ。一日何回でもしていいことにしよう」

エレン「よっしゃ」

ユミル「だからといって人前でするとかはなしだぞ」

エレン「分かってるって。その時の状況くらい弁える」

ユミル「ならいいけどさ」

ユミル「……そろそろ風呂に入るか。体中汗やら何やらでべたべただ」

エレン「……一緒に入っていいか?」

ユミル「だーめ」

エレン「ええー、普段は一緒に入るなんてできないし、こういう時くらい……」

ユミル「ダメと言ったらダメだ。先入らせて貰うぞ……んくっ」

エレン「どうした?」

ユミル「い、いや……動いたら変な感覚が……あそこに」

エレン「そ、そうか。そうだよな……きつそうならオレが洗ってやるぞ?」

ユミル「諦めろ。ちょっと気になるだけで動けないほどじゃない」

エレン「ちぇ」

ユミル「また今度な。次ここに来る機会があったら入ってやるよ」

エレン「本当か!? あ……もしかして風呂の中で、とか?」

ユミル「そうなると思ったから今日はダメなんだよ、変態エレン」

エレン「……じゃあ次ならいいってことか?」

ユミル「ふん……考えといてやる」

エレン「マジか」

ユミル(お互い風呂に入り終えて、すでに乾いていた服を着て、いろいろと後処理をして、連れ込み宿の扉をくぐる)

エレン(たった二時間のことではあったが、生涯忘れられない思い出になるだろう)

ユミル(人気の少ない裏通りを、二人並んで歩き出す)

エレン(もちろん腕を組みながら、恋人らしく)

ユミル(言葉数は少なく、今日一日の余韻に浸る。傾き始めた太陽を背に、今日のデートを振り返る)

エレン(朝は門前で待ち合わせ。彼女の瑞々しいワンピース姿に目を奪われた)

ユミル(肌の露出が恥ずかしくて、それでも彼の素直な賞賛が嬉しかった)

エレン(手を繋ごうとしたら腕を組まれ、その大胆さと感触にオレの心臓は早鐘を打つ)

ユミル(街に着いて最初に行ったのは、大きな雑貨屋。置物コーナーで見つけたコニー似の人形に二人で笑う)

エレン(ファッション系の売り場では、普段しない伊達メガネのかけあいっこ)

ユミル(初めて見る彼のメガネ姿に、思わずときめいてしまったのは内緒の話)

エレン(とても似合うのをプレゼントしてあげて、今後も知的な彼女を見られると思うと心が躍る)

ユミル(二人で買ったお揃いのコップは、定番の青と赤のもの)

エレン(周りに関係がばれないように、寮の洗面所で使おうと決めたけれど)

ユミル(やっぱり食事の時に使おうと思う)

エレン(男物を扱っている服屋でオレは、彼女の着せ替え人形と化していた)

ユミル(その新しい服を着てくるであろう、次のデートが楽しみだ)

エレン(商店街で貰った福引券で、それぞれ一回ずつの運試し。オレが残念賞で彼女が四等)

ユミル(当てた饅頭を間食として食べるつもりだったけれど、午後のごたごたですっかり忘れていた)

エレン(寮に帰ったら夕食後にでも二人で食べよう)

ユミル(昼は恋人のための空間“いちゃいちゃ”で、衝撃的なスキンシップの数々)

エレン(初めは緊張で大変だったけれど、慣れてしまえば普段できないことばかりで、最後にはしっかり楽しんでいた)

ユミル(教えてくれたフランツには感謝しておこう)

エレン(“いちゃいちゃ”を出た後は、公園で一休み。初めての膝枕が心地よかった)

ユミル(彼の寝顔を見るのは初めてで、ずっとしてあげたいなと、そう思った)

エレン(淡い眠りから覚めれば突然の雨。ここから午後の予定は大きく変わっていく)

ユミル(雨宿りに選んだ木の下で、私の下着を見て興奮した彼に襲われてしまう)

エレン(あれは人生最大級の失態だった。今後は絶対あんなことをしないと心に誓う)

ユミル(気まずい状況を打破するために、私たちはハンナに教わった連れ込み宿へ)

エレン(いったい何事かと思ったが、彼女の思いを知って、全力で応えたいと感じた)

ユミル(何も隠さず、何も我慢せず、互いの全てをぶつけて愛し合った、めくるめく初体験)

エレン(熱、快楽、感動。初めての感覚ばかりで上手くまとめられないけれど、一言で表すならば)

ユミル(幸せ、だろう)

エレン(二人ともしっかり気持ちよくなれて、初めてにしては上手くいったと言える)

ユミル(今後経験を積んで余裕ができた時には、どうなるか想像もつかない)

エレン(ゆっくりと、二人で一緒に慣れていこうと、そう思う)

ユミル(……そして、ついに訓練兵団に帰ってきた)

エレン(時刻は午後5時50分。日もほとんど沈み、明るい時間の終わりを告げている)

ユミル(同時に私たちの二人きりの時間も、目の前の門を過ぎれば終わりとなる)

エレン(自然と、どちらからともなく、門前で足を止めた)

ユミル(組んでいた腕を解いて、正対する)

エレン「……終わりだな、デート」

ユミル「……ああ、少し寂しいかな。明日からはまたきつい訓練の始まりだし」

エレン「仕方ねぇよ。オレたちは訓練兵なんだから」

ユミル「分かってる。ま、これからは堂々と恋人でいるんだから、問題ないか」

エレン「それにたまにだけど休日はあるんだ。またデートしよう」

ユミル「もちろん。今日の午後から行く予定だった場所とか、気になるし」

エレン「それもそうだな。楽しみしておいてくれ」

ユミル「言ったな? 期待しておくぞ」

エレン「任せとけ」

エレン「……じゃあ、そろそろ行くか」

ユミル「待て」

エレン「ん?」

ユミル「……今日のデート、すごく楽しかった。ありがとう」

エレン「……オレも最高に楽しかったよ。ありがとう」

ユミル「うん……これかもよろしくな、エレン」

エレン「ああ。よろしく、ユミル」

エレン(二人で笑い合った後、手をしっかり繋いで、足を踏み出す)

ユミル(いろいろあったけれど、間違いなく最高の一日だった)

エレン(……これがオレたちの)

ユミル(初デートから)

エレン(初エッチまで)



おわり

ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月19日 (木) 20:44:34   ID: dlBMvF_w

早く続きが見たいです。楽しみです。
作者さん、頑張って下さい

2 :  SS好き   2013年09月20日 (金) 01:39:35   ID: dwMO_3gk

ヤバイ、できれば一日に書く量を増やしてほしい。待ちきれんよー。

3 :  Sh   2013年09月21日 (土) 12:26:26   ID: PnU85Lie

楽しみです、私も期待しています。

4 :  SS好きの774さん   2013年09月27日 (金) 00:42:40   ID: Far1OKd0

ベルユミよりエレユミ好きな自分にはたまらんな
この人の作品好きだわぁ

5 :  SS好きの774さん   2013年10月10日 (木) 15:35:55   ID: JMltBTjj

エロいなぁw俺はこういうの好きだ

6 :  SS好きの774さん   2013年10月31日 (木) 17:01:05   ID: KPgYBwOP

楽しかった

7 :  SS好きの774さん   2014年03月29日 (土) 11:32:31   ID: EQpE6lY0

8 :  (`∀´)   2014年08月06日 (水) 14:42:27   ID: 9cJb5Myg

4等で当たった景品は?どうなったんだ

9 :  SS好きの774さん   2015年03月23日 (月) 12:15:26   ID: 0Y9NEB7j

エレユミ最高だ〜

10 :  SS好きの774さん   2015年05月11日 (月) 22:24:25   ID: 5QzkhcSc

最高でした!

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