C.C.「誰かさんへの操立てのつもりなのかなぁ? 健気というかお馬鹿というか……」
カレン「あんたこそ人にどうこう言えるわけ? 独身なのは一緒のくせに」
C.C.「私はC.C.だ、誰にも束縛されるつもりはない」
カレン「あっそ」
カレン「……たく、久しぶりに顔合わせたと思ったらそんな話ふられるとは思ってなかったわよ……」
C.C.「心配してやったつもりなんだがな? 仮とはいえ、姉としては」
カレン「6年前潜伏生活してたときの設定持ち出さないで」
C.C.「心配だったのは本当なんだけどな……おい店員、マルガリータ2枚」
カレン「じゃあ私、ハンバーグランチで」
店員「あの、お二人で一枚ずつのご注文では……」
C.C.「私が二枚食べる。文句はあるか?」
店員「……申し訳ありません」
C.C.「で? 今お前何してるんだ?」
カレン「ラクシャータさんの研究所でお世話になってる。ナイトメアの研究とか、医療サイバネティクスの勉強とか」
C.C.「真面目な事だ……もう少し色恋に目を向けてもバチは当たらないぞ?」
カレン「そんなのあたしの勝手でしょ。好きでやってる事だし、役にも立つし」
C.C.「趣味と実益の両立とでもいうのか?」
カレン「そういう事かしら」
C.C.「しかし勉強ばかりの人生も損だぞ。少しは楽しめ」
カレン「楽しんでるつもりよ。ちょっと今、興味湧いてる事だってあるし」
C.C.「……ほう? 何だ?」
カレン「競技ナイトメアリーグ。うちの研究所もスポンサーしてるんだけど、選手やらないかってオファー来てんの」
C.C.「なんだ、結局ナイトメアか」
カレン「……何よ。文句ある?」
C.C.「いや、なんにも変わってないという事がわかって安心したような……」
C.C.「……違うな、がっかりしたような」
カレン「なーによガッカリって。どういう展開期待してたわけ?」
C.C.「6年も経ったんだから、男の一人二人作って、結婚してガキでも作って幸せにやってると思ってたらこうだ。ガッカリもする」
カレン「勝手に人の人生設計しないでほしいわね。だいたい、男の一人はともかく、二人は問題でしょうが」
C.C.「私の周りには数多の男がいたぞ? 両手で数え切れないほどには」
カレン「はいはい、過去の男自慢は結構です」
店員「お待たせしましたー、ピッツァ・マルガリータが二枚とハンバーグランチになりまーす」ゴトッ
カレン「あっ、来た来たっ」
C.C.「まったく、遅いぞ。ついでに赤ワイン頼む、迅速にな」
店員「かしこまりました」
カレン「真昼間からお酒呑むわけ……」
C.C.「それでだカレン。実際のとこどうなんだ?」ムシャッ
カレン「何よ。まだるっこしいわね」モグモグ
C.C.「だから、男だよ。オ・ト・コ。いないのか?」
カレン「はぁ……いいでしょ、別にそんな話」
C.C.「よくはないさ。お前の将来に関わることだ」
カレン「お母さんみたいなこと言うのね……保護者ってガラでもないくせに」モグモグ
C.C.「普通女とは色恋沙汰の話でこそ盛り上がるものだ。お前がそんな話切り出さないから、心配してやってるんだぞ? 私なりに」モグモグ
カレン「それはどうも、お心遣い感謝するべきかしら?」
C.C.「口の悪さも変わらないんだな。黙ってればなかなかいい女なのに」
カレン「あんたほどじゃありませんーだ」
C.C.「なあ、あいつはどうなんだ?」
カレン「あいつ?……誰?」
C.C.「いるだろ、ジノとかいう金髪。元ラウンズの」
カレン「ああ、ジノね。ジノがどうかしたの?」
C.C.「いやな、てっきり私はあいつといい関係になってるのかと思っていたんだが」
カレン「はぁ!? ちょっと、なんでそういう事に……」
C.C.「あいつ結構、お前にコナかけてただろ?」
カレン「コナって何……?」
C.C.「あの戦い前後から結構仲良くしてそうだったからな。これはもしやと思ってたんだよ」
カレン「……まぁ確かに、悪い奴じゃないと思うわよ」
C.C.「ほほう? 脈アリか?」
カレン「でも残念ね、あいつはただの友達」
C.C.「おや? 言い寄られたりとかはしてないのか?」
カレン「うーん……何かと突っかかってくることはあるけど……」
C.C.「それ以前にあいつはどこで何してるんだ? 妙にいろんなところで目撃報告があるようだが」
カレン「なんかねー、その……冒険家? やってるみたい……」
カレン「こないだもほら、こんな写メ送られてきたんだけど……」ピッ
C.C.「……これ、どこかの山頂か……」
カレン「エベレスト登頂記念だって」
C.C.「それでいてこの平然な笑顔……さすが元ラウンズとでもいうべきかな」
カレン「愉しそうな顔よね~。人生楽しんでる感じがプンプンするわ」
C.C.「なるほど、こうして世界中旅して回ってるなら進展も望めないか」
カレン「進展って何よ。だからそういう仲じゃないんだってば」
C.C.「何か面白い話とかないのか~? 宝石でも贈られたとか甘い言葉言われたりとか」
カレン「ないわね……あ、でも色々貰い物はあるかな?」
C.C.「ほう?」
カレン「周ったらしい各地の民芸品とか。正直贈られすぎて邪魔なくらいだけど」
カレン「正直あまり贈られすぎても処分に困るのよね~……なんであたしにばっか贈ってくんだか」
C.C.「……他の奴にはそういうのないのか?」
カレン「アーニャはいくつか貰ったらしいけど……あたしほど多くはないみたい。あっちは元同僚だってのに、この差はちょっと冷たいんじゃない?」ハァ…
C.C.(……ここも相変わらずか。ニブい奴め)
メシいってくる
っつか思いつきで立てただけで展開もなにも考えてないんだが…
カレン「アーニャとオレンジさんの農場もかなりでっかくなったわよねー……国内のシェアの大半はあそこらしいわ」
C.C.「あいつは文字通りオレンジに誇りと心血を注ぐつもりらしいな……他の連中はどうしてる?」
カレン「んー、そうね……うちの研究所にコーネリアも勤めてるんだけどさ」
C.C.「ふむ」
カレン「結婚したの」
C.C.「誰とだ」
カレン「ギルフォードさんと」
C.C.「あのロン毛メガネか。あの気の強いお姫様の事だ、尻に敷いてるんじゃないか」
カレン「それが結構いい感じみたいよ。だってね……」
C.C.「なんだ?」
カレン「今、二人目身ごもってるって」
C.C.「ほほう」
C.C.「なるほどなるほど、あのじゃじゃ馬も母親になったのか」
カレン「おかげですっかり丸くなっちゃって……戦ってたときからは想像もつかないわ」
C.C.「丸くなったとはどっちがだ?」
カレン「さすがに失礼よ」
C.C.「冗談さ。だがコーネリアの事だ、尻に敷いてるのは間違いないな」
カレン「なんで言い切れるわけ?」
C.C.「父親が父親だからな。夜は負け知らずの将軍として尻に敷いてることだろ」
カレン「……下品ね」
C.C.「処女には刺激が強かったかな? ふふっ」
店員「お待たせしました、赤ワインです」
C.C.「来たか。ついでにシーフードピザを二枚、あとストロベリーサンデー一つ」
カレン「まだ食べるの……あ、すみません。チョコレートパフェとコーラフロートお願いします」
カレン「他はそうねー……ロイドさんにセシルさんは相変わらずみたい」
C.C.「まぁあの二人は想像に難くないな……ラクシャータも元気か?」
カレン「そりゃもちろん。……たまには会いに行ったら?」
C.C.「ふ……ま、考えておくよ」
カレン「玉城の店も順調みたいでね。なんか今度、二号店開くって」
C.C.「予想外だな」
カレン「で、リヴァルがその二号店の店長になるんだってさ。とうとうバイトから格上げだって喜んでた」
C.C.「リヴァル……? はて、誰だったか……」
カレン「あー……面識、なかったっけ?」
C.C.「さあな」
カレン「ミレイ会長はまたレギュラー番組増えて……もうアナウンサーっていうかマルチタレントね」
C.C.「あのキャラだ。元々そういうの向いてたんだろ」
カレン「なんだか今度写真集出すみたいな話も聞いたんだけど、アレ本当なのかしら……」
C.C.「お前も出したらどうだ?」
カレン「冗談言わないの。見世物になるのなんてゴメンだわ……だいたい、誰が買うのよ」
C.C.「ジノあたりは買うんじゃないか?」
カレン「まっぴらね」
C.C.「黒の騎士団の連中はどうだ?」
カレン「うん……藤堂さんは相変わらず、軍事の責任者として頑張ってる。『自分にはそれしか出来ないから』って」
C.C.「クソ真面目な堅物男だ……いい加減、千葉とはくっついたのか?」
カレン「もう千葉さんじゃないわ、藤堂さんよ」
C.C.「ふ……やっとくっついたか。ま、歳が歳だ」
カレン「主婦やりながら最近レシピ本出してたの。監修は旦那様……これよ」スッ
C.C.「……」ペラッペラッ
C.C.「見易いな。工程が実にわかり易くまとめられてる」
カレン「この辺が藤堂さんよね……」
C.C.「ちなみに、この夫妻のガキは?」
カレン「去年二人目が産まれたわ。目指すは四人だって」
C.C.「新世代の四聖剣……か」
カレン「他はそうね……杉山さん、来月CDデビュー決まったって」
C.C.「誰だ?」
カレン「忘れたの?」
C.C.「……今一つ思いだせん……」
カレン「……じゃあ、南さんはわかる?」
C.C.「ロリコン男か。わかるぞ」
カレン「あの人、実はね……」
C.C.「……さては、まさか捕まったか?」
カレン「……わかっちゃう?」
C.C.「容易くな。ナナリーも天子も、もうあいつの守備範囲外だろうし」
カレン「平和に慣れて、心のタガが外れちゃったのかしら……アッシュフォードの中等部で、盗撮してるところ見つかったって……」
C.C.「……情けないな」
C.C.「ワールドニュースの限りだと、神楽耶が新しい首相になるらしいな」
カレン「元々戦時中も代表やってたし、二十歳越えたからね。丁度いい時期だったんでしょ」
C.C.「ま、カラダの方は少々残念なままのようだが」
カレン「失礼でしょ」
C.C.「お前に言われてもなおさら傷付くだけと思うぞ、そんな大層なものぶら下げて」
カレン「……そうかしら」タラッ
C.C.「ああ」グビッ
店員「ご注文の品々、お待たせしました~。えっと、チョコレートパフェのお客様は……」
カレン「あ、こっちです。どうも」
カレン「――んっ、このパフェおいしっ!」
C.C.「……カレン、一口よこせ」
カレン「やーよ。ただではあげられない」
C.C.「ちっ……仕方ない。私のストロベリーサンデーを一口やる」
カレン「なら、条件成立ね。ほら」スッ
C.C.「あむっ……ほう、なかなかだな」
カレン「このサンデーも美味しいじゃない……当たりね、ここの店」
C.C.「甘いものを好むあたり、お前も女を捨てたわけじゃなかったんだな」
カレン「いいでしょ、それぐらい」
C.C.「ところでカレン。神楽耶就任にあたって疑問なんだが……」
カレン「……」
C.C.「前の首相は……扇の奴はどうなった?」
カレン「……あまり、大きい声で言える話じゃないんだけど……」
C.C.「……話せ」ズイッ
カレン「……その、ね……最近になってちょっと黒い噂が立ってるのよ……」
カレン「情報規制はかかってるみたいだけど、なんか……汚職とか、浮気とか……」
C.C.「……権力は人を変えるっていうアレか……」
カレン「最近久しぶりに電話かかって来たんだけど……なんだかね、最近夫婦仲もよくないらしくて……」
C.C.「……倦怠期か?」
カレン「奥さん……ヴィレッタさんからこないだメール入ったんだけど、それが……その、コレ」ピッ
ヴィレッタ『ここ一年、帰ってきたら「メシ」「風呂」「寝る」の三語で会話が終わる! 紅月、日本人の夫とはこれが普通なのか!?』
C.C.「これは……」
カレン「正直、あたし返事に困っちゃった……」
おのれ扇!!
C.C.「……まあ、いつの時代もこういう男はいるものだ。そんな男を選んだ自身を呪えとしか言えないな、私は」
カレン「呪えって……物騒よ」
C.C.「だがこれも真理だよ。結婚は人生の墓場とも言うからな。……よかったな、独身で」
カレン「それ、褒めてんの?」
C.C.「さあな。だがお前ほどの女がその歳まで純潔保ってられるのも奇跡だよ」
カレン「大きい声で言わないでってば!!」
C.C.「なんだ、恥ずかしいのか?」
カレン「べっ!? べ、別、に……」モジモジ
C.C.「まぁ何にせよだ。神楽耶に政権交代する前に扇はキッチリ禊をするべきだろうな、次代のために」
カレン「そうね……はぁ、昔はこんなことする人と思ってなかったのに……」
C.C.「そういえば星刻と天子も祝言挙げるんだってな」
カレン「え? ああ……うん」
C.C.「てっきりもう逝ってしまったものと思ったんだがな。あのロリコンもしぶとい奴だ」
カレン「治療に専念できたおかげで、かなり良くなったんだって。完治ではないけど、少なくとも向こう十年は大丈夫みたい」
カレン「それに、ロリコンはもう返上でしょ? 天子様、すっかり綺麗になって」
C.C.「そうらしいな。随分と女らしい姿になったものだ」
カレン「そりゃそうでしょ、6年も経ったんだもの。すっかり大人の女よ」
C.C.「一方神楽耶は」
カレン「ちょっと! 次期首相の悪口禁止!!」
C.C.「じゃあ、一方日本のロリコンは」
カレン「……それは、返す言葉もないわ」
>>95修正
C.C.「そうらしいな。随分と女らしい姿になったものだ」
↓
C.C.「あの幼女が、随分と女らしい姿になったものだな」
ガチャッ カランコローン
咲世子「あら、これは珍しい方がいらっしゃったようで……」
C.C.「おや、久しいな」
カレン「咲世子さん! 久しぶり……元気ですか?」
咲世子「それはもちろん」ガサッ
C.C.「……買出しの帰りか?」
咲世子「ええ。それで、恥ずかしながら小腹が空きまして……ご同席してもよろしいですか?」
カレン「もちろん。どうぞ、そっちに」
咲世子「すみません。では失礼しまして……ああ、クリームあんみつをお願いします」
店員「かしこまりましたー」
咲世子「それで、お二人で何を話されていたので?」
C.C.「なに、久しぶりに感動の再会を果たした義理の姉妹のガールズトーク大会だよ」
カレン「何吹き込んでるのよ。あんた、ガールって歳でもないでしょうに」
C.C.「咲世子、ちょっとお仕置きしてやれ」
咲世子「C.C.様でもお歳を気にされるので?」キョトン
C.C.「……」
カレン「あー……まぁ、久しぶりに会ったから、食事しながら世間話してただけですよ。昔の仲間とか、友達の話とか」
咲世子「あれから6年ですからね……皆さん変わった方も、そうでない方もいるようですが……」
カレン「咲世子さんは……どうなんですか?」
咲世子「私はメイドとしてお仕事をするまでです。変わる事などございません」
カレン「そっか、相変わらずなんだ……って事は、この近くで仕えてるんですか?」
咲世子「いえいえ、近くではありません。今日はあくまで、買い物の用事で近くに来ただけでして」
C.C.「ふぅん……まぁいい。咲世子、一杯呑るか?」クイッ
カレン「ちょっと、まだ昼間だって……」
咲世子「よろしいのですか? ではお言葉に甘えて」スッ
カレン「ってちょっと!?」
C.C.「そうそう、多少なり心に余裕がなくてはな」トクトク…
咲世子「それでは……(グッ)んっ……ふぅ、なかなかのお味のようで」
カレン「あの……仕事中に、いいんですか?」
咲世子「それなりに耐性はあるつもりです。それに、鍛えておりますので」
C.C.「お前もどうだ?」
カレン「昼間っからお酒は呑まない。コーラで十分」
C.C.「ガキだな」
カレン「うっさいわね」
店員「クリームあんみつのお客様~、お待たせしました~」
咲世子「お待ちしてました、ありがとうございます」
カレン「……なんか、咲世子さんってさ」
咲世子「はい?」
カレン「あんみつとか、和菓子食べる姿がすごく似合ってますよね」
咲世子「あらぁ、お褒めに与り光栄です♪」
C.C.「あんみつにワインの組み合わせも斬新だけどな」
カレン「あんたが飲ませたんでしょうが!」
咲世子「うふふ、仲がよろしい事で」
カレン「だっ!? 誰がこんな女と!!」
C.C.「ふふっ、そうだろ? 義理とはいえ姉妹だからな」
カレン「だーもう、いい加減いいでしょ!! 昔の設定は!!」
C.C.「ところで聞いてくれ咲世子。カレンの奴な、24にもなってまだ独身どころか処女なんだそうだ」
咲世子「あらまあ、それはそれは」
カレン「ちょっと!! C.C.!?」
C.C.「一時ながら姉をやった者としてはさすがに少々心配でな。お前、どう思う?」
咲世子「私としては……そこまで気にする事でもないかと」
C.C.「ほう? 咲世子は寛大だな」
咲世子「いえ、やはり心から惚れこんだ殿方のために純潔を保つというのもまた、古来よりの日本女性の矜持でもありますから」
咲世子「そう考えればカレンさんはまさに日本女性として、大和撫子として正しい道を歩んでいるかと」
カレン「え? え、えへへ……///」
C.C.「……だから言ってるんだよ。このままだとお前、たぶん一生涯処女だぞ?」
カレン「ぐっ……」
C.C.「素材はいいのに持て余してるも同然だ。相手を見つける事もないまま枯れゆくのが、果たして本望か?」
咲世子「……そうですねぇ。女として生まれた喜びを知らぬうちに散ってしまうのは悲しい事です」
カレン「……だって……」
C.C.「やっぱり、忘れられないか? あいつの事が」
カレン「……」
C.C.「まさか、初恋だったのか?」
咲世子「初恋は実らない……そう言いますからね」
カレン「……あたしは……その……」
ピロリン♪
カレン「? あ、メール……ん?」
ジノ『やあカレン! 今回の俺の冒険譚をお送りするよ!』
ジノ『今回はナイル川をボートで下ってきたんだ。いやーさすが世界最長の川、すっごいなぁ!』
ジノ『もちろん今回も流域周辺で手に入れたお土産があるんだ。ちゃんと贈るから楽しみにしててくれよ!』
ジノ『では引き続き今度はアマゾン川制覇に挑戦してみるよ。それじゃあ、次の冒険譚をお楽しみに! ―END―』
カレン「はぁ……またいつもの報告か。あ、で……なんだったっけ?」
C.C.(この通り、好意にはニブい様子なんだ)ヒソヒソ
咲世子(はぁ……やはりあの方に似ておりますねぇ……)ヒソヒソ
カレン「……ちょっと、何ヒソヒソ話してるの? 感じ悪いわよ」
C.C.「まあなんだ……いつまでも想い続けるのもいいが、想いとは過ぎると呪縛となるぞ?」
カレン「それくらいわかってるわよ……けど……」
咲世子「ですが、それほど思われるとは幸せ者です。どなたとは言いませんが」
カレン「……あのさ、C.C.」
C.C.「ん?……なんだ」
カレン「今更なんだけどさ……あのとき、酷いこと言って……ごめん」
C.C.「何を謝る事がある。もう時効だよ」
カレン「それでも……ごめん」
C.C.「いいんだよ。もう、済んだ事だ。……言ったろ、お前の勝ちだって」
カレン「違う……だって、あたしは……彼の側には……」
咲世子「カレンさん。もうよいのです」
カレン「……ごめん、ちょっと席外すね」ガタッ
C.C.「トイレか?」
カレン「……そんな、とこ」
C.C.「ああ……急がなくていいからな」
―――――
―――――――
カレン「……」
カレン「わかってるわよ……もう、終わった恋だったって……」
カレン「知らないうちに始まって……気付いたら、終わってた恋だったってくらい……」
カレン「……わかっ、てる……のに……」
カレン「他の人なんて……好きに、なれないよ……」
カレン「だって、今でも……あなたが好きなんだよ……ルルーシュ……」
カレン「うっ、うぅっ……うえぇぇぇ……」
>>132修正
カレン「わかってるわよ……もう、終わった恋だったって……」
↓
カレン「わかってるわよ……もう、終わった恋だって……」
C.C.「……さて咲世子。どう思う?」
咲世子「厄介ですねぇ。あまりにあのお方の印象が強く焼きついてしまっているようです」
C.C.「だから言ったろ、このままじゃ生涯処女だって。……あいつはカレンの幸せを願ってたというのに」
咲世子「よき殿方が見つかれば一番良いのですが……いささかハードルが高すぎるでしょうか」
C.C.「体力的側面でみればむしろハードルは低いんだけどな」
咲世子「どうしましょう? 色恋沙汰はC.C.様の方が得手ではないですか?」
C.C.「……そうだな。少々リミッターを外してやろうか」スッ
咲世子「なるほど。多少は勢いも必要という事で」
C.C.「そういう事さ……ふふっ、さて。どうなるかな」トクトク…
カレン「……ごめん、お待たせ」テテテッ
C.C.「いや、予想よりは早かったよ」
カレン「ん?……あれ、あたしのコーラ……増えてない?」
C.C.「店員に頼んで足してもらったんだよ。気にするな、これはおごりだ」
咲世子「ええ、話のお供には少々量が少ないと思いましたので」ニッコリ
カレン「……そうなんだ。ありがと」
咲世子「ところでカレンさん。星刻様と天子様の婚礼の儀には出席なさるのですか?」
カレン「え? ああ、招待状なら貰ってますけど……ただ、国家元首の結婚式にあたしが出ていいのかって……」
C.C.「遠慮するような間柄でもないだろう? それに、結婚式のもう一つの顔は出会いの場だ。いい相手が見つかるかもしれんぞ?」
咲世子「私も行くつもりですよ。篠崎流を絶やさぬためにも、お相手は必要ですから」
カレン「うーん……どうしよっかなぁ……」ズズズッ…
カレン「!? ぶふっ、ケホッ、ケホッ……」
C.C.「おや? どうした、カレン?」ニヤニヤ
カレン「な、何、このコーラ……変な味する……ハァ、それに……なんか……」
咲世子「あらら、随分効きが早いようで」
カレン「はぁっ、はぁ……ちょっと……一体、何入れたの!?」
C.C.「これだ」つ赤ワイン
カレン「!? お酒!? あ、あんたねぇ……!!」
C.C.「深く考えるなよ。カクテルとでも思えばいい」
カレン「そんなの! な、何考えて……うぅっ」フラッ
C.C.「……もうグロッキーか。こいつ、アルコール耐性低いな」
咲世子「このワインのアルコール度数は……あら、結構高めだったようです」
カレン「はぁ……はぁっ……あ、熱い……」
C.C.「……弱ったな。ここまでとは思わなかった。多少陽気になって一歩踏み出せればと思ったんだが」
咲世子「……店を出て介抱しましょうか?」
C.C.「いや……今出てもマズい気がする。落ち着くまで待とう」
カレン「はぁっ……はぁ……」
C.C.「予想以上に酔ってるな……たった一口しか飲んでないのに」
カレン「あつい……体、熱い……」プチップチッ
咲世子「脱いではいけませんカレンさん、他のお客様もいるのです。お水、飲みますか?」
カレン「う、うん……」ゴクッ
カレン「はぁ……はぁ……」
C.C.「……落ち着いたか?」
カレン「……はぁ……」
咲世子「申し訳ありません。余計な真似をしてしまいまして……」
カレン「うっ……うぅっ……」グスッ
C.C.「……カレン? どうした、お前……」
ゼロ「やあ、みんな!」
一同「お前は、まさか!!」
ゼロ「ルルーシュかと思ったかい?」仮面を取る
スザク「オレだよ!!」
カレン「うっく……うえぇぇぇん……C.C.……ごめんね、C.C.……」
C.C.「お、おい……何を謝って」
カレン「わたし……C.C.に嫉妬してた……うらやましかったの、あんたがぁ……」グスグスッ
カレン「だ、だって……あんたは、彼に……ルル―――」
咲世子「あーはいルルさんですね? ルルさんがどうかされましたか?」
C.C.(ナイスだ咲世子! 今の世界、公共の場でルルーシュの名前はタブーだからな)
カレン「――に、必要とされてて……わたし、は……必要とされなくて……」グスッ
カレン「例え、地獄の道でも、一緒に付き添えるあんたが……うら、やましかったのよぉ……うえぇぇ……」グスッグスッ
C.C.「……そうか。わかった、わかったから泣くな」
カレン「ほ、本当は……わたしも、一緒にいたかった……同じもの目指してるって、信じたかったんだよぉ……うぅっ……」グスッ
C.C.(なるほど。普段気丈でいる分、酔っ払うと弱い側面が一気に出るか……泣き上戸とは、これはこれで厄介だな)
カレン「わたしね……C.C.、あんたみたいになりたかった……」グスッ
C.C.「……そうか」
カレン「あんたみたいに、いつも彼の隣にいられる人になりたかった……ナナリーみたいに、彼の心を支えられる人になりたかった……」
C.C.「ああ」
カレン「でも、なれなかった……! なれなかったのよぉ……うえぇ……」グスグスッ
カレン「わた、し……C.C.にも、ナナリーにも……シャーリーみたいにも、なれない……!!」
C.C.「……そうだな。お前はカレンであって、私でもナナリーでもない。他の人になんてなれっこない」
C.C.「でもいいんだよ。カレンは、カレンのままで」ナデナデ
カレン「でも……でもぉっ……」ギュッ
カレン「……ねぇ、C.C.……」
C.C.「うん?」
カレン「わたしね……ルルーシュが好き……」
C.C.「……知ってるよ」
カレン「彼が好きで……ずっと好きで……今でも、忘れられなくて……」グスッ
C.C.「……そうか。それほど想われるとは、あいつは幸せ者だな」
カレン「もう逢えないってわかっていても……もう一度、逢いたくて……」
C.C.「……うん」
カレン「いつもね、夢に現れて……笑いかけてくれるのに、目が覚めるといなくって……」グスッ
C.C.「そうか……まったく、残酷だな。あいつは」ナデナデ
カレン「もう一度、もう一度だけでいいの……あの人に、逢いたいんだよぉ……」
メシ喰ってきます
我ながら着地点がわからねぇ…
C.C.「……なぁカレン。お前さっき、私になれないって……そう言ったよな」
カレン「……うん……」グスッ
C.C.「私も、お前にはなれない。私だけじゃないさ。咲世子も、ナナリーも、シャーリーだって、お前みたいにはなれない」
C.C.「私達が出来たのは、あいつが選んだ道に付き添うだけ。あいつが道を外したときに、あいつを引っ叩いてやる事なんて出来ない」
咲世子「はい」ニッコリ
C.C.「あいつを引っ叩けたお前は、それだけあいつを真正面から見れたという事だよ。……誇りに思っていい」ナデナデ
C.C.「だから言ったんだよ。あの時、お前の勝ちだって……戦いだけじゃない、一人の女としてな」
カレン「それ、でも……わたし、求められることも……止めることだって、出来なかった……」グスグスッ
C.C.「……いいや。あいつはお前を求めてたよ……きっと、誰よりもな」
C.C.「昔言わなかったか? 『あいつは、最も大事な女を遠ざける』って」
カレン「……うん」
C.C.「あいつが計画を決意したとき、既にナナリーはいないものと思ってた。そしてあいつは、お前を巻き込まないことを決めたんだ」
C.C.「少なくともあのとき……お前はあいつにとって、一番大事な女になっていたのさ」
カレン「……そう、かなぁ……」グスッ
C.C.「そうさ。……いや、むしろもっと前から大事だったのかもな」
C.C.「あいつ、守りたいものを遠ざける割にはな? 信じた者や、自分をわかってくれる者は手の届くところに置きたがるクセがあるんだよ……矛盾だろ?」
C.C.「それが私であり、ナナリーであり、枢木であり……そして、お前だ」
C.C.「かつて親衛隊長に選んだのも、紅蓮を託したのも、全てそういった理由かも知れないな……まったく、不器用な坊やだよ」
カレン「バカだよ……そん、なの……う、うぅっ……」
C.C.「だからさ……誇れ。あいつをそれだけ想って、あいつに想われたことをさ」ナデナデ
カレン「ねぇ……C.C.は、彼のこと……好き?」
C.C.「……ああ。好きだよ」
カレン「彼と……寝たの?」グスッ
C.C.「……カレン。いい事を教えてやろうか」
カレン「うん?」
C.C.「私は確かにあいつのベッドで寝た事はある。というか、あいつのベッドは私が占拠してた」
咲世子「道理でベッドに長い髪が散乱していたわけです」
C.C.「だがお前が言ったような意味で寝たことは、一度もないよ。最後まで、貞淑だった」
C.C.「あいつは悪名にまみれながらも、自分の筋と貞操は貫き通した。綺麗な体のまま逝ったよ」
カレン「嘘……つかない?」グスグスッ
C.C.「悪い冗談は嫌いなんだよ。……信じられないか?」
カレン「……ううん」
カレン「ごめんね……疑ったり、八つ当たっちゃって……ごめんね……」
C.C.「謝るな。……謝るのは私の方だ。あいつに遠ざける生き方を教えたのは、私だからな」
カレン「それでも……ごめん……ね……」
C.C.「まったく……だが、あいつのことを想うならなおさらだ。誰か見つけて、幸せになって……空の上に、笑顔を見せてやれ」
カレン「無理……だよぉ……好きすぎて……他の人、好きに……なれないのぉ……」グスッ
カレン「だから……もう一度だけで、いい、から……逢い、た……ぃ……」
C.C.「……カレン?」
カレン「すー……すー……」zzz
咲世子「……眠ってしまわれましたね。酔いに加え、泣き疲れたのでしょう」
C.C.「……そうか。やれやれ、見た目は立派になっても、心の中は子供のままみたいだな」
C.C.「これだけ想ってくれる女をほっぽってあんな事しでかすとは……まったく、酷い男と思わないか? なぁ咲世子」
咲世子「そうですね……あの方最大のミスかと思います」
C.C.「この国の歌にもあったよなぁ。確か、ウサギは……」
咲世子「寂しすぎると死んでしまうんですよね」
C.C.「ああ……だが、死なせるわけにはいかないよな?」
咲世子「もちろんです」
C.C.「よし、とにかく店を出るぞ。咲世子、カレンを担いでやれ」
咲世子「心得ました。……さて、平行して」ピピピッ
C.C.「おい、会計頼む。……ああ、あとテイクアウトでこれこれこのピザ、合計5枚。悪いが急ぎで頼む」
店員「あ、ありがとうございます……」
咲世子「もしもし、カレンさんのお母様ですか? 私、篠崎咲世子と申します。突然申し訳ありませんが、ご息女の事で――」
C.C.「大荷物のところ悪いな、咲世子。土産物で手が塞がってしまった……きついか?」
咲世子「いえ、まったく問題ありません」
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