P「音無さん…今日、誕生日だったんですね…」小鳥「えぇ、まぁ…」 (47)

P「さっき春香から聞いて…すみませんでした!」

小鳥「えっ!?ちょ、どうしてプロデューサーさんが謝るんですか!?」

P「俺、全然気づいてなくて…何も用意してなくて」

小鳥「いやいや、いいんですよぉ、ただの仕事の同僚なんですから…」

P「でも俺の誕生日にプレゼントくださったじゃないですか。俺、あの時すごく嬉しかったんですよ」

小鳥「そ、そうだったんですか!?で、でもあれは他のみんなも一緒だったし…」

P「音無さんの誕生日にはちゃんとお返ししようって思ってたのにすっかり忘れてて…本当にすみません」

小鳥「も~、プロデューサーさんは真面目すぎるんですよぉ。そういうところが好きなんだけど」ボソッ

P「はい?」

小鳥「い、いえ何でもないですよぉ~」

P「それで、いろいろ考えたんですけど…こんな時間にプレゼント売ってるような店も開いてないので…これ、どうぞ」

小鳥「紙…?えぇと…『プロデューサーが何でも言うことを聞いてくれる券』!?」

P「すみません、母の日のプレゼントみたいで…というか俺の母の日のプレゼントの定番なんですけど」

小鳥「母の日かぁ…ってそんなことよりこれ本気ですか!?」

P「はい。死ねとかそういうことでなければ何でもです!ちなみに母はそれを使って俺に創作ダンスを踊らせるのが好きでしたね」

小鳥「そ、創作ダンス…」

P「今日のところはそれで勘弁してください。後で改めて、何か贈りますから」

小鳥「い、いえ、そこまでしてもらっては…!」

P「あ、すみません!明日朝イチでロケなんでもう上がりますね、そろそろ終電なんで!お疲れ様でした!」

小鳥「お、お疲れ様でしたぁ!」

P「あ!誕生日おめでとうございます、小鳥さん!それじゃまた!」

小鳥「あ、ありがとうござ…行っちゃった」

小鳥「…何でも言うことを聞いてくれる券って…マジ?」

小鳥「どどどどどどうすべえ…!」

小鳥「ななな何でもって!何でもって何!?何でもって何でもよねえ!?何!?何でもって!?」

小鳥「ふおぉ…何だかとんでもないゴールドチケットを手に入れてしまったわ…!」

小鳥「わ、私は…私はこれを…これをどうすべきなの!?どう使うべきなの!?」

小鳥「お、落ち着くのよ小鳥、落ち着いて…」

小鳥「って落ち着けるかーい!」

小鳥「こ、これはあれかしら、『これを使って俺に告白してください』っていうプロデューサーさんなりのアプローチなのかしら!?」

小鳥「いやいやいやいや、あの天然なプロデューサーさんに限ってそれはないわ…」

小鳥「本気でプレゼントを忘れて、昔を思い出して急遽作って渡したってところでしょうね…」

小鳥「…だとすると…これは難しいわね」

小鳥「これを使って『結婚してください!』とか『お付き合いしてください!』とか言うのは簡単だわ」

小鳥「でも、おそらくプロデューサーさんはそんなことは一切想定していないはず」

小鳥「せいぜい肩を揉めとかご飯をおごれとか千早ちゃんのモノマネをしろとか…予想しているのはまあそんなところでしょうね」

小鳥「そこで『私の男になりなさい!』とか言おうものならそれこそドン引き…」

小鳥「お付き合いに発展するどころか本気にもされず、二人の関係が微妙になるだけだわ」

小鳥「慌てる乞食は貰いが少ない。この券を有効に活用するためには…」

小鳥「プロデューサーさんがちゃんと実行してくれて、しかも二人の関係がより深まるようなお願いを考えるべきね」

小鳥「これは…試練だわ!神が誕生日に、大台に突入した私に与えたもうた試練!」

小鳥「乗り越えてやろうじゃないの!そして、掴んでやろうじゃないの!幸福の蒼い鳥を!」

小鳥「…あれ?裏に何か書いてある…『有効期限9月10日まで』…」

小鳥「明日!?…というかすでに今日!?」

P「30歳の誕生日おめでとうございます」

小鳥「プロデューサーさん……」

P「お前はもう死んでいる」

P「ひでぶwwwwwwwww」

小鳥「……」

翌朝

春香「おっはようございまーす!」

小鳥「ヴぁーぁ…春香ちゃんおはよう…」

春香「小鳥さん!?どどどうしたんですか!?すごいクマができてますよっ!?」

小鳥「いろいろ考えてみたものいい案が出ず…徹夜…へ、へへ…」

春香「ダメですよ小鳥さん!お仕事熱心なのはいいことですけど、自分の体も考えなきゃ…」

小鳥「ありがとー…お仕事は全然してないんだけどね…」

春香「と、とりあえずコーヒー淹れてきますね」

小鳥「あぁー…春香ちゃんは優しいわぁ~…大好き~」

小鳥「しかし…本当にどうしたものかしら…まるでいい考えが浮かばにゃい…」

小鳥「…もうモノマネ100連発とかでいいかなぁ…」

春香「小鳥さん、コーヒー入りましたよ!ほら、もっとしゃんとしてくださいよぉ」

小鳥「疲れたよハルカッシュ…なんだかとても眠いんだ…」

春香「もー!ほらっ、ちゃんとしろ、小鳥っ!」

小鳥「ちゃんとしますよ、小鳥ぃー…………!!」

小鳥「ユリーカ!」ガタッ

春香「わあっ!?」

小鳥「わかったわ!春香ちゃん、答えが見つかったわ!ありがとぉー!」ぎゅうっ

春香「お、おめでとうございます…ちょ、小鳥さん、苦しいですよぉ」

小鳥「そうと決まれば善は急げ!春香ちゃん、後はよろしく!」

春香「えっ!?どこか行かれるんですか!?」

小鳥「仮眠室よ!おやすみなさいなの!」

春香「あー、寝るんだ…ってこれから私お仕事あるんですけど!?ちょっと小鳥さん!?」

小鳥「んがー」

春香「もう寝てるし…小鳥さん!起きてくださいよ、小鳥さん!」

小鳥「ぐおー」

春香「律子さんが来ましたよ小鳥さん!」

小鳥「すぴー」

春香「駄目だ、これ完全に熟睡だぁー…私お仕事どうするのーっ!?」



小鳥「お疲れ様ですプロデューサーさん、もうみんな帰りました?」

P「はい、全員送り出しましたよ。音無さんもお疲れ様でした」

小鳥「はぁ…何だか今日はいつも以上に疲れちゃったなあ」

P「いつも以上に律子に怒られてましたからね」

小鳥「プロデューサーさんのせいですよ?」

P「え、俺ですか!?」

小鳥「ふふふっ」

P「俺、何かしたかなあ…」

小鳥「えへへ、半分冗談ですから気にしないで下さい」

P「じゃあやっぱり半分は本当なんですか?え?何だ?」

小鳥「それよりプロデューサーさん、他に何か忘れてませんか?」

P「え?他に…そういえば腹、減りましたね。一緒に何か食べに行きますか」

小鳥「もう!もっと大事なこと、忘れてませんか?」

P「はぁ…」

小鳥「これですよ、こーれ!」

P「あ、その券のことですか!すっかり忘れてた」

小鳥「また忘れちゃってたんですか?」

P「すみません」

小鳥「ふふっ、まあいいですよ。思い出してくれたのなら」

P「それじゃ、使い道が決まったんですか?」

小鳥「ええ。プロデューサーさんがいじわるするから頑張って考えたんですよ?」

P「いじわる!?えっ!?」

小鳥「どうして有効期限が今日までなんですか?」

P「いやぁ、先日母が15年くらい前に渡した券を使って温泉旅行をねだってきたもので…」

小鳥「…物持ちのいいお母さんですねぇ」

P「まさか残しているとは思いませんでした。まあそういうことなので、有効期限をつけようかと」

小鳥「それにしても渡した翌日までっていうのは短すぎです。おかげで私、徹夜しちゃったんだから」

P「…あ!それで今日昼過ぎまで爆睡してたんですね!?…何もそんなに深く考えるようなものでもないのに…」

小鳥「充分深く考えるようなものでしたよーだ」

P「そう、ですか…?それで、頼みごとは何です?あ、この後の飲み代全額おごりとか?」

小鳥「ぶーっ。はずれです!ご心配なく、お金のかかるお願いじゃありませんよ」

P「よかったー、実は今財布の中身がピンチで…じゃああれだ、マッサージとかですか?俺結構上手いんですよ」

小鳥「ぶっぶーっ!それもはずれです!」

P「そうですか…まあ、恋人でもない女性の体に触れるっていうのもあれですしね」

小鳥「プロデューサーさんは普段からいろいろタッチしてるって聞きますけど?」

P「さ、さあて何のことやら…じゃ、じゃああれですか?何か芸をしますか。千早のモノマネくらいなら」

小鳥「ぶっぶっぶーっ!そういうのは忘年会でみんなの前でやってくださいね」

P「千早の前でやったら殺されます。えー?じゃあ何だ…?」

小鳥「ふふふっ。それじゃあそろそろ使っちゃおうかな。…プロデューサーさん」

P「は…はいっ!?」

小鳥「これからは私のことを…小鳥と呼んで下さい」

P「…へ?」

小鳥「これが、私のお願いです」

P「えと…そんなことでいいんですか…?」

小鳥「はい!私は、プロデューサーさんに呼び捨てにされたいんです。ただ、それだけ」

P「別にそれくらいのことならお安い御用ですけど…」

小鳥「ふふっ。それじゃあお願いします、プロデューサーさん」

P「えーと…こ、小鳥…さん」

小鳥「違いますよ、さんはつけちゃダメです。小鳥だけですよ」

P「あ、はい、すみません…いざ言おうとすると…何故だか照れくさくなっちゃって」

小鳥「そうみたいですね。顔が真っ赤です。さあ、プロデューサーさん」

P「はい…こ、小鳥」

小鳥「…はいっ!」

P「(…な、何だこれ…)」

小鳥「えへへ…プロデューサーさん!」

P「はいっ!?」

小鳥「私、何だかすごく幸せです!素敵な誕生日プレゼント、ありがとうございます!」

P「…ど、どういたしまし…て…」

翌日

P「おはようございます」

春香「おはようございます、プロデューサーさん!」

美希「ハニーおはようなの!」

P「おお春香、美希、おはよう。えーと…お、おはようございます、小鳥」

小鳥「ふふっ。おはようございます、プロデューサーさん」

春香「あれ?今プロデューサーさん、小鳥さんのこと小鳥って呼びませんでした?」

美希「そういえばそうなの!おはようございます小鳥って言ったの!」

P「な、何だようるさいなぁ!べ、別に俺がこ、小鳥を何と呼ぼうと勝手だろ!」

春香「また小鳥って呼んだ!…まさか二人の間に何かが…!」

小鳥「も~、そんなことないわよ春香ちゃん。ね、プロデューサーさん?」

P「そ、そうですよね、小鳥」

美希「…名前は呼び捨てなのに敬語なのは、ミキおかしいって思うな!」

春香「そういえばそうだね。呼び捨てにするなら普通敬語じゃないよね」

P「そ、それは…そうかもしれないけど…」

小鳥「…私はお任せしますよ?プロデューサーさん」

P「じゃ、じゃあ…お、俺と小鳥の間には何もないぞ!そ、そうだよな、小鳥?」

小鳥「ふふっ。はい、プロデューサーさん」

美希「今のハニーと小鳥、なんだかパパとママみたいなの!」

春香「やっぱり二人はすでに…」

P「こ、こら、お前ら…///」

小鳥「ふふふっ」


おわり

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