爺ミン「壁を奪還し…必ず孫の元へ戻るんじゃ!」(56)

西暦845年、超大型巨人及び鎧の巨人によって、人類はウォール・マリアを失った。
残された領域では満足な食事もままならず、翌年の846年、中央政府はマリアからの避難民25万人を、ウォール・マリア奪還の名目で作戦に投入した。


(作戦開始から14時間――)

民兵「ちくしょおおおおおお!! 駄目だ、こんな武器じゃまるで歯が立たねえ!」

民兵「やめろ、来るな、来るなぁああああああああああ!!」

巨人「…」ガシッ

民兵「ああああああああ!!」バリボリバキバキバキ

爺ミン「くっ…また一人やられたのか…」

兵士「くそっ…何で俺がこんな目に遭わなきゃ…こんな作戦に参加しなきゃ…」

爺ミン「おい! アンタは兵士じゃろう!? 何故民の前へ出て戦わんのじゃ!」

兵士「戦うわけないだろ! 勝てるわけねえんだよ、あんなのに!」

爺ミン「なんじゃと…!?」

兵士「爺さん、アンタだってわかってんだろ!? これが食糧事情改善のための生贄ってことぐらい!」

爺ミン「…!」

兵士「くそっ、もっと頑張って憲兵団に入っておけば、こんな捨て駒に使われずに済んだってのに…!」

民兵「助けて…助けてくれえええええええええええ!!」バキボキボキボキ

爺ミン「じゃが! 碌な訓練も受けておらん者よりは腕が立つはずじゃろう! その腰に付けた装備は何のためにある!?」

爺ミン「手にした刃は飾りなのか!」

兵士「戦わない方が生き残れるのに、どうして戦う必要があるんだよ! 俺は兵士だ! アンタらよりよっぽど価値のある人間なんだ!」

爺ミン「…そうか」ガシッ

兵士「!? おい、何しやがっ…」

爺ミン「ならばその装備をこちらへ渡せ。お主のような腰抜けには過ぎた代物じゃ」

兵士「はっ…!? おい爺さん、ボケてんのk」

爺ミン「――渡せ。お主には、逃げる馬だけあれば十分じゃ」ギロッ…‼


(作戦開始から15時間――)

ウォール・ローゼ壁上

指揮官「……ふわぁ。どうだ、避難民どもは。そろそろ半分くらいにはなったか?」

副官「待ってください、え〜っと…んー、思ったより減ってませんね」

指揮官「そうか。せめて一日で切り上げるよう言われてるが、できれば全滅してほしいところだな」

副官「まともな飯が食いたいですしねー…おっ、一体巨人が倒れましたね」

指揮官「本当か? 兵士の中に火事場の馬鹿力でも出したヤツがいたのかな」

副官「かもしれませんね〜。ん、また一体。へー、一匹も倒せずに終わると思ったんだけどなあ」

指揮官「そりゃ大したもんだ。そのうち疲れて…」

副官「……し、指揮官!」

指揮官「どうかしたのか?」

副官「おかしい…どう見てもおかしいです。巨人が次々に倒されて…どうなってるんだアレは…!?」

指揮官「なんだと…? 貸せっ!」バッ

指揮官「…なんだあれは…兵士じゃない…あれは誰なんだ…!?」




巨人「」ドターン

爺ミン「…ほっ、と」バシュッ

巨人「…!」ザシュッ

爺ミン「これだけ洗練されて、あの腑抜け具合とはのー」ギュルギュルギュルッ バッ ザシュッ

巨人「」フラッ

爺ミン「段々と感覚が戻ってきたわい」バッ バシュッ 

兵士「なんだあの爺さん…巨人を次々に倒して…しかもあの速さは一体…!?」

兵士「よく見ろ…倒した巨人を蹴って、その反動を利用しているんだ…!」

兵士「ああ…すごい。異常だ。まるでアルレルトの八艘跳びじゃないか…!」

兵士「アルレルトって…あの伝説の!?」

兵士「ああ…アルレルト兵士長。40年前の壁外調査で、瞬く間に20体の巨人を討伐したとされる英雄…」

兵士「悪目立ちする深紅のマントを纏い、巨人に襲い掛かるその姿は稲妻のようだったとも言われている…」

兵士「しかし、ある壁外調査を境に姿を消し、巨人に食われたとか、暗殺されたとか噂の絶えない人物…」

兵士「…なあ、教科書の内容曖昧なんだが…もし仮にアルレルト兵士長が生きていたとしたら…」

兵士「あの爺さんぐらいの歳なんじゃないか…?」

巨人「」ザシュッ 

爺ミン「これで15か…だいぶ腕が落ちたのう」バシュッ ギュルギュルギュルッ

爺ミン「ふん、ワシが現役だった頃は、替刃なし、ガスも半分以下じゃったわ」ヒュンッ

巨人「」ザシュッ

爺ミン「軟弱じゃのう最近の若い者は…これほど技術に恵まれながら、腰抜けばかり揃いおる」ガッ バッ バシュッ

巨人「…!」ドシンドシンドシンドシン

爺ミン「おお、あれは奇行種じゃな。張り合いのあるヤツが出てきたわい」スタッ

巨人「オオオオオオオオ」ドシンドシンドシンドシン

爺ミン「そうじゃ…もっと近づいて来い」

巨人「オオオオオオオオオオ!!」ドシンドシンドシンドシン グワッ

爺ミン「惜しかったのう」 ヒュンッ スカッ

巨人「」ズシャァァァァ

爺ミン「悪く思うなよ、巨人さんや」ザシュッ

巨人「」シュゥゥゥゥ

爺ミン「そのナマクラはくれてやるわい。それにしても便利じゃのう、この装備は」

兵士「すげえ…奇行種を、誰の助けも借りずに…」

兵士「間違いねえよ、あれは…」

爺ミン「…見渡す限り巨人は居らず。どうやら一区切りのようじゃのう」

兵士「兵士長…アルレルト兵士長だ!」

爺無双してもアレなんで短くまとめようと思う。
ちな爺ミン参考。イケメン過ぎて主役にするしかなかった。

西暦847年、ウォール・マリア壁上

ピクシス「超大型巨人が現れた時はどうなることかと思っていたが…まさか二年で領域が元通りとはのう」

爺ミン「少し時間がかかり過ぎた気もするがの」

ピクシス「お前は変わらんなあ。大義を為しても平然としおって」

爺ミン「一人も犠牲にせずに奪還できたなら、ワシも大喜びするんじゃがな」

ピクシス「…ふむ」

爺ミン「久しぶりに血が騒いだ…憎き超大型巨人も打ち倒し、鎧の巨人も捕らえられたしのう」

爺ミン「ワシはそれで満足じゃよ」

ピクシス「…もう一度、ワシらと肩を並べるつもりはないのか? アルレルト」

爺ミン「今のワシは、孫がかわいくて仕方のない老いぼれジジィじゃよ。それ以上でも以下でもなく」

ピクシス「じゃがアルレルト、大いなる力には相応の責任が伴うものじゃ」

爺ミン「わかっておるよ。しかし、アルミンが小さいうちは勘弁してくれ」

爺ミン「もしワシが死にでもすれば、あの子はきっと寂しい思いをする」

ピクシス「…それが、戦場を離れた理由だから、か」

爺ミン「その通りじゃ。では失礼するよ、ピクシス」ツカツカ

ピクシス「…孫一人のために、人類の英雄の座を下りた男か…」

ピクシス「そんな者はお前くらいのものじゃろうな、アルレルト」



アルミン「あっ、お爺ちゃん! どこ行ってたの?」

爺ミン「古い友人に会いに、な」

エレン「なあなあ、それより教えてくれよお爺さん! アルミンの持ってる本どうやって手に入れたの?」

ミカサ「市販のものには見えない」

爺ミン「おお、それはな」

爺ミン「壁の外を旅したある兵士が、足跡にと残したものじゃよ」

〜完〜

しょーもない終わり方だけどこれで終了です。無双続けるとダレるしね。
異端者扱いされるような知識が詰まった本をなんで爺ちゃんが持ってるのか疑問だったんで、
ご都合主義的に書いてみた

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月31日 (金) 16:10:49   ID: nTYdgjXs

おもろかったで

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