男「さいこう荘」(31)

これ「さいこう荘」での日常を描いた物語です。
過度な期待はしないでください。
見てくださる方は生暖かい目でヌルッと見てあげてください。

男「ここがさいこう荘か…」

どうも、男です。
俺は地元を離れ遠方の高校に通うことになったため、今日からここ、「さいこう荘」に入ることになった。

地元を離れるのも、親元を離れるのも初めての経験で不安だらけだ。
だが、新しい土地、新しい環境への期待を胸に新生活を楽しんでいきたいとは思っている。

さぁ、いざ「さいこう荘」へ!



今回はそんな「さいこう荘」でのお話です。

ピンポーン

男「す、すいませーん」

婆「は〜い。…あら、あなたが新しい入居者さんね」パタパタパタ

男「あ、どうも。男です。よろしくお願いします」

婆「は〜い、いらっしゃい。遠いところから大変だったでしょう?」

男「あ〜、まぁ、そうですね。荷物も多かったので…」

婆「あらあら、お疲れ様。じゃぁ今からお部屋へ案内するからゆっくり疲れを取るといいわ」

男「あ、ありがとうございます」

婆「は〜い、こっちよ〜」

男(優しそうな人だな…。ちょっと安心した)

スタスタスタ

婆「ごめんなさいね〜、古くて。周りにはな〜んにもないしねぇ」

男「いえ、そんなことないですよ。なんというか、こう…上手く言えないですが暖かい感じがしていいと思います。
それに静かですし、空気もいいですし。夜もぐっすり眠れそうでいい感じですよ」

婆「あらあら、優しいのね〜、男くんは」

男「いえいえ、本音ですよ。お…僕の住んでたところは空気も悪いし、夜も眩しいし、うるさいしであんまり好きじゃなかったんですよ。
こういうところの方が僕は好きですよ」

婆「あら〜、そう〜。気に入ってもらえてよかったわ〜」

男「はい、ここにして良かったです」

婆「うふふ、それは良かったわ〜。は〜い、到着よ。ここがあなたのお部屋ね〜」

男「あ、ありがとうございます」

婆「いえいえ〜。あ、夜ご飯はみんなで食べるからご飯ができたら呼びに来るわ〜。それまでゆっくりしててね〜」

男「はい、ありがとうございます」

婆「は〜い、それじゃあまた後でね〜」フリフリ

ガチャッ

男「ふぅ・・・」ドサッ

男(のどかでいいところだな〜。部屋も綺麗だし管理人さんも優しそうだし)

チラッ

男(窓から見える景色も綺麗だし)

ボフッ

男(…それにしても疲れたなぁ)

男(でも荷物とか色々出さなきゃ…あ〜、やっぱいいや、ちょっと寝てからにしよう)

男(はぁ…上手く…やっていけると…いい…なぁ)

男(……………)

男(……zzz)

___
__
_

コンコン

婆「男く〜ん。夜ご飯できたわよ〜」

男「……うぁ?」

婆「…男く〜ん? いるかしら〜?」

男「…あ、はーい。今行きまーす」

ガチャッ

男「すみません、お待たせしました」

婆「あらあら〜、寝てたの〜? 起こしちゃってごめんなさいね〜」

男「いえいえ、むしろありがとうございます。このままだと朝まで寝ちゃいそうでしたよ」

婆「うふふ〜、それは危なかったわね〜。それじゃぁご飯食べに行きましょうか〜」

男「はい、ありがとうございます」

婆「たくさん作ったからたくさん食べてね〜」

男「はい、楽しみです!」

婆「うふふ〜」

婆「さぁ、到着したわ〜。ここが食堂よ〜。さぁ入って〜」

男「あ、はい」

ガラガラ

男「失礼しまー」

「「「「「ご入居おめでとう!!」」」」」パーン!

女「……とう」パーン!

男「」

看「あはっ、ドッキリ大成功ですね♪」

整「俺がやられた時も驚いたからな…」

作「でもまぁ一番びっくりしてたのは看護師さんだけどねー。いやーあのときは本気で笑ったなー」

看「や、やめてくださいよ! あの時は本気で死ぬかと思ったんですからね!?」

銀「ま、なんにせよ成功して良かったわ」

女「…大成功」

婆「うふふ〜、ごめんなさいね〜。ビックリしたかしら〜?」

男「…いや、マジで危うく心臓が口から出るとこでしたよ」


作「あはは。まぁみんなやられてることだからね。仕来たりみたいなもんさ」

銀「そうそう。ま、流石に看護師ほど驚きはしなかったわね」

看「う、うるさいですよ!! そういうお二人だってびっくりしたんじゃないですか〜?」ブーブー

銀「ブーブーうるさいわよメス豚」

看「酷くないですか!? 当たり強くないですか!?」

作「あはは、仕方ないよ。だって対して年齢変わらないのに肌ねんれ」

ヒュン サクッ

銀「…何かいったかしら?」ギラリ

作「イ、イエナニモ」ドキドキ

婆「あらあら〜、またフォーク買ってこないとね〜」

男(え、何ここ)

看「て、ていうか私まだピチピチのハタチですよ! 同じような年齢じゃないですよ!」

整「あ? まだやってたのその設定?」

看「せ、設定言わないでくださ〜い!」

作「でも僕がいた頃からずっとはた」

看「あーあー聞こえないですー。受信妨害が発生してますー」

婆「はいは〜い、遊んでないでそろそろご飯にするわよ〜」

「「「「はーい」」」」」

看「うぅ…、は〜い」

婆「は〜い、それでは〜。いた〜だきます」

「「「「「いただきます!」」」」」

女「…ます」

男「あ、美味しい」モグモグ

婆「あらあら、それはよかったわ〜」

作「じゃぁ早速だけど自己紹介始めちゃおうか」

看「わ〜、どんどんパフパフ」

女「…ぱふぱふー」

銀「…クッ」

看「え、なんで銀さん凹んでるんですか?」

整「そりゃお前、あるところがぱふぱふできないくらい凹んで…いや、ホントなんでもないですフォーク向けないでください」

女「……?」

看「女ちゃんは気にしなくていいんですよ〜」

銀「いいからさっさと始めなさいよ!!」キッ

作「え、えっとじゃぁとりあえず最年長の僕から」

作「男君、初めまして。僕は作家。職業は一応小説家をやってるんだ」

男「え、それすごくないですか?」

作「あはは、いやー照れるなー」

銀「いや、小説家といっても」

看「ライトノベルですしね」

整「誇張すんなよ」

女「……なよ」

作「う、うるさいよ! ラノベは文化だ小説だ!」

男「い、いやでもあれじゃないですか! 人に夢とか希望とか与えてるんですよね? いや〜すごいな〜」

作「おぉ! 男君わかってくれるのは君だけだよ!」

銀「いや、むしろ」

看「お金と時間を奪ってる感じですよね」

整「あの内容じゃな」

女「……泥棒」

作「も、もうやめて! 作家のライフポイントはゼロよ!」

男「あ、あはははー」タジッ

作「」

銀「じゃぁ作家が屍と化したところで次は私ね」

銀「どうも、男君。銀行員よ。一応作家の次に年上よ」

整「いや、一応というかバリバリ…なんでもないです続けてください」

銀「ちなみに大学を出てここに入って8年目よ。何か質問はある?」

男「あ、いえ、大丈夫です」

銀「………」

男「………」

銀「そう。あなたも、あ〜この人なんで30にもなってここにいるんだよ、あ、結婚できないからか、アラサーだからか、ざまあ、とか思ってるのね」

男「いやいや!! 何も言ってないじゃないですか?」

銀「なるほど、言わないだけで思ってたのね。いいわいいわ、わかってるわよ。…そんなの本人が一番ね!!」ドンッ

男「え、え〜」

整「…あぁ、そのなんだ。そういう人だからあんま気にすんな」

女「……気にすんな?」

男「は、はぁ」

銀「なによ!? 私の陰口!? 堂々と言いなさいよ!!」

男・整「「な、なんでもないです!!」」

女「……です」コワイ

婆「まぁまぁ、銀ちゃん落ち着いて〜。ほら、看ちゃん。次お願いね〜」

看「は〜い! お待たせしました! 皆のアイドル、看護師ちゃんで〜す☆ ピッチピチのハタチで〜す! よろしくお願いしま〜す♪」

男「あ、えっと…、はい」

看「ちょ、なんなんですかその反応は!! 冷たすぎますよ!!」

作「ちなみに銀行員さんの次に年上ね」

男「あ、生き返った」

整「その次が俺の22歳な?」

女「……な?」

銀「つまり………わかるわね?」

男「…なるほど」

看「いやいやいや!! 何わかちゃったんですか!? わかった気になっちゃてるんですか!?」


男「…いや、まぁ、いいんじゃないですか?」

看「あぁ、そんな生易しい目で見ないでください!!」

婆「ちなみに本当の年齢は〜」

看「キャアアアアアアアア!! そ、そういうことでよろしくお願いします!!」

男「あ、はい」タジッ

看「そんなドン引きしないでくださいよ〜!」

整「あぁ、もう茶番はいいか?」

看「茶番言わないでください!!」

整「俺の名前は整備士だ」

看「無視されたっ!?」

整「うるっさいなぁ…。後で飴やるから黙ってろ」

看「やった〜♪」ワーイ

作(アホだ)

銀(アホね)

男(アホだ)

女(……だ)

整「で、あ〜続けるぞ? 高校出てすぐここ入って4年目だ。歳はさっき言った通りだ。職業は車の整備士をやってる。よろしくな」

男「はい、よろしくお願いします!」

男(あぁ、やっとまともな人が居た!)ジーン

作「ちなみにその前はバスの運転手」

男「え?」

銀「その前はタクシードライバー」

男「え?」

看「その前はホスト」

男「え?」

女「…その前はニート」

男「えぇ!?」

整「ば、ばかっ! 言うんじゃねえよ!!」

男(前言撤回。駄目だこの人)

婆「まあまあ、整君にも色々あったのよ〜」

整「婆ちゃん」ジーン

婆「でもそろそろ先々月のお家賃お願いね〜」

整「…ごめんなさい」

男(あぁ、もうやだ帰りたい)

婆「じゃぁ次は女ちゃんお願いね〜」

女「…女。…よろしく」

男「………」

女「………」

男「え、終わり?」

女「……な、何を言えばいい?」オロオロ

男(なにこれ可愛い)

作「なにこれ可愛い」

銀「いや、あんた口に出てるから」

婆「まあまあ、口下手な娘だから許してあげて〜」

男「あ、はい」

看「女ちゃんは今年から○○高校に通うんですよ〜」

男「えっ? じゃぁ俺と同じとこですか!?」

銀「あら、偶然ね」

整「珍しいこともあったもんだな」

女「……一緒?」

男「うん、一緒」

女「……やった」グッ

男(結婚しよう)

作「結婚しよう」

銀「いや、あんた捕まるから」

整「じゃぁ次は男だな」

男「あ、はい」

看「いっちょド派手にお願いしますよ〜!」

男「いえ、あなた程は無理です」

作「確かに」

銀「そうね」

整「違いない」

女「……無理」

看「もうそっち側ですか!?」

男「あ〜、えっと、今年から○○高校に通うことになった男です。初めてなんでわからないことだらけですがよろしくお願いします」

作「普通だねー」

銀「普通ね」

看「普通ですね〜」

整「普通だな」

女「…ふつー」

男「…あなた方が変わり過ぎなんですよ」

作「ではここで質問タ〜イム!」

看「わ〜、どんどんパフパフ」

女「…ぱふぱふー」

銀「…クッ」

男「あれ、さっきも見たなこんなの」

作「では質問ある人〜は〜い」

男「一人で何やってるんですか…」

作「ご趣味はなんですか?」

男「…お見合いですか? ん〜、一応読書ですかね」

作「普通だねー」

男「いや、人の趣味に文句付けんでくださいよ」

作「あ、じゃ、じゃぁもしかしてラノベとかも読むの?」

男「まぁ人並みには」

銀「あら、意外ね」

男「友達に勧められたりして結構読んでたんで。あまりそういう趣味に偏見とかもありませんでしたしね」

作「じゃあさじゃあさ! 作家太郎って作家知ってる!?」

男「いえ、知りませんね」キッパリ

作「……ソウデスカ」ズーン

男「なんで凹んでるんですかこの人は」

整「いや、まぁ、わかってやってくれ」

看「はいはいは〜い! じゃぁ次は私からの質問で〜す!」

男「…はぁ、どうぞ」

看「彼女とかは居たんですか〜?」

男「……………………………………」

銀「居なかったのね」

整「ドンマイ」

男「そこは察してくださいよ! 何で口に出しちゃうんですか!」

ガシッ

作「おぉ、同士よ!!」

男「いや、ホント、一緒にしないでください。あなた俺の人生の2倍以上生きてるじゃないですか」

作「生きた年数イコールってとこは一緒だから大丈夫!!」

男「うるさいですよ!!」

整「まぁいいんじゃねえの? そのうちお前を理解してくれる彼女が出来るよ」

男「整備士さん」ジーン

銀「でも整備士は何人も彼女居たけどね」

看「ていうか今も居ますしね」

女「……ね」

男・作「「爆ぜろ!!」」

整「随分息ピッタリだな…」

婆「まぁまぁ、それくらいにして他のことは今後知っていきましょ〜」

銀「そうですね。ご飯もあまり進んでないですしね」

作「それじゃあ最後にお婆ちゃん、お願いします!」

婆「あら〜? 私もやるの〜?」

男「そうですね。管理人さん、お願いします」

婆「仕方ないわね〜」

婆「私はここの管理人の婆よ〜。管理人初めてもう20年になるけどこんなに孫たちが増えて嬉しいわ〜。皆は私の大切な家族よ〜」

男「管理人さん…」

婆「うふふ〜。頼りない管理人さんだけどよろしくね〜?」

男「…はい、よろしくお願いします」

婆「あらあら、そんな畏まらないで〜。仲良くしましょ〜ね〜?」

男「…はいっ!」

男(俺、やっぱりここに来て良かったかも…)

作「いやーいい言葉だった…」

整「……婆ちゃん。俺ここに住んでて良かったよ…」

婆「あら〜、そう思ってくれるなら嬉しいわ〜」

整「婆ちゃん…」

婆「でもお家賃は払ってね〜」

整「…はい」

アハハハハ

その後も管理人さんが微笑んだり、作家さんが死にかけたり、銀行員さんが殺しかけたり、
看護師さんが弄られたり、整備士さんが呆れたり、女さんが可愛かったりと色々ありましたが無事初顔合わせも終了した。
ご飯もとっても美味しかったです。

皆個性の強いメンバーばかりで不安がいっぱいだ。
変な作家、怖い銀行員、年齢詐称看護師、借金整備士、可愛い女。
関わらない方が良さそうな人ばかり。

…でも皆いい人そうで安心したよ。
ほんの少し。ほんのちょっぴりだが、いいところかな、なんて思った。

なかなか楽しめそうかな?

男「ふぅ…。さて、寝るか」

ドタバタ

男「……ん?」

銀「こらー!! 待ちなさい、作家!!」

作「待てと言われて待つ訳ないだろー!」

銀「フンッ!!」ヒュッ

ザクッ

作「ぎゃあああああああ!! 刺さった!! お尻に刺さった!!」

婆「あらあら、もうあのフォークは使えないわね〜」

看「え、そこなんですか?」

整「まあこれ以上フォーク減るのは死活問題だろ」

ギャーギャー

男「………」

前言撤回。ここやばい。

ご視聴ありがとうございました。
需要があるならまた書いていきたいと思いますがなければ終わります。

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