モバP「指輪をつけてみた」【安価】 (320)
ちひろ「え……」
P「どうです、似合います?」
ちひろ「似合うって……え、それ……左薬指につけてます、けど……」
P「あ、これはですね。昔買ったネックレスについてたリングなんですけどね。
ネックレス部の金具が壊れて、もう使い物にならないから指輪だけ取ったんですよ」
ちひろ「……え? あぁ、つまり……」
P「結婚した訳じゃありませんよ。ははは、どうです。まんまと騙されたでしょう」
ちひろ「え、えぇ……た、性質の悪い冗談ですね……」
ちひろ(本当に結婚したのかと思っちゃった……)
P「いやぁ、まさかサイズ合うとは思わなかったなぁ……。
見た目結構質素ですし、そう見えなくもないからいけるかなぁと思ったら、いけますねこれは」
ちひろ「は、はは……」
ちひろ(洒落になりませんよそれは……)
P「よーし、じゃあ一日つけて皆が気付いてくれるか試してみよ。何人に祝われちゃうかな」
ちひろ「や、やめましょうそれはっ」
P「え、どうしてです?」
ちひろ「いやぁ……それは……ちょっとぉ……」
ちひろ(気付かれたら明らかにいけない子が何人かいるんですがそれは……)
P「別に大丈夫でしょう、ちょっとしたジョークですよ。さてと……よーし、じゃあ仕事やるぞー」
ちひろ「え、ほ、本気やるんですか」
P「当たり前ですよ。あ、うーん……でも気付かない子がいたら、見せびらかしてみようかな」
ちひろ「ちょ、ちょっと落ちつきましょうプロデューサーさん」
P「ん、扉の向こうから足音が……誰か来たな」
ちひろ(な、も、もう来ちゃったの?)
ガチャッ
来たアイドル、>>3
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わくわくさん……はまだ早いので美優さん
美優「おはようございます……」
ちひろ「おーう……」
ちひろ(これまた、しょっぱなから来ますねぇ……)
P「ん、中々野性的な挨拶ですねちひろさん。あ、美優さんおはようございます」フリフリ
ちひろ「ち、違いますよ」
ちひろ(というかさりげなく左手振ってるし)
P「いやぁ、まだ暑いですね」
美優「はい……少し、汗、かいちゃいました。涼しい事務所に早く来たくて、急ぎ足になってしまって……」
ちひろ(足が早くなったのは、それだけじゃないと思いますけどね)
P「あはは、ありますありますそういうの。結果として暑くなっちゃうんですよね。
あ、事務所のエアコン具合どうですか。寒過ぎませんかね」
美優「はい、大丈夫です」
P「そうですか、なら良かった」
ちひろ(楽しそうに喋るなぁ……大丈夫かな……)
美優「……」
ちひろ(あ、視線があれをとらえた)
P「……ん、どうかされましたか?」
美優「あ……いえ、何でもありません。あ、Pさんお飲み物入れましょうか」
P「あ、良いんですか? すいません」
ちひろ「あぁ、それでしたら私が……」
美優「いえ、良いんですよ。私も、少しは事務所のお手伝いさせて下さい。皆さんには、いつもお世話になってるんですから」
ちひろ「そ、そうですか……」
美優「ちひろさんも、いかがですか?」
ちひろ「あ、いえ、じゃあ……お願い、います」
美優「はい。じゃあ、少し待っていて下さいね」
バタンッ
P「いやぁ、気が利くなぁ」
ちひろ「……指輪」
P「はい?」
ちひろ「指輪、見てましたよ」
P「え、そうなんですか? 美優さん、見てました?」
ちひろ「はい。じっと見てましたよ」
P「……あれ? ノーコメントなんですけど……」
ちひろ「さぁ……ただのアクセサリに見えたんじゃないですか?」
ちひろ(これは私の希望的観測ですけど)
P「うーん……どうでも良いと思われてしまったのか……」
ちひろ「それは無いと思いますよ。とても気を回す人なんですから」
P「……やっぱただのアクセと思われたか……それとも俺が薬指だと思ってるこれは本当は中指なんじゃ……」
ちひろ「それは無いでしょう……」
ガチャッ
美優「あ、あの……」
P「ん、どうしました?」
美優「あの、パックが無くて……替えは何処に保管してあるんでしょうか……」
ちひろ「……あ、替え買ってくるの忘れてました」
P「あぁ、じゃあ俺が買ってきますよ」
ちひろ「え、えぇ? いや、私の過失なんですし私が……」
P「昼の菓子パンとか買って来ないといけないなと思ってたんで、ついでに買ってきますよ。
ほうじ茶でしたっけ?」
ちひろ「緑茶です」
P「はいはい、了解です。じゃあ、買って来ますんで。まぁ始業前ですし、まだ休んでて下さい」
美優「すいません、Pさん……私が入れるって言ったのに、手を煩わせてしまって……」
P「大丈夫ですよ。買った後に、ちゃんと入れて貰いますから。じゃあ、ちょっと行ってきます」
ちひろ「はい、すいません」
美優「いってらっしゃい」
バタンッ
ちひろ「……うーん、ド忘れしてた……」
美優「……ちひろさん」
ちひろ「は、はい。なんでしょうか」
美優「……Pさん……指輪、してましたね」
ちひろ「え、えぇ……(やっぱり気付いてたんですね……)」
美優「薬、指に……」
ちひろ「そう、ですね……けど、あれは……」
美優「……Pさん……なんか、楽しそうでした」
ちひろ「え」
美優「いつもより……なんか、声が楽しそうでした。声が……」
ちひろ(いや、それは子供みたいにイタズラを楽しんでたから楽しそうに見えたんじゃ……)
美優「きっと……良い人に、巡り会えたんですね。Pさんも……とっても、良い人ですから……」
ちひろ「あ、は、はぁ……」
ちひろ(い、今の返事はまずいわ。退くに退けなく……)
美優「いつから……お相手の人と、お付き合いなさってたんでしょうね……」
ちひろ「え? さ、さぁ……私は……」
美優「私の担当になった時から……もしかして……」
ちひろ(お、何かこれはマズイ方に行きそうな……)
美優「……ふふっ、何だか……私、ダメですね」
ちひろ「え?」
美優「もう、お相手がいる人を……好きになって……」
ちひろ(美優さんプロデューサーさんに好意持ってるんだろうなと思っていたけれど、ストレートに暴露されちゃった……)
美優「それで、一緒に思い出を作りたいだとか……見守って下さいとか、言ったりして……。
きっと、迷惑だったんでしょうね」
ちひろ(そんな悲しそうな笑顔はやめて下さいぃ……)
美優「それとも……私がちゃんと、あと一歩を踏み出せてたら……違ったんですかね」
ちひろ「……」
美優「……夢を、見過ぎてたんですね……」
ちひろ「……そ、そんな事は……」
美優「ただでさえ私がアイドルになれただけでも、現実離れしてるのに……その上、こんな事望むなんて……」
ちひろ「……」
美優「Pさんの声が……楽しそうだったんです……」
ちひろ「……」
美優「楽しそう、だったんですっ……」ポロッ
ちひろ「み、美優さん……涙が……」
美優「え? ……あ、本当……ですね……。あは……な、なんで、ですかね……」
ちひろ「……」
美優「……何でっ……と、止まりませんね……止まらない……止まって……」
ちひろ「……」
美優「止まらないです……なんで……あの人が、幸せに、なったのに……」
ちひろ「……」
美優「あの人といると……楽しくて、嬉しくて……心が……安らげてっ……幸せでっ……」
ちひろ「み、美優さん……」
美優「Pさんのおかげで……私、笑えるようになった、のに……」
ちひろ「……」
美優「私……私っ……涙が……」
ちひろ「……」
ちひろ(まぁ……抱きしめるくらいなら、今の私でも……)ギュッ
美優「私……こんなに人を、好きになった事、無くてっ……」
ちひろ「……えぇ」
美優「ずっとっ……あの人の事ばかり、考えてっ……」
ちひろ「……えぇ」
美優「ずっと……私っ……」
ちひろ「……」
美優「胸がっ……痛いんです……痛くて……」
ちひろ「……えぇ」
美優「私っ……」
ちひろ「……はぁ」
美優「……Pさんっ」
ちひろ(ちひろ。覚悟を決めなさい)
ちひろ「……美優さん」
美優「なんでっ……」
ちひろ「美優さん」
美優「私が、もっと……ちゃんと……」
ちひろ「美優さんっ」
美優「……え?」
ちひろ「……美優さん。少し、お話ししたい事が」
ちひろ(あの外道、帰ったら絶対腹にパンチを入れてやりましょう。絶対に)
――
バタンッ
P「雨いきなり降って来やがった……あ、ただいま戻りましたー」
ちひろ「チェストーッ!」ズドンッ
P「ごふっ!」
ちひろ「やっと帰ってきましたね、このナチュラルボーンジゴロが」
P「い、イテェ……腹パン……」
美優「ちょ、ちょっと……ち、ちひろさん……」
ちひろ「いえ、何も言わないで下さい美優さん。これでもまだ足りないくらいですから」
P「え、な、何の話?」
ちひろ「指輪の話ですよ! ゆ、び、わ!」
P「……え?」
美優「ち、ちひろさん……」
ちひろ「美優さんはですねぇ、貴方の心無いイタズラで心を痛めてるんですよ!
女性の純情弄んで、何がっ……」
美優「ちひろさんっ」
ちひろ「何ですか!」
美優「そ、それ以上言ったら……その……さっきの事が……」
ちひろ「え? ……あ、そ、そうでした。話しちゃマズイですよね、話しちゃ……」
美優「すみません……」
P「……え、な、何かあったの?」
ちひろ「ありましたよぉそりゃあ。まぁ理由は話してあげませんけどね!」
P(スゲェ怒ってる……え、何があったの本当に)
美優「Pさん……大丈夫ですか?」
P「え、えぇまぁ……鍛えてるんで実際さして痛くは……」
ちひろ「何ですって?」
P「あ、えっと……す、すっげぇ痛いですはい」
美優「ちひろさんもやり過ぎです……暴力なんて……」
ちひろ「……すみません。ちょっと気が収まらなくて」
美優「……はい、埃とかも取れましたよ」パンパン
P「すいません本当に……」
美優「……私も、ちょっと怒ってるんですよ?」
P「え?」
美優「その指輪を使って、勘違いさせるなんて……」
P「……あ、あぁー……もしかして、俺が結婚すると思いました?」
美優「えぇ……でも、ちょっと冗談にしては質が悪いと思うんです。
結婚というのは、とっても大事な事なんですから。そういう大事な事でイタズラするというのは、ちょっと度が過ぎてます」
P「……面目無い」
美優「だから、私も怒ってます」
ちひろ(……美優さん、ちょっとほっぺ膨らんでる)
P「……えっと……じゃあ、どうしたらお許しを……」
美優「……じゃあ」
P「じゃあ?」
美優「今度……二人だけで、何処かに連れて行って下さるなら……許してあげます」
P「え?」
美優「そうしたら、許してあげますけど……どうしますか?」
P「は、はぁ……それくらいであれば、喜んで……」
美優「はい。じゃあ約束ですからね。破ったら、本当に怒っちゃいますから」クスクス
P「……はい」
美優「ちひろさん」
ちひろ「は、はい」
美優「もう、私は大丈夫ですから。Pさんの事、ちひろさんも許してあげて下さい」
ちひろ「……まぁ、美優さんがそう仰るなら……」
美優「……じゃあ、私はレッスンに行ってきますね」
P「え? も、もうそんな時間か?」
美優「いえ。でも、今は少し、体を動かしたい気分なんです」
P「そ、そうですか」
美優「それに……もっと、強くならないと、いけませんから……」
P「え?」
美優「いってきますね、Pさん、ちひろさん」
P「え、い、いってらっしゃい……」
ちひろ「いってらっしゃい……」
バタンッ
P「……」
ちひろ「……」
P「……何が、あったんですか」
ちひろ「……絶対言いませんよ」
P「……そうですか」
ちひろ「プロデューサーさん」
P「何ですか?」
ちひろ「……その指輪、今日は絶対外さないようにして下さいね」
P「え、何でですか? なんか指輪の事で凄い怒ってたのに……」
ちひろ「いえちょっと……良い教訓になるかと思いまして……」
P「は、はぁ……え、良いんですか本当に。美優さんもダメって……」
ちひろ「いえ。当初の目的通り、アイドルに気付かせるなり、見せびらかすなりして下さい。
外したら逆に怒りますよ。スタドリを100ダース買わせますよ」
P「……まぁ、そういう事なら良いですけど。本当に良いんですね?」
ちひろ「えぇ、どうぞどうぞ」
ちひろ(そうして、修羅場を経験すると良いんです)
P「……ふぅ。あ、そろそろアイツが来る時間か」
ちひろ「誰でしたっけ」
P「>>37ですよ」
奏
CoPだけど三船さんどういう人なのか知らなかったから、イメージに添えてるか……
奏かぁ……また溜めてきますわ
ガチャッ
P「お、噂をすれば。おはよう奏」
奏「おはようPさん。ちひろさんも」
ちひろ「おはよう奏ちゃん」
P「さてと、じゃあ奏。もう行こうか、結構時間押してるんだ」
奏「うん。またね、ちひろさん」
ちひろ「えぇ、頑張ってね」
バタンッ
ちひろ「……なんだか、何も起きなさそうね。まぁ、そっちの方が良いのかしら」
――
パシャッ パシャッ
P「……」
P(うん。相変わらず奏は絵になる。本当に、高校生には思えないな)
「はい、お疲れ様です。これで全部取り終えました」
奏「……ふぅ」
P「お疲れ様、奏。やっぱり奏は凄いな、雰囲気に飲まれそうだったよ」
奏「ふふっ、そう……ずっと、私の一カ所ばかり見てたものね」
P「え? い、いやそれは……」
奏「冗談よ。かまかけてみただけなんだけれど」
P「え、そ、そうか……」
奏「……ねぇ、目が泳いでるけど……本当に何処見てたの?」
P「……ノ、ノーコメントで」
奏「顔赤いよ。やらしいわねぇ」クスクス
P「う、うるさい」
奏「ふふっ、からかうとすぐ顔赤くなるんだから」
P(相変わらず俺手玉だな……)
奏「……じゃあ、楽屋行って先に着替えてくるね」
P「え? あ、あぁ」
奏「Pさんは楽屋の前で、待ってて」
P「わかった。じゃあその間になんか飲み物でも買ってくるよ」
奏「……うん」
……
コンコン
P「奏ー。もう入っていいかー?」
「うん、もういいよ」
ガチャッ
P「ふぅ……お疲れお疲れっと。はい、奏。これで良いよな」
奏「うん、ありがと」
P「いやぁしかし、ホント綺麗だったなぁ……あの衣装貰えないかな」
奏「もう返しちゃったわよ」クスクス
P「そっか。まぁ借り物じゃあなぁ……」
奏「……そんな事よりさ」
P「ん?」
奏「何か、私に報告する事とか、無いの?」
P「え?」
奏「……ある、よね? 私、Pさんの左手見たんだから」
コンコン
P「奏ー。もう入っていいかー?」
「うん、もういいよ」
ガチャッ
P「ふぅ……お疲れお疲れっと。はい、奏。これで良いよな」
奏「うん、ありがと」
P「いやぁしかし、ホント綺麗だったなぁ……あの衣装貰えないかな」
奏「もう返しちゃったわよ」クスクス
P「そっか。まぁ借り物じゃあなぁ……」
奏「……そんな事よりさ」
P「ん?」
奏「何か、私に報告する事とか、無いの?」
P「え?」
奏「……ある、よね? 私、Pさんの左手見たんだから」
P「え……あ、あぁこれな(何も言われないものだから自分で忘れてたわ……)」
奏「薬指っていう事は……」
P「あぁ……まぁな……」
奏「やっぱり。もう水臭いわよ。そういう報告くらいしてくれても良いのに」クスクス
P「え? ま、まぁ……驚かせようと、思ってな」
奏「そうなんだ。相手は? まさか、アイドル?」
P「い、いや。そんな訳無いだろ」
奏「ふーん……じゃあ、一般の人か」
P「ま、まぁな(ちひろさんのあの語気を見るに、ちゃんとやり通さないと後が怖いな……)」
奏「付き合ってどれくらいなの?」
P「え? さ、さぁなぁ……だいぶ長いし、覚えてないよ」
奏「幼馴染み、みたいなもの?」
P「そ、そうだな」
奏「ふーん、そういうの良いかもね。でも、おめでとう。結婚式にはちゃんと呼んでね?」
P「あ、あぁ。わかってるよ」
P(……今気付いたが……これいつネタばらしすれば良いんだ?
もしかして、もうタイミング過ぎてたか? ただまぁ、普通の反応だしいつでも訂正できるか)
奏「浮気とかしたらダメだよ」
P「ははっ。しないよ、浮気なんか絶対に」
奏「ふーん……」ガタッ
P(何だ立ちあがって。あぁゴミか)
奏「浮気なんかって言ってる人程……しちゃうんだよ?」
P「い、いや奏。顔近いんだけど……」
奏「ふふっ……そうね。このままじゃ……唇が、当たっちゃうかもね」
P「あ、あぁだから……」
奏「このままじゃ……浮気に、なっちゃうかもね……」
P「お、おい……(うわ、良い匂い……)」
奏「キスってね、甘くて……二人が溶けて、混ざったような感覚で……。
息が苦しくて、でもそれが気持ちよくって……癖に、なるの……」
P「う、あ……(え、何言ってんのこの子。か、体が動かないんだけど……椅子から立てないんだけど……)」
奏「浮気になってでも……してみたい?」
P「……」ゴクッ
奏「ふふっ……何期待してるの? でも……Pさんが望むなら、考えてあげなくも無いけれど……」
P「……」
奏「……」
P「……奏」
奏「……何?」
P「……どけ」
奏「……ふふっ、わかった」パッ
P「……はぁー……」
P(か、体の力がドッと抜けた……い、今ので一日分の精神力使ったわ……)
奏「Pさん」
P「な、何だ?」
奏「嘘つくなら、もっとわかりにくいようにしないと」
P「え?」
奏「結婚、しないんでしょ? 本当は」
P「……」
P(え、何処でばれた?)
奏「どこでばれた? って顔してるけど、最初からそんな気はしてたから。
決め手は……顔近づけた辺りからかな」
P「え、早くない?」
奏「だって、幼馴染みと結婚するならもっと女性に慣れてるはずだし、それに……」
P「それに?」
奏「キスしてみたいかっていう質問してあんな反応見せられら、キスした事無いんだって事すぐわかるもの。
そんな人が結婚するなんてあり得ないよ」
P「つぅー……なるほど……」
P(ズブ丸だしって感じだったか……)
奏「本当、Pさんはわかりやすくてかわいいんだから」クスクス
P「……」
P(お手玉……まな板の上の鯛、ジャグラーの上のボール……)
奏「……ねぇ」
P「何?」
奏「結婚、してみたいの?」
P「え? あ、あぁそりゃあ、な……将来的にはしたいけど……」
奏「ふふっ、そう……そっか」
P「なんだよ、その反応」
奏「さぁね、教えてあげない」
P「……まぁいいや。帰ろう事務所に。まだ予定あるし」
奏「……そうねっ」
P「荷物、忘れるなよ?」
奏「わかってる。……ねぇ、Pさん」
P「何?」
奏「もし……Pさんが何年も相手が見つからないで余ってたら……私が貰ってあげようかしら?」
P「え?」
奏「ふふっ、さっ、帰りましょ。早く帰らないと、次の予定に遅刻しちゃうわ」
P「……い、今のって、まさか……」
奏「さぁ……何の事かしら。あんまり物事を考えてると、寝不足になっちゃうわよ? ふふっ!」
P「……」
奏「……ほら、行こ? Pさん」
P「……あぁ」
――
P「ただいま戻りました……」
ちひろ「あら、お帰りなさい。どうでした?」
P「……」ゲッソリ
ちひろ「……顔で表現されても困りますけど、何となく良い気味だとは言っておきます」
P「奏は恐ろしい子です。あの子に喧嘩を仕掛けたのが間違いでした……」
ちひろ「そうですか。まぁそれは良い事です」
P「奏は次の仕事場に向かわせましたけど……あぁ、まだ来るんだったか次の子が」
ちひろ「えっと予定だとそろそろ……>>63が来ますね」
楓
本人の妄想を映像化させるやつを書いた人?
奏、楓でミステリアスアイズか、良い流れだな
ちょい待ち
>>69
違うよ。ボクは幸子で最近やってたけどね
あんまりダジャレ言うと寝るぞ
ちひろ「えっと予定だとそろそろ……楓さんが来ますね」
P「楓さんかぁ……何かさぁーっと流されそうですね。普通にお祝いされそうです一升瓶でも出されて」
ちひろ「そうですね。平和に終わりそうです。って、奏ちゃんの時も思ってましたけどね」
ちひろ(案外楓さんはプロデューサーさんにべったりですからねぇ……。
姿を見るととことこプロデューサーさんの方に行って……どうなる事か……)
P「楓さんは事務所の中でも結構親しい友人ですよ? ……不吉な事言わないで下さいよ」
楓「何が不吉なんですか?」
P「うわっ、いた」
ちひろ「あ、楓さんおはようございます」
楓「おはようございます。扉が開いてたので、開けないで入って来ただけですよ。
何だか、今のプロデューサーの言い方は傷付いちゃいます」
P「はぁ……なんかすいません」
楓「ふふっ、じゃあお詫びに今日は一緒に飲みに行って貰いますね」
P「え、俺下戸……」
楓(本当は驚かせようとしてたから気付かれないように来たんですけど)
ちひろ「良かったですねープロデューサーさん。飲み会ですって」
P(なんか心なしかちひろさんの態度が冷たい……)
楓(下戸が潰れて逃げかえる……かえるゲコげろ……イマイチ……)
P「えっと……今日はラジオの収録があるんですけど……」
楓「……」
P「……楓さん?」
楓「……あ、はい」
P「(洒落考えてたな……)そろそろ良い時間なんで、行きましょう。お仕事」
楓「あ、そうですね。じゃあ……行きましょうか」
P「じゃあ、行ってきますねちひろさん」
ちひろ「はいはい行ってらっしゃい」
P(……やっぱり冷たいよなぁ……)
ちひろ「あぁ、ちょっと待って下さい」ガシッ
P「うお……なんですか」
ちひろ「ちゃんと、徹底して下さいね」ヒソヒソ
P「え?」
ちひろ「指輪ですよ。後でアイドルからも反応聞きますからね。
貴方が撒いた種なんですから、毒を食らわば皿まで行って下さい。
さもなければエナドリ120ダース分の料金を天引きですよ」ヒソヒソ
P「……はい。え、えっと……」
ちひろ「何ですか?」
P「ネタばらしは、いつやれば……」ヒソヒソ
ちひろ「本格的にヤバイと思った所でです。チキンレース風にどうぞ」
P「えぇ、何ですかそれ」
ちひろ「じゃあ、お二人共行ってらっしゃい」
P「え、ちょっと」
楓「プロデューサー、行きましょう行きましょう」
P「えぇー……」
――
「はい、お疲れ様でしたー。原稿なんかはこちらでやっておきますので、お先にどうぞ」
楓「あら……すいません。ではお言葉に甘えて。お疲れ様でした」
ガチャッ
P「あ、収録お疲れ様でした」
楓「はい。今日もちゃんとできてましたか?」
P「えぇ、それは勿論。楓さんの声も澄んでて、トークも良くて、言う事無しです」
楓「ありがとうございます」ニコッ
P「そこの休憩所でコーヒーでも飲んで少し休んでから移動しましょうか。まだ時間に全然余裕がありますし、奢りますよ」
楓「ふふっ、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて、そうしましょう」
……
P「楓さん、何飲まれます?」
楓「アイスコーヒーでお願いします」
P「はい、じゃあ俺は苺ミルクで……」
楓(ふふっ……何だか子供みたいですね、プロデューサー)
P「いやー、コーヒー飲みませんかとか言って、苦いのも苦手で……」
楓「ダメですよ。好き嫌いせずに何でも口にできるようにならないと」
P「そうなんですけどねー……中々、矯正は難しいです」
楓「ですから、今日の夜は私と飲んで、お酒嫌いを克服しましょう」
P「それは体質であってですね……というか、飲めない人飲みに誘うのってどうなんですかね」
楓「飲めなくったって、プロデューサーと話すのが楽しいんですもん……」
P(机に突っ伏して上目遣いか。何だこの可愛い生物)
楓「でも……やっぱりお酒、プロデューサーと飲みたいです……。
最近忙しくて、時間が無くなってきてるから、余計に……」
P「(唇尖らせて子供みたいだな楓さん)楓さんみたいなザルの人もいれば、俺みたいな人間もいるんですよ。
まぁ……時間があれば、楓さんと飲みたいですけど……」
楓「でも、一緒に飲み会しても、結局プロデューサーはずっとメロンソーダとかウーロン茶ばっかりですし」
P「ま、まぁ……誰かが酔いつぶれた人を介抱しなきゃいけないじゃないですか。
俺が、その役回りですよ。生まれながらの、ね」
楓「……でも……」
P「良いんですよ。俺は、楓さんと話すのが好きだから一緒に居酒屋さんに行ってるんです。
楓さんと喋れるんだったら、酔わなくても楽しいんですよ」
楓「……」
P「……今の矛盾してますね何か。下戸は行くべきじゃないって言う風に自分で言った癖に……」
楓「ふふっ……そうですね」
P「……」ゴクッ
楓(ふふっ、好きって、プロデューサーが言ってくれた……)
楓(……あ、ワイシャツの脇の糸ほつれてる)
楓(肘にも穴空いてる)
楓(薬指に指輪はめてる)
P「結構量あるなこれ」ゴクッ
楓(……指輪?)
P「ふぅ……何かちょっとしょっぱいパンみたいなの欲しいなぁ……」
楓「……指輪」
P「え?」
楓「その……指輪……」
P「(あぁ、気付いたか。凄い目を見開いてるな)あぁ……これは、ですね……」
P(どう言ったものか……140万近く金は使いたくないしなぁ……いいや、やりきろう……)
P「あはは……まぁ、報告が遅れまして……」
楓「……それって」
P「えぇ、まぁ……その……そういう事ですね」ポリポリ
P(直接は言ってないが……どうだ……)
楓「……そ、そう、ですか……と、突然ですね」
P「あはは……皆を後で驚かせようと思って黙ってたんですけど……指輪はつけとけって、うるさくて……」
楓「……そう、ですか」
楓(……夢?)
P「いやぁ……なんか、恥ずかしいな……」
楓(……夢じゃ、ない?)
P「ずぅっと昔から一緒にいた……まぁ、幼馴染なんですけどね。
地元のヤツらにも話したら、結局結婚したのかよみたいに言われて……」
P(奏の時の設定引っ張ってきたが、どうなんだこれ。無理無いかな?)
楓「はぁ……」
P「まぁ……これ以上いうと、惚気話になっちゃうんで、やめておきますね(よし、我ながらうまい切り方だ)」
楓「はぁ……」
P「さてと、時間ちょっとあるけど……早めにあっちに着いちゃいましょうか。楓さん」
楓「はぁ……」
P「……楓さん?」
楓「はぁ……」
P(何か目に生気が……あまり見られないんだが……)
楓「……プロデューサー」
P「な、なんです?」
楓「ちょっと……気分が悪いので、外の空気吸ってきます」ガタッ
P「え、あれ……ちょっと、どこ行くんですか。ちょっと! あ、すぐ戻って来て下さいね!」
P「……行っちゃった」
P(……二日酔いかな?)
……
P「……」
P(遅いな、戻って来るの……次の仕事まで、余裕無くなってきたぞ)
P「……探しに行くか」
P「……」スタスタ
P(収録室周辺にはいない……)
P「……」スタスタ
P(楽屋も、ロビーも……)
P「はぁ、はぁ……」タッタッ
P(外って言ってたのに、車にも、駐車場の近くにもいないぞ……どこ行ったんだ一体……)
P(受付でも行方を聞いたけど、知らないと言われたし……クソ、聞けそうな人に聞いていくか)
P「あの、すみません」
「はい、何の御用で」
P「あの、うちの高垣の姿を見ませんでしたか?」
「高垣さん? あぁ、それなら……」
P「(ビンゴ!)彼女は、何処へ?」
「上の階……屋上だったかな? 一応うちの屋上、関係者なら休憩ルームに使えるように開けてるんだよ。
あんまり外の人には知られてないけどさ」
P「そ、そうなんですか……すいませんお呼び止めしてしまって。ありがとうございました」
「お、おい。そっちじゃ遠回りだよ。こっちの方が近い近い」
P「あ、すいません」
タッタッタッ
P「はぁ、はぁ……」
P(どうしたんだ、急に……まさか、隠れて吐いてたりしないよな?)
バタンッ
P「はぁっ、はぁっ……(楓さんは……)」
P「……いた」
P(手すりに体預けて、空見て何してるんだ……)
楓「……」
P「……楓さん。雨、また降ってきますよ」
楓「……」
P「(反応無しか)楓さん、もう次の仕事への時間がありません。
今日みたいに少し余裕がある日は珍しい事ですから、休みたいのはわかります。けど……」
楓「プロデューサー」
P「……なんですか」
楓「……結婚って……そんなに、良いものですか?」
P「え?」
楓「結婚って……」
P「……」
P(何と哲学的な……経験無い俺に聞かれてもな……いや、今はある事になってるのか)
P「……いいんじゃ、無いですか? 好きな人と、一緒になれるんですから」
楓「……」
P「まぁ、そりゃあ……結婚したら、相手の嫌な所見たりしちゃうかも知れないですけど……。
それでも、俺は良い事だと思いますよ? 形式とか、そういうの抜きにしても」
楓「……」
P「……」
P(何か、気まずい……楓さん、足ぶらつかせて……虚空を見つめてるって感じだ)
楓「良いじゃないですか、別に」
P「え?」
楓「このままでも……結婚しなくったって、楽しいじゃないですか」
P「……どういう」
楓「皆と毎日笑って……志乃さんとかとも飲み会して……仕事も充実してて……十分、楽しいじゃないですか」
P「……」
楓「これ以上……何を求めるんですか」
P「……」
P(やっと、俺と目を合わせたけど……何だろう。最初会った時感じたみたいに、掴みどころが無いって、印象だ。
あの、目……)
楓「……もっと、私達といましょうよ」
P「……別に、俺が結婚したって俺は何処か遠くに行く訳じゃ……」
楓「そうでしょう、だって」
P「……」
P(何か、声が冷たいな。それに、捨て鉢で、何か抑えてるような言い方だ)
楓「……私達は、どうでも……いいんですよね」
P「どうでも良くないですよ」
楓「結婚するって事はそういう事じゃないですか」
P「何でですか」
楓「自分で気付いて下さい」
P「何をです」
楓「それくらい……自分でして下さい」
P「言わなきゃわかりませんよ」
楓「言わせるん、ですか」
P(……声が、震えてる?)
楓「……本当に」
P「……」
楓「気付いて、無いんですね」
P「……」
P(ヤベェ、これどこでネタばらしすればいいんだ……険悪だぞ何か……)
楓「……」
P「……」
楓「……嫌いです」
P「え?」
楓「人の気持ちも、知らないようなプロデューサーなんか、嫌いですっ」
P「(嫌われた……何故だ)何でですか」
楓「私達を見捨てるような人なんか、嫌いです」
P「見捨てる訳無いですよ」
楓「結局、仕事だけの関係だったんですよね」
P「そんな訳無い」
楓「人を踏み台にして……他の人の所に行くんじゃないですか」
P「違う」
楓「他の人と結婚するんじゃないですか!」
P「しないって言ってんだろ!」
楓「……」
P「……」
楓「……え?」
P「……あ、やべ。ナチュラルにばらしてた……」
楓「え、ばら……え?」
P「いや、あのね楓さん。言おう言おうと思ってたんだけど、その、ちひろさんにね?
その……色々やれと言われまして……」
楓「……」
P「……」
楓「結婚、しないんですか?」
P「はい、しません。むしろしたいんですけどできません」
楓「幼馴染の人っていうのは……」
P「即席脳内彼女ですはい」
楓「……」
P「……」
楓「……」プクー
P(あ、ふくれた)
楓「……」ポカポカ
P「イテッ、イタッ、ちょっ、子供みたいなパンチはやめっ」
楓「……」ムスー
P「あの……何と言いましょうか」
楓「……」ムススー
P「はいすいません嘘つきました」
……
楓「……つまり、プロデューサーがジョークで、昔のアクセサリを付けてみたら話がふくれたと……」
P「はい」
楓「……性質が……悪過ぎます」
P「はい。私もそう思うんですけど、毒を食らわば皿まで行けとお達しが出てまして……。
その……そうしないと100万の借金をですね……」
楓「……」ムスー
P「はい、私が全て悪いです。人のせいはダメですはい」
楓「もう……本当に、心配したんですから……」
P「……あの」
楓「何ですか?」
P「……何で俺が結婚しちゃ、ダメなんでしょうか」
楓「……」
P「別に、結婚したとしても仕事は疎かにしませんよ。ただ、まぁ……飲み会はあんまり出れなくなるとは思いますけど」
楓「それがダメなんですよ。私達を疎かにしてるじゃないですか」
P「えぇー……」
楓「とにかく、私にそういう冗談はやめて下さいね?」
P「はい。もうしません、天地神明に誓って」
楓「はい。じゃあ正座解いて下さい」
P「イタタ……久しぶりにやると、こたえますね……」
楓「……プロデューサー」
P「なんです?」
楓「怒った時、ちょっと乱暴な言葉遣いでした」
P「あぁ……まぁ、ちょっと、応酬だったものでつい……」
楓「普段は……ああいう喋り方なんですか?」
P「え? ま、まぁ……地元の友人とかには、タメ口ですけど」
楓「じゃあ、私にもそうして下さい」
P「え?」
楓「私だって、友人なんですよね? 事務所で聞きましたよ」
P「……ま、まぁ」
楓「なら、歳だって同じくらいなのに敬語なんておかしいじゃないですか。私も、もうやめますから」
P「……まぁ、楓さんがそう言うのなら」
楓「さん」
P「よん?」
楓「違います。さん付けです。それも、やめて下さい」
P「え、じゃあ……」
楓「普通に、奏ちゃんとかを呼ぶ時みたいに、楓って、呼んで下さい」
P「……」
楓「そうしたら……今回の事は、許してあげます。自ら水に流します」
P(今のダジャレか?)
P「……」
楓「……良い、かな?」
P(その目は、やめてくれ……芯に来る……)
P「はぁ……わかったよ、楓」
楓「……うんっ」
P「……」
楓「……」
P「……あれ、次の仕事の時間……」
楓「……あっ」
P「今、予定15分前……車で、飛ばして20分かかる……」
楓「……」
――
P「……ただいま帰りました」
ちひろ「お帰りなさい」
P「はぁ……もうヤダぁ……あんな走ったの、久しぶりだ……」
ちひろ「おっ、やられてますねぇ。自業自得ですよ」
P「はい……」
ちひろ「で、どうだったんです?」
P「楓さんが怒って、走って、正座させて、タメ口って感じです」
ちひろ「4コマ漫画じゃないんですから……要約し過ぎですよ」
P「ついでに今日の飲み会の店探せって言われちゃいました……」
ちひろ「それくらいで済んだんでしょう? 安いもんですよ」
P(まぁ……あの、うんって言われた時のはにかみ顔は、なんかきたけどなぁ……)
P「ちひろさぁん、もうやめましょうよぉ……10ダースくらいなら買いますから……」
ちひろ「ダメですよ。何となく今の要約で、楓さんも泣かせたと判断したので続行です」
P「えぇ……」
ちひろ「このナチュラルボーンジゴロが……もっと辛い目にあって貰いますよ」
P「ひぃ……」
ちひろ「で、もうおやつ時近くですけど……そろそろ午前レッスン組の子の仕事ですかね」
P「そうですね。確か……>>119の仕事が入ってたような……」
早苗さん
楓さんは初めてMM特訓した人だから、思い入れ深いからかなり思念が入った
そしてDOCTERS見てて遅くなった、すまん
早苗さんかぁ
もう寝落ちするかも知れんから、すぐ更新は期待しないでくれな
うわ本当だ俺計算もできねぇのかよ
ごめんなさい本当に
P「そうですね。確か……早苗さんの仕事が入ってたような……」
ちひろ「え、早苗さん今日オフですよ?」
P「あれ? あ……スケジュールずれてる、修正しないと……じゃあ……あれ、他の子の予定も空いてるって事は……。
夕方過ぎまでは……」
ちひろ「特には仕事無しと。じゃあ外周り行って来て下さい」
P「ふぅー……助かったぁ……」
ちひろ「……スタドリ安いですよ、買って行きませんか。外回りでのお仕事するならスタミナつけないと」
P「いえ結構。私は十分回復しておりますので」
ちひろ「ちっ……」
P「わざとらしい舌打ちですね……じゃあ、お仕事行ってきます」
ちひろ「はい、じゃんじゃん取って来て下さいね。仕事はできるんですから」
P「へー……了解です」
――
P「ふぅ……二、三時間で、まぁ自取り収穫大口一個なら良いかそれなりに……」
P(あぁー……でもこのまま事務所帰ったら、ちひろさんに何か言われるんだろうなぁ……。
自分で撒いた種だけどさぁ……なんか、思ってたのと違うんだよなぁ)
P「何で皆普通におめでとうとか言ってくれないんだろ……はぁ……」
「はぁ……」
P「……ん?」
「……あ」
P「……あ、早苗さん発見」
早苗「……い、いやー……奇遇ね、P君」
P「本当奇遇ですね……いやぁ、どうしたんですか。なんか、おめかししてますけど……」
早苗「あぁー、これ? これは、ちょっとね……ははは……」
P「……パーティ、衣装ですよね」
早苗「うん……ちょっと……友達の、結婚式に行ってきて、さ」
P「あぁー……だから今日休みに……」
早苗「……まぁ、そういう事」
P「……二次会は?」
早苗「ちょ、ちょっと……気が乗らなくて、ね」
P(酒性悪の早苗さんが二次会を蹴るとは……よっぽど滅入ってるのか)
早苗「今不届きな事考え無かった?」
P「いえ、何も。というか、何か荷物重そうですね。途中までですけど、荷物持ちましょうか?」
早苗「え? あ、い、いいのよ。元警察官なんだからこれくらいは……」
P「それ以前に、身長での筋力差はどうしてもありますから。ほら、俺が持ちますよ。
年下は、もっと便利に使って下さい」
早苗「……わかったわ。P君がそう言うのなら、お言葉に甘えちゃおうかしら」
P「えぇ、甘えて下さい。どうです? まだ俺も時間あるので、お暇なら少し夕食でも……」
早苗「え、良いの?」
P「次の予定まで……あいにく一時間もあるので。こっちも今日は昼休憩無しで働いてますからね。
これくらいのサボリは融通させますよ」
早苗「じゃあ……行こう、かな」
P「ありがとうございます。じゃあ、行きましょうか」
――
ドンッ
早苗「あーっ! おいしい! やっぱりビールは最高だわ!」
P「(急に元気になったな……まぁへこんでるより良いか)えっと、はい、これでお願いします」
早苗「んー? 何頼んだのー?」
P「俺は冷奴を……ちゃんとつまみも頼みましたから、安心して下さい」
早苗「そう? ならいいわっ」
P(しかし、相変わらず羨ましいくらいに飲むなぁ……悪酔いするのは羨ましいとは思わないけど)
早苗「はぁーあー……もうやってられないわよ……」
P「どうしたんです急に」
早苗「いやねー? ちょっと聞いてくれるP君」
P「(もうゴキゲンか……)なんです?」
早苗「今月入って、もう三回目よ! 三回目!」
P「何が三回目なんです?」
早苗「結婚式よ! 友達の、けっ、こん、しき!」
P「あぁー……」
早苗「昔一緒に仕事やってた子がさー……みーんな良い人見つけて結婚しちゃって……」
P(切実だなぁ……)
早苗「あたしは……こうやってP君にスカウトして貰って、楽しくアイドルやってるけど……。
なんか、置いてけぼりにされる気分でさー……」
P「……そうですね。俺も、最近友人から結婚するって報告、よく聞くようになりましたから」
早苗「そう! そうだよP君! 全く……かけっこしてる訳じゃ、なーいんだからさー……」ゴクゴク
P「(あぁ……こりゃ酒進むな……)あんまり、飲まないで下さいね」
早苗「わかってるわよ! わかってるけど……はぁ……飲みたくなるのよ……。
こんな話、他の子にも言ったりできないしさぁ……」
P「……お察しします。ですけど、俺はこの後仕事があるので介抱できませんから、程々にお願いしますね」
早苗「……うん」
P「……ふぅ」トントン
早苗「……ん」
P「どうしました? 何か目ぼしいメニューでも……」
早苗「P君……その、指輪……」
P「え? あ、あぁ……これですか。これは、まぁジョークグッズみたいなもんですよ」
早苗「ジョーク?」
P(今業務中じゃないし、ばらしてもちひろさんにとやかく言われないだろ)
P「えぇまぁ……昔集めてたアクセサリを、ちょっと背伸びして、左薬指につけて、ですね。
アイドルの皆が、その……俺が結婚したんじゃないかと勘違いして、どういう反応と祝福をしてくれるかと」
早苗「……悪趣味だなぁ」
P「……はい。今は、色々あって後悔してるんですけどね。外すと、後で怖いので外せないんですけど」
P(何だか呪いの装備みたいだ……)
早苗「ふーん……色々、ねぇ」ケラケラ
P「……はい」
早苗「……ねぇ、P君ってさ」
P「なんです?」
早苗「結婚……したいとか思ってるの?」
P「え? そりゃ、まぁ……人並みには」
早苗「うっそだー」
P「ホントですって。子供だって……欲しいですし」
早苗「ホントにー?」
P「えぇ、本当ですよ」
早苗「その割にはさぁ、うちの事務所で、浮いた話の一つも聞かないじゃない」
P「えぇ? まぁそりゃそうでしょう。もし相手見つけるとしても事務所で見つける訳ないじゃないですか」
早苗「えぇー? アイドルだよ? 皆可愛いし性格良いよー……よりっどり、みどりだよ?」
P「……いや、常識的にダメでしょう。アイドルとその裏方がくっつくなんて、背信行為も良い所だ」
早苗「お堅いなぁ……ダメだよP君そんなじゃあっ、人生を、謳歌、できないよ!」バンッ
P「いった……背中叩かないで下さいよ……」
早苗「でも、そんな事言ってもさぁ。皆綺麗なんだから、ドキッとした事なんて腐るほどあるんじゃないのー?」
P「……まぁ、腐るほどありますけど……」
早苗「ほうほう、例えば誰よ?」
P「(つい先ほどの例でも良いか……)奏とか……美優さんの笑顔とか……楓さんの、まぁ……仕草とか」
早苗「随分と具体的だねぇ……何? その三人が好み?」
P「今日ドキッとした事例をあげたんですよ」
早苗「あぁそう。でも、奏ちゃんかぁ。確かに彼女は、凄いよね。色っぽいよねぇ。
まぁお姉さんには負けるけど」ケラケラ
P「まぁ、でしょうね(この人と奏が並んだら10人中9人は奏が年上か同級生だって言うでしょうけどね)」
早苗「後は美優ちゃんと楓ちゃんかぁ……結構、ストレートな好みねぇ」
P「……それは、どうも。まぁ、好みとかいう話じゃないですけどね」
早苗「また誤魔化しちゃってさぁ……あ、すいませーん! 生中追加で!」
P「(飲むなって話聞いてたのか?)一杯で出来あがってるんですから、二杯はちょっと自制を……」
早苗「これが飲まずにいられるかっての……はぁ、あたしも結婚したいなぁ……」
P「早苗さんもですか」
早苗「うーん……もうさ、ファンレターで、早く結婚しないんですかって心配される歳だもん。
焦りもあるよそりゃ……」
P「……そりゃキツイですね」
早苗「昔は安定職就いてたけど、今は……ほら、順風満帆って感じだけど、何があるかわからないし……。
ちょっと嫌な言い方だけど、今みたいに安定してる時に相手見つけたいし……」
P「そうですね。それはわかります」
早苗「……まぁ、良いと思ってる人はいるっちゃ――」
「おまたせしました! たこわさと冷奴です」
P「あぁすいません。はい、早苗さんそっちに」
早苗「え? う、うん……」
P「揚げものはやっぱり時間かかります、かね」
早苗「……ねぇ、P君」
P「なんです?」
早苗「お姉さんはさぁ……P君の、お眼鏡的には、どうなの?」
P「どうなの、とは?」
早苗「そりゃあ……あ、あたしと、結婚しても良いかなぁとか……思ったりしないの?」
P「……」
早苗「だ、黙んないでよ……気まずいじゃない」
P「……歯に衣着せずに、言っても良いんですか?」
早苗「え? い、良いわよ。ストレートに言いなさい!」
P「……まぁ、良いんじゃ、無いですか?」
早苗「え、ほ、ホントに?」
P「まぁ、私感ですけど……結婚って、好きな人とするものじゃないですか」
早苗「え? ま、まぁそりゃそうでしょ」
P「でも……それでも、言い方が悪いですけど何十年も一緒にいれば……相手に、飽きてしまうじゃないですか。
いや、飽きるじゃないな。慣れるって言った方が良いですね」
早苗「……そう、ね」
P「でも、もし相手が嫌でも飽きさせてくれないような……そういう人だったら、良いんじゃないですかね。
まぁそういう人とは多少衝突してしまうかも知れないけど、毎日がイベントだなんて……素敵じゃないですか」
早苗「……」
P「それに何だかんだ言って頼りがいはありますし、他の年少アイドルの事なんかも、見て貰ってますから」
早苗「……」
P「……なんです? 何か返事して下さいよ。それなりに恥ずかしい事言ったんですから。
子供ができても、任せられるんじゃないですか?」
早苗「い、いや……」
P「まっ、仮に結婚するんだったら、っていう話なんですけどね。早苗さんに知り合った人は、全員こう言うと思いますよ。
俺一人の意見じゃなく単純に」
早苗「……ま、まぁっ、そうだよね」
P「早苗さんは、どういう人が良いんです? やっぱり、お金持ち?」
早苗「えぇ? あたしは別に……お金なんて無くても……いや、嘘、ゴメン。
ぷぅ太郎はさすがにダメ」
P「ははっ、それは極論じゃないですか」
早苗「まぁ、そうだけどさ。親が、心配するし……」
P「……でしょうねぇ。俺が引っこ抜いた時点でかなり心配されたって聞きましたし」
早苗「まぁねぇ。今はこうなって良かったと思ってるけど。毎日楽しいし性に合ってるしさぁ」
P「……そう言って頂けると、俺も助かります」
早苗「……あ、あはは。ゴメン辛気臭い話振って、あ、店員さん唐揚げ持ってこっち来てるよ。
きっとうちのじゃない?」
P「え? あぁ、そうですね。あ、本当に来た」
早苗「あはは、これよこれ! 結婚式じゃお上品な料理ばっかでさぁ、こういう料理食べたかったのよ」
P「確かに、早苗さんは飲み屋でつまみ食べてるとか、家庭料理とか食べてる方が似合ってますよ。
フレンチとか食べてるの想像できませんし」
早苗「ちょっとー、それどういう意味よP君」
P「良いじゃないですか。そういう庶民的な方が、男性は好感持てますから」
早苗「え、そ、そう……ならいいわ!」
P「でもそれと飲み過ぎるのとは話が別ですからね」
早苗「わ、わかったわよ。これでビールは最後にするから……」
P「ビール、は?」
早苗「お酒はこれでやめにする! もう、P君は抜け目無いんだから……」
P「アイドルの体調管理も、俺達の仕事なんですよ。早苗さんと楓さんとかは言っても聞いてくれないですけどね」
早苗「お酒おいしーんだからしょうがないしょうがない。P君も早くお酒が飲める、いっちょ前の男になんなさいよ!」バシッ
P「いたっ、いちいち背中叩かないで下さいよ。はぁ……遺伝的なものですから、どうしようも無いんですよ俺には」
早苗「ビール中ジョッキ一杯も飲めないんだっけ?」
P「えぇ、半分も飲めばぐったりでして……奈良漬でもふらっと来るのに」
早苗「相当よねぇP君」
P「まぁ、俺は白いご飯が好きなので、良いんですよ別に」
早苗「……P君をお持ち帰りするには、飲ませれば良いのかぁ……」
P「そんな面倒な事するより、技かけて絞め落とした方が早いと思いますよ俺は」
早苗「あ、聞こえてた?」
P「早苗さんみたいに酔って無いんでね俺は。そもそも、俺をテイクアウトしてどうすんですか」
早苗「それはあんな事やこんな事に決まってるじゃない。純情な乙女の口からとてもとても言えないわ」
P「骨が全部無くなりそうですね。お宅に行くのは丁重にお断りさせて頂きます」
早苗「えぇー、P君いけずー」
P「はいはい。そんな事言ってると唐揚げ取りあげますよ」
早苗「鶏だけに?」
P「やめなさい。それは他所の専売特許です」
早苗「反応冷たいなー。酔っ払いの相手してよーPくーん」
P「酔っ払いって自分で言わないで下さいよ……ほら、また何か頼みましょうよ。
たこわさ無くなっちゃいましたし」
早苗「えー、何ある? あっ、あたし砂肝ほしー」
P「砂肝ですねー……じゃあ、他に適当に頼んで……すいませーん」
早苗「……ふぅー、ビール無くなっちゃった。P君ついでにウーロン茶もお願いねっ」
P「了解です」
早苗「はぁー……でもやっぱり、こうしてP君と騒いでる方が、今は楽しいかなー……。
結婚は、まだ良いか!」
P「そうして貰えると、こちらも助かりますよ。俺もそっちの方が色々と仕事がしやすい」
早苗「でも、そうやってあたしが結婚できなかったら……P君に責任とって結婚してもらおうかしら!」
P「えぇー?」
早苗「だってそうじゃなーい。P君が結婚するなって、言ってるようなものなんだから……。
あ、何かこの言い方だと、P君があたしにゾッコンみたいな感じになるわね!」
P「(ゾッコン、死語だなぁ……)俺と結婚するんですか? さっきも話してましたけど」
早苗「えっ? え、えっと……それでも、あたしは……」
P「でも早苗さん、家事できるんですか?」
早苗「え? 家事?」
P「そう、家事。できないと話にならないでしょ」
早苗「えぇー、P君は男が働いて女が家事するっていうガッチガチな考え持っちゃってるわけー?」
P「いえ。早苗さんは確実に、結婚してもこの仕事続けますよね」
早苗「え? そりゃ当然でしょ楽しいんだから」
P「俺も同じです。だったら、両方が家事を分担しないといけない。
俺は一通りの事は人並みに以上にできると自負していますが、早苗さんは?」
早苗「え、あ、あたしは……まあ、修行中で……」
P「じゃあダメでしょう。そういう些細な所で、軋轢が起こって来るんですよ」
早苗「そこは……何とかするわよ」
P「でもまぁ、家事できなくても俺みたいなぺーぺーより、もっと良い人を早苗さんなら見つけられるでしょう。
もっとお金持ちで、顔も良い……」
早苗「だーかーら! お金とかそういうのは関係無いって! 愛よ! 愛! まず結婚にはそれが一番でしょ!」
P「まぁ、そうですけどね。でもどうしても現実的な部分を考えちゃうんですよ」
早苗「P君冷めてるなー……」
P「……現実的な事も考えないと、相手を幸せにできないでしょう」
早苗「……」
P「……そういう事です。俺が完璧超人だったら、そんな事物ともしないで良いんでしょうけどね……。
そもそも俺には、まだそういう余裕が無いんです。貯金だってまだ足りないですし」
早苗「はーいはい。こんな話振ったあたしが悪かったですよ!
ヤメ! はいヤメこの話は!」
P「……すいません。つい熱くなって」
早苗「まぁまぁ。もしP君と結婚する人は……それだけ、大事に思って貰えるって事でしょ?
良い事じゃない」
P「そう言って頂けると、嬉しいです」
早苗「まぁねぇ。お姉さんは人を褒めるのも仕事だからさ」
P「何ですかそれ」
早苗「はははっ、うるさいぞP君。これ以上言うと逮捕術見せちゃうぞっ」
P「はいはい、わかりました。……あれ、さっき店員さん呼んだんですけどね。来ませんね」
早苗「すいませーん! ビールおかわりくださーい!」
P「あっ、何頼んでるんですか!」
早苗「うるさいよー、年長者の言う事は聞きなさい!」
P「早苗さん勘弁して下さいよ……」
早苗「あっはっは、愉快愉快」
――
早苗「いやー、飲んだ飲んだ!」
P「一時間でよくあそこまで飲めますね……大丈夫ですか本当に」
早苗「大丈夫だって! ほら、足も……ふらついてない!」フラフラ
P「はいはい、まぁそういう事にしておきます」
早苗「んっふっふー……いやー、楽しいなぁやっぱり……」
P「……そうですね。まぁ良いだけ飲みましたからね、さぞや楽しいでしょう。
じゃあ、俺は事後処理とかあるんで、これで」
早苗「うん、またねP君! ちょっと……気が楽になった」
P「えぇ。お互い、周囲の友人に流されないように生きましょう。じゃあ、本当に気をつけて帰って下さいね」
早苗「もう、わかってるってー」
P「じゃあ、また明日会いましょう」
早苗「……うん」
P「……」クルッ
早苗「……」
キュッ
P「おっ、と」
P(何だ、なんか袖に引っかかって……)
早苗「……」グッ
P「えっと……早苗さん? 袖つかまれると……」
早苗「……あたしもさ」
P「え?」
早苗「あたしも……不安なるんだ……」
P「……」
早苗「たまーにね? たまーにだけど……自分が、本当にずっとこのまま一人で生きてかなきゃいけないのかなって……。
不安になったり、するんだよね……」
P「……早苗さん」
早苗「あたしは、お姉さんだから……そういう事思っちゃいけないんだけど……。
どうしても……思っちゃうんだ……」
P「……」
早苗「あはは……ごめん、やっぱり何でも無い。引きとめて、ごめんねP君」パッ
P「……」
早苗「さてと……じゃあ、仕事、頑張ってね」
P「……はい」
早苗「じゃ、また明日」
P「……えぇ」
早苗「……」スタスタ
P「……早苗さん!」
早苗「……なに?」
P「不安になったら……いつでも、俺を飲みにでも誘って下さい。
そういう不安は全部吐きだして、楽になるのが一番ですから、飲みに行った時に俺に全部ぶちまけて下さい」
早苗「……P君」
P「早苗さんは……確かに、年長の人ですけれど、誰かを頼っちゃいけない訳じゃ、ないんですから。
俺に、もっと甘えて下さい。それが、俺達裏方の仕事でもありますし、」
早苗「……」
P「……僭越、でしたかね」
早苗「……ぷっ」
P「?」
早苗「あっははは!」
P「……」
早苗「飲めない子に、飲みに誘われちゃった……下戸なのにっ……」
P「……」
早苗「全く、おかしいったら、ありゃしない……」
P「……まぁ、それくらいの事なら耐えてみせますよ。早苗さんの為なら」
早苗「……」
P「じゃあ、本当にこれで」
早苗「……う、うん」
P「……じゃあ」
スタスタ
早苗「……」
早苗「ーっ!」タタタッ
早苗(嘘……い、今のっ……ぐっと来た……)
早苗(あーっ! 明日どんな顔して事務所行けって言うのよーP君のバカー!)
――
P「ふぅー……戻りました」
ちひろ「あら、お帰りなさい」
P「一つ、ちょっとデカいのを取り付けました。
また後でちひろさんにも色々回って大変になると思いますが、よろしくお願いします」
ちひろ「(仕事はできるんですけどねぇ……)はい、わかりました。やりましたね」
P「……ふぅー……疲れた」
ちひろ「随分、骨を折って取ったみたいですね。それとも、午前の出来事の心労でしょうか」
P「皮肉効いてますね。違います、早苗さんと会ったんですよバッタリ」
ちひろ「へぇー、そうなんですか」
P「友達の結婚式の帰りだったそうで、色々と食事を兼ねて愚痴を聞いてきました」
ちひろ「それは……お疲れ様です」
P「はい、どうも。あ、ちひろさんお腹減ってません? 通りがかったケーキ屋さんで買って来たんですけど良かったら。
お腹いっぱいなら、持ち買って頂いても……」
ちひろ「まぁ、ありがとうございます。すみません何だか……」
P「いえ、俺だけ外で良い夕食食ってくるのもなんですから」
ちひろ「そうですか……これで午前の事はチャラにはしませんよ」
P「すいませんでした……もう、勘弁して下さい。そろそろ事務所にまた帰ってきますよ他の子が。
も、も、もう良いでしょうさすがに」
ちひろ「一日ぐらい色んな経験してきて下さい。のちの糧になりますよきっと」ニッコリ
P(ちっ、物じゃ釣れないか……)
ちひろ「さて、さっき連絡があって、>>177がそろそろ帰ってくるそうです」
ありす
ありすかぁ、Co無双だな
俺もCoPだからさして問題は無いけど……
初の未成年か
>>185
奏の事も忘れないであげて下さい……
彼女もありすと同じで違法なんですよ
P「奏とキスした」
P「ありすとキスした」
P「仁奈とキスした」
全然意味合いが変わるからね、ちかたないけ
ちひろ「さて、さっき連絡があって、ありちゃんがそろそろ帰ってくるそうです」
P「ありすかぁ、良かったぁ……子供なら、純粋に祝福でもしてくれるでしょう。
まあ、ありすだと終わった後に説教されそうですがね」
ちひろ「ふっふっふ、そうですねぇー」
P「何ですかその含み笑いは」
ちひろ「いいえぇ、何でもありませんよぉ」
P(間延びして気持ち悪いな……何企んでる?)
ガチャッ
ありす「ただいま戻りました」
ちひろ「あ、お帰りなさい」
P「おっ、おかえりありす。今日も大変だったろ」
ちひろ(とか言いつつ、左手をポケットに入れて右手で手振ってるし……無意識に自己防衛してますねこの人)
ありす「いえ、いつもと変わり無いですから」
P「そっか。でも、頑張った事には変わりないよ。ほら、おいで」
ありす「い、いえ……こ、ここでは……」
ちひろ「……何ですPさん」
P「あぁ、見られたくないか。じゃあしょうがない」
ありす「あ、あのPさん……」
ちひろ「何です? いつも何してるんですか?」
P「いやぁ、俺がいつも――」
ありす「Pさん」
P「なに?」
ありす「言ったら、駄目です」
P「えぇー……あぁ、まぁ、そう。じゃあいい。言わない」
ちひろ「何ですか、いつも何してるんですか教えて下さいよ」
P「ありすに駄目って言われたのでダメです。教えられません」
ちひろ「えぇー、じゃあ早苗さん呼んじゃおー」
P「あの人は酔ってて来れませんよー」
ちひろ「教えてくれたって良いじゃないですかーこのたらし」
P「最後だけ語気強くするのやめて下さいませんかね。もうスタドリ脅しにも屈しませんよ。
よくよく計算したら10万だったし」
ちひろ「あら算数できたんですか」
P「あの時は貴女の気迫に押されたんですよ」
ちひろ「……ホントに1000ダース買わせますよ?」
ありす「と、とにかく、今の話は忘れて下さい」
ちひろ「ちぇーっ。じゃあ良いです。邪魔者は帰りますよ」
P「え、帰るんですか?」
ちひろ「当たり前ですよ。もう定時過ぎてるんですから」
P「そうですか。何はともあれ、お疲れ様です。あ、ケーキは今日中に食べて下さいね」
ちひろ「はい。ありすちゃ……橘ちゃんもまたね」
ありす「……はい」
バタンッ
P「さて、と……ちひろさんも帰ったし。ほら、ありすおいで」
ありす「え? で、ですけど……」
P「恥ずかしがるなって、よっと」ヒョイ
ありす「きゃっ」
P「よいしょっと。ははっ、今日も頑張ったかーありす」
ありす「は、はい……ちゃんと、できました……」
P「ごめんな、今日も見にいけなくて」
ありす「大丈夫です。そんな、ずっと見てるなんて無理ですし……それに終わった後に、こうしてくれるなら……」
P「そっか、ありすは偉いな」ナデナデ
ありす「……えへへ」
ちひろ(ふふふ、扉の隙間からバッチリ見てますよー……)
ちひろ(椅子に座って、ありすちゃんを膝に乗せて頭撫でて褒めてますねー)
ちひろ(ありすちゃんのあの笑顔とPさんのあんな優しそうな声と表情は見た事無いですねー)
ちひろ(……本当に通報しなくて大丈夫かしら……)
P「さてと、残ったお仕事片付けなきゃいけないんだが……今日はちょっと仕事が多くてな。
一緒には帰ってあげられないよ」
ありす「そ、そうですか……」
P「ごめんな。大きな仕事が取れたから、それの準備しなきゃいけないんだ」
ありす「それなら……仕方がないです。でも……その……」
P「なに?」
ありす「お仕事の、その……邪魔でなければ……このままで、良いですか?」
P「あぁ良いよ。ありすは軽いし、このままで」
ありす「じゃあ……お願い、します」
P「はいはい」
ちひろ(あのまま仕事してる……顎をありすちゃんの頭に乗せて仕事してるけど疲れないのかしら)
ちひろ(でも、ありすちゃんも幸せそうな顔してるわねぇ……)
ちひろ(バレたら……どうなるか)
P(……結婚、かぁ……)
P(早苗さんと話して、妙に現実的な頭痛の種になってきたな)
P(それに……)
ありす「ん……何ですか?」
P「ごめん、何でも無いよ」ナデナデ
ありす「……ふふ」
P(はぁ……ありす見てると、自分の子供欲しくなるんだよなぁ……)
P(他人の子でこれだけ可愛いと思えるのに、自分の子供なんて持ったら俺大変だな。
特に娘だったらべったりだぞきっと)
P(将来お父さんと結婚するとか言われたら、多分俺幸せで泣き崩れるな)
P(運動会見て、旅行して……学芸会とかもあるか。そういうイベントは全部カメラに収めて……)
P(はぁ……良い家庭持てたらなぁ……仕事にももっと力が入れられるのかも知れないけど……)
P(どうでもいいイタズラと思って始めたが、人生考えさせられるようになるとは……)
ありす「……あれ?」
P「どうした、ありす」
ありす「手に……何か固いのが……」
P「ん?」
ちひろ(お、通報かな?)
P(あ、指輪が撫でてる時に当たってたか)
ありす「手、見せて下さい」
ちひろ(なんだそっちか)
P「あっはい」
ありす「……これ」
P「あぁ、これな。ただの……」
P(……待てよ。何か視線を……)
ちひろ「……」ジーッ
P(うっ、あ、あの人帰ったんじゃないのか?)
ちひろ「……」フリフリ
P(うわぁ、手振らないで下さいよ……視線でバラすなって言ってるよ……どうするんだこれ)
ありす「これ……薬指に、ついてますけど……」
P「(ありすだから、まぁ……大丈夫、か?)あぁ、これ、な……その……」
ありす「……」
P「(ちひろさん口が笑ってるけど目が笑ってない……)何と言うか……まぁ、な」
ありす「……」
P「……ありす?」
ありす「……その……」
P「ん?」
ありす「お、おめでとう……ございます……」
P「あ、あぁありがとう」
P(なんか祝われたの初めてな気がする)
ありす「……」バッ
P「お、おいありす? どうした急に立ちあがって……」
ありす「何で……」
P「え?」
ありす「何でですか!」ブンッ
P「うわっと……で、電卓投げるな危ないだろ!」
ありす「何で、何で結婚なんて!」ブンッ
P「あぁそれダメだ! 資料が、うわっ」
ありす「嘘つき!」ブンッ
P「うそって……」
ありす「待てるって……」
P(……止まった?)
ありす「待てるって、言ったじゃないですか……」
P「……ありす」
P(目に涙が溜まってるが……え、何か俺やっちゃいけない事したか?)
ありす「この前の、お仕事で……Pさんが、待てるって……」
P「待てる……あ、あれかっ」
P(とりあえず待てるかって聞かれたから生返事してたが……あ、あれは……)
P「そういう年齢まで、待てるかって……」
ありす「……」コクッ
P「あ、あー……その、それは……」
ありす「……」
P(凄い……睨まれてる……)
P「しょ、将来お父さんと結婚する……的なものだと思って……」
ありす「……誰と」
P「ん?」
ありす「誰と、結婚するんですかっ」
P「え、あぁいやそれは……お、幼馴染なんだがな」
P(また咄嗟にこの設定が出てきた……)
ありす「……へぇ、幼馴染ですか」
P「あ、あぁ」
ありす「……と、言う事は……私が待てるかと聞いた時には、既にそのような関係だった可能性が、
極めて高いという事ですよね」
P「うっ……」
ありす「それなのに……私が待てるかと聞いて、待てると言ったのは……。
単純に、あの質問の意味を理解していなかったという訳ですか」
P「は、はい……」
ありす「あのイベントの最中にですか。貴方が衣装を用意して、貴方が私をあのイベントに参加させたあのイベント……。
どういうイベントだったか……覚えてますよね?」
P「はい……」
ありす「……こんな鈍感な人でも、アイドルのプロデューサーってできるんですね。
ここの事務所はとんだ人を、プロデューサーにしたものです」
P「……」
P(ぐうの音も出ない……)
ちひろ(いいぞいいぞありすちゃん、もっともっと!)
ありす「……こんな人を……私のプロデューサーに……」
P「……」
ありす「期待だけさせて、こんな……」
P「……」
ありす「……私だって……」
P「……」
ありす「女の子、なんですよ……」
P「……」
ありす「結婚にだって、憧れ、ますしっ……」
P「……ありす」
ありす「私、だってっ……Pさんの事っ……」
P「……」
ありす「うっ……」ポロッ
P「お、おいありす」
ありす「……あぁああああっ……」
ちひろ(あーあ、泣かしたー)
P「ちょっ、な、泣かないでくれ、ありす」
ちひろ(ありすちゃん泣き崩れてますねー。それをちゃんと受け止めて抱きしめる辺りは良い反応ですけど)
ありす「待つって……言った、のにっ……」
P「ご、ごめんありす……そ、その、これは……」
ありす「待つって……だから、私っ……」
P「……ごめん。その……俺の、意識が足らなかった」
ありす「私っ……」
P「……」
P(落ちつくまで、なにを言っても無駄かな……このまま、待とうか。背中でもさすって)
……
P「……落ちついた?」
ありす「……はい。取り乱して、すみませんでした」
P「いや、悪いのは……確実に俺だろう」
ありす「……はい、それはそうですけど……」
P「ん?」
ありす「私も、少し……言い方が、遠回し過ぎました」
P「いや、今考えれば、結構ストレートに言ってると思うよ」
P(俺がそういう風に考える思考回路が無かっただけで)
ありす「……もう、結婚する人に向かってこんな事言っても、遅いですけどね……」
P「あっ、えっと、それな……」チラッ
ちひろ「……」コクッ
P「(やっとお許しが出たか)これ、さ……偽物、なんだよ」
ありす「……」
P「聞こえてる? 偽物なんだ、この指輪」
ありす「……えっ?」
P「(また正座かなぁ……土下座かな今度は)えっと、これには訳があってだな……」
……
ありす「……」
P(また正座だよ……まぁ当然の仕打ちだが、小学生相手というのが唇をかみしめたくなるな……)
ありす「……まぁ、話はわかりました」
P「……」
ありす「よくも……そんな事ができますね。本当に大人ですか?」
P「ぐうの音も出ません……」
ありす「イタズラで指輪つけて、騙して……」
P「……」
ありす「私を、な、泣かせて……」
P「……はい」
ありす「……本当に……悲しかったんですからね」
P「……あぁ」
ありす「……本当に、結婚しないんですよね」
P「しません。相手がいないからできません」
ありす「……そうですか」
P「……」
ありす「……じゃあ」
P「じゃあ?」
ありす「改めて、言います」
P「え」
ありす「私が……結婚できる歳になるまで、待ってくれますか。そしたら……私と……」
P「……ありす」
ありす「私と……け、結婚……して、下さい」
P「……」
ありす「……駄目、ですか?」
P「駄目というか……えっと、16だったかな? 女性ができる歳」
ありす「はい」
P「でもなぁ……両親の許可も得ないといけないんだぞ? 双方のさ」
ありす「その辺りは何とかします」
P「いやぁ……それ、以前にさ」
ありす「……何ですか?」
P「俺が、その……ありすを、娘みたいだと、思ってるから……そういう、対象として見れないと言いましょうか……」
ありす「……」
P「えっと、いや、わからんぞ。大きくなったら、女性らしくなって、俺の考えが変わるかも……」
P(あっ、やべ。今のは言っちゃ……)
ありす「……なら」
P「……」
ありす「なら……女性らしくなってみせます」
P「……」
ありす「女性らしくなって、Pさんに文句も言わせないような女性に……なってみせます。
その時は……」
P「その時は?」
ありす「……け、結婚、して下さい」
ちひろ(えんだあああああああああ)
P「いやぁ……その……」
ありす「何ですか? まだ何か反論でも?」
P「……こんな甲斐性無しで良いのか? 指輪つけて遊んでるような、男でさ。
しっかり者で、頭が良くて、カッコいい人と結婚したいんだろ? 俺はそれに程遠いし……」
ありす「確かに、たまに子供っぽい所もありますけど……」
P「けど?」
ありす「……そういうところが、何と言うか……人間らしくて、好き、ですから」
P「に、人間らしい……」
P(小学生にこんな言葉をかけられるとは……)
ありす「……ですから」
P「……」
ありす「今度こそ……待っていて下さいね。次は、嘘でも絶対に、許しませんから!」
P「……ありすを、女性として見れたら、な」
ありす「……その言葉、忘れないで下さい」
P「……あぁ。今度は、忘れない。絶対に」
ありす「……なら、良いですっ」
ちひろ(お、ありすちゃんの顔に笑顔が)
P「……もう、正座は良いでしょうか」
ありす「はい、もう良いですよ。早く立って下さい」
P「あ、あぁ……よっと」フラッ
P(はぁ……将来の結婚相手が決まってしまった……)
P(いや、まだ決まったわけじゃ……)
ありす「……」ギュッ
P「あぁ……ありす? どうした急に抱きついて……」
ありす「……こうして、しっかり繋ぎとめておかないと……Pさんはダメですから」
P「……ありす」
ありす「絶対に……約束は守ってもらいます……。
好きなんです……Pさんと結婚できないなんて……嫌です……」
P「……」
P(あ、これ詰んだわ)
――
P「……はぁー……」
トゥルルルッ
P「もしもし、何ですかちひろさん。忘れ物でもしましたか?」
ちひろ『またまたーとぼけちゃってー』
P「……ありすが帰った後、ここに来るものだと思ってましたけどね。
まぁ……聞こえてたんでしょう?」
ちひろ『結婚式には呼んで下さいね』
P「あぁあああ……どうしましょうちひろさん」
ちひろ『己の浅はかな行為を悔いる事ですね』
P「はい……いや、でもまだ、すると決まったわけじゃ」
ちひろ『Pさんと結婚できないと嫌ですって言われた時の顔、凄かったですよ。
赤くなっちゃってまぁ』
P「……」
ちひろ『まぁ、通報しないだけありがたいと思って下さい』
P「……そうですね」
ちひろ『まぁ、何はともあれ日を跨ぐまでつけておいて下さいよ?』
P「えぇ……」
ちひろ『それじゃ、残業頑張って下さいねー』
P「……はい、お疲れ様でした」
ピッ
P「ふぅー……」
P(……自分で撒いた、種……か)
P「……家に持ち帰ってやるか。もし誰か事務所に帰って来てもそれなら……」
P(……そうしよう)
……
ガチャッ
P「もうこんな時間か……まぁ、道も混んで無くていいだろ」
P(今日は色々大変だったなぁ……)
P(自分じゃ鈍いつもりは無いんだが……そういう部分もあるようだ、気をつけないと……)
P「……ん?」
P(どこかで、見た事のあるようないでたちが……)
P「……>>222か?」
こんだけ遠けりゃ起きるまで来ないだろ……
寝る
ロッキンヴォーカル・松永涼
ちょっと椅子で寝てたら涼が来るとは思わなんだ……
半沢見ながらやってたからか少しありすの説教にその節が見える……
P「……涼か? 何してんだこんな時間まで」
P「おーい、涼!」
涼「……あれ、Pサンじゃん。仕事帰りか?」
P「あぁ、今終わったところでさ。しかし奇遇だな。まぁ今日はこういうの二回目なんだけど」
涼「何の話だ?」
P「いや、何でもない。涼は何してたんだ?」
涼「久しぶりのオフだったから、お茶の水まで行って来たんだよ」
P「あぁ、楽器屋か。弦でも買いに行ってたか」
涼「まぁね。歌の方も良いけど、ギターもたまには弾かないと錆びるからさ。
上手くなっておいて越した事無いし」
P「そうだな」
涼「あ、Pサンさ。偶然ついでに聞くけど、飯もう食べちゃった?」
P「え? あぁ……食ったけど?」
涼「あちゃー……偶然ついでに、一緒にファミレス行こうと思ったんだけど」
P「ファミレスかぁ……別にファミレスだったら軽いのもあるだろうし、構わないぞ俺は」
涼「お、本当に?」
P「あぁ。ついでに料金も、出すからさ」
涼「あはは! さすがPサン羽振りが良いね!」
P「さて、じゃあ行くか」
涼「うん、行こうか!」
……
P「はぁー……ごちそうさま……」
涼「ごちそうさま」
P「はいはい、っと……」
涼「というかさ、食事中ずっと気になってた事があるんだけど」
P「何だ?」
涼「左手の指輪」
P「え、あ、あぁ……これか。これなぁ……」
涼「アクセ……じゃないよな。薬指って事は……」
P「……いいや。涼が思ってるような事じゃないさ。俺が思い付いた悪い冗談だよ」
涼「?」
P「んー、いやなぁ……俺結婚したんですよー、的に言ったら、皆どんな反応するかと思ってさ……」
涼「何だそれ」
P「単なる好奇心だったんだよ……だけど、そんな軽い気持ちでつけたら、はぁ……どっと疲れたよ。
色んな人に怒られるし、泣かすし……」
涼「ただの自業自得じゃん」
P「だから余計に性質が悪いんだよ……反省するしかできないんだから」
涼「あはは。で、誰に見せたの?」
P「美優さん、奏に楓さん、早苗さんと……あ、ありす……」
涼「何で最後どもったのさ」
P「……一番、性質が悪かった。いや、どうだ、奏も良い勝負か?」
涼「なんとなく、何が起こったのか想像できるのが怖いな。というか、凄いメンツだな」
P「うーん……卯月とか未央あたりならもっと傷口は浅かったかも知れんなぁ……」
涼「まっ、そういう悪趣味な事はしちゃいけないし、できないって事さ」
P「だな。もう外そうか……いや、やるなら最後までつけとくか」
涼「外せばいいじゃん。もう十分反省したんだろ?」
P「いや、ケジメとしてつけとかないと……」
涼「ふーん、大変だな」
P「……まぁ、自分のせいだしな」
涼「ははっ、違いない」
P「……何だかなぁ」
涼「どうしたのさ」
P「俺、色々と小さく酷い事を積み重ねて来たんだな、ってさ……」
涼「……」
P「……いや、何でも無い。涼に話す事じゃなかったよな」
涼「……なぁ、Pさん」
P「ん?」
涼「ちょっと、この後も良いか?」
P「この後って……もう遅いぞ?」
涼「一時間だけでも良いからさ。アタシについて来なよ」
P「え? まぁ……いいけど」
涼「よし、決定! じゃあ行こうか」
P「お、おう」
……
涼「はぁっ……点数は、っと……お、90行った!」
P「あぁっくそ、俺の負けか……」
涼「あはは! まぁカラオケの採点はあてにならない時もあるけど、歌じゃ負けないよ」
P「俺も相対音感は自信あったはずなんだけどなぁ……」
涼「鍛え方が違うし、まぁしょうがないって」
P「いや、それにしたってこの一時間全部負けっぱなしっていうのは……さすがに来るものがあってな……。
も、もう一回……はやめとこう。帰る時間がもうギリギリだしな」
涼「アタシは別に良いけど」
P「18って言っても、まだ未成年だろ。子供が夜遅くまで出るもんじゃないからな」
P(そもそも受付の時点で不審そうな目で見られてるからなぁ、俺達は……早く帰った方が良いな)
涼「じゃあ、Pさんの全敗って事で今日のカラオケは終わりだね」
P「……俺もボイトレくらいしようかな」
涼「アタシが見てあげよっか」
P「えー、涼が? 確かに上手いけど、なんかスパルタそうだしなぁ……」
涼「男がそんな事言ってたら何も始まらないよ!」
P「はぁ……考えさせて頂きます」
涼「よし。まぁ、アタシはPサンの歌が聞けただけでも良かったよ」
P「え?」
涼「ほら、前に言ったろ? Pサンの歌聞いてみたいってさ」
P「あ、あぁ……そうだな」
涼「やっぱ、予想通り来たよ」
P「そうか? 音質だって悪いし……」
涼「そういうのじゃないって。何かさ、やっぱり……音楽に関わってる人間が時々見せる、何て言うか、
やる気とか、気概とかだよ。そういうのって、歌ってる時とか楽器弾いてる時に、どうしても出るものだし。
そういうのが聞きたかったんだ、アタシは」
P「……気概、ね」
涼「あぁ。そういうどうしても溢れて来ちゃうヤツが、ハートにズシンって、くるもんなんだよ」
P「……成程な」
涼「……どうだ、Pサン」
P「ん?」
涼「目いっぱい歌って、少しは元気出たか?」
P「ん……そうだな……あぁ、出た。何か、楽になった」
涼「そっか。なら良いんだ」
P「……悪いな、気を遣わせたみたいで」
涼「良いんだよ。アンタの事は、頼りに……してるからさ。たまには、恩くらい返さないと」
P「ふぅ……そっか」
涼「……じゃあ、出るか。電話来て、もう十分経つ頃だ」
P「……あぁ」
……
涼「もうこの辺で良いよ。アタシはあっちだからさ」
P「そうか……夜道、本当に気をつけてな」
涼「大丈夫だって。心配性だなPサンは」
P「しょうがないだろ……そういう、仕事してるんだから」
涼「それと、元からの性格だろ。お人好しだからさ、Pサンは」
P「……まぁ、そうかもな」
涼「……じゃあな」
P「あぁ」
涼「またなんかあったら、カラオケでも行こうよ。ストレスなんてもんは、歌ってふっ飛ばせばいいんだ」
P「そうだな……その通りだ」
涼「あ、今度はスタジオ貸し切ってくれても良いけどな!」
P「それは……ちょっと」
涼「冗談だよ! あ、でも、本気でやるなら言ってくれよ?」
P「わかったわかった」
涼「……結婚してもしなくてもさ、PさんはPさんだ。アタシのプロデューサーってのは変わらない」
P「……」
涼「それに、アタシ達はアイドルとプロデューサーだろ? 悩みぐらい、打ち明けあっても良いじゃないか」
P「……涼」
涼「まっ、これだけは言っておくよ」
P「……あぁ、ありがとう」
涼「相手が見つかったら、の話だけどな!」
P「……全く、コイツは……」
涼「あははは! じゃ、また明日なPサン!」
P「じゃあな! ……これからも、よろしくな!」
涼「……あぁ!」
スタスタ
涼「……」
涼(……これからも、か)
涼(……あぁ、こっちもそのつもりさ!)
涼(Pサンの為に、アタシも、歌い続けてるからさ!)
――
次のアイドル
>>253
これで最後だ。よく考えて名前出して下さいよ……
聖來
こう、こう、セオリーをやらせてくれないなぁ……
頑張ってノーマルでもいいからまた特訓してくるか……
wiki見るだけじゃキツイだろと思って最低でも一枚MM特訓して来てるが、無課金には辛いわ中々
>>257
すいません
>>258
いや、むしろありがたいよ
新しい発見あって良いし、この人こんな良いキャラだったのかって発見あるから、ある意味知らない子が来るのも嬉しい
メダルで沢山友情ポイントとマニーはあるし(白目)
P「……電車、空いてたなぁこんな時間じゃ」
P(さて、早く帰ろう。それで早く寝て、明日の仕事も頑張ろう)
P「……あ、洗剤の替え……」
P(良かった今思い出して、コンビニ寄って帰ろうか)
ピロリロリロリロ
「いらっしゃいませー」
P(さてさて、どこにあったかなぁ……便利だよなぁ今時、コンビニにもあるんだから)
「……あれ? Pさんだ」
P「……今度は誰だ」
聖來「やっほ」
P「何だ聖來か……」
聖來「何だ聖來かって、酷いなぁその言い方」
P「いや、今日バッタリ逢う子が多くてさ。俺つけられてんの? って思うくらい」
聖來「つけてないよ。もう、わんこじゃないんだから」
P「そうですか……Pも歩けばアイドルに当たるんだな」
聖來「それ、出しゃばると災難に会うって言う意味だよ」
P「……」
聖來「どうしたの?」
P「……いや、なんか耳が痛いなと……」
聖來「……あ、何かしちゃったんだ」
P「……えぇ、まぁ」
聖來「お仕事? まさか、大変な事しちゃった?」
P「いや、仕事は順調そのものだ。ただ……」
P(……ここで聖來に話す意味あるかな……別に言わなくても)
聖來「ん……あぁーっ!」
P「あっ、うっ、何?」
聖來「指輪っ」
P「指……あぁ……」
P(ポケットにつっこんどけば良かったか……)
聖來「……Pさん、結婚したの?」
P「あぁ、いや……これは……」
P(何をまた俺はどもってんだ……また勘違いされるだろ……。
だが一日つけると涼にも言った手前ここで取ったら男が廃る……)
聖來「へぇ……そういう事か……」
P「……」
聖來「凄いねっ」
P「……え?」
聖來「いつ決まったのっ、ねぇねぇ」
P「え、それはその……」
聖來「相手はどんな人なのっ」
P「ま、まぁそれは……」
聖來「寿退社するの?」
P「そ、それは女の人だろ」
聖來「もしかして、本当はずっと前から隠してたとか?」
P「いや、そうじゃないんだが……」
聖來「じゃあ最近知り合ったんだっ」
P「いや、聖來ちょっと……」
聖來「凄いなぁ……おめでとうっ、Pさん!」
P「……お、おう」
P(……ここに来てようやく俺の求めていた反応が……)
聖來「そっかぁ……Pさんも結婚したんだ……もう良い歳だもんね」
P「良い歳って、お前と2、3しか変わらないだろ」
聖來「あれ、そうだったっけ」
P「そうだよ。お前も自分自身の見た目に騙されるようになったか?」
聖來「違うよ。ただ何となく、結婚ってもっと歳取ってするものだと思ってたからさ」
P「……確かに、な」
聖來「……」
P「……」
聖來「ねぇ、Pさん」
P「何だ」
聖來「ちょっと、外歩かない?」
P「え? べ、別に良いけど……あ、洗剤買わせてくれ」
聖來「洗剤? ……うん、わかった。じゃあ表で待ってるね」
P「あぁ」
……
P「お待たせ。悪いな」
聖來「ううん、殆ど待って無いから良いよ」
P「そっか……何か、今から何処か行くのか?」
聖來「ううん、散歩。わんこはいないけどさ」
P「散歩……まぁ、それくらいなら」
聖來「じゃあ、ちょっとブラブラ歩こっか」
P「……あぁ」
……
聖來「……」
P「……」
P(口を開く事なく、5分程歩いた)
P(何だか、重い空気だ。聖來は何か噛み締めるように、少し俯いて俺の隣を歩いてる)
P(……まさか、な)
聖來「ねぇ、Pさん」
P「ん……何だ?」
聖來「Pさんの家、ここから結構近いんだよね」
P「え? あ、あぁ。俺はあっち方面だけどな。前に話したみたいに」
聖來「そうだったね。近いんだから家に遊びに行けば良かったなぁ……もうこれからは行ったら気まずくなりそうだし」
P「あ、あぁ……そう、かもな」
聖來「あ、引っ越したりするの? やっぱり結婚したからマイホームとか買ったり?」
P「そんなお金無いよ。まだぺーぺーだし」
聖來「じゃあ、もっとあたしが頑張って、Pさんの給料を上げてあげないとねっ」
P「ははっ、そっか。それは……ありがたいな」
聖來「うんっ、頑張るよっ」
P「……」
聖來「……」
P(また、俯いたか)
聖來「……ごめん」
P「……」
聖來「少しだけ……本音言っていいかな」
P「……あぁ」
聖來「……本当は、半分嬉して、半分……なんかもやもやしてる」
P「……」
聖來「Pさんが幸せになるのは、嬉しいよ? でも、でもさ……何か、寂しいなって」
P「……寂しい」
聖來「……わからないんだ、自分でも。結婚したって、Pさんは仕事をやめる訳でもないし……。
アタシ達を見捨てる訳でもないのにさ」
P「……」
聖來「……遠くに、行っちゃう気がするんだ……Pさんが」
P「……」
聖來「頭がもやもやして……言葉に、できないけどさ……」
P「……」
聖來「わかんないけど、嫌……っていうのかな」
P「……」
聖來「……結婚、しないとかは……無理、か……」
P「……」
聖來「ねぇ、Pさん……本当に、結婚するの?」
P「……聖來」
聖來「嘘、だったりしない? アタシ……アタシ、Pさんと一緒だったから、ここまで前に進めたし、
アイドルの道を……歩んでこれたんだ……」
P「……」
聖來「……だから、その……何て言うのかな……」
P「……」
聖來「……あっ……ごめん、Pさん。こんな事言っても迷惑だったよね。ごめん……」
P「……な、なぁ聖來」
聖來「いいよ……なにも、言わないで良いから」
P(な、何も言うなと言われても……そろそろばらさないと……)
聖來「Pさんが幸せになってくれれば、きっと、皆も喜ぶと思うし。私も、嬉しいし、さ」
P「……」
聖來「……うん。きっと、そうだよ」
P「……」
聖來「アタシは……Pさんが誰と一緒になっても、ずっとついていくから。
うん……絶対に……」
P「……ありが、とう」
聖來「……うんっ。アタシが言いたい事は……全部言えたかな……」
P「……」
聖來「じゃあ……帰ろっか」
P「……送って行くよ」
聖來「え? い、いいよ……奥さん、心配するって」
P「そんな事は無い。だってこれは……その……」
聖來「……何?」
P「この、指輪な……その、フェイクだ」
聖來「……フェイ、ク?」
P「嘘、偽物、本当の事じゃない。俺は……結婚してない」
聖來「……」
P「……」
聖來「え?」
P(……今日は、これで最後だ。説明するのも)
……
聖來「もう、ちょっとこの嘘は酷いよ!」
P「あぁ……」
聖來「本当の事だと……思っちゃったよ……」
P「……すまん」
聖來「それに、色んな人にやったって……」
P「まぁそれは……何て言うのかな。やめるという選択肢もあったけど……少し、一日色々と被った方が良いと思ってな」
聖來「やめてよっ……普通一回注意されたらやめるよ?」
P「……そうだな。それは……本当に、すまない」
聖來「いや、でもその前に土下座までしなくても良いから……頭上げてよPさん」
P「いや、もっとばらすタイミングを早くしてたら、笑い話で済んでたんだし……」
聖來「も、もう……こんな所誰かに見られたら大変だよ……」
P「……すまない」
聖來「もうっ……今度したら、もうわんこにも会わせてあげないからね!」
P「……あぁ」
聖來「はぁ……(でもなんか……ホッとした……)」
P「……これからは、天地神明に誓って、聖來達アイドルのプロデュースをさせて頂きます。
今日の出来事で、自分の立場をよく理解したよ」
聖來「本当に?」
P「あぁ」
聖來「じゃあ……うーん……許してあげるっ」
P「そうか……よっと」
聖來「ほら、膝汚れてる……」
P「大丈夫さ。今日洗う予定だったし」
聖來「そういう問題じゃないんだけどな……」
P「……本当に、すまない。謝るなら最初からするなと言われるだろうが……」
聖來「いいって、もう。怒ってないから」
P「……そうか」
P「約束……あぁ、さっきの言葉は絶対に守る」
聖來「本当に?」
P「本当だ」
聖來「そっか……うふふ。これからもよろしくね、Pさん!」
P「……あぁ」
聖來「トップを目指そうっ、一緒に、Pさんとなら行けるからっ」
P「あぁっ」
聖來「だから……これからも、一緒にいてねっ」
P「……あぁ」
――
P(それから、数日経った)
P(その間、他のアイドルからもとやかく言われたが何とか事態は収束した)
P(俺のこの仕事に対する姿勢も、少し変わったきがする)
P(この前のアイドル達も……皆、程度はどうあれ変わったようだった)
P(そして……)
涼「おはようPサン」
P「ん、お、涼か。悪いなこんな早くに。実はお前にちょっと話があってな」
涼「なんだ?」
P「ちょっとした、ワンマンライブができる。少し小さな箱だが、スタッフの質と設備は良い。
俺が行って確認済みだ」
涼「お、本当にか?」
P「あぁ。動員数の見込みもたってるし、すぐにでも動議は通るはずだ。
日にちは一応仮押さえしてあるが、細かなスケジュールはこれから決める事になってる。
バックの方々は以前会った方に頼むだろうから、緊張する事も無いだろう」
涼「そうか……ははっ、さすがPサンだな!」
P「それほどでもないさ。もっと力があれば、もっとデカイ所がとれてるんだがな」
涼「それでも凄いって。それに、何か最近頼もしい感じがするしさ」
P「そうか?」
涼「この前の事で、一皮むけたか」
P「……そうかもな。さて、今日はみっちりとボイストレーニングをつめてある。
早く行って慣らしてこい」
涼「あぁ! じゃあ、行ってくる!」
P「おう、行ってこい」
トントン
P「ん?」
奏「楽しそうだね、Pさん」
P「おう、奏か」
奏「そう言えば……あれから、良いお相手は見つかった?」
P「それいきなり聞くか。そう簡単に見つかるもんじゃないって……」
奏「婚活パーティとか、行ったんでしょう?」クスクス
P「おまっ……何でそれを?」
奏「ちひろさんから聞いたの」
P「いくら詰んだ」
奏「お金なんて払ってないよ。ただ、普通に話したら教えてくれたの」
P「……そうか。でもまぁ、良い所じゃなかったな。飯はたらふく食ったけど」
奏「そう」クスクス
P「もう二度と行かんぞ」
奏「まぁ、このまま見つからなかったら、お嫁さん候補が増えるものね。それに二人も」
P「ふたっ……二人?」
奏「ありすちゃんと、それに……」
P「ちょ、ちょっと待てどこまで知ってるんだ」
奏「ちひろさんが見た事聞いた事は全部知ってるよ」
P(涼と聖來は知らないのか。厄介なのだけ教えて貰ったんだな奏よ)
奏「ふふっ、じゃあね、Pさん。私、もうレッスンに行くから」
P「あ、あぁ……頑張ってな」
奏「キスしてくれたら、いつもよりも頑張るかも」
P「おい」
奏「冗談」クスクス
P「……」
奏「じゃあね、浮気しないで、大人しくしてるんだよ」
P「うわっ……お、おい奏……」
バタンッ
P「行っちゃったよ……」
ギュッ
P「うお」
ありす「Pさん」
P「は、はいっ……なんだありすか。どうした」
ありす「今の話、本当ですか?」
P「今……今の?」
ありす「二人……いるって」
P「いや、あれは奏がからかって言ってるだけで……」
ありす「じゃあ、私だけですよね。その、候補っていうのは」
P「うっ……そ、そう、だな」
ありす「じゃあ、良いです」
P「そ、そうか」
ありす「……」ギューッ
P「……ありす、放してくれ仕事がしたい」
ありす「嫌です。もう少しだけ、こうしています」
P(こうしています、か……中々語気が強くなってきたなありす……)
ガチャッ
美優「おはようございます」
P「あ、おはようございます」
美優「ありすちゃんもおはよう」
ありす「……おはよう、ございます」
P「ほら、美優さんも見てるぞ。放してくれありす」
ありす「……」ギューッ
P(この子……なんか強くなったな)
美優「ほら、ありすちゃん。Pさんも困ってるみたいだから……放して……」
ありす「名前で、呼ばないで下さい……呼んでいいのは、Pさんだけです」
美優「まぁ……」
P「……ありす」
ありす「……なんですか」
P「後ろからじゃなくて、前から抱きついて良いんだぞ」
ありす「え?」
P「ほら、ちゃんとぎゅってするから、そしたらまたレッスン行ってくれよ?
今日は美優さんと同じ場所だから、美優さんと一緒に行ってくれ」
ありす「……」
P「ありす。ほら、おいで」
ありす「……わかりました」
P「はいはい……」ギュッ
ありす「……」
P「よし……もういいだろ」
ありす「まだです」
P「あぁはいまだですか……」
美優(何だか……少し羨ましい……)
ありす「……」
P(……なんか、俺の方が恥ずかしいんだけど)
ありす「……もう、良いです」
P「よし、じゃあ……行ってくれるな?」
ありす「はい」
美優「あり……橘ちゃん、行きましょうか」
ありす「……はい」
ガチャッ
P「気をつけてなありす……はぁ、すいません美優さん」
美優「大丈夫です。このくらい」
P「……なんだか、あの日以来また色んな事頼むようになってしまったようで……」
美優「ふふっ、そうですね。確かに、そうかもしれません」
P「すいません……」
美優「いえ。この前、一緒に出掛ける約束、守って貰ったんですから……このくらいは……」
ありす「……何ですか、今の話」
P「うおっ、ありす……い、今出てったんじゃ……」
ありす「いえ、忘れ物をしたので。で、今の話は」
P「な、何でもないさ。ほら、予定が詰まってる、早く行くんだ。み、美優さん」
美優「は、はい。行きましょう、橘ちゃん」
ありす「……はい」
バタンッ
P「……はぁ……行ってくれたか……」
ピロリンッ
P「ん? メール?」
P「後で聞かせてもらいますからね、か……ありす……」
P(何と言うか……ありすが、べったりになったなぁ……)
ギュッ
P「うおっ、誰だ今度は」
楓「ふふっ、おはよう、P」
P「あ、あぁ、おはよう」
P(あれから楓さん……いや、楓とは敬語抜きで喋るようになった。
案外、これもしっくりくるようになってきている)
楓「……」
P「……あの、これは何だい?」
楓「ありすちゃんの真似」
P「……あぁ、そう」
楓「むー……なんかそっけない返事」
P「貴女は大人でしょう。放してくれ」
楓「つれないなぁ……」
P「肩に顎乗せようとするのはやめるんだ」
P(楓さん……楓の口調も、少し慣れたが……慣れたが、何と言うか、お茶目度が増えた気がする。
何と言うか……絡みが、昔馴染みのそれというか、なんだろうか)
楓「ねぇ、今日はどこで飲む?」
P「飲む前提かよ……今日はあいにく、家に仕事持って帰る予定だから無理だ」
楓「家で飲むの?」
P「話を、聞いてくれっ……」
楓「ふふっ、冗談。でも、ちゃんと空いてる日は、融通してね?」
P「わかってるよ」
楓「じゃあ、お仕事行ってくるね」
P「あぁ。頑張ってな、俺も向かえにだけは行けるから」
楓「うん。頑張る」
P「……」
楓「……」ギューッ
P「放してくれ、楓。お仕事行くんだろ?」
楓「……はーい」
P「全く……いつまでも子供じゃないんだから……(それに良い匂いし過ぎだろ……)」
楓「ふふっ、じゃあね、P。また後で」
P「あぁ」
バタンッ
P「……」
P(なんだろう、こう……楓とこうタメ口で話してると……)
P(恋人って、こんな感じなのかなって、気がする……)
P「……」
プルルルルッ
P「……はっ、で、電話か……はい、CGプロで御座います」
早苗『……うぅー……P君?』
P「その声は……早苗さんですか? どうしたんですか」
早苗『ちょっと……体調悪くて、少し、遅れるかも……』
P「ど、どうしたんですか?」
早苗『……二日酔い……』
P「……また結婚式あったんですか」
早苗『うえーんPくーん……もう、もうやだー……』
P「あぁあぁ泣かないで下さい……」
早苗『二人の写真がすられた、お皿貰っちゃった……こんなのどう使えって言うのよ……』
P「……御愁傷様です」
早苗『うぅー……』
P「今日はレッスンだけですから、少し遅れて来ても大丈夫です。
トレーナーさん方には俺から言っておきますんで、落ちついてから来て下さい」
早苗『うぅー、ありがとーP君……優しさが沁みるよ……』
P「それはどうも……」
早苗『はぁー……もうP君が貰ってくれたらなー……』
P「何ですって?」
早苗『な、何でもなっ……うっ……ごめん、また来ちゃった……切るね』
P「……お大事に」
ピッ
P「はぁ……さっきのは聞かなかった事にしよう」
ガチャッ
聖來「おはようPさん!」
P「あぁ、おはよう、聖來。わんこの散歩後か?」
聖來「うんっ。あれ、何だかもう疲れてるように見えるけど……大丈夫?」
P「いや、何でもないさ。朝は弱くてな」
聖來「前に一緒にわんこの散歩行った時、元気だったよ?」
P「……まぁ、大人には色々あるんだ。聖來も大人だからわかるだろ」
聖來「また、何かあったの?」
P「ははっ、ちょっとな。まぁでも、それを楽しむぐらいの気概が無いといけないのかも知れん」
聖來「この前の、指輪の事?」
P「まぁなぁ……」
聖來「何だか、Pさんの周りにいる人、ちょっと雰囲気変わったよねあの日から」
P「……そうだな」
聖來「それに、Pさんも変わったよ」
P「俺が?」
聖來「うん。何だか……アタシ達の事、もっと大事に見てくれてるようになった気がする」
P「そうかな」
聖來「うんっ」
P「……そうか」
聖來「でも、無理しちゃダメだよ。Pさんの体は、自分だけの物じゃないんだからね」
P「あぁ、わかってるさ。聖來の為にも、体調管理くらいはしてるよ」
聖來「うん……それじゃあ、行こっか」
P「あぁ。今日はまずサイン会があるからな。引き締めていけよ」
聖來「うん、大丈夫っ。Pさんが一緒にいてくれるなら、頑張れるよ!」
P「頼もしい言葉だ……じゃあ、行くか!」
聖來「うん、このまま、追い風に乗って行こう!」
P「あぁ!」
ガチャッ
バタンッ
ちひろ「……」
ちひろ(青春、ですねぇ……)
ちひろ(……ドリンク、結局売れなかったなぁ……)
ちひろ「はぁ……私も、結婚したいなぁ……」
はい、ここまでで終了です
知らない子が結構出て来て、新しい発見があってとても楽しくできました
とりあえずこれから涼を揃える事にします
長々とお付き合い頂いて、ありがとうございました
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