ベルトルト「初めまして」
カネキ「初めまして」
ベルトルト「えっと、自己紹介からすればいいんでしょうか」
カネキ「そうですね。最も、そちらはもうそんな必要もないほど有名ですけれど」
ベルトルト「そんなことないですよ。えっと、じゃあ僕から」
ベルトルト「講談社別冊少年マガジン連載中『進撃の巨人』の看板巨人、超大型巨人改め、ベルトルト・フーバーです」
カネキ「集英社週刊ヤングジャンプ連載中『東京喰種 トーキョーグール』主人公、金木研です」
ベルトルト「よろしくお願いします」
カネキ「よろしくお願いします」
ベルトルト「えっと、カネキさんって呼べばいいですか」
カネキ「どうぞ。僕は何て呼べばいいですかね」
ベルトルト「ベルトルトでいいですよ。あと、敬語じゃなくていいです。カネキさん年上ですよね?」
カネキ「作中では19歳になりましたね」
ベルトルト「なったってことは、作中で誕生日を迎えたってことですか」
カネキ「そうなります。まぁ、おめでたい誕生日ではなかったけれど……それじゃあ、ベルトルト君、でいい?」
ベルトルト「はい」
カネキ「早速だけど、君は『進撃の巨人』でどういった役回りなの?」
ベルトルト「まず、『進撃の巨人』は、壁の中で巨人から身を守る人類の話なんです」
ベルトルト「100年前に現れた人類の天敵――巨人から身を守るために、人類は壁を作ったんですけど」
ベルトルト「僕と……僕の仲間が、その壁を壊すんです」
カネキ「それが、超大型巨人?」
ベルトルト「はい」
カネキ「それじゃあ君は、人類から見れば敵側ってことになるのかな」
ベルトルト「……そうですね」
カネキ「浮かない顔だね」
ベルトルト「そりゃあ、望んで敵になったわけじゃないですから」
カネキ「わかるよ。僕もそうだから」
ベルトルト「カネキさんも? でも、カネキさんは主人公ですよね」
カネキ「主人公だよ。人を喰らう主人公だ」
ベルトルト「……『東京喰種 トーキョーグール』って、どんな話なんですか」
カネキ「街に人間と、人間の姿をした怪人『喰種(グール)』が紛れ込んでいるんだ」
カネキ「喰種は人を食べる、いや、人しか食べられない。だから人間社会に紛れて、人間を喰らい生きていく」
カネキ「僕は……ある突発的な事故で、人間から喰種になってしまったんだ」
ベルトルト「人間から……喰種に――?」
カネキ「そう」スッ ←眼帯を外す
カネキ「これは、僕が半喰種である証」ギン
ベルトルト「!」
ベルトルト(片目が、赤い――)
カネキ「純粋な喰種なら、両の目が赤くなるんだ」
カネキ「今はもう制御できるようになったけど、以前はお腹がすくと勝手に目が赤くなっちゃうから、外に出るときはこうして眼帯で隠していたんだ」
カネキ「人間としての自分も失いたくなかったから、友達に喰種であることを隠すのは大変だった」
ベルトルト「あぁ……わかります。人でいようとするのって……難しいですよね」
カネキ「そういえば、巨人なのに人間の姿をしてるんだね」
ベルトルト「はい。僕らも、巨人であることを隠して、訓練兵として普通の人間の中に紛れています」
カネキ「それじゃあ、どうやって巨人になるの? 着ぐるみってわけじゃないよね」
ベルトルト「違いますよ。巨人化するには、条件が二つあるんです。自傷行為と、目的意識」
ベルトルト「巨人化することへのはっきりとした目的を持っている状態で、手を噛み切る、ナイフで切るなどで体に傷をつけるんです」
カネキ「自傷行為か……痛そうだね」
ベルトルト「痛いですよ。でも痛みがないと巨人化できないんです」
ベルトルト「それに……巨人化した僕が誰かに与える痛みとは、比べ物になりませんから」
カネキ「……そっか」
カネキ「人間の姿をした巨人と人間、見た目は同じだけど、何か違うところはある?」
ベルトルト「そうですね……今、自傷行為の話をしましたけど」
ベルトルト「僕らは、ちょっとの怪我や傷、あるいは極端な話、体の一部が欠損しても、すぐに再生するんです」
カネキ「その傷が原因で巨人化したりはしないの?」
ベルトルト「さっきも言った通り、目的意識がなければ巨人化はしません」
ベルトルト「ただ、普通なら明らかに骨折したはずの怪我でも、自分で制御しなければすぐに治ってしまいます」
ベルトルト「僕ら巨人は基本的に、超人間的な回復力を持っているんです」
カネキ「へぇ……面白いな。そんなところまで僕らとそっくりだ」
ベルトルト「カネキさんも? 喰種もなんですか?」
カネキ「個人差はあるけどね。そもそも僕らの体は、刃が通らないんだ」
ベルトルト「えっ、そうなんですか?」
カネキ「口で言うより、見る方が早いかな。ナイフ、持ってる?」
ベルトルト「あ、はい」スッ
カネキ「抜き身で投げてみて。僕の体、どこ狙ってもいいから」
ベルトルト「えぇ!?」
カネキ「あ、目だけは避けてもらおうかな。僕らでも粘膜だけは弱いんだ」
ベルトルト「ほ、本当にいいんですか?」
カネキ「どうぞ」
ベルトルト「じゃ、じゃあお腹に――えいっ!」ブンッ
キンッ
ナイフ「」グニャリ
ベルトルト「うわぁ、本当だ……」
カネキ「僕らの体に傷をつけられるのは、『赫子(カグネ)』っていう僕らの捕食器官と」
カネキ「……捜査官が使用する『クインケ』という武器だけだ」
ベルトルト「捜査官?」
カネキ「捜査官っていうのは、人を狩る喰種を狩る存在、一言で言えば、人々にとっての正義の味方かな」
カネキ「彼らは特殊な訓練を経て、僕らを根絶やしにしようと、ありとあらゆる策を弄するんだ」
カネキ「時には残酷な手段をとることもある。母親の喰種を見せしめに殺し、娘の喰種をおびき寄せることも」
ベルトルト「そんな……」
カネキ「酷いと思う? でも、それは僕らの視点から見てるから言えることなんだ」
カネキ「彼らから見れば、僕ら喰種は人を殺す悪魔だ。僕らは食べるために人を殺す。その人には家族も、友人も、恋人もいる」
カネキ「僕らが『食事』をするたびに、彼らは自分が喰われる恐怖に襲われ、自分の知り合いの死に嘆き悲しむことになる」
カネキ「彼らにとって僕らは、生きていることそのものが『悪』なんだ」
今更ですが進撃原作48話ネタバレ注意
ベルトルト「そんな……それじゃあどうしてカネキさんは、そんなに堂々としていられるんですか」
ベルトルト「僕はそんな風に、自分の犯した罪を受け入れられない」
ベルトルト「僕の友人も、自分の罪の意識に耐えられなくなって、心を病みました」
ベルトルト「僕だって、いっそ巨人になれることなんか忘れて、みんなと一緒に、普通の兵士として生きていけたら」
ベルトルト「どんなにいいかって……何度思ったことか――」
カネキ「……」
カネキ「そう、だね……僕も、最初の頃はこんな風に落ち着いていられなかった」
カネキ「人間から喰種になって、生活は激変した」
カネキ「冷蔵庫にあるものは、コーヒー以外何も口をつけられなくなった。食べても不味くてたまらなくて、吐き出してしまうんだ」
カネキ「自分が喰種になってしまったことが、どうしても受け入れられなかった。人である自分が、人を食べないと生きていけないなんて」
カネキ「でも、食べないとやっぱりお腹が空くから、街に出ても、自然と食べ物より人に食指が動いてしまう」
カネキ「自分が化け物になってしまった実感が、襲ってくる感覚は……怖かったよ。本当に」
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