千反田える「おーれーきさん? 聞いてます?」 (46)

奉太郎「うっ」バタッ

える「おっ、折木さん!?」

奉太郎「すまん……今日はちょっと体調が悪くてな」

ピトッ

奉太郎 ポッ

える「すごい熱です……。大丈夫ですか?」

奉太郎「あ、ああ大丈夫だ」

える「私、保健室の先生を呼んできます」

奉太郎「だ、大丈夫だ」

える「でも……」

奉太郎「心配するな」

える「……雨、早くやむといいですね」

奉太郎「そうだな。このまま傘無しで帰っても悪化するだけだ……」

える「部室に体温計は……」ガサガサ

奉太郎「……」

える「ないみたいです……」

ピトッ

奉太郎「!? ち、千反田!?」

える「こうすれば大体分かります。38度……ぐらいですね。早く帰って安静にしないと……」

奉太郎「そ、そんなに寄ったら風邪がうつるだろ」

える「風邪は誰かに写すと治るんですよ」(ニコッ

奉太郎「なっ……」

える「ふふふ。冗談ですよ。大丈夫です」

奉太郎「……少し寒いな。千反田、悪いがそこの窓閉めてくれないか?」

える「大丈夫ですか?」

奉太郎「少し寒気がする……」

える「閉めますね」

ガラガラ

奉太郎「悪いな。千反田はむしろ暑いだろ?」

える「いえ。一枚脱いだら大丈夫です」

ヌギヌギ

える「折木さん、寒いんでしたらこれ羽織って下さい」

奉太郎「あ、ああ」

奉太郎(……いい匂い)

える「折木さん、大丈夫ですか? 顔がさっきより赤くなってますよ?」

奉太郎「だ、大丈夫だ」

えるたそ~

える「雨、止みそうにないですね……」

奉太郎「……」

える「やっぱり私、保健室の先生を呼んできます」

奉太郎「悪いな。やっぱりそうしてくれ」

奉太郎(そうしないとこのままだと熱が上がる一方だからな……)

える「すぐ戻ってきますから待ってて下さいね」

奉太郎「ああ」

ガラガラ タタタッ

奉太郎「...よし、行ったみたいだな。」

奉太郎「さてと...うおおぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!!!」シコシコシコシコシコシコ

奉太郎「ブバッ!ババババババ※屁」

数分後

戸が開く音がした。千反田が戻ってきたんだろう。俺は机に伏せていた顔を上げた。

える「すみません折木さん。保健室の先生はいなかったんですが……」

入須「折木君、大丈夫か?」

また熱が上がりそうだ。

える「入須さんのお家はお医者さんですから入須さんならと思って……」

入須「どれ……とりあえず熱を」

どうしてこんなにいい匂いがするんだろう。

千反田とはまた違った少し大人っぽい……

入須「失礼」

入須と俺の額がくっついた。

必然的に椅子に座っている俺と額をくっつけるわけだから、入須は前屈みになる。

奉太郎(む、胸が……)

前屈みになることで開いたスペースから入須の豊かな胸が視界に入る。

下着に抑えつけられてもなお自己主張をしており、谷間が確認できた。

入須「……どんどん熱が上がっているな」

入須「早く家に帰って安静にするか、病院に行った方がいいんだが……」

える「そんなに悪いんですか?」

入須「風邪は万病のもとだ。だが生憎私も傘を持ってきていない」

える「そうですか……」

入須「折木君がしんどいのなら、タクシーを呼んでうちの病院に向かわせることもできるがどうする?」

折木「……」

入須「お金のことなら気にしないでいい。以前助けてもらったお礼よ」

奉太郎「でも……」

入須「心配しなくていい。帰りはうちの者が送ってあげる」

える「折木さん、私も入須さんの好意に甘えた方がいいと思います」

奉太郎「……じゃあお願いします」

入須「よし。では私は用意しよう」

それから入須はタクシーを呼んでくれ、俺と入須が乗った。

千反田も行くと行ったのだが……


える「私も行っていいですか? 折木さんが心配です……」

入須「私に任せておけ。大丈夫だ」

える「はい……」



入須が断っていた。

このままだと俺と入須が二人きりになることになる……。

不安になりながらも俺は眠りに落ちていった。

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