エレン「ウルトラマンイェーガー!」(634)

ここ最近ウォールローゼ内では度重なる怪現象が報告されていた。
曰く壁内に巨人が出た・・・曰く奇怪な生物が町中を闊歩していた・・・
駐屯兵団はこの事態に対応するため、昼夜を問わず怪現象の調査を行ったが
証言は増える一方で実際に現場に遭遇することはついぞなかった。
このころから悪質ないたずらの可能性も考えられたが、
すでに噂で持ちきりの壁内は軽いパニック状況に陥っていた。

そんな中、訓練兵団にも付近の警備の任が課せられ、この夜も訓練兵数名が駆り出されていた・・・


これからしばらくの間あなたの心はあなたの体を離れ
この不思議な世界へと入っていくのです・・・




※進撃×ウルトラパロです。
※本編ネタバレ要素多少有り。
※昭和っぽいはじまりだけど基本平成っぽい作風かも。
※ネタかぶりあったらごめんなさい。

ーー
ーーー
ーーーーー
「ーーーン」
「ーーーレン」
「ーーエレン!」

自分を呼ぶ声が聞こえてくる・・・

訓練兵エレン・イェーガーが重い瞼をうっすら開けると目の前にはよく知る幼なじみの顔がのぞき込んでいた

「ーーーミカサ?」

そう幼なじみの名を呼ぶと、彼女はボロボロと大粒の涙をこぼし抱きついてきた

「よかった・・!もう目覚めないのかと・・・」

そう言うと彼女は抱きついた腕に力を込める。女子離れしたその腕力にエレンは再び意識が飛びそうになる。

「ミカサ!落ち着いて!エレンが苦しそうだよ」

と、もう一人の幼なじみのアルミンがミカサをたしなめるが彼女はその言葉が聞こえないのか力を緩める気配はない

「ミカサ・・・!ミカサ!苦しいって!!」

絞り出すようにエレンがそう言うとようやく少し力を抜いてくれた。

軽く深呼吸をし、ズキズキと痛む頭を抱えて廻りを見ると見知った顔が心配そうにこちらを見ていた

「どうやらもう大丈夫のようだな」そう微笑んでいるのは隊の兄貴分のライナー。
「まったく、悪運の強い野郎だぜ。」その後ろでは皮肉屋のジャンがそうつぶやく
「ほんとうに、心配したんですよ」二人の隙間から、サシャが顔をのぞかせる
「なんにしてもよかったよ、もう三日も目を覚まさないからどうなるかと」と、長身のベルトルトがそう顔をほころばせた

(三日?三日も寝てたのか?俺・・・)

まだ意識は朦朧としているが、状況を理解するため記憶をたぐってみるが、どうにもはっきりしない。
霞がかかったようにここ最近の事が思い出せない。

アルミン「どうだい?エレン、意識ははっきりしている?」

エレン「ああ、まだ少しはっきりしないが、何とか・・・ここは、医務室・・だよな」

アルミン「ああ、そうだよ。エレンは数日前に付近の調査中に行方不明になったんだ」

エレン「行方不明に・・・?」

アルミン「うん、そして三日前リュウガモリ湖の近くでエレンが倒れているのが見つかったんだ」

リュウガモリ湖とは訓練兵舎の近くにある大きな湖である。普段は水練などで皆がよく行く所でもある。

エレン「・・・そうなのか」

アルミン「・・・その調子だとまだ記憶もはっきりしてないみたいだね。ごめんねエレン。
     今日はあまり考えず、ゆっくり休みなよ。」

エレン「ああ、すまない。・・・もう少し眠りたい」

そう言うとエレンはまだ抱きついていたミカサを強引に離し、横になった。

「・・・まあもう大丈夫みたいだし、私は部屋に戻るよ」と、ずっと皆の後ろで様子を見ていたアニがそう言って部屋を出ようとすると
「なぁに?アニったらさっきまで泣きそうな顔してたくせにエレンに優しい言葉かけてあげたら?」と、彼女の友人のミーナが、意地悪そうに微笑む。

アニ「・・・うるさいな」

ライナー「ははっ、無理だ無理だ。こいつにそんな可愛げがあるわけないだろう」

ミーナ「エレンが意識不明って聞いたときのアニの顔。エレンにも見せてあげたいよ。」ププッ

アニ「ーーー!!///」

ライナー「ちょっ蹴るな!」

ミーナ「痛い!ごめんアn・・痛い!」

アルミン「ちょっと、みんな!」
ミカサ「みんな静かに」

いつもの面々のいつもと変わらない光景にエレンは少し安堵感を覚える。

エレン「お前ら今日の所は勘弁してくれ。明日になったら、元気になっておくからさ」

そう言い、エレンは笑った。

ウルトラマンのサイズはいかほどなんですか

アニ「//あ、ああ。ごめんなさい。また明日ね」

ライナー「いや、すまなかったな。」

ベルトルト「・・・全くライナーは・・・」

そうして同期の面々は医務室を後にする。

アルミン「ミカサ、僕たちも行こう」

ミカサ「私はここにいる」

アルミン「・・・そう?じゃあエレンのこと頼んだよ」

ミカサ「うん」

そう言い、部屋を出ようとしたアルミンはふと思い出したように踵を返しエレンの近くに来ると

「・・・そうだ。エレンこれを」

アルミンは円筒状のものをエレンに手渡した。

>>8
そういやウルトラマンも怪獣も超大型巨人並みなんですよねw
まあ、その辺りはこのSSのみの設定で15m級ぐらいと言うことでお願いします

エレン「これは?」

ミカサ「わからない。リュウガモリ湖でエレンが倒れていたときに握りしめていた」

アルミン「すごくしっかりと握ってて離すの大変だったんだよ」

エレン「ふーん」

そういうとエレンはそのカプセルのようなものを手に取った


___
_____
________

それは・・・・・タ・・・・セル

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不意にエレンは何かを思い出せるような気がしたが、まだ霞がかった記憶の中のこと、
はっきりしない意識を追い払うように頭を振る

ミカサ「エレン?どうかしたの?」

エレン「いや・・・大丈夫。まだ頭痛がひどくてさ」

アルミン「詳しい話は、また今度にしよう。とにかくもう休もう。エレン」

エレン「ああ・・・すまない・・・もう・・・少し・・・寝る・・・よ」

そう言うが早いか、エレンは再び深い眠りについた。

ーー次の日の朝。
エレンは目覚めると、体を起こした。まわりを見るとミカサがうたた寝をしていた。
すっと看病してくれていたのだろう、額には濡れたタオルが乗せてあった。

「ありがとな、ミカサ」

そう言いミカサの頭に手を伸ばすとミカサが目を覚ました。

「っとと」

エレンは慌てて手を引っ込めるとわざとらしく咳払いをしてみる

ミカサ「エレン!起きたの?気分はどう?」

エレン「ああ、ずいぶん・・・いや・・・」

そこで初めて気付いたが昨日の状態が嘘のように意識もはっきりしている。
体もどこにも痛みはなく、むしろ爽快さを感じていた。

エレン「大丈夫だ、逆にすごく調子が良いみたいだ」

ミカサ「本当に?無理してない?」

エレン「ああ、本当だって!」

そう言うとエレンは起き上がりベッドから降りるとバク宙をしてみせる。
ふらつくこともなくキレイに一回転し着地してみせると、ミカサはようやく安堵の表情を見せる

ミカサ「うん、よかった。でも無理だけはしないで」

エレン「わかってるよ。とにかくまず教官に報告に行こう。」

そう言い、エレンはミカサ共に医務室を出ると、そろそろ朝食の時間かみんなが集まりだしていた。
エレンは助けてくれたことと心配してくれたことへの感謝を言うと、みんなは笑ってよかった。と言ってくれた。
その中にアルミンの姿が見えたのでエレンはアルミンに声をかけた

________
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___

それからほどなくして、エレンはアルミンを連れて教官室に来ていた。
まだ、記憶のあやふやな部分があったため、当時の状況について話してもらうためである。

キース「・・・なるほど。その調子だともう体の方は良いようだな。」

エレン「はっ!多大なるご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした!」

キース「うむ。無事ならばそれでよい。だが、病み上がりで申し訳ないが色々と聞きたいことがある」

エレン「はい・・・しかしまだその日の記憶があやふやで・・」

キース「アルレルト、その日イェーガーに同行していたのは貴様だったな」

アルミン「はい、あの日私とイェーガー訓練兵はリュウガモリ湖付近を調査していました。
     しかし途中で、私の立体起動装置に異常があったため先に寄宿舎に戻りました」

エレン「その辺りまでは自分も覚えています。自分も一緒に戻ろうかと思いましたが
    付近で不審な光を見たために自分だけ残り、調査を続けました」

キース「不審な光?」

エレン「はい、遠目に見たときはもやのようにも見えましたが、近づいてみると
    赤く光る球体と青く光る球体がものすごいスピードで飛んでいたのです」

キース「赤い球体と青い球体?・・・それが件の怪現象の正体なのか・・・?」

エレン「並んで飛んでいるというよりはぶつかり合ったりしてまるで戦っているようにも見えました」
    しばらく見続けていましたが、不意に赤い球体が近づいてきて・・・・・・
    ・・・それから先のことは覚えていません」

アルミン「その後、立体起動装置を交換した私は、アッカーマン訓練兵とともに戻りましたが
     その時には既に彼の姿はなく、粉々に砕けた彼の立体起動装置のみが残されていました」

キース「ふむ。今の話を統括すればその赤い球体とやらにイェーガーが衝突し、重傷を負ったのであろうが」

アルミン「なぜ、イェーガー訓練兵が姿を消したのかまでは現時点では分かっておりません」

エレン「アルミン、俺はどこか離れたところに倒れていたのか?」

アルミン「いや、それがエレンをみつけたのは、前に僕とミカサがエレンの立体起動装置を見つけたとこなんだ」

エレン「えっじゃあ・・・」

アルミン「うん、エレンはそこで居なくなった後、またそこに戻ってきたんだ」

キース「今はまだそれ以上のことは憶測でしか話せないようだな。だが、リュウガモリ湖に
    なにかがあるのは間違いないようだ。イェーガー、アルレルト。再度その近辺の調査を命じる。
    但し、今度は単独での行動は避けるように」

エレン・アルミン「はっ!!」

そうして訓練兵団の上位メンバーで再びリュウガモリ湖近辺の調査が始まったが、
これといった成果がないまま数日がたったある日のこと

コニー「たっ大変だー!」

訓練兵の一人コニーがサシャと共に食堂に駆け込んできた。

エレン「なにかあったのか?」

コニー「れ、例のリュウガモリ湖にでっかいトカゲが出た!!」

エレン「とかげ?」

サシャ「そうです!さっきコニーとリュウガモリ湖の近くをお散歩してたらこーんなおっきいとかげが」

そう言ってサシャが手を伸ばして振り回していると、ほかの訓練兵からは笑いが漏れた

ジャン「おいおいコニー、サシャ、おまえらなにいってんだよ。でかいトカゲって・・・」

ライナー「ここ数日手がかりがまるでないからと言って、そんなでたらめを」

コニー「嘘じゃねえって!」

ベルトルト「二人とも夢でも見たんだよ」

アニ「・・・・・・」

サシャ「ほんとに見たんです!信じてください!!」

アルミン「二人とも、ほんとに・・・」

次の瞬間、すさまじい地響きと共に耳をつんざくような鳴き声が響き渡る!

エレン「な、なんだ!?」

そこにいた面々が耳を押さえながら、驚きの表情を見せていると、キース教官が慌てたように入ってきた

キース「貴様ら、すぐに出撃準備をしろ!」

アルミン「な、何があったのですか?」

キース「・・・リュウガモリ湖に、怪生物が現れた」

それから程なくしてリュウガモリ湖を見渡せる小高い丘の上で訓練兵たちは目を疑うのである

ジャン「なんだ・・・ありゃあ・・・」

コニー「ほらみろ!俺の言ったとおりだろう!」

リュウガモリ湖、その中央にはトカゲと表現が正しいのかはともかく、みたこともないような生物が
たたずんでいた。その姿はまるでおとぎ話の中に出てきたような・・・

ミカサ「巨人以外にあんな大きな生物がいるなんて・・・」

キース「何という奇っ怪な・・・怪しい獣・・・怪獣でどうだろう?」

アルミン「どうだと言われましても・・・」

みんなが浮き足立っている。アルミンはそう感じていた。
無理もない。巨人相手なら、まだ、心の準備もできるかもしれない。
しかし、あんな未知の生物など見たことも聞いたこともないのだ。
アルミンがふと隣を見ると、エレンが呆然としていた

アルミン「エレン・・・?」

エレン「・・・ベムラー・・・」

アルミン「え?」

そのとき、エレンの中で何かがはじける

ーーーーー巨人は奴らの雛形に過ぎないーーーー

ーーーーーこの星は狙われているーーーーー

頭の奥ーーー遠いところで記憶のかけらがうごめく

ーーーーー戦い方は、彼らの・・・
   ーーーー偉大なるウルトラ兄弟の記憶が教えてくれる


エレン「うわああああああああ!」

突然、大声を発しエレンが丘を駆け下りる。

ミカサ「エレン、待って!!!」

アルミン「エレン!!どこに行くんだ!!」

そこにいた全員があっけにとられている隙に、エレンの姿は見えなくなる

ミカサ「エレーーーン!!」

ミカサが後を追うように丘を降りようとすると、それに呼応するようにベムラーがこちらに向かって
青い怪光線を放った!

「うわああああ!」

そこにいた全員慌ててその場を離れるがすさまじい爆発に吹き飛ばされる。

ライナー「みっ・・・みんな無事か!?」

ライナーが声を張り上げる。

アニ「なんとか、少しけが人も出たみたいだけど命に別状はないみたい」

ジャン「おいおいおいおい!なんだありゃ!なんなんだよ!あんなやつ相手にどうしろと!?」

ミカサ「くっ」

それでも降りようとするミカサをアルミンが制止する

アルミン「落ち着いて!ミカサ!」

ミカサ「でも!エレンが!!」

ミカサが泣きそうか顔でエレンが走っていった方面を見る。そこは先ほどの怪光線で焼け落ちていた

アルミン「ミカサ、落ち着いて、あんな攻撃されたんじゃあ立体軌道でもうかつに近づけない」

ミカサ「でもどうしたら!」

ミカサがそうアルミンに詰め寄ると、アルミンは意を決したように持っていた鞄の中から一丁の銃を取り出す

ミカサ「これは・・・鉄砲?」

アルミン「こんなこともあろうかと作っておいたんだ。それは、スーパーガン。」

ミカサ「え?」

アルミン「ここ最近、いろんな発明が僕の頭の中に溢れてきたんだ。これもその一つで・・・」

エレンが持っていたあのカプセル。それがアルミンに様々な物を閃かせたのだが、アルミンは知るよしもない

アルミン「試作品だからあまり出力は出ないけど、さっきのあの生物が出した光線と同じような物で攻撃できる。
     とは言っても、牽制ぐらいには使えるはずだ。やつにはあまり近づかずに、これで何とか注意をそらして」

ミカサ「わかった。ありがとう、アルミン」

そう言うとミカサは、エレンの後を追っていった。

あかん、眠くて頭が回らないw続きは明日の同じ時間ぐらいに投下します。おやすみなさい

ひっそりと再開します。拙い言語力で書いた駄文なので、アレな表現があってもお目こぼしを頂けたら・・・
ここから巨人本編の方の設定からも大きく逸脱していきます。よろしければもうしばらくおつきあいください。

一方その頃、エレンは焼け焦げた森の中で倒れていた。どうやら先程の光と爆発の中に巻き込まれたようだ。
混濁する意識の中、あの日のことが思い返される・・・

ーーーーーー
ーーーー
ーーー


「ーーーン」
「ーーレン」
「ーエレン」

自分を呼ぶ声が聞こえてきて目を覚ますと、そこは一面の赤い世界だった。
なんだ?ここは・・・。
体を動かそうとするが全く力が入らない。どうやら声も出せないようだ。
エレンは朦朧とする意識を振り払い、視線だけであたりを見渡す。
するとそこにはエレンがよく見知った姿があった。

あ・・・ああ・・!

「久しぶりだなエレン」

そこには、ウォールマリアでの一件以降行方をくらましていた父、グリシャの姿があった。

とう・・さん・・?

グリシャ「まったく・・・急に飛び出してくるからお父さんびっくりしたぞ」

は?

グリシャ「道路を横断するときはちゃんと左右を確認して手を上げて渡れと教えたはずだ」

いや、そんな事じゃなくて・・・

グリシャ「飛び出してきたのがお前だったから良いようなものを」

おい、いいかげんに・・・

グリシャ「危うくお父さん、殺人を犯すところだったじゃないか」

エレン「いいかげんにしろ!!」

父親のずれた物言いに腹を立てたエレンはそう怒鳴りつける

エレン「さっきからなにを訳分からないことを!!今まで・・・今までどこに!」

捲し立てるエレンを尻目に父グリシャは目を細める

グリシャ「ほう・・・もう動けるのか。思ったより『馴染む』のが早かったな。さすが私の息子だ」

エレン「なにが・・・」

グリシャ「話すから落ち着け」
言いかけたエレンの言葉を遮り側に来てエレンの顔をのぞき込む

グリシャ「色々言いたいことがあるのは分かるが今は時間がない。奴に見つかるわけにはいかんのでな」

グリシャ「まずはじめに、私はこの星の人間ではない。遠い星から来た宇宙人だ」

エレン「は?何を言って・・・」

グリシャ「理解できなくて当然だ。今は違う世界から来たくらいの認識でいい、
     先程湖の上にいた赤い光、あれが私だ。わたしは巨人から孵化した怪獣、
     ベムラーを倒すため戦っていた」

エレン「巨人から・・・孵化した・・・?」

グリシャ「巨人とは言わば幼虫のようなものだ。」

グリシャ「過去兄弟達に倒された怪獣や宇宙人達の怨念を結晶化し人形の器に入れ放置する
     人形はやがて育ち、元の姿に戻るためエネルギーを求めだす。人間の生命力を・・・
     ・・・いや、話がそれたな。私はベムラーと戦っていたが途中で邪魔が入った
     それが青い光の方だ。何者かは知らんが、そのせいでお前と衝突してしまった」

エレン「青い光・・・」

グリシャ「幸いその後青い光はいなくなったが、お前はほとんど死にかけていた
     そこで予定より少し早まったがお前に私の力を継がせることにした
     ここは先ほどの赤い光の中だよ」

エレン「ま・・まて、何を言っているのかわからないのは俺が馬鹿だからじゃないよな」

グリシャ「安心しろ、お前は馬鹿だが最初からすべてを理解してもらおうとは思っていない」

グリシャはそこまで話すと、懐から円筒状の物を取り出しエレンに向かって放り投げた

エレン「これは?」

グリシャ「ベータカプセルだ。困ったときはそれを使え。そうすると・・・」

エレン「そうするとどうなる」

グリシャ「はっはっはっはっはっは・・・心配することはない」

エレン「いや、ものすごく心配なんだけど・・・」

グリシャ「エレン、大切なのは壁内に怪獣が現れたことだ。今までにこんなことはなかった
     何者かが壁内に巨人を転送し、エネルギーを与え続けている」

エレン「そんなことを誰が・・・」

グリシャ「わからん。私はこれからそれを探ってみようかと思う。お前は、その力で皆を守れ」

そう言うとグリシャはエレンの体を外に運びだそうとした。

エレン「まっまってくれ!まだ・・聞きたいことが・・・」

グリシャは微笑むとエレンの頭をなでた・・・

「今は休め、我が息子よ。いつかすべてを話せるときがくるだろう・・・」

そこでエレンの意識は途切れた

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

エレンは焼け焦げたにおいで目を覚ます。頭から血が出ているようだが、不思議と痛みはあまりない。
先ほど思い返していたのは、夢なのか現なのか・・・
エレンは立ち上がるとふらふらと自分がベムラーと呼んだ怪物に向かい歩き出す。
なぜあの怪物を知っているのか・・・なぜこんなにも落ち着いているのか・・・
自分の中にある記憶の断片がそうさせるのか・・・

近づいてくるエレンに気付いたのか、ベムラーはエレンに向かって動き出した
恐怖も高揚もない。ただ何かに導かれるようにエレンは懐からベータカプセルを取り出すと
天に突き出すようにそれを掲げた

その頃、訓練兵たちは・・・

サシャ「かっ怪獣が動き出しました!」

ライナー「いかん!町の方に向かっている!」

コニー「だけどどうするんだよ!巨人用の装備で通用するのか!?」

ジャン「んなことわかるかよ!ちくしょう・・・だがやるしかないだろ!」

ベルトルト「ジャンの言うとおりだ。このまま黙っているわけにはいかない」

アルミン「ミカサ・・・」

その時、辺りはまばゆい光に包まれた!!

ミーナ「こ、今度はなに!?」

ジャン「お・・・おい・・あそこ」

訓練兵たちは何とか目を細めジャンが指す方に目をやると強い光の中、巨人が姿を現した

サシャ「こっ今度は巨人・・・巨人が現れました!!」

アニ「・・・・・!!!!」

銀色の体に赤いライン、人と言うには異質めいたその姿は、これもまた今までの巨人と違う物だと認識させる

ライナー「次から次へと・・・何が起こってるんだ」

コニー「おい、あいつかいじゅうに向かっていくぞ!?」

その巨人は、宇宙人である父グリシャから託されたエレンがベータカプセルで巨人に変身した姿である
マッハ5のスピードで空を飛び、強力なエネルギーであらゆる敵を粉砕する不死身の男となったのだ!
それゆけ!我らがヒーロー!

巨人はベムラーにタックルでぶち当たるとそのまま押し倒しマウントポジションを取る
ベムラーにめがけて2,3発拳を振り落とすとたまらずベムラーは暴れ出した

コニー「いけー!そこだー!」
サシャ「がんばれー!負けるなー!」

ジャン「おい」

コニー「なんだよ」

ジャン「何応援してんだよ、別にあいつは味方って訳じゃないだろう」

サシャ「そうでしょうか」

アニ「・・・・・・・」

サシャ「あの巨人、なんだか怖くないんですよ。悪者じゃなさそうって言うか」

ライナー「何か根拠でもあるのか?」

サシャ「根拠というか・・・さっきのあの光、なんだかとても暖かくて・・・とても安心するんです」

その場にいた一同は、それを笑わなかった。おそらく同じことを感じたのだろう。

ベルトルト「・・・光の巨人か・・・・」

その時、すさまじい騒音共に巨人が逆に倒されていた。

コニー「ああっ」

ベムラーは巨人に向かって怪光線を放射し、巨人と距離をとる。どうやら巨人はアレにやられたようだ。
巨人は右肩を押さえ再び構え直すと、じりじりと距離を詰める。
それを待ち受けるようにベムラーは怪光線を放つ!すんでの所で躱すが少し距離を開けられた

ジャン「だめだ、近づけねえ!」

ライナー「なにか方法はないのか?」

その時、ベムラーの後方から別の光線がベムラーに向かって照射される!

アルミン「ミカサ!!」

見るとミカサが森の中からスーパーガンを発射している。ベムラーに命中するもあまり効果はないようだが
それでもベムラーの気が巨人から離れる
すかさず巨人は間合いを詰めるとそのまま背負い投げた

ジャン「よし!いいぞ!いけ!」

サシャ・コニー「・・・・・」ジー

ジャン「・・・こっちみんな//」

ベムラーは焦ったのか、怪光線を乱射する。
さすがにすべては躱せず被弾すると、ベムラーが追撃しようとした

ミカサ「させない!」

ミカサは森の中を立体機動で高速移動しながらスーパーガンを乱れ打つその内の一発がベムラーの目に命中した

ミカサ(なぜだろう、なぜ私はあの巨人を援護している?)

ミカサ(なぜ、こんなにも守りたくなる?)

ベムラーは怒り狂ったように吠えまくると再び怪光線を発射しようとする、が、
巨人がすかさずベムラーの顔面を殴りつける。すると巨人の胸にあるランプが点滅し始めた。

ライナー「あっあれはなんだ?」

アルミン「おそらく危険信号だと思う。赤ランプは万国共通だからね」

ジャン「そんなことわかるもんか」

そんなことを言っているうちに点滅はどんどん速くなっていく

アルミン「もしかして・・・エネルギーに限界があるのか?」

アルミンの推測は当たっていた。宇宙人である光の巨人は、地球上では著しくエネルギーを消耗するのだ

巨人は意を決したように、ベムラーの懐に飛び込むと強引に持ち上げ投げ飛ばす
ベムラーの方も限界に近いのかふらつきながら立ち上がろうとする

巨人はそれを見るとゆっくりと腕を交差させた。

交差させた腕からは今まで以上の光があふれ出しそれはすさまじいエネルギー帯となって
ベムラーを打ち貫いた!

ベムラーはゆっくりと崩れ落ちると轟音を立てて爆発した

コニー「おおおおお!」
サシャ「やったーー!」

ジャン「倒したのか?おい!」

その場にいた全員諸手を挙げて喜び合った。巨人はそれを見届けると、今度は光の中に消えていった・・・

ライナー「あいつ・・なんだったんだ・・・」

アルミン「さあ、通りすがりの正義の味方、じゃないのかな」

ジャン「なんだよ、それ」
そう言って笑い合っているとミカサが息を切らせて走ってきた

ミカサ「アルミン!みんな!」

アルミン「ミカサ!無事だったんだね!」

ミカサ「うん、エレンは!?」

その時遠くの方から声が聞こえてきた

エレン「おおーい!」

見ればエレンが手を振りながらこちらに走ってくる

ミカサ「エレン・・!」

ライナー「あいつ!今までどこに行ってたんだ!?」

ジャン「つーか普通に敵前逃亡じゃないのか?あれ」

キース「まあ、今回のは仕方あるまい。イェーガーも病み上がりで錯乱していたのだろう」

エレンは教官の前まで走ってくると姿勢を正し敬礼をする

エレン「イェーガー訓練兵、ただ今戻りました。勝手な行動に走り申し訳ありません」

キース「今までどこにいた」

エレン「はっあの怪生物の光線に焼かれそうになったときに、彼に助けてもらいました」

キース「彼?」

エレン「先ほどの巨人です。彼に助けてもらった後、近くの木の上に避難しておりました。」

ジャン「なんだそりゃ、なさけねえ」

アルミン「ちょっと待って、彼、彼って親しそうに言うけど、あの巨人何者なのさ」

エレン「さあ、そこまでは知らないよ」

サシャ「そうだ、私たちで名前をつけません?」

コニー「名前?」

ライナー「それならマウンテンガリバーとかどうだ。山のようにでっかくて強い」

ジャン「だせえ」

ライナー「」

ミカサ「・・・光の巨人」

サシャ「まんま過ぎますね」

ミカサ「」

エレン「・・・それならさ、ウルトラマンってのはどうだ?」

アルミン「ウルトラマン?」

エレン「ああ、ウルトラマンイェーガー!」

ジャン(こいつ、どさくさで自分の名前入れやがった)

ミカサ「それはいい。とても優雅な名前」b

サシャ「ではそれで決定ですね!」

コニー「おい!」
ライナー「いいのかよ!それで!」

アニ「・・・・・・」

ミーナ「どうしたの?アニ・・・ははーんエレンのことが心配でやきもきしてたんだよね
    アニってホンと乙女なんだから~」

そういいつつミーナはアニの蹴りに対応するため防御の構えをとったが

アニ「・・・そんなんじゃないよ」

そう言って踵を返し一人宿舎に戻っていった

ミーナ「・・・アニ?」

エレン「おーい!ミーナ!宿舎に戻るぞ!」

ミーナ「う、うん」


ーーこうして、人類史上初の怪獣討伐戦は幕を閉じる
  まだ戦いは始まったばかりだ、負けるなエレン、負けるなウルトラマン!
 
                                  第1話 完

次回予告

ウルトラマンの力を手に入れたエレンは、次々に現れる怪獣相手に戦う日々を送っていた
ところがある日、エレンの前にあの青い球体が現れる!エレンが危ない!

次回、ウルトラマンイェーガー第2話「青き光」 来週もみんなで見よう!

くう疲うんぬん ひとまずこれで終わりです。
思ったより短かったですが、第2話以降はまだ未定です。

こんなしょうもない文章を読んでくださった方々、ありがとうございました!

ちなみに・・・各隊員のイメージは

ミカサ・・・アンヌ(セブン)orレナ(ティガ)
アルミン・・・イデ(マン)
ライナー・・・アラシ(マン)
ジャン・・・山中(エース)

コニー・サシャ・・・ちびっ子代表

こんなイメージで書いていました。

ほかのキャラはおおよそ巨人よりですかね

と言うか自分で読み返してみて最後辺りの息切れ感が半端ねえっすw
こういう物はきちんとプロット決めてから作るべきですね・・・穴大杉(誤字も)

という言い訳でした!今度こそおやすみなさい!コメントくださった方ありがとう!

予定より早かったですが第2話をちょっとだけ投下します。
前回がほぼノリと勢いだけで書いているので設定を少しだけ変えます
・エレン(ウルトラマン)はまだ空を飛ぶことができない(壁を越えちゃうからねしょうがないね)
・グリシャは宇宙人だが、エレンは混血。
・エレンのウルトラマンは宇宙人と言うよりティガ、ダイナ、ガイアに近い存在
・ウォールマリアは超大型巨人が破壊したのではなく、原作9~10巻に近い状況
・ライベルアニはこのSSではウォールマリアの件には関与していない。
・原作巨人組がウルトラマンなり怪獣なりになれるわけではない。そもそもこのSSでは原作のような巨人化はできない設定
・エレンは前回の父親との邂逅を完全に思い出していない
・ヒロインはわtミカサ

こんな感じで進めていきます。後付け設定ってこうやってできていくんだね。
よろしければ、もうすこしだけおつきあいください

ウルトラマンイェーガー
第2話「青き光」


爆音と悲鳴が街中にこだまする。身の毛もよだつような雄叫びと共にその巨体が姿を現した。

ーーー怪獣と呼ばれる存在、1年前のベムラー出現より実に7度目の出現である。

今までは郊外に現れていた怪獣も、とうとう街中にまで出現するようになってきた。
人々が逃げ惑う中を、軍服に身を包んだ若者たちが怪獣に向かって進んでいく。

『あーあー聞こえますかーこちら本部』

耳につけた通信機と呼ばれる物から聞こえる音に兵士たちは応える

「ああ、聞こえているぞ!状況は?」

『おお!ほんとに聞こえるみたいだぞ!すげえなこれ』
『ちょっ・・ちょっとユミル。だめだよ、まずはお仕事しないと』
『なんだよ、かってえなクリスタは。お前だって聞こえたときちょっと感動したろ?』
『う・・うんちょっとだけ』エヘヘ

「いいから状況!!」

いらついたように怒鳴り声を上げると、スピーカーの向こう側の二人は慌てて報告に入る

『ご、ごめんなさい。目標は15m級1体、街の南西から北上しています』

「住民の避難状況は?」

『まだほとんどが終わってねえな。駐屯兵団の皆さんががんばっちゃいるがな』

「了解。仕方がねえ!隊を二つに分けるぞ!俺とミカサ、ライナーベルトルトの4人で目標に当たる!
 エレン、コニーサシャの三人は逃げ遅れた人の救援に当たれ!」

「了解!」

7人は声を掛け合い、それぞれの任務に当たるため離れる

『みんな!気をつけて!』

「おっし!クリスタの応援があれば百人力だぜ!』

『まあ、がんばれよ』

「おまえはいらねえ」

『殺すぞゴリラ』

「てめえら通信装置で遊んでんじゃねえ!・・・敵さんのお出ましだ」

前方を見るとなるほど、巨大な影が見えている。
青黒い身体に頭部やのど回りを鎧のような物で覆っている。

ベルトルト「なんだかずいぶん堅そうな敵だね」

ミカサ「関係ない。削ぐ。」

ジャン「落ち着け、不用意に近づくな。まずは光線銃で威嚇する。ミカサ、ベルトルトは隙を見て
    ブレードでの攻撃を試みてくれ!」

「了解!」

4人は立体起動装置で飛びながら怪獣を囲むように回り込むと、スーパーガンで攻撃する。

怪獣はうっとうしそうに払うと頭部から光線を発し反撃してきた

ジャン「あぶねえ!」

光線は当たりはしなかったが、こちらの光線も効いていないようだ。

ベルトルト「スーパーガンじゃあ足止めにもならなそうだね」

ライナー「じゃあ、こいつの試し打ちと行こうか」

ライナーは先日完成したばかりの新型光線銃スパイダーショットを構える

ライナー「堅くてぶっといのをくらいな!」

スパイダーショットから放たれた熱戦は怪獣に当たると爆発し怪獣をぐらつかせる

ミカサ「!!」

その隙を見逃さずミカサは怪獣に斬りかかったが、ガシィンと言う音が鳴りミカサの持つブレードは弾かれた

ミカサ「くっ」

ジャン「やっぱり堅いな。スパイダーショットがもう一丁あればいいんだが」

ベルトルト「ないものを言っても仕方がないよ。別に弱点がないか探りながら戦うしかない」

ライナー「まったく。毎度毎度、いい加減にしてほしいぜ」

一方その頃、エレンたちはーーー

コニー「急げー!こっちだ!」

サシャ「慌てず騒がずしっかり急いで!怪獣は待っててくれますから!たぶん」

市民の誘導に走り回っていた。

エレン「おーい!こっちはもう避難は終わったぞ!」

コニー「こっちもこれで最後だ!」

クリスタ『エレン、駐屯兵団の人たちが担当していたところも避難が完了したみたいだよ』

エレン「そうか、なら俺たちもあいつらに合流しよう!」

コニー「おっしゃ!」

サシャ「エレン、コニー!あれ!」

二人がサシャの指さす方を見ると小さい子供が泣きじゃくってこっちに走ってきた

コニー「逃げ遅れた子か?」

サシャ「よかったです!もう大丈夫ですよ!」

とサシャが子供を抱くと、子供は泣きじゃくりながら

「お母さんが、お母さんがああ」そう言った。

三人はびっくりして顔を見合わせる

コニー「まだ人がいたのか!?」

エレン「俺が探してくる!二人はその子を避難させてくれ!」

そう言うとエレンは子供が来た方へと走り出した

サシャ「エレン!無茶はだめですよ~!」

エレンは手を振ってそれに応えると再び走り出す

サシャ「エレン、大丈夫ですかね」

コニー「大丈夫だろ、今のあいつなら」

サシャ「エレン、なんだか前と変わりましたもんね」

コニー「以前のあいつなら、人命救助より怪獣討伐の方を優先しそうだったのにな」

母親はすぐに見つかった。だが、がれきに足をつぶされて動けないようだ。
エレンは思わず拳を握りしめる。
あの日ーーー母カルラが死んだ時を思い出す。

くっ・・・

エレンはいやな感情を振り払うように頭を振ると、母親に近づく

エレン「大丈夫ですか?しっかりしてください!」

彼女は気を失っていたが、命に別状はないようだ。

この岩をどかさないとーーーその時頭上を熱戦が走り、目の前の建物が崩壊した

まずい!

エレンは懐に手をやるとベータカプセルを天に掲げた

まばゆい光と共に、巨人はその姿を現した

ミカサ「! あれは・・・」

サシャ「ウルトラマン!ウルトラマンが来てくれました!」

ジャン「チッ 正義のヒーロー様のご登場かよ・・・」

ウルトラマンは怪獣の前に立つと構える

エレン(あれは、超古代怪獣ゴルザ・・・か)

ウルトラマンとなったエレンは、時折こうやって自分の記憶外の情報を思い出すことがある
決して気持ちのいい物ではないが、今は情報を得られるだけでもよしとする

ウルトラマンは低く構えるとゴルザに向かって突進し体当たりするが、逆にウルトラマンの方がぐらつく
そこにゴルザの放った熱戦が命中しウルトラマンは後方に吹き飛んだ

コニー「おい!なにやってんだよ!」

ライナー「くっ」

ライナーが放ったスパイダーショットの熱戦がゴルザを足止めする。
その間にウルトラマンは立ち上がると今度はネックブリーカーに持ち込みそのまま投げる
ひっくり返ったゴルザに向かい、ウルトラマンとライナーが光線を打ち込んだ。

ジャン「やったか?」

だがゴルザはふらつきながらも立ち上がると地面を掘りだした

ベルトルト「・・・しぶとい!」

ミカサ「もしかして・・・逃げる気?」

そうはさせまいとウルトラマンがゴルザに向かうが、思いの外スピードが速くゴルザは地中に消えていた

ジャン「くそっ逃がしちまったか!」

ミカサ「クリスタ、ユミル。周囲に警戒を呼びかけて」

ユミル『了解。お前らも、いったん戻ってくるんだろ?』

ジャン「ああ、そうしよう」

そう言いながら、ジャンはウルトラマンを睨み付ける

ウルトラマンはいつものように光の中に消えていった

ジャン「ウルトラマン、か・・・」

エレンは元の姿に戻ると、さっき変身した際助け出していた母親を抱え皆の所に戻ろうとした

「!?」

その時エレンは視界の端に見知った顔を見たような気がした

エレン(今のは・・・アニ?・・・いや、まさかな。あいつがここにいるはずがない)

一年前、憲兵団に入隊し、内地へと行った旧友の顔を思い出す。だが、辺りを見回しても人の気配はなかった。

(やっぱり気のせいか・・・)

エレンは後ろ髪を引かれる思いがしながらも、コニーとサシャの所に戻っていった。

短くてすみませんが、今日はここまでです。次がいつになるかわかりませんが、
でき次第少しずつでもあげていこうと思います。 それではおやすみなさい。

半年前に創設された新しい兵団「科学特捜兵団」通称「科特隊」。

増えだした怪現象・怪獣などに対応するため創設された兵団だが、入隊したメンバーはほとんどが1年前まで訓練兵だった者たちであった。
これは第一次怪獣討伐戦に深く関わったのも大きいが、憲兵団を始めほかの兵団が「怪獣」などという未知の脅威に尻込みしたのが原因、ようはやっかいごとを押しつけた形になったのだ。
唯一科特隊に理解を示した調査兵団も、壁外調査は引き続き行わなければならないため人員を割くことができず、一部の者が科特隊に参加しているのみである。
科特隊は怪獣討伐だけでなくさまざまな科学分野の研究にも携わっており、特にアルミン・アルレルトの生み出した発明品は「電気」と呼ばれるエネルギーを始め武装のみならず、市民生活の中にまで大きな影響を及ぼすほどであった。

隊員達が本部に戻ると、通信士として先日入隊したユミルとクリスタが出迎えてくれた。
二人は調査兵団から来た人間で、エレン達とは訓練兵時代同じ釜の飯を食べた同士でもある。

クリスタ「みんな、お疲れさま!今、紅茶を入れたよ」

クリスタはあらかじめ用意しておいたらしいお菓子と紅茶をテーブルの上に並べていた

ライナー「おお、ありがたいぜ。(結婚しよ)」

ユミル「おお、ありがたく飲めよ」

コニー「何でお前が偉そうにしてるんだよ」

エレン「アルミンは?」

クリスタ「ずっと研究室に籠もりっぱなし・・・お茶を煎れるからって呼びに行ったんだけど」

ジャン「ほっとけよ、腹が減ったら出てくんだろ」

サシャ「何言ってるんです、私じゃあるまいし・・・」モグモグ

ユミル「自分でいうか」

隊員達が談笑していると前訓練兵団教官で現在は科特隊隊長のキースが入ってきた。

全員即座に起立し敬礼をすると、キースはゴホンを咳払いをし
キース「よせよせ、ここは他の兵団とは違う。窮屈な敬礼など必要ない」そう笑った

科特隊は独立治安維持部隊としてのあらゆる特権行使が許されている。
が、先にも述べたように巨人以上の脅威とされた怪獣に少数で立ち向かうことを義務づけられた「鉄砲玉」という側面もあり、死にゆく者への最低限の常歩でもあった。

ただ、周囲の予想に反して彼らはただの一人の犠牲者も隊内はもちろん、市民からすら出しておらず
先述の特権行為の件と合わせて、他の兵団からも疎ましく思われ始めていた。
キースはこの周囲の状況に、憤りも感じるが仕方のないことだとも思い、隊内のみでは「無礼講」を認めていた。

キース「それで、今回の被害状況を知らせ」

クリスタ「はい!今回の被害状況ですが、死者はゼロ。けが人は十数名。しかし取り逃がした怪獣の行方は未だつかめず、科特隊の捜索班と駐屯兵団とで足取りを追っていますが・・・」

ライナー「さすがに地中を移動されたんじゃ捜しようもないな」

クリスタ「それと南部の町は軒並み怪獣に破壊され、多くの避難民が出ています。」

キース「うむ。今後このような事態が続くやもしれん。お前達は事態に備え体を休めておけ」

報告を終えキースが部屋から出て行くと皆は再び話し始める

エレン「しかし、避難民が多く出ているのは問題だな」

ミカサ「うん」

二人は数年前のウォールマリアでの件で避難民として数年暮らしたことがある。あの日々の苦しさを思えば
今日家を失った人々への想いは強くなる

ベルトルト「その辺りに関しては、何とかもう少し迅速な対応ができるようになればいいね」

ミカサ「今日の出撃で通信機は役に立った。これをもう少し活用できれば」

意見を出し合う隊員達を尻目に、ジャンは吐き捨てるように言った

ジャン「俺たちがこれ以上何かやる必要があるのか?」

その言葉に、その場にいた者はキョトンとしたような顔でジャンを見る

ジャン「今日もそうだが、急いで駆けつけたところで結局敵を倒すのはあの正義のヒーロー様だ」

エレン「・・・」

コニー「何をいってんだ?俺たちだって怪獣を倒したことあったじゃないか」

ジャン「それだって、ウルトラマンの援護があってだ、別に俺は自分たちの力を卑下したいわけじゃねえ
    今日の通信機やスパイダーショットだって効果は確認できた。その内、奴に頼らなくても
    倒せる日だって来るかもしれねえ・・・だがな、力をつければつけただけ思い知るんだよ
    奴が・・・ウルトラマンがどれだけ化け物かってな」

エレン「・・・!」

ジャン「お前らは何も感じないのか!?あの力が、もし俺たちに向かってきたら!」

コニー「それは・・・」

サシャ「で、でも!ウルトラマンは今までだってずっと私たちを守ってくれたじゃないですか!」

ジャン「それだってどうだかわかんねえぜ?そもそも本当に奴は俺たちを守ってくれているのかよ」

ユミル「まあ確かに結果的にこちらが助かっているだけかもしれないしな」

エレン「お前ら、何が言いたいんだよ・・・」

ジャン「てめえは一度直接助けられたことがあったから肩入れすんのかもしれねえけどな、
    奴の目的がなんなのかわかんねえ以上俺は奴を完全に信用できねえ、
    だが、奴が怪獣と戦っている以上こっちに都合がいいのも事実だ」

エレン「・・・」

ジャン「なら俺たちはそれを徹底的に利用する!・・・ああ、化け物の相手は化け物にやらせるべきだ」

エレン「・・・この屑やろうが!!!」

激高したエレンがジャンに掴みかかる

ライナー「おい!やめろ!」

ライナーが二人の間にわってはいるが、エレンは止まろうとしない

エレン「俺たちがここまで生き残ってきたのは、俺たち自身が強くなっていたからじゃねえのか!
    今日だって、ライナーの援護がなけりゃ、どうなってたかわからねえんだ!
    その俺たちが、力の放棄を考えてどうしようってんだ!」

ジャン「別に力を放棄しようって訳じゃねえ!ただ、利用できるモンは利用してやれってことだよ!」

エレン「だったらお前は何でここにいるんだ!元々お前は憲兵団志望だっただろうが!
    憲兵団に行くことのできる権利を放棄してまで、最前線に残ったのは何のためだよ!!」

ジャン「・・・!」

エレン「戦うためじゃないのか!?俺たち自身の手で、人々を守るために!」

「わりいけど」そうユミルが割って入る「正直ジャンの言ってることは間違ってるとは思えねえよ」

ユミル「というか、お前の言っているのはただの綺麗事にしか聞こえねえ。」

エレン「な・・・」

ライナー「エレン、確かにお前の言っていることは正しいとは思う。だが今は非常時だ、俺たちは
     どんなに汚名をきようがどんなに泥にまみれようが、守れるもんは守らなきゃならねえ」

エレン「・・・」

コニー「・・・お前、ほんとに変わったよな」

エレン「・・・・え?」

ミカサ「・・・・・・」

コニー「なんていうかさ、ちょっと前のお前なら。怪獣が現れたら真っ先に『駆逐してやる!』とかいって
    真っ先に飛び出したりしてだろうし、それどころか今日は人命救助の方を率先してやってたじゃないか」

エレン「それは・・・」

コニー「今日のジャンの言ってることだってホントは納得してたんじゃないのか?」

エレンは何も言えず拳を握りしめると部屋から出て行こうとした

ミカサ「エレン!」

エレン「・・・すまない、ちょっと頭冷やしてくる」

そう言い部屋から出て行った

コニー「・・・ちょっと言い過ぎちまったかなあ」

ジャン「フン、気にするこたあねえよ。」

そう言いジャンはふてくされたように椅子に座った

クリスタ「でも・・・私は今のエレンの方が好きかな」

ライナー・ユミル「え”・・・!」

ミカサ「・・・」チラッ

クリスタ「あっいや、そういうことじゃなくて、なんていうか・・・訓練兵の頃のエレンって私、怖くて
     近寄れなかったんだよね、だけど今はあの威圧感がなくなったっていうか・・・」

サシャ「以前とは考えられないくらい話しかけやすくなりましたよね~」

ミカサ「確かに・・・エレンは少し変わった・・・だけど・・・」

サシャ「だけど?」

ミカサ「エレンはエレンだから」

ユミル「なんだそりゃ」

その頃エレンは一人丘の上で思いにふけっていた

ーーーーお前、ほんとに変わったよな

ああ、自分でもわかっている

ーーーー奴が・・・ウルトラマンがどれだけ化け物かってな

エレンは胸にあるベータカプセルに触れた

ーーーーこの力を使って、皆を守れ

「・・・俺は、本当に俺なのか?」

今日はここまでです。短くてすんません!それではおやすみなさい。できればまた明日


没ネターーー
ウルトラホース1号~3号
科特隊が主に使っている移動手段でようはただの馬である(クリスタの愛情付き)。
ちなみに1号と2号、2号と3号はそれぞれ合体可能だったりする

・・・・・・ホントすんませんでした!おやすみなさい!

「エレン?エレンじゃない!」

その声に振り返ると、そこにはかつての仲間ミーナ・カロライナの姿があった

「・・・ミーナか。久しぶりだな」

ミーナ「なあに!?久しぶりに元班員に逢ったのにテンション低いなあ」

そういってふくれる彼女に、エレンはすまないと言った

ミーナ「・・・何か悩み事?相談に乗ってあげようか?」

エレン「ああ、いや別にいい」

ミーナ「~~!そういう所は変んないわね」

ミーナは側にあったベンチに腰掛けると、ここに座れと言わんばかりに自分の隣をバンバンと叩く
エレンは観念したようにミーナの隣に座ると彼女はにっこりと微笑み、さあ話せと言った。

所変わって科特隊本部の中。最も奥深い所にある一室にアルミン・アルレルトはいた。
今にも崩れそうに積み重なった書類と書物の中比較的小さい身体をさらに小さくして何かに没頭していた。

「よっ少年。はかどってるかい?」

後ろから聞こえた声に振り返ることもなくアルミンは応える。

「ええ、もう少しで完成しそうです。ハンジ博士」

「博士はやめってっていてるじゃない」

そういってハンジと呼ばれた女性はカラカラと笑った。

彼女の名はハンジ・ゾエ。調査兵団に所属している兵士で、科特隊の研究所員の一人でもある。
元々巨人の研究に熱心だった彼女は、今では生物学の権威としてもその才を発揮し始めていた。

彼女は鞄から書類を取り出すとアルミンに手渡す。

ハンジ「はいこれ、リヴァイからの報告書」

アルミンは背中越しに無言で受け取るとぱらぱらとその書類に目を通す

ハンジ「これって私たちの予想・・・いや空想に近かったものが現実になってきていない?」

アルミン「怪獣出現後、巨人が軒並みいなくなりつつある」

ハンジ「壁に群がっていた巨人の数がずいぶん減ってきたと思ってきてたけど、リヴァイたちがシガンシナ区に
    行って戻ってくるまでの間、巨人にほとんど襲われていない」

アルミン「やはり巨人と怪獣は何かしらつながりがある・・・」

ハンジ「こうなると、そう考えるのが妥当でしょうね・・・ねえ、アルミン。君はどう思っている?」

アルミン「というと?」

ハンジ「1年前、第1次怪獣討伐戦から始まってからのこと。偶然、怪獣の出現に合わせて現れた正義のヒーロー
    偶然同じ頃から減り始めた巨人たち。そして偶然同時期から、とんでもない発明品が次々と世に出てきた」

アルミン「・・・・・・」

ハンジ「あまりにもよくできた偶然の重なり方だ。『当事者』の君として今の状況をどう考えている?」

アルミン「そうですね、確かに何者かから背中を押され続けているような感覚が絶えません。
     まるで一刻も早く世界を次のステージまで押し上げようとしているような、そんな感覚が。
     元々発明品に関する知識は祖父の書庫にあった蔵書にヒントは書いてありました、しかし
     それらはほぼ空想に近い物で実現が可能だとはとても思えなくて」

ハンジ「しかし君は作り続けている、誰も思いもよらないような。それこそ絵空事のような物を」

アルミン「正直、なぜ僕にそんな知識が溢れ始めたのか、思い当たる節がないわけではありません
     ただ、確証もないままうかつに声に出すことではないとも思っています」

ハンジ「・・・」

アルミン「それに現状僕のこの発明は確実に怪獣の驚異を取り除くことができるはず。ならば、
     余計なことは考えずに今はただ、作り続けるだけです」

ハンジ「君は変わったよ、アルミン。なんて言うか『大人』になってしまったな」

アルミン「この急激に変わって行く世界で、変わらないでいられることなんて出来ませんよ」

そう言ってアルミンは薄く笑った

「・・・なあに?そんなことでジャンと喧嘩したわけ?」

そう言ってミーナはお腹を抱えて笑った

エレン「そんなにおかしいことかよ」

エレンは少しむすっとしてミーナを見る

ミーナ「ごめんごめん、ただ少し懐かしいなって」

エレン「懐かしい?」

ミーナ「訓練兵時代はさ、そうやってエレンとジャンはよく喧嘩してたなって」

エレン「・・・ああ」

ミーナ「あの頃からさ、エレンは自分の信念にまっすぐで、揺るがなくて・・・
    まあそこが融通のきかなさにもつながっていたけど。」

エレン「む・・・」

ミーナ「だから回りとの衝突もよくあった。だけど少なくとも私たちにはそれがとてもまぶしく見えた。
    ・・・今だから言うけど、私エレンのこと好きだったんだよ」

エレン「えっええ!?」

わかりやすく狼狽えるエレンにミーナは笑う

ミーナ「あはは、心配しないで。あくまで終わった恋だから・・・とても叶いそうになかったしね」

エレンはなんだか一方的に告白されたあげく一方的にふられたような感覚がしてむず痒くなる

ミーナ「エレンはさ、そうやって諦めていく私たちとは違うんじゃないのかな。
    自分が信じたものを最後まで信じ抜いていけばいいんじゃないのかなって」

エレン「でも、それが間違っていたら?」

ミーナ「あはは、そのときはきっとジャンが余計なことを言って喧嘩してくれるよ
    きっとミカサが、エレンを止めてくれるよ」

エレン「・・・・・・」

ミーナ「・・・そうだ!私ね、今新聞記者やってるんだ」

そう言って鞄から新聞を取り出す

ミーナ「ここの記事見てよ!」

エレンがその記事を見るとそこにはウルトラマンのことが書かれてあった。
曰く人類の救世主、曰く神の使いだとーーーー

ミーナ「もちろん、うちの編集部にもウルトラマンの存在を懐疑的に見ている人もいるよ
    憲兵団でもウルトラマン討伐の案が出ていたみたいだし」

エレン(討伐案だって?・・・いや当然か)

ミーナ「だけど同時に、ウルトラマンは人々の希望にもなっているんだ。特に子供たちはすごいよ
    ウルトラマンの記事が出るたび、目をキラキラさせてその活躍を見守っている」

エレン「・・・・・・」

ミーナ「私にはウルトラマンが敵か味方かなんて難しいことはわからないよ。
    だけど、初めてウルトラマン見たときの、あの光の暖かさだけは覚えている」

ミーナ「それだけじゃあ、だめかな?」

エレン「・・・そうだよな。俺が信じなくて、誰が信じるかってんだ」

ミーナ「そうそう、エレンもあたしと同じであまり頭はよくないんだから深く考えるの無駄だって」

エレン「おい」

そう言って二人は笑う。エレンは少し肩の力が抜けたような感じがした

ミーナ「あ、もうこんな時間だ!戻らなきゃ」

エレン「ああ、すまない仕事中だったか」

ミーナ「うん、今から憲兵団に取材に行くんだ」

エレン「憲兵団に?・・・そうだミーナ、お前今アニがどうしているか知っているか?」

ミーナ「アニ?うん、取材で行く時は必ず逢って一緒にお茶してるよ」

エレン「最近、アニがこっちに来るようなこと、あったか?」

ミーナ「どうだろう、アニも結構忙しそうにしてるから、今日みたいに怪獣が出てくる日は
    憲兵団は基本的に本部に待機状態になるからこっちにはこれないはずだけど」

エレン(やっぱり、あれは気のせいだったのか?)

ミーナ「・・・なに?アニのこと、そんなに気になるの?」

エレン「・・・ああ、ちょっとな」

ミーナ(こっこれは!ましゃか!!?)

ミーナ「じゃ、じゃあ私行くね!」

そう言うとミーナは駆け足で去って行った

エレン「ありがとな~!」

エレンがそう叫ぶと遠くから「うん」と言う返事だけが聞こえてきた

エレン「なんだ?あいつ・・・」

旧友のおかしな様子に首をかしげながらもエレンは科特隊本部に戻ろうとした、とその時

エレン「うわ!!」

突然地震が起き、エレンはその場に座り込む。そして聞こえてくる聞き覚えのある鳴き声

エレン「まさか・・・!」

クリスタ「昼間の怪獣が姿を現しました!」

キース「場所は?」

ユミル「昼間の場所の側、ウォールローゼ南区の山間部です」

キース「よし、科学特捜兵団、出撃!」

「はっ!!」

ミカサ「エレンがまだ戻っていません!」

ジャン「なにやってんだあの馬鹿」

ライナー「しかたない、俺たちだけで出撃するぞ!」

一同はうなずき武器と立体起動装置を手に出立する

コニー「思ったより速く出てきたな!」

サシャ「きっとお腹がすいたんですよ」

ミカサ「冗談言っている場合じゃない」

サシャ(えっ・・・冗談?)

ライナー「ほかの兵団は?」

ジャン「住人の避難はほとんど完了しているからな、後は俺たちに押しつけて穴熊決め込む気らしい」

ライナー「いつものこととはいえ、あきれるぜ」

ベルトルト「・・・ホントだよ。本当人間って度し難いよね。」

ライナー「何を言ってるんだ?ベルトルト」

ベルトルト「こんな調子が続くようなら、人間はよりよい指導者の下に統率されるべきなんじゃないのか、
      もしくはいっそ滅んだ方が・・・」

ジャン「ふざけたことを言うな!」

ベルトルト「冗談だよ。昼間のエレンとジャンのこともあってさ、ちょっと苛立っていた。ごめん」

ジャン「そ、それを言われるとあれだけどよ」

ライナー「・・・冗談でも言っていいことと悪いことがある。聞いていたのが俺達だけだったから良いようなものを
     もし誰かに聞かれたら、反逆罪に問われるかもしれないんだぞ」

ベルトルト「ああ、ごめん。気をつけるよ」

隊員はそれ以上は何もしゃべらず、怪獣に向かって飛び続けた。

その下をエレンが走っていた。科特隊本部に戻ろうとしたが、先ほど別れたミーナのことが気になり戻ってきていたのだ

エレン(あいつ・・無事だと良いんだが・・・)

さっきミーナと話していた丘の上に来ると、怪獣、ゴルザの姿が目視できた。

くっ・・・!

エレンが懐のベータカプセルに手をかけようとすると、人の気配を感じて振り返る

するとそこには、アニの姿があった。

エレン「アニ・・・?」

アニは無言で怪獣を見据えると、右腕をゆっくりと掲げた。
その右腕についていたブレスレットにエレンはぎょっとする

ーーーあれは、ベータカプセルと同じーーー

次の瞬間、周囲は青き光に包まれ、ゴルザの前には青い巨人がその姿を現した。

クリスタ「ユミル、ウルトラマンだよ!」

ユミル「いや・・違う。いつものウルトラマンじゃない」

キース「ウルトラマンは一人ではないのか」

現れた青いウルトラマンはゆっくりと怪獣に近寄る

エレン(まさか、あいつがウルトラマンだったなんて)

青いウルトラマンーーーアニが右手を掲げると、青い光弾がゴルザに襲いかかる

光弾がゴルザに命中しひるむとアニはローキックを入れさらにぐらついたところに回し蹴りを入れた
もんどり打つゴルザにとどめを刺そうとするアニに、ゴルザの熱線がおそう!

油断したのかまともに食らうとアニは後方に吹き飛んだ

「!!」

それを見たエレンはベータカプセルを天に掲げた!

ミカサ「!ウルトラマン」

ライナー「また巨人か」

ジャン「いったいどうなってやがる」

赤いウルトラマンーーーエレンはアニを押さえ込もうとしているゴルザに体当たりをするとしっぽをつかみ投げ飛ばした
エレンはまだ倒れているアニを助け起こそうとした時、後ろからゴルザの熱線が飛んできた 

今度はエレンが吹き飛ぶとゴルザはエレンを羽交い締めにする
エレンが思わず片膝をつくとゴルザはそのまま首を締め上げた

グウッ

エレンが苦しそうにうごめくと、アニがゆっくり立ち上がってこちらを見る
そのまま胸の前で両手を交差させるとそこには青い光球が大きなエネルギーを集め膨らんでいく

(お、おいまさか・・・・!)

アニはそのまま両腕を前方に突き出し光弾をエレンとゴルザに向かって放出した

(くうっ・・・・!)

エレンは一瞬覚悟したが、光弾はエレンの横を抜けて、ゴルザの胸と貫いた

ゴルザはそのまま断末魔の叫びを上げ、爆発し消滅した。

エレンはふらふらと立ち上がると、アニと対峙する

しばらくにらみ合っていたが、二人のウルトラマンは光の中に消えていった

ジャン「・・・あのどちらかと戦うことになるのか?・・・科特隊、帰投するぞ!」

「了解」

怪獣とウルトラマンが消えたのを確認し、科特隊の面々は本部に帰っていった

ーー
ーーーー
ーーーーー

夕日の中、元の姿に戻ったエレンは、先ほどの丘の上にいた

エレン「くそっ頭の中じゃ、もっと動けているのに!」

そう言ってふらふらと立ち上がると、目の前にアニの姿があった

エレン「アニ・・・お前・・・」

アニ「エレン、あんたが二番目だったんだ・・・」

エレン「どうしてお前がウルトラマン・・・」

それを遮るようにアニは続ける

アニ「この世界はもう限界に来ている。その世界を守れるのは、科特隊なんて言う仲良しグループじゃない
   それがわかったから私は科特隊に参加しなかった。この世界にとって人類とは病原菌よ・・・
   世界をマイナスエネルギーで汚していくだけの存在」

エレン「・・・違う」

アニ「ウルトラマンの力は世界を守るためにあるもの。しかし存在理由を持たない人類まで救う義理はない!」
   エレン、科特隊なんてやめてしまいなさい、私と共にゆくことがあんたの成すべきことよ!」

エレン「違う・・・絶対にお前の考えは間違っているぞ!!」

二人の言葉は交わることはなく、睨み合ったまま、ただ時間だけが過ぎていった。

                                  第二話 完

次回予告 
憲兵団の仕事で野戦病院に赴いたアニはそこで一人の少女と出会う
少女とのふれあいで心の揺らぐアニの前に怪獣が襲いかかる。子供達が危ない!

次回 ウルトラマンイェーガー 第3話「二人のウルトラマン」来週もみんなで見よう!

おまけ
アニレイター…アニが変身する際右手首に装着する、青い光を宿した変身ブレスレット。中央部が発光部となっており、通常時は翼状のパーツが折りたたまれた状態でアニが携帯している。名前をつけたのはアニで名前を考えるのに三日三晩を要したという

今回はここまで。一応全5話を考えています。めちゃくちゃ長くなりそうなので冗長にならないように。気をつけます。
では、おやすみなさい。

元ネタに沿ってウルトラマンアニルって考えたんだけどなぜか卑猥な響きがしたんで呼び名をどうするか考え中

こっそりと第3話開始します

ウルトラマンイェーガー
第3話 「二人のウルトラマン」


薄暗い路地裏、頭からすっぽりとフードを被ったアニは目の前に現れた男に話しかける

「・・・・・・なんの用だい?ベルトルト」

ベルトルト「やあ、アニ。久しぶり」

アニ「・・・なにかあったの?」

ベルトルト「それはこっちの台詞だよ。なぜ姿を現した?」

アニ「・・・・・・」

ベルトルト「マイナスエネルギーの浸食度合いをもう少し確認できるまで動かないと決めていただろう?」

アニ「・・・ライナーはなんて言っているの?」

ベルトルト「ライナー・・・?ああ、もうだめだよ。結局ライナーはデュナミストになり損ねた奴だ
      もう、あの頃の記憶すら残っていないだろう。すっかり科特隊の一員さ」

アニ「・・・そう。ねえベルトルト。もし・・・エレンと私が組んだらこの世界のマイナスエネルギーを
   完全に消し去ることが出来ると思う?」

ベルトルト「そんなことを考えてエレンの所に行ったのか?アニは・・・。
      まったく、昨日あの程度の怪獣に二人がかりで苦戦しておいて、よく言えるね」

アニ「・・・あれは・・・」

ゴルザ相手の戦闘では、決して共闘したわけではない。そう言いたくもあったが、
苦戦したのもまた事実なのであまり強くはいえない

ベルトルト「まあいいさ、ウルトラマンの登場で確かにマイナスエネルギーはかなり薄まっているようだ
      ウルトラマンというのは、人の心にも光を与えるものらしい」

アニ「だったら・・・!」

ベルトルト「憲兵団にいるアニならわかっているはずだよ、この世には、何とも度し難い人間も
      数多くいることを」

アニ「・・・・・・」

ベルトルト「光が強くなれば当然影も濃くなっていく。誰が言い出したのかは知らないけど的を得てるよ」

アニ「結局人類をどうにかしない限りこの世界は救われない・・・の?」

ベルトルト「心配することもないさ。もうすぐ僕も光を手に入れる・・・そうすれば」

アニ「・・・何言っているの?結局あんたも光には選ばれなかったじゃない」

ベルトルト「・・・ライナーと一緒にするな!僕はデュナミストだ、エレンもアニも
      光を手にしたのは偶然に過ぎない。・・ああ、そのために僕は科特隊に入ったんだ
      僕こそが、あの光を受け継ぐのにふさわしいんだ」

アニ「・・・あんたホントにベルトルトかい?ずいぶん饒舌になったもんだ」

ベルトルト「・・・変わるために僕はここに来た、いつまでも昔の僕じゃない」

アニ「もういいよ、私は私でこの世界を救う。たとえ・・・すべてを・・・」

そこまで言うとアニは踵を返し歩き出した

ベルトルト「アニ。久しぶりに会ったエレンはどうだった?」

アニ「・・・別に、前と変わらない、馬鹿のままだったよ」

そう言ったアニの顔は微笑んでいたのか、フードに隠れてよくは見えなかったが
それ以上何も言うこともなくアニは街の中に消えていった。

ベルトルトも科特隊本部に向かって歩いていると後ろから呼ぶ声が聞こえてくる
科特隊の面々が自分を呼んでいるようだ

ライナー「どこに行っていたんだ、ベルトルト!探したんだぞ!」

(・・・・・・)

ベルトルトはゆっくりと振り返ると、すまなそうに笑っていた

ベルトルト「ごめん、ちょっと道に迷ってさ、みんなを探しているうちに更に迷ってみたいで」

ジャン「おいおい、だいじょうぶか?お前」

コニー「いいからさっさと帰ろうぜ?もう日も落ちちまったよ。せっかくの休日だったのに」

サシャ「最後に本部でお留守番しているエレンとミカサにお土産買っていきましょうよ!」

ジャン「ミカサと二人っきりでいられる奴に土産なんかいらねえよ!うらやましい!」

ユミル(まだ諦めていなっかたのか・・・)

クリスタ「いいじゃない、それにアルミンにも買っていかないと」

ライナー「なんという優しさ・・・まさに女神か」

ユミル(お前もいい加減諦めろよ・・・)

やいのやいの騒ぎながら街道を練り歩く科特隊一行の後ろをついて行きながら、
ベルトルトはアニが去った方に目をやる

(アニ、君も今に思い知るさ・・・本当に人類を導けるのは誰なのかを
 その時まで、せいぜい踊っておくれよ・・・僕のアニ・・・)

その頃、科特隊本部ではエレンとミカサが訓練場で汗をかいていた

「ふっ!」
ミカサがエレンの奥襟をとろうとするとエレンは少し前にかがませながら
伸びてきたミカサの腕をとり関節を極めようとする。だがミカサは力に逆らおうとせず
そのままエレンが関節を動かした方に身体を回転させると腕を外しそのままエレンの
後ろに回り込みチョークスリーパーを極める

「ぐっぐう・・・」

エレンは参ったと床を叩くがミカサは力を抜かない

・・・スーハースーハー
ミカサの鼻息が荒くなってきている
本能的にエレンは危機を感じ取るとわずかにミカサの腕が緩んだ瞬間に背負い投げの要領で
ミカサを前方に投げ、距離を離し息を整える

ミカサ「ああ・・・」

残念そうに言うミカサにエレンは思わず声を荒げる

エレン「何残念そうにしてやがる!訓練で絞め殺すつもりかよ!」

ミカサ「ごめんなさい、あまりにもいい香りがしたからつい」

悪びれずそういうミカサにあきれるエレン

エレン「全くお前は・・・やっぱり対人格闘の訓練はアニの方が・・・」

そこまで言ってエレンは昨日のことをまた思い出す。
横でミカサがむっとしているが気にならない、というか出来なかった。

エレン(くそっアニの奴どういうつもりだよ・・・)

昨日のことが納得できずに何度も頭の中で昨日のやりとりを繰り返している
頭に来て早々に本部に帰ってきたが、もっと話を聞いておけばよかったという後悔もある

エレン(世界を救うには人類が邪魔?)
   (なんだよ、マイナスエネルギーって)
   (何で肝心な部分を・・・あっ俺が聞かなかったんだ!)

文字通り頭を抱えていると、ふと気配を感じ顔を上げるとミカサの顔が真近くにあって思わずのけぞる

エレン「なっ、なんだよ・・・」

ミカサ「エレン、昨日のことまだ考えているの?」

ミカサが言っているのは、ジャンと喧嘩したことだろう。アニのことで頭がいっぱいで
すっかりと忘れてしまっていたが、ミカサが心配してくれているのはわかる

エレン「ああ、悪い。まだ自分の中で折り合いが付かないみたいだ」

アニのことを話せるわけでもないのでそうお茶を濁そうとしたが・・・

ミカサ「・・・耳が赤くなっている。嘘付いてる証拠」

家族の目をごまかせるほど嘘は得意ではなかった

ミカサ「やっぱり、エレンは少し変わった。人や、まわりを見る目が優しくなった。」

エレン「なんだよそれ。そんなこと言っても何にもでねえぞ」

ミカサ「でも同時にすごくつらそうな目ををするときがある・・・
    ・・・話して欲しい。一人で悩んでいるんだったら。私達は家族なんだから」

エレン「ミカサ・・・」

ーーーーなぜ、正体を明かさないの?

昨日、アニが最後に言った言葉が頭をよぎる

ーーーー人は過ぎた力を望んではいない

ーーーーあんたも私も、正体が知られればたちまち化け物扱い。そうでしょう?

だから正体を明かさないというわけではないが、

ーーーー奴が、ウルトラマンがどれだけ化け物かってな

アニが言っていることを完全に否定できずにいる自分もいる

俯き黙り込むエレンにミカサは続ける

ミカサ「覚えてる?エレンが私を助けてくれたあの日・・・」

エレン「ああ・・・」

ミカサ「さらわれた私を助けるために大人相手に立ち向かい、そして殺した」

エレン「・・・・・・」

ミカサ「それを狂気だとなじる人もいる。けどエレンが力を振るうときはいつだって
    何かを守るためだった」

ミカサ「エレンがどんなに変わっても、エレンの本質は決して変わらない
    エレンはあの日から、そして今でも・・・ずっと私のヒーローだから」

そうまっすぐにエレンを見つめてミカサは言った

エレンはくすぐったそうに笑うとまっすぐにミカサを見て言った

「・・・ああ。ありがとう。ミカサ・・・でも今はまだ言えない」

「今は?」

「いつか、必ず話せる日が来ると思う。その時までは・・・」

「うん・・・わかった・・・待っている」

遠くの方で騒がしい声がする。どうやらみんなが帰ってきたようだ。

エレン「さて、俺たちも行こうか」

ミカサ「うん」

どちらからというわけでもなく手をつなぐと二人は仲間達の所に歩き出した。

すみません、今日はここまでです。続きは明日出来るかなあ・・・というわけでおやすみなさい!

没ネタ2
「ウルトラマンライナ」ライナーがウルトラマンになった姿。当然元ネタはダイナ。これでTDGネタやろうかと思ったけど
ダイナを出すならコメディかなと思い、自分ではコメディが書けないことを思いだし断念。
誰かウルトラネタでコメディ書いてほしい(他力本願)

それから一週間が過ぎようとした頃、アニは憲兵団の仕事でウォールローゼ内にある
病院に来ていた。前回の怪獣出現時に出た、負傷者リストの作成ができたのでその確認のためだ
何でそんなことを自分が。そう思ったが、前回ゴルザ出現時に本部にいなかったのがばれたため、
雑用を押しつけられたのだ。我ながら間抜けだとアニは自戒する
 
病院側とのリストの照合を終え、さあ帰ろうかとしたとき後から馴染みの声が聞こえてきた

「アーニー」

アニがげんなりした表情でふり返ると、そこには満面の笑みを浮かべたミーナの姿があった

アニ「・・・なに?」

ミーナ「何って何よ!こないだせっかく憲兵団本部に行ったのにアニいなかったじゃない!」

アニ「ああ、だから今日はこんなところに来る羽目になったのよ」

そう言ってアニは書類の束をミーナに見せる

ミーナ「自業自得でしょ、そうやってしょっちゅうサボっているから余計な仕事までする羽目になるのよ」

アニ「はいはい。あんたこそ何でこんなとこにいるの?」

ミーナ「私はちゃんとした仕事です」

彼女はここにここ最近出現した怪獣による被害のまとめを記事にするらしい
要は自分と同じだ。アニがそう言うとミーナはその書類を見せてと詰め寄ってきた。
本来まだ公表できない書類ではあるが、アニにとってはどうでも良いことなので
いわれるまま、ミーナに見せる

アニ「ああ、一応丸写しはやめてね」

ミーナ「わかってるって」

言ってる側から丸写ししているのは気のせいか、アニはわざとらしく溜息をつく

ミーナ「そういえばね」

アニ「うん」

ミーナ「こないだエレンにあったよ」

アニ「・・・ふーん」

ミーナ「なんだかね、アニのことすっごく気にしていたみたい」

アニ(それはそうだろうね・・・)

ミーナ「なあに?その淡泊な反応。せっかくアニが喜ぶと思って教えてあげたのに」

アニ「・・・なんで私が喜ぶの」

ミーナ「・・・なんでだろうねぇ」

ミーナはじとっとした目でこちらを一瞥すると再び書類に視線をおとす

アニ「あんたはすぐそっちに話を持って行きたがるけど、私にそんな気はないって何度も言ってるじゃない」

ミーナ「あーはいはいそーですねー」

少しイラッとしたがぐっと堪えて話を続ける。

アニ「だいたい、あいつにはミカサがいるじゃない」

ミーナ「・・・アニの場合、恋敵がいることが問題なんじゃないでしょ」

アニ「問題って」

ミーナ「いいの?自分の気持ちにずっと嘘をつき続けたままで」

なんだかんだと、ミーナとのつきあいはもう4年になる。
訓練兵時代はそれこそ寝食を共にしていたのだ。互いの嘘もそれなりに敏感になる。

アニ「あんたってほんとに・・・」

ずかずかと人の中に入り込んでくる。訓練兵時代は私に声をかけてくる奴なんてほとんどいなかった。
私の方も人と関わろうとしなかった。その結果頂いた愛称が「冷血女」
その私に、物怖じすることなく話しかけてきたのはミーナとエレンだけだった。

ああ、白状すればエレンのことは憎からず思っている。
しかし、だからどうだと言うのだろう。エレンは決してこの世界の人間を捨てることはない。
なら、この先相対することはあっても手を取り合うことはないだろう

時々自分が分からなくなる時がある。
この間はエレンに人類は滅ぶべきだといいながら
今はこうやって気の置けない友人との無駄話に心地よさを感じている
自分の心を極力閉ざしてここまで来たつもりが
エレンへの想いを完全に捨てきれずにいる

ーーーーーアニ、光がお前を選んだ

ーーーーーこの力は、あまりに大きすぎる

ーーーーーアニ、お前はお前が心から守りたいと思うものの為にこの力を使いなさい

うん分かってるよ、お父さん。私はお父さんが愛したこの世界を守る
たとえ全てを犠牲にしてでも。

「いっちゃやだよ~~!」

突然子どもの泣き声が響く、うるさいな。そう思いアニがそちらに視線を送ると
どうやら託児所に父親が子どもを預けようとしているのを、子どもがいやがっているらしい
その父親が駐屯兵団のジャケットを着ていたので、アニは慌てて自分のジャケットを脱ぐ

ミーナ「あらら、あの女の子すっごく泣いてるよ。お父さんと離れるのがよっぽど嫌なんだね」

アニ「・・・・・・・」

父親「いいから、言うことを聞いておくれ。お父さんはこれから大事なお仕事があるんだ」

娘「やだ!お父さんと一緒にいるの!」

泣きわめく娘を前に父親が頭を抱えていると、アニが女の子をそっと抱きかかえた

「お姉ちゃんと、遊ぼう」

ーーーわたしはなにがしたいんだろうーーー

その頃、科特隊本部には一通の報せが届いていた

クリスタ「報告によりますとウォールローゼ東区のキソ谷近辺に不気味な物体が落下したそうです」

キース「不気味な物体?」

クリスタ「はい。駐屯兵団が現地に赴き探索を開始していますがこれといった情報は入っていません」

キース「しばらくは駐屯兵団の報告待ちか」

ユミル「それが、現地に行った兵士からの連絡が軒並み途切れたようです」

ライナー「どういうことだ?駐屯兵団にも通信機は渡してあるんだろう?」

クリスタ「それがどうも故障したみたいでザーッザーって言う音が聞こえるだけで」

ジャン「何も聞こえてこないってのか…まさかその物体とやらに関係あるのか?」

隊員達が報告について話し合っていると、作戦室にアルミンが入ってきた

アルミン「どうやら、通信障害が発生しているみたいだね」

エレン「通信障害?」

アルミン「うん。そうだなあ…糸電話はわかるでしょ?あれはコップの間に張ってある糸を伝達して
     音を伝える仕組みだけど。その糸を切るか弛ませれば音は聞こえなくなるでしょ」

ジャン「つまり、通信機の電波って奴を切ったり弛ませる何かがキソ谷周辺にあるってことなのか」

アルミン「そうだね」

コニー「わかるか?」ヒソヒソ
サシャ「むしろ何故わかるとおもったんですか?」ヒソヒソ

ミカサ「故障の可能性は?」

アルミン「報告によれば現地に入った駐屯兵団員は20名近く、その全てが同時に故障するとは思えないよ」

キース「ふむ。こちらも先手を打って動いておく必要があるか」

アルミン「そうですね、念のために中継地点に数名配置するのがいいかと」

キース「うむ。ならばジャン、ミカサ、ベルトルトの3名は直ちにキソ谷へ迎え!
    ライナー、コニー、サシャの3名は途中で待機し非常事態に備えよ」

一同「はっ!」

キース「それでは科特隊出げ・・・」

エレン「あっあの!俺は・・・?」

キース「貴様はここで待機だ」

エレン「ど、どうして」

アルミン「僕からお願いしたんだよ。今回に限っては全ての通信が使えなくなる可能性もある
     本部に誰か残っておいた方が、あらゆる場面に対応できる」

エレン「で、でも・・・」

アルミン「それに、いろいろ確かめたいこともあるしね」

そう言ってアルミンは笑った

本日はここまで。次は……数日中に……それではおやすみなさい

こっそり再開。この回で怪しげな科学用語(?)が出てきますが
作者の脳はコニー以下なので深く突っ込まないでね

少女「はいおねえちゃん、あーん」

アニ「・・・あーん」

ミーナ「・・・」

アニ「なによ」

ミーナ「いや、さすがにこれは意外だったわ」

アニ「私もそう思う」

結局二人は先程の少女の面倒を見ることになった。父親には面倒なので憲兵団であることは伏せ、
ここの職員だと話した。

アニ「今度は何するの?」

少女「おえかき!」

少女は画用紙とクレヨンを取り出すと、鼻歌交じりにお絵かきを始めた

ミーナ「アニって子ども好きだっけ」

アニ「別に」

さっきの親子の姿がかつての自分とダブって見えたのは確かだが、
まさか率先して子守をする羽目になるとは思わなかった

アニ(結局、偉そうなことを言っておいて一番覚悟がないのは私なのか)

「おねえちゃん?」

その声にアニがはっとして少女を見ると、少女は心配そうにこちらを見ている

どうやら知らぬ間に表情が険しくなっていたようだ

アニ「大丈夫よ。それより、何を描いたの?」

そうアニが微笑むと、少女はにこっと笑い「これ!」とアニに絵を見せる

そこには赤と青、二人のウルトラマンが描かれていた

ミーナ「うわぁ、上手だねえ。こっちはこないだ出てきた新しいウルトラマンか」

少女「うん!」

アニ「・・・」

少女「お父さんがね、言ってたんだ。悪い怪獣はみんなウルトラマンが
   やっつけてくれるって。そしたらお父さんもお母さんみたいに
   いなくなったりしないって」

ミーナ「あ・・・」

ミーナは手許のリストに思わず目をやる。そこには数名の犠牲者の名前があった。

きっと父親は自分の職業上、余計な心配を子どもにさせないためにそう言ったのであろうが・・・

アニ(いや、迷うな。・・・いずれはこうなるんだ)

アニは自分に言い聞かせるように小声でそうつぶやく。その時アニの通信機から発信音が鳴る
憲兵団からの定時通信だろう。アニは通信機を手に取る

アニ「・・・なに?」

『なにじゃないわよ、あんたいつまで油うってんだい?緊急事態だよ』

少し時間はさかのぼり、キソ谷周辺ではーーーー

ジャン「こちらジャン。本部応答願う」

クリスタ『ーーこちらーー本部。今のところーー』ザザッ『どうにかーー聞こえるみたいね』

度々ノイズで途切れるが問題なく通信はできているようだ

アルミン『それーーじゃあ、ジャンーー例の物をーー準備しーーて』

ジャン「ああ、分かった。ベルトルト!準備してくれ!」

ベルトルトは頷くと周囲で最も高い大木の上にアンテナを付ける

ベルトルト「ジャン、こっちはいいぞ」

ジャン「おう!・・・本部これでどうだ?」

ユミル『おお!ちゃんと聞こえるようになったぞ』

アルミン『ジャン、これでしばらくは大丈夫だと思うけどあくまで応急措置だよ』

ジャン「分かってる。作戦は速やかに行うさ」

ーーー科特隊本部

エレン「すごいな。どうやったんだ、アルミン」

アルミン「大したことじゃないよ。単純に違う回線を3つほど用意しただけだよ」

アルミン「どの位相で障害が起こっているか分からないからね。丁度通ったのがあって良かったよ
     おそらく意図的にジャミングされているんじゃなくて、
     付近に高周波電流を発する何かがある。例の物体の正体はたぶんそれだね」

クリスタ「ユミル、アルミンは何を言って・・・」

ユミル「考えるな。感じるんだ」

キース「しかし貴様の報告書にある通りだとすれば、それに近づくだけでも危険なのではないか?」

アルミン「はい、おそらく周囲には強い磁場が発生しています。戻っていない駐屯兵団の
     兵士達はおそらくはその影響で体調に異変が起きたのでしょう」

エレン「大丈夫なのか?それ」

アルミン「まあ、せいぜい強い吐き気や頭痛がするといったところだと思うよ。
     もちろん作戦遂行上あまり好ましいことではないだろうけど」

エレン「じゃあ、ミカサ達も危ないんじゃないのか?」

アルミン「一応、ジャン達には少しでも体調に異変が出たときは引き返すように言っているけど
     さすがに対電磁波用の防護服までには手が回らなかったしね
     まあ、万が一のためにライナー達を配置しているから大丈夫だと思うよ」

エレン「やっぱり、俺も行くべきじゃあ・・・」

その時ジャンから通信が入った

ジャン『おい、倒れている駐屯兵団の連中を見つけたぞ、A5地区だ』

キース「よし、彼らの救出は待機している駐屯兵団に任せてお前達は原因の究明に当たれ」

ジャン『了解』

ーーーー中継地点

ライナー「どうやら、遭難していた連中は無事見つかったようだな」

コニー「俺たちいつまでここにいればいいんだ」

ライナー「せめてジャン達がなにかを見つけるまではここを動くことはできんだろう」

話している二人の横でサシャは寝息を立てている

ライナー「・・・こいつは」

コニー「なあ、そういやなんでお前やミカサじゃなくてジャンが現場指揮官をやってるんだ?」

ライナー「適役だからさ。俺やミカサでは、ジャンほどの成果はおそらく得られまい」

コニー「そうなのか?まあ、あいつのことを不満に思ってるわけじゃないけどさ」

ライナー「あいつは科特隊の誰よりも俯瞰の視点でものを見ることが出来る。
     俺はどちらかと言えば、サポート型だしミカサは攻撃色が強い。
     ほかに適役と言えば、ベルトルトぐらいだが」

コニー「ベルトルトか、あいつなに考えてるかわかんないときあるからなあ」

ライナー「そう言うな、普段は無口だがあれで気さくないい奴なんだ」

その時サシャが突然起き上がった

ライナー「うお!」

コニー「どうした!?」

サシャ「・・・何か、いやな予感がします」

ーーーーー
ーーーー

ミカサ「・・・見つけた」

ジャン「やっぱりかよ!くそ!」

ベルトルト「・・・・・・」

黄色地に黒模様の体色、長大な尾と本来の動物なら眼があるであろう場所にある回転する三日月形の角。
独特の鳴き声を発しながらその巨体が湖の中から迫り出した


クリスタ「か、怪獣出現!」

キース「やはり出たか」

エレン(出現した怪獣は、エレキングか)

アルミン(さて、どうでるかな。ウルトラマンは)フフッ

クリスタ(アルミン・・・?)

ジャン「ミカサ!ベルトルト!行くぞ!」

ミカサ「ええ!」

ベルトルト「・・・ああ」

ジャン「まずは奴の出方を見る。離れたこの位置から集中砲火だ」

三人はそれぞれ持った光線銃でエレキングに攻撃する。派手な爆発音が鳴りエレキングに着弾するも
ひるむこともなく前進する

ジャン「アルミンが言っていたように光線銃じゃいまいちか?・・・ベルトルト!」

ベルトルト「ああ!」

ベルトルトは出撃前にアルミンから渡された新兵器マッドバズーカを構える

ジャン「撃て!」

ジャンの合図と同時に発射されるマッドバズーカ。
今度は、命中するとエレキングの身体が大きく後退した

ジャン「よし、こいつならいける・・・」

エレキングは後ろによろめきながら口の部分にある発光体から三日月状の光弾を放つ

ミカサ「・・・来る!」

光弾は上方をかすめたが同時に周囲に電流が走り三人の身体にも微弱ではあるが電流が流れる

ジャン「ぐうっ!」

ミカサ「う・・あぁ・・・」

ベルトルト「二人とも大丈夫か?」

ジャン「体がしびれて・・・くそ・・・本部!応答してくれ」

ザザッ・・・ガー・・・・ピー

ジャン「・・・最悪だ」

クリスタ「三人との通信が途切れました!」

キース「中継地点の三人に通達!直ちに前衛の救援に向かわせろ」

ユミル「は!」

エレン「!」

同時にエレンが作戦室を飛び出す

クリスタ「エレン!?」

アルミン「大丈夫。すぐ戻ってくるよ」

エレンは屋上に上ると懐に手を入れる。しかし

エレン(ベータカプセルが・・・無い!)

エレンは慌てて体中をまさぐるがどこにもない。部屋に戻り漁ってみたがやはり無い

エレン(無くした?いつだ、いや、作戦前は確かにあったはず・・・)

仕方なくエレンは再び作戦室に戻るとアルミンが声をかける

アルミン「エレン、ライナー達がジャン達に合流する。今度は僕とエレンで中継地点に向かおう」

エレン「あ・・・ああ・・・」

ーーーー

ジャン「ミカサ、ベルトルト動けるか?」

ミカサ「もう少しで・・・」

ベルトルト「こっちもだ」

辺り一帯が帯電でもしたのかしばらく三人のしびれはとれなかった。その間にも怪獣はどんどんと移動していく

ジャン「ますいな、町の方に向かっている。だが連絡が取れねえ」

ミカサ「本部にはアルミンがいる。通信が途切れたなら何か動いてくれるはず」

ジャン「ちくしょう。こんな時にかぎっていつまでも出て来やがらねえ」

ベルトルト「なにが?」

ジャン「正義のヒーロー様だよ。いつもならとっくに出て来やがるのにな」

ミカサ「・・・ジャン。あなたはウルトラマンを信じているのね」

ジャン「はあ!?」

思わず声を荒げるジャンにミカサは続ける

ミカサ「信じていないのなら、ウルトラマンが怪獣を倒しに来るだろうと言う考えは捨てるべき」
    当てにならないものにすがる余裕は私達にはない」

ジャン「けどよ」

ミカサ「どのみち来ていない以上。私達でどうにかするしかない。来てくれたならそれでいい」

ジャン「ミカサ・・・お前は信じているのか?」

ミカサ「エレンが彼を信じた。だから私も信じる。それだけ」

ジャン「は・・ははは・・・全く。お前といい、エレンといい、単純すぎてうらやましいよ」

ミカサ「ジャン。私達は強い。あなたが思っている以上に。でも戦わなければ勝てない」

ジャン「ああ、わかっているさ」

ようやくしびれも取れた。三人は立ち上がると。怪獣の後を追った

その頃、アニ達がいた病院では避難が始まっていた。
時折地響きがする。怪獣が近づいているのだろう

アニ「ミーナ、あんたも逃げな」

ミーナ「二人をおいて、行けるわけ無いでしょう」

そう言うと、二人は少女に目をやる

ミーナ「ねえ、あなたも一緒に逃げよう」

しかし少女は嫌だという

アニ「お願いだから。ね?」

少女「お父さんと約束したもん!迎えに来るから待ってるって約束したもん!」

そう言い少女は泣き出した

アニ「・・・・・・・」

アニは溜息をつくとミーナに言った

アニ「ミーナ。先に行ってて。私がこの子を抱きかかえて出るから」

ミーナ「だったら一緒に・・・!」

アニ「お願い。ミーナ」

ミーナ「・・・わかったわ。先に行く。必ず来てよね」

ミーナはそう言い残し避難していく。外では怪獣の鳴き声も聞こえてきた

もう、終わりにしなきゃね。もうすぐこの箱庭の世界にも限界が来る。
そうなれば、どのみち全てが消え去るのだ。
自分の中に残るわずかな未練ももう消そう。

アニは泣きじゃくる少女をおいてその場から歩き出した

背中に少女の泣き声を聞きながら、アニは拳を握りしめる

その時、すさまじい爆発音と共に天井が崩れだした

轟音と静寂。背中に強い痛みを感じながらアニは懐にかばった少女に目をやる
少女は気を失っているのかうわごとのようにくり返していた

「ウルトラマン・・・助けて・・・ウルトラマン・・・」

その手には半分焼け落ちた先程のウルトラマンの絵が握りしめられていた

アニは唇をかみしめると背中に落ちてきた石片と土砂を払いのける。
まわりでは火の手が上がり始めていた。
そのまま少女を抱きかかえ炎の中を外に歩き出す

ミーナ「アニー!アニぃー!」

間一髪で難を逃れたミーナは二人を探すため崩れかかった病院に戻っていた
燃えさかる炎の中ミーナが声を上げていると炎の向こうからアニが歩いてくる

ミーナは胸をなで下ろすとアニの元に走る

ミーナ「よかった、アニ」

アニは応えず少女をミーナに預けると

アニ「この子をお願い。左の方から安全に出られるから」

それだけ言って外に駆けだした

ミーナ「アニ!どこに行くの!?」

アニは振り返らず、静かに言った

アニ「・・・どうやら私も・・・馬鹿だったらしい」

アニは走った。もう何も考えられなかった。正面に怪獣を見据えると
己の衝動の赴くままに光のブレスレットを天に掲げた

と、とりあえずここまで。頭痛で泣きたい。何とか明日続き書きます。おやすみなさい。

再開します

強い光が瞬いた後、青い巨人がエレキングの前に降り立った

ジャン「あれは・・・」

ミカサ「あの時のウルトラマン」

ようやくエレキングに追いついた三人は現れた巨人を見る

ベルトルト(あきれるよ・・・アニ。一体、何をやってるんだ)

巨人となったアニはエレキングに向かって駆けると体当たりしそのまま押し返す

ミカサ「なに・・・してるの?」

ジャン「まさか、町から遠ざけようとしているのか?」

コニー「おーい!お前ら!」

ジャン達が後ろを向くと、ようやくライナー達が追いついてきたようだ

ジャン「おせえぞ!」

ライナー「すまん。状況は?」

ミカサ「例のウルトラマンが出た。怪獣と戦っている」

サシャ「青い方のウルトラマンですね」

コニー「で、どうするんだ?」

ジャン「きまってんだろう、ウルトラマンを援護だよ!」

ライナー「それでいいんだな?」

ジャン「ああ!ウルトラマンは怪獣を街から離そうとしている
    俺たちも怪獣を後退させるために前方から集中砲火だ
    ウルトラマンにあてねえように注意しろ」

科特隊の隊員達はウルトラマンの背後からエレキングに向かって発射する
先ほどはあまり効果のなかったスーパーガンだが数をまとめて放てば
さすがのエレキングもよろめく

その隙を突きウルトラマンはエレキングを抱え上げるとエレキングが出てきた
湖の方に投げ飛ばした

ーーーーー
ーーー

アルミン「へえ、あれが噂の青いウルトラマンか」

エレン(アニ・・・お前・・・)

エレン「アルミン。俺たちも行こう」

アルミン「言っただろう?僕たちは待機だよ」

エレン「だけど!」

アルミン「大丈夫だよ、今回は新兵器も渡してるし今はウルトラマンもいる」

エレン「・・・」

アルミン「エレン、何を焦ってるんだい?」

エレン「アルミンは何でそんなに落ち着いているんだよ」

アルミン「落ち着いてはいないさ。今でも不安はあるよ。
     でも僕には確認したいことがあるんだ」

エレン「さっきもそんなこと言ってたな。なんだよ確認したいことって」

アルミン「・・・うーん。半分はもう確認できたんだ。後は残り半分」

エレン「半分?」

アルミン「ねえ、エレン。エレンはもし自分の中に得体の知れない物が
     自分の中に入り込んできたら自分はどうなってしまうと思う?」

エレン「な・・・何だよそれ・・・」

エレンはどきりとしてアルミンを見る。

アルミン「自分の中にあるその大きな力が、はたして自分の自意識で制御できるもの
     なのか、それとも何か別の意思が自分を動かしているのか」

アルミンはエレンの方に体を向けると、エレンを見て言った

アルミン「エレンがその立場になったとしたらエレンはその力をふるうとき
     全て自分の意思で行ったことだと言い切ることが出来るかい?」

エレンは少し目を伏せゆっくりと目を開けるとまっすぐにアルミンを見て言った

エレン「たとえどんな力があっても、どんな姿になっても・・・

    俺は俺だ、エレンイェーガーだ」

アルミンは少し寂しそうに微笑むと言った

アルミン「やっぱり、エレンは強いね」

ーーーーー
ーーー

キソ谷ではエレキングとウルトラマン達の戦いは続いていた

ジャン「ライナー、ベルトルト!」

ジャンの合図に合わせて二人はマッドバスーカとスパイダーショットを放つ

エレキングがひるんだところにウルトラマンが手から光弾を連射し追撃する

エレキングも負けじと光弾を乱れ撃つ

ジャン「またか、やべえ!」

するとウルトラマンは隊員達の前に立つと、光の円形の幕を張り光弾を防ぐ

ライナー「あいつ・・・」

ジャン「・・・俺たちを、守ってくれたのか?」

ベルトルト「・・・・・・・」

その時、エレキングの長い尻尾がアニの足下から伸びてきて巻き付くと
そのまま自分の方に引き寄せアニの身体を尻尾で締め付ける

何とかふりほどこうととしたとき、エレキングは尻尾から高圧電流を流した

サシャ「まずくないですか?」

サシャの言葉通り、ウルトラマンは片膝をつくと、胸のカラータイマーが赤く点滅し始める

ミカサ「!!」

それを見たミカサが、エレキング身向かって飛び出した

ジャン「ミカサ!あいつにあまり近づくな!」

ミカサは回り込むようにエレキングに接近するとスーパーガンを撃つ
それが頭部の黒い角にかすめたとき、エレキングが発していた電流が一瞬弱まる

ミカサ「うあああああああああ!」

ミカサはそれを見てエレキングに向かって飛ぶとエレキングの片方の角を
ブレードでたたき切った!

ライナー「よし!」

コニー「すげえ・・・」

ミカサは、エレキングの動きが止まったのを確認してすぐさま離脱する

ようやく絡まった尻尾がほどけたと思ったが、今度はその尻尾を狂ったように
振り回し始める

アニはそれを華麗に躱し続け、一瞬の隙を突き光弾でもう片方の角を破壊する

エレキングの動きが完全の止まったところでアニは右腕から光の剣を発生させると
素早くエレキングに近接し切り裂いた

エレキングはゆっくりと三つに崩れると、爆発し、消滅した。

ジャン「よし!」

サシャ・コニー「やったあああ!」

手を叩いて喜び合う科特隊の面々の後ろでベルトルトは一人忌々しそうに
ウルトラマンを見る

ベルトルト(アニ・・・・)

ーーーーー
ーーー

アルミン「・・・どうやら、無事終わったようだね」

エレン「ああ・・・」

アルミン「ああ、そうだ、エレンこれを」

そう言ってアルミンはエレンにベータカプセルを手渡した

エレン「!・・・アルミン・・・これは?」

アルミン「作戦室に落ちていたのを拾ったんだ。それ、エレンのでしょ?」

アルミン「大切な物なら、しっかりと、持っていないと」

エレン「・・・ああ・・・気をつけるよ・・・」

エレンはアルミンからベータカプセルを受け取ると懐にしまった。

ーーーーー
ーーー

アニは病院付近の小高い丘に戻っていた。先ほどの戦いと、変身前の傷から
体中が痛んだが、ふらふらと立ち上がると病院に向かって歩き出した

二人は無事だろうか

自分の目的を捨てて今日は戦った。今でもそれが正しいのかはわからない
だが不思議と心の中は晴れやかだった

全く、私もヤキが回ったもんだ

そんなことを考え微笑むアニの前にベルトルトが姿を現した

アニ「・・・話すことは、何もないよ」

ベルトルト「こちらにはあるよ、アニ」

アニ「あんたはあんたの道で世界を救えばいい。私は、一緒には行けない」

ベルトルト「何を勘違いしてるんだい?アニ。僕は良い知らせを持ってきたんだ」

アニは少し驚きベルトルトを見る。てっきり自分を責めに来たのだと思っていたが

ベルトルト「この世界からマイナスエネルギーを少ない犠牲で取り払える方法さ」

アニ「え・・・?」

ベルトルト「アニ・・・エレンを殺しなよ。そしてアニがエレンの光を取り込むんだ」

アニ「な!なにを!」

ベルトルト「二つの光の力をうまく融合することが出来ればきっと出来るよ」

アニ「だったら、エレンに協力してもらえば良い!あいつならきっと・・・!」

ベルトルト「アニ、大事なのは光のエネルギーが二つあることじゃない
      二つの力をきれいに融合させることだ。
      二人の意思が完全にシンクロしない限りそんなことは出来ないだろう
      少なくともアニとエレンでは無理だ」

アニ「それ、どういう意味だい?」

思わずアニの頬が紅潮する。怒りなのか別の何かなのか

ベルトルト「しかし、エレンの光をアニが取り入れれば、アニ一人の意思で
      安定した力を発揮できるだろう」

アニ「だからって殺す必要は・・・」

ベルトルト「・・・やっぱり、アニには覚悟が足りないみたいだ。そうやって、
      ありもしない希望にすがって大事なのもを全て失う気か?」

アニ「・・・それは」

ベルトルト「正直なことをいえば、確かにエレンを殺さなくてもいいだろう
      僕はただ、アニに覚悟を決めてほしいだけなんだよ」

アニ「・・・・・・」

ベルトルト「最後の最後には、人類を滅ぼす選択をするためのね」

そこまで話して、ようやくアニはベルトルトの背後に人影があるのに気づく

ベルトルト「・・・ああ、気付いたか。さっきそこで逢ってさ、
      話を聞いてもらうためについてきてもらったんだ、
      彼女も、アニの大切な人だからね」

そう言うとベルトルトは後ろにいた人物を無理矢理アニの前に差し出した

アニ「・・・ミーナ」

そこには先ほど別れたミーナの姿があった。その顔は、ひどく怯えている。

ミーナ「アニ・・・今の話、本当なの?」

アニ「・・・ベルトルト」

アニはベルトルトを睨み付ける

ミーナ「ねえ、アニ。ベルトルトの話は本当なの?本当に、アニがウルトラマンなの?」

アニ「・・・・・・」

アニは否定はしなかったが、その態度こそが肯定でもあった。

ミーナ「・・・そんな・・・そんなの・・・」

ーーーーあんたも私も、正体が知られれば、たちまち化け物扱い。そうでしょう?

いつかエレンに言った言葉が思い出される。
アニは、ミーナの顔を正視できなかった。たった一人の親友の顔を。

ベルトルト「しょうがないさ、アニ。どうせ僕らは人類から見たら異物だ
      ただの人間に僕らデュナミストのことを理解などできやしないよ」

そう言うとベルトルトはミーナの首を片手で締め上げた

アニ「ベルトルト!!」

アニがベルトルトに駆け寄ろうとすると、ベルトルトはもう片手でアニを牽制する

ベルトルト「アニ、別に彼女を殺すつもりはないよ。言ったろう?
      僕はアニに覚悟を決めて欲しいだけなんだ」

アニは拳を握りしめる。ベルトルトとは少し距離が離れている。
近づく前に、ベルトルトならミーナの首をへし折れるだろう

ベルトルト「だからさ、アニ。取引だよ。
      エレンを殺してくれば、ミーナは解放しよう。最悪の事態でも
      彼女一人なら殺さなくてすむかもしれない」

あまりの怒りにアニは自分がどんな顔をしているのかわからなかった
握りしめた拳が、ガタガタと震えている

ベルトルト「考えるまでもないことだよ、アニ。・・・良い答えを期待しているよ」

そう言うとベルトルトはミーナを連れて闇の中に消えていった

一人取り残されたアニはその場にへたり込む

エレンとミーナの顔が浮かんでは消えていく

「あ・・ああ!・・・あああああああああああああ!!」

闇の中にアニの悲痛な叫びが響きわたった・・・

                         第三話 完

次回予告
ミーナを人質に取られたアニはエレンとの戦いを決意する。
激しくぶつかり合う二人の巨人。
だがそこにさらなる闇が二人に襲いかかる。二人が危ない!
次回 ウルトラマンイェーガー 第4話「影を継ぐもの」来週もみんなで見よう!

今回はここまでです。 
ベルトルさん、こんな役押しつけてごめんね。他に適役が思いつかなかったんや
でわでわ、おやすみなさい

再開します

見知らぬ一室のベッドの上でアニは目を覚ます

隣にはミーナの姿も見えた

まだ痛む体を起こしアニが周囲を確認していると、見知った顔が入ってきた

クリスタ「あっアニ、気付いたんだ!・・・私のことわかる?」

アニ「ああ、大丈夫だよ、クリスタ」

クリスタ「よかった。忘れられてたらどうしようって思ってた」

そう言って笑うとクリスタは持ってきた洗面器でタオルを濡らす

クリスタ「はい。身体を拭いてあげるよ、アニ」

アニ「・・・いいよ自分でする」

クリスタ「だーめ。怪我人なんだからもうしばらくじっとしていて」

クリスタはまずミーナの額にあった濡れタオルを取り替えると、アニの服を脱がし始める

アニ「ちょ・・・ちょっと・・・」

クリスタ「沢山汗かいてたから、体拭かないとよく眠れないよ」

気恥ずかしさもあったが、確かに汗ばんで気持ち悪かったし
まだ身体が重いためされるがままになる

アニ「ここは科特隊本部?」

クリスタ「そうよ。科特隊本部の医務室。びっくりしたよ、ミカサが三人を抱えて来たから」

アニ(・・・さすがだ)

アニ「それで?私がここに来て何時間ぐらい経ったの?」

クリスタ「ううん、もう丸二日経っているよ」

アニ「二日!?」

アニは思わず身を乗り出すが、めまいを起こし崩れ折る

クリスタ「ほら、急に起き上がるから。後で何か作ってくるから何か食べないと」

アニ「そんなことはいい!何か変わったことは起きてない?」

クリスタ「ああ、うん。訓練兵時代にベルトルトって人いたでしょう?
     今は科特隊の隊員だったんだけど、今、行方不明で・・・」

アニ(まだ、行動を起こしていないのか?それともやはり変身など無理だったのか?)

クリスタ「それで今みんな出払っているの。私とミカサでお留守番」

アニ「みんな・・・そういえばエレンは?」

クリスタ「エレンなら、昨日目を覚ましたんだ。ひどいケガだったけど今はもう大丈夫みたい」

アニ「・・・そう」

アニは安心したように微笑むと、クリスタが

「そうだ!アニが起きたらエレンに教えてくれって言われてたんだった」

そういって医務室から出て行った

となりではミーナも寝ている。ミーナもとりあえずは無事だったようだ。

アニは一息つくとこの前のことを考える

ベルトルトは、ずっと光になることに執着していた。

いつか言っていた“そのために科特隊に参加した”とは
おそらくエレンから変身道具を奪うチャンスを伺っていたのだろう

はあ・・・

アニはため息をつく。とにかく、エレンに話そう。

私たちのことーーーー

この世界の闇のことーーーー

そうこうしていると勢いよくドアが開く

エレン「アニ!」

アニ「エレン・・・」

エレンはアニの元に駆け寄ってくると両肩をつかんで言った

エレン「アニ、起きたばっかですまないが・・・」

アニ「ああ。あいつのことだろう?・・エレン、肩痛い」

エレン「ああ、すまない・・・」

思わず力が入っていたようだエレンは力を抜くとふと視線を下にやる

エレン「・・・・・・・」

アニ「ど、どうしたの・・・・」

アニ「・・・・・・」

そこまで言って、ようやくアニは、自分が裸なのを思い出す。

さっきクリスタに身体を拭いてもらったあと、考え事ばかりして
服を着るのを失念していたのだ

エレン「ち、違う!違うんだ!早く話を聞かなきゃと慌ててて」

違う違うと言いながらエレンの視線はアニの身体から動かず

アニ「」

アニの頭の中はすでに真っ白になっていた

慌てふためくエレンの後頭部を何者かがガシッと鷲掴みする

エレンがそっと振り返るとそこには

ミカサ「・・・・・・」

鬼が一匹

閑話休題

アニに服を着せ、クリスタが平謝りし、エレンが土下座したところでミカサが話し出した

ミカサ「何があったの?」

アニはまだ恥ずかしがっているのかこちらに背を向けたままだ

ミカサ「話せないことなの?」

アニ「・・・別にそんなんじゃないさ。ただ、私がエレンに告白した。
   だけど振られてその腹いせに喧嘩した」

アニ「ミーナは仲裁しようとして巻き込まれた。それだけさ」

ミカサ「・・・そう」

ミカサはエレンの方を見るエレンはまだ土下座したままだ

ミカサ「エレン、もう顔を上げてもいい」

エレン「・・・・・・」

エレンが顔を上げると両目に大きな痣ができている

ミカサとアニに殴られた跡だ。クリスタがエレンにも濡れたタオルを渡そうとすると

ミカサ「クリスタ、渡さなくていい」

アニ「・・・自業自得」

二人に止められる

エレン「悪かったよ、今度からノックぐらいはするよ」

だが、先程ノックせずに入ったことにエレンは何一つ後悔はなかった

ミカサ「・・・鼻の下が伸びてる」

ミカサがエレンの頬を思い切りつねる

クリスタ「ホントにごめんなさい」

クリスタが申し訳なさそうに頭を下げると

アニ「あんたのせいじゃないよ。私もとっとと服を着るべきだった」

アニは先程のことを思いだし、また赤面する

アニ(ああ!話しようとしてたのに!まともにエレンの顔を見れなくなったじゃないか!)

それを見たミカサが、エレンに言った

ミカサ「エレン、しばらく自分の部屋に戻っていて」

エレン「え?いや、俺まだアニに話が・・・」

ミカサ「いいから出る。それとクリスタ、アニに何か作ってきて欲しい」

クリスタ「え?うん、そうだね、何か食べなきゃ元気でないもんね!」

エレン「いや、まて!」

ミカサは有無を言わずエレンを部屋の外に放り出した

エレン「おい!なんだよ!」

クリスタ「エレン、あんなことがあった後じゃアニもしゃべりづらいよ」

エレン「ぐむ・・・」

クリスタ「エレンもまだ傷が完全に癒えてるわけじゃないから、休んできたら?」

エレン「・・・そうだな、仕方ない出直すか」

二人が医務室から離れるのを待ってミカサが切り出した

ミカサ「アニ・・・本当は何があったの?」

アニ「言ったろう?振られた腹いせにエレンをボコボコにしたって」

ミカサ「・・・ミーナがまだ目を覚まさない」

アニ「!」

ミカサ「外傷は無いし、身体に異常も見られない。なのに目を覚まさない」

アニ「・・・」

ミカサ「今日ハンジ博士がここに来るからその時調べてもらうけど」

ミカサ「ただの喧嘩でこんなことにはならない」

アニ「・・・」

ミカサ「・・・アニ、エレンをかばう必要は無い」

アニ「かばってなんか・・・」

ミカサ「・・・私ね・・・エレンがウルトラマンだって知ってるよ・・・」

アニ「・・・!」

その頃郊外では科特隊の面々がベルトルトの捜索を続けていた

ジャン「おい、何か手がかりはあったか?」

コニー『まったくだ、全然手がかりがねえ』

ユミル『他の兵団にも当たってはみたんだが、誰もベルトルさんの事は知らないらしい』

サシャ『あれだけ大きな人なんですから目立ちそうなんですけどねえ』

ライナー『とりあえず、ひとまず合流しよう』

『了解』

ジャンは通信機を切ると集合場所へと急ぐ。そこに

「おーい、ジャーンじゃん」

そんな気の抜ける声を上げる奴がいた

ジャン「・・・誰だよ」

ハンジ「やっほー久しぶりー」

満面の笑顔でハンジ博士が手を振っていた

ジャンはげんなりした顔で「ああ、お久しぶりです」と言った

ーーーー
ーーー
ーー

コニー「あいつおっせえなあ」

サシャ「あっ来たみたいですよ!」

サシャの視線の先にジャンが走ってくるのが見えた

ユミル「何やってたんだよ、おせえよ」

ジャン「・・・ああすまない。奇行種に捕まっていた」

ライナー「巨人が出たのか?」

ジャン「ああいや、そっちじゃなくてな」

ジャンはハンジに捕まっていたのを話す

コニー「うわあ、そっちかよ」

ライナー「そいつは災難だったな」

そう言ってみんなが笑うと、ジャンはこっちは笑えねえと漏らした

ジャン「まったく、書類ぐらい自分で渡せっての」

そう言うとジャンは分厚い書類を皆に見せる

サシャ「そういえば今日はアルミンは本部にいないんですか?」

ジャン「らしいぜ、朝からどっか行ってるらしい」

コニー「この大変なときに、一体どこいってんだ?」

ユミル「ま、アルミンのことだからお前より有意義なことやってんだろうけどな」ジョリジョリ

コニー「頭をなでるな!」

ジャン「しっかしまあ、ベルトルトの奴ホントにどこに行ったんだ」

サシャ「科特隊が嫌になって出て行ったとか」

ユミル「案外きつくなって逃げ出したんじゃねえの」

ライナー「あいつはそんな奴じゃない!」

ユミル「じょ・・冗談だよ、冗談・・・いや、悪かったよ」

ライナー「ああ・・・こっちこそ怒鳴ったりしてすまない」

サシャ(ライナー最近すごく不安そうですね)ヒソヒソ

ジャン(無理もねえよ、ガキの頃からのダチが行方知れずなんだ、そりゃ焦るさ)ヒソヒソ

コニー「何をこそこそやってんだ?ひとまず本部に帰ろうぜ」

ジャン「ああ、そうだな」

サシャ「そうですね、お腹もすきましたし」

ユミル「お前はホントそればっかだな」

ライナー「はは、じゃあ戻るとするか」

(ライナー)

不意に呼ばれた気がしてライナーは振り返るが誰もいない

ライナー(・・・?気のせいか?)

(ライナー、君も帰るんだ。君の故郷に)

ジャン「くっちゃべってねえでさっさと帰るぞ。おいライナー!」

ジャンが振り返る。だがそこにライナーの姿はなかった

ーーーー
ーーー
ーー

「ーーーン」
「ーーーレン」
「ーーーエレン!」

自分を呼ぶ声が聞こえてきて、重い瞼を開けると、そこにはアニの顔があった

アニ「ようやく起きた。早く支度して、行くよ」

エレン「ーーーアニ?あれ?そういえば・・・」

アニ「まだ寝ぼけてるの?」

エレンは欠伸をしながらふらふらと起き上がる

エレン「お前もう起きて大丈夫なのか?からだは・・・」

そこまで言って先ほどのアニの艶姿を思い出し赤くなる

察したらしくアニも真っ赤になってエレンにローキックをお見舞いする

エレン「痛いっやめっ」

アニ「忘れろ忘れて忘れなさい頼むから」

アニはエレンを気の済むまで蹴ると制服をエレンに投げる

エレン「痛い・・・」

アニ「早く着替えて。」

エレン「行くって言ってたか?一体どこに・・・」

アニ「私たちの故郷。ベルトルトもきっとそこにいる」

本日はここまでです。ダラダラになってますねすみません。それではおやすみなさい

短いけど更新。説明回

エレン「故郷って遠いのか?」

本部を出て、郊外に向かって歩くアニの後をついて行きながらエレンが問いかける

アニ「とても遠くて、とても近い場所よ」

エレン「はあ?」

アニ「先に行っておく、私達はこの世界の人間じゃない」

エレン「え?」

アニ「正確には、私達のお父さん達が、この世界に巻き込まれた」

エレン「ちょ・・・」

アニ「私達はこの世界を守るために遺伝子プールから生み出された人間」

エレン「なに・・・」

アニ「かつてF計画と呼ばれた人造ウルトラマン計画の果てに私達が生まれた」

エレン「まて・・・」

アニ「それが適能者と呼ばれる私達。あいつはかっこつけてデュナミストとか呼んでたけどね」

エレン「おい・・・」

アニ「百年前、お父さん達のいた世界はこの世界と併合された」

エレン「おま・・・」

アニ「原因は分かっていない。ただ分かっているのはここが、鳥籠の世界と言うことと」

エレン「いや・・・」

アニ「この世界の外殻になっているのがマイナスエネルギーと呼ばれる人間の負の感情」

エレン「あの・・・」

アニ「メタフィールドに似ているけど、この世界の原理もよくわかっていない」

エレン「まてまてまて!」

エレンはアニの前に回り込む

エレン「そんないっぺんに言われてもわからん!てか、一つもわからん!」

アニはエレンの横をすり抜けると再び歩き始める

エレン「待てって!」

アニ「・・・悪いけど、どこがわからなかった?」

きょとんとして聞き返すアニにエレンは力が抜ける

エレン(ああ、説明下手か・・・)

エレン「この世界の人間じゃないって・・・」

アニ「あまり難しく考えなくていい。他の国の人間ぐらいの感覚で良いよ」

エレン「私たちってのはお前と・・・ベルトルトもなのか?」

アニ「ええ、それとライナーの3人」

エレン「ライナーもなのか!?」

アニ「うん、だけどライナーは元々不安定だったから小さい頃の記憶はほとんど無いよ」

エレン「兄弟だったのか?」

アニ「兄弟ではないよ。ただ、遠い遠い親戚ってとこ」

しばらく歩いた所でアニはきょろきょろと周りを見回す

アニ「この辺りで良いかな」

エレン「ついたのか?」

アニ「この付近一帯をゲートに指定してるのよ」

エレン「ゲート?」

アニ「いいからこっちに来て」

エレンがアニに寄り添うように立つと、アニが何やら機械のようなものを取り出し
スイッチを押す。すると回りの景色がゆがみ始めた

エレン「な・・!なんだ!?」

エレンが狼狽えるとアニがエレンの手を握る

アニ「大丈夫。落ち着いて」

周囲のゆがみは大きくなりやがて暗転すると、今度は見知らぬ場所に出てきた

エレン「なんだ・・・ここ・・・」

アニ「ここはジオベース。私たちが生まれた場所」

そこは異様に無機質な場所だった

エレン「すげえな、壁も、床も、階段も・・・全て鉄で出来ているのか」

エレンが物珍しそうに周囲を眺めているとアニが促す

アニ「エレン、こっち」

エレンは促されるままアニの後を追う

エレン「なあ、ここ、他に人はいないのか?」

アニ「・・・みんな・・・死んだよ」

エレン「・・・」

アニ「7年前、ある予言の元、私たちは行動を開始した」

エレン「予言?」

アニ「近い未来、この世界に破滅をもたらすものが現れる」

アニ「はじめは、それは巨人のことだと思われていた」

アニ「だけど分析をすすめるうちにこの世界を破滅にもたらすのものがなんであるかわかった」

エレン「それが、人類だって言うのか?」

アニは無言で頷く

エレン「一体誰がそんなことを・・・」

そうこうしていると、二人は開けた場所に出るそこは

エレン「でけえ・・・」

そこは巨大なコンピュータールームだった

エレン「これってあれだろ?『こんぴゅーた』ってやつだろ?アルミンが作ってた」

アニ「ええ、これが私たちの行動の基盤になる光量子コンピューター『クリシス』」

エレン「クリシス・・・」

アニ「さっきの予言を導き出した張本人」

エレン「ちょっと待てよ、こんなものにそんなこと言われたからって」

アニ「悪いけど、これは私たちでは到底たどり着けない答えを導き出すことが出来る」

エレン「頭がいいって事か?」

アニ「アルミン100人分ぐらい」

エレン「それはすげえな」

エレン「だけど、アルミンだって間違うことはある。こいつだって間違っているこの可能性は」

アニ「もちろんその可能性は探したよ、だけど・・・」

そう言ってアニは俯く

アニ「・・・その頃だった、私にアグルの光が舞い降りたのは」

エレン「アグルの光」

アニ「私とベルトルト、ライナーの3人の適能者の中で、選ばれたのは私だった」

アニ「思えば、ベルトルトはその頃から自分が光に選ばれたことが不満だったんだろうね」

エレン「それで、俺のベータカプセルを」

アニ「・・・だけど幼かった私は、光の力をうまく使えなかった」

アニ「ある日、力を制御する訓練中。私は暴走してしまう」

アニ「それを止めようとしたお父さん達を、私は殺してしまった・・・」

エレン「え?」

アニ「私が・・・殺してしまったんだ・・・」

「私が・・・」

アニは震えていた。俯いて表情ははっきりとわからなかったが泣いているようにも見えた

エレンは思わずアニを抱きしめる。アニはびくりとしてエレンの顔を見上げた。

「エレン・・・」

「俺も・・・人を殺したことがある」

「え・・?」

「お前とは少し理由は違うけどな」

「だけどそれを理由に自分を追い込むのはやめろ」

「代わりに俺が、少し背負ってやるからさ」

「エレン・・・」

アニはエレンの背中に手を回すとつま先立ちになりエレンに顔を近づけた

「!アニ・・・」

ごめんなさい。ミカサ。でも・・今だけは・・・

急がねばならないことはわかっていた。だが、いつまでもこのままで・・・
アニはそう願ってしまっていた・・・

ひとまずここまで。続きは夜にでもかけたら・・・

更新開始。前回はちょっと誤字脱字が多かったですね。気をつけます

どれくらいの間そうしていただろうアニはそっと顔を離すと

行こう、とだけ言って歩き出した。

エレン「まてよ」

エレンはアニの腕と掴むとこちらに振り向かせる

アニ「・・・さっきのは、悪かったよ。もう忘れて」

エレンはかっとなって言った

エレン「忘れられるわけねえだろ!」

アニ「ごめん」

エレン「謝るぐらいならあんな事なんでやったんだよ!」

アニ「・・・」

エレン「謝られたら・・・嬉しかった俺の気持ちはどうなるんだよ」

アニ「!」

エレン「言ったろう?お前も大切に思ってるって」

それを聞いたアニの顔がみるみる赤くなる

アニ「だ、だって、あんたにはミカサがいるじゃない」

エレン「?もちろんミカサもアニと同じくらい大切に思っているぞ?」

アニ「」

それを聞いたアニの顔がみるみる冷めていく

エレン「ミカサにキスされたときもなんだかんだ嬉しかったしな」

アニ「」

エレン「やっぱ、大切に思っている奴からそういう事されるのは嬉しいもんな」

満面の笑顔のエレンにアニの拳が飛んだ。鈍い音と共にエレンが転がる

エレン「な、にするんだ・・・」

アニ「・・・私とミカサの怒りだよ」

アニはため息をつくと転がっているエレンの近くに座り

「で?私とミカサ以外にも誰か大切な人はいるの?」

と聞いた。エレンは少し首をかしげた後

エレン「は?・・・えーと・・・アルミン」

真顔でそう答えた

アニ「・・・もういいよ」

アニはまた深くため息をつく。この男はやはりどこかずれている
二人の女に大切な人と言ったのは本気なんだろうが、
そこに邪な気持ちが無いのがたちが悪い

アニ「ホントに最低な男だよあんた・・・」

エレン「そ、そうなのか?」

ぶたれた頬をさすりながらエレンは涙をにじませる

アニ「・・・これが惚れた弱みって奴なのかな」

ミカサとのこととか、いろいろ悩んでいるのが馬鹿らしくなってきた
ああ、もうこの男にはいろいろ気を遣うのはやめよう

アニ「エレン、罰として帰ったらミカサにあんたのことをちゃんと話すんだ」

エレン「え?」

アニ「ミカサは、あんたを信じてずっと待っているんだ。あんたはちゃんと応えなきゃ」

エレン「・・・ああ」

アニ「・・・二人の女を手玉にとろうってんだ。それくらいの誠意は見せなよ」

エレン「手玉って・・・そんなつもりは」

アニ「ならさ」

アニはエレンに向かってずいっと身を乗り出す

アニ「さっきのお返ししてくれるんだろう?」

そう言ってアニは目を閉じる

エレン「いやその理屈はおかしい・・」

アニは目を閉じたままエレンのすねを足で小突く

エレンはゴクリとつばを飲むとそっとアニの肩を抱く

アニ「・・・!」

エレンはアニの頬に手を添えそのまま・・

ライナー「・・・なにやってるんだ?お前ら」

エレン「」

アニ「」

ライナー「・・・!ひょっとしてあれか?ちゅーか?ちゅーしようとしてたのか?」

エレン「な・・・」

ライナー「まさかお前らがそんな仲だったとは」

アニ「な・・・」

ライナー「はっ!エレンお前ミカサはどうした!?まさか二股か!?」

アニ「何であんたがここにいるの?」

ライナー「ああ、いやそれがわからんのだ」

ライナーが言うにはベルトルトの探索中、妙な声に呼ばれて気付いたらここにいたとのこと

ライナー「薄気味悪いが、なんだかここは懐かしい気がしていてな」

アニ「・・・・・・」

ライナー「ここを調査していたら声が聞こえてきてな、来てみたらお前らだったんだ」

エレン「なあ、アニ。ライナーはここの事を」ヒソヒソ

アニ「ええ、覚えていないみたい」ヒソヒソ

アニ(ベルトルトがライナーを呼んだの?でもなぜ・・・)

アニ「ライナー。エレンと私もベルトルトを探していてここに迷い込んだんだ」

ライナー「そうだったのか、しかしここはどこなんだ?出口らしきものすらないとは」

アニ「ライナー手分けして探そう。私とエレンはあっちの方を探すからライナーは反対の方を」

エレン「後でここに落ち合うようにしよう」

ライナー「ああ、わかった。じゃあ行ってくるぜ」

ライナーはそう言って歩き出したが、

ライナー「・・・まさかお前ら」

そう言って振り返る

エレン・アニ「!」

ライナー「まさか俺が行った後さっきの続き・・いやそれ以上のことやり出す気じゃ・・・」

アニ「いいからさっさといけ!」

そう言ったアニは近くにあった物をライナーに投げつける

ライナー「いてえ!」

アニ「なに考えてんのよエロゴリラ」

ライナー「そんなおっかねえ顔で怒ることないだろ。今の顔をエレンに見せて見ろ!」

アニ「うるさい!」

ライナー「エレン、お前は知らんかもしれんが、アニは俺にとって妹みたいなもんなんだ」

アニ「!」

ライナー「その妹を泣かせるようなまねだけはしてくれるなよ」

エレン「・・・ああ、わかってる」

ライナー「はは、じゃあアニのこと頼んだぜ」

そう言ってライナーは去っていった

アニ「エレン、私たちも行こう」

エレン「なあ、ライナーには言わなくてよかったのか?」

アニ「忘れているのなら、忘れてくれた方がいい・・・ここは、辛いことが多すぎたから」

エレン「そうか・・・」

エレンは、アニに連れられ地下へと向かった

エレン「この先に、ベルトルトはいるのか?」

アニ「たぶん」

エレン「この先には何かあるんだ?」

アニ「・・・ウルトラマンの石像」

エレン「は?」

アニ「私も詳しくは知らない、ずっとずっと昔に光の力を使い果たして石化した
   ウルトラマンらしいけど」

エレン「そんなものが・・・」

アニ「もうすぐだよ・・・」

二人が向かった先には大きな空洞。そしてその中央には・・・

エレン「これが・・・・」

確かに、その中央にはエレンのウルトラマンに似た石像があった

エレンがその石像に近づいたその時

ベルトルト「ここまでこれたんだねえ」

ベルトルトが姿を現した

アニ「ベルトルト!」

ベルトルト「ああ、アニも一緒なら来ることは簡単か」

実に愉快そうに石像の前に立ち笑顔のまま話し始める

ベルトルト「なあ、言っただろう?君は特別なんかじゃないって」

ベルトルトはそう言いながら石像を見上げる

エレン「そうだ、俺は特別な人間なんかじゃない」

ベルトルト「・・・・・・」

エレン「だけど、俺は自分の出来ることをする。この世界と、この世界の仲間をみんなと一緒に守る!」

アニ「・・・・・・」

ベルトルトは心底愉快そうに笑う

ベルトルト「みんな?みんなはウルトラマンが神だと思っているんだよ?
      ・・・いいのかいそんな情けない意識でさあ」

アニ「・・・情けないだって?」

ベルトルト「そうさ、君達は光の力に頼っているだけだ。人類の進化を強制的に導くのがウルトラマンの使命さ」

ベルトルトは懐からベータカプセルを取り出す

エレン「!」

ベルトルト「これは君の身体を光の粒子に変異させるシステムなんだ」

アニ「・・・あんたが何をしようとしているのかこれではっきりしたよ」

アニはじりじりとベルトルトと間合いを詰める

アニ「それは、エレンの物だ。返してもらうよ」

だが、アニの後ろからアームが伸びてきてアニを拘束する

アニ「くっ!」

エレン「アニ!」

ベルトルト「アニ、少しおとなしくしててくれ。もうすぐだ・・・もうすぐ君と一つになれるんだ」

アニ「ベルトルト?」

ベルトルト「今から僕は巨人と融合し、その後で君の光ももらう。そしてぼくは・・」

エレン「おまえでは、ウルトラマンになれねえよ」

それを聞いたベルトルトは突然大笑いをし始める

ベルトルト「ほら、君はやっぱり自分が特別だと思ってるんだ。君と僕は同じデュナミストだ」
      言ってみれば僕たちは兄弟みたいなものなんだよ」

アニ(・・・違うんだよベルトルト。エレンと私たちは違うんだ・・・)

ベルトルトは巨人の足下にあった装置にベータカプセルを装着する

アニ「やっぱりクリシスのシステムを使って・・・」

ベルトルト「クリシスもひょっとしたらこうなることを予想していたのかもねえ」
      ・・・ああ、だから光は僕を選ばなかったのさ」

エレン「やめろ!」

エレンがベルトルトに向かって走りだすが、その途中でエレンの身体に電撃が走り
エレンはその場に崩れ落ちる

アニ「エレン!」

ベルトルト「ああ、君はもう必要ないや」

ベルトルトはエレンに向かってスーパーガンを向ける

アニ「ベルトルト!!やめて!!」

ベルトルト「じゃあね、エレン」

その時、スーパーガンの光線がベルトルトをかすめる

ベルトルト「!?」

ライナー「大丈夫か!?エレン!アニ!」

アニ「ラ、ライナー?」

ベルトルト「ライナー?何故ここに?・・・アニが連れてきたのか?」

アニ(ベルトルトがライナーをここに呼んだんじゃないの?)

ライナーは近づいてくるとベルトルトに気付く

ライナー「ベルトルト!?お前、今までどこに・・・いや、この状況は何だ?」

拘束されているアニとエレンに銃を構えるベルトルト。

アニ「ライナー!ベルトルトを止めて!」

ベルトルト「・・・うるさいよ、アニ」

ベルトルトはアニに向かってスーパーガンを撃つ。
当たりはしなかったがアニの髪が数本はらはらと落ちる

ベルトルト「いくら君でもこれ以上僕の邪魔をするなら僕も考えなきゃいけないよ」

ライナー「ベルトルト・・・お前どうしちまったんだよ。お前は、そんな奴じゃないだろ?」

ベルトルト「どいつもこいつも…もう僕は君たちの後ろで震えているだけの僕じゃない」

そう言うとベルトルトはためらいもなくライナーを撃った

ライナー「ベル・・トルト・・・」

胸を打ち抜かれたライナーはその場にゆっくりと倒れる

エレン「ライナー・・・!!」

アニ「・・・ライナー・・・あ・・あああ!!」

倒れたライナーを見たアニは言葉に出来ない叫び声をあげる

アニ「ベルトルト・・・よくも・・・よくもおおおおお!!」

ベルトルト「・・・誰だろうと僕の邪魔はさせない」

ベルトルトは再び装置に近づく

エレン「やめろ!間違った心のまま光になったら!」

ベルトルト「・・・間違いかどうかこれでわかるさあ」

ベルトルトが装置に手をかざすとベータカプセルから光があふれ出す

ベルトルト「これで僕は人間などと言う矮小な存在から進化するのだ!
      古代の力よ僕に光を与えたまえ!」

エレン「やめろおおお!」

エレンがベルトルトに駆け寄るが、またしても電撃に阻まれる

ベータカプセルは光を更に強く発し始めた

「ひいいいかああありいいいよおおお!」

周囲がまばゆい光に包まれる、ベルトルトは光の粒子となって石像に吸い込まれていった

アニ「そんな・・・」

エレン「ばかな・・・」

銀色の身体に黒いライン。エレンのウルトラマンに似ているがまるでその姿は・・・

アニ「・・・イーヴィル」

巨人となったベルトルトはエレン達を一瞥するとどこかに消えていった

エレン「くそ・・・」

エレンは再び立ち上がるとふらふらと残されたベータカプセルに近づくが
また電流に阻まれ、吹き飛ばされる

アニ「エレン、もうやめて!」

エレンが顔を上げるとそこには動かなくなったライナーの姿があった

エレン「ライナー・・・」

エレンはライナーの元に這っていく

エレン「ライナー、すまない・・・俺は・・・何の力もない、ただの人間だ」

エレンがライナーの身体に手を伸ばすと、突然ライナーの身体が輝き出す

エレン「な・・・!」

アニ「!?」

先ほどのベルトルトのようにライナーの身体が光の粒子となり、飛んでいく

その先には、もう一体怪獣の石像があった

エレン「あれは・・・」

ライナーの光がその石像に吸い込まれていく

アニ「ライナー?」

ライナーの光を吸収した怪獣は、雄叫びを上げ、イーヴィルの後を追うように消えていった

エレン「一体・・・何が」

アニ(きっとベルトルトの光が瀕死のライナーの遺伝子にも反応したんだ)
  (私とエレンに何もなかったのはあくまでシステム化された光だからだろうか・・・)

アニは何とか変身しようとするが、腕と共にアニレイターが固められているため無理だった

エレンは再び立ち上がるとまたベータカプセルに向かって歩き出す

アニ「エレン、もう・・・」

エレン「アニ、俺は、ただの人間だ。あれがなければあいつらを止めることも出来ない」

そう言ってベータカプセルを見る

アニ「そんなことは・・・」

エレン「なら、俺はあれに頼る前に、人間として出来ることをやるだけだ!」

エレンはゆっくりと近づく、今度も同じようにエレンに電撃が走るが

エレン「ぐうう!!」

エレンはその場で踏ん張り少しづつ前に進み出す

アニ「エレン!」

電流で身体が破裂しそうになる。痛みを耐えるために食いしばった口から血が流れた

うわああああああああ!!

エレンが倒れ込むように前に進むと、電流の帯を抜けることが出来た

エレンはふらふらと立ち上がるとベータカプセルを手にする

エレン「アニ、待ってろ!俺が、あいつらを止める!」

アニ「うん・・・エレン、お願い」

エレンは頷くとベータカプセルを天に掲げた

本日はここまで、次回ようやく決戦ですね。月末で仕事が多忙になるため
少し遅くなるかもしれません。それではおやすみなさい

再開します。

ハンジ「うーん・・・」

ミカサ「どうですか?」

科特隊の医務室、ハンジは、ミーナの容態を見るために来ていたが

ハンジ「悪いけど、報告書以上のことは分かりそうにないねぇ」

そう首を横に振った

ミカサ「そうですか・・・」

ハンジ「せめてこうなった直前の状況が分かればねえ」

ミカサ「・・・」

ミカサは、先程アニから事情を聞いたためミーナの状態は知っていたが、
それをどう話したものか悩んでいた。

ハンジ「・・・でもこの症状、どっかで見たような・・・」

ミカサ「え・・・」

ハンジ「ああっアルミンだ、アルミンの症状に似てるんだ」

ミカサ「・・・アルミン!?あの、アルミンどこか悪いんですか!?」

ハンジ「いや、特に悪いという訳じゃないけど、時々こうやって意識を失うことがあるらしいんだ」

ミカサ「それ、十分悪いんじゃ・・・」

ハンジ「それがさ、アルミンに頼まれて一度精密検査をしたことがあったんだけどさ」

ミカサ「なにもなかったと・・・?」

ハンジ「正確に言えば何もなかった訳じゃないけど・・・」

ミカサ「何があったんです!?」

ハンジ「身体事態は健康そのものなんだ・・・ただ・・・」

ミカサ「ただ?」

ハンジ「・・・うーん、うまく説明できないなあ。一応レポートにまとめて
    アルミンに渡そうとしたけど、今日アルミンいなくてさ。
    ジャンにそのレポートを渡したんだよね.それに詳しく書いてるよ」

ミカサ「・・・・・・」

ハンジ「ねえ、ミカサ」

ミカサ「はい?」

ハンジ「アルミンは、昔からあのままだったのかな・・・?」

ミカサ「は?」

その時けたたましい足音と共にクリスタが駆け込んできた

クリスタ「ミカサ!大変なの!作戦室に至急来て!」

ミカサ「なにかあったの?」

クリスタ「それが・・・今度はライナーがいなくなったって」

ミカサ「え?」

二人が急いで作戦室に向かうと、ユミルが戻ってきていた

クリスタ「ユミル!帰ってきてたんだ!」

ユミル「ああ、なんだかとんでもないことになってるな」

ミカサ「ジャン達は?」

ユミル「まだ、ライナーを探してる。ああそれとミカサ」

ミカサ「なに?」

ユミル「エレンの奴は調子はどうなんだ?できればあいつも出動して欲しいんだけど」

ミカサ「エレンは・・・」

クリスタ「アニも目を覚ましたけど・・・まだ動けないよね」

ユミル「アニも目を覚ましたのか。今は猫の手も借りたいんだ。
    何しろライナーは私達の目の前でいなくなった。間違いなく何かに巻き込まれてんだ」

クリスタ「目の前で?」

ユミル「サシャも嫌な予感がするってずっと騒いでいる」

ミカサ(確かに、こういうときのサシャの勘は良く当たる。それも悪い方向に。でも・・・)

ユミル「なあ、ミカサ。無理は承知で言ってるんだ。2人に何とか・・・」

ミカサ「それはできない」

クリスタ「うーん。やっぱりそうだよね」

ユミル「・・・私が直接2人に掛け合ってくる」

ミカサ「そ、それはできない」

ユミル「なんでだよ」

ミカサ「それは・・・その・・・」

ユミル「いえねえのか?」

ミカサ「・・・ごめんなさい」

ユミル「今の状況を知ってもか?」

ミカサ「・・・うん」

ユミル「・・・・・・」

ミカサ「・・・・・・」

ユミル「・・・わかったよ。深くは追求せずにおくよ」

ミカサ「ユミル・・・」

ユミル「その代わり、お前には3人分働いてもらうぞ」

ミカサ「もちろん!・・・ユミル。ありがとう」

ユミル「礼なんかいらねえよ。お前らの痴話喧嘩にゃ馴れっこてだけさ」

そう言ってユミルは意地悪そうに笑った

ミカサ「そ、そんなんじゃない」

赤くなって首を振るミカサをユミルがからかっているとクリスタがぽつりと漏らす

クリスタ「・・・ウルトラマン」

その声に2人がクリスタの方を見る

クリスタは、先日アルミンが作った映写機に目を向けていた。

二人がのぞき込むとそこには確かに光り輝くウルトラマンが映っている。

ユミル「なんだ?怪獣が現れたなんて報告は来てないぞ?」

ミカサ「・・・違う」

クリスタ「え?」

ミカサ(あれはエレンじゃない)

ユミル「違うって何が・・・」

その時通信機から発信音が響く

ジャン『おい!ウルトラマンが出てきてるが、怪獣でも出たのか?』

クリスタ「それが・・・そんな報告は何も・・・」

ミカサ(まさか・・あれがアニが言っていた・・・)

その頃街中は軽いパニック状態に陥っていた。

無理もない。今までウルトラマンが姿を現すときは、怪獣が出る時でもあるのだ

サシャ「ジャン、怪獣はどこだかわかりましたか!?」

ジャン「いや、本部にもそんな連絡は行っていないらしい」

コニー「じゃ、じゃあ、ウルトラマンは何しに出てきたんだ?」

ジャン「知るかよ!」

サシャ「・・・ねえ、コニー、ジャン。気のせいかも知れませんけど」

コニー「は?」

サシャ「なんだかあのウルトラマン。いつもと違う気がしません?」

ジャン「言われてみりゃあ、ウルトラマンに似ちゃいるが・・・」

コニー「やけに光ってるしな」

その時、周囲に声が響き渡る

「諸君、私は進化した人類だ」

サシャ「う、ウルトラマンがしゃべった!?」

コニー「てか、この声・・・」

ジャン「ベルトルトの声じゃねえか」

「愚かしい旧人類は、私に導かれることこそが生き延びる道だ」

ウルトラマンを見ていた群衆からどよめきが走る

ジャン「まずいな・・・」

コニー「なあ、どういうことなんだ?あれ、ベルトルトなのか?」

アルミン『違うよ』

通信機からアルミンの声が聞こえてくる

ジャン「アルミンか!違うってどういうことだ?」

アルミン『あの巨人の位置と声の発信元が違っている。
     あの巨人がしゃべっているわけじゃないよ』

サシャ「じゃあ、ベルトルトはどこかでこれをしゃべってるんですか?」

アルミン『どうだろう。声の発信源がどうにもはっきりしないんだ』

ジャン「と言うか、このまましゃべらせていいのかよ」

アルミン『そうだね、このままだと妙な方向に民衆を扇動しかねない』

サシャ「むしろみんなウルトラマンを怖がっているような・・・」

ジャン「急にしゃべり出したかと思えば、言ってることが大仰だからな」

コニー「おい、なんだか巨人の様子が変だぞ?」

見れば、巨人は先ほどから身体の周りを覆っていた光が消え、
苦しそうにうめきだし、そしてゆっくりと構える。

ジャン「おいおいおい・・・まさか・・・」

次の瞬間、巨人は街に向かって光弾を発射した

コニー「なっ!!」

光弾はそのまま周囲を吹き飛ばした!

建物の崩れる音。そして人々の悲鳴と断末魔が響きわたる。

そこで街は完全にパニック状態に陥る

な、何でウルトラマンが・・・
ウルトラマンも結局敵だったのか?
そりゃそうだ、考えてみりゃあ、奴らだって化け物なんだ・・・!

人々の口からそんな言葉が溢れた

逃げ惑う人々の間をかき分けるようにアルミンは科特隊本部に向かう

アルミン(とうとう始まってしまった・・・僕は・・・保つのか?)

すみません。今日はここまで。残りは明日上げます。
皆さんも夏風邪にはご注意ください。

一方科特隊本部ではーーー

キース「一体何が起きている!」

キース隊長が騒ぎを聞きつけ作戦室に入ってきた

クリスタ「あ、隊長!その、ウルトラマンが町を破壊しています!」

キース「どういうことだ?」

ミカサ「三人目の巨人です」

キース「三人目・・・それからさっきから街に響いている声、あの声は」

ユミル「はい、この声はベルトルトのものです・・・」

ミカサ(アニが言っていたようにベルトルトが巨人の力を手に入れた?)
   (なら、エレンとアニは・・・)

ミカサは拳を握りしめる。思わず飛び出していきそうになったとき

クリスタ「こ、今度は怪獣が出現!!」

キース「こんなときに」

ユミル「怪獣が、巨人に向かっていきます!」

モニタに映し出された怪獣は、ゆっくりと巨人に向かって動いていく

コニー「ああ!もう、こんなときに出てこなくてもいいじゃねえか!」

ジャン「くそ!あの偽ウルトラマンが呼びやがったのか?」

コニー「偽って・・・」

ジャン「ああ!?あんなもんニセモンに決まってんだろ!」

サシャ「・・・あの・・・変なこと言っていいですか?」

ジャン「ここにパンはねえぞ!」

サシャ「違いますよ!私ってそんなイメージですか!?」

コニー「まあ、そんなイメージだよな」

サシャ「コニーまで…もうデートしてあげませんよ!」

コニー「な、なんだよそれ!」

ジャン「おい・・あの怪獣」

見ると、怪獣は巨人に掴みかかっていたが、それはどちらかというと・・・

コニー「なんか、取り押さえているように見えるな」

サシャ「そうですよ!なんだかあの怪獣、悪い子に見えないんです!」

ジャン「悪い子って・・・」

確かに、怪獣はすがるように巨人に抱きつくと何かを訴えるように吠える

巨人はそれを振りほどくと、怪獣を前蹴りで吹き飛ばし、光弾で追撃する

サシャ「ああ!」

怪獣は傷だらけになりながらのそりと立ち上がるとまた何か訴えるように

悲しそうな遠吠えをする

ジャン「・・・あの怪獣、泣いてやがるのか?」

見れば怪獣の瞳からは涙があふれていた。怪獣は再びのそのそと巨人に近づくと

巨人の右腕を甘噛みする。

巨人は一瞬動きを止めたが、今度は怪獣を投げ飛ばし再び光弾を浴びせる!

ジャン「やめろおおおお!」

ジャンが巨人に向かって、スパイダーショットを放つとコニーとサシャもそれに続く

コニー「いい加減にしやがれ!この偽物やろうが!」

サシャ「今日はあなたの方が悪い子です!」

科特隊の一斉射撃に巨人が倒れる。そこに怪獣がのしかかった。

ウオオオオン・・・・ウオオオオン・・・・

怪獣の声が響く。だが、巨人は下から怪獣の首を掴むとそのまま横に倒し
自分は素早く起き上がった

ジャン「ちいっ」

科特隊が再び巨人に発砲すると今度はそれを察したか光の防御幕を張り科特隊に打ち返した

ジャン「よけろお!」

ジャンの合図で3人はその場から飛び去ったが、完全に躱すことができず吹き飛ばされる

クリスタ『ジャン、応答してジャン、大丈夫?』

ジャン「ああ・・・大丈夫だ、それより・・・来てくれたぜ・・・本物が・・・!」

吹き飛ばされ、倒れているジャンの上を赤い巨人が飛んでいく

そのまま空中で一回転すると黒い巨人に跳び蹴りを放った

まともに受けた黒い巨人は大きく吹き飛ばされた。

クリスタ「ウルトラマン!」

キース「今度は本物か?」

ミカサ(エレン・・・よかった・・・)

ミカサがほっと胸をなで下ろすと作戦室にアルミンが入ってきた

アルミン「遅れてすみません!」

ミカサ「アルミン!」

アルミン「・・・状況は?」

ユミル「いつものウルトラマンが現れた、今あの巨人とにらみ合っている」

キース「・・・超人同士の戦いか」

ミカサ「いいえ、これは人の心が引き起こした戦いです」

キース「なに?」

アルミン「・・・・・・」

ミカサ(必ず勝って・・・エレン!)

黒い巨人…イーヴィルと赤い巨人…ウルトラマンはにらみ合う

ふとイーヴィルが光弾を放とうとして構える。

ウルトラマンがそれに反応し構えたが、イーヴィルは突如向きを変え反対方向にいた
怪獣を打ち抜いた!

(・・・!!)

怪獣はゆっくりと崩れ落ちると、静かに目を閉じ、動かなくなった

ウルトラマンは、動かなくなった怪獣を呆然とみる

無意識のうちに手が震えた

ーーーああ、覚えているこの感情

胸の奥から沸き起こってくる激情にウルトラマンは震えた

拳を握りしめ、イーヴィルを見る

イーヴィルはウルトラマンに向き直すと「こい」と言わんばかりに手をかざした

それが合図

ウルトラマンは一気に間合いを詰めるとイーヴィルの顔を殴り飛ばした

苦悶の声を上げイーヴィルが後ろにのけぞるとウルトラマンはそれを追うように前進し
膝でボディを蹴り上げるとそのまま回し蹴りをイーヴィルに放つ

だがイーヴィルはそのケリをいなすと逆にウルトラマンに蹴りを入れる
今度はウルトラマンがのけぞったところにイーヴィルが顔面を殴りつけた

二人の巨人の拳が、技がぶつかり合う、一進一退の攻防

二者鏡像のような構えから放った必殺の光線も互角のまま相殺された

陽はとうに傾きかけ、二人のカラータイマーも終焉を知らせる

ウルトラマンとイーヴィルは意を決したようにお互いに向かって飛び込んだ

交錯する二人の巨人

先に膝をついたのはウルトラマンだった

イーヴィルがウルトラマンを見下ろしとどめを刺そうとしたとき、
苦しそうにうなり声を上げ、今度はイーヴィルが倒れた

ウルトラマンはゆっくりと立ち上がると
残りのエネルギー全てをイーヴィルに叩きつけた

グオオオオオオ!!

イーヴルはうめき声を上げウルトラマンに手を伸ばそうとしたが
光の粒子となって消えていった・・・

ウルトラマンはイーヴィルが消えたのを確認すると怪獣に歩み寄る

怪獣を抱き上げ、ぎゅっと抱きしめるとウルトラマンと怪獣も光となって消えていった

ジャン「・・・終わったのか?」

ジャンはそう言って周囲を見る。街は惨憺たる物だった。
おそらく今までで一番の被害者が出ただろう。

ジャン「くそっ」

サシャ「ジャン・・・」

ショックは大きかった。今回攻撃してきたのは他でもないウルトラマンと同タイプの巨人。
しかもそれを止めようとしたのは怪獣。おまけにベルトルトも何か関わっているようだ

ジャン「どうなってやがるんだよ、これは・・・」

コニー「おい!あそこ!」

コニーが指さす方を見ると、ベルトルトが倒れていた

サシャ「ベルトルトですよ!」

三人がベルトルトの元に駆け寄ると、ベルトルトは苦しそうに身をよじらせている

ジャン「・・・とにかくベルトルトを連れて本部に戻るぞ」

コニーとサシャは頷き、ベルトルトの身体を抱えた

ーーーー
ーーー
ーー

科特隊本部医務室のベッドの上でミーナはゆっくりと目を覚ます

ミーナ「・・・あれ・・・わたし・・・」

まだはっきりしない意識の中、ふと横を見ると微笑んでいるアニの姿があった

ミーナ「アニ・・・」

アニ「ミーナ・・・よかった・・・」

ミーナ「そうか・・・私・・・」

ミーナは起き上がるとアニの方に身体を向ける

ミーナ「アニ、私にずっと嘘をついてたんだね」

アニ「・・・」

ミーナは俯くアニの身体を引き寄せると、ぎゅっと抱きしめる

ミーナ「馬鹿だよアニは、ずっと、ずっと一人で抱え込んで」

アニ「ミーナ・・・」

ミーナ「ウルトラマンは、たった一人で戦わなきゃいけない義務でもあるわけ?」

アニ「・・・・・・」

ミーナ「ずっと一人で・・・そんなの、そんなのひどすぎると思わない?」

アニ「ミーナ・・・」

ミーナ「アニが抱えているものの大きさは私じゃわからないかも知れない」

アニ「・・・・・・」

ミーナ「でも、もっと話して欲しい、もっと信頼して欲しい。アニは私の、
    大切な友達なんだから・・・!」

アニ「ごめん・・なさい・・・ごめんなさい・・・」

アニの瞳から大粒の涙がこぼれる。

ミーナもつられて泣き出した。

二人で泣くだけ泣いた後、なんだか気恥ずかしくなり、二人笑う

アニ「ミーナ、ありがとう。でも今の私は・・・一人じゃないから」

それはミーナですら初めて見る、満面の笑みだった

ミーナ「アニ・・・」

そこに医務室の扉が開き、ライナーが入ってくる

ライナー「よお、気付いたか、アニ、エレンの奴が探していたぞ」

アニ「ああ、わかった。すぐに行くよ、お兄ちゃん」

ライナー「・・・その呼び方はやめろ。なんかむず痒い」

苦笑いをしながらライナーは医務室を出る

結果として、ライナーは助かった。

あの後、エレンと共に元の姿に戻ったライナーはジオベースの
医療設備にかけられ何とか一命を取り留めたのだ。

ベルトルトの方は今、科特隊本部の地下牢に幽閉してある

一連の事件に関与は認めているものの、肝心なことは話そうとはしない

エレンもアニも、今のところはベルトルトのことは話すつもりはない。

これは、アニからエレンに持ちかけられたもので、どうにかベルトルトが思い直してくれることを願っているのだろう

なんだかんだと言ってアニにとっては、ベルトルトもやはり大切な兄弟なのだ

科特隊の方も、ベルトルトのことは上に報告していない。
皆の気持ちも同じなのだろう

アニ「・・・さて、私、エレンの所に行くね」

ミーナ「ちょっと、病み上がりの親友をおいて彼氏のとこに行くとか」

アニ「彼氏って・・・」

ミーナにとってはただのからかいのつもりだったのに真っ赤になるアニを見て

ミーナ「・・・・・・・・・・・エレンとなにかあったの?」

ミーナは嬉しそうにずいっと身を乗り出す

ミーナ「ねえ!なんかあったんでしょう!?」

ああ、しまったなとアニは思ったが、

まあ、親友が元気になるのはいいことだとため息をついた

ほぼ同時刻、中央司令室に科特隊隊長キースは呼び出されていた

キース「何のご用でしょうか」

そこにいた司令官の面々は無言でキースに司令書を差し出す

キースが書面に目を通すとそこには

キース「・・・ウルトラマン討伐指令ですか」

「そうだ、科学特捜兵団は、件の巨人が出現次第速やかに抹殺せよ」


                          第4話完


次回 ウルトラマンイェーガー 

最終話「地球はウルトラマンの星」

本日はここまでです。 それではおやすみなさい

さいしゅうわはじめます

ウルトラマンイェーガー
最終話 「地球はウルトラマンの星」


科特隊本部の一室、エレンの私室にエレンとミカサは向かい合って座っていた

先日アニと交わした約束を果たすためだ

エレン「ーーーーというわけなんだ」

ミカサ「・・・・・・」

エレン「正直、俺も自分のことがよくわからない。親父もあれから姿をみせねえ」

   「だけど、俺はこの力を皆を守るために使いたい。みんなや、お前を」

ミカサ「・・・エレン」

ミカサはエレンの手を取る

ミカサ「エレン、あなたが何者だろうと、私には関係ない
    前にも言ったよね・・・エレンはいつだって私のヒーローだって」

エレン「ミカサ・・・」

ミカサ「エレンが今までどんなにどんなに悩んだのか、どんなに苦しんだのか
    私はずっとあなたの隣にいたのにわかってあげられなくて、ごめんね」

エレン「そんなこと・・・」

ミカサ「エレン、私はずっとあなたの側にいる。だからそんな心配はしなくていい」

エレン「心配?」

ミカサ「・・・なんでもない」

そう言ってミカサは笑う

ミカサ(大丈夫、あなたが何者だろうとあなたの子供はちゃんと産んでみせる!)

エレン「ありがとう、ミカサ。ホントのこと言えばさ、確かに不安だったよ」

ミカサ「・・・エレン」

エレン「だけど、同じ力を持つアニに会えてよかった」

その言葉にミカサの顔が強ばる

エレン「一人じゃないってやっぱり心強いもんだなって・・・」

エレンは話しながら、ミカサの厳しい表情に気付く

エレン「な、なんだよ・・・」

ミカサ「理解できない。どうしてアニの話をし出すの?」

エレン「は?あれ?アニのことはアニから聞いたんだよな・・?」

ミカサ「そういう事じゃない。エレンの側には私がいるって話してるのに
    アニの話になるのはおかしい」

エレン「え?いや、だから同じ力を持ってるから・・・」

ミカサ「そういえば最近アニのエレンを見る目が前に増しておかしい」

エレン「」

ミカサ「この間アニと何かあった?」

ミカサの目が光る

エレン「あ・・・え・・・いや・・・」

エレンがしどろもどろになって目をそらしていると通信機がなる

エレン「助かった・・・あ、いや、なんだ?」

クリスタ『どうしかしたの?・・・それより、作戦室に集まれだって』

エレン「ああ・・・わかった。すぐに行くよ」

通信機を切りエレンは立ち上がると

エレン「ほ、ほら!行こうぜ!」

そう言って部屋を出ようとすると、ミカサがエレンの服の裾を掴む

エレン「ミカサ・・・」

ミカサは少し寂しそうな顔をしている

エレンは頭をかくとミカサの方を向いて話す

エレン「確かに、色々あったよ。だけど、ミカサの心配するようなことはない」

ミカサ「ホントに?」

エレン「ああ・・・」

アニに殺されそうになったことだよな。なら、もう大丈夫だろう。

エレンはそんなことを考えていた

二人が作戦室に行くとすでに全員が集まっていた。

エレン「すまない、遅くなった」

エレンが自分の席に着こうとすると、その横にアニが座っているのに気付く

エレン「あれ?何でお前・・・」

アニ「ああ、しばらくここにやっかいになるから、私も参加しろってさ」

ミカサ「・・・憲兵団の方は?」

アニ「・・・ああ、あっちは退団したんだ」

エレン「え?なんで」

アニ「・・・あの後もうジオベースで暮らすつもりだったから」ヒソヒソ

エレン「そうだったのか」ヒソヒソ

ミカサ「・・・なにを話しているの?」

エレン「え?・・・いや」

アニ「・・・私とエレンの話だよ。別にいいでしょ?」

ミカサ「・・・・・・」

アニ「・・・・・・」

サシャ「・・・あの・・・二人が怖いんですけど」

ユミル「まあいいじゃねえか。久しぶりにおもしろくなってきたよ」

クリスタ「もう、ユミル!・・・隊長・・・」

キース「フッ・・・若いな」

クリスタ「隊長?」

ジャン「いいから本題に入るぞ!!!」

エレン「な、何怒ってるんだよ・・・」

ジャン「うるせえ!お前が言うな!!」

ライナー「まあ、いつものレクリエーションだな」

アルミン「まったくだよ」

二人はあきれたように笑った

ーーーーー
ーーーー
ーーー

エレン「ウルトラマン討伐指令だって?」

アニ「・・・・・・」

ミカサ「どういうことですか?」

キース「以前から、この話しは常に議題として上がっていた」

エレン(そういや、ミーナもそんなこと言ってたな)

キース「それが今回の巨人襲撃により甚大な被害を被ってしまった」

アルミン「どの巨人が大丈夫なんて保証がない以上・・・・・・」

ジャン「こういう案が出るのは仕方ないってことか」

サシャ「そんな・・・だってこの間の巨人だって・・・」

コニー「結局ウルトラマンが倒したじゃないかよ」

ライナー「そうかもしれんが、俺達もウルトラマンの事はよくわかってないんだ」

アルミン「たとえ僕たちがウルトラマンを信じられると訴えたところで」

キース「うむ。内地にいる上層部の面々は決して納得するまい」

エレン「だからって・・・」

アニ「しょうがないよ、過ぎた力は淘汰される。別にウルトラマンに限ったことじゃない」

ミカサ「それは・・・私たち科特隊も同じ事?」

アルミン「そうだね、今は怪獣という脅威があるから僕たちは許されている」

ジャン「そんなこと考えたってしょうがねえよ。今はこの指令に俺たちがどう動くかだ」

サシャ「私は嫌です!」

コニー「うーん、まあ、俺も反対かなあ」

ライナー「しかし、上からの指令を無下にするわけにはいかんぞ」

アルミン「まあ、仮に倒すとなったところで僕たちに倒せる保証など無い」

ジャン「下手に攻撃して完全に敵になっちまったらと考えるとな」

エレン「そんなことはねえよ!」

ミカサ「そんなことはない」

アニ「まあ、ないね」

一同は3人を見る

ライナー「その保証がないから、今話し合ってるんだろうが」

アニ「・・・その保証がとれればいいのかい?」

エレン「アニ?」

コニー「・・・ベルトルトの奴が話してくれりゃあなあ」

そこで話が止まる。ベルトルトはまだ地下牢にいる

暴れも騒ぎもしないが、口を閉じたまま今に至る

ライナー「また後で、俺が会いに行ってくるよ」

アニ「・・・私も行こう」

とりあえず、科特隊の態度としてこの件に関して、現時点では保留と言うことで解散になった

その後、エレン、ミカサ、アニの三人はエレンの部屋に集まる

エレン「なあ、俺たちのこと・・・せめてみんなには話した方が」

アニ「ここの連中になら、ね。だけど他所の連中じゃあそうはいかない」

エレン「・・・・・・・」

アニ「ミカサやミーナが受け入れてくれるのは普段のつきあいが深いからだ」

ミカサ「・・・・・・・」

アニ「前にも言ったろう?・・・何も知らない人間からすれば」

エレン「・・・俺たちはただの化け物・・・か」

アニ「結局それじゃ一緒なんだ。どうしたって受け入れられない人間だっている」

ミカサ「中央の人間に納得してもらわなければ同じ事・・・」

アニ「・・・だから、今度怪獣が現れたら、私が行く」

エレン「アニ!・・・お前!」

アニ「そこで科特隊のみんなに私を攻撃させな」

エレン「馬鹿を言うな!そんなこと出来るかよ!」

アニ「だけどそこでウルトラマンが無抵抗なら考えも少しは動くだろう」

ミカサ「アニ・・・」

エレン「だめだ!そんなことなら俺が行けばいい!」

アニ「エレン、これは私の罪滅ぼしの一つでもあるんだ・・・頼むよ・・・」

そう言ってアニは薄く笑った

エレン「だからお前の罪は・・・」

そこまで言ったところでエレンをミカサが止める

ミカサ「エレン、アニの決意は固い」

エレン「だけど・・・!」

ミカサ「アニ、悪いけど。お願い」

アニ「ああ、まかせなよ」

そう言うとアニは部屋から出て行った

エレン「ミカサ・・・お前!」

ミカサ「エレン、何もアニに怪我をさせる必要は無い」

エレン「はあ?」

ミカサ「アルミンに頼んで見た目は派手だけど攻撃能力の無い武器を作ってもらおう」

エレン「ああ、なるほど・・・!」

ミカサ「アニには攻撃されたような演技をしてもらえばいい」

エレン(あいつ演技なんて出来るのか?)

エレン「でもアルミンにはなんていう?」

ミカサ「もちろん、アルミンには全てを話す」

エレン「え?」

ミカサ「どうしたの?」

エレン「いや、アルミンに話すのか?」

ミカサ「?」

ミカサがきょとんとした顔をする。当然だ、彼女にしてみれば幼馴染みのアルミンに全てを打ち明けることはごく自然なのだ。だが・・・

エレン(そういや、俺、なんで今の今までアルミンに相談してないんだ?)

以前は困ったことがあったら全てアルミンに話していた。なのに・・・

ーーーやっぱりエレンは強いね

いつかのアルミンの寂しそうな笑顔を思い出す。まさか、アルミンにも何かあるんじゃ

エレンは自分の中に沸いた不安を隠すように、口を手で覆った

今日はここまで。それではおやすみなさい。

ちょっとだけ更新

科特隊本部地下深くにその地下牢はある

ベルトルト「やあ、ライナー、アニ」

そう言って問題の男は笑った

ライナー「ベルトルト、いいかげんお前の知ってることを話してくれ」

ベルトルト「さて、なんのことやら」

アニ「・・・・・・」

ベルトルト「アニ、よかったじゃないか。みんなに受け入れられて」

アニは牢屋の扉を思い切り蹴りつける

アニ「あんた、いつまでいじけてるつもりだよ」

ライナー「目を覚ましてくれ!お前の知識が必要なんだ!」

ベルトルト「さあね・・・」

ライナー「しっかりしろ!ベルトルト!償えるチャンスじゃないか」

ベルトルト「・・・僕のしようとしたことは間違っていない」

ベルトルト「闇に覆われる世界を光で照らし導くものが必要なんだ」

アニ「それは・・・あんたじゃない」

それを聞いたベルトルトは突然笑い出す。ひとしきり笑ったところで

「そうだね・・・アニは正しい」

そうこぼした

ミカサ「エレン、アルミンと何かあったの?」

口をつぐんだまま動かないエレンにミカサが問う

ミカサ「最近エレン、アルミンと話してる?」

エレン「・・・いや」

それだけ言ってエレンは顔を背ける

ミカサ「・・・私も最近アルミンとほとんどしゃべっていない」

科特隊が出来てから、アルミンはよく研究室に籠もることが多くなっていたのもあるがここまで三人の間に会話がないのは、出会ってから初めてだった

エレン「なんでだろうな、少し前まではなんでもアルミンに話してたってのに」

ミカサ「もしかして・・・この間のこと・・・」

エレン「なにかあったのか?」

ミカサは先日のハンジとのことを話す

エレン(やっぱり、アルミンには何かあるのか?)

ミカサ「エレン、アルミンの所に行こう」

エレン「ああ、行こう!」

その時、通信機が鳴る

クリスタ『怪獣出現!直ちに作戦室に集まってください!』

ライナー「了解。すぐ行く」

アニ「・・・行こうライナー」

ライナー「ああ」

二人がベルトルトを見ると、とっとと行けと言わんばかりに手を振る

二人は顔を見合わせ、その場を立ち去ろうとしたとき

「気をつけなよ、本当の闇はすぐ近くにある」

ベルトルトがそう呟いた

ユミル「怪獣はトロスト区西方5km地点に出現。幸い近辺に居住区等はないな」

ジャン「隊長は?」

クリスタ「中央司令部から呼び出し。ここ最近多いよ」

ミカサ「私たちだけでも出撃を」

エレン「よし!いこうぜ、ジャン!」

ジャン「ああそうだな、科特隊出撃するぞ!」

「了解!」

エレン「アニ・・・」

エレンがアニの方を見るとアニは一瞥して部屋を出る

エレン「まてよ!アニ!」

エレンがアニを追おうとしたが、すでにアニの姿はなかった

エレン「くそ!」

ライナー「なにしてんだ!?行くぞ!」

エレン「あ、ああ・・・」

ミカサ「エレン、仕方がない。あの事はまた今度にしよう」

エレン「そうだな、どのみち科特隊の皆にも話した方がいいだろうし」

二人は頷きあい、皆の後を追った

トロスト区西方の山間に,その姿はあった

サシャ「アレは・・・鳥ですか?」

コニー「いや、ふくろう?」

エレン(今回の敵は・・・ベムスター・・・か)

ジャン「よし!科特隊!攻撃に移る・・・」

ジャンがそう言いかけたとき、まばゆい光と共に青いウルトラマンが現れた

サシャ「あ、ウルトラマン」

ライナー「今日はずいぶん早く出て来たな」

エレン(アニ・・・)

ミカサ(・・・・・・)

ジャン「よし、俺たちは散開しつつウルトラマンを援護だ」

「了解!」

アルミン『待った』

ジャン「どうした、アルミン?」

アルミン『たった今、中央からこの機会にウルトラマンを倒すようにとの指令が出たんだ』

ジャン「そうか・・・」

アルミン『そういうわけで科特隊はそのまま待機』

ライナー「何だって?」

サシャ「どういうことです?」

アルミン『せっかく今ウルトラマンが怪獣と戦っている』

ジャン「・・・共倒れを狙うって事か」

アルミン『十中八九ウルトラマンが勝つだろうけどね』

エレン「アルミン、お前!」

アルミン『まあ、エレンが怒るのは分かるよ』

コニー「???どういうことだ?」

ミカサ「つまり・・・怪獣と戦い終わってウルトラマンが弱ったところを叩く」

サシャ「そんな・・・!」

アルミン『逆をいえばそこぐらいしか僕たちがウルトラマンを倒すチャンスはない』

ライナー「しかしな・・・」

ジャン「アルミン・・・それは、上の判断か?」

アルミン『そうじゃなきゃ、こんな話はしないよ』

ジャン「じゃあ仕方ねえ、命令ならな」

エレン「おい!本気かよ!」

ジャン「俺たちは戦いが終わるのを待ってから攻撃すればいいんだな?」

アルミン『少し違うよ、攻撃するのは・・・』

その時初めて、科特隊の面々ウルトラマンとベムスターを囲むように
配置してある一団に気付く

アルミン『君たちじゃウルトラマンを攻撃できないだろうからね』

ジャン「・・・憲兵団の連中かよ」

見れば憲兵団の面々は、その手に科特隊の武器を持っている

ライナー「連中スーパーガンを持ってやがる」

アルミン『急揃えしたものだから、君たちの物に比べれば性能は低いけどね』

サシャ「・・・なんかいい気はしません」

アルミン『とにかく君たちは今日はその場で待機。万が一の時の為にね』

エレン「アルミンやめさせろ!ウルトラマンは味方だ!」

アルミン『・・・だからだよ』

エレン「え?」

そこでアルミンからの通信は止まった

通信を終わらせたアルミンの横でクリスタが不安そうにアルミンを見る

クリスタ「アルミン・・・よかったの?」

ユミル「連中絶対納得してないだろう」

アルミン「大丈夫だよ。きっとジャンがうまく動いてくれる」

ユミル「ホントかよ」

アルミン「それに、エレンがいるしね」

ーーーー
ーーー
ーー

エレン「俺が行く」

ミカサ「落ち着いて、エレン」

エレン「けどこのままじゃアニが!」

ジャン「アニがどうかしたのか?」

エレン「あ、いや・・・」

コニー「でもホントに攻撃するのか?」

サシャ「なんか納得できません」

ミカサ「・・・・・・」

ライナー「しかし、上からの命令は絶対だ」

ジャン「まあ、憲兵団の皆さんにはせいぜい頑張ってもらうさ」

エレン「あいつらにやれんのかよ」

ジャン「できるわけねえだろ」

コニー「おい、それじゃ・・・」

ジャン「俺たちはいつだって前線にいた。いつも後ろに隠れていた奴らに
    何が出来るって言うんだよ」

ミカサ「ええ、そうね」

ジャン「せいぜいエリート様には踊ってもらうさ。俺たちは戦場が混乱しだしたら
    さらに戦場をかき回してウルトラマンを逃がすぞ」

エレン「ジャン、お前・・・」

ジャン「・・・前に、奴にはかばってもらったことがあったからな」

そう言ってジャンはそっぽを向いた

今日はここまでです。オチは決めてるけど終わるのかなこれ
それではおやすみなさい

再開。やっと休みもらえた・・

怪獣の鳴き声が響く。隊員達が怪獣の方を向くと

両のかぎ爪で、ウルトラマンが攻撃されている

ウルトラマンは少し間合いをとるが、ベムスターは二つの羽を大きく動かし突風を起こすとウルトラマンは吹き飛ばされる

素早く立ち上がるが、距離を保ったまま動かずにいる

ジャン「なんだ?ウルトラマンの奴、苦戦してるのか?」

サシャ「今日はなんだか消極的ですね~」

ライナー「というかなんかさっきからこっちをチラチラ見てないか?」

言われてみるとなるほど、今もこちらの方をチラチラ見ている

コニー「俺たちのことに気付いたのか?」

ジャン「まさか」

ミカサ「エレン・・・アニは・・・」

エレン「俺たちが攻撃してこないのを気にしてるのか?しかし・・」

そのときベムスターの頭部の角から光線が放たれウルトラマンを再び吹き飛ばす

ジャン「おいおいおい!」

コニー「よそ見なんかしてるからだろ!」

エレン「・・・ミカサ」

ミカサ「・・・わかった、気をつけて」

ミカサと頷きあいエレンはその場から離れる

ジャン「おい、エレンはどこ行ったんだ?」

ミカサ「え、エレンは・・・お腹を壊した・・・ので、お手洗いに・・・」

ライナー「はあ?・・・こんな時にあいつは・・・」

ジャン「・・・ミカサ」

ミカサ「な、なに?」

ジャン「・・・いや、なんでもない」

ーーーー
ーーー

エレンは人気のないところまで後退するとベータカプセルを手にする

その時、エレンの回りを数人の兵隊が取り囲んだ

エレン(人がいた?そんな気配は・・・)

エレンが制服の印に目をやると憲兵団のマークがある

エレン(憲兵団?しかし何でここに)

いや、憲兵団がどれだけの人員をどれだけの広範囲に動員しているしているのかはわからない以上ここで会っても不思議ではないが・・・

エレン(こいつら、何か変だ)

目は虚ろで、落ち着きがなく揺らめくように動いている。まるで麻薬中毒者のようだ。だが、動きはしっかりとこちらを捕らえていて隙がない

エレンはベータカプセルを懐にしまうと静かに構えた

その頃、ウルトラマンの方も苦戦していた。ベムスターは羽ばたき上空へ舞い上がると、滑空してウルトラマンに体当たりをする

何とか踏みとどまったが、畳み掛けるようにベムスターはかぎ爪を振り回してきた

ライナー「ジャン、ウルトラマンを援護しよう。このままじゃまずいぞ」

ジャン「・・・いや、待機だ」

コニー「なんでだよ!」

ジャン「忘れたか、待機は上からの命令だ、憲兵団の目がある以上うかつに動けねええだろ」

サシャ「でも、憲兵団の人たち、動く気配がないんですよねぇ」

ライナー「今はまだ怪獣の方がピンピンしてやがるからな」

ジャン「もしこのままウルトラマンが負けたら、怪獣は俺たちに押しつけるつもりなんだろうよ」

サシャ「ミカサ?何をそわそわしてるんです?」

ミカサ「何も・・・」

ミカサは少し焦っていた、エレンのウルトラマンが出てこない。
何かあったのではないのか、エレンの方に行った方がいいのではないか

そう考えているうちに今度はウルトラマンがベムスターを投げ飛ばし、光線を放つ構えをとる

ジャン「いけるか?」

ウルトラマンは胸の前に凝縮された光球をベムスターに向かって解き放った

しかしその光球はベムスターの腹部にあるもう一つの口に吸収されていった

ジャン「なっ・・・」

コニー「光線を吸ったのか!?」

これにはウルトラマンーーアニも怯んだ。それに呼応するようにカラータイマーが鳴り出す

ライナー「・・・まずいぞ」

サシャ「ジャン、行きましょう!」

ジャン「くっ・・・」

ミカサ「ジャン、サシャの言うとおり行きましょう。憲兵団の姿が消えている」

ジャン「なに!?」

見ると確かに、先ほどまであれほどいた憲兵団が消えている

ライナー「いつの間にか移動したのか?しかしなぜ」

コニー「逃げ出したんだろう?どうせ」

ミカサ「ジャン、これで言い訳は立つ」

ジャン「ああ、科特隊、行くぞ!ウルトラマンの背後からウルトラマンをかすめるように怪獣を攻撃するぞ!」

サシャ「そんな難しい要求できませんよ」

ミカサ「無理だろうと、上からの命令を踏まえた上で援護するなら」

ライナー「この方法しかないか」

科特隊はウルトラマンの後方に回り込むとベムスターに向かって射撃を開始する

ジャン「ウルトラマンに出来るだけ当てんじゃねえぞ!」

コニー「くそ!」

ベムスターに向かって次々と攻撃を加える科特隊だったが、先ほどと同様に光線は全て吸収されてしまう

ジャン「ちぃ!だめか!」

ライナー「おまえらどいてろ!」

ライナーがマッドバズーカを構える

ライナー「行けえ!」

実弾武器マッドバズーカの砲撃はベムスターを捕らえ吹き飛ばした

コニー「よし!」

ベムスターが起き上がろうとしてる間にウルトラマンは素早く近づくと
右腕から発生させた光の剣でベムスターを切り裂いた

ベムスターはばらばらに崩れ落ちると爆発して消えていった

ジャン「やったか・・・」

ジャンはそう言ってウルトラマンを見上げる。それを察してかウルトラマンもこちらを見る

周りには憲兵団の姿は何故か無い。ジャンは銃をウルトラマンに向ける

ジャン「・・・・・・」

ウルトラマンはこちらを見たままじっとしている

ジャン「・・・」

ジャンは何も言わずに銃を下ろす

ジャン「・・・科特隊、帰投するぞ」

ライナー「いいのか?」

ジャン「ああ」

ライナー「了解だ、お前ら!帰るぞ!」

ミカサ「私はエレンを待っている」

コニー「そういえば、エレンの奴遅いな」

サシャ「まだトイレですかねぇ」

ジャン「わかった、ミカサ。先に帰っているぞ」

ミカサ「ええ」

科特隊の一行はミカサをおいて本部に帰投した、途中ジャンは振り返りミカサの方を見る

ジャン(・・・ひょっとして・・・いや、まさかな)

ジャンはふと頭をよぎった考えに自分で苦笑してその考えを追い払った

残ったミカサはまだそこに佇んでいた青いウルトラマンを見上げる

ミカサ「アニ・・・」

アニは何か言いたそうだったがそのまま光の中に消えていった

元の姿になったアニはその場にへたり込む。今回はさすがに危なかった

肩で呼吸をしながら、重い身体を休める

アニ「攻撃してこなかったな・・・」

それがエレンとミカサの優しさでもあったのだろうが・・・

迷惑をかけた分みんなの役に立ちたかった。だが結果は・・・

違うとはわかっていても疎外感を感じてアニは少し涙目になる

そこに軍服を着た数人がアニの周りを取り囲んだ

アニ「・・・なんだい、あんたたちは」

兵士達は応えない、アニはその中に見知った顔をみる

アニ(あれは・・・ヒッチにマルロ・・・憲兵団の連中が何故?)

アニは憲兵団の顔を見てハッとする

アニ(あの表情はあの時のミーナと同じ・・・誰かに操られている?)

だが、ミーナの時とは違いベルトルトは幽閉されている

アニ(一体誰が?・・・いや私を狙ってきたのなら、私の正体を知っている?)

すると突然憲兵団がアニに襲いかかる

アニ「くっ・・・」

アニは一番手前の男のあごを肘でかち割るとその右後ろにいた男に回し蹴りをお見舞いする

アニ「悪いね、今の私はかけらの余裕もないんだ。顔見知りだからって手加減は出来ないよ」

アニの身体が踊りでる。襲いかかる憲兵団を片っ端から仕留めていった

だが先ほどの激戦の疲れはまだ残っていたのか、わずかの戦闘でもアニの足に震えが来る

アニ(まずいね、早く終わらせないと・・・!)

だが、その考えは焦りとなりアニの動きを更に鈍らせる

仕留め損なったのか、アニの方に崩れてくる兵士が、アニに抱きつき押し倒した

アニはもがくが、こうなっては男相手に純粋な力勝負で勝てるはずもなく
まだ意識があった数人から取り押さえられる

アニ「・・・触るな!」

アニはまだ抵抗しようとするがびくりともしない、アニが観念し始めたその時

「アニー!!」

その声にハッとしたアニが声の方を見るとエレン(とミカサ)がこちらに向かってくる

アニ「エレン・・・」

安堵の表情を見せるアニ

エレン「うおおおおお!」

エレンはアニの上に乗っていた数人に向かって体当たりをすると続けてミカサがまだアニの上にいた奴らをなぎ払う

アニは身体が自由になると素早く立ち上がりミカサとエレンの後ろに立つ

エレン「アニ!無事か?」

アニ「おかげさまで。・・・エレン、ありがとう」

アニが頼もしそうにエレンを見上げ、エレンに抱きつこうとするもミカサに阻まれる

アニ「・・・なによ」

ミカサ「アニ、それ以上いけない」

アニ「・・・エレンにお礼を言おうとしただけでしょう?」

ミカサ「・・・なら言葉だけでいいはず。最近アニはおかしい」

アニ「・・・あんたも十分おかしいと思うけど?」

ミカサ「・・・」

アニ「・・・」

エレン「お前らじゃれ合ってる場合じゃねえぞ!」

見れば、いつの間にか周りを囲っていた憲兵団の数が増えている。その中にはさっきアニが沈めた連中もいる

アニ「手応えは確かにあったのに・・・」

エレン「こいつら何やってもすぐに起き上がってくるんだ」

ミカサ「まるで生気を感じない。操り人形のよう」

アニ「・・・事実操り人形さ」

エレン「何か知っているのか?」

アニ「こないだのミーナと同じだよ。催眠術か何かで誰かが操っているんだ」

ミカサ「なら、どうすればいい?」

アニ「操っている元を叩けばいい話だけど・・・」

エレン「近くにいるのか?」

アニ「わからない」

ミカサ「ここを突破しながら探すしかない」

エレン「なら囲みの薄いところを三人で抜けるぞ」

そのエレンの言葉に二人は頷く

だが、憲兵団は三人に向かってスーパーガンを向ける

アニ「ちっ・・・」

憲兵団は三人の周りを距離をとって取り囲んでいる。
そこに飛び道具を出されてはうかつに動けない

エレン(どうする?一か八か俺が変身してみるか?)

エレンが懐に手を伸ばそうとしたとき、スーパーガンの光線がエレンの肩をえぐる

エレン「ぐああああ!」

ミカサ・アニ「エレン!!」

エレンが肩を押さえうずくまると、二人はエレンを囲むように寄り添う

エレンの肩の傷は深く、血がしたたり落ちている

ミカサの顔が怒りに染まっていくのをアニが制する

アニ「・・・ミカサ、気持ちはわかるけど今は落ち着いて、ますここから逃げないと」

ミカサ「・・・わかっている。だけど、あいつらは調子に乗りすぎた」

アニ「だからさ、しかるべき報いは後のお楽しみにしようって話だよ」

そういうアニの顔も怒りに震えている

エレン「・・・いいから、二人とも、逃げるんだ」

ミカサ「でも!」

その時、上空から赤い光球が降りてくる

アニ「・・・あれは!」

赤い光球は三人を包み込むと、その場から三人ごと消え去った

本日はここまで。休みの間に終わらせたいな
ではお休みなさい

ーーー
ーー


先ほどの現場から離れたところに赤い光球は降り立つと、三人を解放する

ミカサ「これは、なんなの?」

アニ「・・・・・・」

エレン「親父?」

その言葉にミカサとアニは驚きエレンを見る

やがて赤い光球はその光を弱めていき、中から初老の男性が姿を現す

ミカサ「・・・おじさん」

グリシャ「エレン、ミカサ、久しぶりだな」

グリシャが微笑むと、ミカサはぐしゃぐしゃに顔を崩して泣き出した

ミカサ「おじさん・・・よかった・・・生きてて・・・」

グリシャは泣き崩れるミカサを優しく抱きしめると、エレンに目をやる

グリシャ「どうやら、光の力を正しく使っているようだな」

エレン「・・・ああ」

エレンは少しパニックになっていた。あれほど今度会ったら色々と聞こうと思っていたのに、いざ本人を目の前にすると何から聞けばいいのかわからなくなる

次にグリシャはアニの方を見る

グリシャ「初めまして・・・かな?青き光のお嬢さん」

アニ「あなたがあの時の赤い光だったなんて・・・」

エレン「あの時って、リュウガモリ湖で俺が見た?」

アニ「ええ、私は新しく現れた光の正体を探る為に接触を図った」

エレン「ああ、つまり俺の時のように一方的にわめき立てて交渉が決裂したと」

アニ「・・・その話はやめてよ。私だって必死だったんだ・・・」

アニは顔を真っ赤にして俯く

グリシャ「ははは、気にすることはない。今はこうしてエレンと共に戦ってくれているんだ。ありがとう」

その言葉にアニは更に顔を赤くしてしどろもどろに言った

アニ「・・・お礼なんて・・・私はただエレンの力になりたくて」

グリシャ「・・・それで十分さ」

グリシャはそう言ってアニの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

アニはその手の温かさに少しだけ父親のことを思い出す

ミカサはまだグリシャに抱きついて泣いていた

エレン「親父・・・親父が俺の前に現れたって事は・・・」

グリシャ「ああ、ようやく見つけたよ。元凶を」

ーーーー
ーーー
ーー

その頃、科特隊本部に帰投したメンバーは作戦室で一息ついていた

ライナー「それにしても、今日の一件は色々と妙だったな」

ジャン「憲兵団の動きもそうだが、なにより上の考えだ」

ライナー「ウルトラマン討伐はともかく、実戦慣れしていない突然憲兵団を使うなど、確かにおかしな面は色々あったが・・・」

コニー「俺たちのこと、それだけ信用されていないんじゃないの?」

ユミル「現場を見ないお偉いさんじゃ、ある意味仕方ないことかも知れないけどな」

サシャ「アルミンはどう思います?」

サシャがそうアルミンに問いかけたがアルミンは応えず、さっきから書類に目を通している

ジャン「アルミン、それこないだハンジ博士から預かった書類だよな、何が書いてあったんだ」

それにもアルミンは応えない

科特隊の面々が顔を見合わせていると、クリスタが紅茶を入れてきてくれた

クリスタ「はい、どうぞ」

クリスタは隊員に紅茶を配って回る。最後にアルミンに紅茶を差し出したとき、クリスタは言った

クリスタ「アルミン、またそんな笑い方してる。なんだか悪い笑い方」

クリスタは笑って続ける

クリスタ「アルミンには、そんな笑い方似合わないよ」

アルミン「そうだね・・・失敗したようだし、もう潮時かもね」

クリスタ「・・・アルミン?」

クリスタがアルミンをのぞき込むとアルミンがクリスタに銃を向ける

その場にいた全員がぎょっとするがクリスタは笑っている

クリスタ「・・・もう、びっくりするじゃない!冗談でもやめてよアルミン」

だがアルミンは乾いた笑みをこぼし

「・・・ご苦労さん」

それだけ言って発砲した

響く銃声に漂う火薬の匂い。一同は何が起こったのか理解できないまま

崩れ落ちるクリスタを呆然と見ていた

「クリスタ!」

誰かのその声に一同はっとなる。

ユミルがクリスタに駆け寄ろううとしたとき、アルミンはユミルに向かって引き金を引いた

ライナー「ユミル!」

間一髪、ユミルは机の下に潜り銃弾をやり過ごす

ジャン「おい・・・アルミン・・・お前・・・何やってるんだよ」

ジャンがアルミンに近寄ろうとすると、今度はジャンに向かって発砲した

ジャン「くっ」

ジャンは思わずのけぞると弾丸が頬をかすめた

それ以上は全員動けず膠着状態に陥ったとき、作戦室にエレン達が入ってきた

アルミン「やあ、エレン。思っていたより遅かったね」

エレンは部屋を一瞥する。奥の方では誰か倒れているようだ

エレン「アルミン・・・嘘だよな・・・」

アルミン「・・・・・・」

エレン「・・・なんとか言えよ!」

それに応えないままアルミンは不敵な笑みを浮かべ部屋から出て行った

アニ「アルミンを追うよ、エレン」

エレン「・・・ああ」

ミカサ「・・・・・・」

ジャン「まてよ!」

エレン「すまない・・・後で、説明する」

ミカサ「今は、私たちに任せて欲しい」

ユミル「それより早く!医療班を!クリスタが!」

サシャががハッとして通信機を手にする

ライナー「クリスタは・・・どうなんだ?」

ユミル「幸い、急所は外している。だけど血が止まらない」

アニ「みんなは、クリスタを頼む」

コニー「おい!お前ら・・・!」

エレン「・・・すまない」

ジャン「まあ、アルミンをこのままにはしておけないからな、頼む」

ミカサ「ええ!」

エレン、ミカサ、アニの三人はアルミンを追って出て行った

ライナー「まったく、今日はなんて日だよ・・・」

ジャン「これ以上考えたってどうにもならないさ、あいつらを待とう」

少し時はさかのぼり



エレン「アルミンが・・・元凶?」

グリシャ「正確には、アルミンに巣くったモノだ」

アニ「巣くうモノって私たちの光のような存在?」

グリシャ「少し違う。君たちの中にある光は別の存在でもあり、君たち自身でもある」

ミカサ「アルミンの中にあるのは全く違う存在ということ?」

グリシャ「かつてーーー」

かつて、大きな闇と光の戦いがあった。結果強き絆の光の前に闇は消滅したかのように見えた

だが、闇は完全に消滅しなかった

最後の力を振り絞り、一人の少年に憑依したのだ

エレン「その少年が、アルミンだってのか?」

グリシャは頷き、一枚の写真を出す

ミカサ「うわあ、すごく上手な絵」

アニ「これは写真って奴だよ」

エレン「アルミンが描いてあるけど、これは?」

グリシャ「百年前のアルミンだ」

エレン「百年前?」

アニ「こんなもの、どこに」

グリシャ「クリシスのデータベースの中だ」

アニ「!」

エレン「クリシスってあのでかいこんぴゅーたか」

ミカサ「?」

アニ「待って。何故クリシスのことを、いえ、なんでアルミンのデータが」

グリシャ「それは、アルミンがジオベースの開発者の一人だからだ」

アニ「まさか・・・」

グリシャ「そう、アルミンは天才児達によって結成された科学者ネットワーク、
     アルケミー・スターズのメンバーだ」

エレン「まて、俺とミカサがついて行けていない」

アニ「エレン、ミカサ。アルミンは「私達」と同じ世界の人間」

エレン「なんだって」

アニ「正確には、私たちが生まれるきっかけを作った人間ってとこかな」

グリシャ「とにかく、アルミンにとりついた闇は彼の中に潜み、力を蓄え続けた」

アニ「まさか、この鳥籠のような世界の構造は・・・そして巨人達は・・・」

グリシャ「おそらく奴が力を、マイナスエネルギーを集める為に用意した舞台」

エレン「もう少しわかるように話してくれないか?」

ミカサ「・・・もういい」

アニ「ミカサ?」

ミカサ「つまり、アルミンを助けるにはどうしたら良いの?」

グリシャ「その方法は一つ、アルミンの中に潜む闇を消すことだが、それが出来るのは」

グリシャ「お前達の光の力が必要になる。そしてミカサ」

ミカサ「うん」

グリシャ「アルミンと長い間共にいた、お前とエレンの心が、きっと必要になる」

エレン「親父、「アルミン」は生きているのか?」

グリシャ「もちろんだ。今のアルミンは停止した状態だ、闇にとらわれ成長することも死ぬこともない」

エレン「停止・・・」

ーーねえ、エレン。エレンはもし自分の中に得体の知れない物が
  自分の中に入り込んできたら自分はどうなってしまうと思う?

ーー自分の中にあるその大きな力が、はたして自分の自意識で制御できるものなのか、
  それとも何か別の意思が自分を動かしているのか

ーーやっぱり、エレンは強いね

エレン(すまない、アルミン。気付いてやれなかった・・・)

悔しさに握りしめたエレンの拳を、ミカサの手が包む

エレン「ミカサ・・・」

ミカサ「気付いてあげられなかったのは私も一緒、エレン、アルミンを助けてあげよう」

エレン「・・・もちろんだ」

エレンは力強く頷くとグリシャを見た

エレン「親父、アルミンにとりついた奴ってのは」

グリシャ「それは・・・」

ーーーー
ーーー
ーー

ジオベース内、以前ウルトラマンの石像があった場所にアルミンの姿があった

「やっぱり、ここにいたの」

アルミンが振り返るとそこにはエレン達三人の姿があった

アルミン「やあ、待ちくたびれたよ」

アニ「・・・もうアルミンの振りをするのは止しな」

アルミン「フフ・・・」

ミカサ「アルミンの心を、返してもらう」

アルミン「・・・心か」

エレン「正体を現せ、元凶・・・ダークザギ!」

アルミンはにたりと笑うと改めて三人に向き直す

「私はウルトラマンの影、無限に広がる闇の権化」

それは、アルミンの声ではなかった

「初めまして、光の適能者」

エレン「・・・アルミンを出せ」

「ああ、彼は眠っているよ。今度は永遠にかな?」

エレン「てめえ・・・」

ミカサ「あなたの目的は何?」

「私は、アニがウルトラマンの光と手にすることを予見していた。そこで私はクリシスを操り、ここの人間を使うことを考えた」

アニ「じゃあ、あの予言は」

「私が作為的に流した。幸運にもこの少年はクリシス開発者の一人だ。クリシスの操作など他愛なかったよ」

アニ「私たちを利用するために・・・」

「そのとおりだ、そして全ては、私の本当の姿を取り戻すため」

エレン「ふざけるな!」

アニ「じゃあ、私たちは何のために・・・私は・・・何のために・・・お父さん達を・・・」

「いやいや、まさか君がここの職員達を皆殺しにしてしまうとは、さすがに私も驚いたよ」

アニ「くっ・・・!」

ミカサ「アニ・・・」

エレン「てめえがそういう風に仕向けたんだろうが!」

「まだ完全に力の戻っていない私に、そこまでは無理だよ。まあ、背中を押すぐらいのことはしたがね」

アニ「・・・・・・」

「その後、この世界の人間に恐怖を与えるため巨人、そして怪獣を生み出した」

エレン「なに?」

「初めのうちは巨人しか作ることが出来なかったが、それでも人間達からマイナスエネルギーを吸い取るには十分だった」

「そうしてわずかずつだが力を蓄え、巨人に蓄積されたマイナスエネルギーを使い怪獣をよみがえらせた、アニの光の力を強めるためだ」

「クリシスを操ったのはアニ、君の心に闇の因子を植え付けるため」

アニ「・・・」

「そしてそれを確実にするために、駒を一つ用意した」

アニ「・・・まさか、ベルトルトはあんたが」

「ベルトルト・フーバー。才覚は非常に高いが主体性に欠ける嫌いがある。どんな判断も他者に委ね、確固たる自分を持たないが強い正義感も持ち合わせる、そして何よりアニ、君に強い情を持っていた」

アニ「・・・」

「ああ、実に、実に使い勝手の良い、最高の駒だったよ」

アニの身体が弾けたようにアルミンに向かって飛ぶ。

エレン「アニ!」

アニが放った鋭い蹴りは、アルミンがことも無く受け止めた

「ひどいな・・・これは人を殺せる蹴りだよ。君たちはこの少年を助けたいんじゃないのか?」

そう言って不敵に笑う

ミカサ「アニ、落ち着いて!」

「アニ、なぜベルトルトがあれほど光を求めたのか、その理由を知ってるかい?」

エレン「アニ!惑わされるな!」

「君に戦わせたくなかったからだ、君に普通の幸せを掴んで欲しかったからだ」

アニ「あんたは・・・」

「だが、人の心は脆い。自分が光に選ばれなかったことは、元々持っていた劣等感を膨らませる」

「結果、わずかに歪みの入った心に私は入り込んだ。後は簡単だったよ」

アニ「あんたはどこまで・・・」

「言ったろう?あれほど良い駒は無かったと」

アニ「どこまで腐ってるんだ!」

アニは後ろに後退するとアニレイターを掲げる

エレン「アニ!やめろ!」

アニ「うおおおおお!」

アニレイターから光が溢れ、アニはウルトラマンへと姿を変える。だが、

エレン「なんだ?」

アルミンの背後から黒い触手が伸びてきてアニの身体を拘束する

ミカサ「・・・なに、あれ」

それは黒くひずんだ肉塊に見えた

エレン「なんだ?闇の・・・塊?」

「・・・レーテ。百年に渡りマイナスエネルギーを吸い続けた光量子情報体」

レーテと呼ばれた物体から伸びた触手はアニの身体を自身の中に引きずり込もうとする

エレン「アニ!」

ミカサ「!」

エレンとミカサはレーテに向かってスーパーガンを放つがアルミンがその前に立ちふさがる

ミカサ「くっ」

エレン「アルミン!目を覚ませ!そんな奴に良いように使われてんじゃねえ!」

そのエレンの言葉にアルミンの身体がびくりと動く

「・・・まだ動けるのか」

そう言いアルミンは自分の手を見つめたあと、エレンを見る

「・・・エレン・・・君は唯一のイレギュラーだ」

エレン「なに?」

「君は、何者だ」

エレン「何度も言わせるな、俺は俺だ」

「・・・まあいい。今は」

アルミンはアニの方を見る。アニは今にもレーテの中に吸い込まれそうになっている

「そうだ、わずかに生じた私への憎しみを元に、光の力を闇の力に変換しろ!」

エレン「アニ!」

エレンがベータカプセルに手をかけるが、アルミンは衝撃波で二人を吹き飛ばす

ミカサ「ぐっ」

アニはとうとうレーテの中に吸い込まれていった

エレン「アニいいいい!」

「今こそ、復活の時だ!」

次の瞬間、レーテから闇が溢れ出す。アルミンはそれを確認するとレーテの中に消えていった

ミカサ「エレン」

エレンはミカサを見て頷く

エレン「ミカサ、行くぞ!」

ミカサ「ええ!」

二人はしっかりと手を結ぶと、レーテの、闇の中に飛び込んだ

濁流のようにうねる闇の中をエレンとミカサは手を取り合い進んでいく

少しでも気を抜けば闇の中に飲み込まれそうな感覚がずっと消えない

二人は繋いだ手に互いの存在を確認し合い突き進む

程なくして、アニの姿を見つける。光の力を全て吸い取られてしまったのか,元の姿に戻っていた

体中に鎖のように闇が絡みついて、アニの身体を縛り上げていた

気を失っているのか、アニは俯いたままピクリとも動かない

エレン「アニ・・・」

ミカサ「エレン、とにかくアニの所へ・・・」

ミカサの言葉に頷きエレンはアニに向かって歩を進めるが、闇の流れはますます強まっていく

エレン「くっ・・・ミカサ、離れるなよ・・・」

ミカサ「うん・・・」

ゆっくりだが、少しずつアニに近づいて行く。すると、

ごめんなさい

そんな声を、二人は聞いた

エレン「なんだ、今の」

ミカサ「アニの声のようだったけど」

ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・

そんな声と一緒にまわりに何かの映像が映し出される

エレン「なんだ、これ・・・」

そこに写し出されたのは、幼いアニと、ライナー、ベルトルト。そしてアニを抱きかかえる初老の男性

ミカサ「アニの、お父さん?」

やがてアニにアグルの光が降り立ち、周囲の祝福を受ける。しかし次の場面は

暴走したアニとそのまわりに転がる多くの死体、そしてそのアニに叫び続ける先程の初老の男性の姿だった

その後には、ライナーとベルトルトの姿も見える

ごめんなさい・・・

その映像に被さるようにアニの声も響き続ける

エレン「アニ・・・くそ!」

ミカサ「エレン、これは・・・」

エレン「おそらく、アニ自身の記憶だ」

ミカサ「そう・・・」

ミカサはアニを睨みつけると今度はエレンを引っ張るように前に進み出す

エレン「お、おい、ミカサ!」

ミカサはアニを睨んだままずんずんと前に進んでいく

ミカサ「アニ、あなたは間違っている。あなたは前に言っていた。私はただ自分が助かりたいだけだと」

ミカサのその言葉に呼応するように、まわりに映し出される映像が、今度は訓練兵時代のものになる

ミカサ「そのためなら、どんなものでも切り捨てることができると。その覚悟でいたと」

アニ「・・・ミ・・カサ・・・」

気がついたのか、アニがわずかに顔を上げる

エレン「アニ!」

だがミカサはかまわず続ける

ミカサ「だけど、結局あなたは何も捨てることはできない。・・・そう、あなたは弱い」

アニ「・・・わかって・・・いる。・・・私は、弱いよ・・・」

ミカサ「なのにあなたは、それに目を背けて自分一人で全てを抱え込もうとした」

アニ「・・・関係・・・無い・・・悪いのは・・・全て私・・・」

ミカサ「・・・それが」

アニ「全てを壊してきたのは・・・私・・・なら・・・どんなに重くてもどんなに辛くても・・・私が背負わなきゃ・・・」

言い終わるのが早いか、ミカサの手がアニの頬を叩いた

ミカサ「・・・それが間違い。弱いのなら、それを認めるのなら、一人で抱え込むのはやめなさい」

アニ「あんたに・・・何がわかる・・・私は・・」

エレン「いい加減にしろ!」
ミカサ「いい加減にしなさい!」

アニ「・・・!」

エレン「何度も言わせるな、お前の罪は俺たちが一緒に背負ってやる」

ミカサ「アニ、あなたは一人じゃない。それはあなた自身がよくわかっているはず」

アニ「でも・・・私は・・・」

エレン「・・・ほら」

そう言いエレンとミカサが手を差し出す

ミカサ「帰ろう。私たちの、帰るべき場所へ」

アニ「・・・うん」

アニがおずおずと二人の手に自分の手を重ね合わせるとアニを縛り上げていた鎖が消滅した

アニ「エレン・・・ミカサ・・・ありがとう」

エレン「気にすんなよ」

ミカサ「ええ、それに・・・アニが元気でいないと、張り合いが無い」

そう言いミカサはエレンをちらりと見て笑う

アニ「・・・あんた達は、ホントに・・・」

その時、周囲の闇がうねりを上げるように上昇し一点に集中し始める

エレン「アルミン!」

「アルミンはもうどこににもいない」

その声と同時に収束していた闇の中からアルミンの体が落ちてきた

ミカサ「エレン!アルミンが!」

エレン「くっ」

エレンがアルミンの元に駆け寄ろうとするよりも早く

ミカサが走りアルミンを受け止める

「もうその抜け殻に用は無い。好きにするが良い」

その声と共に、闇の濁流は消え、4人は元の場所に戻った

エレン「奴は、何を言って・・・ミカサ!アルミンは!」

だが、ミカサは固まったようにアルミンを抱いたまま動かない

アニ「ミカサ・・・アルミンは・・・」

ミカサ「・・・どうしようエレン」

そう言いミカサは2人を見る

ミカサ「アルミンが・・・息をしていない・・・」

エレン「はあ!?なんだよそれ、変な冗談はやめろ!」

ミカサ「だって・・・アルミンが・・・」

ミカサが今にも泣き出しそうな顔している

エレン「アルミン、アルミン!返事をしろ!!」

だが、アルミンは微動だにしない

エレン「まさか・・・アルミン・・・」

アニ「落ち着きな!あんた達!」

エレンとミカサはアニの方を見る

アニ「エレンのお父さんが言っていたのを忘れたの?アルミンはあいつの呪いで停止しているんだ」

ミカサ「停止って・・・」

アニ「アルミンは成長も老衰もしない、だからあいつを倒さない限りアルミンが戻ることは無いよ」

エレン「・・・今は、アルミンの身体が戻っただけでもよしとするべきなのか」

エレンは懐からベータカプセルを取り出す

アニ「・・・私も」

アニもアニレイターを持ち出すが・・・そこからアグルの光は消え去っていた

アニ「・・・そんな」

ミカサ「どういうこと?アニはウルトラマンにはなれないの?」

アニ「・・・・・・・!」

エレン「奴がアニの光を奪っていったんだ」

そう言うとエレンはベータカプセルを掲げる

ミカサ「エレン!」

エレン「ミカサ、二人を頼む」

アニ「エレン、あいつの相手は・・・一人じゃ無理だ!」

エレン「それでも・・・アルミンが待っている」

エレンは二人に振り返らず、ベータカプセルの光と共に闇を追っていった

ミカサ「エレーーーーーン!」

ミカサの叫びが静まりかえった空洞内に空しく響き渡った

一方その頃、科特隊本部では

ジャン「ライナー。クリスタの様子は?」

キース隊長に現状の報告を終え、医務室に来たジャンが、ライナーにそう聞いた

ライナー「ああ、弾は肩口を貫通していたようで、大事には至らないようだ」

そう言いながらも、ライナーはベッドに横たわるクリスタから心配そうに目を離せずにいる

コニー「・・・アルミンは何であんな事をしたんだ?」

ジャン「・・・さあな」

サシャ「・・・どうしてこんな事に」

ユミル「・・・・・・」

ユミルはクリスタの手を握りしめたまま何も言わず、ただクリスタに寄り添っている

ジャン「・・・今日の憲兵団の動きといい、アルミンが何かかんでいたのか?」

ライナー「可能性はあるな。アルミンは発明品の件で憲兵団にも顔が利くからな」

コニー「だけど、いくらアルミンでも、憲兵団は動かせないだろ?」

ジャン「・・・動かせる何かがあるのか」

ジャンがそう呟くとライナーが立ち上がり医務室から出ようとする

ジャン「おい!ライナー・・・」

ライナー「・・・ベルトルトにもう一度話をしてみる」

そう言いライナーは出て行った

ジャン「確かに、ベルトルトは何か知ってるかも・・・」

サシャ「なんです!?あれ!!」

サシャのその言葉に一同が外を見ると、すさまじい速度で黒い雲が空を覆い始めた

コニー「雨雲・・・じゃあ無いよな・・・あれ・・・」

サシャ「あんなに黒い雨雲なんて・・・」

ジャン「今度は何が起こってやがる」


科特隊本部地下深く、牢屋の中でベルトルトは一人呟く

「はじまったか・・・世界が闇で覆われる」

今日はここまでです。
もしまだ読んでくださっている方がいたらホントに申し訳なく思います
遅くてごめんなさい。ようやく仕事が落ち着いてきたので
何とか終わらせられるように少しづつでも描いていきます。それではお休みなさい

みるみるうちに黒い雲は空を覆い尽くし周囲は真夜中のように暗闇に落ちる

コニー「ジャン、どうする?」

ジャン「とにかく作戦室に行くぞ、何か情報が入るかもしれない」

その時、医務室のドアが開きミカサ達が入ってきた

サシャ「ミカサ・・・アニも・・・!」

ジャン「いいところに戻ってきた。エレンは?」

ミカサ「エレンは、先に街で避難活動を助けてる・・・」

ジャン「そうか・・・」

ジャンはそう言いながらミカサが抱えたアルミンに目をやる

ジャン「おい、ミカサ!アルミンは」

ミカサ「それは・・・」

アニ「私から、説明するよ」

ーーーーー
ーーーー
ーーー

ジャン「じゃあ、アルミンにとりついていた奴が、この状況を作り出しているのか?」

コニー「なんなんだ?怪獣とは違うのか?」

ミカサ「くわしい事はわからない。ただ、自分のことをダークザギだと名乗っていた」

サシャ「ダークザギ・・・会話できるんですから、人間なんですよね?」

アニ「どうだろう?どちらかと言えば意思を持った力の塊のようなものだと思う」

ジャン「なんだ、そりゃ」

コニー「ウルトラマンも似たようなものなのかな」

アニ「ウルトラマンは違う、ウルトラマンは光であり、人なんだ」

サシャ「光であり・・・人?」

ジャン「・・・お前、まさかウルトラマンの正体を・・・」

その時警報がけたたましく鳴り響く

『緊急通信、緊急通信、街に二体の巨人が出現』

コニー「!」

サシャ「まさか、さっき言ってた・・・」

ジャン「くっ作戦室に行くぞ!」

ミカサ「ええ」

そう言いミカサはアルミンをベッドに寝かせる

ミカサ「ユミル、アルミンのことも、お願い」

だがユミルは顔を曇らせる

ユミル「すまない。さっきの話は聞いてはいたが、私はまだクリスタの横にアルミンをいさせたくない」

ミカサ「!」

ユミル「さっきの話じゃ、まだアルミンが完全に元に戻った保証は無いんだろう?」

ミカサ「それは・・・」

ユミル「すまない。信じたいんだ・・だけど」

ユミルは思わずクリスタの手を握った両手に力を込める

アニ「・・・それなら、私がアルミンの見張りとして、ここにいよう。それなら、まだいいだろう?」

ユミル「・・・本当に、すまない」

アニ「いいさ、あんたの気持ちも、何となくわかるから」

アニはそう言うとミカサに近づき囁いた

アニ「ミカサ、エレンを頼む。今の私じゃエレンの力になれない」

ミカサ「・・・アニ・・・」

ミカサはアニの手を取ると力強く頷き、言った

ミカサ「わかった。アニ。でも、あなたの光は決して消えていないはず」

アニ「・・・そうだといいね」

そう、アニは薄く笑った

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ーーー

作戦室に行くと、ライナーとキース隊長がすでに待っていた

ジャン「遅れました!」

キース「うむ。早速だが、現状に急行して欲しい」

ジャン「はっ!」

コニー「ライナー、ベルトルトの方はどうだったんだ?」

ライナー「ああ、それが地下に降りる最中に警報を聞いたもんで戻ってきたんだ」

ジャン「今はそちらも後回しだ。すまないがサシャ、今日はお前が通信士になってくれ」

サシャ「わかりました!」

キース「すでに駐屯兵団によって住民の避難が開始されているが、
    巨人達の動きによってはお前達にも住人の誘導に回ってもらうやもしれん」

ジャン「了解しました。科学特捜兵団、出撃するぞ!」

「「「了解」」」

一同は武器を取り、現場へと走った

コニー「しっかしホントに夜みたいだな!今まだ夕方ぐらいだったよな?」

ライナー「ただ暗いだけじゃ無い。なんだ?この嫌な感じは」

ジャン「確かに、なんかこう胸の奥に薄暗え感覚が沸き起こってくるようだ」

ミカサ「マイナスエネルギー・・・人間の負の感情・・・」

ジャン「マイナス・・・なんだ?」

ミカサ「さっきのアニも・・・この闇にとらわれかかって、あんな・・・」

ジャン「ミカサ、この雲のことか?」

ミカサ「ええ・・・おそらくこの雲が人間の心に負荷をかけている」

ライナー「心に、負荷?・・・」

コニー「おい!あれ!」

コニーが指さす方向に、その巨人は居た

サシャ『巨人を発見!』

ジャン「わかってる!ウルトラマンも居るのか?」

サシャ『はい!その真っ黒巨人の向こう側に・・・でも、その巨人怖いです』

ジャン「ああ、ありゃあ前に見た巨人とは違う。今度のは明らかに・・・敵だ!」

ジャンの言葉が示すように漆黒の身体に深紅の紋様が浮き上がっている禍々しいその巨人の姿は、
全身から敵意を放っているようにも感じた

コニー「あれが、ダークザギって野郎なのか」

ミカサ「ええ、あいつを倒さないと、アルミンが!」

ミカサは眉をひそめると巨人に向かってスピードを上げる

ジャン「おい!ミカサ!・・・くっ」

ジャン「ライナーコニー!お前らは左翼からあの巨人を攻撃!俺はミカサを追って右翼から行く」

そう言い、ミカサの後を追ってスピードを上げる

ライナー「了解だ!気をつけろよ!ジャン!」

ジャンは腕を上げそれに応えると、更に速度を上げていった

コニー「大丈夫かよ、あいつら・・・」

ライナー「仕方ないだろう、俺たちも行くぞ!」

コニー「ああ!」

二人の巨人に近づいた一同が見たのは

黒い巨人の前に倒れたウルトラマンの姿だった

ミカサ(エレン・・・!)

ジャンがミカサに追いつくと、ミカサの腕をとり後退する

ミカサ「!ジャン、離して!」

ジャン「落ち着け、ミカサ。うかつに近づくな!」

そう言いジャンがウルトラマンに目をやると、ウルトラマンが苦しそうに立ち上がるところだった

ジャン「押されているのか?」

カラータイマーはすでに鳴り響いており、ウルトラマンは肩で息をしているように見える

ウルトラマンは構えるとダークザギに向かって突進するが、パンチもキックも軽くいなされたあげくあっけなくはじき飛ばされる

ライナー「おい、まさか・・・」

コニー「ウルトラマンが・・・」

ジャン「・・・手も足も出ないのか?」

ミカサ「・・・!!」

ミカサがダークザギに向かってスーパーガンを放つ

ジャン「くっ!お前ら!打て打て打て!!」

そのジャンの通信にライナーとコニーもハッとなりダークザキに向かって光線銃を放つ

しかし、ダークザキは命中しても全く意に介することも無くウルトラマンに近づいていく

ジャン「効果・・・無いのかよ!」

ウルトラマンはダークザキが近づいてくる気配に気付き、後方に転げながら立ち上がる

そして素早く構えると必殺の光線技を放つ・・・が、それもダークザギは片腕をふるっただけで消し去った

ライナー「・・・あれも、駄目なのかよ」

ウルトラマンは次々に技を繰り出すがそのどれもが弾かれてしまった

ダークザギはつまらなそうに首を振るとその右腕にエネルギーを集中させる

コニー「まずいぞ!」

次の瞬間、ダークザキの右腕から放たれた光線がウルトラマンのカラータイマーを撃ち貫いた

ミカサ「!」

ウルトラマンはそのまま動かなくなり、まるでスローモーションのようにその場に倒れた

ライナー「・・・あ、ああ・・・」

コニー「・・・ウルトラマンが、負けた・・・?」

ミカサ「エレン・・・」

ジャン「・・・なに?」

ミカサ「エレェェェェェェェェェェェェェェン!!」

ミカサは叫びながらその場に崩れ落ちる

ジャン「・・・まさか、エレンが・・・」

ジャンは倒れたウルトラマンを見る。予感が無かったわけではない。
しかし、にわかには信じがたいことだった。ウルトラマンの正体が・・・

ジャン「!ミカサ!」

ジャンは飛び出しかかったミカサを押さえつける

ミカサ「離して、離して!ジャン!エレンが!」

その時、ウルトラマンが再び立ち上がろうとする

ミカサ「エレン!」

だが、その身体から光は消え去り、ウルトラマンの身体は、足下から石化していった

ダークザギはそれを見届けると、空を覆う雲の中に消えていった

ミカサ「・・・嘘・・・エレン・・・エレン・・・」

ジャン「ミカサ、落ち着け!」

ミカサ「いや、離して・・・エレンが・・・離して!」

ジャン「ミカサっ!」

ジャンはミカサをこちらに向かせると思い切りミカサの頬をぶった

ミカサ「っ!・・・」

ジャンはそのままミカサの胸ぐらを掴むとミカサを睨み付けて言った

ジャン「いい加減にしろ!俺たちが今しなきゃならないことは何だ!」

ミカサ「・・・」

ジャン「いいか、エレンは、ウルトラマンは負けたんだ!なら今度は誰が戦わなきゃならねえ!」

ミカサ「・・・」

ジャン「そんな時だからこそ、俺たちが浮き足立つわけにはいかねえだろうが!」

ミカサ「ジャン・・・」

ジャン「俺たちの後ろには、守らなきゃならねえ大勢の人間の命があるんだ!」

ミカサ「・・・!」

そこまで言うと、ジャンはミカサを掴んでいた手を離す

ジャン「それに、エレンが死んだとは、まだ限らねえだろう」

ミカサ「え?」

ジャン「本部に戻るぞ、こうなったら何が何でもベルトルトの野郎に話聞かなきゃならねえ」

ミカサ「・・・」

ジャンは通信機を手にする

ジャン「コニー、ライナー。いったん本部に戻るぞ」

ライナー『ああ、ジャン何かあったのか?』

ジャン「ああ、いや、ウルトラマンがやられて少し動揺しただけだ。
    ダークザギの奴も消えた今ここに居てもしょうがねえ」

ライナー『わかった。本部で合流しよう』

ジャン「了解」

ジャンは通信機を切ると歩き出し、ミカサに背を向けたまま言った

ジャン「・・・ミカサ・・その・・・すまなかったな、ぶったりして」

ミカサは微笑むと首を横に振った

ミカサ「いいえ・・・ごめんなさい。私は冷静じゃ無かった・・・ありがとう、ジャン」

ジャンは照れくさそうに頭を掻くと

ジャン「別に・・・かまやしないさ・・・」

それだけ言って歩いて行った

ミカサは石像となったウルトラマンを見る

ミカサ「エレン、きっと生きてるよね。まってて、必ず・・・必ず助けるから!」

ミカサは拳を握りしめると踵を返しジャンの後を追った

本日はここまで、ではおやすみなさい

ジャン「奴の目的は何なんだ?」

本部に戻ってきた一行は医務室に来ていた。そこでそうジャンが切り出した

アニ「自分の姿を取り戻すため・・・とは言っていたよ」

サシャ「あの真っ黒巨人の姿がそうなんじゃないんですか?」

ジャン「どうだろうな・・・だが今までの奴と違って目立った破壊行動は起こしていない」

コニー「じゃあ、あの雲は何なんだ?ミカサが何か言ってたじゃ無いか・・あー・・・なんだっけ」

ミカサ「マイナスエネルギー」

コニー「そう、それだ!で、あれがあるとどうなるんだっけ」

アニ「憶測でしかないけど、あの雲で人の心に負荷をかけてマイナスエネルギーを出させようとしているんだ」

ジャン「何のために?」

アニ「わからない。単純に考えれば力を蓄えようとしているんだろうけど」

コニー「でも、あいつあんな簡単にウルトラマンを倒しちまったんだぜ?これ以上力なんているのかよ」

アニ「それは・・・」

アニが言いよどんだところで、ドアが開きライナーが入ってきた

ライナー「・・・連れてきたぞ」

ライナーの後にはベルトルトの姿があった

アニ「・・・ベルトルト」

ベルトルトは何も話さず、ライナーに促されるままに部屋に入ってくる

ジャン「ベルトルト、悪いが非常事態になった。有無を言わさず話して貰うぞ」

ベルトルト「・・・非常事態か・・・今更・・・」

そう言って笑うベルトルトに、ミカサが掴みかかろうとするのをアニが止める

アニ「ベルトルト・・・あんたはいつからアルミンのことを知っていたんだい」

ベルトルト「・・・アルミンのことは何も、僕が知っているのは闇の方だよ」

ライナー「ダークザギ・・・何者なんだ?」

ベルトルト「それについてはアニ、君の方がよく知っているだろう?」

一同はアニの方を見る

アニ「何の話?」

ベルトルト「奴はずっと君の横にいたんだ、あの日・・・君が暴走したあの日から」

アニ「!」

ベルトルト「僕はおまけだよ、全ては君のためだったんだ」

アニ「・・・ああ、おかげでこの有様さ」

そう言いアニは光を失ったアニレイターをベルトルトに見せる

ライナー「おい・・・その話は・・・そのブレスレットは・・・」

アニ「ライナー・・・ごめん。あんたには忘れていて欲しかったけど、もう隠し通せないんだ」

ジャン「・・・ああ、そういうことか」

ジャンが三人を見ながら一人俯く

ミカサ「・・・・・・」

コニー「な、何だよ!どういうことだよ!」

ジャン「どうもこうもないさ、あいつがウルトラマンなら、そういうことだよな・・・」

ジャンはそう言いアニの顔を見る

アニ「ああ、あんたの考えは、当たっている」

サシャ「つまり、どういうことなんです?」

ジャン「つまり・・・アニがあの青いウルトラマンなんだ」

コニー「は?」

サシャ「え、ええええええ!?」

ジャン「それともう一つ、赤いウルトラマンの正体は、エレンだ」

ミカサ「・・・」

サシャ「え・・・?」

コニー「おい、冗談だろ」

ミカサ「・・・ジャンが言っているのは、本当」

コニー「なんだよそれ、なんでそんな大事なこと、俺たちに話さないんだよ?」

ジャン「話せるか?」

アニ「・・・」

コニー「え?」

ジャン「俺たちはなんだかんだ言ってウルトラマンを化け物扱いしてきたんだ」

コニー「いや・・・それは・・・だって・・・」

ジャン「いや、あの馬鹿がどこまで考えていたのかは知らねえ。だけど・・・」

アニ「あいつは、話そうとしていたよ・・・」

サシャ「アニ・・・」

アニ「あいつは、あんたらにだけは正体を明かそうとずっと悩んでいたんだ・・・」

アニ「その結果、居場所を失うことになったとしても・・・」

ライナー「あいつは馬鹿だ!俺たちがそれを知って、それでも化け物扱いするとでも思ったのかよ!」

ベルトルト「だけど、事実。正体を知られれば、二人はもうここには居られなくなるだろうさ」

サシャ「どうして!私達はエレンとアニを追い出したりしませんよ!」

ジャン「俺たちじゃない、俺たちの周囲の人間達だ」

ライナー「ウルトラマン討伐指令か・・・」

サシャ「で、でも!これでウルトラマンが私達の味方だって分かったじゃないですか!」

コニー「そ、そうだよ!もうこれで身の潔白は証明されたようなもんだろ?」

ベルトルト「・・・そうだといいけどね」

そう言い鼻で笑うベルトルトをその場にいた全員が睨みつける

ベルトルト「・・・じゃあ君たちはエレンやアニではなく、見ず知らずの他人がその正体だったら、信じることができたか?」

コニー「それは・・・」

サシャ「うう・・・」

アニ「かまわないさ、あんた達が信じてくれる。それだけで十分だよ」

ミカサ「アニ・・・」

サシャ「そうですよ!私達104期生は絶対にエレンとアニのことを信じます!ねえ!」

ライナー「はは・・・そうだな・・・」

ジャン「ま、しゃくだが信じてやるさ」

コニー「おう!」

ミカサ「みんな・・・」

サシャ「ユミルも!」

一同の後の方でクリスタの側にいるユミルは何も言わず手を振った

サシャ「ユミルう!」

ユミル「なんだよ、まったく」

「だめだよ・・・ユミル・・・そこで照れちゃ・・・」

ユミル「クリスタ!」

そのユミルの声に全員がクリスタの方を見る

そこにはユミルの手を借りてゆっくりと上体を起こすクリスタの姿があった

ライナー「クリスタ!」

その場に居た全員がクリスタの元に駆け寄る

サシャ「クリスタ、大丈夫ですか!?」

クリスタ「うん、心配かけてごめんね」

ユミル「あんまり無理すんな、クリスタ」

クリスタ「大丈夫だよ、ユミル。ありがとう」

クリスタは後ろの方に居るベルトルトに気付く

クリスタ「ベルトルト、帰ってきたんだ。よかった・・・」

ベルトルト「・・・」

クリスタ「おかえり、ベルトルト」

ベルトルト「・・・うん」

ライナー「なにが「うん」だ、この野郎」

ライナーがベルトルトのお玉を小突く

コニー「ホントだぜ、さっきまでの態度は何なんだよ」

ジャン「まあ、クリスタにああ言われちゃしょうが無いけどな」

アニ「・・・まあ男なんてそんなもんでしょ」

ミカサ「エレンはそんなこと言わない」

サシャ「みんな静かにしましょうよ!」

ユミル「おまえがうるせえよ」

クリスタ「あはは」

クリスタが思わず笑い出すと、みんなつられて笑い出す

ミーナ「こんにちわ、アニ、いる?」

そこにミーナが入ってきた

ミーナ「あれ、なんか盛り上がってるね!」

ライナー「ミーナ、どうしたんだ?」

アニ「私が呼んだんだ、ちょっと調べて欲しいことがあったから」

ベルトルト「・・・・・・・」

ミーナ「・・・・・・・」

ミーナはベルトルトを見るとそそくさとアニの後ろに隠れた

ベルトルト「・・・心配しなくてももう何もしないよ」

だがミーナはジト目でベルトルトを見るだけで答えようとはしない

アニ「まあ、それはともかく・・・」

ベルトルト「・・・」

ミカサ「話を戻そう。ベルトルト、エレンは無事なの?」

ベルトルト「・・・おそらくは。話を聞いた限りじゃエネルギーを使い果たして石化したようだけど」

ジャン「死んだ訳じゃないんだな」

ベルトルト「何ともいえないよ。もし石像化しただけなら、なぜあいつがそれを破壊せずに去ったかが気になる」

ジャン「結局不確かなことばかりか。奴の目的が分かれば・・・」

ミカサ「でも、エレンが助かる可能性がある。今はそれで十分」

ミーナ「あれ?ひょっとして、アニ達のことばれちゃったの?」

ミーナがアニの耳元でそう囁くとアニはこくんと頷く

ミーナ「そっか・・・でも、エレンのことは大丈夫だよ!」

そう手を叩くミーナにアニが問う

アニ「・・・どうして大丈夫なの?」

ミーナ「アニがいるじゃない!こう、ウルトラマンの不思議ぱわーでどかーんと」

サシャ「おお!」

コニー「なるほど!」

ジャン「・・・お前ら黙っててくれ」

盛り上がる三人を横目にジャンが頭を抱える

ベルトルト(あながち、間違いって訳でもないけどね)

アニ「とにかく、まずはエレンを助けよう」

アニの言葉にミカサも頷く

ジャン「しかし、エレンを助けたところでその後は、あの黒い巨人に勝てるのか?」

アニ「わからない、でも今は、ウルトラマンの力を信じるしか無い」

サシャ「そうですよ!今度はエレンとアニが一緒に戦えばきっと勝てますよ!」

アニ「・・・私は」

アニはアニレイターを見て顔を曇らせる

アニ「私には・・・もう変身できる力を持っていない」

ベルトルト「そう考えるのは早計だよ」

アニ「ベルトルト?」

ベルトルト「アニも覚えているだろう?ジオベースの地下にあった石像のことを」

アニ「・・・ああ」

ベルトルト「あの時使った光遺伝子コンバータを使う」

アニ「でもあれは・・・」

ベルトルト「君は知っているだろう?その変身道具はあくまで触媒。
      光になるのはアニ自身なんだ」

アニ「・・・」

ベルトルト「今のエレンとアニは状態としては同じ、光の力を根こそぎ持って行かれている」

ジャン「よくわからないが、力を呼び起こすきっかけを作ろうってのか」

ベルトルト「そうだ、試してみる価値は、あると思う」

ミカサ「それがうまくいけば、エレンも助けられる?」

ベルトルト「そこから先は、アニの・・・アグルの力が必要になるだろう」

アニは拳を握りしめるとベルトルトを見据え言った

アニ「わかった。試してみよう。私はもう一度、アグルと一つになりたい!」

>>470
誤)ライナーがベルトルトのお玉を小突く
正)ライナーがベルトルトの頭を小突く

今までも散々誤字脱字あったけどさすがにコレは訂正・・・なんだよお玉って

ーーーーーーー
ーーーーー
ーーーー

闇に包まれた街の中を、アニ、ベルトルト、ライナー、ミーナの4人は走っていた

一行はアニの光の力を取り戻すためジオベースに向かっていた

その途中、ミーナに憲兵団のことを調べてもらうため途中まで送っていたのだが

アニ「ライナー、あんたは無理してこなくても・・・」

ベルトルト「君にとっては、あの場所は辛い過去を思い出すだけだと言っただろ」

ライナー「・・・すまない。アニ、ベルトルト」

アニ「ライナー?」

ライナー「俺はお前達の兄貴分を気取りながら、お前達の苦しみを少しも分かってやれて無かった」

ベルトルト「・・・」

ライナー「記憶無くして、一人で逃げ出して・・・情けねえ・・・」

アニ「それは違うよ」

ライナー「え?」

アニ「あんたがあんたでいてくれたから、私達は転がりながらもここまでこれたんだ」

ベルトルト「ライナーは後ろの方で兄貴面をしていればいいんだよ。それだけで僕らは救われる」

ライナー「アニ・・・ベルトルト・・・」

ミーナ「・・・」

ライナー「・・・でもお前が俺を撃ったことは忘れないからな」

ベルトルト「う・・・」

アニ「ふふ・・・」

ミーナ「あはは」

ライナー「ははは・・・ん?」

ライナーが前方を見るとなにやら騒がしい

アニ「?なにかあってるの?」

4人が近づくと、そこには暴徒と化した民衆が暴れ回っている光景だった

ミーナ「なに?なにがおこっているの?」

ベルトルト「これは・・・」

ライナー「おい!なにをやっている!やめろ!」

街中を破壊してまわっている暴徒の一人を、ライナーが止めようとすると

周りにいた暴徒が一斉に4人の方を向く

アニ「・・・!こいつら」

暴徒「うるせえよ!もうこの世界は終わりだ!」

暴徒「そうだ!もう俺たちはおしまいなんだ!」

暴徒達は手に武器を持つと、4人に襲いかかる

アニ「引くよ!」

アニの言葉で4人は反転して逃げだす

ミーナ「なんなの?あの人達」

ベルトルト「あの雲のせいだ、人の心に暗い影を落とし続けている」

アニ「ウルトラマンが負けた事実はみんな知っているだろうから、なおさらだね」

アニはそう言って遠くに見える石像になったウルトラマンに目をやる

ベルトルト「そうか・・・そのために石像を残しているんだ」

ライナー「どういうことだ?」

ベルトルト「言っただろう?奴の目的の1つはエネルギーの確保だと」

アニ「あの石像を見せつけて人々の心に不安を植え付けるため」

ベルトルト「わかりやすい敗北の記念碑を建てたつもりなのさ」

ミーナ「そんな・・・」

アニ「ミーナ、危ない!」

いつのまに回り込んだのかミーナの目の前に数人の暴徒が来ていた

ミーナ「くう!」

ミーナは掴みかかってきた暴徒のアゴに掌底を打ち込むとそのまま背負いで投げ飛ばす

ミーナ「元訓練兵を嘗めないでよね」

だが、暴徒の一人がミーナのおさげを掴み引っ張る

ミーナ「きゃあ!」

アニ「・・・!」

その暴徒の手をアニの蹴りが跳ね上げ、続いたライナーが体当たりで弾き飛ばした

アニ「ミーナ、数が多い。正面から相手をしない!」

ミーナ「う、うん」

ミーナはそう言いアニの後ろに回った

ベルトルト「しかし、結構な数だね」

アニ「ミーナに憲兵団のことを探って欲しかったけど」

ライナー「こんな中を一人置いていけないぞ」

ミーナ「う、うん。わたしも、ちょっと怖いかなあって」

ベルトルト「しょうがない。ミーナもジオベースに連れて行こう」

アニ「そうね」

アニはそう言うと、ゲートのスイッチを押した

その頃、科特隊本部にも暴徒の報告が入ってきていた

ジャン「これが、マイナスエネルギーとやらのせいだってのか?」

作戦室のモニターには、街を破壊してまわる暴徒の姿が映し出されている

コニー「あいつら、大丈夫なのかよ」

ジャン「あいつらなら、無理して戦おうともしないはずだ。無事だとは思うが」

サシャ「駐屯兵団の人たちが鎮圧にかかってますけど」

コニー「さっきから暴徒の中に駐屯兵団の兵士達が混ざってないか?」

ジャン「誰だろうと関係ない。あの雲のせいで自制心が利かなくなってるんだ」

キース「キルシュタイン、貴様はあの雲が今回の暴動の原因だと言ったな」

ジャン「はい」

キース「ならばあの雲、あれを消し去る手段はあるのか?」

ジャン「はい。光の巨人を甦らせます」

キース「・・・それはならん」

サシャ「なぜです!?」

キース「知っておろう、件の討伐令を」

サシャ「でも!」

キース「上の勅令に逆らえば科特隊そのものの存続に関わるぞ」

ジャン「それでも・・・それこそが、科特隊の取るべき道だと私は考えます!」

キース「・・・」

ジャン「我々の目的は、人々を、世界を守ることのはず!ならば・・・!」

コニー「お願いします!俺たちには、あの光が必要なんです!」

サシャ「お願いします!」

クリスタ「・・・私からもお願いします」

そこに、ユミルとミカサに肩を借りながら,クリスタが入ってきた

キース「レンズ。貴様、怪我は・・・」

クリスタ「私も科特隊の一員です。この非常時に少しの怪我で眠ってはいられません」

ユミル「・・・隊長。この先がどうなるのか、なんてどうでもいいんですよ」

ミカサ「今こそ、私達が戦わなくてはならないんです、彼と共に」

ミカサのその言葉と共に、その場にいた全員の目がモニターに映し出されたウルトラマンの石像に行く

ジャン「隊長には今までも散々ご迷惑をおかけしてきました…」

ジャン「けれど、これが最後です!」

ミカサ「・・・」

コニー「・・・」

サシャ「・・・」

ユミル「・・・」

クリスタ「・・・」

ジャン「俺たちは、ウルトラマンと共に戦う道を選びます!」

キースは隊員達の瞳を見て溜息をつく

キース「これで最後だと?いままで私がどれだけお偉方に頭を下げてきたと思っている・・・今までも、そしてこれからも」

ジャン「隊長・・・」

キース「貴様達はよほどあの光に魅せられたらしい」

ジャン「あ・・・いえ・・・その・・・」

キース「・・・まあ、私も人のことは言えんがな」

そう言うとキースは立ち上がり作戦室を後にしようとする

ジャン「隊長!」

キース「あとは好きにしろ、上へは私が何とか説得してみよう」

ミカサ「あ、ありがとうございます!」

キース「なに、山のような始末書に後数枚足されたところでさほど変わらんさ」

ジャン「隊長・・・」

キースはジャンに向き直り姿勢を正す

キース「キルシュタイン!後の指揮は貴様に一任する!」

ジャン「は・・・はっ!」

キース「私も出来る限りを尽くそう。貴様達も命を賭して任務に当たれ!以上だ!」

「「「はっ」」」

その場にいた全員が敬礼をする。キースもまた敬礼を返し、中央本部へと向かった

その途中、キースは隊員達と初めて逢った時を思いだす

キース(ほんの少し前まではほんの小僧共だったが・・・)

キースは教え子の成長した姿に頬を緩ませる

キース「もう、私も引き時かもしれんな」

「まだ、引退を考えるのはお早いのでは?」

キースがその声に顔を上げると

グリシャ「・・・久しぶりだな、キース」

キース「グリシャ・・・お前・・・」

かつての旧友、グリシャの姿があった

再び科特隊本部・・・

ジャン「よし、作戦は先ほどの手はず通りベルトルトからの連絡待ちだな」

コニー「その前に、俺たちに出来ることは無いのか?」

ミカサ「少なくとも、アニがウルトラマンに戻れるか、例のものを持ってこれるかどちらかが起こらない限り動けない」

サシャ「なんだかもどかしいですね、それに・・・」

サシャがモニターに映る暴徒達を見る

クリスタ「大丈夫かな、みんな」

ジャン(今はある程度はしょうが無い。問題は、やつがいつ動き出すかだ)

その時、作戦室の扉が開く

ジャン「誰だ!」

この言葉に全員の視線が扉に行く。その先には・・・

ミカサ「・・・アルミン!」

ミカサの言葉通りアルミンが、作戦室に入ってきたのだ

その姿にユミルがクリスタの前に立つ

クリスタ「・・・大丈夫。ユミル。大丈夫だから」

ユミル「・・・ああ」

ミカサはいち早くアルミンの元に行くとアルミンを抱きしめる

ミカサ「アルミン、気がついたの?よかった、本当によかった」

アルミン「・・・あの・・・」

ミカサ「なに?アルミン、どうしたの?」

アルミン「・・・あの」

アルミンは肩をすくませ申し訳なさそうにいった

アルミン「・・・おねえちゃん、誰?」

ここまでです。書いたのに納得できなくてプロットを崩しては立て直し崩しては立て直し…おわるのかこれ

ミカサ「何を言っているの?アルミン」

アルミン「・・・あの・・・ぼくは・・・」

ミカサ「アルミン・・・しっかりして!」

そこに、ジャンが割って入ってきた

ジャン「おい、お前は誰だ」

ミカサ「ジャン?」

アルミンはそのジャンの問いかけに首を横に振る

アルミン「・・・わからないんです・・・ごめんなさい」

ミカサ「名前も?」

アルミン「・・・はい」

----------その抜け殻に用は無い

ミカサはダークザギの言葉を思い出し拳を握りしめる

ユミル「・・・まだ、操られている可能性は?」

クリスタ「ユミル・・・!」

ユミル「お前のことだけじゃない。大事なことだ」

ミカサ「そんなことは・・・!」

ジャン「いや、ユミルの言うとおりだ」

ミカサ「ジャン!」

ジャン「だからミカサ、お前がアルミンを見張っていてくれ」

ユミル「お前なら、何かあっても対処できるだろう」

ミカサ「ジャン・・・ユミル・・・」

ミカサは二人に頷くとアルミンの手を取り、言った

ミカサ「あなたはアルミン。アルミン・アルレルト」

アルミン「・・・アルミン。それが僕の名前?」

ミカサ「そう、私とエレンの・・・大切な友達」

アルミン「エレン・・・」

その時、作戦室の通信機が鳴り、クリスタが通信機を取る

アニ『こちらアニ。聞こえる?』

クリスタ「アニ!うん、聞こえるよ」

ベルトルト『どうやらうまく繋がったようだね』

ジャン「これで俺たちもそっちに行けるのか?」

アニ『ああ。そちらの座標にゲートを移した。あんたに渡したスイッチを』

ジャン「わかった。おまえら、俺に近づけ」

コニー「よし!」

ユミル「クリスタ、立てるか?」

クリスタ「うん。ありがとう、ユミル」

サシャ「ミカサ、行きましょう!」

ミカサ「ええ、アルミン、行こう」

アルミン「・・・僕も、一緒に?」

ミカサ「もちろん、あなただけをおいていったりはしない」

アルミン「・・・うん。ありがとう」

アルミンはおずおずとミカサの手を取った

ミカサ「ジャン!」

ジャン「よし!」

ジャンがスイッチを押すと、周囲の空間が歪み始める

サシャ「わ・・・わわわ・・・」

やがて周囲のゆがみが消えると、科特隊一行はジオベース内に移っていた

ジャン「・・・ここは」

ライナー「みんな、こっちだ」

一行は機械で囲まれたその異様な光景に息をのみながら、ライナーに連れられて
クリシスの元までたどり着いた

アニ「・・・来たね」

ミカサ「アニ、ウルトラマンには・・・」

ベルトルト「それはまだだ。少し問題が起きて急遽君たちもここに呼んだんだ」

ジャン「問題?」

アニ「まあ、予想はしていたんだけど、ダークザギがここの中枢を破壊していってたんだ」

ジャン「つまり」

ベルトルト「ここのシステムはほとんど使えない」

ミカサ「でも、最初の計画ではここからエレンに光を与えることが出来ると…」

ベルトルト「ここのシステムが使えない以上、ここから光遺伝子コンバータで
      ウルトラマンに光を与えることはできない」

コニー「じゃ、じゃあどうするんだよ」

アニ「光遺伝子コンバータを直接現場に持って行きそこで起動させるしかない」

ジャン「ああ、お前らが言っていた最後の方法か」

ベルトルト「ああ。ただし、その場合放射できるエネルギーに制限がつく」

アニ「そこであんた達に光遺伝子コンバータで、エレンに光を送っている間に
   私たちはここでクリシスの復旧を試みてみる」

ミカサ「アニは・・・」

アニ「まずはエレンだ。そうでしょうミカサ」

ミカサ「・・・」

ジャン「復旧は可能なのか?」

ベルトルト「わからない。せめてアルミンがいたなら・・・」

アルミン「・・・僕ですか?」

ベルトルト「・・・ああ、君がいてくれたら」

アルミン「・・・」

アニ「・・・」

ベルトルト「・・・」

アニ・ベルトルト「アルミン!?」

アルミン「はい」

アニ「どっ・・・な・・・ミカ・・・」

アニがミカサを見ると、ミカサは科特隊本部でのことを話す

アニ「どういうこと?あいつの影響で停止しているはずのアルミンがなぜ…」

ミカサ「…わからない」

ベルトルト(…考えたくはないけど、これも奴の計画なのか?)

アニ「・・・ねえ、アルミン」

アルミン「はい」

ベルトルト「これが、わかるかい?」

二人はクリシスの元へアルミンを連れて行く

アルミン「・・・ごめんなさい」

ベルトルト「・・・そうか」

アニ(確かにあの時、ダークザギは抜け殻だからいらないと言っていた)
  (今のアルミンには過去全ての記憶がないから?)
  (なら、アルミンとして生きていた記憶は?)
  (アルミンは、いつからアルミンだった?)

ミカサ「アニ・・・」

アニ「・・・ねえ、みんな、聞いて欲しいことがあるんだ」

ジャン「聞いて欲しいこと?」

アニは話した。自分たちの生い立ちのことを、自分たちの使命のことを

アニ「・・・・・・ということなんだ」

コニー「いや、突拍子もなさ過ぎて」

ユミル「なんか、おとぎ話を聞いている気分だよ」

サシャ「・・・あの、アニ達も私たちと同じ人間なんですよね」

アニ「ああ。生まれる方法が違うだけで同じ人間だよ」

コニー「生まれる方法って?」

アニ「え?・・・あ・・・いや・・・その・・・」

サシャ「?」

アニ「だ、だから・・・ほら・・・お、おしべと・・・めしべが・・・」

アニは横で必死に笑いをこらえているミーナを小突く

アニ「とにかく、私たちは人間だよ」

サシャ「それなら、どうしてアニとエレンだけがウルトラマンになれるんです?」

アニ「・・・どうしてだろうね」

アニは自分の腕にあるアニレイターを見る

アニ(どうしてアグルの光は私を選んだんだろう・・・ねえ、お父さん)

コニー「なあ、エレンもアニ達と同じ生まれなのか?」

アニ「エレンはあんた達と同じ、この世界の生まれだよ」

ベルトルト「そんなはずはないだろう?ならなぜ光の遺伝子を持っている?」

アニ「そう思って、このデータベースを洗ってみたことがあるんだ」

アニ「だけど、少なくとも私たちと同じ遺伝子プールで生まれたわけじゃない」

アニ(そういえば、エレンのお父さんはどうしてここの事を知って…)

アニはアルミンを見る

アニ(もしかして…エレンのお父さんはアルミンを連れてここから…)

ジャン「アニの話はわかった。アルミンが、やたらいろんなもん作れた理由がわかったぜ」

ベルトルト「もともと全ての知識を、アルミンは持っていたんだ」

ジャン「なら、アルミンならここの復旧も出来るはずか」

ベルトルト「以前のアルミンならね」

ジャン「何とかしてアルミンが戻れればいいんだが」

ベルトルト「無理だろうね。ダークザギがそんな不安要素を残しておくとは思えない」

アニ(もしくはアルミンを切り捨てなければならない理由があったのか)

ジャン「だが、アルミンにもクリシスの復旧にあたって貰おう」

ライナー「・・・何か思い出すかもしれないか」

ジャン「とにかく今は行動だ。俺、コニー、サシャ、ライナーは例の機械を持って
    ウルトラマンの所へ、ユミルとクリスタ,ミーナはここで連絡係として残ってくれ」

ベルトルト「アニと僕、アルミンはここでクリシスを復旧か」

ミカサ「ジャン、私は・・・」

ジャン「正直、ミカサにもエレンの方に行って貰いたいんだが」

ベルトルト「今はアルミンの方についていて貰った方がいいかもね」

ミカサ「・・・わかった」

ジャン「じゃあ、行くぞ!」

その時、爆発音と共に大きな衝撃が起こり全員その場に倒れる

ジャン「な、なんだ!何があった」

ベルトルト「地下だ・・・巨人が、施設を破壊している」

ライナー「なに?」

隊員達がベルトルトの見ていたモニターをのぞき込むと、無数の巨人が暴れ回っていた

コニー「な、何だって巨人が・・・」

アニ「あいつの置き土産だろう」

ジャン「オレ達が行動を起こすのを見計らって動き出すように、か」

サシャ「なんでそんなことを・・・」

ベルトルト「単純だよ、未だに光に希望を見る僕たちに絶望させるため」

ミカサ「・・・全てはマイナスエネルギーを集めるため」

ジャン「あそこを破壊されるのはまずいのか?」

アニ「・・・光遺伝子コンバーターはあそこにある。このままじゃエレンが!」

そう言うが速いか、アニは地下へと駆け出した

ジャン「おい、待て!単独行動は・・・くっお前ら!オレ達も続くぞ!・・・ミカサは?」

ライナー「アルミンを抱えてとっくに行ってるぞ」

ジャン「どいつもこいつも・・・」

ライナー「クリスタ、ユミル、ミーナ。お前達はここにいろ」

クリスタ「でも!」

ベルトルト「ここは完全にシャットアウトできる。ここの方が安全だよ」

ユミル「ここの通信施設は使えるのか?」

ベルトルト「ああ、科特隊本部の物とそう変わらないから、君たちでも使えるはずだ」

ライナー「モニターで状況を確認しながら報告をたのむ」

ミーナ「う、うん!まかせて!」

ジャン「じゃあ行くぞ!ベルトルト道案内を頼む!」

ベルトルト「ああ」

ベルトルトは頷き先陣を切ると、科特隊隊員はそれに続いた

ジャン達が地下に到着すると、すでにミカサとアニで半数の巨人を倒していた

ジャン「あの二人はさすがだな、後どれくらい残っている」

クリスタ『あと、10m級が20体ほど』

コニー「よし、後それだけならとっととやっちまおうぜ!」

ライナー「よし!行くぞ!」

サシャ「はい!」

ジャン「お、おい!油断するな!確実に一体一体仕留めていくんだ!」

「「「了解!」」」

ベルトルト「でも、皮肉なもんだね・・・」

ジャン「なにがだ?」

ベルトルト「ほんの少し前までは巨人一体倒すのにどれだけの犠牲を払ったことか」

ジャン「確かに、こんなものがあれば、そりゃあ巨人なんてな」

ジャンはそう言い手にあるスーパーガンに目を落とす

ベルトルト「まあ、巨人が倒せないようじゃ、この状況は覆せないんだろうけどね」

ジャン「まあ、な・・・」

ベルトルト「光となり導くもの・・・その存在が人を強くする」

ジャン「お前は、そのためにあんな事をやらかしたのか?」

ベルトルト「まあ、アニとエレンに否定されたけどね」

そこに二体の巨人が襲いかかってきた。二人は素早く後退すると巨人を回り込むように動く、
それにつられて動いた巨人の背後から、ミカサとアニが斬りかかった

二人の刃は確実に巨人の急所を捕らえ、巨人を倒した

ジャン「助かったぜ」

ミカサ「二人とも、油断しない」

アニ「男二人こんな所に突っ立ってなに話してるのさ」

ベルトルト「別に。持つものと持たざるものの話さ」

ジャン「人を導くべきは光なのか、それとも・・・」

アニ「まだ、そんなこと言ってるのかい?言ったでしょう?ウルトラマンは光であり人だって」

そのアニの言葉に、ミカサが薄く笑う

ミカサ「でも・・・私だって、光になりたいよ・・・光になって・・・もっと高く・・・」

ミカサはそう天を仰ぐ。ミカサのその視線の先にあるのはきっとエレンなんだろう

アニはアニレイターに目を落とすが、そこにはまだ光が戻ってくる気配はない

アニ「光に・・・か・・・」

ライナー「こいつで最後だ!」

その時、近くにいた巨人をライナーが仕留めた

ユミル『よし!そいつで打ち止めらしい。巨人の気配はなくなったぞ』

ユミルのその報告に隊員達は息をつく

ベルトルト「よし、今のうちに光遺伝子コンバーターの所に行こう」

ミカサ「アルミン、大丈夫?」

ミカサは、赤子のように背中におぶったアルミンに声をかける

アルミン「う、うん大丈夫だよ、お姉ちゃん」

ジャン「み、ミカサ!お前アルミン抱えたまま戦っていたのか?」

ミカサ「ここが、一番安全」

そのミカサの言葉に隊員達はあきれる

コニー「い、いや、確かに安全かも知れないけどよ・・・」

ライナー「よくアルミンを抱えたまま戦えるもんだ」

アニ「あんた、光にならなくても十分化け物だよ」

ミカサ「アニ、その言葉は訂正して」

アニ「ああ、悪かった。化け物じゃなくて怪物だね」

ミカサ「・・・わかった、アニ。エレンを助けたら決着をつけよう」

アニ「望むところだよ、どっちがあいつにふさわしいか・・・」

ライナー「おい、お前らいい加減に・・・」

その時、それまで黙って周囲をきょろきょろ見回していたサシャが声を上げる

サシャ「あの、なんだかおかしくないですか?」

ジャン「どうした、サシャ」

サシャ「巨人が、倒したのに消えないんです」

ジャン「はあ、何を言って・・・」

ベルトルト「いや、確かに巨人の死体が消えずにそのまま残っている」

隊員達はそれを確認するために周囲を見回す。確かに巨人は一体として消滅していない

ジャン「そういや、言われてみれば最初から変だった」

ライナー「なにが」

ジャン「こいつら、なんで施設を破壊して回っているんだ?」

ミカサ「確かに、巨人は人を食べること以外の行動は見たことない」

コニー「それこそ奇行種って奴じゃないのか?」

ライナー「ここにいた全てが、か?」

サシャ「あ、あれ!見てください!」

サシャが指さす方を隊員達が見ると、巨人の死体が膨張するようにうごめき出す

ジャン「な、なんだ!?」

やがて膨張した巨人の身体は弾け飛び、黒い塊となって浮遊する

アニ「まさか・・・あれが」

ベルトルト「ああ、アレが闇の塊。巨人の活動源さ」

コニー「で、でも、今まで倒してきた巨人からはあんなのでなかったじゃねえかよ!」

ジャン「だから・・・ここの巨人自体が特別製なんだろう」

やがて全ての巨人から闇が溢れかえり、一つの形を作っていく

ジャン「お前ら、準備しろ・・・」

そのジャンの言葉に隊員達は武器を構える

やがて闇は一匹の怪獣の姿へと変貌していった

ジャン「攻撃開始!」

ジャンの合図で一斉に怪獣に向かって光線銃を発射する、が腹部の口からその全てを吸収してしまった。

ジャン「なっ・・・」

ライナー「おい、あの腹にある口・・・」

アニ「ベムスターの・・・」

コニー「昼間の怪獣のやつか!」

怪獣は口から隊員達に向かって炎をはき出す

ジャン「散開!」

隊員達はとっさに飛び散り回避する。それを見た怪獣は左手から鞭をのばすと振り回し始める

ライナー「よく見れば、あの怪獣の手足・・・」

ベルトルト「過去に僕たちが倒した怪獣の・・・」

サシャ「なんなんですか?まるで寄せ集め・・・」

ジャン「動きを止めるな!回避に専念しろ!ライナー!マッドバスーカは!?」

ライナー「ああ、隙を見て撃つ!」

ジャン「サシャ!コニー!ライナーに続いてスパイダーショットで攻撃!」

サシャ「はい!」

コニー「よっしゃ!」

ジャン「ミカサ、アニ!」

アニ「わかってる」

ミカサ「何であろうと、削ぐ!」

だが、怪獣の猛攻はすさまじくうかつに攻撃に転じることが出来ない

ライナー「なんて強さだよ・・・!」

ジャン「くそ!」

ベルトルト「まるで暴君・・・」

アルミン「・・・タイラント」

ミカサ「アルミン?」

アルミン「・・・お姉ちゃん、あっちのお姉ちゃんを連れて、奥に」

ミカサ「あっちの・・・アニのこと?どうしたの?何か思い出したの?」

アルミン「・・・忘れているのは、あのお姉ちゃん」

ミカサ「アルミン・・・わかった!」

ミカサはアニに近づくと、アニの手を取り奥へと向かう

アニ「ミカサ!どうしたの!?」

アルミン「お姉ちゃん・・・」

アルミンはそう言ってアニの手を取る

アニ「アルミン・・・」

アルミン「思い出して、お姉ちゃんの光を・・・」

アニ「でもっ私は・・・!」

やがて三人は奥にある巨大な水槽にたどり着く

ミカサ「ここは?」

アニ「ここは・・・私がアグルの光と出逢った場所・・・」

アルミン「ミカサお姉ちゃん・・・」

アルミンはミカサに耳打ちするとミカサは頷きアニを水槽脇に連れて行く

水槽と言っても広く、深く底は見えない

アニ「もともとは深海調査や実験のためのプールだったんだ。
   私はここで魚たちを見るのが好きでよく遊んでいた」

ミカサ「つまり、あなたの原点」

ミカサはアニの胸に手を置く

アニ「ミカサ?」

ミカサ「アニ、信じて。あなたの胸の中の灯火を」

ミカサ「どれだけあなたが張り裂けそうな痛みを知ろうとも」

ミカサ「忘れないで、光はあなたの心の中にある!」

アニ「ミカサ・・・」

その時、背後ですさまじい爆発が起こり爆風が三人の所まで吹きすさぶ!

ミカサ「くっアルミン、しっかり捕まって!」

アルミン「う、うん」

だが、その爆風にあおられ、アニは水槽の中に落ちていった

アニ「!」

ミカサ「アニ!」

ミカサが手を伸ばすが届かず、アニの身体は深い水の中に消えていった

ミカサが思わず水槽に飛び込もうとするのをアルミンが止める

アルミン「大丈夫・・・あのお姉ちゃんは大丈夫だから・・・」

ミカサ「アルミン・・・あなた、思い出したの・・・?」

だがアルミンは横に首を振る

アルミン「ごめんなさい。でも、ずっと昔に見たことがあるような気がするんだ」

アルミン「あの、青い光を・・・」

---------------
----------
------

深い深い水の中、アニはゆっくりと沈んでゆく

ーーアニ・・・アニ・・・

おとうさん?

ーーアニ、お前は、その力をどうしたい?

わたしは、みんなをまもりたい

ーーアニ、この力はあまりの大きすぎる

うん、でもわたしはそれがわかっていなかった

だから、みんなをころしてしまった・・・

ーーアニ、今でも、その力は恐ろしいかい

こわいよ、だからすべてをこわそうとした、わたしじしんですら

だけど・・・

ーお前の罪は、俺が少し背負ってやるよー

エレン・・・

ーアニ、あなたは、ひとりじゃないー

ミカサ・・・

私の罪は、いつか償わなければならない。だけど、許されるのなら私は・・・

みんなと一緒に・・・生きていきたい・・・

ーーアニ、お前はお前が心から守りたいと思うものの為にこの力を使いなさい

うん、お父さん。私は、今度こそみんなを守りたい・・・だから・・・


アニ「アグル!私はもう一度、あんたと共に戦いたい!!」

その瞬間、まるで時間が止まったように周囲が静寂に包まれる。

やがて深い水の中に柔らかな光が溢れ始める

ーーーーああ、ここにいたんだ

ーーーーー
ーーーー
ーーー

ベルトルト「ジャン、これ以上はまずい!この先を破壊されるわけにはいかない!」

ジャン「わかっている!」

ミカサ「ジャン!」

ジャン「ミカサ!?今までどこに!」

ミカサ「ごめんなさい。タイラントは!?」

ジャン「あの怪獣か?駄目だ、まるでこっちの攻撃が通じない」

アルミン「・・・」

ライナー「ジャン!ミカサ!躱せ!」

そのライナーの怒号にジャンとミカサがハッとする。目の前にタイラントの炎が迫ってきていた

ジャン「しまっ・・・!」

ミカサ「っ!!」

躱す暇もなく、三人の身体は炎に包まれた

サシャ「ミカサーーー!」

だがその時!三人の身体を青い光が包んだ!

ライナー「!」

ベルトルト「まさか・・・」

青い光は三人を安全な場所に運ぶとそのままタイラントに向かって飛びタイラントの身体をはじき飛ばした!

やがてその光の中から姿を現したのは・・・

サシャ「あ・・ああ・・・!」

ミカサ「・・・アニ!」

アニが・・・青いウルトラマンが、タイラントの前に立ちはだかった!

クリスタ「ユミル!ミーナ!ウルトラマンが!」

クリスタがそう横を見ると、ミーナがモニターに映るウルトラマンの姿に涙を零していた

ミーナ「・・・アニ・・・よかった・・・」

クリスタは思わずミーナを抱きしめる

クリスタ「よかったね・・・これで・・・」

ジャン「これで、反撃開始だ!」

隊員達は頷きあい、怪獣に向かって飛びたった

ウルトラマンは不敵な構えからじりじりと間合いを詰める

やがてタイラントが炎を吹き出すのを見計らって身を低くして間合いを詰めると

ローキックでタイラントの足下をすくう。

タイラントがよろけたところに、隊員達が攻撃をかぶせる

ジャン「俺たちが無理をする必要はない!アニの動きをよく見てフォローに徹しろ!」

ライナー「よし!コニー、俺たちはアニの左翼に回るぞ!」

コニー「おう!」

ミカサ「サシャ!私たちは右翼に!」

サシャ「わかりました!」

ベルトルト「ミカサ、そろそろあれの準備を始めたい!アルミンをこちらによこせないか!?」

ミカサ「でも・・・」

アルミン「お姉ちゃん。これ以上はお姉ちゃんの邪魔になる。僕は、僕の出来ることをするよ」

ミカサ「・・・わかった」

ミカサは反転すると、ベルトルトの所までアルミンを届ける

ミカサ「ベルトルト・・・わかっているとは思う・・・」

ベルトルト「・・・ああ、削がれたくはないからね。丁重に扱うよ」

ミカサ「・・・お願い」

ミカサはそれだけ言うと、アルミンを降ろし一度抱きしめると

ミカサ「アルミン、気をつけて」

そう言ってサシャと共にタイラントへと飛んだ

アルミン「・・・僕でお役に立てるでしょうか」

ベルトルト「どうだろう。でも君はここのことをよく知っているはずだ」

アルミン「・・・ええ何となく、わかるような気がします」

ベルトルト「君は今、『どっち』なんだい?」

アルミン「わかりません。でも・・・僕は、僕のできることをします」

ベルトルト「ああ、よろしく頼むよ」

その時、すさまじい咆哮と共に火炎の渦が二人の頭上をかすめる

アルミン「!」

ベルトルト「急ごう!」

アルミン「はい!」

再び二人の頭上を炎がかすめたが、ウルトラマンの回し蹴りがタイラントの顔を
弾き飛ばし炎は逸れていった

ジャン「今なら腹の口は開けねえ、かまわず撃ちまくれ!」

ライナー「おう!」

畳み掛けるように隊員達の攻撃がタイラントに集中する

たまらずタイラントは左腕の鞭を振るうがウルトラマンの光の剣に切り落とされた

ジャン「よし!いけるぞ!」

だがその時!

タイラントは、突然凄まじい咆哮を上げる

コニー「な、なんだ?」

ジャン「気をつけろ!何かやってくるかも知れないぞ!」

まるでタイラントの咆哮に呼応するように周囲の空間が歪み始める!

ジャン「な、なんだ!?」

ベルトルト「・・・これは、まさか!」

アルミン「・・・次元転移」

歪みは大きくなりやがて世界が暗転する・・・そして、その場にいた全員が壁の中の世界に送り出された!

隊員達は空高く放り出され一瞬思考が停止する

サシャ「なにが・・・」

ライナー「俺たちは・・・落ちて・・・」

「各員立体機動用意!」

ジャンの怒号に一同ははっとなり立体機動で墜落を回避する

ジャン「ここは・・・?」

クリスタ『みんな!』

通信機からクリスタの声が聞こえてくる。

ジャン「クリスタ!俺たちはどこにいる!」

ユミル『今お前らは科特隊本部から数キロ先の森林地帯にいる。エレンの石像の近くだ』

ジャン「お前達はさっきの場所にいるのか?」

クリスタ『うん。私達はまださっきの場所にいるよ』

ジャン「なにがどうなって・・・」

その時、少し遅れてウルトラマンとタイラントも転移してきた。そして背後に衝撃が走る

ジャンが振り返ると、先程の場所の施設までこちらに転移してきているようだ

ベルトルト「くっ・・・!アルミン、大丈夫か?」

アルミン「う、うん」

ベルトルトは互いの無事を確認すると、周囲を見渡す

ベルトルト「これは・・・地下空洞ごと転移させたのか?」

アルミン「でも、光遺伝子コンバーターが・・・」

アルミンの言葉に促されベルトルトが見たのは、光遺伝子コンバーターの粉々に砕けた姿だった

ベルトルト「くそ!」

ベルトルトは思わず地面を殴りつける

ライナー「ベルトルト!アルミン!」

うなだれる二人の元にライナーがやってきた

ライナー「二人とも、無事のようだな」

ライナーはそう言ってアルミンに手を伸ばす

アルミン「うん・・・ありがとう、おじさん」

アルミンは微笑みライナーの手を取って立ち上がる

ライナー「おじ・・・」

ベルトルト「ライナーうなだれている場合じゃないよ」

ライナー「いや、しかしな・・・」

その時、再び周囲にタイラントの咆哮が響き渡る

ライナー「!」

三人がその方を見ると、ウルトラマンが今まさにとどめを刺そうとしている所だった

ジャン「よし!」

だが、それを見計らったかのように、ウルトラマンに黒い光弾が降り注ぐ

ウルトラマンは全てを躱すことができずに被弾してしまった

ミカサ「アニ!」

ジャン「まさか・・・」

ジャンの予感は的中する。

ウルトラマンのその向こう側、ゆっくりと歩を進めるダークザギの姿があった

サシャ「真っ黒巨人!」

ジャン「よりによってこんな時に」

ベルトルト「・・・いや」

ジャン「こんな時だからこそ・・・か」

ミカサ「まだ私達はあいつの掌の上?」

ウルトラマン・・・アニはダークザギを見据えるとゆっくると構える

だが、ダークザギはアニの方に向かず、光弾をエレンの石像の方に向かって放出した

アニ「!!」

アニはとっさにその方に動きすんでの所で光弾をはじく

ミカサ「!!」

ダークザギの思わぬ攻撃に、ミカサの全身から血の気が引くが、
アニがエレンの前に立ったの見て息を吐く

だがダークザギは再度無数の光弾をエレンに向かって打ち始める

アニは光の防御壁を張り光弾を防ぐが、光弾の数は止まるところを知らず

じりじりと後退を余儀なくされる。そこにタイラントの炎がアニを襲う

横からの攻撃にアニは思わず倒れ込む、そこにもダークザギの光弾が飛んでくるが間一髪なんとか防いだ

ジャン「なんだ?あの野郎」

ミカサ「手を抜いている?」

ベルトルト「・・・嬲るつもりか」

事実、ダークザギは悠々とアニが体制を整えるのを待っている

アニのカラータイマーはすでに鳴り始めていた

ライナー「・・・まずいぞ」

ジャン「お前ら!怪獣の方は俺たちで何とかするぞ!」

コニー「お、おう!」

ミカサ「わかった」

ジャン「ベルトルト!」

ベルトルト『なんだい』

ジャン『例の機械でアニにエネルギーを送ることは出来ないのか?』

ベルトルト「!それは可能だろうけど・・・しかし」

ベルトルトは背後の光遺伝しコンバーターに目をやる

ベルトルト「くそ・・・」

アルミン「ねえ、お兄ちゃん。これは?」

そこにアルミンが奥にあった古く大きい装置を指さす

ベルトルト「これは・・・」

人が入れる大きさのカプセルになにやら無数のパイブが張り巡らされ
側にある照射装置に連結しているようだ

ベルトルトは側にあったパネルに手をかざす。するとわずかに反応があった

ベルトルト「こいつ・・・動くぞ」

ライナー「なんの装置なんだ?」

ベルトルト「これは・・・F計画?」

アルミン「・・・人造ウルトラマン計画の際、人から強制的に光エネルギーを抽出するために開発された装置」

ベルトルト「アルミン?」

アルミンはどこを見るでもなく虚空を仰ぐように語り出す

アルミン「TPCのゴンドウ参謀が首謀者となり推し進めた人造兵器ウルトラマン。
     それは超古代の遺跡から発掘された石像に人工的な光エネルギーを与え意のままに操るための・・・」

ライナー「おい!アルミン!どうした!しっかりしろ!」

ライナーがアルミンの肩を揺すると、アルミンはハッとした顔をしてライナーを見る

アルミン「おじさん?・・・僕は・・・」

ライナー「・・・おじさんはやめてくれ」

ベルトルト「・・・アルミン、これのことがわかるのか?」

だがアルミンは困惑した表情を見せるばかりだった

ベルトルト「まあいい。これが使えることがわかったよ」

ジャン『おい!ベルトルト!どうした返事しろ!』

ベルトルト「ああ、すまない。何とかなりそうだ。だが邪魔されたくない」

ジャン『了解した。怪獣はこちらで何とかするさ。たのむぞ』

ライナー「なんとかなりそうなのか?」

ベルトルト「ああ。ライナーすまないがアルミンをミカサの元に送ってくれ」

アルミン「お兄ちゃん!だめだよ!それは・・・」

ベルトルト「なんとなくわかっているよ」

アルミン「それを、普通の人間が使ったら・・!」

ベルトルト「あいにく、僕はデュナミストだ、普通の人間とは違うさ」

そう言ってベルトルトは二人に銃を突きつける

ライナー「おい!ベルトルト!」

ベルトルト「この先は、僕に任せてもらう」

アルミン「駄目だよ!お兄ちゃん!」

ベルトルト「行け!」

ベルトルトは空に向かって発砲する

ベルトルト「頼むよ、ライナー」

しばらく睨み合っていたがライナーは観念したように頷くとアルミンを抱える

ライナー「・・・お前、死ぬ気か?」

ベルトルト「あいにくそんな殊勝な心がけは持っちゃいないよ」

ライナーは笑うと、それ以上何も言わずに飛び去った

ベルトルト「しかし、間に合うか?」

ベルトルトはそう言ってその装置を睨み付けた

タイラントは偶然ですw
なんとなく「ラスボスではないけど強い怪獣」と言うことで選び、
ザキさんの方は5話開始直前までベリアルとどっちをラスボスにするか悩んだあげく
今度の映画に出るようだからと言うことでザギさんを選びました

仕事に出る前にちょっとだけあげます

アルミン「離して!あのお兄ちゃん死んじゃうよ!」

ライナー「わかっている!ジタバタするな!」

ライナーはいったん近くの屋根の上に降りるとアルミンに言った

ライナー「お前、記憶が戻っているんだろう?」

アルミン「・・・」

アルミンは何も言わず、首を縦に振った

ライナー「それは、アルミンとしての記憶か?」

今度は横に首を振る

ライナー「そうか、まあいい。時間がない」

ライナーはアルミンの肩を掴んだ

ライナー「あの機械のこと、知っている限り教えてくれ!」

アルミン「それなら僕が戻った方が・・・!」

ライナー「お前は、もっと他に行かなきゃいけないところがあるだろうが!」

ライナーはアルミンの身体をエレンの方に向かせる

アルミン「でも、それならなおさらさっきの所に!」

???「いや、その必要はない」

ライナー「誰だ!」

アルミン「・・・あなたは」

グリシャ「久しぶりだな、アルミン、いや『    』」

アルミン「・・・その名前は」

ライナー「・・・誰だ?・・・いや、この声・・・あの時の・・・」

ライナーは以前自分がジオベースに呼ばれたときの声を思い出す

ライナー「あんたは、あの時の・・・」

グリシャ「あの時はすまなかった」

そう言いグリシャは頭を下げる

ライナー「あんた・・・何者だ」

アルミン「・・・」

グリシャ「なに、通りすがりのしがない宇宙人さ」

ライナー「なに?」

一方その頃、アニは必死にダークザギの攻撃からエレンを守っていた

気を抜けばそのまま倒れそうな意識の中、背後のエレンを心の支えに前に進もうとする

ミカサ(アニ・・・がんばって!)

ジャン「ミカサ!よそ見するな!」

ミカサの頭上をタイラントの炎がかすめミカサは慌ててその下をくぐるようにジャン達の元へいく

コニー「おい!どうするんだ!このままじゃ!」

ジャン「わかっている!」

ジャンは焦っていた。先ほどアニに倒されかけていたタイラントがまた力を取り戻し始めているのだ

ジャンは頭上の黒い雲を睨む

ジャン(考えたくはないが、あの雲がある限り奴らは倒せねえんじゃないのか?)

街中では、暴徒による破壊活動はまだ続いていた。

ウルトラマンの登場に多少の歓声は上がったものの、防戦一方の現状にまた絶望の声が上がり出す

ジャン「体のいいマッチポンプかよ」

モニタに映る暴徒達を苦々しく見ながらユミルが舌打ちをする

ユミル「くそ!こいつらが暴れている限り、黒巨人共にエサ与えてるようなもんか!」

クリスタ「どうにかやって沈静化できないのかな?」

ミーナ「・・・ねえ、この通信機使って、あそこの連中に文句言えないのかな、やめろって」

ベルトルト『言えるよ』

ユミル「ベルトルさん!?」

ミーナ「できるの?」

ベルトルト『僕もこの間そこから音声を街中に流したからね』

クリスタ「ああ、あの時の!」

ミーナ「どうやるの?」

ベルトルト『それは・・・』

ーーーーー
ーーーー
ーーー

街中は荒れに荒れていた。怒号が飛び交い、泣き叫ぶ声が響く
老若男女、一般市民と兵士達。暴徒は暴徒を呼びその数はどんどん膨らんでゆく

その暴徒達が跋扈する街中に、突然空から声が降ってきた

『あーあー、聞こえますかー』

その声に一瞬静まりかえるが、すぐに喧噪は元に戻る

『聞けーお前ら』

『お前らのその馬鹿騒ぎがあのくそったれ巨人に力を与えています』

『なので今すぐその喧嘩をやめやがってください』

『ユミル、もうちょっと言葉をえらんで・・・』

「な、なんだ?何言ってるんだ!?」

「そうだ!あの声も奴らの罠さ!」

「どうせなにやったってこの世界は終わるんだ!」

当然かも知れないがなかなか声に耳を貸さない暴徒達にユミルとミーナは
いらだちを隠せずにいる

『ちょっ、ちょっと!あんた達!私たちの話を聞いて!』

『大事なことなんだ!本気で聞いてくれ!』

だが、暴徒達は止まらない

『いいからお前ら黙って聞け!!!!』

こらえきれなくなった二人がそう怒鳴りつけると暴徒達は静まりかえる

そこに、クリスタが続けた

『みなさん、怪しまれるのはよくわかります。でも少しだけ私の言葉を聞いてください』

優しく澄んだその声に、暴徒達の耳はクリスタの声に聞き入る

「女神・・・」

「女神様?・・・」

クリスタはその様子を確認すると続けた

『巨人や怪獣が現れ、多くの人が傷つきました。

 たくさんの怒りや悲しみがこの街にあふれています。

 未来に絶望し、立ち止っている人もいるでしょう。

 届かぬ思いに思いをはせている人もいるでしょう。

 でも希望は捨てないでください。あなたには守るべき人がいるはずです。

 守るべき未来があるはずです。声に出して伝えてください。

 一番大切な人に、自分の正直な思いを。夢を。

 そのとき見つかるかもしれません。忘れていた大切な何かが。

 そして、本当の自分が』

ユミル「クリスタ・・・」

クリスタのその言葉は果たして誰に向けたものだったのか

クリスタの言葉が終わると同時に、暴徒達の手は完全に止まった

まだざわめきは残るものの、先ほどの喧噪が嘘のように静まりかえるのを、
科特隊の隊員達も確認する

ミカサ「クリスタ・・・ありがとう・・・」

ジャン「これで、少しは奴らの力が押さえられるといいんだが」

ミカサ「ジャン、考えている暇はない。タイラントを早く倒さないと」

サシャ「アニも心配ですよ!」

ジャン「よし!いくぞ・・・!」

アルミン「待って!」

ミカサ「アルミン?」

ミカサがアルミンの声がした方を見ると、あの赤い光がこちらに迫ってきていた

ミカサ「おじさん!?」

ジャン「おじさん?あれが?」

だが、その赤い光から姿を表したのはアルミンだった

ミカサ「アルミン!?おじさんは・・・?」

アルミン「・・・あの人は・・・その、また・・・遠くに行ったんだ」

ミカサ「遠くに?」

アルミン「それよりこれを」

アルミンは小脇に抱えていたバッグから一つの弾頭をとりだす

ジャン「これは?」

アルミン「こんなこともあろうかと、ジオベースから持ってきていたんだ」

アルミンはそれをスーパーガンの銃口に装着する

アルミン「これはペンシル爆弾。威力は折り紙付きだよ」

コニー「いつの間に・・・」

アルミン「ただし、これは一発しかないから慎重に」

ジャン「しかし、タイラントに通用するのか?」

アルミン「タイラントの弱点は、あの腹の口だよ」

ジャン「・・・!そうか」

サシャ「まさか、あの口の中にこれを打ち込むんですか?」

サシャの問いにアルミンは頷く

コニー「でも・・・あの口をどうやって開かせるんだ?」

アルミン「もちろん、強力な光線でタイラントを攻撃する」

ジャン「吸収しようとしたその口に、こいつをぶち込むワケか」

コニー「スパイダーショットで足りるのか?」

サシャ「そういえば、ライナーはどこに行ったんでしょう」

アルミン「あの人は、友達を助けに行ったよ」

ーーーー
ーー

ベルトルト「よし!これでいいはずだ・・・あとは・・・」

機械の起動に手応えを感じベルトルトが息をついた時ライナーが戻ってきた

ライナー「・・・間に合ったようだな」

ベルトルト「ライナー!君は何故ここに戻ってきたんだ!」

ライナー「・・・お前と同じだよ」

そう言いながらライナーは一人奮戦しているアニに目をやる

ライナー「俺たちの大事な妹を守るためだ」

ベルトルト「・・・人類の平和を守る科特隊の隊員がそれでいいのかい?」

ライナー「もちろん最優先保護対象はクリスタだ。アニはその次だな」

ベルトルト「・・・ライナー」

あきれるベルトルトにライナーは笑いながらベルトルトの肩を叩く

ライナー「俺たちなんてそんなもんだろう?人類、なんてかっこつけてないで
     俺たちは俺たちの守りたいもん守ってりゃいいんだよ」

ベルトルト「・・・」

ライナー「それが偶然、世界を守っちまうことになるってだけさ」

ベルトルト「・・・馬鹿だろ。君は」

ライナー「・・・言ってろ」

悪態を付き合いながら二人は笑うと互いの拳をあわせる

ベルトルト「この装置は被験者の生命力を触媒に光エネルギーを生み出す」

ライナー「ああ、聞いた」

ベルトルト「・・・死ぬことになるよ」

ライナー「・・・もとより承知の上さ」

二人はアニの方を見ると、頷きあい装置を起動させた

「待ってろよアニ!今行く!」

ーーーーー
ーーー

ジャン「そうか、ライナーはベルトルトと・・・」

コニー「しょうがねえ!俺たちだけでやろうぜ!」

ミカサ「うん」

だがそこでアルミンは皆の話を遮る

アルミン「まって。お姉ちゃんは僕と来て欲しい」

ミカサ「え?」

サシャ「ミカサとどこかに行くんですか?」

アルミン「僕とお姉ちゃんはあの人を迎えに行く」

そう言ってアルミンはエレンの石像を見る

ミカサ「エレンの所に?」

そのミカサの問いにアルミンは頷く

ジャン「エレンを甦らせることが出来るのか?」

アルミン「たぶん・・・いや、これは僕とお姉ちゃんにしか出来ないことなんだ」

その時、タイラントの左手の鞭が振り下ろされる

ジャン「かわせえ!」

ジャンの合図とほぼ同時に船員その場から間一髪離脱する

ジャン「しかたねえ!コニー、サシャ!俺たち三人でタイラントを仕留めるぞ!」

コニー「へへっ・・・まじかよ・・・」

サシャ「やりましょう!そのかわり二人は必ず・・・!」

ミカサは力強く頷く

ミカサ「必ずエレンを連れてくる!」

間を置かずタイラントが放出した炎を躱しながら、互いに敬礼し離れた

ミカサはアルミンを小脇に抱えエレンの方へと向かう

ミカサ「アルミン!どうすればいいの?」

アルミン「お、お姉ちゃん!とりあえず降ろして!」

アルミンに言われるがままミカサは近くの屋根の上に降りる

アルミン「・・・お姉ちゃん、確認しておきたいんだ」

ミカサ「なにを?」

アルミン「お姉ちゃんはあの人のために命を捨てることが出来る?」

アルミンはそう言いながらエレンの石像を見る

ミカサ「当然。エレンは私の全てだから」

アルミン「・・・」

ミカサ「・・・ふふ・・・うん、嘘」

ミカサは顔を綻ばせる

ミカサ「エレンの為ならこの命は惜しまない」

ミカサ「けど私はエレンと一緒に生きていたい。ずっと一緒に生きていたい」

アルミンはそのミカサの言葉に満足そうに微笑む

アルミン「・・・そうだね。みんなでずっと生きていこう」

するとアルミンの後ろに赤い光球が現れる

ミカサ「アルミン、それは・・・」

アルミン「おじさんに、借りた」

アルミンが手をかざすと赤い光が二人をつつむ

ミカサ(なんだか不思議な感覚・・・まるで身体が溶けていくよう)

アルミン「お姉ちゃん、今から僕らはエレンの所に行くよ」

ミカサ「・・・うん」

アルミン「この赤い光で僕らの命を触媒にエレンに光を送り込む」

ミカサ「・・・」

アルミン「意識を保って!お姉ちゃんはあの人を救うことだけを考えて」

ミカサ「う・・うん・・・」

アルミン「生きて、みんなでまた会うんでしょ」

ミカサ「・・・うん」

アルミン(やっぱり、きついな・・・体中の力を奪われるようだ・・・でも)

アルミンはウルトラマンの石像を睨む

アルミン(エレン・・・僕の心の中に君の記憶だけが残っている)

アルミン(今の僕に、君の親友を名乗れるのかはわからない)

アルミン(でも、願えるのなら・・・僕は・・・!)

ミカサ「・・・アルミン」

ミカサはアルミンの手を引く

アルミン「・・・お姉ちゃん」

ミカサ「あなたはアルミン。私とエレンの大事な友達。それだけでいい」

アルミンは頷くとミカサの手を握り返す

アルミン「・・・いくよ・・・ミカサ!」

ミカサ「・・・ええ!」

二人の声が合図となり赤い光球は凄まじいスピードでエレンへと飛んでいく

だが、それを確認したのかダークザギが赤い光に向かって光弾を撃つ

雨のように降り注ぐ光弾をすんでの所で躱しながら進むと

ダークザギは赤い光に追いすがろうとする、しかしそこにアニがダークザギに向かって飛びかかった

「うおおおおお!」

その時初めて、アニの蹴りがダークザギを捕らえるとそのまま押し倒し今度はアニがダークザギに光弾を撃ちまくった

アニとミカサ、アルミンは横目で互いを確認すると小さく頷き合う

「エレェェェェェン!!」

二人の思いと生命を乗せた赤い光はエレンの石像へと飛び込んでいった

赤い光がエレンの中に入っていったのを確認してアニは再び距離をとる

ここまでの戦いでダークザギに到底及ばないのはわかっている

ならばエレンが甦るまで一秒でも時間を稼ぐ・・・!

エネルギーはすでに残り少ない。だが不思議と絶望感はない

必ずエレンは戻ってくる、みんなが必ず連れてくる

アニの中にあるのはそんなひとかけらの希望だけだった

だがそれがどれほど・・・

ダークザギはのそりと立ち上がると再び光弾を放つがアニはそれを危なげなく防ぐ

「・・・・!」

ダークザギは少しだけ驚いたような表情を見せる

(・・・あんたにはわからないだろうね、それがどれほど私達に力をくれるのかを!)

アニは静かに再び構える、その背中にかけがえのないものを背負って・・・

その時その背中を、深い闇の中から見ている者が一人

(・・・なんだ?あれは・・・ひか・・り?)

深い闇の中に見えるとても小さな光。その光に手を伸ばそうとするが身体が動かない

(・・・あの光は・・・アニ・・・なのか?)

混濁する意識の中、彼・・・エレンは再び手を伸ばそうとする

だが、わずかに手を動かせるだけで手を伸ばすことが出来ない

その時初めてエレンは自分の状況に気付く

(なんだ・・・これ・・・閉じ込められているのか?)

目をこらせばエレンは立ち姿のまま水晶の中に閉じ込められている

(俺はなんで・・・こんな・・・)

そんなことを考えていると、少し前巨大な闇の前に倒れた自分を思い出す

(・・・ああ、負けたのか、俺は)

エレンは項垂れると自分の手を見つめる

(手も足も出なかったな・・・)

前を見ると、小さな光が少しだけ強く瞬いた気がした

(・・・アニ、戦っているのか?)

もう一度手を伸ばそうとするがやはり出来ず水晶の壁にもたれかかる

(遠い・・・手を伸ばしたところで・・・)

エレンは天を仰ぎ見る。深い闇の中にほんの少し心地よさを感じ始めていた

(いいさ・・・このまま消えていったって・・・)

(どうせ出て行ったところであいつには勝てない・・・)

(もう終わろう・・・このまま目を閉じてしまえば・・・楽になれる・・・)

(俺なんかが戦わなくたって・・・)

(・・・あれ?・・・おれ、なんでたたかっていたんだっけ)

エレンの脳内に二つの懐かしい顔が浮かんだ気がしてエレンは微笑む

(あいつら・・・どうしてるかな・・・)

その時、エレンの目の前に赤い光が広がっていった

ジャン「いいか!足を止めるな!」

ジャンがそう叫び、コニーとサシャが頷きながらタイラントを囲むように飛ぶと

三人が代わる代わる打ち続ける。光線が命中するとタイラントはのけぞり、先ほどとは違って今度はスーパーガンでも効果が実感できていた。

サシャ「効いてるみたいですよ!」

ジャン「ああ、だが奴の腹の口を開かせるほどじゃねえ」

コニー「これなら!」

スパイダーショットでタイラントを撃つとタイラントはたまらず倒れた

コニー「よし!」

だがタイラントが苦し紛れに振るった右腕は側の建物を破壊しその破片の一つがサシャに命中し、サシャはそのまま屋根の上に叩きつけられる

ジャン「サシャ!」

気を失っているのかサシャは応えない

コニー「サシャ!!」

コニーが慌ててサシャの元に行くがタイラントの吐く炎に阻まれ近づけない

ジャン「くそ!」

コニー「うおおお!」

コニーは炎の中の中に飛び込むとそのまま突っ切りサシャの元へ駆け込む

ジャン「コニー!!」

コニー「だ、大丈夫だ・・・!」

コニーは所々火のついたジャケットを慌てて脱ぎ捨てるとサシャに呼びかける

コニー「サシャ!おい!しっかりしろ!」

サシャ「う・・・ん・・」

サシャが苦しそうに呻くとコニーはひとまず息を吐く

コニー「ジャン、とりあえずは生きてるみたいだ」

ジャン「なによりだ、お前もあまり無茶をするな・・・!」

コニー「わかってるって・・・」

コニーはサシャにもう一度呼びかけようとするが、そこに立ち上がったタイラントが近づいてくる

コニー「やべえ・・!おい!起きろ!」

サシャ「・・・う・・・嫌やって・・・まだ全部食べとらんて・・・」

コニー「・・・ずいぶん幸せそうな夢見てるじゃねえか!」

コニーはサシャを抱えるとその場から離脱しようとするが、思いの外サシャは重く、うまく立体機動装置で飛ぶことが出来ない

コニー「こいつ・・・喰ってばっかいるからこんなに重く・・・」

サシャ「失礼な・・・私そんなに重い方やないよ・・・」

コニー「起きてるんなら自分で飛べよ!」

サシャ「なんでそんなことせんといかんと・・・」

コニー(こいつまだ完全に意識戻ってないのか!?)

そこにタイラントの鞭が二人をめがけて迫ってくる

コニー「くそ!」

だがその鞭に光線が当たり弾かれると、コニー達はなんとか離脱に成功する

ジャン「コニー、サシャ!」

先ほどの攻撃はジャンだったらしい。コニーがサシャを降ろし一息つくとジャンが二人の元に駆け寄ってきた

コニー「ジャン、助かったぜ・・・」

ジャン「ああ、サシャは?」

その時突然三人の足下が崩れだし三人はもみ合うように転げ落ちた

ジャン「ぐうっ」

コニー「あ・・・うあっ・・・」

体中に強い痛みを感じながら必死に前を向くと
ゆっくりと近づいてくるタイラントの姿があった

ジャン「・・・こりゃあ」

コニー「へへ・・もう・・だめかな・・・」

サシャ「・・・まだ、ですよ」

二人の後ろでサシャがゆっくりと上体を起こす

ジャン「サシャ・・・」

サシャ「まだ、諦めるには早いです・・・」

ジャン「・・・誰が諦めるっつったよ」

ジャンは懐にしまっていたペンシル爆弾を取り出す

ジャン「ここが、千載一遇のチャンスだろうが・・・!」

サシャ「・・・そうなんですか?」

コニー「・・・まあ、ただの強がりだろうけどな」

ジャン「うるせえ・・・!」

三人は笑いゆっくりと重なり合うようにスーパーガンを構える

行動開始前にアルミンから聞いていた強力な光線を撃つ方法それは・・・

ジャン「・・・できる限り引きつけろ」

コニー「・・・・」

サシャ「・・・・」

ジャン「・・・撃て!!」

ジャンの合図と同時に三人はスーパーガンを撃つ、その光線は重なり合い強力な一筋の光線となってタイラントの頭部を撃ち貫いた!

タイラントは崩れ落ちそうになりながらマイナスエネルギーを吸収しようと口を開ける

コニー「ジャン!!」

サシャ「・・・今です!」

ジャン「わかってる!」

ジャンは素早くペンシル爆弾をスーパーガンに装着するとタイラントの腹部の口に打ち込んだ!

三人は息をのんでタイラントを見守った。だが、タイラントは何事もなかったようにこちらに向かってくる

ジャン「・・・だめか?」

サシャ「・・・そんな」

だが次の瞬間タイラントはびくりと身体を硬直させると突然宙に浮き始める

コニー「な・・・なんだ?」

ジャン「これは・・」

やがて空高くタイラントが上昇したところで粉々に爆散し、
タイラントから放出した闇の塊はその場で霧散していった

ジャン「・・・やった」

コニー「やったぞ!成功だ!」

サシャ「これで少しは、エレン達の役に立てましたかね・・・」

そう言いながら、サシャは気を失った

コニー「ああ、十分だろ・・・」

続くようにコニーも倒れる

ジャンはエレンの方を見ると済まなそうに、だが満足そうに微笑み

「・・・すまないな・・・先に・・・休ませてもらう・・・せ・・」

ジャンの意識もそこで途切れた

遠くの方でタイラントが倒されるのを視界の端でアニは確認する

(後は、こいつだけ!)

カラータイマーはずっと鳴り続けている、それでも倒れずにいる理由は
ダークザギが本気を出していないだけ・・・それも大きいがもう一つ
アニはひたすら受けに徹することで動きを必要最小限に抑えていたからだ

このままいけば・・・

アニがそう考えているとダークザギもタイラントが敗れたのを知ったのだろう、
先ほど爆発があった方をちらりと見るとゆっくりとアニの方を向き直した

その瞬間、アニの背筋に凄まじい悪寒が走る

アニは気を入れ直すが、次の瞬間目の前にダークザギが迫ってきた

(・・・!)

慌てて防御態勢をとるが腹に2発、顔に一発入れられ吹き飛ばされる

必死に立ち上がろうとしたところにダークザギの横蹴りが飛んでくる!

アニはとっさに身を翻し蹴りを躱すが、さすがに残り少ないエネルギーでは
足下もおぼつかない

(くっ・・・)

ダークザギが本気を出してきた。タイラントが倒されたから?いや・・

アニは背後のエレンの像をちらりと確認する。先ほど赤い光が入っていった後
それきりなんの反応もない

(・・・私は・・・持つの?)

その時初めてアニは少しだけ弱気になる・・・が、その時

『アニーーーー!!しっかりしろーーーー!!』

アニの背後からよく知る親友の叫び声が響いてきた

(ミーナ!?)

思わずアニの背筋が伸びる。その甲斐あってか気付かないうちに迫ってきていた
ダークザギの蹴りを躱せた

ミーナ「あっぶないなあ!」

クリスタ「ミーナ、さすがにアニの名前を出すのは・・・」

ユミル「いいじゃねえか。アニの奴また気合い入ったみたいだしな!」

ユミルの言葉通り、自分の背中を押してくれる声に力強さを感じながらアニはダークザギを見る

(負けない・・・決して・・・みんながいる限り・・・私は負けない!)

その時、背後のウルトラマンの像から凄まじい光が溢れ出した!

(・・・・・・!?)

ーーーーー
ーーーー
ーーー

「ーーーン」
「ーーーレン」
「ーーエレン!」

自分を呼ぶ声が聞こえてくる・・・

エレンが重い瞼をうっすら開けると目の前にはよく知る幼なじみの顔がのぞき込んでいた

「ーーーミカサ?」

そう幼なじみの名を呼ぶと、彼女はボロボロと大粒の涙をこぼし抱きついてきた

「よかった・・!もう目覚めないのかと・・・」

そう言うと彼女は抱きついた腕に力を込める。女子離れしたその腕力にエレンは再び意識が飛びそうになる。

「ミカサ!落ち着いて!エレンが苦しそうだよ」

と、もう一人の幼なじみのアルミンがミカサをたしなめるが彼女はその言葉が聞こえないのか力を緩める気配はない

「ミカサ・・・!ミカサ!苦しいって!!」

絞り出すようにエレンがそう言うとようやく少し力を抜いてくれた。

軽く深呼吸をし、ズキズキと痛む頭を抱えて廻りを見ると見知った顔が心配そうにこちらを見ていた



あれ・・・これ・・・どこかで・・・

「エレン・・お前はその力でみんなを守れ」


親父・・・?


なんで俺がそんなことを・・・


「エレン、科特隊なんてやめてしまいなさい、私と共に行くことがあんたの成すべきことよ!」


アニ・・・それもいいかもな・・・


「エレンは・・・強いね・・・」


アルミン、俺は強くなんかない・・・俺は負けたんだ・・・

「やっぱり、エレンは少し変わった。人や、世界を見る目が優しくなった。」


ミカサ・・・俺は変わってなんかいない。おれはおれだ・・・だけど・・・



エレン・・・エレン・・・!

「起きてくれよエレン!?」

不意に自分を呼ぶ声がしたような気がしてエレンは目を開ける

(・・・なんだ、夢、見てたのか?)

「ここにいるんだろう!?なあ!?」

(アルミン?)

エレンが顔を上げると、水晶の壁の向こうにミカサとアルミンの姿が見えた

(・・・なんだ・・・これも、夢なのか?)

「このままここにいたら闇に飲み込まれる!!」

「ここで終わってしまう!!」

(だから・・・なに言ってるかわかんねえよ、アルミン・・・)

(何で外に出なきゃいけないんだ・・・)

(・・・)

その時、また奥の方に小さな光が見える

(・・・ひかり?・・・そうだよ、どうして外なんかに・・・)

「エレン、思い出して・・・」

(ミカサ?・・・なにを・・・)

「あなたはずっと私たちを守ってくれた。傷だらけになりながら・・・」

(俺は・・・)

「エレン、あなたは私の・・・私たちのヒーローだから・・・」

(俺は・・・)

「そして忘れないで、光はずっと・・・ここにあるって!」

その時、エレンの周りが温かい光でつつまれる

(これは・・・)

まばゆい光の中、エレンの目の前に懐かしい姿がそこにあった

「エレン・・・」

(・・・母さん?!)

「エレン。あなたの大切なものはなに?あなたの守りたいものはなに?」

(それは・・・)

「あなたは知っているはずよ。それがどれだけかけがえのないものか」

(ああ、もう、失いたくはない・・・!)

「ならば戦え」

(親父?)

いつの間にいたのか、母カルラの隣に父グリシャが佇んでいた

「行きなさい、エレン」

「そして生きろエレン。私たちの分まで・・・」

(親父・・・母さん・・・)

二人はエレンを抱きしめると子供をあやすように頭を撫で、消えていった

「親父!母さん!」

するとそこによく見知った幼なじみの姿があらわれた

ミカサ「行きましょう、エレン!」

アルミン「行こう、エレン!」

気がつくとエレンはその手にベータカプセルを握りしめている

ミカサとアルミンはそれを見て微笑むと二人はエレンのその手に自分の手を重ねた

エレンは力強く頷くと、溢れんばかりの光の中ベータカプセルを天に掲げた

光が辺り一面を覆い尽くす、アニとダークザギはそれを固唾を飲んで見守る

やがて光は収束し光の中からエレンが・・・ウルトラマンが姿を現した!

クリスタ「エレン・・・!」

ユミル「ミカサ達、やったのか!」

ミーナ「これで・・・」

(エレン・・・!!)

エレンの姿を確認したアニはその瞬間体中の力が抜け倒れそうになる
それをエレンが駆け寄り助け起こす

(アニ・・・すまない・・・待たせたな)

(ううん・・・来てくれるって信じてた・・・!)

二人は頷き会い、ダークザギに向かって構える

ダークザギは二人の巨人を見ると右腕を大きく掲げる

やがて上空の黒い雲から巨大な闇の塊がダークザギの右腕に収束すると
それを大地に振り下ろす。するとそこから巨人達が生まれてきた

(アニ、下がっていろ!)

(エレン!)

10体ほどの巨人がエレンに襲いかかるがエレンはそれをこともなく消滅させる

(少し・・・変わったようだ・・・以前よりも強い光を感じる・・・)

ダークザギはエレンの中にある光を感じていた

(そうか・・・あの二人も共に光になっているのか・・・)

胸を掻きえぐるように押さえつける

胸の奥にわずかなざわめきが起こる

わずかにダークザギの闇の底にこびり付いているその感情は

彼が潜伏していた少年の・・・アルミンの記憶・・・!

(完全に取り除いたつもりだったが・・・)

その感情を振り払うかのように更に闇を求めるそのために

ダークザギは弱っているアニにとどめを刺しにかかった

エレンがさせまいとダークザギの前に立ちふさがろうとするが

再び、今度は更に多くの巨人を創り出す

巨人達はエレンの敵ではない、だがその数の多さにエレンの足が止まってしまう

(アニ・・・!)

もはやほとんど動くことも出来ずに棒立ちのアニにダークザギが迫る

だが・・・

(私たちは・・・あんたと違うんだ・・・)

次の瞬間、アニの背後からアニに向かって凄まじい光エネルギーが降り注いだ

(・・・・!?)

ダークザギは思わず足を止める。アニは光を浴びながら二人の兄弟を感じていた

(ライナー、ベルトルト、ありがとう・・・!)

やがて光がやむとアニのカラータイマーの赤い点滅は止み、更に強い力がアニに宿る

ユミル「これでアニの力も戻ったのか?」

クリスタ「でも、アニもエレンも前と少し感じが違うね」

ミーナ「もちろんパワーアップしたんだよ!」

ユミル「はあ?」

クリスタ「・・・みんなの光をもらって」

ミーナ「バージョンアップしたんだ!・・・すなわちアニv2!」

ユミル「・・・はあ」

クリスタ「・・・二人とも、頑張って!」

モニター越しに移る二人の巨人はダークザギを挟み込むように構えていた

その二人の巨人の遙か後方、エネルギーを放出し終えた後爆発し粉々になった

装置の残骸の中に、ベルトルトとライナーは倒れていた

ライナー「・・・ベルトルト・・・生きているか?」

ベルトルト「・・・ああ、なんとか・・・ね」

ライナー「・・・きつかったぜ。体中の全て持って行かれるかと思ったぞ」

ベルトルト「・・・いっただろう、死ぬことになるって」

ライナー「二人がかりでこの様だからな」

ライナーの言葉通り、すでに二人には立ち上がる事すら出来ずにいた

ベルトルト「僕たちの光は、アニに届いたかな・・・?」

ライナー「当たり前だろう」

ベルトルト「誰よりも何よりも君だけを守りたいって。そう言ったらアニは怒るかな」

ライナー「怒りはしないさ・・・ま、ヒーローのセリフじゃないかもしれんがな」

そう言ってライナーは笑う

ベルトルト「癪だけどさ・・・ヒーロー役はあいつに任せるよ・・・」

ベルトルトは倒れた姿勢のまま巨人達の方を見る

「勝てよ・・・!」

まるでその言葉に押されるようにエレンとアニはダークザギに向かっていく

ダークザギはアニのキックを躱すとエレンを迎え撃ち投げ飛ばす

エレンは受け身をとると回転しながら立ち上がり光弾をダークザギに撃ち込むが

ダークザギはそれを腕を振るって打ち消す。そこにアニのローキックが足を刈った

だが倒れかかりながらも両の握り拳から光弾を放ち二人を迎撃する

二人が体勢を崩したのを見計らって両拳にエネルギーを溜め、超重力光線を放つと

エレンがまだ体制の整わないアニの前に立ち光線を受け止める

その威力の前に押されそうになるのをアニが後ろから支え光線を打ち払った

力を増した二人の巨人をしてそれでもダークザギは強大だった

多彩な技の前に押され始めるがそれでも二人は前に出る

何度も倒され、傷つきながら前に進む二人の巨人の姿に

やがて導かれるように民衆が集まり出す

がんばれ・・・!

そんな声が民衆の中から聞こえ始める

クリスタ「・・・これは」

モニターの向こう側に移る民衆の顔を見てクリスタの顔が思わず綻ぶ

ミーナ「・・・みんなが二人を応援している?」

「がんばれ!」

「頑張ってくれ!」

「ウルトラマン!!がんばれー!!」

やがてそのうねりは大きくなり、先ほどまでは絶望の淵にあり暴徒と化していた民衆達から歓声が沸き起こる

がんばれ・・・がんばれ・・・!!

その声に押されるように二人のウルトラマンはまた立ち上がる

それを、忌々しそうにダークザギは見下ろす

(何故だ・・何故・・・この闇に閉ざされた世界で・・・)

その問いにエレンが答える

(お前のやっていることは全て無駄だ)

(どんな絶望の中でも、人の心から光が消えさることはない!)

ダークザギは憤るように吠えると距離をとり両腕に巨大なエネルギーをためる

それを見た二人も同じように両腕に全てのエネルギーを集める

やがてそのエネルギーが臨界点まで達したとき三者とも腕を交差させ

必殺の光線を放った!!

ダークザギとエレン、アニの放った強大なエネルギーが激しくぶつかり合う

(ぐうう・・・・!!)

(おおおお・・・!!)

互いに譲ることもなくせめぎ合ったがダークザギは光線の出力を更に上げる

(う、うう!!)

更に強まった力に、二人は押され始める

(アニ・・・!)

(エレン・・!)

二人はお互いを呼び合い最後の力を振り絞る

(うおおおお!!)

その時、エレンとアニは、仲間達の声を聞く

ジャン「負けんじゃねえ!エレン、アニ!」

ユミル「もう少しだ!いけ!」

サシャ「諦めないでください!」

ライナー「お前達は本当の戦士だ、負けるな!」

コニー「そこだぁ!やっちまえ!」

クリスタ「二人とも、頑張って!またおいしい紅茶入れて待ってるから!」

ベルトルト「今こそ、君たちが決めろ!」

ミーナ「二人とも、いっけえええ!!」

その声はどこから聞こえてきたものか、だがその声は何より二人に力を与える

アルミン(さあ、もう少しだ)

ミカサ(エレン・・・アニ・・・行こう!!)

その瞬間、エレンとアニ。二人のウルトラマンが黄金色に輝きだした!

(・・・!!)

ダークザギはその姿に驚きを見せる、が、すぐにまた力を振り絞る

更にダークザギの放つ光線は威力を増す。が、二人の放つ黄金の光線は
重なり合い一つになってその輝きを増してゆく

やがてその光は完全に闇を飲み込み、ダークザギに命中する!

(・・・ひかりが・・・)

ダークザギは黄金の光線を受け止めるが、受け止めた所から光が広がってゆく

(・・・ひかり・・・わたしはなぜ・・・ああ生まれなかった・・・)

そんなことを最後に考えながら、ダークザギは光の中に消えていった

主を失った闇の滞留はその動きをやめ、上空を覆っていた黒い雲の隙間から光が漏れ始める

あれからどのくらいの時間が過ぎ去ったのだろう、黒い雲が完全に消え去った後は

どこまでも澄み渡る青い空が広がっていた

それと同時に、戦いを見守っていた民衆からひときわ大きな歓声が上がった

人々は喜び合い、互いを抱きしめ合いながらウルトラマンに歓声を送った

それを見ていたウルトラマンの身体から光が溢れその光の中に姿を消した

元の姿に戻った二人の元に、科特隊の隊員達が出迎えた

エレン「・・・みんな」

アニ「・・・ただいま」

その言葉に、ミーナがアニに飛びついてきた

ミーナ「アニ、よかった、よかったよぉ」

抱きついて泣きじゃくるミーナの頭を撫でながらアニはもう一度ただいま、と言った

ミカサ「エレン・・・」

エレン「ミカサ・・・」

真っ先に抱きついてくるかと思ったミカサは、落ち着いていたよう見えたが
やがてぼろぼろに泣き崩れるとエレンに抱きついて声を上げて泣き始めた

エレン「お、おい!ミカサ!」

アルミン「しばらく、そうさせてあげなよ」

エレン「アルミン・・・お前記憶が」

だがアルミンは首を横に振った

エレン「そうか・・・」

アルミン「でも・・・僕もここにいていいかな・・・」

エレン「当たり前だろ?なにいってんだ」

そう言ってエレンは手を差し出す

アルミン「・・・ありがとう、エレン」

アルミンは微笑みエレンの手を握りしめた

ジャン「ちっ。まあ、今日の所はミカサは譲ってやるか」

コニー「お前まだそんなこと言ってんのかよ」

ベルトルト(僕もアニの所に行きたいんだけどな…)

ライナー「まあいいじゃないか。せっかく俺たちは勝ったんだ」

サシャ「そうですよ、みんなでお祝いしましょう!」

ユミル「ああ、そうだな。派手にやるか!」

クリスタ「よ~し!腕によりをかけておごちそう準備しなくっちゃ」

サシャ「待ってました!」

ユミル「お前は本当にそればっかだな」


どこまでも澄み渡る青い空に、隊員達の笑い声がいつまでも響いていた

ーーーエピローグ

あれから3ヶ月が過ぎようとしていた

結果として、まだ怪獣は時折現れている

ベルトルトの話だと、あの闇の余波でしばらくは怪獣が現れ続けるだろうと言うことだった

街もずいぶんと落ち着きを取り戻し、復興も始まっていた。そんななか・・・

ピクシス「そうか、考えは変わらんか・・・」

キース「はい。旧友との約束ですので」

中央支部の司令官室で、総司令官ピクシスとキースは話していた

ピクシス「科学特捜兵団は解体し、新たな組織を作るか」

キース「巨人の脅威がほぼ消えた今、対怪獣の体制強化の為です」

ピクシス「てっきりお前は中央に戻ってくるものと思っていたがな」

キース「あそこには、まだまだ手のかかるひよっこ共がおりますので」

キースは時計を見ると敬礼し司令室を後にする

ピクシス「なんだ、チェスでも打っていかないのか?」

キース「ええ、今日は我が隊に新たな仲間が加わりますので」

ーーーー
ーーー
ーー

キース「と、言うわけで本日から正式に隊員として加わることになった」

アニ「アニ・レオンハートです。よろしく」

ライナー「知ってるぞー!」

コニー「まあずっとここに出入りしてたから今更だけどな」

サシャ「それって・・・」

ユミル「どっちかっていうとエレンに逢うのがメインで」

ジャン「こっちはおまけだったんだろうけどな」

アニ「・・・・・・・」

クリスタ「もう、みんなぁ!・・・よ、よろしくね、アニ!」

そこに遅れてエレン、ミカサ、アルミンが入ってくる

エレン「すみません!遅くなりました!」

キース「何をしておるか。とっくに始まっておるぞ」

アルミン「すっすみません、今朝からシガンシナ区に行っていたもので」

あれからエレン、ミカサ、アルミンの三人は度々シガンシナ区に帰っていた
アルミンの記憶を取り戻す為だった

アルミンは無理に記憶は取り戻さなくてもいいといったが、
二人は故郷に帰るついでだからと、アルミンをあちらこちらに連れ出していた

ベルトルトは科特隊を離れ、独自に研究組織を作りこの世界に残る謎を解き明かそうと調査を開始し始めている
アニとライナーは科特隊に残るよう進めたが自分にはやりたいことが出来たと固持した為それ以上の説得は諦めた

ミカサ「アニ、いろんな意味で、これからよろしく」

そう言って手を差し出す

アニ「ああ、いろんな意味で、よろしく」

不敵に笑いながらアニはミカサと握手を交わした

エレン「・・・なんか二人が怖いのは気のせいか?」

アルミン「・・・あ、あはは・・・」

ジャン「・・・けっ」

キース「ところでキルシュタイン。新しい部隊名は、決めたのか?」

ジャン「は、はい!それは・・・」

エレン「『ウルトラ警備隊』です!」

ユミル「ほんとにそれにすんのかよ」

サシャ「ええ?かっこいいじゃないですか!」

コニー「なあ」

その時、警報が鳴り響く

クリスタ「怪獣出現!」

キース「よし!かが・・いや、ウルトラ警備隊、出撃!」

「「「了解!」」」


ーーー日々は続いてゆく。それは決して順風な日々ではないだろう

   しかし、彼らがいる限りこの世界が再び闇に覆われることは無い

   この星に、ウルトラマンがいる限りーーーーー


                  ウルトラマンイェーガー  完

これにて完結です。軽いノリで始めたのがまさか3ヶ月もかかるとは思いませんでした
たくさんの誤字脱字や定まらないキャラ(主に口調)と、いろいろ問題点は多かったですがなんとか完結できてよかったです
ここまで見捨てずに読んでくださった方、本当にありがとうございました!
それではまたご縁があったら・・・

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