エレン「ここは・・・ どこだ?」 続編(628)
エレン「ここは・・・ どこだ?」 の続きです。
エレン「ここは・・・ どこだ?」 - SSまとめ速報
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原作10巻までのネタバレあります。
ドラクエの世界観ですが、作品、時系列などはごちゃ混ぜです。
前スレのあらすじ
アルミンは薬草
ジャン「行くんだろ? その町。」
アニ「そうだね。 敵いそうになかったらすぐ逃げればいいしね。」
ライナー「まだ日も高い。 すぐに行ってみるか?」
クリスタ「でもサシャ動けるかな…」
アルミン「馬車に芋でも積んでおけばついて来るんじゃないか?」
ベルトルト「サシャは一体…」
ミカサ「なら私はサシャを呼んでくる。」
エレン「その町って近いのか?」
ユミル「ここからそんなに離れてないらしいぞ。」
コニー「いもおんな あれ いもおんな」
エレン「あれが町か…」
ミカサ「人の気配がしない。 凄く静か。」
クリスタ「人の居ない町ってなんか不気味だね…」
ユミル「どんな怪物が潜んでるんだろうな。」
エレン「とりあえず町の中に入ってみよう。」
ミカサ「エレン。 周りによく気をつけて。」
エレン「わかってるよ!!」
ライナー「馬車はここに止めて行くか。」
ジャン「馬車の見張りと、あとは二手に分かれて町を探索するか?」
ライナー「そうだな。」
アルミン「なら僕は馬車に残っていよう。」
ジャン「お前はたまには働けよ…」
サシャ「体調も戻ったので私は中に行きますよ!」
エレン「俺も町に入るぜ!」
ミカサ「私もエレンと一緒に行く。」
エレン「ライナーとアニはよく戦闘に出てるからたまには休んだらどうだ?」
クリスタ「そうだね。 私も町に入るね。」
ジャン「アルミンとミカサは回復が出来るから分かれたほうがいいよな。」
アルミン「僕はクリスタと行こう。」
ユミル「おい。 私もクリスタと一緒に行くぞ。」
サシャ「私とジャンも遠距離攻撃だから分かれたほうがいいですよね?」
ジャン「俺はミカサと一緒に行くぜ。」
サシャ「なら私はユミル達と一緒ですね!」
コニー「いく!」
エレン「コニーも入るか。 なら俺達と一緒にいこうぜ!」
ベルトルト「なら僕は居残りだね。」
ライナー「お前ら気をつけて行ってこいよ。」
エレン「しかしホントに人いねーな。 みんな避難しちまったのか。」
ジャン「よっぽど手強いんだな。 その暴れたヤツ。」
ミカサ「2人とも油断しないで。」
エレン「お、おう。」
コニー「たたかう!」
ジャン「まぁこっちにはコニーがいるしな。 危険が近づけばすぐに判るだろう。」
エレン「もうちょっと奥に行ってみようぜ。」
アルミン「さぁユミル。 先頭を行くんだ。」
ユミル「はぁ? お前男だろ… お前が先頭で行けよ…」
アルミン「君がこの中で一番男らしいだろ!?」
ユミル「ぶっ飛ばすぞお前!」
クリスタ「もう、ケンカしないで! 私が先頭で行くから。」
ユミ ミン「「!?」」
サシャ「クリスタ男らしいですね!」
ユミル「おい、サシャ。 お前が先頭で行け。」
アルミン「そうだね。 サシャは敵索のカンが鋭いし、君が先頭で行くべきだね。」
サシャ「えー…」
アニ「あいつら無事に帰ってくるといいんだけどね…」
ベルトルト「アニなんかちょっと変わったね。」
アニ「…何が?」
ライナー「そういえばベルトルト。 お前もトロスト区で巨人にやられたのか?」
ベルトルト「うん… ライナーもかい?」
ライナー「あぁ。 俺もドジっちまったぜ。」
アニ「まったく何やってんだよアンタら。」
ライナー「そう言うアニもだろ?」
ベルトルト「ハハハ。 こう3人だけで話すのも久しぶりだね。」
アニ「そうだね…」
コニー「くちく!」
エレン「おっ! ついにコニーも目覚めたか!」
ジャン「何にだよ…」
ミカサ「エレンもその言葉を忘れるべき。」
エレン「何でだよ。 ミカサも言ってみろよ。」
ミカサ「くちく…」
ジャン「ブハッ!!」
エレン「うわっ! なに鼻血だしてんだよジャン! きたねーだろ!」
ジャン「くっ…! つい萌えてしまった…!」
サシャ「…! みなさん…! 止まってください…!」
ユミル「どうした?」
サシャ「今何かが向こうの建物の影を横切りました…」
クリスタ「ホ、ホントに…?」
サシャ「えぇ… 間違いないです。」
アルミン「はははは。 ななな何怯えてるんだい ククククリスタ。」
ユミル「お前大丈夫かよ…」
ミカサ「! 止まって。」
エレン「どうしたミカサ?」
ミカサ「あそこに何かいる…」
エレン「え? でもコニーは何も反応してねーぞ?」
コニー「ふあー」
ジャン「もしかしてアルミンが言葉を教えたせいで野生化が解けかけてるのか…?」
ミカサ「回り込んで様子を伺おう。」
エレン「おう。」
サシャ「回り込んで様子を伺いましょう…」
ユミル「そんな回りくどい事するのか?」
サシャ「狩りの基本は相手に気取られず自分の優位な位置に身を潜める事ですよ。」
ユミル「へーへーわかったよ。」
アルミン「ククククリスタ いつでもぼぼぼ僕の胸に飛び込んで来ていいいいいからね。」
クリスタ「うん。大丈夫。 ケガしないように気をつけてねアルミン。」
サシャ「この位置なら…」
ユミル「どうだ? 見えるか?」
サシャ「なんとか… あっ! あれは…!!」
エレン「どうだミカサ。 見えるか?」
ミカサ「何か居るのはわかるけど… 光が反射しててよく見えない。」
ジャン「もうちょっと近づいてみるか?」
エレン「そうだな。 気を抜くなよ。」
ジャン「お前こそな。」
コニー「あうー」
ミカサ「! 影に入って反射が無くなった。」
エレン「俺もなんとか見えそうだな… !?!?」
キース「…」 テクテク
サシャ「きょ、教官…!?」
ユミル「なんでハゲがこんな所にいるんだよ…」
クリスタ「教官もこっちに来てたんだ… 話かけてみる?」
アルミン「話かけるのかい? やだなぁ ハゲがうつりそう…」
サシャ「教官なら何か知ってるかもしれませんね… 私話しかけてきます!」
ユミル「お、おい…!」
サシャ「大丈夫ですよ!」 タタッ
エレン「あれ教官じゃねーか…」
ジャン「なんでアイツがここに居るんだよ…」
ミカサ「住民が皆避難している中で教官が一人… まさか。」
ジャン「えっ? おいおい冗談だろ? いくら教官でも町ひとつ占領する程の力なんて… まさかな…」
エレン「え? なんだよ。 どうしたんだ?」
ジャン「コニーを思い出してみろ。 普通の頃のコニーはこう言っちゃなんだが今のどの力はなかった。」
ジャン「しかし野生化した状態だと常人じゃ考えられない力を発揮している。」
エレン「は? じゃああの教官は…」
ミカサ「サシャが近づいて行っている! 危ないかもしれない!」
ジャン「チッ 俺達も行くぞ!」
サシャ「教官! お久しぶりです! ご無事だったんですね!」
キース「・・・!」
ユミル「おい! サシャ離れろ!」
サシャ「えっ?」
キース「グ…オォォオオッ!!」
サシャ「ひゃっ!?」 ビクゥッ
キース「ゴォオオオォオッ!」
サシャ「ヒィイイッ!」 バッ
アルミン「ひ、火を噴いた…!?」
クリスタ「えっ!? ど、どうなってるの!?」
ジャン「サシャ大丈夫か!!」
サシャ「!! みなさん! な、なんとか避けました!」
キース「コォォォオオッ」
エレン「次が来るぞ!」
キース「ヒュォオオオオッ!」
アルミン「今度は氷の息を!?」
ユミル「くっ…! ベギラマ!」 ゴォオオッ
ユミル「ぐぅううっ…! ぐはぁっ!」
クリスタ「ユミル!!」
ジャン「くっ! ユミルの呪文より教官の攻撃の方が上か!!」
エレン「どうなってんだよ!?」
ミカサ「わからない! 今わかるのは教官が私たちを攻撃してきてるという事だけ!」
ユミル「くっ… はっ…!」
アルミン「ホイミ!」
ユミル「…お前に助けられるとはな。」
アルミン「君に攻撃してもらわないと僕にも被害が及ぶからね。」
ジャン「次がくるぞ!!」
キース「バ ギ ク ロ ス」
エレン「なっ!? じゅ、呪文!?」
ジャン「ぐはぁあっ!」
エレン「ぐぉおっ!」
クリスタ「きゃぁああっ!」
ミカサ「くっ! みんな!!」 フリフリ
アルミン「あんな高等呪文を… !!! あっあれは…!」
ユミル「どうしたアルミン!」
アルミン「クリスタのパ☆ン☆ティ☆ラ☆!」
ユミル「テメェぶっ殺すぞ!!」
アルミン「うぉおおおっ! きたきたきたぁあっ!!」
ユミル「は!? お、おい!?」
アルミン「ふぅ…」
訂正
アルミン「うぉおおおっ! きたきたきたぁあっ!! うっ…」
ユミル「は!? お、おい!?」
アルミン「ふぅ…」
キース「コォォオオッ」
ジャン「やべぇ次が来るぞ…」
エレン「さっきのダメージがでかすぎる… 次まともに食らったら…」
ミカサ「エレン! エレン!!」
キース「ゴォオオォッ!」
バッ!
エレン「ア、アルミン!?」
アルミン「フバーハ!!」
ジャン「は!?」
シュオォオオッ
クリスタ「ほ、炎が防がれている…?」
キース「コォオオオオッ」
サシャ「次の攻撃が来ますよ!!」
キース「ヒュォオオォオッ!」
アルミン「ベギラゴン!」 ゴォォオオッ!
ドシュワァアアッ
ユミル「は? う、打ち消した…?」
ミカサ「ア、アルミン…?」
アルミン「ミカサ! 今のうちにみんなの体力を回復するんだ!」
ミカサ「えっ? う、うん。」 フリフリ
アルミン「教官は僕が引きとめる!」
キース「バ ギ ク ロ ス」
アルミン「マホカンタ!」
カーン
キース「ぐぉおおおっ!」
ジャン「す、すげぇ…」
サシャ「一体どうなってるんですか… なぜアルミンが突然あんなに呪文を…?」
ユミル「賢者タイムだ。」
クリスタ「賢者タイム…?」
エレン「は? お、おいユミルお前何言ってんだ…」
ユミル「お前ら男ならみんな分かるだろ?」
ジャン「お、おい… まさか… そんなので…」
クリスタ「賢者タイムって何?」
ユミル「クリスタには後でゆっくり教えてやるよ。」
エレン「と、とにかく今はアルミンに頼るしかねぇ!」
今日はここまでです。 続きはまた明日。
キース「ベ ホ マ」
ユミル「チッ 回復も出来るのか。」
ジャン「おいアルミン! さっさとやっちまえよ!」
アルミン「ダメだ…! この教官は本物の教官かもしれない…!」
ミカサ「なんとか教官を取り押さえて正気に戻すしかいない。」
クリスタ「でもどうやって…」
サシャ「みなさん気をつけてください! 教官が何かを溜めています!」
アルミン「!! この魔力はマズイ…!」
キース「イ オ ナ ズ ン」
ドォオオン!!
ジャン「ぅぅ…」
ミカサ「くっ…」
クリスタ「ぁぅ…」
アルミン「ベ、ベホマズン…」
ジャン「はぁはぁ… 助かったぜアルミン。」
アルミン「イオ系も使えるなんて… あれは防ぎ様がないからマズイよ…」
コニー「あうー」
エレン「コニー! お前今までどこに!」
キース「コォォ…」
サシャ「マズイです! 教官がコニーを狙っています!」
ジャン「おいコニー逃げろ!!」
コニー「う?」
キース「ォオオオッ」
アルミン「ダメだ… 間に合わない…!」
コニー「こにーすぷりんがー」
キース「…!!」
クリスタ「えっ… 教官の動きが止まった…?」
コニー「ぼくこにーすぷりんがー」
キース「コニー… スプリンガー…」
エレン「教官…!?」
キース「コニー… スプリンガー… 貴様ノ心臓ハ… 右ニアルノカ…?」
ジャン「!! 教官! 思い出したんですか!?」
コニー「こにーすぷりんがー!」
キース「ウゥッ… コニー… スプリンガー… ウゥッ…」
ジャン「教官! 俺です! ジャン・キルシュタインです!!」
キース「グ… オォオオッ!!」
ユミル「おい! また荒れ出したぞ!」
ジャン「くそっ… なんでだよ!!」
アルミン「あの反応はやっぱりあの人は教官… それに… まさか…!」
アルミン「みんな! 教官を元に戻せるかもしれない!」
エレン「本当かアルミン!」
アルミン「うん…! 確実じゃないけど… でもそれには準備がいるんだ! 説明しているヒマがない! 僕が戻るまで時間を稼いでくれっ!」 ダダダッ
ユミル「時間を稼げって…」
ジャン「コニー! もう一度自分の名前を言ってくれ!!」
コニー「じゃん うまづら」
ジャン「くそっ! ダメか!!」
キース「グォオッ!」
ユミル「とりあえず散れ! ハゲの攻撃を喰らわない様に気をつけろ!」
ライナー「ヒマだな。」
アニ「ヒマだね。」
ベルトルト「モンスターも出てこないしね。」
ライナー「ん? あそこからアルミンが走ってくるぞ?」
アルミン「ごめん! 急いでるんだ! 馬車に入るよ!!」
ライナー「どうしたんだそんなに慌てて… んっ?」
ベルトルト「何かあったのかい? えっ…?」
アルミン「これとこれを使って…」
アルミン「ごめんあとで説明するから!」 ダダダッ
ライナー「お、おう。」
アニ「ねぇ アルミンなんか変なニオイしなかった?」
ライナー「な、なんのニオイだったんだろうな。」
ベルトルト「ぼ、僕にはわからないかな。」
アニ「…知ってるんでしょ? 答えな。」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アルミン「ヒャド!」
アルミン「メラ!」
アルミン「よし… これで…」
アルミン「みんな… 耐えていてくれ…!」
ミカサ「エレン!」 フリフリ
エレン「他のヤツらはどうなってる…?」
ミカサ「みんな薬草で凌いでいる… でも長くは持たない…」
エレン「くそっ… アルミンはまだか…!」
ミカサ「! アルミンが来た…!」
アルミン「2人とも無事かい!? サシャはどこに!?」
サシャ「はい! ここにいます!」
アルミン「サシャ! これを使うんだ!」 ブンッ
サシャ「これは…?」
アルミン「ふかした芋だ!!」
アルミン「それを持って教官の前に行くんだ!」
サシャ「えぇ!? 本気ですか!? こんな時に何考えてるんですか!?」
アルミン「サシャ! 君にしか出来ないんだ!!」
サシャ「…わかりました!」
タタタッ
サシャ「教官! こっちです!!」
キース「! グウゥ…!!」
アルミン「その芋を教官が見える様にに持つんだ!」
サシャ「こ、こうですか…?」
キース「…」
ミカサ「教官の動きが止まった…」
アルミン「うん… だけど教官を正気に戻すにはまだ足りない…!」
アルミン「サシャ! その芋を食べるんだ!!」
サシャ「えっ!?」
アルミン「早く!」
サシャ「ーッ!!」 ムシャリ
キース「!!! ナゼ… 芋ヲ食ベタ…」
サシャ「…」 モグモグ
アルミン「もうちょっとだ… 後もう少しだけど… 何かが足りない…」
アルミン「考えろ… 考えるんだアルレルト…!」
アルミン「ハッ!!! サシャ! 思い出すんだ!! あの時君が何をしたかを!! 教官に対して何をしたかを思い出すんだ!!」
サシャ「何をしたって言われても… まさか…!!」
サシャ「でも… そんな事…」
サシャ「くっ…!!」 ズグッ
サシャ「半分… どうぞ…」
キース「半… 分…?」
サシャ「フーッ」
今日はここまでです。 短くてごめんなさい。
続きはまた。
エレン「お、おい… あれ半分じゃねーだろ…」
ミカサ「確かにあれは1/3程度の大きさ。」
アルミン「大丈夫… あれでいいはずだよ…」
エレン「ん? なんか変なニオイしねーか?」
アルミン「!!!」
ミカサ「大丈夫。私は気にしていない。」
アルミン「あっあっ ふ、二人とも! 教官を見て!」
キース「ウゥッ… グウゥッ…」
サシャ「きょ、教官…?」
キース「ウォオオオオッ!!」
サシャ「!?」 ビクッ
アルミン「サシャ! 一旦離れるんだ!」
サシャ「は、はい!」
エレン「アルミンどうなんだ!?」
アルミン「やれる事はやった… あとは様子を見るしかない…!」
キース「・・・。」
キース「私は… 何をしていた…? ここは… どこだ?」
アルミン「やった… 成功した…!」
エレン「さすがアルミンだな!」
ミカサ「アルミンには正解を導き出す力がある。」
アルミン「えっ?」
ミカサ「気づいていないだけ。 アルミンのおかげで私とエレンは再会できたし、教官を元に戻す方法も発見できた。」
サシャ「みなさん! 教官の周りが…!」
アルミン「!?」
ズォオオオッ
キース「な、なんだこれは…」
キース「おぉっ!? ひ、引きずり込まれていくっ…!」
キース「うぉおおっ!!」
シュゥウウッ
エレン「は?」
ミカサ「教官が… 消えた…?」
サシャ「アルミンどういう事ですか?」
アルミン「…僕にも分からない。」
ジャン「おいおいなんだよ今の!」
ユミル「ハゲが消えちまったぞ。」
クリスタ「何か渦のようなものに教官が飲み込まれてった…?」
コニー「どうなってやがるんだ…」
アルミン「わからない… でも渦の中に微かに… あれは…」
クリスタ「あれ? アルミンの口調が…」
アルミン「!!! みんな僕に近づいちゃだめだ!!」
エレン「どうしたんだ!?」
アルミン「…僕は今、賢者の息吹に包まれている。 この息吹は危険なんだっ…!!」
クリスタ「えっ? な、なにそれ…?」
ユミル「…」
ジャン「…」
アルミン「僕はこの息吹を取り除いてくる… みんなは先に馬車に戻っていてくれないか…」
エレン「ど、どうしたんだアルミン?」
ユミル「放っといてやれ…」
エレン「な、なんでだ…?」
ジャン「今は一人にしてやろう… 行くぞ。」
ミカサ「エレン。 行こう。」
エレン「あ、あぁ…」
ライナー「お、あいつら戻ってきたぞ。」
エレン「よぉ。 待たせたな。」
アニ「で、どうだったの?」
サシャ「教官がいました。」
ベルトルト「え? 教官が?」
コニー「だが消えちまった…」
ライナー「ど、どういう事だ?」
アニ「ちょっと待って。 コニー アンタ…」
コニー「ん? なんだよ?」
ジャン「!!?? コニーが普通に喋ってやがる…!?」
コニー「はぁ? どういう意味だよそりゃ!?」
エレン「マジかよ…」
アニ「アンタら今気づいたの…」
ライナー「何があったのか詳しく教えてくれ。 あとアルミンはどうしたんだ?」
クリスタ「何か賢者の息吹がどうのこうのって言って… あとで来るよ。」
ライナー「…そうか。」
コニー「俺も記憶が飛び飛びなんだよな。 なぁここはどこなんだ?」
ジャン「アルミンが戻るまで俺が説明しよう。」
ジャン「ってなワケだ。」
アニ「その教官が飲み込まれた渦ってのが気になるね。」
ライナー「コニーはいつ元に戻ったんだ?」
ジャン「それはいつの間にかってヤツだな…」
コニー「元に戻ったってどういう事だよ。」
アルミン「フン。 喋れるようになってもバカな所は変わらないみたいだね。」
クリスタ「アルミン! ってアレ? 口調が…」
アルミン「どうしたんだい? クリスタ。 僕とまぐわう気になったのかい?」
クリスタ「…」
ユミル「元に戻っちまったな。」
ジャン「やっぱ一時的なもんだったか。 ニオイも取れてるな。」
ライナー「アルミン教官はどうなったんだ?」
アルミン「僕に分かるワケないじゃないか。 たまには自分で考えてみたらどうだい?」
ライナー「あ、あぁ…」
ベルトルト「と、とにかく町の脅威はなくなったんだろう? 先に進んでみるかい?」
アニ「この町から入れる山道を抜けると次の町があるんだっけ?」
ライナー「あぁ。 そう聞いている。」
エレン「なら移動しながら教官に起きた事を考えてみるか。」
ミカサ「そうね。 エレン。」
ジャン「どうだ? そっちは通れそうか?」
サシャ「えぇ。 かなり狭いですけど馬車がギリギリ通るくらいですかね。」
ライナー「状況を整理してみよう。 町を占拠していたのは荒れ狂った教官で、賢者になったアルミンがそれを元に戻した。」
ライナー「だがその瞬間に教官は謎の渦に飲み込まれて消え、いつの間にかコニーは言葉を喋れるようになっていた。」
エレン「大体そんな感じだな。」
ライナー「全く意味がわからんな。」
エレン「俺もわかんねーよ。」
コニー「俺バカだからよくわかんねーけどさ。 ここは俺達がいた壁の中の世界とは全く別の世界なんだろ? なら教官は壁の中に戻っちまったんじゃねーのか?」
ライナー「…!! その可能性はあるな…」
エレン「確かに… 呪文とか怪物とかもいるし、壁の外は何が起きてもおかしくねーからな…」
エレン「そういやコニーはどうやって言葉を喋れる様になったんだ?」
コニー「俺そんなに喋れてなかったのか…? わかんねーよ… 記憶も曖昧だし…」
コニー「ただ、何か思い出した様な気がするんだよな。 教官が消えた瞬間に…」
ライナー「教官が消えた瞬間か… 何かあるのかもな。」
エレン「ここに来た時の事も覚えてねーのか?」
コニー「あぁ。 覚えてねぇ… ただ何かから逃げてた様な気もする…」
ライナー「ますますわからんな。」
エレン「まぁそのうち思い出すんじゃねーのか?」
ライナー「そうだな。」
コニー「あぁ。 何か思い出したら言うよ。」
アニ「まだ山の中だけど日が落ちかけてるね。」
サシャ「今日は野宿ですかね。」
ユミル「あの町で一泊していくべきだったな。」
クリスタ「でも宿の人もいないし泊まれないんじゃ…」
ユミル「そんなもん勝手にあがっちまえばいいんだよ。」
クリスタ「ダメだよそんなこと!」
ユミル「はいはいクリスタはおりこうさんだね~。」
クリスタ「もう! ユミル!」
パチパチッ
ジャン「教官が元の世界に戻ったって?」
ライナー「そうと決まったワケじゃないがな。 その可能性もあるという事だ。」
アニ「確かにそれもあるかもしれないね。」
コニー「だろ!? やっぱ俺は天才だぜ。」
エレン「アルミンはどう思うんだ?」
アルミン「僕にはわからないかな。」
エレン「だよな…」
クリスタ「次の町はあとどのくらいの距離なのかな?」
ライナー「そこまでは聞いてないんだ。 すまん。」
ベルトルト「まぁそこまで遠くはないんじゃないかな。」
ジャン「ユミルは移動呪文とか使えないのか?」
ユミル「私が使えるのは攻撃呪文だけだぞ。」
コニー「なぁ俺も武器とか欲しいんだが。」
ジャン「お前、今まで素手で戦ってたじゃねーか。」
コニー「は? なんでそんな危ねぇマネしなきゃなんねーんだよ…」
アニ「野生化が解けたからね。 さすがに素手はキツイんじゃないの?」
コニー「そーだそーだ。 素手で戦うなんて野蛮人のする事だぜ。」
ライナー「呪文は… もちろん使えないよな。 次の町でコニーの装備も探すか。」
エレン「アニと見張りなんて久しぶりだな。」
アニ「あっちは誰が見てるの?」
エレン「サシャとアルミンが見てるぞ。」
アニ「今日は曇っていて月明かりもないから気をつけなよ。」
エレン「真っ暗で何も見えねーよな。」
アニ「と言っても今の所モンスターは一匹も出てないけどね。」
エレン「こんだけ暗けりゃモンスターも動けねーだろ。」
アニ「まぁそうかもしれないね。」
アルミン「全く。 見張りじゃないヤツらはのんきに寝てお気楽なもんだね。」
サシャ「アルミンもいつも馬車で寝てるじゃないですか。」
アルミン「地べたの上で寝るなんてゴメンだからね。」
サシャ「そ、そうですね。」
サシャ「それにしても真っ暗ですね。 何も見えませんよ。」
サシャ「暗すぎてアルミンの姿も見えないくらいですね。」
サシャ「あの… アルミンはなぜそんな風になってしまったんですか?」
サシャ「あれ…? アルミン…?」
サシャ「い、居ないんですか…?」
エレン「しかしアニすげぇよな。」
アニ「突然なに?」
エレン「だってさ、格闘術が人間だけじゃなくて魔物にも通じてるんだぜ? すげぇ技術だと思うぞ。」
アニ「…別にたいした事ないよ。」
アニ「…」
アニ「アンタも練習すればこのくらいは出来るハズだ。 センスは悪くないからね。」
アニ「…返事くらいしなよ…」
アニ「アレ…? 居ないのかい…?」
ジャン「ん… もう朝か… あれ… 朝…?」
ジャン「俺は夜のうちに見張りの交代だったハズだが…」
ジャン「おい、ベルトルト起きろ。」
ベルトルト「…もう交代の時間かい?」
ジャン「いや… もう朝だ。 交代の時間は過ぎてる。」
ベルトルト「え? どういう事だい?」
ジャン「わからん。 とりあえずエレン達に聞いてみるか。」
ライナー「エレン達が居ないだと?」
ミカサ「ジャン。 詳しく教えて。 返答次第では…」
ライナー「おいおい。 そんなに殺気立つなよミカサ…」
ベルトルト「ごめん… 僕達にもわからないんだ…」
ジャン「居なくなったのはエレンとアニとアルミンとサシャだ。 4人とも夜の前半の見張りだな…」
クリスタ「ま、魔物に襲われたのかな…?」
ジャン「俺もそう思ったんだが争った形跡がねぇ…」
ユミル「忽然と姿を消したって事か? あいつらが逃げ出すとは思えないがな。 アルミンはともかく。」
ミカサ「そんな… エレン…」
ライナー「とにかくアイツらを探そう。」
今日はここまでです。 続きはまた明日。
おやすみ。
ライナー「どうだ? いたか?」
ベルトルト「やっぱりこの周りにはいないね…」
クリスタ「前の町に戻っちゃったとか?」
ジャン「昨日寝る時は明かりもなく相当暗かった。 自分達で移動したとは考えにくい。」
ユミル「何者かに攫われたと考えるのが妥当か? それかあっさり喰われちまったとかな。」
ミカサ「エレンがそんな簡単に食べられるわけがない…!」
ライナー「俺達が無事なのを考えると喰われたって線は薄いな。」
コニー「4人だけ喰って満足しちまったとか?」
クリスタ「コニー!」
ベルトルト「と、とにかくもう少し捜索範囲を広げてみよう。」
ライナー「下に町が見えるな。」
ジャン「ここまで何も見つからなかったしな… 町で情報を集めてみよう。」
ミカサ「エレン… エレン…」
クリスタ「ミカサ… 元気出して…」
ベルトルト「早く探し出して助け出そう。」
ユミル「生きていればな。」
クリスタ「ユミル!」
ミカサ「絶対に生きている…!」
ユミル「ならさっさと行くぞ。」
ミカサ「わかった…」
ジャン「分かれて情報を集めるか。 そのほうが効率がいい。」
ミカサ「私はルイーダの酒場に行ってみる。」
ライナー「ミカサは登録してあるんだったな。 なら有益な情報をもらえるかもな。」
クリスタ「私は町の人に色々聞いて回ってくるよ。」
ユミル「私はクリスタと一緒に行く。」
コニー「俺は武器屋に行って装備の調達と、ついでに話を聞いてみるな。」
ライナー「コニー金持ってないだろう。 俺も一緒に行く。」
ベルトルト「僕もクリスタ達とは別に町の人に聞いて回ってみるよ。」
ジャン「ならある程度情報を得たら一旦ここに集まろう。」
ミカサ「わかった。」
武器屋「あんたらあの山を越えてきたのかい!?」
ライナー「ん? そうだが… 何かあるのか?」
武器屋「あの山は最近神隠しの話が絶えなくてね。 旅人も近寄らないんだ。」
ライナー「神隠し?」
武器屋「日の昇ってるうちはいいんだけどね。 夜にあの山に入った人間が何人も行方不明になっているんだ。」
ライナー「…その行方不明になった人間で見つかったヤツはいるのか?」
武器屋「残念ながらあの山で行方不明になって見つかった人は誰もいないよ…」
ライナー「なんて事だ…」
コニー「ライナー! これ買っていいか? すげー強そうなんだ。」
武器屋「おっ 雷神の槍かい? お客さんお目が高いね! そいつは15000Gだ。」
女の人「山で人がいなくなったの? うーん… 最近ウワサの神隠しかな…」
クリスタ「か、神隠しですか?」
女の人「えぇ。 夜になったらあの山に近づいてはいけらいらしいわよ。」
クリスタ「そうですか… 他にはなにか知りませんか?」
女の人「うーん… 他にこれといって… あっ! アナタ達旅の人よね? ならこの町の東にある火山には近づかないほうがいいわよ。」
クリスタ「カザン…?」
女の人「あそこにはすごく強い魔物が出るみたいなの。 無理に近づかないようにしたほうがいいわ。」
クリスタ「そうですか… ありがとうございます。」
ユミル「あの山で一泊したのは失敗だったな。」
クリスタ「そうだね… カザンって何だろう…」
カランカランカラーン
ミレーユ「いらっしゃい。 ここはルイーダの酒場よ。」
ミカサ「私はミカサ・アッカーマン。 エレン・イェーガーの行方を捜しています。」
ミレーユ「お二人とも登録してある方? ちょっと待ってね。」
ミレーユ「エレン・イェーガーさんの行方はわからなかったけど、仕事ならあったわよ。 火山のモンスター退治の依頼なんだけど…」
ミカサ「エレンの行方がわからないのなら用はありません。 失礼します。」
ミレーユ「えっ ちょっ」
扉 バタンッ
オカマ「あらっ! アナタあけみちゃん!? あけみちゃんじゃない!!」
ジャン「!? マ、ママ!」
オカマ「どうしたのこんな所に一人で。 アナタが突然居なくなって心配したのよ~」
ジャン「ごめんなさいママ… ママはどうしてこんな所に?」
オカマ「ここは私の故郷なのよ。 あそこの店を畳んでここに帰ってきたの。」
ジャン「そんな… ごめんなさいアタシのせいで…」
オカマ「あけみちゃんが気にする事じゃないわ! ここで立ち話もなんだからウチに来ない?」
ジャン「えぇ。 お邪魔させてもらうわ。」
ベルトルト(僕はとんでもないモノを目撃してしまったかもしれない…)
オカマ「そう… あの山でお仲間が行方不明になったのね…」
ジャン「ママは何か知らない?」
オカマ「あの山は神隠しのウワサが絶えないわ。」
ジャン「神隠し?」
オカマ「えぇ。 町のみんなは山の呪いだとか神の怒りだとか言っているけど私はそうは思わないのよ。」
ジャン「何か心当たりがあるの?」
オカマ「この町の東に火山があるのは知ってる?」
ジャン「カザン… って何? ママ。」
オカマ「あけみちゃんは知らない事が多いものね。 火山って言うのは火を噴く山のことよ。」
ジャン「火を噴く… 山…」
オカマ「その火山に最近、大きなクモのモンスターが住み着いたみたいでね。」
オカマ「そのクモが目撃され始めた時期と神隠しが起こり出した時期がかさなるのよ。」
ジャン「もしかして…」
オカマ「えぇ。 この町と山の向こうの町を繋ぐ道はあの山道しかないでしょ? そのクモが徘徊性のクモだとしたら人がよく通るあの道を狩場にしててもおかしくはないわ。」
ジャン「ありがとうママ! その火山を探ってみるわ!」
オカマ「あら。 もうイクの?」
ジャン「うん。 本当にクモに攫われたのだとしたら早く助け出してあげなきゃ!」
オカマ「そうね。 気をつけてね。」
ライナー「戻ったかベルトルト。 どうした? 青い顔して…」
ベルトルト「いや… なんでも無いんだ… 気にしないでおくれ…」
ユミル「何か情報は掴めたか?」
ミカサ「何の情報も得られなかった…」
ライナー「最近あの山では神隠しのウワサが絶えないらしい。」
クリスタ「あっ! それ私も聞いたよ! 夜になったら近づいちゃダメなんでしょ?」
ライナー「あぁ。 夜になると行方不明者が出るらしい。 そして…」
ミカサ「そして?」
ライナー「行方不明になった人間は誰一人として見つかっていないらしい…」
ミカサ「…」
ジャン「よぉ。 待たせたな。」
ライナー「戻ったかジャン。」
ベルトルト「…!!」
ジャン「あん? どうしたんだベルトルト。 人の事ジロジロ見て。」
ベルトルト「ご、ごめん… 気にしないで。」
ジャン「変なヤツだな…」
クリスタ「何か話は聞けた?」
ジャン「おう! おそらくアイツらを攫ったのは東の火山に住む蜘蛛だ。」
ミカサ「蜘蛛…?」
ユミル「随分と核心をついてるな。 信用できるのか?」
ジャン「あぁ。 言ってみりゃーひとつの壁を乗り越えた絆ってヤツだ。 信用はできる。」
ユミル「なんだそりゃ?」
ベルトルト「…」
ライナー「とにかくそこを探しに行ってみよう。 東にあるカザンだったな?」
ジャン「あぁ。そうだぜ。」
クリスタ「そういえばカザンって何? 町でもその話を聞いたんだけど…」
ジャン「火と噴く山らしいぞ。」
ユミル「それはおっかねーな。」
ミカサ「エレンが危険… すぐに行こう!」
ライナー「そうだな。 出発しよう。」
エレン「うっ… あれ… ここは…? う、動けねぇ…」
アニ「気が付いたかい…」
サシャ「気が付きましたかエレン…」
エレン「これはどうなっているんだ…? なんだこの糸のような物… 動けねぇぞ…」
アニ「どうしてこうなっているのかは分からないけど、今の状況がかなりヤバイってのはわかるよ。」
アルミン「どうして… どうして僕がこんな目にあわなきゃいけないんだ…!」
エレン「アルミンも捕まってるのか… それにここ異様に暑いぞ…」
アニ「暑いのはたぶんあれのせいだね… あそこに流れてる赤い液体。」
エレン「な、なんだあれ…」
アルミン「たぶん炎の水だ…」
エレン「あれがアルミンの言ってた炎の水か… くそっやべぇな… このままじゃ干からびちまうぞ…」
サシャ「それだけじゃありません。 アレを見てください…」
エレン「ん? あれは… 骨か…?」
サシャ「はい… おそらく色んな動物の骨です… 人骨らしきものも見えます…」
エレン「どういう事だ…?」
サシャ「この体に巻きつけられている糸から推測するに私達はクモに捕獲されたようです…」
エレン「クモだって? 何言ってんだよ… クモって小さいじゃねーか… 人間を捕まえるなんて…」
アニ「それくらい巨大なクモだって考えるしかないね。」
エレン「マジかよ… 相当やべぇんじゃねーのか…?」
サシャ「はい… 早く脱出しないと私達もあの残骸に仲間入りになります…」
ちょっと出かけてきます。 続きは後ほど。
ライナー「ここが火山ってヤツか。」
クリスタ「すごく暑いね…」
ミカサ「この中にエレンが… 早く探し出そう。」
ユミル「クリスタ。 水分の補給を忘れんなよ。」
クリスタ「う、うん。」
ひくいどり「クワーッ!」
ジャン「チッ モンスターも出やがるのか!」
コニー「あっ! くそっ! あんな高いとこ飛んでたら俺の槍が届かねーじゃねーか!」
ライナー「あいつらはジャンとユミルに任せろ! クリスタとコニーは俺の後ろに隠れろ!」
ユミル「メラミ!」
ひくいどり「クワーッ」
ユミル「チッ 炎系の呪文はきかねーか。」
ジャン「俺の出番だな。」 ブンッ
シュルシュルシュル バスッ
ひくいどり「クァッ…」
ジャン「耐えやがったな。 もう一発…」
ひくいどり「カァアッ」 ゴォオオォッ
ジャン「火を吹きやがった…!!」
ベルトルト「みんな僕の後ろに! フバーハ!」
シュォオオッ
ジャン「助かったぜベルトルト。」
コニー「おい何ちんたらやってんだよ!」 ブンブン
ライナー「お、おいコニー! 槍を振り回すな危ねぇ!」
カッ ビリビリビリ
ひくいどり「」 ドサッ
ユミル「!? お、おいコニー。今何をしたんだ?」
コニー「わ、わからねぇ… 槍を振り回してたら何かが出た…」
ライナー「そういえば武器屋がそれは道具として使っても効果があるって言ってたな。」
ユミル「今のはディン系の呪文だ… 限られた一部の人間しか扱えないモンなんだが。 その武器にそんな効果があるなんてな。」
ベルトルト「詳しいねユミル。」
ユミル「あんな姿になる前にちょっと呪文の訓練したからな。」
ベルトルト「えっ ユミルもあの町に居たのかい?」
ユミル「私は町なんか行ってねーよ。 変な婆さんに教えてもらったんだ。」
クリスタ「そういえばユミルはどうしてスラリンになっていたの?」
ユミル「その婆さんの所からトンズラしようとしたら、恩を仇で返しおって!とか言われてあの姿にされたんだよ。」
ユミル「跡継ぎが欲しかったんだろうな。 冗談じゃねぇっつーの。」
クリスタ「それでスラリンの姿になって、さ迷ってたら私に会ったのね。」
ユミル「そういう事だ。 やっぱ私とクリスタは惹かれ合ってんだな。 アッハッハ」
クリスタ「もう… 何言ってるのユミル。」
ライナー「そんな事言ってる間に次のお出ましだぞ。」
ばくだんいわ ゴロゴロゴロ
ベルトルト「!!! あのモンスターはマズイ! 逃げよう!」
ジャン「どうしたんだよベルトルト。あんな岩っころに。」
ベルトルト「いいから早く!」 ダダダッ
ライナー「お、おう!」 ダダダッ
クリスタ「ユミル! 私達も!」 ダダダッ
ユミル「おう。」 ダダダッ
コニー「お、置いてくなよ!」 ダダダッ
ジャン「お、おい…」
ジャン「へっ 臆病風に吹かれやがって。 あんなヤツ俺一人でやってやるよ。」
ジャン「ミカサに城下町の外を一人で捜索させられた時だって生き残ったんだ。 それに今はこのブーメランもある!」
ジャン「おい! そこの岩野郎! お前は俺がぶっ倒してやるぜ! くらえっ!!」 ブンッ
シュルシュルシュル ガスッ
ジャン「やったか!?」
ばくだんいわ「…グウゥ」
ジャン「へっ!?」
ばくだんいわ「メガ… ンテ…」
カッ!
ドォオオオォッン
ライナー「うおっ!?」
クリスタ「きゃあ!」
ベルトルト「さっきの場所で爆発が…」
ユミル「おい、まさかアレ… メガンテか?」
ベルトルト「うん… あのモンスターはメガンテを唱えるんだ…」
ベルトルト「魔法都市に居た時、要注意だって教えてもらった。」
コニー「あっぶねぇな…」
クリスタ「すごい威力だね… あれ? ミカサとジャンは…?」
ライナー「まさか…な。 さっきの場所を見に行ってみよう。」
ライナー「…」
ベルトルト「棺桶がひとつ…」
ユミル「ミカサの言った通りになったな。」
クリスタ「なんで棺桶がこんな所に…?」
ライナー「おそらくそれはジャンだ。」
コニー「えっ? そうなのか? これがジャンの真の姿なのか?」
ベルトルト「本当にこれがジャンなのかい?」
ライナー「状況的に言ってな… 俺は以前これと同じ物を見たことがある。」
クリスタ「あっ… あの超大型の巨人と戦ったときに…」
ベルトルト「!?」
ライナー「(大丈夫だ。 あれは巨人じゃない。)」
ベルトルト ホッ
ユミル「あの時のアイツはすぐ生き返ったよな。 ならこいつを生き返らせる方法もあるって事か?」
ライナー「おそらくあるだろう。 しかし気になるのは棺桶がひとつしかない事だ。」
クリスタ「ミカサは…?」
ユミル「思い返せばあいつ戦闘が始まった頃から居なかったよな…?」
コニー「ミカサが爆発したのか?」
ベルトルト「たぶんエレンが心配すぎて一人で先に行ったんだね。」
ライナー「たぶんそうだろう。 棺桶を馬車に積んで俺達も急ごう。」
クリスタ「うん!」
ミカサ「エレン! どこなのエレン!!」
ミカサ「くっ… こっちの方向からエレンの波長を感じ取れるのに…!!」
巨蜘蛛 ガサガサガサ
ミカサ「!! 何… この巨大なクモは… 頭の高さは3m巨人並…」
ミカサ「ハッ!! まさかこいつがエレンを…!!」
巨蜘蛛「キシャー」
ミカサ「私の特技は… 肉を削ぎ落とす事… 例えそれが昆虫であっても例外ではない。」
ミカサ「私が今持っているのは短剣が2本。 だがお前を仕留めるには十分だ。」
巨蜘蛛「シャアアッ」 グワッ
ミカサ「ーッ!!」 ダッ
ライナー「ふんっ!」 ドゴォ
ほのおのせんし「」 ドサッ
ユミル「イオラ!」 ドォン
マドハンドの群れ「」
ベルトルト「これで全部かな?」
コニー「槍って扱うのなかなか難しいな…」
ライナー「そのうち慣れるだろ。」
クリスタ「あっ! あれを見て…」
ユミル「巨大なクモの… 死骸か…?」
ライナー「ズタズタに切り裂かれてるな… ミカサか…?」
ミカサ「みんな…」
ライナー「おお。 ミカサ無事だったか。」
ミカサ「エレンが… エレンが…」
ベルトルト「4人ともまだ食べられてなかったみたいだね。」
ユミル「この暑さで脱水症状でも起こしたか。 全員ぐったりしてるな。」
クリスタ「急いで町に戻ろう! 休ませてあげなきゃ…」
ライナー「そうだな。 全員馬車に運び込もう。 コニー、ベルトルト。 手伝ってくれ。」
コニー「おう。」
ベルトルト「うん。」
ベルトルト「ライナーどうだった?」
ライナー「医者の話だと十分な水分を取って2~3日安静にしてれば大丈夫だそうだ。」
ユミル「ミカサはエレンにつきっきりだな。」
クリスタ「そうだね。 すごく心配そうだったもんね。」
コニー「ジャンはどうするんだ?」
ライナー「それなんだがな… どうも蘇生させる方法が思い浮かばなくてな。」
ユミル「そりゃそうだろ。 死人が生き返るなんて本来ありえない話だ。」
ベルトルト「この世界ならではだよね。」
クリスタ「これで私達のいるここが壁の外の世界ではなくて全く別の世界って事が証明されたね…」
オカマ「アナタ達今、ジャンって言ってなかった?」
ライナー「むっ… 貴様… ノンケではないな…!?」
オカマ「お願い教えて! あけみちゃんに何があったの!?」
ユミル「あ、あけみちゃん?」
オカマ「あぁ… ごめんなさい… 気が動転して源氏名を… ジャンちゃんの事よ。」
ライ ユミ ベル クリ「!!??」
コニー「ジャンは… 死にました…」
オカマ「あぁっ… なんて事なの…」
オカマ「ジャンちゃんの棺桶はある…?」
ライナー「あぁ… 一応保管はしてあるが…」
オカマ「お願い… ジャンちゃんを生き返らせてほしいの…」
ライナー「俺たちもそうしたいが… どうすればいいかわからないんだ…」
オカマ「もしかしてアナタ達もあけm、ジャンちゃん達と同じ世界から来たの?」
クリスタ「そうですよ。」
オカマ「なら知らないのも無理はないわね…」
ライナー「方法があるのか!?」
オカマ「えぇ。 この世界には世界樹の葉という物があるの。」
コニー「セカイジュの歯?」
オカマ「それがあればあけみちゃんを生き返らせる事ができるわ!」
ライナー「そんな物が… それはどこにあるんだ?」
オカマ「この世界地図を見てほしいの。」
ライナー「こんな物があるのか。」
ユミル「へぇ… こりゃあ… エレンに見せたら大喜びしそうだな。」
オカマ「私たちがいるのはこの東の大陸の中央あたりよ。」
オカマ「そしてこの北の大陸、西と南の大陸は繋がってるのは分かるわね?」
クリスタ「それぞれの大陸が真ん中の大陸を囲むようになってますね。」
オカマ「そう。 この真ん中の大陸に世界樹と呼ばれる樹があるの。」
オカマ「そしてその葉には死者を蘇らせる力があるといわれているわ。」
ライナー「なるほど… しかしここに渡るには船が必要だな。」
オカマ「そうなのよね…」
ヘンリー「ようアンタら! 探したぜ!」
ライナー「ヘ、ヘンリー!?」
ヘンリー「国のほうが落ち着いたもんでな。 ずっとアンタらを探していたんだ。」
ライナー「ついに王になったのか。」
ヘンリー「いや、王位は弟のデールのままだ。 俺は影ながらサポートしていくつもりさ。 それに王様なんて窮屈で退屈だしな!」
ヘンリー「どうやら何か困っているみたいだな。 何かあったのか?」
ライナー「それがな…」
ヘンリー「そうか… そんな事があったのか。」
ライナー「あぁ。 だから中央の大陸に渡る手段が欲しい。」
ヘンリー「なら俺がここまで来た船を使って送ってやるよ。」
ライナー「いいのか?」
ヘンリー「言ったろ? 必ず礼はするって。 そのくらいお安い御用だ。」
ライナー「すまないな。 助かる。」
ヘンリー「すぐに出発するか?」
ライナー「あぁ。 エレン達はしばらく動けないし、その間に世界樹の葉をとってこよう。」
ユミル「ミカサはエレンのそばに居たいだろうから来ないだろうな。」
クリスタ「そうだね。 エレン達が休んでる間に世界樹の葉を取りに行ってくるって伝えてくるね!」
ライナー「コニーとベルトルトは一緒に行くだろ?」
ベルトルト「あぁ。 僕も一緒に行くよ。」
コニー「俺も行くぜ。」
ユミル「回復出来る人間が居ないからな。 薬草を大量に買い込んどくか。」
ライナー「そうだな。 ヘンリー悪いがちょっと待っていてくれないか。」
ヘンリー「あぁ。 俺はここで待ってるから準備が出来たら声をかけてくれ。」
オカマ「アナタ達… よろしくお願いね…!」
今日はここまでです。 続きはまた明日。
おやすみ。
ヘンリー「全員乗ったか? 出発するぞ。」
ヘンリー「トム。 出してくれ。」
トム兵長「ハッ! 野郎ども! 出航だぁーっ!!」
船夫「イェッサー!」
ヘンリー「中央の大陸まで2日ほどだ。 客室でゆっくりしていてくれ。」
ライナー「悪いな。 そうさせてもらう。」
ユミル「さすが王族の船だな。 すげぇ豪華じゃねーか。」
クリスタ「ユミル! 食器盗ったらだめだよ!!」
ユミル「いいじゃねーか。 減るもんじゃあるまいし。」
ライナー「いや持っていったら減るだろ…」
コニー「すげぇ… こんなピカピカなフォーク初めて見たぜ…!」
ベルトルト「ありとあらゆる物に装飾が施されてるね。」
ユミル「ホラ。 クリスタもこれもらっとけよ。 宝石ついてるぞコレ。」
クリスタ「わ、私は…」 ゴクリ…
ライナー「全く… 貴族だとか王族はなんでそろいもそろってこうなんだろうな。 おい、ベルトルトそれは俺のだ。」
ガチャリ
ヘンリー「やぁ。 部屋は気に入ってもらえたかな?」
貧乏人5人「「「「「!?」」」」」
ライナー「あ、あぁ… なかなかいい部屋だ。」
クリスタ「わ、私ちょっと外の風に当たってくるね…」 チャラチャラ
ユミル「おい、クリスタ。 私も行くぞ。」 カチャカチャ
ベルトルト「ぼ、僕も海を眺めてこようかな。」 ガチャガチャ
コニー「おい! 置いて行くなよ!」 カチャカチャ
ライナー「お、俺も風に当たってくるな。」 チャリチャリ
ヘンリー「…。 まぁ別にいいけど…」
コニー「セカイジュってのはそんな簡単に見つかるもんなのか?」
ベルトルト「この世界では有名らしいよ。 僕も話にだけなら聞いた事がある。」
ユミル「なんでも魔力の源だとかなんとかな。 婆さんに教えてもらったぞ。」
コニー「へぇーそうなのか。 でもそんなヤツの歯なんて取れるのか?」
クリスタ「葉を採るだけなら簡単じゃないの?」
コニー「簡単なのか…? すげぇなお前ら。」
ライナー「まぁ樹だしな。 そんなに苦労もしないだろう。」
コニー「? 木に歯が生えてるのか?」
ベルトルト「コニー…」
ヘンリー「あっ キミ達。」
ライクリ「!?」 ビクッ
ヘンリー「何をそんなに驚いているんだい…? キミ達に渡したい物があるんだ。」
ライナー「渡したい物?」
ヘンリー「この鉄球とムチをね。 キミ達の武器はこれなんだろ?」
クリスタ「い、いいんですか?」
ヘンリー「国を救ってもらった礼だ。 こんなんじゃまだまだ足りないけどな。」
クリスタ「このムチ… すごい強そう。」
ヘンリー「それはグリンガムのムチって呼ばれてる物だよ。 ライナー君のは破壊の鉄球だ。」
ヘンリー「本当はもっと色んな物を渡したかったんだけどそれしか用意できなくてね。 すまないね。」
ライナー「なんか悪いな。」
ヘンリー「いいって気にしないでくれ。 俺が出来るのはこれくらいなもんだ。」
ヘンリー「俺は部屋に戻ってるから何か必要だったら声を掛けてくれ。 じゃあな。」
ライナー「何か気まずいな…」
クリスタ「うん… 持ってきた物、後で戻しとこっか…」
ユミル「なぁ ベルトルさん。 ジャンの死体腐ったりしねーのか?」
ベルトルト「えっ… 腐ってたらどうしようね…」
コニー「棺桶開けて覗いてみるか?」
ベルトルト「いや… それはちょっと…」
ユミル「まぁ生き返ってからのお楽しみってヤツだな。」
ユミル「もう日が落ちかけてるな。 私は部屋に戻ってるよ。」
ベルトルト「う、うん。」
コニー「俺もちょっと寝るかなー なんか疲れたし。」
クリスタ「夜の海って何か怖いね… 吸い込まれそうで…」
ライナー「あ、あぁ。」
ライナー(落ち着け。 落ち着くんだライナーブラウン…!!)
ライナー(ロマンチックな星空の下、夜の船の上でクリスタと2人きり…)
ライナー(これ以上の演出があるのか…!? 今… こ、ここでキメるのか…!?)
ライナー(よ、よしっ… や、やるぞ… 俺はやってやるぞ…!!)
ライナー「な、なぁクリs
ベルトルト「やぁ。 2人ともこんな所で何してるんだい?」
クリスタ「あっ ベルトルト!」
ライナー「…」
クリスタ「ううん。 夜の海は怖いねって話をしてただけだよ。」
ベルトルト「うん。そうだね… 正直僕も怖いかな。」
クリスタ「フフッ ベルトルトって背も高くて成績も良くて頼りになりそうなのにそんな一面もあるんだね。」
ベルトルト「いや、それは買いかぶりすぎだよ。 僕は… 自分ひとりでは何も出来ない…」
クリスタ「そんな事ないと思うんだけどな~ あっ! もしかして好きな人が出来たら変わるタイプ?」
ベルトルト「なっ! きゅ、急に何を言い出すんだクリスタ!」
クリスタ「ふふふっ 照れちゃってカワイイなぁ。 私もそろそろ船室に戻ろうかな。 2人ともまた後でね!」
ベルトルト「う、うん。」
ライナー「…」
ベルトルト「ど、どうしたんだいライナー…」
ライナー「ベルトルト。 確認をするが俺達は戦士だよな?」
ベルトルト「えっ 急にどうしたんだい? 戦士に決まってるじゃないか!」
ライナー「そうだよな… 俺達は戦士だ… すまない変な事を聞いた。」
ベルトルト「どうしたんだい?何か変じゃないか?」
ライナー「気にしないでくれ… 俺も船室に戻ってるな。」
ベルトルト「う、うん…」
今日はここまでです。 おやすみなさい。
遅くなりました。 いつ終わるともわからなかった激務がようやく落ち着き始め…
ゆっくりにはなりますがまた更新していきたいと思います。
コニー「そういえばさあのオカマ、ジャンの事知ってたよな? なんでだ?」
ベルトルト「…。 そこは深く掘り下げないでいてあげよう… 人は誰にだって知られたくない事の一つや二つあると思うから…」
ユミル「まぁ大体想像つくけどな。 言いたくないんなら放っておけばいいだろ。」
クリスタ「うんそうだね… そっとしといてあげよ。」
コニー「まぁ確かに俺が天才である事は隠してるしな。 そっとしといてやるか。」
ライナー「そうだなコニー。」
クリスタ「ふぁ… ちょっと眠くなって来ちゃったかな。」
ユミル「どうせしばらく船の上だしな。 のんびり出来ていいな。」
ライナー「クリスタ俺もいss
ユミル「お前は甲板の上で寝てろ。」
ミカサ「エレン。 口を開けて。 リンゴを食べさせる。」
エレン「いや、自分で食えるって…」
ミカサ「食べて。 エレンを飢え死になんかさせない…!」
エレン「いやだから自分で食うって…」
サシャ「ミカサ! それ私がもらってもいいですか?」
ミカサ「サシャは自分で食べて。」
サシャ「…」
アニ「元気だねアンタら。」
アルミン「全くだよ。 僕はまだ体がダルイんだ。 イチャつくなら外にしてくれないかな?」
アニ「…アンタはちょっとくらいベッドから出たら?」
ヘンリー「見えてきたぞ。 中央の大陸だ。」
ライナー「なんだあのバカでかい樹は…」
ヘンリー「あれが世界樹だ。」
クリスタ「すごい… ここから結構な距離があるよね… それなのにあんなにはっきり見えるなんて…」
ユミル「あんなもの滅多にお目にかかれないな。」
コニー「ベルトルトとどっちがデカイんだ?」
ベルトルト「コニー… 僕はもう言葉も出ないよ…」
ヘンリー「船で送れるのはここまでだ。 世界樹ははっきりと見えるが意外と距離がある。 気をつけて行ってくれ。」
ライナー「そうか。 すまないなこんな所まで送ってもらって。」
ヘンリー「いや、俺もここまでしか付き合えなくてすまない。 国にも戻らないといけないしな。 代わりと言ってはなんだがコイツを渡しておく。」
ライナー「なんだコレは…? 羽か…?」
ヘンリー「キメラのつばさだ。 旅の必需品だぞ? それを使えば以前立ち寄った町や村に戻れる。」
ユミル「ルーラみたいなモンか。 便利だな。」
ヘンリー「ルーラほど融通がきくワケじゃないんだがな。 持っておいて損はない。」
クリスタ「ヘンリーさん。 何から何までありがとう。」
ヘンリー「気にしないでくれ。 旅の無事を祈ってるよ。」
ライナー「あぁ。 行ってくる。 達者でな。」
ベルトルト「あの人が言ってた事が本当ならもうすぐジャンを蘇らせる事が出来るね。」
ライナー「あの様子だとウソをついてるとは思えないな。」
ユミル「まぁあのオカマに私らをダマして得する事なんてないだろーしな。」
クリスタ「早くジャンを生き返らせてあげよう!」
コニー「でもさー、あんな高い樹の葉っぱなんかどうやってとるんだ?」
ベルトルト「…」
ライナー「…」
ユミル「…」
クリスタ「…」
ユミル「そりゃお前… 樹を登るんだよ… お前が…」
クリスタ「うん… なんだかコニーならいけそうな気がする…」
ライナー「まかせたぞコニー…」
ベルトルト「うん… 僕らには出来ないよね… 出来るのはコニーだけだよね…」
コニー「はぁ!? 何言ってんだよお前ら! そんな事出来るワケねーだろ!!」
ユミル「お前はもっと自分に自信を持て。」
クリスタ「うん。私もコニーは凄いと思うよ。」
ライナー「実は俺も前々からコニーには一目置いていたんだ。」
ベルトルト「コニーはいざという時凄く頼りになるからね。 うん。凄く頼りになるよ。」
コニー「あ… あぁ… 俺にまかせとけ…!」
ユミル「しかし近くまで来てみると改めて思うな…」
クリスタ「うん… すごく… 大きいね…」
ライナー「どうだコニー? いけそうか?」
コニー「あぁ。 俺に不可能はねぇ。」
ベルトルト「い、いや… 本気で登ろうとしてないよね…?」
コニー「今更何言ってんだよ! 俺にまかせとけって!!」
ライナー「お、おいコニー。今のは冗談だ… 冗談なんだ、本気にするな。」
コニー「はぁ!? ジャンをこのまま放っておけって言うのかよ!? そんな事出来るワケねーだろ!!」
ユミル「お、おい。 考え直せバカ…」
コニー「うるせぇ!! 俺は行くぞ!!」
ライナー「コニーのやつ本当に登って行っちまった…」
ユミル「私のせいか…? 私のせいだよな…?」
ベルトルト「いや… 僕らも悪ノリしたし… ユミルだけのせいじゃないよ…」
クリスタ「でも… 順調に登ってない…?」
ライナー「もしかしたら… もしかしたらなのかもな…」
ベルトルト「あ… コニーが落ちてきた…」
ユミル「…。 棺桶がもうひとつ増えたな…」
クリスタ「コニー… なんかごめんね… ジャンと一緒に生き返らせてあげるからね…」
ライナー「とりあえずコニーの棺桶も馬車に積んでおこう…」
ベルトルト「そうだね… あっ… あそこに町が見えるよ… あそこに寄って情報を集めてみないかい…?」
ライナー「町というよりは村に近いな。」
クリスタ「うん。 なんか素朴な感じがしていい雰囲気な所だね。」
ベルトルト「あれ? ユミルは?」
クリスタ「世界樹の葉に関する情報を集めてくるって。 コニーの事でちょっと責任を感じてるみたい…」
ライナー「アイツも意外な面があるんだな。」
クリスタ「ユミルは実は優しいんだよ!? あんな性格だからみんなによく誤解されちゃうけど…」
ベルトルト「へぇ。そうなんだね。 僕もその優しいユミルを見てみたいね。」
ライナー「クリスタにだけ優しいんじゃないのか…?」
クリスタ「そんな事ないもん!」
ライナー「まぁコニーが死んじまったのは俺達のせいでもあるしな… 世界樹の葉とやらを早く見つけ出すか。」
ベルトルト「うん。 そうだね。」
クリスタ「私も村の人達に聞いてまわってくるね!」
ライナー「あぁ。 頼む。」
ベルトルト「クリスタはホントいいコだね。」
ライナー「あぁ… 結婚したい。」
ベルトルト「…」
婆さん「アンタら世界樹の葉を探しとるのかね?」
ライナー「ん? 確かにそうだが…」
婆さん「ならワシのところで買っていかんかね? 安くしとくよっ」
ベルトルト「えっ?」
ライナー「う、売り物なのか…?」
婆さん「ヒッヒッヒッ。 ここは世界中から葉を求める人間が集まるからねぇ。 アンタらもそうじゃろう?」
ライナー「その通りだ…」
婆さん「だが見ての通り葉はあんな高い所についておる。 わざわざここまで来た旅人はその光景を見て絶望する。」
ライナー「何が言いたい?」
婆さん「ヒッヒッヒッ。 前置きが長くなってすまないねぇ。 つまりワシはそんな人間に葉を提供しとるんじゃよ。」
婆さん「そしてその金でワシらの生計は成り立っとる。 言ってみればWin-Winの関係じゃのう。」
ライナー「なるほどな。 いくらだ?」
婆さん「話が早くていいねぇ。 一枚3000Gじゃよ。」
ベルトルト「なっ…! ちょっと高すぎませんか!?」
婆さん「何を言っておるお若いの。 3000Gで人の命が買えるんじゃ。 安いもんじゃろう?」
ベルトルト「…」
ライナー「確かに人の命が3000Gなら安いモノなのかもしれんな… わかった婆さん。 買おう。」
婆さん「ヒッヒッヒッ。 何枚欲しいんだい?」
ライナー「手持ちがそんなに無くてな。 2枚くれ。」
婆さん「2枚だね。 わかったよ。 ほら、持っておゆき。」
ライナー「これは金だ。 受け取ってくれ。」
婆さん「ヒッヒッヒッ。 毎度。 じゃあのお若いの。」
ベルトルト「ライナー… 良かったのかい?」
ライナー「これでジャンとコニーを救えるんだ。 安いもんだろう。」
ユミル「あれ? お前らこんな所で何してるんだ?」
ライナー「おうユミルか。 聞いてくれ。 世界樹の葉を手に入れたぞ。 3000Gで売っていた。」
ユミル「は? 私も買って来たんだけど… 1枚、1000Gだったぞ…」
ベルトルト「えっ…」
クリスタ「あっ! 3人ともここに居たんだ! ねぇ聞いて! 世界樹の葉が売ってたの!! 2枚で10000Gだったよ! これでジャンとコニーを生き返らせれるんなら安いよねっ!」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
ユミル「…」
ライナー「4枚も余っちまったな…」
ユミル「まぁ… 誰かおっ死んじまったとき用にいいんじゃねーのか…」
ベルトルト「そうだね… エレン達がいる町に戻ろうか…」
クリスタ「うん…」
ライナー「よし。 ヘンリーから貰ったキメラのつばさを使うぞ。」
ユミル「使い方わかるのか?」
ライナー「飛びたい人間で集まって空に放り投げればいいらしい。」
ベルトルト「じゃあ頼むよライナー。」
ライナー「よし。いくぞ?」
ブンッ
クリスタ「…。 あれ? ここってさっき来た村じゃない?」
ライナー「…。 そうみたいだな…。」
ベルトルト「使い方間違えたとか?」
ライナー「いや… そんなハズはないんだが…」
ユミル「なぁ… そういえばつばさ貰った時にアイツ言ってなかったか…? 前立ち寄った町や村に戻れるって…」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
クリスタ「…」
ユミル「…」
今日はここまでです。 続きはまた今度。
エレン「ライナー達がこの町を出てからもう5日以上経つな…」
サシャ「何かあったのかもしれませんね…」
アルミン「まったく僕がいないと何も出来ないんだね。アイツらは。」
アニ「探しに行ってみる?」
ミカサ「確か中央の大陸に渡ると言っていた。」
エレン「中央の大陸か… この辺りに船が出てる町とかはないのか?」
アニ「ちょっとわからないね。 聞いて周ってみる?」
エレン「そうだな。 手分けして情報を集めてみよう。」
エレン「俺はルイーダの酒場に行って聞いてみるよ。」
ミカサ「エレンが行くのなら私も行こう。」
アニ「私とサシャも別々にまわって聞いてみるね。」
サシャ「わかりました。」
アルミン「なら僕はここで待ってるね。」
アニ「アンタもたまには働かないと蹴るよ?」
アルミン「わ、わかりました…」
アルミン「ちょっとソコの君。 ひとつ尋ね事をしてもいいかな?」
オカマ「あら。 何かしら? ウホッ! かわいい男の子! あれ…もしかして女の子?」
アルミン「失礼だなこの青ひげ野郎。 僕は男だ。」
オカマ「ならなおさらオッケーよ!! ちょっとアナタこっちに来て!」
アルミン「は…? お、おい!! 変なとこ触らないでくれ!!」
オカマ「うふふ。テレちゃってカワイイわね。 大丈夫よ。乱暴な事はしないわ。」
アルミン「黙れこの化け物め!! あっ ちょっと引っ張らないでくれ!!」
オカマ「その口が悪い所が逆にそそるわね。 さぁこっちにいらっしゃい。」
アルミン「うわぁあああっ」 ズルズル
アニ「どう? 何か聞けた?」
エレン「あぁ。 ルイーダの酒場に行って聞いて来たんだが、この町から北西に行ったところに小さな港があるらしいぞ。」
サシャ「ならそこに行けばライナー達を探しに行けますね!」
ミカサ「問題はそこに行き着くまでの距離。 ここから歩くと7日はかかるらしい。」
アニ「7日か… 途中に町か村はないの?」
エレン「ないみたいだ。」
アニ「馬車に荷を積めないとツライものがあるね。」
ミカサ「馬車はライナー達が棺桶を運ぶために持っていってしまった。」
サシャ「こまりましたね… 狩りも100%成功するとは限りませんしね…」
エレン「そういえばアルミンはどこ行ったんだ?」
アルミン「ごめん。みんなおまたせ。」
サシャ「あ、アルミン! どこ行ってたんですか。」
アルミン「うん。 ちょっとね。 それよりライナー達を探しにいくんでしょ?」
アニ「そうだね。 なんかいい案でもあるの?」
エレン「おっ! さすがアルミンだぜ!」 ガシッ
アルミン「う、うわぁああああっ!!」
エレン「えっ? ど、どうしたんだアルミン…」
アルミン「うぅっ… うっ…」 ブルブル
ミカサ「エレンが肩を組んだとたん怯えだした…」
エレン「ど、どうしたんだよアルミン…」
アルミン「い、いや… なんでもないんだ… 気にしないで…」
エレン「どうしたんだよアルミン!」
アルミン「ヒィッ!」
エレン「ア、アルミン…」
ミカサ「エレン。 アルミンの様子がおかしい。 エレンは近づいてはだめ。」
エレン「ホントどうしちまったんだよ…」
アルミン「ご、ごめん… そのうち平気になると思うから… 今は… 今はそっとしておいてくれないか…」
アニ「私やサシャやミカサは平気なの?」
アルミン「う、うん…」
エレン「…」
アルミン「ごめんエレン… エレンが悪いわけじゃないんだ… ただ… 気持ちの整理がつくまでそっとしておいてくれないか…」
サシャ「何かあったんですか…?」
アルミン「ごめん今はまだ言えない… でもいつかきっと話すから…」
エレン「わかったアルミン。 俺はその時まで待つぜ。」
アルミン「うん… 本当にごめんね。」
オカマ「あら? あなたはあの時の!」
エレン「!!! ア、アンタは…!」
オカマ「ウフフ。 これも運命の再会ってヤツかしらねぇ。」
アルミン「うわぁあぁあっ!!!! ルーラルーラ!ルゥゥゥラァァアァアッッ!!!!!」
オカマ「あらヤダ飛んでちゃった。 もうっ! お口でしてあげただけなのにウブねっ」
ミカサ「アルミン…!! ホイミ以外の呪文を…!?」
サシャ「ウワサの賢者タイムってやつですか!」
アルミン「サシャ… あまり大きな声で言わないでくれるかな…」
エレン「こんな呪文まで使えるのか! すげぇな!」
アルミン ビクッ
エレン「わ、わりぃ…」
アニ「それよりここは… 砂漠の土地にあった港町か…?」
アルミン「うん。 そうだよ。 ここなら船が出ていると思ったんだ。」
アニ「なるほどね。 私は船の手配をしてくるよ。」
サシャ「また船ですか…」
ミカサ「アニ。 私も行こう。 クリスタは確か世界樹を探しに行くと言っていた。」
アニ「ん。 助かるよ。」
アルミン「ぼっ僕も行くよ!!」
ミカサ「わかったアルミン。 エレンとサシャはここで待ってて。」
エレン「お、おう。わかった。」
サシャ「エレン! 待ってる間に何かおいしい食べ物探しに行きましょうよ!」
ミカサ「サシャ。 わかってると思うけど…」
サシャ「わ、わかってます!! エレンを捕食したりなんかしません!」
ミカサ「そう… ならいい。」
エレン「なんだよそれ…」
サシャ「すみません! これは何て言う食べ物なんですか!」
店員「これかい? これは手羽先だよ。」
サシャ「テバサキ… お肉ですよね…」ゴクリ
店員「すごくおいしいよ。 食べた事ないのかい? なら一個サービスであげよう。」
サシャ「!?!? い、いいんですか!?」
店員「おいしかったらいくつか買っておくれ。」
サシャ「わ、わかりました…」 ゴクリ
店員「これは骨が付いてるからね。 こっちのほうからこうやって口の中に入れて歯を肉に引っ掛ける感じで引き抜くんだよ。」
サシャ パク ズリリ ムシャムシャ
サシャ「こ、これは…」
サシャ ポロポロ…
エレン「お、おい。 何泣いてんだよサシャ…」
サシャ「こんな… こんな食べ物がこの世に存在していたなんて…」
サシャ「私は… 私はなんて無知だったんでしょう…」
店員「今なら3本いり1パック 15Gだよ!」
サシャ「100パックください!!!」
エレン「お、おい…」
サシャ「エレンにはわけてあげませんよ!! 欲しいなら自分で買ってください!!」
エレン「なんなんだよ。 俺も食いたくなってきたじゃねーか。」
アニ「船の手配が出来たよ。 中央の大陸まで3日だって。」
アニ「…。 アンタ達、何食べてるの…?」
サシャ「ふぇばふぁしふぇす!」ムシャムシャ
エレン「ふぉえなふぁなふぁんえーほ」 ムシャムシャ
ミカサ「エレンは『これなかなかうめーぞ。』と言っている。」
アニ「アンタよくわかるね…」
アルミン「サシャはたぶんその食べ物の名前を言ってると思うよ。 何かはわからないけどね。」
アニ「アンタそんなに食べたら船の上で大変な事になるんじゃないの…」
サシャ「このテバサキがあれば大丈夫です!!」
アニ「そ、そう… とりあえずもう船が出る時間だよ。」
サシャ「オロロロロロロ」
アニ「…。言わんこっちゃない…」
ミカサ「エレン。 これはすごくおいしい。」
エレン「だろ!? アルミンの分はここに置いとくからな。 俺が離れたら取りに来てくれ。」
アルミン「う、うん。 ごめんね…」
エレン「ほらこれ。アニの分だぞ。」
アニ「いいのかい?」
エレン「何言ってんだよ。 仲間だろ? みんなにあげたいんだ。」
アニ「…。もらっとくよ。」
アニ「…。おいしい…」
エレン「そうか! それはよかった。」
アニ「…うん。」 モグモグ
エレン「なぁアニ。 俺旅してて思ったんだ。」
アニ「何?」
エレン「アニもそうなんだけど。 ミカサやアルミン、ライナーにベルトルト。ジャンとコニー、クリスタとユミルとサシャ。」
エレン「みんな… 大切な仲間なんだって改めて思ったんだ。」
アニ「…」
エレン「正直な話、俺は壁の中に戻りたいと思ってる… だけどアイツらはどう思ってるんだろうな。 俺は仲間を… またあの危険な目にあわせたくない…」
アニ「くだらない話だね。 どうするかはそれぞれ本人が決める事だろ? 私はもう船室に戻って休むよ。 じゃあね。」 スタスタ
エレン「お、おい…」
今日はここまでです。 続きはまた明日。
おやすみなさい。
ジャン… ジャン…
「ん…? なんだ…? 俺を呼ぶ声がする…」
「ここは… どこなんだ…? 俺は… 何をしているんだ…?」
「何も考えられない… 考えるのもめんどくせぇ…」
「手も足も動かねぇな… アレ? 手足あるのか…?」
「わからねぇ… なんなんだここは… 真っ暗で何も見えねぇ…」
ジャン… ジャン…
「さっきからうるせぇな… 俺は眠いんだ…」
「ん? お前は… マルコか…? お前こんな所で何してるんだ…?」
「お、おい… どこ行くんだよ… 待てって… おい… マルコ… マルコ…」
ジャン「マルコォッ!!」 ガバッ!!
ライナー「お、ジャンも目を覚ましたか。」
ジャン「…あれ?」
ユミル「ダッハッハ! お前なんだよww マルコォッってwww」
クリスタ「よかった。 ジャンもちゃんと生き返ったね。 笑っちゃだめだよユミル!」
ジャン「生き返った…? 何を言ってるんだお前ら…」
コニー「なんか死んでたらしいぜ… 俺ら…」
ジャン「は…? 何言ってんだお前…」
ベルトルト「うん。 その… 言いにくいんだけど君達は死んでたんだ…。」
ユミル「ヒィーッwwww 笑い死ぬwwwww」
ジャン「そうなの…か? あれ… マルコは…? マルコはいないのか?」
ライナー「どうしたんだジャン? マルコはずっといないぞ?」
ユミル「お前のおホモダチのマルコは見てねぇぞwwww」
クリスタ「もう! いいかげんにしなよ!! ユミル!!」
ジャン「そうなのか… 何か暗い… どんよりとした何かの中でアイツに呼ばれたような気がするんだ…」
コニー「おいおい。お前頭大丈夫か?」
ジャン「お前に言われたくねーよ…」
クリスタ「マルコもこっちに来てるのかな…」
ライナー「どうだろうな。」
ベルトルト「もし来てるのだとしたら僕らみたいに出会うかもしれないね。」
ライナー「そうだな。 この広い世界で俺達が再会したのは奇跡みたいなもんだしな。」
ベルトルト「何かこう… 運命的なモノがあるのかもね。」
ユミル「お前らその図体でなんつー乙女チックな事考えてんだwwwww」
クリスタ「ユミルもたまに乙女チックな事言うでしょ!!」
ユミル「私は乙女だからいいんだよ!」
コニー「おい… お前が乙女とか…」
ユミル「あん? 何か言ったかハゲ。」 ジョリジョリ
コニー「ハ、ハゲじゃねーし! ボウズなだけだし! つかジョリジョリすんじゃねーよ!!」
ベルトルト「ハハハ。」
ジャン「ったくお前らよ…。」
ライナー「しかしこれからどうするかだな。 あの町には帰れそうにないしな。」
ジャン「あん? ここはどこなんだ?」
ベルトルト「あ、そうか。 ジャンはエレン達を探しに行ったときから記憶がないもんね。」
ライナー「お前を生き返らせるために俺達はこの中央の大陸に渡って来たんだがな。 帰る手段が無くなってしまった。」
ジャン「アイツらは無事なのか…?」
ベルトルト「うん。 命に別状はないよ。 動ける状態じゃなかったから町に置いてきたんだけどね。」
ユミル「しかしホントどうするんだよ。 私はルーラなんて使えねーぞ。」
ベルトルト「僕も…」
ジャン「…? そんなのその馬をまたラーの鏡に映して、翼生やさせて飛んでいけばいいんじゃねーのか?」
ライナー「…!!」
クリスタ「…!!」
ユミル「…!!」
ベルトルト「え? そんな事出来るのかい?」
ジャン「前にそれで助かった事がある。 お前ら考え付かなかったのか…」
ライナー「お前らを生き返らせてからそうしようと思っていただけだ!」
クリスタ「そうだよ! 空を飛ぶなんて滅多に体験できる事じゃないから生き返らせてからにしようと思っただけだよ!」
ユミル「こっちはお前らを生き返らせるのに大金払ってんだぞ! 少しは感謝しやがれ!」
コニー「そういえば俺達はどうやって生き返ったんだ?」
ライナー「コニー… もう忘れたのか… 世界樹の葉だろ。」
クリスタ「うん。そうだよ。 葉を煎じてコニー達の口に流し込んだんだよ。」
ユミル「お前はチョーシこいて木登りして死んじまったからな。 お前の分もワザワザ買ってやったんだぞ。」
コニー「葉っぱ売ってたのか?」
ユミル「あぁ。 そうだ。 全部で結構金かかったんだぞ! 感謝しろよ!!」
コニー「俺覚えてねーからよくわかんねーけどその馬飛べるんだろ? なら馬で飛んで葉っぱ採れば良かったんじゃねーのか?」
ライナー「…!!」
クリスタ「…!!」
ユミル「…!!」
ベルトルト「そう言われてみればそうだよね。 ハハハ。 思いつかなかったよ。」
ライナー「結果を知ってから、あの時こうしていれば… あの時あぁしていれば… なんて言うのは簡単だ。」
クリスタ「だけど先の事なんて誰にもわからない… 私達出来るのはせいぜい選択を選ぶ事だけ…」
ユミル「だから私達は選んだんだよ。 後悔しないようにな。 お前達を生き返らせるという選択をよ…!」
ジャン「いや、なんかいい話みたいにしてまとめようとしてるけど内容が変わってるからな?」
コニー「うぅっ… そうだったのか… それなのに俺は… すまねぇ…」 グスッ
ジャン「…」
ベルトルト「コニー…」
ライナー「わかってもらえたならいいんだ。 ラーの鏡を使ってエレン達のいる町に戻ろう。」
クリスタ「そうだね。 帰ろう!」
ユミル「頼んだぜ。 お馬さんよ。」
ミカサ「陸地が見えてきた。」
エレン「陸地もそうだけどよ… なんだよあの樹…」
ミカサ「おそらくアレが世界樹。」
アルミン「あの樹はこの世界ではあらゆる魔力の源と言われているんだよ。 海の上からでも見えるなんてすごいよね。」
サシャ「や… やっと船を降りられるんですか…」
ミカサ「サシャはこの3日間よくがんばったと思う。 もう少しの辛抱。」
アニ「…」
エレン(アニのやつ… あれから一言も口きいてくれねーな… 怒らせるような事言ったか…?)
エレン(いや… 俺以外のヤツとも口をきいてねぇ… どうしたんだ急に…)
エレン「また無人の港か… ライナー達はどこにいるんだろうな。」
アルミン「たぶんあの世界樹の近くにいるハズだよ。 葉があの高さだからね。 おそらく手に入れる方法がみつからないんだと思う。」
ミカサ「だから町に戻ってこなかったのね。 さすがはアルミン。」
エレン「大丈夫か?サシャ…」
サシャ「は、はい… 歩く程度なら… ただ戦闘はちょっと…」
アルミン「戦闘は大丈夫だよ。 僕もエレンもミカサもいるしアニもいるからね。」
アニ「…」
サシャ「すみません…」
エレン「サシャも本調子じゃないしな。 ゆっくり進もうぜ。」
エレン「なぁアルミン。 もう俺の事は平気なのか?」
アルミン「うん。 エレンはもう大丈夫だよ。 絶対に安全だってわかってるからね。」
エレン「? なんだよそれ?」
アルミン「あっ… ごめん。なんでもないんだ。 気にしないで。」
ミカサ「それにしてもさっきから魔物の気配がしない。」
アルミン「さっきトヘロスという呪文を唱えておいたんだ。 弱い魔物は近づく事さえできないよ。」
エレン「そんな呪文あるのか! すげーなアルミン! アニもそう思うだろ?」
アニ「…」
エレン「…」
アルミン「(アニ… どうしちゃったのかな…)」
ミカサ「(わからない。 私も船で口をきいてもらえなかった。)」
アルミン「(何かあったのかな… 今はそっとしておいてあげようか…)」
ミカサ「(そうね。 それがいい。)」
サシャ「み、みなさん… すみません… ちょっと…」
エレン「疲れたのか? ちょっとここで休んでくか。」
ミカサ「わかった。 無理はしないでサシャ。」
サシャ「す、すみません…」
アルミン「湖があるね。 どうせならあそこまで行かないかい?」
エレン「ん? そうだな。 あそこまで行こうぜ。」
睡魔が… ごめんなさい今日はここまでです。
おやすみなさい。
アルミン「水が澄んでいてすごく綺麗な湖だね。」
ミカサ「透明度が高い。 湖の底まで見える。」
エレン「サシャ。ちょっと休んでろよ。」
サシャ「はい…」
エレン「でもホント綺麗な湖だな。 ん? 底のほうに何かないか?」
ミカサ「確かに何かある。 あれは… 建造物…?」
アルミン「なんだろうあれ… 城…? 城が湖の中に沈んでいるのかな…?」
エレン「なんで水の中に城なんか建てるんだ?」
アルミン「わからない… もしかしたら建てた後に沈んだのかも…?」
エレン「何言ってんだよアルミン。 城が移動でもしないと沈みようがないだろ。」
バサッバサッ
ベルトルト「本当に空を飛んでる… すごいね。」
ユミル「なかなかの景色だな。」
クリスタ「でもそんなに長い時間は飛べないと思うの。 前もすぐに飛べなくなっちゃったし…」
ジャン「休み休み行った方がいいな。 慣れれば海も越えられるだろ。」
ライナー「あそこにちょうど湖が見えるぞ。 ちょっと休ませてやろう。」
クリスタ「うん。 あそこに降りよう。」
コニー「ん? あの湖、中に何かないか?」
ライナー「あれは城か?」
コニー「なんで水の中に城があるんだよ。」
ジャン「馬は大丈夫そうか?」
クリスタ「うん。 今休ませてあげてるよ。 やっぱり飛ぶのはすごく疲れるみたいだね。」
ライナー「それにしてもなぜ湖の底に城があるんだろうな。」
コニー「あっ! 俺わかったぜ! もともとここには水が無くて、そこに城を建てたんだよ!」
コニー「んで雨が降って水が溜まって沈んじまったんだ!」
ベルトルト「そんな所に城は建てないと思うんだけどな…」
コニー「じゃあなんだよ? 城が移動して湖の中に入っていったって言うのか?」
ユミル「あんなデカイ建物が移動するなんて考えにくいけどな。」
ライナー「まぁ遺跡みたいなもんだろう。 俺達じゃわからないさ。」
クリスタ「なんか凄く幻想的だよね。 水も透き通る様に綺麗だし。」
ユミル「私にはただの物珍しい建物にしか見えねーけどな。」
クリスタ「ユミルはもっと夢を持ったほうがいいよ!」
ユミル「あん? 私だって夢くらいあるぞ。 私の夢はなぁ クリス…」
ガラッ…
クリスタ「? 何の音?」
ガラガラガラッ ドドドドドッ
ユミル「なっ!? 地面が崩れてっ!?」
クリスタ「きゃあああああっ!!」
ユミル「クリスタァアアアッ!!」
コニー「お、おい!! 地面が崩れてクリスタとユミルが飲み込まれちまったぞ!!」
ライナー「くっ…!!」 ダッ
ベルトルト「ま、待つんだライナー!!」
ライナー「だがっ…!!」
ジャン「ベルトルトの言う通りだライナー。 あそこに飛び込むのは得策とは言えねぇ。」
コニー「結構深そうだぞ… あいつら大丈夫か?」
ジャン「地面の下に自然と空洞が出来たのか…? とりあえずここから降りるのは危険だ。」
ベルトルト「洞窟か何かなのかな… 暗くてよく見えないね。」
ジャン「湖の近くだしな。 水の浸食で空洞が出来たのかもしれねぇ。 他に入れそうな所がないか探してみよう。」
アルミン「どうサシャ? 動けそう?」
サシャ「はい。 体調もだいぶ良くなりました! もう大丈夫です!」
エレン「よし。 じゃあライナー達を探しに行くか。」
ミカサ「! 待ってエレン。 あれを見て。」
エレン「あれは… 馬車か?」
アルミン「あれは僕達が使ってる馬車じゃないか…?」
エレン「って事はライナー達もここにいるのか!」
ミカサ「行ってみよう。」
エレン「誰もいねーな…」
ミカサ「馬は居た。 誰かを待っている様だった。」
アルミン「こっちに洞窟があるよ。」
サシャ「みんなこの中に入ってたんですかね?」
アルミン「状況から察するにそうかもしれない。 ただ休むだけなら馬車から離れる必要がないからね。」
アルミン「何か理由があって馬車を置いていったんだ。 その理由はあの洞窟だと思う。 馬車は入れそうにないからね。」
エレン「ならあの洞窟の中を探してみようぜ!」
アニ「私は行かないよ。」
エレン「えっ」
ミカサ「久々に喋ったと思ったら。 どうしたの?」
アニ「暗い所は苦手なんだよ。 それに馬車の見張りも必要でしょ?」
サシャ「でも私と会った時は洞窟の中に入ってきてたじゃないですか?」
アニ「…」
アルミン「無理にとは言わないよ。 それにアニの言う通り見張りも必要だと思うし。 僕達だけで行って来るよ。」
エレン「わかった… 待っててくれよな。 アニ。」
アニ「…」
ミカサ「…行こう。」
すみませんちょっと出掛けてました。
続きを書いていきます。
とさかヘビ「シャーッ!」
エレン「おらっ!」 ズバッ
とさかヘビ「」
サシャ「魔物も出るんですね。」
ガメゴン「グォオオ」
アルミン「メラミ!」 ボワッ
ガメゴン「」
アルミン「でもそんなに強くないから大丈夫だよ。」
ミカサ「賢者タイムのアルミンは頼りになる。」
アルミン「あの… ミカサもそれ言うのやめてくれないかな…」
エレン「しかし洞窟の中だってのになんでこんなに明るいんだ?」
アルミン「おそらくここの鉱物に特殊な成分が含まれているんだと思う。 この石、ぼんやりと光っているでしょ?」
ミカサ「ならこの壁のポツポツとした明かりはその特殊な鉱物の光?」
アルミン「きっとそうだよ。 こんな石があるなんて驚きだよね。」
サシャ「ちょっと見ただけでわかっちゃうなんてアルミン凄いですね!」
アルミン「そ、そんな事ないよ。」
ミカサ「そんなに謙遜にする事はない。 アルミンは凄い。」
サシャ「そうですよ! ちょっと憧れちゃいますね!」
アルミン「ちょ、ちょっと照れるかな…」 ムクムク
ライナー「ふんっ!」 ドゴォ
フーセンドラゴン「」
コニー「おりゃっ!」 ドシュ
ドラゴンマッド「グゥ…」
コニー「もう一発!」 ドシュ
ドラゴンマッド「」
ジャン「結構入り組んでるな。」
ベルトルト「うん。魔物も入り口に比べたら明らかに強くなってるよね。」
コニー「ライナーその武器つえぇな。 ずりーだろ!」
ライナー「お前の武器も悪くないと思うんだがな。 もっと使いこなしてみろ。」
ライナー「しかしこれだけ魔物がいるとな… クリスタ達が心配だ。」
ベルトルト「そうだね。 急いで探し出そう。」
ジャン「距離的にはそろそろ近いと思うんだけどな。 方向がさっぱりだからなんとも言えねーな。」
グォオオオオッ!
コニー「うおっ! なんだよ今の鳴き声!」
ジャン「鳴き声とか、かわいらしいモンじゃねーな… やべぇのがいそうだ…」
ベルトルト「奥のほうから聴こえたよね?」
ジャン「音が反響して距離はいまいち掴めねーがな。」
ライナー「くっ 急ぐぞ!」
デンタザウルス「グオオッ!」 ドドドド
エレン「ぐはぁっ!」 ドガッ
ミカサ「エレン!」 フリフリ
アルミン「エレンとサシャはそいつを頼む! 僕はこいつらをなんとかする…!」
リザードマンABC「フシュウゥ…」
サシャ「頼むって言われましても…」
エレン「駄目だ近づけねぇ! サシャなんとかなんねーか!?」
サシャ「ダメです! 鱗が硬くて矢が通りません…!」
サシャ「くっ…! もっと強力な矢があれば…!」
サシャ「ハッ!! あんな所に宝箱が! もしかしたらこの状況を打破できる何かが入ってるかもしれません…!」
エレン「そんな都合のいいモノなんて…」
サシャ「とにかく開けてみます!」 ガチャ
サシャ「これは…!」
デンタザウルス「グオオオッ」 ドドドド
ミカサ「くっ!」 ヒラリ
ビュン ズブシャァッ
デンタザウルス「グゥ…」
ミカサ「矢…!? 魔物を貫通した…!?」
サシャ「手ごたえアリですね! もう一発…!」 ギリギリギリ バシュッ
ズブシャッ
デンタザウルス「」 ズシーン
エレン「おぉ… やった… すげぇなサシャ!」
サシャ「はい! ちょうど宝箱にこの銀の矢が入っていたんでなんとかなりました!」
ミカサ「なんて都合のいい…」
エレン「アルミンは大丈夫なのか…!?」
アルミン「ギラッ!」 ゴォ
リザードマンA「グエッ」 ブンッ
アルミン「くっ…!」 サッ
リザードマンB「グアッ」 ブンッ
ザシュッ
アルミン「ぐあっ!!」 ドサッ
リザードマンC「グワッ」 ブンッ
エレン「アルミン!」 ガキィッ
アルミン「エ、エレン…!」
ミカサ「アルミン!」 フリフリ
エレン「おらあっ!」 ズババッ
リザードマンC「」 ドサッ
ミカサ「どうしたのアルミン! アナタならこのくらいの敵なんて事ないハズ!」
アルミン「そ、それは…」
アルミン(言えない…! ミカサとサシャにムラッときて賢者タイムが解けかけてるなんて…!!)
サシャ「あとは私にまかせておいてください!」 バシュッ
ドシュッ ドシュッ
リザードマンAB「」 ドササッ
エレン「あっくそっ! おいしいこと持っていきやがったな!」
サシャ「フーッ」
エレン「大丈夫か? アルミン。」
アルミン「う、うん。 ごめんね。」
エレン「立てるか? 手貸すぞ?」
アルミン「だ、大丈夫だよ。 自分で立てるよ。 ありがとう。」
ゴソッ
ミカサ「!! まだ魔物が!?」
クリスタ「えっ? その声はミカサ…!?」
サシャ「クリスタ! そんな所に居たんですか!」
アルミン「クリスタ!?」 ミンッ
クリスタ「みんなも… お願い助けて! ユミルが息をしてないの!!」
アルミン「息はしてないが、まだ脈はあるね。 間に合うかな。 ホイミ!」
ユミル「うっ… げほげほっ」
クリスタ「よかった… 間に合った…!」
エレン「あれ? アルミン、ベホマとかでもよかったんじゃないのか?」
アルミン「何を言ってるんだエレン? 僕はホイミしか使えないぞ?」
エレン「くっ… ホイミンに戻っちまったか…」
ミカサ「薬草はいくつか持っている。 これでなんとか…」
クリスタ「ありがとうミカサ。」
サシャ「2人ともこんな所で… 何があったんですか?」
クリスタ「私とユミルが立っていた地面が崩れちゃって… ユミルは私を庇って下敷きになったの…」
サシャ「ユミル…」
エレン「無茶するな。」
ユミル「私の勝手だろ… おい、アルミン。 もうちょっとホイミしてくれよ…」
アルミン「しょうがないな。 高くつくよ?」
ミカサ「アルミン。」 ミシッ
アルミン「ぐあっ…! ホ、ホイミ…」
エレン「ライナー達は一緒じゃないのか?」
クリスタ「うん… ライナー達とははぐれちゃった…」
ミカサ「ライナー達もおそらくクリスタ達を探している。 洞窟の入り口に馬車が停めてあった。」
クリスタ「そうなんだ… 大丈夫かな…」
エレン「あいつらも探し出そう。 ユミル動けるか?」
ユミル「あぁ。 なんとかな。」
ミカサ「クリスタ。 戦闘になったらユミルを守ってあげて。」
クリスタ「うん!」
サシャ「ここの魔物はドラゴン系が多いので気をつけてくださいね。」
エレン「よし。 いくぞ。」
ライナー「ぐ… 動けるか?ジャン…」
ジャン「な、なんとかな…」
ライナー「こいつはヤバイ… 逃げるぞ…」
コニー「なんなんだよコイツ…」
ベルトルト「あいつが魔物のエサに夢中になってる間に早く…!」
ライナー「走るぞ…! 追いつかれたら終わりと思え…!」
ジャン「あぁ…!」
エレン「お、あっちから走ってくるのライナー達じゃねぇか?」
ミカサ「様子がおかしい。 何かから逃げている…?」
ライナー「お前ら!? こっちまで来てたのか!?」
エレン「あぁ。 お前らの帰りがあまりにも遅かったからな。 探しに来たんだ。」
クリスタ「ライナー!」
ライナー「クリスタ! 無事だったか!!」
ジャン「おい! 今はそんな事喋ってる場合じゃねーだろ!!」
グォォオオオッ!
ベルトルト「まずい! 追いかけてきている!」
エレン「ど、どうしたんだ?」
ライナー「くっ! とにかく走れ! アイツに追いつかれないように!」
エレン「アイツってなんだよ?」
ジャン「説明してるヒマはねぇ! 急げ!」
サシャ「ま、待ってください! ユミルはまだそんなに動ける状態じゃ…」
ベルトルト「僕が担ぐから!」
グォオオオオッ!
コニー「お、おい! 追いつかれちまったぞ!!」
エレン「は? な、なんだよコイツ…」
ライナー「ドラゴンだ…!」
今日はここまでです。 続きはまた今度。
おやすみなさい。
ドラゴン「フシュウゥゥ」
ジャン「くそっ…」
コニー「お、おい… どうすんだよ…」
ライナー「さっきはやられかけたが、今はこの人数がいる…! 勝てるかもしれん…!」
アルミン「えっ!? そんなに強いのか!? 逃げるべきだろう!!」
ベルトルト「だめだよ。 足も相当速い…! ここで逃げても後ろからやられるだけだ…!」
エレン「くるぞっ!」
ミカサ「くっ…!」 ウネウネ
ドラゴン「グォオオッ!」 グワッ
ミカサ「!!!」 サッ
エレン「ミカサ大丈夫か!?」
ミカサ「私は大丈夫! しかし踊りが効かない!」
ジャン「次がくるぞ!」
ドラゴン「ゴォオオオッ」
ベルトルト「くっ! フバーハ!」
シュォオオッ ボワァッ
ベルトルト「ぐあっ」
コニー「あがっ」
ライナー「ぐほっ」
ミカサ「みんな!」 フリフリ
ベルトルト「はぁはぁ… 僕の魔力じゃあの炎は防ぎきれない…!」
ジャン「ミカサは回復の踊りで手一杯か…!!」
サシャ「くっ…!」 ギリギリギリ バシュッ
ドシュッ
ドラゴン「グゥウウウッ」
サシャ「なかなかタフそうですね…!」
エレン「うぉおおっ!」 ダダダッ
サシャ「エレン! 不用意に近づいては…!」
エレン「くらいやがれっ!!」 ズババッ
エレン「どうだっ!?」
ドラゴン「グゥウ…」 ビュンッ
エレン「!!」
ドゴォッ
エレン「ぐほっ!!」
サシャ「尻尾で攻撃を!?」
エレン「あ… がはっ…!」
ミカサ「エレン!!!」 フリフリ
ライナー「図体の割にかなり素早いぞ…!」
エレン「くそっ… つえぇ…」
ユミル「お前ら離れろ! メラミ!」 ボワッ
ドラゴン「グウウ…」
ユミル「くそっ! あまり効いてねぇか…!」
クリスタ「ユミル! 動けるの?!」
ユミル「あぁ。 ミカサが踊りまくってるからな。 しかしこの怪物どうするか…」
アルミン「あわわわわわっ」
ユミル「くそっ こんな時に限ってこいつはこんなんだしよ…!」
クリスタ「アルミンが賢者になれば…」
ユミル「おいクリスタ! ソイツが賢者になる条件はな…」
クリスタ「そういえばアルミンはどうやって賢者になるの?」
ユミル「そ、それは…」
ユミル(くっ… どうする… この状況を打破するにはこのクズに賢者になってもらうしかねぇ…)
ユミル(しかしそれではクリスタの… ハッ! そうだ…! 何もクリスタじゃなきゃいけないって事は無いんだ…!)
ユミル(しかしスカートなのは私とクリスタだけだ… くそっ! 仕方が無い…!)
クリスタ「あぁ…! みんながやられちゃうよ…!」
ユミル「くっ…! 迷ってるヒマはねぇ! おいアルミン!!」
アルミン「な、なんだい!?」
ユミル「これを見ろ!!!」 バサッ チラッ
クリスタ「えっ!? ちょ、ちょっとユミル!?」
アルミン「…」
ユミル「どうだっ!?」
アルミン「…何のマネだ?」
ユミル「てめぇぶっ殺すぞ!!」
クリスタ「ど、どうしちゃったのユミル!!」
ユミル「くそったれがぁああっ! すまんクリスタ!!」 バサッ
クリスタ「えっ!? きゃあああっ!」
アルミン「!!!!!????」
ミカサ「くっ…! 回復が間に合わない…!」 フリフリ
ライナー「ベルトルト! 何か手段はないか!?」
ベルトルト「僕に出来るのはライナーを硬くする事ぐらいだ…! スカラ!」
ライナー「気休めにはなるか…! 俺がアイツの攻撃を受ける! お前らはスキを見て攻撃してくれ!」
ジャン「大丈夫なのかよ!?」
ライナー「これしか方法がないっ!!」
アルミン「待ってくれ!!」
エレン「ア、アルミン!?」
アルミン「ここは僕にまかせておいて欲しい。」
ジャン「お前… 賢者に…? こんなときになんてヤツだ…」
ドラゴン「ゴォオオオオッ」
アルミン「マヒャド!!」 ヒュォオオッ
ジュワァァアアッ
ジャン「相変わらずすげぇな… 相殺しやがった…」
ライナー「しかしいくら賢者タイムのアルミンといえども…」
アルミン「みんな! 次の攻撃がくる! 僕が囮になるから右に避けるんだ!」
エレン「なっ!? アルミン!!」
ミカサ「エレン! アルミンの言う通りにして!」
ドラゴン「グァアアッ」 ザシュッ
アルミン「ぐっ… ベ、ベホマ!」
エレン「大丈夫かアルミン!!」
アルミン「僕は大丈夫だ!」
ジャン「お前そんな戦い方してたら命がいくつあっても足りねぇぞ!!」
アルミン「確かにその通りだ… このまま戦っていたらこのドラゴンを倒す前に僕のMPが尽きる…」
アルミン「だけど僕が狙っていたのは倒す事じゃない! この位置関係だ!」
コニー「なっ! 倒さないでどうするってんだよ!」
アルミン「こうするんだ! イオナズン!!」
ドォオオオンッ
ちょっとメシくってきます。
続きは後ほど。
ガラガラガラッ…
ライナー「ド、ドラゴンを生き埋めにしやがった…」
ジャン「なんてやろうだ…」
アルミン「はぁっ はぁっ…」
エレン「さすがだぜアルミン!!」
クリスタ「すごい! すごいよアルミン!」
アルミン「!!! みんな僕に近づいちゃだめだ!」
エレン「くっ… 賢者の息吹か…!!」
ジャン「…」
ユミル「…」
アルミン「ごめん… 絶好の位置関係だったとはいえ入り口に繋がってる道を塞いでしまった…」
エレン「気にすんなよアルミン! どっかに出口があるって!」
ミカサ「そう。 アルミンがこうしてなければ私達は全滅だった。 気にする事はない。」
ライナー「そうだな。 地上に出れる道を探そう。」
ユミル「アルミンもベルトルさんもリレミトは使えねーのか?」
ベルトルト「ごめん… 使えない…」
アルミン「僕もさっきのでMPを使い切ってしまった…」
サシャ「そういえばジャン。 リレミトの巻物は持ってないんですか?」
ジャン「巻物なんてとっくの昔に全部使い切ったぞ。」
コニー「おっ こっちに奥に続いてる道があるぞ!」
ジャン「なんだここ? 一本道か?」
ライナー「魔物もいないな。」
サシャ「あっ! あそこが出口っぽいですよ!」
エレン「やっとこのジメジメした所から出れるのか。」
クリスタ「アルミン、なんであんな後ろに離れて歩いてるだろ・・・」
ユミル「今は放っといてやれ。」
コニー「おっしゃ! 俺が出口に一番乗りだぜ!」 ダダッ
エレン「あっ ずりーぞコニー!」 ダダッ
ユミル「ったくガキかっての。」
ミカサ「無邪気なエレンもかわいい。」
コニー「へっ! 俺の勝ちだなエレン!」
エレン「あっ くっそ!」
コニー「…」
エレン「どうしたんだコニー? …!」
ライナー「どうしたんだ2人とも口あけてアホみたいに。」
ベルトルト「これは…」
クリスタ「すごい… キレイ…」
ミカサ「これは… 湖の中にあった城…? 私達は水の中にいる…?」
ユミル「いや… 息は出来てるし水の中じゃないよな…?」
ジャン「なんだこれ… 水が膜を張って流れ込んでこないようになってるのか…?」
アニ「…」
エレン『何言ってんだよ。仲間だろ?』
ベルトルト『アニなんかちょっと変わったね。』
ライナー『いつ以来だったかな。 お前があんなに笑ったのを見たのは。』
アニ「くだらないね…」
ジャン『アニもなんだかんだ楽しそうじゃねーか。』
ミカサ『エレンをここまで守ってくれてありがとう。』
エレン『みんな… 大切な仲間なんだって…』
アニ「本当にくだらないよ…」
ポタッ ポタッ
アニ「…。 雨かな…」
今日はここまでです。 続きままた。
おやすみなさい。
ライナー「これはすごいな…」
ユミル「ここは湖の底か。」
サシャ「水面から光が差し込んで城を彩ってますね。 もの凄く幻想的です…。」
クリスタ「サシャもそう思うよね!?」
サシャ「はい! 私はこう見えても多少は絵の心得があるんです!」
ミカサ「それ以上はいけない。」
コニー「どうなってんだよ…? なんで水の中なのに息が出来てんだ…?」
ジャン「巨大な泡みたいのが城を包んでるのか…? とにかく常識じゃ考えられねぇ事だ。」
エレン「な、なぁ! あの城に入ってみねぇか!?」
ベルトルト「ほ、本気かい?」
ライナー「どんな危険が潜んでるかわからんぞ?」
エレン「で、でもよ…」 ソワソワ
ミカサ「エレンが行くのなら私も行こう。」
ジャン「なら俺も行くぞ。」
ライナー「ふぅ… しょうがないな。 油断するなよ?」
クリスタ「なんかドキドキするね。」
ユミル「クリスタは私の後ろに隠れながら来いよ。」
サシャ「私もユミルの後ろから行きますね!」
ユミル「…お前は私の前だ。」
ジャン「ずいぶんと静かだな。」
ミカサ「人どころか魔物の気配もしない。」
エレン「おっ! あれはなんだ?」
ミカサ「エレン。 一人で先に行ってはダメ。」
エレン「なんでだよ…」
ミカサ「エレンは目を離すとすぐ迷子になる。」
ジャン「はっはっは! お子ちゃまだからな!」
ミカサ「ジャン。 あれが何かを調べてきて。」
ジャン「え…」
コニー「おい、早く行って来いよジャン。」
ライナー「エレン達は先に行ったのか?」
ベルトルト「うん。 もっと奥を見てみるって。」
ライナー「大丈夫か…」
ユミル「まぁ魔物も出ねーし、ミカサもいるから大丈夫だろ。」
クリスタ「ねぇ! ここから水面の方見るとすごく綺麗だよ!」
サシャ「いい眺めですね。 あれ? 下にいるのってアルミンじゃないですか?」
ユミル「下半身丸出しで何やってんだよアイツ…」
クリスタ「ズ、ズボン洗ってるのかな…//」
ライナー「誰にも見られてないと思ってるんだろうな。」
ベルトルト「そっとしといてあげようよ…」
コニー「どうだジャン? それが何かわかったか?」
ジャン「うるせーな… 別に危険なモンじゃないしお前らもこっち来て見てみろよ。」
コニー「何だこりゃ? 燭台か?」
ジャン「それっぽいんだがな。 ただ蝋燭を立てる物にも見えないんだよな…」
ミカサ「何か玉のようなモノを乗せる物? 受け皿が半球の形をしている。」
ジャン「…」
ライナー「おう。 お前達こんな所に居たのか。」
エレン「お、ライナーか。」
ユミル「何やってんだ?」
コニー「この燭台が気になってよ。」
クリスタ「ただの飾りじゃないの?」
コニー「たぶんそうだろうな。」
ジャン「…」
エレン「おいジャンどうしたんだ?」
ジャン「いや、さっきミカサが口走った事が気になってな…」
エレン「ミカサが言った事って…。 …!!!」
エレン「ジャン…! そんな事気にすんじゃねぇ…!」
ジャン「は?」
エレン「ミカサ! ジャンに謝れよ!」
ミカサ「えっ? ど、どうしたのエレン…」
エレン「ジャンだって好きで玉をとったワケじゃねぇ…!! きっと… きっと事故かなんかで…!」
ジャン「お、おい… お前は何を言って…」
ライナー「なん… だと…?」
ジャン「お、おい…」
ユミル「お前… マジかよ…」
ジャン「ちょ、ちょっと待てよ…」
ベルトルト「まさかとは思っていたけど…」
エレン「ジャン! 例えお前の金玉がなくても… 俺達は… 俺達はお前の仲間だ!! 誰も見捨てたりなんかしねぇ!!」
ジャン「は?」
ユミル「あ… あぁ。 別にお前の事軽蔑したりしねーよ。 ちょっと驚いたけどな。」
ジャン「はぁ!?」
ライナー「安心しろ。ジャン。」 ニコッ
ジャン「はぁあああっ!?」
エレン「ど、どうしたんだよジャン!」
ジャン「ふざけんじゃねぇぞテメェエエエェッ!!」
エレン「何すんだよ!! 服が破けちゃうだろうが!!」
ジャン「なんで俺が金玉とった事になってんだよぉおおっ!!」
エレン「はぁっ!? だってお前サシャの金玉売ろうとした時明らかにおかしかったじゃねーか!!!」
ベルトルト「えっ!? えっ!?」
コニー「サシャ… お前…」
サシャ「えぇっ!? ちょ、ちょっとエレン!!」
ジャン「ふざけんな!! なんでそんな事で俺の玉が無くなった事になってんだよっ!!!!」
エレン「じゃあなんであの時あんな反応したんだよっ!!!」
ミカサ「やめなさい。」
エレジャン「「くっ…!」」
ミカサ「熱くなるとすぐ衝動的に行動する。」
エレン「…! でもよ… ジャンの玉が心配でよ…」
コニー「おい… サシャお前… 男だったのか…」
サシャ「ち、違いますよ!! さっきの話はこれですよ!! この金の玉の事ですよ!!」
コニー「こりゃあ… 確かに金玉だ…」
ユミル「おい、お前ら。 さっきからウチのクリスタに悪影響のある言葉を連呼してんじゃねぇぞ。」
クリスタ「…///」
ジャン「…。 俺は金玉とったりなんかしてねーよ…」
エレン「…。 じゃあどうしたってんだよ…」
ジャン「あんとき、商人に玉を売ろうとした時にこれは買い取れないって言われただろ?」
サシャ「えぇ。 そうでしたね。」
ジャン「その頃から気になっていたんだ。 何か特別な道具なんじゃねぇかなって。」
ライナー「なぜそれを今?」
ジャン「ミカサの一言があったからだ。」
ミカサ「?」
ジャン「この受け皿の形だよ。 半球になっててちょうど玉をはめ込めそうだろ?」
ベルトルト「そうかもしれないけど… でも本当に玉をはめるのかな?」
ジャン「よく考えてみろ。 普通ならこんなデカイ城が湖に沈んでるなんてありえねぇ話だ。」
コニー「じゃあなんで沈んでるんだ? 城が勝手に動いて来たって言うのか?」
ジャン「そうだ。」
ユミル「は? おいおいお前大丈夫か…?」
ジャン「あそこを見てみろ。 これと同じ燭台がもうひとつある。」
ジャン「そしてサシャの持ってる金の玉とライナーの銀の玉。 これはおそらく対になる物だ。」
ライナー「お、おい… まさかな…」
ジャン「試してみる価値はアリだと思わねぇか?」
ライナー「…そうだな。」
ジャン「思った通りだ。 くぼみにしっかりとハマりやがる。」
ジャン「サシャ。 そっちにもその金の玉をはめてくれ。」
サシャ「わかりました!」
エレン「何が起こるんだろうな…」
ユミル「さぁね。」
クリスタ「だ、大丈夫かな…」
サシャ「はめましたよ!」
ジャン「さぁ何が起きやがる…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
ライナー「うおっ! なんだこの振動は!?」
サシャ「だ、大丈夫なんですか!?」
ジャン「たぶんな…」
ユミル「たぶんっておまえ…!」
ザァアアアアアアアッ
クリスタ「な、何の音!?」
ミカサ「振動が止まった…」
ベルトルト「何が起きてるんだ…?」
ジャン「何か変わってるかもしれねぇ。 外を見に行ってみよう。」
ライナー「こ、これは…」
クリスタ「お城が… 空に浮いてる…!?」
ユミル「なんだよこりゃ…」
エレン「す、すげぇ…」
ミカサ「信じられない…」
コニー「俺は夢でも見てんのか…?」
ベルトルト「こんな事に気が付くなんて… すごいねジャン。」
ジャン「まさか空に浮かび上がるとは思わなかったけどな。 だがこれじゃあ空中に浮いてるだけだ。」
ジャン「おそらく動かす方法があるはずだ。 探してみよう。」
今日はここまでです。おやすみなさい。
ベルトルト「どうライナー? 何か見つかった?」
ライナー「いや、この城を動かせそうな装置みたいなモノはこっちにはないな。」
ベルトルト「そういえばアニはどこに居るんだろう。」
ライナー「アイツなら馬車の所で待機してるみたいだぞ。」
ベルトルト「そうなんだ。」
ライナー「ジャン達の方は何か見つけられたかもしれないな。」
ベルトルト「うん。 様子見に行ってみようか。」
ユミル「しかしこんなデカイ城が空に浮くなんてな。」
クリスタ「ホントだね。 天気もいいしすごく気持ちイイね。」
サシャ「世の中何が起こるかわかりませんね。」
<うわぁあああっ!
ユミル「あん? 何の声だ?」
サシャ「あっ あそこにアルミンがぶら下がってますよ。」
ユミル「あー… あいつさっき外でパンツ洗ってたもんな。」
<誰かぁーっ! 誰か助けてくれーっ!!
ユミル「…どうする? 助けるか?」
クリスタ「ちょっとユミル! 早く助けてあげようよ!」
ミカサ「エレン。 こっちに来て。」
エレン「ん? どうしたんだミカサ。」
ミカサ「ここから見える景色。 凄くきれい。」
エレン「え? そうだな。」
ミカサ「エレン… 私にはわかる。」
エレン「どうしたんだよ突然?」
ミカサ「アナタは元の世界に戻ろうとしている。 違う?」
エレン「は? な、なんだよそれ! そんな事考えてねーよ…!!」
ミカサ「私やアルミンがあの巨人の世界に一緒に来ないように、エレンはウソをついている。」
エレン「…。」
エレン「何言ってんだよお前…」
ミカサ「なら教えて欲しい。 エレン、あなたは何を望んでいるの?」
エレン「…。」
ミカサ「お願い。 答えてエレン。」
エレン「何も望んでねーよ。 俺はジャン達の様子を見てくる。 あとでな。」
ミカサ「…。」
ジャン「どうだコニー。 何かあったか?」
コニー「いや、特に何もねーな。」
コニー「強いて言えばこの床の模様くらいだ。」
ジャン「何だこの模様?」
コニー「さぁな。」
ジャン「なんでこんな所に模様なんてあるんだろうな。 ちょっと調べてみるか。」
コニー「おいおい、床なんか調べたって… ん? なんかこれ開けられそうだぞ。」
ジャン「正解っぽいな。 開けて中に入ってみよう。」
ジャン「うお… なんだこの部屋…」
コニー「なんだよこれ… 床がねーじゃねーか…」
ジャン「…いや、床が無いワケじゃないな… 透けているだけだ。」
コニー「は? なんでそんな事わかるんだよ。」
ジャン「この部屋に置いてある機械っぽい物とかだ。 あれ全部空中に浮いてるとは考えにくい。」
コニー「ホントだ… 手で触ると見えねーけど床があるな。」
ジャン「恐らくここが操舵室だな。 着陸地点が見えるのように床が透明なんだろう。」
コニー「おぉっ! ついにこの城が動かせるのか!」
ジャン「ホントに動くからからねーけどな。 色々調べてみる。」
訂正
ジャン「ホントに動くかわからねーけどな。色々調べてみる。」
アルミン「た、助かった…」
サシャ「大丈夫ですか?」
アルミン「僕がどこに居るか分からない状態なのによく城を浮かばせそうと思ったね。 信じられないよ。」
ユミル「やっぱ放っておけばよかったなコイツ。」
アルミン「とりあえず礼は言っておくよ。 これは何が起きてるんだ?」
クリスタ「サシャの持ってたオーブとライナーの持ってたオーブを台にはめたらお城が浮いたの。」
アルミン「そうなのか。 おかげでこっちは大変だったよ。 城に水が掛かってそれに押し流されそうになったからね。」
サシャ「ずいぶんとずぶ濡れですね。」
ユミル「まぁ天気は快晴だし。 カラッとしてるからな。 外に居ればすぐに乾くだろう。」
ライナー「おう、コニー。 ジャンは一緒じゃないのか?」
コニー「操舵室みたいな所見つけて色々調べてるぞ。」
ベルトルト「おっ じゃあこのお城がついに動くのかな。」
コニー「さぁな。 ジャンがあれ使いこなせるかわかんねーからな。」
ライナー「一応俺も見にいってみる。」
ベルトルト「うん。 頼んだよライナー。」
ライナー「どうだジャン。 イケそうか?」
ジャン「ん? ライナーか。 まぁなんとなくは分かる気がするな。」
ジャン「動かして着地、浮上くらいなら出来ると思う。」
ライナー「さすがだな。 じゃあ俺は上に居る連中に落ちないように気をつける様、言ってくる。」
ジャン「とりあえずは試運転だな。 上の連中はまかせたぜ。」
エレン「おっ! この城動かせるのか! すげーな!」
ミカサ「エレン。 落ちないように気をつけて。」
サシャ「とりあえずアニをお迎えに行きましょう。」
ベルトルト「そうだね。」
エレン「なぁライナー。」
ライナー「どうしたエレン。」
エレン「アニの様子がさ… 変なんだよ。」
ライナー「…どういう風にだ?」
エレン「なんかさ。 俺にも俺以外のヤツらにもみんなに対して冷てーっつーか。」
ライナー「…。」
エレン「ライナー頼りになるしよ… 俺こういう時どうしたらいいか判らなくってよ…」
ライナー「…なんなんだろうな。 一応俺も話を聞いてみる。」
エレン「あぁ… すまねぇな。」
ライナー「…」
ゴゴゴゴゴッ
エレン「おっ!動き出したぞ!」
ミカサ「エレン!」
エレン「わかってるって… そんな簡単に落ちねーよ…」
ベルトルト「思ってたよりゆっくりと動くね。」
ユミル「まぁこれくらいなら振り落とされる心配もなさそうだな。」
コニー「おっ あそこ馬車を停めてた場所じゃねーか?」
サシャ「あれ… あそこで潰されてるのって洞窟にいたドラゴンじゃないですか…?」
クリスタ「あれは… そうだよね… 一体誰が…」
ライナー「…」
ベルトルト「(ライナー… まさか…)」
ライナー「(どうだろうな。 一応確認してみる。)」
今日はここまでです。 続きはまた明日。
おやすみ。
ライナー「アニ。 いるか?」
アニ「遅かったね。 ずいぶんと豪勢なお迎えじゃないか。」
ライナー「待たせたな。 すまない。」
エレン「お! アニ無事だったか!」
アニ「…」
エレン「アニ…」
ライナー「…」
ジャン「こいつはすげぇな…」
サシャ「一体誰があんな凶暴なドラゴンを…」
ユミル「人間がやったとは限らねーぞ。」
コニー「そりゃどういう事だ?」
ベルトルト「…」
ユミル「他の凶暴なモンスターがって意味だよ。 ちょっとは考えろ。」
コニー「こいつより凶暴なヤツがいるのかよ… おっかねぇな…」
クリスタ「生き埋めになったから這い出して来たんだろうね…」
ユミル「必死で這い出した先でこんな風にされちゃあコイツも浮かばれねーな。」
ライナー「お前達こんなところにいたのか。」
ジャン「ライナーか。 アニはいたか?」
ライナー「あぁ。」
アニ「…」
ライナー「馬車も城に入れよう。 これならどこへでも行けるな。」
コニー「どこか目的地でもあるのか?」
ジャン「んなもんねーな。 まぁブラブラ世界を見て周るのもいいだろ。」
エレン「おぉ! 楽しみだな!!」
ミカサ「エレンが楽しそうでなにより。」
エレン「すげぇ…! これが世界の景色なのか…! すげぇよ… 凄すぎる…!!」
アルミン「何も泣くことはないんじゃないか?」
ミカサ「エレン…」 キュン
ユミル「アイツの何がいいんだか…」
クリスタ「夕日が凄いキレイだね… こんな景色が見れるなんて夢にも思わなかった…」
アルミン「どうだいクリスタ? あっちのバルコニーで2人きりで夕日を眺めてみないかい?」
クリスタ「私はここで大丈夫だよ。」 ニコッ
ユミル「残念だったなアルミンww」
アルミン「…」
ジャン「すっかり日も沈んじまったな。」
サシャ「お城操作してなくて大丈夫なんですか?」
ジャン「不眠不休で運転しろってのかよ… 浮いてる分なら大丈夫だ。」
サシャ「そうなんですか。 それにしてもお腹すきましたね~」
ジャン「お前ホントそればっかだな。 さっきベルトルト達が色んな部屋を掃除してたぞ。」
サシャ「食堂もあるんですかね!」
ジャン「さぁな。 あったとしても馬車に積んである備蓄しか食えねーぞ。」
サシャ「甘いですねジャン。 食事とはその食材の味もそうですが雰囲気を楽しむものなんですよ。」
ジャン「あーあーわかったよ。 さっさとメシ食いにいこうぜ。」
ユミル「おら、お前ら。 私とクリスタが腕によりをかけて作った料理だぞ。 心して食え。」
コニー「ユミルお前料理なんて出来たのか。」
ユミル「お前この城から突き落としてやろうか?」
クリスタ「ここには調理場があったから。 おいしくなかったらゴメンね…」
ライナー「何を言ってるんだクリスタ。 お前の作ったものなら何でも食うぞ。」
ジャン「そうだな。 なかなかうまそうじゃねーか。」
クリスタ「エヘヘッ なんか照れちゃうな。」
アルミン「オカズはクリスタ。 キミだけで充分さ。」
ユミル「あのなお前ら… 私も一応作ったんだぞ…」
ベルトルト「うん。 僕はユミルの料理もおいしそうだと思うよ。」
ミカサ「エレン。 今度は私が料理を作る。」
エレン「は? い、いや… やめとけよ…」
ジャン「あん? どうしたんだ死に急ぎやろう。 ミカサの手料理なんて最高じゃねーか。」
エレン「ジャン… お前は何も知らねーんだよ…」
ジャン「なんだよそりゃ?」
アルミン「以前ミカサが料理を作った時は何か得体の知れない、ダークマターの様なモノが出来てたよね。」
ミカサ「アルミン。 それは昔の話。 今は違う。」
ジャン「昔ってどのくらい昔なんだ?」
アルミン「訓練兵団の最後の休暇の時かな。」
ジャン「…」
エレン「そういえばアニはどこ行ったんだ?」
ジャン「俺は見てねーぞ。」
エレン「ちょっと呼んでくるか。」
ライナー「いや、ベルトルトに頼もう。 ちょうどさっき外の風に当たりたいって言ってたしな。」
エレン「ん?そうなのか。 じゃあ頼んだぜ。」
ベルトルト「えっ?」
ライナー「頼んだぞ。 ベルトルト。」
ベルトルト「う、うん。 探してくるよ。」
アニ「…」
ベルトルト「アニ。 そんな所にいたのか。」
アニ「…!」
ベルトルト「どうしたんだい? 顔をそむけて。」
アニ「…」
ベルトルト「…泣いているのかい?」
アニ「…うるさいよ。」
ベルトルト「何か… あったのかい?」
アニ「別に…」
ベルトルト「何か思いつめてる事があるのなら僕が…」
アニ「別に何もないって言ってるでしょ…」
ベルトルト「…」
ベルトルト「…みんな向こうの部屋で食事をしているから。 落ち着いたら来なよ。」
アニ「…」
ベルトルト「じゃあ僕は向こうに行ってるから…」
アニ「ベルトルト。」
ベルトルト「ん?」
アニ「私は… 弱くなってしまったのかもしれない…」
ベルトルト「…何を言っているんだ。 アニは強いじゃないか。」
アニ「そういう意味じゃない。」
ベルトルト「…。 それは… 僕もライナーも同じだよ…」
アニ「…」
ベルトルト「でも僕は… それでもいいかもしれないと思ってしまってるかもしれない…」
アニ「私は… 私は…」
ベルトルト「僕は… どんなに弱くなっても自分のやるべき事は必ずやり遂げようと思ってる。」
ベルトルト「そしてそれが彼らを傷つけて、裏切り者と言われ、一生後悔し続ける事になっても…」
ベルトルト「それが僕達が背負った罪だと思うから…」
アニ「…。 アンタは強いよ…。」
ベルトルト「そんな事はないよ。 僕もアニやライナーと一緒さ。」
アニ「私は… 逃げていたのかもしれないね…」
ベルトルト「それは僕もだよ。」
アニ「罪を背負う覚悟か… 私にはそれが足りなかったのかもしれないね…」
ベルトルト「僕だって完全に覚悟が出来ているワケじゃない。 自分をごまかしているだけさ。」
アニ「なんだか気が晴れた気がするよ。 ありがとうベルトルト。」
ベルトルト「フフッ アニにお礼を言われるなんてね。 じゃあ僕は食堂に戻ってるよ。 あとでね。」
今日はここまでです。 おやすみなさい。
エレン「ふぁ~。 よく眠れたな。 ここはモンスターも出ないし快適でいいな。」
アルミン「これでムチムチボインのメイドでもいれば最高なんだけどね。」
エレン「メイドって何だよ。 お、あそこにいるのはアニか。」
エレン「ようアニ! おはよう!」
アニ「…おはよう。」
エレン「おっ!」
アニ「…何?」
エレン「ヘッ 何でもねーよ!」 ニカッ
アニ「…フン。」 スタスタ
ユミル「なぁジャン。 これからどこに行くんだ?」
ジャン「んなモン決めてねーよ。 どこに何があるかなんてわからねーしな。」
クリスタ「せっかくこのお城動くんだから色々な所行ってみたいよね。」
サシャ「世界のおいしい食べ物を食べて周るっていうのはどうですかね!」
ユミル「却下。」
サシャ「な、なぜですか…」
ユミル「なんとなくだ。」
クリスタ「もうユミル! 私はサシャの考えもいいと思うよ!」
サシャ「ですよね! さすがクリスタです!」
ジャン「まぁ俺はなんでもいいんだがよ…」
ベルトルト「ねぇライナー。 あのドラゴンをやったのはアニなのかな…?」
ライナー「あぁ。 昨日の夜そう言っていた。」
ベルトルト「僕はこっちに来てから一度もなってないから、やっぱりここでもなれるんだね。」
ライナー「しかし変な話だよな。 体の傷は治せないのに… 話はここまでだ。」
コニー「ようお前ら早いな。 こんな所で何やってんだ?」
ライナー「なに、大した事じゃない。 ベルトルトと2人で世界の美しさについて語り合ってただけだ。」
コニー「男2人で気持ちわりーな…」
ベルトルト「ライナー…」
ミカサ「おはよう。 エレン アルミン。」
エレン「おう、おはよう。」
アルミン「おはよ。」
ミカサ「エレン。 夜はよく眠れた?」
エレン「おう、なかなか快眠だったぞ。」
ミカサ「エレンが一人で心細くて眠れてないと思うと心配で…」
エレン「…俺の話聞いてたか?」
アルミン「どうでもいいよねそんな事。 それよりなんか寒くないかい?」
エレン「言われてみればそうだな。」
ミカサ「確かに少し寒いかもしれない。」
エレン「ここは建物の中だしよくわかんねーな。」
アルミン「いや、寒い。 絶対寒いよねコレ。 僕は寒いのは苦手なんだ。 部屋に戻って毛布にくるまってるよ。」
エレン「えっ あっ お、おい… アルミンのヤツ行っちまった。」
ミカサ「でもアルミンの言う通り寒い。 どうして?」
エレン「俺に聞かれてもわかんねーよ… 寒い寒い言われてたら本当に寒くなって来たじゃねーか。」
ミカサ「! エレン。 寒さを凌ぐ方法がひとつだけある。 人肌を合わせr
エレン「いきなり寒くなるなんておかしいよな。 ちょっと外の様子を見てみようぜ。」
ミカサ「…」
扉 ガチャ
エレン「うおっ! さ、さみぃ…! なんだよこれ…!」
ミカサ「これは… 雪が降ってる…? 一晩で冬になったという事…?」
エレン「んなワケあるかよ… どうなってんだよこれ。 さみぃし扉閉めるぞ。」
ジャン「おい。 何だ今の冷気。」
サシャ「ものすごく冷たい空気が入ってきましたね。」
ミカサ「外が冬になっていた。」
ジャン「は? 何を言ってるんだ…?」
エレン「いいから外を見てみろよ。」
クリスタ「みんな扉の前に集まってどうしたの?」
サシャ「なんか外が冬になってるらしいですよ。」
ユミル「何言ってんだ?お前。」
ジャン「とりあえず外の様子を見てみるぞ。」
扉 ガチャ
ユミル「寒っ!」
サシャ「な、なんですかコレ…」
ジャン「雪が降ってる… なんだよこれ…」
クリスタ「さ、寒いよ…」
ユミル「! クリスタ。 寒さを凌ぐ方法がひとつだけある。 人肌を合わせr
サシャ「ジャン! 凍え死んじゃいますよ! 扉を閉めてください!」
ユミル「…」
ジャン「マジで冬になってたな… 一晩で季節が変わったのか…?」
エレン「そんな事ってありえるのか?」
ジャン「普通に考えたらねーんだけどな… 服を重ね着してもっと外の様子を見てみるか。」
ミカサ「わかった。 エレン。 服を貸して欲しい。」
エレン「なんでだよ…」
ユミル「一面雪景色だな。」
クリスタ「昨日まではハッキリと世界樹が見えてたよね?」
サシャ「見渡す限りそれらしきモノはありませんね。」
ジャン「寝てるうちに風に流されて移動したのか…?」
エレン「何言ってんだよ。 移動しただけで季節変わんねーだろ。」
ジャン「んな事俺に言われても知らねーよ。 現に今は冬になってるし世界樹も見当たらねぇ。」
エレン「あ… もしかして… 氷の大地か…?」
ミカサ「氷の大地って昔アルミンが言っていた?」
ジャン「なんだよそれ?」
エレン「俺もよく知らねーんだけどさ。 氷の大地って所は1年中ずっと冬らしい。」
サシャ「なぜアルミンがそんな事を知っているんですか?」
ユミル「あいつは本を読むのが好きだったからな。 禁書も読んでたんだろ。」
クリスタ「禁書って外の世界の事が書いてあるんだよね? ならホントにここが氷の大地なのかな…」
ジャン「たぶんそうだろうな。 それならこの状況にも納得がいく。」
エレン「それより早く中に戻ろうぜ。 薄い服しか持ってねーから凍えちまうぞ…」
ミカサ「エレン。 人肌を合わせr
ジャン「確かにこんな格好じゃ寒さもろくに凌げねーな。 中に戻るか。」
ミカサ「…」
ライナー「氷の大地まで風に流された?」
エレン「おう。 外は完全に冬だぞ。」
ベルトルト「通りで。 ちょっと寒いと思ってたんだよ。」
ジャン「さっさと暖かい場所に移動した方がいいな。」
エレン「何言ってんだよ! 氷の大地見てみたくねーのか!?」
ジャン「そりゃ好奇心はあるけどよ。 凍え死んじまったら元も子もねーぞ?」
ミカサ「ならどこかで防寒具を手に入れればいい。」
サシャ「ミカサはマフラー持ってるしいいですね。」
ミカサ「このマフラーは渡さない…!」
サシャ「いえ… そのマフラーが欲しいって事じゃないんですが…」
ジャン「こんな所に人が住んでるとは思えねーけどな。 一応探してみるか。」
コニー「あの操舵室なら下の様子も見えるしな。 俺も一緒に探すぜ。」
エレン「えっ!? そんな部屋あんのかよ! 俺も行きてぇ!」
ミカサ「エレンが行くのなら私も行こう。」
ジャン「あんまり大人数は入れないぞ。」
ライナー「広さ的には4人くらいか。 ちょうどいいんじゃないか。」
ベルトルト「じゃあ僕らは城を散歩でもしながら待ってるよ。」
エレン「早く行こうぜ!」
ジャン「待てよ。 朝食くらい食わせろ。」
今日はここまでです。 続きはまた今度。
おやすみなさい。
ジャン「どこまで行っても真っ白だな。 こんな所に人なんて…」
コニー「おっ あれ町じゃねーか!?」
ジャン「いるのか…」
エレン「くっそ! コニーに先に見つけられたか!」
コニー「へっへ! 天才の俺に勝とうなんて100年早いぜ!」
ミカサ「この勝負は頭の良さは関係ない。 エレンとコニーは別々の方向をずっと見ていた。 そして城を動かしているのはジャン。」
ミカサ「よって勝敗の分かれ目はジャンの操作にかかっていた。 のでエレンは悪くない。」
エレン「お、おう。」
ジャン「まぁなんでもいいんだがよ… あの町寄って行くんだろ?」
エレン「あぁ。 寄って行こうぜ!」
ジャン「町に行くのはこれだけか?」
エレン「アルミンは寒いの嫌だから部屋で寝てるってよ。」
クリスタ「ライナーとベルトルトもお城でのんびりしてるって。」
コニー「お、アニも一緒に行くのか。」
アニ「悪い?」
コニー「べ、別に悪くなんかねーよ。」
ユミル「しかし随分と町の近くに付けたな。」
ジャン「町に行くまでに凍えちまったらたまらねーからな。 ソッコー防寒具を買おう。」
サシャ「ここにはどんな食べ物があるんですかねぇ!」
エレン「よし行くか。 町まで走るぜ!」
コニー「お、エレンまた勝負か? 俺に勝てると思ってるのか?」
エレン「今度は負けねーぞコニー!」
アニ「まったくアンタらはいつまでも子供だね。」
エレン「なんだよアニ。 ビビってるのか?」
アニ「…。 私も参加させてもらうよ。」
ジャン「お、おい。 お前ら本気で走ろうとしてるのか?」
エレン「一番ビリのやつがあの町でメシ奢りな!」
アニ「上等じゃないか。」
コニー「おっしゃ! 行くぜ!」
ミカサ「エ、エレン待って…!」
エレン「うぉおっ!」 ダダッ
コニー「あっ! ずりーぞエレン!」 ダダッ
アニ「チッ!」 ダダッ
サシャ「あ…」
エレン「」 ステーン
コニー「」 ステーン
アニ「」 ステーン
ユミル「バカだろコイツら。」
ミカサ「エレン…! エレン…!!」 オロオロ
ジャン「はぁ… 何やってんだよ…」
アニ「くっ… こんなハズじゃなかったのに…」
エレン「いってぇ…」
コニー「」
クリスタ「3人とも大丈夫!?」
ユミル「コニーのバカは顔面からコケて気ぃ失ってるな。 サシャ、コイツ城に放り込んどけ。」
サシャ「わかりました!」
ジャン「バカな事やってないでさっさと町に入るぞ。 凍えちまう。」
エレン「くそっ この勝負はお預けだなアニ。」
アニ「私のほうがちょっと前に出てるから私の勝ちだね。」
エレン「なっ!? ならもう一度…!」
ミカサ「エレン!」
エレン「なんだよ。」
ミカサ「私の動きの真似をして。 大丈夫。エレンなら出来る。」
エレン「お! なんだよコツがあるのか!」
ミカサ「よく見ておいて欲しい。」
ミカサ ツゥー
ユミル「滑っていきやがった…」
エレン「そうか! あぁすれば良かったのか!」
ジャン「やめとけ。 本当に死に急ぐぞ。」
エレン「」 ステーン
クリスタ「なんであんな風に滑る事が出来るんだろ…」
ユミル「あんなのミカサしかできねーよ。 それよりさっさと行こう。 マジで凍え死ぬ。」
ジャン「しかし町が妙に静かだな。 こんなデカイ城が空から降りてきたら野次馬のひとりやふたり出て来そうなのにな。」
サシャ「温かい鍋なんかもいいですよね~!」
クリスタ「転ばないように気をつけて行こ。」
エレン「うぐっ…」
アニ「アンタ大丈夫?」
エレン「あぁ… もう走らねぇ…」
ジャン「ん? 町の入り口でミカサが手を振ってるな。」
クリスタ「何かあったのかな?」
ジャン「どうしたんだ? ミカサ。」 ガタガタ
ユミル「やべぇ… 本格的に身体が冷えてきやがった…」 ガタガタ
クリスタ「う、うん… 寒いね…」 ガタガタ
ミカサ「町の様子がおかしい。」
サシャ「ま、また人がひとりもいないんですか?」 ガタガタ
ミカサ「人はいない… ただ…」
ジャン「? 何なんだよ?」 ガタガタ
エレン「お、おい。 あれ…」 ガタガタ
ジャン「ん? 何だあれ。 人型の彫刻か?」 ガタガタ
ミカサ「町の至る所に人型の氷の彫刻がある。」
ジャン「とりあえず呉服屋を探そう。」 ガタガタ
クリスタ「あっ! あそこに見えるのってそうじゃないかな?」 ガタガタ
ユミル「よしっ! すぐ入るぞ!」 ガタガタ
扉 ギィイィ…
サシャ「ご、ごめんください。」 ガタガタ
ユミル「なんで店の中なのにこんなに寒みーんだよ…」 ガタガタ
ミカサ「? ここにも氷の彫刻が…?」
ジャン「暖もとってねーのか…? どうなってんだ…」 ガタガタ
ユミル「くそっ! 店員探してるヒマはねーな!」
クリスタ「あっ! ダメだよユミル勝手に!」
ユミル「試着してるって事にしとけばいいんだよ。 フゥー。 このコート暖けぇ。」
クリスタ「そ、そうだね。 じゃあ私も…」
ミカサ「エレン。 これを着て。」
エレン「やだよ… そんなフリフリの…」
ジャン「ミカサが選んだのなら俺が…」
ミカサ「ジャンには似合わないかもしれない。 残念だ。」
ジャン「…」
サシャ「店員さんまったく出てこないですね。」
アニ「部屋の中の暖をとってないのもおかしいね。」
クリスタ「あっ アニのコートかわいい~!」
アニ「!? そ、そんな事ないよ//」
ジャン「この彫刻。 なんか妙にリアルだな。」
ユミル「言われてみればそうだな。 まるで生きてるみてーだな。」
サシャ「髪とかまつ毛とか物凄く細かい所まで作り込まれてますね。」
エレン「どうなってんだろなコレ。」 パキッ
エレン「あっ… ヤベ… 髪の部分少し折っちまった…」
ジャン「何やってんだよお前。 バレないようにしとけよ。」
ミカサ「町の外に数体あった彫刻もこのような感じだった。」
ジャン「…。 ちょっと町全体を調べてみよう。」
ジャン「どうだ? 誰かいたか?」
クリスタ「ううん… 誰もいなかったよ。」
ユミル「建物の中もいくつか覗いてみたが、どこもかしこも氷の彫刻しかなかったな。」
サシャ「えっ? じゃあ鍋はどうしたらいいんですか?」
ジャン「…。 まさかとは思うがな…」
エレン「どうしたんだ?」
ジャン「もしかしたらこの氷の彫刻。 元は人間だっかもしれねぇ。」
ミカサ「生きている人間が凍ったという事?」
ジャン「民家も窓から覗いてみたが、ソファーに座ってる彫刻もあった。 普通あんな所に氷の彫刻なんて置かねぇ。」
ユミル「呪いか何かか。 あり得るかもな。 しかしこの町全体を呪うとはな。」
ジャン「もうちょっと探ってみるか。 誰かひとりくらいはいるかもしれねぇ。」
婆さん「おぬしらこんな所で何をしておる?」
ジャン「!?」
ユミル「!! あんたは…!」
婆さん「はて? 誰だったかのう?」
ユミル「おっ。 覚えてねーのか。 これは都合がいいな。」
婆さん「そんなワケあるかい! ちょっと呪文を覚えただけで逃げたしおってこの根性なしめ!」
ユミル「チッ このクソばばぁ…」
婆さん「どうやって元の姿に戻ったか知らんが。 よう生きとったの。」
ユミル「なぁ婆さん。 これはアンタがやったのか?」
婆さん「大魔道士様と呼べとなんども言っておるだろう! これをやったのはワシじゃないよ。」
クリスタ「なら大魔道士様はなぜこんな所に?」
婆さん「おっ そっちのお嬢ちゃんは見込みがあるようだのう。 どうじゃワシの弟子にならんか?」
ユミル「クリスタは渡さねーよ。 他に当たりな。」
婆さん「相変わらず口の利き方がなっとらんヤツだのう。」
サシャ「この氷の彫刻はやっぱり呪いなんですか?」
婆さん「そうだの。 この彫刻は呪いによるものだの。」
ジャン「一体誰が?」
婆さん「この町には昔から知り合いの爺さんがいての。 そやつが氷の女王の怒りを買ったんじゃな。」
ミカサ「氷の女王?」
エレン「じゃあそいつを倒せばこの町の人は元に戻るって事ですか?」
婆さん「ほっほっほ。 勇敢だのお若いの。 しかしそれは無理だの。」
アニ「なぜ?」
婆さん「氷の女王は魔王の側近の一人じゃ。 並大抵の人間じゃ女王の所にたどり着く事も出来んの。」
エレン「魔王…」
婆さん「氷の女王は気性の荒いほうではないが、ひとたび怒り狂うと町全体を一瞬で凍り漬けにしよる。」
ユミル「その爺さんは何をしでかして女王の怒りを買ったんだ?」
婆さん「女王の事をフッたらしいの。」
ユミル「は?」
ジャン「なんだその理由…」
ユミル「女王がじじいに惚れてたって事か? 物好きだな…」
婆さん「まぁ昔の話だからの。」
クリスタ「どのくらい昔なんですか?」
婆さん「はて? 60年前だったかの? いや70年前だったか?」
サシャ「えぇ…」
ミカサ「その間この町はずっと凍り漬けのままに…?」
婆さん「そうだの。」
ジャン「なんつー気の遠くなる話だ…」
ユミル「その爺さんはどうしてるんだ?」
婆さん「今でもこの町でひっそりと暮らしとるよ。」
サシャ「えぇ… 70年間もひとりでですか…」
婆さん「そうする事が罪の償いとでも思っとるんじゃろ。」
ユミル「婆さんはなんでこんな所にいるんだ?」
婆さん「その爺さんもそろそろ自分の死期を悟ったみたいでの。 自分が死ぬ前に町の呪いを解いて欲しいと言霊が飛んできての。」
クリスタ「そんな事が出来るんですか…」
ユミル「で、この呪いは解けそうなのか?」
婆さん「無理じゃな。」
エレン「え…」
婆さん「女王の呪いは思っていたより強力じゃ。 ワシの力ではどうにもならんの。」
ユミル「なら諦めるしかねーって事か。」
クリスタ「何かそのお爺さんかわいそうだね…」
ジャン「その爺さんを女王の所まで連れて行けばなんとかなるんじゃないか?」
婆さん「ほっほっほ。 また女王の怒りを買っておぬしらまで凍り漬けにされてもよいのならな。」
ユミル「そいつは勘弁してほしいな。」
爺さん「おぉ… 婆さん… 来てくれていたのか…」
婆さん「おおう。 久しぶりだのう爺さん。」
アニ「噂をすれば、とやらだね。」
爺さん「うん? おぬし達は?」
婆さん「ワシの弟子とその仲間じゃよ。」
ユミル「弟子になった覚えはねーぞ。」
爺さん「おお… 婆さんの… おぬしらに頼みたい事がある…!」
ジャン「嫌な予感しかしねーな。」
爺さん「ワシを… 氷の女王の所まで連れていって欲しい。」
ユミル「無理だな。」
爺さん「た、頼む…!」
ユミル「アンタに巻き込まれてこっちまで凍り漬けにされるワケにはいかないもんでね。」
爺さん「ワシを女王の所まで送り届けてくれるだけでいい。 近くまで連れて行ってくれるだけでいいんじゃ。」
エレン「なぜそんなに女王の所へ行きたいんですか?」
爺さん「ワシは… 女王を単純にフッたのではない… 裏切ったのじゃ…」
アニ「…」
ミカサ「どういう事ですか?」
爺さん「かつてワシは女王との永遠の愛を誓い合った仲であった。 しかしワシは若かった。 町の若い娘に走ってしまたのじゃ…」
ユミル「完全に自業自得じゃねーか。」
爺さん「しかしワシは己の過ちに気づいた。 だからこの長い年月を独りきりで過ごしたのじゃ…」
爺さん「じゃがもうワシも死期が近い。 せめて死ぬ前にこの町の人々を元に戻すのと… 女王に謝りたいのじゃ…」
爺さん「そこがワシの最期の場所になってもかまわない。 それがワシの決めた覚悟じゃ…」
アニ「…」
エレン「わかりました。 女王の所までご一緒しましょう。」
ジャン「お、おい。」
ユミル「お前本気か?」
エレン「あぁ。」
クリスタ「私も… 連れてってあげたいかな…」
ユミル「お前まで…」
ミカサ「エレンが行くのなら私も行こう。」
アニ「私も行くよ。 覚悟ってのを見てみたいしね。」
ジャン「チッ しょうがねーな。」
爺さん「おぬしら… すまん… ありがとう… ありがとう…」
サシャ「その代わり大魔道士のお婆さんにはおいしいごはんを頂きますからね!」
婆さん「ワシは関係ないじゃろ…」
爺さん「婆さん。 あんたはいい弟子を持ったの…」
ユミル「いやだから弟子じゃねーって。」
婆さん「おぬしらキメラのつばさは持っておるな?」
ユミル「何枚かな。」
婆さん「なら氷の女王のいる砦まで呪文で送ってやろう。 爺さんを送り届けたらつばさでこの町まで戻ってくるとよい。」
ユミル「ならついでに馬車ごと送ってくれると助かるな。」
婆さん「人使いの荒いヤツだのう… 馬車ごと送ってやるわい。」
ユミル「わりーな。」
今日はここまでです。おやすみなさい。
エレン「ここが氷の女王の砦なのか?」
ユミル「さぁな。 爺さんに聞いてみりゃわかるだろ。」
爺さん「ここじゃ… 間違いない。 あの頃と何も変わっておらん…」
エレン「よし。 扉を開けるぞ。」
ゴゴゴゴゴ
ミカサ「中から魔物の気配がする。 気を抜かないで。」
ジャン「しかし爺さん。 よく魔王の側近と恋仲までに発展したな。」
爺さん「女王は昔は魔王の側近などではなかったのじゃよ。 どちらかと言うと人間と仲良くしていきたいと考えておった。」
ユミル「で、爺さんとモメて魔王側についたってワケか。 この辺の人間からしてみりゃいい迷惑だな。」
クリスタ「ユミル! 言いすぎだよ!」
爺さん「ほっほっほ。 何も言い返す事は出来んのう。 そのお嬢ちゃんの言う通りじゃ。」
ジャン「入り口が広いな。 馬車ごと入れそうだ。」
ユミル「爺さんは馬車の中に入ってろよ。 戦闘になったら危ねーぞ。」
爺さん「年寄り扱いするでないわ! ワシはこう見えても昔は屈強な魔法戦士だったんじゃぞ!」
クリスタ「へぇ。 それはすごいですね!」
爺さん「弱い魔物などワシ一人で充分じゃわい。」
ミカサ「! 早速出た。 右と正面から1体づつ。」
爺さん「む! ワシに任せせておけぃ!」
ジャン「ホントに大丈夫かよ…」
ブリザードマン「ォオオォ」
爺さん「キェエエエエッ!!」
ドガッ
爺さん「うぐっ…」 ヨロヨロ パタン
ジャン「全然だめじゃねーか!!」
ミカサ「介護は私が。」 フリフリ
ジャン「ユミルは正面の鳥を任せたぞ! 俺とエレンでこいつをやる!」
ユミル「おいおい。 私は一人でかよ。 しゃーねーな。」
ホークブリザード「クエーッ!」
ユミル「ベギラマ!」 ゴォォォッ
ホークブリザード「クアッ」
ユミル「チッ 一発は無理か。」
クリスタ「やっ!」 ビシィッ
ホークブリザード「」 ドサッ
ユミル「お。 やるじゃないか。」
クリスタ「エヘヘ。 やっとこの新しくもらったムチを使えたよ。」
ユミル「今度それでライナーの野郎でも打ってみろよ。」
クリスタ「え? どうして?」
ユミル「おもしれーもんが見れそうだからな。」
シュルシュルシュル バスッ
ジャン「今だ!」
エレン「うぉおっ!」 ズババッ
ブリザードマン「」 ドサ
サシャ「2人とも息ぴったりですね!」
ジャン「はぁ? なんで俺がこんな死に急ぎ野郎と…」
エレン「俺ら結構強くなってるよな。」
ミカサ「エレンは強い。 すごく強い。 でも私が守る。」
エレン「別にいいって…」
ユミル「爺さんは馬車に入れとけよ。 途中でおっ死なれても困る。」
爺さん「ぐぬぬ… 人を年寄り扱いしおって…」
クリスタ「お願い。 馬車の中で待ってて。 私たちが必ず送り届けますから…」
爺さん「ふぅ… わかったわい。」
ジャン「さて、どっちに進むかだな。」
ミカサ「あそこに奥へ続く道が見える。」
エレン「よし。 あっちに行ってみよう。」
サシャ「次は私もがんばりますよ!」
ユミル「その調子で私の分もがんばってくれ。」
ビュンッ バスッ バスッ バスッ
魔物の群れ「」 パタパタパタ
アニ「へぇ。 やるじゃないか。」
サシャ「アニがモンスターを一直線に並べてくれたおかげですよ!」
ミカサ「エレン! 今!」 ウネウネ
エレン「おおおっ!」 ズババッ
ビッグアイ「」 ドサ
爺さん「ほっほっほ。 やりおるな若いの。」
ジャン「だから爺さんは馬車にひっこんでろって!」
爺さん「はい…」 シュン
ジャン「結構奥まで来たな。 女王はどの辺りにいるんだ?」
ユミル「爺さん何か知らないか?」
爺さん「…」
ジャン「(拗ねてるぞ…)」
ユミル「(めんどくせぇジジイだ…)」
サシャ「あそこにあるやたらとゴージャスの扉が怪しいですね。」
ジャン「あからさまにゴージャスだな。」
爺さん「女王は昔からインテリアにはこだわっとっての。」
エレン「…。 ならここが女王の部屋ですかね。」
爺さん「そうだの。」
今日はここまでです。 短くてごめんなさい。
おやすみ。
爺さん「ここまで連れてきてくれてありがとう。 君達はもう戻るのじゃ。」
エレン「何言ってるんですか。 ここまで来たなら中まで付き合いますよ。」
アニ「そうだね。」
爺さん「おぬしらも呪いをかけられるかもしれんのじゃぞ?」
クリスタ「そんな事させません…! おじいさんも…!」
ユミル「クリスタが凍り漬けにされたら私が女王をぶっ飛ばして助けてやるよ。」
サシャ「さぁおじいさん! 行きましょう!」
爺さん「おぬしら…」
ジャン「扉開けるぞ?」
扉 ゴゴゴゴ
エレン「…あれ?」
ミカサ「誰もいない。」
ジャン「いや… あれを見てみろ。 氷の像がある。」
サシャ「ここに来た人が凍り漬けにされたんですかね?」
クリスタ「女の人だよね…?」
爺さん「おぉ… なんて事じゃ…」
ユミル「どうした爺さん?」
爺さん「あそこで凍っておるのが氷の女王じゃ…」
一同「…!?」
ジャン「なんで呪いの本人が凍り漬けになってんだよ。」
アニ「…! 待って。 あそこに何かいる。」
フレイザード「あん? お前ら人間か? なんで人間がこんな所に居やがる。」
エレン「なんだこいつ…!」
サシャ「体の半分が炎で… 半分が氷…?」
フレイザード「まぁそんな事はどうでもいい。 久しぶりにオレ様が凍り漬けにした女王の様子を見に来たらおもしろそうなオモチャいたって事だ。」
ジャン「何言ってやがるこいつ…」
フレイザード「ヒャーッハッハ! 喜べお前ら! オレ様のヒマ潰しの相手にしてやるぞ!」
ミカサ「来る…!」
フレイザード「ヒャッハー!」 ゴォオオオッ
エレン「くっ! こいつ炎をっ!!」 サッ
ジャン「吹きやがった!!」 サッ
フレイザード「ほっほう。 今のを避けるか。 ちったぁ楽しめそうじゃねーか。」
フレイザード「ならこっちはどうだぁ!?」 ヒョォォオオッ
ユミル「メラミ!」 ボォオオッ
シュウウウッ
クリスタ「ユミル! 大丈夫!?」
ユミル「あぁ!」
フレイザード「なにぃ! 相殺しやがっただとぉっ!?」
サシャ「今度はこっちの番ですね!」 バシュッ
ズシュッ
フレイザード「ぐおっ!」
エレン「おおおっ!」 ズババッ
フレイザード「がああっ!」
ジャン「なんだこの焼き氷。 見た目の割に大した事ねーじゃねぇか。」
フレイザード「ぐぅうっ 言ってくれるじゃねぇかガキィ…!」
フレイザード「しかしこんな強えぇ人間が勇者以外にいるとはなぁ! おもしれぇ! テメーらをぶっ殺してオレ様の手柄にしてやるぜ!」
ユミル「どうやったらこの状況でその自信が湧いてくんだ?」
フレイザード「グゥウウウッ!」 ググググ
サシャ「何か力をためていますね…!」
フレイザード「氷 炎 爆 花 散 !」
ドォオオオッ
ジャン「なっ!? あいつの体から炎の石と氷の石が飛び散って!! ぐほぉっ!」 ドゴォッ
エレン「ぐはっ!!」 ドガッ
サシャ「あぐっ!!」 ドガッ
クリスタ「きゃあっ!!」 バガッ
ユミル「ぐっ…!」 ドゴッ
アニ「くっ!!」 ヒュンヒュン
ミカサ「…」 ヒュンヒュン
ジャン「ぐ… くそっ! 油断した…!」
フレイザード「ヒャーッハハハハハ! ずいぶんと痛そうだなぁ!」
エレン「クソが…!」
フレイザード「だが本当の地獄はこれからだぜぇ?」
ユミル「なんだと…?」
爺さん「うぅっ…」
クリスタ「お、おじいさん…!」
サシャ「氷の女王の像を守って…?」
フレイザード「ヒャーハハハハ! 泣けるねぇ! 泣けるねぇ!!」
エレン「このクズやろうが…!」
フレイザード「おーっと熱くなるのはまだ早いぜぇ? お楽しみはこれからだ。」
ユミル「さっきから何言ってやがる…!」
ゴゴゴゴゴゴッ
ジャン「な、なんだこの地鳴りは…」
クリスタ「な、何か地面から生えてきてる…!」
炎の柱 ゴゴゴゴ
氷の柱 ゴゴゴゴ
アニ「あれは何…?」
フレイザード「ヒャーハハハハ! これでオレ様の勝利が確定したなぁ!」
エレン「あんな柱くれーで何言ってやがる! おらぁっ!」 ヒュバッ
ガキィッ
エレン「なっ!? 斬れねぇ!!」
フレイザード「ヒャハハハハハ!」 ドゴォッ!
エレン「ぐほっ…!!」
ミカサ「エレン!」 フリフリ
ユミル「何やってんだよお前! ベギラマ!」
ユミル「…あれ?」
ジャン「ユミル! 呪文は!?」
ユミル「出ねぇ…」
ジャン「は?」
フレイザード「ヒャハハハハ!」
ユミル「くそっ…! あいつ何しやがった…!」
ビュンッ
ジャン「! アニ!?」
アニ「ハァッ!!」 ドガッ
フレイザード「ハハハハハハハッ! 蚊でも止まってたか?」
アニ「なっ…!?」
フレイザード「おらぁっ!」 ドゴォッ
アニ「うぐっ…!」
ジャン「アニの攻撃が効いてねぇだと…!?」
フレイザード「ヒャハハハ! 不思議そうな顔をしているなぁ! いいだろう冥途の土産に教えてやろう。」
フレイザード「今ここにはなぁ 結界が張ってあるんだよ! 氷炎結界呪法って禁呪でなぁ!」
フレイザード「この結界の中にいるうちはテメーらの力は1/5に、呪文は一切使えねぇぜ!」
ジャン「くそっ! だから攻撃が効かねぇのか…!」
フレイザード「今からテメーらを順番に嬲り殺してやるぜぇ? ククク。」
ミカサ「…」
フレイザード「あん? なんだ女ぁ。 テメーから殺されてーのか?」
ミカサ「どこからでもかかってくるといい。」
フレイザード「ヒャハハハハ! 生意気な女だぜ! いいだろう。 テメーから殺してやるよ!」
ジャン「ミカサ…!!」
フレイザード「なぜだ… なぜこんなに強えぇ…」
ミカサ「私の特技は肉を削ぎ落とす事。 例えそれが炎、氷であっても例外ではない。 お前はこの短剣2本で充分だ。」
サシャ「ミカサ… 炎と氷は肉じゃありませんよ…」
ミカサ「これで止め。」 ビュンッ
フレイザード「グォオオッ!!」 ダダダッ
ミカサ「逃げるなど無駄な事を。」
フレイザード「はぁはぁ。 クソが。 この勝負はひとまず預けたぜ…! まだ俺は負けたワケじゃねぇ!」
フレイザード「だがその前に…!」
ミカサ「!!」
フレイザード「ヒャハーッ!」 ヒュォオオッ
クリスタ「あぁっ…! おじいさんが凍り漬けに…!」
フレイザード「仕上げはこれだっ!」 ゴォオオッ
ユミル「なっ!! 爺さんと女王ごと…!!」
ガシャーン ガシャーン
ミカサ「…!! なんて事を…!!」
フレイザード「じゃぁな! あばよ!!」 ヒュン
ミカサ「くっ…! 逃がした…」
クリスタ「そんな… そんな…!」
ジャン「爺さんと女王が粉々に…」
ユミル「…あのやろう。」
アニ「釈然としないね。」
エレン「くそっ… 許せねぇ…」
サシャ「なぜあんな事を…」
ジャン「おそらく戦いにおいて必ず戦果を残そうとするタイプだ。」
ユミル「確かに結果だけ見れば私たちは爺さんも女王も救えず、奴にも逃げられた。」
サシャ「試合に勝って勝負に負けたってヤツですか…」
ジャン「いつまでもここにいてもしょうがねぇ… 村に戻ろう。」
今日はここまでです。おやすみなさい。
エレン「くそやろうが! 許せねぇ!!」
ジャン「落ち着けエレン。」
エレン「この状況が落ち着けるってのか!?」
ジャン「いいから落ち着け!!」
エレン「ーッ!!」
ジャン「いいか死に急ぎ野郎。 お前が勝手に一人てつっぱしって死に急ぐのはかまわねぇ。 だがここはモンスターがウジャウジャいる。 お前の勝手な行動はここにいる全員の命を危険にさらす事になる。 よく覚えとけ。」
エレン「くっ…!」
クリスタ「ジャン… そこまで言わなくても…」
ユミル「お前までイラついてんじゃねーよ。」
ジャン「チッ…」
クリスタ「仕方ないよ… 突然こんな事になったんだもん…」
ユミル「こんだけ粉々にされちゃー生き返らせそうにないな。」
ミカサ「エレン…」
エレン「わかってるよ… 勝手な事はしねぇ…」
アニ「とにかくここを出るよ。」
ジャン「あぁ… 悔やむのはそれからだ。」
サシャ「こっちにテラスがありますよ。」
ユミル「そこでキメラのつばさを使うか。」
クリスタ「うん。 大魔道士様のところへ戻ろう。」
ゴォオオッ…
ジャン「は? なんで町が燃えてるんだ…?」
サシャ「なんですかこれ…」
ミカサ「あちこちに氷の像の破片が散らばってる…」
エレン「なんだこれ… 何が起きてんだ…」
ユミル「なんだよこれ… ばあさん! ばあさん!!」 ダッ
クリスタ「あっ! ユミル!」
サシャ「追いましょう!」
ゴォオオッ
ユミル「くっ! なんだよこれ!」
あくまのきし「ギギギ…」
ユミル「なんでモンスターがいんだよ! メラミ!」
あくまのきし「」
ユミル「ばあさんどこだーっ!?」
オークキング「ブゥウウ」
あくま神官「オォオ…」
ユミル「くそがっ!」
アニ「フッ!」 ドシュッ
シルバーデビル「」 パタッ
アニ「なんで町の中にモンスターがいるんだい。」
クリスタ「サシャ。 ユミルは見つかった?」
サシャ「いいえ… 完全に見失いました。」
ミニデーモンABC「ケケケケ」
ジャン「あまり他を気にしてる余裕はなさそうだな。」
エレン「なんでこんなにモンスターがいるんだよ… まさか…!?」
ミカサ「魔物が町を攻めている… 軍か何か?」
ジャン「魔王軍か…」
まおうのつかい「フン。 ヒマつぶしにとフレイザードに付いてきたが、なんと手ごたえのない町だ。」
アンクルホーン「隊長殿。 どういたしますか?」
まおうのつかい「さっさと焼き払ってしまえ。」
アンクルホーン「はっ!」
フレイザード「あーん? テメェがヒマそうにしてたから誘ってやったんじゃねーか。 文句言うんじゃねーよ。 ヒャハハ。」
まおうのつかい「貴様が町の人間どもを凍り漬けにしたから楽しめんのだろう。 こんな状態とは聞いてないからな。」
フレイザード「細かけぇ事は気にするんじゃねーよ。 70年前の事なんざすっかり忘れちまっててよ。」
まおうのつかい「なぜ滅ぼさずに放っておいたのだ?」
フレイザード「なぁに。 人間と仲良くしちゃってる魔物の女王様にちょっとしたおしおきよ。」
まおうのつかい「どういう事だ?」
フレイザード「女王と恋仲にあった人間を一人生かしておいてよぉ。 町を凍り漬けにしたのは女王と吹き込んでやったんだよ。」
フレイザード「もちろん女王は殺さずに意識だけ残るようにしておいたんだぜぇ? もう殺しちまったがよ! ヒャハハ!」
まおうのつかい「フン。 人間風情が一人であの砦に行けるワケがないからな。 女王は誤解を受けたまま意識だけの世界を生き続けるという事か。」
フレイザード「ハハハッ! 氷の大地から一人で抜け出せるワケもないしなぁ。 サイコーにかわいそうだろ? ヒャハハ。」
まおうのつかい「はやり貴様とは趣味が合わんな。」
フレイザード「ハハハ! 俺もお前みたいな快楽殺人者と一緒にされたくはねぇな。 ヒャハハハハ」
婆さん「…」
まおうのつかい「ん? ほう… 人間がいるではないか。 年寄り一人でよくここまで来たものだ。」
フレイザード「なんだぁ? ババァ。」
婆さん「おぬしらとは言葉も交わしたくないのう。 イオナズン!」
ジャン「! あっちで爆発があったぞ!」
クリスタ「ユミル!?」
エレン「わかんねぇ! 行ってみるぞ!」
サシャ「殿は私とアニが務めます! 先に行ってください!」
ジャン「まかせたぞ! 行くぞクリスタ!」
クリスタ「うん!」
ユミル「ベギラマッ!」 ゴォオオッ
トロル「」 ズシーン
ユミル「はぁっはぁっ…! これで全部か…」
ユミル「チッ… 炎がかなりまわってるな…」
ユミル「…!!」
ユミル「ばあさん! ばあさんっ!!」
婆さん「…ユミルか。」
ユミル「おいなんでこんな所で倒れてんだよ…!」
婆さん「早く逃げるのじゃ…」
ユミル「なんだよこの傷… 誰がこんな事しやがったんだよ…!」
クロコダイーン!助けにきてくれーーッッ!!
婆さん「魔王… 魔王軍が… 逃… げろ…」 ガクッ
ユミル「お、おい… ばあさん… ばあさんっ!!」
ユミル「ちきしょう…」
まおうのつかい「まだ人間がいるではないか。」
フレイザード「おっ テメェはあのときの魔法使い! 一人か、ちょうどいい。 ぶっ殺してやるぜ!」
ユミル「…!!」 ギリッ
ずしおうまる ザッ
じごくのもんばん ザッ
ユミル(囲まれたか…)
まおうのつかい「かかれ。」
エレン「はぁっ!」 ズババッ
きりさきピエロ「」
ミカサ「かなり炎がまわってきている。」
ジャン「早く脱出しねぇとやべーぞ。」
クリスタ「さっきの爆発音はこっちの方だと思うけど…」
ジャン「お、おい… あれ…」
クリスタ「え…」
ミカサ「この世界にも…」
エレン「巨人…!!」
ハゲの巨人「ガァアアアアッ!!」
まおうのつかい「な、なんだこいつは!? あの人間が変身したのか…? このような能力を持つ人間がいるというのか!!」
フレイザード「おいおい。 ザコモンスター共は全部やられちまったぞ!」
まおうのつかい「くっ! 一旦引くぞ! 魔王様への報告が先だ!」
フレイザード「おいおい正気か? 人間にやられておめおめと逃げ帰りましたとでも報告する気か!?」
まおうのつかい「このような能力は聞いた事がない! 人間がドラゴラム以外で変身するなど…!!」
フレイザード「ケッ! 冗談じゃねーぜ! 俺様がここでぶっ殺してやるよ!」
ハゲの巨人「ガアッ!」 ドゴォッ!!
フレイザード「」
まおうのつかい「チッ! バカめが!」
クリスタ「ど、どうしよう!」
ジャン「どうするもこうするもねぇ! あの巨人に気づかれないように気をつけろ!」
ミカサ「立体機動がないと巨人には…!」
エレン「くそっ! なんなんだよ次から次へと! 早くユミルを探し出すぞ!」
クリスタ「う、うん!」
ジャン「どこ行きやがったんだあのそばかす女!」
まおうのつかい「うぐ… だ、誰か… 魔王様に報告を… この能力は…」
グシャアッ
ハゲの巨人「…」
ハゲの巨人(…! あれはクリスタ達…! 正体をバラすワケにはいかねぇ。 どこかに隠れて巨人化を解くか。)
ハゲの巨人(あの建物の影がちょうどいい…!)
ジャン「どうだ!? いたか!?」
エレン「いや… 見当たらねぇ。」
ジャン「くそっ 早くしないと俺達もまるコゲになるぞ!」
ミカサ「…巨人は?」
クリスタ「あれ… いつの間にかいなくなってる…?」
ジャン「いや、あの巨人はそこまでデカくねぇ。 建物や炎の影にいるかもしれねぇ。」
ユミル「よう。 お前ら。」
クリスタ「ユミル!!」
ジャン「無事だったか! よし脱出するぞ! あの巨人に出くわさないように気をつけろよ!」
ユミル「…」
ユミル「巨人がいたのか?」
クリスタ「うん… 早く逃げよう!」
ユミル「そうだな。」
ミカサ「サシャ達も追いついてきた。」
ジャン「そういえばユミル。 あのばあさんは?」
ユミル「…死んだ。」
クリスタ「そんな…」
ジャン「そうか…」
エレン「モンスターの生き残りが出てきたぞ!」
ジャン「サシャ達と合流して町の外に出るぞ!」
サシャ「ユミル! 無事でしたか!」
ユミル「あぁ。 迷惑かけたな。」
アニ「それにしてもやけに魔物の数が多くない?」
サシャ「えぇ。 倒しても倒してもキリがありません…」
ジャン「確かに町ひとつ攻めるにはやり過ぎな気もするが。 町の出口が見えてきたぞ!」
クリスタ「! お城が…!!」
ジャン「魔物が群がっている…? ヤツらの目的はあの城か…!」
ユミル「この町はそのついでって事か。」
エレン「アルミン! ライナー!」 ダッ
ミカサ「エレン!」
エレン「」 ステーン
ミカサ「間に合わなかった…」
ジャン「迂回しながら城に近づけるポイントを探ろう。 あの数は無理だ。」
クリスタ「ベルトルトもコニーも… 大丈夫かな…」
アニ「城に火はかけられてないね。」
ユミル「あいつらならそう簡単にやられねーだろ。」
サシャ「そう信じましょう。」
ジャン「よし。 行くぞ。」
クロコダイン「…フレイザードがやられたか」
ザボエラ「奴は我々、六団長の中で最弱」
クロコダイン「ハゲごとき殺られるとは魔王軍の面汚しよ」
ライナー「フンッ!」 ドゴォ
レッサーデーモン「」
ライナー「コニー! 大丈夫か!?」
コニー「あぁ… 助かったぜライナー。」
ベルトルト「なんで急に魔物が攻めてきたんだろう…」
ライナー「わからん。 もしかしたらこの城に何かあるのかもしれん。 アルミンはいたか?」
ベルトルト「ここにもいなかったよ。 どこに行ったんだろう。」
ライナー「クソッ! そこら中に魔物がうじゃうじゃいやがる。 無事だといいんだが…」
コニー「おい! また新しいのが出てきたぞ! キリがねぇ…!」
ライナー「くっ…!」
ライナー「コニーは左のやつを頼む。 俺は右をやる。」
アークデーモンAB「グウウ」
コニー「お、俺にやれるのか…?」
ベルトルト「スクルト! 2人ともがんばってくれ…!」
ライナー「やらなければやられるだけだ… くるぞ!」
アークデーモンA「ゴアッ!」 ブンッ
コニー「うおっ!」 サッ
ライナー「ぉおおっ!」 ブンッ
アークデーモンB「グゥ!」 ガキィッ
ライナー「…! こいつら他の魔物より強いぞ!」
ベルトルト「ピオリム! コニー! 素早さを上げておいたよ!」
アークデーモンB「ガァッ!」 ブンッ
ライナー「くっ!」 ガキィ
アークデーモンA「イ オ ナ z
コニー「ぁああっ!」 ドシュッ
アークデーモンA「グゥッ…!」
コニー「こいつ何か呪文を唱えようとしたぞ!」
ベルトルト「今イオナズンを唱えようとしたのか…? こんな所でそんな呪文を唱えられたら…!」
ライナー「ベルトルト! 何か防ぐ方法はないか!?」
ベルトルト「あぁ…! マホトーン!」
アークデーモンAB「…!」
ベルトルト「呪文を封じ込めた! これでイオナズンは唱えれない!」
ライナー「でかしたぞベルトルト! いくぞコニー!」
コニー「あぁ!」
ライナー「うおおっ!」 ドゴォ
コニー「はぁああっ!」 ドシュ
アークデーモンAB「」 バタン
ライナー「よし! 早いとこアルミンを見つけ出すぞ。」
コニー「おう!」
サシャ「ここからなら城まで魔物の数が少ないですね。」
ジャン「よし。 なるべく目立たないように、素早く接近するぞ。」
ドォン!
ミカサ「城の一部が爆発した…!」
エレン「あいつら大丈夫なのか…!?」
クリスタ「急ごう!」
ライナー「なんだ今の爆発音は!」
コニー「まさか… アルミンか…?」
ベルトルト「クリスタが外に出ている事をふまえると賢者になっているのは考えにくい…」
ライナー「だとすると魔物の放った魔法の爆発と考えるのが妥当か。」
コニー「まじかよ… アルミンのやろう大丈夫なのか…」
ライナー「わからん。 無事なのを祈るしかないな…」
ベルトルト「またモンスターが!」
ストーンビースト「フシュウ」
リビングデッド「あ… あぁ…」
ライナー「次から次へと…!」
サシャ「フッ!」 バシュッ
ヘビ手おとこ「」 ドサッ
エレン「よし! 城までの魔物は全部倒したぞ!」
アニ「ここから中に入れそうだね。」
クリスタ「ユミル… 大丈夫? 顔色が悪いよ…?」
ユミル「ん? …あぁ。 大丈夫だ。 気にすんな。」
ジャン「チッ 後ろからモンスターが数体だ。」
エレン「くそっ! 早く入るぞ!」
ジャン「お前達は先に行け。 俺はここに残る。」
エレン「は?」
エレン「何言ってんだよお前!」
ジャン「おそらく城の中にはモンスターがウヨウヨいるだろう。 狭い通路で出くわして後ろから挟み撃ちになったらリスクがハネ上がる。」
ジャン「だからせめてここで出来るだけの時間を稼ぐ。」
エレン「そんな事したらお前が…!」
ジャン「はぁ? 俺が死ぬまで戦うなんて事するかよ。 期を見たら俺も城に入る。 だからお前らは俺が走れる道を作っとけ。」
エレン「だが…!」
ミカサ「エレン。 時間がない。 ジャンの言う通りにしよう。」
ジャン「そういう事だ。 時間がねぇ。 俺を信じろ。」
エレン「…わかった。」
エレン「死ぬなよ… ジャン。」
ジャン「さて。 適当にひっかきまわしてやるか。」
ザッ
ジャン「…! アニ… お前まで残らなくていいんだぞ?」
アニ「アンタ一人じゃすぐ突破されそうだからね。 手伝ってあげるよ。」
ジャン「はっ! 言ってくれるじゃねーか。 しかし心強いな。」
アニ「ある程度時間を稼ぐだけだからね。 無理だと判断したらすぐ城に入るよ。」
ジャン「十分だ。 無理に戦闘をする必要はねぇ。 逃げながら引き付けるだけでOKだ。」
アニ「わかったよ。」
ジャン「よし。 行くぞ!」
アニ「…」 ダッ
エレン「あいつら大丈夫なのか…」
ミカサ「エレン、 前を見て。 今は信じるしかない。」
エレン「…あぁ。」
サシャ「前方から魔物が2体! 近づいてきます!」
エレン「そっこーブッ倒してやる!」
ユミル「はぁっ はぁっ…!」
クリスタ「ユミル…! 絶対大丈夫じゃないでしょ!?」
ユミル「うるせーよ… 今はそんな事気にしてる場合じゃねぇ… 前を向け。」
クリスタ「ーッ!」
エレン「うぉおおおっ!」
ズバッ ズバッ
しにがみ兵「ギ…」
メタルライダー「コォ…」
クリスタ「やぁああっ!」 ビシッ ビシッ
しにがみ兵「」
メタルライダー「」
エレン「このまま駆け抜ける!」
サシャ「はいっ!」
ミカサ「どこから魔物が現れるかわからない! 気をつけて!」
ユミル「はぁ… はぁ…」 ガクッ
クリスタ「ユミル!」
サシャ「ユ、ユミル! どうしたんですか!」
ミカサ「顔色が相当悪い。 何があったの?」
ユミル「へっ… さっきの町で魔法を使いすぎちまっただけだよ…」
サシャ「! 私達が来た方向から魔物が…!!」
エレン「ジャン達のやろう… やられちまったのか…?」
ユミル「おい… お前ら先に行け…」
クリスタ「何を言い出すの!」
ユミル「私は今こんな状態だ。 この先に行っても足を引っ張るだけだ。 ならここで置いていけ。」
クリスタ「そんな事出来るわけないでしょ!?」
ユミル「ここに居ても囲まれて全滅するだけだ。 行け。」
クリスタ「私が担ぐから!」
ユミル「そんな事したらお前の移動速度が落ちるだろ。 魔物の恰好の的だ。」
クリスタ「そんなの関係ない!」
サシャ「…クリスタ。 ユミルを担いで先に行ってください。」
クリスタ「サシャ…?」
サシャ「私が後ろの魔物を足止めします。」
ユミル「は? お前なにを言い出すんだ…」
サシャ「ここは狭い通路です。 魔物が直進してくるなら逆に私の格好の的です。」
クリスタ「でも…サシャ…」
サシャ「いいんです。 アナタ達は私に… こんな私に良くしてくれました。 私は… 言うのは恥ずかしいですけどアナタ達の事を良い友達だと思っていました。 ユミルの当たりはキツかったですけどね。 アハハ。」
サシャ「だから… 私にもアナタ達に出来る事をさせてください。 大丈夫です。 私は死にません。」
クリスタ「サシャ…」
サシャ「さぁクリスタ。 ユミルに肩を貸してあげてください。」
ユミル「おい… サシャ… テメェ…!」
サシャ ギリギリ…
サシャ「走らんかい!!」
今日はここまでです。 続きはまた明日。
クリスタ「ーッ!!」 ダッ
ユミル「くそっ…!」
ミカサ「はぁっ!」 ズバッ
バトルレックス「」 ズシーン
ミカサ「みんなこっちへ!」
ドォン!
エレン「また爆発音だ!」
ミカサ「魔物の数が多すぎる。 このままでは…!」
エレン「とにかく走るぞ!」
レッドイーターA「シャッ!」 ズバッ
ライナー「うぐっ…!」
コニー「おいライナー!」
ベルトルト「コニー危ない!」
ブルーイーターA「シャーッ!」 ズバッ
コニー「ぐはっ…」
ベルトルト「だ、だめだ…」
レッドイーターB「フシュウ」
ブルーイーターB「グゲゲ」
ベルトルト「数が多すぎる…」
「イオンズン!」
ドォオオン
イーターの群れ「」
ベルトルト「なっ!? どこから呪文が!?」
アルミン「みんな大丈夫か!? ベホマラー!」
ベルトルト「ア、アルミン!?」
ライナー「お前… 今までどこに… それに賢者になっているのか…」
アルミン「僕も魔物に囲まれてて自由に動けなかったんだ。 ごめん。」
コニー「無事で良かったぜ!」
ライナー「さっきまでの爆発音はアルミンの呪文か。」
アルミン「うん。 魔物が攻めてくる前にこの城の書室で調べ物をしてたんだ。 あっ ごめんライナー僕にあまり近づかないでくれないかな…」
ライナー「ど、どうしたんだ…」
アルミン「理由は… 今度ちゃんと説明するよ… 今はこの状況を何とかしないと!」
コニー「でもアルミンはなんで賢者になってるんだ?」
アルミン「えっ… それはその… 書室で…」
ライナー「コニー。 男が一人でヒマな時にする事といったらひとつしかないだろ。」
アルミン「それより大変な事がわかったんだ! 魔物がこの城を攻めてくる理由も!」
ベルトルト「本当かい!?」
アルミン「エレン達はどこに!?」
ライナー「わからん… ここに戻ってきているのかも、無事なのかどうかも…」
アルミン「そうか…」
ライナー「何かこの状況を打開できる策はあるのか?」
アルミン「まずはこの城への魔物の侵入を阻止しなければならない。 そのためには城を浮かび上がらせるのが一番の方法なんだけど…」
ライナー「ヘタするとあいつらを置き去りにしてしまうな…」
アルミン「賭けに出るしかない…」
ベルトルト「賭けって…?」
アルミン「あの魔物達は元々この世界の存在じゃないんだ。」
ライナー「ど、どういう事だ?」
アルミン「そしてこの城はあの魔物達の世界とこの世界をつなぐカギになっている。」
コニー「???」
アルミン「このままここにいても僕達の全滅は目に見えている。 かといって城を浮かび上がらせるだけだとエレン達を見殺しにしてしまうかもしれない。」
アルミン「この城である呪文を唱えればこの周辺は魔物の住む世界に飛ぶ事が出来る。」
ライナー「エレン達がこの城まで戻っていれば一緒にその世界に飛ぶ事になり、いなければ俺達だけその世界に飛ぶのか。」
ベルトルト「少なくとも城の周りに展開してる魔物の軍隊を混乱させる事は出来るね。」
アルミン「上手くいけば軍を分断して指揮系統をメチャメチャに出来る。 その混乱に乗じてエレン達が上手く逃げてくれるのを信じるしかない。」
ライナー「魔物の軍がこの城を攻めてきたのも人間が向こうの世界に攻め入るのを防ぐためか。」
アルミン「もちろん僕達がこの世界に戻ってくることが出来る保証なんてどこにもない。」
ライナー「問題ないね。 どっちにしろここにいても死ぬのを待つだけだ。」
ベルトルト「僕もかまわないよ。」
コニー「お、俺もだ!」
アルミン「わかった… じゃあその呪文を唱えるよ。」
ライナー「あぁ。 頼む。」
アルミン「バ ル ス !!」
アニ「…うっ」
ジャン「おい… アニ生きてるか…?」
アニ「何があったの… なんだいここは…」
ジャン「周りの魔物がいなくなっている… それに空が… いつの間にか夜になったのか…?」
アニ「…何か周りの雰囲気が変わってない? 雪も氷もなくなってる… 寒くもない…」
ジャン「城はそのままあるな。 中の様子を見にいってみよう。」
アニ「わかった。」
ジャン「おい! あそこで倒れてるのサシャか!?」
アニ「アンタ大丈夫かい!?」
サシャ「あ… お二人とも… 無事だったんですね…」
ジャン「ケガはしてないか… 何があったんだ?」
サシャ「わかりません… 突然すごい衝撃と閃光が… 私もいつの間にか気を失っていました…」
アニ「立てる?」
サシャ「えぇ… なんとか。」
ジャン「他のヤツらはどうしたんだ?」
サシャ「わかりません。 私も魔物の足止めでここに残ったので…」
ジャン「取りこぼした魔物か… すまねぇな。」
ジャン「あそこにいるのは… ユミルとクリスタか。」
サシャ「ユミル! クリスタ! 大丈夫ですか!?」
クリスタ「サシャ…!」
ユミル「おう。 お前も無事だったか。」
サシャ「2人とも無事で良かったです。 エレンとミカサは一緒じゃないんですか?」
ユミル「私らもあのあと魔物に囲まれてバラバラになっちまったよ。 しかしなんださっきの衝撃は? 魔物もいなくなってるし…」
ジャン「わからねぇ。 外の魔物もいなくなっていた。」
ユミル「とりあえずこれで城の中を自由に動き回れそうだな。」
クリスタ「ユミル大丈夫?」
ユミル「あぁ。 少し休んだし大丈夫だ。」
ジャン「ライナー!」
ライナー「!! お前ら…! 無事だったのか!!」
ベルトルト「アニも… みんなも無事だったんだね…!」
アニ「アンタらこそ何事もなさそうで良かったよ。 アルミンとコニーはいないの?」
ライナー「アルミンは強大な呪文を使ったせいか寝込んでいる。 コニーは… ここに来てから様子がおかしくなっちまった…」
サシャ「な、何かあったんですか?」
ベルトルト「わからない。 外の景色を見たとたんひどく怯えた様子だったよ…」
ライナー「今は向こうの部屋で一人でいる。」
ユミル「なぁ。 ここはどこなんだ?」
コニー「魔界だ…」
ライナー「コニー! 大丈夫なのか?」
コニー「あぁ… 取り乱しちまってすまねぇ… もうかなり落ち着いた…」
サシャ「顔色が良くないですよ…」
ジャン「マカイってなんだ?」
コニー「俺… 思い出したんだ… トロスト区で巨人に喰われたとき… 俺は気が付いたらこの場所にいた…」
ジャン「なぁマカイって…」
コニー「空もいつまで経っても明るくならなくてよ… 魔物にも襲われた… 何度も死にかけたよ…」
ジャン「マk
コニー「そんな時助けてくれたのがキース教官だったんだ…」
サシャ「教官が…」
ユミル「でもハゲはあの町で私達に襲い掛かってきたじゃねーか。」
コニー「教官と一緒に人里がないか探していた時によ。 変な魔道士みたいのに出会ったんだ。」
ジャン「変な魔道士だと? そいつh
コニー「そいつは『アナタ達はこの世界に居るべきではない。』 とか言って何か呪文のようなモノを唱えだしたんだ。」
ジャン「その魔道s
コニー「そいつは『この呪文でアナタ達に記憶障害が起こります。 辛いかもしれませんが向こうの世界でこの力を支配して生き延びてください。』って言ってたな。」
コニー「そのあと気が付いたらお前らと出会った世界に居たんだ。 その時には記憶もなにもかもなくなってたけどな。」
ライナー「その魔道士… 何者なんだろうな。」
コニー「そういえば教官がそいつを見た時、何か驚いてたな… 確かグ… グリ… わりぃ何て言ってたか忘れちまった。」
サシャ「だからコニーは野生化して、教官は暴れん坊教官になってたんですね。」
コニー「野生化が解けて俺の力も元に戻っちまったけどな。」
ベルトルト「マカイってのは何だい?」
コニー「俺達がさっきまで居たのが人間界。 今ここに居るのが魔界っていう場所らしい。」
コニー「その魔道士が言うには人間界と魔界で戦争をしているみたいだ。」
アニ「あんたは何をそんなに怯えていたんだい?」
コニー「ここの魔物はやべぇんだ… とにかくハンパじゃなくつえぇ…」
ジャン「へっ そんなの俺達だってかなr
ライナー「確かにその時は敵わなかったかもしれん。 だが今コニーは強くなった。 それに俺達もいる。」
コニー「あぁ… そうだな!!」
ジャン「…」
ちょっと出かけてきます。
ライナー「そういえばエレンとミカサは一緒じゃないのか?」
ユミル「こっちは見てねーな。」
サシャ「どこに行ってしまったんですかね…」
ライナー「探すか。 生きてるといいが…」
ジャン「今のところ見てないが魔物が残ってるかもしれねぇ。 気をぬくなよ。」
クリスタ「ユミルは休んでて。 まだ全快じゃないでしょ?」
ユミル「ん… じゃあそうさせてもらうかな。」
ベルトルト「手分けして探そうか。 あとでここに集まろう。」
アニ「どう? いた?」
ライナー「いや、見当たらないな。」
ベルトルト「そういえばジャンは?」
ライナー「なんか城がまだ動かせるか見てくるって言ってたぞ。」
アニ「ねぇ2人とも。」
ベルトルト「どうしたの?」
アニ「さっきの町で… 巨人を見た。」
ベルトルト「…!」
ライナー「お、おまえ… それは…!」
アニ「わからない… もしかしたら本当にこの世界に巨人が発生したのかも… もしくは…」
ライナー「お前らが町に行っていた時城にいたのは俺とベルトルトとコニーとアルミンだ。」
ベルトルト「コニーは僕らと一緒にいたから… アルミンはわからないな…」
アニ「私はあの時サシャと一緒にいた。 アイツは気が付いてないみたいだったけど…」
ライナー「となるとエレンとミカサとジャンとクリスタとユミルの誰かか…」
アニ「あの時はユミルだけ一人離れていたから…」
ベルトルト「少し様子を見た方が良さそうだね。」
ライナー「そうだな。 考えるのは後だ。 今はこの状況をなんとかしよう。」
ユミル「ようアルミン。」
アルミン「ユミルかい…? どうしたの?」
ユミル「ずいぶんとしんどそうだな。 使った呪文ってのはそんなにスゴイものなのか?」
アルミン「うん… 動けなくなるほど魔力を消耗するとは思わなかったよ。」
ユミル「その呪文はどこで覚えたんだ?」
アルミン「この城の書室にあった本からなんだ。 この本だよ。」
ユミル「私も読んでみていいか?」
アルミン「うん。 人間界の事や魔界の事が書かれているよ。」
ユミル「へぇ。 そいつは興味深いな。」
クリスタ「ミカサとエレン… どこに行っちゃったんだろう…」
コニー「お! あそこにいるのミカサじゃないか?」
クリスタ「ホントだ! ミカサ!」
コニー「おいお前大丈夫か?」
ミカサ「コニー… クリスタ…」
クリスタ「どうしたのミカサ顔が真っ青だよ…」
ミカサ「エレンが… エレンが…」
コニー「エレンがどうかしたのか…?」
ミカサ「エレンが攫われた…」
ライナー「エレンが攫われただと…?」
クリスタ「うん… ミカサがそう言ってたよ…」
アニ「何回目だよ…」
サシャ「でもなぜエレンが…」
ベルトルト「ミカサ。 何が起きたのか教えてくれないか?」
ミカサ「わかった… あの時私とエレンは魔物に囲まれテラスまで追い詰められていた。」
ミカサ「その姿はさしずめ物語に出てくるヒーローとヒロイン。」
ライナー「お、おう… それで?」
エレン『くっ…! ここまでなのか…!!』
ミカサ『エレン!! 私の後ろに!!』
エレン『お、おい!?』
ミカサ『エレンは私が守る…!!』
ゴゴゴゴゴゴゴ
エレン『なんだこの振動は…!?』
ミカサ『エレン伏せて!!』
カッ
ミカサ『うっ… エ、エレン…』
エレン『大丈夫か…?』
ミカサ『私は大丈夫… 何が起きたの?』
エレン『わからねぇ… 魔物もいなくなってるし… 空も暗い…』
ズシーン ズシーン
エレン『!!! あれは… 巨人!!!』
エレン『俺達は元の世界に戻ってきたのか…!?』
ミカサ『エレン! そんなに身を乗り出しては…!』
ズルッ
エレン『あっ…』
ミカサ「エレンはそのままその巨人の服にスッポリ入って、連れ去られてしまった…」
ライナー「…」
コニー「きょ、巨人がいたのか…?」
ミカサ「そこまで大きくはなかったけどおそらく7~8m級だと思う。」
クリスタ「服を着る巨人もいるんだ…」
コニー「奇行種って言うしかねーな。 わからない事のほうが多いんだ…」
ミカサ「私はすぐにエレンを追う。 そこまで遠くには行っていないはず。」
ベルトルト「なら城を飛ばして追ったほうが見つけやすいかも。」
ジャン「そいつは無理だ。」
サシャ「ジャン!?」
ジャン「今動力室を見てきたがメチャメチャに壊されていた。 飛ぶのは無理だ。」
ライナー「徒歩で追うしかないって事か。」
コニー「マ、マジかよ…」
クリスタ「大丈夫だよコニー。 みんなもいるし!」
ライナー「幸い今は夜だ。 巨人もそう動けないだろう。」
ミカサ「すぐに行こう。」
今日はここまでです。 おやすみなさい。
ユミル「エレンがまた居なくなったのか?」 ズルズル
クリスタ「うん… どうしてアルミンを引きずってるの…?」
ユミル「あぁ。 さっきこいつが居た部屋で本読んでたら、『もうこの際君でもいいや!』とか言って襲い掛かってきたから蹴り上げといてやったぜ。」
クリスタ「け、蹴り上げた…?」
ユミル「あぁ。 思いっきりな!」
ライナー「」 ヒュン
ジャン「」 ヒュン
ベルトルト「」 ヒュン
ミカサ「アルミンは馬車に積んで早く行こう。 時間が無い。」
ライナー「あぁ… そうだな…」
ライナー「エレンはどっちの方向に連れて行かれたんだ?」
ミカサ「…」
ライナー「おい、ミカサ?」
ミカサ「あっ… あちらの方向に連れて行かれた。」
コニー「ミカサのヤツ… エレンが心配で気が気じゃねーんだな…」
アニ「…」
サシャ「そういえばコニー。 さっき言ってた事が気になるんですけど、ここの空は明るくならないんですか?」
コニー「あぁ。 ここは日が昇らねぇ。 ずっと薄暗いままだ。」
サシャ「ならここに巨人が居ても動きが鈍ければ立体機動なしでも仕留めれるかもしれませんね…」
ユミル「ちょっとは希望が見えたな。」
ミカサ「くっ…」 ズキズキ
アニ「アンタ大丈夫?」
ミカサ「ちょっと頭痛がするだけ… 問題ない。」
ライナー「ん? 洞窟があるぞ?」
ミカサ「着いた。 ここにエレンは連れ去られた。」
コニー「早く助け出してやろうぜ!」
ライナー「俺が先頭で入る。 お前らは後ろから付いて来てくれ。」
サシャ「ミカサ体調悪そうですね… 一番後ろでいいですよ?」
ミカサ「そうさせてもらう…」
ライナー「中は結構広いんだな…」
サシャ「壁に明かりがあってぼんやりと中が見えますね。」
ユミル「人の手が入ってるって事か…? いや、魔物でもそのくらいは出来るかもな。」
ライナー「慎重に奥に進むぞ。」
ミカサ「ソノ必要ハナイ…」
コニー「は? どうしたんだ?」
サシャ「コニー! 危険です!!」
ミカサ「…」 ヒュッ
ライナー「ミカサがコニーを攻撃しようと!?」
コニー(早えぇ…! 死ぬ…)
ガッ!!
コニー「ア、アニ…? 助かったぜ…」
ミカサ「邪魔ヲスルノ…?」
アニ「…おかしいと思ってたんだよね。 あれだけアイツに固執してたアンタが焦りもせずに冷静に私達を誘導してる所がさ。」
ミカサ「駄目… あなた達は逃げるべき… ぐっ…! 邪魔ヲスルナラ殺ス。」
アニ「明らかに様子がおかしい… ライナー! こいつは私にまかせな!」
ライナー「相手はミカサだぞ…? 俺も一緒に。」
アニ「周りを良く見てみな。」
マヌハーンの群れ「グゲゲ」
ライナー「く… ここは魔物の巣だったか…」
アニ「そういえばアンタとの決着はまだだったよね。」
ミカサ「…」
アニ「悪いけどアンタ相手に手加減は出来ない。 全力でいかせてもらうよ。」
ミカサ「何処カラデモ掛カッテ来ルガイイ。」
アニ「そうさせてもらうよっ!!」 ビュッ
ミカサ「…」 ガッ
コニー「おいおいあいつらがやり合うのかよ…」
ライナー「他を気にしてる余裕はないぞ。」
マヌハーンの群れ「ゲゲゲ」
ユミル「気味がわりーなこいつら…」
ライナー「俺が先鋒で様子を見る。 お前らは隙を見て攻撃してくれ。」
サシャ「だ、大丈夫なんですか?」
ライナー「俺を信じろ。 そして俺はお前らがやってくれると信じている。」
サシャ「わかりました…!!」
ライナー「いくぞ!」
マヌハーンA「マ ヌ - サ」
ライナー「!!!!」
ライナー(な、なんだ… 霧に包まれて…)
クリスタ「ライナー。」
ライナー「クリスタ!? お前馬車に居たんじゃないのか!?」
クリスタ「うん… でもライナーの事が心配で… いてもたっても居られなくて…」
ライナー「クリスタ…」
クリスタ「こんな時にこんな事を言うのもなんだけど… 私… ライナーの事が…!!」
ライナー「ク、クリスタ…」
クリスタ「ライナー… ずっと一緒に居たい…」
ライナー「クリスタ。 俺も同じ気持ちだ。」
コニー「おい… ライナーのやつ固まっちまったぞ…」
ユミル「なんつー緩いツラしてんだあのバカ…」
サシャ「わ、私達でやるしかありませんね…」
マヌハーンB「ゲゲゲッ」
マヌハーンC「コォー コォー」
ユミル「チッ 私が呪文で足止めするからお前らでなんとかしろ…!」
コニー「お、おう!」
サシャ「私が仕留めてみせます!」
ユミル「いくぞ! ベギラマッ!!」
今日はここまでです。 おやすみなさい。
マヌハーンBC「グゲェッ」
コニー「おし効いてるぞ! おらぁ!」 ドシュッ
サシャ「フッ!!」 バシュッ
ドシュッ ドシュッ
マヌハーンBC「」
ユミル「あと一匹か。」
サシャ「確かライナーの方に…」
コニー「おおっ ライナーのヤツあの怪物を押さえ込んでるぞ!」
ライナー「クリスタァ! クリスタァアアッ!!」
マヌハーン「グエッ… グエッ…」
サシャ「すごいですねライナー! 素手であのモンスターを押し倒してますよ!」
コニー「あぁっ やっぱあいつはハンパじゃねー!」
ユミル「…」
サシャ「でもなんで半裸なんですかライナー…」
コニー「さぁ… わかんねぇ…」
ユミル「…メラゾーマ」
ライナーマヌハーン「ギャァアアアッ!」
サシャ「ユ、ユミル!?」
コニー「なんでライナーごと攻撃してんだよ!!」
ユミル「気付けだ。」
マヌハーン「」
ライナー「う… ぐ…」
コニー「大丈夫かライナー! ほら、薬草だ。」
ライナー「すまない… 俺は… モンスターに襲い掛かっていたのか…」
コニー「なんだよ? 覚えてないのか?」
ライナー「…。あ、あぁ。 覚えてない…」
ユミル「なかなかいいセリフを吐きながら襲い掛かってたぞライナーさんよ。」
ライナー「ぐっ…!」
コニー「あれ…? あんときなんて言ってたっけ?」
サシャ「えーと… なんでしたっけ?」
ユミル「なんだ聞いてなかったのか。 あんときコイツはモンスターをクリs
ライナー「そ、それよりアニとミカサはどうなったんだ!」
コニー「そうだ! あいつら戦ってんだろ!?」
サシャ「あの2人が本気でやりあったら…!」
ライナー「止めにいくぞ!」
コニー「あぁ!」
ユミル「チッ」
アニ「ハァッ!!」 シャッ
ミカサ「…」 ヒラッ
アニ「そう簡単にはいかないね。」
ミカサ「今度ハコッチノ番。」 シュッ
アニ「くっ!」
ミカサ「…」
アニ(今のは危なかった… やはりコイツは強い…! でもあのナイフを落として極め技に持っていければ…)
ミカサ「来ナイノナラ、コチラカラ行ク。」
アニ(誘い込む…!)
ミカサ「…」 シャッ
アニ(サイドに避けて) サッ
アニ(肘で腕を狙う…!)
アニ「フッ!!」 ゴキィッ
ミカサ「グッ!」
カランカラーン
アニ(ナイフを落とした! このまま腕を絡めとって)
アニ(極める…!)
ドザァッ
ミカサ「グギッ…!!」
アニ「はぁっ はぁっ!」
ミカサ「クッ…!」
アニ「動こうとすればこのまま腕をヘシ折るよ…」
ライナー「アニ! 大丈夫か!?」
アニ「…アンタなんで上半身脱いでんの?」
コニー「すげぇ… ミカサに勝っちまったのかよ!」
アニ「コイツの様子はおかしかった… 攻撃も直線的なものしかなかったしね。」
ユミル「もともと変なヤツだったが急にどうしちまったんだろうな。」
サシャ「待ってくださいみなさん! あそこに何か隠れてます!!」
ダダダッ
コニー「あっ 逃げたぞ!」
ライナー「俺たちにビビって逃げ出したか。」
ユミル「上半身裸のゴリラがいたからじゃねーのか?」
ライナー「ゴリラ? そんなのどこにいるんだ?」
サシャ「アルミン…」
ライナー「えっ?」
サシャ「今逃げたのはアルミンでした…」
コニー「なんでアルミンが俺たちを見て逃げ出すんだよ。」
ユミル「アイツ馬車に置いて来たんだけどな…」
ミカサ「アニ… もう離してほしい…」
アニ「アンタ正気に戻ったの?」
ミカサ「今は大丈夫。 しかしいつまたあのような事になるか…」
ミカサ「私を一旦拘束してほしい。」
ユミル「いいのか?」
ミカサ「また正気を失えばアナタ達に危害を加える事になる。 原因がわかるまでは…」
ライナー「わかった。 アルミンは心配だが一旦馬車に戻ろう。」
サシャ「そういえば馬車に残ってる人たちアルミンがいなくなったのに探しにこないですね。」
アニ「何かあったのかもね。」
ライナー「おい。お前ら大丈夫か?」
ジャン「zzz」
クリスタ「zzz」
ベルトルト「zzz」
ユミル「何のんきに寝てんだこいつら。」
ライナー「…」 ゴクリ
ユミル「おいライナーさんよ。 妙な事考えてたらメラゾーマ一発じゃ済まねーぜ?」
ライナー「あ、あぁ… 変なことは考えてない…」
サシャ「とりあえずみんなを起こしましょう。」
コニー「おい! 起きろよ!」
ジャン「ん… あれ… 俺寝てたのか…?」
ユミル「なかなかのマヌケ面だったぞ。」
ベルトルト「うぅ…」
ライナー「起きたかベルトルト。 何があったんだ?」
ベルトルト「んと… よく覚えていないんだけど… アルミンが起きて突然何か呪文を唱えたような…」
ユミル「全員寝ている所を見るとラリホーマか。」
ミカサ「アニ。 私を拘束しておいて。」
アニ「わかったよ。 でもアンタなぜあんな風になったの?」
ミカサ「…。 わからない… お城がここに飛ぶ前に魔物に囲まれていた所までは覚えている…」
アニ「? アンタはそのあとの事も話てたけど?」
ミカサ「そうなの…? ごめんなさい。 覚えていない…」
アニ「途中から様子もおかしかったしね。 何かに操られていたとか?」
ミカサ「移動中の記憶は断片的にあるけど… 所々覚えていない…」
アニ「やっぱり拘束しておくべきか…」
ミカサ「お願いする…」
ライナー「俺は洞窟の奥に行ったアルミンを探しに行く。」
ミカサ「エレンはどこ…?」
サシャ「ミカサが洞窟に連れ去られたって言ってたじゃないですか?」
ミカサ「そうなの… ごめんなさい覚えていない…」
アニ「私達をあそこに誘導するように操られていたのかもね。」
ジャン「アルミンが気になるな…」
アニ「私はミカサの監視でここに残るよ。 拘束といっても縄で縛ってるだけだから暴れだしたら破られそうだしね。」
クリスタ「私もアルミンを探しに行くよ!」
ユミル「クリスタが行くなら私も行かないとな。 危険は何もモンスターだけじゃねぇ。」
ライナー「なぜこっちを見る…」
ベルトルト「なら僕も行こう。 魔物が呪文を使ってくるなら行ったほうがいい。」
ジャン「俺も行くか。 アルミンに何があったのか気になる。 いくらクズミンでも俺たちにラリホーかけるような真似はしねーと思うからな。」
ライナー「サシャとコニーはここに残っていてくれ。 アニ一人だと心配だ。」
コニー「わかったぜ。」
サシャ「皆さんの無事を祈っています。」
ライナー「そっちはどうだ?」
ジャン「だめだ。 こっちも魔物だらけだ。」
クリスタ「アルミン… 一人でこんなとこに?」
ユミル「まともな頭ならこんな魔物がウジャウジャいる所に一人で来ようなんて思わねぇな。 アイツもミカサみたいにおかしくなってるって考えるのが妥当だ。」
ベルトルト「何かあったのかな… 僕らが会った時には普通のアルミンに思えたけど…」
ライナー「待てベルトルト。 普通のアルミンってどんなのだ?」
ベルトルト「えっ? えっと… 頭が良くて機転が利いて、時々熱くなる事もあったり…」
ライナー「そうだ。 それが普段のアルミンだった。」
ベルトルト「?」
ライナー「だがこの世界に来てからのアルミンはどうだ?」
ジャン「真性のバカ」
ユミル「腐れインポ野郎」
クリスタ「ちょ、ちょっと2人とも…」
ベルトルト「アルミンが最初から偽者だったとでも言うのかい?」
ライナー「違う。 その逆だ。 あのホイミンがアルミンなのは間違いない。」
ユミル「何が言いたいんだ?」
ライナー「ベルトルト。 アルミンが俺達の前に姿を現した時はホイミンだったか?」
ベルトルト「いや… 賢者になったアルミンだったけど…」
すみません>>1です。
最近激務が続いて家に帰って寝るだけの生活が続いております。
せっかくここまで書くことが出来たし、みなさんの応援も、物凄くありがたいです。
仕事が落ち着き始めたらまた続きを書きたいと思っております。
職場の体制を立て直すまで・・・
今しばらくお待ちください。
その時までスレが残っていれば・・・
このSSまとめへのコメント
期待です
期待